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19回国会衆議院1954/02/19

文部委員会 第6号

発言数
127
登壇者
12
会派数
4
開催日
1954/02/19

会議録

辻寛一自由党

○辻委員長 これより会議を開きます。  前回の委員会において問題となりました横田専門員の件に関しまして、当時私より横田君に与えました警告の内容をこの際御報告申し上げ、あらためて御了解を得たいと存じます。すなわち、新潟県下における横田専門員の講演内容を検討したところ、用語上専門員としての中正的立場を逸脱したやの感が認められるのは遺憾である。よつて今後かようなことがないよう十分専門員としての言動に注意せられたい旨の警告を与えました。どうか御了承を願います。  次に、文部行政に関する件を議題とし、前会に引続き質疑を行います。山崎始男君。

山崎始男日本社会党(左)

○山崎(始)委員 自治庁のお方にお尋ねいたします。先日来から昭和二十九年度の六百八十六億の義務教育半額負担法によるこれの関係を文部大臣にお尋ねをしたのでありますが、文部省の方の意向は、まあある程度わかつたような何だかわからないようないささかもやもやした気持を残して私今日まで来たのであります。この点は非常に重要な点でありまして、私はもう少しこれを明確にせなければならないのじやないかと思うのでありますが、二十九年度の地方財政計画をお立てになりました自治庁の方としては、この六百八十六億の内容を、どういうふうな算定基準でこの数字が出たのか、これをひとつ明白に御説明願えたらと思うのであります。

後藤博総理府事務官(自治庁財政部長)

○後藤政府委員 私どもの算定は、本年の一月からのベース・アップを入れました計算を二十八年度において見積つたわけでありますが、その一月以降の分を一年間に平年度化しまして、そうして計算をいたしております。そこで、実際の支出額、実支出額の半額負担をするということになるわけでありますが、それと実支出額というものが二十九年度は合うかどうかという問題はあると思います。しかしこれは実支出額の半額を負担するという建前になつておりますので、私どもは不足分は当然に国庫負担として出してもらう、その場合にはわれわれの方の財政計画も財政需要を伸ばして計画を組み直す、こういうふうに考えておるのであります。一応は一月以降のベース・アップを平年度化したものの計算でやつております。

山崎始男日本社会党(左)

○山崎(始)委員 もう少し具体性を持たしてお話を願いたいのであります。単刀直入にお聞きいたしまするが、この六百八十六億の算定の内容において、かりに小学校なら小学校の先生がどういうような基準になつておるか。中学校は中学校でどういうふうな基準になつておるか。巷間伝えるところによると、小学校は一・三五だ、中学校は一・七だといい、あるいはまたそうではないのだというふうな非常に不明確な点があるのであります。従つて自治庁として二十九年度の六百八十六億という数字が出ました基礎の数字は一体どういうふうになつておりますか。

後藤博総理府事務官(自治庁財政部長)

○後藤政府委員 私は今御質問を少し取違えまして、整理を含めないで単価の出し方を申し上げたわけであります。単価の出し方はベース・アップ分を平年度化しましたものを基礎にとつております。その上で、文部省の方から御説明があつたと思いますが、来年は小中学校の生徒が増加いたしますので、その増加人員を見込んだ上で、五十二万二千人の教員があるものという想定の上に立つて財政計画を組んでおるわけであります。ところがおつしやいますように一・三五とか一・七ということになりますと、その数字とたまたま合うかもしれませんが、結果的に合うのでありまして、私どもは一・八と一・五との数字ではじきましたものと、それからわれわれの方の財政計画との差額が大体三万人の増員抑制に落しつくような財政計画の立て方をしておるのであります。結果的には、三万人を抑制しました結果は、一・七と一・三八幾らになるかと思いますが、それは結果的な数字でありまして、一応二十八年度の実績を基礎にいたしまして、それに増加人員を足しまして、そうしてそれに欠員見込みを加えて定員をはじいております。

山崎始男日本社会党(左)

○山崎(始)委員 そうすると六百八十億のこの数字は、これは自治庁がおはじきになつて出された数字でありますか、それとも大蔵省が出した数字でありますか、どちらでしようか。

後藤博総理府事務官(自治庁財政部長)

○後藤政府委員 私直接その数字の折衝に当つておりませんが、大体三者の意見が一致したところであろうと考えております。どこが先に出した数字かということよりも、大体増員の数字につきましては増員の見方の問題が一つございます。それからもう一つは、増員抑制の数字をいかにするかという問題が一つございます。そういう不確定の要素が当初にございましたので、それがきまります前にきまつた数字であります。その中に私どもとしては三万人の抑制が現実に財政計画上見通し得るものであれば、その数字で落ちつけよう、もしも見通し得ないものならばもつと整理をするかどうかという問題があつたのでありますが、大体私どもの考えていた数字と見合つて、私どもの見ました財政計画の範囲内で増員抑制が行われることになりましたので、財政計画上は現在の数字でやれるという観点に立つておるわけであります。

山崎始男日本社会党(左)

○山崎(始)委員 そうすると自治庁の方では、六百八十六億のこの数字は、本年度の小学校、中学校の生徒の増加分を見ても結局まかない得るという確信を持つていらつしやるのですか、どうですか。

後藤博総理府事務官(自治庁財政部長)

○後藤政府委員 さように考えております。大体これでやり得るというように考えております。

山崎始男日本社会党(左)

○山崎(始)委員 もしこれが足らないときには、先ほどのお話のように、文部省とすれば——文部大臣の御答弁はいわゆる義務費なんだから、当然補正予算を組まなければならぬ性質のものだ、こう言われているのであります。私たちも一応はその言葉をごもつともでございますと言いたいのでありますが、どうしても割切れぬ面が出て来るのは、いわゆるこの内閣が一兆円予算というものを基本的なものとしている、補正予算は組みませんと、こう言うているのです。ところがその閣僚の一人である文部大臣が、足らなければ補正予算を組む性質のものだ、こう言われるということは多少矛盾している面が出て来るのじやないか。現に昨晩の夕刊でありましたか、今朝の朝刊でありましたか、北海道の先生がやはり定員の問題でもって、三万人からの先生が休校をしているというような不祥事件が起きている。私はどういう理由か存じませんが、おそらくこの定員に対する不安定、不要な気持というものが北海道の道の予算において現われた。それに対して教員がそれじやいかぬじやないかということから起つているのじやないかと思うのであります。いずれにしましてもこの定員の六百八十六億の内容というものに対する教育関係者の不安感というものは、おそらく全国都道府県あるいは教育委員会その他先生はもとよりでありますが、非常な不安を持つているのじやないか、このように実は思うわけなのであります。従つてこの点は非常に大切な問題だ、いかにしてこの不安をとつてやるかということなのです。そこで私は先日来からどうしてもこの問題をもう少し解明しなければいけないと思つてお尋ねをいたしておるわけでございまするが、自治庁の方では大体これでもつてまかない得ると今あなた言われたのでありますが、まかない得ないという不安がやはりあるのであります。そうすると、まかない得なければ文部大臣は補正予算でも組むべき性質のものだ、こう言われているのでありますが、この点に関してあなたが今まかない得ると思うがと言われましたが、まかない得ない場合は自治庁の御見解はどういうふうな御見解を持つていらつしやいますか。

後藤博総理府事務官(自治庁財政部長)

○後藤政府委員 まかない得ない場合でありますが、考えられることが一つあります。それは補正予算を組まない——組めば問題はないのであります。しかし私どもは実額の半額を支給する建前からいたしまして、これは当然半額を組むべきではないかという主張を続けて行くつもりであります。ただ一兆円のわくの中で補正予算ができない場合に一体どういう方式が考えられるかと申しますと、今六県か七県くらい頭をちよん切つております。そうして最高額を押えているわけであります。その押えている府県を多くするという方式が考えられております。しかしそれは絶対困るという方式で、どうしても実額の半額支給という現在の方式を貫いてもらいたい。こういう主張を続けて行きたい。こういうことは文部省との話合いはいたしておりますが、どうしても補正予算を組んでもらいたいという方針をもつて私どもは貫いて行きたいと考えております。今申しましたような頭をちよん切る方式というものは考えられないことはありません。しかしこれは全府県に将来の問題として非常に大きな影響がありますので、私どもこういう方式は絶対にやめてもらいたい、かように考えております。

山崎始男日本社会党(左)

○山崎(始)委員 今のかような方式はやめてもらいたいと言われますのは、頭をちよん切る方法をやめてもらいたいという意味でありますか——その点は私も同感でありますが、頭をちよん切る方法によつて総体のわくをオーバーしないようにする。これは一つの方法かもしれませんが、この点は私らとすると、また別の問題が起つて来ると思うのでありますが、頭をちよん切らない方法としてどういう方法がありますか。

後藤博総理府事務官(自治庁財政部長)

○後藤政府委員 私はないと思つております。それは補正予算で実額の半額に見合う増額を要求する以外に方法はないと思います。

山崎始男日本社会党(左)

○山崎(始)委員 そうすると結論的に自治庁も文部大臣が御答弁になつたように、もしこの六百八十六億をオーバーするようなことがあるならば、補正予算を組むべきであるというお気持だということでございますね。

後藤博総理府事務官(自治庁財政部長)

○後藤政府委員 そういうことであります。

松平忠久日本社会党(右)

○松平委員 関連して。今の自治庁の方の御説明ですが、半額国費で負担する予算の積算の基礎について御説明があつたように伺つたのですが、それは地方の財政計画を立てる上において自治庁として教育予算をお立てになるときに、文部省と自治庁の立て方が違うのではないかという疑義を若干持つているわけです。ということは、文部省の方のお立てになるものは大体実定員というようなものを中心にして考えておられるのではないか、これは大臣の説明もそういうわけであります。しかし自治庁の方はそうではなくて、何か理論学級とか、あるいは先ほどの一・三五とか、一・七とかいうような特定の数字を基礎にして立てておられるというようなことを伺つておるのですけれども、その点は文部省と自治庁の立て方は同じなのですか。

後藤博総理府事務官(自治庁財政部長)

○後藤政府委員 実際にはそう見解は違つていないと考えております。一応数字をはじきますときに、理論学級を基礎にしたものをはじいておりますけれども、そうでなくてやはり二十九年の場合は二十八年の実教員数を基礎にして、そうして文部省の用いておられる推定実学級数による増加人員を加えまして、それに一%の欠員を見込んだ数をもつて本年ははじいております。その単価につきましても、やはり前は多少三百五十何円か違つておつたということがありましたけれども、半額国庫負担制度ができまして、はつきり半額というものが出て参りまして、私どもの財政計画の数字と合して見ましたら、小学校はほとんど完全に合つております。それから中学校は多少は異なつておりますけれども、大体接近した財政計画になつておりますので、前のような問題はなくなつたと私どもは現在考えております。

松平忠久日本社会党(右)

○松平委員 半額負担ということで国庫の、つまり文部省の方の予算は地方公共団体の負担するところのものを基礎にして半額ということになつている、こういうふうな御説明なのであります。従いまして基礎になる数字というものは自治庁の数字が基礎になるわけであつて、その半額負担は法の建前であるという大臣の前からの説明なのであります。そういうことになりますと、結局自治庁のおきめになるところの各府県の数字というものが根本になるのではないか。そうしますと、先ほど申されましたところによると、前は間違つておつたが、今度は大体実定員を基礎にした考え方で総額を出された、こういうふうに了解してさしつかえないわけですか。

後藤博総理府事務官(自治庁財政部長)

○後藤政府委員 さように私どもも考えております。

松平忠久日本社会党(右)

○松平委員 そうすると、今多少文部省と自治庁の間に意見の相違があると言われたが、その意見の相違というのはどういうところに相違があるか、ちよつとそれをお知らせ願いたいと思います。

後藤博総理府事務官(自治庁財政部長)

○後藤政府委員 私が申しましたのは、多少文部省側に私どもと異なつた御意見があるかもしれませんということです。私どもは大体意見が合つておる、かように考えておりますので、意見の違いはないと私は思つておりますけれども、人々によりまして多少意見が違つておるかもしれませんということを申し上げたのであります。

松平忠久日本社会党(右)

○松平委員 文部大臣はきのうのこの委員会においては、意見が違つておる、なるべく自分はその意見を合して行きたいと言われた。そして私は、それでは昭和三十年度からは政府の一致した意見でもつて積算の基礎を立ててもらいたい、こういうことを文部大臣に言つたわけなんです。文部大臣自身は、意見は異なつておるということを言われたのですが、その点は文部省の方と自治庁の両方から御説明を承りたいと思います。どういうふうに違うのですか。

後藤博総理府事務官(自治庁財政部長)

○後藤政府委員 今文部省の方とお話したのですが、前は多少意見は違つておつた点があつたかもしれないが、現在では調整いたしまして、意見は異なつておりません。

松平忠久日本社会党(右)

○松平委員 それは信用していいわけですか。

後藤博総理府事務官(自治庁財政部長)

○後藤政府委員 はい。

松平忠久日本社会党(右)

○松平委員 そうすると文部大臣の言つていることはうそなんですか、うそというか、間違つているというか。——これはあとで文部大臣が来てからお伺いします。

緒方信一文部事務官(初等中等教育局長)

○緒方政府委員 ただいま文部大臣の答弁に対しての御質疑でありますが、私その席におりませんでしたから、その点をはつきり具体的に存じませんけれども、その当時いろいろ調整すべきことがございましたので、その途中においての答弁だつたと存じます。現在ではただいま自治庁からもお答えがありましたように、調整が済みました。考え方においては相違ございません。

辻寛一自由党

○辻委員長 暫時休憩いたします。    午後三時三分休憩      ————◇—————    午後三時四十五分開議

辻寛一自由党

○辻委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  文部行政を議題にし審議を続行いたします。野原覺君。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 大臣に対しまして私は教職員給与の三本建の問題について二、三お尋ねをいたしたいと思うのであります。御承知のように第十六国会におきましていわゆる給与の三本建法が成立を見たのでございますが、この三本建法がその後実施の進行につれまして、いかに義務教育の向上発展のためとるべきものでないかということがはつきりしつつあるわけでございます。私どもは当時あの法案が出ましたときにこのことを指摘いたしまして問題にして来たのでございましたが、遺憾ながら自由党の文教政策はこの不合理をあえていたしましたために、今日教育の現場におきましては不平不満と申しましようか、相当な動揺が小学校、中学校に起つているわけでございます。大臣はこれまた第十六特別国会の劈頭であつたと思いますが、御就任のあいさつとして、当文部委員会に、義務教育の刷新充実のために私は努力いたしますということを第一に申されたのでございますが、三本建のあの給与法は、あなたが文部委員会を通して国民に対してお約束なされておりまする義務教育の刷新充実にはたして役立つものであるのかどうか、これに対する大臣の率直な御所見をひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 お尋ねにお答えいたします。三本建の法律案は御承知のように昨年特別国会で成立したのでありまして、私は公立学校、国立学校を通じての教職員の給与の改正が、あの法律によつて一応その点においてでき上つたものと考えております。それだけわが国の学校教育の面において一つの前進をしたと申しますか、一つの進歩をなした、かように考えております。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 そういたしますと、三本建の給与法は義務教育の刷新充実のために非常にプラスになつておる、こういう御見解だと承つてよろしゆうございますか。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 今私の申し上げましたのは、全体の学校教育という面から申し上げたのでありますが、あるいは少し違つておるかもしれません。義務教育という特定の対象であるということであれば、この三本建法律案は、御承知のように高等学校の教職員に対しての給与の改正と申しますか、それに対する給与が主たる内容でありますから、直接義務教育方面には関係のないことであります。なおこの法律案の成立によりまして、それが義務教育にどういうふうに影響するかということは、この法律案のできました当時国会において論議されたことと記憶しております。私はこれがために義務教育の方で一段の改善が行われたとは申しません、これは義務教育の方はかわらないのですから申しませんが、当時野原君も多分そういうことをおつしやつたと思いますし、またその他非常に議論があつたようでありますが、これがために義務教育の面を考えてみて、そう大きな影響を及ぼすとは思つておりません。しかしこの法律が実施せられて、そうしてなお公立学校方面におきましては、それに伴つて条例が出ておるところもありますし、まだ出てないところもあります。従つて実施しているところといないところと両方あります。それが実際の上においてどういう影響を及ぼすかということにつきましては、今後その実績に徴したい、かように考えております。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 ただいまの大臣の御答弁を聞いておりますと、何をおつしやつていらつしやるのか、私は把握するに苦しむのであります。全体の教育に対しては、プラスになつておると仰せられたかと思うと、義務教育の面については、なおプラスになつておるか、マイナスになつておるか、そういうことは調査をしてみなければわからないというような意味に受取れるような御発言でございまして、まことに私どもは遺憾にたえません。これはどのように一体あなたが、その三本建の給与を今日もなお把握されておるのか疑わしいのでございますが、最近文部大臣はいろいろな角度から教員の思想調査——思想調査ではないとあちらこちらで抗弁されておりますけれども、まあ教育の中立性を侵害したという具体的な事例の調査と大臣が申される言葉を借りて、私もこの場合は申し上げておきますが、そういう調査をなさることには、地方の教育委員会その他あらゆる機構を使つて御熱心にやられるのでございますが、あなたが国民に対して第一に約束をされた義務教育刷新充実のために、どうしてもこの三本建の給与が問題であるという声は、これは大臣の耳にも達しないはずはなかろうと私は思う。そういう点についての調査は実は今日もなおされていないということは、まことに残念にたえないのでございます。  そこで私はこの問題でもう少しお尋ねをいたしたいと思うのでございますが、今日小学校、中学校、高等学校の教員になる資格というものは、新制大学卒業以上の学歴か基本的な資格であるということを御承知かどうかお尋ねします。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 その通りに承知しております。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 そういたしますと、同じ新制大学を卒業した教師が、小学校、中学校に奉職をする。同時にある者は高等学校に奉職をする。そうして給与に差等がある、こういう場合に、小、中に奉職をした教師が、不平不満を持つて来ないであろうか。何らか満されない。同じ新制大学を卒業して、友だちは高等学校に行つたために給与が高いんだ、ぼくは小学校に行つたために給与が低いんだ、こういうことになりますと、勢い何らか満されないものを感じて来るというお考えはお持ちでございませんか。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 それはそれぞれその人の事情によつて、高等学校に奉職する人も、小、中学校に奉職する人もあると思うのであります。ただこれはそれぞれの場合がありますから、一概にこれで小、中学に行く人が非常に不平を起すとかいうようなことは容易に断定はできないと思うのでありますが、これが義務教育に非常に悪い影響を与える、こういうふうには私は思つていない。そこまで即断すべきものでないと思うのであります。これは過ぐる特別国会において、とにかくそういう反対の、あるいはこの法律の成立によつて心配するような事情が起るかもしれないということについては、当時議員立法によるこの法律案については十分論議がかわされて、そうして国会において成立したのであります。でありますから私どもとしましては、この国会で成立した法律というものを適用しなければならぬ、その施行を円滑にするように準備をしなければならぬ、こう考えておるのであります。ただ先ほど申し上げましたようにこの法律は、これを施行した結果、わが国の義務教育というものが非常に悪い影響を受けて萎靡沈滞したとかいうような事実があれば、あらためて現行法律の改正を考えるとか、それに対する何らかの処置を考えるということになるのでありまして、現在この法律はおもしろくない法律だと言つてみたところで、これが法律として成立した以上は、それに対して円滑に実施されるような手配をとる、こういう立場をとつておるのであります。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 そういたしますと、同じ新制大学を卒業した者が奉職する学校穂別の違いによつて待遇において差等ができることがあつても、これは当然のことである、こういうお考えを大臣は持つておられるのかどうか承りたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 これは法律が、その場合においてはそういうふうにきめておるのであります。これは国会の意思でありますから、その趣旨に従つて私どもはこの法律を実施するほかはないのであります。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 その法律をあなたはどのように評価されるか。もちろん国会がつくつた法律を、行政府の最高の長官としての大臣が施行することは、あなたが仰せられるまでもないのでございますが、その法律というものは、新制大学を出ないと小、中学校、高等学校の教師にはなれない。それが同じ大学を卒業してその俸給に差等があり、待遇に差等があるということを一体どのようにお考えなのかということを聞いておるのです。ただ法を施行するのだということでは私はこの問題は納得できない。大臣としてはこれが遺憾な法だと思わないかどうか、そのことをお尋ねしておるわけであります。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 私はこの法律は、すでに十分に論議を尽して、国会において成立した法律でありますから、今は実施する段階である、こういうことを申し上げたのであつて、先般成立したばかりの法律を、これがいいとか悪いとかいうことを言うのは、実績に徴してしかる後でなければ——国会できまつたものについて、まだ実際やつてもみないうちからこれがいいとか悪いという論議は差控えたいのであります。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 すでにあの法律が成立いたしましてから、各都道府県の教育委員会においては、三本建の給与の実施を今日やつておるのであります。やることのできない教育委員会もおるのであります。ということは、教育委員会自体がこの問題に実は頭を悩ましておる。実に不合理、でたらめな法律でございますから、(「ノーノー」)今日まつたく頭を悩ましておる。  そこで私は大臣にお尋ねいたしますが、現に本年三月新制大学を卒業する者で小学校、中学校に希望する者と、高等学校に希望する者の調査をとつてみましたところが、驚くなかれ各都道府県の教育委員会において、小、中に対して希望する者がほとんどないと言つてもいいくらいの調査ができ上つておることを、あなたは文部大臣として御承知かどうか承りたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 その辺のことは、あるいは役所では調べがあるかもしれませんが、私は承知しておりません。非常な違いがあるというふうに言われますが、私は実はもうすでに現行法として成立したものを、この前の特別国会の議論をむし返して、この法律の内容を検討するような議論はいたしたくないから先ほど以来の答弁をしておるのであります。御承知の通り、この三本建給与の法律というものは、初めは同じで出発るのであります。だんだんずつと先になつて、そこに多少の開きが出て来る、こういうことでありまして、それは当時十分論議を尽されたように、いわゆる職域差を認めたということが一つの原因であろうと思います。今申し上げますように、もし野原君が非常に悪法なりと考えて、どうしてもこれが日本の義務教育に非常な支障を及ぼすものである、こういう御意見であれば、それを是正するための適当な御措置をおとりになるべきであつて、もうできてしまつて現行法になつたものを、これはいかぬ、あれはいかぬと言つた日には切りがないと私は思うのです。だから私の方では、せつかく去年国会で成立したものを、文部大臣はいいと思うか、悪いと思うかというお尋ねを受げるのは、はなはだ迷惑なんです。私の方は法律を施行して、実際にやつた上で非常に悪い影響があれば、そのときに国会にあらためてお考え直しを願うような措置をとらなければならぬかもしれぬけれども、まだ実施もしておらぬうちから、そういう意味で私はこの問題のよいとか悪いとかいう論議に入るべきものではないと思つております。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 中学校、小学校に奉職希望者が少い、あるいは進んで奉職しようというものがないので、教育委員会が苦慮しておる、私の言うことをあなたは事実と思わないかもわかりませんから、私は仮定として申し上げますが、もしかりに私がただいま言つたことが事実であるといたしますならば、義務教育に対して影響があるとはお考えになりませんかどうか、お伺いいたしたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 小学校の方には志願者が一人もない、あるいは採用になつても、それに入り手がない——これは人が高等学校の方が小学校よりも上だと思えば、高等学校の方に入りたいというのが多い、これは人情の自然でありましよう。従来といえども、これは何も三本建の法律ができなくても、そういうことであつた。しかし何でもかでも三本建の法律ができた以上は、高等学校へ奉職できてもできなくても、絶対小学校や中学校に入らぬ、かりにこういう人が非常にできたとすれば、これはなかなかそのままにおけない悪影響を及ぼすものであると思います。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 大臣は私の質問に率直にお答え願いたいのです。あなたは自由党の国務大臣でございますから、自由党が非常な熱意をもつてつくつた三本建の法律であるから、とんでもない答弁をしたらあとで問題になるというようなことは捨てて、私の質問をよく聞いてください。私はこういうことを尋ねておるのです。実は三本建の法律のために義務教育学校に奉職する希望者が少いと私は言つておるのです。その私の言うことが事実だとするならば、義務教育に影響があるとお考えかどうか。あるかないかということをお答えいただいたらいいのです。義務教育に影響がないならないでいいのです。この問題に対するあなたの答弁は国民の中に重大なる反響を巻き起しますから——ちやんと速記録は全国民の前に出るのですから、影響があるのかないのかということを聞いておる。はつきりひとつ御答弁願いたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 重大な影響を与えると思いますから、ただあるとかないとか、簡単なことでは間違いが起る、それてその意味を申し上げておるのであります。今申し上げるように、この法律ができた以上は、義務教育学校には奉職しない、だれも行き手がない、こういう事態が起れば、これは確かに影響があると思います。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 奉職しない、だれも行き手がないということになりましたら、影響があるなしの問題ではございません。義務教育の破滅です。とんでもないことなんです。そういうような方向にこの三本建の法律というものが今日追い込んでいるということをもう少しまじめにお考え願いたいということを私は申し上げておきます。  事のついでに、大臣は三本建の法律については実は御検討されておるけれども、詳しいことの御発表が困難であるのかどうかは知りませんが、私はもう少しこの問題ではお尋ねもし、申し上げたいことがあるわけです。その問題は、実は国立の学校におきましては、小学校の教諭でも、高等学校の教員になる資格を持つているというだけで、この三本建の法律が適用されないわけでございますけれども、公立の場合には、新制大学を卒業して高等学校教諭になる資格を持つておるけれども、たまたま小学校、中学校に奉職しているためにこの法律の適用を受けるということは、これははなはだ不合理だと私は考えるのでございますが、大臣はいかがお考えでしよう。公立と国立でそういう差等がもしありとしたら、これは法の不備、不合理とはお考えになりませんか。

稲田清助文部事務官(大学学術局長)

○稲田政府委員 国立の場合に、中学校を持つておりますものが高等学校を兼務すれば、高等学校の給与を与えるといたしましたのは、御承知のように中学校、高等学校両方併設しております学校におきましては、お互いにその学科によつて上を持ち下を持ちいたしますのが普通であります。ただ定員の関係でどちらかに在籍するというかっこうで、ある人は身分上中学校が本務、ある人は身分上高等学校が本務、そういう関係でいわば職域が同じである、こういうような特色がありますからそういたしましたので、公立学校におきましては、県立学校、市町村立学校、それぞれそういう兼務の関係がございませんから、従つて事態を別にしたものだと考えております。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 この問題は相当問題がございますので、いずれ私どもとしては何らかの適当な方法をとつて、文部大臣に対しましても、なおまた文部委員会に対しましても、是正の方策をお考え願いたいと私はまじめに思つておるのであります。  そこで、大臣の御答弁に対して私ははなはだ意に満たないものが多かつたのでございますが、この問題についての最後といたしまして御要望申し上げたいことは、法ができたから、私は法を施行したらいいのだ、こういう投げやりな言葉は、文部大臣としてはお慎しみ願いたいのであります。過ちを改むるにはばかることなかれということわざがありますけれども、もしそれ三本建の法律が、そのように義務教育学校の教育に影響があるとするなら、せめて同一学歴のものは同じ給与に置かねばならないということをまじめにひとつ御検討願いたいということを要望いたしまして、三本建の法律に対する私の質問は終ります。  次いでお尋ねをいたしたいことは、教育委員会に関してでございます。いつでしたか、ずいぶん前でございますが、新聞の報道によりますと、教育委員の改選を二年延期する、こういうようなことを、私は散見したのでございますが、この点はどのようになつているのか、お伺いいたします。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 御承知のように、従来教育委員は二年ごとに半数改選ということになつております。この半数改選ということをやめまして、四年目に一斉に改選する、こういう考え方でありまして、それに必要な法律案をこの国会に提出して御審議をいただくために今成案を急いでいる次第であります。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 そういたしますと、従来二年ことに半数改選していたものを、今年の十月の改選者に該当するものは、二年延期して一斉に改選をしよう、こういう措置をどういう理由でおとりになられたのでございますか、その理由をひとつ明確にお教え願いたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 この二年目ごとの半数改選、こういうことは行政委員会の所管する教育行政に、ある程度の普遍性を持たせるということから起つたことであろうと思います。しかし実情から見まして、これは御承知の通り全国にわたる非常に大きな選挙でありまして、それを二年目々々々に大きな選挙をするだけの、実際上はそれだけの理由が認められない、こういうふうに私ども考えますので、半数改選を総体の改選にしたい、こういうことであります。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 いずれ法案が出ましてからただしたいと思うのでございますが、聞くところによりますと、地方教育委員会の育成ということを、文部大臣は今日まで実は御主張なさつておるわけでございますが、二年延長して、そうしてこれから二年先に全部改選する、こういうことの裏には、教育委員会制度というものをあとの二年間で徹底的に再検討されて、そうして行く行くはこれを廃止してしまう、こういうことが巷間伝えられております。その辺の御所見はいかがでございますか。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 そういうことが巷間に伝えられておるかどうか私は存じませんが、しかし決してこの二年先になればこれをやめてしまう、そういう考え方は毛頭持つておりません。この点ははつきりと申し上げておきます。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 この問題は先ほども申し上げましたように、二年延期が妥当であるかどうかという私どもの態度の表明なり意見は、いずれ近く法案が出されるようでございますから、そのときに申し上げたいと思います。  あと一点お尋ねいたしたいことは、僻地の教育振興の問題でございます。これは大臣も御承知のように、僻地教育振興決議というものを第十六国会において満場一致であげておるのであります。しかも第十入国会におきましては、この文部委員会において私ども大臣に御質問申し上げまして、昭和二十九年度の予算編成にあたつては、どうかひとつ今日まで忘れられて来たこの僻地教育のために画期的な予算をお願いしたいということを、これは野党ばかりでなしに、与党の諸君も大臣に要望いたしたのでございますが、その際大臣が答弁されておることは、私は画期的な予算を考えておるという、その決意のほどを表明せられたのであります。この二つのことが、実は今日まで僻地にあつて非常な辛酸をなめて来ておつた教師諸君、あるいは僻地の人々を涙が出るくらい喜ばしておつたのでございますが、ふたをあけて昭和二十九年度の予算なるものを見ますと、まつたく唖然とせざるを得ないのでございます。このようなことに対して一体大臣はどのようなお考えを持つておられるのか。僻地のあの予算についてあなたが十八国会において私どもに明言せられましたことと、まつたく手の平を返すような相違を来しておることに対して、いかなる御所見を持つておられるか承りたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 僻地教育の振興について、過ぐる特別国会において衆参両院において決議のあつたことは、私もよく承知しております。そうしてこの振興のために決議の趣旨にできるだけ沿うようにいたしたい、こういうことは決議のあつた当時本会議場において申し上げておいたのであります。僻地教育の振興につきましてはもちろん今日非常に関心も多いし、またぜひこれは目鼻をつけなければならぬ関係のものであると私は考えております。爽はできるだけ社会教育の面にまでも及んで、僻地の教育というものの振興に一定の計画性を持つたものをつくりたい、こういうことで私どもとしては計画を立てたのでありますが、しかし御承知の通り、このたびのいわゆる一兆億予算ということで、私どもの考えておりますような予算の計上ができなかつたことは、はなはだ遺憾に存ずるのであります。従つて二十九年度予算におきましては、僻地手当を大体三割程度増額する、あるいは単級複式手当の増額をする、これは義務教育費の国庫負担のところでそれに所要な経費を増額してあるのであります。また僻地教育の振興費という項目におきましては、大した増額にはなつておりませんが、千六百五十八万円という計上がしてあるのでありまして、これは前年度に比べますと、わずかばかり上まわつた数字になつております。もちろんこれはきわめて不十分な予算であることは御指摘の通りであります。ただこの不十分な予算をなるべく有効に、真に必要なところにこれを向けて予算の執行を進めて参りたい、かように考えております。また自治庁におきまして平衡交付金といいますか、交付税を配分する場合におきましても、できるだけその基準をその予算のわくの中でかえまして、ただ五十人に一人幾ら、こういうことでなしに、実際の実情に応じて配分をされるようにしたいと考えております。また教材費の配分にあたりましても、従来のように生徒一人当り五百円、こういう単純な基準でなしに、やはり僻地の方面には最低幾ら、そうしてそれに生徒一人当り幾ら加算というような配分上の配慮をいたしまして、できるだけ僻地の方に余計に行くように、一口に言つて成立予算がなるべく効率的に、僻地の方に少しでも多く行くように、予算の執行の上において十分考慮を加えていただきたいと思つておりします。ただいまお話のように今年の予算は、その増額した点におきましては大したことはありません。これはいわゆる一兆億予算の関係で、この点にとどまらざるを得なかつたのでありますが、今後僻地教育の問題につきましては、なお十分努力いたしたいと思つております。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 そういたしますと、大臣としては僻地教育振興法の制定の御意思がおありなのかどうか。実は僻地の教育についての陳情を私どもは相当受けておるのでありますが、僻地教育振興法といつたようなものをひとつ制定していただいて、その法律に基いて十分な予算を計上してやるということが、僻地教育振興のためには必要ではなかろうかと実は私も考えておりますが、そういうような御準備がおありかどうか伺いたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 事務当局の手元では一応案をつくつておりまして、それを検討しておりますが、これを国会に提出するかどうか、なお考慮の余地を存したい、かように思つております。と申しますのは、あまり予算の裏づけのないものを出して、いわゆる羊頭狗肉的になつても私どもとしても責任上はなはだどうかという感じがいたしますので、それらの点も考えた上で——しかしながら出さない、こういう考えではないのでありまして、案を調整しまして検討をしておるのが今日の実情でございます。

野原覺日本社会党(左)

○野原委員 第十六国会では理科教育振興法あるいは学校図書館法、こういうものができておるのでありますが、この二つの法律にはもとより私も賛成しましたし、その必要を認めるに決してやぶさかでないのですけれども、しかし私どもとしては反省してみまして実は遺憾な点があつたわけです。私はこれらの振興法よりも、もつと早く僻地の教育振興法というものをつくつて、ほんとうの意味の教育の機会均等、これをはかつてやらねばならない、このように思うのでただいまお尋ねしたわけですが、幸いにして文部事務当局にそういう御検討がおありとするならば、これはひとつすみやかな機会において国会に御提案を願いたい。もちろん予算の裏づけのない法律をつくるということはいかがかとは私も思いますけれども、文部予算をわれわれが教育を振興するために確保して行く上にあたつては、これらの法律に基く支出を大蔵省に要求をして行かなければならぬのではないか。実は昨年度の予算を見ましても、この前から委員会で問題になつております私学の振興費補助にいたしましても、十五億が本年は五億に削減され、危険校舎は改進党の特に田中委員などの非常な御熱意によつて二十二億というところまで政府が譲歩されたものが、本年は再び元にもどつて十四億、それから戦災校舎も十五億、昨年六億の修正があつたものが今年はまた減らされておる、屋内体操場しかりであります。私はここで悪口を言うならば、昨年の予算は絶対多数でない自由党が何としても通過させねばならない政策的な考慮から、こういうような修正をやつたのではないかと思われる節もあるくらいでございます。昨年のこの修正に対しては、相当画期的な予算修正であると思つて、文部委員の一人である私も実は非常に喜んだのでございますが、ふたをあけてみると、本年はまた一兆とかなんとかいう理由で削減を受けておる、こういうことに対して私は不満に思います。従つて僻地の問題はいろいろ予算の裏づけ等の心配もございましようけれども、でき得るだけすみやかに、でき得るならばこの国会にこの振興法案をお出しくださるように要望いたしまして質問を終ります。

辻寛一自由党

○辻委員長 小林信一君。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 今野原委員の質問に対しまして大臣がお答えなさつたのですが、私はどういう意図で三本建の問題が出たかというふうなことに別にこだわつているのではなくて、実際この三本建が影響するところのものを見たときに、非常に遺憾なものを感じておつたわけなんです。ことに今の国会に対する国民の批判の仕方、こういうふうなものをあわせて考えたときに、せめて教育だけはこの国会においても国民の信頼を得て行きたいといろ考えから、大臣の御答弁を聞いておつて非常に残念に感じて、大臣から黙つておれというようなおさしずまで受けるような行動もとつたわけであります。(「やじだから」と呼ぶ者あり)しかし私は真剣なんです。(「だれだつて真剣だよ」と呼ぶ者あり)大臣も、もし腹では実際あれは不届きな法律だ、(「ノーノー」)こういうお考えがあつたら率直に言つてもらいたいし、また大臣がもし、実際あのために日本の教育は前進しておる、進歩しておる、しかし義務教育の方はどうか知らぬというような無批判な態度を持つておるとするならば、これまた国民に対しましては非常な疑惑を与えるものだと思うのです。やはりこの混乱しておる政界と同じように、文部行政もまたしかるかというような感も持つわけであります。いかにそれが国会の議員立法であり、国会で論議し尽されて通つたとはいえ、それがたとい一日であつても二日であつても、経過した時間が少くても、大臣の教育的な見解としてそこに明らかに妥当なものが見つからなければ、それを率直に大臣が述べるところに教育行政の信頼というものが出て来るのではないか。いろいろな法律をつくり教員の行き過ぎを是正するとかいうようなことよりも、大臣はここでもつて真剣にその意中を披瀝し、また私たちも真剣に考えておるところを述べ合つて、信頼を得て行くところに教育というものがあるのだと思うのであります。教員を拘束するような法律を百つくろうが二百つくろうが、それによつて生れるところの教育効果というものがあつてはならぬと私は思うのであります。そういう意味をもつて三本建の問題を私は聞いておつたのですが、大臣のお考えというものはまだほんとうに吐露されておらないような気がするのです。そこで、私もこの問題を同じようにお聞きするつもりでおつたのですが、野原君が聞かなかつた点だけお聞きします。  この一月一日から実施するといろ形になつておりますが、実施されておる県は何県あるか、これが実施されない県は何県あるか、その実際数を御調査のところをお聞かせ願いたい。

緒方信一文部事務官(初等中等教育局長)

○緒方政府委員 三本建の実施状況でございますが、一月二十五日現在の調査によりますと、あるいは条例を改正し、あるいは条例がなく国の例によつてそのまま行うという県もありますが、これを両方合せまして二十二県ということに相なつております。他は近く二月県会あるいは三月の府県議会で決定をしてやるというような状況のように伺います。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 その実施しておる県はよろしいとして、実施していない県について、文部省としては見通しを持つておるような今の御説明なんですが、しかしそれがさつきゆうに実施されないというところには何か原因があると思いますが、その原因についてお調べになつておるところをお答え願いたいと思います。

緒方信一文部事務官(初等中等教育局長)

○緒方政府委員 この給与改正法の細目の決定が昨年暮れにあつたように記憶いたしておるのでありますが、各府県の議会の開催が大体十二月に行われ、年を越しますと二月、三月というのが例になつておるのでございます。十二月の県議会に間に合わなかつた府県が相当ございまして、細目が決定しませんために、あるいはそれに対する地方の財政措置の状況等につきまして、はつきりした見通しが得られなかつたこと等によりまして延びたのが主要な原因のように存じております。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 先ほど申しましたように、ぜひひとつ私の願いを聞いていただきたいと思うのです。率直に問題を解明しなければいけないと思うのですが、ほんとうにそうですか。それが文部省のつかんでおる、遅延しておる原因ですか。ほかには原因ございませんか。実施されない原因は、今お述べになつたものが全体であつて、それ以外はないのですか。

緒方信一文部事務官(初等中等教育局長)

○緒方政府委員 ただいま申し上げましたように、私はそれが主要な原因だと考えております。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 主要という、その意味はどういうのですか。

緒方信一文部事務官(初等中等教育局長)

○緒方政府委員 各県の状況を具体的にこまかく承知いたしておりませんが、その問題が主要な意味だと考えている次第でございます。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 私の県の実例は御存じございませんか。

緒方信一文部事務官(初等中等教育局長)

○緒方政府委員 山梨県でございますが、私正確に記憶いたしておりません。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 それはおそらく私は知つておると思うのです。(笑声)しかしこういうところでそれを述べれば、大臣の野原君に対する見解というようなものもひつくり返つて来る。三本建というものは、地方では法律で制定されたからつくらなければならぬけれども、こんな法律はつくつてもらわない方がいいという声が、そういう点から聴取できるのですから、やはりそういうところは文部省がここで率直に述べなければいけないと思う。今の大臣のようなことを言われたんでは、ますます小中学校の先生はいやになつてしまうだろうと思うのです。張合いがなくなつてしまう。やはり先生が自分の信念に基いて生気のある教育を続けて行くというところに私たちの希望するものかあるのです。今のように、実際知つておりながら、その知つておることをひた隠しに隠して、大して問題はないのだというふうな、そういう態度でいれば、おそらく全国の小中学校の先生たちは非常な不満を感ずるだろうと思う。私の県の実情を申し上げますと——自由党のごときは、日教組の圧力で、教員組合が圧力をかけてそれを遅延さしているのだというようなことを言われるかもしれませんが、私の県においては、そういうことは絶対ございません。しかし私の県では、県会におきまして非常に見解が異なつておりまして実施ができない。山梨県等の実情を文部省はどういうように把握しているか知りませんが、やはり実際は、いつか知らぬ間に高等学校の待遇をよくしてあるのです。山梨県では同一学歴で、同一勤務年数で、すでに平均して三号俸ないし四号俸の差ができている。この上またこの法律を適用して一号俸上つたら、四号ないし五号の差が出てしまう。それでこれが実施できないという現状なんです。現在中小学校と高等学校の間に知らない間にできている差というものを大臣は御存じないですか。そういう実態から考えて、この法律が適用されてどんな事態が起るかということを考えたときに、たとい国会でそういうものが制定されたとしても、文部大臣としてはこれは実施できないというくらいの決意を、ほんとうにお考えになるならばやつていただいて、初めて教育行政の成果というものが上ると思う。文部省としましては、この問題は何ら心配ない、やがては各府県で実施されるようになるだろう、従つて手をこまねいてこれを見ておる状態ですか、あるいは全国的に何かこれに対する特別な問題が起きて考えなければならぬというふうな考えを持つておいでになるか、もう一ぺんその点をお尋ねしておきます。

緒方信一文部事務官(初等中等教育局長)

○緒方政府委員 今日のところ私どもといたしましては、先ほど申しましたように、県議会が大体二月あるいは三月に行われますので、その議会で予算がきまり、あるいはまた必要な条例の改正が上程されて決定しまして、大体支障なく運ぶものと考えております。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 そういう甘い考えで教育行政をやつていれば、日本の教育というのはますます制限法でもたくさんつくつて、教員を縛つて行く以外ないと私は思うのです。というのは、私の方でつかんでいることが事実とすれば、県の財政の問題から、法科がつくられたんだから何とかこの三木建を実施しなければならぬけれども、それにはいろいろな問題を乗り越えて行かなければならぬので、知事も県会も非常に苦慮しているところがあるのです。そういう場合に県でもつて中央に要求すると、どつかの方から力が出て来て、圧力が出て来て、お前の県でもつて三本建を実施するならば、この問題を君たちの希望する通りにやつてやろうというような事態で起きているのですよ。そういうことを大臣、平気でもつてながめておつて、ほんとうの教育ができるかどうか。ますます制限法をたくさんつくつて行かなければ、大臣、文部行政ができて行きませんよ。(「大丈夫、心配いらぬよ」と呼ぶ者あり)それが実態なんです。三本建がほんとうによいというお考えならば、私は遺憾なんです。私は決してこだわつているわけではない。  次にお聞きいたしますが、先ほど教育委員の選挙を二年遅らせるという問題について御回答があつたわけですが、全国的に二年延期することについては、大臣が予算を要求したけれども、その要求が認められなかつた。大蔵省とかあるいは自治庁の方で、教育委員会制度は廃止するという意向でその予算を出さなかつた。そのために結局大臣がいろいろ苦労して、委員会は一応存置する。しかし、そのために必要な十四億という選挙費は出さないがいいか、という交換条件で大臣がこれを承諾しておられるということはもう世間に徹底しておる。従つて野原君のような質問が出るわけなんです。結局そういう圧力によつて教育委員会制度というものはやがてなくなるのではないか。それを文部大臣は暗に腹の中に入れているであろうけれども……(「おれたもがおる限り、絶対なくなさないから」と呼ぶ者あり)あんたたちが考えているのはあぶないんだから……。こういうような意向があるが、大臣これに対しては、事実無根ですか、多少あつたんですか、お尋ねいたします。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 えらいいきさつをよく御承知になつているようでありますが、当初大蔵省予算で地教委の経費が削除されたということはお話の通りであります。しかしながら、私はかねてから、たいへんお耳にさわるかもしれませんけれども、地教委の育成強化ということは終始一貫申し述べておるのでありまして、それだからその線が今日の予算として出て来ておるのであります。予算が成立するまでの、つまり国会へ提出する予算を編成するまでの経緯はどの費目についてもありますが、一応復活してもらつて他日やめるとか、圧力を受けてやめる方に同調したとか、そういう事実は絶対にありません。先ほど野原君の御質問に対して、はつきり申し上げます、こう言つておいた通りであります。これは前々から私が主張して来たことをお考えくださればよくわかるのでありまして、地方教育委員会に対して廃止するとか、そういうことは私はいまだかつて言つたことはありません。むしろ廃止の意見が相当あつた場合に、これを育成強化するということは、終始一貫私が言い続けて来たことでありまして、何か予算の面から圧迫されて、一応置いてもらつてあとでなくしてしまう、そういう考えは毛頭ありませんから、もしそういうことを世間で誤解に基いて言いふらす者があれば、その点はひとつ小林君の方もその誤りを正してやつていただきたい、こう思うのであります。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 大臣が今おつしやつたことについては、まず第一番に、お耳ざわりかもしれませんということは取消していただきたい。なめていますよ、あなたは。(発言する者あり)お耳ざわりになるかもしれませんとは何です。前の国会の私とあなたとの話合いは、速記録にはつきり載つておるはずです。地教委というものは私は不賛成なんだ、しかしこうして置く以上は、あなたはできるだけ予算を獲得し、制度の不備な点は補足して育成強化すべきであるということは私言つてある。何です、それは。お耳ざわりかもしれませんというのは、私に限つてはないはずです。ここを何と考えておるのです。(「いつでも取消すよ、それくらいのことは」と呼ぶ者あり)  まだいろくありますが、最後に、私はどこかから聞いて来たのじやない。あなたもやはり新聞はごらんになつていると思う。予算のいろいろな査定の過程において地教委は撤廃されるかもしれない、今年度ここでもつて法律を出して二年延期するというのは、そういう意図のもとに行われておるので、やがてはそういう結果になるのじやないかということは新聞に書いてある。私にそういうことをやつてくれというのは、やはりあなたがこの問題を軽々に考えておられるからです。あなたにはどういう考えがあつても、そういう意向が政府のどこかにあることを私たちは心配するがために、あなたにこの腹を聞いておるのであります。それがあなたは気に食わないのですか。だから私に取消せと言うのですか。新聞があえて出しているのだから、あなた自身が行つて新聞を取消したらいいじやないですか。それでこそあなたはほんとうに文教政策を担当する責任者なんだ。私にそういう言を吐いて、それでほんとうに真剣な御答弁なんですか。——まだありますが、忘れぬうちにそれだけ御答弁願います。(笑声)

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 私は、小林委員は地教委は廃止した方がよろしいというふうなお考えと思つておつたのですが、そうでしよう……。   〔小林(信)委員「しつかり言いまし   た」と呼ぶ〕

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 ですから、廃止した方がよいといろ見解を持つていらつしやる方に、絶対廃止をしない、育成強化をする、こういうことをいきなり申し上げては失礼になるかと思つて、お耳ざわりであるかもしれませんがということを申し上げたのです。決して他の意味ではありません。あれはその通りにすなおにとつていただきたい。  それからもう一つは、新聞に云々ということがありましたが、今も私はつきり申し上げましたように、大体当初において大蔵省から内示を受けた予算の面からは、教育委員会の費用は削除してあつたのであります。それはもちろん政府の一部に教育委員会を廃止するという意見があればこそ、その前提に立つて削除した予算案が内示せられたのであります。しかしこれは私の考えではないのでありまして、私は先ほど申し上げたように、終始一貫して地教委は育成強化すべきものなり、かように考えておつたのであります。その結果予算としては復活し、制度としてはそのまま持続せられることにはつきりきまつたのでありまして、その間の経緯が新聞に出たこともありましよう。これは私は決して隠す必要もなければ、うそであるとも申し上げておるわけではないのです。ですからよく御承知になつておる、こういうふうに申し上げたので、私は決してそれを隠したり何かしておるのではないのです。   〔小林(信)委員「私にどこかへ行つて弁解しろとあなたが言つたことを……」と呼ぶ〕

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 いや、あなたがちまたで……。   〔小林(信)委員〔ちまたでない、新聞で見たと言うのです」と呼ぶ〕

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 いやいや、あなたが世間ではとおつしやつたから——それは速記録を見れば……。世間では、二年間選挙を延ばしたということが、つまり将来廃止を意味するのだ、二年先では廃止する気持から、そういうふうなことになつておるということをもつぱら言つておる。これをあなたがおつしやつたから、私は世間でそういうことを言つておるかどうか知りませんが、私の真意は今申し上げたように、二年先で廃止するなんていうことは毛頭考えておらぬので、ますます育成強化をして行く。これについては先ほど野原委員に対してもはつきりお答えを申し上げた通りであるから、どこでそう言つておるか私は知りませんが、もし一般にそういうことを言つておるとすれば、それは誤解であつて、私の毛頭考えないところであるから、その点は啓蒙してやつていただきたい、こういうことをお願いしただけであります。あなたに対して礼を失する意味は毛頭ございません。(「名答」と呼ぶ者あり)

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 大臣、率直に言つたらよいではないですか。私に行けと言つた。取消すように、そういうことを啓蒙に行けと言つた。しかしそういうふうに地方が考えておるのは、やはり新聞があの当時の事情を知らせたからそういうふうに考えておるのだ。それを私があなたに聞くのを、あなたは軽々に考えて、ほんとうに軽率に考えて、私をばかにしてですよ……。   〔「ばかにしたかい」「ばかになんかしないよ」「やかましい、今ごろ来て何だ」「それは重大問題だぞ」「何を言うか」と呼び、その他発言する者多し〕

辻寛一自由党

○辻委員長 御静粛に願います。   〔「国会議員をばかにしたなんて並々ならぬ発言だ「何を言うか」と呼ぶ者あり〕

辻寛一自由党

○辻委員長 お静かに。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 私は承知できない。大臣が今のような巧妙な弁解の仕方でもつてやることは承知できないのですよ。あなたははつきり私に行けと言つた。それは速記を見ればわかりますよ。  もう一つは、最初の、これも大臣はなかなかうまい弁解をやりましたが、あれは当つておりませんよ。私はこの前の国会のときに大臣にはつきり言つておるはずなんです。私は地教委を置くことには反対した、しかし今日これをなお存置しようとするなら、大臣これは育成強化しなければいけないということをはつきり言つておるはずなんです。それをあなたはうまくそこのところを答弁されましたが、最初の印象ははつきり私を侮辱しておるのです。(「ノーノー」)なあに侮辱しておりますよ。あなたにはお耳ざわりになるかもしれません、この言葉ははつきり速記録に載つておるの、だから、その経緯を見て、もし大臣がそれを取消さぬと言うなら、もう一ぺんあらためてこの問題で対決いたします。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 今のお言葉で、あなたに行つて弁解してくれということを言つたことはありません。世間でもつぱらそう言つておる、こうあなたがおつしやつたから、私は世間でそういうことを言つておるかどうか知らぬけれども、それはまつたく私の真意ではな   〔小林(信)委員「非常識だ、新聞に出てそういうことが徹底しておるのだ」と呼ぶ〕

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 新聞に出ておるといつたつて、予算は最後の新聞をごらんになればわかるので、置くことにきまつたということは新聞にはつきり出て出るのです。それは途中では地方制度調査会において廃止の線がきまつたとか、予算の上で落された、そういうことはありました。けれども一番最後には地教委は存置することに決定したということをはつきり書いてあるのですから……。今のはその途中の経過なのですから、その途中の経過は私はちつとも否定してはおらぬのです。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 大臣があくまでそう言うのならもう一ぺん解明しましよう。結果として選挙が二年延びるということが出ているでしよう。あなたが予算の折衝をする際にそういうことが新聞に出た。二年選挙を延期しなければならぬようになつたのは、大蔵省や地方自治庁は教育委員会を認めないという立場でいるのだから、結局大臣としては何とかそこのところを妥協して、二年延期ということを約束したということが新聞に出た。そうして結果的にも今日二年延期ということを政府が法律案を提案してこれを実施するということがありますから、誤解があるのは大臣やはり当然じやないか。それをあなたは妙な……。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 実は新聞に出ておりましたように、地教委の経費が削減をされておつたのです。そうして今年は普通の二年目ごとの半数改選ということになれば、秋に選挙をしなければならぬ。その経費は約十五億必要とするわけであります。そこで地教委は存置することに決定して、それに必要なるいわゆる経常費と申しますか、その経費は復活計上されたわけであります。ただ当時一兆予算ということでありますので、大蔵省の方からはこの十五億円までもさらに予算に増額をするということは、当時の情勢から見て非常に困難である。何とかこの十五億円というものを計上しないで済ましていただけぬだろうかという話は確かにあつたのです。そこで私の方は、それならばそれはよろしゆうございます。二年目改選というのを四年目ごとの一斉改選ということに改めることにして、それは予算の計上はなくてもよろしゆうございます、こう言うたことはあります。しかしそれを廃止するとかあるいは任命制度にするとか、そういう前提で選挙の費用を予算に計上しなかつた、こういうことは全然ないのであります。ですから選挙の経費が計上されなかつたということが、二年先には地教委が廃止されるのだ、あるいは県教委が廃止されるのだ、そういうことでは全然ないのであります。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 その問題は大臣の御答弁でよくわかつたわけです。先ほど申しましたように、私に行つてそれを何とか啓蒙しろという言葉ですね、これは私の印象としては、何をいつているのだという、大臣の国会議員を侮辱した言葉になるわけです。それはさつき私が申しましたように、結果的には二年延びるということと、そうしてあなたの予算折衝の際の新聞というものが基礎になつているからそういう印象が国民にあるのだ。だからこれを文部大臣はどういうふうに考えておるのだということを私が開いて、大臣が意中を披瀝した以上は、そういうように国民が誤解を持つているならば、あなたが新聞社に抗議を申し込むなり、あなた自身が天下に声明してそういうことはないということはあつても、私に何もそういう責任を持たせる必要はないと思うのですが、そういう点から申せば、先ほどのあなたの言葉は私を侮辱しているということになるのですが……。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 私が何かあなたに失礼なことを申し上げておるようにおとりになつたようであります。もしそうおとりになつたとすればはなはだ遺憾に思いますが、しかし私が先ほど申し上げましたのは、これは速記録をお調べくださればわかりますが、行つてそれを啓蒙していただきたい、そういうことを言つたのではないのであります。(小林(信)委員「小林君がということをちやんと言葉をあげて言つたじやないか」と呼ぶ)そういうことではないのでありまして、小林君が世間でもつぱらそういうふうに思つておる、こういうことをおつしやつたが、私は世間でもつぱらそういうことを思つておるのだということは承知をいたさないけれども、事実あなたがおつしやるようにそうであるとすれば、それはまつたく私の真意とするところではないから、その誤解を解くように願いたい、こう言つただけであつて、行つてそれをどうこうしてくれというのではないのであります。私もこの問題は一番関係があるのですから、終始新聞には注意しておりましたが、地方制度調査会あるいはその他の方面の意見、町村会の意見とか、そういうところでいろいろ意見は出しました。しかし任命制度にするために二年延ばすことになつたのだとか、あるいは二年先に廃止を検討するために二年延ばすことになつたのだとか、そういうことは私の記憶では新聞には最後の結論を出していないのです。いないと私は思つている。そこで私は新聞記事から世間一般にそういう誤解が行き渡つているとは実は思わなかつたのでありまして、世間でもつぱらそういうふうに思つておる、こういうふうにおつしやつたから、この速記録をごらんになればわかりますが、世間でどう言つておるかということはわからぬけれども、もしそういう事実があれば、それは私の真意を誤解したわけであるから、その誤解を解いてくださいと言つただけであつて、何もあなたを侮辱したというのではないのですから、その点でもしもお気にさわつたことがあればひとつ御了承をいただきたいと思います。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 自由党席から大分声援も出ておつた際でありますから、大臣が、こちらから見ておりますと、さもしてやつたというような顔をして、満座の中で最初は、お耳ざわりかもしれませんがというお言葉を使い、最後には小林君、君がというようなお言葉を使い、私たちの印象というものは、私が当初申しましたように、あらゆる問題——今国会がこんなに混乱して国会の信威は地に落ちておる、しかし教育行政だけは健在であるということをお互いに努めて行こうじやないか、私のような者でまことに残念でございますが、私は所信を披瀝して文部当局に申し入れたわけであります。ところがさきの小林さんの三本建の問題といい、あるいは地教委選挙の問題といい、大臣の腹はほかにあるのじやないかというような気持が見えたから、お互いに率直にやりましようと言つておるようなやさきに、ああいうような言葉を聞くと、お前たちなんか問題ではない、教員なんというものはいよいよもつて拘束法をたくさんつくつて縛つて行つて、中央集権でやつて行けばよいのだ、こんなこともわれわれ納得せざるを得ぬような状態になるわけです。そういう法律をいくらつくつたつてそれでよくなる教育なんというものは意味はないのですよ。私が先ほど申しましたように、教員が国の政治を信頼し、ほんとうに自分の信念的な行動から教育というものはなされなければだめなんだ、やはり私たちも並行して行こうじやないかという気持のときなんですから、私たちの方には大臣の態度というものは非常に傲慢無礼、国会侮辱の形でもつて聞えたわけなんですが、大臣は何としてもそこのところを言いのがれをしておられるようです。私はこの辺でこの選挙の問題と三本建の問題は終りますが……(小林(進)委員「関連してやらせろ」と呼ぶ)関連質問の声がありますから、そのあとでなお私の質問をいたします。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 今ちやうど入つて参りましたら地教委選挙の延期の問題が中心になつておりますので、これは重大問題だと思つております。私も興味を持つておりますので、同僚諸君から質問が前々から繰返されたようでありますから、なるべく重複を避けて私の疑問とするところをお伺いいたしたいと思います。従来公職選挙法ではありませんが、公のものの選挙をするものとして一旦きめられたものを、そう簡単に廃止せられたり延期せられたりする前例が一体他にありますか、これからお伺いしたい。衆議院選挙においてしかり、参議院選挙においてしかり。特に参議院は三年ごとに選挙をすることになつておるのだが、これを三年ごとの選挙の経費がないから、三年延期して六年で選挙をやるというようなことになつたらどうなりますか。そういう例が一回でもあつたかどうか、それをまず大臣にお伺いしたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 この法律案は今成案を急いでおりますから、いずれ提案して御審議をいただくことになろうと思います。その節十分に御審議をいただきたいと思います。それからこういうふうに選挙に関する法律が途中でかわつたというようなことがあるかないか、こういうふうな御質問でありましたが、これは私、そういう実例があるかないかということは手元に資料を持つておりませんから、調べました上でお答えを申し上げます。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 一体地教委を設けられてまず選挙を二交代にしてやるということは、これは文部省みずからがお考えになつた制度なんです。しかもこれは論議を重ね尽してこうした交代制を設けたのでありますが、一体なぜこうやつて半数を交代々々に選挙することになつたのか、それの立法の理由を文部省の方もおられますから、ひとつ過去にさかのぼつてその理由をここでお尋ねをしたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 これは当時私はその関係にいかなかつたのでありますが、これは今日の制度の建前を見まして私の解釈するところでは、教育委員会が所管するところの教育行政の一貫性と申しますか、急激な変化をしないような一種の普遍性を保障するためのものであろう、こういうふうに考えております。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 ここにそのときの理由を若干書いてございますが、昭和二十三年六月十九日、同法案に対する文部大臣の提案理由の補足説明として文部省の辻田政府委員が教育委員会は「執行機関であるために委員全部が一時に交代することを避け、政策の一貫性をはかるため、二年ごとに半数交代することにいたしてあります。」こういうふうに説明が加えられておるのであります。知事の選挙を四年ごとにするのを、予算がないからといつて八年ごとにする、それで国民が了承いたしますか。私はこの教育委員会がそれほど重要なものであるならば、予算がないからといつてこういうふうなりつぱな理由をつけて交代制にしたものを、単なる十億や十五億の予算がないからといつて、それを簡単に文部省が了承したりあるいは変更するということなどは、実に国民を愚弄するもはなはだしいと私は思う。もう少し詳しく説明してもらいたい。廃止するだろう、任命制にするだろう、私は小林君が質問するのはもつともだと思う。予算がないという簡単な理由で、私はそういう重大な問題が簡単に改訂せられる性質のものではないと思いますので、いま少しわれわれが納得する理由をひとつ御説明願いたいと思うのであります。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 これはいずれ法律案が出るときに十分御審議願いたいと思いますが、今お読み上げになりました半数改選制度というものについての当時の文部省の考え方は、やはり先ほど私が申し上げました考え方と一致しておると思います。まさにそういう意味であつたろうと思います。  それからなお予算がないからそういうふうにしたのだ、こういうことですが、先ほど私の説明で経過を申したものですから、それから関連してあるいはそういうふうにおとりになつたかとも思うのでありますが、しかしこれは予算がないからといつて、それだけの理由でこういう法律の改正案を今急いでおるというわけじやないのであります。事実上半数改選にするほどの必要も実際の経過を見てない、こういうふうに考えられますので、二年目々々々に全国にわたる選挙をするというようなことをしなくてもさしつかえないだろう、こういう見込みのもとにこの法律案を提出する考えをしたわけであります。予算がないからというわけでもなければ、また二年後に教育委員会といもものを廃止するという考えでもない、廃止する考えではないかということをしきりに口では言つているけれども、そうではない、下心はそうであろうがと、こういうふうな意味のお尋ねが先ほどからあるから、そこで特に野原君の質問に対しても、その点ははつきり申し上げておきます、お答えをしておきます、こう申し上げたのです。小林委員の方からも同様なお尋ねであります。(小林(進)委員「小林は二人おりますから、どちらの小林かはつきりしてください」と呼ぶ)小林信一さんの御質問に対してであります。それであなたのお尋ねもそういう意味でのお尋ねと思いますが、その点は私は決して腹にないことを申し上げているのではないのであつて、その点先ほど申し上げたようにはつきりと申し上げます、こう言つておるわけであります。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 今の御説明によると、二年交代制を廃止する、延期をすることは単なる費用だけの問題ではなくして、必要がないとおつしやる。これは私は重大だと思う。必要がないということは、すなわちこの制度を設けたいわゆる教育委員会は執行機関である、執行機関であるがゆえに、政策の一貫性をはかるためにこれは二年毎に交代するというのでありましようから、必要がないということは、もはやその委員会の執行機関としての政策の一貫性をはかることの必要がなくなつた、一体こういう意味なのか、あるいは全部を交代してもやはり一貫性をはかることができる、持続することができる、こう信ずるがゆえにこの選挙を延期せられるのか。一貫性をはかる必要はない。教育政策なんて朝令暮改だ、いつでも大臣が出たときに、都合がいい、今の教育委員はちようど大達文部行政を執行させるにいいから半数交代なんかはやめて、この先四年間やらせて行こう、こういう御趣旨なのか、その必要がないという理由をいま少しく掘り下げてお聞かせ願いたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 半数改選にすることが政策の一貫性を保持する一つの考え方として採用せられたものであろうと思います。なるほど政策の一貫性ということは、ことに執行機関でありますから、その必要を考えなければならぬ。しかしながら選挙というもののためにいろいろな事柄があるということもまた考えなければならぬ。そこですべて割切つて行くわけには行かないのでありまして、政策の一貫性を保つという見地もあります。しかし現実の問題として四年目改選にしたから一挙にまつたく違つた方向がとられる、そういうふうなことが実際考えられるか、考えられぬかという認定の問題見通しの問題であろうと思うのです。私はそれほどにしなくても、そう一ぺんに教育長というものもおりますし、そう一どきにがらつと考え方がまるきり反対になつてしまうというようなことは心配はないのじやないか、それよりも二年目々々々に全国的に選挙を、これも相当な負担でありますから——政府の負担という意味ではありません。国民全体としても負担でありますから、そこはにらみ合せの問題であります。一貫性を保つために必要であるからといつて、絶対にその線は動かさぬというものでもなし、これは実情に照して適当な方法が講ぜられればいいのではないか、こういうふうに考えてその法律案を提出したいと思つております。それはなお出ました上で十分に御審議をいただきたいと思います。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 そういたしますと、今の大臣の御説明によりますと、これは延期ではなくて廃止をした方がよろしいという御意見のようにも聞えるのでありますが、この点はいかがでありましようか。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 私のただいま申し述べたことが、廃止論を述べたようにおとりになつてははなはだ遺憾であります。廃止したらいいという、そんなことは考えておらぬということは先ほどから再三再四繰返してお答えをしておるのであります。廃止するなんということは毛頭考えておりません。

小林進日本社会党(右)

○小林(進)委員 これはやがて新しくまた法案が提出されるのでございますから、大臣が言われましたように、その場合にはわれわれはまた論法を新たにいたしまして大いに議論をさせていただきたいと思いますが、ただ一点なおこの問題に関連して最後に大臣の意向を確かめておきたいのは、二年交代制で行くと、やはり教員出身者あるいは大臣の最もきらわれる教組関係からこの教育委員が出て来る可能性が多い。四年交代にして一期交代にすると、教組から出て来る比率が非常に減つて来るのであつて、その点においてもこれは延期制をやめて四年一期にやるべしというようなうがつた批評をなすことは、いわば文部大臣智慧をしぼつての作品であるというふうに伝えられておるのでありまするが、この点いかがでございましよう、お伺いしておきたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 そこまで考えた上のものではありません。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 それでは私次にお伺いいたしますのは、自然増への対策でございますが、大臣は今年は非常に義務教育費をたくさんおとりになつたというお話なんですが、その中には富裕府県の分もあるし、あるいは自然増加の問題もございますし、あながちこれをすぐにたくさんの予算がとれたと考えることは、私たちとしてのみ込めないわけなんです。二、三日前に知事の会議が開かれまして、その席で地方自治庁から係が行つて印刷物を配つて、自治庁の自然増に対する考えというものが出ておつたのを私ちよつと拝見したのです。ノートにちよつとその数字だけ書いて来ましたが、小学校は四十九万六千三百三人、中学校の自然増が四十六万八千八百十七、こういうふうに書いてあつたと思います。教員を算定する場合に、それに七五・五五分の一、それに掛ける六分の七、こうして小学校の分を何人か出しております。それから中学校の方は、五九・七二分の一を掛けて、それにさらに六分の九を掛けて算定し、それから一%の欠員があるから云々という数字があつたのですが、この七五・五五分の一というこれは、一学級は七五・五五人というふうな見解であるかどうか。またこういうことをまず第一番に文部省としては知つておるのかどうか。先ほどのお話では、地方自治庁との間に意見の相違はないという御解明があつたわけなんですが、そういう点から考えてみれば、こういうふうに算定してよろしいのかどうか。知事さんたちは非常に困つたものだというので、大分議論があるように聞いておりますが、この点について御説明願いたいと思います。

緒方信一文部事務官(初等中等教育局長)

○緒方政府委員 ただいまお示しの算定基礎に使われます数字でありますが、実は私もただいままで存じませんでした。昨日知事会に出席いたしました財務課長からただいま聞くところによりますと、これは自治庁から出した数字ではないそうであります。知事会におきまして何か試算された算定の方式だそうでございまして、先ほど自治庁からの話がありましたように、その点は知事会の席上でも抹殺することにしたそうであります。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 そうすると、それはどこから出たのですか。またそういうふうなものがこういう教育予算を算定する場合に介在するということは、文部省としても何らか考慮されることと思いますが、今のような御答弁だけでは、ただそれが自治庁のものでないとかあるとかいうことだけで、われわれもふに落ちないので、もう少し詳しく御説明願いたいと思います。   〔委員長退席、坂田(道)委員長代理着席〕

緒方信一文部事務官(初等中等教育局長)

○緒方政府委員 これはもう少し確めませんと、はつきりしたことは申し上げられませんが、ただいままで聞いたところによりますと、知事会の事務局におきまして、人員の方から逆算して、こういう方式もあるということで、一つの方式として出した、こう聞いております。そこでいろいろ話合いの末、こういう表を出しますことは非常に誤解を生じますので、抹殺することにきまつたそうであります。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 これ一つ考えても、妙なところから数字が出て世間を騒がしている。そのかわり国会の方は汚職問題とか保全問題で騒いでいればいいんだ、文部行政もそうだというふうなことまで考えられるわけです。今私それを聞いて、実際この数字を見たことよりかえつて驚き入つたわけなんです。そういう場合に、文部省としてどういう態度でおられるのか。そろいうふうなものは問題でないんだというのか、こういうものが輿論を左右するということで、適切な処置をされるのか。大体文部省としては今のような数字に対してどういう御見解を持つているのか、お聞きいたします。

緒方信一文部事務官(初等中等教育局長)

○緒方政府委員 文部省といたしましては、従来御説明いたしております通りに、二十八年度の実績に二十九年度の増加見込みを加えたものを実績として、二分の一を負担する、かような算定をしております。こういうような何かそれと違つたものが出て来ることはまつたく迷惑でございます。  ただ文部省の関知しないうちにこういうものが出ておりますので、さらに知事会にもよく確めまして、誤解がすつかり解けますように努力いたしたいと思います。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 これは知事さんたちの方にも知らしてやつたり、その知事さんから教育庁の方にもこういうものが伝達されて、ぼくらの方にも伝わつて来ている。相当な経緯を経て来ている。よろしく御配慮願いたいと思うのですが、どこから出たかわからないというあなたのお言葉はほんとうですか。それとも地方自治庁がやつているのではないか。もう一ぺん確かめておきます。

緒方信一文部事務官(初等中等教育局長)

○緒方政府委員 自治庁から出た数字でないことは確かのようでございます。これはきのうでしたか、知事会の席上で、何ら根拠のない数字だということで、すつかり解決したそうであります。各都道府県の知事さんもそれを了承して帰られたそうであります。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 国会を軽視していると、そういうような目にあいますから、よろしく御配慮願います。  それから新聞等で盛んに流布された問題でありますが、議員立法はでたらめでいけない、そういうものを一々許しておくと、いくら予算があつても足りないという立場から、議員立法は再検討するというような声があるのであります。われわれとしてもこの委員会におきまして、前の国会で理科教育振興法とか学校図書館法とかをつくつたわけです。これは実際に現下の教育情勢、地方財政というものを考えてみたときに、どうしても必要なものであるという一致した意見からつくられたものであつて、これがもしこういう意向でなくなるようなことがあつてはたいへんだと心配しておつたのでありますが、今度の予算にはこの二つがはつきり出されて、多少ながらもこれには予算が盛られているわけです。だがよく予算を見ますと、国会をだまかす仕組みになつているとも見られるんです。というのは、当然計上しなければならぬ教材費からこの分だけ差引いているという問題なんですが、これは大臣も予算の説明をされるときに、こつちに計上されたから、教材費が少くなつたのは当然だという説明であつたが、そういうお話から照し合せても、先ほど申しましたような議員立法を軽視するということにこれは符牒が合うわけなんです。この点につきまして大臣としての御見解を承ります。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 この議員立法を提出するとかなんとかいうようなことは、これはそうした方がいいじやないかとか、そうは行かぬとかいうような政治上の論議であると思いますが、そこで現実には今の教材費の問題でありますが、教材費は前年十九億計上いたしました。それがことしは十四億に減つておるのであります。これは義務教育費の国庫負担金のうちにそれだけのものが見込んである。結局その限りにおいては、前年度に比べると五億円ほど教材費においては少くなつている、こういう関係になつております。そこで理科教育の設備の補助として四億円、学校図書館の設備補助として二億七千万円、合せて六億七千万円というものを計上した。かりにこれを教材費と合せてみますと二十億七千万円、こういうことになるのであります。理科設備それから学校の図書館に備えつける図書、むろんこれは重要な教材の一部でありますが、ひつくるめて教材といううちに重要な地位を占める教材であります。そこで理科教育の設備の費用とそれから学校図書館の設備の費用、これは本でありますが、それを別途のわくに持ち出して来たものでありますから、一般の教材といううちで従来はまかなわれて来たものがこちらへ出て来たものでありますから、自然に二十九年度においてはいわゆる教材費と名のつくものは十四億に減つておる。これはこの予算の説明のときにも申し上げたかと記憶しておるのでありますが、これは決してごまかすとかなんとかいう意味は毛頭ないのであります。申すまでもなく、理科教育の設備、学校図書館における書籍等の設備、これは重要な教材のうちであります。そこでこの理科教育、学校図書館の設備補助として二億七千万円、これを別わくにここに持ち出して来たということは、議員立法において学校図書館法あるいは理科教育振興というものができたのですから、そのできたという形に沿うてこれを別わくにして出したのでありまして、この限りにおいては議員立法を廃止するという意味じやなしに、これは金額の多少は問題でありましようが、逆に議員立法でそういう法律ができたればこそ別わくに持ち出したのであつて、別わくに持ち出したということは、議員立法を廃止するという考え方じやなしに、逆に、金は少しでも、漸を追うてこの法律の趣旨に従つて予算の措置で充実をはかつて行きたい、こういう気持から出たものでありまして、決して議員立法を、この限りにおいては軽視するとか廃止するとかいう考え方ではないのであります。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 廃止でないことは事実です。ここにはつきりうたつて、しかも、予算の裏づけもしてあるのですから、私も廃止したとは申しませんが、そういう傾向と一致しておるというようにはとれるわけなんです。というのは、まず第一番に教材費の問題ですが、教材費がこれで十分だとは決してだれも言うておらぬと思うのです。この教材費の問題もだんだんその趣旨が消えうせて行くのですが、ここに前委員長がおられるが、前委員長が非常に御心配をされてこの教材費というものは獲得されたわけなんですが、これは一般町村で計上する教材費でなくて、学校の施設というものは今のところ非常に事欠いておるから、どうしても父兄に依存する点が多い。その父兄の寄付金というものがどれくらいあるかということをその当時検討して、そうしてその分を、この負担法で含めて、父兄に今後負担をかけないようにしようじやないかということの趣旨でもつてこれは生れたと私は考えておるのです。しかし今のような大臣の御見解で教材費をながめられると、昨年度あたり地方に非常にトラブルを起しましたが、ある町村では当初計上しました町村の消耗品とか、あるいは備品費とかいうふうなものを、国から一人あたり幾ら幾らの教材費が来たからこつちは引つ込めていいのだというふうなことになる、そういうような問題も起りますし、あるいは今回のように、理科教育振興あるいは学校図書館を設置するということは、これはやはり教材の一棟であるから、これに計上した分は当然教材費から削除していいのだというふうなことになるわけなんです。私たちの考えは、教材費に対する根本の考え方と、そして二つの法律を何ゆえつくつたかと申しますと、単に教材費として計上されるようなものでなくて、特にこういう問題は教育上非常に必要である、教育の機会均等の面から行き、あるいは科学技術振興の面から行つて必要であるという点からつくつたのだから、大臣のような見解でこの二つのものをながめると、私たちのただいま申し上げたような点から行きますと、これは先ほど申しましたように、やはり議員立法は抑えなければいけないといろ趣旨を暗にここでは含んでいるんじやないかという見解になりますが、この見解の問題は論外のことであつて、どうでもいいですが、大臣としては、この点を私たちのような見解に御賛成願えるかどうか、あるいは大臣の見解を固執されますか、お伺いいたします。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 この教材費が全体としてきわめて僅少な増額にとどまつたということは、いつも申し上げるように、恐縮でありますが、一兆円予算、つまり非常に緊縮予算であつた関係上この程度の計上にとどめざるを得なかつたのであります。ただその後段のことにつきましては、先ほども申し上げましたように、これは議員立法があつたればこそ、これを別わくにしてその趣旨を明らかにした、こういうふうに私は逆に思つているのであります。特に理科設備の補助あるいは学校図書館の設備の補助というものを直接に別わくにしないで、教材費十四億と合せて総計して二十億七千万円というものが従来通り国庫負担金の中に計上されている。そしてこの新しい議員立法にかかる二つの法律に必要な補助というものが国庫負担金の中から、つまり国庫負担に見積つてある教材費の中から出て来るということであつては、何のために二つの法律ができたかわからなくなるじやないか、だからそれであればこそ特別のわくをつくつて、そして形式においてもこの法律の趣旨に沿うように別に予算のわくができた。この点は、この法律の趣旨を尊重する、法律ができたということの建前をはつきりさせる、こういう意味と私どもは考えているのであります。これが、十四億と合せて教材費の中へみな入れてしまつたというなら、この二法律ができたにもかかわらず一体どうだ、こう言われることもごもつともと思うのですが、私はこの法律ができたればこそこれを二つにわけたのだから、この法律ができたという趣旨をはつきりさした——それは金額は少いでしよう、けれども趣旨をはつきりさしたという点については、この二つの法律ができたということの建前を鮮明した措置である、かように考えております。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 その点はよくわかつたんですが、だから教材費がその分だけ減額されてもいい、その分まで減額すると、十四億以下になるのだけれども、そこのところを食いとめて十四億にしたというそこのところが私には納得できない。というのは、教材費でもしも組んであれば——この私たちのつくつた法律の実行ということは私もどうしても希望するところですが、教材費そのものの点から考えて、この二つで計上した七億の予算ですね、これをもらうには、各町村では自分のところから三分の二なら三分の二というものを出して、そうしてこれこれ予算を出します、だから三分の一くださいと言わなければ、もらえない性質のものなんですね。ところが教材費の方は人頭割でもつて来るわけなんです。従つてこの恩恵を受ける点からすれば、割合に富裕な町村が恩恵に浴して、貧弱町村は恩恵に浴せないということになるわけなんです。だからもし大臣が今のような御見解を主張されるならば、全然教材費とは別個にこれを考えて、二つの法律に七億の予算を計上してやつてもらえばよかつたのだ、教材費の方はそういう見解でもって、昨年度の分をせめて確保しておいてもらえば、貧弱町村は助かるけれども、こういう形になるというと、貧弱町村はかえつてしわ寄せを受ける形になるのだという点で、私は大臣にその点の御見解を迫るわけなんです。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 お話の通りに、この教材費というものを少くとも前年度通りに置いて、そうして別に理科あるいは学校図書館に対する補助金を計上すれば、これが一番いいわけなんです。それが先ほど申し上げましたように、予算全体が緊縮方針をもつて編成された関係上、そこまでできなかつたということははなはだ遺憾に思いますが、しかし先ほど申しましたように、この理科設備にしても学校図書館に備えつける書籍にしても、教材としては重要な地位を占めるものでありますから、ここにこれが二つ出て来れば——これはけちなことになりますけれども、りくつの上からいえば、この十九億の中でこういうものがある程度はまかなわれておつたと、こう見るべきであるから、こつちの方で五倍減らされたのだ。これは今申し上げるように、こつちも減らさず別に出て来れば一番いいのでありますが、そういうわけで、これは緊縮の関係で減らされた。しかし理科設備にしても学校図書館の設備にしても、これが教材として重要なものであれば、それはひつくるめてやはり従来の教材費十九億でまかなわれておつた内訳になるわけであると思うのであります。そこでその点は御了承をいただきたいと思いますが、先ほども僻地教育の場合に申し上げましたように、この教材費等の配分につきましても、従来のように生徒一人当り幾らという単純な基準でなしに、できるだけ貧弱な町村あるいは小さい学校に行く教材費が多少でも役に立つような配分の仕方をしたい、こういうふうに考えておるわけでありまして、従来通りの十九億というものが、生徒一人当り五百円、あるいは中学校については何ぼというふうな割合でわけられると、大府県で非常に子供の多い学校等については非常にまとまつた教材費が行くが、僻地の学校などにはほとんど言うに足りない教材費しか行かない。本年度通りにわけて行くということになれば、まつたくお話の通りに僻地の方、あるいは貧弱府県は困る、こういうことがありますから、これはできるだけ合理的に、実情に合うような配分の仕方をしたい、こういうふうに考えております。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 そんなに熱を出したわけではないのですが、始まるのがおそかつたものですから、こんなにおそくなつて非常に迷惑をかけるわけですが、委員長の方からも、やめたらどうだというお話がありますので、いずれかの機会にまたお伺いしますが、今僻地問題についてのお話がありましたので、私も質問しようと思つて用意して来たことがありますから、その一点だけお許し願いたいと思います。  この振興法とかいう法律をおつくりになる御意図があり、またそれがあるいは本年度においては困難であるかのような御説明もあつたわけなんですが、しかし私は僻地に対する配分率というものは、何らか特別措置をされれば、法律のあるなしにかかわらずできるのじやないか、立法化して必ず強く規定するものがあればなおさらいいのですが……。そこで一・〇八坪の問題、これを僻地に対してはどういうふうに考えるか、あるいは屋体についてはどういうふうに考えるか、理科教育振興についてはどういうふうに考えて配分するか、学校図書館についてはどういうふうに配分するか、こういうものについての何か御準備があればお伺いしたいと思います。

近藤直人文部事務官(管理局長)

○近藤政府委員 お答えいたします。従来中学校の施設の補助費といたしまして一人当り〇・七坪でありましたものが、ことしの予算で一・〇八坪に予算を認めてその配分をするわけでございますが、その際に、ただいまお話もございましたように、僻地の方に対しましては、それに差等をつけて補正をいたしまして、配分するように考慮したいと思います。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 まだその具体的なものをお聞かせ願える段階には至つていないのですか。

近藤直人文部事務官(管理局長)

○近藤政府委員 まだそこまで準備は整つておりませんが、そういう方向でただいま研究を進めております。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 それから教員住宅の問題ですが、これは何はおいても心配してやらなければならぬところだと思うのです。僻地の先生たちは、俸給は上げてもらわなくても、何はなくてもいい、しかし子供の学習するものは十分にほしいというふうなことを披瀝されたことも聞いているのですが、だからといつて、教員の手当とかあるいは旅費とか、あるいはこういう宿舎なんかをほつておいてはいけないと思うのです。ことしふえたと申しましても、去年と何らかわらないごく僅少な予算ですが、これだけで僻地の先生方の住宅を満足きせることができるかどうか、大臣にお伺いいたします。

近藤直人文部事務官(管理局長)

○近藤政府委員 お答えいたします。僻地教員の住宅の建築費の補助でございますが、これは二十八年度より多少ふえておりますが、ほぼ同額の約一千万円でございます。これによりまして大体教員の住宅が、戸数といたしまして百二十戸前後のものができることになつております。補助率は四分の一、単価は二万五千円、坪数は十二坪のものになろうかと思います。もちろん僻地教員住宅につきましては、要望がたくさんございましたが、予算の制約を受けまして、ただいま申し上げた程度の補助しかできないわけでございます。しかし僻地教員の住宅につきましては、今後なお十分行き渡りますように努力いたしたいと思います。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 大臣、ぜひこの点は一言御答弁願いたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 ただいま管理局長から申し上げました通り、このたびこの僻地の教員住宅につきましては予算の多少の増額も認められましたが、きわめて不十分であります。この点、先ほど申し上げましたように、実は僻地教育の振興については、私どもとして一応当相計画性のある予算をつくりまして、そして金額は八億か九億程度のものを実は大蔵省に申し込んであるわけであります。それが緊縮のために非常に削減せられて、その点非常に遺憾に考えておりますが、今後十分努力して、この教員住宅についても充実をして参りたい、かように考えております。

小林信一小会派クラブ

○小林(信)委員 今の大臣の御答弁は、私は今まで非常に残念だつたのですが、最後の御答弁の中にたとい小さい声であつても、九億とか七億という言葉を出されたのですが、実際そういう気持を率直に披瀝されて、だができないのだというなら、これはやむを得ないと思うのです。そういうふうに今後もやつていただきたいと思います。

坂田道太自由党

○坂田(道)委員長代理 本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十分散会

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