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19回国会衆議院1954/02/26

予算委員会第一分科会 第2号

発言数
107
登壇者
12
会派数
4
開催日
1954/02/26

会議録

尾関義一自由党

○尾関主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和二十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、経済審議庁を除く総理府、法務省及び大蔵省所管並びに他の分科会の所管以外の事項を一括して議題とし、昨日に引続き質疑を続行いたします。質疑は通告順によりこれを許します。黒田寿男君。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 私は外航船船舶建造融資利子補給及び損失補償法の利子補給の問題について、大蔵大臣に御質問申し上げたいと思うのであります。  最初わかり切つたことのように考えられるかもわかりませんが、多少三、四お尋ね申し上げて、それからさらに利子補給に関して、国と海運業者との間に発生いたします関係の性質についてお尋ねしてみたいと思うのであります。最初お尋ねしたいと思いますのは、これはわかり切つたことであると思いますが、念のために申し上げておきます。国がこの法律に基きまして金融機関に補給する造船融資の利子は、元来ならば海運業者が自分に対する融資の利子として金融機関に支払うべき利子債務の一部に当るものだ、こう考えるのでありますが、これもあたりまえのことだと思いますが、念のために大蔵大臣にお尋ねいたします。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 この利子補給の関係につきましては、御承知のごとくに開発銀行と市中銀行に対してやつておるのでありますから、この開発銀行の方では、先にもちよつと申しましたごとくに、さらにこれを船会社に貸出しをしておるのでありまして、言いかえますると、貸出し関係は国と金融機関が当事者でありまして、これは過日法務大臣のお言葉にありましたように、反射的に船会社が貸出しを受けておる、こういうふうに私ども考えておるのであります。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 私が御質問申し上げましたのはもつと簡単なことでありまして、要するに本来は海運業者が金融機関に対して支払わなければならぬ利子を、現在の経営状態がこれを許さないから、そのうちの一部を利子補給金として国家の方から払つてやつておる、こういう関係になるのだと思うのでありますが、その点を今お尋ねしたのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 これは国の方が開発興行等に法の定める通りやつておるのでありまして、海運業者の方に対して――たとえば開発銀行の例を見ますると、三分五厘以上のものにつきましては、いわゆる利子の徴収猶予をしておるという形であります。従いまして後日船会社の状況がよくなれば、海運会社でこれをもどすということになりまするので、その場合は開発銀行の政府に対する納付金が増加することと考えております。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 多少質問と御答弁に行き違いの点がありますけれども、それはそれといたしまして、私の次の質問を申し上げてみます。  ただいま私が申し上げました関係を金融機関の立場から見れば、元来ならば海運業者から受取るべき造船融資の利子を、一部だけは本来の債務者である海運業者から受取つて、他の部分を国から利子補給金として金融機関は受取つておるのだ、要するに海運業者の金融機関に払うべき利子が分裂して、一部は自分自身の支払う利子と、それから一部分は国が金融機関に払つてくれる、それを合したものが本来金融機関が海運業者から受取るべき利子になるのだ、こういう関係になつておると思います。それでただいま大臣のおつしやいました、一時海運業者が払うべきものを徴収を猶予してやつておるのだというのは、その猶予された部分だけを、国が利用されておる期間においては銀行に利子の一部として支払つてやつておるのだ、こういう関係になると思います。これは私わかり切つたことであると思うのでありますが、念のためにお聞きしたいのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 これは申し上げましたように、ちようど昭和二十八年八月十四日までは年七分五厘、八月十五日から九月末日までは六分、十月一日から本年一月末日までの間が七分五厘、二月一日から六分五厘、そういうように金利がきまつておるのでありまするが、これと三分五厘との差につきまして徴収猶予をしておる、こういう実情に相なつておるのであります。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 そこでなおお尋ねいたしますが、国は元来造船融資そのものにつきましては当事者ではない。当事者はだれかと申しますと、金融機関と海運業者であります。だから国には、金融機関に対しまして造船融資の利子支払いの債務は本来はない。しかるに何ゆえ国が利子の一部分を金融機関に支払うか、言いかえればその間だけ海運業者が金融機関に対して支払うべき利子の猶予を受けるという恩典に浴するかと申しますれば、それは外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法という法律がありまして、その法律によりまして、国が金融機関に対して、本来ならば海運業者が支払うべきものを、海運業者に一方猶予をしてやつておりますかたわら、それにかえて国の方で金融機関に支払う、そういう契約が国と海運業者とにあるからだとこう思います。そこでそういう関係があるために、本来は債務者でないところの国が、債権者でもない金融機関に利子を払うてやつたのだ、こういうことになるかと思うのでありますが、これはどうでございましようか。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 国が利子の補給をすべき義務をもともと負つているわけでないことは、ただいまお話の通りでございます。ただ外航船舶建造を促進するとともに、海運の健全な振興をはかるという目的からこの法律が制定せられまして、船会社からの申請によつて、金融機関が融資をする場合に、この法律で金融機関との間に利子補給をする契約を締結する権限が与えられたわけでございまして、その法律に従つて金融機関と契約するその契約によつて、金融機関に対して国が利子補給の義務を負つておるわけでございます。その場合に海運業者との関係はどうなるかという点がお尋ねの点であろうかと思いますが……。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 それではその点はあとから質問いたしますから、今の程度のお答えでけつこうです。  そうしますと、私がお尋ねいたしました趣旨の通りのことを、ただいま政府委員からお答えくださつたと思います。そこでもう少し進んで参りますと、金融機関から申しますれば、元来受取るべき権利のある利子債権を、普通に受取るべき金額において受取るものにすぎない、こうなつておると私は思う。ただ受取るべき利子の一部を、ただいまも政府委員のおつしやいましたように、また私どもも考えておりますように、お門違いの、すなわち造船融資の債務者ではないところの国という融資契約の第三者に当るものから、その第三者と金融機関との、ただいま政府委員がおつしやいました別個の契約に基いて受取つておる、こういうのにすぎない。ですから、ちよつと考えますと、特別によけいな利益を受取るのでも何でもない、政府がおつしやつたのはそこだと思います。要するに本来受取るべきものを受取つておるというにすぎない。これもしいてお答えを求めるほどのことではないと思いますけれども、大体金融機関と国家との関係は、そういうようになつておると私は思うのでございますが、私の考えは間違つておりましようか。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 先ほど申し上げましたように、この法律の規定で、国が金融機関との間に利子補給をする契約を結ぶわけでございます。国が一定の利子補給をするわけですが、その場合には、金融機関は利子補給を受けた額を契約上の利子額から引いたものを融資の契約の相手方からとる、つまりそれだけ利子をまけなくちやならない、そういう法律上の規定になつておるわけでございます。結局国からもらうから、それだけ船会社からは引いて利子を払わせる、そういう仕組みになつておるのでございます。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 私の考えておりますことと同じことをお答えくださつたと思います。そこで、その次に考えてみたいと思いますのは、しからば利子補給の利益を受けるものは一体だれであるかという問題であります。形式上は金融機関が利子の補給を受けるのではありますけれども、しかし金融機関から申しますれば、先ほど申しましたように、元来受取るべき権利のある利子債権を、一部分債務者たる海運業者から受取つて、それから他の部分を、本来の債務者たる海運業者から受取るかわりに、国から利子補給金として受取つておるというだけのことでありまして、たとえば利子率という観点からいたしますならば、海運業者から受取る利子と国から受取る利子補給金と合せたものが普通の利子率に当る、そうした額のものを受取るにすぎないのでありますから、利子率という点からだけ考えますときには、別に金融機関が特に利益を得たという関係は発生しないと私は思つております。ただ、利子の一部分だけにいたしましても国から受取ることができるという方が、海運業者から受取るということよりも取立ての安全度が高いという点におきまして、この意味で私は利益があると思うのですけれども、こういう利益にすぎないんだ、こういう関係になつておりますから、補給金の利益を受けるものはむしろ他にあるのではないか。それではそれはだれかというと、私は海運業者だと思います。従つて利子補給の契約は金融機関と国との間にあるのですけれども、その契約を実行することによつて利益を受けるのはむしろ海運業者だ、こういうように私は見るわけです。先ほど大蔵大臣のおつしやいますように、造船融資から生ずる利子債務の一部を国から金融機関に対して支払つてくれた部分だけ、自分の支払分が猶予されるわけですから、そういう利益が第一に海運業者としてはあるわけです。それから、利子補給に関しこの補償があるという利益を受ける上に、さらに融資に関して発生するかもわからない損失に対しましても、国が金融機関にその損失を補償するということを契約することによりまして、そういう契約が他面にあるために融資を受けられるということになるのでありますから、そこに多大の利益が得られる、私はそういうようになつておると思いますので、従つて利子補給の直接の利益を受けるのは実際上は海運業者だ、こういう関係になつておると私は考えるのであります。これはこういうように考えて間違いないと思いますが、いかがでございましようか。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 お尋ねの趣旨は、結局先般本委員会で問題になりました政治資金規正法の関係の問題だろうと存じます。そういう法制的な問題につきましては、私ども確定的な解釈を下す立場におらないのでございますが、先般の当委員会における質疑応答の趣旨を顧みますと、契約の当事者は国と金融機関である、金融機関はこの契約によつては特別の利益は受けない。船会社はどういう立場に立つか、それはこの契約によつて反射的に利益を受ける、そういう解釈であつた、さように承知いたしておるのでございます。ただいまの解釈が政府の公定的な解釈であると当時了承いたしたわけであります。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 政府委員の御答弁は、私がまだ質問いたしません先の先の方を、むしろそんたくしてお答えになつたと私は思うのです。私はそれに行く前にもう少しお尋ねしてみたいと思います。今の森永さんのお答えくださいましたことは、私の質問に即応したお答えではなかつたと思いますけれども、大体私の考え方は間違つてはいないと思いますので、次に進んでみたいと思います。  次にお尋ねしたいと思いますことは、利子問題につきましての国と海運業者との関係には、普通の補給金ないし補助金と称せられるものと比較いたしまして、特異な関係があると思うのであります。これは単にこの場合だけのものではないかもわかりません、多少他に例もあるかもわかりませんが、とにかく少し異なつた性格があると思う。それは何かと申しますと、これは先般この委員会で問題になつたことだと思いますが、くどうございますがもう一度繰返してみます。私は、先ほども申しましたように、利子補給金は、元来ならば海運業者が金融機関に対して支払うべき造船融資に対する利子の一部を、国が海運業者にかわつて支払つてやる、その間だけ海週業者に対しては利子の支払いが猶予されておる、こういう性質のものになると思う。業態さえよければ海運業者が自分に融資してくれた金融機関に対して払わなければならぬ利子を、今全部払えないから、そのうちの一部を国家が金融機関と国との契約に基いて一時かわつて支払つてやつておるのだ、これはどういう法律関係になるかということは別問題として、また別に政府の方にお尋ねしたいと思いますが、そういう事実関係になつておるということだけは間違いないと思うのです。私非常に知識がないのでよくわからないのでありますけれども、どうも私どもしろうとから見ると、そういうふうに解釈でもするよりほかには解釈の仕方がないように思うのであります。これについてちよつとお聞きしておきたいと思います。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 利子補給を規定している法律は、ほかにもたくさんあるわけでございますが、それらの場合すべてを通じた原則と申しますか、考え方は、結局通常の金利の負担に耐えられない。その場合に、耐えられないというのでこれを放置するということは、国のいろいろな政策の実行の面からいろいろ支障が起るので、実質的に金利負担を軽減する目的で、国が金融機関に利子補給をする、それによつて融資を受ける人の金利負担はそれだけ軽減される、そういう場合に利子補給をいたしているわけでございます。この外航船船舶建造融資利子補給の場合にも、外航船舶の建造を促進するというような目的から、国と金融機関とが利子補給の契約をいたしまして、利子補給の契約をいたしました分だけ金利負担を軽減する、そういう趣旨であると存じます。なお開発銀行の場合は、これは利子補給ではないのでございまして、利子の支払いを開発銀行が猶予するということでございますから、この分は融資を受ける船会社の方が、初めから債務を負担しておる、その債務の履行時期が猶予されておる、そういうような関係に相なります。利子補給の場合には、そういう利子の債務を負担しておるということでなくして、国が利子補給をした結果、船会社の利子負担が軽減される、但しこの軽減された分は、将来利益が出ました場合に、それに相当する納付金を国に納めなければならない、そういうことにしてあるわけでございまして、猶予の場合と利子補給の場合では、債権、債務の関係が多少異なつて来ようかと思いますが、いずれにしても負担の軽減ということが趣旨であると存じます。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 そこで私が、普通の補給金、補助金等と違う、特異なものがあると申しましたのは、実は今森永さんがおつしやいました点でありまして、要するに、一般に私ども常識上、補給金とか補助金とかいう言葉から受けます内容の解釈は、元来ならば国が補給を受ける者にやつてしまう。だから将来返してもらうという関係はそこにはない。これが普通の場合のことであろうと思います。ところがただいま森永さんもおつしやいましたように、一定の条件が発生するということ、すなわち船会社の資産状態が法律できめられております一定の条件まで回復すれば、利子の補給はやめるし、さらに法律で定められてあります一定の条件に達するようなよりよき業態が復活いたします場合には、国が金融機関に対して補給金として支払つております限度において、海運業者は国に返還をしなければならぬ、そういう関係になつておりますことが、私はこの補給金の他の大多数の補給金の場合と異なる関係であろうと思うのでありまして、この将来返還しなければならぬという関係か残つている。そうしますと、国家と海運業者との間に、直接に私は関係があると思うのです。融資の場合は反射的とかなんとかいう言葉が使われておるようでありますけれども、この利子の補給を受けます場合には、国と海運業者との間に直接の債権、債務の関係が発生しておる、こういうように私どもも解釈をしなければならないと思います。直接の関係が、利子補給という問題を通じまして、国と海運業者との間に存在しておるということは、これはお認めになるであろうと思いますが、どうでしよう。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 補給金、補助金はやりつぱなしというのが原則ではないかというお尋ねがまずあつたのでございますが、これは補助金によつていろいろ違うのでありまして、たとえば零細な農民を相手に補助金を出す場合、あるいは地方公共団体に補助金を出すという場合、これはやりつぱなしの例が非常に多いのであります。ところが通産省所管の補給金、補助金、助成金、いろいろな例があると思います。たとえば石油試掘の例なんかもそうでございますが、試掘奨励の目的で補助金を出すのでありますが、これは将来その会社の業績が改善した場合には返すんだ、そういうことを補助の契約などでうたつておりまして、返させるという例が非常に多いのであります。これはやはり補助金の対象がそういう負担力があるんだという場合に、そういう措置をとつておるわけでございまして、国民の血税をいやしくも浪費しないように、負担力が出て来れば返させる、そういう趣旨から出ているんだと思うのであります。今度の場合は、実質的な船会社の金利負担軽減ということが目的であることは、先ほども申し上げたのでありますが、契約の当事者はあくまでも国と金融機関でございまして、利子補給をするのは、金融機関に対してするのでございます。その反射的利益を船会社が受けるわけでございまして、その反射的利益を受ける限度において、船会社が将来もうかつた場合には納付金をさせる、これは利子補給金を返すという観念では、法律的にはあり得ないわけでございまして、利子補給として反射的利益を受けた額に相当する額を、将来業績が好転した場合に国に納める、そういう考え方になつておるわけでございます。この法律の構成から考えますと、そういうことによらざるを得ないわけでございます。従いまして、国と船会社との間には、一定の条件が達成した場合には、反射的利益を受けた金額に相当する金額を国に納付するという義務はございますが、これは利子補給金を返すべき債務とは違うのじやないか、この法律によつて新たに課せられた納付金の義務という解釈になるのじやないかと思います。なお法律の専門家ではございませんので、それらの点につきましては、後刻法制局の権威者がお見えになると存じますので、的確なことはそちらへの御質問に譲つていただきたいと思いますが、私どもはそういうふうに考えております。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 ただいまの御答弁も、もう少し私が質問いたしましてからあとで起る問題について、政府が先にお答えになつたと思うのですが、そこで私はもう少し中間的に御質問申し上げてみたい。私はきわめてしろうとでございますから、自分自身でも実は研究さしていただくという意味で御質問申し上げておるわけです。だから結論はどうなりましようとも、私どもの納得の行くような結論が出さえすればよろしいのでございます。そこで、私どもただいま森永さんのおつしやいました関係が、国と海運業者との間にあるにすぎない、こういうことでございましたが、そこまで行きます前に、ちよつと御質問申し上げてみたいと思います。それは国と海運業者との間に、利子補給について、ただいままで質問応答いたしましたような関係の発生いたします具体的な筋道について考えさせていただきたいと思います。私は政府委員の反射的とおつしやることがよく理解できないのであります。直接の関係が初めからある、こう私は思うのです。私がそう思いまする根拠は、こういう利子補給の関係が発生いたしまする糸口は何かと申しますと、運輸省令五十一号といたしまして、外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法施行規則というのがございまして、これを拝見いたしますと、その規則に従いまして海運業者は運輸大臣に申請する。これは「申請」という言葉が使つてありまして「申請」という言葉に問題があると思いますけれども、どういうことを申請するかと申しますと、平たく申しますれば、わが会社は何々金融機関から造船融資として幾らを借りたいと思つているから、この金融機関に対して国は利子を補給してもらいたい、こういうことを海運業者が直接国に対して意思表示をするのであります。その言葉を法律上どういうように定めてあるかは別といたしまして、とにかくそういう利子の補給を金融機関に対してしてもらいたいということを、海運業者から直接国に対して申し出るわけです。これは法令には「申請」と書いてありますが、とにかくそういう意思を表示する。またその申請と同時に金融機関からも国家に対しまして、何々海運会社に対して自分は今回造船融資をしようと思うから、利子の補給をしてくれという申込みをする、こういうことになつております。そういうわけで金融機関からも国家に申込みをしますけれども、それだけでは利子補給契約というものは成立しないので、海運業者からも自分の融資を受けようとする金融機関に対して利子を補給してくれということを必ず国家に申し出るということになつております。この二つの申出がありましたときに運輸大臣、すなわち国は十分な調査を行い、妥当と認めたときは遅滞なく金融機関と契約を結ぶ、こういうようになつておりますので、私は利子補給問題につきましては、最初から国と海運業者との間に直接の接触があると思うのであります。海運業者からこの申出がない限り、金融機関に対して融資するという契約も成立しない。海運業者からこの申出をするということが金融機関と国家との間に利子補給契約の成立する条件になつておると私は思います。だから初めから――法律上それがとうなるかということは別問題といたしまして、国と海運業者との間には接触点が生じているのだ、こう私は見る。それからさつきも申しましたように、後日返還という関係におきましても、これは海運業者と国との直接の関係があります。こういう筋道を経て国と金融機関との間に利子補給契約が結ばれるのでありますが、そのことは、海運業者が利子を補給してくれという国家への申出をも国家が承認してやつたという関係になると私は思うのであります。そういう関係は成り立つものでしようか、どうでしようか。これをちよつとお伺いいたしてみたいと思います。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 ただいまお言葉にありましたようなことは、大体において法律の筋に当つていると思います。すなわち国と海運業者の接触点はどことどこにあるかと申しますと、お話のように、まず第一前提として申請という形で接触がある、それから最後の段階において返還という関係でまたその接触点がある、これはおつしやる通りであると思います。ただ、今のお言葉に別に出ておりますような契約関係という点からこれを照してみますと、海運会社と国との二つの接触ということは、契約という性格のものにはこれはならない。あの法律の中で契約という関係のものを洗つてみますと、結局国と銀行との間にしか見当らないということがわれわれの考えているところでございます。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 なるほど法律の条文の上には、形式的に契約という言葉を用いますのは、ただいま法制局長官のおつしやいますように国と金融機関との間の契約だけ。しかしながら私どもこの複雑な世の中におきまして、当事者が当事者間の関係を契約という言葉を用いて表示しなければ、それは契約でないというようにきゆうくつに解釈する必要は必ずしもないと思う。私は実質的に見て、どうしてもこれは申込みに対して国家が承諾してやつたという関係になるのではないか。今申しました通り、どうか国と金融機関との間に契約を結んでくださいということを、その契約にとつては第三者でありますところの海運業者が国に頼むのであります。その国に頼むという関係がなければ、国と金融業者との間の利子補給契約もできないということに法律上なつておるのでありますから、私はどう考えましても、そういう関係を発生させてもらいたいということを海運業者が国に申し出るという関係は確かにあると思う。そしてそれが一つの条件となつて国と金融機関との間に契約が締結せられるということは、同時に海運業者のそういう契約を結んでくれという申出を国が承諾した、こういう関係になると私は思うのであります。その関係を言葉の上でどう使いましようとも、どうも私にはそのように思えるわけであります。それから返還の場合もそうであります。法律にいろいろ返還のことが書いてありますが、法律に返還の方法を書いてあることによつてただちに海運業者と国家との間にそういう関係が発生するのではなく、そういう返還の方法を定めてある法律に従つて、将来補給された利子は払うという意思を持つておる。そういう法律に従つて返還の関係を国家との間に発生せしめようという考えがあつて、そうして船会社は国家に対し、金融機関に対して利子補給の契約を結んでくれ、言いかえれば自分の払うべき利子の一部を国がかわつて払つてもらいたい、こういう申出をするのだと思います。だからどうしてもこの間に海運業者からの申込みを承諾したという関係が、法律の形式上の字句の建前は別といたしまして、実質上発生するのではないか、どうもそういうように思えるわけです。私の考え方が正しいかどうかということにつきましては、私も実は研究さしていただいておりますが、どうも今までの政府のお答えだけではかゆいところに手の届かぬような感じがいたしますので、はなはだしつこいようでありまするけれどもお尋ねしておるのです。私は、そういう意味で契約関係というものは実質上存在しているのではないかと思うわけです。これ以上は議論になつてしまうかもわかりませんけれども、私はどうもそういうように思う。そうでなければならないと思うが、これはどういうものであるかというようなこともひとつ御意見を承りたいと思うのであります。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 先ほど触れましたように、国との接触が二つあるのでありますが、その第一の接触点である申請というものを見ますると、これは法文から見ましても、また先ほどのお言葉にもありましたように、金融機関と国とは、契約を結ぶについてはこの申請があつたという事実がなければ結べないという、確かにこれは法律的な法定要件にはなつておると思います。ただしかしそれだけの意味しかここからは導き出され得ないのであつて、法定要件としての申請というものにとどまるのではないか。従つてその機会に国と海運業者との間に契約というものを考える必要もないし、またそれを入れるだけの余地もないことではないかというのが私どもの考えであります。  それから第二点の接触点であるところの返還の義務ということは、先ほどお言葉にもありましたように、ある種の反射的の利益ということがそこに考えられますから、その関係において正義公平の原則にのつとつて返還義務を法律が直接に業者に命じておるというふうに読むのが、むしろすなおな読み方ではないかと私は思い込んでおるのであります。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 私が不敏なせいか、実はまだはつきりしない。どうも私の考えておるような法律の疑問があとまで残ると思いますので、これは後日機会を得ましてもう少しお尋ねしてみたいと思います。ただいま主査の方から、時間の関係上この辺で質問を終つてはどうかという御注意がございましたので、その御注意に従うことにいたしまして、きようはこの程度にいたしまして、また後日を期したいと思います。

尾関義一自由党

○尾関主査 滝井義高君。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 昨日質問の過程で残つておつた二、三の大蔵大臣に関連する問題の質問をいたしたいと思いますが、まず第一に大蔵省の予算の中に接収貴金属等の処理に必要な経費八百二十三万六千円というものがあるわけなのでございます。これは連合軍が接収しておりました貴金属等が、平和条約の発効とともにその処理を日本政府にゆだねられたために、これを元の所有者に返すための必要な経費である、こういうことになつておるわけなのです。これは具体的にどういうぐあいにして元の所有者に返すのか、われわれは戦争中にそれぞれ分相応の貴金属を国の国策協力のために出したわけなのですが、それを現在元の所有者に返すという、その具体的な内容を御説明願いたいと思います。

窪谷直光大蔵事務官(管財局長)

○窪谷政府委員 戦争が終了して占領軍から接収されました貴金属は、一時占領軍が管理処分をしておりましたことは御承知の通りであります。講和条約が発効いたしまして日本政府にその保管が移された。そのときの向うの覚書には、真正な所有者に返すようにということがついております。それで今大蔵省においては、その処置をどうすべきかということを研究中でございまして、成案を得た上でこの国会で御審議を願いたいというふうなことを考えております。従つて今具体的にこういうようにする計画であるということは申し上げかねるような段階ではございますが、この予算に計上しておるのはその処理の事務費でございまして、処理の処分代金を納入するとか、あるいは処分代金をどういうふうに使うということは、二十九年度の予算には全然まだ計上いたしておらないような状況であります。ただいまのお尋ねは、国民が戦争中に供出をしたものをどうして返すかというお話でありますが、今回の処理は、連合軍に接収をされたものの処理でございまして、従つてその前の戦争中の所有者からの供出のところまでの処理は不可能なのでございます。一般国民が供出をいたしましたのは、当時は交易営団等の中間の扱い機関がございました。その扱い機関が持つておりましたのが戦争後に接収をされたのでございます。この交易営団等が持つておりますものについては、先般の衆議院の行政監察委員会等において御審議を願いました結果、そういうものは国庫に帰属をさせるのが適当ではないかという御結論をいただいておるのでありますが、こういう点を考慮に入れて、適正な処理の法案をこの国会に出したいというように考えておる次第であります。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 その連合軍が接収をしておつた貴金属というのは、大体どの程度の額のものがあるのか、簡単に種類別に・・・・・・。

窪谷直光大蔵事務官(管財局長)

○窪谷政府委員 これは評価の方法によつていろいろ数字が出るかと思いますが、総体としては約七百億程度に相なるかと思います。ただこの評価についての一つの問題は、戦争中に日本銀行に売りもどし条件付で供出をいたしました禁制品がございます。金でつくりましたいろいろな細工物でありますが、こういうものは、ちよつと幾らに評価したらいいか評価の方法がございませんので、一応そのものの持つております金の純分でこれを計算いたしたわけであります。それからダイヤモンドにつきましては、これもなかなか評価がむずかしいのでありますが、これは占領中に司令部が向うの専門家も呼び、日本の専門家も入つて、一応の評価をいたしたものがございます。そういうものを基礎にいたす。  それから金の地金でありますとか、銀の地金等は、金は政府の買入れ価格、銀は国際市場の価格というものを参照にいたしまして評価をいたしたのであります。  種類別におもなものを申し上げますと、金関係が、金の地金でございますが、これは三百二十四億。それから本邦金貨、これは明治以後の鋳造金貨、これを地金で評価をいたしまして四十九億。それから昔の小判でありますとか、大判というような種類のものが十一億。それから銀の地金が百九十億。それから銀貨でございますが、これもやはり地金で評価をしておりますが、約九億五千万円。それから白金の地金が十一億。それから貴金属の合金、これは主として金と銀との合金がその大部分でございますが、これが三十四億。それから装飾用のダイヤモンドが約七十二億。こういうふうなものが大きな項目でございます。先ほど申しました七百億円との差額はごくわずかなものでありますが、それぞれ身のまわり品的な加工品が接収をされておりますので、これを合せますと、約七百億というようなことに相なる次第であります。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 これらの今あげました七百億になんなんとする貴金属は、すべてそれぞれの原所有者がわかつておるものでしようか。それとも七百億の中の幾分はわかつておるが、幾分はわからないというものなんですか、その点をひとつ伺いたい。

窪谷直光大蔵事務官(管財局長)

○窪谷政府委員 概括的に申しますと、はつきりこれはだれそれのものであるというように、個別的に特定ができるものがございます。それからそういうふうに特定ができませんで、いろいろなものが一緒になつて混合されて整理をされておるというようなものがございます。たとえばダイヤモンドにつきましては、接収のときに連合軍が出しました受領証が不完全なものが非常に多いために、個人々々にだれのものであるということをはつきり認定することがなかなかむずかしいというものが相当ございます。その金額が、どのくらいな割になるか、ちよつと今のところ見当がつきかねておるような状況でございますが、ごく概括を申し上げますと、金の地金は、これは金製品でありますとか、地金にいたしましても、それぞれ地金にナンバーが打つてございますので、大体これは特定できるものかと思います。これは大きいものは、日本銀行が昔金準備の制度を持つておりましたとき持つておりました金の地金、これも相当大きなものでございます。それから政府会計で持つておりましたのは、造幣局とか、あるいは貴金属特別会計の所有いたしたもの、そういうものもございます。それから民間からのものといたしましては、金製品、宝船その他の加工になつておりますが、これらも相当ございます。これは相当の部分が特定できるかと思います。それから銀の地金につきましても、ごく一部は特定できるかと思いますが、相当の部分は、中には銀の加工品の鋳つぶされたようなものもございますので、個人々々について見ますと、なかなか特定しがたいというものがございます。それからダイヤモンドは大部分が特定しがたいというふうに考えてさしつかえないかと思います。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、こういうふうに七百億になんなんとする貴金属が、個別的に特定できるもの、あるいは混合整理のために特定できないものと、大きく二つにわけることができるわけであります。私たちは現在の日本の財政というものは非常に緊縮財政で、今度の緊縮財政を、さいぜんの吉田総理の答弁のごとく完全に断固として実施して行くことになりますと、失業者も相当出るだろうし、社会不安もできて来るということは明らかでございます。そうしますと、占領軍に接収されたこういう貴金属が、原所有者というものは夢にもそれが返つて来るとは思つてなかつたろうと思う。ところが政府が今度の予算で返すのだということになると、これは返つて来ないと思つておつた者も、死児のよわいをかぞえるように思つておつたのであるが、返つて来ることになると、人間だれでも欲の皮はつつぱつておりますので非常に執着が起つて、金を出して政治運動をやつてもこれを取返さねばならぬという形が出て来るだろうと思う。そこで私はむしろ七百億を思い切つて何か日本の社会保障制度の確立のための財源にするとか、あるいは有益な育英資金に使うとかいうような面にひとつこの際大臣の勇断をもつてやる意思はないかどうか。これをお尋ねしたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 これは先ほど窪谷管財局長からお答えいたしましたように、返還を受けた当時の事情もございまして、できるだけ原所有者に返すという方法をとりたいと思いまして、あるいは新聞広告その他もやります。が、しかしお話の点等もあり、おそらく大部分は――金額では大分になるかもしれませんが、大部分はそうなんでありますから、こういつたものについての扱い方は、国会からの御要望の次第もあり、これは十分考えて、一般政府財源に入れる考えを持つておりませんので、全然予算として見ていない次第でございます。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 まあ百歩譲つても、私は個別的あるいは特定のできるものについては返すのもあるいはやむを得ないかとも思うのですが、しかしその場合においても、たとえば先般私在外財産の問題について質問いたしたのですが、在外財産にしても、たとえば円元パーで終戦当時はあつたと思うのです。ところが実際に円と元との交換比率というものは、百分の一になつて現在返しているわけなんです。従つて現在物価が三百倍になり、ダイヤモンドあるいは金の価値も現在の時価にすれば上つておりましよう。そういう存外財産の問題とも私は無関係ではないと思う。従つてお返しをするとすれば、たとえばその当時の金の値段と今の値段の開きというものを考えて、やはり返すにしても、百円を返すのに当時はそれが二十円の価値しかなかつたのだから、二十円お返ししましようというような、こういう措置は在外財産においてとられたのでありますから、こういう個別的特定の名前のわかつているものについても、返す場合はやはり何かそういう措置がとられなければならないのじやないかと思う。もしその現物を返すことが悪いならば、たとえば長期の年賦の国債をダイヤモンドのかわりにその人に上げる。こういうような方法は、当然犠牲の均衡の原則からいつても、まして戦争の犠牲を受けることは当然ですから、金属を出した人がそのままそつくり価値の上つている現物をもらうということでは、おそらく在外財産の関連もありますので、われわれは承諾できないと思う。そういう方法ができるかどうか。考慮の余地があるかどうか。ひとつ御答弁を願いたいと思います。

窪谷直光大蔵事務官(管財局長)

○窪谷政府委員 私先ほどの御説明が少し足りなかつたと思いますが、それを補足しながらお答え申し上げます。特定ができないと申しましても、個々の人の特定ができないのでございまして、接収された人が一団として、とにかく私どもで適当に処理いたしますから返してください、こういうことを言うて来るということも考えられるわけです。その場合に、今仰せのように昔の安い、会社でありますれば帳簿価格、それから個人でございますればそういうものはないのでございましようから、接収当時の価格等を参考にして、低い価格で補償をして、現物そのものは国庫に帰属させるということができるかどうかという御質問だと思います。この点もいろいろ事務的には今検討いたしておりますが、今のところでは憲法第二十九条でありますか、財産権保障の規定に触れるのではないかというように考えております。しかしながらこの点については、さらに最後的に法案を決定いたしますまでに、十分に法制当局とも協議をしてやらなければならぬというふうに考えております。今の段階では、どうもそういう措置は憲法第二十九条に触れるのではないかというふうに考えております。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 その問題と関連することなのですが、たとえば私なら私が朝鮮銀行へ金を預けておつたとします。現在朝鮮銀行は閉鎖機関になつておるのでだめなのです。ところが内地の朝鮮銀行の支店に金を預けておつた人は、これはもらえるわけです。何もわれわれが銀行に金を預ける場合に、東京に本店があつて、福岡に支店があるという場合、福岡の支店に預けても、これは東京の本店で金を自由に出せるのが従来の銀行の建前です。ところが終戦のときにおいては、朝鮮銀行に預けた人は、現有朝鮮銀行は閉鎖機関であるのでもらえない。ところが東京で預けたものはもらえるわけです。これは今言つた財産権の問題に明らかに関連して来ると思います。これは似通つたところが私はあると思うのです。そういうものは、現在政府は決して支払つていない。こういう点から考えても、お互い負担均衡の原則からいつても――何か長期の国債でそういう金属を出した人にはあげる、しかもその価値はその当時のものにするということでなければ、特定の一部の国民に利益を与えるかつこうになるわけです。たまたま占領軍に接収されなくて、その前に進んで出したところのお寺のつり鐘とか、われわれの金時計の鎖とか、あるいは金時計の側というようなものは当然返つて来ないわけです。そういう点から考えて、何か一部の特殊の人ばかりに利益を与えるような政策というものは、やはりすべてが耐乏の生活をやろうという二十九年度予算の編成方針からいつても、論理的に筋が通らないと思うのです。朝鮮銀行その他閉鎖機関の在外財産の問題もあるのでありますから、ひとつ十分政府に検討していただいて、公平に事が運ぶようにぜひしていただきたいと思うのですが、大蔵大臣、そういうことはできましようか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 その点はひとつ十分検討してみます。まだ最後の決定をしておりませんから、十分検討の上決定したいと思います。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 それはそういうことにお願いいたします。  次には減税国債の問題でございますが、政府は二十八年度予算で産業投資特別会計の財源として二百億円減税国債を発行したわけです。現有その売行きの状態はどうなつておるのですか、それをひとつ伺いたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 現在まで百三十六億売れておるのであります。まだあと一箇月ちよつとありますが、少し残るのではないかというふうに一応見通されております。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 減税国債の問題は、先般来この予算委員会においても十七、十八国会等において相当論議された問題です。そのときは、絶えず一月、二月、三月とずつとありますので、これは全部消化をいたしますというのが、大臣の一貫した答弁であつたと私記憶しております。現在百三十六億というと、なお六十四億残つておることになるわけなのです。産業投資特別会計というものは、これは日本の経済の再建、産業の開発、貿易の振興という、いわば刻下の至上命令を遂行するために、昨年八月つくつた特別会計なんです。見返り資金を財源としてつくつた特別会計なんです。電力、石炭、海運、あるいは鉄鋼というものが、これによつて生きるか死ぬかというものなんです。減税国債がまだ六十億も達成されていないということは、これは日本の産業振興の上に重大な影響を及ぼす。しかもそれは今年、二十九年度の予算にも影響を及ぼさずにはおかないと思うのです。この点大臣はどうお考えになつておりますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 実は三月十五日が確定申告でもありまして、滝井さんよく御承知のように、三月というのはこういうものをよく消化する月でありますので、できるだけ私ども努力してみれば、これは大体行くのではないかというふうにも一応見通しはつけております。しかし多少余るだろうという見通しも立ちますが、これは今後の努力にまつ次第であります。その点から行きまして、産業投資特別会計に影響を及ぼすようなことはない所存でやつております。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 その百三十六億の内訳でありますが、個人が大体幾らで、法人が幾らか、こういう点をひとつ御説明願います。

酒井俊彦大蔵事務官(理財局次長)

○酒井説明員 的確な数字はただいま覚えておりませんが、大体法人が百億余り、個人が約三十億見当じやなかつたかというふうに記憶しておりますが、間違いましたらあとで訂正いたします。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 大蔵省の当初の計画は、おそらく個人が六十億、法人が百四十億ぐらいだつた、こう思つております。すると個人は半分しか行つていない。法人もなお四十億残つていることになるわけなんです。今後三月は納税成績も上る月だとおつしやいますが、どちらが進捗しますか。そうしてこれは正直に言つてもらわなければならぬと思うが、今のところ大蔵省は二百億をどの程度判るとお考えですか。

酒井俊彦大蔵事務官(理財局次長)

○酒井説明員 先ほどお答えいたしました数字は、ちよつと私の記憶が誤つておりまして、法人が消化いたしましたものが約百二十一億でございます。これは十二月末の数字でございます。それから個人が十一億見当でございまして、会計百三十二億という売行きであります。納税期等を控えて、今月、来月というものは相当売れるのではないかと思うのであります。現在宣伝その他の点で大いにやつておるわけでございます。さてしからば幾らくらい売れるかということになりますと、相当行くのではないかと思いますが、数字的にどれくらいという見込みは、私どもにも立ちません。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 減税国債は今年はやめておりますが、きわめて売行き不振であるという認識を得ました。  次にもう一回災害のことなのですが、災害特別措置法、いわゆる議員立法のすべてを適用して行くためには、公共事業の被害額が、農地も含んで二十八年度の標準税収を上まわつておる市町村、それから災害救助法の支出額が標準税収の百分の一を越える市町村、これらに全面的に適用することになつております。ところが現在その全面的な法の適用の政令がまだ出ていないわけなのです。従つて現在地方公共団体にほんとうの国の法律に基いた補助金が行つておりません。従つて地方公共団体は大蔵省の親心でいただきましたつなぎ融資でやつておるわけなのです。ところが現在地方財務局その他は、資金運用部の金が、先般来大蔵大臣もいろいろここで御説明になりましたように百二十億しか二十八年度にはなかつたわけです。やがて昭和二十九年度の年度初めがやつて来ます。そうすると当然これは地方財政調整のための資金というものがいる。地方財政の調整のための資金というのは、これは理財局長の御説明では、少くとも百五十億は必要だ、こういうことなんです。そうしますと、現在出ておるつなぎ融資百八億くらいだつたですか、ちよつと数字を忘れましたが、相当出ておつたと思いますが、これが政令が出ないために、各地方公共団体はつなぎ融資に見合う補助金が来ないので返すことができない。そのままみんな握つておるわけです。そうしますと、資金運用部から百二億、これはあとでもつと数字を分析してもいいのですが、百二億のうち国鉄に三十億、国民金融公庫に十六億貸しておる。大臣はあのとき、笛やたいこで貯蓄を奨励して、なお二十億くらいふえますということだつた。その二十億を足しても百二十二億、このうち国鉄あるいは国民金融公庫に貸しておる四十六億を差引けば、残り七十六億くらいしかない。そうしますと、現在その中からなお地方公共団体につなぎ融資として出て行つているものが返つて来ないということになれば、資金運用部の昭和二十九年度における地方財政の調整資金というものは、まつたくこれはなくなつてしまう、こういう対策は大体どういうことに大蔵省はやられるつもりでしようか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 現在まだ指定預金が百六、七十億あるかと考えております。従いましてこの指定預金は、いろいろ中小企業者の事情もありますので、二、三月に引上げることは困るから、割合を多くして――多くといつても四分の一くらいの割合で引揚げることにいたしております。そういう操作で少しきゆうくつになるかもしれませんが、やつて参ろうかと思つております。  なお数字がありますから、滝井さんのさつきのお話についてちよつと申しておきますと、実は減税国債は売れて行く月もあります。十一月、五十二億六千四百万円も売れておりまして、少し努力すると六十億くらいに行かぬとも限らぬ。そこでこれは今後努力いたしますが、それははつきりした数字を申し上げておきますとそういう点であります。ちよつと主計局長から申し上げます。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 政令の制定は、この前の国会のときも非常に督促を受けまして、政令の方は大体出たのじやないかと思つておつたのですが、ただ御指摘の点は、おそらくは告示の問題ではないかと思います。それは政令自身が被害額を基準にして、それによつて指定が行われるように考えておりますが、従つて査定が本ぎまりになりませんと、はたして指定を受けるかどうかということははつきりしない。そういう関係で一部分ずつ指定を進めて行つております。たとえば基準財政収入の一倍というところを、概算で間違いないような、二倍ぐらいになつておるところをまず指定するというように、逐次わかつているところから進めておるようなわけでありまして、最終的な査定は、建設省、農林省の査定が済まないと指定が完了しない。そういうような関係になつておりまして、指定が全部済んでいない、そういうことではないかと思いますが、なおもし政令が出ていないところがありましたら極力急ぎますし、告示の力も指定を急ぎまして、一日も早く補助金が渡せるような段階に持つて行くように、農林省、建設省とも相談をいたしておるような次第であります。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 森永主計局長の見方と私は少し違うのです。先般予算委員会で指摘いたしましたように、実は農林省にしても建設省にしても早く指定をしたいのはやまやまなんだ。ところが大蔵省の否定と、農林あるいは建設の査定というものとの間にあまりにも開きがあつたことは、この前ここで大臣に説明していただいた通りなんだ。それは千百七十九億、農林、建設合せると千六百億を越える。こういうふうに四百億ぐらいの開きができてしまつた。だから農林省や建設省は、最初大体において君のところは――たとえば厚生省なら厚生省でもいいが、簡易水道は君の町は入るのだということで認定しておつた。ところが大蔵省の予算査定でばつさりこれが削られてしまつたために、その指定の各市町村に、お前のところは入る、お前のところは入ると言つておつたのがどうにも入れられなくなつて来た。つまり予算のわくがずつと狭まつて来たために、今度はどこをを消すかということが大問題になつた。従つてこれは政令を出そうにも出せない。政令が宙に迷つておる。ところが一方においては、資金運用部に金が返つて来なければ、これは財政調整資金が出ない。その一群のしわ寄せはどこに行くかというと、これもやはり地方公共団体に行く。三十九年度の予算が発足したときに、財政調整資金を借りて来なければ、金が人つて来ないからどうにもならない。こういう進退きわまつた状態にあるのが地方公共団体である。同時に建設省、農林省自体も、削られてしまつたために指定が出せないで困つておる。だから災害が起つてすでに半年を経越した現実においても、全国的な指定が行われないのは実際そういうところにある。告示やなんかによつて、あるいは部分的に指定して行つてくださるかもしれませんけれども、根本的にはこういうところにある。これは私これ以上言つたところで同じですから申しませんが、やはり政府部内でもつと率直にこういう点の調整をしていただいて、あの百五十七億についても出すべきところは出す。これはわれわれも、大臣からああいうれつきとした証拠をあげていただいて、行政監察あるいは会計検査院あるいは大蔵省が直接やつたために、地方公共団体の非常な二重請求、水増しがあつたという点は率直に認めてもけつこうですから、それはそれで認めて、そうして今後どういうぐあいにこの行き詰まつた状態を打開して行くか、これが私は政治だと思いますから、ぜひひとつ良心的にやつてもらいたい。そうでないと、地方公共団体がいよいよ二十九年度の具体的な財政を組む場合に、これが非常な支障になつておると思う。地方財政計画も、そのためにりつぱなペーパー・プランはできるけれども、実施の段階になるとどうにもならぬというのではないかと思うのですが、その点どう処理されますか、大蔵大臣にひとつお伺いしたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 どうも私が聞いておつたことと、さつき滝井さんがおつしやつた点と実は少し違うのですが、滝井さんのおつしやることも非常にごもつともな点が多々あるように存じます。これは最初からよく実情を取調べて出すことになつておりまして、あの分についても約三、四十億近く申請もありますから、これは速急にひとつとりはからうことにいたしたいと存じております。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 農林省関係、建設省関係等につきまして、いわゆる再査定を実施しなければならぬようなものが少くないような事態になつて参りまして、目下その方の相談はいたしております。しかしその結果、補助金が出るのが非常におそくなつて、御迷惑をかけることは御指摘の通りでございますので、高率でない、低い補助率、これはもう出るわけでございましようから、たとえばそういうものを基準にして、概算払いにするとかなんとかいろいろな便法を講じまして、できるだけ早く補助金が手元に渡るように、なお関係各省とも十分相談をいたしたいと思います。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 その次に社会保険の課税の問題でございます。現在われわれサラリーマンが源泉徴収をされておる社会保険料というものは、課税の対策からのけられております。それから医療費も今度七万円くらいだつたですか、一割が五%ぐらいに大幅に引上げられたわけなんです。その社会保険の保険料でまかなわれている医師の社会保険収入に対する課税の問題ですが、現在地方税においては、社会保険の収入については非課税になつております。国税は、昭和二十六年と二十七年は普通の税率よりか低いもので課されております。なぜそういうように低いもので課されておるかというと、現在の健康保険の単価というものは四年ぐらい前にきめられたもので、その後ベース・アップあるいは物価の騰貴等がありましたけれども、依然として乙地区十一円五十銭、甲地区十二円五十銭ということになつておるのです。それから国民保険に至つては、この財政が、運営の主体が市町村であるために非常に窮迫をしておる。そこで昨年国民健康保険二割国庫負担というので四十億出していただいたわけです。ことしも出していただいた。そういうように非常に社会保障制度の支柱であるというところで、国民健康保険についても社会保険についても、国の国策として、医師会においても医師自身においても、相当犠牲を払つてやつて行つているわけです。その社会保険の収入に関する国税の課税の仕方の基本的な考え方、これを大蔵大臣はどうお考えになつておりますか。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 主税局長、国税庁長官が見えておりませんので、かわつてお答え申し上げます。事務当局といたしましては、やはり所得のあるに従つて課税するということが原則であるべきだと存じております。点数が低い、そのために収入が低い。その場合はそれを所得に反映されるわけでございまして、その結果起つて来るところの低所得に対する低課税が行われるというのが、課税負担の原則から申しまして当然ではないかと存ずるのでございます。従来課税上あるいは標準率というような言葉が使われておりましたが、これはあくまでも課税調査上の便宜の手段にすぎないわけでございまして、やはり実地調査をいたしまして、かくかくの所得が発見されれば、それをそのまま課税するということが、課税上の原則であるべきであろう、かように存ずるわけでございます。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 そうすると大蔵当局としては、社会保険の収入については、一般医療収入と同じように、その所得総収入に対して必要経費を差引いた残りを所得金額として、後にはそれぞれの税率をもつてやるというその方針にはかわりはないと、こういうことですか。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 たしか二十七年度分の課税までの分につきましては、多少課税上の手かげんをするというようなことになつておつたのでございますが、その後入院料の点数改訂等のこともございましたし、こういう便法は長く継続すべきものではございませんので、常道に帰りまして、所得のあるところに従つて課税するという原則に立ち返りたい、さように考えておるわけでございます。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 昨年、入院料及び往診料が上つたわけなんですが、現在日本の開業医制度全般を見ると、入院の施設を持つている方が少くて、入院施設を持たない普通の開業医の方が多いわけです。現在大蔵省も御存じのように、国立病院をごらんになると黒字のところはないのです。全部赤字です。今度入院料が上ることによつて、どうにか昨年上つたところのベース・アツプのカバーができる程度で、なお収支は黒字ではなくして赤字なんです。だから厚生省は現在持つているところの国立病院を地方公共団体に払下げようとしておるのが現実なんです。もしあれが独立採算制が可能であるならば、払下げはしない。ところがこれは足まとい手まといになるからこそ払い下げて行こうという、これが私は国の方針だと思う。国立病院でさえもそういう状態なんです。一般の医療機関は、もう結局八時間労働ではなく、十二時間とか十八時間の労働と、家族の労働によつてそれがまかなわれて、初めてどうにかやりくりがついて行つているわけなんです。しかももし規定の方針通りで行くということになれば、現在の十一円五十銭とか十二円五十銭というものは、おそらく四年か五年か前にきめられたものなんです。これはもうとてもそれではやつて行けないことは、すでに国立病院自体が示しておるところなんです。従つてもし大蔵省がそういう方針で行かれるということになれば、おそらく全国の国立病院や医療機関は単価の引上げの運動を起して来るだろうと思う。一点単価約一円くらいを引上げるに、おそらく八十億くらいの金がいるのじやないかと思うのですが、これはもう莫大な国費の負担になることは火を見るより明らかなんです。私は一般診療についてはどしどし税金をかけてもいいと思うのです。そうすることによつて、社会保険をある程度優遇することによつて、現在の日本の三千万以上の未組織の中小商工業者、あるいは農民、特に都市に社会保険の普及がないのです。東京などには社会保険はおそらくない。事業場にはありまするが、中小商工業者は持たない。それに社会保険を優遇することによつて、私はこの未組織の三千万の日本の大衆に対して、ぐつと国民保険が普及する一つの方途になると思うのです。すなわち国策的な面から考えても、やはり社会保険というものは、すでに社会保険料が課税の対象になつていないのですから、当然その無課税の保険料から来るところの収入についてある程度優遇をして――これはもう全然ゼロにしろということは、今の財政の状態から私は言えないと思う。これはある程度課税をすることは当然であるが、幾分優遇をして、その社会保障制度の推進の役割をやることが必要じやないか。そういうことによつて、同時にこれは緊縮財政の裏打ちを促進することにも私はなると思う。それによつて引かれる税収というものは、私はおそらくそう莫大なものではないと思う。ここに一点単価を何円か上げる比重と、わずかの税金を下げる比重とのバランスを考えてみると、おそらくわずかの税金を下げることの方が、この制度の推進により多く役立つのではないかと私は思うのです。これはきわめて大事な問題でございますので、私はひとつ大蔵省のはつきり一貫した最後的な答弁をしてもらいたいと思う。というのは、もうすでに税を納めなければならぬ時期が、来月の十五日ですか、来ておるわけなんです。従つて下部は非常に混乱をいたしております。昨年と一昨年、二十六、二十七年は低い率で、一つの実績としてやられておるわけです。これをことしまた元に返るということになれば、非常な混乱が起ることは当然なんですから、これははつきりと、大臣とよく御相談になつて、基本的な方針を打ち出してもらわなければ、私困るのです。

庭山慶一郎大蔵事務官(主税局調査課長)

○庭山説明員 お答え申し上げます。この医師の収入に対する所得税に関しましては、今お話がございましたように、二十六年と二十七年は、その保険料収入の関係もございまして、税務署で大体所得を判定する場合に使う標準率と申しますか、そういうものを特別の考慮を加えまして、大体百円について三十円の収入というような考え方でやつておつたのでございますが、本年になりましてから、その保険料の単価も改訂いたしましたし、それらの点を勘案いたしまして、国税庁といたしましては、実際の医者の収入に対する経費の割合等を大体五百件くらい当りまして、いろいろ調べたのでございますが、そのほかにお医者さんでございますと、やはり中央の学会に出たりなんかいたしまして、医術の向上のためにずいぶんたくさん経費を要しますので、それらを特別に差引くことにいたしまして、実情に即するような標準をつくつて行きたいということで今指導しておる次第であります。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 今指導しておるのじや間に合わないのであつて、もう少しはつきり答弁願いたいのですが、ひとつ大臣の政治的な意見を伺いたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 実は二十六年、二十七年が今滝井さんお話の通り三〇%になつたということは御承知の通りであります。ところがこれは税法の上から言うと実は、非常に困るのであります。ほかの納税者に対する意欲の問題とか、あるいはまた会計検査院等の問題からも非常に処置に困るのであります。さればといつて、実情も滝井さんが言われる通りよくわかるのです。そこで標準率というものをきめることはどうかと思うが、図書の購入費とか、あるいは研究費とか、あるいは今のような学会等の経費とか、それを実情に即してゆるやかに見るということで、大体所期の目的を達するところに持つて行きたいというので、近く決定いたしたいというふうに実は考えております。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 これはこれ以上言いませんが、実情に即した形でひとつ急速に御研究をお願いいたしまして、結論を出していただきたいと思います。  それから次の問題ですが、この予算の説明書で保安庁経費の中にある海上自衛隊の船の問題です。二十八年度の予算で新造船を十六隻、九千百二十トンつくることになつておるわけであります。大蔵省は二十九年度の予算を査定するときに、この新造船十六隻が、昨年の予算の説明では――これは修正を受けたわけなんですが、当初原案は六十六億一千三百四十万円というのが予算額でありまして、そのほかに国庫債務負担行為の限度額六十五億を計上しておる、それが三党の修正で、八月にもなつておるからという意味でしよう、三十六億一千三百四十万円に削られた。しかし予算額を削つたが、そのかわりに国庫債務負担行為の限度額を六十五億から多分八十九億に上げたと思う。そうしておそらくこの支払いは昭和二十八年度においては五0%くらいだろう、残りは二十九年度になる。こういうことで、こういう予算の措置をしたことは、大蔵省から出ている「国の予算」という説明の中にも書いてあります。二十九年度の予算をつくるときに、大蔵省はこの十六隻、九千百二十トンはどういうぐあいにできておるか、その状態を見られましたか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 こまかいことは私はよく存じませんが、実は保安庁の方から、この船について、急いで船をつくる――あのころ日本は御承知の通りまだそういう種の船をつくつていないのです。そこで完全なものをつくる方が望ましいことでもあるし、また国費があとでいささかでもむだだと思われるのがあつても遺憾でありますので、その設計に十分な努力をいたしておる次第で、大体二月中には設計を終えるというふうに私は聞いております。従いまして船の予定にはかわりございません。船の設計等は、以前ですと海軍とかなんとかあつてそろつておるのですが、今はそういうものがそろつておりません。そこでそういうものに手を尽しておりまして、これは繰越し明許になつておりますので、むしろ国のためには一両月遅れてもそうするのがよかろうということで、実は私どもが話合つた次第でございます。しかしこまかいことについて、それはどういうようなものを何隻であつたかということは、あるいは主計局長でも存じておるかと考えますが、私は保安庁長官と話し合つたのはそういう実情でございます。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 実は大臣、まだ保安庁では船をつくる基本計画もきまつておりません。昨年度の十六隻、九千百二十トンについては、基本計画も、きまつていないので、従つてどこの造船会社につくらせるという契約もできていない。大臣も御存じのように、たとえば大型の警備船を一隻つくるのに三十四億円かかります。そして船一隻つくるのに、昔の陸奥とかなんとかは五年も十年もかかつたが、こういうものでも私はおそらく一年か一年半はかかると思う。そうしますと、十六隻が昭和二十八年度の予算に計上せられて、明許費もありますが、そして昭和二十八年度がもう終ろうとしているのに――会計閉鎖は五月までありますが、船をどういうぐあいにつくるかという基本的な設計もできていないし、どこの造船会社とも契約していないし、しかもその船のできるのが昭和三十年の終りにできるかできぬかわからぬ、こういうことなんです。そういう情勢にあるときに、今度は昭和二十九年度の造船の計画を百十三億、そのほかに国の債務負担を別々に三十三億、こういう予算を大臣は認めたわけです。二十八年度のものが計画もなければ船もできていない、その上にまた百十三億、それから三十三億の国の債務負担行為を許すということは、これは私は何ぼ考えても、一兆円の乏しい予算の中において、大蔵大臣の今までの一貫した答弁とは矛盾すると思うのです。ただできているのは小さな雑船が三十隻できただけで、何もできておりません。契約もできていなければ船をつくる設計もないのです。だからむしろ今年の予算は押えて、どこかほかの費用にまわすか何かして、保安庁、これをひとつしつかりやれと言つてもらわぬと、二十九年度の百十三億は何のために出すかわからぬ。これは出しているだけだ。しかも今度は、船もできておりませんのに、その船に乗る人間が五千四百八十五人、予算に出ているのです。船ができたときに初めて人間がいるのに、船もできない、契約もやつていない、計画もないで人間がこの予算を食つて行くのです。そういうことを保安庁に聞くと、船に乗る人は、船ができる六箇月前くらいから訓練しなければならぬとおつしやいます。なるほどそれはそうだと思います。その訓練はおそらく海の上ではなく陸でやるのでしよう。しかしそれにしても、これはあまりはなはだし過ぎるのじやないかと思う。自衛力を漸増するということは国の至上命令だと思います。しかしいかにそれが至上命令だといつても、われわれ新聞報道で聞くと、閣議では防衛関係の費用、すなわちこの防衛支出金、あるいは保安庁の費用、あるいは連合国財産補償費、平和回復前後処理費、これは治外法権だ、論議を許さぬ、批判を許さぬというようなことを書いてある。そういうことを新聞に書いてあるので、ますますわれわれはこういうできてもいない船の予算をのうのうとそのまま置いて、またその上に百十三億の国民の血税をおつかぶせ、三十三億の国庫負担の契約を警備船建造のために二十九年度にやるということは、どう考えても納得が行かぬのです。これはこういう大きなところだけじやない。この二十七年度の決算報告を大臣お読みになるとわかるのですが、保安庁第一幕僚監部で野戦病院の患者用に折畳みの寝台七千三百八十八台を千八百九十八万七千百六十円で購入している。ところがその隊員の七万五千を基本として二千八百八十八台しかいらないのです。ところがそれを七千三百八十八台も買つておるのです。そうしてその後隊員が三万五千増加しても折畳みベツドは三千四百八台しかいらないのです。なお三千九百八十台も余る。こういう折り畳み寝台なんというものは非常にがんじようなものです。ストツクといつても倍以上のストツクはいらない。それからこの病院の看護婦も同じなのです。看護婦三百八十四人分が必要だといつて、その看護婦の衣服を買つておるのです。冬の制服のほかいろいろ十六点あるのですが、それを買つている。ところが実際は、看護婦は十一月に五十七名が採用されただけで、残りの三百二十七名はそのままほつたらかしておいて、配置する病院の建設の予算もないし、病院を建てる敷地もないのにそういうことをしている。そして取急いでその三百八十四名分の被服だけは買つてしまつておる、こういうことなのです。小さいところはこういうところ、大きいところは一隻が二十四億とか十六億もする船は一隻もつくらぬくせに、予算をそのまま休ませておいて、なお今年そのまま予算を要求して来る。こういう行き方――これは大臣を攻撃するわけでもなんでもない。ほんとうに私たちが一兆円の予算を実行して、そうして国民に耐乏生活を求めて行くには、大臣はこの際勇断をもつてこういう予算を切つてもらわなければならぬと思うのです。ぼくらの立場は、自衛隊には反対でございますけれども、これは民主主義の国会ですから、数の多い方がきめれば泣きの涙で認めなければならぬ。認めるについても、こういうずさんな行き方では――これは保安庁の人にも私は警告しました。しかし元は大蔵省の査定によつて今まできまつて来たのですから、保安庁がこういうでたらめなことを言うなら、あなたの方が勇断をもつてこれを断ち切る勇気を、この際大臣に持つていただかなければならぬと思うのですが、この点はどうお考えになりますか。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 ただいまの御質問には、昨日保安庁当局からお答えをいたしておると存じますが、御指摘のありました十六隻分の船舶建造費、これは来年度の予算におきましては八十九億円を予算化いたしております。これは今日においてこそまだ契約は締結されておりませんが、来年度中には必ず竣工するものと実は期待いたしておるわけであります。その分とアメリカから貸与を受ける予定をいたしております十七隻分は、その乗員を増加いたして維持費を計上いたしておるわけでございまして、米国側から貸与を受けます分につきましては、これはすぐにでも来るのじやないかということを実は期待いたしております。そういう船舶の竣工ないしは引渡しに合せまして、増員の計画を予算的に積算をいたしておることを御了承いただきたいと存ずるのであります。  なお二十九年度の船舶建造費百十数億というふうなお話もございましたが、予算外と合せまして五十七億でございまして、比較的小さな船を考えております。五十七億と申しますのは、歳出予算に計上いたしておりまするものが二十四億円、債務負担行為になつておりますものが三十三億円、合計五十七億円でございまして、小型の警備船等をこれによつて建造することを予定いたしておる次第でございます。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 今の船の問題については、ちようど私もそういうふうに存じております。十一月から木村君の方でいろいろ船についてお話があり、特にこれをいわゆる指名契約式なやり方でやろうかというような話も聞きましたが、木村君も、これははつきりとそれができた上で公募入札にすべきものであろうというので、設計を急がせておるという実情にあるので、この点は私はそうでなければならぬと考えておつた次第であります。それから昨年度の、今の期末によけい備品を買い入れたという問題は、私どもはこれを聞いて遺憾に存じたのであります。過日申し上げたかと思いますが、本年はこの二月早々の閣議で――五日か六日ごろの閣議と思いますが、日にちは忘れましたが、その時分の閣議で、二十八年度の予算使用に関するところの厳格なる通牒を出しまして、ある省には前年までのようなこういうことをやつてはいかぬと、相当こまかく立ち入つた通牒を出しました。あの閣議の席上でこういうもらつた予算についても、こうやかましく今から言うのですかというお話も受けましたが、国費の使用を監督するというので、現に二十九年度の予算編成の方針を貫いてもらわなければならぬということで、そういう通牒を閣議決定を経た上で出したわけで、今後はそういうことはないと思います。しかしかりそめにもそういうことになることは遺憾千万でありますので、今後とも私どもの方でも監督を厳重にいたすことにいたします。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 今非常に問題になつておるように、今年は造船疑獄が起つて、第十次の割当もどうだろうかというので、海運局長ですかが市中銀行に相談をされたという実情なんです。そうして日立とか林兼とか佐世保、函館、大阪、飯野、これらのものにさしあたり今後注文されるわけです。ところが現在ああして非常に大きなところには捜査が行われるということになると、おそらく二十八年度の十六隻の船の契約もなかなかむずかしく、すぐには行われないという状態が出て来ると思われるのです。そこで当然二十九年度の駆潜艇、哨戒艇、掃海艇の十四隻、その他雑船の四十八隻、こういうものの注文、契約もおそらくずつと延びて行くだろうと思うのです。そこで自衛力の漸増も大事かもしれないけれども、でき得るならばこの際思い切つて二十九年度の船舶の建造費を切つてしまうというくらいの良心的な行き方は、こういう客観情勢から見たら必要じやないかと私は思う。これ以上この問題は言いたくありませんが、その点大臣も考えていただいて、善処されんことを要求いたして私の質問を終ります。

尾関義一自由党

○尾関主査 吉田賢一君。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 主として大蔵大臣にお尋ねしたいのですが、きようは大蔵大臣とひざをつき合して懇談するという気持で質疑いたしますから、問題がかりに多少深刻でありましても、どうぞそのおつもりで御答弁願いたいと思います。  私は大体おもに二つの点を尋ねてみたいと思います。これはいずれもが今の財政監督の面であります。最近例の造船融資問題等をめぐりまして、いろいろと国の大事な予算の行方というものが論議されておりますが、これはともかくといたしまして、予算の論議の次の段階といたしまして、予算の執行の面についてあらゆる角度から補強工作というのじやなしに、根本的に考え直すというくらいにまで考えを深めて行きまして、財政の監督をあらゆる角度からする必要があるのではないだろうか。なるほどいろいろと、たとえば行政管理庁における行政事務の監督の各般の規定、あるいはその部局の仕事なども反面にあり、他面大蔵省といたしましても、大蔵省の組織法その他によりまして、政府関係機関、あるいは特殊の法律による銀行、一般金融その他等々、ずいぶんと広い範囲におきまして、ただに政府の予算執行のみならず、広い意味における財政監督の手は伸びておるものと思います。しかしいろいろと一つ一つの制度はあるようでありますけれども、どうもたたけば幾らでも財政の不健全な状態というものが国民の前に出て来るということは、いなみがたいと思うのであります。でありますので、少し内容に立ち入る前に、そういう最近の世相あるいは社会現象に対しまして、あなたはいろいろ何かと研究なさる大蔵大臣でありますので、かなり積極的な構想を持つて、こういう事態に対処すべき基本的な態度をいろいろとお考えになつておるのじやなかろうかと思いますので、そういう一般的な財政監督について、まず何か聞かしていただきたいと思うのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 大蔵省の方面におきましても、どうしても予算の厳正なる執行が何より望ましいと思つておりまして、これにつきましては、一番弊害の多いと見られておるような補助金とか、各種のものに対しましては、地方財務局、またこちらからも人を出したりいたしまして取調べたりしたことは、過日一応報告申し上げてあります。なおこの点は今後とも強めて参りたいと考えておるのでありますが、同時に行政監察をする方面とも連絡をとりましたり、また各種のいわゆる特殊機関とか特殊会社等に対しましては、監理官制度のあるものは監理官を利用し、また検査官の制度のあるものは検査官を使いまして、また会計検査院等ともよく連絡をとりつつやつておりますけれども、制度の上で、ひとつこういう制度でやれば一切の汚職その他がなくなるということを、実は私ははなはだ無能のいたすところでありますか、まだ思いつきません。どうしてもやはり各人が制度のもとにおいて道義的にやつていただく以外に道はないのじやないか、こう思つておるのであります。これは過日もどなたかに申し上げたのですが、こういう制度にすればそういう誤りがない、ちようどブレーキを二重にしておけば、一つのブレーキがこわれてもまずその支障がない、こういうようなぐあいに、何か組織の上でもできるのじやないかというふうにも考えておりまするが、まだ実は結論には達しておりません。現在のところ予算の厳正なる執行を見守るということだけでございますが、何かとまたお気づきの点は御教示を願えれば、たいへん仕合せだと存じております。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 私自身も不敏で、見聞も狭いのでありますが、近来日本の国費の使い方についてはやはり根本的に憂慮いたしまして、濫費といいますか、むだ使いといいますか、そういつたものの数字の性格についても、いろいろと気を使つて検討してみたいと思うているのでございまするが、やはりここには予算がいろいろと濫費といいますか、浪費されているような面もかなりございます。これが最近の適切な例としましては、会計検査院が指摘しておられる二十七年度の検査報告書など、これは百二億円ばかりになつているようでありまするが、この内容の数字の性質を追うて行きましても、実におもしろいと思うのであります。いろいろといらぬ物も買つているし、いらぬ人聞も使つているし、うそもあるし、水ぶくらしもある等々、いろいろな性格を持つているようでありますが、こういう現象に対しましては、そのよつて来るところを一々詰めて行くか、元から直して行くか、あるいは対症療法、事後の対策等々、いろいろと手を打たなくてはならぬものでありますので、そういつた現われだけをとつて考えても、私は一つのきめ手でこれを根絶することは不可能だろうと思います。あるいはさきにどなたかのお説に、社会制度とか、あるいは思想の根本とか、経済組織の基本的なものから来るというようなこともありましたけれども、それはそれといたしまして、今日の政治問題として、国家財政の運用をいかにして健全化するかという建前から申しますれば、一つのきめ手で一切をなくするということは、至難のことであろうと思います。それにいたしましても、私どもはまず現象といたしまして、その数額が相当莫大なものであるということを知ること自体が、その次のこれに対処すべきいろいろな方策を国民おのおのが気がついて来るということのよすがになつて来ると実は考えるのであります。その現象をつかまえるということ、数字をどういうふうにつかまえるかということは、ずいぶんと困難な問題でございますけれども、たとえば私どもがちらほらと見るやつを二、三指摘してみましても、今言うそういうようなものもございまするし、あるいはまた租税などの未収が二十七年度は四百四十二億になつております。そこでこの内容はどうかと思つて、試みに東京の国税局管内のものを調べてみますと、千万円以上のものが九十四件、三十四億になります。それから大阪は五十件で、十二億円ということになります。これはかなり大きな方であろうと思いますが、こういうようなもので千万円以上の滞納があるというのは、たとえば配当をしている会社であろうか、あるいは破産になつた会社であろうかというようなことも検討をしてみなくてはなりますまいし、四百億円以上の大部分がこういうような状態とは申しません。あるいは聞くところによれば、不当な大衆課税もかなりにあつて、それに対する争いもあるということもあるようでありますから、そういうものも含んでいるといたしまして、いずれにしましても、千万円以上が百件以上もあるということは、これはやはり徴税制度、もしくは徴税の行政的なあり方、あるいは根本的にもつと税制そのものへさかのぼらねばならぬのではないか、さような問題もあるいは含んでおるのじやないかというようなことも考えられるし、あるいはまた、私ども昨年国鉄の問題をいろいろと別の委員会で調査しておりましたときにも、ただいま問題になつております日通の未払いが、二十七年の年度末で四十九億円ございました。それから二十八年の八月末現在で交通公社の国鉄への未払いが十一億八千万円ございました。これも後納を一箇月認めておるということは建前でありますけれども、いずれにいたしましても、そういうことをして次々と送つて来ておることが、またこのたびの浮貸しとかいう疑いを受けた事件の遠因をなしておるかもしれません。そういうこともある。あるいはまた地方公共団体の工事費の分担金の未収がやはり三十億以上ございます。地方公共団体の工事費の分担金の未収というのが三十億以上もあるというようなこと、こういうことでは完全に分担金を納付したものとそうでないものとの区別が、やはり次の納付ないしはいろいろな計画にかなり大きく差響いて来るだろう、こういうことも考えられます。こういうようなこともありまするので、これはわれわれの身辺にありまするこういう数字を拾つただけでありまするけれども、こういうものを今計算しただけで、つまり指摘しましただけを計算しましても、これでざつと六百億円を越えるのですが、六百億円も越えますとたいへんなことだろうと思います。われわれこういうものをいろいろと拾つてみますと、いろんな傷のついた予算執行の数字が千億円もあるんじやないだろうか。一般会計にもし千億円もあるということになりましたら、各特別会計あるいは各政府関係の機関特別会計につきましても、ほかの委員会におきまして私自身もいろいろと研究しておりまするが、特別会計には、私はもつと財政監督は厳格にしなければならぬということをやはり痛感しております。でありまするので、これはまあ一々の数字は拾いませんけれども、もしいろいろと数字に非難を受けるところの予算の執行の金額が千億円以上も越えるということでございましたら、私は少々のふやせ、減らせという議論をするよりも、こういう問題について根本的にどうすればこれがなくなるかということに全力をあげるということが、国の財政の掌理の責任者としての大蔵大臣の一つの大きなお仕事でないだろうか、こう考えるのでございます。それで対処すべき対策につきましては、またいろいろとおありでありましようけれども、結論も別にないようでありますが、私は二つの面をやはり考えて行くべきでないかと思います。一つの面は、事前の監督と現在の監督をどうして強化すべきか、それからもう一つの面は、事後の監督について検査院の機能なり機構なり権限をもつと根本的に考えてみたらどうだろうか、この二つがおよそ浮んで来るところの大きな線であろうと思いまするが、こうなると、行政監督あるいは会計監督との関係の問題もございまして、昨日この点について私は検査院の方面の意見を一応徴したのでありますが、こういう具体的な線を打出すということにつきまして、重ねてひとつ大臣の御意向を伺つてみたいと思うのでございます。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 まことにごもつともな仰せでございまして、予算が予算の通り執行されていないという点が多多あることは、まことに遺憾千万でございます。御指摘になりました滞納額が相当額あるということは、私もこの間どういうわけでこんなに滞納するのだろうか。当時相当知られておる会社が相当な滞納をしておる。これは吉田さんもごらんになつてそういうことを知つておられるだろうと思います。聞いてみると、会社は帳簿上の利益は上げておるが、実は現金を持ち合せていない。今の徴税方法が所得に対するものになつているものですから、それは帳簿の上の利益になるから、どうも現実には払い切れないので、年賦的になつておる。遅れはするが、だんだん入つて来る、こういう形のものが比較的多いのであります。情実その他によつて延ばしているという分は、私は見受けないように思います。ただ仰せになりました公共団体というのは、大体地方の分が多いのでございますが、これらも古田さん御承知のように、相当地方公共団体は赤字になつておるものがございます。それでやつておるのは、相当数起債とか、むしろ今までだと交付金をふやしてやるというような問題もついておるような関係もあり、これらの点もできるだけ回収に努めますが、まあそんな事情も聞いております。ただ、今の交通公社その他の問題につきましては、これは現金で向うも受取つておるのでございますから、もつと期限通りとる方法もございましようから、この点は今後とも十分研究をいたしたいと思います。  それから仰せになりましたように、どうしてもやるとなると、現状監査と事前監査、それから事後の監督、あるいは監査ということになるだろうと思いますが、大蔵省におきましては、本省と地方の財務局及び財務部に大体四百人くらいがおりますが、あるいは人数がもつと多いか少いか存じません、あるいは百人くらい違うかもしれませんが、大体四百人くらいの予算執行監査の職員を置いておりまして、この予算執行についての監査を常時さしております。これも十分とは言いがたいので、御指摘のような点がありますから、今後とも一層これを督励いたしたいと思つております。  なお事後のことは、これはもちろん今の監査の方でもやりますけれども、大体会計検査院の方へお願いしておりますが、会計検査院の方から年々相当大きな数字に上る不正、不当な支出について御報告が出るということは、まことに遺憾に存じておるのでありまして、これはやはり行政執行に当る者がもう少し自分のそれぞれの責任を痛感して、職務を果すことに努力しなければならぬと考えておる次第でございます。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 この問題は、これはやはり私は大蔵省の内部において財政に対するいろいろ練達の方がおられるのでありますから、あらゆる角度から御研究になりまして、やはり国会が、議員がと申しましても、これは一部分しかなかなか考え方がまとまりませんので、やはり大蔵省において、基本的に大きなこういう問題に対する根本的な対策を御研究になりまして、これは一面から見れば国の被害であり、国民の被害でありますので、これを大きくなくするということに何とか御方針を立てるように、具体的に研究をしていただきたいと思います。  それで他の面から同じような問題でございますけれども、私ども例をただいま問題になつております造船融資の開発銀行にとつてみたいのでございますが、大蔵省が開発銀行に対する監督の権限と責任、地位にありますことは申し上げるまでもございません。そこで結果的に見ますといろいろ弁解もありますが、また今後この成行きがどうなるかということは、いわゆる融資問題、疑獄問題の成行きがどうなるかということは、私どもにはまだわかりません。わかりませんけれども、少くともやはり常識で考えて見ますときに、国の一方の司法的な各機関が、多大の経費と人間とを用いまして深い、広い捜査を進めておりますということにかんがみて、私どもはやはり相当ここに批判をしなければならぬことがあつたことには間違いないと思うのであります。そこであとから結果的に考えてみますと、たとえば今の開発銀行が造船融資をいたしております金額についてみましても、利子補給の分だけでも、見返り資金の分を合計いたしますと六百六十一億余円になつております。あるいはまたその他の以前の分も加えますと八百十六億円ですか、こういう数字も出ておるようであります。さすればやはりこの大きな金額というものが、今の段階におきましてはまだ格別損失とか、そういう問題は起つておらぬようでありますけれども、しかし今後はどうなるかわかりますまい。担保の減殺の問題もありましようし、あるいはまた船会社が経営困難になるという問題もあるいは起るでしよう。合併その他のこともしきりにいわれておる際でありますし、あるいはまた、総じて元利ともに償還について困難であるという説すら立てられております。大臣はこの方でも特別にいろいろお詳しいのでありますから、私ども一知半解の推定はおかしいかもわかりませんけれども、しかしいずれにいたしましても、この大きな国の財政資金が用いられておりまして、千億近い今日大きな疑惑の中にある債権、こういうことを考えてみますときに、やはりこれは何とかもう少し方法はなかつたものであろうか、なるほど船主を選考する手段、方法、手続、会議などを、運輸省の発表しました資料等を閲覧いたしますと間然するところはございません。しかし結果から見ると、やはりどろ沼の中に置かれた感が国民としてはしておる、こういうことではどうも困つたことだと思うのですが、これはやはり大蔵省といたしまして、もしくは開発銀行といたしまして、こういうことを未然に防ぐ、もしくは警戒するということはなし得なかつたのであろうか、むしろ市中銀行の方が鋭敏に、被害を受けないような立場にあるのではないか、こういうことすら考えるのでありますが、開発銀行を監督なさる大蔵大臣のお立場から、今日いろいろ感想を述べていただくこともどうかと思いますけれども、広い意味の財政監督の意味におきまして、特殊の金融機関の監督ということについて何らか一考を要する段階ではないだろうか、開発銀行自体においても、融資のことについてみずから考究する問題があるのではないか、こう考えるのですけれどもどういうものでございましようか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 開発銀行に関しましては、大蔵省が監督権を持つておる次第でございますが、実は開発銀行の融資は、御承知の見返り資金のとき以来、ずつと一貫しまして自主的運営にまかされております。それでただ自主的運営といいましても、たとえば電源開発の金を出すときには、電源開発会社は国策会社でありますので、電源開発会社へ出す、電源開発会社が電源の開発をしても、きめるには審議会にかけた上できめる、そういうような一切の手続を経ました上で出しておる。船につきましても運輸省の方で、たしかあのときは造船合理化審議会とかいう審議会がありまして、そこできちんと決定をして、運輸省の方が適格者をそのうちから選ぶ、それで開発銀行の方で信用状態を取調べて、あるいは吉田さんも御承知のように開発銀行だけの金ではできませんので、市中銀行はこれに対して貸し出すかどうかということも取調べました上で――もつとも市中銀行の方も、開発銀行が出すかどうかということで態度を決する場合もありまするから、これは両々相まつておるのでありますが、両方の話がついたときにこれをやつておるのであります。私どもは、今日のごとき問題が起るとは夢にも実は考えていなかつたのでありますが、何か手続の上に欠くるところはないか、今までのところでは、開発銀行が貸し出すところの手続にも間違いがなかつた、ただ間違いが起るとすれば、それから先に行つていろいろ間違いが起つておるのじやないか、そうでないかどうかもはつきりしませんが、起つておるのじやないか、すでに開発銀行自体に、私の言葉が悪いかもしれませんが、非違の行為があつたかと申しますと、開発銀行自体については私はあつたとは存じません、現在のところないと確信いたしております。ただ吉田さんの言われるように、何かもう少し方法はなかつたか、ああいう審議会等の手続を経て船主を決定し、そうして市中銀行、開発銀行、運輸省が一致したものできめられますると、普通に申せば手続としては尽しておる、こう私は考えるのであります。しかしながらこういう例が起りましたことは、まことに不幸なことでありまして、同時にやはり大蔵省としても、これは考うべきことである。しからばこれは今後どういうふうに考うべきか、もう少し私どももよく研究してみまして、何らかの監督方法を立てたいものと、実は考えておる次第であります。ただ、ただいまのところは、開発銀行自体には何らの非違を認めておりません。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 ただこの場合大臣に申し上げたいと思いますが、私がさきに一言しましたごとくに、手続といたしましては欠くるところがない、合理化審議会等におきましていろいろな人が出て協議をしておられる、またその答申なるものを読んでみましても、字句その他はまつたく整然としてりつぱなものであります。そうしてその結果は、天下を騒がすところの事態が引起つておるというので、よけい国民といたしましてはそこに疑惑を持つわけでありますので、やはりこれは文章やら数字だけじやなしに、もつといろいろな面に監督の手を延ばすべき必要があるのではないだろうか。たとえばもつぱら会計の検査をいたしまする検査院等におきましても、今の制度でありますると、会計検査院法なんかによつていたしますると、たとえばこのたびの見返り資金は日本銀行でありまして、市中金融機関からは流れておらぬと私見ておりまするが、そういたしますると、政府資金が直接に行つたのではございませんから、市中銀行もしくは船会社へただちに調査ができるかどうかは問題だろうと思います。ましてや造船所などはもつと問題であろう。もつとも反面から見ると、そういうところを調べられたら営業にさしつかえる、そういうところが干渉になつてはかえつて産業が妨げられるというような意見もあるかもしれませんけれども、しかし今日の事態から考えてみるならば、国の財政資金が流れて行つた先へは、間接になつておつてもやはり会計の検査というものがそこまで行くということにならなければならぬのじやないだろうか、そうなれば怪しいと思えば、たとえば中間におきましても常時検査で何か報告を要求できる、もつとも昨年できました利子補給法等によりますと、運輸省へは貸借対照表その他の財務諸表を出すことになつておりまするが、そういう形式的なものではなしに、会計経理の検査をするということだけでも確かに一案ではないか。帰するところ私は、この際やはり行政的な、ないしは大蔵省の今おやりになつておる監督の行き方をもつては、今のような事態を未然に防ぐことが不可能であるということであるならば、検査院の機構でも拡充いたしまして、これは事後検査以外に、常時検査もできることに検査院法はなつておりますから、そういうことでも一致して権限拡大によつて、国家財政資金の行方については、相当厳格に手を伸ばし得るというふうに制度を拡充することが一つのきめ手ではないだろうか、こういうふうに思うのですが、これは大蔵大臣のお立場、あるいは国務大臣としてやはり閣議において、独立いたしました検査院の財政監督の権限の問題も、いろいろと俎上に上していただくべき時期であろうと思いますので、その点についての御所見を伺つてみたいと思うのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 これは吉田さん御承知のように、以前見返り資金を出しましたときは、出した融資先まで調べることができることになつておつたのでありますが、その後開発銀行を経て、こういうふうにやれるようになりましてから、今のところは開発銀行が調べることはもちろんできますが、直接大蔵省の方でどうこう、あるいは会計検査院ではやれないことに相なつております。しかしこの問題は、見返り資金の当時のこともありますから、なおひとつ考えてみたいと存じます。ただ御承知のように、今度の税法で交際費を前年度よりも七割以上の場合、たとえば前年度交際費千万円使つておつたのが、ことしはその七百万円以上使うという場合につきましては、調べて一割五分利益金に見る。損金には見ない。こういうことがありますので、その点から、税務当局である程度の調べもできるのではないか、こう思われます。また今、御指摘になつたような問題についても、相当いろいろな名目で出ているかもしれませんが、何だかこの間うち、たくさん待合の名前まであげておつたのですが、相当交際費その他の名義で出ておるでしよう。こういつたものについても、前年度の七割を越える分についての半額は、これを損金と見ない。これを今度立法をして御協賛を願つておりますから、これが通りますれば、税法の問題もある程度の措置をなし得るのではないかと考えておりますが、なお仰せの点については、ひとつよく考えてみたいと思つております。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 最後に、今のこの種の、あるいは事前の問題も含んで来るのですが、たとえば政府が契約いたしました債務負担行為、これも査定がありましても、支払いをすることを決定しまする前はまだ検査もできない状態のようでありますから、事前であろうと常時であろうと事後であろうとにかかわらず、根本的に、一面において会計検査院の権限と機構の問題と、他面におきまして内閣の各省、特に大蔵省を中心にいたしまして、各省におけるこの財政監督の新たなる制度の画期的な拡充ということが一番大事なことではないであろうか。こういうことをほんとうにいたしましたならば、あるいは人言います、それは人心の頽廃しておる今日、道義が地に落ちておる今日、戦後そういつた方面が乱脈になつておる今日、ただ調べる、厳格に調査する、検査する、監督するということでは、ほんとうはその元をただすことにはならぬので、こういうあらゆる弊害を絶滅することは困難だという説もありはいたしますけれども、しかし私は、今日の段階はあらゆる国策の最も重要な一つといたしまして、いかにして財政監督の大きな政策を打出すかということが、日本の将来の政治のあり方を決定するほどの重要なものである、こう考えますので、いろいろと根本的な思想とか、政策の立て方ということについては意見もあろうと思いますけれども、こういうことについてはいろいろと御研究になる大臣でありますので、やはり重要な国策といたしましてひとつお考えになつてほしい、こう思いますので、最後にそれに対する御所見を伺つておきまして、私の質疑を終らせていただきます。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 いろいろありがとうございました。とにかく今日財政の面から予算の執行がかれこれ言われておる際ですから、十分ひとつ研究しまして、最善の処置をとりたいと考えております。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 ちよつと一つ落しましたので、簡単に……。

尾関義一自由党

○尾関主査 簡単にお願いします。

吉田賢一日本社会党(右)

○吉田(賢)委員 造船融資の問題につきまして、これははつきりしたことは実はわかりませんが、去る二十五日の都下各新聞において小林開銀総裁は、第十次造船融資の問題について、開銀の方においては第十次造船資金を出す意欲はどうもない、但し政府が出せということであれば出す、こういうことが伝えられておるのでありますが、これは目下このような状態でありますので、いろいろと検討すべき問題があると思いますけれども、政府におきましては、この融資について何らかの御意向があるのでございましようか。これをひとつこの機会に伺つておきたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 二十九年度の予算案が通りますと、この財政投融資のわくのうちに開発銀行は含まれ、また開発銀行のあるいは古い債務を回収しましたものと、それから今度の分とを合せましてやつております割当のうちには、たしか二百何億かと記憶しておりますが、造船融資がございます。ただそれだけで、今の小林開発銀行総裁の話は私は何も聞いておりませんが、それだけでは船ができませんので、市中金融と実は相まつてやらなければなりませんので、あるいは在来七割出しておつたものを八割出すとか言つておるというようなことが何か新聞にも書いてあつたようですが、そうすれば造船のトン数が減ることになりますので、それは国策のためにとらないところであると思います。まだ何も具体的な話を聞いておりません。よくひとつ検討してみます。

尾関義一自由党

○尾関主査 山本勝市君。

山本勝市自由党

○山本(勝)委員 もう大分おそくなつておりますので、ごく簡単にお伺い申したいと思います。与党の議員としてあまり申し上げたくないのですけれども、どうも私は今の政府の方々の考えの中に、お忙しいせいか、一つの混乱と申しますか、考え違いがあるのではないか、その点をひとつ申し上げて御考慮願いたいと思う。それは、時局は非常に困難な事態でありますが、これを突破するために国民に耐乏生活を要求するということも、私は当然のことだと思います。その意味において、奢侈を抑制して行くという考え方そのものには私は大賛成なんであります。むだを省き、ぜいたく、奢侈をやめて、そうして国民の力でこの難局を乗り切つて行くという、この行き方そのものはまことにけつこうだ。ところが、その考え方は非常に正しいのですけれども、そのことから一つの間違いがそこに起つて来ておる。このむだを省き、奢侈をなくして行くということの必要については、これは国民ことごとく私は賛成だと思う。野党の諸君も皆賛成だと思う。そういうふうに皆が賛成であるということから、実はうつかり私は間違を犯しつつあるのだと思う。非常な反対があればここに考えるのですけれども、皆この時局に、奢侈はいかぬ、こういう考えが皆あるものですから、ついそれにつられて間違いを起していると思う。それはどういう間違いかと申しますと、今度織物消費税というものが出ましたが、この織物消費税がああいう形で出て来るについては、これは政府というよりも、党なんかにも要求があつたことと思います。ところがあれを見ますと、一体奢侈というのはどういう意味で使われているのかといいますと、これはおよそ常識とは違つた奢侈なんであります。普通の常識では――昔から奢侈という言葉があるのですから、もう常識もある。むだとか経済とかいろいろあります。吝嗇という言葉もあります。しかし世界中どこへ行つても奢侈という概念の常識というものは、常に分といいますか、それと結びついて、分不相応なことをやるのを、これを奢侈という。分相応のことであれば、これは奢侈ではない。ところが分以下のことをやれば、これを吝嗇という。節約ということと吝嗇とどこが違うか、つまり分不相応に消費を押える場合にこれを吝嗇という。ですから分という概念と奢侈という概念とは、離れることのできないものだ。それなればこそ、私は吉田総理があの自動車に乗つておられても、総理という分からいつてあれは奢侈とはいえない。また国会議員が今自動車で乗りまわしておりますが、中には奢侈的に消費している者もないとはいえない。しかしほんとうに国へ議員としてその自動車を使うことによつて非常な能率があがるという場合において、またそう認められておればこそ、私は今自助車が許されているのだと思います。これをもし今度の繊維奢侈税において設けられているように、一般大衆の手の届かぬような値段の高いもの――つまりそれを手に入れようといたしますと、とうてい普通の人の所得では手が届かない、少数の人だけが手が届くといつたようものだから奢侈品だという概念に規定されておりますが、そういうように一般大衆が手が届かないような金のかかるものを使用することをもし奢侈概念とすれば、私は西洋から輸入した大きな自動車に乗りまわすということは、これは一般大衆の手の及ばぬことでありますから、これも奢侈になる。また郵便局は盛んに年賀状の売上げを、一昨年よりは昨年、昨年よりは今年といつて、収入が増していることを競つているような形でありますが、年賀状というものが奢侈か奢侈でないか、もし奢侈ならば、ああいう年賀状なんかを政府が売り出して、そうして盛んにそれを買うてくれ、買うてくれと言つてまわつたりするようなことは、この時局柄政府の政策とはまつたく相反するものだ。しかし年賀状が奢侈か奢侈でないかというと、奢侈なる年賀状もありましようし、奢侈でない年賀状もある。ですからある品物をつかまえてみて、これは奢侈品である、実用品ではないというふうに規定するということは、絶対不可能である。それを七千五百円以上とか、一ヤール四千五百円以上というようなものを、品質いかんを問わず、またそれを使う人の分いかんを問わず、そのもの自体に、これは奢侈だと規定したところに、私はやはり混乱があると思う。これは政府当局が好んで使つた言葉ではないのだと思いますけれども、いずれにしても今日そういう形で出て来ておりますが、これは国民の常識と離れておりますので、とうてい納得を得ることはできないと思います。もしこれが高級ということでありましたら、まだ常識に近い。ただ問題は、高級品にかけるということになると、常識からはわかりますけれども、ただ日本の産業政策として、今後高級品は奨励して行くのか行かぬのかという重大問題にぶつかつて来る。たとえばラシヤ、イギリスのラシヤ地のように、値段も非常に高い、しかし品質はきわめてよろしい。スイスの時計は値段も高い、しかし品質は非常に優秀だ。日本の品物はこれに反して悪かろう、安かろう、値もなるほど安いが、品物はきわめて粗悪であるというのが、従来の世界の市場における日本商品の評判である。これで満足して行つてはいかぬ。この国土が狭くなつて原料が乏しい日本としては、時計をつくるならば、スイスを凌駕するほどの品物をつくれ、ラシヤをつくるなら、イギリスの商品を凌駕するほどのラシヤをつくれというふうに、きわめてわずかの原料を用いて、そこに日本人独特の美術的な能力というか、芸術的な労働を加えて、そうしてできるだけ高いものをつくつて売り出す、あるいはできるだけ品質のいいものをつくつて、原料はわずかだけれども品質がいいために値が高いというようなものをつくつて行く方向に持つて行かなければならぬ。これは私は日本の産業指導の根本政策でなければならぬと思う。ところがたまたま一般大衆の感情に引ずられるといいますか、つまり大勢の人が手が届かぬというものは、大衆からはとかくねたまれるというか、嫉妬心と申しますか、あんなものはもうわずかの金持しか使えないのだから、そんなものは税をかけてつぶしてしまつたらいい、こういうのがおそらく一般の感情でありましよう。その感情に投ずるがために、産業政策を誤るようなことを起して来はせぬか。たとえば時計一つとりましても、これは繊維消費税でありませんが、物品税として、今度五千円を免税点にして時計に物品税をかけるということになりますが、なるほどそれは外国からなるべく入らぬように、外貨の節約という狙いはありましよう、しかし私はそういうことをやる利益と、それから日本の時計というものが今後スイスを凌駕するように導いて行くという政策との利害得失をよくよく研究してほしい。ラシヤ地にいたしましても、私は品質のいい、そうして値段の高いものを生産して行くという政策との関連をよく考えてほしい。重ねてくどいようでありますけれども、奢侈を抑制して行くということは、そういうわけでありますから、私は一番大切なことは、新生活運動といいますか、この時局認識の上に立つて、おのおの自分の分の考え方からぜいたくをしないということの運動を徹底的にやつて、それで十分とは申しません。しかしそれもやらないでおいて、七千五百円以上とか、四千円以上とか、五千円以上とかいうようなものを、要するに品質のいかんを問わず、値の高いものを奢侈と称してこれを押えて行こうという考え方は御考慮願いたい。決してここで結論を聞こうとは思いませんけれども・・・・・・。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 山本博士の言われることはよくわかります。実は私たちも、日本のような国におきましては、とにかく少い原料から精巧なものをつくる、そうしてこれを機械にしても、各種の製品にしても、輸出することによつて労力を高くする、これが一番必要だと考えております。ただ今度の奢侈というのは――奢侈という言葉は、奢侈的といつて、的の字くらいつけると、その点少しぼやけるかもしれませんが、実は日本人の常識として、これは分に応じてやる分には何らさしつかえありませんが、金を持つておる人は、一割五分くらいの税がついても買うであろう。だから製品から見ますと、御承知のようにこれは全体の七%しかございませんから、それで何ら大衆的なものではないというものでありますし、常識上考えてみて、要するに洋服はでき上りが二万六千円ぐらいからかかります。毛布一枚一万円の毛布、あるいは七千五百円以上の着尺だとすると、でき上りは一万円くらいになります。それくらいのものを着る人は、奢侈という言葉は適切を欠いておるかもしれませんが、こういう場合であるから、今一番大衆的である少額所得者の税を軽減する措置をとる反面、そういう余力のある人はこの税を負担してもらうということがよかろうということと、同時に、できればそういう国内での消費をなるべく少くして、そうして幾らかでも国際貸借の改善に資したい、こういう考え方から実は賛成しているような次第でございます。いろいろ御意見もありましようが、この程度でごしんぼうを願いたいと存じております。

山本勝市自由党

○山本(勝)委員 今のは私は承服いたしませんが、御考慮を願います。  ただもう一つ感違いしておられるのは、今度のあの程度なら大衆には迷惑をかけないとか、ごく少数の人だけであつて、小売課税のような場合と比べるとずつとめんどうも少いというように考えておられるという点は、私は大蔵省の方々は少し甘過ぎると思う。私は皆さんと懇意に願つておりますけれども、だんだん話してみて、大蔵省の人は、税務署の役人というものは相当常識的にやつているのだ、こう考えたに違いないと思うのです。しかし実際に私どもがぶつかつた事件から申しますと、びつくりされるようなことが行われるのです。二、三日前にも私のところで――これは物品税の脱税で、確かに悪い。しかしそのときに、まじめな税務署の官吏、これは行つてもお茶一つ飲まないし、タバコを出しても一服ものまぬ、実に忠実な税務署員です。ところがそれだけに、今度は女の子をつかまえて、共犯だぞと言つておどす。まじめであればあるほど、そういう主人の留守中に女の子をつかまえて泣かす。一例を申しますと、そういうことが絶えずある。ですから、税務署の官吏がそういうことはないものだと前提したら、今日業者があれだけ反対するのはばかだということになる。実際は税務署の人の顔を見るのがいやだ、かきまわされるのがいやだ、のぞきに来られるのがいやだ、いつ来られるかわからぬことが不安だということは、悲しむべきことですけれども今日の実情なんです。ですから織屋にかけたら小売に行かないとか、メーカーに関係ないのだということは大間違いで、一たび織屋に違反が起つたら、その取引先、メーカーといわず、小売といわず、必ず調べに行く税務署の官吏がたくさんできて来る。それは業者自身がよく知つているのです。ですから、織屋はこれだけの数しかないとか、それから今申されましたけれども、全体の七%とか一0%というようなことは問題にならないのです。だからこの問題に関しては、絶対に小売なら小売には税務署の役人は来ません、メーカーには絶対来ません、もし来たときには損害賠償にでも応じますと言えるくらいなら、そこで初めて小売だけは安心しましよう。しかし今日小売業者も卸業者と一緒に――これは保守的な人です。保守的な連中が目の玉を赤くして毎日やつて来ているというのは、ただ誤解というんじやなくて、小笠原大蔵大臣はよく民間の事情もわかつておりましようが、よくよく考えてやらないと、ただ七%だとか、あるいは数から言うと何人にすぎないとか、あるいは一万円以上着るものは何人しかいないとか、そういう統計の数字などというものは、今日の実際の業者と税務署の関係というものから見ますと、これはほとんど問題にならない。どうか十分御考慮願いたい。こういうことがわかつてくれないなら――私は悲壮な決心を持つてこの問題と取組んでいるのです。私は党よりも国民が大事だ、面目よりも国民が大事だというふうに考えているので、われわれもあやまちをこれまで犯して来ましたけれども、そういうことは今日あやまつてでも、累をあとに残さないようにしなければならぬ。与党でありますから、十分政府のことも考えますし、幹部のことも思わぬではありませんけれども、それよりも大切なものは、累を今日日本の中小企業者に及ぼしたくない。一兆円予算というもののしわ寄せは、いや応なしに中小企業に寄るのです。決して中金や国民金融公庫だけで救えるものではありません。その上に、ぜひとも通さなければならぬ重要法案もある。こういう際に、長年親代代自由党を支持して来た人々を恨ませるようなことをやるというなら、これはどうしてもそういう人と行動をともにすることはできないと思つている。どうか私の申し上げたことをこの場限りにお聞きにならないで、御記憶願いたいと思う。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 決してここだけのことには聞きません。われわれも税務署の方に対しまして、国税庁からも大分こまかい達しをしまして、そういう間違いがないようにしているのでありますが、往々行き過ぎもあるようでありますから、特にこの点は将来をかたく戒めることにいたします。  なお念のために申し上げておきますと、製造業者ですと四万四千くらいになり、小売業者で十六万くらいになります。これが卸業者になりますと二万くらいになります。しかし免税点その他の関係もございますので、大体実際の対象に置かれるのは一万くらいかと存じます。大体におきまして、帳簿組織その他をきわめて簡単にいたしまして、今おつしやるような弊害がないことにいたしますが、万一にもあれば、これは二箇年の時限的立法にもなつておりますので、その間にでもまた必要な場合はいつでも改めるにやぶさかではございません。

尾関義一自由党

○尾関主査 横路節雄君。

横路節雄日本社会党(左)

○横路委員 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、義務教育国庫負担法の特例が国会を通過をしなかつたわけで、従つて二十八年度予算に対する第三次補正という形でお出しになると思うのですが、これは私どもの考え方としては、やはり三月一日に二十九年度予算に対しまして総括質問があるわけですから、できますならばあすあたりお出しいただいて、三月一日の総括質問に、私たちはこの点二十八年度予算の全体を見ながら二十九年度予算の討議をするわけでございますから、そうしていただきたいと思います。しかし大蔵大臣としてはいろいろ事務上の手続もおありになるでしようが、いつごろこれをお出しになるか。従つてそうなれば当然その分の歳出があるわけですから、歳入に対しても同様出して来ると思うのでありますが、三月一日までに間に合わしてお出しになるのですか。それが間に合わないとするならば、いつお出しになるか、その点まず第一にお尋ねいたします。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 ちようど第三次の分につきましては、補正予算を出さなければならない。財源の方は、大体節約もしくは今のところ一応不用と見込まれる分もございますので、ちよつと言葉は悪いかもしらぬが、いろいろ集めますると、それは出て来るわけでありますが、実はできるだけ先へ行つた方が見通しが楽になつて参ります。そんなことで、多少今の歳入の方の節約もしくは不用額でやりたいという考え方から、予算のわくをいわば昨年度より膨脹させたくないという考え方から遅れておるわけであります。三月一日には少しむずかしいと思いますが、できるだけ早く出します。これは実は率直に横路さんに申し上げると、少しでも見通しをつけて、なるべく余裕の生ずるものの中から出したい、こういうふうに考えております。

横路節雄日本社会党(左)

○横路委員 この点につきましては、第三次補正は三月一日までに出すことについては、やはり第三次補正という立場で、思わしくないかもしれませんが、国会審議の建前上、できるだけ早く出していただきたいと思います。  その次にお尋ねいたしたい点は、岡崎外務大臣のお話ですと、初めは今明日と予定されておりましたいわゆるMSA援助受入れに伴うところの日米防衛支持協定といいますか、その問題につきまして、この前も本予算委員会で問題になりましたいわゆる余剰農産物の買付に関しまして、御承知のように一千万ドル、三十六億円に相当する贈与がありまして、この点に関しましては当然特別会計を設定するということになると思うのであります。そういたしますと、この特別会計に関しましては、これまた当然本来からいうならば、本予算と並行してやはり特別会計を設定するのですから、新たに国会の承認が必要と私は思うのでございますが、この点はどうなつているのか。それからまたいつごろこの国会の承認を求めるためにお出しになるのか、この二つについてお尋ねいたします。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 現実に一千万ドル、十六億円のグラントの小麦が入つて参りますれば、これはお説のように特別会計をつくる所存でございます。なお特別会計をつくりまして、この金は開発銀行を通して出す予定でおりますが、しかしまだ小麦がいつ来るかちよつとはつきりしておりませんので、それが入つて来ますれば、特別会計でこれはどうしても処理しなければなりません。従つてまだ調印も――大体割合早く行きおるように、この間実は外務大臣は二十七日ごろにやるように言つておられたが、あすは二十七日ですが、まだ調印の運びに行きそうもありません。なお数日を要するのではないかと思います。小麦が入つて参りますれば、これは仰せのごとく特別会計で処理いたします。処理するときには、予算関係が出て来れば予算委員会で御審議をお願いいたします。

横路節雄日本社会党(左)

○横路委員 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、この点について何か通産省あたりでは、この三十六億円につきましては防衛産業に重点的に配分いたしたい。第一番目にはジエツト・エンジン会社へ十億円、ジエツト機オーバー・ホール設備資金として十二、三億円、保安庁用の練習機国産化資金として四億円、その他機体、エンジンの補給設備資金として二、三億円というように、主として――これはきのうも保安庁から明確に御答弁をいただいたのですが、来年昭和三十年の四月からは明確にジエツト戦闘機、約一億七千万円程度のものを送り出そう。そうなれば政府としては、この航空機部門に対するいろいろな設備をすると思いますが、大体そういうようなかつこうになるのか、そういう点については全然話合いをしていないのか、計画を進めていないのか、その点についてお尋ねをいたします。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 先方との話は、大体兵器、基礎産業等というぐあいになつておるので、通産省としては、そんなような案を一応考えたようにも聞いておりますが、大蔵省としては、まだ正式に何ら相談を受けておりません。特別会計ですでに大蔵省は関係をもつことでございますので、もう少し具体化して参りますと、いろいろ相談を受けることと存じますが、私はできるだけ日本の基礎産業方面によけい振り向けてもらいたい、これは私の希望だけ申すのですが、そういうぐあいに私だけは考えております。

横路節雄日本社会党(左)

○横路委員 大蔵大臣にお尋ねいたしますが、今年は、大蔵大臣の御答弁を承りましても、通産大臣の御答弁を承りましても、大体物価は、五%ないし一0%下るというわけですが、当然そういうような低物価政策とともに、これは今日の物価高の一つには、いわゆる生産高の一つには、やはり資金、いわゆる金利というものが相当大きな部分を占めてると思いますので、この点物価が五ないし一0%下るというわけですが、一体金利の方は来年の三月三十一日までには、大蔵大臣の見通しとしてはどの程度下ることになるのでしようか、お見通しをひとつお聞かせいただきたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 経済が正常な場合でございますと、生産費の中に占める金利の割合が少ければ少いほど、物価が安くなることはお話の通りであります。しかしながら多少異常な場合におきましては、むしろ金利を高めることの方が物価下落を来すことは、ちようど各国がいわばデフレ政策をとるときに、中央銀行の金利を引上げる等の処置をとるのをもつてもおわかり願えると思うのでおりまして、私どもは目下のところ、金融引締めの強化を必要と考えておりまするので、現在の日本の各種の生産品に金利が占める割合の大きいことはよく承知いたしておりますが、これはほかの方面でいわゆるコストの低下をはかることとしてもらつて、特にそれは設備の近代化、合理化、むだを省く等のことでそういうことをやつてもらうということにしまして、金利の面は大体現在の状況で行こう、但し今のオーバー・ローン解消その他の考え方もございますので、中央銀行のオーバー・ローンに対する金利は若干高まるというふうに考えております。これは若干であります。

横路節雄日本社会党(左)

○横路委員 銀行局長いらつしやいますか――いらつしやいませんければ、どなたかかわつて御答弁いただきたいと思いますが、実は外航船の利子補給にからみましていろいろお尋ねしてみますと、必ずしも金利が一定していないようです。国がそれぞれの市中銀行、あるいは長期信用銀行、あるいは信託銀行、あるいは損害保険会社等の利子について、三分五厘との間の差をいわゆる利子補給するのだときまつておるのでありますが、それぞれの銀行、信託銀行、損害保険というような会社がどれだけの金利になつておるかは明らかにされていないわけです。この点は、いわゆる外航船の利子補給にからんでどういうふうになつておりますか、その点を明らかにしていただきたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 一応私の承知しておるところを申し上げます。二分五厘は開発銀行の分が三分五厘でございまして、市中銀行の分は五分でございます。それから市中銀行は大体一割一分くらいで当初貸しておりましたが、日歩二厘見当下げたところが多うございます。それから中には、たとえば長期信用銀行などは、資金のコストがもともと高くついておりますので、これは実は二厘しか下げなかつたと存じますが、市中銀行が二厘下げましたのと長期信用銀行が日歩一厘下げましたのは、国庫の方に受入れております。

横路節雄日本社会党(左)

○横路委員 私がお聞きいたしておりますのは、全部一割一分三厘といいますか、一割一厘といいますか、三銭一厘でやつているのだというお話のようですが、実際には、こまかな数字はそうでないようでありまして、その点もう少し具体的に、実際数字を扱つている人からお尋ねをしたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 保険会社は三銭、地方銀行は三銭一厘、それから今の市中銀行も大体三銭一厘というところであります。ただただいま申し上げましたように、利子補給をするようになりましてから、それを二厘ずつみんな低くいたしまして、その二厘は国の方に出しております。長期信用銀行は一厘、この点ははつきり私は記憶しております。そういうふうに各銀行に話しております。

横路節雄日本社会党(左)

○横路委員 これは主計局長にお尋ねしますが、実はそれぞれの地方公共団体は、いわゆる公募公債が国から実際に地方財政計画の中に割当てられているわけです。これを調べてみますと、昭和二十七年度の地方公共団体の公募公債は、一番低いところが栃木県で、地元の銀行との間に六分ないし六分五厘というものが一番低くて、大体八分ないし八分五厘、一番高いのは北海道の拓殖銀行で、これは九分二厘二毛五糸とつているわけです。こういうように公募公債というのが、それぞれの地方公共団体で一番低いのは六分ないし六分五厘、大体八分くらいなのに、そういう高いところもある。こういう点は、どうも地方公共団体が非常に財政難に陥つている状態からして、それぞれの地元に――それは政府としては、それぞれの地方公共団体がやることですから、何ともしようがないかもしれませんが、これはしかしそれぞれの地方の事情によつてそういう高い金を借りている。  もう一つ主計局長にこれだけ承知しておいてもらいたいことは、たとえばそういう銀行の名前を出すことははばかりますから言いませんが、東京の支店にいわゆる今までの地方財政平衡交付金その他を払い込む。いわゆる国庫の指定の銀行として、そのものが地元の本銀行に返るまでには、大体一週間ないし十日間あるのに、その間の預金利子というものは見ておらない。これが一年に一億ないし二億になる。そういうようにしておいて、今度は公募公債で行くときに非常に高い金利をとられるということは、これはどうも私はふしぎでたまらぬのです。銀行が悪いのか、地方公共団体が悪いのか、地方公共団体の上級幹部の諸君が悪いのか、これは私は具体的に名前を出すことは一応控えますが、こういうことがある。実に私は遺憾にたえないと思うのですが、金利の点については、大蔵省としてはどうにもしようがないものでしようか。

酒井俊彦大蔵事務官(理財局次長)

○酒井説明員 ただいまの地方債の金利の問題でございますが、御承知のように二十八年度のわくから申しますと、二百二十五億の地方債公募でございます。公募公債の引受け金融機関といたしましては、市町村、都道府県、そういうものの財政状態、将来の信用状態を勘案いたしまして、非常に財政状態がよろしくて資金が確実であるというような場合には、相当低く貸せるわけであります。それからそうでない場合には高い。なお銀行の資金の関係におきましても、潤沢な資金がない場合もありますので、これを各市町村、都道府県を通じて一定の金利をきめることは、実情としてなかなか困難であります。  それから地方に対する送金の手続でございますが、これは国庫金の送金手続といたしまして、都道府県なり市町村なりの銀行がきまつておりますから、そこの銀行に送り込みますのにどこへ払つたらいいかということが、都道府県、市町村等の関係で指定されて参りまして、国庫としては一番便利な方法で届くように、東京の銀行の支店が地方の銀行と取引関係があつて、ここに払い込めば非常に便利だというような場合には払い込んでおります。これは送金にあたつての問題でございますので、預金金利等とはちよつと性質が違うかと存じます。

横路節雄日本社会党(左)

○横路委員 今の次長の方にお話だけしておきますが、しかし実際には一週間ないし十日かかるということになれば、年間二百億、三百億ということになると、やはり一億や一億五千万ないし二億の預金利子が出て来るわけです。こういう点につきましても相当考える必要があるのではないかと思います。  大蔵大臣にあと一つだけ聞いてやめます。それは防衛支出金です。前年度は六百二十億で、今度は五百八十四億八千万円なんですが、政府はこのほど米軍の駐留経費をまかなう日米共同勘定の運用については、米国から日本側分担金の振込み先を現在の共同勘定から米国財務省勘定に移すことになるのではなかろうか、こういうことが言われておるわけです。私は六百二十億なり五百八十四億というものが向うへ出し切りで、それがどこへ使われておるか、将来こういうものの会計検査といいますか、そういうことが全然放任されていいのかどうかということは別の問題として、どうも今まででさへその金がどうなつたか、あまりはつきりしないのに、こういうことになると、財務省の勘定に入つて、アメリカの財務省と駐留軍との間だけの話合いで運用がきまるようになつて、円勘定の運用状態が一体どうなつたか、ますますはつきりしないのじやないかと思うのですが、この点について伺いたいと思います。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 防衛支出金のうち、いわゆる米軍交付金の払込みの手続でございますが、これは従来通り日本銀行にございまする駐留軍の勘定に払い込むということでございまして、それを別段かえるというような話は私ども承知いたしておりません。なおその金がどういうふうに使われるか、これは行政協定を締結いたしました当時の日米間の覚書によりまして、計画ならびに支出実績につきまして、当方に通報を受けることになつておりまして、それによりまして、いかなる使途にそれが充てられるかということは、全部つまびらかにいたしております。必要がございますれば、資料として提出いたしてもけつこうでございます。

横路節雄日本社会党(左)

○横路委員 それでは主計局長、今の点は私たちも防衛分担金の使途がどういうようになつておるか非常に疑問がありますので、それについて資料が必要であれば出すということのお話でございましたから、一体これがどういうかつこうに使われているかということは、今明細にされていない向きも多いので、せつかくのお話もございますし、私たちもこれはひとつ資料を出していただいてさらに検討いたしたいと思いますので、ぜひ委員長からもそういうおとりはからいをお願いいたします。

尾関義一自由党

○尾関主査 お聞きの通りでございますから、御提出をお願いいたします。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 資料はさつそく提出いたしますが、実績に応じて交付するのではございませんので、年額がきまりました後は、大体四半期に等分いたしまして、それを四半期ごとに向うの勘定に払い込んでおるわけでございます。それにつきましては、実績をこちらに通報を受けまして、いかなる費途に充てられたかということは全部明らかになつておるわけでございます。

横路節雄日本社会党(左)

○横路委員 今のでけつこうなんです。今の主計局長のお話のように、その実績の報告を受けておるというのですから、その受けました実績の報告をぜひひとつ発表していただきたいと思います。私たちといたしましても、この防衛分担金の使途等は明らかにしたいと思います。

尾関義一自由党

○尾関主査 さような意味でありますから、よろしくお願いいたします。

横路節雄日本社会党(左)

○横路委員 これで終ります。

尾関義一自由党

○尾関主査 それでは本日はこの程度にとどめ、次会は明二十七日午前十時より開会することにいたします。  これにて散会いたします。    午後六時二分散会

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