農林委員会 第34号
- 発言数
- 44 件
- 登壇者
- 6 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1954/04/22
会議録
○井出委員長 これより会議を開きます。 日本中央競馬会法案を議題といたし、審査を進めます。前会に引続き、質疑を行います。福田喜東君。
○福田(喜)委員 それでは前会に引続きまして、日本中央競馬会法案に対する質疑を続けて行きます。この前本競馬会の性格のことが問題となりましたが、私はこれが私法人であることは問題でない、まことに明らかな条項だろうと思います。いささか疑問に思うのは、公共性の認識の点でございますが、政府当局の説明によりますと、競馬会は日本放送協会と性格がほぼ相似ているものと説明されておりますけれども、私はこの点についていささか疑いを持つものでございます。この公共性という点は、放送協会の場合におきましては、事業の内容それ自身において公共性を持つておるものである。しかしながら競馬会の場合におきましては、事業の内容それ自身については、私はいささかも公共性というものは認められないものと承知いたしておるのでございます。この内容は、平たい言葉でいうならば賭博でございまして、公共性の問題は公認の問題、賭博類似の行為を公認するという点において公共性を認められるのである。ドツグ・レースでありますとか、闘鶏という行為の内容は、競馬の場合と類似でございますが、競馬の場合においてはこれが公認されておる。公認の点において公共性という点が論議さるべきものであつて、行為の内容それ自身は、非常な相違があるものだと私は承知するのであります。私はかく見ておるわけであります。そしてこれが公法人的の性格を付与されておりますけれども、これが私法人であることは私は間違いないものだと思う。ただ政府の財政出資の点、それからその内容が賭博類似の行為であり、これに公認の問題がからみまして、役職員に対する贈収賄等の規定、つまり政府の監督規定というものがここに付加されておるのでありますが、この中央競馬会の性格それ自身の私法人たる性格は、政府の監督規定、それから政府の出資ということによつて、いささかもかわるものでない。私はこの点むしろ農林省の立場においても、かかる論拠をとられる方が将来においていいのではないかと思いますが、この点についての政府御当局の見解を承りたいのでございます。
○大坪政府委員 ただいま福田委員の御質問でございますが、日本中央競馬会が現在規定せられております各条項の趣旨によりまして、私法人的な性格を持つたいわゆる中間的な法人である、公社に近いような中間的な法人であるという御意見につきましては、まことにその通りだと思うのでございます。それから公共性の問題でありますが、これにつきましては、いろいろ御意見もあろうかと思います。再々申し上げておりますように、競馬の目的につきましては、いろいろ御論議もございます。あるいはスポーツであるとか、健全な娯楽であるとか、いろいろ御意見もありまするが、私どもといたしましては、あくまで競馬の最終の目的は畜産の振興であり、馬事の振興である、その意味におきまして競馬を通じて畜産振興をはかる、こういうところに目標があり、それが公共性のスタートと申しますか、それがすなわち公共性そのものである、かように存じておるのであります。その意味におきまして刑法の特例といたしまして、富くじ的行為も認めておる、こういうふうに私どもは解釈をいたしておるのであります。従いまして本中央競馬会がそういうような公共的な目的を遂行するための中間的な法人、こういうふうに私どもとしては一応観念をいたしておる、かように御了解願いたいと思います。
○福田(喜)委員 前半においてはまことに御同感でございますが、後半の公共性の点において私はいささか疑点があるのでございます。今局長の御答弁によりますと、最終の目的は結局畜産振興であり、競馬の健全な発展をはかる、しかるがゆえにこれが公共性を論議せられるところの基礎になる、こう言われますが、これが行為そのものに対する公共性を与える要因となつたり、公共性の性格を奪う要因になつたりするものではないと私は思います。たとえばモナコにおいては、賭博というものは、その賭博行為によつて終局において財政収入を得、これが国運の発展をかりにはかるといたしましても、これによつて賭博類似の行為それ自身が公共性を持つものでは決してない。最終の目的がそこにあるといつても、行為それ自身は決してこれによりまして公共性を阻却しあるいは公共性を与えるものではない。行為それ自身を見ますと、私はこれによつて決してその性格をかえるものではないと思うわけであります。またかりにそういうことがあるといたしましても、局長の言われるように論議を進めまするならば、競馬の健全なる発展をはかりあるいは畜産振興をはかるというのは、具体的にこの法律によつて、どういうことによつてできるでございましようか。もう少し申し上げまするならば、第一条において、「この法律は、競馬の健全な発展を図つて」とありますが、しからば現在の国営競馬では競馬の健全な発展をはかる要因を欠くものであるかどうか。現在の国営競馬のもとにおいては、競馬の健全なる発展がはかられないか。また競馬の健全なる発展とはいかなるものを意味するものなりや。この点を明らかにしていただきたいのであります。
○大坪政府委員 競馬の健全なる発達とはどういう意味であるか、こういうお尋ねの御趣旨でありますが、競馬につきましては、各競馬に関係している人並びに社会一般が、競馬について特別の非難もなく競馬が順調に行われておる、しかも年々競馬が特殊の事情によつて繁栄したりあるいは特別にそれが衰微をしたりする非常に浮動性のあるような競馬というものではなしに、またそこに社会的な問題でいろいろ紛議を起すということもなしに、たんたんとしてと申しますか、そういうような形で行われて行くことを、私どもといたしましては念願いたしておるのであります。 なお競馬の目的につきましては、先ほど申し上げた通りでありますが、富くじ的な行為というものはいわゆるやむを得ざるところの悪と申しますか、弊害と申しますか、その限度において認められておる、これは競馬を施行いたします以上はやむを得ない、こういう意味合いにおきまして特に刑法の例外規定として設けられておる。従つてその根源をなしますものは、あくまで競馬を施行することによりまして馬の改良そのものに貢献して参る。こういうところの精神からスタートをして行こう、かように存じておる次第であります。
○福田(喜)委員 はなはだわかりにくい答弁でございまして、よく要領を得ませんが、結局現行の国営競馬においては、競馬の健全なる発展をはかり得る要因を、しからば欠くのであるか。競馬の健全なる発展とは一体どういうことであるか。かりに政府当局の御提案になつているように、国営競馬はいかぬ、競馬の発展という見地から言うならば民営に移した方がいいというのであれば、すなわち競馬の健全なる発展をはかるためには現行の制度がよくないというのであれば、競馬をなぜ純然たる企業として行わしめる措置をとらなかつたか。すなわち真の意味の民営にまでなぜ持つて行かなかつたか。その理由を明らかにしていただきたいのであります。 さらにまた、今富くじ的の行為ということを、本競馬会の性格について言われましたが、御説のようにこれはネセサリー・イーブルであろうと思います。ネセサリー・イーブルというのは、その二律背反といたしまして公共性の排除、阻却ということがあります。この点で私たちはどうしても今の御答弁の趣旨を納得するわけには行かないのでありますが、抽象的な法理論ばかりではしようがありませんから、これの最後の部面について政府当局の御答弁を承りたいのであります。
○大坪政府委員 現在の国営のままでは競馬の健全なる発展は期せられないか、こういうような御意見であらせれますか、その点につきましては、私ども競馬を真剣に施行いたしておりますものといたしまして、国営のままで競馬の健全なる発展がはかれないかといお尋ねにつきしては、必ずしも国営のままにおきましてもそういうような要求が貫徹されないということはないと思うのであります。ただしかしながら、競馬の本質と申しますか性格からいたしまして、まず第一に大体国自身がやるべき性格のものではなかろうという一般的な御意見、これは多くの競馬に関係せられる方々の大体の御意見であり、また国がこういうような事業を現在の国家機構の中でやつて参ります場合には、そこに人事管理の面あるいは予算の面、あるいは会計経理の面その他いろいろと、競馬というこういうような、いわゆるそのときどきによりまして時勢に応じて行かなくてはならないような事業につきましては、現在の国家行政機構というものの中におきてましては非常に困難な点があるのでありまして、その点を考えてみます場合に、国でやるよりもいわゆる民間の法人にこれを移しましてやりました方が、国でやりますより以上に競馬の健全なる発達を期待し得る、かように存ずるのであります。ただ申し上げました通り、特殊の法人に移しました場合におきましても、これがいわゆる社会悪としての富くじ的の行為を伴います関係上、純然たる株式会社でやるとかあるいはそういうような純然たる営利団体というふうに構成いたします場合には、その社会悪がきわめて大きくクローズ・アツプされて参ると申しますか、その点が論議の対象になると存じますので、その点につきましては、できるだけ国家機関に近い性格のものにいたして行く。しかしながら国家機関そのものにいたしますと、そこに国家自身のやりますと同じように、予算なりあるいは経理の面、そういうような面につきまして、いろいろと拘束と申しますか、不都合が生じて参りますので、性格といたしましては国家機関的なものに近い性格といたしたいと思いますが、国家機関そのもののような性格にいたしたくない。従つていわゆる株式会社のような純然たる営利機関でもなく、公社のような、純然たる国家機関と民間機関との中間的な機関というところに持つて参りたい、こういうような大体の考え方で方法を提出いたしたのでありまして、御了承を願いたいのであります。
○福田(喜)委員 今局長の御答弁の中に、この競馬なるものが、その実態において、性格において公共性を欠如するものであるということは、局長自身の御答弁の中から出て来ておるわけであります。国自身がやるものでない、国自身がやるにふさわしくないということそれ自身が、すなわちその公共性の欠如ということが言えるわけなんでございまして、その答弁自身に矛盾があるわけでございます。しかしながらこの点はしばらく論外といたしましても、かりにそれをまた営利機関でやらせるとすれば、いろいろの不都合が生ずる。この点においても、同じくその答弁の中に矛盾が包蔵されておるわけでございますが、かりにこういう政府の提案のような形によつてやることが、競馬の健全なる発展をはかるということであるならば、なぜしからば二十九年度の外貨予算において競走馬輸入のための外貨措置をとらなかつたか。この競走馬輸入のための外貨措置は一切これを予算の中に計上されておらないのでございますが、これは競馬の実施によつてもたらされる個々の点から考えますならば、今の局長の御答弁とはいささか矛盾する結果に相なるのじやなかろうか。競馬の健全なる発展、しかも畜産振興ということにも真に寄与するならば、この点において、外貨予算等において政府としては当然これを考えてしかるべきではないか。こう考えますが、この点について政府当局はいかなる御答弁をなさるか、それを承りたい。 これに付帯いたしまして、現在国内における競走馬資源の状況はどういうものであるかということも、あわせて御答弁を願いたいのであります。
○大坪政府委員 ただいまの御意見でありますが、私どもといたしましては、公共性と申しますか、その点につきましては、いわゆる社会悪を伴うような競馬——しかしながら競馬の本質と申しますのは、これは公共性があると思いますが、それに富くじ的な行為を伴いますので、その両方を持つておるようなものにつきまして、国自身がやることにつきましては適当ではないだろうというような私ども自身の見解あるいは多くの人の見解、こういうような見解に基きまして今回本案を提出いたしておるような次第であります。 ただいま競走馬資源の問題につきまして御意見がございましたが、実は御承知のように戦争を契機といたしまして、わが国の競走馬資源は非常に減少いたしたのでありますが、その後外国から相当の競走馬を輸入いたしますと同時に、内地におきましても、いわゆる生産者と申しますか、馬の生産者に非常なる御努力を願いまして、現在におきましては相当競走馬資源が充実して参つたのであります。現在大体国営に登録せられまして出走いたしております競馬は約九百頭見当と思つております。なお戦前の状態には達しないのでありますが、相当充実いたしまして、この外貨のない際にさらに外国から牝馬としての、いわゆる生産するための競走馬を輸入する必要はもうなかろう、特に貴重な外貨を使つてまで輸入する必要はなかろうという状態に到達いたしましたのと、もう一つは、内地におきまする競走馬の生産をある程度保護、育成と申しますか、その方のめんどうと申しますか、そういう点も考慮いたしまして、この際外国から貴重な外貨を使つてまで輸入するよりも、内地に競走馬の生産態勢がほぼ充実して参りましたので、この辺で必要なかろう、こういうような見解に基いているわけであります。
○福田(喜)委員 第一条に「馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与するため、」ということを書いてございますが、競走用の軽種馬の改良増殖というものが、農耕馬の改良増殖に寄与することがございましようか。その点を第一点として承りたい。並びに競馬が畜産振興に寄与するということをおつしやいますが、具体的にどういうことによつて寄与するか、その点の御説明を願いたいのであります。ただ競馬から上つた金でもつてやるということでなくて、競馬それ自身寄与することがございましようか。その点を承りたい。
○井上説明員 ただいまの御質問は、軽種産馬が一般馬産、農耕用あるいは挽用の馬とどういう関連を持つか、どういう寄与をするのであるかという御質問と考えるのでありますが、競走馬は御承知のようにサラブレツト系統に属するものと、アラブ系統に属するものと、速歩馬のトロツター系統に属するものの三種類がございます。もつとも頭数の上から申しますと、サラブレツト系統とアラブ系統とが大体半々でありまして、トロツター系統に属するものは現在大分少いわけでございます。今御問質になりますのは、おもに軽種系統に属するものと思うのでありますが、軽種系統と申しますと、サラブレツトとアラブでございます。サラブレツトが一般馬産とどういう関連を持つか、この点は戦前におきましてもたびたび議論のあつたところでございますが、中間種に属するものがどういうふうに出て来たかと申しますと、軽種系統のものは、原々種的に見まして機動力のある、体質の強健なものが生れて来たのであります。その沿革はそういうものであつても、しからば現在どういうつながりがあるかと申しますと、わが国の馬の改良を始めた当時と現在とは多少差があるのでございますが、全然これが無意味であるということはないと思うのであります。特に中間種の種馬も、戦争を始めるまでは相当入れたのでございますが、すでに中間種と申しても一つの種類としての確立したものを入れましたので、軽種の意義はやや稀薄になつたのでありますけれども、元来これは外国の種でございまして、われわれといたしましては、日本でこの種のものをつくるには、原々種であるものも日本的なもの、かつまた牝馬として配合せられるものも日本的なもの、そういうものをつくり上げるのに三十年あるいはそれ以上の年月をもちまして努力いたしましたが、今だにもつてそのようなものができ上つていない実情でございますので、今後これが無意味であるということはないと思いますし、まだ今後努力すべき問題だと思います。なおこの種のサラブレツトが実用馬として、乗馬その他になるということは、その点はなはだ稀薄であるということを申し上げたいのであります。 次にアングロ・アラブは、元来は競走馬ではないのでございますが、戦後の事情から半数以上はアングロ・アラブを使つております。九州方面あるいはその他の方面におきましては、これをそのまま農耕馬に使つている地域も相当ございます。と申しますのは、形が小さいのと、性質が柔順で体質が強健である。生産費も相当高いのでございますし、農耕馬といたしましては、やや格に欠けている点もございますが、九州方面におきましては宮崎、鹿児島県等におきまして、現在でもそのまま農耕馬に使つているのでございます。かつまたこれは体格の小さいという点を押えまして、農耕馬と配合いたしましても、原種的な一つの作用を果しているのも事実でございます。但しそれが統計的にどのくらいということになりますと、やはり中間種の種馬というものが相当広汎におりますために、数の上では少いのでございます。 次にトロツター系統の馬でございますが、戦争前からアメリカン・トロツターに対しましては、日本の馬政方針として輓馬等に使いますためには不適当なものであるというような見解から、これを排除いたしまして、戦争中になくいたしたのであります。しかしこの馬種は、戦後になりますと、農耕馬の原種としては相当な効果を発揮すべきものである。牛の馬との差は何かと申しますと、速力が並足において馬の方が早いということ、特に裏日本とか東北とか北海道方面の重粘土地帯における耕地、土壌の反転等におきましては、牛ではどうも間に合わない。それから特に春先の耕期に最も大きな作業があるのでありますが、その場合に一日遅れれば一日だけ収穫が減るといつたような関係から、この地方においては、将来のことは知らず、現在においては相当多数おりまして、御承知のように馬の総数も百十万頭でございます。戦前の最盛時におきましても、百四十何万頭というような数字でございましたので、戦争によつて約七十万の馬を海外において喪失いたしましても、現在百十万頭の馬がおりますので、たびたび申しますが、現在急ぐ作業にはトラクターだという話もございますが、やはり地域的な関係において、農馬として畜産局としてはなおある程度の重要性を認めて行かなければならぬというような事情でございますので、競馬との関連におきましては、最後の速歩系統馬は、戦争中は別として、今後の問題としてはある程度これをやらせなければならぬ、やらせる方が馬の改良上都合がよかろう、こういう見解を持つている次第であります。 一般馬産と競走馬との関係は、たいへん説明がしにくいのでございますが、全然関係がないとはわれわれ考えておりません。かつまた総括的に競走馬の育成、生産技術は、各種畜産を通じて最も高級なものと信じております。と申しますのは、これが体格なり速度なりあるいはその他の能力なり、それらのものを追及いたしますために、各種の畜産を通じて最も困難な生産事業であることもその通りでありますので、これらの生産技術は一般畜産に及ぼす影響も見のがすべからざることでありまして、それらの影響を考えますと、競馬が一般畜産に及ぼす影響も——持つてまわつたような議論ではなはだ恐縮でございますけれども、私どもとしては相当程度に尊重してしかるべきものである、こういう見解を持つております。
○福田(喜)委員 ただいま軽種馬の改良増殖のために競馬は非常に役立つという御説明でありますが、競馬が畜産振興に具体的にどういう寄与をしているか、その御説明にはならぬだろうと思いますけれども、その内容ははなはだ牽強附会でございまして、おそらく大方の認識を得られないじやないかと思います。この点私は別に専門家でないから、深くお聞きはいたしませんけれども、その点どうも少しこじつけのような議論の感がしないでもないのであります。 次に今回の改正案は、公営競馬の改正にはまつたく触れておらないのでございますが、この点一体どういうわけであるか。政府は公営競馬の問題をきわめて抽象的に述べておられますが、今回の提案の趣旨と申しますか、今回の改正案が公営競馬の改正にまつたく触れておらない真の理由は、地方財政上の問題ではなかろうかと思われますが、はたしてそうであるかどうか。もししかりとすれば、公営競馬が占める地方財政収入上の地位は、どういうものか、こういう点についていささか数字的に御説明を承りたいのでございます。
○大坪政府委員 御承知のように現行競馬法におきましては、競馬の施行主体は国と都道府県並びに市町村を含めましたいわゆる公共団体であります。今回の日本中央競馬会法におきましては、その二つの施行主体のうちの国営の競馬についてのみこれを取上げまして、日本中央競馬会という特殊法人に国の競馬を引き継ぐことにいたしたのでございまするが、これは先ほども申し上げました通り、また提案理由にも説明してあります通りに、一つは国自身で競馬を施行いたしまするよりも、特殊法人の中央競馬会をしてやらしめた方がより効果的であるという点が一つと、もう一つは行政簡素化と申しますか、行政機構改革の線に沿うという、こういう大きな二つの趣旨をもつて本法案を提案いたしたのであります。もちろん第二の理由でありまする行政機構の簡素化という点につきましては、地方公共団体につきましても当然でありまするが、実はもう一つの問題でありまするいわゆる地方競馬につきましては、現在地方競馬の施行主体がきわめて多数に上つておりまするし、また各地々々によりまして、いろいろな事情があるのでありまして、はたして現在の状態におきまして、これをいかなる形で地方公共団体から他の形に移し得るかという点につきましては、私どもといたしましては、実は現在のところ検討中でありまして、どういう形にいたした方がいいかという点につきまして、最終の結論に到達いたしていないのであります。なお先般開催いたしました競馬制度審議会につきましても、各方面の委員に意見を伺つたのでありまするが、その場合にも委員の意見が種々の方面にわかれまして、帰一するところを知らなかつたのでありまして、私どもといたしましては、今回の日本競馬会と同時に、実は地方競馬の問題も解決いたしたい、かように思つて検討いたしたのでありまするが、最終結論に到達しなかつたのであります。従つて地方競馬の問題につきましては、今後十分に各方面の意見をさらに承りまして、慎重に検討いたした上で結論を出したい、かように存じておるのであります。 なお地方競馬の収益の問題でありまするが、これは御承知のように、関東近県あるいはそうじやない地方と、非常に収益の差があるのであります。東京都あるいはその週辺、関西あるいはその週辺という方面は、地方によりまして非常な収益を上げておりまするが、僻陬の地はおおむね赤字と申しまするか、損をしているような地方団体もあるのであります。その点につきまして、従つて各地方々々によりまして、非常な差異がありまするが、全部これを包括して申し上げますると、昭和二十五年で売上高が、都道府県並びに指定町村を全部合計いたしまして百三億、収益金が二十五年度につきましては九億一千万円であります。二十六年度では百三十六億売上げがありまして、十一億がその利益金、二十七年度におきましては、百九十二億売上げがありまして九億九千万円、約十億というものが純収益になつております。昭和二十八年度につきましては、目下集計中でありまして、その結論に到達いたしておりません。とにかく結論といたしまして、各地方を総計いたしますると、約十億近い純収益が上つておるのであります。これは都道府県あるいは戦災町村なり地元町村、こういうことになりまするが、従つて地方々々によりまして財政上の問題は非常に幅があるのであります。もちろん地方競馬を切りかえまして新たな形にしまする場合に、財政上の問題も一応検討の一つの要素になりまするが、財政上の問題自体が地方競馬の問題について今回触れなかつたということの全部の要因ではないのであります。非常に複雑した機構と申しまするか、事情になつておりまするので、どういう形にしていいか、われわれといたしましては出なかつた、従つて今後各方面の意見をさらに十分に承りまして、それによつて措置をいたしたい、かように存じておる次第であります。
○福田(喜)委員 地方競馬と申しまするか、公営競馬のことにつきましては、さらにあとからこれに触れて御質問申し上げることにいたしまして、次に一番重要なる第四条に関する事柄でありまするが、第四条におきまして、競馬会の資本金は政府が全額出資するということになつておる、その出資額は国営競馬特別会計に属しておりまする不動産並びに政令で定めるものを除く動産の価額の合計額に相当する金額であると規定されておるわけであります。ところで特別会計の現有不動産の帳簿価格は九千三百万円となつており、また競馬特別会計の二十六年度末の国有財産総合評価総計算書によりますれば、総合評価額約二十四億二千万円となつておるわけでございます。しこうしてこの総合評価額は簿価に所定の倍率を乗じて作成されたものといわれておりまするが、これがそのまま第四条第一項の政府の出資額となるものではないようでございます。そういうふうに見受けられないのでございます。従つてその評価は別に政令で定めることとされておりまするが、その政令はいかなる内容のものを予定しておられまするか、御説明を承りたいのでございます。
○大坪政府委員 国が中央競馬会に出資いたします財産の評価に関します政令はどういうようなことを定める予定であるか、こういう御質問でありますが、この点につきましては管財局の方といろいろ協議いたしまして、一応結論に到達いたしております点を申し上げたいと思うのであります。 なおその詳細につきましては、今日は管財局の方がお見えになつておりませんが、もしおわかりにならない点がございますれば、さらに管財局の方から出席いたさせまして御説明してもよいと思うのであります。その一応の結論に到達いたしております点では、政令では出資国有財産の価格の評価は大体時価によるものである、その時価の評価につきましては、農林大臣が大蔵大臣と協議して決定するものといたしまして、その評価の客観性を確保いたしまするために、評価に関しましては学識経験のある公平なる第三者を委嘱いたしまして、その意見を聞いて決定するということにいたしたいと思うのであります。評価に関しましては、御承知のようにいろいろな方法がありまするが、まず第一といたしましては倍率法、これは御承知のように財産の取得価格にその取得年次に応じまして定められました時価の倍率を乗じて得ました額を基本といたしまして、これより年次の経過及び破損減耗による減額を控除いたしました金額を評価額といたすのであります。この時価の倍率は土地及び建物につきましては勧銀の指数、機械器具類等につきましては日銀の卸売物価指数を基準として定めることに相なるのであります。 次に復成価格還元法というやり方があるのでありまして、これは当該財産——これはもちろん復成価格でありますから、土地につきましては適用がないのでございますが、当該財産と同じ規格のものをその位置におきまして、現在新築建造する場合の一般市場価格をもつて算出いたしました工事費をその復成原価といたしまして、これに年数の経過及び破損減耗による減額を控除した残額を評価価格として現在の価格を復成して行く、こういう倍率法と復成法という二つの方法があるのでありますが、これはいずれも一長一短があるのでありまして、このどちらの方法を採用するかという点につきましては、その対象物によりましておのおの具体的に、専門的な眼識力と申しますか、知識経験を持つている人に、この二つの方法を取捨選択してもらいまして、その二つの方法を基礎にいたしまして時価を算出する。その評価人が算出いたしました価格を土台として農林大臣と大蔵大臣が協議をしてきめるというふうにいたしたい、かように存じておるのであります。
○福田(喜)委員 ただいま御説明になりました評価額は、地元の市町村に納付すべき固定資産税に非常な影響があるものと思います。御承知のように固定資産税は今まで一・六%でございましたが、昭和三十年度よりは一・四%支払うこととなつておるようでありますが、この地元に納付すべき固定資産税に関しまして、例を中山競馬場とか東京競馬場にとつて建物、土地、立竹木等の現在の評価額がどういうことになつておるか個別に御説明願いたいと思います。
○大坪政府委員 御説のように固定資産税につきましては、市町村がこれを賦課するのでありまして、市町村におきましてその価格を評価いたすのでありますが、もちろん国の評価いたしました価格が、その市町村が評価する場合の大きな要素にはなると思うのでありますが、それがただちに固定資産税の価格になるとは限らないと思うのであります。 なおただいまのお話でありますが、実は東京競馬場、中山競馬場と申しましても、これはただいま申し上げましたように、どういう方法によりまして評価いたしましても、大体あれを幾らに評価したらよろしかろうという点につきましては、実は専門的な眼識力を持たない私どもといたしましては、一応帳簿価格と申しますか、あるいは再評価価格と申しますか、そういう点につきましての一応のめどはあるのでありますが、現在のところどのくらいに評価していいかという点につきましては、専門的眼識力を持つておりませんので、この点につきまして概括的な数字でも実は申し上げかねるというようなわけでありますので、御了承をお願いしたいと思います。
○福田(喜)委員 次に阪神競馬場でございますとか中京の競馬場は、いずれも国有のものではなく、それぞれ阪神競馬株式会社、中京競馬株式会社より政府が借り上げて競馬を施行いたしておるように聞いております。そこで競馬場の建設費とか二十八年度の借上料がどのくらいであるか、阪神競馬場及び中京競馬場の収支状況を御説明願いたい。特に中京競馬場は、話を聞きますと不振をきわめておるということでありますが、その理由はどこにあるかということについても、本法に関連して御説明を願いたいと思います。
○井上説明員 ただいま阪神競馬場並びに中京競馬場の内容につきましての御質問でございますので、数字をあげまして御説明申し上げたいと思います。 先に阪神競馬場の方から申し上げます。阪神競馬場は昭和二十四年に竣工いたしたのでありますが、その建設費は二億四千三百八十七万四千四百一円ということになつております。これは土地取得費、建設費、土木工事費の全額でございます。賃借料といたしましては、昭和二十八年度の支払済み額は七千百八十四万五千二百十三円になつております。この阪神競馬場の二十八年度の売上げは、勝馬投票券発売による政府の諸収入は二億三千六百六十八万四千八十円であります。そのほかに入場料といたしまして七百六万五千九百七十円、合せまして二億四千三百七十五万五十円というものが二十八年度の収入に相なります。そのうちこの競馬開催費が一億四千七百五十一万六千六百五十四円、それから経常費といたしまして九千百十二万三千九百九十四円、合せまして二億三千八百六十四万六百四十八円という計算になつておりまして、差引五百十万九千四百二円の黒字ということに相なつております。御承知の通り阪神競馬場は往年の競馬場のやや北寄りの方になりまして、阪急電車の支線に入つておるのでありますから、前の鳴尾競馬場と比べますと立地的にやや不便な土地になるわけであります。鳴尾競馬場は、往年日本一の売上げを示したことがございますが、阪神競馬場はそういつたような新しいということ、立地的にやや不便であるという点からやや不振でありますが、これは年次増加の傾向をたどつております。阪神競馬場は、御承知のようにただ京都競馬場一箇所のみでは、馬のやりくりとか、あるいは馬場をかえて馬の走る状況を見るというようなことを加味しませんと繁栄をいたさないというような状況でございます。幸いに五百万円ばかりの黒字でございますが、努力いたしまして年々この売上げを増大することはさして困難ではなく、あと二、三年もすれば優秀な競馬場になることを確信して今日やつておる次第でございます。 次に中京競馬場につきましては、これは一昨年の十一月に竣工いたしたのでありますが、その建設費は、競馬場の規模等においてはむしろ阪神競馬場よりも劣つておるのでございますけれども、諸物価の値上り等によつて相当高くついておるのであります。建設費は三億七千七百九十九万二千円、これは先ほど申し上げましたように、土地取得費、建設費、土木工事費というようなものが含められたものでありまして、これに対する二十八年度の賃借料な、政府として払いましたのは五千七百七十四万四千七百五十二円でございます。もつとも、この競馬場では地方競馬をもあわせて開催することにいたしておりますが、その方に四箇月使用し、国営競馬としましては八箇月分の賃借料を払うことに相なつております。その地方競馬からの収入約三千万円は、一応政府の予算に組み入れまして、合せてこの競馬場に払つておるわけでございます。 なおこの競馬場の二十八年度の売上げは、最も寒いときと暑いときの、気候の最も悪いときにやらざるを得ない状況でございますので、この売上げは九千三百三十五万七千四百六十円、入場料は百八十五万八千八十円、合せて億一千百九十三万五千五百四十円というものが当該年度における諸収入になつております。これに対して競馬開催費は九千四百九十一万八千四百五十五円、経常費が六千三十二万六千四百四十一円、合せて一億五千五百二十四万四千八百九十六円で、赤字が四千三百三十万九千三百五十六円ということに相なるわけであります。ただいま申し上げますように、現在の馬の状況から申しますと、地元に若干の馬がおりますが、これはほとんど阪神地区から出張して参りますもの、あるいは東京等から十数頭出て参りますものを合せましてやらざるを得ない事情でございますので、結局夏の暑いときと二月のような寒いときというように、競馬開催の事情といたしましては最も悪い時期にやつたために、こういうような結果が生じております。しかしながら地元方面の努力によりまして、おいおいに馬もふえて参りますし、なおまた本年度におきましては、中京競馬場の赤字は減額し得るもの、こういうふうに考えております。なおまた中京地区に競馬をつくりますことは、当時時期尚早であるという最も事務的な意見が強かつたのでございますが、諸般の情勢からこれができ上り、でき上つた以上はやらざるを得ないというような事情でございます。しかしながらこの点は実質的に見ますと、中京は東西のちようど合流点になりまして、将来におきましては東京及び関西方面からここで両方比較するような競馬を開催いたします。かつまた中京は大都会の一つでもございますし、周辺都市もたくさんございますので、この将来性につきましては、私ども大体確信をもつてこの赤字を克服し得る、こういうふうに考えておる次第でございます。
○福田(喜)委員 現行競馬法の第十一条の二によりますと、これは御承知のごとく畜産業の振興費への充当の問題でございますが、こういうことが書いてあります。「政府は、勝馬投票券の発売による収入金のうち、勝馬投票券の売得金の総額から払戻金及び返還金の総額を控除した残額の三分の一に相当する金額を、畜産業の振興のために必要な経費に充てなければならない。」、こういう規定があるわけでございます。ところがこの規定は、本法案の付則をもつて削除されてしまつておるわけでございます。聞くところによりますと、畜産局は本案の起草にあたりまして納付金の四分の三を畜産振興費に充当する条項を挿入せんとしたけれども、大蔵省の反対にあつて削減したということが伝わつております。競馬の目的がきわめて不明確になつた原因の一つは、ここら辺にあるのではなかろうかと私は思うわけでございますが、その真相ははたしてどうであるか。大蔵省が当該条項を削除してしまつた理由は一体どこにあるのか。本日大蔵省当局がお見えにならなければ、適当な機会に委員長におきまして大蔵当局をお呼びいただきまして、この点の真相をお確かめいただきたいのであります。また農林省といたしましては、一般会計に計上せらるる畜産局の予算その他競馬収益は、あげて馬の改良、増殖その他畜産振興費に充当するような措置を講ずることがおそらく意思であつただろうと思いますが、この点において現在の心境はどういうふうであろうかということを承りたいのでございます。
○大坪政府委員 現行競馬法の第十一条の二の、ただいま御指摘になりましたような畜産業の振興のためにあります規定を削除したのでございますが、この点につきまして、いろいろ私どもが内部で関係方面と折衝いたしました場合に、その規定がいろいろ論議の対象になりましたことは、ただいま御指摘の通りでございます。私どもといたしましても、この規定はいわゆる旧競馬法時代から引続きありまする規定でありますので、競馬の目的とも関連いたしまして、この規定につきましては一応存続したいというような希望は持つておつたのでありますが、御承知のように現在畜産局の予算は二十億を越えておりまして、ただいまの規定によります額を計算いたしましても約十億足らず、八億近い金額でありまして、現在の畜産局の予算はその倍以上の額に上つておるのであります。従いまして本規定がありましても、実際上の問題といたしまして、畜産振興のために予算が増額されたというようなことは現在までなかつたような次第でございます。その意味におきてまして、趣旨といたしましては私どもまことにけつこうに存ずるのでありますが、いろいろ政府部内で相談いたしまして、本問題につきてましては、畜産局の予算は現在のところこの収益金額をはるかに上まわつており、また大蔵省といたしましても、畜産については非常に御理解のある措置をとつていただいておるのでありまして、当分畜産の振興経費は増額することはあれ、減るというような情勢ではないのでありますので、この際この規定は一応必要がないものと認めまして、今回としては法律の第十一条の条項を削除いたしたような事情になつております。
○福田(喜)委員 あなた並びに競馬部長さんは、声を大にされて、馬匹の改良、増殖、その他畜産振興ということも盛んに本法案の審議に関連しておつしやつておられますが、しからばあなた方の御努力の目標は、むしろこの規定を削除するのに反対すべき方向に行かなければならぬのではないかと思いますが、この点についてはいかなる御所見を持つておられるか。また大蔵当局が本日出ておられたならばその点も詳細に承りたいのでありますが、ただいまの御説明の趣旨からいうならば、私は死力を尽してこういう方面に努力をせられていただきたかつたのであります。さらにまたかりにこれができないとすれば、われわれも陳情等もずいぶん受けておりますが、社会事業等に出資する意思がないかどうか。この点についての当局の御見解を承りたいのでございます。
○大坪政府委員 競馬の益金問題に関連しての御意見と思いますが、競馬による利益金を畜産のために使うということも、競馬が畜産振興に寄与する一つの方法であることはもちろんでありますが、私どもといたしましては、競馬そのものを施行すること自体が畜産振興であると考えております。つまり競馬を施行することが畜産の振興であり、同時にまた競馬による益金を畜産の振興のための経費に充当することも、畜産の振興ということについては間違いないのでございますが、畜産につきましては、相当競馬の益金以上の経費が認められておりますので、その点につきましては、この際は差控えたような次第であります。 なお社会事業の点につきましては、詳細に内容を知らないのでございますが、聞くところによりますと、厚生省の方でも社会事業には非常に力を入れておられるし、またその社会事業の金額も相当多額に上つているように聞いておるのであります。競馬の益金は、ただいまの規定によりましても、その規定ではじかれる額が十億足らずの金額でありまして、厚生省が国家予算として認められる金額ははるかにそれを上まわつておるものと思うのでありまして、競馬の益金をそういう方面に使うことは必ずしも必要がないのではなかろうかと存ずるのであります。
○福田(喜)委員 この点は益金処理の問題でございますが、社会事業等に支出する意思があるかないかという点についてのただいまの御答弁でありますが、これは競馬それ自身の対社会性の点も御考慮願いまして、十分な御考慮を煩わしたいのでございます。 さらに第四条に関する問題でございますが、現在宮崎、新潟等の競馬場が休止になつておる。おそらく日本競馬会ができたあかつきにおいては、これに出資せられるものと思うのでありますが、はたしてしからば近い将来において宮崎、新潟等の競馬場は再開の見込みがあるかどうか。競馬場の現在の管理使用の状況は一体どうなつておるか。この点について御意見を承りたいのでございます。再開の見通しがないとするならば、中央競馬の用に供しない不動産を中央競馬会に引継ぐのは適切でないように思われますが、政府の御所見はどうか。この際こういう状況であるならば、いつそ他の畜産振興または食糧増産ないしは公共の用にこれを転用される御意思があるかないか。以上三点について御意見を承りたいのでございます。
○大坪政府委員 ただいま新潟と宮崎の競馬場の問題につきまして御質問があつたのでございますが、現在のところ御承知の通り、新潟の競馬場につきましては、新潟県に貸付いたしまして、新潟県が地方競馬を実行いたしておるのであります。宮崎の競馬場につきましても同様であるのでありますが、御承知のように終戦以来競走馬資源というか、馬の頭数が非常に少くなりまして、現在は十二でありますが、十二の競馬場において漏れなく競馬を実行いたしますことは、競走馬の資源関係から実は困難であつたのであります。従いましてそういう意味から新潟には県に貸付をいたしまして、県営の競馬を実行させて参つたのでありますが、順次競走馬資源も充実して参りましたので、その点につきましては地方の事情もいろいろありますから、地方庁ともよくとくと相談をしなければならぬと思うのでありますが、了解がつきましたあかつきにおきましては、新潟におきましてもできるだけすみやかに国営競馬を実行いたしたいと思います。宮崎の競馬場につきましては、御承知の通り空襲その他によつて非常に破損しておりまして、国営競馬を実行いたすにつきましても、相当多額の修繕費がいるのでありまして、現在の国営の状態におきましては、競走馬の資源が充実されたといたしましても、これは経費の面で困難であつたのであります。幸い中央競馬会に移管いたしまして、中央競馬会が相当の収益をあげまして修繕ができるという状態になりましたならば、これまた地方のいろいろ事情があるのでありますが、地元の了解ができますれば、これも国営の競馬を実行いたしたい、かように思うのでありまして、この際そういうようないろいろな障害の条件がなくなります場合には、その当該両県におきましても、中央競馬会で国営競馬を実行いたしたいと思いますので、同時に移管をしておきたい、かように存ずるのであります。
○井出委員長 芳賀貢君。
○芳賀委員 農林大臣が御席になつておりますので、中央競馬会法の基本的な点に対して若干お伺いしたいと思います。まず第一はこの法の趣旨でありますが、これによりますと競馬の健全なる発展と馬の改良、増殖、畜産の振興に寄与するという、この三点が趣旨でありますが、この中央競馬会法を実際に運営するにあたりまして、これらの三点がはたして期待されるものであるかどうかという点に多分の疑義があるのであります。この点は本法案を審議する当初から、同僚委員各位が繰返し繰返し指摘している問題でありますが、過般の農林大臣の御答弁を聞きましても、これらの点に対してまだ十分解明されておらぬ点があるように考えるわけであります。まず第一点の競馬の健全なる発展性の問題でありますが、これはわが国における競馬の歴史的な沿革を見ても、すでに一つの既成事実として、賭博類似行為ではあるけれども、必要悪として最大限度に社会性を持たせるという範疇の中において、健全なる競馬の運営をはかつて、一つの健全なるスポーツというようなことで、国民全体がこれを許容するというような運営が行われるということは、これを否定することはできないと思いますけれども、二の場合の馬匹の改良増殖の問題でありますが、現在における農林当局の馬匹の改良増殖の考え方というものは、非常に消極的であるというふうに見られるわけでありますが、戦争以前におきましては、いわゆる馬政局時代と申しますか、馬に対する考え方というものは、国の政策の面から見ても、国防上の要請による軍馬の給源として、あるいは産業上の要請としての農耕馬であるとか運搬馬であるとか、かかる国防、産業の両面から馬政というものが非常に重視されたわけでありますが、現在の段階においての国防上の要請という面は、まつたく必要なくなつたのであります。かかる軍馬を必要とするような時代においては、多分に軍馬の育成と競馬との相関関系というものがあつたと考えるわけでありますが、現在においては、それらの相関関係というものは非常に滅消しておるというふうに見られるわけであります。そういたしますと、現在におきましては、全国の馬の頭数は大体百九万頭程度でありますが、これは主として農耕馬であります。しかもわが国の農業の地域的な実情の中において、北海道の二十七万頭を筆頭にして東北等が中心となつて馬の育成をやつておるわけでありますが、これはあくまでも農業生産に不可分な関係にある馬匹の改良増殖ということであります。ただ単に競走馬だけを取上げて考える場合においては、昭和二十八年度においても、おそらくサラ系並びにアラブ系を入れても、生産されたものは二千頭足らずしかないと思うわけでありますが、かかる第二点に唱えるところの趣旨の期待というものは、どういうふうにお考えになつておるか、この点をまずお伺いしたいのであります。
○保利国務大臣 競馬の目的は、戦前におきましては軍用馬の充実向上という至高の目標がありましたから、はつきりわかつておつたわけですけれども、戦後軍用馬の必要がなくなつた状態におきましては、馬の改良増殖という重点は一体どこに置いて行くのか。正直に申しまして、農耕関係にしましても馬よりも牛の方が重宝であるという関係で、馬の飼育頭数というものは相当減つて来ておるのではないかというように考えておりました。ところが実際は、牛の普及は普及として、農耕馬が減つてない。これはやはり日本の農業が農耕馬を必要としておるということを、これは事実をもつて物語つておると思うわけであります。従つて馬の改良増殖の重点は、農耕馬、農用馬に重点を置いて改良増殖をはかつて行くということに持つて行かなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
○芳賀委員 競馬から来る馬匹の改良増殖に対する期待というものがどこに持たれるかということを、私はお伺いしておつたのであります。この点に対してはさらにお答えを願いたいと思うわけでありますが、現在の農林当局の、しかも畜産局関係の予算は、先ほど局長も言われましたけれども、昭和二十九年度においては大体二十一億程度でございます。この馬関係のことを考えた場合においてまず申し上げたいことは、伝染性貧血症、大臣はそういうことは御承知ないかもしれないが、いわゆる伝貧という病気があるわけであります。これの全国的な数字は、私は今ちよつと把握しておりませんけれども、北海道、東北大県、新潟県、この一道七県を入れますと、ここ三箇年くらいは年間約七千頭ないし八千頭の使用に耐える馬が、このいわゆる伝貧という病気にかかつて、これを国は殺処分しているわけであります。法律によつてこの病気にかかつた馬は、必ず殺処分しなければならぬことになつておるわけであります。これらの問題は非常に重要な問題でありまして、かかるおそるべき馬の伝染病に対しましては、相当国の責任において、国の施策としてこれらの病源体の確認であるとか、あらゆる施策というものが講ぜられてしかるべきであると考えるわけでありますが、これらの点に対する予防措置、あるいは研究というものはいささかも進んでおらぬのであります。まつたく放置されておるような状態であります。御承知のように、農家が農業経営上育成している馬匹が、かかる病気によつて斃死した場合においては、これは農業経営の上においても致命的な打撃であります。ただ法律によりまして六万四千円くらいを最高限度として、その範囲内において国はこの殺処分を行つた病馬に対しましては補償を行つておるわけでありますが、この補償をもつてかわりの馬を購入することはとうていできないのであります。しかもこの殺処分をした馬に対する国の補償額というものは、年間二億程度に及んでおりまして、これは決して少額なものではないのであります。もしもこの法案の趣旨の中において、実際に馬匹の改良、増殖とかあるいは馬の健全なる飼育とか、病気に対する予防措置を講ずるような考え方がある場合においては、当然この全体の馬匹という一つの政策の範囲内において、これらのことは具体的に、しかも優先的に取上げる必要があるというふうに考えるわけでありますが、ただ単に抽象的に馬の改良、増殖というようなことだけでなくて、具体的にはこの競馬を行うことによつて、これらの点に対しましても、国は具体的な施策を講ずることが可能であるというようなことをお示し願いたいのでありますが、この問題等に対して、大臣はどのようなお考えを持つておりますか。
○保利国務大臣 先ほど御質問の趣意と少し離れたようなことを申し上げたようでありますが、私は競馬の目的の中に、馬の改良、増殖ということを大きな目的の一つにうたつておると同時に、それはさらに畜産振興に寄与しておるということを申し上げたのであります。馬の改良にいたしましても、結局これは人間がやらなければならぬ。競馬を通じて、その競馬による益金を馬の改良、増殖あるいは畜産振興に用いて行くという物的の面と、競馬を通じて一般の馬に対する愛護精神と申しますか、そういうものがやはりその根底に普及されて行かなければならない。そういう上から競馬というものは、馬の愛護精神と申しますか、そういうものを非常に高揚して行く大きな無形の効果が私はあるものだというふうに考えておるわけでございます。なおただいまそういう馬の改良あるいはその生産、さらにまた馬の普及をはかつて参ります上に捨ておきがたいいわゆる伝貧対策、これは今日まで、お話のように畜産局でも十分とは申し上げ得ませんけれども、その対策を講じて参つておる。これらは馬の改良、増殖、施設の充実とか、あるいは有畜農家創設事業による馬の農家への導入と同様に、やはり馬行政に対する重点的な施策として考えて行かなければならぬ、こういうふうに考えておるわけでございまして、今日とつております具体的の措置といたしましては政府委員から御説明を申し上げるようにいたしたいと思います。
○芳賀委員 ただいま大臣は、競馬から連想して、伝貧馬をレースに用いるというようなことを言つておりましたが、伝貧になつたような馬はレースに出すというようなことはできぬのであります。しかも馬に対する愛着の念というものは、競馬のごときは馬に対する最大の酷使であります。そういうレースを見て馬を愛するというような、そういう連想はなかなか出て来ないと思いますが、問題は毎年七千頭、八千頭の農耕馬が、伝染性貧血症にかかつて死んで行く、しかもこれに対してはまだ予防の措置が講じられないので、これは危険であるからただちに殺せといつて殺してしまうのです。飼主は殺したくないけれども、法律によつてその病気にかかつておるということがみなされた場合には殺さなければならぬ。こういうような残酷なことをして、国の法律でかかる飼育馬を殺処分しないで済むためには、この伝貧の病源体が何であるかということのまず確認、発見し、それからどうしたならばこれが予防措置が講じられるかというその段階まで、現在のわが国の伝貧に対する医学的な検討というものは進んでおらぬのであります。だからこういう点に対して、もしも百歩譲つて、競馬から来るところの愛馬観念というものが大事だとすれば、まず法律によつて病気になつた馬を殺さなければならぬというかかる現象に対しまして、一日も早くこれを解決することが必要であると思いますけれども、この問題はいまだに放置されておる。たとえば国の責任においてどれだけその研究や措置が進んでおるかということは、大臣はこれは小さい問題としてよく御研究になつておらぬと思いますが、一例をあげますと、北海道においては道費をもつて、ここ二、三年の間は約四百万円くらいの予算を計上いたしまして、この伝貧に対する研究を委託費として計上して支出しておるわけであります。最近幸いにして電子顕微鏡によつて、ようやく病源体を確認することができるような可能性のある段階まで達しておるわけでありますが、今年の畜産関係のかかる予算を検討して参りましても、当然国が責任をもつてやらなければならぬ業務というものが少しも進んでおらぬのであります。地方庁や民間にこれをまかせておるというような現象を、もしもこの中央競馬会法の前段の趣旨が真実であるとすれば、これらの点に対して、まず具体的に何らかの措置を講ずる用意があるべきであると、私は考えておるわけでありますが、この点に対する大臣のお考えを先ほどから伺つておるわけであります。
○保利国務大臣 政府委員より御答弁させます。
○大坪政府委員 馬の伝染性貧血症は、御承知の通り、わが国におきましては明治の中ごろから非常に大きな問題になつております。特に日清戦争、日露戦争というような戦争を契機といたしまして、馬の改良あるいは増殖という点から非常に大きく論議せられまして、時の政府といたしましては、各方面の専門家と申しまするかそういうような方に委嘱しまして、各般の研究、対策を長年にわたつて研究して参つたのであります。同時に、これは御承知の通り世界をあげての問題であるのでありまして、現在までのところ、各国非常な努力をいたしまして、馬の伝染性貧血の病原体の研究あるいはその予防、あるいは治療あるいは医薬というような面につきまして、検討いたしておるのでありますが、まだ世界をあげましても的確なる治療方法なり養護方法なりが発見できていないような事情であるのであります。これはただ単にわが国だけの問題じやなしに、国際獣疫会議の重要議題中の議題となつておるのでありまして、わが国におきましても、常にこの国際獣疫会議には関係官を派遣いたしまして、連絡をとりつつその方策を講じておるのであります。実は現在のところ、家畜衛生試験場に十数名の職員を置きまして、検討、研究を進めておるわけなのでありますが、お説のように、年々八千頭に近い馬を、しかも二億近い国費をもつて補償しておる伝染性貧血を、少しでも少くするためにという意味合いにおきまして、病気にかかつたものは、現在のところ遺憾ながら殺処分をする以外に方法はないのでありますから、殺処分をいたしておるのであります。こういう多額の経費を使い、また殺処分を受けた農家は一応補償の道があるとは言いながら、必ずしも十分に経済的な打撃を補償しておるとは限らない場合もあるのであります。そういうような意味合いから、一刻も早くこの伝貧をわが国から駆逐するために、家畜衛生試験場の一部でやつておりまする伝染性貧血の研究の規模をもう少し大きくいたしたい、かような意味合いから、ここ数年にわたりまして、伝貧研究所というようなものをつくりまして、それによつて組織ある研究を進めて参りたいという趣旨から、大蔵当局にその経費を毎年要求いたしておるのでありますが、その都度、いわゆる行政簡素化と申しまするか、人員についての増加がはなはだ困難でありまするし、また現在の国家財政の状態からいたしまして、なかなかその点につきましての妥結点に到達いたしていないのであります。私どもといたしましては、今後、御指摘のように本問題は世界をあげての問題でありまするし、特に今後畜産で立つて行かなければならぬわが国の現状から、どうしても早くこの伝貧の問題は解決して参りたいと思います。今後とも本問題の解決につきましてはさらに一段と努力いたして参りたい、かように存じておるのであります。
○芳賀委員 この点につきましては、農林大臣におかれても、これを契機として多大の関心を払われることを期待したいのであります。 次に第三点の畜産の振興に競馬が寄与するという点でありますが、先日の大臣の御答弁によると、畜産振興とは酪農と養鶏であるということを言われたわけであります。これは酪農の問題はうなづけるとして、酪農と養鶏が両々相まつて併立して進んで行けば、それで畜産振興となるようにお考えになつておるかどうか、こういう点もあわせてお伺いしたいと思いまするし、特に競馬によつて酪農、養鶏が振興されるというような必然的なルートは、どういうところからお考えになつておるか、その点をまずお伺いしたいと思います。
○保利国務大臣 私は、日本の食糧事情からいたしまして、今後の食生活は相当麦類に依存しなければ立ち行かないという現状から将来を見通しますればどうしてもここに蛋白、脂肪の供給源を豊富ならしめて行くという政策が強く打出されて行かなければ、この目的を達することはできない、一面、農家の経済に弾力性を持たせると申しますか、農家経済を安定せしめて行く上からいたしましても、酪農及び養鶏というものは相当重点的に考うべき施策ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。しからば、競馬と酪農振興ないし養鶏とどう直線的に結びつくか。これは競馬をやつたからすぐ酪農の振興になり、あるいは鶏もふえるというものでもなかろうと存じますけれども、しかし競馬を行うそのことは、酪農あるいは養鶏、要するに一連の畜産振興に寄与して行くという考えのもとに競馬というものは行うべきものである、こういう意味で申し上げておるわけであります。
○芳賀委員 非常に抽象的な御答弁でわかりかねるわけでありますが、具体的に言いますと、一応法案の趣旨は三点に要約されておるわけです。法律が施行されて、かかる公社による競馬が行われた場合においては、この三つの点に対する期待が持てるのかどうかということを、私は具体的な事例をできればあげていただいて、了解したいと思つておつたわけでありますが、農林大臣の御答弁は政治性が多分にあつて、了解に苦しむわけであります。たとえば一例をあげて、現在当委員会においては酪農振興法が審議に入ろうとしておるわけであります。あれを見ましても、結局、具体的にはどうすればわが国の酪農が振興されるのかということに尽きるわけであります。たとえば酪農振興の中においても二つの柱としては、一つは、集約酪農地区を国が設定して、集中的にその地域にまず酪農を振興させるということであります。一つは、国が経費を投じて外国から牛を輸入してそれを貸付するという形。もう一つは、有畜農家創設特別措置法等によるところの有畜農家の創設資金を国が利子補給等をやつて貸付するというような、二つの面から牛の増殖が行われて行くわけでありますが、こういう点に対しましても、この競馬をやることによつて、これらの酪農振興が促進されるような一つの具体的な推進力が生れて来なければならぬというふうに考えるわけでありますが、これらの点に対する大臣の責任ある、自信のある御答弁はいささかもないのでありまして、この点は非常に問題であります。そういうことになりますと、この法案の前段に掲げた趣旨というものは、決してかかる結果を結ぶものではなくて、何かを理由づけるために、いわゆる羊頭を掲げて狗肉を売るがごとき意図のもとにつくられておるとしか考えることができぬのであります。たとえば一つの考え方としては、第四条にもある通り、国が現在国営競馬として持つておるところのあらゆる競馬に対する施設、かかる財産のごときものを全額出資する。これが公社のいわゆる資本の形成であります。そういうことをやる場合においては、この民営の競馬というものが法人であり、公益性を持つているということを立証しなければ、国がこの競馬会に対して全額出資をするがごときことは、理由が立たぬのであります。かかる公益性を与えるために、この競馬会法によつては競馬の健全なる発展、あるいは馬の改良、増殖、畜産の振興等に寄与するのだということを、そのために掲げておるとしか理解することができぬのでありますが、ほんとうの腹はそうであるかどうかということを、端的にお伺いしておきたいのであります。
○保利国務大臣 競馬を行うのは一体何のために行うかということからいたしますと、賭博のために競馬を行うというふうに競馬が堕して行くということは、恐るべきことであろうと思いますし、やはり競馬の目的というものは、できるだけ国家の利益という目的に沿うように行わるべきである。さような上からいたしまして、とにかく馬が走ることでございますから、馬を走らせて、それは同時に畜産の振興であるとか、馬匹の改良、増殖であるとかいうような方向に寄与して行くようにこの競馬をやつて行きたい、私はこういう趣意に信じておるわけでございます。従つて競馬をやつた、さあそれは酪農にどう寄与するかという直線的には、いかなる詭弁をもつてしても、これはなかなか説明ができないのじやないか。競馬というものを行うと、相当の弊害も率直に認めざるを得ない。そういう弊害を伴う行事を行うのに一体何のためにやるか。それはこういうところに寄与するように行うべきである、という程度で御説明するはかなかろうかと思います。
○芳賀委員 この点は一例をあげると、第十五国会かもしれませんが、当時田子さんが農林大臣をやつておられたときに、例のハイアライ法案というものを出す用意をされたわけです。あのばくちは幸いにわが国には入つて来ませんでしたけれども、あの場合にも、そのてら銭の一部を社会事業、あるいはそういうものに何パーセントか納入することによつて、やはり一つの社会性を与えようと試みられたわけでありますが、こういうことは一つの冒涜であると思うのであります。かかる必要悪を最小限やむを得ないものとして是認する場合においても、実際にこの競馬から来るかかる期待というものは持てない場合においては、もう少し良心的に法の趣旨というものを改められた方が、国民全体に対しても率直に了承されると考えるわけでありますが、この点に対しては、まつたく第一条に期待される効果というものは伴つておらぬということを、私はここで断定的に確認しておきたいのでありますが、その点はいかがですか。
○保利国務大臣 私は競馬というものはハイアライなどというような純然たる賭博行為とは違うと思います。とにかく動物愛護と申しますか、馬の愛護精神を普及する、それが全体の畜産振興に寄与して行くということからいたしますれば、ほかのものとは違つて、これは沿革的に申しましても、また競馬が今日まで果して来ている役割からいたしましても、こういう目的を掲げて、より目的に沿うように行つて行くということは、決して不可能ではない、可能なことであり、またそうしなければならないことである、私はこういうふうに考えております。
○芳賀委員 そういうような御答弁ではあるけれども、これは全体を了承させることは無理だということは、大臣も御承知と思います。たとえば競馬法の第十一条の二には「勝馬投票券の発売による収入金のうち、」というような書き出しで「三分の一に相当する金額を、畜産業の振興のために必要な経費に充てなければならない。」ということを規定しているわけです。これは今年の予算から見ましても、約十二億くらいに当る金額が出て来ると私は考えるわけです。ところが先ほど大坪局長のお話によると、畜産局全体の予算は大体二十一億くらいもらつてあるのだからして、むしろその教字の方がいいのだから、これはあつてもなくてもかまわないから削つたというような福田委員に対する御答弁でありましたけれども、競馬法の中には、現在審議されておるこの中央競馬会法のごとき、こういう羊頭狗肉的な趣旨はうたつてありませんけれども、法の内容の中においては、このように使途を明示しておるわけであります。今度の場合においては、逆に十一条の二の規定を削除しているわけです。こういうことをこの法律はうたつてはおるけれども、内容においては、この競馬会から生ずるところの国庫の納入金に対しては、その使途というものは、たとえば畜産の振興であるとか、馬の改良増殖等に用いなければならぬ規定というものはいささかもないのであります。そういうことになると、むしろこれは一種の後退であるというふうにも考えられると思うのでありますが、そういたしますと、現在までの競馬法の十一条の二の規定というものは、これは単なる空文であつて、何ら実効をもたらしておらぬのだというふうに考えてもいいのであるかどうか。それはこの法律の明記しておる点を、現在の政府は忠実に履行していなかつたというふうに考えてもいいかどうかという点に対して、大臣のお考えをお聞きしたいのであります。
○保利国務大臣 先ほど畜産局長も申し上げておりまするように、今日の農林施策の中における畜産施策というものは、競馬の上りだけで事が済むような状態でないことは御承知の通りでございます。そこでそれならば、全体の予算のうち、予算は予算として、競馬の上りから来るものはそれだけプラスができるように財政措置ができるとすれば、畜産予算は畜産予算、その上に競馬をやつた行事から上つて来るところのものは、またそこにプラスして行けるというような財政事情にありまするならば、御説の通りでございます。今日はもう御承知のようにそういう状態ではございませんので、どうしても畜産関係の予算というものは、競馬の上りいかんにかかわらず、もつとふえて行かなければならない必要に迫られておるわけでございますから、むしろここにきゆうくつに競馬の上りをこうやる、お前のところはそれでもういいじやないかというようなことを、だれも言う者はありませんにしましても、そういうふうになることは、私は畜産施策全体の上からいつて必ずしも有利だとは考えておりませんので、そこは今芳賀さんの御意見のように、条項にうたうこともけつこうですが、しかしながらうたわないからといつて、畜産予算の編成の上に支障を来すというようには私は考えておらないものですから、あまり固執していないわけです。
○芳賀委員 本会議の関係があるので、もう一点だけお伺いしておきますが、大臣の言われたような点が妥当なんです。そういうことになれば、この第一条の趣旨などというものは、別に麗々しく書く必要はないのです。競馬から上る納付金にしても、国民一般から吸い上げる税金にしても、あるいは官業収入にしても、これは広義に解釈すれば、ことごとくそれらのものは馬の改良、増殖あるいは畜産の振興に寄与しておるのかもしれぬ。そういう場合において、中央競馬会法だけの中にこれが畜産とか馬の改良、増殖に寄与をするということをことさらに書くことは、大臣の今言われたような御答弁から見ると、ここに矛盾があるということを私は言いたいのであります。この第一条の二の規定に対しましても、競馬制度審議会等において、これは二十七年の六月の第一回の審議会と思いますが、ときの長谷川畜産局長も、「この納付金の使途につきましても、現在は売得金から払いもどし金を支出した残額の少くとも三分の一の額は畜産業の振興のため必要なる経費に充てるということを法律で規定しておるのでありますが、この規定の解釈からいたしまして、実際にはほとんど実効を上げておらないのであります。畜産の振興に必要なる経費に充当するということでありますれば、その実効を収めるような方法を考究することもこの際必要ではないか」云々というように言つておられる。かかる規定というものは、今のような御解釈で行くとあつてもなくてもこれは同じだということになるのであります。ただ少くともこの中央競馬会法に規定する場合においては、その競馬を行うことによつてかくかくのプラスになるというような実証がここに出て来なければ、これはただ単に空文に終るのではないかということを私は指摘して、これに対して大臣も同意されたというふうに考えるわけであります。でありますから、この点に対しましては、あくまでも私は、この前段の趣旨というものは真実な良心的なものでないということを、ここで大臣とともに確認したいわけでありますが、なお本会議の関係で残余の点は後日に譲りたいと思うので、この点に対する御所見だけでも承つておきたいと思います。
○保利国務大臣 畜産振興をうたつていることは、この法案のごまかしだということを確認するということには、私はどうも賛成をいたしかねるわけでございます。やはりこの法案は、あくまでも一面畜産振興に寄与するように行うべきである、こういうふうに考えておるわけであります。 それから、なるほど先ほど申しますように、畜産予算は畜産予算として、ただ予算全体の上から競馬というものははねのけておいて、そうして予算を編成したあとで競馬の上りがあれば、それを別途畜産振興に用うるというようなことが、実際の予算編成の上でできますれば、お話の通りでございますけれども、今日の予算といえども、また逆に財政当局は、競馬から上つて来るから畜産にそれだけの予算が出せておるのです。こう説明すれば、それも説明としては成り立つわけでございますから、そこは競馬でこれだけの上りがある、従つてこれはこれとして特殊な目的に使う、たとえば飼料改良なら飼料の改良のみに使うんだ、こういうことですとはつきりして参りますけれども、畜産全体といううたい方からいたしますれば、それが含まれているように解釈すれば解釈できてますし、含まれていないと解釈すれば解釈もできる。この辺は芳賀さんも十分御承知のようでございますから、できるだけ今後とも私どもとしましては、競馬の振興により、同時にまたそれを予算獲得の手に用うるということはよろしくないと存じますけれども、少くとも畜産予算の充実を期しまする上に寄与して行くようにはいたさなければならぬ、こういうふうに考えております。
○井出委員長 残余の質疑は次会に繰越し、本日はこれにて散会いたします。 午後四時二十五分散会