予算委員会 第18号
- 発言数
- 108 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/02/23
会議録
○倉石委員長 これより会議を開きます。 昭和二十九年度一般会計予算外二案を一括議題といたします。質疑を継続いたします。西村直己君。
○西村(直)委員 昨日来問題になつております各種の汚職等の問題で、国会が建設よりはむしろ民主政治をただ、けなして参る、傷つけて参るというような印象が、非常に国民に深く与えられておるのであります。ある発言に至りましては、残念ながら逆に国会の権威に対しまして、国民の疑惑を深めるような形で運行されておるのは、非常に残念な状態でありますが、私どもといたしましては、政治はあくまでも建設へ向つて行かなければならない重要なる段階であると思うのであります。 そこでこの機会に総副理にひとつ所信をお伺いいたしたいのでありますが、今回の予算は特に緊縮政策をとりまして、かなりドラスティックな行き方をとつておる際であります。しかるに一方におきまして、この予算案の審議が遅延するがごとき国会の印象が巷間に伝わりまして、財界あるいは産業界方面等においては、はたして政府のこの強いところの緊縮政策と申しますか、健全政策が実行できるかという不安を非常に流しておるのであります。そこで私としましては、これらの予算を国会としまして審議にあたり、あくまでもこの予算を政府としては貫いて参りたい、またこれを執行して参りたい、こういうお考えを副総理のお立場からお伺いいたしたい。同時にこれらに伴う重要なる法案の一部は出て参つておりますが、たとえて申しますれば、補助金等の整理等に関する法律というような、関係の深い法律案等はいまだ姿が見えていないように思いますが、これらを至急国会に提案されまして審議の促進をはかるように、この点につきまして御所見を承りたいのであります。
○緒方国務大臣 ただいま西村委員からお述べになりましたことは、政府におきましても申すまでもないことであります。予算の審議は、最初私どもが予想いたしました予定にいまだ遅れていないと思いますが、この進行につきましては十分に国会側の御協力をお願いし、かつこれに期待しておる次第であります。今お述べになりました二十九年度の耐乏予算と申しますか、緊縮予算、この通過、執行につきましては、政府としてはかたい決意を持つておりまして、ぜひこれを実現して日本の経済自立の基盤を固めて参りたい、かように考えております。なおそれに伴ういろいろな法律、今御指摘になりました補助金の整理に関する法律というようなものは多少遅れておりますが、今事務当局を督励し、今日にも提案いたしたいということで急でいおるところであります。
○西村(直)委員 さらに大蔵大臣にお伺いいたしたいのでありますが、実は昨今私は一部のこういう考え方を聞いて驚愕いたしたのであります。と申しますのは、たとえば国会の汚職談議等を通じまして、いろいろな献金がなされており、あるいはその中には金融機関の金もある、こういうようなことから、きわめて極左に類するような方面の人たちが、あるいは小さな金融機関の不正を摘発し、同時にそれを通して君たちの預金というようなものは、ことごとく一部の利権屋に流れやすいのであるから、こういうものに対して返済させたらどうか、あるいは投資信託というようなものは、いわゆるドラスティックな政策のもとにおいては、証券界に恐慌が来てしまうから、これらを解除したらどうか、こういうような相当なデマを飛ばすと同時に、これらを通じてたとえば極端なる場合には、預金者大会等を開いて、何ら事情を知らない人たちを集めて扇動して行こう、こういうような計画があると漏れ承つておるところなのであります。もしかかるような事柄によつて、正常なる金融機関というものが混乱に陥れられたならば、この面から来るところのいわゆる政治の建設が、破壊の面に移つてしまうという危険があるのでありまして、この点に対する大蔵大臣の御所見を承つておきたいのであります。
○小笠原国務大臣 正常なる金融機関の預金その他に対しては、政府においても十分な保護を加える所存でございます。従いまして各種の今のようなデマ、そういうような不穏な経済撹乱が起る問題に対しては、厳重、法に基いて処置することにいたしたいと考えております。
○西村(直)委員 次に防衛の問題で、保安庁長官あるいは副総理、外務大臣、大蔵大臣にお伺いいたしたいと思うのであります。昨今国会が他の問題に移りつつありますが、(発言する者多し)私は今回の緊縮予算——委員長、静かにしてください。——国会論議を通じまして最も大事なものは、おそらく防衛の問題であります。言いかえますれば、将来の国の国軍と申しますか、防衛部隊のあり方というものは財政の面におきましてあるいは政治全般の運営の上におきまして、非常に大きな問題であろうと思う。たとえば国内におきまして、なるほど再軍備反対の意見もございましようし、中には再軍備と申しますか、少くとも自衛力を漸増して参ると申しますか、増強して参ると申しますか、こういうようなことについては、深い関心あるいはむしろ進んでかくあるべきだという強い意見も、しかも青少年、婦人の間においてさえもこの認識は高まつておると私は思う。問題は、ただこの人たち、いわゆるこういうような意見を持つ人たちの間でも危惧されておる点が幾つかあるのであります。それは第一には、こういうふうにつくり上げられて行くところのものが、はたして自分達の血とつながりを持つような、言いかえますれば国民的な基盤を持つようなものに育つて行くかどうか。これを端的に申し上げますならば、うつかりすると、アメリカの傭兵みたいにされるのではないか、あるいはもつと極端な言葉でいうならば、日本の国内における外人部隊ではないかというような印象をやはりどつかに持つている、これが一つの大きな危惧であろうと思う。いま一つのこうした自衛力漸増なり、自衛力を強化して行くことを認める前提に対しましても、政府が将来どういう考え方でこれを徐々に育成して参るか、言いかえますれば、自分たちの税金の負担が非常にふえて参るのではないか、あるいはいわゆる内政費等が相当程度将来圧迫に圧迫を続けられて行くのではないか、こういうような点が危惧をされておるのであります。従つてもちろん保安隊と申しますか、自衛隊というものが育つ過程でありますから、将来における的確なる計画はつかないにいたしましても、それらの諸点について国会の予算審議の間におきまして、できるだけ明らかに政府の方も所信をお示しになり、またわれわれの方もこれをお尋ねするのが、本来の責務であると考えるのでありまして、これらの点につきまして三、四御質問を申し上げたいと思うのであります。 従つて第一は、自衛隊と申しますか、現在の保安隊が増強して行く場合において、将来いかなる方向へこれを持つて行くのか。もちろん自衛でありますから国内の自衛ではあるが、同時に集団安全保障との関係はどういうふうに考えて行くのか。ここにたとえば下手をすると、海外へひつぱり出されて、アメリカの傭兵のもとにおいて使われるのじやないかというような声がやはり強く出て来る。もちろん今日の自衛隊というものは、国際的協調性というものを根本において一つ持つていなければならぬとは思いますけれども、同時に、あくまでも国土に合い、国民生活に合う、これをもつと端的に申しますれば、たとえば機動力とか、あるいはその訓練とか、こういうような面において、日本人に、あるいは日本の国土に合うような行き方でもつて基本をつくりつつ、しかも国際的な協調性を保つて行くという線が出ていないといけないのじやないか。最も簡単な例を申し上げますと、今日の保安隊というものは御存じの通り、非常な機動力を持つております機械化部隊であります。従つて車両等たくさんお使いになりますが、日本のこの狭い道路でもつて、たとえば冨士のすそ野で演習をするような場合に、ジープならジープというものがほとんど詰まつてしまつて、につちもさつちも行かない、こういうような状況もときどき私どもは見聞いたすのであります。こういう点におきまして、あくまでも国土と申しますか、現在の日本の状態に合うようなものを基本にしながら、一方において国際的な協調性をある程度保つ、この点をもう少し明確に御説明されなければいかぬのじやないかと思いますが、木村保安庁長官はこの点に対しまして、いかにお考えになりますか。
○木村国務大臣 お答えいたします。ただいまの御質問は、私はまつたく同感であります。 そこでまず申し上げたいのは、私がしばしば言つておりまする通り、わが国は独立国家となつた以上はみずからの手でみずからを守るという体制を整えるべきが理想であります。いずれの国家においても、独立国家たる以上、みずからの手でみずからを守る体制を整えていない国はないはずであります。しかし日本のただいまの現状におきまして、特に財政力その他兵器の生産、各方面から検討いたしまして、かような体制をすぐさまとるということはできないのであります。しかるに国際情勢その他わが国周辺の軍事情勢を見ますと、私は一日もゆるがせにすることができない、こう考えております。そこでやむを得ず外敵の不当な攻撃に対しては、アメリカとの間に、御承知の通り日米安全保障条約を締結いたしまして、アメリカ駐留軍の手によつてこれを守つて行くという現状であります。そこで日本としては一日も早く財政力その他の面を十分考慮いたしまして、私はアメリカの駐留軍の手から離れて、日本が独力で日本を守るという体制をとつて行くべきであると考えておるのであります。ただいまアメリカの傭兵云々のお話がございましたが、国民の一般感情といたしまして、アメリカから武器を借り入れてアメリカ式の訓練をする以上は、さような考えを持たれることもまたやむを得ないと私は思つております。しかし日本の現在の保安隊、将来の自衛隊隊員は、日本的の精神を持ちまして、これはくずれておりません。従いまして日本的の精神を持つておるこの保安隊なり将来の自衛隊員が、日本独特の武器をもつて日本を守るようにすれば、私はほんとうの日本的部隊であるという感覚を、日本国民に与えることになろうと考えております。従いまして、早急に何とかして日本の人に適するような武器を一日も早く生産して、これを持たせるべきが理想であろうと考えております。われわれは全力をあげてその方向に向つております。ただ申し上げたいのは、いかんせん、ただいまのところでは、アメリカから武器を借り入れてそれを一部持たせるよりほかないのであります。さようなことは、私はまことに遺憾と考えております。それと同時に、訓練の方式でありますが、訓練は現在におきましては日本的にやつております。警察予備隊時代においては、遺憾ながらアメリカのいろいろの指導のもとにやつておりましたが、現在ではまつたく日本人が日本的にこれを訓練いたしておりますから、御心配はないと考えております。しこうして日本の地勢その他におきましてまことに遺憾な点があります。今申されました車両を動かす点におきましても、機動力が思うように行きません、事実であります。しかしこれは何といたしましても日本の道路が悪いのであります。私は産業面からも、また日本の治安維持の面から行きましても、早急にこの道路の開発、改修をやらなくてはならぬ。これと両々相まちまして、車両の運搬その他部隊の機動力の発揮を早急にやることが急務であろう、私はこう考えておる次第であります。従いまして、その点につきましてできるだけの努力をいたしたいと考えております。 次に今申されました日本の防衛力の方針、方向はどうであるかというお尋ねでありますが、これは今も申し上げまして通り、早急には参りませんが、いわゆる自衛力漸増方式、日本の財政力その他武器の生産能力その他とにらみ合せまして、わが国に適した方法をもちまして、徐々に自衛力を漸増して行きたい、こう考えておる次第であります。二十九年度予算におきましてもその方向を示したものと御了承願いたいと思います。
○西村(直)委員 なるほど私どもは、防衛生産の面から、必ずしも日本が今欲するような器材を十分生産し得ないことは十分にわかつております。しかしながらでき得る限り、やはり自衛隊となる以上は、日本本来の訓練というものを主体にするように持つて行かなければならない。承るところによれば保安隊の内部にそのために最近モデル部隊というようなものをおつくりになりつつある、いかにしたらアメリカの物量を中心にした——たとえば制圧攻撃というものをやつておる、攻撃ではなくて制圧して行くということ、日本の国土は貧弱であり、物資は貧弱であります。従つて物を有効適切に使つて行くというような訓練は非常に必要ではないかと思うのです。たとえば今の自衛隊を国民的基盤に置くという問題は、私は非常に真剣に取組んでいただかなければならぬ問題だと思う。自衛隊と申しますか、保安隊ができますには、元来がポツダム勅令でできたものであります。国会の審議を経ないでできまして、それから間接侵略からいつの間にか今日直接侵略まで対抗しようと広がつて参つておりますから、これを一面偏屈に解釈いたしますれば、やはり私生児、隠し子ではないかという言葉が出やすいのであります。なるほど自衛力あるいは自衛隊の行動を是認する国民の立場からでも、いま少しこれを国民に近づける努力が私は必要だと思うのでありますが、そのためには私は国防と申しますか自衛の計画というものは、やはり長期にわたつてはなるほど長官の言われるように困難であるかもしれませんけれども、さしあたりのめど程度は国民にお示しになる必要がある。三十年度につきましてはある程度お示しになりましたけれども、私は数字はこれは今日のような国民所得さえもが、そのときそのときによつて多少算定の基準がかわつて参る状況において、数字を重んずる必要はないかもしれませんけれども、めどというものは必要だ。たとえばお伺いしますが、三十年度あるいは三十一度のめどをどこにお置きになるのか、たとえば駐留軍が帰るということを一つのめどにされるのか、あるいは日本の財政経済力の方からめどを主としてお立てになつておるのか、あるいは逆に自衛抵抗と申しますから、外から来るところの直接の何らかの侵略、あるいは国内におけるところの間接侵略というものを対象にする戦略的な要素から主としてお立てになつておるか、この辺のめどをひとつお示し願いたいと思うのでありますが、いかがでありますか。
○木村国務大臣 ごもつともであります。われわれはめどなしに計画を立てているわけではありません。そこでどういう方面からめどを立てるかということでありますが、まずもつて私はその方向といたして、今お話のように単一のめどではありません、種々なめどからこれを総合してやつておるわけであります。いわゆる一つは財政面、一つはアメリカ駐留軍の一部が撤退するという希望はあるのであります。終戦後の軍事情勢の点、国際情勢の点、日本の兵器生産の点、あらゆる点から考慮いたしましてわれわれは計画を立てておるのであります。そこで巷間伝うるところのいわゆる五箇年計画なんかはどうかということでありますが、われわれといたしましては、まつたく長期な防衛計画というものは、いろいろな事情からして立てることは、私は非常な困難であると考えております。しかし最小限度の目標だけは、ただいま研究してこれを立てておる次第であります。近くわれわれは一応のめどだけは確定いたしたい、こう考えております。
○西村(直)委員 私はいま少しこれを具体的に御説明いただきたいと思うのであります。あるいは困難であるかもしれませんけれども、やはり自衛隊というものに発展をして行く以上は、何らかそごに自衛するということを中心にめどを置くのであるか、あるいは国の経済審議庁の計画と申しますか、財政経済の計画から押えられて来るのか、そごらのところをもう少しはつきりされる必要があると思うのであります。特に私が心配いたしておりますのは、日本的な自衛と申しますか、国防というものが、MSAと関連をいたしております。従つてうつかりすると、このMSAの見通しと申しますか、そのいかんによつては日本の自衛力と申しますか、将来にわたつての国防力が振りまわされて行く、そこにも日本が傭兵であるとか、外人部隊であるというような印象を、国民の間に強めて来る可能性が多分にありはしないか、その点MSAに対する最近の状況、ある程度進行しておると思いますが、同時に今後のMSA援助というようなものに対するお見通しを、ひとつ外務大臣ら御発言を願つておきたいと思います。
○岡崎国務大臣 MSAの交渉はほとんど解決に近くなつておりますが、ただ顧問団の数とか、それに要する費用等について今話合いが続けられておるのであります。将来の見通しでありますが、アメリカの政府は毎年MSAの協定を政治的に改めまして、また予算案も毎年別個に計上しておりますから、形式上からいえば、たとえば今年の予算は今年限りのものでありまして、来年を約束するものではないわけでありますが、ただいまの情勢から申しまして、少くともまだ数年、特にわが国のごとく援助を必要とする状況にある国に対しましては、その必要な程度に応じまして、相当の年数は継続して参るものである、こう考えております。
○西村(直)委員 次にお伺いいたしたいのは、副総理に主として、あるいはほかの大臣からもお答えを願いたいと思うのでありますが、どうしてもこういつた実力行動部隊というものが大きくなりますればなりますほど、その存在そのものが政治に影響力を与えやすいのであります。ドイツの革命、ソ連の革命を見ましても、結局革命というような段階におきましては、法律的構成はどうであろうと、実力を持つたものが実力行動に出ることによつて、革命の実際の契機というものは出ておるのであります。私どもが心配いたしておりますのは、この漸次強化されて参りますところの自衛隊と申しますか、これ自体がもちろん政治のもとに置くべきであり、また置くという考え方は当然お述べになるのでありましようけれども、実力部隊であるだけに、こうした国会の否認と申しますか、国会に対して非常に強い批判が高まる機会に、こういうものに外からひもをつけて参りたいという思想、たとえば先般も質問にありました左翼の勢力あるいは極右の勢力というものが、この実力行動部隊に目をつける、日本の国内におきましても二・二六あるいは五・一五事件、これ自体もすでに実力行動部隊に対して絶えずひもを外からつけて参るのであります。この点に対しまして、私は政治優位あるいは文民優位という思想あるいは原則というものは、あくまでも強固に貫かれて行くということが必要であると思うのでありますが、この点につきまして副総理の御所見を承りたいのであります。
○緒方国務大臣 お答えをいたしますが、保安隊が行くく政府の中の政府あるいは昔の軍閥的存在になるおそれがないか、そういうことにならぬように政府としてはどういう考えを持つておるかという御質問のように伺つたのでありますが、旧憲法時代に軍隊が政府から独立した一つの力の存在になつたのには、旧憲法の中にいわゆる統帥権の独立というものを認めておつたことも一つの大きな理由であつたと考えるのであります。その点は、新憲法においてはもちろん軍隊が存在しないと同時に、そういう統帥権というものも認められておりません。でありますが、いずれにしましてもこれが一つの兵器を持ち、だんだんに力になつて参ります以上、よほどその発足の際に注意をしなければ、教育その他の点からあるいは社会的環境から、実際において政府と対立するようなものになるおそれがないと限りません。その点におきましては、この統帥に内閣総理大臣が当る建前になつておることが、一番大きなその弊害を防ぐ制度になつておると考えまするが、さらに現在におきましても保安庁長官を補佐して基本的な方針をきめるものはこれは文民が当る。そうしてその以後の隊務の実際には制服の職員が当るということになつておりまして、その点の用意をしておりますと同時に、個々の隊員の教育につきましても、ただ軍務を教えるだけではなしに、個人としての人格、識見を養うところに特別の注意を払つて、将来は西村君の御懸念になりましたようなことの絶対にないように、あらかじめ万全の注意を払つてやつておる次第でございます。
○西村(直)委員 この点で特に保安庁長官にも十分御考慮願いたいのは、機密保護と申しますか、秘密保護と申しますか、この問題についての御所見を伺つておきたいのであります。なるほどMSA協定を結びますれば、その中に条約の義務として秘密保護の必要性も生じもて参りましようが、同時に自衛隊として漸次大きくなつて参りますれば、あるいは軍機と申しますか、自衛隊の秘密と申しますか、保持したいということも当然でありましようが、私は今日それよりもまして必要なことは、単に自衛隊ができたから何かそこの行動なり、内部のいろいろな関係を秘密にしようとするよりも、まずこれを国民に開放して、できるだけ国民的な基盤に近づけるということ、自衛隊自体がおれたちのものだ、おれたちの血とつながつているものだというような面に御尽力をいただかないと、下手に秘密保護法のようなものをつくると、どうしても自分からおれは秘密のものを持つているのだという自負心がそこに固まり、徒党をつくり過ぎてしまつて、いわゆる国家の政治全体の正常なる運行から離れがちになる。離れがちになつたときには、いかに政治優位の原則をおつくりになつて、長官がこれを把握しておるのだと言つても、実際の出動部隊は別の動きをして来るということをお考え願いたい。この点について秘密保護に対する御所見を承りたい。 いま一つは、最近全国各地で旧軍人と申しますか、在郷軍人会等がいろいろ親睦の形において動いておられることはけつこうでありますが、この層と今の保安隊とが何も関係がない。彼らとしては今の保安隊はアメリカの傭兵だ、外人部隊だといつて、いたずらに白い目で見ている。これも国民の一つの層であります。これらの点をよほど調和をはかりませんと、将来に禍根を残す、保安隊内部に二つ、三つの縦断線をこしらえて来る危険性も私はあると思うのであります。そこでこれらの点に対する御所見を承つておきたいのです。簡単でけつこうです。
○木村国務大臣 お答えいたします。私は常に申し上げておりまする通り、保安隊は国民の保安隊でなければだめだ、それには国民の信頼を得なければならぬ、こう考えてやつておる次第であります。従いまして御承知の通り保安隊は災害のときにはまつ先にこれが出動いたしまして、国民の救済の任に当る、あるいは道路の開発その他学校の校庭等の整備にあたつても保安隊を出してやつております。これも国民とのつながりをつける大きな役割を私は果しておるものと考えております。また部隊の内部につきましてもわれわれは喜んで国民にこれを見ていただきたい、こう考えて、それは着々やつておる次第であります。私は保安隊をふろしきに包んで国民に示さないということは決してやらないつもりであります。従いまして私の考えております秘密保護法にいたしましても、これは決して国民と保安隊を離すような考えは毛頭ありません。ただ私が考えておるのは、将来保安隊で使いまする武器であります。これは新しい武器なんかができるのであります。そういうものをつくりますときに会社へ依頼し、その会社からその秘密が漏れるようなことがあつては相ならぬ、これが心配なのです。これが一つ。それから将来は暗号なんかを使います。そういうものが漏れては困るのであります。また不幸にして保安隊が出動いたしましたときに、その出動の行動なんかが相手国に漏れるようなことがあつては相なりません。これこそ国を破壊に陥れるわけであります。そういうようなごく厳格な意味においての秘密を保持したい、これは私の構想であります。決して旧来の秘密保護法、軍機保護法、ああいうようなものをつくろうという考えは毛頭ない、この点については御安心願いたいと思います。
○西村(直)委員 さらに、これは御意見は将来の問題として残されてけつこうでありますが、実際には各地に旧来の在郷軍人と申しますか、郷軍のような動きがあるのであります。これらが、今回保安庁とされましては法を改正して志願予備制度というようなものをとりましても、これは現在の保安隊の一つの訓練を受けておつて、何らそれらとは関係ができないわけであります。かりに村の一人が帰りまして、保安隊の予備隊員として一年に十日間ぐらい訓練を受けて、一応米式訓練のようなあるいは今の機動部隊のような訓練を忘れずに繰返すにしても、それらと郷土とのつながりは薄いのであります。ここいらをよほど御考究になつて参りませんと、国内において防衛の一つの考え方を持つておる中心になりやすい人間が、民間的なものと保安庁的なものとにわかれる危険性を持つておる、この点は御意見を承らぬでよろしゆうございますが、よほど御研究いただきたいと思うのであります。 いま一つは、承るところによれば、保安庁法を改正する場合において国防会議なるものを設定するやに新聞紙上は伝えております。ところがこの国防会議の中に将来——構成上大体国防会議そのものがはたしてあるべきであるかどうか、これも私は一つの疑問がありますが、時間がございませんから申し上げません。たとえば政治優位でありながら、かたわらに国防会議をつくつて、しかもその中にもし文官あるいは民間人を入れる、民間人の中にかりに将来旧将校等がお入りになるということになりますれば、ここにもまた一つの大きな問題が生じて参るのであります。そこで保安庁が今度入隊者が四万人でございますか、増員が二、三万人、合せまして六万から七万の人間をおとりになろうという場合におきましては、幹部等に旧来の軍人さんをどの程度御採用になるおつもりでありますか、この点について御所信を承つておきたいと思うのであります。
○木村国務大臣 お答えいたします。二十九年度におきましては大体制服が二万人、警備隊員その他を合せまして約三万人ばかりが入隊することになります。大多数は普通の青年からとるわけであります。しかし多少の幹部将校と申しましようか、幹部になるべき人を採用しなければなりません。それにつきましては、大体の構想といたしまして昔のごく若いところ、いわゆる大尉、中尉級の人が相当数入つて来るのではないかと考えております。しかしこれらの人も、大体旧軍隊においては志願その他をした人たちと考えておりますので、いわゆる旧軍人のような色彩の濃厚な人たちは、あまり入つて来ないと私は考えております。私の考えでは旧軍閥の復興というようなことはまず夢物語で、そういうことはあり得ない、こう考えております。
○西村(直)委員 国防会議の問題はどうですか。
○木村国務大臣 国防会議につきましては今構想中でありますが、ごもつともと私は考えるのであります。この保安隊——将来自衛隊になりましようか、それらにつきましては時の内閣が全責任を持つべきものだと私は考えております。従いまして国防会議についていろいろ議論がありますが、まだ結論は出ておりません。十分研究いたしたい、こう考えております。
○西村(直)委員 私はこの国防会議の問題だけはきわめて重要な問題であろうと思うのであります、政治が二元化される危険性がある、いわんや統帥の方向にものが将来流れて来る一つの基盤をこしらえたらいけないのではないか。御存じの通りに保安隊と申しますか、下から国家の行動部隊がわかれて来て、上の方からまたわかれて来るならば、ここに将来の百年の大計において非常な禍根を残す段階が、今日近づきつつあるということを一言申し上げまして、この問題は時間がございませんから後日に譲ります。 なお一つ申し上げておきたいのは、自衛力を拡充して参りますと、国民が心配しておりますのは、また農地を取上げられるのじやないか、あるいはいろいろ徴発があるのじやないかというような意味で——なるほどこういうふうに自衛力を拡充して参りますれば、演習場も必要でありましよう。元来日本が敗戦しましたと同時に旧のいろいろな軍用の土地その他を無計画に放出と申しますか、そこに根本の誤りがあつたのであります。当時何らかの計画を一応立でておく必要はなかつたか。そこで今後国土の総合計画等をお立てになる場合につきましても、これらの観点を十分おかみ合せになりまして考えて行かれませんと、またそこでもつて国民と離れた印象の、いわゆる権力をもつてものを取上げるものができて来るのだという印象が出て来るのでありますが、これらに対して長官のお考え、あるいは国有財産を管理していらつしやる大蔵大臣のお考えを、ちよつと承つて私の質問をとどめたいと思います。
○木村国務大臣 将来自衛隊が拡張いたしました際においての演習地その他の問題でありますが、これは私は常に、無理をしてはいけない、土地の人の十分の納得を得なければやつてはいかぬと申しておるのであります。従いまして私はそういう演習地の取得につきましても、決して無理をさせないのであります。納得をした上でこれをつくりたいと考えます。なおできる限りにおきましては、ただいま駐留軍の持つておりますそういう施設を十分に共同使用したいと考えております。繰返して申し上げますが、無理をせずに十分納得の行く方法でもつて将来いたして行きたい、こう考えております。
○小笠原国務大臣 国有財産のうち、旧軍工廠とかあるいはそういつた関係のものにつきましては、大体におきまして関係各省ともよく打合せた結果、ただいまのところは払下げという方針はとつておりません。貸下げという、もし必要があれば何どきでも政府が使い得るような貸下げという方針をとつておるのでありますが、個々の場合についていつも関係各省相集まりまして相談した上、最後の決定をすることにいたしております。
○倉石委員長 この際数分間休憩いたしますが、このままの姿でお待ちください。 午前十一時二十四分休憩 ————◇————— 午前十一時五十四分開議
○倉石委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。 質疑を継続いたします。小山倉之助君。
○小山委員 通産大臣にお伺いいたしますが、近来石油の値段が非常に高くなつて参りました。これがために農業においてもあるいは漁業においても、石炭から重油に転換した工業においても、非常な困難をなめておるようでありますが、その原因はあるいは思惑によるとかあるいは先高を見込んで売惜しみをしておるとかいう事実もありますが、その一つの原因は、やはりイランから石油が入つて来ないということにもよると思いますが、通産大臣はどのようにお考えになりますか。
○愛知国務大臣 石油の問題につきましては、先般も御疑質がありまして、お答えいたしました通りでございまして、外貨事情等の関係で、将来の需給が逼迫するのではなかろうかというような関係から、価格の高騰等の現象が現在起つておりますが、二十九年度の外貨予算の編成等につきまして、ただいま慎重にその処理方策を考えておるような次第でございます。 それからその原因がイランの問題ではないかという御質問でございましたが、私は現在の状況の原因がイランだけとば考えておりません。しかしながらイランの石油が、あるいはバーター取引の対象とし、あるいはオープン・アカウントの決済方式等によりまして入つて来るということは、それ自体を取上げてみた場合におきましては、非常にけつこうなことだと思いますが、ただこれは総合的、大局的な判断の必要である問題がございまするので、慎重対処いたしたいと考えておるわけでございます。
○小山委員 イランの石油が入つて来れば英米カルテルの石油よりは相当安いと思うのであります。その値段の開きばどのくらいであるか、その点もお伺いいたしたい。そこで出光氏がすでにイランに船を三隻も送つたといわれておりますが、第一隻目は入つたけれども、第二隻目は外貨の割当を通産省において約束したものを繰上げて支給しないために、英米カルテルの方に奪われたといううわさもありますが、それは事実でありますかどうか。
○愛知国務大臣 価格の問題でございますが、これはこれからの引合い、それから決済の方式その他によつてもいろいろかわりますが、従来の例によりますと、国内における売値につきましては、そう大した開きはなかつたようでございます。それから現在の目前の状態につきましてお尋ねがございましたが、これはイランといたしましても、現在イギリスとの間に紛争が起つてもおつたし、一面におきまして、アメリカとの間のいろいろの折衝に対する関係等もあるようでございますから、一概にその関係で日本の方に対する輸出をとめたとかとめないとか、そういうような状態ではございませんで、先方といたしましても、複雑な状態の中におきまして、最もよい条件で取引しようという態度でおるようでございます。
○小山委員 ただいまお尋ねしたのは、出光氏も外貨の割当がなければ向うへ出帆するわけがないと思います。その外貨は幾ら割当ててどういうふうに仕繰つておつたか、通産省の方の落度ではないかと思われる点があるのですが、その点をお伺いいたしたいのであります。
○愛知国務大臣 ただいまのお尋ねは、外貨の割当がなかつたのに積取りに行つたというふうなお尋ねだつたと思いますが、さようなことはないと私は思います。ただ単純な外貨の割当だけではございませんで、たとえばこちらからも輸出リンクと申しますか、バーター的な契約に対する期待というようなものが別個にあり得るのでありますが、今回の場合におきましては、通産省が外貨の割当をやらなかつたのに船が出て行つたということにおいて、通産省の落度があつたとは私は考えておりません。
○小山委員 これも世間のうわさでありますが、外貨の割当は年に四回、十一月、十二月、一月、二月と大体の割当の約束を受けて、出光が向うへ船を送つたそうでありますが、その外貨の割当がないために結局買うことができなかつた、しかも十万ドルという外貨を割当ておつたのに、わずかに一万五千ドルしか与えないので、結局油を買いとることができなかつた。そのために向うから輸入することができなかつた。それで英米カルテルに買われてしまつた。その十万ドルが割当てられたのが、一万五千ドルくらい与えて、あとのものは結局渡されなかつた。その渡さないということについては石炭業者も反対をしたし、カルテルも反対をしたが、通産省の役人が、何らかの圧迫によつて、その約束のドルを渡さなかつたということが原因だと言われておるのでありますが、かような事実があつたとすれば、これは容易ならざる事件であると思うのであります。その点をお伺いいたしたいのであります。
○愛知国務大臣 さようなことではございませんで、おそらく外貨の割当がありました分の中の硬い残りがありましたものについては、これは当然出光としても使えるわけでございます。それ以外に予約をいたしておつたとか、その予約をしておつたものの中で、予約にもかかわらず割当をしなかつたとか、そういうことはございません。むしろ先ほどもちよつと申しましたように、イランの石油をめぐりますところの国際的ないろいろな競争の関係、そういうことの方が原因でありまして、こちらが外貨を必要に応じて割当てなかつた、あるいは予約をしたにかかわらず、割当てなかつたということが原因で、英米等に買われたということはございません。 なおただいま何かそのかげに石炭業者からの運動であるとか、その他の御指摘がありましたが、さような御心配は断じてございません。
○小山委員 それはまことにけつこうでありますが、そうであれば、二月に出帆した船は外貨の割当なくして出帆したのでありますか。外貨でなければ買えない。バーターをして行かなければ買えない。そうすれば船でバーターされるべき向うの必要な物資を運んだのか、あるいは空船で行つて、その外貨でもつて買おうとしたのか。そうすると、向うでデイマレイジを一日百万円も払つておる状態を何と見るか。日本において消費者に安い油を売ることができるのを何と見るか。通産大臣はあまり差がないと申しておりますが、ある場合においては四割も差がある。今日も三割英米カルテルの値段より安いという、そういう安いものを入れて、これを督励して日本の油を安く供給する。また安いものを入れるということになると、それだけ日本の消費者の利益となり、外貨の節約にもなるのであります。貿易において外貨が非常に貴重なものであるこの際に、その外貨の使い方について、私どもはあまり上手でないのじやないかという感じがいたしますので、この点をお伺いするのであります。
○愛知国務大臣 先ほども申しましたように、船が出ましたのは、前回に割当てられました資金の残り分があるので、それで決済をするつもりで出しました。ところがその船がいろいろの関係で遅れたというようなことが一つの原因になつて、たまたまイランの鶏においてのいろいろな他国との関係などが、向うできめ切れないような状態もありましたので、その関係が錯綜いたしまして、横取りが予定通りできなかつたというような事情はあるようでございます。なおこれらの点につきましては、御指摘がございましたから、さらにこまかく調査もいたしまするし、外貨の使い方等につきましては、今後ともできるだけ御趣旨に沿うようにいたしたいと存じます。
○小山委員 イランは紛争のちまたであるということは先般承知でなければなりません。モサデグからザヘデイに政権が移りましてから、アングロ・イラニアンとイギリス、アメリカとの交渉が非常に複雑をきわめたということは当然のことでありまして、その間危険を冒して日本の船は出帆したのであります。十万ドルの外貨の割当がなければ石油の買付ができないで船を停船させて、高いデイマレイジを払わなければならぬという危険を冒したのでありますから、こういう危険を冒させるということは、役所としてはあまり親切なやり方ではない。向うへ荷物を持つて行つて、その荷物とバーターして買つて来るというならば、それは向うの腕でもつてやり得ることでありますが、そういうようにおつぽり出しでいいものかどうかということについて、もつと手ぎわよく行くものではないかと私は考えるのであります。 そこで岡崎外務大臣にお尋ねしたいのでありますが、日英通商協定においては、モサデグの場合に紛糾したものが、ザヘデイの時代に解決した。しかし五百万トンを限つて開鑿することを許しておる。そのうちイランの政府はその一割だけ自由に処分することができる。すなわちその一割というのは、五百万トンのうち五十万トンだけは日本へ輸出してもいいという契約ではないかと思われますが、かような事実がありますかどうか。しこうしてまたイランから積み出す油は、アラビアとアメリカたけに限られたということでありますが、アラビアとアメリカだけであれば、イランは入らないのかどうか。イランからの油はどこかでトランシップされるのか、あるいはパイプでハイフアに出して、それから積み出そうとするのか。そういう契約があると聞いておりますが、その事実と、どういう契約が結ばれておるか、この点をお伺いいたしたい。
○岡崎国務大臣 大体イランとイギリス及びアメリカとの話合いは、コンソーテイアムと申しておりますが、英米の一極の合弁会社をつくりまして、それに販売権を与える、国内における石油の開発等はイラン政府でやる、こういう趣旨の話合いを進めておるようでありまするが、まだ結論にはなかなか到達しないようであります。現地からの報告でも、その他の関係国からの報告でも、おつしやるような具体的な話合いが成立したとはとうてい考えられません。また今の模様では、初めは五百万トンになるかどうですか、比較的少い額でありましようが、二、三年もたてばもつと多くの石油が生産される見込みのように聞いております。特に一割とか五分かをイランの自由販売にするという要望もなされておるようでありますが、はたしてそれが成立するかどうか、やや疑わしいのじやないかというふうに思われておりまして、どうもただいまのところはそれほど進んでいないように見受けられます。
○小山委員 御承知の通り、イランへは最初一隻で油を積んで入つて来たんです。第二隻目は英米カルテルに買われてしまつて、これが日本に入つて来るという状態、第三隻目は、今日の状態ではデイマレイジを一日百万円ずつ払つて、イランの港に碇泊しているという状態であると聞いておるのであります。御承知の通り、アングロ・イラニアンの生産力は五荷万や千バーレルではない。非常に尨大なものであると私は聞いておるのであつて、ただいま正確な数字を持つておりませんが、よほどのものだ。ですからそういう会社と連絡をとる。ことにイランの政府は日本に対しては相当の同情を持つているはずです。日本の機械類あるいはコツトン・グッズ、そういう日本の商品を買い入れよう、バーターでやろう、こういう大得意でありますから、日本の貿易政策、経済外交というものはそういうように向けて行かなければならぬ。ドイツのやり方はどこへ行つても進出して行くというやり方なんである。御承知の通り、ドイツ人はブラジルへ行けばブラジル語を学ぶ、イランへ行けばイラン語を学ぶ、支那へ行けば支那語を学ぶ。日本の商人のようにその国へ商売に行つてその国の言葉を何年いても覚えないでいるというようなことではないのでありまして、ことに親しみのあるいわゆる中東地域でありますから、私はこういう外交政策はあまりイギリスなどに遠慮せずに、ドイツのやつているようにぐんぐん進めて行くべきじやないか。もう中東、近東地方においてもアメリカ、イギリスに遠慮せずにどんどんドイツは進んで、今日はあの辺の市場を英米に相当食い込んだということも伝えられているのでありますから、私はそういうふうな政策をとつていただきたいと思うのであります。そこで私の調べたところによりますと、二十七年度においては外貨八千八百万ドルほど使いました。二十八年度においては一億四千万ドル、二十九年度においては、一億六、七千万ドル程度の石油を輸入する計画でいると伝えられている。しこうしてその半分はカルテルから買い、あとの半分はイランから買うというようなことが計画にあると伝えられておりますが、このイランから買い入れることは同時に日本の物資が行く、同町にまた安い油を入れるのでありますから、それだけ外貨の節約ができる。こういうことになるのでありますから、私はもしそういう場合に、あるいは石炭業者の圧迫によるとかあるいは役人の間に割当てるべきその外貨を割当てないでいるというような、そういう怠慢なやり方では、日本の貿易の非常に緊迫している状態を救済することはできないじやないか、一段の御努力を願いたいと思うのでありまして、その点について二言お伺いいたしたいのであります。
○愛知国務大臣 まことにごもつともでございまして、これは総合燃料対策の立場から申しましても、油類はどうしてもある程度は入れなければならぬわけであります。従いましてその入れまする場合に、一番外貨が節約できて、またただいまも御指摘のように、輸出とこれを結びつけてとれるというような意味におきましては、一番最初にも申しましたように、イランの石油の現状というものは日本としては非常に意味が深いものでございます。従つてこの石油だけの立場あるいは輸出ということから申しますと、イランの石油をできるだけ買いたいというのは、私どもの偽わらざる気持であります。ただこれも御指摘がございましたように、いろいろその他の経済外交貿易の伸張をはかりたいという問題もございますので、同時に大局的な総合的な判断を加えまして、その方に支障のない程度におきまして、イランの石油に期待をいたして行きたい、こういうふうに考えているわけであります。
○小山委員 通産大臣にお伺いいたしたいのですが、今までは重油を輸入するかあるいはガソリンを輸入するかということになつているのですか、それよりもつとロー・オイル、クルード・オイルと申しますか、こつちが輸入することになれば、それからガソリンもできればあるいはランプ・オイルもできれはマシン・オイルもできればフユエル・オイルもできるというぐあいに 〔倉石委員長退席、小峯委員長代理着席〕 日本のつまりリフアイナリーの工場を生かして行けるということになると思いますが、クルード・オイルを入れる手段を講じておられますかどうか、その点をちよつと承りたい。
○愛知国務大臣 まことにごもつともでございまして、考え方といたしましてはできるだけ原油を入れるという考え方で今後も参りたいと思つております。
○小山委員 私は今度は方面をかえましていろいろ御質問申し上げたい点がありますが、主として副総理の御答弁を願いたいのであります。 この議会はほとんど汚職、疑獄というような問題が論議されて参りまして、私どもは多くの事実を知ることができたのであります。その中でこの汚職とかこれに関連を持つような問題は今まであまりに言い古されましたから、私はかような問題には今日は触れません。ただこの議会の中で質問応答の間に私どもの得た問題は、教員組合の活動が非常に猛烈をきわめているという事実であります。しかもこの教員組合は乏しい中から毎月給料から百円ずつ差引かれて、その金は年間を通じて六億円にも上る、そういう金が積りつもつて十数億円の預金があるということさえいわれているのであります。この金はどういうふうに使われているかと申しますと、社会党左派の選挙資金に使われている、また多くの部分は議会の闘争資金として使われている。私どもは闘争資金の寄付を受けなければ、選挙のときもそういう厖大な金を受ける機会がないのでありますが、社会党左派の諸君はまことに幸福な立場に私は置かれているような気がするのであります。かように教員組合のこの零細な金が、そういう政治資金に使われているということは、これは実に驚くべき事実でありまして、これは公務員法によりますとそういうことを禁じているように見える。ところがその禁じていることが実行されているのでありまして、それでは法律をいくらつくつても、実行しないような法律ではしようがない。法律ができたらばその法律を実行さえすればよろしい。金と活動の連絡というものは非常に強い。金をもらつて働いているといろいろなことをやります。そういうところから社会党のごとく強力なる議会における勢力が、この教員組合運動の背景となつていろいろ工作するということになつたならば、これはどういう結果になるのです。しかもこの教員の中には、赤化をしようというので子供から共産党の教育をしている。今日現実に成功しないとしても、他日この青年が日本を赤化する原動力となつて来るおそれがあるのであります。この点につきまして労働大臣は、あるいはこの点は田中久雄君から本会議において質問があると存じますが、公務員法第百三条第一項並びに三十六条第三項第三号について御所見を伺いたいと存じます。
○小坂国務大臣 お答えいたします。日教組の場合につきましては、教職員団体の連合体とも認められるのであります。また総評の場合は、労働組合の連合体とも認めかねるのであります。御承知のように、教職員は町村においてそれぞれ教職員団体をつくることはできますし、県単位に連合体をつくることもできるわけであります。それ以上に、国の単位においての連合体というものは、法律上の根拠はないわけであります。また労働組合の場合でも、総評は中央労働委員会に対しても組合の届出をしておりません、またその許可も得ておりませんので、いわゆる労働組合法上の団体とは認めがたいのであります。従いましてその活動に対する規制も、これはいわゆる憲法の結社の自由によるものでございますから、特別のものを持ちません。但し、一般的に言えますことは、やはりそうした結社というものが組合員の生活の向上を目的とし、またその経済的地位の向上、増進を目的としております以上、それを逸脱いたしまして、いわゆる政治的偏向にのみ走つて、特定のものを支持するということは、私どもは好ましいことでない、またそれは組合員自身が必ずしも望むことではない、私はこういうふうに考えております。
○小山委員 ただいま私の申しました法律の適用は、教職員組合がある政党に莫大な寄付をするということに当らないのでありますか、これで取締りはできないのでありますか。
○小坂国務大臣 申し落したのでございますが、この教職員団体が町村単位で組合をつくります場合には、文書による協定がなされなければ組合費を差引くとができないのであります。による協定があるかどうか。またそれが教職員の場合であれば、地方教育委員会に関する問題であろうかと思うのであります。 なおお尋ねは、百二条の「職員は、政党又は政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法を以てするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除く外、人事院規則で定める政治的行為をしてはならない。」ということに触れるかどうかということでございますが、これはやはり政治資金規正法の届出をしておるのでございましようから、その行動の個々の場合の認定にまつほかはない、こういうふうに考えております。
○小山委員 個々の場合についてそのことをお調べになつて認定をしたことがありますか。そういうことでは、法網をくぐつて保全経済会のような高利貸が跋扈するのと同じなのだ。法律をたくさんつくつて——その法が多過ぎるので、だれも法律なんかしつかり見る人はありません。ことに教員などは大部分は知らない、純真な者が多い。こういう盲点をついて、その中央部における赤化を目的としておる強力な団体は、巨額の金を使つて運動をしておる。そうして裏面の工作をして今日のような状態に陥れているということは、政府の怠慢といわなければならぬ。その点をひとつ十分御研究願いたい。そうして将来これに対するりつぱな方策をとつてもらいたい。もしこの方策がとれるならば、今度の教員法なんか出さなくてもよいかもしれない。最も大事なポイントです。金を寄付して、その金で政治家または運動員を養つておいて、そうして政治運動をさせるというその根本の組織に対して斧鉞を加えなければならぬ。そこに十分なる研究を進めて行かなければならぬと思うのでありますが、ただいまの労働大臣の御答弁は、はなはだ不明確であつて、私は承服するわけには行かないのであります。もつと明確にお答えを願いたい。
○小坂国務大臣 国家公務員の場合におきましては、これは人事院規則の定めるところの例外に当るかどうかという問題でございますので、労働省としましては、一応人事院の認定があつてその後においてどう指導するかという立場におるものでございますから、今のようなお答えを申し上げた次第であります。地方の場合はもちろん地方公務員法の適用でございまして、これはやはり自治庁長官において認定すべき問題であります。私どもとしましては、その結果によつてまた種々考究するわけでございますが、今の御指摘の点は私どもも十分平素より考慮しておる問題でございます。なお、御注意もございましたので、一層誤りなきを期したいと思います。
○小山委員 私は数次アメリカの大官と会見する機会を得たのでありますが、これらの人々が非常に憂えておる点は、日本はその地理的な地位から見て共産主義の国に囲まれておるじやないか。朝鮮は大統領スンマン・リーによつて共産主義に対する強力な対抗をしておるけれども、南鮮といえどもいろいろな事件を起しておることから見ると、やはり共産党の分子がおるのじやないか。こういう疑いを持つておるようであります。われわれはほとんど地域的には共産地域に囲まれておる。そうして内側には共産党の勢力は、教員組合を通して猛烈に行われておる、労働組合を通してストライキが行われておる、こういうふうな状態であります。また日本の「さど」という四百トンの船が、朝鮮の二百トンの船に拿捕されたとか、あるいは李ラインというものを引いて、日本の漁船の漁獲することを妨げるためこれを拿捕しておるとか——南鮮と日本は唇歯輔車でどこまでも助け合わなければならぬ間柄なのです。日本と朝鮮が協力することが、朝鮮のためでもあり、また朝鮮の自立のためにもなり、日本のためにもなる。しかるに下々の者が何となく日本と協力しないような態度を示しておるのは、あるいは南鮮といえども李の力をもつてしても共産主義化することを妨げない点があるのじやないか。それが結局李大統領の本旨にそむいて日本との葛藤を惹起するように、ここにくさびを打つて行くのじやないかということさえ疑われるのでありますが、この点について外務大臣の御所見はいかがでありましようか。朝鮮南部の赤化もなかなか猛烈だということをお感じになるかどうか。
○岡崎国務大臣 お話のように、李承晩大統領も、昨年お正月に東京に参りましたときに、自分といえども日本が初めからきらいなわけじやない。しかしながらただいまは共産陣営というものに日本も朝鮮も対峙しておる状況であつて、その日本と朝鮮が手を携えて行けないというりくつはどこにもない。その意味で日韓提携を行いたいという趣旨を述べられて、吉田総理もまつたくその通りであると言われたのであります。今でも私はその通りだと思つております。そこで南鮮方面におきましても、いろいろの意味でおつしやつたような事態が起つておりますが、それが一番民衆にわかりやすく言われておることば、むしろ朝鮮は共産主義の侵略に身をもつて当つて苦しんでおる。日本はその間に乗じて特需その他の方法で、むして朝鮮事変をもつけの幸いということで利益を得ておる。しかも国内にはいろいろの者がおつて、なかく南鮮と一緒になつて、身命を賭して共産陣営に当ろうという態度でない。むしろ日和見的であるというようなことから、日本信ずるに足らずというような宣伝も非常に行われておるようでありまして、やり方は非常に巧妙でありますが、それがどの程度共産主義者の宣伝であり、どの程度普通一般の感情であるかということは判断しにくいのでありますが、おそらくおつしやるようなことは、あそこは陸地続きで、北鮮からも自由に入れるような事情でありますから、あるだろうということは当然想像されるのであります。この点もわれわれは十分注意する必要があると考えております。
○小山委員 そこで今日本で赤化を防ぐ二つの手段は、教育界の粛正と労働組合の反省であると私は思うのであります。今日は労働組合の協力、労働者、勤労者諸君の協力を得るにあらざれば、日本の産業というものは興りません。ですからこの労働組合の協力を求めようとしてみんな真剣になつておるのです。しかし労働組合それ自身と企業家と問題が起つた場合に、他人の仲介なくしてお互いに話し合うと問題がすぐ解決する。しかしその背後にこれをそそのかしたり教唆したり、いろいろな策を授けておる、そんな勢力があります、つまりほかの分子が入る。平たく言えば政治的解決を求めようとするとこれはなかなか困難であります。私も多くの経験がありますが、労働者諸君としんみり話をしますと、これはすぐ解決する。ほかの者が入つて来ると必ず紛糾いたします。そこでドイツでは、労働組合は政治資金を支出することを許さないという規則があると聞いておりますが、もしこれができたならば、私は労働問題というものは相当容易に解決し得ると思う。労働組合というものは元来は労働者の利益、すなわち給料問題その待遇改善の問題の解決がおもでありまして、それに政治的の色彩が入ると、はてしがない。ドイツでは労働者と企業家が一緒になつて、ストライキを起さない。そこで経営者は労働者の企業参加を認めてお互いに協力する、こういう体制は労働者が協力するという意思が表明されて、これが実現されておるからできるのです。ところが日本では、ほとんど労働組合の幹部は年中行事としてストライキを事としておる。年中行事であるということば、そういう資金がどこから出て来るか。 〔「大きなことを言うな」と呼ぶ者あり〕
○小峯委員長代理 静粛に願います。
○小山委員 やはり労働組合から出て来るのでありましよう。これは最近朝日新聞の記事で見たのですが、衆議院副議長の原彪君がその座談会において、日本の議員の一部の者は、社会党左派の諸君の多数は、多く労働組合から借金をして選挙に出ておると言つておるが、おそらくはまた借金をして闘争資金に充てておるのじやないか。ですからなかなか活発であります。議会においても、御婦人なんかもばかにやじを飛ばされまして、これはなかなか活発なやり方であります。それから赤旗を立ててデモをやつておりますが、まことに盛んなものであります。ですからどうしてもドイツのように、労働組合は政治資金を出してはならぬ、政治運動に関与してはならぬ、こういうことになれば、私は企業家は喜んで労働者の賃金を上げることも企業に参加もさせて行くだろうと思う。ストライキがあまりに起ると、アメリカのようなああいう国でさえも、鉄鋼のストライキが起つたり、石炭のストライキが起つたときは、企業家も政治家も真剣になつて解決した。米国のような富強な国であつても影響は相当に大きいからであります。その米国におけるストライキの影響の深刻であつたということは、社会党の諸君も御承知であろうと思う。これは最近の目新しい事実である。労働組合がいくら騒いでも、ストライキが起つても、アメリカのように、そんなことに驚かないほどの貯蓄もあり、資源も豊富であり、機械も優秀であればこれが損害に耐えることができる。日本のようなけば吹飛ぶような底の浅い経済、ストライキが起ればすぐにつぶれるような事業界におきましては、労働組合の指導者こそは、この国の経済の復興のために協力することがほんとうだ、反省することがほんとうなんだ。それに何ぞや、労働指導者のうちにはストライキをやりながら、また陰では協定するなんと言つて資本家をおどかして、多少のお恵み金をもらつて生活しておるというような者もあるといううわさがある状態では、日本の今後は、まことに憂慮にたえざるものがあります。私はこの点において、日本の労働組合並びに労働組合の指導者諸君は、ぜひこの際ひとつ御反省を願いたいと思う。 〔「労働者に反省を求める前に、まず日経連総会でやつてくださいよ」と呼ぶ者あり〕
○小峯委員長代理 静粛に願います。
○小山委員 日経連やその他の経営者の悪いことは、船をつくれと言つてやればその船が横道に入つてしまう。これはもう言いあきたですから、今日は残つた社会党の諸君について申上げます。社会党は再軍備は反対だ、憲法は向うから付与された、預けられたものであるにかかわらず、この憲法を守ろうなんと言つておることは、これはもう実に奇妙な現象であります。ですからどうしてもここで私は、このように政治界も教育界も、企業家も教育者も、日本を守るという真剣な気持にならないような今日の状態においては、吉田総理大臣は相当の覚悟をもつて政界の粛正に当らなければならぬと思う。ところが総理大臣は、御承知のごとく、私はしばしば指摘したのでありますが、憲法に対する考えも、自衛軍に対する考えも、行政改革に対する態度もすこぶる消極的です。国民の盛り上つた力に乗じてやろう、こういうのです。そんな指導者はありません。指導者はみんな陣頭に立つて国民を率いる、そして自分の考えがいいか悪いかということを国民に問うて初めてそこに国民の共鳴を得る。しかるに内輪にすわつておつて、そして議会の答弁なんかもまことに不親切なんだ。何といつてもこれは民主政治家じやない。あまりに消極的なんだ。ところが消極的かと思うとすこぶる積極的な面もある。料理屋なんかをたくさんこしらえたり、それから大臣の首切りも、自分のよごれた白たびをかえるようなぐあいに大臣諸公をむちやくちやにかえて行く。そんなようなぐあいで、一方においては非常に勇敢なところもある。積極的なところもありますけれども、今の国家の重大なる問題については、民の声を聞いてそれに追随するというような態度、それが今日の腐敗堕落を来し、外国から侮りを受け、外国をして日本を信頼せしめないような状況に立つて来ておるのでありますから、この際総理大臣はぜひこの時局にかんがみて何らかの構想を練つていただきたい。現在の総理大臣は歴史上において最大の権力を持つております。この権力を縦横無尽に振つておられるのは吉田総理大臣であります。この時局に顧みて、あるいは解散を断行して野党に恐怖を与えるというようなことも考えておるかもしれない。しかし今日はそんなことに驚く者はありません。今日はそういうことに反抗する力こそあれ、決してそんなものに驚いてはいません。国民はあのキリノとマグサイサイの選挙の結果を見ております。キリノは大いなる権力、金力をもつて、警察力をもつて選挙を争いましたけれども、結局国民の憤りを買つて、マグサイサイの大勝利となつた。マグサイサイは自分の財産はこれだけある、一万三千七百ドルかの、金があるということを国民に発表して、そうしてクリーン・ガヴアメントをつくろうということを理想として国民にまみえています。クリーン・ガヴアメントとは何であるか。洗いざらしたきれいな着物というぐあいに、きれいな内閣をろくろうというのであります。私どもは今日日本の自衛力の漸増に反対する政党と闘わなければならぬ。日本の子供たちを赤色化しようという、それを援助する政党と闘わなければならぬのであります。私どもはそういう覚悟をしておる。この内閣の中にも、私は多くの尊敬すべき閣僚がおられることを承知しております。また予算委員会に連なるところの自由党の代表者の諸君ことごとく尊敬に値する人々であります。おそらくは社会党にも相当の人がおります。なぜこういう人を糾合して、クリーン・ガヴアメントができてないのであろうか。その用意があるかいなか。副総理は代理としてひとつ明確なるお答えを願いたい。
○緒方国務大臣 今お述べになりましたクリーン・ガヴアメントという考えは、私も非常に賛成なのでありますが、しかし小山君の御質問は、政府が危機に瀕しておるとか、あるいは政界が非常に不安であるという前提のもとにお立ちになつておると思いますけれども、私ども政府におります者は、今の政界が特に不安であるとは考えておりません。政局が何となしにおちつかないということは、十分な多数を今の政府が持つていない——昨年四月の総選挙の結果が政府与党に十分の多数、すなわち過半数を与えていなかつたことに、今日の何がしかの政局の不安というものがあるように考えております。 そこで政府といたしましては、先般来政局の安定というものを施政の一つの方針といたしまして、いわゆるわれわれが言う同憂の諸勢力の組合を考えて参り、先般鳩山自由党が幸いにわれわれの意見に同調してくれて、やや半数に近いものになつたのでありますが、なおこれをもつて政局が安定しておるとは思いません。そこで当時自由党の声明書にもありましたように、将来同憂の諸勢力がわれわれの方に来り投じてくれることを期待しておるということを言うたのでありますが、その考えは今も当時と同じでありまして、改進党の各位も大体において自由党と同じようなお考えを持つておりはせぬかと思います。もしこの時局につき不安をお感じになりますならば、こういう際にこそお互いに同調してもらいたい、心からそういうふうに考えております。 大体議院民主制のもとにおきましては、総選挙の結果これを信頼するのでなければ、議院民主制は立つて行けない、今の国会内の勢力と国会外と考えが違つておるぞ、人心が離反しておるぞということでは、私は意味をなさないと思います。また国会の多数少数によります多数決、これを信じて行かなければ、議院民主制は成り立たない、そういう意味におきましてクリーン.ガヴアメントということは、もちろん私は非常に賛成でございますけれども、今どうしようという考えは、実は政府として持つていないのであります。以上お答えといたします。
○小山委員 御承知の通り、今日は社会党といえども、いかなる政党でも、このままではいかぬということはたれでも考えておる。しかし吉田内閣はこの前の選挙では敗れたのであります。この前の選挙では敗れて、ほかの党派の者をただひぱつて入れた。そういうことです。もともと一緒のものでありますから、また元に返るのはほんとうですけれども、しかし選挙で争つて出て来たその少数の鳩山党というものはあなたの方に合併されたが、何というか、腐敗、堕落、疑獄で、吉田内閣はほとんど全身糜爛、こういう腰はだれも抱けません。そこでもしそういうことをするならば、吉田総理大臣みずから職にありついて、権力を握つてやることも一つの方法たが、このクリーン・ガヴアメントをつくる際には、みずからしりぞくということも一つの方法である。これは国家に奉公するゆえんである。内部においては赤化されようとし、また争議が続出する。この危局を切り抜けるというのには、どうしても大いなる覚悟をしなければならぬ。吉田さんばしりぞいて、そういうクリーン・ガヴアメントができるならば、吉田さんの晩年を飾るゆえんである。とどまつておるだけが国家に奉公するゆえんでもなければ、民族に奉公するゆえんでもありません。今のような状態ではクリーン・ガヴアメントをつくろうとしてもそれはできない相談である。またかき集めて買収でもしたらできるかもしれませんが、そんなものでは少数である。天下の広居に立つてわれわれが決心するという場合には、そこにやはりクリーン・ガヴアメントのできるそういう人物を糾合すればよろしい。そういう構想で行くのでありますから、どこまでもおれがやらなければならぬといつても、もうすでに人心は離れておるということはこの前の選挙でわかる。今度わずかに多数を得ておるのは、自分らのほかの元一緒にいた党派を合併したのにすぎない。そこにわれわれのようなふところの軽いが、今度の疑獄にも何ら関係のないような、まつたくインノセントな人間を集めて行かなければ、ほんとうのクリーンになりません。そこでそれにはりつぱな人がたくさんおる。吉田さん、大野さんのような親分はだだとか、あるいは今度のラストボロフ事件についても関連しておる、そういうような人たちがおつては、そういう非常な濃厚な人がおつては、クリーンではない。そこに入つて行けばわれわれがまたどろまみれになるという結果になるのであるから、私はことに吉田総理大臣は大死一番、国家のため、民族のため、マグサイサイのやつたようなクリーン・ガヴアメントをつくるぞという非常に大きな決心をもつて立たれんことを希望するのであります。これにはお答えができないでしようが、あなた個人のお考えはどうでありますか、クリーン・メンバーの一人としての副総理にお尋ねいたします。
○緒方国務大臣 ただいまの御質問の中に、政府の中にラストボロフの事件の関係者があるごとき御発言がありましたが、それは何か根拠がありますでしようか。
○小山委員 これは根拠がないです。ないが、読売新聞には、某大官か議員で、KIという人があるということを書いてある。KI、これが二人であれば、その人に当るかどうかわかりません。しかし一人であれば、どうも似通つたものがありまして、だから私はそういう疑いかあると申し上げたのであります。
○緒方国務大臣 先ほどのお言葉では、疑いがあるという形容詞がついていなかつたのでありますが、新聞にもしKIということで何か根拠がありとするならば、それを聞きたださなければなりません。これは事重大であります。ラストボロフというものは、私は事件の内容をよく知りませんけれども、何がしか昔で言えば売国的なことであるかのようなふうに見えるのであります。それに政府、特に今の御口吻では、閣僚の一人のように響いたのでありますが、閣僚がこれに関係しておるかのごとき御断定をなされることは、はなはだ私は軽率であると思います。
○小山委員 新聞に出ていたイニシャルを申し上げたのです。
○緒方国務大臣 新聞をそのまま言うのだということをはつきりおつしやれば、それでけつこうです。
○小峯委員長代理 この際御報告いたします。先日委員長に御一任を願いました分科会の区分及び主査の選任については、次の通り決定いたしました。 第一分科会、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府(経済審議庁を除く)、法務省及び大蔵省所管並びに他の分科会の所管以外の事項、主査尾関義一君。 第二分科会、文部省、厚生省及び労働者所管、主査庄司一郎君。 第三分科会、経済審議庁、外務省、農林省及び通商産業省所管、主査西村直己君。 第四分科会、運輸省、郵政省及び建設省所管、主査山本勝市君。 以上の通りであります。 なお同じく委員長に御一任を願いました分科員の配置は、公報をもつてお知らせいたします。 なお分科会は理事会の申合せによりまして、明二十四日から開くことにいたします。 それでは一時間ほど休みまして再開するつもりでありますが、それまでに本会議が開会になりましたならば、本会議の方に入るようにいたします。なおきようはおそく深夜に及びましても、予定の質問を全部終了するつもりであります。 暫時休憩いたします。 午後零時五十三分休憩 ————◇————— 午後二時二十九分開議
○倉石委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。 質疑を継続いたします。足鹿覺君。
○足鹿委員 私は今国会の重要大法案といわれておりますうちの警察法の問題につきまして、主として副総理並びに犬養法務大臣、関係閣僚にお尋ねをいたしたいのであります。 今回の警察法の根本的改正につきましては、いろいろ論議がだんだん白熱化して参つておるのでありますが、その根本的な問題としましては、このたびの新警察法が、憲法における人間の自由と思想を保障する精神を阻害しはしないかという点が大きな一点であり、次の問題は、地方分権の真義を没却して中央集権的な警察国家への道を大きく開くものではないか、ここに大きな二つの問題が横たわつておると思うのであります。政府は、さきに知事の官選について総理大臣がその見解を発表し、また個々の関係閣僚も、知事の官選を妥当とする旨をしばしば言明されておりまするが、今回の第十九国会にあたりましては、一応輿論の反撃や、またいろいろな点を考慮されたか、見送つておられるようであります。この問題は、地方自治体の公共団体としての性格を変更し、特別公共団体への意味を含ませた地方自治法の改正をやがて行い、かつ今回の警察法の改正と並行して、中央集権的ないわゆる警察国家への道を進むのではないか、かように考えられるのでありまして、ただ単に警察法をのみ問題とするよりも、政府のこういう一連の施策との関連において、この警察法の改正を一段とわれわれは重要視いたすのでありますが、緒方副総理は、そういつた地方自治体を特別公共団体にする点について、現在いかようにお考えになつておりまするか、この点を最初にお伺いをいたしたいのであります。
○緒方国務大臣 お尋ねにお答えをいたします。今回の警察法の改正が、行く行く警察国家に導いて行くのではないか。特に総理大臣が、先般地方の新聞記者会談におきまして、知事の官選論を話しておつた。それと両々相関連して、そういう懸念が非常に多いという御質問と承りましたが、今回の警察法の改正におきましては、自治警察を廃止いたしますると同時に、国家地方警察もこれを廃止いたしまして、府県単位の警察にするのがその骨子でありまして、現在の警察制度は占領政策の一環として制定されたものでありまするが、やはり自治警察には、自治警察の持つておりまする非常な長所がある。その自治体の住民と非常に親しめやすい長所がありますし、その他いろいろな長所がありまするので、その長所は生かしながら、この警察制度の持つておりまする不備欠陥というものを補つて、そうして警察の能率化と警察責任の明確化を期しようという趣旨でありまして、われわれ個人としてだけでなく、日本としても、いわゆる警察国家というものについては相当にがい経験を持つておりまするだけに、政府としてはこれをきつかけに警察国家に導くという考えは少しも持つておりません。 〔委員長退席、西村(直)委員長代理着席〕 それから知事の官選論でありまするが、これは新聞を通して見ました以外に、総理がどういうふうな具体的な考えを持つておられるか、私は聞いたことがございません。いずれにしましても、これは地方制度の根幹に触れる問題で、軽々にさわるわけには参らない。なお総理の話以前から、この問題につきましては、地方制度調査会で一応検討を経ようということになつておりまして、近く地方制度調査会でも検討をして、答申を得ることになつておりますので、その答申を見た上で、政府がどういう態度をとるかということはきめたいと考えております。
○足鹿委員 総理がしばしば申されたことについては、個人的な意見で、政府としては関知しないということでございます。しかし塚田自治庁長官も、先回別な委員会において、やはり総理の見解を支持する、自分も個人としては同感であるということをはつきりと申しておられます。所管大臣として知事の官選について賛意を表し、かつまた現在の町村合併促進法の問題と関連をいたしまして、道州制の問題を私どもお尋ねいたした際に、道州制を実現するまでに、府県の性格を変更して国家機構の一環とし、その行政区画等についても、相当変更をした後道州制等の点も考うべきであろうという意味のことを言つておられるのであります。これはただ単なる新聞等における談話ではなくして、国会の委員会においてそういう見解を表明しておられるのでありまして、所管大臣としての発言であり、私どもは重要視しておつたのであります。 たまたま今回の警察権、従来の自治体警察と国家地方警察を一本にして、警察機能の向上発揮ということを言つておられるのであります。やはり公安委員会を一応表面に立てて、自治体警察の形を残しておる、とこういうふうに言いながら、事実において政府は、府県の統合の問題、あるいはその性格変更の問題、進んで道州制の問題等にまで検討を加えておるということで、いかように副総理がおつしやられても、総理といえども御否定できないと思うのであります。そういうふうに、一方において地方自治体が、今ただちにではなくとしても、近い将来において大きな変更、しかも府県の自治体の性格を特別公共団体的な性格にかえて行くという方向が大体において看取できるのであります。そういう際に、今回の警察法の改正がもし通過をいたしますならば、これはもうまごうかたなく警察国家への大きな前進であるということになろうと思うのであります。そういう点で、緒方副総理は、現在の地方自治法はそう軽々に変更あるいは改正すべきものではない、慎重を要するという意味のことを言われましたが、しからばただいま私が述べましたような、いわゆる都道府県の性格の変更、あるいは区域の再編成、あるいは道州制というような問題について、まつたく政府としては白紙である、とこういうふうに理解したといたしましても間違いはないのでありますか、この点は警察法改正と関連をして非常に重要な問題と考えまするので、いま一応御所見を承つておきたいのであります。
○緒方国務大臣 御質問の中にもありましたように、塚田大臣が今御指摘の会議で申し上げたことは、これは塚田大臣の個人としての意見、あるいは感想でありまして、政府としては……(「個人ということはない、自治庁長官じやないか」と呼ぶ者あり)いえ、個人として言われた。(「それは無理だよ」と呼ぶ者あり)まあお黙りください。政府としては、この問題を正式に取上げて政府の意見をきめたことは、一度もございません。
○足鹿委員 そういたしますと、現在政府としては、都道府県の性格の変更、区画の再編成、あるいは知事の官選というような点については、全然白紙である、こういうふうに副総理として御断言できるでありましようか。
○緒方国務大臣 先ほど申し上げましたように、地方制度調査会の答申をまつて検討し、決定するつもりでございます。
○足鹿委員 くどいようでありますから、一応それはそれといたします。 次に、私はただいま述べましたような意味合いから、この警察法の改正は、中央集権国家を警察によつて武装をして行く、しかも一応形だけは、公安委員会の存置によつて自治体警察の粉飾をして糊塗しようとしておる、そういうふうに申したのでありますが、以下若干この警察法のおもなる内容についてお尋ねを申し上げてみたいと思うのであります。 今度の警察法の改正は、提案理由にも示しておりますごとく、大体三つの点に尽きると思います。一つは警察管理の民主的保障、二つは国情に即した警察組織、三は治安の保持とその責任の明確化、この三つが政府の提案理由に示しておりまする大きな改正要綱の中心でありまするが、まず第一点の警察管理の民主的保障の問題について、お尋ねを申し上げておきたいと思うのであります。公安委員会を中央地方に存置されたのでありまするが、その内容を見ますると、民主的保障はほとんど不可能のように私は思うのであります。法務大臣は、この点についてしばしば衆参両院の本会議において、さようでない旨を力説御答弁になつておりまするが、しかし事実において、予算権もなし、人事権もない中央地方の公安委員会によつて、はたして民主的保障を得られるかどうかという点について、法務大臣の民主的保障を得るということの具体的な事例を、この際明らかにしていただきたいのであります。
○犬養国務大臣 お答えを申し上げます。御指示のように、しばしばこのことは本会議あるいは当委員会で御意見も伺い、政府の所見も述べて、大体意見のお互いの相違というようなことになつておりますけれども、しかしなお御質疑のことでございますから、できるだけ明瞭にお答えをいたしてみたいと思うのであります。御心配の点は、国家参公安委員会が総理大臣から警察庁長官の任命について意見を徴されるだけではだめではないか、国家公安委員会のきめた意見を総理大臣がまるのみするか、あるいは総理大臣の方が同意を受けるというような。パツシヴなものでないと、民主的保障にならないではないかという御意見だと思います。内閣総理大臣の方から警察庁長官について、こういう人間はどうですかと、イニシアチーヴをとつて国家公安委員会になぜ聞かぬのかという問題は、ただいま御質問の第三点の責任の明確化、政府がいいことも悪いことも責任を背負うというところにつながつておるのでございます。それだけでは警察国家、中央集権になるではないかという御心配でございますが、御承知のように、国家公安委員会は地位も非常に高く、国務大臣と同等の待遇をしておるようなわけでありまして、また今でも実にりつぱな人がそろつておりますから、むしろ・警察の親しみやすい親密な協力者というよりは、煙たい監視役という色合いが濃いのでございます。従つて総理大臣がこういう者を警察庁長官に任命したいと申しましても、その過半数が反対でありますような者を無理に押し切つて、しますならば、輿論もやかましい、新聞も論説、解説に書くということになりますと、警察庁長官が第一あしたからやつて行けない。こういう輿論の反映というものを大きく見ているのでございまして、足鹿さんの方から言えば、吉田内閣は輿論を無視しているからだめだということのようでございますが、そこは内閣の価値判断の相違になると思うのでございます。私は、やはり日本の輿論というものは非常に敏感である、こういうふうにとつておる次第でありまして、内閣総理大臣が押し切ろうと思つても、そういう警察庁長官はあしたからとうていうまくやつて行けない、こういうふうに考えておるのでございます。それからたびたび申し上げますように、もし押し切つても、今度は公安委員会の方で、警察庁長官はどうも不適任であると思えば、昔になかつた、国民を代表した国家公安委員会が、その長官はだめだという懲戒罷免の勧告をすることができるのでありまして、そういうことになりましたら、今申し上げますように、新聞も輿論も非常にセンセーショナルな記事として書き、これはとうていやつて行けないと私は思うのでございます。また地方の公安委員会に対して、それぞれの道府県の警察本部長を任命するときに意見を聞かないのがどうも非常にあぶない、こういう御心配だろうと思います。これは説明を申し上げないと、その御心配はある意味でごもつともだと思うのでありますが、別に私どもは規約をきめまして、国家公安委員会と道府県公安委員会は絶えず連絡会議を開くようにいたします。そして平生から、警察本部長あるいは中央の国家公務員になつている警視正以上の警官の行状といいますか、成績といいますか、そういうものの採点表を絶えず連絡してとつて行こう、そして任命のときには、ふだん御相談してあることを元として、国家公安委員会が警察庁長官と相談して地方の本部長を任命する。これに対しても、地方がわが郷土に向かない本部長であると思う場合には、懲戒罷免の勧告権を発動ずることができる。もう一つ私は、国家警察というものがあく抜けして地方色に染まらざるを得ないというもう一つの作用があることを、御説明申し上げたいと思います。それは予算にからみまして、今度は府県議会にかかりますから、府県議会の公々然たる議事の上で、警察本部長のなすところなどは非常に率直な批判論議が行われると思います。これは足鹿さんのお立場から言えば、非常に強い警察本部長が地方に君臨するというお感じをお受けになると思いますが、私どもいつも内輪で話しているのは、今度警察本部長というものは、ただいばる者が来たらたちまちやられてしまう、よほど二つの異なる意見の妥協点を考え、人との折衝とか苦労を積んでいるとかいう、人間としてできている者でなければ勤まらない。なぜならば、府県会でさんざん批判を受けるので、これとうまを合せて行くということはたいへんな仕事だ、こういうふうにむしろとつているのでございます。こういう意味で、民主的な制約、従つてそれから生ずる国民の民主的な管理、国民が何かの形で国家の警察運営に対して関与できるという措置が十分に残つていると存じている次第であります。
○足鹿委員 新警察法の数箇条に出て参つております公安委員会の性格の問題でありますが、私はやはり公安委員会が中心の運営が真の警察の民主化であり、また民主警察の出発点であり、かつ結論でなければならない、かように信じておるのでありますが、今回の改正条文によりますと、国家公安委員会の管理に服するとか、あるいは管理を受けるとかというようなきわめて抽象的な言葉でもつて、公安委員会のいわゆる国家警察あるいは都道府県警察に対するところの権限、あるいは責任、任務というようなものがきわめて抽象化されておるのであります。管理とは、いわゆる現在の警察法によりますと、指揮あるいは監督というふうな具体的なものに該当するのでありまするが、今回の新警察法は漠然と管理、あるいは警察庁長官はその管理に服する、こういうふうにきわめて抽象的になつておるのでありまして、印象としては、何かこの管理という言葉の与える意味は、これは長官以上の上位にあるというような漠然とした意識を与えるのみであり、きわめて概念的なものでありまして、その実、内容的にはまつたく骨抜きになつた、いわゆる形骸的な存在に堕するきらいは十分にあると思うのであります。事実上においては、公安委員会を一応中心にし、あらゆる警察機構の最上位に置くような印象や、またそういう条文の書き方はしてありまするけれども、実際上においてはきわめて無力なものである、私どもは法案の条文を通じてさような考えにならざるを得ないのであります。もちろん議決権もない、決定権もない。あるいはある一つの公安委員会の決定に基いて警察が動かなければならないという制約もない。あるいは警察のとつた行為に対して事後承認を受けるとか、あるいは何らかの決定に対して同意権が与えられておるとか、もつと具体的なものでなければならないはずでありまするが、何らそういう点についてはないのでありまして、そういう点において、事実上この法案の一つの形の上に大きな役割を占めておりまする公安委員会——従つてこれが地方におきましては、自治体警察のいいところをとつたのであるというふうに言われまするけれども、実際上においては、公安委員会というものは有名無実になるきらいがあると私どもは思うのでありますが、この点について犬養法務大臣は、たとい地力の警察隊長に天くだり的に来ても、県会において経費の審議権を持つておるというふうなただ一点でもつて、その警察官の行き過ぎや、あるいは罷免権の勧告によつて地方住民の意思が反映すると言われまするけれども、これはかつて戦前に内務省に警保局かあつた、この警保局は全国の警察に対して、直接には選挙違反の摘発、あるいは選挙の弾圧というようなことについて指揮権は持つておらなかつたけれども、事実上においては秘密指令を飛ばし、時のいわゆる反対党を弾圧し、また反対党が政権をとれば、これに反発して報復的な弾圧をするというような、あのいまわしい印象を国民はまだ生々しく持つておるのでありまして、今申しましたような形だけの公安委員会を残して、その地方の住民がただこれを見ておるというような安易な気持でおられるということは、少し犬養法務大臣のお考え方が、原案の発案者であるせいもありましようが、甘過ぎるのではないか。こういう点について、現在この法案が提案されまするや、日本における中央地方の大新聞は、口をそろえてこの問題については輿論のあり場所を示しておるのであります。たとえば朝日新聞にしましても、毎日新聞、読売新聞、東京新聞、あるいは中部日本新聞というような新聞の連日の社説について当局は静かにお読みになりましても、先ほども法務大臣は、新聞等においてたたかれるならば、その警察隊長はいたたまれなくなるから、そういうむちやな人事はできない、あるいはむちやなことはできないというふうに言つておられますが、現在のこの新警察法に対する輿論の批判は、あげてこの公安委員会の性格と組織と機能の問題に大きく輿論の眼を向け、いわゆる国あるいは地方住民の意思がこの公安委員会を通じて現われることを強く主張しておるのであります。この公安委員会の性格と組織の点について、さらに主管大臣としては御反省になり、猛省をされる必要があろうと私は思いまするが、これらの輿論を、当局はただいま御答弁になつた程度でまつすぐ切抜け得られるとお考えになつておるでありましようか。私は何でもかでも反対をするというような考えを持つておりません、いいものは確かにいいのであつて、是は是、非は非でありましよう。しかしこの点は、われわれ社会党に所属する者があげて警察法案に反対をするのみならず、ただいま述べましたように、天下の輿論がこの法案に対してはきびしい批判をすでに発しておる。そうして国会におけるところの慎重なる審議を強く要望しておる。この輿論の声を法務大臣はいかようにお考えになつておるのでありまするか、これらに対してさらに具体的に御所信がありまするならば、承つておきたいのであります。
○犬養国務大臣 だんだんの御質疑にお答え申し上げます。第一に管理という字はあいまいであつて、指揮監督の内容を除いたのではないか、こういう御質問でございますが、管理という字の中には、指揮監督を含むということを明言申し上げます。責任をもつて明言申し上げたいと存じます。 第二点は、地方の国民の警察に対する関与、チェックが、予算に関する府県会の論議だけをあげておるではないか、一点だけではないかとおつしやいますが、実はもう二点あるのでありまして、第一は天くだりという御説でございましたが、私どもの解釈では、天くだりと存じておりませんので、道府県の警察本部長を任命、しまするときは、国家公安委員会の意見を聞き、その国家公安委員会は、先ほど申し上げましたように、常時道府県委員会と警察官に関する考課表みたいなものを交換して研究しておりますから、ふだんのその採点表によつて、道府県の公安委員会の意見を採用いたしますので、天くだりという御批評は少し甘受することができないのでございます。 第三点には、輿論をどう考えるか。第一は、この重要な政府の諮問機関は地方制度調査会でございますが、この地方制度調査会の答申を九分九厘うのみにしたわけでございます。一点違いますのは、五大都市を府県から独立させるという地方制度調査会の答申を政府が採用しなかつたのでありまして、これはおそらく五大都市出身の方以外は御賛成ではないかと思います。新聞の論調をどう思うか。新聞については、それぞれ尊重しておりますが、今足鹿さんが名前をあげられました新聞の中の一つが、最近長い解説を書いておりまして、これは私はきわめて尊重すべきものだと思うのであります。その一点は、政府に少し歩の悪いところも申し上げますが、国務大臣が国家公安委員長になつておるのは考えものだ、これは一つの意見として政府は承服できませんが、その論調を私は詳しく読みました。二点は、今御指摘にもありましたが、地方の警察本部長を任免する際には、ただ国家公安委員会だけに聞くのはいかぬ。地方の道府県の公安委員会の意見もとらなければいかぬ。これも政府は承服はいたしませんが、一つの論拠であろうと思います。第三点は、またまた足鹿さんのお触れになつたことにまた触れて来るのでありますが、今度の組織だと、いい点は道府県の議会の論議にさらされなければならぬ。これは今度は非常に改善される点だ。同時にそれによつて、地方ボスが署の所在地だとか人事異動でからんで来る。そういうおそれもあると、非常にこれは公平な議論だつたと思うのであります。私はそういう論議をわれわれの考えの中に入れているわけであります。輿論にも、私どもの考え方のいいところを進んで指摘している方が少くないと考えている次第でございます。
○足鹿委員 私は、ただいまの法務大臣の御答弁がいかにも甘く、世情にうとく、この法案通過のために非常に夢中になつておられますから、実情をほんとうに御認識になつておらないという一つの事例を申し上げてみたい。それは現在の公安委員会の指揮監督のもとにあつても、国家地方警察に一番多いのでありますが、自治体警察においても最近はひんぴんたる行き過ぎがあるのであります。私は過日七日のこの予算委員会の総括質問の際に、ファッショの台頭とこれに対する取締りとあわせて、特高警察の復活、あるいは思想警察の復活に類似するがごとき警察の行き過ぎ行為を指摘し、法務大臣の御所見を求めたのでありますが、その際に、具体的な事例を示せば、ただちに自分たちとしても善処するという、きわめて謙虚な御答弁がございました。本日はいい機会でありまするので、今の公安委員会が地方住民の意思を代表して指揮監督権を持つておる現在でも、次に述べるような幾多の行き過ぎのあつたという事実を法務大臣にお示しをいたし、これの対策と、あわせてこの法案に対するところのさらに御反省を願いたいと思うのであります。 〔西村(直)委員長代理退席、委員長着席〕 その実例といたしまして、最近は全国各地で起きておりますが、鳥取県におけるところの事例を申し上げてみたい。西村君が過日の本会議において鹿児島、愛知、静岡、群馬、茨城、長野、新潟、山形、青森、鳥取等におけるところの教員、あるいは青年団に対するところの不当干渉の事例をあげて追究をしておりまするが、これは鳥取県の連合青年団が、過日正式の会議において、人権擁護委員会に提訴を決議し、国警に対して正式なるところの抗議と、いわゆる基本的人権について正式の提訴を行いました、その具体的な事例の内容の一端でございますが、それは青年団活動、あるいは農業技術研究、あるいは文化活動等に対しまして、あらゆる不当な干渉の事例が鳥取県下において頻発をいたして、おります。これに対して県の連合青年団は、ただいま述べましたように、人権擁護委員会に提訴することを決議し、国警隊長に対しまして非常に強い抗議を行いましたが、輿論もまたこれを支持いたしまして、鳥取県日野郡におきましては、社会教育振興大会においてその不当なることを決議し、警察に反省を求めた事実もおるのであります。一例を申し上げまするならば、鳥取県八頭郡船岡町におきまして、ヤロビ農法の研究会に村の協同組合が千円寄付したところ、駐在巡査は、赤の農法に農協が寄付金を出すのはけしからぬと放言をいたした事実がございます。またこれらに関連をいたしまして、その農業の研究会に出席をした者の氏名を調査するために戸別訪問をし、あるいは戸締りの外から会議の盗み聞きをし、いろいろ不当なるところの行き過ぎ行為をあえていたしまして、公開の席上において、熱心な女子青年団に、あれは赤だと放言をすることによつて、結婚問題すらも三件破棄になつたという悲劇を生んでおるのであります。またこれらの事実について、鳥取県のあらゆる民主団体や青年団その他が抗議を国警隊長に申し入れたところが、職務遂行の必要があれば、何人といえども事情を聞くのは当然であると答弁されたと伝えております。私がただいまあげましたような事例が職務遂行の必要とはたして言い得るでありましようか。何人が考えましても、当然これは行き過ぎでありまして、これらの問題につきましては、鳥取県におきましても公安委員会あり、また中央にも公安委員会があつて、現行法の警察制度においては、これらの公安委員会に対しますところの警察官の気がね、あるいは公安委員会を尊重するというような気持を十分持つておるはずでありますが、現にこういつた行き過ぎがある。いわんや新警察法のごとく、内容が著しく骨抜きになつたといたしますならば、それはとんでもない結果を招来すると私は考えますが、先日犬養法務大臣がこの席上において、具体的事例を示せとおつしやいましたから、私はほんの二、三の事例をただいまお示しいたしました。さらに必要がありますならば、別な機会において具体的な事例をお示しいたしますが、こういう行き過ぎが現に起きておる。そうして思想警察、特高警察の復活だという声は全国各地において、さらに日教組に対するところのいろいろな思想調査をめぐり、あるいは映画の「ひろしま」を撮影いたしますと、その関係者に対しましても、いろいろ調査がましいことをやつたりいろいろな点がありますので、そういう具体的な事例を私は示して法務大臣に伺いたいのでありますが、これらが行き過ぎでないと法務大臣はお考えになつておりますか。そういつた点について、法務大臣の具体的な御答弁を煩わしたいのであります。
○犬養国務大臣 お答え申し上げます。具体的な事例がなおたくさんお手元にありますならば、ぜひいただきたいと存じます。最初に申し上げたいのは、この前の御注意もありまして、実は本日全国の警備課長会議をやりまして、もしこういう行き過ぎがあれば、今後絶対にないようにといういろいろな指示をただいまやつております。そこで現在の公安委員会のもとでさえそういうことがある。そういう事例があれば、まつたく私の方針と違うのでございまして、思想調査というものは厳にとめておるのであります。現在の公安委員会はなかなかよくやつておりますが、私から申しますと、資格の制限がきびし過ぎまして、俗にいうお医者と宗教家だけがやつておる。今後はこの資格を広げまして、警察官の行き過ぎなどにすぐ気がつくような広い資格者を入れたいと思つている次第でございます。 なおいろいろありますけれども、ちよつと時間がないようでございますから、何ならまたこの次の委員会で詳しく申し上げます。
○倉石委員長 それでは本日本会議の散会後再開することといたしまして、暫時休憩いたします。 午後三時十分休憩 ————◇————— 午後五時八分開議
○倉石委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。 質疑を継続いたします。足鹿覺君。
○足鹿委員 私は先ほど法務大臣に対して警察法改正について、第二の国情に即した警察組織、第三の治安の保持とその責任の明確化等についてさらに質問をいたしたいのでありますが、時間がありませんから、これはその委員会等の審議に譲ります。 次に石井運輸大臣並びに大野国務大臣にお尋ねを申し上げたいのであります。それは昨日の当委員会におきまして中曽根委員の発言中、石井、大野両大臣に関連した重大な発言がございました。この問題については、昨日それぞれ両大臣から御心境の発表がございましたが、いやしくも中曽根委員は、数次にわたつて、自己の政治的生命をかけて発言をするのである、こういう前提のもとに昨日のごとき発言があつたことは、いまさら繰返すまでもございません。この問題について両大臣は、ただそのような事実がないというこの御所信の潔白の表明だけでもつて、これだけの問題を一応片がついたとお考えになるでありましようか。国民は決してさようには考えておりません。さような一ぺんの予算委員会におけるところの御釈明によつて、自己の政治的生命を賭すとまで言われた中曽根議員の質問に対するところの御答弁にはなつておらないのでありますが、現在御所信はいかん。 第二点は、ただいまの本会議におきまして有田氏の逮捕許諾の問題につきまして、犬養法務大臣は閣議参加の当の責任者である関係上、道義的、政治的立場をもつて投票に参加を御遠慮なされた由に承りますが、石井運輸大臣は自己の部下である壷井官房長が囹圄の身になり、その問題に関連をして有田氏の逮捕問題が惹起いたしておるのでありますが、自分は上司として今日まで仕事をともにし、その人に関連をして有田氏の逮捕許諾が本会議の問題になり、しかも自分みずから閣議決定に参加をしておきながら、みずから御投票になるその御心境は、国民は了解ができないところであろうと思いますが、この点についてもあわせて運輸大臣の所信を承つておきたいのであります。
○石井国務大臣 お答えいたします。昨日は中曽根君の質問に対しまして私ははつきりと申し上げましたから、私の心境はおわかりだと思います。どういうところからそういうものが出て、そうしてどういう根拠でやられておるのか、中曽根君はあれほどはつきり言われましたが、中曽根君がその政治的責任をとられるものだと私は思つております。これに対しまして議会がどういうふうにこれを取扱つて行くか、議会の良識にまず私は信頼しておるわけであります。 それからもう一つは壷井官房長の問題が出ましたが、これは何度もお尋ねを受けまして、私の部下からそういうものを出しましたことは、私としてはなはだ遺憾に思つております。私といたしましては、部下がほんとうの運輸省のやるべき仕事に関連いたしましての間違いでありましたならば、これは私が重々責任をとるべきであると思うのでありますが、これに関連する内輪の陰のことは私にはわからない。それで私といたしましては、運輸省をもつと明朗なものにして、日本の交通政策の中枢行政としてその責任を全うしたいということは繰返し申しておりますが、私も依然として今そう思つて運輸省の仕事に全力をあげてりつぱにやつて行きたいと思つております。 それから本日の投票のことでございますが、閣議において私どもが署名をいたしましたことは、検事総長からの申出によりまして国会にその審議を願う手続をとつたのであります。握りつぶさないことが私どもの仕事でございまして、それから先の投票の問題につきましては、私どもは有田君の問題につきましては、一応は喚問に応ずることに賛成をし、その後の問題につきまして、私どもは、党の意見の通りに従つてあの通りの投票をしたわけでございます。
○大野国務大臣 お答えします。昨日中曽根委員に私はお答えした通りであります。しかも今日有田議員はすでに出頭いたしたようであります。検事局において有田君をよく調べられれば、さような金が私や石井君に行つているか、はつきりするだろうと思います。 なお私は今朝の党の総務会に出席して、こういう荒唐無稽な発言をしてみずから議会の品位を汚す、こういうものに対してはすべか場らく懲罰に付すべきものであるというので、その手続もとりました。なお私は院内の言論が院外に及ばない——それならばどんなに荒唐無稽な流言飛語、人のうわさをもつてメモをかつてにつくる。さようなことが許されるかどうか。りつぱに新聞で堂々と発表された以上は、この責任は十分あると思つて、名誉毀損なり、あるいは誹毀罪なりで告発しようと、今着々専門家によつて草案を急がせております。
○足鹿委員 ただいま石井運輸大臣の御答弁を承りました。運輸行政にその後も支障ないために懸命に努力をしているということは、職にある間は当然のことでありまして、これは御答弁をまつまでもないことでございます。第二の問題は党の決議に従つた、こういう意味の御答弁でありましたが、私の聞いておりますのは、他の大臣はともかくとして、あなたは現在直接の被疑者である壷井官房長の上司であります。その官房長の逮捕に関連をして、有田君が今逮捕を要求されて、本会議において許諾の問題が投票によつて決せられた。あなたはその上司として部下からさような者を出したことに直面した大臣として、本会議において御投票になつたその責任感については、私どもははなはだ国民とともに遺憾に存ずるものであります。あえてこれ以上は申し上げませんが、よく御反省になつてしかるべきものと考えるのであります。 それから最後に犬養法務大臣に先刻の私の最後の質問について締めくくり的にお尋ねをいたしたいのでありますが、戦前における特高警察の復活、あるいは思想警察の復活にきわめてよく酷似した状況が、最近全国において頻発している。これに対する対策いかんということにつきまして会議を開き、それぞれ指示を与えつつあるということでありますが、そのようなことではこの問題は解決がつかないと思う。それはあなたが命令をされない、また国警長官も命令をしたことはないと言われることが、全国的に軌を一にして行われるはずはありません。これは一つの風潮に迎合する警察官の心理もありましようし、また全面的に復古調、逆コース時代でありますので、それぞれ上司におもねる、いわゆる地方出先の官憲、あるいは現在の民主主義の理解をわきまえずして、ただ権力に追随をしようという考え方を持つ警察官自体の教養の問題、そういつた問題がいろいろ累積し、重なり合つてこういう事態を招来しておるのではないかと私は思うのでありますが、今後この警察法の改正がかりに行われたといたした場合において、またこれが相当の修正を受けて成立をした場合、あるいは現行の警察法そのままで現在進行した場合、いずれの場合を問わず、現在の警察官の教養の問題、それが先ほど私が申し述べましたようないろいろな行き過ぎ行為となり、そうして大きな迷惑を地方住民や国民に与える結果となろうと思います。どのようなりつぱな法律をつくつても形式と内容が相伴わなければなりません。特に人間の基本的人権や自由に大きく影響を持つ警察の職務執行者は格段の教養あるいは識見、人格、そうしたものが伴わなければ親しまれる住民の警察、民衆の警察としての職務を果すことは困難だと私は思いまするが、一片の警察法の改正によつて、現在の警察の水準やあるいは人格や識見を向上さして行かれるだけの、これに関連する具体的な御措置はどこにあるのでありましようか。この法案を見ましても、あえて新たなる措置はないように思うのでありますが、その点法務大臣の御所見を承つておきたいのであります。
○犬養国務大臣 お答え申し上げます。警察官の教養訓練ということは大事でありまして、御指示の通りであります。警察法の条文と別に、このたび予算措置もお願いしてあるのでございますが、初めて警察官になつた者の教養訓練は、今まで六箇月で終えることになつておりましたが、今御指摘のような心配もありますし、今度はいよいよ各道府県の議会において批判も受けますし、また道府県の公安委員会の監視のもとに動くわけでございますから、教養訓練の六箇月の期間を一箇年に延ばすことにいたしております。また警察大学においても、六箇月でなく一年の教養課程を受けることにいたしたわけでございます。 御指摘の思想調査ということは、たびたび申し上げるように、絶対に私の方針でないのであります。たびたび御質問もあるようでございますから、この前当委員会でお約束いたしましたように、早急に全国の警備課長会議を開くと申し上げたのでありますが、実は今日開いておるわけであります。御指示の中の警察官の地方における思想調査については、先日参議院の本会議で御報告いたしましたように、その地方地方の誤解もございます。しかし数ある第一線のうちには、御指摘のようなことがないとも限りません。そんなことは絶対にないのだというような一方的ななおざりな気持でやつては、事を間違えますので、さればこそ今日警備課長会議で厳重にこの問題を申し渡してある次第でございます。御指摘のように、警官の教養ということになお一層の力を入れますと同時に、絶えず中央からの指令において、そういうことは担当大臣及び国警長官の意思にもとるのだと、厳重な意思下達に努めておる次第でございます。あからさまに申し上げますと、この前も参議院で申し上げことでございますが、日共方面では、日教組の経営管理をやらなければいかぬというような秘密文書が、昨年来しばしば出ているのでございます。従つて当局はその問題については関心を持つております。しかしこの問題の究明は個々の教員の思想調査によらなくてもできるのでございまして、ほかの方法をとつているわけでありますから、この問題と個々の思想調査とは全然別の問題でございます。たびたび御質問がありますので、私も十分責任を感じておりますから、今日の警備課長の会議においても、このことを主要の課題としてやつておりますし、なおこの上とも努めたいと存じます。また先ほど申し上げましたように、とにかく具体的な例をいただきますと、その問題一つ一つに十分な研究もできますし、注意もできますので、個々の方々の例をできるだけちようだいできるならば、私どもも好都合と存じております。
○倉石委員長 足鹿君、お持ちの時間がもうなくなつておりますが……。
○足鹿委員 最後に法務大臣にいま一点お尋ねを申し上げたいのでありますが、もしこの新警察法案が本国会において成立を見ず、あるいはまたその内容が本質的にかわるがごとき事態が起きました場合、改正を前提として組まれた本予算案との関連は、どういうふうになるのでありますか。そのお取扱いは今後いかようになさる御所存でありますか。お伺いを申し上げたいのであります。
○犬養国務大臣 お答え申し上げます。これは私の担当の警察法ばかりでございませんが、もしだめになつたらという仮定のもとの措置は、ちよつと申しかねますので、御了承を願いたいと思います。あくまでも成立を信じて、また御審議をお願いしておる次第でございます。
○足鹿委員 ただいまの御答弁は、私としてはきわめて不満であります。なぜかならば、私は先般も申し上げましたように、大きな陳情やあるいは要請の運動のある場合については、これは輿論に聞くという点においてはいい面もあろうと思いますが、しばしば政府はその方針を転換しておられる事実があります。たとえば繊維課税の問題にしましても、大きなちまたの声が起きますと、その方針が日に日に転換をして現在に至つておるのであります。いわんやこの警察法の問題は、五大市を初めといたしまして、全国の市街地の公安委員会の協議会やすべての自治体警察は、あげてこの法案に反対をし、また市長会議においても、断固たる反対の意思を表明いたしておるのであります。冒頭に述べましたごとく、言論機関、輿論は、筆をそろえてこの法案の不備欠陥を指摘し、警察国家再−現を心配いたしておるのでありまして、これらの大きな輿論に聞かれるならば、当然政府としては反省をなされなければならない問題であろうと思います。他の小さな問題とは事のわけが違うのでありまして、このような問題に対しましては、十分国民の声をお聞きになれば、すでに反省の段階に達しておるのではないか、私はかように考えまするから、特に予算との関連においてお尋ね申し上げたのでありまして、ただいまの御答弁をもつては了承いたしかねます。
○犬養国務大臣 輿論を尊重すべしという御意見はごもつともでございます。一応その経過を申し上げますと、昨年は団体的な陳情は非常にはでな陳情が多いのでありまして、こんなものを通したら承知しないぞという白か黒かという御陳情が多かつたのでありますが、ことしは二年目のせいか、陳情がそう大勢でぞろぞろ来られませんで、結局結論はどうしたら国民の心配がこの法案からなくなるか、そういう非常に建設的な御意見が多いのであります。私たちもその傾向はまことにりつぱな傾向だと思つているのでございます。足鹿さんは反対の方だけ特につまみ上げておつしやいましたけれども、全国府県知事の決議においては、三箇条低どのごく抽象的な条件付で原案賛成の決議をしておるのでございます。また先ほども申し上げましたように、足鹿さんか特に御指摘になりました某大新聞の最近の解説においては、この法案のよいところもあげて、そのよいところに付随する弊害を戒めるというような、これまたすこぶる建設的な解説もございます。私は賛否両論あるとは思いますが、これが国民のことごとく反対を受けておる原案とは思つておりません。従つて本法案が通らない場合を予想して御答弁を申し上げることは、いたしかねる次第でございます。
○足鹿委員 まだ自治庁長官と厚生大臣にありますが、お約束の時間が参つたようでありますから、この機会に打切つておきます。
○倉石委員長 小林絹治君。
○小林(絹)委員 いろいろお伺いしたいことがありますが、まずアメリカの新国防政策につきまして少し意見を申し上げて御答弁をいただきたい。 わが国の警備力増強の問題は、憲法を改正するかしないかという問題とともに、きわめて重大な問題でありますが、アメリカの新国防政策を観察いたしますと、一月十二日ニューヨークの外交問題協議会での国務長官ダレスの演説内容ではこういうことを言つております。「われらはいつでもわれらの選ぶ手段と場所でただちに報復することのできる強大な力を維持することによつてアメリカと自由世界の安全保障を確保する」云々、このわれらの選ぶ手段というのは予算面から出て参つておるのでありますが、主として空軍と原子兵器をさすものであることは明らかであります。またダレスは「従来の防衛政策はすべて非常事態に対する対抗措置でいたずらに経費がかかつて効果が少い。共産陣営が歴史的な一時代を目標に計画を立てておるのに対抗するためにはアメリカ側でも長期計画をとらねばならない。」 そのためには、一、アメリカの戦略予備軍が余裕のない程度までにアジアに米軍を恒久的に置くことは健全な戦略ではない。二、諸外国に恒久的に援助を続けることは健全な経済でもなく、適当な外交政策でもない。このまま続けていれば破産をするかもしれない。三、厖大な軍事支出に恒久的に縛られないようにしたいと言つておるのであります。続いて一月二十一日のアイゼンハウアー大統領から議会に送りました予算教書には、国防予算については空軍原爆重点主義を明らかにしております。明年度の国防予算の総額は四百四十八億六千万ドルであります。 〔委員長退席、小峯委員長代理着席〕 今年度と比べて三十八億六千万ドル少い、このうち最も削減を受けるのは陸軍費であります。百四十二億ドルから四十億を引かれて百二億ドル、海軍費も百十三億ドルから八億ドル引かれております。空軍だけは百五十六億ドルを百六十二億ドルに増しておる。原子開発管理費は十三億七千万ドルで三億ドル増、今陸海空軍それぞれの軍事力について見ますと、陸軍の兵数百四十万七千人、これを来年の中ごろまでには百十六万四千人に減少する、二十三万三千人を減らすのであります。海軍は現在の実動艦艇数一千百三十一隻を一千七十八隻に減じて、兵員は七十四万を六十八万八千人に減らすのであります。これに対して空軍は百十連隊を百二十一連隊、九十五万五千人、これを九十七万人に増加いたします。このほかに海軍や海兵隊の持つておる空軍を合せますと、アメリカ全体の空軍力は総数三万三千、その三分の一がジェットでありますが、このたびの新国防政策ではこの空軍力を向う三箇年間に四万機にして、半数以上をジェット機にする計画になつております。なお大陸防禦費は、今年度よりは十億ドルを増して防空大隊は百十四大隊を来年中ごろまでには百三十大隊として、対空無線誘導弾や、対空掃射砲の装備をするのであります。またこの予算の特徴の一つといたしましては、軍事援助費が国家安全保障費という名前にかえられた相互軍事計画費となつております。今年度の四十二億ドルから七千五百万ドル増加しておりますが、これまでの経済援助の経費は相互経済技術計画費となつて、内容において本年の十三億ドルから十一億二千五百万ドルとなつて、一億七千五百万ドルを減少しておるのであります。これらから見まして空軍に重点を置くことは明らかである。アメリカの経済援助は、かような事態からだんだん先細りをするのではないか、もとよりこれは世界の情勢に応じた態勢をとろうとする考えから来たものでありましよう。この世界の情勢の変化については後に少し申し上げて外務大臣のお考えを伺いたいと思うのでありますが、日本に直接関係の深いこの援助費の見通しについてはいかがでありましようか。 またアメリカの日本に対する援助、これを経過から見ますと日本に対する経済、軍事の援助については、なくなつた上院外交委員長のタフト等、有力なこれらの政治家の考えは、経済については基礎産業、ミリタリー・キャパシテイを強くして、それによつて軍事力、ミリタリー・パワーの増強をはかるのだということにあつたと思うのでありますが、日本に対してその通りに行かなかつた。どういう点が原因であろう、ヨーロッパの各国ではそれが着々と行われて来た。ドイツやイタリアは順風に帆をあげて来たのであります。その復興は目ざましいものがある、ドイツの重工業は非常な進歩をしておる。その一例を申しましても、ドイツの造船力は現在ではイギリスに次ぐ世界第三の造船力を持つておるのであります。もとよりこれは国内資源の関係もありますが、しからばイタリアはどうか、イタリアの基礎産業は国内資源か乏しいのにもかかわらず非常に進出なしておる。また平和産業においても非常な躍進をして来ております。その一例としましては、わが国の繊維工業のごときも今日はランカシアやインドよりも強い競争相手になつておるのであります。これらはアメリカの援助による新規機械の輸入、設備の改善等による各種産業の合理化が着々と行われた結果であろうと思うのであります。この時期においてわが国はこれらの諸国に比して非常に様子が違つて来ておると思いますが、この点について外務大臣はどうお考えでありましようか。お答えを願いたいと思います。
○岡崎国務大臣 アメリカの対外援助計画につきましてはお考えのような方向をたどつております。ただ一般的に先細りまするのは、経済援助ばかりでなく、軍事的な援助もだんだん減つて行くことであろうと思いまするが、しかしこれは国によつて違いまして、たとえばわが国のごときは今年からようやく援助を求めるような状態でありまするから、よその国がすでに援助を得ておつて、だんだんそれが減るといたしましても、わが国については必ずしも同じような結論が出て来るとは考えないのでありまして、これから漸次防衛力を増加して行こうという状態でありますので、それに見合う援助はまた従つて来るものと予期しております。ヨーロッパの経済的な援助はお話のようなことはもちろんありまして、これはいわゆるマーシャル計画に基いた援助でありまするが、陸地続きの関係もありまして、共産陣営の経済問題をとらえての非常な攻勢を防ぐために、経済的な援助をかなりいたしたのは事実であります。しかしアメリカの援助によつてのみ諸工業が興つたのではないのでありまして、ドイツにおきましても、イタリアにおきましても、その工業が非常に興りましたのに比べますれば、アメリカの援助はいわば呼び水程度で、そのパーセンテージは決して非常に多くはなかつたのであります。ただ機を得て適当なところにうまく援助がはまり込んだために、工業に大きな刺激を与えたことば事実だろうと思います。しかしながらマーシャル計画はすでに数年前に打切られておりまして、ただその計画を一ぺんにとめるわけに参りませんので、今まで与えておりました援助をしめくくりをつけて、今後ともにそれがむだにならないような程度の援助は続けておつたのであります。それがだんだん少くなることは事実だろうと思います。日本の場合におきましても、こういう意味で将来とも防衛力の増強ということに見合つて必要な援助は求めたいものであると考えております。
○小林(絹)委員 次は、ソ連のいわゆる緩和政策についてお伺いしたいと思います。外務大臣は過日の御演説中に、世界の情勢が緩和の兆を示して来たことを申されております。ソ連新政権がはたして緩和政策をとるかどうか、その後緩和政策の内容ばどうなりつつあるかということであると思いますが、ソ連問題の世界的権威者の一人とされておるルイス・フィッシャー氏は、この正月に毎日新聞に載せた特別寄稿の中で、ソ連にとつては今対外的な冒険をいどむことよりも、国内の整備、指導力の刷新強化が急務であると言つておるのであります。ソ連が最近とつておるコルホーズ農民に対する緩和政策であるとか、消費物資の増産による民心の収攬、一方には政権強化のための粛正等から見ましても、フイツシヤ氏のこの説はうなずかれると思うのであります。またマレンコフ首相は、昨年末アイゼンハウアー大統領が原子力国際管理の新方式を提案したのに対して、討議することを受諾しておものであります。また本年正月マレンコフの米ソ親善のメッセージをアメリカのINS通信社のキソグスベリ・スミス欧州局長の文書による質問と回答の形をもつて、モスクワのタス通信社が発表しておる。またラジオで世界中に枚送されたのでありますが、この中でマレンコフは、何よりも米ソ関係の改善が必要である、米ソ親善のきずなの強化を妨げるような本質的な障害はないと言い、また世界平和を確保するため最も重要な措置は、原爆、水爆などの大量破壊兵器の使用を禁ずる協定を結ぶことであると言つております。しかしながらソ連のいう国際緊張の緩和ということが、はたして世界の人々の一般に考えておるものと同じであるかどうか。これにつきましてAPの記者のウィリアム・ライアンはこう言つておる。国際緊張の緩和といつても、ソ連の指導者にとつて都合のよい限られた内容のものであつて、無条件の全面的な緩和が望まれているのではなさそうである。国内の人心がゆるみ独裁政治の基礎を危くするほどの効果を持つてはならないわけである。つまり緩和は二つの陣営が真の平和共存に向つて進むことでなく、共産主義と資本主義との対立はそのままで、自由諸国の団結がゆるんで、共産侵略のことなどを忘れてしまうほどに、自由主義国家間の競争対立がはげしくなつて、共産陣営に対する圧力が弱くなることを目的とする緩和であつてはならないというわけであります。 次一は、この間行われましたベルリンでの四国外相会議でありますが、これは五年ぶりに開かれたのであります。これは私はこう考えておる。もともと決裂する性質のものではありません。戦争関係国の跡始末について、四国がそれぞれの主張の異なる点を、面と向つて明らかにしたのでありますが、今後来るべき多くの会議の前座の役割を果したという点において、大きな収穫であつたと考えるのであります。その会議の内容の一、二を拾つてみますと、モロトフは種々の問題を個別的に取上げる前に、世界平和の基礎としての見地から、ソ連を目標とする北大西洋条約の廃棄、欧州軍の解体、これが第一であるということを主張いたしております。また中共の国連加入を従来と同様に強く主張しておるのでありますが、もちろんダレスはこれに反対をしておる。ただ、朝鮮や仏印の跡始末の会議には、中共をも出席せしめることになつておるのであります。おそらくこれは十五、六箇国から二十箇国くらい出るのじやないかと思うのでありますが、それが来る四月二十八日にジュネーヴで開かれる。この会議にはわが国は招かれることはありますまい。しかし、非常に重大な関心を寄せなければならぬと思うのであります。そしてその成行きに対しては適時適切な外交手段をおとりにならなければならぬと考えます。また過般バーミユーダで行われました英米仏三国の会談では、コミュニケには出ておりませんが、英米仏、特にチャーチルから、世界情勢の緩和に強い発言があり、アメリカの現にやつておるマツカーシズムに対しても、それをあまりひどくやられるとソ連を直接間接に強く刺激するから、アメリカ国内において強大にならぬように、なるべくそれを押えてもらいたいということを言つておるのであります。これらの会議や諸般の情勢から見まして、形勢緩和ということは世界中がみな望んでおることは確かであります。今後あるいは近き将来において、この四国外相会議の前座の役割がだんだん本舞台になつて、三頭会議であるとか四頭会議であるとか、原子力の会議であるとか世界軍縮会議であるとかいうようなものが、出て来る可能性はあるのじやないかと私は考えるのであります。これも外務大臣から後にまとめて御答弁を願いたいと思うのであります。 今申し上げましたアメリカでのマツカーシズムでありますが、これは上院議員のマッカーシーが中心になつてやつておる、いわば右翼活動であります。赤の活動に対する反動であります。またマッカーシーは次期の大統領候補にも出たいというような考えがあるようでありますから、一層馬力をかけているのじやないかと思うのでありますが、これはソ連のスパイがだんだん手広くなつて来ておる。原爆の製造過程はロシヤへ知られておる。ロシヤは五箇年で原爆ができた、水爆については九箇月でロシヤはやり出した、それらにつきまして、ヒスのスパイ事件は有名でありますが、ヒスは御承知の通りヤルタ会議にはアンダセクレタリーとして大統領に随行して行つた人で、ソ連のために非常に有利な活動をしたことが後にわかつた。またモルゲン党のホワイト、これはアチソンなんかと友だちで同列の地位におつた人で、統合参謀本部の要職におつたのであります。これも赤であつたことがわかつた。政府機関の中に強く赤が浸透しておるということは一般に見られておるのであります。そこでこのマッカーシー党の目的は、この赤の活動の排撃、アンチロイヤリテイの活動を根本からたたき直そうというのが目的でありまして、現在では各省のおもな役人にもみなスパイをつけておるという話であります。この勢力はだんだん拡大しておる。そこでバーミユーダの会談においてチャーチルがさつき申したような希望を述べたわけであります。そこでわが国の場合はどうか、これはうわさでありますから保証はできませんけれども、政府が重大法案の一つとして検討して用意しておつた極秘書類の内容が、外へ筒抜けになつておつたというようなこともいわれておる。近くアメリカからMSAの関係で貸与を受ける新兵器の構造の秘密保持等につきましても、保安庁長官においても特別な御配慮があることと存じますが、いずれ法案の提出もあろうと存じますから、この提出を待つて検討いたしたいと存じます。 次は、日米関係について大体どういうふうな見通しであろうか。それには従来の経過等も考えなければならぬのでありますが、アメリカは、もともと外国には干渉する考えのない国であつたのであります。国は広いし、資源は豊富であるし、自分のことだけをやつておれば、人の世話をする必要がない。世界のいろいろなことに関係しない。特にこれは、大統領モンローのときのいわゆるモンロー・ドクトリンでありますが、この思想は、シベリア出兵にあたりましても反対した人たちが持つておる。そうしてアメリカは、特に東部の国民は、ヨーロツパの問題については興味があるが、東洋の問題については関心がきわめて少いのであります。中部地方の新聞なども、このごろはどうか知りませんけれども、私が知つておる限りは、日本の政変や内閣の更迭などは、小さな活字で二行か三行くらい書いておる程度であるのであります。また西部、ことに太平洋に面したカリフォルニア州などでは、土地の問題、移民問題、写真結婚問題等の日本との間にいろいろな問題が起つたのでありますが、それでも日本のことはよく知らないのであります。大学の総長が、日本にはアイアン・ブリッジがあるのか——日本には鉄橋があるのか、日本には大学があるかというような問いを発したり、また相当な知識階級の人が、日本は支那のどの辺にあるのだと言うくらいに、東洋のことを知らない。いわばアメリカ全体が東洋のことは知らない。ヨーロッパに対して重点を置いて来た国柄だけに、東洋に対しては非常に目をあけるのがおそかつたのであります。そこでソ連が強くなつて来た、ソ連との対抗が始まつた、東洋の重大性がだんだんわかつて来たというのが、今日の実態であると思うのであります。第一次大戦のときにはドイツ語に圧迫を加え、第二次ごろにはそれはやらなかつた。また日本では戦争中には、たとえばゴー・ストップというような言葉は、外国語だからいかぬということで、とまれ・進めという言葉にかえた。向うは日本語研究というものは非常に奨励をしたのでありまして、まことに視野が広い。世界的の考えを持つた国民の考えはうらやましいと私は思つておるのであります。また今日、日本の歴史とか文化とかいうものを非常に知りたがつておる。四、五日前の船でも、日本の大工、左官、庭師、建築の監督、技師などがアメリカに行きました。これは日本の生活なり日本の文化の一端を知る目的で、ロックフェラー財団の寄付金をもつて、またこちらでも二千万円ばかり寄付金を集めることになつておりまして、ニューヨークの近代美術館で、来る五月から十月まで日本家屋五十坪ほどの予定でありますが、展覧するはずであります。これは後にメトロポリタン博物館に寄付することになつておりますが、おとといの新聞では、ブラジルのサンパウロにも日本の茶室をつくるために、大工、左官が立つて行つておるということを書いております。戦前には、日本は外務省を通して相当な宣伝費を外国で使つております。ことにアメリカで使つておりますが、しかし、それには政治的のにおいが非常に強いものですから、効果が少かつた。しかるに今では、アメリカが自分から進んで日本を知りたがつておる。日本のほんとうの姿を見たいということを考えておるのであります。現に多数の留学生や視察なども続々来ておるのでありまして、外務省も、どうかこの機会を利用されて、この機会を失しないように、各種の文化団体その他ともよく提携されて、外国に日本をよく知らしめることについて、従来もやつておりますけれども、今後一層御努力を願いたいものであると考えるのであります。日米関係の推移を見ますと、もちろん初めはきわめて悪い、終戦後はたいへん悪かつたのでありますが、だんだんよくなつて、今では非常によいと思うのであります。初め悪かつたのは、アメリカはたびたび戦争をしましたけれども、いつでも受けて立つておる。アメリカは宣戦布告をしないで戦争をしたことは一ぺんもありません。しかるに真珠湾の攻撃は宣戦布告なしにやられた。これはアメリカ国民の感情に非常に大きな焼印を押しつけたのであります。その後また戦争によるアメリカの損害が非常に多かつた、犠牲が多かつたという事柄もありまして、日本に対する報復——リタリエーシヨンというものがアメリカの国論になつたのであります。ところがだんだんよくなつて来たのは、戦闘態勢をとつた艦隊が、暗夜に相模湾から上陸して占領軍政をしいた。これは二ちようピストルを持つて出て来たというような厳戒をして来たのでありますが、日本側はどうしたか、日本側においては、友遠方より来るとでもいうようなきわめておちついた表情で——これは私は日本の国民の偉いところだと思つて、よくやつてくれたと思うのでありますが、彼らを迎えた、握手とほほえみをもつてわれわれは占領軍の上陸を迎えたのであります。そして占領行政に対して終始協力して参りました。これらが、アメリカ国民の多くが日本に対する認識を非常に新しくして来た大きな原因の一つであります。またそれとともに、一方数年間多数のアメリカの兵が来て交代してアメリカへ帰り、またアメリカの人たちが日本へ来て、親しく日本人に接して日本の風俗習慣を知り、これらが本国へ帰つて日本の美点を宣伝してくれたのであります。今日では、アメリカの国民の関心はアジアに向けられておる。直接の原因は、申すまでもなく戦後のソ連の台頭でありますが、アジアは世界人口の大部分を占めておる。地域は広いし、資源はゆたかであるし、多くの人材がある。アジアの人たちは、アジアにおいて多くの人材を有することを忘れておる。しかし世界は知つておる。わが国においても多くの人材を擁する。わが国の政治家の動きについては、今日は世界各国が見ております。どの政治家はどうしておる、どれはどういう政策政見を持つておるかということは、今世界注目の的になつておるのでありますが、とにかく地域は広くて.資源が多い。このアジアは、大きな目を見開いて見なければならぬことは当然であります。世界の平和、人類の福祉のために、アジアの安定と開発に対する積極政策をアメリカは今とらんとしておる、とらなければならぬ。アメリカのアイゼンハウアーは、大統領に就任します前に、首脳部を連れて朝鮮を視察に来ました。これは選挙のときに国民に約束したことを果すためであります。ニクソン副大統領も来た。ダレスとかジャツドとか、 ロバートソンとか、財界政界の多数の人々が続々来ております。来た人たちは、みながみなまで日本をよく理解して行くとは限りません。けれども、来たならは来ただけの効果はあつた。そこでこちらへ来た人たちの滞在日数を見ますと、東京が一番多いのです。東京をアジアの中心としておる証拠であります。私は思うのに、東京は今やアジアの中心であり、日本はアジアのリーダー・シップを与えられんとしておると考えるのであります。日本は自己保存のために、たびたび戦争を賭して来たのでありますが、いわばアジアの経験者である。アメリカの東洋政策を助けると申しますか、指導すると申しますか、われわれはパイーツトの役目をして、日本はアジアの指導者にならなければならぬと思うのであります。これも後に外部大臣から、これらについてまとめて御答弁を願いたいと存じます。 次は、占領軍政下においてどういうことが行われたか。これは初めは悪くて中ほどよく、だんだんよくなつて、後には非常によくなつたというこの占領政治下において、しからば総括してどうかといいますと、日本において行つたいろいろな占領下の法律や制度の中においては、日本に適しないものがある。これは吉田総理も、かつて日本の国情に適せざるものについては着々とこれを是正するということを言つておられるのでありまして、もとより当然のことであります。このいろいろやつた中には試みにやつたものもあります。アメリカでやつていないことを日本でやつたものもある。またアメリカ人からして見ますと、アメリカが今日まで有史以来繁栄をしておるのは、こういう制度、こういう法律でやつて来たから繁栄をしておるので、日本もこれをやればよろしいという考えでやらせたものもある。けれども日本がよく検討して、日本の国情に合わないものは遠慮なくなり直したらいいじやないかというのがアメリカ人の考えであります。そこでアと現在いろいろな交渉、折衝もありましようが、アメリカの言う通りにできることはたくさんある。できることは相談をしてやつたらよろしい。その意味において、アメリカから見れば、日本は親しむべき苦手であるというような立場に日本がたつてよろしいのじやないか。しかうしてそれが、長い前途のためには日米両国のためによい結果を来すものではないかと考えるのでありますが、以上の三点について外務大臣の御答弁を伺いまして、次に質疑を続行いたします。
○岡崎国務大臣 ソ連の緩和政策についてのお話でありますが、私も御意見のように考えておりまして、表面非常にいいようにも見えまするが、根本的な態度においては、先般のベルリンの護でも示されたように、なかなか歩み寄りができないようです。ただ今度開かれますジユネーブの会談におきましては、あるいは朝鮮の問題なり仏印の問題なりが解決し得る可能性もあるが、あるいはそれまで行かなくても、何らかの方途が発見されやしないかと思いまして、これには多大の期待を持つおります。またわれわれとしても、もちろんその推移には十分注意するのみならず、これに関する情報はすみやかに入手するようにいろいろ手配をいたしております。 日本を外国に紹介する努力につきましても、お話の通りでありまして、かなりよく知れ渡つてはおりますけれども、まだまだ一般外国人に十分というまでは行つておりません。これは外務省だけでやり得ることではありませんけれども、種々の文化団体とかその他の関係者を動員いたしまして、文化的の交流等を中心として、できるだけ——日本の長所ばかりというわけにも参りますまいが、日本の持つ特殊の点、あるいは日本の持つ真の民主主義の傾向等については、できるだけ外国に知らせるように努力するつもりでおります。 また日本はアジアのリーダー・シツプといいますか、指導的な立場に立つべしというお話でありまするが、これは、たとえば工業力等の点においてはもう私から申すまでもなく、他の国よりはすぐれておるのでありまするが、とかく日本が指導者になることは、リーダー・シツプをとるとかいうような言葉を申しますと、誤解を招くおそれが非常にあります。というのは、戦時、戦前を通じまして、日本の経済的侵略とかあるいは武力侵略ということが非常に東南アジアの諸国に恐怖を与えた事実もありますので、われわれとしては、謙虚な気持でこの諸国と提携をいたしまして、相互に繁栄をもたらし得るように、平和を確保し得るように努力をいたしたいと考えております。 占領の政策についてのお話、これもお話の通りでありまして、その後の事態によりまして、正すべきものは正す。この点については、アメリカ側が現在においても、たとえば認識の十分でない点がありますれば、遠慮なくその点は正して、夏の理解の上に日米の友好関係を建設して行こう。そのためには、何らアメリカの意見について批評をすることにはばかる必要はない、こう考えております。
○小林(絹)委員 アメリカの思想なり人道主義といいますか、そういうようなものが日本に、日本の敗戦の結果著しく入つて来たという点について検討してみたいと思うのであります。アメリカの人権尊重——日本にも人権尊重というものを強く持つて来たのであります。アメリカの立国の基礎は人権を重んずること、ヤルタ会議にもそれがうたわれております。日本の新憲法にも各所にそれが現われておることは、国民のひとしく知るところであります。アメリカは南北戦争の結果、合衆国憲法の第十四条の改正が行われた。アメリカの憲法といえば十四条が一番大事なものだ。簡単ですから原文で申しますと、「オール・パースンズ・ボーン・オア・ナチュラライズド・ウイズ・イン・ザ・テリトリー・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オア・イーチ・ステート・アー・ザ・シテイズンズ・オプ・ザ・ユナイデツド・スデーツ、」云々。これがアメリカの立国の基礎であります。アメリカに生れたものは黒んぼの子であろうと支那人の子であろうと、日本人の子であろうと、すべてアメリカ人であつて、これには市民権を与えるものである。これが人権尊重のアメリカの憲法の基礎であり、政治の基礎であります。これがだんだん日本に入つ来ておるのであります。もちろん社会的な問題といたしましては、まだまだ人種的偏見があります。たまいろいろの判決例とか各州の憲法を見ますと、まだまだしつかりはしませんけれども、アメリカはこの方向に向つてずつと進んで来ておるのであります。この建前から、日本に対しても人道的の見地からの親日家がたくあります。その二、三を拾つてみますと、ミネソタ選出の下院議員でウォルター・ジヤツド、これは外交委員会の極東委員長をしておりまして、沖繩の返還問題、奄美大島等のことでずいぶん日本のために骨を折つてくれております。お医者さんで、支那で長らく宣教師をした人でありますが、東洋の事情に詳しい。詳しいからインテレストを持つている。インテレストを持つているから、親切心がわいて来るのであります。またニュージャージー州の上院議員アレキサンダ治、メイン州のスミス、アルバマ州選出の民主党副大統領の候補者に出たことのありますジヨンスパートマン、アルカンサスのフルー・ブライト、またカリフォルニアのノーランドは有名でありますから日本人はよく知つておる。まだまだたくさんありますが、これらは政治とか外交ということよりも、むしろ人道という立場から日本に対する理解をだんだん深くして来ておるのであります。また一昨年できました移民法の改正は、発案者はネブアダの上院議員のマキヤランでありますが、日本に対する割当は百八十五人、わずかですけれども、日本人の帰化権の獲得が非常に便利になつておる。またこの法律では、市民権のある日本人が日本から親や子を呼び寄せることが自由にできる。現在ここ数年間に多数の日本の婦人がアメリカ人の妻となつて入国しておるのでありまして、今後日本人の血を受けたアメリカの市民が、呼び寄せその他と相まつてだんだん多くなつて行く。従つて差別待遇が減つて行けば、アメリカの政界にも実業界にも、あらゆる方面に日本人の血を受けた者が活動するということが見られて行くので、これは日米間の親善について非常によいくさびであると思うのであります。 ついでにアメリカの日本人に対する見方について、これはおそらく外務大臣は私と同意見だろうと思うのですが、質問ですから申し上げて御意見を伺います。 アメリカでは、国際法上属地主義をとつておりますから、日本が属人主義をとつておるのとは正反対であります。アメリカの憲法十四条にもうたつております通り、アメリカの領土内で生れた者はすべてアメリカ人である。日本は、日本人の子は世界中どこの国へ行つて生れても日本人であるという建前から、二重国籍の問題が起るのであります。日米戦争が起つてからアメリカにおる多数の日本人の——女の子は問題はありません。男の子については、つまりアメリカの方にロイヤルテイを尽すか、日本に尽すかという場合、多くはアメリカに対してロイヤルテイを宣誓しておる。この中でも日本人から編成された四百四十二部隊は、イタリアの戦場で殊勲を立てたのであります。テキサス部隊の全滅を救つた。またイタリアのその村が助けられたものですから、イタリアでは今日本部隊の頌徳碑を建てて、年々祭礼を行つておる。アメリカでは、ワシントンの白亜館前の広場で、大統領みずから日本部隊の閲兵式を行つて、その偉勲をたたえたのであります。これはアメリカの部隊にはしていないのです。そこで日本人の血を受けた者は、恐るべき尊敬すべき、正義人道の建前のものであるということを、アメリカの朝野は、アメリカ合衆国の国民はみな知つたのであります。そこで初めはりタリエーシヨン、次は握手、次にキツスというような親善関係になつたのでありますが、日本としては、こういう形勢とこういう機会をどういうふうに善用するか。これは外交の衝に当られる外務大臣のお考えを伺わなければならぬ。 以上の二点について御意見を伺います。
○岡崎国務大臣 アメリカの人たちが人道義という建前でいろいろりのことを占領中もやり、引続き日本に対してそういう意味の考え方で当つておるという点は、お説の通りであります。ただ国内におきましても、一時はアメリカのものなら何でもいいというような傾向で、あまりに米国を模倣して、その結果、かえつて日本のほんとうのいいところを忘れてしまうような傾向もなきにしもあらずであります。こういう点は、われわれとしても十分考えなければならぬと思いまするが、しかしおつしやつたようないろいろな有力者が、人権尊重とか、人道主義的な立場からわが国に対して同情的な眼をもつて見るということは非常にけつこうなことでありまして、今後ともこういう人たちにできるだけ働いてもらつて、そして日本の利益になるように努力いたしたい。現に実際上の問題としましても、関税の引上げとか、その他いろいろの問題で、おつしやるように、われわれにとつては非常に有利な解決をはかられたのも、これらの人々の努力があずかつて力あるところであります。外交問題といたしましては、ただいまおつしやつたような日米親善の関係が増進されて、しかもこれが先ほど申したように正しい理解の上に立つものであつて、いたずらにアメリカのものなら何でもいいという考え方でなく、アメリカとしても日本に学ぶべきところがあるはずでありますし、日本としても、アメリカに学ぶべきところがあるはずでありますから、この相互的な立場で、同等の立場においてできるだけ日米の親善をはかつて行きたい。そうして、そのためにはこういう人たちの努力、あるいは日本人の血を受けております二世なり三世なりの努力にまつところは非常に多い。従いまして、三世、三世にいたしましても、日本政府といたしても、これはアメリカ国民でありますけれども、これに対して必要なるいろいろの連絡、あるいは文化的な交流、日本の伝統の保持という点は、アメリカ国民としてさしつかえない程度において残して行きたいものである、こう考えておるような次第でありまして、その意味では、在米邦人の日本人会等いろいろの団体がありまするが、これらとも密接な連絡をとつて行くつもりでおり、また現にやつておる次第であります。
○小林(絹)委員 次には外資導入の問題が一つ、外交界の人事の刷新の問題が一つ、この二つをまずお伺いしたいと思います。 外資の算入につきましては、政府もたびたびこれを言われて来たのでありまして、今では民間資本を随意に入れ得ることになつておりますが、なかなか実現しない。その原因としましては、受入れ態勢が十分でない。資本というものはきわめて敏感なもので、あぶないところには寄りつきませんから、あぶないところには投資しないのは当然の話であります。あたかも年間行事のように、賃金の値上げ運動やストライキのようなものがひんぴんとして行われるところになかなか投資はしにくい。社長や重役を追い出して、労組が会社の経営をやろうというよりなところは、きわめて危険な市場であります。これについてドイツのシヤハトなんかも、労働組合の代表者を会社の重役陣に加えることはよい、それぞれの経験能力から考えて、工員の給与の問題であるとか、待遇の改善の問題であるとか、一般工員の厚生施設に関する問題等について、重役として発言をして行くことはきわめてよいことであるけれども、会社の経営に参加することはだめだと言つておるのであります。またドイツの労働者も、そのことはよく知つて協調してやつておるようであります。そこで日本でも考えなければならぬことは、現在の状態ではたして労働者の利益であろうか。ちよつと考えてみましても、少い仕事を大勢でやれば、一人当りの労銀が少くなり、総計して高くついて来る。高い品物は外国品と競争できる道理はありません。多い仕事を少人数でやれば、一人当りの労銀は高くとれて、総計して安上りになる。安ければ国際競争にも勝てるのは自明の道理であります。日本は貧乏しておるのですから、みながよりよく働いて、各自の生活をよくすることを考えなければならない。また外資の導入につきまして、もう一方の障害は資本家側であります。アメリカでは通常五分か六分の配当で満足をして、堅実な経営を望んでおる。ところがわが国では、二割、三割以上もの配当と、軍役陣営のふところぐあいが非常によい。過日もここでどなたかの質問のときにもあつたように、十億も十何億ももうけて、三割も四割も配当しておる会社が、政府の補助金がほしい、それでは堅実な経営とはいえない。国の一般の状態から見れば、非常な不健全なものになる原因であろうと思うのであります。そこでアメリカでは、資本と経営というものを別にしております。資本家と経営者というものと別にして考えておる。そこで占領軍政下において、日本の商法を改正いたしましたが、その中にもこの思想はもちろん入つております。けれどもなかなかうまく行かない。もう一つは、日本の事業家らがそういう欲張つた考えで外資を入れようとすることの障害のほかに、国粋的の意見を言う人といいますか、そういう人などの中では、外資を導入すると、日本が植民地にされるのだというようなことを言う人もあるのです。しかしアメリカにおいても鉄道でも、電気事業でも、元はイギリスの資本でイギリスが押えておつた。現にアングロ・アメリカン・ウール・カン。ハニーというものがアメリカのウールを支配しておつた。その資本が今日ではアメリカの方が重点が重くなつて来ている。だんだん力がついて行けばそういうふうになるのです。そこで日本に外資が導入されると一体どういうことになるか、堅実な営業をしてフルーツのとれる事業でなければならぬことはもちろんです。そのフルーツはむちやな要求はしない。それともう一つ大きなものは、機械であるとか、技術であるとかいうようなものは日本のものになる。これは一時的なものでなくして、将来長期にわたるわが国の産業経済の発展に貢献するのでありますから、この点について目を開いて、植民地になるのだというような愚論を排して、そうしてわれわれの内政上の受入れ態勢を十分に整えて、大いに外資を入れて、わが国の国土、産業経済発展をはからなければならぬと思うのでありますが、その外資について外務大臣のお考えを伺いたい。
○岡崎国務大臣 外資につきましては、お話の点は一々ごもつともでありまして、われわれもお話のような趣旨でやつております。ただいまもMSAの協定に関連いたしまして、投資保証の協定をつくろうといたしておりますが、これなども外資が心配なく入れるようにという一つの考え方の現われでありまして、今後ともお話のような趣旨で、労使の間の問題、あるいは国内の政情の安定及び外国投資を保護する立法措置、条約等をつくりまして、できるだけこの方面に努力いたそうと考えております。
○小林(絹)委員 次は外交陣営の刷新の問題でありますが、これは昨年の予算委員会におきましても、外務大臣に私がお尋ねをいたしたのでありますが、この人事のことは、これは外務省だけじやないのです。各省を通じてと思うのでありますが、デモクラシーの政治、デモクラシーの外交という根本から考えますと、よほど刷新をする考えで行かなければならぬと思うのです。政治の見地から言いますと、デモクラシー政治というものは専門家政治じやない。専門家政治は視野が狭くなる。たとえば税のことにいたしましても、税には詳しいけれども、税を納める国民の考えがわからないからやりそこないをする。取締りについても、取締りのことは詳しいが、国民の考えがわからないから、いろいろ問題が起つたり、専制政治に傾いて来るおそれがあるのであります。多数の国民の考えがありのままに映つて来るという建前でなくては、ほんとうのデモクラシー政治というものは行われない。アメリカにおきましても、歴史の示すところによりますと、ジエフアーソン大統領時代のいわゆるジエフアソニァン.デモクラシー、これは東部デモクラシーでありますが、専門家政治にだんだん陥つてしまつた。そこで国民思想はだんだんこれに反撃をして、西部デモクラシーといいますか、ジャクソン大統領時代以来のジヤクソニアン・デモクラシーというものが、今日のアメルカのデモクラシーの形になつているが、ややもすればこれが専門家政治に陥りやすいから、陥らないように気をつけて行かなければならぬのであります。これはしろうとの政治とでもいいますか、とにかく政治というものは停頓するとどうしても水が腐る。始終新鮮なものにしなければならぬ。白紙の政治といいますか、国民の輿論、国民の考えがありのままに映つて来て、そこにほんとうのデモクラシーの政治ができると思う。今日少しものを言う者は、ただちに民主主義、民主政治を口にするのでありますが、真に民主主義のわかつていない人も多い。ほんとうの民主主義は人権を基礎とするにある、一人々々の国民を大切にするにある、国民が一人でも餓鬼道に横たわる者あれば、政治家の責任であるというくらいな考えで、常に国民のことを思つてやる政治でなければならぬと思う。さしあたりそれについては、政府におけるところの人事等においても、よほど根本的に考えなおさなければいかぬのじやないか。大使なども前には銀行家の新木大使をワシントンに送つた。これはたいへんいいことだと思いました。アメリカの今の駐英大使ウイントロップ・アルドリツジは、これはチニーズ・ナシヨナル銀行の頭取です。このお父さんのヘィン・アドリッジという人は、アメリカ保護関税の起案者でありますが、これも国務省から行つておる大使館の幕僚や官僚が、派閥をつくつたり、外務省以外の畑から来た人であるから言うことをきかぬというようなことが一つもなくて、よく助けておりますから、イギリスでも今評判がよろしい。またイタリアにいるアメリカ大使もタイム、ライフの社長の奥さん、ルース夫人である。さすがにアメリカでは女性の大使をアポイントする。日本も将来、女性の中でも有能な人たちを、こういう地位につかせるようなことを考えなくちやならぬと思うのです。これも人事の刷新上必要なことだと思います。またイタリアにおつた大使、チエスター.ボールはコネチカット州の知事をしておつた政治家でありますが、最近帰りましたけれども、これもイタリアで評判がいい。そうしますと、この外交官の人事でも非常に視野が広い。実業界からもとれば政界からもとる、婦人の間からもとる、こういう考え方は、私は日本においても必要なんじやなかろうかというふうに考えるのであります。これに対して外務大臣はどういうようにお考えになつておるのでありましようか。前にお尋ねいたしましたときには、それは言葉の関係もあつて、選考の範囲が非常に狭いということを言われました。それはごもつともな答弁であります。しかし言葉以上に大切な事柄もありますから、なお今後もこの点についてお考えを願いたいと思うのでありますが、簡単でよろしゆうございますから、御答弁を願います。
○岡崎国務大臣 この前お話いたしました通り、言葉の関係が、非常はハンデイキヤツプがありますが、でさるだけ視野を広くして、広く一般から有能な人をとる方針においては、かわりがないのであります。 〔小峯委員長代理退席、西村(直)委員長代理着席〕 できるだけお話のような趣旨で今後ともやつて行きたい、こう考えております。
○小林(絹)委員 なおついでに外務大臣にお尋ねしておきたいのは、せんだつて外務大臣が関西へ来られたときに、賠償の問題で、賠償することが日本の利益であるというようなお言葉があつたように、新聞がこれは誤報せられたのであろうと思いますが、そうしますと、インドネシアの方面でとんだ誤解を起しはしないかということが一つ。それからニューギニアを日本が買収するというようなことを向うでいつておるようでありますが、この二つについて、どうか国会を通して、外国に対して、外務.大臣の真意はこうである、日本はかような考えを持つておるということを明らかにしていただければ、たいへん好都合と思いますから、御答弁をお願いいたします。
○岡崎国務大臣 第一にインドネシアの賠償の問題でありますが、私は大阪におきまして、賠償は日本の義務としてなすべきことであつて、またなさなければならぬ。しかしその結果は、必ずしも日本に利益でないことばかりじやない。賠償によつて、相手国がゆたかになれば、その結果日本も利益を受けるところもあるんだ、こういう話をいたしましたところが、それがインドネシアに、実際にもう誤り伝えられておりまして、何だ、日本は義務でなくて、日本の利益のために賠償をするつもりでいるのか、というようなことをしばしば向うの新聞等が言つおるようでありまして、これはその都度訂正をいたしておりますけれども、誤解を招いてまことに残念であります。われわれは賠償は、平和条約に基く義務として行うつもりでおります。この点は決して方針に間違いはないのであります、ただその結果日本にも利益があるというよけいなことを私がつけ加えたものですから、誤解を招いたのだろうと思いますので、どうぞさように御了承願いたいと思います。 それからニーギニアを買収するという問題でありますが、これは実は昨年の十二月に、東洋経済新報に森垣という人の論文がでておりまして、日本の人口のはけ口として二−ギニアを買収したらどうか、三十年賦くらいで買つたらどうか、こういう短かい論文のようなものが出ておつた。これがジャパン・ニースというものに翻訳されて掲載されまして、それがまた濠州だとか方々の国に電報で打たれまして、日本はまたニューギニアに乗り込んで来るんだというような非常な誤解を与えておるようであります。これは政府とは何ら関係もありませんし、また東洋経済新報にただ掲載された短かい論文のようなもので、一つの思いつきではありましようけれども、先ほども申しました通りに、戦争中、戦争前日本の経済侵略、軍事侵略というようなことで、ずいぶん心配をいたしておるのがいまだ東南アジア諸国の現状でありまして、こういう点で誤解を与えるような論文が出たことは、はなはだ残念でありますけれども、政府には何ら関係のないことであります。また政府としてはそんなことを考えておらないのであります。この点もどうぞさように御承知願いたいと考えます。
○小林(絹)委員 次は外務大臣に注文と申しますか、お願いを二、三いたしまして、外務大臣に対する私の質疑はそれだけにしたいと思います。 それはアメリカの人たちで、日本の敗戦以来自分の地位とか官職とかいうようなものにかかわらず、個人としてまた一般のアメリカの人たちが日本のいろいろな厚生事業に対して、あるいは学校であるとか図書館であるとか、孤児院であるとかいうようなものを援助してくれた。また九州のあの大水害のときにも、アメリカの駐留軍は時を置かずして、あたかも手から水が出るくらいなスピードでもつてすぐに応援に行つた。将来日本の保安庁なんかもあれをよく手本にしてもらいたい。会議会議で会議をしなければ動けぬ、そういう常識のないことでは急場に間に合わない。われわれ日本国民はあの九州の大水害のときに、駐留軍の兵士があれだけ行つて非常にやつてくれた。もちろん日本の保安隊も活動しましたので、保安隊の活動に対してこれまた国民は非常な感謝をしておる。これらの戦後日本に対していろいろやつてくれた人たちのどういう人がどういうことをしてくれたかということは、これは外務省でお調べになるのが一番調べやすいと思う。これらの人たちに対して感謝とか表彰とかいう道をどうぞ講じていただくようにしたいと思います。これが一つのお願い。 その次は、これは長くなりますから、私は注文ということだけにして申し上げておきますが、アメリカの関税について、最恵国条款に触れないもの、アメリカの国内の産業にも直接に大した影響のないもので、日本から出る特殊の輸出品、日本だけでできる雑貨とかいうようなものも相当ある。こういうものに対する関税がだんだん引下げられるような——これは交渉だけでは行きませけれども、いろいろな手を使つて実現するように、新聞、雑誌等の報道も必要でありますが、また直接交渉も必要である。これをひとつお骨折り願いたい。 それからもう一つは、これは各省みなそうなんですけれども、ファイルのシステムは、今日本の各役所のうち外務省が一番よくできておる。しかしアメリカの政府のファイル・システムというものは実に完全なものである。現にこの国会におきまして予算の質疑をしても、資料要求に対して政府はなかなかすぐに出せないのではないか。二日も三日もかかつて大福帳みたいなものをひつくり返して調べる。役人の机の上には古い書類が一ぱいにして積んである。これではいかぬ。ちよつと見ればすぐに何枚目にそれがあるということがわかるようにするためには、ファイルをしつかりしなければならぬ。これは一ぺんにやれぬことで、毎日毎日やつて、何年も何年かかつてこのファイルというものが完成するのでありますから、これは今私の見るところでは外務省が一番よくできておると思いますけれども、なお一層完全なものにするようにしていていただくというと外交上非常にぐあいがいい。まあヨーロッパは御承知の通り文書外交、アメリカは輿論の外交、ヨーロッパは何にしても一にも文書、二にも文書、日本もそれにとらわれるようなことでは困ると思いますけれど、輿論とかそのときどきの都合でやつて行く国においてさえも、十年、二十年、三十年この文書というものを非常に大切にしてファイルをつくつておるのですから、これも日本の外務省には世界のどこの国にも負けぬだけのファイルがちやんとできておるというようにお骨折り願いたいと思います。外務大臣に対する質疑なり注文はこれだけにいたします。 次は行政整理の問題であります。自治庁長官にお尋ねしたいと思いますが、この行政整理は最初から幾ら天引する、最初から一割人を減すとか八分人を減すとか、そういうことで整理をするということでは——そういうお考えでおやりになつたのではあるまいとは思いますけれども、順序が違う。まず行政整理というものは歴代の内閣がする、綱紀粛正をやる、これはいつも紋切型の事柄でありますが、実はあまり実績が上つていない。なぜ上つていないかというと、法律、規則を元のままにしておいて、仕事の仕方が同じで、一割引とか五分引とか人だけ減す。これはあとへずつともどつて来ます。それは根本が間違つておるからうまく行かない。行政整理をやろうと思うならば、一番の根本は仕事をシンプリフアイすること簡単にすること、これが民主主義なのです。シンプリシティ・オブ・ライフ、個人の生活でも簡素であるというところに健康があり、しつかりした意思がある。国においても簡素な政治をするということにおいて、その政治が健全であり、腐らない。それがデモクラシーの政治であるのでありますから、行政整理をするにあたつてはまず仕事をシンプリフアイする。簡単にすれば国民が喜ぶ。繁文褥礼、あとからあとから今国会でも毎日四つ半くらいな法律ができております。国民は法律責めなのです。でありますから、法律や規則がだんだん複雑に重なり重なつて来て、繁文褥礼の政治、官僚政治、オートクラシイというところまで来ておるのに、人だけ減して何になる。また人を減すについては、今日十年も二十年もその職域に勤めて来たものを今わずかばかりの退職金でやめさせる、こんな不人情なことはありません。そこで根本的にやり方をシンプリフアイするということが大切であります。それによつて人員が自然に減つて来る、減して行つた人の向く場所がなくちやならぬ。これは行政整理をやる自治庁長官ですから、起案されるだけの考えではもちろんいけません。内閣全体の財政計画、産業計画、これらにおいて国民に失職者のない、適材を適所に十分に使つて、国家の進運に資するという根本の方策をとらなければならぬのでありますけれども、あなたにそんなことをたくさん聞いてもしようがないから、あなたには、この人員整理の根本方針をどこに置いておられるか、簡単ということが民主主義である、簡単を目標として行政整理をやれば国民は喜ぶ、繁文褥礼が助かつて国民は喜ぶ、国民が喜んでそして国の費用が少くかかる、これを目標にしておやりになつたものであろうか、あるいはその他の考えでおやりになつたものであろうか、それを一応お伺いいたします。
○塚田国務大臣 今回の行政整理におきましては、小林委員から御指摘になりました通り、ただ人間を減らすということは避けて、事務を整理する、事務の処理方式を合理化する一この辺がおそらく御指摘になつたシンプリフアイという考え方に合つておると思うのであります、それにプラス執務を能率化するという三本の考え方を中心にいたしまして整理を考えたわけであります。ただ事務を整理し、事務の処理方式を合理化する、また執務を能率化するといいましても、それではそれからどれだけ一体整理する人員が出て来るかということは、なかなか予算の編成の技術の上からいたしましてもつながらないのでありまして、やはり最終的に整理人員を定めます場合には、ある程度仕事の種類をわけて、その難易に従つてある率というものを大体頭に置いて整理の数を考えましたけれども、決してそれが無理にならないようにということを絶えず頭に置きながら、今申しました事務整理、事務の処理方式の合理化、執務の能率化ということと並行してこれを行うように鋭意努力いたしたわけであります。
○小林(絹)委員 自治庁長官に希望したいと思いますことは、このたびの行政整理、人員整理というものについてはすでに案ができて、政府が予算もお組みになつてもう提出されておるのでありますから、これを今どう組みかえをしろとか、どういう方針で初めからやれと言うことは、それは無理な話である。今後も行政整理は始終やらなければならぬことなのです。年中やらなければならぬことである。一ぺんにやれば多数の人に一ぺんに迷惑をかける。それで徐々にやつて行かなければならぬ。それにつきましては、今申し上げましたような役所の仕事を簡素にする。これはいなかのことを申し上げて悪いが簡単な例を申し上げますと、私どもの国で自転車にポンポンを一つつけるのに、警察へ行つて道路使用許可をもらう、その警察からまた五里か六里あるところの姫路というところの管理課へ行つてまた許可をもらう、それからまた今度は神戸の県庁まで汽車や電車に乗つてやつて来て、道路課長とか管理課長その他の人たち二人か三人の判をもらうのに、きようは土曜日でひけた、きようは会議中で会えない、きようは課長さんが出張だということで、運がよくても五日か一週間かからなければ、自転車にポンポンをつける許可がとれない。これは極端な例であると思いますけれども、例をあげればたくさんあります。こういうことは警察の交通の主任あるいは署長さんが判を押して、そうして帳面にちやんと何の何がし何月何日これの許可を与えたということを書けば、それでいいじやないか。それをもとにして税金もとれるではないか。こういうことがつまり日本の繁文褥礼です。そこでこれを改めて、一番いいことを言えば法律の千や二千たな上げにするぐらいな大改革をやるという非常に強い内閣が出て来、国民がこれを助けてやるということが一番理想的でありますけれども、それはむずかしいから、今後年々行政整理についてお考えの際は、これをこれだけに簡素化する、そうすると自然に何人人が余つて来る、そうしてここではもうそれでいいから、どういう方面にそれを向けようかというような親切な考えで行政整理をやられるようにしてもらいたいと思うのであります。これは希望であります。御答弁があれば伺いますが、御答弁がなければなくてもよろしい。
○塚田国務大臣 私もまつたく同じ考え方を持つておりますので、今度の整理におきましては、特に共管の事務の整理という考え方でそういう問題を幾つか取上げたのであります。ただ取上げてみますと非常に困難な問題が多うございまして、十分の整理はとてもできませんけれども、なおその方針で鋭意努力をして参りたい、こういうふうに考えております。
○小林(絹)委員 もう一言長官に申します。ことに今度の人員の整理について、整理をされる人はみな気の毒である。ところが特に警察官の場合には三万人も減しておる。ほかの職にある者はみな超過勤務手当をとつておる。警察官は二十四時間勤務、超加勤務手当はないそして割合ああいう特殊なラインの仕事をしておつた人でありますから、あるいは実業界その他の方へ向けるのには適当でない人が相当多いのであります。これらについてはいずれ今度は警察法も出て参りましようし、あの法案が通るか通らぬかわからぬけども、われわれれはこれは通したいつもりでありますが、今後の整理についてはこれらを特にお考えになつたらいいのではないか、こう思いますから、御注意をしておきます。 次に今日の政局についてであります。今日の政局は必ずしも安定していないことは政府も認め、国民も認めておるところであります。そこで本日副総理から政局については確固たる精神をもつて大いに進むということを言われましたので、私はこれはたいへん心強い、よい御発言であつたと思うのであります。その理由を申しますと、せんだつてここでさる問答というものがあつたのであります。何でも議会に行けば非常にさるがたくさんおるというような、座談会か何かからの話であつたと思うのですけれども、さるがどうかしてちよつと手にけがをする。じつとして、なめてでもおけばなおる。ところがさるのおつさんやおばさんや、兄弟や友達が寄つてたかつて、見せろ見せろと、このけがをこつちからもひつばる、そつちからもひつばる。じつとしておけばなおるけがが、さるどもが寄つてたかつてひつぱるので、傷がだんだん大きくなつて、血がたくさん出て、このさるが死んでしまう。ニューヨークの動物園なんかでも、それで死ぬさるがたくさんおるのです。そこであまりさるどもが傷をさわらぬように、相手が——群衆というものは、群衆心理というものがありまして、熱する場合がある。あとで冷静になつて考えてみると、ああしまつたと思うのでありましようが、政府の当局におられる人たちにおいては、世間が熱すれば熱するほど冷たくなる。そうしなければ、調和はとれません。世間が騒げば騒ぐほど冷静となり、そうして局に当つて信念もつて、ばたばたしないように、うろうろしないように、もつと足をしつかりと地につけておやりになつたら、国民も安心をすると思う。どうぞそういうお考えで、閣僚諸君もその考えで進まれることが、現在のわが国の政局——これは外国もいろいろ心配しております。アメリカなどは非常に心配しておる。MSAの関係もあります。詳しくは申しませんけれども、非常な心配をしている。世界の問題になつている。この場合において政府の局に当る人たちが冷静な態度をもつて、おちついて着々とこれに善処して国民に安心を与える。外国にも安心を与える。これがやがて外国との関係がますます親善になり、外資のごときも、入つて来ることになると思う。これに対して緒方副総理の御意見を率直に伺いたい。
○緒方国務大臣 ただいまお話になりましたさるが傷をなおす話の言外の意味は、私にもわかるような気がいたします。今御意見の中にありましたような心構え、態度をもつて、政府は足を踏み締めてこの時局を担当して所信を貫こう、かように考えております。
○小林(絹)委員 これで私の質疑を終ります。 〔西村(直)委員長代理退席、倉石委員長着席〕
○倉石委員長 それでは次会は明二十四日午前十時より開会することといしまして、本日はこれにて散会いたます。 午後七時十一分散会