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19回国会衆議院1954/09/13

法務委員会 第69号

発言数
100
登壇者
6
会派数
3
開催日
1954/09/13

会議録

小林錡自由党法務委員長

○小林委員長 これより会議を開きます。  本日は一昨日に引続き法務行政及び検察行政、いわゆる造船、陸運、保全経済会、日本殖産金庫等の疑獄事件に関する件及び人権擁護に関する件について質疑を続行いたします。  なお、法務大臣は午後は参議院の法務委員会に出席しなければならぬことになつておるそうですから、ぜひ正午までにしてもらいたいとの申出がありました。そのおつもりでお願いいたしたいと思います。古屋貞雄君。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 私は法務大臣にお尋ねをしたいと思うのです。十九国会において大分国民の疑惑を深めました疑獄事件、特にその中で造船疑獄につきまして過ぐる六日と七日に決算委員会で検事総長並びに検事正の証言を求めましたが、重要な問題になりますと職務上の秘密だということで証言の拒否をされておりますので、従いまして、法務大臣にこれが許可を申し出ておりますから、それに関係いたしまする国政調査権の問題についての御質問をしたいと思うのです。法務大臣は国政調査権に関してどんなお考えをお持ちになつておるか、私どもは行政の監督をいたしまする立場から相当つつ込んだ調査をする権限が国会に与えられておる、かように信じておるのであります。特に問題になつておりまする議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律の第五条の解釈問題に入つて来ると思うのでありますが、いずれにいたしましても、国政調査権がある程度まで真相の調査ができないということになれば、立法府として立法の諸資料が十分得られないということになりますし、しかも行政庁の行政執行に対する監督は非常に薄弱になつて来る、かような関係から、私どもは非常に強い力を持つておるものであり、しかも行政全般にわたつて調査ができる権限があるのだ、こういうふうに確信をいたしております。この点に対して、一応抽象的で、さらに進んで具体的に入りたいと思いますが、法務大臣のお考えはどうでありますか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 古屋委員のお尋ねにお答えいたします。この問題につきましては、前日同様の御質問がありましてお答えいたしておつたと思うのであります。ただいまのお尋ねは、国会の国政調査権が懸法に定められているので、その国政調査権というものは行政全般にわたつて立法の資料を得るため、かつは行政監督のために相当強い範囲において調査ができるものと思うがどうか、こういうお尋ねと了解いたしました。国会における国政調査権というものが非常に強い力を持つておらなければならぬことは、その通りであると私は考えるのであります。要するに、国会が行政全般にわたつての監督権を行い、かつ立法資料を得るために相当強い権限を持つてこれを調査することが必要であることは言うまでもないと思います。但しこの行政調査権が司法、行政各部にわたつて非常に強くどこまでも行い得るものである、要するに無制限に行い得るものである、こういうことになりますと、私はそこにやはりある制限は置かれるものではないかということを考えます。その制限がどの程度になるかということは、各問題によつて違つて来ると思うのでありますが、これをまず一般的に申しますと、わが憲法が三権分立の主義によつて立法、行政、司法の三権分立の制度を定めて、この三権の間では互いに相侵することなく、その権益を守るということが一つの原則になつております。ただ国政調査はその原則に対してある例外を設けて、行政に対しては相当の強い力を持つて調査権を行うことができる、こういうことはいえるのであります。司法に対しては司法行政の範囲においては、やはり国政調査権は相当強い力を持つてこれを調査する権限があることは言うまでもないと思いますが、純司法権に至つては、国会の国政調査権といえどもこれを侵すことはできない、こういうことを私は考えております。これは法律学者等に言わせましても、大体同様の意見を持つておるようであります。  検察権はどういう立場にあるかと申しますと、これは司法権でないことは明らかであります。やはり行政権の一種であります。但し司法を行うがためにその前提としてぜひとも必要な権限を持つておるものでありますから、司法に隣して強い力を持つておらなければ検察権を完全に行使して、司法権の確保をいたすことができませんので、国政調査権も検察権に対しては、一般行政とは異なつてある程度の制約を受けるものであろう、こういうことを私は考えております。その範囲がどういうふうになるかとしますと、これは場合によつていろいろ違いますが、まず第一に検察権の行う捜査の秘密に対しては、現在捜査を行いつつある場合においては、国政調査権といえども、これに立ち入つて捜査の全般にわたつて調査をするということはよろしくないのではないか。そうでなければ、捜査というものけとうてい行えないのでありまして、犯罪の検挙ができなければ捜査権は完全に行われない。すなわち検察権が行われないということになるのでありますから、この段階においては国政調査権が捜査権に立ち入つて、たとえばあれを調べろ、これを調べろ、この事件は起訴しろ、あの事件は起訴するなというようなことを国政調査といえどもやれるものではないのであります。こういうことを私は考えております。  問題は、ある刑事事件について捜査が一応完了した後、その捜査について国政調査がどこまで立ち入られるのであるか、こういう問題が、一つのむずかしい問題であります。これにつきましては、捜査せられておる事件が起訴せれました場合、一の場合においては公判においてやがて審理が始まるのでありまして、公判の審理前においては一切の公判に関する資料はこれを秘匿しておかなければならぬということは、刑事訴訟法の規定によつて明らかであります。すなわち今日の公判は起訴状一本を判事に出しまして、判事はこの起訴状一本を持つて第一日の日には法廷に現われます。そして検事から起訴した理由、つまり公訴を維持するに足る材料を次々に出して参ります。被告人及び弁護人は、これを防禦する材料を次々に出して参ります。こういうことで判事はやがて審理を進めまして、その審理がある段階に達してもはやこれ以上調べることがないという場合に判断を下して判決を言い渡すことになるのであります。そのときに至るまではやはり検察が調べたいわゆる捜査の材料というものは、公判判事の判断を公平に維持するがために、法廷に出すことはできない、従つてこれを公にすることはできない、こういうことをいわなければならぬと思つております。しかし公判が終つてしまつた後においては、これらのものは順々に秘密が解かれて、これを公にしてもさしつかえない時期に達することはもちろんであります。  なおもう一つ申し上げたいことは、捜査上の秘密に関する事柄は、ある程度捜査が終りましても、その事件がかりに公訴にかからない、すなわち起訴せられない場合において、いわゆる不起訴にした場合、あるいは起訴猶予にした場合、そういう場合におきましてもなお若干この秘密は保たれなければならぬ、国政調査もそこまでは立ち入つてはいけないのではないか、こういう考え方がされるのであります。それはなにゆえかと申しますと、捜査において検察官が関係者を呼び出したとか陳述したことを秘密にするにあらざれば、捜査は行い得ないことはもちろんであるのみならず、次の段階において別の事件について捜査をいたしますときに、前の事件でことごとく捜査された秘密が暴露されるということになりますと、次に調べられる事件に関係する被疑者はもちろん証人その他の参考人たちは、またこの事件が秘密が保たれればよろしいが、暴露されるのであつてはわれわれはその真実を語ることができない、こういう心理になることは当然でありますから、かような場合においてはやはりある程度先に捜査を終つて起訴されない事件の内容については、やはり国政調査権といえどもある期間調査を制約されることがあるのではないか、こういう考えを持つております。要するに捜査にかかつた事件は捜査中はもちろん国政調査権の及ぶところではない、そうして捜査を終つてこれが起訴された後においては、その起訴された事件の証拠になるべき書類及びその書類の内容となるべきもので、やがてその事件の証拠になるべきものは、やはりこれは公判開始前には公にできないのでありますから、その期間は制約を受ける。これは要するに裁判の公平を維持するためにどうしてもそれがなければならぬと思うのであります。最後に申し上げた点を繰返して申し上げますと、一般の捜査が次々に出て来るときに先の捜査の秘密がことごとく暴露されては次に来るべき捜査権を行うことに支障を来す、それゆえにこの点に関してもある程度の制約は受けなければならぬ。但しそれは一般的の原則を申し上げたのでありまして、その間に幾多の例外のあることはもちろんであります。ただある単独の、ほかに累を及ぼさないような事件について捜査をいたしまして、その捜査が不起訴になつた場合、あるいはその者の名誉を回復してやるがために、その事件を発表した方がかえつていい場合、その場合はその捜査の秘密はもちろんこれを公にしてさしつかえないのでありますから、国政調査権といえどもこれをお調べくだすつて一向さしつかえない。その他これに類して、ある期間過ぎればもはやその捜査の秘密は消えてしまう場合もいくらもあります。かような場合はこれを国政調査権で調べても一向さしつかえない。今のごとく本件におきましては、当面の問題といたしましては、つまり現在の段階におきましては、この捜査、いわゆる造船疑獄等でたくさんの者を調べております。そのうちの相当の部分が背任罪、横領罪、贈収賄罪あるいは詐欺罪等々として起訴せられておりまして、そうして一面に検察官がこの事件について調べて不起訴になつた材料その他のものは、やがてこの公判に起訴せられたる事件の証拠となるべきものが非常にたくさんあるのであります。それ故に、今ここに具体的には申し上げられませんが、一般的に申し上げると、そういうようなものは今日の段階においては、やはり秘匿せなければならぬ、こういうごとになるのでありますから、この点に関しては国政調査権は及ばない、やはり一種の制約を受ける、こういうふうに私は考えております。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 国政調査権は制約があるということでございましたが、その制約の範囲についての疑義がございますので、重ねてお尋ねしたいと思うのであります。ただいま大臣の御答弁によりますと、捜査をした者の中で起訴された者については、刑事訴訟法によつて公判前には発表するわけにはいかない、但し不起訴になつた問題についても、関連をするとかあるいはさらに捜査をいたす便宜上に関係して、個個の場合は別として、抽象的には出すことのできないものも多々ある、こういう御答弁でございましたが、その準拠すべき法律規定は何でございましようか、それを承りたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 検察の捜査が秘密であるということにつきましては、旧刑事訴訟法には捜査については秘密を守り云々という規定がありましたから、明らかでありました。現行刑事訴訟法にはこれと同じ規定はないのであります。しかしながら検察権においての捜査が秘密であるということは、これはもう刑事訴訟法始まつて以来、いわば不文の原則と申してもいいと思うのであります。特に規定をまつてさようなことをやらなければならぬという考え方でなくして、捜査が秘密でなければ実際において捜査はできないのでありますから、捜査は秘密を要するということは、そこから出て来ると私どもは理解をいたしております。  それから起訴された事件の証拠となるべきものを公にすることができぬことは、現行刑事訴訟法の四十七条にあります。「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。但し、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない。」こういう規定があります。この但書がありますから、そこに若干の例外を置かれることになるのでありますが、とにかく捜査に関する書類は公判の開廷前には公にすることはできぬというのは、先ほど申し上げましたように、判事が公判開廷前にいろいろな材料を提供せられると、公判における判断を間違う、判断について予断を抱くおそれがある。それゆえに、公判開廷後でなければこれを出してはいかぬ、こういう趣旨でこの規定は設けられておるのでありまして、司法権の公正、裁判の判断の公正の確保という点からこの規定はできたのであります。これは出類とありますけれども、その書類の内容を公にすれば書類を出したと同一でありますから、この書類の内容たるべき捜査上の事項は、やはりこれを公にしてはいけない、こういうふうに私どもは理解すべきであると思つております。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 ただいまの捜査の秘密は私ども認めますが、捜査が終了して後に秘密があるはずがないと思う。従いまして、旧法におきましてはその点を明確にしておきましたけれども、旧法と本法の根本的に違つておりまする問題は、新法は、主権在民、基本的人権の尊重、しかも民主主義の原則に基いた憲法の精神からなされたものでございますから、捜査された結果についての問題を秘密だと言うて発表することができない、あるいは国政調査権の対象にならないという議論は、どうも承服できないのですが、私どもが納得の行く何かそれについての確たる御答弁ができましたら承りたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 ただいま申し上げましたように、捜査を終つた段階におきましても、その捜査によつて得た材料は、公判において公にされては困るものが多々ありまするから、その範囲のものはどうしてもこれを秘密にしなければならぬ、こういうことを先ほど来申し上げておるのであります。その他公判にも何にも関係なくして、捜査を終ってしまって、その捜査上得た秘密で、ある場合においてはこれを公にしてもさしつかえないものも多々あるとは思います。その範囲を今ここで一般的に申し上げることは困難でありますが、これは相当あるだろうと思っております。またときのたつに従って捜査上秘密であったものが秘密でなくなるということもたくさんあるのであります。そういうことで、どうしても現行の訴訟手続においては、現に終った捜査上の秘密も、公判の維持上必要なるものは、検察の公訴権維持の上においてこれを秘密にせなければならず、公判の判事の判断の正確を確保する上において秘密にせなければならぬ、この二つはどうしても大切でありますから、この範囲に関する限りにおいては、国政調査権といえども制約を受けるのではないかということを私は考えておるのであります。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 法相の答弁は、どうも公判の出訴された問題にこだわっている。私の承りたいのは、起訴されない、不起訴になった事件の問題が国政調査の対象にならないのであるかということです。私は当然国政調査の対象になるべざものだと思う。国政を調査するということはいわゆる公益の代表であります。従いまして刑事訴訟法四十七条の但書の精神から考えましても、起訴された事件でありましても、その中の特殊な問題は当然国政調査の対象になり得ると私どもは信ずる。ましてや不起訴になった事件の内容を調査することができないという理由は、私は解釈に苦しむわけであります。法務大臣の御答弁ではないように考えておられる。ないというならどういう理由でないか、どういう規定に基くか、その点をもう少し明確に御答弁を願いたいと思います。われわれの調査は世間に対する単なる公表であるとか発表ではございません。われわれ国会において調査いたします国政調査というものは、これはすべてが公益を目的として、その目的のための一つの行使であります。私どもは公益上必要だという点から調査がし得ると思います。従いまして、ただいまの不起訴処分に対する事案の内容を調査することができるかできないか、この点の御答弁を願いたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 お尋ねのことはよくわかりました。それは先ほど来私が申し上げておることを繰返してお尋ねになっておることになるのでありますが、私の申し上げておることは、不起訴になった事件の内容で、現在起訴されておる事件の証拠になるべきものが非常に多いのであります。背任罪、贈収賄罪その他起訴せられておるものは、その背任の内容になるべき金の行き道、だれに幾らどういうときに渡ったかというようなことが、すなわらその起訴されておる事件の証拠になるのでありますから、今日においてはそれが公にできない、こういうことを申し上げるのであります。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 その点はどうも証拠にするとかしないとか育っていますが、それはそれでよろしい。そうすると不起訴処分になりました事件については、検察審査会ではこれを全部調べることができる、これは法律ではっきりしています。起訴、不起訴の当否を審査する、その審査する権限を審査会がお持ちになっております。従って審査会がお持ちになっておる権限と国政調査権の制約とは、国政調査権が狭くて、検察審査会が広い、そういうような矛盾はあり得ないのです。だからその点を私は承るのです。たとい法務大臣がいかに強弁いたしましても、検察審査会で不起訴事件を全部出せと言ったら、これは拒否できないと私は思います。そういう場合は、やはり全部の事実の内容についての審査をする資料とし、あるいはそこに呼びつけられて、これに対する検察官の捜査の経過を報告し、あるいは発表する義務があるにかかわらず、国政調査権においてのみこれができないということの矛盾を私は不思議に思う。国政調査権の方が狭い権限であって、検察審査会の方が広い権限を持っておるというりくつがないから私は承るのです。法務大臣の見解を承りたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 お尋ねの通り、検察審査権について検察審査会法という法律があります。これが不起訴事件について取調べをして起訴すべきかいなかということを決定することになっております。こういう特別の法律ができて、しかもその法律によって検察審査会の会員は不起訴記録を坂寄せ、あるいはその他必要なる証拠を調べることはできますが、これはすべて秘密を要とする、秘密にやらなければならないいう規定があって、その秘密を破れば罰則の規定によって罰せられることになっております、ただ取調べた結果もしこれを起訴すべしという決定をしたときには、最後にその決定だけを発表する、こういう規定があるのでありますから、その範囲外はことごとく秘密であります。これはただいま仰せられたように、私が申し上げた趣旨とは必ずしも矛盾しないと思うのであります。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 そこで私は承りたいのですが、そういたしますと、当法務委員会を秘密会にいたしますならば、全部お出しになるということは御決定になるでしょうね。その点を承りたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 秘密会でお調べになるならば、ある程度秘密は保てるかもしれません。しかし今までの例から見ますると、この点について必ずしも秘密ばかり保てないで、新聞にみな発表されておりますから、やはり全的に秘密が保てるということは困難ではないかと思います。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 そうしますと、検察審査員と国会議員との間の信用は、法務大臣のお考えでは、審査員の方を信用して、国会議員を御信用にならないのか。これが一つ。それからもう一つは、片方には処罰規定があって処罰されるから制約されておるのだ、国会議員の方は処罰の佃出定がないから、それによって区別しなければならない、こういう御見解だとするならば、いやしくも国会議員は、秘密会において審査いたしました問題については、国会の品位を傷つけるという懲罰の問題がございます。でありますから国会議員にも……(「本会議までに間に合わないぞ」と呼ぶ者あり)間に合うも間に合わないもない、そういうことになります。従って少くとも国会議員と検察審査員との区別について、十分お考えを願って御答弁をいただかなければ、そういうような区別を国民が納得するかしないか、そういう問題について、責任ある御答弁を願いたいと思います。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は検察審査会と国会における国政調査権とに優劣があるとかいうようなことについて申し上げようなどとは考えておりません。むしろ国会の調査権の方がはるかに強いものと思うのでありますが、ただ検察審査会におきましては、全部の記録を出すことはないのであります。必要な資料だけを出せばいい、そういうことでありますから、その範囲において適当と思う分だけを検察官が出せばよろしいのでありまして、全部の秘密をそこに暴露されるという心配はないのであります。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 それでは当法務委員会が、必要な分だけを要求いたしましたらお出しになりますか。その点を承りたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 それは場合によって異なると思います。具体的にお示しくださらぬと答弁はできません。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 検察審査会法にも必要な資料とあるのです。起訴、不起訴がいいかどうかを決定する必要な資料ですから、重要な案件はこれに全部入ると思う。そこでなお進んで承りたい。私どもの解釈は、国政調査権で制限を受けます条件は、灘院における証人の宣誓及び証言等に関する法律の第五条に基く制限以外には、国政調査権を制限する規定は日本にはないと思う。その点法務大臣いかがでしよう。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は先ほど御答弁申し上げた通り、ある程度の何か制約がある、こういうふうに考えておるのでありまして、その範囲がどこに行くかということは、先ほど申し上げましたように、一般的には私が御答弁申し上げた通りであります。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 でありますから、法律を基準にしてものをお考えになる法務大臣としては、その答弁はまことに当を得ていないと思う。いかなる法規に基いてそういう解釈をされるか、そういうような実践をするのが正しいと御信念あそばすのか、その点を承りたいと思う。先刻承ると、検察官の捜査秘密は、規定としてはないけれども、その本質上秘密にしなければならぬという御答弁であり決したが、捜査中においてはなるけどこれはそうです。捜査が済んで、しかも起訴、不起訴が決定して、起訴、不起訴に対する検察官の処置が正しいか、正しくないかという国政調査を検察審査会から受けます。そういり段階に立ち至つたのに、国政調査において、それもやはり秘密であるから出せないのだ、制約を受けるのだ、こういうことは法規に基かざる御解釈であって間違っておると思う。私はただいま申し上げました第五条以外には国政調査に対する国会の権限を制約するものはあり得ないと思うのですが、これに対する御答弁はいかがでしよう。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 国政調査権は証人喚問に関する法律の第五条に規定されておりまして、その範囲において国政調査権が行われることはもちろんであります。ただ職務上の秘密に関することは証言ができない、こういう制約がありますために、その制約の範囲において国政調査権は制限される、こういうように私は理解いたします。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 どうも私にはそこのところがわからぬのです。公務員の職務上の秘密を具体的に決定するのはどなたでございましようか、まずこれが一つ。公務員が出て来て、やたらに秘密だ秘密だと言った場合に、その秘密と称する具体的な事実が、なるほどこれは公務員の職務上の秘密だと最後に決定する場所、決定する権限はどこにあるのでしょうか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 第五条の規定によりますと、証言をする者が職務上の秘密であることを申し立てたときは、証人を調べる国会の機関が、その証言について監督官庁たる法務大臣に対して、証言せよという要求をせられるのである。この要求に従って、法務大臣が証言をさせてよろしいと思えば証言を承認するというお答えをいたします。そのときには国会の調査をなさる機関が、その承認について秘密であると言つたことについて証言をさせることができます。もし法務大臣がその場合に証言をさせることができませんと言ってお断りをしたときには、法務大臣がその理由を詳細に疎明いたします。その疎明に対して証言を求めらるる側が承知できないときには、政府に対して声明をしろ、こういう要求をなさることになります。それに対して政府が声明を出さなければこれは証言を続いてさせなければならぬことなります。もし政府がその証言は国家の重大なる利害に悪影響あり、こういう声明を出しますと、証言をさせることができない、こういう結果になると思うのであります。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 その点はよくわかつているから私は承っておるのですがそこで国政調査に対する制限というものは国家の重大なる利益に悪影響を及ぼすという制約じゃないですか。この認定はともかくといたしまして、国政調査が制約を受けるということの条件は少くともその事項が国家の重大な利益に悪影響を及ぼすという一つの具体的な事実が承認されなければ私は制約されないものだと思うのですが、その点はいかがですか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 その国家の重大なる利害に悪影響ありという認定をだれがするかというお尋ねでありますか。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 そういうような事実がなければ国会の調査権は制約を受けないのだ、こう考えていいかどうか……。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私もさように考えます。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 従いまして今回の造船疑獄に対してかく操作をいたしました情勢は私ども抽象的には存じております。それからなお今まで私どもが法務委員会で調査いたしました内容につきましても、リベートを一これはあとから刑事局長からお尋ねしたいと思っていますが、すでに起訴されたことの内容の事実につきましても、国が相当被害を受けている。こういう関係が明らかになっておりますが、ただ私どもはそうしたいわゆるリベートが政界に流れた、あるいはそういう金を政界の人々が受取つた、こういう事実を国政調査の面において明らかにすること、またその資料を法務省が提供する――この提供すること自体が私は日本の非常な公益になることだと思う。日本の重要なる国政の上に悪影響を及ぼすということはあり律ないと私は思うのです。だから具体的に申し上げますならば当時被疑者として調べられ、しかもそれが不起訴処分になっております国会の議員諸君、あるいは会社の重役の諸君、こういう人々の捜査の経過を、われわれ国会議員が国会の調査権に基いて調査するというようなことは、むしろ誤まれる法相の検察官に対する指揮権発動によつて国民に疑戒を与えておりまする現在の情勢――これを言いかえまするならば、現在の情勢は国民が議会制度について非常な懐疑心を持っておる。このまま時日が経過して参りますならば、それは議会制度否認の思想に相当強く押し進められる一つの情勢になります。  もう一つはわれわれ法治国民といたしまして一番大切な司法部に対する国民の信頼を失った場合には、法治国の基礎はくずれてしまいます。でありますからわれわれはこういう二つの大きな目的を国会の調査権に基いて明らかにいたしまして、国民を納得させることによってこの二つの大きな目的を維持したい、こういうことは私は非常に必要だと思う。でありますから、ただいま法務大臣は抽象的に御答弁なさいましたけれども、今回会社の重役あるいは政党の党員の諸君、あるいは政党の役員の諸君がリベートの一部をもらったというような事実が明らかになることによって、しかも不起訴になっております人々も、この事実を明らかにすることがむしろ私は公益のために必要だと思う。でありますのに、これを不問に附して捜査権の範囲内であると言つて、これを法務大臣は秘密だと私して許可をしない、承認しない、こういうようなことになれば、むしろそれ自体が私は国民の思想を悪化し、現在の日本の情勢としては重大な結果を引起すことを私どもはおそれるのであります。でありますから、法務大臣に承りたいことは、そういうような必要でないもの、いわゆる現在起訴されております事案の証拠として提供することの必要でないものに対しては、国政調査に明確にしていただく意思があるかどうか、この点を承りたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 ただいまお尋ねになりました事項は、現在起訴されておるものの証拠になることは十分考えられることでありまして、この証拠になるものを今公にするということは、今日の段階においてはできないのであります。それでは裁判の公正が保てない、こういうことをおそれるのであります。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 そういうように抽象的にお片づけになると私は承りたいのであります。ここに私ども起訴状を持っておりますが、これのどれがどれに影響するかということを承りたいと思います。造船疑獄の起訴が行われまして三十数人の起訴が行われておりますが、リベートが政界の関係に流れた中で、この間の証言によりましても一億円以上あるのでありますがこの中にあります起訴に基いております公訴を維持するためにどれとどれとどういう問題を一体提供するというお考えでしょうか。――もっと具体的に伺いましようか。造船疑獄で起訴されておりますのは被疑者の総数として調べられた者が一日九十九名、参考人の総数は八千六百五十八名、こういう資料を私どもはいただいておりますが、その中で起訴されましたのが五十名、この起訴されました五十名の公訴維持をするために八千六百五十八名のこの記録、あるいは百九十九名を被疑者として調べられた記録、こういうものが全部出されないとおつしやるのでしようか。これがみな必要だとおつしやるのでしようか。私の承つておるのは、起訴を維持するのに必要でないものをお出しにならぬかということの答弁を求めておる。起訴に必要な関係を持つ証拠と供述書というものは、ここにいらつしやる委員は弁護士だから大体わかつております。だからそれ以外のものをお出しになるような御意思があるかどうかを私は承つておる。今の法相の答弁では、三千人以上の人が調べられておるし、大部分は出せないのだ、こうおつしやるが、そういうことは私どもは考えられないのです。起訴を維持するに必要なその他のものについてはお出しになる御意思があるかどうかという問題をまず承りたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 今一々ここで検討してどれがどれだけ関係があるかということは申し上げかねますが、今起訴されております背任罪、贈収賄罪等は、要するに先ほどおあげになりました金額をそれぞれそういう方面に流したということが背任罪、贈収賄罪になつておるのであります。その証拠としてこれらのものが出さるべき運命といいますか、出さるべき必要があるのでありますから、それゆえに今日の程度においてはそれは出しかねる、こういうことを申し上げたのであります。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 それじやこういう御質問を申し上げしましよう。私の方で法務大臣に要求いたしますから、今起訴されておる五十名の公訴を維持するために必要な証拠、供述書以外のものはどれとどれとがこの委員会へ書面でいただけましようか。そうすれば、それを私の方へお取寄せ願えばいいのですから、そういうことまで御協議される意思があるかどうか。特別背任の問題はそうでしようが、政党の関係しておる公訴事実というものはわずかである。そういうような表があると思いますが、何の何がしの調書が公訴を維持するのに必要でないからということで提出を願える明細書をいただけましようか、いただけませんか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 今それを調査して申し上げるということは、ここでは申し上げられません。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 どうも委員会を侮辱した答弁だと思う。これは十日かかつても一月かかつてもけつこうです。私は法務大臣にすぐ出せとは申しません。法務委員会にこれこれのものは出せるということでお出し願える意思があるかどうか、その点承りたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 今日調査してみなければわかりませんけれども、こういうものを出せる、出せぬということは、ここで明言するわけに行きません。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 調査をされて区別されることはけつこうですけれども、そうすると、これから法務大臣は調査してみなければ、一つもここで確答できないとおつしやるのでしようか、そんなべらぼうなことはないのです。全然関係のない造船疑獄の事件で捜査されました参考人の調書が、これから行つて研究しなければ出せるか出せぬかの答弁ができぬということは、私は非常に不誠意だと思う。帰つて調査をされてこれは出せる、これは出せぬというならいいのですが、そういうことになると、法務大臣は一つも出さないというように承れる。国民の常識から考えて当然出せる調書がこの中にたくさんあります。私どもの常識から考えましても、三千人も調べたものの調書が全部これから研究してみなければ出せるか出せぬかの返答ができないというようなそういう不誠意は、この委員会を侮辱した答弁だと思う。御答弁願います。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 ただいま古屋委員からいろいろおつしやいますが、調べた者は数千人あります。ありますが、これらはみないわゆる参考人とかいうことでそれぞれ事件になつておらないものもあるのであります。調べて出せるかとおつしやいますが、調べてみなければ実際わからないのであります。どれがただちに出せるかとか、どれどれが出せないかということは、調べた上でなければわかりませんから、それを今日明言でき得ない、こういうことを申し上げたわけであります。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 調べた上で答弁をしていただくというならけつこうでありますが、私から特に委員長にお願いしたいことは、当時参考人でなく被疑者として調べられ、不起訴になつております人員数が相当ございました。被疑者として調べられておる者が百四十七名あつて、その中で五十名だけは起訴されておるのです。そのあとの人は不起訴になつております。その不起訴になつた者の中でここで書類の出せる者は幾人、出せない者は幾人、その書類を提出できるかどうかということを委員長から法務大臣の方に御要求を願つて、そういう御要求があつた場合にはそれに対して法務大臣は出せる出せぬということを御処置願えるでしようか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 お尋ねがありましたものは、取調べまして出せるものは出してよろしいと思います。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 その点はこれ以上私が申し上げてもしようがありませんが、もう一つ承りたいことは、例の五条の問題の中に、ただいま御説明願いました国家の重大な利益に悪影響を及ぼす旨の内閣の声明、この国家の重大なる利益に悪影響を及ぼすということの一はだして悪影響を及ぼす事項なりやいなやの最後の認定をする者はだれでしようか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 それは政府が声明を出すのでありますから、政府が認定すると思います。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 なお私は法務大臣に承りたいのですが、法務大臣は昭和十年に当時の司法大臣として旧憲法時代に美濃部達吉博士の被疑事実について――あのいわゆる天皇機関説の問題は不起訴になりましたが、当時司法大臣は、私の記憶では不起訴になつた理由を天下に声明されておるのです。従いましてあのように国民の納得の行く捜査をされ、そうして起訴、不起訴を決定され、国民から司法部の信頼をかち得ようという努力をされた、こういう歴史を持つた法務大臣でいらつしやいますから、今回決算委員会で申し出ておりますような幾多の証言拒否の事由についても、あるいはただいま私が委員長を通じてお願いしました不起訴処分につきましても明快に国民にこういう理由で不起訴処分にしたというような御発表を少くともこの法務委員会で御発表願えるかどうか、私は、かつて法相が司法大臣としてあの喧々囂々たる軍部の圧迫のもとに毅然として司法部の威信と国民の信頼をかち得るために勇気を持つて自己の利害得失、栄誉を捨てて、はつきりと不起訴の理由を国民に発表されました。従いましてまさにその当時よりももつと国民は司法部に対する信頼、議会政党に対する信頼-国民は汚職事件に非常に関心を持たれておる。従いまして造船疑獄において不起訴になつた相当重要な人々の不起訴理由の発表をお願いできるかどうか。この点を法務大臣に承りたいと思うのであります。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私の約二十年前の天皇機関説の際に取扱つた美濃部達吉氏の不起訴の事情を発表したが、あれはどういうことで発表したのであるか、こういうお尋ねであります。あの事件は申し上げるまでもなく、当時右翼及び軍部が非常な勢いをもつて天皇機関説に対して圧迫と攻撃をいたして参つたのであります。あのときはどうしてもあれをすつかり発表することによつて事態を明らかにするのでなければ、天皇機関説に対する疑いが解けなかつたのでありまするから、やむを得ずああいう処置をとつたのであります。要するにあのときは右翼及び軍部の圧迫と申しますか進出と申しますか、そういうことをどうしても防がなければならなかつたが、あれが防ぎきれないで遂に二・二六事件が起き、その影響がさらに支那事変となり、さらに進んで太平洋戦争になつて、わが国の今日の惨敗を見たのであります。あのときにもしあれを防ぎ得たら、そういうことはなかつたのであろうと思うのでありますが、今回はむしろそれとは反対に、この事件をしいて私が押えようというのではありませんけれども、むしろこれを発表することは今起訴されておる事件の公判における公平な裁判の確保ができない。検察権の公訴権維持ができない。この二つができなければ天下の秩序を保つ検察権というものは公平に厳正に行われないことになるのでありまするから、これはなか  ゆゆしき大事であります。この際において輿論に幾多の非難がありましても、これはむしろ私は敢然としてこの道理に基いて言うべきことと言うべからざることとはつきり区別いたす。これが今日むしろ大切なことであるということを考えておるのでありまするから、先ほど来のお尋ねに対しては申し上げられることと申し上れられないことははつきり区別して申し上げたつもりであります。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 私が申し上げたのはそういうお説教を承るために申し上げたのではないのでありますが、当法務委員会に発表するだけの勇気があるかどうかということであります。国民全体に発表しろと申し上げているのではない。それほど国民に不起訴処分の内容を発表するような勇気を持たれているのであるから、国政調査権に基いてやる当委員会にこの事実を明らかにされたらどうか。もしもそれができなければこの法務委員会の秘密会において発表される意思があるかどうか、この点はどうですか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は先ほど来繰返して申し上げましたように、当分現状のもとにおいては、そのことは当法務委員会にも申し上げかねるのであります。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 もうどう言いましてもこの点はおつしやらないのですが、しかしこんなばかげたことはないと私は信じます。全部今まで調べた不起訴の問題が関連を持つておる。こういうことは、不起訴になつた事項の大多数が公訴を維持するために必要だということは、われわれは考えられませんが、そこまで法務大臣がおつしやればやむを得ません。  刑事局長にお尋ねしたいことは、ここに八千六百五十八人の関係者を調べておるし、百十六名を逮捕してお調べになつておる。従つて造船疑獄の犯罪として起訴することはできなかつただろうけれども、あなた方の方でこれだけお調べになつた関係上、造船所から船会社がリベートとしてもらつた総額がわかりませんか。先日は検事総長から、刑事事件に関係のある政界へ流れた金額、リベートは、最初は一億六千七百万と言いましたが、あとから一億円程度だということをおつしやられたようです。これは何にも関係はないと思うのであります。一体リベートとして総額どの位の金を船会社の重役が造船所からもらつておるかどうか。あなた方の方でお調べになつた範囲でけつこうです。

井本台吉検事(刑事局長)

○井本説明員 刑事事件として扱いました総額が二億六千七百万円であるということは、前回佐藤検事総長が証言ではつきり申し上げておりますが、それ以外については報告を受けておりません。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 検察庁は造船工業会、船主協会を捜査して、その帳面を押収されておりますから、お調べになられたはずだと私は考えます。従つて総額はわかつておるはずであります。

小林錡自由党法務委員長

○小林委員長 古屋君、なるべく決算委員会の方で調べたものは、こちらではやめていただきたいと思います。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 私は総額を知りたいのです。これは犯罪の起訴不起訴に重要な関係を持つわけです。総額は何も関係はないから、おわかりになつたら後日この法務委員会に御報告願いたいと思います。おわかりにならなければけつこうです。  それからもう一つ、現在起訴されておる起訴状を拝見いたしますと、単なる特別背任罪だけの犯罪でなくして、詐欺罪が成立するのではないですか。たとえば水増し契約をする。そうするとその水増し契約に対して七割に相当する融資が行われる。それに対して七分五厘と三分五厘の差の四分だけは国民の血税で利子を補給をしなければならない。これは会社をして利益を不正に取得せしめておるというわけですが、どういうわけで詐欺罪が成立しないのか私は詐欺罪と特別背任罪との両方が成立すると思うのですが、どうですか。たとえば俣野健輔君の起訴事実でもそうで、これを見ますと俣野健輔君の水増し契約の金額は、約一億円以上になる。そうするとこの一億円の金額に対して七割の金が借りられるわけです。これは三分五厘という安い利子で借りられる。会社はこれだけの不当の利益を得るのですが、詐欺罪は成立しないというお考えですか。

井本台吉検事(刑事局長)

○井本説明員 事件の見方によると思いますが、リベートおきましても、リベートを受取つたこと自体が犯罪になるのかどうか、この事件はそれから少しさかのぼりまして、リベートを含めて注文金を高くしたということについて背任罪をうたつてあるのであります。そのさらに上のところまでさかのぼつて検討するのは相当でないと認定したものと思います。古屋さんのお尋ねのように詐欺罪の疑問もないわけではないのですが、事案の認定でありますから、事件としてこの程度に扱うのが相当ではないかと私は考えております。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 私もそういう解釈も成り立つと思います。私は無理に詐欺罪を加えろというのではないのであります。全体の思想から行きまして、政府が被疑者になるということは国民に対する影響が大きいというようなことを考慮されたかどうかということを承つておるのであります。そういう政治的考慮があられてやりますのは、やはり同じ処罰の対象ですから異議はない。この点は見方でございますから、見解の相違になりましようからけつこうであります。以上をもつて私は私の質問を終りますが、委員長からただいま申し上げた不起訴になられたものの中で、どれとどれだけをお出しになるかということを御要求願いたいと思います。

小林錡自由党法務委員長

○小林委員長 中村高一君。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 法務大臣にお尋ねをいたしますが、決算委員会で職務上の秘密に関する検事総長と検事正の発言について承認を求めるために法務大臣に書面が提出されておるようでありますが、この法務委員会でもおそらく証人の喚問の申請が行われる順序になると思うのであります。そうしますと同じようなことがまた繰返されたのでは法務委員会としても困りまするので、決算委員会の方から検事総長と検事正との職務上秘密にすべき事項についての承認を求められておるようでありますが、これに対しては法務大臣はどういうお取扱いをせられようとするのか。何日までに承認をせられるのか、これをまずお尋ねをいたします。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 中村委員にお答え申します。ただいまお尋ねになりました衆議院の決算委員会において証言を拒絶されたものに対して、証言の承認を求めて来ておられます。佐藤検事総長の分が八項目、それから馬場検事正の分が九項目、合せて十七項目、今この両方を速記録に対照していろいろ取調べをいたしております。やがてこれに対しての承認すべきかいなかの回答を出したいと思つておりますが、その時期は今ここで明言いたしかねます。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 どうもわれわれから考えますと、法務大臣は故意に承認を遅らせようとしておるということが大体わかるのです。これはもう吉田内閣の法務大臣でありますし、政府の方針がああいうふうにきまつておるのでありますから、おそらくあなたは不承認をなさろうとする結果になることも大体われわれの感じでわかるのでありますが、それならばあなたは、そんなに何日も調査をしなければならぬはずは、どうしてもわれわれに認められないのでありますから、だめならだめだと言つてお答えになつた方がいい。多分そういう結果になるだろうと思いますから……。どうもいつまでもひつぱるということになると、たとえば決算委員会の方では、あとは河井検事と非本刑事局長が八日、九日に呼ばれておったのをこれはだめだ、あなたの承認がなければ証言を得られないというので、せっかく出頭した河井検事も帰ってしまっておるのであります。もう日は八日、九日を過ぎておる。承認を求められてから一週間くらいになっているはずであります。それをいまだにあなたは調査をしておるというのでありますが、あなた自身が調査しておるのじやないと思う。あなたはこうやって議会に朝から晩まで来ているのですから、家へ帰って寝るだけがやっとですから、あなたが調翻しているのではなくて、下僚が調介しているわけでありますから、一週間も調査して、そうして承認するかしないかわからぬというようなことはあり得ないと思うのです。おそらくあなたは不承認と出たいのだけれども、どうも今空気が険悪であるし、この際また不承認と来ると問題を起すというようないろ  な配慮からやられておると思いますけれども、それではあなたの態度は、国会におきます国政調査権を尊重すると言いながら、腹の中では尊重していない、法務大臣として内閣のためにどうしたらばいいかといりことに悩んでおって、実は国政調査権などというようなものは尊重していないということが明らかであります。いつまでも日にちが言えないというようなことは、故意にあなたが遅らしておるとしか考えられません。それならば承認するかしないかをだれかに内容を調査させているというが、八項目か九項目なんかわかっているのです。われわれも聞いておつたけれども、そんなむずかしい、あなたが頭をひねって一週間も考えなければならぬほどのことは聞いておらぬのでありますからあなたが国政調査権に対して尊重するとするならばすみやかに――必ずしも私は承認しろと言うのじやない、承認するかしないかの返事だけを早くしなければならぬと思うのでありますが、いかがでありましようか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 中村さんは私が不承認をきめていながらわざと日を延ばすのだと言われるが、はなはだ心得ないことをおっしゃるものだと思います。現に佐藤検事総長の答弁に対する承認を求めて来たのは八日の晩方であります。それから馬場検事正に対して証言の承認を求めて来たのは十一日であります。まだ一週間なんてたっておりません。このわずか三、四日の間にこの重大な問題に対して承認すべきかいなかを即答せよ、ということがすでに無理な御注文だと思います。そしてその結果もし承認すればよろしいが、承認しなかったならば疎明をしなければならぬ。この疎明は、結局国家の重大なる利害に悪影響があるかどうかということまで考えなければならぬのでありますから、そう早急にこれを決定できかねるのであります。しかしできるだけ早くやろうと思っておりまして、故意にこれを延ばすなどという考えは毛頭ありません。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 今法務大臣は、今になってその承認するかしないかを一生懸命調べておるという答弁でありますけれども、新聞の報道するところによると、検事総長あるいは検事正、河井検事などが証人に呼ばれるというので、もう三日も四日も前から検事局では協議をして、どういう答弁をしようかという研究をやって、現に河井検事のごときは参議院の決算委員会から呼び出されたところが、今衆議院の方の決算委員会に出るので、どういう答弁をしていいかと研究しておるから出られないと言って、参議院の方に断っておるくらいでありまして、漫然と検事総長や検事正が出て来ているのではないと思うのであります。どういうふうに答弁をするかというようなことは、もう法務省でもすっかり検討済みであるはずでありまして、あの呼び出される前にぼんやりしておって検事総長や検事正が証人に立つというようなことは、これはわれわれには理解できないのであります。おそらくもう検討済みであって、どの点はどうと答えて、どこからどこまでは職務上の秘密だ、具体的なことが出たならば、職務上の秘密だといってつっぱねようということが、大体相談ができておるのであって、それは法務大臣もおそらく知らぬはずはないのであります。おそらくそういうような結論に出ようということは、大体協議してあったのではないかと思うのでありますが、言えるか言えないかわかりませんが、その内容をひとつお知らせ願いたいと思います。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 佐藤検事総長その他がどういう証言をするかと研究しておったろうというお話だと思いますが、おそらく研究したに相違ないと思います。第一、検事総長や検事正がこの国政調査のために証人として呼ばれるというようなことは、われわれは毛頭考えておらなかったのであります。しかるに検事総長が検察の最高指揮官でありながら証言を求められた、これは容易ならぬことでありますから、おそらくは検事総長は詳細に、いかなる証言を求められ、いかなる答弁をすべきかということを研究したに相違ありません。その他の検事諸君も研究していることはもちろんであったろうと思いますが、どういうふうに研究したかは私はまったく知りません。従ってそれに対して私から申し上げることはできません。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 今法務大臣の御意見によると、検事総長や検事正が呼ばれるなんということは、夢にも考えられなかったと言われておりますけれども、それでは法務大臣は、国会における国政調査について証人を呼び出す場合の規定がありますが、あの証人というのには制限があるというお考えを持ってそう発言をなさったのでありますか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私はそんなことを考えて申し上げたのではありません。しかし検事総長はおそらくは参考のためか何かで呼ばれることはあるかもしれませんが、証人として呼ばれることはないであろう、こういうふうに私は考えておったのであります。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 これはこつちの法務委員会でも証人喚問というような問題が出ると思うのでありますから、すみやかに決算委員会に対する態度を決定するということが、この法務委員会の方の国政調査にいろいろの影響を与えるのでありますから、すみやかにこれは返事だけはしてもらうということが、国会に対する当然の義務だと思いますから、いたずらにひっぱるような感じを与える態度をとられないで、すみやかにこれは返事をなさるべきものだと思いますから、私からも注文をいたしておきます。いつまでにこれはお返事になるか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 日をきめて申し上げるわけには参りません。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 今の点については、こちらでも準備の都合がありますから、すみやかに御回答を願いたいと思います。  それから、今古屋委員からも質問があったようでありますが、リベートの金額について決算委員会でなるほど質問があったことは事実であります。それに答弁があったことも事実でありますが、法務大臣が参議院の何かの委員会で答えたか、新聞記者にお答えになったのか知りませんが、あなたは、リベートの金の中で政党に献金をされたものは八千万円だというふうにお答えになっておるようでありますが、決算委員会では検事正は、二億六千七百万円は造船会社から海運会社にリベートしたが、そのうちで政界に流れた金額は一億ですということを答えている。それに対してあなたは、いや八千万円だということをどこかで説明しておられるようでありますが、もう一度その点をお答えを願いたい。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は新聞記者の諸君に――日はちよつと忘れましたが、たしか証言のあった日だと思っております。佐藤検事総長に対するあのときのお尋ねに対しての検事総長の答弁が聞違っておるということで、佐藤検事総長は訂正された。そのとぎに、政界に流れた金が二億六千七百万円であったかのごとき答弁があったのであります。それはそうでなくて、刑事事件として扱ったリベートの額が二億六千七百万円であった、こういうことに改められたのであります。それでは政界に流れたのはどれくらいかという話になりまして、それは当時私たちはうろ覚えで、事務当局の方から話を聞いたところによると、何でも八千万円くらいだったそうだ、こういうことでありました。結局政界に流れた金が二億六千七百万円ということを佐藤検事総長が言われたのでありますから、その額はむしろ言った方がいい、こういうことで、約八千万円であるそうだということを、私は新聞記者に話した。ところがそれは、また調べてみると、はなはだ申訳ないのでありますが、それも誤っておった。結局よく調べてみると、一億一千九百六十万円というのが正確な数字であります。あとから事務当局、検察官の方でそろばんで当つて調べた正確な数字です。そういう関係で私は間違って八千万円ということを申し七げたわけで、これははなはだ軽率でありました。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 もう一つ、今のは政界に流れた金額がはっきりしたのでありますが、決算委員会でも、どの党に流れたかを言えという質問があって、答えなかったようでありますが、ここまで金額がはっきりして参りますと、これはやはりもう一歩進みまして、どの党にどういうふうに流れておるかということを申されることは、公益のためにきわめて必要だと思うのであります。個人のことになるとこれは多少議論がありますからあまり追究はしませんけれども、大きな政党関係などになりますならば、これはむしろはっきりした方がいいと思うのでありますが、いかがでございますか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 このリベートが政界に流れ、その他不正不当に多額に使われたということは、まつたくよろしくないことでありますから、かような事柄は明らかにする方が私もよいと思っております。ただ今日の段階においては、繰返して申し上げますが、これは今起訴されておる背任等の証拠になる問題でありますから、しばらくお待ち願いたい。やがてこれは公判に行けば明らかになる日が来ると思いますから、その時期までお待ち願いたいと思います。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 公判にかかつておりますのは佐藤榮作君でありますけれども、佐藤君が公判にかかっておるのは、これもこの間決算委員会で五千五百万円だということを検事正から明確にされております。そうすると、この中で五千五百万円については、なるほど大臣の言われますように関係があるといえば関係があるのでありますが、一億一千万円というこの多額のもののうち佐藤君の関係以外のものがあるのでありますから、これははっきりしても、起訴された佐藤君には向後影響がないと思うのでありますが、いかがでございますか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 佐藤榮作氏の分は政治資金規正法違反の点で五千五百万円、これは明らかになっておりますから、あの点は決算委員会においても明確になったのであります。ただいまお尋ねになりましたのはこの以外の分であります。それがすなわちリベートを背任として起訴しておりますその起訴の、つまりリベートの命のわけ先はどこであるかということの証拠になる。リベートを使った人の公判の起訴事実の証拠になる、それだから今これが申し上げられない、こういうことを申し上げるわけであります。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 どうも了解することはできませんけれども、これ以上追究しても大臣は答える様子がありませんから、別のことをお尋ねいたします。  これも先日の決算委員会でだれからか聞かれておるのでありますが、政界に流れた金額はそれでわかった、そこで今度は官界に流れた金額を言えと聞いたときに、検事正は、追って相談をして返事をいたしますというのでありますからして、おそらく法務大臣には相談があつたはずだと思うのであります。この起訴された人の中を見ますと、官界として運輸省の官房長、壷井玄剛君外数名の者が起訴されております。それから元警視庁経済保安課長というのも起訴されておりまして、官界にも相当流れておることが起訴された者によってもわかるのでありますが、これは検事正から何か相談があつたと思うのでありますが、その点についてはどうなっておりますか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 当時決算委員会の方からも質問者から要求がありまして、調査して出してあります。その額は四百四十二万円であります。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 内容はおそらく言えないと思うのでありますが、これはどれだけどの省関係に――法務省などにはむろんないと思いますから、これはどの省にどういうふうに流れておるかということくらいは、これはかえって官界の名誉のためにも申された方がよいと私は思う。特に法務省などにもし行つているなんというようなことになるとたいへんでありまして、これは法務大臣としてはかえってはつきりなさつて、法務省というところはこの通りりっぱだということを天下にお示しになることが法務省の権威のためになると思いまするからお答えを願いたいと思います。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 言つた方が法務省のためになろうとおつしやるが、法務省にはそんなものが来ていないことは言うまでもないことであります。今の金は、すでに起訴されておる者に贈収賄の関係で行つておる金が多数であります。運輸省その他であります。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 これもはつきりされないのは遺憾でありますが、それでは別の問題について質問をいたします。  先般今回の疑獄事件に使われました金額について、これも決算委員会で八千万円だということを検事総長から答えておるのでありますが、この八千万円は二十八年度の予算からも出ておるし、二十九年度の予算からも出ておるはずでありまするし、その一部は法務省の予算の中からも出ておるはずであり、その一部は予備費から出ておるのでありまするが、その内訳をお答え願いたいと思います。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は詳細わかりませんから、事務当局から申し上げます。

井本台吉検事(刑事局長)

○井本説明員 それでは金額を申し上げます。造船、保全、日殖関係の所要経費は総額八千百二十七万六千百七十六円であります。そのうち造船関係、陸連関係を含めた分が二千四百五十万二千四百三十九円、そのほかは保全、日殖関係でありますが、その合計が五千六百七十七万三千七百四十五円という数字になっております。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 予備費と通常の会計の方から出ておる内訳を――予備費を言えばそれでわかると思いますが……。

井本台吉検事(刑事局長)

○井本説明員 大部分予備費から出ておると思いますが、私の所管外でございますので、後刻経理部長の方から答弁させるようにいたしたいと思います。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 きよう来ておりませんか。

井本台吉検事(刑事局長)

○井本説明員 来ておりません。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 もし書面でよろしければ書面で差上げます。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 それでは、かえつて掛商の方がいいですから神岡で……。  それから今同じ問題を検察審査会で取上げておるそうでありまするが、多分不起訴になった事件について検察審査会で審議をしておるのだと思いまするが、検察審査会で今取扱つておりますのは、だれに関する不起訴がいけないというので出ておるのか、そうしてその審査の状況はどういうふうになっておりますか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 検察審査会で今次の事件の不起訴になったものを調べておるかどうかというお尋ねでありますが、まだ何らの報告を受けておりません。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 報告を受けてないというのはまことに怠慢でありますが、おそらくこれほど重要な問題について検察審査会が取上げておるのに、法務大臣が何も知らない、報告も受けてないというのはどうも理解ができないのでありますけれども、現在これほどの問題にもなつて、しかも検察審査会で、不起訴にしたことはおそらく不当だということで開かれておるはずでありまするが、一向その審議の模様もわからないということはまことにどうもわからぬのでありますが、刑事局長はそういうこともおわかりにならぬでしょうか。

井本台吉検事(刑事局長)

○井本説明員 中村先生御承知の通り検察審査会は裁判所の所管に属しております。従ってわれわれの直接の所管ではございません。もし検察審査会の方で活動しておりますれば、当然検察官の方に協力義務がございますから、これこれの資料がほしいというようなことを言って参ると思うのです。ところが検察庁の方からまださような協力義務を求められたという報告は全然来ておりません。従って先ほど大胆が申し上げたように、この件に関しては全然報告がないという結論になるのであります。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 まことにどうもおかしなことだと思うのでありますが、せっかく検察審査会で問題になったというのにもかかわらず、資料の要求も何もないとすれば、多分やつてないのだと思います。これは裁判所に属することかどうか、あなたの方に直接関係がないということでありますけれども、やはり法務行政の中に広い意味においては含まれるのでありますが、特にこれほどの問題になっておる事件を、しかも民間から民主的に選ばれております検察審査会で審議をしてやろうというのに、こういうものがちっとも促進をしていないところを見ると、検察審査会まで何らかの手が及んでおるのではないかというような疑問を持たれてもしかたがないのでありまして、こういうことは法務省の方からも促進をまれて、はっきりさせる方が私はいいと思うのでありますが、どういうふうにお考えになりますか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 お尋ねのようのことになっておりますならば、早速報告が来ると思っておるのであります。今日まで報告が参っておりません。しかし至急に取調べて、事件がそういうことになっておれば、報告を求めます。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 新聞には委員会から何か資料を要求しておるというようなことも出ておつたそうでありますが、それもおわかりになりませんか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 私は新聞を見ておらなかったのでありますから、承知いたしておりません。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 それではこれは裁判所の方にも連絡して、やはり督促をして、早くこういう問題についてははつきりさせることが国民の疑惑を解く上においても適当な方法だと思いますから、善処を願いたいのであります。私はどういう結果になるかわりませんが、もしも不起訴が当然だということになれば、おそらく問題にはならぬのでありますが、不起訴は不当だというような結論が出た場合には、法規の上で児ますと、検事正に対してその議決を旧し出るというようなことになっておりますけれども、それならば検事正は自分で、これはやむを得ず不起訴にしたのだというこの人に解決を求めるというようなことはどうもおかしいように思う。たとえばほかのケースでほかの単独の検事が調べたことで、それが不起訴になった、それに対して検察審査会から不当だといって検事正に申し出るという場合はいいのでありますが、今度の事件のように、検事正が総指揮官であって、しかも最終の決定は検事正が、これは不起訴になるよりしかたがないという決定をしてしまっておる、その検事正に、どうも不起訴がおかしいというようなことは言うてみたところで通らぬというようにも思われるのでありますが、これはやはりもっと上級の高等検察庁とか最高検とかいうところにでもそういうような救済を仰ぐというならばいいのでありますが、今度のような場合はこれではかりにどんなに検察審査会が苦心して結論を出したとしても、何も達せられないような結果になってしまうことを私は憂えておるのでありますが、どういうふうにそれをお考えになりますか。

井本台吉検事(刑事局長)

○井本説明員 私から御答弁申し上げます。一般の事件におきましても起訴、不起訴の決裁は結局検事正が最終責任者としていたすのでございまして、この事件もその例外ではないわけでございます。しかしながら起訴勧告が出ますれば、検事正といたしますれば、さような審査会の決定でございますから十分これを考慮いたしまして、さらにその事件を検討することと存じます。私どもといたしましては検事が不起訴処分にした事案につきまして、起訴勧告があってもなお起訴しなかったというような事案につきましては、必ず高等検察庁の方に報告せよという命令を出しております。従ってその詳録一切はさらに上級官庁である高等検察庁が実際上審査をすることになっておりますから、一検事正が勧告に従わない、かってに自分の思うままにすろということはあり得ないと私は考えるのでございます。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 どうもこの検察審査会の規定が不備でありまして、今のようなこういう事案になりますと、今刑事局長の言われたように、これはむしろ高等検察庁なり、上級官庁において取扱うような規定に改正すべきだと私今度の事件についてつくづくそういうふうに考えるのであります。どういうふうにお考えになりますか。

井本台吉検事(刑事局長)

○井本説明員 ただいま申し上げましたように、不起訴にした事件を検察審査会の方から起訴勧告があった場合に、さらに当該の検察庁がまた不起訴にしたというような場合には、必ずその記録は一括高等検察庁の方に報告させるようにいたしております。従ってさような意見の違った事件につきましては高等検察庁がさらに検討いたしまして裁決をするという仕組みに内部はいたしております。

高橋英吉自由党

○高橋(英)委員 関連質問ですが、実は嘱大な問題なのです。ただいま古暦君や中村君から質問されたのに関連して、いわゆる職務上の秘密は証言しなくてもよろしいということに対する証言許可の問題です。この許可の申請者ははたしてどういう人々であるか。いわゆる申請権者です。これは私どもの解釈によると、証言をしようと思う当の証言者が上司の許可を得て証言したいと欲したときに初めてこの許可申請をすべきであると考えるのですが、この証言する者以外でも証言許可の申請をすることができるという御解釈ですか、どうですか。この点についてお伺いしたいと思います。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 あの国会の証言法には、何人がその場合に証言の承認を求むべきものであるかという規定がないのであります。民事訴訟法等には明らかに裁判所において証言を拒否した場合、その場合には監督官庁の許可を得なければならぬ、その許可はだれが求めるかということは裁判所が求めるということに規定がなっております。しかしあの証言法にはその規定がないのでありますが、どうも趣旨から見ると、やはり証言をさせることを求めた者から証言の承認を求めるのであろうと私は解釈いたします。

高橋英吉自由党

○高橋(英)委員 民事訴訟法のごときは国政調査のごときものに引例することはできないと思うのです。これら独特のものには独特の解釈で行かなけれはいけないと思います。国政に対してはたしてどういう態度が証言者として国家のためになるかならぬかというその判断は証言者自身に一任しなければならないと思うのです。従って証言者が許可を得てまでも証言をしたくない、証言をしないことが国家のため利益だというふうに考えたときに、本人が欲しないのに上司の方から許可をするから証言をしろというようなことが言い得るでありましようか。すなわちそういう場合においても上命下従の関係で証言者は上司の命令によつて自己の良心に反するような証言をしなければならない義務があるのでしょうか、どうでしょうか。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 規定はないのでありますけれども、上司の許可を得れば証言することができるとあるのですから、そうするとやはり上司の許可が必要である。その上司の許可をだれが求めるかということは、規定はないけれども、どうもほかの法律の解釈から見ると、証言を求める人が証言の承認を求める主体になる、こう解釈すべきだと思うのであります。お話のように評言を求められた者が自分で許可を求めなければならぬというなら、許可を求めるといつても、いつまでも許可を求めなければ、それつきりだということになります。それではちよつとぐあいが悪いのではないかと思います。

高橋英吉自由党

○高橋(英)委員 これは重大な問題です。証言許可の申請が、国政調査の問題について委員会にあるか、議院にあるか、それから本人にあるかの問題、これは規定はないのですから、根本問題として重大問題だと思いますが、この点について何らの疑義もなく、従来当然その委員会の申請によつて拒否の問題があなた方上司の問題として取上げられて、その意思決定をしなければならないというふうな態度をとられておるようでありますし、これに基いて証盲者は自己の良心に反しても、国家の利益に反すると信じながらも、その証言を義務づけられて証言をしなければならないというようなことになりそうにも思うので、これは非常に重大問題だと思うのであります。従つて証言者は上司に許可を求める義務があるかないかというと、それから証言の許用中請者は何人であるかという問題、それから本人が申請をしないにもかかわらず、上司の方で許可決定をして本人に証言をしいるところの権利があるか、すなわち本人の点思いかんにかかわらず上司から許可をするから証百をしろということになれば、証言をする義務があるのかどうか、この三つの点について御研究を願つておきたいと思います。

小原直法務大臣

○小原国務大臣 高橋委員のお尋ねの点はいろいろ問題がありますから、私どもの方においては十分研究をいたすつもりでおります。

小林錡自由党法務委員長

○小林委員長 次会期日はいずれ公報をもつてお知らせすることとし、本日はこれをもつて散会いたします。    午後零時八分散会

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