農林委員会 第61号
- 発言数
- 112 件
- 登壇者
- 15 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/07/22
会議録
○井出委員長 これより会議を開きます。 本日はまず派遣委員の調査報告を承ることにいたします。本委員会は先般全国を三班にわかれまして、国有林野及び保安林の整備状況、西南暖地の農業状況、今次の冷害その他の農業災害状況、農業団体問題、集約酪農地の指定問題等、先国会において本委員会にて論議いたしました問題、その他現下の緊急問題について親しく現地調査をいたしましたので、この際その調査報告を求めます。 まず四国九州班の報告を佐藤洋之助君に煩わしたいと思います。
○佐藤(洋)委員 私はこの際、九州四国班の報告をいたします。 われわれ九州四国班は松岡委員に私、それに藤井専門員が同行いたしまして、さらに農林省農地局より大和田事務官が案内として同行いたし、去る六日東京を出発、現地において福田委員、井谷委員及び中村委員の各位の御参加及び御案内を得まして福岡、長崎、熊本、大分、愛媛、香川の六県につき、出発以来十二日間約四千キロの行程にわたり現地調査を行いましたので、ここに御報告を申し上げます。 七日午前十時四十四分博多に着きまして、ただちに福岡県庁に至り、県下農業事情について説明を聴取後、引続いて農業関係団体より六等麦の設定、小災害に対する補助金増額、鉱害復旧等に関し陳情を受けたのであります。 六等麦の設定につきましては、福岡県のみならず長崎、熊本、大分の各県におきましても——それに佐賀もありますが、ほとんど同様陳情を受けたのでありますが、九州地方は本年は冬期温暖でございまして、麦作は生育初期は徒長傾向にあり、また生育後期には高温多雨、寡照のため白渋病、赤かび病等の大発生を見、ために同化作用の減退による登熟不良等の現象が現われ、現在出まわり中の麦類は整粒歩合、稔実度がきわめて悪く、色沢不良でくず麦が極端に多く、検査の結果は大部分が五等中心で、等外品も相当に多く、平均二割ないし三割が等外品となつている状況にあります。特に福岡県下久留米市合川地区のごときは、七月七日現在におきまして裸及び小麦の合格率はそれぞれ二八%及び四八%で、平均四二%となつております。従いまして格外品がそれぞれ七二%、五二%となり、平均五八%という高率に達しておるのであります。麦類の検査結果、以上のごとくでありますので、昨年と同様六等麦を設定して、政府買上げの対象とせられたい旨の強い要望を受けたのであります。 次に昭和二十八年六月より九月までの間に生じました風水害による農地及び農業用施設の災害復旧事業は、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律に基き政令で指定された地域内においては、一箇所の工事費が三万円以上十万円未満のものにつきてましても九割の高率補助をいたすことになつており、これら小災害の各県の事業費を査定いたしましたるところ、二十五億六千万円余となり、これに対し九割に当る補助金二十三億円を予算に計上すべきはずのところ、大蔵省は各県の被害に応じてつかみ金を配分いたし、これによつて各県が適当に処理すべきものであるとして、その総額の経費を四億円程度に打切ろうとし、農林省との間に話合いがまとまらない状況にあります。このためひとり福岡県のみならず、昨年の大水害の被害各県は法律に補助率を明記いたしてあります以上、法律通り忠実に実施されるものと信じ、信連、中金等から資金の融通を受けまして、速急に復旧工事の完了をはかつて参りましたるところ、最近に至りただいま申し上げましたような状況が判明いたし、多大のシヨツクを受け、私ども一行に対し強い陳情となつて現われたのであります。その後聞くところによりますと、農林省と大蔵省との間に予算増額の折衝が続けられており、大蔵省におきましても増額を考慮しているやに伝えられておりますが、法律に明記されている国庫補助について、たとい国の財政上困難はあるといたしましても、忠実に実行すべきで、もしどうしても不可能でありますならば、法律改正の手続を経て訂正いたすべきで、さもありませんと法律に対する国民の不信を買い、民主政治に対する信頼を失わしめることとなりますので、この点厳に戒めるべきであろうと存じます。必要により本委員会といたしましても検討いたすべきではなかろうかと存じます。以上のごとき事情でありますので、この水害復旧事業費補助金の増額、またこの水害復旧事業補助金を見返りに、信連、中金または農林漁業金融公庫等より融資に対する利子補給の実施について強く要望された次第であります。 そのほか鉱害農地の復旧については、福岡県のみで耕地被害面積九千七百六十八町に達し、これが復旧費見込額は百二十五億円と推定せられており、これが速急に実現されることを熱望いたしておりますが、これら鉱害農地の復旧は、現在特別鉱害復旧臨時措置法及び臨時石炭鉱害復旧法の二本建によつて行われており、さらに不毛作化した水没田の取扱についいては法律上種々難点がありまして、総合的復旧に支障を来しますので、前述二法律にさらに農地法、土地改良法等関係法律を一元化した復旧関係法律を制定されたいとの要望がございました。 鉱害の実情につきましては、姪浜の鉱害地を視察いたしましたが、同所は鉱害による地盤沈下のため十町歩が水没地と化しましたのみならず、その周辺もまた非常に水害を受けやすくなり、耕作が不安定となつております。ここの復旧費は反当十五万円見当と推定され、また一旦復旧のあかつきには反収三石近くをあげ得る美田となるものであります。国内食糧自給度向上のためにもこれら鉱害地の復旧には再検討を加え、必要により関係法律を一本化した復旧法の制定も考慮いたし、強力かつ速急に復旧をはかるべきものと存じます。なおこのほか家畜取引法の制定、酪農振興法の実施に伴う乳牛導入資金わくの拡大等についても陳情がございました。 次いで福岡県立農業試験場を視察、西南暖地農業の実情につき関係官より説明を聴取の上、標本室、試験田等を視察いたしました。同試験場には農林省九州農業試験場の佐藤場長も来合せており、その際九州地方に広く栽培せられております農林十八号がいかにして改良育成せられましたかを質問いたしましたところ、後刻調査の上佐藤場長より報告がございました。それによりますと、福島信知氏なる農林技師が熊本県農業試験場におきまして昭和六年、大分三井百二十号を母とし、宝を父として人工交配を行い、爾後選抜固定をはかり、昭和十六年水稲農林十八号なる新品種をつくり上げたのであることが明らかになりました。同氏はこのほか農林十二号の育成にも成功いたしております。これらの品種は暖地の晩稲で収量が多く、稲熱病、白葉枯病に対する抵抗性が強く、暖地平坦部の安全多収穫品種であります。この農林十八号は現在九州各県はもちろん、山口、広島、徳島、愛媛、三重等にも広がり、昭和二十六年におきまする全国作付面積は十六万三千余町歩に達し、その歩合は五・六%を占め、旭系の二十万九千町歩に次ぎ第二位を占めております。また農林十二号も三万三千余町歩で第十八位となつております。しかるに本品種育成の功労者たる福島氏は、昭和二年熊本県農事試験場技師として就任以来、水稲品種改良に当り、その育成に身魂を傾けておりましたが、昭和十三年同場を退職、現在熊本県農業試験場の臨時職員として余生を送つている有様であります。かかる農業の功労者をして何ら報いることなく、しかもその老後の生活にも困窮せしむることは、はなはだ遺憾にたえません。すみやかにこれが功績顕揚をはかりまして、同氏の多年の功労に報ゆる必要があろうと存じます。 これと同時にかんしよ沖縄百号の育成者の事績の調査も依頼いたしてありますが、その方の調査結果はまだ届いておりません。 八日午後博多を出発、同日夕刻長崎に到着、ただちに県庁に至り西岡知事並びに県当事者より県下農業事情の概要につき説明を伺い、さらに六等麦の設定並びにこれが政府買上げ、小災害復旧に関する補助金の増額等について陳情を受けたのであります。本県におきましても、六等麦に相当すべき数量は五万四千六百四十俵に達し、昨年の三万六千俵をはるかに上まわつているのであります。 翌九日早朝に長崎を出発、諌早に至り長崎大干拓を視察いたしました。 長崎大干拓は、有明海を長崎県北高来郡小長井村と同県南高来郡神代村を結ぶ一万二百メートルの大防潮堤塘を築造してこれを締め切り、その内部を干拓地とするもので、この干拓による造成面積は一万一千町歩、そのうち九千町歩を耕地とし、農家六千戸を入植せしめて、一戸当り一町五反歩を耕作させ、米三十一万五千石、麦二十四万七千石、米に換算して合計五十万石を年々増産せしめようとする、すこぶる大規模の干拓であります。これに要する総事業費は百二十二億と推算されております。 本計画の特徴といたしまして次の諸点があげられます。一、現地は元来海水が浅い上に、有明海特有のいわゆる潟の沈積により沿岸一帯は非常に浅く、干潮時には数キロにわたつて徒歩が可能となるほどで、耕地の造成が容易である、また予定の提塘線の中央最深部においても水深七、八メール程度である。二、この潟の沈積のため土地の生産力は非常に高く、かつ少くとも数年間はほとんど無肥料栽培が可能である。現にこの付近の農民はこの潟を陸揚げし、乾燥して耕地に施し、多大の効果をあげていることによつてもそれをうかがうことができるのであり、またこの付近の既成干拓地では、反当四石をあげるのは珍しいことではないという事実がこれを証左している。三、現地は有明海の最奥部で、風の方向も北風であるため風波を受けることが比較的少く、従つて堤塘築造工事並びに堤塘の維持が容易である。四、現地に石材の産があるのみならず、近くに山を控えており、工事の主材料である石材、土、木材等が至近の場所においてきわめも豊富廉価に得られる。五、干拓予定地に流入する河川が少く、従つて治水工事が簡単容易である。六、堤塘の延長に比して造成される地面積が非常に広い。七、以上のごとき各種の有利な条件を備え、かつ生産力の高い大面積にわたる干拓地の造成は、全国的にもその例はははなだまれであろうと存じます。従いまして反当工事費も比較的安く、反当り十三万五千円、石当り二万四千円程度と推定されているのであります。国内食糧自給度向上のためにも、また自立経済確立のためにも、この際干拓事業を強力に遂行すべきであろうと思います。 次いで雲仙に至り、県営の小規模雲仙地区土地改良事業計画を現場について説明を受けました。本事業は経費約一億円を投じて標高六百三十メートルの加持川上流別所ケ原にため池を新設いたし、水田二百四十町、畑七十町に潅漑いたし、もつて三千百三十一石の増産をはかろうとするもので、明昭和三十年着工の予定であります。耕地僅少な地元民はこれが完成に多大の期待を寄せており、国の助成を切望いたしておりました。 以上をもちまして長崎県の視察を終り、同日夕刻態本に到着、県庁において六等麦の設置、小災害に対する国庫補助金の増額等について陳情を受けました後、昨年の水害により大災害をこうむりました態本市内新土河原一帯の農地の復旧状況及び営林局の樹木園を視察いたしました。翌十日早朝に態本を出発、大牟田に至り、豪雨を冐して東洋高圧大牟田工場に至り、硫安並びに尿素の生産状況を視察の後、久留米市に到着、合川農業協同組合におもむいて、同倉庫に保管中の小麦及び裸麦について検査状況、特に六等上に相当する格外品の現状を視察、次いで九州農業試験場園芸部を観察の上、大分県に向い、久大線田口駅にて下車、雨中自動車に分乗して中津に向い、途中荒瀬及び大井手の二堰を視察いたしました。 大分県下におきましては、中津及び西国東干拓事業を視察いたしました。中津干拓は周防灘に面し、中津市の西側を流れている山国川の川口の東方の干潟地でありまして、五百町歩の干拓を行いまして農地四百五町歩を造成いたし、米換算一万一千七百四十石の増産をはかろうとするものであります。本事業は明年度工事に着手、昭和三十九年三月に至る十箇年を費して完成する予定でありまして、総工費八億一千三百五十万円、反当二十万円となるものと推算されているのであります。本地区は東西に帯状をなした干潟地でありまして、南より北に向い千分の一ないし七百分の一の緩傾斜をなしており、標高すなわち潮の干満の差は最高一・五メートル、最低一・〇メートルで、計二・五メートルに達するものでありまして、干拓工事に好条件を備えているものと考えられます。西国東干拓もまた周防灘に臨む国東半島の西岸とりつけ部一帯の干潟地六百五十五町を対象といたし、すでにその第一期工事百五十六町は昭和二十一年に着工、二億五千二百五十八万円を費し、ほぼ工事を完了、入植者の割当も終つております。残余の地区も漸次工事を進めており、これが全部完了いたしますと水田百三十町、畑三百九十七町歩を造成いたし、入植戸数二百七十八戸、一戸当り一町二反を耕作し、また地元増反五百五十八戸、一戸当り三反を増反することとなつております。これによる増産は米換算二万六千四百六十三石の増産となり、その他本工事の完成に伴う近隣地域の減産防止にも多大の好結果をもたらすのであります。本地区の特長は、地盤が良好で築堤に適し、干拓に好条件を提供しております。ただ地味につきましては長崎の大干拓に多少劣るともいわれておりますが、それでもなお反収四石程度を期待し得るのであります。なお参考のため長崎大干拓と本地区との反当工事費を比較いたしますと、長崎大干拓の十三万余円に対し本地区は約二十万円となるのであります。かかる差異を生じまする最大の理由は、堤塘の大きさに基因するのであります。すなわち前者の総延長は一万八千メートルをもつて九千町歩の耕地を得るに対し、後者は一万五千二百七十メートルをもつて五百二十町歩を干拓することとなり、これを石当りについて見ましても、前者は一・四三メートルに対し、後者は三・〇五メートルとなり、倍以上となつております。しかしながらこの両地区とも現在干拓の最適地とされております。本県におきましても中津市、四日市及び県庁において六等麦、小災害に対する補助金、蚕糸業振興、改良普及員の活動促進等他の諸県におきますると同様の陳情がございました。 次に愛媛県におきましては、十三日、まず県庁におきまして農業事情の概況を聴取の上、農業関係団体から、年間四十五万貫に及ぶみつまたは、大蔵省との契約栽培によるものであるから原料として全部買いとつてほしいということ、果樹栽培は現在九千町歩に及び、年間三十億円の生産をあげており、農村の重要な収入源となつているので、これら果樹園芸に対する助成措置をとられたい、かんしよについても、重要農産物価格安定法に基いてその加工品の買上げを実施されたい等の陳情を受け、さらに小野村開拓地の自衛隊用演習地に転用する件につき、関係農民代表の陳情を受けましたる後、和気村における六月末豪雨による耕地の災害状況、愛媛県青果販売農業協同組合連合会経営のジユース工場を視察後、東宇和郡野村町に至り、同町を中心とする二市四十三箇町村の酪農振興計画について説明を聞きて、かつ現地調査を行いました。本町には明治乳業の製酪工場並びに県立畜産試験場がありまする上に、一般農家は大部分が牛を飼育しており、また乳牛につきてましても十年以前から飼育いたしており、牛の飼育に十分の経験を持つております。今般さらに二市四十三箇町村を一丸として四国西部地区集約酪農振興五箇年計画を樹立いたし、今後五箇年間に乳牛七千七百五十五頭にまで増加いたし、年間生産乳量五十八万一千石を確保いたそうとしております。この地域はいずれも山間にありまして農耕地は僅少でありますが、採草地、放牧地は相当に恵まれ、大体七割程度は飼料の自給ができる関係にあり、酪農振興上各種の好条件を備えておりまする上に、現地側も酪農振興に非常な熱意を有しておりますので、酪農振興法に基く集団酪農地域として指定するにふさわしいのではないかと感じたのであります。 さらに宇和島市に至り、段々畑を視察いたしました。御承知のごとく、昭和二十七年急傾斜地帯農業振興臨時措置法の制定を見、本法の対象となる傾斜度十五度以上の急傾斜地帯土壌保全面積は全国で千九百四十五町歩に達するのでありますが、このうち四百八十六町歩は本県内に所在しているのであります。私どもは主として宇和島市九島を視察いたしましたが、畝幅二、三尺の段々畑が三百ないし四百メートルの山の頂点にまで達し、耕して天に至るという形容詞が、決して空文でないことを目のあたり実証せしめられたのであります。この段々畑を耕作する農民の労苦は真に想像に絶するものがありまして、一反当り所要労働量は全国平均の二倍以上に達しているのであり、また二戸当り耕作面積は四反程度となつておりますが、かかる労力を多く要する段々畑では、それ以上を耕作することは無理なのであります。この極端に過労をしいられる結果、田中医学博士の研究にも明らかなごとく、神経痛、肺気腫、筋肉ロイマチス等の疾患にかかる者が特に多く、またこの急峻な段々を登り降りする結果、がにまた、かめ背、脊椎の彎曲せる者がきわめて多いことが報告されております。急傾斜地帯農業振興臨時措置法により、農道及び索道に対し補助金を交付して農業生産の向上に資することにいたしてありますが、現在まで支出された補助金は、二十八年度一億六千万円、本年度一億二千八百万円で、このうち本県は二十八年度七千五百三十八万円、本年度六千六十八万円となつており、これにより農道、索道を設置、漸次農業経営の改善に資しておりますが、これは現地側の希望に対しましては真に僅少であり、今後一段の増額を要望せられております。 しかしながら、この急傾斜地帯農業発生の理由を尋ねますと、耕地の僅少ということのほか、農家人口の増加が大きく作用しておりますことは見のがし得ません。また近年におきまするいわしの不漁ということも農業への依存を一段と強化する結果となつております。従いまして、段々畑につきましては、人口、産業、衛生等、総合的見地から十分掘り下げた再検討を加え、抜本的対策を考究すべきであろうと考えます。 最後に香川県について申し上げます。本県は御承知のごとく降雨量が少く、ために潅漑用水に依存する度合が著しく高く、それも主としてため池用水に依存しております。古く弘法大師が満濃池の修築を行いましたことは史上有名なことでありますが、現在二万数千のため池がありまして、三万七千町歩の水田に潅漑するのでありまして、まさに一町五反に一個のため池を有するという状況にあります。これらため池には老朽化したものが相当にあり、これが改修が当面の急務となつており、現在防災ため池に対する経費の一部をこれに充当いたしておりますが、これら老朽化したため池の改修を主対象といたしたものではありませんので、国におきましても何らか積極的な対策を講ぜられんことを切望いたしております。 以上きわめて概要でございますが、御報告を終ります。その参考資料等は専門員室にございますので、御利用をいただきたいと存じます。
○井出委員長 次に東北班の報告を川俣清音君にお願いいたします。川俣君。
○川俣委員 東北地方調査班の調査の経過並びに結果の概要について御報告を申し上げます。 われわれ委員は近畿、中国班の調査の終了を待ちまして、去る十三日朝東京を出発し、岩手、青森、秋田県下の国政調査に当ることにいたしました。調査の目標は、去る六月の凍霜害及び最近における冷害の状況及び国有林並びに開拓地の概況を知ることでありました。 調査班には井出、田子、佐藤、松山、芳賀、川俣の各委員に参加を願い、岩隈専門員を同行いたしました。十三日途中より車中においでを願つた錦織東北農業試験場長、栽培第二部長等より東北一帯の今次凍霜害の実情を聞きつつ、夕刻花巻に到着いたし、ただちに国分県知事以下県首脳部の方方に会談し、管内被害事情を聴取いたしまするとともに、その対策について陳情を受けたのであります。 翌十四日は、ここを出発して盛岡市に参り、県立図書館において県で撮影された被害の天然色映画を見、引続いて国道筋を北上し、いわゆる旧南部領地帯に入りまして、今次凍霜害を最も激烈に受けました九戸郡の晴山、江刺家、軽米、小軽米、大野等の各村の既耕地並びに開拓地の実情を視察し、またわざわざ遠方よりかけつけられました戸田、侍浜、久慈等各村の代表の方々から被害状況を聴取し、また軽米においては県立農業試験場九戸分場において、場長より今次凍霜害の特徴、その対策について明快な説明を受けたのであります。 それより金田一にて乗車し、青森県下に向い、同夜浅虫に到着いたしました。ただちに津島県知事以下より県下の凍霜害の状況並びに冷害の推移について報告を受け、さらに青森営林局長、関係町村長より北部上北地方開拓問題について、また全林野労働組合青森営林局支部執行委員長、関係町村長より内真部営林署廃止反対の問題について、われわれが当地に来ておることを聞いて、北海道よりわざわざ来訪せられた高橋農民同盟理事長より北海道における稲のひめはもぐりばえの被害及び対策について、それぞれ切実な陳情を受けたのであります。 翌十五日は、ここより野辺地を経由して下北半島に向い、まず横浜村付近開拓予定地、上弥栄開拓地、東北六県の開拓基地農場として効果をあげております上北ばれいしよ原々種農場、青森営林局の横浜総合苗圃等を視察、それより田名部町経由恐山のひばの原生林を見学し、さらに同夜田名部町において付近町村長より凍霜害の概況について説明を受けたのであります。 翌十六日、大湊より汽車にて野辺地に参り、ここから自動車で南下して、上北郡天間林村及び大深門村開拓地、青森県農業総合研究所七戸実験農場、三本木農林省開墾建設事務所、青森県立藤坂試験地等々を次々に訪れ、特に藤坂ではふ系三十七号等耐冷性新品種の育成試験圃、冷害予算で完成した冷害実験室等を見学し、田中稔氏より本年度冷害の見通しについて説明を受ける等、東北における凍霜害及び冷害の実態をきわめることに努めまするとともに、三本木の国営開墾建設事業の進捗状況を視察いたしました。 なお七戸町では、上北郡町村会より、冷害救農土木事業として南部縦貫鉄道株式会社が計画中の鉄道敷設の土木事業への日本開発銀行よりの融資について陳情を受けました。同夜蔦におきまして、農林省林野庁石谷業務部長、水野秋田営林局長及び全林野秋田支部労働組合代表の来訪を受け、秋田営林局管内山瀬営林署の廃止問題にからむ紛争事件について、それぞれの立場より説明を受け、われわれとしましてもその取扱いについて協議を行つたのであります。 翌十七日は、十和田湖を横断して秋田県に入つたのでありますが、まず鹿角郡柴平村に至り、りんごの凍霜害事情及び稲のひめはもぐりばえによる被害状況を視察し、さらに山瀬村において同営林署の廃止反対につき、村民約一千名と面会いたしまして反対の理由を詳細聴取いたしました。それより七座営林署天神貯木場に至り、ここより森林軌道により同署管内のみごとな秋田杉原生林の林相及び伐木作業を見学いたしました。同夜さらに付近町村長より再度にわたり山瀬営林署廃止反対陳情を受け、また村民約五百名からときならぬちようちん行列によつて反対の意思表示を受けることとなつたのであります。 翌十八日は、能代市に参り、秋田木材能代事業所、瀬川樽丸工場、東北木材工場等を見学し、引続いて八郎潟に至り、三倉鼻及び船越水道よりこの潟の干拓事業計画の説明を受け、その全貌について見学を行つたのであります。 それより秋田県庁に参りまして、池田県知事以下所管部課長より県下農林業事情、なかんずく農業災害等について詳細なる説明を聴取いたしたのであります。 以上をもつて今回東北地方における国政調査の全日程を終了いたしたのであります。同夜急行にて帰京いたした次第でありますが、本調査により明らかにされました現地の直面いたしておる諸問題中特に重要なる問題に関し、この際説明をいたし、審議の御参考に供したいと存じます。 まず過般の凍霜害の状況であります。第十九国会の末期、すなわち六月の九日より十日にかけて凍霜害が東北地方一帯を襲いましたことは御承知のごとくでありますが、当時情報も不確実でありましたために、この対策につきましてはきわめて不十分でありましたが、今回の調査によりほぼその概要を把握することができ、農家に与えつつある影響の意外に深刻であることを知り得たのであります。 そもそも六月十日に至つてのいわゆる晩凍霜は一般に稀有の現象とされておりますが、当時の気象状況に関する記録を見ますると、六月初めからオホーツク海に停滞していた高気圧から寒冷な空気が南下しまして、青森、岩手、秋田の旧南部領地帯をおおい、おおむね冷涼にして低温な気象の状態にありましたところ、六月の七日の深更に至つてこの高気圧は岩手県の中部以北にまで強力に張り出して参り、このために気温は八日の十九時より一時間ごとに摂氏一度くらいずつ降下し始め、高冷地では八日昼ごろまで降り続いた雨で湿つていた地面に降霜、霜柱、結氷等の現象を出現したのでありますが、この状態は、九日の晩より十日の早朝にかけて、地帯によつてはさらに低温を示し、被害は一層拡大されて、遂に今回の災害に立ち至つたものと思われるのであります。従いまして、一般に岩手、青森、秋田各県の旧南部領及び津軽領一帯は零下三度前後に気温が低下いたしまして、岩手県におきましては、九戸、二戸の両郡下を最も激烈な被害地帯とし、岩手、上閉伊、下閉伊の諸郡はそれに次ぐ被害を受け、青森県下におきましては八戸、上北、下北、東津軽各郡の畑作に、また津軽一帯、八戸市、三戸郡のりんご等の果樹園に著しい損害を与え、また秋田県においては、鹿角郡下のりんご等の果樹その他に激甚なる被害をもたらしたのであります。 被害の状況を簡単に申し述べまするならば、まず冬作である麦及びばれいしよでありますが、御承知のごとく、麦は開花後におきましては、きわめて霜に弱いとされておりまするように、開花期を過ぎておりましたものはほとんど結実をいたしておりません。地形的にいいまするならば、平坦地においてはやませが吹き抜けた関係上被害は少く、複雑な地形を持つた地域がかえつて大きな被害を受けておるようであります。小麦は肉眼では被害状況は明らかでありませんが、手にとつて粒数計算をいたしますと、不稔粒のきわめて多いことが判明いたしました。われわれもまた所々の麦畑に車よりおり立つて点検しましたところ、被害の意外に甚大なることに一驚を喫したのであります。岩手県九戸郡の軽米試験地においては、実に三分作という結果が出ております。大麦は小麦より熟期が早い関係もあつて、やや良好の成績を示しておるようでありますが、それでも岩手県の南部領では大体五分作程度と見られております。ばれいしよは在来種の山円は比較的強靱で、男爵等に被害を多く見受けたのでありますが、これらは商品価値の少い小粒のいもとなつて被害も少くないと見られます。 次に夏作でありますが、まず水稲は霜害を受けることは比較的少いのでありますが、本田移植直後のもの、水の少かつたものなどは相当にやられ、冷害と合併して被害を拡大しているようでありますが、この点についてはあとで申し上げることにいたします。 大豆は畑作地帯の主作物でありますために、農家にとつての影響は深刻であります。麦の間作は割に被害軽微ですが、単作にしていたものは三割以上の被害を受けているようであります。あずきは六月下旬まではまき直し可能のために農家はほとんど再播をいたしております。ひえは耐寒、耐冷の植物であるにもかかわらず、やられておりますのを見ても、今次凍霜害の程度がわかるわけであります。しかして分蘖力が旺盛でありますために、盛んに分蘖しておりますが、穂ぞろいが悪いので、作業時に生ずる損害は相当大きいと見られます。あわ、とうもろこし、そばは岩手ではほとんど全滅であります。再播をいたしておりますが、六割以上の損害は免れないと思います。 次に果樹でありますが、りんごは九戸郡では原型質が黒変しましてほとんど全滅、秋田県の鹿角郡も平年の六分作ないし七分作といわれ、損害一億五千万といわれております。ぶどう、なしについても甚大なる損害が予想され、秋田県を通じ、果樹の損害は約三億円と見込まれております。但し、本県におきましては四月二十九日、五月九日の風害及び雹害とその原因が重なり合つておるようであります。 次に林業に対する影響であります。東北地方は一帯に山への依存度の高いことは御承知のごとくでありますが、から松、すぎの三年生以下の苗であつて、枯死しました数はおびただしい数に上り、青森県のみをとりましても民間の苗畑において三百数十万本、造林地において二十数万本が枯れておるようなありさまであります。またくりのごときはほとんど全滅に近いと伝えられるのであります。 次に養蚕農家に与えた影響でありますが、岩手県南部領におきましては、最初に出た桑葉はほとんど被害を受け、九戸地方では掃立て農家は現在皆無に近いといわれております。 以上申し述べましたように、各種の作物、果樹を通じまして、その被害額を総計いたしまするならば、岩手県におきましては、県側の数字によりますと、被害面積三万二千町歩、被害金額十四億五千万円と算定いたしております。但し七月五日現在をもちまして、統計調査事務所が本省に報告しております被害面積は約二万四千町歩程度と計算されます。青森県におきましては、被害面積四万町歩、被害金額は、りんご十三億円、畑作十五億、合計二十八億円と伝えられ、これに対して統計調査事務所の報告数字は大体二万三千町歩程度と相なつております。 被害の概況は以上ごく簡単に申し上げました通りでございますが、これに対して現地側において希望を表明せられておる対策事項としては、まず、利子補給、損失補償を伴う営農資金については、昭和二十九年四月及び五月における凍霜害等の被害農家に対する資金の融通に関する特別措置法を改正して、資金額については、岩手県五億円、青森県八億円、秋田県八千万円程度を計上せられたいというのであります。なお被害農家に対しましては、二十八年冷害、有畜農家創設、開拓者資金等各種資金の返済の延期措置を講ぜられたいという要望があわせ表明せられております。 次に農作物及び蚕繭共済金の精算払いの即時実施方が希望せられ、その金額については、岩手県では麦七千万円、蚕繭四千万円といわれております。 次に再播用及び代作用種子購入費、次期作付用麦種子購入費、追肥用肥料購入費、病虫害防除用薬剤購入費等に対する国よりの助成が強く要望せられました。飯米対策として、政府手持ち米麦の安売り及び二十八年冷害分の延納措置の速急な実施を望まれております。 次に国有林野事業、救農土木事業、臨時救農施設事業に対する現地の要望はまことに熱烈なものがあります。国有林よりの薪炭原木の払下げは結局その市価を低落させる等の逆効果も認められますので、この際土地改良、造林、林道等の公共事業を興して、現金収入の道を講ずることがむしろ望ましいように感ぜられましたことを付言しておきます。また二十八年産米に対するバツク・ペイの実施、自作農創設維持資金の増額が要望せられております。蚕糸対策としましては、樹勢回復用肥料代補助、桑樹病虫害防除薬剤補助、夏秋蚕種代補助、稚蚕共同飼育施設補助、技術指導強化補助等があげられております。 以上を要しまするに、凍霜害対策としては、今日まで国としては、ほとんどまつたく的確な措置をとつておらぬわけでありますが、被害を受けた東北農民、ことに開拓農家に対して容易ならぬ実害を与えていることは確実であり、しかも昨年の冷害を受けたあとでありますだけに、その影響はきわめて深刻であります。しかして、これから申し上げまするように、本年の冷害もまた軽視できぬ程度に進行しておりまする事実を考え合せまするならば、東北農業の持つ一種の宿命をも感じられ、真に同情にたえないところであります。 農林当局としては年々歳々繰返すところの農業災害に直面して、その根本対策に真剣であらねばならぬことを痛感するものであります。今回の凍霜害にあたつて、チモシー、クローバー、燕麦等の牧草ないしは飼料作物は、ほとんど被害を受けておらぬ事実に徴しまするならば、従来の穀菽農業に偏した作物体系は、この際再検討を加え、家畜を導入していわゆる草地農業ないしは酪農経営の方向へ向うべきことの必要性は、もはや多言を要しないところであると思うのであります。 次に冷害の概況について私どもの見て参りましたところを御報告いたしたいと存じます。われわれが青森県北部に滞在中、夕刻ともなれば冷涼なやませが吹いて参り、丹前を着て火鉢をかかえ込んだほどでありましたが、今年は過去において最も劣悪な気象条件を示しました大正二年と比較されておることは、新聞等によりすでに報ぜられております通りであります。御承知のごとく、六月はずつと低温が続きましたために、五月の三、四日ごろまでに本田に移植した水稲は、著しく成育が悪いようであります。大体において津軽地方で七日、南部地方で十日、最も悪いところで二十日の遅延を示しており、われわれも至るところで移植当時そのままの姿の水稲を見受け、また水口田はこれを犠牲田として放棄したようなところも多数見受けたのであります。技術の進歩によつてある程度冷害の克服はできるわけでありますが、七月中に示したような昨今の冷温が続き、さらに開花期ないしは幼穂形成期の八月上旬を迎えまして、二十度以下の低温が訪れまするならば、現在の耐冷、耐寒性品種をもつてしてもとうていこれに耐えることはできず、大凶作は必至であると見られ、残念ながら東北地方はあげて深い憂色に包まれておると報告せざるを得ないのであります。藤坂試験地において陸羽百三十二号につきて、七月十日現在で生育状況を調査しましたところによれば、昭和二十年と比較し、草丈はほぼ同様の二十五センチメートル、しかるに茎数は十三本に対して五本であつて、明らかに凶作型であり、八月の天候回復に多少の望みをかけるとしましても、五月、六月の気象より見まして、気象学的には本年もまた冷害型であることは、ほとんど明白かつ決定的であると見られるのであります。従いまして現地におきましては、県試験場は一体となつて、今日ではもはや多収穫を望まず、冷害防止、病虫害防止のために、もつぱら安全第一主義の方針をとつて必死の努力を続けておるのであります。 あまつさえ冷害型低温性害虫である稲ひめはもぐりばえが大発生し、北海道十万町歩、秋田一化期三万町歩、二化期七千町歩と言われ、水稲の成育をさらに遅延せしめております。また北海道の陳情によれば、各地に旱害が起つているといわれます。また今後の日照り、温度のいかんにより、穂首いもちの大発生も予想され、本年度稲作は容易ならぬ前途を控えておりますことを認識し、今後の措置に万全を期せなければならぬことを痛感する次第であります。この段階における対策としまして、少くとも農業改良普及組織の活動に対する国の助成並びに農薬に対する国の助成をすみやかに計上して、もつてこの異常災害に対処しなければならぬと存ずる次第であります。 なおひめはもぐりばえは指定病害虫に入らず、また従つて共済事故となつておらぬようでありますが、政府はこの点すみやかに是正せられたいのであります。 次に青森県上北郡野辺地町、横浜村、六ヶ所村、甲地村を含む六万七千町歩に関する北部上北地域開発計画について御報告いたします。この地域はかつて旧御料林、陸軍放牧地に該当し、かつ交通不便の僻地であるばかりでなく、やませの吹きまくる自然耕作不適地として開発の手が伸びず、放任状態に置かれておるのでありまして、施策よろしきを得れば開拓地として有望なる地域であります。しかし開拓計画はいまだに決定を見ず、農林省においても農地局は一万町歩の開拓計画を有し、林野庁においては七千町歩以下の国有林解放を主張しておるようであります。 この地帯は、先にも述べましたように、常習冷害地帯でありまするので、全面開墾としては不適といわねばなりませんが、海岸防災林、基幹防風林の徹底的な保続及び設定を行う等耕地保全方策を樹立しなければ、開墾は危険はまぬかれませんので、すみやかにその対策を立て、結論に到達せられんことを切に望む次第であります。 次に八郎潟の干拓計画でありますが、目下、過般来朝しましたオランダのヤンセン氏の案に基いて、昭和三十年度より着工し得るよう折衝中であることは各位の御承知の通りであります。この計画は、潟の総面積二万二千町歩に対して、調節池四千四百五町歩、承水路千三百七十六町歩、地区内導水路三千百三町歩を設け、干拓田一万三千町歩、畑二百八十九町歩を造成しようとするものでありまして、畑を除き田地反当二石六斗としても、毎年三十三万石、三十三億円の増産を期待するものであります。総経費約百億円でありますが、反当経費は十万円以内とみられ、経済効率高く、工事もきわめて容易であり、完成後の経済的条件もすこぶる有利でありまして、そのすみやかなる着工と完成とを望んでやみません。資金については、世界銀行よりの借款に依存するか、あるいは余剰農産物の見返り円の使用を希望しておるのでありまして、これらの導入外資による開発資金の調達に失敗するならば、けだし県民に与える反動ははかり知るべからざるものがあろうかと思われる次第であります。 最後に営林署の廃止問題について触れておきたいと思いますが、新たに北海道に営林署を設置する必要があり、そのために内地において青森営林局管内で内真部、秋田で山瀬、前橋で木戸、東京で小田原、大阪で大阪、熊本で種子島、徳之島七営林署をそれぞれ廃止することになり、七月五日付農林大臣の告示をもつてこれを行われたのであります。先ほど申し述べましたように、今回のわれわれの調査にまつたく予期していなかつたのでありますが、現地において数次にわたり関係町村及び全林野管下の労働組合よりの反対陳情及び示威を受け、問題がすこぶる重大な段階にあることを承知いたしたのであります。 今回の林野庁の処分は、定員の関係あるいは国有林野行政全般の合理化の見地から行われたものといわれておりますが、その趣旨が徹底を欠いているようであります。これに対し林野首脳部は、組合及び村民に対して、解雇者は出さぬこと、配置転換は本人の承諾を得て行うこと、今後は組合側と十分協議の上行うこと、現在国有林が与えている利益はすべて継続して現地に与えること、営林署の建物等は現地の希望を聞いて行うこと等の条件を提示して説得に当つているようでありますが、組合及び現地村民側は相提携して廃止反対運動を起し、事態をいつまでもこのままに放任するわけには参らぬと存じますので、政府におきましても事態のすみやかなる収拾のため万遺憾ない措置をとるよう善処せられたいのであります。 その他農林行政上幾多の問題について報告すべき事項があるのでありますが、時間の都合もありますので、これをもつて私の報告を終りたいと思います。
○井出委員長 次に中国近畿班の報告を秋山委員よりお願いいたします。
○秋山委員 近畿中国班の調査結果を御報告いたします。 われわれの一行は井出委員長を班長といたし、小枝一雄君、佐々木盛雄君、足鹿覺君並びに私の五名をもつて編成いたしまして、岩隈専門員を帯同し、奈良県を振出しに、兵庫県、岡山県及び鳥取県の各県下にわたりまして、五日から九日まで五日間、農林業上の各般の事情に関して親しく現地官民に接触して、生々しい第一線の声を聞き、多大の収穫を得て帰つて参つたのであります。 以下調査事項中のおもなるものについて御報告申し上げ、御参考に供したいと存じます。 まず奈良県におきてましては、奥田知事以下関係官民と懇談会を持ちました後、豪雨を冐して北葛城郡箸尾町及び瀬南町を訪れ、六月三十日の豪雨による葛城川並びに土庫川の決壊による田畑の冠水状況を視察いたし、あわせて引続く降雨により再度決壊寸前の土庫川川岸に至り、決壊防止に必死の奮闘を続ける人々を激励いたしたのでありますが、遺憾ながらこの堤防はそれより数時間後に決壊いたし、百済村の田畑百数十町歩は侵入のうき目を見ることと相なつたのであります。引続き南下いたしまして、吉野郡大淀町に参りまして、国営十津川、紀の川総合開発事業を調査し、武装を固めて隧道掘鑿中の現場にもぐり込みまして、親しく工事現場の見学をいたしたのであります。 六月二十九日夜から三十日にかけまして、西日本各地が梅雨末期の豪雨に見舞われましたことは各位の御承知のごとくでありますが、われわれがたまたまこの地を訪れました七月五日におきましても引続きて豪雨となり、われわれは期せずして災害の見舞と堤防決壊の現場視察を行うような結果と相なつたのであります。しかして二十九、三十日の豪雨によりましても、奈良県は水陸稲七千余町歩、農地四百八十町歩、山林三十町歩等、農林関係における被害総額は十五億五千万円余に上ると報告せられ、相当の被害を与えているのでありますが、この被害額は引続く災害によりさらに増加を見ているはずであります。本県におきましても河川の多くは天井川の状態を呈しておりまして、水田より二、三米は高くなつており、常に提防決壊の危険にさらされているわけであります。六月二十九、三十日の災害は、幸いにして現地官民の非常なる努力により応急修理はできており、植えかえ用の苗も大阪、京都方面より入手して植えかえが終つておりましたが、政府よりのつなぎ融資二億円が強く要請せられているのであります。 本県の農業が香川県に次ぐ、いわゆるため池農業の特徴を有しておりますことは御承知のごとくでありますが、ため池の総数一万三千八百といわれ、このうちの五百数十箇所はすでにかなり老朽化して、そのうちの何箇所かは出水ごとに決壊しておるような危険状態を呈しておるようであります。従いまして老朽ため池の補強事業の必要が強調され、補助率の引上げと同時に、補助対象として単にため池の余水吐けの拡張のみならず、堤体の補強、樋管の取りかえをも取上げるよう要望せられておるのであります。 また林業災害におきましては、本県南部はいわゆる吉野林業地帯を形成しておるわけでありますが、地質は花崗岩風化土であつて崩壊しやすく、きわめて災害の多い状態にあるのでありますが、治山事業は二十七、八年の両年において予定のわずかに一〇%にすぎない状態であり、国土保全上まことに寒心にたえぬありさまであることを聞いたのであります。しかして施設災害は九割補助を与えておりますが、翌年になるとこれが普通災害となつて補助率が切り下げられておるような矛盾を呈しており、また林道においても木馬道の切りかえが認められないために改修が一向に進捗しておらぬやに伝えられるのであります。また本県の貯木場、流送路等の木材搬出施設は、林産協同組合の維持管理にかかるものが多いやに言われておりますが、二十八年の水害による堆積土砂に伴う被害が六千万円に近く上つておるにかかわらず、堆積土砂排除特別措置法の適用対象外に置かれ、はなはだしく困窮しておる実情にあるといわれております。 なお過般成立しました農業委員会等に関する法律の実施に関して、県農業会議の二号ないし五号委員について、予算の裏づけがないために同法の運用を著しく困難としているような実情にあると言われております。 最後は、国営十津川、紀の川農業水利に関してであります。本計画は奈良県に関する部分について言えば、吉野郡大淀町下渕において吉野川より取水し、隧道及び開渠によつて南葛城郡葛村に至り、この間、今木にて一部分水して曽我川に放流し、大和平野土地改良区曽我川工区に導水して、千九十町歩を潅漑し、葛村樋野にて東西幹線に分岐して、残り九千八百七十七町歩を潅漑し、受益面積一万九百七十七町歩に及び、さらにこれに付属して県営大和平野土地改良事業を計画し、増産効果三万六千石をねらうところの大工事であります。総工費約二十億円を要し、二十八年度に着工し、二十九年度約四億五千万円をもつて続行中でありまして、その成否に奈良農業の興亡をかけておる次第であります。 本事業については特に一、国営分として施工するためには、水路末端支配面積が三千町歩以上ということのようですが、これを五百町歩の地点までを国営とせられたいということ。二、前記の国営事業に直結する県営の大和平野土地改良事業を三十年度の特殊潅排事業として新規に取上げ、増産効果をすみやかに発揮せしめること。三、津風呂ダムの買収補償費を反当十三万円ということで、現住民と調印する直前に、只見川田子倉ダム、天龍川佐久間ダムの補償費が三十万円以上と伝えられ、買収が暗礁に乗り上げた状況にあるので、全国的にすみやかに調整を行われたいこと等が強調せられたのであります。 翌六日自動車中より奈良、大阪、兵庫各県の境界付近の六月末豪雨によりまするところの田畑の浸水被害が意外に甚大な状況を視察しつつ、兵庫県庁に到着したのでありますが、本県の耕地、農作物、開拓、治山、林業等の損害額は実に五千万円に達するといわれるのであります。 われわれは県庁において小憩後ただちに出発、加東、美濃郡下の酒米地帯を視察しつつ、いわゆる丹波の国として知られる氷上、多紀の両郡下に急行し、柏原町において集約酪農地帯指定候補地としてのこの地方の調査に当り、黒井町の県営酪農講習所、明治乳業のミルクプラント等を視察し、あわせて郡下の一般農林事情を聞くことといたしました。 氷上郡は役牛、乳牛合せて約一万頭に近い家畜を有し、京阪神地区を控えて酪農地帯としては一応好適な条件を備えているように観察せられたのでありますが、なかんずく黒井町の県立酪農講習所はこの地方の運営委員会の手によつて運営せられ、場長の巧妙な指導によつてもうかる酪農の建設に全力を尽し、酪農教育についても見るべき成果をあげておる様子を親しく見て参つたのであります。 なおこの地方の酪農事業について特に問題とすべき点、あるいは検討を要する点としまして、およそ次の事項をあげておきたいと思います。 一、丹波地方の飼料の自給率は五〇%程度にとどまるので、さらに大幅にこれを引上げることが望まれること。二、明治のミルクプラントが農民に支払う原料乳価は、脂肪三・二%のものを一等乳とし、四—六月六十二円、七月五十三円としておりますが、その内容は基本乳価と奨励金部分とにわかれ、奨励金の増減により乳代を操作しているのでありまして、農民の利益の擁護に欠くる点が見られまするので、この点の是正を要すること。三、農民組織として郡一円の酪農協を昭和二十三年に設置しており、一口五百円、平均七口の出資組合としておりますが、出資内容が貧弱であるのでさらに増額が望まれること。四、乳質検査に関し農民の利益を擁護するに適当な方法がいまだ確立を見ていない点を検討すること。五、国有乳牛の貸付制度の拡大について熱心な要望があり、特にホルスタインについてもこれを検討する必要があること。六、有畜農家創設維持資金の総額の不足を補うため、本県においては県信連のわくを特別に設定し、県から六分程度の利子補給を行い、酪農振興に貢献している事実に徴し、今後総体のわく及び利子補給額の増大について再検討する必要のあること。七、本県特に淡路においては、ホルスタインの畜力利用が相当進んでおるが、その研究及び全国的普及に関して特に検討すること。八、牛乳の自家利用に関し、食品衛生法がなお相当の障害となつているので、すみやかに改善すること。以上のごとくであります。 なお兵庫県、京都府等におきまして、五月の苗しろ播種期以降曇天寡照の天候が続きましたために、相当の本田面積にわたつて水稲の黄化萎縮病が発生し、その防除法も確立されていない状況であるように伝えられておりますので、農林省においては関係試験研究機関を動員して、すみやかにその対策を考究すべきもあることを付言しておきます。 翌七日、われわれは汽車をもつて岡山県に参りました。県庁において三木県知事以下より県内の農業水利、干拓、農業災害に関する一般的説明を聴取いたしました。 すなわちまず土地改良事業と食糧増産関係について、本県で切実に考えられている事項は、第一点、毎年度の予算と現有の技術、資材とがはなはだしくアンバランスになつており、土地改良予算の積極的計上について考慮せられたいということ、特に本県は災害が比較的少いので、土地改良費を優先配分せられたいということであります。 第二点は、特殊立法、なかんずく積寒法は本年度をもつて終了するが、本県においては土地改良等百八億円の計画に対して、三億四千万程度の可能性をもつにすぎない。よつてその期限延長を行うとともに、土地改良に市町村営を認め、また農道の補助率二〇%を四〇%に引上げられたいということであります。 第三点は、災害復旧に対する予備金支出の方途が確立されていないので、制度時にはこれを拡大するようにせられたいということ。 第四点は、農林漁業融資わくの拡大をはかるとともに、取扱機関としての県信連の陣容を強化するように努められたいということ。 なお南海地震の影響による地盤沈下によつて、平野部は一帯に排水工事が増加しておるが、この補助事業について国庫の補助五割、残額について八割までを公庫の融資によつてまかなう計画であつたが、融資率を最近四割に引下げられたのは、既定計画の遂行上重大な支障を与えるので、従前の率にもどすようにせられたい旨の希望が述べられたのであります。 以上のごとき県側の要請を聞きましたる後、われわれは児島湾の干拓事業の視察を試みることといたしました。 本工事はあらためて述べるまでもなく、児島郡灘崎町、荘内村、八浜町の地先の海域を延長七千七百メートルの防潮堤塘で包囲し、これを四ブロツクにわかつて干拓し、さらに地区内に二百三町歩の貯水池を設けようとするものであります。総事業費二十一億八千三百万円、最終時に約五万石の経済効果をあげようとするものであつて、昭和十九年に着工して今日に至つておるのであります。すでに一部に百八十九戸の入植を見ておるのでありますが、現在程度の予算をもつてするならば、完成までに今後なお九箇年の歳月を要するとせられ、その期間の短縮が熱望せられておるわけであります。 児島湾の視察を終りまするや、ただちに西大寺市邑久町に至り、過般の水害により総面積一千三百四十町歩にわたつて田畑が浸水しておる状況を視察したのであります。この地区は排水施設の不完備によつて年々災害を受け、農民は塗炭の苦しみを受け、また二万五千石の減収を来しておるのであります。これがため土地改良法に基く邑久和気土地改良区の設立をはかつて国営事業の開始を待つたのであるが、中央と地方との意思がいまだ完全に疏通せず、また緊縮予算の影響を受けて、二十九年度の着工を見送らざるを得ない事情となり、関係者をいたく落胆せしめておるところでありました。この工事は約八億の工費を要するのでありますが、明年度よりの着手を関係村民あげて熱望されておる姿を見て衷心同情にたえなかつた次第であります。 次いでわれわれは吉井川の増水により一部決壊流失した鴨越堰の災害状況を視察しました。この井堰は二百六十年前に構築せられた用水井堰であつて、吉井川の本流を横断して設けられており、七百六十町歩の潅漑用水取入れのための重要な施設となつておるのでありますが、六月二十七日の豪雨によつて決壊し、一度自衛隊によつて応急復旧工事を行つたが、またまた七月五日に決壊のうき目を見、用水はとりあえずポンプ・アツプしておりましたが、早急な復旧が望まれておるのであります。なお地盤沈下対策に関連して、西大寺南部地区八百町歩の低湿地帯について既耕地の地上げ工事及びこれに併行する切上げ堀並びに不用クリークの埋立工事の早急な実施の要望がなされたことを伝えておきます。 以上をもつて岡山県下の農業水利、災害復旧関係の視察日程を終了し、翌八日伯備線により鳥取県に向つたのであります。午後米子市に到着後、市役所において米子地方農業の特質ないしはその欠陥について説明を受け、あわせて対策を要望せられたのであります。 その概要を申すならば、中国山脈をもつて陰陽に二分された山陰地方は、北方気象の影響を受けるところ大であつて、年間を通じ雨天、曇天多く、加うるに冬季は季節風による降雪に悩まされる一方、山脈が北方に偏向しておるため、急傾斜をなしつつ、山岳、丘陵は海岸線に延び、黒ポク、砂土の耕地多く、耕地の造成改良を要する土地は山積し、農家経営規模の零細化によつて、農家経済は貧窮化し、不良環境地帯の逐年の増加、生産費増加に反比例する低い収量等により一般に後進的、未開発的農業地帯をなしておるのであります。従つて国の示す耕地造成及び改良基準からしても、各種農業振興法の恩恵を受けることが少いのであつて、たとえば国営事業については事業基準たる三千町歩の認承条件を具備するところはきわめて僅少であり、また団体営業事業については事業基準二十町歩の集団地と認承諾条件を具備することができるものは僅少である上に、本地方は積寒法及び海岸砂地振興法の適用範囲が二分されている関係上、海岸砂地振興法の指定を受けている地帯は、予算のわくからいたしまして、緊急かつ必要な事業であるところの潅、排水事業あるいは農道整備事業等が実施できないありさまとなつているのであります。従つてまず各種農業振興法の統合及び総合指定が望まれており、現在の各種振興法は予算のわくなどよりして、できる事業とできない事業があり、また指定境界の地区で事業実現上の矛盾があるので、これらのすみやかなる解決が望まれておるのであります。また反当事業費並びに経済効果よりいえば、例を潅、排水事業にとると、これを一般の基準によれば、地勢、土性、団地等の関係から、山陰地方はこれでは無理であるので、少くとも三割程度の引上げの特例を希望し、また全体として補助金の増額並びに融資額のわくの増大を強く希望しておるのであります。これらはいずれも山陰農業の特性より来る要望であつて、これを慎重に検討し、行政の画一性を打破してその実現をはかることが肝要かと存じます。 以上の陳情を聞いた後、われわれは次いで米子市の大沢地区の水路改修計画を視察することといたしましたが、この地区は米子市の東北三キロの細長い排水不良地で、大沢と称する排水幹線水路により美保湾に放流しておるのでありますが、排水路の不備及び美保湾の荒波による堆砂によりしばしば河口が閉塞され、この地区は不測の湛水により農業上の甚大な被害を受けておりますので、この大沢水路を改修して中海に水路を新設して放流しようという計画でありまして、総事業費は八千八百万円、県営の四箇年継続事業とする予定であつて、すみやかなる調査の完了及び着工を願われておるのであります。 ここよりわれわれは大山総合開発地区の調査に出かけたのであります。途中所子の明治乳業プラントに立ち寄り、続いて大山寺に登頂したのであります。ここでいわゆる大山出雲特定地域総合開発計画の概要について説明を受けましたが、その詳細は時間の関係上省略することといたしますが、要するにこの地域は二十六年十二月に特定地域の指定を受けており、閣議の決定を経た計画によれば、総事業費百九十六億六千九百万円、うち鳥取県分は九十九億二千六百万円であつて、治山、砂防、河川改修、潅漑排水、干拓、林道、造林、酪農、発電等原始産業を中心とする一大総合開発をねらうものであります。 この際、特に県当局者より、大山地区のごとき後進地域については、着手の順位あるいは予算の配分に当つてとかく不利な待遇を受けがちであるので、社会的合理性追求の立場より是正せられたい旨を強く訴えられたのであります。 なお大山に入植した開拓地の一部に、農業用水はもちろん、飲料水にさえ事欠く地域のあることについて開拓者の代表より切実なる陳情を受け、われわれもまたその水源を踏査したのであります。われわれとしても当局を督励してすみやかなる措置を講ずることを約してここを立ち去ることとした次第であります。 翌九日、米子地区を出発して国道筋を東へ鳥取地区に向うこととし、途中北条町に立ち寄りました。ここで関係町村長より二十七年度着工の県営北条浜畑地海潮事業の概況を聞いたのであります。しこうして地元よりの陳情の要旨は、本事業の総事業費は二億六千万円と決定されたにもかかわらず、桑、果樹に対しては非補助ということで、三割を事業費補助対象より天引きされ、従つて末端農家の負担が反当四万円にも達し、しかもこの非補助事業に対して融資が行われないために、工事の完遂に非常な支障を来しておるということであります。果樹のための共同選果場、動力噴霧機に対して補助金を支出し、一方では土地改良費に対して支出しないということは、確かに行政上片手落ちの処置であるというべく、是正を要すると存ずるのであります。 途中強行軍を続け、次いでわれわれは浜部村の鳥取大砂丘に到着いたし、全国に著名な海岸砂地造林の現況を詳細に見学いたしました。しかしてこの砂丘地背後に設けられた鳥取大学農学部砂丘試験地に立ち寄り、長助教授より砂地地帯農業の基本問題、スプリンクラーによる円形散水による畑地潅漑方式、アメリカン・ビーチ・グラス、ラブ・グラス等の砂地向き野草の栽培試験等について説明を聞き、あわせて各砂丘地でばらばらに行われている基礎研究の統一、文部省、農林省の砂地研究予算の増額等の要請を受けたのであります。また鳥取市農林部長より同市の畑地潅漑事業の内容を聴取いたしました。以上をもちましてわれわれの近畿中国地方における調査日程を終了し、鳥取市において調査班を解散し、帰京の途につくこととしたのであります。詳細なる報告については、持参いたしました資料、写真等によつてごらんを願うこととし、私の報告はこれで一応終ることといたします。
○井出委員長 これにて派遣委員の調査報告を終ります。暫時休憩いたします。 午後一時休憩 ————◇————— 午後二時五十二分開議
○井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 午前中派遣委員の代表よりそれぞれ調査報告を聴取いたしたのでありますが、農林大臣に特にお聞きおきを願つておきたい点が留保されてありますので、この際発言を許します。佐藤洋之助君。
○佐藤(洋)委員 実は午前中保利農林大臣の御出席を願おうと思つたのですが、御都合が悪いというので、われわれいろいろ委員会の運営上一応視察談を試みたのであります。そこで農林大臣、官房長官、それから食糧庁長官もおいでですから、九州、四国をまわりました主要な問題点をここに二、三申し上げまして、これに対する農林省の措置をお願いしたいと思います。 そこで順次申し上げますが、実は私どもは六日以来松岡、井谷、福田、中村、私が班長で専門員の藤井君がこれに一緒に行かれました。農林省の事務官の大和田という人がおりまして、約十二日間かなり各地を見て参りました。福岡、長崎、熊本、大分、愛媛、香川、この六県にわたるのであります。要約して実は私どもの使命は国勢調査なのでございますが、当面の問題として、九州に渡りましたときに大体福岡、佐賀、大分、熊本の熱心なる要望、ことに福岡に各県の県会議員の代表者諸君がみな見えまして、そうして質問をされ、陳情をされたのですが、その第一の問題は六等麦の問題です。今も陳情がありましたが、六等麦の問題でございまして、これは私が九州に行きます前に、実は金子君主宰の食糧小委員会を開きまして、大体において話をまとめて行きたいと思つたのですが、その結論を握りませんで私は参つたのです。まことにこれは遺憾に思うのですが、これは大臣よりはむしろ前谷君の方の責任になるのでございますが、この六等麦をひとつ至急買い上げてもらいたい。この実情は、私は久留米市の合川という農業倉庫を実際に点検いたしましたところが、大体不合格品が平均五二%です。そこでその倉庫の中にうず高く積んであるものの大半は不合格品でありまして、その不合格品を上、中、下にわけて、その上は六等麦として買つてくれというのです。大体において数字は福岡が一番多くて十五万六千俵、大分の十三万俵、佐賀が十一万俵ぐらい、熊本がやはり十二、三万俵ですか、こういうふうな実情でございます。なぜこういうふうな状況になつたかということは、私が説明申し上げるまでもなく当局はよく御存じでありますが、御承知の通り六等麦は昨年買い上げております。五万二千トン買い上げておりまして、今手持ちが二万四千トンばかりあるでしようけれども、買い上げておる。これを九州全体の農民の要望として声を大にして来たのでありますから、これはもうぜひひとつ速急にこの手配をしていただきたい。もはや考慮でなくて実行の段階であろうと思うのですが、これに対しまして大臣のお考え方と、それから前谷君にひとつ言明を願いたいと思います。
○保利国務大臣 今年の麦作で特に西日本の方の成熟期に当つての長雨で多分の格外品を出しておるというこの扱い方について、各地元から強い要望が出ており、先般また佐藤委員等お出かけになり、そのしさいは報告を受けております。私どもとしても、昨年はああいうふうな西日本を襲いました異常災害等の関係もありましたから、ああいう措置をとつておりますけれども、今年はもうそういう措置はとる余地はなかろう、あからさまに申してそういう考えでおつたわけですけれども、そうばかりも行かぬじやないかという点もあるようであります。至急対策を決定いたしたいと考えております。
○前谷説明員 現在の実情を申し上げますと、今年度の麦の買入れは、昨年の同月に比べて約十倍になつております。大体二百万俵の買入れになつておりまして、昨年度の七月十日現在で十八万俵に対して本年は二百万俵、本年度の状態からいたしますと、大部分の麦が政府買上げになる見込みが相当多いようでございます。その結果から考えました等級の鑑定を、現在われわれが買い入ました、あるいは検査いたしました状態からいたしますと、全国的に見まして昨年度よりはそう悪くないような状態でございます。ただ現実の問題といたしましては、現在の出まわりは九州地方が多いので、そのほかの地域が入りますとさらにこの情勢がかわつて来て、もつとよくなるのじやなかろうかというふうな考え方もいたしておるわけでありますが、ただいまお話の実態——われわれは検査の面を通じました実態でございますが、それ以外の面から見ました実態についてのお話がございました。われわれといたしましては、この前も申し上げましたように、食糧管理の面からいたしまして、また食糧会計の経理の面からいたしまして、昨年度も相当の損失が生じたわけでございますので、できるだけこれを買うことはやめたいということを申し上げたわけでございますが、ただいまも大臣から御答弁のように、この点については早急に検討いたしたいと考えております。
○佐藤(洋)委員 大臣は初めやらぬつもりであつたが、だんだん情勢上において考えようというのですし、今また、前谷君の場合は結論が少しぼけていたけれども、ぼかさないではつきり買つたらいいだろう。要するにこれは政治性だから、買いさえすれば安定するのだから、これは少し政治力を出してやるのだな。それでひとつやつてもらうこと。 それから第二は、実は三万円以上十万円までの小災害の問題です。これはえらい注文を受けまして、実は至るところで難詰されたようなわけです。そこで九州諸君の決議によつてあの法律処置となつたのだが、これが一つも実行されていない。これもやはりあなたの責任だ。だから早く大蔵省と妥協をつけてもらいたいと思います。現在三万円以上十万円の小災害というものは二十五億七千万円あるのです。そこでそれを九割というと二十三億になるのですね。大蔵省が、これはひとつみな四億くらいで何とかおつつけてしまおうというらしいので、今あなたの方と交渉中だというのですが、これに対して各県の知事からは、これでは困る、せつかく法律になつて約束したのにこれを実行しないということになると政府を信頼できぬという強い要望がある。食足り兵足りても信を失えば国を保てぬという老子の教えがあるが、やはり約束し、法律ができたことは実行しなければいけませんね。これはひとつ大いに竿頭一歩を進めて、官房長がこれの交渉に当り、四億程度で妥協をせぬようにすることを考えて至急にやつていただきたい。 最後に私は、これは大臣に、こういうことをおやりになつた方がいいのだということで建言をするのですが、実は農林十八号というものは九州の方が育成されたものです。この農林十八号は現在十六万三千町歩くらいで育成しておりまして、日本で第二番の大きな種になつておるわけです。この人が今非常な不遇の地位にある。藤坂五号に対して藍綬褒章を出した例もございます。藤坂五号の研究も、血のにじむような十年間の努力で築き上げたものであるが、二十六年度、二十七年度の作付を見ると、藤坂五号の作付は一番下です。この調査には出ていない。そこで水稲農林十八号というものの創始者に対して何らかの処置をしていただきたいと思う。これは私が申し上げるまでもなく、実は私が農事試験場の所長の佐藤という農学博士の人に会つてこれを話したところが、それはほつておくべきでないと言うのです。大臣はひとつ在職中に善政を残さなければいかぬ。この人は今食うや食わずの状態におるのです。これが生れたのは、御承知のように、昭和六年に大分三井という百二十号を母として、宝を父として、人工交配を行つてできたものであつて、昭和十六年に生れた品種なのでありますが、これが作付は九州各県はもちろん、山口、広島、徳島、愛媛、三重に広まつておりまして、昭和二十六年には十六万三千町歩となつて、全国一の品種となつております。こういう偉大な貢献をされた方が、また農林十二号というものも発見している。この十二号は三万三千町歩の作付面積を有している。これは福島信知という人で、昭和二年に熊本県の農事試験場の技師として水稲品種改良に当り、本品種の育成に直接心魂を傾けたのでありますが、昭和十三年同場を退職、以後は私立鎮西中学校に余生を捧げて来たのであります。昭和十四年に同校を辞して、現在熊本の農業試験場の臨時職員として勤務しておる。辛うじて今食うだけのかてをもらつているという、まことに恵まれない人です。藤坂五号の育成者田中稔氏を顕彰したことは、私はまことにいいことだと思つているが、こういう農林に埋もれた人を見出して顕彰することは、農林行政に多大の光明を残すと思う。どうぞ保利さん、あなたの在職中にひとつ至急にこれを顕彰して、何か生活面を援助すると同時に、社会的に顕彰していただきたい。これを私は最後にお願いいたします。これに対するあなたの考えを伺いたいと思います。
○保利国務大臣 詳細については、実情は佐藤委員の御指摘の通りであるわけであります。ただ災害復旧事業の建前上、先般の国会で手直しをいただいたわけでございますけれども、直接国が主体になるということになつておりまして、勢いいわゆる小災害を除きましても、昨年度だけの災害件数にしましてもおびただしい件数になりますし、三万から十万という災害を、一々農林省で査定をしてこれに適正な復旧助成をするということは、言うべくして行われることでございませんので、小災害の特別立法の実行につきましては、ひとつ県の方にお願いする、査定その他もお願いするということでやつて来ております。小災害のみならず、災害復旧それ自体が、先般の国会でも御論議がありましたように、はなはだ不十分なところに持つて参つて、しかもその中から小災害分を出さなければならないということで、実際はお話のように私どもとしても努力は重ねて参つておりますけれども、地元の十分な御満足——十分どころではなくて、御満足の行く処置がとれていないことはよく承知しておりますが、できるだけの努力を続けようと思つております。 なおただいま農林十八号あるいは農林十二号等、優秀品種の創始者を顕彰すべきである、これはまつたく同感でございます。こういう隠れたる農業上の功績者と申しますか、技術者と申しますか、こういう方々がいかに食糧増産の基盤をつくつていただいておるかということは、私どもも深く感謝をいたしておるわけでございまして、今日までそういう措置をとり得ておりませんことは、むしろ私どもの手落ちであろうかと思います。十分至急調査をいたしまして、御趣意の点に沿うようにいたしたいと考えております。
○井出委員長 次に金子與重郎君よりただいまの食糧庁長官の発言に関連して発言を求められております。金子君。
○金子委員 今前谷長官の説明、まことに不誠意ですよ。あなたはこの間の食糧の小委員会で何と言つたのです。最初に昨年度の等外麦を非常に手持ちしておつて、その損失というものに困つておる。だから重ねて今年度等外麦を買うということに対してはどうも考えられないというような御意思だつたのです。だけれども、それはよくない。百姓が等外麦を無理につくつたわけではないし、天候なんだ。だからこれに対して、きようあなたの立場で買うということを明言することは困難だ。しかしながらこれを買うという前提のもとに立つとするならば、その数量がはたしてどのくらいになるか、あるいはその等級の格差をどの程度にすればどの程度の数量が出て来るかということを、あなた方の出先と実務的に一応検討なすつて、そうして大臣と相談して行くということをお約束したはずなんです。何だかきようの長官の答弁を聞いていると、ことしは麦の買入れが非常によくて、去年の何倍も買いました、だからあとはごめんだと言う。それではちようど商人と同じなんです。私は買いたいものは買つちやつた。そうじやない。米麦に対して少くとも国家が一つの政策の上に立つて価格も出しておるし、麦は下値保証であつて、統制ではないのですけれども、実質的に内地の数量の半分以上を占める外麦を国家管理しておる。そうしますと、広い意味からいうと、米麦とも国家管理しておる。そういうふうな国の政治政策の上に立つておるものを、去年よりうんと買えたから、悪い麦はいらぬというような考え方は、今日の段階にあるはずはないし、ことにせんだつての小委員会であなたははつきりそういうことを約束しているはずなんです。ですから、それに対してその後どういうふうな形態で調査してみたのだ、そうしたらあなた方の方の今の損失は何億くらい出るつもりなのか、その数字が出ておると思うのです。だからそれを説明すると同時に、それの結果を農林大臣にどういうふうに話して、今どの段階まで来ているか、もう少し具体的に説明してもらいたい。
○前谷説明員 具体的に、お話のように実態がどういうふうな形になつておるかということにつきまして、私の方も調査いたしたわけであります。これはその前提として現在の収買の状況を申し上げたわけでありますが、九州地区に例をとつてみますと、昨年度におきましては、いわゆる等外というものを小麦については約九%程度、それから裸麦については二二%程度の実績を示しておるわけでございますが、今年の現在までに現われましたところのものによりますと、小麦につきましては、六・七%、それから裸につきましては七%程度になつておるわけであります。全体の規格外の数字がどの程度であるか、これも検査したものからの一つの推定でございますが、昨年度におきましては、大体全体を合せまして百万俵程度のものがそれに相当したものがあつた。現在われわれが推定いたしましたところでは、その半分程度のものじやなかろうかというふうに考えておるわけでございます。これは検査を受けてないで、まだ農家の手元にあるものもございますし、また検査の面から出した推定でございますが、そういう推定を一応いたしておるわけでございます。同時に規格外につきましては、先般お話がございましたので、各地でもつて歩どまり試験をいたしております。歩どまり試験によりましてその品質の点を確定いたしまして、それから価格の点に入るわけでございまして、今地域的にその品質のものにつきましての歩どまりがどういうふうになつておるかということの、歩どまり試験を実施中でございます。その歩どまり試験を全体としてまとめまして、どの程度の規格になるかというふうな点を検討しなければならぬという段階で、調査といたしましてはこの前申し上げましたような方向でもつて進めておるわけでございます。
○金子委員 進めておるのならばそれは一体いつになつたら結論を出すつもりですか、来年ごろになつて結論が出ては何にもならぬのです。今年の小麦の格外を買い上げろということが問題になつておるので、調査研究してほしいということを目的で言つておるのではない。
○保利国務大臣 できるだけ早く対策を決定いたしたいと申しております。私は大体こういうふうに考えております。先ほど申しましたところが偽らぬ経過でございますけれども、いずれにいたしましても、昨年はいわゆる二号台風の災害対策として、食管法で食糧管理上扱えない格外品まで買つておると思います。しかし今考えておりますのは食糧管理、つまり人間の食物にならぬというものは、ありていに申しますれば、これはどうも今年は買えぬのじやないか。そこでそれでは、その限りにおいてどういう価格で買い上げるかということを、食糧庁の方の調査が済みましたならば至急きめたいと思います。
○金子委員 それではいつごろできるのですか。
○保利国務大臣 これは時間があまりかからぬのじやないかと思います。できるだけ早くそういう御趣意に沿うようにやつて参りたいと思います。
○金子委員 それを私がどうして聞くかというと、やはり約束は守らなければいかぬですよ。この前そういうことをはつきり約束しておる。今大臣は、食糧管理なんだから、食糧以外のものは政府が買うということは法律的にもないし困ると言うのだけれども、黄変米のような食えないものも外国から買つておる。はつきりそうも言い切れないかもしれないけれども、とにかく農民もそういうことであるのに、五等麦というものが食糧にならぬ、だから買いようがないのだということがはつきりしておる。そうすれば別な対策としてそれをどうするかという施策を講ずるならばよろしいけれども、今までとしては天候その他によつて非常に災害が多くてその処理がつかぬ。しかも出来秋にすぐ飼料等にまわそうとすればたたかれる。こういう場合に食糧庁は広い意味で飼料に関連する問題まで取扱つておるし、輸入したものを飼料に払い下げておるものもあるのですから、今度食糧以外のものは買わぬなどというようなことを原則的に考えるなら、この際農民にいつまでもじくじくと悩ませないで、はつきり政策をこうであるということを明示して、そうして今まで飼料——現実には飼料になるかもしれぬ、しかしながら農産物として農民の自主的な意思でこういうものをつくつたのじやないので、不可抗力から来ている。それで食糧の生産というものは国家に協力するつもりでやつて来ておる。たまたま不可抗力のために一つの格外品が出たとするならば、それをいわゆるえさまで取扱つておる食糧管理の中でできるだけ処理しようということを、今日まで数回やつて来ておるのです。やつて来たからして九州地帯の百姓でも、ほかの人たちでも、今年もやつてほしいというのはあたりまえなのです。今年初めてのことじやない。だからして、もし今後、政府は、食糧管理であるから人間の食い物以外は一切買わぬということであるならば、それをはつきりする時期をもつと早くして、その不可抗力から出て来るところの品質の悪い品物に対してはどういうふうな政策をとるか、その農民の犠牲を少くしてあげる方法はどういうことかということを、おのずから別個に考えなければならぬでしよう。それをあなたは、そういうつもりだ、つもりだ、こう言つて、一人づもりだけでそういうことをやられると、農村の人たちは買つてもらえるのやらもらえぬのやら、いつまでも非常に迷惑しますから、その点をひとつ……。
○前谷説明員 お話の点十分わかりますが、ただ等外麦の場合におきましては、これは通常にも等外麦というものがあるわけでありますが、通常以上に相当数量のそういうものが起つた場合に、それに対する処置をどうするか、こういう問題で、これは御承知のように食糧管理の面からどう考えるか、その他の面からどう考えるか、こういう面があるわけでございます。食糧庁といたしましては、これは異常な形において、通常よりも非常に大きな数量になつておるかどうかということを、この前申し上げたようにいろいろ調査をいたしておるわけであります。同時に歩どまりの関係がまたどういう状態にあるか、これは一々その地方のサンプルをとりまして、歩どまりの試験をいたしておるわけでありまして、こういう点は十分検討いたしておるわけであります。お話のように、これが出まわり期以後に決定するということは、もちろんナンセンスでございますし、できるだけ早くきめなければいかぬということはわれわれも十分承知いたしております。
○佐藤(洋)委員 今六等麦の問題は金子君も言う通り非常に急を要するのでありまして、実は今の実情は商人が足元を見込んで買いたたこうというような情勢にあるわけです。それで、今大臣がお話のように、食糧にならぬものだということはないのです。今見本を取寄せますからごらんに入れますが、今年は細いのですが品質はそう悪くないのです。大体反当収量というものは俵数において一俵くらいずつ少いのです。昨年五万二千トン買つた行方はどういうものであろうと私は調べてみたのです。そうすると現在手持ちが二万四千トンある。そうして大体の処理の結果を見ると、食管の方では処分して七千万円の赤字がある。そこでこの六等麦の行方は、大体みそ屋に三分の一行つている。食糧にも行つているが、みそ屋に行つているという情勢にある。今年のような、去年打ちのめされてまた今年この冷霜害によつて打ちのめされて立ち上れないというような情勢においては、政府はここで一大決意をしてやらなければいかぬと思うのです。この際きようの委員会で買うか買わないか、やるかやらぬかはつきりきめようじやないか。そうすれば私どもの責任は一応終る。買わないなら買わないとあなた方が言われればそれでよろしい。これを濁しておかないで、ここできめようじやないですか、私はその方がいいと思う。そして向うがそれに対する対策を講じなければならぬと思う。私は、まだ買う余地があるという大臣の言葉を信じて、ひとつ前谷長官はやつたらいい、こう思うのですが、さらにもつと農民に対して親切な、安心の行くような答弁をしてもらいたいと思う。大臣、サンプルをとりよせたのをごらんに入れますよ。
○井出委員長 それではもう食糧問題に入つてはおりますが、これより農業災害及び食糧問題を中心に議事を進めます。 昨年の異常な冷害、凶作に引続き今年もまた春先の凍霜害から昨今の異常気象によりまして、今後の食糧問題はまことに容易ならぬものがあることは各位の御承知の通りであります。また午前の派遣委員の調査報告にも強調せられていたところであります。従つて、食糧増産対策、食糧価格問題、管理制度等の食糧問題について確固たる対策を樹立するとともに、被害農家に対する救済策を講ずることは喫緊の要務であると考えられます。たまたま時を同じうして、つい先般、昨年末以来検討を続けられていた食糧対策協議会が食糧管理制度の改革について政府に答申を行つたこと等もある、かかるときに際しまして、本委員会の責務の重大性を痛感するものであります。つきましては、まず政府より最近における農作物被害状況並びに水稲成育状況について説明を求め、続いて食糧対策協議会の答申の内容についても承ることにいたしたいと思います。 それではまず被害状況から伺うことにいたします。
○野田説明員 水稲の被害について申し上げたいと思います。水稲の被害につきましては、五月に北海道におきまして台風の関係もありまして、それから水害が六月下旬、七月上旬に参つておりますが、これの面積は十七万町歩でありまして、約十七万石の減収と推定している次第であります。ただいま問題になつております東北、北海道地方その他の低温によります成育の状況でございますが、これは私の方でいろいろ現地に即しまして調査しておるところによりますと、大体北海道及び表東北が成育が遅れておるようであります。裏東北及び北陸地方におきましては、当初かなり遅れておりましたけれども、その後漸次回復しておるような状態でございます。ただいま心配いたしておりますのは、主として北海道及び表東北等でありますが、これらの状況は今後の気象の推移いかんによるものである、かように思つております。これらの点につきましては、農業改良局とも十分連絡をとりまして、それに即しました対策がとられますようにいたしておる次第であります。
○塩見説明員 お手元に昭和二十八年度冷害及び昭和二十九年度異常気象対策という刷りものをお配りしてございますが、本年度の状況は、三十五ページにございますところの3の二十九年度暖候期気象対策となつておりますが、ここに大体要約をしてございます。気象の推移、成育状況を、統計調査部等とも連絡をとりまして、図表または数字で書き現わしてございますような状況でございます。これに対する対策は、前年度の補正予算あるいは予備金支出等によりまして、品種改良すなわち過晩生種をやめまして、できるだけ早生の方に持つて行つて、早中晩の適正な配合をやるというような仕事をやりました。また保温折衷苗しろの奨励、早植え、早まきというような奨励をやつてずつと参つております。それらの仕事のやり方につきましては、現在までにとつた農業改良局の対策として、五十ページの項目四のところに書いてございます。今後の対策といたしましては冷害に対してはきまつたような手ではございまするが、追肥をできるだけ押えて、栄養成長の方を押えて、できるだけ早く登熟の方へ持つて行かせるというようなこと、あるいは除草をできるだけ早目に切り上げる、あるいは水温上昇、地温上昇についてできるだけの処置をとるというような技術的な指導による部分がございまして、それらについては別途大蔵省の方と話合いをいたして、指導部の方は話をつけてあるわけでございますが、最も大事なものとしましては、すでにとられました対策を補完して、冷害をできるだけ食いとめるための処置といたしましては、何と申しましても病虫害の防除の問題となつております。本年度のやり方としましては、昨年度は八億ほどの農薬の補助金がございましたし、また災害対策としては一億五千万くらいのものが別に組まれておる、こういう状態でございましたが、本年度は当初予算として二億ちよつとの農薬費が組まれておる、こういう形でございます。しかしながら県あるいは国の段階で、いざというときの備蓄のための倉敷金利の補助ということをやつております。ただ農薬の現実の手当状況は、昨年の今ごろに比べますとかなり行つている、こういう状態でございます。平常発生に対しまして考えました場合に、六月の上旬ころで、全国的に見まして大体五〇%程度、それから六月下旬で大体六〇%程度、現在では大体平常発生量に対しては七〇%程度の農薬は確保してある、こう考えております。これは国の備蓄、県の備蓄及び村の段階まで入つたものでありまして、メーカーの手あるいは卸売団体などの手ははずして、その程度になつております。しかしながら本年度の天候から考えますと、東北におけるいもち、これは現在まではこういう低温であるために、そう目立つて出ておりませんが、天候回復とともに、これは激成型のいもちとして発生する危険は、過去における各種の試験等を見ましても、明瞭に看取されますし、西日本における螟虫等も昨年度に比べまして——昨年も相当に異常でありましたが、昨年に比べてなおひどいという例も見ております。私の方としましては、とりあえず冷害地帯におけるいもちにつきましては、できるだけ早く異常発生に対応した農村における各種の手配をやらしたい、こう考えております。そういうような意味では、ことしのような特殊な天候と特殊な環境における対策といたしましては、やはり特別措置をとる必要がある。どうしても村段階で、ほんとうに農民に真剣になつて早手まわしに適宜に防除できるような措置をとるとともに、農薬手配について遺憾ないようにしてもらう必要があるというふうなことになりますと、やはり最も端的で的確にそれができそうだと思えますのは、農薬についての一部助成というふうなこと、これは各県知事及び団体等からも陳情がございまするが、それが最も有効な手ではないか、こう考えて今鋭意折衝中でございまするが、現在までの段階が、現実には、東北においていもちの発生がまだ低温のために激しく発生しておらないということで、大蔵省方面においてはそこに危惧を持つておる。また備蓄でできないかという考え方をまだ強く持つているという関係で、決定には至つておりませんが、鋭意交渉中という状態になつておるわけでございます。
○井出委員長 続いて前谷食糧庁長官。
○前谷説明員 先般七月十七日に食糧対策協議会の答申がございましたので、その概要につきまして御報告を申し上げます。 この食糧対策協議会の答申は、前文におきましては、国民主要食糧の大宗である米につきましても、終局的に自由取引を認めて、政府の干与を最小限度にすることは望ましいけれども、戦後におけるわが国の米の供給の状態、人口の状態、また国内におきまする食糧増産の現状というふうな点、さらに国際収支の点等を考えまして、現在の需給がまだ困難な状態にあるので、この際におきまして現行に対する根本的な改変を加えることは時期尚早ではなかろうか、その意味からいたしまして、現在の食糧管理制度に対する集荷の問題、配給の問題、価格の問題、金融の問題、輸入食糧の問題、食糧増産等の問題、食生活の改善、こういう問題について現在の根本的改変を行わずして、現状の制度に改善を加えるべき点について問題を指摘せられておるわけでございます。 第一の集荷の問題につきましては、現在の供出制度が、現在の社会経済状態及び農民心理の状態からいたしまして非常な問題があるが、できる限り集荷団体の機能を活用いたしまして、集荷団体による集荷方式を実施することが適当であろう、その方法といたしましては、政府の集荷目標量に基いて、生産者からの申告による予約売渡し数量をまとめまして、そして生産者団体る一括して政府と契約を締結する、これに対して予約をいたしました生産者に対しては奨励金を付する、こういうふうな考え方のもとに集荷団体の全面的活用という案が考えられたわけでございます。ただ二十九年産米につきましては、時間的な準備もございますし、また二十九年度におきまする各種の状態からいたしまして、ただちにこの全面的な集荷団体による集荷方式に移行することは困難であろうから、経過的措置といたしまして両者を併用する考え方をとつてはどうか、こういう点が主眼でございます。 配給問題につきましては、やはり現行の配給制度を維持する、しかしできるだけ現在の複雑な配給制度を簡素化して参つたらどうか、その重点といたしまして、内地米をたとえば十五日程度といたしまして、消費者の希望によつて外米にかえて麦類等の配給を行う、あるいは労務加配米につきまして再考慮するという点を掲げられております。 価格問題につきましては、生産者の再生産を確保いたしますために、パリテイ及び生産費の面をあわせて決定するように再検討することが必要である。消費者価格につきましては、国民経済の安定の要請からいたしまして、消費者の家計に不安を与えないように、必要な場合においては最小限度において財政負担を行うこともやむを得ないだろう。各種の奨励金につきましては、早場奨励金及び予約奨励金を除いてできるだけ整理したらよろしかろう、こういうふうな点を指摘せられております。 金融問題につきましては、現在の政府の集荷金融及び配給制度の金融につきましては、政府の金融に依存する方法を、だんだんに本来の方法に直すような方法を考えて行つてはいかがか、こういう点を指摘せられております。 それから輸入食糧問題につきましては、外貨等の事情からいたしまして、米の輸入数量を国内の食糧増産の状況あるいは通商関係等を考えまして、一定数量に限定して行く。国内の作柄不良等による輸入の増加は極力避けて参る。その場合においては、米以外のものでもつて輸入の増加をはかつてはいかがか、こういう点を指摘せられております。それから食糧増産問題につきましては、従来から進めている増産計画をさらに強力に進める必要があろう。食生活改善につきましては、酪農奨励、学校給食の改善、拡大、人造バターの品質向上、こういう点を進めるようにという点を指摘されているわけでございます。
○井出委員長 それではこれより質疑に入りますが、私から一、二点大臣にお伺いしておきたいと思います。ただいま塩見改良局長から、本年度の作況は、冷害凶作必至であるというお見通しの上に立つて、それぞれ適切な手段を講ぜられようとしている旨の表明がございました。それを要約して参りますと、やはり農薬という問題に重点がかかるように思われます。本年の予算措置は、農薬に対してはきわめてきびしいものであつて、大きな数字ではございません。けれども今われわれは、食糧増産というよりも、目先の減産防止という観点から、農薬問題に集中して対策を講じなければならぬと思うのでありますが、これについては大臣も、閣議において非常なお骨折りをされておられるように承つております。従いましてその間のお見通しといつたふうなものを、この機会に最初に伺つておければ、あとの審議にも都合がよろしいかと思います。 もう一点は、食糧対策協議会が出された答申でございますが、これは長い間かかつてのほぼ結論的なものであろうと思われまして、非常に重大性があるものと考えます。もちろん政府はこれを尊重して行かなければならぬという建前に立つでありましようが、相当大きな変革も予想されますので、この答申案を前にされて、当局としては、これを相当大幅に織込んで今後の対策をやつて行かれるかどうか。今のところは単なる参考という程度かどうか。その辺の消息をも一つお漏しいただけばけつこうかと思います。
○保利国務大臣 今年の稲作の状況、特に昨年の冷害地帯の稲作の状況は、先ほども統計調査部長から申し上げましたように、心配いたしております。ただ私どもとしましては、昨年襲いました冷害は、東北はよかろうよかろうと安心をしているところに襲つて来た。本年はまだ稲の成育初期から異常天候に襲来されて、従いまして私どもの気持としましては、また方針としましては、いわば乱打されている警鐘に対して、国も県もまた農民自身も、いかにしてこの悪条項と闘い得る技術を持つているかという力だめしをする大事なところじやないか。そこに農業技術と申しますか、とにかくなし得る限りの手は尽して、減産を防がなければならぬというようなことで、特に技術指導の面につきましては、先ほども改良局長から申しますように、私どもとしては一応万全の措置をとつているわけであります。農薬の問題は、天候が回復をしてからつと照り出したときに、どういう事態が出て来るかということはほぼ想察されるわけであります。その場合に農薬の問題が予算上の障害になつて来ることは、御指摘の通りであります。私はあまり大騒ぎをされる前に、政府として早く手を打つことが大切であるという考えから、とにかく予想せらるべき事態に即して、今日予算上不十分な農薬措置に対して特別措置を講ずるという考え方を強くとつております。そして大蔵当局とも話を進めているわけでございます。これは予算編成のときからの農林、大蔵両者の激突した問題の一つであるわけであります。その困難は、今日必ずしもなくなつているとは申し上げられない状態でございます。しかしながら少くとも農薬に対して特別措置をとるということだけは、大蔵大臣の了解をとりつけているわけであります。財政当局としては、一連の施策を取進めている際であるから、これを私どもの満足するような形で了解することは非常に困難かと考えておりますけれども、とにかく食糧を確保する、しかも打つべき手としては最良の手であるということがわかつております以上は、私は何とかして達成したいと思つております。事務当局におきましても、同様の考えをもつてただいま懸命の折衝をいたしている段階でございますので、さよう御了承願いたいと思います。それじやせめて去年並にできるかと言われますれば、ただいま申しました通りの段階でございますから、それ以上はいたずらな放言になろうかと思います。 食糧対策協議会は、昨年内閣に置かれまして、事実審議を始めたのは一月からでございましたが、非常に熱心に御審議をいただきました。しかし審議をすればするほどだんだんむずかしくなつて来るということが、これはありていに答申に現われているわけであります。いずれにしても、今日の食糧事情のもとにおいて食糧管理制度を撤廃するということは、事実不可能であるという結論は、私は大きな結論であると考えております。答申の事項はただいま検討いたしておりますが、今年の出来秋には、つまり食糧管理法自体の改正を要する事項ありやいなや、その事項につきましては、いずれにしても今年は着手できない。しかし私としましては、とにかく審議に努力をいただき、責任を持つて御答申をいただいておるわけでございますから、これは私としてはできるだけこの線に沿うてこの秋に対処して参りたい、こう考えております。
○井出委員長 それでは通告順に従い、これより質疑を許します。金子與重郎君。
○金子委員 今の農薬の問題が、現在さしかかつておる凶作対策として一番大きな問題だということは、農林省当局もわれわれ委員も、また実際にこの問題に携わつておる農村側としても、大体意見が一致しておるのであります。そこでただいま農林大臣のお話によりますと、こういう問題があまりやかましくならぬ前に、政府としてこれに対する対策を講ずることが適当だということから、せつかくお骨折り願つておるような御説明があつたのであります。そこで一番問題になりますのは、この春の凍霜害のときに、凍霜害の対策として営農資金の貸付等の問題を一応やりまして、次に助成策としてどういう問題を取上げるかということで、大蔵当局と再三再四私どもが折衝いたしましたときに、当時までの大蔵省の見解は、農薬は農業経営の一つの資材だ、農業経営上の生産資材を助成するということは、大蔵省としてはどうしても納得できない。一つの生産事業をやつておるのは農民だけじやないので、生産のために当然必要な支出であり、資材代金を助成するということは際限がなくなるというようなことにあつたのであります。しかし当時私どもの大蔵省に対する了解を求めていた一番の重点は、なるほど農薬も肥料と同じように、農業生産をする上に必要な資材ではあるけれども、農薬の場合は肥料の場合と違つて、どうしても特定の農家の個々の自由意思にまかしておけないのだ、一つの場所に病害なり虫害が出れば、それをほうつておいて——ほかのたんぼに病虫害の駆除に大きな犠牲を払つても、それを一つ残すことによつてその効果があがらない、いわゆる法定伝染病のようなものであつて、自分の自由かつてだということに行かぬのだ、そういうな特殊性があるのだから、肥料のようにたくさんしようと少くしようとおれのかつてだというものと性質が非常に違う。そういうように農薬には特殊性があり、しかも今農薬に対しては農村の指導者、あるいは知識階級の人たちは非常に関心が深いけれども、一般の農民はまだそこまで行つていないきらいがある、過渡期である、こういうような点から、この農薬に対する助成ということを強く要望したのですけれども、その理論的なというか、その見解については、最後まで大蔵省は了承しない。それで最後に、それならばと折れ合つた点は、共同防除のための器具だというならば、農家個々の対象にならないから、それで折れ合おうといつてありの涙程度のもので解決ができたわけであります。それは大臣も御承知だと思いますが、そこが一番問題でありますので、今事務当局や大臣が大蔵省と折衝いたしますときに、その問題は、大蔵省はどの程度まで見解が開けておるか、その実質的な内容の話をひとつお伺いしたいのであります。
○保利国務大臣 私はそこらのところをさつき申し上げたつもりでございますが、衝突しましたところはその点でございました。その困難は、大蔵省方面においては、依然としてその困難に私はぶつかつております。しかしながら、そういうりくつは抜きにしても、とにかく今年のこの予想される異常天候から来るところの異常事態に対しては、りくつはあろうけれども、とにかく手を打たなければいかぬじやないかということが一つの主張でやつておるわけであります。
○金子委員 とにかく大蔵省が一つ覚えに主張しておるのはそれなんでありまして、その点が、そのりくつは言いつこなしということで予算を出すということになればけつこうな話で、それは話はわかるのです。それほどおおらかな大蔵省であればわれわれは苦労しないのでありますが、そこで今あなたの方から大蔵省に要求しておる具体案は、どんな程度のものを具体案として要求しておるのですか。
○保利国務大臣 私は実は原則論でやつておるわけでありまして、それじや具体的に幾ら幾らということは、これは昨年と今年との全体的の情勢からいたしまして、そう十分事足りるというようなことは、どの面でもできるはずはございませんから……。しかし農林省としても、とにかくこれならば農家の方がむしろ進んでやつてくれるであろうというぎりぎりのところでこれはやはり要求すべきものであつて、単なる机上計算で、何と申しますか、いつでも良心的にはやつておるつもりですけれども、そういう意味でやつてくれということを事務当局にはお願いしておるわけであります。
○金子委員 これは改良局長にも伺います。
○塩見説明員 ただいま大臣から御答弁のありました通りに、原則論では対立のままでございますが、とにかく異常な事態でございますので、それを前提として特別措置をとる、こういうことを大臣から大蔵大臣の方の了解をとりつけていただいておりますので、それを前提として進めておるわけであります。それで私の方といたしましては、現在までの各県からの発生予察の数字等から推定いたしまして、どのくらいに発生面積がなるであろうか。——かなり困難な点もございますが、それを推定いたしまして大蔵省の方へは説明をしておる、こういう状態でございますが、その数字のとり方とかその他について、向うとしてもいろいろ意見があるわけでありまして、今その数字を詰めつつあるわけでありまして、こちらの方から最後的なものを持ち出しておるというような段階にはなつておらない。それを補助金の方にひつぱり込もう。向うはそれをできるだけ備蓄の方でもつて片づけよう、こういうところでもつて対立したまま、一方数字の方と並行して詰めつつある、向うもこつちの推計に対していろいろ意見がございます。そういう状態でございます。発生状況は大体前年度よりは幾らか少いくらいに想像されると思うのですが、これも今後の天候次第でどうなるかわかりません。東北のいもち、あるいは西日本の螟虫等につきましては昨年以上ということが想像されるわけであります。
○金子委員 この際農林大臣がお見えになつておる機会に、非常に最近われわれにわからない問題が一つあるのでございます。それは先日の米価審議会で相当論議された問題でありますが、昨年度において麦の政策のときに、外米の輸入をできるだけ防止するためにはまず粉食の奨励ということが望ましい。しかしながら粉食の奨励といつてもそれにはおのずから限度があるから、長い間の食習慣として、結局飯という形に相当たよる。そうした場合に内地の麦の生産は、品質の問題から検討しても価格の問題から検討しても、むしろ大麦、裸麦に対して奨励的な立場をとつて、それを増産して行くということが必要だということは、当時当該委員の各位の一致した意見であり、また農林省もそういうようなお気持を持つたと思います。従つて去年の麦価の決定については、若干その考え方も実際の上に含まれておつた。幸いに全国の麦産地の生産者もそれに呼応して、その方向へ生産高が行つておる。にもかかわらず、ことしの麦の価格は逆に下げておる。大麦、裸麦を下げておる。また大麦、裸麦の加工原料としての政府の払下げも若干下げておる。しかしあの程度の下げをしてみたところで、とても台所に影響するという程度には行かぬ。中間に加工業者なりあるいは中間業者というものが相当ふえておりますからして、国家が末端まで管理しておるならこれは別でありますが、今の状態ではそうは行かぬ。そういう点を勘案いたしましたときに、この間審議をあれだけ熱心にやりました米価審議会へ出た諸君に、この理由はどういうわけでこうしたのかということを聞いても、さつぱりわからぬ。われわれに説明するだけの何も持たない、こういうのであります。先日食糧の小委員会で、長官をお呼びしまして、どういう理由でこうしたのかということを質問したのに対して、わかつたようなわからぬような説明以上は何とも説明できぬ。そうするとこれはもうどうしても最高の責任者の大臣に、これは根拠をこういうところに持つたのだということでもつて、われわれが納得のできるような説明をこの際お願いしたい。そうでありませんと、私どもはこの重要なる農産物の基幹である麦の問題を取上げても、どうしてこうなるのか、来年は一体どうなるのか、農民から、ではどういう方向でわれわれは国家に協力すべく計画を立てて作付をしたらいいのかということを聞かれてもわからぬ。来年は来年でまたかわるかもしれないということでは、われわれは食糧の自給態勢の確立なんて大きなことを申しましても、これは結局無定見だということになりますので、どうぞ率直なるところを、こういう理由でそういうことをしたのだというように、大臣からお教えを願いたいと思います。
○保利国務大臣 今年産の麦価の問題につきましては、政府の諮問原案に対しまして米価審議会の御答申は、かなりそれを修正しなければならないというような答申をいただいたわけであります。従いまして、米価審議会の意向に基きまして、さらに努力を重ねてみましたけれども、諮問原案以上に出ることができなかつたことを非常に恐縮いたしておるわけでございます。昨年の麦価決定にあたりまして説明いたしておりますところは、今後食糧増産に全力を傾けても、ある期間外国食糧に依存せざるを得ない需給状況にある。従つて外地から入れる食糧は、できるだけひとつ国民経済に寄与し得る食糧を入れて行くことが必要ではないか。そのためには国際的に供給力の非常に高い小麦の方にウエートを置いて行くことが正しいじやないか。従つて、いずれにしても絶対量が相当大幅に足りない、不足いたしておるわけでもあるから、同じつくるならば国際的に供給力の著しく高くない大、裸の方に増産を持つて行くことが、増産対策としては妥当ではないかということが、大、裸に対して価格優遇の措置をとつた点であることは御指摘の通りであります。そこでそのつもりで、その価格政策は生産の面にも端的に反映せられて、小麦の生産は作付が減り、大、裸の作付が増加しておる。これはむろん菜種の作付転換が大、裸にかわつている面も非常に多いわけでありますけれども、三麦の状態を見ますればそういうふうになつておる。そこで私どもとしましては、この考え方をとる実際の事情は少しも変化はない。従いまして小麦に比して大、裸に対しでき得べくば大幅の優遇措置を講じて行くことが妥当である、こういうふうに今日も私は固く信じております。問題は、この農産物価格、特に米麦の価格決定をいかなる基準によつて持つか。米の方は全量管理という形をとつておりまして、またそればかりではいけないと思いますけれども、麦の方につきましては間接統制をし、いわゆる自由取引になつておりますから、最低の価格と申しますか、支持価格と申しますか、そういう多少米と麦との価格の性格は違うにいたしましても、やはり基本的には、いろいろ生産主義でありますとかをとるべしという意見もありますけれども、やはり権威ある人々の御意見によりましても、とにかくパリテイ主義にのつとることが今日では一番合理的であり、かつ妥当な価格決定の基準である、私もさように考えておるわけであります。従つてむろん全般情勢が、物価の引下げを、かなり無理なと考えられる政策もとりつつ、物価引下げの方向に全体が動いております際でございますから、その方向においては、私どももこれに協力して行かなければならぬことは当然のことでございます。それはひとり農家のみならず、全体がやはり自己の国民経済を守りますために、今日物価引下げに協力して行くという形は最も望ましいことだと考えるのであります。 そこでお話のように、わけのわからないきめ方になつた。パリテイ裸であれば、それはそれなりでまたわかる、すえ置きならすえ置きでまたそれもわかるということであろうと思うわけでございますけれども、すえ置きにすればパリテイ主義が守られぬし、パリテイ裸にすれば大、裸優遇の措置はとれませんし、最も正直に申し上げまして、私としては小麦は裸パリテイでよろしい、大裸は少くとも昨年の、従来の価格のところまでは優遇したい、優遇した価格を持ちたいということでねばつてみましたけれども、その半分の優遇ということになりまして、まことにどうもその点は……。しかしながら大、裸を小麦に比してやはり今後も優遇して行かなければならぬという食糧事情は少しも変化はない、従つて今後もやはりそういう政策はどうしてもとつて行かなければならぬというように私は考えております。
○金子委員 あとに質問する委員がたくさんありますので、簡単にもう一点だけ質問しますが、実は本委員会の食糧小委員会でも、今度の食糧対策協議会の答申案が出ておりますし、また今の食糧管理の方式に対しても、いろいろ委員会において常に問題になつております関係上、先日以来小委員の間において答申案の出るのとにらみ合せ、当委員会の意見としてもどういうふうな具体的な方法をとるかというふうに研究しておるのであります。そこで先ほどちよつと委員長からの質問でお答えがあつたようでありますが、もう一ぺん確かめるような形になりますが、この答申案が出て——もちろん答申案が出たからというて、もともとそれをそのままというわけでもなしと思いますが、これに対しておそらく当委員会におきましてもあるいはこれと違つた面があると思いますが、一応の結論を出して大臣の方へ出したい、こういうふうなつもりでおりますので、今度の秋の集荷あるいは配給というものから、相当熱意を持つてこれを改善して行く、抜本的にということにはおそらく行きますまいが、改善して行くという御決意を今持つていらつしやいますか。そのことによりましては、私どもも非常に多忙のところを出て来ておりますので、せつかくの結論を持ちましても、何ら政府で——それをそのまま用いろという意味でなしに、熱意を持つてこれに入つて参りませんと、委員会の審議もほとんどむだに近い結果になりますので、その点あなたの御決意を伺つておきたいと思います。
○保利国務大臣 ちようど食糧対策協議会の活動が始まりましたのが、たまたま国会の審議、討議と相並行しておるというような、ある意味においてはいい時期であつたわけでございます。食糧対策協議会の方にも、各政党の方々の御意見も十分伺つてというような意見も内部的にはございましたけれども、これは各政党に政府の責任においていたすべきを転嫁するというようなことになつてもと思いましたので、ことさらにそういうことをいたしませんでした。しかし私としましては、とにかく食糧問題は全国民の問題であるから、従つてできるだけ広く御意見を承る。特にその意味におきましては、国会の御意見は特に注意を払わなければならぬということで、折節両院において行われました食糧問題に関する御意見につきましては、食糧対策協議会に報告した方がよろしいと思いましたときは食糧対策協議会に出かけて行つて、こういう論議が行われているということも審議の過程、討議の過程にはいたしておることであります。その問題とは別でございますけれども、ただいま当委員会の小委員で御討議をいただいておるということは承知いたしております。もし結論が生れますならばなるべく早い機会に結論をいただきたいものだ、それまでは私の方の方針決定を待ちたいという気持でおるのであります。ただ時間的に問題がございますから、その点はお含みいただきたいと思います。
○金子委員 そこで月曜日、火日曜にまた小委員会がありますが、私の質問は以上にいたしまして、今時間的に間に合わぬと思いますので資料を要求しておきますから、長官お書きとめ願いたいと思います。これはこまかい資料として出ております中に重複するのがあるかもしれませんが、もしあつて重複しても一応出してもらいたい。それは二十八年度産米の一箇年の収穫高と農民の自家消費に充てたもの、これを基礎にして考えたときに、一箇年間にやみで流れる推定数量は一体幾らに見ておるか。これは推定でいいですが、しかし推定はできませんというようなことは、食糧管理をやつているのはあなたの方ですから言えません。それからわかりやすい形で、今対策協議会でも問題になつておりまする現行の配給制度による配給の地域差の一覧表、これはあまりこまかいやつでなくていい、見やすくつくつていただきたい。それから配給の問題ですが、労務加配の一箇年の所要量、それから業務配給は今やつてないのですね。そこでこれも非常にむずかしい推定でありますけれども、われわれもこれをつかめないと、この問題は一応の予測をいたしませんと、どういう方法をとるかということに目安が立たないので、一体今の業務用として、要するに業務のために使つている米が、大体やみ米の一番大きな消費ルートだと思うのですが、これは業態別に計数をかけてみると、大体こういうふうに使うとすればという——たとえばすし屋ならすし屋がどれだけある、これはほんとうの統計から出たものでいいのですが、これがどれだけの米を使つたとすればこういうようになるというような推定でいいのですが、私どもそういうものを計算する基礎を持つておりませんし、手間も持つておりませんので、業務用として今市場で毎日米の飯を出して売つておりますが、あれは一体どれぐらい日本で業務用というものがあるものか。これを見ませんとやみの問題に対してはどうも見当がつかないのです。これをひとつやつてみてもらいたいと思うのです。それから米の価格が労働者の生活を大きく脅威するようなことが非常に強く言われておるのですが、一体十五日間の今の米の配給というものが消費に占むる部分、総体の生活に対する一つのエンゲル係数です、これの十五日配給を基礎にしたところのこれだけ影響するということ、これを現行価格から一割上げたとき、二割上げたときの全体の生活のパーセンテージにどれだけ影響するか。それからその次は、これはなおさらわからねことですが、むしろこの段階になると、わかつている数字よりもこの数字の方がわれわれの考えの置き方ですが、今配給を十五日しかしておらない。そうすると残る十五日というものを一体どういうふうな生活形態で行つておるという見解で、あなた方は十五日配給しておるか。あとは食わずに行けというのか、あるいはやみで行けというのか、あるいはうどんやその他の粉食をどの程度にしろというようなことは一体説明がつくのか。それに対する十五日しか配給しないというあとの残されたものの説明をするとすれば、どういうふうに説明をするのかということが一つ。それから次は管理の問題ですが、管理の問題として最近における一箇年、つまり二十八年度に当然なるのですが、買入れの総額と売渡しの総額とプラス管理費、それから総体に米の管理に対してどれだけプラスしているか。あるいは二重価格になつているか。その結論の表だけでいいです。それから最後には、現行の米価に対して奨励金がたくさんついておりますが、その奨励金を全額で見たときに、平均石当り何パーセントになつておるか。それで答申案にあるように、早場米奨励金を除いたものの残りの奨励金というものが、平均米価一石に対して何パーセント占めておるか。これは今後の買上げに対する参考です。これだけさしあたり私から要求しておきます。これは月曜日の委員会までに出していただきたいと思います。
○前谷説明員 できるだけそのようにいたしますが、ただいまお話の業務用米とやみ米との推定は、これは数字から推定いたさなければいけませんので、これは当るも何とかということは全然別問題として、こういう推定の方法があるという意味でできるだけやりたいと思います。
○井出委員長 それから食糧対策協議会は速記をとつておりますか。速記録をわれわれの手元へ配られましようか。
○前谷説明員 今部数を限定いたしておりますからどの程度現在あるか調べてみましよう。
○井出委員長 米価審議会の速記録があればそれの記録もほしいのですが、お願いします。 それから次に芳賀貢君。
○芳賀委員 先ほど前谷長官から現在における食糧の需給関係等の御説明がなかつたように考えますので、この点をお伺いしたいと思います。これは特に午前中の委員会において、東北あるいは四国、九州、近畿地方の調査班の報告等を見ましても、本年度の作況はすでに冷害であるということは、もう決定的であります。ただこれを人為的に施策の上において、あるいは生産者自体の努力の上において、どの程度に食いとめるかということに最善の努力を傾注しなければならぬというふうに考えているわけでありますが、かかる情勢の上に立つての食糧の需給関係というものはどういうものであるかということが明確にならないと、凶作であるというような事象から来るところの消費者の不安というものもまた増大されると考えられますので、その点に対しての御説明を願いたいのと、もう一つは、先ほど統計調査部長から抽象的な、たとえば五月の暴風雨によるところの減収が十七万石あるとか、あるいは北海道の東北が現在成育遅延であるというような、ごく限られた部分に対する説明しかなかつたわけでありますが、少くとも統計調査部といたしましては、全国的にこれをながめましても、作況の上に立つた見通しというものはすでに持たれる段階に来ておるのではないかというふうに推察されますので、新任早々ではありますけれども、もう少し具体的な作況の状態等に対する説明も、あわせて願いたいのであります。
○前谷説明員 食糧の需給の問題でございますが、二十九米穀年度の需給——昨年の十一月から本年十月までの需給につきましては、従来から申し上げているような考え方で進んでいるわけであります。これにつきまして問題になりますのは、現在の集荷の状況は約二千四十三万石程度でございまして、当初目標にいたしました二千百万石にはまだ及んでおらないのであります。われわれの現在の見方といたしましては二千五十万石以上のものは集まり得ると思つておりますが、その不足分につきましては本年の二十九会計年度におきまする総輸入の中から、その到着を早めるということによつて本二十九米穀年度の需給はなし得ると思つております。もう一つの問題は、二十九米穀年度におきまする早場米の集荷、これは約十九万トン程度見込んでいるわけであります。これが本年の作柄いかんによりましてどういうふうに予定がつくかという問題が、現在の二十九米穀年度としては残された問題であります。この点につきましては、大体各県に計画を示しているわけでございますが、今後の作柄の状態によりましてさらに再検討しなければならぬ問題がそこに残つているということを申し上げたいと思います。ただ三十米穀年度につきしては、全体の計画が判明いたしておりませんので、まだ検討をいたしておりません。これから検討を始めるという段階でございます。
○原説明員 ただいまの御質問でございますが、先ほど統計部長からきわめて要約的に御説明をいたしましたが、私から多少補足いたしまして御説明いたしたいと思います。 芳賀先生も御承知のように、稲の作柄を見立てますには、一応ただいまの農学上の技術といたしましては、穂が出ましてからその作柄というものがかなり技術的に把握できるのでございます。さような事情からいたしまして統計調査部といたしましては、八月十五日現在、九月十五日現在というように、つまり八月十五日現在をスタートといたしまして、以後一月おきに収穫実収高まで調査いたしまして、それぞれ大体二週間くらいあとに皆様に御発表申し上げるという段取りで進んでいるわけであります。しかしながら皆様御心配の通りの本年の状況でございますので、私の方でも新しくいろいろの調査等をいたしまして、大体の目安といいますか、状況を把握しようと努力しております。さような状況から見ますると、午前中も川俣先生から青森の状況等についてお話がございました通りの状況でございまして、北海道それから表東北、なかんずく青森あるいは岩手等におきましては、草たけにいたしましても、茎数にいたしましても、状況は非常に悪うございます。茎数などを見ますと、昨年と比べましても半分近くといいますか、さような状況になつておるように見受けます。なお統計部長から、全体といたしまして表東北の方が、裏東北といいますか、日本海岸よりも悪さがひどいということを申し上げましたが、表東北の中でも南の方へ参りますと、ただいま申し上げました青森、岩手に比べますと、状況はある程度よくなります。しかしこれと申しましても、やはり茎数の減少は、昨年に比べまして二、三割はどうしても少いという状況のようでございます。日本海岸の方へ参りますとその状況は多少緩和されまして、山形、秋田等におきましては、その状況が多少よく、北陸へ参りますと御承和のように気温その他の条件が東北あるいは北海道よりは幾らかよろしい関係からいたしまして、茎数の増加状況などは東北に比べますとかなりよろしゆうございます。もちろん昨年に比べますと若干劣つておりますが、その程度は若干という状況でございます。しかしながら先ほど改良局長からもお話がございました通り、今後の天候の推移等が非常に問題でございますし、病虫害なかんずく稲熱病等の発生につきましては非常に危険な状況にあると考えております。 以上が私らの方で無理していろいろ調査いたしました東北の、ただいまの大体の状況でございますが、関東から九州にかけまする広大な地域につきましては、これは田植えをいたしましてからまだそう日がたつておりませんし、従来のいろいろの研究を拝見いたしましても、八月の天候によりまして最終的な作柄に非常に影響が多い。六月あるいは七月という時期は、その後の天候によりまして比較的左右されるという状況でございますので、ただいま関東以西でも、草たけあるいは茎数の状況は昨年よりは多少劣つておりますが、これはただいま申しました通り、ただいまの段階で作柄をどうこう申し上げる段階にはないことと存じます。ただ午前中の御報告にもございましたように、西日本におきましては水害等がございまして、そういう地帯における今後の作柄につきましては、非常に心配もしなければならぬ点もあろうかと思います。非常にむずかしい作柄の年でございますので、いろいろ学者各位の御援助を得まして、せつかく努力しておりますが、今後も判明いたしますればまた御説明をさせていただきたいと思います。
○芳賀委員 今回私たちが調査にあたつて特に感じた点は、現地における統計調査部の諸君が、去年の春以来一箇年の苦しい体験を通して、今年はあらゆる事態に対しての作業を進めている、このことが顕著であるということを認めたわけであります。すでに東北等の早場地帯においては、有効分蘗の時期を過ぎようとしておるような事態の上に立つて考えたときには、容易ならぬ作況であることが推測できるのであります。そのことは単に水稲だけでなくて、たとえば六月九日、十日の東北等の凍霜害の場合におきましては、麦に与えた影響というものは、最終的な調査によると、想像以上であるということが言われておるわけであります。これらは、粒数計算等によつて統計調査事務所等が調査した結果というものは、すでに中央へも報告されておると思いますが、そういうような結果というものは、本年度の麦類の全体の収穫の上においても、相当の狂いが来るのではないかと考えさせるのであります。そういう点に対しましては、昨年の麦類の収穫の総量に対して、今年はおよそどのくらいの数字になるということも一応お伺いしておきたいのであります。そのことはなぜかというと、先ほど佐藤委員からも御意見があつたわけでありますが、たとえば六等麦の設定の場合におきましても、農林大臣並びに食糧庁長官の見解というものは非常に楽観的であります。昨年の同期に比しまして十倍以上の買上げがすでに行われておるということは、これは決して本年の麦作が豊作であつて、究極においても予期以上の買上げができるということと符合するのではないのであります。結局これは、今年の政府のいわゆるデフレ政策のしわ寄せというものが一番先に農村に出ておるのであつて、結局農家が経済的な一つの理由から、早売りをしておるということがわれわれには認められるのであつて、決してこれは豊作によるところの買上げの状況というものが非常に順調に進んでおるということではないと思うのであります。そのことを考えた場合においては、結局麦作等においても東北地帯の減収は最終的には顕著である。あるいは稲の現在の成育の状況から見て、今年の収穫の減収というものは、おそらく昨年よりもふえるであろうということは想像にかたくないのであります。そういたしますと、結局食糧政策の面から見る場合においては、いかにして国内における食糧を確保するかという問題がまず確立されなければならぬと思うのであります。かかる見解の上に立つた場合においては、当然六等麦の買上げの場合においても、単に局地的な災害を受けた地帯だけの事象を取上げて、これをいかに救済的に買上げをするかということだけでなくて、国内における食糧の確保を今から手まわしよくやるということの方が重要な意義があると思うのであります。最近における政府の食糧関係のやり方を見ると、とかくMSAの余剰農産物等に多分に依存し過ぎておるような傾向が強いのであります。これは農林大臣としても否定される余地はないと思うのであります。こういう観点に立つと、当面しておるところの六等麦の買上げを、できるだけ現在より緊張した態度の上に立つて行い、食糧確保を行うという方針というものが必要であると考えますが、これらに対する所見を、大臣はいかように持つておられますか。
○保利国務大臣 国内食糧の確保をおろそかにして、MSA等に安易に依存しておるということは、これはもうまつたく私の思いも寄らざるところであります。MSAであろうと、何であろうと、とにかく国民経済の現状は、不必要なものは一つも入れられないという状況にあることは御承知の通りであります。先ほど申し上げましたように、今年の等外麦につきましても、食糧管理上取扱える限りのものについては特に考慮したい、こう申しておるわけであります。それとこれとは何も関係はないのであります。ただ一つ私が一番心配しておりますのは、そういうような一部分でも誤解の持たれる——つまり国内の食糧確保をゆるがせにして、外国の一部に余つておるものがあるから、それにたより込もうとしておるというような考えは私には絶対にございません。またそういたすべきものではない。しかしどの道、先ほども申しますように、相当大幅に外国食糧に当分依存しなければならぬという現実は否定できないものでありますから、その限りにおいてできるだけ国民経済に有効な措置を講じて確保して参るということはこれは当然のことだと考えておるわけであります。
○芳賀委員 ただいまの大臣の御答弁を聞くと、一応ごもつともらしいのでありますが、結局しかし実態はそうでないわけです。たとえば現在の国内に要する食糧の絶対量は、これは自国内でまかなわれないということはわかつております。しかし先ほど金子委員も触れられた通り、輸入外麦をある程度飼料等にまわしておることは事実なんです。問題を六等麦と関連して考えた場合においても、もしも六等麦というものはこれが食用に供されないというような場合においても、これの活用の道というものはやはり政府当局において十分考える必要があるのではないかと思うのであります。MSAの古い、虫の食つたような小麦を大量に入れるということは、一つの方法かもしれませんけれども、もしも国内において天候異変等によつて食糧にならぬような麦類が生産された場合においても、これはやはりできるだけ買い上げる措置を講ずるということも必要になつて来ると思うのであります。それが食用に供されないような場合においては、一部飼料に転用することも可能であるし、そういう場合においては、外国から不足の輸入食糧というものは、十分厳密に検討して、黄変米であるとか、あるいはそういう品質の悪い小麦を入れないようにするという措置も、こつちは買う側ですから、お得意側ですから、そういう選択の自由というものは、われわれの方で持つているというふうに考えるわけであります。これは実に切実な問題であるし、考慮中というようなことでいつまでも引延ばすことはできないというふうにも考えられますので、食糧の確保の上に立つた六等麦買上げの問題というものは、先ほども与党である佐藤さんからも、今日この場所においてイエスかノーかの表明をしてくれというような非常に強い追究もあつたようでありますが、この結論というものは、当然出さるべきであるというように私たちは考えております。それで、きようただちにということはできないとしても、これはごく近い将来という形容を用いない時間的範囲内において、大臣としては善処するようなお考えを持つておると私は思いますが、もう一度確認しておきたいと思います。
○保利国務大臣 外国から買つたものを飼料なんかにまわしている場合があるじやないか、そういうこともあるのだから、やつたらいいじやないかというような考えで、食糧管理特別会計をそういうふうなルーズな頭でいじくり出した日にはとても困る。結局はこれは全国民の背負い込まなければならぬ問題でございますから、やはり食管会計というものは堅実に運営されて行くという方針は堅持して行かなければならぬ。どうも困つたときに食管でどうするというような救済機関みたいに食管が動くということは、これは制度運用からいつてよほど考えなければならぬのじやないか、食糧長官もその点を非常に心配しておるわけであります。その趣旨はあくまで貫いて参りたいと考えておるのでございます。等外麦の取扱い方につきましては、大体先ほどから申し上げておるところで御了解をいただきたいと思います。
○芳賀委員 今大臣が言われましたが、私は決して食管会計をルーズにやれということではないのであります。六等麦を設定するということは、五等よりも品質が下であるということを是認したことになるし、当然等差が設けられれば、価格差というものはそれに随伴して出て来るわけです。だから、品質の優秀なものと六等麦を同じに買えばいいというような児戯に類したようなことをだれも言つているのではないのであります。しかもまた六等麦を設定するという場合においても、やはりこれは食糧として買上げ可能であるという範囲内においてのそういう等級が設けられると、私は考えておるわけなんです。だから大臣の心配されるように、ルーズに食管会計から赤字が出て、国民を耐乏生活に追い込むような負担が六等麦の買上げの中から生ずるというような事態には絶対にならぬと、私は考えておるわけであります。その次にお伺いしたいことは、これは昭和二十八年度産米に対する追加払いの問題、いわゆるバツク・ペイの問題でありますが、これもぼつぼつきめでやらなければならぬ時期に到達しておると思うのです。東北等を調査にまわりましても、特に秋田県等においては、県当局並びに県の農民諸団体等からも、もうすでにバツク・ペイの問題が決定さるべき時期であるがどうであるかという質問もあつたわけでありますが、これに対してはいかなる処理をなされるか、その見解をお伺いしたいのであります。
○保利国務大臣 バツク・ペイの問題は、私どももここで答弁に窮するくらいに真剣に考えておるわけであります。窮するということは取消しますけれども、私としては当然支払わなければならぬものだと考えて努力をいたしております。
○芳賀委員 大臣の誠意の片鱗はうかがわれるわけであります。これは昨年の凶作加算の場合においても、米価審議会の答申等によると、一石九百三十二円支払うべきであるということになつておるわけです。ところが政府は昨年度内において五百円、それから今年度の三月中旬と思いましたけれども、その当時に閣議決定によつて五十五円の追加払いということになると、これは米価審議会の答申から見るとまだ三百七十七円、一石で追加払いが不足しておるというようにもなつておるわけです。これは大体ほおかむりで逃げ切るお考えであるというふうに私は見ておるわけでありますが、せめてこの食管法の規定によるところの、パリテイ方式によつて当然追加払いが行わるべきであるというような算出が数字的に出て来た場合においては、これは政府の責任において実行するのが当然でないかというふうに考えられるわけであります。大臣はそうしなければならぬということを認めておられるのだし、これは当然農林大臣が農政に対する主管大臣であるので、たとえば大蔵省当局等において筋の通らないような意見があつた場合においても、このくらいの問題は大臣の責任において実現可能であると信頼したいのでありますが、相当の自信を持たれますか。
○保利国務大臣 筋から行きますと、それだけのものをまた消費者に持つてもらうということになつて行くわけでございましようから、筋からいえばきわめて簡単なことでございます。たとえば、顧みて他を言うようなことでございますけれども、数日前に行われました人事院の一般公務員の給与に関する報告を見ましても、そういうふうな事情はあるけれども、この際給与改訂勧告は行わないということを言つております。しかもその前提には、全体の物価を今日よりも引下げる障害になる措置はいたさないことを強く要請するというようなことを書いておりますように、やはり全体の経済情勢もにらみ合して行かなければならぬのじやないか。いわんやこの米の問題につきましては、私はそれを回避して行くつもりはありません。回避して行くつもりはありませんけれども、いろいろ考えなければならぬ要素は、たとえば米でもパリテイだけで値段を立てておれば、これはもう簡単なことでございます。ところがいろいろな加算であるとか完遂奨励金であるとか、何奨励金であるとかいうものが積み上つて、パリテイ裸にすれば七千二百円、それが積み重なつて行けば一万三百円かに平均すればなつておるということからいたしましても、そのところだけとつて、これが筋じやないか、筋はもう簡単なことです。これは買上げを高くするわけですから、売渡しを高くすればそれで簡単なことですけれども、しかし消費者価格を今日よりも上げるということはどうであろうか。しからばその分は財政負担をして行くか、財政負担に耐え得る政府の財政事情が今日あるかというところを勘案して、しかしただいま私は、支払うべきものであるという考えで努力いたしておるわけであります。
○芳賀委員 どうも了解に苦しむのでありますが、それは消費者にただちに転換されるから実現が困難であろうというような御見解も含まれておるようですが、現在デフレ政策が農村においてどのような現象で現われておるかということを申し上げると、たとえば生産資材等の面においては、肥料であるとか農機具であるとか農薬であるとか、こうした生産資材の面については少しも価格が低落しておらぬということは、これは大臣もお認めになると思うのであります。そういたしますと、生産者であるところの農民だけに犠牲をしいて、あえてデフレ政策を進めようという考えだけしかないということになると思うのであります。そういうことではなくて、個々の米価を算出する場合において、爾後においてこのパリテイ指数等に変化が来た場合においては、当然追加払い等の措置を講ずる義務を政府は持つておると思うのです、それがデフレ政策に背反するからやれるとかやれぬとかいう問題とは、これは違うと思うのです。だから、もしも最初に言われた大臣の御見解のように、信念的にこれはやはり実施しなければならないということを考えておる場合においては、これに明確な理論づけをして、実現するように努力さるべきであると考えるわけですが、後段の御意見によると、何かそれに対しても自信が持てぬようなことを言われておるわけですが、一体大臣はどちらをとつてこれを行おうとしておるのか。
○保利国務大臣 私は、そういうふうに全般の上から考えて、しかも支払うべきものであるという考え方で努力いたしております。しかし、これはなるほど農林大臣の責任でございますけれども、農林大臣限りにおいて処置がとれないわけであります。政府部内が全部そういう意見に同調してくれなければできないわけでございますから、同調していただくべく努力しておる、こう申し上げております。
○芳賀委員 その点が了解に苦しむわけです。あなたは独立した農林大臣として自由にやれぬということはわかるわけです。しかし少くとも吉田内閣という政府の中における国務大臣であるということにはかわりはないわけです。そうすると、農林大臣はこう思つておるけれども、ほかの大臣や何かがこれに同調しない場合はしようがないということで、いつもあなたはそれで行方をくらましてしまうようなことになるわけですが、そういうことでなくて、しからば現在の政府の考え方というものは、このバツク・ペイに対してはいかなる見解をとろうとしておるのか、その点をあなたを通じてお伺いしたいと思います。
○保利国務大臣 申し上げておきますが、支払うべきものだと思つて努力いたしておる、そういうことでございます。それ以上は何も申し上げることはありません。
○芳賀委員 そうすると、この問題もごく近い時期においてその結論が出るというふうに考えてよろしゆうございますか。
○保利国務大臣 これはとにかく近い将来でなければならぬことはもうわかり切つておることで、そうしたいと思つております。
○芳賀委員 ではその点は相当大臣も自信を持つてやられるように私は確認したので、この程度にしておきます。次に、先ほど食糧対策協議会の七月十七日の答申案なるものが配付されたわけでありますが、これは金子委員も触れられましたけれども、大臣の先ほどの御答弁によると、食管法の改正等に伴う点等に対しては、今年度中においてはこの改正等をやることはなかなか至難であるというような意味の表現であつたように聞いたわけであります。そういたしますと、今年中においては、この答申の中にある食管法の一部を改正しなければならぬ点等に対しては、これは時期的に見てもそういうことはできがたいというお考えですか。
○保利国務大臣 その通りでございます。
○芳賀委員 そういたしますと、この答申案が出されて、これを政府がどの程度採用するかという範囲は、非常に局限されておるようなことになるので、そういうことになると、今年度の集荷の面等においても、ある意味において非常に後退する現象が出て来るのじやないかということも危惧されるわけでありますが、そういう点に対しましては、現在の段階よりも決して後退するようなことはないという考えでこれを取扱おうとしておるか、その点はいかがです。
○保利国務大臣 後退か前進か、どちらにしても改善をして行きたい、しかし、食糧対策協議会でも、こういう点をやれば食管法の改正を要するとかいう点は相当考慮をされておると思います。そういうことも考慮されての答申ができておると思うのです。実際問題としましては、大幅に尊重をいたすにいたしましても、おおむねできるのじやないかと私は考えております。しかし、先ほど金子委員にお答えいたしました通り、当小委員会の結論は十分尊重しなければならぬと思つておりますから、いずれにいたしましても、彼此勘案して決定をいたしたい、かように思つております。
○芳賀委員 この問題は二十六日、二十七日の本委員会の小委員会等がありますので、それに譲りたいと思います。 次にお伺いしたい点は、これは改良局長からもお話がありましたが、今後の冷害対策等にも関連があると思うわけですけれども、私どもが調査にまわつて感ずることは、もうすでに各県が、県の自主的な立場の上に立つて冷害対策本部等を設置しておるということです。冷害が決定的になつてしまつてから対策本部等をつくるのが今までは建前になつておりましたが、もうすでに各県においては冷害対策本部というようなものを設置して今後の対策に当るような態勢が出て来ておるわけです。その場合において考えなければならぬ点は、たとえば病虫害の防除対策のような問題でありますが、今年度の予算面においては、わずかに二億円そこそこしか計上されておらぬわけであります。今までにおきましても、これは異例なことでありますが、東北、北海道等においてひめはもぐりばいの発生が十数万町歩に及んでおるわけであります。これらに要した薬剤の数量は決して少くはないのであります。たとえば北海道等においては約三千トン、あるいは秋田県等においては六百トン程度このひめはもぐりばいの防除に薬剤を使つておるというような報告を聞いたわけでありますが、今後のいもち等の対策に対しては、臨時的な防除費を出すような考えがあるようにも伺つたわけであります。今までにひめはもぐりばい等の発生によつて投入された農業薬剤等に対しては、政府はいかようにこれに対して助成等の措置を講ぜられようとしておるかという点をお伺いしたいと思います。
○塩見説明員 当面の問題としましては、私どもは減産防止という点から言つて、いもちに対する農民の手配が遅れることを非常に危惧しております。すでにもう行いました、または私の方で、備蓄を道府県等において行つてもらつておる、あるいは当初補助してもらつておる、そういうふうな部分の中から使いました農薬につきましては、これに原則論の問題になりますので、あとから遡及して出すか出さないかという問題は、大蔵省——現在のところ目の前に迫つておる緊急な問題を固める上から言つても、現在は論議の対象にしておらぬ、こういう状態でございます。
○井出委員長 芳賀君に申し上げますが、明日も引続いて質疑を続行いたします。そこで大臣に対する質疑は、一応きように限定して集約的にいたしたいと思いますが、よろしゆうございますか。
○芳賀委員 ではこの問題に対しても、大臣にだけ限定してお伺いいたします。 二億円程度の予算というものは完全に費消されてしまつたと私は考えるわけであります。今年度の公共事業費は、一割節約を目的としておるわけでありますが、約二百億くらいの財源がこの節約の中から出て来ると思うわけであります。これは決して次年度に繰越すために節約をやつておるのではないと思います。予期しないところの災害等に備えて、あくまでも一兆億予算を厖大化しないために、こういう節約がとられておると私は考えておるわけですが、たとえば病虫害対策等の今後の当初予算以上の支出に対しては、このような公共事業費関係の節約分等をまわすというような、そういう慎重な配慮によつてこれらは処理されるものであるかどうか、その点をお伺いしておきたいと思います。
○保利国務大臣 それはそういう意味じやないのでございます。一部には政府部内のことでございますけれども、五百億くらい節約をいたせ、そうして今お話のような場合に対応する財源をもつておらなければいかぬじやないかというような非常に強い意見があつて、五百億という説もあつたわけです。しかし実際問題としては不可能なことでございます。ただしかし前国会で繊維消費税の不成立でありますとか、入るものが減るようになり、あるいは出るものがふえるようになる。たとえば改良普及員の補助も元へもどるというようなことやらで、結局それが出入り二百億くらいになるわけです。その歳入、歳出上の調整をどうはかるかということが、約二百億の節約をせざるを得ないことになつたわけです。それとは実は直接関係がないのです。でございますから、そういう場合補正等が行われればこれは別でございますけれども、そうでない限りは、予備金等に依存して参らなければならぬわけであります。
○芳賀委員 次に、これは東北の調査のときに、私たちがどうしても速急に解決しなければならぬと考えた問題でありますが、岩手県の県北を私たちは主として調査したわけでありますが、あの地帯は畑作地帯が非常に多いわけであります。聞きますと、昔旧藩時代からひえが常食になつておる地帯です。それで現在においてもひえ等の作付が非常に多いのであります。これが六月九、十の両日の凍霜害でほとんど皆滅するような打撃を受けたわけであります。それと同時にまた麦類の減収がはなはなだしいということになりますと、東北における凍霜害の被害を受けた諸県における、特に畑作農家あるいは開拓農家等においては、収穫した麦類であるとかあるいはひえ等に依存する場合において、まつたく食糧の自給ができないというような状態になるわけです。当然これは飯米にも事欠くようなことにもなりますので、現地の人たちの要望は、昨年政府が風水害あるいは冷害等にとつたところの政府所有の米麦の払下げの処置、これらの問題をぜひ講じてもらいたいという切実な要請もあつたわけであります。これは現状を認識された場合においては、当然講ぜられるべき事柄であると考えまするが、大臣は、いかようにこれを処理されようとされておるか、その点を伺います。
○保利国務大臣 ごもつともな御心配でございます。こういうようなきびしい、いわばデフレ政策を強行している過程でございますから、すべてがきゆうくつを忍んでいただかなければならぬという状態は、御了解の通りでございますけれども、しかし食べることは全然そういう問題と別だと私は思います。御懸念の点につきましては、それではどういうものを皆が食べるかということは、これは今日の場合でございますから、十分に米ばかりというわけにはむろん参りませんけれども、しかしながらとにかく米麦いずれかによつて食糧を確保して行く、これこそ私の全責任だと考えておりますから、さような点においては、少しも心配をかけるようなことはいたさないと考えております。
○井出委員長 川俣清音君。
○川俣委員 時間がございませんのに、お気の毒ですから、私は主として大臣に大体急所々々をお尋ねいたしますから、御答弁を願いたいと思うのであります。大体急所になりますと、なかなか答弁しにくい点が多々出て来ると思いますけれども、十分お考えの上で御答弁願いたいと思うのであります。第一は、今度の異常気象による災害に対する政府の施策でございます。これを質問するにあたりまして、私はこういう見解に立つて質問いたすのであります。それは今日本の国際収支の改善の上から、政府はいろいろ苦慮いたしておられるわけでありますから、その点は私も認めて質問いたすのであります。従いまして国際収支の改善ということになりますと、なるべく外国の労働価値の高い、労働力の投入量の多い品物は避けて、原材料になるようなものを輸入することが、国際収支改善の上から緊要であるという建前でいろいろお尋ねいたしたいと思うのであります。そこで労働価値の高い、労働力の投入量の多い外国の食糧などは、できるだけ買い控えるというのが国際収支改善の上に大いに役立つ、こういう観点でお尋ねいたしたいと思うのです。ところで今度の異常気象による災害に対する対策でございますが、どうもどこに一体ポイントを置いて対策を立てられておるのか不明瞭でありますために、いたずらに混乱を来し、不安が増大しておるように思うのです。というのは、これは冷害災害の根本対策並びに応急対策があると思うのです。応急対策であつても、いわゆる岩手県、青森県下のような麦及び雑穀を主体にして農産物をつくつておるところと、米作に対する応急対策と二つあると思うのです。そこで第一は、この食糧の上に重要な寄与をいたしておりまする米作対策あるいは麦作対策から申しまして、農薬の問題が取上げられておるわけです。地方へ参りますと、農薬の補助をよこせという運動が非常に熾烈であります。これに対して農林省は、できるだけやろうというお考えのようであることは明瞭でありますが、なかなかそこまで割切れないという御答弁なんです。大蔵省との折衝において困難だという御答弁なんです。これはどこにそのポイントを置いておるのかあいまいだから、こういうことになるのじやないかと思うのです。というのは、麦価の価格形成の上においても、また米価の価格形成の上においても、この投入資材であるところの農薬というものを、投入が多ければ多いほど麦価なり米価なりを上げるという価格形成方式になつていないのです。であるから、もしも農薬などは生産資材であるから当然農民が負担すべきであるという考え方を是認するならば、これは当然価格形成の上に盛り込まれなければならぬ、当然それらの投資量というものは価格の上に見積られなければならぬ。ところが価格形成を判定する場合においては、それは補助金でやるのだということで逃げ、補助金の問題が出て来ると、あたかも価格形成の中に入つておるかのごとくにしてあいまいにしておられるところに、問題の解決が困難になつて来ると思う。一体こういう農薬というものは、価格形成の上に乗せて米価なり麦価なりを決定すべきものであるのか、または国の一般的政策として、やはり補助政策でやつて行くのが至当なのかという点を、幾らかでも割切つて当らないと、解決にならないと思いますが、この点についてもう一度大臣から御答弁を願いたい。一体価格形成の中に農薬というものを見るべきものと、こうお考えになるのか、農民自体がこれらの対策を背負つて立つべきものであるのか、国が立つべきものであるのかという点について割切るべきだと思うのだが、一体大臣は割切つてお考えになつておるのかどうか、この点をお尋ねいたします。これは政策ですから大臣から御答弁を願いたい。
○前谷説明員 価格の形式についての考え方を従来とつて参りました点について申し上げます。ただいまの川俣さんのお話は、一つは農薬の問題に限りませず、すべての投下資材として考えます場合に、いわゆる生産費方式というようなものをとるべきじやないかというふうな一つの考え方があろうかと思います。これは御承知のように生産費の価格の立て方といたしまして、生産費をとるという問題につきましては、川俣さんもよく御存じのように、労力の評価の問題、あるいは生産費のとり方といたしまして、どういう生産費をとるかといういろいろな問題があろうかと思います。従いまして米につきましては、直接統制をいたしております関係上、パリテイ方式をとる場合におきてましても、いわゆるそういう投下資料の変化の状態というものをさらに、加味した考え方でとつておるわけでございます。麦につきましては、需給の状態あるいは間接統制の状態からいたしまして、本年度におきましてはパリティそのままをもつて指示価格といたしたわけでありますが、考え方といたしまして、われわれとしましては、その統制の状態によつて違うかと思いますが、やはりそういうパリティのみによつて米の場合を考えて参ります場合におきましては、そういう問題をやはり検討して参らなければならないというふうに考えておるわけであります。
○川俣委員 価格形式の上に投下資材の総量というものが、平年の総量の場合と異常気象の場合の非常に増大された投資量というものとは、異ならなければならないという点なんです。これは普通の管理上必要な管理料と、異常災害における場合のものとは異なつて考えなければならない。そこに異常気象という点が起きておる。この場合の考え方なんです。従つてそれは異常なものであるから投資資材として価格の上に加味することが非常に困難であるから、それじや別箇な補助策としてやるのだ、こういう考え方なのか。あくまでも増大する個々の投資量に応じた価格形成というものはできるという考えでおるのか、どちらか、こう聞いておる。これが急所なんです。
○前谷説明員 ただいまの点は、これは川俣さんもよく御承知のように、われわれ価格形成にあたりまして、そのデータをとるにあたりましては、データの関係上その年の生産費はわかりません。従いまして前年度のデータによりまして、そして基準年次との比較における数量変化をとつております。ただいまの御指摘の点は、今年度の場合における状態において、そのデータをどうとるか、これは考え方の問題と同時に、現実にそれがまかなえない場合にどうするかという問題、あるいは時期的な問題等ということで、根本的な価格の立て方と関連しないでも考え得る余地があるのではないかというふうに私は感ずるわけであります。
○川俣委員 異常な災害に対する異常な努力でありますから、その投資資材というものを把握することが非常に困難だ、こういう考え方で、おそらく地方の県庁あたりが農薬代の補助の要求をいたしておるのじやないか、私はそう理解する。もしもこれに応じられないというならば、価格形成の上において十分把握して、麦価なり米価なりというものを修正するのだ、こういう考え方で出られるならば、それでまた安心して農民は自分の責任において農薬を投資すると思うのです。一体農民は責任を持つて投資して、それだけ報いられるのか、あるいは政府の補助が来るのか、どつちかあいまいなんです。自分の責任において農民が自主的にやるべきだというならば、価格形成の上においても当然それを補償する。これならば農民もまた自身で指導することができると思う。県庁も農民の投資した分は、どんなに異常な投資をいたしてもあるいは努力しても、それだけ価格形成の上において当然補償するような価格形成ができるのだから、自力でやつたらどうだ、こういう指導もできると思う。それもあいまいだし、国の補助もあいまいだということでは、どつちで指導していいかということがわからない。そこがどつちかということを聞いている。重要なことなんです。
○保利国務大臣 非常に重要な問題でございます。結論的に割切つてお答えすべきであろうかと思いますけれども、これは差控えておきます。ただしかし、私は思いますが、みすみす自分の稲がいもちにやられて枯れて行くのに、それを一体補助が来ないからやらないのだ、いやあるいは米の値段の中に入れないからやらないのだというような形で、この大事な食糧の生産がおろそかになるということは、今日の食糧事情からいつて、国の損失というものは大きいじやないか。従つてとにかく国もこういうふうに助成するんだということで、これはほんとうを言えば、当然農家の方で、自分の大事なものがみすみす枯れて行くということをだまつて忍べるはずはないわけなんです。しかしそれにさらに国が助成をして、相ともにこれを育て上げようという努力を払うべきであろう、今日はそういう段階ではないかというふうに考えておるわけであります。
○川俣委員 もちろん農民が病虫害の被害を受けた場合、これが農業共済の対象になるようなものであれ、あるいはひめはもくりばえのような直接の対象にならないものであつても、全努力を払つておることは明らかであります。しかしながら県の指導者または農業改良普及員というような指導者の方面からするならば、一体どつちが国の政策であるかというようなことを明瞭にすることによつて、さらに施策が徹底するのである。その努力をさらに効果を増大ならしめるのであるからして、それらの指導に当る人に一つのヒントを与えることが、今日の時代において最も必要である、こういう意味でお尋ねしておるのです。私は決して農薬代をよこさなければ、補助をよこさなければいけないというようなけちなことを言つておるものではない。ほかの諸君は農薬代々々々ということを非常に大きく叫んでおられますけれども、私はどつちかに片づくべきである、一体どつちをとるべきか、形は二つあるんだがどつちか、補助金で片づけるべきものを価格形成の上においてほんとうに見るんだ、ある程度見るというならば、それならばそれでまたよろしいのでありますが、価格形成の上においていうと、補助の方から見ているのだ、補助の方からいえば価格形成の方から見ているのだ、こういう逃げた形でなくて、はつきりした指導施策を持たなければ、こういう事態に対するほんとうの指導力というものは発揮できない、こういう意味でお尋ねしておるわけでありますから、今ここで御答弁を求めることが困難でありますならば、当然農林省において十分研究せられて、すみやかにいずれかの方向に重点を置くなり、あるいは双方の二点にわけて解決されるなりしなければならぬと思うのであります。次に問題は、雑穀の問題であります。岩手県及び青森県下の雑穀の問題について芳賀委員からも触れられましたが、これらはあわ、ひえにいたしましても、岩手県下、青森県下におきましてはやや主食に類するものであります。ややでなくて、本来は主食であります。たまたま米の配給が行われるようになりましてから、幾分米を加えまして主食にいたしておるようでありますが、今後米の需給が困難になつて来、価格が割高になつて参りますれば参るほど、雑穀に依存しなければならない。デフレになつて参りますれば、生活を切り詰めて雑穀を主食として行かなければならぬときに、この冷害を受けたわけであります。従いまして、この冷害を受けました農民に対しまして、これは国の農業政策の上から、社会政策の上から何らかの処置を講じなければならない、これは農業政策として考えるべき面と、一つの社会政策として考える面と、二つで救済して行かなければならないと思うのです。しかも同じ社会政策でありましても、無意味な社会政策でなくして、農業政策を加味した社会政策ということになりますと、これはおのずから解決の道は生れて来るのでありまして、救農土木事業あるいは土地の改良事業ということになつて来ると思うのであります。こういう面に公共事業費の削減が行われておりまして、農業予算の中においては非常にきゆうくつな思いをされておるとは思いますけれども、こうした純朴な地帯における社会政策というものは非常な効果があるものでありまして、急に陥つたときにおけるところの救済は、何よりもあたたかい施策として受入れられるものでありますから、ここに一つの緊急な災害事態といたしまして、救農土木事業をもつて救済するの処置に出べきものではないかと思いますけれども、大臣のお考えはいかがでありましようか、この点をお伺いしたいのであります。
○保利国務大臣 考えはもう全然異存はございません。ただ財政がきわめてきゆうくつであるということで、どう対処して行くかという問題だろうと思います。御意見は十分承つておきます。
○川俣委員 私は財政のきゆうくつな面は最初申し上げたのでございますが、従いまして、単なる救済ということでは無意味だと思いますので、農業政策を加味した施策ということによつて奨来生産の増強というものが伴つて参りますならば、その投資というものは決して物価をいたずらに引上げるものではないという観点に立つて、単なる恵みというものではなくして、将来の生産の増強に寄与するということになりますならば、その資金、資材というものは、必ず価値あるものであるという観点に立つて要望しておるのでありますから、十分その点を御考慮願いたいと思うのでございます。 次に、藤坂試験場において私どもが見て参りました中に、重要な点がございます。それは冷害を、いわゆる気温の低下を一体何で防げるかと申しますと、これに対しましては、藤坂試験場でやつておりましたものを見ると、ライ麦を青刈りいたしまして、土中にこれを敷きまして水の漏水を防ぎ、水温を保持するというやり方をやつております。従いまして、冷害対策といたしましてこういうことも十分考慮せられるのでありますが、農民は因習に基いた農法からなかなか脱し切れないうらみがあるのであります。これらを指導育成しておりますのが改良普及員であることは、大臣も先刻御承知の通りであります。この改良普及員が、昨年の冷害の場合におきまして非常な働きをなしたのでありますが、今年もまたこの活用によりまして、私は今後の管理上寄与する点が多々あると思う。ただ惜しむらくは、旅費等の不足なために、十分な意図を持つておりましても十分な活動ができないでおるうらみがあるようでございます。これらはもちろん予算の制約を受けておるといいながら、重要な仕事をしておりまして、相当の被害を防止することができるのでありますから、これらの人々の活用によりまして相当防げると思うのです。こればかりでなくして、また農業団体等の指導員の活動にも期待する点は多々あると思いますので、これらの経費は莫大とは言われないと思いますから、これらについて十分な旅費その他のくめんをいたすお考えがあると信じますけれども、この点を伺いたいと思います。
○保利国務大臣 先ほど私は早期に、成育の前期に天候異変がずつと続いておる、そこで農業技術と申しますか、技術指導がきわめて強く要望されておる、それに対して万全の措置と申しましたけれども、そういう点を実は申し上げておつたわけでございます。相当の用意はすでにいたしておるはずでございます。具体的には局長からお答え申し上げます。
○塩見説明員 この点につきましては、話は大蔵省とも割合に早くつけてあります。こまかい県の割振りについては、まだきまつてはおりませんけれども、七月六日に——ここにも私の通牒が府県知事あてにありますが、これにははつきりとそれは書いておりませんが、附記しまして、大体大蔵省と話は済んでおるから、その点についてはできるだけのことをやつてくれ、こういうことを附記して、七月六日に通知をいたしておりまして、県とのこまかい折衝は今後行うということにしておりますが、大体腹組みだけは県の方でもつてつくつてもらつて、そこでできるだけ活動してもらう、こういうことにしております。
○川俣委員 この問題については、たまたま主計局の原次長が東北を視察いたしておりまして、相当強く感じたようでございますから、予算折衝の面には役立つと思うのでありますが、この機会をすみやかにつかまえまして、十分期待に沿うような努力をお願いいたしたいと思うのであります。もう一つの点は食糧管理の点でございます。先ほど大臣及び長官から、食糧の独立会計のことを強調せられております。食糧の独立会計というものが今日の事態において当然必要であることは、私どもも認めるのでありますが、ただそれだけにとらわれておりますと、食糧庁の権限を縮小して参らなければならぬ問題も起きるのじやないかと思うのであります。というのは、食糧庁は米麦の独立会計であるばかりではなくして、その他重要農産物の価格を支持すると同時に買入れも行つておる。これはあながち食糧対策のためではないのです。他のいわゆる農業政策全体の上から、たまたま食糧庁がこれらの買上げをいたしておるのは、便宜上いたしておるのだ。食糧対策だけを食糧庁がになつておつて、その他のことはやらないのだという御答弁であれば、これらの重要農産物の買入れ等は他局でおやりにならなければならない。経済局あたりが農業政策の上からやらなければならないのといつて、権限縮小の問題が起きて来ると思うのでありますけれども、大臣はやはり将来食糧庁の権限を縮小し、他の局にこれを移すというお考えでおありでありましようか、この点も伺いたい。
○保利国務大臣 私の考えは、間違いかもしれませんが、私は食糧庁はやはり国民の主要食糧を扱う、きゆうくつな時代における主要食糧を管理するという役目に徹することが大事ではないかと考えております。しかしながらまた農産物価格安定法等によつて他の重要農産物を扱わなければならぬようにただいまはなつておりますけれども、これは私は本筋ではないと思つております。少くとも重要農産物は、やはり主要食糧を専管として扱う機構とあわせ別の機構を持つのがほんとうじやないかと思いますけれども、この場合でありますから、私は便宜こういう形になつておるものだ、こういうふうに思います。
○川俣委員 その点は私も了解いたします。将来機構の上において十分考慮さるべきものだと思うのです。もしもそういう付属的なことで重要農産物の買入れをいたしておるということになりますれば、農業政策の徹底を欠く結果になると思うのでございます。しかしながら食糧庁においても十分農業政策を他に加味できる自信を持つておるなら、これはまた私はあえて機構改革の問題をここで論じない。どうもそういうような意向であれば機構改革を論じなければならぬのじやないかということを申し上げたのであります。 もう一点、時間がないので一点に集約いたしますが、私東北の冷害を見て参りまして、タバコの被害もまた相当出ておる。ところがタバコの被害については、大蔵省が相当の経費をかけて調査をいたしておる。一体タバコの被害だけについてなぜあれだけ——あのくらいの金が一体どこから出て来るのかふしぎなくらいよく調査を徹底されておる。これはもちろん専売という独立会計の中でおやりになることだと思いますけれども、あれほどまでに精密な刻々その調査をせられておるということになれば、一体食糧もタバコ以上の重要なものではないかと思うのです。だれでも世間に、タバコと米とどつちが大切かと言つたら、これはもう異口同音に米が大切だとだれでも言うことです。ところがタバコにあれだけいろいろな努力を払つていながら、米の方は等閑ではないか、どうも納得が行かないということは、これは同じつくつておる農民から出て来る言葉なんです。もちろんこれはやかましくいうと、片方は独立会計であつて専売であるための費用である。これがみな吸飲家に負担されるからそのくらいの費用をかけても何でもないと言われるかもしれませんが、一般の農民あるいは一般大衆から見ると、一体米作の方はどうも手抜かりでありながらタバコだけは熱心だ、こういう結果になつて来る。また同じ取締りでありましても、やみ米の取締りはルーズだけれども、タバコの取締りは徹底した取締りをやつておる。これは別に悪い、いいの問題ではないのです。経費の捻出の仕方です。国民経済から見て、大蔵省だと非常に経費がたくさんあつて、何でもやれる。農林省はどうも経費が不足なので何もやれないのじやないかという非難といいますか、ねたみといいますか、そういう声を聞くのであります。私どもはそれはおのおの理由があるとは思いますけれども、この際こういう冷害にあたりまして、農民の納得行くような方策を農林省は立てることによつて、農民の信頼がつながり、さらに増産に対する意欲というものは非常に燃え上るものだという観点からこの点を指摘いたしたのでございますから、十分将来農業政策の上において、予算の上においても手抜かりのないような処置を、大臣は責任を持つておとりにならんことを希望いたしまして、私の質問を終りますから、大臣のこれに対する御見解を承りたいと思います。
○渡部説明員 タバコと一般作物との災害に対する取扱いの関係でありますが、ただいま川俣委員の御指摘にありましたように、タバコは専売で、米よりももう少し具体的な感じの強さがあるのであります。すなわち米葉等につきましては本数、枚数まで立ち会つてやつております。従いまして一方ではそれらの費用をタバコの売値にかけてやつておるのであります。タバコの値段のきめ方等については、主食と違つて嗜好品であるというような関係で、これの値上げ等に対する一般国民の関心も非常に薄いというような関係がありまして、かつまた専売公社それ自体のその年その年の直接の収支に非常に関係がある。すなわち食糧管理は一つの国の責任的な色彩が強いのであるが、専売公社になりますと、一つの商業的な色彩が食糧管理よりも非常に強いというような関係で区別ができて来るのであります。もちろん主食ことに稲作等につきましては、タバコより以上のいろいろの指導なり管理対策が好ましいのでありますが、御承知のように耕作面積等、あるいはタバコであればそれの許可の条件に、一定の資格要件として一定レベル以上のものだけしか許可しないというようなことまでやつておりますので、主食の対策について一々の農家に対する処置が十分でないというのはやむを得ないのじやないかと思います。しかし、やむを得ないでほつておくというわけには行きませんので、先ほどから各局長、大臣等も申し上げました通り、指導員の旅費の増額あるいはそのほかの対策費につきましても、できるだけの処置をして行きたい、かように考えております。
○井出委員長 淡谷悠藏君。
○淡谷委員 ほんの二、三点大臣にお伺いしたいのです。昨年の米価につきましては、東北地方をよくごらん願つたと思いますが、本年はその凶作の程度において、昨年に増すものであるということが確定的になつて来ております。今後の減収に対する防止がよほど巧妙に行われましても、昨年の収穫より少いということは確定的なように見受けられます。それともう一つことしの米価につきまして御考慮を願いたいと思いますのは、継続した凶作であるという点であります。これは営農資金も出ております。補助金なども昨年度講じられておりますので、この農民の窮乏を救う対策につきましては、とても昨年の新しい凶作の比ではないということがまた十分に考えられると思います。伺いますると、昨年ほどの救済策も講じがたいようなお口ぶりのようでございまするが、こうした二年続いた凶作に対して、何かはつきりした対策をもうお考えになつておりますかどうか。もうすでに旧のお盆など参りまして、農家では具体的に昨年の凶作の影響を現わして来るような形にもなつております。ことしはまたことしで、末の見込みが立ちませんので、非常に増産の意欲も衰えがちな形になつております。これに対する大臣の、はつきりした御決意のほどを承りたい。これが一点。 第二点は、非常に素朴な心配かもしれませんが、ことしの天候異変はビキニの水爆実験の影響であるといううわさが、意外に各地方に強く高まつて参つております。新聞などにも間々こういうふうなことが現われますので、とてもこうした冷害は、ことしばかりでなくて、あの水爆実験の続く限りいつまでも続くのではないか。こういう観点から農民が増産意欲だけではなくて、農業に対する希望までまつたく失いまして、もういち早く土地を売るとか、農業を離れるとかいつたような形さえ見えて参つております。こういう点につきまして、はつきり安心をさせるならさせるように、またあきらめさせるならさせるように、むずかしい問題かもしれませんが、こういう点についてざつくばらんな御答弁が願いたい。 第三点は、先ほどから大臣のはつきりした農民のための御決意のほどを再々伺いまするが、そのたびごとに出て参りますのは、あるいは予算の面で大蔵省と激突いたしましたとか、あるいは他の閣僚との間に意見の食い違いがあるようなお口振りも再々現われております。また同時に、あくまでも議会の意思を尊重して、米価等に対しても対処されるということも伺つておりますので、この際こうした非常にむずかしい凶作対策につきまして、昨年におけるように、早期に救農冷害対策の臨時国会などを要請する御意思があるかないか、この三点をお伺いしたいと思います。
○保利国務大臣 淡谷さんのお考えでは、もうことしはきまつてしまつた、冷害だ、凶作だ。きわめて局地的にはそういうこともあろうということを否定するものではございませんけれども、私ども当面の責任としましては、いかにして減産防止をはかるかというところに全努力を集中すべきところではないか、かように考えております。その作況からよつて来る事態に対しましては、これはまたその上で対処しなければならぬと考えております。従つて具体的に、昨年講じました冷害対策をただちに今日とりますということは、この際言明をいたしかねます。 ビキニ水爆実験がこの天候異変を生じたかどうかということは、私はそれに答え得る科学的知識を持ちません。従つて私は答弁はできてませんけれども、専門家によりましても、その影響があつたかどうかということについては、否定肯定する資料は持つていないようでございます。こういう場合にはいろいろ説は出るだろうと思いますけれども、それに対しても私自身としては、もう否定も肯定もする知識は持ちませんので、その点を御了承願いたいと思います。 なお、前段申したような次第でございますから、私の方から臨時国会を要請するという考えはただいま持つておりません。
○淡谷委員 作柄の見通しでございますが、東北地方は七月二十日以後の分蘗はほとんど無効分蘗になるというのが、農業技術上の常識になつておるようでございますが、もう七月二十日も過ぎておりますし、具体的な作柄は単幹無蘗という状態でありまして、これはごらんになればわかりますけれども、とうてい昨年の比ではございません。この点に対しまして、最後の努力をお払いになるお気持はよくわかりますけれども、万一この努力が欠けまして、対策を誤まれば、それによつて起るところの農村の破綻というものは、とうてい昨年の比ではない、こういう点もひとつ十分御了承願いたいと思うのであります。 それからビキニの問題につきましては、なるほどむずかしい問題で、世界初めてのケースでございますから、農林大臣にはつきりした御答弁を私が要求する方が無理でございますが、少くとも農民の関心は、非常にこれに対して集まつておりますので、この際大臣といたしましても、学者並びに関係方面に、真剣になつてこの問題を究明くださるように、私むしろ要望して質問を打切りたいと思います。
○田子委員 東北の凍霜害を実地にごらんくださいました各委員から、非常な正確な御報告があり、また当局に対してるる御質問がありました。その結論としまして、大臣はあの地帯をよく御承知でありますし、この間の凶作もよく御承知であります。従つていかなる生活をしておるかということも、大臣はよく知つておられるのであります。去る六月十五日までの被害状況につきましては、当局は数字がないからいかんとも策が立たない、二週間後には数字が入るつもりであるから云々ということでありました。今日はすでに一箇月以上も経過しておるのでありますから、この前には、地方からの陳情もこの席で行われましたので、これらを勘案されまして、事務当局ともいずれお打合せが十分あることと思いますが、今日までのところ、これとこれとは実行する、こういうような項目だけでも、大臣の御決心のほどをお示しを得たいと思うのです。いたずらに日を費やしまして、地方の者が飢餓に瀕するという状態では、当委員会としましてもはなはだ残念に思うことでありますから、その片鱗でもひとつ承りたいと存じます。
○保利国務大臣 私の方としてやらなければならぬことはたくさんあると思いますけれども、共済の運営によることは、これはもう当然の処置である。それと営農資金の融資につきましては当然やらなければならぬと考えております。
○田子委員 営農資金のことは国会が開けるまでに支出は困難でございましようから、その額というものは大体どのくらい見込んでおられるでありましようか、それを承つておけば、いずれ事務当局の方で支出をなさるのに何かの方法があろうと思いますから……。
○渡部説明員 これはお話のありましたように、この前の議会の終りに営農資金の関係の法律を修正して、未確定の金額でもいいから入れたらという御努力を願つたのでありますが、それが間に合わなかつたのであります。その後大蔵省と折衝をいたしまして、法律は次の議会で修正することにいたしまして、東北の凍霜害に関する営農資金も、それまでの各地の凍霜害と同様に扱うという了解のもとに、府県に対しまして通牒を出しております。額はただいままでのところは、凍霜害関係の営農資金の増加を要するものは、大体一億程度でいいのじやないか、こういうふうな考えであります。
○田子委員 今の一億というのは、青森、岩手と北海道で三つ入つておるのですか。
○渡部説明員 その通りでございます。
○田子委員 それは調べがはつきりしますと増加しますね。それで三つにしておるのですね。
○渡部説明員 調べた結果そういう数字が出たのであります。補足して申し上げますと、その当時いろいろ議論になりましたのは、府県からの報告のままを基礎にしましていろいろの試算をしておりましたが、その額はもつと大きい額でありましたけれども、その後統計調査部と府県等の調査と合せまして考えても、大体一億ぐらいで済むのじやないかと思います。
○佐藤(洋)委員 関連して。今渡部官房長から一億というお話がありましたが、実際それでは少いですね。あれはあのとき四億五千万円に対して、茨城の雹害が入りましてもなおかつ余裕がある。それは約六、七千万ということでした。それで、北海道の災害の額と東北の二県の額を入れて約四十億になるのです。四十億に対する再生産への営農資金としては、少くともまず二割はほしい、一県四億くらいのものをとつて交渉していただかなければ困難ではないだろうかという実は見込みだつた。御承知の通りあの法律案というものは凍霜害だけでございましたのが、急に振鈴が鳴つて私のところに交渉があつて、私の政治的腹で議場で演説をしてしまつたために、茨城は除外されたという情勢になつておるのですから、今の渡部官房長官の措置はまことにけつこうでございます。とにかく法律案として出るのでございますから、金だけ先へ出しておいてもらうということは非常にけつこうでございますが、その額が私はそれじや少いのではないかというように感じますので、なお一層の努力をお願いしたい、こう考えるのでございますが、その点はどうでございましよう。
○渡部説明員 御承知のように、今度の災害につきましては、非常に初期でありまして、相当部分につきてましてはまきかえ等が行われておるのであります。そのまきかえによつても収量が当初予定されただけは当然とれないのでありますが、そういうものを考えますと、ただいま佐藤委員のお話がありましたように、茨城の分は前の金で十分あり余るほどある、あとそれに——茨城県からの御要求をそのまま入れれば何でありますが、あの法律に基いて計算いたしますと、大体四億五千万円に一億をプラスすればまかなえるのではないか、こういう計算をしております。それに基きましてただいま府県と交渉しております。
○佐藤(洋)委員 関連して。それは第一回の九月末日までの申告ですね。そこでつまりあなたの言われるのは利息措置、いわゆる県と国が持つ利息措置の問題で一億と言うのであつて、実際は営農資金としての考え方はもう少し、そうでない考え方、すなわちこの前二百二十億と決議しましたあの営農資金の使用の仕方と考えておる。現在あの二百二十億から二百十三億使つて七億ばかり残つておるわけです。あの金が要するにあなたの方の措置によつて今度の営農資金にまわるものと実は期待しておるのですから、その措置をひとつとつていただきたい、こういうことを重ねて申し上げておきます。
○渡部説明員 ただいまの、私どもが法律が成立しない前に相当措置ができると言うのは、今お話がありましたような昨年の冷害等の資金のわくの残りがある。それに対する利子補給の予算はあるのであります。その範囲内でやれるから今の法律が成立しなくても、やかましい大蔵省も承知しておるのであります。当然今の残りの分をあてにしておる。しからばその残りがあるからそれ一ぱいまで出したらいいじやないかという御質問の趣旨かと思いますが、結局今度の法律に基きまして、あの法律の借入れ条件すなわち被害状況等、その被害額が例年の一割以上になる、こういう条件から算出いたしまして、大体先ほど申し上げましたような金額でまかなえるもの、こういうように考えておるのであります。幸いに今後県との折衝で私の方の観測が誤つておりますれば、法律がまだできておりませんから、今後法律を修正せぬでもこの次の法律を修正するまでに片づけば片づく問題でありますから、よく相談をいたします。
○田子委員 私のさきに伺おうとしたのは、大臣は今どういうことをやつておられるのかということが主でありまして、それに一通り注文をつけたいということでありましたが、あの営農資金の問題はあつたんですが、その他の助成とか補助とかいうものは、どういうことをなさつておられるでしようか。
○渡部説明員 先ほど大臣がおもな点を申し上げましたが、そのほかに病虫害防除の関係の補助としまして、病虫害防除器具の補助、これはこの春の凍霜害以降を含めまして、東北を含めて四千万円を補助することにいたしております。そのほか府県側からは種子代の補助とか、農薬の補助、肥料代の補助というような要求がありますけれども、これらにつきましては措置をいたしておりません。但し農薬の補助の分は、農薬にかえて先ほど来金子委員からお話がありましたように器具で補助した、こういうふうに考えております。
○中澤委員 それは話が違うよ。大体四千万円というものは四、五月とわれわれは限定してこの委員会で話したのだよ。当然六月を別にして——入れるのは悪いというのではない。今までは、入れるのはよいが、あれは四、五月という限定があるのだよ。それを今度の六月分をその中にほうり込んで、そうして増額もせずにやるということは一体だれがきめたのだ。われわれはそんなことは承服できない。岩手県分の二千万円というものは増額するのがほんとうだよ。
○渡部説明員 これは各方面と相談いたしまして……。
○川俣委員 散会前にあたりまして一言委員長にお願いをいたしておきたいと思います。原主計局次長がわれわれとともにまわつておりましたので、相当われわれと同じような認識を得たものと思うので、農林省でもいろいろ苦慮されておる点もありますから、本委員会において原次長の出席を求め、質疑をいたしたいと思いますから、明日ぜひとも出席するよう委員長並びに農林省、両方にお願いをいたしたいと思います。続いてもし出席ができれば、大蔵大臣も出席してもらいたいと思います。
○井出委員長 さようとりはからいます。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時五十八分散会