本会議 第28号
- 発言数
- 31 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1954/03/27
会議録
○議長(堤康次郎君) これより会議を開きます。 ————◇—————
○議長(堤康次郎君) 日程第一、所得税法の一部を改正する法律案、日程第二、法人税法の一部を改正する法律案副日程第三、酒税法の一部を改正する法律案、日程第四、印紙税法の一部を改正する法律案、日程第五、砂糖消費税法の一部を改正する法律案、日程第六、揮発油税法の一部を改正する法律案、日程第七、米国対日援助物資等処理特別会計法等を廃止する法律案、日程第八、製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案、日程第九、相続税法の一部を改正する法律案、日程第十、骨牌税法の一部を改正する法律案、日程第十一、酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案、日程第十二、物品税法の一部を改正する法律案、日程第十三、関税法案、日程第十四、国税徴収法の一部を改正する法律案、日程第十五、関税定率法の一部を改正する法律案、日程第十六、農業共済再保険特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案、日程第十七、資金運用部特別会計法の一部を改正する法律案、日程第十入、国民金融公庫法の一部を改正する法律案、日程第十九、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案、日程第二十、国税収納金整理資金に関する法律案、右二十案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。大蔵委員長千葉三郎君。 [千葉三郎君登壇〕
○千葉三郎君 ただいま議題となりました所得税法の一部を改正する法律案外十九法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 まず第一に、所得税法の一部を改正する法律案について申し上げます。今回の所得税法改正は、特に低額所得者の負担の軽減をはかるために所要の改正を行おうとするものでありますが、その内容について簡単に申し上げますと、まず第一には、基礎控除額及び扶養控除額を引上げることであります。すなわち、基礎控除額を六万円から七万円に、扶養控除額を、最初の扶養親族については三万五千円から四万円、二人目及び三人目につきましては二万円から二万五千円に、それぞれ引上げることとしたのであります。但し、昭和二十九年分につきましては、この改正を四月から実施するものとして計算した金額としておるのであります。さらに、青色申告者につきましての専従者控除の限度額を基礎控除額と同額まで引上げるとともに、配偶者についても専従者控除を認めることとしているのであります。次に、生命保険料の控除額は八千円から一万二千円に、但し昭和二十九年分については一万一千円に引上げることとしたのであります。また、退職所得及び山林所得の軽減でありますが、退職所得は現行二十万円の控除額を勤務年数に応じて最高五十万円まで引上げることといたし、山林所得につきましては五分五乗方式によつて課税しようというのであります。最後に、申告所得税について、手続の簡素化をはかるために、予定申告制度を予定納税制度に改め、また変動所得の課税方式をも簡素化しようとするものであります。本改正による所得税の減収は、二十九年度は約二百七十五億円と見積られております。 次に、法人税法の一部を改正する法律案について申し上げます。本法律案の内容は、法人の積立金に対する累積課税の制度を廃止して、同族会社が一定限度を越えて新たに利益のうちから積み立てた場合、その積み立てた年度において一回限り一〇%の税率によつて課税することとし、また同族会社の範囲については、現在株主の一人が株式の三〇%以上を所有しておる場合を五〇%以上と改めようとするものであります。本改正による減収は、租税特別措置法による改正分を加えて約十九億円と見込んでおります。 次に、酒税法の一部を改正する法律案について申し上げます。酒税につきましては、今回の改正は、高級酒類を中心として、清酒特級及び第一級、ビール並びに雑酒特級について、その税率を五分ないし一割程度引上げることとしようとするのであります。これによりますと、酒類のビン抜き小売価格は、清酒特級で一升九百四十五円が千五円、ビール一本百七円が百十円五十銭程度になる見込みであります。本改正による増収は、二十九年度約三十七億円と見込んでおります。 次に、印紙税法の一部を改正する法律案について申し上げます。印紙税につきましては、現行印紙税率は昭和二十三年以来すえ置かれておりますので、その後における一般物価の上昇等を勘案して、定額課税の印紙税の税率を、委任状につきましては二円を五円に、また受取書等につきましては二円を十円にそれぞれ引上げる等、相当程度引上げることとするとともに、小額の受取書等につきましては、免税点を現行千円から三千円に引上げて、実情に合せようとするものであります。本改正による増収は約五十四億円と見込んでおります。 次に、砂糖消費税法の一部を改正する法律案について申し上げます。砂糖消費税につきましては、最近における砂糖の消費状況等にかんがみまして、たる入り黒糖及びたる入り白下糖を除いて、分蜜白糖に対する税率を、百斤について現行の二千三百五十円を二千八百円に引上げる程度の増徴を行わんとするものであります。これによる増収は、昭和二十九年度は約五十七億円と見込んでおります。 次に、揮発油税法の一部を改正する法律案について申し上げます。揮発油税については、揮発油の消費の状況及びその税負担の程度等を考慮して、その税率を一キロリットルについて現行の一万一千円から一万三千円に引上げることとしようとするのであります。本改正による増収は約三十一億円と見込んでおります。 次に、米国対日援助物資等処理特別会計法等を廃止する法律案について申し上げます。この法律案は、米国の対日援助物資等の清算事務もほぼ完了して、米国対日援助物資等処理特別会計の設置の目的が達成されましたので、昭和二十八年度限りこの会計を廃止するとともに、この資産及び負債を一般会計に引継ぐ等必要な措置を規定いたそうとするものであります。 次に、製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。この法案は、今次の税制改正に応じて財源の確保をはかるために、両切紙巻タバコのピースの最高価格を四十円から四十五円に改定しようとするものでありまして、これによつて約四十五億円の専売益金の増加を予定しております。 以上の八法律案につきましては、審議の結果、昨二十六日質疑を打切つて討論に入りましたところ、日本社会党を代表して柴田委員は、砂糖消費税法の一部を改正する法律案を除く七法律案について反対の旨を、また同小川委員は、砂糖消費税法の一部を改正する法律案について反対の旨を述べ、さらに日本社会党を代表して春口委員は、右各法律案につきまして反対の旨討論せられました。次いで採決いたしましたところ、いずれも起立多数をもつて原案の通り可決いたしました。 次に、相続税法の一部を改正する法律案について申し上げます。本法律案の内容については、中間資産層に対する負担を軽減するために税率を緩和するとともに、生命保険金及び退職金に対する控除額を現行の三十万円から五十万円に引上げることとし、その他相続財産に含まれる立木について、所得税の負担を考慮して、評価を軽減することといたしておるのであります。本改正による相続税の減収は約三億円と見込んでおります。 次に、骨牌税法の一部を改正する法律案について申し上げますと、骨牌税は、現在麻雀に対しては一率に千五百円となつております。今回これをその素材によつて税率に区分を設けて、象牙製のものは六千円に、牛骨製のものは四千円に、その他のものは二千円に引上げ、その他の骨牌については二割程度の増徴をすることとしようとするのであります。 酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律の一部を改正する法律案について申し上げます。本法律案につきましては、酒類業組合等が実情に即した運営をはかるために、酒類業組合が協定を定めまたは変更しようとする場合、その協定の内容において、当該組合等が直接または間接の構成員となつている連合会または中央会が大蔵大臣の認可を受けて定めている協定の内容の同一であるときには、あらためて大蔵大臣の認可を要せず、届出をもつて足りるとして、その手続を簡素化しておるのであります。次に、物品税法の一部を改正する法律案について申し上げます。物品税につきましては、奢侈的消費の抑制等の見地から、奢侈品、高級品ないし嗜好品に対して増徴をはかるごととし、高級大型乗用車、高級時計、高級電気冷蔵庫等に対して税率を引上げて、テレビジヨン受像機に対しては新たに三〇%の税率で物品税を課することとし、一方ある一定の小型乗用自動車についてはその税率を若干引下げて負担の調整を行い、テレビジヨン受像機についても、その育城の見地から、昭和三十年三月三十一日までの間、十四インチ以下のブラウン管を使用するものは一五%の軽減税率とすることといたしておるのであります。さらに、従来製造課税である高級毛皮製品については、これを小売り課税に改めようとするものであります。本改正による増収は約十億円を見込んでおります。 次に、関税法案について申し上げます。本法律案は、内外の諸情勢の推移に即応して、関税法を近代的な法制の線に沿つた行政法規として、関税法の全部を改正しようとするものであります。そのおもな内容は、関税の賦課及び徴収に関する規定を整備し、並びに税関手続の簡素化及び保税制度の活用等をはかるとともに、最近の貿易実績等にかんがみまして、千葉港、油津港、松山港等七港を追加開港しようというのであります。 次に、国税徴収法の一部を改正する法律案について申し上げます。本法律案の内容は、納税の便宜をはかるために、収税官吏が納税者から歳入の納付に使用のできる証券以外の有価証券の提供を受け、これによる納税の委託を受ける制度を設けることとしておるのであります。 次に、関税定率法の一部を改正する法律案について申し上げます。本法律案は、内外の諸情勢の推移に即応して、関税定率法の規定を整備し、関税の軽減、免除または払いもどしの制度の活用によつて貿易の振興に資する等のため、別表輸入税表を除く全文を改正しようとするものでありまして、無条件免税品を分類整備し、輸出貨物製造用の輸出原料品等についての関税の軽減または免除に関する規定を整備し、輸入された違約品を返送する場合における関税の払いもどし制度を設けるとともに、複関税その他の関税制度についての規定の整備をばかることとし、あわせて児童給食用ミルク等の関税の免税期間を延長して、暫定的に関税率の一部について調整をはかろうとするものであります。 次に、農業共済再保険特別会計の歳入不足を補てんするための一般会計からする繰入金に関する法律案について申し上げます。この法律案は、昨昭和二十八年度におきまして風水害、冷害等が異常に発生したことによりまして、農業共済再保険特別会計の農業勘定に多額の支払い財源の不足が生じ、これを補填するために、とりあえず二十八年度において八十五億の財源措置が講ぜられたのでありますが、なお相当額の不足が予想されますので、二十九年度においてさらに五十五億円を限つて一般会計からこの会計の農業勘定に繰入金をすることができることといたそうとするのであります。 次に、資金運用部特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、郵便貯金特別会計の歳入歳出不足を補填するために、資金運用部特別会計の決算上の剰余金を、一般会計を経由することなく、直接に郵便貯金特別会計に繰入れることができることといたしまして、経理手続の簡素化をはかることといたしておるのであります。 次に、国民金融公庫法の一部を改正する法律案について申上げます。この法案は、国民金融公庫の業務の円滑な遂行をはかるために、資本金を二十億円増加して百九十五億円とするとともに、国民金融審議会の委員に中小企業庁を代表する者を加えようとするものであります。 次に、食糧管理特別会計法の一部を改正する法律案について申し上げます。この法律案は、食糧管理特別会計の運営を円滑にいたしますために、食糧証券借入金及び一時借入金の限度額を二百億円引上げて二千六百億円とするとともに、農産物検査手数料を農産物検査印紙をもつて納付させることに伴い、歳入歳出の規定につきまして所要の改正を加えようとするものであります。 最後に、国税収納金整理資金に関する法律案について申し上げます。この法律案は、現行の租税制度のもとにおきまして、過誤納等により収納した国税のうち、納税者に還付する金額は相当の額に上ることとなつておるのでありますが、現在はこれらの還付されることとなる金額をも国税収入として計上しておるために、実質的な意味における国税収入を表わす上におきましても合理性を欠くのみならず、これらの過誤納等による還付金を歳出予算から支出いたしますことは、財政会計制度の面からも諸制約を受けることとなります結果、ときとしてその還付事務の処理に円滑を欠き、ひいては納税思想に悪影響を及ぼすおそれもありますので、今回国税収納金整理資金を設置いたしまして、国税収納金等はこれを本資金に受入れ、過誤納等による還付金は本資金からただちにこれを支払うことができるようにして、当該還付金相当額を差引いた国税収納金等の額を歳入に組み入れることといたそうとするものであります。 以上の十二法律案につきましては、審議の結果、昨二十六日質疑を打切り、まず骨牌税法の一部を改正する法律案、物品税法の一部を改正する法律案、国税収納金整理資金に関する法律案の三法律案を除く九法律案につきましては、討論を省略してただちに採決いたしましたところ、いずれも起立総員をもつて原案の通り可決いたしました。 次に、骨牌税法の一部を改正する法律案、物品税法の一部を改正する法律案、国税収納金整理資金に関する法律案の三法律案に関しましては、それぞれ各派共同の修正案が提出されました。物品税に関しましては、改進党の内藤委員より、PX用品の横流し防止、高級時計、オルゴール、家庭用テレビジヨン及びジュースについて、課税のとりやめまたは税率を引下げようとする旨の修正案が提出せられ、次に骨牌税法の一部を改正する法律案につきましては、自由党の大平委員から、象牙製以外の牛骨製その他の麻雀の税率を若干引下げようとする旨の修正案が提出され、また国税収納金整理資金に関する法律案につきましては、同じく自由党の大平委員から、国税徴収法の改正に伴い、関税法第十三条中の字句の一部について簡単に訂正を行おうとする旨の修正案が提出いたされました。次いで、右の三法律案についておのおの討論を省略してただちに採決いたしましたところ、修正案並びに修正部分を除く原案はいずれも起立総員をもつて可決され、よつて右三法律案は修正議決をされたのであります。 以上をもつて御報告を終ります。(拍手)
○議長(堤康次郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。柴田義男君。 〔柴田義男君登壇〕
○柴田義男君 私は、日本社会党を代表いたしまして、本日議題となつております所得税法の一部を改正する法律案外七法律案に対しまして反対の立場を表明するものであります。(拍手) まず第一に、所得税法の一部を改正する法律案につきまして検討いたしましたところ、第十一条の七の改正につきましては、扶養親族一人当り控除額は、現今三万五千円を四万円、二人でございまする場合は五万五千円を六万円と、多少の改正を行つておりますけれども、一般勤労大衆に対する軽減はさらに考慮を払つておりません。今日の諸物価の状況を判断いたしますると、戦前の物価が一と仮定いたしますれば、今日の物価が三七〇でございます。しかるに、戦前は年収一千円で所得税はかかつておらなかつたのであります。戦前の一千円が、今日の価格に評価いたしますと三十七万円でございます。それが、今日の所得税法では、所得額が年収二万円で百分の二十の課税が行われております。戦前物価からすれば、あまりにも大衆の負担が過重であるということは明らかであります。わが党は、今日の物価状況を考慮し、あるいは経済状態を考慮いたしまして、一挙に三十七万円までの収入に対して免税を主張するものではありません。しかしながら、少くも年収が二十四万円までの免税があつてしかるべきであるということを主張するものであります。(拍手)また一面、給与所得におきまする源泉徴収におきましても、所得税法の第三十七条以下四十三条に至る条文も全面的に反対するものであります。その他、政府においては税に対する根本方針をいかなるように考えておられるか、まつたくわれわれは了解に苦しむものであります。資本家擁護に偏して、大衆課税に重点を置いておることは明らかでございます。われわれは、かかる観点から、断固反対せざるを得ません。 次に、法人税の一部を改正する法律案に対しましても反対いたします。政府及び自由党は、資本の蓄積を唱え、あるいは健全経済を指導方針とするがごとく国民を欺瞞しておりますが、中小弱小法人にこれをしわ寄せしておりますことは事実であります。たとえば造船会社であるとか、砂糖の製造会社であるとか、大貿易会社等の大会社の税金の軽減をはかることには汲々としておりますけれども、最も公益性の強い出版物発行の事業会社などには何らの考慮も払つておりません。出版物発行事業は、新聞発行事業と同じく、日本文化の向上をはかり、民主化の土台をつくる、あるいはまた知識の普及、さらに教育にも芸術にも貢献するところが大きいのでありまして、公益性を持つものであることは事実であります。だから、従来久しきにわたつて、各種の面におきまして特別の保護制度が行われて来たのであります。たとえば、鉄道運賃においては国有鉄道旅客及び荷物運送規則第二百七条及び二百八条、郵便法第二十三条の例のごとく保護を受けておりまするにもかかわらず、法人税のみが何らの措置をも考えざるは、まつたく片手落ちと言わざるを得ません。少くとも法人税法第五条第一項各号及び第九条六項に掲げる法人と同率とせなければならぬと存ずるものであります。国民文化の普及向上にその一翼をになつて努力しつつある出版業育成のためにも考慮を払つて行かなければならないと、深く政府に要請するものであります。従つて、法人税法一部改正案に反対するものであります。 第三の酒税法の一部を改正する法律案、第四の印紙税法の一部を改正する法律案、第五の砂糖消費税法の一部を改正する法律案、右三議案に対しても絶対反対するものであります。 以下、反対の理由を申し述べます。 このたびの酒に関する改正点は、特級、一級とビールの税率引上げで、大衆に影響がないと言つておりますけれども、今日労働者もサラリーマンも、一日の労苦から解放されて、家庭で奥さんと一本のビールも飲めるような社会でなければなりません。(拍手)また、特級、一級酒の税率引上げは、やがては二級酒、合成酒の税率引上げの伏線であると見なければなりません。この税法改正において三十七億六千九百余万円を増税せんとするが。ごときは、断じて了承しがたき問題でございます。 印紙税またしかりであります。印紙税によつて五十五億の増収を見込んでおりますが、これも同じく大衆の負担に帰するのであります。砂糖消費税に至つては、ますます大衆課税も露骨と言わなければなりません。申すまでもありませんが、一般家庭の消費量と少数ブルジヨア家庭の消費量を比較するならば、三つ子もわかることでありまして、一般大衆の負担がいかに莫大であるかは想像するにかたくありません。その反面、政府の擁護しておりますところの製糖会社の今日の実情を例示いたしますと、たとえば芝浦製糖株式会社は、資本金三億円で、一期の利益が八千四百万円であります。これは半年の利益であります。日新製糖が一億の資本金で七千万円、東洋精糖は二億五千万円の資本金で九千万円、名古屋精糖が六億の資本金で一億三千八百万円、以下全部でいわゆる十八社の近々一箇年間の利潤の総額は四十五億二千五十四万円であり、この莫大な利益をむさぼつているのであります。こういたしまして、十八の会社の利潤の総額四十五億円をはるかに突破する五十七億円を、今度の砂糖消費税の値上りによりまして一般大衆が奪い去られるのであります。この一つの例を見ましても、いかに政府当局は大資本、大産業資本家を擁護するような片寄つた政策をとつておるかということが露骨に現われておるのであります。 第六に揮発油税法の一部を改正する法律案でありまするが、政府は、昨年来デフレ政策を強行せんといたしまして、金融面におきましても、オーバー・ローン解消を声高々と唱えて参りました。あるいはまた、この実態を究明いたしますために、十一大銀行の預金と貸出しのバランスの状況を見ますれば、昨年末の十一大銀行の預金と貸出しの状況は、預金の総額一兆二千八百五十四億円に対しまして一兆四千三百七十七億の貸付を行つております。このオーバー・ローン千五百二十三億円という状況で、金融引締めにおきましても、地方銀行、弱小金融機関に対するしわ寄せ以外の何ものもございません。これによつて、中小企業者の行き詰まりは、まつたくそのどん底に陥つておるのであります。こういうさ中に重ねてガソリン税を高くいたしまするならば——この政府の計画は、一キロリツター当りにつきまして現今の一万一千円から一万三千円の税金にはね上らせようとしておるのでありますが、一キロリツターにつきまして二千円の増税によつて、一体産業に及ぼす影響はないと考えておるでありましようか。国民大衆に耐乏生活を強要しながら、一面、物価は次から次へと上昇をたどつております。ガソリンの税金を高くすることによりまして、トラツク運賃の値上りはもちろんでありましようし、バス、タクシーの値上りまた必至でありましよう。生産コストに反映することによつてインフレーシヨンは必至であります。政府の、かかる矛盾した政策に対しましては、断固反対せざるを得ません。(拍手) 第七の米国対日援助物資等処理特別会計法等を廃止する法律案につきましても反対するものであります。理由といたしましては、第十六国会以来問題となりました対米債権の四千七百五万ドルの詳細な内訳はまだ判然といたしておりません。あるいはまたガリオア、イロアの問題は、これまた全然政府にその資料が整つておらぬのであります。こういう不明朗なる状態の特別会計を、いまさら何を好んで一般会計に組み入れる必要があるでありましようか。不明朗なる特別会計を一般会計に組み入れることの危険をわれわれは存じておりますので、断固反対をするものであります。 最後に、第八議案の製造たばこの定価の決定又は改定に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、酒税法改正、砂穂消費税改正、揮発油税改正等々と同じ見地から、インフレ防止の建前をも考慮いたしまして、国民生活の大きな影響を考え、反対するものであります。今回はピース一種類の五円の値上げをするのでありますが、専売益金の今日の状況から判断いたしまして、重ね三十三億余円を国民に負担せしめねばならない理由はどこにも存在いたしません。大衆生活を守る上からも強く反対を表明いたしまして、私の討論を終ります。(拍手)
○議長(堤康次郎君) 坊秀男君。 〔坊秀男君登壇〕
○坊秀男君 私は、自由党を代表して、ただいま議題となつておりまする所得税法の一部を改正する法律案ほか租税関係者案に対し、委員長報告通り賛成の意を表明せんとするものであります。以下、簡単にその理由について申し述べます。 およそ国家財政におきまして、歳出の面を別といたしますならば、税金は安ければ安いほど善政と言うべきであります。この意味におきまして、わが党内閣は、昭和二十五年度以来、あらゆる苦心と研究をもつて、連年にわたつて国民租税負担の軽減を実行して参つたのであります。この善政の結果、国民の消費生活は著しく向上して来たことは、諸君とともに八千万国民のひとしくこれを認めるところであります。(拍手)しかしながら、今日におきましてもなお租税負担が国民生活に対しまして相当重圧を加えておりますることは、私どもはこれを否定しようとするものではありません。かかるがゆえに、わが党といたしましては、来年度においてもでき得る限りの租税負担の軽減を実現すべく鋭意努力して参つたのであります。しかるに、他面現下わが国経済の実情を顧みまするならば、単に局部的に租税政策のみに執着して他を顧みないというわけには参らないのであります。およそ国家の政策は重点的に考究、樹立せられるとともに、万般の施策は相関連せる関係において調整が保たれましたる総合的体系をなさなければならないからであります。すなわち、現下わが国における財政経済の課題は、いかにして効率的な緊縮予算を組み、いかにして健全財政を堅持するかということでありまして、具体的に申し述べますれば、インフレを抑圧し、物価の引下げをはかり、国際競争力を強化することを基本目標として政策を樹立することであります。さきに、改進党、日本自由党のきわめて理解ある協力のもとに、明年度一兆予算を本院で通過せしめたゆえんのものは、実にこの趣旨実現の意図に出たのでございます。 以上の見地に立つて財政を処理せんとするならば、何ら総合的、体系的配慮をしない思いつきの施策は軽々には行えないのであります。ただ大向う受けのみを当て込んだ断片的な減税理論のごときものに対しては、遺憾ながら私どもは賛成するわけには行かないのであります。何となれば、それ自体調整を欠ぐがごとき租税体系は、税制としての機能を失うのみならず、国家歳入の減少を来し、いたずらに国民の消費意欲を刺激する作用を助長するからであります。歳入歳出の均衡を無視して、財源の措置に思い及ばず、一方的にただ減税を叫ぶごときことは、たての両面をあえて見ようとしない、無責任きわまる欺瞞と言うべきであります。(拍手)責任ある政府、良心ある政治家のとらざるところであります。諸君が何とかの一つ覚えのごとく繰返して排撃する大衆課税中の大衆課税は、かかる無責任なる財政政策によつて必然的に惹起せらるるインフレに伴う租税の必然的増大であるということを、社会党の諸君は十分理解すべきであります。(拍手) さて、このたびの税制改正各案は、以上申し上げました通り、租税負担軽減の要請と現下のわが国経済実情との交叉する点に打立てられた、きわめて妥当にして、それ自体均衡を保つた、最も機宜に適したる施策であることを認めねばなりません。すなわち、租税各案を通観してみまするに、一兆予算における歳入歳出の均衡を重視し、租税収入の総額を減少せしめない範囲内において、負担の調整、資本蓄積の促進、輸出振興並びに奢侈的消費の抑制等をはかるため、低額所得者に対する所得税の軽減、貯蓄奨励及び企業資本充実等のための所得税、法人税及び再評価税等の軽減、並びに奢侈的消費を中心とする間接税の増徴等を行おうとするものでありまして、きわめて時宜に適したものと信ずるのであります。 次に、今回の改正案については、中小所得者ないし中小企業者の負担軽減が軽視されて、大所得者ないし大企業に対する優遇に過ぎるのではないかということが社会党の諸君から言われております。(「その通り」ただいまその通りとの言葉がありますが、これはまつたく当らざるもはなはだしいものであります。(拍手)以下、その理由を申し述べます。 もとより、税制については、資本蓄積の面を考慮するとともに、国民生活の安定ないし負担の適正をはかることが必要であることは申すまでもありません。今回の改正案におきましても、直接税の減税額約三百二十一億円のうち、所得税における基礎控除及び扶養控除の引上げによる減税額は約二百五十億円に達しているのでありまして、これが主として低額所得者ないし中小企業者の負担を軽減するものであることは、諸君御承知の通りであります。また地方税におきましても、事業税について基礎控除の引上げ及び税率の引下げによりまして、主として中小企業者の負担が軽減されることになつております。困難なる政治的、財政的の制約のもとにおける、あたたかき親心と言わねばなりません。 これに対して、資本蓄積促進のための軽減は、所得または事業の規模が比較的大きい場合についてその影響が比較的大きいことは、一般的に否定することができないでありましようが、中小企業者等に対しても同様に適用のあるものであり、一方、たとえば今回行おうとしている交際費の損金算入の制限は、資本金額五百万以上の法人に限つて適用することとしていることに貝られるように、規模の大なるものに対して資本蓄積のための努力を要請することとしておるのであります。今や全国民がおのおのその能力と職分に応じて経済再建に向うべく要請せられているということは、この際当然の理と負るべきであります。 さらに、国民生活の面では、現在の消費水準が全体的に見ておおむね戦前の状態に回復しつつあるのに対しまして、資本蓄積ないし企業資本の面では、いまだその回復が著しく遅れている現状においては、この際資本蓄積を促進し、企業資本を充実して、企業経営の基礎を強化し、資本の食いつぶしを防止し、企業の合理化に努め、国際競争力を強化することが絶対に必要でありまして、これらがやがてまた国民生活の安定に大きく寄与するものであることは、諸君の御承知の通りであります。今回の税制改正は、このような点から考えて、特に必要と認められる事項について、ただいま議題となつている各法案と一体として考えらるべき一連の措置についても、たとえば長期貯蓄の利子に対する課税の軽減、生命保険料の控除額の引上げ、増資の場合の配当に対する法人税の軽減、資産再評価を一定限度以上行つた場合の再評価税の減免等、納税者の努力に応じて重点的に軽減を行おうとすることを別途に提案しているのでありまして、漫然と大企業ないし大所得者を優遇するものでは断じてないのであります。(拍手) 次に、今回の改正案は、直接税において約三百二十一億円の減税を行うとともに、間接税において、タバコ専売益金の増徴を含めて、ほぼ同額の増徴を行うこととなつておりますが、この間接税の増徴によつて大衆の負担が増加して、いわゆる大衆課税となるというがごときことは、思わざるもはなはだしき説であります。まず、わが国の負担の現状その他の情勢から見ますと、アメリカのように直接税の比率の大なることを求めるのは困難でありまして、戦前に比して直接税の比率が大きくなつている現状は、これを是正することが適当であると考えられるのであります。過去数年間にわたる税制改正におきましても、直接税の比率を漸次低減する方向がとられて来たのでありまして、今回の改正はこの意味においても妥当なものであると考えるのであります。 さらに、占領政策の一環とも見らるべきシヤウプ税制より脱して、わが国情に即した租税制度への復元としての積極的意図に基く重大意義を認めないわけには参らないのであります。(拍手)しかも、今回の改正案における間接税の増徴は、高級酒類に対する酒税及び奢侈品に対する物品税の増徴、高級タバコの値上げ並びに印紙税の増徴等がその中心でありますが、これらはいずれも大衆の負担を増すものではないのであります。また砂糖消費税につきましては、特にたる入り黒糖の税率はすえ置かれておりますし、分蜜白糖の税率は約二〇%の引上げとなつておりますが、これによる小売価格への影響は約四ないし五%にとどまると見られうとともに、その大部分が菓子その他の嗜好品用に供せられている現状から見まするならば、消費抑制あるいは輸入抑制等の見地から考えましても、この際この程度の増徴は当然の措置として認められるのであります。近来の砂糖の値上りの原因を社会党の諸君は租税増徴に帰せんとしておりますが、輸入制限等による思惑買い等を忘れて、これはあたかも、しかを見て山を見ない、いわゆる近視眼的の独断とも言うべきものであります。まつたくねらいをはずした妄断と言わざるを得ません。さらに揮発油税の増徴は約二〇%弱となつておりますが、これは直接大衆の負担には影響がないわけでありまして、揮発油を最も多く消費する自動車による道路の損傷の現状、ひいてはこれに伴う中央、地方の道路費用増大の点を考えますならば、これらの費用をまかなうために受益者負担の意味において揮発油税の増徴を行うことは、これまたやむを得ないところと考えられるのであります。 今回の間接税の改正は、以上申し述べましたように、大衆負担との関係において十分の配慮が払われていると申すべきで、従つて、それが一般物価に対して悪影響を及ぼすこともないと信ずるのであります。かくのごとき奢侈的消費の抑制の作用をなす一連の間接税を否認する態度に出ている日本社会党の諸君の心理は、私どもの了解に苦しむところであります。わが党は、あえて奢侈的物資を消費せんとするゆたかなる階層の肩がわりによつて少額所得階級の租税負担の軽減をはからんとし、口に勤労大衆の利益を代表すると唱えている両派社会党が、奢侈的消費をあえてせんとする階層に対する増税に対して反対しているのであります。(拍手)諸君、この事実を何と見られるか。私は多くは申しません。八千万国民の活眼はやおそらくこの事実を見のがさないでありましよう。 以上申し述べたことく、今回の税制改正各案の趣旨及び内容がまことに妥当適切なるものであることは、この上多言を要しないところでありますが、さらに課税の適正、簡素化の見地から諸般の措置がとられましたことは、まことにかゆいところに手の届く税制改正と申すべきであります。(拍手) なお、この機会に将来への希望を一言申し述べますならば、今回の改正後においても、所得税その他の直接税の負担がかなり重いことは、私どもも否定することができないところでありますことはすでに申し述べましたが、これらの点につきましても、今回の予算及びこの税制改正等によつて打出されましたるわが党財政経済政策の奏功をまちまして、再びわが党の手によつて所得税等の改正が合理的に行われる日の近きことを期待いたしまして、私の討論を終る次第であります。(拍手)
○議長(堤康次郎君) 井上良二君。 〔井上良二君登壇〕
○井上良二君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま一括上程されました所得税法の一部を改正する法律案外七件の税制改正案に対し反対の討論を行わんとするものであります。(拍手) 今回政府が行わんとしておる税制の改正案は、吉田内閣の過去五箇年余にわたる財政政策の失敗によつて国際収支が著しく悪化し、のままでは吉田内閣のよつて立つ資本家陣営の秩序と経済的支配力を維持することが困難となるのみならず、MSAを中心とするアメルカの要請にもこたえることができなくなるので、国際的に二割から三割高いわが国の物価を引下げ、対外競争力を高めて国際収支の均衡をはかることを目的として編成いたしました。いわゆる一兆円の緊縮予算の裏づけとして立案されたものであります。そこで、われわれは、今回の税制改正案がはたして政府が意図する物価引下げに役立つ内容であるかどうか、まずこの点を検討してみる必要があります。(拍手) さて、今回政府が物価引下げのためにとらんとしている政策は、国の財政支出と投融資を削減するとともに、日銀を通して金融の引締めを強力に実施せんとしていることであります。しかしながら、政府のこの意図する財政支出と投融資の削減と金融の引締めは、結果として中小企業を資金難に追い込み、その売手としての立場を故意に弱体化し、一方においては国民大衆の購買力を減退せしめて、それらの犠牲の上に物価の引下げを行わんとするものであつて、これこそ資本家的な大衆収奪政策の露骨な表現であり、決して本質的な物価引下げの政策ではありません。物価を引下げるためには、まず商品の生産コストを直接的に引下げる計画的か総合政策を実行すべきであります。すなわち、商品の原価を構成する金利、公租公課、原料費、燃料費等の材料費、さらに運賃の引下げを行うとともに、生産施設の近代化を推進して産業の生産水準を効率的に高める総合政策を強力に遂行すべきであります。(拍手)従つて、今回の税制改革においても、この商品価格を構成する各部門に大胆に税金を減免する措置が当然講ぜられていなければなりません。しかるに、政府の改正案では、生産コストを引下げるような効果のある改正が何ら行われていないばかりでなく、反対に物価の引上げを招来するがごとき改正案が非常に多いのは、断じて私ども見のがすとができません。(拍手) 本年度の国税及び地方税歳入予算は総額一兆一千億円、国民所得五兆九千八百億円に対して二二%に達し、特に国税においては、国民所得との割合が戦前の八・五%であつたものが一五・四%となつており、いかに現在一般国民に重税が課せられているか、はつきり知ることができるのであります。特に生産コストの大きな負担となつているものは所得税と法人税であり、また生産費中大きな部分を占める人件費、すなわち労賃の安定は、生産コスト引下げの上に見のがすことのできない重要な問題であります。ところが、今日わが国の産業の現状を見ますると、科学と技術を中心とする大規模産業はきわめて少く、その九〇%までが労働者の労働力に依存する中小企業であり、しかもこの中小企業に従事する勤労大衆の大部分は、辛うじてその日その日の労働力を維持する程度の生活収入しか得ておりませんので、このわずかな生活収入の中に非常に大きな重税が食い込んでおる実情であります。 現在わが国の所得納税者は約一千万人に上り、税収は二千七百九十億円と見込まれておるが、その七割は、給料、賞与を合せて年収わずかに三十万円以下という低額所得者であります。戦前の所得税の納税義務者が九十五万人、税収一億一千万円であつたのに比べると、納税人員において約十一倍、税収において実に二千七百四十倍となつており、物価の上昇、貨幣価値の変動を考慮してもなお約八倍の重税が課せられておることになり、(拍手)また戦前には年収千二百円以下は免税となつておりましたが、これを今日の物価の上昇で換算すると、年収三十六万円までは免税となるはずであつて、いかに現在の所得税が低額所得大衆に重税を課しているかがわかると思うのであります。(拍手)しかも、かくのごとき低額所得者への重税は、勤労者の生産意欲を減殺し、賃金闘争をいたずらに激化して、税金を企業に転嫁する結果となり、生産コストを引上げ、企業の合理化を妨げているばかりでなく、わが国の商品の対外競争力を弱体化しておる事実を、私どもは断じて見のがすわけには参りません。(拍手) わが日本社会党が、長い間、月収二万円以下の勤労大衆に対する免税を主張して来たのは、単に勤労大衆のみの立場に立つた利己的な主張にあらずして、広くわが国産業と国民経済全般の問題であつたからであります。(拍手)われわれのこの主張は、われわれと立場を異にする政府みずからが設置した税制調査会においてさえ、所得税の大衆負担の過重は、労働者の生産意欲を減殺し、わが国国民経済の基礎をあぶなくならしめるものであり、さらにまた、低額所得者への減税が勤労意欲を高め、国民生活のための緊要事であるとして、同調査会は、われわれの主張通り、年収二十四万円以下の所得者に対しては免税すべきことを妥当とする旨の答申を政府に行つているのであります。(拍手) しかるに、政府は、この答申によつて、低額所得者には三百二十一億円の減税を行いながら、一方においては物価と国民生活に相接響く間接税の増徴と新設を行つて、ここに三百二十一億の税を見込んで、所得税による減税分を穴埋めせんとしているではないか。すなわち、昨年二割値上げしたばかりの砂糖消費税を、自由党の議員皆さん方、それぞれ消費者や業者の要求によつて、この値上げは困るとして、請願書をみずから紹介議員となつて本院に提出しておきながら、(拍手)本年再びこの消費税を二割引上げて、三百八十五億余円の消費税を徴収せんとしておるのであります。今日砂糖は粉食を余儀なくされる国民にとつて重要な生活必需品であるのに、わずか十数社の製糖会社に年間百億円に近い高利潤を得さしめているという、砂糖行政の不手ぎわは一向に反省せず、さらに糖価値上げの口実を与える砂糖消費税の引上げに、私どもは断固として反対せざるを得ません。(拍手)また酒、ビール、タバコの値上げ、ガソリン税、自動車税の増徴、さらに新たに設けられようとしている入場税及び繊維品の消費税、これらの各税に至つては、政府がいかに弁明しようとも、また与党がこれをいかに裏書しようとも、明らかに大衆増税の本質を持つものであつて、物価の値上げを招来することは必至であります。(拍手) 政府は、今回の税制改正において二百数十億円の所得税を減税したと宣伝しておりますが、納税者一人当りの減税額はきわめて少額にすぎず、しか古その減税分は、先ほど申します通り、間接税の増徴で穴埋めしておきながら、一方においては、わずかに全国教百の巨大な資本の法人と、側近麻生炭鉱を中心とする少数の炭鉱業者に対しては、金利、配当、増資に関する減税の特例、各種積立金制度の拡充、設備輸出所得の減税、炭鉱の鉱床設備、探鉱費用等への免税など、特別に手厚い法的措置を講じて、今日まで五百億円以上の減税を行いながら、今日さらに約五十億円の傾斜減税を行つているのであります。ざらにその上、資本金下百万円以上の大会社が使う年間一千億円に近い交際費に対しては、当然課税すべきであるにかかわらず、その八五%までを損金に落させて、公然と照税を行わしめているのであります。あれほど国民から指弾され攻撃されて来た財政界、官界につながる汚職、疑獄の巣窟たる待合宴会の交際費用を平気で公認するがごとき、あきれ果てた御制改正案を提出しておいて、国民に耐乏生活を求める資格が、一体政府のどこにあると思うか。(拍手) 全国の働く多くの国民は、日本の経済を立て直し、将来の日本を住みよいゆたかな国にするために、日々の生活さえ困難の中に、じつと歯を食いしばつて重税を耐え忍んで来たのであります。しかるに、この国民の血税を、あるものは毎夜のごとく紅燈のちまたで濫費し、またこの血税が国の補助金として支出されるや、一部の政党と地方ボスの食いものとなり、またさらに非生産的な防衛関係費はアメリカの注文通り年々増加計上されるのに、戦後八年を経たわが国の状態はどうでありましよう。科学技術は一向に振興せず、生産施設の近代化ははかどらず、依然として住宅難、就職難が続き、さらに資金難、入学難は少しも解消せず、反対に、失業者と生活保護者、麻薬患者と汚職、疑獄の犯罪人が年々増加しておる実情であります。(拍手)国民の中には、このような政治を行つてもらうために納税したのでないという声がちまたに巻き起りつつあるが、特に、最近政界、財界に汚職が拡大するや、国民の中に、この汚職事件が解決するまで納税を見合わさんとするが、ごとき運動が行われていることを、一体政府及び与党は何と考えるか。(拍手)この運動は、たとい一部の動きであつても、このような考え方を起させるに至つた政府の責任はきわめて重大であります。(拍手) さらに、今回の税制改正において注目すべきは、新たに国税として徴収せんとした奢侈繊維品税と入場税の二法案が、自由党内の反対と他党との党略のための取引に利用されておることであります。三百数十億の減税の穴埋めとして新たに増徴する三百二十一億円のうち、その七割に当る二百三十七億の税収を見込むこの両法案は、参議院における予算成立を待つて、奢侈繊維品税は審議未了に、入場税は大修正を加えて通過させんとしておるのであります。このことによつて、さきに自由、改進両党が本院で修正可決しました予算案をさらに修正せねばならぬ結果となることはきわめて明白であるにかかわらず、これをほおかむりして、参議院の予算通過をはかり、そのあとから両法案を修正や審議未了に追い込まんとするがごときは、国会と国民を欺き、かつ政府の無能と与党自由党の党内醜状を天下にさらすものであつて、われわれ両派社会党は断じて許すことができません。(拍手) 政府が、国民を欺き、さらに国税徴収上重大な支障を来しつつある今回の汚職事件について何ら責任を負おうとせず、依然として大衆には重税を課し、中小企業には、資金難から倒産に追い込みながら、四二%という高率法人課税を強行し、一方では資本蓄積と輸出振興の美名に隠れて金融資本の独占的支配をますます強化しつつ、奥集権的国家権力の確立を意図して提出した今回の税制改正案は、わが国が当面する物価の引下げ、国際収支の均衡化という至上命題とまつたく相反するものであり、日本の民主化と逆行するものであつて、われわれはこの点特に注目をしなければなりません。われわれは、国際収支の均衡化と日本財政健全化のために、財政規模を極力圧縮して国民経済との均衡を得せしめ、勤労国民、わけても年収三十万円未満の低額所得者の負担を免除し、その生活の安定を通じて勤労大衆の生産意欲の増大をはかることが何よりも緊要であることを強く主張し、この所得税法案外七件の改正案に対し絶対反対することを明らかにするとともに、米国対日援助物資等処理特別会計法等を廃止する法律案に対してもここに反対の意思を表明して、私の討論を終ります。(拍手)
○議長(堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。 まず日程第一ないし第八の八案を一括して採決いたします。入案の委員長の報告はいずれも可決であります。入案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて入案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手) 次に、旨程第九ないし第二十の十二案を一括して採決いたします。十二案中、日程第十、第十二及び第二十の三案の委員長の報告は修正でありまして、その他の九案の委員長の報告は可決であります。十二案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて十二案は委員長報告の通り決しました。 ————◇—————
○議長(堤康次郎君) 日程第二十一、刑法の一部を改正する法律案、日程第二十二、執行猶予者保護観察法案、日程第二十三、裁判所職員定員法等の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題といたします。委員長の報告を求めます。法務委員長小林かなえ君。 〔小林かなえ君登壇〕
○小林かなえ君 刑法の一部を改正する法律案及び執行猶予者保護観察法案並びに裁判所職員定員法等の一部を改正する法律案について、委員会における審議の経過並びに結果を一括して御報告申し上げます。 右三案のうち前二法案は互いに関連がありますから、まずこれら二法案から申し上げます。 刑法の一部を改正する法律案の第一点は、初度目の執行猶予者をも保護観察に付し得ることを根幹とし、執行猶予者の完全な社会復帰をはかり、刑政の目的を達成せんがため、刑法の執行猶予に関する諸規定を改正しようとするものであります。第二点は、日本の航空機が国外航空を開始することになりましたので、これに伴い国外にある日本の航空機内の犯罪についても、国外にある日本の船舶内の犯罪と同様に処罰できるようにしようとするもので、刑法第一条第二項及びこれに伴い刑事訴訟法第二条を改正するものでございます。 第一点の執行猶予に関しましては、一、刑法第二十五条ノ二を改正し、これまで初度目の執行猶予者には保護観察を付することができなかつたのを今回できることとし、保護観察は仮出獄の例にならい行政官庁の処分をもつて仮に解除ができることとし、この仮解除期間中の行為に対しましては、再度の執行猶予を付することができ、また遵守事項違反による執行猶予の取消しができないこととし、二、刑法第二十五条第二項但書を改正し、本案第二十五条ノ二第一項の規定により保護観察に付せられた者はさらに執行猶予の恩典を受けることができないこととし、三、刑法第二十五条ノ二の改正の線に沿つて刑法第二十六条ノ二第二号を改正しようとするものであります。 次に、執行猶予者保護観察法案について申し上げます。本案は、執行猶予者に対する保護観察の適正を期するためには、一たび刑の執行を受けた者、すなわち前科者に対する保護観察とは全然その取扱いを区別する必要がありますので、独立の単行法を制定せんとするものであります。すなわち、執行猶予者の保護観察は、保護観察所が本人に本来自助の責任があることを認めてこれを補導援助するとともに、かつて刑の執行を受けたことのない、すなわちいわゆる前科者でないところの執行猶予者にふさわしい遵守事項を定め、これを遵守するよう指導監督するという方法によつて行い、また、たとい裁判確定前でありましても、本人の申立てがあれば環境状態の調整をはかることができるものとし、また地方更生保護委員会が行う保護観察の仮解除及びその取消しの制度を設け、さらに、遵守事項違反を理由とする執行猶予の取消しについて必要な呼出し、引致、留置及び検察官への申出等の手続を規定しようとするものでございます。 委員会における両案に対する質疑の詳細は速記録に譲りますが、おもなるものの一、二を申し上げますと、第一に、初度目の執行猶予者に対する保護観察の真のねらいはどこにあるかとの質疑に対しまして、政府より、執行猶予者の再犯の防止が目的であつて、執行猶予者のうち不必要な者にまで保護観察を付そうとするものではないとの答弁があり、第二に、保護観察の法律的性質、特にそれが刑の一種であるかいなか、及び不利益変更禁止の適用における関係はどうなるかとの質疑に対しまして、政府から、執行猶予が刑の一種ではないと同様に、保護観察は、刑でなく、本人保護のためのものであるが、その手段方法として本人の自由を制限する一面を持つておる、従つて執行猶予につき判決に対し被告人の控訴があつた場合は、あらためて保護観察に付することはできないとの答弁があり、第三に、保護観察の実効を収めるためには本人の行状に即応した適宜の措置が必要であるが、犯罪者予防更生法の保護観察の場合と対比し実施上の困難性も予想せられるが、政府はいかなる手段方法をもつてこれに対処せんとするかとの質疑に対し、この仕事に対する当事者の責任の重大性を痛感し、肝に銘じて今後保護観察官並びに保護司の選考、訓練、研修等に万全を期し、本案の実効をあげる上に最善の努力をしたい旨の答弁がありました。 かくて、委員会は、討論省略、全会一致をもつて政府原案の通り両案を可決した次第であります。 最後に、裁判所職員定員法等の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。 本改正法案の要点の第一は、さきに奄美群島に設けられた裁判所の職員の定員を今回裁判所職員定員法中に組み入れることといたした点でありまして、第二は、今次の各行政機関における職員の定員の縮減に応じ、裁判官以外の裁判所の職員についても、苛法行政事務の簡素化等により三百九十三人だけ減少し、また裁判所事務官の中から命ぜられることになつている検察審査会事務官の員数を三十人減少することとした点であります。 委員会における質疑のおもなるものは、奄美群島の復帰に伴い、裁判所の事務引継ぎの実施に際し不自由を来さなかつたかとの質問がありました。これに対して、政府より、復帰当時在職しておつた職員の大多数を採用、善処したので、事務引継ぎに円滑を欠くようなことはなかつた旨の答弁がありました。次に、附則第三項の、その意に反して臨時待命を命ずるつもりであるかとの質問に対し、政府及び裁判所より、現状においては配置転換や欠員補充等の操作によりその意に反する待命を実施しなくとも済むと思うとの答弁がありました。 かくて、三月二十五日質疑を終了、次いで社会党左右両派より本案に対する修正案が提出されました。その内容は、附則第三項中、職員にその意に反して臨時待命を命ずる、この一句を削除することであります。理由としては、裁判所職員についてはこの方法による減員の必要がないこと、また不当に不安の念を与えるというにありました。 かくて、討論省略の上採決いたしましたところ、社会党両派の修正案は否決され、本案は多数をもつて政府原案通り可決された次第であります。 以上御報告申し上げます。(拍手)
○議長(堤康次郎君) まず、日程第二十一及び第二十二の両案を一括して採決いたします。両案の委員長の報告はいずれも可決であります。両案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて両案とも委員長報告の通り可決いたしました。(拍手) 次に、日程第二十三につき採決いたします。本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手) ————◇————— 第二十四母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(堤康次郎君) 日程第二十四、母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する沫律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員長小島徹三君。 [小島徹三君登壇〕
○小島徹三君 ただいま議題となりました母子福祉資金の貸付等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、厚生委員会における審査の経過並びに結果の大要を御報告申し上げます。 母子福祉資金の貸付等に関する法律は第十五回国会において制定せられ、都道府県が母子家庭に対して生業資金その他の資金を貸し付けることにより広く母子世帯に光明を与えて参つたのでありますが、母子家庭における子女よりも概して社会的、経済的条件において劣る状況にある父母のない児童に対しましても新たに修学資金及び修業資金の貸付を行い、よつてその独立自活の促進をはかる等の改正をいたそうとするのが、政府の本法案提出の理由であります。 本法案のおもなる点を申し上げますれば、第一は、父母のない児童の不利な条件を除去または緩和するために、父母のない児童に対しても修学資金または修業資金を貸し付け、将来独立して自活することのできる能力を得る機会を与えようとするものであります。第二は、特別会計の歳出に、貸付に関する事務に要する費用を加え、その限度を規制することといたしたことであります。母子福祉資金の貸付業務は都道府県の事務として実施されているのでありますが、地方財政の逼迫している現在・都道府県が事務費の必要額を十分に確保することが困難であるので、一般会計から、繰入金のほか、償還金の利子、違約金等を財源として支出することができるようにいたしたわけであります。 本法案は、三月十二日本委員会に付託せられ、同十五日政府より提案理由の説明を聴取した後、数回にわたる審査が行われたのでありますが、二十五日質疑を終了、昨日の委員会において、自由党の青柳委員より、従来配偶者のない女子にのみ貸し付けられていた支度資金を、その扶養している児童または父母のない児童の就職の際にも貸し付けることに関する各党共同修正案が提案せられたのであります。 次いで、修正案並びに修正部分を除く原案を一括して討論に入りましたところ、改進党を代表して山下委員、日本社会党を代表して萩元委員、日本社会党を代表して杉山委員より、それぞれ賛成の意見が述べられたのであります。 次いで採決に入りましたところ、修正案並びに修正部分を除く原案は全員一致をもつて可決すべきものと議決した次第でございます。 右御報告申し上げます。
○議長(堤康次郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り決しました。(拍手) ————◇—————
○議長(堤康次郎君) 日程第二十五、中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。通商産業委員長大西禎夫君。 〔大西禎夫君登壇]
○大西禎夫君 ただいま議題となりました中小企業金融公庫法の一部を改正する法律案について、通商産業委員会における審議の経過並びに結果を概略御報告申し上げます。 本改正案の趣旨及び内容について申し上げます。申し上げるまでもなく、わが国経済の自立体制を確立するためには、その基盤をなす中小企業の振興をはかることが必要であります。現行法は、去る第十六回国会におきまして、中小企業者の行う事業の振興に必要な設備資金及び長期運転資金を供給する目的をもつて中小企業金融公庫法が制定公布せられ、昨年九月十一日より業務を開始いたしましたことは、すでに御承知のところであります。爾来今日に至るまで、公庫は機構を整備し、人員を充実し、鋭意その使命達成に努めて参つておるのであります。すなわち、代理店は現在では四百六となつており、その貸出し状況は、本年一月末現在で貸付を決定したものは三千百九十件を数え、その金額は実に七十一億七百万円に達し、昨今においては百億円を突破せんとする状況であります。しかしながら、今後の経済事情を見るに、中小企業金融の困難は容易に解消しがたく、従つて公庫に対する資金需要の増大も予想されますので、その資本金を増加して中小企業者の需要に応ずるとともに、公庫の融資対象の範囲を拡張する等の措置を講じまして、公庫の機能を整備拡充し、もつて中小企業の振興に格段の成果あらしめる必要が生じて参つたのであります。 次に、改正の要点を申しますと、第一に、中小企業金融公庫に対して、昭和二十八年度における政府の一般会計からの出資金百三十億円を、昭和二十九年度においてさらに二十五億円を増額いたしまして、合計百五十五億円といたしたことであります。第二には、中小企業者の定義を拡張し、新たに塩業組合、消費生活協同組合及び連合会を加えたことであります。第三といたしましては、中小企業金融公庫にかかる登録税を非課税とするように改正したことであります。 本改正案は二月二十六日当通商産業委員会に付託となり、二月十九日政府委員より提案理由を聴取し、本月十九日質疑に入り、二十三日、二十六日、三日間にわたり熱心な質疑が政府委員との間に行われたのであります。その質疑のおもなる点を申し上げますと、改進党山手滿男君より、公庫の貸出し方式において、現在行つておる甲方式のほか乙方式を即時併用すること、公庫貸出し業種対象を政令で規定しておるが、これを拡張するようにしてはどうか、たとえばクリーニング業及び理容業は当然融資対象に入ると思うがどうか等の質問に対しまして、政府委員より、趣旨の点は妥当なるものと認めておりますので善処することといたしたい旨の答弁があつたのであります。なお、詳細については会議録を御参照願うことといたします。 引続き、三月二十六日質疑を終了、討論を省略し採決いたしましたところ、全会一致をもつて可決した次第であります。 右簡単でありまするが御報告申し上げます。(拍手)
○議長(堤康次郎君) 採決いたします。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り可決いたしました。 ————◇—————
○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、内閣提出、戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あサ〕、
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。 戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案を議題といたします。委員長の報告を求めます。厚生委員長小島徹三君。 〔小島徹三君登壇〕
○小島徹三君 ただいま議題となりました戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を改正する法律案につきまして、厚生委員会における審査の経過並びにその結果の大要を御報告申し上げます。 戦傷病者戦没者遺族等援護法は、昭和二十七年四月、第十三回国会において制定以来、今日に至るまで約百九十三万三千件の裁定を了し、これらの戦傷病者、戦没者の遺族等に対し、国家補償の精神に基き援護を行つているのでありまするが、本法において援護法の対象となる遺族は、戦没者が公務上生じた傷病によつて死亡したるものに限られているのであります。しかしながら、多数の戦没者の中には、公務によるものと認定のできないものも少くなく、すでに約一万九千件がこのゆえをもつて却下され、また現在審査中のもの約六万五千件の中にも、同様の理由で却下されると思われるものが相当あることが想定されるのであります。公務に基因しないと認定された場合は、本法、恩給法その他の諸立法において何らの処遇がなされないのでありまして、ひとしく兵役の義務を果すため、軍隊の勤務に服し、かつ厳格なる軍紀のもとにおいて生活行動が規制せられていた等の軍人たる勤務の特殊性を思いますとき、まことに不均衡と申さねばなりません。これが是正方につきましては、本法施行以来、各方面より絶えず強い要望が叫ばれて参つたのであります。また、昨年第十六回国会における恩給法の改正により、いわゆる軍人恩給が復活せられ、旧軍人に対し増加恩給または傷病年金を支給することになつたのでありますが、その支給対象に応じて、本法においても戦傷病者に対する援護の対象を拡大する必要が生じて参つたのであります。よつて、今回これらの措置を講ずるのほか、これに伴う所要の調整を行おうとするのが、政府のこの改正法案提案の理由であります。 次に、本法律案のおもなる内容を申し上げますれば、その第一は、軍人または準軍人が太平洋戦争に関する勤務に関連して負傷しまたは疾病にかかつて死亡した場合においては、従来の弔慰金の支給対象とならない場合であつても、弔慰金を支給することといたしたことであります。なお、軍人が支那事変に関する勤務に関連して受傷、罹病し、これにより昭和十六年十二月八日以後において死亡し、または終戦後、すなわち昭和二十年九月二日以後において死亡が判明した場合においても、同様に弔慰金を支給することといたしたことであります。この弔慰金は、死亡した者一人につき五万円を支給するものでありまして、従来の弔慰金と同様国債で交付するものでありますが、その支給を受ける者の数は約七万五千人と推定せられておるのであります。その第二は、恩給法においては、旧軍人に対し第七項症の増加恩給または旧第一款症から旧第四款症までの傷病年金を支給することになつているのでありますが、旧傷痍軍人に対するこれらの措置に応じ、本法においても、恩給法別表第一号表の三に定める第一款症から第三款症までの不具廃疾の状態にある旧軍属に対しては障害年金を支給する措置をとることといたしておるのであります。但し、これらの款症にある者に障害年金を支給するのは、結核性疾患等におけるごとく症状の不安定な状態にある者に限ることといたし、その他の者、すなわち症状が完全に固定している者に対しては、障害年金を支給しないで、障害一時金を支給することにいたしておるのであります。 本法律案は本月二十二日本委員会に付託せられ、同工十四日厚生大臣より提案理由を聴取した後、数回にわたり恩給法との関係、弔慰金の支給対象、遺族の年金制限等の諸問題についてきわめて執心なる質疑が行われたのでありますが、その詳細は会議録によつて御承知願います。 かくして、本日の委員会において質疑を終了した後、第十六回国会における恩給法改正による打切りがなかつたならば本法による援護を受けられたのであろう軍人の遺族について本法を適用することに関する各派共同修正案が提出せられ、これについて自由党の高橋等委員より説明がありました。 次いで、修正案並びに修正部分を除く原案を一括して討論に付しましたところ、自由党を代表して青柳委員より、戦傷病者、戦没者遺族等に対する国家補償は逐年充実せられているが、なおいまだ改善を要するものが多いから、政府は戦争犠牲者の補償につき引続きその充実と制度の拡充につき善処すべき旨の要望を付して賛成、日本社会党を代表して長谷川委員、また日本社会党を代表して杉山委員よりは、未裁定者に対する裁定手続を迅速にすべき旨の要望を付して賛成の意見が述べられたのであります。 かくて、修正案並びに修正部分を除く原案について採決に入りましたところ、全員一致をもつて可決すべきものと議決いたした次第でございます。 右御報告申し上げます。(拍手)
○議長(堤康次郎君) 採決いたします。本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告の通り決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて本案は委員長報告の通り決しました。 明後二十九日は定刻より本会議を開きます。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時十一分散会