農林委員会 第36号
- 発言数
- 99 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/04/27
会議録
○井出委員長 これより会議を開きます。 去る四月二十三日本委員会に付託になりました杉山元治郎君外十二名提出、自給肥料増産特別措置法案を議題といたし審査に入ります。 まず本案の趣旨について提出者の説明を求めます。杉山元治郎君。 —————————————
○杉山元治郎君 ただいま議題となりました自給肥料増産特別措置法案につきまして、提案の理由を御説明申し上げます。 御説明申し上げます前に一言つけ加えておきたい点は、各党派の御賛成を得て提出することになつておりましたが、自由党の綱島さんあるいは佐藤さんあたりの御了解も得ておりましたが、自由党の方では、提案の場合は党三役の捺印がなければならない、こういうことに相なつておりましたので、提出をお願いいたしておきましたが、いろいろ党の事情がございまして時間がたつておりますので、遷延しては相ならないというので、残念ながら提案者の中からはぶいてありますが、しかし大体の御了解を得ておつたということを申し沿えておきたいと思うのであります。これから御説明を申し上げます。 主要食糧等農産物の増産をはかるには、自給肥料を基幹とした化学肥料の合理的施用がきわめて重要であることは言うまでもありません。しかるに最近自給肥料の増産は頭打ちとなり、地方の減退は憂慮されているのであります。自給肥料の中堆肥及び肥飼料作物の増産は、肥料費及び飼料費を節約し、農家経済に好影響を及ぼすばかりでなく、地方の維持増進上きわめて重要なことであります。又人糞尿ことに都市の人糞尿を農地に還元して合理的に利用することは、貴重な肥料資源の活用となり、これまた農家経済に及ぼすところ少くないのであります。これら自給肥料の増産と高度の利用によつて、農地の生産力を維持しさらにこれを増強することができ、同時に農家経済の安定が期せられるものであると考えられるのであります。従つて、食糧農産物の増産が急務であるとき、また農村の窮乏がようやく顕著ならんとするとき、これら自給肥料の増産利用は刻下の急務となるのでありまして、ここに一貫した計画のもとに、自給肥料改良増産の諸施策を強力に推進しようとするのが、本法案を提出するに至りました理由であります。以下この法律案の内容について御説明申上げます。 第一は、この法律案で自給肥料とは、堆肥、(厩肥を含む)と肥飼料作物)緑肥作物及び人糞尿を指すのでありますが、人糞尿については、特に都市より排泄される屎尿であつて非衛生的に処理されているものを指すのであります。 第二に、堆肥の増産利用については諸種の対策が必要でありますが、とりあえずそのうち最も重要である堆肥舎の計画的設置を推進せんとするものであります。 第三に、肥飼料作物の増産利用については、これまた諸種の施策が必要でありますが、わが国の肥飼料作物中最も重要であると考えられる紫雲英、青刈大豆、青刈そら豆について、原々種圃、原種圃並びに採種圃を設置し、優良品種及び優良種子の確保に努めんとするのであります。 第四に、人糞尿につきましては、都市等の集密な地域の排泄される屎尿を対象とするものでありまして、現在各都市の人口増加は著しいのでありますが、一方屎尿の処理施設が不完全なため、ややともすると非衛生的処理が行われがちであるのでありまして、これらの尿屎を近郊農村に合理的に利用するため、計画的に共同利用貯溜槽の設置を推進せんとするものであります。 第五に、これらの自給肥料についてはなお幾多の調査並びに試験研究を必要とする部面がありまして、これらについては今後国及び都道府県等の試験研究機関において調査試験研究を重点的に推進せしめんとするものであります。 第六は、これら自給肥料の増産利用の諸対策に対して資金の融通のあつせん及び補助金の交付についてでありまして、堆肥舎の設置並びに屎尿貯溜槽の設置については大いに融資のあつせんを、また肥飼料作物の原採種圃設置については補助金を交附する等諸般の助成措置を講ぜんとするものであります。 以上が本法律案の大要であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御賛成を得られます様切望する次第であります。
○井出委員長 本案に対する質疑は次の機会に譲ることにいたします。 —————————————
○井出委員長 続いて去る四月二十一日、農業災害補償制度に関する小委員会より、現行農業災害補償制度の改正方針に関して小委員会における調査の結果をとりまとめた報告書が提出されております。この際本件に関して小委員長より発言を求められておりますのでこれを許します。足鹿小委員長。 —————————————
○足鹿委員 私は昭和二十八年十二月八日、農業災害補償制度に関する小委員長として、本委員会に対しまして、小委員会設置前後より当日までの本制度改正に関する審議の経過並びに各委員の要請によりとりまとめました改正試案について、その検討の結果を中間的に御報告申し上げておいたのであります。右の改正試案につきましては、二、三の点に関しまして委員各位の御意見が完全に一致を見るまでに至らなかつた事情もありましたので、爾来今日まで各委員のさらに一段の御研究を煩わして参つたのであります。その後農林省におきましても、この改正試案を中心に種々御検討の結果、二月二十五日、衆議院農林委員会共済小委員会中間報告にかかわる、農業災害補償制度改正に関する件の問題点としてとりまとめられ、小倉農林経済局長より、小委員会に対しまして意見の開陳があつたわけであります。この問題点は改正試案に対する賛否の意見の報告ということではなく、試案において不明確な点あるいは審議に特に触れることを避けた点、あるいは試案を法案化して参る際に著しく困難を感ずる点等について、率直な見解を正式に表明されたものであります。この際そのおもなる部分を御報告いたしますと、 まず第一に保険と補償とを分離する点でありますが、国家補償の根拠をいかに理論づけるかということを特に問題としておるのであります。その際国の補償と団体の保険とを損害の程度できるか、原因によつてきめるかという問題も提起されております。さらに団体の営む保険の掛金について、国庫の負担があるのかどうかという点が不明確であると指摘しております。 第二点は、補償と保険を通じて実損額の七割までを補填する方式をとる場合、引受けが一筆単位であるとすると、国家財政に相当の負担を与えるであろうということであります。 第二点は、蚕繭共済を桑葉共済に引直して行く点につきましては、売桑農家に対する救済措置、あるいは養蚕技術の発達に伴つて違蚕が減少しておる事実との関連において検討するというのであります。 第四、団体の保険収支の短期的均衡をはかるという点につきまして、この短期という言葉の概念は何を意味するかという点、特に安全割増による農家負担の増加との関係において、疑問があるというのであります。 第五、菜種、大豆等の任意共済についての再保険措置は、これを取入れるとうい方向で資料を収集し研究を進めるということ、また家畜保険については、試案で考えております点以外に長期共済あるいは中家畜の集団引受けを進んで検討するということであります。 第六、中央に再保険団体を設置する件については、その設置の意義が明らかでないということであります。 第七、事業と指導監督との関係を厳正、明確化ならしめる点については、分離の仕方について監督だけを分離することも考えられるということ。 第八は、建物共済の農協一元化問題に関しましては、風水害共済をとり上げた場合の財政措置その他に関連して慎重検討を要するということ。 第九は、組合の事業に対する種々の改善事項でありますが、まず当然加入の建前を継続するとしても、もつとこれを緩和する方法はないかどうかということ。 次に一筆単位の引受けを続けるという点については、現に実験中の農家単位引受けとの比較検討をもつと行いたいということ。 次に、現行の三割以下の損害を切りすてている点について今後どうするかということ。 以上の諸点をどう考えたらよいかということについて技術的にもはなはだ困難な問題を含んでおるということであります。 第十、料率上の調整措置に関しましては、料率の個別化をどの程度行い得るかという問題に関連して、無事もどし、あるいは備荒貯蓄制度の可能性を考究する必要があるということ。 第十一、損害評価について、統計調査機構をもつと高度に取入れるという点については、作物統計と共済側の評価機構の双方について一層整備を要すること。 第十二、防災事業の一元化問題については、防除の計画と実施の責任の所在をどこに置くかを慎重に検討して決定しなければならないということ。 次に債権債務の相殺の禁止については、共済金が確実に農家に渡るという趣旨で、公正な手段を考究してみたいということ。 以上、小倉農林経済局長の説明の要旨をごく大ざつぱにお伝え申し上げたのでありますが、お聞き及びの通り、小委員長の改正試案に対しましては、もろもろの要素を考慮に入れながら慎重に検討を続けたいという趣旨であります。われわれの意見もこの改正試案は財政上の問題等ともからみ、実際に法案を立案するにあたつては、その基本的方向を大綱的にさし示す意味のものでありまして、技術的に、あるいは計数的に個々の問題を処理するに際しての細目的部分については、ある程度弾力性あるものと考えておるのでありまするので、農林省より提示されたこの問題点は、今後十分考慮して参りたいと思うのであります。 なお参議院におきましては、衆議院同様、農業災害補償制度改正小委員会におきまして、本制度に関する改正案の成案に努力せられておりますることは、御承知のごとくでありますが、私は去る二月二十一日、同小委員会の要求により試案に関して詳細御説明いたし、また質問に応じてわれわれの考え方について答弁をいたしておいたのであります。参議院におきまするその後の審議状況を伺いまするに、小委員五名より改正試案が個別に提示され、ただいまそれらの各案について逐条的な検討を行い、意見の調整を行いつつある段階であるとのことであります。 以上申し述べました経過をたどり、わが小委員会としましては、慎重審議、調査に当つて参りましたが、いよいよ会期も切迫して参りましたので、この際小委員会としての結論を得たいと存じ、去る四月二十一日小委員会を開き、本議案についてお諮り申し上げましたるところ、改進党吉川委員、社会党芳賀委員、及び社会党中澤委員より、それぞれ小委員長試案について賛成する旨が述べられ、また自由党小枝委員よりは、第一項中の国家補償の限度に関する点、第三項第一号の中央再保険団体の設置に関する点、並びに第五項の建物等任意共済一元化に関する点について、同党足立委員より反対意見の申出がある旨を小委員長の報告中において明らかにすべきことを条件として、爾余の七項目とともに賛成する旨を述べられたのであります。 かくして試案は小委員各位の満場一致の御賛同を得ることができましたので、ここにこれをわが小委員会の成案として、本委員会に対して御報告をいたすこととした次第であります。 右の小委員会案はお手元に配付いたさせましたので、ごらんを願いたいのでありますが、以下、本案に関しまして、若干の註釈を加えつつ説明申し上げておくことといたします。 農業災害補償制度改正に関する件 まず前書といたしまして、農業災害補償制度に関しては、おおむね次の基本的構想のもとに改正を検討するものとするとうたつております。 私どもは以下の諸項目が、おおむね改正原案の土台となることを期し、かような表現をいたしておるのであります。 次に第一項は、農作物、桑葉の災害について、保険により対処する面と、補償により対処する面とを、保険数理的設計のもとに次のごとく分離するものとする。 (一)団体はおおむね通常の被害に相当する部分を保険する。 (二)通常の被害を越える災害については、国庫の負担において、政府の基金特別会計から団体を通じ、農作物の減収による実損額の七割まで填補することを目途として補償する。 前二号間の限界については、近年における災害の多発的傾向、不足額累増等の事情と関連し、団体の保険収支が短期的にも均衡を維持し得る合理的線を新たに計測して決定するものとし、かつ両者を通ずる災害補償制度全体の規模については、少くも現在の財政支出額を下まわらないということを条件としてこれを画定するということであります。 この点につきましては本委員会におきましてはしばしば議論の行われたところであり、また参議院の委員会におきましても、かような主張のあつたことを聞いておるのであります。また公聴会等におきまして、学者の方々の意見が発表されたのでありまして、国家補償の面と、保険の面とを明瞭に区分したらどうかというのであります。また保険的なものは全廃して、むしろ国家の補償一本で行くべしというような極論もございました。しかしわれわれとしましては保険でやる部分と補償でやる部分とを一応分離すれば、合理的な線が打出せるし、また、農家の要望にも沿えるのではないかという考え方に基きまして、この条項を起したのであります。 しかし、ここで最も問題となりましたのは、「農作物の減収による実損額の七〇%までを補償する。」という点でありました。農林省に要求して、計算いたさせましたところ、次のような数字が呈示されておるのであります。すなわち農家負担額を不変とすれば、国庫負担額において、二十八年度水稲共済掛金総額五十八億円に対しまして、約二・八倍の二百三十一億円を要するというのであります。しかしこの計算には、なお若干の問題点があります。これらの問題点は、この数字をさらに引上げる要素ともなりますし、また逆に引下げる要素もあり得るのであります。すなわち引上げる要素は、減収率、安全割増部分にあるようであります。 引下げまする要素としては、本案の第六項の二号に関連して、共済金額の農家選択制をできるだけ、取入れますことによりまして、当然国庫の負担額は減少して参らざるを得ないのであります。 また現在は、三割以下の損害につきましては、これを補填しないこととなつておりますが、この計算におきましては、さ少の損害の発生に対しても、補填することを前提としております。今日これを三割としておりますことについては、大した理論的根拠もないように思われますが、そのまま三割の線を維持するか、二割にするか、一割に引下げるか等につきましては、本案中に明記することを避けておるのであります。従いまして、この問題は、よほど計数的な検討を経なければ、容易に明らかにすることは困難であると思いますが、農業共済制度の抜本的な強化拡充案といたしましては、この程度の財政的要求はむしろ当然ではないかと考える次第であります。 また本案によりますれば、おおむね通常の被害に相当する部分と、それ以上の被害の部分とを截然分離いたしまして、前者は団体の保険する領域とし、後者は国の補償する領域とすることといたしおりますが、国庫の掛金の負担関係より見ました場合、団体の行う保険事業に対しましても、国は掛金を分担するかどうかという問題が出て参ると思いますが、この点に関しましては、農家の掛金負担額を現状よりも増加せしめないという趣旨よりいたしまして、われわれは、おおむね現在程度の国の負担はあるべきものと解しておるのであります。 なお蚕繭共済についてでありますが、われわれは、技術の進歩ととともに次第に蚕の病害等も減少して参つている状態等を考慮しまして、むしろこれを索莫の共済に切りかえて行く方がよいのではないかと思いまして、さような趣旨で表現しておるのであります。 最後にこの条項での最大の問題点と申しますか、重要な点は、現在では国が超過再保険をし、損害の実情に応じまして、国は県ごとの超過損害額に対し財政支出をすることになつておりますが、保険と補償とに分離して参つた場合に国の予算上の制約等によりまして、国の補償義務の履行にゆるみが出て来るのではなかろうかという危惧のあることであります。従いまして、かような危惧を解消し得る立法上の慎重な研究がもちろん必要であろうと思われます。 それと同時に、現在通常の状態下において国が財政支出しておる額は、本案による改正の結果、下まわるようになることは万あり得ないことでありますが、末尾において予防的にその旨をうたつておるのであります。 二、菜種、大豆等の農作物に対する任意共済については再保険措置を考慮するとともに、家畜については、畜産行政との協調に遺憾なきを期したる上、おおむね従来の方式を踏襲するものとする。 菜種、その他特殊農作物に対しましては、若干の地域で都道府県連合会限りの任意共済を行つていることは、御承知の通りでありますが、九州等の菜種共済が、過般の風水害により非常な痛手をこうむりましたことも、各位の御存じのごとくであります。この損害に対しまして、災害立法により利子補給等の措置を講じたのでありますが、法的には制度上の欠陥となつておりまますことは明白であります。立法技術上相当の困難のありますことは想像できますが、特殊の地域におきまして菜種、大豆に限らず、農作物に対しまして、任意共済を行つた際には、再保険のできる措置を考慮することが必要ではないか、かように考えまして、その点を取上げておるわであります。 家畜共済に関しましては、一応順調に推移しておるのでありますが、なお獣医畜産行政との間に若干の問題が残されているようでありますので、その点に関する注意を喚起いたすことにとどめまして、おおむね現方式を踏襲することにいたしたのであります。 三、団体の事業機構等の改善は左による。 (一)中央に全国を区域とする再保険団体を新設し、共済基金はこれに吸収する。 (二)都道府県段階以上における常勤の理事者は原則として業務に専従し得るよう内部機構を整備するとともに、各級団体の役職員の身分、責任等に公的色彩を強化する。 (三)末端組合の事業区域は、必ずしも行政単位にかかわらず、経費の節約、事務能率の向上及び職員等の待遇改善、身分、安定等を目的とし、経営安定の見地から定める。 第三項は、団体の事業機構等の改善方法を述べております。 このうちの第一号につきましては、小委員会で議論のわかれたところでありますが、その趣旨は、大体三つの意味を含んでおると思います。 その一は、現在都道府県の共済連合会は、国の再保険特別会計との間に個別に超過再保険関係を結んでおるのでありますが、冒頭において述べましたように、この再保険特別会計を基金特別会計に切りかえますと同時に、県と国とのかような再保険関係はこれを廃し、中央再保険団体を新たに設置して、保険部分につきましては、団体内部で解決をつけて参ろうというのであります。 その二は、菜種、大豆等の農作物の任意保険について再保険事業を営む任務を持つものであります。 その三は、団体の事業機構の簡素化と申しますか、すつきりした団体機構をつくり上げようとのねらいをもつて掲げておるのであります。 現在、御存じのごとく、町村に組合あり、郡に支部あり、県に連合会、しかして中央には、法的には何ら根拠のない全国共済協会という団体があり、また共済基金があり、農林省に特別会計が設けられておるというありさまでありまして、保険機構はきわめて複雑な構成と相なつております。共済協会についても、諸種の問題が伏在するやに伺つておるのでありますが、これを法律上の公共的な団体とし、あわせて基金業務をも行わしめまして、その職責、活動分野を明確にしたいという気持を持つておるのであります。 しかし、中央町保険団体の性格、構成等につきましては、今後とも十分検討の余地を残しておるのであります。 二号の点は、県段階以上の常勤理事者は、原則として兼職を禁止し、また各級役職員に公務員に準ずる性格を付与しまして、公正にかつ一意専心保険業務に従事せしめたいという意味から掲げております。 第三号の末端組合の事業区域の点に関しましては、組合の経営規模のみならず、地方公共団体の行政区域が狭小に過ぎ、非能率であつて、規模拡大の要のあることは、何人もこれを認める点であります。共済組合は現行法によれば、市町村の区域に設立されることとなつておりする関係上、百町歩余りの耕地しかない村にも、また北海道のように数十町歩の耕地面積を持つ村にも一組合という不合理が生ずるのであります。従つて弱小組合においては賦課金が増嵩し、農民負担が過重となり、事業に対して反感を抱くという結果となつておりますことは、公聴会等においてしばしば指摘されておるのであります。最近における町村合併促進の動向ともあわせ考えまして、少くとも行政単位に拘泥することなく、適正規模を策定することによりまして事務能率は向上し職員もおのおの専門的立場に立つて指導を行い得るようになる長所があろうかと考えます。そして組合の適正規模の上に、職員の特遇改善、身分安定等をはかつて参りたい、かように考える次第であります。 四、事業とこれに対する指導監督との関係を厳正かつ明確化するよう措置するものとする。 この点については、詳しくは申し述べませんが、特に、農林省の事業機構と指導監督機構とは、この際明確に分離し、特に監査業務については、独自の立場をもつて執行しなければ、農業災害補償制度の実施面における最近の忌まわしい風評を根絶することは困難であらうかと存ずるのであります。 五、共済農業協同組合連合会の行う共済事業と競合する建物等の任意共済は、一定期間後、農協に一元化し、事業内容に法的基礎を与えるものとする。 現在、建物等の任意共済に関しましては、御存じのごとく、共済組会と農協とがおのおの根拠法をもつて議しておるのであります。そうなつた次第については、いろいろ歴史的な理由もあることでありますが、ともかく対象は一つ農民であり、いたずらなる競合を起しておることは、はなはだ遺憾とするところであります。従つて、この際、防災事業との関連において、防災は共済に一元化、建物等任意共済は農協に一元化という構想を立てた次第であります。しかしこれを断行するにあたりましては、掛金料率の点、風水害等による赤字組合引継ぎ問題等、相当重大な問題が残されております。これらの諸問題に関連しては自由党足立委員より反対意見の陳述のありましたことは、前述の通りであります。しかし本案が実現いたし、大きく統合して参りまするならば、将来都市の営業保険に対抗して、掛金も下り、農林金融の面等におきまして一つの進歩をもたらすものと信じておるのであります。 六、組合の事業面等については、少くも次の諸点を取入れて改善をはかるものとする。 (一)加入については当然加入ないしは義務加入の建前をくずさない。 (二)引受けは一筆ごとの俵建とし、また共済金額等に関しては地方等級に応じて四段階を設け、これに対する農家の自由選択制を織り込むよう検討する。 (三)農家の負担する掛金額は一の(一)に対応してこれを低減するものとし、かつ危険の大小に応じ個々の耕地に対する料率上の調整措置(無事もどしを含む)を講ずる。なお政府はその適切な取扱い方針を決定するため、すみやかに常習災害地に関する全国的調査を行うこと。 (四)掛金の徴収を町村に委任し、もしくは物納を認める等その容易確実化をはかる。 一号は、これを任意加入にすれば、制度はたちまち崩壊するであろうという見通しのもとに、引続き強制の原則をとつたのであります。 二号に関しましては、現在引受けは一筆ごとで、共済金額等は村一率となつております。これの引受けについては、現在実験中の農家単位という説もありますが、この点は農村の実情に即して、一応一筆単位として、俵建または石建といたしたい所存であります。しかして共済金額、掛金率などにつきましては、農家個々の自由選択制を高度に取入れて参りたいと考えておるのであります。 次に三号の、農家の負担する掛金額は一の(一)に対応して低減するということは、現在異常部分について、半額を農家負担いたしておりますものを、国庫の補償により全額負担とする構想でありますので、当然それだけ引下つて来るものと思うのであります。 また無事もどしをも含め、危険の度合いに応じて料率の調整をはかるシステムを考えてみたいと考え、その旨を掲げておるのであります。 なお制度を運用する面におきまして、低被害地と、高被害地の問題が常につきまとうわけでありますが、農林省におきましても、常習災害地の調査がまつたくできていない実情であります。これを促進する意味で三号後段をつけ加えております。 四号の、掛金の面におきましては、物納を認める等その容易化をはかりますとともに、掛金と保険金との相殺行為を予防しますために、町村委任等のことを考えたいのであります。 七、本制度による保険事業を補充するため、農業協同組合との連繋のもとに行う備荒貯蓄の制度を新設して、団体の事業に金融的要素を加味するものとする。これがため掛金率の算定等にあたり特例を設け、かつ国庫助成等の奨励措置を講ずる。 この点に関しましては、第六項の第二号に関連して、若干の説明を申し上げますと、第六項のごとく、共済金額を地方等級に応じまして、四つの階級を設け、さらにこの階級のそれぞれに応じ、農家が選択し得るところの四段階程度の逓減された金額を対置いたし、もし農家が最低額の共済金額を選びました場合には、その上位の共済金額との差額に相当する金額程度のものを、備荒貯蓄といたしまして農協に積金するような仕組みを考えたいのであります。近年農家の備荒貯蓄的な観念が著しくすたれておる事情とも関連いたしまして、この制度を奨励し、災害対策の一環としまして、国よりの助成をも得せしめたいと存ずるのであります。 八、町村段階以上における損害評価の基礎として、農林統計調査機構の作業により、作物統計から作成する一定の幅を持つた減収率を使用できるよう、同機構を急速に整備するとともに、末端組合においては同調査との有機的関連を保持し得るよう、現行被保険者評価に伴う運営上の難点を改めるものとする。 公聴会において参考人の述べる制度上の最大難点は、損害評価の正確を期するためのきめ手がないということであります。またきわめて正確無比の評価であつても、郡、県、中央の段階でおのおの査定を受け、削減を受けるという点に関連して、初めから相当の水増しを行うという事実は否定しがたいと存じます。従いまして、この難点を解決しまするために、町村段階から、農林統計調査組織を利用して、いわゆる第三者評価を行うことを規定しました。 この場合、村以上の評価の最終責任は統計調査にあり、農家についての責任は組合が持つものとしたいと思います。しかし本件に伴つて、統計機構の整備のための経費を必要としますので、目下その作業を急がしておる状況であります。 九、防災事業は原則として団体をして実施せしめ、政府はこれにつき積極的な奨励措置を講ずるものとする。ただし薬剤、防除機具等に関する経済行為は農協の事業とする。 防災事業は、農協、共済組合、市町村、農業委員会というように実施主体が各個ばらばらでありますので、これを共済に一元化する。ただし経済行為については、農協がもつぱらこれに当るという考え方であります。この条項は、第五項の建物等の任意共済の一元化の問題とからんでありますことは、さきに述べたごとくであります。 十、連合会の不足金累積額は、この際全国を総合した整理計画を樹立実行せしめ、必要に応じ国はこれを援助するものとする。組合と組合員との間の債権権務の相殺関係等についても、この機会に徹底的に清算し得るよう措置するものとする。 連合会の不足金は、二十二年以降二八年までを累計いたしまして、四十億円の巨額に達しておるのであります。本制度の改廃により、今後はできるだけかような赤字の発生を防止いたしますとともに、従来のものについては、その原因を調査いたしまして整理して参らねば、制度そのものが半身不随に陥るおそれを有するものであります。組合におきましても、掛金と共済金等を相殺するような便宜的な方法で運営して参りました事実は、隠すべくもないところでありますので、二十八年度の大災害により、組合員の組合に対する債務が大幅に減少しました機会に、この弊害を根絶するようにいたしたいのであります。 政府は、右の諸点を体系づけ、その細目を定めるため、農林省に農業災害補償制度審議会(仮称)を設置し、速急に関係法令の整備をはかるべく最善の方途を講ずるものとする。 最後のあとがきとして、かように述べておるのであります。この改正案は、農業災害補償制度の今後のあるべき姿について、その骨格を示しておるにすぎませんので、体系づけを行い、細目を決定するには、今後容易ならぬ努力を要するものと信じますが、そのために、すみやかに農林省に、審議機構の設置を行い、衆参両院の関係議員も参加し、また斯界の権威者、学者、経験者の参画を煩わし、原則の具体化、法令整備を進捗せしめたい所存であります。 以上をもちまして報告を終ることといたします。
○井出委員長 この際足立委員より発言を求められておりますので、これを許します。足立篤郎君。
○足立委員 ただいま足鹿小委員長から御報告になりました農業災害補償制度の改正に関する小委員会における案につきまして、この際お許しを得ましてごく簡単に私の意見を申し述べさしていただきたいと思います。 小委員会が昨年来非常に熱心に論議を続けられましたことにつきましては、深く敬意を表する次第でございます。何分この制度は広汎にわたり、しかも掘り下げれば掘り下げるほどむずかしい問題を多数含んでおります。ここに小委員長の御報告になられました案ができ上つたのでございますが、いかんせんこの程度のものでは、全般にわたつて根本的な改正を行うべき案といたしましては、不十分のそしりを免れないと考えるわけでございます。この案全般につきまして——部分々々についても相当な意見を持つておりますが、せつかく各派で一応のとりまとめをされたものでございますので、こまかい点につきまして一々私が意見を申し上げることは、この際差控えまして、特に問題になりました一点について、私の見解を明らかにさしていただきたいと思うわけでございます。それは小委員長の御報告の中にも触れておりましたが、第五項の共済農業協同組合連合会の行う共済事業と競合する建物等の任意共済に関する問題でございますが、この問題につきましては、過日の参議院の農林委員会に提出されました団体側からの資料に基いて見ましても、現在共済農業協同組合連合会が行つております建物共済の実態は、農業協同組合の建物について共済事業を行つております都道府県の連合会の数は三十七でございます。それに対して農家の建物共済を農業協同組合がはつきりと基礎をもつて全般的に行つておりますものはひとり北海道だけでございまして、他につきましては目下計画中あるいは一部更進共済等を行つておる県もございますが、今申し上げた通り、実質的に全般的に農家の建物共済を農業協同組合が行つておるのはひとり北海道にすぎないのでございます。それに反して共済組合連合会が行つております建物共済の実情は、農家の建物につきましては、北海道を除きまして全府県行つておるのでございます。農業協同組合の建物につきましては、秋田、茨城、長野、大阪、福岡の五府県を除きましては他は全部取扱つておるのでございます。ただいま申し上げた五府県は、おおむね農業協同組合側との話合いによりまして、たとえば長野県のごときは典型的な県でございますが、農業協同組合の建物については農業協同組合側で取扱う、農家の建物については共済組合連合今会がこれを取扱うという協定に基いて、円満に業務の分野をわけて、何らそこに競争することなく、きわめて円滑に仕事が行われておるというふうに聞いておるのであります。残余の県につきましては、農業協同組合の建物については、ただいま小委員長の報告がありました通り、両団体が競争をする形になつておるところも相当あるのでございます。中にはまつたく共済組合連合会が一手に行いまして、ほとんど農業協同組合自体としては取扱つていないという県も相当数に上つておるのでございます。かような実態でございますので、この実態に基いて判断をいたします場合には、ただいま小委員長の報告にありました通り、これをすべて農協に一元化するということが、かりに観念的な理論がここに成り立つといたしましても、実態論から、具体的にこの仕事を円滑に遂行するという立場から考えますと、この議論は成り立たないと私は確信いたします。のみならず昨年のあの台風の大災害を受けまして、この建物共済は、いまだ過渡期にあるこの試錬の時代に、非常な打撃を受けまして、たとえば和歌山県を初め北九州各県におきましても、任意事業である政府補償のないこの事業が大きな赤字を出しまして、支払い資金に困り、政府に融資を依頼いたしまして、一部貸付を受け、どうやら乗り切つて参つておるのでございますが、この事業は非常に大きな危機に際会をいたしておるのでございます。かようないきさつ等もからみ合つて参りまして、今ただちにここにこういう方針が確立されたからといつて、この事業をあげて農業協同組合に移すということは、事実問題として不可能なことに属すると私は信ずるのでございます。 さらに掘り下げて考えますと、私どもの理想は、農家の建物に対する共済事業も、近き将来においては政府の補償の手が差伸べられなければならないという強い信念と理想に燃えておるのでございまして、この国家補償の手段なくしては、ほんとうにこの制度が安定をし、農家が安心をして低率な掛金で、しかも災害があつた場合には——火災といい、風水害といい、あるいはさらに地震までこれに取入れまして、農家の経営を安定させるというその理想は達せられないと私は考えるわけでございまして、そういう点から判断いたしましても、これを軽々に農業協同組合に移してしまうということは、将来の方策から考えていかがであろうかという疑問を持つわけでございます。それはどういうわけかと申し上げると、この共済組合の行つております他の共済事業につきましては、多かれ少かれ国家補償の手が差伸べられてその制度が確立されております。ひとり任意共済である建物共済だけが、いまだ国家補償の制度が設けられないという状態にあるのでございまして、この国家補償の制度を設けることこそ、この制度を確立し安定せしめる先決要件であつて、この際組織をいじるとかあるいは農協に移すとかいうことが根本問題ではないかと私は考えるわけでございます。国家補償の制度をもうけるとかりに考えました場合に、いかなる方策で行くのが最も適当かということになりますと、今私が申し上げた通り、他の事業についてすべて国家補償の制度が設けられておる共済組合の事業の一環として、この建物共済を行うのが最も近道ではないかという方法論も当然に割出されて来るのでございます。かように現在の実情並びに将来の方向等いろいろ勘案いたしまして、結論として生み出されて来る問題は、少くとも農家の建物共済事業については断じて他に移すべきものではなくて、現在の共済制度の一環として共済組合が取扱つて行くのが最も理想であると私は確信をいたすのでございます。農業協同組合の建物につきましては現実も競合いたしております。また足鹿小委員長の報告にもありました通り、いたずらに農業団体が同じ仕事で相抗争することは避けなければならないということも考えますので、漸次合理的に農協が自主的にこれを行つて行くのだという線で話合いが調整されるならば、これは一元化なさるのもけつこうだろうと私は考えておるのでございまして、かような観点からいたしまして、ただいま小委員長が御報告になりました小委員会案、この結論は私が申し上げた建物共済に関する限りにおきましては、にわかにこれを確定した方針なりとして進むことは非常な危険もあるし、かえつて農家のためにもならない不安定なものになりはしないかという大きな危惧の念を持つております。なお掛金率の問題等を考えます場合には、これは申すまでもないことでございまして、職員の給料や事務費まで国庫で負担をしております共済組合が取扱うことが、最も低廉なる料率で行けるということは計算上明白でございますから、これはあえてくどくどしく申し上げませんけれども、かような点をお考えあわせられまして、この取扱いにつきましてはいずれ参議院の結論が出され、さらに政府でつくる審議会にまわされることと思いますが、慎重に実情を御検討になり、将来の方策をお考えになり、大局的な見地から最も合理的に、最も円滑に運営のできるように善処されんことを私の意見として申し述べておく次第でございます。
○井出委員長 ただいまの農業災害補償制度に関する小委員会の決議についての足鹿小委員長の報告を了承することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井出委員長 御異議なしと認め、本委員会において承認することに決しました。 ついては本件に関し、政府に対する申入れあるいは参議院への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井出委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○井出委員長 次に足鹿覺君より商品取引所法の一部を改正する法律案に関し、通商産業委員会に対し意見申入れの件について発言を求められております。これを許します。足鹿覺君。
○足鹿委員 過日本委員会におきまして、通産委員会に連合審査を申し入れました商品取引所法改正法案につきまして、本委員会として通産委員会に対し附帯決議をすることの申入れをいたしたいと存じますので、おはからいを願いたいと存じます。すなわち私は本委員会の御意向を体しまして、先日通産委員会に出席をいたし、政府当局に商品取引所法の改正法案について質疑を行つたのでありますが、当農林委員会といたしましても、きわめて重大な問題がたくさんあることを発見いたしましたが、この際通産委員会の審議の都合等もありますので、修正意見等は一応これを差控え、次の四項目について附帯決議をすることを申し入れたいと存ずる次第であります。朗読をいたします。 商品取引所法の一部を改正する法律案に関する申入れ事項 一、商品取引所は、当業者の自主的な運営に委されてるとはいえその日常の業務運営に当つては、公共的にして且つ公正な立場に立つて運営されるべきである。 従つて、取引所役員中少くとも日常の業務運営の掌に当る理事については、公益代表的性格をもつ員外理事をもつてこれに当てるようにすること。 二、政府は、昭和二十九年二月頭初の砂糖の異常騰貴に際して、拱手傍観したため、過当投機が行はれ、消費大衆にも多大の迷惑をかけたのであつたが、将来外資事情の推移についても、不安なしとしない現在、砂糖等輸入依存度の高い商品については、外資事情の推移に即応し、第一二四条(定款、業務規定等の変更命令)、第一二一条(一定期間の業務停止)の発動について遺憾なきを期するとともに、需給遍迫の影響が表面化するおそれがあるときは、価格安定及び需給調整等の基本問題について、早期に適宜な措置を考慮すること。 三、麦及びフスマの上場をしないこと。 四、帯広に穀物取引所の措置について許可をしないこと。 以上であります。この理由については各位御存じの通りでありますから、省略をいたします。
○井出委員長 ただいまの足鹿君の提案に対し、御意見があれば発言を許します。——別に御発言もなければ、お諮りいたします。ただいまの足鹿君提案に御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井出委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 —————————————
○井出委員長 次に臨時硫安需給安定法案を議題といたします。この際肥料に関する小委員長より、小委員会における審査の中間報告をいたしたいとの申出があります。これを許します。綱島小委員長。
○綱島委員 ただいま議題となりました臨時硫安需給安定法案に対する小委員会の経過を御報告申し上げます。この法案は、実にわが国の農政にとつては重大な問題でございますので、従来継続審議と相なつておりましたものを、委員会においては、昨年十二月十日小委員会に付託せられることに相なりまして、次いで十二日小委員が選任いたされまして、その後一面本委員会において疑質応答等を重ねると同時に、並行的に小委員会において審議をいたして参つたのであります。その間本委員会において審議されましたことは、十二月十五日、二月十五日、四月十四日、同十日に実に四回にわたり、小委員会において審議をいたしましたことは、十二月十七日、同十九日、二月十三日、二十三日、三月二日、四日とこう小委員会で審議をいたして参り、なお懇談会を、これは非常に長時間をかけたりいたしまして、三月十一日、十九日、四月八日、十三日、二十四日、二十五日とたびを重ねて参つたのであります。その間本案の最もねらいといたしております需給の調整と価格の安定という点につきまして、あらゆる角度から原案を検討いたしまして、およそ意見が出そろつたではないかと思われるころ、従いまして本年三月二日に二月十六日付の小委員長試案というものを提出いたしました。この小委員長試案につきましては、他の野党においてもいろいろ意見がござまして、野党からの御意見として三月十一日、三月八日付の修正要項が出て参つたのであります。この二つを見比べまして、いろいろ懇談を重ねました結果、大体において成案に近いものを得ようといたしたのでありますが、十分なところまでは参つておりませんけれども、大体において主要な問題となりましたことは、本案において規制いたしますところの肥料は一体どういう点で限定すべきであるかという点でございます。最初硫安等を目的といたしておつて、いわゆる硫酸アンモニア、及びアンモニア系窒素肥料の二つを大体目的としてこの法案がつくられることになつておりましたのを、その適用範囲を拡大するという意見がございまして、この範囲は、この法案で成立いたします審議会にまかせて、政令によつて、その審議会の審議を経て追加すべきものは指定をして行く、こういうようなことが妥当であろうというような——各派の間に多少の異論はございますが、大体において成案を得たわけであります。 次にこの審議会の構成であります。これについていろいろ御意見がございまして、主要なる点は国会議員をこの審議会に加えるか加えないか。加えるということに積極的規定をするかあるいは学識経験者という中において、ちようど米価審議会が学識経験者の名において国会議員を加えておるような形式をとる方が妥当ではないかというようないろいろな意見が出たのでありますが、結局は大体審議も尽されまして、そう大した開きがないということになりましたので、ここらで本委員会にお返しをして、本委員会において御審議を賜わる方が妥当であると思いますし、大体御趣旨を尽しておる修正意見も出るようでありますから、それらをもととして、本委員会で御審議を願うことがもはや妥当であると考えます。ということは、この法案を再び継続審議にかけることが農民のために利益でないということ、それから会期が切迫いたして来たということ、それらの箇条を考えまして、特にかような処置をとることにいたしたわけであります。各党一致の成案を得ることができなかつたことは非常に申訳ないと存じておりますが、但し大体はもはや進むのではなかろうかという見通しをつけましたので報告をいたすわけであります。
○井出委員長 次にただいま金子與重郎君より本案に対する修正案が提出されております。その内容は各位のお手元に配付いたしました通りであります。この際本修正案の趣旨について提出者の説明を求めます。金子與重郎君。 —————————————
○金子委員 ただいま肥料小委員会の小委員長から経過が説明されたのでありますが、長い間の審議の結果、この際その大体の線の最大公約数をとりまとめたような意味におきまする修正案を提出いたした次第であります。その案文はお手元に配付した通りでありますが、簡単にこの際その修正の要旨を御説明申し上げたいと存ずる次第であります。 まず第一に、臨時硫安需給安定法が提出されて以来、相当長い期間審議に時間をとつておりますので、当時は硫安が輸出価格と国内価格との間に大きな開きがある、すなわち出血輸出の犠牲を内地農民にかぶせるということが主たる硫安価格問題であつたのでありますが、その後経済情勢の変化等におきましてまた今後を予測いたしましたときにおきましても、肥料工業というものがまつたく手放しの形で、自由資本主義の形において企業化されております関係上、また一面には為替関係等を考えたときに、輸入にまつておりますところのカリ肥料あるいは燐酸肥料におきましても、今後価格の面において、生産面において、いろいろの思いはかられない事態が来るやもしれない。そういうことから言うならば、まずこの際この法の適用対象というものを、硫酸アンモニア及び政令で定めるその他の重要肥料という見解にとり、従つて法律の題名も重要肥料という形にし、同時に審議会も肥料全体を含めての審議会に改める、これがこの法案の修正の大きな一点であります。 それから次に硫安肥料の合理化をするために、今後政府は相当多額の資金を貸し付けするという計画でありますが、しかしながら肥料製造会社も営利会社でありますから、国家から窒素工業の合理化のために、相当多額の有利な条件におきまして資金を仰ぎましても、その経営のためには有利な肥料あるいは商品に製造を転換して行くということであるならば、安い実質的に低廉であるところの農民の要求するところの肥料が生産されなければ、その目的を達成されないから、それに対しては審議会の意見を聞いて、通産大臣はそれに対して肥料の種類あるいは数量、品質というものを指示することができるということを新しく加えたのであります。 その次に保管団体の指定についてでありますが、この保管団体の指定はややするといろいろの理由をつけて保管団体に対して競争をするというようなことが出て、不明朗な形をとることをおそれまして、肥料そのものが配給のための商品ではもちろんございませんので、農民自体が消費するための一つの商品でありまするからして、当然その保管団体というものは、消費者であるところの農業者を直接または間接に構成員とする団体に限るということを新しく加えたのであります。 次には、農林大臣が保管団体に対して肥料の買取りをするということがこの法律にあるのでありまするが、この買取りは政府の説明によりますと、年間需要の約一割というのでありますが、この一割は調整保留分として計画の上には立てるのでありますが、実際そのときどきにあたりまして、不必要なものを、一割という計画を立てたがゆえに、必ず買わなければならないということは、金利その他におきましても不経済であり、不必要な問題がありますので、その一割の範囲内において必要な買入れ数量を指示することができるということに改めたのであります。 次に農林大臣が保管団体に対して保管肥料の譲渡その他を指示する場合におきましては、肥料審議会の意見を聞いてすることが建前になつておるのでありますが、しかしながら災害ないしは災害でない場合でも、全国こういうふうに地区が非常に長いところにまたがつており、しかもその肥料の生産というものが、肥料別に考えましても、全国均等の形において肥料工場が建つておるわけではありませんので、従つて地理的にある種の肥料が一時的に非常に不足をするとか、あるいは流通性を持たせなければならぬ場合が出て来ると思うのであります。そういう場合には農林大臣は調整保留分の処理をして後に、審議会になるべく早い機会にこれを報告するということができる、この点を新しく加えたのであります。 その次は、政府は必要があると認めるときには、保管団体が農林大臣の指示に基いてする肥料の買取り及び保管に必要な資金についてあつせんをするということ、これも新しく加えたものであります。 七番目には肥料の販売価格の最高を定めるときのしんしやくする事項がありますが、そのしんしやく事項の中へ肥料の国際価格という問題も、そのしんしやく要綱に入れるということであります。 その次に、肥料審議会は日本硫安輸出株式会社の業務に関する重要事項についても調査、審議することができ得るということであります。御承知のように、日本硫安輸出株式会社は商法によりますところの会社になつておりまするけれども、その性格上、ほとんど価格調整のための一つの国策会社的な性格も一面持つておるのでありまして、そういう点から行くならば、その審議会はその会社の運営内容等につきましても、必要のある調査なり審議をすることができるのが正しいと存じまして、この一項を加えたのであります。 最後に、ただいま肥料小委員長からも御報告がありましたが、この肥料審議会の委員を何人にし、しかもその構成をどうするかという問題につきましては、非常に議論の多かつたところでありまするが、この修正案によりますると、硫安という立場からこれを肥料全体に入れております。そうして今後その推移によつて、あるいは次の機会に修正されるようなことが、肥料事情というものがかわつて参りますと、当然そういうことも予測されるのでありますが、この際出発といたしましては、国会議員というものはこの代表者の中へ必ず議員の資格として入るということを、ここに法の上に書き現わしておりませんけれども、学識経験者としてならば入り得る。すなわち米価審議会のような形におきまして、その員数をふやしまして、そうして定員九人であつたものを十五人以内という形に改めまして、そうしてただいま申し上げた学識経験者という形のものを七人以内というふうに増員し、この中で調整して行きたいと存ずるのであります。 最後に、この法律の有効期間を一年延長いたしまして、昭和三十四年七月三十一日までとする。これは法律の審議がずれて参りましたので、当然この点を差加えた次第であります。 どうぞ慎重御審議の上、御賛成あらんことをお願いする次第であります。
○井出委員長 ただいまの修正案に対する質疑はこれを延期し、暫時休憩いたします。 午後零時五十六分休憩 ————————————— 午後二時三十六分開議
○井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。酪農振興法案を議題といたし、前回に引続き質疑を行います。芳賀貢君。
○芳賀委員 私は昨日農林大臣に対して概論的な質疑を行つたわけでありますが、本日は法案の内容に対していささか疑点をただしたいと考えるわけであります。 まず第一にこの酪農振興法案と、有畜農家創設特別措置法との関係でありますが、有蓄農家創設の特別措置法によりますると、有畜農家の創設に対する規定が規定されておるわけであります。たとえば『「有畜農家創設事業」とは、農林大臣の定める有畜農家創設基準に従い都道府県が定めた有畜農家創設計画に基き、農業協同組合その他農業者の組織する政令で定める団体」』云々ということを規定しておるわけでありますが、この二つの法律を対照して考える場合において、最も基盤をなすものはこの有畜農家創設ということは、いわゆる無畜農家の解消がまず第一義的に取上げられて行かなければならぬと考えるわけであります。この点に対しましては、先日農林大臣に質問をしたわけでありますが、具体的な解明に非常に欠けた点がありますので、さらに畜産局長からこの点に対して具体的な所見をお伺いしたいのであります。
○大坪政府委員 ただいま有畜農家創設特別措置法と今回御提出いたしました酪農振興法案との関連につきまして御発言があつたのでありまするが、御承知のように、わが国の農家を安定せしめ、かつ農業生産力を発展させまするためには、無畜農家の解消が最も必要な事業であるのでありまして、その意味合いにおきまして、先国会において有蓄農家創設特別措置法の御審議を煩わし、その成立を見たのであります。今回は酪農振興法案を御提出いたしたのでありますが、元来酪農振興と申しますもののほんとうのねらいは、先日も申し上げました通り、乳牛の飼育密度を濃化いたしまして、各農家の経済安定に資しますのはもちろんといたしまして、できるだけコストを引下げたい、こういうような観念に立つておるのであります。従いまして、この二つの法律は一応形式的には関連がないというような御意見もあるいはあるかと思いまするが、実は酪農振興法のねらつておりますのも、できるだ無畜農家に優先させたい、かように考えておるのであります。ただその場合に絶対に、あるいは和牛でありますとか、あるいは馬でありますとか、そういうような大家畜を持てる農家には導入しないというようなことは考えていないのであります。ダブることは場合によつてはあるかと思いますが、これはその当該地域につきましては、同じ条件でありますれば、できるだけ無畜農家を優先させたい。しかしながら酪農振興法の最終のねらいは、その当該地方におきます飼料条件あるいは営農条件、あるいは労働条件等を勘案いたしまして、そういう有資格的な農家には必ず一頭以上の乳牛を飼育させまして、その当該地方におきます乳牛の飼育密度を上げたい、こういう観点に立つておりますので、有畜農家には絶対的に排除するというような観点には立つていないのであります。ただ同じ条件下にあります場合には、無畜農家の方を優先させたい、かように考えたわけであります。
○芳賀委員 ただいまの局長の御答弁によりますと、前提としては、わが国の農業の経営を合理化かつ健全化するという意図のもとに、有畜農家を育成するという建前の上に立つているということは理解されておるようでありますが、そういたしますと町村において、あるいは都道府県団体において、いわゆる有畜農家の創設計画というものが持たれるわけです。この振興計画によると、酪農振興計画というものがまた策定されるわけでありますが、その二つの計画の関連というものをどういうように考えるかということがやはり問題になつて来ると思うのですが、その点はどのように処理して行くお考えでありますか。
○大坪政府委員 有畜農家創設特別措置法におきましては、乳牛のみならず御承知のように馬、和牛、めん羊、こういうものを農家の希望するところに従いまして、資金わくを府県を通しまて各農家に導入していただくわけであるのでありますが、本法におきましては、乳牛につきましての特別措置法であるのでありまして、もちろん有畜農家創設特別措置法の施策と本法の施策は唇歯輔車の関係におきまして、関連性のあるものとして運用して参らなければならぬと思うのでありますが、本法の指定を受けます地域につきましては、特に酪農の適地というか、飼料条件その他の条件におきまして、最も乳牛を飼育することが経済的にも効果があり、また当該地方の振興という点から見ましても、最も好結果な地帯でありますので、乳牛の導入というものを先決問題として考える、かように考えて策定しておるのであります。
○芳賀委員 有畜農家創設計画というものは非常に普遍的なものになつておるわけです。さらに農業委員会等において策定するところのいわゆる農業振興計画、これらのものは各町村団体から現地に即応した意欲によつて、だんだん盛り上つて来ることになるわけでありますが、もちろん局長の言われたように、有畜農家創設事業というものは、単に乳牛だけではないわけでありますが、しかしウエートはやはり乳牛の増殖ということに置かれておるというふうに考えておるわけです。そういたしますと、この普遍的な地域の中において、特定な地域が集約地区の指定も受けるということになると、それは有畜農家創設事業の中において、そういう一つの特殊地域が持たれておるというふうに一応考えてさしつかえないかどうかという点であります。
○大坪政府委員 有畜農家創設特別措置法の関係におきましては、ただいま御指摘の通り、当該府県におきまする全地域を対象といたしまして有畜農家創設特別計画を樹立いたすのでありまするが、本法におきましては、その府県内の一定の地域を区切りまして酪農振興計画を樹立する次第であるのであります。従つて本法によつて指定された地域につきましては、もちろん酪農振興計画は本法に基く計画として樹立されるわけでありますが、その地域につきましても和牛なり馬なりめん羊なりにつきましての計画は、当然酪農振興計画と別途に、しかしながらこれは全然無関係ではなしに、これをひつくるめて考えますときには、総合されたものとしての計画は府県としてはある、こういうことに相なると思います。
○芳賀委員 そういたしますと、有畜農家創設事業の総合的な面の一環としてこの酪農振興法による振興計画が持たれる、そうしてこの二つの法律は決して不可分のものではないというふうに局長の御答弁から判断して行きたいと考えておるわけであります。次にこの法律でありますが、これは酪農振興ということが中心になつておりますが、結局有畜農業の振興というようなことは、この法律の中でそういう積極的な意図というものは持つておるかおらぬかという点であります。
○大坪政府委員 酪農振興法は有畜農家創設という意味を持つておるかどうかというお尋ねでありますが、もちろん本法におきましても農業の経営を安定させます立場から、あるいは総合的な食糧を増産いたしまする立場から、その当該地方におきましては、有畜化しまする場合に酪農という形式をとつた方が一番効率的であるという地帯をまず指定するという考えでありますので、本法におきましては、地域につきましての指定の場合に、乳牛を導入します場合にも当然有畜農家創設特別措置法の精神のもとに、できるだけ無畜農家から乳牛を導入して参る、こういう考え方で参りたい、かように考えております。
○芳賀委員 私のお尋ねしたのは、無畜農家解消という形でなくて、有畜農業の振興ということがもう一段進んだ段階における計画ですね。ただ単に家畜を持たない農家を有畜農家にするということだけでなくて、農業の形において有畜化された農業というものを具体的に振興する計画、ねらいというようなものは、この法案のどういう点に織り込まれておるかという点です。
○大坪政府委員 本法におきましては、できるだけ当該地方におきまする乳牛の飼育密度を増加さしまして、当該地方における酪農基盤を確固たるものにいたしたい、かように考えておりまするので、無畜農家の解消のみならず、当該地方におきまする有畜農家におきましても、一頭を飼育しておるところはさらに二頭あるいは三頭、馬を飼育しておるところは乳牛をさらに一頭あるいは、二頭、こういうふうに各飼育農家の労働条件あるいは経営条件にマツチいたしまして、その乳牛の頭数の増加ということをはかつて参りたい、かように考えております。従いまして当該地域におきまする酪農振興計画には、当然各農家個々の乳牛の飼育頭数の増加ということが計画の内容の一つをなして来る、かように考えておるわけであります。
○芳賀委員 次に地区指定の問題でありますが、法律によりますと、都道府県知事が一応地域の設定を行つて、農林大臣の指定を受けるというようなことになつております。この地区の設定の場合において、もちろんその区域の管轄の知事が選定することは必要になつて来ると思いますが、地方における同一条件の町村等において、一つの必然性を持つた地区の設定というようなことが盛り上つて来ることになると思いますが、それらの場合、つまり特定の、一定の基準等によるところの条件が具備されたというような場合においては、末端のそういう意欲を尊重するという建前に立つて、地域の指定に対する決定等というものは、弾力性を持つて行われる必要があると思いますけれども、この点に対してはどのようにお考えになつておりますか。
○大坪政府委員 本法に掲げまする集約酪農地域指定の問題につきましての御意見と思いますが、本法に基きまして指定を受けます場合には、法律の規定に基きまして一応基準を設けておるわけであります。その詳細の点につきましては政令等に譲ることに相なつておりますが、その基準に合致いたしました地域につきましては、私どもといたしましては、当該地方が酪農振興ということをほんとうに農業生産のためにやりたいという希望があります場合には、その条件に合致するところはできるだけ多く指定して参りたい、かように考えておるのでございます。ただ予算の関係上、あるいは乳牛の自然的な増加趨勢、こういうような関係がありますので、全面的に一時に指定するということははなはだ困難ではないか、と申しますのは、一応指定いたしましても、何らそこに補助金的な措置もできないか、あるいは乳牛の自然的な増加趨勢にマツチしないような指定をいたしますと、そこに乳牛の取合いが起る、あるいは非常な高価な乳牛が導入せられるというような事情にも相なりますので、その点につきましては、できるだけ乳業経済の実態に沿うようなやり方で指定して参りたい。せつかく指定いたしましても、数年間ほつたらかすというようなことになりますと、せつかく熱が上りました当該地方の農民に、かえつて非常な迷惑をかけるということになりますので、その辺の取捨選択と申しますか、緩急の順序が非常に問題じやないか、かように考えておるのであります。しかしながらそういうような事情が許します限りにおきましてはできるだけ多く指定いたしまして御希望に沿いたい、かように考えておる次第であります。
○芳賀委員 地区指定という問題は、地方としては非常に重要関心を寄せているわけでありますが、ただいま局長の話によると、予算との関係があるので、そういうものに制約を受けるということでありますけれども、今の政府の予算の編成との関係あるいは農業政策等の方向を見ても、予算がこうだからということだけでそれの制約を受けるということになると、結局積極的に酪農振興計画というものの発展性を認めることができないと考えるわけです。だからしてこの法律の持つておる精神というものは、政令等によるところの基準に適合した場合においては、集約地区としての資格条件が具備された場合においては、当然指定を受けるべきであるというふうに考えるわけでありますが、そういうような積極的意図を持つた含みということは全然ないのでありますか。
○大坪政府委員 本法のねらいといたしておりますのは、そういうような条件にかなつたところに酪農振興計画を樹立いたさせまして、そうして酪農振興をはかつて行くという趣旨でありますので、できるだけそういうような適格条件のところにつきましては全部指定をいたしまして、その要望にこたえたいと考えておるのであります。ただ一つの条件といたしまして、乳牛の自然増加率というようなことが問題になるのでありまして、この点のやり方を誤りますと、そこに非常な大きな問題が起きて来る。と申しますのは、乳牛の取合いと申しますか、非常な高価格なものになるわけで、またそれを勘案いたしまして、指定いたしましたところに対しまして薄く補助をするというようなことになりますと、せつかくの熱意がそこにさめて来るというような問題があるのであります。その辺のやり方が非常に問題じやなかろうか、かように考えておるわけであります。しかしながら私どもといたしましては、できるだけの予算を用意し、かつ取引につきましてできるだけ計画的な導入をやりまして、それらの点の問題のないようにいたしたいと考えておるわけであります。
○芳賀委員 ただいまのお話によりますと、条件を具体的に具備しておる地域に対しては積極的に指定を行う。もちろん軽々にあらゆる地区を指定することは危険が伴いますし、将来における乳牛の増加の趨勢等も大体把握されることが必要であると考えますが、あまりにこれが消極的になつた場合においては、たとえば今年度は三十地区とか四十地区とか指定を受ける、次の年にもそのくらいの指定が行われるというように、この指定が長期にわたる場合においては、乳牛のたらいまわし的な現象が生じないとは必ずしも限らぬのであります。一度指定を受けた地域は——この指定は取消すこともできるわけでありますが、そういうことは実際問題としては非常にできがたいと思うのであります。でありますからして、十分将来性を検討して、この地域においては、諸般の農業の条件の中においても有畜農業が必要である、それによつて伸びるんだという確認がついた場合においては地域の指定を行つて、そうして客観的な条件あるいは附帯的の条件が現地の熱意の中からうん醸されることを慫慂するというようなことも、政治の面においては非常に必要でないかと考えるわけであります。でありますから、ただ単に補助等の関係だけを重点的に考えて、この指定が消極的になるということは、むしろ弊害あるいは危険が伴うのではないかというふうに私は危惧するわけでありますが、その点に対する局長の明快なる御答弁を承りたいと思います。
○大坪政府委員 ただいま、盛り上つた農民の力と申しますか、期待に沿うように指定をせいという御意見と思いますが、まことにその通りと思うのであります。特に相手が動物でありますので、これにはまつたく農民の非常な努力と申しますか、愛育精神と申しますか、そういうような要件が備わらなければ、すなわち一時的な考え方では永遠の酪農振興は望めないのであります。従つてほんとうに盛り上つた当該地域の個々の農家が、全部そういうような気持になつていただきまして、初めてほんとうの集約酪農地域としての最終の効果を上げ得る、かように考えるのであります。従いましてそういうような地域をまず優先させて行きまして、そういうような地域には必ずその期待に応ずるように私どもといたしましても措置をいたしたい、かように考えておるわけであります。
○芳賀委員 さらに地域指定の具体的な問題と関連するわけでありますが、ジヤージの導入計画はことしは一千八百十一頭というように記憶しております。それは二十九年度の計画でありますが、たとえば三十年度、三十一年度というような三箇年、五箇年等の計画というものは当然策定されるべきであると思いますが、外国牛の買付による貸付の計画、さらに残余の地区はほとんどホルスタイン地区というようなことでこれは充実して行くことになると思いますけれども、この面は多分に有畜農家創設資金等によつてこれを推進するということになるわけでありますが、この外牛の導入によるところの地域の拡大、それからホルスタイン地区等に対する融資による充実、そういうものは、たとえばここ三箇年くらいの将来においては、どの程度にこれを充実して行くというような計画であるか、その点が明確になつておればお聞かせ願いたいと思います。もう一つは、ジヤージー地区の四地区はすでにもう決定されておるわけでありますが、残余の地区に対しましては、先日の局長の御答弁によりましても、全国的な希望は大体百三十地区あるというようなお話でありましたけれども、畜産当局としては、二十九年度において具体的に何地区くらいをおおよそ考えておられるか、その点がこの席で御表明できるとすれば、お聞かせ願いたいと思います。
○大坪政府委員 地区指定の具体的な問題でありますが、本法によりまして指定いたします場合に、ジヤージーを主として導入いたしまする地域と、ホルスタインによる導入地域と大体二つにわけられると思つておるのであります。もちろん当該地域につきまして全然ほかの種類の違つたものは入れないというようなことではないのでありますが、政府としての施策の中心は、一応二つにわけて考えたいと思うのであります。ジヤージー種につきましては、ただいまの御意見の通り、二十八年度で二箇所、二十九年度で四箇所、合計六箇所を指定しておるのであります。これは二年計画をもちまして一年間に三百頭ずつ導入するということになつておりまして、昨年指定いたしました八ケ嶽山麓の山梨、長野地区と岩手山麓の地区につきましては、昨年の残りの分といたしまして、合計六百頭を二十九年度内に導入し終りたいと考えておるのであります。新しく指定いたしました地区につきましては、三百頭ずつ二十九年度に導入いたしまして、三十年度になりまして残りの三百頭を導入いたしたい、かように考えておるのであります。三十年度以降の計画につきましては、ジヤージー種につきましては現在のところ具体的な計画は持つておりません。と申しますのは、予算とも直接関係がありますし、特に外貨との問題があるのでありまして、これを今どうするというような具体的な計画を立てることがきわめて困難であるのであります。ただ私どもの希望といたしまして、三十年度におきましては、二十九年度に四箇地区指定いたしました分の残りの分は、当然三十年度予算に計上しなければならぬという理論的な結論になつて参ると思うのであります。つまり二箇年計画で三百頭ずつ二年間やる、こういうことになつておりますので、二十九年度は初年度の三百頭でありますので、三十年度に残り三百頭を計上しなければなりませんから、三十年度につきましては、四地区につきましては三百頭導入するということになると思いますが、新しい地区につきましてはどういうふうにするか、現在のところ具体的な計画を持つていないのでありまするが、私どもの希望といたしましては、相当地区新しく指定して参りたい、かように考えておるのであります。はつきりとした具体的な、何箇年計画で最終目標としてどのくらいの地区をジヤージー地区として指定するかということになると思いますが、一応私どもの内部の計画といたしましては、大体二十箇所くらいはジヤージー地区として指定したらばどうかというふうに一応考えておるのであります。もちろん現在のところ、しからばどの地区にどうというような具体的な計画はありません。現在六地区指定いたしておりますので、二十箇地区といたしますると、あと十四箇地区が新規計画ということになりまするが、これにつきましては、どの県のどの地方についてどうこうするという具体的な計画ではありませんが、私どもの一応の希望といたしましては、三十年度以降に新しく十四箇地区くらいを指定いたしたい、かように考えておるわけであります。 ホルスタイン地区につきましては、現在各県からお申出があつておりまして、現在のところ百二十地区を相当上まわつております。もちろんこの中にはジヤージー地区に適した地区と思われる地区も含まれておりまして、その割振りをどうするかという点については、具体的な計画はありませんが、県からのお申出につきましては百二十箇所を越しておるわけであります。全部が全部適格条件に該当するかどうかということは今後検討を要する問題と思いますが、大部分のものはあるいは適格条件としての資格を持つておるんじやないか、かように一応考えておるのであります。これにつきましては、できるだけ現地の事情を調査いたしまして御期待に沿いたい、かように考えておるわけであります。
○芳賀委員 およそ判明して来たわけであります。ホルスタイン地区の場合、二十九年度におよその指定しようとする地区の数は、まつたく構想がないということもないと思いますので、そういう点をさらに聞かしておいてもらいたいと思います。
○大坪政府委員 まず初年度といたしましての二十九年度に、ホルスタイン地区を何箇所指定するか、こういうような問題でありますが、これは実は初年度でありまするので、しかも現在ありまする予算の面と同時に有畜農家創設資金といたしまして私どもが一応考えておりまする資金のわく、両方の面を考えまして、少くとも初年度に指定をいたすのでありまするから、農民の期待に反するようなことでは非常に農民に迷惑をかけることになりまするので、そこいらの事情を勘案して指定地区の数を決定いたしたい、かように考えておるのでありまするが、できるだけ私どもも努力いたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思うのでありまするが、現在のところ、はつきり何箇所くらい考えておるかという点につきましては、まだまとまつた考え方を持つていない次第であります。
○芳賀委員 具体的な数字の発表は困難のようでありますが、ただ現在希望のある地区が百二十箇所くらいあるといたしますと、これはおよそ二箇年ないし三箇年くらいにおいて少くとも指定が完了されるというふうにも考えられますが、それは年次的に見て何箇年くらいに一応指定を終る考えであるか、こういう地区指定の問題は、現在の申込み以上にそう急激に増加するようなことはなかなかない思いますが、計画として二箇年あるいは三箇年、そのいずれの計画によつて指定を行うか、その程度のことは御答弁が可能であろうと思います。
○大坪政府委員 集約酪農地区としての適格条件につきましては、どの辺が適格であるかということぐらいは、その地方の実情を概括的にながめてみます場合に、おおむね見当はつくのであります。現在百箇所以上出ておりますので、これは審査するにいたしましても、長い時間はかからないと思うのであります。同時にまた、今後も相当教出参ると思いますが、そうだらだらと長く出て来るということも考えられませんので、少くとも二年くらいの間には、一応総体の数についての締めくくりはつくのではなかろうか、かように考えておるのであります。
○芳賀委員 次に第二節の集約酪農地域における草地の利用の問題であまりすが、ここで言われておる草地というものは、たとえば農地法に基く採草地というものは農地でありますが、こういう点との関連はどのように解釈をし、区分されておるのか。さらにまた、家畜の飼料に必要とする土地面積というものは、内地府県等においては相当制約を受けておるのでありますが、そういう場合においては、たとえば国有林等の場合も採草適地のような場所は非常に多いわけであります。たとえば国有林野法等によつても、現地の住民がそれを高度に利用する道も開けておりますが、そうした広い意味における草地の利用というようなことは、どの程度に限界を広げて、これを一つの草地改良計画の中に入れて進めて行くか。そういう点に対する具体的な見解をお聞きしたいと思います。
○大坪政府委員 草地の定義の問題でありますが、第九条に「集約酪農地域の区域内にある草地」といたしまして、括弧をいたしまして、「農地以外の土地で主として養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう。」というふうに定義をいたしておるのであります。従いまして、農地でありますれば別問題でありますが、農地以外の土地でありまして、その目的が主として放牧、採草の用に供される土地があれば、それがたとい牧野であろうと、畦畔であろうと、堤防であろうと、たといそれが国有林でありましても、その場合における土地はいわゆる草地という観念になると思うのであります。これは従つて所有権には関係ない、こういうかつこうになるわけであります。どういう目的で具体的にその土地が利用されておるかという観点に立つておりますので、養畜のために放牧、採草の用に供される土地であれば、その場合には一応草地としての適用を受けるということに相なつておると思うのであります。もちろん所有権関係は、この場合の草地については、だれが持つておるかということについては別問題であります。
○芳賀委員 地区指定を受けた場合に、中農以上の農家は保有面積等も相当ありますし、採草地等も具備されておるわけでありますが、零細農家が有畜農家になつて、その地区内における乳牛の飼育を行うという場合において、採草地等を求める場合にはなかなか困難が生じて来るわけであります。しかも今の局長の御説明によると、それは一つの協同体的な草地の利用というところまでは発展しておらないというふうに考えるわけでありますが、そういう共同の利用というような性格があるとすれば、問題は別でありますけれども、そういうことでなくて、どの場所においてもそういうような草地とみなされるものがあれば、それを一つの適用にして行くというだけの抽象的な考え方にも聞えるわけであります。その地域内における酪農家の機会均等的な草地の利用は、どういうふうに考えておるかという点でありますが、この点に関連して御答弁がありませんでしたけれども、国有林野等の地域内において、こういう草地としての適格条件を持つておるような箇所がある場合においては、それを高度に利用することは非常に重要な点であるとも考えます。それらの点に対しては、どのような配慮を行つておるかという点であります。
○大坪政府委員 草地の利用形態でありまするが、これは地方によりまして所有の関係あるいは利用の関係あるいは入会の関係等、いろいろ複雑にわかれているように考えられます。特に草地につきましては、いわゆる牧野を中心といたしまして、共同的な利用形態がきわめて多いのであります。従つて都道府県あるいは市町村の持つておりまする管理牧野等につきましては、所有者と利用者が完全に分離しておるという形態がきわめて多いわけであります。この計画においても、草地については、そういうふうに集団的に利用されるという形態が非常に多い。従つてそれがまた草地の開発と申しますか、高度的な利用に欠ける原因にも相なつておるかと思うのであります。つまり共同的に利用される関係で、そこの開発がなかなか思うように行かない、こういう事情もあるかと思うのであります。従つて本法案におきましては、その草地について特例を設けまして、市町村が主となつてその草地の利用をはかつて行く。利用の関係につきましては、もちろん個々の農家が利用するのでありますが、これらの面について市町村が具体的な計画を立てまして、総合的に当該地方の草地の高度化をはかりまして、個々の農家に利用形態を具体的にきめまして、それによつて当該地方の酪農に貢献し得るような草地の改良をはかつて行く。この計画の樹立と実行が本法の一つの大きなねらいをなしておる、かように御了承願いたいと思うのであります。
○芳賀委員 草地の利用は具体的に酪農を推進して行くためには不可欠の要件になるわけであります。先ほどお伺いした国有林野等の利用というような点に対してはあまり触れておらぬようでありますが、そういう点はどういうふうに有効適切にこれを活用するお考えですか。
○大坪政府委員 国有林につきまして、本法との関係でございますが、これはただ単に本法ばかりでなしに、国有林の中におきまして、国有林として森林を開発するよりも、あるいは経済的にあるいは国土保全というような面から見て、牧野あるいは採草地として利用した方がより効果が上るようなところについては、国全体の土地の合理的な利用という面からいたしまして、当然牧野として開放していただくのが適当じやないかと思うのであります。この点につきましては、当該地方におきまする国有林の実情あるいは当該地における農業生産の状況あるいは畜産の実情を十分に勘案いたしまして、牧野としてあるいは草地として開放してもらつた方が、当該地方の農民のためにもなり、あるいは畜産の振興のためにもなるという場合におきましては、その関係方面に強く要望いたしまして、ぜひ開放していただくような措置をとつて参りたい、かように存じておるわけであります。
○芳賀委員 国有林の関係は国有林を開放するという考えもありますし、国有林野法等によつてそれを利用するというような道もあると思いますので、それらの点は具体的に都道府県等の計画の中に挿入せらるべきものと考えるわけであります。 その次に第三節の集約酪農地域における集乳事業及び乳業等の事業でありますが、この法律によりますと、酪農事業等の施設を行う場合においては、必ず都道府県の承認を受けるということが必要条件になつて来るわけであります。この承認制の問題のねらいというものを十分承つておきたいと思いますが、ややもするとこの承認制というのは、指定地域内における既存の乳業施設等を優先的に保護するというような考え方が非常に強いように見受けられるわけであります。そういうことになりますと、既成事実だけを優先的に認めて、今後あるいは有畜農家創設あるいは酪農振興等によつて、生産者のみずからの意思によつてかかる乳業施設等を行おうとする場合においては、むしろそれを抑制するようなきらいも出て来ないとは限らぬわけでありますが、このようなことは非常に避けなければならぬことであると思います。そういうような問題に対しては、この法のねらいというものはどこにあるかという点を、十分御説明願いたいと思います。
○大坪政府委員 ただいま御指摘の点はきわめて重要なことでありますが、また実際問題として非常にむずかしい問題であるのであります。私どものねらいといたしましては、集約酪農地域を設定いたしまして、そこに相当の財政的投資と申しますか、乳牛の導入とそれに伴います各種の作業でありますとか、あるいは草地の改良でありますとか厩舎の低利資金の融通と申しますか、そういような各般の施設を総合的にやつて参りたい。そのためには相当の国家的な投融資を行いますので、その当該地方におきます目的は、先ほど来申し上げました通り、当該地方におきます乳牛の飼育密度を濃化いたしまして、できるだけ生産費を低減し、かつ農民の営農条件なり農家経営の安定なりをはかつて参りたい。従いまして最終の目的といたしましては、国民に豊富低廉な牛乳並びに乳製品を供給いたしたい、こういうような目的であるのであります。従いまして当該地方にそういうような特別の施策をいたしましても、いわゆる非能率的な工場が濫立するというようなことになりますれば、せつかく投資いたしましたところの投融資の効果というものがマイナスになつて参りまして、そういうようなマイナスの面がないように、その乳牛の飼養密度と即応いたしました合理的な工場というものをそこに打立てまして、確固不動なる酪農地帯として参りたいというのが最終の目標であるのであります。従つて本法の最大のねらいは、いわゆる工場の濫立防止ということを最終かつ唯一のねらいといたしておるのでありますが、その場合におきましては、結局工場があります場合には既存工場を結果的には保護するというようなことにもなりますし、またない場合には、新しく工場をつくります場合には、このつくつた工場につきまして特権を付与するというような反射的な効果も出て参る、こういうようなかつこうに相なつて参るのであります。しかし私どもが真のねらいといたしておりますのは、先ほど来申し上げましたような工場の濫立を防止する、こういうような面でありますが、遺憾ながらそういうようなねらいでやりました場合にも、結果的にはそういうようなことが派生して参るというようなことにも相なると思うのであります。そこらのやり方と申しますか、具体的な場合に非常に困難な問題が出て来ると思うのでありますが、これらにつきましては、既存の工場なりまた新しく工場をつくりました当該工場につきまして、そういうような政府の財政的な、あるいは指導的な援助によりまして、その地域におきまする酪農事業が繁栄いたしました経済的な効果を、独占的なものによつてこれが利益を受けるというようなかつこうになりますと、それが非常に問題になるのでありまして、これらの点につきましては、十分に当該工場なり何なりを、当局といたしましては監督すると申しますか、不当な独占的な利益を享有することのないような措置を、当然とつて参らなくちやならぬと思うのであります。従つてそれらの取引等につきましても十分に注意をいたしまして、独占的な弊害に陥ることのないような措置をいたしたいと考えておるわけであります。
○芳賀委員 この問題は局長みずからが重要な点であるということを言われておるわけでありますが、結局一番心配になることは、既成権益を守つてやるということが前提になるところに大きな危険がどこまでも伴うわけであります。特にわが国の酪農の発展の歴史的な過程は、一面において乳業資本が酪農を育成するような形をとりながら、他面において独占的な収奪を行つて来たというのが一つの経緯であります。だからして、この乳業資本と酪農というものは、今までは非常に不可分の関係に置かれておつたのです。今後もまたこの地域指定を行う場合においては、かかる乳業事業等の施設のあるところがおそらく中心になつて地域というものが設定される場合が、現実の問題としては非常に多いのではないか。そういうことになりますと、新たにこの酪農振興計画あるいは有畜農家創設事業等によつて、その地方における酪農がだんだん発展して行くということになると同時に、酪農家の経済的な力も高まつて来まして、むしろ生産者自身の資本あるいは組織等によつてこの原料乳を生産するという形だけでなくて、さらに乳業の事業をもみずからが行うというところまで発展して来ると思うのです。その発展もまた国としても期待しなければならぬと思うわけなんですが、そういうような一つの成長が期待される中において、競合濫立を阻止するというような建前のもとに、既存の乳業資本の地盤をあくまでも守つてやるというような考え方がこの法律の中にあるとすれば、これはむしろ逆なことでないかというふうに考えられるわけでありますが、この点は今後起きる事態としては、軽視することができない問題であると思いますので、この一つの利潤追求の資本形態において設置されるところの乳業——そこに生産者自身の組織等によつて今後高まつて来るところの乳業施設への要求というものが出て来た場合においては、それに対しては必然的に公益性のあるものを優先的に認めてやらなければならぬということになつて来ると思いますが、この法律の中においては、それらの点に対する差別的な取扱いというものはまつたく考えられておらないのであります。むしろ既成権益だけを守るというようなごとが強く打出されておるので、この点に対しては非常に誤解も出て来ますし、法の運用の上においても手落ちが生ずる場合が多いので、さらにこの点に対して御見解を承つておきたいと思います。
○大坪政府委員 ただいま酪農振興計画に関連いたしまして、集約酪農地域における乳業施設の問題についての御意見でありまするが、当該地方を指定いたしまする場合に、まず手初めに酪農振興計画というものを樹立いたすのでございまするが、その計画の中には乳牛の増加に関する事項あるいは草種の改良に関する事項いろいろありまするが、その中に当然いわゆる乳業施設についての事項が含まれるわけであるのであります。その計画を立てます場合に、どういうような構想のもとに加工過程をやるかという計画が当然含まれるわけでありまして、その場合に本問題は、現地々々におきまして相当大きな問題になつて来ると思うのであります。御承知のように工場とそれに関連いたしまする牛乳生産の問題は、これはまつたく唇歯輔車の関係にあるのでありまして、工場だけ大きなものをつくりましても、生産が間に合わない場合には、長い間赤字経営を続けなければならぬという問題が出て参りまするし、工場がある地方にまた非能率的な工場をつくりますと、一時的な競争というような問題が起きて参りまして、結局は乳牛を飼育している農民の最終的には非常な迷惑になつて来る、こういうような結果になつて来ることに相なるのであります。これはまつたく当該地方におきまする地方の実情によりまして、具体的な計画の場合に、それが各般の事情を勘案して決定して参る以外には方法がないではないかと思うのでありまするが、その場合におきましても、決して集約酪農地域として指定されました財政的な効果が、特定の既成の工場にのみ帰するというようなことがないような方法をぜひとつて参らなくちやならぬ、かように考えておるわけであります。
○福田(喜)委員 ただいまの局長の御答弁に対して一つお伺いいたしまするが、既存工場との関係におきまして、酪農事業施設を新たに設置する場合におきまして、審査基準というものをどの辺に置くかということについて、本法を施行する場合に、おそらく畜産局としては一定の基準をお考えになつておることだろうと思いますが、どういう基準でありますか、実情を参酌してといつても、一応の基準がおありになることと思いますが、その点をお伺いしておきたいと思います。
○大坪政府委員 都道府県知事が集約酪農地域内におきまする集乳事業あるいは乳業の施設の許可基準につきましては、第十二条の二項に規定いたしております。その中に一号、二号、三号、四号、こういう四つの基準を示しておるのでありまするが、この四号に「当該酪農事業施設の設置が当該集約酪農地域についての酪農振興計画に適合するものであること。」という条件がその四号として末尾に規定されておるのであります。つまり当該集約酪農地域につきまして、知事が新しく酪農施設を許可いたします場合には、当該集約酪農地域に、そういうような工場を新しく設置することが当該集約酪農地域の酪農振興計画上適当でありかつ必要である、こういうような場合に、知事が許可をする、こういうことに相なると思うのであります。施設の具体的なものにつきましては一号、二号、三号、そのほかに規定いたしてありますが、少くとも当該地方としての酪農振興計画上必要であり、ぜひそういうことをやつた方が適当であるという場合に、知事が許可するということに相なつておるのであります。
○福田(喜)委員 その地域を許可する場合において、地方の実情上必要と認めるについての具体的、数字的の基準というものは、一応畜産局でお考えになつておる数字は何かないものでしようか。
○大坪政府委員 私どもといたしまして、集約酪農地域におきまする酪農工場の理想的な形態といたしましては、一応一口の処理能力百五十石程度を処理し得るような連鎖式と申しますか、能率的な工場の設置というものを頭の中に描いておるのであります。ただこれは現実の状態を考えてみまする場合に、非常に高級的と申しますか、程度の進んだ施設でありますので、実際の場合にほんとうを言えば、最終目標としてはそういうような工場に、少くとも集約酪農地域はぜひなつてもらいたいという希望を持つておりまするが、一足飛びにそういうようになかなか参らない、かように考えておるのであります。その中間過程におきましては、そういうようなことじやなくても、これは許可せざるを得ない、こういうように思うのであります。
○福田(喜)委員 大体それはただいま局長がおつしやつた一日百五十石というのは理想である、中間過程においては、実情において必要性は認定すると、さよう了承してよろしゆうございますね。 次にこれに関連いたしまして、生乳過剰の場合の買上げ対策と、それからこれに関連する酪農事業施設に対する融資の問題を、具体的にはどういうお考えで畜産局は進んでおられますか、具体的なことを何かあつたならば御説明願いたい。
○大坪政府委員 御承知のように、工場と生産者とは毎日々々牛乳を供給する、つまり継続契約の形式をとつておりますので、当然生産されたところの全量というものは当該工場が引取るべき問題と思うのであります。その場合にいろいろ紛争等を生ずるおそがありまするが、そういうこともありますので、紛争処理に関しましての特別の規定を挿入いたしておるのでありまするが、当然工場は余乳と申しますか、少くとも生産者の全量を引取るべきものである、かように考えておるのであります。 次に工場のいわゆる滞貨処理の問題でありますが、これはきわめて重要な問題でありまするが、はたしてしからばどの程度を滞貨と称すべきであるか、あるいはまたその滞貨の具体的の数量をどういうふうにして把握するかということが、実際問題としてきわめて困難な問題であるのであります。しかしながら今後集約酪農の設定を中心といたしまして、酪農が非常に進行して参りました場合に、この問題は相当大きな問題になつて来ると思うのであります。大きな点につきましては、もちろん外国製品の輸入の問題とも関連し、あるいは日本の酪農製品に対する需要の問題とも関連して参るのでありまするが、そのときどきにおきまする滞貨の問題につきまして、季節的な変動その他に対応する措置をとつて参らなければならぬと思うのでありますが、これの数量あるいは価格の把握の仕方と、これに対するやり方、特に対象が協同組合である場合には、これはやり方が非常にすつきりもし、また方法も簡単であるのでありまするが、工場等の場合におきましては、実際問題としてなかなかこれが困難であるという点もありますので、今後大いに検討を要し、そのときどきの情勢に応じまして、具体的な措置として研究を要すべき問題であると考えておるのでございます。
○福田(喜)委員 在庫の把握はどういうふうにおやりになつて、それに対する処置は、どういうふうにお考えになつておるか伺いたい。
○大坪政府委員 現在一応毎月の在庫の数量につきましては、統計調査部の方で調査した数字がございます。それ以外には、現在のところ具体的にはつきりした数字を持ち合せておりません。しかしこういう問題も今後は相当大きな問題となつて参ると思いますので、適当な調査方法によりまして調査をし、そういう事態に備えることはぜひ必要ではないかと考えております。
○福田(喜)委員 その場合には政府においてあつせん融資とか、何か融資に対する措置をお考えでございましようか。
○大坪政府委員 農業協同組合に対しまする場合におきましては、系統金融機関の問題もありますので、系統金融機関によく実情を話しまして、——これを実際やることにつきましては簡単ではないかもしれませんが、そういうような方法が割合楽と思うのでありまするが、大、中の、いわゆる資本家と申しまするか、そういうような対象につきましての問題といたしましては、具体的な場合に、はなはだ国難でなかろうか。と申しますのは、数量の把握と申しますか、どのくらいの数量が、いわゆる在貨、滞貨と認定するものであるか、そこの認定と、こちらがあつせんするといたしましても、結局におきましては政府保証と申しますか、そういう特別の措置がない限りは、金融機関が独自の計算においてやるということにもなりますので、実際の場合におきましては、具体的にはなかなか困難ではなかろうかと思います。そういうような事態が起きまして、酪農業界全般にとつて非常にマイナスに作用する場合におきましては、政府といたしましてもできるだけ努力いたしまして、あつせんいたすべきでないか、こういうふうに考えます。
○川俣委員 芳賀委員の質問に関連しての部分だけ一つお尋ねいたします。局長の説明で、しかもこの法律の一番の矛盾点を解決しておられないので、この点お尋ねしておきます。局長の説明によりますと、乳業施設の競争濫立のおそれがあるから、工場濫立を防止するのだということでありますが、今の国家財政あるいは経済界の情勢、今考えられておる投融資の中において、はたして一体濫立のおそれなどがあると考えられるかどうか。私はおそらく濫立などということは考えられないのじやないかと思います。もう一つは、この法案を逆に見て、自然発生的にしておきますれば、乳業施設があるところに集団酪農地域ができるという考え方がどうしてもこの法案の中にあります。あなたの説明の中にも、乳業施設の存在する付近に集団酪農地ができるという考え方があるのです。そしてその付近を指定しようという考え方も確かにあるのです。一方では自然に放置しておけばそういう形態ができるのだと言いながら、一方においては濫立のおそれがあるのだと言う。そういう工場ができれば——たとい濫立であろうともできますれば、そこに集団酪農地ができるという考え方が一方にありながら、一方において防止するということになりますと、これは結果的には発展を押えるという考え方になつて参るのではないか。一体あなたは工場の濫立のおそれがあるという大それた考え方をお出しになるのですか。今の国家財政の投融資の状態から言つて、濫立のおそれなんかは出て参りません。また今日の経済界の情勢から見て、そんな危険なことを考える人も——たまにはあるかもしれませんが、多くないと思います。もしそういう冒険をしてもやる人があれば、そこには集団酪農地ができるという考え方なんですから、そういう犠牲を払わしてもいいじやありませんか。何もおそれる必要はないではありませんか。そういう工場ができればそこに集団酪農地ができるという考え方であれば、何もあえて防止する必要はないではありませんか。この大きな矛盾を解決しないで、一方において濫立防止などと言うあなたは、芳賀委員から質問が出たように、既成権益を守るのだというそしりを免れないと思うのでありますが、いかがですか。
○大坪政府委員 ただいまの御意見通りです。現在までの事情におきましては、ある地帯に工場ができまして、そこが煙を出した場合に、初めてその地方の農民が安心して乳牛を飼い出すというような現象は、まさに御意見の通りであります。ただ私どものねらつておりますのは、そこに五千頭なり六千頭なりが集団的に飼育されまして、ほんとうの酪農地帯としての要素を相当整えて参りました場合に、あそこに工場を持つて行つたならば必ずもうかるというような、あるいは乳業者同士、あるいは乳業者同士でなしに他の資本家的な考え方から、せつかくでき上つた大きな模範的な地帯に新たに仕掛をすると申しますか、そういうような現象が起きまして、せつかくでき上つて理想的な経営になつているところを、いわゆる利益をもつて一時的な混乱を誘致いたしまして、結局には酪農民が損をするという混乱した事態ができないように、私どもとして考えておるのであります。もちろん建設の当初におきましては、そういうところに新しく工場をつくるようなことは、実際問題として当然ないと思うのであります。でき上つた状態の場合にそういう問題が起きることは、当然予想されるのでありまして、これらの点につきまして、私ども非常に心配いたしまして、こういうような規定を設けた、かように御了承願いたいと思うのであります。
○川俣委員 関連質問ですから簡単にしたいと思いますが、問題はそこなんです。今の財政投融資では濫立するような状態は生れて来ないですよ。むしろ進んで濫立するような状態の方が、今の酪農振興の状態においては好ましいという考え方をしなければならない。これは十年とか二十年たつて相当に発展して行くならば、あるいは規制するような制度が考えられなければならないということも考えられますけれども、今のところ自然的にやつておいて、単なる国家投融資の割合少い現状においては、乳業施設を中心にして酪農施設ができるのなら、むしろ濫立さして、集団酪農地がだんだん確立して来る方が望ましいという考え方であるべきじやないか。そう考えないで、できることは好ましくないという考え方をいたしますと、集約酪農地を拡大して来ることよりも、むしろ既設の乳業施設を守ろうということになりまして、これは発展を押えることになる。今は発展を押えるというときよりも、少しぐらい無謀であつても、拡大して行くという方向に行かなければならないのじやないか。押えて行くのがほんとうなのか、酪農振興がほんとうなのか、どつちがほんとうなのか。酪農制限法なら別ですよ。これは振興法で制限法じやない。もう少し二十年なり三十年なり進んで、酪農制限法をつくるときは濫立防止というものは大いに考えていいと思うけれども、今は振興法だから、少しくらい犠牲を払つてつぶれるところがあつても、むしろそのことは一つの発展の段階だというふうに考えて行くべきじやないか。そう考えないで、ただ押えて行くということになると、先ほどから芳賀委員の指摘しておるように、既設の権益を守るという消極的な面から発展を阻害することになるのではないか。これだけにしておきます。
○大坪政府委員 現段階と申しますか、新しく酪農業が進展をいたすというような場合におきましては、そういうような不当競争というか、これは現在におきましてもある程度酪農業が発展をいたしております。北海道その他の地方におきましては、相当そういうような弊害が現実の問題として表われておるのであります。また北海道に限らず、その他の地方におきましても、一時的な乳価の状態によりまして相当混乱をしているような地方があるのであります。そういう場合におきまして、御承知のように牛乳の取引は、継続的な毎日々々の取引でありますので、経済上の事情がいい場合には濫立が起き、非常な取合いになるのでありますが、一転いたしまして不況の時代になつて参ります場合には、そういう割込みというか、新しく入つて来ました非能率的な工場は、すぐ手のひらをかえすように当該地方をないがしろにする、こういうようなことになりまして、結果的には生産者の非常な迷惑になるということが今までの実例であるのであります。なおまた一時的な効果というか、そういうような考え方をいたしますと、ある程度濫立と申しますか、工場が複数の場合にはいいようにも考えられますが、実はこの点が日本の酪農全体につきますコスト高の非常な大きな原因になつております。もちろん諸外国の中の一部のように、協同組合システムで下からずつと最終まで参つているような、理想的な形態が最も望ましいのでありますが、現実の問題として、日本の今までの酪農業の発展の経緯その他からいたしまして、理想的な問題はなかなか日本には、そういうようなことをすつきり割切つて参るわけに参らぬのでありますが、それはともかくといたしまして、その辺が非常にむずかしい事情にあるのであります。この点につきましては、終局といたしましては、いわゆる酪農農民の自覚といいますが、その経済力と申しますか、当該地方の酪農に対します行政指導とマツチいたしました農民の自発にまつて行くべきものであると、私はかように考えるのであります。ともかくわが国の酪農の最大の欠陥であります飼養密度の薄いことと、工場の一工場当りの操業度と申しますか、これは非常に少くて労賃だけ多いというような現象、これはぜひとも是正して参らなければならない。特に集約酪農地域につきましては、これらの点については、卒先して実行して参らなければならないというような考え方から、行政指導という意味合におきまして、地方長官の承認を受ける、こういうような措置をとつて参りたい、かように考えておるのであります。
○芳賀委員 ただいま川俣委員の関連質問に対します局長の御答弁はどうも割切つたような答弁まで行つておらぬわけです。私のお伺いしたいことは、同一地区内において、たとえば既存の乳業資本の投下した企業が現存しておる。しかしその地域の中において、生産者によるたとえば協同組合等の形態から、新しい施設をそこに設置できるような条件が出て来た、そういうことはあり得ると思う。そういう場合においてもなおかつ既存の施設というものを認めて、これは競合するからあるいは濫立するから、この集約地区の中においては認めがたいというようなことでは、一つの抑圧になるのではないかというように考えるわけなんです。問題はわが国の酪農及びこれに付随したところの乳業が伸びるかどうかということは、いわゆる一つの企業の形と生産者というものが、完全に結びついて行くところまで来ておらなかつた幼稚の段階においてそういうことが指摘されるのであつて、今後は高度に酪農が振興された場合においては、当然、生産者の一つの経済組織の中からそういう施設を持たなければならぬということが、必然的に要求されて来るわけなんです。そういう場合においては、これは利潤追求の団体ではないし、生産者自体の持つ施設であるから、これも同列に考えて承認制にするということに対しては、やはり問題点があるのじやないかと思いますが、そういう場合においては、特に協同組合等の形態によつて、その地域の中において施設が行われようとする場合においては、やはり承認制でやつて行くか、既存の施設というものを優先的に取扱つて、これを抑止するというような方法をとらなければならぬか、その点をさらにお伺いしたいのであります。
○大坪政府委員 集約酪農地域につきましての農業協同組合に関連する問題でありますが、元来私が申し上げるまでもなく、農業協同組合は農民の生産いたしましたものを共同的に販売し、また場合によつてはそれに加工処理をして販売することは当然の使命でありますし、このことは当該地方における農民の福祉のためにぜひ進展しなければならぬ事情と思うのであります。従つてそういうような協同組合の事情につきましては、できるだけ農民の自発的な意思によつてそういうことができますように、制限を加えないというか、これが本来の姿であると思うのであります。従つて当該地方におきましてそういうような意欲が盛り上り、また能力が十分にあるという場合におきましては、そういうような農業協同組合の持てる本来の能力というか、力につきましては、地方長官としては当然これは承認すべきものである、かように考えるのであります。ただしかしながら、集約酪農地域といたしまして、一応酪農振興計画と工場との関連におきまして総合的に計画をいたすのでありますから、計画の中にはこれは入つてもらわなければならない。もちろん計画を立てます場合に当該地方の町村なり、あるいは農業協同組合なりあるいは農業委員会なりその他部落の有力者、関係者の意見を十分に聞いて、当該地方におきまする酪農振興計画を設定するのでありますから、その計画の場合に、どういう工場をつくるか、どういう工場を利用するかということは当然計画の中に織り込まれての計画でありますから、そのときに大きな論議になると思いますが、協同組合が仕事をやりたいといいます場合には、当然これは大きな一つの要素といたしまして、その意見は地方長官としても十分に尊重すべきではなかろうか、かように思うのであります。当該地方の総合計画を立てまする関係で、協同組合も一応承認を受けるということは、これは計画の性質上必要であると思うのでありますが、その場合に、協同組合の本来の使命をそこなわないような措置は、当然地方長官としてはまつ先に考慮すべき問題じやないか、かように存ずるのであります。
○芳賀委員 その問題は、たとえば酪農振興を策定する場合においても、当然協同組合等は、正体的な役割を果すべきであるというふうに考えるわけです。特に今局長もちよつと触れられましたけれども、協同組合が協同組合法に基くところの利用事業あるいは加工事業等を行うことは、何ら制約を受けておらないのです。協同組合自身が、法の保護のもとにおいて、その地域の中においてかかる乳業の施設を行うという場合において、この法律はむしろそれを押えようとするようなことになるわけです。だからして、協同組合等の施設に対しては、当然十三条に基くところの新設であつても、届出程度で事足りると思うのでありますが、この点が問題なのであります。一般の商工資本等によるところの施設の場合においては、当然新設は承認制が必要であるかもしれませんけれども、これには一つの理由があるはずです。先ほど局長も言われましたけれども、北海道のケースは内地県とは違うということはその通りであります。たとえば密度がだんだん高まつて来る地帯の中において、明治であるとか森永というような乳業資本が、その密度の高い所をねらい打ちにして、そこに工場設置を行おうとするような傾向は確かにあるわけです。だからそれだけを例にとつて協同組合が、今度新しい地区の中に生産者の力によつて施設を行おうとする場合において、それと同列にこれを規制しようという考えは間違つておると思うのです。だから協同組合が協同組合法等の指定によつてその施設を行う場合においても、組合自身の経済力の問題であるとか、それらの点は十分都道府県知事等においても、その組織自体の運営の健全化に対する指導というものは行うべきであると思うけれども、それを認可するとかしないとかいう問題は、これは逸脱であるというふうに考えておるわけでありますが、この点は局長の御答弁によると、十分勘案しなければならぬという程度のものでありますが、具体的に協同組合等の資本によつて新設する場合においては、承認はいらぬとか届出でで足りるというような、もう少しはつきり割切つた解釈をここで打出してもらわぬと、この問題はいつまで論議しても十分に了承ができないと思いますが、その点について伺います。
○大坪政府委員 集約酪農地域につきまして、酪農振興計画を樹立いたすのでありますから、これは言葉が悪いかと思いますが、当該地方におきます酪農につきましての一種の計画経済であるのであります。従つてその計画は最も合理的と申しますか、理想的に組み立てらるべき性質のものであると考えるのでありますので、一応その計画を立てます場合に、どういうふうにやつて行つたら一番当該地方の酪農振興になるかということが、最終の目標として計画が立てられるわけでありますから、その中には協同組合あるいは各般の意見を総合して、そういうような計画を立てるということに相なると思うのであります。従いまして現にあるような地域につきましても、漸次乳牛の飼養頭数が増加し、既存の工場等においては間に合わぬ、あるいは間に合うにいたしましてもそれが非能率的であるというような場合におきましては、しかも他方農業協同組合の資力と申しますか技術と申しますか、そういうものも十分に支障ないというような場合におきましては、当然農業協同組合が新しい工場をつくります場合には、計画の変更と申しますか、そういうような点におきまして、地方長官としては協同組合のやる事業につきまして承認を与えるべきものである、かように考えるわけであります。
○中澤委員 関連して……。この法律の重点はやはりここなんです。さつき芳賀委員の言つたように、こんな承認制はいらぬと思う。これは両刃の剣であつて、この条文の使い方いかんによつて、農民にとつて非常な圧迫になる。たとえばあなたがそこでそういう答弁をしても、乳業資本の代弁をする県知事だつたら、これを逆用して来るのです。だからここが一番問題なんです。われわれもいろいろ党でも検討してみた、この承認制というものは必要じやない、届出でたくさんだ、こういう意見が圧倒的に多かつた、これに対してあなたはどう思う。地方長官が逆用した場合に、たとえば明治、森永等の乳業資本が裏についていて、知事に、あそこは協同組合でやるそうだ、だから許可にしちやいかぬ。よしよしオーケーということでやつたら、あなたがいかに答弁しようともだめなんです。だからこれが問題なんだ、これについてどうだ、承認制なんかいらぬと思う、届出制ぐらいでどうです。
○大坪政府委員 第十二条の規定の形式といたしましては、各号の要件を満しておる場合には、地方長官としては一応承認をするという建前になつておりますが、これは実際問題といたしまして、当該地方におきます実情に即して、最も合理的な計画のもとに、承認、不承認ということを決定いたして参ることになるのでありますが、その場合におきまして、結局農業協同組合の本来の使命というものは、協同組合法の精神に強くうたわれておるのでありまして、これをいやしくも阻害するようなことであつてはならぬ、私はかように考えておるのであります。ただ実情に沿わないような工場の設置というようなことになりますと、結局困るのは農民ということにもなりますので、そこいらの点につきましては、当該地方の実情をよく検討されまして、総合的な計画のもとに工場の承認、不承認ということを決定して行くべきものじやなかろうか、農業協同組合だけを届出ではずすという点につきましては、当該地方を総合的な計画として、計画経済的なことをやつて参りますので、その意味合いにおきまして、そういうわけには参らぬじやないか、かように考えたわけであります。
○川俣委員 これは局長が十分検討されて、この条項ができたと思われないのです。なぜかというと、簡単なことでお話しますが、問題の衝突はどこにあるかいうと、おそらく乳業資本と生産者の資本との衝突だと思うのです。もしも資本家同士の間の衝突ということに相なりますれば、融資するところの開銀において衝突させるような融資はしないでしよう。競争で倒れるようなところには融資は必ず行われないのです。だから乳業資本の統制は融資銀行において当然計画されるべきものなんだ、法律以外の最も強い融資という面から、当然これは統制せられて行くのです。また融資のあつせんをしておる畜産局の意見というものが必ず入つていなければならぬはずなんです。単に、民間企業だということで——これは自己資本でありますれば別ですが、明治に対して一千五百万、あるいは雪印については五千万、北海道バターについて二千万というような融資をいたしておる、その融資を受けた乳業資本家が工場をつくるのでありますから、従つて十分そこで濫立の防止はできるはずなんだ、一方において濫立を防止するというのだけれども、一体濫立するようなところに融資のあつせんをするつもりですか。おそらくこれはしないつもりでしよう、そうして来ると乳業資本家の間の濫立じやなくて、生産者との対立だということになると思う。ところが一方、それじやあ生産者は生産者同士で濫立するかというと、農林漁業金融公庫あるいは中金において、これまた融資の面から濫立を防止せられておるのですよ。自己資本でなんか今工場をつくる人なんかありませんよ。おそらくは融資を受けなければならぬ、融資の窓というと必ず農林省のあつせんを経なければならない。その場所を通じなければ融資を受けられない。必ず金利の面からいつても、民間銀行からは融資を受けられないんですよ。そうするとやはりあなたの所管の門をくぐらなければできない。どつちにしたつてあなたの門をくぐらなければできないのに、濫立だなんて言うことはどこから出て来るのですか。門をぐぐるときに濫立させればこれは出て来ますけれども、どうせあなたの門をくぐらなければ融資ができない。それなのに濫立々々と言われる。あなたは濫立するように融資されるのかといえば、おそらくされないでしよう。だから十三条なんかおかしいじやないか、どうも勉強が足りないのじやないかという結論が出て来るのです。どうですか。
○大坪政府委員 農業協同組合につきましては、御承知の通り農業協同組合それ自体か、あるいは協同組合系統が九〇%投資いたしております会社につきましては、酪農施設、乳業施設につきましての金融公庫の融資資金があるのであります。いわゆる民間会社の資金につきましては、二十六年度に開発銀行から相当額の融資をいたしたのでありますが、二十七年度以降は特殊金融機関によります融資は現在のところ全然ないのであります。従つてただいまの問題でありますが、これは民間の資本によりますか、あるいはいわゆる普通銀行等の借入金による問題であるのでありますけれども、政府が介入いたしました民間会社に対します資金は現在のところ流れていない、こういうような事情になつておるのであります。協同組合につきましては、地方の事情によりまして、金融公庫の資金をできるだけまわして参りたい、かように考えております。
○川俣委員 そういたしますれば芳賀委員の言う通りです。民間資本であるからこれに対しては関与できないといえば、関与できない結果起つて来る濫立については、知事が采配を振い、承認をする、これはけつこうですよ。一方の同じ窓をくぐるという、九〇%あるいは一〇〇%金融公庫の門あるいは中金の門をくぐるのですから、これは統制下における金融ですから濫立のおそれはないでしよう。そうするとそつちの方は金融で許可した以上は知事の許可を要しない、届出だけでいいといつてもちつとも弊害はない。一方弊害があるのは何かといえば、特金融資からと特金融資からでない面があるといたしますれば、これは濫立のおそれがある。そうするとそつちの方をぎゆうつと押える法律でたくさんだ。そういうふうに法律をかえればいいというように了解いたします。
○中澤委員 この場合しかも殺し文句が入つておる。十二条の2の二を読んでごらん。「当該酪農事業施設が効率的であり、」これが一番殺し文句です。知事が乳業資本に足をひつぱられていて、君はそういう設計書を出したけれども、これは非常に効率的でないといえばおしまいになつてしまう。あなたはどう答弁されたつて、これは知事がやる仕事でしよう。それともう一つは「著しく過剰とならないこと。」こういうことがある。これは大局的にいつて、あなたはそう悪意にこれをわざわざ乳業資本のために書いたのじやないと思うけれども、今後集約酪農をどんどんやつて行きますと、農民資本と乳業資本の一大対決が起つて来る。その場合に「著しく過剰とならない」というのは、ある段階においては必ずその設備は過剰になる。片方は五十石集める森永があれば、こつちは七箇村で七箇村の地帯に百石の工場をつくる。そうして森永と対決しようというようなことになつて、著しく過剰設備ができる。この二つの殺し文句があれば、乳業資本に知事が足をひつぱられている限り、この二つで完全に農民のみずから守らんとする力を削除できる。どう考えてもこの条文はいらないのだ。これは大体届出制くらいならいいけれども、承認制なんていらないと思う。私はそう考えています。
○大坪政府委員 先ほど来申し上げました通り、集約酪農地域におきまする酪農施設が濫立いたしまして、各工場おのおの不当競争をし、非常な零細的な経営になるというようなことは防止いたしたい、こういうような趣旨によりまして一応地方長官の承認を受ける、こういうことになつておりますが、承認の基準につきましては、第二項以下要件を規定いたしまして、こういう要件に該当する場合には承認をする、承認を、逆にしなければならないというふうに裏から規定いたしておるのであります。その場合の運用の問題でありまするが、地方長官といたしましては、まず当該地方におきまする酪農の振興が、終局的にどうやれば一番効果的であるかというようなことから承認不承認の基準をきめるということに相なると思うのでありまして、同条の場合に、盛り上ろうとする農民の力によつて、ぜひ工場をつくりたいというような場合には、当然地方長官としては現実に乳牛を飼育しておる農民の意見をまつ先に尊重すべきものじやないか、これは当然の条理であると思うのであります。
○足鹿委員 今十二条が問題になつておるのですが、私は一つだけ関連して承りたい。今長官の話を聞いておると、あなたはそれでよろしいが、地方の知事は別な人格ですから、その通り動くか動かないかなかなかわからない。そうしてそれにいろいろな政治的な、あるいは経済的な背景がこれにつきまとつておる。力関係があるのです。そこで結局あなたが今言われたように、正当にまつすぐに、あなたの指導方針に従つてこの法律を正しくする知事もありましようし、またそうでない知事も出て来るでありましよう。これはあなた方が一々目を届かせるわけにいかないと思うのです。そこで問題になることは、かりにこれは当然承認を与えなければならない、衆目の見るところさようであつたにもかかわらず、許可をしないというような場合があり得るかもしれませんよ。そうした場合はどういうふうにしてこれを処置されるのですか。これに対しては、二十三条その他で罰則規定を設けておられますが、この罰則は、「第十二条第一項の規定による承認を受けないで酪農事業施設を新たに設置した者」第十四条一項も、これはみな施設を行わんとする者に対する十万円以下の過料であつて、その地方長官の不法越権の行為に対しては何ら措置が講じてない。これは少し片手落ちじやないかと思う。これは一体どういうふうに処理をされますか。
○大坪政府委員 地方長官によつて見方が違う、こういう場合に、いやしくも法のねらつているようなことをしない知事があつた場合にどういうふうなことになるか、こういうような御意見でありまするが、その件につきましては、御承知の通り、本法によりまして計画につきましては農林大臣がこれを認可する、また変更の場合にも農林大臣が認可をするということに相なつておるのであります。従つて当然酪農施設につきましても、その計画の一環として農林大臣の認可に相なつて来ると思うのであります。同時にそういうような点も考慮いたしまして、一応都道府県知事の承認を受けるということに酪農事業施設はいたしておりまするが、承認の基準といたしまして、あるいは当該地方におきます立地条件あるいは牛乳の供給数量、あるいは施設の状態、こういうような条件が、新しく酪農工場を設置するのにマイナスの条件でない場合には、地方長官として一応承認を与えねばならないというふうに規定いたしておるのであります。従つてそういうような条件を満しておりながらなお承認しない場合には、当然これは農林大臣に向つて監督権と申しますか、地方長官に対する一般的な指導監督という点で申出がありましようし、従つてそれに基きます全体的な酪農振興計画の変更の命令と申しますか、計画の変更ということになつて来ると思うのであります。その点につきましての一応の押えといいますか、大体の体形は全体的に整えておるつもりであります。つまり計画全体につきましては農林大臣が認可をし、あるいはこの変更をやる。同時に酪農施設の承認につきましては一応承認をする。承認する場合の条件に合致しておる場合には、逆に地方長官は承認を与えるという法律上の義務を負わしておりまして、その場合でもなおそういうような濫立ではなしに、合理的な場合に承認をしないような場合には、これは計画の変更に関する農林大臣の監督権が当然に発動し得る、こういうような規定の書き方をやつておるわけであります。
○足鹿委員 農林大臣の監督権の発動というお話でありますが、農林大臣の監督権の発動をかりにやつたとしても、知事がそれに従わない場合はどういたしますか。これは経済行為でありまして普通の行政とは違うと思うのです。ある一つの企業者なりあるいは生産者の団体が、あるいは個人が行わんとする場合において、知事が阻止し、あるいはその設立に同意を与えないという場合に、地方長官の良識をもつてなおそれはやつておる。ところが農林大臣はそれに対してどのような基準でもつて監督権の発動をされるのでありますか。局長はそう簡単におつしやいますが、実際問題としてはなかなかそう簡単に収まらないのではないか。監督権の発動は何の条項に基いてどういうふうにしておやりになるのでありますか。そういうことをしておる間に商機というものはどんどん移りかわつて参りましよう。それは設置していい場合を逸する場合もあるし、またその逆の場合も出て来ると思います。そこでこの十二条の別紙参考資料をいただいておりますが、別紙二号「第十二条第一項の政令で定める施設一、左の各号の一の設備を有する集乳所」として(イ)(ロ)(ハ)とありまして、続いて二、三、四、五、六、七とありますが、「左の各号の一の設備を有する集乳所」というものに冷却機械、クリーム分離機、濃縮機というようなものがありますが、これは政令委任事項が非常に多い割に、この説明がきわめて簡単で、どういうふうに理解していいのかさつぱりわかりません。一として「左の各号」とありますから(イ)なら(イ)の冷却機械一つをさすのでありますか、あるいは次の二から七までのうちのいずれかの一つをさすのでありますか。資料の出しつぱなしではなしに、これは大事な点であろうと思いますから、もう少し親切に御解明を願いたい。この二点を伺います。
○大坪政府委員 ただいま農林大臣の監督権の問題につきまして御意見かあつたのでありますが、具体的の場合には、これはなかなか一々そう目が届かないという問題がもちろん御指摘の通りあると思うのでありますが、集約酪農地域につきましての計画の樹立あるいはその変更あるいは地域の変更等につきましては、第六条、第七条でありますか、それらの点に一応の規定をいたしておるのであります。そういうような規定が一応ありますが、いずれにいたしましても、当該地域におきます乳業資本と農民というものが対立するというような事態に到達いたしました場合には、当然当該地域にあります真の酪農振興というものは、実際問題としてできかねるような事態に立ち至つているというような場合が多いのではないかと思うのであります。もちろん理想的な形態といたしましては、集約酪農地域につきましては、新しく農民の資本と技術による共同組織を設立して、それによつて酪農振興を進めて参るということが、これはまつたく見本的、標準的な形ではないかと思うのでありますが、現実の場合におきましては、各地区々々について、そういうような模範的な形態が推し進められるということは、実際問題として困難じやなかろうかと思いますので、実際問題としては、ただいまのような場合が生じて来るかと思うのでありますが、こういう場合には、現実の問題としては、当該地方の酪農振興計画というものが地につかないというような事情になつて来るのではなかろうか、かように考えるのであります。これは地方長官としては、法の精神と申しますか、その地方に即したところの行政的な指導を強力に推し進あて参るべきかなめのところではなかろうか、かように私は考えるのであります。 第二点の政令の問題でありますが、これは御指摘のように、最初に配布を申し上げております資料がきわめて不十分であるのであります。これは一刻も早く訂正して提出いたしたいと思いますが、ただいまの御指摘の点につきましては、いわゆる「第十二条第一項の政令で定める施設」といたしましては、集乳所といたしましては、冷却機械とクリーム分離機と濃縮機の三つをおのおの備えているものを集乳所として許可をする、こういうかつこうに相なつて参るのであります。二、三、四、五、六、七につきましては、おのおの独立しての書き方であろうと思います。
○足鹿委員 関連でありますから私はしつこくは申し上げませんが、どうも監督権の問題でよくわかりませんが、目の届かないということはお認めになる。そこで農林大臣がこの集約酪農地域指定の際における総合計画というものに基いて不適当だと思う、知事の方針が適当でない、すなわちその計画にマツチした酪農事業施設だと認めがたい、あるいはそれに不十分である、こういうふうに考えたときに農林大臣が監督権の発動をする、こういうふうに私は聞いたのでありますが、そういたしますと、農林大臣がいたずらに集約酪農地帯の設定に名を借りて、一つの経済行為に対して、不当な干渉をする、こういうことも一面言い得るのではないか。何らその法的な根拠なくして監督権の発動をする。その監督権発動の根拠というものは集約酪農地域指定の際の基本計画に照して行うという漠然たることで、そういう経済行為に対して制約を与える、あるいはその逆の場合の対策を講ずるというようなことがかりにあつたとしまして、それに対して不服の場合は一体どういうふうになるのでありますか。大臣の監督権というものはあくまでも行政措置だろうと思います。法律的には何ら抑制の根拠はない。もしそれに対して不服の場合には、一体だれがこれをどう処置して行くのでありますか。第十二条は非常に欠陥が多いと思います。あなた方のお考えになつていることは、中津君が今指摘されたように双刃の剣のように、使い方によつてはどちらでも切れる、こういうことになろうと思いますが、私が今申しますように、もしその監督権に対して不服であつた場合には、どこにその処置を申し出るのですか。いやしくも一つの企業を思いつく——個人の場合あるいは生産者の団体の場合、いずれの場合でもありますが、長官の指導あるいは指示に対して不服を持つておる、そうした場合には、農林大臣の監督権の発動まで待つておるわけには行かない。そうすると、その者は知事の裁定に対して不満を持つておれば、農林大臣に対して何らかの措置に出て行かなければならない。そうした場合に、農林大臣にそういう訴えというか、要請というか、要求というか、そういうものを出した場合に、農林大臣はこれに対して、何を根拠にして裁定を下すのですか。その場合は監督権ではないでしよう。どうもこの十二条というものは、われわれはよくわかりませんが、何を目的にしているのですか。考えようによつては、行政官庁がただ酪農地帯を指定したということだけでもつて、何ら法的根拠なしに民間企業を不当に抑制したり、これに対して過大な指導権を掌握したり、その結果は既定の独立乳業資本の擁護になつたりならなかつたりというような、非常に広汎な、締めくくりのない、しかも行政力によつて自由自在にこれを使いわけて行く。これは邪推ではありません、心配でありますが、そういうことも考えられると思うのです。この点いかがでしようか。どうも今の局長の御答弁では、私は納得が参らないのです。
○大坪政府委員 あるいは監督権と申し上げますのは言葉が強過ぎたかと思うのでありますが、その意味におきまして、行政指導と申し上げた方が実際問題としていいかと思うのであります。もちろん計画自体につきましても承認あるいは変更というような場合におきましては、これは法律の規定に基きますので、監督権と申しますか、そういう言葉を使つてもいいと思います。しかしこういう場合におきまする地方長官の措置に対しましては、行政指導として、こういう条件に該当しておるような場合には、法律の規定といたしましてもこれはできるだけ承認をするということになつておりますので、特に協同組合なんかの申請の場合には、当然これは承認すべきものじやなかろうか、かように思うのであります。私どものねらいといたしておりますのは、先ほども申し上げました通り、中小と申しますか、能力のない工場なり施設なりが濫立するということを防止いたしたい、反射的に一企業に集中して独占的な利益になるというような事態を規制するということも考えるのであります。そのこと自体は、逆の反面から申しますと、全体の問題といたしましては、単位当りの経営費を切り下げる、従つてできました製品についても、総体的には安くして、豊富なものを供給し得る、こういう経済的な状態を現出いたしたい、かような精神であります。
○芳賀委員 私が先ほどから指摘している点は、たとえば協同組合が、あるいは協同組合連合会が、この地域の中において施設を行う場合、これは局長も御承知の通り、農協法の第十条の一項の六号、七号には明確にうたわれておる。六号におきましては、「組合員の生産する物質の運搬、加工、貯蔵又は販売」、七号では「農村工業に関する施設」、これらは農協法に基く協同組合の事業として許されておるわけです。そういうものを協同組合が、合法的にその地域の中に施設するということを、酪農振興法の場合においては承認を受けなければやれないということで押えることは、農協法に対する不当の抑圧だと考えるわけでありますが、この農協法の規定と、振興法の一つの制約を行うこの関連というものは、法律的にどのように解明して、この法律をつくつたのでありますか。
○大坪政府委員 農業協同組合が法律の規定に基きまして、あるいは法律の規定に基かないといたしましても、協同組合の本来の性質と申しますか、農民の生産いたしたものにつきまして、共同して販売し、あるいはそれに処理、加工をいたしまして販売するということは、当然の使命だと思うのであります。従つて本法におきましては、それを制限するというような考え方は全然ないのでありますが、一応当該地方におきます全体的な関連といたしまして、当該地方の酪農振興法を計画経済的に組み立てて参ります。従つて、自然人にある行為能力があります場合に、当然の自然人の行為を制限すると申しますか、規制をいたしますと同様に、法人本来の持つておる能力につきましても、別の観点から同じ経営と申しては語弊があると思いますが、一応計画済のわくの中で仕事をしてもらう、こういうような観点に立つておるわけであります。
○芳賀委員 非常に社会主義的な言葉を局長が言い出したわけでありますが、指定地域の中における協同組合の組織だけが振興法による制約を受ける、地域外の所は何らの制約を受けないということにも問題があると思うのです。だからこれらの点は、当然農業の事業として行われる場合においては、この十二条の適用を受けないということが明確にされれば、問題は何も出て来ないのです。無理にこれで押えつけようとするとろに、結局既存の乳業資本の利益を温存させて行かなければならぬということが先行しておる。これは局長自身も矛盾を感じておると思うのです。感じておりながらこういう法律をつくらざるを得なかつた諸般の事情はわかりますけれども、しかし厳然としてそういう協同組合法があり、その協同組合法に基いて加工事業あるいは農村工業がやれることになつておるにもかかわらず、承認を得なければやれない、承認をとらないでやつた場合には、罰則を適用するというようなことは、農協法に対する不当の抑圧になるということは、どこまでも譲ることのできない点であるというふうに考えます。ただ局長の主張は、一つの地域内において二ないし三の施設ができた場合には、コストに影響する——もちろんこの法律によりますと、豊富、低廉なる牛乳あるいは乳製品を提供するということをうたつておるので、コストの問題ももちろん大事でありますが、局長は乳業施設に対する企業についての十分なる分析を怠つておる点もあるのじやないかと思う。たとえば、必ずしも一工場百五十石の集乳が行われなければ採算がとれないということでなくて、その企業に対する生産量の問題よりも、一つの企業の中における操業度の問題がむしろ大きいと思うのです。特にわが国においては、夏季あるいは冬季における乳の生産量は、非常に季節的に違うのです。だから季節によつて一つの企業体の中においても操業度が異なつて来るというところに問題が出て来るのであつて、これらの問題は酪農の密度が集約化されることによつて相当調整されます。農家においても、今までは一頭しか牛を飼つておらなかつたという場合には、乳量が低下すると、わざわざ集乳所までそれを持つて行くことの煩瑣のために、それを持つて行かない場合もありますが、集約地区の場合には、二頭、三頭という牛を飼うこと自体が、農業経営の中において経済的な効果をてきめんに持つて来るという段階においては、あるいは季節的な変化は相当緩和されると思います。問題はむしろ、この酪農の密度が非常に足りない、疎散しておる場合における工場に持つて来る集乳に要する経費が、今まではコストに大きな影響を持つておつたわけです。だから企業の一つの形態の中における生産量だけにこだわつて、一地区の中に必ずしも一工場でなければこれはだめなんだというような考え方だけでなくて、あるいは一地区の中においても、五十石ずつ完全に処理できる施設がたとい二箇所ないし三箇所あつても、完全に経営が成り立つということが立証されるわけなんです。この乳製事業というものはそれほど精密的なものではない。硫安製造などと違つて、むしろ原始的な加工事業だということも言えるわけです。だから一地区一工場というような原則とか、あるいは既存の施設を守つてやらなければ混乱が起るというようなことだけにあまり固執しないで、ほんとうに乳を出す農家の力によつてかかる施設が持たれようとする場合においては、これを助長するということがなければならぬと考えるわけでありますが、新しく芽が伸びようとするのを押えようとだけしておるところに矛盾があるわけです。そういうことでは、いくらこういう法律をつくつても何もなりません。むしろ結果において既存の乳業資本に対してそこに集約地区を設けてやつて、ますます利潤を追求するということにしかならぬわけです。だからこの点は十分反省されて、特に協同組合が農協法の規定に基いてこの地域内に施設を持つた場合においては、知事の承認を得なければやれぬというようなことは間違いであるということを、認識してもらいたいと思いますが、その点はあくまでもこれを固執する考えですかどうですか。
○大坪政府委員 私どもといたしましては、協同組合の本来の能力といいますか、それにつきましては、当然農民自身が乳牛を飼育いたしますので、生産者に最も合理的な、生産者の経済的な利益になるようなシステムのもとに酪農が振興して行くということを理想的な形態としておるのであります。ただ現実の問題といたしまして、相当地区を指定して参りました場合に、既存の工場等がありまして、私どもの企図しております最終のねらいのような形態が全部の地域に行き渡るということはなかなか実際問題としてはできないと思うのでありまして、ただいまのような場合があるいは起きて来るかと思うのでありますが、協同組合の既存の工場等の関係ばかりでなしに、新しく設定するような地点におきましては、ただいまのような農業協同組合の本来の使命が十分達成し得るような方途を講じたい、かように考えておるのであります。なお本法でねらつておりますのは、相当理想的な形態と申しますか、乳牛を最終の目標といたしまして五千頭、一日の牛乳処理量といたしまして百五十石、百五十石と申しますのは、私技術者でありませんので詳しいことはわかりませんが、機械設備といたしまして、今の世界的な水準におきまして、百五十石くらいが一応最も効率的な、妥当なる施設であるというふうに言われておるのであります。そういう理想的なことを考えておりますので、あるいは法律全体といたしまして、そういうような点につきまして多少行き過ぎがあるのじやなかろうか、かようには私ども考えておるのであります。その点につきましては十分に御意見を拝聴いたしたい、かように存じておるのであります。
○芳賀委員 さらにたとえば、こういうような不明朗な法律が通つた場合において、もしその地域内において協同組合とかあるいは連合会が承認も何も得ないで施設を持つたという場合においてはどうします。協同組合に対してこの二十三条の罰則を適用しますか。そういうこともあらかじめお考えになつておると思いますが、そういう点はどうですか。それともまたそういう現象が出たことによつてその地域は取消して、協同組合は別に罰則は適用しないという形で行くか、その点であります。
○大坪政府委員 具体的の場合に罰則を適用するかどうかという問題につきましては、これは実は司法権の問題ではなかろうかと思うのであります。一応法律として規定いたしておりますので、他の要件が満たされておるという場合にはそういう罰則の適用があるという帰結になるのは当然かと思いますが、具体的の場合は当然司法権の問題である、かように考えます。
○芳賀委員 これは具体的の場合、第二十三条の「左の各号の一に該当する者は、十万円以下の過料に処する。」その一は「第十二条第一項の規定による承認を受けないで酪農事業施設を新たに設置した者」こうなれば、これは司法権の問題でなくて、やれば必ず当然罰則の適用を受けなければならぬということになつておるわけです。そういう場合、協同組合とかあるいは農協連合会がその地域の中において、知事の承認を求めないで農協法で当然やれる事業として設置した場合において、この罰則を適用することになるかならぬかということです。
○大坪政府委員 具体的の場合におきましてはこれは司法権の問題になると思うのであります。(「そうじやない、行政罪ですよ」と呼ぶ者あり)ただ実際は罰則の問題と申しますか、この運用の問題になりますと、いわゆる追認というような行政的な措置の問題もありましようし、あるいは計画の変更というような問題もありましようし、ただ許可を受けないでやつたということ自体によりまして、ただちに罰則の適用を受けるかどうかという場合におきましては、普通の犯罪の場合のように、そのときどきの事情というような点で異なつて来ると思うのであります。他のどんな要件を充足いたしましてもどうにもならなかつたというような、いよいよという場合には結局罰則の適用があると思うのでありますが、そのときどきの場合は、普通の一般の犯罪と同じように、同じことをやりましてもそのときの事情によつていろいろ異なつて参るということは当然ではなかろうか、かように思うのであります。
○芳賀委員 こういう罰則規定は三歳の童子でもはつきりわかるようにしておかぬと、非常に混乱が起きて来ると思います。ほんとうに適用しないのだけれどもすることにしてあるという考え方は、特に協同組合の場合においては、この罰則の適用をする方法で行くのか、そういう施設ができた場合においては地域を取消すとか変更するとかいう方法で行くのか、そういう場合においてはどつちで行くつもりなんですか。
○大坪政府委員 具体的の場合におきましては、罰則を適用するというようなことはよくよくのことでありますので、計画の変更なりその他適当な方法で、罰則の具体的な適用があるようなことはなるべく阻止して参りたい、こういうふうに考えております。
○芳賀委員 そうなるとまた非常に問題が発展するわけですが、この地域に協同組合が新しい施設をした場合においては、せつかく地域指定してもそれを取消すぞという一つの恫喝になる。これは非常に危険だと思うのです。そういうことにまでして既存の乳業資本の権益を守らなければならぬかどうかということなんですが、これは非常に重大な問題だと思います。この法律は、生産者自身の力によつて乳業施設を持とうとする意欲に対して、非常に大きな重石をかけるようなものでしかない。取消すなら取消すということをはつきりここでもう一度言つてもらいたいわけですが、そういう暴挙まであえてやつて、既存の権益を守ろうとするかどうか、その点であります。
○大坪政府委員 罰則を適用いたしましたり、あるいは具体的に取消しをいたしましたりするということは、行政上の問題といたしましてはまことに避くべき事柄であると思うのでありまして、そういうようなことのないように振興計画を立てました特別の地域でありますので、現実の問題としては、そういうことが発生しないように常時指導監督を加えて行くというふうにやつて参りたい、かように存じているのであります。
○川俣委員 今局長の答弁の中に非常に不穏当な言葉があつた。これは司法罰ということでありますが、私は行政罰だと思う。司法罰ということでありますと非常に問題でありまして、おそらくこれは間違いであろうと思いますが、これ以上私は追究いたしませんけれども、御訂正を願いたいと思います。 これと関連して、私はこの際根本的な問題として、この法律はいわゆる有畜農家、酪農家のための振興法ではないと思うのです。これは牛乳処理法案だと思うのです。牛乳をどうして処理するかという法律としてはややできていると思うが、有畜農家のための酪農振興法ではないと思う。いやしくも酪農農家から見て牛乳をどうすべきかというのでなく、牛乳というものをできたものとして、これをどうするかという処理法案なのです。酪農家のためにはこれ以外にまだまだ必要なものがたくさんあります。たとえば酪農家にとつて当然起つて来る問題として、廃乳をどうするか、子牛をどうするかという問題については、一言も触れていない。これを見ると生牛乳の取引とか乳業業者がどうのとかいうことで、いわゆる牛乳処理法案なのです。酪農家にとりましては、廃乳をどうするかという問題が当然入つて来なければならない。しかしこれはそういう建前ではない。これはあなたの方でなく、厚生省あたりが牛乳処理法案ということで書いて来るなら別ですが、酪農家のためというのはどこにもない。あればつけ加えてあるというにすぎないだけです。そういう感じがいたしますので、われわれはこれを真剣に検討しなければなりませんけれども、ただいまは私の意見だけを申し上げておくにとどめまして、これについての御答弁はいりません。
○遠藤委員 関連して。この十二条の問題が今非常に問題になつておりますが、社会党の諸君のおつしやることもよくわかるのであります。それと同時にこの十二条は乳業資本の方から言うと、こういうめんどうくさい規定があることは非常に迷惑だという反対が一方においてある。つまり両面からの反対があるわけです。そこで乳業資本の方ではどういう意味で反対するかというと、こういう承認制度によつて協同組合だけにやらせて、乳業の方はそこに進出できないようなそういう事実がつくられて行くのではないかという意味から、非常に強い反対があるわけです。けれどもこの問題は、議論を聞いてみると一応もつともでありますけれども、私は問題はどこにあるかといえば、問題は生産費を下げるということにある。日本の酪農の一番の弱みはどこにあるかといえば、製酪過程における生産費が非常に高くつく。アメリカなどに比べても、生乳の値段はアメリカより安いのですけれども、その製品の価格はアメリカよりはるかに高くなつている。そこに問題があるのであつて、この集約酪農の指定の問題も、その生産費をぐつと下げて行くところにあると思う。これは今の酪農家にとつて最も大きな問題だと思います。その一番大事な点をねらつているのだということをもつと大胆にはつきり言つたらいいと思う。そういう意味では、今の畜産局長の答弁を聞いていて、まことに不安である。もつとざつくばらんにそれをずつと出して行つたらいいと思います。そうしてこの委員会を進めていただくことを私は希望する次第であります。
○綱島委員 資料の提出を願います。大体一日平均百五十石ぐらいになる牛乳の集約酪農地域をつくるというこの計画において、どれくらいの牛でどれくらいの乳が出て、また大部分ジヤージーらしいのですが、これはどのくらいの時間においてやるのかという判断の資料と、それだけのものにどのくらいの飼料が必要と言えるか、それからジヤージー種がどういうところが他の牛とは違うのかということを、簡単な表解をしていただきたいと思います。
○井出委員長 残余の質疑は後日にこれを繰越し、本日はこれにて散会いたします。 午後四時五十五分散会