文部委員会 第30号
- 発言数
- 26 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1954/05/06
会議録
○辻委員長 会議を開きます。 盲学校、ろう学校及び養護学校の生徒、児童等に対する修学の奨励に関する法律案(平林太一君外七名提出、参法第三号)を議題とし、提出者より提案理由の説明を聴取いたします。阿部参議院議員。
○安部参議院議員 盲学校、ろう学校及び養護学校の生徒、児童等に対する修学の奨励に関する法律案の提案理由を申し上げます。 盲学校、ろう学校及び養護学校の生徒、児童等に対する修学の奨励に関する法律案につきまして、発議者を代表して、私から本法案の立案の趣旨を御説明いたしますとともに、その内容について申し上げたいと思います。 御承知の通り憲法及び教育基本法は、すべての国民に対し、ひとしくその能力に応ずる教育を受ける権利を保障いたしており、戦後、発足いたしましたわが国の新教育制度は、この趣旨の実現を目ざして進展して参つたわけであります。 しかるに、このような教育の機会均等の原則にもかかわりませず、わが国の生徒、児童の中において、きわめて多数に上る盲者、聾者または精神薄弱、身体不自由、その他心身に故障のある者に対しましては、遺憾ながら、まだ教育の手はほとんど及んでいないと申しても過言ではありません。学校教育法によりますと、都道府県は、これらの児童、生徒を就学させるに必要な盲学校、聾学校を設置いたさねばならぬことになつており、さらに盲、聾の児童、生徒につきましては、昭和二十六年度から就学義務制も施行されておりますが、地方財政の窮乏等のため、収容の施設、設備が現在なおはなはだ不十分であります上に、これらの児童、生徒の通学上の障害と、乗車賃、寄宿費、介護費等多額を要する学資金による保護者の負担適正等の理由のため、その就学は困難をきわめており、現に就学いたしておりますものも、学資金の枯渇により、長欠、中退が相次ぐこととなり、せつかく施行されました盲、聾児の就学義務制も崩壊の危険に瀕しておる実情であります。 さらにわが国の全児童、生徒中、約一、二%の比率を占める身体不自由児、三、五%に達する精神薄弱児等につきましては、そのおびただしい数にもかかわらず、これらの特殊児童、生徒を収容いたしますべき養護学校につきましては、まだ義務設置制も実施されてはおりません。またたといたまたま収容の施設、設備があります場合にも、就学経費の関係上、就学がきわめて困難でありますことは、盲、聾児の場合とまつたく同様であります。 このように盲、聾児、特殊児童等が、教育の機会均等の原則から見ましてあまりに忘れられた子等であり、あまりに恵まれない現状にかんがみまして、これらの児童、生徒に対し、修学に要する経費について扶助を行い、その修学を奨励いたしますために、今回本法案を発議いたした次第であります。 次に、本法案の内容を申し上げますと、本法案が修学奨励の対象といたしておりますのは国立、公立または私立の盲学校、聾学校または養護学校の生徒、児童または幼児でありまして、都道府県は当該都道府県の区域内に住所を有するこれらの者に対しまして、政令で定める基準によりまして、教科用図書の購入費用、学校給食費、寄宿費等につきまして扶助金を給しなければならないことにいたしました。国は、都道府県がこのようにして扶助金を給与いたします場合、これに要する経費の二分の一を負担いたすわけであります。 何とぞこれらの児童、生徒の就学の実情を御考察くださいまして、慎重御審議の上、すみやかに議決くださいますようお願い申し上げます。
○辻委員長 次に、永井純一郎君等提出の学校給食法案の提案理由の説明を聴取いたしたいと存じますが、まだ提案者がお越しになりませんので、とりあえずただいまの議題に加えまして、内閣提出の盲学校及びろう学校への就学奨励に関する法律案、教育職員免除法の一部を改正する法律案、教育職員免許法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理に関する法律案、学校給食法案、文部省関係法令の整理に関する法律案、右五議題を上程いたしまして質疑に入ります。御質疑がありますれば……。前田君。
○前田(榮)委員 安部先生にお尋ねしておきますが、ただいま提案の理由を御説明になりました中にこの盲聾児童に対しての政府の扶助の基準を政令に求めておられるわけでありますが、いわゆる立法府におる議員として提案された法律は、できるだけ政令などという基準にたよらないで、法律の中へそれらの基準等を加えられるものは加える。加えられない事情のもとに置かれておるものについて政令に求めるというのが、これは建前であろうと思うのであります。従つて政令に求められた提案者の理由はどこにあるのか。この点を第一点としてお尋ねいたしたいと思います。
○安部参議院議員 ここに第二条の項目が、一、二、三、四、五、六と、こういうふうにいろいろあげてありますが、こういうふうな従来の慣例によりまして掲げてありますので、大体その慣例によつて政令に定めるということにいたしております。
○前田(榮)委員 そういたしますると、この盲聾学校児童の就学奨励上扶助金を支給しなければならないこの第二条の一項から六項でありますが、この六項について、提案者でも文部当局からでもよろしゆうございますが、御説明願いたいのであります。大体その基準が明確でないのでありますけれども、現在この盲聾学校の児童生徒について、こういうものを要すると文部省で考えられる数がおわかりになつたら、そうしてその数に応じてこれらの給食、あるいは学用品、教材等の費用、その他のこの六項目に対しての助成をいたすとするならば、予算上の処置はどのくらいにお考えになつてよろしいか、御参考までに聞かしていただきたいと思います。
○稻田政府委員 最初に盲学校について、通学生を申し上げます。これにつきましては、盲学校の通学生の総計は、小学校及び中学校一年の義務課程におりますものの数が一千四十九人、それから中学校二年以上の非義務課程におりますものの数が二百五十六人、合計いたしまして一千三百五人でございます。 それから聾学校につきましては、同じく通学生は義務課程の総合計が七千八百九十九人、非義務課程におきましては八百九十一人、合計して八千七百九十人でございます。この通学につきまして特別に費用がいると申しますのは、申すまでもなく盲学校、聾学校いずれも各都道府県に一校あるいは三校というような少数の校数であります。従つて全都道府県内から通学いたす、この点が他の義務教育を受けております者と違いまして、特別に交通費がかかるわけでございます。従いましてその交通費といたしましては、特別にかかる点から助成を考慮いたしております。 予算の基準といたしましては、通学生につきましては交通費二千五百八十五円の単価に対しましてただいまの八千九百四十八人を乗じ、それの約六割、三千五百九十四万六千円余りでございます。これに対して義務課程につきましては二分の一の補助を計上いたします。それから非義務課程につきましては三分の一を国庫補助として計上いたしておる次第でございます。
○前田(榮)委員 この法律案と直接関係のない事項にわたるかもわからぬですが、盲聾学校の児童に義務教育制を実施いたしまして、これらの人々に教育の機会均等を与えるという建前に立つて、本法律案等もこの線に沿う措置だと考えているわけでありますが、ついては、お尋ねしたいのは、文部当局はこの盲聾学校の児童生徒について、盲聾学校の中小学校以外に幼稚園、保育園というような段階にある盲聾の生徒は、普通の生徒とは違つて特別にこういう小さい時からのしつけといいますか、教育を徹底する方が成長してからよりも非常に効果的であり、必要性があると思うのであります。こういうことについて、文部省はもう少し盲聾児童に対する積極性がなければならぬと思うのでありますが、そういう点はいかなる御措置をとろうとされておるか、お聞かせ願いたいと思います。
○稻田政府委員 ただいま御指摘になりましたように、一般の義務課程に比しましてかくのごときハンデイキヤツプを持つております児童生徒につきましては、早期から教育を行うということも必要でございますし、また一般義務課程を終了いたしました後までも国なり地方公共団体が心配をいたしまして、適切な教育を授ける必要もあるわけでありまして、その点文部省といたしましても決して閑却いたしておるわけでないのでございまするけれども、御承知のごとく終戦後教育の機会均等という旗じるしのもとに、盲聾教育の義務制を実施いたしまして、ようやく今年、中学校の第一年に到達したような次第でございます。中学校の義務課程もまだ完了いたしません今日でありますので、これを前後に延長いたしまするということも、さしあたり順序として第二に考えておるような次第でございます。そういたしましたような点につきましては、十分各方面の識者等とも協議いたしまして、また国の財政その他と見合いまして、できるだけ早急に実現いたしたいと考えております。
○前田(榮)委員 今の御答弁では、できるだけ処置したいという考えのようでありますが、ただ考えられただけではいけないのでありまして、実施が必要であります。これにはもちろん立法処置が当然なされなければなりません。国の予算措置をいかにするとか、そういう問題があるのでありますけれども、私の考えでは、国の全体の予算から言いまするとそう大した心配されるほどのものではないと思うのに、ただ考えておられるだけでなしに、それを提案いたしてもらわなければいけないのであります。大体見通しといたしまして、これらの立法処置に対する提案は、もう近く出そうというような準備ができておるかどうか。ただ各方面の意向を聞くというようなおざなりでなしに、実際どの程度まで具体的に進もうといたしておられるのか、この所信を明らかにしてもらいたいのであります。もし文部省の方にそういうお考えがないとするならば、われわれ立法府の方といたしましては、立法の責任者である建前から、議員提出案等が必要なことになろうと思うのであります。しかしながら国の予算を伴うことを議員提出案でやることになると、たいへん吉田さんはごきげんが悪いようでありまして、そういうことはわれわれの責任だといいながらも、当局とタイアツプして効果の上る処置をとりたいと考えるのでありますが、政府のほんとうの御所見を一応参考までに聞かしていただきたいと思います。
○稻田政府委員 この盲学校及び聾学校に関しまする義務教育の振興が、御承知のように学年進行の形をもつて、先ほどお答え申し上げましたように本年ようやく中学校の第一年に達したというような状況でございますから、これを延長いたしまして考えました場合に、自然の順序といたしまして、あと二年中学校の義務課程を完成いたしました上におきまして上の高等学校を考える、あるいは下の幼稚園を考える、そうした順序になつて参るのではないかと考えております。それについて現在どういう準備があるかという御質疑でございましたが、この点につきましては、中学校の非義務課程におきましても補助金の率を、義務課程二分の一に対しまして三分の一の補助を用意いたしておるようなわけでございます。かくのごとき形におきまして、実際において財政上許容し得られる限り予算措置をして、そういう点の充実を期しまして、はつきりその予算のめどがつきましたときに法律改正をいたしたい。政府の側におきましてはこういう順序に考えておる次第でございます。
○松平委員 ただいま提案になりました盲学校、ろう学校及び養護学校の生徒、児童等に対する修学の奨励に関する法律案、この中で養護学校を抜かした盲学校、聾学校につきましては、政府からもほぼ似たように提案が出ております。この二つの、ちよつと似通つた提案が出ておるわけでありますが、この二つの法案の中で、参議院の方から提案されましたものから養護学校というものをとつて、つまり盲学校、聾学校というものの生徒、児童に対する扶助規定という内容であるならば、政府の提案とほぼ似通つたように思うのですけれども、この点について、政府の方の提案と参議院の方の提案との比較ですが、参議院の提案から養護学校をとつたあとの部分と政府の提案との間に何か差があるかどうか、これを政府の方から御答弁を願いたいと思うのです。
○稻田政府委員 便宜御指摘によりまして政府の側からお答えをお許しいただきたいと思います。これは第一に目的の書き方でございますが、精神は同じと思いますけれども、書き方が違つております。政府の案といたしましては「教育の機会均等の趣旨に則り、」「就学の特殊事情にかんがみ、」という字句を使つておりますのを、議員が御提出になりましたのは「教育の特殊性にかんがみ、」となつております。それから政府の案におきましては「義務教育の普及奨励を図る」ということを言つておりますが、参議院の御提出の方は「修学を奨励することを目的とする。」と言つておられるようであります。 それから第二点、学校の範囲、これは実質的な相違でありますが、政府提出案は盲学校及び聾学校に限局いたしておりますのを、参議院御提出の方は盲聾以下にさらに養護学校を加えております。 それから第三点といたしまして、児童生徒の範囲の相違であります。政府提出案は、小学部及び中学部の学齢児童生徒、つまり学齢児童生徒と言うと義務課程ですから中学校一年まででございます。議員提出の方では、小学部、中学部、高等部及び幼稚部の全児童生徒ということで広げておられます。幼児も入りましよう。 それから第四、経費支弁の義務でございます。これは方法が違うだけでございますが、政府提出案の方は国立学校の方は国費で、公私立学校の児童生徒に対しては都道府県が支出するようになつております。議員御提出の案の方は、国公私立すべての児童生徒に対して都道府県支弁ということになつております。 最後に支給すべき経費の範囲、これが多少違うのでございます。同じ点を先に申し上げますと、教科書用図書の購入費、学校給食費、交通費、寄宿舎居住に伴う経費、これを目的としております点は両案共通でございます。さらに政府案になくして議員御提出の案のみにありますものは、学用品及び実習材料の購入に要する経費、それから学校の教育課程として行われる実施見学に要する経費、それから通学用品の購入に要する費用、かくのごとく議員御提出の案の方が、対象範囲におきましてもまた事業内容におきましても、政府案より広く計画いたしておられます。
○松平委員 そこでお伺いしたいのは、現在養護学校については、政府の方では養護学校の生徒等に対してどの程度の助成策を講じておられるか、また養護学校の現在における児童数等、現状について概略御説明を願いたいと思うのです。
○稻田政府委員 政府の側といたしましては、現在まだ養護学校が全国にわずか四校あるにすぎませんし、そのうち公立はたつた一校というような状況でございます。先般来申し上げておるように、養護学校の教育も、教育の機会均等から申しますれば非常に大事であつて、決して閑却する所存ではないのでございますけれもど、盲聾の義務課程進行中でありまするので、しばらく盲聾の義務課程の教育充実を期しまして、その上においてこちらを考えたい、こういうような順序で考えております。現在の措置といたしましては、精神薄弱児とか、あるいは身体虚弱児とか、養護学校の教育の対象になりますべき児童生徒の方は、一般小中学校のうちに特殊学級を設置していただくという点につきまして奨励に努めております。それの教育方法等につきましては、種々講習会とか、あるいはそのほか実験学校というようなものをつくることによりまして、国としても御援助申し上げておるようなわけでありまして、そういう特殊学級は全国に約八百学級ございます。そうして先ほど申しましたように、養護学校の現状と申しますれば全国四校、うち三校は私立でありますが、児童生徒数は公立において五十五人、私立において百六十七人、合計二百二十二人という現状でございます。
○松平委員 盲学校、聾学校の現状を先ほど大体お聞きしたのですけれども、現在これらの未就学の者をもつと助成をして就学させたいという気持で、双方から提案になつたかと思うのですが、未就学の程度というものはおわかりになりますか。
○稻田政府委員 逆に就学率の方で御了承いただきたいのですが、盲学校の方は、小学校、中学校の義務制の方が三七%でございまして、非義務制が三一%の就学、一方聾学校でありますが、義務制の方は四七%の就学率でございます。非義務課程におきましては二七%の就学率でございます。
○松平委員 この就学率のパーセンテージが盲と聾において違うのは、何かそこに原因のようなものがあるわけですか。家庭の事情とか、あるいはそうじやなくて、今までの助成のやり方がどこか違つておるとかなんとかいうことでこういうパーセンテージが違つておるのかどうか、その辺の原因はおわかりになりませんか。
○稻田政府委員 一つは学校の数の相違もあるかもしれませんけれども、大体調査いたしますと、盲の方が家庭の経済状況が思わしくないのが多いのじやないかと思います。それが一つ。それからやはり一県一校、二校という場合に、通学という点が、盲の方が付添いその他の点が非常に困難じやないか。さりとて寄宿舎に入れるのも、親から見て、人情なりあるいはまた経済的な困難があり、そういうようなやはり通学の不便というような点が非常に大きな原因じやないかと推察いたします。
○松平委員 そこで今度は寄宿舎のことをお尋ねしたいのですが、現在寄宿舎の設備は大体どの程度に充実しておるか、また寄宿舎に現在寄宿しておる者のパーセンテージというようなものがおわかりになつたら、これもあわせてお伺いしたいと思います。
○稻田政府委員 寄宿舎につきましては、最初盲学校を申し上げます。盲学校の寄宿生は義務課程が二千二百六十五人、それから非義務課程の盲学校の寄宿生が五百五十二人、それから聾学校の方の寄宿生が、義務課程において五千六十七人、非義務課程において五百七十二人、申し上げますように、寄宿生の方も、やはり聾学校の方が盲学校より多い状況でございます。
○松平委員 そこで最後にお尋ねしたいのでありますが、われわれこういう学校等を参観して一つの印象を持つておるわけであります。これらの者が義務課程を経た場合において、非常にわれわれ困る問題が一つ残るのは、結局職業の問題じやないかと思うのです。せつかく義務教育だけは終えたけれども、これが社会に出て来た場合において、どうも社会の一つの負担になるというようなことに結局ならざるを得ない実情が多いのであります。まあハンデイキヤツプはあるけれども、何とか社会人として自活させて行きたいというような希望で、いろいろ考えてやつておるようでありますが、こういうことに対して、義務課程の間においてある程度の職業的な方向に導いて行くようなことが、従来から非常に必要であつたと思われていたわけだけれども、これらの生徒に対する特別の教育ということについて、現在まで文部省がおやりになつておる指導といいますか、そういうこと、並びに将来にわたつて特にそういつた高等教育によつて彼らに自活の道をある程度与えて行くということについて、御方針なり御抱負なりをお聞かせ願いたいと思うのであります。
○稻田政府委員 御承知のように、現在の普通の中学校におきましても、いわゆる実業教育、職業教育、この中に職業に従事するという点の技術を修得せしめるということが非常に困難な状況にあるわけであります。これはある意味から言うと、教育のねらいであるとも思うのでございます。従いましてどうしても職業教育になりますと、その後に続きまする高等学校の教育に期待しないわけには行かないのであります。御指摘の盲聾につきましても、たとえば盲の理療科であるとか、あるいは聾の木工、金工、あるいは印刷というような学習、工芸的な職業教育というようなものも、多くは高等学校教育に期待いたしておる組織でございます。ただ盲の理療科あたり、義務課程でありまする中学校のうちから出発しておるような状況でございます。御指摘の点は一般教育の問題と関連いたしながら十分研究すべき課題であろうと考えております。 —————————————
○辻委員長 この際永井純一郎君外六十七名提出にかかる参法第一号、学校給食法案を議題とし、提案者より提案理由の説明を聴取いたします。安部参議院議員。
○安部参議院議員 学校給食法案の御審議を願いますにあたり、発議者を代表いたしまして、私から本法案の立案の趣旨を御説明いたしますとともに、その内容の概略について申し上げたいと思います。 わが国の学校給食の歴史を概観いたしますと、その起源は、約五十年以前にさかのぼるものといわれておりますが、昭和に入りまして、児童の保健、学校衛生等の見地から漸次その重要性が認められ、実施校数も著しく増加の傾向を示すに至りました。そのため政府は、昭和七年度から給食問題を正式に取上げ、これに対し国庫から経費支出の道を講ずるに至つたのであります。昭和十六年度の統計によりますと、当時の給食実施校数約一万、給食人員は約八十万人に達しております。ところが同年勃発しました戦争の激化に伴いまして、学校給食もまた実施は次第に困難を加え、遂に昭和二十年にはほとんど休止、空白の形で終戦を迎えたわけであります。 戦後、昭和二十一年十二月から学校給食は再発足をいたすこととなり、主として援助物資を基礎といたしまして急速に普及発達を見ることになりましたが、このような援助物資あるいは援助資金の上に築かれた給食制度は、きわゆて不安定のものであつたことは当然であり、昭和二十六年六月、従来給食に関する政府配給物資の財源でありましたガリオア資金の打切りに直面するやたちまち動揺し、学校給食に対する国庫補助は中止の危機に瀕したのであります。しかしこれに対し世論は猛烈に反対いたしましたため、結局二十七年四月以降は、給食用の原麦代については全額国庫負担から半額負担に減ぜられ、ミルクはすべて父兄の負担に切りかえられまして、わずかに現在に及んでいる次第であります。 今日、学校給食が教育面において、あるいは国民の食生活の改善方策として、さらにまた災害対策等の社会政策的の面におきまして持つ重要性につきましては、いまさら申し上げるまでもないところでありますが、その普及度は、小学校におきましては全国約一千百万人の児童中五百七十万人にとどまりますとともに、中学校においてはほとんど実施されてはおりません。しかし小学校においてようやく育成されました学校給食が中学校まで延長されることなく中断されますならば、その効果がほとんど無意味に帰しますことは明らかでありますとともに、栄養の補給に悩む夜間の定時制高校の生徒や、特殊の事情にあります盲聾学校の生徒児童等に対する給食の必要もまた早くから世論の強く主張するところであります。しかも現在わが国の学校給食の普及度がまことに微々たるものであり、最近ではさらに減少の傾向さえありますのは、一に給食費、給食設備費等に対する父兄負担の過重によるものと申さねばなりません。 およそ以上のような学校給食の実情にかんがみまして、一日も早く給食制度を法的に確立いたし、もつて生徒児童等の心身の健全な発育に寄与いたしますとともに、国民の食生活の改善に資するため、今回本法案を発議いたした次第であります。 次に、本法案の骨子を申し上げますと、まず本法案におきまして学校給食と申しますのは、小学校、中学校、夜間課程を置く高等学校、盲学校、聾学校及び養護学校の生徒児童または幼児及び職員に対して行う給食をさしております。またこのような学校給食につきましては、これを義務制といたしますとともに、その主食並びに副食及びそれらのものの栄養成分につきましては、文部大臣が基準を定めることといたしました。 本法案は、このような学校給食の制度を主として財政的に確立いたしますために、およそ次のような法的措置を講じております。 まず第一に、政府は、学校給食の実施に必要な数量の小麦粉及び乾燥脱脂ミルクを都道府県に譲与いたし、都道府県はさらにこれを学校の設置者に譲与いたすわけであります。このようにして譲与を受けた学校は、これらの物資を無償で学校給食の用に供さねばならぬことにいたしました。 第二に、給食の施設及び設備につきましては、学校の設置者は政令の定める基準に従つてこれを整備いたさねばなりませんが、国はその必要経費の二分の一以内を補助できることといたしました。 第三に、学校は給食を担当いたします栄養士及び必要な員数の調理に従事する職員を置かなければなりませんが、その職員の給与費につきましても、その二分の一以内の国庫補助の道を開きました。 第四に、給食費の父兄負担につきましては、給食の実施に要する経費で、政令で定めるものにこれを限定いたしております。なお政令の定めるところによりまして、一定のものには給食費について扶助金を支給できることといたしました。 法案の主要内容はおよそ以上の通りでありますが、なお附則におきまして、施行期日を昭和二十九年四月一日からといたしておりますため、予算措置の関係上及び学校給食の現状を考慮いたしまして、所要の経過措置を設けております。 以上がこの法案の提案の趣旨及び内容の概略でありますが、学校給食のまことに憂慮すべき現状にかんがみまして、慎重御審議の上、すみやかに議決くださいますよう切に御願い申し上げます。
○辻委員長 本日はこの程度で散会いたします。 午後零時二十六分散会