郵政委員会 第10号
- 発言数
- 45 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1954/03/05
会議録
○田中委員長 ただいまより郵政委員会を開会いたします。 郵政行政に関して調査を進めたいと思います。 まず先般の横浜における郵便自動車襲撃事件について当局より説明を求めます。斎藤監察局長。
○斎藤(信)政府委員 お答え申し上げます。先日の郵便専用自動車襲撃事件の概要でございますが、襲われました自動車は、日本郵便逓送株式会社横浜支店所属の郵便運送用赤自動車でございまして、神奈川・横須賀間東まわり上り五号便でございます。横須賀を出まして途中田浦にまわり、金沢分室を午後の二十時五十一分発の便でございます。同乗者は運転手、助手並びにちようどたまさか磯子局員が一名便乗いたしておりまして、都合三名乗車いたしておりました。三月一日の午後二十時五十一分定刻通りに磯子郵便局の金沢分室を出発いたしまして、その自動車が磯子局へ向つて谷津坂の手前にさしかかりましたところ、うしろから尾行して参りました乗用車に乗りました三人組の強盗が、赤自動車の前に出ましてストップを命ぜられまして、猟銃を突きつけて、赤自動車の運転手以下三名とも、犯人たちの乗つておりました乗用車の後部の荷物入れに押し込められたのであります。しかる後犯人たちは、その乗用車並びに赤自動車を運転いたしまして、今まで来ました道を引返して右にそれまして、朝比奈峠トンネルの戸塚寄りの出口付近に行きまして停車をいたしまして、約三十分かかつて、その間に赤自動車の中で搭載中の大郵袋を西洋カミソリで切り開きまして、在中の郵便物を抜き取つて、作業が済んでから運転手ら三名を、今度は赤自動車の荷物を積む部分にとじ込めまして、施錠をして抜き取つた郵便物を自分たちの自動車に移し、そうして大塚方面に逃走いたしたのであります。 それの被害状況でございますが、積んでおりました大郵袋が全部で六十個ございました。在中の赤郵袋は三十二個ございましたが、被害を受けました郵便物としましては、切り開かれました大郵袋が六十個のうち三十五個でございます。二十五個の内訳は、通常郵便物締切の郵袋が十六個、さらにその内訳といたしまして赤行嚢を納入してあります有証と申しておりますが、送り状の入つておる行嚢が七個、入つていない無証のもの八個、非締切り一個、計十六個、並びに小包郵便物の締切り郵袋十九個計三十五個であります。それで結局盗難にかかりました郵便物でございますが、赤郵袋の中に入つておりましたものが全部で現金書留十九通、その金額が十九万四千八百八十二円ということになつております。当初われわれの予想した金額に比べまして、はるかに少額の被害でとどまつた次第でございます。 なおこれが捜査につきましては、横浜地検を中心といたしまして、郵政省からは東京郵政監察局の第一部長以下十四名、並びに横浜郵政監察官事務所杉原主任官以下八名、合計二十二名の監察職員を動員いたしまして、当所職員はもつぱら業務上の専門的立場からいたしまして、主として部内関係の捜査に当ることといたしまして、目下共同捜査を続けておる次第でございますが、現在までのところ、遺憾ながら犯人の割出しまたは逮捕に至るまで至つておらない次第でございます。なお被害を受けました郵便物の損害賠償につきましては、それぞれ当方から進んでこれの賠償方取運び中でございます。大体以上であります。
○田中委員長 本件について質疑があればこれを許したいと思います。
○山花委員 ちよつとお尋ねいたしますが、ただいまの報告によりますと、現金が十九万四千八百八十二円ということでありますが、現金以外の為替なんかで、今まで引出したような傾向があるのかないのか、ちよつと参考のためにお伺いいたします。
○斎藤(信)政府委員 結局普通書留につきましては被害がございませんでしたので——当初被害があるものと想定いたしまして払渡し警戒の手配等をいたしましたが、結局被害がございませんでしたので、これを解除いたした次第でございます。
○山花委員 そうするとその強盗は現金書留のものだけを盗んで、あとはそのままにしてどこかに逃走した、こういうことになつておるのでありますか。
○斎藤(信)政府委員 お説の通りでございます。
○佐藤(觀)委員 郵便車につきまして、平素そういう特別な警戒をするような方法をとつておるかどうか、監察局長にお尋ねいたします。
○斎藤(信)政府委員 危険な箇所等につきましては、運転手一人で運転することがないように、なるべく助手を乗せるとか、あるいは逓送自動車につきましてはなるべく可能な限り、現金を積まないようにという措置を平素とつておつた次第でございますが、今回のような凶悪な犯罪に対しては、平素格別にこれという考慮はいたしておりませんでした。一応考えられる程度の予防措置は講じておつた次第でございます。
○佐藤(觀)委員 こういう事件が今まで全国で例はあつたのかないのか、それをひとつ……。
○斎藤(信)政府委員 従前の郵便車に対する襲撃事件の概要でございますが、昭和二十四年一月に水戸・潮来線上り二号便という専用自動車でございますが、那珂湊・水戸局の間で徐行中の赤自動車がうしろから抜かれたという事件がございます。それから昭和二十六年十月でございますが、同じ那珂湊・水戸局の間におきまして、二名の犯人によつて襲撃されかかつたのでありますが、事前の情報によりましてあらかじめこの計画を察知できましたので、関係監察官が警官と協力いたしまして、赤自動車に刑事五名を張り込ませて、これが未遂に終つて、即刻その場で逮捕いたされました。なおまた昨年の十二月でございますが、長野市内の取集め便専用自動車、これがある特定局の前に停車中に、一時無人になつたために、その運転手も共犯者でございましたが、これに目的を達せしめたという事件があります。
○佐藤(觀)委員 もう一点お尋ねいたしますが、アメリカなどではギャング事件がたびたびありまして、日本ではこういうことはなかつたわけでございますが、終戦後から凶悪な犯罪が次々に起つておるようであります。そこでこういうような問題に対して、当局は今後どういうような措置をとられるのか、その点をお尋ねしておきたいと思います。
○斎藤(信)政府委員 なるべく現金ないし有価物を積まないようにという趣旨からいたしまして、郵便局相互間のいわゆる資過超金というものがございますが、これなんかも先般そういうような配意からいたしまして、なるべく現金で輸送せずに、その地方における銀行に預金をする。どうしても送らなければならぬ場合には、証券ないし小切手にしまして送るとかいうような方法をとつております。なお今度の凶悪な犯罪にかんがみまして、郵便逓送の防衛をどうするかということをもちろん考えなければなりませんので、なお今回の事件の捜査の経過等も十分考慮に入れまして、何らか対策を立てなければならぬということで、目下考究をいたしておる次第でございます。
○田中委員長 委員長から一、二点伺いますが、新聞紙の伝えるところによると、この郵便車には通常乗るべきでない郵政部内の職員が乗つておつたやに聞いておるのであります。しかもおそらくこの襲撃犯人が乗り捨てたと思われる自動車の遺棄しておつたところから通勤しておる者が、たまたま乗り合せておつたというような新聞の報道があつたのです。それで襲撃犯人とこれらの郵政職員との間に何らかの関係があるのではないかという疑いが新聞紙に報道せられ、今朝の新聞によるとその容疑は一応晴れたようでありますが、その間の事情について調査されたことはございますか。調査されたとすればその経過はどうなつておるか、この際明らかにしていただきたいと思います。
○斎藤(信)政府委員 その自動車に便乗しておりましたのは磯子局員の岡田の申す男でございます。局の業務に関係があるとはいえ、その自動車に乗るということは、あくまでも遠慮すべき筋合いのものかと思うのでありまして、この点はなお今後関係方面に注意をいたしたいと思つております。なお犯人の乗つておつたと思われる自動車が乗り括ててありました山梨県の富浜村付近の出身と申しますのは、日本郵便逓送会社横浜支店の、当時乗つておりました助手の方がその付近出身でございまして、一応関係ある者としてその方の部内関係についても一応洗つて見てはおるのでありますが、これという確証を得ないというところでございまして、目下のところでは一応嫌疑が晴れておるという状況のようであります。
○田中委員長 その点、たまたま郵便車に乗り合せた郵政職員あるいは日本郵便逓送の職員と申しますか、そういう者と襲撃犯人との間に何らかの関係があるという疑惑が一応持たれておるということは、今後の郵便逓送に非常に重大な影響を及ぼすと思います。特に当局としてはこの点世間一般の疑惑を解くための、徹底的な調査を希望しておきたいと思います。 本件について、ほかに質疑がなければ、この点についての犯人等の捜査が進行いたしましたら、逐次委員会へ報告を願うことにいたします。 —————————————
○田中委員長 次に簡易生命保険に関して調査を進めたいと思います。 新聞の報ずるところでは、昨日の次官会議において、政府提案について政府部内の意見がまとまつたように報道せられておるのでありますが、これがどの線にまとまつたのか、またいつごろ国会に提案せられる運びになるか、この点の見通しについて伺いたいと思います。
○白根政府委員 簡易保険の最高限の引上げにつきましては、関係方面と折衝いたしまして、ようやくまとまりまして、本日の閣議で十三万円に決定いたしたわけでございます。
○田中委員長 いつごろ国会へ提案する見込みでございますか。
○白根政府委員 閣議が済んだのでございますから、至急提案いたしたいと思います。
○田中委員長 本件について質疑がございませんでしたら、いずれ近く政府から提案があることと思いますし、なお本件については前回の委員会におきまして、委員会としての最高限引上げについての意向を一応とりまとめられておりますので、政府提案をまちまして、その申合せ等に基いて審査を進めたいと思います。 —————————————
○田中委員長 次に本委員会に付託になつております、先般提案説明を伺いました郵便振替貯金法の一部を改正する法律案、郵便為替法の一部を改正する法律案、郵便切手類売さばき所及び印紙売さばき所に関する法律の一部を改正する法律案、以上三案を一括議題として質疑に入りたいと思います。山花秀雄君。
○山花委員 郵便振替貯金法の一部を改正する法律案につきましてお尋ねをしたいのでありますが、この値上げの率についてであります。非常にこの率が、政府が緊縮予算を唱導され、低物価政策というようなことを盛んに言つておられるのにもかかわらず、値上りの率が非常にとつぴというほど高率になつておるのでございますが、この間の事情をいま少し詳しくひとつお聞かせを願いたいのであります。
○小野政府委員 御承知の通り値上げの率といたしましては約六六%になつて、非常に高率のようでございますが、これによりまして、増収が得られます額は約四億円でございます。在来の郵便振替貯金の料金について、多少沿革的に御説明申し上げますと、この事業を創始いたしまして以来、当時の逓信省関係のみで、こういつた特殊な非常に利用の便利な制度を開いたわけであります。いろいろ送金の手段といたしましては、銀行送金またわが郵政省におきましても、現金書留とかまた郵便為替、こういつた制度がありますが、これはただ単に送金の手段のみにとどまるわけであります。この振替貯金制度は、そういつた送金の利便を提供すると同時に、一定の現在高が常に貯金の形で残つておりまして、その口座と口座の間、あるいは口座を持たない人がその口座に送金によりまして払い込む、これがただちに現金で受取人にとられるのでなく、一旦貯金の形でプールされるわけであります。そういつた独特の制度でもありますし、特にこの制度の利用を勧奨する意味合いから、きわめて低額な料金をもつて臨んでおつたわけであります。最近におきましても、先般の昭和二十七年郵便料金の改正と同時に、多少の料金の値上げと申すよりも調整をいたしましたのでありますが、その前におきましては、郵政省における他の料金に手を加えましても、全然この方面には手を触れておらないようなことがあつたのでございまして、従つて現在の料金はきわめて低率でございます。大体物価の指数といたしますと、一応昭和九年から十一年当時の間を基準といたしまして、大体物価は三百五十倍とか三百倍とかいわれておりますが、この振替の料金につきましては、これはいろいろ振替制度にも取扱いの種別はいろいろ区々にわかれておりますが、大体その中で非常に首位を占めております利用の種別を例にとつて申し上げましても、たとえば通常払込みの料金におきまして、一千円以下のものにつきまして、現行の料金では昭和九年−十一年のベースに比べましてわずかに七十五倍、こういう低い率になつておるのであります。これは政府の料金並びに公共事業関係の料金、いずれをとつてみましても、きわめて低い最低を見ておるのでございまして、割に低いと見られますものから比べましても、かなり逕庭があるわけであります。今回の料金値上げを必要といたします理由は、先般大臣から提案の理由の御説明を申し上げました通り、最近の給与ベースの改善等によりまして、かなり歳入に穴があいておるわけであります。この点はひとり給与ベースの改訂のみならず、在来非常に赤字経営をいたしておつたわけであります。先ほど申しました料金のきわめて低率であることから見ましても当然赤字の状況になつて、コストをカバーできない料金収入であると思います。そういつたわけで現在の料金をこのままに改訂いたしませんで、すえ置きますと、二十九年度におきましてざつと四億の赤字を生ずるわけであります。四億といえば大した大きな額ではありませんが、在来そういう振替貯金から生じます赤は、ほかの事業収入でカバーして参つたのでありますが、郵便収入におきましても、ベース・アップその他の関係で、振替貯金の赤をカバーする余裕はございません。そういつた関係でどうしても振替貯金としても、ここに収支のバランスをとらなければならぬ、こういうような立場に立つたわけでございます。そういつた点で収支の均衡し得るのにはどのくらい上げたらよいか、これがちようど金額にいたしまして四億、総体の値上げの率が六六%、いかにも高率には見えますが、そのような値上げをいたしましても、先ほど申しました通常振替料金の千円以下の段階におきまして、昭和九年−十一年の百二十五倍でありまして、また各種の料金から見れば最低でございます。さらに金額が一万円以下のものにつきましては、今回の値上げをもつていたしましても、基準ベースの六十二倍にしかなりません。また一万円を越える利用につきましては六十倍、こういつたことで、きわめて低いような状況に相なつておるわけでございます。
○山花委員 ただいまこの料金の値上げの説明をるる承りましたが、これは私は多少議論になると思いますが、考え方の問題が当局としては非常に間違つておるのではないかというふうに考えておるものであります。値上げによつて四億円の収入があれば、収支のバランスがとれる、よつて値上げの理由とした。そういう理由に少くともこの種事業のもとには、私は成り立たないというふうに考えておるのでありますが、これは後ほど審議の過程においていろいろ私どもの意見をも申し上げて、この種の値上りはひとつ思いとどまつていただいて、他の方面からこの不足分を埋めるというようにしていただきたいと思います。ほかに理由がなければ、ただいま申し上げましたような理由で値上げを国会の審議にゆだねた、こういうふうに私どもは理解して、審議のときにいろいろ意見を申し上げたいと思います。何かほかにまだ値上げの理由がございましたならば、説明願つてもけつこうでございます。
○小野政府委員 先ほど申し上げました値上げの理由以外には、別段の理由はございません。ただほかの料金をもつてこれをカバーして行つたらいいじやないかという御意見でございますが、そういつた余力があればもとよりそういつた措置をとるわけであります。在来といえども今年度まではそういう措置で運営して参つたわけでありますが、昭和二十九年度予算の全体におきましては、他の事業の益金をもつてこの損失をカバーするというような現状になつておらないのであります。従つて振替貯金事業自体におきまして収支のバランスをとる以外に道がない、こういう状況に相なつておるわけであります。
○佐藤(觀)委員 あなたは政務次官ではないからやむを得ないけれども、政府は大蔵大臣、総理大臣、みな物価を下げる下げると盛んに言つておるわけです。それを政府機関みずからが上げる。私は予算委員会で絶えず反対した。現に七十五倍だから上げてもよいというようなことを言われておりますけれども、しかし郵便なんかは特別な仕事でありまして、いろいろりくつはつくけれども、政府みずからが物価を上げるような方法をとつておることに対して、国民とともに非常に不満を持つておるものであります。りくつがどうあろうとも下げるならよいが、上げるということは今の場合として納得できないのですが、それを納得できるように、もう少しあなたの方からいろいろ説明を聞かしていただきたい。
○小野政府委員 現在政府のとつております経済政策の面から、政府の料金値上げを慎むべきであることは御説ごもつとも、同感であります。私どもそういつた見地からいろいろ慎重審議もいたしたわけでありますが、必ずしも政府の現在とつております経済政策に背馳するものでない、物価引下げの方策に影響を来すものでない、こういつた結論に到達いたしました。また閣議におきましても、私から申し上げるのはまことに僣越でございますが、政府といたしまして政府の現在の方策に反するものでない、こういうことで閣議決定を了しまして、実は御提案申し上げたような次第でございます。と申しますのは、実質的にそういつた現下の政府の方策に違反するやいなや、こういう点から検討いたしてみますと、この振替貯金の利用は現在まで微々たるものでございます。全国でわずかに五十五万件の利用しかないのでございます。従いまして国民生活の一般に影響を来すものでもございませんし、また一つにはこれは決して独占の事業ではございません。他に類似の制度もございまして、国民の自由意思によりまして、この制度が料金その他の面で不利だと考えれば、銀行送金の道もありますし、またわれわれの取扱いをいたしております郵便為替とか現金為替、あるいは普通通常郵便物の中にも今日現金を封入し得るといつた手段もあるわけでございまして、決して振替貯金制度は、こういう送金の目的を達するために、どうしてもこの制度を利用しなければならないという独占的な形態になつておりません。それと先ほど申し上げました通常払込みの関係、これが利用の非常に大きな部分を占めておるわけでありますが、この中の約五八%に相当するものは、送金をする当事者各個人が料金を負担するのではなくて、御承知の通り振替利用の用紙に加入者負担といつたまるい印の押したものがありますが、これが払込みの場合に全体の数の五八%を占めております。これは個々の送金者が負担するのではなくその送金を受ける書籍店であるとか薬品店であるとか、そういう方面で料金を負担するわけであります。従つて通常の国民生活にただちに影響を来すために、物価引下げの方策に衝突するようなことはないと考えている次第であります。
○佐藤(觀)委員 閣議決定が至上命令であるかのような意見でございますが、この前からうそばかり言つておりまして、再軍備をやつておるのにやつていないというような閣僚に期待することはできない。郵便は比較的信用があつて、国民はこの郵便に対しては、ほかの銀行などとは違つて割合信頼しておるわけであります。それだから、ほかのものでやればよいのではないか、郵便の方を上げるので、いやならいやでよその方でやつたらよいのだというのは官僚の考えることで、やはり事業としてやるならば、もつとこういうような点も勘案してやるべきではないかと思いますが、その点はいかがですか。
○小野政府委員 その点につきまして、先ほどの御答弁に補足をいたしたいと思います。私どももこういつた事業の運営については、官僚独善という面は厳に慎むという気持で運営して参つております。特に振替貯金の口座加入者には相当大口のものが多い。それに常時利用が継続する形態にあります。従つて大口の利用者とは、常に振替貯金制度運営のあり方につきまして懇談の機会を持つております。在来そういつた方面から入ります利用者の気持は、今日の振替の料金はきわめて安い、確かに料金としては安過ぎるということは十分認めております。むしろそれよりも事務の促進が望ましいのだ、これさえあれば料金についてはこんな安いものはない、こういうのが偽らざる一般の声でございます。取扱いの状況から申しますと、終戦前におきましては、非常にこの事務もスピーディーに運ばれておつたのであります。それで大体の処理の日数を申し上げますと、三日見当で処理できておつたわけでございます。これが終戦後は、いろいろな事情から非常に処理の遅延を来しまして、はなはだしい場合は十日から十五日くらいかかつたのでございます。こういつた点で、利用者としてはきわめて便利な制度であり、きわめて料金の安い制度ではありながら、処理のおそいのが非常に難点であつた。そういう処理の促進さえ得られれば、料金の面についてはもつと高くても、むしろ経営としてはそうあるのが普通ではないかという意見も聞くので、そういつた面から私どもも、処理日数の短縮、処理の迅速化をはかつて参りまして、現在は戦前の状況にやや近く、三日ないし四日から五日くらいで処理できる、こういう段階に参つております。さらに一段の処理の促進を続けますためには、いろいろ夜勤作業とか、こういう困難な作業をしなければならないのでありまして、戦前の三日あるいは早ければ二日くらいでやつておりましたときは、夜勤作業をやつておつたわけであります。今日の労働事情からそういう点は私どもとしても一考を要しますので、夜勤作業は今日やつておりせんが、極力処理の促進をはかりまして、今日のところ大体三日ないし四日、こういうところに縮めて参つております。そういう点で、振替制度の回復の度合いにつきましては、いろいろ感謝もされておりますし、同時に料金が非常に安過ぎることについても、利用者みずからそういつたことを表明せられておるわけであります。そういつた関係で、今回の料金の値上げが、料金の値上げをいたしましたためにきわめて不信を招いて、ために官業の信頼を失墜する、かようには考えておらないのであります。そういう見地から、料金を引上げましても、通常の場合であれば同時に利用減を考慮いたさなければならないのでありますが、今回の場合におきましては、そういつた利用減を考慮するばかりでなく、多少の利用の増を見込んでおるような状況でございます。
○山花委員 当面の責任者の大臣がおいでになりましたから、一応責任者の大臣からお答えを願いたいと思うのでありますが、ただいま振替料金の値上げについて、政府委員の方からいろいろ御説明がございましたが、収入にして四億円程度という。四億円程度で穴埋めをして収支のバランスをとりたい、大体そういう説明でありましたが、値上げの率がたとい全体において少額の金円でございましても、非常に大きい値上げの率を見ておるのであります。そこで私どもは低物価政策を盛んに慫慂される政府とし、てこのような大きな料金値上げは、政府の考え方と異なつておることではないかということを質問しておるのであります。この点について、ひとつ大臣の所見を承りたいと思います。
○塚田国務大臣 御指摘の点は私もごもつともだと思います。実は料金を何か考えなければならないのではないかと思つて、今御審議願つております振替料金と、もう一つまだあとに、私の所管ではこれは電通委員会の方でおそらく御審議願うようになると思うのでありますけれども、放送料金の値上げがどうであろうかという問題が残つております。どちらの場合にも考え方は共通なんでありまして、個々の問題として考えたときに妥当であるかどうかということと、それをさらに政府の今年の緊縮財政を中心にした一連の財政金融政策との総合的な判断において、妥当であるかどうかということを非常に考えるわけであります。御審議願つております振替の場合には、そういうような両面からの検討をいろいろいたしたのでありますが、その結果、やはりこの程度のものはぜひ御承認願いたい、こういう考え方になつて御審議願う結果になつたわけです。それは主としてどこから来るかということでありますけれども、一つは、私が郵政大臣を拝命しましてから、何とかしてこの郵政という事業全体が独立採算で行くようにしたいという強い考え方を持つておるわけであります。しかもこういう性質の事業でありますので、最小限度の線で独立採算を立てて行きたい。あまり剰余金も何も出ないというところで、独立採算をして参りたいという考え方をしておるわけであります。そこでこの振替貯金の料金の場合を見たのでありますが、あまりにそれ自体の経費と収入とのバランスがとれておりません。少くとも実費を償う程度のものはどうしてもいただかなくちやならないという考え方が、振替自体としてあるわけであります。他の料金との比較をしても、いろいろ御説明申し上げたと思うのでありますが、決して高いものでないという意味におきまして、これはただ料金の引上げというよりも、押えようという考え方を前提に置いて、今まで不当に低かつたものを調整する、こういう考え方として、この線で押えておく、こういう考え方が強くこの場合には主になつておる、こういうふうに御了解願いたいと思います。
○山花委員 大臣の御答弁によりますと、従来の料金があまりにも低いゆえに値上げするとかいう、そういうものの考え方よりも、全体を調整して行く、そういうふうに御理解願いたい、私どもは大臣の意向をそう拝承したのでありますが、しかしながら全体と調整するということでありましたならば、ほかに調整する部門は私はたくさんあると思います。郵政大臣にこういうことを言つても当てはまるかどうかわかりませんが、吉田内閣は国民に今耐乏生活を盛んに説いておるのであります。たとえばこの郵政事業の全体を調整するという一つにもなりますし、政府全体の費用の調整というような点につきましても、あれだけ国民に耐乏生活を説くこの政府といたしましては、少くとも国民が納得し得るように、たとえばこれは一つの例でございますが、公務員などが会食する場合に、料亭には今後絶対出入りをしてはならないというような、何と申しましようか、非常に引締めた訓辞でも部内に発するというくらいの意気込みを見せないと、耐乏生活を国民に百回説いても何ら感激を与えるものではございません。これと同じような観点で、郵政部内においても四億円の金額を節約する場面は、もう少し大臣が積極的にひとつお考えになれば出て来ると思うのであります。 それからもう一つは、ただいまの政府委員の説明によりますと、これは加入者が大体負担するのであつて、半分以上は加入者の負担で、大衆にはそう影響かないという意味の答弁をなさつておられましたが、加入者が負担するにしても、大衆が負担するにいたしましても、貯金という文字がございますように、振替貯金のねらいは、単に送金ということだけでなくして、やはり政府に資金を集める、資金吸収の面がこの振替貯金の重要なる部門をなしておると思うのであります。だから政府事業といたしましては、他の業者にとられないように、この振替貯金を百パーセント各自が利用するように、ひとつ積極的にこの事業の拡大をはかるべきだと思うのであります。加入者の意見を聞いてみると、あまり料金が安過ぎるということを言つておる、こういうお話であるが、これは私はあまり自讃し過ぎておると思うのであります。加入者がそういうようなこと言つておるとは私は考えておりません。安いほどいいのでございます。郵政事業全体をこれから引締めてやつて行こうという、しかも政府の相当高い責任者が、そあなに安易な考え方では、郵政部内に対する規律ある統制と、事業に対する熱意を職員諸君に示す結果にはならないと思うのでありますが、こういうような点につきまして、一応この事業全体をどう引締め、どう節約して、そうしてサービス面の改善をするか。これは国民全体に喜ばれる一つの方針であるが、その方針の大綱をこの際郵政大臣から明らかにしていただきたいと思います。
○塚田国務大臣 私も就任以来、何にいたしましても大きな事業でありますから、いろいろな面においてむだがあるだろうということは強く考え、部内においても検討させて、いやしくもむだがあるというところは節約するようにという方針でもつて予算も編成させ、また編成された予算の実施もいたしておるわけであります。御指摘の飲食などのためにむだな金は使わない、これはただ料亭に出入りするというだけでなくて、かりに料亭に出入りしないでもそういうむだな金はなるべく使わないというように指示もいたしますし、また今後もそういう方向に努力して参りたいと思います。しかし問題は、この場合におきましてはそれはそれで、もし節約できる面があれば大いに節約して、そうしてほんとうに従事員の幸福その他必要の部面にまわす、また振替料金は振替料金で今申し上げたように、このくらいの線がむしろ妥当ではないかという考え方をしておりますので、考え方はそれぞれの面において考えて参りたい、こういう考え方でおります。
○佐藤(觀)委員 この内閣が低物価政策をとるに至つたことで、いろいろ私たちには疑問に思える点がたくさんあるのですが、その前にこの案がきまつたかと思うのでありますが、郵便と鉄道というものは日本でいえば比較的安いものでありまして、それだけに鉄道とか郵便の関係のものは一番国民にも信頼されておるし、同時に安い標準になつておるわけでありまして、これが先ほど小野局長のように、七十五倍より上つていないから上げてもよいというような安易な気持は絶対慎むべきである。それで大臣にお尋ねしたいのは、一体政府は本気になつて物価を引下げるような政策を実行するのかどうか。それには少し決心が足りないのじやないか、施策が足りないのじやないかというような不満を持つておるわけであります。今までデフレ予算をやる場合に、昔の松方さんは生れておりませあから知りませあが、井上準之助がやつたときの低物価政策は、非常な危険を冒し、そうして非常な努力をしてもなかなか物価が下らなかつた。しかるに今度の政府の物価引下げというものは、まつたく机の上だけの引下げ論であつて、実際は真剣味がないし、それから何かよそから下げたらよかろう、あるいはアメリカのダレスとかドッジあたりに言われて、それではやつてみようかというような安易な気持じやないかという疑問を持つわけです。われわれが国会においていろいろ大臣の答弁を求めても確信は得られないし、従つて国民はこれに同調しないということは無理もないわけであります。日本の物価が外国の標準に比べて非常に高いことが、日本の経済に危機を与えておることは、少し外国へ行つたりあるいは国内で考える場合でも当然だと考えるわけなんです。けれども一体やるのは政府がやらなければならぬ、政府がほんとうにしつかりと腰をおちつけてやらなければなかなか民衆はついて来ない。こういう点について私は先ほど御説明があつたように、四億ぐらいのものは、少しぐらいは上げてもいいじやないかという、そのものは大したことはないけれども、それの及ぼす影響が非常に大であると思うのでありますけれども、そういう点について塚田大臣はどんなお考えを持つておられるのか、この点を一点お伺いしたいと思います。
○塚田国務大臣 これは郵政の独立採算という考え方をいたしましたときに問題になつておりましたのは、たとえば書留でありますとか速達でありますとか第三種郵便物でありますとか、ああいう特殊な料金がもう一つ問題になつておつたのであります。これもまあみんな五億ほどずつで、それが十億とこれが五億ということであつたのですが、そういうものをいろいろと並べて見まして、最小限度郵政が独立採算制でもつてやつて行けるという意味から一番妥当で、かつ国民に直接影響のないものということで、振替貯金の料金改正だけが取上げられて、あとのものは今度は全部見送りという形になつておるわけであります。ですからこれが独立採算を保つ最小ぎりぎりの線というふうに御了解を願いたいと思うのであります。ただ国全体の低物価政策という考え方から、今政府が考えているようないろいろな施策ではたしてやれるかどうか、また政府がほんとうにやる気でおるのかどうかという疑問でありますが、政府が本気でやる気持でおることは申すまでもないのであります。ただ今のような考え方で庶幾するような物価の下落というものが出て来るだろうかということは、どうも担当の大臣でもありませんし、専門の者でもないので研究できておりませんので、何でありますが、これに何らかもう少しプラスの考慮を加えなければ、物価の引下げというものはなかなか出て来ないのじやないだろうかという感じもまんざらしないでもないのであります。と申しますことは、もう少し緊縮財政に合せたいろいろな施策があつてしかるべきじやないだろうかという感じを持つておるわけであります。それと同時に、かりに物価が著しく下つた場合に、経済界にどういう現象が出て来るかということを考えますと、物価の引下げをする政策は、考え方としてはぜひそうしなければならぬのでありますが、急激にそういう現象が出て来るということは、これは社会がやはり生きものであるだけに、相当考慮して行かなくちやならぬのではないかという感じもまた別の面からするわけであります。そこで一割ぐらいの下落を目標に置きながら、まずこういう手を打つてみて、それでどのくらい下るかということも見て、思うように下らなかつたということであれば、さらにその次の手を合せて考えるというふうにして行く方が、むしろ現実的ではないだろうかという考え方を私としては持つておるわけであります。ほんとうに物価を引下げるということであれば、もう少し腹をすえたいろいろ総合施策ということは、御指摘のように確かに必要じやないだろうかという感じは持つておるわけであります。
○佐藤(觀)委員 塚田大臣は比較的良心的な大臣だから、あまりいろいろつつこんで質問はいたしませんが、しかしどうも吉田内閣のやり方は、自分だけはこたつの中に入つておつて、そうして街頭に人を流してやれやれということを言つておるような感じがあるわけです。吉田さん自身がそういう人で、平清盛に似ているといわれますのももつともなところがあるわけですが、しかし今度の物価引下げの問題は、国民の協力を得なければ絶対にできない、こういうような考えを私は持つておるわけでありますが、日本の郵便は比較的信頼を持たれておるし、先ほど強盗にあつたような話がありますけれども、郵便全体については国民が比較的信頼をしておるわけであります。そういう点で、ほかの官庁と違つて比較的よくやつておることはわれわれも認めますが、しかしそれだからといつて、先ほど局長が言われて山花君から注意がありましたが、もつと値上げしてサービスをよくしなければならぬじやないかというような甘い考えは、国民は持つていない。もう破産寸前にあつて、自分が食うか食われるかというようなひどい生活をしておるのが国民の大部分である今日、そういう甘い考えを持つことは、それ自体が大きな矛盾であります。ただ私たちが非常におそれますのは、政府が自分たちは特別なところにおつて、国民にさあ進め進めと言つているような形をとる。みずから物価引下げの渦中に入つて、そうして自分みずからが陣頭に立つてやろうというような気概がないことであります。そこでただ一点、私たちがあなた方に御注意申し上げ、同時に御意見を聞かしていただきたいのは、たとえば電気の値上げはしてはいけないとか、ほかのものの値上げはしないけれども、あるいはタバコを上げたりビールを上げたり、そういうようなものを上げるような政策を政府はとつておる。これは奢侈品だからということを言いますけれども、奢侈品そのものでなくて、そのほかに物価が影響して来るわけで、そういう点で、私は今度の値上げがわずかなことであるけれども、ほかのものに対して影響するのじやないか、こういう点について独立採算のこともわれわれわかりまするけれども、これがほかのものに影響するのじやないか、こういう心配をしておるわけでございますが、その点について大臣はどんなお考えを持つておられますか、もう一点伺いたい。
○塚田国務大臣 私が振替の料金を他の第三種でありますとか、書留、速達というものから見れば、まだ大衆性も少いし、われわれの政策と矛盾する面が少いというように考えましたのは、大体他のものの場合には、普通の生活費というものからそういう料金が払われて行くというのが、ごく普通の場合の例だと思うのであります。しかし振替貯金になりますと、これはやはり何がしか仕事をしていらつしやる方が負担をされるということであると思うので、事業というものが、背景にある。事業というものを頭に置いて考えますときには、わずかな料金の違いよりも、そのサービスがいいということの方が、むしろ事業の上にプラスの面が多いはずでありまして、そういう意味において先ほど局長がそういうような御答弁を申し上げたと思うのであります。そこで、それでは事業にそういうぐあいに負担増がかかれば、やはり事業を通して国民生活に及ばないかということになるかと思うのでありますが、それはまさにそういうふうに間接的には行くはずでありますが、そういう面は政府は総合政策の他の面で考えるというように努力いたしておるわけであります。今中小の商工業者が一番負担になつておるものは、やはり事業税だろうということで、事業税の面で、御承知のように今度はかなり大幅な減税措置というものを講じておるわけであります。従つてここで郵便振替料金が幾らか上つて、それだけ経費増になり、利益が減るという部分は、そういうような事業税その他の減税措置でもつてカバーして、それが大衆のところへ行かないようにと考えておるわけであります。郵便自体といたしましては、先ほども申し上げましたように、これがかなり赤字経営になつておるものでありますから、かたがたこのような措置ということになつたわけであります。
○田中委員長 ほかに質疑はございませんか。——それでは委員長から、今の振替貯金の方ではなしに、郵便切手及び印紙の売りさばき手数料の値上げに関する法律案について伺いたいのですが、今度の値上げによりまする支出の増加は、大体どの程度になるでしようか。
○松井(一)政府委員 印紙、切手の手数料というものが、二十八年度で——まだ全部終つておりませんが、若干推算も入れまして、大体三億九千万円くらい出ると思います。この法律が改正になりますれば、それに対して一億三千万円くらいふえるのではないか、率にしまして三割二、三分の増ではないか、かように見込んでおります。
○田中委員長 さらに伺いますが、この支出増加の分は全部郵政の郵便特別会計で負担されるのか、それとも印紙の売りさばき手数料の方は大蔵省関係から繰入れになりますか、その点はいかがです。
○松井(一)政府委員 私どもの方は、現在の建前が、売りさばき手数料は印紙、切手を一括してやつておりますので、一応それは郵政特別会計の方で支出として一億二、三千万円持つわけであります。しかし他方収入印紙につきましては、大蔵省から委託を受けており、それに対する手数料というものを別途大蔵省からもらつております。それが前申し上げた通り大体売上げ金額の三分になつておりますが、しかし来年度は税法の改正その他によりまして、収入印紙の増加というものが相当見込まれておりますので、金額といたしましては、やはりそちらの方も一億円ばかりの増加になると思います。
○田中委員長 なお本件については、近く出るであろう簡易保険の最高制限額の引上げに関する法案の審議と並行して、質疑を続行したいと思います。 —————————————
○田中委員長 この際皆様にお諮りいたしたいことがございます。理事の補欠選任についてでございますが、去る二月二十五日、理事吉田賢一君が委員を辞任され、理事一名欠員になつておりますが、吉田君が再び本委員に選任されておりますので、吉田君を再び理事に指名いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○田中委員長 御異議ないものと認め、さよう決します。 なおただいま申し上げましたように、議題になつておりまする三案についての質疑は、次会に続行することといたしまして、本日はこの程度で散会いたします。 午後零時六分散会