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19回国会衆議院1954/10/11

農林委員会 第72号

発言数
21
登壇者
9
会派数
5
開催日
1954/10/11

会議録

井出一太郎改進党

○井出委員長 これより会議を開きます。  開会劈頭において、委員長は各位に悲痛なるお知らせを申し上げなければなりません。それはすでにお聞き及びの通り、委員金子與重郎君が、一昨九日、日本医科大学病院において急逝せらた件でございます。まことに哀悼の至りにたえません。  これに関連いたしまして、委員佐藤洋之助君より発言を求められております。佐藤君。

佐藤洋之助自由党

○佐藤(洋)委員 この際お許しをいただきまして、故金子委員に対する追悼の辞を申し述べたいと存じます。  今般われわれ調査班一行が、北海道及び東北地方の冷害並びに台風第十五号による被害調査のため、委員会より正式派遣せられたるにあたり、金子君は以前より胃潰瘍を病まれておりましたにもかかわらず、欣然みずから進んで参加せられ、札幌から旭川を経て名寄に至るまで行動をともにせられ、なおも行動をともにせられるようでございましたが、金子君の宿痾を知つておりまするわれわれは、無理に札幌に帰還させて休養いたさせましたる上、二十九日の航空便で私と一緒に帰京いたしました。帰京後日本医科大学病院に入院、手術の準備をいたしながら、他方農業災害補償制度審議会にも出席せられており、平常のごとく元気な活躍を続けておられましたので、きようのこの姿をだれしも予想し得なかつたのであります。  しかるに去る八日、すぐ回復するであろうという軽い気持で手術に臨まれたのでありまするが、手術後経過悪しく、翌九日病状にわかにあらたまり、忽然として長逝せられました。私はこの訃報に接しましたとき、どうしても真実とは思えませんでした。今もなお金子君がこの机に座しているような気がいたしております。  金子君は、改進党随一の農政通として広く認められておるところでありまするが、農林委員会におきましても、農政問題に対する熱意と識見におきましては、右に出ずるものがないのであります。元来君は群馬県の農村に生まれ、盛岡高等農林に学び、農業団体の指導者として活躍せられ、戦後国会に出馬せられ、当選三回、そのかたわら親しく農業を営まれ、まことに生まれながらの農民代表、心からの農村指導者であります。農業団体関係法案審議の際に示された闘魂、また肥料臨時需給法案成立に対する熱意、また食糧問題に対する気魄等は、いずれも君が毀誉褒貶を超越して、農民の代表として全力を傾けた烈々たる敢闘精神の躍動を物語つているものであります。  御承知のごとく、昨年以来冷害、大風水害相次ぎ、農業生産は多大の危機に直面いたし、君の力量、才幹にまつところいよいよ大ならんとするのとき、君はにわかに長逝せられ、われわれ農林委員一同ぼう然とするのみであります。  しかしながら、君の農業の向上発展に対する熱意と、農村建設に対する魂は、われわれ農林委員はもちろん、全国農民の魂をゆさぶらずにはおかないでありましよう。われわれは君の志を継ぎ、君の希望を実現して日本農業の確立を期し、祖国の安定に寄与することを君の霊に誓います。  願わくば、金子君の霊よ、安らかに眠られんことを。ここに謹んで哀悼の意を表します。(拍手)

井出一太郎改進党

○井出委員長 この際暫時の間黙祷を捧げたいと存じます。     〔総員起立黙祷〕

井出一太郎改進党

○井出委員長 金子君の御遺骸は昨日だびに付しまして、その後引続きお通夜をいたしました。今朝十時自動車をもちまして郷里群馬県へお送りいたしました。とりあえず、委員会からは吉川久衛君が代表の意味で自宅までお供をいたしました。  本葬の儀は、来る十七日、多分午後一時と存じますが、前橋市において、農民葬というような形式をもつて取行われるはずでございます。なお詳細が判明いたしましたならば、お伝えをいたす所存でおります。  暫時休憩いたします。     午後零時二十八分休憩      ————◇—————     午後三時六分開議

井出一太郎改進党

○井出委員長 これより再開いたします。  本日は先般議長の承認を得まして、台風被害並びに冷害等に関し、委員の現地派遣を行いました結果を御報告願う予定でおりまするが、ただいま農林大臣初め政府当局にしばらくの時間さしつかえがございますので、これより暫時休憩をいたして、五時を期して再開をいたしたいと考えます。  なお先ほど芳賀委員より、内閣に災害対策本部が設けられました点について、このことを確認したいというお申出がありますので、政府を代表して羽田政務次官からその間のいきさつ並びに災害対策本部の今後の方針等について承つておきたいと思います。

羽田武嗣郎自由党農林政務次官

○羽田説明員 ただいま委員長からのお話につきまして申し上げたいと存じます。政府といたしましては、今回の冷害並びに台風の被害につきましては非常に重大に考えまして、先週の金曜日に対策本部を内閣に置き、担当の国務大臣として加藤国務大臣を任命をいたしまして、各省の関係と連絡を強化いたしまして、なお農林委員会やその他建設委員会等の委員の各位の御視察等も十分尊重いたしまして、急速に対策を立てて臨時国会に提案をいたし、また応急にできるものはただちにやろう、こういうことになつておりまして、近くそのスタツフも決定をいたして、もう両三日中に出発をいたすというような順序になつておりますることを御報告を申し上げておく次第でございます。

佐藤洋之助自由党

○佐藤(洋)委員 この際委員長を通じて政府当局に御注意を願いたいと思うのですが、今回われわれが調査視察をいたしまして、きようそれを報告するということは、単純なる視察報告でないのです。事きわめて重大でありますし、また深刻な問題なんです。そこで関係の大臣がもちろん列席の上でかつまた北海道にすれば北海道開発庁長官の緒方さんに列席をしてもらう、また加藤対策本部長にも来てもらう、こういうようなそれぞれの対策のできる機関を網羅して、その上で北海道調査報告、続いては九州の調査報告について、実感をもつて大臣に吹き込みたいと思うのであります。ことに農林大臣はあすから北海道を視察するという。ちようどわれわれがまわつたコースをまわるのだというのでありますから、従つてやはり大臣に視察の前に、一応われわれの調査報告をとつくりと了解をして行かれた方がいい。すなわち予備知識を持つて行かれるのがいいのではないか、こういうわけで、ぜひ五時には間違いなく出られるように委員長から注意をしておいていただきたいと思います。

井出一太郎改進党

○井出委員長 ただいまの佐藤委員の御発言はまことにごもつともであります。政務次官もお聞き及びの通りでございますから、さようとりはからいたいと思います。  なおこの際申し上げておきますが、近ごろ各局長諸君において本委員会への出席がすこぶる不熱心であります。この点は特に警告しておきますから、さよう御承知を願います。  暫時休憩いたします。     午後三時十二分休憩      ————◇—————     午後五時三十四分開議

井出一太郎改進党

○井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  本委員会は先般議長の承認を得て、相次ぐ台風による被害並びに北日本における冷害による災害について、新しく委員を現地に派遣して実情を調査いたして参りましたので、この際その報告を求めることにいたします。  まず北日本班といたしまして、佐藤洋之助君より、北海道における被害の状況について御報告を願います。

佐藤洋之助自由党

○佐藤(洋)委員 私はこの視察報告をいたす前に、一言大臣に申し上げておきたいと思います。実は今日視察報告をすることは、すでに公報において通知しておりまして、大臣御承知のわけであります。われわれの今度の旅行も、まつたく昼夜兼行の強行軍でございます。加うるに金子君は病弱な体で積極的に参加せられてこの視察に行かれ、不幸にして犠牲と申しますか、なくなられたことは、われわれ農林委員会としては、かけがえのない人を失つてまことに残念でございます。われわれは視察いたしまして現地を実際に見て来て、今私がこれから報告しようということに対しては、相当責任を感じておるわけであります。従つてわれわれ農林委員会は農林行政の面、あらゆる面において全能力をあげて大臣とともにこの解決をしたいという念願を持つておるのでございます。従つてきようわれわれが視察報告をするということは御承知のはずでございまして、大臣はむしろ積極的にこの委員会においでを願つて、切実なるわれわれの声、また背後にいられる関係被害者の方々が、血の出るような思いをしてはるばる上京して陳情せられる姿を見て、真剣に大臣は取組んでいただきたいと思う。あなたは非常に政務多端の中割愛いたしまして、明日北海道においでになられるということでまことに感謝いたします。しかもおいでを願うコースを承ると、私どもが参りましたコースだそうでございまして、そうなりますとやはり大臣としては、一応われわれの報告をお聞きになつて、熟読翫味せられて、より多くの知識をもつておいでになられた方がいいのではないか、実はこう考えておりまして、あなたの出席を要求いたしたのですが、省議の都合で今までおいでにならなかつた、まことに残念でございます。これがややもすると委員会を軽視するように見られ、あるいはとられては残念でございます。そういうことはあなたにしては万々ないと思いますが、そうなると非常に残念でございますから、どうぞ真剣に聞いていただきたいと思うのでございます。  今回の災害は実に深刻なものでありまして、これは二十七年、二十八年、本年と打続く災害でございまして、深刻の度合いが重つております。これをひとつ御了承願いまして、切実な声を十分お聞取りの上、御苦労でございますが明日からごらんを願いたいと思います。  そこで北海道、東北地方冷害並びに台風十五号による被害状況調査を御報告申し上げます。  われわれ調査班一行は、自由党から私、改進党から今はなき金子委員、社会党左派の芳賀委員、同右派の川俣委員、日本自由党の安藤委員の五名をもつて編成され、それに藤井専門員及び農林省改良局から三浦技官が同行いたしました。われわれが参りまして、現地におきましては本名代議士、永井代議士、正木代議士、松浦参議院議員諸君の御案内をいただきまして、その労に対しましては感謝をいたすものであります。  北海道並びに青森、岩手の一道二県にわたり、冷害及び北海道調査中はしなくも台風十五号に遭遇いたしまして、これの被害状況をあわせ調査いたしましたので、ここに御報告申し上げます。  九月二十六日早朝、羽田より日航機にて出発、同十一時札幌に着きまして、ただちに北海道庁に到着、田中知事、蒔田道議会議長始め、道首脳部及び道議会議員各位より被害の概況の説明を承りました。特に札幌測候所長及び北海道農業試験場吉野作物部長から、今年の気象状況並びに稲作の成育状況につき学術的立場から詳細な説明を承つたのであります。それより市民会館における凶作突破緊急全道農民大会に臨みまして、私より一場のあいさつを行いました。  ただちに車をかつて現地調査に出発いたしまして、石狩支庁管内広島村、長沼村、由仁町、幌向村、栗沢町、さらに岩見沢市を経て旭川市に到着、同市におきまして留萌、空知、上川各支庁管内代表者の方々により陳情を受け、かつ災害対策に関し懇談いたしたのであります。  しかるところ、同夜はしなくも台風第十五号の襲来に遭遇いたし、瞬間最大風速は四十メートルにも及ぶ猛烈なものでありまして、これによる被害の甚大さを懸念いたしながら不安な一夜を明かし、翌二十七日ただちに旭川測候所、警察署、新聞社、放送局等に連絡をいたし、被害状況を確かめました。函館港内洞爺丸の惨事並びに岩内町の大火を知り、罹災者一同に対し無限の同情をささげつつ、冷害と同時に台風被害をもあわせて調査することといたし、宿舎を出発いたしまして、途中沿道至るところに、農家の屋根は飛び、畜舎は倒れ、電柱は折れ、街路樹は倒伏いたしており、いまさらのごとく台風被害の甚大さに吃驚しつつ、東鷹栖、比布、和寒、剣渕、士別、風連、名寄、下川、興部、紋別、上湧別、遠軽等の各市町村の現地調査を行い、途中名寄市におきましては宗谷支庁管内の関係者から説明、陳情を受けました。すでに紋別を過ぎましたころからは夜に入りましたので、自動車のヘツドライト及び懐中電燈の光を用いまして、辛うじて調査を遂げるありさまで、その日は実に四百キロにわたる強行突破をいたしたのであります。午後十時近く北見市に到着、さらに市役所におきまして網走管内災害状況につき説明を受けました。旭川より北上するに従い作況はいよいよ不良となり、収穫皆無と思われる青立ちの水田がえんえんと連なるありさまを見ましては、われわれ一同まことに胸の詰まる思いで、慰めるべき言葉を知らないのでありました。さらに網走管内の冷害は一段と苛烈をきわめ、水稲はほとんど収穫皆無に近く、北見統計調査事務所におきましても、作況指数の出しようがないと歎声を漏らしていたのであります。作況については後刻川俣委員より詳細なる発言があると存じますからこれを省略いたします。  現在当地方の奨励新品種となつております北国百十六号のごときは、中生種の多収穫性のものでありまして、平年ならば反当り六俵程度を上げており、その他のものも平均四俵程度をとり得るにかかわらず、本年はほとんど一粒も米としては収穫し得ない状況にあります。ここに当地の各種水稲の見本がございますので、後刻ごらんをいただきたいと存じます。また畑作につきましても、この冷涼な気象のため成育が遅れ、稔実不可能となりまして、私どもが親しく視察いたしましたところにおきましても大手芒、長うづらともに二、三分作程度であり、また大豆につきましては、秋田大豆はやや良好で、反収二俵程度は上げ得ると見られておりますが、多収穫性の長葉大豆の結実はほとんど不可能と見られ、もはや飼料に供する以外にはいかんともなしがたいといわれております。この他小豆、とうもろこし、そば等もほとんど収穫皆無に近いありさまでありまして、当管内の減収総額は六十五億に上ると推定せられておりますので、本年の農家収入総額は約四十八億に過ぎず、これから本年度償還負債額を差引きますと、一世帯当り年間収入は約十二万円となり、一箇月生活費として一万円をかろうじて確保することになり、これは生活保護法による基準生活費以下でありまして、今冬以降の生活費確保のため特段の配慮を願いたい旨の悲痛な叫びがございました。  翌二十八日早朝北見市を出発、端野村、美幌、津別の両町、西足寄市、池田町の各市町村の作況を視察、各所で陳情を受けつつ帯広市に到着、同市におきまして帯広支庁管内はもちろん、日高、釧路、根室各支庁長並びに管内市町村代表者より被害状況の説明並びに陳情、要望を受けたのでありますが、特に十勝地方は一昨昭和二十七年の十勝沖地震により災害をこうむつて以来、昨年、本年と三箇年災害打ち続き、農民の疲弊因憊はなはだしく、また釧路方面では、従来飼料として利用していたみやこささが本年の異常気象のため枯死いたし、飼料確保に多大の支障を来している旨の地方的特性につきましても詳細な報告がございました。  同日夜行列車に乗車、翌朝台風により鉄道沿線の防雪林がおびただしく損傷を受けている被害状況を車窓から視察しながら札幌に到着、ただちに道庁にて知事以下道庁関係者並びに道議会議員各位と視察の結果につき協議を行い、あわせて冷害並びに台風被害対策につき詳細の点にわたり陳情、要望を受けたのであります。  ここにおいて視察班を二分いたしまして、私及び金子君は同日正午の日航機で離道帰京いたしまして、残る芳賀、川俣、安藤三君と藤井専門員の別動隊は午後小樽を経て道南地方並びに十五号台風の調査に向われました。この部門の報告は後刻安藤委員より御報告があるはずでございますから、私はこれを省きます。  北海道は本年当初から低温が予想せられており、まず五月十日前後に猛烈な低気圧が通過いたし、相当ひどい被害をこうむりました。この点につきましては去る第十九国会におきまして、被害調査のため委員派遣を行い、五月二十一日の農林委員会において福田委員から詳細に報告されておりまするので、省略いたします。この後五月中は平年並に推移いたしましたが、六月上旬に晩霜がありまして、かなりの被害を与え、この後気温は上らず低温のまま七月中旬まで約五十日間連続いたし、全道各地におきまして最低十五度以下に下ることがしばしばありまして、いわゆる晴冷型冷害気象が全道をおおいました。かつこの間降雨量が少く、旱魃を併発いたし、特に旭川以北の各地におきましては、この旱害による被害もまた軽視し得ないものがありました。次いで七月二十七日に降雨があり、これ以降八月上旬にかけて相当の大雨がありまして、一部に洪水による被害を引起したところもあります。この後に至つてようやく気象状況も平年並に復し、気温も上り、大体平年並ないし一、二度高目に推移して現在に至つたものの、八月上旬に至り十勝地方には直径三センチの降雹がありまして、農作物に被害を与え、また同月下旬には早くも北見周辺に降霜を見る等、気象条件はまことに険悪をきわめておりました。しかしてこの低温はオホーツク沿岸の網走地帯に著しく、これから本道の中心を縦断して函館方面に延び、ほとんど全道全体を冷気をもつておおう形をとり、ちようど大正二年の大冷害凶作当時に酷似した気象状況を示しております。  かくのごとき気象関係によりまして、本年の平均気温は大体平年より三度前後低く、八月下旬の出穂開花の重大時期にも夜間特に低温となり、留萌方面では十五度以下に下つた場合も見られ、草たけ、分けつ等平年並に達したにもかかわらず、生育は非常に遅れ、各地とも二週間ないし三週間あるいはそれ以上の遅延を見、北見方面では八月中旬には出穂しなければならぬにもかかわらず、九月に入つてからようやく第一分けつの茎が出穂したというありさまで、この遅延状況は昭和二十年の冷害凶作に類似しているといわれております。九月の気温は平年よりやや良好で、このため多少見直されてはおりますが、早生種につきましては、幼穂形成期から分化形成期を経て減数分裂期に至る重要時期に当る七月中、下旬が低温による障害を受け、ために開花結実が妨げられて不稔粒が多く、この傾向は北に進むに従つてひどくなつております。また中晩生種につきましては、著しい生育遅延のため、今なお結実の過程にあり、しかもすでに初霜を見る時期に入りましたので、ここで降霜にあいますと稲はその生育をとどめまして、不稔のままに終つてしまうのであります。現に各農家は降霜防止のために重油、薪炭等による燻煙を行つているのでありますが、かかる予防手段は水霜程度は防ぎ得るのでありますが、一度本格的な降霜がやつて参りますと、手の施しようがないのであります。ただ昨年は比較的初霜の来るのが遅れましたので、本年ももしや霜の来るのが遅れるのではないかとの万一の僥倖を頼みとして、かかる必死の努力を続けているのであります。  なお、七、八月中におきまする夜間の気温低下防止の手段として、五寸以上湛水することは有効な方法なのでありますが、前述のごとく六月以降五十余日も降雨がありませんでしたため、ほとんど全般的に水不足いたし、湛水によつて稲を守ることができず、これがまた冷害を一段と苛烈にしたものといわれております。  以上のごとき気象並びに作況にありますので、今後いかに天候が順調に推移したしましたとしましても、五分作にとどめることは困難であろうと道当局は推定を下しておりました。  しかるに最近北海道庁からの報告によりますと、去る六日本格的に襲来いたしました寒波の影響によりまして、全道にわたり相当の低温となり、北部稚内、枝幸、根室並びに旭川方面には初雪があり、また西部の留萌方面を初め、倶知安、空知、江差、釧路、室蘭、函館等にも初みぞれがあり、ところによりましては結氷を見ておりまして、初雪は平年より二十日前後早く、初みぞれも十日から十五日早いのであります。また太平洋側では夜間晴れましたため、七日朝の気温は相当下り、函館の初氷は平年より二十二日も早いのであります。かくのごとく例年より非常に早く本格的寒波が襲つて参りましたので、一縷の望みを嘱しておりました水稲の登熟は、もはや絶望であろうと存じます。また今次台風は本道を縦断いたし、最大風速は五十五メートルに達したといわれる最も猛烈なものでありまして、その被害の甚大さは想像にかたくないのであります。  以上の冷害並びに台風による被害総額は、道庁十月一日現在の調査によりますと、冷害による農作物被害金額は二百九十八億九千七百三十万円、台風による農作物被害は七十六億八千七百七十九万円、その他家畜被害、施設被害を加えますと九十九億一千二百九十七円となり、この両被害を合算いたした総被害額は、三百九十八億円余の巨額に達するのであります。なおその後の調査によりますと、台風による国有林の風倒挫折木は五千万石に達し、その他民有林関係約五百万に上る大損害をこうむつております。  次に北海道庁及び道議会から冷害並びに台風被害対策に関し、詳細なる要望がございましたので、この要望せられました事項について要旨を申し上げますと、第一に応急策として、次の三項目を速急に実施してほしいというのであります。すなわち一、農業金融の確保、二、営農資材の確保、三、農民生活の保障の三点であります。  この農業金融確保のための具体的措置といたしまして、  (イ)被害農家の明年度における農業経営を維持安定させるため、農業生産資材購入資金、副業資金その他農業経営に必要な資金百三十九億円につき、昨年の例にならい特別融資の立法措置を講ぜられたく、このうち約七十四億円については、緊急つなぎ資金として十一月中に融通の方途を講ぜられたい。かつ昨年以来の打続く災害により、農家経済の疲弊はなだしいものがありますので、特に償還期限を八年程度とする長期融資とせられたいこと。  (ロ)昨年以来融通を受けた災害資金で、本年償還すべき十億六千万円中、償還困難なものについては償還期限を一箇年延長するとともに、その延長年次中においても利子補給及び損失補償の措置を講ぜられたいこと、並びに農林漁業金融公庫よりの融資金中、本年度償還金五億七百万円のうち、冷害及び台風による減収のため償還不能と認められるものについては、償還期限の延期をはかられたいこと。  (ハ)自作農創設維持資金の利子免除並びに資金わくの拡大、創設農家の負担軽減のため、年賦代金の利子三百万円を免除せられるとともに、自作農の転落防止のため維持資金の融資額拡大の措置を講ずること。  (ニ)開拓者の特殊事情にかんがみ、融通を受けた営農資金七千三百余万円につき、償還猶予の措置を講ぜられたいこと。  (ホ)農業手形制度を継続実施するとともに、雑穀及びばれいしよにつき、その融資限度を約三割引上げること。  (ヘ)農業共済金の早期支払いを実施すること。  (ト)土地改良事業資金わくの拡大をはかるとともに、補助金交付までのつなぎ資金として、事業費の半額程度を融資せられたいこと。  (チ)被害による収入減を伐採調整資金に依存してカバーせんとする災害農家が相当数に上るので、九千万円程度の資金わくの拡大をはかられたいこと。であります。  二の営農資材の確保につきましては、  (イ)種もみ及び雑穀種子の確保でありますが、被害農家の種子不足数量は、種もみ約十一万九千俵、大豆四万俵、小豆一万八千俵、菜豆一万六千俵、とうもろこし九千俵と見積られ、これが購入金額は六億七千余万円に上るものと推算せられておりますが、これに対し約二億九千万円程度の国庫補助金を交付してもらつて、種もみの確保に努めたいというのであります。この種もみの確保は、農業再生産上特に緊要でありますので、私どもは帰京いたしまするや、ただちに農林省に連絡いたし、万端の措置を講ずるよう要請いたした次第であります。  (ロ)飼料確保に対する財政措置でありまして、被害農家の飼料作物種子不足面積は、豆科牧草の二千八百五十町歩、飼料用とうもろこし千九百町歩で、これに要する種子購入費に対し半額を国庫補助せられたいこと、またみやこささの枯死と飼料作物減収による飼料不足を補う緊急対策として、夏作跡地にかぶ、青刈燕麦、青刈ライ麦、青刈菜種を約一万五百町歩に作付することとし、これに要する種子購入費に対し、その半額程度を国庫より補助せられたいこと、並びに以上の措置によりなお不足を来すので、飼料需給安定法により、大豆かす四千七百トン、ふすま六千四百トンの輸入飼料を割当てられたいこと、さらに稲わら等を飼料として、生産地より需要地へ輸送する鉄道貨物運賃について減免措置をとられたいことであります。  (ハ)病害虫防除費に対する補助でありますが、本年の異常気象に随伴して発生いたしました稲作病害虫の防除に要した経費は、六億円以上に上りますので、被害農家の収入激減の状況にかんがみ、半額を国庫より補助せられたいことであります。  次に第三の農民生活の保障についてでありますが、まず  (イ)救農土木事業等の実施であります。このためには道路改良事業並びに道路特殊改良事業はもちろん、今次の冷害におきましても、土地改良事業の施された所は、その被害が比較的軽微であつた事実にも徴し、かつ罹災農家に対する現金収入確保の意味からも、灌漑、排水、農道、客土または温水ため池事業はもちろん、開墾建設工事を大々的に推進せられたいこと。  (ロ)昨年冷害対策として実施せられた林道事業、治山事業、防災林造成事業等の国有林野事業、並びにこれに付随する簡易な諸事業を本年も実施せられたく、特に冬期降雪期間実施可能な工事については、繰上げ実施せられたいこと。また造林事業費国庫補助金の増額、牧野改良事業の推進と、これに伴う経費に対する二分の一の国庫補助を実現せられたいこと。  (ハ)冷害地における失業対策事業の就労適格基準を一定期間緩和し、臨時応急的の失業対策事業を実施すること。  (ニ)冬期間の余剰労力利用による副業を奨励し、副業技術の導入費及び副業施設の設置費について二分の一の国庫補助金を交付せられたいこと。  (ホ)今次冷害被害は特に山間僻地にはなはだしい事態にかんがみ、自家用燃料まき、販売用まきの原木及び製炭用原木を国有林より特別価格で払い下げるとともに、その代金については無利子、無担保として、明年十一月の農産物収穫期までの延納を認められたいこと。  (ヘ)政府手持ち食糧約四万石を生産者価格にて払い下げ、かつ代金延納、または明年出来秋における現物償還の措置を講ぜられたいこと。  (ト)冷害により農産物の品質低下の著しい事実に徴し、農産物検査規格の緩和措置をはかられたいこと。  (チ)冷害凶作地帯における学校給食用物資の無償払下げを実施せられたいこと。  (リ)五分作以下の罹災農家に対し租税の減免措置を講ぜられたいこと。  (ヌ)凶作に伴う道、市、町、村財政の窮乏を補うため、地方交付税及び起債の増額等の措置を講ぜられたいこと。  以上はいずれも応急的措置に関するものでありますが、恒久的対策といたしましては、一、農業経営改善施設の強化、二、有畜農業の促進、三、農業改良普及事業並びに生活改善事業の推進拡充、四、試験調査機関及び農業気象観測機関の強化拡充、五、開拓政策の強化、六、総合助成町村の増加の六点であります。  以上申し上げました要望事項はいずれも災害対策上不可欠のことと存じますが、なかんずく明年再生産用種もみ、種子の確保、営農資金の融通、政府手持ち食糧の払下げ、救農土木事業の実施、薪炭林の特別払下げ、開拓者住宅等入植施設復旧、農業共済資金の早期支払は、災害資金の償還期限の延長並びに昨昭和二十八年の冷害に伴う米麦売渡し代金納入期限の延長等は、この際速急に実施いたすべきものと存じます。また申し上げるまでもなく、北海道はしばしば冷害による災害をこうむり、北海道農業試験場吉野技師の研究によりますと、明治十九年から昭和二十年までの六十年間に、十五回の凶作と十五回の豊作とがあり、残余の三十回が平年作となつておりますが、四年に一回の冷害凶作があり、他方また四年に一回の豊作があり、さらに他の残りが平年作であるといたしますると、今日の食生活並びに稲作による収入が畑作に比して多いこと等の点から、水稲耕作を一挙に他に転換することは不可能であり、また国内食糧需給の観点からも、安易に水稲耕作を放棄せしむべきではないでありましようから、むしろ安定した水稲耕作経営の確立を期すべきであります。この観点から適地適作主義を前提といたし、耐寒性の強い新品種の育成普及をはかり、土地改良の徹底、堆肥の増投、温床苗床の普及等並行的に推進することにより、冷害凶作被害を最小限度に食いとめる技術上、経営上の改善を徹底的に行うべきでありましよう。  また有畜農業の必要性については、いまさら申し上げるまでもないことでありまして、北方寒地農業にありましては、有畜なかんずく酪農の振興を強力に推進すべきであります。これによりまして、直接に農家経営の安定を期しまするとともに、労力配分の適正化、有機質肥料の増産等により、間接的にも冷害対策、農業経営改善に寄与するものであります。  その他農民生活の合理化促進により、北方寒地農業に適応した生活様式を確立し、さらに試験研究機関、気象観測機関の拡充強化をはかり、冷害を根本的に克服して、安定した北方寒地農業の確立をはかるべきことはもとより根本的恒久対策として、十分に配慮いたすべきことであります。  なお従来の農業政策が水田に重点を置き、畑作農業が軽視されているうらみがありますが、北海道の全耕地面積約七十万町歩中水田面積は十五万町歩で、残余の五十五万町歩は畑でありまして、北海道におきましては特に畑作が重要な比重を占めており、かつ今後の酪農振興の必要性、大豆を初め豆類の生産並びにビートの生産が本道に集中していること、はつか、麻、みぶよもぎ等の特用産物の主産地であること等、わが国農業生産上特に重要な意義を有していること等にかんがみましても、本道畑作農業の振興には格段の施策を講ずべきでありますが、今般の冷害におきましても、北見、十勝、釧路等畑作地帯におきましては、麦類以外には農業災害補償制度の対象となつておりませんため、共済金の支払いもなく、また畑作農家は保有米を持たず、主食につき一般消費者と同様の配給を受けており、現在冷害のため配給米を購入すべき現金にもこと欠いている状態であります。さらに十勝長葉、北見長葉等の大豆の新品種を初め、はだか大豆、黒光等の大豆はいずれも収穫皆無の状況にあり、明年の種子確保に多大の支障を来している状況にあります。また北辺適作のとうもろこしについても、明年用の種子確保が危ぶまれている等、畑作地帯は水田地帯に比し一層深刻な様相を呈しているのでありまして、今後の冷害対策上格段の注意を払う必要がございます。  また台風十五号の被害による青函連絡の大支障によりまして、北海道としては内地向けの種ばれいしよの輸送に多大の障害となつておりまするので、これらはすみやかに解決するよう処置を講ずべきであります。  以上申し上げましたごとく、今次の冷害の深刻さはとうてい昨年の比ではなく、しかも台風の被害がこれに加わり、さらに昨年、また一部には一昨年以来震災、冷害等相重つておりまして、被害農民は疲弊困ばいをきわめておると申しても過言ではないと存じます。従いまして、これが救済対策につきましては、国会、政府、道の三者が一体となつて協力して当る必要があります。政府におきましても、ひとり農林省のみならず、北海道開発庁を始め、関係機関は相協力して災害の救済に当るべきでありましよう。なお東北、北海道方面の冷害は気象上避けがたい条件下にあると思われまするので、冷害を克服した北方寒地農業の確立に朝野をあげて邁進すべきであろうと存じます。またこれらの諸対策は農民自身の自奮興起に負うところ多大でありまするので、みずから助くる者は天また助くの精神をもちまして、災害の克服と北方寒地農業の確立に農民自身挺身せられんことを強く要望いたしたいと存じます。  これをもちまして、たいへん長うございましたが、私の報告を終ります。

井出一太郎改進党

○井出委員長 次に青森、岩手県の模様を安藤覺君より御報告願います。

安藤覺日本自由党

○安藤(覺)委員 ただいま佐藤班長から御報告申し上げました以降の分につきまして、私から簡単に御報告申し上げたいと存じます。  われわれは二十九日以降におきまして道南を視察いたすことになり、一同は同日札幌を出発いたして、小樽を経て余市、大江及び塩谷のりんご生産地帯におきまする台風第十五号による被害状況を視察の上、大江村役場におきまして被害状況の説明を聴取しかつ陳情を受けたのであります。当地帯も他の地域とともに冷害をこうむつて来たのでありますが、その上この台風による大被害を受けまして瞬間最大風速は四十メートル以上に達し、果樹、家屋の倒伏崩壊も著しく、特にりんごは一粒も木にとどめず全部落果し、まさに壊滅の打撃をこうむるという惨状を呈したのであります。余市町長の説明によりますれば、余市町においてのみの損害におきましても、実に落下りんごは五十万箱に上ると申しておるのであります。このうちにおけるやや実りを見せました水稲もこの台風によつて吹きこぼされ、その被害もまた少くないのであります。  さらにまた私たちは車を進めまして、沿道を視察いたしつつ倶知安に至り、同所におきまして後志支庁長、胆振支庁長及び同管内における町村長、農民代表等より被害状況の説明並びに陳情を受けたのでございまして、その後汽車にて函館に至つて投宿、翌三十日函館港外亀田村、七飯村及び大野村の三箇村の冷害並びに台風被害状況を視察の上、函館市におきまして渡島、檜山二支庁長及び管内市町村代表と会見、災害対策に関する陳情要望を受けたのであります。  以上四日間をもちまして北海道七支庁管内を調査いたし、また他の七支庁関係者並びに市町村代表の人々から親しく被害状況の説明を伺い、また陳情要望等を受け、全道十七支庁に関する冷害並びに台風被害に関する調査を完了いたした次第であります。  ここに一言私はつけ加えまして、同僚諸賢の北海道の惨状を御推察願うべき一助にもと存ぜられるエピソードを御紹介申し上げたいと存じます。  ただいま申し述べました余市町におきましては、先ほど御報告申し上げましたごとく、一瞬にしてりんごの楽園エデンの園は石河原の姿と化したのであります。このあまりなる惨状に仰天いたしましたる一農家の老婆は、遂に頭に異状を来しまして、折しも私どもが調査に参りました二十九日の午前遂に発狂、狂暴の状態をきわめ、街頭を狂いまわりますので、やむなくここに隣人相寄りまして、これをふとん巻きにして馬に積み、その子供は泣きじやくりつつ病院に老母を送つて行つたのでありましたが、当時余市町町長はこれを指さしつつ私どもに、今現実に発狂した町民はこの老婆一人でございます。しかしながら私初め私どもの町民全体が今や発狂の一歩前にあることをおくみとり願いたいと、蒼白なる顔面を痙攣させて訴えておつたのであります。また他の一村長は、天は何ゆえにかくも繰返し繰返しわれわれの郷土である北海道に対して災害を起すのであろうか、私は天道様を訴える、天道様を告発したいと思うと号泣いたしたのであります。  次いで同日夕刻私たちは青森県に至りました。津島青森県知事以下県関係者及び県議会関係者と冷害並びに台風被害の総括的状況並びに対策につきまして陳情を受けかつ懇談いたしました。その節、冷害はオホーツク海方面すなわち下北半島方面であるが、津軽方面におきましては台風被害がまことに甚大であるためぜひこの方面をも調査せられたいとの強い要望がございましたので、協議の結果、川俣委員に御足労を煩わし同方面の視察をお願いすることといたし、一日同委員は中津軽郡清水、相馬、千歳の三箇村につき調査された次第であります。われわれ一行は同地に待ち合せましたる淡谷代議士を加えまして、一日午前八時同県下調査のために出発いたしまして、東平間、野辺地、天間林、浦野館、大深内の各町村を視察して藤坂農業試験場に至り、同所において気象状況及び作況につき説明を受けたのであります。  青森県本年の気象は昭和六年及び同二十年の冷害凶作のそれにまことによく似ているのでありまして、五月下旬から低温が続き、特に六月上旬から八月上旬に至る期間は例のやませが連日吹きつのりまして、従いまして、気温は平年に比較して三度ないし四度も低く、稲作の生育が平年に比して十四日ないし十五日遅延をいたしたのであります。このまま推移すれば、昭和十六年以来の大凶作となるものと思われておつたのでありますが、八月下旬から台風の影響で高温が見舞い、九月にも高温が続いたため開花いたし、生育の遅延も多少とりもどすに至りましたが、なおそれでも一週間ないし十日以上現状において遅れており、私どもが視察いたしました当日並びに前日は十三度上下の気温でありましたが、現在乳熟期の乳白米のものが大部分正常米に移行しまするためには、なお一週間程度、せめて五日間くらい、二十二度ないし三度の気温が続くことが絶対に必要であり願わしいと、試験場の技師は申しており、せめてもここ数日間がそのわかれ目であると述べておつたのでありますが、その後その願望は遂にむなしく、今日に至るまで二十二度ないし三度という高温は見ることができなかつたのでございます。私たちが現地で調査いたしましたる際、各地とも藤坂五号、八甲田等耐冷性品種は比較的良好でありましたが、その他の品種、とりわけ晩生種には半作程度と見受けられるものが相当にございました。なおその後低温が続き、ことに七日から全般的に気温が低下いたしましたので、当地方の未成熟の乳白米はおそらく正常米に登熟することなしに終るのではないかと懸念いたされておるということでございました。また青森県におきまする台風第十五号の被害は、当時調査中にて正確は期しがたいのでありますが、水稲五億八千万円、畑作三億二千万円、りんご二十二億円、計三十一億円に達するものと推定せられておるのであります。  なお藤坂試験場は有名な藤坂五号の育成地でありまして、昨年冷害対策に関連いたし、本農林委員会より、これら試験研究機関の設備の強化拡充をはかり、もつて冷害に対する技術対策の確立を期すべきことを要請いたしました結果、本年は国からの補助も増額せられ、設備が昨年に比してかなり整備されては参りましたが、職員はなお幾多の不便と不足を忍びつつ研究に従事いたしておる状況でありまして、冷害対策上今後なお一段と施設の整備拡充をはかる必要が痛感せられておるのであります。  それより百石、市川、八戸を経まして三戸に至る間を調査いたし、青森県の調査を終了いたしまして、同日夕刻岩手県に移り、同県経済部長の案内にて、軽米、小軽米、大野村を経て九戸郡久慈町に到着、同所におきまして、郡内町村代表者より被害状況の説明並びに陳情を受けた後、懇談をいたしたのであります。翌二日早朝同所を出発、大川目村、山形村、葛巻町、平館村、田部村の各地を調査いたし、さらに岩手山麓の酪農開拓地を視察の後、盛岡に到着、県庁におきまして、国分知事以下県首脳部、県議会代表者、農業団体代表者、開拓者連盟代表者等より被害の状況、対策等に関し説明聴取の上、陳情、要望を受けたのであります。  青森、岩手両県とも冷害被害地域はオホーツク海方面から南下して来ました冷気を吹き寄せるいわゆるやませによつてもたらされるものでありまして、青森県にありましては下北、上北、三戸三郡を中心とする東海岸寄りの地域であり、岩手県におきましても同様東部の太平洋沿岸の山間地域に著しいのでありますが、御承知のごとく青森、岩手両県とも、去る六月の凍霜害によりまして多大の被害を受けたのであります。特に岩手県東部山間地域におきましてはこの点著しかつたのであります。われわれ今般調査いたしました九戸郡はいずれも凍霜害の被害地であり、この凍霜害以来七月末まで低温寡照が引続き、八月に至り天候回復いたしましたるも、これら山間高冷地域の水稲は遂に挽回するに至らず、十五日ないし二十日間程度生育遅延を来し、例年ならばすでに刈取りをも完了すべきはずのところ、今なお登熟を終らない状態であります。かかるところへさらに台風の被害を受けたのであります。この台風被害は、平坦部におきましては、すでに実りを見せましたる節分の稲に対しましても相当の脱粒をもたらしており、また山間部におきましては、今や成熟しまさに刈取らんとするところのひえ、あわ、そば等を瞬間吹き倒しまして、ことごとく脱粒し、その被害はまことに甚大であります。特にこれら雑穀を主食とする地帯の窮状は察するに余りあります。九戸郡大野村におきましては、水稲半作に対し、ひえは二分ないし三分の実りにすぎないといわれ、また小軽米村におきましては大小麦はほとんど収穫皆無であり、このために損害評価に食違いを生じ、今なお共済金の支払いが決定をいたしておらないという有様であります。かような状態でありまして、ひえも四割ないし三割程度を刈取つたのみで台風を受け、甚大の損害を与えられたのでありますが、その他侍浜村におきましても、大豆、あずきは、凍霜害、冷害等によりまして、収穫皆無に近くひえは今般の台風によりことごとく脱粒いたしたという状態であります。この台風被害につきましては、当時なお調査中でありましたが、岩手県庁の調べによりますれば、九月三十日現在で、農作物被害二億五千万円、果樹被害四億七千万円、その他建物並びに水産関係被害等を加えて総計八億九百万円余となつておりますが、これも今後さらに増加するのではないかと思われるのであります。  以上二日間にわたる日程をもちまして、青森、岩手両県下におきまする主要被害地帯の調査を終了いたしまた。この両県におきまする災害対策並びに要望事項は、北海道におきまする場合とほぼ同様でありますので、省略さしていただきますが、岩手県におきましては、ことに北部山間地帯を中心に、全県下酪農を主体とする畜産振興をはかり、もつて冷害克服の根本対策といたしたいとのことであり、国においても極力助成されたい旨の強い要望がございました。  また冷害並びに台風被害に対する応急対策としましては、北海道に関する報告の場合申し述べました諸方策を急速に実施いたすべきであり、なおまた雑穀を主体とする山間畑地帯は、水田を中心とする平坦部農家とは経営、生活の様式を著しく異にいたしますので、その特殊性を十分に考慮し対策を立てるべきであります。米をつくるべき水田もなく、陸稲をつくるべく作付不能、ひえ、そば、とうもろこしを主要食糧としてこれを作付し、これに加うるに山ぐりを拾い、ひえ飯、いわゆるそばあるいはそばもち、これにくりをまぜて常食としておるこれらの人々からそば、ひえ、とうもろこしさらに凍霜のために山ぐりをも奪い去つたこの地帯の凶作飢饉に対しましては、政府は県当局を激励指導されるとともに、政府みずからも緊急応急対策を樹立し、急速これが実施をはからるべきであり、地域の狭小等のゆえにかりそめにもおろそかにせらるべきではありません。  しかしてその急速なる施策といたしましては、早急なる手持ち食糧の払下げ、国有林野の原木払下げ、救農土木事業の実施、雑穀種子の確保等を特に要請せられるのであります。また雑穀についても農業災害補償制度の適用を考慮してほしいとの見解を現地農民諸君は強く表明いたしております。また岩手県議会におきましても、この点すでに実施すべきことを議決いたしたのでありますが、国におきましても、これが対策を考究いたさねば相ならぬと存ぜられるのであります。  なおこの農業災害補償制度に関連いたしまして、今まで申し上げましたごとく、北海道初め青森、岩手ともりんご等果樹地帯の台風被害は特に激甚をきわめ、しかもこれら果樹につきましては、雑穀と同様農業災害補償制度の対象となつておりませんので、今後においてこれが救済対策につきましては、特に留意を払う必要があろうかと存ぜられるのであります。  以上をもちまして北海道、東北班の報告を終りますが、この際現地各地において寄せられましたもろもろの陳情、要望書、また被害状況等の参考資料は専門員室に備えつけてございますので、詳細の点につきましては、それらの資料を御利用願いたいと存ずるのであります。

井出一太郎改進党

○井出委員長 川俣清音君より補足説明がございます。川俣清音君。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 時間を節約いたしまして、稲作の作況を専門的に調査して参りましたので、簡単にこれを御報告いたしたいと存じます。  石狩、空知地方は、大体十五号台風以前でございましたが、七〇%以下とわれわれは判定いたしました。北上川地方は半作以下であろう、また留萠も半作程度であろう、南上川地方は、この石狩と北上川地方の中間に存在すると思われます。北見、網走地方はほとんど皆無でございまして、五%ないし六%程度の作柄、所によりましてはそれ以下と見られるのではないか、総体的に見て皆無に近い。帯広も北見、網走地方よりやや良好だといいましても、一〇%内外であろう。日高はやはり半作内外であろうというふうに私どもは見て参つたのでございます。もちろん北見、帯広等は十五号台風のあとでございますが、石狩、空知は台風を含んでおりません。  なぜ一体われわれの見方と統計事務所の見方に相違が出て来たかという点であります。これは統計の方が過去の経験とデータをもつてしては、今年の北海道作況は確率が低下するおそれが非常に多かつたことであります。なお試験場の試作研究を十分な連絡があつたといたしましても、実態把握には相当困難があつたようであります。それは地域が広大でありますために、調査機動力を持つていない統計事務所といたしましてはやむを得ない不結果ではないか、粗漏に終つたのではないかという点であります。これを対策として考えまするに、北見やあるいは帯広のような地帯を見ますと、昨年の種子対策がうまく行かなかつたために、多収穫多肥性の同一品種に片寄つてしまつたという結果、さらに被害が激甚であつたものと思われますので、今年の種子対策は十分考慮されなければならないと思うのであります。そこでこの種子は今まではもみで対策を講じておつたようでありますが、穂のついたままで品種を集めて参りませんと、また同一の危険性にさらされるという結果に相なるであろうことを非常におそれるのでありますから、大臣がもしも北海道へ行かれましたならば、この点を特に関心を持つて調査をせられたいと思うのであります。  さらに石狩、空知の状態を見ますと、早生品種だからといつて必ずしも安全ではなかつたという点も出て来ております。これらの点につきましては種子対策について十分考慮せられなければならない点であろうと存じます。  さらに林野につきまして二、三申し上げますと、風倒挫折木が当時千七百万石と称せられておりましたが、最近に至りまして五千万石に及ぶそうでございます。これらは林道を初め輸送及び作業道路が不完備であつたために調査がなかなか困難であつたことも一つでありましようが、今後この絶大な損害をみすみす見のがしてしまわなければならないことに相なるかと思いますので、冷害対策とあわせまして林道、輸送作業道路等の対策をすみやかに立つべきであろうと思うのであります。五千万石といいますと、内地におきましてもなかなか輸送が困難な状態でありますので、冷害対策とあわせまして林道網の拡充が必要であろう、こう思うのであります。  なお青森県の果樹を見て参りましたが、これは大臣が参りませんので次の機会に割愛いたしたいと存じます。  以上重要な参考になると思いまして補足説明をいたしました。

井出一太郎改進党

○井出委員長 次に西日本班といたしまして足立篤郎君に願います。

足立篤郎自由党

○足立委員 私ども調査班一行は、委員会の決定に基きまして数次の豪雨及び台風により甚大な被害を受けました静岡県西部地方一帯、南九州及び大分県方面の農作物及び農地あるいは農業用施設等の災害状況を調査して参りましたので、この際その大要を御報告申し上げ、各位の御理解を得るとともに、今後災害対策立案の資料とせられますよう望む次第であります。  調査班は井出農林委員長以下各党より一名ずつ参加いたしまして、すなわち自由党より不肖足立篤郎、左派社会党より井手以誠君、右派社会党より稲富稜人君の御参加を煩わし、事務局より岩隈専門員を帯同したのでありますが、現地におきましては、自由党の福田喜東君、山中貞則君、改進党の伊東岩男君、左派社会党の片島港君等の格別の御協力を得まして、調査に裨益するところが多大であつたことを申し添えておきます。  さて最初に私どもの調査行動の概要について申し述べますれば、調査の日数は九月二十九日より一週間にわたつたのでありますが、まず最初に静岡県浜松を中心として盤田、周智、浜名の各郡下の調査に当ることにいたしました。浜松市においては、まず同県西山経済部長より県下における白穂化による水稲の被害状況を聞いたのであります。静岡県は御存じのごとく、二十三年アイオン台風により水稲白穂化の被害を受け、二十八年には十三号台風により白穂と潮害を受け、本年またまた台風十四号のもたらしたフエーン現象によつて白穂化の惨害を受けたのであります。被害面積は約一万五千町歩に上るとせられておりますが、今年の特徴は、白穂と同時に河川の堤防の決壊により濁水が侵入して、一万八千町歩にわたる良田が冠水している事実、並びに強風による穂ずれ、また十五号台風による倒伏、潮風害をも併発している事実でありまして、部分的には進行性の皆無作地帯の生ずることをおそれられているのであります。それがために稲作被害は、県の数字ではごく固くみても大約二十六万石の減収と称せられているのであります。従いまして県当局より供出米の適正化、低利営農資金の融資あるいは病虫害防除費の補助、共済金の早期支払い、昨年度の貸付飯米代金の延納及び営農資金の償還延期等の措置をとらるべきことを強く要請せられているのであります。われわれは短時間にできるだけ多数の場所を視察し、現地民の声に接することに努めたのでありますが、これがため、われわれはまず盤田郡袋井町に参りました。穀倉地帯たるこの付近の水田七千町歩は、十四号及び十五号の各台風により平年作に比べ五割以上の被害を受け、昨年に引続き徹底的な打撃を受けている実情を見聞いたしました。また日ごろは流れも清き太田川が、あたかも怒れるがごとき猛威をたくましゆいたしまして各所で決壊し、濁水による三昼夜ないしそれ以上の冠水地帯が随所に見受けられたのであります。ついで周智郡の山梨町長より郡下の状況について報告を聴取いたしましたが、同じく穂ずれ、倒伏、冠水かつ白穂化によつて総耕地の七割ないし八割方は被害を受け、同郡の南部一帯は激甚なる被害を受けております。最後に浜名郡赤佐村、浜名町及び積志村を経て浜松市の長上地区におもむきましたが、数千町歩にわたる一望の美田が無惨に白穂と化し、農民は落胆失望の極にある状況を目のあたりに見たのでありまして、言うべき言葉を知らなかつたのであります。この地区は秋落地帯でありますために晩稲に偏して作付けされ、それが白穂化の直接原因となつているように見受けたのであります。なお三方ケ原開拓地の開田地区もかなりの被害を受けているやに伝えられており、代表者の悲痛なる陳情を受けたのでありますが、開拓地に対する特別の対策の必要性については後刻取りまとめて申し上げたいと存じます。  かくて静岡県下の調査を終りまして、予定に従い鹿児島県下におもむいたのであります。十月一日の午前中に県庁において重成知事以下県首脳部より事情を聴取し、午後は桜島経由肝属郡に至り、まず鹿屋市を訪れまして、地方事務所において所長及び鹿屋市長より災害事情を聞き、あわせて災害に対する抜本的対策の一環としての笠野原畑地灌漑計画の促進について強い陳情を受けたのであります。本計画は南九州総合開発計画の一部として、笠野原台地六千町歩に対し二十七億円を投じて承水溝、シラス土壊の保全、防風林、畑地灌漑等の施設を講じ、この特殊地帯の農業経営を安定しまするとともに、米石換算六万石の増収をはからんとするものであります。  引続き、串良町において笠野原のかんしよ、陸稲等の畑作の被害状況を視察し、さらに東串良町におきまして、水稲が冠浸水によつて潮害を受け、ほとんど壊滅に瀕している実状を見、それよりさらに大崎町に参り、志布志湾に注ぐ菱田川の干拓堤塘が台風によつて破壊され、四十町歩の美田が完全についえている現場を視察したのであります。  以上をもちまして鹿児島県下の視察日程を一応終ることとし、一路都城市に急ぎました。ただちに市庁舎を訪れ、県、市及び関係各町村及び団体より災害の概況を聴取し、かつ熱心な陳情を受けたのであります。  翌日は、この地方の被害がきわめて激甚であり、被害個所も多く、従つて時間の許す限り各地を視察いたしまするために調査班を二班にわかち、一班はこの地方一市四箇町村の耕地が冠浸水を受ける主要な原因をなしていると称せられる轟ダムを視察いたしますために高崎町方面におもむき、他の一班は都城市周辺の被害地を見てまわることといたしました。早朝六時よりまず都城市内高尾町鳥添において十二号台風による用水路の崩壊、水田の埋没状況を見、次いで北諸県郡中郷村において大淀川の支流安久川の橋梁の破壊現場並びに晩稲が穂ずれによりまして三割以上の減収を来している状況を見学いたしました。これより再び市内にもどり、十二号台風のために高木用水が崩壊して耕地が埋没し、かつ水田三百二十町歩に対する灌水が不能に陥つた現況を視察いたし、これより北諸県郡の志和地村に立寄りました。本村は県下有数の多収穫地帯でありますが、大淀川本流の堤防が八箇所にわたつて決壊したことによつて三十六町歩が埋没し、五百五十町歩が浸水を受けました状況を現場について説明を受けたのであります。次いで高城町において付近の町村長より九州電力の轟ダムのために、一市四箇町村が年々繰返し水害を受けるに至つた事情及びその解決の促進方について切々たる陳情を受けたのでありますが、本件につきましてはさらに後刻御報告をいたすことにいたします。  次いで大淀川に沿つて車を走らせ、沿岸の水害を視察しつつ高岡町におもむきましたが、この町は大淀川の本流と浦之妙川の合流点付近に位置し、浦之妙川のバツク・ウオーターによつてボラ層の土砂が崩壊し、付近の民家耕地が流失埋没し、惨胆たる状況を呈しておりました。施設、農地の被害は約九千五百万円に上り、また付近台地の畑作は六割以上の減収といわれるのであります。  この際、轟ダムに関しまして、高城町において霧島盆地水害対策委員会の関係者より陳情せられた問題点の要旨をかいつまんで報告しておきたいと存じます。今回の数次にわたる台風によつて、宮崎県の南部一帯に対して莫大な損害を与えたところの大淀川は、その水源を鹿児島県の囎唹郡に発して、都城市に入り、庄内町、志和地村、高城町、高崎町等、霧島盆地を縦貫して峡谷に入り、山間を縫つて高岡町を経、宮崎平野に出、同市内を流れて海に注ぐ大河でありまして、国の直轄河川と相なつておるのであります。この間に九州電力の大淀川第一、第二発電所があるのでありますが、このうちの第一発電所轟ダムは、大正十五年に完成し、最大出力一万五千キロワツトでありますが、そのバツク・ウオーターの影響地帯霧島が盆地の平地一帯でありまするために、流域をなすところのさきにあげた五つの市町村は、年々水害を受け、地方産業及び民生に非常な打撃を与えているのであります。なぜこのように氾濫を起すかと申しますれば、この盆地は四周を山にはばまれ、海に流れるところの排水路が他になく、この大淀川一本に集中して流れまするために、洪水は豪雨後二、三時間内に幹線水路に殺到し、しかして土砂の沈澱により浅くなつたこのダムのためにチエツクされ、背後の用水路を通じて溢水することに基因するものと思われるのであります。轟ダムのゲート操作規定によれば、王子橋の水位が四メートルになると、全門を開放することになつているのでありますが、すでにこの地点の水位が二メートルを越えると、付近の水田には逐次浸水が始まり、四メートルの水位になれば上流及び下流にわたつて、四百町歩内外の農地は立ちどころに氾濫すると言われるのであります。昭和十八年以来の現地側の記録によれば現在の米価に引直して年々一億円内外の農作物被害を与え、今日までの累計として十億円に近い損害であると計算されておるのでありまして、現地側としては対策委員会を組織して、会社側に対してダムの撤去、大改修もしくは完全賠償のいずれかの方法により、解決をはからんとしておるのであります。本問題をこのまま放置するにおいては、あるいはゆゆしき不祥事を惹起しかねない模様でありますので、政府においても速急に調査を行い、適切妥当な解決策を講ずべきものと認めた次第であります。  次いでわれわれは、県下における米の主産地たる東諸県郡の本庄町及び綾町を訪れました。本庄町は大淀川の氾濫により長時間冠水し、四割減、二億四千万円の損害を来し、綾町は堤防、井堰の決壊によつて水田、畑地の流失、埋没七十八町歩、浸水面積三百五十町歩、水稲の減収五割、陸稲の被害九割という甚大な打撃を受けたと報ぜられておるのであります。  以上の視察を終りましたる後、宮崎市内に至り、ただちに県庁を訪れたのでありますが、あたかも臨時県会の開催中でありましたが、われわれのために会議を停止し、田中県知事並びに日高県会議長等、県首脳部より数次に及び今年の台風災害の状況について詳細なる説明を受け、あわせて今後の対策に関して協議懇談を行つたのであります。  われわれはさらにできるだけ多くの災害地点を視察するために日程を急ぎ、延岡市に向うことにしました。延岡においては東臼杵郡一町十一箇村の町村長より、救済に関する切実な訴えを聞きまするとともに、高千穂に至る間の五ケ瀬川沿岸の災害状況を視察するため、豪雨をついて南方町岡元付近におもむいたのでありました。  翌日は汽車にて大分に向うことにし、日曜日にもかかわらず県庁において細田県知事以下の御会同を煩わし、災害概況の説明を聞き、引続いて県立農業試験場において田中場長より稲の白穂に関する研究の報告を受け、また圃場において被害の現況を見学し、さらに大分川沿岸の昨年の大災害の復旧状況並びに大分郡賀来村、植田村、北海部郡大在村等の白穂化地帯をかけめぐつたのでありますが、これらの多くは昨年の被災に引続いて本年もまた水稲白穂化並びに風による穂ずれの被害を受けているのでありまして、被害農民の困難も容易ならぬものがあるように見受けたのであります。  なおこの際大分県立農業試験場における白穂に関する研究の結果を御参考までにお伝えしておきます。  さきに申し上げましたように静岡県では台風十四号が、大分県では台風十二号がそれぞれフエーン現象を起し、出穂期にあつた平坦部一帯の、主として晩稲を一夜にして白穂と化したのであります。フエーン現象を起すに至つた気象要因は、両地とも大体共通のようでありまして、温度は一気に摂氏二十九度前後に上り、湿度は逆に六十度前後に下降し、かつ風速はおおむね二十メートルないし二十五メートルを記録しております。静岡県におきましては、過去において数回の経験を持つておりまするが、大分県におきましては、いまだかつて経験しなかつた白穂現象に遭遇して、被害農民は極度に驚愕した模様であります。大分県農業試験場が観察したところによりますれば、この白穂現象は、品種及び出穂期と深い関係があるということであります。すなわち同一圃場において八月二十八日に出穂した農林二十二号、九月三日に出穂した農林三十七号はほとんど白穂となつていないこと、九月四日出穂の旭、九月六日出穂の穂栄は若干白穂化しておるが、ほとんど問題にならない程度であること、同じ九月九日に出穂した品種であつても、宮崎県で育成されたつるぎばはごく僅少であるにかかわらず、大分三井百二十号は被害穂数が四〇・八%に及んでいること、さらに一日遅れて九月十日に出穂した農林十八号は四六・一%という高い率を示しておるということなどが明らかにされております。さらに品種、出穂期が同一であるとすれば、小肥栽培を行つたものに被害穂数が多いということ、白穂化の有無は受精の有無には無関係であるということ、さらに分けつ節位別の白穂発生状況を見ると、一メートル以上に達していたものに多発の傾向が見られるという事実が明らかにされているのであります。  以上の事実に徴しまするに、白穂化を避ける方法としましては、まず品種の選定に注意し、出穂期を異にする数種の品種を採用することによつて危険分散をはかることが肝要でありますが、さらに堆肥を多量に投入し、珪酸質の施用を増加して、稲を丈夫に育てるということが一つの方法であるように思われた次第であります。今後科学陣の研究によつてすみやかに適切なる対策の普及を切に望む次第であります。  以上静岡及び南九州における今次災害調査の全行程並びに視察地点の大要を申し上げましたが、以下南九州三県下の災害概況及びこれが対策に関する要望事項等をとりまとめて御報告申し上げることといたします。  すでに各位の御承知のごとく、今年は八月から九月にかけて四つの大きな台風に見舞われております。すなわち台風第五号、第十三号、第十二号、及び第十五号であります。台風第五号は中心示度九百四十ミリバール、最大風速五十メートル、半径二百キロ以内は二十五メートル以上の台風であつて、沖縄から北上して八月十八日に鹿児島県阿久根付近に上陸し、熊本県を通過して四国に抜けております。稲に与えた影響から見ますれば、幼穂の形成期から穂ばらみ期にかけて吹き、葉に裂傷を与えて稔実を妨げ、河川の流域の低位部では田畑が冠浸水し、海岸地帯に潮害を与えておるのであります。台風十三号は中心示度九百四十ミリバール、最大風速四十メールで豆台風といわれたのでありますが、中央と地方の測候所の間に観測上の意見がわかれ、警報が遅れたために一般の準備態勢が整わず、被害は案外に大きいようであります。この台風は九月七日に種子島から大隅半島の内の浦湾付近に上陸し、宮崎県の中心部を抜けて周防灘に去つたのでありますが、宮崎県の山地に五百ミリ内外、平地に三百ミリ程度の降雨をもたらし、一般に早稲及び中稲に被害を与えているのでありますが、大隅半島の台地方面においては、突風によつて陸稲その他の畑作に甚大な損害を見ておるのであります。  台風第十二号は、中心示度九百九ミリバール、最大風速六十五メートル、五百キロ以内の地域は二十五メートル以上という猛台風であつて、十三号に遅れ、九月十三日に鹿児島県薩摩半島の開聞岳付近に上陸しております。上陸時には幸いにして九百五十八ミリバールに衰弱していましたが、巨大なる中心域、すなわち台風の眼を持ち千ミリに達する多量の降雨を伴つております。一般に開花、穂ばらみ期の水陸稲、なかんずく晩稲がこれに襲われ、穂ずれ、白穂、冠浸水を生じ、その他の農作物に甚大な被害を与えております。住民の事前準備はかなり整つていたようでありますが、宮崎県ではほとんど全県的に災害救助法を発動し、十三万六千人の住民が避難しておるのであります。  台風十五号は、九月二十六日に鹿児島県牛根付近に上陸し、宮崎県北部を通過し、中国を横断して日本海に抜け、北海道を急襲しておるのでありますが、上陸時の中心示度九百六十八ミリバール、暴風半径三百キロの台風でありまして、一般に軽く見られていたのでありますが、非常に早い速度で短時間に強襲しており、場所によつて汐害を伴い、前の三つの台風で被害を受けた稲作に最後の打撃を与えているのであります。  以上の四つの台風のほかに九州各県におきましては、六月及び七月ないしは八月に豪雨による災害が各所に見られ、台風の前ぶれとして農作物に悪影響を与えていたのであります。  南九州は過去六十年間に百二十回以上の台風災害に見舞われた記録を持つと称せられておりますが、今年は連続四回に及び、宮崎県のごときは開闢以来最悪の年と言つておるのであります。しこうして今次台風の特徴は、十三号、十五号のごとき裂風によつても軽視すべからざる損害を生じてはおりますが、十二号のごときは天からの奔流のような豪雨により、はかりがたい被害を生じたことであります。特に台風の進行方向に背を向けてその東側の山岳地帯に豪雨がもたらされたために、宮崎地方は最も多量の降雨に見舞われたのであります。大淀川の上流の雨量は四十時間に八百ミリないし千ミリに及び、椎葉の九大演習林では実に千五百ミリを記録しておるのであります。従いまして、水分の飽和状態にあつた道路、山腹は随所に地すべり、がけくずれを起し、大淀川の沿岸は至るところにおいて決壊し、被害は拡大され、高千穂、椎葉、目良の各地は孤立して、あるいは空中ケーブルにより、あるいは飛行機によつて食糧、毛布等を投下して救援に努め、県内はさながら戦場の観を呈したのであります。われわれが訪れました際は、県当局はいずれも臨時県会を開いて応急策に忙殺されており、また鋭意被害の調査に当つておられたのであります。従つて以下申し述べる被害額等につきましても、十五号につきましてはいまだに判明しない部分が多く、またそれ以前のものにつきましても、その数字はなお最終的とは申されない段階にあるのであります。  南九州三県のうち最大の被害を受けましたのは、何と申しましても宮崎県でありますが、被害総額に関する県側の公表数字は三百四十億円に達しております。しかしてわれわれ当面の調査目標たる農林業においては、農作物の被害が最高であつて、約九十五億円、そのうち水稲においては生産目標九十万石に対して五十五万石減と称せられておる次第であります。また耕地関係の災害も著しく、総額十八億四千万円の被害を生じ、農地及び農業用施設において二千百八箇所の災害箇所を生じております。また林野関係におきましては十五億八千万円、林産物において十七億円の損害と言われます。  次に、鹿児島県でありますが、被害の総額においては百四十億円と言われ、このうち最大の被害は本県においても農作物であつたと見られ、総額は九十億円に上つておるのでありまして、農業に関する限り宮崎県と甲乙をつけがたいありさまであります。なかんずく水陸稲においては、生産目標に対し五十二万石の減収であると県側より発表せられておるのであります。さらに本県では畑作における被害はすこぶる甚大でありまして、たとえば農家の主食となつているあわは一万二千町歩の植付を持つが、大隅ではほとんど収獲皆無と見られ、まき直ししたものも初霜の時期いかんによつては全滅の公算があると思うのであります。そばも耕地、防風林の背後地を除いてはほとんど全滅のようであります。かんしよのように風に強い作物も茎葉の輾転反側によつて三、四割の減と見られております。また桑、ラミー、砂糖きび等いずれも二、三割の減収と見られております。鹿児島県では降雨量が比較的少かつたために耕地関係、すなわち農地並びに農業用施設の被害は大規模のものは数箇所にとどまつたのでありますが、小災害は多発し、特に種子島、屋久島の開拓地におきましては、強風によつて九百六戸の倒壊家屋を生じておるのであります。耕地関係の損害額は約六億円程度でありまして、さらに林野関係で五億円程度の被害を受けております。  次に大分県でありますが、被害の総額は百二十億円と発表せられておりますが、本県におきましてもこのうちの約半額、すなわち六十三億円は農作物の被害によつて生じたものと見られております。しかして水陸稲の被害は四十二万石の減収と称せられておりますが、十二号を筆頭とし、十三号、十五号の順に大きな被害を残し、原因別に見れば、穂ずれによるもの三十万石、白穂十万石、潮害等二万石というのであります。特に大分県におきましては、九月十三日の夜半より十四日の未明にかけて、九州中央山脈を突破して吹いて来た十二号による西南風が山岳中に大雨を降らすとともに、大分川、大野川、駅館川の流域一帯の平坦地に温度二十九度を越える乾風を吹きまくり、フエーン現象を発生せしめたものでありまして、これにより折から開花最盛期にあつた中晩稲を一面白穂の波と化してしまつたのであります。大分県の中晩稲作付は、県下水稲総作付面積の八五%以上を占めているので、三十四メートルの強風による穂ずれの発生とともに県下七十五万農民は言語に絶する打撃をこうむつたのであります。次に、耕地関係としましては六億三千万円の被害と言われ、このうち農業用施設に対しては五億三千万円の損害をもたらしております。別に林野関係に二億八千万円の被害があるようであります。  以上、被害状況をごく要約して申し上げましたが、御承知のごとく南九州地方は一昨年及び昨年と大きな台風もなく幸運に恵まれたのでありますが、今年当初よりは多雨にたたられ、冬作は概して不作と見られており、麦については先般六等麦を設定して救済策を講じ、また菜種についても菌核病によつて思わしくない状態でありましたが、引続いて数次の台風被害を受け、農家並びに農協の経営状態は著しく悪化するものと予想せられるのであります。従いまして、各県ともこれに対する対策はきわめて真剣に考究され、昨年の北九州の大災害に比べ、中央への反響はやや劣る感もありますが、よくその実態を把握して、今後の施策に誤りなきを期することが肝要であると思うのであります。われわれが現地側との間に持ちました会議にあたつて提出されました災害対策についての要望事項を、応急策及び恒久策にわけて申し上げ、今後における審議の参考に供する次第であります。  まず応急策でありますが、災害対策を講ずるにあたつての方法として、さしあたつて行政措置をとり得る部分を除いて、早急に臨時国会を開き、災害対策予算の補正を行われたいということと、昨年の北九州災害のための各種特殊法の準用または恒久化のための立法措置をとられたいという熱烈な要望が披瀝され、宮崎県においては県議会内にこれがための期成同盟を設置して推進に当つているのであります。これが特殊災害立法ないしは予算措置の内容としましては、まず第一は、種子の購入助成であります。鹿児島県では、主としてそばの代作としてすでに植えつけたものについてその助成を希望しておりますが、宮崎、大分では来年度の水陸稲、蔬菜、雑穀の種子に及んでこれを要求されておるのであります。  次に、病虫害防除薬剤費の補助でありますが、水陸稲、桑、果樹、砂糖きび等について三割以上の被害面積を有するものに対して、所要経費の三分の一の補助を要求せられております。  次は、樹勢回復用肥料購入費補助であります。その対象作物としては、あわ、桑、果樹、ラミー、砂糖きびがあげられております。  次は、営農資金の融通措置についての要望であります。被害地帯の農民の農業経営費、公租公課等現金支出部分から、本年度現金収入部分を差引いた額について、国及び県の利子補給、損失補償をつけた中期資金の融通を望んでいるのであります。これらは従来系統金融機関の資金をもつてまかなつて来たのでありまするが、今回のものについては、資金源をどこに求めるかが一応問題でありまするが、とにかく宮崎県では九億円、鹿児島県七億円、大分県八億円程度が要請せられておるのであります。なおこの措置とあわせて農手による借入金の支払い延期措置及び従前において借り入れた営農資金の三年ないしは五箇年間の償還延期措置が望まれておるのであります。  次は、共済金の早期支払いの措置についてでありまするが、これを仮払いとするか、概算払いとするか、あるいは早期の本払いとするかについては、各方面の意見は必ずしも一致しておらないのでありまするが、いずれにいたしましても、三県の合計額として大体十五、六億円見当が必要であるといわれておるのであります。なお建物共済については、支払い準備金に不足を来すことは必至のようでありまするので、融資あつせん措置が必要であると思われるのであります。  次に、食糧対策についてでありますが、一方においては、供出米の適正割当並びに六等米の設定について強い要望が開陳せられておりまするとともに、他面においては、昨年のごとく被害による転落農家ないしは不完全保有農家に対する米麦の安売り措置について、要請がなされておるのであります。  次に、今次の災害が協同組合に与えた深刻な影響でありまするが、これに関連して農林漁業組合再建整備法の三箇年延期措置をとるようにとの希望が述べられておるのであります。  次に、被災地農民に対して現金収入を与え、あわせて災害復旧を急ぐための一石二鳥の策として、救農土木事業の大規模な実施を望む声が各地において熾烈にあげられているのであります。これには既着工の土地改良または災害復旧工事の繰上げ実施と、新規のものとの双方を例外的に取上げるようにとのことであります。耕地関係の災害復旧について、特に強調せられている点は、その予算の増額と超過改良工事を認められたいということであります。鹿児島県の説明によれば、施設災害が比較的少くて済んだ理由は、昨年以来改良工事を行つて来たことによるとせられておるのであります。また予算額について大分県の説明によれば、昨年災害の復旧率は三・五・二の予定であるにもかかわらず、今日までのところその三分の一が果されておるにすぎないということであります。  なお、災害復旧の国庫の補助率については、小災害を含めての高率適用が強く要望せられておることはむろんであります。また鹿児島においては、奄美群島の災害について、その特殊事情にかんがみ、補助率、予算額に格別の考慮を払うようにとの希望が述べられておるのであります。  次に、開拓地対策について、特にこの際申し上げたいと思います。ことさらに言うまでもないことでございますが、各種の災害にあたつて常に最大の犠牲者となつているのが、開拓農民であります。立地条件が劣り、経済力の確立を見ない開拓農民が、災害によつて決定的な打撃を受けるのは当然でありますが、今回の災害においても、その例に漏れないのでありまして、物心両面に深刻な影響を与えているのであります。この際営農形態の転換ないしは大規模土地改良の実施等、抜本対策を考究することが必要であると思われるのでありますが、当面の応急対策としても、既存農家とは別個に特別の保護政策を講ずることが望ましいのであります。  台風の通路となつた地域の開拓地の陸稲、とうもろこし等畑作物は、おそらく壊滅的な打撃を受けたものと想像せられまするし、宮崎のごときは、家屋の倒壊九百二十六戸、畜舎、堆厩肥舎の全半壊大破二千四百棟に上るといわれ、その損害ははかりがたいものがあるようであります。熊本農地事務局の九州一円の十二号台風までの損害の一応の推定によつても、営農関係は約十三億円、入植施設は破壊戸数四千戸以上、五億六千万円に達しておるのであります。従いましてこれが対策としましてはまず住居の復興については、一戸当り五万円ないし十万円程度の補助ないし融資を必要とすると思われるのでありますが、同時に新たなる営農資金を貸し付けるとともに、開拓者が、開拓融資、農林漁業融資、農協借入れ等各方面より借り入れている資金は、大なり小なり返済不能に陥つているものと予想せられまするので、これらに対するつなぎ資金の貸付ないしは延納の措置が講ぜられるべきものと考える次第であります。  次に、林野関係についてであります。今次の台風にあたつて、海岸防風林、防潮林、耕地防風林、水源涵養林等が防災上に果した効果はきわめて大きいと見られ、今後ともますますその施設の強化が望まれる次第であります。御存じのごとく、南九州は、シラス、アカホヤ、ボラ、コラ等の特殊土壌地帯でありまするために、山くずれ、なかんずく林道の崩壊が顕著であつて、今回もその例に漏れないのであります。そのために奥地林産物の搬出はすこぶる困難となつている地方が多く、また炭がま等のこわれたものも相当数に上つておるやに伝えられ、その救済のための資金措置が望まれておるのであります。また一方において被災農民の冬期間労働を現金化するために国有林材の払下げが強く要望せられておるのであります。  以上、当面講ずべき施設に関して、現地側の要望を織り込んでこれを説明して参りましたが、九州のごときいわゆる台風常道地帯については、恒久対策を確立して、着実にこれを実施することが何よりも望ましいとしなければならないのであります。その方法としましては、いろいろあるでありましようが、まず大勢としては、いわゆる西南暖地の水稲栽培方法を確立して、早期栽培を実施せしむべきでありましよう。しかしてそこに至るまでの間においては、早、中、晩の各水稲品種を適正比率をもつて栽培し、台風の危険に備えるように指導を強化することが望ましいのであります。また畑地帯にあつては、畑地灌漑の完成地域が災害に対して非常な抵抗力を発揮している事実にかんがみて、土地改良事業の積極的な推進が望まれまするとともに、家畜導入による作物転換をもはかつて営農類型そのものをかえて参ることも今後における低位生産地域における農業政策の重要課題と考える次第であります。  以上をもちまして、はなはだ粗雑ではありましたが、今回の災害調査報告を終る次第であります。

井出一太郎改進党

○井出委員長 以上をもちまして派遣委員よりの報告を終了いたしました。  この際芳賀貢君より発言を求められております。これを許します。芳賀貢君。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 この際農林大臣に申し上げます。聞くところによると農林大臣は明日午前七時の羽田発の一番機で北海道の冷害並びに台風の被害調査に行かれるということを承知するわけであります。この非常に政務多端の中をさいて意を決して行かれるいうことに対しては、率直に敬意を表明したいと思うわけでありますが、ただここで申し上げたいことは、十九国会が終つたあとで、今年度も昨年と同じように、たとえば六月上旬の岩手、青森あるいは茨城県、北海道等の凍霜害の被害あるいはさらに五号、台風十三号、十二号、十四号、十五号台風等の被害が続発しておるわけであります。昨年に例をとりますと、政府におきましても、この災害緊急対策のために両度にわたる臨時国会を召集しておるわけでありますが、今年度はかかる災害が多発しておるにもかかわらず、いまだに緊急なる措置としての手が講じられておらないということであります。しかも最近における政府の政治的な動きを静観いたしますと、何か政治の中心というものが外国へ移されておるような感が非常に強いのであります。たとえば吉田総理の五十日にわたる外遊を初めといたしまして、小笠原大蔵大臣あるいは岡崎外務大臣、最近においてはまた愛知通産大臣が外遊するようなことを承知しておるわけであります。こういうように国内の災害が激甚であるにもかかわらず政府の中心というものが外国に移されておるという中において、一人農林大臣がとどまつておるということに対しては、われわれはいささか了承することができるわけでありますが、このような政治上の不安というものは、これは当然災害地におけるところの災害民の脳裡にも非常に強く影響を与えておるというふうに考えるのであります。さらに最近政府におかれましては、先週の金曜日の閣議におきまして災害対策本部を設置して、これらの災害に対して善処するというような態度を表明されたようでありますが、これをしさいに検討いたしますと、その名称におきましても、十五号台風等災害連絡本部を設置して加藤国務大臣を部長にあて、そのほか十五名の各省の官房長あるいは局長をこの部員にあてるというふうに承知しておるわけでありますが、昨年の場合におきましては、災害対策本部を設けて緒方副総理がこの対策本部長に当つておつたわけでありますが、ことしはただ単に災害の連絡本部というようなことになりますと、これは災害対策に対処するための中心拠点であるというふうにはなかなか理解することができないのであります。ただ単に諸般の災害を調査、連絡するだけの機関ではないかというような危惧も非常に多いわけでありまして、何のためにかかる安心感を与えることのできないような漠然とした、抽象的な連絡本部なるものを設けておるかということに対して、自分たちはいささか疑義を持たざるを得ないのであります。さらにまた本日の九州班あるいは北海道、東北班の本委員会の調査の報告等によりましても、たとえば北海道あるいは東北の一部における冷害というものは、昨年以上にその度合いが深刻であります。当然これは十五号台風等ということになつておりますけれども、その内容というものは台風被害並びに冷害等を同列に取扱う本部であるというふうにわれわれは率直に理解したいのでありますが、ただ単にこれが連絡本部であるというようなことに対しては、この点に対して具体的な解明を願わなければならぬと思うのであります。さらに明朝北海道へ行かれた場合においても、あの北地におけるところの農業の中において最大の努力を傾注しながら、与えられたものは最大の犠牲であるというような実態を、大臣は四日間の行程を通じてまざまざと認識されると思うわけであります。圃場に立つてあるいは不稔の稲を示し、あるいは不熟の雑穀のそのままのものを示す農民等に数多く会われると同時に、これらの被害農民に対して、大臣の責任における激励の言葉もまた投げられると私は察知しておるわけでありますが、どうかそうい場合においても、今後の災害対策というものは、昨年と同じように政府の責任において緊急に打つべき手は講ずるというような具体的な決意を、現地の被害者に対しても与えてもらいたいということを私は念じてやまないわけであります。そういう場合において、大臣といたしましても、おそらく本日の委員会における報告の中において、多分にそれが調査の一つの予備的な知識として把握されたものを持つて行かれる以上においては、われわれは大臣の視察後における具体的な、しかも積極的な熱意のある方途がいかに講ぜられるかということに期待してやまぬのであります。たとえば昨年の冷害対策等においても大臣は青森県まで出かけられまして、しかも藤坂の試験地等にも立ち寄つて、東北地帯におけるところの単作地帯の農業の中において、わが国の農政をどうしなければならぬかということを身をもつて確認して来られたというこの事例が、昨年の救農国会等を推進するところの一つの基盤になつたというふうに私は考えておるわけであります。でありますから、今次の調査というものは、昨年以上の成果をあげるということを自分たちは大いに期待すると同時に、委員会の今後の日程等においても、大臣の帰られるを待つて来週の十九日、二十日等を予定して、具体的に農業関係の災害等に対する審議を進めるというような手順まで進めておるわけでありますから、それらの点に対しましても、どうか大臣の率直なる御見解をお示し願いたいと同時に、われわれの期待に対しても十分沿い得るだけの決意の表明を、この機会にお願いしたいと思うわけであります。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 私はまずもつて、多年わが農政のため国会において御尽瘁をいただきました金子委員が急逝せられましたことに対しまして、つつしんで弔意を表するものでございます。  実は私は明朝から急に北海道の方へ出かけることにいたしております。ちようど御承知のように、今年産米の集荷をいかにするかという実は差迫つた問題に逢着をいたしておるわけであります。先刻までこの数日間の留守中に対する処置等について、複雑な打合せをいたしておりましたために出席を遅らしまして、委員各位に御迷惑をかけたことに対しては恐縮いたしております。しかし事情はそういう事情でございますから御了承いただきたい。  ただいま各調査班からしさいな御報告があり、私も拝聴いたしまして、実情はまさにさようであろうと大いに参考にさせていただいたわけであります。十五号台風までの状態は、相当の災害予備金もございますし、大体は行政措置によつて適切な措置が、これは何もかも不十分でございますから、不十分と申し上げざるを得ないわけですけれども、できるのじやないかということが、大体関係当局の意見でもあつたわけであります。しかるところこの十五号台風によつて青函連絡船に稀有の大災害が起つて、そのことが非常に大きくクローズ・アツプされたために、後半に被害を受けたところが、あるいは通信の杜絶その他の関係もあつたでありましようが、比較的後半は深刻性が薄れたということはやむを得なかつたろうと思います。しかしこの十五号台風による北海道の陸上、海上の大被害というものは相当深刻なものがあり、半面情勢がわかるに従いまして、これは内閣としても力を入れなければならぬというようなことから、看板はいろいろあると思うのでありまして、十五号台風等々としておりますのはむろんこれが動機でありますけれども、十五号台風だけというわけにも参らぬ、ただいまの御報告によりましても宮崎、大分等相当深刻な災害を受けているわけですから、それじや北海道だけに限るというわけにも参らぬでありましようし、そういうふうな看板でおそらく明日の閣議で正式にきまるであろう。昨年は緒方さんがやられて、今年は加藤さんがやられる、御承知のように総理が不在中で副総理が総理大臣の職務をとつておられるために、加藤国務大臣がかわつてこれに当られるというだけのことであります。私としましては、ここで出かける前にかれこれ申し上げる——もちろん事務当局からは各地災害に対して調査員も出し、事務当局で調べていることは調べておりますけれども、ただいまお伺いいたしましたようなことで、これでどういたしますということは、ここで申し上げることはもちろんできませんけれども、とにかく農政当局者としては、非常な打撃を受けられた農民が食べるものにも困る、これは何としても食べることが大事でございますから、どんなことがありましても食べることに全責任を持つということはもう当然のことであります。また農家としては、次の営農をどうやつて行くかということが最大の関心事でありますから、従つて次の営農を確保して参るということに事欠くようなことがあつてはならない、こういうふうに考えております。もちろん水産業界、漁業関係においても同様、かなり大きな打撃を受けておりますので、わずか四日か五日でございますが、とにかく全力をあげて北海道の実情をよく拝見させていただいて、また御助力も願う、かようなことにいたしたいと考えておる次第であります。

中村時雄日本社会党(右)

○中村(時)委員 いろいろ各同僚委員の方々が北海道あるいは中国、九州等皆様御視察になられまして、私たちも非常に感謝しておるわけですが、ただ不幸にしまして、この地図にありますように、十五号台風というものが九州の南端からちようど愛媛の西端をかけて通り抜けて行つたわけですが、この四国の方に関しましては今までのところ調査班も出ていない、また同様にそういう報告もなされていない状態でありまして、それに関しまして、当時私は愛媛におりました関係から、簡単に同様な観点に立つて一、二要請しておきたい、こう思う次第であります。というのは、ちようど愛媛におきまして二十六日午前四時三十分においては、南伊予といいまして南の方に当りますが、南伊予の方では瞬間風速四十四・五メートル、午前五時には佐田岬といつて、ちようど大分県との境になりますが、そこに至つては瞬間風速五十四・六メートルに及ぶ北西風を記録しておつたのです。それから松山の方すらも、その当時におきましては通過直後において三十二メートルの強風になつて、海岸では八メートル以上の高潮となつて現われまして、松山県庁設置以来の記録をあの十五号台風がつくり上げて行つた。そういう状態であるために、実際の波浪というものが千二百キロにわたつての大きな問題となりまして、特に愛媛県あたりでは潮が防波堤を通り越して、そのため沿岸に特に大きな被害をもたらしたわけであります。特に御承知のように、沿岸が潮にやられますと、農地というものが二、三年間は使えないということになる。だから特にこの問題が特異性を持つて来る。そこでいろいろの要請もして、またいろいろの項目にわけてその関係のいろいろのことをやつて行きたいのですが、時間もございませんし、農林大臣もお忙しいようですから、特に潮の問題からいつて一、二ぜひともお願いしておきたいことは、表面的には非常に見えにくい状態なんですが、その内実は、今言つたように土地そのものを非常にかえるものですから、この問題に関しまして、この沿岸地に対する種いもの購入代金あるいは沿岸地の石灰購入の代金、こういうようなものには、表面的には現われて来ないものですから、特に留意していただきたい、こういうふうに思つておる次第であります。ほかのいろいろな災害に関しましては、おそらく四国四県ほとんど同じ状態だろうと思うのです。この点をお含みの上で十分御考慮願いたい、こういうふうに思つておりますから、どうぞよろしくお願いいたします。

井出一太郎改進党

○井出委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後七時三十八分散会

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