予算委員会 第30号
- 発言数
- 13 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1954/04/15
会議録
○倉石委員長 これより会議を開きます。 昭和二十九年度特別会計予算補正(特第1号)を議題といたします。 本案に対する質疑はすでに終了いたしております。これより討論に入ります。船越弘君。
○船越委員 ただいま議題となりました昭和二十九年度特別会計予算補正(特第1号)に対し、私は自由党を代表し政府原案に賛成の意を表明せんとするものであります。 本補正予算はMSA協定に基く米国政府よりの贈与三十六億円を財源として、わが国の工業力増強、経済力漸増をはかるため、この資金を使うことになつておりますから、広義の経済援助というべきであります。この贈与受入れ資金は一般会計と区別し、新たに経済援助資金特別会計を設け処理せんとするものでありますから、単に予算的措置をはかつたにすぎないのであります。 この資金の使途の内容は目下慎重に検討中でありまするが、この贈与はMSA協定に基因するものであるため、防衛産業が中心となることは当然であります。さらに米国の城外買付の受入れ体制を整え、わが国力の増強をはかることがそのねらいであり、しかもこの贈与資金の使途については、日本側の自由意思にまかされており、米国はこの資金の投融先の企業に対し、何ら干渉がましいことは一切せぬことになつておりますから、反対すべき理由はごうもこれを見出すことができないのであります。さりながら、贈与する側ではこれを防衛のために、贈与を受ける側ではこれを防衛方面のみならず、一般的経済方面にも使用したい、との意欲を持つことは当然の帰結でありまして、この彼我の希望を満たすためには、三十六億円のごとき少額ではいかんともすることができません。従つて私は援助額や贈与額の増額を期待する次第であります。 MSA協定はすでに議決されました以上、この協定をできるだけ有効かつ有利に導くことを考慮すべきであると私は思います。一例をあげますならば、MSA協定による小麦の買付でありますが、これは輸入食糧買付計画のわく内で操作するごとになつておりますが、むしろMSA買付小麦はわく外扱いとしてこれを輸入し、しかもこれに加工して東南アジア方面に輸出することにすれば、国際収支の改善にも一役を買うごとになり、一石二鳥の妙薬であると思うのであります。かかる意味において、今回の贈与はわが国の経済自立の糸口を開いたものであり、大いに将来を期待し得るものというべきであります。 以上の趣旨によりまして、私は政府原案に賛成する次第であります。(拍子)
○倉石委員長 河野金昇君。
○河野(金)委員 MSA諸協定はすでに衆議院においては承認を与えられたのであります。わが改進党もこれに賛意を表したのであります。従つてそのうらはらである本特別会計予算に対しては自動的技術的に賛成せざるを得ないことに相なります。 MSAは最初相当の経済援助が伴うがごとき宣伝をされた政府の苦肉の現われが、今7画のこういう措置であろうと思います。米国の過剰農産物を五千万ドル買い入れ、そのうちの一千万ドル分、すなわち三十六億円を本特別会計に入れたものであります。しかもこれにはひもがついていて、兵器産業の拡充に充てられようとしておるのであります。日本は緊縮予算、耐乏予算のもとにおいても、防衛関係費だけは大幅に増額計上しており、日本経済の行き詰まり、国民生活の破綻は随所に現われつつある現状であります。政府は、日本経済の安定、国民生活の向上は黒まれないとしても、せめて現状維持の努力は払わなければならぬと存じます。MSA諸協定を承認した以上、わが改進党は本特別会計予算にも賛成をいたしますが、その運用にあたつては、政府は米国政府とよく打合せ、この三十六億円が日本経済再建、国民生活の安定に資するよう、一段の努力を払われんことを強く要果して、討論にかえます。(拍手)
○倉石委員長 佐藤觀次郎君。
○佐藤(觀)委員 ただいま議題となりました昭和二十九年度特別会計予算補正(特第1号)について、私は日本社会党を代表して反対をするものであります。そもそも政府がMSA援助を日本経済再建の守り本尊とし、さきに池田特使をアメリカに送り、この特別予算は例の池田・ロバートソン会談の結果による落し子の一つであります。これが独立日本の贈りものとして、いみじくも展開された吉田内閣の福の神と称するものであります。かくしてMSA初定に関連する特別会計は、自衛隊を初め、警察法、教育二法案等の反動立法の制定等と不可分の関係にあつて、わが民主主義の根底をゆり動かすような結果となりつつあります。すなわちアメリカ兵器の中古品を借用し、制度として古い合衆国の軍隊に学び、指通者として六百五十名に余る軍事顧問団をいただき日本をして一層アメリカの従属国に転化させるのであります。しかもこの協定に結ばれた援助物資はアメリカの余剰農産物でありまして、これによつてアメリカの農出来恐慌を救う道になつても、わが国はこれだけによつて食糧自給と農村の危機を救うことができないことは明らかであります。また小麦、大麦の値段にしても決して安価なものではありません。しかも国民がこれによつて受ける直接の恩恵は少く、かえつてこのために資金を受けるため、より一層日本の財政経済はアメリカの管理下に置かれ、また国際的自由もさらに拘束される結果となるのであります。この三十六億の資金は一部軍需工場にまわされる結果となつて少数資本家のふところをこやし、それによつて日本の兵器工廠化は一段と促准されまして、MSA再軍備の道を歩かしむる巧妙なからくりになつているのであります。 現在アメリカは朝鮮事変の終息により兵器生産の過剰と、さらに小麦の過剰に悩み、オーバー・プロダクシヨンの脅威にさらされているのでございます。しかもアメリカはみずからのアジア問題の失敗を、日本経済の犠牲と再軍備によつて穴埋めしようとすることは明白なことであります。 今や恐慌の危機に直面しているアメリカの兵器産業の一部を多少なりとも日本に仕向け、アジア人はアジア人と戦わしむるという、アメリカ本位の状態に移行せんとする強力体制となつて来る前哨戦であります。また一方においては未熟なわが兵器産業の育成に役立つことになつて来るのであります。これが農産物と完成兵器の相互作用をなしつつ保安隊を自衛隊に切りかえ、それを発展させ、再び軍国国家の再現に資せんとするのであります。 かくのごとくMSA援助が国の独立を侵す結果となるのではないかという危惧の考えは、今や広汎に西欧各国に拡大しているのであります。七つの海を支配し、今なお世界に君臨している大英帝国ですら、一たびこのMSA援助を受けたので、今日星条旗の下では自由がきかなくなつたのであります。この偉大なイギリスでさえも、今日ロンドンのアメリカ大使館の伺いをたてなければ、何一つ重要なことが決せられなくなつたと、国民は今さらながら嘆いているのであります。またイタリアのように、アメリカの海外発注でかろうじて息をついているところでは、アメリカの干渉も一層露骨な形を次々にとるようになつているのであります。従つて去る三月イタリア上院では、アメリカの駐伊大使にその干渉を非難する決議案を上程せざるを得なくなつているのであります。さらにインドシナ戦費の大半をアメリカに依存しているフランスはもつと深刻であります。フランスはインドシナ戦争を遂行する手段として、アメリカから援助をもらつたのであるが、今や主客は完全にくつがえり、戦争目的そのものまでが援助の返礼としてアメリカに奪われんとしております。フランス国民はこの戦争をやめよとの声を強く叫びながらも、やめるにもやめられない現状は悲惨そのものであります。かくて今日ダレス声明の強硬手段はフランスはだれのために戦つているのかわからないことになつているのであります。 日本人の中にはくれるものならとれるだけとつた方が得だという人もおります。また日本は独立国だからもらうだけもらつて、あとは断固としてけ飛ばしてもいいという、都合のいい考えを持つている人もあります。しかしとれるだけとろうということは相手のあることで、向う側の勘定に合わないことになつて来るのであります。代償を求められても金や物でお返しができなければ、当然血や肉や命までも捧げるよりほかしかたがないことは、やむを得ない道理であります。この実例は先に述べましたイギリス、イタリア、フランスがその実績を証明しているのであつて、独立の基礎の弱い日本ではもつと悲惨なことは想像に余りあるものがあります。もともとアメリカ人を神や慈善家と思うことが根本から間違つているのであります。アメリカはすぐれた資本主義の持主であり、その行動の底を貫く精神は、いつも自己の勘定に合うか合わないかの判断に立つているのであります。MSAだつてアメリカが一方的にただで物や金をくれる法律でないことは自明の理であつて、われわれがかかる危険な援助を承認できないゆえんであります。 さらにわれわれがここに反対の理由を強調することは、今日の職事は昔日の様相とまつたく異にし、原爆から水爆へと恐るべき兵器生産が次から次へと発展して、人類滅亡への最終戦の段階に追い込まれているのであります。過日ビキニの水爆実験の結果は、日本の食糧生活に多くの不安を与え、漁民日本の前途に一大障害を与えていることは、平和な時代にさえ世界にこれだけの脅威を与えているわけであります。かつてニクソン副大統領は、日本において平和憲法をつくつたことは大きな過ちを犯したと言つて日本の再軍備をしいる材料にしているのであります。だが今度の漁民に対するアメリカ政府の態度こそ、われわれ日本人は反省をする必要があります。また竹馬の上に乗せられた日本の貧弱な経済だからといつて、わずかばかりのMSA援助のために、これ以上日本人をモルモット化することは辛抱できないのであります。(拍手)われわれは敗戦国になつたが、アメリカ一辺倒外交のため、この上すずめの涙ほどの経済援助によつて、あの悲惨な戦争への危局へしいられ、かつ八千五百万国民が広島、長崎のような、被爆をこうむる度を増すことを容認することはできないのであります。かかる意味においてわれわれはこのMSA予算について断固として反対するのであります。 これをもつて討論を終ります。
○倉石委員長 小平忠君。
○小平(忠)委員 私は日本社会党を代表いたしまして、昭和一十九年度特別会計予算補正に対しまして絶対反対の立場を明らかにするものであります。 政府はMSA協定に関しましては、昨年の六月このことが国会おいて問題になりましてから、終始一貫このMSA協定に伴いますその実体は、軍事援助に限らず、日本の経済自立のために日本の経済の発展に寄与するという観点から、経済援助も含まれるということをしばしば国会においても明らかにして参つたのであります。しかるに先般衆議院においてその承認を見ました内容は、まさに軍事援助であると断定いたしましても過言でないと思うのであります。さらにこの二十九年度特別会計も補正いたしまして、ただいま上程され討論されておりますこの内容につきましては、特に、二十九年度本予算審議の過程において、政府は断じて補正予算を出すということはないということを、その審議のさ中に、さらに先般衆議院におきます予算通過の際においても明らかにいたしている。ところがこの本予算審議のさ中においてこの補正予算を提出するに至つたということは、いかに政府当局の無定見さを私は暴露いたしたものと申し上げても過言でないと思うのであります。さらに私はこの援助の前提となつておりますMSA協定の実体につきましては、本委員会並びに本会議においても、われわれの態度はすでに明らかにいたしておりますから繰返して申し述べることを省きます。さらにこの補正予算の内容となつておりまする余剰農産物買付に関しまする実体につきましての内容につきましても、この際省略いたします。 ただ私はこの際きわめて重要なる点を指摘いたしまして、わが党の能度を明らかにせんとするものであります。すなわち、このMSA小麦買付がわが国の農業生産、特に小麦生産をますます停滞せしめて、わが国の食糧農産物需給を米国の農産物需給圏の一環に組み入れてしまう重大な契機となることを明らかにせざるを得ないのであります。これに呼応いたしまして、このMSA小麦輸入代金の二割相当額に及びますところの経済援助の支出使途は、工業力強化の名のもとに、防衛関係産業のみに限定いたしまして、わが国工業の軍事化を実質的に強制しているものであると断じてもはばからないと思うのであります。 さらに政府の昭和二十九年度予算編成方針は、緊縮財政への方向転換を口にしながらも、防衛関係費、特に保安庁費の大幅増額をはかつて、MSA受入れの準備を進めたのでありますが、かかる政府の方針はいよいよこの特別会計補正において露骨になつて来ておるのであります。すなわち、わが国の財政支出以外の資金によつて、わが国の農業生産並びに工業生産の双方の基本的生産部門にわたつて、強力な悪影響が及ぼさんといたしておるのであります。 この経済援助支出の及ぼす影響について見れば、昭和二十九年度予算による民間産業に対する財政投資は六百五十億に削減され、基礎産業以外はほとんど投資対象から除外され、わが国経済自立に必要なるところの投資も繰延べされているときにあたりまして、われわれは防衛産業のみに対して、三十六億円に達する融資の必要を日本経済建直しの途上におきまして何ら認め得ないのであります。 しかもこの三十六億円の融資は戦後のわが国財政が、乏しい財源のうちから営々として基礎産業建直しのために支出して来た財政支出実績を踏みにじつて、わが国経済の自主性を喪失せしめ、わが国産業を米国の経済力のもとに従属化せしめんとする意図を持つものであります。われわれは日本経済の自主性を守り、米国経済への従属化を防止するために、私はこの経済援助特別会計に対しましては断じて反対をいたすものであります。 きわめて簡単でありますが、率直に反対の理由を申し述べまして、わが党の態度を表明するものであります。(拍手)
○倉石委員長 中原健次君。
○中原委員 私はただいま議題になつております特別会計予算に対しまして、反対の意見を申し上げるものであります。 この特別会計予算に盛られておる内容を見ますと、一見わが日本の工業力の増強のために投融資をするということになつておるのであるが、しかしいまさら吟味するまでもなく、これはMSAの協定にその根を発しておるし、なおそれだけではなしに、MSAの協定を吟味するならば、当然その源となつておるものは一九五一年の九月に、サンフランシスコにおいて締結を見たいわゆる両条約の示すところに従うてこの協定がなされておる。従つてアメリカと締結をしたこの平和条約並びに安全保障条約がさし示しておりますように、わが日本の国をアメリカの帝国主義的な世界支配の手先として使うために、このMSA協定が提起され、そのMSA協定の目ざしておるところに従うてこの予算が行使されようとするのであろうことは、いまさら議論の余地がないのであります。しかしながらわが日本国民は、この協定に基く特別会計予算を示されたときに、ただちにだれもが期せずして一つになつて示す反対の意思表示は、わが日本の国土を再び戦争の危険な状態の中に追い込むことに反対である。わが日本の愛する民族を戦争の禍中に投げ込むことは反対である。このことは全国民言葉を一にして叫ぶであろうことは、いまさら指摘するまでもないのであります。従つて、だからこそ私はこのような恐るべき予算に対して、わが日本の民族と国十とを犠牲にするような、その方向をさし示すこの予算に対して、絶対に賛成をすることができないのであります。私どもはわが日本の国土の永久の平和と安全のために、国民生活のよりよき向上のために、この重大なる段階において、断じてわが日本の国が独立をわがものとしなければならないことを強調するものでありまして、そのような見地から考えるならば、このような予算に対してどのような巧妙なる言辞を弄そうとも、これに同調することはできないものであります。このような観点から本予算に対しまして、わが日本の国土を愛するすべての日本民族の立場から反対の意思表示を強く主張するものであります。 以上の観点から本案に対しまして反対を表明いたします。
○倉石委員長 これにて討論は終局いたしました。 これより昭和二十九年度特別会計予算補正(特第1号)について採決いたします。右の原案に賛成の諸君の御起立を願います。 〔賛成者起立〕
○倉石委員長 起立多数であります。よつて昭和二十九年度特別会計予算補正(特第1号)は原案の通り可決いたしました。 委員会報告書の作成は先例によつて委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○倉石委員長 御異議なしと認めます。よつてその通り決しました。 これにて議事は終了いたしました。御協力ありがとうございました。 本日はこれにて散会いたします。 午後零時二十分散会 ————◇—————