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19回国会衆議院1954/04/14

予算委員会 第29号

発言数
201
登壇者
22
会派数
7
開催日
1954/04/14

会議録

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。理事今澄勇君が委員を辞任いたしましたので、理事の補欠を選任いたしたいと存じます。先例によりまして委員長においで指名するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 御異議なしと認めます。それでは小平忠君を理事に指名いたします。     ―――――――――――――

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 昭和二十九年度特別令計予算補正(特第1号)を議題といたします。質疑を継続いたします。高橋圓三郎君。

高橋圓三郎自由党

○高橋(圓)委員 私は当面の最も重大なる政治問題になつております保守新党の結成につきまして、総理大臣にお伺いをいたしたいと思つておつたのでありますが、本日は総理大臣の御出席がございませんのでその点は省略いたします。ただこの機会に、政府に対して希望を申し述べておきたいと存じます。  わが国の政界が過去相当の期間にわたつて常に混迷、不明朗な状態を続けておりましたことは、国家のため、はなはだ遺憾なことであり、また大なる災いであつたと思うのであります。自由党の声明にもありますように、これまで国会のたびごとに、政府の提出した予算あるいは法案等がいろいろな形で、常にほとんど例外なく修正等を受けまして、もちろん政党の立場上やむを得ないことではありますが、しかしながらその結果として一定の方針に基く均衡のとれた政策を行うことができないというふうな状態が長く続いたのであります。結局政府は、常にその政策実行の上でジグザグの道を歩かざるを得なかつた。そのことが結局国民に対して、政治上の一定の見通しを与えることができない。経済界等におきましても、そういう政府の政策についての見通しを得ることができない。そういうことが大きな不利をもたらしておつたということは、これは争えない事実であります。私どもはこの多年の政治不安、政局不安の根源であるところの保守政党の勢力を結集いたして国会の中に強力なる政治勢力をつくり上げる、これが何事をおいても刻下の最も重大なる問題であり、かつすみやかに解決を要する問題であるということを多年感じて参つたのであります。このたび自由党が大きな決意をもつて、自由党の総裁である吉田首相が、総裁としての立場から大勇断をもつてこの保守新党結成の方針をきめられたことは、国家のために私どもは非常に喜びとするところであります。昨日あたりも河野君の御質問の中には、いろいろな御意見もあつたようでありますが、私どもはこの新党結成の運動が必ず成功することを強く確信いたしておるものであります。今日野党の中にも、少くとも保守政党の間におきましては、私どもと憂いを同じくする人々が多数あることを信じて疑わないのであります。どうか政府におきまにしては、国家のため国民のため、またわが国の経済その他の諸般の国力伸張のためにも、刻下国政の根本問題として、この新党結成が成功するように全力をあげて努力せられんことを、この際切に希望いたすところであります。  続いて私は、現在議題となつております昭和二十九年度特別会計予算補正(特第1号)につきまして、若干の質問を申し上げたいと思つております。  本特別会計は日本とアメリカ合衆国との協定に基いて贈与せられる一千万ドル、三十六億円をもつてする特別会計でありますが、最近通産省あたりの御計画として伝えられるところによりますれば、来年度においてはさらに現在の小麦買受高五千万ドルを一億ドルにふやしたい。かつ贈与の率も現在の二〇%を三〇%に引上げて贈与を受けたい、こういうような御計画があるように思います。本年度においては三十六億でありますが、もしその政府の御計画が合衆国のいれるところとなりますならば、約百億前後の資金がこの特別会計に入るわけであります。それで私はこの特別会計の資金がいかなる方面に使われるか。先般来の通産大臣の地方におけるお話等を新聞紙上で拝見いたしますと、主として航空機及び車両工業に融資をするというふうな御意向が出ておつたのであります。私は航空機、市両工業は、もとより今日ことにわが国の軍需生産を助成する上で最も優先的に考慮さるべきものであるとは考えますが、しかし現在の兵器産業に関しては、御承知のように財界においてかなり厖大な計画がせられておる。ことにこの特別会計の資金を目ざして各方面でそれぞれの思惑によるような計画が立てられ、それが漠然と合計されたようなきわめて放漫と申しますか、えてかつてな計画が民間でつくられております。これもこの資金を目途として計画を立つておるように見えるのでございます。現在わが国でやつております兵器生産設備等については現在でも相当の設備があるし、工業としてもそう高度の工業でもないのでありまして、これらのものをただ一時の経営を助けるというような、一歩誤れば、それらの事業の救済になるかもしれない方面に投資せられることはいかがかと存じます。むしろこれは最も根本的な産業、たとえば機械工業であるとか金属類の素材、材質等の試験研究をする方面にある程度使う必要があるのではないか。そういう基礎的な試験研究または基礎的な産業が発達しておりますれば、アメリカが戦争が始まつてから急速に尨大な軍需産業を打立てられましたような事実もございますし、また実際その通りでありまして、基礎的なものができておりませんければ、いたずらに部分的にあるもの、ある兵器、ある種類の武器というようなものだけをやりますと、ちようど日本が第二次大戦当時犯したような、兵器産業の特殊なものだけが発達して、全般の基礎的な研究、試験というような研究の礎基がない、いわゆる頭でつかちと申しますか、片寄つた産業の発達になつてしまう。今日日本の産業の方向が、かつて戦時中に考えられましたような、一にも二にも軍需産業第一主義でやつた、ああいう方向に誤つて行くべき時期ではもちろんない。これはもとよりみなが認めるところではありますが、ややもするとそういう傾向があるように私どもは考えるのであります。企業家の中には、戦争中に軍需工業で政府の命令融資か何かで金の心配もない、もうからなければすぐ政府から価格を引上げてさえもらえればどんな放漫な経営をやつても成り立つ、本来の企業経営の考え方からいえば、ほとんど常識で考えられないような企業の経営に長く携わつてしかもあぶく銭をもうけて来た人がある。こういう考え方の企業経営者が今日わが国には非常に多い。このことは軍需工業という声が出ただけですぐにそれに飛びつきたがる、そこには必ず甘い汁があるというように考える一種の変態的な企業経営者がかなり多いのであります。これらのことは特に当局において十分御留意になり、この資金の運用に誤りのないようにしていただきたいと思います。その点でこの特別会計は大体投融資に限られておるようでありますが、この際投融資だけでなく補助助成の面にもこの金を使用されるというお考えがあるかどうか、この点お伺いいたしたいと思います。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○愛知国務大臣 全般的にただいま御指摘の点は、まことにごもつともに考える次第でございます。第一に来年度以降についてどういう見通しかというお話でございますが、これは御承知のようにアメリカ側からはまだ具体的に正式に話はございませんが、大体大統領の予算教書等に明らかにせられております十億ドル三箇年計画というものを情報として、私どもはそれを基礎にして、日本としてはこれに対してどういう態度をとるべきであろうかということを寄り寄り研究をいたしておるわけでございます。まだ具体的に来年度は百億になるかどうかという点については、はつきりいたしておりません。  それから現在の三十六億円の使途とも関連いたしまして、これは補助助成その他についてどういうふうに考えるかというお尋ねでありますが、MSA援助の一環としてこの贈与がきまりました関係もございますから、主として防衛関係の産業に対する開発銀行を原則として通ずる融資ということで、ただいまのところは研究をいたしておりますが、兵器類、航空機等の試作等に関連いたしまして、これらに対して融資だけで十分目的が達し得るかどうかという点につきましては、研究をいたしておるような次第でございます。  なおお尋ねの中にございましたが、これらの使用方法については十分慎重にという御意見でありましたが、この点は私どもも次のように考えまして、遺憾なきを期しておるような次第であります。それは防衛産業にいたしましても、さしあたりのところは昭和二十九年度中に予想される保安庁からの発注が確実であるもの並びに域外発注等外国からの発注の確実であるもの、これらについて重要であると認められる設備資金等に重点的にこれを投入すべきものでございますが、原則としてこれは開発銀行を通す融資ということで、いわゆるコマーシヤル・べースを中心にして考えて参りたいと思つております。

高橋圓三郎自由党

○高橋(圓)委員 この機会に外務大臣にお伺いいたします。この経済措置に関する協定の第一条第一項に「アメリカ合衆国政府は、日本国の工業の援助のため、及び日本国の経済力の増強に資する他の目的のため」という文字があるのでございますが、私はこの資金を使用する範囲は、必ずしも兵器産業あるいは防衛産業には限られておらない、少くとも協定文にはそうなつておらないと思うのでありますが、そういうふうなある了解事項か何かの中に、兵器産業に限るというような何かおとりきめがあるのでございましようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは元来アメリカの基本法である相互安全保障法によりますと、小麦等の買入れ資金は防衛関係の資金から、米国政府がこれを防衛の役に立つように使うのだということが法律の面に明らかになつております。それから元来MSAつまり防衛関係の援助をする法律の中にこの一部がありまして、当然防衛関係の意味でMSAの中に入つているのであります。また事実上日本といたしましては域外買付等に応ずるためにも、必ずしも今の防衛産業の規模は十分でないのでありまして、今後拡張をしなければ域外買付にも十分応じ得ないわけであります。従いましてこれを防衛に関する工業に使うということに書き改めても、実は実質はおかしくないのでありますけれども、われわれといたしましては将来のこともありますから、なるべくこれを一般的な文字にいたしておきたい。今回は実質上防衛産業だけといたしましても、将来また何かの場合に、  一般産業に対する目的に使い得るような道も多少は開いておきたいという意味から、特に一般的な字を使つたのであります。今回の場合におきましては、これは防衛産業に使うことが適当であり、また当然そうなるべきだ、こう考えたのであります。

高橋圓三郎自由党

○高橋(圓)委員 そうしますと、アメリカの基本法の上では防衛に限られておる、防衛力を補助、助成、助けるという意味で基本法ではそう限られておるというのでありますと、ここに特に「経済力の増強に資する他の目的のため」という規定をこの協定にいろいろな考慮からお入れになつたということでありますが、基本法にそういう規定がある以上、この協定だけにお入れになつたことは、あまり意味がないのではないかというふうにも考えられますが、そういう御心配はありませんか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 基本法はアメリカの法律でありまして、われわれとしてはこれに拘束されるわけではありません。日本政府としてはこの協定が関係すべきものでありますから、基本法ではなるほどそうなつておりますけれども、この協定にそうなるということは、多少の意味があるかもしれぬということであります。

高橋圓三郎自由党

○高橋(圓)委員 第二項に「アメリカ合衆国政府は、アメリカ合衆国の軍事援助計画を支持するための日本国内における物資及び役務の調達のため、当該円資金の残額を自由に使用することができる。」、この四千万ドルでありますが、この四千万ドルは日本国内におけるいわゆる域外買付のために全額が使用されるので、他に使用されるようなことはないのでありますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはその通りでございまして、他に使用されることはさしあたりございません。

高橋圓三郎自由党

○高橋(圓)委員 この規定には必ずしもそういうふうにはつきりしておりませんが、大体今の外務大臣の御答弁通りと考えてよろしゆうございますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 この規定におきましても、「アメリカ合衆国の軍事援助計画を支持するための日本国内における物資及び役務の調達」こうなつておりますので、これは簡単に申せばやはり域外買付になるのであります。

高橋圓三郎自由党

○高橋(圓)委員 わかりました。それからこれは先般質問がありまして外務大臣お答えがあつたかと思いますが、この特別会計についてはアメリカ人の顧問等が就任するようなことはないのでございましようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 そういうことは全然ございません。

高橋圓三郎自由党

○高橋(圓)委員 それから投資の保証に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定についてひとつお尋ね申し上げたいと思います。  この保証を考慮されるものの中に当面政府が予想しておいでになるようなものがございますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 具体的にはまだございません。またこれはアメリカ政府側からこれこれのものを保証したいと申し出た場合に、日本側でこれに応ずるわけでありまして、それが日本の産業に役に立たないと思えば保証をする措置をしなくてもいいわけであります。まだこれは参議院を通つておりませんので成立しておりませんためもありましようが、まだアメリカ側から具体的には申し出ておりません。

高橋圓三郎自由党

○高橋(圓)委員 これは一々お尋ねすると御迷惑でありますから、この点について二つ、三つ一緒に御答弁をいただきます。  第二条の第一項に「日本国政府の与える補償額が」という文句がありますが、これには保証の場合には日本国とアメリカ政府両方が保証することになつておりますのかどうか。もう一つはこの協定に基いて保証を受けるものの範囲は、いわゆる防衛産業に限られるのでありますかどうか。それから日本政府とアメリカの政府両方が保証をするというのであれば、その保証はどういう割合と申しますか、その保証の責任はどういうふうになるのでありますか、そういう点もお伺いいたしておきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは例をもつて申し上げた方がわかりやすいかと思うのであります。たとえば日本の自動車工業に対してアメリカの民間の自動車会社が投資したと仮定いたします。そこで普通ならば、日本政府が承認して、そのうちの元利を毎年アメリカにドルで送ることを認めると仮定いたします。ところが日本の外貨事情が悪くなつて、国内の円では利益が上つておるけれども、ドルの送金をとめたといたします。そのときにアメリカ政府はこの民間の自動車会社に対してドルによる保証を与える、そうするとアメリカの民間会社は予定した収益が上つて財産はアメリカ政府に移転される、そのときに日本政府は、この国内にあるアメリカの投資財産をアメリカ政府が継承することを認める、そうして円による収益はアメリカ政府がそこに持つ。従いまして、第一に申しますと、日本の補償額というのは、要するにアメリカの民間投資が国内で投資しました財産に対してこれを決して没収したり何かしない、そしてアメリカ政府が民間会社と契約して、これを譲渡して受取つた場合には、この財産をアメリカ政府の財産として認めてやるという程度の保証をいたすわけであります。それから従いましてこの財産の種類は軍需産業には限りません。日本政府の認めて有益だと思つて外資を導入した工業に対しては何でも一応かかるわけでありますが、その中でアメリカ政府が、この投資については自分が万一の場合保証してやると約束したということを日本に通告しますと、日本政府として、それでよろしいといつた場合に適用される。それでアメリカ政府が何でもかんでも保証するとは言いません。これは法律によつて種類がきまつております。その範囲において日本政府も万一日本が外貨市場でドルを使うことを認めない場合には、アメリカ政府に対して、そういうことをアメリカ政府がやることを承認するということを言うのでございますから、額についても投資顔を限度といたします。それから種類についてはいかなる産業にも適用はあるわけでありますが、そのうちで日本政府が承認したものだけに限られるわけであります。これは日米通商航海条約ですべてのものにアメリカ側は投資できないのであります。一定の除外例があります。これこれは投資できないということになつております。その残りでも外資委員会等で、これは日本の外貨を外に持つて行かれるほどの役に立つ事業でないと思うならば、そういう投資を認めない。そういうものはまた除外されるわけであります。日本政府が認めた範囲の投資に限られるわけであります。

高橋圓三郎自由党

○高橋(圓)委員 これは大蔵大臣あるいは外務大臣でもお答え願えばけつこうですが、この小麦の輸入価格は先般のどなたかの大臣の御答弁では、国際小麦協定の価格によるからして特に不利益ではない、アメリカのMSA法では国際価格の最高の価格によるというふうになつておつたかと思いますが、それは要するに小麦協定の価格によるとある、従つて特に日本に不利益はない、こういうお話であつたと思いますが、最近御承知のように国際小麦協定の価格もそうでありましようが、全般的には農産物価が国際的に暴落している状態でありますが、今日の状態において特に価格上の不利益があるようなことはないかどうか、この点お伺いしたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはアメリカの規定の上では一般市場価格の最高価格ということになつておりますが、市場価格ということに割にゆとりがあるのでありまして、つまりアメリカの国内で援助して高くしている価格が必ずしも一般市場価格というわけではないのでありますが、しかしいずれにしましても今度の協定におきましては、先方と話合いの結果、一般市場価格の最高価格というものを改めまして、実際上はアメリカから補助金を出して国際小麦協定の価格と同様にするということになりました。ただいまおつしやるように小麦の値段等は少し下つておりますけれども、しかしまだ小麦協定の価格までは下つてない。ことにアメリカでは非常に高い値段を示しております。従いまして小麦の値段というものはまだ世界においては一番低い価格ということが言えぬと思います。アメリカ側はそこで補助金を出して値段を下げて日本に譲り渡す、こういうことになつておりますから、特に御心配の点はないのじやないかと思います。

高橋圓三郎自由党

○高橋(圓)委員 もう一つは、この輸入される小麦の量、これは条件が大体の通常の輸入額の上にプラスになる輸入でなければいけない、通常外国から日本が買うはずの輸入額の中をこれで満たすというのではいけない、こういうことになつておつたと思います。そういたしますと、理論的に考えますと、これはもちろん米国自身及び友好国の貿易を妨げないというようなことを考慮してそうなつているのでありましようが、その場合に日本の輸入の通常必要な計画量以上でなければならないということになりますと、これは先般野党の諸君からたびたび内地の小麦を圧迫するのではないかという資問がありましたが、理論的にいいますと、計画輸入量に影響はさせないということで、しかも新たにそれだけを輸入する。こうなりますと結局小麦の消費量を何らかの方法によつて政府が国内でふやして行くということを考えておられるのでなければつじつまが合わないようになる。これはもつとも農林大臣にお伺いしなければならないかと思いますが、この点、外務大臣に伺いたい。あるいはもちろん日本の通常の輸入量というものも一定不動のものではないのでありますから、この規定と申しますか、それがそう厳重に適用されぬのであるという何かお見込みといいますか、そういう何か了解といいますか、そういうものがあつて、大した支障にはならないという何か根拠がありますれば外務大臣に伺いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは農林大臣からお答えするのが適当かと思いますが、日本が通常に輸入している小麦の量と申しますのは一般に認められておりますものでありまして、たとえば国際小麦協定に基いて輸入する百万トンであるとか、あるいはアルゼンチンとのパーター協定によるものであるとか、そういう種類がきまつておりまして、ことしの輸入量全体を見ますと、まだ日本の裁量によつてどこから買つてもいいというものが相当あるわけです。これは国際マーケットの一番安いところから通常買つておりますが、日本でことし輸入する全量が日本の通常輸入量ではございません。日本の通常輸入量というものは、それよりかなり下まわるわけであります。従いましてこれを輸入してもほかの通常輸入量を減らすということはないのであります。従いまして少くともことしは昨年の不況によりまして小麦の需給計画を立てているその範囲内で入つて参ります。従いましてその点でもさしつかえないと思います。また国内では御承知のように小麦については生産者から希望があれば幾らでも買うことになつておりますから、従つてその点でも生産者を圧迫することはない。こうただいまわれわれは考えております。

高橋圓三郎自由党

○高橋(圓)委員 それでは通産大臣にお伺いいたします。政府が一兆円予算を組まれて、そうしていわゆる超均衡財政といいますか、超緊縮予算を組まれまして、物価の引下げを推進して行く、そうしてわが国の輸出の振興をはかり、国際収支の改善をはかつて行く、こういう方針で非常な決意を持つてやつておられますことは、私どもも非常に多とするところでありますが、今日までのところでは、主としてまず予算の面で国費を節約する、一方では金融の引締めをかなり強硬に実施せられまして、相当の効果を上げておられるとは思います。しかしながら金融の漫然たる引締めだけでやつておられました結果が、最近は多少いろいろと通産省あたりでも大蔵省でも特殊の面に考慮を広げて行かれておるようでありますが、漫然とした金融の引締めを強行されます結果は、結局信用度の比較的低い中小企業の面にだけその引締めのしわが寄せられる。そうして銀行とつながりのある、このごろよくいわれます新財閥といいますか、いわゆる系列産業及びその系列産業の下請産業、直接の関係のある産業、そういうものには大してしわが寄らない。そういう関係のない、何といいますか、独立の中小企業者の面にだけ――だけとは申せませんが、主としてその方面に圧力が加わつている。しかもその結果はどうかといいますと、引締めを非常にやかましく言い、銀行の窓口は非常にうるさいことを言う割合に引締めの効果が上らない。いわゆるオーバー・ローンというものは一向減らない。あれほどやかましく言つておるのに、日銀の貸出しというものはだんだんふえて行く。それはどういうところに原因があるかといえば、結局私は系列産業といいますか、従来の市中銀行と――変な言い方かもしれませんが、いわば一種の腐れ縁のあるような産業、腐れ縁ばかりではありますまいが、そういつた産業の方には従来通りに金が流れておる。これは最近特に通産省においては御心配になつて対策をお講じになつておるようであります。大蔵省でも御尽力をなさつておるようでありますが、不要不急とは言えないかもしれませんけれども、きわめて巨額の資金が日本の設備融資として出されておる。これは最近伺えば二十八年度の約六千億円から千四、五百億円を減少して、四千五百億円程度に圧縮するというようなことで、最近ではそういう点を御考慮になり、御尽力をなさろうとしておるようであります。少くとも今日までの金融引締めの結果は、弱い面にばかりしわが寄つて行つている。そのために、これはしばしば言われたことでありますが、不渡り手形の続出、最近では、ごく最近は三月以来ややおちついた状態でありますが、今年に入つてから不渡り手形の数は逐月増加をいたしております。二月は大体千二、三百枚、三月は千六、七百枚、千六百枚以上の数になつておる。そういうような状態でこのまま推し進めて行きますならば、外国に比してきわめて数の多い日本の中小企業というものは全滅してしまう。企業自体は非常に健全と申しますか、従来通り何ら変化なくやつておる。当面の景気とあまり関係のないような企業である。それだのにただ銀行が引締めをやつたというだけのために不渡りを出す、倒産するという企業が現にかなりあるのである。銀行が今まで通りやつておつてくれれば倒産しない。いわば銀行の金融引締め政策だけのためにその会社がつぶれる、こういうものが現実に相当あるのであります。これらのことは十分この上とも深く意をとどめていただいて、さような不自然な金融政策のために企業ののどを絞めて、絞め殺すようなことに結果がならないように十分の御留意を願いたいと思います。  ただいま申し上げましたのは希望でありますが、大蔵大臣がおいでになりませんので、大蔵大臣に対する質問を保留いたしまして、私はこの機会にいま少しく通産大臣にお尋ねをしておきたいと思います。日本の現在の企業経営者が、追放等の関係もありまして、きわめて不適格な人たちが大きな企業の経営の責任者になつている場合が非常に多いように私は思うのです。これは戦後アメリカの示唆によつてなされたかと思いますが、商法の改正をやつて資本と経営の分離というようなことをやられたのであります。この法律の改正による資本と経営の分離そのものは大したことはないと思いますけれども、過去の長い経験のある経営者が追放になつた等の関係がありまして、この企業経営が非常にふまじめになつている。政府ではたとえば資本蓄積というようなことを非常に考慮されて、そうして法人所得税を引下げる――税金が高いから日本では資本の蓄積ができないのだという考え方なり意見がかなり行われ、財界方面から特にそういう声が年中行われている。ところが税金を引下げたからといつて、資本の蓄積がちつともふえて来ない。これは日本の法人所得税が特に高いからではないと私は思う。アメリカの法人所得税も相当高いので、これは前から引下げの意見がしきりにあるのでありますけれども、日本はたしか四二%でしたが、アメリカは一〇%ぐらい高いはずです。ドイツあたりでも法人所得税は相当高いものです。けれども、企業経営者が真剣になつて、労働者から経営者に至るまで真剣になつて企業の経営に努力すれば、税金が高いから蓄積ができないということはないはずだ。現実に日本においても、われわれの知つております産業で、あのもつともつと税金の高い時代から、原則として絶対に脱税はしない、これはある意味でなかなか頑固な信念のある経営者で、そういう方針でやつている。それは有名な人でありまして、個人も私はよく知つている。名前を言えばよくわかるが、そういう産業が私の知つておるだけでも少くとも二つぐらいあります。これらは日本でも模範的の状態になつておる。新聞に出ておる考課状を見ておると、実に驚くようなりつぱな経営をやつておる。いわゆる戦後派の今日の日本の企業経営者がただ税金の高いことに籍口して、利益を出せば税務署に持つて行かれるだけだというようなりくつにもならぬことを言つて、会社の金を浪費しておる。今資産再評価といわれておりますが、私が申し上げるまでもなく、今の日本の会社の利益とか配当とかいうものは、全部いわゆるたこが手足を食つておるのと同じで、非常に少く見積られ、評価されておる資本に対する利益を計上しておるだけでありまして、ほんとうに厳格にいえば利益など上つておらないと思う。それらの点につきまして、申し上げたいことはいろいろございますが、通産大臣は、特に法律をもつてどうするこうするということは、いわゆる統制経済でありませんからあれでありますが、政治的な指導力を発揮せられて、現に金融引締め等から逐次そういう影響は出て参りましようけれども、通産大臣として何か今日の企業経営者に大きな警告を発しその反省を促す、あるいは緊張をせしめるというようなお考えを持つておいでになるかどうか。政府として何らかこれらに対して指導と申しますか適当の措置をおとりにならなければ、政府がいかに一生懸命に努力をされても、実際の物価の引下げ、企業の合理化というようなことが容易に実現しないのじやないか、かように考えるのであります。  またもう一つ、公認会計士制度というものがもつとしつかりして行きますれば、これらの面にも相当の効果があるかと思いますが、現在のところでは、制度が新しいためか、ほとんど会社の雇い人のような形になつておりまして、力を発揮しておりません。これらのことについても、何か公認会計士制度などを改めて、そうしてこういうものを大いに活用して行くというお考えがないかどうか、この機会に通産大臣にお伺いをしておきたいと思います。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○愛知国務大臣 企業の健全な経理を御提唱いただきましたことは、私どもとしてはまつたく御同感でございまして、御承知のようにこれまで政府として考えましたところも、たとえば税制の面におきまして、ただいまお話もございました通りに、まず資産再評価を強制するという考え方から、先般国会におきましても御審議を願つたわけでございます。企業経理の内容を合理的にする、それから資本の構成を合理的にするということによつて、小額の資本に対して不当に高額な配当等をすることは、一方において賃金等に対してもやはり不等な要求の余地を残すことになりますので、この点を是正いたしたいと考えまして、あのような法律案の御審議を願つたような次第でございます。その他の方面におきましても、今回の一連の税制の改正の面におきましては、その思想をいろいろの方面に打出しているつもりでございまして、これはいろいろの準備金、積立金等に対する優遇の措置でありますとか、あるいはまた観点をかえて申しますと、輸出についての税制上の考慮でありますとか、あるいはまた中小企業等に対しましては、特に地方税等にわたりましても相当のくふうを加えたつもりであります。これらの点はただいま御指摘のような基本的な考え方に出たものでございます。  それからその次に、これは多少お尋ねの点とはずれるかもしれませんが、今後の企業のあり方について、特に貿易商社等につきましては、必ずしも各商品について総合的な経営をする大会社だけを申すわけではございませんが、たとえば特殊のいわゆるスペシヤリストというようなものも必要ではないかと思うのでありまして、これは政府が画一的な方針のもとに商社の統合強化を要請するというのではなくて、なかなか微妙な人為的な問題でもございますが、業界の方がそういうふうな考え方でいろいろの動きが出ます場合に政府は側面的にこれを援助する。またたとえば金融問題等におきましても、先ほどいろいろお話がございました通り、私どもは基本的な引締め政策はぜひ続けて行きたいと思いますが、現状はお話の通りまだ十分引締められておらない。他面においてはどうしても必要である有用なもの、あるいは努力を非常に積んでおるものが、一緒に引締めの対象になつておるというようなこともございますので、そういうような商社自体の強化というような努力が出て来る向き、あるいは企業の経営を合理的にやろうとするまつとうな努力のある向きに対しては、これを大いに育成するために、金融上の措置も緩和する積極的な、たとえば輸出金融の改善策を行うというようなことで、あわせてそういうふうな待遇をお受けになりますように、政府としては協力をして側面的な援助をして参りたい、こういうふうな気持でおるわけであります。

高橋圓三郎自由党

○高橋(圓)委員 輸出商社などの企業合同のお話が出ましたから一応申し上げておきますが、私自身も実は直接よく知つている商社等もございますが、これらの全部とはもとより申しませんけれども、われわれがよく知つているようなものであつて、しかも実際見ておるにたえないような無責任な経営をやつておるものがあります。それから銀行自身が一体どうしてそんな金を貸し得たかと思うような、簡単に言えば事務所の権利金とフアーニチユアあるいは電話ぐらいしか資産のないような会社に、何十億の金を一流の銀行が貸しておる、そんなことが常識でどうして考えられるか。昔のようなことであれば、そういう銀行は特に取付にあつてつぶれているはずである。それは一流銀行です。私はその銀行の内容も多少は知つておりますけれども、企業経営者のみならず、そういう銀行なども非常にふまじめである。それらの点につきましては、通産大臣あるいは大蔵大臣にも実は銀行関係のことでこの際御質問申し上げたいと思つておつたのでありますが、どうか十分御留意をしていただきまして、政府のせつかくの重大な施策がりつぱに効を奏しまするように、格段の御努力をこの上ともお願いいたしたいと思います。  最後に、今ちよつと労働関係のお話が出ましたが、今ドイツとオランダから炭鉱労働の組合長が来ておられます。その話がきのうの新聞かに出ておりました。それらの人の話を聞くまでもなく、御承知のようにドイツあたりではいわば労働休戦――休戦ではない、恒久的な労働平和が樹立されておる。日本でも実際は経営者がもつとまじめになり、そしてもつとりつぱな経営をやつてくれるならばそういう状態はでき得る。現在労働大臣が提唱してやつておられます労働協議会あたりでも中立の委員また労働組合側の委員の間でもそういう意見が間々出るようになつて来た。これは労働大臣の所管ではありますが、企業の面から行きましても、ぜひひとつ日本の労働問題をそういう方向に持つて行く、そうして日本で少くとも物価を安定さすという見地からいえば――これは労働協議会で中山会長なんかもそういう意見を現に述べておる。労働賃金が片つぱしから無理やりに上つて行くということでは物価が安定するはずがない。これらは政府が今意図しておいでになりますこの政策の根本をなす点であるとわれわれは考えます。どうかこれらの点にも、企業の面を監督と申しますか、御担当になる通産大臣にこの上とも十分の御努力、御留意をお願いいたしたいと思います。これは希望を申し上げておく次第であります。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 この際暫時休憩いたします。午後一時三十分より開会いたします。    午後零時二十一分休憩      ――――◇―――――    午後一時四十三分開議

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。  質疑を継続いたします。小峯柳多君。

小峯柳多自由党

○小峯委員 ただいま本委員会で審議をいたしておりますのは、御承知のように、MSA援助に関する贈与小麦の処理に関する特別会計でございます。私はこの際政府が積極的に方策を講ずるならば、こうした援助や贈与でなしに、海外にあります私有財産が、一応は死滅した形になつておりますが、あるいは生き返るのではないかというふうな感じがいたしますので、この際在外資産の扱いに関する政府の、また関係閣僚の所信をただしておきたいと存じます。  それは対敵取引法とか、あるいはまた戦時請求権法とか、平和条約の第十四条、十六条等によりまして、海外における私有財産は一応死滅した形になつておりますが、最近の内外の情勢は、私は必ずしも死んでしまつたものだとあきらめなくてもいいような感じがいたしますので、その間の消息を承知している限り申し上げまして、関係閣僚の御意見を伺いたいのであります。たとえば国内的な条件からいいますと、今貿易の伸長がやかましく取上げられておりまして、一兆予算というふうなものもその角度からやかましく議論されておるのでありますが、その割合になかなか貿易も伸びません。もつとも、新しい予算を組んでから日なお浅い点もありますが、その実績は上りません。この貿易の伸びない理由にはいろいろあろうと思いますが、その中の有力な一つの原因といたしましては、日本人の海外における経済的な足場が、在外資産を没収されておりますので、活発な経済活動をいたしますために非常な悪い条件になつていることも見落してはなるまいと思います。そういうふうな点を考え、また大蔵当局から大蔵委員会に出しております法案で、引揚者に対して、引揚者が所持しておりました送金小切手や預貯金を、五万円の限度で支払うようにとりはからう法律が出ていると記憶いたしておりますが、この問題なども在外資産との結びつきが非常に緊密なものがあろうと私は考えます。そういう点、また先ほど来申し上げますように、援助とか贈与というふうなものが盛んに待望されるのでありますが、事ほどさように海外における資産というものが、旱天に慈雨を求めるように要望されるわけでありますから、そんなことと合せまして、ぜひこの際政府も海外における在外資産に対しては新しい決意をもつてその扱い方を出直しをしなければなるまいと思うのであります。  一方海外の状態におきましては、先ほど申し上げましたような法律的な根拠によりまして一応は死滅いたしているとは言いますものの、なかなか奇篤た国々もありまして、平和条約できめておりますその規定にもかかわらず、ブラジルとか、チリーとか、あるいはセイロンというような国々は、日本人の海外の私有財産は返そうというような意思表示をしてくださつているやに承知いたしておりますし、またサンフランシスコの平和条約と別個に講和各約を結んだインドにおきましても、同じとりはからいをしているようでございます。またアメリカの議会における動きを見ましても、上院におきましても、下院におきましても、この問題が真剣に取上げられているように承知いたしておりますし、また海外に私有財産を保有しておりました民間会社等が相集まりまして、在米資産返還期成会というようなものもできておりまして、これがアメリカの国会に対する働きかけも積極的に行われているようであります。その在米資産返還期成会が主張しております理由は、私有財産は国家間の紛争と関係がないはずである。日本商社の在米接収資産は、多年にわたる平和投資の蓄積であつて、これが返還は日米友好関係を促進するものである。イタリア人の在米資産は、米伊講和条約締結後特別のとりきめに基いて返還されております。日米関係もこれと取扱いを異にすべきではない。またウオー・クレーム・アクトが――戦時請求権法でありますが、制定された当時と現在では日米関係が一変しているのであるから、この法律というものはむしろ改廃されるべきものであるというような理由でもつて活発に動いているように承知しております。  そこで私は以上のいきさつから、この際大蔵大臣と外務大臣に、これらの問題に関する確たる御信念なり御見解を承つておきたいのであります。今日日本人が海外に保有している――法律的には一応死滅しているわけでありますが、なお計算の上で保有しているものとされる額は、各国別にどれくらいになつているか、そうしてまたこの海外に保有する私有財産の返還に関するアメリカの議会における動きなどと関連いたしまして、日本の政府からも何か積極的に呼びかけるお考えがあるかどうか。ことに外務大臣は条約のことはもちろん専門でありますし、また非常に几帳面な方でありますので、以上申し上げたような、いろいろの法律で一応死滅したことになつておる私有財産に対しましては、申入れをしたり主張したりすることが非常に慎重であろうと私は思います。しかしすでにアメリカの国会における動きがあり、日本人の返還期成会が現にアメリカで動いておることでもあるし、また現に最近ドイツでは、日本と比べると相当額も多いようでありますが、この問題を正式に取上げて、アメリカ政府と折衝を始めているやにも聞いておりますので、これらを勘案いたしまして今後どういうふうな態度に出られるか、また今後どういうふうな考えでこの問題を処理しようとなさるか、それぞれの御分担でけつこうでありますから、大蔵大臣と外務大臣の御見解を承つておきたいと存じます。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 在外財産の問題につきましては、私どもの方としてもでき得るだけその返還がなされれば、これに越すことはないのであります。これは今小峯さんが言われたように、いわばサンフランシスコの条約等で、向うが随意にされて、何ら異存がないということを約束いたしておる等の関係もあり、権利としてかれこれ主張するという立場にもないのであります。しかし友好的な取扱いをする――国内法で自分が処理し得ますから、今お話になつたようなブラジルとか、チリーとか、パキスタンとか、あるいはインド、そういつた国々がそれぞれ原所有者に返還するという建前をとつております。ブラジルの分ははつきりしまして、大体八億円強になるかと思います。但しこの金は、一応今のところ向うで使うということになつておりますが、そういうことで返還してくれることになつております。インド、ブラジル、パキスタン、チリー等も国内法ではそうなつておりますが、ただいまのところ債権――債権ばかりではありません。債務も相当ございます。それはどういうふうになるのか、そういう点で私どもはつきりいたさぬ点もあります。あるいは外務省の方でははつきりしておるかも知れませんが、私どもちよつとはつきりせぬ点がありますので、もし私の申すことに間違いがあれば外務大臣から正していただきます。  それからアメリカには今どれくらいあるかと申しますと、各商社及び個人の報告を集計すると、開戦時現在で法人で約一億ドル、個人で約三千万ドルくらいと見ておるのであります。しかしこれはそれぞれの申出額をそのまま見たのでありまして、詳しく検討したわけではございません。なおアメリカは、今申し上げたそういう国内法で処理するということになつておりますので、また処理されればそれに従わなければなりません、それぞれおあげになりました法律で権利として何ら主張し得ませんが、しかし西ドイツ等がいろいろ交渉しており、またそういうよな点で国会等でもそういうものを返することが日本との友好関係においていいのじやないかという議論をされておる向きもあるやに聞いておりますので、正式にかれこれ言う筋ではありませんが内々いろいろ話をし合つてみればあるいはこういうものは以前の国際法じや認めてなかつたものでありますから、これは日本に返してやろうじやないかということになれば、日米の友好関係は非常に役立つものであり、やはり心あるアメリカ人ならば、こういうことでひとつ大いに日米友好を進めようという考えを持たれるのじやないか、かようにも考えておる次第でございます。ただ法そのままの建前からいうと死滅しておりますが、しかし法の建前ばかりでなく、やはりそこには絶えざる国際情勢の動きと、また人間同士のあたたかみとか、情味の動き、友好関係等の動きもございます。そういう点から私どもとしては、できるだけあらゆる機会にそれぞれの了解し合えるものは了解を得ることに努めて、在外私有財産をできるだけ日本人の方に返還していただくように骨を折りたい。またこれに対して外務省でも絶えずそういう心持で何らかの交渉をおやりくださつておると存ずる次第であります。  在外財産のことで一番大きな問題は、あの当時の金にして四千億くらいになるのでありますが、このごろは三百倍以上、三百五十倍以上といわれておりますので、その物価指数をかけましたら非常な数字になるでしよう。しかしこれは債権だけを申したのでありまして、大きなものは何といつても満州、朝鮮、台湾等が大きいのでありまして、そういうものを除きました分では、私はやはりアメリカの分が一番大きなものではないかというふうに考えております。もしそういう古い数字で一応申し出ただけで何ら査定を加えないでよいというお話でございますれば、いつでも小峯さんにお目にかけますが、今のところそれだけ差上げてみてもどうかと思われます。なお私が申したことが不十分である点は外務大臣からお願いいたしたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 大体ただいま大蔵大臣の言われました通りでありますが、ただアメリカにおける日本の在外資産としてアメリカ側で調査したものでは、不動産が主でありますが、約五千万ドルになつております。これは今小峯君がお話の通り、条約では放棄いたしております。またアメリカの国内法では、これをアメリカ側が接収するということになつておりますから、公式にまだ交渉する端緒はできておらないのであります。しかしダークセン上院議員等は対敵取引法を改正するということを米国政府に勧告いたしておりまして、大体上院における空気もそういうように見えますので、これは相当望みを持てるかと思つております。  なおお話のように、ドイツも同様の状況にありまして、イタリアと日本及びドイツとは、多少その間に違いがあります。というのは、イタリアは当時コベリジエレントといわれておりまして、エネミイではなくして、連合国とともに戦う側に立つておつたのであります。少しステータスが違つております。従いまして日独に比べては優遇されております。ただいまお話のように、ドイツ側でもいろいろ働きかけておりまして、ドイツ系のアメリカ人で有力者も非常にたくさんおりますので、この方面の働きかけに多分の期待を持つております。またドイツがかりにそうなりますれば、日本だけ除外というわけに参りませんから、日本も当然これに含まれると思つておりますが、日本側としましても、正式にこれは話合いをいたすべき筋合いのものではただいまございませんけれども、日本側に対するいろいろの同情者も多いことでありますし、また在留邦人も多いことでありますので、これらの方面を通じまして技術上の働きかけをいたすほかに、大使館においてもアメリカ政府と絶えず連絡いたしまして、その間の情勢を有利に導くように努力はいたしております。念のために申し上げておきますが、この五千万ドルになりますか、何千万ドルになりますか、在外資産があるといたしましても、それに対してはもちろん債務がありますのみならず、これを管理する費用も差引かれることは当然であります。それから太平洋戦争において被害を受けた軍人等も、いわゆるヴエテラソス・アソシエーシヨンでは、軍人等の救済にも相当これを使用すべきだという主張もありますので、そうなりますと、かりに返還されるとしても、中身も非常に小さいものになりますので、そういう点はたいへんデリケートな事情があるのであります。従つてわれわれとしてもできるだけ日本の利益になるように持つて行きたいと考えまして、その取扱いには十分慎重を期して、あまりに期待を多く持つてかえつてがつかりしないように努力いたすつもりでおります。

小峯柳多自由党

○小峯委員 ただいま大蔵大臣の御答弁の中にも国際公法上というような言葉がありましたが、近代戦争の建前から、敵産を没収して管理することは当然のことでありましようが、それはあくまでも管理なので、戦争状態の終つたときには、これは返すのが今までの国際法上の一つの習慣であるように承知いたしてあります。今回非常に異例な講和条約が結ばれて、それの関連において今お話のあつたような扱いを受けたのだろうと思います。少くとも私有財産を没収するということは、国際公法上から見ると異例な扱いであるというふうに考えますが、外務大臣その辺の御見解いかがでしようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは従来のやり方から見ると確かにかわつております。しかし従来はそのかわりに、戦争の結果多くの場合に、領土の割譲とか、賠償の要求とかが行われてあつたわけであります。その面で、むしろもつと大きな利益を獲得した例が多いのでありますが、今回の条約におきましては、特定の国を除きましては、賠償等の問額はもちろん出て参りません。領土につきましても、ポツダム宣言との関係以外にはないのであります。従いまして今の国際通念としては、むしろ無賠償、無併合という考えから、こういう戦争中に起りましたいろいろの費用のために、こういう種類の資産を接収するもまたやむなしというような新しい慣例が起りつつあるやにも考えられるのでありまして、必ずしも従来の、過去の例をもつて律しがたいと思つております。私有財産尊重ということは、米国側でも一つの基本的な考え方に織り込んでおるのでありますから、あるいは相当望みをかけても、問額が解決できるのじやないか、つまり解決できる方に望みをかけてもいいのじやないかと思うくらいでありますが、私としては、あまりむなしい期待を国民に抱かせないために、特に控え目に申し上げておるような次第であります。

小峯柳多自由党

○小峯委員 大蔵省が最近大蔵委員会に出しております法律案の中で、先ほどちよつと触れましたが、引揚者に五万円の限度で送金小切手や預金を払いもどすという案がございます。その中で正金銀行の分は、今、旧正金銀行の資産状態からいうと、とても五万円は払えぬということで、なかなか深刻な質問を村瀬君があなたに対してやつております。会議録で拝見いたしまして、非常にいい質問だと思つて興味深く読ませていただいたのでありますが、今のお話でブラジルが、八億円の金を現地で使う限りは日本に返すというとりきめをしておりますことは、この間通過いたしました為替銀行法でありますかあれで、結局東京銀行が、どういう形になりますか、新しい為替銀行として出発するのじやないかと想像されますが、当然正金銀行の資産などとの関連も生じて来ると思うのであります。八億円を現地で使わなければならぬというとりきめがありましても、新しい為替銀行の資産の振りかえといいますか、譲渡の形式等によりますと、私が先ほど指摘いたしましたように、正金銀行の支払いが非常に少額だということも直されて行くのじやないかという期待を持ち得るのであります。実は引揚者は、この問題をもう一日千秋の思いで待つております。たまたまきまつたから、正金関係は、何か村瀬君の計算によると、千数百円のように承知したのでありますが、今私が申し上げたようないきさつから、もしそれが実現するといたしますと、その可能性がふえて来ると考えてよろしゆうございましようか、大蔵大臣の御見解を伺つておきたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 あれは御承知のように、現存している銀行の分、閉鎖機関の分等がありまして、閉鎖機関の分のうち、台湾銀行、朝鮮銀行等は全額送金小切手につきましての五万円はもちろん、預金についても払えるのであります。ところが正金銀行の分は、たまたま内地資産が非常に少かつたということ等で――今後在外資産がもどつて参りますれば、それらの債権者に対して、いわゆる送金者、預金者に対して相当大きなことができますが、在外資産が主になつていたものですから、国内資産が少かつた結果として、この間の調べでは、送金小切手に対して朝鮮銀行、台湾銀行等は五万円払えるというのに、この方は千五百円ないし二千円――二千円は少し無理じやないかというくらいに見られるのでありまして、今のような御質問を受けたのであります。この点につきまして、実はまだこまかしく――外国との話は一応今の程度しか承知しておりませんが、たとえば今お話のごとくに、正金銀行の支店が今度ブラジルにできて、それが返つたら振りかえ勘定で行けるものかどうか、それが向うから見たときに、はたして向うの庶幾している期待に沿うものかどうか、振りかえ勘定で日本がとつてしまつたではないかという感じを与えますならば――ブラジルとの長い間の親交関係とか、あるいは今移民がたくさん行つている等の関係もありますので、これはもう少しよく話がついてから検討してみなければわかりかねると思います。ただ申し上げますが、どこでも在外資産がもどつて参りますれば――正金銀行は非常に大きな在外資産を持つておりますので、その時期までは、ほかの在外資産を持つた人とちようど同じような関係にあるもの、とこういう考え方をしていただくのが一番よいと思う。実はこの処置は、私ども非常に苦慮したのでありますけれども、さればといつて、朝鮮銀行、台湾銀行それ自体、そういう法人の分を取上げてそこにもまわすという法的な根拠を実は持つておりませんので、またさようなことができるものでもございませんので、ただいまお話のようなことに相なつている次第でございます。

小峯柳多自由党

○小峯委員 これで質問は終りますが、今の御答弁、非常に慎重な外務大臣の御答弁も、あなたの控え目な言い方を承知しておりますから期待を持つて伺つたのであります。アメリカで援助だとか贈与だとか盛んに言つてくれますが、もしほんとうにその声があるならば、むしろこういうものをあちらから自発的に率先して生かしてくれるような方法をとることが、日米友好関係を増進する上に非常に役に立つと私は思いますし、また自由国家群の私有財産擁護は一貫してかわらない主義、主張のように考えますので、そういう点からいつても、この私有財産をアメリカが寛大な気持で復活するような方法をとることが、自由国家群の結びつきを緊密にする意味からも非常に有効であるということを、私は国民の立場に立ちまして強く主張いたしまして、この質問を終りにいたしたいと思います。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 小山倉之助君。

小山倉之助改進党

○小山委員 私は、MSA問題を中心として質疑を試みたいと存じます。このMSAを中心とした外務委員会における質問応答は、まことに傾聴に値すべき重要なる問題に触れておるのでありまして、私は敬意を表する次第でありますが、なお明らかにしていただきたい数点の問題がありますから、この点について外務大臣の御意見をまずお伺いいたしたいのであります。  MSAの問題につきまして、海外出兵ということが非常に大きな問題となつたようであります。しかも政府は、この点についてはいつでも否定的でありまして、海外には出兵をしない、こういう建前でおられるようであります。しかしこのたびの相互防衛援助協定の中で、マンパワーに対してフル・コントリビユーシヨンをするという言葉があるので、マンパワーについて十分なる貢献をするというような言葉があります以上は、何らかそこに海外出兵というようなことも含んでおるのじやないかという気がするのであります。   〔委員長退席、小峯委員長代理着席〕 それはどういうわけであるかといいますと、御承知のノーランド上院外務委員長は、ある新聞に発表したところによりますと、インドシナにおける戦況は非常に悪い、しかしアメリカはこれに対して兵隊を送るわけには行かぬが、東洋の付近においてマンパワーを供給する余地があると、やはりマンパワーという同じ言葉を使つております。ほかの条項ではサービスという言葉が大分出ておりますが、この点に限つてはマンパワーをフル・コントリビユーシヨンする、こういう意味合いのことが載つておりますし、またノーランドも同じくマンパワーという字を使つて、それは朝鮮からであり、あるいは台湾からである日本という言葉は使つておりませんが、朝鮮、台湾からはインドシナのいわゆるヴエトミンの軍隊を防御するだけの力をここに補い得るという意味のことがありますから、何となくこの点について危惧の念を抱くのでありますが、外務大臣のこれに対する御所見を伺いたいと存じます。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは第八条の第四項、第五項に関連したことと思うのでありますが、これはこの文章でもごらんになります通り、「その人力、資源、施設及び一般的経済条件の許す限り」「自由世界の防衛力の発展及び維持に寄与し、」こうあるのでありまして、この言葉の意味から申しましても、人力、資源、施設、一般的経済条件、こういつたものが許す限りとなつておるのです。もちろんこの一般的経済条件という字をごらんになればわかりますが、これは人力を生で出すとか、あるいは資源を生で出すとか、こういう意味じやないのでありまして、国内にある人力なり資源なり一般経済条件の許す限り、できるだけ相手の防衛力増強に寄与する、こういう意味でありますから、マンパワーという字があつて誤解を招くようでありますけれども、文章の上から申しましても、決してマンパワーを生のまま出すという意味でないことは――そういう議論になりますと、たとえば一般経済条件というのを生のまま出すというような変なことになりますので、言葉の意味からもさようなことでないとわれわれは確信いたしております。

小山倉之助改進党

○小山委員 もとより政治経済上の状況と矛盾しない範囲においてマンパワーを出す。ほかの点ではサービスという言葉もあります。そこでもしインドシナの戦況が非常に悪化して日本が何らかここに軍隊以外のサービスをする必要がある場合にも、絶対国内から出してはいかぬのか。それが日本のためにもなり、向うのためにもなるというような場合はどうでありましようか。その点の御意見を伺いたい。サービスでも何でもマンパワーというものを絶対出さたいという意味であるか。こちらのためには利益であつても出さないのか。この点を伺いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 相互防衛援助協定において一定の義務を引受けておりますが、この義務が一体マンパワーを出すということを含んでおるかどうかということを私は申し上げておるので、この義務としてはマンパワーの許す限り寄与をするのであつて、生のまま人力を出す、こういう意味でない、そういう義務はない、こういうことを申し上げておるのであります。従つて、インドシナの状況につきましても、これは何かサービスをやつた方がいいとかやらぬ方がいいとかいうことの事情になりますれば、これはこの条約とは離れまして、日本が独自にきめる問題であります。これはまつたく別個の問題で、その場合における状況、たとえばこれは国連のインドースメントといいますか、国連が裏書きをして、これはやつた方がいいということの決定があるか、ないかということにも非常に影響がありましようし、また提供すべき役務が何であるかということにも影響がありましようが、これは日本独自で定められるものであつて、この義務とは関係がない、こう申し上げるよりほかないのであります。

小山倉之助改進党

○小山委員 私は、外務委員会におけるいろいろな議論を伺つたのでありますが、義務というのはこれは法律上の問題であります。しかしながら、われわれ個人の間でも国と国との間でも、法律できめたからといつて、法律以外のもつと大きな義務があると私は思う。そういう大きな義務を感じてわれわれがこれを承知するならば、そういう方面でサービスするというだけの――われわれは、自由国家群と協力する以上は、そういうこともある程度国民に知らしておく必要があると私は思う。法律用語の問題ではなく、また法律論ではないので、法律を超越して、もつと日本が協力するという態度をとらねばならぬ。日本のように、今まで海外から憎まれて来た、尊敬されないで来た、排斥されて来た国の国民としては、そういう心がけも必要じやないかと私は思うのでありますが、ただいまの外務大臣のお話で大体はわかりました。法律上の義務ではないが、これを果す場合もあり得るということに理解いたす次第であります。たとえば出兵でありましても、今度の朝鮮事変についてみても、百人程度出兵した国もあるし、千人くらい出兵した国もあるし、アメリカのごとく厖大なる軍隊を動かした国もあります。ですから、こういう問題はそれほど大きな問題ではない、と言つてはまことに申訳ありませんが、なるべく海外出兵の義務を負わない方がよろしいが、参議院において、あるいは衆議院においていろいろなる義務に関する論議が行われましたが、私は、実はこれに劣らないもつと重要な義務を日本が負つていると思う。それはどういうことであるかといいますと、さきには安保条約によつて日本の兵力を漸増するということが期待されたが、今度はMSAの援助を受けると、それは法律上の義務で、絶対に漸増して行かなければならぬという義務を負つたものと理解いたしますが、外務大臣はその点はどういうふうにお考えになりますか。これはなお道徳上の義務でありますか、法律上の、いわゆる条約上の義務でありますか、その点をお伺いいたしたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは、もとよりそこにはいろいろの制約があります。たとえば政治上、経済上の許す範囲というような制約。その制約はつきますが、しかしながら、当然これは自衛力を増強しようという条約上の義務を負つたわけであります。

小山倉之助改進党

○小山委員 そこで今度は法律上並びに道徳上の義務を負つたのであります。この海外出兵も大きな問題でありますが、それにも劣らない非常に大きな義務を負つたと私は考えている。そこで、今日の日本の政治の状態から、あるいは経済上の状態から、はたしてこの義務を遂行することができるかどうかということを私は非常に疑う。この義務を負い得なかつたならば、われわれは国際信義を守らない国民と言われる。この義務こそは私は現代の内閣において、日本国民において負わなければならぬ最も重大なる義務であると考えるのであります。  そこで大蔵大臣にお伺いするのでありますが、御承知の通り、わが国は昨年以来のあるいは洪水その他の被害をこうむつて、その回復はまだできないような状態です。しこうしてまたさらに非常に大きな義務を負うておるというのは、そういう今まで回復さえできないという上に、第二には政府の財政金融の急激な転換から、今や経済界に対する影響は深刻であります。経済的にはたして防衛を漸増することができる経済上の形態であるかどうかということを疑う。第三には私は国家のためにまことに不幸なことでありますが、政界、業界を通じて汚職、疑獄事件が起つて、そして国民の政府に対する信頼の度は、ほとんど地を払うような状態になつて来た。さらに日本は今までの過去の蓄積をほとんど食いつぶすような状態になつて来ている。貿易の不振、外貨の急減、国際貿易が逆調を来しておる。そして国際信用に影響するような状態になつて来ておる。ただいまのような四つの大きな困難に遭遇しておる際に、国際的の重大なる義務を尽すことはいかに大きな義務であるか。この義務を履行することができないようなことになつては、さらにさらにわれわれの国際信義を失うという状態になつておるのであります。こういう重大なる問題は論議されないで、ただ単に法律上の問題のみが論議されたということは、私はこの点については多大の遺憾を覚えるのであります。これこそ国民に知らせなければならぬ重大なる事件であります。国民と協力してこの義務を尽さなければならぬときでありますが、大蔵大臣――むしろこれは総理大臣、副総理にお伺いしたいのであります。私は今日ほど重大なる時期はないと考えるのでありますが、緒方副総理はどういうふうにお考えになりますか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 日本の国際上の義務は、今お述べになりました国情もありますが、一旦義務として承認いたしましたものに対しましては、全力をあげて間違いのないのよう努力して参りたい、かように考えております。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 この防衛予算漸増等の問題、あるいは国際的義務の問題等、これはいずれも小山さんよく承知しておられる通り、日本の財政、経済に矛盾しない範囲ということがこの第八条にも書いてあります。それからまた漸増の方は日本の経済及び国民生活を妨げない範囲でということがずつときめてありますので、私どもは財政の許す範囲でこれをやつて参る、こういう考え方をいたしておりますし、その点から見てそういつた点はまあ耐え得ない程度のことはどういうことがあつても私は承服いたしませんから心配ない、こう実は考えております。

小山倉之助改進党

○小山委員 そこで日本の政治上経済上許す範囲内において、矛盾しない範囲においてというのは法律論であります。しかしこういう条約を結んで、そして日本がその漸増ができない、また外国が期待するがごとき実証を見せないということは、日本の信用を失うということになる。そういう場合にこそあるいはどういう事件が起らないとも限らない。こつちが強くなつた場合には侵略者も遠慮するでありましようが、こつちが経済的に弱いときに、あるいは政治上の混乱を来しているときに、外敵はいわゆるアグレツシヴな態度をとつて来ないとは限らない。すなわち日本国家を守るためにも、国際信用を守るためにも、私は重大なる問題と考えるのはそこであります。経済が許さぬからいつまでもやらないでよろしいということは法律論で、いつまでもそういうことで閑却されるものかどうか、国際信義を守る上においてそんな態度でいられるものかどうか、その点を心配するのでありまして、私は別に大蔵大臣が一生懸命になつておやりになつているのですから、お互いに協力してこれが達成を期さなければならぬと考えます。そこで私は、今までは大体西ドイツの復活の状況や、その実情あるいはイギリスの実情などが論議されて参りましたが、ここでこんな困つた時代にわれわれはオランダの、最近外国の雑誌に発表されましたその復興状態がよほど参考になるのではないか、もちろん御承知のことでありましようが、しばらく数分間ひとつお聞き及びを願いたい。お互いに学ぶべき点があるのではないかと思うからであります。  御承知の通り、日本は多くの領土を失つた。海外の領土を失いましたが、オランダはインドネシアを失つた。このインドネシアは二十八億ドルに達する投資から、一割か一割五分の収入を得てオランダの財政を助けたというのでありますが、これを失つた。ちようど日本と同様であります。国家の生産力は四割も破壊された。またロッテルダム、アムステルダムのような良港が破壊されたことは、東京、大阪その他日本の工業地帯が破壊されたと同様であります。これも似ている。鉄道は六割も破壊された。これも似ている。農業生産も非常な戦禍を受けた。これも似ている。商船はUボートに五分の二も沈められた。これも日本の船舶を失つたことと似ております。しかるに一九四八年からオランダのナシヨナル・ユニテイと国民のハードワーク、国民の非常な勤勉な結果、今や一九四九年に九百二十八隻であつた船は昨年度一九五三年においては千三百八隻になつた。工業生産は一九三八年には一〇〇であつたものが一六三になつた。ちようどイギリス、ドイツと同様に、輸出かしからざれば死か、この精神が浸透して、結局輸出は非常に増大をいたしまして、一九四八年に一〇〇であつたものは一九五三年には三四七、実に三倍以上の激増を来したのであります。インポートはどうであるというと、一九四八年には一〇〇であつたが、一九五三年には二〇〇、これはインポートをよほど抑制したことが原因でありまして、かようにこのわずかの間にオランダというものは農業国から商売、貿易の方からさらに進んでオランダ全体が工業化して、今や輸出量が三倍以上に増したということは、ちようど今大蔵大臣のとられている政策と似ている。しかしながら大蔵大臣の開始されたのは昨年からであります。よたよたとしてようやく出発した。よその国は一九四八年ごろからちようど今大蔵大臣のとつておるような政策をとって、そして今日はもうりつばな国になつた。世界的の競争力もできた。その競争力がようやくできたときに、われわれはやつと外国のまねをしておるのですから、私は非常に心配するのでありまして、ぜひ将来ともこういう政策で学ぶべきところがあるならばひとつ学んでいただきたい、かように考えるのでありますが、副総理並びに大蔵大臣の御意見はいかがでありますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 実はオランダの回復についてある本を読めといつて、ある人から教えられたのでありますが、忙しくて実はまだ読んでおりませんでしたので、ただいまのお話を聞いてたいへん益するところがありました。さつそく勉強することにします。同時に、いかにもその事情がよく似ておることでございますし、またああいう国のことは学んで――その長所を学ぶことは、これは日本人の在来のとりえでございますから、十分ひとつ検討を加えて、日本の国情に向くようにこれを取入れたいと考えております。

小山倉之助改進党

○小山委員 私のこれからの質問は、社会党の諸君に特にお聞き及びを願いたい。それはこのオランダにおいて最も私どもの奇異に感じますことは、ストライキや何かでもつて労働者の休んだ一年問の統計を見てみますと、オランダでは一日平均六十七人であります。それからベルギーでは五百九十三人であります。ユーナイテッド・キングダムでは千六百九十四人、アメリカでは二万二千五百六十人、アメリカはほとんどストライキを野放図に許しておるような国でありますから、こういうような非常な欠陥が現われている。おそらくは日本の労働日の損失というもののパーセンテージは、はるかにアメリカ以上に上つておるのじやないかと思います。そのお取調べがありますならば、ただいま伺いたいのでありますが、そのお取調べがもしなかつたたらば、別の機会にお知らせを願いたいと思います。

安井謙自由党労働政務次官

○安井政府委員 お答え申し上げます。ただいま小山さんのお指摘になりました労働の実損日数は、単位が違いますが、私どもの調べでは、イギリスで申しますと、百六十九万四千日、それからオランダでは六万七千日、ベルギーでは五十九万三千日、こういった千単位のものであろうかと存ずるのであります。これに比較しまして、お説の通りに日本では六百二万五千日と、各国に比較しまして非常に厖大な実損日数に上つておる次第であります。

小山倉之助改進党

○小山委員 オランダがかように六万七千であるのに、日本は六百一万、これは実に驚くべき労働活動日のロスであります。かようなことをしておつて、日本の復興ができるかどうか。私は社会党両派の諸君の特に御注意を促したいのです。今日のごとく、あるいは労働争議を使嗾したり、ストライキを起すような態度ばかりとつておつては、日本の復興はできません。しからばこういうことをだれがやつたかというと、私はこれも皆さんの拝聴を煩わしたいと思う。御承知の通り、一九四八年にウイレン・ドレースという社会党の首領が政府の意見をいれて、まず第一に賃金のくぎづけを承知いたしました。そのかわり労働党は家賃と物価の上昇を防ぐために厳重なる統制に応じた、同時に、今度は社会保障の範囲を広げてやつた、その上に、政府としてはさらに企業家の配当をくぎづけにした、配当の制限を断行した。そしてこのドレースという人は、先にはアンダーグラウンドでもつて非常な苦労をなめ、そして苦労に苦労を重ねて来た。しかしながらオランダが滅亡に瀕せんとする場合には、オランダにおける政治上の統一をはかるがために努力をした。今日は輸出振興のために非常に努力をしているということであります。それであるから、労働者の間にストライキなどはない。つまり労働者の指導者が非常に愛国心に富んでいる。愛国的に政策に共鳴して、そして資本家をして共鳴せしめ、みずからこれと協力して、その道を進んで行く。私は社会党の中からドレースみたような人が生れて、ぜひ政府と協力して日本の発展を祈るような、そういう人物が現れていただきたいと念願するのであります。どうぞひとつ十分御考慮願いたいと思います。(「自由党の方にも言つてくださいよ」と呼ぶ者あり)もちろんであります。かようなわけでありまして、資本家の方へも自省するようにということを申し上げたのでありますから、緒方さんも保守合同だけのことをお考えにならないで、社会党の人の協力も得るということで、国全体が富むように、早く回復するようにひとつ御努力を願いたいと思います。社会党の諸君もまた緒方さんの提案に応じて御協力願いたいと思います。この点いかがでありますか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 つつしんで拝聴いたしました。

小山倉之助改進党

○小山委員 私は外務委員会における議論で必ずしも承服のできない点があるのであります。MSAで小麦をもらうのはけしからぬとか、これは日本がアメリカの属国になるのだとかいうような議論もあるようでありますが、私はこれは幾らもらつてもいいという考えであります。そんなことはちつとも遠慮することはない。これからそのりくつを申し上げるのでありますが、ただここで一つ大蔵大臣にお伺いいたしたい。この前も関連質問でちよつとお伺いいたしましたが、この一千万ドルだけは三百六十円で換算されておりますが、あとの四千万ドルははたして三百六十円で換算されるものであるかどうか。最近アメリカの方からの報告によりますと、デイド・カンパニーというのが、日本のバンク・ノートは四百十二円と発表しております。これは公定相場と違うかどうかわかりませんが、ニユーヨークあたりではそれが公のエキスチエンジ・レートとしてあるようであります。しかしながらこういうことが心配になるのであります。たとえばやみでは五百円とか六百円とかしている。こういう事情であるから、結局為替レートは維持されないで、今後の四千万ドル分からは贈与の分よりはもつと高いものを買う結果になりはしないかということをおそれるのでありますが、その点についての大蔵大臣の御意見を伺いたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 贈与の分以外の四千万ドルにつきましてもレートは同様であります。従つて百四十四億円というものが日本銀行におけるアメリカの特別勘定へ入れられます。それが主としていわゆる域外買付その他に使われる、こういうことに予定されております。  なおやみ相場についての話がありましたが、紙幣等そういうものもあるかも存じませんが、すべての取引はまだドルの手持ちが八億近くもあることでございまして、すべては公定三百六十円で取引されております。

小山倉之助改進党

○小山委員 そこで私はこの小麦や大麦を入れることは何かけしからぬような議論も出ておりますが、御承知の通り戦前には小麦や大麦、ことに小麦ですが、これをフラワーミルに送つて製粉して市場に送つたものであります。今日は中共地区においては食糧の困難をしておるということは、これは明白なる事実として伝えられておる。ですから香港を通して、もしそのもらつた小麦を粉に製造してこれを輸出したならば、多々ますます弁ずるのじやないか、そういう道も講ぜないで、ただ小麦が入ればほかのものを入れられないとかなんとか、小さな議論ばかりしておつては、日本の国の発展はできない。むしろそのものを弁ずれば弁ずるほど多く外国に輸出ができるのでありますから、こういうものは喜んで協力する。向うはサープラスであろうが何であろうが、日本に必要なものであり、それがよく利用できるものであれば、私はそういうものはどこまでも入れてこれを外国に輸出するということを考えたたらば、多々ますます弁ずるものと考えますが、この点について通産大臣の御意見を伺いたいのであります。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○愛知国務大臣 これからのMSAの援助なりあるいは過剰農産物の問題につきましては、必ずしも多々ますます弁ずるとも言えないと思うのでありまして、その入り方の問題としてまずどういう物資を選ぶか、またこれの決済方法なりまた国内に入りましてからの贈与分がどのくらいになるかということ、あるいはドルによりますところのいわゆる域外発注その他との関係というようなことをにらみ合せなければならないと思いますが、同時に今度は綿花等につきましては、その綿花を買い入れることにつきまして国内においてこれを使います場合に、いろいろの条件等があるいは問題になるかと思います。たとえば輸出用の織物にはこの原料が使えるか使えないかということも、諸外国の例等によつてもいろいろ論議があることが多いようでありますから、それらの点につきましては今後慎重に検討を要することと思います。それからただ綿花だけの問題について、今日の外貨予算との関係、それだけの観点から見れば、ある程度のものが入つた方がよろしい、こういうふうに考えておりますが、その点はこれをこなし得る国内の能力等との関連におきまして検討して、ある程度これは入つて来る方が望ましいというふうに考えております。

小山倉之助改進党

○小山委員 私は今度はMSAの問題だけでありますから、ほかのことに言及しなかつたのでありますが、もしアメリカに非常に余剰が多いとなれば--またますます多いような傾向になつておるようです。べンソン農務大臣から五%だけ耕地を減らしたといつてもなお増産が続けられるという報告があるのでありますから、その余剰食糧を日本に入れて、そうしてそれをもととして――これは買うのです。もらうのじやない、買うようなことも考えるべきじやないか。向うが余剰物資で困つておれば、困つておるものをこつちが助けてやれば、こつちは大いばりでアメリカに対抗できる。余剰物資だからそれはけしからぬということじやないのです。そういうりくつは間違つておると思うのであります。  もう一つ輸入に関係した問題でありますが、御承知の通り今日日本は大豆がなくて非常に困つております。しかしアメリカの大豆はまぜものが多いとか、よく選別ができてないとかいうことではねられているようでありますが、満州を失つた後の日本の豆の需要というものは非常に多いことは御承知の通りであります。ですからもしアメリカから相当の条件のもとに入れられるといえば、アメリカから入れることもいいのじやないか。それでアメリカから援助を受けるものであれば、アメリカの船に積まなければならぬでありましようが、日本が買うものであれば日本の船に積まれる。今日船が非常な悲境に陥つている際に、本日の船舶に七つの海を航行することができる機会をも与える結果となりはしないかと思うのでありますが、その点についての通産大臣の御意見はいかがでありましようか。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○愛知国務大臣 先ほど申し上げましたように、これは今のところまだ仮定の問題でございますので、現在の与えられた条件のもとにおいてこう、こういうことならば望ましい、こういう話が起つたならば日本側としてはこういう条件を持ち出したいというふうな点で検討いたしておるのでありますが、大体考え方といたしましては、今お述べになりましたような考え方と大体の筋は同じであると思いますが、ことに邦船での積取額をできるだけ大きくするというようなことについては申すまでもございません。

小山倉之助改進党

○小山委員 私は保安庁長官にお伺いいたしますが、日本は御承知の通り、海外との貿易もできないような状態になつておるのであります。このMSAの武器援助は完成兵器だけだということでありますが、完成兵器以外に日本で製造するようなものがありましようか、その点を伺いたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 お答えいたします。ただいま保安隊で使用しておる武器は全部アメリカから借りて来るものであります。これは武器であります。そこでMSA協定の結果どうなるかと申しますと、これもおそらくアメリカから供与を受けることになると思います。しかしわれわれといたしましては、いつまでもアメリカから全部援助を受けておつてはいかぬと考えております。できる限りの手段を講じて日本でもつくりたいと考えております。しかしなかなかこれは容易に参りません。アメリカから金をもらえるというわけでも何でもないのでありますから、日本の財政上日本でまかなえるということはなかなか困離だろうと思います。しかしいわゆる域外買付の方法をもちまして、アメリカもある程度のものは日本で武器をつくつたものをこちらに供与するというようなことになるかもわかりません。それらのことについては将来のことでありますから、われわれといたしましては十分その点に努力いたしたいと考えております。なお日本において将来使います武器、軽い方面の武器は、日本で相当数できるのじやないかとわれわれは考えております。それも一に兵器生産業者の協力をまたなければならぬ、こう考えております。

小山倉之助改進党

○小山委員 私は非常に心配するのですが、アメリカから借りる武器を今の日本の保安庁の兵隊さんというか、隊員さんたちはそのまま簡単に理解ができましようか。今の既製の武器でさえも簡単に使用ができましようか。簡単にちよつとお答え願いたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 借り受けております武器の使用につきましては十分に理解しております。日本の隊員のこれを操縦することについての理解力は非常に高いと、アメリカの方でも驚嘆しておるようであります。

小山倉之助改進党

○小山委員 木村長官はいつも楽観的ですが、そう楽観ばかりされては困る。たとえば最近の武器としても、砲弾の上の方にアトミツク・ヘツドとかいうようなものをつけて発射するとか、あるいは最近のエレクトロニック・ジエーア、あるいは非常に武器の発達しておる最近は、原子力を利用したノーチラスという潜水艦がすでに一月に進水しておる。今度はシー・ウオルフ、海のおおかみというような新しい潜航艇もまた着手しておる。こういうことを聞いておるのですが、そういうことが今の兵隊さんの手でできるかどうか。そういうことを教えるために御承知のアドヴアイサリー・グループというものが送られておる。ところがこれはけしからぬという議論が大分あるのです。まだ日本が非常に学ばなければならぬ時代に、これを教えるために顧問団というものが来ている。だからこの顧問団を利用すれば、武器を製造するのみならず、また日本の輸出産業、輸出商品というようなものにも私は非常に役立つと考えておるのです。ところがアメリカの大統領も自信たつぷりで言つておる。これからの新兵器を教えるには、友邦各国の人々にこれを十分理解してもらわなければならぬ。まず理解が先です。理解しない者がたくさんある。われわれもただ読むだけでもつてなかなか理解ができません。それを今度は使用することです。さらにこれをつくることなのです。それについてもよほどの努力がいるのでありまして、これはアドヴアイサリー・グループというものを私どもはむしろ歓迎して、これに教えを請うくらいの度量がなければ、日本には今のところでは設備もなければ金もなし、技術もないのです。アドヴアイサリー・グループはけしからぬなんという議論が外務委員会でもずいぶん起つたようですが、そこに日本人は謙虚な気持が少い、学ぼうとする気がない。学ぼうとする気がないから、竹やりでもつて原子兵器に対抗するようなことを平気でやつているのです。その点についての木村長官の偽りのない――あなたはいつも非常に楽観的で、すぐできるようなことをおつしやいますが、私としてはなかなかできないと思うのです。これを理解することさえ容易でないと考えております。容易に理解のできるような教育を、保安庁内においてのみならず、保安庁外において、諸学校においてもすることが必要だと考えますが、保安庁長官はどうですか。また楽観的なことをおつしやるよりも、ほんとうのことをおつしやつてください。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 お答えいたします。私は故意に楽観説を唱えるものではない、真実を述べておるわけであります。そこで今お説の点はごもつともであります。兵器の進歩は著しいものがあります。これに遅れれば日本の防衛体制というものは全きを得ないのでありまして、われわれといたしましても、世界の兵器の進歩発達に伍して今から十分の対策を立てて行かなければならぬ。それには何よりも技術の向上発達であります。技術面に力を注がなければならぬ。そこでアメリカの方でもこれに対して非常に協力をしてくれております。アメリカの方に日本の保安隊、警備隊から優秀な者をどんどんよこしてくれ、それについてはわれわれはできるだけの協力をしようというように、非常に好意ある点が多いのであります。われわれもできる限りにおいて向うへ行つて、向うの実情を視察し、向うの教えを請いたいと考えておる次第でありますが、何分予算に制約されて思うように行かないことはまことに残念であります。それと同時に、日本自体においても、これについての研究はぜひともやつて行きたいと私は常に言つておるのであります。この委員会でも申し上げました電波を制するものは世界を制する。この電波兵器について十分の研究をやつて、いわゆる誘導爆弾などについては十分に研究する必要がある。幸いに御承知の通り日本には優秀な科学者がおります。われわれの尊敬すべき科学者がいる。これを動員してやることは何よりも必要である。それで保安庁においては技術研究所において優秀なる人を集め、ことに技術研究所長はこの方面について非常に見識を持つた人であります。これを中心として今盛んに研究をしております。武器のことにつきましても、操縦その他については武器学校においてやる、そうして改良のことについては委員会をつくつてひたすら研究して技術の改良を今から準備を進めております。どうぞ御安心ください。

小山倉之助改進党

○小山委員 保安庁長官は安心せよとおつしやつても、私はなかなか安心ができないのです。それはなぜかというと、日本の態勢がまだ終つていない。そこでまた一つの例を申し上げます。金がないと言うが、オランダも金がなかつた。その金はみんな外国から仰いでおる。外国から仰いだ金をむだに使わなかつた。日本みたいに船舶へ金をやるとほかへ使うとか、その間で賄賂かなんかで減るとか、そういうことはないそうです。すなわちオランダにおいてはスキルド・レーバーが非常に多い。アメリカがあそこへ工場をつくろうとすればスペシフイケーシヨンを渡せばそれ以上のものをつくつてしまう。それに非常な勤労をする。米国の労働者以上に能率を上げる。それが今度は英語が話せる。その上に官僚的ないわゆるレツドテープがない。煩瑣な手続はない。米国の企業家はイギリスにおいて工場をつくろうとすれば二年もかかる。オランダにおいてこれをつくろうとすると書類がすべて整うのに二簡月だといわれております。ですからほかの国へ投資しようとするよりも、まずオランダに投資した方がよろしい。スキルト・レーパーが多く、ハード・ワークである。しかしてまたこの金は返す。金を外国から借りても必ず送金をする、どれだけの額でも送金をする、配当があればその配当を送る、こういう組織がちやんとできておる。日本にはこういうものは少しもできていない。ほとんどできていない。ほとんどできていないといつてよろしい。ですから私ははなはだペダンテイックのようなことを申し上げますが、このオランダのやり方というものは日本は大いに学ぶべきところではないか、木村長官は非常な自信を持たれておりますが、なお謙虚なお心持でこのオランダのやり方を学ぶべきではないか。日本であつたらば、それこそ金というものは、今まで財政投資やなんかでもつて実業家がみんな使つております。政府から借りた命は返さなくてもよろしい、返すなら十年なり二十年なり二十五年なり延ばして忘れたころには、最後は棒引きしようという考えの方が多い。労働者の方では賃金をとりさえすればよろしい。ストライキをどんどん起す。これは企業家も労働者も労働組合も、この労働組合の指導者である社会党の諸君も、注意しなければならぬ重大なる問題であります。そこでは私こういうアドヴアイサリー・グループなんかを入れていわゆるジエツト・エアー・クラフトだとかガイデツト・ミツシルだとかあるいはエレクトロニック・ジエーアとかいうようなものをよくのみ込むような態勢をつくらなければならぬ。ただ一部少数の保安庁だけではだめであります。国全体が労働者全体がこれを受入れるような態勢をとつて行かなければならぬ、かように思うのでありまして、たまたまこういう問題が起りましたから、私はその一部を申し上げまてぜひひとつ早く日本の復興のできますように、MSA協定を実行のできますように援助をしてくれた方面でも安心するように努力いたしますことは、私は日本の生きる道だ、日本の産業を復興するゆえんだと思う。ちようどオランダの輸出のように一九四八年には一〇〇であつたものが三七四、そういうふうな勢いでもつて進むように願いたい。私はそのような意味合いから、みずからはからず外国の例を引いて、皆様方の、ことに木村長官の御考慮を煩わす次第であります。それでは、まだたくさん申し上げたいことがありますが、まずこの程度にいたしまして私の質問を終りたいと思います。

小峯柳多自由党

○小峯委員長代理 松原喜之次君。

松原喜之次日本社会党(左)

○松原委員 昨日改進党の河野金昇君の質問に対して、吉田首相もまた緒方副総理も、政局の安定は国民の希望であるということを申されまして、だから保守合同なりあるいは保守新党なり、これを実現して国会内に絶対多数を擁し、安定政権を樹立したいというのであると思います。これに対して河野氏は、きたない政党が一緒になつても国民は支持しないぞということを言つておられるのであります。まことにごもつともな批判だと存じますが、いずれにいたしましても保守合同あるいは保守新党問題が、今や政府並びに自申党の内外に取上げられ、持ちまわられて、政局はまさに混迷を続けておりますが、これは明らかに吉田内閣がすでにその命脈尽き、もはや時局担当の限界に来ておることをみずから露呈しておるものだと考えますが、この点に関して副総理はどういうふうに考えておられるのか。  次に、世上吉田内閣は汚職問題で倒れようとしているといわれておるのでありますが、しかし私は必ずしもさようには考えないのであります。さらに重大な問題は、汚職問題をも含めた政策の行き詰まりである。すなわち吉田内閣の政策は、あらゆる部面において今やまつたく壁にぶち当つて、このままではもはや進むこともしりぞくこともできないという行き詰まりに来ている。これが今日の政局をゆすぶつているところの真の原因である。この方向に問題があるのだと思うのでありますが、ここに重要な二、三の点をあげますならば、第一はよくいわれます綱紀粛正、道義高揚の政府の方針であります。吉田首相は昭和二十三年の秋、芦田内閣のあとを受けて第二次吉田内閣を組織せらるるや、その劈頭御承知のように綱紀粛正をもつて内閣存立の第一要件とせられたのであります。爾来吉田内閣は、常にこの綱紀粛止と道義高揚を高くその政策として掲げて今日に至つたのである。しかるにその五箇年の施政の成果はどうでありますか。かえつて政界、官界、財界にわたる未曾有の腐敗と堕落であります。広汎なる汚職の暴露であります。道義の頽廃その極に逹する感があるのであります。言うまでもなく、その基本方針がもろくも破綻しているという事実であります。  第二は憲法と国際関係の矛盾の間に吉田内閣が苦悶をしているという点であります。周知のように吉田内閣は憲法議会以来憲法第九条の解釈に関してその説を三転四転豹変したのでありますが、私はこれは主として国際関係にかかわる原因から来ておると思うのであります。吉田首相の立場に立つて内外の情勢を吉田流にお考えになつたならば、あるいはこれもやむを得なかつたかもしれない。私どもはまつたく異なつた考えを持つものでありますけれども、吉田首相とされてはそれが国家のため最もよい方法である、いな、よくても悪くても、この際そうするよりしかたがないというような立場であつたのではないかと思うのであります。すなわち軍備は国際関係の要請に従つて漸進的にもせよこれを拡大して行かなければならない、しかし憲法は今改正できる国内情勢ではない。それでもつて再軍備はしないと言い張る。MSA軍事条約を締結してもまだ戦力なき軍隊などというような奇怪きわまる用語をもつて、これでつつぱつておかなければならない。まことにその苦哀に対しましては、私は御同情申し上げるのであります。しかしもはやそれもまた限界に来ている。内外の情勢は今やその苦心のごまかしをも許さないところに来ている。吉田内閣はここに、日本国憲法と国際関係との間に行き詰まつてしまつたのであります。これが第二の点。  第三は自由経済政策の行き誌まりであります。吉田首相は従来しばしば経済計画の無用、その不可能などを公言せられて自由経済主義を強調せられたことは、天下周知の事実であります。その結果は期鮮戦乱によつて得られた特需を主とする二十億ドル以上の外貨収入を無計画に濫費をして、結局日本経済の将来の発展のためにこれを用いずして、いたずらに不急不要の方面に流して、そうしていわゆる過剰投資あるいは消費刺激等によつて投資景気となり消費景気というものを現出せしめて国内物価の騰貴を来し、輸出下振、国際収支の悪化、日本経済の危機という道をたどらしめたのであります。そうして今や吉田内閣は二十九年度予算を起点として、及ばずながらもその従来の経済政策の転換をはからざるを得ないという、政策の行き詰まりに直面したことは明らかな事実であります。  すなわちこの三点をとつてみましても、吉田内閣は事志と違つて、その重要政策に関し今や全面的な行き詰まりに当面し、何らか抜本塞源的な転機を求めざるを得ないという実情に来ているのであります。これは明らかに動かすべからざる事実であつて、これがすなわち今日政局の動揺の真の原因であるとわれわれは解釈しているのでありますが、緒方副総理の御見解を承りたいのであります。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 お答えをいたします。政府としては今政局が行き詰まつているとは考えておりません。また政局が動揺しているとも考えておりません。保守新党を思い立ちました動機につきましては、昨日河野君にお答えしましたので、今御質疑を伺つておりますと、その際にお聞き及びになつておるようでありますから、重ねて繰返しませんが、保守新党の問題と政局の問題は全然別個であります。これによつて政局を行き詰まらせる、あるいは政川が行き誌まりの結果、保守新党を考えておるということは、これは少しお考えが違つておるように考えます。その他綱紀粛止、憲法、あるいは経済の問題等をお述べになりましたが、結局それらのことで今日の政局行き詰まりになつておるという御意見のようでありますけれども、政府といたしましては、今日やはり国民の負託にこたえて、この時局を担当し、何とか乗り切つて参りたい、そういう考えから、種種の重要法案を二十九年度の予算とともに国会にに御審議を願つておるような次第であります。その点御了解を得たいと考えます。

松原喜之次日本社会党(左)

○松原委員 重ねてお伺いいたしますが、緒方副総理は、政局は行き詰まつていない、そう言われておりますけれども、政局が行き詰まつて、そうして吉田内閣が苦悶しておるということは、これは天下周知の事実であつて、ここでいかに強弁せられても、それは天下が承知をいたさないと私は思うものであります。ことに国民が吉田内閣に期待し、また吉田首相みずからが国民に向つて約束せられましたところの、政界腐敗の粛正とか、あるいは頽廃せる道義の高揚というようなものに対する、国民の吉田内閣に対して持つたところの希望は、まつたく裏切られ、かえつて先ほども申し上げる通り、政界あるいは官界、財界の未曾有の腐敗汚職をもつて報いられたのでありますから、その憤激はまさに頂点に達し、その結果、政府不信あるいは議会否定、また民主政治に対する不信用というようなことに発展して、憂うべき状態になるおそれなきにしもあらずと、識者はつとに警告を発しておるのであります。この一点からのみ見ましても、吉田内閣がそのまま続いて行くことは、国民の心理に及ぼす悪影響はまことに恐るべきものがあると考えなければなりません。民主政治の基本的観念である責任政治の建前から、この際吉田内閣はその出処進退を明らかにし、国民が納得の行く態度を示すべきである、その義務があると私は考えるのであつて、行き詰まつておらないと強弁して、てんとして恥じないようなことでは、とうてい内閣の重責に耐える態度とは考えられないと思うのでありますが、この点に関する御見解を承りたいのであります。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 今汚職の問題がありますが、その汚職が政界の一角と関係があることも事実であります。またそれに関しましていろいろ批評のあることも承知いたしておりますし、ただいまお述べになりましたような批判もその一つであると考えております。しかしながら政府は、それだけでもつて人心がことごとく政府を離れておると考えておりません。政府は依然として今日国民の信託を更け、そうしてその局に当つておるつもりであります。真に国民が政府に対して信頼を持たなくなつたときには、政府はそれを国民の声としまして、国民の判断にまつて進退をすることは、これはいつも申しておる通りであります。ただ一部の世評によつて軽率に進退することは、これは国民の負託にこたえるゆえんでないと深く確信いたしております。

松原喜之次日本社会党(左)

○松原委員 緒方副総理の御答弁でありますが、先ほど申したように、吉田内閣が昭和二十三年の秋に、芦田内閣のあとを受けて、気負うて出発せられたあの当時の態度、国民に対する約束、それらのものをほんとうに心を静かにして考えられるときに、ただいま緒方さんのおつしやつたような、そういう答弁でもつて済ましておくことは、決してできないはずであります。私は何としても今日このごうごうたる天下の声にこたえて、そうして緒方さんが率先して、吉田さんをして内閣総辞職を断行せしめるよう、正しい進言をせらるるように希望したいのでありますが、しかしながら、ここで聞いておきたいことは、もし緒方さんの希望が遂げられまして、保守合同なりあるいは保守新党なりができた場合には、先ほど申された、そのときになつて国民の総意に聞くという態度に出られるのかどうか。すなわち保守合同なり保守新党なりができれば、すみやかに議会を解散して、その結果を国民の審判にまたれるつもりであるかどうかということをお伺いしておきたいのであります。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 保守新党に関する自由党の態度は、昨日声明書を発表したばかりでありまして、保守新党ができた後の仮定のことについて、今申し上げるのはどうかと考えますが、仮定として申し上げることが許されますならば、昨日もどなたかの御質問に、国民の輿論に問うて新党をつくるべきではないか、新党をつくる可否について国民に問うべきではないかという御意見がありましたが、私はそう考えておりません。新党ができて、当然に新しい政策を持つた場合に、その新党の政策に対して国民の批判を求めることは、これはあつてしかるべきことだと考えますが、これはまだ仮定のことであります。今解散するとかなんとかいうことをお答えする場合ではないと思います。

松原喜之次日本社会党(左)

○松原委員 重ねてお伺いします。いつも政府当路者は仮定のことは答えられないということで、明確な答弁を避けられるのでありますが、それはそういう場合になつて吉田内閣がどうするかという問題はおきまして、そういうふうな事態が生じた場合にはどうすべきものであるか、ゾルレノの問題を私はここに明らかにしていただきたいと思うのであります。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 ちよつと聞き漏らしましたが、どういう場合でございますか。

松原喜之次日本社会党(左)

○松原委員 あなたの御希望が達せられまして、保守合同あるいは保守新常ができ上つたときには、すみやかに国会を解散して、あなたのいわゆる新しい政党の新しい方針を国民の総意に問うべきであると私は思うのであります。それはしかもすみやかにすべきであると思うのであるが、それは仮定だから答えられないとおつしやったが、このことは仮定だから答えられないというような問題ではないと思いますから、この際明確にお答えをしていただきたいと思うのであります。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 仮定だから答えられないと申し上げたのではないので、仮定のことを申し上げても益がないように思うということを申し上げたのであります。もう一つ申し上げましたのは、保守新党をつくるがいいかどうかということを輿論に問うても、輿論は判断に苦しむと思います。選挙に問うても、選挙民は投票の仕方がないと思います。従いまして新党ができた場合には、当然新しい政策を掲げます。その政策を国民に問うということはあり得るわけでありますが、しかし今できていない新党が、将来国会を解散するかどうかというようなことを御答弁申し上げる場合ではない、かように申し上げた次第でございます。

松原喜之次日本社会党(左)

○松原委員 時間がございませんから大蔵大臣にお伺いします。ただいま提案になつております二十九年度特別会計予算補正第一号を見ますと、特別会計の名称といたしまして、経済援助資金特別会計、かようになつておるのでございます。この財源の出て来るところの源は、言うまでもなくMSAの協定でございます。昨年十月池田勇人氏が渡米され、そうしてMSAの協定によつて経済援助を何とかして得たいということに努力されたのでありますが、これが不幸にしてまつたく失敗してしまつておる。その後政府におかれては、やはりまたこの経済援助あるいは技術援助等、純然たる軍事援助以外の援助を得んとして努力折衝されたのでありますけれども、これまたうまく行かなかつた、すなわち失敗されたことは、だれしも知つておるところであります。しかしそれがゆえに政府としては何とかして経済援助を得たいというところから、けさほども高橋圓三郎委員の御質問に対して外務大臣からお答えがあつたように、一般産業に使うことのできるような余地を残しておきたいというような希望でこういう名前にしたと言うておられますが、われわれをもつていたしますれば、この経済援助が大きいものであるということを国民に印象づけたその罪滅ぼしに、何とかこの名前にこだわつていたいというようなところから、何か特別なごまかしの意図をもつて経済援助資金特別会計という名前をつけられたのではないか、こういうふうに感ずるのでありますが、何がゆえにこの名前を卒然として持つて来られたか、お伺いしたいのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 これは内容が示す通りまつたくの経済援助であるのでありますから、私どもは実質の通り名前をつけたわけで、何らこれをごまかすとかどうこうする意思はありません。従いまして、特別会計というものはすべて明らかにして国会で御審議を願うものでもありますし、また名前は、御承知のごとくこれはあのMSAの協定によりまして工業に対して云々ということがあるようなわけでありまして、つまりなるほど防衛産業は中心としておりますが、しかし一口に防衛産業といいましても、広い意味ではそれに対する各種の関連産業等があるのでありまして、またこれに対する基礎的な関連産業等もあるのでありますから、私どもは名前を経済援助資金特別会計とするのが一番よい、こういう考え方でやつたので、何にもほかに意図があつた次第ではございません。このことは会計の内容をごらんくださり、また今後の会計の運用をごらんくださればよくわかることと信ずるのであります。

松原喜之次日本社会党(左)

○松原委員 軍事援助と経済援助とはその性質が非常に違うのでございまして、この特別会計を見ましても、その使途はことごとく軍事工業に使おうとしておられるのであつて、これすなわち一般経済援助でないゆえんをそのまま雄弁に物語つておるものであって、大蔵大臣の御見解とはわれわれはまつたく見解を異にするものでありますが、時間がございませんからそれはそれといたしまして、次に通産大臣にお伺いいたします。  今日の朝日新聞を見ますと、MSA資金をもつて輸入せらるべき小麦、大麦に対して輸入外貨四千二百万ドルを割当てるという措置をきめたとありまするが、これは事実でありますか、お伺いいたします。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○愛知国務大臣 その点はこういうような状況になつております。できるだけ早く必要なものは買つた方がよかろうということで、それに所要の外貨を一応割当てておるわけでございますが、ただいま御審議を願つております特別会計その他一連の措置がきまりまして、協定が具体的に発効いたします場合に、それに振りかえもできますし、またある場合におきましてはそのまま続けて行くこともできる便宜の措置を講じたのでございます。

松原喜之次日本社会党(左)

○松原委員 申すまでもなく、MSAの協定はただいま参議院に付議されておる最中でございます。従いまして、その協定から出て来るところの援助資金で輸入し得るところの大麦、小麦の輸入に対して、ただいま審議の過程においてこれを措置するということは、はなはだ行き過ぎたことではないか。もしこれをこのMSA協定とは全然関係なく、必要だから小麦、大麦を輸入するのであるというのであるならば、これは何もMSA協定による資金と関係せしめないでやつたらよいのであつて、主体を輸入に置いて、そうしてことによればMSAの資金によつてまかなうことができるというふうに逆に考えたらいいものであつて、むしろ通産省の態度としては、MSA協定ができるという予想を根拠としてこういうことをきめておるというほかないと思うのでありますが、そういうことでもつて国会の審議を軽視することは、行政府としてまことに不穏当なことであると思いますが、通産大臣はいかに考えられますか。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○愛知国務大臣 協定との関係の法律上の解釈につきましては、外務大臣から申し上げた方がよろしいと思います。御承知のようにこの五千万ドル相当分の過剰農産物の輸入は、それだけによつて日本の食糧輸入が全部解決するものではなく、そのうちのごく一部でございますから、どつちみちその程度の外貨は輸入の必要な食糧のために配当しなければならない外貨なのであります。でありますから、経済的な問題といたしましてはただいま御指摘のような御懸念のない扱いになつております。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはもう衆議院としては、御審議が済んでおりますが、このMSAの協定の中の農産物の購入に関する協定の付属になつております交換公文があります。その交換公文によりますれば、「日本国政府は、同協定が効力を生ずるまでの間、前記の農産物の購入を、同協定に予見されている手続に従つて行います。但し、日本国政府は、同協定が効力を生ずる前にその第四条に基くドル支出を要求することはありません。更に、もし前記の協定が効力を生じない場合には 前記の暫定的措置による購入は、通商の商業上の手続によつて行われたものとみなされます。」こういうふうにしてこの点は明らかにいたしておりまして、あらかじめ用意をして買うけれども、協定の承認ができない場合には振りかえる、こういうことでございます。

松原喜之次日本社会党(左)

○松原委員 そうすると、一般食糧をもつと輸入の予定になつておるからこれは一向さしつかえないという先ほどの通産大臣のお言葉でありますが、わが国の食糧輸入はおそらくコマーシヤル・べースによつて行われておると思うのであります。このMSA援助資金をもつてアメリカから輸入されるところの農業物価格でありますが、これはけさほど岡崎外務大臣は国際価格によつておると言われましたけれども、しかしわれわれの知るところでは決して国際価格ではありません。それも国際上の取引の一つだから国際価格だという意味なら、これは国際価格でありましよう。しかし一般にいう国際的な普通の値段である、高くもなし安くもないという意味における国際価格とするならば、それはどうも国際価格ではありません。なぜかといえば、朝日も申しておりますように、カナダからの小麦であればCIFの七十七ドル、大麦は七十三ドルにつくというておりますが、アメリカの分に至りましては、八十ドルにつくということになつておるわけであります。はたしてそうであるならば、これは国際価格というわけには参らない、いわんやその積取り船舶について相当な制限があるはずであります。   〔小峯委員長代理退席、委員長着席〕 そういう不利な条件もあえて冒して、これらの小麦、大麦を輸入するということは、これはMSA資金によるからであると私は考えるのでありますが、それをあとになつてからもし批准されなければ、条件がかわるのであるかどうかということをもあわせて御答弁願いたいのであります。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○愛知国務大臣 その価格は国際価格、すなわちIWA価格で買うことになつておるのでありまして、今御引用になりました記事はその点は誤りであると思います。

松原喜之次日本社会党(左)

○松原委員 その価格の問題については政府は国際価格と言い、一般にはしからずと言うておることを私は存じております。これも相当に問題のある点であろうかと思いますが、時間がございませんから、その他地方財政あるいは軍需産業についてもいろいろお伺いしたいのでありますが、わが党の滝井君が関連質問の要求をしておりますから、滝井君に譲ることにしたいと思います。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 松原委員の関連で、松原委員が申したところの地方財政、兵器産業等について御質問いたしたいと思います。  まず予算の自然成立に伴う地方財政の問題にについて、特に大蔵大臣に御答弁願いたいと思います。今度吉田内閣は五ないし一〇%の物価引下げと国際収支の均衡を目標に、政策的には三本の大きな柱を立てておるわけです。すなわち金融の引締めと、外貨予算の削減、一兆円のわく内予算の実行、ところが、この三つの柱の影響というものは、昨日も大蔵大臣が言われたように、いろいろな面に現われて来ました。すでに物価はわれわれが予期したよりか早く下つて来た、三%下つて来た、あるいは失業者等においても、政府は年間四十七、八万くらいに見ておつたのですが、すでに七十万くらいを予測されるというように、非常に情勢の変化が出て来ました。特にこの四月三日に自然成立した予算によつて、一番大きな影響を受けるであろうと考えるのが、そういう今述べたような面のほかに地方財政でございます。  まずどういう点で影響を受けておるかというと、私ちよつと調べてみますと、四つばかり大きな面があります。まず第一には、予算編成上の大きな方針の一つであつた入場税の国税移管の問題が非常な論議を尽されたのでございますが、四月八日に衆議院を通過した。しかもこれは政府原案に対して税率の引下げをもつて通過いたしたのでございます。従つてこれによつて既定の地方財政計画から見ますと、五十九億九千四百万円という歳入の欠陥が生ずることになつておるわけなのでございます。これはあの修正しました法律によつて、二十九年度限りでは、国の一般会計からもしそういう歳入の欠陥が出るならば補填をする、こういいうことで予算措置も何もされていないのですが、不安定な状態で保証されでおる。これが一つなのです。いま一つは、地方税法の改正を、改進党の修正案を与党がのむことによつてこれが通過をいたした。この面の歳入欠陥が十六億六千万円あるのでございます。それから揮発油税の譲与金、これは揮発油税の収納額の三分の一に相当する額を都道府県の道路整備費として、道路面積を基準として都道府県に配分する、こういうことになつている。それが二百三十七億の三分の一の七十九億円をやることになつたわけなのです。ところが建設委員会その他からいろいろ議論がありまして、七十九億のうちの三十一億は一応都道府県におまかせをする、しかし四十八億というものは、これは建設大臣の指定をするところの道路整備五箇年計画の線に沿つてやる、こういうことになつた。従つて地方公共団体というものは、自分でそれぞれ計画を立てておつた。四十八億の中には、地方で計画を立てておつたものに重なるところもあるかもしれませんが、これは自治庁あたりの意見を聞くと、少くとも三十八億くらいは自分の方で何とかしなければならぬだろう、たとえば特定の税目をつくるか、あるいは税の自然増収を増すとか、あるいは預金部あたりから金を借りるとか、あるいは起債をお願いするとか、こういう面でまかなわなければならぬだろう。今度の九千六百五十三億の地方財政の計画の中には、四十八億分については十億くらいしか見ていない。従つて三十八億はどうしても何とかしかければならぬ、こういうことが言われておる。従つてここに三十八億の歳入欠陥を生ずるおそれができて来る。いま一つは、交付公債というものが昭和二十七年末で未納額が六十億になつておる。昭和二十八年には四十八億、二十九年には四十九億未納額ができるだろう、こういうように言われておる。一応二十七年までにすでに六十億、これを政令で五簡年くらいの年賦均等償還をしたいという意向が自治庁ではあるようでありますが、これを年賦償還するにしても十三億以上の金がいるのでございます。こういうように見て来ますと、現在予算が成立することによつて、地方公共団体の赤字というものは、入場税関係の五十九億、約六十億円、それから地方税法の修正による十六億六千万円、それから揮発油税の譲与血の三十八億、それから交付公債等の十二億、合せますと百二十七億という、地方財政において何とか片をつけなければならないものが明らかにできて来ておるのであります。これは何も地方自治体が放漫な財政をとつたためにこういうものが出たのではなくして、これはまつたく政府、与党の見通しの誤りのために、あるいはさいぜんから、政局は安定しておると言われましたが、政局不安定から来るところの地方財政に対するしわ寄せなのです。こういうことでは、地方公共団体というものはまつたく二十九年度の運営に大きな支障を来す状態になると思う。大蔵大臣はこのはつきりしておる歳入欠陥を大体どうして行くつもりなのか、少くとも国が一兆円の予算をやつて行くということについては、地方公共団体の方がはつきりしなければ、その上に乗つておるところの国の財政というものは、当然破綻を来すことは明らかですが、これに対する大蔵大臣の明白な答弁をお願いいたしたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 あとで数字的に主計局長から答弁いたしますが、一応私から御答弁申し上げます。  私どもは入場税の国税移管に伴つて一応相当の減収があるのではないかというふうな推定もされますので――これはあなたも御承知の通り、あまり減収にならぬという見方も相当ありますけれども、一応そういうふうに推定されますので、従つてこれが地方財政に影響しては相成りませんところから、まず最初に十九億二千万円国が地方から受入れる分はやめておこう、もし足らぬ分については、二十億のこの特別会計借入金をする分を翌年まで一年延期するという修正案を伴つておりますので、それで行けば地方財政にこの点は悪影響を及ぼすことはない。なお二十九年度で数字がはつきりとしますれば、三十年度においてこれは適当な措置をとる、こういうふうに考えておりまして、この点はどうも数字がよく固まりませんので、そういうふうに考えておる次第であります。  実は地方財政の改正については、私どもとしてはああいうような改正をされたことについて、たとえば事業税について六万円の控除を七万円に上げられたり、あるいは三人だから十万円だ、ああいう修正案は実はまことに困るのでありまして、これについてはあの通りになりますと、これは欠陥を生ずるわけであります。これをどうするかということについて今せつかく相談をしていたしております。  揮発油税の方の関係につきましては、三十八億地方についてはいろいろ言われておりますが、これは自治庁からお打合せをして来た分でありまして、自治庁に案があるのじやないかというふうに実は私考えておりますが、事務的にどういう打合せをいたしましたか、これについてさらに御説明申し上げることにいたしますと、大体におきまして私どもは、今お話になつたようなぐあいに減収的な面も見られますが、これは他方あなたもお考えくださるように、今度の交付税のうちには相当――いわば所得税、酒税及び法人税の三つでありますが、あれに対して二割で百二十何億行くようになつておりますが、これは実質はもう少し多く行き得ると私は考えております。これは税収のいかんということでありまするので、この点はそう考えておりますが、いずれにしましても、地方財政が自分の力でもう少し経済を切り詰めてもらいたいことはいつもこいねがつておりますけれども、しかし及ばぬところについて国がこれに協力することは当然でありますので、過日いろいろな修正等が出ましたから、あれに伴つての案を実は私どもまだそれぞれ相談いたしておるのでありまして、かりに参議院等でそれがきまりますれば、これは何らか措置を要すると実は思つておりますが、しかし二十九年度には要するかどうか、この点実は主計局の方が詳しいと存じますし、この問題は地方の方の関係で非常に重要と思っておりますので、数字に間違いがあつては滝井さんのせつかくの御質問も意味がないと思いまして、私は概括的に申し上げておりすから、こまかくはひとつ主計当局から御説明申し上げたいと思います。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 大蔵大臣の御答弁を少し補足して御答弁申し上げます。  入場税の問題は大臣からお話がございました通りでございまして、欠陥が起るかどうかわかりませんが、欠陥が起きました場合に備える措置は、譲与税特別会計法の修正案等によつても講ぜられておるわけでありまして、本年度内におきまする措置は大体十分であると思います。地方税の減税は、免税点六万円を七万円に引上げられました結果、御指摘のように約十六億円の減収が見込まれるのでございますが、これは国会で御修正になるに際しまして、おそらくは他の税収入等の見込みも十分お考え願つて、この程度のゆとりはあるものとして御修正になつたものと考える次第でございまして、この程度の修正は十分弾力性があると私どもも考えるのであります。  ガソリン税の問題でございますが、三分の一の譲与税が七十九億、そのうち四十八億は道路整備五箇年計画に見合う事業の増加額を計上しなければならないということになりましたことは、御指摘の通りでございます。そのうち十億円はすでに当初の計画において見ておりましたので、三十八億円が御指摘のように問題が起るわけでございますが、これにつきましては起債、公募公債の消化能力ないしは政府資金の蓄積状況を考えまして、一部は起債によつてまかなうつもりでございまするし、残余につきましては、一般事業の節約ないしはただいまお話もございましたが、五筒年計画と従来の道路費との重複分の排除というようなことによりましてまかなえる見込みでございまして、この点から地方財政計画に破綻を生ずることはないと存じております。  なお交付公債の償還金の問題がございましたが、これは当初の地方財政計画におきましても、この年賦償還額を実は財政需要の中に計上いたしておるのでございます。目下問題になつておりますのは、このすえ置き期間をどうするか、償還期間をどうするかという問題でありますが、地方財政計画それ自身の中には、むしろ五箇年ぐらいの償還期間で均分償還というようなことで計画の中に実は織り込んでおるわけでありまして、この点も財政計画の上では問題はないと私どもは存じておる次第でございます。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 今の御説明ではなお最終的な結論を得ません。大臣がなお関係当局との間で相談をして何とかしたいということでありますので、一応時間の関係がございますから、このくらいにして、もう少しつつ込んで聞きたいのですが、今大臣の御答弁の中で、この入場税関係で、一般会計に交付税及び譲与税配付金特別会計の中から持つて行く十九億二千万円はやめる、こういう御答弁がございました。そうしますと、これは特別会計の予算を修正して来なければならぬと思うのです。なぜ私がこう申しますかというと、もうすでにわれわれが議決した特別会計予算というものは通つてしまって、成立しておるわけであります。ところが今度の修正で違つたことを出して来ておるわけです。二十九年度の特別会計予算の予算総則第八条を読んでみますと、「交付税及び譲与税配付金特別会計において、入場税の収入が、この予算において予定した金額に比して増加するときは、その増加額に相当する金額を地方譲与税譲与金及び一般会計へ繰入の支出に充てることができる。」と、こう予算総則でうたつたわけです。そうして百七十二億八千万円を入場税譲与金として人口に比例してわける、それからこの特別会計から十九億二千万円繰入れる予算が通つてしまつた。ところがそのあとで今度修正して来たものは、入場税の収入の十分の九が百七十二億八千万円しかないときは、もうそれまでが限度だ、もし百七十二億八千万円に足りないときには一般会計から入れますと、こういうことになつておる。従つて初めのときは、余裕があるときには一方の地方譲与税譲与金へ繰入れる。ところが今度一方は、百七十二億八千万円を限度とする。一方は一般会計に繰入れます。一方は、今度は一般会計から繰入れますというと、一体地方公共団体はどつちをとつていいかわからない。もう予算は通つてしまつた。ところが今度はあとから追つかけて法律でもって、そうではありません、足りない場合は一般会計から入れてやりますよ、そうすると地方公共団体はどつちをとつていいかわからない。結局自分の都合のいい方をとるということになるのですか、どつちですか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 滝井さんの立場は、地方税が減収を来しておるということの立場でお話になりましたから、私は百九十二億と予定しておつた入場税中、九割の百七十二億八千万円の地方に入るものには、こういうわけで一切御迷惑をかけない措置がちやんととってある、こう申し上げたのであります。ただ十九億二千万円というのは、これはもちろん一般会計に受入れるべきでありますが、その建前はくずしておりませんが、受入れるべきでありますが、しかしそれの受入れができるかどうかということは、三月末にならぬとわかりません。従いまして、来年実際にどれだけ入場税収入があるかということについては、これは実績を見定めた上でそういたしますと、こう言つておるのです。必要があればいたします。それではまた足りぬ場合はどうかというお尋ねでございますが、それで足りぬ場合には、国が一般会計から特別会計に移す以外に道がございませんから、そのときはまた一般会計から特別会計に繰入れをします。いずれにしても、地方にお渡しすべき百七十二億八千万円というものについては、決して地方財政に御迷惑をかけません、こういうことを私は申し上げたわけですから、何らその間に矛盾はございません。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 いわゆる実際論としてはその通りです。ところが法律上の問題を考えると、九割を地方にやつて、一割を手数料として国がとる、こういうことになつておる。そうしますと、実際上の運営としては、今後国は手数料をとらぬということでいいのですか。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 予算総則の問題でございますので、私から申し上げますが、この入場税は、恒久的な制度といたしましては、九割を地方に譲与し一割を一般会計に繰入れる、その制度は修正によりましてもそのままでかわつておりません。なお百九十二億を越える場合の問題がございましたが、これはいわゆる弾力条項でございまして、ふえた実績だけを地方にもわける、収入が百九十二億を越えた場合にはその十分の九を渡す、従つて百七十二億以上のものが地方に行く、こういういわゆる弾力条項であるわけでございます。修正前のものは、実績が減れば減つただけの九割しか行かないという制度であつたわけでありますが、入場税率の修正もあつたわけでございますので、いささか税収にも不安がございます。そこで初年度におきましては、初年度限りの臨時的な措置として百七十二億だけは確保しよう、百九十二億だけの収入がない場合には、最小限度百七十二億を下らぬような譲与税にしようということで譲与税法の修正が行われ、またそれに基いて特別会計法の中にも必要なる規定が設けられまして、百九十二億に満たない場合には、まず国庫に繰入れます予定の十九億を遠慮し、それを地方の譲与税にまわす、それでもなお足らないとぎには一般会計で負担する、その負担した分は、先ほど大臣からお話がございましたように、おそらく三十年度の予算措置となると存じますが、その間のつなぎといたしましては、一時借入金を活用いたしまして、極力地方財政に御迷惑がかからないようにする、さような趣旨でございまして、地方としては別に迷われるようなことはないと存じます。一にかかつて入場税収入のいかんにあるわけでございまして、問題はないと思います。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 一応そういうことで、時間がありませんから次に移ります。  地方財政平衡交付金法の改正がようやく昨日四月十三日に衆議院を通過しましたが、すでに地方公共団体では昭和二十九年度の財政の運営が始まつたわけなんであります。ところが、これは四月に少くともその交付金の四分の一の概算払いをやらなければならぬ。そこで自治庁にお尋ねをするのですが、自治庁はこの点について、何か短期融資その他を大蔵省に要求でもされたことがあるのかどうかお尋ねいたします。

青木正自由党自治政務次官

○青木(正)政府委員 大臣が不在でございますから、私かわつて御答弁申し上げます。年度がかわりまして、地方公共団体は年度当初の資金繰りでいろいろ御苦心なすつておる、かように私ども考えまして、実は交付税法の審議が遅れた場合のことも考慮いたしまして、当初概算払いの特別立法ということも考えたのであります。ところが御承知のごとく一般会計の方の交付税の予算科目を特別会計に繰入れる、こういうことに相なつておりますので、特別会計が成立せぬ限りは、せつかく一般会計の予算が成立いたしましても、それを出すことはできない。そこでさらに特別会計の臨時的な、暫定的な特別会計をつくつたらどうか、こういうこともいろいろ考慮いたしまして、大蔵当局並びに法制局とも折衝いたしたのでありますが、現在提案中の特別会計が審議中であるのに、さらにその暫定的な特別会計をつくるということにつきましては、先例もありませんし、いろいろと問題もありますので、できることならば、一昨日でありましたか、衆議院の大蔵委員会をすでに通過いたしました交付税の特別会計の法案の審議をできるだけ早くお願いいたしまして、その特別会計が成立いたしますれば、それに基いて概算払いのできるような臨時立法をつくりたいということで準備いたしておるわけであります。しかし万一特別会計の法案が遅れまして、そのために地方に御迷惑をかけましてはまことに申訳ないと存じますので、さらに一時資金のつなぎ融資の問題につきましても――実は先般大蔵省関係の各府県の財務部の会合がございましたので、その会合に私どもの方からも出席をいたしまして、現在資金運用部資金のそうした方面にお願いできる金が大体百三十億程度ある、こういうお話でありますので、各地方公共団体の年度当初における資金繰りについて財務部当局からもできるだけひとつ短期融資について御協力、御援助を願いたいということで、私どもの方から財務部の方にお願いをいたしておるわけであります。しかし同時に、特別会計が通りましたならば、これに対応しまして即刻概算払いのできるような臨時立法をつくつて提案いたし、御審議を願いたいということで、準備はいたしておるわけであります。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 今自治庁の政務次官の御説明の通りですが、大蔵大臣、現在地方公共団体の年度初めには財政調整のために少くとも、三百億くらいの金は必要とすると思うのです。そうすると、今財務部の会議で百三十億というお話がございましたが、どの程度つなぎ融資を地方公共団体にお出しになるつもりですか。現在御承知の通り地方公共団体は二十八年度ですでに三百六十億の赤字をかかえておる、しかも今度の地方財政全般を見ると、非常に地方公共団体の税制の面についても何についても弾力がなくなつてしまつているのです。自主性がまつたくないという状態なんですが、どの程度お出しになるか、ここでひとつ御言明をいただいて、地方団体の運営を円滑にしてもらいたいと思うのです。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 率直に申し上げますれば、実は金が十分ありません。従いまして、特別会計の一日も早き成立を希望いたしますが、金のあるだけの点については処理いたしたいと考えております。額は全部の金が百三十億でございまして、その百三十億すぐというわけにはちよつと参りかねますから、できるだけと、そういうことに願いたいと思います。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 そうすると、出すことは確実ですね、額はわからないが、地方財政の調整資金として出すことは必ず出すということですね。臨時立法ができるということになりますと、これはまた衆議院から参議院にかかるので、いつになるかわかりませんから、その言明だけをひとついただきたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 特別会計の一日も早く成立することを希望しておりますが、しかし、必ず若干のことはお出しいたします。若干といいますのは、あとう限りお出しいたします。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 次にお尋ねいたしますが、補助金等の臨時特例等に関する法案の六条において、「新たに入学する児童に対する教科用図書の給与に関する法律は、当分の間、その施行を停止する。」こういうことになつたわけです。これは現在参議院で審議中でございます。そうしますと、この新たに入学する児童に対する教科用図書の給与に関する法律は、入学した児童にやるのではなくて、入学する児童にやるわけですね。そうすると、もうすでに全国で四月初めに入学式が済んでしまつて、子供はみな学校に行つているわけです。一年生は、学校に行くときは当然教科書を持つて行かなければならない。この停止する法律は、参議院で審議中でいつ通るかわからない状態です。そうすると、当然国は今年の生徒については教科書を持たせてやつておかなければならぬのですがどうなのですか。今年の小学生は五十万もふえて、学校は青空教室でやつておる、二部教授をやつておる、まるきり教科書もくれない、今年の一年生はけつたり踏んだりの状態です。これは昭和二十七年は三億六千万円、二十八年は三億八千万円ですから、ふえたところで四億そこらあればよいのです。こういう’ものは、良心的な政治家としては、法案がまだ通らないならば、三十年からそれをやるとして、今年は当然補正予算か何か組んでもらわなければならぬと思うが、これは大臣、どうするつもりです。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 これによつて私ども別に補正予算を組もうと思つておりません。この件は最初からこういうことが明らかにされておりまして、大体周知されておると思います。ただ法案が衆議院は通つたが参議院は通つておらないことは滝井さんのお説の通りでありますが、私どもは今度は教科書は出さないのだということ、その出さな理由につきましてはすでに述べましたからこれは申し上げません。そういうことで、私どもは国会でもしばしば議論になつて、少くとも教科書をお扱いの方は全部おわかりのことと存じておりますので、それに基いて補正予算を組もうとは思つておりません。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 滝井君、お持ちの時間が過ぎました。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 あと一つだけ……。そういうように政治が血も涙もない状態で行われておるわけです。それでは最後は国の予算についてなのですが、さいぜん申しましたように、入場税で何とか補填をしなければならぬ。自治庁は五十九億、約六十億といつておる。こういうものをとにかく一般会計から出さなければならぬ。それから奢侈繊維品消費税、これは審議未了の見通しが大体はつきりして来た。これが八十五億、それから三党の修正を大蔵大臣はのまれたわけなんです。これは節約とかなんとか言つておるけれども、いわゆる予備費で五十億円出すことになる。そうすると今年の予備費は御承知のように百三十億、入場税の赤が六十億、奢侈繊維品消費税が審議未了になれば八十五億、三党修正が五十億で百九十五億、ことしの予備費を食つてしまう。そうすると、あなたは一兆円予算というからには、既定経費の節約で行くか、それとも一兆円予算を破る補正予算で行くか、どつちかでなければこの百九十五億というのはどうにもならぬ状態ですが、そのどつちをおとりになるか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 百三十億の予備費中五十億をいわゆる三党協定の社会福祉施設その他のものに向けました関係上、私どもはその当時から施設費その他のものを削るという考え方を持つておりまして、今度の予算実行に際しまして、私は少くともかりに今お話のごとくに不足するとは思いません。繊維税といえば何だか繊維に課税するようだが、奢侈品に対して課税するのだから、私は国民思想の上から今もなお通るという考えを捨てておりません。また通すために全力を尽そうと思つております。従いましてどんなふうに入れるか、これは予測を許しませんが、しかし私の考え方は、必ず必要であればそれだけの既定経費を節約して支弁する方針であります。繰返して申し上げますが、一兆円という数字に私はとられておりませんが、この方針はあくまで堅持いたしますから、この方針に基いて処理いたします。

滝井義高日本社会党(左)

○滝井委員 それでは私の質問はこれで終ります。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 稲富稜人君。

稲富稜人日本社会党(右)

○稲富委員 最初に緒方副総理にお尋ねいたしたいと思います。お尋ねいたしますことは、造船疑獄その他汚職事件に対する内閣の責任についてであります。この問題については、すでに本委員会におきましてもしばしば論議され、しかもこれに対しましては総理より答弁があつたのでありますけれども、私はまだこれに対して十分納得ができませんので、副総理にお尋ねいたしたいと思うのであります。この内閣の責任に対するしばしばの質問に対しまして、総理の答弁は、常にこれは検察庁の調中だから、その取調の内容が明らかになつた上で内閣はこれに対する態度を決定する、こういう答弁をされておるのでございまするが、これを別な言葉で言いますと、これがいかに政治的な大きな問題でありましても、実際上犯罪がなかつたらいいじやないかというような、いかにも三百代言式な答弁であるようにわれわれは思うのであります。このたびの造船疑獄の事件が現閣僚に対する疑惑があるとか、あるいは行政官で重要ポストの人がすでに囹圄の身になつておるとか、さらにこれが進展いたしまして、今日国民の中に議会政治に対する不信が非常に増大しておるということは、私たち見のがすことはできないと思うのであります。ことにはなはだしきは、これを機会に、あるいは議会否認のフアシズム的運動さへ起らんとしておるということの重大なる事実に対しまして、ただ検察庁の調べが終つた結果に従つて善処するということでは、国民は納得できないであろうと思うのであります。少くとも政治には一つの道義的な責任があらねばいけないと思うのであります。そこで吉田総理大臣よりも社会的、政治的良識を十分お持ちになつておる副総理が、これに対していかなる考えをお持ちになつておられるか。すなわち政治上に現われますところの道義的責任をどうお考えになつておるかということについて承りたいと思うのであります。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 造船汚職が検察庁の取調べの結果どうなるかということについては、まだ見通しを持つておりませんが、現政府のもと、政界の一角にこの汚職事件との関係があることが事実であるということに対しましては、道義的の責任を感じておることは申すまでもございません。こういう汚職事件が起ることにつきましては、政府といたしましても、どうしてこれを将来除き得るか。政治にもつと金がかからないようにする。また選挙の費用が非常にかさむ結果が汚果が汚職の原因であるということもほぼ想像されますので、この点につきましても十分に掘り下げて考えて、この機会に選挙をもつと粛正するということに考えをいたしまして、何らかの方法を講ずべきではないかということも考えております。でありますが、直接汚職の政治的責任、政府の責任というものにつきましては、これは今のところ実際に事実がはつきりいたしておりませんし、ただ政府直接の問題といたしましては、関係がないという自信を持つております。進退ということはなかなか重大な問題でありますので、ただ汚職についてのいろんなうわさが飛ぶ、または政界に大きな関係者があるということだけで政府として進退をすべきではない。もう少しおちついてこの汚職に対する取調べの結果を待つて、しかる後、に善処する、責任を明らかにする、それがとるべき道であると考えておるのでございます。

稲富稜人日本社会党(右)

○稲富委員 汚職の問題に対する観点が非常に私たちと違うのでありまして、もちろん緒方副総理は道義的責任というものは非常に感じておるというお答えでありまして、それはごもつともだと思うのでございますが、ただ昨日来総理大臣の答弁等を聞いておりますと、今日この汚職事件を通じまして、明らかに政治に対する国民の不信が大きくなつておるというこの責任は、議会政治を吉田内閣が守ろうとするならば、重大なる責任を感じなくてはいけないと思うのであります。ただ吉田さんが言うことには、今日国民はそれほど内閣を信任していないのじやないのだということをきのうも言つておられるのでありますが、おそらく吉田さんの考え方というものは、今日自由党が比較的多数であるから、まだやはり国民の信頼があるのだというような観点ではなかろうかと思うのでございますが、おそらく昨年の四月に選挙をやりますときには、自由党の内部、保守党の内部にかような臭気ふんぷんたるものが起るであろうということは、国民は予期しなかつただろうと思うのであります。その後にできたこの具体化した事実に対しまして、ほんとうに吉田内閣が日本の議会政治を守つて行こうという熱意があるならば、みずからこれに対する態度をはつきりすることが私は政治責任として当然必要であるということを考えます。おそらく、こういうようなことで、将来この内閣の命脈も非常に細々となつて来た、こういう点から保守合同によります緒方構想というものが生れたものである、かように私は考えておるのであります。昨日自由党のこの声明書をを見ますと、これは緒方副総理みずから筆をとられたということでございますが、その中に、「保守勢力がよく国民の支持をえてその任にあたるには脱皮奮発みずから新たにして時間の要請に応えうるものがなければなならぬ。」ということを明言されておるのでございますが、この脱皮奮発ということは、単に政党が脱皮奮発するばかりでなくて、政治そのものが脱皮奮発することによつてのみ、この声明が生き、日本の政治を常道に取返すことができる、かように私たちは考えるわけであります。単に政党だけが脱皮しても、政治そのものが脱皮しなければ、私は国民の信をつなぐことはできないと思う。ただ一時的に保守合同によつてこの時局を収拾する、政権だけをたらいまわししよう、こういうようなことでは、ほんとうに日本の議会政治というものは守つて行けないのじやないかということを私は非常に憂慮をいたしますがゆえに、これに対しまして緒方副総理のお答えを承りたいと思うのであります。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 国会に対する国民の信頼がだんだんに薄くなるおそれがありはしないか、それを取返すことが必要であるという御意見に対しましては、私も同感を表するのであります。しかしながら、この国会に対する信頼を取返すということは、今政府がここでかりにただ自分で引きしりぞくということで、この国会に信頼を取返し得るものではないのであります。この国会の信頼を取返すことにつきましては、ひとり政府あるいは与党だけでなく、国会全体として、国会の言論の上において、あるいはいわゆる最高機関として国会の立場を高めることについて、お互いに研究し、考えて行かなければならぬことと考えるのであります。  それから、今の政府の汚職問題に対する責任というものは、自由党が昨日出しました声明書の「脱皮奮発みずから新たにして」云々ということは、これは声明書の趣旨といたしましては、この時局に一層適切なる政策を保守勢力による大きな保守新党がさらに掘り下げて考えて、その政策を、掲げて行くことを全国民に訴えようという気持でありまして、今すぐ汚職の問題をあそこにうたつておるのではもちろんないのであります。汚職につきましては、政府といたしましては、どこまでも世間をして納得させる措置をとつて参りたい、さように考えます。

稲富稜人日本社会党(右)

○稲富委員 私も国民が納得し得るような措置をとることが必要であると思うのでありますが、その国民の納得し得るような措置をとるということは、政府が今日国民の疑惑に対して、国民の審判を仰ぐということが私は最も必要であると考えるのであります。昨日吉田さんは、社会党には内閣は絶対渡さないのだということを言われておつたのでありますが、かように事実がすでに現われておるにもかかわらず、盛んに政権を固守しようとされるゆえんのものは、MSA援助を受けよう、あるいは自衛隊を強化しようというような時期に、これに反対している社会党に政権を渡すということは、こういうことに非常によくない結果をもたらすのではないかというような、あるいは外国の指示でもあるのではなかろうかとさえも疑わなければならぬような強さがあるのでありまして、私たちは、ただいま副総理が言われましたような、実際に国民が納得し得るような態度を政府は潔くとられんことを切に希望いたしまして、緒方副総理に対する質問を打切ります。   〔委員長退席、小峯委員長代理着席〕  次に、質問の関係上会計検査院の方にお尋ねいたします。会計検査院法の第二十条に、「会計検査院は、日本憲法第九十条の規定により国の収入支出の決算の検査を行う外、法律に定める会計の検査を行う。」ということが明示されておりますが、このほかに会計検査院の職務というものがありますかどうか、ありますならばひとつ承りたいと思います。

池田直会計検査院事務総長

○池田会計検査院説明員 お答えいたします。会計検査院の権限の根拠は、ただいまお読み上げになりました会計検査院法の第二十条に規定しておるところでありまして、その他検査の権限等につきましては法律の規定もありますが、大きな根拠法規といたしましては、会計検査院法第二十条の規定に示すところであります。

稲富稜人日本社会党(右)

○稲富委員 会計検査院の大体の権限というものは今明示されましたので、さらに私は具体的の問題につきましてお尋ねをいたしたいと思います。  これは各地に事例のあることでありまして、個々にたくさんの事例があるのでありますが、どうもこういうような事実を発表してもらうと、将来会計検査院からまたいじめられるから発表してもらいたくないというような意向があるということを、私は非常に嘆かわしく思うのであります。必要でありますならば、具体的に町村名あるいは検査官等の名前もわかつておるのでありますが、時間がございませんので簡単に申し上げますと、たとえばこういう事実があるのであります。昨年の災害の復旧に対しまして、会計検査院が本年三月に検査に行かれまして、その検査官が検査にあたつて、政府予算の都合で、農民の皆様に対し気の毒と思うが、極力減額する方針であるということをはつきり明言されておる。そうして査定をされて減額されたという事実があるのでございますが、こういうような権限が会計検査院の職員にあるかどうか、この点をひとつ承りたいと思います。

池田直会計検査院事務総長

○池田会計検査院説明員 お答えいたします。会計検査院が昨年の大水害の災害復旧の工事等につきましてやりました分は、今お話の通りでございます。今お話の通りの災害復旧関係の工事の査定、あるいはその査定に関しまして、予算を令達するとか、あるいは補助金を交付するとか、そうしたことは各省それぞれの権限でございまして、会計検査院にこれを減額するという権限はございません。ただ会計検査院といたしましては、ただいまお示しのような災害復旧工事等の予算の執行の段階におきまして、いろいろこれを見まして、国の予算の執行の適正化の観点から、いろいろ検査なり調査なりをいたすわけでありますが、その結果に基きまして、それぞれの主管の省の責任者に対しまして、私どもの方の見た結果につきまして御注意を申し上げるなり、いろいろの意見を表示いたしまして、国の会計経理の監督、是正、改善をはかるという大きな目的の線に沿つて会計検査院の権限の執行をいたしております。このことは、ただいまお示しの会計検査院法第二十条の第二項に示すところでございます。

稲富稜人日本社会党(右)

○稲富委員 そういたしますと、これはどこまでも事実でありますが、会計検査院の職員が現地に検査に参りまして、今申しましたような行政面にタッチするような、予算の削減をやらなければいけないというようなことを言つて予算の削減をし、あるいは工事にあたりまして、農林省、建設省もそうでありますが、農業災害に対しましては農林省と大蔵省の立会いの上に査定いたしまして、これはすでに仕事を完了しておる。これに会計検査院から行つて、これは農林省の所管でなく建設省の所管だから認めるわけに行かない、国家の補助をやるわけには行かないということを言われて、そこに強制して判までとられたという事実があるのでございますが、こういうような事実を私たくさんここに持つておるのでございます。こういうような事実は、明らかに会計検査院としての逸脱した行為である、こうわれわれは思うのでございますが、これに対して事務総長の御意見を承りたい。

池田直会計検査院事務総長

○池田会計検査院説明員 お答えいたします。ただいま具体的の事例といたされまして、会計検査院が、農林省、建設省、あるいは大蔵省の機関がそれぞれ査定をいたして、査定工事につきまして予算をつけた。それを会計検査院が減額を命じたというふうな事例がある、これは会計検査院の権限の逸脱ではないかという御質問と承りまするが、事実会計検査院が検査の過程におきまして、主管省が予算をつけたのを減額を命ずる権限がないのは先ほど申し上げた通りでございまして、会計検査院といたしましては、そうした減額を命じたというように事例は私ただいま承知はいたしておりません。ただ会計検査院といたしましても、ただいまお示しの通り、大体今まで検査の執行の状況は事後検査的な検査をいたして参りました。従いまして二十五年度、二十六年度、二十七年度の検査報告にもそれぞれ報告いたしました通り、国の補助金等の使用につきまして、かなり適正を欠いておる事例を多く指摘いたしておる次第でございます。あるいは事業主体たる県あるいは町村、あるいは組合、これが会計検査院の事後の検査の結果いろいろ手直し工事をしなければいけないとか、あるいは補助金を減額しなければいけない、そうした事態が起つておるのでございまするが、会計検査院は、先ほど申し上げました通りに、主管省の事業に対して予算の減額、あるいは補助金等をとめさせるということを命ずる権限はもちろんないのでございますが、あくまで予算が積算され、あるいは予算が編成されました趣旨に従いまして、なお補助金でありますれば、補助の根拠法規に基きましてよくその工事が行われておるかどうか、補助金が予算通りに使われておるかどうかということをよく見るのでございます。その結果が、今申し上げましたように、事後の検査の結果はいろいろあと手もどりの工事が起る。せつかく工事をやりましたあとで、会計検査院が予算通り行われておるかどうか、あるいは法律通り行われておるかどうかを見た結果、補助金を返納させるということになりますると、いろいろな弊害もあることですし、国会の皆様方、あるいはその他からも、会計検査院は事後ばかりに検査を行つて、やかましいことをあとから言つてもきき目がない、工事の途中なりその他の場合にもう少し考慮して検査をなるたけ早目にやつて、経理が悪ければこれを是正させる、そういうふうな考えはないかどうか、そんなことはできないかどうかという御意見なり、あるいはお小言を私どもはよく聞いております。そうした関係もありまして、昨年の災害の復旧事業につきましては、私どもも何とか早目にこれを見たいものだ、そうして国の重大なときでもございますので、予算の執行なり、これも大いに適正に行われて、国全体がそのために非常によくなることが望ましいという観点から、今お示しのような疑問もあつたかしれませんが、私どもは実は非常に早目に見たわけでございます。予算の令達は農林省の所管で申し上げますれば、昨年の暮れにすでに七十億近い予算の令達もあつたような状況でございまして、年度末までに相当の令達もありました。そういつた関係で、予算の執行の過程におきまして会計検査院は検査なり、あるいは調査もいたしておるような状況でございます。

稲富稜人日本社会党(右)

○稲富委員 もつと質問したいのですけれども、答弁が非常に御丁寧でございますので、時間がありませんから、ただ結論を申し上げますと、さつき申し上げましたように、会計検査院は非常に逸脱した行為によつて、しかも農林省その他の指導によつて工事が竣工した、不正もないのにこれは所管違いであるとか、あるいはこれは削減をしなくちやいけない、こういうことでそれを命ぜられることが不当であるということは、すでに事務総長もごらんになつておることでございますので、こういうような具体的な問題がありましたならば、これに対して改めてもらうにやぶさかでないかどうか、具体的な問題がありましたときに、その結論だけ承ればいいわけでございますから、それだけちよつと承つておきます。

小峯柳多自由党

○小峯委員長代理 答弁は簡潔に願います。

池田直会計検査院事務総長

○池田会計検査院説明員 お答えを申し上げます。もしも会計検査院が権限を逸脱して検査の執行をいたしたようなことがありますれば、将来これは改めるにやぶさかではございません。現在のところでは、私どもが逸脱したというようなことは、実は具体的には承知いたしていないような状況でございます。

稲富稜人日本社会党(右)

○稲富委員 この問題は事情御存じないならば、またあらためて具体的な事実についてお話を伺うことにいたします。  次にMSAの援助の問題につきまして、外務大臣にまずお尋ねいたしたいと思うのであります。最初政府は、このたびのMSA援助に対しましては、これは経済援助と軍事援助と両面からの協定であるというふうに一般にはいわれておつたのでございますが、その経過を見ておりますると、経済援助面がだんだん薄くなりまして、われわれのこのMSA協定から受けまする感じというものは軍事援助だ、こういうような気持が非常に強いのであります。先刻松原委員の御質問に対しまして、大蔵大臣は、経済援助だ、こういうようなことをおつしやつておつたのでありまするが、一体経済援助に重点を置いてやつたのか、軍事援助に重点を置いて進められたのか、その点ひとつ政府の見方を承りたいと思うのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 政府としてMSAに関して初めて公式に発言をいたしましたのは、昨年の六月二十六日日米双方の公文が交換された日でありますが、そのししきに私はこの委員会で説明をいたしました。その文句は、この援助が日本の防衛力を強化し、かつ経済面に寄与するものであれば、これを受けるのが望ましいというので、防衛力の増強に役に立つということが主であつて、もしそれに加えて経済面に寄与することがあればなおさらけつこうである、こういう趣旨であります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 ちよつと申し述べておきたいと思います。先ほど経済援助と言つたのは、ごらんくださつた通り、第一条に「アメリカ合衆国政府は、日本国の工業の援助のため、及び日本国の経済力の増強に資する他の目的のため、相互間で合意する条件に従つて、前記の特別勘定から円価額を日本国政府に」、これはいわゆる一千万ドルという特別会計の分は経済援助、とその点を申し上げたので、一般的なMSAの関係を申したわけではないのでありますから、念のために申し上げておきます。

稲富稜人日本社会党(右)

○稲富委員 一千万ドルの分は経済援助だという大蔵大臣の御答弁でございますが、この経済援助も、経済援助と言いましてもひもつきでございまして、結果は軍事援助になるんだ、こういうふうにわれわれは見るのでございます。もちろん政府といたしましては、どうも軍事援助というのは国民感情に悪いから、これはなるたけ経済援助ということで持つて行こうというのが腹ではなかつたかと思います。そういうことから、ついアメリカで余つておりました余剰農産物の輸入協定を結んだというのが結論じやなかろうか、こういうふうにわれわれは考えるわけであります。それでおそらく吉田総理大臣が今度アメリカに行かれるというのも、あまりにも経済援助の面が少かつたから、できるだけひとつ吉田さんに骨を折つてもらつて、外資導入でもやつて何とか経済的な結ばれをつけておこうというのが腹じやなかろうか、こういうふうに思うのでありますが、吉田さんの外遊に対しまして、アメリカの資本導入でもやろう、こういうような含みがあるかどうか、この点ひとつ外務大臣から承りたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 吉田総理の外遊につきましては、いろいろの問題を研究いたしまして、どれを取上げるかを考慮いたしておりますが、まだどういう問題を取上げるかということについては決定いたしておりません。しかしながら日本とアメリカとの間には経済的にも非常な結びつきがあるのでありますから、こういう問題もあるいは取上げられるかもしれませんが、ただ大体について申しますれば、日米関係の大局について話し合つて相互の理解を深める。特に具体的なおみやげみたいなものを考えてはおらないわけであります。

稲富稜人日本社会党(右)

○稲富委員 さらにお尋ねいたしますことは、このMSAによる余剰農産物の援助というものは、将来も引続きこれを継続されるという意思があるか、またそういう見込みがあるか。またこの援助に対する余剰農産物の選択というものは、日本に自由に選択権があるかどうか。この点ひとつ外務大臣に承りたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはアメリカの国内の農産物の状況によりまするが、ただいまの見通しは、この二、三年は余剰農産物というものは相当あると思いまするから、日本が希望すれば同様のことはできると思います。そのときに選択権があるかどうか、もちろんこれは選択権はあります。選択権はありまするが、今度日本の欲するものが安く手に入らないというような場合もあり得るわけであります。向うにも売るか売らないかの選択権があるわけであります。これをお互いに話合いができたところで買うということになるわけであります。

稲富稜人日本社会党(右)

○稲富委員 私も余剰農産物というものは、アメリカの今日農業増産による農業恐慌から来ている結果、相当にやはりアメリカの余剰農産物というものは将来続くであろうということを考える。こう考えますと、やはりこの経済的な、こういうことを言つたら岡崎さんお怒りになるかもしれないけれども、いかにも日本はアメリカの経済の隷属下に置かれるような結果になつて、その余つたものを日本が負わぬかということが将来当然起つて来るだろうとわれわれは予期するのでありますが、そうなつた場合に、今日日本がビルマその他南方から食糧を輸入いたしておりますが、これに対しましては、これを減ずるというような方針があるかどうか、この点を承りたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはなるほどアメリカでは余剰農産物でありますが、日本からすれば必要なものでなければ買いません。またそれの条件が他に比べて有利でなければ、特にアメリカから買う必要はないわけでありますから、その点は必ずしもアメリカの余つたものを押しつけられるというわけではないのであります。それから東南アジアの方面では、濠州を別にいたしますれば、ただいま購入いたしておりますものは米であります。アメリカは米の生産は多少ありますが、そう大量に輸出する余力はありませんからして、ただいまのところ東南アジアの米の買付を減らしてアメリカから農産物を買うという計画は持つておりません。今後も米の買付は依然として継続するつもりであります。

稲富稜人日本社会党(右)

○稲富委員 アメリカの余剰農産物を押しつけられたのではないとおつしやいますけれども、現在アメリカの実情というものは、この余剰農産物を何とか海外にはかなければならないような事情にあることは、外務大臣御承知のことであると思うのであります。こういう結果、アメリカも日本に対する軍事援助をやるためには、一石二鳥で、これでひとつアメリカの内部も片づけてやろうというのがほんとうの腹だと思うのでありまして、こちらの方では喜んでおられるようでありますが、アメリカといたしましては、やつかい払いの輸出をされるものである、かように私たち考えるのであります。そうすると、このアメリカの余剰農産物を将来受ける。また南方からの農産物もわれわれはこれを貿易上断わるわけにいかぬ。継続しなければいけない。こうなりますと、結論として生じますものは、その中に挾撃される日本の農業対策というものに対してどう影響を来すかということが重大な問題であると思うのであります。私いろいろ聞きたいこともありますけれども、時間が許しませんから結論を申し上げますと、少くともこの影響は非情に大きいと私は思うのでありますが、これに対しまして、ひとつ農林大臣のお考え方を承りたいとます。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 今回のMSAによる輸入農産物は小麦で五十万トン、大麦で十万トンを予定いたしているわけでございますが、主として国内の小麦のことを申し上げますれば、昨年の災害もございまして、食糧事情はかなり窮迫をして来ている。そこで米につきましても麦につきましても、輸入の増大をはからなければならぬ。大体平年度でございますれば、小麦の輸入量は百五、六十万トンで達せられる。しかるに右のような事情で、昨年度百九十七万トン、本年度百九十六万トンを一応需給計画上輸入を要すると推定をいたしているわけであります。小麦五十万トンはこの百九十六万トンの予定いたしておりますわく内において実施をいたすものでございますから、従つてこれによつて国内農業を圧迫するということにはこれは断じてなりません。また輸入価格にいたしましても、これは将来大きな日本農業の課題となつて、輸入農産物と国内農産物の価格の問題というのは将来の大きな課題であると存じますので、万全を尽して行かなければならないのでございますが、ただいまの処置は、米はまだ外米の方が高い、麦の方はむしろ外麦の方が安くなつて来ている、しかしながら麦にいたしましても米にいたしましても、輸入物は国ですでに管理している。国内産の麦につきましては、法律の命ずるところに従つて、パリテイ指数を基準として価格を決定して行くことになり、かつまた政府は無制限にこれを買上げるという政策は少しも動いておりませんから、従つてこれによつて、これを実施いたしまして国内農業を圧迫するということには断じてならない。ただ私どもとしましては、アメリカに農産物が余つているから、それに依存しておれば食糧増産の手がゆるみやせぬかという点だけを心配するわけでございまして、さようなことは、どうしても自立経済達成という上から行きまして、食糧増産の手をさような安易な、また一時的な現象によつてゆるめて行くというようなことは断じてできない。かように私は考えております。

稲富稜人日本社会党(右)

○稲富委員 私たちも、日本の農業はやはり食糧の自給態勢を樹立することが最も必要で、基本でなくちやならぬと思うのであります。ところが従来日本の農業というものは、外米依存の不健全な農業対策をとつたことに大きな悩みがあると思うのでありまして、今後MSA援助による小麦の輸入等によりまして、依然として食糧の外米依存の形になりはしないかということをわれわれ非常に憂慮するのでありまして、ことに今年度の予算編成等を見ましても、かような現われが農林予算の上に現われ来ている、こういうような事実をもちまして、私たちはますます大きな心配をするのでございます。これに対しましてもいろいろ聞きたいのでございますが、時間がありませんので、ただ結論に入りますが、私はこのMSA援助によつてこうむる心配というものは、これによつて今申し上げまするように依然として日本の農業というものが外国食糧輸入に依存するようなことをやつて行きはしないかということと、さらに一つは、これは外務大臣にお聞きしたいと思うのでございますが、こういうような援助を受けることによつて、たださえも軟弱な日本の対米外交というものがますますまた弱くなつて行くのではないか、私はかような心配をするのでございます。先般ビキニ事件が起りましたときに、おそらく私は、これに対して日本国民の率直なる感情というものは、もうああいう水爆の実験なんかやつてもらいたくないというのが私は日本国民の総点であると思う。このやさきに外務大臣は日米協会に行かれて、この水爆実験には将来日本は協力するのだと言われていると思うのでありまして、おそらく私は、これは国民の総点を代表した意見ではないと思うのです。そういうような弱々しい外交辞令を出されるということは、MSA援助等のこういう少しばかりの援助を受けるから、受けたいというかような根性から、そういう媚態を呈しなければいけないようなことになるのではなかろうかということをわれわれは憂慮するのでございます。どうかこれに対しまして、MSAの援助を受けるといえども、おそらく私は今までより以上に日本の外交が軟弱化しはせぬかということを憂慮するのでありますが、これに対して政府はどういうような考えがあるか。これはもちろんあるとおつしやらないだろうと思うのでございますが、この点を私は憂慮にたえませんので、一応念を押して承つておきたいと思うのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは稲富君もおつしやつたように、日本としても利益があるから買い入れるわけでありますが、アメリカとしても、余剰農産物の始末がこれで一部つくのでありますからして、アメリカ側としても利益なんであります。これは必ずしも日本が恩恵を受けるというだけではないのであります。従いまして、相当日本に有利な条件でなければ買わないということなのでありまして、この点では別段軟弱外交とか、対米媚態とかいうようなことは決して起らないと私は確信いたします。 ビキニ事件につきましては、これはもし実験を禁止しろというのが国民の総点であるとすれば、衆議院の決議案におきましては、原子兵器の禁止と同時に、原子爆弾の実験の被害を防止するようにという決議の案でありまして、この決議は原子爆弾の実験を禁止しろとはなつておらない。原子爆弾の実験を認めておいてその被害防止の措置をとれ、こう言つております。(「措置はできない」と呼ぶ者あり)できるか、できないかしりませんが、衆議院の決議はそうなつております。従つて満場一致で議決されましたあの決議は、実験の禁止ということは全然言つていないのであります。これはおそらく両陣営で一斉に禁止しなければ、片一方だけの実験を禁止するということは片手落ちであろうと思います。いずれにしても衆議院の決議に私は沿つたものであると確信するものであります。

稲富稜人日本社会党(右)

○稲富委員 この問題につきましては、いろいろお尋ねしたいことがありますけれども、同僚岡委員から関連して質問が出されることになつておりますので、私は一応これで質問を終ります。

岡良一日本社会党(右)

○岡委員 ビキニの被爆事件は、これはもうずいぶん昔からの話題になつておりまして、各種の委員会でも大分問題になつておりますが、最近の事例についてこの際政府の御所見をただしておきたいと思うのであります。  ただいま稲富君が御指摘の点でありますが、先般九日に外務大臣が日米協会の演説で協力をする、こういうふうにおつしやつておられるのでありますが、そのときには適当な漁に関する補償があるということを反対給付として、また条件として、それを前提として申されておるのでありますが、そこでお尋ねいたしたいのは、先般三十一日政府の意向といたしましてワシントン政府の方に対し、あるいはアメリカ大使館に対しまして漁業の補償について、あるいは期間の短縮とか、また区域設定の問題とか、その他いろいろな条件を発せられたはずでありますが、その後どういう回答が参つておりますか、この点を承りたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これにつきましてはいろいろの問題があるので、たとえば区域を減らすことができるかどうか、あるいは一定の期間これをやめることができるかどうか、その他危険に対する通報はどういうふうにやるかとか、いろいろ問題がありまして、ただいままだ協議中でありますが、しかし区域を狭めるということは、アメリカ側としては危険防止の役に立たないという考えから、これはどうもむずかしいというような意向のようであります。

岡良一日本社会党(右)

○岡委員 十一日の新聞によれば米国務省のスポークスマンは、米政府は十日、日本外務省に対し米国が現在太平洋地域で行つている一連の水爆実験は六月末までに終るはずで、それ以後は危険区域を撤廃する旨の覚書を送つた、こう言明をいたしているわけです。これを受取つた日本外務省に近い筋は覚書を受取つたことを明らかにしたが、同覚書は水爆実験が日本の漁業に与える影響を考慮していないから満足なものとは考えられない、こう伝えられておりますので、この間の解釈についていろいろ解釈が成立するのでありますが、具体的に受取られたあなたとしては、どういうふうな点で日本の漁業上の問題についての納得の行く回答がなかつたのかという点、またでき得べくんば向う側の回答をそつくりそのままこの際明らかにしていただきたいと思うのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 米国との間にはいろいろの問題でいろいろの書面等をとりかわしておりますが、六月一ぱいで実験をやめるというような種類の申入れは、まだ受取つておりません。従いましてそれが満足であるとか、不満足であるとかいうことも、どうもその記事は正確でないようであります。ただ私の承知しているところでは気流の関係等がありまして、大体七月ごろから--これはあるいはモンスーン等の関係でありましようが、七月ごろから年の暮れ近くまでは、実験は実際上困難じやないかと思いますが、科学がだんだん進歩して来ますから、それもどうでありますか、従来であつたならば、なかなかむずかしい期間で、普通は実験はやらない期間だろうと思つております。

岡良一日本社会党(右)

○岡委員 先ほど稲富君の質問に対して衆議院、参議院の決議においては原爆実験の禁止をうたつているわけではないから、禁止をせよというのは国民の総意ではないというような立場において、日米協会では自由陳営の防衛力を強化するためには水爆の実験を中止、するような要求をするつもりはない、こういうふうに言つておられるのでありますが、しかしながら私どもは別にこの問題をもつと人道的な立場からお考えをいただきたいと思うのです。これはやはり数日前だと思いますが、この水爆実験についてニユーヨーク・タイムズでダレスさんがこういうことを言つておられる。それはわれわれは強力な水爆を持つて来た、この水爆の威力というものをわれわれ自身の目からもさえぎらないで、これを明らかにするということが、これがいわゆる共産主義者の攻撃を予防する唯一の道である。こういうことを言つておる。そうしてビキニでこういう大きな爆発をやつて、その結果が日本の漁業のみならず、日本の国民は栄養としては海の蛋白に非常に依存しておる。その日本人の食生活に大きな不安を与える。こういうような一連の事実を考えてみても、いわば非常に非人道的と言おうか、傍若無人と言おうか、これに対して日本の外務大臣たるものが、なおこれに協力することが自由陣営に対する防衛を強化することに役立つ、そういうことになりますれば、あなたはそれでは第二、第三の福龍丸事件があつてもさしつかえない、こういうふうにおつしやるかどうか、もう一ぺんはつきりとあなたの御心境を承りたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私の演説は、新聞にみんな出ておりませんから、あるいは誤解をされておるかもしれませんが、私の演説の中には、まず第一にこの被害を受けた漁夫に対しては、衷心より同情にたえない。またこれに対する救済とか将来の措置については、日本政府としては十分の考慮をする、こういうことを言いまして、そのあとで漁業は日本にとつては最も重大なる産業である。海域を狭められることによつて、日本の漁業が影響をこうむることは耐えられないことであるということを第二に言つて、しかしながらと言つて、今あげられましたように、ただい、まのところは、原爆の実験等は、これは自由主義陣営の安全保障に必要なことであるから協力する。しかしながらこれに基く漁業その他に対する被害は十分に考慮されなければならぬ、こういう趣旨のことを申しております。

岡良一日本社会党(右)

○岡委員 それではあらためてお伺いいたしますが、四月一日に衆議院が原子兵器の国際管理またはその平和的利用、あるいはその実験の被害防止についての決議案を提出いたしたのでありますが、その後執行の衝にある政府としては、この決議を体してどのような具体的な手をお打ちになりましたか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはただちに日本の国連における代表である沢田大使に対して、決議文と、それからそれのでき上つたいきさつ、これの趣旨弁明その他賛成演説等の事情を知らして、そうして私の署名いたしました原本を国際連合事務総長に届けるように送りました。同時にアメリカその他関係国に対しても同様の国会の決議の趣旨を申し送りました。その結果国際連合でも、これを議事日程に載せるべく考慮中だということであります。

岡良一日本社会党(右)

○岡委員 それでは重ねてお伺いをいたしたいのですが、九日のアリソン大使の声明の中で、日本の被爆患者の状態というものは、それほど大したものではないという印象を与えるようなことを言つておる。それから先般アイゼンハウアーの立会いのもとで、原子力委員長のストローズ氏の発表しておるところによると、日本の船は危険区域の中におつたとはつきり言つておる。こういうことになると、今度の被爆事件の被害者に対するアメリカ側の賠償というか、補償と申しましようか、要求する上において、わが方の立場というものは非常に悪いわけです。こういうようないわばわが方からすれば虚構の事実に対しては、当然政府としてはこれを是正する必要があろうと思うが、こういう点について何らかの手を打たれたのか、あるいはまた打つ御意思があるのか、その点をひとつ承りたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これは第一には、危険区域にあつたかないかということは、私をして言わしむれば、損害の補償に対する額の大小に影響しないと思います。というのは危険区域というものは、やはり公海の一部でありまして、これに対しては、どこの国といえども自由に使用することができるけれども、同時にたくさんの国が同じ場所を同じように使用することはできませんからして、これは協力する意味で、先方が危険区域と言えば、なるべくそれに立ち入らないようにするし、先方も危険区域の中にいないことを確かめなければ実験等は行えないわけであります。従つて中にあるか外にあるかということは大した問題ではないと思いますが、今おつしやつたような原子力委員長の意見は、光が見えてから六分ばかりたつて音を聞いたということを基礎にして、それならば音響の速力からしてここらであつたのだろう、こういうことらしいのでありますが、日本の漁夫の報告は、六分ではなくして七分ないし八分であつた。それだとまた外にあるわけであります。こういう点はすでにアメリカ政府に対して明らかにいたしております。それからアリソン大使の発表の中にあります文句は、これはおそらく大使のねらいは、病人に対して心配を与えないように、あるいはその他の面ではアメリカのまぐろの消費者に心配を与えないようにという配慮から出ておるのでありましようが、それはアメリカ側の医者と日本の医者との話合いの結果によれば、というような前書きがついておると記憶しております。従つて大使自身の意見ではなくして、専門家の意見はこうであるというようなことを言い、しかもその中には、日本の医師との話合いの結果、アメリカの医師だけの意見ではないというふうに書いてあると記憶いたしております。

岡良一日本社会党(右)

○岡委員 区域内にある、ないということは、それは形式的にはいろいろと解釈のしようもあろうと思いますけれども、警告されておつた危険区域内にあるかないかということは、道義的なウエートから言えば非常に重要なものだと思います。それからまた今の病人の状態にいたしましても、本日の発表は明らかに白血球が非常に減りつつある、非常に重大な状況であるということとは東大の主治医が発表しておる。にもかかわらずアリソン大使の御発表は全然そうではない。こういう場合はちやんと是正するものはしなければ、これはやはりこの問題に対する一般の認識を誤り、またひいては日本の外交の自主性というものに対しても非常な誤解を与えるので、こういう点をはつきりしておいていただきたいと思います。  それから中山政務次官がおられますので、ちよつとお尋ねいたしておきたいのですが、きようの新聞で見ますと被爆患者あるいは福龍丸等の今後の処理についての科学的検討の結果は、厚生省を通じて発表する、こういうことになつておるのです。これについて、これも新聞紙の伝えるところだから責任が持てないとおつしやればそれまでですが、東大のある基礎学の教授は、これは私も会つて聞いておるのですが、われわれが自由にものを言えることに圧力が加わつたのは四月初めからのことである。九日のアリソン声明は患者の実情を明らかに無視したもので、こうした点について当然学者として反論してよいのだが、すでに一切その口が封ぜられておることだから何も言えない。こういうことを言つておる。それは私会つて聞いておるのです。こういうようにこの被爆事件、これは何も単に政策的に反米運動だ何だというのではなく、やはり世界の平和を願い、世界の人道主義という立場から重要な、世人の関心を持つておる問題について、こういう一方的な圧迫が加わつて、学問の自由、発表の自由というものがない、これはゆゆしき問題であると私は思うのですが、一体厚生省がこれを発表することにしたというのは、どういうような意図でこういうことをなさつたのであるか、まずその点を承りたい。

中山マサ自由党厚生政務次官

○中山政府委員 仰せの通り学問の自由、発表の自由というものは憲法が保障しておるところがございまして、それは厚生省におきまして原爆症状調査研究会というものができることになりまして、そこで一まとめにしてこれを発表するというような傾向も見られますので、そういうことが学者の側から発表されたのではないかと私は考えるのでございますが、まだこの問題につきましてその係に聞いておりませんので、そうであるという断言は私としていたしかねますけれども、私はこういう研究調査会ができる関係上、そこでいろいろな学者の方々の御発表をまとめて発表しようという意味であつて、決してその方々の言論の自由を封鎖しようとかいうような、いわゆる悪い意図があつてのことではない、そう考えております。

岡良一日本社会党(右)

○岡委員 これは先般の委員会でも厚生大臣から、学者のグループに原子論学的な立場からも、また医学的な立場からも総合的にこれを研究せしめる、その検討した結論について適時必要なときにこれを世界の学界に報告する、このために必要とあらば、予備費を支出してでも、世界の人道主義の立場において私はやりましようと厚生大臣ははつきり言つておられるのであります。でありますから、今あなたの御言明は、東大なり、診療に従事しているところの学者の諸君が、事実発表する内容については何らの肘も受けない、しかもまた適切なるときには発表の自由が十分に確保されておる、このように理解してさしつかえないのでありましようか、重ねて御答弁願いたい。

中山マサ自由党厚生政務次官

○中山政府委員 厚生委員会におきまして大臣が、予備費から出してでもこれを徹底せしめるという御発言があつたと、この間も厚生委員会で岡委員から承つたようでございますけれども、大臣はそこまではつきりは申していないということを私は承知しておるのでございますが、何かのお考えが過ぎたような点もあるのではございますまいか。それでとにかく原爆、水爆というものは、実際この地球を幾つかに割つてしまう危険性もないでもないというふうに心配している者も多々あるのでございますし、日本がこういう目にあいましたことはこれで三回目でございますから、アメリカの方でも、こういうことを十分に世界に知らしめて、戦争が起らないようにしたいというような意向がある以上は、これをりつぱに研究し上げて、ある一つの機関を通じて発表するということは、だれも私はおかしいと思う人はないと思います。これは当然ある時期に到達いたしまして、りつぱな研究ができましたならば、発表される機会は必ず来るものであると私は考えております。

岡良一日本社会党(右)

○岡委員 いずれにいたしましても、私ども心からお願いをいたしたいのですが、現にこれは外務大臣も御存じの通り、ネール首相は、原爆を持たないアジアの諸国その他に呼びかけて、原爆の実験禁止について強く世界の輿論に訴えようというような意思表示もしておる。インドは何も共産主義の陣営にいるものではない。どちらかといえば、むしろ自由陣営のものである。特に日本が、自由陣営を強化するという名のもとに、水爆実験というふうなものを日本自身がみずから大きな犠牲を払いながらなおかつそれに協力をすることが、自由陣営の強化になろうというようなロジツクは、私どもは成立しないと思う。そういうロジツクをそのまま進めて行けば、もう現にドイツがそうであるように、将来日本の国に原子兵器の基地ができたり、あるいは原爆を運ぶ飛行基地がつくられても、これに対してわれわれはやはりお手上げだというような態度とも言い得るわけなので、そういう点を心配して申し上げるのです。  時間がありませんから、もう二点だけお聞きいたしましよう。これは中山政務次官にお尋ねしたいのです。全然問題は離れておりますが、実は昨日お話を厚生委員会で聞きますと、恩給法が改正になつて、旧軍人の遺家族あるいは傷痍軍人に対して、地方の援護課等から厚生省に参つたところの、どうかひとつその手当をくれという手続の書類が、百九十八万七千通あるということなのです。ところが恩給付の話を調べますと、五十万通最近までに受付けてある。その中で四十何万通だけは裁定が済んでおる。そういたしますと、厚生省では二百万に近いものを持つておる。一方では恩給局へ五十万通しか行つておらない。一体なぜ厚生省の復員局なりから恩給局に行かないのか。そこに隘路があるならば、何とかやはり早くその隘路を切り抜けるような便法を講じて、早くこの年金は給付してやらなければいかぬと思う。そういう点何か具体的にあなたの方でお考えがあるならば承りたい。

中山マサ自由党厚生政務次官

○中山政府委員 御案内のように、遺家族援護法というものは、いわば軍人恩給法ができますまでの暫定措置であつたことは御存じの通りでございます。それでこの支給要件につきましては、身分だとか死因とかに関しましては同じでございますから、遺家族援護法において公務死として決定したものは、さつそく恩給法にも同等に取扱うように認めるべきものではないかというお尋ねのように思いますが、恩給付の裁定がやはりその線で行われているのでございますが、今先生がおつしやいました百九十四万六千五百九十五件受付けまして、百八十八万六千九百八十三件がこの援護法によつて裁定をされいるのでございます。しかしこの恩給法というものは、御案内の通り昨年の八月から発足いたしたものでございますので、どうしてもこちらが援護法によりまして取扱いましたほどこれが早急に行われないのでございます。時日が浅いという点が一点でございます。それと、旧民法によつてこの恩給法はやられておりますので、その間いろいろな手続がございまして、地方におきましてもその手続が十分に徹底しない、これを取扱つている人も十分にわからないといううらみがございますので、どうしても日にちがかかるということで、こういうような遅延を来しているのでございますが、今恩給法の方で受付けました件数は三十四万八千五百二十六件でございまして、申達件数は二十六万八千百四十六件になつているのでございます。そういうわけで、できるだけ早急にこれを片づけたい、こう思つて私どもも鞭撻いたしておりますような次第でございますから、どうぞこの点その違いを御了承願いたいと思います。

岡良一日本社会党(右)

○岡委員 私が申し上げたいことは、ですから、援護法で裁定になつたものを、なるべくならばそのまま認めてやつた方がいいというのです。というのは、今あなたの御指摘の、めんどうな手続というのは、その当時の部隊長の死亡確認証がなければならない。そんなことは、一体部隊長がどこにいるかわかりません。戦地の兵站病院の療養証明書がなければならない。私も兵站病院を預かつておりましたが、そんなものは書けつこない。書類なんか持つて帰らさなかつた。ですから、そういうできないものをつけて出さなければやれないということなら、やらないということと同じなのです。だからそういう点をもつと克明にお調べを願って、せつかく切りかえられて年金なり障害年金なりが与えられるのですから、一応厚生省の方で援護法の適用者として裁定をされたら、それにめんどうな、しかも不可能な条件をつけなければやれないというふうな取扱いをしないようにしてやらないと、二百万の老人が困つているのです。その点をぜひお願いしたいと思う。  それから木村長官にひとつお伺いいたしたいのですが、実はちよつと国会図書館のレフアレンスを見て私は疑問に思つているのですが、飛行機は、聞くところによりますと、メンター機と申しますか、来年度の予算で三十機くらいつくられる。また艦艇も九千トンというふうなことで、予算も昨年度支払い分を含めて百三十三億ほどあります。そこでこのレフアレンスを見ると、日本の造艦能力は四千トンしかないと書いてある。四千トンしかないということになれば、これはすつかり予算の執行はできないということになるのですが、あなたの方は何かそういうめどがあつて、やはり九千トン、百三十三億という予算を計上されたのかどうか、この点いかがですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 お答えいたします。日本の現在の造船能力、これは四千トンと発表しておりますが、私はよくわかりませんが、そんなことはありません。造船能力はもつとあるはずであります。御承知の通り、日本におきましても大きな造船会社が多数あるのであります。決して四千トンや五千トンではないと思います。

小峯柳多自由党

○小峯委員長代理 岡君、あと一問ぐらいで……。

岡良一日本社会党(右)

○岡委員 それでは簡単に――私は日本の経団連とか日経連の諸君が買弁化するというような傾向を警戒をするという立場からお聞きしますが、まず第一にあなたは、メンター機の発動機のコンチネンタニ・モーターというエンジン会社のヴアイス・プレジデントのヒツキーという人と会つたことがあるかどうか、ヒッキーというのは前歴はどういう人であるか、またそのときはどういう諸君が同席しておられたか、そのときの話の具体的な内容と結論としてどういうところに行つたか、この四点を伺いたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 お答えいたします。現在コソチネンタニ・モーターのヴアイス・プレジデントであるヒッキー君は、元在日駐留軍の参謀長であります。私は旧知の間柄であります。それがたまたま日本にやつて来たからぜひ敬意を表したいと秘書官を通じて私に言つてきた、私も喜んで会おう、それで日と時間を約束して行つたところが、その時刻にヒッキー君がやつて来たのであります。そうすると驚くなかれヒッキー君と同席した者がある、それは山本惣治君であります。私はヒッキー君と旧知の間柄であるから、久しぶりでいろいろ話をしたところが、山本君から、自分はコンチネンタルのライセンスということでやつて来たのだ、つまり発動機であります。発動機について、コンチネンタルの方で今いろいろ富士自動車とかなんとかいうのですが、それとの間のライセンスの問題につきまして話があるということで、ああ、そうか、もしもそういうことについて君の方で希望があるならば、われわれの方の事務当局者によく通じてくれろということで、話があつたのであります。何も他意はありません。ことに山本惣治君が来たことは、私は驚いたのであります。ただ私はヒツキー君が旧知の間柄であるので、喜んで会おうというので会つた次第であります。

小峯柳多自由党

○小峯委員長代理 中原健次君。

中原健次小会派クラブ

○中原委員 私はまず最初に、きようここで私が質問したいと思う問題は、日本の平和のために、ないしはひとり日本だけでなくて、全地球上の平和の問題のために、政府の所見を聞きたいと考えたのであります。しかるに吉田総理がその出席を欠いておることに関して、劈頭はなはだ遺憾の点を表しておきます。以下、この問題に関連しまして、数個の事例をあげて政府の御見解をただすつもりであります。  まず最初に、近く開かれることになつておるジユネーヴの会議でありますが、平和をもたらすために開催されるこのジユネーヴの会議に対する政府の認識はどのようであるか、このことを承つておきたいと思うのであります。思うにジユネーヴ会議に対しては、まずイギリスが東西貿易の伸張を願う立場から、このジユネーヴ会議に大きな期待をかけておるし、また東西貿易に期待をかけているということについては、一月にシドニーで開かれましたイギリスの連邦蔵相会議以来、そのことは明確な方針となつておるところであつて、このことは申すまでもなくイギリスが恐慌対策に処する道として、まことに賢明なものであると私は考える。なおまたフランスの場合は、アメリカのあの督戦にもかかわらず、フランスの戦費の半ば以上を費しているインドシナのあの戦いに対して、休戦に期待をはなはだ強くいたしているという実情を見のがすことはできないと考える。またその他の中ソ等々におきましても、この会議の成功を祈つてやまないという実情は、きわめて明白なところであるのでありますが、とりわけまたこのジユネーヴ会議は極東の問題に重点を置いて、それをテーマとして開催されるものであるだけに、それだけにアジアの主要なる一国であるわが国の立場は、当然これに対してきわめて明確なる態度がなければならぬと考えるのでありますが、この会議に対する吉田政府の認識あるいはこれに対する見通し等々はどのようであるのか、まずこのことを首相にかわつて緒方副総理の御答弁を求めるものであります。   〔小峯委員長代理退席、委員長着   席〕

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私の担当でありますからかわつてお答えいたします。  元来ジユネーヴ会議は朝鮮の政治会議の変形でありまして、本来ならば政治会議が行われるべきところ、政治会議という形ではなかなか困難でありましたので、ジユネーヴ会議という形に変形して、それに加えてフランス側の希望もありまして、仏印問題を取上げたと思います。そこでドイツにおける前回の会議の模様から見まして、両陣営の代表が集まつて話し合うということについては非常にけつこうであり、またこれは危機緩和に役立つとは思いますが、両陣営ともよほど譲歩と忍耐をもつて行わなければ、結局冷たい戦争は厳然として存在するということのみを、世界に知らせる結果になるかもしれぬと心配しております。これはもちろんやつてみなければわかりませんが、なかなか前途は困難であろうかと思つております。元来が朝鮮政治会議の変形でありますので、日本としてはこれに参加はいたしませんが、関係各国の政府及びこれに駐在する日本の大使等に訓令をいたしまして、政府からは十分なる情報を得ること、及び東亜の平和に関係する問題については、日本としても随時、間接ではありますが意見の表示をいたすように考えておりまして、その意味で各在外公館を指揮しておるのであります。

中原健次小会派クラブ

○中原委員 外務大臣の御答弁によると、この会議に対して相当程度注目しているとのことでありますが、しかしきわめて大事なことは、この会議に臨むにあたつてのアメリカ側の根本的な態度、このものに相当大きな問題があるかと思うのであります。従つて私はこのジユネーヴ会議に対するアメリカ側が今日持つている態度は、この会議を平和の方に方向づけるための成功的な結果をもたらすことに役立つのであるかどうか、そういうことについての所見を承つておきたいと思うのであります。このアメリカの態度というのは、例のいわゆる統一行動、英仏を初めその他アジア諸国にアメリカ側が要求して、いわば一極の威嚇的な共同宣言をつくり上げようとしておるところにあると思いますが、この際関連して、私はいま一つ伺いたいと思うのであります。それは、さきにダレス国務長官は、ソ連がジユネーヴ会議の開催を引延ばすことに努めておる、このような言明をした。ところが実際は事が相違して、むしろこの会議に参加することを非常に喜んで、着々とその参加への用意を進めておつた。そういう事実のために、ダレス国務長官の見解がまつたく違つておつた。そういうような妙ないきさつから、かえつてこのダレス国務長官の言明は、世界の物笑いを買つたというような事実もあつて、どうもそこに、アメリカ側のこの会議に対する考え方に解しがたい一つの逆のものが伏在しておるのではなかろうかという印象を多分に与えておる点が、このジユネーヴ会議に対するアメリカの態度の、ほんとうの姿を見きわめるために非常に大きな資料になつておると考えるのであります。なお、そのような行動を合理化するためにかどうか、新中国の軍隊がインドシナに出動しておるようなことの宣伝をしきりに行うておるのでありますが、これらも実際とはまつたく異なつておるようにわれわれは聞いておるのであります。アメリカのこのような態度は、要するに、これは国際的な問題を話合いで結論するために、解決するために努力しておるのではなくて、まつたくその逆に、威圧的に、戦闘力で、力ずくでこの外交をとりきめて行こう、こういう態度がそこに隠されておることを見落すわけに参らぬように考えるのであります。従つて、そういうような態度で臨む――このジユネーヴ会議のよき結論を得るために、アメリカのそれらの態度がプラスし得るものかどうか。この点については、もちろん、残念ながら逆ではないか、と結論されると思うのであるが、これに対して政府はどのように考えるのか、この点も承つておきたいと考えるのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 中原君は、たとえばジユネーヴ会議に対しては、ソ連が非常に熱心にこれをやろうとして準備をしているとか、あるいは仏印における中国兵の介入ということは全然ないのだというように、いろいろ内部の消息に通じておられるようでありますが、われわれはそれをいずれとも判断する材料を持つておりません。従いまして、この点については何ともお答えのしようがありません。  またアメリカの今回における政策については、私は別にアメリカの政策を弁護する立場にないのでありますから、これについても特に話すことはないのでありますが、ただ、ただいまのところ私の承知している範囲では、アメリカ政府は、インドシナの問題について関係各国といろいろ話合いをいたしておる、それがどういう共同宣言になるのか、統一行動になるのか、それは今後の話合いの結果でありまして、ただいまのところは新聞でそういうことが伝えられておりますが、具体的にこういうことをするのだということはきまつていないと想像いたしております。おそらく関係各国と相談して、関係各国の同意を得た範囲内のことが具体的に将来現われるであろうと思つておりますが、その具体的の内容はまだきまつておらないというのが事実と思います。従いまして、アメリカの行動がいいか悪いかということは、今後の具体的事実がはつきりしてから批判できるものであろう、こう思つております。

中原健次小会派クラブ

○中原委員 ダレス国務長官の発言は、今日のアメリカを見るための非常に大きな要素になるものと私は考える。さきのUP電報によれば、ダレス国務長官が、英仏の駐米大使に例の統一行動を申入れした際に、この軍事的、政治的な同盟に対して日本は積極的に共同するであろう、こういうことを言明したと伝えておるのであります。それと関連してか今度はまた、日本の国内の工業力と商船隊、これらが事ある場合には大いに力を発揮するだろうという意味のことが、ワシントンの官辺筋から伝えられておるといわれておるのであります。政府は参議院の外務委員会で、アメリカのいわゆる統一行動への参加について、これはたしか吉田総理の答弁であつたと思うのでありますが、現在はこれに対しての参加はお断りするよりしかたがない、これは国力が許さぬからである、こういうようなことを言つたと思うのであります。そうすると、国力が許せば、あるいはその他の条件が加味されるならばこれに参加する、こういう結論にもなるかと想像されるわけであります。そうなつてみれば、アメリカから強力な要求があり、あるいは何か条件が出て来るならば、この統一行動に協力するのではなかろうか、こういうことが言えるように私は考える。これに対してどのような御見解でおられるのか。日本の国民としては、ちようど今から四年前朝鮮に動乱が起つたとき、吉田総理がその朝鮮の動乱を名づけて、これ天佑であるというふうに非常に喜んで、これを歓迎する、そういう態度を示されたことを、これとあわせて思い当らざるを得ぬのであります。そのことは、同時に平和を愛好してやまない日本の国民から考えるならば、そこに恐るべき危惧が出て参ることは言うまでもないわけであります。ことに最近のインドシナのあの情勢を非常に心配して見詰めておる日本国民の立場からいうならば、この問題に関連して、政府はほんとうにどのような腹でおるのか、その偽らざる見解をたださなければやまない要望を持つておることはいなみがたいのであります。従つて、それだけにこの問題に対する政府の所見をここにあらためて聞いておきたいと思うのであります。これに関しましては外務大臣も関連があるが、まず緒方副総理の所見を聞くことにしたいと思うのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 まず私から申し上げます。どうも中原君のお話は、長い言葉の中の一箇所だけを取出して、そこを強調しておられますから誤解を招くようでありますが、たとえば朝鮮の問題の際にも吉田総理は、これに対して非常に悲しみ、かつ日本の安全に対して非常に心配をしておられる、こういうことの起らないように、また起つた以上は早くこれを終止させるようにいたさなければならぬということを強く言つておられ、その一部に、ただ、今の日本の経済から言えば、こういういろいろな注文が来ることは経済の実際上非常に役に立つということを言われたので、それだけとつて、何か朝鮮事変は日本が非常にありがたつているというふうな印象を受けられることは、これは間違いであります。また参議院の外務委員会における吉田総理の答弁は、これは私は隣りにおりましたから記憶しておりますが、仏印の問題ではなくして、太平洋同盟と称せられるものについての質問に対して、具体的に何もまだないから、これに対する答えはできない、できないが、かりに何かそういうものが具体的にあつても、ただいまの日本の状況ではこれに参加することはできないであろう、こういうことを申したのであります。  そこで今度インドシナの問題でありますが、日本は同様の状況でありますので、ただいまのところ統一行動とか共同宣言とかいろいろいわれております、これは具体的になつておりませんが、しかしこれに日本が参加を求められることは、ただいまのところないであろうと私は考えております。

中原健次小会派クラブ

○中原委員 緒方副総理の答弁が……。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 御答弁はないようであります。

中原健次小会派クラブ

○中原委員 答弁ができなければやむを得ません。なおただいま外務大臣は、仏領インドシナの問題ではなくして太平洋同盟の軍事同盟の問題であつたというふうに言われますが、もちろんこれは相互に関連しておるわけでありまして、同時にまたジユネーヴ会議の問題にしても全然別個の問題じやない。その間にやはり関連した脈がつながつておるわけでありますから、どの一点から答弁された問題であつたにしても、これが全然無関係であるというような認識は当りません。しかし今は時間がないから私は議論をすることは残念ながら控えなければならないので、話を先に進めます。  思つてみますと、朝鮮の戦争が起りました当時は、日本の経済はいわゆるドツジ安定恐慌の状態が進んでおり、アメリカは一九四九年以来の苦況がそのままに続いておつた、そういう状況であつたと考えますが、今日の状況はちようどその当時のそれにほうふつたるものがあるわけであります。日本の経済とアメリカの経済は大体その線に似通つた関連を持つておるし、いなむしろ当時のそれに比べて今日のそれは、なお一層その度合いが進んでおるような状態であると考えるのであります。そのような苦況の場合に、その苦況を戦争によつて打開するというこの方式は、洋の東西を問わずいわゆる独占資本の歴史的なやり方であつたわけです。従つてこれはどのような言葉をもつて紛飾しようとも、結局この戦争をよしとして独占資本が勇躍する、そういう場がそこにつくられて来るわけなのであるが、ことに今度のいわゆるMSAの協定と関連して考えることは、このMSA協定は海外への派兵を明文をもつて禁止しておらない、そのような実に恐るべき危険をはらんだこの協定を結んだ吉田政府のもとで、だからこそ国民は異常な心配をしておる。これはとうてい否定することのできない事柄であるのであります。聞くところによると、経団連あたりには兵器生産の委員会があつて、その委員会はMSA協定が国会の批准を見るであろうことを見越し、東南アジア諸国等の兵力あるいは装備等の調査を進めておるといわれておるし、またその消耗の度合い等についても研究を進めておるといわれておる。そのことは、MSAの域外買付に対応する兵器生産計画を策定しておるのであるとも言えるわけであるが、このようなことと関連して思うことは、特に気づかうことは、現在われわれの近くに展開しておるインドシナのあの状況である。これはそのような構想から考えて行くと、恐るべし、そこにはこのインドシナの状況を国際化しあるいは第二の朝鮮戦争化する、こういうようなことを意図する独占資本の底意がうかがわれるわけなのであります。従つて現在の吉田政府は、このような状況に処して、このようなことは断じて反対であるという言明をなし得るのかどうか。私はまずこの場合、この諸状況に対する政府の認識を明確に承つておきたい。先ほどから繰返し総理の代理としての副総理の答弁を求めて来たのだけれども、根つから御答弁がない。一体何のためにこういう重大なる問題に対処して、政府が確信のある言明をこの場合することができないのであるか。答弁する必要がないともし考えるならば、そういう国民の不安に対して政府は責任をもつて答えをするの熱意を持たないものであるということを、私は残念ながら言わなければならぬ。従つてこの問題について重ねて副総理の見解を聞いておきたい、このように思います。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 外務大臣が政府を代表してお答えをしておるのでありまして、今日の国際状況に対する政府の判断は、すなわち外務大臣が今申し上げた通りであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 独占資本が行き詰まると戦争にその活路を見出さんとすることは、共産主義者等の公式理論でありまして、そんなばかげたことがないことは、私どもが申すまでもないことと思つております。従つてそういう前提に立つての中原君の議論には承服できないのであります。もちろんわれわれはインドシナの戦争の拡大を願つておるわけでもなければ、それの国際化することを願つておるわけでも全然ない。またMSAが成立いたしますれば、域外買付等がふえることは当然のことでありまして、これに対する準備は政府としてもいたしておりますけれども、これをインドシナに売るかどうか。これはアメリカの各国への援助によつて、どの国にどういう兵器等を供給するかということによつてきまるのであつて、われわれはこれがどこへ行くかということについては別段の興味を持つておりません。従つて準備はいたしますけれども、別にインドシナに送ろうとしてやつておるわけでも何でもありません。

中原健次小会派クラブ

○中原委員 遺憾ながら時間がないのでこの問題をさらに深めることができません。しかし外務大臣の御見解はもとより恐るべき独断におおわれておる。われわれはやはりこのような問題については、もちろん一方的な独断ではならぬが、少くとも現在否定すべからざる事実が動いておる、その事実に対しての認識から考えれば、さらにこの問題についての熱のこもつた討議が当然なされなければならぬ、こういうふうに考えるわけであります。私はただいま申しますように時間がほとんどありませんので、続いてビキニの問題に関連しまして数点聞いてみたいと思うのであります。  先ほど岡良一君の御質疑に対していろいろの御答弁もあつたようでございますが、このビキニ事件に関するアリソン大使の声明と申しますか、これは実に重大なことをはらんでおるわけでありまして、新聞紙もそのことをつぶさに報道しておりますように、その内容を見れば見るほど、かりにそれが一面で業者の心理を安んぜしめるためにそういう言葉が使われたのだという実に親切な釈明が伴いましようとも、このような科学的に当然処理し、解決して行かなければならない諸問題に対して独断が入り、しかも実体を非常に安易に扱つて行くという態度をもつて、このことに臨もうとするアメリカ側の底意からすれば、残念ながらこの水爆の実験を通して起る数々の弊害に対して被害に対して熱意を持つところきわめて少い、いな、ほとんど熱意をくみとることができないというようなことをわれわれは見取らざるを得ないわけであります。このことにつきましては新聞紙がすでに報道しておりますように、数々の実に恐るべき欺欄に満ちた声明の内容を持つておるわけであります。しかもそれを一部の学者が内容をつけたとすればするほど、なおさらのことその学者の持つておる使命というものが、はつきりとその中にもうかがわれて来るかと思うのであります。ことにこれらの問題の実証について、日本側の科学者の協力の上、あるいは日本側の医師との協力の結果としてこういうことがいろいろ述べられておる部分もあるわけでありますが、しかしながら、日本側の学者のむしろ多数は、この声明の中に現われておる診断、あるいは推論等に対しまして、多分に異論を持つておるのでありまして、従つて明確に違つた結論を持つておるこの科学者の立場から言うならば、やはりアメリカ側のたとえばアイゼンバツド、あるいはモートン氏等々の研究結果の結論は、ためにするものではなかろうかと日本国民をして疑わしめざるを得ない部分が多々あるわけでありまして、ことに東大の都築名誉教授の最初から指摘しておりました漁夫にがんの発生の心配があるということ、あるいは西脇助教授が原爆まぐろをさわつただけでも危険であるということを初めから主張しておつたこと、これらの事実から勘案いたしまして、政府がほんとうにこの問題に対してわが日本国民の、いや全人類の生命あるいは幸福を考える熱意があるならば、これらの教授たちの自由なる研究参加、自由なる研究発表等々の便宜をはかる義務と責任がありはすまいか。私どもはそのように考えるが、この問題について、アメリカ側の発表に反対の見解を持つておる学者に対して、政府はどのような態度でその学者たちの研究を助成しようとしておいでになるか。このことについての御所見を承つておきたいと考えますし、また今日の御方針もこの場合聞いておきたいと考えるのであります。

福井勇自由党文部政務次官

○福井(勇)政府委員 この研究につきましては、自由なる研究を妨げるように文部省としては対処いたしておりません。東大の研究所の都築博士外この研究陣も、鋭意この研究内容を調査すべく努力しております。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 河野一郎君。   〔中原委員「もう一点だけ」と呼ぶ〕

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 もうお約束の時間でありますから……。河野君に発言を許しました。河野一郎君。

河野一郎日本自由党

○河野(一)委員 吉田総理がお見えになりませんから、最初の問題は緒方副総理からお答えを願いたいと思います。  昨日自由党の佐藤幹事長が改進党の松村幹事長をおたずねになりましていろいろお話になり、その後に出された声明書は、これは多少私事にわたりますが、われわれ仄聞するのに、緒方副総理がみずからお書きになつたということも聞きましたし――違うかもしれません。またお書きにならぬでも、この声明書をお出しになる前に吉田総理にもお見せになつたということを聞いておりますが、そういう点についてはどうでございますか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 吉田総理のみならず、党の幹部みな了承して出したものでございます。

河野一郎日本自由党

○河野(一)委員 そういたしますと、ここに私が内閣に、特に自由党の幹部諸君にもお聞取りいただきたいと思いますことは、この声明書の中にキヤスチング・ヴオートを握つておるものは云々ということが書いてあるが、一体これは何のためにこういうことをお書きになつたのか、その真意を承りたい。もし必要があればもう一ぺん読みますけれども、お書きになつたからには信念をお持ちだろうと思うのだが、時間がございませんから私の方から先に申し上げておきます。われわれはキヤスチング・ヴオートを握つて、政界を混濁するとか、不明朗にするとかいうような態度をとつたことは断じてありません。それはあなたも御承知の通りである。由来、お困りになると、われわれの方に、この法案のことについて心配してくれぬか、何とか改進党の方に話をしてくれぬかといつも頼みにいらしたのはあなたの方ではありませんか。政府自身ではありませんか。しかるにもかかわらずこの声明書には何と書いてあるか、この点についてはなはだわれわれは遺憾でありますが、これはどういう信念でお書きになつたのか。今お答えになつたところでは、総理はもちろんのこと、自由党の幹部全部で相談の上でお書きになつたということでありますが、お答え願います。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 お答えしますが、私は、国会の議事は多数少数はつきりした表決の上に進んで行くことが一番望ましいと思います。もちろんそういうことが国民の投票の上にただちに現われる場合のみはないのでありまして、従つて、キヤスチング・ヴオートというものがいかなる国の議会にもあるのでございますが、このキヤスチング・ヴオートは、文字の示す通り、キヤスチング・ヴオートによつて案の運命がきめられるということはどこの国の議会にもある。そのこと自体がどうと申すのではありませんが、しかしながら、必ずしも多数党の意向がキヤスチング・ヴオートによつて行われることがなくて、キヤスチング・ヴオートが比較的少数の党の意向と一緒になつて多数党の意向が押えられる場合もある。これは当然に議会の分野がそういうふうになつておる場合にはやむを得ないのでありますけれども、しかしながら、できれば、国会の中に安定した絶対多数党があつて、それによつてはつきりと議事が進められることが望ましい。キヤスチング・ヴオートによつて多数少数がひつくり返る場合が往々ございますので、そのことを言うたのであります。

河野一郎日本自由党

○河野(一)委員 今あなたのお答えになつたような、そういう原則論、常識論はお尋ねしなくてもわかつておりますし、国民ひとしく了承しているところであります。しかしことさらにこの声明書の中に、しかも最近の事実に即して書いてある。そういうことがよろしくないならばよろしくない根源を断つために、今日の段階になつてせずになぜ国会の初めにそのことをおやりにならなかつたか。さんざん、頼むぞ、やつてくれといつて人を使つておいて、今ごろ国会の済むころになつて、そういうことは悪いことだからといつてこういう声明書の中にお書きになるのはどういうわけか、その心底が悪い。こういう党派の分野ではそういう情勢になるということは、やつてみなくても国会の初めにわかる。これは数のことですから国会をやらなくてもおわかりになるでしよう。こういう政党の分野でこの国会に臨めばこういう結果になる、これでは困るからということを、現在の声明書を、国会の初めにお出しになつたらよろしい。国会の初めにお出しにならずに、さんざん、頼むぞ、口をきいてくれ、心配してくれといつてやらしておいて――私の方から一ぺんもそういうことを言うたことがない、われわれは厳然として正しきものにつく、是々非々で進むということにしておるものを、あなたの方から、何とかまとめてくれ、これでやつてくれというようなことを言うて来た。あなたの方の声明書に書いてあることは、全部自由党それ自身がおやりになつたことではありませんか。なぜそれを最初におやりにならなかつたか。こういうふうにしてやることは悪結果になるということを承知して国会に臨んでおいて、そうしてそういうことをさんざんしてしまつて、あとになつて、あたかもそういうキヤスチング・ヴオートを握るものがあることが悪いように言われることははなはだとらざるところであります。こういうふうなことを書いておいて、そうしてこの際保守は全部解党して一つになろうというような身がつてな態度が私はいかぬと思う。こういう態度でおられる限り、保守新党をいかに緒方さんが熱望されましても――あなたのその誠意はわれわれ了といたします。了といたしますが、この声明書に書いてあることは原則論でありますから、だれでもこの声明書自体には反対はありません。この声明書に足らぬところがある。今申し上げるように、われわれに関する限り、やるならばなぜ議会の初めにやらなかつたか、そういうことを努力したけれども、君ら入らなかつたじやないか、きのうもそんなことを言つておられたが、それならなぜ自由党分党派をやつたときに、改進党にも同時に呼びかけなかつたか。あのときには自由党鳩山派だけに呼びかけて、そうして自由党鳩山派の切りくずしをやつて、改進党には一声もかけないで、今度は改進党だけに話をする。何たる態度でありますか。これが正しい政治家がやる態度でありますか。ほんとうに国を思い、国家非常重大の際でありますからお互いに虚心垣懐にやろうというなら、あのときなぜおやりにならなかつたか。あのとき三木武吉先輩が吉田総理をつかまえてその点を堂々と説いた。そのときに吉田総理は何と言つたか。自分たちの都合によつて事を左右し、天下に出す声明書にはこういうりつぱなことを筆のあやでもつて出すというような態度がいかぬと思う。であるから、私はきわめて貴重な時間であるから、最初に、こういうようなことを書いておるけれども、これは悪いのは緒方さん初めその他の連中が悪いのだ、ずるいのだということを天下に明らかにしたいために一言申し上げたのであります。時間がありませんから次の質問に移ります。  次に伺おうと思いますことは木村長官にお尋ねしたい。あなたは議会で質問されたことは議会で答弁することが民主政治を育成する一番大事なことです。しかも政府はいつでも発言ができる。前回の予算委員会で私が質問したそのときに答弁をしないでおいて、うちへ帰つてから、保安庁で相談して声明書を出すということは、正しい政府のあり方とお考えになるかどうか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 お答えしたします。まさにあなたの申される通り、議会において真実卒直なことを申し上げることを建前としております。保安庁においてこの間御質問の保安協会の問題、あれは官房長において世の中の人を誤らせてはいかぬということから発表した次第であります。議会においての問題は、私は責任をもつて卒直に申し上げる次第であります。

河野一郎日本自由党

○河野(一)委員 私が議会で発言し質問をしたことに対して、今あなたのおつしやるようなことならば、陰で声明書を出さないで、私の問題にしたことに対する答弁はなぜこの予算委員会で申されぬか。そのときにあなたの調査が不十分であつたならば、次の機会になぜここで言われぬか。あなたの部下が集まつて、そうしてたとえば、まだ議会中だからよろしいが、議会の終るころになつて、議会で議員から発言したことを、そのときは伏せておいて、議会が終つたころになつて各役所があれは議員がかつてなことを言つておるのだ、うそを言つておるのだ、あんなことはないのだという声明書を出すという態度は、厳に私は戒めなければならぬと思う。であるから申し上げるのであるが、この間のような態度をとらすことは絶対に相ならぬと思う。以後厳に注意してもらいたいと思うが、どうですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 まさにその通りであります。注意いたします。

河野一郎日本自由党

○河野(一)委員 そこで次の質問に移りますが、しからば前回あなたがここで私に答弁になつたことと、これはあなたを責めるわけに行きませんけれども、日本経営者団体連盟が声明書を発表しておる、この声明書とはおよそ違いますが、いずれが真でありますか。もう一ぺん、この前のが間違つておるのなら間違つておつたとお取消しになればよろしい、そうでなかつたらここで答弁願いたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 お答えいたします。私は日経連の声明書を読みましたが、私のここで申したことと大きく相違しておることは、この保安協会を設立するについて私が積極的に日経連に依頼したかのごとく日経連は発表しております。その点が食い違つております。それは私があなたにここで答弁いたした通り、私から積極的に日経連に依頼したものではありません。ここで私は事の真相を明らかにするために簡単に申し上げたい。と申すのは、私の就任前に衛和会というのがあつたそうであります。私は関係しておりません。この衛和会が行き詰まつて、衛和会の幹部の者が日経連の当局者にその救済方を求めたようであります。その事実も私は知らない。ところが日経連は、いかにもこの衛和会の目的とするところがいいから、それでは何が手段を講じてやろうということで、日経連の当局者が私のところの当局者に、私は関係しておりませんが、これこれの事情で衛和会を助けてやろう、新たにひとつ会を設けてやろう、そのことはどうであるかという交渉があつたようであります。それはその後の報告において私は知つたのであります。そこで私の方の当局者との話合いで、それでは援助をして一つの会を組織してもらつて、これを大きくしてやつてもらいたいというようなことで話合いがきまつた。そのきまつたときに、私の方に向いて日経連の常務理事が参りまして、こういう話があつて、自分の方で保安協会を立てよう、衛和会を援助してこういうものを立てようということだがどうかという話があつたから、私はまことにけつこうなことである、援助してくれるなら私は喜んで受けましようということで、私はそれに賛意を表したのであります。そこで会長をきめるについて、これは一万田君が非常に骨折つてくれたのでありますが、私に――一万田君ではありませんが、たしか日経連の当局者の方から、小林君がなつてくれそうだからひとつ足を運んでくれぬかという依頼があつた、それでは私は小林君に足を運ぼうというので足を運んで、小林君が会長になつたような次第であります。これが事の真相であります。

河野一郎日本自由党

○河野(一)委員 一体あなたは私の質問に対して発言して堂々と訂正ができるのを部下に声明書を出させる、そういうことはおやりになるが、日経連があなたと違つたような声明書を出すことに対しては、なぜ今のようなことをはつきりなさらぬのですか。これは非常に疑惑を生むのです。なぜ日経連がこういうものを出したかというと、今役員になつておるものは軍需生産に関係のあるものばかりなつているじやないか、こういう団体を助けて、そうしてまた保安庁の注文でもとろうというために、こんなものをやつておるのだろう、こういつて私がここで悪口を言うたから、それでそういうことはないのだといつて一生懸命になつて出した声明書である。決してそんなことはありませんといつて出した声明書である。ところが出すのも、ほんとうのことを出すならよろしいが、今あなたのおつしやるように、大臣を傷つけるような、大臣がうそを言つたのだというような声明書を出されて、なぜあなたは黙つておるか。いやしくも一国の大臣が、たとい経済団体の連合会であろうが何であろうが、これはことに市井無頼の徒が出しておる印刷ならよろしい、日本の第一流の実業家が集まつて出しておる声明書です。これを世間のだれがうそだと思いますか。そういうことから木村という大臣はうそを言うやつだ、困ればどんなうそでも議会で言う男だといつて声明書を出されて、これを黙つておつて大臣の名誉が維持できるとお考えになるかどうか、お答え願いたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 声明書を出せば出す余地はあつたと思います。しかしそういうことはもう相手にならぬ方がいい、事の真相はわかるだろうと思うのであります。ことに問題は私が依頼したかどうかという問題であります。それは私の部下がみなよく知つておることであります。天下も私が依頼したからといつて、そういう発表をしたからといつて、私の進退というものは疑わない、私はこう思つております。それで私はあえてそれに対する反駆も何もしなかつたのであります。

河野一郎日本自由党

○河野(一)委員 これははなはだ申し上げにくいことでありますけれども、木村さんという人は新聞の三面をときどきにぎわしたことがあることを私は新聞で拝見している。そういうときに、あなたも法律家ですから非常に要領よく知らぬ間に片づけている。これはあなたの私交上のことです。がしかし、事いやしくも保安庁長官として保安庁を助けるのだ、保安隊員の士気を云々するのだというためにつくつた保安協会の問題なのです。あなたの部下は、保安隊員の士気に関係があるから河野の発言をそのままにしておいてはいかぬと言つて非常に心配して声明書を出した。この声明書もおかしい。声明書は一方的に言えば済むと思つて出している。あとから私は質問書を出したが、その質問書に対するあなたの部下のよこした弁明書を見てごらんなさい、つまらぬもので、答弁にも何もなつちやおらぬです。しかも今申し上げる通りに、日経連から木村はうそを言う男だという折紙つきですよ。少くともうそをあなたは言つたとこの中に書いてある。人からうそを言つたと言われて――今まで武士道を尊重しておる人が、事は簡単だとかなんとかということで一体済みますか。しかもあなたは保安庁の長官ですよ。生死に向つて行く保安庁長官ですよ。それがうそを言う男だと書いてある。議会でうそを言つたのだと書いてある。それを今おつしやるように相手にならぬ方がいいのだと思つた。そんな一体ばかなことがありますか。そういうことを、今申すように簡単なことだとお考えになるからいけない。だから汚職事件が起る。これは汚職につながるのですよ。要するに日経連が神経過敏になって、議会の質問応答の新聞記事を見て声明書を出したということは、日本の経済界の人は初めてですよ。なぜそういうことを出したか。この保安協会を助けるためにこれでもつて保安庁に売込みをやつたのだ。見てごらんなさい。こういうように書いてあるが、この日経連の声明書というものは私に言わせれば支雑滅裂なんだ。あなたのところだけはほんとうかうそか知らぬ。あなた自身から聞かなければわからぬが、ほかのところは全部でたらめだ。なぜでたらめかと言えば、役員になつておるのはこういう者がなつておると書いてある。それを言つておるのではない。常務理事になつておる男がみなそれぞれの男じやないか、私はここでそれで問題にした。その常務理事のことは言わないで、全体役員には町村長、会長もなつている、東京都長官もなつていると言う。顧みて他を言うようなごまかしの声明書なんです。だから私は取上げている。こんな声明書を出して日本の財界の連中をごましてもだめだ。MSAの問題もいろいろの論議がありますが、MSAの問題にしてもそうなんです。経済界が不振で、軍需崖業でも始めなければいけない、経済界が先に立つて一生懸命にMSA、MSAと言うから国民の中の一部に疑惑がある。経済界が黙つてうしろに下つていて、真剣に国民からこういうふうに行かなければならぬのだという声が盛り上つて来るならば、だれもこれに異存はない。それをこんなつぶれかかつた保安協会に金まで出して保安庁に媚態を呈して、保安庁の仕事でもやつて外郭団体になつて、仕事でもくれというりようけんを持つから私は言うのです。しかもどうですか、われわれが財団法人の認可を申請すれば役所はそれを許しますか、一文の財産もなくて。財団法人というものは財産のある団体ではないですか。それを財産が何もなくて三月か半年のうちに全部使い果して、そこでは五百万円の借金を引継いだ、それがまた新しい財団法人だ、金がなくて困るだろうから当分の間ということで一箇月二十五万円ずつ経済界が出してやることにしたというような声明書を出されてはずかしくありませんか。これこそ日本の保安隊の名誉を傷つけるのもはなはだしいものだと私は思う。それに対してはあなたは一言も言わないでおいて、この問題について、あまりかかり合つてはつまらぬからかかり合わないのだと、はつきりここに天下に向つて声明しなさい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 私のここで申し上げたことはまつたく真実であります。これ以上に私は申し上げません。ことに私はこの保安協会について別に何らの実は興味は持つていないのであります。実は現在においても仕事はしておりません。われわれの方といたしましては別に宣伝もし、また就職のあつせんもやりたい、こう考えております。ただこの保安協会の目的とするところは他意がなかつたと私は考えております。今仰せになるような裏にいろいろなことがあるとは私は考えていなかつたのであります。目的とするところは退職隊員の就職あつせんあるいは宣伝ということになるということであるから私はそれを受けて援助をするならしてもらいたい、こういつた事実にすぎないのであります。

河野一郎日本自由党

○河野(一)委員 そういうふうに今ごろになつて簡単にあなたは申されるけれども、総理大臣の官邸を使つて財界の名士を集めて、館を食わして、寄付をしてくれとだれが頼んだのか。そういうことはかつてにやつてもよろしいものですか。総理大臣の官邸に財界の名士を集めて、こういうことをやるのだから金を出してくれといつて頼んで、そうしてその仕事がうまく行かないで、こういうふうに私からけちをつけられたら、こんなものには興味を持つていないのだ、どつちでもいいのだ、それならば初めから総理大臣の官邸を使つて飯を食わした、なぜそういうことをやるのだ、不謹慎じやないか。そういうことをやるから財界にくだらないつながりができてそれが汚職に発展して行くんだ。一体財界の連中を使つたり、総理大臣の官邸に呼べば金が集まるだろうというような考えを持つことがことごとに悪いことになる。しまいには、財界からこんな声明書を突きつけられて、もしあなたの言うことがほんとうならば、なぜ日本の経済界の連中はこんなうそのことを書いた声明書を出したか、その真意を私は疑いたい。こんなうそのことまで書いて、大臣のやらぬことまで書いて、大臣をしいてまで、天下の実業家が集まつた日経連がでたらめな声明書を天下に発表してごまかさなければならぬということは、どういうわけでございましよう。だれが一体この真意が理解できましようか。今きようのこの問答を日経連の連中が聞いたら、どうせまた声明書を出すでしよう。納得が行かぬじやありませんか。そういうでたらめなことを書かれてうそだとあなたはおつしやるのか。うそのことを書いて、そうしてあえて関係がありません、向うからはあなたから頼まれたのだ、頼まれたのだと言つて金はとられるのです。経済界の連中は、あれは頼みに来たからやつてやつたのだと言う。あなたはそれは知らないと言う。知らない者に金を出した、なぜ一体金を出したかと言えば、何か仕事がしたいから出したとわれわれが思うことはあたりまえでしよう。こういうことが悪いと私は思う。しかしきようはこの程度にして、いずれまた日経連から何とか言うでしよう。あなたがうそか日経連がほんとうか、何とか言うでしよう。もし日経連が一言もこれに対してものを言わなかつたならば、石川一郎以下日経連の幹部は見下げた人格だと私にここで断言されてもしかたがあるまい。くやしかつたら、日経連は声明書を出すがよろしいということを申し上げておきたい。  次に緒方副総理に伺いたいと思う。昨日吉田総理はこの席に御出席になりまして、外遊の問題についていろいろ御答弁のあつたことを私も直接に伺いました。拝聴いたしました。そのときに、いろいろ準備は進めておる、からだの都合も考えてやるつもりだということでしたが、ここで緒方さんに承りたいのは、昨日の声明書によりますと、自由党を解党して――内閣が先にやめて解党してやるのか、解党して内閣がやめるのか、それは別の議論として、いずれにしても改進党の諸君が協力をしていただけるならば、自由党を解党して、あらためて白紙の立場に立つて総裁を選挙して、そうして次の総理大臣をきめる、こういうことを言うてある。どういうつもりでその外遊の準備をしておるのか。総理大臣を続けて行くならば、外遊の準備をしてもよろしい、どういう非常事態が起らぬ限りは行くでしよう、からだが健康なら行くでしよう、それはよろしい。いやしくもここで総理がそういうことを言うて、次の瞬間には幹事長を使いにやつて、自由党は解党いたします。そのあとで新しい政党をつくつて、内閣はあらためてつくります。自分がなる気持がないならば、外遊の話は別なのです。一方においては外遊の準備をしております。何はしておりますと言いながら、改進党へ持つて行つて話した話は、解党いたします。総裁はやめます、公選によつて選びます。公選によつて選ばれる先がおれだといつてうぬぼれるほど吉田さんはうぬぼれが強かろうとは思わない。これはその点どう  いうふうに割切つたらよろしいですか、お教えを願いたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 きのう吉田総理の答弁は私も横におつて聞いておつたのですが、それは、向うがどう考えられるかわからぬということ、それから自分のからだの健康がどうであるかわからぬということ、それによつてまだ行くか行かぬかということは未定である、しかしながらもし行けるようになつたならば――そのうち行けるようなるときがあるかもしれぬから、そのときの準備をしておるということでございまして、ここでまた党の動きのことについて総理大臣から発言はしませんでしたけれども、未定としておる中には、その要素も入つておることを私は想像しながら聞いておつたのであります。

河野一郎日本自由党

○河野(一)委員 それはしかし改進党に使いに行く佐藤君の持つて行く話としては、これほど人をばかにした話はないじやありませんか。無礼もここに至つてはきわまつていると思います。改進党に行くのに、解党いたします。総裁はあらためて公選によつてきめますと言つておきながら、自分はそばにおつて聞いておつたとあなたはおつしやいますけれども、これほどはつきりした使いに行くのなら、うそにもその先のことを準備しておりますの、からだの都合がよければの、相手国のあることでございますとか言う必要はないじやありませんか。自分が行こうと思つておつても、そういうことは別の段階でございますと答弁するのがあたりまえじやありませんか。別のことじやありませんか。選ばれてそのあとのことなのだ。人のところへ使いに行くのに、そんな先のことまで自分がこういうことを言うておいて、行つて話をするということは、これほど人をばかにした話はないと思う。しかもあなたは今おつしやいますけれども、それは確かにからだの都合も考えると言つた、相手の都合もあると言つた、その通り言つたけれども、それは自分が行くことを前提にしてみた言つていることなのです。全部それを言つた。ところが吉田総理のところに使いに行かれて、もしくは福永官房長官が行つて、いよいよ外国へ総裁として行くことにきめたといつている、そのときの感覚ときのうの感覚とはちつとも違つていないように受取れた。少くともその間に解党して新しい総裁にだれが選ばれるか、緒方さんが総裁になるのかだれがなるのか。別の人がなる可能性が現在は多いのだ、多くなければこれはできないのだ、ようござんすか、多くなければできない。吉田さんがもう一ぺんなるときめているなら、これはだれも賛成しない。天下国民何人もこれに対して賛成しない。これは輿論が決しておる。にもかかわらず自分がやめるようなことはちつとも考えないで、佐藤を使いにやつた。自分は外遊するつもりだ、準備させるのだ、こんなばかな矛盾した態度をとつておいて、いやしくもあなたがお書きになつた天下の同憂の士に訴えるというような声明書を出すということは、良心に恥じはしませんか。あなたのところの総裁がそういう態度をとつていて、それと一緒にやつてはずかしくございませんか。こういう声明書をお出しになつたその態度を私は憎む。いやしくも天下今当然これはやらなければいかぬときである。この点には共鳴する。すればお互いに真剣になりましよう、お互いに裸になりましよう、お互いに私利私欲は捨てましよう、私も捨てましよう、そういう気持になる。声明書にはそう書いてあるが、吉田一人外国へ行く、世界へ漫遊に行くのだ、この態度は何たる人をばかにした態度ですか。そうして改進党へ申入れするということはふざけているじやないか、いかがですか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 私は吉田総理が自由党の総裁として外国へ行くことはきまつておると言つたことは一度もありません。福永官房長官もそれは言つたことはないと思います。そのすぐ直後に改進党に行つて交渉した、それは多少この委員会において質疑応答する場合に、言葉に含みを持たせるとか、あるいは答弁に言葉のあやを持たせることもあろうと考えます。今の改進党の問題は、こちらは一方的にきめておりますけれども、きのう改進党側から出ておる情報は、自分の方はすでに党議がきめてあるから、ほとんど不可能に近いという。また当方といたしましては、改進党に十分誠意を披瀝するつもりがありましたけれども、その結果がどうなるかということは全然予想がつかない、予想をつけることが改進党に礼を失することであると考えております。その立場において、総理が外遊について、仮定の問題ではありますけれども、ある質問に対してあの答弁をしたいということは、別に改進党に対して礼を失うことはない、さように考えます。

河野一郎日本自由党

○河野(一)委員 あらためて緒方さんに伺つておかなければならぬ問題ができた。自由党は総裁総理一元論という声明をなさつたことがある。これは現在もかわりありませんか、どうですか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 自由党が総裁総理一元論という声明を出したことは、私が入党前のことかわかりませんが、(「入党後」と呼ぶ者あり)私は承知しておりません。しかし私は政党としては総裁総理一元になるのが筋だと考えます。

河野一郎日本自由党

○河野(一)委員 それならば、今の御答弁はおかしいじやありませんか。初めに自由党の総裁として渡米云々、外遊云々という御答弁をなさつた。ところが自由党の総裁として行くというようなことは言つたことはないとおつしやつた。おつしやつたが、総裁総理一元論というものは、林譲治君が幹事長のとき、一昨年の十月に、総裁と総理は一体不可分なものだ、これは吉田総裁の意思だと、幹事長声明として天下に声明した。それは今あなたがおつしやる通り、政党としてはかくあるべきものと私は思う。しかしそうじやない場合もあるかもしれぬと思うから、今の緒方さんのような御答弁があるかと私は思つた。しかしそれは今言う通り、あなたはそういう声明は知らぬと言うが、声明は間違いないのであつて、そういうことをはつきりしておけば、今言うように、総理として外遊するということは即総裁として外遊するということになる。であるから私は、総裁として外遊するというふうなことは言つたことがないということは同じことだという意味で申し上げておく。  のみならず今申されるように……。(「時間々々」と呼ぶ者あり)そういうことは言わぬでくれ。時間がどうだというようなことは、こういう重大な問題だし、あなた方のためにも必要なんだから、よしてくれ。外遊の問題について改進党には前からいろいろ話もあつたとおつしやるけれども、あなた方がほんとうに信念を持つて、吉田総理以下信念を持つて時局を匡救する、この声明書にある通り百パーセントあなた方がほんとうに考えておられるならば、憂国の至情としてこうするんだ、愛情はあるけれども、政党は解消するんだと言われるならば、相手がやろうがやるまいが、自分がやつて相手を引きずり込むだけの熱意がなければならぬと私は思う。出て来ないから、おれはやらないんだ、向うがやつてくれるなら、おれはやるんだというような、緒方さん初めそんな及び腰では断じて天下の大事はできませんよ。相手がやるとかやらぬとかは別だ。改進党がどうあろうと、おれがやつて改進党を連れて来るんだという熱意があなたに生れてこそ、初めて改進党もついて来る、こう私は思う。国家のためにこうしなければ救えないと、あなたの声明書に書いてある。それならば改進党からどういう情報が来ようが、何が来ようが、吉田総理の外遊ということはあとのことだ。まず国内をこの保守新党で固めて、しつかりした態勢をつくつて、そうして堂々と外遊するんだと言うならよろしい。それはだれか選ばれた者がやるんだと言うならよろしい。これは本末転倒もはなはだしい。先の先まできめて吉田がおれは外遊することにきめておる。その中間に立つて、緒方さんは改進党がついて来るならやるけれども、来なければやるかやらぬかわからぬから、そこまで行かないのだというふうな態度では、天下の大事はできぬと思う。この点について、ほんとうにあなたの信念を披瀝してもらいたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 その声明書に盛りました自由党としての誠意、熱意、それは少しもうそ偽りはありません。その通りであります。その通りに違いありませんが、これは改進党に熱意をもつて誠意を披瀝して合同を勧めましても、保守新党をつくることを勧めても、できぬ場合がある。それを、初めから改進党は自分の方の考えに同調するものであるときめてかかることは、私はむしろ改進党に対して礼を失することではないかと考える。それはただ私が改進党の熱意を疑うのではなくて、改進党からは、すでに自分の方としては党議は決しておるから、そういうことを持つて来てもだめだということが非公式ではありますけれども、たびたび伝えられておる。しかしながら私どもの方へはそれと違う情報もときどき伝えられるから、これにさらに繰返し繰返し当方の熱意を披瀝したならば、おそらくはその大きな道に同調してくれることがあるだろうという考えから、さようなことで声明を発表したのでありまして、決して改進党の何をあらかじめ断定するのではありませんけれども、しかしながらその場合の総理のあの質問に対する答えとしては、私は決して不穏当ではなかつたと今でも考えております。

河野一郎日本自由党

○河野(一)委員 私はこの重大な問題について、緒方さんは非常な熱意をもつてこの声明書の通り、ほんとうに身を挺してこれに当られるものと考えておつたのですが、今の御答弁ですと、どうも何だか、できればできた方がいいというような答弁に聞える。相手に非礼であるとあなたは言われるけれども、自分でそれだけの熱意と決意をもつて当るのでなければ私はできぬだろうと思う、こう申し上げた。のみならず、今あなたから情報の話が出ましたけれども、改進党の諸君が、新聞に出ておる通り、言つていることはわかつている。松村さんの初めから言われたことは、この前の松村、佐藤第一次会談でも、庶政一新ということを改進党は要求した。これに対して、あなたの方は知らぬふりしてひつ込んでしまつた。これはこの前の改進党との会談でも、その後でも、改進党は具体的に内閣の責任を明らかにしてくれ、政治は責任を明らかにすることが必要だということ、ないしはもう一つ汚職の進展を見ようということ、この二つを改進党は示して来ている。その情報があるならば、この二つに対する答えを持つて出て行くことが当然の礼儀だと私は思う。改進党はそういうことを言っているのだ、新聞にも出ておる、幹事長の談話にも出ておる、党の決定もそうだ、単なる情報でなしに、明らかにいたしておるのだから、もしほんとうに自由党がそこまで考えて行こうとするならば、改進党に対して話をしようというならば、この二点に対してみずからどうしようということを考えて当れば、私は改進党に対して具体的におみやげを持つて行つたことになると思う。それに対しては何ら答えをせずに、ただ天下国家、大所高所から理論を述べて、そうして改進党に当つて行くというなら、そして何も有形なものはないけれども、無形な精神において改進党に当ろうというならば、当るだけの決意がなければならぬ。自分だけでできることでなければならぬ。改進党にしてもらうことよりも、自分でできるだけのことをやつて、しこうして改進党に要求すべきだと思う。こういう点について非常に欠ける点がある。この点について、天下が共鳴しない点があると思う。たとえば今お話の、やらないという情報もあれば、やるという情報もあるというようなことですが、そういう情報はわれわれ寡聞にして承りませんが、二つの情報というような情報はどういう情報でございますか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 二つの情報というのは、その文字通りであつて、それ以上に加えることはありません。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 河野君、お持ちの時間が参りました。

河野一郎日本自由党

○河野(一)委員 私はこの重大な、われわれも熱望いたします問題について、故意に水をさそうとか、けちをつけようという気持はありませんからこれ以上申し上げませんが、とにかく大死一番事に当つていただきたい。緒方さんの立場もいろいろ重大でございます。今日本の政治がどうなるかという重大なときでございますから、吉田さんの立場だけ考えないで、ほんとうに国家のために、声明書に書いてある通り、国家の大局に処して、お互い全部がやるということを決意していただきたい。その間にはかけひきも何もいらないということを特にここで申し添えて、最後に一点、時間がないようですから、一言だけお許しを願いたい。これは検察当局に対する私の希望でありますから、ひとつ副総理お聞き取りいただきまして、この点に遺漏のないように御指導をいただきたい。もし御所見があれば、承れればけつこうであります。  由来わが司法権は、かつて司法フアツシヨと呼ばれた時代がありまする通り、司法権の濫用をいたしまして政治に干与し、政治に野望を遂げようとした、ないしは遂げたかもしれませんが、そういう時代があつたことは、緒方副総理も十分御承知のはずであります。われわれ厳にこれは戒めなければならぬと考えたゆえんであります。しかるに、最近の汚職事件の取調べについて、率直に申し上げまして、国会の態度についても私ははなはだ遺憾でありますが、われわれ国民として、あくまでも厳正な司直の発動にまつて国民の疑惑を一掃しなければならぬし、これに協力しなければならぬことはもちろんであります。しかしみだりに検察当局が権力の濫用をすることは、厳に戒めなければならぬと私は確信するものであります。しかるに、最近とかく司法当局の動きに対して疑惑なきにしもあらずであります。一部の勢力がこれを濫用せんとする策謀があるようなうわさをしばしば聞くのであります。また司法部のことでありますから、神様ばかり集まつているわけじやない。ことにその人事の異動等についても、必ずしも神様のやることではありませんから、いろいろあることはやむを得ぬと私は考えます。しかしその人事を、恩惠を押売りをして司法権を圧迫するごとき態度は厳に戒めなければならぬ。ことに私のはなはだ遺憾に考えますことは、与党たる自由党に対する態度よりも、野党たるわれわれ四派に対して、とかくくだらぬことでも司法権が濫用される結論が新聞に出ておりますることは、はなはだ遺憾であります。こういうことがもしあるならば、取調べた者を全部発表するがよろしい、大官であるとか、要路であるとか、重要な人物であるとかいうような者はその人権を非常に尊重して、勢力のない代議士であるとか、あるいは新しい代議士であるとかいうような者はこれを簡単に取扱うというきらいがある。こういうことは厳に戒めなければならぬと私は思う。その点について、われわれは深く関心を持つものであります。この点について、犬養君にとかくのうわさがあつたり、とかくの論議が国会等で出ることははなはだ遺憾であります。今や新日本発足にあたつて、司法権がかくのごとくに乱雑、混淆されて、一般国民から信頼をなくしたらどうなりますか。この点については自由党も反省してもらいたいと思う。たとえば選挙違反の検挙の当時でも必ずしも公正妥当でなかつたことは、一々私が名前をあげて申し上げるまでもないと思う。そういうことがあるから、今回の汚職の摘発にあたつてもいろいろなうわさを生む。私はここで一々そのうわさを取上げて質問をしようとは考えませんが、われわれ耳にするところはなはだおもしろからざることがある。もし政府にして司法権を厳に公正に発動することができないならば、やむを得ず私は公開の席でこれらについて具体的に質問しなければならぬと思つております。しかしこういうことは好ましいことではありませんから、きようは緒方副総理に、厳に司法権に対しては公正な運用をするように、緒方さん初め力のある人ほど、十分に自由に検事をして活動せしめるように自粛自戒が願いたい。政府要路であればあるだけ願いたい。そして国民をして、ほんとうに自由に司法権を発動した結果、ここに新しく生れたものはこれはりつぱなものだ、という将来の建設のために、私は絶対必要だと思う。この点について特に御留意願いたいということを最後に申し上げて、きようの質問を終ります。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 私どもといたしましては、ひたすら司法権の公正に発動されることを希望しておるばかりではなしに、検察を圧迫した事実はもちろん、またこれを利用して何らか恣意を遂げようとしたことは、私の承知するところでは絶対にございません。その点は十分に御了承いただきたいと考えます。  なお先ほど自由党で発表しました声明書に、何かのかけひきが蔵せられておるかのごときお言葉がありましたけれども、これは憂国の至情と申しますか、日本の政治の将来を考えまして、また保守政党のあり方を深く省察いたしまして、やむにやまれずとろうとする方向でありまして、そのわれわれの微意を盛つたのが昨日の声明書であります。その陰に何らか政治的の意図が隠されているようなことを、もし少しでもお考えになつておりますならば、どうぞそれを捨てていただきたい。われわれは一片の誠意、何とか保守勢力の結集を考えてあの声明を出した次第であります。この点は特に御了承願いたいと思います。

河野一郎日本自由党

○河野(一)委員 ちよつともう一言、そういうお言葉がありましたからそれならば私は申し上げる。それならばなぜ少数といえどもわれわれ日本自由党にお申出がありませんか。なぜお申出がないか。これがかけひきではないと言えますか。吉田総理が日本自由党には言うなよ、改進党だけに言えということが、吉田の注文だということをわれわれは聞いておる。なぜ保守三党に同時に申し入れないのか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 吉田総理がそういうさしずをしたという事実は全然ございません。日本自由党に今交渉をいたしておりませんのは、日本自由党に先般復帰の際に交渉いたしまして、そのとき三木君からお勧めがありましたけれども、改進党に交渉する機会を失つた。今度は改進党に対しましてまず交渉いたしておりますが、これすらなかなか容易でないと考えますので、その推移を見まして、それから後に考えるつもりで、これは昨日佐藤幹事長から松村幹事長の質問に対してお答えした通りであります。

河野一郎日本自由党

○河野(一)委員 どうも一応の答弁のように承るが、昨年の暮れに三木幹事長から云々、そのときにはやらなかつた、それは最初に私が言うた通りであります。まあ過ぎたことはよろしい。しかしこれだけの誠心誠意憂国の至情から出て、声明書を書いて、今度は解党までしてやるのだというならば、なぜ改進党だけやつて――日本自由党の方はやらないのだとか、日本自由党の方はやるのだけれども、改進党はやらないのだとか、その態度がおかしいじやありませんか。同憂の士集まれというならば、天下同憂の士すべてに向つて堂堂と言うだけの熱意がなければいかぬじやないかと私は思う。そういうつまらぬテクニックやかけひきはよしたらどうかと申し上げたい。そうじやありませんか。言うてみて、はねられたらはねられたでいいじやありませんか。あなた方が一ぺん言うてまた言う――今もおつしやる通り、改進党に言うてみた、いけないようだ、また言うつもりだ、それはそれでけつこうだ。われわれの方に言うてみてはねられた、また言う、それでいいじやありませんか。なぜそれをやらないか。決してこれ以上は申しませんが、そういう今までのような態度で、そうして吉田さん一人の外遊云々ということも、あれはよくないからおやめなさいということで、とめられない。はれものにさわるように、吉田天皇のようなものをつくつておいたのでは、天下何事もできません。この際敢然として吉田さんに向つてはつきり――まず吉田さんから料理をして、そうしてわきの政党に呼びかければ呼びかけるでよろしい。順序が間違つておるということを申し上げて、これでやめます。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 これにて質疑は終局いたしました。次会は明十五日午前十一時より開会いたしまして、討論採決を行うことといたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時三十五分散会

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