文部委員会 第2号
- 発言数
- 7 件
- 登壇者
- 3 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1954/02/09
会議録
○辻委員長 これより会議を開きます。 議事日程に入るに先だち、欠員となつておりまする理事の補欠選挙を行います。天野公義君が委員を辞任され、前田榮之助君が一時委員を辞任され再び委員に選任されました。これに伴い、理事二名が欠員となつております。 この際お諮りいたします。先例により理事の選挙はその手続を省略し、委員長において指名いたすことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○辻委員長 御異議ないものと認めます。それでは 坂田道太君 松平忠久君 の両名を理事に指名いたします。 —————————————
○辻委員長 次に文部行政に関する件を議題とし、二十九年度文部予算について説明を聴取いたします。内藤官房会計謀長。
○内藤政府委員 それではお手元にお配りいたしました「昭和三十九年度予定経費要求額重要事項別表」がございますのでこれに従いまして御説明を申し上げたいと思います。 本年度の文部省所管の予算総領は、最後のページの一番しまいに出ておりますように、文部省所管合計前年度一千六十一億九千五百万に対しまして一千百八十三億二千四百万、差引増加額が百二十一億二千九百万円に相なつておるのであります。この割合を国の予算総額から申しますと、前年度の実績が約十。パーセント強でございましたのが、本年度は十二パーセント弱に上つておるのであります。この増額いたしました百二十一億二千九百万円のうち大きな事項では、義務教育費の国庫負担金の増額が約百億、それから国立学校の運営費で約三十億の増額になつております。それからあとその他の経費につきましては、特に重要な事項につきましては一兆の予算のわく内でございましたので、増額が困難で、ございましたが、ほぼ前年度予算額を割らないように努力したのであります。以下項一日別に御説明申し上げます。まず第一に義務教育費国庫負担制度の実施が二十九年度では七百億になつておるのであります。この百億の増額の一番大きいものは、前年度は義務教育費国庫負担法の特例法によりまして、十二月以降一応富裕府県の分は落ちておるのであります。二十九年度におきましては、国と地方の財政調整を行うという趣旨のもとに、一応現行法通りの実施を予定いたしまして七百億となつておるのであります。七百億のうち教員の給与費の国津負担は、現行法によりまして二分の一、この額が六百八十六億であります。この六百八十六億は大体現在の教員の現員現給を基礎にいたしまして、来年度生徒数が小学校で五十万、中学校で五十万、約百万人増加いたしますので、この百万人の増加に伴う教員数といたしまして、約二万人の教員の増加を見込んでおるのであります。これによりまして六百八十六億という算定をいたしております。次に十四億が教材費でありまして、前年度十九億が十四億に減額されましたのは、後に御説明申し上げますが、理科教育の振興、学校図書鯨の振興、この方に教材費の一部をさいたのであります。義務教育の分から一部をさきました関係で、五億の減額になつたのであります。 次に文教施設の整備でありますが、前年度九十四億が二十九年度八十二億になりまして、十二億七千二百万円の減少を見ております。そのうち特に申し上げますのは、国立文教施設の整備十九億三千七百万、ほぼ前年同額であります。一般の公共事業費は、原則として二割の節約を受け九のでありますが、特に学校の施設の整備されない現状にかんがみまして、これは前年同額を一応承認されたのでございます、この中には原子核研究所の施設費といたしまして八千九百万が見込まれております。次に公立文教施設の整備でございますが、これは前年六十億であつたのが本年度五十一億三千七百万円に減額されましたが、このうち減額の大きいものは老朽校舎が前年二十二億でありました。これは国会修正によりまして十億増額されたのでありますが、二十九年度は十四億に減少したのであります。これは老朽校舎の校数を現有坪数をとりまして、その中からすでに二十八年度で改築されるべきものを差引いたものを三年計画で見るという趣旨でございます。前年度の政府提案よりは二億の増額になつておりますが、十四億で、差引八億ほどの減少、そのほかは大体現状を維持したのであります。特に申し上げておきますのは、六三制の校舎建築費といたしまして、従来〇・七で、ございましたのを、これを生徒一人当り一・〇八に引上げまして、十箇年計画で、一・〇八を維持する。二十九年五月一日を基礎にして見ますので、この点が増額になつたのでありまして、前年度予算よりは約四億の増額を見たのであります。それから(3)と(4)の国立及び公立文教施設災害復旧の減少は、主として西日本と十三号台風に基くものでありますが、前年度大体六割ないし五割五分程度見ておりますので、これは当然の減少でございます。 それから次の育英事業等の拡充でございますが、前年三十四億七千九百万円が二十九年度は三十九億一千八百万、四億三千八百万の増額でありますが、そのうち育英会の方といたしましては三十四億四千五百万が三十八億八千百万、四億三千五百万の増額であります。この育英会の増額は主として学生生徒の増加に伴う分と、これは御承知のように高等学校三%、大学は二〇%を見込んでおりますので、生徒数が延びると当然に延びるという結果になつておりますから、その増加分と、昨年千九百円を二千円に引上げましたのでその百円分の年間の延びがございます。それとさらに大宇院の関係のものであります。大学院につきましては従来四千円の奨学金を支給しておりましたが、今回は六千円に引上げ、さらに別途に月額一万円を支給できる特別の奨学制度を確立したのであります。その関係の増でございます。 次に学徒援護会の三百万円の増額は、これは大阪に学生会館をつくる経費でございます。前年度三千四百万の中に、大阪に学生会館をつくるものとして三百万円含まれていましたので、その三百万円と新たに増額されました三百万円で六百万円になつておるのであります。六百万円のうち二百万円は援護会のベース・アップ分です。四百万円があとの学生会館に要する補助費でございます。 それから次に産業教育の振興費で、ございますが、これはほぼ前年通り、六百万円減少しておりますが、大体九億ということであります。そのうちに高等学校の設備費の補助が約二億の減少を来しましたのは、規定計画に基く設備の充実状況から見まして、すでに産業教育の設備費補助金で充実したものを差引きました不足額を三年間で解消するということで計算いたしますと五億一千二百万、そこで約二億の減額になつております。しかしながら次に高等学校の施設費補助金として新たに二億三千二百万円が認められた。これは産業教育に関する高等学校の建物の補助金でありまして、産業教育の高等学校の基準から現在の建物を引いた不足分に対しまして七年計画で実施する、こういうことで二億三千二百万円が計上されたので、ございます。その他につきましては大体前年同額であります。この中で特に項目として落しましたのは、奨学補助金として、高等学校研究指定校の補助金、それから就業教育教科書の発行助成、これが落ちた分であります。 それから次の理科教育の振興につきましては理科教育振興法に基きまして四億が認められました。このうち大部分が設備費の補助金でありまして、標準設備を想定いたしまして、それから現在保有の設備を差引きました不足設備に対して十箇年計画で行われます。補助率は二分の一ということで四億を算出したわけであります。 それから次の学校図書館の振興費、これは司書教諭の養成講習会の経費と学校図書館の整備費の補助費、この二本立てとなつておりますが、学校図書の整備費補助として約二億七千万円を計上されたのであります。これは小学校三百冊、中学校五百冊、高等学校七百冊という基本図書を選びまして、そのうち現在持つておるものを差引いた不足額に対して補助する、これも十箇年計画でございます。補助率は二分の一でこういう算定をしたのであります。 次に勤労青少年教育の振興費でございますが、約八千万円の増額をいたしております。前年度八千九百万円に対して二十九年度は一億七千万ほど、約八千万の増額であります。このうち大きいのは定時制の設備費補助で、ごいます。これは定時制高等学校及び通信教育振興法に基くものであります。これも理科、図書館と同様に必要な基準設備を想定いたしまして、それから現在保有しておるところの設備を差引きまして、不足額を十箇年で解消するという前提のもとに、新たに九千二百万円の設備費の補助金をここに計上したのでございます。通信教育運営費の補助としては約一千万円を認められたのであります。 次の青年学級運営費でありますが、これが若干減額を見ております。前年七千二百万円が六千六百万円、約六百万の減少を来しておりますが、これはやはり補助金整理ということによりまして、たびたびの交渉の結果、補助率三分の一を四分の一に落しまして承認されたものでありまして、六千六百万であります。 次の学術の振興費でございますが、学術の振興につきましては前年よりはわずかに増額でございます。科学研究費、学術情報事業の拡充、民間学術団体の補助はほとんど前年と同額であります。さらに後ほど申し上げますが、この項の中には在外研究員の派遣費が六千万ほどございますが、それも前年と同額でございます。旅費は一般には二割の節約を受けたのでありますが、在外研究員制度の重要性にかんがみまして前年同額を認められたのであります。 九の私立学校の助成でございますが、このうち共済組合制に基くところの経費が新たに二千八百万円、約二千万円の増額をしたのであります。これは事業費の補助と事務費の補助でございます。次の私立学校振興会出資金でございますが、前年十五億でありましたのを五億に査定されまして、十億の減少を見たことははなはだ遺憾でありますが、算定の基礎といたしましては、従来の既定計票ございますので、既定計画から今までにできました校舎の坪数を差引いた不足坪数に対しまして七年計画で実施する、こういうことで五億の算定をいたしたのであります。このほかに約三億円の返還金がございますから八億ということに今年度は相なるわけであります。災害の復旧費の補助はこれは年度割の区分により減少したものであります。 次の地方教育委会の育成員といたしましては、これは前年よりも約百万円程度増額しております。その関係の経費は地方の教育委員会の職員の養成、研修に要する経費、それから運営指導に要する経費であります。 十一の、ユネスコ活動及び文化財保護事業の実施、これはほぼ前年と同額を認められたのであります。若干減つておりますのは、岩手県の中尊寺の建物が完成しましたので、それの減少に基くものでありまして、既定計画に属するものは大体承認されております。 次の、その他の重要事項でございますが、このうち義務教育教員の資質向上という表題が上つております。このうち研修費が前年一億程度あつたのが落ちております。約九千八百万円に落ちておりますが、この減少したのは主として教職員の免許法に基く旅費の補助でございます。最終的に個人または団体に行く補助金を整理するという政府の方針がございまして、その線に沿つたのでありますが、すでに教育職員免許法ができましてから五箇年以上経過しておりますので、相当数の単位が修得されているのであります。最近考えられておりますところの教育職員免許法の改正によりまして、教員の履修単位を減らす方向に向つておるのであります。特に職歴と経験年数を重視いたしまして、修得単位数を減少する、こうでいう方向で検討が続けられておりますので、特にこの経費は大体要求額が三千万円程度に減少したのであります。五十万の教員に三千万円というのは非常に少額でございますので、これは削除されたのであります。そういう意味で、教職員の負担が非常に軽くなるということで、これは遺憾ながら落ちたのであります。それから教員検定試験の実施、その他現職教講座の開設、通信教育講座開設等若干減つておりますのは、ただいま申し上げましたように、教職員の免許法を改正して履修単位を減少する、こういう前提のもとに、これらの講座の開設鴛が減少されたのであります。 次に義務教育教科書の無償配付、これが前年三億九千万ほどございましたのが全額落ちたことは遺憾に思いますが、小学校の一年の国語と算数の分であります。 次に教職員の保健管理であります。これは健康診断費補助金と保養所の設置費の補助金であります。診断費の補助はこれも少額補助金で落ちたのでありますが、最終的にこれが承認されたのは、教職員の健康が特に児童に及ぼす影響が大きいので、特にこの補助金は復活したのであります。それから保養所の創設補助金でございますが、これは設置箇所が少し減りましたので、それに伴う減少でございます。 次に特殊教育の振興といたしまして、前年三千四百万が五千二百万、約千七百万の増額をしておるのでありしす。このうち特に取上げて申し上げますのは、特殊学級の教員養成が不足しておりますので、新しく教員養成の講習会費として四十万が認められたのであります。それから特殊学級に属する養護児童がございまして、その肢体不自由あるいは精神薄弱児等の実態が十分に捕捉されておりませんので、七十万円を認められまして、実態調査を徹底的にやりたい、こういう趣旨でございます。それから盲聾学校の教員養成が若干減額されておりますが、盲聾児童の就学奨励費補助金として約千八百万の増額をされております。これは非常に気の毒な家庭の子供でございますので、特に盲聾児童に対しできるだけ就学奨励をいたしたい、こういう趣旨で、一方に義務教育の教科書が一年生の国語と算数が落ちました関係もありまして、盲聾の児童就学については特に考慮いたしまして、教科書を全盲聾児童に無償でやるという趣旨と、それから学校給食と通学費と寄宿舎の設置費、これについては六割の人員に対して無償でやる、こういう趣旨で一千八百万円増額したのでございます。それから盲聾学校の設備費の補助が落ちたのは、これは学校といたしましてほぼ完成いたしておりますから、新たに机、腰かけの分でございますが、これはことしは落ちたのであります。それから次に僻地教育の振興、この関係で前年一千三百万が明年度は一千六百五十八万、約三百三十万円の増額をいたしております。これを増額いたしましたのほ、僻地教員の養成といたしまして、約百万円ほどの増額であります。それから僻地教育の振興のためには、どうしても僻地向けの学習指導井、そういうものがございませんので、この指道守書の刊行費として、六十三万、これは主として編集費でございます。それからそういう資料を提供して、今度はそれを実際に現場でいろいろと研究討議しなければなりませんので、この実験の学校としての指定校の補助費、八十六万円が新たに認められたのであります。僻地小中学校の教員六合の建設費補助として、前年よりは若干増額されまして、一千六十二万円、僻地教育の振興につきましては、このほかに手当の増額といたしまして、これは義務教育費国庫負担金の給与賀の中に計上されておりますが、僻地の手当が今最高九百円どまりになつておりますが、これき三分の一引上げることにいたしまして、千二百円、なお単級と複式につきましては、従来単級が三百円でありましたのを、四百円に引上げ、複式につきましては、二百四十円でありましたのを三百円に引上げたのであります。これは月額でございます。国家公務員につきましては、僻地の公務員につきましては手当の増額を認められなかつたのでありますが、教職員につきましては、特別に三分の一程度の引上げを承認されたのであります。 次の学校給食の助成、この学校給食関係は、文部予算と農林省の食管特別会計の二本建になつております。食管の方の関係では、前年十五億が十七億、約二億ほど増額されております。このほかにミルクの利子補給等を合せまして十八億五、六千万のものが食管特別会計の方に一般会計から繰入れになつております。これは外米を外麦に切りかえるという趣旨もございまして、特に学校給食を大いに奨励しようという趣旨で、文部古予算にも五千万円の設備費の補助が新たに計上されたのであります。 それから七番目の小中高等学校の教科内容の改善、これは前年よりは若干の増額を見ております。この中には道徳教育及び地歴教育の調査費とか、あるいは学習指導要領の改訂等がございます。なお手引書参考書等の教育内容の改善に伴うところの諸経費でございます。 八番目の、諸外国との留学生及び人物交換で新たに七百二十万円ほど増額になつております。それは留日外国人留学生の招聘として、七百二十万円が認められた。これは主として東南アジアの留学生を日本に招聘しようという考えであります。月額二万円で三十人ほど認められております。これも新規の経費でございます。 それから九番目の在外研究員につきましては、先ほど申し上げた通りでございます。 次の幼稚園教育の振興費として五百五十四万円、ほぼ前年同額が認められております。これは設備費の補助でございます。四百五十万円が設備費の補助、このほかに幼稚園関係は、公立文教の中で五百万円の建物の施設費の補助が別に組んであります。 それから次の教育放送につきましては、前年九百九十万円が本年度は二千万円、約一千万円の経費が増額されたのであります。 それから教育映画の製作普及は前年同額。社会教育施設の設備整備、これは従来は公民館図書館の運営費の補助でございましたが、運営費の補助というのは一般には政府は緊縮予算の中では見ないという方針をとりましたので、設備費の補助に改めまして、従来の三分の一補助を四分の一に切り下げまして二千五百万円、約八百万円ほどの減額になつております。 次に国際美術館の設置、これは五百万円が計上されておりますが、これは現在ある既存の建物を利用するために借入または修繕を行う経費として一応五百万円が計上されたのであります。これによつて松方コレクションを日本に持つて来るという考えであります。 それから十五番目のアジア大会の選手派遣としてアジア・オリンピックがフィリピンで行われますので、この関係へ一千万円が新たに認められたのであります。その他国民体育大会、それから青年大会、国際デヴィスカップの選手派遣等は前年と同額が認められております。 以上が文部本省の分でございまして、そこに人件費と一敵事業費別にわけてあります。 次の十四の国立学校の運営費でございますが、これは前年二百七十三億ございましたが、来年度は三百三億と約三十億の増額を来しております。このうち二十二、三億が人件費でありまして、残りの七、八億が物件費、国立学校で約二十三億の増額、附置研究所で約三億、病院で約四億円増額をいたしているのであります。この中には学部、学科、講座の増設、短期大学の設置、専攻科の新設等がございますが、特にこのうちでも設備費の関係が相当多いのであります。たとえば原子核研究所の設備費が三千万円、天文台の望遠鏡等で千二百五十万円の設備費、それで総工費三億の継続事業、それから水産大学に実習船の関係で総工費約三億円、そのうちの一億二千万円を来年度支出する、これも継続事業といたしまして債務負担行為をつけることになつております。その他学部では愛媛の農科大学を国立に移管し、大阪学芸に夜間学部をつくるというような点であります。学科といたしましては、北大に薬学科、東京大学に航空学科、京都大学に電子工学部、九州に建築学部、こういうものが認められております。それから短期大学は五つと、既設の名古屋のものが一つ、山形、岡山、埼玉、徳島、和歌山が新設であります。それから既設のものでは名古屋工大に新たに機械科を設置する、こういうことであります。その他講座等につきましては、大体従来通りの新設を認めて参つております。 以上が大体この一千百八十三億の内容でございます。
○辻委員長 次に文部大臣から予算編成の基本方針について聴取いたします。大達文部大臣。
○大達国務大臣 ただいま二十九年度予算の計数等につきましては会計課長から詳細御報告を申し上げたのでありますが、基本方針と申しますか、文部省が二十九年度予算を編成するにあたつて考えておりました心持、並びにこれが二十九年度予算として結局皆様方の御審議をいただくこの結果になりました経過等について、私から簡単になるべく重複を避けながら申し上げたいと思います。 文部省といたしましては、前々の特別国会でありましたか、当時当面の文教方針として申し上げましたその線に沿つて、できるだけこれに一定の計画性を持たして予算の上にこれを実現したい、こういう考え方、それから昨年の国会におきまして、当委員全等におきましてあるいは議員立法の形式なりあるいはまた決議の形式をもつて強く御要望をいただきました点に関することを予算の上に実況して参りたい、大体かような考え方で予算を編成いたしまして、大蔵省に折衝いたしたのであります。御承知の通り本年は非常な緊縮予算という全般的な方針が立てられましたので、その関係で私どもが当初考えておりました予算の実現は非常な困難に遭遇したのであります。結果といたしましてはただいま申し上げたような結果になつたのであります。何しろ一兆円で絶対に押えるという政府の強い方針でありますので、文部省予算におきましても当初非常な大幅な査定を受けたのでありますが、それについてきわめて重点的に復活のお願いをして、そうしてようやくお手元に出しましたような予算をつくることができたのであります。以上おもな点につきまして重複を避けながら主として文部省の考え方と申しますか気持を主にして簡単に申し上げたいと思います。 まず第一は義務教育の充実の問題であります。これにつきましてはかねて強い御要望もありまして、公立学校施設の整備充実というために相当の予算を要求したのでありますが、ただ問題の老朽校舎、これについてかなり大幅な削減を受けました。その結果十四億ということになつているのでありますが、これは御承知の通り二十八年度の当初予算におきましては、十二億という予算が提出されたのでありまして、国会においてさらにこれを十億増額申請をされましたので、当初予算に比べれば若干の増額ということになつたのであります。その他の設備補助におきましては前年度に比べて幾らか増額をされているのでありまして、特に私どもといたして喜んでおりますのは、先ほど説明いたしましたように大土二学校の建築補助につきまして従来生徒一人当り〇・七坪という基準をとつておりましたものを一・〇八坪という基準に、やや合理的な線に近いものに引上げることが認められた。それによつてそれを基準としての年次計画を立てまして、それを予算の上に計上することができた。この点は実は富んでいる次第であります。 その次は義務教育費国庫負担の問題でありますが、これも実は御承知の通り中央地方を通じての行政整理という問題が、やはり当面政府の重要な課題となつております関係上、大幅な削減というようなことが危惧されたのであります。また定員定額制という問題も実は起つたのでありますが、これも法律の趣旨に従つて、実際支出願ということにいたしました。ことに二十九年度におきましては御承知の通り小学、中学ともに非常な生徒数の増加であります。それに対処する意味におきまして、前年に比べて約百億の増額を計上することができたのでありまして、まずこの予算をもつてすれば、首切りとかそういうことはむろんないのみならず、非常な生徒数の増加に対処して、相当な教職員を充実し得るものと見ております。なお例の富裕県に対する特例法の問題も、この予算におきましては解決をいたしまして、その意味におきましても国庫負担制度というものが一応完成したと申し上げてさしつかえないと思つておるのであります。 それから産業教育の振興につきましては、従来非常に強い御支援が国会力価におきましてもありました。ただただいま申し上げますように緊縮予算でありますので、遺憾ながら前年を非常に上まわるという予算を計上することができませんでした。ただ引続いて高等学校の方に重点を置くという方寸を貫く趣旨をもちまして、新たに産業教育の施設補助を計上することができたのであります。 それからまた科学技術、学術の振興の方面におきましても、大体前生同様を金額として確保することができました。そして相当新たな経費を計上し得たのであります。特に私として非常に弄んでおります点は、原子核の研究所を新設するということの計画が認められて、その初年度の経費を計上することができました。それから天文台に二十四インチの望遠鏡を置くということも予算に計上することができました。なお東大に航空学科あるいは京大に電子工学科を新設する、東大理工学研究所に航空部門の設立、この一連の戦争によつて非常に遅れております日本の学術、科学の面におきまして、少しでも遅れをとりもどすための努力が予算の上に現わすことができたという点を、実は非常に喜んでおるのであります。何しろ非常な緊縮予算でありまして、まことに秋風落莫たる予算でありますけれども、ただあとずさりをしておつただけではどうもおもしろくないのであります。あとずさりは余儀なくされつつも、少しでも日本の科学、日本の学術をとり返したいという気持を現わし得たということを実は喜んでおるのであります。 それから議員立法あるいは決議において特に強い御要望でありました理科教育の振興、それから学校図書館の振興、こういう方面におきましても、これは実はもつよ御要望に沿う意味で、私どもとしては相当な一定の年次計画に基いた経費を要求したのでありますが、遺憾ながらただいまお手元に出してあります資料に現われております経費の計上にとどまつたわけであります。 それから勤労青少年に対する教育の問題として、定時制、通信教育、それから青年学級の補助、育成、ここにおきましてもわずかではありますが増しております。これは実は私どもとしてはまことに遺憾に思つております。実はこれはもう少し予算がとりたかつたのでありますが、そういう運びに至らなかつたことを遺憾に思つておる次第でございます。 それから僻地教育の振興、これも御要望もあり、また非常に強い一般的な声がありまして、これにつきましても相当な計画を立てたのではありますが、遺憾ながら微々たる増額にとどまりました。これも今後努力をして、ぜひとも僻地教育の振興をもつと合理的な、計画的なものとして将来進めて参りたい、かように考えておる次第であります。 今申し上げましたのは、大体少しでもよくなつておるものでありますが、緊縮予算の緊縮風に吹かれて、私どもとして今回計上したものが相当減額されておるものがあります。金額から申しますと私学振興費というものが前年度十五億円であつたものが五億円に大幅の削減を受けたのであります。これはしかし前年度当初十億というものを五億増額修正されたものでありまして、そこで大蔵省が差引計算をしたというわけでもありませんが、まずこの程度でよかろうということで、これも結局五億円の計上にとどまらざるを得なかつたわけであります。 それから特に、非常に困つたような予算の削減あるいは減額の面は、私どもとしてはないのでありますが、ただ教科書を無償で交付しておりましたものが、これが全部削減をいたされました。これは残念でありますけれどもやむを得ないと考えております。 一口に申し上げますと、全体においては前年に比べて約百二十億円程度の増額となつておると思つておりますが、その中で義務教育の国庫負担の方で百億、これは生徒数の増加というようなことからそろばんをはじいて、どうしても増額せざるを符ない経費でありまして、公立学校の先生の自然の増加に伴う分を除きますと、大体前年度と大差のない予算になるのであります。しかしながらただいま申し上げましたように、その内容においては、教育全体に及ぼす影響としましては、ここ数年に比し、非常に少しでも前進する予算を組むことができましたことを、私どもとしては非常に喜んでおるのであります。御承知の通り非常な緊縮予算でありまして、前年度に比べまして相当程度の減額もやむを得ないような情勢でありますので、希望を言えばむろんこれでは満足はできないのでありますが、しかしこの程度で一応やむを得ないものと考えておるのであります。ただこういう予算でありますから、その執行に当りましては、幸いに協賛をいただきまして成立いたしますれば、その執行についてはできるだけ重点的に、できるだけ効率的にこれを執行して参りまして、金額は少くともこれはできるだけ役に立つようにして参りたい、かように考えております。
○辻委員長 これより質疑に入ります。御質疑はございませんか。——御質疑がなければ、本日はこの程度にとどめて散会をいたします。 午後三時一分散会