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19回国会衆議院1954/05/12

文部委員会 第31号

発言数
64
登壇者
7
会派数
3
開催日
1954/05/12

会議録

辻寛一自由党

○辻委員長 これより閉会いたします。  野原君より緊急質問の申出があります。これを許可するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

辻寛一自由党

○辻委員長 御異議なしと認めます。野原覺君。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 それでは私はアメリカ合衆国の空軍基地として接収されております飛行場の使用によつて生じた学校教育上の障害除去に関して、特別調達庁並びに文部当局に対して質問をいたしたいと思います。  まず第一にお尋ねをいたします前に、私の手元に愛知県の小牧飛行場の近くにあります春日井市から陳情書が参つておるのであります。この陳情書は私の質問事項に関係が深うございますので、簡単でもありますから読み上げておきたいと思います。味美小学校でございますが、「本校は校区の略中央に位置し、交通至便、土地高燥周辺に非衛生的、非教育的施設全くなく、極めて理想的学園であつたが、木校の北々西に小牧飛行場建設されるや、基地との距離僅々九百米のため、駐留軍飛行機の発着間断なく、何れも本校の頭上を通過するため、過去の平和境は一変して騒音の障害に悩まされる非教育的環境と化したのであります。この教育的効果の減殺は実に憂慮に堪えないものがあります。特に本校が義務教育の場として五二三名の可憐な児童の教育に、教師父兄一体、如何に苦慮するも到底その対策を講ずることは不可能と言わなければなりません。随つてその対策如何は学区民挙つて問題としていたのでありますが、幸い関係御当局より再三荷四騒音調査報告の御指示あり、且又その上実施御調査の御尽力を賜わる等、本校の騒音障害除去に御配慮を拝受していることは、誠に感謝感激に堪えないところであります。ジエツト機の着陸は本校の頭上(風向旋廻の都合上か)より滑走路へ又離陸時は滑走路より本校めがけて頭上すれすれに直進し、単機或は編隊と次々に一日百回乃至二百回授業時に飛来し、その爆音は実に物すごく常に一〇〇フオーン程度で一回思わず戦りつ悲鳴を挙げる状態で、これが児童の心身に及ぼす影響は実に測り難いものがあると考えます。その上離着時に墜落したことが数回あり、内二回は最近民家を一しゆんにして焼失せる事実を思うとき、今後如何なる時に本校もその災害に直面するか全く予断を許されないと考えるものであります。然らば校舎の移転という問題が考えられますが、これは学区全体の移転が先決問題となり到底不可能事と思います。故に万一の場合を予想する時、五百有余の可憐な生命を如何にして保護するかが騒音防止以上の大問題であると存じます。随つて本校としては、先づ第一に防音装置を含む鉄筋造りの堅牢な校舎を建設して、不測の事態に当つても、よつて起る犠牲を最少限に喰止めるべき対策を早急に講ぜられますよう、特に切望するものであります。」こういう陳情書であります。これはおそらく文部当局あるいはその他関係諸官庁にも出されておるものであるかと思いますが、こういうものが私のところに、春日井市の市長、それから小学校の好調並びにPTAの会長、市の教育委員長名をもつて参つたのであります。  そこで次にお尋ねしたいと思いますのは、こういう実例は単に小牧飛行場の近くだけではなく、兵庫県の伊丹市あるいは伊丹飛行場は大阪府との境でもございますから、豊中市の蛍池小学校あるいはその他至るところ、全国各地にあろうかと思いますが、まずこのようなただいま私が読み上げた陳情書の内容に近い事例が全国どの程度に今日存在しているものであるか、これは文部当局にお尋ねいたします。

近藤直人文部事務官(管理局長)

○近藤政府委員 ただいま承りました春日井市の味美小学校の問題でありますが、これにつきましては私どもも陳情を受けております。もちろん調達庁におきましても御承知のことと思つておりますが、事例はまことに困つた事例でありまして、飛行場から九百メートルの近くにある学校でありますが、ジエツト機の発着が非常に頻繁であり、騒音も百フオーン以上でありまして、教育上非常な支障があるということは、私どもも重々承知しております。この問題につきましては、騒音対策委員会でも問題にいたし、いかに措置するかということにつきまして検討を進めております。お話のようなその場所で鉄筋で防音装置をするということも考えられますし、またこれを他の適当な場所に移転しまして建てるということも一つの方法であろうかと思います。どういうことになりますか、これから私どもも調達庁の方と十分折合せまして、今後善処いたしたいと考えます。  それからそのような事例が他に全国にどのくらいあるかというお話でありますが、ただいま御指摘になりましたような兵庫県の伊丹飛行場の周辺あるいは北海道の千歳飛行場あるいは九州の板付飛行場の周辺、あるいは立川の周辺等に相当ございますが、私の今まで承知しておる範囲におきましては、この味美小学校の例は最も騒音のはなはだしい例ではないかというふうに考えております。今後この問題につきましては、至急に調達庁ともお打合せいたしまして、対策をきめたいと思つております。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 ただいまの御答弁にも教育上支障があるということがございましたが、これは単に騒音だけの支障ではない。この陳情書を今読み上げた通り、児童の生命に危険を与えておる。実は父兄にしても、先生にしても、毎日はらはらしておるということであります。そこで問題は校舎の移転あるいは堅牢なる鉄筋コンクリートの校舎を建てる、この二つの方途が考えられるわけでございますが、一体この二つの方途は、早急に政府としてはとつてもらえるものであろうと私は思いますが、これに対する調達庁の御見解を伺つておきたいと思います。

佐藤長治総理府事務官(調達庁不動産部補償第二課長)

○佐藤説明員 先ほどの御質問と関連してお答えいたしますが、駐留軍の航空機、それから砲撃、爆撃、こういうものの騒音による学校教育の阻害というものにつきまして御説明いたしますと、基地問題の一環として非常に大きな問題となつておるわけでございますが、これは特別損失の補償に関する法律ができて、これによつて救済されるということになつておるわけでございます。文部省当局とも十分連絡をとりつつ調査もやつておるわけでございますが、今のところ大体補償の対象となる学校数は約七十校というふうになつておるわけでございます。すでに工事に着手しましたのが三校、これは千葉県の豊海町でございますとか白里町、それから立川市、その他についても工事の着手の準備を進めておるわけでございます。問題の小牧につきましては味美小学校そのほか数校がございますが、味美小帯校につきましては当庁には大体三百二十万円ばかり申請書が来ているわけでございますけれども、その後その陳情書にもございますように、コンクリートにしてもらいたいというような御要求もございまして、今文部省の方からお答えになりましたように、日本の権威者を集めました騒音対策協議会というものが設けられております。その方面とも連絡をとりながら技術的な両をただいま研究しておるわけでございます。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 味美小学校に対しては騒音防止のための予算としては大体三百二十万円程度であつて、騒音対策協議会においても対策について研究しておるという御答弁でございましたが、私の質問は、御承知のように木市校舎に騒音防止の装置をいたしましても、これは通風の点において、これからつゆから夏にかけてむしむしして来るわけなんです。そのような騒音防止をやつて一体どれだけの教育上の効果が期せられるものであるか、非常な疑問を持つのです。鉄筋コンクリートにいたしますならばある程度の騒音防止も可能でございましようし、それから生命の危険度に対する安心感というものもあるわけでございますが、騒音防止だけの糊塗策ではこの味美の問題は解決しない。そこで鉄筋コンクリート建築をぜひするために、政府から何らかの補助金をいただきたい。それだけの補償というものはこれは当然政府の責任においてなすべきではないか、味美だけがその被害をこうむることははなはだ心外千万というのが春日井市民の声です。これに対して一体政府は鉄筋コンクリートを建ててやれるのかどうか、これはぜひやつてもらいたいと思いますが、それに対する御見解を率直に承つておきたい。

佐藤長治総理府事務官(調達庁不動産部補償第二課長)

○佐藤説明員 木造の校舎に防音装置をすることによつてどれかけの効果があるか御疑問だということでございまして、危険の点も考慮してぜひとも鉄筋コンクリートにすべきであるという御意見のようでございます。なるほどその問題もあると思うのでございますが、まだ木造校舎についてどれだけの効果があるかということについては、実際やつて見なくてはわからぬ、こういうことになつておるわけでございまして、せつかく立川市におきまして立川中学が最近工事着手の予定でございますが、それにつきまして騒音対策協議会の方とも十分連絡をとつて、いわゆるモデルケースとして現在計画しておるわけでございまして、それによつて木造建築に対する防音装置というものが一体どれだけの効果があるかということの大体の結論が出るものと考えるのであります。今ただちに全部コンクリートにしなければならぬというようなことは今のところ考えておらないわけであります。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 どうも御答弁のピントを、故意かどうか知りませんが、努めてあなたはそらされようとしておる。私は長々とこの陳情書を読み上げましたのも、児童の心身に騒音の及ぼす影響だけではないのだ、児童が思わず戦慄悲鳴を上げておるということ、このことは市民をあげて言つており、二回にわたつて付近に飛行機が墜落しておる、しかも屋根のすれすれを飛来しておるというこの現状の上に立つならば、せめて万一の場合があつても、鉄筋であるならばその被害は最小限度に食いとめることができると思う、こういうことであるわけであります。だから鉄筋を建ててやれるのかどうかということを陶いておるわけです。騒音防止の研究施設とかそういうことはよろしゆうございますから、その点だけ伺いたい。これは鉄筋がいいか木造がいいかは私も知りませんけれども、騒音防止装置を含めた鉄筋づくりの堅牢な校舎ということをまじめに特調ではお考えになられて、この陳情に応じてもらえるかどうか、それがもらえるということでございましたら私はその他の一切の質問は打切つていいのです。いかがでございますか。

佐藤長治総理府事務官(調達庁不動産部補償第二課長)

○佐藤説明員 今ただちに鉄筋コンクリートにするということについては申しかねるのでございます。というのは御承知のように私の方は特別損失補償法という法律によつて補償しておるのでございますが、これは騒音ということだけに限定されておりまして、その点を考慮しなければならぬと思うのでございますが、音だけの問題について調達庁は責任を持つということになつておるのでございます。これ以上の回答はいたしかねるのでございますが。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 そうするとこのアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関しては、学校教育では騒音についての補償だけ、こういうことでございますか。

佐藤長治総理府事務官(調達庁不動産部補償第二課長)

○佐藤説明員 その通りでございます。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 私もその点に関しましては、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律、その法律に基いて出されておりまする政令、総理府令それから調達規則、これらについて私も一応の目は通してみたのでございます。ところがただいま御答弁のような解釈にも受取れる節がないでもないのでありまするが、しかしこのことはきわめてこの特別損失の補償に関する法律の趣旨から学校教育だけがのけものにされておる感じも持ちまするがゆえに、文部省に対してまずお尋ねをいたしますが、一体この法令ができまするときに、文部省としてはどういう態度をおとりになられて臨まれたか、こういう法律並びに政府等が出されます場合に、実は農林関係、水産関係等と比較してみますと、学校教育の面だけが極度に軽視されておる、感じでなしに実際これは法文の上に出ておるわけでございますが、文部当局は一体これに対してどういうお考えを持たれておるのか、こういう法律が制定されるときにいかなる態度をもつて臨まれたのであるか、この二点に対してまず文部省側にお尋ねいたします。

近藤直人文部事務官(管理局長)

○近藤政府委員 この日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律の趣旨でありますが、これは当初は主として農林関係の損失を対象にして立法されたものと理解しております。それでアメリカ合衆国の軍隊の行為によりまして通常の損失について補償するという建前であろうと思うのでありますが、その中で教育関係の学校を対象にするかどうかという問題につきましては、法の趣旨から申しまして多少問題があるのではないかということも議論されたのでございますが、私どもこれを強く要望いたしまして、「又は政令で定める」という中に「学校教育法による学校教育の事業」ということを入れていただきまして政令ができたわけであります。そういうようないききつであつたと記憶しております。しからば学校につきましてはどういうことであるかと申しますと、飛行場の周辺にありまする学校が飛行機の爆音とかあるいは装甲車両の騒音とかいつたものによりまして教育に支障を来すというような場合に、その学校を騒音から守るというための補償を国がするというような建前であると思うのでございます。今お話の騒音だけかあるいは危険が入るかということでございますが、これは政令の上でもたしか騒音と規定しておつたと思います。従つて騒音に対してこれをいかに防止するかということから騒音防止の協議会もつくりまして、大体原則といたしまして八十フオーン以上の場合にはこれに対して防音の装置をするという建前になつておるのでございます。その際に危険をどの程度考えるかということでございますが、これはこの法律、政令の建前から危険は全然考えないという解釈ができるわけでございます。騒音の対策をいたしますれば自然に危険の対象にもなるわけでありまするので、その点は実質上やはり危険も救済されるということになるのではないか、かように考えております。そこで学校の防音装置をする場合に、木造で防音装置をした場合と鉄筋にしまして防音装置をした場合とどういう効果の違いがあるかということは、先ほど御答弁がありましたように、立川市におきまする中学校において今モデル的に研究をしておりまするので、これはそのうち効果がわかつて来ると思つております。それからもう一つは、そういう防音装置ばかりではいけないので、やはりこれは飛行場から相当離れたところへ移転するということも一つの方法と思つております。こういつた方法をとるか、あるいは木造で防音装置をするか、あるいは鉄筋に改造した上で防音装置をするか、こういつた問題はいずれも実はまだ初めてのケースで、目下試験的な過程にありますので一概に結論を申し上げることは困難かと存じております。なるべく早い機会に結論を出しまして、一刻も早く学校の通常の授業が行われまするように措置したい、かように考えております。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 政府が何もやらないで一日も早く通常の授業に回復する措置をしたいと申されましても、これはできないことである。私がお尋ねしたいことは、特別損失の補償に関する法律の趣旨は、ただいま局長が御答弁になりましたように、学校教育法による学校教育の事業に対しては適用するということが施行令にも出ておるわけであります。ところがその施行令が、学校教育の事業に損害を与える場合は音響による損害だけとするというような規定になつておる。一体学校教育の事業に与える損害は音響による損害だけであるのかどうか。これは防音措置をやれば危険の対策になるのだというとんでもない御答弁でございますが、騒音対策が危険の対策になるとは私は考えない。騒音対策は騒音を防止する対策であつて、どんなに考えても決して建物、設備に与える被害を防ぐところの対策にはなりません。そこで建物、設備にも——現に味美小学校のごときは大きな被害を与えておる、子供の生命にも被害を与えて来るわけなのですが、これを一体どうしてくれるのか。こういうことをやらないのは、この特別損失の補償に関する法律の趣旨に違反しておるのじやないか。なぜ学校教育だけがそういう軽視された形で持つて行かれたのかということを重ねてお尋ねいたします。これは調達庁と双方にお尋ねしたい。特に調達庁におきましては、農林関係、水産関係において、御承知のようにたとえば農業用の通路、林道、用水施設、排水施設については相当な補償がされているわけである、ところが学校教育に関してはぶうんと来る騒音を防ぐ、ただこれだけであつて、建物その他について何らの補償もしないということになつておりますから、どういうわけで一体こうなつたのか、そこの経過並びに政府の見解を重ねてお尋ねしたい。

近藤直人文部事務官(管理局長)

○近藤政府委員 今の味美小学校の場合は、これは私の聞くところでは危険である——危険であると申しますのは、その学校の真上に飛行機が飛び、かつ過去において数回墜落したということでありますので、これは私も危険だと思うのでありますが、そういう学校は、私の考え方からいたしますればやはり移築することが一番好ましいのではないか、安全な所に移すことが一番いい方法ではないかと私は思うのであります。そのことも実は陳情の方がお見えになつたときに私は申し上げたのでありますが、それが危険を除去する一番いい方法ではないかと思います。現状のままで防音措置をするということにつきましては、かりに鉄筋コンクリートに改造いたしましても、なるほど御指摘のように危険の点はなくならないように思うのであります。そういうことも申したのであります。ただいろいろ村の関係があつて適当な土地がないというようなお話でございましたが、その点はひとつ御相談をする問題のように私は考えております。その味美小学校の場合に限りましては、やはり移転することが一顧いい方法だというふうに考えております。またほかの場合、たとえばこういう例があります。これは九州の板付飛行場の周辺の学校であります。学校名は忘れましたが、これは滑走路のすぐ近くにありまして、これはやはり学校の校舎と飛行機の飛ぶ距離が非常に近い。これも墜落したこともあつたようなわけであります。この場合におきましては、航空法の規定によりまして、たし移転をしまして救済されたはずでございます。ですからそういつた問題につきましては、やはりこれは移転する方法が一番いいのじやないかというふうに私どもは考えております。まだそういうところまで行かない、ただ騒音だけで非常に教育に支障を来すというような場合におきましては、これは防音装置をすることも方法だろうと思います。味美小学校につきましては、私はそういう感じを非常に深くしまして、実は陳情者にもそういうことを申し上げたのでございます。

佐藤長治総理府事務官(調達庁不動産部補償第二課長)

○佐藤説明員 大体今の管理局長の御意見の通りでございます。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 そうしますと管理局長さん、移転の費用は政府から出してもらえますか。

近藤直人文部事務官(管理局長)

○近藤政府委員 これは調達庁の方の予算で、これは防衛支出ですから、防衛支出金のうちから、移転する必要がありますれば、移転する費用を出す仕組みになつておるのであります。ただ単に防音装置をする予算だけでなしに、どうしても移転をする必要があれば、移転をする予算も私は支出できるのじやないかというように考えております。

佐藤長治総理府事務官(調達庁不動産部補償第二課長)

○佐藤説明員 お答えいたします。ただいまのところ、鉄筋コンクリートにしてくれというのか請求の趣旨でございますが、移転ということになりますと、学校当局の都合もございましようし、移転の問題は、場所の関係、あるいは生徒の関係が非常にむずかしい問題がございますので、その点もよく研究して、文部省とよく協議した上決定したい、こう考えております。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 移転については、場所その他いろいろ部落の配置もございます。小学校は小さい子供が通学しますので、実は学校の配置というのはむずかしい問題です。困難でありましようが、しかし移転以外に方法がないということになつて、移転をすることになれば、あなたの方は今すぐにでも金を出してもらえるか。金を出さねばならぬと思う。出してもらえるかどうか、この点ひとつ明確に御答弁願いたいと思います。

佐藤長治総理府事務官(調達庁不動産部補償第二課長)

○佐藤説明員 今すぐ返事をしろということでございますが、これはやはりよく協議した上でないと、回答は困難だと思うのでありますが、むろんそのように私どもも現地ともよく折衝し、決定いたしたいと思います。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 協議をしなければどうにもならぬということですが、必要があると認めれば出せない規定はないでしよう。私の調査によれば、すでに出しておるのです。これは名前は忘れましたが、この東京近郊の立川の近くですが、中学校の移転費を出しておるわけです。だから必要があるかどうかということは、あなた方が調査をされたらいいのであつて、実は調査すらもこういう段階に来るまでなされていないことが事実なら、これはおのずから問題は別なんです。だから私はきようは委員長に特別調達庁長官の出席を要求したのです。責任のある答弁を聞きたい。市民がここまで騒ぐのに、必要があるかどうかという調査もたおなされていないとすれば——しかしよもやそういうことはなかろうと思う。従つてこれは出せない規定はないのであるから、再度現地をよく調査して、そうして移転費用ということになれば、出せましよう。これでよろしゆうございましようか。

佐藤長治総理府事務官(調達庁不動産部補償第二課長)

○佐藤説明員 よろしゆうございます。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 そこで一体移転の費用が出せるのなら、同じ金ですから、どうしてもこうした学校を建てるのに適当なあき地がない、運動場もできない、あるいはこんでもない片寄つたところにその学校が来るという場合に、これは鉄筋コンクリートということも考えられる、この際にはそういうことの調査をしていただいて、どうにもならない事情等かわかつた場合には、当然これは鉄筋コンクリートも建ててもらえるものと私は思いますが、いかがですか。金は同じように出せるのですから……。

佐藤長治総理府事務官(調達庁不動産部補償第二課長)

○佐藤説明員 鉄筋コンクリート以外にはどうしてもそこにいられないという結論に達すれば、むろん考慮しなければならぬと考えております。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 それではあと一点で終りたいと思います。私は最後に、これは文部大臣がおりましたならば申し上げたかつたのですが、いませんので、管理局長に苦言を一つ呈しておきたいと思います。実は昨年の十月ごろであつたかと記憶いたしますが、水産委員会を中心に農林委員会その他関係の委員会が合同をして、この政令が定められるときに協議会が持たれたわけです。これは当時委員長はただいまの委員長辻寛一さんであつたと思う。これは一体委員長の怠慢で、文部委員会に対して諮られなかつたのか、それとも文部省が委員長に連絡をしなかつたのか。実はこの政令が重大であるというので、農林委員会、水産委員会はこの政令の制定にあずかつておる。とこるが私は文部委員でございますが、単に私だけでなく、まつたくこれにあずかつていない。文部委員会の知らないうちに、学校教育の事業等に対する補償についての政令ができ上つたということは、これはまつたく一体どなたの責任であるか、委員長の見解もあわせて承りたいと思います。この問題は重大ですよ。ひとつ文部省並びに委員長から、なぜ一体文部委員会をこの政令の制定について無視されたかということを御答弁願いたい。

近藤直人文部事務官(管理局長)

○近藤政府委員 先ほど申し上げましたように、この法律の趣旨が、これはたしか農林関係の、主として水産業者の損失補償から端を発したと思います。従つて水産委員会で主として審議されて成立したと記憶しております。法律はそういう関係で出ましたが、「その他政令で定める行為」というところへ、文教の学校を対象にするという問題になりまして、これは政府部内の政令でございますので、関係庁と文部省と始終交渉いたしまして、政令の中にこれを入れたのでございます。それで政令関係につきましては、政府都内で決定いたした次第でございます。

辻寛一自由党

○辻委員長 委員長からもお答え申し上げます。ただいまも政府委員から申されましたごとく、政令によつて定めるということで、万事政府の方に一任をいたしておるわけでございます。だから、基本におきましてはその法律によつてきまりましたわけでありますが、詳細におきましては政令にゆだねてさしつかえないと考えましたものですから合同審査等の申出はいたさなかつたわけであります。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 私は合同審査のことを言つておるのじやないのですよ。政令を定めるときに、農林委員会及び水産委員会の意見は聴取されておる。委員長は御承知かどうか知りませんが、私はここにこの法律を持つておるのですけれども、局長が申されましたように、損失の補償としての第一条は、一項、二項、三項からできておつて、その一項の三号に、「その他政令で定める行為」とあるわけなんです。ところがこの法律施行令を見ると、政令で定める行為は単に学校教育法による学校教育の事業だけではないのです。海上運送法による船洲もうたわれておるわけです。しかも、「法律第一条第一項第一号の政令で定める施設は、左に掲げるものとする。」ということで、魚つき林、魚礁、増殖施設、これは水産関係、それから三条は船舶安全の関係、第四条は農林関係で、林道、用水施設、排水施設、農業用道路等がみな出ておるわけです。すなわち政令ができるときに委員会の意見というものが相当聴取された事実があるのです。ところが文部委員会は、学校教育の事業と政令にしておきながら、その政令の内容は、最後の第六条において、騒音だけだというような規定をされておる。こういうことは、まつたく文部委員会だけがその意向を無視されておるのであります。一体こういうことで委員長はよいのかどうか。委員長がよいといえば、私は委員長のお考えを重ねてお尋ねをして究明したいと思いますが、いかがでございますか。

辻寛一自由党

○辻委員長 よいとは申し上げませんけれども、一応政令に委任いたしましてさしつかえない、万遺憾なきを期して行けるものと私は存じておりまして、当時政令の内容等についても相談等も受けなかつたので、委員の各位にもお諮りをいたさなかつたわけでございます。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 あなたは、こういう被害地の人々からの陳情をお聞きになられて、当時水産委員長に申入れをされたという事実があるように聞いておるのですが、そういうことはございませんでしたか。

辻寛一自由党

○辻委員長 具体的に一、二の問題につきまして、その補償の法律のできまするときにその点を強調いたしまして、こちらの意見を申し入れておきました。ところがその詳細につきましては、政令によつてきめる、こういうことでありまして、了解をいたしたわけでございます。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 農林省とそれから水産関係、特に農林省でございますが、農林、水産の関係の局長や政府機関の諸氏はそれぞれ当該委員会に協力を求めたわけなんです。ところが文部省としてはまつたく何もされていないから、実は、鉄筋コンクリートの建築の必要はできても、あるいはその他のいろいろの問題ができても、騒音防止だけだというような解釈に持つて行かれるようなことに納まつているので、この点については文部省側の責任であつて、私はきわめて遺憾に思います。これは過ぎたことでございますけれども、きわめて遺憾に思います。その遺憾の意をここに表明し、なお重ねて、局長においては、味美の学校の救済問題についてはひとつ真剣に考慮をされて校舎の移転ができなければ、これは単に騒音防止だけではございませんから、鉄筋コンクリートの建設その他を早急にやられるようにお願いをしておきます。御努力願いたい。以上でございます。

松平忠久日本社会党(右)

○松平委員 ただいまの、学校等に及ぼす影響の補償に関する法律並びに政令に関連して御質問申し上げたいと思うのですが、今の問題は駐留軍による騒音その他の被害というものですが、最近これと関連してわれわれ若干陳情を受けておることは、保安隊の演習、ことに実弾射撃等によつて学校の授業が妨げられる、こういうことなんでございます。御承知のように、日本の今まであつた連隊本部とか、そういうものは、あるものは学校にかわつており、あるものは工場等に変更しておる。従つて、日本は再軍備はしないということであつたので、学校を新たに建設するという場合にも、従来あつたところの実弾射撃場の付近等へ学校を建てた例が相当あるわけなんです。ところが、その後の保安隊の創設並びに拡充ということによつて、しかも実弾射撃等は従来の軍隊よりもよけいやるということのために、音聞かなかつたところのそういうような影響を最近あちらこちらにぼつぼつ聞くわけなんですが、これに対する騒音防止等の措置は一体この法律の適用を受けるのかどうか、あるいはまた何か別に救済方法があるのかどうかということを、文部当局にお尋ねしたいと思います。

近藤直人文部事務官(管理局長)

○近藤政府委員 保安隊の演習によりまして、演習場の周辺の学校教育が阻害されるという事例でございますが、ただいまの法律では、これは、日本国に駐留するアメリカ合衆国軍隊の行為による特別損失の補償に関する法律でございますので、この法律からは、保安隊の事例にあたりましては困難ではないかと思います。しからば他に救済する方法ありやいなやということでございますが、これは、具体的にケースがありました場合にはどういう方法でやりますか、研究問題だと思います。ただいまのところは、特に保安隊の場合に対する規定はないように記憶しておりますが、これは個々のケースにあたりまして、もし非常に障害が起るというような例がございますれば何とか措置をしなければならぬ、その措置する方法はどういう方法をとるかということにつきましては今後研究して行きたいと思います。たとえて申しますれば、それが危険校舎でありますれば危険校舎としてこれを扱う。今考えられますのは危険校舎の例でありますが、もし危険校舎に該当いたしますれば、危険校舎として、これを他の適当な場所に移して改築するということもあるいはできようかと思いますけれども、これは個々のケースにあたりまして今後検討いたしたいと思つております。

松平忠久日本社会党(右)

○松平委員 ただいまのお話によりますと、個々のケースによつて解決して行くのであつて、別に国として一般的な救済の方式はないという御答弁であつたと思うのでありますが、一つお尋ねいたしたいのは、保安隊の演習等によつて学校から苦情が文部省あたりまで来ているというケースがどの程度おありになるかお伺いしたいのです。これは地方限りにおいて、その場限りの解決ということになつておる場合もあると思いますけれども、中央まで来たことがあるかどうか、それを参考までに聞かしてもらいたいと思います。

近藤直人文部事務官(管理局長)

○近藤政府委員 私のところへは保安隊の演習による授業に対する障害というような例につきまして陳情書その他申出があつたということはまだ承知いたしておりません。あるいは地方的にはそういう問題があろうかと思いますが、まだ私のところには参つておりません。

松平忠久日本社会党(右)

○松平委員 私はそういう経験をしておるのですが、今後保安隊の増強によつて、やはり駐留軍の影響と同じような影響が漸を追つて出て来るのではないか、こういうふうに思います。そこでケース・バイ・ケースでやつて行くという現在の方針は方針として、やがてこれは必ず何か法的措置を講じて行かなければならぬという段階が来るのではないか、こういうふうに私は見ておりますので、ひとつその点もあらかじめよく御研究願つていただきたいことをつけ加えて申し上げます。

近藤直人文部事務官(管理局長)

○近藤政府委員 私どもの方におきましても、そういつた事例につきましては十分注意いたしまして研究を進めたいと考えております。

辻寛一自由党

○辻委員長 小林進君から当委員長に対して緊急質問の申出がありますからこれを許します。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 私は委員長にいろいろな質問があるのでございますが、さしあたつて一体きようのこの委員会でございますが、これは委員会として成立しているのかどうか。私の質問は非常に重要であることを私は確信いたしておりますので、国会法に定められた正式の委員会で私は発言をしたいと思つておつたのでありますが、国会法第四十九条に基けば、「委員会は、その委員の半数以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。」こういう規定がございます。この解釈と、当委員会の成立がはたして合法的であるかどうか、まずこの点委員長からひとつ御説明を願いたいと思うのであります。

辻寛一自由党

○辻委員長 御質問のごとくまさに過半数が出なければ委員会を開くことはできないという規則がありますが、慣例としまして——まことによろしくない慣例ではございますけれども、大体御出席の委員の御了解を得ました場合におきましては、過半数に達しない場合いおいてもしばしば開いておるわけでございます。しかしさればとてかようなしきたりははなはだ遺憾と存じますので、せいぜい規則にのつとつた合法的な委員会になりますように努めたいと存じております。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 私も委員会なり本会議は、各派交渉会ないしは各派理事の事前の打合せのもとにおいて開かれているという例は知つておるのであります。従つて本委員会においても各派の理事なり、これにかわるものに対して一応慣例通りの打合せがあつたかどうか。私は今聞いたのでありますが、わが党の理事の松平君、それから左派社会党の野原君にも、委員長からそういう打合せがあつたということを私は残念ながら承つていない。なるほど少数にして委員会が開かれたという慣例は、委員長の答弁通り私はそれを認めるにやぶさかなるものではないけれども、委員長独断において、各派の理事その他の委員に交渉なしに、定員に満たざるものを会議を開いたという慣例は私は寡聞にして今まで知らない。もしそういう委員長の独断において過半数に満たざる委員会が聞かれたという前例があるならば、どうかそれもあわせてお答えを願いたいと思うのであります。

辻寛一自由党

○辻委員長 過半数に満たないから委員会を開くべからずという御異議がありますれば別でございますが、本日のごときにおきましてもきわめて少数でございまして、わが党も一人も出ておりません。非常に恐縮しておつたわけでございますが、早く開けというような御催促もありましたほどでございますから、言わず語らずのうちに少くとも本日のこの委員会を開くということについてはお認めいただいておる、かように私は了解をいたしておるわけでございます。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 そういう三百代言的な答弁で、法律をつくり、法律によつて運営せられる委員会を処置せられることは私は言語道断であると思う。この前も私は委員会で申し上げた。いやしくも各委員会が自己の所属いたしております委員を——私はこの問題は済んだのでありますから、これは決して委員長の責任を追究するのではない、一つの例として申し上げる。一つの例として申し上げるが、その委員を懲罰に付するというようなことは国会創立以来かつてないじやないかということを言つたら、これは委員長、実に遺憾千万だ、われも本意にあらざるけれども、国会法の命ずるところだ、私も法律に従つて議長にその旨を報告し、なお懲罰も申請した、法律に従つたところであるから何らやましいところはない、これは委員長、人を罰する面においてはかくも法律を厳守することにおいて実にりつぱな態度である。しかるに懲罰以外のこの委員会構成の最も基本的な重要なる法律になるときに、他の委員に相談もしなければ理事にも諮らない、委員長独断において名委員が皆了承したものなりというはなはだどうも不穏当なる主観に基いて委員会を運営せられるということは、私は法律軽視もはなはだしいと思う。ういうふうなりくつがもし通るならば、どろぼうはどろぼうしてもよろしい、どろぼうは了承をして国民に被害を及ぼすということになる。人殺しも人殺しだ、これは殺される者が了承したものとみなして人を殺したものであるというようなりくつがはやつて来る。こういうようになれば法律なんというものはいらなくなつて来る。その本場である法律に基いて運営する委員会でありますから、残念ながら委員長のその答弁においては、この委員会の今までの成立を承服することはできません。これは委員会が成立せざるものとして懇談の議事にしてもらうか、さもなければいま少し筋の通つた答弁を、不肖小林進委員をして納得せしめるような御答弁をお願いしたいと思う。

辻寛一自由党

○辻委員長 厳格なる国会法にのつとつて行きますれば、たとい話合いで理事会で御了承を得ましたとて、御異議をとなえる方々が一人でもおありになれば、成立をしないということになるわけでございますが、しかし今までのしきたりといたしましては、大体御了承を得ますれば開き得る。採決というような場合は別でございますが、そうでない限りにおきましては、これはいずれの委員会におきましても小林君もずいぶん御経験もゆたかでありますから、そうした場合にもしばしば直面をなさつておると思いますが、ただ本日お諮りをいたさなかつたということは手落ちといえば手落ちかも存じませんけれども、そうした慣例があるのでございますから、あまりに少いからどうかきようは開くに至らずにしたらどうかというようなお言葉が出れば、もちろんそれに従わなければなりませんけれども、皆さん一向にそういうお言葉もなかつたのでありますから、これは従来通り御不満ではあろうけれども成立をお認めいただいておるのだ。こう解釈いたしたわけでございまして、これは厳格なる意味におきましては、御相談いたした場合といえども、あなたのような解釈から行きますれば断じて開くことはできぬわけでありますが、その辺はひとつ御寛容にお願いをいたしたいと存じます。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 同じりくつを繰返すことになるのでありますが、従来の慣例において、各理事が各派の委員諸君に話合いをしないで、委員長みずからが独断において一体そういう委員会を招集をして、過半数に至らざるものを成立したものとしてやつた慣例があるのか、前例があるならばお示しを願いたい。寡聞にして私はそれを知らない。ただ少数ではあるが、ひとつきようはこういう法案があるからお互いに了承のもとにやろうじやないかという打合せをやつて、なおかつ少数の上で委員会を成立せしめたという形で運営した前例は知つておるけれども、何らの打合せもしないで、委員長一人だけのひとり合点で、われわれをまるででくのぼうか無能力者か、自己の支配下にある下僕、下男を取扱うような、そういう失敬な思い上つた態度で委員会をおやりになつたという前例があるのか、一つでもあるというならば——私は決して横車を押すものではないのであります。委員長の先例に従つて私はその不満を不満として認めましようけれども、私は寡聞にしてその先例を知らない。今まで事後に承諾を得たという事例も知らない。過半数に至らないときは必ず事前に打合せをやつたという例しか知らないのですから、どうかひとついま一回答弁を得なければならぬ。もし答弁が納得行かなければきようの委員会は白紙に返して、野原君、松平君にはまことにお気の毒ではありますけれども、いま一回委員会を招集して同じことを繰返していただきたい。

辻寛一自由党

○辻委員長 事前にお打合せはいたしませんでしたけれども、御了解をいただいておるものと私は合点をいたしておりますが、これはひとり合点でなくて皆さん、ここにおいでになつております委員の各位はお認めいただいておるものと承知いたして間違いない、私はかように考えるわけであります。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 各委員としてはそうでありましようが、少くとも小林進だけは了承していないことは、今の質問によつて明白だと思うのであります。あとの委員諸君はだれもまだ意思表示をしていない。それを委員長がみずから了承したものと判断するなどということは、私は非常に思い上つた態度だと思う。おそらく今ここで委員長に言われても、だれも意思表示はしないと私は思う。しないのはやはり委員長がお気の毒だと思うから、私はやらぬのだろうと思うけれども、それを無理にやることになれば、おそらく原田君くらいのものだ。しかし私は何らかこの問題を、単なる妥協や、いいじやないかというような言葉でこのまま認めるというならば、国会運営上重大な問題だ。しかし委員長がかくのごとく寛容にして——常に寛容にして、常に議事の運営に対してそういう政治的な妥協を本旨とせられる性格であるならば、私もそれに協力するのに決してやぶさかでないが、一方にはいやしくも同僚委員を懲罰に付して、それを罰する点においては実は厳密なる法規の遵奉者でありながら、他の議事の運営というような根本問題について、そういう寛大な処置を要求せられるというのは——しかし私は懲罰の件については単に一例として申し上げるのでありまして私は決してそれにこだわるわけじやない。委員長の態度は、私は法を守り法をつくる委員長の態度としてはりつぱだと思う。けれどもそのりつぱなる態度は、他のすべての部分においてもしかくあらねはならぬと思う。一方においては至厳、一方においては寛大というような、そういう照る日曇る日によつて態度を豹変せられるようなことは私は了承できないのであります。どうかその点はいま一回御答弁を願いたいと思う。

辻寛一自由党

○辻委員長 開会に際しまして、御出席をいただいております委員の各位から定数に達しないからという御異議が出ますれば、これはもちろんとりやめまするか、あるいはとくと御懇談をいたしまして御了解のもとに開いたわけでございまするが、少くとも本日、また私が委員長になりましてからも、再々こうした場合もございましたけれども、そのたびにそうした御異議もないうでございますから、お認めをいただいておるものと存じて開いておるわけでございます。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 私はしかしあなたと何も三百代言的な論争をしようという、そういうけちな気持じやないのでありまするが、これは大きく言つて、国会運営上、われわれはそう妥協になつて何事もどうも一緒くたにするということになれば、ますますこういう面からも国会の権威というものが失墜せられる。私は国会を愛し委員会を愛するがゆえに、かく質問するのでありまするが、しからば、委員長がそれほどまでに言われるならば、打明けた気持でお伺いしたいのは、一体自由党の諸君、この委員会の過半を占めておる委員諸君が、きようはおそまきながら原田君が出席せられた、これは終末に近づいておる、閉会に近づいておるのだが、あとの委員諸君は初めから一人も出席していない。一体これはどういうわけだ。もしこの委員会を成立したものと一応認めるならば、むしろ野党諸君のみが委員長に協力して、あなたをほんとうに選出した母体である自由党の委員諸君が委員長をボイコツトしておるという形が現われておる。まさかボイコツトなどというようなそういう悪意はないと思うけれども、なぜ一体出席しないのか。その理由くらいはここでひとつ明らかにしておいてもらいたいと思う。

辻寛一自由党

○辻委員長 開会に先立ちまして、私どもの委員諸君にも出ていただきまするようにお知らせもいたし、また委員部からもともと督促をいたしたのでありまするが、本日はどういう風の吹きまわしか一向院内においでになる方がなかつたようなわけでありまして、この委員会の開会に間に合わなかつたような次第で、この点はまことに恐縮をいたしておるわけでございまして、あなたがおいでになりまする前、開会のときからも、実は御出席の各党の諸君に恐縮の意を表しておつた次第でございます。今後は大いに注意をいたしまして、せいぜい出席をいたすように私から申し伝えるつもりでございまするから、御了承をいただきたいと存じます。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 遺憾の意を表せられたのはよろしいとして、私は自由党の諸君の出席していないのは、どうも委員長に対する不信任じやないかと思う。(原田委員「それはそうだ」と呼ぶ)こう言われるのであります。今そばにいられる原田委員までも私の質問を裏打ちせられる。そういうことであるならば、私はこの際与党の諸君になりかわつて、与党の諸君が委員長を、不信任をしておるというならば、その与党の諸君の気持を代表いたしまして、しかもきようの委員会を委員長が強引に正式に成立したものと、そう押し切られるならば、与党の諸君の意思も今原田君が表明せられたのだから、私の意思も表明して、私は委員長不信任案を上程いたしたいと思いますが、その点よろしゆございますか。委員長の忌憚ないお話を承りたい。よければ私は原田君も不信任案の提出を了承しておる、与党の気持を代表して上程しようと思うが、よろしいかどうか。

原田憲自由党

○原田委員 委員長……。

辻寛一自由党

○辻委員長 私から申します。私は与党の諸君から別に不信任の意思表明を受けておるとは存じ上げません。存じておりませんが、とにかく野党の方がこうして熱心に御出席をいただいておるにかかわらず、わが党の諸君が出られておらぬということについては、まことに遺憾の意を表する次第でございまして、今後かようなことのないように努めたいと存じておる次第でございます。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 しからば委員長は、与党の諸君が委員長に対する不信任でない、そういう理由で出席しないのでない、こう言われるのならば、いま一応、一体なぜ出席をしないのかというその理由をいま小し具体的に承りたい。これは私はひがみではありません。ひがみではないが、われわれがこの委員会で血みどろの気持で闘い抜いた教育二法案がまさに今参議院において最終の審議の過程にあるというこの段階において、いかなる理由があろうとも、この文部委員たるものが出て来ないというのはどうも私は納得ができない。もし出ないならば、委員長に対する不信任でないけれども非常に教育法そのものに対する熱意を欠いておるのか、あるいはまた熱意があり過ぎて、与党委員の諸君の舞台を参議院に移して、衆議院の方の委員会なんかどうでもいいという考え方なのか。熱意がないのか、あるいは不信任なのか。私は平常の日ならば追究せぬけれども、きようあすは文部委員会としては一つの重要な日でありまするので、単なる知らぬ存ぜぬということでは私は了承できない。しかもこういうような実にふしだらな委員会を開いておいて出席しない理由はわからない、何でもいい、委員長は委員会の成立だけはおれの言う通り認めろ、こういうことならば、あまりにどうもわれわれ野党の委員というものを踏みにじつた東条以上の独裁的な運営の仕方であると私は思う。どうかこの委員会を成立させてもらいたいというならば、与党の諸君の出席しない理由をいま少しわれわれが納得するように御説明願いたいと思うのであります。

辻寛一自由党

○辻委員長 与党の諸君の出席のない理由につきましてはわかりませんが、少くとも開合前また開会中におきましても与党の諸君の出席を促したのでありますが、来ておられないわけでございます。現に御熱心な小林委員におかれましても、十時からの開会に十二時近くにおいでになつたような状態で、やはりいろいろの用事が期せずしてたまりますと、こういうような状態になるわけでありまして、この点とにかく恐縮に存ずるという点でひとつごかんべんいただきたいと存じます。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 一番最後のつけたりのごかんべんを願いたいというその言葉は言葉といたしましても、私の出席にまでけちをつけられるというそういう弁明の言葉は私はないと思う。それなら言いますけれども、私はちよつとここへのぞきに来た、のぞきに来てどなたもいないからそれでわが労の参議院控室へ行つた、そこへ今度はそのあとに松平委員も参議院控室に来たので、君、文部委員会はどうしたと言つたら松平委員も、実は今のぞいて来たけれども、二名ぐらいしか出席してないから、今行つてもしようがないので席をはずして来た、それならばということで一人の了解のもとに薄問を待つ意味において参議院の控室にいたわけであります。決してこれをないがしろにしたのではない。そういう事情にあるものを、私の遅れたことを理由にして、そうして与党の出席しない委員会の成立の理由にするということはまさにぬすつとたけだけしいというそれよりもはなはだしいりくつだと思う。そんなことならば私はこの委員会の成立を認めるわけにはいかない。どうなさいますか、ひとつ御説明を承りたい。

辻寛一自由党

○辻委員長 何しろ過半数は得ておりませんから、今委員である小林君から正式にそういう御発言がございまして、国会法に従つてこの委員会が成立しておらぬからというお言葉でありまするならば、小林君の御意見に従うよりしようがないと存じまするが、それにつきましては私は本日、なるほど先ほども申し上げましたようにお打合せはいたしておりませんけれども、皆様方の一応御了解をいただいて開いたと存じておりまするから、本日のただいままでの議事を抹殺するかどうかということにつきましては、これは御相談の上でしたいと思います。しかしそういう相談ということも必要ない、とにもかくにも見たところ過半数を得ておらぬではないか、定是政がないのに会議を開くということではふとどきしごくであるという純粋の厳格な御議論でありまするならば、これは何をかいわんやでありまするが、そうした例はたまたまある。ただ参員長が本日あらためて打合せをしなかつたというところに手続上の不備があるのだという一点でありましたならば、今あなたのお言葉もありますから、御出席をいただいており、かつ御質問等もいただき、この議事も載つておりますから、これを抹殺するかどうかということについてはお話合いの上できめたいと思いますが、いかがでございますか。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 私は先ほどから繰返しておるように、この参員会の成立、不成立を事前に打合せて、納得の上でやつたという委員会の前例は知つておるが、事後に打合せてその成立を確認したという前例は寡聞にして知らぬのであります。しかし申し上げておるように、私は何もかもこわして行けばいいという主張ではないのでありまして、国会運営の上において慎重を期して国会の権威を守りたいというのが私の発言の趣旨でございますので、この点は先ほどの委員長の率直に遺憾も表せられたその意を了承いたしまして、事後ではあるが、さつそく委員諸君にもおはからいの上にひとつ相談せられるよう、この点を了承して私の発言を打切りたいと思います。どうかひとつ御相談を願いたいと思います。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 私はやむなく承認し、それから質問をやつて来ておるわけでございますが、改進党におきましても、自由党におきましても、原田君が今出席しておりますが、実は前半においては一人もいない。このことはきわめて遺憾です。従つて次回の文部委員会からはこのような事態がもし起るとすればわれわれも考えなければならない。私も相当用件があつて、代議士会を延ばさせておる。きよう私の党においては代議士会にぜひわれわれは出なければならない責任があるわけです。それを延ばさせて、この委員会を成立させ議事を進行したいというにもかかわらず、一名も出ていない。これはきようだけではない。だから、このことは委員長からひとつ厳重に御注意くださるように要望いたします。

辻寛一自由党

○辻委員長 かしこまりました。  ちよつと速記をとめてください。     〔速記中止〕

辻寛一自由党

○辻委員長 速記を始めてください。  それでは本日はこの程度で散会いたします。     午後零時四十八分散会

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