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19回国会衆議院1954/04/26

農林委員会 第35号

発言数
113
登壇者
9
会派数
3
開催日
1954/04/26

会議録

金子與重郎改進党

○金子委員長代理 これより会議を開きます。  井出委員長が所用がありますので、私がかわつて委員長の職務を行います。  この際お諮りいたします。足立篤郎君から理事を辞任いたしたいとの申出があります。これを許すのに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子與重郎改進党

○金子委員長代理 御異議なしと認めます。  つきましては、その補欠を委員長において指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

金子與重郎改進党

○金子委員長代理 御異議なしと認め、小枝一雄君を理事に指名いたします。     —————————————

金子與重郎改進党

○金子委員長代理 これより酪農振興法案を議題といたし、審査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。吉川久衛君。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 委員長にお尋ねをいたしますが、農林委員会には、農林大臣はきわめて不勉強で、ただいままで出席をされた回数はおそらく数回にすぎないと思います。こういうことでは、農林委員会の審議はできないということで強い要請をいたしておいたのでございますが、本日も見えないようでありますが、大臣はどういう御都合でございましようか。

金子與重郎改進党

○金子委員長代理 農林委員会に大臣が見えないことがほとんどふしぎの状態でなくて、それがあたかも通例かのような形になつておりまして、ただいまの吉川君の御質疑ごもつともでありますので、今委員部を迎えに出しましたから、しばらくお待ちを願います。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 大臣に対する質疑は保留をいたしまして、局長もしくはその他の政府委員から、本案について私はきわめて簡単な質疑を若干試みます。従つて答弁は簡潔でけつこうでございますが、ひとつ誠意を持つて、できるだけまじめなお答えをお願いいたしたいと思います。  第一に、酪農振興法案の目的から見まして、この法案のねらいは、酪農振興の基盤の確立にあるような趣であると私には見受けられます。わが国の酪農業の現状はどのようなものであるか、どのような長所と欠点があるかについて、まずお答えをお願いします。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 ただいま御指摘の通り、わが国の農業の基盤を確立すると申しますか、要するに農家経営の安定という立場から、また同時に総合的食糧の安定という面から見まして、酪農業が非常な勢いをもつて推進され、それがわが国農業の行くべき一つの大きな道であることは、各方面から強く言われておるのでございます。その意味合いにおきまして、政府といたしまして、畜産振興十箇年計画あるいは五箇年計画というような長期計画をもくろみました場合におきてましても、酪農を中心としてわが国の畜産業を発展させて行くベきだ、こういうような考え方を強く打ち出しておるのでありますが、御承知の通りわが国の農業は、土地がきわめて狭小でありますし、各農家の経営規模の単位を見ても、その経営面積はきわめて小であるのであります。従つてそういうような場合に、広くまんべんなく乳牛を導入いたしました場合におきましては、非常に飼料の自給度が少いということに相なるのであります。飼料の自給度が少いということになりますと、結局わが国の畜産は、外国の飼料に相当多数依存をいたしておるのでございますが、これは国際収支の関係からいたしましても、またわが国の真の永遠の酪農業を振興いたしまする関係からいたしましても、これはきわめて危険であると申し上げなくちやならぬと思うのであります。それで長期的な計画といたしまして、ほんとうに農業経営にマツチいたしました酪農業を振興させ、しかもこれが豊富低廉なる酪農製品あるいは牛乳となつて参りますためには、どうしても自給飼料に依存をいたしまして、それによつて酪農業を振興いたして行くということにならなければ最終の目的には到達しない、かように私ども考えるのであります。その意味合いにおきまして、私どもといたしましては、でき得るだけ自給飼料をもつてまかなう。同時に農家の自家労働力をもつて乳牛を飼育して行く、こういうような状態を現出して参りたいと思うのでありますが、その辺におきましてなお遺憾な点があると思うのであります。同時に乳牛の飼養密度がきわめて分散的であるのでありまして、集乳費あるいは製品費あるいは配給費という面が非常な分散的な状態になつておりますので、非能率的であるのであります。従いましてそういうような非能率的なコスト高を誘因いたしまして、最終末端におきましては、乳価にいたしましてもあるいは製品にしましても、外国製品と比べましてきわめて割高な状態になつておるのであります。要約いたしますると、飼育面にいたしましてきわめて購入飼料の面が多いということと、乳牛が分散的に飼育され、分散的に集荷され、非常な分散的な製造工程をとつております関係上、原料高コスト高というような関係、二つの点が大きなわが国酪農業の欠点じやないかと思うのでありまして、これをいずれも自給飼料に依存し、自家労働力でまかない、かつ集約的に酪農を経営して行くということが絶対に必要じやなかろうか、かように存じておるのであります。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 わが国の食習慣の改善をはかるためには、どのくらいの牛乳と乳牛が必要でありますか。また乳牛増殖の具体的な方策はどんなものでございますか、承りたい。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 ただいまの御発言は、わが国でどのくらいの牛乳なりあるいは乳牛が必要であるか、かような御意見でありまするが、この問題につきましては、いわゆるわが国の食生活の慣行というものと、食生活と申しまするか、生活水準の問題、両方の問題があるのじやなかろうかと思うのであります。いわゆる生活水準が向上いたしまして、そうして非常にゆたかな生活を国民全般がなし得るような状態になりました場合におきましては、いわゆる動物性蛋白質というものに対する国民の要求が非常に強くなつて参ると思うのでありまして、その場合におきましては、乳製品あるいは牛乳というものが非常に広く一般的に利用される、かようなことに相なるのじやなかろうかと思うのであります。同時にいわゆる米麦を中心といたしました食生活というものが、それ以外の粉食というものに強く切りかえられました場合には、また牛乳あるいは乳製品あるいはそれに伴う畜産製品というものが強く要求されるのじやなかろうかと思うのでありまして、この二つのものがどういうふうに今後切りかわつて行くかという問題が、牛乳なり乳製品の国内における限度じやなかろうかと思うのでありますが、少くとも現在におきましては、諸外国、特に欧米に比べまして、わが国の乳製品あるいは牛乳の使用というものは非常に少いのでありまして、ほとんどわが国は、国民全般で平均して割出した場合におきましては、一年間に何升というような程度でありまして、とるに足らない数字であるのであります。従いましてそういう意味から、どの程度今後食生活の改善が行われ、あるいは生活水準がどの程度上つて行くかという問題はあるのでありますが、少くともここ当分の間は、そういう点につきまして各般の施策が遂行されつつありまするので、乳牛あるいは牛乳製品というものの増加程度という点には、あまり大した心配はないじやなかろうか、かように存じておるのであります。しかしながらそれも経済事情の変動あるいは食生活の慣行の変動というような面に大きくは左右されると思うのでありますが、全体的に見ますと、非常にそういう消費量は少いのでありまするから、この点につきましては、今後におきます、少くともここ数箇年間というものにつきましては、大した心配はないじやなかろうか、かように一応考えておるのであります。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 現行の市乳価格は全国的にどういうふうになつておりますか。食生活改善上高価に過ぎると思うのですけれども、この点はどうでございましよう。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 市乳価格の問題でありますが、最終末端の小売価格、これは東京、大阪等大消費都市におきましては、大体のところ十六円見当、もちろん十五円の場合もありまするし、十七円の場合もありますが、大体十六円見当じやないかと思つております。中小都市以下におきましては、大体十二、三円という見当に了解をいたしておるのであります。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 高過ぎると私は思うんだが、それはどうです。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 いわゆる農産物価格指数その他というそういう統計的な数字から見ました場合に高い低いという問題はあります。もちろんお手元に配つておりまする物価指数という点から見ますれば、一応は割安ということになつておりますが、それは昔の価格が非常に割高でありました関係で、お手元に配付しておりまする農産物価格指数あるいはそれから見ましたような割安というような数字をもつては、これは説明はしきれないと思うのでありまして、私どもといたしましても、現在の乳価をもつていたしましては、広く一般に食生活を改善しまするための乳価ではないと、かように考えております。従つてこれをできるだけ安くするための努力を払うべきものである、かように考えております。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 そういたしますと、現行の牛乳価格の構造はどういうふうになつておりますか。それをひとつ御解明を願いたい、原料乳価に比して中途経費に不合理があるように私は思うのですが、その点はどういうふうになつておりますか。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 最終小売末端価格が十五円といたしました場合の、乳価の各販売行程における価格がどうなつているかという問題でありますが、ごく最近におきましては、その関係が相当地方によつて変動をいたしておるような状態でありますが、ここ数箇月以前におきましては、大体東京都におきてまして十五円いたしておりました場合に、生産者の大体の平均手取価格が五円見当でありまして、卸その他中間における行程が大体五円見当でありまして、最終末端の小売行程におけるマージンが大体におきまして十五円と、一、一、一というような割合で分類されておつたように記憶いたしておるのであります。最近におきましては、それが大体一六円あるいは一七円というような状態になりまして、その差額の一円なり二円なりというものがどういうふうに変動したかということになりますが、これはおおむねごく都市近郊におきましては、生産者の手取り価格が六円ないし七円になつておる場合もあるのでありまして、この点につきましてはその地方によりまして全部生産者の手取りになつたところ、あるいは場合によりましては全部小売が需給状態の変動によりまして、小売のマージンをとつておるところと、こういうような点があるようでありますが、一応大体のところ生産者一、中間過程一、小売過程一というような大体の傾向をたどつておるように考えております。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 飲用牛乳はどのくらいの割合になつておりますか、今後飲用牛乳の増産と、乳価低減をはかることは緊要と思うのでございますが、それに対してどういう方策を持つておいででございますか。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 昨年の例をとりました場合に、大体飲用牛乳は生乳のまま消費される場合が半分、五〇%であるのであります。その原料その他に使われるものが約半分であるのでありまして、飲用牛乳の消費が全体の生産に対しまする割合は、最近とみに増加しつつあるのでありまして、今後もその傾向が増加されると思うのであります。一時は製品に利用される割合がずつと多かつたのでありますが、現在までのところ飲用に使われる量が漸次多くなりまして、当分は飲用牛乳の方が相当程度伸びて行くと考えておるのであります。このことは農家のためにとりましても、消費者のためにとりましても、国全体の経済から考えましても、なるべく飲用牛乳で利用する方が、酪農の振興という立場からも、食生活の改善からも、この方が合理的であり、効果的である、かように考えておるのであります。  乳価を低減いたします方策といたしましては、御承知の通りにわが国の牛乳というものは、きわめて歴史が浅いのでありまして、明治の初めごろ、わが国で牛乳が使用されましたころはほとんど医薬品に近いものであり、それが漸次発達いたしました場合におきましても、おおむね特殊の階級におきまする利用にとどまり、また乳児用の特殊の牛乳であつたというような発達の過程をとつておるのであります。従つて、生産の面におきましても、飼育状態が非常に分散的でありまするし、消費につきましても、きわめて分散的であつたのであります。そういうような発展過程をとつておりますわが国の牛乳は、最近になりまして、ようやく国民各階層の間に広く利用されるという状態に相なつたのであります。この状態を今後ますます強化して参らなければならないと存ずるのでありますが、そのためには御承知のように、なるベく乳牛を集約的に飼育いたしまして、生産コストをまず下げる。同時に集荷するための経費をできてるだけ引下げる。また製造過程におきましては、一工場で十石とか二十石とかいうことでなしに、少くとも一工場で百石近いものを処理する。同時に配給過程におきましても、一合ずつを各家庭に配給してまわるということでありますと、どんなに小売過程を合理化されるといたしましても、そこにおのずから限度があるのでありまして、一合当りをあるいは一升当りの単価にいたしまして、少しでも少くいたしまするためには、これをもつと大量的に配給するというような方向をたどらざるを得ないと思うのであります。いずれにいたしましても、生産過程あるいは中間過程という二つの過程におきまして、徹底したいわゆる集約的な方法をとる以外に、実際問題として解決する方法がないのではなかろうか、こういうような意味合いにおきまして、今回酪農振興法を制定いたしまして、まず生産基盤におきます集約化をはかつて行くことを考えまして、御提案をいたしたような次第であります。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 そういたしますと、集約酪農の構想をまず伺いたいのです。一箇所五千頭、牛乳百五十石程度の規模から見まして、現在わが国でどのくらい指定できるお見込みでございますか。現実にはどのくらいの規模まで縮小して考えられるのか、一例をとつてみて、私の長野県ではどのような候補地が予定されているのですか。その点をまず伺いたい。

金子與重郎改進党

○金子委員長代理 吉川君に申し上げますが、大臣がお見えのようでありますから、技術的なことはあとにしていただきまして、政策問題に対して先に質問をお願いいたします。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 ただいまどのくらい指定できるかという点ですが、一応私どもの現在の構想といたしましては、政令をもつて基準を定めるということになつておりますが、一集乳工場を中心といたしまして、輸送距離が夏の時間で二時間程度の区域内に、最終目標といたしまして五千頭を集約的に飼育し得る状態の地域、しかもその地域は営農条件からいたしましても、あるいは農家の労働条件からいたしましても、あるいは自給飼料という点からも、少くとも八〇%くらい各農家が自給し得るというような条件のところを考えまして、一応指定して参りたい、かように考えておるのであります。現在集約酪農地として指定してもらいたいという希望を持つて私どもの方に申出になつております地域が、全国で約百二十箇所あるのであります。これは順次増加して参ると思うのでありますが、ただいまお尋ねの長野県に例をとりますと、浅間山麓と戸隠山麓、八岳山麓、伊那地域、——御承知のように八岳山麓につきましては山梨県側と一緒になりまして、ジヤージー種でありますが、すでに指定と申しますか、いわゆる特殊地域といたしまして、行政的措置によりましてやつておるのであります。そのほか三箇所は一応県側あるいは地元側の希望として地域に指定してもらいたいということになつておるわけであります。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 農林大臣にただいま審議されております酪農振興法案について若干お尋ねをいたします。  本法案のねらいは、酪農振興の基盤の確立にあるということでございます。農業経営を安定せしめ、日本の食糧政策の一環として、非常に不足する日本の食生活の安定を期したいというのは非常によいねらいでありますけれども、しかしただいままで行われました畜産行政中において、畜産が食糧に寄与するという面が私は非常に欠けてたると思うのです。そういう点を補うためにこのような法案を企画されたといえば、そうも言えるのでございますけれども、この内容をなおしさいに質疑をした結果でなければ結論的なことは言えませんけれども、私が一瞥いたしましたところによりますと、このねらいだけでは相当欠けるところがあるように考えるのでございます。農林大臣は、わが国の食糧行政について、今後酪農振興によつて、この畜産食糧を今までの日本の食生活の上にどういうように生かして行つたならばいいか、この法案のねらい通りに行つたならば、今後わが国の食生活はどの程度改善されるか、改善しなければならないかということについての大臣の御所見を承つておきたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 提案の説明にも申し上げておりますように、どうしても食糧の面から見ますれば非常に困難なことではございますけれども、ともかくこの食糧の自給態勢確立に向つて力を入れて行かなければならない国情に立つておりますが、同時に戦争前と終戦後とにおきますわが国の基本的条件が、非常な変貌を来している。特にそのために食糧問題の上に非常に困難の度合いが、予想以上に加わつておるということは、御承知の通りであるわけでありますから、従つて一面は国民保健の面からいたしましても、蛋白、脂肪の摂取量を増大して参るという点に一つのねらいがなければならない。それはとりもなおさず米食偏重と申しましても、米食第一によつて日本の食生活が営まれて来た、そこにはやはり営まれていた基礎条件というものがあつたわけでありますが、そのことが破れて、米食主義だけで押し通して行けないという国情になつて、それは国民保健の上から行きましても、こういう機会に蛋白、脂肪のより多き摂取への転換をはかつて参る。そういう上からいたしますれば、どうしても酪農振興というか、動物質の食糧の給源を養う、増大して参るということは、食糧問題の解決の大方法からいたしましてもいなめない方向であろうと存じますし、のみならず、一面またそのことは、たまたま脆弱なわが国農業の補完というか、安定度をはかつて参ります農家経営上の要請とも一致して参るところでありまして、すなわちわが国農業にできるだけ酪農を取入れることによりまして、農家の経営の安定をはかつて行く、農家経済の向上をはかつて参る。この三面からの要請が酪農振興の強く叫ばれるゆえんである。すなわち食糧問題に寄与する上から、国民保健に寄与する上から、農家経済、経営に寄与する上から、その頂点に酪農振興ということが強く打出されなければならない、こういうふうに私は考えておるわけであります。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 大臣の御説明を伺つておりますと一々ごもつともでございますけれども、ただ日本の国の零細な脆弱な農業経営を安定するということについては、この酪農振興法案では救われないのです。それはやはり食糧増産の他の面で行かなければならない問題であると私は思います。しかるに二十九年度の予算においては、食糧の増産対策費が遺憾ながら非常に削減を見ております。そうしておいて、今度は酪農振興等によつて国内の食糧の自給確保に資したいという考え方は、残念ながら私は賛成ができない。これはこれで必要でございますけれども、食糧の自給度の確保のためには、もつとほかの面で考えなければならない。ことに零細な農民の経営の改善ということには、この問題で解決ができないということは、特に御銘記を願つておきたいと思います。実はこの法案の審議にあたつて、総合食糧の確保、国内自給度の確保という観点からいたしますと、食糧行政全般についていろいろお尋ねをいたさなければ、この問題についても審議することの意味が相当減殺されると思うのでございますが、他の同僚議員の質疑等もあとに控えておりますから、別の機会に譲ることにいたしますけれども、ここに特に二点だけ関連をもつてお尋ねしておきたい問題は、昨年の凶作によつて特に食糧管理制度の問題が行き詰まりを来しております。本年もまた凶作の様相が現われて参つております。凶作は二年もしくは三年続くという古人の言葉のようなことが不幸にも現われんとしておるやさき、食糧管理制度が食糧の確保の上に重大な関連を持つておりますので、最近何か、これに関して相当の検討が進められておると聞きますが、この点はどういうふうになつておりますか。この際今までの経過と今後のお見通しを伺つておきます。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 冷害は数年にまたがるという昔からの言い伝えに対しましては、私ども神経過敏に注意をいたしておりますが、今年の長期予報から判断いたしますれば、何とかこの災難はまぬがれ得るのではないか、またぜひまぬがれたいものである。ただしかしながらそういう場合の心配をいたして、品種の選定あるいは植付等に対しましては、技術的に万遺漏のない指導を、改良局を中心としていたしておるわけでございます。  食糧管理制度につきましては、しばしば申し上げておりますように、すべてを戦争に寄与するために、あるいは戦後の非常な困難の中に食糧飢饉という状態が続きました中に、非常に権力的に強行して参りました食糧管理制度が、事情がかわりました今日、非常に運営に困難を来しておるということは当然なことでもあると存じますけれども、しかしながら今日の食糧状況のもとにおきまして、食糧問題を手放しにするということは、事実言うべくして不可能ではないかというように私は考えておりました。従つてこの管理制度も生産者の自主的な協力、消費者の理解を得る方途を見出したいということで、内閣に食糧対策協議会を置きまして、各方面の御意見を十分聞き、特に、申すまでもなくこれは政府部内のことでございますけれども、国会内における各方面の御意見に十分注意をいたしまして、そうして来る年度からは何とかひとつ改善の方途を見出したいということで、研究をいたしておるわけでございますが、今中心となつて研究を願つております食糧対策協議会では、数次にわたりまして総括的な意見の開陳があり、これはもうほとんど漏れなく各委員の意見の開陳もあり、いろいろの意見も出ておりますが、総論的な意見開陳の段階から、各論的な審議に入り、供出の面あるいは配給の面等に具体的な審議を始めようという段階に至つているわけです。非常な御勉強を願つておるわけでございますけれども、しからばどういう方法を講ぜんとするかというところまでは、いまだ立至つていないわけでありますが、遠からず私は意見がまとまるのではないかというように期待をいたしております。むろん政府が責任を持つていたすべきでありますけれども、この問題は考え方としては、やはり食糧問題でございますから、各政党のそれぞれの政策の大きい部分を占める問題ではございますけれども、取扱いとしてはやはり超党派的な考えを持たなければならぬ。この食糧問題というものは軽々に扱うべき問題ではない、そういう上からいたしまして、私どもの方の内部的な検討がいま少しく進みましたならば、各派の方々の御意見も十分伺つて、しかる上に慎重な結論を見出したい、こういうふうな考えで私おるわけでございます。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 ただいま大臣のお答えでは、二十九年度あるいは三十年度にも予想をされるであろう凶作の対策についての私の質問に対しては、品種その他についていろいろ具体的に考えているということでございますが、それならば先ほどの、本法案によつては脆弱な、零細な農民の経営の改善には役立たないということに関連をして、今まで比較的富農間に普及をいたしまして、まだ零細な農民には徹底をいたしておりません保温折衷苗代の助成等が二十九年度に完全に打切られておりますが、これは補正予算などで、大臣は大蔵省と折衝して確保されるお考えを持たれなければならないと思いますが、この点はどういうふうにお考えでございますか。それから食糧管理制度の問題について、食糧対策協議会がただいま非常に御熱心に検討をしてくれている、しかし最後の結論は超党派的に、問題が大きな問題であるだけに、十分にそれぞれの立場の意見も徴して慎重に結論を得たい、今その段階ではないということでございましたが、お言葉の中に、自主的供出制度等が考えられているやに伺いましたが、方向として自主的供出制度というものが考えられていると解釈してよろしゆうございますか。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 言葉をとらえてのことでございますが、要するに私の申し上げることは、供出というけれども、これは無理やりとられるんだというような観念をなくするような形で、少くとも農民からその頭をとるような形でなければ、供出問題というものはうまく行かぬじやないか。かりに妥当な値段、妥当な方法で供出が行われても、農家の方で、いや、そうじやない、とられているんだ、無理やりに供出させられているんだというようなことでは、どういうふうにいじくれましてもだめじやないか。それは非常にむずかしいことでございますけれども、少くとも審議をいたして参る者の腹構えは、大きくそういうところに持たなければならぬじやないかという意味で、私そういうことを申し上げたわけであります。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 それじやもう一点だけ大臣に伺つておきます。わが国の食糧が現在においては外国に相当依存しなければならないという状態にあることは申すまでもございませんが、そこで、ただいま食糧の輸入状況はどういうふうになつておりますか、順調に行つておりますか。すなわち予定通りに行つておるかどうか、今後の見通しを伺いたいと思います。  それからMSAに関連をして、アメリカから麦を持つて来るということになつておりますが、今度吉田さんが、何とか政局を、多数派工作でも何でもいいから、手段を選ばずとも、政局を一応安定さしておいて、そうしてアメリカへ行つて、五千万ドルばかりの麦では足らないから、少くとも八千万ドル、一億ドルの麦をもらつて来て、もらつて来た麦の二〇%ばかりでは不十分だから、それをもう少し率を上げて、そうして日本の国内の防衛生産力だけではなくて、食糧増産その他の方面にもこの金を使えるように交渉をして来よう、こういう御意図のように私は聞いているのでございますが、内閣において最も有力な閣僚であらせられる農林大臣には、事食糧問題に関連を持つているだけに特に御相談があつたと思いますが、大臣はそういうことをお聞き及びでございますか。もしそういうことでなかつたとするならば——吉田さんがおいでになることは私は非常に困難だと思いますが、もしおいでになるとするならば、今私の申したような内容の実現が期待できるとお思いになりますか、その点をお伺いして、大臣に対する質問を終ります。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 ただいまのお話につきましては、私はまだ総理大臣から何の御相談も受けたことはございません。ただMSAによります農産物の買入れにつきましては、これは本年限りのものでございますけれども、全体から大体論を申し上げますれば、第一は食糧の輸入買付けあるいは到着の状況はどうであるか、これは具体的な数字をもつていずれ政府委員から詳しく御説明を申し上げますけれども、私の承知いたしておりまするところでは、輸入計画はきわめて順調に行われておりますということを申し上げておきたいと思います。ただ御懸念の三十年度以降の輸入計画がどうなるか、小麦に例をとりますれば、昨年の百九十七万トン、今年の百九十六万トンという厖大な輸入量に上つておりますのは、第一はむろん昨年の異常な災害によります緊急措置としてやむを得ないことでございます。同時にまた現在ひとり政府のみならず、国会におかれましてもそういう方向で強い御意見がございますように、食糧問題を解決して行くためには、どうしても麦食依存度を高めて行く、そうして一連の総合施策のもとに食生活を改善して行かなければならない、それは要するに麦の消費量の増大をはかるということにほかならぬわけであります。さればとて、麦々といつてみたところで、右から左にそう手のひらを返すようなぐあいにも行かぬ。しかしながらとにかく一歩前進、二歩前進で麦食あるいは粉食の普及をはかつて参らなければならぬ。従つて三十年度以降の外地食糧をどういうふうなあんばいで入れて来るかということは、これらの食生活の実がどの程度に上り得るかという見込みをどうつけるかというところにかかつて来るわけでありますが、従つてその見込みをつけることを軽々にはやれませんし、慎重な検討を要するわけでありますけれども、おおよそ百八、九十万トンから二百万トンくらいの小麦がやはりいるのではないか。またかりに日本の状態が平年作であつた場合にそのくらい丘いるように見込まれるということであれば非常に仕合せじやないかというように思います。さてその場合にそれではMSAは今年限り、来年度以降のアメリカの余剰農産物処理によつて一体どの程度の期待をかけることができるか。同時にまたアメリカも余剰農産物を処理するにしましても、あるいはカナダ、あるいはアルゼンチン、あるいは濠州等の友好各国の市場をそのために混乱する形では処分することはできないというところに置かれておるわけですから、日本の輸入食糧が総わくとして一体どのくらいになるか、友好各国の市場を混乱せしめずして余剰農産物処理として受得る日本の余力というものが一体どこまであるか、これはほんとうに慎重な検討を要する。従つて今日八千万ドルを輸入するとか、一億ドルを輸入するとか、先走つた計画を打出さず、まず国内の需給関係をどう見るかというところに、慎重に私どもとしては検討を加えておる。そこで余剰農産物を受入れるという場合には、MSAの場合においては私どもの主張は実現していない。はなはだ遺憾に思いますけれども、さなきだにMSAの農産物が入つて来ることはわが国農業を圧迫するのじやないか、あるいはまたそのために食糧増産の手をゆるめる意図があるのじやないかとかいうような誤解を与えておる向きもあるわけであります。私はアメリカの余剰農産物があろうと、なかろうととにかく外地食糧を幾らかでも輸入軽減をはかつて行かなければ、日本の自立経済は達成できてるものじやない。従つてまず何をおいても自給度を高めて行くというところに食糧の中心がなければならぬ。そこでたまたま入つて来るということであれば、むろん防衛産業の増強ということも必要であろうかとは思いますけれども、そういうふうなわが国農民の一部に誤解を与えるようなことが起らないように、それの力を食糧増産等に大きく用いて行くということでなければ、なかなか国民的協力を得てスムーズに行くということはできない。そういう上からいたしまして、決して食糧増産だけを言うわけではありませんけれども、もし行われるならば、主としては食糧増産のためにこの金が用いられるように、私としては最大の努力を払い、またその点は強く申し出てもおるわけでございまして、何とかMSAの援助方式でない方式を私としては希望をいたしておる次第でございます。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 私は今アメリカから食糧を入れることが日本農業を必ずしも圧迫するとは考えておりません。そういう考え方の方もあるのです。国内でコストの高い食糧増産をやるよりは、安い外国の食糧を輸入した方がいいんじやないか、そうして日本の国は工業立国で行くベきじやないかという考え方もあるやに聞いておりますが、日本の現状では、私はそう輸出によつて、工業によつて、今ただちに自立できるということは考えておりません。それよりは国内の食糧の自給確保、この方が私はむしろ先決問題であるということを考えております。しかし凶作その他の関係でただいま輸入をしなければならないということは、決して国内の農業を圧迫するという考え方でやつているというような見方は私はいたしておりませんが、ただ絶対不足するところの食糧を、日本の食生活の習慣から、外国からまずい米を買うということよりは、むしろ麦を買う。そうすれば価格差の補給金がきわめて少くて済む。非常に補給金が節約できるわけでございます。この節約できた補給金を食糧増産のために振り向けるべきじやないかと思う。またその一部を畜産振興、酪農振興等に振り向けるべきじやないかと思うのです。ところが米を麦に切りかえる、そうして国内の食生活の改善をやるということはおつしやつておいでになりますけれども、その改善のための具体的な施策としてここに生れて来るところの酪農振興、畜産振興等については、今日まであまり見るべきものがないのです。ですから今後この面に米の輸入をできるだけ削減をして、そうして輸入しなければならないとするならば、できるだけ麦に切りかえて、そうしてその補給金の差額を酪農振興に振り当てて行く、国内の総合食糧の確保に振り当てて行くということでなければならないと思いますが、これについて大臣の所見を承つておきたい。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 方向といたしましてはお説の通りだと思います。それをどういうふうにどの程度に調和をとつて推進して行くかということに問題があろうかと存じます。方向としては私も全然同感に存じます。

金子與重郎改進党

○金子委員長代理 芳賀貢君。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 私はこの機会に農林大臣に本法案に対する主要なる点を御質問したいと思います。  まず第一に、この法案は言うまでもなく酪農の振興ということを大きなねらいとしておるわけでありますが、これはわが国の食糧政策、しかも総合食糧政策の一環としてこの酪農振興を取上げようとしている御意思のようにも考えられるわけであります。そういたしますと、この法案は今国会の当初、昨年の十二月二十五日と思いましたが、衆議院本会議において食糧増産及び国民食生活改善に関する決議案というものが成立しておるわけでありますが、それらの衆議院における決議とこの酪農振興というようなものは、相当な不可分の関連性を持つておるというふうに考えるわけであります。まず農林大臣の、わが国の今後の食糧政策の一環として、酪農振興というものをどのように具体的に進めて行くかということについて、御所見を伺いたいのであります。もちろんこの法律によりますと、集約地区を設定いたしまして、この指定された地区に対しては集中的な酪農振興の諸般の施策を行うことになつておるわけでありますが、この地区指定を受けた地域だけにおけるところの酪農振興ということでは、わが国全体の酪農の広汎なる振興というものは期待することはできませんし、むしろ逆に、前の国会におきまして有畜農家創設特別措置法というものが成立しておりまして、これは全国の無畜農家を解消するということによつてわが国の農業経営を合理的に、しかも近代化の方向に持つて行こうとするねらいが含まれておるわけでありますが、これらの二つの法案との相関関係の中においても、いろいろな問題が出て来ると思いますので、その点に対してお伺いしておきます。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 無畜農家を解消して有畜農家を創設して参るということは、これは戦後言われたのみならず、早くから農家経営上の安定策として取上げられて、それが遅々としてなかなか実現ができていなかつた。それに対してお話のように、今日の農家の実際から申しまして有畜化する必要が緊要になつて参つて、法律におきてましても、予算措置においてもかなり強い線を打出して、その実現をはかつている。この酪農振興の法案のねらいといたしますところは、恵まれないわが国の状況ではありますけれども、しかしながら適地を選べば、あるいは酪農事業を農家の協同体において十分推進し得る余地があるではないかという上からそのためにはどういう方途を用うベきであるかというねらいをここに現わして、制度の上でその振興をはかつて参りたいということで、両々相まつて日本農業の安定をはかつて参る、同時に食糧問題解決の大きな一つの礎石と申しますか、基礎的な条件を整えたいという希望にほかならぬわけであります。これは申し上げるまでもないことでございますけれども、今日はこの方向というものは、一つの食糧問題解決という大きな波の上にこの酪農振興というものが浮き彫りされて来ておるわけでございますから、この浮き彫りされた酪農振興をより具体的に具現して参るというためには、こういう法律を整えた方がいいではないかという結論から、この法案を提出をいたしておるわけでございます。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 先ほど吉川委員も指摘されましたが、今年度の政府の食糧政策に対する考え方というものは、相当大きく方向をかえておるように考えるわけでありますが、このことは、外米に依存して毎年今までは三百億以上の輸入補給金を出しておつたわけであります。それをできるだけ麦に切りかえることによつて、輸入食糧の巨額な補給金を削減するというこの方針に対しては異論はないわけでありますけれども、その外米を麦に切りかえるという一つのやり方が、国内におけるところの麦の増産等に主力を注ぐということでなくて、むしろアメリカの余剰古麦に依存する考え方というものは、これは十分検討を加える必要があると思うのであります。現在におきてましては、単にアメリカのみならず、世界的に見て農産物はすでに過剰の方向をたどつておるように考えられますが、ひとりその中において農業国であるところのわが国が、食糧の自給度が非常に低いというところに問題があると思うのであります。こういうような世界の農産物の過剰傾向に対して、わが国の非常に零細な農業の中から生ずる農産物のコストというものは高いのであります。そういう場合において、野放しに外国の過剰農産物をわが国に入れるということは、今までは日本の農業というものは、多分に保護政策によつて守られて来ておつたわけでありますが、最近大蔵省の農産物価格に対する基本的な態度を見ましても、あくまでも低価格政策で行くということを打出しておるように考えるわけでありますが、わが国の農産物の価格を極端に押えるということは、国内における食糧の自給態勢を確立する上においては、逆なことになるのではないかというふうに考えるわけであります。この法律の中におきましても、豊富低廉な酪農食品を国民に提供するということをうたつてあるわけでありますが、しからばこの法律というものは、真に農業者自体に対する、酪農民に対する、——酪農によつて農業経営の安定をはからせようとする意図が先行するのかあるいは安い豊富な酪農食品を国民の食生活の前に提供するという考え方であるのか、どちらが重要視されておるのかという点に対して、いささか疑点がありますので、その点に対する大臣のお考えをお聞きしたいのであります。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 戦前は朝鮮、台湾を含めまして、非常に自給度の安定をいたしておりましたわが国の食糧事情が、戦後一変をいたして、きわめて困難な食糧関係に置かれておる。しかし民族のほんとうの独立を達成して参ります上におきましても、食糧の自給ということは何をおいても大前提であるという考え方を、私も芳賀さんと同様に持つておるわけでございます。先ほど吉川委員もちよつとお触れになり、また芳賀さんのお話もそうでありますが、なるほど国際的に農産物の過剰時代に入らんとしておる、平和が回復して、それぞれの国がそれぞれの自国における産業を回復して参りますれば、農業生産が大きく回復、拡大をして参る。その結果農産物の過剰時代が到来するということは、何人も想見し得るところでございます。しかしそうだからといつて、それでは世界が食べものが余るようになつて来ておるから、食糧増産の手をゆるめても、お話のように安いものを買つて来て行けば、増産ということをやらなくてもというような意見が万一にもありとすれば、これはとんでもない意見だと私は考えております。むろん問題は非常に複雑だろうと思いますが、国内産の農産物も、農家の経済がそこなわれざる限り、できるだけ安くならなければ、日本農業の発展も考えられない。従つて、農業の合理化、改善ということは非常に必要でありますけれども、さればとて、それじや農家経済を破壊するような農産物の価格をきめたらどういう結果になるか、こんなことは申すまでもなく明らかなことでございまして、私は大蔵省等におきましても、決してさような暴論を持つておるものとは考えておらないわけであります。私は、傾向として見られますこの過剰農産物の中にありまして、日本農業は、農家の経営経済を確保するために厳然と守られなければならないという考え方をとつております。  酪農につきてましても、せつかく今日国民的な掛声のもとに酪農振興が叫ばれておる。それは安い外地乳製品を入れて来ますれば、消費者の方には今日よりも安く提供できることは申すまでもないことでありますけれども、さればとて現在ようやく芽ばえつつあるわが国酪農の芽をつむようなことになつては一大事で、取返しのつかないことになるわけであります。食生活の改善、麦食普及ということが一面強い要請でありますから、これにこたえますための適宜の措置をとらなければならぬことは申すまでもございませんけれども、どこまでもやはりわが国酪農をしてできるだけすみやかに国際的水準にまで達成せしめて行くということに、より力を用うべきときであろう。そうすることによつて——むろんこれは一年、二年でどうこうというわけには参りませんけれども、豊富低廉な乳製品が提供できるように持つて行くということを、酪農振興のねらいにしなければならぬことは当然である、こういうふうに考える次第であります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 わが国の食糧の自給度を高める上において、米の生産に関しては、日本の米作の生産技術あるいは品種の改善というものは、相当高度の限界まで来ておるので、この面に対して今後急速に大きな増産の期待は持てないかもしれませんけれども、他面畑作農業の面におきましては、増産の可能性はまだまだ大きな期待を寄せることができるのであります。麦類であるとか、そういうものの増産が大きく行われた場合においては、どうしても食生活をかえて行かなければならぬという必然的なものが出て来るわけであります。従つて乳製品の必要度は高まつて来ると思うわけでありますが、その場合に一番前提になることは、かかる経営の転換は、結局農民に対して経済的にも非常に寄与するものが多いという安心感を与える必要があると思うわけであります。たとえばMSAの五千万ドルの余剰農産物輸入の場合におきましても、五十万トンの小麦と十万トンの大麦のほかに、乳製品を二百万ポンド程度買いつけるという説も聞いておるわけでありますが、このようなことは、現在の国内における乳価の上においても非常に大きな影響が生ずると考えるわけであります。かような点に対しまして大臣は、どのようにして国内の乳価の安定をはかるお考えを持つておるか。その点は非常に大事であるので、お伺いしておきたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 MSAの農産物買入れの対象としましては、今日は今お話の小麦五十万トン、大麦十万トンでございまして、それ以外には私はまだ何も話を受けてもおりませんし、私の方からもいたしておらないわけでございます。ただ主としてバターでございますか、乳製品を輸入する場合に、食生活の改善、粉食普及という面からいたしますれば、これはほんとうのことを言うと、国民経済上の大きな要請でございますから、少々の犠牲はしんぼうしてもらつて大量に供給して行くことが、食生活改善を促進して行く一番近道だと思うわけです。しかしそうだからといつて、先ほど申しますように、せつかく芽をふき出しました内地酪農の芽をつむような結果に終ることは、何としても忍びざる犠牲でございますから、これだけは、何とかそういうことの起らないようにしなければならぬ。しかし同時にまた内地酪農も、政府がそういう考えを持つがゆえに現状に甘んぜられるということでははなはだ困る。どうしてもある程度、国際的水準とまでは行かないにしましても、それに近いところまでは、何とか進歩改善のくふうが営まれるというところには、行政措置としても持つて行く必要がある。従つて安いものを買つて来て、内地のものとプールでもして、そして消費者にできるだけ安く供給するという反面の要請を満たして行くという措置ができれば、私はけつこうだと思う。そして同時にできるだけ内地酪農の水準を高めて行くという、そこらの兼合いで問題を考えて行くべきじやないか、私はそういうふうに思います。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 今後の酪農の振興の場合においては、何としても農家に対して、酪農に対する経済的な基盤の培養といいますか、安定感を与えるということが第一になつておるということは、大臣も認められておるわけでありますが、この法案の中において十分了承できない点は、農家が牛を飼育して生産した原料乳等に対する価格の維持というような点に対して、非常に不明確なものが多いのであります。もちろん国内におけるところの乳製品の需要を増大させるためには、低廉なる価格によつてこれを提供するということは言うまでもないわけでありますが、問題は、現在における乳価あるいは乳製品等の価格を見ても、農家が生産したところの原料乳は非常に価格が安いのであります。それがあるいは市乳となり、あるいは製品化されて消費者に提供される場合においては非常に高過ぎるのであります。ここに問題があると思うのです。原料が安くて製品が高過ぎるというこの現象というものは、何かそこに一つの魔術があるというふうに考えるわけでありますが、この法案を通じて見ても、依然としてこの集約地区を設定して酪農を振興したことによつて、生産者の乳価が保証されるという点が不明確であるとすれば、これは今後また乳業資本に収奪させるという、かかる大企業に対する擁護法案というようなことにならぬとも限らぬわけでありますが、どうしてこの法案の中において、酪農農家に対する経済的な基盤を原料乳等の価格維持の点において明確にするという一番大事な点が取残されておるかという点に対して、その理由をお伺いしておきたいと思うわけであります。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 原料が安くて製品が高い、これは流通加工の過程に不合理がある、合理化の余地が残つておるということに常識的には考えられるわけでございます。内地の農家が不当に取引上の不利を招かないような措置は、この法案でも講じ得ると存じております。なお中間加工あるいは流通業者の不当な取引につきましては、私どもとして十分監督して行かなければならぬのじやないか、と申しますことは、一面今日外地乳製品を得ようとすれば得られ易い状況のもとにある。しかもそれは内地農家を保護する立場から、消費者にごしんぼうを願つて、できるだけ入れないようにしている事情からいたしましても、当然そうしなければならないと考えておるわけであります。流通加工の面における合理化、改善につきましては、できてるだけ注意を払つて参るようにいたしたいと思います。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 最後に、ただいま申し上げた問題は、酪農振興法案が当然以前に上程せられるであろうということを期待せられておつたわけでありますが、政府の原案も第一次、第二次、第三次案というような形で、これがだんだん骨抜きになつて出ておるということをわれわれは知つておるのであります。どういう点が骨抜きたなつておるかというと、結局生産者の利益を守るという立場よりも、むしろ既存の乳業資本の利益を守らねばならぬという一つの力関係に押されて、こういう非常に期待の薄いような法律案が上程されたように判断しておるわけであります。この点はただいま大臣の御答弁の中においても、十分善処するというようなことでありましたが、これらの具体的な点に対しましては、法案の内容の審議の中で十分お伺いしたいと思うわけであります。ここでお伺いしておきたい点は、有畜農家創設あるいは酪農振興等によつて、たとえば年次的に三箇年計画であるとか五箇年計画、それらのものが当然策定せられると思いますけれども、今年度の予算等を見ましても、ジヤージー種の輸入は一千八百頭程度でありまして、これは二億六千万程度と思います。有畜農家創設による資金の融通に対する利子補給等に対しても、わずかに二億五、六千万円しか計上されておりませんが、国が外国牛を買いつけてこれを集約地区に貸付するという一つの方法、あるいは有畜農家創設要綱等に基いて創設資金を融通して、これに対する利子の補給を行うということに対する農業者の期待は非常に大きいと思いますが、この程度のわずかな予算等を通じて、たとえば三年後、五年後にどのくらい酪農振興法あるいは有畜農家創設特別措置法等によつて期待された効果が生じて来るというふうに大臣は考えられておるか、その点をお伺いしたいと思います。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 ただいま予算に関連して御発言がございましたので、一応お答えいたしたいと思うのであります。御承知のように私どもといたしまして、本法案を提出するにあたりまして、現在昨年から続けて参りました外国産のジヤージー種につきましては、昨年度からの経緯をしさいに検討いたして参りますと、わが国の農業、特に新たな機構にも十分に適応性があり、なおその飼育状態から見ましても、大体十分やつて行けるという見当がおおむね立ちましたので、今度とも引続きこれを実施して参りたいと思うのであります。ただ各国の事情並びにわが国に輸入します場合の輸送等についていろいろの難点があるのでありまして、ただちに大量のものを輸入するというようなことは困難じやないか、昨年六百頭輸入した経験からいたしまして、本年度はその三倍程度、千八百等を輸入いたすということになつておりますが、実はこれも相当大がかりな仕事であるのであります。来年度につきてましては、もちろん予算との関係もありますが、本年度の経過にかんがみまして、さらに増加いたすべく努力いたすつもりであるのであります。ホルスタインの内地乳牛につきましては、これは各地方からの要望がきわめて熾烈であるのであります。従いましてその意味合いから、二十二億という融資金額の中から、できるだけ馬その他の融資資金を乳牛の方に振り向けるという方法によりまして、乳牛の導入希望に応じたい、かように存じておりますが、御承知のように、乳牛の年々生産増加率は数字的に一応の限度があるのであります。その限度がありますものに対して、多額な資金を各方面にばらまくということになりますと、現在においてさえ乳牛が割高であるというような声があるのでありまして、その点につきましては乳牛の不当な価格騰貴というものをも考えなくちやならぬのでありますから、計画的にこれを導入して参ることがぜひとも必要じやないかと考えるのであります。現在は二十二億の中で約半分の十億見当を乳牛導入資金に使つておるのでありますが、今後年々乳牛が相対的に増加して参りますと、それに応じまして年々増加数字も増加して参りますので、その増加数の比率に応じまして融資の金額も増加して参りたい。かように考えているわけであります。

金子與重郎改進党

○金子委員長代理 遠藤三郎君。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 私は、農林大臣がいらつしやいますから、政治につながる重要な問題についてきよう二、三の点をお伺いしまして、法案のこまかいことについてはまた、事務当局から別の機会に伺いたいと思うわけであります。  私ども酪農関係の衆参両院の議員が五、六十人集まつて、いろいろ研究し、議論していたわけでありますが、それらの人々の議論の間にいろいろ出て参りました問題を、ここではつきりさしておきてたいと思うのであります。私はこの酪農振興法全体を見ますと、結論から申し上げてまことになまぬるい、大したものじやないと思いますけれども、とにかく酪農振興の一つの憲法にもなるし、基本的な問題にもなりますので、でき得る限り早くこの委員会を通していただきたい。政府の方もそういう考えでひとつ対処していただきたいということを、まず前提として申し上げておきたいのであります。  第一の問題は、集約酪農地帯を設定する基本的な考え方はどういう考え方であるか。今日酪農界で一番の問題は何かといいますと、牛乳なり乳製品の値段が高い。一般の国民はみな牛乳が飲みたい、バターが食べたい、乳製品がほしいという要望を持つておりますけれども、いかんせん値段が高くて買えない。外国に対する競争力も非常に弱い。日本の乳価は相当高いので、製品として出て行くときには、アメリカその他に対して非常に日本のほうが高くなつてしまう。でありますから牛乳なり乳製品の値段を下げて、しかも農家経済のバランスをとつて行くことが今日の基本的な問題だと思うわけであります。そこで集約酪農の地帯を設定して行くことについては、私どもは、集的な経営をやることによつて経営の能率を上げて行く、経営の合理化をして乳価なり乳製品なりを安くして、対外的な競争力を強め、国内の消費量を拡大して行こう、しかも農家経営というものがちやんとバランスがとれて行くんだ、ここにねらいがなくちやならぬと思うのでありますが、この酪農振興法においては、集約酪農地帯をきめて行くという考え方で牛乳の値段を下げるとか、乳製品の値段を下げるとかいう考え方は一つも現われていない。この点はどうしたことか、大臣にお伺いしておきたいと思うわけであります。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 この法案に、具体的にそういう表現をいたしていないという御指摘はごもつともとは存じますが、どうしても、先ほど来お答えいたしましたように、食生活の現状からいたしまして、また消費者にこたえる上からいたしましても、乳製品をできるだけ安くしなければならない、安くしつつ、しかも飼育農家の経営が安定することを失つてはならない、この二つの面からいたしまして——それではどこに理由があるんだ。それは要するに酪農経営がまだ近代化せられていない、たとえば現在原料の牛乳を集めますにしても、ばらばらにきわめて密度の薄い飼育農家から集めて参る。そこに集乳費につきましても相当の割高な経費が加わつておるということからいたしまして、そこでどうしてもいわゆる集中的な飼育農家をつくりまして、そうすることによりますればおのずから加工の面におきましても、あるいは原料収集の上からいたしましても、非常な経費の低減を来すことは、これはもう当然のことでございますし、集約酪農の方針をとつて参りたいというのも、主としてはお話のような趣意にこたえたいというところに趣旨があることを御了解を願いたい、かように存じます。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 ただいま大臣の仰せのように、一定の地域をきめて、そこに密集的に乳牛を入れてもらいますと、集乳費が非常に安くなる。しかも国家的な強い援助によつて農家が牛を持つて参りますから、農家の生産費の方も下つて来る。そうしましたならば、農家から牛乳を安く買うという建前になる。あるいはまた現状で行くという建前になつて来る。もし安く買うという建前であるとすれば、それだけ工場の方がもうかつて参ります。従つて工場は今まで集乳費に非常にかかつておつたのだけれども、今度は集乳費にかからなくなつて、経営の費用が非常に安くなつて参りますから、消費者に出すときには安く売らせるという考え方がそこに出て来なくちやならぬと思いますが、その点についてはこの法案でどういう用意をしておるかお尋ねしておきたい。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 法律上の用意は別といたしまして、先ほど芳賀さんにもお答えいたしましたように、法律で業者の生産費のコストを調べ上げて公定価格をつくるというようなことをしなくても、私は民主主義社会における相互の監視というもの、しかも公正なる取引を行わしめるということにつきましては、行政当局として責任を持つて参りたいという趣旨でございますから、大体行政措置をもつて御趣意のことを達成し得ると考えているのでございますけれども、今後その点につきましては十分研究いたしたいと思います。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 私は今乳製品なり牛乳なりの価格が下つて行くという問題について質問をしておつたわけでありますけれども、実際問題として、今日四箇所ないし六箇所の集約酪農地帯をつくる。そこは経営が非常に合理化されて乳価も安くなり、乳製品も安くなつて行く。こうなつて参りますと、そこは大いに振興されますけれども、安いものが出て参りますから、他の地帯の酪農というものは火の消えたようになつてしまう、そこで集約酪農地帯が繁栄することによつて、「他の一般酪農地帯が非常な大きな打撃を受けて行く、そういうことになりはせぬかということを心配するものであります。そこで私は、今そういうことをとやかく言つて農林大臣を追究しようなんという考えは一つもないのでありますが、問題は、二つとか四つとかいうような集約酪農地帯だけを考えてやつておつて、そうしてこういう法律でもつて満足しておられると、問題がいろいろ出て参ります。むしろ酪農不振興の結果になつて行く、でありますから、一挙に全国的にこの集約酪農地帯の考え方をぐうつと押して行かないと、それはかえつてマイナスになつて行くおそれがありますから、それについての農林大臣のはつきりした考え方を承つておきたい、それでないと、一方においては非常に生産費の安いものが出て来る、それは特別国家の恩恵によつて集約酪農地帯ができておるから、それはよいのだけれども、その他の方がだんだん枯れて行つてしまう。その他の方が枯れないようなそういう考え方をはつきり持つておられるか、どうしてそういうことをやつておられるか。私ども今度の昭和二十九年度の予算をやるときに、この四箇所の集約酪農地帯の設定の予算を捻出するにも非常な苦心さんたんをした、将来非常に心配になるわけです。けれども、政府としてこういうものを出す以上、全国的にだあつとやつて行くだけの自信と、そうしてはつきりした見通しを持つておらなくちやならないと思うのでありますけれども、その点についての大臣の御決意のほどをひとつ伺つておきたいと思うわけであります。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 私もその点は同様に懸念をいたしておるところでございまして、できるだけすみやかにこの集約地域の指定を終つて、そうしてできるだけ御趣意のようなことにならないように、全国一斉に芽を吹き上げるというような形に、できるだけ急速に、少くとも二、三年のうちにはそれをやらなければいかぬじやないかというような考えでおるわけでございますが、しかしこれはなかなか財政上の関係も伴いますので、さらにひとつ御協力をお願い申し上げたい、私の考えはそういうことでございます。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 そこで私は大臣のお考えもよくわかつたのでありますが、この法案を通すときには、基本的な考え方としてこういうものがあるのだといつて、一応将来の計画を出されて、そうしてこれでもつて押して行くという考え方を、ひとつとつていただきたいということをこの際要望しておきたいのであります。  なお現在やつておる集約酪農地帯におきてましては、主としてジヤージーを入れております。ジヤージーもけつこうでありますけれども、私はこの際一言言つておきたいのでありますけれども、やはりホルスタインというものを忘れてはいけない、ホルスタインの方が非常に影が薄くなつて行くようなことになると、酪農の振興をめちやくちやにしてしまいます。でありますから、あの有畜農家創設特別措置法というものが、この陰に隠れて薄れて行くようなことになつては、これはたいへんな問題でありますから、ホルスタインを忘れないように、ホルスタインをどんどん入れて行くということについては、決して熱意を失わないようにしてやつていただきたいということを、特にこの際つけ加えておきたいのでありますけれども、その点についての大臣の御意見を承つておきたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 私も御趣意と全然同感に存じております。その通りにいたしたいと考えております。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 その次に私は、第八条の関係でありますけれども、資金問題であります。資金問題について一応三条の計画を実施するに必要な経費を出すということになつております。この点についても一つの問題があります。それは何かといいますと、今日酪農界で一番困つておるのは何かといいますと、御承知のように牛乳の生産量が一年間、春と秋と夏と冬とではかわつて来る、そうしてしかも需要量というものは非常にかわつて来る。従つて価格に非常に大きなフラクチユエーシヨンがあるわけであります。大別して四回ぐらいの差が出て来るわけであります。そこで牛乳がどんどんできるときには需要が少い、その間にストツクをしておかなければなりません。これは農業団体がやる場合でも、製酪業者がやる場合でも同じでありますけれども、ストツクが出て参りますと資金の融通がきかなくなつてしまう。そこで勢い生産者の乳価をたたいて行くというような問題が出て来るわけであります。さもないと安く投げ売りをしなければならぬ、こういつた問題が出て来るので、資金問題が、この経営の合理化の問題としては最も大きな問題でありますけれども、そのストツクができた場合に、それをささえて、農家の乳価をたたいて安く売らなくてもよいようにささえることができるような資金の融通の道を考えておかなくちやならぬと思うのでありますけれども、これについてはこの法案のどこを見てもそういうことが出て来ない、これについてどういう見解を持つておられますか。これは畜産局長からひとつ伺つておきたいと思います。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 わが国の酪農に関連いたしまして、わが国の現在までのところにおきてましては、お説の通り夏場は非常に生乳の需要が旺盛である、その反面北海道は別といたしまして、夏場は生乳の生産量は減る、供給は減少いたしまして需要は非常に増大する。ところが冬場になりますれば供給は増加いたしまして消費の方は減退をする、こういうような逆現象にあるのでありまして、その意味合いにおきまして、需給というものが年間季節的にアンバランスであるのであります。従つて当然余乳の問題が起きて参るわけでありますが、これにつきましては、いわゆる乳製品工場をできるだけ増設をするということで、そのために農林金融公庫から酪農施設の特別融資をいたすことに相なつておるわけであります。これは主として農業協同組合既設団体に対しまする融資でありますが、その他いわゆる資本的なものにつきましては、開発銀行等の融資というものが一応考えられるわけであります。ただいまお話の点は、製品をストツクしたときてのお話かと思うのでありますが、これにつきてましては、現在のところ遺憾ながら特別の措置はないのでありますが、御承知のようにこれらにつきてましては、できるだけ外国からのバターその他製品の輸入につきましての措置を加えまして、あまりそうたくさん滞貨するというようなことのないようにいたしたい、かように存じております。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 今のストツク金融問題ですが、これは大きな力を持つておる会社は相当やつて行けると思うのです。農業団体何かがやる場合には、そのストツクでもつてたちまち行き詰まつてしまつて投げ売りをするか、たたいて売るよりほか方法はなくなつてしまう、それが今までの乳価を低落さした一番大きな原因でありますので、これをよくひとつ考えておいていただきたい、こう思うわけであります。  その次に十二条関係の許可施設の問題になるわけでありますが、これは大臣にひとつ伺つておきたいのでありますけれども、集約酪農地帯におきましては、一定の施設は許可をしなければならぬことになつております。この許可をする場合に二つの問題が出て参ります。一つは従来の工場を守るに急で、新たにそこに発生しようという工場を押えてしまう、こういう効果が一つに現われて参ります。もう一つは逆の場合が現われて来る、新たな工場を許可することに急であつて、従来の工場を投げ出してしまつて、そうして資本の二重投資にして混乱さしてしまうような結果も予想されておる、この二つの面からの議論があるのでありますけれども、この十二条の書き方を見て参りますと、どうもこれから発達しようとしておるような新しい力といいますか、そういうものを押えてしまうような効果があるように見えますけれども、一体そういう考え方でありますか。あるいはまた逆に、今までの既設の工場を排撃してしまうというような考え方でおるのでありますか。その基本的な考え方を伺つておきたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 新しい施設といたす場合に、この取扱い方につきましては、非能率な工場が濫立するようなことのないように注意しなければなりません。そうかと申しまして、そこに一定の経営規模というものはおのずからあるわけでございましようが、すでにその地域に優秀な施設があります場合に、新たに増設をする必要があるかどうか、これはおのずからわかることでございましようし、それが非常に非能率な工場施設でありますれば、そこに新たなものをつくつてもらうことはけつこうだと思いますけれども、相当優秀な施設があるにもかかわらず、また新たなものをつくるというようなことは、これは避けた方がよいのではないか。従いまして、この運用につきましては、具体的に個々の場合について慎重な処置をいたして参るようにいたしたいと考えております。

金子與重郎改進党

○金子委員長代理 それでは暫時休憩いたします。     午後一時二分休憩      ————◇—————     午後三時二十七分開議

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員長代理 休憩前に引続き会議を開きます。  酪農振興法案について審査を進めます。足鹿覺君。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 私は質問はあとにいたしまして、本法案の審議に必要と思われます資料を御提示願いたいのであります。次にその要求いたしますものを十ばかり並べますから、その中でこの間いただいた資料によつて尽きておるというものについては御省略願つてけつこうであろうと思います。  一に、知事が酪農振興計画を定める場合の手続に関する省令、  二が集約酪農地域の指定基準に関する政令及び現行の集約酪農地域建設要領、これは政令、省令委任事項でありますが、通覧いたしますと、省令あるいは政令に委任する事項がきわめて多いようであります。私は今申しました点以外に、それらの点で御準備になつておるものは、この際要求いたしておらない点でも、必要と思われるものは御提示を願いたいと思います。特に集約酪農地域の指定基準に関する政令というようなものは、部外にはすでにお出しになつておるのではないかと思う。このかんじんな集約酪農地域の建設要領とでもいうようなものが、資料としてまつ先に御提示になるべき性質のものであるにもかかわらず、御提示にならないということは非常に遺憾に思いますので、これは本日でも持つておいでになられたならばただちに出していただきたい。元来大事な資料というようなものについてはあまりくれないで、こういう印刷にしたような、一般統計に載つておるようなものではわれわれ満足できないのでありまして、そういう点も御留意願つてよろしく願いたいと思います。  三が集約酪農地域の設定計画、どういう所に幾らつくつたか、また今後つくる考えがあるか。現在全国から申請しておるような地域はどういう所であるかというようなことについても、もう少し知らしてもらいたいと思います。  四が、現集約酪農地域の実情に関する資料、現在すでに集約酪農地帯を指定して、導入をされておるようでありますが、その実情が知りたいので、それを少し詳しくお知らせを願いたい。  五が、集約化によつてコストがどういうふうに下つたかというようなことについて、まだ事業を実施して間がないので無理な点もあろうと思いますが、やはり一つの計画としては、集約化によつてコストが下つて行く。それが国際競争力にも耐えられるし、また消費の増大にも実際的に貢献することができるのでありまするので、これは大事だと思います。それをいただきたい。  六が、本法律の施行に伴う予算状況はどういうふうになつておりますか。予算委員会等でもらう資料はきわめて一般的なものでありまして、よく内容がわかりません。ひとつ詳しいものを御提示願いたい。  七が生乳等の取引並びに乳価の実態に関する資料、それから牛乳の取引模範契約というようなものがどこかにあろうと思う。実際おやりになつておるものでもよし、またあなた方がこの法律施行後において、こういうふうな取引の契約をせしめた方がいいというような御研究もあろうかと思います。問題は乳価の適正決定の公正取引が本法案には少し欠けておる面があるのではないか、そういうふうにも考えられまするので、七の資料の御提示をわずらわしたいと思います。  八が、牛乳、乳製品の生産費、酪農家経済等に関する調査機構の実情はどういうふうにしておやりになつておるか。これは先ほど酪農関係資料として御配付になつたものに、生産費、酪農家経済等については一応出ておるようでありますが、どういうふうにしてお調べになつておりますか。独自の調査機構がありますか、あるいは農林統計部を利用しておられますか。その点今後の問題として参考に資したいと思います。  九が、牛乳、乳製品の製造、販売経費に関する資料、聞くところによると、東京では五、六百本も牛乳の小売をすれば、もうけつこうおまんまがいただける、こういうような状況であるように聞いております。私の地方で、このごろ小さなメーカーが出しておるものを見ますと、一般の市価よりも一合びん一本について三円くらい安い。それでもけつこうそれに会つて聞いてみると、引合うと言うんです。乳製品あるいは牛乳の消費を増大する面において、一般勤労者の家計の上に、今の乳価では少し大きく響き過ぎはしないか、そういう点でもう少し中間経費の問題については検討を要する面がありはしないか。そういつた面からあなた方の見られる乳製品の製造並びに販売経費、これは肥料のコストの場合と同じように、正直なものを出せば、さしさわりがあろうかとも思いますが、しかしこれは大事なことでありますので、ぜひ御提示をお願いいたしたい。  十が牛乳、乳製品需給の実情及び今後の見通し、現在の需給状況は過般いただいた資料にはございますが、今後どの程度までにこの需給を進めて行こうとしておるのか。またそれには年次別にはどういうふうにして進めて行こうとするのか。これはこの需給状態がうまくバランスをとつて進まないと、かえつて集団酪農地を設立することによつて、一歩誤れば酪農家の経営を混乱せしめるようなことになりかねまじき点もあろうかと思いますので、そういつた点について、計画あるいは見通し等の資料があつたら、この際お願いしたい。  十一、乳製品輸入の現状及び輸入計画に関する資料、これは先ほども述べましたように、先般の資料に一応は載つておりますが、なお輸入計画というような点については、載つておらないような点もあつたと思いますので、重複しておればよろしゆうございますが、もし重複しておらねばお願いいたしたいと思います。  それから十二が、乳牛の価格の高騰とその対策、これは有畜農家創設のための資金措置が講ぜられ、また各県においても、それぞれ独自の立場から導入対策が講じられておるといえども、乳牛の価格が非常に暴騰いたしまして、かえつて酪農家に大きな負担をかけるというような点が従来しばしば見られます。これは酪農の場合のみならず、他の一般の家畜導入の場合に共通する現象だと思います。この値段の変動の状態を現わす資料、またそれに対する当局の対策いかんという点について、資料をいただきたい。  最後に第十三として、酪農につきまして農業協同組合の育成方針はどういう方針をおとりになつておられますか。それについて国内はもちろんでありますが、外国方面でも参考とすべき事例がありましたならば、御調査の上御提示を願いたい。  以上十三項目であります。書いておりますから、あとで文書によつて提出いたしますが、審議を促進させて行く上におきましても、たいへん大事な点だろうと存じますので、ごめんどうだろうとは思いますが、よろしくお願いいたしたいと思います。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 ただいま御指摘のありました資料要求の点でありますが、これはきわめて重要な資料でありますので、よく検討いたしまして提出いたしたいと思います。ただ中には相当数すでにお配りしております資料もありまするが、一応その点につきましてもさらに検討を加えたいと思つています。一、二、三、四、五はすでに一応お配りいたしております。そのほかの点につきましては、一応お配りいたしておる資料もありまするが、なお考え方と申しまするか、資料のねらつている点に多少のずれもあるようでありますから、そういう点も検討を加えまして、提出できます資料はなるべくすみやかに提出したいと思います。ただ一、二非常に困難じやないかと思われる資料もありますので、その点はあらかじめ御了承願いたいと思います。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 ただいま足鹿委員から資料の提出の要求がありましたが、いずれも基本的な資料だと思います。私も今足鹿さんの要求された資料も若干欲しいと思つたのでありますが、重複を避ける意味でほかの資料をお願いしたいのです。  一つは午前中質問をいたしましたストツク金融をやる場合に、どの程度の金頭の資金が必要であるか、ピークの場合にどの程度になるか、期間と金額、その資料がもしできましたらひとつ出していただきたい。それが第一であります。第二は乳価の変動の趨勢を知りたい。これは足鹿さんの要求された資料の中にもそれは出て来ると思いますが、念のためにもう一度説明しておきますと、契約をして参りますときに、契約変更の時期をどうするかという問題になりますと、この乳価の変動の資料がはつきりないと、契約の変更の時期をきめることができないのであります。契約の有効期間というものがこの乳価の変動に応じてきめられなければならぬと思います。でありますからこの乳価の変動の趨勢というものは、これは月別でいいと思います。何月から何月にこういうふうに上つて、何月に下つて行く、そういう趨勢のわかる資料が欲しいと思います。それからもう一つは牛乳生産者と製酪業者との間に今度書面契約をつくることになるわけでありますが、書面契約をつくる根本的な必要性——一体どこにそういう必要があるのか、こういう議論がわれわれの議員の集まりの中から非常に出ておるわけであります。その必要性がどこにあるかということを資料でもつて説明していただけたら非常にありがたいと思います。こういう不合理な状態がありましたとか、将来はこういう不合理な状態が予想されるとか、そういうことをはつきりさせないと、書面契約というものを強制する根拠がはつきりしないでしようから、書面契約を強制する根拠を説明するような資料があつたら、ひとつ出していただきたい、これが第三点であります。第四は足鹿委員の要求された資料の中に多分出て来ると思うのでございますが、農林大臣が集約酪農地帯を指定する場合に、その指定の基準になるものがあるはずであります。そのときの運動によつて、いろいろな目のこ勘定で指定されたのでは農村の方ではたまらないのであります。従つてこういう指定の基準であるという、だれにでもはつきりわかるような指定基準というものがここできまらなければならぬ。そういう意味でその指定基準はどういう考え方を持つておられるか。法案には一応抽象的なものは出ております。けれどもこれではどういうふうにでも運用ができるように思われますから、それをはつきりさせることが農民を安心させることである。農林大臣が酪農振興を必要とすると認めたときには、こういうふうになつておる。日本農村で酷農振興を必要としないような農村は一つもない。どういう場合にそれを必要と認めるかということはやはり資料が必要ではないか、そして農民に安心を与えたらいいじやないか、こういう意味で以上四つの資料を要求したい。足鹿さんの要求された資料の中で間に合うものがあればそれでけつこうであります。足鹿さんのを拝見しますから重複は避けていただいてけつこうでありますから、どうぞお願いしたいと思います。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員長代理 吉川君。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 畜産局長に対する午前中の質疑に引続きまして、大小の問題が若干ごつちやになるかもしれませんが、いましばらくお尋ねをいたしておきたい点がございます。集約酪農地域は市乳供給地帯として指定されるかどうか。指定されるとすれば、消費地との牛乳輸送距離はトラツクで何時間ぐらいまでが認められる予定であるか、まずその点からお伺いいたします。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 原料乳地帯と申しますか、市乳地帯と申しますか、市乳地帯と原料乳地帯の厳格なる区別はあるいは困難かと思いますが、一応市乳地帯と考えられる地帯と、原料乳地帯と考えられる地帯がありますので、それを一応区別して考えたいと思つておりますが、市乳地帯につきましても、もちろん御意見の通り集約酪農地帯も指定いたすつもりでおります。その場合の考え方といたしまして、市乳地帯を中心といたしまして、その地域に相当乳牛が飼育し得る条件ということを考えまして、大体のところ集乳上一時間ぐらいの間で集荷し得るという距離に二千頭ぐらいのところを最終目標として集団的に飼育できるという地域を指定いたしたい、かように考えております。その中心的な集乳地帯から大都市までの輸送距離は、大体夏場におきます輸送期間が、最大五時間ぐらいの範囲内にある地域、かように一応考えたいと思つております。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 畜産局の経済課から出ております資料によりましても、八ケ岳山麓や浅間山麓の酪農地帯は市乳供給地だと私は思いますが、本法施行後はどのような措置を受けることになるでしようか。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 八ケ岳山麓といたしましては、私どもも一応現在の交通事情と申しますか、それによりましては原料乳地帯と一応判断をいたしおります。ただ将来交通機関が整備されまして、交通網が発達した場合には、あるいはその事情は違つて来るかと思つておりますが、現在のところ一応原料乳地帯であるという判定をいたしております。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 集約酪農地帯にジヤージー種をもつて当てておられますが、ジヤージー種は市乳供給地帯に適するかどうか。また八ケ岳山麓の地帯では、多くの生産者は京浜方面への市乳供給地となることを熱望いたしております。このような場合には、今後どのような措置をおとりになりますか。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 市乳地帯においてジヤージーが成立し得るかどうかという問題でありますが、御承知の通りにジヤージーとホルスタインは、性能におきまして、いろいろ差異があるのでありまして、現在のような取引状態におきまして市乳地帯にジヤージーを導入いたしました場合には、これはなかなか困難ではないかと思うのであります。一応の形態といたしましては、ジヤージーにつきましては、どうしても原料乳地帯に限定をする必要があるんじやなかろうか、かような方針のもとに進んでおります。もちろん今後ジヤージー種によります牛乳の価値というものが広く一般に認められまして、それはそれなりの価格で販売せられるということが確立いたしました場合においては、これはおのずから別だと思いますが、現在の状態ではあるいは困難じやないかと思うのであります。今後の問題といたしまして、ただいまの御意見のように、八ケ岳山麓なりあるいは現在のところちようど市乳県と原料乳県の中間地帯にあるような所におきましては、これは今後の経済の動向によりましていろいろ問題が起きて来ると思うのでありますが、少くとも相当程度が市乳県というような地帯になりましても、あるいは牛乳の余りまする時期——いろいろご承知の通り年間に変動があるのでありまして、全部が全部市乳にまわるとか、あるいは全部原料にまわるというような地帯は少いのであります。その割合がどの程度かという問題だと思うのでありますが、そういう割合が市乳に多くまわつて行くという状態になりました場合におきましても、今後それは急にそういうふうな事情になり得ない、かように思いますので、その場合におきましては、取引の面につきまして、ジヤージーはジヤージーなりの非常な特質があるのでありまして、そういうような特質に応じた取引をして行くということに相なりますれば、必ずしもジヤージーは悲観すべき筋合いのものじやなかろう、かように考えておるわけであります。もろちん農家によりまして、あるいはジヤージーを飼育したい、あるいはホルスタインを飼育したいというような、おのおのの農家によりましての御希望があると思いますが、そこらは現地の実情に即しまして、私どもといたしましては、ジヤージーの好きな地帯にはなるべくジヤージーを、ホルスタインの好きな農家にはなるべくそういうものが間に合うようにやつて行きたいと思います。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 集約酪農地域の指定を受けましたら、どのような法律的な効果を発するか、すなわち経済的にいかなる恩典を受け、いかなる義務を負うことになるか、乳価の値下りの時代に本法はいかなるささえをすることになるか、そういう点について承りたい。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 集約酪農地域として指定いたしました場合には、その地方にできるだけ乳牛を集中的に導入いたしたい、かように存じて指定をいたすのでありますから、たとえばジヤージーにつきましては、これは現在のところ外国産の乳牛がほとんど全部でありますので、これは国といたしまして現在やつております通りに、外国から政府資金をもちましてジヤージーを輸入いたしまして貸付制度をとつて参りたい。第一段階としては、少くともその地域に五千頭くらいを集中的に飼育いたしたいと思つておりますので、生れました子供につきましては、付近の農家に貸付いたしまして、それによりまして、集約酪農地域に、最終目標として五千頭くらいのものにいたしたい、かように存じております。なおその地域につきましては、たとえば牧野改良資金、現在一億三千万円ほどの予算がありますが、草地の改良につきましての施設を集中的に行つて参りたい、かように存じております。なお厩舎、サイロその他酪農施設のための資金につきましては、御承知の通り金融公庫から資金が出ることになつておりますので、できるだけそういう地域に融資できますように措置をいたしたい、かように存じておるのであります。二十九年度におきましてはすでに予算も審議済みでありますので、現在あります予算をできるだけそういう指定いたしました地域に集中的に運用いたしまして、その地帯の酪農振興に資して参りたい、三十年度につきましては、今後相当数そういう地域を指定いたしたいと思つておりますので、その指定された区域につきまして、できることならば別途予算を計上いたしたい、かように存じておるわけであります。  次に義務の面でありますが、私どもといたしましては、特別に指定された農民につきまして義務を課するというような考え方は持つていないのであります。ここにおきましては、一応指定された所につきまして酪農施設をやります場合には、地方長官の承認を得るという制限がありますが、これは飼育農家に対する制限ではなしに、酪農施設に対する地方長官の承認というようなことになるのでありまして、農民にどういう方法で、いかなる金額で売れというような具体的な義務を課する考え方はありませんが、一応指定いたしましたために、その当該地方の酪農振興計画といたしまして、農林大臣が地方長官の持つて参りましたものを許可いたすのでありますから、その当該地方の農民といたしましては、年次別の計画を達成してもらうだけの心構えと、ぜひ達成してもらわなければならぬというようないわゆる道義的な義務と申しますか、そういうような義務は当然あると思うのであります。本法案にも何条でありましたか、どうしても達成することが不可能な場合には農林大臣は取消すということになつておりますので、ぜひ計画の樹立には協力していただきたい、かように存じておるわけであります。  なおできました乳価につきましては、できるだけ行政的な指導を加えまして、適正規模の酪農施設をその当該地域に設定いたしまして、農民の生産いたしました牛乳が売れないようなことがないように、あるいはまた不当な価格で売らなければならぬというような状態がないように指導して参りたい、かように存じておるわけであります。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 乳価の問題等で紛争を生じた場合に、知事のあつせんによつて協定に達しないような場合には、どういうような措置をとることになつておりますか。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 これは御承知のように法文の建前といたしましては、集約酪農地域に指定いたしました所も、そうではない所も、牛乳取引について紛議を生じます場合には、双方の申出によりましてあつせん委員会にかける、こういうようなかつこうになつておるわけであります。その場合に、ただいまのお尋ねの点でありますが、集約酪農地域においてそういうような状態がもし万一起きたといたしますれば、これは非常な問題であると思うのでありまして、政府といたしまして、相当の資金を使つて、特に酪農振興をしたいというような地帯でありますので、決してそういうことがないような強力な措置をとつて参りたい、常時行政的な指導を加えまして、そういうような事態が起らないように措置をして参りたい、かように存じております。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 そういうような場合に対して、中央に仲裁裁定の機構なんかつくるようなお考えはございませんか。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 地方においてまとまらないようなことが万一起きた場合の措置といたしまして、中央に裁定委員あるいはそれを処置する特別の機関をつくる意思はないかというような御意見でありますが、私どもも当初は、中央に酪農振興をする基本的な処理機関といたしまして、何らかの機関をつくつた方がいいじやないか、かように考えておつたのでありまするが、御承知のように行政機構の簡素化と申しまするか、これは現政府の大きなねらいでありまするし、なかなか法律制度の問題といたしまして、そういうようなまた新たな機関をつくるということは非常に困難でもありまするし、かたがた本法は踏み出しの法律であるのでありまして、まず地方におきまして地方長官に実情に即する調停をやらしてみて、その上でなおいろいろ地方に紛議があつてどうしてもまとまらないという事態が起きて来た場合には、またそれなりの考え方によつて措置すれば足りるのじやなかろうかというような考え方、いろいろその点を勘案いたしまして、中央におきまして、特殊の機関をつくるということにつきましては見合したような次第であります。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 午前中遠藤委員も心配をされていた問題でございますが、集約酪農指定地域以外の酪農振興は、これはやることによつてどのようになるかということが、私も非常に疑問にしている点であります。乳牛の導入政策と本法の施行との関係について解明していただきたいと思います。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 指定地域外の酪農をどうするか、こういう問題でありまするが、結論的に申し上げまするならば、指定以外の地域につきましても、その地方地方の実情に即応いたしまして、酪農の振興をはかつて参りたい、かように存じておるわけであります。御承知のように畜産局で畜産振興五箇年計画あるいは十箇年計画を策定いたしたのでありまするが、その場合に、各方面の意向といたしまして、その計画を実行すべき具体的な中身がないではないか、どういうふうな方法によつて本計画を遂行するのだというような点を鋭くつつ込んで参りまして、現在農林省の意見としては、なおまだ審議の過程にあるのでありまするが、私どもといたしましては、いわゆる酪農振興十箇年計画を具体的に実施いたしまする一つの方法といたしまして、乳牛の飼育に最も適しておる、——これは営農条件でありますとか、あるいは草資源の条件でありますとか、あるいは労働条件でありますとか、そういうような条件が最もすぐれておりまして、少々の経済的な変動によりましても、そのために酪農が衰微するというようなことのないような地帯を特に摘出いたしまして、その地方についてそれぞれの実情に合つた強力な特別な指導をして参りたい、かような考えであるわけであります。従つて抽出されたところの地帯につきましては、それなりの特別の指導をいたしたいと思うのでありますが、その他の地方につきましても、先ほども申し上げましたように、大体できるだけ現地の地方地方の実情に即しました指導はやつて参りたい、かように考えております。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 平野政務次官に大臣にかわつて一つだけお尋ねをしておきます。政府は乳牛の大幅輸入のかわりに、国内産増殖の方途を持つているかどうか、持つているとすれば、また持つていなければならないと思いますが、その計画はいかようなものでございますか。

平野三郎自由党農林政務次官

○平野政府委員 この点はもちろん政府といたしましては、できるだけ外国からの輸入を避けて国内産をもつてやつて参りたい、こういう趣旨のもとにあらゆる努力を傾注いたしておるわけでありまして、今回御審議を願いまする本法案もその趣旨に出たものでございます。予算的にはすでに御審議を賜わりましたあの内容をもつて進むわけであります。もちろんこれは十分ではございませんが、これをもつてできるだけ進めて参る、しかしながら急速にその目標を達成するというわけには参らぬわけでございますから、漸進的にその目的達成に進んで行く、こういうことで極力努力をするということで御了承を願いたいと思います。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 政務次官のお言葉でございますが、それだけでは了承ができてないのでございます。あるいは三十年、三十一年度の計画等については、あるいは漸進的とはそういう意味だろうと思いますが、少くとも二十九年度の計画では次官のおつしやるような計画でないと思います。その点は実際仕事を担当しておいでになる局長はどう考えておりますか。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 外国の乳牛を内地に導入いたしまするにつきましては、相当多額のいわゆる外貨がいるのであります。私どもといたしましては、相当多額な外貨を使いまして、しかも海外からこれを輸送いたしますので、輸送その他の面につきましても困難であるのであります。従つてできるだけそういうようなことは避けたいと思うのでありますが、御承知のようにジヤージーというのも内地に飼育いたしてみますと、現在までのところ大体これはりつぱにやつて行けるという見通しでありまするし、またその方の希望も強いのでありますから、一応ただいまやつておりまするジヤージーにつきましては、今後とも継続して参りたい、なお外貨その他輸送等の事情が許しますれば、来年度はさらにこれを増加して参りたい、かように考えておるのであります。しかしながらいずれにいたしましても、外国から輸入いたしますることは、数量から申し上げますれば実に微々たる数量であるのであります。昨年が六百頭で今年が千八百頭でありますので、数量的には全体から見てとるに足らぬ数字であるのであります。従いましてそれよりも内地産のいわゆるホルスタイン種の繁殖をはかつた方がよいんじやないか、こういう御意見はごもつともな御意見であるのであります。これにつきましては、御承知のようにいわゆる家畜保健衛生施設と申しますか、あるいはそういうようないろいろな今までやつておりまする施設の強化をはかつて行きますことがより大切でありますが、そればかりでもなお不十分でありますので、昨年さしあたり空胎防止を強力にやるということで、三百万円見当でありましたか、二十八年度に特別に急速計上して参つたのであります。二十九年度におきましては、乳牛の民間飼育の盛んでありまする北海道ほか七県を特別に指定いたしまして、五百万円ほどの予算を計上いたしまして空胎防止運動をやることに相なつております。初年度でありますので一応七県だけ指定いたしたのでありますが、これは非常に効果のある施設と思いますので、財政当局に強力に要求いたしまして、全国広く空胎防止運動をやつて参りたい、かように存じておるのであります。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 乳牛の人工授精はただいまどのように行われておりますか。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 人工授精の問題でありますが、これは年々人工授精の施設が拡充されて参りまして、現在のところ八割近いものが人工授精ではないか、かように考えておるわけでございます。すでにもう受胎の方法といたしましての天然的なものはほとんど影を没しまして、人工授精が主力を占めておる。これは今後ともさらに強力に推進して参らなければならぬ筋ではないか、かように考えております。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 ただいまの人工授精の施設等につきてまして、政府はどういうような措置をとつておりますか。それから繁殖率はどのくらいか。繁殖成績をあげることによつて乳牛の輸入を減少し、そのかわりに飼料を輸入したらどうか。酪農の基礎を確立するには、乳牛の輸入を減少して、そのかわりに私は飼料を輸入することでなければならないと思いますが、これについては政務次官はどういうようにお考えでありますか。ただいまの問題の前半については、局長にお答えを願いたい。あとの問題は政策の問題でございますから、政務次官からお答えを願います。

平野三郎自由党農林政務次官

○平野政府委員 飼料につきましても、できる限り国内においてまかなうようにいたしたいという考えは持つておりますけれども、御承知の通り現在のところではこの点が不十分でございますので、すでに先般御審議を賜わりました飼料需給安定法等の発動によりまして、相当程度のものを輸入して、これに備えておるわけでございます。今後も政府としては、畜産の振興は何としても飼料の確保にあるという立場から、必要なものは食管特別会計を通じまして、輸入を確保して、そしてこれの遺憾なきを期したい、かように考えておるわけでございます。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 乳牛の繁殖率の問題でございますが、これは農林畜産局といたしまして、一応の公定版と申しますか、大体こういう条件の場合には乳牛はこういうふうに増加するのだというような一応の公定版があるのでございます。もちろんこれは経済的条件を無視しての話であるのであります。経済上の事情で殺処分をしますとか、あるいは他に売ると申しますか、そういうような乳価が割合安くて、えさ条件が高い場合には、農家がだれも飼育しませんものですから、そういう場合にはぐつと減る、こういうような勘定になりますが、経済的な条件が完備いたしております場合の繁殖率は、大体七〇%近いものじやないか、もちろんこれは製品についての問題でございます。つまり繁殖状態にある乳牛の数に対します率でありますが、これは大体七〇%見当でございます。しかしこれはそのときどきの酪農の状態が、経済的に見てどういうような状態にあるか、たとえて申しますと、非常に小牛の値段が高い、あるいは親牛の値段が割高であるという場合には、ほとんどフルに利用される率になつて参ると思いますが、逆条件におきます場合には、これは逆な方向になつて来ると思うのであります。なおこれはお尋ねであつたかどうかと思いますが、人工授精の問題につきましては、大体二回半近くが、平均数字ではないかと考えております。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 政府が今回酪農振興法によつて畜産振興をやろうという計画があると聞いただけで、飼料は相当に値上りをいたしております。私は政務次官に対して、乳牛を外国から輸入するのでなくて、そのかわりに飼料を輸入したらどうかということを言つておるのですが、なるべく自給飼料で行く、その他の問題については飼料需給安定法で調整がとれるのだとおつしやいました。そこで次官はただいまの飼料需給安定法で、今後の酪農振興に対して十分調整がとれるという確信を持つておいででございますか、念のために伺います。

平野三郎自由党農林政務次官

○平野政府委員 飼料需給安定法に基きまして飼料需給安定審議会というものをつくつていただいておるわけでありますが、この審議会におきまして、政府の計画いたしておりまする家畜導入計画と見合うような計画を定めて、それに基いて輸入をはかつておるわけでございます。従つてその点におきましては、大体遺憾なく御期待に沿い得るようにやつて参ることができると考えておるわけでございますが、詳細な数字等につきましては政府委員からお答えを申し上げます。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 私はジヤージーの輸入もけつこうでございますが、ホルスタイン、ジヤージーに限らず、国内で繁殖の増強をやるというような施策を、今後強くとつていただきたいということを要望をいたしておきます。同時にただいまの飼料需給安定法でも非常に不完全な面がありますので、こういう点についても政府においてはとくと御留意を願いたい。特にこの問題に御熱心な平野政務次官に要望をいたしておきます。  乳価安定の方策は、先ほど足鹿委員からもいろいろの資料を要求されておりましたが、この問題は特に本法案審議についての重要な課題になつているわけでございますので、私はその安定の方策について、ただいま政府の考えている限りをひとつここで御解明願いたいと思います。酪農振興法で乳価保証の方途を講ずべきではないかと私は思いますが、その点がはつきりいたしませんので、特にこの際詳細に御説明を願いたいと思います。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 酪農を経営いたします場合に、乳価がどういうふうに決定されるかということは一番大きな問題じやないかと思うのであります。この点について大きな施策と申しますか、その方法といたしましては、日本の酪農を全体的に維持いたして参りますために、競争的な立場にあります外国製品の輸入について数量なりあるいは税率等に特別の考え方を持ち、いやしくも日本の酪農を阻害するような輸入あるいはその方法については特に慎重に扱つて参りたい、かように考えておるのであります。個々の問題といたしましては飼育いたしております農家が、できるだけ共同的な販売をする、つまり農業協同組合等の活用による共同出荷と申しますか、共同的に販売をいたすことによりまして、いわゆる資本家と申しますか、酪農製造業者との間に不利な取引状態になることがないようにして参りたい、かように考えておるのでございます。本法におきましても、一応その取引の状態につきましては、文書化契約を結ばせることにいたしまして、なお契約といたしまして不合理な点がある場合には地方長官をしてそれに介入せしめ、また紛争を生じます場合におきましては、いわゆるあつせん委員の制度を設けまして、合理的な乳価に決定されるように特別の措置をして参りたい、かように考えたわけでございます。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 本法によつて政府がいろいろとめんどうを見、適正規模をもつて合理化をやつて参ります。そうして乳価の安定もはかつて行こう、またコストも下げて行こうということになつて参りますと、勢いこれが今までよくあります弱いところにしわ寄せになることが心配されるのでございます。そこでコストを下げるにはどういうふうにするかということが、どうもはつきりしておりません。その点とそれからコストを引下げることによつてどこかに犠牲が出て来ると思うのでございますが、それは国が犠牲を覚悟されるのか、それともどこかにしよわせるのか、その辺の考え方をもう少し具体的にお答えを願いたい。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 最終の目標といたしましては、一つには農家経営の安定をはかつて参りますのと、もう一つには豊富低廉と申しますか、できるだけ安い値段で消費者の手に入るようにいたしたい、この二つが最終の目標じやないかと思うのでございます。そのために各段階におきましてコストを切り下げて参る、こういうことがぜひ必要じやないかと思うのでございますが、まず生産過程におきてましては、できるだけ自家労働力をもつて乳牛を飼育することが第一の要件ではないかと思うのでございます。第二の要件といたしましては、自給飼料をもつてこれを飼育して参る。御承知の通りわが国は食糧のみならず飼料も非常に不足でありますので、飼料需給安定法を中心といたしまして、外国から三十万トン近い飼料を輸入いたしておるのであります。遠い国から輸入いたしますので、もちろん国内との相対的な比較におきてましては割安であるのでありますが、そういう外国からえさを輸入して、それによつて乳牛を飼育するということを酪農の経常的な状態として考えてみます場合には、どうしても生産費というか、牛乳の生産工程において非常に不利な条件にあるということを言わざるを得ないのでございます。特に都市周辺の乳牛等につきましては、七割ないし八割というものが、いわゆる購入飼料によつている、こういうような状態でありますと、どうしても生産工程において生産費が非常に高くつく、こういうような事情にありますので、少くとも八割見当は自給しよう、特に自給飼料のうちでも生産費の安いと申しますか、蛋白質の非常に濃厚な草をもつて飼料にかえる、こういうことでなければ、生産工程における第一段階としての生産費が下らない、こういうことに相なると思うのでございます。本法におきましては、まずその第一の段階におきます生産費の引下げというか、できるだけ安い飼料で乳牛を成育して行く、こういうような関係で乳牛飼育を考えておるのであります。  第二段階といたしまして取引の問題でありますが、これにつきましては生産者と、集乳業者というか酪農業者というか、その間におきます取引が、不当に農民側に価格面のしわ寄せが寄つて来ないように、あつせん制度というか、地方長官の介入制度というか、もちろんこういう方法で完全に目的を達成し得るとは考えておりませんが、そういう意味で非常に弱いという御批判もあると思いますが、第一段階としてこういうような措置によりまして、取引において農民だけにしわ寄せするということのないようにいたして参りたい、かように存じております。もちろんその最終の末端過程におきまする配給につきましては、牛乳全体が相当大量的に取扱われるということになると、おのずから個々の段階におきまする単価としての経費というものは下つて来ざるを得ないということも当然考えられますので、まず第一段階における合理化ということを中心として考えておるわけであります。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 今局長のおつしやる八割見当は自給飼料で行きたいというのは非常によくわかるのでございますが、酪農問題でまず生産農民の行き当る問題は、飼料の問題であります。それに対して農林省は、草資源の問題を非常に重く取上げておられることは私非常にけつこうだと思いますが、具体的に申して、草資源対策というものはどんなものでございますか。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 草資源の問題につきましては、大体これを大きく二つにわけることができるのではないかと考えるのであります。一つはいわゆる牧野その他の草地の改良の問題でありまして、牧野の改良を中心といたしました草資源の開発の問題でありまするが、これはいわゆる牧野改良でありまして、高度集約牧野以下、その草資源の状態状態におきまして改良して参るという構想のもとに、草資源の造成改良費といたしまして、二十九年度予算に一億三千万円ほどの経費を計上いたしております。もう一つは、いわゆる自給飼料といたしまして栽培飼料ということになるのでありますが、耕地の裏作なり、間作なり、あるいは畦畔なりに栽培飼料を造成する、こういう経費が二十九年度予算に三千四百万円ほど計上しております。これは両方強力に推進して参らなければならぬ、かように考えておりまするが、従来とも草資源の開発につきましては、農林省といたしましていろいろ施策して参つたのでありますが、なかなかその進捗度合いと申しますか、実効があがらないような点がありますので、二十九年夏から新たに国で牧野改良の機械と人的施設を設けまして、国自身が国の機械力をもつて改良して参る、こういう構想のもとにいわゆる牧野改良センターというものをつくるということになりまして、四千六百万円ほどの経費を計上しております。現在十五牧場がありますが、その中で四牧場を選定いたしまして、試験的な試みといたしまして、周囲の牧野、これは全部民間牧野でありますが、その牧野の改良をはかつて参りたい、かように存じておるわけであります。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 都会地における牛乳の価格を引下げるために、政府はどんな対策を持つておいでになりますか。小売対策をすみやかに確立して乳価の大幅の引下げをはかるべきであると思いますが、どのような対策を持つておいでになりますか。ただいま東京都内で大分牛乳が余つているようであります。現段階においてもかくのごとき状況が現われているということでは、今後酪農を振興して参りますと、生産過剰でたいへんなことになる。もう少し消費の面を広めて行くためには、もつと価格の引下げをやらなければならないのです。ところが一向に下らない。少くとも都会地における牛乳の価格の引下げ、この問題については、よほどはつきりした対策をお持ちのはずでございますが、その点をお聞かせ願いたい。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 最終末端におきます価格を引下げますことが、お説の通り終局的な目的であるのであります。その意味合いによりまして、小売段階における合理化ということがぜひ必要じやないかと思うのでありますが、この点は実際問題といたしましては非常に困難な問題であります。私どもといたしまして、できてるだけ共同的な購買と申しますか、学校なり工場なり、あるいは各種官庁なり、そういうようなところへできるだけ共同購買をするということになりますと、これは配給段階が抜けますので、非常に安い価格で現実に手に入る、こういう問題になつて来るかと思うのであります。ただ個々の消費者の家庭に配給されております牛乳につきましては、その間の施策を実はどういうふうに持つて行つたらいいか、これは今後大いに研究を要する問題であると思うのでありますが、いずれにいたしましても、牛乳を相当多く生産いたしまして、少しでも大量的な取引になつて参りますと、小売行程等におきましても、その間の一本当りの手数料と申しますか、その点は引下げてよろしいというかつこうになつて参る、かように考えておるのであります。つまり相当多量に一小売業者が数量を取扱うというような方向に持つて参りたい、かように考えておるわけであります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員長代理 遠藤君。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 ただいまの吉川委員の質問に関連する問題から入つて行きたいと思うのであります。午前中農林大臣との間に質疑応答を重ねて参つたのでありますが、私の申し上げたのは、集約酪農地帯というものを四箇所なり六箇所なりつくつて行く、そうするとその地帯の生産費はずつと下つて行く。ところがそれ以外の一般の酪農地帯というものは、非常に高い牛を買わされて、生産費が非常に高くかかつておる。おかげでその集約酪農地帯のあおりを食つて、非常に困難な状況に追い込まれるのではないか、従つて集約酪農地帯というものは、四つや五つでもつてお終いにすべきものではなくして、始めた以上全国的にやらないと、酪農振興法がむしろ酪農不振興法になつてしまつて、酪農界に大混乱を来すような結果になりはせぬかということをおそれて、それに対する農林大臣の御決意を伺つておつたのであります。農林大臣はそれに対して、強力にこれを進めて行きたいと言つておられました。一応了承いたしますけれども、ただいまの吉川委員の質問の問題はやはり基本に触れております。これはただ聞き流すわけには行かぬような問題であります。それはなぜかといいますと、今日、毎年の乳価の変動を見ておりますと、冬分の牛乳の生産が多い、しかも需要が少い、牛乳の生産が多くて需要が少いときには乳価はずつと下つて行く。夏分になると上つて行く。その差はわずかに三割程度でありまして、これは先ほど足鹿委員の要求された資料が出て来るとはつきりわかると思うのでありますけれども、二割か三割の需給関係のアンバランスができて参りますと、牛乳の値段はたちまち下つて来る。そうしてまた少し足りなくなつて来るとたちまち上つて来る、こういうような非常に脆弱な基盤の上に酪農というものが成り立つておるわけであります。そこでこういう集約酪農地帯のようなものを、全国的にこのままの状態でもつてずつと進めて参りますと、過剰生産になりはせぬか、百五十箇所くらい今要望が出ておるそうでありますけれども、おそらく五十箇所もやり、多くて百箇所もやつておる間に、もう過剰生産になつてしまう。そしてそのあおりを食うのはだれかというと、一般の酪農地帯があおりを食つてしまう。私ども昭和の初めごろから酪農問題をやつて来たのでありますが、今の農林当局の諸君は、世界農業恐慌のあの当時の苦しさを経験しておられないから無理もないと思いますけれども、あの当時の状況はどうであつたかといいますと、酪農はもう火が消えたようであつた。価格の暴落のしわ寄せがことごとくあそこへ来てしまつた。一番弱い産業でありますから当然であります。そういう苦い経験をなめておる。そして小さな資本で製酪農場を経営しておつたものはみんなつぶれてしまつた。農村はもうみんなさんたんたる目にあつて来た。そういう苦い経験をなめておるものから言いますと、戦争中ないし戦後の食糧の不足なときに、ただ何でもむぞうさに増産をすればいいんだというような考えで、増産をすればするほどやはり値段も高いし、どんどん売れて行くというような、そういう特殊条件のもとに温存されて来たような酪農というようなものが、今やまつたく新しい条件のもとに、自由経済の中に突入しようとしておる。もう先のことを考える農民は、私たちはどうなるだろうかということを非常に心配しておる。しかもその根本についての施策というものが、この酪農振興法に伴つておらないのじやないかという気がするわけであります。そこで酪農振興法を推進いたしまして、相当の地帯が集約酪農地帯に指定されて、乳牛の増産がどんどん行われて行くとか、国内の増産はもちろんのこと、海外からもどんどん入つて来る、そういう状態が出て参りますと、たちまち酪農農民の首を締め上げてしまうような結果になつて行くのじやないか、この点を非常に恐れるものであります。現に二、三割程度の牛乳の増産、需給のアンバランスによつて、値段が上つたり下つたりしております。でありますから、これをやる前には、農民を締め上げてしまわないようなはつきりした見通しを持ち、はつきりした施策を持つて行かなければ、あぶなくてしようがない。少し自由経済というものについての経済的な動きというものについて、甘くものを見過ぎておりはしないか、こういうことを私は考えるのでありますけれども、これについて、これは畜産局長でも政務次官でもけつこうですから、お答え願いたい。

平野三郎自由党農林政務次官

○平野政府委員 この集約酪農地区の指定が僅小であつて、全国的に行わないから、この指定に入らないところの他の酪農地区がしわ寄せをされ、圧迫をされるということはまことにその通りでありまして、お説に従いまして、政府としては、全国的に大々的にこれを進めて参りたいという希望を持つておるわけであります。本年は緊縮予算の関係上、四箇所を指定したにすぎませんけれども、幸いにして本法案が御審議の結果成立いたしますならば、来年度におきてましては大々的にこれを推し進めて、全国的に酪農の一大振興をはかりたいということを期しておるわけでございます。またその結果、かえつて乳価の暴落を来して、まあ日本の畜産農業のパニツクのような現象が起るのではないかということは、これまた多年畜産行政を担当せられ、また現に斯界の最高権威者であらせられる遠藤委員の御指摘の通りで、この点十分考えなければならぬと思つております。これは根本的には日本の食糧問題につながるわけでありまして、食生活を根本的に改善をして、もつて米一本やりの日本の食糧生活を多面的に改めて行くということが必要であるわけでございます。要するにこの畜産品を豊富に国民が利用するという習慣をつくり、またその規模を拡大するということが必要であるわけであります。この意味から、政府は本年度から食生活改善の一大運動を展開するべく、今諸般の施策を進めておるわけであります。これは都市のみならず、農村においても行わなければならぬわけでございまして、本年は人員の縮小をはかるという方針をとつておるにかかわりませず、特にこの農家の食生活改善普及のためには、生活指導員のごときもこれを大幅に増員をいたしまして、農家においてどんどん牛乳を飲むように指導する、また都市におきてましても、厚生省と連絡をとりまして、一大畜産品の活用をはかるように進めて参りたい、かように考えておるわけであります。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 ただいまの政務次官の答弁一応私は了承いたします。私は政府当局を別にいじめようとか、弱いところをつこうとかいう考えは一つもあるわけではないのです。けれども問題はそこにあるのだ。そうしてしかもそれをほうかむりをして行くとえらいことになつてしまう。もうおそらく農民は泣き出してしまうだろう、その泣き出す時期が、三年ないし五年の先に見えるような気がする。この法律を出して行く以上、政府はそれについてこういう手を打つて行こうというような片鱗でも示していただくと、農民は安心するだろう、安心ができないにしても、政府の熱意をうかがうことができるだろうと思います。もちろん今私はその答弁を求めようとはしませんが、その点はひとつよく考えていただいて、そうしてむやみにふろしきを広げてしまつて、たちまちそのふろしきを農民に、弱い者にしよわしてしまうようなことをしないようにしてもらいたい。それだけ責任を持つてひとつやつていただきたい、そのことを特に強調しておきます。別に答弁はいりません。これは簡単に、こうしますと言える問題でないことはよく知つておる。けれどもそれに対して熱意を持つて、農民に迷惑をかけないということをしつかりと腹の中に入れて、そうしてこういうことをやりますということの片鱗でも示していただきたい。いつでもけつこうですから、適当な機会にお願いいたします。  それから今度は第十二条に関連する問題についてお尋ねしておきたいのでありますが、「集約酪農地域の区域内において、集乳事業施設又は乳業施設で政令で定めるものを新たに設置しようとする者は、省令で定める手続に従い、都道府県知事の承認を受けなければならない。」こういうことになつている。これはどういう程度のものを言うのであるか。たとえば集乳施設の中には、小屋があつてそこへ牛乳カンを持つて来て、そうしてそれをトラツクでずつと運ぶ、それも集乳施設であるか。そういうものまで集乳施設であるとするならば、非常にめんどくさくて、これはもう農民はかなわないのです。そんなことをされると、役人は筆を走らせればいいかもしれませんけれども、農民の方ではえらい迷惑してしまう。どの程度のものを考えておられるか、きめておるならばここでひとつ御発表願いたい。     〔芳賀委員長代理退席、委員長着席〕

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 第十二条の集乳施設の問題でありますが、これはすでに御配付申し上げてあります資料の別紙2として、一応政令で定める施設の基準を書いておきましたが、左の各号の一の設備を有する集乳所として、冷却機械、クリーム分離機、濃縮機、こういうようなものを一応備えまして集乳事業をやつておるような施設につきまして、地方長官の承認を要する、こういうようなかつこうになつております。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 そうしますとこういう問題が出て参ります。集約酪農地帯と称して数箇村ないし十箇村程度のものを指定する、その指定された村の中にある施設については許可を受けなければならぬけれども、その村の外に施設があつて、その村から牛乳を集めておるというのがある。いわゆる地域の中には許可を要する施設はないけれども、かなり遠くの方からトラツクでやつて来て牛乳カンを集めて運んで行くというのが普通であります。現に問題になつておる私どもの方の地帯でもそういう業者がありまして、そうしてそれらの人たちは、もう集約酪農地帯へ自由に入つて行つて牛乳を集めて行く。これを一体どう扱う考えでありますか、お尋ねしておきたいと思います。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 集約酪農地帯におきまして酪農施設をやる場合においては、知事の承認を要することになつておりますが、その場合知事の承認は、その区域内に施設を設ける場合に限定をされております。これは一応常識的と申しますか、経済的に申し上げますれば、その区域の中に施設を設ける場合に限つておりますので、その区域を一歩踏みはずしたと申しますか、区域の外に出た場合には許可はいらないことになりますが、そういうことは経済の実態にはなはだしくそぐわないのではないか、こういうことはもう当然でありますが、一応法律のわくとして規定いたします場合には、区域を限定せざるを得ないわけであります。これは立法技術上そういうことにならざるを得ないのであります。従つていわゆる抜けがあると申しますか、それを踏みはずしてできた集乳施設については何ら取締りのしようがない、一応形式上はこういうことも成立つわけであります。しかしながら国がそういうような特定の地域を指定し、そこに各般の酪農振興に必要なる草資源なりあるいは厩舎でありますとか、そういう施設を集中的に導入して参りたい、かように考えておりますので、もちろんその地方の乳牛を飼う農民の方につきましては、共同して合理的な酪農を経営して行こうという当然の気持というか、そういう点があつて初めて有終の美をなすのではなかろうかと思うのであります。元来、特別にそういうものについて地方長官の承認を受けるといたしましたのは、弱小な工場が濫立いたしまして、あるいは一時は高い乳価で購入するような工場がありましても、そういうような不合理な濫立工場があります場合には、農民の利益は終局的には当然保護せられないのであります。合理的な酪農工場というものがあり、それに農民が共同してがつちり結びつきまして初めて、その地域における酪農が終局的に進展することに相なると思うのでありまして、それは形式論的に申し上げますれば、ただいまのようないわゆる落ちと申しますか、抜けがあるのでありまするが、そこは農民意識の向上と申しまするか、私どもといたしまして強力に行政指導をすることによりまして、そういう法律上の抜けというものは補つて参りたい、かように考えております。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 ただいまの問題は、私はこういう問題を心配するのであります。それは従来小さな集乳業者が何人かあつて、その地帯から乳牛をひつぱつて来て集乳の協力もしておる。そういうものがたくさんあるんです。静岡の例で言いますと、富士町の集乳業者がその集約酪農地帯から乳牛をひつぱつて来て売つておる。それから富士宮の集乳業者がやはりそういうことをやつておる。それは集約酪農地帯の外なんです。そういうものを全部はね出してしまうと、これは集乳といいますか、牛乳の配給機構といいますか、現状に異変を来す。一体それはどういうお考えであるか。ただいまの畜産局長の説明だと、これは非常に大問題になつてしまうと思いまするけれども、そこはどういうふうな扱いをするおつもりでありますか。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 酪農施設のうちの市乳処理施設の問題でありまするが、一日の処理能力二石程度以下の小規模な市乳処理施設は、本法に言ういわゆる酪農施設から除外いたしたい、かように存じております。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 そうしますと、これは製酪の用に供するために、もう少し遠い方からトラツクで運んでいるのがあるんです。そういうものも現状は承認されて行くということになりまするか。それともあなたの言う指導でもつて、そつちへ出さないようにして、中の工場に集中してしまう、こういうことになりますか、その点をもう一度はつきりしていただきたい。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 集約酪農地域につきまして、これは現在あるところを指定いたすのでありまするから、現在ある状態のままできるだけ尊重して参りたい、かように考えております。今後新しくできるものにつきてましては、もちろんただいま申し上げましたように、市乳処理施設といたしましては、一日わずかな数量しか得られないようなものにつきましては、承認はいらないという除外を設けたいと思うのでありまするが、トラツク等でずつと集荷して参るというようなことにつきましても、これはできるだけ農業者の団体でありまする農業協同組合が共同して販売をするということが、どうしても必要じやないかと思うのでありまして、そういうような点につきてましては、その地方地方の実態に即しまして、いわゆる抜け売りとかいうようなものがないように持つて参りたい。しかしながら現在の状態につきましては、できるだけ既存の状態というものは急速にくずさないようにした方がいいのではないか、かように考えております。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 その点は私はこう思うわけであります。集約酪農地帯がだんだん進んで、牛乳の量がどんどんふえて行つた場合には、ふえたものについては一定の理想でやつてもいいけれども、現在ある集乳業者をつぶしてしまつたりすることは、これはちよつと目の先を考えると、農民のために利益のように見えますけれども、実はそれは非常な異変を来す。ですからそこは現状を承認して行く。さもないと一方においては商権を取上げてしまうというような問題が起きて来る。そこは無理をしないで現状は承認して行くというような考え方でないと、これは非常に大きな誤りを犯すと思いますので、その点をひとつ申し上げておきます。  なおこれは私はざつくばらんに申し上げたいのでありますけれども、私どもも酪農問題についてずつとやつて参りまして、にがい経験をなめたのは、農民の諸君が少し集まると、すぐ製酪の工場なんかをつくりたがる。イデオロギーはまさにりつぱであります。われわれも若いころみんなそれに賛成したけれども、そういうものはどうかというと、少し経済の変動があると、たちまちつぶれてしまう。そのさんたんたる目にあつている者がたくさんあります。そうして大きな資本がそれを併合して行つたものが、酪農資本の集中をして行つた一つの歴史を明らかに物語つておるわけです。そこで集約酪農地帯でもつて工場などをつくられる場合には、将来の見通しをはつきりつけて、どういう状態が来ても大丈夫だという自信がないのに、ただイデオロギーだけでやると、非常に大きなあやまちを犯すので、そのイデオロギーだけでやることに対して十分慎重にやつていただきたい。そうして資本の二重投資をしたりするようなことはしないで、あくまで集約酪農地帯の目的が乳製品を下げて行くということにあるのでありますから、その与えられた工場を持つている製酪業者にもうけさせる必要は何もない。従つてそれを規制して行くことは当然やるべきことでありますけれども、だからといつて、いきなり力もない、また能力もない農民をおだてて、そうしてひいきの引倒しをせぬようなことを考えていただきたい。やるのだつたら、農民の全体の組織でやつて行く。そうしてどういう状態が来ても、つぶれもしなければ微動だもしないというような自信を持つまでそれは慎重にやつて行くべきだ。ちよつと聞いたのでありますけれども、これは事実かどうか知りませんけれども、長野県で始めたのは、今までの工場なんかを全部廃業してしまつて、そうして農民の団体で何かつくることになつたとかいうようなことを聞きました。これはうそかほんとうか知りませんが、そういうことをあわててやられると、これは生兵法でもつて、農民のひいきの引倒しになつて、とんでもないものになつて来る。そのことを私は心配するので、それについて局長の御意見を一応伺つて、十分御留意を願いたいことを申し上げておきたいと思う。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 いわゆる弱小の工場が濫立すると申しまするか、少しばかり乳牛がそこに集まりますと、すぐ工場をつくるというような話になる、それが一朝経済の変動にあう場合には、経営困難で、どうしても身売りしなくちやならない、それが過去何箇年か繰返された歴史である。こういう御意見でありまするが、まさにその通りと思うのであります。これがいわゆる日本の酪農が進展と衰微というものを織りまぜて今日まで参つておる大きな問題であるのでありまするが、この点につきましては私どもといたしましても、十分過去の経験を生かして参りまして、今後はそういうことのないように、特に集約酪農地域に指定しました地域につきてましては、そういうことのないように行政的な指導をして参りたい。実は本法のねらいもそこに一つの大きなねらいがあるのであります。農民の飼育いたしまする乳牛の集約の度合いと、工場の度合いというものをよくマツチさせまして、いたずらに理想に走るような形態で工場を設置するというようなことがないように、また特にそれが地域的に濫立することのないように措置を講じて参りたい、かように考えておるわけであります。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 私はその次に第十六条、第十七条の契約の面についてお尋ねしておきてたいのでありますが、これはこういう角度からものを見たいと思うわけであります。なるほど契約を文書化して行くことはいいことだと思う。いいことだと思いますけれども、その反面においては非常に弊害の面も出て参ります。それはなぜかといいますと、契約が公に認められた文書化されておりますと、その契約の改訂が非常に困難になつて参ります。その結果はどういうことが現われて来るかといいますと、牛乳の値段がどんどん上つて行くときには、なかなか契約の改訂はできないのでありますから、市場の方の価格がどんどん上つて行くけれども、農家から牛乳を買う価格はなかなか上げられない。そのときの犠牲は農民が負わされます。これはどう強弁しても避けることができない。その逆に今度は乳価が下つて行く場合には、一般市場の価格というものはそれよりさらに下つてしまう。けれども契約が文書化されておりますから、なかなかその契約を更新することはできない。下つては来ておるけれども、農家から買う牛乳の値段を下げることはなかなかできない。そういうような場合には、農民に利益になるが、工場の方に非常に不利益になつて来る、こういうことで力の関係で利益あるいは不利益の配分が、事実ある経済現象よりも非常にゆがめられて現われて来ると思いますけれども、この点についての局長の見方を伺つておきたいと思います。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 現在牛乳の取引につきましては、御承知のように工場あるいは農民団体と申しますか、農業協同組合なり、それらの取引につきまして、いろいろ不明瞭と申しますか、なかなかはつきりしない面が相当多いのであります。そういう点をできるだけ除去いたしますように、はつきりした文書契約で結ばして公正な取引をして参りたいと思うのであります。ただその場合に、御指摘のように一応文書契約をいたします場合には、取引の価格なりあるいは条件なりについて固定化するのではないかという問題がありますが、この点につきましては、御承知の通り季節的な変動というものをある程度織り込みました長期契約ということが必要ではなかろうか。もちろん随時かわるような条件では、契約自体といたしまして乳牛を飼育する農民にとりましても、あるいはそれを集荷いたしまして製品にする業者にとりましても、これは目安が立たないということに相なろうかと思うのであります。その点は程度の問題ではないかと思いますが、もちろん一年間一本契約という点も無理でありましようし、また毎月かわつて行くというふうに、生産業者にとつても、製造業者にとりましても目安の立たないような変動というものも、実情に即しないと思うのでありまして、過去の長い間の取引の実情と申しますか、価格の変動と申しますか、そういうようなものも相当織り込んだ長期的な契約、これは地方地方によりましてある程度事情が違うかとも思いまするが、その間の事情を勘案いたしまして、農家も一応飼育の目算が立ち、製造業者の方もそれならやつて行けるというような両方の妥結点と申しますか、そういう両方とも目算の立つような見当のもとに指導して参りたい、かように考えております。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 局長がおつしやることはよくわかりますが、乳価の大きな変動のカーブを見ますと、春夏秋冬で大体四期にわかれておりますので、大体三箇月くらいを基準にして契約の更新ができるような仕組みになつて行かないと実情に合わないようなことになつて来ます。そこでそういうふうに相当長期を見込んでやつて行くということになれば、経済界の動きに対して、実際の実情に沿わないような契約ができるおそれがある。力の関係で弱い方が圧迫されるおそれがある。従つて相当機動的な措置ができてるような契約をつくつて行かないと、これは間違いではないか、こう思うわけであります。特に心配するのは、一面においてこういう議論が出ておる。この契約をなぜしいなければならないのか、契約をしなければならないような実際の実情があるのかどうなのか、この契約をしたためになかなか変更できない、契約の締結にも非常に手数がかかる、従つて三箇月目くらいにまた争いが出て行く。平地に波瀾を描くようなことで、農村が年中契約の争いでもつてわいわいしているような結果になりはせんかということをおそれるものでありますけれども、そういう議論が非常にたくさんあるわけでありますが、その点についてはどういう対策を講じ、どういう考え方を持つておるか、畜産局長のお答えを願いたいと思います。

大坪藤市農林事務官(畜産局長)

○大坪政府委員 先ほども申し上げました通りに、生産者の側にもあるいは製造業者の側にも、ある程度長期であるが、それも年間一本化というような考え方でなしに、あるいは年に二回にいたしまするか、ただいまの御意見のように四回にいたしまするか、その点は今後検討を要すべき問題ではないかと思うのであります。  契約の問題につきましては、いずれ模範契約例と申しますか、そういうようなものも出して行政的な指導をして参りたい、かように考えまして、各地の実情を詳細に調査をいたしておるのであります。それによりまして、大体こういう地帯においてはこういうような契約がよかろうというような模範契約例でも出すことといたしまして、その間の取引契約がスムーズに参るような措置をとつて参りたい、かように存じておるわけでありますが、この問題につきてましては、ただいまのような御意見もありまするので、十分ひとつ研究して参りたいと考えます。

遠藤三郎自由党

○遠藤委員 私は契約を結ぶことは非常にけつこうだと思いますけれども、行政的な措置を誤りますと農村へ平地に波瀾を描くような結果になる。年中契約のけんかでもつて、牛乳をしぼることを忘れて、けんかばかりやるような結果になりはせぬか。そこはよほど慎重にひとつ考えていただきたい。どういうふうにしたらいいかということを私今ここで詳しく追究しようとも思いませんが、この酪農振興法としてはこの点は非常に大事な問題でありますから、よくひとつ研究をしていただいて、抜かりのないようにお願いをしたい。このことだけを申し上げて、今日はこの程度にとどめておきまして、もう少し私の方でも研究して、また質問をしたいと思います。一応これで留保しておきます。

井出一太郎改進党

○井出委員長 残余の質疑は次会にこれを繰越し、本日はこれにて散会いたします。     午後五時七分散会

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