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19回国会衆議院1954/02/12

農林委員会 第11号

発言数
158
登壇者
15
会派数
4
開催日
1954/02/12

会議録

井出一太郎改進党

○井出委員長 これより会議を開きます。  本日は都合によりまして、午前中に食糧管理等の食糧問題、午後に町村合併に伴う農業団体等の農政問題について議事を進めることにいたしますから御了承を願います。  それでは食糧管理に関す諸般の問題について調査を進めます。先般の本委員会において農林大臣の説明にもありました通り、政府は食糧対策協議会を設けて、食糧全般に関する基本方針の検討を始められているようでありますが、農林委員会といたしましては、国会としての独自の立場からこれらの問題について検討する必要があると考えるのであります。まず順序といたしまして、最近の食糧の需給事情等について政府の説明を求めます。前谷食糧庁長官。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 二十九米穀年度の需給について資料を後刻お手元にお届けいたしますが、口頭でもつてまず需給事情について御説明申し上げます。  二十九米穀年度の需給推算でございますが、まず第一に持越しの関係でございます。昨年の十一月一日の持越しは百四十七万五千九百トンになつております。これを石換算いたしますと九百八十三万九千石ということになるわけでございます。このうち内地米は百二十一万四千五百トン、八百九万六千石ということになつております。この差額の二十六万一千トン、百七十四万二千石が外米ということになつておるわけでございます。この外米はそのままの持越しになつておるわけでございまするが、内地米は、この中にいわゆる二十七年産米のものと、それから二十八年産米のいわゆる早場の買入れと、この両者が入つておるわけでございます。この内地米の百二十一万四千五百トンのうち、いわゆる純粋の古米と申しますか、二十七年産米は六万六千トンでございまして、あとは二十八年産米の早場の買入れということになつておるわけでございます。従いまして、その古米とそれから外米が純粋な意味におきます持越しになつておるわけでございます。この持越し百四十七万五千トンと、買入れといたしましては内地米を三百十五万五千トン、それから外米の輸入が百六十一万一千トン、これは玄米換算でございまするのでそういうふうになつておりますが、合計いたしまして四百七十六万七千トンが本米穀年度におきまする買入れということになつておるわけでございます。この持越しと本年度内におきまする買入れと合せますと六百二十四万三千トン、これが本年度におきます供給の総計ということになるわけでございます。そこで本年度におきます買入れでございますが、早場が約七百万石程度前年度に買つてあるわけでございますが、二十九年産米におきましてもほぼ同様の数字を買うというように考えられますので、二千百万石ということになるわけでございます。ただ現在の供出状況を申し上げますと、一月末におきまして大体千九百三十万石ということに買入れがなつております。ただ現実の問題といたしましては、数日のずれがあろうかと思いますが、本省に上つて参つております数字で申し上げますとそういうふうになつておるわけでございます。従いまして、これにつきましては、先般代表者供出制度ということで、現在の指定集荷業者、つまり農協と、登録をいたした指定商、このいわゆる指定集荷業者及び生産者が協議いたしました生産者たる代表者というものをもつて、匿名供出的な制度を二月から実施いたしておるわけでございます。  今後の供出の状況でございますが、先般目標の二千百万石に達するように各府県と打合せをいたしまして、そして各府県のいわゆる確保量と申しますか、そういう確保目標を府県と打合せましてこの集荷に努めておるわけでございます。本米穀年度の当初は、早場米の買入れは時間的に多少ずれて参りましたために、本年度の状態におきましては非常に少かつたわけでございます。しかし二十九年産米につきましては、約十九万八千トン、百三十万石程度のものを期待いたしておるわけでございます。  輸入につきましては、この米穀年度におきます輸入は、全体で百六十一万トン、そのうち本年の三月までに大体九十一万三千トンの輸入を考えておるわけでございまして、本年の四月から十月までの期間といたしましては約六十九万七千トンの輸入を見込んでおるわけでございます。現在の状況から申しますと、この九十一万三千トンの輸入は幾分上まわるのではなかろうかというふうに考えているわけでございます。  なお需要につきましては、全体といたしまして主食用とし四百七十七万八千トン、三千百八十五万五千石というものを見ているわけでございます。これにつきましては、本年度におきます作柄の状況によりまして、従来農家に対する配給について約三十万トンの実績でございましたが、これがある程度ふえるだろうということで、その農家配給の需要増を見ております一方におきまして、過去の実績からして、ある程度の配給辞退というものもあるだろうということで見ているわけでございます。工業用、ロス等を合せまして需要の合計が五百九万二千トン、三千三百九十四万石ということになるわけでございまして、その需給の差引といたしまして翌年度に対する持越しが百十五万トン、当初持越しの百四十七万五千トンから約三十二万トンの持越し減ということになるわけでございまして、端境期の需給といたしましては非常に困難な持越しでございますが、この程度の持越しは、過去における実績からいたしまして、最小限度の持越しとして、何らかの特別の不作等の事情が起りません場合におきましては、これによつて現在の配給量を維持し得るというふうに考えているわけでございます。  二十九会計年度といたしましては、先ほど申し上げました輸入量については、米穀年度の後半の七十万トンと、それから十一月以降の三十年度の予定を一応平年作と考え、五十一万トン程度の三月までの輸入ということに考えまして、全体として百二十一万トンの輸入を見込んでいるわけでございまして、三十米穀年度、本年の十一月以降の問題につきましては、一応平年作を予定して算定いたしているわけでございますが、これはさらに具体的に作柄の状況の判明を待ちまして、そして具体的な需給推算を立てるつもりでいるわけでございまして、具体的に現在需給推算を立てておりますのは、二十九米穀年度、本年の十月までのものでございます。  二十九米穀年度全体としてのごく概略の需給は以上に申し上げたわけでございますが、これを米穀年度といたしまして二十八米穀年度との実績を合せまして、お手元に資料をお配りいたしたいというふうに考えておる次第であります。

井出一太郎改進党

○井出委員長 質疑の通告があります。順次これを許します。吉川久衛君。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 ただいま長官の需給に関する御説明を伺いまして感ずるのですが、総合食糧の問題を農林大臣もしばしば申されておりましたが、たとえていえば人造米とか、畜産、水産の食糧、あるいは油糧等について、あなたの今御説明の食糧の中には入つておりませんが、食糧庁ではそういうものをどういうふうにお考えになり、取扱つておいでになりますか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 ただいま御説明申し上げましたのは、米の需給でございますが、食糧庁といたしましては、このほかに、麦の関係につきましての需給の考え方もいたしておるわけでございます。本年度におきましては、御承知のように大体百六十万トン程度の米の減産がございますので、その減産を補いますために、平年でございますと、米は百万トン程度の輸入ですが、先般も申し上げましたように、米の輸入を約六十万トン程度増加いたしますと同時に、麦につきましても、平年作でありますと、麦の輸入量は大体百五、六十万トン程度が小麦の輸入量と考えられるわけでございますが、これを約二百万トンに、約五十万トンの輸入増加をいたしておるわけでございます。大麦につきましても、その不足を補いますために、約二十万トン程度の輸入の増加をはかりまして、この大麦と小麦及び米でもつて、本年度の主食におきまする需給をまかなつて参りたいというふうに考えて、輸入の増加を計画いたしておるわけでございます。一方国内的には、すでに担当部局におきましても、増産等につきましていろいろ処置をいたしておるわけでございます。ただいま御指摘のございました油糧の問題でございますが、油糧につきましては、全体といたしまして、われわれの方では国内の油糧原料つまり菜種と合せまして、昨年度の実績に対して人口増を加えました主食量を想定いたしまして、そのもとに他の油糧資源の需給計画を立てておるわけでございます。この油糧の輸入は、御承知のように主として大豆であります。大豆の輸入を考えておるわけでございます。当初予定いたしました当時におきましては、その後国内の菜種が出まわるという前提で需給計画をつくりましたために、大豆の輸入を相当圧縮いたしたわけでございますが、その後菜種の出まわりの状況、それから国内産大豆の不作というような状況にかんがみまして、油糧用といたしまして約五万トン、それからみそ、とうふ用の丸豆といたしまして、五万トンの輸入の手配をいたしておる次第でございます。全体的な食糧、畜産その他を合せました総合食糧につきましては、個々の消費の状況からいたしまして、それぞれのものにつきまして需給の計画を立てておる、こういう形でございます。

井出一太郎改進党

○井出委員長 芳賀貢君。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 ただいまの長官の御説明にもありましたけれども、二十八年産米の買上げ状況は一応二千百四十五万三千石と見ておるわけでありますが、一月末の買上げ状態を見ると、千九百三十万石程度で、まだ計画に対しては二百十万石程度不足しておるわけであります。現在の供出の進行状態から見ると、この二千百四十五万石という数字に到達するということは、非常に困難でないかというふうに考えられるわけでありますが、これに対応するために、政府は代表者供出制度というものを一応考えたようでありますが、このような新しい試みをもつてしても、はたして二千百四十五万何がしの予定の買上けが可能であるかどうかという具体的な見通しに対して、もう少し長官から御説明を願いたいと思います。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 二十八年産米の目標といたしましては、二千百万石を目標にいたしておるわけであります。その差額は、二十九年産米の買入れ、本年度の端境期における早場の買入れの差が出ておりますが、二十九年産米といたしましては、二千百万石ということで需給を組んでおるわけであります。ただいまの御指摘のように、一月末の状況は千九百三十万石でございます。これは御承知のように検査をいたしまして、買入れをいたします間におきまして、やはり五日ないし一週間くらいの差は例年出ておるわけであります。それは別問題といたしましても、昨年末におきまする状態と、本庄に入りまして、一月における供出とは、非常に足踏みを続けておるということで、われわれといたしましても、それについては非常に苦慮いたしておるわけでございますが、現在の状態といたしましては、各府県と需給の状態を合せまして、府県が確保できる供出量の打合せをいたしておるわけでございます。その結果といたしましては、府県が確実に責任を持ち得る数量は、二千百万石を多少割るような形になつておりますが、それを強加いたしまして、二千百万石に持つて行きたい。実は御承知のように、大体二月十日くらいまでの上旬にかけまして、いわゆる二十八年所得の更正決定がきまるというのが各府県の実情のようでございます。例年更正決定との関係上、その後におきまする供出ということもある程度期待できますし、それを考えまして一応匿名供出的な方法をとつたわけございます。同時に農業団体とも相談いたしまして、ブロツク会議におきましてこれの推進をやつているわけでございまして、非常に簡単には参らないということは十分承知いたしておりますが、努力いたしますれば二千百万石程度のものは行くのじやなかろうか。各県との打合せにおきましても、ぴつたりとは行きませんが、ほぼこれに近い数字が希望できるという見通しを持つているわけでございます。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 この代表者供出制を実施する場合において、都道府県の知事の考え方によつてこれを認めるという運用の方法であるように承知しているわけでありますが、そういうように府県のまつたく任意な考え方の上に立つてやらすという考えで進めるとすると、一方においてまた匿名的な供出に対して一応の目標を与えるというようなお考えもあるように聞いているわけであります。すでに義務供出あるいは供出確保量に対しても相当の成績が上つているわけでありますが、この上にまた農民の意思を一応拘束するような形で代表者供出制度を実施することは、これは少し客観情勢に押されて、そういう自主性のないような考え方にかわつているのじやないかというふうにも解釈できるわけであります。どのような運用の方法をとられるか、お伺いしたいと思います。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 この代表者供出制度につきましては、当初われわれいろいろ各府県の実情、意向を個別に承つているわけでございますが、地域によりますと、こういう制度によつてある程度供出の促進がなし得るという地域もございます。これは主として東北、北陸、関東の一部で、そういう県におきましてはそういう希望もございますし、またそれによつて超過供出の確保の数量がふえて参るというような事情があつたわけでございます。一方におきまして、近畿におきましては、こういう形でやるよりも、従来の超過供出の方法を進めて参ることの方が、今後の供出を推進して行く場合におきましても、その府県の事情として妥当であるという府県の御意見もあつたのであります。従いましてこれを画一的に全国一定の方式によつて施行することをやめまして、各府県のそれぞれの事情によりまして、その府県においてそういう制度をとることによつて超過供出を推進し得る、またそれがその県の実態に応じて妥当である、こういう結論を出した県においてそれを進めて参る。そうでない県におきましては、従来のような超過供出の推進という形において進めて行く。これは各府県のいろいろな生産状況あるいは消費の状況というふうな面からいたしまして、その実態に合つた方法をとることがよろしかろうと考えまして、画一的にいたしませんで、各府県と打合せまして、実施の場合、その府県における事情から実施すべき県は実施して参る、こういうふうにいたしたわけでございます。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 昨年度の供出価格等に対しまして、まだ未解決の問題になつて残つているのは、例の凶作加算の問題でありますが、これは米価審議会等においても相当真剣な論議が展開されたわけであります。これらの米価審議会等における意思を十分に尊重されて、すみやかに最終的な凶作加算額の決定等も行わるべきであるというふうに考えるのでありますが、政府はこれを早く最終的に決定して、これらの決定によつて二十八年度の供出の残余の分の買上げを上昇させるというふうなことに行くのが正しいのではないかと思いますが、この点については現在長官はどのような確信を持つておられますか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 今後の供出の促進につきましては、具体的には農業団体の協力を得まして、各ブロツク別にこれを推進して参りたい。同時に各府県とも、具体的にその県の需給の面からいたしまして打合せを進めて、一定の確保の目標と申しますかを定めて参りまして、それによつて各県といたしましても推進して参る。われわれもまたこれに応じまして、各府県に出かけて参りまして懇請をして参るというふうに考えているわけでございます。  御指摘の減収加算の問題でございますが、これは集荷の促進という面よりも、むしろ米価の建て方の問題として考えておつたわけでございます。昨年におきましても、米価審議会におきまして御答申もあつたわけでございまして、いろいろわれわれもその点について検討いたしているわけでありますが、御承知のように本年度における作柄の状態が、平年と比べまして、平年の幅よりも非常にはなはだしい不均衡があるというような点もございますので、それら米価審議会の御答申並びにそういう諸般の事情を検討をいたしているわけでございまして、われわれの目標といたしましては、できるだけ早く最終的な決定に持つて行きたいということで、政府部内においても検討をいたしているわけでありまして、何日ごろというふうな見当までは、まだついていない次第でございます。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 ただいま芳賀委員から食管会計の問題について御質問があつたのでありますが、関連して来年度の食管特別会計に計上されております八千七百九十五円、この政府買上げの生産者米価についてお尋ねを申し上げたいのでありますが、この根拠なるものは二千七百二十二万石を基準とし、それに減収加算と早場米を除いたものがこのような価格になつているのでありますか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 これは足鹿委員も御承知のように、従来の考え方といたしましては、その当時におけるパリテイ等も検討いたさなければならないわけでございますが、一応平年の状態を考えまして、基本価格につきましては、二十八年産米と条件が同一であるという一つの仮定を置かざるを得ないわけであります。そういう仮定を置きまして、基準価格を七千七百円ということでパリテイに変化がないという一つの仮定のもとに考えたわけでございますで、それに対しまして、完遂奨励金を、ただいまお話がございました二千七百二十二万石ということでこれを一本にいたしました。同時に超過供出につきましては、二千七百二十二万石の場合におきまして、平年の比率から見ますると、一般供出を二千三百万石、かように押えまして、超過供出が四百二十二万石、かように考えたわけでございます。これに対しまする超過供出奨励金も本年と同様というふうに前提を置きまして、それに基きまする石当りの超過供出奨励金を加算いたしまして、包装を百八十五円といたしますると八千九百八十円になるわけであります。包装を引きますると、ただいま足鹿委員がお話になりました金額になるわけでございます。その内訳は基本価格と完遂奨励金と超過供出奨励金と一本にして一本単価で一応計算した、かようなことであります。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 私はこの問題について、あとで関連して凶作加算についてもお尋ね申し上げますが、凶作加算を一本価格から一応除かれたことはわかります。来年の作況がどういうふうになるかということは、今から予測できません。政府はすでに平年作と見て予算の編成をおやりになつておるのでありますから、これは一応ごもつともだと思う。ところが事実上におきまして、二百円内外の本年の農家の実質手取り米価よりもこの予算米価は下まわつてお組みになつておる。要するに食糧を増産して凶作を乗り越え、いろいろな障害を乗り越えて平年作になれば、昭和二十八年度よりも農家の手取り米価を予算上においてすでに低く見ておいでになる。いわんや政府の予算編成方針は、来年度においては諸物価を国際水準へのさや寄せを目途とし、五%ないし一〇%の引下げを計画しており、これに関連していろいろな緊縮予算を組み、なかんずく財政投融資の面におきましては大きな削減が行われ、いろいろな点においてデフレ政策がとられておる。そういたしますと、パリテイの線というものは大体において下降して行くということだけは今から予想されるのであります。それでなければ今年度の政府の予算の編成方針は誤まつておる。これは国民にインチキな幻想を与えるものである。こういうことになるといたしますると、パリテイもすでに下降の方向を予算の上から予想される。いわんや予算米価においても、昨年度より供出石数の増加を見込んで二百円前後予算米価上も下げておるということになりますると、これはこの予算米価そのものの実現ということも、パリテイの出方によりましてはこれをも下まわるということが私どもは言い得ると思う。そういうことではたして農家の実質所得の維持ができるかどうか、また食糧供出の確保が、二千七百二十二万石の政府が目途とした供出が可能であるかどうか、これは価格との関係において大きな問題になつて来ると思う。内地の供米の予定確保数量が維持できない場合は、従つて輸入食糧の増加を余儀なくされることは明らかでありまするが、その点についてこの食管特別会計は非常に矛盾を私は持つておると思う。そういう点は長官はどういうふうにお考えになつておるのであるか、もう少しこれについての本年度の予算編成方針との見通しの上から行つて、この予算米価以上に米価審議会なり、あるいは経済情勢等の変化があつても、この予算米価はくぎづけ状態のものとして、従来政府は基本価格においてはほとんどかえたためしがない、従つて私どもはこれよりも下げる可能性はあつても、上る可能性をこの予算から見ることはできないのでありますが、そういう点について、はたして二千七百二十二万石の供米確保の自信があるかどうか、この価格と供米との関係について御所見を承つておきたい。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 ただいまの足鹿さんの御指摘のように、石当りの単価といたしましては、今年の二十八年産米と予算上計上いたしておりまする予算米価との間におきまして差があることは御指摘の通りでございますが、農家の実質所得という面からいたしますと、やはりこれは供出量との総体的な関係におきまして、考慮して行かなければならぬというふうに考えておる次第であります。ただその数量を、一応作柄もわかりません関係上過去の平年作を前提といたしたわけでございます。従いまして、この平年作の場合におきまして過去の実績等から考えますると、この程度のものはできるのではなかろうかということで考えておるわけでございますが、具体的には今年度の作況をどうするというふうな状態になるかという点と、それから同時にわれわれといたしましても、今後の供出制度が諸般の情勢からいたしまして、どういうふうに改善するべきかというふうな点からあわせて考えて行かなければならないということでございますので、これは将来の作況の問題と両方関連いたしておりますので、今ここでどうかと言われましても、非常に困難な事情があると思います。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 これはどうも長官の御答弁とも承れない、まつたく矛盾撞着をきわめた御答弁だと思う、今のは私の聞いておることに対しててんで答弁になつていない。従来米価審議会におきましても、また一般の生産者の声としても、生産費計算を基準として行えということはこれはもう輿論となつておる。ただ政府が一つの算定方式を固執される。物価の均衡方式を中心とするパリテイの算定方式をとつておられるのでありまして、この点については、米価審議会の答申をすでに基本においても御尊重になつておらない。私の今言つておるのは、来年度においては物価は下ると政府は言つておる、物価が下れば当然この予算米価よりも下まわつて来るということになりますが、長官はこの予算米価を確保して行かれる御所見であるのか、いわゆる物価水準が下つて、そうしてパリテイの指数が低下をしてこういうことになつた場合には、勢いこの予算米価よりも下まわる結果になるが、これはもう予想でなくして政府の予算編成方針から来る当然の帰結ではありませんか。そうなつて来ると、すなわちこの予算米価すらも維持ができない、維持ができなければ農民の供出面におけるところの協力は得られない、そうなりますと二千七百二十二万石が、よしんばこれ以上の豊作であつても、いわんや凶作の場合にはとうてい国内におけるところの予定数量の確保ができない、そうなれば輸入に依存をして行かなければならない。結局農民を一つの低米価政策の面においてこれを押えて行く、しかも補助金は大整理をやつておる。一箇所百万円以下の土地改良費は全額切つて行く、新規事業は一切認めない、従来既着工分のものもその経済効果を再検討して一時中止をする。いわゆる日本の農業政策の面において、増産政策の基本であるところの土地の改良あるいは造成等についても、あるいは農業の耕種改善の面においても大きな削減をして、緊縮予算の犠牲を農林予算に一番大きく寄せておられる。そういう面においても、コストの引下げに対するところの施策もほとんど打切られ、しかも価格の面においてはこういう状態で、さらに予算米価をも下まわることは、もう既定の事実として現われて来る。政府は食糧の国内自給だとか、あるいは増産たとかいうことをいつも一枚看板に言われておりますが、この食管会計自体の面から見ただけでも、政府ははたして国内自給の基本方針を持つておられるのかどうか。また食糧行政を一身にになつておられまずあなたとして、こういうことではたして食糧行政の責任が負えるかどうか、私どもは疑問にたえない。長官にこれ以上御答弁を願つてもこれは困難だろうと思いますが、ただここではつきりしておきたいことは、もしこの予算米価をパリテイの線において下降して行く、そして必然的にこの買上げ価格が下つて行くような情勢でも、この予算米価は、食糧庁長官は職を賭してでも守つて行かれる考えであるか。少くとも最低の問題として、その点だけは明らかにしておいていただきたい。パリテイを基礎として行かれるなら、予算米価は当然下つて行く傾向は明らかになつておるではないですか。この点は非常に重要でありますから、はつきりしておいていただきたい。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 足鹿さんからの、将来の米価に対する考え方について御意見があつたわけでありますが、われわれといたしましても、米価審議会でも御意見がございましたように、生産費の方式で行くのがいいのか、あるいは従来のパリテイの方式でやつて行くべきか、あるいはまたその他の方法があるかどうか、こういう点についてはいろいろ検討いたし、また研究をいたしておるわけであります。ただ現在の予算の組み方といたしまして、一応従来のパリテイのやり方を前提として予算米価を組んだわけでありますが、パリテイの移動の見通しということになりますと、御指摘のように将来におけるパリテイ指数の推移の問題——予算編成上からいたしますとパリテイは下降傾向にあるというふうな御指摘でございますが、まあそういうふうに考えられますが、現在までの状態におきましては、パリテイはある程度上つておるわけであります。この上つておるのを予算の執行その他の全体的な政策によりましてどの程度にして参るかというにらみ合せになろうかと思います。具体的にはやはり米価の立て方の問題も、確かに御指摘のような面がございますので、どういう立て方がいいかという点についても、われわれはもつといろいろの点から検討いたさなければなりませんし、またパリテイの関係は、物価政策その他とも関連いたしまして、どの程度減るかということも一つの将来の見通しでございますし、価格自体の立て方の問題についても、われわれとしてもさらに検討しなければいかぬという点も考慮をいたしておるわけでございまして、今どうなんだということを仰せになりましても、私として将来こうだというところまで申し上げるのは、ちよつとむずかしいと思うわけでございます。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 もう一点お伺いしたい。それはただいま芳賀委員の御質疑になりました凶作加算の問題であります。これは旧臘二十三日に徹夜をいたしまして、米価審議会は消費者米価に対する答申とあわせて、消費者米価を左右する一つの要素として凶作加算の問題をどうするかということにつき、六回にわたる小委員会を経た算定方式が満場一致によつて答申がなされておるのであります。その当時政府は、すみやかにこの算定方式に基いて実支払額を決定し、その残余額について追加払いをすみやかにすべきであるという米価審議会の意向に対しては、御趣旨を尊重してただちに行いますと言いながら、今日までこの点については何らなすところがない。米価審議会にいま一応実支払額についての当、不当を諮問することになつておるにもかかわらず、聞くところによれば、米価審議会にかけるとうるさいから、審議会は開かぬ。こういう御方針のように聞いておりますが、これは事実でありますかどうか、これが一点。  なお米価審議会の凶作加算に対するところの答申は、小委員会における若干の少数意見はあつたようでありますが、答申は政府与党を含んで満場一致の答申になつておるのであります。その方式から行きますと、政府が現在考えておられるような五十三円やそこらの追払い金ではないはずであります。これについては農業共済保険金をこの算定方式から出た全額から差引き、さらに地域的なべーターを付しこれを差引いて、追い払い金をきわめて、微々たるものに圧縮するように巷間伝えられておりますが、一体そういうことは米価審議会における熱心な審議の結果、しかも小委員会は、昨年の秋以来三箇月有余にわたつて、算定方式を出し、政府もその小委員会には始終列席をし、米価審議会の答申も、与野党を含め、学識経験者全員の賛成の答申があつても、政府は一顧だもされない。一応その方式を踏襲しても、農業共済保険金を差引くなどというような、インチキな、欺瞞的なことをしてこの実支払額を圧縮して行かれるというようなことはおかしいと思う。農業共済保険金は、国の法律に基いて別途支払われる政府の責任上から来る財政支出であつて、これと米価とは直接の関係はありません。これは米価審議会においてもその意見は一致しておるのである。それを無視して現在政府は作業を進め大蔵省当局ともいろいろ御折衝になつておると私どもは伝え聞いておりますが、一体この実支払額に対するところの今までの政府の考え方、そして米価審議会にいつ諮問をし、いつごろの時期にこれを農民に支払いをするのか、すでに先刻芳賀委員から御指摘があつたように、供米は一月末現在において相当頭打ちの状態になつておる。これは政府が、凶作加算の問題についても誠意を示さず、早場米の供出期限が過ぎてから代表者供出制度を説き、あるいは追加割当等の懇請を行うなどということをやつておるからであります。私どもは前から、出足が早いとはいうものの、後半期においては米はそう出ませんぞ、政府の考え方は甘いということを、何べんも警告しておつたのでありますが、案の定、供米は頭打ち状態になつて、本米穀年度においては、配給の基準量の維持すらも現状で行けば困難な実情が出て来ておる。労務加配を打切るとか、いろいろな施策をやらなければならないような、いわゆる危機が来ておるではありませんか。これは一にかかつて政府が、農民に対して凶作加算の問題に対しても誠意を示さず、早場米の供出期限が過ぎた後に供米の督励をやる。しかも代表者供出というがごとき、前の匿名供出の二の舞をやろうというような、誤まつた供出対策あるいは価格対策から来る農民の不信が、こういう供米の実態となつて現われて来ておると思う。この点について重大に御反省にたらなければならないと思いますが、米価審議会に実支払額について諮問をするのかしないのか。やらぬのならば、本月の二十四日で米価審議会の委員の任期は一応切れますが、政府は何のために任期延長の政令を出したのでありますか。そういつた点から考えれば、凶作加算の問題については、米価審議会に——議論のあるなしは別として、筋を立てると長官は言われた以上は、当然はからなければならないはずであります。それをいまだになさずして、事実上において五十三円程度のもので、今言つたような欺瞞的な施策によつてごまかそう、打切ろうというような態度は、私は農民に対して非常に不親切な態度であり、公明な態度でないと思う。そういう点について、米価審議会の諮問の期日あるいは諮問の内容に至る検討の結果、特に凶作加算の問題を、この際食糧庁の長官として明らかにしていただきたい。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 足鹿さんからいろいろ御意見があつたのでありますが、供出の問題につきましてはわれわれも現在非常に心配をいたしておるわけでございます。これにつきましては、いろいろの関係団体の協力も求めまして、進めて参りたいということは、前から申し上げておりますが、凶作加算の問題につきましては、米価審議会の小委員会の経過、それから米価審議会におきまする御答申もありましたので、それにつきまして、いろいろ政府部内におきましても検討をいたしておるわけでございまして、まだその点について具体的な結論に達しておりませんので、申し上げる段階には至つておりませんが、できるだけ早く結論を得たいと考えておるわけでございまして、もう少し時間の余裕を与えていただきたいと考えておるわけでございます。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 さつき足鹿委員が、本年度の米価の算定の問題に触れたわけでありますが、予算上から見ると、早掛米の奨励金を除いた残余を一本価格にて組んであることになつておるわけでありますが、超過供出の奨励金の問題は別として、昨年の国会においても相当論議されました、いわゆる供出完遂奨励金の八百円を基本米価に入れるか入れないかという問題がまた出て来るわけであります。当然これらは基本米価の中に入れて考えるという方針に進む時期でないかと考えるわけであります。政府は食糧対策協議会なるものを設けて、そこにおいて将来の食管法等の運用あるいは改正等も考えるというような御意図のようでありますけれども、もし食管法をかえるというような場合には、どこを重点にしてかえるかが一つの問題となつて出て来るわけであります。本年度の一兆円予算の一つの期待は、五%ないし一〇%の物価の引下げをその中から強く期待しておるわけであります。そういうことになると、結局パリテイ方式で行く場合においては、当然米価の引下げという現象も出ないとも限らぬのであります。だからして、すでに米価算定の方式というものは既往のパリテイ計算においては意味をなさぬというところまで来ておると思います。もう一つ問題になるのは、現在における公務員の給与、あるいは平和産業の基準賃金は、おおよそ一万五千五百円程度になつておるわけでありますが、これを四十八時間制の日給に換算すると、大体六百円程度になるわけで点ります。それに二割程度の期末手当を加えると、七百二十円くらいが日割の賃金になるわけであります。そうい場合において、はたして現在における農業労働の価値というものは、これらの公務員の給与並びに一般産業の労働者の賃金に比べて、同一労働に対してどのくらいの報酬があるかということは、非常に黙視することができない問題であると考えるわけであります。たとえば一万二千円米価を算出する場合においても、自家労賃が大体五百七十円くらいにしかならぬのであります。それを九千円程度にくぎづけにする場合においては、公務員あるいは一般産業の労働者に比べる農業労働の価値の報酬というものが、過小であるということが指摘できるわけであります。これらの問題は、今後におけるわが国の農業生産を高める一つの基礎条件としても、これは重要に考えてもらわなければならぬと思うわけであります。こういうことを中心にして、今年度の米価の算定にあたつての長官の構想を伺つておきたいのであります。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 ただいまの米価の重要な問題点でございます労賃評価の問題を御指摘になつたのでございますか、この生産費の計算をとります場合におきまして一番問題になりますものは、御指摘の労賃評価をいかなる基準において評価するかということと、その生産費のベース・ラインをどういうふうに考えるかという点が生産費の計算における問題点であることは、われわれも承知いたしておるわけであります。この米価の問題につきましては、生産費方式についてそういう点をさらに検討いたさなければ、生産費方式がただちに具体的な米価算定方式を使用し得るかどうか、これは具体的な問題になると思います。つまりパリティ価格の場合におきましては、従来の状態を基礎にして価格変動を織り込みますと同時に、そういう自家労賃の評価という点の是正をいたしますために、生活水準のギヤツプを調整する調整係数をパリテイ方式に加えておりまするし、同時にまた経営用品の数量の変化というふうな意味でも生産費方式のある考え方を取り入れておるわけでございますが、こういう点につきましては非常に重大な問題でございまするし、また材料的にこれを米価の算定方式として使います場合におきまして、生産費のただいま申し上げたような点は、さらに材料的に検討いたしませんと、米価方式としての具体的な方式にはなりません。そういう点をわれわれとしても検討いたして行かなければならない、こういうふうに考えております。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 この問題は一朝に論ずることができないので、次会にまた譲るといたしまして、本年度の輸入問題でありますが、国際価格が相当下まわつて来たということから、輸入補給金も百億を割つたような状態でありますけれども、現在まで輸入された外米は、原則的に三〇%程度の砕米が混入されて来ておるのであつて、こういうことで相当量の外米が入つて来た場合においても、国民の食生活の面においては非常にマイナスになる点が多いのであります。国際価格が下まわつて来ておるということは、いわゆる外国における米産が相当の供給力を持つておるということの証左でありますが、そういう場合においては、現在よりももつと砕米の混入しておらぬような良質な米を輸入するということを、当然考えて行かなければならぬわけであります。現在輸入されておる米の品質の等級といいますか、規格はどのくらいの程度のものを入れておるのか、その点を承知したいのであります。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 現在輸入の問題は、たとえば特別に、いわゆる準内地米として取扱つております加州米、台湾米、スペイン米、イタリア米の場合と、タイ、ビルマ等の場合とは事情が異なると思います。御指摘のブロークンの混入量につきましては、それぞれの国におきまする一つの混入率の規格があるわけでございます。大体二%以内ということを標準にして買つておるわけでございまして、これは御承知のように日本の場合と違いまして、もみからただちに精米して参るということになります。もみずりをしてさらに精米という過程を通じないわけでありますので、おのずからそこに砕米の混入は不可避になるわけであります。これはそれぞれの国におきまして、砕米の混入率を通常の規格としてつくつておるわけでありまして、われわれとしましては、通常の規格のものを買つておるわけでございますが、御指摘のように、将来また現在もだんだんに米の国際需給が緩和して参りますので、従来の買い方をさらに強く、いいものを安く買うという方向で進めて参りたい。ただ御承知のように米につきましては、タイにおきましてもビルマにおきましても、完全に物価統制、輸出統制を国家がやつておりまして、その規格も国それぞれがきめておるわけであります。その規格信じてわれわれとしては買つて参る。それの交渉におきまして、米の国際需給状況の緩和と関連いたしまして、今相当強く交渉をして参つておるわけでございます。従来たとえばタイにつきましては、丸米を買いまする場合におきまして、一定割合の砕米を買うということになつておるわけであります。これも実は日本側が独自で協定いたしたのではございませんで、むしろタイにつきましては、インドとの協定が基本になりまして、それを各国に適用しておる、こういう状態になつておるわけであります。そういう協定の状況等をもにらみ合せまして、できるだけ有利に買付を行いたいということは、われわれとしても十分検討して参りたいと考えております。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 聞くところによると、日本に入つて来る米は、大体八級品ぐらいのものが入つて来るというふうに聞いておるわけであります。この問題は今後大いに改善する余地があると思いますし、こういうような粗悪な米を入れることによつて、黄変米の問題のような不祥事が非常に頻発するので、この点は特に今後御注意を願いたいと思うわけであります。  次に人造米関係の問題でありますが、この問題に対しましては、昨年末の当委員会においても決議を行いまして、いわゆる松浦式なるものに対する特許権並びに実施権の借上げ料に対する政府の措置に対しては、これは厳重に反省すべきものであるというような御注意を申し上げておいたわけでありますが、その後一月の中旬と思いますが、特許庁の方から、食糧庁の研究所の特許権の申請に対して許可が出ておるということも承知しておるわけでありますが、この間の経緯について一応御説明願いたいと思います。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 お答え申し上げます。人造米につきましては、われわれとしましても、これの普及のために特許権の処理ということを政府の借上げという形で考えておつたわけでございますが、その後当委員会におきましてもいろいろ御意見がございましたので、その借上げを一時停止いたしておつたわけでございます。ただいま御指摘のように、食糧研究所と同時に厚生省の栄養研究所との共同の形をもちまして出願いたしておりました特許が、一月の十三日に一応公告になつたわけでございます。ただ御承知のように、公告の期間は二箇月ございまして、この期間が満了いたしまするとその特許が確定をするわけでございます。その公告の期間中に異議の申立てがございますると、その異議の申立てに対しましてこれを特許庁におきまして審査をいたしまして、その可否を決定するわけでございます。可否を決定いたしまして、かりに異議の申立てが成り立たないということになりますと、これは特許権として確定いたすわけでございます。もちろんこの異議申立てを却下いたしました場合におきましては、その特許権に対しては、特許権の無効の判決その他の請求の道があることは従来と何らかわりはないわけであります。そういうふうに一応特許権公表がございまして、まだ一月余公告期間が残つているわけであります。現在のところではまだ異議の申し立て申請が特許庁には来ておらないようでございますが、まだ一箇月間ございますので、今後どういう形に動いて行くかということはわからないわけでございますが、われわれといたしましては、この特許が確定することになりますれば、この特許を使つて進めて参りたいというふうに考えておるわけでございまして、一方における松浦式の借入れにつきましては、見送つている形になつておるわけであります。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 ただいまの長官の御説明は、大体法的な根拠がどうなつておるというような解説に過ぎぬわけでありますが、いやしくも特許庁が同じ政府部内の食糧庁の研究所等の特許権を公告したというようなことであるから、相当確信に権威をもつて今後考えられて、この問題を処理されるべき必要があると考えているわけでございます。特に借上げ料等に対しても、いまだに少しも払つておらぬというようなことは、非常にわれわれの期待に沿つたものであると考えておるので、今後もう少し確信のある態度でこの問題を最終的に処理されるよう期待するわけであります。なおこれに付随いたしまして食生活改善の問題でありますが、現在政府は、既往に買い上げたところのかんしよ澱粉、ばれいしよ澱粉等を相当多量に保管されておるわけでございますが、これらの処理をどのような方針に基いてなされるか。また今年度の農産物価格安定法に基くところの買上げ方針等に対しては、相当積極的な行為によつて一定の価格を期待される線において支持するというような意図を持つておられるかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 本年度具体的に農産物価格安定法に基きまして実施いたしましたのは菜種でございますが、菜種は市況の関係上、現在の見通しにおきましては、ほとんど政府買入れがなくて済むのではないかということになつております。それで農産物価格安定法に基きます切りぼしとかんしよ及びばれいしよ澱粉の買上げの問題でありますが、切りぼしにつきましては、現在の市況からいたしまして、これもほとんど本年度におきましては政府買入れをいたさないで十分所期の価格安定法の目的を達し得るのではないかというふうに考えておるわけでございます。大体現在生産者団体におきまして販売計画を立てておりますが、この販売計画も順調に参つております。従いまして二十九年度の問題としては、二十八年産の澱粉と切りぼしとを買い上げる予定で予算は組んでございますが、これにつきましては、現在の見通しにおきましては、政府がそう多量のものを買い上げる必要はないと考えております。これにつきましては、生産者団体が現在販売調整計画として自主的な調整を進めております。その状況から見ましてそういう判断をいたしておるわけでございますが、四月以降におきまして、その状態が変化いたしますと、政府買上げというような形になろうと思いますが、現在においてはそういうことはありません。ただ法律に基かないで、二十七年のものを昨年買つたのが切りぼしにおきまして約七百万貫、澱粉におきまして二百万貫の買上げをいたしております。これは本年度の切りぼしの状態からいたしまして、また市況等の関係も考え、同時に生産者団体におきまする自主的調整の点とも打合せました結果、切りぼしにつきましては現在相当生産者団体の自主的調整も進んでおりますと同時に相当の需要がございますので、政府といたしましては第一回におきまして、昨年の暮に約半数の三百万貫余を入札によつて売却いたしたわけでございますが、これによる市価の影響は何らなかつたわけでございます。自主的な販売計画にも何ら影響がなかつたようでありますので、さらに生産者団体と打合せまして、最近におきまして約二百万貫の切りぼしの入札をいたしておりまして、現在百万貫程度残つております。これはわれわれといたしましても、本年度におきまする価格の推移を十分考慮いたしまして、分割して売却をいたしておるというふうな状態でございまして、市価に対する影響ということは現在のところ見られておりません。従いまして切りぼしにつきましては、われわれの現在の見通しといたしましては、順調に自主的な調整計画をもつてさばけるというふうに考えております。ただ澱粉につきましては、二千万貫の澱粉を持つておりまするが、生産者団体におきまする集荷及び販売が進行中でございます。この状態とにらみ合せまして、これを処分するかどうかということを考えて行かなければならぬ。政府がいたずらにこの売却を急ぐために、一方におきまする生産者団体の自主的調整が阻害されると困りますので、その状況とあわせて、この処分を考えて参りたいというふうな考え方でもつて、現在におきましてはまだ処分をいたしておりません。

金子與重郎改進党

○金子委員 人造米に関連してお尋ねいたしますが、政府は製品の問題だけをやかましく言つておりますが、人造米の問題は、粉として食べべきものを固めて食うということは邪道であつて、われわれ農林委員会の今までの考え方としては、要するに日本の食糧増産の上に一番大きな期待を今後持たなければならない、但し消費面には、困る澱粉をどう処理するかということに一番大きな期待をかけておるわけなんで、従つて原料に対する一つの規格というか、規制というか、そういうものを考える必要がないかどうか、それこ対してどう考えておりますか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 われわれの方といたしましても、この人造米の問題については、澱粉の新規用途ということに重きを置いておつたわけであります。しかし農林規格におきましてこれを調べまする場合におきまして、規格面におきましてこの澱粉の混入割合を規制することは、現在の段階におきましては無理じやないかというふうに考えております。と申しますのは、一つは検査の場合におきます混入割合を具体的に何割混入と規制いたしましても、検査の面においてこれを明らかにすることは、小麦と澱粉でありますので非常にむずかしいということと、それからわれわれが期待いたしておりますかんしよ澱粉の人造米に使う問題でありますが、これがまだあく抜きと申しますか、砂をとるという面におきまして、まだ澱粉の精製状況がそれに合うようなものが十分準備されておらない。これにつきましては関係局と相談して、いい澱粉をつくる方向に指導いたしておりますが、まだその段階にない、こういう二点からいたしまして、規格の面でこれを押えて行くということは困難じやないかというふうに考えまして、具体的には行政指導としてそういう指導をやつて参りたい、こいううことでございます。

金子與重郎改進党

○金子委員 そういうことを言つておるのではないのです。あなた方の方は、製法の問題だとか規格の問題だとか、そういううわつつらの問題ばかり一生懸命今日やつておつて、食糧行政としての人造米の位置に対して関心を持たない。だから特許はつまらぬとかいつて問題を起してみたりして製品のところだけをやつておる。そうでなくて、人造米というものが日本の食糧政策の上にどう役立つかという方面に基本的な観念を持たないところに、われわれと非常な違いがある。あなた方の方は、ただ食いものにするときに一つの商品というような考え方だけでそれを進めておる。粉をああいうふうにして食うというのは邪道ですよ。そうではなくて、なぜそういうことを日本でしなければならないかということは、日本の食糧政策をどう持つて行こうかということから出発しなければならない。私どもはそう考えておる。あなたは、規格の上からそういうことはできないと言うけれども、たとえばこういうふうな条件を備えて、こういうふうにやるとしたならば、政府の手持ちの破砕米の払下げはしないとか、そういうことで行けば、必ず政策の上に出て来られるんですよ。これは一つの例でありますが、それをそういうことを考えないで、ただ製品の規格ということばかり言う。それでは伺いますが、特許なんか全国的に雨後のたけのこのようにいろいろな方法があなたの方に出つつあります。そのときにあなたの方は、一つの規格以外のものは一切許さないという法的根拠をもつてかかりますか。たとえば粉で買つた以上、粉は統制がないからほしうどんにしようが、ひもかわにしようが、そうめんにしようが、それをこまかく切ろうがかつてなんですから、それに対してどう取締つて行きますか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 製法の問題につきましては、一つの方式でなければいかぬということはわれわれ全然考えておらないのです。ただただいままでの原料の割合につきましては、行政指導では一定の割合を使うように十分指導はいたしておる。法制的にやりますと、結局農林規格の面で強制しなければならぬということになりますが、その面が非常に困難なので、行政指導の面で進めて行きたいというふうに考えておるわけでありまして、全体的には人造米も食糧の一環といたしまして、金子さん御指摘のように小麦を固めて食わせるということは邪道ではないかということは、そういう考え方もあると思います。ただ統制後の状態を考えますと、粒食というものも相当根強いと思いますので、やみ米との関連においてこれを進めて参ることが、同時に政府の統制にも好影響がある、こういう考え方で進めて参つたのであります。

金子與重郎改進党

○金子委員 私二、三簡単に申し上げておつたのですが、結論が出ないから言うのですが、要するに人造米の規格を定めて、いい人造米をつくつてみんなの消費のたしにしようということと、それがための製造方法というものに対して食糧庁は首をつつ込み過ぎた、なぜ人造米をやらなければならぬかという基本的な考えを忘れて、いい製品をつくる、それにはどんな機械がいいかということに頭をつつ込み過ぎたからこんなばかなことになつた。食糧政策としての人造米に対する関心が少いのです。だからそういうことから行くと、あなたは行政的に指導だとか何とかいうけれども、一つの方針を定めて、よしんばコストが高くなろうとも、あるいは製品に対して若干の苦労があろうとも、それは研究と相まつて行くという方針のもとに、これだけの原料を政府が出す以上は、こういうふうな方法でつくれというならば一つの方法はある。そういう行き方をすべきだということ。もう一つはそうでなくて、そういう政府の指示に従わないでかつてに粉を固めて食うということであつたならば、政府の企画によろうがよるまいが、それは大きなお世話じやないか、うどんにして食おうが、ひもかわにして食おうがそれは自由な食品ですから、政府はそれに対して取締れるかと言うのです。取締れるのですか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 いや、それは全然取締る意思もございませんし、取締る法的根拠もないわけでございます。

金子與重郎改進党

○金子委員 そういたしますとはつきりわかつて来るのですが、これからいろいろな方法が全国的に雨後のたけのこのように出て参ります。従つて干うどんをつくるのと同じ意味において売るのですから、何という名前で売られたつてしかたがない。政府の方針に従つて協力してくれる人には資金を出して協力してもいいだろう、またその人たちには破砕米を相当安く払下げてもいいだろう。そして一方には国策に協力する事業形態と、自由にうどん屋がつくるようなものと二つの形式が今後生まれて来ると思いますが、それに対してどういうふうに考えますか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 大体われわれとしても従来から同様な考え方を持つておるわけでありまして、政府の方で推進して参りたいと申しますのは、やはり規格の点です。消費者が承知するようないいものについてこれを進めて行きたい。製法の点につきましては、政府はこれを一定の形に入れるということは考えていない。それ以外のものが出て参るということは、政府がこれを押えようと、商品として需要があれば当然伸びて行くし、需要がなければ伸びて行かないだろう、こういう考え方をしております。

金子與重郎改進党

○金子委員 これは問答になりますからやめますが、時間が損ですからあとで個人的によくお話しましよう。私はそういうことを言つておるのじやありませんし、私の聞かんとすることはおそらく農林委員のほとんど全部の人が聞きたい重点だと思うのです。人造米が出発したときには食糧庁と私どもの考え方は似ていたのですが、途中で食糧庁が先に走つたもんですから、農林委員会の人造米に対する考え方と大分食い違いが出て来ております。この問題を突き詰めて行くためにあとでよく御相談を願いたいと思つておりますので、別の機会にまた申し上げます。

芳賀貢日本社会党(左)

○芳賀委員 本日の長官の御答弁を聞いておりますと、非常に消極的で、何か欠けている点があるように考えるわけであります。これはおそらく連日の決算委員会等における黄変米の問題であるとか、麻袋の問題等において精神的にも疲労が来ておるのじやないかというように善意に解釈しておりますが、今御説明のあつた澱粉等の買上げを行つた二千万貫の今後の処理の問題でありますが、とかく食糧庁が保管しておる主要食糧等を払い下げる場合において、それがたまたま払下げを受けた業者の不当利潤を追求させるような結果が常に惹起されておるわけでございます。たとえば、一例をあげるとばれいしよ澱粉等を例の人造米の原料等として特定の業者に払下げを行うというような場合においても、それらの業者は、おそらくその払下げを受けた澱粉を全量原料として用いないで、それよりもコストの安い小麦粉等を主として用いることが想像されるわけでありますが、これらの貴重なる国の予算で買上げをした食糧等の払下げに対しては、いろいろ今までの経緯等を見ても、今後どのような改善をしなければならぬというように考えておられるか、その点を具体的に御説明願いたいのであります。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 澱粉の買上げにつきましては、切りぼしについてもそういう方法をとつたわけでございますが原則として入札制度をとつているわけであります。従いまして市価の状況によつてその価格がきまつて参る、かように考えております。ただ御指摘の人造米の場合におきましてどういうふうに処理するか。現在におきましては、先ほど申し上げたように澱粉の払下げはいたしておりません。これは小麦粉と澱粉価格とが、最近においては澱粉価格は高くなりましたが、ごくしばらく前までは大体パーになつておつたということでございますので、そういう面からいたしまして払下げという必要がないのじやなかろうかと考えておつたわけでございます。ただわれわれといたしましては、今後人造米の消費の状況とも関連いたしまして、これを払下げることが必要であるかどうか、あるいは払い下げるといたしますればどういう方法でするかということを、検討して参りたい。現在はまだそれを使うという考え方は持つておりません。

井谷正吉日本社会党(左)

○井谷委員 切りぼしについてちよつとお伺いしたいのです。ことしの価格は大体希望の線で食いとめることができる、そして政府の保管しているのを払い下げても、この価格に影響がなかろうということなんですが、これは前にも申し上げましたように、糖密なりその他とうもろこしの横流れとか、そういうものに手を打たれた結果であるか、あるいはまた本年のかんしよの減産のためであるか、長官はどういうふうな御解釈をされているか、承つておきたいと思います。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 現在の切りぼしの市価の状況は、一般的に今アルコール関係、醸造関係におきます切りぼしに対する影響がそうないということは、反面におきまして米の方の減産ということが影響しているのが大きなものだろうと思います。もちろんわれわれとしましては、とうもろこし等の横流しについてはそういうことのないように十分注意をいたしておりますし、畜産局とも連絡をとりまして実需者団体に払い下げておりますが、それが横流れしないように十分注意いたしております。ただそれが大きな原因であるというふうには考えられませんで、やはり全体の需給関係が相当強気であるということでなかろうかというふうに考えているわけでございます。

井谷正吉日本社会党(左)

○井谷委員 糖密の方には手を打たれましたか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 糖密につきましては、アルコール関係において多少の輸入計画を持つておりますが、われわれとしては従来のようなAAの形による輸入につきまして、これを制限してもらうように交渉はいたしております。現実の問題といたしましては四—九の予算でどう組むかという問題になつて来て、具体的にはまだ決定いたしておりませんが、外貨の状態からいたしまして、相当これは押えられて行くのじやないか、われわれもそういう方向で折衝いたしたい、具体的には四月から九月までの予算の編成の問題になろうと思います。

井出一太郎改進党

○井出委員長 川俣清音君。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 時間がなくなりましたので、あとは委員長の御配慮で継続をお願いいたしたいと思います。要点だけちよつとお尋ねしておきますが、人造米の工場へ一体どのくらい融資のあつせんをしておられますか、その金額を承りたい。と申しますのは、なぜかというと、非常に熱心に人造米の奨励をされているようですけれども、一体どういう理由でそんなに力を入れておられるのか、その態度が明らかでないのです。金子委員からも御質問になつたように、一体なぜ人造米というものをそれだけ融資をしてまで奨励するのか、その根拠が明らかでない。粉食奨励の意味でやられるのか、単なる粉食奨励でありますれば、現在ありますパンでありますとかあるいはうどんでありますとか、あるいはマカロニ的なものが粉食の形態としては一番理想的な形だと思うのです。それを人造米なんてものをわざわざこしらえて、米ににおわしたものをつくつてやられるということについての真意が、われわれと大いに違うのです。一体どのくらい融資をしておられるのですか。なぜ融資をしなければならないのですか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 これはこの前も申し上げたかと思いますが、融資の点の具体的な問題から申しますと、現在人造米につきましては、われわれの方に融資あつせんの申込みがございますのは、大体総体の能力といたしますと五、六十万トンのものになつておるかと思います。これはわれわれといたしましても書類その他の内容を整備いたしまして、現在開発銀行に対しまして、書類上その他内容上一応融資の対象になり得るものを送り込みましたのが約十二件ございます。ただ開発銀行におきまして融資を決定したものは一つもございません。開発銀行におきましてその内容を審査中という形になつております。  それから根本的に人造米をどう考えておるのかという問題でございますが、これは前にも申し上げましたように、私たちといたしましては、これが麦と澱粉とが主たる原料であるということが第一点でございまして、そこに主食形態のものが新しく出て参るということは、主食全体の需給にプラスになるのじやないか。もちろん粉食の形態として、そういうものを放つておいて、パンなりめんなりを進めて行つたらいいのじやないか、これはもちろんわれわれもそれを進めて行く考え方でおるわけでございますが、これが従来の消費の状況から申しますと、麦の消費は二十七年度と二十八年度とを比べましても、小麦で大体十万トン程度しか消費がふえておらないわけであります。そういう状態からいたしまして、やはりまだ日本人には粒食傾向に対する執着と申しますか、嗜好が強いという考え方からしまして、こういうものもあつて、それが消費されることによつて麦の消費、澱粉の消費が進んで参るということはけつこうなことであるという考え方でもつて、この問題を取上げたわけでございます。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 そこでおかしいと思うのです。人造米の奨励のために開銀に融資をあつせんしたのが十二件、申込みだけでも五十万トンから六十万トンの融資あつせん方がある。これはなぜかというと、おそらく相互の利益が上るというというところにこれだけのものが殺到して来ておるのだと思う。食糧庁の考え方は、大体三十万トンくらいよりもできないであろうというのに、五十万、六十万トンもつくろうという申込みが殺到しておるということは、これは相当な利益が上るというところにこういう融資あつせんの依頼があると見なければならぬ。そうして参りますと問題は、人造米の必要は、先ほど言われたような小麦及び澱粉の消費を進めて、産物の価格を安定するこういう一面を持つておるけれども、これは利益が非常に多いというところにこれらが殺到して来る原因がある。完全に澱粉が、金子委員が言われるように、消費が激増するかどうかというと、私はそうではないと思う。ただ今の米が、いわゆるほんものの米が人造米と比べて割高にあるというところに人造米の需要があるのだ、私はこう見るべきだと思うのです。従いましてもしも内地米の増産が企図されますと、人造米というものは一ぺんにして消し飛ぶと思うのです。それにもかかわらず、さつきから足鹿委員の言われるように、米の生産費については極力押えながら、一方において人造米のようなものについては融資のあつせんをするというのはどういうわけですか。農地の開発とかあるいは小規模経営についての融資などというものは極力切つて来ておる。そして人造米だけは融資のあつせんをするというのはどういう考え方なのですか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 お答え申し上げます。融資の問題は、一般の農地の問題その他の問題は別といたしまして人造米につきましては、御承知のように開発銀行におきまして電力、造船、鉄鋼その他の重点的なものがございますが、一般雑産業に対しましても、新規の産業に対してそれが必要な場合にはある程度の——これはわくは決定いたしておりませんが、ある程度のものについて融資をし得る道があるわけでありまして、そういう意味におきまして新しい産業として融資をいたしておるわけでございますが、われわれといたしましても問題は、米の価格との関連からして消費がどう伸びるかという形になるかと思います。現在の状況におきますると、川俣委員さんの言われるように、相当利益があるというふうには考えられないのじやないか、つまり米のやみ値で三百円しておつた時代とそれから現在のように二百円程度の場合とでは、消費の状況は非常にかわつております。従いましてお説のように米のやみ値との関係が非常にあるという考え方から言いますと、多量にできて来て消費があるかどうかという点については慎重に考えて参らなければいかぬ。われわれといたしましては、全体の消費額のうちの一割程度で、三十万トンということを考えておりますが、現在の進行の状況から申しますと設備がそういうふうには伸びないのではなかろうかというふうに考えられるわけであります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 それでは食糧庁が、そんな利益の上らない危険の伴う工場になぜ融資のあつせんをしなければならないが、これはおかしい。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 いや、私が申し上げましたのは、五十万トン、六十万トンのような大きな需要はあり得ないから、これはある一定の範囲には押えて参らなければいかぬ、こういうことを申し上げておるのです。利益の問題を、これはつまり普通のコストとして金融面に乗る範囲において融資されるので、非常に過剰な利益が上るという時代は過ぎたのではなかろうか、こういうことを申し上げておるわけであります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 五十万トン、六十万トンであれば非常に危険だけれども、それ以下のある程度のものであれば経営が成立つ、こういうことで資金をあつせんしようというお考えなんですか。私はそこが違うんですね。一体澱粉をどれだけ人造米にまわさなければならないかという政策が先に立てられてから人造米というものを考えるべきだと思う。あなたのでは逆なんです。人造米というものを先に考えておつて、澱粉をどれくらいやるかあるいは小麦粉をどれぐらいやるか、こういう考えなんです。農産物価格安定のために一つの活路として使うものだという考え方ではないんですね。説明はそうするけれども、だんだん聞いて行くとそうじやない。  そこで人造米の問題はあとまわしにいたしまして、一体二十九年度産米を千九百三十万石集める、その集め方として代表供出制度を使う、こう言うのですけれども、これは非常に間違いだと思う。あなたは税務署のお調べを御存じないのです。今までは超過供出というものを収入外の収入として、余分な収入として見ておりましたが、ことしは税務署は初めから、農林省の収穫予想よりも上まわつて見ております。上まわつて見ておるということになれば、自然これは徴税の対象になつております。匿名だから免れるというものではない。すでに入つておる。そこで匿名でやつたんだからもつと供出ができるんだということで、一体これだけのものが集まるかといえば、私は二千百万石は容易に集まるまいと思う。昔の匿名供出は、保有米をさいてそうして匿名にして出すというところに意味があつたのです。すでに今日においては収穫量を上まわつて見ておられるのですから、それが全部対象になつておるのです。多く出したからといつて収穫が多くなつたという段階じやないのです。そうすれば匿名というものは意味があるけれども、今の匿名というものは意味がないですよ。そういうことで期待されておるところに大きな間違いがあると思うのです。大体去年の割当についても、甘かつたと言われたら急に強くしてみたり、強くやつてみたところが急に集らなくなつて来て匿名供出みたいなことを考える。それはあなた方の政策がなつていないからなのです。匿名によつてどれだけの利益を得られるとお考えになつて、あなたはこの代表制度をおつくりになつたのですか。これは税金の対象にならないというのですが、これをやらなくたつて税の対象にはなりませんよ。何の利益があるんです。一体どういうふうに説明されて代表制度を勧誘されるんです。何も得がないですよ。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 税の問題につきましては、川俣さんのお話のように、二十六年度に匿名供出制度をとりました場合におきましては、超過供出奨励金に対する免税というもりがあつたりであります。従いまして税の面におきまする匿名供出とのつながりがあつたわけでございますが、御指摘のように本年度におきましては、超過供出奨励金の免税が法律でもつて先にきまつておりますので、これによる税の関係というものは得がないということは御指摘の通りでございます。ただ従来の行き方といたしまして、その際にも問題になりましたが、超過供出が増加するために税の更正決定の場合に手かげんする、これも本年度の当切からそういうことのないようにという通達をいたしておりますので、税の面におきまする効果をねらつて匿名供出ということを勧めたわけではないのでございます。ただ各府県におきまして匿名供出という制度も持定の県におきましては、たとえば山形等におきましては、そういう制度をとることによつて、さらに集荷が伸びるだろうというふうな御意見もございまするし、そういう状態を考えまして、画一的ではなく、そういうことによりまして増加する県に対しては、その措置をとることが適当であろうと考えたわけでございます。一定の目標数字をもちまして、これによつて全部が達成されるのだというふうに考えたわけではないのであります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 あなたのさつきの説明によりますると、確定申告が終ると供出が可能になつて来るということは、税に関係があるということなんでしよう。関係がなかつたら、確定申告が終つてからふえるということはないわけです。確定申告が終つてから供出量がふえるという前年の例をもつてしてそうだということは、税に関係があるから確定申告という問題が起きたのです。税に関係がないとなつたら、何も確定申告が終つてから供出数量がふえるということはないわけです。あなたの説明によると税に関係があるという説明なんです。私は言葉じりをとらえるのじやないんです。ただ税金の確定申告が終つてから急にふえるという考え方は甘いのじやないか、こういう意味で言つているんです。税の問答をするつもりはないんです。いつからふえるかと聞いたら、あなたは確定申告が終ればふえるというから、それはおそらくふえまい、税の関係ではないんです。もう今日では二十八年産米の超過供出については税はかけませんし、また保有米についても非常に余分に見ておる。今年度においては、もう税金の対象となるべきものはないんです。ですから匿名なんというものは意味をなさない。山形県でそういう申請があつたとすれば、二十八年産米の超過供出に対する免税の宣伝が足りなかつたからか、あるいは食糧庁の説明が足りないからそういう結果になつたので、自分の指導が悪かつたためにできなかつたんです。税が免除になるからということでこれは集められるものじやないんです。問題はもう二千百万石集るということは思いとどまらなければならぬ段階だと思う。そうなつて来ると、一体配給がどういうふうになつて来るか。あなたは依然として配給量を確保するということを言つておりますが、おそらく配給量は確保できまいと思う。とにかく外米も減り、予定の供出量も減つて参りまするならば、配給量は当然減つて来なければならぬはずです。この点はどうですか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 われわれももちろん税の問題につきましては、よく府県当局にも説明いたしておりまするし、また府県当局といたしましても、税の問題においてこれが非常に推進されるという考え方じやなかつたのです。私が申し上げましたのは、従来から大体二月十日前後から供出が伸びる趨勢にあつた、従つて本年もある程度そういうことが期待できるのではなかろうかということを申し上げたわけでございます。ただわれわれといたしましては、具体的にさらに府県当局とも打合せまして、そうしてその確保量の推進をお願いいたしておるわけでございまして、ぜひひとつこの目標を達成いたしたい、そうして配給量は維持したいということで努力をいたしておるわけでございます。これに対して、それはできないじやないかという川俣さんのような見方も、専門家としてあられるかもしれませんが、われわれとしては、せひこれは何とか達成したい、こういうことでやつておりますから、その点御了承願いたいと思います。

中澤茂一日本社会党(右)

○中澤委員 関連して……。過重割当の減額補正が凶作地から相当出ておるはずですが、それが全部でどのくらいになつているか、ひとつ明らかにしていただきたい。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 減額補正につきましては、各府県から、その府県内におきまする割当の調整という面から——数字は私今ちよつと記憶しておりませんが、七、八県そういう希望がございます。しかしわれわれといたしましては、その県におきましてもいわゆる確保量は大体みな達成いたしておるわけでありまして、具体的な数量の問題ではなく、その県内におきまする割当の均衡と申しますか、そういう点からの要望があるわけでございますので、これに対しては、現在におきまして減額補正をするということは、われわれとしては考えておらないのであります。

中澤茂一日本社会党(右)

○中澤委員 県内操作だけでどうしてもつかない減額補正が出ておるはずです。それをあなたは認めないというが、これは今どこの県でも減額補正として相当問題になつている。たとえば長野県の場合でも問題になつている。郡によれば、どうしてもできない。たとえば諏訪郡内の一例を申せば、二千百何十石しか出ていない。実際ないのです。その減額補正が県内で操作がつけばいいのですが、つかない。つかないから、減額補正として七、八県今あなたのところへ持ち込んでおる。だからこの持ち込んでおるものをあなたが認めないと言つても納まりませんよ。そこで千九百三十万石と二千百万石の確保目標に対して、この減額補正をどれだけ見るかということを考えなければ、二千百万石という数字は出ませんよ。それを考え込んで、なおかつ匿名で二千百万石出す自信があるのかどうか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 御指摘のように、その県内におきまして、まだ義務供出の目標額あるいは確保数量の目標額に達しておりません町村があるいはあるかと思いますが、県全体としては全部義務供出はもちろんオーバーしておりまするし、当初きめました確保目標もオーバーいたしておるわけであります。従いまして御指摘の減額の問題は、われわれが見ておるところでは、むしろ県内におきまする割当の均衡という点から問題が出ておるというふうに考えられるのじやなかろうか、従いまして減額補正の問題は、供出量の問題ではなくして均衡の問題で、具体的には数量は出ておりまするけれども、他と比較して超過供出の割合等がアンバランスであるというふうな問題が多いのでなかろうか、こういうふうな感じがいたしておるのであります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 それでは角度をかえまして、石当り買入れ価格は幾らに見積つておりますか。これは米価審議会で一応発表しておりますけれども、それを明らかにしていただきたい。それが重点じやない。もう一つ、千九百三十万石を買い入れたわけですが、この千九百三十万石買入れの実績の石当りは幾らになつておりますか。この差額はどのくらいになつておりますか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 千九百三十万石の現在におきまする超過供出の割合は、早場の関係等で府県別に違いがありますが、全国的に見ますと、一万百十六円程度に現在の試算ではなつておると思います。これはもちろんトータルの平均でございますからそういうことになります。それで二千百万石になる場合におきまする点は、米価審議会でも申し上げましたので御承知だと思います。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 そこで千九百三十万石の買入れ見込と実績とはどのくらいの差が出て来ておるかということ、二千百万石を見積つておりまするから、千九百三十万石じや見積りができないということは言えないこともないのですが、それから推して見て、千九百三十万石であつた場合の見積りは大体どのくらいになるのか。それと実績との相違はどのくらいか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 今、正確な数字をちよつと記憶いたしておりませんが、大体二千百万石の場合におきましては一万二百三十円くらいじやなかつたかと思います。現在の実績と石当り大体百何十円違つておるというふうに考えられます。つまりこれは超過数量の割合によつて変更があるわけでございます。ほかの点はかわりありません。大体そういうふうに考えております。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 そこで問題になつて来るわけです。人造米でいよいよもつてやみ価格を増長し、無効な代表供出制度をもつてしても二千百万石はなかなか集まり得ない。人造米を奨励すればするほどおそらく農民に与える影響は、供出を渋らせる傾向が出て来ると思います。あなたは首を振るけれども、人造米を盛んに奨励するということになれば米不足ということになる。米不足なら、なるべくならば出すまいという機運が出て参りますことは明瞭です。  それにもう一つの不信は、先ほど足鹿委員から申されたように、約束されておりながら凶作加算をまだ発表しておらぬ。やるべき手を先に打たないでおいて供出を奨励するというところに政府に対する不信がある。不信があれば米は出て参りません。五十三円というようなことでは、おそらく農民は納得すまいと思う。一方において、この金詰りのときに人造米に多くの金を融資をするということになりますると、いよいよもつて政府の施策に対する不信の声が大きくなつて来る。この中において単に減収加算を五十三円だというようなことでは、とうてい頭打ちをいたしまして二千百万石は集まらぬ、こう思わなければならぬ。集めるなら集まるような手を打たなければならぬ。それにはやはり人造米というようなものはやめて供出に主力を注ぐんだ。あるいは人造米に対する融資を農民の融資に切りかえて行く、それで供出奨励をするということになれば、まだ方法が講ぜられると思う。無効な代表供出制度をとつたり、人造米を奨励しては、むしろ供出の障害になる方の部分が多くて、奨励になる部分がない。そうすると結局は消費米の規制をしなければならぬ。今十三日ですか、やつておりますが、これを実際もう少し切り下げて来なければならぬ。切り下げて行けば、そこでもつてやみ米はますます横行して来るということになつて、食糧庁は手をあげなければならぬと思いますがどうですか。

前谷重夫食糧庁長官

○前谷政府委員 われわれの方はいろいろ検討いたしておるわけでございますが、人造米の点は、御承知のように、やみの面は消費の面とも関連がございまして、やみ米に消費が向えばやみ米が上る。従つて供出が困難になる。逆にやみ米に対する消費が何かのものに代替されて行けば、自然にやみ米価格は下つて参る。供出もその程度軌道に乗る。これはどちらの方面が影響力が強いか、こういう問題になるんじやなかろうかというふうに考えておるのであります。  融資の問題は、御承知のように開発銀行には全体としての融資の対象産業を持つておりまして、その対象産業に対して融資を進めて参る。その対象産業の中に人造米も入つたということでありまして、特定のわくをもつて人造米に対してこれだけのものを融資するという形ではないわけでございまして、これは開発銀行の融資対象としての一般のものと何らかわりはないわけであります。一方農村に対する金融その他の面は、農林漁業金融公庫なり農林中金その他の面からもつて進めて行くということは、御承知のように従来から進めておるわけであります。

井出一太郎改進党

○井出委員長 午前中の審議はこの程度をもつて打切り、暫時休憩いたします。     午後零時五十八分休憩      ————◇—————     午後二時五十五分開議

井出一太郎改進党

○井出委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  午後は町村合併に伴う農業団体等の農政問題について、前会に引続き調査を進めます。質疑の通告がございます。逐次これを許します。川俣清音君。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 前回の委員会において私が大臣に対して質問をいたしたのでありますが、その答弁によりますると、産業地理的な計画ができ、地方の産業をいかにして振興するかというような計画に基いて町村合併が行われておるかどうか、あるいはまた自治庁が産業地理的に考えて、地方産業の進展の上にどのような計画をもつて指示されておるか、理想の形としてはどんな形がしかるべきかというような計画があるかどうかということをお尋ねいたしましたら、そういう計画があつて、それに基いて指示をしておるというような御答弁があつたのでありますが、どうもその後様子を見ておりますると、そういうことがないようであります。この点をひとつ明らかにしていただきたい。  第二の点は、自治庁がつくられました法案、これは議員提出になつておりまするけれども、これは地方の農村、ことに日本の農村は御承知の通り、農業をもつて立つておるのでありますが、農業に関する理解をもつてこの法案ができていないというところに大きな欠陥があると思つております。と申しまするのは、六条に、新町村建設計画はおおむね左に掲げる事項に基いて定めるものとするというようなことが書いてありますが、その中には水道事業であるとか、自動車運送事業その他公営企業に関する事項といろいろなことが出ておりまするけれども、農業を営んでおる町村にとつて最も重大な水利関係であるとか、あるいは用水関係についての事項などは特にうたわないでおられるわけであります。このように地方の農業に関しては等閑に付しておられる。消防施設であるとかあるいは病院、診療所ももちろん必要でありましようが、それと関連いたしまして産業上のことについては一言も触れておられない。これを見ましても、産業計画ができているのだというようなお話はできないはずだと思うが、一体どつちがほんとうですか。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 ただいま川俣委員のお尋ねの意味の、そういう具体的な産業計画があると大臣が申したとすれば、これは大臣に少し誤解があつたと存じております。われわれの方といたしましては、町村合併基本方針というものを策定して流しまして、あとの具体的な町村の合併計画は、それぞれの地方の今お話のようなあらゆる条件を考慮して具体的にきめらるべきものでありますので、具体的な計画は全部地方にまかしてあるのでございます。基本方針としてきめましたのは、町村合併基本方針と、合併促進法の付属のものだけでございまして、お尋ねのようなものは実はございません。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 ここに消防施設の統合整備に関する事項などと、ずいぶんこまかいことを基本方針にきめられております。そうすると農業団体に対する整備などについての事項というようなことも、これと同様以上な項目で考慮されなければならない。特に大きいのは水利関係です。用水関係です。水道のことは出ておりますけれども、農業用水のことについてどうして触れていないのです。これはどういうわけですか。こういうものを羅列されるからには、ここに重要な要綱として幾つかあがつていますがこれはそれ以下だというわけなんですか。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 これはしごくごもつともでございまして、この法律が通つたときは、私はこちらにおりませんでしたが、われわれも当然今お話のような水利関係その他の土地改良、干拓とか開拓等の仕事は、当然に町村全体の経営計画として盛られてしかるべきだとわれわれとしては考えておつたのでございます。しかしこの法案をつくるいろいろな過程におきまして、農林省の方面の意見もいろいろありますし、これは町村の合併統合であるから、町村が現在法制上営んでおる機能に限るべきだ、実はこういう御意見もあつたように聞いておりまして、それで公共団体である町村自体がやる仕事だけが、実は正直に申してここに盛られておるのであります。しかしながら全体としての町村はそういうものではないのでありまして、その背後には産業的、経済的な土台というものを基礎にして、そのことを考えなければならないことはこれはしごく当然のことでございますし、そういうものを全部ひつくるめてものを考えて、具体的な町村合併計画なり町村全体の運営計画を定めることをわれわれは考えておるのでございまして、そういう趣旨のことはこの町村合併を前提とする各種団体の統合に関する規定とかいうところで、これは今お尋ねのような意味からいえば扱い方が妙じやないかということになりますが、そういう形で扱われる結果に法制上実はなつておるのが実情でございます。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 この法案の作成当時おられなかつたからということで逃げられるわけに行くまいと思うのです。自動車の運送事業を町村運営でやつておられるところはごくわずかだと思います。そういうものは指摘されております。ところが土地改良事業などは町村でやつているところが非常に多いのです。その多い方を抜いておいて少いのをあげているのはどういう意味です。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 私はおりませんでしたと言つて逃げはいたしませんが、私が関係しておつたときには、そういうものはわれわれとしても当然入れるべきだと実は心得ておつたのでございますが、結局最後の段階になりまして、公共団体である町村自体が経営する責任があるものだけを盛つて書いてくれ、あとは土地改良事業なりその他農業団体の事業のものは直接にここに書かれては困るというふうな意見もありまして、正直な話を申し上げますが、そこでここには町村が実際にやる仕事、そのもとに考えられるものは全部考えてあるのでありまして、自動車運送事業などは、おつしやる通り一般のいなかの町村にはまず考えられないものであります。しかし人口三万程度の町村も頭に入れておりますのでこういうものは書いてある、これが事柄の真相で、偽らざることを申し上げたのであります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 それはおかしいですよ。町村ですよ。大都市は別です。町村で水道事業とか自動車運送事業などをやつておられるところがあるといたしましても、それはごく少いものだと思うのです。何パーセントというような程度だと思うのです。そういうものを取扱つておりながら、法律によつて町村が経営しておりますいわゆる水利組合または土地改良組合等を抜いて、大都市が計画しておるようなことを入れておられるのはどういうことかこれを聞いておるのです。これは町村合併じやなくて、市に合併しようというような意図でできているのじやないか。創案者の考え方が、大都市の人が考えたような考え方じやないか。それを特別市よりも多くの町村を監督し、指導しておられる自治庁ともあるものが、町村の実態を知らないということがここに現われておる。そうお思いになるかどうかということが一点。そういう点に気がつかれたならは改正せられる意思があるか、この二点です。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 私の言葉が足りなかつたので申訳ありませんが、われわれは町村の経営計画ならば、いやしくも町村を土台にして行われる一切の産業経済全般の経営計画というものは、村なり町として当然あつてしかるべきものだ、私自身はそういう考えであります。ただ合併促進法をつくるときの立案の過程におきまして、建設計画にそういうものを盛つた方がいいと思つておるのでありますが、実際盛るときにその範囲をどうするかというので、今の仰せの建前上、町村プロパーでなしに、それは町村は実態的にはみんな関係しておると思いますが、土地改良組合なり、水利組合なり、法制上ほかの団体がやつておるものについては、この法律の上においては、入れられるというのは少しぐあいが悪い、こういう意向が一部にありまして、これは正直な話を申し上げておるのでありますが、そのためにこうなつたのであります。私は今おつしやるような方法で、できるものならやつた方がきわめて適当で、私自身はそういうことを希望しているのであります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 私の質問をとり違えておられる。自動車運送業などを町村でやつておる比率と、町村自体の経営において土地改良事業をやつておる取扱い件数では——大きい町村から離れた土地改良区じやないですよ。町村それ自体で土地改良事業を経営しておる町村と、自動車運送業を経営しておる町村とは比較にならぬほど、土地改良を行つておる町村が多いというのです。その多い方を抜いておいて少い方を入れたのはどういう意味ですか。この考え方は水道事業、自動車運送事業と並んでおるところをみると、大都市のことを考えておられるのじやないか。町村でありますから、これを扱つておられるところはごくわずかですよ。多いというならば、その説明を願いたい。市は別です。町村において水道事業、自動車運送事業、これらを公営企業として運営をやつておるのと、土地改良を公営事業としてやつておるのと、どつちが多いとお考えになりますか。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 これはもうお尋ねを受けるまでもなく、町村で自動車運送事業をやつておるものはきわめて稀有でございます。しかしながらこれを書いたからといつてただちに大都市を前提にして考えたのじやないかというお尋ねは、この立案の趣旨では全然ないのでありまして、あくまでも法の建前は、町村合併を考え、町村のことしか考えていないと思います。しかし今言う土地改良のことをどうして書かなかつたか、こういうお尋ねですから、これは私たちは書きたかつたのであります、また書くことを主張したのでありますが、これは町村自体が直接にやつておる仕事ではない。法制上ほかの団体がやつておるから——これはほんとうの話を申し上げるわけですけれども、もちろんわれわれは町村ではそういうものを中心に考えなくちやならぬことは明瞭であります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 それは土地改良法をごらんになるとよくわかる。土地改良法では、町村が公営しておるのが法制上あるのです。その法制に基いて公営企業をやつておる。その方がずつと多いのにかかわらず、多い方を抜いて少い方を入れたのはどういう意味であるか、こういうお尋ねをしたわけです。これは土地改良区で、特別法人としてやつておるところもありますれば、あるいは農協でやつておる場合もあります。しかしこれは町村がやつておるのです。その点をお尋ねしておるのです。あなたはちつとも農村に理解がないからすぐそういうことを御答弁になる。一体土地改良事業法をごらんになつたんですか。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 おしかりを受けましてたいへん恐縮でございます。われわれも土地改良法のことはよく読みもしました。そこで具体的に条文をつくるときに、各省との間に実はいろいろ折衝があつたのでありまして、実はそういうものもみんな入るような原案を最初書いたのでありますが、各省との折衝の過程においてこういうものをここに入れられては困るという話合いもありまして、結局国会の法制局の方で、話合いを調節するために、結論的に申すとこういう形で実はきまつた。こんなことを申し上げて責任のがれになつては申訳ありませんが、そのことの実際を申し上げますと、そういう経緯があるのでありまして、町村全体の経営ということを考えれば、町村を基盤にして行われる一切の経営事業というものを当然頭に入れて事柄を考えなければいかぬということはきわめて明瞭なことだと考えております。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 きわめて当然なことが行われないで、きわめて当然でないことが基本方針に入つておるということを指摘しておるのです。それが農林省で問題になつたとすれば、おそらく特殊法人の形式の土地改良組合、あるいは水利組合等であつて、町村公営の問題が問題になるわけはないと思う。あなたの方で頭の整理ができていないからそういう御答弁になるんだと思うのです。それはそれだけにしておきます。  いずれにしても、そういう点で順列から見ましても重要な問題を落しておられる。落していないとすれば意識的に省いておられる。または頭の中で描かれたときに大都市というものを考えておられて、真に地方の事情に即した町村合併を頭から抜いておられたところに問題があるのじやないか、この点を指摘しておるのです。従いまして、将来そういう点につきましては、改正せられる考えがあるかないかということをお尋ねしたいのであります。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 今お尋ねの趣旨はまつたくごもつともで、そういう方向に話を進めたい、これは私考えております。それだから今までの経緯を申し上げて各省の御協力を得て、そういう方向に直すことができれば非常に仕合せだと思つております。

内藤友明改進党

○内藤委員 小林さんに今のことに関連してちよつとお尋ねしたいのです。川俣さんのお尋ねその通りなんでありますが、実はこの中にそういう大事なことが抜けておるものだから、適正規模がどこかへ行つてしまつたということになつておるのだろうと私は思うのです。こんなことはそんなに重大な問題じやない。農村へ行きますと水利関係とかなんとかいうのが一番大事なことなんです。今日の町村合併を見ておりますと、水利関係を度外視して、こういうことを重要に考えて、これを入れるとか、これをどうするとか、そういうことをやつておるのです。この法律は議員提出でありますけれども、実はこれはあなたのところでおつくりになつたのを議員提出という形にした、ずるいやり方をされたと私は思うのですが、第三条に地勢、人口密度、経済事情に照らして行政能率を最も高くする、それから住民の福祉を増進するとある。正直に申しますとこれだけのものさしでいいのでございますね。それでこういうふうに言つて大事なことが抜けておるから、今日のような妙なものが出て来て、後世あなた方のおやりになつたことは非常にうらまれます。今にしてこれを改めておきませんと、大きな問題があとから起りますが、そういうふうにお直しなさることをお考えでございませんか。もしそのものさしができますれば、今までこういう誤つたことをやつたのを、もう一ぺんやり直しさせるということをお考えでございませんか、それをひとつ伺いたい。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 今のものさしの問題はわれわれはまつたく同感で、当然そういう形がもつと表面に現われた方がよいと私自身は考えております。ですからそういう方向で各省の御協力も得て、あるいは国会の方の御賛同も得て行くということになれば、私としては当然そういう方向に努力いたしたいと考えております。そこであげくのはてに、従来やつたことのうちに非常に不合理だとか不適正なものがかりにあれば、合理的なものを考えるということは当然考えられる問題であろうと私は思うわけでございます。町村の規模そのものは、何もきまつたら永久にくぎづけというものでありませんし、それぞれの理由があれば適当な離合集散というものもあり得ます。それから現在やつております合併には、局地的その他部分的には再調整をせねばならぬということを現地の当事者も意識しながらやつている場合も実はあり得るし、そうでない場合も考えられる場合があろうかと私は考えております。

内藤友明改進党

○内藤委員 今のはどうもぐあいの悪いお答えでありまして、そうじやないのであります。私が率直にお尋ねしておりますのは、感情とかなんとかいう問題じやない。大事な問題をぼやかしていろいろなことを始められるから、感情問題も起きて来るのです。ほんとうの背骨になるようなことを中心にして合併ということを考えるならば、私は感情というものは少しも起きて来ないと思う。だからそこに大きな手ぬかりがあるのじやないかと思うのであります。今日いろいろなところに、この合併問題でいろいろなごたごたしたことが起きておりますが、それは私は筋の通つたことができていないということだろうと思うのであります。そういう意味からながめますと、今川俣さんの御指摘のように、この町村合併促進法というものは自治庁だけでおつくりになつたので、これをやられるためにいろいろな方面にいろんなぐあいの悪いところがありますね。私がきようピンチ・ヒツターとして参つたのも、そういうことをお尋ねしたいと思つて来たのでありますが、これは小林さんと問答しておつても始まらぬので、仲間同士やつているのはぐあいが悪いのです。大臣でも来ますればひとつじつくりと御相談したいと思つておつたのでありますが、何とかもう少しこれを至急にお改めになつて、今進行中の町村合併をもう一ぺんそういう観点からやり直させるという御意思がありますかどうか。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 現在合併は進行の過程というよりも、まだ手をつけ始めたという形でありまして、全国的に見ればそういう情勢でありますので、これは誤りのないように、将来に禍根を残さぬように、最大限の注意をあらゆる面に払わなければならぬことは明瞭でありますから、この前大臣もこの委員会で申しておりましたが、合理的な方向にやるべく皆さん方のいろいろないいお知恵を拝借して、事柄を調整して行くということは、これはわれわれとしてもいささかも努力するにやぶさかでない、こういう考えでおります。

内藤友明改進党

○内藤委員 それでは今進行中のものをしばらくこの農林委員会の意見がまとまるまで中止なさいますか。それはその方で進行さして、お前たちの意見が出たときにはもうおそいということになるのですか、それはどうなんです。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 今全国的にやつているものをストツプさせるかどうかという問題でありますが、この仕事は、実は全国的にいろいろ空気がありますが、それほどどつと全国一度にできるわけのものでもありませんし、相当まだ時間がかからなければ、われわれが考えているような結果にはならぬと私は思います。そこで今ただちにこの中止命令を出すかということになれば、今のところ私は出すというのは、私の立場としては申し上げかねますが、できるだけ早い機会に御意見を承つて、御趣旨の方向に事を考えたい、こういう考えでおります。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 どうもくどくお尋ねするようなんですが、一体町村合併に上る規模は、面積は相当拡大されるだろうと思いますが、合併ですから、そんなに稠密な人口を擁する町村合併ができるとは思わない。これは市に編入されるということであれば別です。そういうときには、ここにあなたが羅列している、財源の見通しのつき次第水道事業を経営するものとするというような指示事項が出ておりますが、農村のように家が散在しているところに、一体水道事業なんというものはできる見込みがあるのですか。ほとんど見込みのないことまで書いておられるのじやないのですか。市に合併するというようなことがこのねらいとなつておれば、これは別問題です。市と合併いたしましても、村の中に水道などがまわつて来るということは、経営自体からいつてもなかなか容易でないようであります。それを非常に大きく取上げておられる理由がどうもわからない。これは市に編入する場合の条項だというならまだ話がわかる。それでも付近の所在農村がこの水道事業の恩典に浴するというようなことはほとんどない。町村においては町村自体の公営の自動車運送業なんかほとんどないのです。市に合併せられて、市営の自動車運送業というものは考えられますが、町村で一体自動車運送業なんかやつておるところがありますか。たいてい町村ではほかの企業体がやつておると思うのです。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 これは先ほど申しました通り、バス事業その他水道事業ということになれば、純農村ではバス事業なら町村だつて、普通の町村では考えられない実情ですが、水道事業なら大きな町その他なら簡易水道その他相当進んでおりますから、割合範囲が広いと存じております。ただここに書きましたのは、全部の町村を考えますから、いろいろなものを実はみんな並べてあるのであります。正直に申しまして、何もこれだけに重点を置いたというわけでは一つもないのでありまして、その点はわれわれが今考えております新農村建設計画の準則あたりをごらん願えれば、農村関係のものも私は考えられるものは相当出ておると思います。なお至らぬものがあれば一応調整して行かなければなりませんが、考えられるものは大体出ておると考えております。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 考えられるものは全部入れておるという考え方で入れられておるとすると、あとは故意に抜いてある、こういうことになりますか。さつきから指摘している通り、抜けておるような点が多々あるじやないか。考えられるものは水道事業、運送事業あらゆるものまで入れて、最大限度考慮したかどうか。最大限度考慮したならば、その他入れなければならぬものがたくさんあるじやないか。これを指摘しているのです。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 今のお話はきわめてよくわかるのでありまして、町村合併促進法の法律の上からは、実際にここに書いてある通りしかありません。先ほど申しましたようないろいろな事情もあります。しかし具体的には、町村合併の目的を実現するために必要な事項のほか、町村の建設事業に関する事項としてみんな入れ得るようにして、これを資料としてお配りしておきました町村合併準則とか様式等をごらんになれば、町村における農村の経営上必要な水利の問題とか、その他の問題も、われわれとして至らぬかもしれませんが、考えられるものは相当書いてあるというつもりでございます。

足立篤郎自由党

○足立委員 あるいは各委員から今までに質問があつたかもしれませんが、私は一言伺つておきたいと思います。これは県によつてずいぶん状況が違うのです。自治庁としても、いろいろ農林委員会の意見がありましても、何といいますか、それを総合的に一本の線で判断するということは非常にむずかしいじやないかと感ずるのですが、私がお伺いしたいことは、自治庁としてどの程度促進法に基く運営について、具体的にどの程度に指示されて、強力に行政指導なさつておられるかどうか、その点をまずお伺いしたいと思います。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 私の方でやりましたことは、お手元に町村合併促進関係資料というのが行つておるはずでございます。それに載せておきましたが、町村合併の基本方針というものを閣議できめた、これをやる。それからその他これに伴いまして、新町村建設計画の取扱い要領、作製要領というようなものを参考にして、これは地方に流しておるのであります。

足立篤郎自由党

○足立委員 そこで、各県でこの促進法に基いてある目標を立てまして、この村とこの町とこの市は一緒になれとか、いろいろ絵を書いてておるわけですが、その書いた絵については、計画について事前に自治庁に具体的に相談なりをして、自治庁がそれを了解されて、各県がそれを発表しておるのですか。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 今の点は、実は自治法の建前は、町村の合併、統合は市町村の議決と府県議会、知事の職権でできることになつておりますので、できた報告はお配りしてありますが、きまつたものは二、三件あります。私どもの承認を前提にしてどうこうという扱いは全然いたしておりません。

足立篤郎自由党

○足立委員 形式はそうでしようが、せつかく法律ができて、しかもあやまちなきを期するという観点から、行政指導として、各府県に対して、今私が申し上げたような実際的な指導をなさつていらつしやるかどうかということです。その点をざつくばらんにお答え願いたいと思います。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 具体的の方針とか、取扱いとか、考え方というものは申しておりますが、箇々の町村についてどうこうということは申しておりません。

足立篤郎自由党

○足立委員 ただいま申し上げたように、これは各県によつて非常にまちまちで、行き方が違つております。実は私静岡県ですが、静岡県あたりの空気を見ますと、むしろ自治庁にもう少し強力な行政指導をしてもらつて、あやまちなきを期するように御指導願いたいと私思うくらいなんです。決してこれはブレーキをかけるという意味じやなくて、百年の大計を間違いなからしめるというように御指導願いたいと思うくらいでありまして、一例を申し上げますと、ある中心都市と町とが、その中間にある村を争いまして、毎晩、夜ごと夜ごとに部落に入つて懇談会をやり、しまいにはラウド・スピーカーで、選挙のときのように放送して歩こうというようなことまで考える。村長がたまりかねて、それだけはかんべんしてくれというような例があるのです。これは県としては、もちろん農村の再配置という面から、ある程度合理的な面を考えておるわけです。これはある程度りくつの立つ案を考えておる。それを無視して町村が、あるいは市が、自分の発意においてひつぱり運動をやる。そうすると中に入つてひぱりだこになる村は、そこで助平根性を起しまして、有利な方に行こうとする。学校を建ててやるとか、橋をかけてやろうとか、あるいは税金をまけてやろうというような、えさのいい方へ行こうというようなさもしい根性が起つて来まして、これは前に金子委員その他からお話がありました通り、まことに憂うべき現象が現に起つております。従いまして率直に申し上げますと、もう少し、せつかく法律をつくつたのだから、この法律の趣旨を生かして、各委員から御意見のあつたような、将来の百年の大計を間違いないような指導をこの際やつていただきたいと思いますが、そういうただ形式にとらわれた自治法の見地から、県あるいは市町村にまかせるのだという行き方が、はたしていいと思つていらつしやるか。今私が申し上げたような点で、もう少し、運用でもけつこうですから、行政指導の面で間違いなきを期するというような気持でやつていただけるかどうか、その点をひとつお伺いしたいと思います。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 これはしごくごもつともでありまして、われわれのところにも、具体的にはここに例記してあるようにやつておるものもあるのですが、それで全体の計画を全部こちらの方でコンバインしてどうこうということまで必ずしも考えておりませんが、私の考えは、今お話の通り各県の合併計画がそろえば、国の推進本部にかけて、そうして全体の調整ということを考える必要がありはせぬか、おそらく個々の具体的な問題につきましても、そういう問題が、県内においても、県のまたがる場合においてもあります。そういうようなときにはわれわれもできるだけのことはやらなければならないと、こういうふうに考えております。

足立篤郎自由党

○足立委員 今のお話で大体わかりましたが、せつかくこの法律ができたことでありますから、私は強く希望いたしますが、この農林委員会における論議も、決してこれをストツプさせようというのが目的じやない。間違つた方向に行つたならばストツプをさせなければならぬが、正しい方向へ、ほんとうに将来農村建設のために役に立つような、有効な方向へ向うならば、極力促進させたいと私ども考えております。その点を十分おくみとりくださいまして、今後善処を希望いたします。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 そこで、この法律の十七条に、国有林野整備法を適用することになつておりますが、この法律が時限法でありまして、将来効力を失うのでありますが、これについての御見解はどうでありますか。政府は国有林野整備臨時措置法を延長するような考え方はないように承つておりますが、どのようにお考えになりますか。一応伺います。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 国有林野整備臨時措置法の時限法を延ばすかという問題は、自治庁の所管ではありませんので、自治庁としての見解を申し上げるのは差控えたいと思います。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 自治庁としては関心を持つていないというのですか。それとも政府で、行政的な連絡をとりまして、この法律の延長をはかろうというお考えですか、それとも県庁におまかせになるというお考えですか、この点をお伺いしたい。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 われわれといたしましては、自治庁は特に町村の立場でありますから、あの制度が時限法の範囲内においてうまく事が解決つかぬ場合には、それは延長された方がいいという心持はもちろんございます。だからこれをどうするかという問題は、なお政府全体として考慮しなくちやならない問題でありますが、私自身の気持を申し上げれば、そういう希望は強く持つております。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 国有林野整備臨時措置法は、御承知の通り時限法でありまして、三年間でその効力を失いますが、それでもこれはできるというお見込みですか。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 実はこの第十六条の規定と、国有林野整備臨時措置法との規定をどう見るかという問題は、実はこの前の審議のときに、林野庁との間で話があつたわけでございます。こちらの方は、かりに向うが——これは向う三年間でなくなるのでありますが、それよりもこちらの促進法の方が少し寿命が長いはずであります。そして寿命の長い範囲は、第十六条でまかなう、こういう考え方で私は了解いたしておるわけでございます。だから向うがかりになくなつたといたしましても、こつちの法律も時限法でありますが、有効である限りは、その例によつて措置できる、こういうふうに私は考えております。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 国有林野整備臨時措置法は、昭和二十六年六月二十三日に公布になつておりますから、今年の六月で切れるのです。これは日が非常にあるように考えられておると、たいへんな間違いです。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 われわれの考えは、向うの法律が消えても、この第十六条によつて、町村合併促進法が続く限りは、向うの法律の例によつて扱い得る、こういうふうに理解いたしております。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 そうすると、時限法である国有林野整備臨時措置法がなくなつても、こちらの法的な効力は失われないということが、この単独法でできるというお考えですか、私はその点に疑問があると思うのですが……。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 われわれは、そういうふうに了解しております。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 これは、時限法である国有林野整備臨時措置法がなくなつてもできるというのは、やはり別に項目を起さなければいかぬでしよう。これは法律解釈ですが、第十六条によると、国有林野整備臨時措置法に基いてできるのですから、その法律がなくなつても、これは有効だということは、どうもおかしいと思うのですが……。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 これは法律の解釈論になると思いますが、この法律をつくつた当時も、一体その関係はどうなるかといろいろ論議がありました。結局向うの法律がかりになくなつても、この法律の効力によつてできるというので、わざわざ「例により」という書き方をいたしておるわけであります。こちらの法律が生きている限りは、向うの例によつてやり得る。こういう考え方で、立案されたものと私は了解いたしております。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 第十六条の二に「同法の規定を適用する」とありますが、同法がなくなつても適用する、こういう意味ですか。それはどうもおかしい。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 今の問題は第十七条の問題でありますが、国有林野整備臨時措置法の特例等でございます。そこで第十七条の第一項に、国は何とか何とかと書きまして、「国有林野整備臨時措置法の例により、売り払い、又はその所有する林野と交換することができる」。こういう規定がありまして、実際それは向うの法律の扱いによるということは明らかで、その向うの法律そのものがなくなりましても、その法律の例によつてやるというこちらの法律の効力が存続し得る限りはやれる。こういうのが、これをつくつたときの考え方だつたと私は解釈できるのではないかと思つております。

川俣清音日本社会党(右)

○川俣委員 解釈論はその程度にいたしまして、結局、要するにこれは先ほども申し上げたような農業協同組合、土地改良組合、水利組合等の基本的な産業に対する認識が非常に足りないままにできておりますために、今後町村合併の問題の上に、産業構造の上に、非常に大きな支障を来すと思うのであります。こういうことが将来公になりますと、摩擦の中心になるというふうに考えられる。これはまつたく新しい村づくり、町づくりという正しい考え方よりも、農村というものを無視して、一つの土台と考えて行く。こういうような考え方で、現状の動きは推し進められて行くようであります。従つて市に合併するというような動きの方が多くて、農村建設としての、町村建設、産業建設としての町村合併がどこかに押しつけられるような結果になると思うのであります。そういう意味からして、将来、あるいは近くわれわれは改正しようとする意図を持つておることを申し上げまして、私の質問を終つておきたいと思います。

内藤友明改進党

○内藤委員 二、三伺いたいと思います。合併によりまして、中学校を従来三、四箇村で共同して組合をこしらえてやつておつたのを、一箇村がよそえ合併してしまつた。するとお前さんらはだめだからと言われるのが、私の富山の至るところにある。四月も迫つており、この問題で非常に悩んでおる所があります。こういうことは、町村合併促進法に手違いがあつたのではございませんか。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 その例は私も実は聞いております。それで、町村の合併と学校の区域は、大ていの場合は一致するかもしれないけれども、例外があることは明瞭でありまして、その場合、町村の区域がどうなろうが、学校の実態はかわるわけではありませんから、そういう場合は、引続いた市町村において組合をつくつて、経営をするものとばかりわれわれは考えておつたのであります。ところが実際問題として、多少問題があることを聞きます。従来の自治庁の解釈で行けば、人格がかわるのだから、学校もあらためてつくり直さなければいかん、こういう考え方になつておりまして、そこで一応話がととのえば、もう一ぺん引続いてやるという形になるのであります。私はこのことの促進を円滑にやるためには、少し法律を改正して、事前に協議がととのえばもちろん協議通りにやるか、かりに協議がととのわずして合併になつた場合は、引続き後来の慣行を尊重する形式を存続する、こういう形の規定を自治法に入れたらどうか。今度の国会中にそういう意味の改正をぜひ考えたいと思います。

内藤友明改進党

○内藤委員 そういう改正法律案を、この国会に出しますか。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 出すつもりでおります。

内藤友明改進党

○内藤委員 もう一つお尋ねしたいのですが、あなたは行政部の方で、財政部の方でございませんから御関係ないとおつしやるかもしれないが、今度地方税が大分改正されます。あの中に、不動産取得税の問題が新たに出て来ておる。農業協同組合につきましては、聞くところによりますと、倉庫とか作業場のようなものはとらないけれども、事務所というようなものはとるというふうなことらしいようであります。これはまことにどうも都合の悪いことでありまして、そういう都合の悪いことはできるだけ避けていただきたいと思うのであります。これはあなたの御所管ではないからおわかりにならぬかと存じますけれども、そういうこともあるということをひとつ財政部長にお話をしていただいて、しかるべく御善処していただきたいと思うのであります。それからまた農林省関係におきまして、この合併によりまして非常に経済上損をしておる事柄が実は多いのであります。なるほどこれはあなたのところの関係、すなわち町村会議員の任期の問題だとか、あるいは平衡交付金の問題だとか、あるいは各村々の税金の調整のことであるとか、そういう問題につきましては、この促進法の中にはいいぐあいに書いてありますけれども、他省にわたることは一つもここに書いてないのであります。そういうことで合併したが、さて困つたというのがずいぶんたくさんあるのであります。一例を申し上げてみますと、これは小林さんも御存じでありますが、石動町に合併いたしました松沢でありますが、駅前に農業倉庫を持つております。従来その農業倉庫に持つて行くのには農林省は特別運賃を出しておつたのでありますが、今度合併いたしましたら、それは同じ区域なんだから出さないぞ、年間普通の年でありますと、四十五、六万円の欠損、ことしのような供出量の少い年でも十数万円欠損、これは当然石動の町が負担すべきじやないかと思うのですけれども、そんなものは石動の町では負担しないと言つておる。それで農業協同組合はそれだけの収入不足に泣寝入りということです。それくらいなら合併しなかつた方がよかつた、こう言つておりますけれども、これは一例にすぎぬのでありますけれども、そういう他省にわたつた事柄を、もう少し親切に御指導なさらぬと、あとでたいへんごたごたするのではないかと思うのでありますが、今どういうふうなことをお考えになつておられますか、お聞かせいただきたいと思うのであります。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 これはしごくごもつともでありまして、実はこれは自治庁に関係のあるものばかりというつもりでは一つもないのでありまして、われわれといたしましては、立法上行政上促進をするために必要な障害をできるだけ全部除き、必要な措置は全部網羅するといふ考え方で実は出発しております。それは今のお話のように、いろいろ物足らぬ点が多々あることだと思うのであります。ただここに法律に書きましたのは、つまり町村の合併により法律上当然に影響がある、そういう影響があるものは何か立法的に措置をせんければいかぬ、こういうのでいろいろな健康保険法の問題でも、この前金子先生からお話ありましたが、協同組合の問題でも町村の区域を前提にしておつて合併したらとたんにかわつてしまう、それは急にかわつたら困るから、立法的な措置をしておかなければならぬものだけをここに拾つたわけであります。それ以外に、事実上農業共済にしろ、将来合併するとか統合するとかという問題があると、それは法律上当然なことじやなしに、それぞれの法律に基いて、形の上は任意に統合する形になるので、それぞれそこらに立法上の措置が書いてある、こういうものはここに特に拾う必要もあるまいというのがこの立法の考え方になつておるのであります。そこで多少上つておるものと上つておらないものと実は食い違いがあるのじやないかというのが、正直に申しまして私はあろうと思います。今御案内の補助金なるものは、われわれはずいぶん用心いたしまして、合併のために税とか交付金は当然減るようになつておるものをみな拾いましたが、そうでなしに、運営上損をしてはおかしい。そういう意味で実はこの前の改正で二十条の二ですか、財政援助に関する特例という規定を入れまして、財政上の援助に関し町村合併により不利益を受けるような結果になる場合においては、不利益にならぬように措置するようにという方針を実は書いたわけであります。ここらに書いてあるのは実はほかの法令の関係でありますが、自治庁関係のことはありません。ただ特に一番多いのは災害関係の特別立法であります。あれは町村の財政力を基礎にしてやりますから、合併するととたんにかわつて来る、損してはおかしい、こういうものを頭に入れながら書いたもので、今の補助とか助成のような問題でも、そういう考え方でわれわれとしては御協力願いたいつもりで、各省にもまたお願いいたしたいと思います。これは各省のいろいろなお考え方もありましようが、この法律の趣旨に従つて御協力願うように、私の方からもお願いいたすつもりでおります。

内藤友明改進党

○内藤委員 そうしますと、現実に今被害をこうむつておるのでありますが、それはその条項によりまして、あなたの方へ御請求いたしますと、何らかの形でやつてくれるということでございますか。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 私の方で何とかするという問題でなしに、それぞれの主管省が、つまり補助金のくばり方の問題であろうと思います。くばり方をやる場合において、合併を理由に不当に損をしないような扱いをするようにしろ、こういう法律の趣旨になつておるわけです。具体の補助はどうあろうかという問題は、いろいろ金額の問題がありましようけれども、この法律の趣旨は、そのためを唯一の理由にして損をするようなことのないようにしろというのが、この法律の気持になつておるわけであります。

内藤友明改進党

○内藤委員 それではひとつ教えていただきたいと思います。それは補助金じやない、特別運賃です。隣の町の駅前の農業倉庫が、同じ区域になつたから農林省がもう出せないぞと言つておる。それは法律ではなくて内規なんです。われわれはそれを改正しようと思つても改正できない。それが今あなたのおつしやつた条項で、農林省に対して何言うのか、この法律があるから当然出さなければならぬじやないか、こう言えるのかどうか、これを教えていただきたいと思います。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 ちよつと今私は少し言い過ぎがあつたと思います。特別運賃のきめ方の問題だろうと思いますので、今申したこの条文では、直接にはそれは言うわけには参らぬと思います。しかしこれはまた運用の問題もありましようし、特別運賃というきめ方がどういう建前できまるのか、それはわれわれの方でも事情を聞いて、無理のないようにこちらからもお話いたしたいと思います。

内藤友明改進党

○内藤委員 これは小林さん御専門だろうと思うのでお尋ねいたしたいのですが、選挙のときの不在投票です。合併いたしまして投票日には投票に行けない、薬屋さんなんか旅行しなければならぬものだから事前に投票する。そのときはるばる新しい市役所か町役場か存じませんけれども、そこまで出かけて投票して来なければならぬ。今までは自分の村役場でできたのが今度はそういう便宜がない。なかなかそれは半日、一日の仕事になるものであるから、やめておこうということになるのですが、こういうことは何か選挙法でも改正していただいて、そういうときの便法が何かないものかどうか、そういうことをあげて行きますればたくさんあるのでありますが、これはさしあたり来年いろいろな選挙が始まりますから、ひとつ教えていただきたいと思います。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 今の不在投票の問題は——普通の投票の場合だと投票所をたくさん設けますが、不在投票の場合は必ずしもそうしない場合の方が多いかと思いますから、今お尋ねのような事情もありましよう。これはわれわれの方でもなお研究して、無理のないような解決方法を考えたいと思います。

金子與重郎改進党

○金子委員 小林さんにこの間から伺つておるが、あなたが法文の御説明をすると、非常に御親切に答弁なさつていますけれども、非常にピントが違つている。あなたはいろいろ言われておるけれども、役場というものと村長さんと村会議員というものを何か自治というものに対してウエートを強く出している、この法律にも非常にウエートを強く出している。しかしながら率直に言いますと、協同組合がつぶれてしまつたのと、役場がつぶれてしまつたのとどつちが影響するかといえば、役場がつぶれても痛くもかゆくも何でもない、かえつて税金がないだけましだというその程度です。農村というものは経済と産業というものが自治の根本要素だ、役場がつぶれたつてそれで農民は暴動を起しやしませんよ。それほど産業というものと経済というものが基礎になつて、地域協同体としての性格を日本の農村というものは持つておるわけであります。ですからその姿を無視して、私どももこの法律の根本であるところのその経済団体をやるのにも、自治体をやるのにも、教育機関も、ある一定以上のグループが集まつていないと経済が成り立たない、そういうことはよくわかつているのですよ、わかつておつても、さればといつて五箇村も、十箇村も集めさえすれば能率が上るとも考えません。そこでこれを出先にまかしたということはどうしても間違いです。そうしてあなたの方では、ただ合併すれは得たという点だけをひどくこういうふうに推進しただけであつて、それに対する深い考慮を要するということに対する注意が足らない。たとえば具体的に言いますれば、あなたとして、ここのところをはつきりしてもらいたいことは、町村の適正規模というものがある。しかしながら、小さいことに対しても一つの限度があるけれども、大きさというものは幾ら大きくてもいいのか、これは実際の日本農村というものに一つの具体的な前提を与えます。平均耕作面積一町歩内外の農村とした場合に、農業以外の人たちが二割ないし三割ぐらいあります。その場合、一体日本の農村というものは地域的に学校の問題からいつて、産業団体の問題あるいは役場の問題、こういうものを総合して、一つの自治体として考えられる能率的な最大限度は、一体どのくらいだと思つておりますか。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 区域の問題は、実はこの前にも御議論になつたのでありまして、われわれもこれはきわめて重要な問題だと実は思つておるわけであります。それで区域という問題は、その土地の地勢なり、交通状況なり、聚落の状況なりで、まことに千差万別なものでございます。たとえば地方行政調査委員会のときに、三十平方キロなどという数字の出たことも実はあるわけです。この数字はもちろん地方の方にも流れておりますが、われわれといたしましては、今お尋ねの通り、たとえば学校の問題一つ考えても、役場の問題一つ考えても、役場へ行く距離、学校へ行く距離というものは——人間の足には限度があります。交通が進歩しているからといつても、都会のようなことはありませんので、おのずから地方によつて限度があると思います。そういう意味で、立法のときにも実は面積の問題を、かくかくと掲げたいというような議論がありました。そこでかりに面積を書けば、人間の活動範囲というか、そういうものを基礎にして考えなければぐあいが悪い。山がどれだけあつても話になりません。そういうことは立法上の基準として定めるのはなかなか困難であつて、それは実際の運用上の問題で、具体的にきめて行くよりしようがないのじやないか、そういうことで実は人口だけを押えて、あとは客観的な、主観的な諸条件を考慮して、常識的に区域というものはさまつて来るのじやないかという考え方で、実は参つたわけであります。

金子與重郎改進党

○金子委員 ややこしくこまかいことをきめておつて、一番大切な規模についてはあいまいである。これを私にはつきり答えてください。一番便利な平坦部で、今言うように、日本の農民の平均耕作面積は九反歩ないし一町歩である。その中で、一つの農村構成として農業以外の人口を約二割持つておる、こういうものを現実に調査したときに、最大限度の最大規模で、一番能率の上るのは、一体幾らか、それをきめてからやろうじやありませんか。規模がきまつておらぬからこんなばかな農村撲滅都市併合法律というものが出て来たのですから、その点をはつきりきめてください。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 これはお尋ねの通りでありますが、何平方キロが一番合理的で、それ以上なら不合理になるかという距離は幾らだということを私はすぐに申し上げることはできません。

金子與重郎改進党

○金子委員 だけれども人口は言つてあるではありませんか。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 だから人口を基礎に考えまして、三十平方キロというのを、われわれ一応頭に持つておつたわけであります。また持つております。これもその地勢によつて違いますから、それをそのまま言い得るか……(「八千以上どのくらいが限度であるか言つてくれ」と呼ぶ者あり)限度の問題は、町もあれば市もある。町だつて北海道の農村もあれば、内地の農村もある。そこでその面積を一般的に出すということは至難じやないかと思います。

金子與重郎改進党

○金子委員 そうじやないのです。あなたにはそういうことが至難だ至難だと言つてのがれているが、実際あなたのところの調査が来ているのを見ると、結果において健全な町村の合併なり建設ということから離れて、農村撲滅都市併呑という姿が、方々で出ているということを認めますか、認めませんか。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 ただいま農村撲滅都市併呑とおつしやいましたけれども、これは全国が全部市になるわけじやありません。現在ある特定の市を中心にした地域の拡張ということが、あるいは常識で考えて少し過ぎるものがありはせぬかということは、正直に申しまして事実だと思います。結局具体論として、都市への合併をどう考えるかという問題になると思います。そういたしますと、われわれの考えは、それぞれ農村部分でまとまり得るところはそれでまとまる、またそれぞれ町村としてまとまる、しかしながら、地勢その他の関係でまとまりようのないところもあるので……。

金子與重郎改進党

○金子委員 どこを限度にするかわかりはせぬじやないですか。あなたはそこのところをのがれていますけれども、そういうあなたのお考えだから、全国の指導がそういうふうになつておる。適正規模の町村は下を八千という以上は、たとえば小学校の教育を見れば、大体において一里以上子供を通わせることは困難である。大きくしたつて村長の数が減ることと、村会議員の数が減るということ以上に、町村が合理化するということはないでしよう。それ以外にありますか。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 これは今お尋ねの通りで私はそれ以外に利益がないじやないかという見方と、それだけでも利益があるじやないかという見方と両方あると思うのです。町村を合併したからといつて、ただちに小学校が合併できるかというと、これはできる道理がございません。中学校ならば、これはある程度できるかもしれません。役場も住民と始終交渉を持たなければならない、たとえば戸籍とか届書などを、一里も二里も先に持つて行かなければならぬということは容易でない。それは場合によつたら出張所とかいうような運用の方法もあるでしよう。役場としてまとまつてやらなければならぬ施設とか経営とか、あるいは今申しました町村長にしろ、町村会議員にしろ、教育委員にしろ、各種の団体等も、それだけでもまとまればやはりそれだけの利益がありはしないか。個々の住民の生活がこれによつて不便があつては困る。そういう意味の学校とか、保健所とか、あるいは役場その他の問題はもちろん適切に考えなければならぬだろうと思います。

金子與重郎改進党

○金子委員 それじや結論を申し上げますが、あなたがそれに対してどうしても納得が行かないならば、こういうふうに質問したらどういうふうに答えてくれますか。地方でその審議会がいいと言えば、大きいところはいくら大きくてもいいのだ、それはその審議会がきめるのだからいいのだ、また自治体が納得すればいいのだ。だから大体十箇村が一町村になつても一市になつても、それはその地方できめればいいという御見解でございますか。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 今一郡一市論というのがありまして、私の耳にも入つております。この一郡一市論は私は常識で考えて多少無理な場合がありはせぬかと考えております。

金子與重郎改進党

○金子委員 それじや大きくなるということはきようここで論議してもしようがありませんから、あなたの方の計画で、かりに何分の一にするという場合、教育費とか行政費を、すべての面からどれだけ節約するというこまかいデータを出していただけませんか。これは私どもの言うことが間違つておるかどうか、私はどうしてもあなたの言うことが納得できません。あなたが漁業協合組合や国保というものをこの法律の中に入れたということは、村のあり方を中心にしてお考えになつて入れたのじやない。それを入れなければ法律にひつかかるから入れただけであつて、村の産業の実態というものからこういうことをしたいというので漁業組合が入つたのじやないのです。だからそういう意味で私どもはそれを言うのです。役場だけで自治というものは成つているのじやない。今の協同組合法は戦後改正になつておりますから、従つて市町村区域というものはない、ないけれども私どもが農林委員会で常に考えることは、将来自治と産業と経済を一体にしなければ自治体にならない。こういう考え方から指導する、そういうふうにやつておる。法律は占領下においてそういう法律になつたけれども、実際における指導はそういう線に行つておる。それを無視してこれには書いてないと。書かないというのは、法律に抵触しないから書かないというだけの話である。これを皆さんの方で真意でいい村を建設しようということから行けば、その村に対しても多分に考慮が払わるべきものなのであります。そこで私どもの考え方では、三箇村なり五箇村という地域をただ集めて、あるいは一つの市に持つて行つて、周囲の十箇町村を入れたというようなことで、健全な自治体が生れるとはどうしても思えない。あなたたちがこれでできるというならば、自治体という考え方は抜きに考えて、ただ平衡交付金の数を少くしようとか、事務の簡素化をしようというだけで行くならばできるのですが、今の農村の自然発生的な地域というものを、ああいうふうな形にただ寄せ集めたということだけによつて百年、二百年の伝統というものはさらりと捨てられて、能率的なものができるとは絶対に考えられない。さればといつて、私はこれに反対しているのではないのです。私どもも長いこと村をやりまして、五百戸、三百戸の村がやりにくいことはよく知つているのです。これに対して私たちは、近く委員会として意見をまとめますが、自治庁は立場は違いますけれども、農村自治の問題に対してもう少し御研究にならなければ困る。ことに先ほど他の委員から消防問題なんか出ましたけれども、全然違うでしよう。都市消防は雇い消防ですよ。農村の人は義務消防です。それで同じ地域になつておつて、消防の費用だけはとられるでしよう。そうして一方は義務消防ですよ。たとえば一つの市の中にありましても、周囲の十箇村なら十箇村を入れましたときに、その農村地帯の消防が都市と同じ消防形態になつたら消防になりません。これは消防の計画がどうなるの何のといつても、計画は立ちつこないですよ。それを掘り下げて調べましたか。よく農村の実態を調査してみましても、まつたく地方の行政庁とそれから村会議員と町村長は、今度おらの方も合併しなければならないのだそうだということでやつておるのです。村民の自覚だとか何とかいうことはほとんどない。しかもその審議会の役員には、長いこと産業方面の経験をした人も入つておらなければ、現職の町村長あるいは町会議員——これもあなたがおつしやつたように、任期の間近い人だ、そういう人がやつているのです。それで上からこういう計画が来たのだそうだということで、村民はほとんど知らない人さえあるのです。そういうことでこういう大きな、将来抜き差しならない一つの決定をしたらどうなるか。それからこれはあなたに質問しても、あなたの方は役場的な感覚で説明するからしようがない。時間がないから二、三申し上げておきますが、消防一つとつても非常に条件が違う。交通問題だつてそうですよ。農村の道というものは経費とかけただけでは農村の道路は維持できませんよ。都市の人はアスファルトと自分の庭先を掃くだけです。もし農村の人が庭先の道を掃くだけだつたら、農村の道というのは成立しないのです。結局自家労力をみんなで出し合つて、春、夏、秋というふうに道路をみずからの手でやつておるのです。そういうふうに生活習慣というものが違うのです。それをこれは審議会できめたのだからしかたがありませんと言う。それで十箇村、十五箇村がくつついたからといつて、それを不合理だとは私は申し上げません。そういうことでは、失礼ですが農村建設に対してあまりに熱意がなさ過ぎる。われわれがなぜこういうことを言うかというと、日本の状態においては、農家個々の発展を期するためには、どうしても自分の経済を抜きにして、村という一つの経済的な、有機体の発展をするよりほかない、健全な自治体をつくる以外にはない。そのために血みどろになつて長い間やつて来ておる。あなた方役人で、ただ月給をとつて来た人とは真剣さが違いますよ。実際に自分の村を二十年も背負つてやつておるのです。さればといつてそれにとらわれるのではないのです。あなたたちがやろうとする適正規模も必要だということはよくわかります。しかしその問題を契機として、あとでまつたく取返しのつかぬようなことをしては泣いても泣き切れない。あとでどうなります。役場はわかれるといつてもわかれられない。それでは出張所をつくればいいじやないかといつても、出張所をつくつてどれだけ経費が安くなるか。それと同時にもう一つは、どう考えても、今の日本の農村のような場合においては、経済と隣保共助の自治精神を抜いたら、農村は成り立ちません。もし都会と同じ個人主義の生活をしたら、農村すべてが破壊されますよ。たとえば冠婚葬祭一つするのにも、道路を直すのにも、人の家の火事を消すのにも、都会と同じように経費を出しておけばいいという生活態度になつたら、農村の自治は成り立たぬと思う。そういうふうなことを考えないで、ただ人口何千人以上になれば市になるとか町になるとか、そういうようなことだけで、この合併というものが進展しているように思うのであります。これはそうじやないといつて一、二の資料を出して来られてもやはりそうでしよう。そこで私はこれから委員諸君と協議して、一つの決議の形を持ちたいと思いますけれども、あなたは、どうしても適正な規模だということに対して逃げて言わない。最低を言えるのだつたら、言わないのは卑怯だ。およそ常識的に日本の農村というものが、耕地一町歩程度を持つて、そして農村の八割の人口を持つたとすれば、小学校の距離あるいは役場への距離、そういう観点から言つて、大体どれくらいの規模になるだろう。それ以上だつたら役場でも出張所を出さなければならぬ。それからあなたは中学校のことをおつしやつたが、その中学校にしても、何も中学校を一村でつくらなければならぬという法律はない。組合中学だつてできる。だからそれだけで町村合併して大きくするということは成り立たない。そういうことになりますと、実は自治庁で法律を出したことがどうしてこう急激に進展したかということに私どもは疑問を持つているわけです。何かこれに対しては実行もできない条件を出し過ぎて、それで迷つておるのではないかという気がするのであります。だけれども、もう時間がありませんから私はこれ以上申し上げません。またあなたは、答弁してもひよろひよろ逃げた答弁をされる。逃げた答弁というものは何度繰返しても何にもなりません。やはりお互いに率直に話合うときに相談になるのであつて、今までの面子とかいろいろな立場を尊重して逃げてかかるということになれば、何ぼやつても同じことでありますから、答弁のやりとりはいたしませんけれども、私の考え方は一応そういうふうでありますので、また後ほど同僚委員と相談いたしたいと思いますが、単に役場だけがあつて村があるのじやないんです。自治庁だけがあつてあるのじやない、あくまで産業なり習慣というものが自治の基本であるということを考えなければならぬ。しかも今の村長さんたちが今の村をつくつて来たのじやない。お互いその村をよくするために、たくさんの代々の人たちが犠牲になつて村づくりをやつて来ておる。今までやつて来ておる人がある。それをただ一片のこんな合併法律によつて、ただ規模が大きくなればいいというけれども、大きくなれば経費が安くなるということのプラスと、同時に大きくなればなるほど社会連帯としての観念は少くなるというマイナスもある。東京都というものが自治観念がどれだけあるか。農村と比べてごらんなさい。おれの村をという考え方と、東京都民のおれの町をという考え方とどつちが強い。極端な例は別としまして、総体で言えば、おれの村をよくしたいという農村の人たちの意欲の方がはるかに熱意があると思う。それが自治の精神ですよ。ただ規模が大きくなつた、村長の数が減つたから能率的だという考え方は、許すべからざるものである。繰返して言いますが、単に役場だけでなくて、今の協同組合のごときも五百戸くらいの組合員では相当経営が困難だ、どうしても千戸からの組合がほしい、従つてもう三百、四百という町村は合併してほしい、こういうことはわかつております。さればといつて町村が三千、五千の人口になつたら協同組合の運営もつかない。役場でもまつたく事務的な役場になつてしまつて、自分の方の村長さんという感じは少くなる。それをカバーするだけの経済的な効果なり、あるいは能率的な効果でもあるというのならいざ知らず、その点を考慮しないで、ただあなたは八千という下だけ押えて上は絶対におつしやらない。おつしやらないことは卑怯です。常識的に、平坦部で条件をみな与えて、それでもあなたは上のことは言えませんということは卑怯です。そんな不見識な話はない。そういう指導方針だから、厖大なことはいくらなつてもかまわないということになる。それをはつきり申し上げておきます。  それから最後に一点申し上げておきますが、自治庁は、法律は出しておきながら、出先の審議によつてやるのでありまして、その結果は知ることはできますけれども、私どもの方では、それに対してはどうすることもできませんというようなことだから、この前自由党の委員が言つたように、県境になつたり、郡境になつて来ると、そいつが争の種になつてしまつて合理化できない。そうして相談のできたところから合併が行われるけれども、最後に残つたところは一体どうなります。こういうふうな自治というものは、方向としてはやはり何百年に一度かえているのですから、この何百年に一度新しく方向をかえようという自治の根本問題であるならば、国も責任を持つて、あらゆる産業機関、あらゆる自治機関の知恵を網羅して、そうして十分切瑳琢磨して、国全体の立場からいつて、最大の数はこのくらいにする、最小はこのくらいにしよう。町の基準というものはこうしよう、都市というものの性格はこう持つて行こうという基本的な研究と検討の上にやるべきで、何もこんなものを、来年町村長の選挙があるからそれまでにしたいというような、そんな短兵急な考え方をする必要は毛頭ないと思う。あなたはこんなことに対して、私がなぜそんなに真剣になつて言うかと思われるかもしれないが、あなたのように気軽に考える人から見れば、あれはどうかしているのじやないか。なぜ自治庁でやる町村合併などを真剣に血道を上げてやるのだということに対して、おそらく想像がつかぬだろうと思う。けれども、これをどうして私どものようなものが強調しているかというと、長い間いい村をつくろう、自治体というものを健全にしようということを、一銭の報酬もなく働いて来たものの目から見ると、一片の法律で、そうして村の形態が将来どうなるやらということを考えることは、単なる封建的な気持だけでなしに、これは相当慎重に考えなければならないということが当然出て来るのであります。これは立場の相違であります。私どもただ上の方におつて、そうして飛行機で見る村のような形で行政というものを見ておつた人間ならば、それほどしやくにもさわらないし、真剣にもならない。しかしながらほんとうに地におつて、血みどろになつて、どうすれば村をつくれるかということを三十年もやつておりますと、あなたのようにこういう問題を軽く簡単に、あつさりとは言いのけられないのであります。その点をひとつ十分考えて、私どものような人が全国の農村にたくさんおるのだ。そういうことをぜひもう一ぺん念頭におきまして、今後われわれもこれを研究しますから、今からでもおそくはないと思います。百年の計を誤らぬことをお願いします。これはほんとうにお願いします。あなた方の一片の権力というものによつて、そうして権力じやない、法律を出しただけだ、やり方は出先が責任を持つのだというようなことでなしに、これはほんとうに百年の問題ですから、私どもも真剣に考えるから、自治庁も単なるお役所的な責任のがれ的な考え方をやめまして、そうして今度の構想というものが将来に災いを残さないように努力してもらいたい、こういうことをお願いします。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 先日塚田長官にもお尋ね申し上げましたが、大分いろいろと御質疑も出ておりますし、重複を避けまして二、三申し上げ、かつ御意見を求めたいと思います。その点は、今度の合併促進法の成立、またこれによる合併の指導によつて異状な進展を見せましたが、先日も述べましたように、これは都市の膨脹を非常に促進しておつて、農村自治の面におきましては、すこぶる欠くるものがあるということを、私ども先般来申し上げておるところであります。ただいままでの御議論もそういう点にあつたと思います。幸い塚田長官もお越しになりましたが、今回の合併促進法実施以来、その本来の法の精神とは異なつた結果が出ておるということを自治庁当局も御確認になり、都市の異状なる膨脹となつて、農村自治を必ずしも振興せしめないような行き過ぎな事態の出ておるということを御確認になつて、これが今後における規正をして行く、こういうことについての長官なり自治庁としての御方針がありまするならば、この際承つておきたいのであります。そうしないと、実質的には、人口八千の適正規模の農村自治体をつくり上げて行くというこの法の精神と現実とが、あまりにも食い違いが大きいからでありまして、この点については率直に当局としてもお認めになり、これの規正について何らかの御措置を講じれる責任が私はあると思う。その点について、幸い長官がおいでになりましたが、御所信はいかがでありましようか。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 お尋ねの全部を伺つておらなかつたので、あるいはお答え申し上げる点がピントをはずれておるかもしれませんが、先般当委員会におきましていろいろと御質問を受けまして、私も実は相当考えなければならない面があるという感じは、確かに持つておるのであります。しかしそうであるからといつて、現在考えております町村合併の構想というものをどうこうするということは、本質的にはとうてい考えられないことであると思つております。ただ構想の上に出て参つておりますいろいろな欠陥、好ましくない方向というようなものは、それが認められる限りにおいては、法の運営の上で是正をして参りたいという考え方を今いたしておるわけであります。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 私の申し上げておるのは、先ほど来も同僚委員から御指摘になり、先日も申し上げましたように、どのように申されましても、事実上異状なる都市の膨脹を促進しておる。別に都市自体が大きくなるということを、一律に弊害があるとは私は申しません。しかし私も、合併町村の体験を十数年来身をもつて味わつておる一人でありまして、都市の農村併呑は必ずしもいい結果を招いておらないということは事実でありまして、りくつではないのであります。従来でもそういう傾向があつたものが、最近においては促進法実施に伴つて、いよいよこれに拍車をかけておる実情でありまするから、これに対しては、たとえば何らかの規制に対して町村からの、あるいは地方住民の意思によつて、合併の規模が出て来ても、これに対しては、農村自治の基本的なあり方等にかんがみられまして、これにある程度の規制を加える指導をもつて臨む、あるいは事前にある一つのケースを与えて、そしてそのケースに住民の意思等をよく総合して、合併に過ちなきを期せしめるというような、何らかの措置をおとりになる必要があると思う。これは非常に抽象的でありますが、要するにそういつた現在の状況からみまして十分考慮したいということでありますから、これ以上は申し上げませんが、特にその点については御留意願いたいと思います。  次に、今後の問題について、いろいろと今まで皆さんが御心配になりましたが、私特に御所見を承りたい点は、合併促進法に基いて、あるいは知事の勧告に基いて合併した町村の財政的な措置についてであります。特に本年の予算について見ますと、従来の平衡交付金制度が交付税及び譲与税制度に切りかえられまして、これがための特別会計が設けられましたことは、私ども存じておりますが、千四百八十七億八千四百八十万円の総合計のうち、交付金は千二百十六億であります。ところがこの交付金に該当する昭和二十八年度平衡交付金の総額は千三百七十六億でありまして、この面から見ますと百六十億の減になつております。なおこのほかに譲与税七十九億二千二百万円というものが地方に移譲されますから、差引このトータルから行きまして、少くとも今までの平衡交付金よりも八十億程度国から支出されるものが少くなつておるということは、この予算面において明らかであります。結局このことは、平衡交付金制度を交付税なり譲与税制度に切りかえられることによつて、地方に今まで交付せられておつたものが当然減ぜられるということになるのであります。従つて市町村合併の目途としておるところは、中央財政の膨脹を地方財政の節約によつてしわを寄せて行くということにも一面とれないことはないと思うのであります。これらのことが、具体的にどういう内容になつて来るかと申しますと、たとえば政府はこの予算説明の中にもうたつておられますがごとく、農業委員会を一つ例にとりますと、農業委員会が今度の市町村合併によつて数が減つて来る。従つてこの補助金は減すのであるといつて数億減しておられる。これは明らかに、合併した直後において農業委員会が一つになるが、しかしながら七の事業の分野というものは非常に広くなつておるにもかかわらず、市町村合併促進法によつて町村の数が減じて交付を必要としなくなつたことを一つの大きな理由として、全体としては農業会員会の補助金を減ぜられておるのでありますが、これすなわち私のただいま申し上げましたところの一つの裏書きではないでしようか。また一面、この市町村合併農村自治にいろいろな影響を及ぼす点につきましては、各種の法律の適用上、たとえば本農林委員会が長年検討してつくり上げましたいろいろな特別立法がございます。その一つに畑地農業改良促進法という法律がございますが、たとえばある郡とある郡が指定になる。そのある郡の中に別に市が一つある。その市が膨脹をしてある郡の数箇町村を合併したといたしますならば、今度の地域指定には、市に合併されたゆえをもつて全部除外されておる。もとの郡であつたならば当然それは地域の指定に入るべき性質のものが、行政区画がかわつたために除外されておるという事例は全国にざらにあります。法の適用の点、地域指定の法律のごときものについては、こういう重大な事態が起きておる。これは事実でありますから、よく御調査になつていただきたい。またさらに合併町村における公務員の地域給の問題を御研究になつておるでありましよう。合併町村になつて行政的な区画の面からも、経済、産業あるいは人情、風俗すべての点から、当然一つの行政区画にまとまつたと称しながら、市街地のもとの旧市内は地域給が三級地である、その隣りは一級地である、そして零級地も含んでおる。こういうようなことに対しては何らの規制も与えられておらない従つていわゆる市に合併をした場合、あるいは市制をしいた場合、もとの町なりもとの市外地というものは当然待遇を同一にして行かなければならないのにもかかわらず、国からはその地域給の指定がない。従つて市の財政でもつてまかなうこともできない。同じ行政区画に入つて行くならば同一の待遇をしなければ、出張所をつくつても支所をつくつても人事の交流ができますまい。行政の円滑なる運用というものはできぬではありませんか。そういつた面でも、明らかにこの市町村合併促進法に伴つて行われなければならない重要な行政的、財政的措置が非常に欠けておると私は思う。今申しました点についても、長官は具体的にどう反省をし、今後どう処置して行こうとさされまするか。いわゆる法律の適用あるいは具体的には、地域指定をするような法律の場合あるいは地域給の場合、総括的には合併によつてむしろ中央から交付さるべきところの交付税あるいは譲与税が、実際において減じられるような事実が現に出ておるのでありまするが、これらの点については、政府はどのような責任をおとりになるのでありまするか。これは政府を信じ、あるいは地方の県当局を信じて合併をした地方住民にとつては死活の問題であろうと思う。この点について責任のある御所信を承つておきたい。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 いろいろたくさんお尋ねをいただいたので、あるいはお答えが漏れるかもしれませんが、記憶しております点だけを逐次申し上げますと、まず第一点の、平衡交付金制度を交付税及び譲与税の制度にかえたことによつて、何か非常に自治団体の財政に国の緊縮の無理が行つておるんじやないかというお考えのようでありますけれども、これはそういうことは絶対にないのでありまして、むしろ私どもは国会のお尋ねでは逆に、国が緊縮したのに地方では一向緊縮をしないじやないかといつて御質問を受けておる場合すらもあるのでありまして、大体地方財政のことしの総わくのきめ方は、根本においては国の緊縮方針と歩調を合せる、しかし二十八年度までの地方財政計画というものは、当然是正しなければならない部分があるにかかわらず是正できておらない部分がある。その部分はむしろこの機会に是正をしてもらいたい、それを是正してもらつた上でないと、国の全体の非常な緊縮方針に歩調を合したときには、地方財政計画というものは全然成立たなくなるという意味におきまして、是正すべきものは是正をし、その上で緊縮の方針に合せて緊縮をした、こういうことになつた。しかし全体の計画の数字から申し上げますならば、二十八年の補正予算を含めた数字から比べますと、二十九年の財政計画は五百億以上もふくれておるくらいなんでありまして、この点におきましては、地方の場合には国の緊縮とは大分情勢がかわつた数字が出ておる。交付税及び譲与税を含めても交付金に当らないというお感じはごもつともでありますが、これはこの交付金の額なりまた交付税の額なりをきめます場合には、それだけの数字でもつてきめるわけではありませんので、全体としての地方財政の必要とそれからして収入というものを比べ合せて、不足部分を国からそういう形で補給するという形になつておりますので、個々の問題、町村につきましては、特殊なものがいろいろありますから一概には申されませんけれども、全体として自治団体から見ますならば、交付税、譲与税の総額でも平衡交付金から減つておるという一面におきまして、他の面におきましては、国から御承知のように、タバコ消費税というものが独自の財源として相当大幅に行つて、そういうものが財源になつて地方財政計画は相当大きくふくれておる、こういう状態でありますから御了承願いたい。それから合併をいたしました結果、農業委員会の統合というものを財政計画の上に繰込んでおる、これもおそらくそのようになつておると思うのでありますが、これは国の場合におきましても、今度の行政機構改革その他によつて当然統合とか廃止が予想されるものは、これは予算の上で落さざるを得ないのでありまして、これはそういうようになつておると思います。それから新らしく地域が拡張して行くということによつて、ある場合には災害などの地域指定というものが受けられなくなる、これはおそらくそういう事態が起つておると思うのでありますけれども、大体災害の地域の指定というものは、そこに災害があるかどうかということによつて地域の指定をしておるのでありまして、町村単位にという考え方は主ではないのであります。従つてもしそういうような市域に編入されたということによつて、当然災害地でありながら指定を受けていない部分というものがあれば、おそらくそういう部面は新しい地域の中の災害を受けておる部分だけを追加して指定をするという形で是正をすべき性質のものではないか、こういうように考えております。それから級地の問題も、これは級地があるということでは人事異動などに非常に支障が起るという点は、私どももいつも感じておるような地域給制度そのものの欠陥の点だと思つておりますので、従つて何とかして早い機会に地域給制度というものは、なるべくなくしたいという考え方は、そういうところから主たる原因が出て来るのでありまするけれども、しかし一応地域給制度というものがありますのは、やはり災害の指定と同じように、その地域がそれだけの地域給を支給しなければならない物価事情その他があるということが大前提になつておるものでありますからして、新しい市域に入つたからといつて、現実にそういう事態のない部分についてまで広げて行くということは、これは地域給制度そのものの考え方に合致しないということで、これは市域に入つたからすぐ級地がこれに均等して行くというわけには参らない性質のものであると考えます。従つてこの二つの場合におきましては、どちらも現実の事態の判断、災害がほんとうにあつたのかどうか、また地域給を上げなければならない事情があるのかということによつて、判断して行くべき性質のものだというように私は了解しております。

足鹿覺日本社会党(左)

○足鹿委員 どうも長官は私の質問に対して、専門外でありますから無理がないと思いますが、ちよつと誤解がありますので……。地域指定の法律の適用の場合を申し上げたのは災害の地域ではないのです。これは行政部長もよく御研究になつていただきたい。このごろは地域指定の立法措置が非常に多いのでございます。今私が一例を申し上げましたのは、当委員会で満場一致きまりまして、現に農林省においても予算がつき、昨年度から実施になつております畑地改良促進法という法律の適用の場合を申し上げたのであります。具体的に申し上げますとこういうことであります。私の選挙区であります鳥取県の事例を申し上げますと、この畑地改良促進法による適用地域は鳥取市、気高郡、東伯郡、西伯郡それから日野郡となつております。ところがこの鳥取市の場合は、国が地域指定をしておりまするから問題はありません。いくら気高郡を食い込みましても問題はありません。倉吉市と米子市の場合には、十個町村近い東伯郡なり西伯郡の村を吸収、合併しておりまするので、この法律の適用から合併された地域は、米子と倉吉はその畑地改良促進法による指定を受けておりませんから、指定から漏れてしまつておるのであります。これは私の選挙区の一つの事例にすぎませんが、このごろ全国には地域を指定する立法が非常に多いので、その当否は別として、そういう事態が現実に起きておるのであります。ですから災害の場合とはまつたく違う。そうした場合につきましても、この町村合併促進法の適用と運営の面において、すこぶる欠けたものがあるということを指摘する一例に申し上げたのでありまして、災害の場合と全然意味を異にしておりまするから、その点はよく今後も関係省と御連絡になつて、十分これらの法律適用上における矛盾やあやまちのないように御留意を願いたい。  それから先刻私が申し上げました、従来の平衡交付金がこのたび交付税及び譲与税に切りかえられて、総わくとして八十一億円ばかり減じておるということにつきまして、むしろ私はこれはふやされなければならない性質のものだと思う。なぜかならば、今度の大蔵省の予算査定の方針に基いて行政機構の改革、あるいは補助金整理の方針等が相からみまして、国が支出すべき従来の交付率を、二分の一を三分の一に、あるいは三分の二を二分の一にというがごとく、次々と補助率の切下げをおやりになつておるのであります。そしてその言い訳としては、但しこの切り下げた分は地方財政平衡交付金、すなわち交付税の中において見ておると説明をしておいでになる。従つてそのものがどの程度あるかは存じませんが、これは相当の額に上つておるはずでありまして、当然これは交付税なり譲与税の総わくが、むしろ去年よりも平衡交付金のわくよりもふえて行かなければならない性質のものだと私は思うのであります。従つてここで討論をしても空論でいたし方がございませんから、これは行政部長にお願いをしておきますが、ここ数日中に国の補助率の引下げ、あるいはこれに準ずるような措置によつて、交付金の中に含めさせられましたるその項目別の率、それから平衡交付金に含まれた金額というものを全部洗いあげて、資料として文書によつて御提示を願いたい。その上で私どもは、この問題についてもなお議論の余地があろうと思います。これは大事なことであります。従来平衡交付金に切りかえた交付税の中に含ませたとおつしやいますが、これは交付基準の中に含ませたのにすぎないのであつて、必ずそのものに使えということにはなつておらない、これは従来も例があります。たとえば同和事業について、——いわゆる解放部落の対策費としての同和事業費というものは、今から二年ばかり前に、地方に平衡交付金の交付基準の中に相当繰込まれて配られた。ところが県によつては正直に同和対策に使つておる県もありますが、全然使つておらないという県もあつたということは、当時問題を起して、相当やかましく議論があつたことは御存じの通りであろうと思います。従つて今度十幾つか、あるいは政府全体の補助金の交付率を切下げ、その一部を交付税の中へ織り込んで使えという指示ではなくして、交付基準の中にこれを加えたというだけでありまして、結局その対策費は市町村なり、あるいは府県の財政の貧しいところにおいては、府県そのものの経費に使われて、その対象となるべき事業には支出されないか、あるいは著しく減ぜられて、申訳的に使われる傾向が多分にあるのであります。今長官は、決して地方財政にしわを寄せておらないと言われておりまするが、これは一つの現実のしわの証拠ではないでしようか、そういつた点を私どもが考えてみました場合に、この町村合併促進法というものにつきましては、なお検討の余地がその当初にもあつたが、今後の適用については、第一問に申し上げましたように、十分慎重なる御考慮あつてしかるべきでありますが、特に合併市町村に対するところの交付税の問題、あるいはそれの中に含まれておるいろいろな矛盾については、自治庁としては十分指導の衝に当り、この法律適用の責任の衝に立つておいでになるわけでありまするから、当然おやりにならなければならないことだと思う。これは資料をいただいた上で私は申し上げますが、こういつた点を十分大臣も御認識になりまして、少くとも過去のあやまちを今後にも繰返さないように、あるいは話を聞きますと、地方住民はもう合併を後悔して、住民投票によつてまた分離するという動きが起きておるということを聞いております。きようの委員会で同僚議員の口から私は聞いております。私どもの県においてもそういう事例がすでに起きております。これはやはりこうした矛盾が次々と頭の上だけで、役場や村長や村会議員さんの有力者だけでおやりになつた軽率な合併というものの実態が、漸次村民なり、町民に浸透して行くと、これはたいへんなことになつたと気がついて、またそこに合併賛成、反対等も従前にあつたものに火がついて、また村の紛争が起きて来る。こういつたことになろうと思うのでありまして、問題は過去における同一の失敗を繰返すなどということはおろかなことであります。われわれは失敗しないことを期しても失敗する場合がありますが、同一の失敗を再び繰返すようなことは、いやしくも良識ある行政の衝に携わる者のなすべきことではないと思う。そういう意味から私は特にこの点を強調し、合併市町村の財政の面における健全なる措置というものについては、特に一段と御配慮になつてしかるべきであろうと思うのであります。これは私の意見ではありますが、あえてこの点について長官に御所見があれば承つて、質疑を打切つておきます。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 もちろん御要求の資料を整えまして、またお答え申し上げることになると思うのでありますけれども、ただ若干平衡交付金というものの考え方についての誤解があるのではないかと存じます。その点だけ釈明申し上げておきたいのであります。確かに補助金や何かの国の負担率が減りまして地方で負担するようになります。従つて財源は地方財源で見てやるということになるわけでありますが、しかしそれが平衡交付金の形で行かなければならない程度においては平衡交付金に入る、こういうのが正確な表現なのであります。従つて国の負担部分が減つて、それが平衡交付金に入つていると、一概に言いますこと自体が誤りなんで、平衡交付金にしましても、地方交付税にしましても、どれだけの額を出すのが適当であるかということは、これだけ今まで国が出していたもをの地方にまかしたから平衡交付金がそれだけふえるという関係によつては額がきまらないのでありまして、全体としての財政計画を見て、固有の財源がどれだけあるか、それからして現実に必要な額がどれだけあるか、その二つの数字をにらみ合して国から出す額をきめるというのが平衡交付金の額の算出の考え方なんです。そういうぐあいに考えて数字を出しますので、平衡交付金を出すときには当然ひもをつけない。そのことは平衡交付金法にもつけてはならないとはつきり書いてあるのであります。従つて平衡交付金で出す以上は、それを出す基礎としては、先ほど御指摘の、たとえば同和のための費用として出しておりましても、それを同和のために出せというようなひもをつけること自体がむしろ法律に違反するということになる。従つてそういう場合には、その目的に使われないという懸念は確かにあるのでありまして、そういう懸念があるものが、せつかく平衡交付金でまとめたものをもう一度平衡交付金の中から抜き出して別にしようという考え方が出て来るわけです。その最も顕著なものは義務教育費の半額国庫負担であります。あれは全部平衡交付金に入つておりますのが、どうしても教育の目的のために使われなくなるおそれがあるということで、あれだけまた出したわけでありますが、しかし平衡交付金の中に入れるという以上はひもをつけないという考え方が正しいのでありまして、全体としてそれをもらつた当該自治団体が、良識と判断に従い、また市町村議会の監督によつて、これはどういうぐあいに使われて行くかということを見ていただく、こういう考え方になるのです。

金子與重郎改進党

○金子委員 先ほど長官がお見えになりませんので、結論的なことを一応申し上げたのでありますが、長官がお見えでありますので、最後にこの際一言お考えをお聞きしておきたいのでありますが、とにかくここで二日間、まつたく地方行政という農林委員会とは別な委員会の立場から、なぜ農林委員がこういうことを真剣にやるか、と申しますのは、日本の農村が御承知のように、一つの協同体の姿で社稷を中心にして自然発生に出て来ております。その間自治の変化が何回かありまして、現段階におきましては町村の規模というものは、学校にいたしましても、役場にいたしましても、農業団体にいたしましても、一定の規模はどうしても必要だ、こういう点からこの合併促進に対する趣旨というものに対しては、私は元から賛成であります。あくまで自治体というものは適正な規模がある。これは自治体ばかりでなく、経済団体も同じであります。そこでやはり産業、経済、風俗、習慣というものが比較的同じであるような、利害相ともにできるような所が、一つの地域協同体になつて自治体をなすことが一番理想的な形だ、こういう観点から、私どもこの法律が出て来るときには、そう行けるだろうということを予測しておつたのであります。ところがこの結果を、私ども地方に帰りまして地方農村を見ますと、案に相違いたしまして、まず非常にスピーデイにこの問題が進みつつあるということは意外である。それから市の編入の道具に人口をまわすということから、十箇村または十五箇村を入れるとか、あるいは町が市になるために一村か、またその次の村まで入れるという計画が出ておる。こういうふうなことになりますと、しよせんはすべて利害関係、たとえば先ほども申し上げたのでありますが、消防一つでも都会の消防は雇い消防である。農村部落の消防は、雇い消防でなくて義務消防である。道路を修理するにしても、一歩いなかに出れば義務人足で道路修理をする。一方は税金さえ納めれば、道路は自分の庭先だけ掃けばいい。こういうように非常に違うものが、しかも集団をなして行くということになると、自治の形態がくずれて来る。そういうものをつくるべく自治庁の方ではこれを期待しておらなかつたのじやないだろうか。そうすると、私どもの予想したものと、現実に現われて来る姿が相当かわつたものであり、しかもそれは私は将来非常にゆゆしい問題だと思う。これをまた住民投票で元に返すというふうないやなことはやりたくないし、そうしてこれがどうしてこういうふうに急激になつたかということに対して、ひとつお考え願いたいことは、こういうことにあるのです。町村長や町村会議員が昔のように二期も三期もやるような——あるいは封建的だとおつしやるかもしれませんが、そういう時代の町村長や町村会議員であれば、こんなに県庁の言うことをさつと聞かなかつた。ところが終戦後の村の理事者は、御承知のように民主主義だという理由で非常に急テンポにかわつております。従つて村に対する愛着ということ、封建性というものが非常に薄らいでおります。先ほども申し上げたのでありますが、なぜわれわれがこういうことに対して熱意が持てるか。私どもは山村におりましても、十年二十年の間無報酬で、どうして村をよくしようかということに血道をあげて来たものです。それが一片の法律で、将来非常に不安なような二箇村、三箇村をただ集めて、三千戸も四千戸もの町をつくつてみたつて、それでどこが経済になるかということに対して非常にまた疑問を持つ。その原因としまして、およそ八千ということを最低のものにとつた。これは私はよろしいと思う。しかしながら、その大きさに対して適正規模である以上は、たとえば、日本の農家は、一戸当り平均七反ないし九反の面積を持つておる。それが一つの面積の基礎であります。それに対して人口の配分は当然出て参ります。そうすると今度は通学の距離であるとか、あるいは協同組合に通う距離、及び農村には電話は発達しておりません。乗合自動車もない。そうすると、一つの行政区画で支配できる最高の能率が出る規模は、おのずから大きさの限度もあるはずでありますが、今度のこの法律と指導方針によりますと、大きさに対しては何もあれしないで、むしろ町村の数を減らしさえすればいい、はなはだしい場合には、先ほどあなたの御答弁にもございましたように、農業委員会の経費は、今千戸の農家に対して二人の農業委員会の職員が国家補助を受けておる。そうして農地事務その他をやつておりますけれども、それが二千戸になつたからといつて、この二人の職員が倍の能率が出て来るものじやない。今でもそれで足らないので、町村がまた一人なり二人なり足してやつておるのであります。そういうものを、今度は町村の数が減つたからといつて国費は減らすということになりますと、町村の合併は、健全なる自治の建設ということが第一義じやなくて、ただ国家が町村にいろいろ割振る金を滅すために、数が少い方が得だという結果であるということになれば、これは百年の計を誤るものだ。私どもがこういうふうな別な委員会の立場で、なぜこれだけの熱意を持つかということは、日本の農村を弱体にしてしまえば、今後来るべき——私どもは日本が敗戦から立ち上るためには相当苦難を忍ばなければならぬと思う。そのときに精神的な大きな弾力を持たせ、経済的な困苦欠乏の精神も持たなければならぬ。また精神だけじやない体力も持たなければならぬ。この勤労の精神、健全な一つの精神は一体どこの社会に頼むか。私はそのときの背骨は、やはり農村に頼むよりほかないと思う。それが一つの村の人たちが、おれたちの村だというような、いわゆる意欲がなくなつてしまつて、そうして都市のような心理で村人がいるようになつたら、農村の基礎は危うくなる。こういうことを考えるがゆえに、この法律の基礎的な考え方は私は賛成です。しかしながら大きさというものを制限しないで、ただ町村の数が少くなることが町村合併だとするならば、この際優遇するというような形で今進みつつあることに対しては、非常な猛省をすべきじやないか。どうぞ長官におかれましては、私どももこの結果二、三の意見をとりまとめまして、一応御参考までにお申入れいたしたいと思つておりますので、それを十分御検討の上、私どもの考え方が間違つておりましたら、間違つておることを納得の行くまで指摘していただきたい。また私どもの考え方が間違つておらないとするならば、私どもの自治というものは決して単なる一つの制度じやありませんよ。今の自治機関というものを守つて来るために——最近の民主主義がはやつてからは別でありますけれども、明治の中期からどこの村でも自治の巧労者として、自分の手にあかぎれを切らして自治の建設のために尽した人があるのであります。そういう自治を、一ぺんの法律で百年の計を誤まるような、破壊するようなことがあつたら取返しがつかぬ、こういうことを真剣に考えるがゆえに私はお願いするわけであります。後ほどまた申入れをする機会があると思いますから、そのときには十分御研究を願つて、この仕事の進捗の過程ではありますけれども、ひとつお考え直しないしは一つの方向転換をしていただきたい。これは何もこの法律の方向が悪いんではなくて、やり方の問題であります。そういうふうな考え方をもつてお願いするのでありますが、それに対して長官の御所見を伺いたいと存じます。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 実は町村の合併の問題につきましては、私も先般当委員会におきましても、各委員の方々の御質疑を通しての御意見を伺つて、非常に傾聴すべき点が多々あつたと思うのであります。本日もまた重ねて御意見を伺つて、私としても相当これは考えなければならぬ面があると見て考えておりますので、どうか意見をお聞かせ願つて、御趣旨を体して善処して行きたいと考えております。

井出一太郎改進党

○井出委員長 他に御発言はありませんか。

中澤茂一日本社会党(右)

○中澤委員 結局農林委員会で心配しているのは、産業構造の問題なんです。これはどの委員のおつしやることも、結局農業の地区別による農産物の構造が違うのです。それをごつちやごちやにひつくるめてしまうのが問題だということをみんな心配しているのです。そこでこの法律は、議員立法でいろいろな計画性とかそういうものが出ていないわけです。そこに非常に立法の当初に無理があつたと思います。結局この法律は何とかして改めて、一つの計画性を持つた指示権を法律の中に入れなければいかぬのです。そして産業構造を調べて、こことこことここは一括のブロツクとして産業構造も同様であるし、人口も八千以上であるから、ここはひとつ指示するから合併しろ。そして町村としてその指示した範囲がいやならいやでやらなければいいのです。そういうものがあるのですよ。だから全然計画性がないですね。計画性がないものだから、村の連中がかつてに集まつて、お前のところとおれのところで一緒になろうじやないかと言うと、村会議員が二つにわかれて、こつちの村が川のこつちに来てしまうというようででたらめなんですよ。要するにどうしても法律の中に指示権を入れる。しかも政府がこういつた一つの調査を持つた、計画性を持つでここに指示権を入れる。これが入らない限りはこれはめちやくちやになつてしまいますよ。こういうことについて、長官は何らか法律的な改正でそういう一つの指示権的なものを入れるお考えがあるかどうか、この一点を明らかにしてもらいたい。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 これはいろいろ御指摘のような欠陥があると思いますけれども、ただ法律を改正して指示権を持つことがいいかどうかということは、今御質問を伺つておつて、ずつと考えておるのでありますけれども、どうも自治団体の動きに対して国がそこまで立ち入ることができるかどうかということについては、なお相当本質的な疑点があるんじやないかと思つておりますから、今後も検討いたしたいと思うのであります。しかし今の運営の段階では、先般もちよつと申し上げましたように、地方で立てた計画も、最終的には国がそれは適当でないと思うものは許可しないという方針にして、その点で調整して参りたい、こういうふうに考えております。

井手以誠日本社会党(左)

○井手委員 長吉川君。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 私は長官からでなくてもけつこうでございますが、一言伺つておきたいと思います。先ほど来同僚委員の諸君から質疑をせられているのを聞いておりますと、適正規模という点についてはつきりした考え方がない。そのために私も三県ばかりまわつてみたのですが、非常な混乱をいたしております。内容についてはもう時間がございませんから私はお尋ねいたしませんが、この際これを一年間延期をするという考え方はできないものでございましようか。ということは、ただいま三月末までに一応決定をしなければならないという何か指示を与えてあるらしいのですが、そのためにここわずか半月か一箇月ぐらいの間に、その内容も十分検討せずに、何が何だかわからないのに、何でも市にさえすればいいのだということで、常識では考えられない純然たる農村が、市の中に合わされるということで、大混乱をいたしております。しかも村会議員とか村長とかいう先に立つ人々が、夢中になつて大分あちらこちらの村を勧誘してやつておりますが、住民は全然知らないでいる。こういうことでは、金子委員が盛んに言われました、百年の悔いを残すものではないかと私は思いますので、きわめて重要な問題ですから、あまりあせつておやりになる必要はないんじやないか。末端の一住民にまでも徹底するように、ゆつくり、そうして十分検討を尽して行けば、規模についての御指示をなさらずとも、おのずからそこに民主的に私は一つの形が——適正規模というか理想的な形が生れて来るのではないかと思うのです。全然検討を尽す時間を与えずに、何でもかんでも早くやれ、やればこういういいことがあるのだと、いい点だけを示して、ただいたずらに行き過ぎをやれば、こういう欠点もあるのだ、こういう点も勘案をして、そうしてプラスの面が大きいからということならば、ひとつこの際こういう法律もあるのだからやつたらどうかというように、自治庁はもう少し懇切ていねいに指導をやるべきではないかと思いますが、その点について非常に欠くるところがございます。私はこのまま行けばたいへんな問題が残ると思います。私は数県をまわつて実情を見て、実に憂慮をいたしておりますので、この点ひとつ善処されたいと思いますが、どういうふうにお考えになつておいででございますか。

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 吉川委員のお尋ねの点は、全体計画を何か三月までというように区切つて指示をしておるんじやないかというようなお尋ねではないかと思うのですが、そういうことはないのでありまして、全体計画を年次割には今年は一五%、来年は六五%というようには計画はしてありますけれども、しかしその一五%は絶対にどことどことどこというように指示をしておるというような考え方ではなくて、大体の目安をそこに置いて考えておるわけであります。ただ御指摘になつた例は、市になる場合の例だと思うのでありまして、市になる場合の例は、こちらから指示して三月までにしろということは毛頭申してはおらぬのでありますけれども、三月になると法律改正があつて、五万にならなければ市になれないという見通しを立てて、三月までにぜひ市にしたいというので騒いでおる、こういう実態だと思うのであります。市になりたいという希望が住民にあるならば、自治法の許す範囲でなるべく市にしようという考え方で問題を扱つてはおつたのでありますが、先般この委員会でいろいろの御意見があつて、この考え方にもかなり是正する必要があるのじやないかという気持を持つておるのであります。しかし全体といたしましては、そういうような状態で、むしろ自然発生的に地元の自治団体の側から出ておるのでありまして、こちらから三月までにしろというような考え方では指導はしておらぬのであります。

佐藤洋之助自由党

○佐藤(洋)委員 この際塚田さんがお見えになつておりますから、一点お伺いしたいのです。  実は塚田さん、本委員会へあなた及び行政部長さんに来ていただいたゆえんは、今金子委員、中澤委員、足鹿委員からお話があつたように、農林委員として本質的に心配することがあるのです。たとえば市に併合されて、本来の農村の使命が薄らぐのじやないか、あるいは具体的な食糧増産がはばまれては困る、そういうような心配があつて今本委員会において取上げて、後に当局に向つて申合せもしたいのですが、そういうわけです。そこで町村合併のねらいどころは、概念的に見ると、将来において約四百億の財政の緊縮になる、こういうのですが、ことしの地方財政計画を見ると九千六百五十三億ですか、昨年度よりは二百五十億ぐらいふえていますね。私はあなた方が考えているように、合併したからといつて四百億や三百億はなかなか減らぬと思うのです。実はきのう石岡市の誕生があつたのです。そこで各党はみな伺いました。私はその席上で一つ警告を発した。二十一年に町村制度の大合併をやつた。そのときには七万くらいのものが一万八、九千に減つた。二十七年度に見ると、それが一万以内で、九千幾らでしたか、そのくらいになつたのです。その合併の趣旨は合併促進法にある通りであるが、はたして市にしてそれが市の内容を具備しておるか、市の内容を具備するよう市の誕生に努力した諸君は、その内容の充実のために努力しなければならない、たとえば上水道の完備であるとか、公会堂とか演劇場の整備とか、文化娯楽施設をつくらなければならぬ、こういうようなものは速急にやつてもらいたいと、私は実はきのうの市制祝賀の祝辞の中に入れて警告を発して来たのです。  そこで茨城県の問題でございますが、実は今度結城を市にしようというので、町長を初め村会議員が私のところへ来られた。塚田長官に陳情してくれと言うから、実はきようの委員会で地方自治問題を取上げて、塚田長官にあるいは行政部長さんもおいでになるから、私はその席上で公式に言うておこうと言つた。そういうわけでお伺いをするのだが、御承知のように結城を中心に一町四川というものは、いわゆる合併促進法の第三条に適合しておる。いわゆる風俗、習慣、交通、産業というようなものが昔から非常に密接に結びついていて、一町四川として何事もやつていた。こういうように伝統的に協調しておる立場の結城は、今あなたの方に書類が出ておるのですが、促進して許可をしてもらいたいのです。それからもう一つ出ておるのは下館なんです。これもりつぱな相当な市街地をなしておつて、大体市と言つてもはずかしくない形態でしよう。ひとつそういうものはできるだけ取上げてもらいたいということを、この機会に申し上げておきたいと思います。それで、今あなたの方から出された資料を拝見してみると、裏日本が非常に促進しているのですね。足鹿君の県なども非常に大きな町村合併をしておる。市に吸収されて十三箇村くらいが合併しておる。石川県も、富山県もそうなんです。どういうわけでこういう方面がこういうように促進して大きな合併をしたのか、何か理由があるのでしようか。これは行政部長からでも聞いておきたいのです。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 裏日本の今御指摘のところは、実は数年前から、促進法の施行前から、地元ではその空気が非常に盛り上つておつたのでありますが、大体これらの県は町村がみな小さかつたのです。ほかの県に比較してはるかに小さい。それだから町村も微弱であつた。それから一般的にいつても、表日本よりも裏日本は、全般的に見て経済力も薄い。そういうことから町村自体がこのままではいかぬ、県もこのままで置いておいてはいかぬ、こういう気持が中心になつて数年前から行われて来て、今日のような状態になつておるわけであります。

佐藤洋之助自由党

○佐藤(洋)委員 石川郡の十三箇町村、ここは松任町ですか、これはどのくらいですかね。今のところの平均は二十八平方キロぐらいなものでしよう。これがなるとどのくらいですか。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 この石川郡の具体的な計画の面積の調べは手元にございませんが、この石川郡はこういう仮案になつておりますが、一応の提案で、その後聞きますと、幾つかにわかれる計画で進んでおるようでございます。ここのところは特にいろいろな町村が密集しておるところであるらしいのです。実際にはこの通りに行くか行かぬか、大体試案として審議会に提出しただけでありまして、現地の実際の状況によつてこれはかわるだろう、そういうことを現地では言つておるのであります。

井出一太郎改進党

○井出委員長 それでは本日はこの程度をもつて審議を打切りたいと思います。  なお、委員諸君から熱心に御開陳になりました御意見は、いずれとりまとめまして理事会並びに委員会にお諮りをいたしました上、塚田長官、さらに衆議院の地方行政委員会、それぞれの機関に伝達をいたしたい、かように考えます。  本日はこれにて散会いたします。     午後五時九分散会

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