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19回国会衆議院1954/04/15

労働委員会 第18号

発言数
62
登壇者
9
会派数
3
開催日
1954/04/15

会議録

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員長代理 これより会議を開きます。  本日赤松委員長が事故がありますので、私が委員長の職務を行いますから、御了承願います。  それでは特需関係労務に関する件について調査を進めます。本件に関連いたしまして、日平産業株式会社の労使問題について調査を進めます。本問題につきましては、前回の委員会に御出席になりました参考人の高橋兵二君及び大吉光君の両君が本日も御出席になつておりますから、御了承願います。  まず両参考人より本問題につきまして、御意見を聴取いたします。高橋兵二君。

高橋兵二日平産業労働組合横浜支部書記長

○高橋参考人 ただいま委員長の方から指名されました高橋でございます。日平産業の労働組合が直面しておりますところの現在賃金遅払いによります問題につきまして、一応組合の意見を述べたいと思います。  日平産業は、昨年生産の不振並びにいろいろ手違いから、昨年の十二月三十日、ようやく十一月分の給料が間に合つた。しかも、これは他の銀行から融資を受けて、ようやく間に合つたような状況にありまして、本年二月に至りましては、二月分の給料が一箇月遅れまして三月末日にようやく支払われた。さらに三月分の給料につきましては、今日まで二千二百万円——これは組合の推定によりますが、臨時工を含めました全従業員二千二百万円の給料のうち、現在まで二回に分割になりまして、最初に一人頭千五百円、次に千円、こういうような僅少な額が出ております。総額について大体三百五十万円という金額が二千二百万円のうちから支払われているという状態になつております。この賃金遅払いの問題が、現在まで二月分の給料が三月末日に解消されまして、今、四月の今日に至りまして、三月分の給料の支払いを一日も早くするように、労使両方の間にいろいろ具体策を練つて解決をはかつておりますけれども、他面われわれの会社にいろいろ債権を有している各下請工場数百軒——日平産業は茨城県と横浜と二つ工場がありまして、横浜工場の従業員が大体臨時工を入れて千六百人くらい最近こういう状態になりましたので、どんどん人がやめて行くようなことになつておりますので、その点は若干の減少をいたしております。それから茨城の方が大体三百人くらい、これらを合算して、非組合員その他を全部入れて二千人近くの従業員がおります。それから下請工場は、正確な数字は私のところにはちよつとわかりかねますが、最近横浜関係の下請業界の協力会が結成されたときに集まつた数だけでも、横浜では二百軒ばかり、宇佐美などを合計いたしますと、約五百以上の下請業者がいるんじやないかと考えております。それらの下請業者並びに従業員の数を合算いたしますと、相当な数になつて来ます。従業員のわれわれのみならず、一般的な人たちの窮状も、現在やはりわれわれと同じようになつているんじやないか。こういう遅払いは、日平産業の従業員だけでなく、それに伴う業者の上に大きく問題を投げております。  私どもはこの点について、現在まで、もつぱら営業収入を引当てにしておりまして、これをわれわれの賃金に振り当てて一日も早く解消するようにやつておりましたけれども、最近他の債権者がいろいろな形でこれを差押えするような状態になつて参りましたので、われわれの予定します営業収入もなかなかか思うように入つて来ない、こういう問題が最近頻発いたして参りました。  組合といたしましては、本件についていろいろ上部団体と連繋をとつてお力添えを願つておりますけれども、日一日と迫つて来るところのこの遅配に対しましては、何とも解決の方法も今ないような状態であります。というこは、われわれがつくつた製品を出そうとすると、これを差押えされる、あるいは手形のものを差押えられてしまうというような状態で、これに対して、組合は法的な手段にも訴えなければならない。こういうことは、下請業者に刺激を与えることが非常に大であり、われわれとしては行いたくないのでありますけれども、そういう段階に今追われて来ておる。  先般労働省の職員の方がこちらでちよつと申されておりましたけれども、三月分の給料は、四月一ぱいに会社側は完納する予定である、こう言つておりますが、二月分の給料は三月一ぱいに完納する、この一箇月間のずれというものは、われわれ労働者にとつて非常なる打撃を与えております。さらに二月分の給料が四月一ぱいにたとい完納されるようなことがあつても一日一日疲労しているわれわれ家庭の経済というものは、非常な打撃にぶつかつて、各人今非常に苦しんでおるというような状態であります。  これがこの先このような状態でもつてどこまで続くかということについては、全従業員が非常に心配いたしておりますが、現在日平産業の最高幹部である社長が、いろいろな事件のために検束されておりますので、この方の問題が解決しなければ、なかなか当面の日平産業の再建という問題についてもいろいろ支障がある。現在各方面でいろいろやつております。しかしながら、従業員の生活は刻一刻苦しく追い込まれておる。同時に、多くの人は、この先このような状態が続くなれば、次次と自分の企業から離れて行くような状態になつている。なお、非常に熟練しておる人たちは、そういう場合にも他に雇われる率は多いといたしましても、六百人からの臨時工の人たちは、一体どうするのか。こういう問題に対しまして、私どもは企業がこのまま再建される可能性が一日も早く見通しがつくならば、われわれとしても、全従業員に一層のしんぼうを願わなければならないと考えておりますけれども、しかし再建については、われわれにはまだまだ明るい見通しが今ない。同時に日平産業は、過去においては通産省からも重要指定工場として指定されたこともあります。このような重要な工場であるにもかかわらず、今日までいろいろこういうような苦境にある場合、そういう通産省などからも、積極的にこれの救済の手が延べられていないようにわれわれは考えておるわけです。従つて、日平産業にいろいろ問題があるといたしまして、こういうような、かつては重要指定工場にまでした工場に対して、通産省あたりからも積極的な援助をわれわれとしては期待したい。同時に、万が一日平産業が再建が不可能であるというような状態になつた場合、この多くの臨時工並びに従業員の人たちのあすからの生活を保障して行くことが、労働省あるいは監督省の方においてはどのように考えられるか。そういう点を考えるならば、当然日平産業の企業の再建ということには、いま少し各方面から積極的に御援助をわれわれはしていただきたいということをここで述べたい。  以上日平産業の従業員の苦しい立場を述べまして応の御援助を願いたいということを意見として述べさしていただきます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員長代理 大吉光君。

大吉光日平産業労働組合横浜支部副委員長

○大吉参考人 ただいま高橋さんの方から、いろいろと日平の現状について御説明があつたのですが、以上の点から考えましても、われわれの給料の遅配の解消は、根本的な問題としまして日平の企業の再建といいますか、再編といいますか、そういうものから考えて行かなければ非常に困難であるというふうに、われわれとしては考えておるわけです。かつて日平産業といたしましては、戦争中は機銃あるいは銃弾関係の一貫メーカーとして、相当大きな仕事をやつておつたわけです。現在も、特需あるいは保安隊関係の仕事をいただきまして、いろいろと仕事をやつておりますが、何せ戦後賠償工場に指定されまして、銃弾に例をとりますれば専用機械はほとんど破壊され、しかも機械は老朽化しており、なお技術は十年間の空白といいますか、そういう状態にありまして、現在特需を進めを現在の水準に引きもどしまして、われわれの生活を確保するためには、相当厖大な資金あるいはそういういろいろなことが考えられて行くわけです。しかし、何といいましても、このような社会情勢下にありまして、自己資金だけでこれを完全に建て直すということは、われわれとしては非常にむずかしいのではないかというような考え方から、もし政府が特需関係あるいは保安隊関係の仕事を今後もやるというようなことを考えるならば、この際日平のあるいは日平だけでなく、特需関係に対して、もう少しそういう面からの援助をしていただきたいと、われわれ組合としてはかように考えておるわけです。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員長代理 では参考人並びに政府に対し質疑を許します。なお政府委員は労働省のほかに通産省記内企業局長が見えておられますので、念のために申し上げます。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 労働省にお尋ねをいたしたいと思いますが、ただいま参考人から、るる御説明がありましたので、事情は明らかなように、賃金の支払いが遅延しておるという事実も、きわめて重大でありますし、次に問題になりますのは、この工場の大部分が、特需の上に依存しておるようでありますので——この特需関係が今までの事件の内容については、われわれもあまり詳しくは承知しておりませんが、新聞の伝えるところによりますと、相当広汎な汚職関係あるいは業務上の横領等の関係が非常に複雑にかつ司法当局の手を入れるところになつているようであります。こういう関係から想像をいたしますと、今後これら事業場にあります従業員諸君の雇用上の問題についても、きわめて不安定な事態が予測されると思うのです。このことは、ひとり日平産業に限つた問題ではないと思う、特需全体につながる事柄であつて、たまたま一つの事実を中心にお尋ねをするのでありますが、労働省としては全般に配慮をいたして御回答を願いたいと思うのであります。  そこで、私どもの日ごろから非常に重視しておりますものは、今日日本の労働者にとつては、きわめて低率な賃金給与であります。従いまして賃金は、基準法の命じますように、確実に通貨をもつて労働者の手に、しかも月一回以上支払わなければならぬという事柄は、申すまでもなく一般的な規定であると同時に、日本の現在置かれております労働者の生活を維持する唯一のものであります。これが今日、私どもの知る範囲内におきまじても、広汎にわたつて基準法の違反に類する事件が発生しております。二十四年から昨年の八月までの実情を見ましても、その件数だけでも九万三千二百十九件の多きに上つております。しかも金額は、不払いとして事件を起した分だけでも三百五十九億余円に上るのでありますから、実に甚大な被害を労働者が受けておるということがわかるわけであります。こういうようなことでありましては、労働者は安んじて賃金によつて生活をすることができないわけでありまして、このことは、ひとり基準法の命ずるところであるのみならず、労働行政全般としても、かかる事態が発生するというようなことは、重大な責任を感ずべき事柄の一つだと私は思う。こういう問題が、どうしてこんなに発生しておるかということについては、日平産業の問題を調査することによつて、だんだん明らかになつてくると思うのでありますが、日平産業の問題に触れます以前に、まずこのような未払い賃金が各所に続発しておるという点について、労働省としてはどのような処置をおとりになつて来たか、今後かかる問題をどのように善処されるつもりであるか、この点を伺つておきたいと思います。

安井謙自由党労働政務次官

○安井政府委員 お答え申し上げます。いろいろ経済的情勢、あるいは中には経営者の不手際その他によりまして、賃金の不払いあるいは遅配が起るということは、たいへん遺憾なことでございまして、労働省といたしましては、こういうようなことの起らないよ乏、平素からそれぞれ関係機関を動員して督励して指示せしめておる次第でございます。今後もこういつた問題が極力減少するように相努めるつもりでやつておる次第であります。なお、個々の全国的に起つております遅払いその他の事情につきましては、基準局長からお答えいたさぜます。  なお、日平産業の件につきましては、ただいまお話の通りでございますが、これは三月分の遅払いの部分につきまして四月中に支払いできるように、労働省といたしましては監督署を通じて十分なる手配措置をいたしておりますので、この問題も間もなく解決できるものと考えております。

亀井光労働基準監督官(労働基準局長)

○亀井政府委員 賃金遅払いにつきましての大要を、ただいま政務次官からお話がございましたが、私の方でとつておりますこれらに対する措置につきまして、現在までに解決しましたものは、件数におきましては九七%、金額におきましては九九%という比較的良好な解決の結果を見ておるのでございますが、これらの解決を見ますまでには、監督機関としましていろいろな手を打つてやつて来ておるのであります。しかし問題は、経営自体の問題でございますし、また金融自体の問題でございますので、従つてこういう面から来ます根本的な問題を解決しなければならない面もございまして、解決がなかなかむずかしい事案もあるわけででございます。しかし、監督署としましては、基準法の建前並びにその上に立つてのいろいろなあつせんをいたしまして、金融機関との連絡その他もやつておるような次第でございます。また今後、特に中小企業におきます賃金遅払いが、本年度におきまして相当起るけはいも見えますので、昭和二十九年度の監督の重点におきましても、賃金遅払いをできるだけすみやかに解決をすることを、行政の重点にいたしておる次第でございます。今後のわれわれの研究問題としましては、労働金庫をどういうふうに活用して行くかということもつの大きな研究問題として目下その研究をいたしておるような次第でございます。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 ただいまの御答弁の中で、基準局長は、従来この問題の解決について、比較的成績よく解決されたという御報告がありました。しかし解決が九七%、あるいは金額について九九%ということになつておりますが、それは当然なことである。ということは、三%は結局労働者が被害をこうむつたということを意味するわけでありまして、これはとんでもないことで、成績はあくまで一〇〇%でなければならぬ。こういうことは、はなはだ遺憾なことであります。それでなくても、今問題になつておるのは、その解決がどうであるとかいう以前に、賃金未払いが発生するということ自体が、労働者にとつては耐えがたい被害であります。最低生活を維持するにようやつとの賃金の支払いの時期が遅れたり、あるいはたとい一%でも三%でも支払いがなされなかつたということになることは、労働者にとつては救済のしがたい事柄であります。従つて賃金未払いの発生しないように事前監督を行うということが主でなければならぬはずであります。労働行政は、そこに着眼されなければならぬはずであります。こういう意味からいたしまして、未払い賃金の発生を、今も御説明がありましたように、本年はデフレ予算の影響を受けて、緊縮政策は各方面に大きな影響を及ぼして来て、これは結果において著しい賃金の事件を起して来るのではないか。こういう問題については、従来比較的朝鮮ブームに恵まれておつた時期にあつても、こういう事件がたくさん発生しておるわけでありますから、今後の見通しの非常に悪い現状からいたしますならば、これに対する特殊の処置というものが講じられていなければならぬはずであつて、その点の答弁をはつきり伺つておきたいのであります。

亀井光労働基準監督官(労働基準局長)

○亀井政府委員 先ほど申し上げましたように、事前の措置としての監督は、御承知の通りでございまして、未然にこれを防止をして行くという措置は当然とらなければなりませんが、しかし、これには企業経営の内容、実態にまで入らなければなりませんし、あるいは金融措置その他にも関連して参りまして一朝一夕では、監督機関だけの力ではなかなか容易に解決できない面が残るわけでございます。そこでわれわれとしましては、絶えずそういう関係の機関と連絡をしながらこの問題の処理に当るようにという趣旨で、地方の監督機関を督励をいたしておるのでございますし、今後の問題といたしましては、先ほどもちよつと申し上げましたように、労働金庫を何とか活用する方途を考えて行きたい。こういう方面からしますと、労働省独自の力で、ある程度の解決の方策が見出されて来るのではないだろうか。他の金融機関なりをたよりにいたしておりましては、問題の解決をおそくいたしますので、労働金庫あたりをもう少し活用する方法を考えて行かなければならない。これにはいろいろ賃金の問題あるいは運営の問題等ございますが、そういう個々の具体的な問題について、目下検討を進めておるような次第でございます。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 次に、もう一つ局長にお尋ねいたしたいのですが、現在まででも、賃金問題の解決のために、出先の監督官及び監督署の職員諸君の絶えざる努力に対しましては、われわれは敬意を払つております。しかし、いずれも末端に参りますと、違反があつても、実地調査のために出張する旅費すら窮しておるという実態を各所で聞くのであります。さらに、そういう状態のところに定員不足等も重なり合つて、今日までの状態から判断しても、監督機関としては大きな欠陥があるように判断大きな欠陥があるように判断されるのであります。局長としては、今後ともこの程度で賃金未払い事件を未然に防止できるという御所信がおありであるかどうか、あるいはそれに対する対策を何かお考えになつておるかどうか、伺いたい。

亀井光労働基準監督官(労働基準局長)

○亀井政府委員 お説の通り、賃金未払い事件の解決につきましては、わらじをはいて現地に出かけて問題の解決に当るという態度をとらなければならぬ事案が多いかと思います。従つて御質問のように、予算の問題、定員の問題等ございますが、予算の面におきましても、二十九年度では、監督署につきましては一般旅費が二〇%の節約を受けました中で、昨年通りの予算を一応獲得いたしますし、通信費等はむしろ前年度よりもふえて参つております。従つて、これらの予算を合理的に使うという方途を考えますならば、そうきゆうくつな思いをしなくても問題の処理ができると思うのでございますし、また定員につきましても、ごくわずかな行政整理でございまして、これらのことは、内部事務の整理その他によりまして、しかもまた監督官の数につきましては、それほどの影響を与えないように、われわれとしまして、行政整理を進めておる次第でございますので、むしろそれよりも、監督官のそういう問題を処理する場合の考え方なり、あるいは方法なりこういう問題の技術面の向上といいますか、資質の向上をわれわれとしてははかつ書きたい。従つて、数の足りないところは質で補うような方途で参りませんと、賃金未払いのようなむずかしい問した技術というか、ねらいどころ、勘どころというところをよく知つた監督官でなければ、なかなか解決がむずかしい面がございます。そういう点から、質の向上の面にわれわれとしては重点を置いて教養訓練を進めて行くべきである、こういうふうに考えます。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 安井政務次官にお尋ねをいたしたいと思いますが、行政的な処置としましては、これは資質の向上あるいは限られた予算の中で積極的な御努力を願うことにいたしまして、今当面しておりますデフレ予算の遂行に入るわけであります。これによつて起つて来る労働者の問題は、賃金問題だけじやなくて、雇用上の問題、その他労働条件が非常に深刻な形において労資問題となつて現われておるし、あるいは当然保護法によつて保護を受けなければならぬ者が、その量と質が増大するだろうと思う。こういうものに対しては、少くともかかる政策全体の上かり予算を考える、あるいは産業金融、各種の政策が持たれておるわけです。次官は、申すまでもなく重要な党の役員であり、かつ政務次官として、かかる政策全体について十分熟知されておると思うのでありますが、こういう問題をはらんでおるにもかかわらず、労働省の予算を通じてわれわれが拝見いたしますのに、むしろ縮小をするのではないかと思われるように、労働行政については消極的な方針がとられておる。これは、われわれから考えますと、非常に不安であるだけではなく、労働者にとつては耐えがたい傾向だと思う。こういうものに対して、何か吉田政府としそれぞれ施策をお立てになつておるか、この点を伺つておきたいと思います。

安井謙自由党労働政務次官

○安井政府委員 お答え申し上げます。お説の通り、緊縮予算に伴いまして般の雇用関係が悪化の傾向にあることは、否定できないであろうと存ずるのであります。これは御指摘の通り、非常に重要な問題としまして、政府も十分あれこれ対策を考慮しておる次第であります。今労働省直接の問題といたしましては、先ほども基準監督の方はどうかというお話は、これは局長からもお話申し上げました通り、極力能率を上げて、そういつた事故を未然に防いで行く。そのためには、労働基準法のごく形式的な面、あるいは単なる手続のために手間を食うより、なるべく実質面において、重点を注いで行う、こういうふうに考えておる次第とございます。さらに雇用面につきましても、これは極力職業安定機関その旭を整備いたしまして、この救済策には乗り出すつもりでございまして、労働省の今般行われました政府の行政整理におきましても、労働省の職業安定の機関あるいは基準監督の機関につきましては、ほかの各部局に比べましても、最低の人員整理しか行わないということにとどめておる次第でございまして、また予算の措置につきましても、重点的に配慮をいたしておりまして、むしろ緊縮予算にもかかわらず、そういつた面につきましては、昨年度よりは拡充いたしておるというような事情にも至つておる次第でございます。なお、この問題だけでなく、これは政府のその他の関係機関とも十分協力いたしまして、将来の雇用の見通しあるいは措置等も考えて行きたいと思う次第でございます。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 一般的なことについては、一応私どもとしては非常な不安にたえないし、それから今の御説明では、どうも安心できないわけですが、しかし政府としては、責任ある立場に立つて善処される由でありますから、一応見送るよりしかたがないと思います。  そこで、今具体的な事実になつて現われております日平産業の問題ですが一体日平産業の未払い賃金問題は、どのように御解決をなされるか、またどうすれば解決がつくかという点の処置について、はつきりした御所見を伺いたい。

亀井光労働基準監督官(労働基準局長)

○亀井政府委員 日平産業の賃金遅払いにつきましては、三月分の賃金が目下遅払いになつておるわけでありまして、それにつきまして、会社の現在の最高責任者であります副社長の石原氏から請書を実はとつておるわけでございまして、その内容を申し上げますと、遅払い賃金額約千七百六十八万円のものにつきまして、四月末日までにそれぞれ一定の計画に従つて分割して支払う請書をとつております。従いましてわれわれとしましては、この請書が現実に履行されるかどうかということを、目下厳重に監督をいたしております。今後の問題としましては、同じような事態が惹起されるおそれがございます。すなわち三月分が四月末に支払われますと、四月の賃金がただちに問題になろうかと思います。従いまして、これらの問題につきましても、引続き監督の手をゆるめずに、これらの問題の処理に当る覚悟で、目下東京の基準局並びに直接の主管の監督署でございまする中央労働基準監督署に督励をいたしておる次第であります。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 それは当然公務員として法律の命ずる仕事をおやりになることを答弁しただけであります。それでは、特別の処置にはならないわけです。私のお尋ねしておるのは、当然の処置ではなくて、これは言うまでもなく、もう法律違反の事実があるわけです。この事実をどうして解決なされるか、そのことを伺つておるのです。

亀井光労働基準監督官(労働基準局長)

○亀井政府委員 これは先ほど申し上げましたように、結局問題は金融の問題であります。経営の内部につきましてわれわれがタッチすることは、非常にむずかしい面がございます。問題は、金融措置の問題だと思います。これにつきましては、地元の基準局におきまして努力をいたすことになつておりますが、その地元の基準局だけで努力が足りない場合におきましては、本省におきましても、この問題を取上げまして、地元の局の援助をいたす。問題は金融の処置をどういうふうにつけて行くかということだと思います。れも非常にむずかしい問題でございまして、東京の基準局あるいは監督署だけでは、なかなかむずかしい面もあろうかと思いますので、関係の機関とも連絡いたしまして、これらの問題を根本的に解決する目標のもとに努力をいたして行きたいと思います。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 この問題は、事務当局ではちよつとどうにもならぬ問題であるかもしれません。そこで、次官にお尋ねするのですが、この日平産業の問題は、詳しいことは存じませんけれども、特需を通じて汚職あるいは業務上横領等の不祥事件を起しておるようでございます。不祥事件の問題は別といたしまして、汚職その他の関係については、これは政治的なそれぞれの事情に基因するのでございます。申すまでもなく、こういう事態が労働者にしわ寄せされて、明らかに基準法違反が現われておるにもかかわらず、この解決が即座にできないということについては体政府当局としてはどういう処置をおとりになるつもりであるか、この点についてお答えを願いたい。

安井謙自由党労働政務次官

○安井政府委員 遅払いが起つておりますこの現状につきましては、いろいろな風説もございますし、また現に司直の手でいろいろ調査が行われておりますので、この内容につきまして、われわれ今かれこれ言うこともいかがであろうかと存じますが、非常に経営の不手ぎわから来ておる面も多かろうと思うのであります。将来の金融の問題とか、あるいは将来の受注の問題等につきましては、直接関係の省である通産省の方からも、いろいろお聞き取りを願いたいと存じますが、われわれの方といたしましては、この賃金未払いの問題あるいはその他解雇の問題については、先ほど基準局長が御答弁申し上げましたような線に沿いまして、極力遺憾なきを期して行きたいと考えておる次第であります。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 問題はまつたく経営者の責任に帰するのであるか、政府の政策の失政がこういう問題を起しておるのであるかということは、多分に私は問題があると思うのであります。こういう点に対する見解は別といたしまして、私どもの見解からいえば、政府の政策の失政がこういう形によつて現われて来ておるものと断じておるわけであります。それは別にいたしまして、当面しておりますかなり巨額の未払い賃金の問題を解決しなければ、また将来に繰返されるのではないか、悪くすると、そのために事業場を追われるような結果になるのではないかという懸念さえ生じておるのであります。事態は、労働者にとつてはきわめて重大な、死活の問題に当面しておる事柄であります。この問題をどうして解決するかという政府としての方針がないとするならば、法律は、まつたく労働者のためには無意味な存在になるわけでありまして、かかる事態に対する解決は、きようは労働行政の立場からだけしかお答えいただけないというのでれば、他日またほかの方を呼んでお伺いするよりしかたありません。たとえば、こういう事件の内容は、司法上の問題になるのか、あるいはその他のものになるのか、あるいは結果はわからないにしても、経営者側が検挙されたためにこういう事態が起つたということになりますれば、犯罪の検挙をする方の側についても、善意の第三者に生活の脅威を与えるような致命的な、しかもこれが社会問題に発展する危険のある事態に対して、あらゆるものが総合的に政府の主宰するところによつて行われておるはずでありますから、配慮なしに一方的な処置が行われるとはわれわれ思わない。だから、一方で検挙する場合においては、その結果がどうなつて来るというようなことを考えないでやろうとするならば、まつたくそれは単なる個々の行政官だけにまかせておけばよいのであつて、政治は必要としないのであります。こういう点にこそ政府としての総合的な政治、政策というものがあるわけでありますから、次官では御答弁が願えなければ他日に譲りたいと思いますが、熱心な次官のことでもありますから、こういう点についてもお考えがあると思いますので、伺つておきます。

安井謙自由党労働政務次官

○安井政府委員 ごもつともな御質問でもあろうと存ずるのでありますが、司法当局の司法権の発動につきましては、政府の行政部面でとやかく言う筋合いではなかろうかと思つておる次第であります。こういう事態について、極力政府も、関係機関をあげて、いたすべき処置については、今後とも万全を期して行きたいと思つておる次第であります。一つはまた私企業自体の問題でもありますので、これについて政府が直接ただちに今救済の手を延べるとか、あるいは何らかの行政的な措置を加えた方がよいかどうかということにつきましては、ここでにわかに御答えできかねる問題であろうと思います。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 それではお尋ねいたします。今度日平産業の賃金遅払いの起つた直接の原因は、何でございましよう。どういうふうに次官はお考えになつておりますか。

安井謙自由党労働政務次官

○安井政府委員 いろいろあろうかと存じますが、経営上の不如意ということに結局帰するのではなかろうかと思つております。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 経営上というのは、どういう意味でしよう。

安井謙自由党労働政務次官

○安井政府委員 私も日平産業の経営上の内容についてまで、詳しい知識は持ち合せておらぬ次第でありますが、経営いたします上の金融上の措置あるいはまた発注その他に伴う不円滑といつたようなものが、要因になつておるであろうかと思つております。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 次官は何も知らぬようなことを言つておりますが、今局長の答弁でさえ明らかな上に、賃金遅払いが起つて来たことは、新聞にでかでかと書かれておるのであつて、それを次官が知らぬはずがない。そういう直接の原因が、この問題を起しておるのであります。しかしこれはお答えができなければ、上お尋ねする必要はなかろうと思います。また別の関係者によつてお答え願いましよう。今までのお答えで、明になつたように、それがまつたく経営者の経営上の不手ぎわから起つたものであるといたしますならば、労働者がこういう賃金遅払いその他で被害をこうむつても、基準法違反として処分をするだけで能事足れりとするわけではないはずだ。そこに対策があるはずだ。その対策をお尋ねするためにその原因をお尋ねしたのでありますが、原因がおわかりにならぬようでは、私の質問に答えていただくことはできぬわけです。これは労働行政の責任の地位にある人の態度としては、私どもからいたしますと、はなはだ遺憾に思うわけでありますが、それはそれとして、次には労働大臣に出て来てもらつて、労働大臣から吉田政府の労働政策はそういうものであるかどうか確かめたい。問題は非常に重大であります。  そこで、通産省の記内局長がお見えでありますから、お伺いいたします。この工場の製品は、特需の中でも、直接兵器の生産を行つておるわけであります。この種の生産は言うまでもなく一般の発注と違いまして、直接連合軍もしくは米軍の戦略上の目的から、戦闘行為を助ける意味での生産なのです。それに日本の労働者が協力ぜしめられたわけであります。こういう異質の事業場における賃金の未払い及び今後の労使関係の問題が発生しておるわけです。先ほどの基準局長の答弁にもありましたように、賃金の完全支払いあるいは労働者の雇用の安定をはかろうとすれば、企業の内容にタッチしなければ解決が困難だという説明が行われておるわけです。そうなりますと、これは労働行政の範疇ではちよつと解決が困難だというふうにもとれるわけであります。そういたしますと、こういう特需関係の事業場に起る問題については、通産行政とし、あるいは外務省はきよう見えておりませんけれども、今後の条約、協定の内容にも関連して来ると思うのであります。とりあえず、日本が特需を受ける場合においては、つくらせるだけつくらせて、あとは野となれ山となれという形で賃金契約が行われていないことは、政府がここに提出されております特需契約に関係いたしました参考資料でも明らかであります。道義的にもあるいは契約上の義務としても、連合軍はある程度便宜を受けることになつておりますが、今参考人からお話がありましたような事態が発生しておるわけであります。こういう種類の実態に対して、今御調査をなさつておいでになるだろうと思いますが、調査の結局どのように事態を把握しておいでになるか、まずその点をお伺いしておきたい。

記内角一通商産業事務官(企業局長)

○記内政府委員 日平の今度の事件の問題についてのお話でありますが、この問題は、日平が、昨年の今ごろでありましたか、アメリカ軍の方から機銃弾を約十一億円注文を受けまして、これの生産に入ろうとする途中において、いろいろな不手ぎわを生じまして、金融的な信頼をなくしまして、その資金調達に失敗をした。自然ここにおきまして事業を運営して参ります資金が足りなくなつて参りまして、一部には下請業者に外注をいたして、これに対する品物は受取つたにかかわらず支払いが遅れておる。また多数の従業員をかかえて、これに仕事をやらせておるにかかわらず、これに対する賃金の支払いができない。しかも、でき上つた製品を販売することによつてその資金を調達されれば、賃金の支払いあるいは下請業者に対する支払いもできるわけでありますが、残念ながら先ほど参考人のお話のように、ほかの一般債権者から、せつかく売り上げた代金を差押えられるという関係で、現金を手に入れることができない。信用がありますれば、資材を調達するときにおきましては、手形がいわゆる延払いで現物を受取るということもできましようが、今日のような状況においては、そういうことも許されない。従業員の方に対して、手形で賃金を支払うというわけにも参らない。結局財産のいかんにかかわらず、現金がない、調達ができないというところが、日平の問題のように承知いたしておるわけであります。こういう事態に立ち至りますと、根本的に会社の経営自体の建直しをはかつて、いわゆる金融機関その他一般の会社に対する信頼を回復するのでなければ、企業としてはとうてい成り立ち得ないのではないかというふうに考えておるわけであります。われわれといたしましても、この日平のここに至りますまでの間におきましても、相当各方面にあつせんもいたしたわけでありますが、経営者に対する不信の面から、遂に資金的な道を断たれたために、遂に今日に至つたようないきさつもございまして、ただいまのところでは、たとえば経団連の石川会長が中に入つて、まだ完全に引受けられたというところまでは至つておりませんが、この再建ついてはいろいろ奔走もいただいておりますし、社長自身は拘束されておりますけれども、残つております副社長並びに職員、従業員はいろいろ再建策について奔走いたしておるようであります。まずそれのでき上りました再建方途というものを一応得ましてから、各方面、たとえば金融機関その他に働きかけまして、できる限りこの会社の再建をはかつてもらいたいというように考えておる次第であります。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員長代理 ただいま外務省国際協力局次長関説明員が見えましたから、お知らせいたします。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 今記内局長のお話で明らかになりましたように、企業者としての失策ももちろんでありますが、一つには、特需というものに対していろいろな魅力を感じております中で、致命的な直接の原因をなしたのは、金融のように聞いております。あるいは豊富な金融があれば、こういう事態も乗り切れたかもしれない、あるいはそれでもだめかもしれない。しかし一応金融の面で一頓挫をしたことが、大きな原因のようであります。金融政策は、言うまでもなく吉田政府の大きな政策から流れて来るものであつて方にはそういう政策がとられ、他方には、そのことによつて企業が労働者の犠牲によつてこういう事態に当面するというときに一体通産行政の立場からいたしまして、特需というものに対して何か特別の金融措置を講ずるようにとか、あるいはこういう事態に対しては、特需の場合にはしかるべき道を開くというようなものがあるのかないのか、あるいはまつたく金融上の問題だけでは、この事態は救済できなかつたのであるか、この点に対する見解を伺つておきたいのであります。

記内角一通商産業事務官(企業局長)

○記内政府委員 一般的な問題といたしまして、特需産業の金融につきましては、いわゆる特需に必要な資材の代金あるいは賃金等の手当に要する資金につきましては、いわゆる特需貿手というものがありまして、これが輸出貿易手形と同じように非常に優遇された形で資金が掛されております。銀行が資金を貸付をいたしまして、手形を業者から銀行の方に持つて参りますと、その手形をさらに銀行から日銀に持つて参つて、日銀でこれを割引く、あるいは担保として金を貸すというふうなまわり方をいたしまして、結局貿易手形と同じような扱いでもつて、日本銀行も十分な資金を流す建前に相なつております。ただ設備資金については、われわれといたしましては原則として、日本にも相当な設備がございますので、今日いわゆる二重投資あるいは設備過剰という問題もいろいろ喧伝されているときでございますので、できる限りよけいな設備ができ過ぎないようにというふうな配慮をいたしておりますが、しかし日本に、戦後破壊された、あるいは戦災により破壊された部分も相当ございますので、新しい設備、また旧式の設備では開に合わないというので、設備を新設するというふうな際におきましては、できる限りこれに対しまして設備資金を融資するという方針をとつて参つておりまして、現に小松製作所に対しましては、日本開発銀行を通じて設備資金を融資いたしておりますし、今後におきましては、例のMSAによる小麦買付の贈与金三十六億を融資するということも考えられるわけであります。ただ本件の日平産業の運転資金につきましては、すでに駐留軍から注文を受けておりまして、貿手のいわゆる特需手形の発行も容易なわけであります。従いまして、その面の心配はさほどないわけでございますが、問題はこれに機銃弾をつくるに必要な設備資金をどうするかという問題でございます。それにつきましては、われわれといたしましても、日平産業の従来の経験なり技術なりというものをよく了承しておりますので、これに対して開発銀行より融資させようということで、いろいろあつせん、話合いもいたしておつたわけであります。結局、日平自身の経営の内容を開発銀行として洗つてみますと、相当な欠陥がある。従つて、こういうふうな欠陥のあるものに対して、開発銀行といえども設備資金を出すわけには参らないということに相なりまして、従いましてわれわれとしては、もちろんこういう特需産業あるいは一部兵器産業等の面において大いに推進し、また維持培養しなければならぬ面もあろうかと思うのでありますが、それも程度の問題で、その経営なり、やり方の内容いかんによつて、この可否を決定すべき面も相当多いと思われます。従いまして、日平に対しましてこれ以上このままの形において融資をすることは、通産省としても、これを押し切り得ないと考えまして、その問題は打切りになつたのであります。その直後、あるいは前後におきまして、いわゆる不渡り手形の問題が発生し、いわゆる銀行取引が停止され一般信用を失つてしまつた。そこへ加えまして社長が拘引されるというふうな事態になつたわけでございます。従いまして、こういうふうな経理内容、また経営内容の面におきましては般の特需産業、兵器産業であれば、あるいは打つ手はさらにあつたかと思いますが、具体的な問題としまして、日平自身に対しましては、これ以上現状のままでは、われわれとしていかんともなし得ないのじやないか。要は、経営者といわず従業員といわず一体となつて、この会社を再建させるだけの内部態勢を整えて来るのなければ、この問題は解決が非常にむずかしいのじやないか。それによつて金融機関の信用を博して、政府のあつせんをまつまでもなく、金を安心して融通してもらえるような態勢に持ち上げる二とが、まず先決問題じやないかというふうに考えておる次第であります。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 今までどのくらいの設傭資金、それから特需融資というものが行われておつたのでしよう。その総額はおわかりになりませんか。

記内角一通商産業事務官(企業局長)

○記内政府委員 日中産業は一昨年の暮れに一億五千万円から三億円に増資いたしまして、その後さらに去年の四、五月ごろ三億円から十二億円に一挙にいわゆる四倍増資をいたしたわけであります。そのうちの——当初増資をいたします際に、御承知の通りこういう会社の増資につきましては々増資資金を何に使うかという使途を明確にする必要があるわけであります。従いましてその際の増資計画書の内容におきましては、そのうち約半分が借入金の返済、残り半分を当時注文を受けました機銃弾を製造する工場の新設資金に引充てるというふうになつておりました。従いまして日平産業としましては、その当時機銃弾の受注を受けるに際しまして、われわれとして新しい設備資金はいらないかということをいろいろ聞きたかったのでございますが、増資が成功いたしたらば資金はいらないということの答弁でございました。従いまして、われわれとしては、特に資金上のあつせんをするということはいたさなかつたのであります。結果的に申し上げますと、当初の借入金は全部返済いたしまして、去年の九月ごろまでには、いわゆ4銀行借入金はほとんどゼロに近いという状況に相なつておりました。それから設備資金につきましては、会社の方では、単に機銃弾の問題ばかりでありませんで、その当時やつておりましたいろいろほかの工事の方にも資金を投じたといということで、その内訳を出して参りましたのでありますが、それが正しいものといたしますれば、相当資金を使つた、しかしその資金は全部当初の目標でありました機銃弾をつくる設備ではなかつた。そこで機銃弾をつくるに必要な資金が足りなくなつた。そこでこれをわれわれの方に開銀にからあっせんしてほしいという申入れがありましていろいろ調査したわけであります。従いまして、会社の方の言い分をそのまま受取りますと、増資によつて得た現金は、半分は借入金の返済に充てられ、残り相当分は設備資金にまわされた。従いまして、ここに機銃弾の工場の新設についての資金不足ができたというふうに承知いたしておるわけであります。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 今ここで再建しようとすれば、あなたの見通しでは、どのくらい資金を導入しなければならないでしようか、お見込みを伺いたい。

記内角一通商産業事務官(企業局長)

○記内政府委員 会社からまだ的確な貸料を持つて参つて来ておりませんか、相当多額の資金が必要になるのじやないかというふうに考えております。と申しますのは、開銀からの融資が不調に終つてから約半年になりますが、会社の経営が必ずしも順調にも行つておらなかつたと思われますので、ての期間における赤字がどのくらいあかということも問題になつて参り、しかも現在におきまして、日平の機銃弾工場を新設するには、先ほども申し上げたように、まだ相当の資金を必要といたしておりますので、その上にさらに赤字の分を加えて参るということになりますならば、設備資金についても相当な資金がいるのじやないか。また運転資金等につきましても、一応建前としては、先ほど申し上げておりますように、特需貿手によつてカバーされることにはなつおりますが、これの信用回復という問題が、また相当問題になつて来るだろうと思う次第であります。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 はなはだ恐縮ですが、大体どのくらいの資金を導入しなければ立上りがきないだろうかという見当がわからないと——労働関係の次の問題をわれわれとしては判断をする上にぜひ必要なので、大体でけつこうですか、それは信用上の問題もいろいろあろうと思いますが、今までの関係からして、一番お詳しいのはあなたのところだと思うので、どのくらいのお見込べであろうか、ちよつと聞かせてもらいたいと思います。

記内角一通商産業事務官(企業局長)

○記内政府委員 問題は二つになつて参りまして、今までやつておりまして、たとえば茨城県にありますエンジンの工場、それから横浜にありました工作機械その他の部門でございますか、こういう部門が従来赤字でなくて、経営がとんとんに行つておつたといたしますれば、この分については、付別の資金はさしあたりは必要じやないということも一応考えられるかと思うわけでございます。問題は、新しく仕事を始めて参ります機銃弾の仕事にいて、どのくらい金がいるかという問題でございますが、先ほど申し上げましたように、去年の秋口に申請して参った不足資金がということになつております。その上に、さらに若干手持ちの資金も出すということになつておりましたが、その後の経営不如意で、このくらい手持ち資金が減つておるか、これを——と見ますか、——と見ますか、この辺が見当をつけかねるわけでございますが、この辺で——、——の金はいるだろうというふうに考えられます。これは現在設備をするまでの資金でございますが、さらにこれを運転して参ります際におきましては、約一箇年間十一億の注文製品を納入することに相なつております。そういたしますと、これを全部一度に耳をそろえて調達する必要はないと思うのでありますけれども、回転率を四箇月と見るか、半年と見ますか。半年と見ますれば、ここで約——、——、三箇月といたしますれば、——、——の運転資金が必要になつて来る。従いまして、概算いたしまして、約——から——近い金が必要になりはしないかということは、われわれの常識的検討として推参されはしないかというふうに考えられます。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 今のところまとまつた資金を調達することは、さつきのお話で、政府が資金援助に対する打切りを宣告せざるを得なかつた経過からいつても、ある程度了承できるわけですが、しかし、なお念のために、経営者の努力その他信用は別にいたしまして、経営者をとりかえることができるとか、あるいは真勢な労使関係、まつたく世間のうなずけるような労使関係ができるならば、こういうものに対する資金の道が開けて来る可能性をどの程度御信じになつているか、ちよつと聞かしていただきたいと思います。

記内角一通商産業事務官(企業局長)

○記内政府委員 この問題につきましては、相当大きな資金が必要になつて参つておりますので、それにあれだけの不信用も引起しておる会社のことでございますから、これを再建いたしますにつきましては、相当な困難性があるのじやないか、よほどの決心、決意をして行かなければならないのじやないかというふうに考えておるわけでござい与。ただ、われわれといたしましては、あの会社の従来の経験、技術、設備というふうなものからいたしまして日も早くこれが立ち上ることのできるように望んでおるわけでありまして、その方面で、せつかく財界の長老もいろいろ奔走しておられるようでありますので、その結果をまつて、いい方向に一歩でも早く踏み出せるように、できるだけの援助はしたいというふうに考えておる次第でございます。  なお、ちよつと委員長にお願いしたいのですが、今の数字の点は速記録から削つていただけたらと思うのでございす。これはあとでいろいろとその他に影響がございますので……。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員長代理 それでは、数字の点は消してください。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 たいへん無理なお答えばかり願うわけでありますが、実はこういう種類の問題は、今後さらに起つて来ると思うのです。というのは、私どもの承知している範囲内では、特需関係に取組む日本の経営者の態度というものについて、どうもあまり深く信をおけないものがある。こういう傾向は、日平産業にはきわめて露骨に現わそういう傾向があるのです。これは、今後もそうでありまするが体こういう特需関係の問題について、どうしてこういう事態が発生したかということを、われわれとしては、再と詳しく調べたいと思つておるのであります。というのは、条件が比較的いいはずなんです。さつきも御説明がありましたように、莫大な設備資金にいたしましても、今日あらゆる産業が苦しい中に、貿易産業に対する融資の恩典と同様の恩典を受けておるわけであります。にもかかわらず、こういう事態が起つた。しかも、それはほかに原因がいろいろある。そのことは、その当事者が責任をとれる範囲のものであればいいのでありますが、今も申し上げるように、多数の労働者がただちにこの工場のために賃金遅配で生活に脅威を感じ、あるいは参考人もお聞きになつていたからわかると思いますが、団体交渉がどのように今後進展して労使関係の妥結ができるかについては、今言う根本的なその足場になる企業自身がこのような状態でありまして、労使がどのように善意を尽して問題を処理しようとしても、企業それ自身の再建の見込みがないというようなことになりますと、これは労働者にとつては非常に重大な不幸になるわけであります。そこで、言い重慶、われわれ与しては政治的な措置によつて解決をはかるべきものと考えて、今までお尋ねをして来たわけでありますが、かんじんな内閣に席を置く人がおいででありませんから、お答えを聞くことができないので、話が進まないわけであります。そこで仮定でありますが、今まで御見解から行きますと、どうも企業が再建困難だという暗い面もあるわけであります。この場合に、未払い賃金はあらゆるものに優先して労働者のために労働省としては保障しなければならぬことは言うまでもないわけでありまして、その準備は怠りがないと思いますが、念のために確認しておきたいと思います。どういう場合があつても、未払い賃金については絶対に保障できるという措置がとられておるかどうか。それから、次に来ますものは、こういうことで、もし不幸にして企業が解散をしなければならぬような場合における労働者のその後の生活に対する保障の要求を、労働者ばすると思うりですが、そういうような場合における労働者の保護について体労働省としてはこういう場合はどうして保護をなされるつもりか、この二つについてお答えを願いたいと思います。前の方は局長、あとの方は次官にお答え願いたいと思います。

亀井光労働基準監督官(労働基準局長)

○亀井政府委員 賃金債権につきましては、民法の三百八条にございますように、最後の六箇月間の給料につきましては先取特権の制度が認められておりますから、公租公課を除きまして、一般債権に優先いたしまして先取特権か実施募る。従いまして、われわれもそういう事態に立ち至ります場合におきましては、こういう措置を監督の子段として考えて参りたいと思います。

安井謙自由党労働政務次官

○安井政府委員 この企業は、日本の従来の軍需工場としましては、相当重安な施設だろうと思いますし、極力われわれは労働者の保護という立場からも、関係機関とも十分協力して、そういつた解散になるというようなことがないように努めて行きたいと心がけておる次第でございます。不幸にしてどうしてもそういう場合が起ればということでありますが、これはできるだけ集団的な職業の移転をあつせんするとか、最後は失業保険にたよるよりしかたがないかと思いますが、そういうことのないように、事前にでき得る限り努力をやつて行きたいと考えております。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 記内局長は、日平産業のことについて大分詳しく御存じのようですが、ちよつと承つておきたいのですが、再建の可能性は、今聞いたところはむずかしいが、もし経営者がりつぱに再建できるような人とプランを持つて、従業員等もこれに協力して失つた信用を回復できる状態になれば、金融の道もある、あつせんもしよう、こういうようなお話と大体承りますか、そう解釈していいかどうか。金融の道についても今お話の小麦の剰余金一千万ドルー三十六億、これを場合によつては、こうした防衛産業の基盤育成の重大な産業であるから、まわし得るという可能性過般の新聞に出ています大蔵省の案でも、火薬に二億円、軽火器、銃砲弾八億というような数字が出ておるようです。これは銃砲弾をつくる一つの産業の危機なんでありますが、割込む可能性があるかどうか。この産業が、この事態に立ち至つ、遂に立ち上り得ないということになれば今井堀君が言われたような重大問題が起るのでありまして、日本の兵器産業の中でも日平、小松製作所というようなものは重大な部門を受持つおる中枢をなすところのものでありますし、過般の小松製作所なども、何か一ころ不渡りを出しそうだというような事態に立ち至つて、急に立ち直つたようなことも聞いているのであります。もしそういう重大問題を考えるならば、そういう態勢が整えば何とかしようという一つの考えから、積極的な解決策への努力をなさる御意思が通産省の方にあるのかどうか。  これはもう一つ労働省の方に伺いますが、もしこれがいかなる努力にもかかわらず再建できなかつたということになれば、今井堀君が言つたような遅払いが増大して、結局失業問題が出て来る。しかも、これはただ日平産業の問題ばかりでなく、今緊縮予算の関係、金融引締め、特需関係は先細りというような状態から、こういう事態が次々と出て来る危険すらあるのであります。出たら何とかするというのでなく、やはり通産省とも協力して、こういう事態を未然に防止しようとするお考えが労働省にあるかどうか応その点を伺つて、さらに御質問いたしたいと思います。

記内角一通商産業事務官(企業局長)

○記内政府委員 日平の建直しについては、われわれも非常に心配してるわけでありまして、適当な整理案が緊急に樹立できますれば、われわれとしても十分これに応援をいたして参りたいというふうに考えておる次第でございます。ただ御承知の通り、日平産業は、単に機銃弾だけやつておるわけではございません、いろいろな仕事をやつております。その部門あたりもよく再検討して行かなければならない。従いまして、今の経営状態と申しますか、事業部門のそのままの姿で立ち直り得るかどうかというような点につきましては、いろいろ問題もあろうかと思うのであります。いずれにしても、日平産業として成り立ち得るような適当な案が出て参りますれば、われわれとしてもできるだけの援助をいたして参りたいというふうに考えておる次第でございます。

安井謙自由党労働政務次官

○安井政府委員 軍需産業の見通しにつきまして、いろいろの御見解もあろうかと存じますが、さしあたりわれわれの承知いたしておりますのでは、重要な軍需産業部門の給料の遅延、未払いといつたような事態は、現在のところ日平産業以外には起つておりませんし、またただちに近い将来起ると予想されておるものもないように存じておる次第であります。しかし、労働者の一般の雇用問題という立場からは、今後この成行きも十分注意をいたしておりまして、各関係機関とも十分な連絡をして、手落ちのないように心がけて行きたいと存じております。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 今の政務次官の答弁には、あとで聞きますが、先にもう少し記内局長にお尋ねしたい。日平産業の今の再建の工作は、経団連の石川氏、それから千葉銀行の古荘氏とか、いろいろの諸君が心配して、やはり再建の方策を講じていると聞きますが、局長の承知した範囲では、これらの諸君の今の再建工作の可能性はどう見ておられますか。

記内角一通商産業事務官(企業局長)

○記内政府委員 今せつかくいろいろ奔走せられているようでありますし、われわれもその成果を期待して待つておるわけであります。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 そのほかに、この日平産業には過般の増資九億のうちから、外国に機械購入の注文をしたのがあるそうです。内金か何かを払つて、そのままこれが引取れない状態にあるような急を要する問題等もあるやに聞いていますが、この点はいかがなつておりますか。

記内角一通商産業事務官(企業局長)

○記内政府委員 そういうふうに承知いたしております。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 結局こういう事態でありますので、もしできれば何とか救済してやりたい。これの背後には、まつたく善意無過失の労働者がある。今の参考人の話にもあるように、これと関連する下請工業等を考えますと、影響の範囲が非常に大きいのです。ことにこれは将来の日本産業の上から、結局MSA受諾というような問題になりますれば、防衛産業の一環にもなりましようし、いろいろのことで重大な意味を持つ。今までも相当日本貿易に貢献したところもあるので、つぶさずに、こういう影響を最小限、未然に食いとめる方法があればそうしたいものだ。こう考える観点から、過般来ずつと特需関係のことを聞いていますと、各省の意見がばらばらで統一がない。もちろん見通しもはつきりついていないからですが、これらの対策に積極性を欠いているということです。従つて今度は、アメリカでも強力な発注機関をつくつてどんどんやる、こういうことになれば、今まで消極的な態度をとつていた、漫然とやつていた日本の産業というものも、もつと計画的に積極性を持つてこれに対抗するのでなければ、この新聞にも、くわえて振りまわされるというような警告を発しているように、非常に重大な段階になつて来ると思うのです。この点は、これ以上局長を追究しても、明確な答弁も出ないと思いますが、積極的に解決の方途に乗り出してもらいたい。同時に、ばらばらじやいかぬので、こういう重大問題が起るならば、労働省も出た事態の収拾だけでなく、防止する意味をもつて積極的にこれらに進出してやつてもらいたい、こう注文いたしておくわけであります。今の労働政務次官の話では、日平産業以外こういうものがない、承知していない、こういうことでありますが、その他にもこういう問題の起る可能性がある。現に十次造船の割当が行かないために、これらの労働者が失業の状態になつているということもありますし、造船設備などというのは、これは非常に関連が広いのでありまして関連産業等を加えますと、かなり多くの労働者を包容しているが、それが失業の恐怖におびえている、こういうような状況も出ておる。労働省自身、この間緊縮予算と雇用の見通しを発表いたしておりますが、決して楽観すべき状態じやないのであつて、過般も労働大臣に、ちよつと文句がましいことを言つてあるのでありますが、アメリカの大統領などは、今年のアメリカの景気を決するものは、雇用量の縮小だということを言つて、世界で重大問題になつておる。こういう関心を持つておるとき、今のような雇用量がどんどん減つて行くことは、これはまた日本経済を左右する重大問題だと思うのでありまして、失業対策の重要性について、もつと積極性を持つた防止策を講じなければならぬ。すでにこういう見通しを発表している以上、この経済再編にあたつて、もし労働省に失業対策、失業防止、これらの案があつたら一応伺つておきたい、こう思うわけであります。

安井謙自由党労働政務次官

○安井政府委員 将来の雇用関係の傾向につきましては、御説の通り非常に重要な問題でございますので、十分慎重な態度をもつて臨んでいるのでございます。ただ新聞に発表あつたというお話は、多分読売新聞であつたかと存じますが、実はその内容につきましては、政府の機関あるいは労働省のどこからも、発表いたした覚えはないのでございます。そういつた問題のあるなしにかかわらず、お話の通り重要な問題であることは十分承知をいたしております。従つて、失業対策費等につきましても、昨年度よりは上まわるものを計上いたしている次第でございます。むろんこれで十分でございませんので、その他職業のあつせん、あるいはもつと合理的なあつせん機構というようなことも、今後心がけて参る予定でやつているのであります。

日野吉夫日本社会党(右)

○日野委員 失業問題については、別の機会に譲りたいと思いますが、とにかくこうした傾向に対して、これを未然に防止するという一つの周到なる用意と、もう少しこうした事態に対する一この日平産業のような一つの問題でも、これを積極的に解決しようという明確な方針を、通産省も労働省も示さないところに、業者が自己の採算と企業欲でもつて、過剰投資をしたりいろいろな事態が起こりますので、もつと計画性を持つた、積極的な態度で臨んでいただきたい、こう注文申し上げて質問を打切ります。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 関次長にちよつとお尋ねいたしたいのですが、先ほどあなたはおいでにならなかったので、いろいろ参考人から説明がありましたこと、それから通産省、労働省との間にいろいろお話がありましたことを承知ないと思いますが、今までの経過の中で、この日平産業が、あるいは再建不能に陥るような事態が懸念されるので——仮定ですよ。そういう場合に、今米軍との間の契約が未完納のままで破綻してしまう場合と、あるいはその部分だけでも完納して応そこで契約にピリオドを打つということとが考えられると思いますが、どちらになつても、契約がスムーズに遂行されなかつたということにはなると思います。そういう場合に一体日本政府としては、このケースに対してはどういうような扱い方ができるのかについて、お尋ねいたしておきます。

関守三郎外務省参事官

○関説明員 お答え申し上げます。それは契約の内容がどうなつているかによつてきまつて来ることだと思います。私は実は、その契約の内容がどういうふうになつているかということは、勉強しておりませんので、きようここではつきりしたことはお答えいたしかねるのであります。特にそれ以上、どこをどういうふうにという、何か特別はつきりしたお話があれば研究してみますが、私自身契約の内容をはつきり覚えておりませんので、お答えいたしかねるのであります。もともとこれは調達庁の関係であります。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 この問題は、政府のどこにお尋ねしたら確実な答弁が得られるか、私自身質問している方の側が、たびたびただしながら、どこにもはつきりした答弁をしてもらえないのです。あなたは条約に関する総元締めの関係者のお一人ですから、詳しいだろうと思つてお尋ねしているわけですが、あるいは質問が的はずれであるかもしれません。もう一ぺん申し上げますと、こういうことなんです。契約の内容がどうであるかということを、私もよく承知しておりませんが、今までの経過から言うと、契約通りの製品を相手に渡すことができれば問題はないわけです。できない場合を一応仮定して、二つのことをお尋ねしたわけです。この工場がここでこのままの姿で再建不可能になつた場合には、その製品を他の事業場に持つて行つて完成して納めるということもあるかもしれません、あるいはそういうことができないかもしれません。それはわからぬのですが、納期ぱ遅れたけれども、二心完成して品物にして納めるという場合もあるわけです。それから前渡金等の関係で、それがまつたく不可能というようないろいろな関係もあると思いますが、これはすぐ労働問題の解決の方に直接響いて来る問題です。また今後もこういうケースが起つて来るかもしれない。そういうときに、日本の政府としては、個々の業者と発注者との間の直接契約だから、そういうものに対しては全然関知しないのだ、それは当事者同士の間で済ますべきものであるというふうに割切つておいでになるかどうか。私はこういう問題は、手放しではいけないのではないかと思うので、それをただしているのですけれども向答弁を得られないものですから、こういう具体的なケースについてお尋ねすれば、どこかではつきり答弁しなければならぬだろうと思つて、まずあなたに水を向けたわけです。

関守三郎外務省参事官

○関説明員 どうもそれはたいへん光栄に思いますが、やはり一時的には、どうしても契約にきまつていることですから、それに従つてやられることと思います。ただ、契約というものは、御承知の通りあらゆる場合のことを十分カバーしていないことがたいへん多いのであります。えてして、これが紛争とか紛議ということになるわけであります。その場合におきましては、御承知の通り調停委員会へ持ち出しまして、たとえば今度のはこれは業者の側の不履行による打切りでございますけれども、従来米軍の方の側の都合によつて打切つておる場合には、打切り補償の問題というようなものが出まして、それは遺憾ながら契約にはつきりしておらないのでありますが、それを調停委員会で取上げて、まあ何とかかつこうをつけつつあるということになるわけであります。それと同時に、契約では百パーセントきまつていないケースが起きて来ると思います。その場合におきましては、やはり業者と米軍との間にさらに話合いをするということになるのだろうと思います。話合いがつかない場合には、当然契約調停委員会に持ち出して、政府もそこに関与するということになつて来るであろう、こういうふうに考えます。しかし、契約が非常にはつきりしているものでありまして、これは政府としても論議の余地のないものについては、法律的には打切ることになるであろう。但し、事実問題としては、合同委員会というところは、何でも取上げるところですから、そんなことを言わないでめんどう見てくれという話合いをすることは、できると思います。但し、法律的には何ら権限のないことになつて来る、こういうふうに思います。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 この特需契約というものは、日本の裁判管轄権の及ばないところにあるんじやないかということが、調停委員会の設置の条文にも書いてあカます。そうすると、これは民事上の問題になるわけですね。契約の不履行というこのことが、日本の裁判権が及ばぬということになれば、条約上の問題で何か出ているに違いないと思います。やはり紛議が起つたとぎに調停委員会に持ち込んで、調停委員会で何とかするということはわかりますが、調停委員会が体そういう問題をどこまできめられるのか。今の問題は、御案内のように相当莫大な発注なんです。それが今完納できないとここは、いろいろな意味で想像ができるわけであります。時期が遅れることは間違いない。そういうようなものが、日本の裁判権が及ばないようなものだつたら、向うからぐつと押えられたら、日本には賃金先取権があつても、何にもなりはしません。重大問題が起つて来ると思いますので、この辺の関係について——まつたく質問する方が全然わからないで聞いているんですから、無理なお尋ねかもしれませんけれども、それだけに、親切にお答え願いたい。

記内角一通商産業事務官(企業局長)

○記内政府委員 私どもの承知しておる限り御説明申し上げますと、これについては、単なる売買契約と申しますか、そういうことになつておるわけでありまして、進駐軍から何ら前受金も材料支給もございません。従いまして、日平産業とすれば、きめられた納期の期間内にきめられた規格の品物を納める。それに対してアメリカ側としては、これを検査いたしまして収納する、納まつた分に対する代金を払うということに相なつております。もし納期通り納まらなかつたということになりますれば、これは契約の取消しになつて参るかと思うわけでございます。契約の取消しになりますれば、アメリカ側としては、予定しておつた銃弾が入らないということになるわけでございます。そこで問題は一応打切りになるわけでございます。契約の具体的内容が、もしそういうふうに、いずれかの不都合によつてこの契約の実行不可能に陥つた場合には、いわゆるキャンセル料というような、罰金を出さなければならぬかどうかというような問題があるわけでございます。私、現在その契約の内容を存じておりませんが、違約金を出すことになつている例が多いようでございます。あるいはそういうようなことになつているかとも思いますが、た、だこれは、こういうふうな状態のところですから、罰金を出そうにも出し得ないのじやないか。その場合には、一般民事上の問題になつて参りますので、もし払わなかつた場合には、裁判上の訴えによつてこれの罰金を取立てる、違約金を取立てるという関係になつて参ると思います。ただ、あと政治上の問題としましては、行政協定なりあるいは調停委員会という方面で、いろいろなあっせんをして参るということになろうかと存じておるわけでございます。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 今のお答えで、契約の内容は私どもわからないのですが、いずれそういう契約はあるだろうと思います。違約金が、日本の民法上の争いなら優先権になるわけです、賃金先取権になるわけでありましようが、この特需に関しては、契約調停、委員会の規定の中に、設立の目的というところに「特需契約には日本の裁判管轄権が及ばないので、軍内部にある裁定機関が唯一の紛争決定期間である。これは日本の業者に不安と不便を与えるものである。契約調停委員会は、業者に最も近寄りやすく、かつ公平な紛争解決機関たるべく設立されたものであり、その仕事は調停であるけれども、米軍においてもその調停勧告を十分に尊重している。」こういうことが書いてある。この点で私わからぬものですから、特需関係というものが、日本の裁判管轄権以外にあるとするならば、労働基準法は吹つ飛んでしまうわけです。この点はどうですか。

関守三郎外務省参事官

○関説明員 完全にアメリカのGPA覇者とつてわれわれが民事上の訴えを出すことはできる、ただ強制執行はできないというところに問題があるのではないかと私は考えます。しかし、この場合におきましては、むしろ逆に、向う側が会社を相手にとつて民事裁判を提起することになるだろうと私は考えます。それで、普通の裁判と同じことになつて来るのではなかろうかと考えるわけです。そういうこと以外には、考え得られないのでございます。もちろん違約金その他の問題は、米軍の方から要求して来る問題でございます。

多賀谷真稔日本社会党(左)

○多賀谷委員長代理 次会は明十六日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時三十五分散会

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