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19回国会衆議院1954/04/08

法務委員会 第36号

発言数
78
登壇者
9
会派数
3
開催日
1954/04/08

会議録

小林錡自由党

○小林委員長 これより会議を開きます。  法務行政に関する件について調査を進めます。発言の通告がありますから、これを許します。佐竹晴記君。

佐竹晴記日本社会党(右)

○佐竹(晴)委員 それでは法務大臣にお尋ねをいたします。綱紀粛正は今日の最も緊要な事柄であると考えます。蒋介石が地方政権に没落したのも、戦いに敗れたというのではなしに、首脳部の腐敗と汚職の結果であると言われております。日本も今にしてこの弛緩した綱紀を粛正するのでなければ、対外的信用を著しく失墜するのみならず、対内的関係においても、あるいは右翼、あるいは左翼の台頭を見て、混乱をかもすおそれさえありまして、蒋介石の二の舞を演ずるではないかと憂えざるを得ないのであります。国会においても政党においても、みずからの手でこの宿弊を一掃するの決意がなくて、いたずらに司直の手にそのすべてをゆだねて拱手傍観するがごときは、断じて許されないところであると考えます。吉田総理は、その施政方針演説ごとに綱紀粛正を唱えられて参りました。しかし今回の国会におきましては、施政演説の中にこの綱紀粛正の文字を削つてしまわれました。まことにやむを得ないことかとも存じます。今や司直の手によつて着々とその汚職が摘発されて参りまして、その綱紀の紊乱、人心の腐敗がまざまざと明らかにされておりますとき、政府はそれに何の責任も感じないでありましようか。また政党は何らこれに恥を感じないであろうか。私はここに事件の真否や摘発の当否を論じようというのではありません。少くともこのおおうことのできない汚職、腐敗、紊乱いたしましたこの事態に対して、政府として、また与党として何の責任も感じないというのであろうか、その政治責任を問わなければならぬと思うのであります。政府並びに政党の首脳者であり、かつ綱紀粛正の元締めでありますところの法務大臣として何とお考えになりますか、その所信を承りたいと考えます。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 お答えを申し上げます。ただいま佐竹委員の仰せられました綱紀粛正に対する御所見、これは大体において心より同感申し上げます。私法務大臣として、また国務大臣として、やはり今後の問題といたしましては、国民の信頼を維持すべく、選挙法の改正とか、あるいは造船割当についての考え方とか、すべて再出発の心持で謙虚にやつて行く必要があると存じております。また法務大臣としても、先ごろ私の病気欠席中、佐竹氏よりいろいろの御質疑もあり、御注意もありましたことでありますから、従来よりも一層その職責にかんがみまして、厳正公正に、かつ国民の期待を裏切らないように全力をあげて努力いたしたいと考えておる次第であります。さよう御了承のほどをお願いいたします。

佐竹晴記日本社会党(右)

○佐竹(晴)委員 今回の汚職の最大事件でございまするいわゆる造船疑獄については、すでにその前から長きにわたつて、赤坂料亭を根城といたしまして暴威をたくましゆうしておるということが伝わつて、心ある人々をして顰蹙せしめておつたのでありますが、しかし要路の大官や財界の大物などは、料亭に美妓をはべらして豪遊することをもつて、そもそもそれが当然であるかのごとく、また特権であるかのごとき態度を繰返して参りました。しかもそれが政府資金のやり繰り、すなわち国民の血税をあんばいして捻出いたしましたリベートによつてまかなわれ、その血税を吸うて豪遊することをもつて愉快とするがごとき階級が存することを知つたとき、私は公憤を禁ずることができなかつたのであります。調査の結果これらの様相の片鱗をつかんだものでありますから、本年の二月の二十日に、法務大臣の御出席を願いまして、その真相を明らかにし、政治責任をただしたいと存じました。しかるに遺憾ながら、大臣はおなかをこわされたというので、御出席なさいませんのみか、当日緒方副総理が大磯におもむかれて政局に関する打合せをしておるから、本日の委員会では汚職に関する一切の発言は許さないことになつたというので、当法務委員会も当日流会となつてしまいました。私ははなはだ遺憾に考えましたが、何ともすることができません。よつて私は代議士会においてその状況を報告するとともに、当日法務大臣に対する質疑の資料を公表いたしました。それが今日いわゆる佐竹メモと称せられておるものであります。その後適当な機会を得て質疑をしようと考えましたが、いろいろと食い違いましてその意を得ず、三月十八日に予算委員会において、想を新たにいたしまして質問をしようといたしましたが、その際も法務大臣また御病気のために御出席なされなかつたのであります。やむなく刑事局長を通じてお伝えをし、書面による御回答を得たのであります。しかし書面の御回答では十分でなく、また大臣にも大いに弁解があるだろうと思いました。また私どもも事実を糾明しなければならぬと同時に、不実をも糾明しなければならない、これが国会の責任であると考えたのであります。よつて直接大臣の御出席を願って質疑応答を重ねたいと存じましたが、その直後私どもの党においては、法務大臣不信任案を提出するということに決しましたので、一応それによつて結論を出すことを期待いたしまして、私の糾明はしばらくこれを差控えたのであります。しかしこの不信任案もいかなる政治的考慮が払われたかわかりませんが、上程延期を繰返されまして今日に至りました。本日もおそらく上程されないであろうと存じます。よつて私どもはこのままにしてはおけないという考えが起りましたのみならず、今回逮捕許諾請求に関してまたまた疑惑をまき起しましたことは、新聞報道の通りであります。私はここにおいてこの法務委員会で一応これらの関係のすべてを尽して、ひとつ事実は事実とし、不実は不実とし、責任を負うべきものは負うべきとし、責任ないものはないものとして、一応の締めくくりをつけたいと存じまして、法務大臣にここに特に御出席をお願いいたしたわけであります。  そこで今回起りました例の關谷、岡田、加藤三国会議員に対する逮捕許諾請求の件についてまずただしておきたいと存じますが、加藤参議院議員に対しては法務大臣考慮で除外された旨が報ぜられ、それが何か政治的意義があるごとく伝えられて、異常な疑惑を生んでおります。私はちようどやむを得ざる用件がございまして旅行いたしておつたのでありますが、汽車の窓から新聞を買つて読んだ。ちようど神戸でこれを見たのでありますが、中部日本新聞には「關谷、岡田両代議士の逮捕状」とあつて、次に「法相の意向で持越し」と大きな題を設けまして、「なお参議院議員加藤武徳氏については収賄金額が少いところから犬養法相が難色を示し、法相は午前、午後の二回にわたり緒方副総理と会談、このことについて同意を得るとともに、検察側の了解を求め、結局加藤議員の逮捕請求を切離されたが、同議員の逮捕については」云々と書いてあります。しかして神港新聞には「法相奇怪な申入れ」と題して報ぜられております。これはおそらく共同通信の記事ではないかと存じますが、この記事が共同通信の記事だといたしますならば、全国にこれが報ぜられておると存じます。つまり奇怪な申入れとして全国にこれが伝わつておるのであります。これに対して一昨日当法務委員会で猪俣議員より追究されまして大臣は、大臣の手元に来たときは二人だけであつて、加藤の許諾請求については相談を受けなかつた旨を極力弁解されたようでありますが、その質疑応答を聞いた方々、この委員会におられた方々は、この席から帰つて、こもごもいわく、大臣は弁解がたいへんに上手である、しかし非常に見えすいていたな、またいわく、刑事局長はずいぶん苦しかつたであろう、やつぱり黒だね、こう話し合つておるのを聞いたのであります。結局あの調子で大臣が議員をかばうと、刑事局長や次官はどうにもならぬではないかという印象を国民に与え、かえつて大臣がもみ消しをしておるのはほんとうではないかという疑惑が逆に出て来る様相を呈しておるものといわなければなりません。その上昨日はいよいよ加藤氏の逮捕許諾請求が出されました。それ見ろ、大臣がいよいよかばうことができなくなつて、結局やつぱりそれを出したんだというふうに世論は評しておる。もし真に六日、大臣が猪俣議員になしました弁解の通りだといたしましたならば、あたかももみ消しの底意あるかのごとき疑惑を受けるようなお上手な弁解をなさいませずとも、事務的なことである、これこれしかじかであるということを、もつと率直に、疑惑を生まないようにお答えにならなかつたのか、私はその辺の大臣の御心境を承つておきたいと思います。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 この際明確にお答え申し上げて、佐竹さんの御疑問にお答えをしないと存じます。  まず岡田、關谷両議員の逮捕の請求の場合に、加藤議員が落ちていたことはいかなることであるか、また新聞記事をお読み上げになりまして、奇怪な法務大臣の行動だということについて感想いかんというお話でございます。先日猪俣議員からもいろいろ御質疑があり、御注意もあつたのでありますが、そのときに猪俣議員が御指摘になりましたように、検察庁法第十四条によれば、私に指揮権がありますから、たくさんのいろいろな書類が来たうち、その中を私の見識で選ぶことは、それ自体法に照して決して違法ではないのでございます。しかるにこの場合は、まつたく先日申し上げましたような次第でありまして、四月五日の朝、刑事局長と法務次官とが逮捕許諾に関する私の指揮を要求しに参りましたときた、その場で問題にすべきものは岡田、關谷両議員である、こういうことになつたのでございます。それは決して私が上手に答弁をして、苦しいしわを刑事局長に与える、しわ寄せするというような考えは毛頭ございません。私ももとより至らぬところがございますけれども、そういうことはある一つの官庁の長として最も避くべきことである。刑事局長は私の下僚でございますけれども、また苦楽をともにする同僚でもあるのでありまして、人間としてそういうことは卑しいことであります。たとい委員会がうまく切り抜けられましても、あとで私はみずから省みて満足をいたさないのであります。この点は特に御了解を願いたいと思います。  加藤議員の逮捕請求が昨日になりましたことは、まつたく事務的な問題でありまして、政治的な圧迫はございません。  繰返して申し上げたいと存じますが、検察庁法第十四条によりまして、逮捕請求の当妥当を私が指揮することは不当ではございません。実際の場合、先日も猪俣議員の御了解を得るために説明申し上げた通り、指揮という言葉は検察庁法上にありますけれども、そういう固苦しいものではなく、実は懇談的に私の不審をただし、私の意見も申して、最後に円満にみんなが納得した上に、その土台の上に私の判断、すなわち検察庁法上の用語を使えば指揮をいたしております。そういう慣例は私は一度も例外をつくらずに参りまして、このたびの加藤議員の逮捕につきましては、昨日午後一時半に簡易裁判所を通じて政府に請求いたしました。その間の経緯について、全検察庁は少しの不満も持たず、異論も持たないのでございます。それで、何ゆえかというようなことは、今ちよつと申し上げにくい点があるのでありますが、いずれ不日佐竹議員にもおわかりくださることと思うのでございます。  それから緒方副総理にその間報告に行きましたことについて不審のおただしがありましたが、すべて翌日の閣議において国会議員の逮捕請求を議題といたしまするときには前日――すなわちその朝になつて突然申すことは、どうも国務大臣としてやはり曠職のそしりを免れませんので、前の日に総理及び官房長官に事務上のこととして報告いたすのでございますが、佐竹議員も先ほど御指摘になりましたように、総理大臣は大磯におられることが多いのでございまして、総理代理たる副総理に必ず事前報告をいたしているのであります。ところが、ふだんはこの院内の大臣室で報告いたしますので、私もあそこでふだんおりますから、つまり何と言いますか、報道陣に対してあまり目立たないことになるのでございます。しかるに先日はいかなる事情であるかつまびらかにいたしませんが、副総理は永田町の官邸におられまして、何か報告があるならこちらへ足労を願いたいということで、永田町へ参りましたために非常に目立つたわけでございます。従つて佐竹議員もその外形からごらんになつて御質疑をされるということについては私了承いたします。決してこれは政治的な意味ではありません。また緒方副総理はいまだかつて逮捕請求その他あらゆる刑事手続について、副総理もしろうとでありますから、副総理が独自の意見を言われることはないのでありまして、法務大臣の信ずるところはそのままいつもやるようにという指示があるのみでございます。以上お答え申し上げまして、何か御不審がありましたならばまたさらにお答え申し上げます。

佐竹晴記日本社会党(右)

○佐竹(晴)委員 検察庁法によつて、逮捕許諾の請求をして来た書類を点検してその当妥当を指揮することは権利であると仰せられること、まことにその通りであります。その通りなさつておられますならば何をかまた私は質問をいたしましよう。しかしただいまの答弁と、すでに猪俣議員との間に問答がかわされておりますので、政治的な意図があつたかどうかということについてはこれ以上は申し上げません。しかし私はそれだけではこの問題は済まされないと思います。かりに政治的な意図がなかつたにしても、その間友人であるとか親戚であるとかいつたような私情をもしはさんだことがあつたといたしましたならば、そのことは許されません。私の聞くところによれば五日の日、大臣から加藤参議院議員のところに電話があつて、君はきようは何も出ないよと伝えた。また松野鶴平氏から加藤氏に同様の電話があつた。加藤氏は加藤氏の身辺を心配している友人にこれを話したということで、そのことがはしなくも報道機関に伝わつて、報道機関からわれわれの耳に入つた、かような関係から私はここに疑惑を感じ質問しているわけでありますが、はたしてさようなことはなかつたであろうか。もしもそういつたようなことがあつたといたしますと、検察当局における職権行使に最も必要なる秘密厳守――外部に漏洩することによつて証拠を隠滅せしめ、ないしは捜査を完遂するにきわめて困難なる状態を引起すことなしともいたしません。もし万一さようなことがあつたといたしますならば――何ら政治的に意図するものでなかつたといたしましても、そのことは許されないと思います。幸いにこれが誤聞であつたならばけつこうでありますが、こういうことが、ある信頼すべき筋より私どもの耳に入るということは、それだけでも私は遺憾であると存じますので、その事実をこの際糾明しておかなければならないと存じます。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 お答え申し上げます。もしもそういう事実がありましたら、これはとんだふらちなことでありまして、私は法務大臣たるに値いいたしません。しかしながらいろいろと心配してお尋ねくださるとともに、御注意をくださることとは存じますが、そういうことは断じてございません。親戚、友人というお話でありますが、加藤氏は岡山県で同県でございますけれども、参議院と衆議院の関係上、今まで電話をかけたこともないのでございまして、そういう程度の親しさといいますか関係でございます。これについて御了解を得るためには、ここに刑事局長もおるのでありますから……。  それから一つ私落しましたので、あるいは御理解の得られない点があると思いますが、関係書類は、あなた方のような専門家ですと非常に早く要点をお読み取りになることと思いますが、非常に厖大なものが多うございますので、もつぱら刑事局長が読み、次官がそれを補佐いたしまして、要点を私に報告することになつているのでございます。そこで、捜査の必要上かつ国会議員各個人の名誉維持のために、二人が取上げられてあとどなたが、刑事局長が関係書類を読んだ結果私の指揮を仰ぐにまだ足りないとか、時期尚早であるとかいうことになつたかということは、ここで申し上げることをしばらく御容赦願いたいのでありますが、刑事局長がその職責によりまして関係書類を読みました結果、逮捕請求に関する私の指揮を仰ぐのは關谷、岡田両氏であるという判断をいたしたわけでございます。しかしその上官は私でございますから、私に責任がなくて刑事局長に責任があるというわけではございません。指揮監督の責任はより重大でありまして、もしもそのことについて法務行政として至らぬ点があれば、刑事局長の責任ではなく、それを指揮いたしました私の責任でございますから、しわ寄せはどうぞ私にお願いいたしたいと思うわけであります。以上、補足して申し上げます。

佐竹晴記日本社会党(右)

○佐竹(晴)委員 それでは今度の逮捕許諾請求に関する分はそれだけにいたしまして、さらに前から質疑いたしてまだ不十分である点についてこれから質疑をいたします。  まず保全経済会、日殖等の事件について伺つておきたいと存じます。この問題についても政府や政党に重大なる責任があると私どもは考えております。まず第一に、このような金融機関が跋扈したのは、政府の庶民金融に対する政策の行き詰まりを露呈するものであると言わなければなりません。これに乗じまして不当なる金融業者が、善良なる国民をかたつて金を集めたというのが本件であろうと存じます。すなわち今や詐欺として起訴されておりまする、善良なる国民をかたりとつたという事件であります。ところがそういつた金融機関に対して、今度は政党がたかつております。莫大な寄付を受けております。こうして、その立法化のために努力をしようと約束した。しかしその立法化を約して政党は、それを果さなかつたというのであります。結局逆に政党は、それら保全経済会、日殖等の寄付金を受取つたきりで、かえつて寄付金をかたりとつたという結果になつておるのであります。この間不健全なる金融機関の取締りを強化し、法制化する必要があるというので、すでに大蔵委員会並びに当法務委員会において問題にされております。しかるにこの重大なる発言に対しまして、政府はこれを一向にお取上げになりませず、かくのごとき不健全なる金融機関を取締つて、善良なる国民に損害を及ぼさないように、適切なる措置を講じなければならぬのにかかわらず、これをしないで放任して、善良なる国民を陥れたという結果に相なつております。よつて当然政府の責任は免れないと同時に、政治の腐敗のもとがまたここに発しておりますことを考えますならば、この際大いに反省すべき問題であると存じますが、政府当局といたしまして、かような問題を事前に防止する適当な方策を考えなかつたことについての責任はいかにお考えになつておるのでございましようか。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 保全経済会についての御質疑に対してお答え申し上げたいと存じます。佐竹さんの御趣旨は私同感な点が多いのであります。もちろん保全経済会及び類似の不正規な受信行為をやつております、いわゆる類似金融の違法行為は違法行為として、あくまで司直の手で追究しなければなりませんが、俗に言うだれがこうならしめたかという問題は、一つの政治の問題として別途考える必要があると思います。ちようど新興宗教と同じでありまして、ときどき新興宗教の社会人心を乱すものがありますが、つまり旧来の伝統を持つた宗教が庶民に近づきにくい点がそうさせたということを言えば言えるのと同じようでありまして、苦しい中小企業家、あるいはいわゆる町の人、庶民にとつて現在の正規の銀行その他の金融機関が手の届かないものであるという、そういう一面の真理は私は確かにあると思います。この点についてはやはり一つの政治として、保全経済会その他の違法行為とは別途に考える必要があると思うのであります。  それから次に法制化を約束したかどうかという問題につきましては、ただいま司直の手で捜査中でありまして、結論は出ておりません。これはいずれ黒白が明らかになることと存じますから、そのときにまた私から御答弁いたしたいと存じます。  それからこういう類似金融に対してなぜ早く手を打たなかつたか、国民の損害迷惑は甚大でないかという御質問であります。これはしばしば私が各委員会で御答弁申し上げたのでありますが、昨年以来私どもの法務省におきましては、経済係検事の会同、あるいは各検察庁の次席会同等において、つとにこの問題に注目いたしまして、十分の内査をしあるいは研究をするように申してあつたのでありますが、広く不正規な受信行為をやつておる類似金融に対する取締り法規も同時に必要と認めまして、大蔵省との間に数十回にわたつて折衝をいたしたことはすでに御承知の通りでございます。それが遅れましたことは確かに責任があります。しかしこれは大蔵省にのみ責任があるのではないのでありまして、私の方も大蔵省としばしば折衝いたしましたが、匿名組合その他についての考え方の相違が中途経過においてありまして、たいへん時間がかかりまして、ようやくこのほど本国会において御審議を願つたわけであります。非常に遅れておるではないかというおしかりは、これは甘受いたすのでありまして、そのおしかりは、当該の大蔵省のみならず、折衝をしておりました片割れの法務省、言いかえれば法務大臣の責任も決して軽くないと私は自認しておる次第でございます。

佐竹晴記日本社会党(右)

○佐竹(晴)委員 これより三月十八日の予算委員会における私の質問に対し答弁のございません分及び書面によつて答弁がございましたが、納得いたしかねる点について質疑をいたします。まずその一は、造船疑獄関係についてでありますが、この問題は今に始まつた問題ではございません。すでに昨年の国会においても問題となつて追究されております。すなわち七月二十九日参議院においては木村議員から犬養法務大臣に対して次のような質疑が行われております。木村氏がこういつたことを問うております。「それは説明が正しくないと思う。」これは前を受けてでありますが、「例えば山縣厚相の新日本汽船は四割も配当している。これは高率配当である。しかも重役は相当の報酬を得、あとになつて損したから補給するというのはいけないと思う。」だんだん続いて参りまして、質疑応答が重ねられて後でありますが、木村氏がいわく、「犬養法務大臣にお伺いいたします。非常な利権運動的なことが目に余るようになつて、司令部から警告が発せられて警視庁二課でこれは捜査したといわれておる。その捜査が拡大すると大変だというので、当時の運輸次官の秋山氏と、それから改進党の一松定吉氏の女婿のかたで、今の運輸省の官房長の壺井玄剛氏がお父さんの法曹界に非常に勢力のある一松氏を通じて、その揉み消し運動を行つたということがいわれている。業界ではこの噂が非常に飛んでいるのであります。融資を受けている大造船会社、大体四十億以上の融資残高のある会社、その会社が大体において政党に多く献金をしております。飯野海運は六十六億の融資残高、郵船は七十八億、大阪商船六十一億、三井船舶四十八億、三菱海運四十七億、山下汽船四十三億、川崎汽船四十一億、日産汽船四十一億、また小笠原大蔵大臣の関係しておられる船会社も融資を受けているのであります。そうしてこういう融資を受けているこういう融資残高の多い会社が、この選挙管理委員会から出されましたこれの政党献金と照らし合して見ますと、全くこれは一致しておるのです。」云々と述べた上に、「それから船価が高すぎます。大体百九十ドルくらいで日本の船を造る。外国の船は百五十ドルくらいで造つておるのです。四十ドルぐらいも高く造つておるのです。ですから造船協会は政党に非常に献金しておるのです。こういう点にも私はスキヤンダルがあるのではないかと思う。」こう言つてすでに昨年当時からこの問題はスキヤンダルがあると言つて迫られております。しかし当時政府におかれましては一向に責任を解しませず、その事実を否定いたしまして責任を解しておりません。だがいよいよ今回事件となつて現われました。しこうしてあなたの部下によつて摘発されるに至りました。しかもそれが木村委員の指摘するごとき事実となつて現われました。今日そのような事態が起りましても、なお法務大臣は何の責任もお感じになられないでありましようか。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 ただいま御指摘になりました昨年の国会における木村議員の質問は、私も注意を喚起いたしまして、これは余談でありますが、委員会の済んだあとで木村議員に私が個人として質問をいたしたこともあるのでございます。また木村議員が当時警視庁捜査第二課において七次割当についてのいろいろの運動が目立つので、当時のGHQから命令があつて捜査を開始し始めたところが、今お読み上げになりましたような人々によつて阻止された事実があるかどうか調べてくれということで調べまして、当時は単にそういう事実がないと申し上げたのでありますが、その後また他の機会にもう一度調べてくれというお話で国警、警視庁、公安調査庁、もうやめておりますがその当時の捜査第二課の人等にそれぞれ問合せをいたしました結果、そういう事実はないが、類似の事実があるということを過般木村議員にお答えをしたわけでございます。これを繰返させていただきますならば、類似の事実といいますのは、昭和二十五年から二十六年にかけまして、警視庁がGHQの命を受けて閉鎖機関に関する不正の件について捜査したことがあるのでございます。その際閉鎖機関に指定されました船舶公団の幹部が同公団の公金約八百四十万円余をもつて船舶会館というものを設立したことが公金横領と認められましたので、同公団の総裁ほか数名を業務上横領罪として起訴いたしたのでございます。しかしながら、今御指摘のような、かつかつて木村議員が御指摘になりましたような、第七次造船計画の割当について捜査に着手した事実もないし、もみ消しもなかつた、こう申し上げた次第でございまして、その際起訴された四名の者の姓名を読み上げました。これに対して木村議員は委員会の席上と委員会の済みましたあと個人的と両方の形式において、実は自分は事実を知つておるが法務当局が熱心にかつ誠意をもつていろいろ各方面に間合せした事実をみな知つておるから、今日はこの質問はこの程度にするというお話がありましてそのままになつているような次第でございます。それで早くから木村議員を初め注意する人があつたのに、かくのごとき事態になつた責任はどうか、私どもはまことに責任の重大を感じておりますが、その責任を十分に果すやり方といたしましては、あくまで公平厳正にこの事件を捜査いたしまして真相の究明をいたし、そうして国民のこれに対する注目輿論にもこたえたいと考えておる次第でございます。

佐竹晴記日本社会党(右)

○佐竹(晴)委員 進んでその二として料亭中川における山下汽船会長山下太郎氏との会飲の問題について承ります。当初大臣は私のメモが発表された後、同僚古屋議員より予算委員会においてお尋ねいたしました際は、新聞に出ていない、また横田社長の逮捕が二日後に来ようとは、神様でない者が知る由もない、当時何も念頭にもなかつたと、非常に興奮されまして、古屋委員に対して、新聞を見て対決しましようとまでおつしやつておられます。しかしその後当委員会において古屋委員との間になごやかな問答が行われたということを聞きますので、あえてその点深く触れようとは存じません。ただ今回私が質問いたしまするや、書面でもつて御回答をいただきましたが、これによると冷たいものを飲んだだけでわかれたのではなく、座敷に上つて酒を飲んで、芸者も二、三人いたということをお認めになりました。しかしそれは正月のことでもあるから、正月のお祝儀として乾杯を上げたにすぎない、何らこれは別にやましい饗応を受けたといつたような関係のものでないことを弁解されました。しこうして十日に法務大臣のお部屋へ山下太郎氏がたずねて来て、吉田専務がすでに検挙されておることを告げられ、そしていろいろ話のあつたことをお認めになりました。ある程度進んでお認めなさいましたので、私どもあまり深くこれを追究しようとは存じませんが、ただ私ども申し上げたいのは、正月に芸者が数人来たが、これはお祝儀だとおつしやるけれども、しかし当初は冷たいものを飲んで帰つただけだ、こう言つて、しまいには対決までしましようとおつしやつていた後に、とにかく酒は飲んだ、だがこれは正月のほんの祝杯を上げたにすぎないものであると弁解されておるのはおかしい。まあそれはそれとしまして、しかし私が申し上げるまでもなく、その辺のことはよく社会に通じられておる法務大臣といたしましては、おわかりの通り、正月に線香代をとらずに、花代をとらずにお祝儀としてはべる人には、花代よりも高いお祝儀を出さなければならぬことはこれは普通であります。そこでそれをまかなつた側においては、これは線香代を出したよりももつと高い芸者代を払つてはべらしたに相違ないと思うのであります。まあそれもそれでよろしい。だがしかし少くとも一月の七日に山下汽船の専務が逮捕されておるのです。しこうしてその後十日に至つてその会社の会長が法務大臣の部屋へたずねて来た。そこで単なる花見遊山の話をしたのではありません。専務がやられた、浮貸しをやつて検挙された旨を告げたことを法務大臣がお認めになつておる。その会社が自分の部下によつて検挙され始めたことを、その山下太郎によつて告げられて、そして内容は浮貸しであるということを御承知なさつておる。そこでお前は別に関係かなければいいじやないかと言うて帰されたというけれども、神ならぬ身のそのときにどういうお話のあつたことか、もちろん私どもは知る由もありません。しかしその人がやつて来て、検挙されたということの話をすでにそのときに聞いて、どういうお話をなさつたか知らぬけれども、帰しておる。その人と偶然ではありましようが、その三日後にあなたは料亭中川においてお会いになつた。これは一ぱいの酒といえども避くべきでありましよう、避けなければなりません。もしもおまわりさんが飲食店の主人をひつぱつておいて、その後そこの女房とたとい正月の儀礼にせよ一ぱい飲んでごらんなさい、それはおまわりさんの首はかかつておりません。もしあなたの部下の検事がこういつたような事態を起したといたしましたならば、それは法務大臣として監督上許してはおかないでありましよう。すでに事件となつて検挙された以上は、お役所へたずねて来ること、これはしかたがないかもしれませんが、料亭において一ぱい飲んだとは言いにくい。そこで最初は冷たいもの一ぱい飲んでわかれたとおつしやつていたでしよう。しかしそれでは良心に済まされない。それはあなたの御正直なところであります。私はその点についてはまことに敬意を表しますが、とにかく会つて、お正月のお祝儀にしろ、一ぱい飲んで乾杯を上げて芸者もいたというのであります。そういう座敷において酒の交歓をするということは、これは許さるべき相手方でないと私は考えます。もしそういう事態が許されるということになると、国民の疑惑はとれません。こういう疑惑がありますればこそ、今回の加藤氏の問題についても、そつと電話をかけたじやないか、そういつた疑問等が、あるいは先ほど御答弁になりましたようにまつたく事実無根であるにもかかわらず、それがまことしやかに宣伝せられるようになるのではないか。いやしくも法務大臣として人を検挙する任に当つておる場合においては、検挙せられる側の人々と料亭に会つて酒を飲む、こういう事態は慎むべきことであると考えますが、法務大臣としてはいかがでしよう。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 御注意ありがとうございます。佐竹さんのような意見を持つておられれば当然そういう御質疑があるのが当然でございます。私も病中から一度お答えを申し上げたいと思つておつたことであります。かつまた非常に礼儀を尽された御質問で、その点は深く敬意を表しておる次第であります。ただ弁解がましいことはきらいでありますが、こういう委員会というのは事の真相をお互いに究明する場所でございますから、私も事の真相を申し上げたいと存じます。  正月十日に山下汽船会社の会長の山下太郎君が秘書官室を通じて面会を求めて来たことは事実でございます。もし何かやましい相談なら、いくらもそれこそ料亭や何か使えばいいわけでありまして、秘書官室を通じて、新聞人などの大勢いる部屋を通じて来るということは、別に双方とも何の欲も持たず、やましい観念を持つていない証拠だと、私はこういうように解釈いたしておりますが、これは御了解を得るかどうかわかりません。そこでやつて参りまして、自分の会社の重役の一部が浮貸しと言われましたか、そういう類似の言葉であります、よく覚えておりませんが、それで焦げついてしまつた事件が起つている。そこで私は古屋さんには申し上げたことがあると思いますが、山下太郎君の会社における地位を申さなければなりません。私は先代の亀三郎氏とは中国問題で深い同志でございまして、日華事変の際の対蒋介石氏との停戦協定の下地の原文を書く命令を政府から受けまして仏印に行くときに、参謀本部から交渉してもらいまして、無償で山下汽船の船を借りたことがあるのでございます。その縁で山下氏が上海にうちを持ちまして、そこで和平問題などについて真剣にたびたびの議論をいたした関係がございます。太郎氏はたいへん内気な性質で、そういう政治問題はきらいでした。しかし親の子ですから、おやじが私を招くときにはそこにいて話を黙つて聞いているというような関係もあり、かつ同年でありますから前から心やすくしておつたわけでありますが、先代亀三郎氏が死ぬと同時に、いろいろここで一々申し上げるのは枝葉ですから省きますが、不本意なことがありまして、会長にまつり上げられまして、事実は社務を見ないというような条件でもつてなつているわけであります。従つて山下太郎氏の主観から言えば、今の韓部が自分に言わずにいろいろのことをすることに対しては相当厳正な批判を持つておりまして、正月十日に私のところに来たときも、自分の知らない問題でけしからぬことがあるというようなことが口吻のすべてに現われていたわけであります。従つて私はむしろ陳情を受けるというよりも慰める意味で、君がたな上げされていることはむしろいい証明になつていいじやないか。これはふらちなことをした人はふらちなことをした結末をつける方がいいのだ、従つてぼくはきようは聞きおくだけにすると申したわけであります。  そこで要点に触れるのでありますが、もしも私がそのときにここにおります刑事局長あるいは秘書課長を通じて山下の焦げつき事件を何とかしてやらないかと申せば、なるほど料亭の玄関で会つて新年の乾杯をしたことは確かにこれは違法でなくとも道徳上相当考えなければならぬ問題だ、法務大臣として相当これは批判を受けてしかるべきだと思います。しかるに今申し上げましたように、まあたな上げされて、これをこういうことにした現幹部がこういうことをしたとうようなことが口吻のすべてでありまして、私は山下太郎君に何の関係もない、むしろ山下太郎君の心中は大体わかつておりますので――というのは、人が悪くないから快哉は叫ばないにしても、相当厳正な批判を持つておつたと思いますので、この問題は山下太郎君にとつて非常な不幸な事件であると私は思つておりません。従つてもみ消す気もありませんし御当人もないわけでございます。  そこで、御指摘の、かつ御注意の料亭の玄関でありますが、お前は冷たいものと言つたけれども、根が正直でとうとう良心の呵責に耐えかねて酒を飲んだと言つたじやないかという非常に好意のある御質問でございますが、これは私のくせとして申し上げるのでありますが、私は日本酒をことに寒中飲むと気持の悪くなるたちでありまして、私と一席飲んで歓談した人は皆さんが知つておりますが、普通人よりはるかに薄いウイスキー・ソーダをわがまま言つてごめんこうむつて飲んでおるものなんであります。六時ごろときたま三、四はいの日本酒を差出されて飲むことはありますが、これは実は閉口なんでありまして、早く冷たいものに切りかえる口実を探すのが常でございます。従つて山下太郎君が玄関に出て来て何をしているのか、実はこういう用で立つておるのだ、それは外からも見られるし、一ぱい飲んで行つたらどうか、君は何をしていると言つたら正月の祝儀を置きに来た、祝儀は山下君の方から置きに来たという意味であります。それならばちよつと冷たいものでもいただきますか、というのは私はウイスキー・ソーダのわけでありまして、ウイスキー・ソーダをついでもらつて手をあげて乾杯してわかれたわけであります。従つて御注意でありますが、冷たいものを酒に切りかえたというのではないのでありまして、私の習性としてウイスキー・ソーダを飲んだ程度でございます。これはよけいなことでありますが、御質問でございますし、かつ非常に寛大な言い方で、お前は人間がいいからとうとうどろを吐いたじやないかという御質問に答えなければなりませんので、申し上げた次第でございます。  そこでかんじんなことにもどりますが、右様の次第でございますから、山下太郎をたな上げした一部重役の焦げつき事件、それだけが当時の――いな当日のみならず数日あるいは十日以後においてもそれだけが事件になつていたのでありまして、ここにおります刑事局長あるいはその他の者からも、山下会社の事件がいわゆる造船汚職、政治家との連関における造船汚職に発展しておるという話になりましたのは、大分あとなのであります。従つて古屋さんには多少礼を失したかもしれませんが、神様でなければわからないという多少礼を失することを申したのは、そういう真相を申し上げた次第であります。従つて当時はその程度、むしろ山下をなめた一部の重役の焦げつき事件ということであります。そして先代以来ーー先代のような積極的な人ではなく、内気な非常に気の弱い守勢の人でありますし、長い友人でありますから、新年のさかずきをあげるくらいのことは、友人として慰める意味においてしてあげても、人間としてちつともさしつかえない、こういうふうに考えて、乾杯してわかれた次第でございます。しかしその後佐竹さんの立場から言えば、問題が発展していわゆる造船汚職になつた今日から見れば気をつけなければならぬじやないか、そういう意味での御注意でありますならば、これは十分傾聴いたしたいと存じます。  また何か御質問がありますならば、追加して御答弁いたしたいと思います。

佐竹晴記日本社会党(右)

○佐竹(晴)委員 詳細に承りましたが、いわゆる中川メモに現われましたメンバーのほとんどことごとくが、あの順序通りと言つてもいいようにだんだん検挙されつつあります。その中には何ら嫌疑を受くべき筋合いのない人も入つておりましよう。しかし大部分の人が嫌疑を受けており、そのメモの中の一人に入つておることに世間が相当疑惑を持つて見ることは当然なことであり、私はかくのごとき疑惑を受くべき場所に、しかも捜査検挙の始まつておる会社の、重役の一部が逮捕されているとき他の一部の重役たちと会見するがごときは、いかに友人なりといえども厳に慎むべきものであるという考えのもとに質疑をいたしたのでありますが、私の観点に立つて言えば、さらにいろいろお尋ね申し上げたい点があります。しかし私は冒頭申し上げました通り、一応のけじめをつけるための質問でありますから、反撃的にさらに掘り下げて御質問申し上げることはいたしません。  進んでその三の浦賀船渠の多賀氏との関係について承りたいと存じます。いわゆるこれは佐竹メモの中にもたびたび出て参りまして、この間の書面による御答弁によれば、単なるおつき合いであるとおつしやつておりますけれども、相当たび重なつておりますし、その詳細の事情を聞きません限り、私は納得が行きません。この関係をいま少しく詳細に御説明願いたいと存じます。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 御指摘のように山下君の一回に比べて四回、これはあなたの詳細なる御調査によつて出ておりますから、これはなおさら御説明することがむしろ私の義務と存じます。浦賀船渠の社長の多賀氏は同県人でありまして、多賀氏のお父さんが私の父と懇意といいますか、私の父を尊敬してくれておつて筆跡などがいまだに残つておるそうでございます。私との関係は四回そこに出ておりますが、お断りしておきたいのは、多賀氏は一年十二箇月のうち五箇月余を海外に暮らしているのでございます。たしか昨年五月から八月半ばごろまでは南米、九月から十一月ごろまではイギリス、フランス、それからスイス、その他インドも行つたようでありますが、おもにそこへ行つたのであります。そこで、米国との友好関係はもとより必要であるけれども、占領期間中に英国並びに英連邦関係に関する親善促進が多少遅れている、しかるに日本の国策の基本の一つである東南アジアとの貿易は、英連邦の勢力下にある地域との貿易なんであつて、この点は相当思い切つて目をつけて行かなければならぬ、もう一つは南米、ブラジルにおける日本の移民問題もさることながら、微妙な国民感情を持つているアルゼンチンその他に対しても、もつと積極的に日本の外交政策を行わなければならぬというのが、私のかねてからの持論でございます。従つて、五月の初めごろに多賀君が向うに行きますときに、特に私はその注文をつけて、南米のどの国でもよい、政府首脳部と相当懇意な人たちと親善関係を結んで、できればその人たちに日本に来てもらいたいということをことずけたわけであります。そういうことに関しまして、出発前と帰つて来たときと、中川において接待を受けたことは事実でございます。またその結果として、アルゼンチンのペロン大統領の顧問のお婿さんである、工業大臣の候補なぞにあげられておりますワーナー・ケネツキイという人を連れて参りまして、これは私のみならず内閣の閣僚諸公も親しく面会いたしまして、貿易関係についてかなり具体的な案が促進せられたのでございます。これは私はいまだにいいことをしたと確信をいたしておる次第でございます。そのうちに多賢君は、そのケネツキイ氏を置いたまま今度はイギリスに立つて行つたのであります。そのころ実は私は外務大臣の臨時代理をしておりましたので、濠州のアラフラ海における紛擾事件その他にかんがみて、英連邦との手を打つことが目下の急務だと考えまして、いろいろ私の気づきを多賀氏に伝えたことがございます。従つて、欧州に行く前とあと、二回饗応を受けたことがございます。この点はちよつとまだ申し上げにくいのでありますが、英連邦関係についてもかなり具体的な掘り下げた考えを私は申し、それは実現はまだしておりませんが、私のねらいについて自信を持つような点もあつたわけでございます。私はこういう問題が吉田首相の渡英その他において、私なぞの貧弱な構想よりももつとりつぱに実現することを期待しているのでありまして、そういう関係でつき合つておるわけであります。造船会社の社長がなぜそうやつて一年の半分も海外に行つているかという問題なんでありますが、これはふだん聞いておりますと、浦賀船渠というのは旧海軍の伝統の上に乗つておりまして、いろいろな運動をしなくても必ず仕事は円滑に続く、現にそのときに話しておりましたが、フランスに寄る用は、東洋方面のフランスの軍艦が損傷すると必ず浦賀船渠に持つて来るというので、率直に申し上げますと、政治家方面に運動する必要がないのだ、そういういろいろな時間があれば、海外に行つて外貨をかせぎたい、そうして広く国際間に友人をつくつて日本のために、尽したいというので、むしろ実業家というよりは学者のような人であります。ケネツキイ氏もエンジニアであると同時に哲学者でありまして、そういう人の方が自分のはだに合うというわけでそういう学者はだの人を連れて来たわけでございます。疑うという観点から見ると、たくさんかどが出て参りましようが、私と多賀君との関係は実にきれいな関係でございます。  それから山下君との関係についてもこれは同様でございまして、佐竹さんのように長年議会生活をしていらつしやる方には御了解を得ると思いますが、私どものつき合いの中には、ふだんは特にこつちから電話をかけてどこそこで会おうというほどの話題はないが、会えば非常に愉快に気持よく話ができる、しかしそれ以上に、金をもらつたり何かして、半端な金で何となく頭が下るような関係はいやだという場合があるわけであります。ことに私は、苦労しないで育ちましてわがままなせいか、半端な金で人におじぎをするつき合いといのは、えこじのせいか、どうもいやでありまして、そういう意味で、山下太郎君にはいまだかつて金のねだりをしたこともございません。ことに父との関係の人は、向うが私の父を非常に尊敬しながら追憶してくれております関係上、金のことを言い出してそういう関係を汚すということがどうもおもしろくない気分を私は持つております。山下太郎君とはそういう関係でありますし、多賀君との関係は、もつと年が若いだけに、きれいに国策を論じ合つて行きたいという関係でございます。御了解を得たかどうかわかりませんが、さらに御質問があれば……。

佐竹晴記日本社会党(右)

○佐竹(晴)委員 タンカーの割当についてあなたが相当お骨を折られたということを私どもは承りました。第七次後期分は三菱造船にきまつていたものを、あなたのあつせんによつてそれが浦賀船渠に割当てられたと聞くのでありますが、はたしてそういう関係がございましようか。またその関係について相当の謝礼と申しますか献金と申しますかがされているではないかということで、すでにあなたの部下も検察当局において関係人を取調べたという事実を承知するのでありますが、はたしてそのようなことがございましようか。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 せつかくのお尋ねでございますが、まことに初耳でございまして、タンカーの割当なんということに私は興味はありません。従つて運動したこともございません。これは特に御了解を願いたいと思います。

佐竹晴記日本社会党(右)

○佐竹(晴)委員 次いでその四として、日平産業関係について承ります。あなたと有田さん、緒方副総理と、日平産業社長宮嶋さんとの間に相当密接なる御関係があつて、そこに相当額の献金が行われておるではないかということが疑惑となつて、過般これを副総理にお尋ねをしたのでありますが、逆に、根拠がない、人の名誉を毀損するといつて、結局私を懲罰に付せられたようなことでありますが、しかしその直後に、日平産業に手入れが行われて、その宮嶋社長が、大阪でつかまつて東京に参ります途中において記者に答えたところによると、まず、緒方副総理と昨年七月会社創立十五周年記念のパーテイで一緒に写真をとつたが、今度家宅捜索でそれが押収されたと言い、次いで毎日新聞の記者の問いで、増資にからんで政財界に運動金をばらまいたうわさがあるが、どうか。答え、それもデマである、増資するために約一千万円の宣伝費を使つたほか、昨年四月総選挙の際に自由党に政治献金をしたことがあるが、それは一度だけだ。しかし、一度だけだというが、本人はここでお認めになつております。問い、政界の大物と親交があるというがどうか、答え、緒方副総理のむすこさんが三井金属の文書課長をしていたとき、私が特殊金属会社を三井金属に合併した関係で緒方さんと知り合つた、犬養さんは遊び友達で、二人で銀座のダンス・ホールに出かけたり、赤坂の料亭などで五、六回飲んだことがある。大野国務相とは二、三度顔を合せただけだ、木村長官は元本社の相談役であつたので今でも交際をしていると答え、かつ有田二郎氏を顧問に雇つた関係を詳細に述べております。これによると、何ら根拠なくしてお前を懲罰に付するというほどのものでなくて、あるいは金額に相違があるかもわからぬが、献金をしたこともある。しかし、その献金は私にとつて、その三名のうちのだれにどうと申したわけではありませんが、三名に対して、それはどちらかわからぬが、合せて相当多額の献金が行われたことがあるではないか、そういうことを聞くがどうかと聞いたのでありますが、それが懲罰に値するものということでございました。法務大臣はこの関係についてもあるいは御憤慨なさるかもしれませんが、宮嶋社長のおつしやるところによれば、飲み友達で、ずいぶんダンス・ホールや赤坂の料亭なども飲みまわつておるということが明らかにされております。これの関係はいかがでございましよう。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 ちようど病気で寝ておりましたときのことで懲罰云々のことは承知しておらないのでありますが、これも私から進んでお答えをいたしたいくらいの問題でございます。こういう席で人の批評は極力避けたいと思いますから、言葉の足らざるところはお察し願いたいと思います。  宮嶋氏は、私はあまり懇意ではありません。しかし宮嶋氏の語るところが真実だといたしますならばーーおそらく真実だと思いますが、おじいさんが私の父の弟子であつたということで、そもそもごあいさつがあつたわけでございます。それで私の尊敬している先輩政治家のお名前、あるいは政見は違いますが社会党の私の尊敬している人々のお名前も出て、もしもそういう人を自分が招くときたは列席してくれ、こういう話がありました。それは私の宅ではありません、宮嶋氏が陳情か何かに見えたときに偶然お目にかかつての話でございます。その後秘書課を通じて二、三回招待のお申込みがありました。赤坂に一度も行つたことはございません。築地の何か静かな料亭に二度ばかり参りました。一度は他の大勢の方もいるただの宴会でありました。そのときに、いつもお話のある私の年長の方々が来ておられないのでございます。もちろんみんな忙しい人でありますので、約束したから必ず来るというものでもありませんから、これはやはり宮嶋氏の故意のこととは思つておりませんが、とにかく二度ばかりそういうことがありました。それで秘書課の者に、宮嶋氏の宴会は、向うも忙しいせいかいつもお話のような人が来ない、ぼく一人で実は共通の話もあまり出ないから、向うにも迷惑であろうから今後は丁重にお断りするようにと言つたわけであります。これが真相でございます。従つて宮嶋氏を批評するわけではございませんが、どうも共通の話題が少うございますので、お招きを受けるということはかえつて先方の迷惑であろうと思つて、その後ずつとお断りを続けておるのは昨年の七月ぐらいからかと思います。従つて金銭授受などは夢にも想像できません。またこれは緒方氏のことでございますが、その後緒方氏に尋ねましたら、緒方氏もそれほどの縁のつき合いではないように申されましたので、私もさように承知しておる次第でございます。それから一度外国の音楽指揮者をわれわれが一緒に招待いたしましたときに、同じクラブに宮嶋さんが来ておつて、そこは音楽もありまして、ごあいさつをしたことがあります。また一度どうも話がないので、私はきようはこれで失礼すると言うときに、ダンスに行こうと言つて車に乗せられましたが、私は非常に疲れておりましたので宮嶋氏が行かれるところでおりて、礼を言つてわかれたことがあります。従つてここにおられない宮嶋氏に対してまことに失礼になるのでありますが、遊び友達などという言葉はまことに迷惑千万でありまして、私ならばその程度の友人をさしてーー友人とも申せない程度の人を称して遊び友達などと申すことは、私なら慎む場合だと思つております。

佐竹晴記日本社会党(右)

○佐竹(晴)委員 次いでその五として、過日書面で日活会館の問題についての御回答を得ました。それには事実無根であり、俣野健輔は知らないとございます。そこで私がお尋ねをいたしたいのは、私の過日指摘したような場所、日活会館のあの部屋をお借りになつたことも全然ないでございましようか、また偶然俣野氏と隣合せた部屋を借りたこともないでございましようか、さらに俣野は面識がないとおつしやるが、お隣合せの部屋に秘書がいたような事実はないでございましようか、そのことを承りたいと思います。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 これも機会があれば進んで佐竹さんにお答えをしたいと思つておりました。これは水かけ論になりますので、こういう申し上げ方が一番いいと思います。私がかりに俣野氏を知つていて、そうして職務による請託以外の雑談をしたり、会話をしたりしてもちつともかまわないとは思いますが、たびたびの御指摘でございますので、公人として国会を通じて国民に対しても責任がありますから、多少大げさになることをお許し願うならば、もしも俣野を今日以前において知つておりました場合には、私はいさぎよく議員を辞職いたします。これはそれほどのことではありませんが、たびたびの御質問であり、いやしくも国務大臣が知つておるものを知つてないなどと言うことはやはり国会侮辱になりますから、その意味で決意のほどを申し上げておく次第でございます。  それから俣野氏ではないけれども副社長とか重役とか秘書だとか、そういうものをもしや知つておるのではないかという御注意でございますが、これもないのであります。俣野氏の写真は太つた人だということの記憶はありますが、実物を見たことも私はないのであります。従つて会話のしようもありませんし、打合せのしようもございません。どうして知らないで今日まで来たかということも考えてみたのでございますが、あの方は戦後に急に社会に出て来た方のように思うのでありますが、戦後私はしばらく無所属などにいまして、そういう社会のおつき合いから離れておる時代が相当長かつたためではないかと思つております。従つてごく穏やかに御質問くださつておるのに対して、議員を辞するなどと言うことはまことに大げさでよくないかとも思いますが、どうもほかに縁がないという証明――縁があるという証拠は捜査すれば出ますが、縁がないという証拠がなかなか出ませんので、私がたびたび国務大臣として、目下問題になつておる社長との交際を否認いたします関係上、国会を欺き国民を欺くことに対しましてこれほど強く申して、しかも今日以前においてほんとうはつき合いがあつたということであるならば政治責任をとりたいと考えておりますので、この私の心情をもつて御了察願えればまことに仕合せと私は存じております。

佐竹晴記日本社会党(右)

○佐竹(晴)委員 私はその点はあまり深く聞いておるのではございませんが、三月の初めころに九百五十一号室をお借りになつたことはないか。それから新聞指摘のごとく若い御婦人とおとまりになつたことがないかということを伺つている。そのお隣りに俣野さんが部屋を借りていたそうだが、しかしそれは知らなかつたなら、知らなかつたでよろしい、俣野に会わぬなら、会わぬでよろしい、また俣野は全然面識がない人ならない人でけつこうです。ただ、九百五十一号室におとまりになつたことがないのかというのでございます。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 これは刑事局長もよく知つておりますが、実は法務省は罰則など書きます関係上、他省と法律の問題でときどき意見の相違があるわけでございます。それだの、人事の異動、あるいは法務省自体の法律作成で、新聞人の前で申し上げるのはいかがかと思いますが、早く知られると、記事に書かれてどうも他省との軋轢があつてめんどうだ、あるいは人事が漏れてめんどうだというときには、法務省の秘書官案を通じて日活ホテルを借りております。これは日本の宿屋よりも疑惑が少いという意味で借りておる次第でございます。従つてそこには法務省の者も、ほかの省の人も来て協議はしたことはございます。また十曜日の晩に会議がおそくなりましたり、うちの女中がさらにそのあとで新聞人その他の来客で疲労いたします場合は、役所と私の家庭に断つてとまつたことは確かにございます。しかしながら、俣野氏と打合せをするために若い婦人を使う必要もなし、会えば、もつとひそかに会つた方がいいわけでありますから、そういう事実はございません。うちから書類を取寄せたり、絶えず電話で連絡して、そこで人に面会したことはたびたびございますが、そういうふらちなことは私はいたしておりませんので、御了承を願いたいと思います。

佐竹晴記日本社会党(右)

○佐竹(晴)委員 部屋を借りたということをお認めになりましたから、私はもうその程度でよろしゆうございます。本日は別に私はものを調べようというのではございませず、お尋ねをいたしておる次第でございますから、調べる人はまた別に調べをなさつており、しかもあなたの部下がお調べになつておるのでございますから、私どもの関知するところではございません。ただいろいろ疑惑を受けるよう種々の行為があることが、法務大臣としての政治責任として適当なりやいなやという見地において聞いておるのであります。私はいま一つきわめて重大なることをここにお尋ねを申し上げたいと実は少しばかり資料を用意いたしましたが、しかしややともすると私事にわたると誤解を受けるおそれがあり、ことに友人よりもなるべく公にしないよう助言もあつたことでありますし、この際は私は言わぬことにいたします。しかしこの問題は、決して単なる私事に関することではございません。それらの関係には、相当多額の金をもつてしなければああいうことはなかなかできないであろう、月給だけではできることではない。とすれば、先ほど私が申し上げましたあるいは多賀の問題にいたしましても、日平の関係にいたしましても、何かしらそういうことにつながつているんじやないかという、その面を聞きたいためでありますが、しかしそのことについては友人からも、この席で掘り下げない方がよかろうということでありますので、本日はこれを差控えます。ただこの際私は法務大臣に特に申し上げておきたいことは、あなたは相当御交際がお広い、しこうしてあちらこちらと招かれることが多かろう、これはまことにやむを得ないことでありましよう。しかし今日かような疑惑を受けそうな案件に関係してあちらこちらと、たとえば山下とも飲んでおる。あるいはそれは飲んだという程度ではないと言えば、それはまあそれまででありますが数回飲んでいる。あるいは多賀とも四、五回飲み、あるいは日平産業の宮嶋さんとも飲み友達で、銀座あたりのダンス・ホールでも、赤坂でもたびたび飲んでいる。現われて参つておりますのは、これはほんのちよつぴりでございましよう。事件に関係なしに飲んでいることを私は拾い上げるわけでもございませんから、決して私事にわたるものでなしに、何かしらこういう何らかの関係につながつているんじやないかというものをちよつぴりちよつぴりと拾つただけでも相当たくさんに出て参ります。そこで私どもが非常に考えざるを得ないのは、私は過日も法務委員長とここで笑い話をいたしたのでございますが、どうも犬養さんはたいへんお人がよい人で、毎年一回法務大臣として法務委員会の委員を呼んで、儀礼的ではあるが、ごちそうをする。しかしやはり一回なりとごちそうをいただきますと、今度の件のようなものを追究しようとしても、どうも気がねしてやれない。(笑声)これがほんとの人情です。だから小林さんにも申した。今年もし法務委員会で委員を招くようなときは、委員長であるあなたはおやめなさい。もう今年からそういう酒は飲まぬことにしましよう。いやしくも血税のこもつているような酒は飲まぬことにしましようということを私は委員長にも申し上げたのでございますが、法務大臣はまさにそうあつてしかるべきじやないか。あなたは何を言うかと、こうおつしやるかもしれませんが、私ははげに免じてさように申し上げたい。朝日新聞の三月二十九日付の天声人語欄に、今回の各大学の卒業生を送る大学総長の言葉――これは毎年いつも取上げられるのでありますが、こういうことが書いてあります。「滝川京大学長は卒業式に臨み新たに社会へ巣立つ卒業生に「自主性をもつこと、信念をもつこと、自分のぺースを歩むこと」の三つの言葉を贈り、さらに汚職の時流に対し「タダ酒を飲むな」を加えた。」旨を掲げ次いで天声人語子が論評していわく。「汚職とまでは行かずとも、社用族、公用族、これみなタダ酒を飲みたがる根性に通じるものである。」それからだんだんなかなか深刻なことを論じまして「タダでもらうものをコジキというが”乞食”とはうまい字を当てたものである。同情や恵みの気持は尊いが、他人の同情に頼る気持はさもしい末弘厳太郎博士が関東震災当時、学生連盟の救済活動を指揮したとき、被災者に救助物資を分けるのに、タダで与えることはコジキ根性にする、お辞儀でもよいから、させるようにといわれた」とある。しこうして次にまた「対価なくして利得を求めると、やがてそれに倍する対価を要求されて断れない羽目になる。男といわず女といわず、ただ相手の好意だと甘えていて、それが人生堕落の第一歩となつた例は決して少なくない」とあります。私どもはこの一言は傾聴に値すると思います。少くとも大臣ともあろうものならば、少々苦しくても、かような誤解を受けるような事態を引起さないように、弁解をそうなさらないでも、誤解のないように公明な態度を持して行くことが、大臣としてのお勤めではなかろうか。私は先ほど以来、いろいろとお尋ねを申し上げましたが、これらのうちに現れておる点、これは決してこのことが事件になるとか何とかいうのではなしに、ただいま申し上げまするような観点に立つて、われわれが注意を喚起しなければならぬと思う気持で、私はこういう文句をつづつてみました。「血税吸うな、賄賂をとるな、たかるな、かたるな、ただ酒飲むな。」これは今回の事案というものが、国民の血税につながるだけに重大である。しこうしてそれをあんばいした一部の金でもつて、官僚を買収して賄賂を贈り、しこうしてこれらの階級が私のメモにもある通り、ほとんど高位高官や財界の大物で、あるいは中川において、あるいは長谷川において、あるいは新喜楽において、毎晩のように栄耀栄華をいたしておる。上の方ではこのようなことをしながら、総理や大蔵大臣は、国民に向つて、これより耐乏生活だ、こう言つて号令をいたしてみましても、国民はとてもそれで収まるものではございません。いやしくも綱紀粛正の総元締である法務大臣としてみれば、ここに弁解をもつて納得せしめようとすることよりも、弁解なくして身をもつて世をして従わしめる体のものであつてこそ、私は真の法務大臣たるの資格あるものであると思うのであります。さらに言いたいことは、あなたが大臣としてでんとすわられておるから、あなたに疑点があつても、検察庁はおそらくあなたをなかなか調べることはできぬでしよう。先ほど申し上げました事例は、お伺い申してわかりました。問わなければ疑問です。疑惑です。疑惑あるところには、あるいは被疑者ないし参考人として聞くのは当然です。調べられるべき地位にある者が、調べる側の監督者であることは許されぬと思います。また続々と逮捕を今要求して来られておる。その要求された人々は一体何と考えるであろうか。法務大臣も同じ調べらるべき立場の人ではないか。しかるにその人が自分どもを調べるために逮捕するのだと思うときに、それらの人々が一体納得するであろうか。私はこのことを考えまするときに、これらの人々が納得するならばけつこうでありますが、しかしこの法務委員会における問答によつて、全部の疑惑を氷解されたとは思いません。少くとも国民の疑惑は解けておらぬと思います。その国民の疑惑をいまだ解き得ずして、納得せしめ得ずして、綱紀粛正の総元締である法務大臣がそのいすにでんとすわつておることの当否については、十分に大臣御自身においても御考慮あつてしかるべきではないか、かように思うのであります。私はただこの一言を呈しまして、本日の質問を打切ります。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 御質問ではありませんが、お答えを申すことが礼儀と存じまして、最後にお答えをいたします。佐竹さんが弁解をしないような立場になれ、これは全然同感でありまして、まことによいことを言つてくださつたと思います。それは十分傾聴いたして、今後の職務の心得にいたしたいと思います。この点先日猪俣委員から、法務大臣は特別の地位である役目である、――言葉は忘れましたが、そういう意味をおつしやつたときにも、肝に銘じて、それはほんとうの話だと思つた次第でございまして、十分に弁解しないで済むようにやつて行きたいと思います。御指摘のように、私もあなたと同じように、友人その他の世話がすきであります。世話の仕方についても、金の使い方はきれいにいたしておるつもりでございます。私の資力の及ばないものは、人に頼んでいろいろのことをしてもらう、私のことは無理しない、できるだけ誠意をもつて、友人、後輩その他の世話をいたしておるつもりでございます。  宴会の点もごもつともでありまして、こういうふうに問題にならない前に、一般の人から見れば相当のぜいたくな宴会に行つておりましたが、ことにこう世間が注目しておるときは、たとえ正しい、何らやましくない宴会にしても、極力避くべきだと存じております。また佐竹さんの御注意もありまして、実は先日法務省でまた会議をしなければならぬことがあつたのでありますが、従来だと必ず日活会館を借りておりましたが、あそこはしばらくやめようということで、ほかのところを使つたようなわけで、十分御注意の趣旨は体得いたしておくつもりでございます。法務大臣として今後なかなかむずかしい仕事がございますが、できるだけ心をむなしうして、厳正公平にやつて行きたいと思います。  またこれはまことに僭越な言い方でありますが、法務省、検察庁におきましても、私は至らない者でありますが、私がそういう心がけをもつて全努力をしておるということは、了解していてくれておると確信をいたしております。しかしそういう確信に甘えまして、私が心がゆるむようなことがありましたならば、法務大臣という地位に対する国民の期待を裏切ることになりますので、今後とも十分注意して行きたいと思います。以上お答えといたします。

小林錡自由党

○小林委員長 関連して質疑の申出がありますが、順次これを許します。猪俣浩三君。

猪俣浩三日本社会党(左)

○猪俣委員 佐竹氏の質問に関連いたしまして、一点お尋ねいたします。今大臣の御答弁を聞きまして、私ども安心いたしました。もちろん初めから疑つておつたわけではありませんけれども、法務大臣たる立場上、国民に事の真相を明らかにしないと、われわれ多少とも法務関係に従事しておる者はつらいのです。それで質問申し上げたのでありますが、この金銭の授受はまつたく否定せられております。ただこれも私新聞で見ておつただけでありますが、船会社から二十万円の金をお受取りになつた、これをすぐだれかにやつたというような御答弁があつたかと思いますが、このいきさつについていま少しく詳細に承りたい。  それからその事実が公職選挙法あるいは所得税法などに違反するようなことがあるのかないのか。もし違反するといたしますならば、その点について検察庁の活動があつたのかないのか。他人ならば詳細なる検察陣の調べを受けるはずであるが、法務大臣なるがゆえに、それをやらないということになると、憲法の要求します平等観念に反して参ります。先般あなたの承認によつて許諾せられましたる關谷とか、あるいはその他の人たちも、二十万とか三十万の金の授受であつたようでございますが、そういう意味からいたしまして、あなたが二十万の金をお認めになつておるようでありますが、それは事実であるかどうか。事実であるとするならば、あなたも法務大臣でありますがゆえに、それがいかなる法律の規定に違反するか、あるいはしたいか、違反するとするならば、それに対していかなる検察陣の活動があつたか、この三点について承りたい。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 これも進んでお答え申し上げたいと思います。新聞で伝うるように、私は率直に認めました。認めたのは、つまり自分がやましいと思つてないので率直に認めたわけでございます。いかにも、いつでしたか選挙の告示があつたあとで、山下太郎君から、非常にさ少ではずかしいようなものだけれどもこれを選挙に使つてくれという話がございました。私は先ほどもちよつと佐竹さんに申し上げたように、山下太郎君とのつき合いはそういうつき合いでなくして行きたいので、私もちよつと面子がつぶれたような感じも実は持つたので、それは太郎君にも申したことがあります。そういうわけでこれはぼくとして受取れない、ぼくは親のおかげで――これも新聞では間違つていますが、親の遺産があるのでという記事が出ましたが、そうではなくて、親の長年の努力のおかげで選挙区も培養ができておりますし、またもつたいないようなことでありますが、国の者がそれぞれ――私は非常に金の少くて済む選挙をやつておりますが、いつもそういうことを私が行かないうちにやつてくれるような選挙なので、私はいらない、しかしたつてとつてくれということならば、こういう人からきよう私に選挙費について相談があつた、その人にやることを了承してくれ、礼はその人から言わせるから、と申しました。そのときに太郎君はかえつて失礼したというような意味のことを言つて、その方でけつこうでございます、こういうことで、あとでその人から、確かにあなたの御好意の金は受取りましたと言つて、礼の電話がかかつたということでございます。その人の名前を申し上げれば早いのでございますが、これは私は申し上げません。ただその方はもちろん選挙ですから立候補された方でありまして、私又開きでありますが、議会の食堂などで、あれは自分が確かにもらつたんだというようなことを友人間で言つておるそうでありますから、猪俣さんのお耳にも入るかと思います。この席で私から申し上げるのは、たしなみとして御遠慮させていただきたいと思います。

猪俣浩三日本社会党(左)

○猪俣委員 新聞の報道も区々であつてわかりませんが、山下氏が金を持つて来たところに、あなたがやらんとする人が同席をしておつたのでありましようか。法務大臣を何か調べるような形になりましてはなはだ恐縮でございますが、事の真相を明らかにするために失礼を許していただきたいと思います。その席にあなたのお名ざしの方が同席した際、山下氏にそういうふうにおつしやつたのでございましようか。あるいはその人がおらない席上で山下氏にそういう話をなされて、そのときに金をもらい、後ほどあなたがお名ざしの方に金を渡されたのでありましようか。その辺を承りたいと存じます。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 その方の電話で、その日来ると申されておりましたが、その席にはおりません。但しきよう来るはずだからその人にあげるということならばお預かりする、礼はその人から申し上げる、こういうことでございます。

猪俣浩三日本社会党(左)

○猪俣委員 そうすると、二十万の金でありましても選挙に際しての献金でありますが、あなたはそれを受取られない、その第三者に渡したというならば、第三者自身がやはりいろいろの届出をしなければならぬというふうな関係が起つて参ります。あるいはまた選挙じやないとするならば、所得税の申告をしなければならぬという関係も起つて参ろうかと思います。さような手続が一体なされてあるのかないのか。もしそれが何らかの法律違反ならば、あなたの部下をしてそれぞれ適当な処置をしなければいけないのではなかろうかということが起つて参ります。ただこれは人情として、あまり難きを責めるように相なるかも存じませんが、事の公明を期するためにそこまでやはり私どもはお聞きしないといけないかと存ずるのであります。なぜならば、私ども聞くところによれば、あなたの秘書をなさつておつたような方だということです。そうするとこれは不離一体をなす関係でありまして、その席上にその人がおらざるにかかわらずあなたが受取つたといたしますならば、私どもはやはりあなたに責任が発生すると考えるのであります。そうじやなく、その人に初めからやることを山下に約束し、自分は取次いだにすぎないということに相なりますならば、そのもらつた人がそれぞれの法律規定に従つて処置をしなければならず、それをしないということになりますならば、取次いだ行為に対して、あなた自身も一種の幇助罪的関係が発生するのではないかというふうにも考えられる。それではいかようなる処置をなされたのであるかをお聞きいたします。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 もし幇助でありますならば重大でありますから、甘んじてその裁きを受けたいと思います。私は、私の同志についてやはり責任があるならば、喜んで受ける、それが同志愛だと思つております。その人が届出をどうしたか、それは多分皆さんと同じようなことをしておられると思うのであります。これについてはあらためて問い合せておりません。

田嶋好文自由党

○田嶋委員 私は実は与党議員でございますので、今日、法務委員会等でも極力御遠慮申し上げ、質問をしなかつたり、したりいたしておるのでありますが、しかしだんだんこの空気を見ておりますと、われわれ与党でも、やはり正しい点に対してはそれを主張し、また批判のある点に対しては批判を願わなければならぬのじやないかと考えます。考え方によつては、最近どうも国会内において切捨てごめんが横行しておる。その原因というのは結局わかるのでありまして、汚職が追究せられており、特にこれがわれわれ政治の面に対して向けられておる今日、政治の浄化をはかるためには徹底的にこれを追究してもらいたい、徹底的に洗つてもらいたい、また自分のからだにそういう疑惑があるならば進んで自分を調べてもらう、こういう気持がわれわれ与党議員にありますために、遠慮申し上げておるわけでございます。きようも議運で問題になりまして、私非常に不愉快に感じて参つたのでありますが、犬養法務大臣の不信任案がいよいよ土曜日に上程されるということに議運で決定いたしました。その席上で野党諸君から、もう一つ犬養法務大臣に対する不信任の理由が出た。それは加藤議員に対する逮捕に対して政治的な考慮を払つたということ、これは非常に重大なことだと言つて鬼の首でもとつたかのごとき発言を議運でしておるのであります。それで非常に不愉快に感じたのであります。私はその点で承りたいのでありますが、法務大臣は、こうした事案のものに対して盲判をお押しになつておるのでしようか、よく御審査をされてやつておられるのか、それを伺いたいと思います。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 お答え申し上げます。御指摘のように巷間伝うるところによれば、三人逮捕請求の指揮を仰いだのに二人に減つたのはけしからぬという御議論がもしほんとうだとすれば、それは検察庁法十四条によつて許された法務大臣の権限というものを削つた方がよいのじやないかと思います。もちろんそれがおれの友人とか党に不利だから何とかしてくれないかということであつたならば、これは問題でございます。しかしながら、書類の点検によつて、お二人は真にやむを得ないが、もう一人は考慮の余地があるということならば、私はそれ自体でとがめられる筋合いのものではないと思います。ところがこれはまあ法理論でございますが、実際の場合は、先ほど田嶋さんが御欠席のときに申し上げたかと思いますが、厖大な書類でございますので、便宜上ここにおります刑事局長がつぶさに読みまして、要点を非常に良心的に書きまして、そうして決裁を仰ぐ次第であります。そうして要点を読みました刑事局長及び私の補佐たる法務次官が、四月五日に私に指揮を仰ぐべき逮捕請求の理由が、二人が適当であると考えたのであります。それがあと何名あつたかというようなことは、捜査の秘密のみならず個人の名誉に関係すること重大でありますから、それを言つたら、私は法務省というものは個人の名誉を蹂躪をすることになるのではないかと思うのであります。お尋ねでございますから、これはできるだけ明白に申し上げたいと思いますが、この事案は一月近く非常に何度も何度も研究いたした問題でございます。その結果同僚議員についての逮捕請求の事務手続きをしなければならぬということは、真に遺憾に存じております。

田嶋好文自由党

○田嶋委員 それである程度納得ができました。私は大臣が最高の責任者としてすわつておる以上は、まさか盲判を押していないだろうと信じて今日まで来たわけでございますが、きようの不信任の理由としてあげた野党の諸君の言葉をかりて言えば、何だか大臣は盲判を押せばいいのだ、書類がまわればそのままそれを認めるべきだというふうに聞えてならないことを、私は非常に遺憾に感じております。私は、適不適は大臣として断固としてやるべきである、検察側がいかに書類を出して来ても、それをうのみにすべきものではない、こういうふうに確信をいたしておりますから、お尋ねをいたしたわけでありますが、それで安心をいたしました。  そこでもう一つ続いてお尋ねをいたしますが、とにかく私たちは、犯罪を犯した者を検挙しなければならぬ、そして徹底的に捜査しこれを明らかにしなければならぬということと同時に、その反面人権の擁護ということがいつも重大な問題として取上げられなければならぬと思つておるのでございます。実は私は、法務大臣が私的な感情を働かして検挙すべき者を検挙しなかつたということそれ以上に、法務大臣が人権の擁護を怠つておつたとするならば、これは重大なる責任が生れるものである、こう考えて進んでおるものでございます。そこで先般行われました刑事訴訟法の改正にあたりまして当委員会が政府案の勾留期間の延期を修正いたした。これは一にその当時の問答によつて明らかになりましたように、口では十分人権を擁護するのだ、口では証拠隠滅、逃走のおそれはないと言つても、検事は必ずやるのだ、こういう野党与党の輿論によつて政府案が修正されましたことは、法務大臣御承知の通りだと思うのであります。そして当時の法務大臣の御答弁も、絶対無理な検挙、無理な勾留、そういうことはいたしません、どこまでも証拠隠滅のおそれがあり、どこまでも逃走のおそれのある者をもつてわれわれは対象とするのだ、こういうことが再三速記録にも述べられておるのでありまして、私たちは今日それを信じて進みたいと思います。ところがこの事実がはたして完全に法務大臣の御言明通り今日行われておるかどうか。私たちの見るところによりますと、加藤君の問題にしてもそうでございますが、新聞に出た加藤君の意見がほんとうだとしますと、受取つたということを認めて、ただその金の性格が、収賄の金であるか、贈賄の金であるか、それとも加藤君の言うように正しいと思つて受取つた金であるか、これはおのずから法律解釈の問題になつて来るし、相手の問題で、加藤君自体の犯罪を隠滅するという面では、その趣旨を否認したからといつて、ならないのではないかということを思いますときに、やはり逮捕許諾の請求というものは、こうした面がおろそかにされて行われているのじやないかという疑惑も、非常にわれわれ遠慮がちに申し上げているわけなんですが、起るのでございまして、この点に対する法務大臣の御見解が承れますれば、まことにありがたいのであります。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 まことにごもつともでございます。加藤氏に関する書類の熟読と申しますか、法務省が検察庁から受取りまして、私の知つている限りにおいては、今までの書類熟読に要す時間の何倍かかかつて、私から見ますと実に刑事局長は良心的に、そうしてさすがに一時苦労して在野にいた人だけあつて、事件の表裏をつぶさに翫味して読んだと思つております。田嶋さんの御議論はすべての同僚議員の御議論を代表しておられると思うのでありまして、この点についてはいずれ議院運営委員会でーー秘密会になると思いますが、そこで詳細にお答えしたいと思います。これ以上になりますと加藤氏の身上に関係しますので、ちよつとここで申上げにくいと思いますが、しかし機会を求めて、たとえば議運の秘密会なら秘密会では進んで刑事局長が御説明申し上げることと思います。

田嶋好文自由党

○田嶋委員 大臣から非常にその点に対する保証が得られたような気がして、私今後の問題に対して安心感を持ち得たのであります。私は野党の諸君が何と言おうともどうか信念を持つてやはり人権擁護という面にも進んでもらいたいと思うのです。笑つている野党の諸君も、かつて自分たちの汚職が発展した当時は同じことを考えた諸君でありますから、そんなことは今になつてもちつとも遠慮はいらない。かつては同じことを言つたし、わかるだろうと思います。  そこでもう一つ申し上げるのでございますが、これは私の意見として聞いていただいて、お答え願わなくてもけつこうですが、お答え願えればお答え願いたいと思います。加藤君の問題について、検事総長があなたに対して非常に不愉快な感じを持つて、ありありと反抗的な気分を示したという記事が載つている。こういうことは新聞が偽つたのかどうか知りませんが、少くともあなたの下僚があなたの職権行為に対して不愉快を示し、しかも露骨に新聞記者に対して悪意の意思表示をしているということをはつきり書いている。こういう点に対しては、やはり内部的にゆゆしき問題でありますから、どうかこうしたことが新聞紙上に出ないように、検事総長ともしつくりお申合せをしていただきたいと思います。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 田嶋さんは答弁不要とおつしやいましたが、加藤君の処置について検事総長はむしろ全幅的に、延びた方が至当であつた、こう言つております。ただ刑事局長が、検事総長がおられないので、事務上の報告を次長検事にしまして、その報告が検事総長に行かないうちに新聞の方が中に入つたので、意外な顔をされたという小事件はあつたらしいです。しかしだんだん下から報告が行つて、それはその通りだ、法務省の解釈はその通りだということがあつたそうでございます。これを要するに事務的なことなんでありまして、今日まだちよつと申し上げる時期が早いのですが、いずれ皆さんにはだんだんおわかりになると思います。結論として二人のみの逮捕請求について私に指揮を法務省が仰いだことは、今日全検察庁と言つてもいいくらい賛成でございます。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 これは刑事局長にお尋ねするのですが、ただいま問題になりました二十万円の寄付を犬養法務大臣に持つて来た問題は、これがもらつた方が選挙に関してもらつたということになれば、届出を怠つておつた場合には、届出義務違反として選挙法違反になると思うのですが、その点が一つと、それからさような問題になりまして、猪俣委員からもお尋ねがございましたが、二十万円はもらつた相手に対して相当疑義がある。もらいました方面においてだれが受取つたかという問題が疑義があるような場合には、その当事者を調べるべき筋合いであるかどうか、この点をまず承りたい。

井本台吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 選挙法は、御承知の通り、百七十九条以下でございますが、選挙に関係いたしまして金の寄付があれば、ある程度届出をするとかあるいは帳簿に書くというような義務が課されております。それに違反いたしますれば、それぞれ罰条がありますので、その罰条に触れるということになります。具体的な問題につきましてはよく事情を調べてみませんと何とも申し上げかねます。それから本件に関係いたしました金の授受につきましては、検察庁におきまして全般の問題として調査をいたしておりますので、何をどうしたかというようなことをただいま発表する段階ではございませんが、いずれは何かの機会に適当な方法である程度発表いたすことがあり得ると考えておる次第でございます。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 私はもつと具体的にお尋ねしたいのですが、おそらく告発でも出て来ると思うのです。出た場合には調べなければならぬ。そういう場合に、犬養法相とどなたか知らないが、お二人が浮んで来ると思うのです。そういう場合に、あなたの方ではこれに対する捜査をする必要があると私は考えるのですが、捜査をする必要があるかどうか。

井本台吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 告発の内容によりましては、場合によりまして調べる必要がある場合には調べます。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 お聞きの通り、その点はどなたが受取つたかということに疑問があるように私どもは考えるのですが、その点についてあえて私どもが刑事局長にお尋ねするわけは、私は法相の人柄をよく存じております。それからお気持もよくわかるわけでございます。ところが、先刻来御質問がありましたように、これが幾多の問題になつております山下汽船から出ておる金であるということ、それから、繰返すようでございますが、捜査の中途における法相と山下太郎氏との会合、こういうことがありまして、おそらく、常識的に考えましても、社会通念上から考えても、これは疑惑を持つのがあたりまえだと思う。従いまして、今回のような組織的な汚職事件、私どもは造船疑獄は権力と財力と官僚との三位一体な組織的な汚職事件だと思つておりますが、この問題について、これを徹底的に爬羅剔抉して、事実を明らかにして、国民に、これに対する捜査がまことに公平であり厳正であつたと印象づけることは、これは法治国としては非常に必要なことだと思う。われわれの最後のよりどころは、司法部の厳正にして公平な立場だと思う。これに対して国民に疑惑を与えることは、国家の将来にとつて非常に恐しい結果をひき起すということを憂えるがゆえに私どもはあえてお尋ねをしておるのでありますけれども、その問題がそういうように発展したような場合、たとい大臣であろうとも、私はお調べにならなければならぬような筋になると思うのですが、そういう点はいかがでありましようか。

井本台吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 もちろん事件がさようなことでありますれば、いかなる方でも取調べを継続することは、これは毛頭疑いないところでございます。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 そこで私は犬養法相にお尋ねしたいのですが、先刻からしきりに身の潔白を御説明になり、不幸にしてただいまの佐竹君の御質問のような事実があるならば議員を辞任するという御決意をかたく持たれておるようでありますが、もしも法務大臣が下僚からお取調べを受けるような事実が出て来た場合には犬養法相はおやめになるかどうか、その点について御決意を承りたい。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 お答えいたします。それだけではやめません。それから私は、二代目の友人から二十万円なりの金をもらつてふだんのつきあいの気分を乱すのはいやだ。しかし、清貧なだけに、志を同じうして苦労を共にした友人に少しでも選挙費を上げたいので、私はその人に、それだけではなくできるだけのことをして来たのでありますが、それがいけないならば、政党人として私は喜んで法のさばきを受けます。しかし受けても、やはり犬養は政党人だつたという足跡が残ることを私は誇りに思いますから、むしろ進んで法のさばきを受けたいと思います。おそらく古屋さんも、御自分のが余つて、なお古屋さんを算敬している山梨県の人から選挙費について誠意のある交渉がありましたら、おれはいいけれども、こういう友人が、きれいなだけに困つているからといつた場合に、古屋氏が、よろしい、同志のために法のさばきを受けようという気持になるのと同じだと私は思うのです。喜んで私は政党人として法律上の傷を受け、同時に政党人としての名誉を受けたいと思つております。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 御決意を承つて非常にはつきりわかつたのですが、ただ問題は、今のような山下汽船との関係、浦賀船渠との関係等いろいろございましたが、特に山下汽船との関係において国民が法相の行動について疑惑を持つということは常識だと私は考えるのですが、その点いかがでしようか。そうしてその疑惑に対する責任についてはどういうお考えをお持ちになつているか伺いたい。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 これは輿論調査をしたわけではございませんが、少くとも私の国では、なるほど自分は受けなくても、友人に世話をした、これはあたりまえのことだということで疑惑を持つていない向きもございます。しかし疑惑を持つている向きがあるとすれば、真相がわかれば、少くとも政党人の生活行動を知つている者は了解してくれると思います。

古屋貞雄日本社会党(左)

○古屋(貞)委員 なお最後に一言伺いますが、さような疑惑を持たれておることについて、たださばいてもらつてはつきりするということにあらずして、何か、法相自信が積極的にこの疑惑を解くという御努力をする御意思があるかどうか。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 疑惑がないないといつて売つて歩くことはできませんが、こういう席で、喜んで、できるだけ誠実をもつて佐竹さんにもお答えした、それが私の態度の一つでございます。なお何か御質問があればお答えいたします。

木下郁日本社会党(右)

○木下委員 一点だけ、佐竹君の質疑に関連して伺つておきます。先ほど田嶋委員から、与党であるから遠慮しておつた云々という前置きのもとに、野党の諸君はかつてはやはり今の与党の人と同じような立場で同じような感情を抱いたであろうというお言葉があつたが、これは私が質疑をする態度としてまず申し上げておきますが、私はかつて、与党なるがゆえにどうどう、野党なるがゆえにどうどうというようなことは考えたことはありません。さようなしみつたれた態度をもつてこの司法の問題に関して質疑応答するというような不心得なことをいたしたことはありません。さような態度であることをまず御了承願いたいのであります。なお、先ほど猪俣委員との質疑応答であつたかと思いますが、私きよう初耳なんですが、法務大臣が、この二十万円云々という問題については、自分はやましいとは思わないから率直にすぐ答えたというお話がございましたが、それはだれにお答えになつたのでしようか、それをまず伺つておきたいと思います。新聞社の人でありましようか、党の人でありましようか、あるいは野党の人でありましようか、これを伺つておきたい。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 新聞の会見で話したのであります。これは御参考までですが、そのときほかの方々は知らぬという答弁が多いので、私は自分はどうも正直に言い過ぎたかなと思いましたが、考えてみるとこれは率直に言つた方がいい、こう考えたわけでございます。

木下郁日本社会党(右)

○木下委員 今のお言葉にもありましたが、その点につきまして私最近つくづく考えておることは、いろいろの人が検察庁から調べられたということが新聞に伝えられる。そうすると御本人は新聞記者に対してまたそんなことは絶対にないというて否認されておる人が大部分。それを見ましてその後の態度が――これら立法府の汚職の問題について国民が大関心を持つておるとき、ほんとうに検察庁から調べられていることがないなら、これはやはり新聞に対して即時必ず全文の取消しを求むる。それに応じなければ名誉毀損だという意味の公然たる態度をとるべきものだと思う。そういうことを一人もしないということを私は常に不快に感じておる。そうしてそれをしないところを見ると、やはり新聞の方がほんとうであろうということを私は考えるのであります。自分のことを申してはなはだ恐縮ですけれども、もし私がそういうことであつたなら即日――それは覚えがある、調べられたことがあればそれは率直に認めまするが、もし彼らが新聞社に言うように全然ないことで、夢にも覚えがないことだというなら、政治家として、この汚職の問題に国民が関心を持つておる際でありますから、ただちにその記事を掲げた新聞社と戦端を開くべきものだ、私なら開くという感じがいたしておるのであります。さような意味で今法務大臣が自分でやましいと思わぬから私は率直に答えたという言葉を開きまして、私は一抹の不安を覚えたのであります。なぜかと申しますると、普通の問題ならともかく、この問題になつておる汚職を究明して日本の綱紀を粛正する、それが粛正されなければ、敗戦日本の再建というものは絶対にできがたいところであります。その際に、その一番かんじんな衝に当つておる法務大臣が――私は言葉の端をとらえる意味ではありません、聞いたときの私の感じでありますが、やましいと思わぬから率直に答えたのだというような態度では私は不安なのです。法務大臣としては、やましいと思えばそこはお茶を濁すというふうにとられる危険があります。それでその点についてはつきり伺つておきたい。私達言葉じりをとらえる意味ではありませんけれども、これは世間が一体どういうふうにとるか、やはり法務大臣としてはほんとうに自分が真剣な態度であればそういう言葉は口の端に出ないのです。また世間では語るに落ちたというふうに感ずる危険があります。こういう点については十分気を配つていただかなければ、国民に――私もやはりそうだ、語るに落ちたのだ、やましければ自分はやはり多少お茶を濁すというような心根があるのだというふうにきめておるのではありませんが、しかし法務大臣という地位なのです。これはひとつ真剣に態度を考えていただかなければならぬ。私が冒頭に田鳩君に対して苦言を呈したのもそこにあるわけであります。さような意味におきまして、今のお言葉についてどういうふうにお考えになるか承つておきたいと思います。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 お答えをいたします。なるほどやましくないからはつきり言つた、文法的にひつくり返すとやましいときはぼんやり言う、そうおつしやられるとそれはりくつです。これはもしさしさわりがあれば取消したいと思いますが、意味は授受がないのでさつぱりした気持で率直に申し上げた、こういう意味でございます。しかしなるほど裏を返す文法というものがありますから、おつしやられると妙なところもありますので、これは取消したいと思います。

木下郁日本社会党(右)

○木下委員 それはそれで伺つたのですが、今授受がないからという意味は、私は先ほどから伺つておつたのは授受はあつたのだけれども、それは条件付で同士の方にやるということならちようだいしようというような趣旨で山下氏との間に話があつたように私は受取つておつたのですが、あなたのさしずされた方と山下氏との間に取引は直接あつたのでありましようか、それともお礼はそつちから言うようにするからというような、先ほどのお言葉から伺えば、授受は山下氏が持つて来てあなたとの間に一応あつて、その金をあなたが受取るという意味においてそこに条件がつけられたのかという点を明らかにしておいてもらいたいと思います。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 ごもつともであります。一つ申し上げておきたいのは、私は二代目のつき合いの山下太郎君と金銭でふだんのこだわりのないつき合いを妨げるのはいやなのです。これは私のくやしがりの、あるいは苦労知らずのわがままかもしれませんが、それが私の真実な気持であります。佐竹さんに申し上げたのでありますが、そういうつき合いというものは世の中に、ことに私の年代にはあるのであります。これをまず申し上げておきます。  それから第二にはその日は心待ちしておつたのであります。もつと申し上げますと、別にその方に用意して早くいなかに帰してあげたいと思つておつたわけでありますが、今申したように、太郎君とのつき合いをそういう関係にしたくない、いやだ、こういう気持がありますから、私はせつかくだけれども――しかし先代以来のつき合いですから非常に丁寧に申した、私はすつかり準備ができておるが、これこれの人に上げるから、その人が受取つてお礼を言うようにいたす、こう申したのであります。一番完全無欠なのは、その人が来るまで太郎君を待たしておいて、そこで授受すれば一番完全無欠でありますが、人が訪問したのをたれそれが来るまで待たすということはできませんから帰しました。しかしそこに疑義があれば私は喜んで法のさばきを受けたいと思います。     ―――――――――――――

小林錡自由党

○小林委員長 交通事件即決裁判手続法案を議題とし、質疑を行います。質疑の通告がありますから、これを許します。鍛冶良作君。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 この間から一点法務大臣及び局長の御意見を伺いたいと思つたのでありますが、きようはちようどよい機会でありますから、御質問いたしたいと思います。われわれはこの交通事件即決裁判手続法案はたいへん重要なる法案と心得ておるのであります。と申しますのは、わが訴訟法上即決裁判というものを入れるということは、画期的のものと心得えます。しこうしてまた裁判というもの、これはこの間からも質問がありましたが、裁判というものの本質から考えまして、こういう事件だからとはいうものの、特別の簡易な手続を選ぶということはいいか悪いか、私は大きな疑問があると思いますので、大臣なり局長は裁判としてかようなことはさしつかえないという御信念があれば、その点をまず承つておきます。

井本台吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 私から一応お答え申し上げます。この手続は公判前の手続でございまして、もし当事者に不服があれば、正式な公判はそのあとにちやんと控えておるのでございます。すべての手続を簡易にして、しかも十分人権の保障をするという建前にいたした手続でありますから、この手続が別に裁判の体系をくずすようなものにはならないと私は思つております。事案の性質上最も適切な手続ではないかと考えておる次第でございます。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 今の御答弁を聞きますと、それでは交通事件でなくても、ほかのものもかようなものをやつてもよろしい、ものによつてはほかのものもこういう手続をやろうという腹構えがあるように聞えるのですが、その点はいかがです。

井本台吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 交通事犯の特別の事情を勘案いたしましてかような手続を考えましたので、そのほかのものにつきましては毛頭さようなことは考えておりません。この事件の特質がかような手続をするのが適当であるという考え方を持つたのでございます。繰返して申し上げますが、ほかの事件にかような手続を及ぼすというような考えは毛頭ございません。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 交通事犯の多いこと、それから交通事犯について事件を片づけることの困難なることは、先日来の説明でよくわかりましたが、これをやることにおいてどれほどの利益があるか。私は、裁判所の利益ということよりか、国家にとつてどれほどの便宜、利益があるのか、この点をもう一度簡単に承りたいと思います。

井本台吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 従来略式手続でやつていたのでございますが、それがこのたびの交通事件裁判即決手続によるということになりますと、関係の人員の点もある程度省けますし、経費の点もある程度省けると私は考えているのでございます。なおかつ略式よりも、直接裁判官がその審査に当つて裁判するという形になりますので、さらに当事者の利益が伸張されるというような点からいろいろ考えますと、これは国家的にも非常にいい手続でありますし、当事者にも非常にいい手続である。あらゆる意味において現在最も執行しなければならぬ手続ではないかと考えておる次第でございます。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 そこで今の説明を聞きますと、手数も省ける、経費も省ける、今日の時代、交通の状況からしてぜひやらなければならぬということでありますが、これに伴う予算の説明を承りますと、経費が省けるどころではない、一億四千二百万円余の予算の請求をしておられるのであります。これは今の局長の説明からいつて相立たぬことで、まことにどうも驚くべきことではないかと思うのですが、この点を伺います。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 私からお答え申し上げます。大蔵大臣としばしば話合いをしたので、そのことを申し上げます。予算の点についてはなるほど御指摘の通りでありまして、今の緊縮予算で一億四千二百万余円は相当大きなものでございますが、これは御承知のように、この法律を理想的に実施すれば、これだけの金額がいるというのを裁判所がはじき出した。これは役所の習慣のようなものになつております。それではこれだけの予算がなければ、この法律が実施できないかというと、そうではない。ほかにも臨時の質素なやり方がある、こういうふうになつておる。結局話をし合いまして、こういうようにとりきめたわけでございます。今後具体的な数字については事務的な折衝を要するが、方針としては、この法案を実施するにさしつかえのないように最善の努力をする、こういうわけでありまして、実施に最小限度必要なごく質素なやり方で予算を考えて行きたい。しかし一億四千万円というのは、一番理想的に設備をする、裁判官を何人とか建物を建て増すとか、理想的な場合はこうだ、こういう数字なんでございます。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 私の聞かんとするのは、手数も省ける、経費も省けるというのならば、予算が余るというのがほんとうだと思う。それをこれだけいると言われるところにわれわれは疑問を持つのです。これはただ交通事件の方をやるとすれば、これだけいるんだけれども、法務予算としてはふえないんだ。これは減るのがほんとうだと思うけれども、減らぬにしましても、ふえないのだという御説明でありまするか、多少はふえるんだが、これだけのものはふえないと御説明になるのですか、その点を明瞭にしていただきたい。

井本台吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 理想的にやりますと、相当経費がかかるということはやむを得ないと思いますが、それはできるだけ経費をかけずに何とかやつて行きたいということを念願している次第でございます。もちろん理想的にやりますると、法廷もいりますし、人員もある程度増さなければならぬのでありまするが、この手続はこれがなければ裁判ができないというものではないので、準備のできたところから逐次やろう、しかもなるべく経費をかけずにやろうということで考えておるのでございまして、全面的に経費が浮いて、予算の返上をしなければならぬというような趣旨で申し上げたのではございません。さよう御了承願います。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 私の言うのは、送達の費用がいるとか、人がいるとかその他何かやらなければならぬ、そういうことで非常に経費がいる、だからこういうものがいるんだ、こういうふうにわれわれは聞いておつた。そうしてみればよけい費用はいるわけだ。むしろ今言つたように人件費が幾らか減らされるし、送達費も減つて非常にいいのだ、こうでなかつたら、論旨が終始一貫せぬように私は思う。

井本台吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 今まで書類だけを検討しておりました裁判官が、自分で被告に当るということになりまするので、さような点については確かにある程度手数がかかります。しかしながら送達の費用などは一律に済みますので、その点の経費は大分浮いて来るという関係にもなります。たくさん書類をつくつておりましたけれども、その書類などもある程度作成費が省けますので、さような点は経費の節約にもなるというふうに考えるわけであります。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 最後に、これをやれば、余りを出すほどでなくとも、よけいな費用はいらぬのだ、こう承つてさしつかえないものですか。

井本台吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 全然節約になるとは断言いたしかねますが、できるだけ金をかけずにやつて行きたいということで、そもそもこの法案は始めたのでございまして、準備のできたところから一部でもやつて行こう。そしてやむを得ない事情のものはある程度大蔵省にお願いいたしまして、金を出すということを考えております。できるだけ金をかけずにやつて行こうということでございます。

鍛冶良作自由党

○鍛冶委員 私はきようはこの程度にしておきますが、節約する面はどれだけ、新しくいる面はどれだけで、差引どれだけ簡略になるか、それともこれだけはやらなければならぬということを明瞭にしてもらわないと、これ以上審議はできないと思いますので、至急お願いいたします。

木下郁日本社会党(右)

○木下委員 今のについてでございますが、私が今まで伺つたところでは、今これをやれば、裁判所の設備にもちよつと金がいるかもしれぬけれども、経常費は従来よりも助かるというふうに了解しておつた。さつき鍛冶委員との質疑応答の中で、その点がはつきりしなかつたから、今のようになつたのではないかと思うのです。今鍛冶委員からお話の数字が出ますればわかるので、これ以上質問はいたしません、裁判ということで、個々の裁判の設備の方には今さしあたり金がいるが、これは一ぺんきりである。恆常的な経常費に充てるものは、送達を何べんもしないというような意味で、人件費も送達費等も節約ができるというふうに私は今まで理解しておつたのですが、そういう点もわかりますように、ひとつ数字をお出しを願いたい。

小林錡自由党

○小林委員長 それからこれまで略式命令で言い渡した罰金、科料の判決が確定した後、これらの罰金、科料の執行を終えた総額と、執行不可能になつた部分とについての調査ができておれば、それをいただきたい。従来の例では、略式命令の判決が確定して後本人の所在が不明になつて、結局罰金も科料もとれないことが東京都内などでは相当にあるわけであります。それが今後この法律ができた場合には、即決裁判とほとんど同日罰金、科料の仮納付ができることになるから、従来執行不能であつた部分が可能となつて、国家の罰金、科料による収入が増加することになると思う。それらの対象の予想ができたらば、これに対する資料も提供してもらいたいと思います。

井本台吉検事(刑事局長)

○井本政府委員 調べて御報告申し上げます。     ―――――――――――――

小林錡自由党

○小林委員長 この際お諮りいたします。すなわち刑法の一部を改正する法律案につきまして、学識経験者等に対し参考人として本委員会に出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林錡自由党

○小林委員長 御異議はないものと認め、さよう決定いたします。  なお参考人の人選及び参考人に出席を求める日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

小林錡自由党

○小林委員長 御異議はないものと認め、さようとりはからいます。  次会は来る十日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することといたし、本日はこれにて散会いたします。    午後二時二分散会

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