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19回国会衆議院1954/02/15

文部委員会 第4号

発言数
55
登壇者
6
会派数
3
開催日
1954/02/15

会議録

辻寛一自由党

○辻委員長 会議を開きます。  教育委員会法の一部を改正する法律案、教育委員会法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理等に関する法律案、市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案、右三案を一括して議題とし、提出者より提案理由の説明を聴取いたします。辻原弘市君。

辻原弘市日本社会党(左)

○辻原委員 最初に教育委員会法の一部を改正する法律案の提案理由の説明を申し上げます。  教育委員会法の改正は、御承知のごとく、過ぐる第十四国会におきまして、地方教育委員会の設置等を一年延期するという政府の改正提案が、参集院におきましては全会一致可決されながら、衆議院におきましては抜き打ち解散のために審議未了に相なつたのであります。  従つて現行法のごとくただちに全市町村に教育委員会を設置することについては政府並びに自由党の各位も十分に検討の必要を認めておられ、世論もまたほとんどそれを望んでおつたのであります。さらに地方教育委員会設置後の状況を見れば、世論の動向も一段と明瞭であります。すなわち地方制度調査会の答申、あるいは地方公共団体等の反対の動きはその一端を示すものと存じます。かかる世論の動きによつて本改正案と同様の改正案が去る十五国会に改進党並びに両派社会党より共同提案され、審議半ばにおいて衆議院の解散にあい、審議未了となつた経緯もあるのでありまして、従つて私どもはかかる経緯によつても全会一致超党派的に御賛同いただけるものと確信している次第でございます。  次に法案の内容を申し上げます。  まず第一点の改正は地方教育委員会は任意設置といたしました。すなわち現行法におきましては、教育委員会は都道府県及び市町村にこれを設置するとありますが、これを五大市以外の市または町村の教育委員会は当該市町村の条例によつてこれを廃止もしくは再設置する事ができるようにいたしました。この場合、あらかじめ当該教育委員会の意見を聞かなければならないこととし、また条例の制定には出席議員の三分の二以上の同意がいることといたしました。このことは現に就任している教育委員が地方住民の直接選挙によつて選ばれていることと、教育基本法及び教育委員会法の精神にのつとる教育行政の重要性を考え、特にその存廃にあたつて慎重を期する必要があると考えたからであります。さらに教育委員会を置かない市町村の教育事務については特例を設けて当該市町村長がこれを管理し、執行することにいたしました。  第二点は、教科内容及びその取扱い、教科用図書の採択、教職員の研修、給与負担職員の人事、保健、福利厚生等の事務を都道府県委員会の権限に移しました。これは一昨年十一月全市町村に教育委員会が設置されて以来実情にかんがみ、かつまた昭和二十三年教育委員会制度の発足以来都道府県委員会が処理して参りました結果を検討いたしまして、このようにし、教育行政の円滑な運営を期待いたしました次第であります。ただこの場合職員の人事につきましては特に慎重を要しますので、当該市町村の教育委員会、教育委員会の置かれていない市町村にあつては市町村長の意見を求めなければならないことにいたしました。  第三点は、五大市を除く市及び町村の教育委員会には教育長を置かないことができるようにいたしました。現行法によりますと、本年三月三十一日までは当該市町村の教育関係の部課の長が兼ねてもよいことになつておりますが、四月一日からはどうしても専任の教育長を置かなければならぬことに相なつております。御承知のごとく教育職員免許法によりまして教育長になるためには相当な資格要件を必要とされております。このことは理想であり、そういたさねば相ならぬのでありますが、実情は貧弱町村等では財政的には非常な負担であると同じになかなか適材が得がたい現状であります。従つてこの際実情に則する意味において置かないことも出来るといたしたのであります。  その他の点については、これらの改正に伴う当然の措置として条項の整理をしたわけであります。  以上改正点の要旨を申し上げました。何とぞよろしく御審議、御賛同をいただきたいと存じます。  なお若干の補足説明を申し上げます。  第一点の改正については、第三条の二項において地方自治法第百五十五条第二項の市以外の市及び町村においては条例で教育委員会を置かないことができるとし、その手続については新たに一章を起しまして、第六十五条の二に定めました。  なお一度置かないこととした市町村が再び置くことについての手続については第六十五条の三に定めました。  教育委員会の置かれていない市町村の教育に関する事務に関する特例については新たに第三章の三を起し、第六十五条の四、第六十五条の五に定めました。  第二点の改正は、第四十九条及び第五十条においてさきの説明のようにいたしました。  第三点の改正は、第四十一条の第一項但書を加えて当該市町村の条例でこれを置かないことができるといたしました。  その他の条項一はみなこれらの改正に伴う当然の措置として字句並びに条項の整理をいたしたわけであります。  次にただいま議題となりました教育委員会法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法令の整理等に関する法律案について、逐条御説明申し上げます。  第一条は学校教育法の一部改正であります。これは教育委員会を置かない市町村のできることに対して必要な改正を行つたものであります。  第二条は地方自治法の改正であります。これは教育委員会を置かない市町村について、給与負担職員の人事権の移動について、教科内容及びその取扱い、教科用図書の採択等の権限についての当然の手続であります。  第三条は教科書の発行に関する臨時措置法の一部改正であります。これは教科書採択の事務を都道府県委員会の事務とした事による当然の手続であります。  第四条は市町村立学校職員給与負担法の一部改正であります。これは給与負担職員の人事権の移動に伴う所要の改正であります。  第五条は教育公務員法例法の一部改正であります。これは給与負担職員の人事権の移動に伴つて給与負担職員の勤務条件に関する措置の要求及び不利益処分に関する審議機関が当然都道府置の人事委員会になることと、これに関連する職員団体の手続であります。  第六条は教育職員免許法の一部改正であります。これは給与負担職員の人事権の移動及び教育委員会を置かない市町村に関する手続であります。  第七条は社会教育法の一部改正であります。これは教育委員会を置かない市町村、教育長を縦かない市町村の教育委員会等についての当然の手続であります。  第八条は学校施設の確保に関する政令の一部改正であります。これは教育委員会の置かない地方公共団体の手続であります。  第九条は公職選挙法の一部改正であります。これは教育委員会の再設置の場合の手続であります。  第十条は図書館法の一部改正であります。これは教育委員会を置かない市町村の手続であります。  第十一条は産業教育振興法の一部改正であります。これも前条同様であります。  第十二条は博物館法の一部改正であります。これも前条同様であります。  第十三条は青年学級振興法の一部改正であります。これも前条同様であります。  第十四条は公立学校施設費国庫負担法の一部改正であります。これも前条同様であります。  第十五条は危険校舎改築促進臨時措置法の一部改正であります。これも前条同様であります。  第十六条は昭和二十八年六月及び七月の大水害並びに同年八月及び九月の風水害による公立教育施設の災害の復旧事業についての国の費用負担及び補助に関する特別措置法の一部改正であります。これも前条同様であります。以上要点を概略申し上げましたが、何とぞよろしく御審議の上、満場一致の御賛同お願いいたします。次に同じくただいま議題となりました市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案の提案理由を説明いたします。幼児教育についての重要性は今さら申し述べる必要もないところでありますが、ことに最近は、幼児の発育段階より見て、対学校入学時期よりもさらに重要性が大であるという実証もなされ、義務教育実施の必要が強く叫ばれている現状であります。従つて現在の幼稚園の入園希望者は年々増加し、現在公立幼稚園にあつてはその希望者の三分の一しか収容されておらず、また一教師の担任幼児数も増加して、全国平均四四・六人で最も多い一組の幼児数は六十四名にも達しているのが実情であります。このことは幼稚園施設が非常に少いことを裏書していることであり、その最大の原因は、幼稚園教員の給与が市町村になつているため、施設費に余裕がないことを物語つているものであり、また幼稚園をふやす意思があつても、給与費の負担に耐えられないので実現の運びにならない理由になつているのであります。財政負担能力に乏しい市町村に給与支払い義務があるため、有資格の採用がきわめて困難であり、二十八年度公立幼稚園勤務者五千九十二名中選任園長は二百三十一名、教諭は二千百三十三名に対し助教諭は二千六百三十七名の割合で、五二%の多きを数えるのであります。もともと幼稚園は法律で学校教育体系の一貫として学校教育法に明記され、教員免許法においても義務教育教員と何等差がなく、免許状を有しなければならぬ義務を定めているにかかわらず、市町村立職員給与負担法の適用を受けていないことは片手落ちの措置と言わなければなりません。  以上の理由によりまして、他の市町村学校と同様に都道府県に幼稚園教員の給与支払い義務を移管し、幼稚園教育の振興をはかる必要があると存ずるのであります。  過ぐる十六国会において文部省当局も改正の必要性を認め、本年より実施したいとの意向を表現せられているところでありまして、何とぞ各位の御賛成を御願い申し上げる次第であります。     —————————————

辻寛一自由党

○辻委員長 次に文部行政一般についての質疑を継続いたします。山崎始男君。

山崎始男日本社会党(左)

○山崎(始)委員 前委員会に引続きまして教員定数の問題で文部大臣にお尋ねしたいと思います。前会、昭和二十九年度の小学校、中学校の教員定数に対して非常に不安を与えておる、その問題につきましてお尋ねしたのでありますが、文部大臣は義務教育半額国庫負担法の建前上、各都道府県が本年度の予算の編成をするときに、従来の小学校一・五、中学校一・八の基準で組んでも、それで金が足らなければ当然半額国庫負担法の建前上国が責任を持つ、補正予算を組んででも責任を持つのだ、このようにおつしやつたと理解いたすのでありますが、そのように解釈してよろしゆうございますか。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 義務教育国庫負担法の関係する限りにおいてはただいまお話になつた通りであります。

山崎始男日本社会党(左)

○山崎(始)委員 私はそのお言葉で文部省のお気持ちはある程度わかるのでありますが、ただそれだけ聞きましても、私非常に不安な点も残るのでございます。なぜならば、半額国庫負担法の建前上、足らなければ国が責任を打つのだから、補正予算でも組むと言われますが、今の内閣の来年度予算編成の方針において、補正予算は組まないというのが、いわゆる閣議でも一致された基本的な方針じやないか、前回の委員会に文部大臣は、教員定数のいかんにかかわらず、半額国庫負担の建前上、補正予算を組んででも責任を持つべきだ、このように言われた言葉と非常に食い違いがあるような気がするのであります。閣議においては一兆緊縮予算をあくまで貫く、従つて補正予算は組まないのだ、こういうことは基本的なものだと私は理解しておるのでありますが、閣議の一構成メンバーである文部大臣が、足らなければそれは当然補正予算を組むんだ、この言葉には無条件に国民は了解しがたいのじやないか、実はかように思うのであります。文部大臣がそこまで責任のあるお言葉を申されるということは、この半額国庫負担法の建前による来年度の七百億という数字をきめられますときに、あるいは大蔵省なり、自治庁なりその他閣議において、所管大臣としての文部大臣のげたを預けるといいますか、はつきりとした一つの言質でもなければ、今のような強いお言葉は私は言えないのではないか、ここに非常にもやもやとしたあいまいなものが感じられるのであります。でありますから全国至るところでこの問題に対しては不安がありながらも、一部にはある程度は希望的観測を持つておる者もおる。しかし考えてみると、どうもりくつが合わぬというて不安を持つておる者もある。私はこれが今日の小中学校の教員定数に対する現在の実情だろう、実はかように思うのであります。でありますから、そこまで文部大臣がおつしやるということは、善意に解釈すれば、文部大臣はこの教員定数に対して閣議の席なり、あるいは大蔵省なりにげたを預けていらつしやるのじやないか、そうでなければ閣議自体においては一兆緊縮予算、補正予算は組まないという大原則が打立てられておる。こういう点を少し明確にしていただきたいと思うのであります。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 二十九年度予算に国庫負担金として計上してあります約七百億、これは二十九年度に府県において支出される金額の半額を、まずこれくらいに見積ると申しますか、その見込みを計算いたしまして計上せられた金額であります。しかしいつも申し上げますように、これは決算でありますから、七百億必ずしも出さなければならぬという性質のものでもなければ、また七百億を越えても法律に命ずる負担はしなければならぬ、こういう筋合いのものであります。でありますから七百億というものは、やはり一定の基礎に基いて積算せられた見込み予算でありますけれども、実際地方の支出というものの半額が、決算の上においてこれを上まわるということになれば、どうしても国としては支出するし、負担をしなければならぬ、これは法律上当然の義務になつておるわけであります。そこでなるほど本年度の予算の編成に当りましては、一兆円のわくの中で予算を組む、こういうことで各省とも大蔵省の、政府の方針に協力をしてでき上つた予算であります。従つてその趣旨を貫く意味におきましては、補正予算はできるだけ避けなければならぬ。こういうことは大蔵大臣が本会議においても、また予算委員会においても言明しておられるのであります。避けなければならぬ、避くべきものである。けれども先のことは実際わからぬのでありまして、たとえば非常な大災害が起るか、いかなる不慮の事件が起るか、さようなことは今日予見し得ないのでありまして、法律で国が支出しなければならぬ負担義務として、義務づけられておる経費でありますから、政府の方針とか、一兆を越えるからそれ以上には出さぬとか、そういうことは言えないはずのものであります。特に大蔵大臣にその点を念を押したという事実はありません。念を押さなくても、それは当然きわまることであつて、もし補正予算を組まなければ、それが始末がつかぬということであれば、必ず補正予算を出さざるを得ない。予備費で始末がつくというのであれば、予備費で措置される。あるいはまた過年度の支出として、三十年度の予算の中からそれが支出されるということになつても、その方法はいずれといたしましても、二十九年度において支出せられたる給与その他の経費が、決算の上においてその半額が七百億を上まわる場合においては、その上まわつた差額というものは必ず国で負担せられなければならぬ。この関係は今の補正予算云々の話を離れても、これだけは動かすべからざる事柄であります。特に法律をかるとかなんとかいうことになれば、また別論になりますが、現行の規定が存続する限りはこの点は動かない。必ずしも大蔵省の承諾を得て初めてそれがきまる、こういうものではない。これは当然出さなければならぬ。現に本年度の予算では、御承知の通り富裕県に対する負担額というものは、二十八年度の予算では十二月以降分は見積つてありません。これも始末しなければならぬ。これは法律上、当然の義務でありますから、特例法案というものが出て、それが国会を通過するということになれば別だけれども、そうでない限りは、これもいやおうなしに——約二十七、八億に上るでしようが、これも補正予算なりその他の方法で必ず始末をしなければならぬ。それと同じ関係になつておるのでありまして、その点ははつきり申し上げて一向さしつかえない、御信用くだすつてけつこうだと思います。

辻原弘市日本社会党(左)

○辻原委員 ちよつと関連です。ただいまの問題については大臣が当然のこととおつしやるので、われわれもその点に関する限りは、まつたく大臣と同意見なのでありますが、ただ私たちが若干質問いたしたいという趣旨は、従来のこの法律に対する文部省の考え方と申しますか、政府の考え方、それはどつちかといえば、この法律の趣旨を没却して、でき得べくんば予算のわくを締めて行きたい、こういうふうな考え方が非常に濃厚であつた、われわれこう受取つておるのです。従つて大臣が一昨日言われたことについては、まことにその通りであると手を打つて賛意を表したいのでございますけれども、何だかまゆつばものだ、だからこれについては相当はつきりした具体的な措置も聞いておかなくちやならぬ、かような意味で山崎委員も質問されておるものと私は考えておるのであります。従つて私もそういう前提で一、二点大臣にお答えを願いたいと思います。  まず第一は、大臣のお答えなさつておるのは、完全に実績を清算する主義でもつて予算を組んでおる、従つて後日いかなることがあろうが、実績が明確になれば、予算の形はどうであろうとも、必ず地方に対してはそれだけの半額を付交するのだということを明瞭に言われた、とするならば、この点とその考え方の基本的な立場と、ただいま実施されている政令に基く最高限度を押えるこの立場とは、一体どういうふうにお考えなさつておられるか。先般の国会でも問題になつた富裕府県に対する打切り問題も、これは私は教育費を確保する、多少財政上いろいろな問題があつても、やはり教育費確保という前提において、今日まで法律の趣旨に従つて補填をするという政府の当然の措置が行われたものと考えるのでありまするが、そうだとするならば、なおここに問題として残るのは、この政会の問題であります。これを一体どうお考えになつているのか、あるいはこれを今後どう取扱われて行こうとするのか、この点についての大臣のお考えを一応承りたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 従来文部省あるいは政府として、なるべく法律の規定は規定として、まず予算できめた限界を越えないように、その辺で打切るというような考えがあつたということでありますが、あるいはそういうふうにお感じになるのもごもつともな点があつたかと考えるのであります。しかしこの法律ができて実施されたのは、二十八年度からです。ですから二十八年度以降、この法律の施行以後において、さようなことは事実ないのであります。ただ定員定額制にしたいという考え方は、やはり大蔵省といいますか、政府のうちには、現にあるのであります。これはいつかも申し上げましたが、無理もない話で、つまり半分ずつ負担するという建前の場合に、その給与そのものの決定権は全然地方にあるのです。国としては、地方の出し方次第で国の支出の金額がきまるわけですから、国としてどれぐらい出すかということが、国の意向というより、地方の給与の仕方いかんで、国はあとからついて歩くということになつておりますから、財政の計画を立て、予算を組み立てる上から言えば、限度というものをきめたい。その限度が非常に無理なことになるか、事実に適合する合理的な限度になるかは例としまして、限度をきめたい、こういう考え方をことに財政当局において持たれることは、私は無理はないと思うのです。しかしとにかく本年度予算の編成にあたりましても、同様な意向が大蔵当局から示されたのでありますが、この点は私どもやはり法律はそういう実質となつておりますから、これを改めても、定員定額については今まであまりいい思い出もなかつたようだから、——定員定額制そのものがいけないというよりも、かなり無理な定員定額であつたというような事実があるように思つておりますから、実際支出という線は、二十九年度の予算におきましても維持することにしたわけとあります。従つて先ほど答弁申し上げたように、実際支出という線が維持される限り、その半額というものはどうあつても出す、この関係は確立しておると思います。  次に政令の問題でありますが、これは法律の実績支出額のうちに、但書でもつて一定の限界をきめることが法律で予定されておる。またそういうことができるということが政令にまかされておりますから、この政令の規定というものは、いわば法律の内容の一部でありまして、政令と法律の文句が合さつたものが、現実の国庫負担の限度をきめる尺度になつておるわけです。ただいまのところ政令を改正するということには私どもも考えておらぬのであります。しかし法律に違反するとか何とかいうことでなしに、法律の中でそういうことが規定してありますから、法律の規定と政令の定める限界というものとが合さつて、現実の国庫負担法の内応をなすものである、こういうふうに考えております。特例法になると、政令できめるわけにいかぬ、但書の範囲を逸脱しますから、法律改正を要する、こういうふうになつておるのでありまして、毎度申し上げますように、政令はやはり従来の通り存置するつもりであります。

辻原弘市日本社会党(左)

○辻原委員 定員定額については、これは従来の実績から見て、あまりおもしろくない結果が生れる、こう申されております。まさにその通りでありますが、私は政令の一つの考え方も、一種の定員定額に似た考え方に堕して来る傾向があると思つております。と申しますのは、大臣は今改正する必要はない、こうお話になりました。もちろんこれは法律の中では、特に異例の場合において定めることを必要とするという趣旨のもとに、あの但書はつけ加わつたものだと思う。それがきわめて異例の、特に給与の支出が非常に上まわつて来て、他府県に比してあまりにも差が生じて来た、こういつた場合において、その最高限度、これは必然的社会情勢から、ある程度規制をしなければならぬ時期が生れるというふうなことを想定して、これはつくつたものなのです。ところが今日そういう大きなアンバランスがない。しかもその最高限度があるために、年々歳々ベース・アツプが行われて、漸次一つの平均給与というものが上つて行く。とするならば、少くとも政令の中におけるこの数字の改訂は、これはそれによつて改訂をして行かなければならぬ、こういうことは当然起る問題だと思います。従つてその場合に、その基準のきめ方いかんによつて、先ほど大臣が原則として申された、実際支出の半額を支給するという趣旨が、四十六都道府県全体に及ぼされないようなことになるならば、これは一面原則は原則として、積算方式をやるのだといいましても、適用にあたつては、それに該当しない府県が漸次多くなつて来ることは、これは理の当然だと思います。従つて少くともそいうような一つの社会情勢に対応して、かりに政令が法律にあるから、これは一応やはりつくつておかなければならぬという前提を持つたとしても、それに適応するような取扱いをして行かなければならぬと思うが、その点について具体的にそういうつの情勢に適応する措置がとられておるかどうか、またとる御意思があるのかどうか、この点は一体どういうふうにお考えですか。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 大体地方の公務員の給与につきましては、同じような国の公務員の給与というものがきまつておりますから、それに準じて地方の公務員の給与も同じようにきめるということが、法律の建前のように思つております。ただ現実の問題としましては、その地方々々において人を得がたいとか、あるいは財政の都合で、つまりこの場合は国立学校の付属の先生とかそういうものにちようど当るわけでありますが、それだけのレベルの給与を出すには財政の事情が許さないで、勢いその下をまわつておるとか、あるいは県によりましては非常に教員を得がたいという事情があつて、相当財政上の困難を押しても、国の付属学校の先生とか公立学校の先よりも、その基準を越えた給与を出しておる、出さざるを得ないような事情になつておる、こういうところもあります。それから団体の財政がゆたかであるために、国の教育職員の基準を相当上まわつて給与を支払つておる、こういうところもあるわけであります。そこで大体あの政令に定めてありますものは、国立学校の教育職員の給与を基準として線をひつぱつてあるわけであります。ただこれは当然法律の一般の建前が、地方の公務員の給与というものは国の公務員に準ずるという建前でありますから、それが一番妥当な線である。但し今申し上げるように、たとえば鳥取県のように、県としての財政が非常に困難である。しかし教育に熱心であるというのか、あるいはまた辺鄙なところで先生が得がたいというような関係からか、とにかくそういう関係で国立学校の先生の給与基準を上まわつて支給しておるところもある。こういうところに対しては、上まわつておつても、あの政令は立ち入らないことになつております。但し富裕県といいますか、非常に財政がゆたかであつて、その関係か、とにかくその富裕県については上まつておるのが相当あります。それで富裕団体に限つて、国立学校の基準を上まわつているものについては、その上まわる分については国で半額負担をしない、こういう建前でありまして、そこは先ほど申し上げるように県によつて非常にまちまちになつております。そこでそれを地方団体が出すことになつております場合に、国がこれに何ぼ出せ、かんぼ出せという発言権はないのでありますから、そこで非常に富裕のために待遇が他の府県に比べて非常に高まつておるというわずかに幾つかの県、五つか六つの富裕県——鳥取のように富裕でないところは幾ら上まわつて出してもこれは国が出すのですが、特定の富裕の県において上まわつている分については、出すことはかまわぬが国が半額負担しない、これが政令の趣旨であります。そこで政令では最高額を出すという文字が使つてありますから——昔は政令におきましては具体的な金額が書いてありますが——これはベース・アップになります。ベース・アップになれば、当然に国の給与基準というものが上るのですから、その基準が上になりますから、あそこに出ている金額の点はその都度改訂をして行かなければならぬ、そこは改めるつもりでありますが、原則的な考えはやはり政令は今後残しておきたい、こう思うのであります。

辻原弘市日本社会党(左)

○辻原委員 その点はわかりました。  次に完全に実績主義で参りました場合には、これは従来であれば平衡交付金との関係、本年度以降においては交付税との関係、これが非常に重要な問題として残ると思うのですが、おそらく昨年までの例を見ましても、国庫負担金によつて算定する場合のあらかじめの一応の基準と申しますか、それと、それから平衡交付金等で算定する場合の単位費用でありますか、これとの関係は必ずしも一致を見ていない点があるし、だんだん今大臣が述べられたような精神でもつて完全に行おうとするならば、おそらくただいまの実際の状態は平衡交付金、交付税の算定の基準よりもはるかに上まわつたものが出て来るだろうと私は想像しております。そうした場合に、地方に実際給与する場合に、半額についてはそういつた実績の計算に基くもので計算され、残り半分についてはこれは低い基準と申しますか、何ら——教育費の算定としては、おそらく完全に平衡交付金だけでやつて行く場合は一応の尺度でありましたでしよう、しかし今日文部省が主として計算することになりますれば、この点についてはざつくばらんに言えば、私は架空の基礎でもつてあてがわれるという一つの変化が起つて来る。そうしたときに一体実績の主義から出た結局最後に生産されればそこに一つのそれぞれの平均が生まれ、その平均をもつて残り半分の平衡交付金、それから交付税のその算定の基礎たらしめるために、少くとも文部省は特別の努力をしなければならぬと思うが、それについてはどういう折衝をされておるか、これをひとつお答え願いたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 お説の通りに、平衡交付金といいますか交付税の方になりますと、これは地方団体の財政計画というものを一応国が見て、そうして地方の財政計画というものを組んで立てますから、その場合には学校の教職員の給与のためにどれだけいるかということは、これは実績主業ということではとうていできない。金額は、初め計画してそれによつて勘定する。その場合にいわゆる定員定額というものが出て来るのです。すなわちこれくらいの給与単価、これくらいの人数、これが地方において二十九年度において需要される数字であろう、こういうことで自治庁において計算するわけであります。それによつて、いろいろな費用もあわせて、そうして地方に交付金として配付して行く、こういうことになるわけであります。ここで非常に教職員の給与がしぼられるということになれば、現実的にはやはり地方の富裕なところではそんなことにかまわず、現に東京あたりは平衡交付金をもらわないのですから、そういうことにか願わずに、実情に応じた人数にし、実際に必要な経費給与を計上するでありましようけれども、やはり多数の県におきましてはこれが非常な財政上のもとでありますから、そこで自然ある程度の影響を受けるということはこれは当然のことであろうと思います。これは自治庁の方でありますが、ただ従来定員定額というものは、従来の実績というもので積み上げて来ているのでありますが、従来の五十人に対して一・五あるいは一・八という、こういう知一員基準というものが、実際から言うと、定員だけに関係すると定員を相当上まわつているというのが実情であります。それだけの先生は地方においては事実ないということでありまして、これはところによつて非常に違います。五十人に一人とか一人半とかいう計算では土地土地の事情で非常に違いますから、これは何とかもう少し的確な、たとえば学級というものを基礎にして計算するとか、あるいはそれでも足らず地方の事情、つまり大都市あるいは大府県におきましては人数が多いから割合に一・五なんという数字はいらないらしい。これに反して僻陬地をたくさん持つているような府県では、理論上五十人に一人とか一人半ときめてみたところで、二十人とか三十人の学級がたくさんあるのですから、そこにどうしても少くとも一人配分しなければならぬということになればよけいいる。逆に大府県においては基準より少くて済むというような事情が相当あるようであります。そこで何とかこれにもつと合理的な基準をきめたいということは、実は自治庁でもそれを希望しておりますし、文部省としてもまことに望ましいと思つておるのであります。ただ今年のように予算が割合圧縮されたときにおいて、予算の金額を頭に置いてこの基準をつくると、勢い無理な基準ができるおそれがある。私どもの希望としては、教育上これだけの人間がなければならぬ、こういう基準を実はつくりたいのでありまして、これは学校の教育課程審議会ですか、ああいうところで課程をきめておりますから、これは現に高等学校は進行中であります。そういう教育課程というものとにらみ合して、先生がどれだけいるはずだという的確な数字を実は出したいと考えておりまして、予算のわくで無理にゆがめられた基準をつくるということは将来の問題としてあまり好ましくないものでありますから、実はあまり急いでおらぬというのがほんとうの打明けた実情であります。そういう次第でありましてこの従来の一・五、一・八というものも、これは自治庁で一応とつて来た数字でありますが、この点から見ますと、これは総体からいうと相当に実員を上まわつている。これは実情に合わない証拠でありますが、ただ給与の単価が少いために、定員定額というところで、非常に予算に縛られておるのであります。そういう状態であります。そこで今年の予算におきましては、実は行政整理とか何とかという関係もあつて、地方にも——これはひとり教職員だけじやありませんが、これを要望したいという気持もあつて、いわゆる一・五、一・八という自治庁が見ておる教字には実は合つておりませんけれども、これは定員としては従来多過ぎておりまして、むろん前年より減るということは絶対ありません。二万数千人ふえるという計算になつておりますが、そういうわけで従来の定員が一・五、一・八というような、自治庁のやつているようなことにはなつておらぬ、こういう実情でありす。

辻原弘市日本社会党(左)

○辻原委員 ただいまの大臣の御答弁の中には、やや技術的な問題もありますので、こまかい点は省きますが、大臣の答弁の中にもあつたように、個個の府県にいろいろアンバランスが出て来ることは当然なことです。建前から行けばこれは当然そういうことになるのですが、その当然がいけないのです。私の申したいのは、富裕府県、これはお説のようにあとの半額は自己財源でもつてやれるのですから、その主たる基準が、国庫から来るところの実績に基いての基準が優先することは当然です。従つてその富裕府県については、その点について何ら被害は受けない。ところが弱小府県については、いわゆる交付税をもらわなければならぬ府県については、これは逆に片一方の半分によつて縛られて来るから、逆にそれが一つの基準になつて、実績主義が生かされぬという結果が生れる。そういうようないわゆる金持ちのところというか、一応財源があるといわれるところは比較的無事平穏であう、そうでないところは逆に被害を受けるということは、これは一体どうしたことか。教育上はたして妥当であるか。言いかえれば、からだ半分は清算で行くし、あと半分は定員定額で行くというかつこうであつて、人間でいえば人魚みたいなかつこうが教育財政の今日の方法だと私は思うのです。そのことによつて、少くとも負担法による精神が突き通されれば、これに越したことはないのですが、逆に交付税による基準が突き通されようとしている現状から見た場合に、さつき大臣が、清算主義をもつてこれをやるのだ、そのためにせつかく教育費を確保する意味の法律をつくつたのだ、こう言われても、事実上それが行われぬ。ここらに私はもう少し検討すべき余地があるのではないかと思う。これは急がないでやるという話でありますので、私はこまかくは申し上げませんが、ひとつじつくりこれを御検討願いたい。私も一私見を持つておりますが、少くとも平衡交付金あるいは交付税というのは、一般地方財政に対する全般の基準法です。教育費に対する半額国庫負担法というものは、言いかえればこれは特にその中の特別立法としての特殊法規である。教育費に対する特殊法規であるとすれば、建前は当然教育費に関しては、この半額国庫負担法の精神によつて運用して行かなければならぬということに相なる。従つてその場合に問題は、この二つの制度によつてやるとするならば、いずれかの形で一元化して行く。そうすればわれわれとしては、この精算主義による一つの平均値なら平均値をもつて片方の交付税の算定基礎たらしめるように、あるいは各府県の実績が尊重されるような、そういう一つのアンバランス是正、適当な一つの補正というものをここらで加えて行く方法が、私はないことはないと思う。そういう形で教育費を一元化して持つて行つてくれるならば、今日地方でいろいろ府県によつてアンバランスが生じているという問題は解消して行くのではないか。その点を強く私は大臣にお願いしておきたい。  なお最後に確めておきたいのは、いろいろ一・五とか一・八とかいつた基準については、この半額国庫負担法の中における国庫負担金の基準についてもいろいろ従来研究をなさらておつたように見受けるが、先ほどからの大臣の御説明によれば、こういう基準が国庫負担金については必要がないということは、一応の最初の概算をする場合の目安であつて、これは各学校にそうしなければならぬという一つの強制力もないということに私は相なると思うのですが、その点についてそう解釈してさしつかえないかどうか、最後に一つお伺いをしておきたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 ただいま終りにお述べになつたその点は、さように御承知いただいてけつこうであります。ただ来年度については、各府県団体に交付されるというか、計画の中に盛らるべき教育費関係の交付金については、これは自治庁の方ともよく相談をいたしまして、正確な基準を今法律できめるというようなことは、むろん先ほど申し上げるようにあとまわしとして、少くとも来年度分についても、たとえば従来理論学級といいますか、五十人云々、これが非常な間違いのもとになるのでありますから、実学級を元とするとかいうように、できるだけ地方の実情に合うような配分の方法を考えたい、そういうふうに予算を執行して参りたい、こう思つております。

原田憲自由党

○原田委員 関連して。ただいまの給与の問題で、私らのところに盛んに今度の給与で定員定額になつて首切りが行われるのだというような陳情が来る。今お話を聞いておると、そういうことは絶対にない。この前義務教育費半額国庫負担法が出たとき、半分は国家で半分は自治体というようなへんてこなことにしておかぬで、現員現給制度で全部やろうという趣旨で出された。ところがそれに対しては、それは国家公務員になるから反対だというような反対論が出たのですが、大蔵省の中には、銭勘定ばかりしておられて、なるべく金の出ることを防ごうという銭勘定の上の考えがあるが、それに対して今文部省がとつておられる態度は間違いがないのであり、それが先生方にもよいことになるのであつて、今度もそういう面からする首切りはないということをはつきりとよく知らせてあげたらどうか。中には、首切りになるのだ、そういうことを自由党や政府がやつているのだというように思い込んでいる人が相当あるらしい。一昨日も大臣はそういうことを言つておられたが、この点関連をしておりますから、私は特に発言をして要望しておきます。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 これはこの前もちよつと申し上げましたが、何かの間違いとは思いますが、しかしこれは予算を見れば一目瞭然でおります。なるほどベース・アツプの関係で増しているものもあります。しかしとにかく半額として百億増しておるのですから、大量の首切りがあるというようなことはあり得ない話である。さようなビラが方々へまわつておつたりして、五十万教職員に対して不安を与え、あるいは二、三日前聞くと、教育委員の方でもそれをほんとうにしておられ、知事の方でもそれを間に受けて、来年度の地方の教育予算について、教育委員会と府県知事との間にいろいろそれが種になつてむずかしくなつておる。こういう話を聞いて、私は実にこれは遺憾しごくであると思う。これははつきり予算を見ればわかり切つたことで、どこを押せば一体大量首切りなんていうことが出るのか。これは自治庁と私の方とで、もう出したかもしれませんが、その辺の誤解を解くために地方へは通牒を出すことにしております。あるいはもうすでに出したかもしれません。そうでないと、知事の方でも、教育委員会でも、これを真に受けて、来年の地方における教育予算の編成というものが、非常に変なものになつてしまうということではまことに困りますから、これに通牒でよくその趣旨を説明することにしております。

山崎始男日本社会党(左)

○山崎(始)委員 自治庁の方が見えてからお尋ねした方がいいのでありますが、全国的に不安がありますから、私は実はこの前の委員会からこの問題をお尋ねしておるわけなのであります。ただいまの大臣の御答弁を聞いておりますと、私たちは大臣のお気持はよくわかる。同じに、どうせ足らぬなら、補正予算を組んででも、あるいは予備費から出してでも、これは責任を持つべきものなんだ、こういう御決意のほどを伺つて私たちも実は安心するのでありますが、全国的に不安をまいておるということは、先ほど私が申し上げましたように、大臣がそれだけ強い御発言をなさる以上は、一兆円予算でもつて補正予算は組まないんだというこの内閣の基本的な言葉と、大臣のお言葉から見ますと、足らなければ補正予算でも組まなければならないのだという、そこに相矛盾をした点が、私は割り切れない不安ということになつておるのではないかと思う。従来まで一・九、一・八というこの算定基準が、自治庁の方のお話では、しかも二十九年度の地方財政計画の七百億という数字の算定をするこの基礎というものが、一・三五、一・四ということが巷聞に伝えられて、従来より低い算定基準でこの七百億という数字ができ上つておる、そこに不安があるのであつて、何ら作為的なデマであるとか、何であるとかいうものから来ている不安とは実は私たちは思つているのであります。従つて、ちようど大臣のお言葉のように現存予算編成期——私らが知つております県でも非常に不安であるから、まあ一・四くらいで組んでおけというて予算編成を一・四でやつている県もあるのであります。従来までは一・五だつたものが四になれば、当然そこに地方の教員あるいはPTAあるいは教育委員会というものは何が何だかわけがわからないという気持になるのは当然であると思うのであります。でありますから、大臣の御決意のほどは私たちは非常にありがたい、非常に安心するのであります。安心するのでありますが、金を出すのは大蔵省、また地方財政計画の策定基準を出してそれを示されるのは自治庁、そしてみるとこの三者のうちにかなり食い違いがなければそういう不安というものは起らない、食い違いがあるから私は不安が起るのだろうと思う、こういうことなのであります。先ほどからの大臣の御決意のほどは非常に私とすれば感謝いたしたいのであります。感謝いたしたいのでありますが、そういうことに不安がありますので、それでそれだけ大臣が強いお言葉を言われる以上は、閣議の席において、あるいは大蔵大臣かその他に対して、先に行つて足らぬときには補正予算でも組ましてみせるという大臣の御決意と受取つてよいか、あるいはそういう言質でもあつて、表面は大蔵大臣にそういう話はしたことはないと言われますけれども、そういう点があるのではないかと、私は善意に解釈をしておきますが、かなりここはデリケートなまだもやもやしたものが実は私の気持には残つているのであります。いずれ自治庁の方が見えましたら、この算定基準の点で少し聞いてからにいたしたいと実は思つておりますから、一応私の質問はこれで打切ります。

辻寛一自由党

○辻委員長 今井耕君。

今井耕改進党

○今井委員 予算の問題について二、三の点で文相にお伺いします。  戦後の教育におきまして、いわゆる学校教育におきましては曲りなりにも一応軌道に乗つておると思うのであります。今日の教育の最も空白と申しますか、あるいは盲点と申しますか、そういう点は私は社会人教育にあると思うのでありますが、その中でも特に婦人の教育、青年の教育というものを最も重視しなければならないと思うのであります。と申しますのは、新しい憲法によつて婦人に参政権が与えられた、そして男女が同権となつた、しかしこれは婦人の自覚と努力によつてかち得たものでないことは当然だと思います。従いましてこの際婦人の自覚を高め、その地位の向上をはかることについて特別の努力がなされなければならぬ。ところがそれが何らなされておらぬ。従つてこういうことが政治的にもあるいは経済的にも、社会的にも非常な支障を来す、また場合によつては危険性がある、こういう点が確かにあると思うのであります。従いましてこの点については特に直視をして行かなければならぬということが一つ。もう一つは青年の教育でありますが、今日の青年は大体満州事変の前後に生れて、太平洋戦争のころに義務教育を受けて、敗戦の混乱期に育つたものである。従つてしつかりした教育というものが何らできておらぬ。この青年の教育というものについては非常な努力をしなければならぬ。そこでこの社会教育というものが、平時におきましては学校教育を終つたものに対してこれを補足的にやるというような姑息的な考え方に立つておつた。ところが今日の実情は違うのであつて、こういうような特殊事情にあるのであります。従つてここに非常な努力が払われなければならぬことは当然であると思う。こういう見地から考えまして、青年の教育ということにつきましては去る十六国会において、大達文相は勤労青年の教育ということを一つの大きな眼目として青年学級に関する法律をつくられたということは、これはまことに時宜に適したことであつて、私は双手をあげて賛意を表しておつたのです。ところが今度出たところのこの予算を見ますと、あの三分の一の助成によれば、当然八千八百万円というものが生れなければならぬ。ところがそれが四分の一に減つて六千六百万円に減つてある。一体これはどうしたことか、文相が大きな一つの眼目としてやられたことが、一年もたたぬ今日においてこの助成が四分の一に減つておる。また地方においてはこれはたいへんけつこうなことだといつて大分青年学級がやりかけられておつたのに、それが翌年には補助金が四分の一に減つておる。そういうことではたしていいのかどうか、実は私は大達文相の信念を疑うのであります。なるほど緊縮財政これは必要です。しかし緊縮であればこそより一層重点的な効率的なことが必要なんです。そういう点からいつて、少くとも三分の一助成というものが堅持せられる、これは文相の重大な責任だと私は思う。それをおざなりに減らしてしまつて、それで何ともない、そういうことでは私は青年学級なんか振興するものではないと思う。これは私はまことに遺憾に思つておるのですが、一体どういうふうにお考えになつておるか、この点をひとつお気持ちをお伺いしたいということが一つ。  それから婦人教育の必要のことについてはさきに私が申した通りでありますが、この予算書には項目として婦人教育は一つも出ておりません。少しは何かあるらしいのでありますが、せめてこの予算面に婦人教育の振興というのでなくても、一つ項が出るのがあたりまえである。ところがどこを探してもどこにもないのです。多分謝礼金の中にでもちやんと入つてやしないかと思うのですが、一体そういう方面についてどういうようなお考えをお持ちか、また入つたならばどこにどれだけ入つたのか、その点をひとつお伺いいたしたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 今日この青少年に対する教育といいますか、これは非常に重大であるということはまつたく今井さんと御同感であります。ことに非常にみな戦後の窮乏の際でありまして、それでなくても刺激を受けやすい青少年の動きというものは、よほど注意しなければならぬものであろう、これが正しい教養を得られるようにするということは、私は現在の国家の一番大きな問題の一つであろうと思うので、その点はまつたく同感であります。ことに過去の歴史を見ても、青少年の動きというものが国家の方向を決定しておる場合が非常に多いのであります。今日のような、ことに非常に窮乏な人が多くて、中学校は出ても上の学校に進めないという人が大部分であります。それで勤労のかたわら勉学をしたい——今日御承知のように青少年の非常に大きな部分が、前途に希望を失つて、パチンコをやるとか競輪をやるとかいうような刹那的にその日々でもつてくさくした気持を忘れようとしておるような、まことに気の毒な痛ましい状態におる。しかるにもかかわらず、また一部の青年のうちには、昼間非常にはげしい勤労をしながら、やはり非常な向学の心に燃えておるという青年が多いのでありまして、これらの人々にその希望を果す道を講じて、そうして青年の中にりつぱな芽が育つようにする、また教養を高めるようにするということは、非常に大切なことだと思つておるのであります。そこでこの前の国会で決議になりました学校教育における定時制の学校の振興の問題、それから通信教育の問題、それから今の、やはり法律が出ました青年学級の振興、こういうことは今日ようやく芽がはえ出したようなもので、まことに経費としてもきわめて微々たるものでありますが、これをだんだんと育て上げて行くということは、非常に大きな問題として、私としては非常に大切に考えておるのであります。ただ率直に申し上げますと、これはあまり少額な零細な補助金をそこいらに出してみたところでほとんど意味をなさぬ、こういうごく一般的な考え方で、大蔵省で実はみな削られてしまつたのであります。学校教育におきましては大筋の道ができて、そうしてレールに乗つて相当の経費も経常的なものが組まれておりますから、そういう場合にこれにひつついたごく小さい補助とか何とかいうものは、あるいは削られてもやむを得ぬかもしれぬが、社会教育なんというものはまだその社会教育というものの本道ができておらないのでありますから、これから少しずつ芽をはやして行つて、そうしてこの社会教育というものの今後における発展を期待しておる、こういう状態でありますので、零細であるということでせつかく少し芽がはえかけたやつが、みなとられてしまつたのでは、どうにもならないということで、実はこれは私たちが最後まで苦心をして、いわば最後のどたんばまでねばつて、ある程度復活をしてもらつたわけであります。定時制の方では法律もできたことでありますから、当初相当の予算を要永したのであります。これは前年から見れば、ある程度増額された約一億円ぐらいの経費だつと思いますこういうものが計上し得た。これとても非常に不満足であります。それから青年学級の方は、これも今お話の通りにきわめて零細な補助金を計上して、そうして法律をつくつただけでも、やはりその青年の間の向学心といいますか、向上心といいますか、それを刺激して、昨年この委員会であの青年学級の法律案の御審議をいただくときに、私たちは、自然発生的にできた学級が一万二千学級というように御説明申し上げたのでありますが、この間大蔵省と折衝するときにはすでに二万学級 これは私は正確な数字は知りませんので、事務当局からもらつた数字でありますが、二万学級、さような勢いで、ちよつと気合いをかけただけでも、この青年学級というものは非常な勢いで今機運に乗つておる。そこで全額ゼロにしてまつて、せつかく今芽ばえをしかけたものに水をふつかけるようなことでは非常に困るので、実はいろいろ努力をして増額要求を相当した。一件年次計画も立てまして、予算は相当大きな予算を出したのでありますが、そういうわけでみななくなつてしまつたのですから、せめて前年通りまではということで非常に努力をいたしましたが、残念ながら六百万円ほど前年よりは減つたことでようやくまあ……。それで金額において減ります。対象になるものが減りますから、三分の一補助を四分の一補助にする、こういうまことに遺憾な結果を生じたのでありますが、これは今後とも、社会教育、ことに行少年を対象とする教育というものがいかに重大であるかということについての各方面の認識を得まして、これについては今後鋭意努力をして参りたい、かように存じております。それから婦人教育でありますが、これも御指摘の通り、まことにはずかしくてほとんど言われないくらいの経費であります。ことしの予算の中に入つておりますけれども、これは前年は多分五十万円だかあつたのです。あつたのを、二割節減ということで、それが三十六万円に減つてしまつて、そういう微々たるもので、これは婦人の協議会をあちこちにやる、そのときの実にささの葉につけたようなものですが、その経費が五十万円という実に微々たる経費であつたところが、例の二割節減というやつで三十六万円に減らされてしまつて、ことしはむろんこういう小さいものはみな一切なくなつてしまつたのですが、これも頼んで、大体前年通りといいますか、これは非常に微々たるもので、ちよつとこういう席で御説明申し上げるのはまことにはずかしいようなものでありますが、三十万円くらいの経費が出ております。これはそういうふうにおつしやられると、私どもの方ではちよつと申訳ないのでありますが、これも今後鋭意この方面に少しずつでも前進をして参りたい、かように考えております。

今井耕改進党

○今井委員 文相の行年教育に対する御認識につきましてはよくわかつたのでありますが、現実的に青年学級でも予算が減つておる。それが地方に及ぼす影響というものは非常に大きいということについては、これは言いわけではいかぬのでありまして、非常に遺憾に存ずるのでありますが、最後まで要求したけれども、削られたのだからやむを得ぬ、こういう御説明でありまして、それはその通りであろうと思います。しかしことしの政府の考え方も、そう何もかも天引き一率ということではなかつたと思う。もしそういうものであるならば、これはもつてのほかである。当然政府においてもやはり重点的能率的に予算を出して行く、そういう考え方はあつたと思うのです。そこでやはりこういうような予算でも、そういう点をもつと強くやつて、それを大蔵省がのまなければ、のまぬ大蔵省が悪いのであつて、弁解しただけでは文部省の責任が済んだとは私は言えぬと思う。場合によれば、文部省の中の予算でも、もつと削つてここに持つて来ていいものがあります。そう何もかも、大蔵省で削られたからしようがない、そうして文部省がいかに重点的能率的にやろうと思つても、大蔵省で削られたからしようがないのだ、しようがないのだというのだつたら、一体文部省の主体性というものはどこにあるのか。大蔵省の文部省かというふうにいわなければならぬ。私はこういう点をもう少しはつきりやつてもらいたい。この点を特に大達文相に私は念願をする。また婦人教育の予算も、承りますと五十万円のものが三十万円になつた。これでは一府県にも少いような経費であります。こういうことが今日全国の農村の婦人の幹部の間で大きな問題になつておる。これは実に子供だましみたいな話です。五十万円のものを三十方円に減らして、一体どれだけ緊縮予算に影響があるのか。こんな二十万円くらいのものは手をつけぬ方が政治的にもよほど賢明な方法だと思います。それを二十万円削つて、国の予算にどれだけ効果があるのか。文部省は婦人教育の振興についてどうも冷淡だ。二十万円で冷淡だと思われる。それほど大きなマイナスはないと私は思う。こういうことをもう少しお考えになつたらどうか。私は実に遺憾にたえぬ。また五十万円といつても非常に少いので、少くとも今予算の中に一つの項が現われるくらいな態度を、婦人教育の振興についてはつきりお示し願いたいと思います。こういうことについて政府自体として今予算を修正することもできぬと思いますが、将来そういうことをやつていただきたいと思いますので、そういう点のお考えをあらかじめお伺いしたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 御意見はまことにごもつともでありまして、つつしんで拝聴いたします。婦人教育につきましても今後できるだけ進展させて行くようにいたしたいと思います。

今井耕改進党

○今井委員 同じ青年教育の問題ですが、この予算を見ますと青少年の指導者の設置補助というのが八百六十二万五千円全額削除になつておる。これも青年教育に重大な影響を来すのであつて、県に一人や二人くらい青年教育の専門の者がいるということが必要なことは当然のことであるし、郡や地方事務所単位にしつかりした青年教育の指導員が一人くらいはいて、各村から部落まで青年教育の指導を徹底させることがぜひ必要だと私は思うのです。それなのにこの経費を全部削つてしまう——青年学級の経費は減らし、青年指導員の経費は全部削除するということでは、青年学級の経費を減らした上に、また青年教育に熱意のないことに輪をかけたような予算になつておると思うのでありますが、一体これはどういうことか。なおまたこういう社会教育の中心となるところの公民館の運営費、これは設備補助にかわつておるようでありますけれども、しかしそれにしてもやはり六百何十万円というものが減つておるわけなのです。このことも社会教育を非常に軽視した現われである。こういうことを考えてみると、今の文部省は社会教育というものについて全然気持がないのか、やらぬでもいいのかというような感覚を与えると私は思う。特に今日青年教育、婦人教育ということは、戦後の教育として何といつても思い切つてやらなければいかぬと思う。教育の盲点はここにある。それにもかかわらず、むしろこの予算はその反対の方向を向いておる、こう言つても私は弁解の余地がないと思う。いろいろ事情があると思うが、一体これはどういうことか、あるいはこれに対して文相がどういう考えを持つておられるか、この点だけ伺いたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 提出いたしました二十九年予算におきまして、社会教育振興の予算というものは、非常にさびしいと申しますか、非常に削られておる。従来から見てもなお減つておるということは非常に残念に思います。また申訳ないと思います。これにつきましては先ほど申し上げましたように、今後社会教育というものが非常に重要であるという点についての各方面の認識を求めまして、ぜひともこの方面に新しく教育の分野を堅実に、また国の施設としておかしくないものを——今はいわば試験期のような状態で、予算にしてもわずかでありますが、これを今後ぜひ国の社会教育としてりつぱな規模を備えた有意義なものにして参りたい。こう考えております。最後に、一言申し上げますが、青少年の指導費、これはやはり予算編成の関係で、ここから落されておりますが、しかし同時に平衡交付金の方へ前年と同額のものが計上されることになつております。

今井耕改進党

○今井委員 今の青年指導員の設置補助ですが、平衡交付金の方に入つておるという御説明がありましたけれども、平衡交付金というものが、どうも内容がはつきりせぬものでありまして、大府県などではいいでしよう。ところが貧弱な県ではこれはその方面に行かないと思うのです。ところがそういう貧弱な農産県というものについて特により一層こういうものが必要なんです。そこでこういうものはやはり平衡交付金の中に入れないで、別建にすることが非常に必要だと思う。いろいろ聞きますと、こういうものはすべて平衡交付金の中に入れよという大蔵省あたりの意見があつたというようなことも私は聞いております。しかし必要なものは残つておるのです。たとえば農業方面の改善普及員というもの、これもやはり同じような性質のものですが、この項目は残つておる。従つて立ち消えにならぬようにやはりこういう項目は最後まで死守して残してもらいたい。今日青年教育というものは最も必要なんです。そういう時期にこういうものが立ち消えになるようなふうにして、これも平衡交付金に入つたのだ、あれも入つたのだということになつては、これはまことに悲しむべきことだと思う。もう少し強力にやつてもらいたいと思う。  なおこういうことによつて、私はそう予算がふえることを要求しておるわけではない。削る面もあると思う。そこでひとつお伺いするのですが、文部省には、国立のものとして国語研究所とか、遺伝の研究所とか、いろいろな研究所があるのですが、こういうものにたくさんの職員がいる。また国語研究などについては相当な権威者が必要ですが、何か若い人がたくさんいるように思う。そしてそこにも自動車が置いてある。こういう緊縮すべきときには、こういうものこそ緊縮して、重点的な方に持つて行けると思うのです。内応を聞いても、何やら外国の地名をどう読んたらよいとか、そういうことに五十人も六十人もおつて、自動車を置いて走りまわらなければならぬことはないと思う。だから不必要とは思いませんが、必要なものは大学の研究所に委託するとかなんとかしてもらつたら、十万円か、二十万円の金は浮いて来ると思う。これは文相がはつきり考えられたらできることだと思うのです。だから国の予算全体ではなしに、文部省の予算の中でも私はそういう点はあると思うのです。ところがいろいろな情実にとらわれてできておらぬことが相当ある。これは大蔵大臣が聞かぬからということではないのであつて、文部大臣の権限でできることだと思うのです。しかも文部予算の総額をかえないでもできることだ。そういうふうにやられることを私はたくさん知つておりますが、そういう点ははつきりやつてもらつたら緊縮予算でもなるほどというところが私は出て来ると思う。そこに今日の緊縮予算でも値打のあるところがある。そうでないと、かんじんなものでも、かんじんでないものでもおざなりに一緒にやるということでは、どうもわれわれは納得が行かぬし、一体今日政府の文教政策というものがどこに重点が置かれて、どういう方向に進むのか。そういうことがこの予算を見てどこにもないのです。そういうことではこれはピンと来ない。いわゆる予算そのものが政府の方向をはつきりきめるという予算でなしに、萎縮予算である。そういうことであつては何もかも萎縮するのです。そういうことをひとつぜひ考えてもらいたい。こういうことを私は特に希望をするわけです。  それからなおもう一つ、老朽校件改築補助のことですが、これが八億円減つておるのです。これも緊縮予算だから、私も予算をそうふやすということは考えなければならぬと思うのです。しかしこれもよく実情を調べますと、非常に子供の生命に危険を感ずるというようなところもずいぶんたくさんある。こういうものはいかほど緊縮予算のときでも、これはもうやらなければならぬことだと思う。そこで過日の御説明にも三年間の計画で建てるというようなお話がありましたが、はたして三年計画でやつて行けるか。そういうような危険を感ずることはないかどうか。その内容は一体どうか。こういうことをひとつお伺いしたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 この老朽校舎の改築につきましては、一定の標準をつくりまして、そうして危険度の高いものから順次これをやつて行く。お話のように建物そのものが古くてもう使えないという考え方でありますから、できれば一日も早く改築した方がいいのでありますが、しかしやはり予算、財政の都合もありますし、また改築をする側の地方団体としましても、そう一ぺんにみんなやつてしまうということは、財政的な面からそれも困難な点もありますので、予算、財政の許す限りできるだけ進めて、一日も早くこれを解消するようにしたい。その場合には、私も実は今よくわかりませんが、科学的に危険度を測定する標準を政令でつくつておりまして、その標準に照し合せてみまして、危険の強いものから順次に改築して行く、こういう考え方で進んでおります。なるほど御指摘の通り前年度の予算から見ますと八億円ですか減つておるのであります。これはこの危険校舎の改築の経費というものは元来が昭和二十八年に初めて提案せられて、着手せられたものでありまして、それが十二億円ですか、計上してあつた。それを特別国会の場合に三派合同修正ですか、この修正の際にさらに十億円をつけ加えて二十二億、こういうことになりましたので、少くとも二十二億円の線を確保したいと思つたのでありますが、これも予算緊縮の際でありますので十四億円、つまり前年度の二十億から比べると八億円少くなつておる、こういう実情であります。成行きを率直に申し上げまして御了承をいただきたいと思います。

今井耕改進党

○今井委員 文相の御答弁はよくわかるのですが、こういうような生命に関係のあるようなものは一日も早くやらぬといかぬと思うのです。これは本年度の予算で都合がつかなければ、何も予算で全額を見なくても、資金面で確保する。これも財政資金が行かなければ民間資金で一時立てかえさせたらいい。それについて当分の間利子補給をしてやる。金が融通つかぬからとにかく建てさせておいて、そうして利子補給をして二、三年間待たしてやる。そうしてあとから補助してやるという方法をおとりになれば、今その補助金全部を見なくても、危険なものは改築できると思う。だから何も本年度の予算がこれだけ減つても、そういうような危険は防止できる。そういう道もあると思う。こういう点はよほど考えなければならぬわけで、今日社会人から見て、一方において不要とは申しませんけれども不急なビルディングなんかがどんどん建つて行く。一方において危険で子供の生命に関するような校舎は建たないというようなことでは社会の目が許しません。従つてこれは何も老朽校舎の問題ばかりではありません。ほかにもそういう面がたくさんありますが、そういうような方途を何か講じまして、本年の予算がそう膨張しなくて、しかも目的が達成される。そうして何年か後にそれが償却されるような方途を見出していただくということも一つの方法だと思う。そういう点についてもう少し各種の方面から検討してもらつて、そういうことに支障がないように一段と努力していただきたいということを特に念願するわけでありますが、何かそういう方法につきまして大蔵大臣あたりとお話合いでもされたことがあるかお伺いいたします。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 ごもつともなお話でありまして、何といいますか、融資の面で相当その方に金が向けられるということになれば、一時利子補給ということで相当大幅に老朽校舎の改築が進捗すると思うのですが、これも御承知の通りでありまして、融資ということが非常にきゆうくつになつているというのが実情であります。いつも予算をきめる場合におきましても、国庫の補助がある、そのあとの残額につきましては、地方の方でこれは手持ちの財源で建てるということは事実上困難でありますから、常に大体起債ということでまかなつて行く。この起債について非常にきゆうくつなわくがありますので——これは事実上資金の関係でそういうことにならざるを得ない。場合によると補助金も、どうしても融資の資金の方の関係でこれ以上出せないからというようなことできまるような場合へある実情であります。その点は何もかも残念でありますが、非常にきゆうくつになつておるのですが、なおそれらの点についても今後十分研究して、できるだけ早くこの改築を完了するようにいたしたい、かように考えております。

今井耕改進党

○今井委員 まだいろいろありますが、本日はこの程度にいたします。

辻寛一自由党

○辻委員長 次に辻原弘市君。

辻原弘市日本社会党(左)

○辻原委員 私は最初に幼児教育の問題について若干お伺いをいたします。  先ほど私どもから市町村立学校職員給与負担法の一部を改正する法律案を提出いたしましたが、この提出いたしました趣旨は説明いたしました通りでございますけれども、この点については、ただいまの幼児教育と申しますが、特に公立幼稚園の問題のみ取上げて、その給与について義務教育学校とできる限りその歩調をそろえるという趣旨から出したものであります。そのほかに私は最近この幼稚園の教育についていろいろ考えさせられる問題があるのでありまして、従つてこの点についてお伺いをしてみたいと思います。  第一に、先日私が郷里に帰りました節、特に幼稚園の問題について比較的関心を持つておる人から、私の市に私立の幼稚園を設けたらどうだ、こういう相談を実は受けたのであります。そこでいろいろ計画を聞いてみますと、大体百五十人ばかり収容する幼稚園をつくりたい、こういう計画であつたようであります。私はざつと胸勘定いたしまして、少く見積つても五百万円くらいの資金を必要といたしますね、と言つたら、とんでもない、大体百万そこそこの金でできるんだ、こういう話を聞いてびつくりしたのであります。私は何を言わんとしておるかといいますと、ざつくばらんに申しまして、最近幼稚園を経営すると非常にもうかるという話を地方のあつちこつちで耳にするわけであります。事実非常に盛況をきわめております。ところがその半面、これが一つの企業的な形に堕して、できる限り施設は狭隘でよろしい、あまり特別な施設もしなくてよろしい、そうして多くの園児を入れよう、とにかく時勢がそういう方向に向いて来たのだから、できるだけ安上りにして園児を収容しよう、こういう計画がちまたに相当氾濫しておるのではないかと思う。私が承つた話は、決して悪意に出たものではありませんけれども、おそらくその人たちの考え方としても、幼稚園つくるについてはそう金がかからぬという観念を持つておると思う。ところが一方その後公立幼稚園の基準はどうなつておるか調べてみましたら、それにはもちろん具体的な基準があつて、園児の収容については四十人を一つの基準にしておるような文部省の方針を発見いたしました。しかも施設については大体公立学校の施設と同様、現在の建築単価をもつてやるような形もとつておる。ところが現在の公立幼稚園が比較的振興いたしませんから、勢いこういうような私学の幼稚園が非常に繁栄をきわめる傾向を生んでおる。それとの間に非常に大きな差が生まれて来た。このことをほうつておいては、かえつて正常な幼稚園教育をゆがめるものである、かように考えておる次第であります。そこでこうした点について私の申し上げたいことは、幼児教育の重要性ということは申し上げるまでもないところでありますから、公立幼稚園について、この際思い切つて少くとも幼稚園はかくかくあるべきだという一応の基準を示し得る程度に持つて行く必要があるのではないか、それには先ほど出しましたような給与負担を是正して行くということ、いま一つは施設、設備の内容、教員の質、こういつた点について特別の国の配慮が行われる必要があるのではないか、この点について文部大臣のお考えを承りたい。  さらに私は参考に申し上げますが、実は公立幼稚園等についても、その後町村合併等がありまして、この際こういうものも一つの公供施設としてやつて行きたいという希望の向きがちよくちよく起つております。そうしてモデル幼稚園も設置したい、ところが一体幾ばくの国の援助があるのかということが問題になつて、私も質問を受けました。今年の文部省の予算要求の中に組み入れられておるものを見て、私はこれはゼロを一つ落したのではないかと思つたのであります。設備において四百七十万、施設において五百万、合せてわずか一千万円程度というのが公立幼稚園に対する国の援助の総トータルでございます。かようなことでどうして公立の幼稚園が振興いたすか、私はここにも振興いたさない一つの理由を発見いたしたのであります。もちろんきゆうくつな予算でありますから、そうどこもかしこも大きく予算を盛つて行くということはできがたいにいたしましても、これでは施設費あるいは設備費じやなしに、むしろこれは建築祝いと銘打つた方が早十まわしのような予算である。昨年全国から文部省に集められた幼稚園の数から概算してみますと、設備費国庫補助というような大きな顔もできない金一封建築祝いを包んで差上げるという程度にしか行かない。だから給与負担の問題、こういつた点の国の援助によつて、先ほど私が申し上げましたような、いわゆる企業的な形に堕しておる幼児教育を提正することが現在の喫緊の問題じやないか、かように存ずる次第でありますが、この点についての大臣の御所見を承りたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 幼児教育の重要なことについてはお話の通りまつたくその通りに考えますが、ただ予算の上におきましては、実は学校教育といいますか、ことに義務教育の方面におきまして、まだまだ校舎についてもその他設備についても不十分なところが至るところにあるわけでありまして、自然幼児教育の方には従来ともなかなか手がまわらぬ、と言えば語弊がありますが、その方に予算的に十分の力を入れることができなかつた、こういう実情であります。今辻原さんの言われた通りの実情であろうと思うのでありますが、結局は公立学校としての幼稚園の普及育成ということについての予算的な面の措置が非常に少いということに帰すると思うのであります。今仰せになつております通りの予算の数字でありまして、前年度におきましては施設の方の補助二百万円、それをようやく五百万円にしてもらつた。これは建物というようなものでありますから、全体で五百万円というのはきわめて微々たるものであることはお言葉の通りと思います。はなはだその点遺憾に存じますが、今後ともひとつ十分その方面の予算をとりましてそれを充実するようにして参りたい、かように存じております。

辻原弘市日本社会党(左)

○辻原委員 この問題については、おそらく遺憾に存ずる次第でありますというお答え以外は出ないと思います。しかし、私の特に申し上げたいのは、これは大臣には釈迦に説法でありますが、四、五歳から八歳くらいまでの子供が小さい所へきゆうきゆう押し込められてかりに家庭で育てられておるような扱いがされてないとするならば、これはゆゆしい問題だということであります。もちろん教える先生の立場としては、そのきゆうくつな中でできるだけ十全の教育をやつて行きたいとはお考えになつておるのでありますが、小学校の老巧校舎をもらつて来て幼稚園を建てる、こういう形では、逆に幼児教育が一般からも軽視される結果になつて行く、そういうことを思いますので、これは別にノートを買つたりあるいは学用品をそろえたりするような費用じやない、建築費でございますから、それがわずか五百万円といつたようなことではお笑い草です。またモデル幼稚園だなんて麗々しく掲げて文部省が地方に呼びかけられると、おそらく地方においては人情として、モデルならば何らかの国の補助があるのだろう、だからその仰せに従つてその通りの設計建築をやりましようといつて意気込むに違いない、それが、ふたをあけるとそれは包み紙だけだつたというのでは、地方をだますことになります。そういうことの起らないように、これも頭を出すだけだとおつしやるならばそれまでありますが、与えるならばもう少し効率的に公立幼稚園が振興するように、またそれに従つて私立の幼稚園もおいおい正しい方面に向うように、無理な収容をしたりちやちな施設でやらなくとも済むように、そういう一つのねらいを持つた幼稚園に対する施策をお願い申し上げたいと存じます。公立幼稚園がよくなれば勢い私学を経営される人々もそれに見習つて来ると私は思うのです。りつぱな幼稚園が、現在は施設設備において数が少いから、従つてどうしても私立幼稚園が、それ以下のものでもつておそらく経営者としては満足しているということになつているのだろうと思いますから、この点はひとつ特に御留意願いたいと思います。  次に先ほど今井さんの方から校舎建築の問題につきまして質問が出ましたが、私もこれは再三申し上げておるのであります。ひとつまたあらためて本年度の決意を大臣に要望かたがたお伺いいたしたいと思いますが、最近の建築の単価は、御承知のように木材の高騰によつて非常にはね上つております。調べますると、現在文部省の平均単価が大体木造で二万四千円程度であります。ことしは予算的に二万五千円になつておるようであります。わずか七百円から五百円ほどこれは上げられております。それに対して鉄筋が五万七千円ということになつているかと思います。ところが木材高騰に比較して、鉄筋資材の値上りというのはそれほどでもない。従つてほぼ現在組まれている範囲に若干プラス・アルフアをすれば、これで可能だ、こういうことで、地方負担の面から眺めても、最近木造よりはむしろ鉄筋が有利だという気分が主として地方公共団体の方から起つて来ております。同時に一般としては、最近の打続く災害あるいは老朽校舎が現在周期的に改築をしなければならぬちようどその時期になつておる点から、建てるならばこの際将来のことも考えて思い切つて鉄筋でやりたいこういう希望が非常に濃厚であり、ふえております。私はそういう一般の人々のいろいろな角度からの理由といたしましても、これをただいま国の予算でもつて措置する場合は、鉄筋でやれば多くかかる、しかしながら長い目でもつてこれを眺めた場合、国家財政の見地からも鉄筋でやることの方がどれほど国家財政の節減がはかられるかもしれません。ちなみに戦後の建物を見ますと、戦争後今日までわずか十年になるかならぬその間にいろいろなものが建てられておりまするが、やはり校舎建築のみならず戦後の建物というものは、もうすでに危険と銘打たれたものがずいぶんあります。また建てる場所によつて、木造の場合には四十年あるいは五十年の耐用年数を持たないで、三十年あるいは二十年で建てかえなければならぬものも生れて来る。鉄筋でもつてほんとうに腰を入れて、手を抜かないりつぱなものをつくるならば、おそらく私は七十年八十年、ないしは百年の耐用年数はかたくないと思う。そういつた点から考えて、いろいろな理由はありますけれども、少くとも今日災害日本でありまするし、こういつた住民のいろいろな不安というものを除去する意味において、全部とは申しませんけれども現在よりももう少し地方住民の期待に沿えるような鉄筋校舎建築の配慮をひとつ大臣にぜひともお願いしなければならぬ。同時にこの点についての今後の大臣の御所存——これは私は前臨時国会の際にも申し上げたのでありますが、その後何らの大臣の御勘案の跡がうかがわれません。やはりわずか一五%程度にとどまつている。これはいかにも現状離れをしているという印象を強く受けまするから、何とかこの際、三割くらいは鉄筋でもつてやれるような方向に行かれても、国家財政に何らの大きな影響を与えない、かように考えまするがこの点についてはどういうお考えをお持ちになつておるか、どうぞひとつお答えを願いたい。これは方針でございますから、大臣にお伺いをいたします。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 鉄筋の校舎にしたいという地方の要望は、お話の通り漸次高まつて来ておると思います。私としてもできるだけその方が望ましいと思つておりますが、ただ地方から校舎の数が非常に要望されておりますので、限られた予算の範囲ということになると、鉄筋の校舎を多くすれば自然それだけ全体に配分される改築校舎の数が減りますので、そういう意味で、いわば板ばさみということで、ただいまお話しになりましたような予算の計上になつておるのであります。地方にもそういう要望がありますので、今後できるだけ鉄筋の建築にする内訳のわくを漸次広げて参りたい、そういう気持はかなり持つておるのでありますが、予算の上で本年度において実現しなかつたことは非常に残念であります。しかしたとえば昨年の大災害等の場合におきましても、御承知のように木造建築でつぶれたもの、流れたものを鉄筋に建て直すというような、普通にいう災害復旧という限度を越えたような扱いもして、気持としては今辻原君の言われたような方向に行きたい、こういうふうに考えております。

辻原弘市日本社会党(左)

○辻原委員 次の問題に移ります。今二月でございまして、大体大半ではそろそろ卒業試験、同時に新卒業生を送り出すということになり、すでに就職のきまつている幸福な者もございますけれども、最近の状態から見ますと、就職した者は——私どもが各学歴についていろいろ調べてみたところによると、昔から比較的就職率のいい学校といわれる学校でも三割程度しか就職していない。大多数のものはこの後に就職いたすといたしましても、ただいまのところでは、今後の行先の見通しがついておらぬという点が、単に教育問題ばかりでなく、社会政策から見ても非常に大きな問題ではないか。これは一種の失業問題で、文部省としてはやはりこれは年々やつておられると思いますけれども、具体的な策を立てられ、ただいまのいわゆる就職難に対処されておるのか、この点をお伺いいたしたい。予算面におきましても、そういう点についてはほとんど見られておりません。これは卒業して行く生徒のことであつても、最後の手をどう打つという教育上の責任は免れない重要な問題でありますから、この点をひとつ具体的にお聞かせを願いたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 ただいまの就職率について三割というお話は、中学校あるいは高騰学校の場合であろうと思います。これについては、実は私どもの手元には詳細な資料を持ち合せておりません。おそらく御指摘の通り、こういう際でありますから就職は相当に困難である、こういうふうに想像をしておるのであります。何分にもわが国の国情から、ことに今日経済界の方面も思わしくない、こういうことでありますので、この点は十分に就職ができないという関係がありまして、その点はなかなか事実上むずかしい問題であります。これを簡単に解決することは困難でありますが、できるだけ力を注いで参りたいと思います。ただ私どもとしては今のように小、中学——小学校を出て就職ということもないですが、中学校を出て、あるいは高等学校を出ての就職の問題につきましては、多少縁遠いと言つちや悪いですけれども、具体的な問題に頭をつつ込んでやるということがちよつと縁遠い。大学等につきましては、従来御承知の通り財界方面ともいろいろ懇談会を開きますし、また協力会、審議会をつくつて、そうしてできるだけその方に吸収されるように鋭意努力を続けて参つております。その結果大学関係につきましては、その就職率は今日の経済界の状況から見て実は多少意外に思うほどいいのであります。相当のパーセンテージ、八割あるいはそれ以上まで吸収されておるのであります。ただことしになりましてからは、やはり一般のデフレ気構えでありますか伸びてはいないようでありますが、しかしこれは存外ある程度のいい就職率を維持しておるのであります。これは私どもとしましても、財界方面その他会社関係の人に協力を呼びかける上におきましても、あるいは入社試験等のやり方につきましても、あるいは時期等につきましてもいろいろ相談をして、できるだけ都合よく参るように具体的な相談ができるものでありますから、この点は何とか努力すればしただけの効果もあがつておるのでありますが、中学校あるいは高等学校の卒業生ということになると、これはなかなか困難な問題でありまして、この点は今後地方の教育委員会等とも連絡して、できるだけ就職の道について少しでも効果の上るようにして参りたい、こう思つております。

辻原弘市日本社会党(左)

○辻原委員 今の就職問題でもう一点、これはぜひとも文部省としては留意してもらいたいと思うのでありますが、いろいろ就職に悩んでおる者の話を聞きますと、これは主として高等学校、大学でありますが、在学当時にいろいろ学生自治会の運動をやつたとか、あるいは多少思想的な問題を研究したとかいうことが、就職をする場合に非常な支障となつて、財界がこれをシヤツト・アウトしておる。その困つておる個々をいろいろあちこち見てみますと、これは学生でありまするから、必ずしもそういうことが就職にほとんど悪い影響を及ぼさないような者までが、そのために就職ができないというような状態にほつておかれておるわけです。こういう点は、もちろん個々の企業体にそういう考え方があることを文部省の力でもつてどうこうすることは私は非常にむずかしいと思いますけれども、しかしこれらの点については、先ほど大臣も財界にいろいろ要請しているという話がありましたが、その要請の中に、特に中堅の若者を世に送り出す場合に、そういう門出にあたつて烙印を押して、一生を台なしにするというようなことのないように、少くともこの点までは財界にはつきり要請してしかるべきだと思うのです。ましてや今日そういういろいろな傾向があるということは、それによつて——これは憲法を持出すわけじやありませんけれども、門地、思想のいかんによつてその人間の就職の道をはばむということは、これは明らかに憲法違反の問題である。さようなことをやつている点があるならば、十分ひとつ話合つて是正していただきたいということを要望しておきます。  次にお伺いいたしたいのは、大臣は十四日の朝日新聞をごらんになりましたか。——多分ごらんなさつたと思いますが、この朝日新聞の三面を見ますと、非常に大きな活字で書いてあるので、私もびつくりして見直して見たのでありますが、ただいまもここに取寄せてみました。先般も参議院の本会議におきまして、わが党の湯山議員からも法務大臣に対して質疑をいたしましたが、新聞にかくまで取上げられるということは、それ以外にどれほど多くの問題があるかということを物語つていると思うのでありますけれども、新聞の記事はこれは主として文部省が担当されているように書かれております。同時にその下に、兵庫県における国警の調査の問題、これも現在私ども調査しつつありますけれども、文部省がおやりになつている分については、いずれあらためて十分なる資料を整えて文部省に御質問したいと思いますが、ここで本日お伺いいたしたいのは、最近警察が学校の附近を彷徨いたしたり、あるいは直接教員の私宅に参つたり、かようなことをして教員の思想調査をやつている。これはりくつはいかに言われましても、明らかに思想調査であります。この点について先般静岡県においてもかかる事例があり、いろいろ調査をしてみますと、国警隊長は、私は知らなかつたけれども、その責めは免れないので、はなはだ遺憾であつたということを申しております。遺憾であつたと言つたところで、そのことによつて与えた教育上の心理的影響、教員の基本的人権の侵害は免れない。あるいは兵庫県において教員の私宅に警察官が行つて取調べている傾向がある、しかもその調べた内容は、これは明らかに教育の研究を主体とした教員の大会においてやつたことについての事項を調べている。いわゆる自主的研究と申しますか、こういうものにまで警察権が関与するということは、これはおそらく文部省としては黙つて見ておられないところだと思いますが、これに対していかなる抗議を法務省あるいはその他に対しておやりなさつたかどうか、この点についてまず私はお伺いをいたしたいと思います。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 お答え申し上げます。警察が思想調査をしておるというような記事が、これは十四日の記事にかかわらず、近ごろ新聞によく出ます。これに何か文部省が関係しておるというようなことも、しばくそういう暗示的な記事が新聞にもありますし、それから先般参議院の本会議でしたか、衆議院でしたか、質問もありました。あのときも答えておきましたように、文部省は、警察官による思想調査というものが行われているかどうか、そういうことについては全然関知しません。ただ最近新聞に出ますので、実は国警長官の方へどういうわけかということを私は聞いてみましたが、国警長官から聞きました限りにおいては、特に教員を対象として思想調査をしたという現実はない。末端の警察官がどういうことをしたか、そこまでは一々わからないけれども、国警本部あるいは法務省として、教職員を対象として思想調査をするというような方針を流したこともなければ、さようなことはないと思う。ただ共産党の地下活動といいますか、そういう動きにつきましては、治安当局として多大の関心を持つているのであるから、それに対してはそれぞれの地方においても十分これを査察をしていることと思うし、またそういうことも指示しておる。その場合に、共産党の地下活動というものを主体としての非合法活動といいますか、そういうことを主体としての査察の中に、学校の先生がその関係で出て来る、こういうケースは従来もあつたし、あり得ることであろう。従つて特に学校の教員というものを対象にしての思想調査というようなものは、する気持もなければ、したという事実もない、こういことでありました。私もそれ以上のことは聞きませんが、ただ文部省が教員の活動を調査する——この十四日の朝日新聞の標題の意味はよくわかりませんが、茨城県の場合が一番大きく取上げられておるのでありますが、これは県の教育委員会の方へ文部省が通牒を出しまして、教育の中立性が保持されていないような事例があれば、それを調査して知らせてもらいたい、こういうことを出したのであります。これはひとり茨城県だけじやありません。都道府県全部の教育委員会にあてて出したのであります。これは私どもとしましては秘密の通牒でも何でもない、あたりまえの通牒として出したのでありまして、これは記事によつてもわかると思いますけれども、調査の内容というものについて見ると、何も教職員の個々の思想調査というものを対象にしたものではないことはきわめて明瞭であります。これを文部省が警察を使つて、あるいは極秘文書でもつて、秘密のうちに警察を使つて——文部大臣が警察を使うという立場はあり得ませんけれども、かりに警察に頼んでそういう調査をするということになると、これははなはだ穏当でないということになると思いますが、私どもとしては、現在教育の基本的なものとして重大に考えれらておる、教室内における教育の中立性、これが破られておるかのごとき新聞記事が近ごろたくさん出るのでございます。それで私どもとしては実際真相はどういうものであるかということについては、多大の関心を打たざるを得ない。そこでこれを教育委員会の方に調査報告を求めたまでのことであります。これを文部省はいらぬことをするというふうなことがよくあるのでありますが、文部省はいらぬことどころではないので、これは至大の関心を持つていることはあたりまえであつて、教育基本法にそういう原則があるにもかかわらず、学校の教室の内部でいろいろなことが行われておる。その真相を知りただすということは、文部省として当然しなければならぬ義務であります。ことに中立性を維持するための法律案について目下非常に検討を重ねておる際でありまして、もしさような事実というものに全然無関心でおつて、その真相を確かめずにただ法律を出すということは、まことに怠慢というか、無責任の責めを免れないと思うのです。そのこと自身は世間でいろいろ批評されるような不都合な点があるとは、私自身は考えておりません。こういう点で文部省はこの教育委員会、つまり地方の学校の教育行政の衝に当る正式な委員会というものに対して、秘密でも何でもない、しかも全国に通牒を一般的に出してそういう報告を求めた、これを無理やりにこじつけて教員の思想調査をしておる、こういうふうに言われるということは、私としては無理な言いがかりをつけるものだというふうに思うのであります。ここに通牒の文書もありますが「特定の立場に偏した内容を有する教材資料を使用している事例文は特定の政党の政治的主張を移して児童・生徒の脳裏に印しようとしている一例、その他一部の利害関係や特定の政治的立場等によつて教育を利用し、歪曲している事例等、教育の中立性が保持されていない事例について、至急調査の上、該当事例の有無ならびに該当事例があれば、その関係資料添付の上、できるかぎり具体的に、至急報告願います。こういうことでありまして、これによつても明らかなごとく、教室の教育の状況を聞いておるのであつて、教員個々の思想調査をしておるのでないということは、新聞記事からもはつきりわかる。そういうわけでありまして、別に私としては何も不都合なことをしておるとは思つておりません。

辻原弘市日本社会党(左)

○辻原委員 やつた御本人が悪いことをしたと言うことはおそらくあるまいと思います。それはそれとしまして、問題があるので申し上げるのであります。国警長官に尋ねてみたらそういうことはしていないというお話だつたそうであります。近ごろ吉田式答弁がはやるので、事実がどうあろうと、していないと言えばそれで通るように思われておるかもしれぬけれども、これはかりに国警長官が職務怠慢でもつて知らぬかもわかりません。これは地方の国警隊長あたりも知らぬと言うような事例もあります。しかし事実があつたならば、調査したならば結局出て来る。また事実無根のことを少くとも朝日新聞が書くとは思つておりません。そこで問題は、この点については追つて資料をお見せいたしまして、事実に立つてかようなことがあつたかなかつたかについては、ひとつ大臣にお話を申し上げたいと思います。ただ私がこの際申し上げておきたいことは、今大臣からくどくど説明されました教育の中立性が維持されていない事例について云云というような調査、これは昨年の十二月二十三日でありますが、文部省から出ておることはその通りでございます。ところがこれは思想調査じやない、教育がかようなことによつてゆがめられておつてはどうにもならぬという趣旨から出たものだという今のお話でありますが、私はさきに申しましたような、警察官によるそういう思想調査に類したような行為がしばしば頻発するということは、これはもう否定しようとしまいと、少くともそういうことが今盛んに出ているわけです。従つてもしこういうような調査が必要とするならば、むしろ私は教育の一つの自主性というふうな問題は、こういう警察権力等によつて教育が脅威にさらされる、教員がかりにその取扱いがいかにあろうとも、教員の私宅に、あるいは学校に警察官が来て云々ということは、これは児童に与える影響けだし甚大なるものがあると思う。大学の問題についてはあれほどの騒ぎがあつた。しかし小中学校の地方の先生はおとなしいかもしれぬけれども、そういうことが行われるということは、これは私は単に教師の人権のみならず、教育上非常に重要な問題だと思う。さようなことについて、国警長官の言を信用されたのかどうか知りませんが、調査の事項を明らかにされておらないということはきわめて奇怪しごくだと思います。こういうことを今初めて大臣が耳にされたのならいざ知らず、少くとも先般参議院においてもその種の質問をしておる。それを国警の方でやつてくれるからということで、教育行政がどうして守れますか。少くとも事実があつたかなかつたかくらいは調査されてみて、善処されることが大臣として至当であろう。一体この点について大臣はどうお考えになつておるか承りたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 警察が調査しておるかどうかは私は知りません。また警察の動きに対して私は何も関知するはずはありません。ただよく新聞に出ましたから、また過日も質問がありましたから、国警長官にその事情を聞いてみたのであります。その聞いた結果を今お話したのでありまして、それは先ほど私の申し上げました、国警長官の話をされた趣旨によつて、私は明らかであると思うのであります。ただたまたまそういう調べの対象に学校の先生がなつたというだけで、何でもかでも学校の先生を、そういう立場に立つて、警察と話合いをして、そういうことのないようにするといつても、一体どういうことを目的に調べたかわからないのであります。教員を対象としてその思想調査をする、こういうことはないといつておるのでありますから、それ以上私はどうしようもない。今日運輸省あたりの役人が調べられております。それが調べられておるからそれはけしからぬといつて——これは別でありますけれども、自分の関係の人であるからといつて、それを一々文句を言つて行くというわけにはいかぬと思う。

辻原弘市日本社会党(左)

○辻原委員 まず第一に、あなたが知らぬと言われたということは、それは一体だれの言をお信じになつてのことでありますか、まずそれから承りたい。おそらくあなたが尋ねられたというのは、国警長官一人でしよう。国警長官一人の言をもしお信じになるのならば、この教育の中立性維持に関する調査についても、これは私は場合によつては教育委員会の全部でなくても、教育委員会の一つの連絡機関があります、そこへ行つて、こういう事実があつたかなかつたのかお聞きになつて、ございませんと言えばそれを信用されたらいい。ところが一方は全国の委員会に通達を発して、その調査を求められた。片一方は国警長官に聞いてみて、いや私のところではやつておりません。——まさか日本の国警長官ともあろうものが、教員の個人の思想を調査していいか悪いかぐらいのことは存じておるだろうと思う。その際に、あつたか、あつた、やりましたと言うような、ばかげた長官はおらぬだろうと思う。問題は、事実行われた、被害を受けたということが問題だ。だからそのことがあつたかどうかについては、国警長官の主観的な考え方よりも、事実に当つて調査しなければ話がわからぬじやありませんか。だからその調査をおやりなすつたかどうか。あるいは国警長官の言を信用して、さようなことはやる必要はない、国警長官の言をもつて足れりとおつしやるならば、私は国警長官についてお伺いするのです。しかしそのことの事実がわからぬから、今わかりません、今まではこういうことをやつておりませんということになれば、多少怠慢ではあつたかもわかりませんけれども、それ以上の追究の手はないのです。しかしながら今後も国警長の言を信用されて、さようなことはないでしよう、汚職問題その他と一緒で、これはその中からざらつとあげて来たその網の中の一つがひつかかつたのだ、こういうような認識ならば、大臣はおそらく天下周知の笑いものになる。新聞に出て来た数々をたぐつてみても、さような問題ではないじやありませんか。少くともかような調査というものは、法的に何ら根拠のないことをやつているのです。しかもそれはあなたの扱つておる一つの文教の府の問題についてやつている。それについてあなたが、国警長官がそれをやつておるのだから、わしの知つたことじやない、かようなことなら、どなたでも大臣は勤まる。どなたでも大学の学長は勤まる。しかしそれについて大学は真剣な討議をして、警察権の介入があつた場合には断固たる方法をとつているじやないか。さようなことが大臣としておできにならぬのかどうかということをお伺いしておるのです。従つて今後こういつた点についてはさらに詳細な調査をして、もし事実があるならば、それに対してどういふうな処置をおとりなさろうとしておるのかということを、私は重ねて大臣にお尋ねしておきます。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 私は国警長官に尋ねるよりほかにだれに尋ねていいかわからないのであります。そして国警長官が責任を持つて、そういう御返事をされれば、それを信用する以外にないのでありまして、国警長官がほんとうを言つているかうそを言つているか、それを取調べる立場ではありません。それから今のお話でありますが、もし警察官が学校の教育の内容に立ち入つて、教室へ行つてかれこれ言つた、これならば、私の立場でとうてい黙過することのできない事態であります。しかしながら警察はどういう実情であるか知りませんが、教員個人について何かの調べをした。これは学校の先生だけじやないのであります。警察は治安の当局として調べる必要があれば調べるのでありましよう。これがたまたま教員であつたからと言つて、一々それはけしからぬ、こう言つて行くべき筋合いではないと思う。そこまで文部大臣というものは立ち入るべきではないと思う。学校の教育の内容について、警察官が教室へ行つて見ておつて、そういうことを教えるのがいいとか悪いとか、そういう教育そのものについて立ち入つた場合には 私は看過できません。しかし教員個人の行動について、治安当局として何か調べたいことがあつて調べる、こういうのを一々私がそれはけしからぬ、こう言つて行く立場ではありません。

辻原弘市日本社会党(左)

○辻原委員 教育に及ぼす影響ということで、あなたが今計画されている二大法案、これは後刻出て参ると思いますが、その立場は、少くとも教員個人、あるいは学内において活動する場合の教員、それから学外における教員と何ら差等がないという考え方で、あなた方は四六時中教員の政治活動を縛らなければならぬという理由で、法案を提出されようとしているのではないのですか。それはかりに教員が家庭にあつて教案研究をやつておるとなかろうと、やつておる場合にしても、そのことはただちに教壇に影響があるという前提をあなたはお持ちになつているはずです。そうすると、今のような問題のときにだけは、それは学校外だから、教員は何をしようとそれは知つたことじやない、これは現在の法規の中に定められているその範囲で警察が調査し、警察関係がそれを処罰するのだ、こういうことでは、あなたのお考えになつている論理が一貫しないじやないですか、この点についてはどうなんですか、お答えを願いたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 まだ法律案は提案にもなつておりませんし、またそれの提案の理由も申し上げてありません。それをあなたは何か初めから、私がこういう考え方だとか、それを混同しておるとか……。

辻原弘市日本社会党(左)

○辻原委員 違えば幸いです。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 違う、違わぬの問題ではない。そういう臆測に基いてあなたが議論されても、これに対して私はお答えする限りでありません。ただあなたの言われておることを聞いておると、学校の先生だけは治外法権でもあるかのごとく言われるが、私はそういうことに一概に同調して国警長官に抗議を申し込むわけには行かぬ、こういうことを言うておるのであります。   〔「名答々々」と呼ぶ者あり〕

辻原弘市日本社会党(左)

○辻原委員 名答ではないそれは迷つておる。というのは、刑事事犯であるとか、現在の法規の中に明らかにかようなことをしてはならぬと規定しておる行動について警察が調査をするならば、それは教員であろうと、だれであろうと、大臣であつても、これは自由かつてでございましよう。しかしながら新聞に報ぜられ、われわれが事実を確認したことは、そういうような現在の刑法、現在の法規の中において、何ら制約を受けておらない、いわゆる教壇における教育活動あるいは学問研究、これらのことについて、一体それは、どういう傾向を持つておるかということの調査をやつておる。この調査は一体何の調査ですか。そういう刑事事犯の調査ですか。私は少くとも私の常識をもつてすれば、かかる調査をこそ思想調査と言うのだそれは思想調査でない、それは現在のかくかくの法規の中にあるのだ、一般の刑事事犯によつて取締ることは当然なのだということをおつしやるならば、そういうことのできる法的な根拠をひとつお示しを願いたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 国警長官は共産党の非合法活動についての査察をしておるのだ、こういうことであります。教員の思想調査をしておるかどうか、それはただいま申し上げたように、長官は否定をしておるのであります。これ以上警察官の行動についてもし御疑問があるならば、国警長官にお聞きをいただきたい。私は警察官の行動について答弁しなければならぬ義務はない。

辻原弘市日本社会党(左)

○辻原委員 だれが警察官になりかわつて文部大臣の答弁を求めましたか。私はさようなことを言つていないのです。そういう事実があつたかなかつたかということは、——あなたが調査をやられる場合には、絶えず県の教育委員会にかようなものを出して、調査を求めておるじやありませんか。緒方局長は報告しなくてもいいということが新聞に書いてありますが、さような調査はなかろうと思います。しかしながら委員会を通じてやつておられる。だからあつたかなかつた。かあなたがはつきりなかつたとあなたの責任においてお答えをなさるについては、そういう間接的なものでなしに、当該以外の——本人ばかりにあつたとしても、これはちよつとあぶないと思つた場合には、ないと言つてぬけく答弁するかも知れません。そういうことよりも、責任あるあなたが所管されておる下部機関を通じて、そういうことを調査される幾多の方法手段があるから、私は申しておる。それをもつて調査されるならば、それらの責任のある一つの回答、あるいは調査の実績が、集約されるのです。私はできないことを申し上げておるのではない。現にあなたがやつておることは片一方にはそういうことをやる。こういう一つの教育の中立性というものを守るという趣旨のもとにおいてやられるとするならば、外部からと申しますか、不当な——私は不当なと言うのです。法律にないことをやるならば、だれ様がおやりになろうとも、不当だと申し上げる。不当に似通つた、あるいは不当なそういう行為があるということは、われわれ部分的に知つておる。そういうことは大臣はいまだ知らぬと仰せられる。その点について、大臣は先ほど国警長官の話だけを聞かれてそう言われるけれども、そういう事実はすでに新聞に報道せられ、一般の人たちも知つて来ておる。だから少くともそれらについて調査をされて、事実はつきりさようなことは国警長官の申した通りなかつた、こうおつしやるならば、それは朝日新聞が間違いであるということになる。しかしそれがはたして間違いであるかないかについては、調査の上でなければはつきりいたさないのであつて、今ここで大臣がそういう紋切型の答弁をやられると、これは文教の問題にとつてまことに悲しむべきことである。従つて今申したような意味でこの事実をさらに調査される御覚悟があるかどうか、これをもう一ぺん重ねてお伺いしたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 警察官が教育内容に関与、干渉したというような問題がもしあるならば、これは私どもとして十分調査しなければならぬ。教育個人について警察が何を調べたか知りませんが、それについて先ほど申し上げたように、新聞等にも出ておりますから、その事情は国警長官に聞いたのであります。私は国警長官のお話でなるほどと思つたのであります。これ以上それを調べる意思はありません。

辻原弘市日本社会党(左)

○辻原委員 学校の教育内容についてそういうことがあれば十分調べるというお話。私はもう一つはつきりさせておかなくちやならぬと思ますが、もちろん紋切型におつしやればさようなことになるかと思います。警察については私の関するところじやない。これは大臣としてはきわめて冷淡なお言葉であると思いますけれども、私は教員を含んでいわゆる学問の自由と申しまするか、あるいは教育研究の自由といいまするか、少くとも先ほどから申し上げているように、そういつた点については現在法律においては何ら触れるところがないのであります。いかなることを研究しようとそのことは自由である。それがあるからこそ今日大学においても学問の自由を盛んに叫んでおる。これをもし教員個々が絶えず警察に尾行され、絶えず自分の研究している内容を警察当局の追究を受けてやらなければならぬということになれば、学問の自由ということは著しく侵害されることは常識でございます。そういう点については警察がやるんだから関知しないということでは、私は少くとも今日の文部大臣は、教育行政を完全に行うと同時に、学問の自由を大学教育その他を含んで完全に保持して行くということが大きな任務だろうと思いまするが、かりに大学教授あるいは教員個々について警察官が尾行し、あるいはその調査をしても、これは教員の自宅における市民としての個人的な立場の警察の調査であるから何らかまわないんだということは、学問の自由について何ら影響を及ぼさないということにお考えになつておられるのか、この点を私は重ねてお伺いしておきたい。

大達茂雄自由党文部大臣

○大達国務大臣 学問の自由、これはお話の通りでありますが、今の事態は、私の了解する限りにおいては、それが学問の自由とは何ら関係がないと思います。しばしば申し上げる通りに、教職員たるのゆえをもつて、教職員であるからということで、すべての教職員に絶え間なく尾行がつき、行先を突きとめられ、そういう圧迫を加えられておるというならば、それはお話の通り学問研究の自由を阻害するという結果になりましよう。私はそうは思わない。教職員たるがゆえにこれに尾行をするとか、それもあなたの言われることを聞くと、まるで先生にはみな尾行がついているような言い方でありますがそういうことはありません。そういうことであれば、これは大問題でしよう。教職員たるのゆえんをもつて尾行がついたり、行先を突きとめたり——ただ私の了解するところでは、繰返して申し上げるようですが、共産党の地下活動というか、非合法活動については、治安当局としては、多大の注意を払わざるを得ない。そこでそれらの活動については注意して査察をしておる。その対象が教員であろうとも、官吏であろうとも、普通の商人であろうともだれであろうとも、この点は区別はないわけです。そこへたまたまその人がはたして共産党の活動をしておつたかどうかしりませんけれども、教員というものがその意味の監視というか、査察の対象にその場合なつた。こういうのでありますから、いやしくも先生に向つて何をするかこういう治外法権的な態度をもつて向うへ行つて抗議を申し込むということは、だれが考えてみても常識をはずれたことであると私は思う。

辻原弘市日本社会党(左)

○辻原委員 戦前から戦後にかけてのいろんな事件を見ても、大臣が言われるように、これがすつぱり何ら影響を及ぼさないならばそれはけつこうであります。しかしながら、そういうことに名をかりてやられておる事例がたくさん出た場合においては——私は決して教員なるがゆえにとか、あるいは公務員なるがゆえにとかいうことは二言も申しておりません。ただ、そういうことの焦点が、教育研究ということの内容を調査するために教員を尾行しておる事実があるから申しておるのです。だがこのことは後刻明白になると思いますので、その際さらに大臣にただしたいと思います。本日は時間も経過しましたので、この程度で私の質問の爾後の点は保留して終ります。

辻寛一自由党

○辻委員長 本日はこの程度にて散会いたします。    午後四時四十六分散会

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