P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
19回国会衆議院1954/02/24

労働委員会 第7号

発言数
14
登壇者
5
会派数
2
開催日
1954/02/24

会議録

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 これより会議を開きます。  中小企業関係労務に関する件について調査を進めます。井堀繁雄君。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 過日の委員会で労働省に調査をお願いし、その結果を御報告してもらうことにいたしておきました沼津市の日本名産株式会社の労働紛争をめぐる不当労働行為もしくは基準法の違反等について、その結果を御発表願いたい。それから同時に、もう一つのケースでありました、同じく沼津市の加藤車体工業株式会社の同様の事情について、どのような結果になつておるか、お伺いしたいと思います。

中西実労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 前回の委員会で、今の二つのケースについてのお尋ねがございましたので、さつそく静岡県に問い合せておいたのですが、実はまだ向うから調査の結果の報告が参つておりません。もうすぐ参ると思いますので、参り次第御報告いたしたいと思います。

亀井光労働基準監督官(労働基準局)

○亀井政府委員 私も同様でございまして、お話のございました就業規則の掲示がなかつたということにつきまして、問い合せをいたしておるのでございますが、まだ回答が来ておりません。この次の委員会までにはお答え申し上げることができるかと思います。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 それでは二つのケースについては、至急に御調査の上、なるべく近い機会に委員会に御報告願いたいと思います。  次に前々回、その以前から継続質問をいたしておりまする近江絹糸のその後の模様について、何か出先から報告に接したことはありませんかどうかをお尋ねいたしたいと思います。それから同じ繊維関係で、大阪府泉南郡田尻町にあります坂本紡績株式会社、この紡績会社に、基準法違反、不当労働行為等の事柄がいろいろ報道されております。ことに読売新聞にかなり大きく掲載されたことがありますが、こういう事柄について、どの程度御存じであるか、御存じの範囲で、この機会に明らかにしていただきたいと思います。

中西実労働事務官(労政局長)

○中西政府委員 近江絹糸の関係で、不当労働行為に関する点につきまして、私からその後の調査につきまして申し上げたいと存じます。問題の中岡という従業員につきましては、地労委、中労委ともに不当労働行為であるということで、一応会社は工場に復帰をさせたのでありますが、工場の組合が、会社側とユニオン・シヨツプを結んでおりまして、この組合が、中岡を、無断で全繊に加入したとか、あるいは素行不良だというような理由をもとにいたしまして除名をいたしました。従つてその組合とユニオン・シヨツプを結んでおります関係上、会社側はこれを解雇いたしました。これに対しまして、本人は除名取消しの仮処分の申請を十五日に出しております。同時に、解雇が不当労働行為であるということで、三重の地労委に提訴をいたしまして、目下裁判所と地労委に係争中になつております。  これにつきまして、われわれの方でも、一応三重県の労政課をして調査せしめたのでございますが、解雇の事由、手続等に若干疑問がありまして、そうして三重県におきまして警告をしたようでございます。その後その除名しました組合では、大会を開きまして、やはり除名を再確認して、現在に至つておるのであります。  これ以上のいろいろな事実は、ちよつと私の方でも有権的に調査が困難でございます。従つて裁判所、地労委それぞれで権限をもつて問題を処理しておりますので、しばらくどういう判定を下すか、これを見たいというふうに考えております。  なおあとで申されました、大阪泉南の坂本紡績の話は、私の方では今のところまだ詳細に存じておりません。

亀井光労働基準監督官(労働基準局)

○亀井政府委員 ただいまの御質問の、近江絹糸の津の工場の中岡某に関しまする基準法の取扱い方の問題につきましては、ただいま労政局長からお話がございましたように、一応復職の決定がなされましたので、昭和二十七年五月二十五日解雇の通告がありましてから、解雇の取消しがありました分の賃金の支払いが確実に行われているかどうかということが、監督上の問題として上るわけでございまして、その間の給与相当額は十万一千九百七十円でございます。その期間におきます健康保険、厚生年金、失業保険、労働組合費等の雑費合計五千九十一円を控除いたしました残りの九万六千八百七十九円を、一月二十三日に本人に支払つておりまして、この関係の労働基準法違反というものは、ないものと考えておるのであります。あとは、ただいま労政局長から御答弁がありましたその後の不当労働行為があるかどうかという問題になつて来ております。  なお御質問の中には、一般的に近江絹糸、特に彦根工場の違反の問題はどうかという御質問の御趣旨でもあろうかと思うのでありますが、昨年来、彦根工場につきまして、監督を実施して参りまして、地元の基準局長名をもちまして、違反事項につきましてその是正方を会社側に通知をいたし、それに対する会社側の是正の解答を得たのでございます。一番問題になりましたのは、昨年まで実施をしておりましたいわゆる交代によりまする深夜業の問題が、一番問題であつたわけであります。この点につきましても、会社側は基準法に定めますような交代を実施する、従つてこの面におきまする違反を是正するということを、明確に意思表示をいたしまして、本年の一月一日から新しい交代を実施しまして、この面の違反はなくなつたかと思うのであります。なおそのほかこまかい点につきましても、大体これを是正することについて、会社側から意見の表示がありましたので、目下のところこれらの事項が完全に遵守されておるかどうかということを、監視いたしておるところでございます。その後の新しい報告は、受けていないのでございます。  なお、あとでお話のございました泉南地区の坂本紡績につきましては、かねてから深夜業、労働時間その他につきまして違反のあることを監督の実施の結果発見いたしまして、これについて是正をいたさせるべく、監督を引続き実施して参つて来ておるのでございまして、最後の腹といたしましては、もしわれわれの要求通りに違反を是正しない場合におきましては、司法処分の措置もとりたいということで、その証拠の収集にも努めておるような現況でありまして、まだしばらく監督を行つて、その結果を見たいというふうに考えておる次第でございます。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 近江絹糸の問題については、なおその後のことをお調べをいただくことにしまして、前回問題になつておりました仏教の教義を工員に対し強制することの労務管理と関連しての扱い方については、非常にデリケートな問題で、十分監視をしていただくように希望しておきましたので、その後この問題について、会社がどのように方針を改めたのか。改めなかつたとすれば、そういう問題が労務管理の上に悪影響を及ぼすような傾向は存続しているものと思うのですが、そういう点に対する監督署の見解を伺つておきたい。  さらに学校生徒によるものわれわれは学校というのはカモフラージユで、実際は労働条件引下げのための行為であるかのごとき事実を実態調査の上で発見したことは、この前の委員会で御報告申し上げた通りです。というのは、その後の報告でも明らかにされましたように、純然たる学校とみなしがたく、当然一般工員と同様に就業規則その他の規定を準用することを指示せられたように聞いておりますが、その点について是正されているかどうか、御報告願いたいと思います。  それからもう一つお尋ねいたしました坂本紡績の基準法違反の疑いでありますが、私どもの報告も、それほど信憑力があるかどうか、実際にわれわれは調査いたしておりません、地元の労働組合あるいは従業員の一部の人の訴えでありますから、確実性は乏しいかもしれませんが、想像はできると思うのであります。第一ここには、長年労働組合の組織が、あの地方の組織労働者の積極的な努力がありましたにもかかわらず、できかけてはつぶれ、できないうちに押えられるというような実情が伝えられているわけであります。この辺の事実だけから判断しても、この工場の労務管理が、労働組合の組織を上手に押えているのではないかという想像ができると思うのであります。というのは、屈指の大手筋の紡績会社とみなされる規模の大きい工場でありますが、こういうところで労働組合が組織されないということは、何か特殊の事情が存在するという考え方は、ひとり私の想像だけではないと思うのでありまして、そういう想像が下されますのと併行して訴えて来ております中で、こういうことはどうも事実としてわれわれが判断しかねるような極端なものが報告されております。たとえば、二交代制で年中無休で十二時間労働を行わせている。もちろん無届、無許可であることは確かなんです。それから、そういう違反を隠蔽するための手段として、基準監督署が臨検に来るときには、どんなに祕密にしていてもすぐ会社に通告される。その臨検に対して一番極端な例を一つとつて言いますと、タイム・レコーダーのカードを二重に仕組んでおいて、基準法の限界の範囲内のカードを先につくつておき、実際のカードは別にあつて、基準監督署の臨検を受けるときは、カードをさしかえてやつておるという、どうも信じがたい計画的な脱法行為を行つているという例をあげていますが、事ここまで巧妙にやられますと、今日の基準監督署の機能をもつてしては、とうてい違反を的確に発見するということはむずかしいのではないかと思われるのです。こういうものを総合して判断するのに、こういうものに対しては、一応うそであるか、ほんとうであるかは別として、そういううわさがあり、組織がないという点からいつて、一応基準法違反というものが発生し得る条件は整つておる。こういうものに対する監督は、一般的な監督と違つて重点的にそういうものを調査されるようなことが必要な事柄ではないかと思うのでありますが、そういう点について、局長は何か適切な方法でそういう事実を調査なされ、そういううわさにこたえて労働者の権利を保護されるという、何かそういうものに対するお考えがあれば承りたい。

亀井光労働基準監督官(労働基準局)

○亀井政府委員 第一番の御質問は、近江絹糸の宗教問題の御質問であります。これにつきましては、昨年の本委員会におきまして詳細調査いたしました結果につきまして御報告したのでありまして、要するに強制をしておる事実はない、これは公に認められ得るのじやないか。ただ、心理的な圧力だとか圧迫だとか、こういうようなことは認められますが、はたしてそれが犯罪容疑、すなわち基準法違反という形において取上げますには、証拠が非常につかみにくいという点は、この前も御報告を申し上げたのでございます。この問題につきまして、現地ではもちろんこういう面における強制的な措置が会社側から講じられたという事実があがりますれば、それに対しまする措置というものは考えられるのでありますが、今までの調査の結果では、証拠を的確につかむことが非常にむずかしいというので、まだわれわれのところといたしまして、基準法違反の措置をとり得ない現実にあるのでございます。この問題は引続き厳重なる監視を続けて行きたい、そうしてその間にそういう事実がつかみ得まするならば、その場合に措置を講じて行く覚悟でございます。  第二番目の学校の問題は、学校の制度そのものにつきましては、これは認可を受けた学校でございまして、私の方がとやかく申し上げる性質のものではないのでありますが、ただ労働者である立場と学校の生徒である立場と二つ持つておるわけでありまして、その場合の労働者である立場におきましては、就業規則その他労働基準法で明示いたしまするすべての法の保護というものを、われわれとして与えるべく監督をいたしておるのでありまして、先ほど申し上げました交代制の問題も、学校の授業と労働者である労働の時間との交代制につきまして違反がございましたので、これを是正したわけでございまして、労働者として職務に従事する場合における交代制ということを、われわれとしては是正させたわけでございます。  もつと具体的に申し上げませんと、おわかりにくいかもしれませんから申し上げますが、従来の近江絹糸のやり方は、一週間学校、一週間労働という一週間の交代制をとつて来ておつたわけです。それでA班とB班とにわけまして、一週間交代でA班は朝の勤務、B班は夜の勤務という形で参つておつたのが、B班はいつも夜の勤務にしかつがされなかつた。すなわちこれについては、近江絹糸側は、学校と労働者である場合と交互に繰返されるから、これは交代制ではないかという見解を持つていたのでありますが、われわれとしてはあくまでも労働者たる地位、身分で職務に従事しておる場合における交代制において、労働基準法では三十分の時間延長を認めておるから、その点の違反がありますから、今年の一月一日から、その点の是正をさせまして、現在におきましては基準法通りの交代制によつて実施をいたしておると思つております。  第三点の坂本紡績のことにつきましては、先ほど申し上げましたように、地元の大阪の基準局におきまして、その違反の事実を確かめましたので、引続き違反の摘発に当つておるわけでありまして、具体的なお話でございました二重カードの問題等につきましては、まだ具体的な捜査の結果の報告を受けておりませんので、それが事実であるかどうか、ここでお答えするわけには参りませんが、深夜業なり労働時間の問題等につきまして違反のあることについては報告を受けております。引続き坂本紡績につきましても監督をいたし、違反についての司法処分をしまする証拠が固まりましたならば、司法処分にも持つて行きたいというふうに考えております。

井堀繁雄日本社会党(右)

○井堀委員 ただいまお尋ねいたしました近江絹糸あるいは坂本紡績の不当労働行為もしくは労働基準法違反の場合がいろいろ事実として現われて来ておりますが、一貫して見まするのに、最近繊維関係の労働事情というものは、戦前に比較して非常に健全なものになりつつあると一般からも認められておりまするときに、近江絹糸、坂本紡績のような問題は、実に極端な事例に属すると思うのであります。こういうものが巧妙に法の欠点や監督行政の弱体を悪用しておるということは、今までの調査や監督署の処罰その他に照して明らかであると思う。従いまして、今後この種のものを、法の力をもつて、か弱い女子労働者を守つて行くということは、国の労働行政としても困難があることだと思うのでありますが、こういう問題について、私は労働省の今後せつかくの努力を要望いたしたいと思うわけであります。  ついででありますから、それに参考のために申し上げますが、坂本紡績の場合は、周囲の行政機関、ことに権力を持つ機関に対しては、実によく努めております。その事実としては、たとえば商工会議所の建物を建設するのに三百万円も寄付し、あるいは町の公民館に対して七百万円の寄付を行つておる。あるいは図書館の建設に対しては二百五十万円、学校の講堂建設については一千万円、あるいは自治警察に対して署長に高級自動車を贈る。そういう点では、基準監督署も何がしかの寄付を受けておると思うのですが、こういうふうに実に行き届いた努力が払われておる。繊維業者がそういうところへそういう寄付をすることをとやかく言うのではありませんが、こういう現われた事実の上からいたしましても、今日の基準監督機関の出先というものは、私はきわめて微力だと思う。従つて国際労働総会の条約案になり、勧告案になつて来ておりますように、こういう監督行政というものは、やはり中央の機関が情実に支配されたり、地方のそういう力に左右されることのないように、強い監督権と、そういうものに対する法の運営上あやまちがないようにするというのが世界的な要請であるわけです。こういう点から考えましても、基準局長はもちろんのこと、労働大臣はきわめて重大な責任の地位に置かれていると思うわけです。近江絹糸の問題は、この委員会でも何回も討論され、あるいは現地に派遣して報告も行われたように、まことに遺憾な事実が続いておるわけです。こういう点について、ひとつ十分御留意の上、労働行政、ことに監督機関が片時でも麻痺することのないように希望しておきます。そういうことに対して、もし所信がありますならば、労働大臣はこの問題に対して言及されておりませんので、この機会に明らかにしていただきたい。

亀井光労働基準監督官(労働基準局)

○亀井政府委員 先ほどの御質問の中で、大阪の監督署が坂本紡績から寄付を仰いでおるのじやないかということでありますが、これは絶対にそういうことはないことを、私から申し上げておきます。  なお機構の問題につきまして御意見が出ましたが、私もまつたく井堀委員と同じ意見を持つております。おそらく政府といたしましても、そういう意見のもとにこの問題を考えるものと私確信をいたしております。

島上善五郎日本社会党(左)

○島上委員 関連して……。その御答弁の通りであれば、まことにけつこうですが、今度の行政機構改革の中では、労働基準監督署を地方に委譲する、あるいは移管するという問題が取上げられておると思う。私どもの考えをもつてするならば、今の監督行政はまだまだ不十分だ。違反件数が年々少くなつたという報告をされているが、違反件数が少くなつたというよりは、実態はむしろ監督行政が無力になつたので、地方の監督署において工場の臨検にまわつて歩けないということのために、その摘発件数が少くなつたのではないか。ある地方の監督行政に携わつている者が、直接に私どもに訴えて来ているところによると、今の陣容をもつてしては七年に一回しかまわれない、こういう状態を訴えて来ておるのです。ですから、地方に移管することは間違いであるということは言うまでもありませんし、むしろもつと拡充するということでなければ、労働基準法の完璧なる実施を期することができないのではないか、こう考えております。そこで今の御答弁のようであればけつこうですが、閣議ではこの労働基準行政を地方に移管ないし委譲するという行政機構の改革を考えておるように伝えられておりますし、従つて今の御答弁とは、政府の方針が大分違うのじやないかと思いますので、労働省ではそう考えておるが政府の方針はこうなつておるというのか、政府は行政機構改革に関して、そういうことを全然考えていないというのであるか。さらにまた、労働省の当事者としては、労働基準監督行政をもつと拡充するということにしなければ、基準法の完璧な実施は期しがたいと私ども考えておるが、これに対してどのように考えておるか伺いたいと思います。

亀井光労働基準監督官(労働基準局)

○亀井政府委員 機構の問題につきましては、まだ閣議決定はなされておりません。基準行政に関する限りにおきましては、最終的の形式的な結論というものは、もちろんまだ閣議において確認はされておりませんが、実質的な面におきまして、事務的な折衝の段階におきましては、現状維持で行くという段階に来ておるということは先ほど申し上げた次第でありまして、われわれも、おそらくそういうことになろうかというふうに考えておる次第でございます。  それから機構その他をむしろ拡充すべきではないかという御意見でございますが、私らといたしましても、この問題自体につきましては、もちろんまつたく同感でございます。ただ方法論になりますと、いろいろな方法があるわけであります。単に人員をふやすだけ、予算をふやすだけで十分であるというわけには参りません。問題はやはり質の問題に入ろうかと私は思います。従いまして、監督官の質の向上、特に捜査能力の向上につきましては、検察当局とも相協力いただきまして、その向上に努めておる次第でございます。また監督の方法にしましても、ただ歩きまわつて監督するだけが能ではないと思うのであります。監督の方法につきましても、能率的に効果の上るような方法をわれわれとしていろいろ研究をし、実行をして参りたいと思つておるわけでございます。

赤松勇日本社会党(左)

○赤松委員長 次会は公報をもつてお知らせすることにいたし、本日はこれにて散会いたします。     午後二時五十七分散会

国会会議録検索システムで原文を見る ↗