農林委員会蚕糸に関する小委員会 第4号
- 発言数
- 110 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/07/20
会議録
○佐藤委員長 これより会議を開きます、院 繭糸価格安定法の一部を改正する法律案を議題といたし、その審査を進めます。 本案につきましては去る六月三十日の農林委員会会において弄内蚕糸局長より問題点について簡単に説明を承りましたが、今般新しく原田氏が局長に就任せられたので、この際局長よりごあいさつがあります。
○原田説明員 ただいま御紹介にあずかりました原田でございます。蚕糸行政のようなむずかしい行政に従事することになりましたのでございますが、今までの経歴から考えまして、こういう問題につきまして知識経験がまことに不足であるという感じを私自身抱いておりますが、職責を全うするために懸命に勉強もいたしたい、かように考えております次第で、どうぞ至りませんところは、諸先生方の御指導を特にお願いいたしたい、かように考えております。よろしくお願いいたします。
○金子委員 繭糸価格安定法の一部の改正をしようという問題の提案理由の説明があつたのでありますが、その前に、今さしあたつております春の繭の繭価協定、掛目協定がまだ判然としておりません。またそれをめぐつての諸問題が、時局柄いろいろ出ておりますので、掛目協定の問題について二、三お伺いしたいと思うのであります。掛口協定の問題は、繭糸価格安定法によりまして、審議会で繭の生産者の代表なり製糸工場なり、あるいは生糸を扱う人たちなり、そういう各方面の方々の代表の審議委員が出ておりまして、相当慎重な態度で年々審議されておる、こう思うのでありますけれども、根本問題に対して強く掘り下げておるということにつきまして、不幸にして私どもよく内容を存じておらないのでありますが、以下主として審議会や、あるいは蚕糸局等において、掛目あるいは繭の販売をめぐつて、どの程度まで掘り下げた考え方でひとつの協定の基本を持つておるかということでお伺いしたいと思います。 まず第一に、局長は新しいのでよく御存じないかと思いますが、掛目協定のときに、年々問題になります水引きの問題であります。今は二・九%の水引きというものを天引しておる、こういうふうに思うのでありますが、この水引きの二・九という数字は今までどういう変化があつてここまで来たのか、あるいはこれに対する根拠に対して、どの程度まで掘り下げて研究されておつたか、その経緯をひとつ説明願いたいのであります。
○原田説明員 お答え申し上げます。ただいまお話のございました水引きの問題でございますが、私も仕事を始めましたばかりでございまして詳細な事情については実はつまびらかでないところもございますが、私の承知しておりますところを申し上げたいと思います。 この水引きのお話の二・九という数字は、相当以前に蚕糸局として適当な数字であるというふうに通牒をいたしたのでございますが、最近になりまして、この水引きの問題が取上げられ、いろいろ論議がかわされるようになりましたので、この一・九という教学が適当なものであるかどうかということにつきまして、慎重に調査研究をしなければならない、こういう考えから昭和二十八年度から三箇年にわたりまして予算を計上していただきまして、その糸数について調査研究をいたしております。
○金子委員 もちろんこの水引きの問題は、言葉で言いますれば、水分の含有量というものを検定の結果から引くというような言葉に受け映れるのでありますけれども、これはそういうふうな狭義の——農林省がこれをきめた当時の考え方は、そういうふうな狭い意味の、狭義の水引きでなく、製糸家が繭を受取つてから、繭の輸送なりあるいは製品に行くまでの過程、ないしは制糸に委託になりましたその製品が、灘浜の倉庫受渡し、着くまでの間の荷痛み、損耗というものの総体をひつくるめて広い意味に考えたために、二・九というものが出ておるのだというふうに私どもは承知しておりますが、そういうふうな考え方を持つているわけでありますか。
○酒折説明員 これは昭和十五年に蚕糸局長名で各県に対して、取引糸量に関する件という通牒を出しまして、この中に原因別の減耗割合というものを通牒したわけであります。この歩どまり合計が九八・二七%であるということで、その内容を申し上げますと、貯蔵及び大量繰糸によるもの、繰糸過程の生糸の検査によるもの、それから揚げ返しによるもの、それから生糸検査によるもの、この四項目にわけまして各パーセンテージが出ております。その合計が九八・二七%ということになるわけであります。
○金子委員 そうしますと、その項目で行きますと繰糸過程だけをとつているわけでありますか。
○酒折説明員 繰糸過程におけるものと生糸検査におけるものと二つにわかれております。
○金子委員 生糸検査というのは、横浜の生糸検査所におけるものを言うのでありますか。
○酒折説明員 そうでございます。従いまして今申しましたように、大量繰糸及び貯蔵とそれから製糸工場内の生糸検査によるものと、揚げ返しによるものと、これが製糸工場内のものでありまして繰糸過程のものであります。最後の生糸検査におけるもの、これが生糸検査所における減耗であります。
○金子委員 たとえば、横浜の生糸検査所の検査にかかるまでの、たとえば製品になつて工場から出るまでの乾燥その他の目減りがかりにあつたとすれば、そういうものはどこに含まれるのですか。
○酒折説明員 これは通常の過程において当然製造過程で生ずる損耗だけについていつておるわけでありまして、そういう途中の特殊な事情によつて損耗を負つたというものは考えられておらない。おそらくこれは当然製造業者としての負担に帰するのではないかと思つております。
○金子委員 その問題はまだ疑点が残つておりまするけれども、今日の糸は、全部横浜へ行くものではないのです。むしろ輸出生糸の方が量が少くて工場からじかに地使いの糸として市場に出まわるものが相当多いのです。そういう場合において、どうして二・九というものの指示をしておくことが正しいという考え方ができるのですか。
○酒折説明員 その問題になりますと、これは非常に複雑な問題になりますけれども、ただわれわれの方といたしましては、製糸過程においてこういう損耗があり、生糸検査によつてこういう損耗があるということをいつておるにすぎないのでありまして、これをいかに使うかということまでは全然指示しておりません。
○金子委員 それは詭弁でありまして、あなた方そういうふうな詭弁を用いることはいかないのです。なぜならば、あなた方が出した水引き二・九ということを言えば、どこの県においても現実に行われておるときに、検定成績から二・九を引くことは原則になつておる。二・九という数字が押引きの対象になつておらない。憲法のようにちやんと守ることになつておる。どこの県でも守つておるでしよう。そういうのをあなた方監督官庁として見ていて、とにかく横浜に生糸を出して、横浜の検定所へ行くまでにこれだけのあれがかりに正しいとしても、そうしたら、当時の輸出を主体にした生糸製造の場合と、現実において輸出というものが現に何割と減つた今日、この二・九というものはこういう過程においてこういう資料によつて出したものなのだから、現在のまゆ取引に対して二・九というものを金科玉条のように使うことはあながち妥当ではないということをなぜ指示しないのですか。
○酒折説明員 その点は、一昨年取引市場の問題が生じたときに、中間的にでも現在わかり得る範囲においてのこちらの見解を表明すべきであるという御意見もあつた次第でございますけれども、結局この際根本的にすべてを解決する意味において、徹底的に調査をした上で、最終的な自信のある結論を出した方がよかろうということで、現在の検査を実施しておるわけでありまして、問題点としてはおつしやることはわかるのであります。
○金子委員 根本的にやるとかやらぬとか言つたつて、一箇年間もし三・九が二・五となるとしたら、全国では莫大な小額になるのですよ。掛目の基準になりますから……。これはあなたそろばんをさつと入れてみたら、〇・一違つたらえらいことになりますよ。そういうような、現実に農民に対して損失のあることを、根本的にやるのに三年ばかり待てなんて、そんなずさんな話はないですよ。それならなぜ——この協定をやつたとき、昭和十五年にこれをきめたとするならば、これをどういうような権力を持つた機関が製糸工場の実態に対して立ち入つてやつたか、そういうふうな面を調べてみなければわからぬのです。ことに生産費の問題、製造工程における成績というものは、工場は一つの営利工場でありますので、これに対して勝手に立ち入つて調べるというようなことは、権力としてはできません、法律に基かなければ……。でありますがゆえに、今度の硫一宏の価格を、正当な価格をきめようというときに、肥料の審議会において、法的な根拠に基いたものが工場に立ち入ることができる、そして工場はそれに対して資料を提供しなければならないと、法律に基がなければ生産費さえも調査できない。だけれども、製糸の問題はそうむずかしくないのです。かつて組合製糸がやつた当時は、一つの村なら村の荷口に対して、全体のトータルも出ますし、それから日日の工程において、一つの工場別において、三一中なら二一中、これを何粒つけてひけ、そうして何匁何分に上げろというような指示によつて工場を運転しているのでしよう。だから日々、日計は出て来るのです。それを鍵の検査所にわざわざ持つて行かなくても、横浜の検査所の水分検査と同じ過程を経て見ればすぐ出るのです。そんなむずかしいものじやない。それを昭和十五年にきめて、その当時は生糸の大部分というものは輸出されるときの立場だ、今日の糸は大部分は内需に向けられている。輸出検査所のようなそんなむずかしい規格——規格はこれは別でありますけれども、水分検定なんというものを経ないで売つているのです。これは取引に使わないのならいいのですよ。取引は一方に利益があつて一方に損害があるのですから、その利害関係のあるものに対して、単音の発表ならかまわぬけれども、それを利害関係のある取引に、全国で毎年々々年三回ずつ使つているのです。それを、これに対しては今さら、軽々にやらないで、今後三年間に根本的ななんて、こんなものをやるのに三箇年かかつてどうこうなんという必要はないと思う。もう少しこの掛目に対して、今あなたのお話を聞くと、三・九という数字を使う根拠はないということに私は結論を持つのだが、それに対して異論がありますか。
○酒折説明員 実はおつしやる通り、生糸検査における減耗というものは理論的に出るわけであります。従つてこの問題はおそらくそれほどの年数を要する試験は必要なくして出るだろうと思います。ただこれが売られる場合に、無検査のものと国内検査のものと輸出検査のものと輸出検査のものと、実際的に三色あるわけです。これの間にどの程度の差があるかという問題に、御質問の点は帰するのじやないかと思います。これは繭を売られる段階において、はたしてどうなるかという点においての予測ができないという問題が多少ありますけれども、やはり理論的にはおのおのの場合についてどのくらいになるであろうということは計算し得るわけであります。その点は、今まで確かにわれわれとしても、おのおのの場合の理論的数字を出さなかつたということについては、私はどうも責任を感ずるのでありまして、この点はひとつ十分検討さしていていだきたいと思います。ただ問題は、繭を売る際にいかなる検査を受けることになるかということがわかりにくいことがあるという点、だから現実問題としては解決が困難であろうという問題が残つております。
○金子委員 これは水引きという問題だけで二・九という数字全部をかけて見ますことは、当然若干のものを引くということはわかりますけれども、二・九という数字は、私どもの群馬のような生産の多い県になりますと、かりに九百掛程度にしても一億五千万円くらいになるのです。だからその一割を引いても一千何百万円という金になるのですよ。そうしてあの県全体の連合会の経営というものが五千万円もあればできるのです。だからこの水引きの問題が〇・一違えば、その県の養蚕団体の経費くらい出てしまうのです。そんな大きな問題をあなた方は昭和十五年にきめて、そうしてこれは輸出の盛んな当時のもくろみで、そういうことを前提としてこういうことをきめて、全国の繭価協定に二・九を教科書に書いてあるように確実に使つているのを、現に監督官庁として見ているのです。見ておつて、それは妥当でないということをあなた方は指導しないのです。それを私は非常に無責任だと思う。だからこの水引きの問題も、最高こういう場合にはこのくらいあるのだ、こういう場合にはこのくらいあるのだ、だからやはりそれを繭価協定の議題の中に一つ入れて、そうして今年の糸は大体半分くらい輸出になることが常識だとか、あるいは三分の一くらい輸出になることが常識だとか、それならはこの水引きに対しては平均このくらいに持つべきじやないかということを指導としてはやるべきじやないか、私はこういうふうに考えますが、その点に対してどうお考えになりますか。
○酒折説明員 大体御趣旨は私もよくわかるのですけれども、ただここで正直に思つておることを全部申し上げるわけです。そこでまだ結論的には考えておらないのですか、資料として提出するという段階に、できるならばこれで行きたい。まあこういう場合にはこういうことになる、こういう場合にはこういうことになるということでないと、あとの分は水引きしろというわけに行かない、ただ資料としてはこういうものがあるという点までは、できるだけ正確に資料として出す必要がある、こういうふうに考えます。
○金子委員 それでは長くなりますから、水引きの問題に対しては、結論として、あなたのおつしやる通り、農林省の調査による資料としてはこういうもんだ、そうして二・九というものは必ず掛目協定のときに無条件に引くということに対しては、違うということは言わぬでもいいから、違うということを裏書できるだけの、実際農林省の蚕糸局の見解における水引きというものはこうだということの実態を、なるべく早く発表なり、あるいは繭価協定の前に二・九というものは、もうそれにきまつたかのような今の考え方をとらなければいかぬ。もちろんこういうふうなことをやつていましても、水引きの問題がかりに二・五になりましても、最後には繭価の協定というものは政治的な形で運ばれますので、製糸家が損してまでやらないという限界から言えば、それをどうこう言つてみたつてほかの面でとられれば同じだというようなあきらめ的な考えもないじやありませんけれども、しかしながら頭からこれを二・九で引くことが妥当だということを、こうして昭和十五年から長い間、それを全国の繭価の協定において何の疑問も持たないような形で行われていることを、また蚕糸局自体もこれを黙視しておる。蚕糸局は百も承知しておるのです、それは私ども、不可解じやないか、こういうことでありますので、なるべく早い機会に政府は、水引きに対する見解を明らかにしてもらいたい、そういうことをお願いしておきます。よろしゆうございますか。
○酒折説明員 できるだけ早い機会に、できるだけ正確な資料のもとに結論を出したいと思います。
○金子委員 それは資料にして一応提出してください。それから同時に、その発表する機会は、もう春蚕は検定が終えていますから、だから秋蚕の検定までにはそれは農村指導の資料としてはたして繭価協定にそれを何パーセント使おうと、これはあなたの責任でもないし、われわれの云々するところじやありませんが、繭価協定の参考資料になるように、時間的にも間に合うようにしていただきたいと思いますが、よろしゆうございますか。
○酒折説明員 われわれももちろんそういう考えでやつて行きたいということを申し上げるわけでありますけれども、相当問題は複雑な問題を包蔵しておりますので、この点は新局長によく内容も十分説明して、納得してもらつた上で最終的な結論は出したいと思います。
○金子委員 それでは社会的に発表するのは別として本委員会に、あなた方の研究はあるのだから、それを資料として出せますか。
○酒折説明員 委員会に資料として出すということは、発表すると同結果ではないかと思います。
○金子委員 それならばそれはいつできるのですか。
○酒折説明員 ですからその発表につきましては、いろいろな複雑な問題がありますから、新局長によく御事情を御説明して、その上で責任のある答弁をした方がいいのじやなかろうかと思います。
○金子委員 じやあ局長から御答弁を聞きます。それでいつに間に合いますか。
○原田説明員 私言訳を申し上げるわけではございませんが、転任して参りましてそれにまだ短時間でございますので、ただいまの水引きの問題は非常にむずかしい問題であるということはわかりましたが、いかにするかということにつきましては、目下関係職員といろいろ研究をしおる段階でございます。ただいまの早くしなければならぬではないかということにつきましては、まことにそれに対してどうのこうのと申し上げる余地はない問題でございますが、いつまでに間に合わすかということにつきましては、本日のところはいつまでということを私まだ申し上げる確信ができておりませんので、ひとつ事情を御了承いただきまして、一生懸命この問題について調査研究をいたしておるということを申し上げますから、それで御了承いただきたいと思います。
○金子委員 その答弁は聞けない。それはなぜかならば、昭和十五年から今日まで幾年たちますか、それでいてこんな簡単なことがまだ研究が足らぬと言われる。しかも農民の利害関係に関しない問題ならよいですが、重大な利害関係に関する問題です、それを今日まで……。しかも生産費を調査するということは非常にむずかしいのですけれども、製糸過程内の問題はそれほど重大な問題ではないと私は思う。ですからきよう、あしたに出ないということはわかつておりますが、それならばこの秋蚕が上籏する前に、それがわれわれの手元なり何なりに届くようにあなた方の研究の結果を発表していただきたい。
○酒折説明員 実は私申しましたのは、局長はまだ水引きとはどういうものであるか、またこまかく言つてその内容がどういう原因でどういうふうにして生じたものであるかという点について十分に御理解を得るように説明してないのです。これは私どもの怠慢でございますけれども……。その辺のところがわからなければ、この問題は十一月までに出しますとかということは、おそらく局長としても答弁できないだろうと思います。その点はただいま申しましたような、生糸の検査におけるものと製糸過程におけるものとはこれは一体どういうものか、説明しなければなかなかわからない点がたくさんあるわけです。そういつた点を説明して、理解の上でなければ責任のある答弁はむずかしいと思います。
○金子委員 これは食い下るようですけれども、きよう、あした資料を出せということなら無理だということになる、けれどもそんなものを説明するのに二時間もかかるわけではないでしよう。そうしたら秋蚕までならばまだこれからはこうというので三十日間近くあるのだからその間には……。私の方ではそれを国会として正式に要求とするのは簡単ですけれども、要求されてやむを得ずつくつた資料で暫定資料だ、次にまた決定資料を出しますというようなことでは何にもならぬから、今度は話合いの意味であなた方にお願いしておるわけであります。
○酒折説明員 ただいまの問題は、われわれの方でそういうふうにもう少し検討させていただきたいということを言つておる特に大きな原因は、先ほども申しましたように、当初この修正値を出すということにつきまして、一部はつきりするのはすぐにでも出せるというような意見もありますし、また逆に一部分だけを出すよりも全体的にすべての検査を終つたところで総合的に結論を出す方がいいじやないかという両論がありまして、結果としてそれでは三箇年計画で徹底的に調査をしてその上で結論を出そうというようなことで、両方とも話合いでもつてやつて来たわけであります。その血の調整をやる必要がありますので、その土でさらに検討させていただきたいということを申しておるわけでありまして、その辺をひとつ御理解いただきたいと思います。
○金子委員 それは役所のあなた方の見解で、どんな大きな研究をやつてその結果を調整して発表しようがかつてなんですけれども、私の言つているのはそうじやない。この水明きに対する一つの条件、どこからどれだけの水を引くという考え方が出て来るか、それが平均してなりあるいはサンプル工場を幾つかとつてなり、あるいは理論的に妥当だ、この面からはこれだけ、この面からはこれだけ出ておる。そして水引きというのは常に二・九%という水分がいつでも含まれているという見解のものじやないということをはつきりすればよいので、それだけを要求しておるのです。それならば私の方から正式に要求しますから、少くとも八月の二十日ごろまでにそれだけの部分を提出してください。それならば相談しませんから……。
○酒折説明員 その点ちよつと話がこんがらがつている点があると思うので申し上げますけれども、製糸過程における減耗と申しますのは、これはわれわれ現在試験をしておるわけです。この結果をまとめて発表しなければならない。それを、どうしても中間的な発表をしろと言われるならば、それはやむを得ないでありましようけれども、やはりこれは何といいますか、三箇年間の総合成績を出して発表するので、最終的にこちらのほんとうに自信のあるものを発表するのが適当じやないかと思つております。ただ先ほど問題にされました生糸検査における減耗、これは理論的に出るわけです。これは長い期間の検査で理論的な計算で出せ、これについてはおつしやる通りに理論的に早く結論を出すこともできましようと申し上げたわけでありまして、製糸過程の方につきましては、やはりわれわれといたしましては、この予定の三箇年計画の総合結論を出したいという気持でおるわけです。
○金子委員 あなた方の製糸過程の問題につきましては——この問題は切り上げようと思つたのですが、それならば、長くなりますけれども、実際工場に当つての製糸機を中心にして、それをサンプルとして、幾つかの調査によつて、それを基礎としてトータルしたものを出そうというこういうことなんですか、製糸過程というのは……。
○酒折説明員 これは現在繭検定が各県でございますが、一昨年から多条機械に切りかえておりますが、切りかえると同時にこの試験を引続きやつておりまして、この結果を三箇年計画でまとめたい、そういう予定でございます。
○金子委員 私の申し上げておるのは、今の繭の検定所という特定なところで、特定な厳密なものをやつたものを一つの参考にすると同時に、実際に今製糸が、新しいシステムによる自動繰糸機や何かは別としまして、一般の多乗機でやつておる工場でこれを引いてみると、どのくらいの損耗が出ているかということと両方考える、こういう意味において私はひまをかけるのだ、こう考えたのですが、実際検定所で、たとえばほかの話にもなりますが、選定所で選除繭が出るからといつてその通り選除繭が出るかどうか疑問じやないか、検定所で水分がこの程度だからといつて、その通りそれが出ておるかどうかわからぬじやないか、だから検定所の科学的な面で最も合理的な立場でやつた場合と、実際に製糸がやつておるところの各県のモデル工場においての——実際の表を見せるか見せないかわからぬが、これは表を見ればはつきりわかる。製糸をやるのにどこから幾らで買つた繭だかそれも混同してわからぬ、それで毎日原料を煮繭場へ出しておいて、それが日暮れになつて糸が何匁になつて幾ら荷づくりされたかわからぬ、そんなことで製糸経営はできない。毎日日報を出してやつておるのです。そういうふうな面を研究して見なければ、今の取引の水引きというものは何かほかの学問に使われておるのならばかまわぬですけれども、そうじやない、損と得の問題にすぐ使われて来るのでしよう、そういう数字に使われることを承知だつたならば、そういう数字に使うのはどういうふうな数字をとるべきかということを、おのずからそのサンプルや基礎も考え直さなければならぬと思いますが、それに対しての見解はどうですか。
○酒折説明員 おつ上やる通り、最も望ましいのは、製糸工場の実態を調査いたしまして、これに基く減耗を出すことであります。ただ現在強制的にそういう繰糸の内容にタッチしてわれわれがあらゆるデータを集めることもできないし、やむを得ずその際における検定所の繰糸を、最も普通の製糸工場がやるのと同じようなものにして、それに基いて製糸をしたいということで、おつしやることはごもつともだと思うのですけれども、それが現実には各工場の中に入つてやることはできませんから、モデルを選定してやつておるのが実情であります。
○金子委員 それはほかの硫安の生産費を調査するとかいうことですと、一つの企業でありますし、企業である以上はそこに資本のよしあし、あるいは総合企業をやつておる場合における総合企業との利益の組みわけ、分離ということに非常にむずかしい点があるけれども、原料を何ぼ供給して、それからどれだけの糸が出て、それだけの中から横浜の生糸検査所に行く、それがどれだけできるかという、それだけの過程のことならば、そんなにむずかしい大きな問題じやありませんけれども、もしよしんばむずかしい問題で、人の企業に対して立入ることだから一つの権力を要するというならば、繭を強制的に取引した場合になぜやらないか。農民から強権をもつて繭を買つた時代がある、そして権力で価格をきめた時代がある。そういうときに製糸の過程に対して、そういう権力を用いるだけの努力を持たなかつたのですか。そうなるとやかましい問題です。もしそれが必要だつたならば今にも起案したらどうですか。硫安だつて何だつて法律をつくればできるのだから、そういうふうにして検定するのに、あなた方が企業工場の内容に対して調査できないというのだつたたらば、この繭糸価格安定について一つの委員会を設けて、その審議委員なら解離委員に一つの権力を与えればいくらでもできるはずです。それほどむずかしい問題だつたら法律を改正して、審議会で工場の実態を調査できるようにしたらどうですか。その点局長はどうですか。
○原田説明員 いろいろおしかりをいただきまして、先ほどから恐縮いたしております。確かにこの問題は昭和十五年に通牒が出まして、それから長い間そのままになつておつて、最近になりまして急にいろいろ問題になり、また農林省といたしましても、相当問題になつてから急いで予算を計上していただいて研究調査にとりかかつておる、しかもその研究調査の方針と申しますか、二十八年度、二十九年度、三十年度に継続調査研究いたしまして、その上で確定的な結論を得る、こういう結論が現在農林省としましては出ておるわけでございまして、それまでのいろいろないきさつ等につきましても、当時そういう与え方をとりました機もいろいろあること存じます。ただいまいろいろおしかりを受けております諸点につきましても、確かにわれわれといたしましてもさらにいろいろ反省もし、またくふうもしなければならぬ点もあると存じますが、そういう今までのいきさつその他につきましても、さらに私どもといたしましても重ねて研究をいたしたいと考えております。
○金子委員 私はそこをお聞きしておるのじやない。あなた方が十年研究しようと、二十年研究しようと、研究をするなということを言つておるのじやない。毎年々々全国で億に近いものです。こつちが損するか得をするかという基本になつておる。それだけに重大な問題です。どうしてここまでほうつておいたか。よしんばほうつておいたことはやむを得ぬにしても、ことしから直したらどうか、何も二・九を引くなとか引けというのじやない、二・九というものは、これだけが全部今の製糸過程において引かれるものではなくて、その実態は、こういうものだということをあなた方は発表すればいいのです。あなた方の方は繭価協定をして二・九を必ず引けと命令を出したり、通牒を出したことはないでしよう。あればたいへんですよ。しかしながら通牒を出したと同じような結果を生んでいる。あなた方はそれをちやんと百も承知の上で見過しているわけです。だからほかの製糸のいろいろな問題は別として、これはいわゆる掛目協定の中の損失部分ですから、広義には糸の生産費の一部分です。それを調査するのは今困難だというけれども、困難ならば審議会に法的権限を持たせて調査できるようにしたらどうか、そういうことをお尋ねするのです。
○原田説明員 私の言葉が足りませんでしたが、今の調査の方法につきましても、当事実際の製糸工場を対象にしないで、検定所を使うという方法をとることになつた事情等もいろいろあろうかと思いますので、そういう点についても、当時の事情その他を十分に研究させていただきたいと申し上げたのでございます。
○金子委員 局長とわけのわからぬような押し問答をしているような形で、これでは何ぼやつても際限がつかない。あれだけの大資本を持つていて、あれだけ複雑な硫安工業に対しても、正しい価格を出すためには法律的な根拠を持ち、権限を持つた価格調査をし、それに対して資料を提供しなければならないということを言つているわけです。こんな簡単なことぐらいは、もし必要ならば法的な権限を持つたものですぐ調査をしたらどうだろう。現在法的な根拠を持つものがないんだからそういう私法をしたらどうと言うのです。
○原田説明員 要領を得ないことばかり申し上げるような形になりますが、お話のような点につきまして、当時は当時としていろいろ調査の方法、研究の方法をいろいろ研究した結果、応こういう行き方に話が行つたと考えております。争ういう点につきまして、ただいま御指摘のような角度から見てどうであるかということにつきまして、研究させていただきたいと思います。
○金子委員 研究々々といつて逃げるが、あなたはよく考えなければならぬ。あなたは一銭の損にも得にもならぬから、何年でも研究しますと言つていればいい。それで俸給が下ることはない。あなた方は役人なんだから、間違いがなければ上る一方でしよう。しかし百姓は何年も何年も研究しますじやたまらぬですよ。あなたの方は大過なくさえ過ぎればいいけれども、これは損得の材料に使われている数字なんです。それを研究します、研究しますで行くことは重大問題です。皮肉を言いたくないけれども、これ以上申し上げるとそういうことになる。 最後に、資料は来月の二十日まで、やむを得ないならば現段階としてはここまでの資料しか出ないというところでけつこうですが、それを出していただきたい。 もう一つ水引きの問題について伺いたいのですが、今製糸家が原料を獲得して、全国平均して内需にどれくらい渡しているか、どれくらい輸出しているか。このくらいは過去二箇年なり三箇年の実績で明らかだと思う。そういう場合に、横浜の生糸検査所の検定まで含んだ二・九が正しいと仮定すれば、今の取引の要素としてその数字をそのまま使うことが妥当だと思いますか、妥当でないと思いますか。
○酒折説明員 これは先ほど申し上げましたように、現在の取引糸量の基礎となつております生糸検査料糸、これは横神の生糸検査によつての損耗が出ておるわけであります。従いましてそうでない場合の数字は、それ以上の数字が出るはずでございます、その点はすべてがこれで行くということは——少くともこういう項目をあげている限りにおいては、違う数字があり得るということが言えるだろうと思います。
○川俣委員 今金子委員から熱心に質疑があつたんですが、どうも私ども聞いておりまして、政府は本法案を提出するに至りましたにかかわらず、資料が非常に整つていないのではないかと思われます。検定所において検査をいたしたデータがあるはずである。しかるに工場でどれだけの減耗率になつておるかということを把握しないで、十条の三項のような改正案を出されるということは、十分な材料も持たずにこういう法律案を出されるということは、非常に無責任だと思う。結局取引の上に非常に影響のあるものを十分検討なしに、これに対して適当な勧告をすることができるというほどの権限を与えるには、あなた方の材料が少し足りないのではないか。それだけの材料を持たない政府に権限を与えることは、非常に危険だと思うのです。当然今までの間、長い日本の経験からいたしまして、工場の進歩等にもよりましようけれども、減耗率がどの程度になつているのだというようなことを、把握できなかつたといたしますならば、この法案を出すだけの資格がないと思うのです。ということは、重要な指示を与えたり勧告をなすことができるような委任を要求いたしておるにかかわらず、それだけの材料をも今まで持つていなかつた。これから持つのだ。しかもそれがいつだかわからないというようなことで、法案を出されるということになると、はなはだもつて危険だと思うのです。大体どこの工場でも、どの程度の減耗率があるのかというようなことを、すでに過去において幾らか判定されていなければならぬはずだと思う。これをさらにこの法律に基いてもつと正確に出すというなら、これはまた別問題でありますけれども、今までどのくらいの減耗率があつたんだ、検定所と実際とはどれだけの開きがあつたんだ。なかつたのかあつたのか。このくらいの見当がついていないなんということはないはずだ。検定所には検定所のデータがあるはずだ、それが実際の工場に行つたときに、どれだけの誤差があるのか、これくらいのことが検討されていないということはないはずだ、もしなければこんな法案を出す必要はないですよ。どうせ暗やみで手さぐりの政策をやつておられるならこんなものは必要ない。私はそういうものを十分そろえてこれをお出しになつたと好意的に見ておるが、この点どうですか。
○酒折説明員 現在の繭糸価格安定法における製造販売費の調査は、全国の代表的な工場五十につきまして調査しているわけでありまして、その工場につきましては、幾らの繭が入り、幾らの糸が生産されたということは、総合的には当然個々の工場別に出て来るわけであります。しかしこの水引きの問題につきまして、各項目別に幾らの減耗があつたかということになりますと、精密な試験をやらなければ、各工場別にできないわけであります。しかし総合的には生糸生産高、検定成績、繭購入費、この三つを見れば出るわけでございます。
○川俣委員 実際その答弁はひど過ぎるよ。あなた方はデータを持つておられる。現実にそれが工場へ行つてどれだけの変化が来ているかというようなことを、当然あなた方がお調べになつていなければならぬはずである。これはほかの農作物の検定でも同じですけれども、みんなデータが出ていますよ。米の場合だつてそうです。試験場でやつているものと、実際の工場におけるところの前減りはどのくらいになつておるか、これはみんなやつておることなんです。それがただ繭だけ出ていないということはおかしいじやないですか、おかしいとお思いにならないですか。
○酒折説明員 今申し上げましたように、各項目別に貯蔵及び大量繰糸によるところの減耗が幾らであるかとか、生糸の揚返しによるものが幾らであるかということの分析、各工場別の実態は出ていないのが事実でございます。
○金子委員 製糸の過程と揚返しの過程、それが出ていないということは私にはわかる。けれどもそれ二つをくるんだものと、たとえば原料繭を生貫何貫入れて、それを工場で乾燥機に入れて、何分乾燥にして何貫出た。それを多条機にかけまして、それが日々の日報で生糸が幾ら出ておるか。これは工場ごとどころでなくて、工員別に、一人一人ごとに必ず出しているはずですよ。それをトータルしたもので七日間置いて荷づくりする。その荷づくりするまでに、何貫の原料で何俵何分できたということ、それがわからなかつたら工場経営はできませんよ。
○酒折説明員 ですから先ほど申しましたように、総合的には各工場別に出していると思います。
○金子委員 そうなつて来ると、私が申し上げたように——私は何もそこまで言うのではない。今度あなた方は二九の水引きという問題を、繭価格取引の天引き数字に使うということを指示しておらないと思う。しかしながら実際はその通り使つておる。そういうふうに使う数字なんだから、そういうふうに使うべき数字は、いわゆる繰糸過程と揚返し過程を別にしなくてもよいのであります。揚返しはどれにもやるのでありますから、揚返しをしないで売るということはないのですから、そういうような実態に即した数字が出るはずだということを私は申し上げておるのです。その点はどうですか。
○酒折説明員 おつしやる通り、個々の工場のものは出します。またその総合も出し得るわけであります。ただ先ほど申しましたように、この水引き問題につきましては、いろいろ議論のあげく、ひとつ最も公平な検定所という公的施設でもって、しかも現実の製糸工場の実態にできるだけ即したかつこうにおいて、現実には自分自身で繰糸してみて、その結果を出したいということで今まで進んで来ておるわけです。
○金子委員 その検定所を金科玉条のようにあなた方の方でお考えになることに対しては、私はあとから数項の質問をしますが、結論から先に申し上げますれば反対であります。あなた方が検定所の成績をもつて、これが製糸の企業に当てはめるために金科玉条だという考え方は間違つておる。要するに繭の品質を格付する、その等級差をきめるための検定所の検定に対しては、私はああいう方法をとるよりほかはないということを認めますけれども、検定所の成績そのものの、全体の出た数字が取引土に正しい数字だということを解釈することは間違つておる。やはり取引上ということになると、これは企業なんでありますから、企業の実態と検定所を比較して、ただいま川俣委員の言うように、企業の実態をつかみ、検定所の成績をつかむ。そして検定所の成績は、農家なり農業団体の産地別なり、あるいは個人別の個々の繭の差額を比較するためには検定所のやり方がよろしい。またああせざるを得ないだろう。しかしながら取引の基準として検定所から出た数字をそのまま用いて行く。たとえば今の選除繭の問題等においても、どうしてもあれだけの選除繭が実際に工場に行つて出るかどうかという問題、この問題に対してあなた方はもう少し真剣に考えてもらわなければならないことは、繭の統制は解除した、解けておる、自由販売だという形をとつておりますけれども、そういう形をとつていながら、実際上は検定所を通さない繭は売れないということを法律できめておるでしよう。検定所を通さない繭は売れないということになると、その検定は検定所でする、売るのはどこでも検定成績によつてかつてに売るということは実際主なされておらないでしよう。その検定は出荷団体によつて一つの統制のもとにやつておる。ことに今年あたりは一番の大産地である群馬のごときは、製糸家の原料獲得運動が非常に熾烈になり、しかも工費の非常に安い座繰糸を中心にした振りかえが非常に多いので、その振りかえを全面的に防ぐためにそれらの人たちに貫代十五円かの手数料を出して全統制をしておるでしよう。そうしますと繭は今統制を解除したというけれども、実質的には全統制をしておると同じ結果になつておるのですよ。これはほかの統制されておらない商品のように、どこに幾ら売つても自由だという形であるならば、私はそれほどやかましく言わぬけれども、統制をしておらぬと言うけれども、現実には検定を通さない繭は取引にならないということになると、検定は一つの団体と役所と製糸家と三者の協定において実際上行われておる。それ以外の繭は、おそらく今年度の春蚕のごときは、群馬県において一%もないですよ。そうするとこれは全統制ですよ。その全統制の価格をきめる唯一の決定方法として、一つのサンプルだけを資料として、検定所のサンプル数字を基礎にして、これが金科玉条のような形で——その中で格差をきめることに対しては私は賛成する。しかしながら取引の全体の価格評価の基本とすることに対しては疑問がある。なぜならば、実際企業に売つた場合にその通りになつておるかどうかということを検討しないで、それをもつて全部当てはめて行くことに対しては賛成できない。そういう見解から、あなたが検定所で調査して三箇年と言うけれども、それだけでは解決つかない。企業に対して立ち入ることができないならば——ほかの企業でもたくさんあるわけですが、特殊の援助を受けるとか、ないしは価格決定のため、先ほど繰返して申しましたように、肥料のごときは今度立法してまで、生産費自体までも非常に困難であるけれども調査する。それなのにこれは製造過程の一部ですよ。実際において検定所でどれだけの選除繭が出た、糸量がどれだけ来て、どれだけのヒスが出た、こういうような問題が出ても、はたしてそれが工場に入つて二一中なら二一中の糸をひいたときにそれだけ出るかどうかということに対して、別な資料と両方にらみ合せた数字でなければ、取引の全体をきめる参考資料には私はならないと思いますが、その点はどうですか。
○酒折説明員 その点は、検定所におきまする試験は、検定の場合は検定でやつておるわけであります。検定をやる場合以外、いわゆる空間期におきまして別に繭を買いまして、一般の製糸工場と同じようなかつこうで大量繰糸をやつて技術試験をやつておるわけでありまして、検定そのものを制度としておる検定所本来の仕事ではございませんけれども、これに技術試験を委託して、別途やつてもらつておるわけであります。
○金子委員 検定所は別途やつてもらつたのではだめなんです。実際調査をやつたものを検定しなければならない。検定所は、利害関係がないからそろばんをはじかないのです。しかもそれだけでは私は信用できない。だから、格付の等差をきめるためには参考にすることはよろしいのです。その点はどういうように考えていますか。
○酒折説明員 何度も申上げるようでございますけれども、理想としては、おつしやるように工場の実態に即してそういうものをやらなければならないということはよくわかつております。検定所そのものはやはり検定でございまして工場ではないということも事実だと思います。ただ具体的な工場について個々の各項目についての現実の結果を出すということになりますと、相当工場の操業の方針などにも影響されますので、そこは工場の実績がどうかということは、出すにいたしましても相当時間をかけた試験が必要であろう、さように考えております。
○金子委員 掛目のことでこんな押問答を長くやるというような愚劣なことはないのですよ。製糸というものの研究とか慎重な態度とか言われるけれソも、蚕糸局が始まつてから幾年この掛目問題の研究をやつておりますか。掛目問題は統制になる以前からだつてあるのですよ。少くとも戦争中に統制したときからだつて長いですよ。今統制を解除したと言うけれども、先ほど言つたように、実際上は結果的には統制と同じことをやつておるわけです。これは理論的にはこうだとか、理想的にはどうだということを言われても、私はそれは納得できません。もしそれが必要なら法律をつくろうじやありませんか。すぐできますよ。次の国会で必ず農林委員会はそれに賛成しますよ。あなた方必要だというなら、あなた方の権力をもつて、製糸の過程に対して帳簿呈示をさせた場合に虚偽の申告なり報告をしたときには罰則をつけると、はつきりやろうじやないですか。そうしたらあなた方の方で今から準備して次の国会に出しなさい。こんなものは一日か二日で完全に通しますよ。その点に対してどうですか。
○酒折説明員 工場の実態調査のやり方、試験のやり方、これは非常に技術的にも問題があろうと思いますけれども、その辺の検討もわれわれとしては実はやつておらないのであります。その辺の研究もさせていただきたいと思います。
○金子委員 きようの質問はまるで研究の一語に尽きてしまつて、何も参考になりませんが、ほかの委員からもいろいろ質問があると思いますから、私もう少し端折つて次の問題に移ります。 掛目問題は、一応製糸の過程においては工費を中心にして、そしてどれだけの掛目を出すかということで理論的に割出して、それが毎年々々大きな騒ぎで、取引の基本でありますだけに問題になつておるわけであります。そこでこの掛目の基本になるべき基礎ですね。あなた方の調査の範囲でいいのですが、製糸の工費をどう見て行くか、それから実態調査の上からいつたときに、あなた方の資料のうちの最高はどのくらい工費がかかつておるか、最低のコストはどのくらいで行つておるか、平均がどのくらいになつているか、そういうことに対して精密な資料を出していただきたいと思います。従つて掛目の問題につきましては、その資料が出ました後にいろいろ検討したい、こう考えております。 それからこれはあなた方の方の直接責任でありませんが、繭の今日の取引が、御承知のように統制は解けておるけれども、実際上蚕糸業法の一部によつて統制したと同じ形が行われておるということを前提としての問題ですが、そうした場合に、代金の精算というものが、今年度のように日銀のスタンプ手形の率が非常に減つて参りまして、しかも期日も詰まつて参りますと、いわゆる製糸資本のきゆうくつを感じておるわけであります。従つて繭の代金支払いが、ある程度の仮渡しをし、そうして相当の日数を経てから精算払いが行われる、こういうことは御承知だと思います。これは私どもの今日の売買常識として、農民は自分の貨物を先様の責任に移したときに代金の精算が行われることが取引の原則、取引の常識としてはそうだと思うのでありますが、もしそうだとすれば、繭の荷渡しをしたときが取引の期日としてすべての精算行為、金利等の加算は行われるべきだ、こういう見解を持つておりますが、農林省の見解はどうですか。
○酒折説明員 これは契約の内容でその点について明記してある場合もあり得ると思います。それはその契約の条件によるわけであります。また明記してない場合の問題は、われわれが調べた範囲によりますと、学説もいろいろわかれておるようでありまして、これが正しい見解だという一般にすべてのものに認められた考え方というものは、必ずしもはつきりしておらないようでありまして、むしろやはり具体的な取引の内容というか、経過というものをも考えて、個々に考えなければならぬ問題ではないか、そう考えております。
○金子委員 そんな詭弁なばかな話があるものですか。私は学説を言つておるんじやないのですよ。われわれの社会常識として、物を買つたときに、荷を受取つたら、そのときに代金を支払うのが常識かどうかということを開いておるのです。
○酒折説明員 もちろんそれが常識だと思います。
○金子委員 そうだとするならば、そこに特定の、この代金は一箇年後に払うとか、あるいは二年後に払うとか、その間においては利子はつけないとか、そういう条件がつかぬ限りは、当然荷を渡したときに代金を払うことを原則として取引は行われるということが私は常職だと思いますが、その点はどういう見解を持つておられますか。
○酒折説明員 その点になりますと、先ほど私が申し上げましたように、常識としては、もちろん代金は現物受渡しとともに払うというのが常態であると思います。繭のような現物を先渡しして、あと精算するという場合において、はたして一体契約の成立がいつであつたか、法律的に申しますとそういう問題になると思います。その点についてははつきりした結論は得ておりません。
○金子委員 話が違う。私は前提を言つておるでしよう。一箇年後に代金を払うとか、あるいは即時に払うとか——即時に払えば問題はないですが、半年後に払うとか、その間の利子は付すとか付さないとか、その契約に特定の条件がつかない限りは、そのときをもつて取引としてすべての計算をすべきだということが常識だと思うがどうかというのです。そういう条件がなかつたときにはというのです。
○酒折説明員 おつしやる点によくわからない点があるのです。そのときを起点として考えるということは、その後の金利といつたような問題でしようか。
○金子委員 私が言うのは、品物を売るということは、現物を渡して金を受取るということに売買が行われておる。だからしてその売買にあたつて、その売買の代金支払いに対して、その全体なり一部分なりを延べ金にするとか、あるいは延べ金にしたときにどれだけの期間を延べて行く、その間の延滞利子はどれだけ払うというような契約が特に行われてない場合には、その荷渡しをしたときが代金支払いの期日だ、こういうふうな見解をとるべきじやないかと思うがどうかということです。
○酒折説明員 その契約の内容が、本来なら今払うはずであるが、それを延ばしてくれというような契約ならば当然そういうことになると思います。ただ現実の場合に、内渡金として幾ら、最終的な決定はいついつやろうというふうな契約になつておるのが普通じやないかと思います。その場合には物を渡したときに代金を払うべきであるという原則がただちにそのまま適用されるかどうかという点については、検討を要するのではないかと思います。
○金子委員 あなたは今製糸屋が取引しておる現実を頭の中にちよつぴり置いて、それにさしさわりがあつてはならぬというような卑屈な考え方を持つておるから、勇敢な答弁ができない。私はそんなことを言つておるんじやない。代金支払いに対して特定の条件がその契約についていない場合にはという前提を置いておるじやないですか。その前提の場合には品物を渡したときが代金を受取る期日だというのが常識だと思わないかというのです。
○酒折説明員 それは常識だと私も考えております。
○中澤委員 まず蚕糸局長さんは御赴任したばかりでよくわからないようでありますが、少くとも前議会から引継ぎになつております繭糸価格安定法の一部を改正する法律案、これは継続審議になつておりますから、いずれこの十月の議会で審議しなければならないのでありますが、この法案に対して継続審査を現在やつておるのですが、どういうところに問題があり、どういうところが今後この法案の中で考えて行一かなければならない点だということは、もちろんいかに御赴任早々でもお考えになつておると思いますが、それについての御意見をまず第一点にお伺いいたします。
○原田説明員 むずかしいお話でございますが、法案提出側みずからが、この法案についてどういうところが問題になり、どういうところがむずかしいか、こういうお尋ねと了承いたしております。お話のように私も赴任早早、この重要な法案についてにわか勉強をいたしておる状態でございます。まあ問題になる点ということになりますれば、一体繭糸価の安定という制度として、今回の改正法案で、十分に間違いなく、いかなる事態に対しても処置できるかというような点があるかと存じます。この点につきましては、現在の繭糸価格安定法の運用の状況から考えまして、さらに施策を万全にしなければならないという考えから、まず上値の問題につきまいしては、従来規定のございませんでした繭の価格というものについて一つの方法を考える。また下値の問題につきましても、従来繭の値段の維持ということにつきまして、一応必要な措置を講ずるということは規定がございますが、それが具体化しておらないという点を考えまして、具体化する措置をとる、こういう行き方をとっておるのでございます。こういう方法によりまして繭糸価格の安定をはかって行きたいという考え方でございます。一応お答えいたしました。
○中澤委員 この法律案について、あなたは、これは農民のためにもなり、製糸家のためにもなるとお考えになっていますか。それともプラス製糸家のためになる方が多くて、農民のためになる方が少いとお考えになっておりますか、どっちでございましようか。
○原田説明員 農民のためになるか、製糸家のためになるか、はっきりわかるはずだから返事をしろということになりますと、一応返事ができそうな問題に見えますが、この法律案のねらいは、そうい点ではなく、ともかくも繭糸業というものの振興をはかって、安定さして行くというためには、どういう措置をとったらいいかという考え方からできておりまする法案でありまして、しかも現実の繭糸の問題は、一つの経済問題としていろいろな状態、いろいろな成行きというものが予想されますので、一概にいかなる側にこれが利益である、いかなる側が損をするということは、断定することは困難である、かように考えております。
○中澤委員 そういう感度でこの法律案を考えておられれば、われわれ蚕糸小委員会並びに農林委員会としてはなはだ遺憾であるということをはっきり申し上げておきます。なぜならば、この法律案の中には三つの大きな問題が含まれておるのであります。その三つの大きな問題というのは、御承知のように第一に独禁法に触れるという一つの問題が出ております。それから今言った水引きの問題にからまって来るところの掛目協定の問題が一つの大きな問題になって来るのであります。それからいま一つは、独禁法からからんで来るところの繭価統制価格そのものが、一体こういう方式ではたしていいのかどうか、これが農民に大きな圧力になるのかならないのかということをはっきりと御認識になってからこの法案を考えてもらわなければならないのであります。この三点がこの法律の中における一番大きな眼目であり、またわれわれが一番問題にしておる点なのであります。そういう重大な法案でございますから、前回においても、早くこれを上げるようにということだったのですが、しかしこんな大きな問題はそう簡単に上げることはできないということで、継続審議という形にしてあるのでありますが、おそらく前回の農林委員会の雰囲気からいうならば、これは農民の上に非常な圧力になる、これは流そうじゃないかという意見が圧倒的に強かったと思うのです。しかし一応政府の方から頭を下げて、ひとつこの際継続審議にだけはしてくれないか、またわれわれもこの法案を継続審議にすることによって、若干なりとも製糸家に対する牽制になるではないか、こういう考えでこの法案を継続審議にしたのでありますが、あなたのようなそういう考え方で一なるほど一応あなたの言うように、繭糸価の安定ということが一つの大きな眼目であります。その眼目である目的が結果的にどうなるかということを考えないということは、はなはだ遺憾だと私は先ほど申し上げたように考えておるのであります。そういう面から考えまして、この法案がこのままでおとなしく通るとお考えになったら、とんでもない間違いである。絶対にこのまま通るわけはないのであります。あなたが今研究された範囲で、繭糸価安定であるから、どちらの利益ということは言えない、こういう御答弁ですが、この三つの問題に対して、究極すれば、結果においてどういう結果が来るというふうにお考えになっておりますか。
○原田説明員 ただいまお尋ねの点でございますが、今度の改正法案の行方といたしまして、話が少しくくどくなるかとも存じますが、要するに繭糸価格の安定をはかる、言いかえますれば、最高価格と最低価格の間、これを安定帯というような言葉で呼んでおりますが、繭糸価格の安定帯の中に繭糸の価格を置くということがねらいでございまして、ただいま御指摘のありました独禁法改正との関係、掛目協定との関係というような見地からこれを考えてみますと、この安定帯の中で製糸関係、養蚕関係、それ 利害は相反しておるわけでございますが、繭糸の価格を安定帯に置くという目的のためにその両者がその利害関係について調整されるということが期待されるわけでございます。そういう安定帯の中に繭糸の価格が納まることによりまして、結局生糸の輸出も振興され、また国内的に繭糸業というものが安定して行く、こういう終局のねらいを持ってこの制度が考えられておる、こういう考え方でございます。
○金子委員 安定法に対する中澤委員の質問中でありますが、今繭の価格問題について二、三関連質問が残っておりますので、それを終りまして、また安定法の方に入っていただきたいと思つて、途中からでございますが、残つた問題一、二点お伺いしたいと思います。 それはただいま中澤委員がおつしやるように、現在の繭の取引というものは、統制はもちろん解除されておる。統制が解除されておるということになると、独禁法というものがある以上は、独禁法に触れるような取引というものは、原則としてやるべきでないことは当然である。しかしながら現実の取引というものは、統制の解除にはなったというものの、検定という一つの過程を経なければならないということが法律にあるために、無検定という面から自由取引を制約することができる。もう一つは団体契約というものをしておる関係上、製糸は製糸で団体として団体交渉をしておる。生産者も生産者の団体をもつて団体取引をしておるということになりますと、これは実質的には独禁法に触れることをやっておる。これはこのやり方のいい悪いの問題ではない、すなおに考えたときに、実質上はこうやっておる。なぜならば、現在の取引でも、多条繰りを持っておるところのいわゆる大中の製糸家が、繭価協定を一本にして生産者と契約を結んで取引をしておる。それをくずすために座繰その他の小製糸家がその繭を買いあさっている。それを買いあさるのだから、それは買い得るのだから、独禁法に触れないじゃないかと言うけれども、しかしながらそれを賢いあさることが製糸家に対しても、養蚕家に対してもよくないというような見解から、私の県のごときは、ことしはそれらの人たちに対して、ふり買いと申しますが、繭の自由買いをしておるその人たちに、一貫目十五円という相当の金額を補償して、そうして一旦集めて、集めたものを県外製糸にその一割なり若干を振り当てておる。そうなりますと、これは完全に買う方の一元化であります。そういうふうに買う方が実際の取引には一元化されておりますので——その方法が私はいいとか悪いとか言うのではなくて、これは実際上統制しておる、統制が解けておらないと言えば別ですが、統制が解けておるのですから、そういうことであれば、これは独禁法に触れておる。しかしながら私は、それを触れておるから云々ということを今申し上げておるのではない。それだけに生産者が団体交渉によって取引の条項をきめ、それから繭を消費するいわゆる製糸家も団体と同じ性格の形で取引しておるとすれば、その製糸家のうち、代金不払いなりあるいは代金不払いに近い結果が来たときには、これは当然団体としての契約で繭を買う方の人たちも連帯責任を負うべきことが常識ではないかと思うが、その点はどう考えますか。
○原田説明員 どうも非常にむずかしいと申しますか、現実の取引の態様に関しての問題でございますので、私はそういう点について十分実情の把握ができておらないので、お答え申し上げるのはあるいは不適当かと思います。実際問題としての取引の実情がどういうことであるかということを十分に見ませんと、一概にそういう場合はこうであるという断定は困難である、かように考えます。
○金子委員 局長さん、そういう答弁はいかぬのです。私があれだけ長々しく説明して、それでそういう場合はどう思うかというあなたの見解をただしている。あなたは全然白紙で、蚕糸局のにおいが骨の髄までしみないだけに、私どもは非常に期待しているのです。だからもっと常識的に、率直にあなたの信念を披瀝していただくことの方がいいのです。蚕糸局に古い根を持つた人だと、実際に取引するとそういう矛盾があるのだけれども、それを養連の前へ行っても製糸家の前に行っても、これを蚕糸局長として言ってはたいへんだというので、こわごわと答弁しているからなかなか言えない。あなたはそれがない。白紙だから、私はそれを前提として、こういう取引をしているのだ、言いかえれば、ただいま繭の取引は統制を解除しているのだ、だからだれに幾ら売っても自由だという原則の上には立っているようなんだが、実際の面はどうかというと、製糸業法の中に、検定を経ないで繭の取引をしてはいけないという条件があって、そうして無検定に対する取締りをやるということになっている。その検定は実際上どうやっているかというと、農家個々が検定所に持って行く者はない。皆養蚕団体がとりまとめての契約のもとに検定して行くわけです。そうしてその上に、現実に去年あたりまでは、座繰製糸等が片方が九百掛だと、おれは千掛で買うというような競争買いをしたわけです。それを防ぐために——これは行政庁の一つの方法でありますけれども、ふり買いを買った者に対して、そういう人たちが失業するからそれを押えるために、一貫目十五円という高い補償金を払って、そして一つ所に繭をまとめて、しかも製糸家はその繭に対して、他府県製糸家や何かはふり買いの人を使わなければ手に入らないという点から、そこで県内の繭を一つ所に集めて、その人に集めたものの一割なら一割の繭を与えてやるということになりますと、これは完全なる団体間における取引だ。そのいい悪いを言っているのではない、それが実情だと言つている。そういうことですから掛目は一定です。県なら県で九百掛ときまれば全部が九百掛になる。一製糸家、たとえば郡是とか片倉が九百五十で買うということはない。一定なんです。そういうように団体で契約されており、農民個々の事態から行けば自由を許されていないとするならば——そういう実態です、法律じやない。そういう実態とすれば、その取引における代金の支払いに対しても、お互いに連帯責任を負うことが常識じやないかということを、私はあなたにお聞きしておるのです。これは決して蚕糸局のあなた方がそういう取引をしろとか、そういう取引をしなければならないということを結論づけてやっておるわけではなく、ただ実際そういうことをやっておるということです。だからそういう実際の上に立つたときに、それは独禁法に完全に触れておる。しかし私は触れておることをどうこうと言うのではない。私はその取引をあながち悪いとは思わない。だけれどもそういう場合に代金の支払いに対して、たとえば代金不払いというふうなことに対して、これは連帯責任を負うことが常識じゃないかということを、すなおに伺っておるのですから、あなた方の方で研究だくだと言うが、研究とかなんとかじゃない、私が説明した範囲でお答えくださればけっこうです。
○原田説明員 ただいまお話のございましたような場合におきましては、代金の支払いにつきましても、連帯の責任をとるようになるのが望ましい、かように考えております。
○金子委員 非常に慎重な態度で、取引の現実に小言を言われては困るのでそういうふうに言われるのだろうが、実は今望ましいという御答弁でありまして、人の御答弁でありますから、それをとやかく申し上げるのではありませんけれども、この問題につけ加えて御注意申し上げておきます。とかく蚕糸局というものが、蚕糸という一つのからの中に入りきりになってしまって、農産物であることも忘れ、農業経済の一環であることも忘れて、製糸屋と養蚕団体——農業団体ではない、あえて言う、養蚕団体と糸屋とだけで蚕糸局というものががんじがらめになっているような感じがするのです。だから常識的な答弁も、それらのものを頭の中にまず置くから、ちっともすなおなものの見解がとれないというのが、今までの本委員会における蚕糸局の方々に対する農林委員会全体、おそらく八割以上の人たちが感じている感じなのです。これは私ばかりではない。そこで局長や課長が今度新しくかわったときに、蚕糸、繭糸というものは単に製糸家の原料という見解だけでなく、農産物の一環なんだ、農業経営の一環なんだという——ことに製糸などというものは工業ではない、あんな原料高の工業というものはおそらくないのです。なぜならば、原料に対する製品価格の比率というものが、これは非常に低いのであります。一種のほんとうに簡単な加工程度のものです。これは今度自動繰糸機になれば別ですが、現段階においてはそうです。そういう現状でありますから、ぜひ蚕糸行政に対して、いわゆる農産物の処理をどうするかということを一番大きく考えていただかないことには、蚕糸行政というものは成り立たないのです。それを私は特にここで申し上げておるわけです。 それからもう一点、技術的な問題になりますが、この問題も先ほどの掛目の問題に関連するのでありますが、選除繭に対してあなた方は何パーセントあるのだということで検定所で排除してしまう、それでその歩合をもつて、この繭に対してどれだけあるのだということで、それがやはり掛目決定の基礎になっておることは御承知の通りだと思います。これは現実の産業でありますので、製糸の現実というものを考慮しないでああいう形だけで律していることに対して、万全だと思っておりますか。
○酒折説明員 選除繭の問題も、われわれ決して今のやり方が万全だとは思っておりません。と申しますのは、現在の選除繭の標準ができましてから相当年月がたっておりまして、その間におきまして、たとえば製糸技術が進歩し、あるいは繭も技術が向上しておるという実態の変化がある。その点が現在の選除繭の標準は考慮に入れられておらないわけです。その意味で実はわれわれも早急に、現在の製糸工場の実態に合う選除繭の歩合の出し方というものを研究したいと考え、予算の計上も考えております。
○金子委員 研究するというのですから、研究しないよりましでありますけれども、まことにスロー・モーションで、農民は非常に迷惑しておるわけです。そこでその選除繭の問題を取上げてもその通り、あるいは水引きの問題を取げてもその通り、それからさいぜん資料要求しておりましたところの理論掛目の基本というものに対する実態調査の問題にしてもその通りでありますが、それらのものをやるということになりますと、あなた方は、実際人のやっておる企業に対して書類の提出を求め、あるいは調査をしなければならないという問題が出て来るわけです。そのときに、私どもは人の企業に対して権限がないからということで逃げられますと、これは非常に困るのでありますが、それらの調査をするのに、今何らの立法措置がなくても、あなた方の権限でそれらの人の企業に立入つて調査することができますか。
○酒折説明員 法的根拠につきましては、必ずしも現在の法制ではないというわけではありませんで、調査、報告を求めることはできるというような規定が現在あるわけであります。ですからこれを大々的に活用すれば必ずしもできないわけではない、さように考えております。ただその調査なり報告がおざなりのものではいかぬわけで、具体的の内容をいかにして把握するかということにつきまして、技術的の問題があろうと考えております。
○金子委員 そうだとすれば、先ほど中澤委員が言われておるように、かりに今提案されておるところの安定法をやるというならば、これらの基礎的な検討がなくては一つもものにならないと思います。空中楼閣みたいなものです。そういうような見解からすれば、あなた方は現行法によつてそれができるという見解であるならば、次の機会にこれらの問題が出たときには、人の企業ですからなかなか困難でありますとか、研究いたしますとかいう答弁は、今後から私は受けませんから——もしそれができないというならば、あなた方の方でさしつかえないような立法措置をして次の国会に出すなり、これはどちらでもけつこうであります。もし現行法でできるとすれば、人の企業だからなかなか調査が困難というようなことは理由として成り立ちません。さいぜんから申し上げておるように、今の繭の価格になつておる水引きの問題にいたしましても、理論掛目の問題にいたしましても、代金支払いの問題、あるいは取引の過程が独禁法に完全に触れておる。しかしながら私は、独禁法に触れておるがゆえにそれに文句を言おうというのではなくて取引の方法としてあれがよいとすれば、それに対して都合のよいところだけ競争買いをしないで、そうして協定をして行くというようなところだけは段階的にやつて、代命支払いの責任や何かは、金があるやつは先に払う、ないやつはひつかけられてもしかたがないのだというようなやり方は矛盾だと思うという意味のことを、あなた方は率直におつしやつておりますが、私もその通りの見解で、今後これらの問題の解決する方向に指導しなければならぬと思うのであります。一応私の質問はこれで打切ります。
○安藤(覺)委員 ただいまの金子委員の御質問に関連してちよつとお尋ねしておきたいと思います。この法規を改正せられるにあたつて、これとともに繭の検定法についてはどのようなお考えを持つておられるのか。これについては養蚕家自身の間において、非常な疑惑をこのごろ強く持つております。たとえば、自分たちの代表者を送つてそれに参加させておきながら、なお一方的に——政府当局もこれに加担した姿において一方的にきめられておる。これについて、やはりあの検定の方式というものをしさいに調査して参りますと、その中に事実そういう欺瞞があるのではないかと思われるところの疑惑を持たせるだけの余地があるようであります。この点については、どんなふうにお考えになつておられるのか、また将来どんなふうになされようとせられているのか、その意思があるのかないのか、ひとつ御答弁をお聞きしたい。
○酒折説明員 検定制度につきましては、いろいろと問題点、不備な点がありまして、たとえば現在われわれの方で考えておりますことは、すでに一昨年から計画しておりますように、現在各製糸工場の実態として最も多く使われておる多条繰糸機の検討に来年度から移つて行きたいということであります。またこれに応じて格付の問題についても修正をいたして行きたい。それから先ほど申されましたような選除繭の問題、こういつた点について早急に改正すべき点は改正して行きたい、こういう考え方でおります。
○中澤委員 局長さんも新任早々で大分お打合せをして御答弁しているようですから、いずれゆつくり勉強してもらつて、この次の小委員会からは本格的な審議をやりたいと思うのですが、それについて、大きな角度からわれわれは問題を考えて行つた場合、なるほど輸出を振興しなければいけない。今まで内需に三分の二も食われていたために外貨の獲得ができない。昔は外貨の獲得に非常に大きな役割を果したのが、今は非常に外貨獲得という面から行けばおもしろくない。それには繭価の安定をはからなければいけない。そこまではだれも賛成なんです。日本中反対する人は一人もない。製糸家も賛成だし、養蚕団体も百姓も賛成します。ところがそこから向うが問題になつて来るのであります。先ほど金子委員が言われたように、今までの蚕糸局というものは、どうも見ていると、これは業者や団体のまるでお手先になつている。養蚕農民という毎度からそのことを考えるという点が非常に薄い、その点われわれはいつも素量に文句を言つていた。まあこれが大きな蚕糸局長に対する一つの不信の声になつて、下からぐつと盛り上つて来たのは事実であります。そんなことは第二の問題といたしましても、一体養蚕農民の立場からこういうことをやればどういう結果が来るかということを、新しく蚕糸局長はお考えになる意思があるのかないのか、その点をまず明らかにしておいてもらいたい。
○原田説明員 養蚕農民の立場を忘れてはならないということにつきましての御意見ごもつともでございます。今後におきましても、そういう点につきましては十分に努力をいたして参りたい、かように考えております。
○中澤委員 私はこの前の本委員会の蚕糸問題のときに、例の十九万円を割つた場合には政府は買上げをしなければいかぬ、それには三十億では資金が少いじやないか、この資金を一体どうやつて増額させるかという問題が出たとき、絶対買上げになるようなことはないであろうということをこの前の委員会で言つておる。私の予想通りこれは十九万三千円を底値にして二十万四千円くらいまではね上つて来ている。私はあれは明らかに一つの製糸カルテルによるところの、要するに独占企業によるところの一つの政策的なかけひきであるであろうと言つたところが、大体団協も、春繭の一段落する段階になつて来たらぐんぐん上つて来た。そういうような片方に郡是だとか片倉だとかいう巨大製糸のカルテル化がもう確実に行われている、その段階において犠牲にされるのはいつも養蚕農民なのである。掛目協定の時期が来れば値段が下つて、いよいよ協定が終つたころになると、値段がぐんぐん上つて来る、こういうような状況になるのです。これは前の寺内さんがもつと下るかもしれぬし、上るかもしれぬし、私にはわからぬと言つたが、私は大体そういう角度から見ておつたが、案の定今になつて見たら、二十万台を越して、まだ上るでしよう。そういう面から考えて、私は一切の犠牲を養蚕農民に今まで振り向けて来ておる蚕糸行政には断固反対いたします。どなたが局長になりましても、養蚕農民というものにのみ犠牲を転嫁するならば、われわれは断固反対します。そういう意味において、今局長は養蚕農民というものを忘れずに、今後の蚕糸行政は養蚕農民を基礎にしてやつて行くのだ、こういう強い確信をひとつ持つてもらいたい。さもないと、問題は非常にこじれて来ると思います。要するに輸出だ何だといつても、養蚕農民が満足して増産するということが基本条件です。問題はそこなんです。輸出だ輸出だといつて砂糖でバーター三角貿易をやつて、聞いてみると砂糖屋のもうけさしたりいろいろなことをやつているが、そんなことよりも重要な問題は、蚕糸行政の要点は増産であり、農民がどんどん喜んで増産しさえすれば、国内消費がどんなに旺盛であつても輸出は多量に出て来る。今までは蚕糸行政を根本的に誤つている。ただ目先の輸出をどういうふうにやるかということを考えるから、三角貿易で砂糖を買つて、あつちをもうけさしたりこつちをもうけさしたりしておる。少くともそんなことをしないで、蚕糸局長が基本的な蚕糸行政、蚕糸対策を立てるならば、どうやつたら農民が喜んで増産するかということを第一に考えるべきだ。私は特にそういう角度から蚕糸局長に新任したあなたに出発してもらいたい。もしそういう角度をはずれた場合は非常に問題が紛糾して来るということを、私はまず第一番にあなたに御注意しておく。そこで今盛んに繭の取引、団協が行われております。さつきの金子委員の言つた代金の問題も大きな一つの問題でありますが、これに対しても何らかの方策を講じて行かなければいけないでありましよう。昨年の繭の代金が入らないというところがまだ一ぱいあるのです。それは要するに不良製糸不良といいますか、去年は結局不良ではなかつたのですが、つい施設の増設をやつたとかして資金を食い込んだ製糸は、繭は買つて生糸にして売つてしまつたが農民には代金を払わない、そういうところが一ぱいある。その問題は地方に上つては今大きな問題になつて来ておる。それで金子委員の言われたような、これは統制でないと言いながら、検定という経過があるから統制である、だから当然買つた方がこれを支払う義務があるじやないかという議論も、これは農民の立場から言えば当然出て来る問題なのであります。ところが一般に今の団協を見てみると、糸価が下つたということで、われわれに言わせれば、非常な低格価を押しつけておる傾向もある。そこでカルテル化された製糸が、そういう低価格で買上げを押しつけて来ておるものだから、今農民の自己保管、自己乾繭という問題が私の方の長野県なんかでもずいぶん出て来ておる。この自己乾繭によるいろいろな減耗だとか倉庫料であるとか、そのほかのものに対しては、一体蚕糸局ではどういう対策をお持ちであるか、ひとつお聞きしておきたいと思います。
○酒折説明員 各農業団体あたりが自己乾繭をいたしまして、これを保管いたしておるところも多少は現在あるわけでございますけれども、それにつきましては、いわゆる営農資金といたしまして内渡金程度のものを融資するという道は開いております。それ以上に保管料を見るとか、金利を見るとかいうことにつきましては考えておりません。
○中澤委員 考えるのが当然だと思いませんか。私は考えるのが当然だと思う。それはなぜ考えるのが当然だと言うならば、先ほど金子委員が言つたように、検定というもので実質上の統制はかかつているのです。ところが片方で大きな製糸カルテルがそういう買いたたぎをやるものだから、これではとてもわれわれはかなわぬ。生産費を現に割つているじやないか。これは官日乾繭をしなければならぬというので、共同乾繭をやつておるのですが、それについて全然考える意思もございませんか。
○酒折説明員 それにつきましては、現在国会に提出しています繭糸価格安定法の一部改正案、この中の第十一条に、養蚕団体が農林大臣の承認を受けて乾繭共同保管をした場合には、その保管に要する費用を補助するという規定が入つておるわけでありますが、この法律案はまだもちろん成立していません。審議中のものでございますが、ただしかし現実の事態が、この改正案の十一条に書いておるような事態が起るならば、現在においても、これと同じような趣旨の措置は講じたい、そういうことで大蔵当局と交渉中でございます。
○中澤委員 その交渉中の大蔵省当局はどう言つていますか。
○酒折説明員 原則的にはやむを得ぬことだろう、よかろうと言つております。
○中澤委員 これは非常にけつこうなことで、これは蚕糸局のまず大功績だとほめてつかわさなければならぬ問題だろうと思うのでありますが、とにかくわれわれも大蔵省と、場合によれば折衝もするし、大蔵省の係官に来てもらつてここで一応お尋ねしてもよろしいのですが、ひとつそれは大いにがんばつて、今年分も現実に生産費を割つているから、やむを得ず団体の共同乾繭をやつておるのであるから、これに対しては、どうしても適当な施策、倉庫料、利子補給の問題、その他減耗の問題等、どれだけできるか知らぬが、一つでもいいからとにかくやつていただけば、蚕糸局の新局長の功績はまずそれから夢をふき出すということを私はまず申し上げておきたいと思います。まあ局長もまだこまかいことがあまりおわかりにならぬようですし、御勉強いただかないとよくわからぬようですから、私もあまりこまかい問題についての御質問はやめまして、そうしてとにかく先ほど申した原則は忘れてもらいたくないということだけは、はつきり申し上げておきます。もし養蚕農民というものを離れた考え方を蚕糸局がするならば、まあ蚕糸局無用論が今度はあるいは農民の中から起つて来るかもしれない。一昨年においては、大蔵省が蚕糸局はもういらないと言つて、全部予案削られて、いよいよ蚕糸局全滅かと思つたので、われわれも血まなこになつて大蔵省に折衝して、蚕糸局の復活をはかつたというような状態ですから、今のような製糸家や養蚕団体の蚕糸局じやなしに、養蚕農民の蚕糸局であるという基本原則を、局長はひとつ腹の中にしつかり納めてもらいたいことをお願いして終つておきましよう。
○金子委員 これに今度の法律改正を実施いたすといたしますと重要な問題として出て来るのでありますので、一応質問しておきますが、乾繭に対して価格維持のために助成策を講ずる、こういうことが考えられているようであります。ところがこの乾繭組合は地域的に非常に過去に失敗して、なくなつておるところも多くあります。それから残つているところには、繭価安定をするために役立つだけの能力を持つているところもありますが、全然持たぬところもあります。大体の傾向としては、これは全国としてはだめな方向に行つている。それはどうしてそういうことになるかと言いますと、一方御承知のように穀物販売における農業倉庫が、年々農林省があれだけの低利資金を出しておりますのに、その低利資金の申込みの数の方が多くてその資金が応じ切れない、こういうふうな実情にあるにもかかわらず、同じ農産物の保管倉庫であるところの保管、販売のために供する乾繭倉庫がどうして衰微の方向に行つているか、こういうことについて、私の見解といたしましては、繭の特殊性から来ておると思うのであります。御承知のように、米や麦でありますと、検査所で等級付いたしましたものが、どの会社に行きましても、どこに行きましても、それが小麦のような分析内容の複雑した——内地生産と外国生産における小麦の性質というものが相当違つても、たとえばグルテンの非常に大きい麦と内地産の麦をどう配合して粉にするかというような技術によつてやつているのでありますが、繭の場合におきましては、その会社の技術なりあるいは売先というものまで関連を持つて参りまして、アメリカが細糸が必要だという将来の見越しをしますと、どこから改善するかと言うと、蚕の品種の改良からまず持つて行かなければならぬ。従つて今日巨大製糸がみずからほとんど蚕種というものを握つておるのもその理由があると思うのであります。従つて蚕の品種と飼育の方法、それから乾繭の操糸技術、こういうものが一貫して初めて最高度の成績が上る。それがばらばらであつた場合には、同じ養蚕者が同じ犠牲を払い、同じ製糸家が同じ犠牲を払つても、一貫性を持つたときよりもはるかに結果が落ちる。ここに農産物販売過程における穀物の場合と違う繭の特殊性があると思うのであります。またこれが一面から行きますと、養蚕農民が巨大製糸の資本のもとに隷属化して行く一つの原因にもなつているわけです。資本的に隷属化すると同時に、まず蚕種を与え、飼育技術者を与え、そうしてその繭を集荷する、こういうふうにして資本的にも技術的にも大製糸のもとに養蚕農民が隷腐して行くという傾向を持つて来たのです。そういう観点から、さいぜん申し上げたように、同じ農業倉庫でも、穀物倉庫は自主的にどんどん増設されているが、乾繭倉庫というものは失敗している。そのほかに繭の価格の騰落がはげしいということも原因しておりますけれども、特殊性としてはやはりそこを一番大きくおかなければならぬと思う。そうなつて参りますと、乾繭に対して助成するという場合でも、それを農民自体の組織しているところの乾繭設備で、その自体の設備によるところの倉庫に保管するという狭い意味の農民の乾繭というものに対して助成するということでありますと、その目的は達せられない。言いかえれば、その繭はその会社に渡すことは契約のもとにおく。それでその契約された会社の乾繭機を使い、そうしてその会社の倉庫を使つて、契約の上に、その所有権は農民が持つ、そうした場合も、それは農民自体の乾繭だという広い意味の見解をとつていただきませんと、この乾繭に対する助成というものは意味をなさない、こういうふうに私は考えておりますが、その点はどういうふうにお考えになりますか。
○酒折説明員 おつしやる点まつたくその通りと思つております。ただその場合に問題となりますのは、これはやむを得ぬところだと思いますけれども、品物を渡しちやつたということによつてある程度製糸に発言権が強くなるという点もやはり一面の弊害として出やすい。その辺の調整を十分気をつければ、おつしやる点は、その他の点はまつたく同感であります。
○金子委員 あなたの答弁の問題は私は次に述べて参りますから、その答弁は必要ないが、そういう特殊性があるから、それが農民独自の持つ乾繭機で、農民独自の自主的に持つ倉庫に入れたものという狭い見解でなく、そのものがかりに製糸工場の乾繭設備を使つて製糸工場の倉にあつたものであつても、農民が所有しており、生産者が管理している場合においては、それを農民の乾繭として政府は同じような政策の上に入れるかどうかということに対する見解をまず先にお聞きしているのです。
○酒折説明員 その点は契約をはつきりしておりますれば当然入ると思います。
○金子委員 それを入れるということが、現在の事情から申しますと私は望ましいと思つております。そこでそういうふうな場合に問題になつて来るのは、ただいまあなたが答弁の一部に触れましたように、さてそこの特定の特約工場の倉庫に乾繭保管した場合に、一応そこのとりこになつておりまするからして、次の売買その他の契約履行に対して一つのハンデがついて来る、こういうおそれがあるのであります。そこで私どもが今後あなた方に要望することは、先ほど大分問題になつた問題に触れて来るのでありますが、繰糸過程における乾繭の歩どまりの実態であるとか、あるいは乾繭工費——製糸工程における一部であるところの乾繭の工費というものの実態、こういうものも、先ほど三箇年間だか四箇年間だかでおやりになるというお話でありますが、この法律を施行するとすれば、その問題も早急に一つの線を出して、そうしてもしそういう取引を行う場合には、一つの標準としてこうあるべきたということを、あなた方が指導するなり指示するのに足りるような資料を持つべきだ、こういうふうに考えておりますが、それに対してどういう見解をお持ちでありますか。
○酒折説明員 ごもつともな御意見と思つております。現在におきましても、例の繭糸価格安定審議会に提出しております加工費調、これには乾繭費などの内訳も出しております。但し必ずしもこれは現在の調査方法が万全とは考えておりませんので、その点の改善をわれわれとしてもやつて行きたいと思つております。
○金子委員 そういうふうに、繭の取引に対しては、現在でも今の独禁法に触れることを——私は触れておると思つておりますが、それはとがめる意味でなくて言うのですから、誤解のないように願います。なぜならば、これが独禁法に触れるならば、今の団体取引が悪いということでこれを自由競争にいたしますならば、今の養蚕農民の、ほかの農産物より以上に投機的な感覚を自然に持つております心理状態と、それからもう一つは、農民自体が持つ統一性を欠きやすい性格と、一方において資本家の強力な一つの自然のうちに起つておるカルテルあるいは資本力というものからいつて、百姓あるいは養蚕団体にいたしましても、きわめて小さなグループを対象にして、その小さな対象の養蚕組合を製糸家が隷属せしめてそうして農民の貧乏であるところをつけねらつて、蚕具から肥料まで供給して、そうして抜き差しのならぬ状態に追い込むあの最も悪い条件の隷属化が再び遡りはしないか。それよりもむしろ工費において若干の矛盾はあつても、今の統制に近い取引というものをやつて行く。ことに今度のこの安定法をやつて行く場合には、おそらく、統制ではないけれども、それと同じ今のものをより強化しなければその目的は達せられないという方向に行くのだと思います。もしそうだとするならば、むしろ統制は解除したのだといつて、代金はもらつてもひつかけられても、お前たちの自由だというふうなことでなしに、団体取引に対してまで、法的に、これの悪いことは除き、いいことはやらせるというようなことをやり得るように方向づけるべきではないかと思うのであります。一つの例で言うならば、団体として契約をして繭の掛目をきめておるのならば、それに対する農民の個々の自由は許してないのだから、代金の支払いに対しても連帯責任を持つべきだ、これは常識ですよ。それからもう一つは、それらの団体取引、いわゆる契約飼育のような形に近い特約をすることは、繭の特殊性からいつて私は認めるが、その条件をたてにとつて、一方農民の経済的に不如意なところにつけ込んで、製糸家が肥料屋になつたり蚕具屋になつたりして、農民に対して前渡しの形にしておいて、繭の掛目に対して価格協定あるいは取引のときに動きのとれぬような、かつて非常に弊害があり、現在でも始まつておりますそれらの取引というものに対しては、繭売買の契約のもとにこれを制約するというようなこと、その他たくさんりますが、それらのいろいろの欠陥は、法的にこれを除くように努力すべきじやないか、また指導的にも努力すべきじやないか、そうして今の私の率直な考えでは、今の繭の取引は独禁法に触れるやり方をやつておるけれども、これは農村の実態と製糸の安定ということから考えてあながち糾弾十べき問題じやない。もしそれをそうせざるを得ないとするならば、それによつて来る弊害も一緒に考えて、これに善処する方法をあなた方は考えなけ必ばいけない、こういうふうに考えるのであります。それらの問題に対して一応の見解を承つておきたいと思います。
○原田説明員 ただいまの金子委員の御見解に対しましては、私どももその通りだと考えております。具体的な措置につきましては、今一々ここで申し上げかねますが、その線に沿いまして努力いたしたいと考えております。
○中澤委員 御承知のように、これは大臣あるいは引継ぎになつて蚕糸局長は御存じだと思いますが、この三十億の買上げ基金が足りないというので、養蚕農民が非常に不安に思つているわけであります。十九万を割つた場合政府が買上げるという……。そこで実はこの前八木さんが来てちよつと話したので、一応これは何らか方法を考える必要があると思うのですが、例の蚕糸統制会の残余財産というものは七億五千万あるわけです。この残余財産の七債五千万を、実はこの前議員立法で、政府のとる四億の税金をとらずに、蚕糸業振興にこれを基金として使おうという八木さんの発案で、実は数回の会合を開きましたところが、業者間において、あれはわれわれか蚕糸統制会をつくるとき出資した金だから配分してよこせ、こういうことで、せつかく法律をつくり上げて業者間に文句さえなければ通る段階まで持ち込んだのであります。それを種屋は種屋で、おらの出資した分だけ比例してわけてよこせ、製糸家もそう言い出してしまつたもので、結局その法律はつくつたが、議員提案で出さずにしまつたという経過があるのです。この七億五千万の蚕糸統制会の残余財産というものを、われわれは繭糸価安定並びに養蚕業振興のためにどうしても使わなければいかぬ、ただ政府が政府のポケットヘこれをほうり込んでおくのはいかぬ、こういう考えを今でも実は持つておる。今も実は八木さんとちよつと相談したのですが、いま一度蚕糸局が何らか方法を考えるならば、少くともこの残余財産七億五千万を、税金を四億とられなければそつくり使えるから、これを一つの基金制度にして、そこへ政府の預託を基金の四倍なり五倍なりもらつて、それで養蚕業振興、蚕糸業振興全体のために、繭糸価安定にも使つたらどうかという考えを持つているのです。これはこの前は蚕糸局では反対なんです。なぜ反対かというと、そんなことをやれば、おらの方の予算が大蔵省から削られる。これは今の局長さんは新任で知らないので、局長さんは笑つているけれども、実際笑うべきようなことを蚕糸局は平然と今までやつていたのです。だからわれわれは文句言いたくなるのですよ。だからあの七億五千万を何らか有効に使うことを考えねばいかぬ。しかもこれは戦時中の統制会において、繭の統制価格で、百姓なんか幾ら損したつてかまわないという犠牲価格でしぼり上げたものから出た余剰資金なんですよ。だからわれわれ養蚕農民の立場からいえば、あの七億五千万はみなおらの方へよこせ、こう言いたいのが本当の腹なんです。しかしそんなことを言つてもおさまらぬから、何とかして養蚕業全体のために使おうじやないか、こういう考えを今でも私らは持つておるのです。これについては別に御答弁はいりませんが、こういう問題もあるのだし、七億五千万という、こういう金も政府の倉庫の中に寝ているのだということだけははつきりお考えをいただき、なおかつこれに対して何らかの具体策が立てられるならひとつ立てて、養蚕振興のためにこの金を有効に使いたい、こう考えておる次第で、一言その過去の経過だけ申し上げて、ひとつ具体策が立つなら立ててもらいたいということを申し上げておきます。
○佐藤委員長 本日の質疑はこの程度にいたしまして、明日引続き本案に対して審査を進めることにいたします。 なお明日は前回農林委員会の議決に基きまして、それぞれ参考人を招致することになつておりまするので、どうぞ定刻よりおいでを願います。なお明日は午後自動繰糸機をとりつけております製糸家を一応視察しよう、こういうことになつておりますことをあわせて御了承を願います。 本日はこれにて散会いたします。 午後四時二分散会