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19回国会衆議院1954/02/23

本会議 第11号

発言数
19
登壇者
7
会派数
5
開催日
1954/02/23

会議録

堤康次郎無所属議長

○議長(堤康次郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————

荒舩清十郎自由党建設政務次官

○荒舩清十郎君 議事日程追加の緊急動議を提出いたします。すなわち、議員有田二郎君の逮捕について許諾を求めるの件を議題となし、この際委員長の報告を求め、その審議を進められんことを望みます。

堤康次郎無所属議長

○議長(堤康次郎君) 荒船君の動議に御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

堤康次郎無所属議長

○議長(堤康次郎君) 御異議なしと認めます。よつて日程は追加せられました。  議員有田二郎君の逮捕について許諾を求めるの件を議題といたします。委員長の報告を求めます。議院運営委員長菅家喜六君。     〔菅家喜六君登壇〕

菅家喜六自由党

○菅家喜六君 ただいま議題となりました議員有田二郎君の逮捕について許諾を求めるの件について、議院運営委員会の審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。  本件は、議員有田二郎君が、株式会社名村造船所の顧問であるが、第九次後期新造船の割当等に関し審議決定する職務を鞅掌中の運輸省当局に対し、船主、東西汽船株式会社、造船所、株式会社名村造船所の新造船の割当その他につき尽力方請託をなし、その実現を見るや、株式会社名村造船所取締役兼東京事務所長武田勝一と共謀の上、昭和二十八年十一月ころ、東京都千代田区丸の内ホテルその他において、右請託に対し尽力を受けたること並びに将来も同様な尽力を得たい趣旨のもとに、その報酬として同省官房長壺井玄剛に対し金五十万円を供与し、もつてその職務に関し贈賄したものであるという被疑事実に基き、東京地方検察庁検事河井信太郎からの逮捕状請求により、東京簡易裁判所判事からの要求に従つて、去る十七日内閣から同君の逮捕につき本院の許諾を求められたものであります。  議院運営委員会は、この案件の付託を受けまして、十八日及び十九日の両日秘密会を開いて、犬養法務大臣、清原事務次官及び井本刑事局長より本件の説明を聴取いたし、十分ただすべきはただし、さらに二十日には、同様秘密会において、本人からの申入れにより、その身上弁明をも聴取いたしました。委員会の審議は、事議員の身上に関することでもあり、特に憲法上の議員の特権に関する重大問題でありますので、各委員とも党派を離れてきわめて慎重かつ真剣な審議に終始いたした次第であります。その詳細な内容は、秘密会のことでもありますから、報告を差控えますが、特に審議の焦点となりました二、三の重要な点につきまして、委員会の了承を得て、ここに簡単に御報告申し上げておきたいと思います。  まず、その第一点は、憲法第五十条の保障する会期中における議員の不逮捕の特権は、新憲法における国会の地位と議員の職責にかんがみ、旧憲法に比較してはるかに強いものであり、国会議員は会期中には逮捕されないというのがその大原則であることは言うまでもないことであります。もとより、国会議員といえども国民であります。国民が法律の前にすべて平等であるという憲法の原則にも増して、国会議員に会期中には逮捕されない特権を憲法が保障いたしておりますゆえんのものは、まざに憲法において、国会の占める重大地位と、国政の審議を担当する議員の重大なる使命、職責をより一層重視しているからにほかならないものであると存じます。従いまして、法律の規定に基いて逮捕の許諾を求めることは、この憲法第五十条の根本の精神にかんがみ、きわめて例外的の、よくよくのことに限らるべきことは当然でありまして、まずこの憲法第五十条の精神に対する検察当局なりあるいは内閣の認識が論議の第一の焦点となりましたことは、けだし当然なことでありましよう。これに対し、犬養法務大臣及び法務当局よりは、もとよりこの憲法第五十条の精神を十分認識しつつ、なおやむを得ざるに出たる処置である旨の答弁があつた次第でございます。  次に、もとよりこの憲法第五十条といえども、一切の例外を認めないものではないことは、憲法第五十条自身が法律に定むる例外を規定しておることから当然のことであります。これに基いて、国会法第三十三条は、その例外を、院外における現行犯の場合を除いては、議員の逮捕はすべて議院の意思にゆだねておるのでありまして、逮捕を許諾するかいなかは一にかかつて議院みずからの判断によつて決すべきところであります。しかして、この議院の許諾かいなかの判断は、一方その被疑事実に関する検察庁側の要請と、他方国会議員の国政審議の職責の重要性との国家的見地からする比較衡量によるべきものでなければならないのであります。従つてまた、単なる捜査の便宜のためにするごとき逮捕は許しがたいものであります。いわんや、新刑事訴訟法の精神が身柄を拘束することなく取調べることを原則としているにおいてはなおさらのことであります。逮捕の諾否を議院の意思にゆだねておる国会法第三十三条の精神にかんがみ、またさらに、かつて被疑事実以外に何かあるかのごとき印象を与えて逮捕許諾の判断を促したと思おるるがごとき過去の法務当局の説明の仕方にも顧みて、特に議員の審議権の尊重を十分認識してその許諾を求めるものであるかどうか、ことに、現下の与野党の勢力分野において、一名の議員の逮捕が国政に及ぼすべき影響の重大性が認識されているかどうか、また、被疑事実の性質から、身柄拘束をどうしても必要とするものであるかどうか等の点が鋭く追究されたのでありまして、この点についても、法務当局は、これらのことをも十分考慮の上、この種犯罪の性質等からも真にやむを得ず逮捕許諾要求という結論に達したものであるとの答弁があつた次第でございます。  第三に、過去における数件の逮捕要求の事例を顧みますれば、その多くは無罪となつているのであります。しかるに、議員逮捕の問題は、逮捕を要求される議員の一身上から言いますれば、まさにその議員の政治的生命に関する問題であります。さらにまた、大にしては一国の政治を左右することさえもある重大性をも持つているのであります。かるがゆえに、検察当局も慎重に慎重を期すべきものであると思うのであります。この点、従来の例にもかんがみ、もし逮捕要求をされた議員が将来無罪になつた場合、検察当局の責任は一体どういう形でとらるべきものかという点が真剣にただされたのであります。しかして、これに対しまして、犬養法務大臣から、もとより無罪となる場合のケースにもよることながら、担当検事に明らかな失当が認められる場合においては、検察官の身分保障のわく内において、特に検察人事の面において必ずその責任をとるべきこと、またその失当著しい場合にあつては、当然検察官適格審査会の審査の対象となるべきことが言明されたのでありまして、この点は検事の責任について従来示されなかつた注目すべき法務当局の責任ある答弁であります。また同時に、本件に関する当局の相当な決意を示すものと考えられたのであります。  以上、委員会の論議の中心ともいうべき若干の点について御報告申し上げました。  委員会は引続き本件の取扱いについて慎重かつ超党派的態度をもつてその協議に当つて参りましたが、本日の委員会において、自由党の鍛冶良作君から、本件については来る三月三日まで逮捕することを許諾すべしとの動議が提出いたされました。これに対しましては、改進党の椎熊三郎君、社会党の山本幸一君、松井政吉君等からは反対の意見が述べられ、採決の結果本動議は否決され、本件は多数をもつて許諾を与うべきものと決定した次第であります。  以上御報告申し上げます。(拍手)

堤康次郎無所属議長

○議長(堤康次郎君) 本件に対し、鍛冶良作君から、本件については来る三月三日まで逮捕することを許諾することの動議が提出されました。この際その趣旨弁明を許します。鍛冶良作君。     〔鍛冶良作君登壇〕

鍛冶良作自由党

○鍛冶良作君 ただいま議長よりも動議の趣旨を朗読せられましたが、私からあらためて動議の趣旨をまず朗読いたします。  本件については来る三月三日まで逮捕することを許諾するとの動議でございます。私は、以下、自由党を代表いたしまして、この趣旨の弁明をいたします。国会議員の身分の保障につきましては、ただいま菅家委員長から御報告のありました通り、国会の開会中は逮捕せられない、国会前に逮捕せられたる者も、国会を開会するときにあたつて、議院より釈放の要求があるならば、ただちに釈放すべきものであるという、憲法上認められたるわれわれ議員の重大なる身分保障があるのであります。(拍手)それゆえに、一検察庁の便宜であるとか、今までのしきたり等をもつて軽々にこの逮捕の要求をせられては、わが国会の権威を傷つけるものこれよりはなはだしきはないと思うのであります。(拍手)さらに、この身分保障のほかに考うべきことは、国会の審議にさしつかえあるかいなやということにあるのであります。いやしくも国会議員としてここに現われております以上、国会開会中に一人の議員といえどもその席を失うということは、これほど国会審議に妨害になるものはないのであります。(拍手)私は、皆さんに、一だれだれであるとか、何々党のだれだれということを離れて、われわれ同僚国会議員の身分のことであるということを冷静に考えていただきたい。国会開会中において、一日といえども議員が議席をなくすることは、国会審議を妨げるものであります。ことに、最も大きな国会の審議は、この十九国会をもつてするならば予算の審議であります。今や予算は委員会にかかつておりまして、おそくとも来月の三日までには本会議に上程せられる予定となつておるのであります。この際において、一人の議員といえどもこの議席を失い、この重大な審議に参与できないとすれば、これほど国会の審議を妨げるものはない。  われわれは、これらの点を考えまして、予算が本会議にかかるであろう前日、三月三日まではやむを得ないけれども、その日までにはぜひとも釈放せよという意思表示をもつてこの許諾を与えるほかはないと結論づけたのであります。  諸君、刑事訴訟法の建前は、国会議員であろうが、だれであろうが、一日も早く審理を終了し、その身柄を釈放すべきが当然であります。でき得るならば身柄を拘束せないで、任意出頭のままでやることを原則にせなければならないのである。このたび、かような要求をせられましたが、一日も早くその身柄を釈放させて、お互い同僚とともにこの国会において国政の審議に当らせようと考えることは、われわれ議員の本領ではございませんか。(拍手)私は、この意味において、まことに遺憾ながら、これだけはやむを得ないが、おそくとも三月三日までには釈放すべしというこの許諾条件は当然のことであると考えざるを得ないのであります。(拍手)  私は、この際、これに対して疑問のある一、二点を弁明いたしておきます。  この許諾にあたつて期限を切るがごときことは憲法違反ではないか、もしくは検察庁の取調べに干渉するものではないかという議論がございます。私はまことに嘆かわしき議論だと言わざるを得ない。憲法五十条は何のためにあるのか。われわれは、期限をつけるどころではない、拒否までもできる権限を持つておるのであります。国会が許す範囲においてこそやられるが、検察庁の要求に従わなければならぬという前提のもとにかような議論をせられることは、国会議員みずからが国会の品位を下げるものであると私は断定いたします。(拍手)われわれは、常に国会の優位を認識し、かような議論はなすべきものでないと考える。  その次は、衆議院規則百四十九条に、表決にあたつては条件をつけることができないとある。この動議を出すことは表決に対する条件ではないかという議論がございます。しかし、私は、条件と期限というものの区別を知つておる法律家であれば、かような議論をする必要はないと思うのである。私がかような議論をしておる人に対して一言一言つておきたいのは、百四十九条の、表決にあたつて条件を付してはならないということは、賛成はするが、こういうことがあるならば反対だ、こういうふうに賛否に対して条件をつけるということがいかないのである。今、われわれが、ここに現われたるこの事案に対して、イエス、ノーを言うことにおいては、百四十九条に抵触するものではない。  この点十分御認識くださいまして、われわれが国会の品位重んじ、同僚の身分に対する同情の極としてこの動議を提出いたしましたる以上は、何とぞ諸君冷静になつて、満場一致この動議に賛成せられんことをお願いいたします。(拍手)

堤康次郎無所属議長

○議長(堤康次郎君) 討論の通告があります。順次これを許します。高橋禎一君。     〔高橋禎一君登壇〕

高橋禎一改進党

○高橋禎一君 私は、改進党を代表いたしまして、ただいま鍛冶良作君より提出せられました珍妙なる動議に対し反対の意思を表明いたしたいと思うのでございます。(拍手)もつとも、かかる動議を提出せられました鍛冶君の心情及びこの動議を支持せられる自由党の方々の心情は十分察するのでございます。しかしながら、われわれは、国民の意思を尊重して政治を考え、また憲法を守り、法治主義を守らなければならない立場にあるということを自覚して、この問題は冷静に判断を下さなければならぬと考えるのでございます。(拍手)  委員長の報告並びに鍛冶君の御説明を承りますと、いわゆる国会議員の特権というものを、国会の審議権というところに重きを置かれたのでございますが、しかし、これのみをもつてしては問題は解決しないのでございまして、日本国憲法は犯罪容疑者を守る精神では断じてないということでございます。(拍手)すなわち、犯罪容疑を受けまして検察権が発動されます際、国会がこれを守らなければならないということは、政府がむしろ権力を濫用し、あるいは検察当局が権力を濫用して、理由なくして国会議員の審議権を侵そうとするところを守らんとするのが憲法の精神でございます。(拍手)私の尊敬いたします故美濃部博士のごときも、国会においては、逮捕の許諾を求められた際に、よほど権力濫用の理由が見出されない限り、これに許諾を与えなければならぬと明言しておられる尊敬すべき議論があるのでございます。(拍手)  私は、まず、この問題を法律的立場と政治的立場に立つて考えてみたいと思います。  まず、政治的立場に立つて考えまするのに、国民が一体この問題をいかに取扱うように国会に希望いたしておるかという民意の問題でございます。最近の国会のありさまを見て、国民は国会におけるこの疑惑を一掃することを希望いたしておるということについては異論はございますまい。今、国会議員の一人が犯罪容疑を受けて、しかも政府の申しまする通りに、きわめて慎重なる態度をもつて研究したところ、これを逮捕しなければ犯罪の捜査が不可能である、証拠が隠滅せられると、こう申出が出ておるこの際、すなわち、国民もこれを望み、政府もこれを望んでおる際に、国会においてしいてこれを拒否しようとするの態度、あるいはまた、それに対してことさらに条件を付さんとするの態度は、決して国民の意思を尊重するの態度ではないと私は信ずるのでございます。(拍手)  また、法律の立場から考えましても、先ほど憲法の精神について一言いたしましたが、なお先ほど鍛冶君も指摘せられましたことくに、衆議院規則の第百四十九条には、「表決には、条件を附けることができない。」と明記いたしております。鍛冶君は、これは条件ではないと言うのです。ところが、冷静にお考えください三月三日まで逮捕を許すということは、三月四日には釈放すべしという条件が実質的にはついておるのであります。(拍手)許諾を与えるけれども、何月何日にはこれを釈放すべしというがごとき動議は、私は、この点一点を考えてみましても、冒頭に申し上げましたごとく、きわめて珍妙なる動議であると信ずる次第でございます。(拍手)われわれは、もちろん有田君が犯罪があるかないか、それは断定はできません。しかしながら、強い疑いを受けておるということは事実でございます。司法機関の公正なる捜査の結果、その結論がいかになろうということは、われわれの関知するところではございません。ただ、国会が捜査権を妨害して犯罪人を逃避せしむるというようなことが公然と行われるというような結果に相なりまするならば、私は決して国会の信頼をつなぐゆえんではないと考えておるのでございます。(拍手)  鍛冶君の動議が通過いたしますと、三月四日に釈放するかいなかは、これはまだ検察当局の意見もあることでございますが、むしろ私は、検察当局はそのような動議の条件付の承諾に対しては拘束はされないと思う。訴訟法には、断じて、そういう点を——釈放しなければならぬということを明記しておらない。もしもこういうことを許せば捜査の妨害になる。しかも、諸君、三月四日にこれを釈放して、今会期中は一事不再議の原則によつて、再びこれを逮捕しなければならぬというような事情が起つて参つたとしても、この問題を再び取上げることができないということになるのでありますが、それはどうでしよう。国民が納得するでしようか。そんな法律が許されるでしようか。(拍手)私は、国会において、そのような理不尽な、みつともないことは許されないと確信をいたすものでございます。(拍手)  私は、この際、われわれの力をもつて憲法を守らなければならない、こりくつを並べて国民の意思を蹂躪するようなことがあつてはならない、どこまでも民意を尊重し、憲法を守り、法治主義を維持するという意味において、このようなおそまつ、珍無類の動議に対しては絶対に反対であるということをここに強く主張いたしまして、私の反対の意見を終ります。(拍手)

堤康次郎無所属議長

○議長(堤康次郎君) 青野武一君。     〔青野武一君登壇〕

青野武一日本社会党(左)

○青野武一君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま自由党の鍛冶良作君からの、有田二郎君に対する逮捕許諾の請求に対しては、三月三日までに釈放すべし、三月三日までは逮捕許諾を認めるといつたような、そういう動議に対しては断固反対の意思をここに表明するものでございます。(拍手)  私は、有田君に対する逮捕許諾の請求が参りましたとき、個人的には情誼において忍びないものがございまするので、ほとんど個人的には言葉をさしはさんでおりません。しかしながら、有田君の逮捕に反対することによつて、その次に、国会に席を持つておるいろいろの被疑者に対して、この有田君を防波堤にせんとする陰謀のあることも見のがしてはなりません。(発言する者あり、拍手)今、鍛冶君は、国会の権威のために、憲法の五十条は議員の身分を保障しておるから、国会の権威と憲法の身分保障はわれわれが守らなければならぬと言つておりますが、不幸にして検察庁から疑いを受けた諸君は、社会党の私どもの同志ではございません。しかも、この問題は、検察庁の逮捕許諾の要求に承認を与えることこそ国会の権威を保持するゆえんだと私は信じておる。(拍手)  昭和二十二年に第一次造船計画が発表いたされまして、二十八年の第九次計画に至るまでに、二百九十隻、約百六十万トン、これを建造するにあたつて、ほとんど国民の血税をもつて今日まで財政融資をして参りましたものが九百億円であります。第十六国会において、自由党の諸君、鳩山自由党の諸君、改進党の諸君が政府案よりも有利な共同修正をしたところにこの疑獄事件の根があるのであります。私は、外航船舶建造融資利子補給及び損失補償法が無理な点から成立をしたところに、国会の不信——国民の諸君が、どろ沼のような国会だと言つて各所で非難しており、四百六十六名の衆議院議員全体の恥辱になつておるが、一体それはどういう人がそういう種をまいたか。私どもは、個人的には、先ほども申しましたように、情においては忍びざるものがございます。しかしながら、本日の議運においては、野党十五名の諸君はこの許諾を承認することに決定をしております。同じく鍛冶良作君の動議に対してもまた、数字の上では十五対十四で自由党の諸君は敗れております。  私どもは検察庁側に対して質問をしている。井本刑事局長は、十八日の議運において何と言つておりますか。疑いはどこまでも疑いでありまするが、この種涜職事件は身分を拘束して調べなければ調べがつきません。犬養法務大臣は、目に涙ぐんで何と言いました。事ここに至れば、自由党の幹部であろうと党員であろうと、法務大臣の立場からは佐藤検事総長の要求を聞かなければならぬ段階に参りましたから、この逮捕許諾の請求書を成規の手続を踏んで出したということを議運において発表しておるのでございます。  私どもは、個人的、同僚議員の問題に触れるのでございますから、多くは申しません。しかしながら、国民全体が国会に対して不信を抱いていることは事実である。この国会を粛正しなければならない義務はわれわれに課せられております。それを、何を好んで——検察庁の要求に対して、同志愛をはき違えた、かくのごときばかげた動議を出すこと自身が、国会に対する国民の不信をますます上塗りすることであると私は考える。(拍手)しかも、先ほど改進党の高橋君が言つておりましたように、衆議院規則百四十九条には、条件を付してはならないとある。しかしながら、かたかなで書いても漢字で書いても期限と条件の文字は違いますが、三月三日に期限を付することそれ自身がこれは条件をつけることである。(拍手)鍛冶良作君はここで三百代言のようなことを盛んに得々として述べておりますが、それは議会でしやべることは許されても、国民の前では、そういうばかげた演説は通りません。  日本社会党は多くを申しません。国民全体の金をむだ使いし、法律を犯したという疑いがあれば、国会は進んでこの逮捕許諾に対して承認を与うべきである。(拍手)そうして、これが動機になつて、もし不幸にして次から次に出る者があつても、当然これに許諾を与うべきである。そうして、この暗黒に瀕して行く衆議院の内部を粛正して、国民の期待に沿うような、われわれは徹底的な検察当局のこれに対する追究と最後の調査をしてそれぞれの処断をしてもらいたいということを希望しておりまするがゆえに、この動議に対しては、まつこうから日本社会党を代表して反対し、そうして日本社会党の態度を主張をここに明確にする次第でございます。(拍手)

堤康次郎無所属議長

○議長(堤康次郎君) 池田禎治君。     〔池田禎治君登壇〕

池田禎治日本社会党(右)

○池田禎治君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま上程されました鍛冶良作君の動議に対しまして反対の討論を試みんとするものでございます。(拍手)  鍛冶君も、あるいはまた委員会におきまして、この有田君の逮捕に対するところの是非の論議というものは、あらゆる角度から検討されたのでございます。しかも、その逮捕に対して疑議があるということは、どこにその論点を置いているかと申しまするならば、憲法において保障されている議員の身分を蹂躪するものであるというところに源を発しているのであります。確かに憲法五十条におきましてこの議員の身分は保障されているのであります。この憲法を守れということにつきましては、私どももとより同感であります。さりながら、皆さん、憲法はどういうところからこの五十条が生れたかというならば、この憲法は、フランスのナポレオンが徹底的に暴力をふるつて、国民を、国民代表である代議士を検挙した、その結果、フランス革命の直後、この議員をみだりに逮捕できないというところからこの立法ができたのでございます。わが国の憲法第五十条におきます身分保障もまたここに源を発しているのでございます。しかるに、憲法を守れと言いつつも、その五十条をたてにとつて、憲法全体の精神でありますところの国会の尊厳を無視し、国民の疑惑を一層深めんとするがごときただいまの動議に対しましては、絶対に反対の意思を表明するものでございます。(拍手)  私は、同僚議員であります有田君が国会の開会中に逮捕されるということにつき、これに対するところの是非の議論をしなければならぬ立場を悲しく思うものであります。と同時に、自由党の諸君にお尋ねをしたい。もしかりにこの動議が成立をするとするならば、有田君は三月三日までは逮捕されるが、三月四日には出さなければならぬ。そういたしますると、国民はどういたしましよう。国会議員というものはどんなことをしても、国会議員なりせば、いかなることをしてもつかまらないと国民は言うでしよう。これをはたして諸君は認めるのでございましようか。現に、この議場の一歩外へ出て見てくだたい。新聞記者の諸君が、国民が、はたしてこの動議が通るか通らぬかということを非常に大きく心配をしている。もしこの動議が通るならば、日本の国会は、日本の国会議員は、いかなることも横車をもつて議会を押し通したと言うでしよう。はたしてこれでよろしいか。  私は、国権の最高機関たる国会を守り、国民の真の代表たるところの議会を顕現するゆえんのものは、自由党の諸君もこぞつてかかる動議を撤回することだ、これ真の憲法を守るゆえんであると言わなければなりません。(拍手)感情を離れまして、お互いが冷静に考え、真に民主主義を守るものは何か、憲法を守るものは何か、国会を守るものは何かという点にあらためて自由党の諸君に反省を求め、この動議を撤回されんことを要求いたしまして、私の反対討論とする次第でございます。(拍手)

堤康次郎無所属議長

○議長(堤康次郎君) これにて討論は終局いたしました。  これより採決に入ります。鍛冶良作君提出の動議につき採決いたします。この採決は記名投票をもつて行います。鍛冶良作君提出の動議に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参せられんことを望みます。閉鎖。  氏名点呼を命じます。     〔参事氏名を点呼〕     〔各員投票〕

堤康次郎無所属議長

○議長(堤康次郎君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。開鎖。  投票を計算いたさせます。     〔参事投票を計算〕     〔「投票漏れがあるぞ」と呼び、その他発言する者多し〕

堤康次郎無所属議長

○議長(堤康次郎君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     〔「無効だ無効だ」と呼び、その他発言する者多く、議場騒然〕

堤康次郎無所属議長

○議長(堤康次郎君) 投票漏れがあるとの申出がありますけれども、投票箱閉鎖を宣言した後でありますから、いたし方ありません。  投票の結果を事務総長より報告いたさせます。     〔事務総長朗読〕  投票総数 四百十三   可とする者(白票)   二百九     〔拍手〕   否とする者(青票)   二百四     〔拍手〕

堤康次郎無所属議長

○議長(堤康次郎君) 右の結果、鍛冶良作君提出の動議は可決されました。(拍手)     —————————————     〔参照〕  鍛冶良作君提出の動議を可とする議員の氏名    相川 勝六君  逢澤  寛君    青木  正君  青柳 一郎君    赤城 宗徳君  秋山 利恭君    淺香 忠雄君  麻生太賀吉君    足立 篤郎君  天野 公義君    荒舩清十郎君  安藤 正純君    伊藤 郷一君  飯塚 定輔君    生田 宏一君  池田  清君    池田 勇人君  石井光次郎君    石田 博英君  石橋 湛山君    今村 忠助君  岩川 與助君    宇都宮徳馬君  上塚  司君    植木庚子郎君  内田 信也君    内海 安吉君  江藤 夏雄君    遠藤 三郎君  小笠 公韶君   小笠原三九郎君  小川 平二君    小澤佐重喜君  小高 熹郎君    尾崎 末吉君  尾関 義一君    越智  茂君  緒方 竹虎君    大上  司君  大野 伴睦君    大橋 武夫君  大橋 忠一君    大平 正芳君  大村 清一君    岡崎 勝男君  岡田 五郎君    岡本 忠雄君 岡村利右衞門君    加藤 精三君  加藤 宗平君    加藤常太郎君  加藤鐐五郎君    鍛冶 良作君  金光 庸夫君    川島正次郎君  川村善八郎君    河原田稼吉君  菅家 喜六君    木村 武雄君  木村 俊夫君    木村 文男君  菊池 義郎君    岸田 正記君  北 れい吉君    熊谷 憲一君  倉石 忠雄君    黒金 泰美君  小枝 一雄君    小金 義照君  小坂善太郎君    小平 久雄君  小西 寅松君    小林  錆君  小林 絹治君    小峯 柳多君  佐瀬 昌三君    佐藤 榮作君  佐藤善一郎君    佐藤 親弘君  佐藤洋之助君    坂田 英一君  坂田 道太君    迫水 久常君  始関 伊平君    塩原時三郎君  篠田 弘作君    島村 一郎君  庄司 一郎君    首藤 新八君  助川 良平君    鈴木 仙八君  鈴木 善幸君    鈴木 正文君  世耕 弘一君    瀬戸山三男君  關内 正一君    關谷 勝利君  田口長治郎君    田子 一民君  田嶋 好文君    田中伊三次君  田中 角榮君    田中  好君  田中 彰治君    田中 龍夫君  田中 萬逸君    田渕 光一君  高木 松吉君    高田 弥市君  高橋 英吉君    高橋圓三郎君  高橋  等君    竹尾  弌君  武田信之助君    武知 勇記君  玉置 信一君    津雲 國利君  塚田十一郎君    塚原 俊郎君  辻  寛一君    土倉 宗明君  綱島 正興君    坪川 信三君  寺島隆太郎君    徳安 實藏君  苫米地英俊君    富田 健治君  中井 一夫君    中川源一郎君  中川 俊思君    中村  清君  中村 幸八君    中山 マサ君  永田 良吉君    永田 亮一君  長野 長廣君    南條 徳男君  丹羽喬四郎君    西村 英一君  西村 直己君    西村 久之君  根本龍太郎君    野田 卯一君  羽田武嗣郎君    葉梨新五郎君  馬場 元治君    橋本 龍伍君  長谷川 峻君    花村 四郎君  濱田 幸雄君    濱地 文平君  林  讓治君    林  信雄君  原 健三郎君    原田  憲君  平井 義一君    平野 三郎君  福井  勇君    福田 赳夫君  福田 篤泰君    福田  一君  福田 喜東君    福永 健司君  藤枝 泉介君    船越  弘君  船田  中君    降旗 徳弥君  保利  茂君    坊  秀男君  星島 二郎君    堀川 恭平君  本多 市郎君    本間 俊一君  前尾繁三郎君    前田 正男君  牧野 寛索君    益谷 秀次君  増田甲子七君    松井 豊吉君  松岡 俊三君    松崎 朝治君  松田 鐵藏君    松永 佛骨君  松野 頼三君    松山 義雄君  三浦寅之助君    三和 精一君  水田三喜男君    南  好雄君  村上  勇君    持永 義夫君  森   清君    八木 一郎君  安井 大吉君   山口喜久一郎君  山口 好一君    山口六郎次君  山崎 岩男君    山崎  巖君  山田 彌一君    山中 貞則君  山本 勝市君    山本 正一君  山本 友一君    吉田 重延君  吉武 惠市君    渡邊 良夫君  亘  四郎君    只野直三郎君  否とする議員の氏名    赤澤 正道君  荒木萬壽夫君    有田 宣三君  五十嵐吉藏君    井出一太郎君  伊東 岩男君    池田 清志君  稻葉  修君    今井  耕君  臼井 荘一君    小山倉之助君  大麻 唯男君    大高  康君  岡田 勢一君    岡部 得三君  神戸  眞君    川崎 秀二君  喜多壯一郎君    吉川 久衛君  楠美 省吾君    栗田 英男君  小泉 純也君    小島 徹三君  河野 金昇君    河本 敏夫君  佐藤 芳男君    佐伯 宗義君  齋藤 憲三君    櫻内 義雄君  笹本 一雄君    志賀健次郎君  椎熊 三郎君    重光  葵君  白浜 仁吉君    須磨彌吉郎君  鈴木 幹雄君    園田  直君  田中 久雄君    高瀬  傳君  高橋 禎一君    竹山祐太郎君  舘林三喜男君    千葉 三郎君  床次 徳二君    内藤 友明君  中嶋 太郎君    中曽根康弘君  中野 四郎君    中村三之丞君  中村庸一郎君    並木 芳雄君  橋本 清吉君    長谷川四郎君  廣瀬 正雄君    福田 繁芳君  古井 喜實君    古屋 菊男君  町村 金五君    松浦周太郎君  松村 謙三君    三浦 一雄君  三木 武夫君    村瀬 宣親君  粟山  博君    柳原 三郎君  山下 春江君    山手 滿男君  吉田  安君  早稻田柳右エ門君  阿部 五郎君    青野 武一君  赤路 友藏君    赤松  勇君  足鹿  覺君    飛鳥田一雄君  淡谷 悠藏君    井手 以誠君  井谷 正吉君    伊藤 好道君  石村 英雄君    石山 權作君  稻村 順三君    小川 豊明君  加藤 清二君    片島  港君  勝間田清一君    上林與市郎君  神近 市子君    木原津與志君  北山 愛郎君    久保田鶴松君  黒澤 幸一君    佐々木更三君  佐藤觀次郎君    齋木 重一君  櫻井 奎夫君    志村 茂治君  柴田 義男君    島上善五郎君  下川儀太郎君    鈴木茂三郎君  田中織之進君    田中 稔男君  多賀谷真稔君    高津 正道君  滝井 義高君    楯 兼次郎君  辻原 弘市君    永井勝次郎君  成田 知巳君    西村 力弥君  野原  覺君    萩元たけ子君  長谷川 保君    原   茂君  福田 昌子君    古屋 貞雄君  帆足  計君    穗積 七郎君  細迫 兼光君    正木  清君  松原喜之次君    三鍋 義三君  武藤運十郎君    八百板 正君  安平 鹿一君    柳田 秀一君  山口丈太郎君    山崎 始男君  山田 長司君    山花 秀雄君  山本 幸一君    横路 節雄君  和田 博雄君    淺沼稻次郎君  井上 良二君    井堀 繁雄君  伊瀬幸太郎君    伊藤卯四郎君  池田 禎治君    今澄  勇君  受田 新吉君    大石ヨシエ君  大西 正道君    加藤 勘十君  加藤 鐐造君    甲斐 政治君  春日 一幸君    片山  哲君  川俣 清音君    河上丈太郎君  木下  郁君    菊川 忠雄君  小林  進君    河野  密君  佐竹 新市君    佐竹 晴記君  杉村沖治郎君    杉山元治郎君  鈴木 義男君    竹谷源太郎君  長  正路君    辻  文雄君  堤 ツルヨ君    戸叶 里子君  冨吉 榮二君    中居英太郎君  中崎  敏君    中澤 茂一君  中村 高一君    西尾 末廣君  西村 榮一君    日野 吉夫君  平岡忠次郎君    細野三千雄君  前田榮之助君    松井 政吉君  松平 忠久君    松前 重義君  三宅 正一君    三輪 壽壯君  水谷長三郎君    門司  亮君  矢尾喜三郎君    山口シヅエ君  山下 榮二君    吉川 兼光君  吉田 賢一君    久保田 豊君  黒田 寿男君    小林 信一君  館  俊三君    辻  政信君  中原 健次君    中村 英男君  安藤  覺君    池田正之輔君  河野 一郎君    中村 梅吉君  松田竹千代君    松永  東君  三木 武吉君    有田 八郎君  原   彪君     —————————————

堤康次郎無所属議長

○議長(堤康次郎君) 採決に異議ありとの申出が椎熊三郎君、山本幸一君、池田禎治君よりありますが、記名投票をもつて採決をしたものでありますから、いたし方ありません。  この際暫時休憩いたします。     午後四時十八分休憩      ————◇—————     〔休憩の後は会議を開くに至らなかつた〕

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