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19回国会衆議院1954/02/03

予算委員会 第3号

発言数
185
登壇者
17
会派数
5
開催日
1954/02/03

会議録

小峯柳多自由党

○小峯委員長代理 これより会議を開きます。  昭和二十九年度一般会計予算外二案を一括議題といたします。質疑を継続いたします。  この際昨日の武藤運十郎君の質疑に関し、外務大臣より発言を求められております。これを許します。岡崎外務大臣。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 相互安全保障法に基くいわゆるMSAの交渉に関するその後の交渉経過を概要御報告いたします。  まずMSAの本協定に関しては、概括的に申しますと、各国との協定に見られるいわば協定の標準規定を中心といたしまして、わが国の実情に沿うような諸点を織り込んだものが協定本文になるわけであります。協定文は大体十二条ないし十四条ぐらいになるはずでありますが、まだ条文の整理を行つておりませんし、またどの項目が第何条になるかということは決定しておりませんが、協定文に入るべきおもなる項目は大体左のようなものになります。  第一は援助供与の規定、第二は援助物資の有効なる使用を規定する、第三、特許及び技術情報の利用、第四、五百十一条の援助要件の受諾、第五、原料及び半加工品の有償による対米便宜供与、第六、援助物資の差押え禁止、第七、協定実施に関する広報、第八、機密保持、第九、不用となつた物資の返還、第十、MSA顧問団、第十一、援助物資の免税、第十二、細目のとりきめ、第十三、安保条約及び憲法との関係、その他に条約に関連する改訂とか発効期日、有効期間、批准手続というようなものがあるわけであります。  また協定には付属書がつくはずでありまして、その付属書中に予定されている項目は援助の範囲、規格の統一、顧問団の身分及び行政費等からなろうと考えております。従いまして、いわゆるMSAの協定は、協定の本文、付属書、それに伴いまして議事録等から成り立つわけであります。  今その主要な問題に関する政府の立場を御説明しますと、第一にMSA援助の性格についてでありますが、今回の協定による米国の援助は、いわゆる完成装備の供与ということを主としたものでありますが、装飾等の供与はわが国の国費の節約となることは必然と考えております。またMSA援助の実現ともなれば、域外買付の増加等、経済的に付随して有効な効果をもたらすようなふうに、交渉にあたつては米側に中入れを行つております。この点に関連いたしまして、政府は、MSA本協定と同時に、MSA第五百五十条による米国農産物の購入についても、とりきめの成立に入りたいと思いまして交渉中であります。  この第五百五十条の規定は、米国が過剰農産物を総額一億ドル以上、二億五千万ドルまでを限界として、MSAの予算による米ドル資金をもつて購入し、被援助国に対してその国の通貨で売却し、これら被援助国通貨をもつてMSA援助の目的に使用せんとするものでありますが、政府としましては総額約五千万ドルの農産物をこの際購入し、内容はさしあたり小麦五十万トン、大麦十万トンを買い入れ、右の約五千万ドルに相当する円貨の一部は、日本政府に贈与されることにしておりまして、日本の防衛産業の振興に使い、残余の円貨は、日本におけるいわゆる域外買付に使用するという条件をもつて、ただいま米国と細目交渉中でありますが、小麦等の買付協定及び円貨の使途の協定、この二つについて現在アメリカ側と話を進めております。  このとりきめが成立いたしますと、多量の食糧の輸入が実現するほかに、基幹産業の強化とかあるいは域外買付の増大が期待されるわけでありまして、いわゆる経済的な方面の効果も相当発揮するものと考えております。  第二にまだ決定しておりませんので、先ほど申し上げました項目の中にはあがつておりませんでしたが、いわゆる平和を脅威する国との貿易統制の問題があります。最近のアメリカが他の自由諸国と結んだ協定には、平和を脅威する国との貿易統制について明文を掲げることを例としております。わが国といたしましても、これは主義としてさしつかえないことで、ありますが、同時にただいまのところは、可能な範囲では中共等に対する品月の緩和を行つて、この貿易の増進に努めるようにやつて来ておりますので、またこれに関連しては本院の決議等もありますから、こういう事情を考慮いたしまして、他方自由主義諸国との歩調を合せる趣旨をも表明するような何らかの一案を考えてはおりますが、まだ研究中でありまして、この問題を入れるかどうかについては、決定はいたしておりません。  第三に、MSA第五百十一条a項に掲げられましたいわゆる六条件に関してでありますが、これらの資格条件は、MSA援助を受ける国がすべて受諾しておる義務でありまして、わが国も協定により受諾をしてさしつかえないものと考えられますし、また何らわが国の法規等を逸脱するものではないのでありますが、一部には本条の解釈について、特に憲法との関連において、議論をされる向きもありますので、MSA協定の実施が憲法の条章に従つて行われるという趣旨を狩に協定中に盛り込んで、わが国の特殊事情に対する考慮を織り込みたいとも考えております。申すまでもなく政府が希望しているところは、独立国として自衛力を漸増することでありまして、MSAを受けることにより、憲法にいわゆる戦力を持つものでもなければ、また海外に部隊を派遣するというようなことを約束するものでもないのは申すまでもありません。  第四に、いわゆる軍事顧問団につきましては、各国の例にならいまして、その身分を大使館黄として、大使の指揮のもとに行動するようにとりきめる考えでありますが、その構成とかあるいは員数等に関しましては、現在なお交渉中であります。顧問団には装備の供与、使用方法の訓練等の援助実施事務に携わる者のほかに、多少管理要員もこれに付随するものと考えられておりますが、わが国としては最も効果的に技術と勧告を取入れられるように、せつかく折衡を進めている次第であります。  最後に、MSA交渉の今後の見通しについて一言いたしますと、まずわが国に供与せらるべき援助の具体的内容に関しましては、目下まだ米国側と交渉中でありまして、わが方の希望するものの中には、米国側において供与困難のものもあるいはあるかもしれませんが、当方としては昭和二十九年度の自衛力漸増の計画に見合うような援助を期待しておるわけで、米側としても十分わが方の意のあるところを了承するものと考えております。従つてこの話合いについては、さほど長い時日を要しないであろうと考えております。  次に援助の総額に関しましては、援助内容がきまつた上で決定される問題でありますし、また援助物資の評価方法いかんによつても異なる場合がありますが、現在まだ何ほどというところまで御報告する段階に至つておりません。  協定調印の時期につきましては、政府としましては援助その他の具体的内分の大綱を話し合つた上で協定の調印を了し、そうして国会に提出して御審議を得たいと考えております。それで大体おそくとも今月中には調印することを目途として、目下交渉を進めておる次第であります。  以上MSAの交渉の経過の最近の概要を申し上げました。

武藤運十郎日本社会党(左)

○武藤委員 ただいま岡崎外務大臣から、MSAの折衝並びにその経過、内容等について御報告を承りました。つきましては、数点についてお伺いをいたしたいと思います。  第一には、この日本とアメリカとのMSA協定は、MSA五百十一条の標準的な条項に従つてつくつたものであるということでございます。そうしますと、このMSA協定の本質というものは、五百十一条に規定してありますところの、目的は米国の安全保障を強化するものであると認めた場合で、かつ被援助国が次のことに回想している場合のほかは与えてはならないということでありまして、次のことというのは六項目ありますが、その中で最も重要なものは、「米国が一方の当事国である多辺的又は双務的の協定又は条約に基いて自国が受諾した軍事的義務を履行すること。」こういうふうになつているようであります。そうしますと、MSA協定によりまして、日本は軍事的な義務を負うことになるのではないかということ、同町にそれはまた軍事的の義務を負つても、その軍事的義務というのは、日本の安全を保障するというよりも、アメリカの安全保障をするのである、こういうことに目的と内容条件がなるようであります。そこで岡崎外相も前もつて触れておられますけれども、日本の憲法との関係が云々されるけれども、憲法には抵触をしないということをうたいたいということを言つております。しかし私どもが考えますことは、条文の中に憲法には抵触をしないという文句をうたうことによつて、憲法に抵触しないというのではないと思います。その実竹が憲法に抵触するかどうかということで、問題はきめなければならないと思います。要するに、このMSA協定をしますると、それは援助を受けた日本がアメリカの安全保障に寄与しなければならないということ、軍事的義務を負わなければならないということ、従つてそれはやはり憲法に抵触しないという条項を入れる入れないにかかわらず、憲法に抵触することになるのではないかということをお伺いしたいと思うのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 今言われたのはいろいろの点がありますが、第一にアメリカの安全保障に寄与する点につきましては、アメリカ側の考え方はアメリカの安全はアメリカ一国で守れるものでない、世界の自由主義諸国が提携を強化して、お互いに助け合うということによつて世界の平和が守られる、その結果アメリカの安全が守られる、こういう趣旨でありますから、MSAの援助というものは、要するに世界の自由主義諸国の防衛力を強化して、それによつて世界の平和を維持し、それに基いてアメリカの安全を確保する、こういう趣旨でありますから、直接にアメリカの安全に寄与するというよりも、世界の平和に寄与することによつて、間接的にはアメリカの安全にも寄与する、こういう趣旨であります。従いましてアメリカとしても各国の防衛力の増強に対して援助をしようという考えであります。  第二に、五百十一条の、今あげられました軍事的義務を負うというのは、これは前に当委員会でも御報告いたしましたから御記憶だと思いますが、われわれもこれは非常に云々な点だと考えましたので、昨年の六月二十四日に、米国政府に対して、アメリカ大使を通じて質問書を提出し、そして米国政府の正式なる見解としての回答が来ておつて、それをここでごひろうしたことがあります。それによりまして、五百十一条のa項にいわゆる軍事的義務とは、日本が日米安全保障条約によつて負つている義務以上には何ら出るものでない、こういうことを明確に答弁を得ております。従いまして、もちろん憲法に違反するかしないかということは、条文に書く問題ではなくて、実質の点であることはその通りでありますが、私どもは何ら憲法等に違反するものでないと確信いたしております。

武藤運十郎日本社会党(左)

○武藤委員 いまだ釈然としませんが、時間がありませんから、次の問題に移ります。  援助は、まだどのくらいの援助を受けるかきまつておらないというようなお話でございましたが、伝えられるところによりますと、大体一億二、三千万ドル、四百五十億円見当ではないかということをいわれておりますが、大体の見当はいかがですか。これが第一点。それから新聞の伝えるところによりますと、陸上部隊への援助はおおよそ二百七十一億円、八千万ドル見当であるといわれておりますが、事実でありますかどうか。それから海上部隊、航空部隊についてはどの程度になりますか。この三点をお伺いします。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これはただいま御説明しましたように、ただいま交渉中であります。それで保安庁におきまして、新しい計画に基いてどれほどの装備を希望し、必要とするかを考えて、これに基いてアメリカ側と話合いを行つておりますが、まだいずれの点においても正確に決定したものはありません。従いまして総額いかんということはまだ申し上げる段階に至つておりません。またこれにつきましても評価の方法がいろいろありまして、原価で計算するか、あるいはたとえば原価の八割ぐらいで計算するかというように、その計算の仕方にもよりますが、いずれにしましてもまだ決定いたしておりません。従つて第二に御質問の陸上に、あるいは海上、航空にどれだけということにつきましても、まだ申し上げる段階に至つておりませんが、先ほど申したように、日本側で必要とするものは、もちろん多少異動はありましようが、大体援助を受け得るのじやないか、こう考えております。

武藤運十郎日本社会党(左)

○武藤委員 援助の内容と申しますか、性格について伺いたいのであります。私は最初援助というのはもらうのだと思つておりましたが、ガリオアなんかも債務になるというお話でございます。そこで援助は贈与になるのか、借款になるのか、この点を明確にしてもらいたいと思います。去る二十一日にアメリカ大統領が議会に送つた教書によりますと、諸外国に対する援助は漸次縮小せられ、打切る方針であるということを述べておるようであります。それから今度は援助ではなくて相互工事計画といいますか、ミューチュァル・ミリタリ・プログラムというような言葉を使つておるようであります。そうしますと、この援助というものは徐々に打切られ、縮小されることになるのではないかと思います。また二十三日のランドール報告を見ますと、経済援助というものは、贈与なんかは打切つて借款にした方がいい、自由諸国の平和を維持することによつてアメリカ自身の安全を守るというのではなくて、直後にアメリカ自身の利益、安全保障に寄与するもの以外は贈与をしない、借款にすべきだということをランドール報告は述べておるようであります。こういうアメリカ大統領教書並びにランドール報告を見ますと、どうも援助というものは、だんだんぼけて来て、結局は借金に残ることになるのではないかと思うのでありますが、その点について今回の援助の性格はどうか伺いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 いわゆるMSA、相互安全保障法に基きまする援助には、いろいろの種類のがあります。贈与であるものもあり、あるいは貸与であるものもあり、あるいは有償で交付するものもあります。しかしただいま交渉しておりますわが国に対する援助は、いわゆるグラント、つまり贈与でありまして、従つてこれは対価を払うものでもなし、また借りるものでもありません。但し先ほど御説明しましたように、受けた援助が不必要になつた場合には返還するという規定は設けております。

武藤運十郎日本社会党(左)

○武藤委員 余剰農産物の売渡しについて伺いたい。これは、MSA協定の中に円貨の処置として含まれるものでありますか、農産物売買協定というような経済援助協定、こういう二本建になるのですか、大体の構想を伺いたい。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 これもただいま御説明しましたように、農産物の買人れにつきましても、これはMSA、安全保障法の五百五十条にありますから、その全体の構想の一つではありますけれども、ただいま日本が受けようとしておりますいわゆるMSAの援助とは多少性質を異にしますので、別の協定にするつもりでございます。別の協定は、たとえばかりに五千万ドルと決定いたしますれば、五千万ドルの農産物を買い入れるその方法その他船積み、いろいろありますが、そういう規定が一つ。それからかりにその五千万ドルを買い入れたといたしますれば、大体その五分の一が日本政府に対する贈与となるわけであると考えますので、この五分の一の贈与をいかに使用するかたとえばどういう産業にどういうふうに使うか、大体これは産業に対する援助になるわけでありますから、その使途の協定、この二つの協定を別につくる、こういうつもりでおります。

武藤運十郎日本社会党(左)

○武藤委員 軍事顧問団というものがあるようでありますが、これについて伺います。軍事顧問団は一体どういうことをするのか。先ほど外相から簡単な説明がございましたが、これは非常に重要なものだと思います。これは日本が実質的に再軍備、自衛隊をつくるということで、一つの軍隊ができる、そうしますと、そこに外国の、アメリカの顧問団というものが入つて来る。この性格は一体何だろうか。われわれは疑わざるを得ない。あるいは日本の自衛隊の最高司令部に入るのではないか、つまり指揮命令に参画する。ただ単に兵器の管理をするとか、使用法の指導をするとかというのではなくして、自衛隊そのものの指揮命令に関与するような権限を持つことになるのではないか。こうなりますと非常に重大であつて、われわれはもちろん自衛隊、再軍備を否定しておりますが、かりに自衛隊、再軍備というものができるとしまして、その最高の指揮命令権というものにアメリカが参画をする、軍事顧問団によつて参画をするということになりますと、日本の独立というものは非常な脅威を受けて来ることになると思います。またいろいろな部隊の問題についてアメリカの圧力を受けなければならぬということになるのではないかと思いますので、この軍事顧問団の性格を明確に伺いたいと思います。  第二には、軍事顧問団についてそう大勢はいらないと思う。聞くところによりますと、アメリカは八百人ないし千二百人を要求しておるというようなことをいわれておりますが、日本では三百人とか五百人と言つておるというようなことを聞いております。一体そんなに大勢いるか。先ほど外相が説明されたような兵器の管理や使用法の指導というようなことだけであるならば、外務省が考えておるといわれる二百五十人、三百人でも多過ぎるのであつて、ごく少数でよいのではないかというふうに考えますが、この点についてはいかがでありますか。  それから第三には、何か行政費と言われましたけれども、事務費だけではなくて、軍事顧問団が外国に旅行する、視察に行くことまでも日本が負担をしなければならないというようなことを、アメリカは要求しておると伝え聞いておりますけれども、一体行政費についてはどれくらいの、どういう程度まで要求しておるのか。この三点を伺いたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 軍事顧問団の任務は、これは相互安全保障法にも書いてありますが、ごく要点だけですが、第一には援助の装備等は一度に入つて来るものではありません。だんだんに入つて来る場合が非常に多いのであります。日本の保安隊の実情を見てどういう援助をいつしたらいいかということ、つまり援助の受入れに関する時務を取扱う。第二には技術の指導等であります。従いまして指揮命令等に関与するということは絶対にありません。この点は誤解があるといけませんからはつきり申し上げますが、全然指揮命令等に関与することはありません。これは双方においてはつきり了解いたしておるのであります。そこで今度は数でありますが、ちよつと考えると、なるほどそうたくさんはいらないというふうに、私どもしろうとでありましたから初めは考えておりましたが、だんだん聞いてみますと、たとえば航空機がかりに百機なら百機来るとする。これの取扱いにつきましては、大勢の人がこれに対して練習をするわけでありまして、一人の人間で一つの航空機を指導するというわけには行かないようであります。  また機械の部類、操縦の部類等にわかれております。それから地上との連絡等でありまして、一つの航空機に対してはやはり三人とか四人あるいは航空機の種類によりますが、五人の人数がいる。百機来れば相当の数がいる。こういうことにもなろうかと考えております。従いまして相当の数があるはずでありますが、何千人とか何百人とかいわれますが、その半分程度の者は、顧問団と申しますよりは、顧問団に付属する運転手であるとかあるいはその他の使用人であるとか、こういうものも含まれておるのであります。従いまして私どもはこれはやはり最少の数が適当であろうと思いますので、今後ともその点は交渉いたしましてできるだけ少い数字にいたしたい、こう考えております。なお費用でありますが、これは各国ともに例がありますので、その例を多く出ないと思いますが、主たる費用は、顧問団の月給とか被服とか、そういうものは向う側が全部持つのでありますからさしつかえはないのでありますが、国内において宿舎が必要であります。これが一番おもなる費用になろうかと思います。それとこれに伴う使用人と申しますか、宿舎についておる使用人、国内の旅行の費用、こういうことなどがおもなる費用になろうかと思います。海外に出かける費用、そういうものはまつたく考慮しておりません。

武藤運十郎日本社会党(左)

○武藤委員 MSAに対する質問は打切りまして、労働大臣と運輸大臣に伺います。  先般行われました国鉄の首切りについて伺いたいと思います。首切りをした一番大きな理由は、国鉄の従業員が三割休暇ないし五割休暇というような休暇をとつたことが、公労法第十七条の同盟罷業に該当するというような趣旨であつたようでありますけれども、私どもの見解では休暇は合法的なものでありまして、当然認められたものでありますから、これは同盟罷業というべきものではないというふうに考えますが、この点についてどういうふうにお考えになりますか、伺いたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 お答えいたします。昨年の暮れにおきます国鉄の紛争につきましては、大量の者が一時に賜暇を願つて、それが組合の本部の指令によつたもので、当局の許可を待たずにかような行動に出た。そしてその結果としまして、非常に列車の遅延あるいは運行の阻害等、いわゆる業務の正常なる運営を阻害する行為の見られましたことは御承知の通りでありまして、公労法の十七条におきましては、かかる業務の正常な運営を阻害する行為をなし、またそれを共謀し、あおり、そそのかすような一切の行為を禁止しておりまして、同法十八条におきましては、さような行為をした者は一切の権利を失い、または解雇されるというようなことになつておりますので、かかる明文の規定に基いて国鉄当局が判断されたものと考えております。

武藤運十郎日本社会党(左)

○武藤委員 私は労働大臣の法律解釈に承服をいたしません。しかしこれはここで論議をいたしましても、結論が出ませんから、次の質問に移りますが、大体このような休暇闘争が行われました原因はどこにあるかと申しますと、公労法によつて国鉄従業員の罷業権というものを剥奪をいたしております。これは御承知の通りであります。しかしながらその剥奪というのは、その前提としまして、対価関係において仲裁裁定というものを実行するということで、罷業権を剥奪をしておるということになるだろうと思うのであります。いいかえますれば、罷業権剥奪の対価というものは、仲裁裁定を誠実に完全に実施をする、法律上当然に政府がこれを守つて実施しなければならないというところにあるだろうと思います。ところが政府はこの裁定というものを一向に実施をしない、完全な実施をしようともしないというところに大きな原因があつて、このような休暇闘争が行われたということになります。従つて休暇闘争の責任というものは、これは休暇をとつたところの国鉄従業員に負わせるべきではなくて、政治的に申すならば、これはむしろ政府当局、国鉄当局が負うべきではないかというふうに言わざるを得ないのであります。ことに憲法が基本的な人権を保障している建前におきまして、当然持つているところの罷業権を剥奪する以上は、裁定を実施しなければならない。実施しないという責任がまず問われなければならないのに、自分の責任はたなに上げておいて、従業員だけを首切るということは、まことに不都合ではないかと思いますが、この点について小坂さんの御意見を聞きたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 お答えをいたします。御承知のようにこの仲裁委員会の裁定というものは、特殊の裁定機関の裁定であるわけであります。この決定が政府の予算編成権あるいは国会の予算審議権に先行するものであるとは、私ども思つておらないのであります。そこで公労法の十六条にも御承知のごとく、予算上、資金上不可能な資金の支出を内容とするいかなる協定も、政府を拘束しないということがございますので、政府としましては国会の御意思も伺い、成規の手続によつて、政府の考えを国会の議決を得た範囲内において実行しておるのでございまして、あの当時は御承知の通り――現在もそうでございますが、非常に外政困難であり、その際にかかわらず、この一月から思い切つて裁定を実施している政府の考えにつきましては、労使双方の大部分の御納付をいただいていると思うのであります。にもかかわらず、裁定が出たら三十五条だけで行くのだという一方的な解釈に、私は少し御無理があるのではないかと考えております。

武藤運十郎日本社会党(左)

○武藤委員 私どもの考えでは、むしろこの際こういうふうないろいろな問題を除去するためには、公労法を廃止をしてしまつて、憲法の保障している基本的人権であるところの罷業権を復活させる方向に行くよりほか、根本的にはこの労使関係を調整する方法はないと考える。ところが伝え聞くところによりますと、労働省におきましては公労法を改正するという意図がある、その改正の意図というのは、委員会を一本にしてしまつて、何か政府ののみやすいような裁定をさせる、政府の御用機関にするというような意向であるように思いますが、一体どういうふうな公労法改正の意図を持つているのか。それからむしろ改正をしないで、これを廃止する方がいいのではないかと思いますけれども、この点に関する労働大臣の意見を聞きたいと思います。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 公労法廃止というここを国鉄の大会でもきめられたということを聞いております。ただ私どもとしましては、やはり公労法というような仲裁的なものは必要ではなかろうか、国民全体のための機関としての公共企業体その他現業庁、そうしたものの争議権というものに対する考え方は、廃止というようなことで行くにはまだ実態が固まつておらないのではないかというふうに考えておるのであります。ただ公労法というものは占領中の産物でありまして、運営をいたしてみますと、いろいろ従来のいきがかりもございますので、この際検討し直したらいいじやないかという御一見が各方面にありますので、労働省としましても事務的に一応試案をつくりまして、労使関係あるいは先般来できております労働問題協議会にかけまして、一応素案の程度で御意見を聞いておるわけでございます。政府としましてはまだいずれとも態度を決定しておらないのでありますが、でき得べくんば、労使双方とも納得するような、仲裁制度そのものももう少し合理的なものにしたいという考えを持つておりますが、何も政府が一方的にきめてしまうというような考え方は持つておるわけではありません。十分検討いたしまして、納得の行く成案を得たい、かように考えております。

武藤運十郎日本社会党(左)

○武藤委員 小坂さんは大臣のうちでも若い進歩的な大臣だそうでありますから、ひとつこの点については十分考慮を払われたいと思います。  次に私は厚生大臣に一点伺いたいと思います。社会保障の問題について昨日川崎委員から、かなり詳しく質問が行われました。しかしそのうちで漏れているものがあります。それは結核対策と癩対策であります。御承知の通り二十九年度の生活保護費の予算は、大蔵省原案で非常に削減をされた。それが反対にあいまして復活をいたしました。いたしましたが、しかし今まででさえも、たとえば結核の国立療養所へ入つている者が、生活保護費が足りないで病の半ば退所をしなければならないというような実情が非常に多いのであります。復活をしたとしましても、ほとんど昨年とおつつかつつなものであります。しかも昨年度におきまして四十八億という赤字がある、これをこの年度において埋めるということになりますと、生活保護費はおよそ二百三、四十億円になつてしまいまして、非常に減額されたことになります。もしこれを埋めずに行くと、二十九年度末には百億からの赤字が出る順序になると思います。しかも今度の緊縮予算によりまして、一般勤労階級の生活は、非常に困窮を増加するだろうと思います。また失業者も予想される。それから医療費の単価が値上げになつたというような実情である。かれこれ考慮いたしますと、むしろこの生活保護というものは、昨年度よりもはるかに切り下げられた結果になるのではないか、こういう点について結核の対策というものが非常に足りないのではないかと思うのでありますが、この点について厚生大臣の御意見を承りたいと思います。  第二に癩対策でありますが、癩という病気は、この前の国会でも私は申し上げましたけれども、自己の責任にあらずして、はなはだしい不利益の病気にとりつかれたことになると思うのであります。これは国会が、やつかい者にして、これを一箇所書に囲つて、そのうちに死んで行くだろうというようなやつかい者扱いをするのではなくて、やはり癩は――結核ももちろんそうでありますけれども、なおるのだという希望を与えて、人権を尊正して行くということでなければならぬと思うのであります。ところが昨年出された癩序防法を見ますと、非常な人権蹂躙的なものが多いのであつて、これに対して癩患者はもちろん、国会におきましても反対が起つた。そこで九項目の希望条件をつけて原案を通過ということになつたのでありますが、通過をするときの話としては、次の国会において必ずこの希望条件を盛つて癩予防法を改正するという言質を政府では与えておるのであります。一体政府はこの癩予防法を改正する用意を、この国会にしておるのかどうかということを伺いたい。それから癩対策としての施設費その他が非常にまだ不足をしておると私は考えますけれども、これについてもつと増額をして、癩対策というものを充実をして行き、そして癩というものを日本の国からなくするという方向に努力をする意志はないかどうかということを厚生大臣に伺いたいと思います。

草葉隆圓自由党

○草葉国務大臣 結核の問題に関連しましての生活保護法の執行の点でございますが、結核対策におきましては、御承知のように結核を撲滅したい、従つて一方におきましては病床を相当増加をし、大体五箇年間くらいの一つの目標をもつて進みたいというので従来から進んでおります。明年度の予算におきましても九千床の病床の増設を計画いたしておる。お話のこの結核と生活保健法との関係で結核思考の人たちが療養中に生活保護法の費用がなくなつて途中から退所されるような傾向がありばしないかという御心配でありますが、かようなことは絶対にいたさないつもりでございます。なお逆に、療養所なりあるいは病院等でもう大体なおつてこれなら大丈夫だが出してほしいという場合におきまして、そこの温床にもうしばらくおりたいというので出ない状態のことが、過去にはむしろ逆にあつたわけでございます。従いましてこういう際におきましては、努めてあるいは就職あるいはその他をあつせんし、アフター・ケア等の施設を十分にいたしまして、本人が安心して行くようにいたしたいと考えて、明年度の予算におきましてもこのアフター・ケアの施設を二、三箇所増設する計画を持つております。どうぞこの点は御安心をいただきたいと思つております。ただこの医療費の関係におきまして赤字がありはしないか、従つて赤字が累積して来ると、明年度の予算において相当増額しておるようだが、実質には減額になるという点でございますが、実はこれは昨日も川崎さんの御質問にお答え申し上げましたように、最後の決算に対して支出額に対する十分の八の負担でございます。支出が全部よとまりませんと、それに対する十分の八の計算ができないのであります。従つてどうしても全体の計算は翌年度にまわるわけであります。そういう意味におきまして本年度も一応大体二十億程度は翌年度に考えておる、これは年々大体そういう形で参る。今考えますと月間、生活保護法全体といたしまして大体三十一億程度だと考えます。従いまして四十八億というものば少し何かの御計算の違いであるのではないかと思いますが、昨日も申し上げました大体三十一億ちよつと越す程度、三十二億程度ではないかと思います。従いましてとりあえず十二億はどの予備金支出をいたしまして、執行上遺漏なきを期しております。生活保護法全体といたしましては、明年度のいろいろな人口増加その他産業の影響等を考えまして、約百二万ほどの人員増を予算に計上しまして、後半期月間十七万人程度の増加を見込んでいたしておりますから、本年よりもそれだけは増して、対象者がふえましても処置ができるという計算をいたしております。  次に癩の問題につきましては、ただいまお話にありましたようないろいろな問題がありす。私どもは現在約一万五千と推定されますこれらの患者をなるべく早く治療をして、この病気を撲滅いたしたい。従つて明年度の予算には画期的にこれらの予算を増額いたしております。生活援護は全額国庫が負担をいたしまして、癩患者の入院いたしました場合の生活の保障をいたすこと、また入院いたしております者の治療上に支障のないようりに、従来大体職員等も千四百人程度でございましたが、三割増加をいたしまして、四百数十名を増加をして、従つて看護あるいは医者、そういう方面には手ぬかりのないようにいたしたい。かつまた作業上の、これは賞与金と申しておりますが、少し働きました場合に幾分かずつ小づかい程度に上げておりますような金も、従来は二十五円、二十円、十五円、十円という金を、明年度からは三十五円、三十円、二十五円と、約倍以上に増額をいたしております。また慰安費等も、月々四百円程度出しておりましたのを、五百円程度出すというようにいたしますと同時に、建設費に対しましても明年度は相当額増額をいたしております。従来は約六千万円程度であつたのを、約二倍程度にいたしております。従いまして必要な場合には十分出したいと存じております。そのほかに、この癩の方に対しましては、御意見にありましたような点を十分存尊重いたしまして、あるいは高等学校を新設いたしますとか、あるいは中学校を増設いたしますとか、そういう方面につきましても計画を進めております。ただ、癩予防法の修正をし、あるいは内容を改正する点についてどうかという点でございますが、これは目下いろいろ研究をいたしております。

武藤運十郎日本社会党(左)

○武藤委員 私は厚生大臣がただいま述べられたことに対して、十分の責任を持つて実施されることを希望いたします。なおできれば、いろいろな方法によつて増額をするということを考慮されたいと思います。これで私の質問を終ります。

小峯柳多自由党

○小峯委員長代理 河野密君。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 私はもつぱら総理大臣に御質問を申し上げたいと存じます。関連事項につきまして関係諸大臣の御意見は承りますが、主として総理大臣にお尋ねしたいと思います。  第一にお尋ねしたいのは、総理大臣の現行憲法に対する信念を伺いいたいと思うのであります。御承知のように現行憲法は、現在の吉田総理大臣が第一次吉田内閣をつくつておられたとぎに制定された憲法でございます。しかしながら時あたかも占領治下でありました関係上、これに対して今日種々なる批判が出ております。昨年十一月の中旬と記憶いたしますが、アメリカのさる新聞記者がニッポン・タイムズに一文を寄せて、日本人は、アメリカがこういう憲法を押しつけたことは、アメリカの誤りであつたということを言つてもらいたいと希望しておるのだというような意見を述べたのであります。あたかもそれを裏書きするかのごとく、そのあとに来朝されましたニクソン副大統領は、日本にこの憲法を押しつけたのはアメリカの誤りである、日本をまる裸にしたことは、アメリカの大いなる誤りであつたという趣旨のことを申し述べておるのでございます。しかしながら私たちは、アメリカによつてこういう批評をされることを、むしろ苦々しく感ずるのでございます。私たちは憲法の経緯はいかにもあれ、現行の憲法に盛られておる精神、現行の憲法そのものに対して愛着を持ち、それに対して大いなる誇りをすら感じておるものであると存じます。そこで私は吉田内閣総理大臣にお尋ねするのでありますが、吉田内閣総理大臣は現行憲法に対して、どういう信念をお持ちになつておられるか、ニクソン副大統領の言われたような言葉に対して、どういう御意見をお持ちになつておるか、この点をまず伺いたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えいたします。ニクソン副大統領の言われたことについて、私が批評することは差控えますが、現行憲法が制定されたのは御承知の通り数年前のことであります。終戦直後のことであります。そのときの事情として私は現行憲法、少くとも憲法第九条その他の条文は、決して今日において誤つておるとは考えられなかつたのであります。憲法にしてもその他の法制にしても、そのときの実情に即応した規定が置かれるのは当然であつて、その当時終戦直後においては共産主義国といえども、世界の平和を伝々しておるときで、共産主義、自由国家が今日のような苛烈な対立を生ずるということは実は予想されておらなかつたのであります。そして同時に日本の国は軍国主義国であり、あるいは世界の平和を脅かす国であるというような疑いあるいは疑念をもつて――これは猜疑心であり、誤解であるのでありますが、終戦直後でありますから、そういう感じをもつて世界が日本に臨んでおり、従つて日本は決して平和を脅かす国ではないということを明瞭にする憲法が、当時制定されることが適当であつたろうと思います。現行憲法の由来はとにかくとして、この憲法の制定には相当の理由があり、憲法制定の精神から見て、そのときの事情に即応する憲法であつた、こう言つてさしつかえないと私は今なお考えております。しかしながら憲法もあるいは法律も、そのときの事情に応じて、その国の内外の事情に即応して制定せられるべきでありますから、憲法改正という考え方も事情の変化に応じて、国民としてまた国として考えるべきであります。しかしながら一旦きまつた憲法、しかも成規の手続によつてきまつた憲法を、軽々しく改廃するというのはよくない。またかりに改廃せられる場合といえども、国民がその改廃せられた理由、改廃に至つた経緯等に十分納得が行つて、そうしてでき上つた憲法は、国民の要望に沿い、国民の輿論に従つて、国民の意思によつてでき上つたものであるということが、十分納得ができなければ、その憲法が遵奉されるようになりませんから、その点からいつてみても、国民の十分納得の行く線で、納得の行く憲法をこしらえ上げるということが――憲法を改正するとするならば、十分国民の理解のもとにいたすことが必要であろうと思います。ゆえに現行憲法に対しては、軽々しく改正いたすべきものではない、こういう考えでおります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 総理大臣の憲法に対する考え方はややわかつたのでございます。そこで、私はお尋ねしたいのでありますが、自由党の中に憲法調査会をおつくりになつたその趣旨は、おそらく憲法改正近きにありという考え方のもとにおいて、おつくりになつたと思うのでありますが、もしそうであるとするならば、総理大臣の言われることと、現に自由党内において行われつつあることとは、まつたくうらはらであると考えますが、この点はいかがでありますか。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 憲法委員会を興した趣意は、今申した私の趣意にほかならないのであります。憲法がいかに遵奉せられるか、いかに運用せられるか、これも絶えず政党として考えなければならぬことであり、またもし憲法を改正するとするならば、どうすべきか、どう改正をするか、これは絶えず政党として研究もし、国民の考え方も考えておらなければならぬことであるから、憲法に関する委員会を設けるのがよかろうということで、私は賛成いたしたのであります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 吉田総理大臣は、憲法を研究するための調査会であると言われますが、しかしもしそうであるとするならば、世間の憲法に対する信頼感と申しましようか、憲法精神というものに非常な悪影響を及ぼすということを、私たちは考えるのでありますが、この点総理大臣はいかがですか。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 憲法という基本法、重要なる法律に対して、絶えず国民の動向をうかがうとか、あるいはその運用について政党として絶えず考えておるということは、私は決して悪いことでないと思います。のみならず、憲法委員会を置いたからといつて、憲法改正近きにありということは、これは即断でありまして、党として考えておることは、今申し上げた通りそういう考えではないのであります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 現行憲法の前文の前についております天皇のお言葉の中に「日本国民の総意に基いて、新日本建設の礎が、定まるに至つたことを、深くよろこび、」こう書いてあります。私は現行憲法は、戦後における新日本の礎である、こういう信念でもつて、あのときに制定をされたものであると存ずるのであります。この憲法を今総理大臣の言われるようにおかえにならないとするならば、これはけつこうでありますが、もしこの憲法を改正するとするならば、新しき日本の基本方針、立国の精神というものをかえることになるのである。憲法の改正は革命であります。革命のとき以外に憲法が改正になつた事実を私は知らないのでありますが、今日の憲法も戦後の大いなる革命を通じて初めてでき上つたものであると存じますが、この憲法の新日本建設の精神というものを、軽々しく私は変革し得るものだとは考えないのであります。しかるに巷間ややもすると、憲法に対してこれを軽視するような言動が行われることは、まことに残念だと思うのであります。同時に私は総理大臣にこの際承つておきたいと思うのでありますが、もし憲法を、われわれの解するごとき新しき日本の立国の精神である、戦後における日本は、この憲法の精神によつて国を立てるものである、こういう趣旨によつて考えて行くといたしますならば、この憲法を名分上かえないことはもとよりのこと、この憲法の精神をどこまでも貫いて行かなければならぬと考えるのでありますが、単に形の上の改正ではなく、この憲法を空文化するがごとき行為それ自身も、われわれとしては断じて許すことができないと思うのでありますが、総理大臣の考え方を承ります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 ただいま申した通り、私は憲法改正ということを前提として考えているのではないのであります。また新憲法が新日本の立国の精神を言い表わしたものであるということについても御同感であります。ゆえに軽々しく憲法は改正いたしたくない。但し憲法といえども万世不易のものではないのであつて、そのときの事情に応じて自然改廃せられるということは当然である。たとえばイギリスの憲法のごときは、時々刻々変化を見つつあるのだということを言つております。必ずしも革命によつてのみとは言われない。革命によつて憲法を改正するがごときことは最も不祥なことである。そういうことを避けるためにも、絶えず憲法のあり方について、政党としては考えることが当然であると私は考えます。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 日本の憲法は、私の考えるところによれば、一つの条約だと考えられるのであります。それは憲法の改正に対する規定について、憲法第九十六条、第九十八条、第九十九条というように、きわめて厳格に、この憲法を守るぞ、憲法を改正するについてはこういう手続を必要とするぞということが書いてありますが、この憲法は容易にかえてはならぬぞという考え方は、私はこの憲法を制定された当時のいきさつから考えて、これはわが国の憲法ではあるけれども、列国に対する日本の誓約であつた、日本国民の意思表示であつたと私は考えるのであります。従つて日本の憲法は、これは国際間の関係を考慮することなしに憲法の改正を問題にすることはできないものだ、かように考えるのであります。この点は総理大臣はどうお考えになりますか。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えをいたしますが、今お話を承つておりますと、憲法改正の考えからというふうにお考えになつているようでありますが、しばしば申した通り、憲法を軽々しく改正する意思は毛頭ないのであります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 憲法を改正する意思はないということを明確に承りましたので、その点はひとつわれわれもはつきりといたしておきたいと思います。  そこで総理大臣にお尋ねをいたしたいのでありますが、今度政府は保安隊を自衛隊に切りかえられるというのであります。保安隊を自衛隊に切りかえて、直接侵略にも対抗し得るものに改変するというその根本は、憲法のどこに準拠しておられるのでありますか。もしくは日本が締結した条約、日米安全保障条約、平和条約のいかなる条項に準拠しておられるのでありますか、これを承ります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 日本は講和条約によつて独立いたしました。しかしながらまた独立した以上は自衛権は当然伴うものであり、また自衛に対する方法を講ずべきでありますが、日本の国力としては、独立した軍隊を持つとか、軍備を持つということはできない。国力がこれを許さないのでありますから、そこで日米安全保障条約によつて国の安全を守るということに処置をとつたのであります。ところが米国政府はその財政緊縮の上から見て、日本の駐留軍もなるべく漸減したい。米国の駐留軍が漸減すれば日本としてはこれに対する措置を考えなければならぬ。また安全保障条約によつても駅留軍の漸減、自衛力の漸増ということは規定いたしておるのでありますから、漸減するに対してはわれわれはこうしなければならぬ、これはそうするほかはないのであります。そこで漸減をするとして、これは自然保安隊の漸増ということを考えなければならぬ。またアメリカ駅留軍が漸減をいたし、そして一朝事あつた場合に、従来といえども私は保安隊は自衛のために動くことができないということは考えられませんが、しかし保安隊も直接侵略にも当るんだという心がけを平生から当然していることはありますけれども、しかし保安庁法において明確にしておくことがいいと考えて、保安庁法を改正し、保安隊を自衛隊に改めることにいたしたわけであります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 私の承りたいのは、保安庁法を改正されるということはもとより当然だと思いますが、保安庁法が憲法のいかなる条章に準拠しているのか、また条約のいかなる条項に準拠しているのか、この点を承つているのであります。的確に日米安全保障条約の前文によるのであるとか、あるいは日米安全保障条約の第一条に基くとか、あるいは平和条約の第五条によつてこれをやるのだという根拠をお示しが願いたい。これが私の趣旨であります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 これは国が自衛力を持つている以上は、保安隊を自衛隊にしようが、保安庁法を改正しようが、これは当然な話であつて、かえつて条約あるいは憲法第何条ということは、私は特に引用する必要はないと思います。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 私は総理大臣はたいへんなお考え違いをしていると思います。日本の法律は一々憲法第何条によるとかいうようなことは、むろん法律をつくるたびにそうする必要はありませんが、しかし法律そのものが憲法に違反するというものである場合においては、これは当然許すことができないわけであります。そこで憲法に違反する疑いがある法律をお出しになるというのでありますから、憲法のいかなる根拠によつて、あるいは条約のいかなる根拠によつてその改正を出されるのか。こういうことを私は承つているのでありまして、その条約のどこによるとかいうことをその法律の中に書けというのではない。保安庁法のあることも知つておりますし、保安庁法の改正も知つておりますが、その点を明確にしてもらいたい、こういうことであります。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 私がかわつてお答えいたします。保安庁法を改正して、いわゆる保安隊を直接侵略に対して、その任に当らせるにはいかなる条章あるいは条約によつて、これをやるのかというお尋ねであります。もとより条約によつてやるわけではありません。さような条約というものはないのであります。またいかなる法律の条章によるかということも、そういう条章はありません。しかしながら国家はいわゆる国民の生命、財産、幸福追求の権利を保障をしておるのであります。一たび外敵が侵入いたしますと、これらの権利というものはこつぱみじんになつてしまうのが当然であります。国家といたしましては、国民の生命、財産、自由、幸福の権利を保護する当然の行政処置として、保安庁法を改正して、これを外敵の侵入に当らせたいと考えているのであります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 まつたく見当違いのことを言つておられるのであります。もし今木村さんの言われるようなことを貫くならば、憲法の第九条なんというのは一体何になるのですか。いわゆる国民の生命、財産を保障するのに、国の安全を保障するのに、日本の憲法は外国の公正と信義に信頼して安全を保障するとちやんと書いてあります。しかも憲法第九条には、あらゆる意味におけるそういう場合においても戦争には訴えない、あらゆる陸海空の軍備は持たない、その他の戦力は持たないし、しかもその上に交戦権を認めない、こういうふうに書いてある。それでは日本の憲法が日本の国民の生命財産を保障しないとあなたはおつしやるのか。そういうばかなことはないじやありませんか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 私は不幸にして河野君と意見は全然異にいたしているわけであります。われわれが保安隊して外敵の侵入に対処せしめることは、これは決して戦争する目的でやつているわけじやありません。戦争を防止するためにやつているのです。いわゆる国民の生命財産、幸福追求の権利を保護するための措置として、われわれは考えているのであります。これがつまり憲法のどこの条章というのではないが、国家の最高目的がここにある。いわゆる行行政権の作用として、われわれはさような措置をとらざるを得ない、かように考えております。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 木村保安庁長官も法律家であるから、それでは法律の解釈とし、ひとつお尋ねしますが、はつきりと答えてください。日本の憲法の第九条はあなた方がいかなる強弁をなさろうとも、第一項においては戦争の手段に訴えないと明白に書いてある。陸海空軍は持たない。陸海空軍に至らない戦力をも持たない。ウォー・ポテンシャルというものは持たない。そういうふうに書いてある。かりに何らかの事件が起つた場合があつても、交戦権を認めない。前からうしろから裏から厳重に書いてあるのであります。この間に何ら保安隊をつくつたり、あるいはその他のものをつくつたりする余裕は、どこにもないのであります。よりどころがあるとすれば、この憲法の解釈に一つの緩和手段として、平和条約第五条に日本には個別的もしくは集団的の自衛権というものは認める、これがあるからして初めて保安隊というようなものが出て来る理由があるのであります。そこでそういうものをつくつたとしても、国連憲章第五十一条によつて、外敵が侵入した場合においても、それは国連憲章の第五十一条によるのであるからして、日本はこれを受けておいてただこれを安全保障理事会に提訴する、こういうことをやる。こういうことは平和条約の第五条に善いてあるのであります。さらにこれよりも一歩進めたのが、日米安全保障条約の前文並びに第一条であります。しかしこれによつても、憲法の条章によつて攻撃的に使われるようなものはつくつてはいけない、ただ自衛力の漸増を期待するということが書いてあるだけであつて、直接侵略に対抗し得るものをつくつてもいいということは、どこにも書いてないのであります。だから私が言うのには、憲法は厳重に規定している、平和条約でもこの程度まで規定している、日米安全保障条約はこの程度であれば、一体何を根拠にして保安隊を自衛隊にするというのか、法律上の根拠があるかということを聞いておるのであります。明確に答えてください。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 お答えいたします。この点も私は不幸にして河野君と全然見解を異にしております。憲法第九条第一項に何と書いてあるか。いわゆる国権の発動たる戦争と、武力の行使は、国際紛争解決の手段としては、これを禁止するということが書いてある。いわゆる国際紛争解決の手段としては戦争はしてはいけないということが書いてある。これを裏から見れば決して自衛権の行使ということは否定されるわけではないのであります。どこに自衛権の行使を否定されておりますか。一体独立国家というもので自衛権を持たない国はどこにもない。その自衛権の裏づけはいわゆる自衛力なのであります。すなわち、日本国が不幸にして外敵から侵入を受けた場合に、これを防止するの権利がある。権利があればそれについて自衛力を持つのは当然である。ただこのことによつて、不幸にして外敵が侵入するようなことがあつてはいけないというので、大きな戦力は持たせない。これが九条第二項の規定であります。すなわち戦力に至らぬ程度において自衛力を持つということは、独立国家として当然の権利である。この自衛力の裏づけとして日本が外敵侵入に対処するために、保安隊を持つのがどこが悪いか。決して憲法に否定されておるわけじやない。われわれは独立国家として当然持ち得るものである、こういうふうに解しております。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 憲法をもう少しよく御勉強になつたがよろしいと思います。それは、第一項に書いてあるところは自衛権を否定しておらない、これはもちろんその通りであります。自衛権を否定しておらないが、その自衛権というものは、サンフランシスコの平和条約第五条によつて、自衛権を裏づける自衛力の範囲というものが、ちやんと縛つてあるじやありませんか。国連憲章第五十一条の範囲を出てはいけないということで縛つておるじやありませんか。それ以外のことを、縛つてあるものから逸脱するという根拠がどこにあるのかと聞いておるのであつて、あなたから、何も自衛力を否定しておらないとか、自衛権を否定しておらぬとか、そんな一般的な議論を顔をまつ赤にしておつしやることを聞こうとは思わぬ。私はそれほど不勉強じやないのです。もう少し真剣にひとつ御答弁を願いたいと思います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 申し上げます。日米安全保障条約の前文において明らかに規定してある、つまり攻撃的脅威を外国に与えるような実勢を持つてはいけない、これだけのことであります。つまり外国に対して攻撃的脅威を与えるというような実勢に達せざるものであれば、これは日米安全保障条約から考えてみても、自衛力は当然日本で持ち得るものとわれわれは考えております。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 日米安全保障条約の条文は、攻撃的なものはいけないというようにも読めるし、これは攻撃的なものになり得るから一切の軍備はいけない、こうも読めるのです。私はこれは解釈の違いだと思う。あなたのように、そういう御都合のいいように解釈するわけには参らぬと思う。しかしそれはしばらく別として、私の聞かんとするところは、今までの日本の法律、憲法、日本が外国と約束をした条約、そのどこにも保安隊を自衛隊に切りかえてよろしいという根拠はないというのであります。これは私は率直にお認めになつてよろしいと思うのであります。根拠はないのであります。もしあるとするならば、これからできようとするMSAの協定、これ以外にないのであります。MSAの協定によつてこれをつくろうというのだつたら、私はそう解釈する以外にないと思うがどうですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 重ねてお答えいたします。いかなる条約によつても、日本の自衛権を保持することは覊束されておりません。しかも日米安全保障条約で日本の自衛力の漸増を期待するということをいうておる。これは何ぞやということです。この漸増を期待するということは、要するに日本が独立国家としては、自衛力を持ち得るということであるのであります。その裏から解釈しても、われわれは自衛力を持ち得ることは当然であると思います。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 自衛力を持つということはだれも否定しておらないのであります。その自衛力というものにはちやんと限界が置いてある。私が冒頭に総理大臣にお尋ねして、日本の憲法は、日本の憲法であるとともに条約である、日本が国際的に約束したものである、こういうことを念を押しておいたのはそれであつて、われわれは日本の憲法を軽々しくかえることはできない。そこで日本の憲法を緩和するという意味からかしらないが、平和条約、日米安全保障条約で自衛力の範囲というものは、ある程度まで拡大されて来ておるが、われわれの解釈するところ、法律あるいは条約というものを正当に解釈をする立場において言うならば、私が今言つたように、その程度以上には出ていない。保安隊を自衛隊に切りかえて、外敵いわゆる直接侵略にまで対抗せしむるという法律的な根拠は、どこにもないということを言つておるのであります。もしこれをやろうとするならば、保安庁法を改正してそういうことをやろうとするならば、これは今までの法律によるのではなくして、まさに締結されようとするMSAの協定に準拠しようとする以外にないのだ、こういうことを私は言つておるのであります。これは総理に聞きたいところでありますが、保安庁長官はどうお考えか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 先刻から申し上げた通り、MSA援助によつてわれわれは保安隊を直接侵略に対する任に当らしめるというわけではありません。いわゆる自衛力の発動としてさようにやつておる次第であります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 条約の関係について私の受持ちでありますから申し上げます。平和条約の五条、それに関連する国連憲章、これによりますと、外敵の侵入がかりにあつた場合に、手をつかねて何もしないでほつておけという意味ではありません。これはとにかく安全保障理事会に提訴するということになります。それから日米安全保障条約の前文には、今おつしやつたこと以外に、直接及び間接の侵略に対抗する、こういう文句がありまして、直接侵略にも対抗するが、必ずしも義務とは言えないと思います。期待すると書いてありますから義務ではありませんけれども、そういう場合にはやつてちつともさしつかえない。直接侵略に対抗するような、但し他国を脅威しないような自衛力の漸増、こういうことは安全保障条約にも明らかに規定してあると考えております。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 私は日米安全保障条約の前文をすなおに読んで、軍備を持つことを常に避けつつ、軍備というものは常に脅威的なものになるから軍備を持つに至ることを避けつつ、こういうふうに私は読むのであります。そういう意味において、軍備に至るようなことを避ける、そういう軍備に至ることを前提とするようなものに、私は日米安全保障条約の前文において、これを明らかに禁止しておると思うのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 一概に軍備とおつしやいますと、これは軍備とは何ぞやという定義の問題になると思います。直接及び間接の侵略、少くとも直接の侵略に対抗する程度の自衛力の漸増は期待されておるわけであります。従つて直接侵略に対抗するように保安隊の任務を新たにつけ加えることは、日米安全保障条約については何らさしつかえない、こう考えております。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 私の解釈と違います。その点は違いますけれども、なおMSAの協定の問題について、もう一点岡崎外務大臣に承りたいと思います。  そこで私は、憲法並びに自衛の問題に関する質疑を一応ここでやめておいて、次に総理大臣に綱紀粛正の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  本国会が開かれましてから、連日ほとんど綱紀粛正の問題が取上げられまして、政界に対する国民の関心と申しますか、疑惑の念きわめて顕著なるものがあると考えられますので、私はここにあえて一党一派の立場を離れて、国会の権威を高める意味において、率直に総理大臣にお尋ねをいたしたいと思うのであります。  そもそも吉田内閣が成立をいたしまして、自由党が過半数を獲得して、数箇年にわたる政権を担当するに至りましたその最初は、昭和二十三年における昭出事件その他のいわゆる不祥事件が頻発をしたことに基因しておると思うのであります。その当時吉田内閣、吉田自由党が綱紀の粛正を掲げられたことに対して、国民は翕然として自由党に向つて援助をしたと思うのであります。しかるに、吉田内閣が成立して以来数年間になりますが、その間にどれだけ綱紀粛正の実があがつたか。法務省からいただきました資料によりますと、昭和二十一年から昭和二十七年に至る公務員の汚職事件は、次のごとき驚くべき数字に上がつておるのであります。昭和二十一年が五千九百三十五人、昭和二十二年が六千六百三十五人、二十三年は一万四千六百三十人、二十四年は一万二千六百八十二人、昭和二十五年は一万七千八百五人、昭和二十六年一万五千六十人、昭和二十七年一万二千八十六人、こういうように、吉田内閣が成立をいたしました昭和二十四年以来、少しも綱紀粛正の実はあがつておらないのであります。吉田自由党内閣の一枚看板でありました綱紀粛正というものは、何らの効果を収めておらないと思うのであります。  しかも本国会におきまして、御承知のように昨年の十月二十四日に休業をいたしました保全経済会の問題が起りましてから、この問題をめぐつて国会内において盛んなる質疑が行われておりますことは御承知の通りであります。この保全経済会が休業をいたしました当時において、早くも保全経済会と政界の関係が喧伝され、怪文書は横行し、心ある人々をして大いにひん蹙せしめたのであります。しかもその間にあつて、理事長伊藤斗福なるものは、政治献金を呼称して傲然たる態度を示し、われわれは政界の知名の士を知つておるということを鼻にかけるかのごときことを、新聞に宣伝をいたしまして、私たちは政界の名誉のために切歯扼腕したのであり求すが、何ゆえに検察当局は、かかる事態に対して断固たる処断をとり得なかつたのであるか。しかも当局のなまぬるい態度の陰には、伊藤をして豪語せしむる何ものかがあるのではないかという疑いを、国民に抱かしめたのであります。幸いなことに、最近に至つて司直の手が、この伏魔殿の上に加えられるに及んだのでありますが、われわれは進んでこの問題を白日のもとにさらして、もつて政界全体に降りかかつておる火の粉を払わねばならぬと決意をいたしたのであります。  一昨日本院の行政監察委員会は、証人を喚問して本件の真相の糾明に当つたのでありますが、たまたま証人として喚問せられました平野力三君の証言によつて、はしなくもかねてうわさとして巷間に伝聞されていたことが、必ずしも虚構にあらずとの疑惑を一層深めるがごとき事実だが、次々に現われて参つたのであります。さらにこれと対決すべく喚問された広川弘禅君の証言は、一応平野証言を打消しておるもののごとくでありますが、この間に動いた人物、場所、時日等は、符節を合するがごとくに一致して、ただ金銭的関係のみが否定されておるにすぎないのであります。私はまだ糾明途上にあり、事件の半ばにあるこれらの問題に対して軽々しく結論を出し、これによつて総理大臣に質問をしようとするものでは毛頭ございません。また不確定な事実をもつて、個人々々の責任を問おうとするものでも毛頭ございません。しかし私たちが深く考えさせられる点は、前職の大臣あるいは現職の大臣というがごとき、国民から見て師表とも仰ぐべきところの大宮がいとも軽軽しくこれらの事件の渦中におどつておるという事実であります。瓜田にくつを入れず、李下に冠を正さずの古語とは逆に、求めて疑惑の渦中に投ずるがごときことが頻々として行われておる。最近の政界の風潮というものが、かくのごときものであるとするならば、実に慨嘆すべき限りであるといわなければならないのであります。もしまたこれらの問題の陰に、伝えられるがごとき何らかの汚職があるといたしますならば、われわれは断々固として政界の粛正のために乗り出さなければならないと存ずるのであります。  かかる見地において、私はえりを正して吉田首相にお尋ねをするのでありますが、簡明直蔵に吉田総理大臣の所信を承りたいのであります。首相は昨日の閣議において、保全経済会の問題を徹底的に糾明せよと言われたとのことでありますが、何人が見てもやみ金融機関としか考えられない保全経済会のごときものが、どうして取締られなかつたのであるか。その理事長と政府要路の大官とが、爾汝の交わりをなすというがごとき事態に対して、総理大臣は何と考えられておるのであるか。かかる。かかる人々が首相の側近にあつたという事実について、首相は何と考えられるのであるか。私はその点についての総理大臣の率直なる御答弁をお願いいたしたいと思うのであります。さらに政府は昨年の十月二十四日、保全経済会が休業をして以来、ごうごうたる世間の指弾の声にもかかわらず、何ゆえに今日までこれを放置しておいたのでありますか。この点について答弁をお願い申し上げたいのであります。  私のところにも、いろいろな気の毒な人々から手紙その他をもつて訴えて参ります。それらの人々の言うところによりますと――名前をあげることは差控えますが、われわれが見てもこの人ならばと信頼するような人々が、こういう人々の会合に出て、利殖の道は保全経済会のごときものに金を預けることだということを、大衆の前で堂々とあいさつをしておる人も少くないのであります。われわれはこういう事実を考える場合において、政界全体の粛正のために、戦後においての国会議員その他に加えられておる国民の疑惑の目を一掃する意味においても、断々固たる態度をもつて臨まなければならないと存ずるのでありますが、総理大臣のこの点に対するほんとうに率直なる答弁を、えりを正してお願いしたいと存ずるのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 もし世間に伝えられるがごときことがあれば、国会の名誉のためにも、国の名誉のためにも、はなはだ悲しむべきものと考えます。政府としては綱紀の粛正、官紀の粛正については十分の力を尽しておつたつもりであります。ゆえにまたお話のように多数の公務員等が法に触れて処刑を受けたということになるので、決して放置いたしておるわけではありません。また現に問題になつておる保全経済会の問題も、いまだ事態の真相はわかつておらない、少くとも私にはわかつておらないのであります。平野君が証言をなした、その証言の多くは、現に容疑者となつておる人の話を聞いて云々というだけの話でありまして、いまだこの人がこうしたという事態の真相はわかつておらないのであります。私はこの間もしばしば申した通り、事態の真相がわかれば、断々固として処置をいたしますということをはつきり申しておきます。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 首相の決意のほどはよく了承いたしました。しかし私の聞かんとするところのものは、事態の真相がはつきりしてということでなく、私のもつと聞きたいところは、その前にあるのであります。何となれば、いやしくも一国の大臣とかいうような地位にある者が、この保全経済会というようなものから頼まれたというようなときに、どういう会合にでも軽々しく出て行つてあいさつをし、あるいはいろいろなそれらの人々と会見をするというそういうこと自体が、すでにたいへんな問題であろうと私は存ずるのであります。私たちは結論がどう下されるかということについては、先ほど申し上げましたように軽々に論断をしようとは存じません。けれども平野君の証言と広川君の証言とは、さつき私が申し上げましたように、金銭の授受という問題については食い違つておりますが、そのところ、その場所、その人、何月何日にどこでだれに会つたというようなことは、符節を合するがごとく合しておるのであります。しかもそれらの人々が、そういう場所に臨み、そういう人に会つたときにおいては、あるいは現職の大臣であり、あるいは前職の大臣であるというようなものであるならば、国民は大臣に対して、あるいは政府に対してどういう感じを持つであろうか、国会議員に対してどういう感じを持つであろうか、われわれはこういうことにどうして対処したらよろしいか、この点について私は総理大臣の所見を承りたい。問題は単に結論だけにあるのではなくして、一世の風潮と申しましようか、こういう行動に対してわれわれは何とか真剣に考えなくてはならないじやないか、これが私が総理大臣にお尋ねしたい点であります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えいたしますが、私のお答えは元の通りであります。事態の真相がわかつてこれに対して厳然たる処置を加えるという以上に、ある人がどう言つたという隻言をもつて事を断ずべからざることは、不易の真理であります。ゆえに事態の真相を持たない限り、軽々しく処分をするということはできないことであり、また将来の官記、鋼紀粛正等については、国民諸君とともになお一層の努力をいたしたいと考えております。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 それでは私は総理大臣にお尋ねします。こういう政界の風潮というものに対しては、総理大臣は苦々しく思うというならば苦々しく思う、そういう一つの率直な御意志の表現を私はしてもらいたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お話のような、現に伝わるような風潮があることをもつて、これを決してよろしいとは考えていない、苦々しいと思うということは当然であります。しかしながらその風潮、いわゆるその風説がどこまで真実であるか、真相を得ておるか、それは国民諸君とともに真相をきわめてから処置いたしたい。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 次に私は先ほど岡崎外務大臣から御説明になりましたMSAの問題についてお尋ねを申し上げたいと思うのであります。先ほどMSA交渉の経過について伺つたのでありますが、MSA交渉の経過について私が理解し得ない点は、このMSA交渉に基ずいていろいろな物資の贈与があり、小麦、大麦等を買いつけるわけでありますが、これに対する予算上の措置、日本の受入れの措置というのはどういうふうにして出すのでありますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 私予算の方についてはあるいは間違うかもしれませんけれども、私の考えでは、協定ができますと、これは円で払うのでありますが、一般、特別会計の資金でまかない得るものと考えております。

小峯柳多自由党

○小峯委員長代理 河野さん、あなたの区切りのいいところで一ぺん休んで、午後に継続するようにいたしましようか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 グラントを受ける一千万ドルぐらいに相当するところの小麦については、あるいは特別会計をつくらなければいかぬかと考えております。まだ詳細の打合せはできておりませんが、来ます場合、その分については特別会計をつくる必要はあろうかと考えております。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 私はMSA協定ができればその贈与を受ける、あるいは小麦を買いつける、これは当然今日の食管特別会計ではできないと思います。特別会計をつくらなければならないだろうと思うのでありますが、これは大蔵大臣もその通りにお考えのようです。さらに先ほどの岡崎外務大臣の説明によりますと、顧問団が数百名来るとのことでありますが、その費用は一体どこでまかなうのか、いかなる予算によつてまかなうのでありますか。

森永貞一郎大蔵事務官(主計局長)

○森永政府委員 お答え申し上げます。まず第一に五百五十条の余剰農産物の問題から補足して申し上げたいと思いますが、この輸入をどこでやるか、できるだけ民間貿易の経路を利用するというような考え方も可能なわけでございます。小麦の買入れそれ自身につきましては、必ずしも食管会計を通す必要はないと存じております。買入れ代金のうち日本側に贈与される一千万ドルの分は、貸付等に使用されるわけでございまして、その分の経理につきましては特別会計を設ける必要もあるいは生じて来ようかと存じております。いずれにいたしましても、交渉それ自身がまだ継続中でございまして、的確なことを申し上げる段階にございませんことを御了承いただきたいと思います。  なお顧問団の問題でございますが、これも目下折衝中の問題でございまして、どのくらいの顧問団になるか、その経費負担をどうするかまだ未定でございますが、私どもといたしましては、できれば防衛支出金の中でまかなつていただきたいというような希望を持つております。もしそれができない場合にどうするか、これは予備費なりあるいはその他の予算措置が必要になつて来るわけでございまして、その場合におきましても、今日提出いたしております既定予算の範囲内で十分にまかなえる、さように存じでおります。的確なことは目下交渉をいたしておる段階でございますので、確定的には申し上げられませんことを御了承いただきたいと思います。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 ただいまの御説明でございますが、アメリカからの小麦の買付五千万ドル――五千万ドルと申しますれば、莫大な金であります。これを先ほどの説明にありますように、千万ドルは贈与になり、その一千万ドルに見合う円資金をもつて、たとえば新聞等にも多少現われておりますが、ジェット飛行機、ジェット・エンジンの計画を立てるとか、そういうようなことがございますけれども、私はこういうアメリカから来るものを、日本の予算がどういうふうに受取るかということは、重大な問題だと思うのであります。この予算に対する何らの計画と申しますか、予定が立つておらないということは、私は非常な手落ちじやないかと思うのでありまして、その進行いかんによれば、これは予算の組みかえその他が必要となることは当然であります。大蔵大臣は、今のお話にありましたように、特別会計を設けるというような場合、それから顧問団の費用というようなものを支出する場合には、これは当然予算の補正を必要とするとお考えになりませんか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 まだその打合せを終りませんから、はつきりいたしませんが、大体顧問団の費用は、今の防衛支出金の中で行けるじやないかと考えておりますので、もしさようになれば、何も補正そのものを必要といたしません。  それからただいまの分につきましても、特別会計をつくるということは、これは必要が起つて参りましよう。しかしこれは特別会計としての御承認を得ることになりますけれども、予算を伴うものではないと思います。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 私はさようには考えないのでありまして、この特別会計を一つつくればよろしい、それだけで済むというようなものではない。MSA協定というものができれば、当無それに応じての予算上の措置を必要とするものである、かように考えるのでありますが、その点は、もし予算上の措置を必要といたす場合には、これは当然先般来問題となつておりまする補正予算が必要で、これは組まざるを得なくなるので、補正予算は組まないという政府の信念に動揺を来すと私は考えるのでありますが、いかがですか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 ただいまのところ私どもさように考えておりませんので、さよう御了承願います。

小峯柳多自由党

○小峯委員長代理 暫時休憩いたします。午後一時半から再開いたします。    午後零時二十三分休憩      ――――◇―――――    午後一時四十四分開議

小峯柳多自由党

○小峯委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  質疑を継続いたします。河野密君。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 MSAの問題について、他の質問者と重複しない点について二、三お尋ねをしたいと思います。  その第一は、協定は今月中にできるということでございまするが、今月中に調印をして、批准条項をつけて本国会の批准を求めるという段取りになると思うのであります。このMSAの交渉と不可分の関係にあると思われるのが、巷間伝えられておりまする吉田総理の渡米の問題でございます。私はこの際吉田総理に率直にお尋ねしますが、このMSAの交渉の協定の問題と関連をして渡米される予定であるかどうか。と申しますのは、われわれの理解するところによりますると、アメリカ側のMSA協定に対する考え方は、われわれの日本の政府当局が考えておるような甘いものではないと思うのであります。防衛計画その他について、相当ぎびしい条項があると思うのであります。そうしてその責任は単に一政党とか、あるいは一党の代表とか、そういうようなものではだめであつて、日本の国の代表者が、日本の国の責任においてそれを誓約するのでなければならない、こういうように私たちは漏れ承つておるのであります。そういう意味において、MSA協定の問題と吉田総理の渡米の問題とは不可分の関係にあると私は思いますが、その点を承りたいのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えをいたします。私の渡米はまだ決定いたしておりません。行くか行かないかと言われますけれども、それは今後の情勢によります。従つてMSAの問題とは直接何も関係はございません。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 それでは次にお尋ねを申しますが、MSAの交渉をするにあたりまして、私たちが承知しておるところによりますると、公私を通じて日本側の意向を伝えるというような意味において、防衛計画なるものがたくさん出されておると思うのであります。しかしそれらの防衛計画はいずれも単なる参考意見にすぎないのであつて、日本政府の責任ある防衛計画というものが出されなければ、MSAの協定は妥結に至らないものと私たちは承知しておるのでありますが、日本政府がこのMSA協定にあたつて防衛計画を出されておるかどうか、もし出されておるとするならば、その防衛計画はいかなるものであるかということを、この際はつきりしていただきたいと思います。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 政府は明年度の予算に伴いまして、自衛力の漸増の計画を立てております。この漸増計画に基いてMSAの交渉をいたしております。長い数年間の計画ということも考えられましようけれども、アメリカ側のMSAの援助というものも毎年更新されるものでありまして、毎年予算がかわつて来る場合があり得るわけであります。私の承知する範囲では、明年度のMSAの援助については、明年度の日本側の計画があれば足りると思つております。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 先ほどMSAの交渉経過の内容について承りましたところによりますると、私の理解するところでは、大体昨年の十月三十日に発表されました池田・ロバートソン会談の共同声明というものの骨子をそのままとつておると思うのでありますが、さように了解してよろしゆうございますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 池田・ロバートソンの共同声明の中には、先ほど申したようなMSAのこまかいことはむろん入つておりません。大筋については似たようなところがあつたと思います。麦の買付につきましても、きよう申し上げたようなこまかい点は、あの共同声明にはないと思いますが、大筋はやはりあそこにある筋と同じように思つております。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 そこであの池田・ロバートソン共同声明の中で、重要な問題が二つあると思うわけであります。一つは、いわゆる防衛についての計画をするということは、これは東京会談に移す。それからもう一つは、ガリオア資金の解決は、東京の交渉にゆだねる、こういうことが出ております。今防衛計画のことはお尋ねしたのでありますが、なお保安庁長官が見えましたらお尋ねいたしますが、この防衛計画は当然あるべきものと思うのでありますが、ガリオア資金について、従来政府は国会を通じまして、ガリオア資金は贈与されたものであると考える、こういう立場をとつて来られたのであります。しかるに池田・ロバートソン会談の共同声明におきましては、このガリオア援助の早期解決の車要性を強調した、こういうことになつておるのであります。さらに先般の本会議の席上において、このガリオア資金は、日本の債務と心得る、返すべきものは当然返す、これが自立である、こういう説明がありました。これは日本政府としての重大なる態度の変更であると私は存ずるのでありますが、このMSAの交渉とからんで、いついかなる時期において、日本政府は、ガリオア資金を債務と見なすということに決定をされたのであるか、これを承りたいのであります。これは総理大臣から承りたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えいたします。ガリオアの問題は、私は初めから、米国政府に対しても、これを返す、ガリオアによつて日本の経済、食糧危機が救われたのである、政府としてはこれをこのままにいたしておかない、これは私の方からはつきり返す。すなわち債務と心得るというゆえんでありますが、贈与と心得てはおりません。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 総理大臣のお気持は了といたしなすが、政府は従来国会を通じて、ガリオア資金は贈与されたものと心得ておる、こう考えておる。しかしこれが正面を切つて日米交渉の表面に現われて参りましたのは、私は池田・ロバートソン共同声明が最初であると思いますが、これは債務であるとも、債務でないとも書いてありません。ガリオア援助の早期解決の重要性を強調した、こう書いてあります。これに応じて今度は、ガリオア資金は日本側の債務である、こういうことになりますと、私たちはこのMSA援助の過程を通じて政府の態度に変化が生じたというふうに――総理大臣の個人的な気持は別といたしまして、政府の公式なる考え方というものには変化が生じたと私は思うのでありますが、この点どういうにお考えになりますか。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 従来政府も、これを贈与と考えておつたのではないのであります。話の始まりは、ダレス氏が三、四年前に見えたときに、私はダレス氏に、これは日本としてはいずれ返還するということをはつきり申しておるのでありますから、政府の中に贈与と考えておるという話を発表いたしたことはないと思います。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 これはたいへん失礼ですが、総理大臣と副総理との岡の連絡がおそらく悪いのだろうと思いますが、昨年の八月三日の決算委員会におきまして、緒方副総理はこういうふうに述べているのであります。「債権債務の関係がいろいろに錯綜いたしておりますし、こちら側の資料も十分に整えた上、ワシントンにおいて折衝を重ねまして、最後の決定をしなければならぬのではないかと考えております。」これはけつこうでありますが、その先に「先般来お話のありましたように、これは贈与と考えておつたし、また考えられておつた面もありますが、」こういう御答弁をなすつておるのであります。これによりますと、政府は明らかにガリオア資金を贈与と考えておられたことは間違いがないのであります。もしこれを最初から債務と、総理大臣のように考えておられますならば、池田・ロバートソン共同声明においてこれを債務と書くべきはずを、米国側出席者はガリオア援助の早明解決の重要性を強調したというように、きわめてあいまいな表現を使つているのであります。しかも今度は明らかに総理大臣の口を通しても、これは債務である、こういうふうになりますならば、私はMSAの交渉経過を通じて、この間に政府の態度、考え方に大いなる変化があつたものである、こう考えざるを得ないのであります。その点を明確にしていただきたい。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 お答えいたしますが、昨年の八月決算委員会でガリオアの問題が出たとき、私がお答えをした事実は記憶しております。そのときガリオアに対して――私の言葉が足りぬかもしれませんが、贈与と考えられておつた面もあるかもしれぬが、政府としてはこれは終始一貫債務と心得て参つたので――その当時朝鮮貿易の債権の問題がありましたので、はつきり法的にどれだけが日本の債務であるかということは、そういうものを差引いた後にきまるのだという意味のことを申した記憶がある。政府といたしましては、終始一貫、ガリオアを債務と思つておつたことだけは間違いない事実であります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 緒方副総理の御答弁でありますが、その当時の記録によりますと、あなたの今おつしやつたようにはとれないのであります。今申しげ上たように「先般来お話のありましたように、これは贈与と考えておつたし、また考えられておつた面もありますが、いずれにしましても、この解決の結果は国民の負担になりますので、政府といたしましては、」云々、こういうように言つているのでありまして、これはお話のようなものだとは考えられません。しかし私はここでそういう言葉じりをつかまえようとするのではない。MSA協定を通じて、この問題が債務として心得られるといたしますならば、これは重大なる国民の負担となるのでありまして、たびたび政府も言明されたように、MSAの協定の成立と同時に、もしこのガリオア資金というものが債務であるといたしますならば、当然これは国民の負担となる面でありますから、これは国会の承認を受けて予算の上に計上されなければならないはずだと私は思うのでありますが、この点はいかがでありますか。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 非常にこのガリオア等の問題をMSA交渉の過程において何かされたように言われますが、そういう事実は全然ありません。終戦以来、政府というのは自由党内閣ばかりじやありませんが、ほかの政府もありましたが、自由党の内閣におきましてはずつと債務と心得るという表現を使つておつたと私は記憶しております。贈与と申したことはないと思います。それからガリオア等の問題につきましては、いずれは東京で話をいたそうと考えておりますが、まだ日時等はきまつておりません。これが国の債務と確定する前には、国会の承認を受けることは当然だと考えます。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 この池田・ロバートソン共同声明の中にガリオアの問題が入つておる。これはだれが考えましても、池田・ロバートソン共同声明というのはMSA協定の前提をなすものである。あなたも今そこでそういうふうにおつしやつたように、この骨子に従つて来ておる。そうすれば、当然ガリオアの問題は、これはMSAの交渉と関連してアメリカは考えているに違いない。アメリカは日本に援助を与える場合においては、このガリオアの問題を解決しろということを考えておるに違いないのであります。そこで私はお尋ね申しておるのでありますが、アメリカ側は、ちやんとそういうふうに考えておるが、先ほど来MSA交渉の経過を発表された中では、その問題に何ら触れておられない。しかしこれは触れておられないにかかわらず、総理大臣は、先般の国民の本会議の席上において、ガリオアの問題は債務と心得ると、こう言つておる。私たちは決して邪推をするわけじやないけれども、池田・ロバートソン会談においては、ちやんとガリオアの問題をうたつておいて、その線においてMSAの交渉が行われて、総理大臣はちやんと債務と心得ると、こう言つているにかかわらず、交渉の過程にはそういう問題が出ておらないと、こういうことにわれわれは非常なる疑問の念を抱くのであります。この点については、私たちは決して今の外務大臣の言明で満足することはできないのであります。おそらくこのMSA援助の問題とガリオアの問題とは不可分の関係において交渉されておるはずであるとわれわれは承知しておるのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 どうも私の言うことを信用されなくちや御返事しようもありませんが、ガリオアの問題は、MSAの交渉の中では全然出て来ておりません。また総理大臣は、先般の本会議で初めて債務と心得えたということを言われたように河野君はおつしやいまするけれども、もうずつと前に、しばしば総理大臣も言つておられまするし、大蔵大臣も、池田大蔵大臣の時代から、池田大蔵大臣がもうすでに債務と心得るということは何べんも言つておりまして、今始まつたことじやありません。ただそれを確定するのには、双方で材料を持ち寄つて、どれだけのものはほんとうの債務であるが、これに対して日本の支払い能力等を考えて、どれだけをいつに払うかということをきめなければ債務と確定するわけには参りませんから、ただいまは心得ておる。それではその交渉をいつにするかといいますと、これは不日いたすつもりでありますが、まだいたしておりません。これは正直にはつきり申し上げます。MSAの交渉には何らこの問題は出て来ておりません。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 私がこういうことをしつこくお尋ねするのは、MSAの協定ができれば、経済的に日本に対して非常なプラスになるかのごとき印象をまき散らして、MSA協定、MSA協定ということを宣伝をしておるのであります。われわれはそういうMSAを受けることによつて日本の経済的なプラスの面というものは、ありとしてもきわめて少いものである、むしろマイナスの面が多いのだ、こういうことをかねがね申して来たのでありますが、このガリオアの問題がこれにからむこと一つもつてしても、われわれは、アメリカは一方においては与えるが、一方においてはこれを取上げるという、そういう考え方、これをわれわれは相当に慎重に考えなければならぬ、こういうふうに私は思うのであります。それを池田・ロバートソンの共同声明の中にも、何も好んでガリオアの問題を入れておくか、おそらくアメリカはそういうことを考えておるに違いないからだと私は思う。そういうことを、もし外務大臣がほんとうにMSAの交渉において、ガリオアの問題についても交渉しておらないとするならば、私はそれは外務大臣の誇りにならぬと思う。そういう国民の負担になるべきものを伏せておくということは、私はちつとも外務大臣の交渉の手柄にはならぬと思うのであります。そういう意味合いにおいて、もし交渉しておらないとするならば、われわれは納得ができないと思うのであります。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 池田・ロバートソン会談の共同声明の中には、MSAの問題だけが取上げられておるように言われますけれども、そうではないのであります。たとえば今のガリオアの問題もそうでありましようが、その他のアメリカの投資をどういうふうにしてもつと誘導するかというような問題も入つておるのであります。さらにMSA交渉の中でガリオアのお話が出ていないのは納得が行かないと言われるのでありますが、これは出ていないのを出ていると申し上げるわけにはどうも行かないのでありまして、われわれはしばしばこの委員会でも申し上げました通り、ガリオアの問題は債務とは心得ておるけれども、その中にはいろいろはつきりしないところもありますので、日本側でも材料を整えて、こちらの材料をもつて交渉しなければならぬ、そのためにはある程度時間がかかるのもやむを得ない、別に私はMSA交渉の中でガリオアの交渉をしていないことを手柄にしておるわけでも何でもないので、ただ事実を申し上げておるだけにすぎないのであります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 私の申し上げたいことは、池田、ロバートソン共同声明の中に書いてあることは、MSA交渉だげてはないとおつしやいますが、あとでもお尋ねしますが、池田・ロバートソン共同声明の線というものが、私は今の吉田内閣の昭和二十九年度の政治外交方針の根本の骨格をなしておると思うのでありまして、すべてがこれから割出されて来ておることは推定できるのであります。それなるがゆえに、これを離れてわれわれは今の吉田内閣の本年度の政治方針というものを検討するわけには参らぬ。そこでこの中に出ておることは、一々具体的に現われて来ておる。この中に書いてあることで、いわゆる防衛の問題にいたしましても、インフレ防止の問題にいたしましても、みなその線が出て来ておるのであります。そこで私は、ガリオアの問題がここに書いてある以上は、そうして総理大臣が先日の本会議の席上でああいう言明をなされる以上は、そこに十分なる前提があるのだというふうに考えることは無理な推定でもなければ、邪推でも何でもないので、そういうことがないという方が私はおかしいと思うのであります。実際にないならば、もとよりそれは私の力から決定的に申し上げるわけには参りませんけれども、私はそれは筋ではない、こういうふうに考えるのであります。  そこで私は、MSA協定の問題についてもう一点お尋ねをいたしたいと思うのでありますが、このガリオアの問題ともう一つからんで、この池田・ロバートソン会議の表面に出て来たと思われる問題は、防衛計画の問題であります。この防衛計画の問題については、政府は何も持つておらぬということをたびたび言明されております。そこで私は保安庁長官にお尋ねしますが、MSAの協定ができることを前提としてこの保安庁費の増額をしたものと思われるのですが、人員、装備その他の点について、このMSA協定はできてもこれ以上のものは増強なさらない、こういう予定と承知してよろしいのでありますか、伺います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 お答えいたします。まさにその通りであります。MSA協定ができましても、合予算に組んでおる増員以外にはさしあたりいたさないつもりでおります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 本年は、このMSAの協定ができてもこれで間に合うとして、来年度以降についての増強計画はどういうふうになつておりますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 まだ正確なる予定は立つておりません。ただ歳入面において多少増額する予定は立てております。三十年度以後のものについては、目下検討中であります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 本年はこれで、三十年度以降については目下検討中と言われますが、そういたしますと、三十年度以降については一定の計画のもとにと申しますが、一定の目途を立てて考えられておると思うのでありますが、その目途なるものは立つておるのでありますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 お答えいたします。目途と申しましても、御承知の通りいろいろな情勢の変化があります。また使いまする武器にいたしましても、大いに研究しなくちやならぬものもあるわけであります。従いまして確定的な数子その他の計画は、まだはつきりとはわかりません。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 あなたはさつきおられなかつたのですが、MSA協定の前提としては、これは常識としてわれわれの耳に入るのでも、日本はこういう防衛計画があるということを言つております。しかしそういうものはもとより参考であつて、問題でない。日本政府の責任ある防衛計画を出せということになつておるとわれわれは承知しております。その防衛計画なしにMSAの協定ができているはずはないと私は思うのであります。その防衛計画なるものは、当然保安庁で立案すべきものと考えますが、保安庁で立案しておるのか。保安庁で立案をしておるとするならば、せめてその防衛計画の輪廓なりともこの際明らかにすべきものである、私はかように存ずるのであります。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 二十九年度につきましては、もう確定いたしております。今申し上げましたように、三十年度についても大体の数字はわかつておるのであります。その後についてはわかつておりません。目下しきりに検討中であります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 三十年度の数字についてはわかつておるとおつしやるならば、その数字を明確に示していただきたいと思います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 大体の数字は、確定したものではありませんが、予定しておるものは陸上二万、航究八千六百、海上六千、かように今考えております。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 大体本年度の数字と大差ないもの、こういうふうに保安庁では考えておるわけですか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 陸上の制服部隊二万は踏襲であります。ただ平服の方は、二十九年度中においては多少予定を組んでおるのであります。三十年度においては、平服の方は予定は組んでおりません。従いましてその数は、結局一万人足らずであります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 これは保安庁長官に念を押しておくのでありますが、そういう数字というものは、現在のところにおいてこれは変更がないものだ、こういうふうに承知してよろしいのですね。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 お答えいたします。二十九年度においては、変更はないものと御了承を願います。三十年度においても、大体この数でありまして、われわれといたしましては、まず変更はなかろうかと考えております。しかし将来のことでありますから、ここで確言はいたしかねる次第でございます。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 時間がありませんから、私は次に財政の問題について二、三承りたいと思います。  第一にお尋ねを申し上げたいのは、今度の予算説明にあたつて、政府は従来の――従来と申しますよりは、去る六月十六日に二十八年度の予算審議にあたつて大蔵大臣が述べられたこととまつたく違つた、正反対な立場において予算の説明をしておるという点であります。二十八年度の予算説明にあたつては、大蔵大臣はかように申されております。「最近、朝鮮において休戦の見通しが濃くなつて参りましたが、予算編成の前提となる経済事情には、当面急激な変化を生ずることはないものと考えられまするので、」こういうことを前提といたしまして、経済事情には当面変化がないものとの見通しのもとに予算の編成をされておるのであります。しこうして政府から出されました経済白書によりましても、あるいはその他の機会における大蔵大臣の説明によりましても、生産力の上昇、消費水準の向上等をあげて政府の経済施策は誤りでなかつたという意味のことをしばしば申されて参つたのでります。それにもかかわらず、それからわずかに六箇月にしかならない今日において、今度は日本の経済の危機を説き、警鐘を乱打して国民に耐乏の生活を求めようといたしておるのであります。非常な変化であります。私は同じ大蔵大臣が同じ声を張り上げて、半年前には自由党内閣の経済政策を謳歌し、半年後においては国民に向つて耐乏の生活を説く、どうしてこういうことになつたのか、この間におけるところの変化は何によつて生じたのであるか、これをまず私は承りたいと思うのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 昭和二十八年度予算編成は、大体二十七年の十二月ごろからなされたものであつて、その後朝鮮事変等を見ておつて、当面急激な変化がないから、二十七年の暮れから編成された予算を大体そのまま踏襲をしたのであります。また実情だんだん――そういうふうに急激な変化がなかつたのでありましたが、しかし日本に大きい、ほとんど空前とも言うべき大災害が起つて、食糧その他の非常な下足から、米麦等多額の輸入をしなければならなくなつた、そういうことで多少外貨に対する不安見込み等から、たとえば綿花その他各種のものに対する外貨の要望が強くなつて来、またそれを契機として食糧の騰貴その他から物価の値上りを来す等のことがありまして、各国に比べて日本の物価の値上り率が多く、しかも外貨の不足が著しくふえて来る、これは河野さん御承知のように、昭和二十五年、六年、七年度はそれぞれ三億ドル以上の外貨のいわゆる受取り超過したものがあつた。二十八年度になつて、特に今の食糧その他の輸入と追加輸入等の関係等も加わりまして、二十八年で約一億九千万ドルからの赤字になつて来ておる。これは従来に比べて非常な差異がある。そこでこの日本を静かによく見たときに、やはり私どもは、二十七年予算というものを組むときの考え方が少し甘かつた、すなわち初めて占領行政から解放されて、何だか日本が独立したという気分から、どうせ日本ではやりたいことが山ほどあるのですから、そのやりたいことの山ほどあるものにいくらかよけい盛り過ぎて来た、こういう事実等もあるので、静かに実情を振り返つて見て、これはいかぬ、二十九年度予算は真に国際収支の均衡を裏づけるように、そしてまた、それがためには何としても国内の物価引下げをやつて、経済自立の線に持つて行かなければしならぬ、こういうふうな考え方から、言いかえますると、四囲の情勢の変化に応じて、二十八年度予算の編成方針と二十九年度予算編成方針が急転回をした、これは四囲の情勢がしからしめたものであります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 時間がありませんから一々申し上げておることはできませんですが、私はこう思うのであります。先ほど申しましたように、この緊縮予算というもの、これは私たち必ずしも予算を縮小することに対してあながちに反対するものではございませんけれども、しかしこれが突如として出て来たのは、小笠原さんが言われるように四囲の情勢上というのではなくして、先ほど私が申し上げましたように、池田・ロバートソン共同声明の中に、日本に対して、インフレを阻止しなければいけない、インフレ抑制について日本としても一瞬の努力を強化することが肝要と信ずる旨を述べた、こういうことのこの共同声明の趣旨にのつとつて、私は突如として出て来たものである、かように考えるのであつて、本年度の予算は実は小笠原予算でなくして、私に言わせるならば、池田・ロバートソン予算だ、こう言わざるを得ないのであります。  そこで私は一々こまかいことは申しませんが、一番重要な問題は何かというと、この緊縮予算を拝見してみて私は一番重要だろうと思う点は、この予算を一兆円に切り詰めたというところにすべての緊縮の重点を置いているようであります。しかし私の見るところによると、一兆円ということに魔術があると思うのであります。まず第一に九千九百九十五億という予算をお組みになつておりますが、この九千九百九十五億というのは、これは一般会計だけの問題でありますから、この一般会計だけで経済上の問題を律することができないことは、これは小笠原さんもよく御存じの通りであります。このほかに特別会計を合せ、政府関係機関を合せ、さらに地方の財政を見て、そこではたして政府はいわゆる一兆円予算というものに盛つた趣旨を貫いておられると考えるのか、私は一番これが重要なる問題であると思うのであります。ところが一般会計と特別会計と合せた予算純計を見表すると、昭和二十九年度には二兆五百三十億円となつておりまして、前年度二兆四十億円に比して四百九十億円ふえているのであります。一般会計と特別会計の関係においては、さらにこれに地方財政の推定額九千六百億というものを加えるならば、はるかに昨年度よりもこの予算の総額というものはふえる結果になるのでありまして、これは緊縮予算でも何でもないと私は思うのであります。  さらに大蔵大臣に申し上げますが、大蔵省が昨年の十二月の暮れに各省の予算を査定して、いわゆる大蔵省査定案をおつくりになつたときは九千九百四十三億であつたのであります。これに対して各省から猛烈なる復活の要求がありまして、政府は百八十三億内政の面において復活したと称しているのであります。九千九百四十三億を査定したものに百八十三億を復活すれば、これだけでもつて一兆百億以上になることは私が申し上げるまでもないのであります。これをどうして一兆円以内に抑えたと言われるのかと申しますると、当初の予算においては、国税に移管された入場税百七十三億、これを特別会計に移しているのであります。連合国財産補償費、二十七年度分の使い残り七十億というもの、これをこの予算の底に隠したのであります。さらに前年度までは一般会計から出しておりました部分を資金運用部の会計に移したものがございます。こういうようにしてみますると、一兆に押えたというのは世間をごまかす表向きの計数であつて、実質的にはこの入場税を特別会計に移管した問題といい、連合財産補償費の二十七年度の使い残り分七十億をこの底に隠したという点、あるいは防衛費の中において一部八十億円を国庫負担契約の中に移しているという点、さらに前年度まで一般会計から支出しておるものを貸金運用部会計に移しておるという点、こういうものを合せまするならば、一兆三百二十億になると私は思うのでありますが、こういうものをもつて、なおかつ一兆円以内の予算を組んだと鼻高々とおつしやるのであるかどうか、これをひとつ伺いたいのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 最初にお断りしておきますが、私どもは自分の手で今度の予算を編成したものでありまして、何らアメリカの力によつたものでありません。池田。ロバートソン会談等のために左右されたものではなくて、日本の内外に置かれた実情からこの予算を組まなければならなかつたということで今度の予算を編成をした次第であつて、その点繰返し申しましたけれども、さらにあらためて誤解なきよう申し上げておきます。  その次に、いろいろなものを合せると多いじやないかということでございましたが、これは河野さんはこれの方をよくお調べになつておるから御承知でしようが、なるほどちよつと見ると、二兆四十億が二兆五百三十億ほどになつてふえておるように見えますが、御承知の特別会計というものは、むしろ企業予算に関するものが多いのでありまして、従つて何らいねゆる緊縮予算その他に関係のないことは、これはお調べになるまでもなくおわかりのことと思うので、これは御説明いたしません。しからば入場税その他について粉飾したのではないかというのですが、入場税は御承知のごとくに、今度なるほど地方税を国税に移管することにいたしましたけれども、その九割は地方へもどす、いわゆる譲与税に今度するのでありまして、これは手数を省くためにそうするのです。またそれが地方へ還元するからそうするのが当然であつて、かようなことは何らいわゆるあなたのおつしやる粉飾ではありません。また特に地方財源の偏在を直す意味でそういうふうにしたのでありますから、この点はよくおわかり願えると思います。  それから租税払いもどし金のことをあとでおつしやつたのでありますが、租税払いもどし金というものは、これは本来の性質上租税を払いもどすものでありまして、これは今までのやり方がどちらかといえば間違つておつた。むしろそういうものは特別の方から払つて行くのが当然でありますので、これは私どもはこれを宜したことをもつて何ら粉飾とは考えておりません。のみならずもしこういう粉飾したものが緊縮予算でいろいろ言われるということでありますならば、あなたがよく言われる、これは非常な緊縮予算だ、また各方面の方が言われるのは、実質が緊縮予算であるからでありまして、数字が何も一兆を装うとか装わぬとかいう問題ではありません。またあなたがさつきなぜ急転回をしたかということで、最初におしかりになつたが、急低回をしたということは、実費がいわゆる一兆予算であるということを何より雄弁に物語つておるものと考えます。これ以上答弁いたしません。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 小笠原さんが挑戦されるならば私も言い分があります。大体一兆円に予算を組んだということ自身が、政府は緊縮の象徴であるかのごとく育つているが、そういうことは一つも実際において一兆円の予算でなく、すべて政府は昨年言われたような一兆七百億円の線に近い予算を組んでおられる。それにもかかわらず、政府は耐乏生活を国民に強いる、こういうことを言つて一大政策の転換であると警鐘を乱打しておられる。これは一体どうなんだ。これが私の言わんとするところなんであります。ところが私に対して矛盾だとおつしやるが、あなた自身の方が大なる矛盾を犯しているのではないか。もしあなたの言うように、一兆円でない、今までの予算と同じ予算を組んだというならば、なぜ正正堂々と天下に向つて、政府は今までと同じ方針をやつて、昨年度と同じように、当面は何らの経済上の前提においては変化なきものと認めますと、堂々とおつしやらないのですか。承りましよう。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 私は今までと違つた予算を組んだのであると申しているのでありまして、今までと同じような予算を組ならば、最初から二十九年度予算は緊縮予算であるということを申し上げる必要はないのであります。また言葉の一兆円とかいう文字そのものにわれわれはとらわれておりません。いかにして日本の現在置かれている状況から、一本の一般予算を緊縮することによつて、また国際収支の均衡を早めることによつて、日本経済の自立目的を達成することができるか、こういうことから予算を出したのでありまして、一兆円という文字そのものにとらわれて、それで何らどうこうと言うのじやない。今申し上げた通り、入場税のごときものも、これは実質上地方のものなんです。地方に還元するものでありますから。これははつきりと予算にも譲与税で出すということを言つているのであつて、九割ももどすものを、これはそうするのがあたりまえだと私は思う。それから今申し上げた通り。いわゆる税金の払いもどしなどは、これは本貫は払いもどすものなんだから、そんなものは何も予算の面で行かぬで、特別会計で行くということは当然のことでありまして、私どもはその面から見て、私どもの扱い方が正当なりと考えております。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 それほど一兆円というのにこだわらないとおつしやるならば、昨年の十二月大蔵小口で査定されたときには、入場税を一般会計に入れておいて、今度百八十三億各省の要求に従つてふやさなければならなくなつて、なぜこれを特別会計の中にお入れになつたのですか。さらに連合国財産補償費であつても、最初はちやんと予算の面に組んでおつたものを、財政法に――まだ財政法の改正案は出ておりませんよ、財政法に違反してまでも、これを使うということをこの予算の中にお隠しになつたのですか。一兆円にこだわらないとおつしやるならば、正正堂々たる予算をなぜお組みにならないか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 今の百八十三億円復活したのは、すべてわく内の操作でありまして、何ら一兆円問題と直接の関係はありません。これによつてふえたものではございません。一兆円に対する問題はすでに御答弁申し上げましたからそれで御了承願うよりほかありません。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 わく内のものとは考えられません。たとえば社会保障費のごときものは決してわく内の問題ではございません。そういうわく内だと言われるのは政府だけでありまして、われわれはさようには考えておらない。  私はこの一兆円であるかどうかというような問題は、小笠原さんの要求に従つてしばらく別といたしまして、減縮したものば一体どこにあるか。それから予算の一般会計で見ますと、まず増したものは防衛費と旧軍人恩給費と文官恩給費、ほんの申訳的な社会保障々だけであります。削つたものは一番大きいのはいわゆる産業投資といわれる出資投資の面であります。そこで減縮されたものはいわゆる出資投融資関係のものでありますが、一般会計でこれが二百七十一億円、全体を通じて五百八十四億円減少されているのでありますが、これを民間関係と政府関係等にわけますと、民間関係に対する減少が三百六十億円の減少となつているのであります。これが私は今回の政府の主たるねらいであると考えるのであります。その防御予算をふやして、産業投融資関係の予算を大幅に切つたというところに問題があると思うのであります。私はそこで大蔵大臣に、お尋ねをするのでありますが、こういう減縮をなさつた結果として一体どういう事態が起るということを前提にされておりますか。かなり政府は継続費も切つておりますし、食糧増殖対策費等も切つておりますが、そういう継続費を切り、あるいは投融関係のものを切つて行つた結果、どういうことになるか、最も見やすい結果は、継続してある事業というものは、かりに予算が切られたからといつて、一どきにやめるわけには行きません。民間の会社の仕事は政府資金が切られたからといつて一どきにやめるわけには参りません。そういう場合にどういう結果が起るかと申しますならば、まず仕事だけはそのまましておくけれども、支払いはできない、こういう結果になるのであります。仕事はするがその支払いはできないという結果のしわ寄せは、だんだんどこに行くか、大きいところから中小に、中小から労務省にずつとしわ標せが行くということは、火を見るより明らかであります。そこで政府はそれに対してどういう施策を立てて、この減縮の予算を実行されようとするか、施策はどこにもないと思います。その施策について何かあるならばそれを伺いたい。施策なしにかくのごときをするというならば、これはまことに、乱暴しごくであつて、非常なおそるべき結果が生ずると私は思うのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 今お話のうちに、何か食糧増産対策費を切つておるじやないかと言われたようですが、これはお配りした資料でごらんの通りふえておるのであります。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 あげ足とりはやめていただきましよう。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 そういうぐあいでございまして、おもな点としておつしやた財政投融資の面ですが、原則として財政投融資はしない方へ持つて行きたいということは、河野さんも私に同感だろうと思うのです。しかしながら現在のところなかなか民間だけの力では行かぬから、それに国の力をかすという意味で財政投融資を行つておるのでありまして、行つておるが、しかしその投資がちようど民間における旭剰投資というか、他に不安不急投資を若干呼ぶようなこと等の傾向も見られますので、日本がこういう緊縮予算をやるときには、この面もしのんでもらう、しかも電源開発等は昨年よりも費用を増加しております。また中小企業に対しても、全体としては増加しておる等、これを重点的に扱うということによつて、できるだけこれらの摩擦を少くしよう、こういうふうに配意した次第であります。従つて御不満な点もありましようけれども、減らすという以上はやむを得ぬことで、重点的に物を扱うことになるということは避けがたいことと思うのであります。  さらにそれでは何か方法をとつておるのか、これは政府は今度の緊縮予算のみもをつて日本の物価の下げとか、あるいはそれによつて国際収支の均衡を早からしめるということをやつておるわけではありません。従いまして、私どもは過日も申し上げました通り、金融の面でもまだ引続き強度に締めて参ります。あるいは産業の方角でもコストの切下げのためにはいろいろ措置をとつて参る所存でございます。だがしかし今仰せになつたようなしわ寄せの問題をできるだけ少くするために、乏しいうちからでも、たとえば本年は社会保障施設に三十八億円増加しておるとか、あるいは中小企業に対する助成について、昨年よりわずかではありますが増額しておるとか、あるいは金の面では昨年同様に扱つておるというふうにいたしておるのでありまして、今後こういう諸政策をやつて行きます上におきましては、多少の摩擦面が出て来ると思いますが、出て来ますれば、これに対してそれぞれの施策を講じなければなりません。私どもとしてはできるだけその摩擦を少からしめるために、たとえば過日も申しました通り、日本の物価は国際的にはまだ三割も高いのです。三割も高いが、まず当初二十九年度としては五分ないし一割の引下げを目標としてやつて行こう、こういうことで、できるだけ摩擦を少からしめるための諸施策を講じておるわけで、この程度は、ちようど日本の鉱工業生産等が九、十年を一〇〇と見て一五二まで回復しておる現状からして、耐え得るものと私は見ております。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 時間が迫りましたから、私はきわめて簡単に申し上げますが、今大蔵大臣の言われたことに私は満足できません。と申しまするのは、大蔵大臣はよく御存じだと思うのでありますが、日本では八千五百万の人間がここで飯を食つておる。この事実を忘れて経済政策というものはあり得ないと思うのであります。それをアメリカのドッジ方式とかいうものを考えて来て、日本にオーソドックスな経済政策を当てはめようとしたらたいへんな間違いであります。その点を十分頭の中に入れておかなければならぬと思う。国際物価に比べて日本の物価が三割以上高いとおつしやいますが、物価が高いのか、あるいは為替レートが間違つておるのか、いずれであるか、これは議論の余地があると思うのであります。現在の為替レートを堅持しなければならないという至上命令の上に立つて予算を組んでいらしやいますけれども、日本の貿易の前途を考え、日本国民八千五百万の人間がここで飯を食つて行かなければならないという事戸を前提として考えたときに、為林レートの問題は別な角度、見解から見てちつともさしつかえないものだと思うのであります。今は時間がありませんので、物価の趨勢と通貨量その他を比較して、必ずしも今日の日本の為替レートが当を得ないものであるということを申し上げる機会のないのは残念です。あとから何らかの機会に申し七げたいと思いますけれども、私はそう思います。一方においては雇用量を増して、一人でも多くの人に職を与えて、飯を食わせ、しかも貿易を振興して行かなければならないという、この二つの問題を、どう上手にやるかということが、経済施策の根本である。ドッジ方式であるとか、池田・ロバートソン方式とかによつて予算を組み、あるいは経済政策を立てるならば、こんなやさしいことはないのであります。それでは日本の政治にならぬ。私は、かように考えるのであります。そこの点を私は先ほどから申し上げておつたのであります。  最後に吉田総理大臣にひとつお尋ねを申し上げておきたいと思います。私が本日の冒頭にも質問をいたしましたように、現在の政界の情勢というものは、まことに憂慮すべき事態であると思うのであります。本年の予算によりますると、投融資関係の予算は大幅に削減をいたされましたが、その中においてさえも、電源の問題とか、あるいは造船業に対する問題とかいうものは、優先的に処理をいたされたおります。しかるにその国家資金を多額に仰いでいるそれらの仕事の中に、しばしば涜職の問題、汚職の問題等を生ずるということは、われわれのきわめて遺憾とするところであります。現在司直の手を煩わしておりますのに、いわゆる造船疑獄なるものがございます。この戦争によつて打撃を受けた船会社が、その自力をもつては更生しあたわざることは火を見るよりも明らかであります。従つて昭和二十二年以来九次にわたる造船計画というものが立てられて、私の調べでは、船会社に対する融資の総額は一千四百七十一億に及び、財政投資は八百三十八億円、市中銀行融資が五百八十六億円、損害保険会社の融資が四十七億円という数字になつておるのであります。しかもこの市中銀行の融資に対しては国家利子補給がなされるのみか、損失補償までするという法律案がつくられておるのであります。国家の予算を緊縮し、投融資の会計を大幅に削減しようという中において、造船業に対するかくのごとき融資というものは、非常なる優遇であると言わなければならないと思います。しかしながら、これは戦争によつて打撃を浴びて自力更生することができない船会社に対する態度としては、やむを得ないことであると存じます。船会社の経理はほとんど借入金によつてまかなわれて、自己資本は一七%、他人資本が八三%になつておるのであります。かくのごとく国原資本導入によつて仕事をなし、借入れ資金によつて業界の運営をはからなければならないというような、こういうところに対しては政府の監督をより殿軍にし、いやしくも融資したるものが効率的に運営されなければならないはずであるにかかわらず、この造船業界に対して、今日新聞をにぎわしておるところの造船疑獄というものが生じておることに対して、政府は一体どういう責任をおとりになるのであるか。この問題は山下汽船の重役が浮貸しをしたということから始まつておるのでありますが、この浮貸しは私の調べたところによりますると、一昨年である。そうしてそれはたまたま船会社の景気のいいきにこの金が出された、こういうふうに承つております。景気が悪いときには国家資金を仰ぎ、景気がよくなれば浮貸しをする、こういう事態が起る。しかもこの問題の発展によりまして、運輸省の高官である壷井官房長が留置せられ、経済審議庁の今井田審議官が取調べを受けておる、今後の発展はどういうところまで行くか予断を許さない、こういう事態になつておるのであります。保全経済会の問題は民間の問題であると申してもよろしいのでありますが、この造船疑獄のよつて波及しておるところのものは政府部内、直接の政府の省内に火がついておるのであります。これらの問題に対して関係所管大臣はいかなる責任を感じておられるのであるか。もちろんこの汚職事件の発端をなしたところには金融業者の森脇将光というような人が介在しておりますから、複雑なる事情があることは想像にかたくはないのであります。しかし外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法というものが、議院の修正によつて国会を通過したのはつい先ごろのことであります。この問題をめぐつて巷間にはいろいろなとりざたがいたされております。私たちはこういう問題に対して、政府を監督せられる吉田総理大臣として、自分の部下の中からこういう人々を出したということに対する責任、全般の問題に対する、綱紀粛正の問題に対する決意、それらの問題を承りたいと思うのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お話のような疑獄についてのうわさだけでもはなはだ心外に存ずるところであります。しかしながら単に巷間のうわさによつて処置をすることは政府としてはいたしかねます。やがて司法の手その他において事態が判明いたして参りましたならば、法の命ずるところによつて、また政治上の責任のあるところによつて処置いたします。

河野密日本社会党(右)

○河野(密)委員 私は最後に吉田総理大臣にお尋ねいたしますのは、総理大臣として綱紀粛正を数年間となえて来られた吉田総理大臣は、政府の部内からこういう事態を引起したことに対して、政治上の責任をいかなる形においておとりになるのであるか。もしこれらのものがいわゆる法に照らして明白な事態に立ち至つた場合においては、総理大臣として総理大臣みずからの責任はいかようにおとりになるのかということを、私はお尋ねしたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 事態が明らかになつた場合に政府としては善処いたします。

小峯柳多自由党

○小峯委員長代理 原健三郎君。

原健三郎自由党

○原(健)委員 私は最初に、吉田総理にお伺いいたしたいのであります。  目下日韓会談は韓国側の不誠意な態度によつて停頓いたしており、まことに遺憾な状態であります。御承知のごとく日本の漁船は不法な攻撃を受け、抑留もされているし、日本の漁民は生命線ともいうべき漁場を失い、死活の問題であります。また明白に日本の領土たるべき竹島に対して、韓国側は領土権を主張しているのであります。かかることによつて多年善隣友好の関係を続けて来た両国が、目下反目抗争を続けていることは、はなはだ遺憾なところであます。われわれは日韓会談の再開を希望し、円満解決することを国民も熱望いたしているところであります。それでこの問題に対する総理の御所見を伺いたいのであります。日韓会談再開を希望するといたしましても、機が熟していないのに無理にあわててやる必要もないし、といつて機が熟している場合にこれを逸することも不利であるし、それらのことはわれわれはわかりませんが、これらのことを勘案いたしまして総理に善処を望み、またその御所懐をお伺いいたしたいのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 日韓の会談が再開されておらないことは、私はまことに遺憾に存じます。またがつて李承晩大統領が日本に見えたときに、日本と朝鮮との関係は歴史においても、また地理上から考えてみても、最も親善な関係に入りたいと思うということを、大統領みずから私に言うておらるるのであります。むろん私はこれに対して賛意を表し、どうかそういたしたいということを常に考えているということを申しているので、大統領の気持ちも、日本との関係を相当重要に考えていると私は確信いたしますが、不幸にして日本と朝鮮と絶えずいろいろな問題が起るにもかかわらず、日韓会談が再開されておらないということはまことに遺憾であります。しかしながらひとつここで考えなければならぬことは、朝鮮としては戦争終局直後でいろいろ問題があり、また大統領としても、その地位は非常に微妙なものがあるのであると思います。従つて大統領自身の考え通りには行かないこともあり、またその考えを実行するためには相当の時間をとらなければならぬと思います。しかしいずれにしてもこのままにうつちやつておく考えはない。外務大臣からお話いたした通り、アメリカ等のあつせん等にもよつて解決したい。政府としては種々の手段を用いて日韓会談の再開に努力いたしたいと思います。

原健三郎自由党

○原(健)委員 この機会に外務大臣からそのいきさつをもう少し補足していただきます。

岡崎勝男自由党外務大臣

○岡崎国務大臣 日韓会談につきましては、御承知のように、いわゆる久保田発言なるものに対する韓国側の強い反発もありまするし、またその後竹島の問題、これは日韓会談には入つておりませんが、竹島の問題が出ておるし、また漁業の問題が出ております。竹島の問題につきましては、われわれは日本の領土権等についてはごうも疑いを持つておりません。久保田発言につきましては、当時久保田代表は会議において、これは個人的の意見であるということをはつきり申し述べたことでありますから、それをいつまでも韓国側でこだわる必要もないと思うのでありますが、しかしこの点については、今申した通り、個人的の発言なのでありますから、日本側としてもそうこだわる必要はない、こう考えております。ところが漁業の問題につきましては、いろいろまたむずかしい状況があるようで、今後ともできるだけ早く話をつけて行きたいと思つておりますが、これについてはただいま総理のお話がありました通り、場合によりましてはアメリカ等のあつせんを求めてでも早く解決いたしたい、こう考えて努力をいたしております。

原健三郎自由党

○原(健)委員 次に総理大臣にお伺いいたしたいのでありますが、第二は、この領土問題に関係してもう一つお聞きしたいのであります。それは台湾の国民政府とは申しませんが、そういう台湾政府筋から、琉球諸島に対して領土権を主張しておるというような風評を最近よく聞きます。新聞もこれを報じております。確証ではありませんが、そういうことがしばしばこのごろうわさに上つております。日韓の紛争における韓国側の態度といい、また台湾筋の日本の対してのかくのごとき態度といい、日本との友好関係にあるべきかかる国が、最近まことに不可解なところであります。しかし一歩私どもが譲つて、立場をかえて韓国や国民政府の立場になつて考えてみますと、日本のこの両国に対する態度というものが割り切れないというような点もあるのじやないか、彼らの国にしてみると何らか不満を抱いておるのではないかと思われる節もあるのであります。というのは、日本の国内における対ソ親近論といい、あるいはまた中国貿易にのみうき身をやつしておることといい、これらの空気が今や日本のジャーナリズムにおいても、日本の国会においても、相当強く流布されておる。この韓国と台湾政権が、一体日本はわれわれの同調者であるのか、あるいはどうであるのかなどと、不満があるのではないかと私どもは思うのであります。ここで静かに日韓台三国が立つておる基盤を私どもが考えますとき、この三つの国は、反共という基盤の上に鼎立しておることを私どもは見出すのであります。この基盤、この認識を関係国がはつきり知るならば、反共という共通の利害は判然として来るはずであります。その共通の利害に立つて考えるならば、日本との国交回復も、関係の解決も必ず端緒があろうと私は考えておるのであります。今日の日本では国会の議論を聞いても、ジャーナリズムを見ましても、どうもソ連とか中共に親近感を与える議論が横行しております。外国から見ればこれが日本の国論であるかのごとき誤解を抱くのも無理からぬことではなかろうかと私どもは思つておる。しかし日本の輿論がそんなものでないことは言うまでもない。日本国民が反共であることは明白である。ゆえに政府はここに冷静に思いをいたしてもらいたい。それで日本は自由主義陣営の一員として活路を開かんとしておるものであるということを、政府当局はもつと積極的に示してもらいたい。政府当局は反共主義をもつと明確にすべきものである、またそれについて努力を払うべきものである、このことを私は考えるのでありますが、ここに吉田総理の反共についての、また日本の現在の空気についての御所見をお伺いいたしたいのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 竹島については朝鮮、それから琉球については台湾政府がその領土権を主張しておる、そういうことは新聞に見ますが、政府としては朝鮮政府よりも、あるいはまた台湾政府よりも、公然その領土権を主張して交渉を開始しておる事実はないのであります。また琉球、小笠原等について――これはお尋ねはありませんでしたが、これがもし共産主義国の占領するところとなつては困るから、あるいは国防といいますか、アメリカとしては太平洋防衛計画からいつてみて、その一環をなす小笠原あるいは朝鮮等がもし共産主義国の占領するところとなれば、防衛上はなはだ困る、ゆえに国力の、防衛力の十分でない日本よりも、一応米国政府の手においてこれを管理するというのが現在の占領の目的であります。これはしばしば琉球、西南諸島あるいは小笠原島について日本政府が返還を求めた場合に、同じようなそういう答弁で――答弁といいますか、米国政府の趣旨を始終弁明しておるのであります。そこで日本も朝鮮も台湾も、これはともに共産主義に対して自由国家として反対する、反抗するといいますか、防衛の共同の利害に立つておることは明らかであります。日本政府が共産主義に対して大いに反抗いたしておる、反共の政策をとつておるということは、これは中外において最も明らかなことであり、何人も日本政府が共産主義に賛成しておるということは考えておらないのみならず、これまでの日本政府の行動として反共の政策をもつてその政策といたしておるということは、中外とも信ずるところでありますから、共産主義に対する日本の政策についてさらに努力が足りないと言われればそれまででありますが、しかしながら政府としては、極力反共の政策については、中外にその政策を明らかにいたしておるつもりでおります。

原健三郎自由党

○原(健)委員 次に国内問題でお尋ねいたしいたのでありますが、政局安定の構想をお尋ねいたしたいのであります。目下衆議院では与党の議員数は半ばすれすれであります。数から申せば必ずしも安定しておるとは言いがたい点もあるのでありますが、そこでいかなる構想のもとに政局を安定されようとされるのであるか、この点をお伺い申し上げたいのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お話の通り、目下自由党は絶対多数を制しておりません。しかしわが党の政策、現内閣の政策面に対して共鳴しておる人は心ずしも自由党員のみでないと考えております。従つて私の見るところでは、政局はある程度まで安定いたしておるのではないかと思つております。

原健三郎自由党

○原(健)委員 われわれ保守陣営は過去の因縁情実を捨てて大同団結をいたすとき、初めて左翼政党との対決が可能であると私どもは考えております。その対決においてわが保守陣営が一大勝利を得たときに、初めて国家百年の大計、大政策を断行することができると思うのであります。そこで今無こそ総理がみずから進んで保守陣営を、組合というか、連合というか、言葉はいろいろありましようが、とにもかくにもしまして、左翼政党との対決に乗り出さるべき年ではなからうかと私は考えるのであります。自由党以外の保守陣営におきましても一部の者は問題にならないかもしれませんが、大多数の保守陣営の者は、われわれと志を大体同じゆうしておるということは明らかであります。でありますからこの保守陣営の連合と申しますかこういうことが国民の輿論でもありますので、この国民の輿論にこたえる意味におきましても、また左翼陣営との対決のためにも、この際吉田総理の御乗り出しを願いたいと思いますが、それについての御所見を承りたいと思うのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 せいぜい御希望に沿いたいと考えますが、これは政治の動きとしていろいろな動きがありますので、そう簡単には参らないと思いますが、なるべく御希望に沿いたいと思います。

原健三郎自由党

○原(健)委員 このたびの一兆円予算の効果をあげるためには、私どもは労資の協調関係がきわめて重大であると思つております。第一に資本家側がこの予算実行に対して熱意を示しつつあることはわかつておりますが、しかしながら労働者側では、最近の情勢を見ますと、ベース・アップをもつて業種ごとにその態度を今や確立しつつあるような情勢であります。かくのごとく日本の財政経済事情と離れた時局無理解の労働陣営が、今日存在しておるということはまことに寒心にたえない。それで政府はこの際労働組合に対してとくと配慮しなかつたならば、この予算の実施はこの線からくずれることを私はおそれるのであります。結論的に申せば、真に日本国民として、この緊要な時期に本予算の実行に協力せしめるために、労働組合の陣営にも私は大いに一考を促す必要があろうと思うのであります。また今日においてこの予算が実行される場合においては、実質賞金が結局上ることになるのでありますから、これらの点も勘案されて、また私どもの考えでは、労働組合は左翼政党の一手販売のものではなくて、われわれの自由党こそ今後労働組合と提携して行くべき政党であると私どもは考えておるのであります。そこで総理は、みずから進んで、これら労働組合の幹部とじつくりと懇談されてはいかがでございましようか。私は労働組合の諸君においても、よく話をすれば了解される点に達することは不可能ではなかろうと存ずるのであります。といつて私は単に労働組合と渦然と懇談すればただちに効果がある、こういうようなことを言うのではございませんで、もちろん労働組合側に対しては形を整えさせ、また適当な時期なども勘案され、そして適当な組合と懇談されることは決してむだではなかろうと思うのでありますが、この点についての総理の御所見をお伺いいたしたいのであります。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 かわつて御答弁申し上げます。わが国の労働賃金あるいは俸給というものが、全体の国民所得の中において占むる地位が非常に上つて来ておる。戦前に比べて著しく上つて来ておつて、しかも国際的に見ましても、米英に比べてむしろ高位にある。これ以上上つて行きますと、全体のバランスを破るものであつて、限界に達しておる。これ以上はどうしても経済の規模の拡大ということにならなければいかぬ。そういうところを調整しなければならぬということをしばしば申しておるのでありますが、最近に至りましてこの点が非常に了解されて来ておるように考えるのであります。たとえばけさの新聞を見ましても、某政党の領袖が京都で、そうした経済の実勢を無視した賃金要求というものは、これは考えなければ労働組合のためにならぬ、こういうようなことを語つておるようでございまして、こういう点は私ども国家のために非常に慶賀にたえないと考えておるのでございます。私どももちろんできるだけ労組の諸君とも話し合い、また資本家陣営にも譲るべきところは譲つて、お互いに話し合つて、この経済の危機を切り抜けるように要望いたしておるのでありますが、ただいま仰せのように、総理大臣また労組と話し合うということも非常にけつこうだと思いますが、その前に私が命を受けまして、できるだけそういう計画をつくつて、そうしてそういうような話合いができますようにいたすことは、私としても当然努むべきことだと思つておりますが、何にいたしましてもこれは片一方の問題であり、労使双方、あるいは政府の政策というものについて双方十分理解さるべきものである、かように考えております。

原健三郎自由党

○原(健)委員 私が申し上げたいのは、労働大臣が労組の幹部と面会される、それではもうほとんど意味がないので、吉田総理御自身が進んで懇談されることを、特にひとつ御希望申し上げておくのであります。  次に、ついでに労働大臣にお伺いいたしたいのであります。私どもはこの際、国是全体に耐乏色活を政府がしいておるのでありますから、この国民の中に、一つの階級が特権をむさぼるとかいうような、またがつて気ままなふるまいをするというようなことは、国民全体が非常に迷惑することは言うまでもないのであります。ことに公益に最も関係の深い公益事業関係者においてしかりであります。しかるに公益に密接な関係を有する産業が、国民の利害を無視して、かつてにストライキを年中行事として敢行するというようなことをわれわれは知るのであります。これは年中ほとんど間違いなく定期的行下としてやつておるものがあります。公益事業の中においていろいろありますが、たとえば私設鉄道、私設の電車などにおいてであります。これらの公益事業は、国民のために、この際こういう時局に際会して、私どもはしばらくストライキを遠慮してもらいたいと思う。思うに炭労、電産の暫定的ストライキ禁止には、国民は双手をあげてこれに賛成いたしました。ゆえに、これにならつて、私設鉄道、電車などのストライキも、この時局に際会して、国民の耐乏生活にこたえて、この際しばらく遠慮してもらう意味において、ストライキを暫定的に禁止するような法律案を出す考えがあるかないか。もし今国会でなければ、将来はいかがであるか。この点をお聞きいたしたいのであります。

小坂善太郎自由党労働大臣

○小坂国務大臣 ただいま御指摘のような事業におきまする労務の性質というものは、非常に公共的性質を持つておるのでありまして、そのゆえに公共事業に指定されております。従つてストライキをやるというような場合には、予告をしなければならず、また強制調停等の法律的措置もあるわけであります。また国民生活に実際に、現実に損害を与えるおそれがあると認められまするときには、緊急調整という制度もあるわけであります。これも労調法の規定によつて動くのでありますが、そういう規定もございまして、とにかく私どもの立場といたしますれば、労使双方において、特に今のお話のような場合があるとすれば、労組側において十分その事業の公共性というものを認識し、国家の現在の情勢をよく見定めて、良識ある行動をとつてもらいたいと考えておるのであります。特に昨年の石炭並びに電気に関しまするスト規制法というものは、現実に苦い経験をなめた、その経験に基いてほうはいとして起つた輿論を基礎にしてつくつたのでございますが、今御指摘のような種類の公正非業については、いまだそういうことは私ども考えておらないのであります。

原健三郎自由党

○原(健)委員 次に副総理にお尋ねいたしたいのであります。申すまでもなく、日本の人口は八千五、六百万にもなるし、領土は半減するし、輸出は振わず、そこで人口問題が非常な問題となつて参りまして、日本自身がこれを真剣に研究して考えねばならぬはめになつて参りました。この悩みを日本が今研究せずして、他国はこういう問題を研究してくれない。しかるに日本の人口が、将来一体どういうよりに解決するかということを、私は予算委員会のあるたびに政府に聞きますが、厚生大臣に聞いても、どうするということを少しも考えていない。一年か二年の対策より聞いたことがない。一年、二年の対策ではこれはだめであつて、長期計画、長期人口対策を私はお聞きいたしたいのであります。地震の国の日本においては、地震をみずから研究して相当研究ができておる。この人口問題は日本の一器がんであり、最も悩んでおる問題であるが、これを日本政府はしつかりやろうとしていない。わずかに厚生省での予算数百万円を計上して、厚生省に研究所というようなものをこしらえてお茶をにごしておるような程度で、ほとんど見るべきものがないのであります。この日本の最大の問題を、もつと抜本塞源的に研究する必要もあるし、また政府はそれに対して一体どういう対策とか見解を持つておられるのか。この際副総理から、内閣の意見としてお聞きしたいのであります。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 お答えをいたします。人口問題――特に現状における日本の人口問題を日本だけで解決することは、ほとんど不可能に近い困難であります。やはりこれは国際的に解決することが一つの方法と思いまするが、人口問題を考えます場合に、第一に思い及びまするのは移民でありますが、今日の状態ではなかなか十分に行えません。一体申しますると、移民の自由または貿易の自由、または生活資源の自由というようなことが確立されなければ、世界平和というものは容易に来ないのでありまするが、第二次大戦以後今日に及ぶ世界情勢では、冷戦、熱戦等が続いておりまして、そういう問題をおちついて考えるだけの現実になつておりません。しかしその間におきましても、政府ではできるだけ人口問題の調節の一つの方法といたしまして、海外移住を奨励いたしておりまするが、予算に現われておりまするところでは、本年五千くらいの移住を計画いたしております。五千というものは、年々の出産に比べていかほどでもありませんし、また実際におきまして今日の海外移住は、人口問題というよりは外貨の獲得の方に少いながらも貢献しておるというような状態であります。その他人口問題の処理といたしまして、産児の調節というようなことも、厚生省におきまして積極的に奨励しておりますけれども、これをもちましてもなかなか十分な解決ができそうにも思えません。しかしこの問題は御指摘のように、非常に重要な問題でありまするので、厚生省におきまして人口問題審議会というものを置きまして、各界の学識経験者を集めまして、この問題の恒久的な対策につきまして目下審議を進めております。その答申に基きまして本格的に政府として解決に入りたいと思いますが、いずれにしましてもこの解決ははなはだ困難でありまして、国内資源の開発、それに伴う産業の振興というようなことによつて、この人口の吸収消化をやつて行くというのが、まず当面の解決ではないかと考えております。

原健三郎自由党

○原(健)委員 厚生省にある人口問題の審議会とか、あるいは人口研究所ぐらいでは、ほとんど問題の解決を私どもは見ようとは思わないのでありまして、その日暮しの、一年、二年の問題解決に当つているだけでありますが、もつとやはり長期の人口問題解決の策を樹立するために、私は内閣に総合的な人口問題の研究所を、もつと大々的に設立して、世界にも類例のないようなこういう研究所を設立してはどうであるか、こういう人口問題に深刻に悩む日本自身が、これの研究にもつと費用をかけても十分やる必要があるので、今の厚生省における審議会とか研究所で、数百万円の金ぐらいでは問題にならないのであります。この点について政府はどのくらいの熱意があるかお伺いいたしたいのであります。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 そういう点もおそらく人口問題審議会の答申に必ず出て参ることと思つております。その答申を見ました上で恒久策を講じたいと考えております。

原健三郎自由党

○原(健)委員 米国のシカゴ・トリビユーン紙が次のようなことを報じておるのであります。すなわち、日本のがんは人口問題である、この問題解決のために自由国家陣営は真剣に協力しなければならぬ。そのためには、たとえばニューギニアの開発に日本の人的資源を協力させてはどうか、また物的及び技術的には、英米その他で提携してやつてもよいではないかというようなことを報じております。これはニューギニアの例を引いて論じておるのでありますが、こういうような移民政策についても、国際的にもつと推進されてはどうかと思うのであります。また総理が渡米されるといううわさを聞いておるのでありますが、これらの問題についても、外国に行かれた機会に大いに研究される必要があろうと思うのでありますが、いかがでございますか。

緒方竹虎自由党国務大臣・内閣総理大臣臨時代理

○緒方国務大臣 御意見はつつしんで承つておきまして、総理にもその通りお伝えいたします。

原健三郎自由党

○原(健)委員 犬養法務大臣はお急ぎのようでありますから、先に簡単にお尋ねいたします。私どもは、国家警察を廃止し、自治体警察も廃止して、府県単位の警察にするという点には賛成であります。しかしながら若干解せない点がありますので、その点をお尋ねいたしたいのであります。終戦後日本の警察は分権化方策をとりまして、その第一は、中央政府の警察に関する権限を行政委員会に与える、こういうことが一番かわつた政策でありました。今度の府県中心の警察というのは、その性格は一口にいえば、どういう警察にするのであるか、それをお聞きいたしたいのであります。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 お答えいたします。仰せのように、今度国家地方警察と自治警察をともに廃しまして、都道府県単位の警察にいたします。これはつまり国警の国家的要素という、国警の持つているよい点、それから自治警察の民衆の親しみやすい感じの警察という利点とを融合させて行こう、こういう考えでございます。原さんも、あるいは警察国家再現というような御心配をもつてお尋ねではないかと思うのでありますが、この点につきましては、昨日も川崎君の御質疑にも答えましたし、また武藤委員の御質疑にも答えました。これについて警察運営に対して民主的な保障を残す。つまり国民の立場から見て、警察運営に何か関与するとい味を残したいと考えまして、その点については御承知のように、公安委員制度というものを持続させることになつたのでございます。公安委員制度はもちろん国民の選んだものでありまするがゆえに、もしも警察長官あるいは都道府県の警察隊長の国家警察的色彩が強いとか、官僚独善のにおいが強いとかいう場合には、罷免懲戒の勧告権を持たせることにいたしましたので、これで十分民主的な方法が行えるものと考えておる次第であります。

原健三郎自由党

○原(健)委員 私どもが一番心配しておるのは、府県の警察長の任免に府県公安委員会の意見を開かなくても、中央の警察長官が自由に任免ができるようになつたのか、こういう点であります。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 この点の御心配は、一応ごもつともだと思うのであります。警察長官は国家公安委員の意見を聞きまして、なぜ府県の公安委員の意見を直接聞かないかということでございますが、府県は府県なりの狭い観点から、どういう警察隊長がいいとかいう話になりますと、非常に話が狭くなりますので、広く国家的な全国的な見地から適材適所を置く、こういう考えでございますが、しかし御心配のように、中央でボタン一つ押せば、何でも言うことを聞く警察隊長を全国に配るおそれがあるのじやないか、こういう問題があり得るのでございまして、その点については今申し上げたように、罷免警戒の勧告権を公安委員会が持つということで調整いたしたいと考えております。

原健三郎自由党

○原(健)委員 それで中央における公安委員会の意見を聞いて警察長官が府県の警察長の任免ができるというのでありますが、これであると、中央の公安委員の意見を聞くだけであつて、聞きつばなしでもいいし、ほとんどそれは形式的なものであつて、実際は中央の警察長官が府県の警察長の任免を自由にやる、こういうことをやり、しかもそれには大臣が当るとかいうことになつて参りますと、昔の内務官僚が跋扈し、警察官僚が跋扈したときと同じようなことになつてしまつて、私どもが公平に見て、昔の警察国家の復活以外の何ものでもないというような感じを持つのでありますが、この点ばいかがでございましようか。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 御心配一応ごもつともの点であります。昨日武藤運十郎委員にお答えしたのでありますが、罷免懲戒の勧告権を発動させるということは、新聞にも出ますし、輿論の目にも映りまして、これは中央の警察長官としては恥をかくことでありますので、是非罪悪は別として、とにかくみつともいいことではないのであります。そういう制約があらかじめあります上に、もう一つの現実問題としましては、昨日も申し上げたのでありますが、都道府県に赴任いたす警察隊長は、一時の中国の官吏のように、一族郎党を連れて行つて要所にすえるわけではない。一人で他郷に出かけるわけであります。従つて郷に入れば郷に従えというわけで、その都道府県の人情風俗とマッチしませんならば、評判悪くなるのみならず、結局罷免懲戒というようなことになつて、将来の出世にもさわるというようなわけでありますから、結局私はその実際の作用において、都道府県の民衆の輿論というものを取入れないと、第一仕事ができない。また仕事のできないような隊長はにらまれて、その次には栄転というようなこともできないというような、実際の作用でもつて行くものと、私は考えておる次第でございます。

原健三郎自由党

○原(健)委員 言葉の上ではそうであるかもしれませんが、もしこの案で行きますと、ちようど昔のごとく、政府側になると選挙のときなどにおいて、野党に対して選挙大干渉をやることは、歴然としている。私どもは火を見るがごとくそれを感じるのであります。そういうことになると、昔の警察国家の再現になるおそれが多分にある。私はこの点を非常に憂えるのでありますが、こういうことにはならないようにしなければならないと思いますが、いかがでありますか。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 お答え申し上げます。選挙干渉をやるような警察隊長は、まつたく罷免懲戒の勧告権発動に値いする人物でありまして、それだけでもやめさせられる値打ちがあると存じております。

原健三郎自由党

○原(健)委員 罷免勧告に使いするとおつしやいますが、これは内務大臣でも、総理大臣でも、選挙干渉をせよというようなことは、一回も言明したことも声明したこともございませんが、実質的にはもう盛んに選挙干渉をやらして、そして気に入らないところの警察の署長を首切つてみたり、巡査をかえてみたりしたことは、これはもう歴史の示すところであります。口先で選挙干渉をやれと言つたようなことは何人もないのであります。そういうわけでありますから、このままにしておきますと、将来これをやることは明らかであつて、また再び政党警察、一政党の走狗となるような警察を置くことは、国民も不信を抱くし、また昔のような憲兵政治をやるようなことは迷惑であり、時代逆行であると考えざるを得ないのでありますが、この点こういうことをなくするためにどうするか。私は少くとも府県の警察長は、府県の公安委員会の同意がなければこれを首切ることはできぬ、これくらいにしてはどうかと思うのでありますが、この点いかがでありますか。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 一つの御意見だと思います。また一つの御識見だと思いますが、私どもの原案は、先ほど申し上げましたような無味で、罷免懲戒の勧告権という制約のもとに、警察長官が国家公安委員会の意見を聞いて、都道府県の警察隊長を任免することが、ちようどほどを得ておる、こういうふうに考えておりますので、御了承願いたいと思います。

原健三郎自由党

○原(健)委員 次にお聞きいたしたいのは、いわゆる自治体警察を廃止するということは言明をせられておるところでありまして、今度の法律にも出ておりますが、五大府県の五大都市が自治体警察復活の猛運動をやつておることは、皆様御承知の通りであります。また五大府県当局はこれに対して、今の政府原案支持、しかるに五大都市は自治体警察をこの五大都市に復活させるという猛運動をやつて、今いかなる運動より猛烈なほど、われわれ身をもつてからまれておるのであるが、政府は五大都市に自治体警察を認めてもかまわないというようなことを、緒方副総理もこの間言葉をやわらげて、新聞には出ておりました。そういうことに応ずる気があるのであるか、厳として原案を支持されるのであるか、この点をお聞きしたいのであります。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 お答えいたします。これは原料はやはり答弁の関係で御苦心であることは重々お察し申し上げますが、この問題は二つの大きな理由があげられる。もつと申し上げればたくさんございますが、簡潔に申し上げるといたしまして、第一は、行政の簡素化、冗員淘汰、財政の整理というような、今日の国民の輿論の上に立つての考え方をしたわけでございます。また国会におきましても、与党はもちろん、改進党もそういうことにお詳しい方の意見も、かなり丁重に伺つたつもりであります。両党とも主流の方々は、五大都市に特別の警察を置かない方がいいという御意見であるのでございます。そうした一つの議会の輿論というものを反映させておるわけであります。もう一つは、実際問題といたしまして、非常に広い地域をとつております大都会と、その周辺地区とを切り離して分割させますと、犯罪予防にしても、あるいは大仕掛な騒じよう事件の鎮圧にしても、警察の有機的能力を阻害いたしますので、その見地からも、これはやめた方がいいという考えになつたわけでございます。と申しますのは、原さんもよく大都会のことを御存じでございましようが、犯罪が大都会で行われて、犯罪をやつた者は周辺の農村に逃げ込む、周辺の農村で行われた数々の犯罪ば大都会に逃げ込んで来るというわけで、二つの命令系統にわかれております警察の相互連絡にできるだけ気をつけておりますが、これがなかなかうまく行かない、あるいは大都会におきます大仕掛な騒じようをやる人々の半数が周辺から来るという事例がこのごろ著しいのであります。これは有機的に、総合的にこういう問題を解決いたしたい、こういうふうな実際上の必要からも、まことに遺憾でございますが、大都会に特別の警察を存置することはやめた方がいいという考えの上に立つておる次第でございます。

原健三郎自由党

○原(健)委員 次にもう一つ犬養法務大臣にお伺いしたいのでありますが、最近、警察官においても、検事などにおきましても、取調べに際して相当人権蹂躙をやつて参りました。終戦直後においては警察はきわめて民主的だといわれて懇切丁寧にやつておつたが、このごろはようやくにして昔の警察官の根性、検事の気持が台頭して参りました。また最近のいわゆる警察法の改正などに便乗して来たせいか知りませんが、とにもかくにも検事などが取調べに際しては誘導尋問を事とし、これを強要しておる。これは警察においても同様であります。これは法律が厳に禁止しておるところであるが、それをやつておる。これは私自身が体験したのであるから間違いないのであります。私どもに対して検事が誘導尋問だけではなく、これを強要し、強圧を加えてやるのであるから、一般のいわゆる市民、農民等に対していかなることをやつているかということは、われわれ想像にかたくないのであります。これに対して犬養法務大臣はこれを知つておるのか知らないのか、知つておるならばこれをそのままに放任して行くつもりか、このことをお聞きしておきたいのであります。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 もちろん放任する気などはごうもございません。数ある第一線のことでございますから、あるいは万が一にもそういう者がいないとも限りませんが、そういう場合はいつも与党、野党を通じて各議員にも実例をどんどん言つていただきまして――私の方針としては、その日のうちか、少くとも翌日中にはそういうことの行われた、疑いを受けた官庁に対して照会をする、また厳重に警告もするという方法をとつているわけでございます。従いまして、承れば原さん御自身の問題であるそうで、まことに恐縮でございますが、できるだけどういう誘導尋問をしたか、これはまことに重大なことでございますから詳細に御教示を願えれば、即刻現地に照会して、必要なればもちろん戒告をいたしたいと存じます。

原健三郎自由党

○原(健)委員 具体的なことはあとで御報告申し上げますが、よろしく善処を切望する次第でございます。  次に大蔵大臣に、二、三点お伺いいたしたいのであります。インフレ抑制の予算であることはもう言うまでもありませんが、真にインフレを抑制するためには、この予算が通過いたしましても、それを執行する場合に十分の熱意がないと、これは逸脱してしまうおそれがあると思うのであります。私の見るところでは、歳入予算以上に相当の自然増収があろうと思うのであります。不況がだんだん深刻になつて参りますと、その自然増収を指定預金に放出するというおそれが多分にあるが、これを放出されるのかされないのか。これをたな上げされるのであるか、あるいは日銀の保有の国債償還に充てられるのか、この点を一点お聞きいたしたいのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 来年度は、今の緊縮予算の影響による財界の不況をも幾分見越しておりますので、あまり大きな自然増収は期待できないと思うのであります。しかし過日も申しました通りに、予算通りであるとも考えておりませんが、自然増収を見込むわけにも行かぬと存じております。しかし、しからば自然増収があつた場合にどうかというお話でありますが、御承知のように指定預金を漸次引揚げるという方針を今とつておりまして、今後ともこの指定預金というようなものによつて、政府の方から出る融資の緩和はいたさない所存であります。現在はむしろ金融引締め策をさらに強化して、そうして金融の質、内容の向上をもはかつて行き、物価の五分ないし一割の引下げの目的を早く貫徹いたしたい、かように考えておる次第でございます。

原健三郎自由党

○原(健)委員 その次には、二十八年度から二十九年度に繰越される経費があろうと思うのであります。たとえば防衛関係費とかあるいは未使用額なども相当あろうと思うのでありますが、これを二十九年度に使われるとすると、これが歳出予算以上の支出になるのであるが、これをどういうふうにされる考えであるか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 繰越金のことは原委員も御承知のように、その性質上繰越されるものが、特に保安庁関係費など若干そういうものがいつでも出て参ります。御指摘になつたように、防衛関係のものにもそういうものがございます。しかしながら、いつも予算を見ますときにはその年の純計だけを見ますので、予算面から二十九年度の予算がどれだけどうなるかということは実情によつてかわつて参りますので、従つてこの繰越しがどう使われるかという問題は、実は予算の比較とか批判をする場合には毎年あることでありますから、両方とも考えないでその年の純計々々で比較する、こういうふうにいたしておる次第でございます。

原健三郎自由党

○原(健)委員 補正予算のことですが、しばしば聞いたので一言だけお聞きしたいのであります。日本はどうも天変地異の国であるということは間違いない。毎年こういうことは免れないところでありまして、よく起る国でありますが、そういう場合にはどうしても補正予算はやむを得ないと思うのであります。補正予算を組まないという限度はどの程度であるか。こういう場合にはやむを得ない、それ以外は絶対に組まないというその限慶をお示し願いたい。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 補正予算は、厳にこれを避くべきであるというかたい方針をとつております。ただ何か事が起りました場合、御承知のごとく本年も百三十億の予備費がとつてございますから、相当なことに耐え得ると考えております。

原健三郎自由党

○原(健)委員 簡単にお尋ねいたしますが、今日自治庁で発表した二十九年度の地方財政計画によると、九千九百五十三億円になつており、二十八年度に比べて五百四億円の増加である。それから一兆円予算は前年度に比較して二百七十六億円の縮小であります。だから税金を納める国民の立場から言うと、差引して二十八年度よりも二十九年度は二百二十八億多く出さなければならぬという結果になつて来るのでありますが、これを政府の方ではどういうふうに説明されますか。あるいはこれをもつと圧縮されるというのであるか、あるいはふえてもかまわないというのであるか、その点をお聞きしたいのであります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 地方財政の膨脹はまことに遺憾でありまして、私どももできるだけ地方財政の緊縮を望んでおるのであります。本年も大体百二十億ほど出されたものから圧縮をしたのでありますが、これも原さん御承知のように、実は中央の方では人件費のごときものが予算の大体一二、三パーセントくらいしか占めておりませんが、地方は三倍に上つて、三六%くらい占めております。中央では政策的費用が比較的多いのでありますが、地方の分は、地方の運営による経常的歳出といつたようなものが多いのであります。従いまして、そう圧縮もできませんので、今のように百二十億ばかり圧縮したのでありますが、今後とも地方は中央に準じて、あるいは中央より進んで、むしろ積極的に地方財政の緊縮をはかつてもらおう、特に、地方は少しぜいたくだということを非常に言われておるのでございますから、私ども心から地方財政の圧縮、緊縮を希望しておる次第でございます。

原健三郎自由党

○原(健)委員 次にもう一つ、簡単にお尋ねいたしたいのであります。政府は国民に耐乏生活を要望しておるのでありますが、かかる時代には、中小企業、小市民が一番苦しむことは言うまでもないところでありまして、これらの人に非常に重圧が加わると思うのであります。こういうさ中に、なぜ末端の業者を苦しめるような、今度のいわゆる繊維消費税というものをつくられたか。これに対しては大反対運動がありますが、私どもも反対の方に大分理由があると思う。どうも政府の意図がはつきりわからぬのでありますが、いかがなものでありましようか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 大体個人のいわゆる低額所得者並びに法人等の税を軽減するという点から見まして、この低減額に近いものを間接税へ持つて行く。しかし間接税でとりますにしても、私ども大体ごく奢侈的なもの、あるいはなくても済まし得るようなものについて、国民の消費抑制という意味からやつておるのであります。従いまして、大衆課税になるごときものは絶対に避けるという方針をとつておるのであります。たとえば今仰せになりました繊維につきましても、一定金額を越える高級繊維品だけを課税の対象とする、これが第一であります。  それから、その次には税率の点で、これをごく低度なものにしよう。物品税等の場合に比べまして低度のものにしよう、軽いものにしよう、こういうことが第二であります。それから徴税の面におきまして、課税最低限というようなものを設けて、あまり納税義務者の数を多くしない、納税義務者の数を少くする、こういうこと等ででき得るだけ実行上摩擦なきように措置いたしたいと実は考えておる次第でございます。

原健三郎自由党

○原(健)委員 今大蔵大臣の説明によると、高級品にかけるということが第一、あるいは税率を低度にする、あるいは徴税策を考える。この三つの点で大体緩和しようとされるのでありますが、それにいたしましても、御承知のように、これではわずかなもの――わずかなものか知りませんが、八十数億円の収入のために末端の業者、しかもこれは善良な小売業者であります。これを苦しめるがごときばどうも理解に苦しむ。善良な多数をいじめ、しかもわれわれ自由党から言えば、また国の礎でもあるし、われわれの味方である、こんな末端業者は保護するのがよい。どうもこういう案は非常に評判が悪いのでありますが、もう少し再考される考えはございませんでしようか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 実行方法等については、まだ提案をいたしておりませんから十分考慮いたしたいと考えておりますが、しかし私どもは、日本のように、どちらかと言えば奢侈品がどんどん使われておる国も非常に少い、かように考えておるわけでありまして、奢侈の抑制をする――過日そういうことを言つたら、ピースは奢侈かと言われたのでありますが、ひかりには及ぼさない、こういうような考え方で実はやつておるのでありまして、まあこれくらいの点は皆さんに御了承願えるところではあるまいか、こう思つておる次第でございます。

原健三郎自由党

○原(健)委員 もう時間がなくなりましたから、次に通産大臣にひとつお尋ねいたしたいのでございます。前の岡野通産大臣は、吉田内閣の方針をいささか逸脱した程度においてでも、中共貿易に対してきわめて熱意を示しておつた。予算委員会等においても、その熱意を発表されておつたのでありますが、新大臣のこの中共貿易に対する抱負はいかがでございますか、お伺いいたしたいのであります。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○愛知国務大臣 中共貿易につきましては、私もできるだけの努力をいたしたいと考えております。ただいま御指摘もございましたが、昨年と一昨年の状況を比べてみますると、輸出も二十七年に比べて大体五・七倍くらい程度の増進をいたしております。それから輸入の方も、二十七年に比べて二十八年は大体二倍程度に相なつております。一方制度としてのいわゆる輸出禁止品目につきましても、累次これを削減して参りまして、ほぼ西欧並に近くなつておるのであります。建前として、国連協力の建前を阻害せざる限りにおきまして、今後もできるだけの努力を払いたいと考えております。

原健三郎自由党

○原(健)委員 次に、一兆円予算を実行するのには企業の応援がなければならぬ。それで私は、各企業間の合理化を促進せねばならぬと思つております。二重投資であるとか過剰投資を避けなければならぬことはもちろん、企業間の合同を促進すべき時期になつていると思うのであります。その著しい例は、造船会社であるとかあるいは外航汽船会社、そういうものはよろしく合同して企業の合理化、経費の節約をはかるべきものであると思つております。しかもこれは、うまでもなく貴重な国家資金を使つて仕事をしているものであります。でありますから、これの合理化のため当然合併さす必要がある。また、たとえば富士製鉄、八幡製鉄のようなもの、これも同様に二重設備が行われておるし、二軍の国家資金が流れております。かくのごときことは非常に非能率的であるので、この際他の企業や議業に範を示す意味において、両社間の無用の競争を避けしめて、国営にもどすか、さもなければ合併せしめるか、いずれかする必要のある時期がもう来ておると思うのでありますが、これについて通産大臣はどうお考えになりますか。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○愛知国務大臣 ただいまおあげになりましたような、たとえば鉄鋼の合併というようなことにつきましてはまだ考えておらないのでありまして、御承知のように、私的独占禁止法の関係は、第十六国会と記憶いたしますが、相当緩和せられまして、いわゆる合理化のため、コストの引下げのための合理化カルテルというようなことは、これは一定の制限のもとにおいて認められることになつておるわけであります。ただいまお話のように、今後コストの切下げをする、企業の合理化をする、堅実な基礎の上に立つて国際競争力を培養するというような点におきまして、私どもとしては、ただいまの鉄鋼の例は、率直に申しましてあまりに極端かと思いますが、そのほかの面については考えて参りたいと思つております。   〔原(健)委員「船会社は」と呼ぶ〕

小峯柳多自由党

○小峯委員長代理 私語を禁じます。

愛知揆一自由党通商産業大臣・経済審議庁長官

○愛知国務大臣 船会社、造船企業につきましては、十分慎重に考慮いたしたいと考えております。

原健三郎自由党

○原(健)委員 次に、集中排除を受けた元同一系統の企業が設備の競争をして、現在二重投資をあえてやつておつて、国家資金をみだりに費しているという例が、ほかにもまだたくさんあるのでありますが、それらについても、とくとひとつお考えおきを願いたいのであります。  もう時間がなくなつたので、次に運輸大臣にひとつお尋ねいたしたいのであります。国鉄のような大企業に対して、運輸大臣はもつと監督を厳にしなければならぬことは言うまでもないのでありまして、鉄道会館問題は前国会で一番大きな問題として取上げられた。その後の処置を私どもは見ておりましたが、何ら処置をやつていない。たとえば長崎国鉄総裁の責任が追究されるのは当然であります。国民の輿論が承知しない。これをほうつておいて、年末の国鉄労働組合の争議があるとその幹部の首切りをやつてしまう。だからまた騒ぐ。騒ぐからまた首切りをやる。こういうことは本末転倒であります。この際私は、法律的には鉄道会舘は問題にならなかつたが――法律的に問題になるかならぬかは知りませんが、天下の輿論となつて、これは法律的にも政治的にも解決しなければならぬ問題になつておりますが、それを放任して今日になつて来ておるのであります。この総裁をどうする考えであるか、これをお聞きいたしたいのであります。

石井光次郎自由党運輸大臣

○石井国務大臣 国鉄は昨年鉄道会館問題で非常に世の批評の的になつたのでありますが、御承知のように会計検査院、行政管理庁の調べによりましても、少しく手ぬるいところはあつたが、大体において法律的には誤りはなかつたというように私ども承知いたしております。長崎総裁の話も出ましたが、総裁はその任におつて、そうして責任を持つてもつとりつば経営をして行くということに努力するが当然だと私は思つておるのでございます。それで、鉄道会館においても人事の刷新が行われました。そしてどうやつて進んで行くかということを次の重役陣において考慮中であると思います。また鉄道の内部におきましても、清新の気を入れる意味におきまして、先ごろも人事の異動をやり、またしばらく前にも人事の異動をやりまして、そしてみんなの気持に沿うような鉄道経営になるようにという努力をいたしておる状態でございます。私どもの方といたしましては、国鉄法によりまする監督の行政措置としてやれる点はどんなものであるかということを考えますと、すぐ始めましたものは、いろんな問題についての報告をとりまして、それによつてわれわれの方で気のつくものは注意を与えて行くということで、一緒になつて物事を考えて行く。今までは公共企業体であるから、なるべくそこだけでやれるように、政府の方からあまり容かいしないようにという態度をとつておりましたが、これは一緒になつてよくして行く方がいいという心持で、報告をとりつつあるのでございます。なお根本の国鉄の問題になりますといろいろな考え方があるようでございまして、その監督の方法につきましても法律上にきめなければならないものも起つて来ると思つて、目下その草案を作成中でございます。

原健三郎自由党

○原(健)委員 運輸大臣は鉄道会館問題直後において、監督を厳にするとおつしやられたのでありますが、その後どの程度に監督を厳にされたか。具体的な策が出たかどうか。  第二番目にお聞きいたしたい点はもつと根本問題でありますが、このままでは日本の国鉄の運営がどうもうまく行かないことは明らかであります。これを何とかしなければならぬ。といつて民間にやらせても、厖大過ぎて困る。これはいろいろ案があろう思うし、いろんな人によつて議論をされて研究の課題になつておるが、国鉄をどういうふうに運営したらいいかということが非常な重大問題になつて来ておる。私見をもつてすれば、公社をやめてもう一ぺん昔のように政府でやり直したらどうかと思うが、一体運輸大臣はどのようにお考えであるか。

石井光次郎自由党運輸大臣

○石井国務大臣 第一のお答えでありますが、国鉄に対しまする運輸省の監督は、昨年の鉄道会館問題の際に、衆議院の運輸委員会、決算委員会等において要望がありまして、私どもといたしましては、二十数箇項目にわたりまして報告事項をきめました。これを土台といたしまして、国鉄いろいろ指導いたしておるのでございます。なおさつき申しましたように、法の措置をとらなければ運輸省が動けない問題もあるので、それは法の改正を期して立案中であります。  それから根本のお話でございますが、これはいろいろ議論が実際今も行われております。というのは、国鉄の公社制度がはたして一番よい制度であるかどうかということになりますると、相当問題はあると思うのであります。現に国有鉄道法ほど毎国会で改正されておるものはない。ということは、実際上今の国鉄のままではもの足りないということが考えられるからであろうと思います。その根本の民有にするか、あるいはいつそのこと国有にするかというような問題等になりますると、実はそういう問題までも入ると思うのでありますが、先ごろ臨時公共企業体合理化審議会というものが設けられることになりました。それで公社全体の問題を考えることになつております。これによつて案が出て来るのではないかと思つております。

原健三郎自由党

○原(健)委員 文部大臣に第一にお尋ねいたしたいことは、教育委員会の存続についてでありますが、これは目下いろいろ議論があります。また問題にもなつておるのであります。ことに小さい都市であるとか、町村においては町村長、町村議会なども猛烈に反対しておるのが実情でありまして、輿論として相当強い輿論があるのであるが、この際文部大臣は、この地方教育委員会についてどういうお考えを持つておるか、お聞きいたしたいのであります。  それから第二は、一兆億円の苦しい財政の中で保安隊を漸増するということが政府の政策になつて、予算にも計上してある。この意図はわれわれも大いに了とするのでありますが、しかしながらいくら保安隊を漸増しても、その基盤となる、たとえば国民道徳とか、青少年の精神の作興がなければ目的を達し得られないことは言うまでもないのであります。そこでこの国民道徳とか、青少年の精神を作興して祖国愛に燃えしめるというようなことの任務は、文部大臣の責務であります。一兆円の苦しい中から保安隊に相当なる費用を出しておるというような点から考えても、大いに国民道徳、青少年の精神作興をやらねばならぬことは言うまでもないので、その責任の地位にある文部大臣の構想、抱負、経りん等をお聞きいたしたいのであります。  これに関連して最近方々に言われております中学校や小学校に修身、歴史、地理などを復活して、こういう青少年の精神教育に充ててはどうかということも、輿論となつて相当強くなつて来ております。文部大臣はこれをどういうふうにお考えになるか。今早急に実現しなければ、将来この修身、歴史、地理などをどういうふうに扱うつもりか。復活するのかしないのか。この三つの点であります。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 初めの地方教育委員会の問題でありますが、これは各方面において廃止したらいいじやないかという意見があることは私もよく承知しております。御承知の通り戦後の新教育制度というものは、わが国としてはまつたく新しい理念のもとに出発して今日まで参つておりますが、教育委員会制度というのその中核をなしておると思うのであります。ことに地方教育委員会の方は、実施せられてからきわめて日が浅いのでございまして、まだ一年ちよつとくらいにしかなりません。とにかく新しい制度であるし、発足してまだ間もないことでありまして、一口にいいますと、運営に非常になれていない点があります。またその他いろいろ点に無理な点がありまして、制度の趣旨に十分に沿うて運営されておるということには現状はなつておらない。さようなことからこれを廃止した方がよいじやないかという意見が出る。これもその理由がまつたくないとは思わないのでありますが、しかしただいま申し上げますような基本的な制度でありますので、とにかく今後の実際の運営上の推移を見た上でなければ、簡単にこれを廃止するとかいうようなことには私どもとしては考えられませんので、とにかく制度の本旨を生かしてそれを発達させて行きたい。ことにこれは県の教育委員会とか、あるいは大都市の教育委員会という一連の構想のもとに成立しておる制度でありますから、その一部分だけをやめてしまうというようなわけには私は参らぬと思う。これは教育委員会全体の運営というものを事実の上によく注意しながら、その推移を見て、全体として検討しなければならぬ、こういうふうに考えております。従つてただいまのところ、地方教育委員会はこれを廃止するという考えはありません。むしろこれを育成強化して、制度の趣旨に沿うような運営を期待したい、こういうふうに考えます。  それからその次に、保安隊との関連において青少年の問題というものをお述べになりましたが、これは学校教育の面においてもありますし、ことに社会教育の面においてこれを非常に重要に私ども取上げて考えておるのであります。これは保安隊とか何とかいうことと関係なしに、わが国の現在の非常に多数に上る青少年、これが、ある意味においては前途に希望が認められないというような状態から、非常に動揺しておるということが考えられますので、学校教育の面におきましても、社会教育の面におきましても、何とかこれをりつばな方向に、望ましい方向に向けて行きたい、かように考えております。  緊縮予算云々のお言葉でありましたが、これは世間で、最近文部省の予算が緊縮予算あるいは保安隊関係の圧迫を受けて、非常に大幅な削減を受けておるかのごとく誤解をされておる向きが非宿に多いのでございます。私どものところへも実は日に数百通に上るはがきが毎日参るのであります。非常に大幅な削減を受けているというふうに誤り伝えられておるのでありますが、おかげをもちまして、文部省の予算はそれほど大幅な削減を受けておりません。前年度に比べて百二十億の増額になつておるのであります。もつともこれは、先生の数が増すから当然算術的に増す部分が多いのでありますが、それにいたしましても、前年度と比べて、その実質においてちつとも減つてはいないのでありまして、緊縮予算の際でございますから、十分を望めばきりのないことでありますが、やむを得ないことであります。この予算が成立いたしますれば、それをできるだけ効率的に、また重点的に執行して参りたいと思つております。  最後に、修身、歴史、地理というようなことについてどういうふうに実行するかというようなお話でありますが、申すまでもなく、学校教育、ことに義務教育におきましては、教科内容というものが刷新改善せられるということが一番の中心の問題であります。なるほど、学校を建て直すとか、りつぱな校舎をつくるとか、設備をよくするとかいうことによつて教育環境を整備して参るということはむろん必要でありますが、それよりも、もつと教育の中身である教科内容というものを刷新して行くということが、一番重点を置かるべきものと思いますので、実は、昨年教育課程審議会というものに諮問をいたしまして、その答申によつて、社会科についてある程度の改訂を加えております。それを各地域に指導いたしまして、そうして教科書としては三十年から、実質的には二十九年の四月からの新学年以後において、その方針を実行して参るつもりであります。これは主として歴史、地理に関係する問題ですが、大体今お話になりましたのと同じ考え方で今後とも教科内容の刷新に努めて参りたいと考えております。

小峯柳多自由党

○小峯委員長代理 昨日の川崎秀二君の質疑に関しまして、大蔵大臣から補足的に説明することを求められておりますから、これを許します。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 昨日川崎議員より、韓国関係の特需についての見積り額についてお尋ねがございましたが、その節ここでとつさの間に申し上げたのは、実は、最も狭い恵味の復興特需の、政府委員からもらつた数字をそのまま部分的に申し上げたのでございまして、はなはだ遺憾な点がございましたので補足いたします。  全体として広く考えますると、軍予算からの支出、それからFOA資金からの支出及びアンクラといいますか、国連朝鮮復興機関、この三つの支出があるのでありまして、これはどうも、性質上、正確にどれくらいあるかということは、日本側としてはわかりにくいのでありますが、現在の見込みではおおむね一億ドルくらいあるであろうと想像されます。このむね補足いたしておきます。

川崎秀二改進党

○川崎委員 ただいまの最後の言葉がよくわかりませんでしたが、一番最後の一億ドルというのは、アメリカの、あるいは国色の対韓復興計画の特需がそれだけあるということですか。それとも、日本が大体見込んでおるのがそれくらいだということですか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 大体これくらいのものが韓国の復興に三つで使われる、しかしこの三つは、大体その多くは日本側に来るものではないか、こういうことで、どれくらい来るかが、価格等の問題もありましてはつきり推定いたしかねます。

川崎秀二改進党

○川崎委員 ただいま外務大臣はお留守でありますが、韓国に対する特需については、昨日私が質問してから、わが方とアメリカ大使館との間には相当はげしい往来があつて、そうしてゆうべ夜おそくアメリカ大使館から大体この程度だということに対する回答が来ているはずなんです。それによると、本年度の韓国の復興特需は、第一にアンクラ、すなわち国際連合朝鮮復興援助資金が一億三千万ドル、それからFOA、米韓協定によつてアメリカが直接に韓国に対して援助する額が二億ドル、第三は、CRIといつて、国防省関係の援助額が五千百万ドルということで、三億八千万ドル興国に対して投下をされる、こういうふうににわれわれは考えておるのであります。その三億八千万ドルのうちおおむね六千万ドルないし七千万ドルが日本に対して――おそらく、買付をすれば、日本がその復興特需を獲得できるのではないかという計算が、今日の大蔵省の計算になつているのじやないかと考えているのですが、いかがでしようか。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 どうも性質上非常に推定が困難でありますが、大体FOAといいまする関係のものが二億ドルくらいあつて、そのうち四、五千万ドル来るのじやないか。それから、いわゆる軍預金振替による分が大体六千万ドルあるから、四、五千万ドル来るのじやないか。それから、アンクラというかウンクラというか知らぬが、朝鮮復興機関の分が一千万ドルほどあるから、やつぱり五、六百万ドル来るのじやないか。そこで、今申し上げたのは、まあ一億ドルに近いものが来るのじやないか。しかしうまく行かなければ七、八千万ドルかもわからぬから、その意味でこれは全然推定に基く以外にないことは川崎委員よく御承知の通りでありますので、一応の推定を申し上げた次第であります。

川崎秀二改進党

○川崎委員 たいへんユーモラスにお話になるので、事はユーモラスのように聞えるけれども、昨日私が質問をしたときより状況はさらに重大なものとなつて来ている。すなわち、六百万ドルと言つたものが一億ドル、大蔵省の方では一億ドル、われわれの方はそこまでは見ておらぬ。しかし六千万ドルないし七千万ドルのものが、今度米韓援助協定の刷新によつて、少くとも買付の手続は韓国側にまかされるということが大体明らかになろうとしておる。外務大臣がおりませんからさらに追究はいたしませんが、大蔵大臣に伺つておきたいことは、ただ一点です。それは今後韓国側に調達権全部が委譲されなくても、買付に対するところの許可権というものが委譲される形勢にある以上、日本は従来より非常に不利な環境に立つのではないかということが推測されると思うのであります。きようあたりの一部の新聞紙上には、外務省はこのことについて相当楽観放送を流しておる。しかし私の認識するところによるならば、韓国は昨年の十二月の末に元企画処長という者が、今後韓国の復興特需ついては、われわれの手にもし調達権が委譲された場合には、日本から買付はしないのだということを言明した。ところが私が得た新しい材料によると、一月八日李承晩大統領は、そういうことになつても日本に対して差別待遇はしない、こういう巧妙な演説をされておる。差別待遇はしないけれども、自由競争または国際競争入札ということになりますと、自然、日本の商品というものは割高なために今日まで受けておつた庇護というものは受けられないのではないか、従つていわゆる自由競争という形式はとるけれども、日本の商品はだんだん落されて行く可能性があるのであります。現に西ドイツ、ベルギー等もこの情勢を見通して、今まではアメリカに頼まなければできなかつたものを、国際競争入札だというのでどんどん入つて来ておる。一月十二日から京城ではこの国際競争入札というものが一部分開始をされて、日本の業者はこれに対してせり合つて勝つたものは一つもない。ただ韓国人というものの手を通して買いつけるという、今までとは違つた形式においてやや活路を開こうとしておるという、業界としては非常な苦境に立つておると私は考えるのであります。そうすると今後一体日本の商品というものは現在のようなコストで一体競争ができて行けるかどうかということについては、相当悲観的に物を見なければならぬのであつて、今大蔵大臣が言われたような一億ドルということになりますと、これはまた今後の予算審議にとつて重大な影響を及ぼすことになるのでございます。七億六千万ドルのうち一億ドルは韓国関係だということになつて来ると、いよいよ問題は重大でありまして、従つてこの問題はこの予算委員会を通じて私は究明をいたしますけれども、とりあえず伺つておきたいのは、この日本商品というものはこれらの競争に打ち勝ち得るであろうか、今日までの状態よりは非常に不利なものになるのじやなかろうかということについて、大蔵大臣のお考えを伺つて私の質問は一応終ります。

小笠原三九郎自由党大蔵大臣

○小笠原国務大臣 お答えしておきますが、七億六千万ドルでしたか見込んだうちに、一億ドルを見込んだわけではありません。今一応私どもが調べたところでは、そこまで持つて行きたいということも織り込んで申しておるのでありまして、この点は最初申したごとくに、六、七千万ドルかもしらぬが、そこまで持つて行きたい、また実際において、たとえば今の円預金のものなどが六千万ドルあるなら、五千万ドルまで入れたいという考えも織り込んで申しておるわけであります。しかし今仰せの点はよくわかりますので、この点は今後私どもも十分注意しなければならぬ点だと思いますが、最近におきましても、たとえば硫安はビッドで六十一ドルでしたか、今まで出血出血といわれたが、そういう相場でなくて落札しておることは御承知の通りであります。従いまして今後国の政策が、物価を五分ないし一割引下げの線に持つて行けば、相当行けるのじやないかと思います。それからなお私ども多少聞いておるところがありますが、どうも外交の関係はどちらかというと私もふなれであり、私自身の考え方を率直に申し上げれば、こういうことを申し上げることはどうかと思う。これは私が外交官でないせいがしからしめるかもしれません。そういうふうにも考えますので、この問題はこの程度にとどめさせていただきたいと思つております。

小峯柳多自由党

○小峯委員長代理 本日はこの程度にいたしまして、次会は明四日午前十時より開会いたします。  本日はこの程度で散会いたします。    午後四時二十五分散会

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