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第19回国会衆議院1954/06/02

予算委員会 第32号

発言数
38 件
登壇者
4 名
会派数
2
開催日
1954/06/02

会議録

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 これより会議を開きます。  予算の実施状況に関する件を議題といたします、質疑を行います。川崎秀二君。

川崎秀二改進党

○川崎委員 きようは国政調査に関する件ということで、予算委員会が久々に開かれたのでありますが、本院では予算が通過しましてから二月余り、ほとんど会議を開いておりませんけれども、その間経済情勢には大きな変化があり、また国内、国際両方の関係を通じて、財政政策も相当変更を加えなければならないものがあるのではないかと思われるのであります。本日はまず、総理大臣の渡欧米というものがきまつておるにもかかわらず、いまだに首相から外遊の目的が、また使命が発表されないのははなはだ遺憾に思います。しかしながら承るところによれば、明日午後衆議院の本会議において、今回の渡欧米の目的等について所信の表明があるそうでありますから、これについては各党代表者をあげて質問をされると思うのでありますが、きようはその渡欧米の費用のことについてお伺いをいたしたいと思います。これはわれわれは、決して総理大臣の今回の外遊の費用を国庫負担からはずせとか、あるいはその内容についてけちをつけておるのではない。われわれは総理大臣が重大使命を帯びて外遊されるとすれば、当然国庫においてこれを負担すべきものだとは思います、思いますが、われわれが予算案を通したときと、今日伝えられる渡欧米費の内容というものについては非常な予算上の変化があると思う。というのは、おそらくただいま大蔵大臣から御発表になりましようけれども、どんな款項でこれを捻出したものかまことに疑わしいものがあります。そこでまず大蔵大臣から、首相外遊の経費の公開をお願いいたしたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 これは川崎さん御承知のように旅費法というものがありまして、その旅費法の規定によつて関係各省から出されておる資料をもとにしてやりますと、大体吉田総理大臣及び秘書官の分五十四日分、これが旅費法の規定によりますと約三百大十八万九千円であります。それから総理府の関係で、田中官房副長官外一名分三百七十二万円、外務省の関係で向井顧問外四名分六百二十二万一千円、農林省の関係で東畑次官外二名分二百二十九万九千円、それから大蔵省の関係で鈴木財務官の分が七十七万一千円、こういうようなのがみな外国旅費という目がありまして、その各省庁の外国旅費から出すわけです。それはどれだけ外国旅費があるかと申しますと、総計いたしますと六億七千八百九十四万円あるわけです。今の合計額は一千六百八十万円になります。それが旅費法に基く分であります。そのほかに、あるいは通信費とか交際費とか、自動車の借賃とか事務所の借賃とか、こういうものが若干いると思います。これは旅費法に基くものではない経費でありとます。これについては、今回の外国訪問の主目的が外交交渉に当られることでもありますので、外務省の所管の外交運営に必要な報償費というものがありまして、その中から出してもらうことにいたしております。これは金額はあまり大きくありません、この報償費は予算の面で三億円出ておりますけれども、そのうちのごくわずかな部分であります。その報償費というものは毎年あるのでありまして、その中から今申し上げたようなものが出るわけであります。伝わつておるような大きな額ではございません。旅費法その他に基いてのものでございますから、世間にいわれておるようなものではなく、きわめて小額でございます。

川崎秀二改進党

○川崎委員 今大蔵大臣から御説明がありましたが、私も世間に伝えられておるような百万ドル使う、つまり三億六千万円なんか使うわけがないと思つている。われわれは反吉田ではあるが、しかしながら今度の経費のことについては、おそらく今大蔵大臣が千六百八十万円と言われたのがほんとでしよう。ほんとだろうが、しかし今あとで言われた交際費とかあるいはその他のものを、大公使館の費用を出させるというのは、それは軽く言われたほどのものではないと思う。アメリカに行かれて、アイゼンハウアー大統領から午餐会等の招待があれば、それに対してこちらは大統領は呼ばなくても、その他の者を呼んでの会費などもあるだろうと思う。またその他の会合などもあつて、かなり大きな計画をしておられるように思うので、私の得ておる情報とは少し違うように思います。それらについてはあらかじめどういう目算を立てられているのか、これが相当大きなものですから、世間ではあらぬうわさを立てて、非常に大きなもののように言つているのではないか。この千六百八十万円よりは少くとも大きな数字に上りはしないかというふうに考えるのてすが、それらの接待費あるいは交際費というものはどういう程度に上るのか、あるいは吉田さん自身、外遊されるにあたつてはいろいろ各国に対する贈答のものがあろうと思う。そういうようなことも国費から支弁すべきが正しいかどうかということについては、国会でも判定をしなければならぬけれども、そういうものを予定されているならこの際はつきりしてもらいたいと思うのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 ただいまの点、つまり外交交渉に要する費用であつて、これは外務省の方にある費用の中から出すのでありまして、これは毎年そういう費用が計上されているので、その中から出るのですから、決してそう大きな金額ではないと思いますが、そのうちとれがどう使われるかということは、行かれて実情に即する場合もございましようし、私どもの方ではまだわかりかねております。

川崎秀二改進党

○川崎委員 ただいま、行かれてその際においてきめられるというようなことでありましたが、われわれが得ている情報等によつても、これは相当スケジユールを立てて計画的に行われているように思われる。そうすると本年度の在外公館の、ことに接待費というものは著しく圧迫を受けると思う。もとより総理大臣が行かれて、その機会に外交関係を打開する意味で種々の会合が持たれることに本年度の予算が使われるということは、やむを得ないことだとは思いますけれども、予定されておつた他のいろいろなこまかい折衝、たとえはジユネーヴで何かの会議がある、捕虜交換の会議かあつて、その会議に日本から出ることもありましよう。あるいはちよつと考えただけでも、新しい余儀に参加するための交渉などもあるでしよう。そういうものが首相の外遊によつて各大公使飢の経費か非常に圧迫されるのではないか。あるいはまた今日総理府の中から三百六十八万九千円という費用を出されているようですが、総理府の外国旅費がこれかためにほとんど使われてしまつて、いろいろ会議であるとかあるいは調査のために若い官吏を海外に派遣して勉強させようというような経費が、非常に変更されるのではないかと思うけれども、その点に対する御答弁を承りたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 私ども千六百八十万円より少い金額であると承知いたしております。しかしそれは一応そういうふうに言われているので、今申し上げた通り外交交渉で、向うへ行つてどうなりますか、その点はわかりませんが、そういうふうに聞いているので、それが非常に今までの外交あるいは外国旅費の費用を圧迫するほどの金額ではないと承知いたしております。旅費は先ほど申し上げましたように、総理府の方には六千四百九十万四千円ほどあるのでして、合計いたしますと、各省を通じての外国旅費か六億七千八百九十万円ありますから、合計千六百万円ほどのことでそうひどく圧迫するほどのことでないと私は考えております。

川崎秀二改進党

○川崎委員 今御答弁の際に、千六百八十万円を何か総額のように言われたが、これは旅費だけですか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 旅費法による旅費の額だけでございます。

川崎秀二改進党

○川崎委員 予算委員会などで聞くのはどうかと思いますが、麻生和子さんの費用は外務省から出したのですか。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 政府から支弁いたします旅費は、公務員だけでございまして、ただいまお話の方の旅費は政府からは支弁いたしません。

川崎秀二改進党

○川崎委員 そうすると、私費で行くということに了解してよろしゆうございますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 さようでございます。

川崎秀二改進党

○川崎委員 予算を組むときには、当然財政法の第十八条でありましたか、正確に記憶いたしておりませんけれども、支出負担行為の実施計画表というものをつくつてやるわけですね。今度の吉田総理大臣並びにその随員の経費というものは、最初入つておらなかつたわけですね。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 予算を編成いたします場合には、今度の吉田総理大臣の外国訪問は予定されておりませんでしたので、内閣並びに総理府所管にはそういつた種類の経費は計上いたしておりません。従いまして今回の渡米に際しましての経費は、内閣官房につきましては、内閣官房の項に外国旅費の目を設置いたしまして、職員基本給なり庁費なりから少額を流用して支弁するということになるわけでございます。総理府所管につきましては、外国旅費の計上が若干ございますか、これはエカフエ地域統計会議等に出席のために必要な経費でございまして、その分を充当することは不適当でございますので、総理水府の方に外国旅費の目を設置いたしまして、市費、褒償品製造費等の不用額の中から少額を流用いたしまして、今回の所要経費を支弁する、さような予定で考えております。これは項の中の目設置、ないしは目間の流用でございまして、財政法によりまして、行政当局に許されました権限の範囲内で使われる予算措置を講じておるわけでございます。

川崎秀二改進党

○川崎委員 旅費の総額が千六百八十万円、しこうして接待費、交際費、あるいは現地におけるその他の費用等から見て、おそらく一億以内であることだけは間違いがないようにわれわれは考える。そんな数字にも上らぬかと思います。多く見てもそうであると思う。しかるに今回どこから出た説か知らぬけれども、三億数千万円、百万ドルという説が出ておる、むしろ今日私はこうやつて世上の疑惑を解くために質問をしておる。私も常識として考えられなかつた。そこでその点だけはきよう相当明快になつたと思うのです。しかしながらこれがもし一億を越えたり、あるいは今回伝えられるような巨額のものであつたとするならば、これは予算を編成したときにおける内容とは重大な変化を持つものであつて、単に支出負担行為の実施計画を大蔵大臣の権限において変更するという程度のものであつてはならぬというふうに考えるのです。総理府の予算が、外国旅費が六千四百万円あるうちの三百六十八万円使うというならば、これは役人四、五人の外国旅費を押えさえすればできることであるから、重大な変化とは思わないけれども、将来非常に巨額な変更が起つた場合に、今の財政法では大きな欠陥があるように私は思うのですが、その点大蔵大臣はとうお考えであるか、伺つておきます。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 ただいまの川崎さんのお話ですが、実は一億とか五千万とかいう大きなものとは考えておりません。大体先ほど申し上げました通り、千六百八十万円が旅費法に基くもので、あとのものは大体その額以上ではない、こういうふうに私どもは了解しております。私も何であなた方は百万ドルというようなことを言うかと聞きましたところ、普通に百万ドル旅行というじやないか、だからその話さということで、そんな程度の話らしい。それは全然誤解であります。先ほど申し上げたように、旅費法に基く千六百八十万円、そのほか交際費、事務所の費用とか、自動車の費用とか、通信費等を合せましても、今の千六百万円以上ではない。合計三千万円ぐらいのところではないかと私どもは見ておるのでありまして、この点誤解があれば、この際誤解を解きたいと存じております。なお大きな額になりますれば、川崎さんのおつしやつた通り、財政法の関係は私も同様に考えます。

川崎秀二改進党

○川崎委員 首相の外遊の経費の問題は、この程度において打切ります。  私が次に大蔵大臣にお伺いしたい点は、先ほど大蔵省の係官を通じて参考資料を求めておきましたが、予算案遁過後の一番大きな経済問題は、やはり国際収支の悪化であろうと思う。これは予算委員会でも野党側の委員からしばしば論ぜられ、また与党の質問の中にも、本年の財政経済問題を通じての最大問題は、国際収支の不均衡をどう是正して行くか、大蔵省の今回の予算に関連しての見積りは甘いのではないかということが、しばしば指摘れておつた。その際に大蔵大臣の答弁は、特需にしても本年は七億五千万ドルは確保できる、朝鮮復興特需は一億ドルだというような話で、当時は大臣の言叫でありますから、われわれは疑いを持つておつたけれども、一応これを二つの柱としてこの予算案は通つたのであります。しかるに一月から三月にかけて、また三月から四月にかけて、特需の状態は非常に悪い。月間わずかに三、四、五千万円の収入にしかすぎないということになつておつて、これでは本年度の七億五千万ドルなどというものは、非常に見通しが困難になるのではないかと言われておつたのであります。まず最初にお伺いしたい点は、一番最近における国際収支の統計はどういう数字になつておりますか。先ほどあらかじめ参考資料の配付を求めておきましたので、お答えを願えれば幸いであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 国際収支の状況について申しますと、最初に輸出でありますが、輸出は年初以来四月まで各月平均約一億二千万ドルでありまして、前年同期に比べますと、平均約三千万ドル増加いたしております。それから今お話になりました特需でございますが、特需は年初以来四月までに各月平均約四千五百万ドルでありまして、昨年同期に比べますと、平均約一千五百万トル減少いたしております。その次は輸入でありますが、輸入は年初以来四月まで各月平均一億ドルでありまして、昨年同期に比して平均約三千万ドルの増加となつておりますが、四月だけについて見ますと、一億七千四百万ドルで、前年四月の輸入額を二千万ドル下まわつております。少しこの点は改善されて来ております、なお以上の結果としまして、外貨の収支じりを申し上げますと、前年に引続きまして、年初以来赤字を続けております。一月の赤字が八千八百万ドル、二月が五千万ドル、三月が三千四百万ドル、そのときの残高が八億二百万トルという数字になつております。これは三月末の数字です。四月になりまして九百万ドルだけの赤字になつておりまして、よほど改善のあとが見られるのであります。  それからあわせて昭和二十九年の国際収支の見通しをちよつと申し上げておこうと存じます。受取り勘定の輸出が十二億七千万ドル、貿易外が十億三千二百万トル、合計しまして二十三億二百万ドル、それから支払いの方は、輸入が二十億ドル、貿易外が四億二百万ドル、合計いたしまして二十四億二百万ドル、これから計算いたしますと、一位ドルの赤字を二十九年度中に生ずることに相なつておりますが、実行上、だんだんこれを少くいたしたいと思つて努力いたしておりますし、貿易関係等も、先ほどと申しました数字で、漸次好転の模様にありますので、もう少しこれは減るかと思います。一応の見通しは一億ドル、こういう見通しをいたしております。

川崎秀二改進党

○川崎委員 四月の予算委員会で御説明になつた資料と今日の資料とはどのくらいの変化がありますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 実はこれは三月三十一日、御承知の外貨予算をつくりましたときの見込みなので、一番新しい計算なのです。予算のときはどれをお出ししましたか、ちよつと私はつきり記憶いたしておりませんが、しかし大体からいいまして、二十八年度は三億一千三百万ドルという赤字だつたので、それを漸次こういうふりに改善しつつありまして、ただいまの予想では、大体一億ドルの赤字にならずに済むのじやないかと思いますが、しかし特需というのが、今申し上げたように大体千五百万ドル減つております。貿易が三千万ドルふえております。特需関係等がどういうふうにわかれるか、これはいろいろ今話合いをいたしておりますので、こういうことで多少違つて来るものとは思つておりますが、一応見通しはこういうふうになつている。但し今ちよつとお話のうちにあつた七億五千万ドルというのは、そういうふうに見えおるのですが、現在の状況では、今後少し向うが勉強してくれないと、またこちらもそういうふうに努力しませんと、減るのではないかと思います。けれども輸出の関係だけは少しふえて行つて、予想よりもよくなつております。

川崎秀二改進党

○川崎委員 大蔵大臣はただいま特需と輸出入にわけて、しかも輸出関係は非常に改善されつつあるということを申されました。しかし、この特需関係の七億五千万ドルが、今日のところほとんど期待できない。現在の情勢が推移して行くならは、おそらく五億ドル程度にとどまるのではないかということが、一般に憂えられておる。ここに今日の一番大きな問題が胚胎しておるのであつて、これは今度吉田総理大臣がアメリカへ行かれ、また世界をまわられる際に、財界方面でも期待をし、日本国民がもし吉田内閣に今日多少の期待を正しておるとすれば、そのことではなかろうかというふうに考えられるのですが、その意味で大蔵大臣もおそらく閣僚の一人として十分にお打合せがあるだろうと思うが、使命やこれからやられる交渉の内容については御発表は願えぬと思うけれども、少くとも今度総理大臣が行かれるについては、この特需の減少によるところの穴を何かほかの方法によつて補填をすることを、大蔵省としても期待をしておるのではないかというふうに考えられる。そこで私がお尋ねしたい点は、一九五五アメリカ会計年度のMSA援助に関連して、何らか経済援助を得たい。純粋の経済援助は、日本の地位はドイツやオーストリアとは違いまして、難民の救済であるとかあるいは農産物の供与であるとかというような本格的なものは期待できない立場にあるでしようけれども、少くとも防衛支持援助というものは期待できるのではないか。私はその意味において、経済援助の要請を大蔵省あたりは考えられておるのではないかと思うのですが、こういう点について大蔵省として期待し得るものがあるとするならばどういうものであるか、伺つておきたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 この点については、私どもまだ吉田総理に各国訪問についての目的その他について伺つておらないが、私どもとしては、国際収支の改善のために何らか役立つものがあればこれほど望ましいことはないと思つておりますが、しかしどこにどうという具体的の案を持つてお話しておるわけではありません。  なお、この際申し上げておきますが、先般世界銀行からある種の意向が示されておりますが、これは話の途上極秘にすべしということを向うが言つて来ております。これは御承知のように、経済的の借款等については応ずる建前になつておりますので、これについての話は、向井君とかがそういうことを話をされるとすれば、されるのじやないかと思いますが、今向うがそれを発表すべからずということをやかましく言つておることでありますから、まことに不本意でありますが、この程度にとどめさせていただきたいと思います。

川崎秀二改進党

○川崎委員 私は、MSA援助の関係の中の防衛支持援助について、政府の最高方針というものがきまつておつて、それに関連して大蔵大臣にもいろいろお打合せがあつたたろうと思つて聞いておるのだが、お話がないようであります。あるいは御承知ないのかもしれませんが、しかし私はそういうわけがないと思います。ところがふしぎなことに、ただいまあなたがちよつと触れられた世界銀行の関係については、あなた自身大蔵省の記者団会見で、愛知用水のための借款は有望だというふうに答えておるじやないですか。これはどうですか、たとえば「ブラツク世界銀行総裁から受取つた晝間の返事は首相渡米の際にでも出すことになろうが、愛知用水のための借款は有望だし、またインパクト・ローンも期待できると考えている、但し優先順位についてはまだきめていない、世銀借款に伴つて旧資金の追加投費が必要になるが、一九五五米会計年度から支出される余剰農産物買付資金の見返円資金の一部をこれに振向けるよう米当局と交渉するのも一つの考え方だし、交渉すべきだろう」こういうことを語つておられますが、これは事実でありまか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 それは私の話をそのまま書いたものではなくて、愛知川水はどうですかと言うから、愛知用水は有望ですただと答えただけです。実はあなたも記者諸君にお会いのときによくわかると思いますが、これはどうかあれはどうかということにつきまして答えたのでありまして、総合してみるとあるいはそういうことになるかもしれませんが、向うがその手紙の中に、日本の食糧不足の状況から食糧増産が必要であるということをいろいろ言つておりまして、日本の食糧事情については向うでもよく了解してくれておるという話をしたところが、愛知川水はどうですかということを聞いたので、有望ですと言うただけの話であつて、具体的のものは何も持つておりません、なお念のために申し上げておきますが、かりに愛知用水をやるといたしましても、相当大きな計画でありまして、そういうものは実は円資金の予算化も必要とするのでありますから、ただ有望という言葉程度で、それ以上具体的のものは今持つておるわけではございません。

川崎秀二改進党

○川崎委員 なかなか用心をされて御答弁になつておるのですが、衣のそでからよろいが出て来るわけで、愛知用水の話はやはり選挙区へのいろいろの関係もあつて、この際言つておいた方がよかろうというのでお話になつたかもしれません。ところが私の特に伺いたいのは、そんなことよりも、今度吉田首相が行かれるのは、おそらく世界銀行からの借款とか、あるいは余剰農産物の買入れとかいうようなたやすい手段ではなくして、もつと大きな構想をもつて、そうして直接日本の防衛体制を強化するとともに、これに対する裏づけをなすべき交渉をされるのではないか。これは社会党の左派の諸君あたりから言わせれば、今度吉田さんが行つて、得るところのものがあるとすれば、日本の国際収支を改善するためにMSAの援助をさらに強化するであろう、そのかわりには再軍備を約束して来るだろう、そういうひもつきのものをもらつてはならぬという左派政党あたりからの議論もあります。しかしながら私が特にこの点について聞きたいのは、日本の防御体制を深めるために、また今のアメリカのMSA援助のうちの軍事援助というものを最高度に利用するためには、当然軍事援助要請というものをされるであろうし、同時にこれに伴うところの経済援助の要請もされるのであろうと思う。その点について大蔵大臣と話合いがないというわけはないのであつて、愛知用水の話まで出ておるとすれば、完成兵器の供与であるとか、あるいは域外調達の増額であるとか、防衛支持援助の話は当然出ておると私は思う。これは政府の最高方針、つまり防衛の担任者である総理大臣、保安庁長官、大蔵大臣は一体となつてこれらの問題の解決に当つておられると思うから私はお尋ねをいたしておるのであります。そういう意味において、当然これらの問題について大蔵省としても関知をされておるのではないかと思うので、もしお知りならばこの点をこの際御明白に願いたいと思うのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 なお愛知用水のお話がありましたが、誤解ないように申し上げておきますが、愛知用水は、名前は愛知ですが、私の選挙区でも何でもありませんので、この点は誤解のないように願います。  それから今のあとのお話でございますが、ただいま私どもまだ十分なことを承知しておりませんし、これはまだどなたとも話をされておりませんので、大蔵大臣としてはちよつとまだ申し上げるほどの知識を持つておりません、これは正直に申し上げておきます。

川崎秀二改進党

○川崎委員 通産大臣はいませんか。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 通産大臣は今通産委員会で質疑に答弁しておられるそうです。

川崎秀二改進党

○川崎委員 それでは大蔵大臣に伺います。一番最近の日米間の交渉、つまり吉田さんが向うへ行かれる前にすでにもう交渉が始まつておる。先週の金曜日であつたか、ウエアリング参事官と通産大臣との間においては、軍事援助要請の内容というものが大体きめられておる。それによれば、第一は、軍事援助について、完成兵器の供与、この内容は戦車とジエツト航空機、レーダー、電子兵器、船艇等、いわゆる高度の兵器の供与を要請する、これに対して、アメリカ側としては大体そういうものはいいだろうということが言われたといわれます。また第二は、域外調達の増額、一九五四会計年度においていわゆる域外調達は一億ドルと言われておるのでありますが、これは最近特需収入の漸減傾向が顕著となつて現われておる関係上、日本政府としては今後防衛産業に対する助成措置を強力に推進する、それは法的にも財政的にもするから、従つて域外調達——その域外調達の内容は、まず第一に兵器、復興特需、米国買上げの形での東南アジア諸国へのわが国よりの兵器輸出を拡大してほしいということを通産大臣が要請した。これは通産大臣と大蔵大臣が十分打合せをして行つたものと私は思うのですが、そういう間の情報は御承知ないですか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 私はこの域外調達その他のことは、大きいことは望んでおりますが、しかしそういうことについて通商産業大臣と打合せしたことはありません。

川崎秀二改進党

○川崎委員 通産大臣にあとで伺いたいですが、大蔵大臣しかおいでにならないので簡単に大蔵大臣に伺つておきます。最近小野田セメントがアメリカのジヨン・スマンヴイルという会社と提携をして石綿の輸入をして、日米石綿社というものをつくるという計画——これは外資導入ですから、おそらく大蔵省も関係しておられると思うのですが、これが今明日中にも外貨の割当を決定するというようなことを言われておりますけれども、そのことについてはお知りはないでしようか、

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 これは私もちよつと聞いております。なお私がニューヨークヘ行つたときに、ジヨン・スマンヴイルの研究所がニューヨークの郊外にありまして、見て来たのは事実であります。しかしながらこれは外貨審議会の方で決定することになつておりまして、その方で目下審議中であるというように承知しております。なおあれは何か日にちがそれぞれきまつておりまして、今明日中というような、そんな近くそういうふうにきまるものじやなくて、何か定例日がありまして、定例日に問題になるように承知しております。これについてはそれ以上私まだ詳しく承知いたしておりません。

川崎秀二改進党

○川崎委員 これは通産大臣に伺うべき筋だと思いますが、大蔵大臣も承知をしておつていただきたいし、御見解を承つておきたいのは、ここのジヨン・スマンヴイル会社というのは、カナダに世界最大の石綿鉱山を持つており、アメリカで石綿を原料とする二次製品その他百数十種に及ぶ製品を製造している有力な会社であることだけは世界でも知られている。しかしながら今度の日米石綿社というのが製造する品目は何かというとフレキシ・ボートという屋根のスレートといいますか、あれの板の大きなものをつくろうとしているようですが、これが製造されると、日本にあるスレート会社というものは非常な危機に立ち至つて、スレート関係の中小企業はほとんど軒並に倒産をしなければならぬというように言われている。現に日本の国内においてできるのは、その品質においてジヨン・スマンヴイル会社の製品と優劣がなく、コストにおいても国産品は遜色がないと言われているにかかわらず、日米石綿社というような会社をつくつてこういうものを多量に輸入をする、そして投資の資本金の関係からいうと、何でもジヨン・スマンヴイル会社の資本構成として大体一五%を持つようであります。しかしながら二五%を持つにかかわらず、何でも二、三年先にはまたこれを引上げるというようなことになつて、決していい条件ではない。しかるにこういうようなものをつくて日本の中小企業を危機に陥れるようなことは、はなはだ不適当ではないかという陳情があるのであります。しかし私はこの陳情がはたして正当なものであるかどうかということについても相当審査をしてみました。これらの言い分には正当なところもあり、かつ小野田セメントと淺野セメントとの競争的なものもあるので、決して一方に加担をするということは許されないと思います。しかしながら非常に重大なことは、中小企業が軒並に倒れる、スレート会社が倒れるということになるならば、これは中小企業擁護の立場から、そのような外資導入をはかつて、そしてわが国の製造業者を苦しめることは適当な措置ではないと思うから、外貨の割当については慎重な考慮がほしい、こういうふうに考えるのでありますが、大蔵大臣の御見解を承つておきたのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 外貨の割当は外貨審議会で慎重に検討することと思います。このことについては、実は私もちよつと聞きまして、今川崎さんもおつしやつておりましたか、コストも日本で同じようなものができるし、品質も差がない、それならば向うから入つて来たつて圧追を受けることはないので、どこが競走上困るかということはちよつと私にはわかりかねる。コストが高いとか、品質が悪いということがあるので、圧迫を受けるのではないかという感じを持つたのです。同じ品質で、コストがかわらなければ、自由競争のもとに何もさしつかえないのじやないかという感じもいたしました、これは私が思つた感じだけを申し上げるのです。しかしながら中小企業に対する保護ということは重要なことであり、同じことであれば外国資本はそう望ましいことでもないのですか、ただ日本がこういうときに外国資本をな必要といたす場合もありますので、(「生産過剰になるぞ」と呼ぶ者あり)そういう場合もありますので、あまり日本が鎖国主義に流れることはどうかと考えております。

川崎秀二改進党

○川崎委員 ただいま議席からも御発言があるように、今の会社の製品だけでも大体需要をまかない得る、あるいは少し足らぬかもしれないが、需要供給はバランスがとれているにかかわらず、こういうものを多量に入れるのはどうか、生産過剰になりはしないかという議論かあるのである。ところが日米社のもくろみを見て行くと、その製品の四〇%以上——これは大蔵大臣はまだよくお知りにならないかもしれないが、東南アジア地域に輸出して、国際収支の改善に資すると書いてあるそうです。つまり日米合併の会社をつくつて、日本で製品にして、それを東南アジア地域はやればよくなるだろうという一つの見通しもあるのです。そんな日本よりも経済水準の低いところに上等な屋根瓦を持つて行つて、そこで受入れられるものかどうか。私は想像するのですよ。もう一つ発展して想像するのに、これは東南アジアの各地域に新しい官庁ができたり、会社ができる、それとアメリカと非常に結びつきがあつて、受入れ態勢も十分だという一つのプランがあつてやられておるならば、ある期間を限つては悪いことではないかもしれぬと思う。ところがその見通しもどうも十分でないようにも考えられるので、これは非常に慎重願わなければいかぬのじやないかというのが、私のきようの所論であつたのです。しかもこういう発言はあまりしたくないけれども、このスレート会社の許可にはこれまた池田政調会長が非常な御関係にあるようであつて、またぞろいろいろなことになつても困るから、この際御忠告を申し上げて私の質問を終ります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 川崎さんの言われたことは私も大体同感です。よく慎重に取扱うことにいたします。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 それでは午後一時まで休憩いたします。    午後零時五分休憩      ————◇—————   〔休憩後は開会に至らなかつた〕

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