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19回国会衆議院1954/03/03

予算委員会 第22号

発言数
97
登壇者
21
会派数
7
開催日
1954/03/03

会議録

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 これより会議を開きます。  昭和二十九年度一般会計予算外二案を一括議題といたします。質疑を継続いたします。黒田寿男君。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 昨日政府は、突如として自衛隊法案要綱及び防衛庁設置法案要綱を、予算委員会に提出されたのであります。私どもは、今までは政府の再軍備構想を断片的に知り得たにすぎなかつたのでありますが、今回発表の要綱によりまして、その構想が全面的に明らかにされたと思います。それは私どもが予想しておりました以上に、はつきりと軍隊創設の構想を示しており、私どもの立場から見れば、最悪の違憲立法であると考えるのであります。二十九年度予算案には自衛隊の経費も計上せられておりますので、この予算の問題に触れたいと思いますが、その前に総理大臣に対しまして、自衛隊の性格について御質問を申し上げたいと思います。  第一に、国連憲章の規定によりますれば、いかなる国の軍隊も侵略を目的とする制度であつてはならず、侵略行為に出た場合は、戦争犯罪となることになつておるのであります。従つて世界のいかなる国の軍隊も、制度の上から見れば、ことごとく自衛のための軍隊でないものはないのであります。そうであるといたしますならば、直接侵略に対するわが国の防衛、すなわち外国の武力攻勢に対するわが国の防衛を目的として、新たに創設せられます自衛隊は、制度上諸外国の軍隊と共通した目的、任務、性格を持つており、この点においては特に日本の自衛隊が、諸外国の軍隊に比して特別に異なる性格を持つておるものとは言えない、自衛隊は外国の軍隊と大体同様な制度であると考えてよろしいと思うのでありますが、総理大臣はどのようにお考えになりますでしようか、お尋ねしたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えいたします。国連憲章の規定いかんにかかわらず、日本の防衛に必要な防衛力を持たなければならぬわけでありますが、日本としては、必要な程度まで防衛力を持つというようなことは、国力が許さないものですから、最小限度というよりも、むしろ国力にふさわしい、国力の最大限度をもつて、一応の防衛体制を整えるということにいたしたのであります。現在二十九年度に計画されたような防衛計画をもつて、防衛以上のことをするというにはあまりに小さいということは、常識でわかることと私は考えます。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 総理大臣の御答弁には私は承服できませんが、時間がございませんから、次の問題に進みたいと思います。  第二は、予備役制度のことであります。予備役制度は私どもの研究いたしましたところでは、軍隊にのみ存する制度であり、軍隊以外には存しない制度であります。この制度はわが国ではかつて兵役法で規定せられていたのであります。この制度が自衛隊によつて今回取入れられておるのであります。自衛隊は、軍隊以外の制度の中には存しないで、軍隊のみに特に存する制度でありますところのこの予備役制度を取入れておるところから見まして、その名称のいかんを問わず、本質的に軍隊の性格を持つておるものと思うのでありますが、いかがでございましようか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 便宜私からお答えいたします。今度自衛隊法においていわゆる予備自衛隊制度を取入れたのは、これは昔のいわゆる予備役とは全然その構想を異にいたしておるのであります。予備自衛隊員になる人は志願によるのでありまして、特に強制をいたしません。まつたく本人の意思決定によつて、予備自衛隊員になるかならぬかということをきめて、自衛隊員になろうという希望者のみを選考して、これを防衛の必要があつた場合に招集し、あるいは一年二回以内、二週間以上にわたらざる程度において、訓練招集をやろうとするのであります。旧軍隊のいわゆる予備役制度とは根本観念において差異があるわけであります。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 これも私は御答弁で満足することはできませんが、時間がございませんので、次の問題に進みます。  第三に、海上自衛隊の部隊として、連合自衛艦隊、自衛艦隊群などという制度ができることになつております。艦隊というのは、私は軍艦隊のことであろうと思います。総理大臣が先年リツジウエイ大将に対し、フリゲート艦の借受けを申し込まれましたときの貸借協定の国会審議の際に、私がフリゲートは軍艦ではないかと質問いたしましたときに、政府は、それは軍艦ではなくて武装した船舶だというようにお答えになつたのであります。しかし海上自衛隊の艦隊に編入せられるということになりますれば、今後は晴れて軍艦と呼んでよいことになると私どもは思うのであります。軍艦は海軍という制度においてのみ特に存するものであります。しかるに海上自衛隊はその武器といたしまして軍艦を持つということになるのでありますから、私は海上自衛隊は海軍であると解釈できると思うのでありますが、いかがでございましよう。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 これは名称の問題でありまして、われわれは今度保安庁法改正によつて自衛艦ということにしたいと考えております。これは一面においていわゆる乗組員の士気に関する問題でありまして、これをもつてわれわれは決して外国と戦いを交えるというような構想を持つておりません。ただただ期するところは、外国よりの不当な侵入に対して防衛体制を整えて行く、その一環として自衛艦というものの組織をつくりたい、こう考えておる次第であります。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 これも時間の点でそれ以上繰返してお尋ねいたしません。次の問題に移りたいと思います。  予算説明書を見ますと、保安庁経費の中に、新たに米国より船舶を貸与される予定だ、こういうことになつておると思いますが、この船舶は、伝え聞くところによりますと、たとえば駆逐艦のようなものだというようなうわさもある。どういう船舶でございましようか。駆逐艦などが含まれておるのでございましようか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 お答えいたします。そのうちにはアメリカで駆逐艦として使用しておつたものも入るわけであります。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 大分海上自衛隊の性格がはつきりして来たと思います。次の問題に移りたいと思います。  第四には、できれば総理大臣からお答え願いたいと思うのでありますが、MSA協定を締結いたしますならば、わが国は米国から軍事援助を受けますかわりに、自衛力増強の責任を負うことになる。すなわち自衛力を増強することが義務づけられることになるのであります。私は従来はMSA法によつてこのことを推論していたのみでありましたが、いよいよ近くMSA協定も調印されるところまで進んで来たというように承つておりますので、このことが明文の上で私は表わされておるのだと思うのであります。この点について、今日の段階ではこの程度のことならお聞かせいただけると思うのですが、御説明願いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 その通りでありましてMSA協定の中には、自衛力の漸増ということをうたつてあります。但しそれは日本の経済情勢の許す範囲、また日本の政治情勢の許す範囲において行うものでありまして、これは日米安全保障条約締結当時から考えておつたことでありまして、これによつて、何もほかの条件をかまわずに、ただ自衛力増強の義務を負うのは正しくない、但し国内情勢の許す範囲内においては自衛力漸増を行つて行く、それに必要な援助を受ける、こういうようなことになるであろうと思います。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 ついでにもう一つお尋ねしておきたいと思います。これはわかり切つたことだと思いますけれども、わが国が今回新たに持とうしております自衛隊は、MSA協定にいうところの自衛力を具体化したものである、こういうふうに解釈してよろしいと思いますが、いかがでありましようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 さように考えております。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 次に、政府と意見が違うかもわからぬと思いますけれども、私どもはMSA法のいわゆる自衛力とは、常識上軍隊のことをさす、こういうように考えておるのであります。しからばMSA法の自衛力、その自衛力を具体化したわが新設の自衛隊なるものは、いわゆる常識上軍隊と見てさしつかえないものではないかと思うのであります。この点いかがでございましようか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 このMSA法に基きます防衛力については——世界中に軍隊を持たない国というのは、日本以外にはほとんどないわけであります。多少、ごく拾つてみればありましようが、従いまして、MSA法に規定するときは、一般的に軍隊を持つている国を対象といたしておりますから、軍隊を予想しておる。日本が今度締結いたします場合には、憲法が非常に特異のものでありまして、戦力の保持を禁じておりますから、従いまして日本の場合は特殊に扱わなければなりませんので、MSA協定の中にも、憲法の規定する範囲においてという文句を、特に、わかり切つておりますが入れております。従いまして憲法の範囲内において、日本は戦力に至らざる防衛力を持つ、こういう意味でありますから、それを軍隊とお呼びになるかお呼びにならぬかは別といたしまして、戦力には及ばない程度のものを持つ、こういうことになろうかと考えております。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 大体私どもは以上のように考えます。なおMSA協定に関しては、その後まだ何ら詳しくお示しくださつておりませんから、きようは深く論ずることは避けます。  次に質問を進めてみたいと思いますが、私ども以上のように考えまして、かつ自衛隊の中に航空自衛隊がありまして、それが航空機を保有しておるというようなことをあわせ考えますと、今回自衛隊によつて具体化されましたわが国の防衛計画は、これは常識上いわゆる三軍方式といわれておりますものを採用した防衛計画ということになつておるのではございませんでしようか、この点についてお答え願いたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 お答えいたします。われわれの理想といたしましては、三軍の統一した力を持ちたいと考えておりますが、日本の財政力ではそこまでは今の段階においては許すことができません。ただわれわれの考えるところに方向づけて、徐々にこれを持つて行きたいとは今のところ考えておるのであります。しかし急速にバランスのとれたものを三軍方式として持つということは、なかなか実行はむずかしかろうと考えております。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 時間の関係上これも議論はやめまして次に進みたいと思います。要するに私どもは、以上のように考えておりますところからいたしまして、今日新たに創設されます自衛隊は、常識上軍隊と呼んでさしつかえないものである、こう思います。総理大臣及び保安庁長官は、いつかの私どものこの点に関する質問に対しまして、軍隊と呼んでもよい、但し戦力はないのだ、こういうお答えがありましたか、今回の要綱を見まして、常識上これはどうしても軍隊と見るべきものだと私ども考えます。そういうように見てよろしいとお考えになりますかどうか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 きのうもどなたかの御質問に対して答えたのでありますが、結局軍隊という言葉の使い方であります。そこで外敵の侵入に対してこれに対処する任務を持つのが軍隊といりのならば、あるいは今度の自衛隊も軍隊といつてもさしつかえなかろうと考えております。しかしながらこれは文字の使い方であります。おそらく軍隊の定義というものははつきりきまりていないのじやないか。文字の解釈の問題であります。われわれといたしましては、どこまでも憲法第九条第二項の戦力に至らざる程度において、日本の防衛体制を整えて行きたい、この構想のもとにただいま自衛隊法を提案しておる次第であります。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 侵略に対抗する制度は軍隊と考えてよろしい、こういうような御見解が今述べられたと思います。そこで私どもは次の問題といたしまして、ただいま新たに創設されようとしてその要綱案が示されました自衛隊、それを軍隊と呼ぶこともできるというその自衛隊は、私どもの考え方では、やはり憲法第九条の軍隊に該当するものだ、こういうように私は考えるのです。いかがでございましよう。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 しばしば申し上げました通り、憲法第九条第二項の戦力に至らざる程度のものでありますから、さしつかえないと考えております。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 これもきょうは議論はやめまして、もう一問題だけお尋ねしてみたいと思います。  この予算案において私ども一番大きな問題は、防衛費のみが増額されておる。緊縮予算と称しながら、防衛費のみが増額されておるという点に、二十九年度予算案の特異性があると思うのであります。この特異性を持つておる予算案において計上されております保安庁経費は、昨日提示されました要綱に従えば、これは防衛庁経費ということになるものだと思うのであります。さてそういうように考えまして、ある制度に関する経費が要求されるためには、その制度の根拠となる法律が存在しなければならないと私は考えます。これは先般もちよつと予算委員会で問題となりましたが、中途半端で、何だかうやむやのうちに妥協状態になつております。これは非常に重要な問題であると思いますので、あえて質問申し上げるのであります。私どもは、そういうように考えますが、しかし防衛庁費ということになつて参りますと、防衛庁というこれから新たに設置される行政機関の経費でありますから、この経費の根拠となる制度は現在存在しておりませんし、またその根拠法というものも存在していないのであります。その根拠法となる防衛庁設置法及び自衛隊法等が、これから新たに制定されなければならぬという事情にあるのであります。この経費を審議しかつ決定するには、少くとも法律案が提出されておることが必要である、こういうように考えるのでありまして、しかも法律案は今日まで提出されていない。示されたのは、要綱のみである。私は要綱をもつて法律案にかえることはできないと思うのでありますが、この点をお聞きいたしまして、さらに最後の御質問に移りたいと思います。

佐藤達夫法制局長官

○佐藤(達)政府委員 時間がありますればもう少し詳しく御説明できるのでありますが、要点だけをお答えいたします。  お話の点は、かりに日本の憲法の制度が、防衛庁の設置及びその予算に関する法律というもので、すべてまかなえるような憲法上の制度になつておれば、御指摘のような御疑問は全然起りません。これはよその国にはそういう例もありますけれども、しかし遺憾ながら——遺憾ながらというと言葉が過ぎますけれども、日本の憲法では、予算というものと法律というものと、いずれもひとしく国会の御制定にかかるものではございますけれども、その法形式を異にしておるわけでございます。また本質をことにしておるわけであります。しかうして、予算というものの本質は何かと申しますと、申すまでもなく歳入歳出の見積り、いわば財政計画ともいうべきものということになるわけであります。従いまして、予算の本質をさように考えてみますと、むしろお話とは逆に、予算が成立もしていないのに、予算を国会が可決もしていないのに、その可決を見越してその予算の実施のための法律案を出すとは何ごとかという、逆のおしかりを国会から受ける場面も、理論的には考えられるわけであります。実はそういう経験もございます。しかしながら私は、それは一つの理論ではありますけれどもそれのみをもつて正しいとは言えないのでありまして、やはり予算の審議というものに関係して法案の内容を御審議願うということは、あり得ると思います。しかしながらその審議をされる前後の問題、予算が先であるべきか、法律案が先であるべきかという問題は、ただいま申しましたような法律及び予算の本質から申しまして、法律的にこれを見ますというと、いずれもこれを国会が制定されるという点に着目します場合においては、国会の統一的意思というものが、分裂すればこれは別でありますが、分裂しないとわれわれは考えておりますから、そこに審議の前後というものは、法律的には問題になり得ないというのが、結論でございます。しかしながら実際の、先ほど触れましたように、御審議の際に、この予算が成立した場合にどういう実行方法がとられるのかということを詳しくここで御審議があるのは、国会の職責として当然のことだと思いますから、御質問に応じてお答えする、あるいは場合によつては要綱をお目にかけるということは、審議の都合上望ましいことだ、また政府の立場から申しましても、要綱を見ていただいておけば、非常に安心ができるというような意味で、お互いに便利な方法である、それは言えると思うのであります。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 最後の問題といたしまして一言申し上げてみたいと思います。私はただいまの佐藤法制局長官の御意見には賛成することができません。私どもは政府の立場あるいは官僚の立場というのでなくして、国会議員としての立場から、そうしてまた国会の審議権確保という立場から、この問題を考えておるのであります。私はわが国の運命に影響のある非常に重大な法律でありますところのこの二つの法律案の、その姿さえまだ国会に示されていない、ようやく概要を伝える要綱のみが提出せられているにすぎないという段階において、この制度に関する予算を審議し決定するようなことをして、議員としての審議権の行使について、はたして職責を全うし得たと言えるかどうかということについて、はなはだ私は疑問を持つている。大体要綱というものは、参考に示されるものではありましても、国会の審議の対象になり得るものではありません。法律案でありましてこそ、私どもそれを審議の対象となし得ますし、またそれについて一定の制度の可否を決定することができるのでありまして要綱は単なる参考書類にすぎないのであります。法律案を提出せずして、単なる参考書類のみで、その書類において示された制度に関する経費の審議決定を求めるということは、新しい制度それ自体に関する審議権を放棄しろというのと同じだと思うのでありまして、これは政府あるいは官僚的立場から申しますれば、そういうことも不合理を感じないで言い得られるかもしれませんが、私どもにはどうしてもこういう考え方は承服することはできない。防衛庁経費を審議するためには、防衛庁設置法案、自衛隊設置法案など、この経費を必要とする制度の根拠となる法律案が提出せられており、この新しい制度について審議し得られる条件が整えられていることが、私は不可欠の要件であると考えるのであります。だから要綱と称する参考書類だけでよろしいということは、防衛庁や自衛隊についての一切の批判検討を放棄することを意味すると思います。何となれば、防衛庁及び自衛隊のことを審議し、かつ議決し得るのは、法律案によつてのみであるからであります。参考資料たるにすぎない要綱によりましては、このことができない。だから私は要綱を審議するということはナンセンスであるし、いわんや要綱を可決するなどということは、絶対にできるべき性質のものでない。従つて、要綱で足りるということは、法律案についての審議権を放棄することであります。私はこの法律案及びこの法律に基く制度の経費を認めるか認めないかという立場から離れて、国会議員の審議権を尊重するという立場から、断じてそういうことは認めることはできないというように考えるのであります。  そこで結論を申しますと、私は今のような段階で、ここで討論を終結して可否を決定するということになるのならば、私は大蔵大臣に申し上げますが、こういり法律案の基礎のないような防衛庁予算は、むしろ削減すべきであると私は思うのであります。どうしてもこの種の経費がほしいと思うのであるならば、私は保安庁経費という現存の制度に関する経費にでも変更して出されるのが至当ではないか、それともなお防衛庁経費を審議し決定してもらいたいということをお考えになりますならば、多少日にちがかかつても、私は法案が出て、少くともある程度の並行審議が行われた後に、予算案の討論採決に入るべきである。これが国会議員の審議権を尊重するゆえんだと考えます。時間がございませんので、これ以上論ずることはできませんが、大蔵大臣の御意見を承ることができますればけつこうであります。これで私の質問を終ります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 すでに法律案の要綱をお示しているのであるから、私どもは何らさしつかえなし、かように考えております。

黒田寿男小会派クラブ

○黒田委員 承服できませんが、これをもつて質問を終ります。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 中村梅吉君。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 経済自立という問題は現内閣の重要施策の一つでもありますし、また国家的に最も重要な課題であると思います。かような観点から、私は経済自立の問題を中心に荘子政府の所見をこの機会にただしてみたいと思います。  わが国のように、国土が敗戦によつて圧縮をされ、狭隘の上にもさらに狭隘な国土になり、人口が現状のようなありさまであります国柄としては、この日本の現状から見て経済自立を達成するためには、よほど積極的な構想の施策が行われなければ、経済自立の目的を達成することはできないだろうと思うのであります。今度の政府原案の予算を見ますと、一兆円のわく内で非常に緊縮をやるということで、たいへん意味のあるように政府においては説明をされておるのでありますが、大づかみにこれを見ますと、大体人件費において約五百億円、防衛庁費において約二百億円の増加を来しまして、この増加した分を、食糧増産あるいは産業投融資というような産業資金、あるいは食糧の自給態勢を整えるための食糧増炭の経費、こういう部門から主として大幅に削減をいたしておるのでありまして、私どもから言わせれば、この緊縮予算は緊縮はされておるに違いないが、健全な意味における真の緊縮ではない、はなはだしい消極予算である、こう批評をいたしたいのであります。こういう行き方では、日本の経済自立を、達成するということはきわめて困難ではないだろうか、かようにわれわれは考えるのであります。結局するに、戦後行財政の機構がはなはだ複雑になりまして、行政費の重圧を感じておるということはいなみがたい事実で、どうしても行政費を思い切り切り詰める、行政費の重圧を軽くするということが、日本の経済自立速成の一つの根本ではないだろうか。もちろん行政機構の民主的な基本をくつがえすことはよくないのでありますが、民主性を保持しつつ行政機構を思い切り簡素化して、行政費から産業資金を捻出する、少くも一千億なり、あるいはそれ以上なり大幅な資金を行財政の徹底的整理によつて生み出して、その資金を、日本の経済自立達成の基盤を養う産業方面に投入して行かなければ、日本の経済自立は達成できない。従つて健全な意味における緊縮予算であるというならば、まずそういう方向に思い切り力を入れたものでなければならないだろうと思うのであります。  そこで私は、まず第一に、行財政の整理について総理大臣にただしたいのでありますが、総理大臣は従来から行財政の整理には非常に御熱心のようで、しばしばその計画を立てられ、実施をされたのでありますが、どうも期待するような成果を収められていないということは、はなはだ遺憾に存じます。これというもの、結局、いろいろ思い切つた処置を講ずればいろいろなはね返りが起こつて来るというようなことから、いつか総理が言われましたように、すす払い程度ということに今日終つておると思うのであります。このままのことでは、まず経済自立達成の元手を生み出すことは、資金を捻出することは不可能であろう、だからもつと徹底した行財政の整理がどうしても肝要じやないだろうか。従つて総理大臣は、従来もやつて来られたけれども、なお一層強力に行財政の整理の徹底を期する、こういう御所存があるかどうかを伺いたいと思うのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えいたします。明年度の予算において緊縮予算を立てたのでありますが、これはまず経済自立達成の第一歩と考えて、ことし緊縮予算を立てたのであります。また積極的に徹底的に行政整理をするのでなければ、その経済自立の目的を達することができないのは、私もその通りと考えます。けれども、この行政整理にはいろいろめんどうがあり、いろいろな関係がありまして、お話のようにわれわれの予期した成果は上つておりませんが、しかしこれは、いかなる障害があつても、行政の簡素化及び行政整理をいたすことが必要と考えますから、今後も徹底的にいたす決心でおります。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 従来の行政整理が思うような結果を得られなかつたという、そういう結果に陥る原因は、一体総理大臣はどういう点にあるとお考えになつておりましようか。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 行政機構は、戦前、戦時中及び占領後において、一方においては複雑になり、他方においては中央政府の権力も縮小されたということのために、政府の地方その他における、あるいは行政機関各方面における監督あるいは指導権が十分でないというところに原因があると思います。これは法律の関係もありますものであり手から、簡単にわれわれの希望するようなところに参らぬという困雑も御想像願いたいと思います。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 今日の行政機構並びに現状を見ますと、だれが見ても議論の余地がないほどに複雑過ぎる。これを簡素化する必要があるということが一つ。もう一つは、各官庁の中央官衙にしても、あるいは地方の官衙にしても、大体一瞥をいたしますと、かつて日本の国がはなやかであつた、盛んであつた当時と今日とを比較して、雲泥の開きがあるほど今日はぜいたく過ぎておると思います。このぜいたくを、まず総理大臣初め現内閣は、国民の耐乏生活によつてこの財政の現状を打開しようという熱意を持つておられるようでありますが、耐乏生活の必要はもちろんですが、この実現を期する第一段階としては、中央並びに地方諸官衙における、戦前と今日とを比較してまつたくその開きがあり過ぎるような現状というものを、まず改善をするということが根本問題だろうと思うのです。この点について抽象的にひとつ総理大臣のお考え方を承りたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えしますが、ひとつお考え願わなければならぬことは、あえて占領国をあれするわけではありませんが、金持ちのアメリカが来て、そうして日本にいろいろな制度を——これはまつたく善意でありますが、こうしたらよかろ、ああしたらよかろうといつて、制度の採用をときには強制したようなことはあります。それは多くはアメリカのような金持ちの国において適する制度でもあり、またアメリカにおいては大したぜいたくでないと思うような費用、そうしてそれが日本においては、ぜいたくというような感じを与える費用が現に使われておることも事実であります。それからまた官庁その他においても何か御指摘ではぜいたく過ぎる、これも私はそう思います。そう思いますが、また多少時勢というようなこともあつて、戦争あるいは敗戦後において非常にきゆうくつな行政をいたしておつたものでありますから、その反動というようなことも多少考えられるので、しかしいいとは申しません。なるべく倹約するつもりでありますが、そういう御指摘のような事実がありますればせいぜい気をつけるつもりでおります。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 なるほど戦後の占領政策を根本にして、こういう一つの惰性が起つてしまつた。その惰性がある以上、その惰性を思い切り改善するということはなかなか至難ことでありまして、政府がしばしば御計画になりましても意のごとく進まない。この点はわれわれも了といたし、かつ政府の考えられる意図に対してはその労を多とするのでありますが、結局思つたような理想とするような行財政の徹底的整理ができないところの根本的な原因は、私は政治勢力の薄弱という点にあると思うのであります。現在の政府与党というものは、かつてのような絶対多数でありませんから、今日はまさしく薄弱でありますが、絶対多数の当時であつてもこれはなかなかできなかつた。なぜできないかといえば、徹底した行財政の整理をやろうとすれば、必ず強力な反撃態勢が起つて来て、必ずある程度の砂をかぶる。砂をかぶるのは一内閣の責任だけではどうもなかなか負い切れない。あるいはその内閣をささえる一党一派だけでは、なかなかその砂をかぶつて、思い切つて断行して、貫徹できない、こういう点に私は主たる支障があると思うのであります。この支障を排除する道は、一に今日すでに世間でも議論されておるところでありますが、どうしても今日のような政界のあり方ではできないのであります。やはり保守陣営、保守勢力の結集ということが必要だと思う。しからば保守勢力の結集をどうしてやるかということ、これはむずかしい問題で一朝一夕に論じられませんし、私どもこの時間の乏しい最後の総括質問においてしからばどういう方法で総理大臣は保守勢力の結集をおやりになつたらいいというような方法論、あるいはどういう寸法でおやりなさいというようなやぼなことは申し上げたくないが、少くとも私の今申し上げた行財の徹底的整理がやりおおせないという根本の根拠が、私の今考えているような点にあるとすれば、これはどうしても、何の障害を排除しても保守勢力の結集をして一大政治勢力をつくつて、全体の共同責任において思い切つた処置を断行するということでなければならぬと思うのであります。かような意味において先日来あるいは保守勢力の結集ということについては議論もされましたが、総理大臣はそれには御異存はないようでありますが、はたしてほんとうに強い熱意をもつてその結果をはかる御所存があるかどうか、この点を承りたいと存じます。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えいたします。結集はけつこうであります。ただ無理はいたしたくない。自然の流れに従つて参る、無理なことはいたしたくないと思います。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 この問題についてこれ以上総理大臣の所見をこの機会に承りたいといつても無理でしようから、ほかの問題に移ります。  次に私が伺いたいと思いますのは、経済自立達成の一つの根本をなすものは、対外貿易の振興であることは申すまでもありません。この対外経済関係については政府、なかんずく外務当局もいろいろ御苦心なさつておることはわれわれも承知をいたしておりますが、特に私がこの機会に一点指摘をいたしたいと思いますことは、中共との貿易関係でございます。政府のいろいろな努力にもかかわらず、今日なお中共貿易については、西欧諸国に比較して日本は強度の制約を受けております。この制約は何とか排除して、少くとも西欧並の態勢に整えるということが私は必要だと思う。あるいは政府としては前国会あたりにおきましても、中共貿易というものは世間ではやかましく言うけれども、さほど期待ができないのだ、満州があつた当時や何かのような支那貿易は本質的に考えられないのだという御議論もありましたが、もちろんそのことはだれも承知しておるわけでありますけれども、最も地理的に隣接をしておる——今日特に貿易についてはコストがやかましくいわれておるときに、運賃も安くいろいろな点においてバーターのできるような、日本の必要な品も得られるような手近にある、この日本にはなくてならない隣接の中共というものを無視して日本の貿易政策を立て、経済自立をはかるということ自体が無理なのでありますから、私どもはどうあつてもこの中共貿易の振興といいますか、少くも西欧並の制約に緩和をはかるということは、日本の経済自立の根本問題として強く考えなければならないところだと思うのです。最近朝鮮問題並びにインドシナ問題などを解決するために、中共を含めた五大国会議というものが行われることになつたようでありますが、こういうことになつて来れば、この機会に日本としては——アメリカとしても今まで中共は承認しなかつたけれども、朝鮮問題、インドシナ問題解決のために、中共を含めた五大国会議をやるということになれば、本質的にアメリカは中共を承認したかつこうになつて来るのだと思います。でありますから、私はこの機会に日本政府としては、この中共関係について一層の努力を払われて、何とか西欧並に緩和の実現を期する必要があると思うのであります。この点について、所管は外務大臣になるでしようが、ひとつ所管大臣から御所見を承りたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 御説の通りに私どもも考えております。ただ実際上の問題としますと、日本でたくさん輸出できるようなものを西欧でも禁止しておるけれども、西欧ではそれには大した利害関係はない、あるいは日本ではあまりできないものが西欧ではたくさんできて、それを輸出する場合にこれが緩和されておるために、結果においては西欧側がよけい輸出して、日本がよけい輸出しないというような事態もあるわけであります。しかし原則としては西欧並、自由諸国と足並を完全にそろえる、こういう方向で進んでおるのであります。事実上ほとんどそれに近づいてはおりますが、さらに日本のよけい輸出できるようなものを西欧側でも承認してこれを輸出する、つまり緩和のやり方の問題がかなりあると思います。これについては今後とも努力するつもりでございます。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 なお総理の外遊の問題が世間でうわさをされております。この問題については官房長官あたりの新聞談話などにもときどき出るのでありますが、総理大臣が機会を見て外遊をされるということは、通商関係その他国際関係に及ぼす影響のいい面も多々ございましようし、これは冷静に考えてみて、相当意味のあることだと私は思つております。MSAの協定も近く調印をされるそうでありますし、国会の乗り切りも、無事乗り切れるかどうか私どもにはわかりませんが、国会の審議もかりに順調に進んだといたしますならば、総理大臣としては適当の機会に外遊をされて、諸外国の国際感情をよくし、あるいは通商関係にも好影響をもたらすような方面に、努力をしてみようという決意でいらつしやるかどうかを、この機会に簡単でけつこうですから、承つておきたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えをいたします。外遊しないかというような話も実はしばしば出るのであります。しかしこれは内外の情勢から外遊を適当とするという見きわめがつかない限りは、参つてもいたし方がありませんから、まあ今のところは未定と申すよりしかたがありません。もし事情が許すならば私が参つて、お話のような点について努力いたしたいと考えております。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 この問題についてはこれ以上論及いたしません。  次に私は、中小企業対策について大蔵大臣並びに通産大臣から伺いたいと思いますが、最近の状態を見ますと、手形の不渡りというものは最近最高の記録をつくつておるらしいのであります。二月中のごときは一日に平均千何百枚、月集計をいたしまして二月は三万千六百枚の不渡り手形を出しておるそうです。こんなに不渡り手形が出ている事実は、今日までの記録にない最高記録を示しておる。いかに中小企業の一般企業方面が金融難のために行き詰まりつつあるかということは、現実の事実であります。そこでこのまま行けば、なるほど緊縮財政ということでデフレ傾向の政治をやろう、ねらいとしてはいいわけでありますが、必ずそれには打撃というものが起つて来る、障害が起つて来る、ことにその障害の最も大きくなるのは、実力の乏しい中小企業方面にしわ寄せせられて、ここが一番容易ならない事態になつて、あるいは場合によつては社会問題化するかもしれない。こういうことが今日予想される以上は、これに対して金融政策の面において、あるいは中小企業助成の面において、大蔵大臣並びに通産大臣はよほど慎重な態度でこれに対する対処策を——緊縮財政を遂行するのもけつこうだが、それによつて生ずるそういう余波を、一体どう弊害なく防ぐようにするか、この点についてはよほど真剣な対策を持つていただかなければ困ると思う。私どもにもいろいろ考えはございますが、そういう議論をいたしておりますよりは、率直に大蔵大臣並びに通産大臣から、この点に対する政府の腹構えをひとつ承りたいと思います。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 中小企業の金融問題については、政府においても絶えず配意しておるところでございまして、御承知のごとくに商工中金、中小企業金融公庫、及び国民金融公庫、この三つをそれぞれの機関として、その資金源の増加をはかつておることは御承知の通りであります。もちろん十分と言えませんけれども、これらの資金源の増加をはかつておりますほかに、さらにいわゆる信用保険制度の保証協会等の拡張をはかりまして、これは中村さんも知つておられる通り、一番多いのは何といつても特に地方銀行が比率において多いのでありますし、金額においても圧倒的に多いのでありますから、この制度の拡大によつて資金の融通を楽にしたい、こういうふうに実は考えております。ただ資金源ばかりではいけないので、合理化に要するもの等については、中小企業金融公庫等から長期資金で合理化に対する資金もお出しをするというような方法をとつており、また今の信用保証協会の分も、そういう長期の保険ができることにも相なつております。さらにいろいろな方法をくふうしてはおりますが、実は率直に申しまして、これ一つやつたら中小企業は助かるだろうという妙案は持ち合せておりませんから、できるだけあらゆる政策を私どもはやる。そうして、たとえば資金の面についても、親会社とかあるいは関連産業等への支払いについても、これを最初から約束せしめる等の方法をとつてはやつておりますけれども、これは一つこういうふうにやつたらいいという妙案を実は持ちませんので、あらゆる方策を講ずる考えでおります。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 これはなるほど大蔵大臣のおつしやる通り、これ一服でよろしいという妙薬はないだろうと思うのです。ただ問題は、このせつぱ詰まつた事態に対する臨機の処置というものは、大体にらんでおられて常にとり得る態勢が必要だと私は思う。そういう意味からいえば、今年度の政府の財政計画を見まして、一兆円以内で押えようということから、われわれから見れば、おそらく実行の上で財源にはかなりゆとりが出て来るのじやないだろうか、たとえば専売益金の納付にいたしましてもその他の財源にしても、かなりのゆとりが起つて来る可能性があるように私どもは思う。予算の執行面においてゆとりが生み出せればできるだけ生み出して、それを保有して、一朝事態の悪化した際には、政府預託金をふやすとか何か臨機の処置で、非常な悪い事態の起らないようにすることだけは、常に重大な関心を持つて見守つていただく、これが私は必要だと思う。  もう一つ通産大臣についでに承つておきたいと思いますことは、近来中小企業というものが、戦後統制が撤廃され非常な自由競争になりました結果、ものによりましては非常に企業がダブつて、そうしていたずらな競争をしておる面が相当ある。これらについては中小企業庁として十分に精密な研究をされて、そうしてそういうダブり方を是正する努力というものが——こういう時勢ですからあまりさしずがましい指導はできないにしても、いろいろな意味で業者を指導して行くような心構えなり処置というものが私は必要だと思う。こういう点について通産省の中小企業庁あたりではどういう用意とどういう対策をもつて、今日の窮迫した状態に追い込まれつつある中小企業に対処せんと考えておるか、この点をひとつ伺いたいと思います。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○愛知国務大臣 お答えいたします。先ほど大蔵大臣からも申し上げましたように、この一つをやればというような対策はございませんので、総合的にあらゆる智恵をしぼつてやるつもりでございますが、特にただいま御指摘のありました点は、私どももまつたくごもつともと思うのでありまして、国庫金の余裕の状況等々見まして、随時に預託金の制度というようなものにつきましても、大蔵省と十分協議をいたしまして適切なる処置を講じたいと思います。  それから第二段のお尋ねの点でございますが、御承知のように協同組合その他相互連帯の何といいますか強靱な紐帯をつくりたいということが、中小企業自体の要望でもございますので、中小企業庁等におきましては、たとえば企業診断という制度に最近力を入れておるわけでありまして、要するに実態を常時把握する、それに対して政府側はどういうお手伝いをしたらいいだろうかということを中心にいたしまして、企業診断というような面に十分の力を今後注いで参りたいと思つております。そういうような面から、たとえばダブつた事業等については、できればこれは合同するとか、あるいは相互に連携を取り合うのにはどういつた方法がいいかというようなことにつきましても、十分御相談に応じて参りたいと思つておる次第でございます。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 私はこの際ちようど資料も手に入つておりますから、大蔵大臣の御意見を承りたいと思うのですが、元来私は生命保険、火災保険というものについては特殊の考えを持つておるものであります。この政府配付の資料を見ますと、生命保険会社の合計をいたしました昭和二十七年度の保険料収入に三百九十四億になつておりまして、保険金の支出は三十六億であります。五年さかのぼつた昭和二十三年を見ますと、保険料収入が百三十九億で保険金支払いが十二億でありますから、これも大体一割、いつを見ましても保険会社の保険料収入と保険金支払額とを比較すると、保険金支払額が保険料収入の一割くらいなのです。これはしかし生命保険の方は何十年に人の生命を保険するのですから、一割しか払つてないから九割はもうかつているのだとは断言できない。しかし一箇年限りの火災保険の方を今度比較してみますと、火災保険は昭和二十七年を見ますと、保険料収入が四百十四億です。それに対して保険金支払額は百億でありまして、保険料収入と保険金の支払額とを比較すると四分の一です。五年前の昭和二十三年を比較してみても四分の一です。こういう状態に置かれていて、今日保険会社の金融資本家としての資本力は相当なものです。銀行についてもこれは同じように言えるのですが、産業の転換まで、こういうような経済状態につけ込んで、こういう金融資本力というものが事業を独占するといつては語弊があるが、事業に干渉いたしまして、金融難に陥つている会社に融通をしてやる、そのかわり事務をこつちによこせ、社長はだれそれにしろ、こういうことになつて来て、人的関係で結局企業の実体というものはこういう金融資本家に押えられてしまう。これはまことに憂慮すべきことだ。銀行にいたしましても、今日大体資本の蓄積が乏しいから、なお銀行の融資にたよるということは企業家としてはやむを得ない。そうすると、銀行の方では一つの融資団をつくつて会社の実体を押えてしまう。こういう事態があちらこちらにたくさん起りつつある。こういう状態で行けば、日本の産業というものは銀行家と保険会社に全部押えられてしまつて、他の者は働くだけで、金融資本閥によつて日本の産業は左右される、こういうことになんことは歴然たる事実である。かような点から見まして、保険制度というものについて何か考えなければならぬのじやないか。第一これほど明らかに出ておる数字を見ても、保険料について政府は監督権がおそらくあるのだろうと思うのですが、その監督権がある以上は、保険料をこのままで放任しておくということ自体がよろしくないじやないか。生命保険でいえば収入の十分の一しか支払いはしていない。火災保険でいえば四分の一しか支払いはしてない。かつて東京都が都営火災保険というものを大蔵省に申請をした。事務当局は許そうとしたが、とうとうどこかで押えられてこれは許可にならなかつた。当時の東京都の火災保険計画というものは、現在の火災保険よりは保険料をよほど安くしてなおかつ莫大な利益があつて、東京都の消防庁の消防費がまかなえる、こういう計画であつた。こういう点から見て火災保険については、各都府県ごとにそういう自治的な保険組織をつくろうとするものに対しては、政府はむしろ積極的に指導して許可してよろしいのではないか。あるいはまた郵政省所管の簡易生命保険につきましても、今の限度額をふやせということがしきりにいわれております。もちろん私はこれをふやしていいと思う。今日の世の中で七万や八万ではどうにもなるものではない。一般の営利生命保険会社が明らかにこれだけの数字上の利益を上げている。今日国営であるところの簡易生命保険の限度額をもつと思い切り引上げて、そうしてそれによつて国家的に資金を吸収する、また被保険者にも有利になるようにしてやる。こういうようにして営利会社の生命保険あるいは火災保険の無理な利潤追求を抑制する処置は、私は国家的に必要だと思う。この点について大蔵大臣の率直な御感想、御意見を承つておきたいと思う。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 生命保険会社及び損害保険会社に関する点についての御意見もつとものように思うのでございますが、しかし御承知のようにこの生命保険会社もあの戦争当時、また損害保険会社もあの当時は大きな損害を受けまして、これらはいずれも国から援助してやらなければならぬという立場にあつて、長い間それぞれ債務を背負つておつてようやく返すに至つたことは、中村さんよく御存じの通りであります。従いましてこの状況がずつと続いて来ますれば、また保険料率その他のことについても十分な監督をしたい、そして十分引下げもしたいと思つております。相当の打撃を受けてからまだ日もたつておりませんので、そういう考え方を持つておりますが、今その時期かどうかということは、私はここで明言をいたしかねる次第であります。さらに簡易保険の限度額を引上げろということは、これは私もある程度引上げる必要はあろうと思いますが、ただこれを急激に引上げることによつて民業の圧迫となつてもいかぬ、こういうことも考えている。従いまして時勢に伴つて相当額の引上げはやるべきだと考えておりますが、これもやはり急激に、経済的な問題は——これは二十七年にやつたばかりでありますから、二十七年にやつて三十九年にやるということは、三年しかたつておりませんから、これを一躍何倍にもするということはやるべきでない、こういうふうに考えております。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 そろそろ時間の関係もありますから結論にいたしたいと思います。  大蔵大臣に最後に伺いたいと思いますことは、今年度の財政についてでありますが、二十八年度を考えてみますと、まずどうしても補正予算として計上しなければならないものに、義務教育国庫負担金の東京、大阪、神奈川県の分がございます。それからもう一つ明らかな現象として現われておりますのは医療救護費でありますが、これは薬価が高くなつた、いい薬が製造されるようになつた、医療費が高くなつたという関係で、医療救護費の赤字は全国で今年度四十七億ぐらいあるらしい、これは十何億かこの間予備費から支出して一応の手当はしたそうですが、いずれにいたしましても二十八年度で総額として四十七億ほど赤字があるそうです。これはどうしても補正予算に組まなければならぬと思うのですが、その御処置は大蔵大臣はどうなさることになつておりますか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 今の義務教育費半額負担の特例法が通りませなかつた結果、約二十七億ぐらいと考えておりますが、これについては第三次補正予算を近くお出しすることにいたしております。ただ申し上げました通り、これは三月三十一日までにやればいいのですから、不用額ではつきり出したいと思つております。しかしこれも相当見通しも立つておりますから、近くお出しすることに考えております。  今の医療費の関係の問題につきましては、十何億ですか、数字は間違つておるかもしれませんが、これは予備費から支出いたしました。これは三月末にならないとはつきり決定いたしませんので、その後に至つてもよろしいのですが、事実の支払いが大体そうなつておりますから、さように考えて、これは補正予算に組むことをただいま考えておりません。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 しかし補正予算に結末を見て組まないことには、医療救護を受けて、医者には診療をしてもらつた、投薬もした、処置もした、結局金がどこからも出場所がないということで、医療救護の医者に対する支払いが、全国どこも停滞しているらしい。たいへんなことです。長いところは六箇月も停滞して、医者はもらえないらしい。これは二十九年度の関係にも当然影響が来るのですが、厚生省方面——特に私は方面と言いますが、厚生省方面の意見を聞きますと、二十八年度で医療救護費の赤字は全国で四十八億、二十九年度になりますと、さらに薬や何かのだんだんいいものができて来ると、医療費がかさばつて、おそらく六十億か七十億はどうしても今までの実績よりは赤字が出るだろう、こう言つておる。これも私は一兆円の予算の規模からいえば、出せないと大蔵大臣は言いたいでしようが、性質上これは出さぬわけに行かぬ。どこかで補正予算を来年度においても組まなければならぬことになると私は思う。  もう一つは義務教育の問題ですが、今もつて政府は幸いにして東京、大阪、神奈川の特例法は出していらつしやらない。また出されない。われわれ反対しておるのですから、出されないことを希望しますが、出されないとするならば、二十九年度でこの金額をどこかで補正しなければならぬ、こういうことになりますが、そうすれば一兆のわくはどうしても飛び越えて行く。飛び越えないようにするためには、財政措置をどうされるか、これは大蔵大臣独特の技術がおありになろうと思う。何かの技術を用いてでもそういう補正予算を組まないように、一兆円のわくはどうしても堅持するのだということでありますかどうか、この機会に財政規模の基本として承つておきたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 私の答弁の足らぬところがあれば主計局長から補つた方がいいと思いますが、ただいまの医療関係については、二十八年度の不足額が二十九年度に見込んでありますから、予備費で足りないものは、二十九年度予算で四月になつてから払う。こういうことになつております。金はあるわけです。  もう一つの今の義務教育のものは、法律は出しません。二度出したのですから、出しません。これはこの間の地方平衡交付金制度をやめて、警察制度をかえたり、あるいは今度地方の交付税及び譲与税制度というものをやつたり、地方の方に財源を与えるためにいろいろそういう制度とりますので、これで十分とは言えませんが、大体あんばいされておりまして、これがなくても財政的には調整ができているわけで、何にも新しい資金を要しないわけであります。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 生活保護費のお話でございますが、本年度の赤字は予備費で十二億、来年度計上しました予算で二十億の赤字を埋める予定でございます。なお来年度の問題につきましては、二十九年度は、旧軍人恩給の支払いの促進、あるいは日雇労働者の健康保険の実施等に伴いまして、多少減少する面も出て来るわけであります。従つて現在計上いたしております予算で十分まかなえるものと私どもは確信いたしております。  なお義務教育費半額負担は、半額負担の金額をそつくりそのまま、富裕都府県分も含めましたものを計上いたしておりますので、御了承いただきたいと思います。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 次に私は保安庁長官に一つだけ伺いたいと思いますが、いろいろ防衛計画も進み、また防衛庁設置法、自衛隊組織法というようなものも出されることになつたようでありますが、この機会に一言だけ申し上げて御所見を承つておきたいと思いますことは、現在の段階においては、保安隊員は今度は自衛隊員になるのでしようが、隊員の増員をするというようなことよりも、もつと基本的に大事なことは、ほんとうに自衛戦力として筋金の入つたものをいずれの時期にかつくらなければならない。日米安全保障条約の点から見てもつくらなければならぬ。つくるとするならば、筋金の入つたものを一刻も早くつくるということが、数の点よりも、私は必要だと思う。そこで筋金の入つた防衛力というものをつくる基本を考えるということが、現段階においては最も根本的なごとだと思う。そういう意味において考えるときに、自衛力の隊員の幹部並びにいろいろな技術員の養成うといものは、一朝一夕にできないのですから、筋金の入つた自衛力を持つ基本的な方策として、今日の段階で幹部の養成と技術員の養成、この二つによほどの熱意を込めた準備が私は必要だと思う。むしろ私は隊員をふやすなんというよりも、これだけで二、三年やつてもらつた方が本質的だと思う。そうすべきものだと私は思う。この点に対して保安庁長官の率直な御意見を承つておきたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 お答えいたします。幹部に筋金の入つた教育を施せ、まつたく同感であります。しかしこの幹部の養成というものはなかなか一朝一夕に行きませんので、われわれは今からしつかりした計画をもつてこれを進めたいと考えております。第一にまず幹部を保安大学校において教育すること、新制高等学校の卒業生を選抜いたしまして、ただいまのところ、四百人の募集のときに約六千名の応募者があります。相当優秀な者が入つておるのであります。これを毎年四百あるいは六百名くらいまでとつて、しつかりした教育をしたい、こう考えております。それと同時に、新制大学の卒業生を幹部候補者として採用いたしまして、これにしつかりした教育を施したいと考えております。技術の面については、これは御説ごもつともでありまして、私はどうしても将来技術に重点を置かなくちやいかぬ、と思います。そこで理工系の新制大学生の中から優秀な者を採用いたしまして、そうして技術研究所あるいは建設部等に配属して技術の習得をやらせたいと考えております。二十九年度におきましても、若干のものを外部に派遣して技術を習得せしめ、そうして将来自衛隊の技術水準を高めて行きたいと考えておる次第であります。なお幹部の再教育もやつております。これはあるいは普通科学校、航空学校、術科学校、衛生学校、通信学校等において再教育をして、技術向上の遺憾なきを期している次第であります。将来とも十分この点については考えたいと思つております。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 新制大学並びに新制工業大学の生徒をとるのは、今年度どのくらいの人員を予定されておりますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 ちよつと数は今はつきりしませんが、あとで参考のために申し上げます。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 保安大学の方でもあなたはしつかりやつているとおつしやるのは無理もないと思いますが、どうもあまりしつかりしていない話も聞きますので、ひとつ幹部の養成については、大いに重点を置いて、一層しつかりやつてくださることを私は要望しておきます。  最後に私は運輸大臣にだけ伺つてやめたいと思うのです。今起りつつありますところの造船疑獄は天下の大きな疑惑を受けておりますから、これは徹底的に追究をして、うみを出して改善を期するということは絶対に必要である。その究明を徹底せしむることを法務当局にもわれわれは要望するのでありますが、ただ問題は、日本の海運界の健全なる発達ということをこういうことによつてまた妨げて、むちやくちやになつては困るのではないか。かねての日本が世界的に経済力を持つて実力があつたということは、一つには日本の海運力が世界第三位を占めて、四百万トンからの保有量があつた、こういう点にあり、また収入の面からいいましても、貿易外収入が相当多額にあつた、こういうことが国際貸借の上からも非常にいい影響があつたので、日本のような国情としては、海運政策というものは、これはいつかの時代でもおろそかにしてはならぬものだ、こう思うのです。それだけ重要性があるだけに、私はこの海運政策について、こんな大きな疑獄が起つてしまうような今までの監督行政なり、やり方というものに対しては、運輸大臣として大いに責任を感じてもらわなければならないと思う。また感じておられるだろうと思う。今までの政府の海運政策に関する欠陥というものが、この機会にいろいろな部分でわかつて来ているようです。こういうことを今まで放任しておつた大臣の責任というものを私どもは追究をいたしたい。しかし過ぎ去つてからここで責任論を言つたつていたし方がありませんが、これに対する運輸大臣の今後の手当といいますか、今までのような失態を繰返さないような処置というものと、それからこういう疑獄が起りつつあつて、造船資金は一般金融機関は貸さないというようなことも町では言われておる。おそらく今年度二万トン計画造船はとても実施できないだろうとさえ世間では言つておる。もつともなことだと思うのですが、しかし疑獄は疑獄として徹底的に追究をする反面において、海運政策というものは健全なる発達を期する。この考え方を政府当局にはしつかり持つて、混乱に巻き込まれて右往左往してしまうことのないような処置を、しつかりとつてもらわなければならないと思うのですが、この点に対して運輸大臣の率直な御意見をこの機会に承りたいと思います。

石井光次郎自由党運輸大臣

○石井国務大臣 お答えいたします。お説の通りに私も思つておる一人でございますが、海運がこれから先ももつともつと伸びて行つてくれなければ、日本経済の自立の点から見ても、外貨獲得の面から見ても、ほつておける問題ではないということを、私どもも痛切に感ずるものでございます。それでこの行き方を、今までやつて参りました海運強化政策を続ける問題といたしまして、今度の予算に盛つておるように、本年は政府の融資は百八十億、従いまして、私どもの初めの予定は三十万トンの外航船をつくりたいと思つておりましたが、約二十万トンがつくれる計算になるわけでございます。しかし、市中銀行が政府資金の七割に対して三割というのを本年度もやり、来年度も私どもが計算に入れての二十万トン計画でございましたが、新聞紙上等で伝えられておりますように、銀行方面では非常に出し渋つておるのでございます。それは金がないことが第一、第二にはこういうごたごたの際に、とばつちりを受けたくないというのが、何か消極的な気持もそこに当然起つておるように思います。これに対しは、私どもといたしましてはぜひ船をこしらえて行きたいということを痛切に考えますので、その点については目下いろいろと折衝中であります。  れから監督の問題におきまして私どもがやつて参りましたことは、利子補給の問題が昨年の八月にきまつたのでございますが、その前は昨年度の補正のあと、昨年の初めに一部分の利子補給をいたしました。それから私どものやり方は、報告を受けましてそれを監査いたすというので、各会社から出ております書類等によつて監査をいたしてやつたわけであります。それがまだまだ不十分ではないかということが、今度の際は痛切に感じられたのでございます。もう一つは、造船所に対する監査ということができないことになつておるのでございます。造船所に対しまして、はたして今の船は適正な船価であるかという問題で、一応われわれの方の船舶局において基準船価というものをこしらえて、これを土台として値段を下げることを折衝いたしておりますが、これもひとつ規定、法を設けなければできないのでありますから、法を設けまして報告もとることができるようにし、それから実際の調査にも行くことができるようにし、これらによりましてほんとうの適正船価というものを出して、それに対して利子補給の点を考えるというようなことまでしなければなるまい。あるいは単独立法か、いずれにしても立法措置をとらなければできないので、これはぜひとりたい、こういうふうに思つております。海運会社に対しては今できておりますので報告を提出させて、これとあわせまして明朗な船価が出て来ますように一層の努力をいたしたい。そして監督をいたして行きたいと思つております。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 その立法措置はこの国会に出されますか。

石井光次郎自由党運輸大臣

○石井国務大臣 そのつもりで相談をいたしております。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 では以上をもちまして質問を終ります。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 昨日の河野金昇君の御質疑に対して政府側の答弁が保留されておりましたが、この際その答弁のため発言を求められております。これを許します。岡崎外務大臣。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 御質問の趣旨は、終戦後グアム、フイリピン、韓国等に対する日本船の使用代金が未収ではないか、こういう趣旨のように思いますが、これは各省に関係がありまして、外務省が主管というわけではございませんが、便宜上私からお答えいたします。  終戦後のこういう輸送につきましては、終戦後から朝鮮事変までと、朝鮮事変以後と区別してお答えする方が便宜だと思います。朝鮮事変の勃発すなわち昭和二十五年六月までの間においては、日本船による輸送は占領軍人及び占領軍の貨物の国内輸送だけに限られておりまして、これはスキヤツプの指令によりまして、特調から用船契約に基いて終戦処理費の中から船舶運営会に対してその都度支払つております。その経費は総額において昭和二十五年三月までの間が約四十一億三千万円であります。この期間におきましてもグアム、フイリピンなどへの輸送はあつたのでありますが、これは米軍のLSTが直接に当りまして、日本船が使用されたことはないのであります。ところが朝鮮事変が勃発いたしますと、やはり原則としては国内輸送には日本船が当り、日本から国外に向うものには米軍の船が当ることになるのでありますけれども、朝鮮事変のために輸送がふえまして船が足りなかつたために、米陸軍の海上輸送部隊の要請が一部朝鮮への輸送も行われ、また米海軍の要請で沖繩、フイリピン等の南方地域への輸送も日本船によつて行われたことがございます。これらの輸送につきましてはおのおのアメリカの陸軍なりアメリカの海軍なりから直接商船管理委員会——これは船舶運営会がその当時解消いたしましたので名前がかわつておりますが、商船管理委員会の方に全額ドルで支払いをいたしております。これは昭和二十五年から昭和二十七年の三月までの間に総額日本金にいたしまして五十億七千万円相当額を受取つております。但しその期間におきましても、純粋の国内航行分につきましては、やはり総司令部の指令に基きまして、朝鮮事変前と同様に終戦処理費でまかなわれておりまして、その金額は二十七年三月までの間に二十一億八千万円になつております。従いまして外航分と内航分の二つにわかれておりますが、外航分については、必ずドルの支払いを受けておりまして、終戦処理費等で立てかえ払いをしたものはないことになつております。以上御報告申し上げます。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 この際中村梅吉君の質疑に関連いたしまして、須磨彌吉郎君より質疑を求められております。これを許します。簡明にお願いいたします。須磨彌吉郎君。

須磨彌吉郎改進党

○須磨委員 私は三党の防衛折衝にちなみまして、きようは総理大臣がおられませんから、副総理からまずお答えを願いたいのでございます。昨年の十二月五日から一昨日、三月一日まで十七回の折衝を続けまして、三派の間で大体保安庁法改正の要点ができ上つたわけでございます。それに従いまして、保安庁法を改正するということにきまつておるわけでございますから、政府もその三党の折衝の線に従いまして、この改正を御実行なさる御意向と解釈いたしておるのでございますが、この際政府の御意向をまず承りたいと思うのでございます。

緒方竹虎自由党北海道開発庁長官・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 お答えをいたしますが、その通りでございます。十分に三党折衝の成果を尊重いたしまして立案することにいたします。

須磨彌吉郎改進党

○須磨委員 ただいまの御答弁によりますと、その通り三党の折衝のラインによつておやりになるおつもりと了解いたします。昨日木村保安庁長官の滝井委員に対するお答えの中にいろいろなことがございましたのでありますが、まず第一にお伺いいたしたいのは、保安庁長官は、三党折衝を保安庁においても参考にしてやるのであります、そのまま三党折衝をうのみにしてやるのではございませんというお言葉がございましたが、この御意向はどういう御趣旨でございましようか、まず承りたいと思うのでございします。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 お答えいたします。今副総理からお伺いになつた通り、三党の折衝の結果については十分尊重することはむろんであります。ただ個々の条文の取扱いその他につきましては、三党でこまかくやるわけではないでしよう。われわれ保安庁の必局者としてはよくその趣旨を玩味して、これを成文化することに努力いたしたい、こういう趣旨であります。

須磨彌吉郎改進党

○須磨委員 いま一つだけ念を押しておきたいのでございます。十分尊重するとおつしやいますのは、その三党できまりましたラインはその通りおやりになるということと私は思うのでございますが、もう一ぺん念を押しておきたいと思います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 お答えします。根本の趣旨は十分に尊重してやりたいと思います。

須磨彌吉郎改進党

○須磨委員 その趣旨と申されるのは、言葉の問題を言うようでございますが、この問題についてはこれからいろいろの問題が起つて来ようかと思いますから、三党でまとまりましたことは、それこそ趣旨でございます。きわめて大つかみの趣旨をきめてございますから、それからまた趣旨などといつてよりどりをされましたのでは、はなはだ困ると思いますから、今副総理のお答えと同様全部を尊重されるかどうか、この際承つておきたいものでございます。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 趣旨は十分尊重してやるのでございますから、副総理の答弁と決して食い違いはありません。

須磨彌吉郎改進党

○須磨委員 それではさように了承いたしますが、昨日滝井委員の御質問に対しまするお答えの中で、この三党間でいたしましたことの中で、重要なる五つばかりの点につきまして、保安庁長官の御答弁にきわめて疑わしい点がございますから、これをこの際御指摘をいたしまして御了解を得たいと思うのでございます。  第一は、三党折衝におきましては、今度できます防衛庁の任務は、わが日本の直接及び間接の侵略に対して国土を防衛することを任務とするのが防衛庁であるのでございます。それに対しまして保安長官から、いかにも治安を維持することをその任務とするかのごとき御答弁があつたようでございますが、この主たる任務をお忘れなからんことをここで一番念を押したいと思うのでございます。  次には教育局の問題でございますが、いかなる部面においてもさようでございますが、これからわが国が当ります防衛の任務につきましては、教育が非常に大切でありまして、教育局を設けることについては、これまた三党の間で一致をいたしておることでございます、それが要綱の間には脱けておりますことが第二点でございます。  第三に申し上げたいことは、国防会議でございます。国防会議につきましては、まだいろいろ考えなければならぬことがありまして、構成についてはこれを他日法律をもつてきめると申しておつたのでございます。この国防会議の事務局は、いずれ追つて内閣等の中にも設けるだろうということを協議いたしておつたのでございますが、要綱の中では事務局を防衛庁の中に置くということをはつきり明記してございます点が食い違いの第三でございます。  第四は、その部隊の組織及び編成でございますが、この組織及び編成の大綱につきましては、われわれはどうしてもこれは法律の中にきめなければならぬ。すでにわれわれの方できめておりましたところによりますと、方面隊でありますとか、管区隊でありますとか、地力隊等の名称その他の本部の所在地等については、別表をもつて法律で定めるということになつておるのでございますが、どうも要綱によりますと、これを依然今日までのごとく政令をもつてするようになつておりますことが、食い違いの第四点でございます。第五には、この自衛隊の名称及び階級でございます。これについては数回の会合を重ねまして、いろいろこれには新しい打合せをいたしたのでございますが、この中に、われわれが一向考えておりませんでした自衛総監の新設、つまり大将に当るそうでございますが、私どもの話合いでは、この際まだ日本には大将に当るものを設けることは時宜に適しないという考えを持つておつた次第でございます。特に保安庁長官はこれを御新設なさつたようでありますが、これが食い違いの第五でございます。  まず大きな点五点を申し上げまして、かような点をいよいよ法案として御提出の際は、政府におきまして、副総理の言われました通り、また保安庁長官もただいま申された通り、尊重すべきわれわれの三党折衝ラインによつて、新たにこれをお考え直しになることを私は信ずるものでございますが、それに対する御言明をはつきりとお伺いいたしたいのでございます。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 お答えいたします。ただいまお示しになつた趣旨はよく尊重して、法文を作成するにあたりこれを検討いたしたい、善処いたしたい、こう考えます。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 これにて質疑は終局いたしました。  それでは午後二時より再開いたしまして討論、採決を行うことといたします。  暫時休憩いたします。    午後零時十九分休憩      ————◇—————    午後二時四十分開議

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。  昭和二十九年度一般会計予算、昭和二十九年度特別会計予算及び昭和二十九年度政府関係機関予算の三案を一括議題といたします。  予算三案に関する質議はすでに終了いたしております。この際日本社会党両派の共同提案として、佐藤觀次郎君外十四名より予算三案に対する編成替を求めるの動議が提出されております。また自由党、改進党及び日本自由党の三派共同提案として、小峯柳多君外三十四名より一般会計予算及び政府関係機関予算の両案に対する修正案が提出されております。これより順次そり趣旨説明を許します。  まず予算三案に対する編成替を求めるの動議の趣旨説明を求めます。足鹿覺君。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 私は日本社会党両派を代表いたしまして、昭和二十九年度一般会計予算、昭和二十九年度特別会計予算、昭和二十九年度政府関係機関予算三案の編成替を求めるの動議の提案理由並びに組替案の概要について説明いたしたいと存ずるのであります。  世界経済はアメリカの強要いたします西欧再軍備計画、このもたらすところの経済的、財政的破綻、従つて招来されつつある軍備縮小傾向によりまして、一方では平和への傾向が促進されつつあり、また一方では経済的不況をますます深刻ならしめておるのであります。このとき日本経済は二十八年度においてすでに特需の縮小、国際収支の逆調、外貨の食いつぶし等によりまして、外国為替相場の切下げを不可避といたしておるのであります。かくして日本経済は、その大勢としては本来有しまするインフレーシヨンの基本的危機を依然としてはらんでおるのであります。従つて昭和二十九年度の財政は、このインフレーシヨンの危機を財政面から克服することから出発しなければならないのであります。しかるに吉田内閣はこのような内外の情勢において世界の大勢と逆行し、MSA援助受入れによる再軍備計画を強行せんとし、軍備費の膨脹の上に、全体としていわゆる一兆円予算を編成し、従つて一切の犠牲を勤労大衆の生活、農業、中小企業、平和産業等への支出削減に転嫁する乱暴きわまるデフレ資本政策を強行せんといたしておるのであります。われわれ両派社会党は昭和二十九年度予算においては、この吉田内閣のMSA予算と対決をし、まず勤労者の生活、防衛、農業、中小企業等の救済をはかるとともに、具体的にインフレーシヨンの危機を克服すべき総合的、計画的な施策を、この際断固として実行しなければならないと確信をいたし、本組替案はこのような基本的な見地から、当面とりあえず政府予算案に対する組替案としてとりまとめた次第であります。  従いまして本組替案の大綱は、まず第一に予算規模を政府案よりも百三十二億円を圧縮いたし九千八百六十三億円といたしまして、これによつて物価引下げをさらに促進し、日中貿易の全面的な再開への努力と相まちまして、輸出貿易の振興をはかり、もつて国際収支の改善に資することを第一の基本方針といたしておるのであります。  第二に、そのために本組替案は最大のインフレ要因であり、かつ非生産的な経費でありますところのMSA受入れのための防衛関係費の削除を断行いたしまして、これが財源によつて各種国民経済振興のための生産的支出、国民生活安定のための諸費用及び治安確保のための経費等に充当することができるのであります。しまして月収二万円までは減免となるがごとく基礎控除及び扶養控除をそれぞれ大幅に引上げ、源泉、申告所得税を合計いたしまして七百億円の減税をはかることであります。さらにまた酒税、砂糖消費税等の引上げ、織物消費税等の新設等、大衆課税たる間接税の創設及び引上げに全部反対いたしまして、これらによりまして国民大衆の税負担の軽減をこの際断行せんとするものであります。  さらに防衛費の削除その他の財源によりまして、生活保護、児童保護、社会保険、結核対策、失業対策等をそれぞれ大幅に増加するものであります。特にその中で社会保険につきましては、厚生年金は三割国庫負担増加、年金給付額の増加等で二十五億二千万円の増、健康保険組合の補助は医療給付二割国庫負担、傷病手当三年延長、日雇い健保は一般健康保険並に引上げる等で七十四億四千万円の増額、国民健康保険につきましては、その対象人員を五割増加し、また保健婦、直営診療所の補助率を引上げることにより、二十三億五千万円増額等、特に国民の健康保持と、医療社会化の前進に力点を置いたわけであります。  さらにもう一つの重点といたしましては、文教費であります。すなわち義務教育の国庫負担を完全に実施するため、七十億円の増額を初めといたしまして、危険校舎の完全一掃、教育の機会均等をはかるため育英事業費の大幅増額、さらに科学、文化の振興をはかるため、国立学校運営費の大幅増額を計上することができたのであります。  以上の国民福祉、厚生のための各費目の増額と大幅の減税及び物価七%の引下げによる生計費の充実等によりまして、実質的に公務員を初めとする勤労者給与の向上を行いますと同時に、さらに公務員の要求いたしております一万八千八百円ベースへ不足する分といたしまして、予備費の中に新たに百億円の給与改善費を織り込んだ次第であります。  第四にこの予算組み替え案の重点といたししますところは、農家経営並びに中小企業安定のための諸措置であります。すなわち両派社会党は政府原案にあります食糧増産費の削減によつて、増産計画の放棄、災害復旧公共事業費の無謀な一律削減あるいは事業の中止等、軍事費増額のしわ寄せを農業への圧迫に求めんとする政府案に断固として反対をし、災害復旧公共事業費及び食糧増産費等その他一連の農業振興費を大幅に増額いたしておるのであります。しかもこの際、政府案はみずからが基盤といたしております富農政策をも放棄いたしまして、米価の各種特別奨励金をも廃止いたしたのでありますが、この低米価政策に対しましては、両派社会党は一万二千円の基本米価及び消費者米価すえ置き、すなわち二重米価の完全なる実施をはかるため経費を計上いたした次第であります。  次に不況に直面いたしております中小企業等に対しましては、中小企業金融公庫、国民金融公庫及び農林農業金融公庫等に対する投出資を特に倍増いたしますことにより、不況の克服の資金を充実いたしまして、もつてとりあえず経営の安定に資せんといたしておるのであります。  重要産業への投融資につきましては、最近の造船汚職事件、二重投資過剰投資等の実情を見るに、かくのごとく無計画、無秩序なる資本主義経済においては、真に産業の近代化、コストの引下げ等は絶対に実現し得ないものであることを考えまして、この際国家管理による投融資の厳重なる監査、規制を前提といたしまして、単独事業法の制定のもとにおける産業近代化の投融資を断行することにいたしまして、その条件のもとにおいてのみ、政府が放棄いたしました電源開発、重要産業近代化の投融資をこの際若干増額いたし、経済の自立復興へ前進する積極的政策をここに明確にいたした次第であります。  第五に、両派社会党は、反動的な警察法の改悪等の成立を前提としておる政府原案に対しまして、徹底的に反対するものであり、本組替案におきましてはこれらを全面的に組みかえ、地方自治警察を擁護するための措置をも講じておる次第であります。以上が本組替え案が重点といたしまする五つの編成大綱であります。  さらにこの際本組替案が特に明らかにした諸政策の特徴として、次の諸点をあげて私の趣旨弁明を終りたいと思います。すなわち極度に腐敗いたして参りました行政機構の徹底的な刷新をはかることといたしまして、物件費、施設費の一割、厚生、建設、農林各省を除いた補助委託費の一割、米軍関係費、交際費の一部等の不要不急の削減を行うとともに、公安調査庁費、特高費のごとき集団行為取締費等の弾圧的な費用の大部分を削減するとともに、さらに国有財産の不当払下げなどを品是正いたしまして、国庫収入の増加をはかり、反動的な行政整理はもちろんこれを中止せんとするものであります。さらに限られた財源の中から特に創意くふうを用いまして、地方住民の生活、文化の向上のため、簡易水道の倍額実施及び生産性の増加、コストの切下げのための工業化助成資金の増額等、生活と文化及び生産力向上のための支出を行わんとしておる次第であります。  最後に再軍備政策の伏線としての軍人恩給は、社会保障の建前から戦争犠牲者保障費に切りかえ、階級差を撤廃して一律に支給する、特に戦争の影響が広く国民一般に及んだ実情にかんがみまして、その公務の範囲を拡大し、国家総動員令によるものをも含めることといたした次第であります。  以上をもちまして日本社会党両派提出の、政府提出予算関係三案に対する編成替を求めるの動議の提案理由並びに組替案の主要なる内容についての説明といたした次第であります。(拍手)

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 次に一般会計予算及び政府関係機関予算に対する修正案の趣旨説明を求めます。稻葉修君。

稻葉修改進党

○稻葉委員 私は自由党、改進党、日本自由党三党の共同修正案の趣旨を説明いたします。われわれが修正をいたしますのは、昭和二十九年度予算につきまして、政府原案につきましては欠陥があると思うからであります。そもそも昭和二十九年度予算は一兆緊縮予算といわれております。しかしその性格を端的にえぐつてこれを申しますならば、これは要するにベース・アツプによる人件費と自衛力増強による防衛費の膨脹が、一兆という予算総額に占る割合を増大いたしましたがために、他の生産並びに民生安定部門の経費を機械的に、かつ強度に圧縮いたしたのであつて、いわば形式的、機械的緊縮予算であると思うのであります。ここにこの予算の容易ならざるきびしさがあるわけでありまして、従つてこの予算実行の結果は、中小企業と生活困窮者に量的にも、質的にも最も大きな打撃が加えられるに至るであろうことは明らかであります。この見方は自由党、改進党、日自三党の修正を提案したわれわれの一致した見解でありました。この欠陥を見のがしてはならぬというのが修正の眼目であります。ゆえに歳出の修正は、後に数字を示す通り、しわ寄せの最も強い部門に集中し、いやしくも総花的な支出の増加は、極力これを避けることに方針をすえてある次第であります。  次に修正の内容について説明いたします。  第一に九千九百九十五億円のわくば堅持し、そのために修正規模は九十億円とする。極力緊縮方針を堅持して、修正額を最小限度にとどめた次第であります。右の原則に立つて九十億円の財源をどこに求めるかということになりますが、それについてはうち五十億円は一般会計による、すなわちとりあえず予備費から出すことにするわけであります。提案者は、政府が予算成立後その実行に際して、物件費及び施設費等について節約ができるはずだと見ておるのであります。この点は本委員会における一箇月にわたる論議を通じて理論上明確になつたことであり、政府もこれを認める通りであります。従つて政府は極力予算の実行にあたつて、一般会計にとどまらず、特別会計、政府関係機関の各予算を通じて、物件費、施設費中から物価低落に伴う余剰を捻出することに努力し、その節約額の増大をはかるべきであることに当然申すまでもありません。そのときまで予備費から暫定的に五十億円は支出するのであります。  次に修正の九十億円のうち、残り四十億円は一般会計外から調達するのでありますが、四十億円のうち十九億円は、開発銀行に対する中小企業金融公庫よりの返済金を猶予し、残り二十一億円は資金運用部資金の運用によるものといたすのであります。換言すればこの二十一億円は別に述べる地方団体の負担増加四億円と合して、二十五億円について、さしあたりつまり一応資金運用部資金の運用計画を変更し、日本開発銀行に対する貸付金を十五億円、金融債引受十億円をそれぞれ減少することにいたすわけであります。これにはいろいろ議論もあろうかと存じますけれども、緊縮財政の折からやむを得ぬ次第だと思うのであります。さらに一言する必要のあるのは、後に述べる一般会計歳出修正増加に伴う農林漁業金融公庫に対する資金需要の増加でありますが、これは同公庫の資金を増加せずに、既定の資金の範囲内でこれをまかなうことにいたすわけであります。これも極力緊縮のわく内にとどめるためやむを得ぬものであることを了解せられたいのあります。  次に歳出の配分について御説明申し上げます。前にも申しました通り、歳出は総花的増額を極力排して、社会保障、中小企業、食糧増産上必要やむを得ざるもの及び科学技術振興を含む文教費の四つの柱に集中し、なかんずく社会保障関係と中小企業に重点な置き、次の通りといたします。  第一は社会保障関係、国民健康保険助成金九億一千七百六十一万五千円、保健所補助金四億三千九百八十七万五千円、簡易水通施設費補助四億、生活保護費五億、国立結核病床整備費二億一千三百五十一万円、小計二十四億七千一百万円であります。  第二は中小企業に対する手当であつて、国民金融公庫資金増加二十一億円、中小企業金融公庫資金増加十九億円、合せて四十億円。  第三は食糧増産関係であつて、食糧増産対策費十三億七千九百万円、優良種牛輸入費五千万円、蚕糸業振興費五千万円、生活改善普及事業補助費五千万円、農業関係小計十五億二千九百万円。  文教関係につきましては、 危険校舎復旧費六億、僻地教育施設充備費一億、科学技術振興費三億、合せて文教関係十億であります。  以上によつて総計は九十億円の支出にるわけでなありますが、これらの歳出を通じて、ここで説明しておくべき若干の点がありますから、これを申し上げます。  第一に支出を伴う各事業の事業対象補助率及び新規事業の採否は政府原案通りとするが、保健所補助費及び国民健康保険の保健婦設置費の補助率は、政府原案を変更して四分の一を三分の一に引上げ、従つて補助額を増大するのでありますから、それだけ地方負担は減少するわけであります。  次に科学振興費につきましては、三億円と一括して申し上げましたが、これにはいろいろ問題がありますので説明いたします。三億のうち二億八千万は、原子炉築造に関係する費用と、ウラニウム、ゲルマニウムの探鉱及びチタン金属関係の費用でありまして、原子炉の築造については学界にも議論の存するところでありますが、われわれはあえて大胆にこの費目を掲げて学界、工業界を刺激するとともに、おもむろにその使途を見守りながら、原子科学によるわが国の画期的な産業革命の将来に多大の期待をかけるものであります。その使途は一応通産省所管工業技術院に計上する科学技術研究助成費の増といたしたわけであります。残り二千万のうち一千万は、国会図書館におけるPBリポート購入費及びあと一千万は原子力関係資料の追加購入費に充てることにいたすわけであります。  簡易水道施設費につきましては、政府原案の補助率、すなわち四分の一の計算による地方負担額の半額すなわち六億円は、地方団体の自己財源による、換言すれば簡易水道施設費四億円のうち二億は、地方起債のひもつきとし、残り一億は自己財源のある公共団体に与えることにいたすのであります。この点は注意すべきことでありますから申し上げておきます。  次の危険校舎復旧六億円につきましては、その全額を地方単独事業の振りかえによる、すなわちこうすることによつて預金部の起債引受額を六億円だけ圧縮するというわけになるのであります。  さらに僻地教育施設充備費一億円は、僻地中小学校の集会室の施設整備費に充てるものであります。その補助率は二分の一である。僻地教育を振興し、都市部とつり合いを保つてわが国の経済的貧富の差をなくすると同時に、知的水準において貧富の差をなくするということが、民主教育の根底であり、民主政治を育てるゆえんでありますから、特に僻地教育に力をいたす意味において一億円を修正いたしたわけであります。その他につきまして政府原案の補助率によると、地方負担を四億増加するわけであります。これは重大な問題でありますが、前にも一言した通り、この四億は資金運用部資金引受の地方債を増加することによつて、これをまかなうことにいたす次第であります。  以上が修正の目的及びその内容の概略的な説明でありますが、修正の提案者は、この修正だけで十分であるとは考えておりません。昭和二十九年度予算の誤りなき実行のためには、総合的な計画経済政策の裏づけか伴わなければならぬと思つております。すなわち、この機械的、量的緊縮の強行だけでは、日本経済の破局をも懸念されますので、この予算の補強の役割をなすところの立法的、行政的処置を必要と考える次第でありります。少くとも最小限度われわれは次の三つの支柱を必要と考え、これを三党の了解事項としたのであつて、この点はきわめて重要と思いますから、最後にこの点を一言し上げます。  第一は、われわれは、大蔵大臣の言われる金融の引締めは、単なる量的圧縮であつてはならない。不急不要の消費面への規制脚をして、生産面へこれが集中することを必要と考えますので、量的圧縮に伴う質的規制を必要なりと思料し、投融資計画委員会の設置を申し合せた次第であります。できるならば投融資計画委員会法の制定を必要と私は考えまして、その要綱を一言申し上げますと、この法律の目的は、経済自立、緊縮政策に即応し、不急不要の奢侈的消費面への資金の流出を抑制し、生産増大、輸出振興等に資金が効率的かつ迅速に流入するよう調整するめ、総合的な計画を策定して、通貨価値を堅持することを目的とするものであります。構成としては、ごく少人数をもつて——私は七人を考えている。委員長は大蔵大臣または経審長官とし、任命権は、総理大臣が国家の承認を得てこれを任命する。その性格は、総理大臣の監督のもとに置く合議制の意思機関とする。すなわち行政委員会とするのであつて、単なる諮問機関ではないということにしなければならぬと思うものであります。融資、出資及び社債の発行につき、量的並びに質的に規制することをその権限とするのでありますから、この資金の質的規制に多大の役割を果すことを信ずるものであります。  さらにこの予算は輸出の増強、逆調の払拭を意図するといわれておるのでありますから、それがためには、設備、技術の近代化、統営の合理化、従つてコストの引下げ、国際競争力の増大による輸出の振興、すなわち国際収支逆調克服が必要であることは申すまでもありませんから、その必要を充足するため、最も必要と考えますのは第三次資産再評価の強制であります。従いまして、われわれは了解事項の第二として、第三次資産画評価法の制定を申合せた次第であり、昨日改進党河野金昇議員の質問に対し、小笠原大蔵大臣の答弁は、この点従来の答弁とかえて、相当強力なる施策に転ぜられたことは、われわれの満足するところであります。  第三は、わが国の労働の生産性を高めるということが、コスト引下げに大きな役割を果すものでありますから、労使の協力態勢を促進するために、われわれは少くとも公共企業体あるいは国家資金を受けている公益事業体につきましては、まず生産協力協業会の設置を必要と考える次第であります。また一般物価水準以上の、あるいは一般生計費以上の賃金の値上げ要求等につきましては、中労委がその受理を拒否する。権限をも与えるという程度の、労使協力態勢による生産性の向上が、わが国の輸出振興上必要であるというふうに了解し、このことを第三の了解事項として掲げた次第であります。  次に本予算に伴う補助金等整理に関する特例法案及び税法案等の成立に関しては、相互に協力するということを申し合わせて了解事項といたしております。これは予算案の共同修正をした以上この予算と不可分関係にある補助金等整理に関する特例七十二法案中、修正に伴つて反射的に法律の修正を必要とする三、四の法律以外は政府原案に協力する、そういう意味であり、さらに歳出と関係する税法についても、著しく不当なるもの以外は、なるべく支障なきような政府原案について責任を分担すべき筋合いであると考えたからであります。  以上二十九年度予算案に対する自由党、改進党、日本自由党三党の共同修正案について、その目的及び内容、さらに修正に伴う三党の了解事項につき、その趣旨弁明をした次第であります。委員諸君の賛成を切望いたします。(拍手)

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 これにて編成替を求めるの動議及び修正案の趣旨説明は終りました。   これより編成替を求めるの動議及び修正案並びに政府原案を一括して討論に付します。小峯柳多君。

小峯柳多自由党

○小峯委員 私は自由党を代表いたしまして、ここに議題となつております二十九年度予算三案に関しまして、三党共同の修正案と、それを除く政府原案に賛成し、両派社会党共同の組替動議に反対するものであります。終戦九箇年、今画期的な二十九年度予算案を検討するにあたりまして、過去九箇年の予算編成方針振り返つて見ることも意味のあることだと思います。二十一年度、二十二年度、二十三年度の予算編成は、終戦直後の混乱の中に、飢餓とインフレと強圧的占領政策に翻弄されながらのものでありまして、むしろ無方針に近かつたといつてもよいと思います。二十四年度、二十五年度はいわゆるドツジ・ライン予算でありまして、インフレを通貨の面から一挙に安定せしめるために、超均衡予算を編成し、占領軍の圧力もあつて、これを強行した時代でござまいす。二十六年度、二十七年度、二十八年度は、独立による解放感と朝鮮動乱からのブームを反映いたしまして、均衡予算をうたい続けながらも、当該予算の歳出によりまして増加する国民所得を先まわりして当該予算の歳入に立てて、形式的に均衡を保持しながら、実質的にはインフレ予算だつたと思います。  かくて終戦後九箇年の予算編成方針は、終戦直後の混乱時代、ドツジ・ライン時代、拡大均衡すなわちインフレ時代、このつの時代を経まして、ここに議題となつております二十九年度予算案に見るがごとき緊縮時代に移つているのであります。しこうしてこの間ほとんどがわが自由党内閣の政権に属しますので、一部野党の諸君の間には、自由党内閣の予算編成方針の変遷を表面的に見まして、朝令暮改などと非難する者がありますが、私は以上のごとき変遷は、われわれが敗戦から占領、占領から独立と、わが国が置かれて来た政治環境からむしろ当然であつたであつたと思います。すなわち終戦直後の混乱期は敗戦と占領という、いまだかつて経験しなかつた事態からいたし方なかつたものでありますし、ドツジ・ライン財政は、またこの混乱からのインフレを収束するための当然の措置であつたと思います。二十六年度から二十八年度までのインフレ的傾向の予算も、占領下のドツジ・ラインという峻厳苛烈なる予算に対する国民的反発の現われであつたとすれば理解ができるはずでございます。そしてさらにまた二十九年度予算における一転しての緊縮方針も、世界的緊張感の緩和による世界経済の正常化と、これに対処するための各国相競うての戦後経営策に伍するための財政政策としてはきわめて当然でありましてこの緊縮方針が各層各界の支持を受けているゆえんもここにあると思うのであります。先ほど説明のありました両派社会党の組替動議の中にも、予算規模圧縮の提案がありましたが、私どもは組みかえの内容そのものには反対でありますが、この圧縮の方針を強調いたしましてわれらの方針に同調されましたことは、まことに多とするところでございます。  さて議題の予算案の特徴でありますが、財源調達を徹底的に健全化して、自然増収や蓄積放出や公債発行を完全に締め出しておりますことは一つの特徴であります。また一般会計において九千九百九十五億円と一兆円以内のわくを堅持しておりますことも次いでの特徴であります。さらに財政投融資計画において二千八百五億円のわくを固めておりますことも他の特徴であります。また特別会計、政府関係機関、地方財政を通じまして、緊縮方針を一貫して総合緊縮方針に終始していることも、見のがしてはならぬ一つの特徴でございます。さらに経費の配分は極力重点化して、その効果的使用に徹しておりますことも、見のがすわけには参りません。行政整理を計画的に考慮しておりますこと、また米価や公企業料金の引上げも、原則としては行わないことにしておることも、見のがせない特徴であります。  しかし以上の諸特徴の中でも、いかに強調しても強調し足らぬ点は、歳入と資金運用部等の原資におきまして、自然増収をまつたく考慮していない点であります。もとより財政政策は経済政策の一環であります。最近の世界経済の現況と各国の戦後経営策を見ますと、わが国の経済政策もこれらと波長を合せるために、当然立直しを必要とされるものであり、この要請にこたえてわが党は、一月の第八次党大会において、十大政綱から成る新政策を策定しているのであります。しかして二十九年度予算案は、政党内閣として当然のことではありますが、このわが党の新政策を全面的に反映しておりますので、われわれは二十九年度予算三案の政府原案にはまず賛意を表するものであります。  なおただいま稲葉君から説明がありました三党共同の修正案は、以上申し上げた二十九年度予算案の性格を堅持しつつの修正でありまして、むしろその特徴とする経費の重点配分をより強力に打出しておりますので、これまた賛成でございます。しかし両派社会党の共同の組替動議に対しましては、まことに遺憾でございますが、反対でございます。  その理由は、第一番目に国家存立上不可欠の条件たる自衛に関しまして、まつたく関心がなく、防衛関係費を全部削除し、それを財源に充てているからでございます。国家の完全独立を促進するためには、国力の許す限りの防衛を自前でまかなうことは、独立国の政治家が当然に努力すべき点であるにもかかわらず、この点に一顧も与えていないことのあやまちは、毎度の予算組替動議の折に指摘して来たところでありますが、この際この非を重ねて指摘せねばならぬことは、日夜同じ部屋で国政審議に当つて参りました者として、まことに悲しいことでございます。また右のごとく引当ててはならない財源、すなわちからの財源を引当てて、大衆課税の大幅軽減、繊維税新設廃止並びにその他の間接税引上げ反対などと無根拠の提案をし、さらにまた社会保険、失業対策等、社会保障費の増額、義務教育費国庫負担の完全実施を初めとする文教諸費の増額、実質的給与所得の充実、基礎産業の近代化、二重米価制による一万二千円米価の実施、農業経営の安定と中小企業のための財政投融資の増額等、例によつて大盤ぶるまいをやつておりますのは、まさに砂上の楼閣と申し上げなければならないのでございます。  以上によりまして私は稲葉君から説明のあつた三党共同の修正案及びその修正部分を除く政府原案に賛成し、両派社会党の組替動議には絶対反対の意思表示をするものであります。  さて最後に政府に一言注文をつけておきたいと思います。三党共同の修正案の意思を十分に尊重されまして、早目に実行予算を組んでいただきたいと思いますが、その実行予算の裏打ちとしましては、より強力な、より総合的な新経済政策を打出して、世論の圧倒的な支持を受けている緊縮方針に徹底すべしと申し上げたいのであります。その徹底せる緊練予算から生ずる社会的摩擦に対しましては、十全なる配意を忘れてならぬことは言うまでもありません。財政政策は経済政策の一環であります、経済政策の全部ではございません。緊縮予算だけ組んだから世界経済に伍し得るのだと考えてはなりません。むしろわが国の本格的戦後経営策は、二十九年度予算案によつてスタートを切る一連の総合的諸施策になくてはならぬことを強調しなければなりません。私は委員会において政府当局の御見解をだんだん承つ参りましたが、二十九年度予算案の性格は、デイスインフレであろうと考えております。そうしてわが国の戦後経営策を本格的に打出しますためには、デフレ政策を、そしてそれから生ずる社会的摩擦に十全の配意を用いながら強行する以外に、方法かないと考えております。千算をデイスインフレにとどめて、万が一にも金融面だけでデフレを強行するようなことになりますと、財政と金融の平仄が合うまいと思うのであります。この点に関しましても十分の考慮を要すると思うのでございます。  以上政府に希望を述べまして、私の賛成討論を終る次第でございます。(拍手)

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 中村三之丞君。

中村三之丞改進党

○中村(三)委員 私は改進党を代表し、昭和二十九年度予算各案に対し、三党の協定にかかる修正案並びに修正部分を除く政府原案に賛成の意を表するとともに、社会党両派の予算組替案に対しましては、遺憾ながら反対するものであります。  吉田内閣は朝鮮特需景気のもとに、真夏の夜の夢をむさぼり、何ら経済自立の方策を講ずることなく、その日を暮らして来られたのであります。しかるに朝鮮休戦協定が成りますると、にわかに狼狽し、そうして予算の緊縮、物価の国際的割高の是正、あるいは国際貸借の改善、国民生活の耐乏のお題目を唱え出されたのであります。しかしながらその間無為無策に終られた吉田内閣の責任は、われわれたださなければなりません。(拍手)  昭和二十九年度予算案は編成技術を巧みに使つて、一兆円以内に粉飾せられた窓飾り予算であると断ずるのであります。(拍手)政府は歳出の節約、新規要求の圧縮に努められて、予算のバランスをとられた模様であります。しかしながら政府のやり方は、機械的に一律一体の削減をはかり、予算配置の方向に要点を誤り、また金融デフレによつて経済界は窒息をしつつあります。   〔発言する者多し〕

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 静粛に願います。

中村三之丞改進党

○中村(三)委員 ことに中小企業はまさに死活の窮地に近い込まれつつあるといわなければなりません。さらに現代社会における弱い者をいじめるという傾向は、厚生省予算にはなはだ著しいと申さなければなりません。(拍手)これを一つの政治的罪悪であると申しても誤りないと思うのであります。(拍手)こういう深い考えを打ちまして、われわれは予算の修正に乗り出したのであります。そうして一兆円のわく内において、社会会保障費、食糧増産費、中小企業対策費、危険校舎復旧と僻地教育の振興費、科学教育振興費に向つて修正を加えたのでありまして、最初強硬であつた自由党が、態度をかえてわれわれの修正に参加せられたにすぎないのであります。  われわれは国力相応の自衛軍備の創設を主張し来り、これらに関する法案の提出を政府に迫り、政府は昨日われわれの手元に送られたようであります。しかしながら保安庁予算を検討いたしますに、毎年々々百億円ないし二百億円の繰越額を出し、船舶建造、航空機購入などにおきましては、計画と実行は伴つておらないのであります。保安庁の予算に対する態度は、ただ予算をとつたらそれでよろしいという、はなはだ陰険なる態度であると私は見受けるのであります。保安庁予算は完全に消化されておらないと思います。ゆえに保安庁予算の健全化をはかるということが、長期自衛計画策定の第一歩であると思うのでありましてこの点政府に警告するとともに、来るべき実行予算において、適当なる処置をとられんことを要求するものであります。  吉田内閣は二十九年度予算を成立せしめられるでありましようが、この予算の実行にあたりましては、経済自立総合計がなければ無意味であります。これが支柱とならなければ無意味であります。現に緊縮予算そのものが将来逆効果を生ずるに至るのではないかと私は懸念するのであります。そうして無計画なる金融引締めによる産業経済の衰退、輸入制限とこれを見越すことによつて発生するところの特殊なインフレーシヨン、政府の購買力抑制に対する反動すなわち購買力が逆進して参りまして、むしろ物価の騰貴を来し、日本経済の秩序を紊乱するおそれなしとしないのであります。吉田首相は、経済計画といえば、ソ連における全面的なる国家権力による共産主義計画経済を連想し、常に答弁しておられるのであります。しかし私は閣僚諸君に申し上げたい、吉田総理大臣に申し上げたい。およそ人間の生活においては計画はその部分であります。家庭の主婦は家計を立て、事業家は経営の計画を立てるのでありまして、政治そのものも計画であるといわなければなりません。今日の時代における吉田総理の答弁のごときは、頭脳の改造を必要とすると思うのであります。(拍手、笑声)自由世界におきましても、アメリカはニユー・デイール、イギリスは一九四四年の雇用政策白書、フランスのモネ・プラン、インドのボンベイ・プランなどは、みな計画経済の線に沿うて経済の回復をはかつておるのであります。われわれは昭和二十九年度予算に対しましては、修正を加えて賛成をいたすのでありますが、稲葉君の申しましたごとく、ただこれだけではわれわれは十分でないと思う。それがためには資金の量的、質的調整をはかる方法が必要であります。自由党の放任政策は行き詰まつたといわなければなりません。また資産再評価につきましてもこれを強制すると同時に、無税にするがごとき一歩前進した方法をとるにあらずんば、法人の資本蓄積と資本構成な是正し、企業の内容を健全化ならしむることはできないと思うのであります。またわれわれは労使の協同態勢を強め、経営参加への道を開く意味においても、生産協力会議法のごときものを制定する必要をここに唱えるのであります。これらに関しましては政府はわれわれの提案を尊重して、この国会に法案を提出せられんことをわれわれは要求するものであります。  なお予算案と重要なる関係を持つております中央、地方を通ずる税制改正案に対しましては、あるいは修正し、あるいは、反対するということを含めまして、協力するものであることをここに言明いたしておきます。  これをもちまして私の賛成の理由といたします。(拍手)

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 山花秀雄君。

山花秀雄日本社会党(左)

○山花委員 私は日本社会党を代表して、本予算委員会において連日審議を続けて参りました政府提出の昭和二十九年度予算原案及び自由党、改進党、日本自由党等のいわゆる保守三派の共同修正案もともに反対の意を表するものであります。(拍手)従いまして日本社会党両派による共同組替修正案に賛成するものであります。  私は討論に先だち一言申し述べたきことは、吉田内閣は戦勝国のわが国占領支配中より独立の今日に至るまで引続き政局を担当し、五回にわたる組閣にも成功したわが国国会始まつて以来、珍しくも長期政局担当の、歴史を築いた内閣であります。しかしながら占領支配下にある期間中は、吉田内閣の独自の政策はおそらく行い得なかつたでありましよう。従つてその間における吉田内閣の業績の成否に関する批判はいたしません。だが講和条約発効後の吉田内閣の今日に至るまでの業績を端的に表現すれば、まつたく占領ぼけし、自主独立の観念に乏しく、日本人と日本国の立場に立つて独自の政策を断行する気魄に欠け、ことごとに特定国の鼻息をうかがい、いずこの国のために政治を行つているかの疑惑の感を、多くの国民諸君に与えているのが現吉田内閣の実体であります。(拍手)  われわれは政権の長きをもつていたずらに吉田内閣をたたえることはできません。その行う政策が国民生活を向上させ、日本の独立と自由を守り、平和国家、文化国家として再起発展の実効を上げているかいなやで、吉田内閣の功罪を論ずるものであります。吉田内閣の最近の業績は、国民生活を無視し、自由党あつて日本国あるを忘れたごとく、党利党略に流れ、その失政は国民怨嗟の的となつているのであります。特にその失政の累積の結果は汚職を生み、疑獄を生み、わが国政治史上にぬぐうことのできない汚点を加えたことは、何といつても否定し得ることのできない吉田内閣の醜悪きわまりない姿であります。(拍手)このような内閣が綱紀粛正な説き、国民に耐乏生活を要求し、もつて日本の将来の財政経済を破綻に落し得るような、ずさんきわまる計画性のない二十九年度予算の審議を本院にゆだねられましたが、私は疑獄と汚職に包まれ、民心まつたく離反した現吉田内閣のもとで、この予算案を審議する立場に置かれたことを、心ある国民諸君とともに悲しむものであります。(拍手)  大蔵大臣は声を大にしてその財政演説に、昭和二十五年度以来逐年膨脹の一途をたどつて来た傾向に終止符を打ち、久しぶりに前年度を下まわる予算を編成したのでありますと説明をし、二十九年度予算の性格を明らかにされたのであります。すなわち逐年進行途上にあるインフレ傾向より離脱し、健全財政の基礎を確立する希望を述べられたのであります。そうして今にして今日のインフレ的な経済基調を転換是正しなければ、悔いを千載に残すでありましようと言われました。従来の政府のとり来つた昭和二十八年度の財政金融方針について反省を加えたいと付言をされたのであります。  大蔵大臣が従来の財政方針に反省をされた、その率直なる態度に私は好感が持てるのでありますが、だからといつて、早晩破綻を来すことの明白な政府原案には絶対賛成はできません。一般会計の予算総額を一兆円未満に圧縮することのみを目的として、九千九百九十五億円というまことにきわどい線でとめることに苦心されておりますが、私は健全財政な築くべく、国家経済の自立再建をはかるためには、一兆円という数字にあまりこだわる必要はないと思うのであります。要は予算に裏づけされた政策の内容であります。政府原案は総額において二十八年度に比べて、約二百七十六億円の緊縮を行つておるのでありますが、その緊縮予算の中でなお非生産的支出である保安庁経費及び平和回復善後処理費の二項目だけでも、約二百九十億円の増加を示しておるのであります。世界各国のいずれの国の財政方針を研究いたしましても軍備拡張を行つてインフレを是正せしめたためしは、いまだ寡聞にして聞いたことがございません。この一点だけでもインフレ収束を目途として緊縮予算を組んだ政府の財政方針が、目的通り実行できないこの予算には、致命的欠陥を持つておるということを指摘しておきたいのでございます。(拍手)  吉田総理大臣も、小笠原大蔵大臣も緊縮予算ではあるが、民生安定のためには最善の配慮を行い、社会福祉関係経費についても、これを重点的に確保いたしましたと説明をされておりますが、生活保護、児童対策、社会保険、結核対策、失業対策等々一連の社会福祉関係で三十八億円増加をしておるのであります。最善の配慮を行い、重点的に確保いたしましたという民生安定の費用が五%の増しで、近隣アジア諸国との外交関係に悪影響を与えるところの再軍備費用に、実に保安庁費関係だけでも二八%増しになつておるのであります。同じく民生安定の一環である住宅対策についても二十八年度十二万一千五百六十戸、二十九年度は十万四千六百戸と一万六千九百六十戸減らされ、金額においても約六億円の減少を見せておるのであります。わが国における住宅の不足は約三百四十万戸といわれておりますが、焼失及び破損並びに人口増加計算すると、現状のような姑息な住宅対策では三百四十万戸の不足は、永久に解消できないことになるのでございます。また大蔵大臣は財政投融資、公共事業費及び食糧増産対策につきましては、昭和十九年度予算は多少減額をしたものでありますと説明されておるのでありますが、政府の行政整理方針、緊縮予算基づく一般産業の不振は、おのずから失業者の増加を来すことは火を見るよりも明らかであります。予算の配慮は失業対策事業費補助として十億二千万円増の予算を計上しておりますが、対象人員を五%増しとし、十六万三千人と押えておりますが、二十九年一月以降の賃金増しと資材費の異常なる値上り等々を考慮に入れますと、二十八年度全国平均二十一日の就労計画は、必ず破綻を来すことは火を見るよりも明らかなことであります。このような甘い失業対策で事なれりと、もし考えておられるならば、吉田内閣には失業問題解決の能力なしと断言せざるを得ぬのであります。(拍手)          生活保護関係費の医療扶助につきましても、政府原案は約百二十億円の予算計上であります。なお二十八年度精算不足分として二十億円計上しておりますが、大体二十八年度が二回も補正予算を組む機会があつたにもかかわらず、いかにずさんな予算であつたかは、例を東京都についてこれを言いますならば、二十八年十月より年度末まで約十億円未払いであります。全国的には約五十億円の未払いは確実に見通しできるのであります。精算分として二十億円の予算計上は必然に二十九年度予算全額に食い込むことは今からでもこれは明らかであります。また二十八年度の実績は毎月十六億円ないし十八億円であります。八割補助と計算いたしましても毎月十三億円ないし十四億円は絶対必要とする費用であります。事態は明白にされておるのにもかかわらず、二十八年度精算分二十九年度分合算して約五十億円不足であります。これで絶対補正予算を組むことはありませんという政府の本委員会における質疑に対するしばしばの答弁は、まさに生活能力のない国民に死ねと言うにひとしいことであります。(拍手)いまさら日本国憲法を引合いに出したくはありませんが、政府が国民生活にあまり冷淡でありますゆえに、念のために申し上げますが、憲法第二十五条に「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」とあり、さらに「国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。」と規定しているのであります。国民生活に一顧だに与えない政府の予算原案は、全体を通して鬼のごとき血の通わない冷血漢そのものの態度であると私どもに断定したいのであります。(拍手)  なお生活補助について見ますならば、六大都市における五人標準世帯の基準月額を八千円より八千二百三十三円と二百三十三円増し、それは一月よりの米価の値上がりと二十八年十二月よりの医療扶助単価の入院点数の改訂を考慮して算定したと説明されておるのであります。これをかりに全額食費に計算いたしますと、一食当り十八円となります。六大都市の生活で一食当り十八円ではそば一ぱいも食べられません。失業が増加し、生活保護の対象者がますます増加の世相となり、住宅問題の解決は絶望常態にあり、これに何らの充実した施策を行うことなく、民生安定のため社会福祉関係経費については、これを重点的に確保いたしましたと説明される小笠原大蔵大臣初め閣僚諸君の良識を疑うものであります。(拍手)羊頭を掲げて狗肉を売るというこのことわざは、吉田内閣に一番当てはまる、まことに天下の名言であると申し上げたいのでございます。(拍手)  この予算案が実行に移されれば物価は五分ないし一割下ると説明されておるのであります。私はさよう考えません。これは私のみでなく、およそ経済的知識を多少なりとも持たれる人々であれば、はなはだ僣越ですが政府の考えに同調される方はありません。わが国物価の高い安いを左右するものは米価であるといわれておるのであります。米価が物価を左右することはわが国においては不文律の原則となつております。また最近では生産の近代化に伴い、電気がその要素の一つと数えられるに至りました。米と電気、これは物価の中枢神経のようなでございます。米価は一月に最終消費者価格の値上りを見ました。電気もまた本年四月げろ値上りが一応予想されております。本予算委員会審議の過程においても、電気料金の値上げを絶対に認めないという政府の答弁は、選憾ながら聞くことができなかつたのであります。米、電気の値上りを政府が許して、非生産的再軍備前費に二八%増加の予算を組み、これで物価が下ると思い込んでおられるとしたら、はなはだ失礼ながら、内閣諸公の頭脳は、白痴にひとしいと評価せざるを得ません。(拍手)愛知経済審議庁長官は、その経済演説において、外貨不足の現状を憂慮し、昭和二十八年度におきまして年間八億ドル余のいわゆる特需収入があつたにもかかわらず、国際収支は差引一億九千万ドル余の赤字となつたのでありますと言われました。大蔵大臣も、もしこのような情勢のまま推移するならば、遠からず、貿易のために運転資金として、必要な最小限度の金額四、五億ドル大割ることとなり、わが国経済の運営上欠くことのできない貿易にも支障を来すことになりましようと説明し、さらに言葉を続け、もしその最悪の事態に至れば、インフレは高進し、民族独立の裏づけとしての経済の自立は不可能に陥るの人ならず、わが国経済は崩壊すると言明されておられるのであります。  伝えられるところによりますと、本年三月末八億七千万ドルの手持ち外貨の政府の予定が、一月末に八億七千万ドルに接近し、三月末には七億七千万ドル見当になるものと見られ、現状のまま推移すれば、八月末には五億ドルの線を割ることが必至であろうと予想される。わが国経済が立ち直ることのできない崩壊の寸前にあると見られておるのであります。この重大なる危機に直面して、二十九年度予算の政府原案は、いたずらに非生産的な再軍備に狂奔し、やがては不幸にも為替レートの切下げを招来する要因をつくることは必至であります。大蔵大臣が演説されたように、朝鮮動乱勃発後の物価騰貴率は、米国の約一割、英国の約二割七分に対し、わが国は約五割六分となつている、この状態のもとでどうして為替レートが維持されましようか。今こそ、非生産的支出である、最大のインフレの要因である防衛関係費を、あげて国民生活の安定、経済の自立振興のために組みかえを断固行うべき最善の時期であるということを私は申し上げたいのであります。(拍手)  政府原案の不備は、政府自身でも認められて、ここに自由党、改進党、日本自由党等の三派共同修正案となりました。その内容は、政府原案と大同小異であります。しかしながら、この三派の共同修正案は、小笠原大蔵大臣が述懐されているように、政府最初の声明であつた一兆円以下で予算総額をとめることは、もはや不可能になつたことは明白であります。政府は当初より吉田総理を初め全閣僚が言明されました一兆円以内の予算方針はくずれることは、これまた明白なことになりました。いずれその節、政府の無定見なる財政経済方針、その責任を追究したいと思いますが、しかしそのときには、お気の毒ながら吉田内閣は疑獄と汚職の渦の中で姿を消すであろうことが、ただいまから予見されるのであります。(拍手)まことに残念な次第でありますが、日本国民の幸福のためこれまたやむを得ない現象だと私どもは考えたいのであります。  日本社会党両派より提議されました共同組替案は、その内容にも示されているごとく、歳入の面では、源泉、申告の両税において、七百二十五億円の政府原案より減税の基本線を確立し、重税に悩む国民諸君の意向をよくくんでおるのであります。また繊維消費税の悪税法を廃止し、酒税、砂糖消費税、物品税と、およそ大衆課税と思われる諸税に関しては、それぞれ大幅の削減を行つているのであります。反面大法人税、富裕税の増額を規定する等、税収入の面において、国民各階層の担税能力のあんばいをまことに公平に扱つているのであります。歳出の面では公共事業費、食糧増産対策費、文教費等相当の増額を行い、特に住宅対策、中小企業金融公庫、国民金融、農林漁業金融等々格段の増額の考慮を払い、さらに社会保障関係費用においては、政府原案より実に四百六億円の大幅増額のもとに、一段と民生安定政策を実行でき得るような予算の裏づけを行つておるのであります。さらに政府職員及び公労法関係下の職員諸君の生活を守るため、法律の定めるところによる人事院勧告や仲裁裁定の完全実施ができ得る予算の裏づけをも行い、この予管外組替安のもとでは、官公労関係の紛争議は起り得ない万全の対策が立てられておるのであります。  特にこれらの文化的、社会的、建設的政策の実行を可能ならしめるために、防衛支出、保安庁経費の全面切り落しを思い切つて断行し、もつてわが国が平和主義に生き抜こうとする態度を、国の中外に表明しているのであります。その予算総額は、政府原案に比べて、なお三百八十二億円緊縮しているのであります。まことにわが国の現経済事情下における適切なる予算案であると私は確信し、日本社会党両派の共同組替案に賛成の意を表するものであります。  以上簡単でございましたが、日本社会党を代表する所見を申し上げまして、私の討論を終るものであります。(拍手)

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 稲富稜人君。

稲富稜人日本社会党(右)

○稲富委員 私は日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となつております昭和二十九年度一般会計予算、同特別会計予算、同じく政府関係機関予算、並びに自由党、改進党及び日本自由党等、保守三党の共同修正案に反対いたし、両社会直の組替動議に賛成するものであります。  その理由は、今やわが国は内憂外患その極に達しつつあり、わが国経済にとつて実に本年度予算ほど重大なる意義を有するものはないと存ずるのであります。しかるに政府は、本年度予算の編成にあたつては常にその方針が動揺し、確固たる信念に欠けておつたのであります。すなわち小笠原大蔵大臣は、最初一兆五、大百億円予算を唱えておられたのでありますが、昨年末に至り、新木大使の帰任、世界銀行の意向、吉田首相のつるの一声によりまして、たちまち一兆円緊縮予算に変更決定されたのであります。もちろん私は頭から一兆円予算を否定するものではありません。いな、むしろ両社共同組替動議に現われましたように、私たちもまた一兆円予算を主張するものであり緊縮予算を行わんとするものであります。しかしながら、政府の予算は総わくをまず決定し、MSA協定の締結に伴う池田・ロバートソン会談の了解事項を予算に組み入れることを前提として予算の編成を行つたものであり、かくのごときは実に言語道断であり、一兆円予算の緊縮によつて削減された予算項目こそ、実にいい迷惑であり、これによつて削減された予算が、かえつて国民生活に最も重要なる関係を有しておるのであります。政府はこの一兆円予算の決定の理由について、現在のインフレを抑制し、通貨の安定をはかり、かつ国際収支の均衡をはかることによつて、経済自立を行うためであると称しておられるのであります。しかしながら、いまさらこの説明を政府から聞くのは、まことにふしぎであるといわねばなりません。何となれば、現在のインフレを招いたのは、自由党内閣の従来の高物価政策であり、さらに通貨を不安定にしたのは、これも自由党政府の放任政策の結果であります。かつ経済自立を遅延させたのは、朝鮮動乱後も自由放任に自由貿易を謳歌した政府みずからの悪政のためである、かように言つても過言ではないのであります。(拍手)しかしてその上国民生活を窮乏のどん底に追い込んだのは、これまた政府のとつた再軍備政策の結果であるといわなければならないのであります。この一兆円予算の総わく決定によつて、政府国民所得を昭和二十八年度の五兆九千五百億円に比してわずか三百億月増しか見積らず、最初の六兆一千億円説を否定して、過小な見積りを行つたことによつて、財政規模とのつじつまを合わさんとして、おるのであります。国民所得が財政規模から推算されたことは、世界財政史上まつたく例を見ないことであり、まつたくの欺瞞といわなければならないと思うのであります。すなわち、国民所得が一年に三百億しか増加しない自由党内閣の経済政策の失政を、いまさら政府は何と説明されるのでありますか。  さらにまた、少くとも約五百億といわれている防衛関係費を中心とする未使用分には、何らの弁明も、また使用の道も明らかにしていないのでありまして、これは明らかに本格的な再軍備のための隠し財源といわなければならないのであります。経済自立が急を叫ばれている今日のわが国で、このような無方針な欺瞞に富んだ超均衡予算を許すことは、断じてできないのであります。しかるに政府は耐乏生活を国民に説いているのでありますが、われわれは国民生活安定の希望の持てる耐乏生活を主張する予算こそ重要であると思うのであります。かくのごとき意味から、私たちがかねてより再軍備より国民生活安定を主張するゆえんもここに存するのであります。  かくのごとく本年度予算編成の経過と、政府の失政と、一兆円予算の矛盾をついた私は、さらに以下具体的に本年度予算の矛盾を申し述べたいと存ずるのであります。  国民所得と財政規模は以上申し上げた通りでありますが、まず歳入について問題になるのは、税制の改革であります。政府は毎年減税を喧伝し、毎選挙にあたつて減税を主張して来たのでありますが、実質的に税金の下つたためしはないのであります。今度の税制改革で、政府は所得税、法人税中心をに直接税を三百二十一億円減税したことになつておるのでありますが、その肩がわりとして、繊維消費税を初め間接税を増徴しておるのであります。そしてそのつじつまを合せておるのであります。この税収もまた一兆円予算作成のためであつて、過小に評価され、多分に補正予算への含み税収を持つておると思われるのでありまして、決して実質的な減税とはなつてはいないのであります。なお重要なことは、一般会計予算と地方財政計画との関係であります。一兆円予算作成の最大の犠牲は地方財政にあるわけでありまして、入場税、揮発油税を主として地方財政がいかにゆがめられたかは、想像に絶するものがあるのであります。その上、一兆円予算によつて政府と地方財政とを合せると、昭和二十九年度の純計は昨年のわくを二十四億円も増加しておるのであります。これは決して政府の言うような緊縮財政ではなく、インフレを防止し得るような基などは、断じて求められないといわなければならないのであります。  次に歳出の面であります。ただいまるる申し述べましたように、一口にいつて、一兆円予算にわくを押え、MSAに基く再軍備予算を計上するために、一般の歳出を押えたというのが今度の昭和二十九年度予算であるのであります。すなわち防衛関係費は百三十九億円の増加を見たのでありますが、生産的支出としての公共事業費、食糧増産対策費関係で百四十一億円を減じておるのでありましてこれは政府の食糧、自給政策と矛盾し、農地の復旧、土地改良、その他耕地の改善は中止のやむなきに至り、新規事業はもちろん継続の分もやれないことになるのであります。またこの予算に適合させるために、補助金等の特例に関する法律案を提出することによつて、この削減を正当化しようとしているのでありまして、これは予算に基いて法律を出すというがごとき、実にばかげたことをなさんとしておるのでありまして、私たちの断じて承服できないところであります。  次に産業資金のかぎを握る出資及び投資では二百二十八億円減とし、これに資金運用部資金、簡易保険積立金などの融資の面を合せると、昨年よりも大幅減少となつているのでありまして、本予算の審議を通じて、造船汚職の問題が重大な問題となり、あたかも国会が汚職の殿堂かのごとく国民に思われんとしているこの際、私たちが明確にしなければならないことは、基礎産業に対する投融資が多額であり、無用であつたから、このような問題が起つたのではないかということであります。厖大な政府資金の必要な産業を自由放任にいたしておつたことに、この問題の根本的な間違いがあつたわけであります。ここにおいて、政府が基幹産業に対して国家的統制を行うことは当然であり、またこれはわが国経済自立にぜひ必要なのでありまして、経済自立を今日まで遅延させた最大の理由の一つに、この問題があげられるのであります。  次に社会保障の問題であります。当初政府は社会保障を前年度以下に削減しておつたが、輿論に抗しきれず、遂に昨年度並の予算としたのでもりますが、生活保護費、児童保護費、結核対策費等を通じて二十七億円の増を見込んでおりますが、国民生活保障関係費より旧軍人恩給費が六百三十億円上まわつておるがごときは、どう見ても再軍備のにおいがぷんぷんするのでございます。  以上のごとく、本予算について政府は物価五%から一〇%を引下げ、国際収支を均衡させ、金融引締めによつてインフレ防止すると言つておりますが、しかし実なき一兆円予算は、耐乏生活をする国民に対して重税となり、金詰まりとなり、そうして再軍備のための奉仕をしいておるのであります。国民の真に望んでいるものは、社会保障の完備した耐乏生活であり、ゆたかな耐乏生活によつて経済自立を行うことを希望しておるのであります。  またただいま自由、改進、日自の保守三党から提出されました本予算の修正でありますが、これは一兆円のわく内を了承することはもちろん、九十億円の財源をもつて、社会保障費約二十五億円、食糧増産対策費約十五億円、危険校舎六億円、その他一般会計外支出として、中小企業金融公庫その他に約四十億円出資を行うにとどまり、政府原案と大同小異であつて、決して根本的な修正ではないのであります。   〔委員長退席、西村(直)委員長代理着席〕 政府原案の最も重大である、MSA受入れに伴う再軍備促進のための防衛関係費の増額には何ら手を入れず、またわが国経済自立と国民生活安定に必要な経費については、ただ中小企業金融関係の出資を増額し、かつ社会保障費をわずか増額しておるにすぎないものであつて、反動的な軍事予算の性格を擁護した修正であつてこれは私たちの断じて許すことのできない修正であるのであります。  私は以上の理由から、政府原案並びに保守三党の共同修正に反対し、次のごとき理由のもとに、両派社会党の共同組替動議に賛成するものであります。  両派社会党の共同組みかえの基本的態度は、まず予算規模は政府案より百三十二億円圧縮し、九千八百六十三億円とすることによつて、物価引下げを七%行い、かつ割高である物価の引下げによつて貿易の振興をはかり、国際収支を改善することによつて、わが国の経済自立を一日も早く達成するよう努めんとするものであります。  第二には、近日締結を予定されておるMSA協定に基く防衛関係費を、削除し、インフレを防止することはもちろん、非生産的なこれらの経費を国民生活の安定と治定確保の経費に充当する建前から、保安庁費という款をやめて、新しく治安費という款を設け、これに三百五十億円を計上するものであります。  第三には、労働者、中小企業者を中心とする国民大衆の生活安定のために、単なるスローガンによる賃上げ要求ではなく、低額所得者の減税に重点を置いた大衆課税の大幅減税、繊維消費税新設廃止等、その他の間接税引上げに反対し、国民からの税金は公民に還元するという社会的主役財政の基本から、社会保険、失業対策等社会保障諸費の増額、また教育振興の意味から、義務教育国庫負担の完全実施を初めとする文教諸費その他の増額にまつて、実質給与所得の充実をはかり、勤労大衆の生活を安定させんとするものであります。この意味において、給与改善については一万八千八百円ベースを目標として、減税による一人月八百円、物価七%引下げにより一人月千百九十円の実質賃金充実分を差引き、さしあたり一律に五百円ベース・アツプを行う財源として、予備費に百億円を計上しておるのであります。  第四には、経済自立と貿易の振興は、国内基幹産業の培養以外には方述がなく、これを行い得るものは計画経済の実施によも社会主義経済以外には道がないと考えておるのであります。この意味から、電力、石炭、鉄鋼、肥料、造船、化学繊維等の基礎産業には、国家管理を前提とした単独専業法の制定を将来なさんとするものであります。特に最近問題になつております造船に対する利子補給については、政府原案の、三十七億円を削除して予備費に組み入れておるのであります。これ実に私は時宜に適した方法であるといわなければならないと思うのであります。また一方農民生活安定の立場から、生産米価一万二千円を目途とした二重米価の実施を行わんとするものであります。  第五点といたしましては、政府原案の各所に現われております反動性を打破し、警察法改正その他の民主主義に逆行する法制改悪に反対し、その費用を組みかえておるのであります。  以上申し述べました立場から、両派社会党の組みかえは、真に政府の反動的再軍備に反対し、経済自立と国民生活安定とを望む国民大衆の声を代表したものであり、かつ明日からでも実施できる現実的な予算の共同組みかえであると思うのであります。時間の関係上、詳細なる数字等は省略いたしますが、政府原案より百三十二億円減少し、国民生活安定のための堅実なる均衝予算となつておるのであります。どうか政府におきましても、あるいは自由党、改進党、日本自由党の保守三党も、この組替動議に賛成され、真のわが国経済自立と国民生活安定のために努力されんことを希望いたしまして、私の討論を終る次第であります。(拍手)

西村直己自由党

○西村(直)委員長代理 久保田豊君。

久保田豊小会派クラブ

○久保田(豊)委員 私は政府提出及び保守三党共同修正による昭和二十九年度の一般会計並びに政府関係機関並びに特別会計予算に強く反対の意思を表明いたすものであります。と同時に、社会党両派の共同組替案に対しましては、その積極的意義を十分にくみとるものでありますが、一、二の点におきましてどうしても賛成の意な表することのできないことを申し上げねばならぬのであります。  私どもが今次政府の予算に反対いたします根本の理由は、今度の予算の背景をなしております一番最大のものは、MSAを受入れて、これに応ずるとろこの大規模な再軍備をいたそうということであります。これが今度の予算の根本の性格を決定しておるものと私どもは考えておるわけであります。しかもこのMSAが、決して政府の言うがごとく、わが国のいわゆる自立のための軍備をつくるとかなんとかいうことでないことは明らかでありまして、これは明らかにアメリカの世界的戦争政策の一環として、わが国にアメリカの自由になる再軍備を強要し、その経費の大部分を国民の負担にしようということでございます。今度の予算の成立の経過を見ましても、またその中で軍事費だけが非常に大きな比重を占めまして、しかもこれには政府並びに保守三党はほとんど触れておらない。これらの諸点から見まして、これはまつたくアメリカから強要され、これに屈服いたしまして、戦争準備に進むための準備である。しかもそれは、今回のMSA協定に当然付属いたします、政府がひた隠しにしております防衛五箇年計画、これを実施をするための初年度でありまして、これは実に日本の歴史始まりまして以来の画期的な屈辱的な、しかも日本を戦争に導くための第一歩であると確信いたすのであります。この意味におきまして、私どもはこの点において今次予算に対してはどうしても賛成ができないのであります。  政府はこの再軍備の理由を、国が独立をしたから軍隊がいるとか、あるいは外国が侵略して来るからこれに対抗するとかいうことを言つておられます。しかしながら日本の今日の現状を、いわゆる独立しておると信じておるところの国民は、わずかに大資本家や、これと軌を一にいたしますところの保守政党の諸君だけであります。国民の大多数は、今日貿易をしようと思つても自由にはできない、予算も自分では自由にできない、何もかもできないという事情を、決して独立とは考えておらないのであります。このようないわゆる従属国が持ちますところの軍備が、決して国を守る軍隊でないということは明らかな事実であります。  さらに政府は、いわゆるソ連や中国が日本を仮想敵国として攻めて来る、こう言つております。これに対処するためには軍隊を持たねばならぬ、こう言つております。私はある機会がありまして、昨年の十月から本年の一月まで欧州各地へ行きまして、七十九箇国の諸君とお目にかかりました。また六十箇国の諸君ともお目にかかり、さらにソ連、中国を見て参りました。しかしながらここではつきりいたしますことは、どういう事実があるかといいますと、ソ連や中国は日本を侵略する意図を少しも持たず、その必要に全然当面しておりません。と申しますのは、一、二の例を申しますと、私どもの見ましたところの炭鉱でも、採炭労働者の一日の採炭量は、コール・コンバインという機械を使いまして六十九トンであります。また農村におきまして、私どもが見ましたところにおきましては、二人の農民がトラクターを使つて耕作します一日の耕作能力は三十二町歩であります。しかもその上にとれますところの小麦の収穫は日本がわずか一石二斗ばかりであるのに対して、少いところで二石、多いところでは三石以上もとつております。しかもこのような資源がほかにたくさんあり、そうして土地もまだ三分の二近くは何ら手をつけておらないのが実情であります。こういう国が、何を好んで日本のような貧弱な資源の国を侵略するようなことを考えましようか。また中国にいたしましても、そうであります。中国は今日非常に大きな経済建設をやつております。しかも資源は豊富であります。このような国がどうして日本を侵略することを考えましようか。ソ連や中国の人たちが真に日本と平和を求めておることは、あらゆる国民に私どもが会いまして、偽りのない気持であります。しかも世界で七十九箇国ないしは六十箇国の約一千名の良識ある人たちが集まりまして、この人たちは日本の再軍備を決して日本の国を守る再軍備などとは考えておりません。すべてアメリカのさしずによる侵略のための軍隊であるということをはつきり世界では認めております。日本の国民の一部だけが、おれたちはそうじやない、国を守るのだといつても、世界の常識が今日これを否定するような事実になつております。私どもはこういうような事実から見て、今日はいわゆる再軍備は絶対に否定し、むしろ再軍備することによつてアジアの戦争の危機、同時に日本の戦争の危機、日本が戦争に巻き込まれる危機が非常に大きくなるということを心から憂えますがゆえに、私どもはこのような軍事的性格を持つた予算には、国民大衆とともにまつこうから反対を強調せざるを得ないのであります。  しかも今回の予算の内容は、御承知の通り片方においては、軍事費の増大という非常に厖大なインフレ要因、片方においては、物価の引下げ、輸出の増進というデフレ的要因、この二つをやせ衰えた日本のこの経済の上で、しかもいわゆる汚職その他によりまして国民からまつたく信望を失つたところの内閣によつて、このまつたく相反する経済の基盤の上に軍事的建設をしようということは、これは失敗をするにきまつた話であります。その結果は必ず国民経済全体を大きな混乱のふちに陥れることも明らかでありますが、今の政府の意図といたしましては、国民に失つた信頼を、あらゆる強権を使つて、この二つの矛盾する経済的基盤の上に再軍備を強行し、系列外の大中の工場あるいは中小企業、労働者、農民へすべて犠牲を転嫁いたそうとしておることは明らかであります。私どもは、このようなことができるはずがない、これは必ず近い将来において国民経済を崩壊の危機に直面せしむる危険性を持つておるものである、このように考えますがゆえに、この点からも私どもはこの予算には賛成ができないのであります。  さらに本予算の内容を見れば、すでに社会党その他の皆さんから御指摘のありました通り、いわゆる軍事費だけが大きくなつて、そうして国民生活の安定あるいは平和的な国民経済の建設という点をすべて犠牲にしております。本年度これらの民生費や、あるいは国民経済建設費が圧迫されたのは、一兆円予算のためではありません。軍事費増大の犠牲がここにしわ寄せになつたのであります。私どもはこのような性格のもので、日本の自立経済だの何だのということはできるはずがないということを確信いたしますがゆえに、反対をいたすのであります。  さらに歳入面におきましてはどうか。勤労大衆にはますます税金が重くなつております。   〔西村(直)委員長代理退席、委員長着席〕 最近におきましても、いわゆる本年度の予定課税そのもの、税金決定のもとになります課税対象所得のあれでも、中小企業のごときはみな昨年度の四割から五割、多いものは十二割くらいのものが有無を言わさず押しつけられておるのが実情であります。このような状況であるにもかかわらず、片方におきましては、独占資本の減税をはかつております。しかも政府の意図するところは、これによつて相当多額のいわゆる自然増収という形によつて、前年度よりもさらに大きな収奪を行つて、これを第二次の軍事費のためのいわゆる補正予算に使おうとする意図を持つておると私どもは見ておるのであります。このような点から行きましても、私どもはこれに賛成することができないのであります。  このような予算を実行いたしました場合に、日本はどうなる。いわゆる貿易はすべてアメリカの言うまま、片方におきましては大きな可能性を持つておる中国やソビエトとの貿易というものを、つまらないことでもつて全然手を出さずにほつておき、そうしてアジアに対する貿易といいますけれども、アジアの大衆は、日本が再軍備をすればするほど、日本の貿易に対してはそつぽを向くことは明らかであります。こういう事実を見ずに、貿易振興などということはできるはずがありません。  またさらにドル不足を政府は解消するといいますが、このような現状ででドルの不足の解消するはずはありません。おそらくこの下半期におきまして、につちもさつちも行かないドル不足に当面することも、これまたすべての経済専門家のほぼ推測にかたくないところであります。このようにして日本はいやおうなしに日本経済全体が縮小再生産の道へ追い込まれ、その結果はどうなるか、系列外の中小企業はどんどん今日でも倒れております。これから先も倒れましよう。また中小企業の破産状態というものは、ほとんど今日予想のできないようなひどいものになりましよう。農民の経済も今日行き詰まつております。政府は増産を叫んでおりますが、本年度の予算や金融政策によつて、農民の増産を期待することはとうてい困難であります。  さらに労働者の間には御承知の通りいわゆる大きな失業が待つており、首切りあるいは賃下げ、こういう問題が今日すでにはつきりわかつておるわけであります。私どもはこういうふうな国を滅ぼし、大衆にすべての犠牲をかけて、あえて一部の資本家あるいはアメリカのごきげんだけとろうというような、こういつた危険な予算に対しましては、断固反対せざるを得ないのであります。私どもはなるほど国会におきましてはごく少数であります。しかし真に国を愛し、勤労大衆とともにみずからの生活とみずからの事業を守るための要求を組み上げまして、政府と一戦を交えることを辞するものではありません。  さらに最後に社会党両派の組替案であります。私どもは非常に慎重にこれを検討いたしました。その結果、内容におきまして非常に共鳴すべき多くの内容を持つております。私どもはこの組替案をつくりました社会党両派に対して心から尊敬をいたすものでありますが、ただ一点、国民が戦争回避の立場から最も強く望んでおりますところのいわゆる保安庁費、これを二百五十億——保安庁費とは書いてありませんが、治安費という形において盛りました点については、私ども国民の平和を求める意思を代表いたしまして、どうしても賛成ができないのでありまして、この点におきましては、社会党両派の皆さんの非常な御苦心を多といたしますが、この一点におきまして賛成できないことを表明いたします。  以上をもちまして終ります。

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 中村梅吉君。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 私は日本自由党を代表いたしまして、できるだけ簡単に討論をいたしたいと思います。  ただいま議題となつております予算各案に対しまして、まず結論から申しますと、自由、改進、日本自由、三党共同提案にかかる修正案及び修正部分を除く予算各案の政府原案に賛成をいたしまして、同時に日本社会党両派提出にかかる予算各案組替を求むる編成替の動議に対しましては、反対の意見を表明するものであります。  まず昭和二十九年度の予算について政府原案を見ますと、政府側におきましては、二十九年度予算は最も時代に即応した意味のある緊縮予算である、かように説明をされておるのでありますが、これを前年度予算に比較をしてみますと、ベース・アツプによる人件費の増加五百億円、防衛庁費の増加約二百億円、これらの大幅な増額を見ました部分を、あるいは食糧増産の経費、あるいは産業資金、民生安定の経費、これらに圧縮を加えまして、大幅に削減を加えたような結果に陥つております。なるほど前年度に比して予算の総額はふえたのではない、むしろ減つておる、この意味からいえば、形の上における緊縮予算であることは間違いありません。しかしながらふえた分を、国家の自立経済達成の基本をなすような経費、あるいは民生安定の経費から、あるいは食糧増産の経費から削つてこれを圧縮しておるというようなことは、これは健全な意味における緊縮予算ではない、こういう感じを持たざるを得ないのであります。これでは結局産業活動、国家活動を萎縮させる結果を来すおそれがあるのでありまして、積極性がきわめて乏しいと思うのであります。現在の物価問題、国際貸借、これらの関係から見まして、財政緊縮の必要でありますことは、もとよりこれを是認するところでありますが、これでは角をためて牛を殺すような結果に陥る危険があるのではないかということを、私ども憂慮いたすのであります。  近ごろの行政状態を見ますと、非常に行政組織が複雑になつておりまして、行政費が膨脹をいたしておる。あるいはまた戦前に比して、各行政機関、地方行政機関等を通じまして、敗戦後のどん底生活にあるべきわが日本の状態としては、すべてにわたつてぜいたくに過ぎるほどの現状にあるということも、見のがしてはならない点であると思うのであります。これらの点にかんがみまして、真の姿である財政の緊縮を断行しようとするためには、まず行財政の整理を徹底的に行う、これと見合つて、積極的な産業政策、自立経済速成の積極的な政策を並行させまして、この行財政の徹底的整理と積極的な施策とが相並行して進められなければならないと私どもは思うのであります。政府原案を大局的に見ますと、この重要な要素がはなはだしく欠如しておるものである、こう批評せざるを得ないと思うのであります。  以上のような観点に立ちまして、私どもといたしましては、政府原案に対しては幾多の不満を実は感ぜざるを得ないのでございます。しかしながらそうは申しましても、昭和二十九年度の予算が不成立に終るというようなことは、これまた及ぼす影響がきわめて甚大でございます。従いまして、ここにこうした政府原案が出ておりますのに対して、いまさらわれわれ在野党の手によつてこの予算を根本的にどうするかというようなことも、現実の問題としてこれはできないわけであります。さような次第でありますので、われわれはここにやむを得ず三党の協議によりまして、予算案の一部修正によつてまずがまんをしよう、こういうことにいたそうとするわけでございます。しかしながらこの修正は決して本質的に満足の域に達しているものでないことも申し上げるまでもございません。修正の骨子といたしますところは、すでに三党を代表いたしまして、稻葉氏より詳細修正案提出の理由を御説明くださいましたから、言及する必要はございませんが、私どもの気持をここに申し加えますと、要するに修正の骨子は、国政上の重要な柱についてこれを指摘いたしまして政府の反省を促したいというのが、私どもの意図する気持であるわけであります。すなわち、食糧自給態勢確立の基本でありますところの食糧増産の経費、民生安定のために欠くべからざる社会保障の経費、わが国産業の中枢をなす中小企業の資金の増加、あるいは文教費等につままして、まことに不十分ではございますが、一部の修正を試みまして、一応政府案を是認する、こういう態勢をとることに決意をいたしたような次第でございます。  つきましては、以上のような理由に基きまして、私はこの際次のような希望条件を付しておきたいと思うのであります。すなわち、政府は今後行財政の徹底的な整理を断行して、大幅な産業資金、その他国政上緊要なる資金の造成に努めるとともに、わが国の現状に即応した積極的な経済自立、民生安定の施策を推進し、もつてわが国自立経済達成の促進に資せられたい、このような根本的な点について希望条件を付しまして、上述のごとくに、自由党、改進党、日本自由党三党共同の修正案及び修正部分を除く予算各案の政府原案に賛成をいたします。  なお社会党両派提案にかかる組替動議に対しましては、遺憾ながら反対の意を表明するものでございます。(拍手)

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。  まず日本社会党両派の共同提案として、佐藤觀次郎君外十四名より提出されました予算三案に対する編成替を求めるの動議の採決をいたします。右の動議に御賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 起立少数であります。よつて、佐藤觀次郎君外十四名より提出されました予算三案に対する編成替を求めるの動議は否決されました。  次に、自由党、改進党及び日本自由党の三派共同提案として、小峯柳多君外三十四名より提出されました一般会計予算及び政府関係機関予算に対する修正案を採決いたします。右の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 起立多数であります。よつて、小峯柳多君外三十四名より提出されました一般会計予算及び政府関係機関予算に対する修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた一般会計予算及び政府関係機関予算の原案を採決いたします。これに賛成の諸君の御起立を求めます。  〔賛成者起立〕

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 起立多数であります。よつて、一般会計予算及び政府関係機関予算は、修正部分を除いては原案の通り決定いたしました。  これにて昭和二十九年度一般会計予算及び昭和二十九年度政府関係機関予算の両案は、修正議決いたしました。(拍手)  次に、特別会計予算の原案を採決いたします。これに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 起立多数であります。よつて、昭和二十九年度特別会計予算は原案の通り可決いたしました。(拍手)  なお委員会報告書の作成については、委員長に御一任を願いたいと思いますが御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

倉石忠雄自由党

○倉石委員長 御異議なしと認めます。よつてその通り決定いたしました。  これにて予算三案に関する議事は全部終了いたしましたが、この際一言ごあいさつを申し上げます。(拍手)  去る二月一日総予算の審議を開始いたしまして以来一箇月有余にわたりまして、委員各位におかれましては、終始活発なる質疑を展開されまして、きわめて熱心に論議を重ねられました。総予算の審議に力をいたされたのでございますが、その間委員長といたしましては、議事の運営につきまして思うてなお及ばざる点多々ありましたことと存ずるのでございます。しかるに委員各位におかれましては、常に大局的見地に立たれまして、互譲の精神をもつて議事の進行に協調され、委員長を御援助くださいました。ここに無事総予算を議了いたしましたことに対しまして、衷心より感謝の意を表する次第であります。(拍手)なお連日審議に努められました各位の御努力に対しまして、ここに深く敬意を表する次第でございます。  一言ごあいさつ申し上げまして、本日はこれにて散会いたします。(拍手)    午後四時五十二分散会      ————◇—————

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