P政策ポータルPOLICY PORTALウォッチ
19回国会衆議院1954/02/06

農林委員会 第8号

発言数
18
登壇者
3
会派数
2
開催日
1954/02/06

会議録

井出一太郎改進党

○井出委員長 これより会議を開きます。  先般の委員会におきまして、農政の基本施策について農林大臣の所信を承り、また来年度農林予算についても当局より説明を聴取いたしておりますので、本日は主として農林大臣に対しまして質疑を行うことにいたします。質疑の通告がありますので順次これを許します。吉川久衛君。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 先日農林大臣から、今後における農林、水産行政の基本施策についての保利農政ともいうべき御所見を承つたのでございます。私はそれに関連をいたしまして、若干お尋ねをいたしておきたいと思いますので、以下数項にわたつて、私の質問に対してできるだけひとつ率直なお答えをお願いいたします。  第一番に、保利大臣の御説明の劈頭に経済自立の問題が取上げられておりまして、国際収支の逆超からすみやかに脱却しなければならない。そのために財政の緊縮と金融の引締めとによつて物価を引下げなければならない、こういうことを強調をなさつておいでになります。もちろん、私たちは、日本の経済にインフレの危険性がないとは申しませんけれども、そうかと申しまして、現内閣のごとくインフレの声におののいて、この対策のために極端なる金融の引締めの措置をとらんとしておることに対して、私は非常な疑惑を持つものでございます。物価を引下げるために表から労働者の賃金を引下げよう——低賃金のためには、低農産物価格政策へまわつて来ることは避けられないのでございまして、その必要以上の引締めが、農民の生活に非常な影響をもたらすことを私どもは憂慮いたしております。正面から労働者の攻勢を押えようとするためにとられるところの施策は、金融の引締めの強化、行き過ぎ。それが中小企業の倒産となり、失業者の続出となる。失業労働者がたくさん出て参りますと、労働賃金が相対的に引下げられる。この低労働賃金によつて輸出の振興を考えようというのが政府の施策の基本になつているようでございますけれども、そうすることが農民の生活にしわ寄せせられるということを考えますときに、国務大臣としての保利農林大臣は、政府のこの行き過ぎに対して、今後そのまま大蔵大臣等の主張される態度に協力をなさるおつもりなのか。もしそうであるとするならば、私はわが国の農民の生活に対して非常な危機を招来するということを憂慮いたしておりますので、大蔵大臣の行き過ぎ、政府の経済施策における行き過ぎに対して、農政を担当しておいでになるあなたの立場では、できるだけ緩和をさせるような努力をされなければならないと思いますが、この点についてどのようにお考えになつておりますか、まずその点からひとつ承つておきたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 大局的な御質問でございまして、私がお答えいたしますことは、受持つております部署からいたしましてもいかがかと存じますけれども、今日日本の物価は世界的に割高になつておる、従つて輸出が伸びない、どうしても輸出第一で行かなければならない国の経済情勢にあつても、輸出が伸びないどころか減つて来る。そのために国際収支がきわめて逆調を呈して進む傾向に入つておる。これを正常の姿に直さなければ日本の経済が成り立たないということは、これは明らかなことであろうと思います。ただ、そこへ持つて行く手段、方法としてはいろいろ御意見があろうと存じますが、現内閣の方針としては、財政を引締め、金融を引締めて、そして一面消費の抑制をはかりつつ物価の低落を促進して行くという基本的な考えは、ただいまお話の通りであります。それがいい、悪いという論議については、経審長官なり大蔵大臣なりと十分御論議を願いたいと思うわけです。ただその中において、農政上日本の農村がどういう影響をこうむつて来るか、これは私は端的にはなかなか申し上げにくいのではないかと思う。吉川さんの心配されておるのは、各論として農産物価の低落をはかつて行くのではないか、結局農村にしわ寄せが来るのではないかということですが、私は率直に申しましてそうは思いません。農産物のコストが引下つて行くということは非常に歓迎すべきことだと思いますが、日本の食糧を中心とする需給関係はきわめてアンバランスの状態でございますから、農産物が低落をして行くであろうということは、私は非常に困難であろうと見ております。従つてその面からはないといたしまして、ただ基本的な施策としては、今日これは地方により、特にまた昨年の生産状況が、農作物の作況が地域的にずいぶんでこぼこがひどうございますから、その地域地域によつていろいろ意見が違おうとは存じますけれども、全体としては、農家からいえば農産物はできるだけ高い方がよろしい、高くなければならぬ、しかし農家だけよいとは思いはしない。そういうことよりも今日の一般的な切実な要求は、農家の投下資材がもつと安くならないかということ、米の値段もさることながら、米をつくり麦をつくるための肥料その他の農家の買い入れる物資の価格が、もつと下ることをより切実に要求せられておると、これは全般的にはそういえるのではないかと思います。そういう意味で農作物全般の需給状況からいたしまして、急激に農産物の価格の下落を引起し、そのために農家経済を非常に圧迫して来るというような結果にはなり得ない日本の農業実態にある。私はこういうふうに考えておりますけれども、いかがでございますか。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 私の尋ね方が非常に大きな問題というよりは、大ざつぱに取上げたために、大臣のお答えが非常にぼやけたお答えになつたのもやむを得ないと思いますけれども、もつとはつきり申しますと、政府は数年にわたつて手放しの経済政策をとつて来たのですが、今までに総理の言われたような耐乏生活を国民に要請すべきであつたのであります。ところがそれをなさずにイージー・ゴーイングの道を選ばれて放任をいたしておりました。今日までに企業の合理化をやつて、輸出の振興をもつと積極的にやるべきであつたのです。ところがそれができなかつたために、今日凶作によつて国内の購買力が非常に減退の徴候を現わして来ました。そうすると国内の市場が非常に狭められましたから、何とかしてここで海外に市場を設けなければならかい。海外へ伸びて行かなければ国内の企業は保護されないということになつて、あわてて耐乏生活を説いて百八十度の政策の転換を来したわけなんです。それが低労働賃金であり、低米価の政策にならざるを得ないのであります。だから今のところは中小企業にしわを寄せ、労働者の生活を脅かしてはおりますが、やがてこれがごく近い将来に、農村へまわりまわつて来るということが懸念されます。これは政府の今の金融の引締めが程度を越えておるのではないか。この行き過ぎに対してもつと緩和する態度をもつて農林大臣が臨まれない限り、これは農村の生活に相当の影響のあることを、今からひとつお考えおきを願いたいと思います。  そこで、今回の二十九年度の予算を見ますると、大蔵省の第一次査定のときに最もよく現われていたのでございますが、食糧増産の予算が非常な削減をされました。その後保利農林大臣も非常な決意をされ、輿論の支持のもとに、とにかく若干の復活は見ましたけれども、まだまだこれでは、毎年政府が国会において施政方針演説の際に述べられて来たこと、また歴代の農林大臣が提唱されましたところの食糧の自給確保の問題と逆行しはしないかということを、私は非常に顧慮しているのでございます。これはほんとうは大蔵大臣にお答えを願いたいのでございますが、所管大臣として大蔵大臣の蒙を開いていただかなければならないという意味において、農林大臣の御所見を伺うのでございますが、今回農林関係の予算をあれだけ大幅に削減をしようとした大蔵省の意図は、どこにあつたと大臣はお思いでございますか。あなたが大蔵大臣との折衝過程においてお感じになりましたところを、ひとつ率直にお述べを願いたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 これは全体の一兆円以内の予算を編成するという建前からして、どういうふうな予算配分をするかということから当初の原案が提示せられたわけであります。全体の配分の公正という上から見られたものと思いますけれども、とにかく日本経済における食糧増産の意義というものは、これは内閣のどの部門におきましてもひとしく認めて、認識をいたしておるところでございますし、ことさらに農林予算の削減に集中されたという見方は、見方としてはいろいろ成り立つて来る、私もそういう感じを持たないわけでは事実なかつたわけです。これは率直に言えというお話でございますから率直に申しますが、たとえば、あなたの方のきわめて有力な方が、農林予算のあのぼろぼろのというか、いろいろな補助金がずいぶんついているが、ああいうものはみんなぶつた切つたらどうかというようなことを、直接大蔵大臣に勧告をせられたとかいうことで、そういうことが、私としては実は非常に迷惑をしましたわけであります。しかし提示いたしております予算がこの通りでございますから、どのように私が最善の努力を払いましたと申しましても、結果はここに出ておるわけでございますから、これについてはいろいろの御批判も十分受けるつもりでございますけれども、農林予算過去数箇年の編成過程における状態は、私は多少この予算に反映しているのじやないかということを率直に申し上げざるを得ないという感じはしております。それと、食糧増産の関係におきましては、吉川さんのお話の通りきわめて不十分であります。これを言うがごとく、どう重点的、効率的に用いて、そうして予定の計画に達せざるまでも、増産を実現して行くかということは、私ども農政当局者に課せられている非常に大きな責任だと考えて、これの効率使用というこについては、くふうにくふうを重ねて行かなければならぬ、かように考えております。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 私の党の某有力者が農村予算を大なたを振えというようなことを言われたことが、何か農林予算の大削減の原因の一つであつたというような御発言がございましたけれども、これは大臣にあとでその有力な人はだれなのか、ひとつゆつくり聞かせていただきたい。私の党で農林関係の有力な者は、ここにおります井出委員長と金子君でございまして、その他の連中は有力とは私はちつとも考えておりません。いわゆる大物であるとするならば、それは農村関係を解せざるものであつて、われわれの意見も徴さようなことがあつたとするならば、私は党においてしかるべく処置をしたいと思つております。あとでお名前を知らせていただきます。しかし、そうではないのです。大臣のおつしやることは何か大分見当違いでございまして、全体の配分が公正であつたというそのお言葉からでも、あなたのおつしやることは、どこまで信用していいか私にはわからなくなつて来るのです。全体の各省の配分から見て、農林省所管の予算が決して公正なものでなかつたと私は思うのです。私の知る限りにおいては、大蔵省の諸君は、昨年の暮れに農村の小都市の物の売れ行き状態が非常によかつた、その結果は、農協の預金はふえていないけれども、農村の市中銀行、農村の金融機関の預金は相当にふえている。去年と比較しても、おそらく去年よりもむしろ上まわつているものさえある。その資料をもつて、農村はすばらしい購買力があるのだから、農民は相当の購買力を持つているものと見なければならぬ。凶作というのは名ばかりで、実はあれは凶作ブームである。この凶作ブームのもとは、政府与党が改進党のごきげんをとつて、そして救農国会を開いて、一体農村へ金をばらまき過ぎたのだ、従つて今回はそのまき過ぎたやつを少し引上げるということも別途に考えなければならないが、一つは農林予算を削減して、今後散布するものを制限をして行こう、こういう基本的な考え方に立つて大蔵省は査定をしていると聞きますが、ほんとうに凶作ブームであるのかないのか、農林大臣はどういうようにごらんになつておいでになりますか。私は決して凶作ブームではないと思います。なぜ昨年の暮れに農民の購買力があれだけ発揮されたかという原因については、私は大蔵省とはまつたく別個の考え方を持つておりますが、大臣はどういうようにごらんでございますか。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 これは先ほどお答えいたしましたことで、もし私が責任を他に転嫁するがごとき何で申し上げたということであれば——そういうふうなお耳ざわりであれば、先ほどのことは全部取消します。私どもといたしましては、旧臘十二月の衆議院本会議における決議の趣意もございますし、また食糧増産を達成いたして参ります上に、たとい緊縮予算のもとなりとも、一歩でも二歩でも前進して行かなければならないという固い決意から努力を払つたわけでございますが、しかし結果が十分に至つておらないことは、私自身も認めておるところでございますから、これはあげて私の責任でございまして、先ほどのことで、もしお耳ざわりな点があれば、私はいつでも取消しをいたします。  お話の凶作ブームというようなことが、新聞などにも活字になつて出るときがある。これは私は率直に申して、昨年の作況が非常に地域的なでこぼこを来しておる。従つて一部の著しい減収地帯においては、農家経済が非常な、打撃を受けている地帯がかなり広汎にある。一面またこれは決して高過ぎるとか安過ぎるという問題ではなくして、ともかくも前年度農家の実手取り石八千五百円というのが、今年は一万円を越えるというような状態でございましたから、作況に恵まれた地帯におきまして従前よりも農家が非常に恵まれたということは決して申し上げませんけれども、前年度に比して恵まれたということは事実でございます。これは何人もいなめないところであろうと思うわけであります。それではそういう地域は非常に広いかというと、これは狭いのであります。私はそういうふうに認識をいたしております。また農協の預金が一部地域においてはかなり増加しておるところもございます。県によつてもむろん違いますし、県内においても相当違うように思いますが、これは単に揶揄的に言われます凶作ブームということでなしに、むしろ昨今問題になつております町の金融機関と申しますか、つまり金融の本筋にまわつていなかつた、ルートに乗つていなかつた農家の余裕金が、本来の農協にまわつて来ておるという一つの現われではないかとも思うのであります。これは分析してみないと村々によつてみんな違うだろうと思いますか、何とか経済会といつたようなものの被害を非常に受けたところは、もう農協なりあるいは市中銀行にしか行かない、ああいつたものにまわつて行くことはなかろう、そういうものが現われておるのじやないか。率直に凶作ブームというものに対して私の感じておりますことは右の通りであります。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 凶作ブームというのは、これは大蔵省の連中が新聞社に頼んで盛んに放送をしたのです。農林予算を押えるために放送をした。これに対してぼくら、ずいぶん文句を言つて来たのですが、農林省の方では全然手を打つていない。そうして農林予算を削減して、一兆未満の予算編成をやろう、農林予算を犠牲にしよう、こういうわけなのです。結局各省の中で農林省は一番弱いということなんです。あなた方のところにしわが寄せられたということなんです。これは大臣以下農林省の関係者今後ひとつ大いに奮発してもらわないと、大蔵省になめられてしまつた形なんです。しかしこれは政府の責任だと私は思うのです。六十年ぶりにやつて来たところの凶作に対する対策費の予算を、臨時国会を開いで獲得しても、翌年度の予算でその分かけを削減するということは、これはわれわれどうしても納得の行かないことなんです。これは臨時の問題なんです、それをしも考えないで、こういうむちやなやり方をするということについては、われわれ今後よほど大蔵省の反省を促さなければならないと思つております。私が政府の責任だということは、政府はもう口を開けばインフレインフレということを言われる。それで農民は正直ですから、政府かインフレになると言われれば、それではインフレにならない間にと思つて、山でも売つて、その金で嫁取り、婿取りの費用から、あるいは農機具等の生産資材の補修、確保のために金を使つたのであつて、年を越えて、この春になつてからは、ほとんど農民の嚢中には金はなくなつているのです。大臣は、保全経済会とかいうようなものに農村の人はずいぶん金を出しているということを、ブームの一つの現象としてごらんのようでございますけれども、これはほとんど山を売つたその金で、五万、十万出資をしているのであつて、決して凶作対策費が獲得された、そのためにみなふところぐあいがよくなつて、それを出資し、あるいはまた購買力がそのために出て来た。こういうわけではないのでございます。その辺はひとつよくごらんを願いたい。だからインフレという声に脅えて、農民はできるだけ早く必要なものだけは確保しておきたいということであつたのです。それからもう一つは、農民というものは経済の将来の見通しは立ちません。立たないけれども凶作のほんとうの痛手というものは年を越えて三、四月のころから具体的に出て来るのだ。それならば、痛みのわからない今のうちにまずできるだけの手配をしておこう、こういう考え方で、とにかく先のことも考えないでとりあえず身辺の問題を解決したというのでございますから、決して凶作ブームによつて購買力がふえたわけではないのに、そういうことを利用して農林予算の削減をやつたということになつているので、その点をひとつお考えの上で、大蔵省に対処していただきたいと思います。  次に食糧増産確保の問題は、今までたびたび農林大臣が自給度の確保の問題を強く主張しておいでになりましたのですが、今回は予算面から見てそういう点がどうしてもうなずけないのであります。これに対して、何かこの予算で今までの主張をかえないで、食糧の需給確保ができるのだという御確信を持つておいでなのか、おいでになるとするならば、具体的にそれではどういうようなことをするのか、その対策のおもなものを御説明願いたいと思います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 食糧自給を確保するという方法において、政府もその考えをもつて進んでおることは、依然としてかわるものではございませんけれども、しからば今年度の予算をもつて、それかどこまで一体達成できるのかということになりますれば、これも計画でございますから、数字上にはいろいろ出て来ると思いますけれども、大体事務当局で説明しますところは、百四、五十万石の増産計画がこれで実現して行きますということを申します。しかしいずれにいたしましても、この年度において自給確保をいたすということは、これはもうむろんできないわけでございます。しかしながら食糧確保をして行かなければならぬということは、これは民族生存の絶対の要請でございます。従つて足らない分については、愚かなことでございますけれども、外地食糧に依存をしなければならぬという結果は、どうしても免れ得ないところでございます。従つて現行の食糧管理の方法を継続して参りますとすれば、大体前年度とそうかわらない外地食糧を仰がなければならぬというような結果になろうが、それはそれで一応予算的にも措置をしてはおるわけであります。計画は立てておるわけでございます。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 大臣のお答えでは、やはり私どもの心配をしておりましたようなことがうかがわれるのでございます。それは食糧の自給確保ということを今まで強く打出しておいでになりましたけれども、本年度の予算を見ますと、自給確保ではなくて、外国の食糧に依存するという点が非常に強くわれわれには感じられるのです。ことにアメリカの小麦等に依存するという点が非常に強く感じられる。そうして国内の食糧の自給確保、増産施策というものが非常に手ぬるいような感じがするのです。われわれの心配している点とそつくりのただいまの大臣のお答えは、その通りじやないかと思うのでございますが、大臣も大蔵省の連中のお考えになつておるように、外国の食糧にあくまでも依存するお考えなのか、そうだとすれば、今までの食糧の自給確保、増産施策というものをお捨てになるわけですか。ただいま大臣は、百四十万石くらい増産をしようとおつしやるのですが、百四十万石くらいでございますと、一年に大体百二、三十万人日本の人口は増加をいたしております。そうすると、自給度の確保、向上は全然期待できないのです。しかも土地のつぶれるもの、あるいは、洪水のために流れる土地、こういうものが大体三万四千町歩といわれておりますが、こういうものをあわせて考えて参りますと、自給度の確保どころの騒ぎではなくて、ますます外国食糧依存という形になつて行くのでございますが、それで大臣よろしいのでございますか。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 これは申し上げるまでもなく、外地食糧に大量に依存して行くという姿は、経済自立達成とはおよそ縁遠いことになるのじやないか、逆である。どこまでも国内において、総合的にいろいろの食糧の自給度を高めて行くということが、問題のないところであることは先ほど来申す通りでありまして、私は特に外地食糧に依存しているところから一歩でも脱却して行くために、ずいぶん非難を受けました人造米等についてもそういうことをやつたわけでありますけれども、これは農林委員会におきましても御審議もございましたし、それをまた十分参考にして反省もしておるわけでございますが、これはただいまの食糧増産の根幹として扱つて来ております農地の拡大、農地条件の改善ということは、かなり今後においても財政の事情と摩擦をして行く性質のもの、すなわち相当巨額の財政投資を要する。それでは金をかけて農地をつくつた、土地改良をやつた。それだけで一体増産ができるのか、それだけが一体日本の増産計画か、こういうことについては、これは吉川委員に申し上げるまでもなく、とんでもないことだと私は考えておるわけであります。と申しますのは、たとえばこういうことを例にとりましてもいかがかと存じますけれども、ある新聞社で主催されておる多収穫日本一等の意義というものは、何を一体日本の農政に教えておるか、食糧当局に教えておるか、要はその持つている乏しき三百万町歩の土地をいかに効率的に用いるか、それに増産をもたらすような技術をどうして浸透せしめるか、どうして農家のほんとうの勤労増産の意欲を引起すかというところに、私は食糧増産のかぎがあると感じております。かりに今後どれだけの投資をしましても、干拓しましても、一反歩十五万円、二十万円だ。それとて十万町歩の土地を新たにつくるということは、これは容易なことではない。それで一体食糧増産できましたと言えるか。それはできない。結局は三百万町歩の土地をいかに効率的に農家の力によつて発揮していただけるかというところが、私は今後の問題の中心じやないかと思います。これはむろん数字で出て来るものではなかろうと存じますけれども、その辺については、まあ乏しき予算ながら格段の意を用いて、この予算の編成に当つたわけでございます。それでは数字でどうなるんだといえば、むろん数字でどうなるべきものではない。どこまでもやはり個々の農家の勤労の汗によつて、また営農技術の進歩によつてこそもたらされるものでございますから、全体としてやはり日本の営農技術、土地生産力が高まるように持つて行くことが、今後の一つのねらいじやないか、こういうふうに考えております。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 大臣に食糧増産の具体的な問題について一々御説明をいただくことは、時間もございませんから、いずれ機会をあらためて伺うことにいたしますが、どうも外国食糧に依存するという考え方が非常に強いのです。ことに自由党の政調会長の池田君なんかがアメリカへ行つて来まして、アメリカが食糧の過剰なのを見て来て、そうしてアメリカにさえたよつておれば食糧は大丈夫だというような考え方が非常に強いようです。われわれいろいろ話してみてもそういうことを痛感するのですが、この生活のために必要な食糧を外国に依存するというその考え方が、私は基本的に誤つておると思いますので、今までの農林大臣がしばしば言明されたところの食糧の増産確保、自給度の高揚という態度はひとつ改めないように御健闘をお願いしておきます。  それから今回の凶作に関連して、特にはつきりして来たのでございますが、食糧の管理制度の問題でございます。供出制度の破綻と申しますか、行き詰りと申しますか、今回の供出割当等から生じましたところの種々の問題を考えますときに、この食糧の管理制度というものについては、相当な検討が加えられなければならないと思いますが、ただいま政府は、この問題についてどの程度まで御検討になり、どういうような方法でもつて行くかについての御所見を伺います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 昨年の凶作下の当局に立ちましたがゆえに特に感を深くしたのかも存じませんけれども、私としては今日、これは戦争、占領という長い国家の無常状態におきましての管理制度が、そのままつぎはぎでも続けられて来ておるということで、たとえば価格の建て方におきましても、集荷対策上からつけられておりまする各種奨励金の扱い方にいたしましても、生産者側においても、一体どこまでが米の値段で買つておるのか、一俵出して受取られるのは、奨励金であれ米の価格であれ、それは農家からいえば一俵の値段に違いない。それが非常な割切れないような感じを持つておられることは無理からぬことと思います。のみならず、強権的な供出が相当長い間続いておりますために、かりに公正な価格、公正な割当であつても、供出というとやはり強権時代の供出の印象を払拭するということができないところに、私は生産者側に非常な供出上の障害がある、これは認めざるを得ないのじやないか。それから配給の面におきましても、主産地の消費地にはかなり高率の配給をして、大消費地は非常に低位な、しかも数量、質ともにかなり恵まれない配給を受けておる、こういうことが食糧管理の持つておる最大の悩みじやないか。これらをもう少し合理的に、生産者、消費者の協力を願い得る形において、何とかもう少し改善の方途がないかということで、私はあせつております、正直に申しまして、焦慮いたしておるわけでございます。そこでこういうふうな、かなり日本経済の大きい分野を占めております問題でございますから、できるだけ広い視野から問題を検討願つて、そしていろいろな意見をひとつ政府に聞かしてもらいたい。これは生産者、供出の面からいいますと、何といつてもこれは経済をささえて行く主力物資であるし、従つて生産者にとつては、米というものは農家経済のとにかく支柱的なものだから、消費者もそれを考えていただかなければならぬのじやないか。同時にまた消費者側において、生産者も考えていただきたいことは、近ごろ麦食麦食といいましても、これはなるほど辻つまを合わして行くためには麦食麦食と申しますけれども、とにかく各台所から米を麦に切りかえて行くということは、そう手の平を返すようなぐあいに行かぬ。どこまでも消費生活のこれが中心物資である。従つて国民生活をささえて行く中心物資である限りにおいては、農家もひとつ、これは農家だけたらふく飯を食つて、都会の方は外米だ麦だということであつては、私は国全体の発展をなして行くことはとうていむずかしいと思う。そういう上から農家もひとつ御奮発願つて、消費者に御協力願うように持つて行くべきじやないか。それにはやはり米のわれわれ日常生活において占める役割、意義というものを皆がやはり考えてもらわなければだめじやないか。農家が米を高く売りさえすればいい、あるいは消費者は安く買いさえすればいいというようなことでは、私はこの食糧問題の解決というものは事実できるものではない。やはり消費者は農家の経済をささえるだけの価格をもつて、あとのものは少々切り詰めても、米だけは農家の経済をささえて行ける値段で買うということに行かなければ、私は合理的な解決は出て来ないのではないかというふうに考えます。これはいろいろあなたの方でも御研究をいただいていることだと思つております。内閣に食糧対策協議会を置きましたのも、とにかく食糧問題というものは一部の意見だけを聞いて紙上計画を立てるというような性質のものでない。これは全体の国民に、しかも意見を言わないような人たちに切実な影響を与える問題でありますから、できるだけ広く御意見も聞き、御協力も願つて、そうして政府の政策を確立して行きたいという謙虚な気持から対策協議会を設けたわけでございます。従つてこの対策協議会に対しても非公式でも各党のお考えも十分伺えるならば伺つて——政策の樹立はこれは政府の責任でございますから、政府の責任をはたすためにも、もし非公式にでも御意見を聞かしていただければということを念願している次第であります。いずれ御相談もしなければならぬと思つておるのであります。そういう今日の食管制度の悩みを何とかもう少し合理的な方途を見出したいということで、食糧対策協議会を設けているわけでございます。むろんそういう意味から申しますと、国会は全体国民の代表でございますから、従つて国会においての論議というものは、もちろんより以上に私どもとしては傾聴して参らなければならぬ、またそういう気持でいるわけでございます。御意見もございましたならば十分伺わしていただけるように、いかなる機会でもよろしゆうございますから、広く御意見を伺つて政府施策の誤りなきを期して行きたい、せめて私は、三十米穀年度から何らか改善の具体的な手段を講ずるように準備を進めて参りたい、こういうところで、ただいまああしよう、こうしようという考えは、率直に申し上げまして何もございません。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 大臣のお考え方をるる説明がありましたが、要するに食管制度については、このままではいけないということで、非常に悩んでいる。しかし今のところはまだ何らの対策も立つていない、こういうことでございまして、昭和三十年度を目途として管理制度の改善をやろう、こういうように了解をいたします。ことに大臣は、供出制度について、日本の農民が強権という感じを持つので、非常に供出制度は好ましくないものだというようにお考えのようでございますが、強権なんかちつとも恐れていはしません。進駐軍がやつた時分には、ジープで来ておどかしやがるからそれは恐れたかもしれませんが、今日ではちつとも恐れておりません。それから、供出ストをやりましたつて、何も罰則はございませんから、ひつくくられる心配もありませんので、ストをやつてもいいのです。だからちつとも強権なんか恐れてはいないのです。ただ国民の食生活に農民が協力をしているというこの素朴な農民の気持を、もう少し政府があたたかい気持で考えてやつていただきますならば——農民の一番おそれているのは税金の問題、あるいは米価の問題なのです。この価格の問題と税金の問題を農民の納得の行くように解決をしてやるならば、農民は強権供出なんかちつとも恐れていないのですから、問題は立ちどころに解決するのじやないかと思います。こういう主張を私どもがここでいたしましても、政府ではなかなか——今大臣は、各委員の意見を聞いて、それを参考にして善処したいというお言葉でございましたが、しかし政府の中に食糧対策協議会とかいうものをおつくりになつておいでになるそうですが、そういう研究機関といいますか、審議機関といいますか、そういうものについては、われわれ同僚委員の中にもずいぶん批判的な御意見を持つている方が相当ございます。これはそれぞれの諸君から多分あとでお尋ねがあると思いますから、私は触れませんが、そういう中へ国会議員を入れて、そうして、一緒にその対策をやらせるようなお考えを持つたことはなかつたかどうか。私はむしろそういうところへ入れて一緒に検討させた方が、すみやかに結論が出るのではないかというような感じがするのでございますが、もう少し国民の代表の声を聞こうという襟度を持つていただく必要があるのではないかと思います。その辺についての御所見も伺つておきたいと思います。  それから次に、先ほど私も触れましたけれども月に十一万、一年に百二、三十万の人口が増加をいたしております。農村ではただいま次三男対策では非常に苦慮しているのでございますが、政府の施策を見ますと、農林省関係としては全然この問題についてお考えがないようでございます。外務省の予算を見ますと、今度移住局とかいうものをつくつておやりになるそうでございますが、実に厖大な機関をつくつて移民の問題を取扱おうということだそうでございます。しかし移民の問題を外務省にまかせておきますと、どうしても棄民政策に終る。ほんとうの移民ではなく、人口が多くてしようがないから捨ててしまえというような棄民政策、そういう政策が過去にもとられて、今日移住をしても非常に悩んでいる諸君のあることを考えますときに、もう少し技術を教え、あるいは語学を教えて、ほんとうの移民の実を上げるようにするためには、私は農林省あたりがもつと積極的な施策を持たなければならないと思うのです。そういうことについて何ら予算面ではお考えがないようでございますが、こういう問題について何かお考えになつているのか。それとも予算面にはないけれども、具体的にこういうことをしようということがございましたら、それをお聞かせ願います。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 移民の問題に関するお話は、私もそのように考えております。次三男対策といたしましても、大きく日本の人口問題に寄与して行く上から行きましても、どうしてもこの海外移民というその窓口が大きく関かれて来るということにならなければ、私は日本の悩みというものは解消する方向すらつかないということになるわけであります。特にわずかではありますが、今日においても、また将来ともに一番大きく期待せられますのは、やはり農業移民である。農業移民であります以上は、吉川さんの言われますようないわゆる棄民にならないように、ほんとうに移民先の経済、文化にも寄与し得る移民でなければならぬ。そういうものの移民の窓口といたしましては、やはり外交機関がほんとうだと思います。そこで移民課が移住局になる、そういうことは私はたいへんけつこうだと思つております。しかし同時に、しからばどういう人たちを送り出すことがお話の線に乗つて来るかということは、やはりこの農林省と申しますか、農政の系統の協力を得なければできないし、またそれは移民の目的を達するゆえんではないという上から、外務大臣ともこれはしばしば私は話もいたしておりますし、外務大臣もまた同様の考えを持つておるわけでございます。事務上にいろいろの手違いが多少あろうかとも存じますが、そういう点は今後努力して解消したいと思います。私の方でもそういう点に協力することがいかぬということになればまた別でございますけれども、移民の適格者を選び出してそれを送り出すということについては、農林省として最大の関心を持ち、また日本の移民を発展させるのに寄与するようにやつて行く、そういう踏襲はございますけれども、必要な予算はできておるという報告を受けておるわけでございます。またできておるわけでございます。いずれにいたしましても、移民の窓口は、私は外交機関である方がよかろうと思います。この窓口を通して送り出すその仕事というものは、大部分やはり農林省及び農林省系統で仕事をして行くことが移民の目的を達して行くゆえんであるというように考えております。

吉川久衛改進党

○吉川(久)委員 委員長から時間がないからという御注意がありましたから、最後にお伺いをいたしておきたい。  ただいまの農林大臣の話で、農村の人口問題については、まつたく何らの施策もお持ちになつておいでにならないということが明らかになつたのでございますが、これはよほどひとつ考え直していただかなければならない。外務省の移民課を何も局にまでする必要はない、課でたくさんです。それよりはいかなる者をどういうふうにして送り出すかということについては、これは私は農林省の所管じやないかと思うのです。だから農林省がこの問題について、もつと積極的な具体的な施策をすみやかに確立しなければいけないと私は思うのです。ブラジルからも農業移民の要請が一昨年ごろからございますけれども、日本政府において、この移民の問題についてちつとも熱意を持たない。ことに農林省は、今農林大臣がおつしやつたように何ら施策を持たない。こういうことでは、農村の人口問題の解決は全然できないです。過剰な人口をかかえて農民生活はますます困難なところへ追い込まれて行くことを私は憂慮いたしますので、特にこの問題はひとつすみやかに農林省に何らかの機関を設けてもけつこうでございますから、積極的な御施策の確立をお願いいたしておきます。  それから昨年の凶作がまた一つの動機にもなつているのでございますが、大きくは政府の今日までとられておりますところの自由放任の経済政策と申しますか、どうもその結果だんだんと農村の貧富の懸隔がはなはだしくなつて来ております。せつかく行いましたところの農地改革の成果が逆転をしつつあるという、こういう状況は最近とみに著しくなつて参つております。これは大臣も農村御出身の方ですからごらんだろうと思いますけれども、これに対して政府はどういうような施策をとつておいでになるのですか。自作農創設維持の施策については、予算の中に若干ございますが、昨年よりもその予算を削減しているというような事実等から見ましても、むしろこれはもつと強化しなければならないのに、その予算を減らして、それで何か運営において補うような御施策があるのでございますか、それとも全然別個に農地金融公庫のようなものの御用意があるのでございますか、われわれはそういつた問題について重大な関心を持つているわけでございますけれども、あれだけ革命的な、あれだけ国民のエネルギーを傾けさせてやつたところの農地改革を逆転させるということは、民族のエネルギーのまつたくむだな消耗であろうと私は思いますので、どうしても自作農の意地、育成の問題については、もつと積極的な具体的な施策がとられなければならないと思つております。具体的に申しますれば、もつと低利長期な一つの施設を設けまして、転落せんとするところの農民の土地を国にのみ担保に入れる、そうしてその担保金融を認めるというところまで発展的な措置をとらなければならないのじやないかと私は思つております。これは一般に担保に入れるような措置をとりますと、農地開放の逆転になるおそれがございますから、国にのみ担保に供する。そうして低利長期の融資をいたしまして、営農の指導をいたします。そうしてそれでも担保流れになるような災害等を受けて非常にみじめな状況になつた場合には、国家が補償をする、あるいはまた国がその土地を一応手に収めまして、国の土地を耕作させる、すなわち小作させるという形をとつては参りますが、やがてはその土地を他に売るのではなく、更生できた場合には、その農家に買い取らせて自作農を維持して行くというような施策をとつて、自作農を維持育成をして参りませんと——日本の健全な思想の根拠は私は自作農民にあろうと思います。だから今後の安定した日本の再建をやるために、自作農の維持育成の問題はきわめて重要な問題だと私は思いますので、これに対する農林大臣の御施策を伺つて、その他の問題については適当な機会に各政府委員にお尋ねをすることにして、私の質問を打切ります。

保利茂自由党農林大臣

○保利国務大臣 吉川さんのお話の農地改革の成果を維持して行くために、かねて御主張の農地金庫的な施策がつつかい棒としてどうしても必要じやないか。これは私は個人としてはまつたく同感でございます。そういう上から来年度予算において解決ができることであればということで努力をいたしたのでございますけれども、遺憾ながらこの予算措置が講ぜられなかつたことを非常に残念に思つております。しかしいずれにいたしましても、特にもつぱら農業に従事する農家の経営を保持して参るということは、とりもなおさす農地改革を守つて行くということでございますから——私は諸制度改革の中において最も大成功を収めておるのは農地改革だと個人的には思つておるのでございます。従つてお話の自作農を擁護して行くという施策については、今後とも最大の努力を払つて行くつもりでおります。

井出一太郎改進党

○井出委員長 ただいま予算委員会の方から農林大臣に出席の要求がございますので、暫時休憩いたします。     午後零時八分休憩     —————————————     〔休憩後は開会に至らなかつた〕

国会会議録検索システムで原文を見る ↗