農林委員会 第46号
- 発言数
- 104 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/05/19
会議録
○井出委員長 これより会議を開きます。 農民組合法案、農業委員会法の一部を改正する法律案及び農業協同組合法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたし、審査を進めます。質疑を継続いたします。芳賀貢君。
○芳賀委員 私は協同組合法の一部改正法案並びに農業委員会法の一部改正法案に対して質疑を進めたいと思います。前会金子提案者代表に対しまして、農業委員会法の改正の法律案に対する面だけを質問したわけでありますが、残余の分に対して、本日は主要な点をただしたいと考えるわけであります。このことは決して農業委員会法に対する質疑を行わないということではないので、その点は、委員長におかれても十分御了承願いたいと思います。 前回お伺いした点は、市町村段階における協同組合の組織の具体的な確立という点に対しまして、金子委員から問題点に対する御説明をいただいたわけでありますが、今度の改正案によりますと、役員の選挙の中におきまして、今までは選挙規定を設けて、役員の選挙を行う場合においては総会において正組合員の実人員の過半数が出席しなければ選挙ができないことが原則になつておりましたけれども、今度の場合におきましては、単に総会において役員を選任することができるというふうに改正されております。そういたしますと、総会の成立条件は、委任状を有効といたしまして、一組合員が一名の委任行為を行うことができるということで、通常総会は成立できるわけであります。そういたしますと、実人員が四分の一を越えた場合においては、委任状を含めて過半数になつた場合において、総会は成立できることになるわけであります。そのような形態をとる場合においては、今までと非常に違つて、総会における出席人員が四分の一をちよつと上まわつた場合においては、役員の選挙が可能であるということになるわけであります。こういう形は、協同組合の今後の民主化を進める上においても、組合員に対する義務規定を緩和させるというような、かえつて逆の結果になるのではないかと思うわけでありますが、どうしてこのように選挙関係の規定を非常にゆるめるようなことにしなければならぬかという点に対して、了承できないわけであります。その点について伺いたい。
○金子委員 組合の役員の選挙の形式を、今度の修正によつて、定款に定めた場合は総会において選任してもよろしいということをつけ加えたのでありますが、これは従来からの選挙の形式を否定したものではなくて、選挙をやることはもちろんさしつかえない。しかしながらその町村の実情により、またその定款の定めるところによつて、総会において選任してもよろしいということをきめた理由は、理論的に申しますと、非常に時代逆行だという御不満が多分出るだろうということを私も考えておつたのであります。しかしながら現実の農村の協同組合についてつぶさに見て参りますと、選挙の形になつてから——これは民主的な行き方に対する一つの訓練だといえばそれで終るのでありますが、町村の理事というのはその協同組合の運営のために当る理事機関であることは当然のことでありますけれども、その実質的な運営にあたりましては、町村と各部落から均衡を保つような形において出させて、そうして部落の担当の理事だというような性格を持たせて行く方が、実際の運営上効果がある。かりに理事として適当な人であるならば、一つの部落から定員の半数が出ても、より以上の者が出てもいいりくつでありますけれども、実際問題として、地域的に部落の調和のとれるような形において役員が出ていなければ困るので、私どもの知る範囲においては、大体そういう形において、県の連合会の場合でも、町村の場合でも、役員の選任が行われているのが多いのであります。それが今度は選挙をもつて争うということになりますと、理論的には組合員の大多数の表決によつてきめられるのですけれども、今私どもが地方へ行つてこの問題を調べてみますと、最初からどの部落はだれを書くということを内定しておいて選挙の形式をとる。しかもその間において政党的な立場から、別なその字の妥協に応じない人たちが立候補いたしますと、今度はそのかわつた人たちに対して、全村から——妥協の外から投票を集めて参りますと、一部落に二人の役員ができるが、相当大きな部落でも役員がなくなつてしまつて、その役員選挙をめぐつてもつれができて来る、こういう実例をたくさん見ているのであります。そういう点から参りますと、理事は、理論的には組合自体の運営に当るのであるから、何人でも優秀な人が当ればいいというけれども、実際の選考にあたりましては、各県の場合には各郡であるとか、町村の場合には各部落から適当な人たちを一応相談いたしまして、それから選挙に臨むという形式をとつているところが一番多いのであります。そういうことであるならば、選挙という形式でなくも——もちろん選挙を否定するのではありません。しかしながらそういう相談のままを一つの選考委員会として総会において定めて行く方が、むしろ今の場合においては適切なものができると私は考えておりますので、この際こういう条項をはさんだのであります。 なおつけ加えておきますが、これに対して非常にいい実例は、実は今群馬県で経済連の再建整備をやりました。今日その問題で困つたことができたと言つて、私のところへ来ているのであります。それは私の方は十一郡でありますので、十一の理事を出すことを従来十何年の間やつて来たのでありますが、今度は国の指導方針によつて各連合会は七人以上の理事機関はいらない。理事というものは各連合会そのものを運営するための理事であつて、各部からブロツクごとに出すなどという考え方は、理論的に間違つている、こういう指導方針のもとに理事を七人にいたしました。理事を七人にして行きました関係上、今度は群馬郡という大きな郡に理事が行かなかつた。それで非常に問題を起して、これだけの郡で理事がなくていいというなら、おれの郡は脱退してもいいというような気配さえある。そういうことがときたま起つて来る。そういうことを防ぐためには、一面からいえば非合理的な、民主化を妨げるというようなりくつになることはよくわかりますけれども、現実の問題といたしましては、一つの選考委員によつて合議の上でものをきめるということの方がより合理的な場合がある。しかしながらそういう場合に、ボスだとかあるいは特定の有力者の力によつて支配されるような弊害があることは、もちろん認めますので、そういつた場合には、もちろん本則による選挙によることがいいんだ、こういう二本建に考えたわけであります。
○芳賀委員 この問題は非常に重要であろうと思います。協同組合に対する組合員の資格条件は、出資の口数であるとか、経済力の多寡によつて決するのではなくて、あくまでも一人一票の平等の原則の上に立つているわけでありますが、しかも今後協同組合を実質的に強めて行かなければならぬという場合においては、その協同組合を形成する組合員全体が、協同組合を十分理解して協力できるという態勢まで盛り上げて行く必要があると思うのであります。どういう場合において協同組合員が、組合の現在置かれておるところの力の実態を最もよく知ることができるかというその機会は、やはり一年一度必ず開かなければならぬ総会等に全部の組合員が出席して、そこでおのおの十分内容を知るということが非常に大事なことだと考えるわけであります。そういうようなことのためには、できるだけ総代制というようなものをとらなくて、そうしてつとめて全組合員が出席できるような機会を持つと同時に、それを義務づけて行くことがどうしても大事であるというふうに考えるわけであります。しかも今度の改正点によりますと、実際の正組合員の人員は、四分の一をちよつと越えればそれで役員の改選も何もできるということに実質的にはなるわけであります。今までの役員の改選の場合においては、必ず実人員の過半数が出席しなければ選挙を行うことができないということになつておつたので、そういうことから考えましても、この法の改正によつて全体の組合員が総会を通じて組合の実態を知り、運営に対して直接参画しておるのだというような意識を高めて行くという機会が、だんだん減少するのではないかというふうに考えるわけであります。特に金子さんが今言われたような方法によりますと、わずかな選考委員をあげてそこで話合いの上で役員をきめるというようなことになると思うのでありますが、こういうようなことになると、特定の勢力が中心になつて、そうして妥協的に物事を進めて行くということになるのであつて、一面から考えれば、非常に波瀾がなくてうまく行くのだということになるかもしれませんけれども、全体の組合員のおのおのの考え方を正しく反映させるという方法は、やはり投票制によることが正しいのではないかと考えるわけであります。総会に出席しない組合員は何もわからないのだから、そういうものに選挙権を与えて二年か三年に一度そのときだけかり集めて来て投票させても、それはほんとうの反映にならぬということでこれを片づけてしまえばそうでありますけれども、やはりみんなの意識が高まつて行くことが期待されなければ、協同組合の本来的な組織の確立ということは絶対にできないと思うのであります。少数の何人かにこれをまかせつ切つて、あとの者は盲従するという形は、協同組合の場合においてはとるべきでないと思いますし、それは二面においては投票制を悪く利用して、一部の勢力がそこから台頭するという場合があるかもしれませんけれども、しかしおのおのの組合員の考え方によつて、自分はこの方を理事なり監事として最適であると信ずる、その行為というものは神聖であると私は考えるわけであります。そういうふうにすでに協同組合の形の中においてだんだんと確立されたそのコースを、ここで逆行させるというようなことはどうしてもとるべき手段でないというふうに考えるわけでありますが、これに対しまして政府当局はどのように考えておりますか。
○小倉政府委員 改正点の御趣旨は、金子委員からお話の通りだというふうに聞いております。御質問を聞いておりましてちよつと私疑問に思つておりますのは、総会で選任をすることができるということになつておりますが、これはもちろん選挙でもよろしいわけであります。組合の事情によつてどちらかにきめるということになるわけでありますが、なお総会でもつていたします場合に、おそらく非常に少数でできるという御疑問が——総会にかわる総代会というものがございますから、総代会といつたようなところで選任をするということであれば、非常にわずかな人でもつて役員を選任するというおそれもあるのではないかということも考えられるのですが、たしか改正案では総代会の権限の規定を変更いたしまして、役員の選任は総代会ではできないというふりにしておりますので、やはり組合の多数の方が集まつて来た総会の席上でなければできませんので、わずかな人でもつてということは必ずしもないのではないかと思います。ただ選挙がいいか選任がいいかということについては非常にむずかしい問題でありまして、私どももどちらかということはなかなかきめかねるかと思いますけれども、組合によりましては選任で行つた方が万事うまく行く、しかも選任のやり方も民主的であれば実害がないのではないか、かように考えておるのであります。
○芳賀委員 小倉さんの言われるのは、何か聞き違えておられると思う。私は総代会において役員の選任ができるというふうなことを言つておらぬのであります。ただ総会において役員を選任することができるという場合においては——総会の成立条件は、委任状を含めて過半数になれば総会は成立するわけであります。しかし役員選挙をやる場合に、告示をして、その総会において役員の選挙を投票の形においてやるという場合においては、実人員の過半数が出席しなければ選挙に入ることはできないわけです。だからそこに大きな違いが出るでしよう。半数でやれる場合と四分の一でやれる場合と総会の成立条件が違つて来るということは、これはやはり重要な問題であると思う。なるたけ人を集めないでやれば万事うまく行くという考え方は、これはとるべき方法でないと考えるわけであります。しかも一年に一ぺんぐらい役員の改選をやる場合においては、現在はほとんどが三箇年制をとつておるように考えますが、そういう機会に全体の組合員が出席して、自分たちの協同組合の置かれた経営の実態とその力の内容がどうなつておるかということ、組合員として自分と協同組合との因果関係がどこに置かれておるかということを十分そこで検討して、意識の中にそういうものがだんだん高まつて行くという機会をつくつてやるというところに、今後の協同組合の将来への一つの発展性があるというふうに考えるわけであります。ただ総会で投票したりなんかすれば、総会がもめてごたごたするから、そういうことは避けなければならぬ、話合いの方が万事うまく行くのだ、そういう安易な現状に対する妥協的な考え方だけで今後行くとすれば、これはだんだん逆コースになると私は考えるわけであります。あくまでも農民は無知である、大衆は無知であるということを前提にして、少数の者が適当に掌握をして指導すればいいのだという考え方がこの中にはにじんでおるのです。それで農林省当局としても、こういう趨勢が妥当である、適切であるという考え方を持つておられるとすれば、その点を明確にしてもらいたいと思います。
○金子委員 ただいまの考え方として、理論的には芳賀委員の言う通りだと私は思います。それに対してちつとも疑問をさしはさんでおりません。それなのになぜ改正するかと申しますと、その通りに現実が行つていないのです。だから現実というものも一応考慮していいのではないか。そうして、たとえば選挙をするときに、まつたく白紙の立場において、自己の意思によつて、五百人なり千人の組合員が選挙するかというと、やはりそうではない。その前に部落の申合せだとかいろいろな工作を現実にやつておる。そういう工作をやるのならば、今度はそれを選挙という形に紙に書き表わすということをやらなくとも同じじやないか。書き表わすために先ほど申し上げたような事象が出て来て、そのあとに村に波瀾が起きるということさえある。だから私どもは、組合員の自覚を促して——資本主義機構でありませんから、要するに一人が一人、百口の出資者であろうと、一口の出資者であろうと、平等の権利を持つておる協同組合の立場から、あなたのおつしやる通りだと思います。しかしながら現実の面を見たときに、両建で行くことは、選挙することを否定しておるわけではありませんから、そういう民度の進んだところは、最後の理想の選挙の方に行くべきである。しかし現実の姿から言うと、それによつていろいろな問題を、連合会の場合においても、単位組合の場合においても起しておる。それならば理論的にも矛盾しておるという非難を受けても、あくまでも現実に則した行き方もとり得るような、それに全部やるというのではなくて、そういう行き方もとり得るような方法をとつたらよろしい。この問題を出しますにあたりましては、私も相当理論的に逆行するというあなたの御指摘のような問題があることを予測いたしまして、ある程度の町村の実情あるいは数県の県連の機構に対して参考意見を聞いて、そうして自分の考え方は、理論的にそういう非難を受けることを承知しておりましたので、私の許される範囲の調査をいたしまして、こういうふうな道も講ずることが妥当だという結論を得たわけであります。そういうことに御了承願いたいと思います。
○芳賀委員 この改正点は、両建で行けることになつておるのかもしれませんが、一度こういうふうに改正しまして、ほとんど通例の総会において役員の選任ができるということになれば、便宜的にそういう方法をひとしく採用することになると思うわけであります。ただ私の聞きたいことは、金子さんは今までの投票による選挙には弊害があるというふうなことを言つておられますが、これは全国の協同組合を通じてその弊害のみが多いのか、やはりこういうような方法をとつてこれを指導することによつて、今はまだ不十分ではあるけれども、段階を進めるごとに、これが将来においても採用さるべき方法であるというふうに考えるか、その点であります。特にこの点は昨年の政府の改正点にはなかつた問題であるので、私は先ほどから小倉局長にも尋ねておるわけでありますが、農林省としては、こういう方法を採用したがいいと今なおお考えになつておるかどうか、それから今までの方法をとることが、非常に弊害とか欠陥があるというような全国的な事例等があれば、この機会にお示し願いたいと思うわけであります。
○小倉政府委員 これは理論的と申しますか、役員選任の民主的な方法といたしましては選挙がよろしいと思います。ただ実際にそれではぐあいが悪い事例があるかということでありますが、具体的にどこのどうということは、人の問題でありますのでなかなか判定がむずかしいと思いますけれども、こういうことが実はあると思うのであります。と申しますのは、組合でありますれば、必ず組合長なり専務に専任できるような人が中に一人は選ばれなければ困るわけであります。ところが選挙でやりますと、理事としてはときどき集まつて相談していただく分には非常にけつこうという者が集まつていただくけれども、専務になつて毎日来ていただく人は必ずしもその中に入つて来ない、こういう欠点がございます。もう一つは、大きな組合になりますと、理事の中にもいろいろ分担がございまして、経理に明るい人、あるいは商売と申しますか、そういう取引に明るい人、あるいは中には農業技術に明るい人、こういつた結合関係が必要なのであります。ところが選挙によりますと、そういううまい組合せの役員が必ず選挙されて来るというわけには参りません。選任でありますと、その辺のおぜん立てをする人がうまく考えて、皆さんにごひろうして、全体として賛否を問うということもできるのでありまして、そういうことから見ますと、選任の方が便利であるというふうなこともございまして、一律にどちらがいいというわけには参らぬと思います。今度の改正案のように、選挙によるけれども、場合によつては選任もできる、こういつた両建の規定も、一概に現在の法制よりぐあいが悪いということではなくて、むしろ実情に沿うことになりはしないかと考えております。
○芳賀委員 小倉さんの今のお話ふに落ちぬわけです。どうして投票するとうまく行かぬかということです。組合員がこの人こそ自分たちの代表の理事とか監事になつてもらわなければならぬという良識の上に立つて投票した結果が現われて、数名の理事、監事が出るわけです。その人たちが組合長になり、専務理事になり、それぞれの部署を担当して任期中やるということが一番正しいと思います。この選挙がよかつたとか悪かつたとかいう判断はだれがやるかという問題でありますが、組合員全体が見てこれでよかつたということになれば、結果としてはそれが一番よいのではないかと思いますが、それを別の角度から見て、これは思わしくない結果が出たといつても、組合員は一人一票しかないのですから、それを何か別の力で指導して、今度はこの人を持つて行かなければならぬということででつち上げられるという弊害はどうしても出て来るわけであります。そういうような形はすぐとるべきではなくて、投票なら投票という訓練の中から、そういう期待を持てるような結果をつくり上げて行くことがどうしても必要ではないかと思う。今、またここで逆行してしまうと、いつの時代にそういう理想ではあるけれどもという時期が来るかということです。最近においては、既往よりだんだん協同組合の運営とか、そういう面における情勢というものは、やや整つて来ているというふうに私は考えておるわけであります。だんだん悪くなつて混乱しているという事態であれば、選挙の方法等も考えなければならぬということになりますけれども、再建整備の場合においても、あるいは整備促進の場合においても、事態はだんだんよくなつて来ておる。これは経済情勢の中からの大きな重圧にはなかなか抗しがたいが、そういうことは経済条件がよくなつているということは言えないけれども、協同組合としての運営の形はだんだん整いつつあるのではないかと判断されますが、その点はどうですか。
○金子委員 これは政府よりもむしろ提案者の意思が相当強く入つておりますので、私に答えさせてもらいますが、再三繰返して言うように、協同組合の資本主義的な会社と違う点からいつて、それを一人一人の組合員の意思に問うということによつてでき上るということでなければならぬし、またそう訓練し、啓蒙、教育して行くことには賛成です。それならばどうしてそういう時代に逆行する方法までとらなければならなかつたかということですが、それを一つの例で申しますと、なるほど組合員個々が、一口の持分を持つた組合員も、あるいは二十口持つ組合員も、これに対する権利は同じであります。しかしながら組合に対する関心は、現実においては遺憾ながら同じではないと私は見ております。私の県の協同組合を見ましても、その協同組合員が自分の協同組合に対しての熱意がどれたけあるかというと、遺憾ながら組合と一般の同じ業を営んでいる業界とを天びんにかけて、どちらが安いとか高いとかいうような五分五分の立場において考えている組合員が相当多いのであります。こういうような立場において、ただ公選の形で行きますと、村会議員に落ちたから、今度はおれは理事に出るというような考え方に相当支配されておることは、遺憾ながら事実であります。そういうことになりますから、この公選制をとつてから後は、一面から言えばそれは非常に進歩的だと言えると同時に、一面から言うならば、役員の改選のたびごとに役員が非常にかわつて参ります。御承知のように、民主的な一つの方法として、経済行為をやらないならば、一つの訓練、練習的な形で待つことはけつこうでありますけれども、事が経済の問題でありますがゆえに、かりに個人保証をいたしましても、次のときには選挙によりますから、以前に比べて非常に役員の改選が極度に行われる。これが最近の例であります。そういうことも組合員がそれでよいと言えばそれでよいのではないかと申せば別でありますけれども、そういう結果から、ややもすると役員としての責任感がむしろ薄らいで来る傾向がある。これは今まで連合会の場合におきましても、単位組合の場合においても、私の地方において見られる例であります。だから以前は一旦自分で個人保証したものについて、あくまでその責任を負う、また信任した今たちもその財政を見きわめなければ役員に就任できない一つの例から言いましても、私どもが役員の選考をいたしました当時でも、かつては役員選考が終りましても、その就任に対する受諾というものがあるかないかということが、協同組合では大きな問題だつたのであります。ところが選挙制になつてからは、もう選挙が終ると同時に選挙された役員が、その役員を受けるか受けないかということはほとんど問題なしに行く。問題なしに行くということは、大勢の意思を尊重するりくつから行けばその通りでありますけれども、一面から行けば、その組合を背負つて行く責任感というものが欠けて来ているのではないか。そこで今言うように、村の選考委員なら選考委員というものが集まつて、そうして村全体の中から専務としてだれが適当であるか、経理の知識に対してだれが手腕があるかというようなことを考えてやる方が、組合員の個々の人たちが選挙する場合よりも、経営上妥当な人が出る可能性が多い、こういう場合がある。私は全部がそうだとは言いません。そういう場合が非常に多いことを現実に見ておりますがゆえに、ほかの、経済問題でなければ、それも民主主義の一つの訓練だということで、そこの理想に向つて行けばいいということが言えるのでありますけれども、経済団体というものは、たとい一人であつてもそれによつて間違いを起すということ、あるいはそれによつて大きなミスをいたしますことが、あとに大きく何年も響いて参りますので、その経済行為の特殊性と、現段階の組合員がはたしてそれだけのりつぱな見識を持つておるかどうかという現実を考えた場合に、ただいま芳賀委員の御指摘のようなことはよく存じておるのでありますけれども、現実に即するためには、こういうふうな方法もとらるべきだ、こういうふうに考えておるわけであります。ですから組合の本来のあり方、民主化というような考え方から行きますと、選挙というものを、一人一人の意思によつて固まつたのだから、だれが組合長に出ようとそれが民意の現われだ、組合員の意思の現われだという解釈で行つてもよろしいのでありますけれども、しかし実際農村におきましては、われわれが国会議員の選挙をしましても、まだ頭の下げ方が上手だから投票がよけい入るとかいうふうなことで、へんなものが出て来るように、組合員の選挙において、現段階において組合員が、村の理事者となるべき人の、千戸なら千戸の村で妥当であるかどうかという判断力を全部が持つておるかどうかということは、遺憾ながらまだその段階にまで行つていない場合が多い。そういう場合には、むしろそれを否定するのではなしに、総会に対して出席の訓練をするとか、奨励をするとかいうようなこと、あるいは組合員に対する教育というものを間断なく行うことに対しては、私はまつたく同感でありますけれども、その選挙に対しては村の人たちの選考委員によることが、それほど非民主的だとも思われませんし、そういうことの方がむしろ適切な人物が選ばれる機会が多いのではないか、そういう現実を私ども目の前に見ておりますので、こういうふうな考え方をしたわけであります。
○芳賀委員 金子委員の言われることを私は全面的に否定するわけでもありませんし、また私も協同組合の組織陣営に対してはいささかのつながりを持つているので、飛躍したような観念論だけでこの問題を論議してはおらぬつもりであります。ただ、今の金子委員の言われたお話の中に、組合員の協同組合に対する関心の度合いということがありましたけれども、これは同じ組合員の中にも、農民であつても、たとえば協同組合の事業面を通じて、それを最大効率に活用できるものと、できないものがあるのであります。中には単に飯米農家であつて、たとえば生産物を協同組合を通じて販売処理することのできないような零細農民も、これはやはり組合員になつておる場合もありますし、また中農以上の相当富農層に属するような農家はどつちかといいますと、協同組合につながつておるということよりも、自分の力だけでやつて行くというような、何か排他的な自己保存的なやり方をやつておる。そういう組合員の形もあるのであつて、結局中農的なそういう人たちが、協同組合の中核的な役割をしておるということは、これは全国的に見てもそういう傾向というものはやや同一であるというふうに考えておるわけであります。昨年の冷水害資金等の貸付の場合においても、その資金源というものは中金を中心としたところの系統機関の資金を流した、それで末端における被害農民に対しては、どのように融資が行われたかということは、ここで私が別にあらためて説明する必要はないと思うのであります。協同組合の経営を何とか固めて行くために、一つの方法として貧農層の組合員を切らなければならない。こういう人たちをあまりめんどうをみてはうまくやつて行けないというような傾向が、現在の協同組合の経営の衡に当るところの役員の中には非常に強く出ておるということは、これは否定することができぬと思うのであります。それと結びつけて考えた場合においては、そういう組合の手足まといになるような貧農の組合に対しても、同じように一人一票の投票を行うということはけしからぬじやないかという考え方が、傾向としてこの改正点の中に出て来るとすれば、これは非常に危険であると私は考えるのであります。どうしても協同組合を健全化するためには、繰返して言うようでありますけれども、全体の組合員の意識をこの協同体の中に集約してやつて行かなければならぬということを、自認させるように指導、啓蒙するということを怠つてはならぬのであります。ただ単に、役員の選任の方法であるとか、役員に対する責任規定の強化であるとか、そういうことだけを打上げて行つた場合においては、経済力のない組合員というものは、役員になるときに一つの自信を失つて、こういうような共同連帯の責任を絶えずとらなければならぬというような不安感に押される。そうすると中農以下の組合員というものは、役員に就任するということが、何か自分としては不適格である、そういうことは自分の力ではできないのだというような、そういう卑屈な不安感を持ち、一方から威圧するような形で今後協同組合の役員の選挙等が行われるということは、これはわが国の農民の一つの組織された経済面、生産面におけるところの協同体としてのあり方としては、決してとるべき行為ではないというふうに私は信ずるのであります。今の形においても若干の欠陥はあるとしても、これが全体を通じて弊害が非常に多いとしうことにはならないと私は考えますし、最近におきましては、協同組合が発足した当時よりも、役員の改選の時期等においても、留任する機会というものがだんだん多くなつて来ておると思うわけであります。最初のうちには、改選をやるために過半数の理事、監事が交代したような傾向が一時は出ておりましたけれども、最近はやはり留任する役員が比較的に多くなつて来ておるというふうに私は考えておるわけであります。そういたしますと、選挙を通じて結局信頼のできる、みんなの期待に沿つた、そういう力のある役員というものが投票の形を通じて選任されておるということも、そのことによつて立証できると思うのでありますが、二本建の場合においては、あくまでもやりやすい。しかも総会の成立条件というものは、どの協同組合においてもなかなかむずかしいのであります。委任状を持つて来るところの通例の総会であつても、過半数になつて成立するまでには、おそらく九時の召集でも十一時か十二時にならなければ総会が始まらぬというようなことで、総会を成立させることでも一苦労であつて、特に投票によるところの選挙をやるような場合においては、半分以上の組合員が出て来なければやれぬということで、このことから見ると、これは非常に煩瑣なことであるかもしれませんけれども、しかし協同組合というものが組合員全体の経済生産面におけるところの一つの支配的な有機体であるということを考えた場合に、やはり総会の成立条件というものはあまり緩和しないで、啓蒙を通じて、これは全部が集まつて来て、どういうことでもやり得るというような形に育て上げるということが、どうしても必要なことになつて来ると考えますが、この点に対しまして小倉局長のお考えを重ねてお伺いしておきたいと思います。
○小倉政府委員 御意見の通り、役員の選任といつたような事柄につきましては、できるだけ多数の人が集まつて、多数の意見できめるということが当然だと思います。もちろん法律の規定がそういう点について十分できておるとは限つておりませんけれども、これは主として組合の定款に、選挙の場合でも総会はどういう総会でなければならぬということを定款できめるようになつております。また総会の席上でやるかどうかということも、定款できめるようになつております。万事定款でなるべく多数の人が選任なり選挙という行為に参加してやるという趣旨で運用されなければならぬと思つております。もちろん最小限度の規定は法律で必要でございますが、それ以外をどうするかという御議論だと思いまするけれども、何と申しましても、やはり定款でそういうことが十分に行われるように、私ども今度選任のことが出ました場合にも、模範定款等で十分指導して参りたい、かように思つております。
○芳賀委員 今の御答弁の中に欠けた点があるわけですが、今後の協同組合の一つの行き方として、さつき私が言つたように零細な組合員、いわゆる貧農というような言葉で表現される場合もあるわけであります。こういうような組合員を切り捨てるという傾向が非常に強く出て来ておるわけであります。そういうことは御存じになつておると思うわけでありますが、そういうことになると、わが国の零細農民というものはどこに生きる場所を求めるかということになつて来るわけだと思うんです。こういうような選挙の方法がとられる場合においては、そういう力のない組合員、それから意識の非常に遅れておるというか、関心の少いといいますか、そういう組合員の意思を反映する機会というものは、おそらく抹殺されてしまうのじやないかと考えますが、そういう点は農林省当局としても、やはり農村の民主化という——これは空理空論ということになるかもしれませんが、この旗じるしを捨てた場合においては、協同組合の本質というものは失われてしまうと私は考えるわけでありますが、そういう力の弱い組合員の立場というものを平等に守つてやるという場合において、この改正点というものはどういうことになるか、その点を重ねてお伺いしたいと思います。
○小倉政府委員 選任に関連しての、特に零細農との関連のお尋ねでございますが、村の小さなと申しますと語弊がございますが、村の普通の協同組合で、総会として一堂に会してやれる、こういうところでは、必ずしも選任というようなことでなくて、選挙の方がいいことは当然だと思うんです。ただ相当大きな組合になつたり、あるいは連合会になりますると、集まつて来る人々も大勢でございまするし、ことに連合会になりますると、やはり総会でもつて選任をやつた方がむしろ適当である。もちろんその場合にも一人一票という原則は貫かれておるわけでございますので、そういうふうに運用の面については十分考えなくてはいかぬと思います。村の二、三百人あるいは四、五百人の協同組合において、しかも顔もみな知つておるという中においては、選挙をやつた方があるいはいい場合も非常に多いじやないかと思います。だからそれは組合の規模なり、連合会と単位組合、こういつたものによつても相当違つて来るのじやないかと思います。ことに零細農の関係におきましてのお話でございますが、なるほどこれは秘密投票でございますれば、自分の意思をはつきりと表明できるけれども、公の席上で手をあげるとか起立するということでは、遠慮がちになるということも、貧しい人なりそれに近いような方々には往々あるのでございますので、そういうことはできるだけないように、みんなが集まつて議論できるような規模の組合では、むしろ選挙でやつた方がいいのじやないかと思います。なお今度の改正法案を拝見いたしますると、部落単位あたりの小さな協同組合、あるいは協同組合になつていなくても事実上の農民の団体などにつきましては、村の協同組合等に加入できる道が開かれておりまして、そういう加入の関係を通じても、特に零細な農家の方々一人一人では信用がなくても、集まつて協同組合の中に入つて来れば信用がついて、十分協同組合の施設の利便も受けるといつたような方法も講じてあるようでございます。こういう方法によりましても、十分ではないと思いまするけれども、今お話のような点について、法制としては救済策に役立つ、かように考えております。
○川俣委員 この点は非常に重大な要素を含んでおりますので、いずれあとで私が質問いたしたい点に触れておりますが、一言だけこの際関連してお尋ねしておきたいと思います。この観念が農業協同組合に対する根本的な考えの相違にもなるかと思うのでありますが、とにかく農協法の骨子になつておりまするのは、農協に対する発言権が平等の権利を持つということが何といつても根本になつておると思うんです。もしも農協の便宜のために法案を修正するなり運営を考えるとすれば、この原則をやめるなら、これはまた一つの行き方があると思うんです。しかしながら平等の権利を持つというこの基本を与えておきながら、法律でこれを制限をするということは、この原則をみずから打破ることになると思うんです。私はそう解釈しますけれども、経済局長は、いろいろな制限を加えても平等の権利を持てると考えるか。制限を加えるというのは、定款やあるいは実際の運営において制限を加えるのは別問題ですが、一体法律的に制限を加うべきものと考えておらるるかどうか。もし考えておらるるとすれば、農協法の根本的な改正を必要とするのじやないか。こう思いまするが、この点どうですか。
○小倉政府委員 これは御承知の通り改正案では、法律的に組合員の平等の権利というものを制限しておるのではないと思います。選挙に関連してのお尋ねだと思いますが、選挙によるか選任によるかということを組合に委任している法律でございます。自由選挙によろうと選任によろうと、選挙の場合は投票、選任の場合は議決、これがやはり平等という原則は貫かれておるのでございまするので、協同組合の一人一票ということで書き現わされておりまする原則というものは、何ら変更を受けていないように思います。もちろんさかのぼつて、あるいは問題をかえまして、一体そういう事柄が大きな協同組合なりあるいは連合会ということにまでさかのぼつていいかどうかということになりますると、いろいろ検討すべき点はもちろんあるかと思いますけれども、今回の改正案に関する限りは、そういう点に触れて改正をされてはいない、かように考えております。
○川俣委員 関連事項ですから質問を簡略にいたしますが、提案理由による改正は、運営の便宜をはかりたい、最もその組合に熱心なものを主体として運営をするには現在は非常に不便な形をとつておるので、便宜的な方法をとりたいという大体の考え方のようです。私はそういう考え方は一つあると思う。考え方はあえて否定しようとは思いません。そういう考え方だと、平等の権利というものを明らかに法律的に制限を加えよう、そのことが運営が好ましいのだという考え方での提案だと私は理解するのです。早く言えば、二十株持つておる者も一株持つておる者も同じであれば運営はうまく行かないのである、二十株なり三十株持つ非常に熱心な者を主体にしてやるということが実情に合うのだ、こういう結果になると思う。この結果を予想して改正する必要がある、こういうことだと思うのです。私はその考え方は一つあると思う。だけれども、それならば平等の権利というようなことを法制的に制限をするということになると大きな問題が起つて来るのではないか、私はこう理解するのですが、あなたはどうお考えか、こう聞いているのです。
○小倉政府委員 協同組合の経営と申しまするか、あるいはまつたく経済事業としてあるいは一種の企業体として、できるだけ合理的に迅速に事柄を運びたい、そういう意味の便宜主義でありますれば、場合によりましては出資口数なりあるいは事業分量というものに応じて投票権をきめる、こういうことに問題が発展すると思います。しかしここで改正されておりますのは、そこまで議論を発展させてのことではございませんで、やはり一人一票という原則を前提に置いて、それをかえるのではなくて、その前提においてなおかつ組合の運営がうまく行くようにするのにはどうしたらいいか、こういう改正で、そのわくを破つての問題ではないというように思うのでございます。
○芳賀委員 金子委員にお伺いいたしますが、たとえば総会において選任できるという場合においては、これは何人かの選考委員をあげて選考して、それを選考委員会の代表の者が総会で報告して承認を得るという形になると思うわけですが、そういうことになりますと、組合の全体の意思を反映させるということはなかなか至難だと思うのです。たとえば部落的に選考委員を出す場合においても、部落の顔役というのはきまつていますから、だれだれさんということでその人が出て行つて、そうして理事に新人なんかが出る場合は、あれはあんちやんで、りくつはやかましいけれどもやらしてみたら大したことをやらぬから、今までの方がいいと思う、監事はだれがいいだろうという場合に、これは頭がいいけれども、何でもかんでもやかましく言つて、秘密に属するような事項を発表されたり総会なんかに報告されては困るから、こういうのは大体省いたらいいのじやないかということで、一つの妥協的な線がそこから必ず出て来る。そこに選考委員会の悪弊というものがあることをわれわれは長く体験しておる。そういう悪弊を除去するというのがこの投票制であるというふうに信じておるわけでありますが、それまでにしなくても、この法律の改正によつては、中央会というような一つの指導形態というものが都道府県にも出て来るわけであつて、今までとかく放任されたような観があつた組合員の教育、啓蒙というものもこの法律の中では一つ意図しておるというふうに考えられるわけです。そういうことになりますと、組合員に対する意識啓蒙をやつて行く場合においては、だんだん自覚の度合いが高まつて来るので、提案者が心配されたように、役員の選任方法についても、今ではまだ不十分であるけれども、何箇年かの後においてはこの形がやはり理想的であり、正しかつたという時代が来ると思いますし、その時代を招来するというところにいわゆる協同組合の運動の推進さるべき必要性があるのであつて、これはある時期においてはがまんしても、やはり究極の理想のためには、力強く既定の方針をまげないで進んで行くことが非常に大事でないかというふうに考えますが、この改正をやつたことにより生じて来る今後の弊害等に対しては、金子委員はどのようなお考えを持つておられるか。
○金子委員 もしこの両建の制度をとりまして、そうしてそれが安易な道であるところの総会における選任にかわつて行つたと仮定する、そういう場合に、今芳賀委員のおつしやるように、特定なボス的な一つの存在になつてしまう、こういうことであるとするならば、もしその際に組合員に自覚があれば、これはそういうことは必要なしに、総会において選任するという定款は反対だ、これは選挙によるべきだということに当然なるのでありまして、別に逆行することを目的にしておるんじやありません。ただ現実の問題として、これは先ほど申し上げた問題をもう一度繰返すようになりまするが、私ども提案者としての考え方は、現に選挙をやつてはおります。おるけれども、たとえば、私の県の連合会を見ましても、あるいは私の地方の八割以上、むしろ九割以上の町村段階の選挙を見ましても、大体において理事の選挙のときに、連合会の場合においては各郡、町村の場合には各部落で、だれを出そうという目標を大体において相談会できめまして、それに対して選挙するというようなやり方を、よその県は知りませんが、私の県ではやつておるのであります。それで、さつき申し上げたように、この間の群馬県の県連の選考にあたつて、ある郡でそれの予定が選挙のときに狂つて、それができなかつたということによつて非常な波瀾が出た。そういうようなことは組合の理論から行けば実に矛盾したばかばかしいことでありまして、組合の理事は、何も郡代表でもなければ部落代表でもない、まつたくその組合の運営に最も適切な手腕を持つた人が理事に出る以上は、一つの部落から何人出ようが、あるいは一つの郡から何人で構成しようが、そんなことはいい。これは理論的には正しいと思います。しかしながら実際の今の立場における協同組合の理事機関は、やはりその地域代表としての責任と同時に、組合そのものの運営というものは、その中から互選されて参りますところの組合長なり専務理事というものが大体において責任を持つて来る。ですからこれは理論ではなしに、現実にどこの村の組合長が主宰する理事会に臨んで見、あるいは県の段階における理事会に臨んでも、その中心になつておるところの、その組合の運営に当つておる組合長なり専務理事が嘆く言葉は、組合自体の理事でありながら、その部落代表であるかのようなつもりがして困る。組合の利害よりも自分の方の利益を擁護するようなつもりで困るというふうな悩みを持つておるようなのが現在の状態だと思うのであります。そうしてそういう悩みを持つということはもちろんいけないことなのであります。いけないことだから、そこで理事者はその組合自体の運営にりつぱな人であれば、地域的な性格は全然無視していいかというと、それじややはり組合というものは運営できない、こういう現実の上に立つたときに、選挙をやつておりましても、その選挙というものに対しては、ある意味における選挙違反のような申合せによつて一応きめて、それで選挙の形式をとるというようなことをやつている実例がたくさんありますので、そういう現実に即して行くのには、その選任の方法というものは、どういう方法でも一応まかしたらどうか。もちろんそれは投票によるところの選挙を否定するものじやない。こういうことを考えておるわけでありますので、決して私の方は非民主的な逆方向へ奨励しているわけでもなし、またそういう方向へ行くことを望んでいるわけでない。ただ現実というものを見たときに、やはり法律だけが飛び離れてもいけない。もう一つは、これが経済団体ではなしに、ほかの団体のようなものであるならば、練習の期間相当な犠牲を払つてもよろしいけれども、これが経済機関であるがゆえに、一旦不調なりいろいろな問題から起る犠牲というものが、あとで大きく響いて参りますので、そういう点から行くと、経済機関というものは相当慎重な態度をとるべきじやないか。こういうことを考えるがゆえに、私どもは浅い経験でありますが、過去十数年の間この仕事に携つて参りまして、この組合の一人に対する一つの権利、いわゆる出資の多寡に発言権はよらない、こういうことの原則に立つ組合の運動というものが、いかに困難であるかということはよく承知しております。しかし困難であつてもこの線は曲げべきでない、こういうことを堅持しておるのであります。しかし役員の選挙に対してこの方法をとつたがゆえに、組合員の発言力をそれほど無視したというふうには考えておらないわけなのでありまして、もちろん選考いたしましても、その結果というものは総会に諮つて決議のない限りは、これは効力を発生しないことになりますので、特定の人が必ずきめてしまうということに割切ることもできないのじやないか。もしまたそういうことがあつたとするならば、そういう場合には多数の人の意見によつて、そういう選考委員制度によるべきじやないということをその組合がきめれば、選挙によつてでき得るのでありまして、それで両建で行くという考え方を持つたわけであります。
○芳賀委員 この問題で停頓しているようですが、非常に大事な点だと思いますので、もう少しお伺いしておきますが、金子さんのお話、先ほどの小倉局長の御答弁の中にも、投票によるとどうしても地域代表的な役員が出て、組合長とか専務とか、組合の運営の中核になる人物の選出が困難になるということですが、その点が私はわからないのであります。部落とか地域で信頼されて初めて出て来るわけです。その地域で信頼されない者が、どうして組合長になつたり専務にならなければならぬかという、その理由がなかなかわからないのです。その人間の出所進退とか日常の動きというものは、やはりその周辺の人が一番よく知つていると思う。その中から選ばれないような人物がなぜ組合長や専務にならなければならぬかという、その根拠というものがわからないわけです。当然その地域でも信頼されておれば、その組合の区域全体からも信頼されるということであつてしかるべきだと思いますが、組合長や専務というものは、投票ではいい人が得られないということは、何をさすのかわからない。ただ単に、今の協同組合の執行に当つている人たちとか指導的な立場にある人たちが考えて、こうすればいいとか、ああしなければいかぬとかいうことの判断の上に立つてものを進めて行くという場合においては、そういう意見も出るかもしれませんけれども、協同組合員全体の気持がそうした方がいいということには、なかなかなつておらないと考えますが、この判断はどちら側の判断の上に立つて考えられておりますか。
○金子委員 それは何か私が申し上げたことを聞き違いがあると思うのですが、私の言つたのはそうじやないのです。選挙をやるにしても、大体において部落の配置や何かを一応申合せて選挙しているのが、私の知る範囲の一番大きな実情だ、こう言つているのであります。それだからいけないというのじやなくて、そういうふうにやるならば、選挙というもの自体が、もう個人の意思を尊重しておらない。ほんとうを言えば、自分の字であろうがどこの字であろうが、そんなことにかまわないで、普通の選挙でやるべきじやないかと思いますが、協同組合の場合は、そういうことが行われていないということを申し上げたのであります。そこで、かりに選挙でやりますときも、各字から出た人達は、大体地域代表的な性格が多く出ているのが現実でありますが、そういう場合に、その中から互選によつて組合長なり専務を選ぶ場合と、それからもう一つは、全体をひつくるめて各字の配置の問題と、それからおよそ組合長なり組合の専務というものに対する考え方を念頭に置いて総合的に考えた場合と、こう比べますと、やはり総合的に考えた場合の方が、適任者が多く得られる可能性の方が多い。と同時に、繰返しておきますが、あなたのおつしやるように、いつでもボスが馬に乗つて、そこから降りないという欠陥が出て来ることも一緒に私どもは考えております。しかしそういう欠陥があるかわりに、またいい場合には適切な人物が得られる可能性の方が多い。字で信用できない人が云々と言いますけれども、御承知のように、はなはだ遺憾でありますけれども、現段階におきましては、私は率直に申し上げて、選挙というものには感情や何かが相当手伝つて来ると思います。たとえば組合長が非常に取立てを厳重にすると、その感情がいろいろとあとへ残つて来る。今の段階では、遺憾ながらそういう点があるならば、選挙というものによつて、個人の意思表示を人にしいられないような形において行使した場合と、それから大勢の中で話し合つたものと、両方に欠点があり両方に特徴がある。だから私は現実に即すためには、両方の道をとつておいて、選択制をとつた方がいいじやないか。私は両方に欠点があり両方に特徴があることをよく考えて、その上で、やはり両方の道をとつた方が現実に即しているのじやないか、こういうふうな結論を出したわけであります。
○芳賀委員 金子さんと論議しても、これは討論みたいになるので、こういう傾向は避けたいと思いますが、ただ提案者のお考えは、組合員の大部分が無知であるというその前提に立つて、高いところからさしずした方が協同組合のためになるという、そういう思想の上に立つておられるように考えるわけです。私たちはあくまでも組合員全体の利害の立場の上に立つて、どうして行かなければならぬかというふうに考えているわけですが、いつまでも一方の立場から、全体を意味であるというような考え方だけで持つて行こうとすると、なかなか農村の民主化なんというものは期待することができぬと思います。民主化なんというようなことは、何の役にも立たぬようにお考えになつているかもしれないけれども、これはやはり非常に大事な問題であると考える。これが行われない場合においては、農村の今のような非近代的な社会というものは、なかなかこれ改善することはできないと考えるので、忍耐も必要であるし期間も必要ではありますけれども、やはり今のような協同組合の原則的な精神というものは、みなで守つて行くというような形の中で、欠陥は指導、啓蒙等の、そういう教育活動等を活発にすることによつて高めて行くことが可能であるというふうに考えられるわけです。特に選考委員会で一度きめた人選というものは、それを総会に報告して、そこでそのうちのだれを信任するとかしないとかいうようなことは、どの村の総会においても絶対にとられなかつた方法であるというふうに考えますし、たとえば選挙によつて期待されないような役員が出た場合においても、その役員が理事としてあるいは監事として業務の運用の面に立つた場合において、不正があつたり、業務の運用を怠つた場合にこの改正点においては今まで以上にきびしい規定を設けておるわけであります。だからそういう点はこのような改正を行う場合において、前段においては組合員全体の意思において役員が選ばれた場合においても、もしもその選ばれた役員が期待に沿わないような、業務の運用を怠つたような場合においては、今まで以上強い制約を加えることになつておるので、そのような心配もあまりないのじやないかと考えるわけでありますが、選挙のやり方を今よりもゆるめて、総会にみんなが出席する機会を少くするようなことはいけないと思います。しかも改正点の中においては、組合員が五百人以上あれば総代制をとれるということにもしておるのでありまして、そうなりますと、ますますこの協同組合の総会の場所に全部の組合員が集まる必要がないのだというところに事態を持つて行くようなことになると思うわけであります。私はむしろ、どうしたならば全部の組合員が集まれるようにするかという配慮の方が重要であると考えるわけですが、この総代制をさらに五百人までの点に引下げた理由、それから前回の委員会において質疑を行つた点でありますが、この組合員の資格の中に、農民が組織する団体が准組合として加入できることになつておりますが、提案者が予想されているところの農民の組織する団体というのは、具体的な事例をあげると、村においてはどのような団体がこれに該当するか、あるいはまた府県段階等においてはどのようになるか、その点もあわせてお伺いしたいと思います。
○金子委員 役員の選任の問題につきましては何度も重ねてお答えしておりますから、以上の点で御了承願いたいと思います。 それから総代制をなぜ五百人以上にしたかということは、一つには組合のあり方を組合員に徹底するための教育と、もう一つは組合の祭りというような考え方で総会に一人でも多く出て、組合の団結と組合精神の徹底をはかることに努むべきだという御意見はまつたく賛成であり、であるからこそ総会に対して、まつたくばからしいことでありますけれども、キヤラメルや景品まで出して総会をやるというようなことをやつておるのであります。その点については私は今の芳賀委員の御意見にまつたく同感であります。それなのに五百人以上の組合があつた場合に、総代制を設けたらどうかということにここで改正するのはどうかというのであります。これは役員選挙であるとか、その他の問題につきまして重要な問題はもちろん総会によるべきなんで、総代会ではできないことにしておるのであります。農村の協同組合は、会合が夏の農繁期になりますと、ほとんど不可能に近いのであります。そういう関係上、上級団体に対する出資の問題であるとか、あるいは加入の問題であるとかいうふうな役員会だけで決定することのできない、組合員の意思をもう少し広く聞かなければならないというような事項が組合にはたくさんあるのであります。そういう場合に、夏の農繁期の盛りに総会を開くということは実際的にできないからして、つい総会を開くことのおつくうからその手続をしないでいるというようなことにまま出会つていることを、私は承知しておるのであります。そういうような便法として、理事会を拡張して、理事会では無理だというようなことから、総代会をもつと活用したらどうかという考え方から、総代会がもつと安易に開けるようにしたらどうだという考え方であります。 それから農民の組織する団体の事例についてのお尋ねでありますが、これは農事実行組合というような実行組合制度をやめた今日におきまして、部落あるいは部落の半分あるいは一部落半というようなはつきりした区域ではありませんけれども、たとえばなわの製造をするための協同組合に近い団体が、いわゆる法的な根拠は持たないけれども、実質的には経済行為としてやる共同出荷であるとか、あるいは豚を飼つておる組合というようなもので、いわゆる正式な組合にはなつておらぬけれども、共同の形で資材を購入し、製品を販売するというような協同組合、あるいは種卵をとるために種鶏を飼つておる人たちの組合がある、こういうようなものは協同組合法にはよつていない。しかしその実態はあくまでやはり一つの団体として経済的な形をなしておるものがたくさんある。これが協同組合につながることによつて、その資材を得ること、あるいは販路の委託をすること等によつて、協同組合も相当充実され、組合員の便宜もはかれるのではないかというふうに考えております。
○芳賀委員 農民の組織する団体の規定でありますが、これは今の御説明によると、ただ単に申合せ的な団体がただちに協同組合に加入でき、そうして経済上の取引もできるということになると、ここからまた不測の事態が生じないとは限らぬわけであります。やはりこれには団体が加入できる一定の資格条件というものは明確にしておく方がいいのではないかと考えます。あまりにおおらかにやつて、あとでまたすぐ法の改正をやらなければならぬというような事態が起るのではなかろうかというようなことが考えられるのであります。そこで前回、部落実行組合というような人格を持たせたものの正組合員について正式の加盟等が行われた方が非常にいいのではないかという意見もあわせて述べたわけでありますが、非常に抽象化されたこういう団体というものは、運用の場合にあたつてなかなかこれを明確に規定して取扱うということは困難だと思います。事務当局ではこの点についてどういうふうにお考えになつておりますか。
○小倉政府委員 これは任意組合でありますので、御指摘のような法律関係につきましては、若干心配な点もないことはないと思います。ただその点につきましては、組合が大わくを定款できめるということにいたしまして、定款でどの程度のどういう種類のものが加入できるかということをきめまして、またその加入する場合の代表者を届けさせるとかいうようなことをやりまして、できるだけ組合の加入関係を明確にできるような措置が当然必要だと存じます。
○金子委員 ただいまの芳賀委員の御質問はしごく適切な考え方でありまして、私当初に協同組合法の根本改正というようなものを考えました当時、どうしても部落あるいはそれに準じたような協同組合の一面から言えば、言葉は適切でないかもしれませんが、下部組織というかあるいは基礎団体というか、そういうものに法的なしつかりしたものを置かないことには、今後の農村構造の上からいつて、あるいは協同組合構造の上からいつて非常にまずい、これはやはり協同組合法の中で法制化すべきだという考えを持つております。しかしこの際はそういう段階まで研究が間に合いません結果、一応この道だけを開いたのでありますが、私個人の考えとしては、なるべく早い機会にそうあるべきたと考えております。
○芳賀委員 任意団体等の加入の場合に、養鶏、養豚等の組合があつた場合、必要な資材の融通とか、そういうような経済上の行為をやる場合において、その責任追究をやるときにはどうするかということなんですが、その場合には代表者だけの形で取引をするようにするのか、あるいはその任意組合の中の組合員全体の連帯制度にするのか。そういう点は取扱いの上に出て来る問題だと思いますので、こういう点もあらかじめ御検討になつておると思います。それはどのようなことになつておりますか。
○金子委員 任意組合を准組合員として取引するときには、一つの例として申しますれば、まず一応その組合の申合せにいたしましても、組合自体の規約というものをとる、そしてその規約に基いて代表者との間に——法人であるならば代表者とだけで一つの取引が始まるのでありますが、そういう申合せの場合に危険を避けるためには、その任意組合の役員なり、あるいは人数が少い場合には全員なりと、あらかじめ取引上の念書をとりかわしまして、その後においては組合長が念書に基いて経済行為を代表する、こういうふうにやることによつて危険が避けられるのではないか。法的な根拠ができるまで、一応それだけの煩瑣はやむを得ないのじやないかと考えております。
○芳賀委員 次に監督規定の問題に移ります。今度の改正案によりますと、組合に対して行政庁が業務の停止並びに役員の改選を命ずるような権限を持つことになるわけでありますけれども、これらの点は純粋な指導面において所期の効果を上げることはできないものでしようか。こういう職権的な措置で、業務の停止はまだいいとしても、役員の改選まで行政庁が命ずるというようなことは、何か行き過ぎのような感じを非常に受けるわけですが、こういう点につきましては、やはりここまで持つて行かなければならないというような具体的な事例等があれば、聞かせてもらいたいと思います。
○金子委員 率直に申しまして、この監督規定で役員の任免なり、事業の停止なり、解散という根本問題に対して監督権限を広げて行くということにつきましては、考え方によりますと、非常な弊害が出て来るという心配もあるのです。それから、はたしてそこまで行く必要があるかどうかという今の御懸念でありますが、その点私も正直なところ一つの疑問は持つておるのであります。そこでこの条項は、前回において一応政府の企画したものを今度の提案において私はのんでおるわけであります。しかしながら、提案者自体からこういうことを申し上げるのは非常に不謹慎なのでありますが、この間においては、役所が手放しですぐこの法律を適用できるということに対しては、少し危険もあるという関係から、その協同組合自体の意思表示なり、あるいは今度できます中央会というものの第三者的な立場から意見を聞いて、しかる後にこの監督権限を発動するというような修正にしたらどうか、こういう意見も、この委員会の正式の委員会ではありませんが、懇談の中に出ております。私はその点には賛成しておりますので、そういうような修正がなされるならば、それが妥当だ、こういうことを提案者がみずから申し上げることは矛盾でありますけれども、率直に申し上げて御理解願いたいと思います。
○芳賀委員 この点は昨年の政府の改正原案によることが明らかであると思いますので、小倉局長に伺いますが、こういうように一方的に行政庁の権限が発動される場合において、協同組合の側で自己の正当性を守る場合においては、どのような手段で対抗するか。そういう点も御研究になつておると思いますが、御説明を願いたいと思います。
○小倉政府委員 これまでの法律でございますと、役所の非常に強い監督権と思われますのは、目的以外の事業を行つた場合に解散を命ずることができるという規定がございます。もつともこれは裁判所がやるのでございますが、行政庁が申し立てるということになつております。組合が目的外の事業をやることは、なるほどいけないことに違いありませんが、他にこれと同様にもつと重要な事柄が多いのでありまして、目的外の事業だけについてこういう強い規定があるのがどうか、多少了解に苦しむような部分もあります。それからもう一つは、私どもが検査に行つて、いろいろぐあいの悪い点を発見した場合に、実はこれまでの規定によりますと、好意的な忠告をすることにとどまつております。それではどうもあまりに不十分ではないかという感じがいたしておつたのであります。そういうことから今回の改正案に私どもも賛意を表しておりまするが、その意味は、ぐあいが悪いところがあつたからいきなり役員の改選といつたようなことを考えているのではございませんで、もちろん一応是正するようにいたしまして、是正するようなことを命じたにもかかわらずなおかつそれに従わない、こういう段階でやるのであります。従いまして、組合側としての言い分がございますれば——検査等によつて違反の事実を指摘するという第一段がございます。第二段目は、命令をいたしました場合に、その命令について言うことももちろんできるわけでございます。それから役員の改選あるいは業務の一部停止といつたようなことになるわけでございます。もちろんこれらにつきましては、行政庁の命令なり処分でございますので、これらについてもしも法律上のことがございますれば、行政庁にいろいろ述べる以外に、裁判所に対して訴えることもできるのであります。
○井出委員長 芳賀委員に申し上げますが、大体一時ごろまでに終るようにしていただきたいと思います。
○芳賀委員 ただいまの小倉局長の答弁でありますが、今の協同組合の全国的な趨勢から見て、こういうような規定がどうしても必要であるという必然的なものを感じておられるのか、去年はそうであつたけれども、今年は別に政府の原案としてこういう改正を行う意思もなかつたので、たまたま議員立法に便乗してこれを載せる程度であるかどうか。その重要度合いは今はどういうようにお考えでありますか。
○小倉政府委員 私ども協同組合法の改正につきましては、中央会といつたような制度全般の改正にまたがる問題のほかに、事務的にこれまでいろいろやつて参りました経験を基礎にした改正をいたしたいと思つておりました。監督の面についての規定も考えたのでございます。ただそういうものを政府提案なり何かによつて国会に御審議をお願いするといつたようなことになりますと、必ず中央会の問題が関連する問題になりますので、そういう事務的な——重要なことでございますが、どちらかと申しますれば事務的な問題について、政府提案としてこの際出すことはいかがかと思いまして、実は私どもは改正をしたいけれども提出の機会がなかつた、こういうことであります。便乗と言つては語弊がございますが、せつかく中央会といつたような制度を取入れられまして改正される場合には、常々私どもの方で考えておりました点、またこの前政府提案でお出しいたしましたときの改正点なども、できるだけ参考にして提案していただいたので非常にけつこうだと思つておりますが、監督の規定も、特にこの際便乗ということでなくて、これまでいろいろ考えておりましたぐあいの悪い点について申し上げまして、幸いにして御賛同を得て議員提案として入れていただいた項目もございますが、監督の点なんかにつきましてはそういう事柄に属するのであります。行き過ぎのないように、また措置を受ける組合の諸君等に対しまして十分意見のあるところ、あるいは弁明する機会を与える、あるいは金子委員の申しましたような、中央会に対して諮問をするといつたようなことは十分考えていいのではないかと私ども考えております。
○芳賀委員 次に、今度の改正点の中においては、共済事業に関する面が、協同組合の責任規定とか、あるいは行政庁の必要なる指導規定とか、そういうものが非常に明確になつて来ておるようであります。これは非常に望ましい傾向であると思いますが、この程度の改正によつて、とかく非常に不安定であつたところの協同組合の事業として行う共済事業が、その地位を今後安定することができると提案者はお考えになつておるかどうか、この点に対してお伺いいたします。
○金子委員 現在行つております協同組合法による共済事業が、今度の改正、いわゆる取締り規定をさしはさんで改正しておるのでありますが、その程度のもので今の協同組合のやつております共済事業が安定性を得るのに万全であるかどうかということは、私率直に申し上げして、万全というよりか、まず第一歩を踏み出したということだと思います。これは共済という形であるか保険であるかということの見解に対しても、大蔵省あるいはその他といろいろ問題のある点でもありますし、今後残された問題が相当あると思います。あるけれども、さればといつて、共済を行うことができるという単なる法律条項のもとに出発しております、しかも相当の事業分量が今日伸びておりますので、この際協同組合の取扱う共済事業につきまして、最小限度この線の上に乗せなければいけない。そして今後その準備金のあり方をどうするか、その他保険類似の仕事に対してどういう性格を、どういうふうなこまかな規定で設けて行くかということは、今後の問題に相当残されておると思うのであります。
○芳賀委員 この問題は金子さんも心配されておるようでありますが、とかく過去の推移を見ても、せつかく協同組合が共済事業という形の整つたものとしようとして努力しても、それがかえつてよそから、これは保険類似の事業であるとかどうであるとかいうことで、絶えず脅かされておるわけであります。現在においてもそういう傾向は非常に強いと私は考えておるわけであります。一説によると、何か大蔵省関係が、かかる改正に対しては全面的に反対だというような意思決定までも行つておるということをも聞いておるわけでありますが、そういう動きがもしありとすれば、私はこの席に大蔵大臣の御出席でも願つて、農業協同組合の行う共済事業に対する認識の欠如を、もう少しただしたいと考えておるわけでありますけれども、そういうような動きははたしてあるかないかという点に対して、提案者におかれてお気づきであれば、参考までに聞かしてもらいたいと思います。
○金子委員 これは今が今始まつた問題でありませんし、協同組合の共済事業が損害保険の営利会社と利害関係を持つて来るという立場から、損害保険協会の方からも正式に各委員の手元にまで反対陳情が出ております。そういうことになれば、当然大蔵省もその方向へ考え方を持つて、若干われわれとは考え方が違つた点があるということは、私どもにもよくわかる問題でありますし、またそういう動きがあることも事実であります。ただここのところで申し上げたいことは、私どもは今度の法律改正では、これが保険類似の仕事であるか、保険とどういう関係を持つかというその線までは触れておらないのであります。要するに、すなおに協同組合のやつておる共済事業に対しては、これこれの条件の上において行えということを安全のためにとつたのでありまして、今後これが保険類似の仕事であるから保険業法とどういう関係を持つかということに対しては、私どもはこの際は触れたくない。そしてあくまで協同組合の共済事業というものをそのまますなおにとつて、それを行つて行く上には、その連合会というものは単独連合会でなければ危険であるとか、あるいはその準備金その他の規約を認可制にするというようなことを、この際盛つたのであります。従つてできることならば、この法案をめぐつては、この際われわれはあくまで独自な立場でこれを進めて行きたい、問題があるならば、この法案の通過いたしました後に、残つた問題は解決して行く、この方が賢明な処置じやないか、こういうふうに提案者としては考えておるわけであります。
○芳賀委員 先ほど委員長の御注意がありましたので、午前中の質疑はこの程度にさしていただきまして、残余の質疑は後刻またいたしたいと思います。
○井出委員長 暫時休憩いたします。 午後零時五十七分休憩 ————◇————— 午後二時二十五分開議
○井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 農林漁業組合連合会整備促進法の一部を改正する法律案を議題といたし、審査を進めます。 この際お諮りいたします。本案の審査に関連して、参考のため農林中央金庫の当局者の御説明を求めたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井出委員長 御異議なしと認めます。 ただいま農林中央金庫より江沢副理事長外二名、政府機関であります農林漁業金融公庫からは平中理事外二名が御出席に相なつております。質疑の通告がありますのでこれを許します。川俣清音君。
○川俣委員 まず第一にお尋ねいたしたいことは、資金の系統外流出是正のために農林省が信連などに対して通達をいたしたことが新聞記事に載つております。「農林省は十七日、農林経済局長名で各都道府県知事、農林中金理事長、各都道府県信用農協連合会長あてに系統外運用資金の是正について通達を発した、これは昨年の災害以来、営農資金の貸出などで農協系統金融に対する需要がふえているのに対し新規の政府指定預金が認められないなどのため極度に資金が不足している」からであると掲載されておりますが、このような事実があるのかないのか、なぜこういう通牒を出さなければならないような事態が出て来ておるか、この点についてお尋ねいたします。
○小倉政府委員 ただいまのお尋ねでございますが、昨年の凍霜害から冷害に至る各種の災害に関しまして営農資金を融通するという法律が出て参りまして、その資金の融通は主として系統金融機関でやつておるのであります。当時から当然予測されたことでございますが、五月ごろから九月にかけましては、中金その他系統の金融でもつて十分にまかつて行くということは不可能であろうという予測をしておつたのであります。しかしそれについて政府としてどうするかということが必ずしも決定されないままに今日に至つております。中金の金繰りはどちらかと申しますと、昨年よりも今年はむしろ改善されておる状況でございますけれども、しかし四百八十五億のわくの中で営農資金を十分供給するということになりますと、どうしても資金繰りが十分でございません。そこで政府としてもその資金の心配をしなければなりませんが、系統金融の方といたしましても、いたずらに——ということではございませんけれども、採算の関係その他で外の方に行つておる。銀行預金になつておるとかあるいは有価証券に投資されておるというようなことが相当ございます。特に有力な信連といつたようなところにはそういう傾向が見られるわけでございます。しかも、そのこと自体をとやかく言う必要はございませんけれども、場合によつてはみずからの定款に違反してまでそういうことが行われておる。あるいはまた政令でもつて定めております財務処理基準令というものがございますが、そういうものに違反してまで無理な運用が行われておるということでございますと、そのことだけでも是正をしていただかなければならぬと思いまして、検査の都度そういうことは注意はいたしておりますけれども、最近のようないよいよ全体として金繰りの悪い場合に、そういうことでは困りますので、格段の注意を促しまして、系統金融でまかなわれる部分はまかなつて行きたい、かようなつもりでただいま御指摘のような通達をいたしたのであります。
○川俣委員 もう一つお尋ねしておきたいのは、どういう事情の結果、こういうことが起つて来るのかということが、ある程度予想せられないことはなかつたと思います。金融機関等においては、四百八十五億の融資をいたしますると、相当苦しいであろうということは、当初から問題になつておつた点なんです。そこで預金手当をするか、あるいは系統外の流出を防ぐかということは、当然初めから問題になつておつた点なんです。予想せざるものが突然起つて来た問題でないと、私はそう思うのです。予想外のことが起つて来たからこの問題が起つたのか、初めから予想されておつたことが起つたので、あわてて通牒を出したのか、この点をお尋ねしたい。これは中金と両方にお尋ねしておきます。
○小倉政府委員 この問題は、去年この法律が制定されまして、それを運用して行く場合に必要な打合せのときに、地方庁あるいは関係団体等の間で、そういう心配があるので、今回の通牒に現われたような趣旨は、あらかじめ十分徹底をいたしまして、できるだけ組合金融でまかなうべきものは十分まかない得られるように、みんなが協力するようにということは、常々申して参つたのであります。また定款等の違反の問題につきましても、検査等の場合に発見いたしますれば、そういうことのないように常々処置をして参つたのでありますけれども、いよいよ時期になつて参りまして、現に中金の金繰りから言いましても、いよいよ何とかしなければならぬ、こういうことになりまして、あらためて従来申しておりましたことを文書をもつて警告をする、注意をする。かたがた政府の方におきましても、日銀等の借入れなどにつきまして、ただいま大蔵省あたりと話合つておりますが、そういう措置も講じておる、こういうことでございます。もちろん形の上から申しますと、文書にして全国的に通達することは、今回が初めてのようでございますけれども、似たようなことは、実はいろいろな機会にやつております。ただいよいよその時期になつたものでございますから、重ねて注意をした、こういう趣旨であります。
○江沢参考人 大体今局長のお話の通りでございます。全般の金融情勢といたしましては、昨年の秋以来非常な引締め政策がとられまして、それが銀行の方の経営に響いておりまして、銀行の方でも高率適用がだんだんふえて参る。従いまして少しぐらい高くても金を集めなければやり切れぬという情勢が強く出て来ました。そして年がかわりましてから、銀行の方もそれこそ死活の問題でございますから、むやみな金利を出しまして農協系統を誘惑して、そういう金をごつそり持つて行くということが特に目立つて来た。それに対して私どもは、この前の国会のときに申し上げましたように、災害費については中金も系統としてできるだけの努力をしなければならぬ。しかしながら系統の実力としては、百五十億ないし二百億ぐらいは何とかしてやれるのではないか。しかしそれ以上になると、ほかの一般の金融を圧迫することになつて、なかなか容易なことでないと申し上げたのでございます。それによりまして、国会の方では附帯決議で、系統まかないで徹底してやりなさい。やれない場合は財政資金をもつて補うから安心してやれといううしろだてがあつたわけでございます。それで私どもの方も、それに応じまして、系統資金の総動員という態勢をとりまして、今災害復旧の特別貯蓄運動というのを起しました。また全国の信連の協力を得まして、全体の系統の資金計画をきわめて緻密につくりました。その結果は農林省、大蔵省あるいは日本銀行と随時御連絡いたしまして御協力願つておるわけでありますが、この二月ごろつくりました数字では、六月末におきまして、約四百五億の不足を外部から持つて来なければならぬという結果になつておつたわけであります。しかしながらわれわれの方としても、政府並びに日本銀行の応援を得るためには、できるだけ自分で尽すだけのことはせなければならぬという建前からいたしまして、極力貯蓄の増強、貸出しの適正化ということに努力いたしまして、最近では六月末四百五億不足と申し上げましたのが、三百億くらいに圧縮することができた。しかしながら災害融資がだんだん進むにつれまして、今まで別段預金あるいは留保金として出ていなかつた金がだんだん出て来る、こういうかつこうになるわけです。そういたしますと、八月ごろにはさらに百億くらいの不足が出て来るということにもなりますので、この解決につきましては農林省御当局と常時連絡をとりまして、何とか災害地に十分な金融をいたしたいと日夜苦心をしておる次第であります。御了承願います。
○川俣委員 この資金の系統外融資に対して、すみやかな文書的な措置を講じなければならなかつた事情の説明はそれでもうけつこうであります。ただ問題は、当初からこの不安が金融機関にもあつたし、また農林省もその懸念なしとはしなかつたと思う。ことに昨年の秋から金融の引締めが行われますと、さらにそういう不安が当然生れて来つつあつたと思う。特に今度農協法の一部改正等によつて考えられておりますのは、農協の本来の姿よりも一体どうしたら農協を企業体的な経営をうまくするかというようなことにかなり重点を置いた改正を意図されておる。そういう意図のもとに一方は運営され、一方は金融の逼迫から系統外流出を極力押えなければならないという要請がここにある。また一方では、他の銀行及び他の金融機関、投資機関または会社の投資等に対して相当魅力ある勧誘が行われる。組合の単なる機関、農協のいわゆる資金のやりくりやあるいは経営をうまくやつて行こうとする企業体的な考え方が出て参りますと、これらの誘惑に乗せられる傾向が出て来る。はなはだしくなつて参りますと、今度のいわゆるやみ金融機関に対してすら農協が相当乗せられておる部分もなしとはしないのであります。この点を強調いたしますと、事態を紛乱に導くおそれがありますので、私はあえてこの点は強調いたしませんけれども、相当打撃を受けておる面も出て来ておる。これらは農協の本来の行き方よりも、何とかして農協自体の運営をうまくやりまして、むしろその専任者が手腕があるなしということは、そういうやりくりのうまいのが手腕があるのだと誤解されるような状態を生んでおると思うのです。これは金子委員の説明によると、それが現実の姿だとおつしやるようですが、一方から言うと、確かに資金の系統外流出というものは本来の規定から言いましても、取締りから言いましても、脱法いたしておることは明瞭であります。明瞭でありながらなおそういうことを冒してまで農協の運営をはかろうとする動きが他面にあるということは、これは見のがせない事実だと思う。本委員会の中にもそういう主張をなす人もあるわけです。現にそういう観点からも改正を意図されておる方もあるわけです。そういたしますと、まつたくこれはあなた方の方の通牒と、特に小倉局長の方は、同じ農協法の改正案についての関心を持たれ、一方においてはそういうことを取締ろうとする通牒を出す矛盾した傾向が明らかに出て来るのではないかと思う。そこで首を振つておられても、実際そういう通牒をあなたは出しておられるでしよう。系統外流出をしてはいけない。ところがその単協のあるいは経済連のたくみな運営をしようということになると邪道に入つて来るのです。まつたく自分がまかされた企業体みたいだから、責任を負つてやらなければならないという強い信念ができればできるほど邪道に陥る結果になる。それは悪意じやないでしよう。私は悪意じやないと思つておる。悪意じやなくても、そういう強化をしようとして邪道に踏み込んで行くということは現実の姿だというので、法を侵して行こうという点が一面出て来ておるのです。だからこの一部改正はそうじやないですか。選挙によるか、代議員制によるか、その根本は運営を責任を持つてうまくやりたいという傾向が、そういうところから出て来るのじやないか。うまくやつておるところほど系統外に流出しておる。下手なところはやつておりません。一番強いというところがおそらく系統外流出をいたしておる。運営がうまいというのは系統外流出をいたしまして、たくみに資金のやりくりをしておるのがうまいといわれておる。そういう事態が起つて来る。そこで単なる通牒でいいのかどうかという問題も出て来るのです。中金等が政府預金の預託がないので非常に苦心をせられておる点は私は認めます。また系統外に流出することを何とか防止しようということも認めますが、しかし最近の金融界の状態、銀行金融界または投資金融界その他の会社の誘惑を、あえて排除してまでできる自信を一体中金がお持ちになつておるのかどうか。最近はいよいよもつて中金が官僚化されて、それらの誘惑を撃退する信念と熱意をもつて指導されておるかどうかというと、在来の唯一性を誇つて、どうもそれらに対するところの熱意と指導に欠けるところがあるのではないか。努力されておることは認めます。決して努力していないとは言わない。しかしいわゆる法外な競争相手であるかもしれませんが、銀行金融機関、投資金融機関、その他の会社との競争において、やはり欠くる点があるから、系統外流出が行われるようなことが出て来ておるのではないかどうかということに対して、どれだけの関心を持つておられますか。この点を中金にもお尋ねいたしたいし、経済局長にもお尋ねいたしたいのであります。
○小倉政府委員 協同組合の系統外運用につきましての御指摘でございますが、これは御指摘のように各種の事情があると思います。比較的農業の状態もよろしく、また組合の運営のいいところは預金の吸収もぐあいがいい。従いましてその運用につきましても、なかなか経済的な問題を主として考えられまして、有利なところへ運用する、また有利なところに運用しなければ連合会としての採算も成り立ちにくい、こういうことがありまして、おのずから系統外運用ということが相当行われることも無理からぬ点があろうかと思います。また御指摘のように、中金の業務のあり方につきましても、信連のみばかりでなく、各種の団体から何というか、もつと親切にやるようにという意味の——これは経済的な問題も入れての話でございますが、要望もときどき聞いております。こういう点については、私どもといたしまして、また中金当局といたしましても十分反省しなければならぬ点が多いと思います。ただいま御指摘になりました通達といつたような形式張つたようなことを非常に遅らせたというのも、実はそういうところに問題がございまして、信連と中金の間がうまく行かないままに、気がそぐわないままに、ただ脱法だ、違法だということを責めたてて金を集めるのはいかがかと思いまして、できるだけ中金信連との話合いの上で問題を解決して行く基盤ができた上で、必要あれば形式的な通達もしよう、こういうようなつもりでおりました関係で、実は通達が遅れておつて、実際の措置の方が先に進んだ、こういうことになつておるのであります。御指摘の点につきましては、なお今後十分注意いたしたいと思つておりますし、今度の通達の趣旨も、ただ信連なり何なりが違法なことをやつておる、定款に違反しておるということではなしに、中金の方も経済的な問題を十分考慮した上でという十分な態勢を整えた上で資金の吸収に努めたい、こういう趣旨でいたしておるのであります。
○江沢参考人 川俣さんのお話によりまして、少しく考えておることを申し上げますが、系統外資金の還流ということを私どもは取上げて言つておりますが、特利の問題、これは私たちだけの問題でなくて、全金融機関、全金利体系に関連しての問題でありまして、これについては昨年来しばしば大蔵省、日銀から金融機関にそういう警告を発しておるわけであります。この年頭におきましても、大蔵大臣が全国金融団体協議会におきまして、特利だけをあげまして、この点は金融機関として自滅の道を急ぐことになる、健全金融という立場からぜひとも抑えてほしいということを強調して希望した事実があるわけであります。そういう態勢が一方において進んでおるというときに、系統関係において一時的なそういう高い金利にたよつて経営しておるということは、きわめてあぶない経理であります。そういう趣旨が徹底しまして、特利は全然つけないという場合に、しからばそういうものにたよつて経理をやつておつた、たとえば信連その他のものがどういう立場に追い込まれるか。われわれとしては系統金融機関の指導的立場にあるとも考えておりますので、そういうことが未然に、起らない先に何とかこれは自覚していただいて、系統をもう少し強化するという線を出したいということが一つの念願であります。 それからもう一つは、今後事業連の整備促進をやるという立場に立ちますると、その整備促進については信連が中心になつてやりますが、これについて将来金融機関として十分なるめんどうを見て行く、あるいは連絡を密にして行くというためには、事業連の系統全面利用ということを打出して要求しておるわけであります。この際に信連が内部から、おれの方にそういうことを要求するが、あなたの方ではどうかと言われたときに、どうしてその指導力を発揮することができるか。系統全体としてやはり正しい立場をとらなければ強い主張もできないのじやないか。こういうことが第二に私どもがこれを取上げた点であります。 第三には、系統の組合預金、これは信連だけではありません。組合預金としてだんだん金融が引締まつて参りますと、各金融機関の非常ないいえさになるのであります。先ほど申し上げましたように、高率適用で高い金を借りなければならないということになりますと、どの金融機関もみな弱い系統の末端に行つてこれを食い荒らそうということをやらざるを得ないのであります。そのときにしつかりした態度をもつてこれを押える、あるいは指導するためには、どうしても自分の方を強化しなければならない。つらいかもしれないがこれがやはり永遠の策であるということで、そういうことを唱道しておるわけであります。中金のためばかり思つて言つておるのではありません。そういうふうにして、一時は苦しくても正しい道を踏んで行くということになれば、中金といたしましても精神的あるいは物質的にできるだけのことは応援しようという態勢をすでに確立しておりますが、その辺は個々に連絡いたしまして、信連上相談ずくでこういうことはやつて行くという態勢を整えております。なおこれによりまして、金融界全般に大きな波動が起つては、これはまたわれわれの方としてもはなはだ本意ではないのであります。従つて日本銀行、農林省、大蔵省、こういう方面とも緊密な連絡をとつてやつております。資金が急に引揚げられたというような場合には、すぐその穴は日本銀行の方で埋めてもらうというようなことまで日本銀行と相談しまして、確約を得てやつておる、こういうような実情でございます。御了承願います。
○川俣委員 政府の特殊機関に近い形を持つております中金が、慎重な態度で、しかもまた潔癖なほどに方針を堅持せられております。その机上的な立場については決してそれはいなむものじやございません。決してそれを非難しようとはいたしません。ただそういう態度をとつておるから、おれの方がりつぱなんだということだけではとうてい対抗できるような状態ではないのじやないか、またこういう点について十分了解をつけておるとあなた方は信頼しておるでしようが、大蔵省は二面の政策をとつております。一面そういう指示を与えると同時に、相当資金のやりくりが困難になつて来ましたから、地方の預金を集めて資金のやりくりをするように強要しておる。そうでしよう。そうすると一方系統を侵してはならないという指示を与えると同時に、預金のかり集めを目前でさせようとする指導をいたしておる。そうすると、あなたの方の末端も地方銀行も同じやないですか。ここで食い違つた指導を大蔵省がやつておるので、大蔵省が、そういうことについて理解があるから大丈夫だ、こういうことだけでは——これはあなたの方がそういう清い立場でやつているのだから、これだけでは対抗できないのじやないか、私はあえて金利の引上げを競争して行えなんて言つているのじやありません。地方銀行ですら、最近は礼を低うして単協にまで、あるいは個々の組合員にまで相当な働きかけを行つて預託の運動を展開いたしておる。それに対して、おれの方は系統が正しいのだ、その通りです。おそらくどこの単協へ行きましても、農家へ行きましても、組合員は組合預金へというポスターが張つてあります。これはから念仏になつているおそれがある。あなたはポスターを張れば系統的に資金が集まるものだという観念を持つておられる。私はそれも正しいと思うのです。それ以上競争して金利の引上げをもつて誘惑した方がいいなんてことも決して申し上げているのではない。ただ官僚的に机上で、こういうポスターを配れば集まるものだという態度でおつたのでは、競争負けになるばかりではなくして、法外な系統外流出が行われるのじやないか、その危険に対してどのような処置をとられようとしておるかということをお聞きしておる。金利を引上げて競争したらいいなんということを決して申し上げているのではない。地方銀行、金融機関か資金のやりくりで逼迫したから、預金の勧誘に相当力を入れておる。単に金利の引上げばかりじやないですよ。そういう誘惑ばかりじやない。いろいろな面について相当な親切な形において、それは事務費は多くかかつているかもしれぬが、必ずしも金利の引上げの誘惑ばかりじやありません。それらに対してどのようなお考えを持つておられますか、もう一度お伺いします。
○江沢参考人 今お話の通りでございまして、私どもの信じておる範囲において、大蔵省は系統横流れをせぬようにというようなことをいつておられる。一方銀行に対しては、地方からどしどし金を集めろ、こういつておられる、これは矛盾しておるように見えますが、私の方としましては、農協が銀行に負けて預金が集められない、こういう場合には、私どもの方としてはしようがない、われわれの努力が足りないのだ、こういうようなことになるわけであります。大蔵省がいつておりますのは、農協に集まつた金をごつそりと大きく努力もしないで横に流す、銀行に持つて行くということでは、国民の資本の蓄積という見地から何もふえていないわけであります。それではいかぬ。金を使うならもつと末端でほんとうのたんす預金、あるいは個人が持つている預金を吸収するという方面に力を尽す。大蔵省は考慮をつけて、金融機関が集めた金を持つて行くのはやめなさい、こういう趣旨で、通牒なりお話なりをされている、こういうふうに了解します。私どもの方としては、横流しさえとめていただけば、あとは私どもの方の努力でもつて競争して行かなければならぬ。こういうような決意ではおりますが、それについては中金といたしましても貯蓄奨励、あるいは貯蓄の宣伝、指導、こういう方面について今までもできるだけの努力はして参りました。しかし時代がこうなつて参りましたのですから、今後とももつともつと力をその方面に尽さなければならない。これはわれわれ支所長会議なんかのときには、特にその辺を強調して言つておるのです。ただ御存じのように農協の系統は、昔から政府の金を上からもらつて流しておつたというくせがついております。それから戦時中は、法律によつて集められるというような癖がついております。これを早く脱却しまして、自分の努力によつて早く金を集めて、それを動かすようにしなければならぬ、こういうことは私どもとしてはしよつちゆう言つておりますが、まだなかなか思うように徹底しないのははなはだ残念であり、またわれわれの努力の足りない点を深く反省しなければならぬ、こういうふうに存ずるわけであります。
○川俣委員 単協が集めたまとまつたものを、他に融資するような預金の運営の仕方について厳に警戒をしておる、こういうことですか。
○江沢参考人 単協並びに信連と言つていただいて……。
○川俣委員 もちろんそうですが、信連は別にして、信連についてはあなたの方で十分緊密な連絡をとられておりますから、この問題についてははずします。単協の場合に、結局下部の組合員の預金が集まらなければ、これはどこへ持つて行こうにも持つて行きようがないのです。その場合によく集められるという態勢ができなければ、横流しなんかの問題はないのです。いかによく集め得られるか得られないかという問題です。集めた金をどこへ持つて行くかということは第二の問題です。そこで系統的に流れて来る源泉においての競争がさらに激化されるような傾向になつて参りますと、単協自体の資金のやりくりにも困つて来る。そういう不安が出て参りますと、系統的に積み上げて行くよりも、やはり地方銀行を利用した方が安全じやないか、また利子がいいじやないか、便利じやないかという問題が出て来る。お互いがみんな集めたものを系統的に持つて行こうという気運がありますれば、それからはずれて他にこれを流用するというようなことは、これは批判の目が強くなつて参りますからできないことです。しかし預金の集まり方が少なければ、集めた預金を系統のところに持つて行くよりも、もつと効率的な、もつと便宜的な金融機関に持つて行こうという方が、この経済情勢の中においては生れて来ると思うのです。それを阻止しようとすると、なかなかそれだけでは阻止できないのじやないかということを私は指摘しておるのです。そこで末端のことはかまわないのだ、集まつたものだけでと言われるが、集まることが問題なんです。その点をひとつ……。
○江沢参考人 お話の通りであります。大蔵省の横流し禁止の通牒について、これだけは政府の力でやつていただきたい。またわれわわれも努力しなければなりませんが、少くともそれだけはやつてもらつて、あとはわれわれの力でやるべきだということを申し上げたのであります。それでどうしたらば末端の単協の預金がふえるかということになるわけですが、単協の預金の利子は地方銀行の正常な法定の金利より高くなつております。ですから信用力において同じならば、うらはらにある単協に預け入れないということはないわけです。ことに抵当の販売、転売ということをそこでやつておるわけですから、信用力の点において違いがなければ、必ずや農協の預金はだんだん伸びて行くという情勢にあるわけです。それが今あまり伸びない、あるいは郵便局に食われておるということは、やはり信用力の問題です。そこにおいて皆様方にお骨折をいただいておるところの再建整備の問題が出て来るわけです。あの法律によりまして、だんだんと地方の単協も内容的に健全化しつつあるというふうに思います。それによりまして貯金の吸収についてもよほど力がついて来る、こういうふうに私は考えております。ただそれまでの間、あるいは系統機関といたしまして、その貯金の吸収についてはできるだけの応援はする、何とかこれをもつとふやすようにやつて行くという努力をやはり重ねて行かなければならぬ。まあ両面で行きたい、こういうふうに考えております。
○河野(一)委員 ちよつと関連して御質問します。現在の資金運用部の組織、機構というものについては、現状のままでさしつかえないというお考えですか、どうですか。要するに中金、県連、それから単協というそのあり方はこのままで、これをかえなくてもよいのか。今川俣君との間のお話をいろいろ伺つておりましたが、それはこのままでいいのだというお考えですかどうですか。
○江沢参考人 金融機構の問題について私から申し上げる筋ではないと思いますが、現在の機構のもとにおいて、私どもとしてはこういうかつこうをもつてやるべきである、こういうような努力をすべきであるということを申し上げました次第であります。
○河野(一)委員 私が伺うのは、あなた方が実務をとつていらして、今のようなあり方で所期の目的を達成できるかどうかということをお尋ねするのであつて、もうちよつと具体的に申せば、川俣君との御問答を伺つておりますと、そこに根本の無理があると思う。組合員の迷惑を外において、組織で縛り、制度で縛つて、こうあるべきだというあり方は間違つておる。たとえば私の選挙区にもあります。ある山間の信用組合に預金の引下げに参ります。金がありません。ありませんから待つてくれと言います。いつまで待つのか。あしたまで待つてくれと言います。あしたまでの間に銀行からもしくは信連の支部からとつて来ておく、それまで待つてくれと言います。これは預金する場合に一番困るわけです。その点について一体今のままでいいのかどうか。私はむしろ単協で不便な場所は、信連に直結するよりも、一部分は有力な銀行の支店につながらしておくべきだ、現在のままならばそうしておくべきだ。制度、機構を育成することも十分考えなければなりませんけれども、一方において利用度において完全に利用できない金融組織は間違つております。だから、完全に組合員に迷惑をかけない、信用部門として、金融機関としての完全な職責が果せるようになつておるならばこれを使つて行くべきだということになりますけれども、ただ金利がわずかばかり高いとかなんとかいう程度では、金が入用なときにとりに行つてももらえない、前の日からわかつていればそれは用意しておくということでは——今のように米の代金が全部入つて来るということがあるから、信用部に金が入るのであつて、これがなければ今の農民の中でずつと減つてしまうと思う。それが各単協の現状です。信用部に米の代金、麦の代金が入るから、やむを得ずそこに預金が入るのです。もしそうでなければ、みんな郵便局や銀行に持つて行きます。その点についてここでもう少し、組合員の便利のためにはどうしなければならないか、どこかに欠陥がありはせぬだろうか。ただ単に従来の通り、あるがままでいいのだというような考えならば、決して行政機構の改革もなければ町村の合併もありはしない。めんどうな町村の合併の方が先に行われて、どんどんそういう機運になつておるにもかかわらず、この経済部門の方は全然そういう点に着眼せずして、現状の通りで縛つて行こうというような考え方については、多少の疑問があるんじやないか、こう私は思うのですが、その点についての御所見はいかがでございますかと承つておるのです。
○江沢参考人 河野さんのお話について、ここで簡単に結論を申し上げることはなかなか困難でありますが、ただこういうことは申し上げられる、だろうと思います。農協が戦争後非常に混乱状態に陥つたのが、漸次立直りつつある、その成果を見るのにはもう少し日をかして行かないことには、ほんとうの価値はきまらぬ、こういうことは申し上げられるだろうと思います。ちよつとためしてみた、少しぐあいが悪い、またこれをどうする、こうするというようなことでやることは、経済機構にとつては非常にマイナスになることが多いと思います。ですから現在の機構でどこまでやれるか、機構というものは永遠のものはないわけであります。漸次進化して行くのでありますから、どういうかつこうで将来発展するか、これは予測できませんが、現在の機構としてまだまだ打つ手はあるというふうに私どもは信じております。
○河野(一)委員 私は、これは私と見解の正反対のことを承るものだと思う。終戦後の混乱状態からようやく立直つたというお考えのようでありますけれども、私はそうは思わぬ。これは終戦後協同組合のあり方に一番便利なインフレ時代にぶつかつたのであつて、そうしてインフレ時代にぶつかりましたから、どんな間の抜けたことをしておつても、買つたものは上る、ぶらぶらしておりさえすれば損が行かないというので、協同組合の育成には一番好適な時期にぶつかつた。これがこれからよくなるというような考えなら、これはとんでもないことだ。これからは政府の方針でも——デフレとは私はあえて申しませんけれども、少くとも物価引下げの時代にぶつかれば、協同組合としては最も困難な時代にこれから当面して来るわけであります。これからよくなる協同組合は断じてないと私は思う。ことしより来年、来年より再来年と、政府の緊縮政策、物価の引下げが続く限りにおいて、協同組倉にはだんだん赤字が出て来ると思う。赤字経済にこれからぶつかつて行かなければならぬと思う。そういう時代にぶつかつて行くのに、今までのやつがここでいくらか立直つたから、これからよくなるであろうという考え方は非常に間違いである。こういう時代に処するには、おのずからここに刷新的な機構の改革だとか、思い切つたことをやらなければならぬ。今までのようなこまかな組織ではだめだ、もつと大きなものにして行かなければならぬとか、もつと合理化して、たとえば県の信連はいらぬからやめてみたらどうだとか、中金の支店といつたものにしてみたらどうか、あるいは冗費を節約して、下からの金利を上げて、そうして経常費を下げるようにしなければいかぬじやないかというふうな段階に入つて行かなければならぬときに来ていると思う。それを依然として今までの通りのあり方でやつておつて、これでもう少し見て行くんだというようなことでは——そうして先ほどから川俣君へのお答えを承つておりますと、今の組織で大蔵省との話合いがついておるとか、日銀との話合いもついておるとか、上の方で統制経済のまねごとのようなかつこうで、こういうふうにすべきだ、こうあるべきだ、あああるべきだというようなことで、農民を指導しようとか縛つて行くというような考え方でやられては、農民は非常に迷惑すると思う。農民の経済というものは、もつと追いつめられたとこにだんだん入つて行きます。だからこれはよほど——私は政府の方にも申し上げることでありますが、それを担当しておられる方には、今お前のようなことを言つたらば全国の信連が騒ぎ出して、とんでもないことになるというふうなことで警戒されるかもしれませんが、そこにメスを入れなければならぬ時代が来ているんじやないか。単位組合から集めた金が県信連においてどういうふうな使い方をしておるだろうか、はたして農村のために合理的にこの資金が運営されておる、だろうかどうだろうかということについても、個々の信連については私は相当議論があるだろうと思う。先般神奈川県の大会に私は立ち会つてみて、非常にその感を深くした。決して組合員は納得しておりません。納得しないままに押し切つてしまつて、その会合が済んだことを私は傍聴しました。他の県の場合は私は知りません。そういうことでたまたま中金については単位組合から発言のあれもありませんし、今の信連が中金に対してとやかく言うものもないでございましようけれども、これは全体を通じてお考えになる段階に来ているのじやないか。ただいたずらに外部から整備何とかの資金をもらわなければだめだとか、そういう外部の援助はいくらしてもだめです。援助をする前にこういうふうに立ち直るということが前提であり、こういうふうに機構が直つてこうなるということが前提である。ぼろのものをいくら途中から注射をしてみても、ぼろはぼろであります。そういうような援助資金であるとか救済資金というものは私は断固として反対いたします。一応抜本的に制度、機構が立ち直つて、これならばこういうふうに行くということ、それは民間会社と同じであります、という段階が如実にわれわれに示されれば、救済についてはこういうふうに政府は考えるということが初めてこのとき出て来る。これを直してもらはなければならぬ。これから立ち直るなんてとんでもない話です。そういうことをいつまでも組合の関係者が考えているならこれは断じていけません。まして県の段階、中央の段階において、現在においては十分に反省してもらわなければならぬ点が多々あると思う。単協の場合にはみな家屋敷まで売つて出す。責任はみな役員が持つておる。信連や中央の場合にはそういうことはない。そういう伝統から見ても、経費の上から見ても、十分に反省してもらわなければならぬ点が私は多いと思う。そこで私はこの意見を述べたのであつて、私は今にわかにここでこういう改革をしなければならぬ、ああいうふうに考えなければならぬとかいう考えを承ろうとは思わぬけれども、私たちはこういう意見を持つておるということだけは十分お聞き及びを願いたい。今のような甘いことで進もうといつても、それは無理だ。実際百姓の中にしばしば入つておるわれわれの目から見ると、相当迂遠な議論をしておられるように思います。私はむしろ逆に、銀行に結べということを、今の機構のままなら一部の銀行へつながれということを私自身も指導しております。そのことについてお考えにならぬ限り、あなた方と私の意見は一致しないということを聞きとつておいていただきたいということを申し上げます。
○川俣委員 私はできるだけ質問を簡略にいたしたいと思いますが、新聞の報道によりますと、鳥取県の報告が載つておりますが、「二十八年度県下の農家貯金は増加額より貸出しが大きく農村経済の窮迫を物語つている、県信連がまとめた三月末の農協貯金は二十九億四千九百十七万円で、昨年同期より三億五千二百五十六万円増で、増加率一三%となつているが最近三年間で最低の数字となつた。二十七年度は六億三千万円増で三二%、これからみると三分の一に低減したわけで秋の供米時までは三〇%の増加率を示していたが、供米の減少と最近の金詰りを反映している、これに対して三月末の貸出し額は二億四千五百八十七万円にのぼり昨年同期より四億二千百四十二万円、五二%という激増ぶりで、貯金増より貸出増が多くなつている、同連で農村経済窮迫と営農資金不足を告げるものとみて対策を練つている」こう出ておりますが、この状態は単に鳥取県ばかりでなく、全国の情勢であろうと思うのであります。従いまして今河野委員からの発言もありましたように、農協のあり方、信連のあり方、指導連のあり方がこのような形でよろしいのかどうかということが問題になると同時に、それよりも一体末端の農家の福利施設あるいは生産の増強に対して、対策なしにはその団体をどうするかということは第二の問題になつて来るのではないかと思うのです。最も先端でありまする組合員の所得の減少、これが現われて参りまするならば、その団体の趨勢というものは推して知るべきものがあると思うのであります。従いまして農家経済というものを中心に施策を練つて参りませんければ、他の政策は全部弥縫策に終つてしまうであろうことが予想せられるのであります。そこでことに供米の取扱い方と申しますか、食糧管理について政府が今企図しておりますところによりますと、在来のようなことではたして行けるかどうかということが疑問になつて来ております。唯一の大きな単協の資金の基礎でありまする供米の代金というものが他に移るということになりまするならば、それ自体もはや破綻のところに至るのではないかと思うのです。従いまして、今中金あたりが盛んにお考えになりましても、食糧管理の問題と金融とは不可分に考えて対策をおとりにならなければならないのではないかと思うのですが、これは時間がありませんからこれ以上私は申し上げませんが、これは必ず食糧管理というものに対して無関心ではおられないのではないかという点だけを中金にも経済局長にも申し置きをいたしまして他に問題を転じたいと思うのであります。 そこで問題は、昨年冷災害等で四百八十五億の資金が繰出されたのでありますが、これがどのような仕訳で末端に行つておりまするか。これは予算面においてはわれわれは意図しておりますが、実績はどのようなことになつておるか、この点を伺いたいと思うのであります。私のおります秋田県のごときは、農協育成の意味から、大いに農協を通じて資金を流さしたのでありますが、組合員の負債または農協の負債の緩和のために冷害資金が組合の中に停頓いたしておりましたり、あるいはこれが最も冷害にあたりました個人に渡らないで、農協と個人との負債に振りかえられたりいたしておるのであります。これは単協の資金のやりくりからやむを得ないといえばやむを得ないことにも見えまするけれども、しかしながら災害営農資金あるいは冷害営農資金ということになりますると、これは転用すべきものでないことは明らかであります。違法でありますることは明らかであります。しかしながら違法をあえて行つておりまする単協の苦衷も察せられないわけではありませんけれども、こういう点について、資金のやりくりがそういうところにも行われておるということについて、どのくらい御認識になつておりますか、その点をあわせてお答え願いたいと思います。
○小倉政府委員 昨年の営農資金でございますが、冷害につきましては今月末が締切りに実はなつておりまして、実績を集計する段取りまでにはなつておりません。ただ農林省といたしまして府県に割振り、また府県は町村別に割振るという過程を通じて見ますと、四百八十五億のうち約四百四十億くらいが、末端に、一応のわくと申しますか、そういうものとして割振られておるのではないかと思います。現実に営農資金としてどの程度行つておるか、もつと具体的なちやんとした数字は、五月末が締切りになつておりますから、それがないとちよつとわかりかねると思います。 それから御指摘の末端に行きました上で協同組合の旧債と棒引きするとか、相殺いたしますとか、はなはだしきになりますと協同組合の出資にそれを振り当てる、こういつたことがあるということを聞いております。新聞などにもそういう不正がございますし、また投書などによつてもそういう不正がございます。最近また私どもの関係の係官が地方に出向きまして、営農資金の貸付の実情を見て参りました節にも、そういつたようなことが疑われる事例が若干ございました。もつともそのものが一体どの程度の全体の資金わくになつておるかと申しますと、これはもちろん全部のことを推察するほど十分な資料でございませんので、事例にとどまりますけれども、はなはだ遺憾でございますが、若干そういうことがあります。それにつきまして私どもは、初めからいろいろ注意をいたしておりますし、また投書等によりまして具体的に府県の場所がわかりますれば、そういうところに向つては県庁を通じて警告をいたしております。ただお話のように無理からぬ事情も末端にはあろうかと思いますので、旧債の償還に充てるというようなことに結果としてなる場合におきましても、組合と農家との間におきまして個別の了承のあつた上で運ぶように注意をいたしております。ただ常会の席上でぼんやり話を聞き、全体の同意があつたというようなところでもつて処理されたのでは、はなはだ迷惑する農家も多いと思いますので、そういうことのないように注意はいたしますが、御指摘のような点がありますので、なお今後とも十分注意して参りたい、かように存じます。
○平中説明員 ただいまのお尋ねでございますが、御承知の通り予算で資金のわくがきめられておるのであります。この分について申し上げますと、冷害のわくが昨年二十五億あつたのであります。農地、漁港、林道復旧、伐採調整資金にわかれておりまして、二十五億あつたわけでございますが、これを土地改良区だとか農協だとか森林組合、そういうような団体を通じまして実際貸し出しました金額が、四月十日現在におきまして十九億一千二百万円になつております。従いまして一応わくが余りました、と申しますか、未消化の分が四月十日現在において五億八千四百万円になることになつております。この未消化の分につきましては、資金の性質上、急いで貸し出さなくてはならないのでございまして、冷害につきましては申込書も特に簡素化いたしまして急速にできる改正にはしたのでありますが、なおそのほかに県庁にお願いいたしまして、特例と申しますか、書類を出していただくようにお願いしたのでありますが、現在のところはさような状態になつております。なお今後におきましても申込みが参りますならば、預入れ等をするのはもちろん申し上げるまでもございません。なおただいま十九億一千二百万円と申し上げましたけれども、実質上冷害資金と銘打たずして、他の操作によりまして公庫が冷害に出しました金が三億七千万ばかりあるわけであります。これはあまり小さくなりますけれども、冷害の対象になるものにつきましては融資率も多いということになりますが、たまたま農地改良等につきまして、補助金のわくその他において冷害の対象にならないというものでありますが、実際、現実に冷害を受けておるというようなものにつきましては融資率を上げるというようなことをして、三億七千万ばかりは実質上冷害に貸し付けておる、さような状態になつております。
○川俣委員 今の点、公庫の方にお伺いしますが、三億七千万円というのは十九億一千二百万円のうちですかそとですか。
○平中説明員 それのほかでございます。
○川俣委員 そこでお尋ねいたしますが、私どもの聞いておるところによりますと、申込みがわく以上に越えておるというふうに聞いておる。またその審査のために手間どつておるという話は聞いておりますが、今お話の未消化の分がまだ残つておるということは今初めてお聞きするわけであります。中金ではどうしてこういう事態が起きたとお考えになつておりますか。なお経済局はどのような見解をもつておりますかも、伺つておきたい。私どもは、希望が多過ぎて審査に手間どつておるという話は聞いておる。しかしながら未消化の分が、こんなに残つておるというふうには聞き及んでおらぬのです。希望がないのだというような御答弁でありますが、希望はあり過ぎてその審査にひまどつておる、それで遅れておるのだということが地方における弁解なんです。中金等の支所等においても大体同様な見解をもつておられたのですが、わくがまだ未消化で残つておるのに申込みがないのだというような話は、今初めてお聞きするのですが、公庫の方ではそういうふうにお聞きになつておるかもしれませんが、中金並びに経済局長はどのような報告を受けておられるか、伺つておきたい。
○平中説明員 冷害地におきましてはこれはもう資金が多々ますます弁ずでございますけれども、政府の方できめられました標準というようなものへ当てはめまして割当てましたものにつきましては、現在のところ、私の方で処理をしておらないというものはございません。むしろこれはわくが少し余つておるから早くやられたらどうかということも府県庁にもお願いいたしまして、督励していただいたようなわけであります。ただ御承知のように、公庫は現在のところ農林中金その他の金融機関に受託さしております。そこで末端におきまして、あるいはお前のところは少し多いからひつ込めろという話があつたかどうかということにつきましては、わからないのでありますが、受託金融機関からの報告によつても、現在未処理があるのではないかというようなことを承つておらぬのであります。
○江沢参考人 公庫の平中理事の御説明で、私の方は大体わく一ぱいはやつておると思いますけれども、まだそういうような点については調査もやつておりませんので、その間の事情はあらためて調べまして御報告申し上げたいと思います。それから冷害その他の災害資金につきまして、中金が今度の法律に基いてやつております、これについてもわくがある。しかし資金はそのわくから出ていないという例はちよいちよいあるわけであります。しかしその事情は、私どもの方の責任上、どういうわけでわくがあるのに金が出ないのかということを逐一調べまして私どもの手元にあります。そのおもなものは、あれはやはり県の方の利子補給等の財政関係がそれに耐え得ないというようなことで、県の保証が得られなかつたというようなものが大きな原因だろう、中には二十万ぐらいの農協で、非常に信用がないというようなものに対して、非常に過当な割当があつた。それで県の方とよく相談いたしまして、この分は適当なところに落したというところもあるわけであります。割当の不適正なものは、実際融資する場合には修正して行くというようなことがあるわけです。しかし変動の大きな原因は、県の利子補給の財政がないというようなことだと思つております。また個々にお話がありましたら、個々に調べてございますから御返事申し上げます。
○小倉政府委員 今公庫と中金からお話申し上げた通りでございます。
○川俣委員 小倉局長の中金、あるいは公庫から申し上げた通りだということは、行政官として少し十分じやないと思うのです。自分たちの意図したものがどのように行われておるかということは、当然行政上の立場から、行先を見守つていなければならぬことは当然なことです。右に聞いた通りだということでは、行政を受持つておるあなたとして何も意味をなさないじやないですか。行政府が意図した資金の運営が意図した通り行われておるかどうかということを常に監督し、指導して行かなければならない、それが行政府の任務じやないですか。中金や公庫が適当にやつておるのだろうというなら、これは全然独立機関です。私はそういう点があつてはならないと思います。
○小倉政府委員 そういう意味で申し上げたわけではないのでありまして、先ほども営農資金については申し上げましたように、あるいは公庫についても同じでございますが、営農資金でございますれば、中金なり信連、あるいは単協というようなものが金融機関となつて働くのでございますし、長期資金でございますれば、冷害の関係につきましてはそういう関係で特別に公庫にもお願いした分もございます。その貸付の進行状態がどうであるかということは、公庫なり中金がそれぞれ別に指導監督の意味で査察的なことをなされておりますが、私どもはまた私どもの立場で、指導的と申しますか、査察的な立場でやつております。冷害の公庫の資金の問題につきましては、これはやはり補助金等との関係がございまして、必ずしもわく全部行くということにはなつていないのであります。また営農資金につきましては、村あるいは県で保証するといつたような問題もございますし、あるいは県でわける場合に、必ずしも実態に合つていないわけ方があり得るのでございまして、そういう場合には断つて来る村もあるというようなことで、わく全部にはなりません。それからまた県によりましては単協、あるいは信連の金繰りというようなものもあるでありましようし、また実際の使途につきましても、先ほど御指摘があり、また御回答申し上げましたようなことになつておりまして、その点も十分今後注意して参りたい、かように存じております。
○川俣委員 そこで公庫並びに中金に四百八十五億の実績をすみやかに資料としてお出し願いたいということで、この点に対する質問はこれでとどめたいと思いますが、しかしただ非常に考えられますことは、災害地においても冷害地においてもそうですが、国会における意思は、極端な冷害にあいまして営農資金に悩んでおるもの、あるいは災害のために十分営農資金を得られないものに対して、手厚いとまでは行かないにしても、幾分の援助をしてやろうということがねらいであつたことは明瞭なんです。ところが実施面を見ますと、信用状態が悪いから——在来の信用状態が悪いということでありますなら、これはまだやむを得ない。冷害でほとんど皆無であつたのだから、これを回収するにはこれだけの資金では容易に返還ができないであろうというような査定をしておるところがある。これは冷害でありますから、当然そういう激甚なところに営農資金を出そうというのに、皆無であつて、おそらくその回収についての責任は持てないだろう、こういうふうになりますと、極端な冷害地——極端なところまで行かないにしても、幾分でも営農資金をやつて再生産のために役立たせようという資金が行かないということになりますならば、まつたくこれは目的をはずした結果になりはしないか。これは重大なことだと思うのです。災害地でも同じですよ。大きな災害が起きますならば、資金を受けたが、そのやりくりがなかなかつかないことはあまりにも明らかです。明らかにもかかわらず、なおあえて県の保証なり町村の保証を求めて、できるだけ回収に努力をしようということで資金の貸付を行つたのであります。従つて冷害の激甚なものとか災害の激甚なものが信用状態が悪いというようなことになりますならば、普通の金貸しと同じですよ。そういう意味で政府資金を融資したのでは断じてないと私は思う。ただ他に多くの借財を持つておつて、これを営農資金に使わないだろうから不信用だというならば別問題です。同じ不信用でも、この男はどうも他に転用するようなおそれがあるかうという不信用ならいいですよ。しかしながら、冷害のために、将来二年、三年あるいは四年かかつても、まじめにやつてもなかなか資金が返つて行かないであろう、それを不信用だということになりますならば、本法の目的をまつたく蹂躙するものだと思うのです。この点について中金並びに経済局の見解を承つて、私はこの点についてはこれで質問を打切つて、他の問題について質疑いたしたいと思います。
○小倉政府委員 これは御指摘の通りでございます。災害の程度がひどかつた、従つて回収に相当困難する、そのことが信用がないから営農資金は貸し出さぬということでございますれば、これはまつたく法の目的を理解しないことはなはだしいことだろうと思うのです。そういうことならば運用しては相ならぬ。もしそういうことがございますれば、今からでも是正すべきものは当然是正して行かなければならぬと思つております。ただそういうことでなくて、地元の農協が非常に信用力がないということのために行かないという場合がございまして、法律を運用する当初におきましては、そういうケースについて二、三私個人としても相談を受けたことがございます。そういう向きにつきましてはよく県の課長なり部長に話しまして、具体的にそれを処理してもらつた例もございますが、その後そういう例は実はあまり聞いておりません。村に行つてからわけ方についてうまくないというのはございます。そういう点については先ほど申しましたようないろいろの監査というような手段を通じまして、できるだけ公正妥当な融資が参りますようにいたしておるのであります。
○江沢参考人 私から同じことを申し上げることになりますが、局長の言われた通りの方針をもつて私どもやつております。なお川俣さんのお話もございましたので、そういうようなことのないように、自粛といいますか、よく徹底させるということには力を尽して行きたい、こう存じております。
○川俣委員 次に主として中金にお尋ねをして、経済局になお御反省を求めたいのですが、今度農業協同組合の連合会の役員の改選にあたりまして、中金が不当に人事に干与した例が二、三出て来ております。まず秋田県の例を申しますと、今まで十五名の理事、監事であつたと思いますが、これを九名というように農協の連合会では考えたようです。ところが九名も多過ぎるから七名にしようという意見が、中金から申出があつた。これは初めは県を通じての申出で、県では一市九郡という建前から、どんなにやつても郡代表という形をとらないと円満に行かないだろうという意味で、九人というのは大体県の方針であつたようです。もちろん総合県連ではこれを十二名程度にしたいというのですが、県としては九名くらいまででどうだということで、結局九名におちついたわけです。それをさらに信連を通じたり、あるいは直接これらの関係者を中金に呼びまして、七名以上にすることは断じて相ならないというような警告を発したことが新聞に見えている。これらのごときも私は行き過ぎではないかと思う。しかもその九名のうちの一名が改進党に所属しておつて、他にいろいろな団体に関係しておるから、あの分はいらないのだと言つている。私は非常に不都合だと思う。改進党であろうと自由党であろうと社会党であろうと、私は一向これはさしつかえないと思う。政党的にこれは分配するものでも何でもないでしよう。これは私は非常な行き過ぎだと思う。九名にするとどうもそのうちの一名はおもしろくもない人が出そうだから、無理に七名にするとなると、これはなおさらおかしくなる。できるだけ少数の理事者でいいという意見なら、私は尊重されていいと思うのです。それを、どうもそのうち気に食わない人が一名入りそうだから、その人をはみ出させようとして七名にするというのは、私は非常な行き過ぎではないかと思う。その点が一つであります。 もつとひどいのは岩手県の例であります。これはすでに調査をいたしておられるはずでございますが、岩手県では御承知のように、当時非常な輿望をになつて、渡辺君が経済連の初の役員会で会長になるような情勢であつた。これは新聞の報道によつても最有力であるということが指摘されたのです。大体いなかの新聞でさような見方をするのであれば、そこにおちつくことは常識で判断できることです。それにもかかわらず中金の支所長なるものが役員会の懇談会に来て、しかもその役員会の懇談会は、紛争を起した役員の処理についての懇談会であつたのです。その秘密懇談会にわざわざ出席をいたしまして、意見を述べております。そればかりではありません。あたかも自分が理事者側に入つているかのような口吻のもとに、この渡辺氏が会長になることを妨害しておるのです。この事実を私はかつて指摘したのでありますが、経済局では厳重な警告を発したから、再びそういうことは起らないであろうということを、非公式ではありますが言明しておるわけであります。ところがまた問題を起しておる。また問題を起したことは今ここでは申し上げませんが、今まで当局側が前の問題について干与いたしました経過につきまして御説明願いたい。中金が、そういう自主的な経済団体に対していろいろな金融上の指導を与える、あるいは相談にあずかることはもつともな職分だとは思いますが、しかしながら人事にまで干与するということは、一体行き過ぎでないと思つているのか。私は、単なる一支所長が地方の団体に干与するがごときは相ならぬことだと思う。そんなことでは、私どもは特殊機関としての中金というものを認めることができないと思う。この点について明確な御答弁を願いたい。
○江沢参考人 お話のようなことがもしもありましたならば、私どもの方としてもはなはだ申訳ないことでありまして、深くおわび申し上げる次第であります。中金の支所長がこの整備促進の仕事を現にやつております関係上、さようなことに当面する場合も今後非常に多いと思います。そういう場合には、決して外部から不当な干渉と認められるようなことがあつてはならぬ、ということを支所長会議を通じまして、また書面をもちましてしばしば注意を促しておるわけであります。審議会の方針としてこういうような方針がある。そういう方針をよく了承してやつてほしいという抽象的な指導は支所長としてやるべきだろうと思いますが、個々の人について、また個々の内容について一々干渉がましいことをしてはならないというふうに私どもの方では申しておるわけであります。事実よく調べましてその辺のところはまた御報告申し上げたい、こういうふうに思います。
○小倉政府委員 ただいまの中金の支所長等が県の経済連の人事等につきまして干渉するというような、具体的な例をあげてのお尋ねでございますが、この点につきましては、先般この委員会におかれましても、たしか公庫法の改正のときだつたと思いますが、附帯決議で公庫なり中金が貸付業務等に関連して不当な干渉をしてはいけないという趣旨の御決議があつたと思います。そういう御決議があつたからというわけではございませんが、ありましたので特にその後気をつけておりまして、御決議の趣旨もすでに農林省から正式に公庫、中金に通達しているのであります。それから岩手県の例につきましては、県それから中金にも事情を照会いたしております。その点については十分わきまえておるはずでございますが、ただいま江沢副理事長からもお話がありましたように、これもやはり国会で御審議をいただきましてただいま実行いたしております連合会の整備促進の仕事がだんだん実行に移つて参つておりまして、岩手県、秋田県等におきましてまだ正式な審議会で取上げて進行したという段取りにはなつておりませんけれども、その準備段階に実はございまして、役員の選挙の折には新しい体制に乗せた上での役員の選挙ということになろうかと思いますので、そういう折にもちろん意見を申し上げたり、あるいは意見を聞かれたりする場合が非常に多かろうと思うのでございます。どの辺まで意見を申し上げ、どの辺まで意見を申し上げるのを遠慮したらいいか、これはなかなか微妙でむずかしい問題であろうかと存じております。ただ御指摘の人事というような特に具体的な問題になりますと、これは避くるのが妥当でございますし、また当然でございますので、かようなことは今後とも十分に戒心して参りたいと存じております。
○川俣委員 選挙はいかなる選挙であろうとも公正に行われることが原則でなければならない。衆議院の選挙であろうと、県会の選挙であろうと、他の選挙であろうと、これが公正妥当に行われるところに選挙の権威があるのであります。それを再建整備というようなことを理由にして、選挙干渉をするということは許されないことだと思う。そういう権限を中金に与えておるわけもない。われわれ国会で議決いたしまして再建整備に対する資金を融通いたしましたのも、これを振りかざして人事に干与せよということは一ぺんも言つたことはない。むしろそういうようなあやまちがあつてはいけないというので附帯決議を出しておるのでありまして、その附帯決議のあつたことは十分御承知でなければならぬはずだ。今の中金の湯河君にいたしましてもだんだんなれて参りまして、あたかも日銀総裁のワン・マンをまねるようなことをあえて行うということになつたならば、これは十分国会としても警告しなければならぬ点だと思う。一使用人であるから、そういうことはわれわれの関知するところではないというようなことは許されがたいことだと思う。一体いつまでも弁解をいたされるということになるならば、私どもは本人を証人として喚問して、その真偽を明らかにして、真偽が明らかになつた結果、もしも問題がありますならば中金の全役員の引退をお願いしなければならぬ結果に相なると思う。しかも警告を発せられたにかかわらず、自分が排撃しておつた小関という理事の再び就任方を慫慂し、しかも小関氏が郷里の金崎で組合長になろうとすると、再び県連の参事に就任できないということから、組合長になることさえ妨害しているではないか。もしも組合長になれないような人格の人であるならば、参事に推薦するわけもないはずです。金崎で優秀な成績を収めたために、かつて県連の参事を勤め、理事を勤め、相当な成績を収めたにかかわらず、金融機関が横やりを入れて辞職させて、自分がなろうとしたけれども、結局なれない。次に選んだ渡辺氏もなれない。また小関氏だ。自分が排撃しておいて、収拾がつかなくなると再び慫慂し、出ないということになつたところが、組合長になると再び県連の役員につけないということから、あえて金崎まで出向いて組合長になることを妨害している。これはあくなき人事に対する関与です。これまで関与するということになりますならば、行き過ぎもはなはだしい。まつたく身分を忘れているものです。単なる一片の報告でそういう役員会に出るということは、今までも慣例があつた。役員会に出て、再建整備のことや資金の運用の点について相談にあずかり、指導するのは当然のことですが、役員の人事の問題が紛糾して、秘密会を開いているところにわざわざまかり出なければならない理由はどこにあるか。それは明らかに人事に関与するためなんです。しかも新聞の報道によると、みずから理事者になろうとしていることが明らかなんです。第一本人のいる前で候補者に推されていることは明らかな事実なんです。推されているが中金の本店に意見を聞かなければならないということで留保しているわけであります。目の前で推されている。これは推されたのじやない。誘導したと見なければならぬ。中金の秘書長が理事になるということは全国的にないことです。異例のことが行われるということは、明らかに関与しているのです。十分な監督をされているということで、なお続いておりますので、本人を証人として喚問して事情を明らかにいたしたいと思いますから、委員長において適当なおとりはからいを願いたいと思います。これに対する御見解を承りたい。
○小倉政府委員 この前のことは先ほど申し上げたのでございますが、その後なお不当なことが行われているという御指摘でございまして、かようなことがあるとすればはなはだ遺憾でございますので、私どもとしても十分事情を、取調べたいと存じます。その上で中金の方にも善処方をお願いする、かようにしたいと存じます。
○江沢参考人 私どもの方も、もしそういう事実がありとすれば、中金としてはなはだ遺憾しごくでございまして、事実を十分取調べまして善処したいと思います。
○川俣委員 岩手県の中金の秘書長生島某氏を一ぺん証人として喚問して審査いたしたいという動議を委員長に出しておきましたから、おとりはからいをお願いしておきます。
○井出委員長 追つて理事会等にはかりまして、善処いたします。
○川俣委員 それでは中金並びに公庫についての質問を終りまして、通産省の中小企業庁振興部長にお尋ねいたしたい。石井振興部長は御存じだと思いますが、今度農業協同組合法の一部改正が議員提案として提出されております。本来こういう経済状態の中におきましては、農協の行き方も、中小企業協同組合の行き方も、大体似て来ざるを得ない状態であろうということが想像されるのであります。そこで金融逼迫によつて農村はますます窮乏し、中小企業もまたその不況を免れない情勢になつて来たと思うのですが、農業協同組合法の一部を改正する法律が出ていることを御承知でありますかどうか、なお中小企業庁として商工協同組合の組織機構の改組または法律の改正等について、何らかのお考えがあるかどうかということが一点。 さらに農業協同組合の改正の意図は、中央会をつくつてここに政府の補助を相当ねらつているのでありますが、中小商工業はそういう必要があるのかないのかという点について、どのような見解を持つているか。この二点をお伺いいたします。
○石井説明員 お答え申し上げます。経済的な立場の非常に弱い点につきましては、農業者と中小企業者は御指摘のごとくまつたく同様な立場に立つているわけでございまして、それを相互扶助の協同精神によつて地位を高めて参ることは、今後ますます必要と相なつて参ることと存じます。このような情勢において、中小企業協同組合の中央組織をつくる必要があるのではないかという点については、私どもかねてから十二分に研究しているのでございます。また全国各地に行われる中小企業者の大会等におきましても、しばしば決議されているところでございます。相なるべくは財政的に何がしかの補助等を用意いたしまして、法制化を行うことによつて中小企業協同組合の経営の健全化という方向、ないしは経営の活発化を促進するということをいたしたく考えておつたのでございますが、御承知のごとく国庫の補助金は大幅に整理するとの一般方針に基きまして、予算折衝過程等においては、遂に補助金の支出を認めさせることができなかつたような経緯もございまして、政府提案としてただちに協同組合の中央会をつくることを立法し、提案することについては、若干自信を欠いた点等もございまして、見送つておつたわけでございますが、その点はなお農林業と同一な歩調であつたと思つているのでございます。今回農林においてはこのような御提案が行われまして、近く成立することと存じますが、私どもといたしましても農業者の経済的地位に劣らず窮迫した状態でございますので、国会方面の御意向等もよく伺いまして、あるいは議員立法の形式によりますか、政府立法の形式によりますか、形式は別といたしまして、できる限り近い機会に法制化を行いたいと存じている次第でございます。また補助金の問題につきましては、農林の方においても、本年度のすでに成立した予算においては補助金項目はないものじやなかろうかと私ども承知しているのでありますが、あるいは改正法の趣旨において適当な予算措置が講ぜられることに相なるのかもしれませんが、ただいま中小企業協同組合については、先ほど申し上げた通り予算化されていない実情でございますので、法制化の速度とにらみ合せまして、この予算措置等につきましても、検討いたさねばならぬということに相なると思います。
○川俣委員 そこで経済局長にお尋ねしますが、この議員立法が出て参りますと、これに対する補助が可能なのでありますかどうか、今政府のとつておりまする方針として、私は必ずしも政府の方針を是認するものではないものですが、どうも団体に対する補助とか、あるいは補助金の整理であるとかいうことで、できるだけ補助を切り捨てようという予算を組んでおるのであります。この是非については私どもは大いなる意見を持つておりますが、議員立法については、特に大蔵省が予算の伴うような議員立法は相まかりならぬというような態度を堅持しておるようであります。これらは行き過ぎだとは思いまするけれども、現実はそのような態度をとつておるようですが、本立法が制定されますと、これに対する予算が可能なのでありますかどうか、これを経済局長からお尋ねしたい。今通産省ではなかなか容易に得られないようなお話でございますが、経済局はどのようなお考えを持つておりますか。
○小倉政府委員 予算の点は、これは川俣委員が御指摘の通りでございまして、私からこれ以上特に申し上げることは実はございません。農業委員会それから協同組合改正の筋がほぼこの前の法案のようなことで国会を通過いたしますれば、これはこの前の例もございますので、私どもとしては当然前例に準じた予算の要求をしなければならぬと思つておりまするし、またそういうように努めるつもりでございますが、ただ当時とは多少事情が違つておるのは御承知のようなことでございまして、緊要なと申しましても比較にはなりませんけれども、よほど緊要な補助金も削減されておるというような実情でございますので、そういう点との関係がどうなるかということが実は若干ちぐはぐいたしております。しかしこれが通過いたしますれば、できるだけの努力をいたすつもりでございます。
○川俣委員 それでは石井振興部長にお尋ねいたしますが、私どもは議員立法でも、当然法律として制定されたからには、その趣旨に乗りまして予算の裏づけがなければならないと思うのです。しかしながら十分それらの改正が予算の裏づけを要求するに足るだけの組織のものであるかどうかということは、これはもう問題は基本的にあると思いますが、もしも価値あるものとなれば、当然議員立法といえども予算の裏づけが必要だと思いますが、現政府の状態並びに大蔵省の状態ではなかなかそれが困難だ、そうすると石井振興部長は将来中小企業協同組合に対しては、政府提出でこれらの法案を整備されようというお考えですかどうか。この点をあわせてもう一度お尋ねいたします。
○石井説明員 率直に申し上げますと、われわれとしましても、法案その他の立法技術的な点につきましては、いろいろと検討はすでに進められそておるのでございますが、現在の中小企業の実態から考えまして、この中央会の行います仕事が、経済活動というよりはむしろ準経済活動ないし経済的色彩の非常に稀薄な活動でございますところから、もし反対給付のような形で有償的に経費を徴収するというようなことに非常に困難が実はあるわけでございます。そのような点から考えまして、中小企業界の一般的意向をもよく聞いたのでございますが、一部には若干の政府補助等にまたなければ完全に業務の運営が困難であるというような意見もあるのでございます。まつたく業者の独立した責任においてこの団体を運営して参れるということでありますれば、これは予算の裏づけがございませんでも、ただちに立法化することができることでございますが、そういう点を考えあわせましたところからいたしまして、今回の本国会には提出できなかつたのでありまするけれども、今後の方針といたしましては、必ずしも予算の裏づけがなければ法制化はしないのだということを決定いたしておるわけではございませんので、相なるべくは業界のそれ自身の自主的な考えで経費の負担等にたよるという実力を養いつつ法制化を行うことが最も好ましい、また政府といたしましても、このような経済的色彩の稀薄な活動をいたしまする団体に対しましては、これは大きい意味においての中小企業の育成ないしは振興という考え方から、ちようど農業におきましても同様と思うのでございますが、これは何がしかの財政負担も考えるべきものじやなかろうか、かように存じておるわけであります。
○川俣委員 大体石井振興部長に対する質問はその程度でけつこうです。将来ともひとつ御検討を願いたいというだけでけつこうです。もう一、二点、だけお尋ねしたいと思います。このたび議員提案をせられておりますが、こういう団体の再編成については、政府は前から一つの意図を持つて法案を出された歴史を持つておるのであります。今般政府はなぜあえて提案をいたさなかつたのか、その具体的な理由をひとつお示し願いたい。
○小倉政府委員 これは私から申し上げる筋合いではないかもしれませんが、また他の機会に大臣、政務次官からもお答えがあつたかとも思いますが、間違つておりましたら訂正さしていただくことにしてお答えいたします。 政府におきましては、御承知の通り再度にわたりまして農業委員会と協同組合法等の一部改正を提案しておるのでございます。途中いろいろな事情で審議未了になつたのでございますが、率直に申し上げまして、政府案のどこにどういう問題があるのかということにつきまして、国会で公の議論が実はなかつたのであります。従いまして、政府が提案するとなれば、その再度にわたつて審議未了になつたにつきましては、相当中に問題があるに違いない、その問題について国会の御意思を十分に組み入れるように改正をして出すべきであつたのでございますけれども、その点が必ずしも公の席上で十分なかつたということのために、出すとすればこの前の通りまた出さざるを得ない。そうすればまた議論になつて審議未了になるに違いない、こういうことで実は出すことをはばかつたのであります。
○川俣委員 どうもこのたび出さなかつた具体的な理由はもちろん明確ではございませんが、それでは前国会に提案された法案と、このたび議員提出の法案と重要な点で大きな相違点があるのだと主張する人もありまするし、あまりないのだと主張する人もある、これは人の見解によつて大分違う、あまりないのだということになれば、小倉さんの先ほどの答弁はおかしい、違いないのであつたら前の法案通りでもよかつたではないかという議論が、疑義は別にして、世間からはそういう誤解というか、正解な判断が下されると思う。あまりかわらないのであつたらそれじやなぜ政府が提案しなかつたのであるか、また元通りではどうして悪かつたのであるかという批判が行われると思う。よしあしは別にして出て来る、非常に大きな相違点があるとすれば、一体どこにその大きな相違点があるのか、小倉さんはどの点が非常に大きな相違点だというようにお考えになるか、そういう大きな相違点を今ただちに解決して行くというふうにお考えになつておるか、もしそういう点がないとすれば、先ほどから申し上げました通り、どうも態度がわからなかつたから、こういうことでありますが、わからなかつたのではなくて、同じような問題でありますからわかつていなければならぬ。大同小異だとすれば、国会の意思がはつきりしなかつたと言うことはできないと思うのです。あなた方の立場から見てどこにその大きな相違点があるのか、事務当局としてはたしてこの大きな相違点を、財政的にもその他の運営においても片づけることができるという自信があるのかないのか、この点をひとつお伺いしたい。
○小倉政府委員 この前の政府提案と今回の議員提案との相違点でございますが、法律の条文に当つてみますと相当相違点がございます。ただ、特に重要な点ということでございますが、これはお尋ねをまつまでもなく、一つは農業委員会法の技術員の規定でございます。もう一つは農業会議所あるいは農業会議の構成の問題でございます。この構成のことはいろいろ技術上の問題もございますし、見解の相違という点もございますから、それは別だとすれば、結局技術員の規定が今回の案にはない、これが一番重要な点ではないかというふうに存じます。
○川俣委員 まつたく私どもの見解も、大きな点ではその二点だと思うのです。その他の点では政府原案が出ましても、部分的な修正というようなことで補えないほどの根本的な相違はないとも見られるのですが、ありとすれば、今経済局長の指摘された会議所の点と技術員の点だと思うのです。そこで会議所の点は別にして技術員の問題で、もしも前の国会において審議未了になつた、しかも公に審議せられずに何だかうやむやのうちに審議未了になつておつた大きな点は技術員の点だということになる。これは院内におる者は割合によくわかつておるのですが、外部の者はわからないのです。何ら速記録に残るような審議は尽されていない。きのうの参考人の辻誠君なども、三年間も十分な審議をしておると言うが、いわゆる対外的な発表ができるような大きな審議はしていない。そこで多くの関係者を持つところのこういう法案は、少くともこれが末端に是非の批判がくだされてその意見を取捨選択することが非常に適当だと私は思うのです。ことに一片の法律ではなくして、組織、機構、運営に関するのがこの法案の趣旨であります。従いまして組織、機構、運営ということになりますれば、これは末端によく理解せしめて法案を通すのが私は正しい法案の審議の仕方だと思うのです。これは原則的にそうだと思うのです。単に行政庁が行うような一片の法律でありますならば、これは行政官がその法律に基いて指導すればいいのですけれども、これはまつたくの国民の組織するものであり、国民の形成する機構でありますから、やはり末端の意見が十分取入れられてしかるべきだと私は思うのです。従つて農業共済のように末端の機構や運営に関することでありますならば、ここに委員会なり協議会なりをつくつて組織の変更を考えようという意図が示されたことは私は正しいと思う。単に国会議員の頭だけでものを判断するのではなくて、国会議員よりもその組織の運営に当る者、機構の中に入る者、それらの者の意見を聞かなければ、これは頭だけの考えの組織になつて、運営はうまく行かないので、私はあり方としてはそうだと思うのですが、そのことは別にいたしまして、問題点であります技術員の問題、これが解決しないためにこの前延期せられた歴史を持つておることは、今あなたが説明された通りだと思う。一番問題点が未解決になつておつて今度はこれでいいのだということになると、おかしいのではないかと私は思うのですが、経済局長はどうですか。この解決をいかようにするかということがめどがつかなかつたために、政府提案ができなかつたということにおそらくなつておるのでしよう。公然の審議がなかつたからそうとも言えないといえば、それは言えないこともないでしよう。また会議所の問題も、公然の問題にはならなかつたとしてもいろいろ意見が出ておつたから、この二つだということはこれは想像にかたくない。会議所の形は別な形になつて現われて来て解決した。しかしながら一番の問題であつたところの技術員の問題は明らかに未解決なんです。そうすると解決するために法案を出されたのか、未解決のまま出すということになれば前の政府提案と何らかわらない。会議所の点は修正できたのです。修正の不可能なものではありません。技術員の問題は、単に文章の解決の問題ではなくて、他の政治的な問題を含んでおるために、文章的な修正ができなかつたところに問題があつたのでしよう。技術員の問題はこれは予算が伴つておる。いわゆる団体に対する補助でなくして、この技術員をめぐつてどつちに予算が多く行くか行かないかという問題が一番大きな紛争の根本であつたはずなんです。これを解決されないで出されて、前の案よりこの案がいいのだというようなことを言われておるわけです。あなたはそれでよろしいのですかどうなんです。
○小倉政府委員 政府案がいいかどうか実は申し上げかねております。技術員の問題にはなるほど触れておりませんけれども、これは最終的に国会でおきめになりました場合に、行政運用としてそれをどう解釈するかという問題が実は残るのであります。と申しますのは、案を拝見しておりますと、現在は書記となつておりますのを職員と直しておりまして、技術的な素養を持つた職員を置くということは必ずしも規定されていないようにも見受けられるのであります。もちろん技術員といつたようないわば農家に接触して技術指導するような考え方が、前の政府案と比べてこれは規定されておるというふうに見るのが当然でございますが、職員のうち技術的な素養を持つた者を使つて行くということにつきましては、必ずしも規定されていないようにも見受けられるのであります。だとしますと、職員の問題といたしましては、行政運用の問題としてあるいは解決のつく場面も出て来はしないかと考えます。これは御指摘のように、農業委員会の今後の担当事務のあり方によりましては、単なる事務書記を二人助成をして行くということをいつまでも続けて行くことは非常にむずかしい問題でございまして、そういう問題に関連してのお尋ねと思いますけれども、そういう点は、でき得べくんば、運用としましては一人は事務、一人は技術といつたような、同じ農業委員会の仕事でございますが、両々相まつてやつて行くということに運用して行けないかどうか、これは提案者なり国会の御決定の上での解釈の問題でございますが、そういうふうにできるといたしますれば、全然解決がしてないということでもないのではないか、かように存ずるのでございます。
○金子委員 川俣さんの御質問に関連して提案者として補足の答弁をいたします。ただいま川俣委員の御質問の職員を置くということになりましたので、これに対しては、この法案が最初二回政府提案として提出されて以来の問題点なのでありまして、非常に重要な点でありますが、この点につきまして私が相談を受けまして、提案者になる過程の重要なポイントでありますので、当時の考え方を一応私から申し上げることも適当だと思いまして、一言申し上げます。書記ということを技術員というただ漫然と広い言葉にした。そして依然として農業委員会は技術員の養成をして行く、そして事あらば組織による技術員体系をここのところで打出すということがあるとすれば、今度の職員に書きかえることは疑問になる。だからしてあくまで農村の技術体系というものは、エージエントを中心にして今日あるのだから、それらの問題等を根本的に考え直すときに国会で考えられますならば別として、今職員という形だけにしておいて、暗黙のうちにいつの間にか技術員ができ上つたというようなことのないようにすることは、私の方から提案する場合に提案者間において話合つたことでありますので、それまでの経緯はさように御承知願つておきたいと思います。
○川俣委員 提案者の意図は説明でよくわかります。しかしながら今私のお尋ねしておるのは、実は提案者の意図をお聞きしているのではなかつたのです。この法案が出た場合にどのような解釈をするかという分書解釈をして、行政面ではどのように処理するのだということをお聞きしておつたのです。それに対する小倉経済局長の答弁があつたのです。そこで問題は、このよしあしではなく、この前の国会で審議未了になつた点は、この点が重要な問題でなかつたか。この問題が解決ついたような、つかないようなことになつているのだが、それで運用ができるのかどうかということを小倉局長にお聞きしたのです。金子提案者の意思は十分私はわかつておるが、この法律の解釈では、必ずしも金子さんの意図のようなものでなさそうに運営されるのではないかという点を聞いておるのです。なぜかと申しますると、この問題の紛争は、農業委員会のあり方、あるいは農業協同組合のあり方も、もちろん問題になりまするが、今回の論争の——論争というよりも張合いの大きな問題になつたのは、この技術員をめぐつての補助が、何といつても裏づけになる。補助が目にちらつくためにやつぱり大きな問題になつたと思うのです。これはまことに言いにくいから皆が表面に出しておりませんけれども、単に農協の自力で指導員をやとい入れ、あるいは指導員を置くことを農業委員会が拒んでおるものでもなさそうだし、また農業協同組合が指導員をほしいというのも、みずからの経済でまかなう指導員がほしいというように主張するようでもなし、やはり今の農協の現状からすれば、国庫補助のある指導員がほしいというのが農協の希望だと思うのです。そこでやはりこの問題はまだ解決ついていないのじやないか。解決ついておるとすれば、政府提案でもよかつたのじやないか。政府提案ができなかつたのは、おそらく未解決の点が残つておつたからできなかつたのではないかと聞いておる。そこで文書から見るところの運営は、これは結局予算の裏づけがついて来る。経済局長は今後の政府の緊縮財政の中において、議員提案について骨を折つても、はたしてどれだけの効果があるかということついては、なかなか自信がないというような御答弁であつたわけですが、私はさもありなんと思うのです。よい悪いは別にして、当面の行政府が出した案については、予算の裏づけをしなければならないという重い責任をおそらく感じておるから、かなり熱心になるだろうし、そうでない方面から出て来ると、乗り切れる自信がないから予算がなかなか獲得できないということが当然起つて来ると思う。これは小倉君の能力いかんじやなくして、いくら小倉君が首をかしげたつて、そういうことが起つて来ると私は思うのです。それ以上の能力をおそらく小倉さんは発揮されるだろうということは期待しますけれども、あまり大きな期待はできないのじやないかと思うのです。そこでこの問題の割切り方によつて私は予算の振割りが違つて来るのじやないかと思う。これは小倉さんが都合よく解釈しても、大蔵省の解釈がまた違つて来はしないか。提案者の意図のように解釈したならば、予算の裏づけをどうするかということについて大蔵省の見解もあわせて聞きたいと思うのですが、この点についてもう一度小倉局長の御意見を伺います。
○小倉政府委員 農業委員会の書記の予算の問題でございますが、どの程度の予算あるいは人数を必要とするかということは、もつぱら農業委員会が行政機関として担当する仕事の分量によるのであります。つまり供出なり、農地の事務なり、その他の関係の事務が増減するということにある程度歩調を合せざるを得ないのであります。従いましてこれは書記であろうと、名前を職員にしようと、そういう点から見れば同じであります。ただ別な観点からのお尋ねだと思うのでありますが、技術員ということであればこれはまた話が別じやないか。そういう技術員的なものの予算を要求する場合に、今度の改正案なりあるいは現行法で一体できるのかどうかということだろうと思うのですが、それはお説の通り現行法は書記でございますし、今度の改正案によりましても職員ということになりまして、多少範囲は広いようでございますが、技術者のための予算が的確に来るのだという説明を持つて行くことはなかなかむずかしいと思います。そういう意味において、農業委員会のこれまでの行政機関としての仕事の分量の減るのを補うために、そういつた新しい仕事がふえるのだ、こういうことで説明をしようとすれば、これはお説の通りむずかしい問題になつて来ます。これは政府提案であろうと、議員提案であろうと、そういう区別じやなく、むずかしい問題が生じて参ると思うのであります。ただしかし委員会の書記ないし職員の補助の問題は、そういう観点ばかりじやなく持つて行きようもありはしないか、これは予算要求上の純粋のテクニツクの問題でありますが、あろうかと思いますので、一概に悲観的になる必要はないかと思いますが、これは御指摘のそういう事情があることは確かにあると思います。
○川俣委員 私もこれらの問題について党で会議を開くことになつておりますので、きようのところは質問をこの程度にして、明日続行したいと思いますが、よろしくおはからい願います。
○井出委員長 ちよつと速記をとめて。 〔速記中止〕
○井出委員長 速記を始めて。 暫時休憩いたします。 午後四時三十四分休憩 ————◇————— 〔休憩後は開会に至らなかつた〕