法務委員会外国人の出入国に関する小委員会 第1号
- 発言数
- 1 件
- 登壇者
- 1 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1954/07/08
会議録
○花村委員長 これより外国人の出入国に関する小委員会を開会いたします。 まず派遣委員よりの報告をいたします。法務省入国管理局大村入国者収容所、大村入国管理事務所、福岡入国管理事務所の視察報告を小委員長の私よりいたしたいと思います。 視察要領を申し上げます。日時は昭和二十九年六月二十九日火曜日、午前十時半より午後二時半まで約四時間、この日は雨天でした。視察参加者は法務委員の花村四郎、林信雄君、専門員の小木貞一君、調査員の桜井芳一君であります。視察目的は、外国人の出入国に関する小委員会の審議に資するため実態の調査、第一線の係員との懇談、所要資料の提出要求等を目的といたしたのでございます。福岡入国管理事務所の視察は、六月三十日水曜日、午後零時半から約三十分間立ち寄つたのみであります。 大村収容所の概況。所在地は佐世保市より自動車にて約一時間、長崎県大村市松並町の海岸寄りのところにありまして、国鉄大村線の大村駅より徒歩で約十分の箇所でございます。 建物及び施設。元海軍大村航空廠の残存建物と、昨年九月工費一億六千万円をかけて竣工した新収容所とからなつております。残存建物は修理を加えて主として管理事務所に使用しておるのでございます。新収容所は二階建五棟で、一棟二百名を収容し得られることに相なつており、ほかに事務室、炊事室、病室、診療室、作業場、講堂、浴室があり、各収容室には洗面所、水洗便所が設備されております。外国人の収容所としてはおおむね理想に近い施設と言うことができると思います。 収容状況。昭和二十九年六月二十五日現在で六百三十名の収容者があります。うち韓国人が五百十名、中国人が百二十名であります。収容期間の最も長い者は、二年に及ぶ者があります。これは北鮮系の朝鮮人を送還したところ釜山で受入れ拒否され、もどされてそのまま収容中の者であります。本年度における収容者は六月までで約千名で、開所以来の累計は約九千九百名であります。 仮放免と送還状況でありますが、仮放免は本人の病状送還にたえないとの医師の診断により入院加療を要する者を主たる対象とし、経費や警備員数の都合を考慮し、確実な身元引受人や保証金五千円から三十万円までを納付さして許可しているのであります。現在仮放免中のものは韓国人が七十名、中国人が二十三名であります。本年度の送還はすべて釜山向けであつて、一月、三月、五月、六月の四回、毎回約二百名を送還しているのであります。強制送還者の累計は八千九百三十七名となつております。 次に、収容者の処遇状況を申し上げます。給食について、昭和二十九年六月法務省令をもつて被収容者の処遇規則の一部が改正されまして、現在の給食実行単価は米食者八十円(材料費のみ)の経費で、カロリー二千七百を下らず、かつ韓国人はにんにく、とうがらし使用、中国人は油を主として使用、欧米人等、人種別の献立に基いて調理しておるのであります。すなわち食事の種類としては、一般食、韓国人食事、中国人食、中国本土及び台湾人食事、患者食、医師の診断による者の食事、特別食、欧米人等米食しない者の食事。次に衣類、上衣、ズボン、スカート、ズボン下またはシユミーズ、シヤツ、さるまた、ふんどし、ズロース、靴下、はきもの、これらは貧困者に限つて給与いたしているのでございます。さらに日用品といたしましては、歯ブラシ一箇月一本、歯みがき粉一箇月一袋、手ぬぐいまたはタオル三箇月一枚、手洗い石けん、洗濯石けん一箇月に一個ずつ、ちり紙一日五枚、これは全収容者に支給、ふろしき、送還時のみ事情により支給、その他日常必需品、通信用切手十円一箇月一枚、はがき一箇月一枚、入浴については毎週月、木の二回、十二時より十五時まで、運動娯楽については午前七時から午後六時まで棟付属の運動場で各自運動を許可しているのであります。ピンポン台、野球用品、蹴球道具、ブランコを設備し、映画も一箇月一回以上講堂で実施しております。 次に作業状況について申し上げます。作業はもちろん被収容者の希望によつてのみ行われているものでありまして、現在わら加工作業のかますの製造をやつております。これも希望者が多いのであるが、作業場が狭いのでわずかに十五名ぐらいしか作業できない状況であります。目下作業場の増設計画、予算四百五十万円を立てております。作業員の収益は一日約六十円になつているそうであります。 職員の勤務状況を申し上げます。大村における職員は総員三百八十名であつて、うち事務職員は百二十名、入国警備官が二百六十名であります。但し女子警備官も含んでおります。事務分担組織は省略をいたします。 さらに警備状況を申し上げます。収容者間における派閥抗争は常に繰返され、各種の要求、陳情、嘆願が提出せられまして、小紛争が絶えず、警備面は片時も楽観を許されない状況であります。外部においては民戦系諸団体が対収容者工作を執拗に推し進めており、面会、差入れ、通信等には厳重な警戒、検閲をなし、通謀防止に万遺漏なきを期しているそうであります。 最後に視察後における感想を申し上げます。入国管理問題は大きな外交問題を内包しているのでありまして、中国、朝鮮、台湾等隣接諸国と日本との将来の善隣友交関係と人道主義の立場及び過去の歴史的諸関係を十分考慮して事を処置して行くことが絶対に必要であると信じます。中央、地方を通じてこの趣旨を徹底しなければならないことを痛感するのであります。収容所内を一巡して感じたことは、収容室入口扉の施錠、窓の鉄格子は刑務所そのままであるが、面会、差入れ、その他の待遇状況、ことに建物の色彩から来る明るい文化的な感じは断然刑務所と異なり、理想的な収容所と言い得るのであります。食事、被服、日用品の支給、施設費、係官人件費等を考慮するとき、収容者一名につき一箇月約一万二千円の経費を要すると聞くが、大いに考えさせられる点であります。なお健全な身体を持つ被収容者が、いつ送還されるともわからず、いたずらにぶらぶら日々を過ごしている風景はまことに異様な感に打たれたのでございます。収容は送還を前提としてのものであるべきで、いわば船待ちであります。無意義な長期収容は国家経済から見て不得策であるばかりでなく、被収容者たちの感情、境遇から将来の国交に及ぼす影響を考えるとき、何とかしなければならないと感じさせられました。ことに現在の収容者六百三十名に対して職員三百八十名を対比するとき、職員一名で収容者一・七、約一人半を受持つていることになるのであります。職員全部が収容者に直接関係ある事務を担当しているわけではないでありましようが、事務量や収容能力の関係から、収容者をふやそうとして無理をする危険が生ずるおそれがあるのではないかということを憂えるものであります。本年の二月ころからすでに強制退去令書の出ている中国人の収容を開始し、現在百二十名が入つているが、これらのうちには、出入国管理令の制定以前から密入国しておつて、自首してからでもすでに三年を経過している者もあります。しかも中国人の送還については、外交上の折衝関係から見て、いつになるか見通しがついていない状態があるのでございます。中国人の密入国者の処分については、留日華僑総会とも十分連絡して特段の措置を講じ得る道があると思うのであります。 以上報告を終ります。 以上をもつて報告を終了いたしました。何か御発言はありませんか。――別に御発言がなければ、小委員会はこの程度にいたし、これより懇談会に入りたいと存じます。 本日はこれをもつて散会いたします。 午後三時三十一分散会