農林委員会 第29号
- 発言数
- 126 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1954/04/09
会議録
○井出委員長 これより会議を開きます。 日本中央競馬会法案を議題といたし、審査を進めます。前会に引続き質疑を許します。寺島隆太郎君。
○寺島委員 私がお伺いいたしたいと思います点は、先般本委員会に提案せられております法律の第一条の目的に関連する事項につきまして、出席政府委員の御検討を相煩わすよう本委員会を通じてお願いをいたしておつたのであります。それをしぼりまして、政府委員から両三点お答えを願いたいと思うのであります。 法第二条に関連して伺いたいのでありますが、聞くところによりますと、これは前会安藤委員その他から御質問があつたのでありますが、現在横浜競馬場は米軍に接収中であり、開催の見込みがないという御返事でございましたが、この真相についてごく簡単に承りたいと思うのであります。
○大坪政府委員 横浜競馬場の問題につきましてはお尋ねの通りでありまして、現在も米軍に接収中であるのであります。私どもといたしましては、たびたび米軍に交渉いたしておりまして、早く解除してもらいたいということを折衝いたしておるのでありますが、現在までのところまだ接収を解除せられておりません。なお聞くところによりますと、当分の間解除の見込みがないということでありまして、その点ははなはだ遺憾に存じている次第であります。
○寺島委員 そういたしますと、本法の第一条に関連いたすのでありますが、新団体は勢い開催不可能の競馬場も政府出資の形において引継ぐということになつておるのであります。また競馬法の第二条の規定ではそのままでは適当ではない、こういうことがまた必然考えられるのでございますが、これに対する改正の御意思がおありでありましようかどうか、あるいは、適当な方法といたしまして、横浜競馬場が開催せられるまで付近の競馬場、たとえば川崎競馬場等で暫定的に競馬を開催するというような考えがおありでございますかどうか、安藤委員のこの前の御質疑の点にもかんがみまして、また簡単にお尋ねして、御研究を煩わしたいと希望しておつた点についての結論を得たいと思うのであります。
○大坪政府委員 お尋ねの通り現在法第二条によりまして十二の競馬を国で開催するということになつておりますが、そのうち三箇所だけは国で国営競馬をやることにつきまして中止中であるのであります。新潟とそれから宮崎の方は県に貸付中でありますし、根岸につきましては、ただいま申し上げました通り米軍に接収中でありますので、現在開催不可能の状態であるのであります。それに関連いたしまして、横浜の付近にあります川崎競馬場で横浜の競馬として開催すればどうかというようなお話でありますが、それにつきましては、横浜の競馬といたしましては、できるだけ根岸の競馬をすみやかに開催できますように、私どもといたしましては今後努力を続けるつもりであります。従いまして、ただいまお話の通り、法律の第二条を改正するということは現在のところ考えておりません。しかしながら、根岸の競馬場が再開に至りますまでの便宜的な措置といたしまして、根岸競馬場のかわりに川崎でやつたらどうかというような第二点の質問につきましては、競馬法の第二条の規定がきわめて抽象的に規定してありますので、第二条を横浜地方におきます競馬場、つまり横浜競馬場を根岸の競馬ということに関連いたしまして、横浜地方におきます競馬場と広く解釈いたしまして、根岸の競馬を、一時根岸の競馬場として開催されますまで川崎で開催させるということは、必ずしも法律の解釈上は不可能ではないと存ずるのでありますが、この点につきましては、新しく発足いたします中央競馬会の意向、あるいは地元各方面の大体の御意向、あるいは競馬関係者の大体の意見が、川崎において一時開催した方がよろしいというようなことになりますれば、政府といたしましてもそういうような御意見は大いに尊重すべきものである、かように考えるのであります。従いましてその点につきましては、新団体が成立いたしましたあかつきにおきまして、各方面の意向を十分慎重に検討いたしまして、御希望に沿うべく努力したい、かように存じておるのであります。しかしながら、もちろん川崎競馬場が国営競馬場としての施設が完成するということ、同時に根岸が再開されるまでの暫定的措置であるということにつきましては、これは重ねて申し上げる必要もないかと存ずるわけであります。
○寺島委員 前会私が質問をいたしました点につきましては、私の表現方法等について必ずしもおのみ込みがいただけなかつたかと思うのでありますが、緊急の時間を得て明瞭になりましたので、本件に関します第一条に関連する質問はこれで打切ります。
○井出委員長 次に中村時雄君より議事進行についての発言を求められております。これを許します。中村君。
○中村(時)委員 まず第一に、競馬法に関しましての問題で、先般来これに対する評価の問題について、私は資料の提供をお願いしておつた。なぜなれば、競馬法の財産を国が競馬会に一応出資をする形になつておつた、その出資に対する評価としての重要性がここにあるわけであります。だからこの評価ができない限りにおいて、競馬法の案件をここで取上げるということは非常に問題がおもしろくないのじやないか、こういう感じを持つておるわけです。その意味において、すみやかに委員長からこの評価に対するところの取上げ方を請求していただきたい。なぜなれば、資産の評価においてはいろいろな評価の仕方があるわけであります。その基準すらはつきりと打出されていない状態です。そういうような最重要な点がここで傍観されておるような状態なものですから、この問題をまず取上げてから私たちはこの法案に入りたい、このように思つているわけです。
○井出委員長 中村君のただいまの御発言は、評価基準に対する資料の御要求と解していいわけですね。——当局は今の要請にこたえての資料が出ますかどうか、その点を……。
○大坪政府委員 御承知のように中央競馬会法案によりましては、現在国営競馬特別会計に属しております資産は原則として政府で特に留保するもの以外のものは現物出資をするということに相なつております。しかもその現物出資いたしました資産の評価につきましては政令をもつて定めるということになつておりますが、この評価につきましては大蔵当局と数次にわたり協議いたしまして、評価基準は競馬会の成立の日における時価である、しかもその時価は農林大臣が大蔵大臣と協議してきめるのでありますが、その場合におきましてはいわゆる評価の客観性を確保いたしますために、評価につきまして学識経験のある評価人に委嘱いたし、その意見を十分に参酌いたしまして決定をする、大体こういうふうにやつて参りたいと存じております。
○中村(時)委員 この法案の要綱の第三に「現物出資するものとし、その額をもつて」こういうことが出ておる。またはその現物出資に対してそれを時価評価をしてと、こういうふうにおつしやつておる。そうすると、当然その問題が中心になつて出資の額というものはきまつて来なければならぬ。そこで話は別になりますが、一言農林大臣にお尋ねしますけれども、今大蔵大臣と農林大臣の御相談によつてと、こういうふうに言つていらつしやるが、そういう御相談をしてこの再評価の問題の考慮をやつていらつしやるのかどうか。
○大坪政府委員 幸い法律が成立いたしましたあかつきにおきましては、ただちにいわゆる学識経験者としての評価員を委嘱いたしまして、それによりまして時価を一応算定をしていただきまして、その算定に基きまして大蔵大臣と農林大臣が協議いたしまして、幾らであるかということを決定いたしまして、日本競馬会成立の場合に何ぼの出資をするということを決定いたす、こういうことに相なつております。
○中村(時)委員 それは考え方が反対なんです。少くとも政府が出資するとなれば、幾らの出資をするかという限界があると思うのです。何もかも出しておいてそのあとで云々すわけでなく、法案をきめる前にそういう基礎的条件をわれわれが整えて、妥当であるかどうかを検討して行くのが私は正しいのではないか、かように思つておるわけでありますが、これは別に答弁はいりません。
○井出委員長 川俣清音君。
○川俣委員 この際質問の前に、一言大臣に在来の委員会の模様をお伝えし、考慮を促したいと思います。 農林委員会が今まで比較的超党派で審議いたして参りましたために、政府の都合または大臣の予算委員会に対する出席等をおもんばかりまして、できる限り質疑の進行をはかるために、あえて大臣の出席を求めながらも事情を了として参つたのであります。しかしながら、ほかの委員会と比較いたしまして、農林大臣の出席率が非常に悪いということで、実はたびたび問題になつたわけであります。ここに新しく日本中央競馬会法あるいは保安林に関する法律、あるいは酪農振興法等が出て参りましたので、どうしても一応大臣の出席を求めまして審議をして参らなければ議事が進行せぬということが、強く要望せられたのであります。そういう点について、きようも大臣の出席があるかどうかということを各委員が非常に不安に思つておりましたために、出席率も悪くなつたようなかつこうになつておりますが、将来努めて出席されるという御意思であるとは思いますけれども、この際はつきり御答弁願つておきたいと思います。
○保利国務大臣 各種の法案の御審議をお願いいたしておりますにかかわりませず、私の出席が非常に少かつたために御審議上の御不便を来しているということでありますが、まことに申訳ないことだと思つております。事情は十分御了察のことでございますから申し上げませんけれども、法案御審議の上において、私も御趣意に沿いまして十分努力をするつもりでおりますから、何とぞ御審議をお進めくださるようにお願い申し上げる次第であります。
○川俣委員 大臣の答弁を了といたしまして、審議を続行して参りたいと考えます。 日程に従いまして、午前中日本中央競馬会法案を審議いたすことになつておりますので、これについて大臣に二、三点お尋ねいたしたいと存じます。 従来の国営競馬についてはいろいろと批判が行われておりますために、政府は新しい構想のもとに日本中央競馬会法を提出せられたようでございます。しかしながらいろいろ批判があつたのを、全部これによつて解決したとは思われないのでありまして、一番最初に政府が考えておりましたのは、国が行つておりました競馬自体を中央競馬会に譲与する、または貸し付けるというような構想であつたのでありますが、これをとりやめまして、今度は公共企業体とも言うべき形の、いわゆる全額国庫出資という形で中央競馬会が生れるわけであります。ここで考えられますことは、今までいわゆる国営または民営という形で論ぜられておつたのは、国営という——直接国営ではないけれども、間接的な国営とこう見るべき寸ものであろうと思うのであります。国営から民営に移管されたと言われますけれども、これはいかなる意味においても断じて民営ではないと私は思うのです。それでここで問題になつて参りますものは、中央競馬会に無償譲渡または貸与という形式が廃せられまして、政府が全額出資をする、いわゆる資本金を擁した営利法人であり、それは私企業でなくて、やはり国家企業である、こういう形をとつて行くわけです。ただいわゆる国家公務員がいたしておりました事業を、公務員的な色彩を持つた者がやはり経営をする、こういう考え方だと思うのです。これもやはり一つの行き方であると思います。で、問題は、その経営体から来る問題も一つはありますけれども、それよりも一体なぜ競馬を民営に移さなければならないのか、官営の欠陥がどこにあつたかというと、あたかも、国営でやることは畜産奨励になるんだという建前を強く押し出して来た。特に戦時中に、軍馬の必要からいたしまして馬匹の改良、品質の改良という点に重点を置き、いわゆる駿足な馬を多量に増殖して行かなければならないという、戦時中の要請に基いて競馬が一応国営として考えられたことも、当時の状況としては必然であつたろうと思うのです。ところが今日では、もはや馬の改良増殖その他畜産の振興をはかることが競馬の第一の目的であるというような考え方は、法文の上では出て来ておりますけれども、内容的には出て来ないのです。そうして競馬というような一つの競技は、大蔵大臣に言わせますならば、どうもこういう競技のようなものでてら銭をとるというようなことは、国の財政の上からも好ましいことではないから、たとえば競輪の方もあるいはオート・レースも、その財源を地方に委譲するのだ、こういう答弁を他の委員会でしておられます。それと同様におそらく、これは一つの競技でありますから、競技として考えられて行くのが当局の考え方なのか、それともあくまでもやはり畜産奨励というものを目的として競馬をやつて行こうとするのか、その点が局長の答弁では非常にあいまいなんです。ある面から聞くと、それは競技であるから、競技などは国がやることよりも公の形の一つの企業体がやることが望ましいんだ、こうも言われますし、またいや畜産奨励はあくまでも考えて行かなければならぬ、こうも言われますが、そういたしますと畜産奨励ということを目的にはいたしておりますけれども、内容に参りますと畜産奨励のことが一つも出て来ていない。こうなつて来ると、すこぶる性格があいまいになるのではないかと思いますが、大臣は詳しく法案については御存じないだろうから、内容をお尋ねしようと思わないが、概括的にどのように考えておられますか、こういうことをお尋ねしたいのです。
○保利国務大臣 この予定いたしております中央競馬会の性格、従つて実質的には今日の国営競馬とかわりはしないのではないかということも、ごもつともな点があると存じます。大体はしかしこの競馬の沿革からいたしましても、国が競馬を主催するということでなく、やはり民間団体において長い間競馬が行われて来ておる、それが占領という異常な国情のもとでやむを得ず国営にしなければならないということで、従つて国営でやりますということは正常の姿でなく、まつたく占領から来た異例の措置であるわけですから、できるだけ早くひとつ国がこういうものの主催をするという責任をはずして、そして国がやはり監督の立場に立つて競馬の健全なる発展をはかつて行くということの方が妥当ではないか、これは大体各方面御異論のないところじやないか、私どもはそういうふうに考えておるわけでございます。そこで競馬は一体何の目的があるのだ、馬匹の改良とかあるいは畜産とどこに結びついておるのか、こういう御意見はそれはごもつともでございますが、この競馬に関係をせられる人たちの関係からいいましても、いずれも畜産にきわめて関心の深い人たちでございますし、そういう精神面、人の関係からみましても、私は畜産と重大な関係が結びついていると思うわけでございます。従つて備全な競馬を盛り立てて行く、そしてこの競馬の目的として、国としてもそれは馬の改良その他畜産の振興のために施策を結びつけて行くという趣意をもつて運営をして行くべきである、かように私は考えておるわけであります。
○川俣委員 問題は、この間から私質問しているのですが、競馬を一つの競技なら競技と見て割切つて行つたらどうだ、もしも競技とするならば、私は民営でいいのじやないか、こう思うのです。それを割切れないとすれば、それじや畜産奨励というようなことにほんとうに役立つならば、また前の国営でもいいのじやないかとこうも考える。またほんとうに畜産奨励に私はならないと思いますが、なるとすればこれに補助を与えることが考えられて来なければならないと思います。それであるから、こういう形態の競技は、やはり競技体として一つの娯楽機関とまで極言はできないにいたしましても、そういう競技であるというふうに見て行くのが最近の情勢ではないか、たとえば競輪ができました一番先の目的のときに、日本のいわゆる自転車工業を発展せしめるのである、あるいは改良普及を徹底させるのだ、こういう目的で競輪法はできておりますが、今の競輪で、日本の自転車業界がこれによつて発展したというようなことは考えられません。もう競走用の自転車というようなものは、一般の需要から見まして何らの価値もないのです。あのいわゆる競技用としての自転車というものは、日本の大きな産業の上にそれほど影響しておりません。あれが輸出されるものでありますれば別でありますが、ああいう競技用の自転車としての改良をいくらはかりましても、民間の需要を満し得ないのでありまして、従つて最近では、もはや自転車競技から来る費用をもつて自転車工業だけの振興をはかるのだというようなことを考えないで、最近では通産省は、むしろそれから上つて来たものを割もどしを得て、他の機会産業に使用するような構想が生れて来ておるわけです。同じ政府の部内においてそういう構想が生れて来ておる。そのように自然に当時の目的と実際の状態とはかわつて来ておる。そういう点からいたしまして、競馬そのものをわれわれは決して否定しようとは思いませんが、むしろ競技なら競技として行き、畜産奨励は畜産奨励として考えて行くということが、今日のむしろ日本の産業構造からいつて必要ではないか、特に馬の改良増殖だというのですけれども、むしろ馬の改良増殖とかあるいは畜産奨励ということになりますれば、むしろ草競馬といいますか、百姓の持つている馬の競走でもさせるというのが畜産奨励にむしろ結びつくのです。ところがそんなのではこれは競技になりませんから、農村の一つの単なる娯楽としてはときどきやつておられますけれども、そんなものは競馬としては人気がない、人気がなくてもこれは畜産奨励に役立つということで、県、町村あるいは農業団体等がみな寄り集まつて、補助をし合いながらやつておる。これは確かに畜産奨励の一つの形をもつておりますけれども、今日の日本の中央競馬会が行うような競馬というものは、いわゆる特殊馬匹の向上、こういうのがねらいでありまして、それらが今日必要であります農村の役馬または役牛、または最も今日においては畜産の眼目になつておりまする酪農の奨励には、直接影響しないことは何人も認めるところです。だからこれは畜産奨励あるいはその他の馬の改良増殖というようなものと切り離して考えるべきものではなかつたか、こういう点を質問をいたしておつたのでありますが、これに対しての割切つた御答弁はないのです。何かこういうものをつけておかないと、世間体がぐあいが悪いというような答弁ではあつたけれども、どうしても結びつきが必要だという答弁にはなつていないのです。大臣はどういうふうにお考えになつていますか。
○保利国務大臣 競技と申しますか、娯楽と申しますか、競馬それ自体の存置について、御意見は、大体競馬を残して行くということについては御異論もないようでございますし、お話のように割切つて話せと言われましても、これは競馬を行つておる意義は競技だけであるか、これは単純にはそういう見方も成立ちましようが、私はやはり競馬と畜産とは結びつけて考えて行くべきではないか、またそういう考えをもつて行つて行くべきではないか、こういうふうに考えておりますが、実際の現状はお見方も十分成立つと思います。これはあえて私は弁駁を申し上げる気はございません。できるだけやはり競馬というものを、あるいは馬の競技としても、健全娯楽としても残して行くということでありますれば、やはり畜産と結びつけて考えて行くということが大事であろう、こういうふうに考えております。
○河野(一)委員 最初に大臣に一言申し上げておきたいと思います。御承知の通り、この間大臣のかわりに政務次官のごあいさつがございましたが、その際に競馬審議会のことについて競馬審議会において意見がまとまらなかつたから、地方競馬のことについては今回はこれを留保した、こういうお話であつた。私はこれははなはだ遺憾に思う、といいますのは、前廣川大臣のときに、暑中にもかかわらずわれわれ民間の者を集めて、数回にわたつて競馬審議会をお開きになつた、これは結論に達していない、結論に達せず全然あとのごあいさつもない。役所としては私はあまり無責任だと思う。しかもあとの大臣がかわられて、これは全然相手にしないのだというならば別です。あなた方のごあいさつの中には、その当時の審議会の意見が一致しなかつたから、これは取入れなかつたのだということで、その当時の審議会の審議の経過を尊重しておられる。尊重しておられるならば、この競馬法を提出するときに、一応審議会をお開きになつて、事情かくかくで今度は競馬法の提出をこういうことでもつて法案を出そうと思うということのごあいさつをなさることが、私は民間に対する礼儀だと思う。これは私はすでに事務当局に一ぺんやつて来なさいよと御注意申し上げたのです。政府は都合の悪いときにはさんざん民間人を集めてやる。自由党の内部では廣川君と小笠原君の意見が一致しない。それを調整するために民間の委員会をつくる。そこに問題を預けて、そしてうだうだ引延ばしの道具に使つておいて、今度は自分がいよいよ出そうというときには一言のあいさつもなさらぬということは、将来のために私はよくないと思う。そういうことがありますと、民間は政府に協力いたしません。今後そういうことがないように御注意願いたいと思う。これは特に大臣に苦言を呈しておきます。 それから今の地方競馬の問題については、そういう事情で今回は取上げなかつたというお話でございますが、これはその当時の速記録をお読みになればよくおわかりになる。決して意見が一致しないでも何でもない。しかもこれは一昨年のことでございますから、一昨年と今年では事情が違う。その当時は戦災都市の人々が、まだ戦災復興が完成していないから、もう少し戦災都市の競馬を続けてほしい、こういうような主張だつた。その後もうすでに今年の九月これを施行するとすれば、満二箇年経過しておるわけです。戦災都市という観念が今日通用いたしましようか。たとえば東京の例をとりましても、東京の各区が戦災競馬ということで競馬を施行しておる。その益金をもつて戦災復興に充てておるというが、今日全国の農村に比べて、またこれから先の明年の農村に比べて、東京都が依然として戦災復興に名をかつて競馬の益金を道路の改修に充てるとか、学校の施設に充てるとかいうようなことが一体成り立ちましようか。政府自身の予算の面から見ましても、全国の老廃校舎の復旧であるとか、危険校舎の改修であるとかいうようなことに、相当の資金を政府は出しておるにもかかわらず、東京都内の校舎の改修に政府は出しやしません。そういう点からいつても、農村に対するこういう資金を使うということの方が、私はすでに今日の段階では必要だと思う。まして畜産奨励に対しては、国家資金の非常に多額のものを充てて、今年の緊縮予算の中でも畜産の予算だけは減さずにふやして行こうという考えを大臣は持つておられる。その中にあつて、今日あるいは明年の段階においても、戦災復興に重点を置かなければならぬような社会情勢であるかどうか。地方の畜産を奨励するために地方競馬を活用することの方が重要か、戦災復興のために戦災都市に競馬を開催させることの方が重要であるかということは、おととしの議論と今年の議論では時代が違うと思う。大臣はおととしの夏の競馬審議会の内容をこの法案の説明の中に取入れておる。そういうことであるから、地方競馬については今回はこれを延ばしたというようなごあいさつは当らないと思う。いろいろ質問もありますが順次伺うことにいたしますから、まずこれを伺つておきたいと思います。
○保利国務大臣 法案提出に至る間の競馬審議会との関連における手続上の御注意につきましては、十分承つておきます。 国が競馬を主催するという形よりは、民営に移して、国がその健全な発展を守つて行くように監督して行くという形の方が望ましい形ではないか。地方競馬につきましては、御所論のように、もはや今日の段階においては、地方自治体がこれを主催する必要はない時期に来ておるという御意見はごもつともであろうと存じます。まず私どもといたしましては、現在の国営競馬の移管といたしまして、移管いたしましたそのあとの状態、あるいは地方競馬それ自体のあり方につきましては、いま少しく研究をさせていただきたいということで、今回は地方競馬には全然手をつけないで、中央競馬の処置だけの御審議をお願いするということに一応きめまして、御審議をお願いいたしておるわけでございます。
○河野(一)委員 あなたのお考えはよくわかる。むろんこういう競馬は国が主催すべきものではなく、民間にやらす方がよいというのにはまつたく同感だ。そういう考えから行けば、県がやることも同様なんである。今の川俣君に対する御答弁のように、戦前には競馬会でやつておつたが、戦後国がやるようになつたから、それを戦前のやり方に移すのだということもけつこうだと思う。地方競馬についても、何も県がやつておつたわけでもなければ、戦災都市がやつておつたわけでもなく、地方の畜産組合連合会がやつておつたものである。この畜産組合連合会の当時の競馬の関係者が、今日でも地方におつて、これを農林省の役人にして競馬部でやらしておる。この競馬部の人間をまた元通り民間にもどして競馬の仕事をやらせる。これは同じことです。地方に行きましても、各畜産組合連合会におつた競馬の経験者が集まつて、名前だけとりかえてやつておるのであつて、実体は同じことです。大臣は地方にはいろいろの事情があるだろうからと言うが、その事情はすなわち戦災都市に競馬の益金を使わすことがよいか、それとも畜産振興に使わすことが妥当であるかというその認識の問題であります。今川俣君に対する大臣のお話を聞いておつても、割切れない点がある。川俣君の御所論にも割切れない点がある。これをはつきり割切つてもらいたい。戦前の競馬には、馬匹改良という目的があつた。軍馬補充という目的があつた。元来日本の競馬は、軍馬補充部から出発して、かつての陸軍の裏づけによつてできたものだ。賭博類似の行為をやることに違いないけれども、軍馬改良の必要性から競馬をやらせようということでできて来たのが日本の競馬だと思う。そこでそういう意味において、農馬とは別に乗馬、軽種の馬をつくるというようなことから競馬というものが必要になつて来た。どれほど必要であつたか知らぬけれども、そこに根拠があつた。ところが戦後は軍馬補充という考え方は毛頭ございません。同時に馬の必要性がなくなつて来た。これには非常に農村方面において、決して無用とは申しませんが、議論があると思う。輓馬の点においても、今日のようなオート三輪車ができて来た時代において、いつまで一体都会において馬力をひつぱつておれるか、これにも議論があると思う。戦前の馬の必要性と戦後の馬の必要性には格段の相違がある。機械化を農村に奨励する点からみても、ゆつくりしたものなら牛で間に合うし、早くやるものなら機械でやつた方がよろしい。どこから見て行つても、馬については戦前と戦後の国内における利用価値が違つて来ておる。それをなおかつ競馬をこういうふうにして行く。ある意味においては国民の健全な娯楽であるとかなんとかいつてみても、そんなものは健全な娯楽とはちつとも思いません。これを健全であると、だれが健全と名前をつけてみても、健全と言い切れぬと思う。しからばスポーツかといえば、断じて私はスポーツでないと思う。賭博かといえば賭博とは言えない、健全かと言えば健全とは言えない。曖昧模糊の間にあつて、われわれはこれに対して賛意を表するゆえんのものは、これによつて二割五分の、悪い言葉で言えばてら銭をとる。そうしてその中から必要なる経費を払つて、あとの金を畜産振興に使うところに必要性がある、社会事業に使うところにこの存在性がある、こういうふうに割切つてもらいたいと思う。富くじを売つたこともある。これに対してとかくの議論もいろいろありましようけれども、経費を捻出する意味において売つた時代もある。また現今でも売つておるところもある。競輪にしても今御意見がありましたが、競輪によつて自転車の振興になるとは思わぬ。それによつて生れて来る益金によつて、自転車の振興に使うから、自転車の振興に寄与する点があるのだろうと私は思う。ないしはまた戦災都市に自転車の競輪場をつくつて競輪をやらせるから、そこに妙味があるだろうと思う。だからその点は大臣の答弁もそういうふうに割切つてもらいたいと思う。それをもし割切つていただけば話は非常に簡単になつて来る。それを割切らぬで、いやこれは健全娯楽だとか、やれ大衆娯楽だ、スポーツだ、畜産振興だと、割切れぬで中途半端なことを言うから話がめんどうになるのだから、私の言つたようにすべて割切つてもらえば、話は簡単になる。その点について一ぺんひとつ御意見を承つておきます。
○保利国務大臣 今河野さんの言われたような形で、私は割切つておるつもりでございますが、しかし政府各関係部門との全体を見まして、競馬は畜産振興だということになりますれば、私は率直に申し上げまして畜産振興は今日の日本の食糧事情あるいは農業事情から申しまして、どうしても今後相当大きい国の力を注ぎ込んで行かなければならない。そこで競馬と即畜産振興という狭いところで結びつけて置くことは私は決してとらない。しかし競馬は、主たる目的は、川俣さんの御所論とは違いますけれども、競馬との関連において畜産振興を一面にはかりつつ、さらに競馬以外にも国の力を畜産振興に充てるべきである、こういう考えを持つておるわけでございます。従つて割切り方につきましては、河野さんと私とは意見が違うとは思つておらぬわけです。なお地方競馬の関係につきましては、りくつはその通りだと思います。それは、こういうものを地方公共団体が主催するのでなくて、地方公共団体はやはり監督をして、間接的な利益を受けるなら受けるべきであつて、主催は民間においてやるべきである。ただこれを実施に移しますにつきましては、まず国営の方から移さしていただいて、そうしてその線に沿つて実現いたすように、さらにもう少し研究をさせていただきたい、こういう趣意でございます。
○河野(一)委員 私は今の大臣の答弁である程度満足いたしますが、ただこの際一言つけ加えておきたいことは、私といえども全部この益金を畜産に使え、畜産振興が目的であるから畜産に全部使わなければならぬものだというようなことは考えない。今申すように、社会情勢もいろいろありますし、これはかつて考えて参りましたように、その主たる部分は畜産振興に使うべきものであつて、その他の部分は社会公共施設に使うべきものだ。たとえば癩の療養所に使うこともけつこうでございましようし、それからこれを各種の社会福利施設に使うこともけつこうでありましようし、オリンピツクの派遣選手の補助費に使うこともけつこうでありましようし、少くとも特殊な、国家として資金の出しにくい、また出してもより以上出してやるべきものに使うべきだ。そういうものをかせぎ出すのが競馬だというふうに考えるべきであつて、競馬をやることによつて、畜産はちつとも振興しない。二百万、三百万するような馬を並べて走らせてみたところで、農村とは関係がない。だから馬の振興と農村とは関係ないということは、係の事務当局はどうであつても、大臣だけははつきり頭を割切つてもらいたいと思う。今の競馬で走つている馬は農村とは関係がない。極端に申せば、ばくち場のさいころのようなものだ、競馬の馬なんてものは。あんなものは少しも畜産の振興にもならなければ何もならない。あの馬は一体何になるかといえば、現に馬の足がおかしくなつたら使い道があるかといえば、使い道はないでしよう。ひびが入つたら屠殺してしまうだけだ。輓馬にもならなければ農馬にもならない。だからあれは競馬そのものにだけ使う道具であつて、ほかに使う道がない道具なんだ、競馬馬なんてものは。だからそういうものを奨励するということは農村振興だとか畜産振興だとかいうことにはならない。そういうことをよく割切つて、いやしくも畜産振興に金を使うということは、競馬馬を育成することによつて使う金とはわけて考えなければいけない。そういうことをよく考えてもらいたいと思う。 そこでこの法案を読んでみると、初めのところには、農村振興だとか畜産振興だとか書いてあるけれども、あとの方には何もない。どこを探してもない。それは畜産局長からよく大臣に説明して、この法案はごまかしでございます、議員の方でよく直していただきたい、こういうふうに言つてもらわないと、どこを見ても何も書いてない。目的のところには書いてあるが、事業のところには何も書いてない。これはおそらく井上競馬部長あたりが書いたのだろうと思うが、こういうでたらめな法案を出してはいけない。議会に出すのに、目的にだけ書いて事業のところに書かないというばかなことで一体法案が通りますか。大臣もこの点はよく御認識になつていただきたい。金でも何でもどこにどう使うか少しも書いてないでしよう。この点についての御所見を承りたい。
○保利国務大臣 法文の形において冒頭に、「馬の改良増殖その他畜産の振興に寄与するため、」という看板をかけておるわけであります。従つて競馬というものは、寄与するために競馬法に基いて競馬を行うわけでありますから、従つて御趣旨の主たる目的というものを畜産振興に寄与するように用いなければならぬことは当然のことでございます。あるいはその余剰利益と申しますか、これから上つて来るものをどういうふうにあんばいして使つて行くかというところまで法文に規定ができますれば御満足だと存じますが、これはなくても法律の目的がそこにあるわけですから、十分その目的を達成し得るのみならず、畜産振興のためにはこれだけに限らず、さらに今後国費を費して行かなければならぬという考えを持つておるわけでございますから、法文のつくり方については、あるいはいろいろ御意見があろうかと存じますけれども、私は御趣旨のような目的は十分達し得るのではないかと考えておるのでございます。
○河野(一)委員 大臣は自由党の有力な幹部ですからそういうことになるかもしれぬが、大臣でもかわつたらまたどうなつてしまうかわからぬ。そこで大臣に伺いたいことは、たとえばガソリン税のときに、税金にさえこれは道路の改修に使うのだということは書いてあるでしよう。税金をとる場合にさえ書いておいて、競馬のようなはつきりした事業のものにそれが書けないということはおかしいじやありませんか。これは書くのが当り前だ。これによつて政府に納付する納付金に畜産振興に充てるのだとくつつけることが当り前だと私は思う。それで私は畜産振興に全部使うということが行き過ぎなら、少くとも半額を下らぬものは畜産振興に使うのだ、あとは社会公共施設に使えと書くことが当り前だと思う。そういうことが抜けている。いくら初めに目的に書いてあるからそれでいいだろうといつても、そういうことにはおよそならぬでしよう。従来、戦前から——今日でもおそらくそうでしよう、競馬の益金は、前は譲つておりましたから、三分の一は畜産振興に使う——使つてないじやないか。これは畜産局長の月給まで入れてけつこう使つておりますと言われても、そういうことはわれわれ了承できない。そうでなくて、特殊の畜産振興費にこれは充てるんだと法律にちやんと書くべきだと思う。ほかに例がないならいざ知らず、ほかに例がちやんとある。税金にさえそういうことは書いてある。この点はどうですか。
○保利国務大臣 その点は私も御意見には全然同感でございます。それじやと申しまして、実際やつておりますことを見ると、たとえば競輪の方にもこれこれの目的にこれだけは使うということをなにしておつても、実際はそうなつていない。実際率直に申し上げまして、私の方としてはせめて三分の二は畜産振興に直接寄与するように使いたい、あとの三分の一は先ほど御指摘になりましたように、あるいは国際親善を高めて行く、また青年の健全性を高揚して行くためのオリンピツク派遣選手の費用の一部でありますとか、あるいは国で出しにくい、しかも緊要な社会政策的なものに用いたいということで、大分ねばりはねばつたのですけれども、法律に表わすまでにどうしても話がつきません。これは弱いと言われればまことに弱い。私は決してその点を強弁は申し上げません。そういう趣意で努力をいたして参つたことは参つておりますけれども、この線を法文に表わして持つて参るということになりますれば、正直に申しましてこの国会に法案の提出が困難になつて参る。これは今後のわれわれの努力とこの御審議の過程において十分目的を達するようにやつて行きたいという気持から、あえてこういう形で御審議を願つているわけであります。率直にあからさまに申し上げます。
○河野(一)委員 その点は委員会の方で。委員諸君の御意見によつていかようにも訂正できるでしようから、これ以上は大臣に伺いませんが、しかし競輪は地方のことであつて国営の今の状態とは違う。国家の直接の歳入になるのとは違う。競輪の方は地方の団体がとる金であつて、これは違うと思う。だから今度の競馬法に関するものについては、そういうふうな規定を法律に入れて一向さしつかえないじやないか、こう私は思うわけです。 そこで最後に一点申し上げておきたいのは、先ほど地方競馬のことについて大臣は、よく研究しておくということでございましたが、私もその点は決して反対いたすわけではありません。ありませんが、いつまで行つても、今の段階で参りますならばなかなか行きにくいと思う。でございますから、われわれ畜産団体側といたしましては、この際全部地方競馬もこれと同様に即時実行してくれということで、先般畜産大会を開きましたが、その際にも私特に諸君の了解を得まして、この際全部一緒の日にやることは無理だということを主張いたしまして、そこは妥協いたしまして、現在府県の主催いたしますもの、戦災都市の主催いたしますもの、その中に試験的と申しますか、今日の事情から申しまして、一部分を府県の畜産組合の主催するものと、三本建にすることが妥当じやないかということをわれわれ畜産団体側が主張することに、実は大会できめたのであります。もう一ぺん申し上げます。現在主催いたしておりますものは県の競馬と戦災都市の競馬と二本建になつております。東京で申せば、東京都と東京の各区が戦災都市としてみな競馬を主催いたしておりますから、それをいつまでも今のままで行くということもおかしいから、この中に東京都畜産組合連合会の主催する競馬というものを入れて三本建にしてもらいたいということを、畜産組合としては要求しよう。そういたしますと経過処置として、今の国営のように一ぺんに民営にすることも一つの行き方でございますが、一ぺんに県、戦災都市の競馬をやめて畜産組合連合会に移すということでなくて、ここ一年なり三年の間は、畜産組合連合会と各府県、各戦災都市と三者がそれぞれ期日をわけ合つて三分の一ずつ主催したらいいじやないかという案が一番妥当じやないかと思うので、そういうことに当局側としてもある程度妥協していただけますれば、全国の畜産組合は非常に満足すると思うのであります。そうでないと、中央がこういうふうに民営になつたが、府県は今大臣のお話のように、しばらく現状のままだというようなことでございますと、それじやいつまで行くのだ、かつて府県の畜連で競馬場まで持つておつたのに、これがいつまでこのままで置かれるのだ、戦災都市は一体いつまで戦災都市なんだという農村の要求が非常に強いのでございます。でございますから今私が畜産大会でまとめましたように委員諸君にも了解が願えれば、非常に仕合せだと思うのでございまして、この際三本建にしていただければ畜産組合の発達のためにも非常に寄与いたします。今でございますと、地方の畜産振興には全然充てられません。諸君も御承知、また大臣が御認識の通りに、戦災都市の復興に大部分が充てられる、ないしは各県がそれを使つてしまうということで、戦前に畜産組合がこれを畜産振興に使つておりました競馬の益金が、今日では全然畜産振興に充てられておりませんから、少くとも三分の一の開催権を畜産組合にわけてもらつて、しばらくの間三本建で、経過を当局が監督していただく、そうして順次民営に移してもう間違いがなかろうという段階になつたならば、民営に移して行くということにしていただくなら一番妥当ではないかと思うのでありますが、これは畜産組合の大会の決議でもございますので、この際大臣の御意見を伺つておきたい。
○保利国務大臣 地方競馬の取扱い方につきましては、先ほど申し上げましたように、この国営競馬の措置とあわせて研究をして参つて、御趣意のような方向で行きたいということを申しておりますが、御意見の地方競馬の民営移行の段階的措置としては、私は妥当な御意見じやないかというように感じます。そういうふうでないと、一ぺんにということはなかなかむずかしいかもしれぬと思いますし、そういう趣意で十分研究してみます。
○川俣委員 何らかこの問題について割切らなければならぬという考え方について、河野委員からも質問があり、私も先般の委員会で、この点を質問いたしたのであります。結論的には河野委員と遺憾ながら私は意見を異にするのでございます。これは明らかにしておかなければならぬ。なぜかと申しますと、いわゆる競馬のてら銭でなければ畜産振興ができないのだというような考え方が一体ありといたしますれば、私はこれは重大なことだと思う。伝貧の予防にいたしましても、こういうてら銭からでなければ伝貧対策ができないのだ、競馬の趨勢と畜産とが並行して行くのだ、こういう考え方で畜産振興を考えられるといたしますならば、あまりにも貧弱な畜産振興であると思うのです。いわゆる一定の国の予算のわくの中から、国としてどうしても畜産奨励に使うものが出されて来なければならぬと思う。競馬があろうとなかろうと出さなければならぬ。その上に別わくで河野委員の言われるようなものがプラスされるということであれば、これはまた考える余地があると私は思う。私は法律に書くこともあながち反対じやない。ところが今日の大蔵省の出方は、ここにこれだけのわくがあるのだから、競馬の方からてら銭が来るから、こちらの方の予算を削つておけというようなことで、むしろてら銭の方にすべての力が入り過ぎるということになりますれば、私はこれは何ら畜産振興にならないと思う。こういう点が考慮されなければならぬと思うのです。大臣はどうも河野委員だとにわかに割切つて賛成されておりますけれども、それでは畜産対策としてはあまりにも貧弱ではないかと思う。これは予算獲得ができないための一つの便法だということが考えられるといたしますならば、私は競馬というものは少し邪道になつて来ると思う。こういう点で大臣の御見解を明らかにしてください。
○保利国務大臣 どうも割切るというが、私ども畜産振興をはかるべき当局者として考えますことは、沿革的に競馬というものは畜産振興という大きな看板のもとに動かされて来ておるわけです。従つてそこからもたらされて来る利益の大部分を畜産振興に持つて行くという沿革的な既得権と申しますか、それは失いたくない。しかし現在差迫つている畜産振興の夢話は、そういうところで縛りつけられることは困るのだ。しかし私どもの力が足りませんから、今日では上りだけでもとればたくさんのようにもなつておりますけれども、この競馬から上つて来るものは主として畜産振興に用いない。しかしながら今日の畜産振興に対する国費の要請は、これをもつてしては足りないじやないかという認識の上に立つて、しかし競馬の目的は何であるか、こう言われれば、やはり畜産振興に一番重点を置いて、そこと結びつけて考えて行くべきではないか、こういうふうに申し上げておるわけです。
○川俣委員 私の言うのは、ただ予算獲得ができなかつた便法にここに腰をすえるというような畜産振興はとらざるところだ、そういう点なんです。やはり国の大きな国策として、今の産業構造からいつて、畜産振興というものは、こういうてら銭があるなしにかかわらず、当然大きな要素を持つて組まなければならぬ問題だと思う。その上に不足だからさらにこういう別わくがあるなら別だけれども、これは別わくにならないじやないか、そつちの方を主に考えられて、足りないところは一般経費から補う、こういうふうなやり方は逆にしなければならぬじやないか、もしも逆に考えて行かなければ、農林省の畜産振興対策というものはあまりに貧弱じやないか、こういう点を指摘しておるわけです。と同時に、大臣にもう一つお考え願わなければならぬのは、これはさしさわりがあるかどうかわかりませんけれども、畜産振興という中にこれはいろいろ考えられておると思うのです。どうも何か畜産の団体とか、畜産局の外郭団体等に補助金をやることの方に畜産振興というようなことの重点を置かれるというようなことになりますと、これも邪道だと思うのです。私は全然ない方がいいとは考えませんけれども、やはり主体としては、今食糧対策の面からも最も日本で遅れておりまする畜産の発展の上に何が重点であるかということに主力を置いて、経費は組んで行かなければならぬであろう。その余りがあるならばこれを外郭団体等に補助するというようなことも一応考えてもよろしいけれども、今は外郭団体を補助して行くなんという余裕はなくして、むしろ直接的に畜産の振興というものに主点を置いて考えられて行かなければならぬと思いますけれども、これに対する御見解を伺いたい。
○保利国務大臣 仰せの通り、食糧事情からいたしましても、どうしても国民多数が粉食生活を相当高度に用いなければ食糧の自給態勢は整つて来ない。そういう上からしますと、今日畜産振興の一番焦点となるものは、やはり私は酪農と養鶏だと思つております。酪農、養鶏がただいまのような足取りをもつてしては、どんなに食糧問題をやかましく言われましても解決できないんじやないか。そこで現在のような足取りで、酪農にいたしましても遅遅たる状態で行きますれば、いろいろの事情から外国乳製品等が殺倒するおそれもあるし、これは国内の発展を阻害するようなものは押えなきやなりませんけれども、それにしましても、真に食糧問題を憂えて、食糧の自給態勢を整えて行くという上から行きますれば、もう競馬で大部分出るからあとはいいじやないかというような安易な考えは、私は許されないと思つておるわけです。しかしながら競馬自体を考えてみまするときに、競馬の金はどこへ使われてもいいのだということは私どもはよう申しません。どこまでも畜産振興に主旨を置いて、この競馬というものを結びつけて行きたい。私どもの気持はそういうところにあるわけでございます。
○川俣委員 大体そういう考え方で、河野委員の答弁と私の答弁は違つておりますけれども、私の答弁を了といたします。 そこでもう一点だけお尋ねいたします。これは資料でけつこうですが、一体畜産の振興の外郭団体に、今までどの程度補助されているか。これはいろいろな助成補助をやつておられたように伺つておりますが、これは資料としてあとでお出し願いたい。 私の午前中の質問はこれで打ち切つておきます。
○中村(時)委員 私は川俣委員、河野委員の考え方は、一つの考え方であろうと思うのですが、あるいは意見の相違が出るかもしれないのです。ただ言えることは、この法案と実際の競馬の問題が先ほどから問題になりましたように、畜産振興という目的とはほど遠いものである、この意見は同じなのです。同時にクツシヨン式にその利益金により畜産の振興という面における育成が考えられる、その点は河野さんと意見は同じなんでありますが、利益がここへ出て来る。その利益が出て来る場合に一つの大きな焦点が出て来る。それはどういうことかというと、たとえば今まである施設を現物支給なら現物支給の出資をするのか、あるいはそれを換算して、現在の時価評価にしておいて、政府がそれを貸付けることによつて、その利益金をもつて配分して行く。畜産の振興にするなりあるいは今言つた一般社会事業にするなり、そういう考え方がここに一つ出て来るわけであります。あるいはまたそれを全額出資にしてしまうという考え方もあるでしよう。ところがそれを国の方として単に貸与して行つて、その利子配分といいますか、そういう面から一つの方向を打出すという考え方もここに当然出て来るわけであります。その意味においてこの資産評価という問題は、先ほどから何回もくどいように言うけれども、非常に重要な問題となつて現われて来るわけであります。そこでその資産評価に対しての資料の提出を先般来言つているが、先ほども御返答がなかつたわけです。これはどうしても資産評価の資料をはつきりと出してもらいたい、このように思つておりますから、この点は十分お含みを願いたいと思います。
○大坪政府委員 資産評価の点につきましては、先ほど来申し上げておりますように、現在何ぼであるかということにつきましては、厖大な予算でありますので、ただちに決定をいたしかねるわけでしあります。本法成立のあかつきにおきまして、いずれ全資産をあげまして競馬会に現物出資をいたすのでありますから、出資をいたします場合に、大蔵大臣と農林大臣が協議をして、時価による評価をするわけでありますが、その場合においては、先ほど申し上げましたように、専門家の評価をその計算の基礎といたしまして、それによつてその価格を決定して参る、こういうようなことでありまして、現在幾らの時価であるかということにつきましては、実は評価をいたしかねておるような次第であります。これはほかの現物出資を見ましたような公社等におきましても、おおむねそういうような例であつたというふうに承つております。
○中村(時)委員 今言つたように現物出資ということはよくわかるのです。ところが現物出資というよりも、今言つた一番の問題のポイントは、その利益金をいかに配分するかというところに重点が入つて来たと思うのです。これが先ほどから、河野委員はさいころだと言つておるわけでありますが、私もその通りだと思うのであります。その利益金をどういうふうに配分するかといつた場合に、いろいろな考え方が出るのであります。あなたの考えておられるように現物出資の場合もあれば、あるいは時価評価で行つてそれを金頭にして利子をとつておいて、その利子を配分するという考え方も出れば、いろいろここに出て来るのです。その出て来る考え方をいろいろ検討するのがこの委員会の役目だと私は思う。そこで私の言うのは、評価の仕方にはいろいろあるでしようけれども、その基礎的な評価の仕方と、現在の時価評価に見積つた場合、その場合にはたとえば固定資産税の問題もありましよう。だから価格の評価も安くしなければならぬという場合も出て来るでありましよう。そういう税金の問題も出て来る。また今言つた利益配分の状況も出て来る。そういつた重大な問題を含んでおるわけであります。だからあなたは法案が通つてからというけれども、法案が通る前にこういう重大な問題は一応検討される必要があると思う。その意味において資料の提出を要求しているわけであります。これははつきり出していただきたい。
○大坪政府委員 御承知のように本法の第二十七条によりまして、本競馬会が競馬を実施いたします場合には、売上金の中から一〇%国庫納付金として天引をいたしまして、納付するわけであります。従いましてなおそのほかに決算におきまして、剰余金が出ました場合には、その剰余金の二分の一というものは、法律の規定に基きまして、当然国庫に納付するという建前をとつております。従つて政府から本競馬会に財産を出します場合に、それが無償譲与でありましようとあるいは貸与の形式でありましようと、あるいは出資の形をとりましようと、いずれの形をとりましようと、そういう納付金なりあるいは剰余金の半分なりを国庫に納めるということにつきましては、財産に対する対価と申しますか、そういうような利益配当という考え方でなしに、競馬そのものの大体の本質から申しまして、競馬そのものを施行するにつきましては、相当利益がある、しかもその利益は、だれにも帰属することができないような利益でありますので、法律の規定に基きまして当然に国庫に納めるという建前をとつております。従つて形式論といたしましては、その財産の評価がどういうような形になりましても、国庫に帰属すべき金と申しますか、金額と申しますかには全然関係がない、こういうようなかつこうに相なるのであります。なお税金関係につきましては、国税あるいは地方税はほとんどすべてが免除になつております。ただ固定資産税だけが各般の事情から免税になつておりませんが、その他すべての税金はほとんど免除になつておるというような関係であるのでありまして、この額を幾らに見積るかということにつきましては、いろいろな関係において重要でありますが、法案そのものについては、本質的に重要な問題じやないというふうに申し上げても過言ではないと思います。
○中村(時)委員 あなたが今おつしやつた税金の問題に関しまして、ほとんどないというけれども、それはむしろこの目的のほかにも畜産振興としての純粋な立場、たとえば先ほど言つた通り、分配の問題であるとかいう純粋な立場においてのみ勘案されたような時期と、今後における時期というものは、農林大臣も先ほど釈明されましたように、少くとも利益金配当に関する問題が中心になつて来ておる。そうすると次に来るものは必ずや税金の問題が対象になつて出て来るであろうことが推察されなければならぬと思う。そういう重大な問題もこれは含んでおるわけであります。そしてあなたが先ほどからおつしやつておることと、私が言つたこととの食い違いというものは、今言つたように、現物出資をしてしまつてから、たとえば一〇%なら一〇%納めるようになつておるのだとこう言う。ところがこういうような利益金の問題がからんで来た場合には、その出資金のいかんによつて配当というものが考えられる。そういたしますと、たとえば民間で出資されているもの、あるいは政府の出資したもの、それのウエイトというものによつて、その出資の利益配分というものがかわつて来ると思う。たとえばはたしてこれが一〇%で正しいかどうかというようないろいろな問題が出て来ると思う。競馬というものの企業形態としての取上げ方を今肯定されている。そうすると、その出資のいかんによつてこの問題は出て来る。そうすると当然時価評価をして政府出資としての考え方を持たなければならない。そういう考え方に基きましても当然この問題はできぬことはない。やろうと思えばできるはずです。そのくらいの資料をやるのにできないという言質はないと思う。そこでその資料は、あくまでも提供してもらいたい、こう思つております。
○保利国務大臣 中村さん誤解はむろんございますまいけれども、一体この競馬財産というのは終戦後、無償で国が取上げておるものなんです。それからただいまも畜産局長が申しますように、先ほど来問題になつている川俣さんなり河野さんなりの言われている問題の対象になつておるのは、一割の納付金と剰余金が出た場合の半額の納付金をどう使うか。それに財政上のどういうひもをつけるか。つけるべきか、つけない方がいいかという御議論でありまして、競馬をやつてそれで利益配分をするというようなものではないわけであります。しかしいずれにしましても、無償で国では取上げたにいたしましても、今日では国有財産でございますから、財産管理の上から行きましても、これが適正に評価せられなければならぬことは申すまでもありません。従つて私先ほど来申しますように、実際出資いたします前に専門家によつて財産の評価を行い、その額を定めたい、こういうことでございますから、この点には誤解はないだろうと存じますけれども、そういう筋合いであるということを御了承願つて、従つて専門家の評価を待たずして資料を出せと言われましても、ただいま出す資料はございません。
○井手委員 今大臣は専門家の返答を経ずしては出されないとおつしやいましたが、先刻来中村委員のおつしやいますように、競馬関係の国有財産全部を出資する重要な内容が含まれておるのであります。しかもその評価については政令で定める、従つてこの法案を審議するには、評価の基準が重要な内容になつて来るのではないかと思うのであります。私も、ぜひこの際その基準を示していただきたいことを強く要求いたす次第であります。そうでなくて、今大臣がおつしやいますように、大事な国家の財産を全額出資する、ほんとうを言うならば、十億なら十億、三十億なら三十億という金額をここに明示すべきであるけれども、簡単にできないから政令に譲つてある、そういうことでありますならば、中村委員がおつしやいますように、その基準は当然示されるべきものだと私は思うのであります。先刻来局長は、利益配分の点に重点を置いて答弁をなさつておる。何だか聞きますと、ことさらに資料提出を渋つておるような印象を受けるのでありますが、それでは私の方は了解しかねるのであります。この際これは非常に重要な点でありますので、第四条にあります政令の基準となるものについて、これは法案審議の前提になりますので、至急に出していただきますよう強く要望する次第であります。 なほ議事進行に関連いたしまして、一言局長にお尋ねいたします。この法律案の成立を非常に急がれておるようであります。そこでいつごろからこれを実施なさろうとするお考えでありますか、承つておきたいと思います。
○大坪政府委員 ただいまの第一点の資料の点でありますが、これにつきましては、お手元に昭和二十六年度末国営競馬特別会計所属国有財産各場別綜合評価という資料を提出しております。これは昭和二十六年度末に大蔵省で評価いたしまして国会の方に提出しておる資料でありますが、それによりますと、総額が二十四億二千一百二十二万円というような一応の評価になつております。これはお手元に提出しております資料でありますが、これ以上の資料は実は手元に持ち合せておりません。もちろんこれは総合評価でありまして、国有財産全部についてやる評価でありまして、これも一つの参考にはなると思うのでありますが、先ほど来申し上げましたように、倍率法でありますとか復成価額還元法とかいろいろ評価の方法はありますが、いずれも長短がありますし、また規定でどういうふうに書くかということにつきましても、関係方面といろいろ折衝いたしたのでありますが、なかなかその規定の仕方等も複雑であり、かつ困難であるのであります。これらの点につきましては、先ほど来申し上げましたように、大蔵大臣と農林大臣が協議いたしまして、専門家の意見による各般の資料に基きます評価を土台として決定していただくことにして参りたい。現在のところただいま御提出申し上げております資料以上の資料を御提出申し上げることは困難であるということを、御了承願いたいと思うのであります。 それから第二点でありますが、大体秋の競馬と申しますか、九月の上旬ごろに切りかえをいたしたい、かように存じます。
○井手委員 はなはだ奇怪な答弁を承つたのであります。いやしくも農林省が国営競馬をやるのに、ただ一枚の資料以外にはないということは、はなはだ私はうかつなことだと思うのであります。これ以上の資料がないというようなことで、はたして国営競馬がやつて行けたかどうか。あるはずだと思う。またあなたは非常にむずかしいことであるから、今後専門家の意見を聞いてきめるとおつしやいますけれども、ほんとうならばそういう詳細なことも法律に書くべきであります。しかしあまり詳細になると複雑であるので、それらは政令に譲るのが法律の建前であることは私が申し上げるまでもありません。従つて複雑ではあつても、やはり法案を提出する時分には政令の要綱は大体準備ができておらねば、答弁の資料にはならぬと思う。法律案を提出する準備にはなりません。その準備が整わぬうちに法律案を提出するということは、粗雑な行き方だと思う。大体私は畜産局にはそういう基準はあると思うが、後日何かの資料になつては困るという考えかどうか知りませんけれども、お出しにならないようであります。私は強く要求いたします。ぜひ出してもらわなくては審議は進められません。その点は非常に重要であります。 それと、いま一点大臣にお伺いしますが、ただいま局長は、九月ごろから実施したいということだが、大臣も同様なお考えであるか、その点だけ承りたい。
○保利国務大臣 競馬財産を全額出資する、その出資額をどうきめるかということは、先ほど申しますように、専門家の手によつて適正な評価を行つて出資をする、そういう手続をとらずしては出資をいたしません。ただしかしあなたの言われますように、今日までその専門家の手によつて評価せられざる前に資料があるじやないか、そういう資料があります限りは、できるだけ提出いたすようにさせたいと思いますから、その点は十分局長にも申しつけておきます。 それから実施の時期は、今局長が申しておりますように準備が整いますれば秋競馬からやりたい、こういう考えでおるのであります。
○井手委員 重要な点が今答弁にありましたので、重ねてお尋ねいたしますが、政令の基準となるものは法案審議上絶対に必要でございますので、可能な範囲において、ひとつ明日の朝までにでも御提出を願いたい。委員長から強くおとりはからいを願うようにお願いいたします。 それからいま一点のこの中央競馬会法の実施の時期でありますが、この法律案は秋の競馬から実施したいという方針のようであります。そこで私はお尋ねいたしますが、私どもは一般予算を、また特別会計を含めて三月の初めに衆議院を通し、参議院はああいう状態ですでに成立を見ております。その国会が議決した予算では、一箇年間の予算が組まれておるのであります。一箇年間の特別会計の収支が組まれておる。そこで今おつしやいますように秋には実施したいということでありますと、当然補正予算を提出されねばならぬのであります。これは私が申し上げるまでもありません。ところが大蔵大臣は、従来何回となく補正予算は提出しないということをおつしやつておる。そこに明らかに食い違いが出て参るのであります。幸いただいま国会開会中でございますので、先般成立いたしました二十九年度予算について補正予算を提出される用意のもとにこの法律案を提出されたかどうか、その点をお尋ねいたします。
○井出委員長 ちよつと井手委員に申し上げますが、ただいまの評価基準に関する資料の点は、大体質疑応答で、当局もでき得る限り出そうと言われます。そこで今おつしやる明朝というふうなことは、あるいは期限として少し先に行くかもしれませんが、この点は委員長からしかるべく畜産当局と折衝いたします。
○保利国務大臣 この九月から移すとすれば補正予算が必要になるじやないかという問題、これは行政改革とも関連いたしておるわけですが、一応競馬部を廃止することになつて、そしてどのくらいの数でございますか、行政整理の一つの形となつて不用に帰する形になるわけですが、これは法案が実施できないという場合をも考慮いたしまして、年間の経費を計上しているわけであります。その経費が必要でなくなりますれば、これは不用となつて、特に補正の措置を必要としないと私は考えております。 それから競馬特別会計は、それとは別にこの年度中は存置をしておくという措置をとつておりますから、競馬法の関係において補正の措置を講ずる必要は生じないと考えております。
○井手委員 私はまつたく反した考えを持つているのです。秋からと申しますれば、大体半箇年のことになるのであります。一般会計に対する繰入れ、あるいは特別会計は一箇年を予定して予算を組まれていることは申し上げるまでもございません。そうなつて参りますと、たとえばそれがかわつて一箇年のものを半箇年しかしないということになれば、そこに非常に金額上の相違が出て参ります。従つてわずかの物価の値上りでも補正予算を組まねばならぬ。わずかといつては何でございますけれども、物価の値上りでも補正予算を組まねばならぬ。ところが競馬の場合においては、半箇年分が違つてしまうということになりますれば大きな数字の差異が出て参りますので、九月から予定されたものでありますならば、当然法律の成立があればただちに補正予算を組むことが、私は政治の行き方ではないか、行政機関としての当然の行き方ではないかと考えるのでありますが、重ねて大臣の所信を承ります。
○大坪政府委員 昭和二十九年度に関しましては、国営競馬の特別会計につきましては、全年度分を計上いたしてあります。私どもの目標といたしておりますのは、大体準備ができますれば、九月の初旬ごろから始めたいと思つておりますので、大体半分ほどは不用額に相なるのであります。そこの方の経過的な問題でありますが、本法の附則の第十四によりまして、法律に一応規定をしているのであります。「昭和二十九年度における国営競馬特別会計法の規定の適用については、同法第六条に規定するものの外、第二十七条の規定による競馬会からの国庫納付金をもつて国営競馬特別会計の業務勘定の歳入とし、中央競馬の監督に要する経費をもつて同勘定の歳出とするものとし、同法第七条第一項中「地方競馬の監督」とあるのは、「中央競馬及び地方競馬の監督」と読み替えるものとする。」というふうに法律で一応明定いたしているのであります。現在中央競馬会に切りかえましてから後も、歳出として関係して参りますのは、地方競馬と国営競馬の監督に要する経費でありますが、地方競馬の監督に要しまする経費につきましては、現に全年度分の予算が計上いたしてあるのであります。中央競馬の監督に要する経費は、新たに九月以降の経費は計上しなければならんのでありますが、十四の附則の規定によります業務勘定の歳入となつた国庫納付金を、課目を設置することによりまして、中央競馬の監督に要する経費に計上し得る。かように財政当局と了解済みであります。
○井手委員 私はただいまの御答弁には納得いたしません。私は当然補正予算を組むべきであるという信念を持つて申し上げているのであります。しかし関連した質問でありますので、私は私の順序の場合にあらためて追究することにいたします。
○遠藤委員 ただいま両委員と政府との間に、資産の評価基準の問題についての質疑がありました。この問題は私は非常に重大な問題だと思うわけであります。もしこの何十億かの資産を政府が自由にし得る個人的な法人に譲与するということであるとすれば、これは重大な問題になると思う。その点政府の説明が非常にはつきりしない。私事務当局の説明で十分だと思いますけれども、われわれが了解しておつたのは、国有鉄道が国家からわかれて国有鉄道になつたと同じような性格の財産だ。しかし今の説明だと、どうもそれがはつきりしない。国有鉄道が政府の資産から国有鉄道の資産にかわつたと同じような転換だと私ども心得ておつたので、その資産の評価の問題に対しては、政府の同じ財産がこつちからこつちに移るだけであつて、ただ名目の評価をすれば足りるぐらいに考えておつたのですが、今の説明だとはつきりしない。もし個人的に自由になるような財産をここにつくり出して、譲与して行くというような問題であれば、これは重大な問題であります。これは実にこまかに検討しなくちやいけませんし、うつかりのむわけに行かぬのであります。そこの事情をはつきり説明しなければ、われわれはこれの審議を進めるわけにいかぬじやないかと思います。事務当局は、中央競馬会が持つところの財産はどういう性格のものであるか、その点をはつきり説明していただきたい。それでなければこの問題は進まないと思います。その点をお尋ねしておきます。
○大坪政府委員 中央競馬会の財産を全額出資することにつきましては、提案理由で申し上げたような理由におきまして、国自身が直接競馬を実施して参りますのは不適当でありますから、この際民営に切りかえるという趣旨から参つておりますので、国が特別会計から出資する資産につきましては、競馬会が当然競馬の目的に使用しなければならないはずであります。従つてあるいはその財産を譲渡したり、あるいは交換したり、あるいは担保に提供したり、つまり競馬の目的に使うべき財産を逸散せしめることは、法のとらざるところであると思うのでありまして、その意味合いにおきまして本法の第二十六条に「競馬会は、農林大臣の許可を受けなければ、その所有する不動産を譲渡し、交換し、又は担保に供してはならない。」こういう厳重な制限を法律の規定として付しているのであります。従つてこの法律を私どもとしてはできるだけ厳重に解釈いたしまして、競馬施行のために必要な資産については、永久に本法によつて逸散をはかるようなことはしないように措置をして参りたいと存じております。
○遠藤委員 どうもまだはつきりしない。それは農林大臣の認可を受けて処分するなら処分してもいいという意味の回答のようですけれども、農林大臣となれ合いになつて財産を処分したりすることができるとなると、これまた問題であります。この財産は公共企業体と同じ財産であつて、会計検査院の監督まで受けて、政府の資産と同じように扱つて行くんだ、こう了解しておりますけれども、それと違うのでありますか。その点をもう一度はつきりお願いします。
○大坪政府委員 御意見の通りであります。
○松浦委員 簡単な問題でありますが、大臣に言明を願いたいのであります。先ほど益金の配分について河野君の言う、畜産奨励に使うべきだ、これはもつともだと思います。しかし川俣君の言う、それが予算編成の上に利用されてはいけない、いわゆるプラスにならなければいけない、この点についても同感でありますが、現在の日本の情勢から見て、社会保障の事業というものは見捨てることはできないと思うのです。政府のやつている社会保障そのものは万全ではない、従つて民間の社会事業というものがどれだけ大きな効果を現わしているかということは言うまでもないところでありますが、それらの民間事業に対して、従来競馬の益金をどういうふうに使われておるか。今後この機構の変革によつて、社会事業に対する配分はどのようにせられるか、この点について社会事業の面からひとつ大臣の考え方を伺つておきたいと思います。
○保利国務大臣 従来日本競馬会当時の状態につきましては、資料がございましようから、その資料は提出いたさせたいと思います。 私の考えとしましては、沿革的に見ましても、やはり競馬と畜産を結びつけて考えて行くことが妥当であろう。従つて私どもは、もし考え通りに許されるといたしますならば、三分の二程度はどうしてもこの畜産振興に直接寄与するところに用いることが妥当であると思います。それと実際の実情からいたしまして、あとの三分の一はこういうふうな半ば娯楽の上に立つ行事でありますし、これはやはり社会公共のために直接間接有益な存在であるということの認識を持つていただくということも、競馬の発展を促進して行くゆえんであると存じますので、民間社会事業等に対する寄金あるいは先ほどもちよつと申し上げました青年体育、国際親善の上に大きな役割をいたしておりますオリンピツク派遣の費用に——本来から言いますとそこにひもをつけてこの法律を出したいと努力いたしたわけでありますが、それができておりませんので、その点は非常に遺憾に存じております。今後予算編成あるいはこの納付金の措置については、私どもは財政当局とそういう腹構えで折衝をして行きたい、そういう考えでおります。
○松浦委員 この民間社会事業の財源ということは、現在の日本の社会制度から見てなかなかむずかしいのであります。こういうような益金の配分の場合に、中央共同募金の関係の書類がここにも来ておりますが、われわれもそれに関係があるのでありますが、こういう方面から援助を受けるのでなければ、今日の社会事業は成り立たないのであります。そうしてやつているところの社会事業そのものが、国家全体から見てどうかというと、実に重要な部面を担当しておる。孤児院のごとき、あるいは母子寮のごとき、これは実に重要な面を担当しておるのです。こういう方面の要求はもちろんあることと思いますが、その場合の配分につきましては、従来の例を割らないように——この機構の改革によつてこれが打切られるというようなことになりましたならばたいへんなことになると思うのです。その点は特に大臣において、社会事業なり社会福祉の面から十分考慮せられたいことを要望いたします。
○保利国務大臣 その点は私も同様に考えておりますから十分注意をいたす考えでおります。
○井出委員長 競馬会法案に対する残余の質疑は次会にこれを続行いたすことにいたします。 —————————————
○井出委員長 この際河野君より発言を求められておりますのでこれを許します。河野一郎君。
○河野(一)委員 大臣が久しぶりで御出席でありますから、特に大臣にお願いを申し上げておきたいのであります。 昨日当委員会におきまして肥料に関する資料の要求を、委員長を通じて、委員長から議長を通じて政府の方に要求が出ておるわけであります。これはここに原文はありますけれども、要約して申し上げますと、ただいま当委員会に付託せられております肥料法案審議の必要上、硫安の生産費の調査をもらいたいということであります。これは参議院の方でも大分やかましい問題になつておつて、いろいろないきさつがあるようでありますけれども、この際大臣にわかりやすく申し上げておきますから、お聞き取りの上御善処をお願いいたしたい。申し上げるまでもなく、当委員会に付託されております肥料法案は、政府が肥料政策を遂行する上において、その基礎となるべき生産費の調査が、法的根拠を持つておらない。そこで法的根拠を持つ肥料の、ことに硫安の生産原価を調査したいということが非常に大きな問題であります。ところがわれわれが考えますのに硫安各製造会社は、すでに通産省を通じて開発銀行に融資の申出をいたし、融資を受けております。これは予算委員会において私が政府からちようだいいたしました参考資料によりまして、開発銀行が各肥料製造会社に融資をしておるというこの実数はわかつております。従つてこれの借入れをいたしますのには、通産省が相当これに事務的に介在いたしまして、適当なものである、必要なものであるから、これに融資をするようにというところのあつせんをしておるわけであります。このあつせんをいたしますには、当然これの償還計画がついておるはずであります。その償還計画の内容をなすものには硫安の生産原価が入つておるはずであります。生産費が幾らで、幾らできて、幾ら営業費がかかつて、幾らの利益が出て来るから、これによつてこういうように償還ができるということになつておるはずだと了承いたします。そうしてみれば、すでに政府は、少くとも通産大臣は、これによつて現在の硫安の生産原価は承知しておられるはずだとわれわれは思うのであります。現在の生産原価の調査は、生産者によつてつくられそれを政府に提出し、政府を通じて開発銀行その他に出してあるはずであります。もし知らないとすれば、それは農林大臣が知らないだけであつて、通産大臣は知つておられるのは、私が申し上げるように理の当然であります。こういうふうに、肥料の生産原価の資料は、開発銀行当局及び外部に出ておる。それをわれわれ委員会として知らずにこの法案を審議するということは、非常に迂遠なことであります。そういうことでありますから、政府としても、これは農林大臣から通産大臣によくお話になりまして——これが生産費の妥当な価格である、これに基いて償還計画はかくかくだという、これに裏づけをして開発銀行から融資をしておるのでありますから、これは明瞭にあるべきはずであるし、知つておるべきはずである。また農林当局も知つておられるのではなかろうかと思う。でございますから、これらの書類をぜひお出しいただきたい。また同時にここに要求してありますが、開発銀行に出された書類をわれわれの方にまわしてもらいたい。これは開発銀行にも要求するわけであります。こういうことは万々ないと思いますが、農林、通産両省は、参議院の方には一応出しにくいような御回答があつたやに承つておりますが、農林委員会にこれをお出しになりませんと、決算委員会においてはどうしても出さなければならぬことになると私は思う。すなわち開発銀行の金を融資しておるのでありますから、その返済計画がこじれて参りますと、船の問題と同じことになります。でありますから、これは端的にこの委員会にこの書類をお出しになる方が、私は政府のためだと思う。ですからこれは農林大臣もう一ぺんお考えになつて、参議院の回答文書にこだわらずに——参議院にもお出しになるのはけつこうでありますが、当委員会にすみやかに提出願いたい。これを御提出なりませんと肥料法案の審議は進みません。今までのように絶対ないというのならしかたありませんけれども、あるものを委員会に出さないと、これは審議に支障があるということになりますから、どうか至急通産大臣と御協議になりまして、委員長を通じて要求してあります今の硫安製造原価、その他これは過燐酸でも同様ですが、これらの肥料会社が開発銀行その他の銀行から金を借りられる場合に添付してあるべき書類がありますから、この書類を提出あらんことをお願いする次第であります。
○川俣委員 なおつけ加えて大臣に御理解おき願いたいと思います。これは参議院の方からお申入れがあつたのに対して、政府から、通産省としての生産費の原価計算の公式調査をしておらないからということでお断わりになつておるようですが、本委員会で要求しておりますのは、政府が責任を持つた生産費の原価計算ではないのであります。御承知のように、合理化資金の貸付のために、通産省の通商金融課を通じて開銀に融資の申込み申請書を出しておる。この申請書には各社おのおの思い思いの生産費の原価計算が附帯しております。従いまして政府としての責任あるものでないにいたしましても、各メーカーが自分の責任において償還計画等をなす場合の原価計算の内容を明らかにいたしておりますから、この御提出を願いたいということでありますので、誤解のないようにして、言いのがれのないように御提出願いたい。
○井出委員長 午後は保安林整備臨時措置法案について参考人より意見を聴取し、引続き政府に対する質疑を行うことになつておりますので御了承願います。 午後二時開会の予定をもつて暫時休憩いたします。 午後一時十四分休憩 ————◇————— 午後二時四十五分開議
○井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 保安林整備臨時措置法案を議題といたし、審査を進めます。本日は先般の本委員会の決定に基きまして、ここに御出席をいただきました関係各位の方方より、本案について御意見を承ることにいたします。参考人各位には、御多用中にもかかわらず御出席を賜わり、厚く御礼申し上げます。 御承知の通り、本案は近時の異常な大風水害等の続発に対しまして、災害を未然に防止し、あるいはその被害を軽度にとどめるために、治山治水の基本対策の一環として、水源山地の森林の造成をはかり、その管理の適正を期するための措置を講じようとするものでございますが、本日は特に山林事業や治山治水関係の方々より、それぞれの立場に基き忌憚のない御意見を承り、本案の審査に資したいと思う次第であります。 それではこれより順次御意見を承ることにいたします。時間の都合もありますので、お一人約二十分程度にお願いいたします。まず周東英雄君より御発言を願います。
○周東参考人 それではまず私から大体の考えを申し上げます。 保安林の整備強化を目的として立てられておるこの法案について、結論的に申しますれば、まつたく賛成であつて、ぜひともこうなくてはならぬと思います。むしろこの制度の確立がおそかつたうらみすらあるくらいであります。近ごろ毎年打続く洪水による被害から国土を守るということのためからいいましても、また森林資源の保続、進んではその効率的な活用をはかるという意味からいいましても、治水の根本でありまする山を治めて緑化することが必要であることは申し上げるまでもなく、このことはもう議論の時代ではないので、どうしたら実行が強力に行われるかということにあると思うのであります。従つてはげた山、荒れた山を治めて緑化するということはもちろん必要でありますとともに、すでにある山を保安林として設定して、その水源を涵養したりあるいは土砂崩壊防止あるいは土砂流出防止のための保安林をつくつて行くことは、絶対に必要なことだと思います。従つてこの面に対しては、あらゆる観点に立つて総合的な施策が立てられなければなりませんし、財政的の立場から予算の増加をして、思い切つてこれに力を注ぐことがもちろん必要でありますし、またその実行にあたつての裏づけと申しますか、制度的にいろいろな施策を総合的に立てなければならぬと思うのであります。 本案がその一環として、まず保安林の整備強化ということを目途として立てられて、行き方として国有保安林に対し十分な施策を講じ、また民有林の中で、特に上流地帯における重要な地点をとらえて、国がこれを買い上げて、これに対して十分な措置をとる、しかもその際に、国土保安のための保安林でありますから、話合いの上で円満にこれを買い上げて実行に移すということを本体といたし、経済的な負担能力のないために自分ではやれない、しかも国に渡すのはいやだということで折合いのつかぬときに、これに対して強制の買上げをするというような措置をとりながら、保安林を整備されて行く。こういう行き方は、今日の事態としてはまず漸進的と申しますか、第一歩であろうと思います。もとより本案のねらつておるところでも、自分の所有のままにしておいても十分自分も負担し、国の命令によつていろいろと保安林としてのなすべき仕事も自分でやりますから、自分の所有にしておいてほしいという人については、そのままにしておいても目的は達成し得るのでありますから、そういう意味合いにおいて、私有にしておいたままで保安林の指定をして、それを強化する方法、そして場合によつては国が買い上げてこれを強化する方法、その買上げについて二つの場合を考慮せられたこの法律について、私はけつこうな行き方だと思います。極端に理想論を言えば、山というものが私の所有であるにしても、治山治水というような立場から考えて多分に公益的な性質を持つておりますから、理想的に言えば国がそれを全部持つてやるということも一つの行き方でありますが、そういうことをしなくても目的が達成せられるのであれば、むしろ私有のままにしておいて国が措置する、こういう行き方も一つの行き方であると思います。むしろ私はここまで考えられた制度、行き方であるならば、この実行にあたつて、さしあたつて上流地帯の重要地点がとられておりますが、その他の地域においては従来通りの行き方のようでありまして、私は保安林の設定ということによつて水源涵養とか土砂流出防止ということの目的が達成せられる部分は、それぞれその地点において達成できるでありましようが、保安林に指定せられざる地点、こういうものにおいても、もしこれが濫伐にあい、あるいはその経営がよろしきを得ないということでありますならば、そういう地点がまた洪水の原因にならないとだれが保証するでありましようか。従つてこの法案についての行き方には賛成でありますが、もう一歩進んで、この保安林に指定せられざる森林、山等につきましても、その山の経営、使用についての施業案というものは、相当に国あるいは地方公共団体が関与して、しつかりと立てていただきたいと思う。施業案に基いて山を切り、山を治めて行く、こういうことの制度が実はほしいものだと思うのであります。ことにこれを実行するについては、山持ちというものが自分だけの利害に立たずに、山を持つておる人間の相互の連絡と相互の立場における助け合いというものがなければ、私は真の国土の保全はできないと思うのであります。国が強制して、そういう場合にある一つの力を持つということも必要でありますが、根本は山を持つておる人がお互いに、自分だけの立場ではなくて、隣りの山のためにも、そしてその村のためにも助け合い、そうした施設を共同でして行くというくらいの立場をとつて行くような制度がほしいものだと思うのであります。 本日は、本案と関係のない点についてはなるたけ申し上げたくないのでありますが、今申し上げた意味から言えば、現在の森林組合というものの性質、あり方ということも、やはりよほど考えて行かなければならぬと思うのであります。森林組合が経済行為を営んでおる本来の本質そのままでは、ちよつとまずいのじやないかと思います。私は日本の非常に多数の民有林というものを、真に国土保全のために動かし、施策して行くためには、かなり民有林行政等の第一線に森林組合等の活動する余地があるのではないか。こういう方面にも、詳しいことは申し上げませんが、制度的の改善を加えつつ、そうして民有林のあり方についても、裏づけ的に保安的な行動ができるように考えないと、単に保安林設定というものだけによつて、治山治水の大目的が達成せられるとは思わないのであります。このことは絶対に必要でありますが、それは今の案にありますように、金の関係もありましようが、ともかくも上流地帯の重要地点と申されております、それをやることは絶対に必要である。しかしそれ以外の、今山に木があるところにもし何らかの力強い治山治水対策が積極的に消極的に考えられないならば、またその地点から砕けて行くのではないかと考えます。そういう意味合いにおいてこれは一つの制度としてはけつこうですが、さらにこれにつけ加えてやるべき制度が相当にあるのではないかと思います。またこいねがわくは、それらの制度を実行に移すについても、国の予算が少い中において昨年は、あの大洪水の被害を受けたあとでありましたので、政府におかれましても内閣に審議会をつくつて、根本対策の樹立をはかられまして、私どもその一委員として参画しまして、一つの案ができております。しかしこれを実行に移すについては、国家財政の現状から見まして、そう急に多額の金の出ないということもよくわかりますが、今後の施策において、できるだけ早く少しでもよけいに資金の面に、財政の面においても考慮を払いつつ、制度の完備と相まつて総合的に治山治水の根本対策が進められることを、心から私は希望するものであります。 こまかい点ついては、いろいろ専門の方もいらつしやいますが、本案の実行にあたつて、税制等につきましても、ちよつと常識的に見てかなり不合理なと思われる点がなきにしもあらずであります。強制的に買収したものに登録税というようなものの免税があるというような話を聞きましたが、普通の場合ですと、強制してやるのはいやがるものを無理にやるのだから免除するのもわかるが、これは法律を読んでみますと、国の方針に従わずに我意を張つてやらぬという場合でありますから、少し事情が違うのじやないかと思います。あるいは治山治水に協力して買収に快く応じよう、応じたから免税してやろうというならわかりますが、少しこの点はよくわかりません。まだその他のいろいろの点がありますが、こういうことは省略しまして、私は根本的な立場において賛成申し上げる次第であります。
○井出委員長 参考人各位に対する質疑は、公述終了後一括してお願いする予定でおりますが、周東参考人は取急いで御所用があるようでありますから、この際周東さんにもし御質疑がありますれば、御開陳を願います。
○川俣委員 今周東参考人から非常に有益な意見の開陳が行われたのでありますが、私どもと考えを同じゆうにするものでありまして、その点について敬意を表するものであります。今年度予算が非常な緊縮のもとに仕上げられたために、かなり緊急を要する治山治水対策に対して、割合に予算がついたとはいいながら、日本の国土保全の上から、また治山治水対策の上から十分でないという点も、おそらくお認めになつておられるのじやないかと思いますが、これに対する御見解を第一に承りたい。 第二は、まことに有益な御意見の中に、現在のような保安林設定だけでは、十分な日本の国土保全の上からやや不十分なきらいがあるというお説ですが、これもまつたく私同感なんです。そういうために森林組合法を改正して、この裏づけを十分なさしめなければならないというお説に対して賛成なんですが、どのように森林組合法を改正すればよろしいかという点について、もう少し御意見を承れば非常に参考になると思います。この二点についてお伺いいたします。
○周東参考人 治山治水の問題がやかましく言われて、政府も大いに立ち上つたようでありますが、二十九年度の予算がそれじや少かつたのじやないかという御意見であります。私どもも昨年の八月以来治山治水の根本策の樹立に関与した一人といたしまして、ことしの予算は、あれでは山を治める、川を治めるという点だけから見ればどうも不十分なように私も考えます。まあしかしこの苦しい中で、ともかくも治山治水の総体の予算から見れば、わずかながら去年よりも増したということで慰さめておりますが、しかしあくまでもこれは伸びるためにことし縮んだかつこうになつておりまして、まずインフレーシヨンを押えて、物価の高騰を押えるために、あまりにも国家予算というものが多くなり過ぎると、その方からいろいろな経済的な問題が砕けて来るということで、ことしは忍ぶということで、ああいう一兆円予算が打出されて、これはやむを得ず大いに国民も協力しなければならぬと考えておりますが、私は将来のことは政府も考えておられると思います。またそれがためには、全体の金が少いから多いからということでは、とうてい実行できないのであります。もし治山治水の根本が必要であるとするならば、これは災害に対する防衛であります。産業防衛であります。そういう意味から外敵に対する防衛と同じ立場に立つて、新しく財源等を特殊にひもをつけて考えてでもやるくらいにしてほしいと、私は考えております。これは日本の国の他の部面とのいろな兼ね合いがあろうと思いますので、これらが苦心の存するところだと思います。お互いに今後とも政府の方にもお願いし、大いに考えて行きたいと思つております。 それから第二の点でありますが、これはいろいろまだ議論もあることでありまして、私個人だけの考えでありますが、まとまつたことでもありませんが、御参考に申し上げますならば、私は占領軍のおられるときからの持論でありますが、森林組合というものは経済行為を営むべき団体であつてはならない、また経済行為を行うならば別の形で行つて、これはまつたく経済行為を行わないで、民有林行政の第一線を助ける一つの団体として、営利行為を営まない団体にしてほしい、そうすることによつてこの森林組合に山持ちが全部入つて、そして強制加入という言葉がよいのか、昔の同業組合のような、大体山持ちの三分の一以上の賛成ならば当然入るというような形で、みんなが入つてもらうような制度を確立すべきではないか、そういたしませんと、自分の利害から考えれば、わしはそんなところへは入らなくてもいいということになつて来ると、一つの山村における山の行政なり行き方というものは、足並がそろわない、これは皆さん御承知の通り、たとえば養蚕業におけるきよう蛆の発生等も、これの防除にあたつて、一軒がやつてもほかがしなければさつぱりだめだということで、これは全部がやらなければ効果がない、山の問題でもあるいは林道をつくるとか、あるいは自動車の通る道をつくるというような場合に、全部共同でやるということで初めて徹底するのでありまして、何もみんなが入つたから損をかけるというのではなく、みんなで山のよく行くように協力する形においても、一つの組合というものは、みんなが入つてもらうということが必要になつて来る。そこにみんなが入つて組合を目ざして、国がこれにいろいろな仕事をしてもらうというような形に行くのがよいんじやないか、役人をふやすことだけが決して能ではないのであります。民有林行政を徹底してやるとすれば、ほんとうに役人もいります。そのかわりには組合等が非営利団体となつて経済行為を行わざる団体として、国に民有林の一部を委託するという方法をとつて行くべきじやないか、こういうことにでもして相当徹底してもらわないと、なかなか中央から声をかけているだけではうまく行かないのではないか、こう思つております。
○川俣委員 お急がしいようですからもう一点だけお尋ねいたします。なるほど今度の予算はインフレを押えて行かなければならない、日本の物価を引下げるための緊急な要件といたしまして、一兆円で押えられておるのでありますが、しかしながら現状の日本の林野状態を見まするときに、また日本の気候風土から見て、再び昨年のような災害が起きないとは何人も保証できないと思う。こういう災害が起きた場合の国の支出というものは、まつたく損害だけに終つてしまうのでありまして、この経費というものは、まことにこういうインフレを押えなければならぬときでありながら、さらにインフレに拍車をかけるような結果になつて来る、それよりも造林をすることによつて、あるいは山を治めることによつての経済的効果、これが日本の経済産業に与えます効果は倍加されますことは、私が申し上げるまでもない。そういうところから、あえて社団法人日本治山治水協会をつくつておられることと思うのですが、非常に国民の期待が大きいのです。また周東さんを会長といたしておりますから、相当な政治力を発揮して、治山治水対策は怠らないであろうと期待いたしておるのでありますが、どうもまだ周東さん非常に遠慮されておるのかどうかわかりませんが、その期待に十分沿い得るだけの活動が足りないのではないかというそしりを受けるのではないかと思うのですが、今後どのように国民の期待に沿われようといたしまするか、この点を伺つて私の質問を終りたいと思います。
○周東参考人 むずかしいお尋ねでありますが、私先ほど申しましたように、内閣もそのつもりで委員会をつくつて、そこにほんとうにこれならはという理想案をつくつたのであります。一体これをどうしてくださるかという話を私どもはしておるわけであります。ことしはやむを得ずああいうふうになつたとしても、これをただお題目でつくつたのではなかつたはずであります。従つて政府の方でも、でき得る限りこれに対して接近するように、今後考えて行かれるということでありますし、私どももそのつもりで、次年度においてもさらにあの案に何とか少しでも近い方向に施策を進めてもらうように、ひとつ大いに民間からも鞭撻をして行くつもりであります。
○井出委員長 他に御質疑はございませんか。——それでは周東さんありがとうございました。 次に社団法人大日本山林会会長三浦伊八郎君にお願いいたします。
○三浦参考人 ただいま周東参考人から御開陳になりました御意見と大同小異だと思いますが、一応私の考えておりますことを申し上げたいと思います。 私は一学究であり、自然科学を基礎にした技術方面の研究に携わつておつたものでありますから、法案の条項などの法律的技術の検討はできませんのでありますが、保安林整備の必要性につきましては、十分認めておるつもりであります。わが国の風水害が年とともに増大しつつある原因は、森林の荒廃に帰すべきことは先ほどの御意見にもありました通り、大局的に見て議論の余地のないことであります。しかしこまかい点については、往々にして森林の国土保全機能に対しまして異なつた意見を持つ者もなくはないのでありますが、世界の大面積の地域について観察いたしますと、森林の整備しておりまする国土は保全されており、反対に森林が荒廃した国土は荒されておることは確かな事実であります。たとい国土によつて風雨に量的質的の差があり、地質地形の差はあるとはいえ、それにもかかわらず森林が風水害を軽減し得ることは確かな事実であります。そこで国土の保全の根本策としては森林を造成することでありまして、わが国のように土地の地貌が傾斜地の多い国土では、その傾斜地たる六〇%以上は、喬林をもつておおわれることがスイスのごとくあるべきであると存ずるのであります。日本の農林関係者は、よくデンマークにならわんとしておりますが、国土の地貌が日本はスイスに似ておるのでありまして、デンマークは日本よりは平地や丘陵地の多い国土であり、山嶽国ではないのであります。土地の利用がスイスのようになれば、わが国の国土は保全されるばかりではなく、木材は十分自給できる天然力を持つておるのであります。ドイツは戦前一ヘクタール当り平均立木蓄積が約六百石ありましたが、わが国は戦前約三百石、現在約二百五十石の貧弱さであります。もしもわが国の全林野が合理的喬林におおわれておつたならば、その結果としてやせ地もだんだん肥沃になり、気候の関係から申しましても、合理的林業ではドイツよりは平均蓄積が多く、七、八百石くらいにもなるべきはずでありまして、そうなりますと成長量も多くなり木材も十分自給できるのであります。農業ではわが国は世界的に集約な経営を行いながら、食糧自給が一、二割できないということは、国土の自然、すなわち地形と面積上やむを得ない自然条件に支配されておるのであります。しかしながら林業では、国土の自然が自給できるにかかわらず、イタリアとかバルカン半島諸国のように、矮林国つまり薪炭林国に陥つておりまして、森林荒廃の結果、成長量は木材消費量の二分の一となり、年とともに加速度的に国土荒廃に向つて進んでおりまして、年々一千億円以上の風水害をこうむつておるのであります。このままに放置しますと、将来わが国の国土保全、産業、経済、文化、民生の保護上ゆゆしい結果を招来するものと考えるのであります。 この対策といたしましては、根本的には傾斜地の完全造林、すなわち森林荒廃国の様相である現在の矮林を喬林に転換することであり、応急的にはまずもつて崩壊地の復旧工事、砂防工事をほどこすとともに、崩壊のおそれある土地については保安林を設定し、合理的なる管理経営を行うことが急務であります。しかしながら完全造林を行いますのには、百年の歳月と数千億円の国費が必要であると存ずるのでありますから、これは大国策として今後政治家各位並びに行政官各位の御努力を要請する次第でありますが、さしあたり山腹工事、砂防工事と並行して、保安林を整備すべきであります。保安林は従来もあつたわけであり、法律もあつたのでありますが、なお不十分でありまして、その効果を十分発揮していないのであります。それには民林に対する制限による損失補填が必ずしも十分でなかつたのでありまして、予算の裏づけが必要であるばかりではなく、流域を勘案した配置にもなお不十分であつた点があるのでございます。また造林命令及び計画を実行しない場合の処置も不十分であつたと存ずるのであります。 本法案を見ますると、これらの欠点を補うことになつております。大きな制限を行うためには完全な補償が必要であり、しかもこんな大制限を行つた森林は民有にすることの意義が少いのでありまして、国が買い入れることは至当であり、米国などにもその例があるのであります。要するに本法案は治水の緊急措置でありまして、臨時措置法とすることが妥当がありますが、根本的には完全喬林造成問題が残るのであります。私どもは治山、治水問題の研究会を設けまして、全国の大学教授や助教授中、林政、造林及び砂防工学担当者と大日本山林会の役員の参加を得まして研究を続けて参りましたが、一応意見がまとまりましたので、関係方面に提出することになり、本日はこれを資料として持参いたしましてお手元に差上げたはずであります。その結論は、第一は完全造林、第二には保安林強化、第三に荒廃地復旧と渓流工事の徹底でありまして、この第二と第三は緊急対策であり、第一は根本策であると存ずるのであります。 そこで保安林の強化については、従来の森林法の保安林の規定のほかに、施業統制の強化及び一部買入れを行う必要があり、その統制には補償が伴うことが当然であり、買入には過去における農地買収のような価格ではなく、当然時価によらなければならないと存ずるのであります。また買入れは一種の統制あるいは強制でありますから、その森林所有に対しては、売払いに関するすべての課税を免除すべきものと思います。従いまして本案の附則の免税関係は、個人と法人との区別なく、また強制と合意の区別なく実行すべきものと考えます。この点で合意者にも免税を及ぼすよう修正することにより、本案は善意の者が損をするとかいう不合理を持つておりまして、これを訂正すべきであると存ずるのであります。なおできますならば交換の場合ばかりでなく、買入れの際も、買入れ価格の範囲内において一定期間内に売主が森林を他から購入する場合に、不動産取得税を免除することが望ましいことであると存ずるのであります。以上であります。
○井出委員長 ありがとうございました。 次に静岡県森林組合連合会会長松野勝太郎君。
○松野参考人 私は静岡県森林組合連合会会長をいたしております、また天竜川筋に林業を営む松野勝太郎という者であります。実はこの保安林整備臨時措置法案は、すでに林野庁で早くからおしたくなさつておいでになりましたので、その過程におきまして、新聞などに出されたその要綱によりますと、十五億円の資金によりまして五万町歩の必要な保安林を造成する、こういうふうなことが出ておりました。そうすると、一町歩あたり三万円である。保安林に編入されれば三万円で買収されるのだというようなことを、その新聞を見たものは言つておりまして、この措置法案が出ますについて、民有林のものはおびえておるものがありましたようなわけであります。そこでまた天竜川筋におきます営林署では、材木を売却するにおきましても、入札等によりまして大分上手な売り方をいたしておりますために、保安林を設置するという名目において、隣接の経済林を買収されてしまうのではないかというような危惧の念も抱いておりましたようなわけで、従つて私は、昨日上京するまでは、この保安林の法案には賛成しかねるという考えを持つて上京したわけであります。ところが本日中央森林審議会におきまして、この法案の御説明を林野庁から伺いますと、私が上京するまで考えておりましたところとは大分違うのでありまして、国土保全のために、この保安林の設定をする、買収をするということになつておるのでありまして、先にお述べになりました三浦先生のお説にありましたように、無理に買収をするのじやないということでありまして、できるだけ話合いで買入れを進めて行きたい、よんどころない場合にのみ買収をするというようなお話でありまして、それならば国土保全のためでありますから、この買入れの場合も山主が応じなければならないではないか、かように存じておるような次第であります。昨年の風水害の恐ろしさを考えますときに、この法案を設定いたしますことは、国土保全のために機宜を得た処置である、かように存じて、この法案に対しましては通過すべく御努力願いたいと思うような次第であります。 ところがこの法案にありまして、保安林に買い入れる土地の隣接の土地が必要な場合には、買い入れてよいというようなことがありますが、これはその保安林に編入された土地に所有者がある。その所有者の土地を編入する場合に、その大部分を買つて、一部分残されたという場合には、その山主といたしましては、わずかばかり残されては困るからというので、隣接した山林を買い入れることができるというようなことにきめられておるようでありますが、これは考えようによりますと、先ほど申し上げましたように、営林署等で経済林を経営して行こうとするために、買入れの土地に入れられはしないかという心配があるのであります。 それからまた多くの官庁の出先の方方は、書いたものばかりによりましてその処置をいたして行くために、とかく書いたものを、その営林署なりなんなりに権利を与えられたような考えを持ちまして、林野庁の本省の御意見とは違つたような道に行かれるおそれもないではない、かように存ずるのでありまして、この強制買収ということにつきましては、できますならば林野庁長官の通達か何かをもちまして、——これは最後の手段でありまして、買入れにつきましては無理をしないように進んで行くというために、御趣旨のことを通達か何かでお出しをいただきますれば、はなはだ幸いであると思うのであります。 なお買収にあたりましては、最後に強制買収等は中央森林審議会へ諮つてということでありますが、できるだけそういうことのないように、話合いで買入れがスムーズに取運ばれるように、林野庁に特にお願いしたいと思うのであります。以上をもつて終ります。
○井出委員長 それでは次に東大教授、島田錦蔵君にお願いします。
○島田参考人 本法案の中に盛り込まれておる要点は幾つかあると思いますが、その中で特に二点、一つは保安林の区域を拡充するということ、それからもう一つは、必要があればこの保安林を買い取つて国有保安林にして行く、この二つの点につきまして私の意見を述べてみたいと思うのであります。 私をお呼び出しになりましたのは、おそらく学識者という意味でお呼び出しであると思いますので、これらの諸点に関しましても、世界の各国における保安林行政の動向から見まして、——時間がございませんからきわめて簡単に申し上げますが、こういう二つの点についてどう考えるかということに限定して申し上げてみたいと思います。 結論を申しますと、大体におきまして穏当なやり方であると思うのであります。各国の保安林に関しましての立法の形を簡単に分類してみますと、三つになるかと思うのであります。一つは保安林に関しての特別立法をするやり方であります。一つは日本と同じような、一般森林法の中に保安林を規定するというやり方であります。もう一つは保安林に関して全然立法のないという形であります。 第一点の特別立法の形は、その典型的な例を申しますと、これは戦前のドイツ、プロシヤのやり方でありますが、プロシヤにおきましては、一般の森林施業に関しましては自由主義をとつておるのでありますが、特に保安林に関しましては、これが公共安寧に及ぼす影響等を考えまして、保安林に関してだけ特別立法をしておる、こういう形であります。でありますから、つまり特別立法をするというのは、森林に関しての政策が、自由放任主義もしくはそれに近いという場合に考えられる行き方であります。 第二の一般森林法の中に盛り込むという行き方は、ヨーロツパの中央の多くの国がとつておるやり方であります。 第三番目の保安林に関しての立法が全然ないという行き方は、保安林に対してその国が全然考えていないということではありませんで、この例の典型的なものはアメリカでございまするが、保安林的な性格があるものは国が持つて、そして国で保安林を維持して行けばいいじやないか、こういうふうな考え方、つまり民有林において保安林というものはないから、従つて民有林を縛るところの森林法の中でこれを規定する必要がない、こういうふうな行き方であります。この点につきましては、あとの買取りのことにも関連いたしますので、後に申し上げます。 そこで保安林の制度の行われておりまする国におきして、この保安林の編入をどういうふうにしてやつておるかと申しますると、大体二つの流れがございます。一つは、国が一つ一つの森林について検討いたしまして、これを保安林に編入すべきやいなやということを決定して行くやり方であります。これを私は自発的職権主義と申しておりますが、自発的職権主義による編入であります。こういうような制度をとつておりまする国は、ヨーロツパにおきましてはスイツツルやイタリアや、それからドイツでは南ドイツの大部分がこういうやり方をとつておるのであります。 もう一つのやり方は、その森林が保安林になることによつて直接利益を受ける人たち、むろんこれは単に一人や二人の人のために保安林を設けるということではございませんから、ある地域の最大多数の者のためでありまするが、そういう地域の利害関係者が申請した場合に、これを国が審査いたしまして入れるというやり方であります。これを私は利害関係者申請主義というふうに申しておりますが、こういう主義をとつておる国もあるのであります。 そこで日本の現在の保安林行政は、今申しました二つの主義の中のどれであるかと申しますると、森林法を見ますると、皆様御承知のようにこの二つの主義をあわせ規定しておるのであります。国が自発的に保安林に入れることもできるし、利害関係者の申請があつたものをまつて、これを編入し、あるいは解除するというふうな行き方もできる、こういうふうになつておるのであります。ところで日本の保安林行政というものは、明治三十年の旧森林法に初めて規定されたものでありまするが、その後の保安林の編入の実際の行政を見て参りますると、日本の国全体といたしましては、森林の約一割が保安林になつております。むろんこの保安林の地域的な分布の状況というものは、各地域の地勢、風土等によることでございまするから、全国一律に一割であるわけではございません。ところで今申しましたような気候、風土に応じまして、この保安林の分布が均等であるかと申しますると、私の見るところでは、必ずしも均等ではないように思います。と申しますのは、ただいま申しましたように、日本の保安林が自発的職権編入主義と、関係者申請主義と両方をうたつておりまして、あまりはつきりしておりません関係上、府県によりましては、明治三十年以来この保安林を職権主義によりまして、かなり大きな網をかぶせた地方もございまするし、また関係者申請主義によりまして割合に消極的であつたというようなところもある。そういう関係で現在の保安林の日本全国における分布状況は、必ずしも寛厳よろしきを得ていない、かように私は思つておるのであります。 そこで今回の保安林整備臨時措置法の中の第二条であつたかと思いまするが、この第二条の中の保安林整備計画というものを見ますると、私はこの二つの主義の中の職権主義による編入ということに重点を置いて行きたいというような、一つの政策上の中心の移行を認めるのであります。そういう点に関しましては、先ほども申しました自発的職権主義によつて保安林をきめておりまするところのスイツツルやイタリアの例等を見ましても、特にスイツツルの例のごときは、あたかもわれわれが土地を持つておりまするときに、すべての土地が土地台帳に記入されておるのと同じように、一つの保安林の林籍というものが最初に同じものさしをもつてはかられて、そして入れられておるという点で、非常に保安林政策上の一貫した趣旨が流れておるように思うのであります。それに一歩近づかしめるものであると考えまして、この第二条におけるところの保安林整備計画というものに私は期待をおく次第であります。 なお保安林政策に関連いたしまして一番大きく問題とされておりまする点は、各国における保安林国有論というような考え方であります。保安林のような、公共の安寧のために、いわば森林所有者がその犠牲をこうむらなければならないものは、相なるべくは国民全体の幸福を考えることを本来の目的とするところの国がこれを持ち、国が国民のためにこの施策をすべきであるというような考え方でありますが、これをしさいに検討いたしますると、この保安林国有論の中でも積極、消極など三つの分類ができるかと思うのであります。一つは、保安林というものは全面的に国有にすべきであるというような考え方で、これは先ほど申しましたアメリカの考え方のごときものであります。 第二番の考え方は、第一番の考え方は望ましいことであるけれども、所有者が保安林であることを認容し——と申しますか、保安林であることを承知でなお自分が持つていたいというようなものについては、これを強制的に買わないでもいいじやないか。それで保安林に入れられるならば、自分はむしろその森林を手放したいというようなもののみを国が買い上げて、そして保安林国有にだんだん一歩近づけるという行き方にすべきである。これもやはり保安林国有論の一つの考え方だと思うのであります。 もう一つは、これは保安林国有論と言つていいかどうかわかりませんが、きわめて消極的なものであります。一体現在保安林に国有のものもあり民有のものもある。国有の保安林というものを国が維持すべきか、あるいは国がもし森林を民間に開放するような場合に、この国有の保安林のごときものでも場合によつては民間に移してもいいかどうかというような議論が行われるならば、そういうことには反対である。少くとも現在国有の保安林というものは、国家が永遠にこれを存続維持すべきである、というふうなきわめて消極的な考え方であります。 以上のうちで、一番と二番が、保安林国有論として注目すべき意見ではなかろうかと思うのであります。そのうちの第一の形のアメリカの考え方でありますが、これに関しましてはこまかいことは申し上げませんが、御承知のようにアメリカは、きわめて国の歴史が浅い国でありますので、従いまして林業政策というものもきわめて歴史が浅いのであります。初めのうちは、森林というものに対する林業政策というものはほとんどなかつた。ところがだんだん開拓が進んで参りますと、水源涵養その他の関係で、森林を開放したためにいろいろな悪い影響が出て来た。そこで急に保安林政策というものに目ざめまして、一旦開拓地として払い下げてしまいました土地で、保安的な性質のあるものは、これをいかにして保安林的にするかということを考えたときに、保安林立法によらないで、そういうものは国がどんどん買い上げて、そして国有保安林としてやつて行けばいいじやないかという考え方であります。従いましてアメリカにおきまして、現在保安林的な意義を持つものは、まだ民間に開放されないであるところの国有林の中で、保安的な性質があるものを一応検討いたしまして、これはいかなる理由があつても、将来民間に売り払わないという一つの検討をいたします。それからさらに、もうすでに民間のものになつてしまつたけれども、これは保安林にすべきだというものを買い上げて行くという行き方であります。この保安林の買上げに関する立法は、一九一一年のウイークス・ローという法律によりまして最初始められまして、その後一九二四年、一九二八年、その後もいろいろ関連の法律はございますが、いろいろなそういうような法律の中で、保安林的森林の買上げということを規定いたしました。御承知でもございましようが、アメリカの法律は一つ一つの法律の中へ、その法律に必要とするところの予算を明記しておるわけでありますが、一つ一つの年度別の予算を明記いたしまして、これを立法いたしておるのであります。大体買取りの状況を申しますと、これは合意の上の買取りでございまして、強制買取りは規定いたしておりません。民間のものと相対ずくで、合意のものを買い取るという形で、これを規定いたしておるのであります。 今回の保安林整備臨時措置法を見ましても、この買取りに関しましては、私これを分類いたしますならば、ただいまの分類の中の第二の形、所有者がこれを承諾するならば、国が買い上げるという行き方を原則としておるようにこれを理解したのであります。もちろん強制買取りの規定もございますが、この強制買取りの規定に関しましては、条文を見ますとわかりますように、これは森林法による森林計画の指定事項に違反したものに関してのみ、いわば罰則的な強制買上げでありますので、これはこの法律の中の原則的な規定ではないように思うのであります。この点に関しましては、いろいろ問題があるかと思いますが、時間が参りましたので簡単に申します。これは理論的に申しますと、違反に対する一つの罰則でありますから、その罰則の考え方といたしましては、幾つかの段階があるかと思うのであります。一つは、その命令にどうしても違反する者に関しまして、これを強制執行する、あるいは強制第三者代行をするという考え方が、まず第一段階であろうかと思います。それから第二段階といたしましては、これを強力な国家管理のもとに置くということが、第二の段階だと思うのであります。それから第三の段階として、これを強制買取りして国のものにしてしまうという段階があるかと思うのであります。そこで、そういうふうな段階を考えましたときに、この違反に対して強制代行、強制執行のようなことに関する余地が、森林法運用上そういうようなことに期待ができないかどうかということが、まず第一に検討されると思います。それからその次に、所有は移さないでも国家管理のもとに置いて、そうしてこれを実行して行くというふうな考え方、これが第二の段階。それから第三の段階が、国が買い取るという段階になるかと思うのであります。これらのことに関連して、ひとつスペインの森林法の例を御参考に申し上げてみたいと思うのですが、このスペインの森林法におきましては、こういう保安林が、森林所有者が造林しないで放置してあつて、保安的な任務を果していないというものに関しましては、これを国が買い上げますが、これは永久買上げの形ではありませんで、一時的な形で買上げをいたしまして、そうしてこれを国が造林いたしまして、保安的機能を果させる。将来その森林所有者が、その森林を自分に返してほしいというような希望があります際には、その森林経営に関しまして信用が置けるならば、これを元の森林所有者に売りもどしてやるというような規定をいたしておるのでありますが、これもつまり強制買上げに至る前の一つの段階の考え方の示唆になるのではなかろうか、かように思つております。 大体冒頭に申し上げましたように、この法案の中の二点に関しまして、私の意見を申し上げました。
○井出委員長 それでは最後に、全国森林組合連合会常務理事山本平保君にお願いいたします。
○山本参考人 私も本法案の目的とするところ、その要旨に対しましては、賛意を表するものでありますが、次の四点について若干意見を持つているものであります。 第一に、小さな問題でありますが、本法案の第四条の規定についてでありますけれども、第四条の一号、ここには森林法第二十五条第一項第一号から第三号までに掲げる目的を達成するための保安林、この森林を買い入れをする規定がございますが、この規定は、国土保全上必要な森林であるから保安林になつていると、こう私は解していいのじやないかと思います。ところが本条の一番しまいの方に、左の各号の一に該当しているもので、国土保全上必要なものを買い入れると書いてあります。そうしますと、この一号の場合に特に疑問が起るのは、一号に属するものは特に森林法第二十五条第一項第一号から第三号までの水源涵養、土砂流出防備、土砂崩壊防備という重要な保安林でありまして、国土保全上必要であるものはすべてであると考えておるのでありますが、それが国土保全上必要なものだけを買い入れるということになると、この条文との関係で少しおかしくはないかということを実は考えているのであります。むしろこの本文の国土保全上必要なものというのは、三号の場合に考えが及ぶ規定であろうかと解しました。なぜこんな問題を取上げたかといいますと、この三つの重要な保安林は、すべて国土保全上重要な保安林であるという観念に徹しておいていただくことがいいのではないか、国土保全上必要でないものもあるような感じを与えることがいけないように思うからであります。これが第一点。 それから第二点といたしまして、同じ第四条の第三号との関連であります。もちろんこの第三号に掲げてあります買入れになる対象は、今の本文の国土保全上必要なものという言葉がこれにかかつて参りますから、第三号の要件を備えるためには、前二号の規定によつて買い入れる森林に隣接しているということと、国土保全上必要なものであるということと、もう一つ、これとあわせて経営することが相当であるという、三つの要件を備えることが必要になつて来るのであります。もしその要件のうち、国土保全上必要なものということになりますならば、保安林に編入してもいいのではないかということが一つの疑問でありますが、もしそこまでの必要はないが、国土保全上必要である、必要なことは必要だが、保安林に編入するほどのことはないということの方に力が入れば、あわせて経営をすることを相当とする森林という方面ないしは隣接しているというところに重点が置かれることになつて参ります。もちろんこの規定は強制買上げの場合でないのでありますから、所有者との協議によつて成立することでありますので、実際問題としてはそう心配はなかろうかとも思います。ただ具体的に問題になつて参ります場合に、前の参考人が申されたように、経済林のあわせ買入れという問題との関連において、行き過ぎがないように、これは希望として申し上げる次第であります。 第三点は、第六条の関係でございますが、森林法に定められた保安林についての施業指定を守らない場合に買い上げる。しかも守らない場合だけでなくして、買入れに応じない場合にも買い上げるのであります。まず中央森林審議会の議を経る場合の審議の対象は、そういう手続が完全に行われたかどうかということが一つの問題であろうかと思います。続いてその審議の対象になるのは、第六条の第二項の各号に規定されておる事項の内容の審査ということに相なろうかと思います。この内容の審査にあたつて、一号、二号の森林所有者、またその権利関係、こういつたものの内容については、相当の資料あるいは証明すべき資料が整えられるかと思いますが、一番問題になるのは対価の問題であろうかと思います。中央森林審議会において対価を決定する場合に、これは審議会の議を経てとありますが、単に議を経るだけでなくて、審議会の議が買収令書に載せられる内容になるというふうに伺いましたが、そうでありますと、対価を決定するにあたつての資料調査ということは、おそらく地方行政庁の資料に基くものであろうかと思います。もちろんあとの方にありますように、評価基準を定めることにはなつておりますが、具体的な場所について考えてみますと、地理的には同距離のものであつても、山の位置によつて非常に価格差がひどいということが考えられます。そういつた場合の価格の決定は、たまたま中央森林審議会の委員の方々がその地方の実情に明るい場合は別といたしまして、実地について御研究を願い、御検討を願うような予算的な措置が十分にされているかどうかという問題が、一つの心配であります。なおそういう問題を考えましたときに、われわれといたしましては、地方の森林審議会なりあるいは地元の森林所有者の集まりである森林組合連合会等の意見を聞いていただくということが制度化されていたならば、より現実に近い意見が出されるのではなかろうか、こういう点を考えているのであります。 それから第四点でございますが、第四点は、前のお二人の方からお話がございました租税の免税規定に関する問題でございます。附則第三項の、租税特別措置法の第十四条五項、第十五条一項の関係でございます。これは資産再評価税と所得税との関連において、所得税を免税するための資産再評価税のみに限る所得税免税規定であると思います。この規定については、第六条の強制買取の場合における免税規定でありますが、先ほど島田先生もおつしやるように、施業指定あるいは命令の違反者に対する罰則的な買収、しかもその対価の支払いに対して免税をするという規定であつて、積極的に協力をして政府の買入れの申入れに応ずる善意の森林所有者に対しましては免税をしないという点は、きわめて不合理ではなかろうかと思うのであります。従つてこれらの点を先生方の配慮によつて修正をしていただいたならばどうかという意見を持つているものであります。 きわめて簡単でございますが、私の気のつきました法案の内容についての意見を申し上げて、御参考に供する次第であります。
○井出委員長 以上をもつて参考人の御陳述を一応終りました。 続いて質疑に入りたいと思います。松浦周太郎君。
○松浦委員 参考人の皆さんお忙しいところおいでくださいまして、特に静岡からわざわざ松野さんおいでくださいまして、いろいろ貴重な資料をいただきましたことは、法案審議上たいへん恐縮に存ずる次第であります。 先ほどのお話の中に、天竜の流域において経営しておるという話があつたのでありますが、天竜の流域の中に佐久間ダムという大きな日本一のダムができたのでありますけれども、そのダムの用地を買い入れる場合におけるいろいろな風評があるようでありまして、われわれの聞き及んでいるところによると、坪七十円で一町歩二十万円くらいかかつておるというような話も聞くが、それは山によつていろいろ違つておつたのでありましようか。山林の蓄積量であるとかあるいは植えてから何年生くらいのものであるとかによつて、いろいろ値段が違つているだろうと思います。また全然立木のないはげ山の荒廃山林を、今林野当局が保安林を設定しなければならぬといつて、買い入れるといつたようなものもあるだろうと思います。そういうものについておわかりの範囲でよろしいと思いますが、佐久間ダムのうち、買収のいろいろな例がありましたらお話を願いたいと存じます。 それから山本さんの方にお尋ねいたしたいことは、この一つの流域に対して保安林を設定して行く、そうして災害の防止をするという計画でございますから、これを実行しようとする場合に、もし一つの森林組合がその買上げの地域内に相当の面積を持つておる場合、その流域におけるところの施業案はもとよりこれを改変しなければならない。その流域の事情によつて、場合によつては一つの森林組合もつぶれるかもしれない。そういうような場合に組合経営として一体どういうことになるか。それからまた、その流域において組合が一つの共同事業をやつておるところもあるのでありますが、それもやはり資源を失うということになつてはたいへんなことになると思います。これは松野さんへのお尋ねになると思うのですが、静岡の、今三浦先生が言われました平均蓄積二百五十石という話がありましたが、あの辺でありましたならば三百石、五百石というものがあるだろうと思いますが、そういう地域における一町歩あたりの値段は、一体幾らくらいになつておりますか。これをひとつ御存じでしたらお答え願います。
○松野参考人 ただいま松浦さんのお話の通り、佐久間ダムをただいま建設中でありまして、賠償問題でいろいろ交渉いたしておるのでありますが、松浦さんのお話の坪七十円というものは——これはまだ個人にはわたりませんで、公共の町村の公有林のようなものについて、大体電源会社と話ができましたので、それが今お話のありましたような価格で大体の話ができたような次第であります。ところが個人々々に対しましてはまだ今折衝中のようでありまして、電源会社の方でも、土地の者が希望しておるほどなかなか出してくれませんし、また持つておる者も、大分大きい電源開発をするんだからというので、ふつかけているような者もあるらしゆうございます。で、あれこれいたしましてまだ個人的な山林についての折衝ができたことを聞いておりませんが、ただそのダムのできる場所だけについては、実は私の森林組合連合会の専務をしておる内山君のおるところの土地がそのダムのできる東側でありまして、その山につきましては、埋まる土地の話だけは大体できたのではないかと思うのでありますが、立木は別に話をして、内山君、山主自身の方で処分をするような話になつておるように聞いておるのであります。そこでただいまお尋ねの山林の土地の価格でありますが、これはずつとやせております尾根にかかつたようなところでは安いように聞いておりますが、それにいたしましても十万円から四、五十万円ぐらいのところを言つておるらしいのであります。それでお話の通りに成長量が二、三百石ないし五百石ぐらいなところでありますと、その土地が肥えておる、やせておるということによりまして価格の相違があるようであります。ところがその土地が、秋葉ダムなどで埋まるところでありますと、小さい山持ちが欲をかいてする者もありまして、山になつておるところを農地法によつて買収されてから今まではあまり手をかけていなかつたのを、石垣を積んで畑のようなものにして、そして高く買つてもらうようにしているというような者もあるようでありまして、割合に価格が高く言われておるのであります。従つて先ほどちよつと申し上げましたように一町歩三万円なんというのでは、土地だけをただとられるというようなことをおそれて、これは上の立木まで入つておるのかどういうのかというので、保安林に編入されたらたいへんなことになるということを言つておる者もあるようなわけであります。従つてもし静岡県の方の土地において保安林を設定される場合には、その保安林に設定した地域にかわるべき山林を買えるだけの価格を見て、時価としていただきたい、かように思つておるような次第であります。 以上十分ではありませんが、お答えといたします。
○松浦委員 全然木のないはげ山のようなところを林野庁の方では考えておるようでありますが、そういうところは一体どのくらいいたしますか。
○松野参考人 大体天竜筋は今、御承知であろうと思いますが、ほとんど木のないところはないのです。岩山のようなところは木を植えることができないので木は植えてないと思いますが、そのほかは植えられるところは尾根に至るまで植林してありますために、ほとんど裸山であるというところはないのであります。伐採したあとその売買につきましては、山の高いようなところになりますと、出伐その他の関係がありまして、比較的土地の高いところは土地もやせておりますし、比較的価格が安いが、それより下の肥えているところになりますと、川沿いのようなところでは大分高いことを言つておるようなわけであります。今申し上げたように、中には一町歩百万円というようなものもあるようなわけであります。
○山本参考人 今松浦先生から御質問のありました保安林の地域が非常に拡大されて、水源地域における森林組合の地区内はほとんど保安林になるということを想定した場合に、森林組合はどうなるか、こういう御質問でありますが、現在の森林法による森林組合の事業の内容そのものから見ますと、相当経済事業というものに重点を置かれているのであります。そういうところから考えると仕事の分量は確かに減ることは間違いないと思います。しかしながら保安林に編入されたからといつて禁伐保安林になるのではないということ、むしろ森林組合が、実際の現地において伐採の制限なり、そういう保安林における各種の制限がございますが、これを守るために許可を受けなければ切ることができないという許可の手続なり、常に森林所有者との連絡をとつて過誤を起さしめないようにするということは、森林組合のためにも、国のためにも大事な仕事ではなかろうかと思います。それから造林の命令なり、復旧の命令等がありました場合に、できるだけ組合としても力の限り協力する、ただ根本的には現在の森林組合が旧町村の——現在の合併前の町村、これは非常に面積が小さい、従つて組合の実力がないということは否定し得ない事実でございます。新町村になつた場合、あるいはは森林区単位というふうな適正な規模に拡大強化される、資本的にももう少し結合が強化されて行くということになりますれば、こういつた問題の解決に組合はむしろ積極的に協力すべきである。従つて森林法の考え方の根本に、先ほど周東先生がおつしやられたような問題をあわせて考えなければならぬ。但し私は森林組合の経済行為の面について、周東先生が全面的に否定されたような言葉であつたのでありますが、たとえば苗木をつくること、これも一つの経済行為であろうと思いますが、兵庫県等におきましては、現在すでに森林組合系統の苗木の生産が七五%に達しているのであります。そういう経済行為ができないということはどうであろうか。なお協同組合的性格は捨てたくない、あくまでも組合員の長年にわたつて造成をした森林の販売については、適正なしかも正量取引をするという意味において、組合員の協力者としての森林組合の性格、こういうものは残して行きたいという希望を持つております。
○松浦委員 施業の方はどうですか。
○山本参考人 今言葉はどうかしりませんが、施業案という言葉は一応森林法にはなくなりまして、森林計画というものに新しい森林法でかわりました。基本計画は五箇年の国で立てる計画であります。それから施業計画というのはやはり行政庁において立てる毎年の実施計画というものは、これまた府県知事が立てることになつております。昨年度からその実施計画の第一線の仕事を森林組合に政府から委嘱を受けまして、実行費というものをいただいております。今までの施業案という考え方と違つておる点、それから森林計画というものがこの保安整備計画に基いて計画が変更せられております。それをむしろ実行する面に森林所有者の立場になつて協力を申し上げる、こういう関係が出て来ると思います。
○川俣委員 島田参考人並びに三浦参考人に二、三点お尋ねいたしたいと思います。島田参考人から非常に有益な御開陳があつたのでありますが、日本の風土気候並びにこういういわゆる傾斜地の多い日本の状態において、国土保全と産業振興の上から、山林面積から見まして、保安林の占める面積が一体どの程度であることが望ましいというふうにお考えになつておりますか。もちろん保安林という言葉で今まで議論されておりますが、日本の保安林の中には坊主山もございまして、一体保安林という言葉で表現する方が適当か、保安林地あるいは保安山地という言葉で表現する方が適当であるかという議論はあとにいたしまして、いわゆる保安林地籍といたしまして、日本のいわゆる林野面積から見まして、保安林はどの程度あることが国土保全の上から望ましいかというような御検討がありましたら、お聞かせ願いたい。
○島田参考人 ただいまのお尋ねの点でございますが、これは私自身もお答えできないのですけれども、おそらくだれでも答えることができないのではないかと思いますが、日本の保安林の種類というものは、御承知のように非常に広汎に十七種類森林法の中にうたわれております。こういう種類は私はむしろ整理さるべきじやなかろうか、こう思つております。ただ種類は非常にたくさんございますけれども、その中で保安林の保安林たる主たるものは、今度のこの法案の中にもうたわれておりまする三つの種類だと思うのであります。水源涵養林とそれから土砂流出防備それから土砂崩壊防備は、元の森林法では土砂扞止林と言われておつたものでありますが、従来の保安林の編入の状況を見ますと、面積におきましてもこの三つが一番多い、それから箇所数におきましては、従来の土砂扞止林というものが非常に多いのです。と申しますのは、一つ一つの平均面積というものが、水源涵養林は御承知のように川の上流一帯というような考え方であります。それから土砂扞止林というものは、非常な急斜地であつてガラガラ落ちそうなところということになりますから、どうしても局所的になります。日本の風土は、世界的に見ますれば非常に急斜地でありまして、土砂扞止林というようなものが一つの日本の保安林の特殊性かと思いますが、しかし保安林全体から見ますと、やはり水源涵養林というものが保安林の中核体だと思うのであります。保安林の中での中核体である水源涵養林につきましての、水源涵養の作用というものがあるということにつきまして、いわば一つの信仰的なものにまで高まつておりまして、たとえば江戸時代の熊沢蕃山の本等を見ましても、たとえば山の深きところには神気生ずるというふうな非常に神秘的な表現になつております。すなわち科学的に水源涵養林がどういう林相であればどの程度の水源涵養がされるかという科学的な数字の検討というものはなかなか困難でありまして、従いまして、これを数量的にどのくらいということは、私も答えられないのでありますが、だれも答えられないのではなかろうかと、かように思います。
○三浦参考人 一言補足いたします。保安林の全森林面積の国土面積に対するパーセンテージをどれくらいにすればよいかという問題は、森林の実情によつて常にかわつて行くものだと思います。今一五%くらいを予定しておるかと思いますが、過去の保安林というものは面積的に不足であつたのだろうと思います。そうしてますます荒廃して行きますに従つて、そのパーセンテージを上げて行く必要が当然起るものだと思います。私どもが研究した結果全国の傾斜地、現在の矮林の大部分と現有の一部を喬林にすることが合理的な森林の経営であると考えますので、もしそれが達成されたあかつきには、おのずから保安林というようなものは、ほとんどなくなつてもいいということになるのではないかと存ずるのであります。私は敗戦いたしました直後、わが国を救うには、自然的には国土を完全合理的に利用することだ。それにはスイスのごとくあるべしということで、そのときに関係いたしておりました日本学術振興会に、国土の完全合理的利用に関する研究委員会というものを設置していただきまして、私はその委員長にされまして、三年ばかり研究したことがございます。しかし結局非常にむずかしい問題で、結論に達しなかつたのであります。人為的には日本の消費を合理化すべきだ。それには第一に消費に主として携わつております婦人の生活なり考え方を合理化すべしというので、私は当時東大をやめまして日大の農学部におりましたので、日大に生活科学科をを置くということを文部省に申請したのであります。しかし日本の大学でまだそういう制度がなかつたので、結局認められなかつたのであります。現在は新制大学においてそれが認められて、方々にできておりますけれども、もつと消費生活を科学化する、合理化する、こういうことを考えたのでありまして、保安林なんということは、先ほど申しましたように緊急措置でありまして、根本的の問題ではないので、森林を全面的に合理化したらゼロになつていい、こういうように考えております。
○川俣委員 それでは続いてお尋ねいたしますが、完全に植林ができた場合、たとえば植林とは申さないにいたしましても、国土の完全利用という表現がありましたが、国土の完全効用が達成されますならば、保安林という指定したものは必要でなくなるというお考え方については、あえて私は異論をさしはさみません。しかし日本のような所有関係が現在のような状態において、はたして国土の完全効用というようなものが達成できるかどうかということについては、多大の疑問を持たざるを得ません。一体今日の森林所有者が、経済的に成り立つのかどうかという問題が一つあると思うのです。過去の森林所有の状態を見ますと、貨幣価値の変動のなかつた時代、また主としてデフレ経済が非常に恐ろしいということが念頭にあつた時代に、いわゆる山地の所有というものが起つて来たようであります。明治初年からの歴史を振り返つてみましても、こういう森林所有者という考え方は、デフレ経済に陥るときの弊害、苦境といいますか、その打開の道になり得るという考え方であつて、またいわゆる子孫に貯金をして残して置くことよりも、こういう売買の困難なものを残して置くことが非常時態勢に備え得られる。その非常時態勢というものは、決してインフレ経済でなくて、むしろデフレ経済のときの予防であろうかと思うのであります。ところが今日の日本の山林所有者の考え方からいたしまして、一体植林してから何年たてば経済的に金がもうかるのだということは、これは机上論じやないかと私は思つておるのです。日本人は長い間貸幣価値は不変だという観念に立つておる。十年前、百年前の一円も今の一円も大したかわりがない。かわつておることは現実に知りながらもあまり価幣価値はかわらないのだということを念頭に置くものでありますから、一円のものが百円になるともうかつた、こういう観念ではなかろうかと想像するのです。従いまして植林をしてから経済変動が激しくなりますと、こういう資本の回転率の悪いものをもつて経済林として考えるということ自体が、非常に現状の経済を無視した考え方じやないかと思うのです。そういうときに、さらに国家の強力な管理下に置くということは、たとい一歩譲つて経済林であるといたしましても、日本のような貧弱な所有者の経済状態から見まして、強力な国家の管理のもとには耐え得ないのじやないか、こういうふうに思うのであります。そういう点から勘案いたして参りますと、この法案は現状に非常に妥協的にできておりますけれども、これでは真に緊急保安林の設定にはやや力なきおそれがあるのじやないか、こう思いますけれども、三浦参考人はいかようにお考えになつておりますか。この点お尋ねいたしておきたい。
○三浦参考人 先刻述べました通り、保安林問題は治山、治水に対する緊急問題の一つである。それでこの法案も臨時措置法になる。緊急臨時措置法、すなわち第一歩としてこれくらいのことはやつてもいいだろう、現在の日本の国力においこれくらいのことが妥当であるかもしれない、しかし残されておるのは、われわれ日本人が百年の大計を立てて、全国の傾斜地をスイスとか西ドイツのような形にすべきだ。ドイツも百年前には日本のように矮林があつたのであります。百年の歳月を費して今日のようにしたので、そうするためには一兆円以上のものを日本の森林に蓄積しなければならない、日本国民の努力によつてそれだけの資本を蓄積することができたときに、初めて理想が達成されるのでありまして、その保安林がいらなくなるときがあるというのは理想論であります。そして技術的にその土地に適当な施業をするということになりますと、危険のようなところではおのずから斫伐を行わなければならない。これは林学の技術及び経済の命ずるところで、そういうようにおのずからなつて行く。それが合理的の林業である、こうしたときには危険がなくなる、こういう考え方であります。
○川俣委員 三浦さんに議論をふつかけるようで、はなはだ恐縮なんですが、お説はよくわかるのですけれども、参考人は、これは十年の時限立法で臨時的なものだとおつしやる。臨時的なものだというと、十年後にはあなたの理想が実現するように今から進んでいないと、十年でぽりんと切れてしまつたならば、その切れてしまつたあと、またやらなければならぬ。現在からずつとあなたの目的ができて行けば、時限立法でもあなたのお説とちつとも食い違わないと思う。緊急措置だと言いましても、緊急を緊急ならしめないだけの、十年間に実現できるように累年問題が解決して行けば、確かに十年あるいは十五年——年数は十年になるか十五年になるか別にいたしましても、切りかわり得ると思うのですが、どうも緊急立法だからいいだろうということは、私も悪いとは必ずしも言わぬけれども、お説の通りだとすれば、今から十年でこの緊急の解決はするのだが、次にはどうなるか。また新しくあなたのお説で出て来ると、また十年かかる、こういうことになつてしまいはせぬかということを憂うるのです。お説がそうだといたしますれば、今からそれにかわるものがなければ、つまり緊急でやむを得ないのだというだけでは、十分じやないのじやないかと私は想像するのですが、そう理解してよろしいかどうか、もう少し御説明願いたい。
○三浦参考人 ただいまの問題は、私もそういう懸念を持つておつたのでありますが、実はここへ来る前に中央森林審議会がありまして、林野庁長官の説明を聞いておるのであります。つまりこの臨時措置法案は十年間のものなんです。十年間におきまして現在のわが国の経済状態、国情においてこれが妥当であるという考え方なのであります。十年後になつて、あるいはこの臨時措置法がさらに五年なり十年なり延長されるか、あるいは恒久法として森林法の中に繰込まれるかということは今予測できない、こういうことを最初に聞いておるのでありまして、それを了承しておるわけであります。
○川俣委員 三浦参考人にもう一度お伺いいたします。私は当局の意見は実は別に聞いておるのです。せつかく高邁な御意見がありましたので、その御意見に基くと、これは臨時的な緊急措置として認めてもよろしい。これにかわるに保安林が必要でなくなるようなことが望ましいという御表現であつた。私もそれに反対するものでなくて、そのことも一つの有力な林業行政として考慮に値する、こう思うのです。しかしそれは今から何らかの対策なしには、これはいつ雨が降るであろうかと待つているのと同じような結果になるおそれがありますので、あなたのお説を達成させるには、これと相伴つた施策がなければならないのじやないか。その施策は一体どのようにお考えになつておるかを承りたい、こういうことなんです。
○三浦参考人 その問題は先ほどお手元に差上げました、私どもの研究会で治山治水対策に関する意見書というものにるる書きまして、それに参考の論文を載せてありますが、これは全国の大学の教授、助教授百数十人の署名捺印を得たものであります。つまり第一の完全造林を強力に実行することを、先ほども私は政治家及び行政家各位に対して要望したのでありますが、それがどれだけ具現されるかということによつて、十年後にいかなる形になるか、この臨時措置法がどういうことになるかということがきまつて来ることだ。そこで私は、第一の根本策を強力にやつていただきたいというのが私の念願であり、これはわが国の世紀の大事業である、こういうふうに考えているのであります。わが国の国土及び民生を救うところの大事業である、日本民族がどうしてもやらなければならぬ事業である、こういうふうに考えておるのです。
○川俣委員 意見書は私十分検討いたしておりませんけれども、今ここでいただきまして、私どもの考え方とまつたく一致しておるわけであります。従いましてその意見書について私は反駁をいたすという考え方はないのです。むしろどうして実行して行くかということに主点を置いてお尋ねいたしたいと思つておるのですが、ここに示されております理水造林法というがごときものを制定して、民有林に対して補助金を与える、こういうのですが、日本のような瘠悪林地が非常に多いところ、あるいは急傾斜の非常に多いようなところは、民有林として経済的にこれを保持するということはどうも困難な状態ではないか。経済変動を度外視いたしましても、また日本のような最近の資源の少いところにおきましては、どうしても国際的影響を受けなければならないような日本の経済状態におきまして、それを除いてみましても、補助金等によつて民有林というものがはたして完全造林ができるかどうかということについて、私は多大の疑問を持つておるのですが、この理水造林法というようなものは、そういうものを克服できるというようにお考えになつておりますかどうか、この点をひとつ御説明願いたい。
○三浦参考人 それに一応書いてありますが、そのほかに別に資料の方に私の一文を加えてありますけれども、補助金を現在の造林臨時措置法による一町歩一万円という程度でなしに、三万円くらいまでふやすというように一応の目安をそこに置いたのでありますが、それでもなお実行できない場合には、政府が国有林を設定して、国費をもつて造林をするということもそこにうたつてあるのであります。それは一年三十万町歩ということになつておりますけれども、それだと三十年間で矮林がようやく喬林になるという程度でありますが、実行してみるとおそらく百年もかかる。しかしドイツは百年かかつて今日の状態にしておるのですから、百年かかつてもやらなければならぬ、こういう考え方であります。
○川俣委員 島田参考人にひとつお尋ねしたいのです。島田参考人は本案について御賛成のようでありまして、私どももこれに対しては大体了として、最も適切な法案であると思います。むしろやや気力が少いのじやないか、あまりにもいろいろな情勢を勘案し過ぎて、遠慮がちではないかという批判は持つておりますが、この方向に対してはあえて反対してはおらないのでありますが、そういう観点からひとつお尋ねいたしたいのです。 保安林の面積がだんだん拡大して参りますと、伐採制限が必ずついて起つて来るのであります。伐採制限がついて参りますというと、伐採制限面積がふえて参ります結果、その用材または木材の需給に非常に困難を来すおそれがあるのじやないか。その結果木材の高騰となつて、かえつて保安林以外のところに植伐の不均衡が起きて来て、荒廃をもたらすような結果になるのではないかという、これは私の想像でございますが、島田さんのような御研究されておる方からごらんになりまして、国の要請として保安林を強化して行かなければならないことは言うまでもないのですが、その結果、保安林以外のところにむしろ濫伐が行われて来る、植伐の不均衡が増大して来ないかというおそれが出て来ておるのでありますが、これらに対する御研究がもしもありましたならば、ひとつお示し願いたいと存じます。
○島田参考人 ただいまのお尋ねの点に関しましては、私も傾向としては、やはりそういう傾向に行くんだろうと思うのであります。ただその傾向が数量的にどの程度に現われるかということに問題があるのじやないかと思うのです。御承知でもございましようけれども、保安林になつたから、すなわち全然切れないという意味のものでございませんし、また保安林でないものは自由に切れるというわけでもございません。御承知の森林計画によりまして、保安林でない一般のいわゆる経済林につきましても、これはある一定の年齢以上の老齢林については、届出だけで切れますけれども、それ以下のものについては許可をとらなければ切れない、そういう関係にございますので、一般的に申しますならば、やはり経済林に関しても伐採というものは制限を受けておる、こういうふうに考えられます。それから保安林に関しましては、これが全面的に制限を受けているということになつておりまするから、つまり制限の受け方は保安林の方が大きいということであります。しかし保安林の場合でも全然切れないものでもないんです。ただ保安林というものがふえる程度が、かりに現在の保安林が一割であるのが、五割にも六割にもなるということになりますれば、これが数字的にも非常に大きなものになるというふうに思いますけれども、そのふえ方いかんの問題だと思いますが、おそらくそうたくさん保安林がふえるものではなかろう、こういうふうに予測いたしますので、傾向としては御説の通りでありますけれども、その数字は必ずしもそう大きなものではなかろうと思います。実は現在の需給のバランスの面から、必然的にどうしても日本の山が荒廃に行かぎるを得ない状態にあるのじやなかろうかということに関しましては、そのいかんにかかわらず私もそうだと思います。これはおそらく三十年、五十年後に今日の森林計画がまつたく計画通りに行きますならば、現在の日本の人口と、日本の森林面積との比率から申しまするならば、これはそういう状態に行けるべきものだと思います。ただ現在非常にアンバランスになつておる関係上、それを一応他の外国なら外国から輸入ができて、まつたくこの計画が理想的に行くということなら、これができるのでありまするけれども、それもおそらく困難であろう。そうすれば場合によりましては、むしろこの計画が三十年、五十年後には達成されるどころか、だんだんアンバランスが大きくなつて行くという心配もあるというふうなこともまた考えられるのでございます。これらの点に関しましては、一つには現在の日本の森林蓄積が一応数量的には六十億石あるとか、その中で開発可能の蓄積はどれだけあるとかというような数字が出ておりますが、これ自身がどれだけ正確かということについては疑問があるかと思います。 もう一つは、一応この森林計画というものが軌道に乗つてはおりまするけれども、実際の伐採量と届出伐採量というものが、どの程度の食い違いがあるかということにも問題があると思います。前者については、私は大体の見当でありますが、若干プラスの方に間違つている点がある。あとの点についてはマイナスの方に間違つている点があると思いますが、私自身としましては前者の、はたして日本の資源がどれだけあるかということを正確につかまなければ、林政の根本策は立たないのであります。一つの資源調査計画というようなものが単独立法でなり何なりできまして、そして資源調査というものを正確にやるということがきわめて必要なことじやなかろうかと思うのであります。それらの点につきましては、どこの国もしからば林政の根本になる資源調査は日本と同じかと申しますると、二、三の外国では、ただいま申しましたような資源調査ということが、非常に軌道に乗つて行われておるところがありますので、これは日本でも必ずしも不可能をしいることではなかろうと思うのであります。それらの点に関しましては川俣先生あたりから強力に御推進いただければ、おそらく日本の林政の基本が立つのだろうと思います。
○川俣委員 島田参考人の指摘される通り、まつたく日本の資源調査が完備していないことを最も遺憾と存じます。一体この森林面積が、植林されておろうと、造林があろうと、または山くずれがあろうと、今日においてはそういうものの面積が十分把握できない状態にある。おおよそこのくらいであろうということはつかめておりまするけれども、実際はつかんでいないんです。動かざる面積ですから正確につかめないんですから、年々成長しつつあるようなものについては、さらに不明確であるというようなことは、これはあまりにも明瞭であります。従いましてほんとうの林業対策を考えまするには、この面積なり、あるいは林相状態なり、あるいはその他の障害面積を正確に把握することなしには達成できないと思うんです。 もう一つは、私先般東北の冷害視察にまわりまして見て来たのですが、もちろん今の保安林じやありません。旧保安林いわゆる防潮林ですが、相馬郡に二宮尊徳が植えたと称する防潮林があるのです。役場の台帳を見ると、依然として保安林という指定を受けておりまするけれども、もう木はない。台帳にはちやんと保安林地区だということが書いてあり、木はない。ごくわずかのところにありまするけれども、指定はされておるようですが、台帳の方が間違いであるかどうか、あるいは解除になつておるかどうか、これはわかりませんよ。ちやんと役場の台帳には保安林地区だということが指定してある。そして課税の対象になつていない。ところがいつの間にか公有林になつて、公有林になつても、課税対象にならないということは動かないと思いますけれども、どちらにしても木はない。わずかに木のあるところがこの間の風を防いで、いくらか役立つたというようなことがあります。また岩手県に行つて見ますると、ここが保安林として指定されておるところだと営林署ではしばしば説明しておりましたけれども、坊主山です。一体保安林に指定されていながらいつ伐採されたのだろうと聞くと、いやはつきりわからぬけれども、いつの間にか坊主山になつておりますという説明なんです。おそらく国有地においてそういうことはないと思いまするけれども、民有地における保安林の指定というものは非常に過重な負担であつたために、その過重な負担を押しのけるために伐採が行われたのであろうと思うんです。これは想像ですが、現に指定されたところに立木がないのですから、そう思うんです。これは理由はいろいろあるでありましようが、私が想像するに、指定を受けたのが経済的に過重であつたために、それをのがれるための一つの方便として、盗伐といいますか、自分の土地でありまするから盗伐になるかどうかは別にいたしまして、とにかく切られてしまつた、こうなつておるのではないかと思うのであります。そういうことが現に保安林の中においても行われるということになりますると、それを厳格に守らせるということがこの法案のねらいであろう。そういうことを厳格に守らせるということになりますると、今までよりも伐採制限ということが強化されて来る。面積が同一でありましても、自然強化の率が高くなつて来る。そのために木材の需給の上に影響が起つて来はせぬか。保安林であるから伐採ができないというようには、決して私も考えていませんので、保安林と指定されておりましても、とかく伐採が行き過ぎになつておるので、これに対して制限が強化される、こういうふうに私は見ておる。これが最も望ましいことだと見ておるのですが、そこでただ木材の需要から見まして、これらが制限を受けますると、価格の高騰から濫伐になるおそれはないか。特にこれから一番需要の出て参りまするのは、幼齢林を利用しようとするところのパルプまたは坑木が、一番大きな用途として需要の上に乗つて来るであろうと思われる。もつとも幼齢林というものについては一つの制限がございます。制限がございましても、日本の近代化学工業の発展からいたしまして、パルプとしての需要が増大いたしておりまする今日におきましては、単なる幼齢林の伐採制限という法律だけでは、なかなか目的が達成できないのじやないか。もしも法律で達成しようといたしますれば、自己山から伐採するということが起つて参りまして、やはり植伐の均衡がますますアンバランスになつて来るのではないか、こういう点を非常に恐れるのです。これは皆さん方もおそらく同感だろうと思うのです。今までの用材でありますれば、これは年輪のこもつたもの、あるいは相当な成長率を示さなければもつたいないというようなことで育てられて来た。ところがパルプにいたしましても、坑木にいたしましても、むしろ若木の間に、これは間伐として切るということよりも、ほとんど経済的なねらいを持つものでありますから、全部休採するということが、今のパルプ持山の中においてはとかく起りがちであります。これを制限しようと林野庁がやつきになつておられますけれども、なかなかそこまで手が伸びない状態です。こういう点から見ますと、現在のような森林所有の状態をこのままにしておいて、はたして完全造林、完全植林というものが行われるであろうかどうかということに、私は実は多大の疑問を持つておるのです。この点について島田さんの御意見を伺えれば非常に幸いだと思います。
○島田参考人 ただいまのお尋ねに対して、どういうお答えをしたらいいかと思うのですが、前段のこの法律によりまして、だんだん保安林政策というものが拡充されて来ると、先ほどもお話のように、一般の経済林が切られる傾向を促進するのじやなかろうか、なお精神的にそれを推し進めるような傾向にあるのじやなかろうか、ということを御心配のようでありまして、私その点確かに先ほどのあれと同じように、傾向的にはそういうことがあるかと思いますので、行政面におきましては、その点を注意してもらわなければならないということにつきましては、私も同意見であります。一番しまいのお話は、そういうことがだんだんに追い詰められて来ますと、パルプ、坑木等が自分の山を伐採するという傾向をますます強めて行く。そこで何か山の所有権そのものについて、一つの新しい変革を加えなければいけないだろうという御質問だつたと思いますが、それは非常にむずかしいお話でございまして、所有制度というものにつきましては、これを大きくわけますれば、国有林と公有林と私有林というような一つのわけ方ができるわけでありますが、むろんその一つ一つにつきまして、こういう所有は産業上どういう性格を持つというおのおのの性格がございますので、おのおのの性格を考えますと、一概にどういう所有形態はあるべきでないということが、これはなかなか実際の政策面におきましては、デリケートなむずかしい問題じやなかろうかと思うのでありますが、ただ一般論として申せることは、林業というものが生産期間が非常に長い生産企業でありますために、所有権というものについての動揺を与えますと、長い将来に大きな禍根を残すというような心配がありますので、この所有権思想というものに動揺を与えるということは、やはりなかなか林業政策においてはできないことじやなかろうか、かように思うのであります。そこでその所有というものは、これは現在理論的に考えますと、どういう所有であるべきかということは、いろいろ議論はできますけれども、一方におきましては、やはりその歴史性というものは一応尊重しなければいけない、かように思います。つまりこの場合の、たとえば保安林政策というものをもつと推進して、その目的を徹底せしめるためには、保安林的なものについては、ある程度これを国有化の方向へ持つて行くという、この法案程度のものは、つまりその歴史性というものに対して、そう変革を及ぼすものでないし、また一般に対しても、あまり動揺を起すものじやない、かような程度にお答えするよりほかなかろうと思うのです。
○福田(喜)委員 ちよつと島田先生にお伺いいたしますけれども、先生のお話によりますと、自発的職権主義とか利害関係者申出とかなんとかいうことがありましたが、スイスの保安林というものは、非常に模範的なものであつて、水源涵養、保安林とか土砂防止保安林とかいろいろなものがあるようでありますが、あすこは、そういう保安林に関する特殊立法というものはないのでありますか。
○島田参考人 ただいまのお尋ねの件に関しましては、年代を今ちよつと正確には記憶いたしておりませんが、スイスの一般森林法の中に、そういう規定を持つているわけであります。そうして先ほど申しましたように、これは自発的職権主義によつて保安林が指定されております。つまりその森林法ができました際に——これは実際問題は二年かかつたかあるいは一年でできたか、そのことは私正確には記憶いたしておりませんが、とにかくその森林法ができました際に、すべてのスイスの森林を、一つ一つについて検討をして、そうして保安林に入れるべきものは入れ、保安林に入れないものは入れない。それで、その後非常に大きな事情の変化があれば、その一部のものが保安林から解除され、一部のものが保安林に追加編入されるということはあり得ますけれども、現状に変化がない限りは、最初に保安林という林籍と保安林でない林籍とがはつきりわかれたわけであります。それで私実はその点に関しまして、はたして日本のような実情において、森林法ができた際に、簡単にそういう分類ができるかどうかということにつきまして、年来疑問を持つておつたのです。たまたま昨年スイスへ行く機会がございましたので、私実はそれをスイスで一番聞きたい事項としまして、そうしてスイスの行政庁でそれを聞いたのであります。それはそれほどむずかしいことじやない。
○福田(喜)委員 行政庁はどこですか。
○島田参考人 やはり農林省でございます。
○福田(喜)委員 農林省のどこですか。
○島田参考人 スイスの場所ですか。首府はベルンにございますけれども、私が聞きましたのは、チユーリツヒで聞いたのであります。これはそう困難なことじやない。困難なことじやないというのはどういうことかと申しますと、ごく簡単に申し上げますと、結局地形的にイタリアとの境の部分はアルプス、つまりヨーロツパの屋根でありますが、この部分は非常に急な傾斜山岳地であります。それから北の部分のドイツとの境も、シユヴアルツ・ヴアルトなる部分でありまして、これもやはり急斜地である。それでそのまん中の地帯、チユーリツヒ、ベルンをつなぐあの線に一つの帯状のいわば平坦地がある。そういうような関係にございますので、日本のわれわれの常識で考えるような一筆ごとではなくて、一つの地帯区分的に、保安林に入る部分と保安林に入らない部分が、非常にはつきりしておるのであります。なるほどそういうようなことであれば、自発的職権主義による保安林と保安林でないものとのはつきりした区別も、そう時日を要しないでできることだと思つたのであります。今回の保安林整備計画も、林野庁でどうおやりになるのか、私ここで詳しくはわかりませんけれども、いろいろのお話を聞いておりますと、やはり林野庁では流域単位でれを検討されるというお話でございます。その流域単位の中で、地帯的に、保安林地帯と保安林地帯でない部分というようなことでおやりになるのではなかろうか。つまり今までの保安林の編入、解除の実際のやり方に、一つの変革をされるのではなかろうかと私は想像しております。
○福田(喜)委員 実は私は先生が言われるスイスに十年おつたのであります。長くあそこに勤務しておりましたが、あそこでは保安林に関する立法は、連邦立法の森林法はきわめて簡単でございまして、カントンでみな保安林の保護立法の特別なものを持つております。先生が言う地帯ごとに編入するというのは、今から約三十年前に起つて来たのであります。あれは当時フランスがマジノ・ラインをつくるときに、ジユラ山系のところでああいうことをやつたものですから、保安林の目的でなかつた。マジノ・ラインに対抗するために保安林の指定をやりまして、立入り禁止とか伐採禁止をやつたので、名目は保安林であつたけれども、実は水源涵養とか土砂扞止とか、そういうことではなかつたのです。ジユラ山系は、御承知の通り非常に低い、低地の山であります。あそこに流れておるのはアールとローヌと二つの川と、向うはライン川の上流であつたと思いますが、あの保安林に関する法制が、はたして日本に参考になるものかどうか。それから、保安林に関する特殊の立法はないというけれども、各カントンの法律を見ますと、むしろ保安林保護ではなくて、特殊の用途を持つたいろいろな制限立法ではなかろうかというお考えかと思います。先生はおそらくそういうことをお調べになつただろうと思いますが、どうですか。
○島田参考人 ただいまお話の、森林法の実際の運用の裏話のようなこと、私はおもしろく参考に聞かせていただきました。たいへんありがとうございました。スイスは今お話のごとくに連邦組織でございまして、連邦政府と、それから各カントンの政府があります。しかし森林法そのものは、カントンの法律ではなくて、やはり元の立法は連邦のものであるというふうに思います。
○福田(喜)委員 カントンは幾らでも持つております。
○島田参考人 カントンにもありますけれども、もともと連邦のものもあります。それから今のマジノ線のお話、私もおそらくそうだろうと思います。ただマジノ線の関係ということになりますと、スイスの西部の保安林に関しての問題になりますね。北部のものと南部のものについては、必ずしもそうじやないのではなかろうかと思います。
○福田(喜)委員 あれは国境地帯にみな保安林があります。イタリア国境、ドイツ国境、フランス国境とみな保安林地帯になつて、帯状になつておる。あれはわれわれの場合とは大分違うのじやないですか。
○島田参考人 今おつしやる意味は、スイスの保安林は国土保安の保安林ではなくて、要するに要塞林だというお話ですか。
○福田(喜)委員 そうです。
○島田参考人 そうしますと、私は外国のことだからはつきりはわかりませんけれども、私も今度参りまして、常に戦争のない、いわば永世中立国のスイスにあれだけの軍備があるということに、実際はびつくりして来たのでございます。でありますから、おつしやるような意味はあろうかと思います。しかし森林法は、表向きは要塞林だということはうたつてないように思うのであります。
○井出委員長 川俣委員に申し上げますが、この辺で最後の締めくくりをお願いいたします。
○川俣委員 締めくくりでなくて質問ですが、せつかく森林組合の有力なお二方が見えておるので、ちよつとお尋ねしておきたいのです。四条の三号ですが、「あわせて経営する」ということについて誤解があるようですけれども、私はこれは売主の方にも便宜だと思いますので、その点は不安はないと思うのです。ただ隣接ということが、正確な面積を把握していないで——隣接というのは、どこで隣接するのだという問題が起つて来はせぬかということを心配するのです。一体台帳ではかるのか、実測ではかるのかということが将来紛争の種になりはせぬかということを懸念いたしておるのですが、こういう懸念がないかどうか。今までの参考人の供述では、経営することというところに非常に不安を持つておるようですが、この不安はお除きになつてしかるべきじやないかと思うのです。これは売主の方にも便宜だと思いますので、その不安はいらないと思うのです。一体実測で、ここまで保安林、ここからは隣接地だ、こう見るのかという、むしろそういつたところに問題が起きて来はせぬか、紛争が起きて来るのではないかということを懸念いたすのです。これは私の懸念でありますから、なければないでけつこうですが、一体森林組合としては、どのようにお考えになつておりますか。それから将来森林組合に相当過重な責任が負わされて来るのでございますが、森林組合の将来のあり方等について、おそらく御希望があると思います。きようはそれの陳述をお聞きする時間がございませんので、森林組合の将来のあり方について、御意見があれば、文書で出していただきたいと思います。この二点だけをお尋ねいたします。
○山本参考人 第四条の三号の問題でございますが、あわせて経営するということについては、先生からお話を承りまして、心配がないということであります。隣接の意義といいますか、幅といいますか、それがかえつて心配になる、懸念を持つということでございますが、実は第四条は、協議買入れの問題でございますから、私どもも、その点協議が整うかどうかということは双方の意思によつて決定されることでありますので、一般論としてはそう大して問題はなかろうと思います。しかしながら買い入れるという考え方と、それから売りたくないという考え方との間に何か圧力的なものを感ずる、森林所有者の立場においてそういうものがありはしないかということで、心配しているのでございます。強制買上げの場合は、これは保安林ということになつておりますので、強制の問題には関係がないように思いますので、そういう意味において強い心配を私は持つておらないわけであります。
○松野参考人 ただいま山本さんから川俣さんにお話がありましたが、私のちよつとそれについて思い当ることを御参考までに申し上げたいと思います。 実は「あわせて経営することを相当とする森林」というのは、先ほど中央審議会においてお伺いをいたしましたところによりますと、これは一つの団地になつております山林の所有者に対して、これを保安林に設定する場合に、その大部分が保安林に編入されましてわずか一部だけ残つたときには、これも一緒に買つていただきたいというような場合が出るだろうじやないか、残されたら困るのじやないかという長官のお話もありましたわけで、これはごもつともな話でありまして、そういう場合には買つていただく方が山林所有者としては利益になるのであります。けれどもただこの文章だけによりますと、私の解したところによりますと「隣接」というこの程度が十分了解しておらなかつたものでありますから、隣接しておる土地だからというので、経済林としまして営林署で材木を売つているその状態から見ますと、営林署で相当利益を上げたいというようなお考えもあるいはあるのじやないかというような考えを持ちまして、これは隣接しておる土地だからというので買収されるということになりますと、その近くに山を持つておる者は脅威を感ずる、かように存じましてお伺いしたのでありますが、さようなことはないというような御説明でありましたので、それによつて安心しておるのでございます。 それからなお買入れの山林につきまして一町歩当り三万円ということになりますので、一体それは検面で言うのであるか実際面積で言うのであるか。検面にあるものはなわ延びなどがありまして土地が広くなつておるところなど、その価格で買いとられることなると、山持ちとしまして脅威を感ずる、かように思いましてこれもお伺いしたのでありますが、これは実際面積によつて買い上げてくださるということでありましたので、私は安心しましたようなわけであります。 以上であります。
○福田(喜)委員 あまり長くなつてはいけませんから、ちよつと最後にひとつお聞きいたします。 山本参考人は全森連の役員だと承りましたが、するとこの保安林整備臨時措置法案によりますと、買上げの対象になるところの林分は民有林であり、公有林である。私は大多数は民有林であろうと思いますが、これについての諮問機関といたしまして中央森林審議会というものがつくられております。しかし私は、全国森林組合連合会の立場としてもやはりもう少し、この森林法の中に何らかの諮問というか意見を述べる機会を持つべきではないかと思いますが、この点について山本参考人の御意見を承りたいと思います。
○山本参考人 福田先生からのお尋ねの問題であります、全森連の意見を強制買収の場合に聞いたらどうか、こういうことでございますが、実際問題といたしますと、中央の政府なり地方庁なりが十分に御研究になつておられることでありますし、ただ先ほど申し上げましたように、地方の実情に明るい地方の森林審議会ないしは地方の森林組合連合会等に意見を聞いていただくということができ得るならば、なお実情に即した意見が出て参るのではなかろうか、ということを申し上げたのであります。少くとも現在の全森連といたしましては、良心的に考えて、そこまで積極的に修正までしていただこうというほどの考えは、私ども持つておりません。
○福田(喜)委員 これは、私たちも別に林野庁に法案の修正をしろ、あるいはどういうことをしろという気持はないのです。ただ、中央審議会というものはなるほど全国有数の森林の大家が集まつて構成されているのでありましようが、その構成から見ますと政治的要素も多分にあるわけでありまして、かつ手足と申しますか、組織網を持つておりましても、現地の実情からいいまして、なかなかそう言うべくして行われない、隔靴掻痒の感が多分にあるであろうと思います。この点において、森林組合の組織というものは全国的な系統機関としていろいろな組織、手足を持つておりますから、買上げの対象になる民有林の林分につきましても、十分な示唆を与えるのではないかと考えます。この点につきまして、私は全森連として相当の意思表示をされたらいかがかと思いますが、ぜひ御考慮を煩していただきたいと思います。
○井出委員長 本日は、参考人各位におかれましては、非常に御多忙なところを特にまげられまして本委員会に御出席をいただき、きわめて貴重な御公述をちようだいいたしましたことに対し、委員一同を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。 —————————————
○井出委員長 この際、この法案の審査方法に関しましてお諮りいたします。林業に関する小委員会におきましては、過般の国会以来治山治水の問題について検討を加えて参つておりますので、一応本案をこの小委員会の審査に付し、具体的事項等について詳細な審査をいたさしめたいと思いますが、この取扱いに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○井出委員長 御異議なしと認めさようとりはからいます。 なお本委員会における質疑の通告者も残つておりますので、小委員会における本案の審査は、本委員会での審査とにらみ合せて、なるべく本委員会の質疑が一段落した際に開会する等、適宜の措置をとりたいと思いますので、この委員会と小委員会とのかね合いの点につきましては、委員長及び小委員長に御一任願いたい、かように思いますので御了承願います。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時二十一分散会