本会議 第22号
- 発言数
- 28 件
- 登壇者
- 8 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/03/20
会議録
○議長(堤康次郎君) これより会議を開きます。 ————◇—————
○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、鈴木茂三郎君外百三十四名提出、大達文部大臣不信任決議案は、提出者の要求通り委員会の審査を省略してこの際これを上程し、その審議を進められんことを望みます。
○議長(堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。 大達文部大臣不信任決議案を議題といたします。提出者の趣旨弁明を許します。勝間田清一君。 〔勝間田清一君登壇〕
○勝間田清一君 私は、日本社会党を代表いたして、ここに両派社会党の共同提案になる大達文部大臣不信任決議案の提案理由を説明いたしたいと存じます。 まず案文の朗読をいたします。 大達文部大臣不信任決議案 本院は、文部大臣大達茂雄君を信任せず。 右決議する。 [拍手〕 敗戦以来八年になる今日におきましてわれわれ日本民族は再び人権と平和の危機に立たされるに至りました。新憲法で決意した民主主義と平和の精神を貫くかどうか、この重大なる関頭に当面をいたしておると考えるものであります。(拍手)われわれ議員は、すべて、今国会においていかなる法案やいか事なる予算が提案されているかを熟知いたしているのでありまするが、二十数パーセントに当る軍事予算を内容とする二十九年度予算、警察権を内閣総理大臣に一手に掌握せんとする、極度に中央集権化されんとする警察法の根本的改正案、海外出兵を阻止することに何らの保障を与えず、新たに再軍備を日本の義務とするMSA関係の諸条約案、七百名のアメリカ軍人顧問団に指導され、直接間接の侵略に対抗せんとする、またそのためにする防衛関係の諸法案、外国から贈与されたる兵器の秘密を守る名目で、十五年の刑を受ける併合罪を内容とする秘密保護法案、さらに教育者から基本的人権と自由とを奪い去ろうとする今回提出の教育関係諸法案等、枚挙するだに今日の日本の運命を重大に左右せざるものは一つとしてない状態であることは、諸賢のよく理解せられるところと考えるのであります。(拍手)まつたく恐るべき反動であります。恐るべき人権と平和に対する危機であります。 大達文部大臣の提案した、教育の中立化を美名として、教育者から、わずかに残されている一片の自由を奪わんとする今日の法案に至つては、まさに言語道断の処置と言わなければなりません。(拍手)これは、単に教育者の権利を収奪する法案にとどまるものではなくて、次の世代をになう児童の中から貴重な自由と平和の精神を奪い去らんとするものであることは明白であります。(拍手)八年前のあの帝国主義戦争に旗を振らせ、遂には特攻隊に動員した精神が、今日ただいま呼び起されんとしていることを、われわれは看過してはならぬと存ずるのであります。(拍手)しかも、これらの諸法案が、かつての軍閥のもとに指導的地位にあつた、シンガポールの司政長官であつた大達茂雄君によつて指導されるということは、さらに重大なこととわれわれは考えなければなりません。(拍手) 教育の中立性は、もとより今日の教育基本法第八条によつて規定されておるのであります。しかも、もし教育者の一部において中立を逸脱する者がありといたしますならば、当然に教育委員会においてこれが処置をなすことが可能でありましよう。しかるに、これを法律をもつて、体刑をもつて臨むという教育行政の今日の貧困なる隠蔽政策、権力をもつて教育に臨まんとする一切の態度に対しては、われわれはこれに賛成することは断じてできません。(拍手)しかも、教育者の政治活動はすでに地方公務員法によつて制限されておることは、われわれの忘れ得ざるところであります。しかして、ようやく教室外において、また地域外において、また家庭人に返つたその時間において、わずかに政治活動の自由が許、されたのは、輿論に抗しがたく、自由党の諸君の良心の一片を示したものであつたことは、われわれの記憶に新たなところであります。(拍手)しかるに、今日における文部大臣は、その良心の一片だに奪い去らんとする政策をここにあえて強行せんとしておるものであります。(拍手)しかも、われわれがここに注目すべきことは、教育者の政治活動が、二つの法案によつて、身分から、団体の活動から、両方から締めつけられつつあるという状態は、見のがしてはならぬ事実でありましよう。しかも、これらの諸問題について、一方の権利を抑圧するために他方の理由をあげて参り、他方の権利を抑圧するために一方の問題を理由づけて工作せんとする政策をとつておるということは、この二法案の性格から明白であります。これをわれわれが例を示すといたしますならば、自由党の諸君が、今日農業協同組合が政治活動をするがゆえに農民の政治活動を禁止するということと同じ性格を持つものであつて、最も不当とされることは明白であります。(拍手)しかしながら、われわれは、ここに考えてみなければならぬことがあろうかと存じます。それは、民主主義の発展の過程において、こうした政策がいかなる事柄をわれわれに及ぼして来るかという問題でります。われわれは、明治憲法制定当時において、自由民権の闘いが強力に続けられたことを記憶いたすのであります。長いわれわれの歴史の中において、自由のために、平和のために、平等のために闘つたこの歴史というものが、長く血にいろどられていることを忘れてはなりません。(拍手)われわれの自由を守り、あるいは権利を守るわれわれ民族の大きな流れは、常に今日まで、権力によつて、あるいは絶対主義者によつてこれが阻止されて参つたという歴史を忘れてはなりません。われわれは、かつての大戦において、もしわれわれの権利が正確に認められ、これが保持され、従つて帝国主義者や絶対主義者に権力を譲らなかつたならば、われわれはあの悲惨なる第二次大戦を防げたであろうことは明白であります。(拍手)少くとも数百万の命を救い、国土を救うことができたと私は確信いたします。ここに第二次大戦に対するわれわれの深く反省せねばならぬところがあろうかと存じます。しかるに、今日、大達文部大臣は、放言とは申しながら、戦争裁判は人食い人種の首祭りであると公言せられました。(発言する者多し、拍手)われわれは、この言葉を、単なる民族主義の言葉として理解することはできません。もとより、われわれは、大戦によつて受けた犠牲者に対して深き同情をもつて臨まなければならぬことは明らかでありましよう。しかしながら、われわれがさらに良心に訴えて考えなければならぬことは、民族を悲劇に陥れたあの第二次大戦の原因はどこにあつたかという、この力強い批判がなければ、こういうことは断じてなし得ないものと存じます。しかも、大達文部大臣は、今日いわゆる戦争犯罪としての経験を持たれて参り、しかも巣鴨におけるあの苦しき経験を理解せられておると私は存じます。今日、われわれは、シベリアから、あるいは巣鴨から解放せねばならぬ重大な段階において政府たる当事者がかかる批判をなすということの不謹慎なる態度に対しては、絶対に排撃しなければならぬと存じまする。(拍手)しかも、それ以上われわれが大切にして行かなければならぬ問題は、この大達文部大臣の教育者としての態度に関する問題であります。われわれ民族は、教育によらなければ、最後に失つたものをとりもどして日本の民族の再建をはかることは絶対にできません。それあるがゆえに、今日文教の最高の責任者たる文部大臣に対して、われわれは深く期待するところがなければ、ならぬと存じます。しかるに、今日までにおける大達文部大臣は、日本の民族のために、真に教育に徹底して民族の発展の基盤をつくり得る文部大臣であるかどうかということは、今日われわれがひとしく批判しなければならぬところでありましよう。(拍手) 今回教育に関する二法案が提案されましたが、それに対する文部大臣の資料はきわめて虚偽に満ちたものでございます。(「その通り」拍手)しかも虚構に満ちたものでございます。私は諸君に対してこれを正しく御紹介しなければならぬと存じます。 たとえば、高知県における須崎高校の校長成瀬孝一郎君は、文部大臣が文部委員会に提出したる資料に対して、こう答えております。本校の校長の弁明でありますが、こうした虚構の事実は何らない、——虚構の事実は何らない、どうしてかかる資料が求められたのかは私も知らない、しかし、われわれの学校においてかかる事態があるというもし文部委員会における証明があるならば、私は、教育の当事者として、これに対する一切の責任をとりたい、と言われております。(拍手)われわれは、このことを考えてみなければなりません。 また、高知県の山田高校の校長は、みずから声明書を出しております。われわれは、左記の点を明らかにして、このことが事実無根であつて、やみ討ちにひとしい——やみ討ちにひとしく、教員をして見えざる恐怖に追い込んで、生徒の純真なる性情を踏みにじるもの——純真なる性情を踏みにじるものであつて、われわれはかかる資料を提案せられたる政府に対して、その出所を問いたい、こう声明を出されております。(拍手)われわれは、今日貴重なる教育の問題を論議せられる際に、かかる特高的な、一部的な資料によつて国会を欺瞞し、みずからの野望を満たさんとする態度に対しては、徹底的に批判しなければならぬと存じます。(拍手)しかも、この際におけるわれわれが注目すべき問題は、これらの諸資料が何がゆえにとられておるかを考えてみなければなりません。すなわち、一つに対しては、軍事基地反対が政治偏向である、一つに対しては、再軍備反対が政治偏向であるというのが、これらの諸資料の一貫せる態度でございましよう。しかし、諸君、われわれは、賢明なる諸君に問うまでもない。今日における義務教育の基礎が新憲法に制定せられたる精神によつて導かれておることを、私は疑うわけには参りません。私がもし今日教育者であるならば、勇敢に平和憲法を守るでありましよう。勇敢に民主主義を守るでありましよう。それが今日における教育者の態度でなければならぬと存じます。(拍手)従つて今日われわれが銘記しなければならぬ事柄は、憲法を守つて教育をする者が正しいのであるか、憲法を偽つて再軍備をする、それを教育せんとする者が偽りであるか、この点は明白にわれわれが反省しなければならぬところでありましよう。(拍手)政治的な立場のいかんを問わず、われわれが今日教育者の立場に立つてこの矛盾をいかに解決して行くか、その中における教育者が、矛盾にいかなる困難を感じておるか、われわれは、それに対する同情なくして今日の教育諸立法を考えることはできません。この教育の根本を誤り、教育の根本を偽り、これを誤れる教育に持つて行こうとするのが、今日における大達文部大臣であることは明白であります。(拍手)われわれは、ここおいてわれわれの教員、われわれの教育者、これらの環境を見ることが必要であるかと存じます。諸君御存じの通り、われわれは、義務教育のわれわれの子弟の環境においては、軍事基地であり、そこには。パンパンがあり、飛行機の爆音があり、一切の教育に対する悪条件が満ちておるでありましよう。かかる環境の中において、教育者はいかなる立場で教育に当つておるであろうか。朽ち果てたる校舎、教授に値しない教育施設、一切の不便と不備の中に今日の教育者諸君は立つて——みずから敢然と立つておるのであります。しかも、これらの教育者のもとにおいては、敗戦以来ようやくにして生れた、七才からあるいは何才かに至るまでの児童が、教育を求めて町から村から集まりつつあるというのが、今日の状態でありまし考。われわれは、かかる環境、かかる教育者の立場、かかる一連の、われわれの第二のゼネレーシヨンである児童に対する諸体系というものを見て参りまするならば、われわれは、文部大臣の責任は、明らかにそこに現在の教育を確立しなければならぬという任務を感ずるのが当然であると存じます。教育の本来の精神に返つて、これらの教育に対する確立を文部大臣は当然はかるべきでありましよう。しかるに、これらの一切の——文部大臣の一切の任務を今日ないがしろにせられて、ここに、いたずらに権力をもつて自由を奪い、権力をもつて人権を奪うという政策をとらんといたしておるというのが、今日の自由党内閣の教育政策であることに気がつかなければなりません。その意味において、私どもは、今日大達文部大臣が、みずからの任務を放擲して、かかる貴重なる教育を画餅に帰せしめんとする態度に対して、われわれは強く憤りを感ぜざるを得ないのであります。(拍手) 教育を守るために——教育を守るために、日本民族の教育の基盤をつくるために、私は教育防衛の立場から大達文部大臣を不信任せんとするものでありまして、どうか御賛同をいただきたいと考えているものであります。(拍手)
○議長(堤康次郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。山中貞則君。 〔山中貞則君登壇〕
○山中貞則君 ただいま提案されました大達文部大臣不信任案に対し、自由党を代表いたしまして断固反対の意を表明するとともに、若干の討論を試みんとするものであります。 一言にしてこれを言えば、本不信任案は、笑止千万なる理由に基く不可解千万なるものと言うべきであります。すなわち、本不信任案提出の直接のきつかけとなり、その原因の一つとしてあげている、三月十日の法務委員会での右派社会党木下君の質問に大達文部大臣が答えた、人食い人種の首祭り云々という言葉についてこれを論ずるならば、まことに珍無類の不信任案と言うべきものであります。 念のため当日の法務委員会の速記録を読み上げてみますると、木下君が「正しいことであれば、千万人といえどもわれ行かんという、世界が反対しても自分が正しいと信ずればそれをやるのだというだけの——いくさに負けて経済力が弱い、しかしながら正しいことはわれわれ勇敢にやらなければならない、一歩も譲らないぞという気魂を示す必要があると思う。さような意味で、この機会に文部大臣のあの戦争裁判に対するその適法性、戦争裁判が妥当なりやいなやという点についてお考えを伺いたいと思うのであります。」 〔発言する者多く、議場騒然〕
○議長(堤康次郎君) 静粛に願います。
○山中貞則君(続) こういう質問を行つたのに対して行われたもので、問題になつておる大達文部大臣の答弁は、これも速記録によりますると、「それから戦争裁判のことでありますが、法律的にこれが違法のものであるとかなんとかいうことは私にわかりません。しかし私個人の考えを申し上げますと、これははなはだえてかつてなものである、こう実は思つております。先ほど質問がありました裁判になれば堂々所信を申し述べるつもりである、」「ただ敵が勝つたからといつて、これを法律上あるいは道徳的な犯罪として私をさばくというのなら、相手が敵であれば私は堂々その点所信を申し述べるつもりだ。負けた今日、打ちのめされた国民に私が私の身の上の釈明をするというような気持は毛頭ない。ただ敵によつてさばかれるならば言い分がある。実はこういうつもりで話したのでありまして、これは個人的な意見でありますから、別に文部大臣としてとか、だれの意見ということではありません。個人的な意見をお聞きになるからそれを申し上げるので、私はああいうことは野蠻人のすることである、食人部落がけんかをして、勝てばあとで、首祭りをするのと同じことだと思つております。」と答えたのであります。さらに、木下君は、それに次いで「その戦争裁判に対する点をはつきり率直に個人的なお感じを承りまして、その点ちよつと愉快になりました。」と述べておるのであります。(拍手) この問題は、少くとも法務委員会においては終つておるものでありまして、質問した本人の木下君すら、わが意を得たりとして愉快になつて、この問題の質問を打切つているものでありまするし、前質問者である社会党左派の諸君をも含めて、談笑裏に委員会は終了しているのが実情であります。(拍手)これをとらえて後刻問題にして、しかも不信任案提出の重要な理由、少くともきつかけとしたことは、その真意の了解に苦しむものであります。 しかも、事木下君自体も、さきの質問の前段において、「あのアメリカのやつた戦争裁判というものは、かつての敵国においても識者が、もしさばく立場がかわつておつたならば、あの原子兵器を用いた、その最高の決定をしたトルーマン、チヤーチル、スターリン、この三人と、これを作戦に用いたところのマツカーサー元帥、この四人は少くとも被告席に立たなければならぬということを堂々と申しております。」と述べて大臣の答弁を教唆、扇動し、それでこそわが意を得たりと愉快にさえなつているものであります。現在審議中の教育の政治的中立の確保に関する法律案においては、偏向教育を行つた現場の教員は罰せられないが、それを、教唆、扇動した者が罰せられることになつているのでありまして、同じ論法で本問題について言うならば、教唆、扇動した木下議員こそその罪を論ぜられるべきであつて、教唆、扇動の被害者とも言うべき大達文部大臣の罪を論じようとする態度は、これこそまきに人を食つた話であります。(拍手)従つて、不信任案などとはとんでもない話であります。 私はいまさらここで戦争裁判論をや、る意思はありませんので申しませんが、社会党の諸君が金科玉条としている第三勢力のメッカであるインドから、選ばれて戦争裁判に列席したパール判事の著書「日本無罪論」もまた社会党の諸君にとつては金科玉条と思うのでありますが、そのことは知らぬ顔をして大達文部大臣はけしからぬと、あとになつてから愉快を不愉快にとりかえて騒ぐのは、まつたくおかしいと思うのであります。(拍手)従つて、戦争責任を自覚していない、反省の色がない、だから文相として不適任だなどと言うことも筋の通らない話であります。 しかも、社会党は、本問題を新聞に発表してこんな閣僚がいると外国の反響が大きく、戦犯釈放にも悪影響があるとして、木下君のチヤーチル、トルーマン、スターリン、マツカーサー戦犯論はたな上げして騒いだのであります。まさに目くそ鼻くそを笑うのたぐいであります。(拍手)ところが、海外の反響としてワシントン発十一日UP電によりますと、「米は重視せず、大達文相暴言」の見出しで、米政府当局は、十一日、大達文相が十日の衆議院法務委員会で連合軍の戦争裁判は人食心人種の首祭りと発言したことに対し批評を加えるのを避けたい、米国務省当局は他国の議会での討論について批評しない建前をとつているが、個人的には大達文相の言明は議論が激した場合によく起る言い過ぎだとして、あまり重視していない旨を報じているのであります。さらに英国の新聞も同様の記事を報じているのでありまして、外国ではまつたく問題になつていないのがその実情であります。外国々々と事あるごとに騒ぐ社会党の諸君は、アジア社会党大会において、諸外国社会党の諸君から、武力なき中立などはあり得ないと手きびしい批判を受け、また諸君がしきりに友好関係を唱えている中共の要人郭沫若氏からも同様のことを指摘されたことについては知らぬ顔の半兵衛をきめ込んでいる状態で、今回のような場合にのみ外国の影響、しかも、ありもしないことを重大視して騒ぐことは、まつたく顧みて他を言うのそしりを免れないものであります。 次に、その他の不信任の理由を承りますると、どうも現在審議中のいわゆる教育二法案について反対であるから大達文部大臣はだめだというように受取れるのでありますが、現在審議中の法案の内容について反対であり、納得できないならば、なぜ堂々と民主主義政治のルールにのつとつて当該委員会における審議にゆだねないのか、はなはだ疑問であります。しかも、先般の本会議に上程された教育二法案に対して、当該委員会に付託ざれることを承認しておられる社会党の諸君の行動としては、はなはだ筋の通らぬものであり、卑劣千万な行為と言うほかはないのであります。(拍手)このことは、結局文部委員会に派遣している両派社会党の委員諸君を、党みずからが信頼していない、あるいは、たよりにできないということを意味するもので、社会党文部委員諸君も内心はなはだ当惑していることと同情を禁じ得ないくらいであります。(拍手)すなわち、いわゆる教育二法案を提出しているから文部大臣として不適任であるというなら、今述べたごとく、まつたく不信任の理由をなさないというべきであり、大達文部大臣を信頼し、その文教政策を全面的に強く支持しているわれわれの断然承服できないところであります。 また、大達文部大臣が文部委員会に提出した「偏向教育の事例」が事実無根の捏造であると言うのでありますが、これまつたく不当の言でありましてこれこそ逆に事実無根の捏造であると言わねばならないのであります。(拍手)「偏向教育の事例」の実地調査に派遣された委員の委員会における報告が、三人三様それぞれ異なつたものであつたことは事実でありますが、派遣された委員の全部が一致して、ある事例は事実無根であつたとの報告は断じてなされていないのであります。(拍手)事実の調査に行つて、それが食い違つているはずはないということも言われておりますが、これは、事実の認定において、それぞれの立場による認定の仕方が異なるのはいたし方のないことでありまして、やむを得ませんが、それにしても、事実無根の事例があると報告したのは社会党の委員の諸君のみであつたのでありまして、自由党あるいは改進党の委員等は、偏向教育の事例そのものは存在していたことをはつきり報告しているのであります。このような、それこそ偏向した判断の上に立つての論は、これまたまつたく理由をなさないと言うほかはないのでありまして、われわれの断固反対するところであります。 結局、本不信任案は、真の目的を大達文部大臣の不信任に置くものでなく、またその成功を期待するものでもなく、現在国会に提案され、当該文部委員会で審議されつつあるいわゆる教育二法案を遅延せしめんとする、はなはだ当を得ざる策謀であり、下劣きわまる両派社会党の引延ばしと断ずべきものであります。 以上、提案理由に対する反対の意見を開陳し、かくのごときおそまつな内容の不信任案に対しては、まつこうから反対するものであります。(拍手)
○議長(堤康次郎君) 小林進君。 〔小林進君登壇〕
○小林進君 私は、日本社会党を代表し、ただいま上程せられております文部大臣大達茂雄君の不信任案に対し全面的に賛意を表し、その理由を申し述べんとするものであります。(拍手)そもそも教育の目的は、教育基本法前文に示されておる通り、(発言する者多し)民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする人間を育成するにあり、その理想に向つて営々として努力を積み重ねて行くことが教育の仕事であります。(拍手)教育は常に政治に優位し、政治によつて不当な支配を受けぬようにするのが教育の政治的中立と称するものであります。これがため、教育に携わる教職員は単なる教育の技術者であつてはならないのであつて、教師は常に思想と識見の持主であり、理想に燃ゆる熱意を有し、政治に対してはこれを客観的に批判する能力を持つことが、教員としての不可欠の要件であります。(拍手) しかるに、文部大臣大達君は、大臣に就任いたしまするや、現教職員五十万が吉田内閣並びに自由党に対し批判的であることを憎み、政治の力をもつて教育を不当に支配し、政府の政策に無批判に追随し盲従する骨抜き教育を再現せんことを企図するに至つたのであります。(拍手)大達文相は、この目的達成のために、教育公務員特例法の一部を改正する法律案及び義務教育諸学校における教育の政治的中立確保に関する法律案の二法案を提出するに至つたのでありますが、かくのごとき反動立法を提出して日本の教育を反動化せんとする大達君を不信任せんとするは、まことに当然の処置と言わなければならぬのであります。(拍手) これと並行して重視しなければならぬ点は、彼がこの無謀なる法案を合理化するために、いかに悪辣なる手段を弄したかということであります。(発言する者多し)すなわち、大達君は、この悪法をかちとるために、大臣就任以来今日まで、断じて許すべからざる非民主的、道徳的違反行為を犯しておるのであります。私は、これらの中から五つの罪悪を明らかにして、もつて彼の責任を糾弾せんとするものであります。(拍手) その第一は、教育破壊の第一着手として文部省乗つ取りを策し、旧内務官僚、旧特高、戦犯者をもつて文部省の中枢部を押えたということであります。(拍手)これについては、二月二十八日付週刊誌が、「旧内務官僚トリオ」という見出しのもとに、次の、ごとく報じておるのであります。「とにかく、氏は」——すなわち大達茂雄君は、「生き残りの旧内務官僚の典型といえよう。」「げんに、文部省生えぬきの西崎恵次官、久保田藤麿調査局長の首を切つたのも、この二人が、教育中立法に積極的協力をしないので、業をにやしたためだともいわれている。そして、後任の田中義男現次官は、大達氏が満州国総務長官のころの部下で、特高の経験もあり、これに、大達昭南市長時代の司政官だつた緒方信一初等中等教育局長、昭南で陸軍大尉で参謀をしていた斎藤正地方課長の二人を加えた、いわゆる『文部省の内務トリオ』が、大達文政の推進力となつている」云々と報じておるのであります。(折手)これが真偽は別といたしまして、今日文部省においてこの田中、緒方、斎藤の旧内務官僚三人が大達文相の側近に仕え、三位一体となつて悪法通過に獅子奮迅の努力をしておる事実は、文部委員会の審議の示す通りであります。(拍手)いやしくも教育をつかさどる主管庁を旧内務官僚をもつて押え、しかして教育統制、思想弾圧の警察的取締り官庁たらしめるがごとき不当なる人事は、断じて黙過しあたわざるところであります。(拍手) 第二の犯罪的行為は、この内務官僚トリオをもつてただちに特高的行動に出でしめたことであります。すなわち、教職員の思想調査がこれであつ、て、昨年十二月二十三日付緒方局長の名前をもつて全国の教育委員会、教育長に秘密の文書を通達いだしまして、教職員の政治偏向教育の事例調査を行つたのがこれであります。いやしくも教育者に対しこうした秘密、調査をするがごときは、断じて許されるところではないのでありますが、彼大達君は、これが恥ずべき行為であることを少しも反省しないのであります。しかも、文部省がかくのごとき調査を行うや、まことにこれに符節を合せるがごとく、全国地教委連絡協議会が、今年二月一日緊急連絡事項と称する秘密通牒を発して全国教職員弾圧のおそれある行動に出たのであります。しかるに、さらにこれに呼応するがごとく、今度は警察官が立ち上り、全国三十四都道府県において教職員の思想調査を逐次開始するに至り、まさに戦争当時をほうふつせしめるような問題が続々として起つておるのであります。(拍手)大達君は、文部省の思想調査と警察官庁の思想調査との間には何らの関連もないということを言い訳いたしておるのでありますが、内務官僚すなわち警察官僚、内務官吏と警察官吏は不二一体であるという昔の関係を知る者は、これが決して偶然の一致でないことを容易に推察できるはずであります。(拍手)すなわち、内務官僚特有のこの陰険なるスパイ的行為をもつて教職事員を恫喝せんとするこの暴挙に対し、われわれ断固これを排撃いたしまして、もつて日本の教育を守らなければならぬのであります。(拍手) 第三の罪悪は、国会提出の資料にずさんきわまる無責任なるものをもつてし、国会における法案審議権をまつたく軽視したるの点であります。現在提出中の教育破防法が必要であるかいなかは、一にこの法をもつて取締るに必要な客観的事実が存在するかいなかにかかつておるのであります。しかるに、その事実ありとして文部省がわれわれ委員に提出いたしました偏向教育の事例と称するものは、事実とはなはだしく相違しておる、あるいは文部省の一方的、主観的な見方によるもの、中にはまつたく虚偽の事実が含まれておるというありさまであり、法案審議の基礎資料としての価値はまつたく認めがたいのであります。この資料の裏づけのために現地調査に行つた委員諸君の中で、一部自由党党員を除いては、ほとんど文部当局のこの資料はでたらめにして無責任きわまる資料であることを報告いたしておるのであります。(拍手)しかも、加うるに、この文部省の資料に載せられ偏向教育の事例とされた地区の教育委員、PTA等の諸君の大半がわざわざ国会に来て、文部省の報告がまつたく偽りであり、そのために学校その他の関係者がいかに迷惑をこうむつているかを、泣いて文部大臣に訴えておるのであります。(拍手)しかるに、大達君は恬然としてその誤りを正そうとはしないのであつて、その無恥にして厚顔なる、態度は断じて黙認しがたいのであります。(拍手)諸君、かくのごときずさんな資料を国会に提出したる官庁は、今日の文部省をおいてほかにないはずであります。われわれは、国会軽視もきわまれりと言わなければならない。この態度を断固排撃するとともに、しかも、その内容は、一に五十万教職員を付和雷同のならず者とみなし、日教組を一挙に葬り去らんとする悪意に満ちているのでありまして、この一事をもつてするも、彼を文部大臣の職に断じてとどめておくことはできぬのであります。(拍手) 第四の問題として特に重視しなければならぬ点は、彼は権力主義に徹底した性格破綻者であつて、教育主管者としての適格性を欠いているということであります。いやしくも教育に携わる者は、人間性と寛容と愛情の所有者でなければならぬのであります。しかるに、大達君は、一片のヒューマニズムも愛情もないのみならず、徹底的な権力主義者であり、人を密告し、人を罪人とみなし、人を取締ることにのみ生きがいを感ずる、狂暴性ある性格の所有者であることが立証せられたのであります。週間誌の伝うるところによれば、大達君が大臣就任後初めて日教組の諸君によつて大臣室にすわり込まれた際、こんなやつらを一刀両断にたたき切れない今の法律はなつていないといきまいたと報じておるのであります。(拍手)真偽は別として、文部委員会における一箇月有余の審議の過程において真にこれを裏書きするがごとき彼のむき出しの異常性格を明らかに知つて、まことに慄然たらざるを得ないのであります。(拍手)すなわち、大達茂雄君には一片の愛情も人間性もない。あるものは、自己の偏見を民主主義のマスクで仮装し、権力の力で思想の自由を奪うという陰険な取手役人の根性しか持合せがないのであります。(拍手)彼は、徹頭徹尾憎悪をもつて、憎しみをもつて武装し、教育破防法をもつて攻撃の武器とし、一挙に教師の団結を粉砕せんといたしておるのであります。(拍手)かくのごとき冷酷な権力主義者に日本の教育をまかす限り、教育の庭は警官に蹂躙をせられ、学校は変じて牢獄とならなければならぬのであります。(拍手)われわれは断固日本の教育を彼の異常性格から守り抜かなければならないと思うのであります。(拍手) 第五の罪悪としては、彼の暴言問題を数えなければならぬのであります。すなわち、三月十日、法務委員会において、わが党の木下郁君の質問に対し、戦争裁判こそは人食い部落の首祭りであるというがごとき暴言を吐いたことであります。もしこれが彼の真意であるならば、なぜ戦犯者として戦争裁判の法廷に立つているときこれを言わなかつたかということであります。(拍手)巣鴨の刑務所にいてアメリカ兵の監視のもとにあつたときは、恟々忸怩、平身低頭、まことに奴隷のごとく仕えていた。(拍手)ただ自分の罪の軽からんことのみを願つていたのでありまして、それが許されて、今度は吉田勢力に便乗して、今日連合軍恐るるに足らずと見れば、ただちにかくのごとき暴言をもつて時局におもねる。この根性をわれわれは見なければならぬのであります。(拍手)彼の真意が言う通りとするならば、こんな暴言を吐く前に、一つなべをわかち合つた首祭りの犠牲者はいまなお巣鴨の刑務所に拘置せられているではないか。これを救出するためにいかなる努力を払つたかを聞きたいのであります。いまだ刑務所にある同輩をそのままにいたして、一片の——これを救おうともしないで、いたずらに国際間における誤解を生ぜしめるようなこういう暴言を責任の地位にある者が吐くがごときは、断じて黙視することができぬのであります。(拍手)占領軍下にありては、アメリカ権力のもとに、獄衣のひざを屈して、その罪の軽からんことを願い、自由党天下になりては、その権力に便乗してこれを誹謗する。この唾棄すべき豹変、この低劣なる心情の所有者をどうして教育行政の座にとどめておくことができましようや。(拍手)今こそ彼を断固追放しなければならぬのであります。(拍手) 諸君、思想を断圧し教育の自由を奪うその結果がどうなるかは、東西古今の歴史のよく示すところでありまするが、その最も卑近なる例は、大東亜戦争に突入する前の日本においてもこれを見ることができるのであります。ちようど今より二十年前、すなわち昭和八年には、いわゆる滝川事件と称するものがあつた。大学の自由、学問研究の自由に対する弾圧の事例であります。京都帝国大学教授滝川幸辰氏の刑法理論がすなわち赤化思想であるというフアツシヨの暴力に押されて、時の文部大臣鳩山一郎君が滝川教授を大学より追放した事件であります。続いて起きたのが美濃部憲法弾圧事件であります。国家法人説、天皇機関説が国家を危うくする危険思想であるという、まことにばかくしい主張の上に立つて、遂に美濃部達吉博士を貴族院より追い出したのであります。しかも、これを契機として、学問と教育への弾圧は奔馬のごとくたけり狂つてとどまるを知らず、いやしくも当時の独裁者に同調せざる教師は、大学より小学校に至るまで、続々として放逐せられるに至つたのであります。現東京大学総長矢内原忠雄氏、京都大学総長滝川幸辰氏、広島大学総長森戸辰男氏、お茶の水大学学長蝋山政道氏等、これことごとくその当時教壇より追放せられた人々であります。当時、大達茂雄君は、内務官僚のホープとして、この恐るべき学問弾圧の陣営に加わつていたことは明らかな事実でありますが、(拍手)この大達君のフアツシヨ・グループの大半が刑死、獄死、戦犯者としてさびしい生涯を送つた中に、一人生き残つて再び思想弾圧の暴挙を繰返さんとするがごとき大達君の最後は、必ず、のたれ死にか、変死か、獄死の運命が約束されておることを、私は予言せざるを得ないのであります。 最後に、一言私は大達君の経歴に論及したいのであります。彼はすなわち戦犯者であり、戦争を指導し思想を弾圧した元凶の一人であつたことは隠し得ぬ事実であります。諸君、このたびの戦争によつて負けた国は日本でありドイツであります。そのドイツにおいては、戦争内閣の閣僚は、一蓮托生、共同責任の名において、ことごとく死刑または極刑に処せられておるのであります。しかるに、日本においては、戦時内閣の閣僚にして死刑をのがれている者がある。再び自由の生活を許された者もある。大達君のごときは、戦犯者としてまれに見る恩典に浴しているものと言わなければならぬのであります。彼に一片愁々人間の血があれば、この事実に感謝するとともに、終身刑の判決のもと獄中でさびしく死んで行つた大達内務大臣の首班者小磯国昭元総理大臣以下同僚各僚の墓前に香華をたむけ、ざんげ滅罪の余生を送るべきであります。(拍手)しかるに、彼は一分の反省もせず、再び政界に出て国家を危うくせんとするごときは、天人ともに断じて許し得ざるところであります。教育破防法がかりに必要性、妥当性があるとしても……。
○議長(堤康次郎君) 小林君、申合せの時間が来ておりますから簡潔に願います。
○小林進君(続) いやしくもこれを大達文部大臣の手によつて法制化してはならない。大達君の手は、彼の経歴によつて知るごとく、思想弾圧によつて倒れて行つた幾十幾百の思想の犠牲者の血をもつているどられているのであります。その犠牲者の血によつているどられた、まつ黒の、あの汚れた手によつて再び弾圧法は立法されんとする、この一事だけは、われわれ生命にかけても守り抜かねばならぬのであります。(拍手) 真理と平和の名において、憲法擁護の名において教育を守る全国PTAの名において、二千万学童の魂を守るために、大達文部大臣をその職務より断固追放すべきであることを主張いたしまして、以上、私の賛成討論にかえておく次第であります。(拍手)
○議長(堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。 採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。鈴木茂三郎君外百三十四名提出、大達文部大臣不信任決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。 氏名点呼を命じます。 〔参事氏名を点呼〕 〔各員投票〕
○議長(堤康次郎君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣、開鎖。 投票を計算いたさせます。 〔参事投票を計算〕
○議長(堤康次郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。 〔事務総長朗読〕 投票総数 四百二 可とする者(白票) 百三十四 〔拍手〕 否とする者(青票) 二百六十八 〔拍手〕
○議長(堤康次郎君) 右の結果、鈴木茂三郎君外百三十四名提出、大達文部大臣不信任決議案は否決されました。(拍手) ————————————— 〔参照〕 鈴木茂三郎君外百三十四名提出大達文部大臣不信任決議案を可とする議員の氏名 阿部 五郎君 青野 武一君 赤路 友藏君 赤松 勇君 足鹿 覺君 飛鳥田一雄君 淡谷 悠藏君 井手 以誠君 井谷 正吉君 伊藤 好道君 猪俣 浩三君 石村 英雄君 石山 權作君 稻村 順三君 小川 豊明君 加賀田 進君 加藤 清二君 片島 港君 勝間田清一君 上林與市郎君 神近 市子君 木原津與志君 北山 愛郎君 久保田鶴松君 黒澤 幸一君 佐々木更三君 佐藤觀次郎君 齋木 重一君 櫻井 奎夫君 志村 茂治君 柴田 義男君 島上善五郎君 下川儀太郎君 鈴木茂三郎君 田中織之進君 田中 稔男君 多賀谷真稔君 高津 正道君 滝井 義高君 楯 兼次郎君 辻原 弘市君 永井勝次郎君 成田 知巳君 西村 力弥君 野原 覺君 芳賀 貢君 萩元たけ子君 長谷川 保君 原 茂君 福田 昌子君 古屋 貞雄君 帆足 計君 穗積 七郎君 細迫 兼光君 正木 清君 松原喜之次君 三鍋 義三君 武藤運十郎君 森 三樹二君 八百板 正君 安平 鹿一君 柳田 秀一君 山口丈太郎君 山崎 始男君 山田 長司君 山中日露史君 山花 秀雄君 山本 幸一君 横路 節雄君 和田 博雄君 淺沼稻次郎君 井伊 誠一君 井上 良二君 井堀 繁雄君 伊瀬幸太郎君 伊藤卯四郎君 池田 禎治君 稲富 稜人君 今澄 勇君 受田 新吉君 大石ヨシエ君 大西 正道君 大矢 省三君 岡 良一君 加藤 勘十君 加藤 鐐造君 甲斐 政治君 春日 一幸君 片山 哲君 川島 金次君 川俣 清音君 河上丈太郎君 菊川 忠雄君 小平 忠君 小林 進君 河野 密君 佐竹 新市君 佐竹 晴記君 杉村沖治郎君 杉山元治郎君 鈴木 善男君 田中幾三郎君 辻 文雄君 堤 ツルヨ君 戸叶 里子君 土井 直作君 冨吉 榮二君 中井徳次郎君 中居英太郎君 中崎 敏君 中澤 茂一君 中村 高一君 日野 吉夫君 平岡忠次郎君 細野三千雄君 前田榮之助君 松井 政吉君 松平 忠久君 松前 重義君 三宅 正一君 三輪 壽壯君 水谷長三郎君 矢尾喜三郎君 山下 榮二君 吉川 兼光君 吉田 賢一君 川上 貫一君 久保田 豊君 黒田 寿男君 小林 信一君 館 俊三君 中原 健次君 中村 英男君 原 彪君 否とする議員の氏名 相川 勝六君 達津 寛君 青木 正君 青柳 一郎君 赤城 宗徳君 秋山 利恭君 淺香 忠雄君 麻生太賀吉君 足立 篤郎君 天野 公義君 荒舩清十郎君 安藤 正純君 伊藤 郷一君 飯塚 定輔君 生田 宏一君 池田 清君 池田 勇人君 石井光次郎君 石田 博英君 石橋 湛山君 今村 忠助君 宇都宮徳馬君 上塚 司君 植木庚子郎君 内田 信也君 内海 安吉君 江藤 夏雄君 遠藤 三郎君 小笠 公韶君 小笠原三九郎君 小川 平二君 小澤佐重喜君 小高 熹郎君 尾崎 末吉君 尾関 義一君 越智 茂君 緒方 竹虎君 大上 司君 大久保武雄君 大西 禎夫君 大野 伴睦君 大橋 武夫君 大橋 忠一君 大平 正芳君 大村 清一君 岡崎 勝男君 岡田 五郎君 岡野 清豪君 岡本 忠雄君 岡村利右衞門君 押谷 富三君 加腰 精三君 加藤 宗平君 加藤常太郎君 加藤鐐五郎君 鍛冶 良作君 金光 庸夫君 川島正次郎君 川村善八郎君 河原田稼吉君 菅家 喜六君 木村 武雄君 木村 俊夫君 木村 文男君 菊池 義郎君 岸 信介君 岸田 正記君 北 れい吉君 久野 忠治君 熊谷 憲一君 倉石 忠雄君 黒金 泰美君 小枝 一雄君 小金 義照君 小坂善太郎君 小平 久雄君 小西 寅松君 小林かなえ君 小林 絹治君 小峯 柳多君 佐々木盛雄君 佐瀬 昌三君 佐藤 榮作君 佐藤善一郎君 佐藤 親弘君 佐藤虎次郎君 佐藤洋之助君 坂田 英一君 坂田 道太君 迫水 久常君 始関 伊平君 塩原時三郎君 篠田 弘作君 島村 一郎君 首藤 新八君 助川 良平君 鈴木 仙八君 鈴木 善幸君 鈴木 正文君 世耕 弘一君 瀬戸山三男君 關内 正一君 關谷 勝利君 田口長治郎君 田子 一民君 田中伊三次君 田中 角榮君 田中 好君 田中 龍夫君 田中 萬逸君 田測 光一君 高木 松吉君 高田 弥市君 高橋 英吉君 高橋圓三郎君 高橋 等君 竹尾 弌君 武田信之助君 武知 勇記君 玉置 信一君 津雲 國利君 塚田十一郎君 塚原 俊郎君 辻 寛一君 土倉 宗明君 綱島 正興君 坪川 信三君 寺島隆太郎君 徳安 實藏君 苫米地英俊君 中井 一夫君 中川源一郎君 中川 俊思君 中村 清君 中村 幸八君 中山 マサ君 仲川房次郎君 永田 良吉君 永田 亮一君 長野 長廣君 灘尾 弘吉君 夏堀源三郎君 南條 徳男君 丹羽喬四郎君 西村 英一君 西村 直己君 西村 久之君 根本龍太郎君 野田 卯一君 励田武嗣郎君 葉梨新五郎君 馬場 元治君 橋本登美三郎君 橋本 龍伍君 長谷川 峻君 花村 四郎君 横田 幸雄君 濱地 文平君 林 讓治君 林 信雄君 原 健三郎君 原田 憲君 季井 義一君 平野 三郎君 福井 勇君 福田 赳夫君 福田 篤泰君 福田 一君 福田 喜東君 福永 健司君 藤枝 泉介君 船越 弘君 船田 中君 降旗 徳弥君 保利 茂君 坊 秀男君 星島 二郎君 堀川 恭平君 本多 市郎君 本間 俊一君 前尾繁三郎君 前田 正男君 牧野 寛索君 益谷 秀次君 増田甲子七君 松井 豊吉君 松岡 俊三君 松崎 朝治君 松田 鐵藏君 松野 頼三君 松山 義雄君 三池 信君 三浦寅之助君 水田三喜男君 南 好雄君 村上 勇君 持永 義夫君 森 清君 八木 一郎君 安井 大吉君 山口喜久一郎君 山口 好一君 山崎 岩男君 山崎 巖君 山田 彌一君 山中 貞則君 山本 勝市君 山本 友一君 吉田 重延君 吉武 惠市君 渡邊 良夫君 亘 四郎君 赤澤 正道君 荒木萬壽夫君 有田 喜一君 五十嵐吉藏君 池田 清志君 稻葉 修君 今井 耕君 臼井 莊一君 小山倉之助君 岡田 勢一君 加藤 高藏君 川崎 秀二君 喜多壯一郎君 吉川 久衛君 楠美 省吾君 小泉 純也君 小島 徹三君 河本 敏夫君 佐藤 芳男君 齋藤 憲三君 櫻内 義雄君 笹本 一雄君 志賀健次郎君 椎熊 三郎君 白浜 仁吉君 須磨彌吉郎君 園田 直君 田中 久雄君 高瀬 傳君 高橋 禎一君 竹山祐太郎君 千葉 三郎君 床次 徳二君 内藤 友明君 中島 茂喜君 中嶋 太郎君 中曽根康弘君 中村三之丞君 中村庸一郎君 橋本 清吉君 長谷川四郎君 廣瀬 正雄君 福田 繁芳君 古井 喜實君 町村 金五君 松村 謙三君 三浦 一雄君 三木 武夫君 村瀬 宣親君 粟山 博君 吉田 安君 早稻田柳右エ門君 只野直三郎君 辻 政信君 中村 梅吉君 松永 東君 ————◇—————
○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、昭和二十八年度一般会計予算補正(第3号)を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
○議長(堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。昭和二十八年度一般会計予算補正(第3号)を議題といたします。委員長の報告を求めます。予算委員長倉石忠雄君。 〔倉石忠雄君登壇〕
○倉石忠雄君 ただいま議題となりました昭和二十八年度一般会計予算補正(第3号)の予算委員会における審議の経過並びに結果について御報告申し上げます。 本補正案は、三月十五日予算委員会に付託されまして、本日討論採決をいたしたのであります。この補正予算案は、義務教育費国庫負担金の不足金二十七億八千余万円を補正追加せんとするものであります。この不足金が生じました理由は、去る十八国会に提出されました義務教育費国庫負担法の臨時特例に関する法律案、すなわちこれは、いわゆる富裕都府県に対し二十八年十二月以降義務教育費国庫負担金を不交付または減額する法律案でありましたが、不成立に終りましたので、昭和二十八年十二月より二十九年三月までの所要額二十七億八千余万円を補正追加せんとするものであります。この追加支給額の配分の内訳は、東京都十五億六千余万円、大阪府十億三千余万円、神奈川県一億七千余万円であります。これに対する財源といたしましては、昭和二十八年度予算のうちの不用見込額をもつてまかなうこととなつております。不用見込額のおもなるものといたしましては、輸入食糧価格調整補給金より十億余円、国債諸費より七億八千余万円、保安庁費より二億余円、その他であります。従つて、昭和二十八年度一般会計の規模は何らのかわりがないわけであります。 以上が提案の要旨でありますが、これに対し真摯なる質疑応答が行われました。 まず第一に問題となりましたのは、富裕都府県を除く他の府県では、年度末までに最低十億円程度の赤字が予想されておるので、年度末には教職員の給与は不払いまたは支払い遅延という事態が起るのではないかと心配されておるのであります。その不足額はどのように処理されるのであるか、なおまた、富裕都府県への追加補正もさりながら、この赤字に対しても補正すべきではないかとの質問であります。これに対し、政府側よりは、二十八年度の決算の結果不足額が明らかになりますれば、不足額の二分の一を国が負担せねばならないが、予算措置といたしましては三十年度に行えばよいのである、また年度末の支払いについては、今までに支払つてある分は概算払いでありますから、過不足を生じました場合は地方団体でしかるべく金繰りしてもよろしい、またあとで精算するが、その具体的方法としては、この問題に限らず、年度末には地方財政は全面的に調整されるので、かりに不足額が生じましても調整できる道が開かれておるのである、さらにまた、どうしても金繰りが困難の地方団体に対しましては、預金部資金の短期融資の方法もあるという答弁があつた次第であります。 次に問題となりましたのは、予算とその予算に関係ある法律案との関係であります。法律に支払いが規定されると予算に組まねばならないのはもちろんであるが、提出予算案に関係ある法律が否決または審議未了となつた場合は、たとい予算案は可決されても実施ができなくなりますので、今回のごとく穴埋めが必要となつて参るわけであります。これはむしろ政府側において政治的見通しを誤つた結果ではないかとの質問に対し、政府側よりは、法律案は必ず通るものという確信をもつて提出いたしましたが、不幸にして成立いたしませんでしたので、やむを得ずこの補正予算案を提出した次第であるとの答弁があつたのであります。 その他、ビキニ環礁の水爆実験による日本漁船の被災問題、外航船舶利子補給問題、あるいはまた自衛隊の問題、国有財産払下げ問題、政府民間共有低能船舶払下げ問題等についても盛んなる質疑がございましたが、これらの詳細は会議録に譲ることといたします。 かくして、質疑は十九日全部終了いたしまして、本日討論に入るにあたり、社会党両派より共同組みかえ要求の動議が提出されましたが、採決の結果、組みかえ要求の動議は否決されまして、政府提出の補正予算案は原案通り多数をもつて可決された次第であります。 以上御報告を申し上げます。(拍手)
○議長(堤康次郎君) 本件に対しては、佐藤觀次郎君外十四名から、本件の編成がえを求めるの動議が提出されております。この際その趣旨弁明を許します。滝井義高君。 〔滝井義高君登壇〕
○滝井義高君 私は、日本社会党両派を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和二十八年度一般会計予算補正(第3号)に対しましては、政府はただちにこれを撤回し、わが社会党両派の共同組みかえ案の方針と内容に即しましてこれを組みかえ、すみやかに再提出すべきであるとの動議を提出し、以下簡単に趣旨を弁明せんとするものでございます。 組みかえ案の詳細につきましては、お手元に議案として配付いたしてありますので、これをごらん願いたいと思うのでございます。 今回の政府原案の目的といたしますところは、義務教育費国庫負担金二十七億円を追加支出するために、文官恩給費、保安庁費、国債諸費、輸入食糧価格調整補給金、造船貸付金補助、国立学校運営費、医薬品買上費、失業保険費の各費目の未使用残金をそれぞれ削減して、これを財源にしようとしておるのでございます。かんじんの義務教育費国庫負担金の二十七億円追加支出だけでは、所期の目的を達成することができないものでございます。すなわち、二十七億円というものは、東京、大阪、神奈川等のいわゆる富裕都府県のみの分でございます。その他の貧弱県におきましても当然義務教育費国庫負担金の不足というものが現在現われておるのでございます。この不足金は、各府県の申請によりましても、十七億円にならんとしておるのでございます。この十七億円の金がなくしては、地方自治体各府県は教職員の給与の支払いの困難を来し、その結果、現在赤字に悩むところの地方公共団体のこの困窮せる状態をさらに激化せしめることは火を見るより明らかでございます。まず第一にこの十七億円の増額をはかるために、わが党は予算の補正を要求するものでございます。 さらに次組みかえ案において増額を要求いたしまするところの点は、政府が当然支払うべきところの生活保護費の中の医療補助費の赤字がまだ三十五億円残つておるということでございます。すなわち、本来七十二億円の赤字のうち、予備費から十二億円、二十九年度予算で埋める分二十五億円を差引いても、三十五億円を補填すべきであるのでございます。次に、児童保護費の赤字補填でございますが、現在この赤字は四億五千万円もはつきり現われて来ておるのでございます。この児童保護費の全赤字は九億五千万円でございますが、さきに政府はそのうち五億円を予備費で支出することに相なりましたので、赤字は四億五千万円あるのでございます。当然この四億五千万円というものは補填しなければなりません。このように、私たち両派社会党は、これらの社会保障費でまかなうところの弱き者、貧しき者、幼き者に対して、あたたかき、汚れなき政治の手を差伸べようとするのが、私たちのこの組みかえの第二の点でございます。(拍手) さらに、政府が当然支払うべきものに、凶作によるところの米価減収加算八十二億円を計上いたしたのであります。この明細について若干重要な訂正をつけ加えますと、政府はさきに閣議におきまして石当り五十五円をやりくりして支出することを決定いたしておるのでございますから、実際には石当り米価審議会の答申より三百七十七円だけ不足いたしておることに相なるのでございます。従つて、供出済み石数千九百五十万石を積算いたしまして、実際には七十三億五千百五十万円で済むのであります。そうなりますと、実際には本組みかえ案に計上いたしました八十二億円より約九億円少くて済むことに相なるわけでございます。そこで、この九億円をわれわれはさらに公務員の年度末手当の支給増額の経費にまわしたいと思うのでございます。 最後の組みかえ増額要求といたしましては、一般会計公務員及び三公社、五現業、さらに地方公務員の年度末手当支給の補助額として十四億を計上するものであります。すなわち、政府は、さきに、一月からの公務員給与支給改善において、人事院勧告の一三・五%アップに対しまして、自然昇給の分と地域給五%の本俸繰入れというきわめて欺瞞的な行為を行いまして、実際には九・五%程度のアップでごまかしていたことは、周知の事実であります。従いまして、二十八年度末にもし余剰金があれば、それを公務員の生活向上に充てるべきことは政府の当然の義務であります。かかる理由に基きまして、現在官公労組の要求しておるところの年度末手当に対しましては、両社会党は、もしそれに不足する額が出て参るとするならば、随時それを補填するために十四億九千万円を計上したのであります。国鉄職員あるいは地方教職員の分までも計算に入れましても、一人当り平均約九百円支給と相なります。さらに、先ほどの米価加算の余剰九億円を合算すれば、一人当り平均約千円の支給も可能となるのでございます。もちろん各省並びに各現業の中でまかない得るものもあるのでございますから、これらを勘案するとすれば、一人平均二千円ないし三千円以上も可能と相なるのでございます。 さて、予算規模全体を動かさないで、このように国民福祉のためにこれだけの大きな支出増加を行い得る道は何に求めるかと申しますと、それは二十八年度保安庁経費のうちの未使用残として見込まれておる百五十億円と、防衛支出金の未使用残推定十億円、計百六十億円に主として求められるのであります。これらの未使用経費は、繰越明許費に繰入れられ、二十九年度に使用されるのでありますから、これを今回国民の福祉向上に使用いたしたといたしましても、何らのインフレ要因とならないことは明瞭であります。ここにおきましても、われわれは、大砲かバターか、原爆か生活安定かという鋭い対決を見出し得るのでございます。(拍手)さらに、この再軍備費の削減によりまして、国立学校及び大学付属病院の経費一億円、特殊医薬品買上げ諸費一億円、失業保険費負担金一億二千万円と、国民の生活に大切なるところの費用を無理をして削減することをせずに十分まかない得ることを、本組みかえ案において立証いたしておるのでございます。 以上、政府提出の二十八年度一般会計予算補正(第3号)に対しまして日本社会党両派が組みかえ動議を提出いたしました重要なる諸点について御説明を申し上げた次第でございます。保守党各位におかれましても、虚心坦懐、大乗的見地に立たれて、われわれの示した方針に協力せられ、すみやかに原案を撤回して内容を組みかえ、再提出することに協力せられんことを要望いたしまして、私の趣旨弁明を終りたいと思います。(拍手)
○議長(堤康次郎君) これより討論に入ります。堤ツルヨ君。 [堤ツルヨ君登壇〕
○堤ツルヨ君 政府提出の昭和二十八年度一般会計予算補正(第3号)に対しまして、原案の撤回、両派社会党共同組みかえ案に賛成の意を表するものでございます。(拍手) 政府の原案を見ますと、歳出は富裕三都府県に対する義務教育費国庫負担金二十七億八千万円だけに限定されておりまして、第三次補正が財政上必要最小限度の支出規模に限定されたかのごとき外装をこらしておりますが、はたしてこれだけの追加支出で年度末が越せるのでありましようか。二十八年度予算において追加支出の必要な費目は、ただいま組みかえ動議を左派の滝井議員が読み上げられましたが、このほかに幾多の問題を蔵しておるのでございます。最低限度として誠意ある、事務的でない組みかえがなされなければならないのでございます。ましてや、加うるに、収入財源を見ますと、失業保険費や社会保障関係費を不用見込額として削減してこれに充てるがごとき無謀に至つては、国民生活の窮乏を無視するもはなはだしく、唖然とせざるを得ません。(拍手) すでに本院を通過した昭和二十九年度予算案によつて政府の明年度の方針が明らかにされるや、早くも経済界や国民生活に著しい影響を及ぼしておるのでございます。ことに、昭和二十八年度の財政金融は失敗であつたという自己反省をした結果、いわゆる一兆円予算がまかり通つて以来、金融面においてすでに鋭く現われて来たことは否定できません。すなわち、日銀券発行高について見ますと、今月十三日には五千八十九億円で、通貨発行限度の五千百億円を下まわり、年初来一千三百四十八億円を収縮したのでありましたが、さらに昨十九日の日銀の帳じりによりますれば、五千億を割つて四千九百九十七億三千万円と減少しております。この結果は、まず不況の象徴たる不渡り手形発行の増加となり、三月一日より十三日までの間に二万二百七十七枚の不渡り手形が発行されて、過去の最高記録をつくつております。しかも、不渡りの発行は中小企業より次第に大企業に波及し、金融引締めの影響はまず経済力の弱い箇所に集中されつつあります。(拍手)現に、今月十七日の調査によりますと、兵器製造業の某産業では四千二百万円、六十七枚の不渡り手形を出し、しかもこのうちには一、二万円程度の小額手形が多く、下請企業への影響が憂慮されておる次第でございます。また、二十九年度予算で財政投融資を大幅削減する方針が決定されたために、この影響はまず財政投資産業の雇用量の減少に波及するおそれが大きくなつて来ておるのでございます。政府のデフレ政策への急転換は準備もなく無計画で進行しようとしていますので、政府に好意を持つといわれる財界人さえもこれを憂慮しているといわれております。ましてや、その被害は、中小企業の倒産や休業に現われて来ました。勤労生活者が最も強くそのしわ寄せを受けることは申すまでもありません。 また、すでに政府の予算編成に現われた経済政策の基盤となる昭和二十八年度国際収支の見通しは、政府の予想をすでに裏切り、外貨保有高の減少において大きな狂いを生じて来ております。すなわち、予算委員会における大蔵大臣の答弁により、去年の暮れの十二月三十一日九億七千六百九十九万円余りと言われた保有外貨が、現在では輸出不振、業者の思惑買い等によつて、使用可能な保有外貨が七億ドルを割つており、この調子では、貿易上必要な最低運転資金五億ドルに近づく危険すら迫つておるのでございます。(拍手)財政金融面では、なるほど引締めはやつておりますが、問題は政策実施の時間的ずれであります。政府の政策が現在のような外貨流出の速度に追いつけるものとは、国民はだれ一人として信用いたしますまい。政府の思いつきの机上プランは、あえなくも民間人にしてやられてしまつて、何らの効も奏しないばかりか、かえつて混乱を招こうとしておるのでございます。(拍手) 第三次補正予算案は、小規模とはいえ、以上のような昭和二十九年度予算編成方針の影響を受けた現在の情勢分析をして、その上に立つて編成されなければならないのでございますが、同様な誤りを犯しつつ編成されておるところに致命的な欠陥があると存じます。(拍手)すなわち、財政金融の引締めによる負担の不均衡に対して何らの是正策もなく、地方財政をも無視し、現下の情勢分析を誤つて、国民生活を無視して、無準備のままで第三次補正が出されておるのでございます。 その証拠に、第一に、政府は、義務教育費国軍負担の追加支出にあたつても、きわめて不誠実であります。まだ支出されていなかつた東京、大阪、神奈川の三都府県に対して二十七億八千万円を支出しただけで、残る四十府県の赤字の実情については無視し去ろうとしております。支出実績に即応して負担金を支出するとすでに公約しておきながら、この公約を、他の公約の場合と同様、完全に無視しております。すでに全国都道府県教育委員会委員協議会は、去る三月五日の臨時総会において、富裕府県を除く他府県の教員給与において十八億一千何がしの不足を確認し、その半額を法律に基いて政府財政より支出せよと要求いたしておるのでございます。さらに、文部省に対し各府県より直接報告された教員給与不足額のうち、国庫負担の支出となるべきものは、先ほど滝井議員が申されましたように、十七億六千余りもあるのでございます。もしこの金額の追加支出を政府がやらなかつたならば、年度末の三月においては、全国各地で教員の給与は支払い不能に陥るのでございます。(拍手)さなきだに赤字の地方財政はさらに深刻な財政難となると同時に、経済の三月危機はまず義務教育の教職員を襲うことになります。そもそも義務教育費は全額国庫負担でなければなりませんのに、見て見ぬふりの地方財政、はたまた教員への冷たさはかくのごときもので、日教組の弾圧に血道を上げる政府よ、まず文教政策のおそまつさを反省なさいと申し上げざるを得ません。(拍手) 第二に、現在の国民生活の窮乏は貧困世帯を激増させております。社会保障関係費のうちでも、生活保護費の不足は、医療扶助において七十二億円に及び、すでに三十五億円の赤字がはつきりいたしております。また、心ある人人は、児童措置費においても五億円近くの金を要求いたしております。未使用の防衛支出金を故意に遊ばせておきながら、愛情ある行政措置を要保護者や児童の上に及ぼそうとしない政府の相もかわらぬ政策の貧困が、ここにもまざまざと現われておるのでございます。 第三に、昭和二十八年度産米について二割以上の減産があるときは供出量の米価に対して減収加算をすることを約束しておきながら、これを予算に計上しておりません。米価審議会が確たる算定方式に基いて石当り九百三十二円を答申し、両院もまたあげてこれを決議、賛成して政府に要求して参つたのは、保守党の議員といえども、よもやお見のがしになりますまい。にもかかわらず、大蔵大臣は、さらさらそれを出す意思はないと不遜な態度をとり、それどころか、閣議決定の五百五十五円に対してさえも、五百円の概算払いのあとは支払つておりません。来年度こそは、平年度作以上の期待とともに、農民の増産意欲をはからなければなりませんが、公約違反、また農民をだましたという結果では、食糧の自給どころか、例の外米依存、内地米配給基準の引下げになりかねますまい。耐乏と増産をしいるばかりでは、農村に絶対的な御支持を仰がれる自由党の議員諸公は農村に向つて顔向けがなりますまい。(拍手)自由党の議員諸公の中には、農村対策に相当御熱心な議員諸公もおありになつて、さぞやお国元に対してお苦しいことであろうと御同情申し上げる次第でございます。(拍手) 第四番目に、二十七億八千万円の財源支出について見ますと、この九項目についての不用見込額を充当しようというのでありますが、この不用見込みとはいかなる根拠によつて不用とされ、この九項目のみが選定されたでありましようか。これはまつたく委員会においても明らかにされておりません。失業者はふえる一方、生活保護救済者はふえる一方でございます。国立療養所の特殊医薬品買上げ諸費のごとき社会保障関係費や失業保険費の項目を削つて、何ゆえこれが対象にされなければならないか。まつたく抵抗力の弱いところからひつこ抜いて寄せ集めて来たとしか見られません。君臨する大蔵官僚の横柄なやり方の一環を見るの感がいたします。ことに国立学校及びその付属病院の職員基本給をも不用見込額として計上しておりますが、これこそ政府の公務員人員整理なしくずしの一端でありまして、政府の言う不用見込額の不用という概念は那辺にあるのか、まつたく了解に苦しみます。 かねてから社会党両派が主張するごとく、不用支出とは、防衛関係費であり、特にそのうちでも莫大なる保安庁費と防衛支出金であります。この両経費がいかなる性格を持つているかは、いまさらここに繰返すまでもなく、論議はし尽されております。保安庁経費の未使用残金百五十億円を不用見込額と認め、防衛支出金の未使用十億円をこれに加えて組みかえ増額の財源として、誠意ある第三号補正に組みかえるべきだとの主張をもつて、ここに義務教育費国庫負担金、生活保護費、児童措置費、米価減収加算、公務員年度末手当の追加をいたした組みかえ案に賛成するものであります。しかも、共同組みかえ案は、昭和二十八年度一般会計予算総額の一兆二百七十二億円をいささかも財政膨脹いたしておりません。非生産的であり、かつ、明二十九年度においてはMSA再軍備と連なるべき本年の保安庁費並びに防衛支出金を減額して、これを国民生活の安定に向けなければならないとの従来の社会党両派の主張を、このたびも重ねてここに明らかにしたものでございます。 以上をもちまして、社会党両派を代表しての私の討論を終ります。(拍手)
○議長(堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。 これより採決に入ります。まず佐藤觀次郎君外十四名提出、昭和二十八年度一般会計予算補正(第3号)の編成がえを求めるの動議につき採決いたします。佐藤觀次郎君外十四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(堤康次郎君) 起立少数。よつて佐藤觀次郎君外十四名提出の動議は否決されました。(拍手) 次に、昭和二十八年度一般会計予算補正(第3号)につき採決いたします。本件の委員長の報告は可決であります。本件を委員長報告の通り決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕、
○議長(堤康次郎君) 起立多数。よつて本件は委員長報告の通り可決いたしました。(拍手) この際暫時休憩いたします。 午後六時二十二分休憩 ————◇————— 〔休憩の後は会議を開くに至らなかつた〕