内閣委員会 第46号
- 発言数
- 100 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/10/07
会議録
○稻村委員長 これより内閣委員会を開きます。前会に引続きまして反民主主義対策協議会について調査を進めます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。下川儀太郎君。
○下川委員 前会から各委員によつて、反民主主義対策協議会の質疑が出されております。その中で私は、この反民主主義対策協議会の性格というものが、答弁によりますると、まだはなはだあいまいのように考えております。基本的には反共対策あるいはフアツシヨに対する対策、これが中心のように思つておりますが、しかし往々にしてこの反民主主義という名において、あらゆる純粋な民主的な活動あるいはまた国民的な活動が弾圧される、あるいは圧迫される。そういうことをしばしば私たちは経験しておりますので、この際反民主主義の性格、いわゆる定義と、同時にまたその限界について明確にひとつ御指示願いたいと思います。
○緒方国務大臣 反民主主義という言葉を科学的に説明いたしますと——定義づけようとすると、なかなかむずかしい問問でない事かと思いまするが、政府の考えておりまするのは、民主主義の育成を妨げる非合法的、暴力的な運動、主義というふうに考えておりまして、この協議会の性格がはなはだ不明瞭であるという御意見でありました。政府の説明が十分でないところもあるかもしれませんが、従来政府でやつておりました治安閣僚懇談会と同様にお考えくだされば、政府の意図の存するところと大体間違いないと思つております。
○下川委員 今の答弁でもはなはだ私たち要領を得ないのであります。ということは、やはり現在吉田内閣が政権を握つておる。その政権を握つておる閣僚が、こういう連絡機関をつくつた。連絡機関という名においてつくつておりますが、本質的には、やはり対策という名前が冠せられておる。ですから単なる連絡機関でなくして、対策という名前がある以上は、一応それに対する対策があるはずだと思います。これはまあ協議会という名前になつており、連絡機関だということは一応わかりますが、しかし対策のないところにこういう機構は私はないと思う。その対策があつたらひとつ具体的にお示し願いたいと思います。
○緒方国務大臣 行政上の措置をするのでございますから、むろん対策はあるのでございます。ただこの協議会は、どういう対策をとつて行くことが一番有効であるかということを相談してきめたいと思つておるのでありまして、先ほどお話のような思想弾圧というようなことは、もちろん政府として考えておりません。
○下川委員 しかしこれは歴史的に見て、たとえば戦時中におきましても戦前におきましても、単なるいわゆる共産主義者あるいはフアシストだけが弾圧を受けたんじやない。その考え方一つによつて、いわゆる反政府の立場に立つ者がこぞつてこれをやられる場合がかなりある。たとえば現在吉田内閣でございますが、吉田内閣に対する反対的な立場に立つ者——あるいは東条内閣当時は、やはり軍閥に抗する者、あるいはまた民主主義に抗する者までが、あらゆる角度からやられておる。そういうことを考えますと、今日一応連絡機関だ、あるいはまた単なる懇談会程度にすぎないと言われておりますが、これが時の政府の権力によりますと、これを法制化する、あるいはまた予算化して、そうして単に反民主主義活動の抑圧ということでなくして、反政府に対する抑圧に発展するおそれが非常にある。これはわれわれだけの考えでなくして、現実の輿論というもの、あるいはまた国民というものが非常に危惧を持つておる、不安を感じておることである。ですからこういう不安を感ずるような、危惧を感ずるような、そういう協議会というものはやめたらどうか、かように私たち考えるのであります。ですからこの際やはり副総理といたしましては、はつきりと反民主主義活動の対策協議会は、こことここの限界においてわれわれは対策するのだ、あるいはまたこういう立場に立つのだ、これが協議会の本質なのだということをもつと明らかにしなければ国民は納得行かないし、あるいはまた民主主義者の立場において出て来られる多くの議員諸君も、十分これからの言動を慎しまなければならぬ、かように考えるのでありますが、その点をひとつお伺いしたいと思います。
○緒方国務大臣 議員諸君も言論を慎しまなければならぬという御意見がどういう意味であるかよくわかりませんが、いずれにしましても、共産主義の浸潤というものに対しまして何らかの対策を持たぬならぬことは、これは申し上げるまでもない。それから先にその機関が自由な言論の弾圧にまでも行くか行かぬかということは、政府に対する信用のいかんでありまして、これは私の口から申しましても、お前の政府はそういうことを考えておると一方的に認定をされれば、それ以上の説明はつかぬのでありますが、政府といたしましてはそういう意図は全然持つておりません。
○下川委員 たとえば、例にとつてみますと、先般公安調査庁の藤井長官を呼んで、いろいろと共産主義活動に対する報告をお願いしたのであります。その報告におきまして、われわれはいろいろな現実とほど遠い報告を聞いております。それは単に共産主義の活動だという認定のもとに、いわゆる調査の態度というものがきわめて一方的だ。たとえば平和運動に対しましては、この長官の言をかりると、もう何もかも共産主義の活動の分野に入つて来る。もちろん共産党としての活動もございましよう。しかし純粋な、いわゆる原水爆の禁止あるいは再軍備反対というような立場がかわつて、平和運動の推進をしておる多くの人々もある。ところがそれら違つた立場に立つての平和運動、いわゆる全国民的な原水爆禁止運動等々やつておる者すらも、これも共産党の活動だというふうに認定しておるように私それを受取りました。こういうわけで、よしんば純粋な立場に立つ国民的な平和運動あるいは再軍備反対運動、それらがもし反政府的な立場に立つとするならば、現実的な、今の内閣が再軍備賛成的な立場であり、あるいはまたアメリカの原水爆実験に賛成しておる、アメリカの立場に協力するというような外務大臣も出ておるのでありますから、それに対して純粋な国民的立場から原水爆に反対する、あるいはまた国民運動としてこれ以上の再軍備をやる場合は経済が破綻する、あるいは戦争に追い込められるというような考え方に立つ国民運動すらも、いわゆる共産主義運動の一環としてこれを取扱われてしまう。そうなつて来ると、反民主主義活動というものの限界が、これは政府の考え方いかんによつて非常に拡大される、拡大されると、昔と同じような立場にわれわれ民族が追い込まれてしまう。それをひとつよくお考えなすつて、この点に対してどのように考えておられるのか、それをお伺いしたいのであります。
○緒方国務大臣 同じ答弁を繰返しますが、この対策を反政府的な政治運動の弾圧というようなことに持つて行こうとする意図は毛頭ございません。
○下川委員 そうなると、先般藤井さんのおつしやつた平和運動を、共産党は共産党の立場からこの平和運動、あるいは原水爆禁止の運動に呼びかけて来るでございましよう。しかし国民的な感情のもとに、自分の生活の面からそれぞれの立場から出される純粋なこういう民主主義運動というものに対しては、あなたの方では一緒にしてはならないという見解を持つておりますか。
○緒方国務大臣 その通りであります。
○下川委員 それからもう一つ、これも同じような誤りを犯しておるのでありますが、先般藤井長官は、総評の活動に対して、これも共産党が何か指導しているというような考え方で言われたのです。しかし御承知の通り、総評は全国的の組織であり、あるいはその中には中立組合もある。あらゆる労働組合が包含されております。ただ高野構想という考え方一つで、これを共産党の指導あるいは共産党の示唆があつたからやつたというような公言をする。それで労働委員会においても問題になりましたが、われわれはこれをおそれるのであります。何もかも反政府的だ、何もかも一緒に考える。その拡大がやはり大東亜戦争当時、あるいは戦争前における民主主義者の弾圧になつて来たのである。それでこそ私は限界を明確にしてほしいと思います。内閣がつくられたこういう機関でございますので、その機関の拡大とその考え方一つによりますと、共産党外の人々までも大きな被害をこうむる。これをひとつもう一度明確にしておいていただきたい。
○緒方国務大臣 共産主義者の思想的浸潤あるいはいろいろ陰謀的な計画というようなもの以外に、たびたびお言葉に出ますが、何か普通の政府に不利な運動、反政府的な運動というようなものを、共産主義あるいは左翼の陰謀ということに名をかりて弾圧するということは絶対にございません。
○下川委員 それから共産党の問題でありまするが、この前も飛鳥田君が言われた通り、現在共産党は合法政党であります。この合法政党を——同じわれわれの同僚議員の中にも一人共産党の議員がおられるし、ことさらに共産党という——対共産党あるいは共産主義を対象とするならば、やはりそこに政党対政党がはつきりしたイデオロギー、あるいは理論闘争をするならばわれわれ一応わかりますが、理論には理論の武器をもつて闘う、しかし時の政府が時の権力をかりて、その権力によつてこれをいろいろと論難するということは、はなはだこれは行き過ぎではないか。やはり合法政党として認められた以上は、合法的な立場に立つて、どこまでも対立政党の立場に立つて理論的展開あるいは理論的闘争をすることが民主的ではないかと思う。それを権力を握つておる政権が、権力を握つておる現内閣がことさらにそれを考えていろいろな形ですることは、一つの言論抑圧にもなるし、あるいはまた圧迫になるのじやないか、かように考えるのでありますが、その点に対してひとつ御答弁願います。
○緒方国務大臣 ただいまの政府の立場として、共産思想がだんだん広がつて行くということは望ましくないと考えております。しかしながらそれは今日認められておりまする共産党を弾圧するという考えとは決してつながつておりません。政府としましては、どこまでもこの共産主義によつて生じまするいろいろな政治的、社会的の激化に、どうそれに対処して行けばいいかという対策は必ずしも弾圧ではないのでありまして、それには根本にその思想に感染しないように国民生活をよくして行くということも、もちろん一つの方法でありまするし、すべての対策を研究して行こうというのがこの協議会の目的でありまして、頭から何か政府に不利な運動であると弾圧するもののごとくお考えになつておるようでありまするが、政府がこういう措置を将来どうやつて行くということにつきましては、政府を御信用くださる以外に議論の尽きることはないと思います。
○下川委員 しかし私は、政府がそういうことをやらないと言つておるように思うのですが、しかし、もしもかりに政府の機関でなくても、機関外の、たとえば中央調査社あるいはその他のものを頼んで、政府の意図するひとつの反共的な出版物あるいは共産主義に対するいろいろな論難を書かれた場合は、これは勢い政府が共産党を圧迫することになる。われわれも社会党の立場から常に共産党とは理論闘争をしておりますけれども、しかしあくまでもそれは政党対政党の立場、共産主義者対社会主義者の立場でわれわれは理論闘争をやつておる。これは民主的にやつております。しかし政府が一つの機関を握り、政府がその権力を行使して、その基本的立場からいろいろな方面からパンフレットを多量に出し、無料配布する、そういう場合にはいわゆる反民主的な活動をやらないと言つても、勢い政府がみずからやるような形になるのじやないか。やはり言論には言論で、理論には理論で行くべきであつて、機関をどのように使うか、どのようにあらゆる合法政党に、あるいはまた反対党にそれを合法的に使うかということが問題であります。今副総理は、共産党の弾圧ははやらないと言つておる。しかし形をかえて他の出版社とか、あるいはまたほかの方にやらせる場合においても、これは形をかえた、いわゆる暗黙のうちの圧迫になつて来る。私はさように考えるのですが、その点はいかがでしようか。
○緒方国務大臣 私の考えは全然反対でございます。今おつしやつた弾圧というようなことは、今日法律でやれるわけがない。政府ももちろんそういう思想の弾圧あるいは言論の弾圧というようなことは考えておりません。今の中央調査社云々というようなことは全然関係ございません。
○下川委員 それならば、飛躍しますが、最近における日本の共産党の活動が非常に合法的になつて来たということをこの前藤井長官が報告しておられます。私は非常にけつこうなことで、いわゆる非合法活動あるいは暴力活動は、その戦術にしろ、やらぬで、合法活動をとる、これは日本のためにも非常にいいことだと思う。むしろそういう合法活動の面に共産党がなつて来て、われわれと同じ立場の民主的活動をとつた場合、こういう問題は副総理はどのようにお考えになりましようか。
○緒方国務大臣 共産党の活動が合法的になつておるかどうか、私はよくわかりませんが、かりに合法的になつておるといたしましても、今日の政府の立場といたしまして、共産主義の社会的浸潤は好ましくないと考えておりますので、それにいかに対処すべきかということを研究いたしたいと考えております。
○下川委員 しかし非合法から合法的になつたということは、いい現象だと私考えておるのですが、これはいかがでしようか。
○緒方国務大臣 非合法が合法になつたことは、その限りにおいて、いいことかもしれませんが、共産主義の浸潤そのものに対して政府は好ましくないと考えております。
○下川委員 それからもう一つ、藤井長官の報告の中に、いわゆる戦術的の立場から共産党が共存論を唱えておる。二つの陣営に対する共存論でありまするが、この二つの陣営が共産党の言う共存論によつて、戦争の危機とかあるいはあらゆる切迫した情勢が緩和されたならば、非常にいいと思いますが、これはどのようにお考えになりますか。
○緒方国務大臣 共存論はあえてさしつかえないのでありますが、共存論の名前のもとに、いわゆるわれわれが申しております平和攻勢がいろいろな形において行われておる。それに対する対策はやはり政府といたしまして、考えなければならぬと考えております。
○下川委員 しかし、将来はともかくとして、現実的にみて、この共存論において、世界の平和が一応暫定的にしろ保たれる、あるいは緩衝状態にできるというようなことになれば非常に私は仕合せだと思う。むしろ現実の問題は国際情勢で非常に問題になるのでありますから、この共存論が、少くともわれわれの一応の危機を脱し得る、そういうコースにおいてなされるならば、私は非常にいいと思いますが、その点はどのようにお考えでしようか。
○緒方国務大臣 資本主義と共産主義の共存論、これは一昨年の秋以来、モスクワが中心になつて唱え出したところでありまするけれども、これを文字通りに信用しておることは少し甘いと考えます。そういう共存論の陰にいろいろな平和攻勢が所在に行われておるというのが今日の現実であると考えております。
○下川委員 甘いとか、甘くないとかいうことは、これは個人々々の考えでありまするが、大局から見て、もしこの危機が脱せられるような情勢であるとするならば、非常にいいんじやないかと思う。これを甘いという考え方、これは個人的な一つの見解の相違かもしれませんが、現実的に見て、日本が、いわゆるわれわれが、一応戦争の危機がこれによつて抜けられるならばという悲願がむしろこれによつて達せられる。ある程度暫定的にしろわれわれは原水爆の危機が救われるというようなことになれば、これは政府みずから賛成してもいいんじやないかと思う。戦術とか戦略とかいう立場において一応ものを考えるのでしようけれども、しかし現実には危機が迫つておるという状態の中で共産党がそういう戦術をとるということは、世界のために最も喜ばしいことだと思う。むしろそういう現象を国際的な輿論として推し進めて行く、単に孤立的な考えでそれに対して批判するのでなくして、そういう平和攻勢というものをもつと推し進めて行くような、一つの拡大した輿論を推進して行くというところに私たちは民族の仕合せがある。それを単に個人的な見解あるいは自分たちだけの見解でこれを批判される、そうしてそれを何か危険視するという考え方は私は通らないと思う。もつとやはり飛躍して、その平和攻勢を、あるいはまた共存論をどのように推し進めて行つたならば、われわれの平和が保てるかというところまでぼくは政治感覚を発展してほしいと思う。それをひとつ御答弁願いたいと思います。
○緒方国務大臣 一昨年マレンコフが共産主義と資本主義の共存ができるということを宣言いたしましたのは、共産主義の戦術の一応の行き詰まり、従つてその転換を意味するのでありましてへ決して共産主義の活動がやまつたということではないのであります。そういう意味におきまして一層警戒を要しこそすれ、それが世界の平和をもたらすということに結果しないということは、これはいろいろな文献によつてはつきりいたしております。 〔「文献の名前を言え」と呼ぶ者あり〕
○下川委員 それは緒方副総理が見た文献でございまして、われわれの方としましてはやはり違つた立場に立つて、社会党としては第三勢力論ということからこれを追究しております。従いまして、単に自分たちだけの、いわゆる緒方さんが持つておられるそういう文献で物を言うということよりも、もつと共産党外に平和勢力を拡大して、そうして戦争の危機をなくそうとする、そういう一つの活動があるということを十分承知願いたい。単に共産党共産党と、何かこわいものにさわるような考え方でものを言うよりも、むしろそういう勢力をどういう形でほんとうの平和勢力に置きかえて行くかというところにわれわれの闘いがある。ここにいわゆる共産党と社会党の相違がありますけれども、一般的に共産党を何かこわいものにさわるような考え方で常に批判し、あるいはそれに対する対策をとられるということは、われわれは非常にいけないと思う。もつと広汎な文献と資料をひとつ緒方副総理は持たれて、そういう立場に立つて私は意見を言つていただきたいと思います。 結論を急ぎますけれども、この反民主主義対策協議会、これはいずれにしてもどうも性格が明確でない。同時にまた今後の方針なども、一応連絡機関と言つているけれども、いつどんな形でこれが強化されるかわからない。われわれの危惧するところは、これが法制化される。あるいは予算面にこれが必ず出て来る、そういうときは、一応いつの国会でもそうでありますが、そんなことはやりません、あるいはそういう考え方はありませんというのが、いつの間にか現実化されて、構想通りにだんだん行つてしまう。これは日本の歴史、議会の歴史をいろいろとお聞きしても、ほとんどがそういう形で弾圧の挙に出て来る。それは政府の立場を強化するために、その機関あるいは権力が行使される。治安維持法もそうでありまするが、この治安維持法にしたところで、最後的には、これは絞首刑に処せられて、初めは単に取締りだつたのが極刑になつてしまつた。こういうことを考えると、その意図するものは、最初は単なる反民主的な形でもつてとられた共産党あるいはフアッシストに対する闘いであつた。それが今度は漸次社会主義者から自由主義者まで発展しておる。こういう歴史を考えてみると、今度生れる協議会というものが、おそらくそういうことはないと思いまするけれども、昔のようにそういう発展をして来ると、それこそ無辜の民まで一人残らずやられることになる。その点ひとつ十分注意して、今後これを法制化しないかどうか、あるいは予算の面においてこれを現わさぬかどうか、その点をこの際明確に御答弁願いたいと思います。
○緒方国務大臣 この対策協議会はすぐ法制化するという考えは持つておりませんけれども、これから研究の結果生じまするものは法制化するものも絶対にないということを今から申し上げることはできません。
○下川委員 けれどもという言葉が非常にあぶないのであります。けれどもでわれわれは過去ににがい経験がございます。きようおいでの山崎委員などは——かつて私は山崎警保局長の命令で、単なる新協新築地劇団という事件でありまするが、簡単なるお芝居の公演をしたために、私は百十五日ばかりやられたことがある。共産主義と何も関係がない。しかし考え方一つでこれが共産主義者になる。あるいはぼくの友だちは中央公論一冊を持つておつた。中央公論の中に、たまたま共産主義者の意見が発表されておつたので、その持つている者自身が、共産主義に共鳴したということで、これも百日ばかりほうり込まれた。そのように、もうほとんどが血迷つて来る。一応今冷静な緒方副総理はそういうことはやらないでしよう。しかし権力が行使されて来る、あるいは反政府熱が高まつて来る、そういう場合には、冷静を失つて、単なる政府を守る、自分の権力を守るという立場で、この反民主主義勢力というもの、いわゆる協議会というものを拡大して、反政府を徹底的に取締るというまで段階が広がつて行く。そういうことをわれわれは恐れるのでありまして、法制化するのなんて、もつてのほかだ。われわれはそういう点について恐怖を持ち、不安を持つておるのであります。いわゆる政治家というものは、——あなた方は偉大な政治家でありますので、政治家は大衆の恐れをなくするというところに私は誇りと自信がなければならぬと思う。その大衆の恐れというのは、今日吉田の政権によつていろいろな被害をこうむつている。あるいは吉田外遊とか、その他の問題で輿論が沸騰しておる。そういう沸騰しておるときに輿論にさをさして、大きな力をもつてこれを押える。そこに言論統制もあり、あるいはまたいろいろな弾圧の法規が出て来る。その権力を握つているのがあなた方でありますから、あなた方が連絡機関をもつて、あなた方自身がいろいろな対策を立てるということは、これは大衆相手の対策であり、協議会でありますから、反民主主義対策をつくるとあなた方は言いますけれども、むしろ私をして言わしむると、大衆それ自身があなた方に向つて反民主主義対策協議会を持つべきだということが至当であります。従いまして、私はどうも主客転倒しておると思う。いわゆる民主的な立場に立つ大衆が、あるいは一般国民が、政府が東条内閣時代と同じような独裁政治をしかないか、吉田さんのワンマン政治が長く続かないか、よしそういう政治が続いたならば国民はえらいことになる。従つて民主主義の立場からあなた方を十分監視し、あるいはそういうことをさせないようにするためにつくられる協議会になればわれわれは納得行きます。主権在民の折からでありまするから、われわれ自身がつくるべきで、あなた方がつくるべきではないと思う。それを今度法制化するかもしれないという考え方は、これは何かフアツシズムへの一歩前進のような姿が、きようの言葉に出て来ておるように感じておる。それをひとつお伺いしたいと思います。
○緒方国務大臣 ちよつと御質問の要点を捕捉できなかつたのでありますが、政府が何かこういう機構をつくる資格がないようなお話でありましたが、そういうことは全然考えられないと思います。
○下川委員 あとの質問がつかえておるようでありまするから、この辺でひとつあとの質問者にかわります。
○吉田(賢)委員 反民主主義活動対策協議会を政府は何ゆえ設置されるのであるか、目的についてまず伺つてみたいと思います。昨日公安調査庁の長官あるいはあなたの方の内閣の調査室の責任者、外務省の情報文化局長などのいろいろな説明を伺つておりますと、この協議会の対象をなすところの、主たる対象である共産主義勢力の、革命を目標とした思想的なる浸潤工作というようなものは、相当この面で調査されておるらしい。そこでさらにこれを内閣におきまして、新たに対策を立てるための協議会を設置する。これは一体どこに理由があるのだろうということをまず伺つてみたいと思います。
○緒方国務大臣 内閣調査室の目的は、今おあげになりましたのと少し違うのでありますが、公安調査庁において、共産党の活動を調べておることはその通りであります。その共産党の活動の結果、共産主義思想が蔓延する。あるいは浸潤工作がだんだんに行われて行く。それに対する対策をどうしたらいいかということを協議するのが、今回の協議会の目的であります。調査の方は公安調査庁でやつておりますので、この協議会の協議に当りまして、資料といたして取上げるものは、公安調査庁の資料がその一部分をなすと思いますが、対策はこの協議会において、随時きめて参りたいと考えております。
○吉田(賢)委員 しかしながら、内閣には閣議があるわけであります。今、構成を見てみますると、副総理が主幹となつて、その他法務大臣等々、大臣が列挙されてあります。あるいは公安調査庁長官も出ております。閣議があるわけですから、閣議できめればいいだろうと思うのです。これが対策というものを政府で重要であると考えるならば、なおさら閣議できめるのは当然だろう。閣議以外に、法律の根拠に基かないというよりも、法令によらざる事実上の機関を設置するというところに一つの問題があるわけです。なぜ一体閣議で十分になし得る仕事を、また閣議においてこそ、それは重大であればあるほど閣議の問題にしなければならぬ。それを閣議にあらざる事実上の機関を設置することは、どうも納得しにくい。その点いかがですか。
○緒方国務大臣 以前にも治安閣僚懇談会というものがありましたが、閣議に上しまして決定する前に、その準備といたしまして、協議会で相談をすることは、一向さしつかえないことであります。これは私、そうかた苦しく考える必要はないと存じます。
○吉田(賢)委員 しかしながら、かた苦しく考える必要はないとおつしやるが、相当内部の構成について、一つの文章をもつて規定もされ、さらにそこで検討したものが、法制化するかもしれぬというような予定もされておるわけであります。閣僚懇談会ならば、それは懇談会でいいと思います。週に二回も三回も閣僚はお寄りになつております。そこでものはできるわけです。閣僚懇談会ならば、毎日であろうと何であろうと適当におやりになればいい。そこに新たにこういう協議会を設置いたしまして、そうして相当な——将来これがどういうふうに発展するかはまだわからぬといたしましても、今論議されておるがごとくに、かなり危険な発展性もわれわれは想像するのでありますが、こういうものをつくらねばならぬという理由が、どうもはつきりとわからぬ。閣僚懇談会ならば懇談会でいいじやないか。協議会なら協議会でいいだろう。閣議はそれぞれ正規のものであろうと思います。従つて重要であればあるほど、正規の責任のある機関で決定するのが、私は政府のあり方だろうと思う。あなたの去る三十日における当初の御説明を読んでみると、かなり協議会の使命の重大性を考えておられるらしい。であればあるほど、その機関は、その存在は、私ははつきりとしておかなければならぬと思う。まあそれをわれわれが容認するかしないかは、これは別問題といたしまして、まずあなた方の構想の建前といたしまして、重要であればあるほど、はつきりしたものにしなくちやならぬ。しかしながらそれが法令に根拠を有しない一つの協議会にしておくというところに盲点もあるし、またこれがいろいろと将来国民が案じておるような方向へ発展するという可能性も、一層無責任のうちになし得るということすら考えられる。その点重ねて伺つておきたい。
○緒方国務大臣 今のお話を伺つておりますと、名前に少しこだわり過ぎておられるように考えております。従来の治安閣僚懇談会というようなものも、やはり今回の協議会と同じ形式で内閣においてきめまして、ほとんど同じ問題を協議しておつたと思います。これは私、政府に出て参る前のことでありまするけれども、その当時の記録を見まして、同じように考えるのです。非常に重大なことを議することはあるかもしれませんが、それを議しましても、外に向つての効果は、閣議の決定を経なければできないのでありまして、盲点とおつしやいますが、ここで協議をいたしましてきめることは、もちろん閣議によらなければきめられないことです。その点は決して御心配かけないつもりです。
○吉田(賢)委員 私は、やはり行政の建前といたしましては、内閣法によりまして、閣議は正規にあるし、また行政組織法によりまして、それぞれの組織形態は予定されておるのでありまするから、あなたの方で重要な事項を、あるいは協議し、対策を樹立するというのであればあるほど、やはり法律、命令によりまして、明確にその責任所在を明らかにして、あるいはまた予算もとつて、そして国会で明らかに論議をしてもらつて、国会の承認のもとに進んで行くという根本のあり方でなければならぬと思うのです。ところがこれはそうではなくして、いわば隠れた存在といいますか、無責任の存在といいますか、公でない決議といいますか、そういうことをなし得るようなものでありますので、一層われわれは、これに対して、性格なり、目的なり、存置の理由というものをはつきりさせなければならぬと思います。やはりこういうものが、極端に申しましたならば、濫設されますというと、これはもうまつたく内閣法も、行政組織法も、国の行政機構の根本原理を乱してしまうものになるだろうと思う。しかもこれも何ぼかの経費が必要なんでありましよう。伝うるところによれば、数千万円とか予定されるといわれておりますが、これはまあ、あなたは否定なさつているらしい。しかしこれは、たとえば中央調査社の成績が優秀であれば、それに調査を委嘱することもあるかもしれぬということから察してみると、内閣の調査室があちらこちらに調査を委嘱して、数千万円の金を、その謝礼とか、あるいは補助とか報酬とかいうふうに払つておるような実例に徴してみますと、相当な国の予算を食う機関になるかもしれないと思う。こういうような場合には、やはりこの本来の建前からいたしまして、正規に法令に準拠するものを、むしろこれは国会の論議にまつて生み出す。あるいは内閣の設置法などにもかんがみまして、これらの法律の改正等によつて設置する。何とかそういうふうにしなければなるまいと思うのであります。でないと、これは行政機構の根本を乱すところの一つのあり方ではないかということをおそれるのであります。これに対しての御所見を伺つておきます。
○緒方国務大臣 内閣の治安閣僚懇談会というようなものはお認めになつておるようでありますが、私、先ほどから繰返して申しまするように、今回の反民主主義活動対策協議会というものは、名前はかわつておりますけれども、実質において、またその内容において、従来の治安閣僚懇談会と違つていないのであります。それで、治安閣僚懇談会というものを閣議の予備機関として、非公式の機関としてお認めになつておると同じような意味においてお認めを得るはずだと考えております。
○吉田(賢)委員 もし治安閣僚懇談会というもので御相談になるならば、あらためてこういう麗々しく、もつたいらしい協議会を設置しなくても足りると思うのです。
○緒方国務大臣 懇談会という名前に少しこだわつておられるように考えますが、名前はかた苦しくつける場合もあります。これは一つの政治行動をねらうこともあろうと考えます。この点は、政府の自由であるように思うのであります。
○吉田(賢)委員 それから、どうもはつきりしないままに進みますが、あなたのねらつておられます協議会の対象につきまして、だんだん論議されておるのでありますが、いろいろ御説明を聞くと、結局は、左におきましては共産主義勢力の動きに対する対策を決定なさるのだし、また極右の暴力的な動きに対しましては、これはむしろ附加的なものらしくわれわれにはとれるのであります。もしそうであれば、一歩進めまして、あなたの方のお考えとして、はつきりと共産党対策とかあるいは共産主義活動に対する対策とかいう考え方を、もつと具体的にまとめるということが、あなたの方の立場としても大事であります。そうでないと、やはりだんだんと、民主主義とは何ぞやとか、従つて反民主主義とは何ぞやという概念におきましてすら多くの論議がされ、多種多様なる見解も行われておるような際でありますので、こういうような不明確な対象に対するいろいろな協議、対策の樹立ということは、これはやはり誤まれば意外な不祥事が善良な国民の上におつかぶさつて来るということはたやすく考えられる。なぜ率直に、今説明になるような、そういうものを対象にするということを、反民主主義というようなはつきりしない表現じやなしに、明確にそれを規定するという態度に出なかつたのか、その点はいかがです。
○緒方国務大臣 吉田委員の御心配は名前が誤解を生じやしないかということのようでありますが、名前のつけ方はいかようにも考えられるといたしまして、政府としては、今お述べになりましたような、反民主主義の名前のもとに、反政府的なものの取締りをやるというようなことは全然考えておりません。名前をどうつけるかということは、いろいろ考えようがあろうかと考えます。
○吉田(賢)委員 私の申しますのは、やはり名前の通りと申しましても、これは一つの文章といたしまして性格が現わされ、目的が明記されておるのでありますから、説明なさるその通りにはつきりとすることが、せめてもあなたの方の立場が明確になるのではないか、こういうようなあいまいな字句を使つてあるので、一層事端をしげくする危険がある、こう申し上げるのであります。だから表現の方法はどうでもいいというようなあなたのお考え方は、私は根本的に間違つておると思う。
○緒方国務大臣 名前によつて誤解を生ずるということをお述べになつておるのだと考えますが、政府が名前をつけて、政府が意図した以外のことを、名前によつて引きずられてやるというというようなことは絶対ありません。
○吉田(賢)委員 私は名前が云々というのでなしに、内容があなたの御説明によれば、それは共産主義勢力の浸潤に対する対策、あるいは暴力的右翼に対する対策だということが規定されるようでありますから、それをなぜ明確にしないかと、こう言つておるのです。だから協議会の名前を云々というだけじやないのであります。内容がそうなつておるし、当委員会における御説明がそうなつておるのであります。だからそれをなぜ端的にお表わしにならなかつたかと、こう聞いておるのであります。
○緒方国務大臣 それは先ほど申し上げましたように、ちよつとかわつた名前でありますが、政府ではこういう名前がいいと考えてつけておるのであります。
○吉田(賢)委員 それでは伺いますが、私は、あなたがこの協議会設置の理由としてお述べになつておる目的、そういつたものは、真にそうであるならば、国民の相当部分の共感を得るかもわからない。しかしながら、はたして一体あなたの政府におきまして、現政府において、そのような目的を達成するような対策を講じ得るのであるかどうか。これは非常に大事な点であろうと思うのであります。もつと端的に申しますならば、やはりほんとうに共産主義勢力のだんだん浸透して来ることをおそれるというのであれば、それは結局は政府みずから、また政府のなしております行政の実績に深い反省をする、こういつたところにほんとうにその対策があるのではないだろうか。そういうことを顧みることなくして、何か名を広げて、そうして文書を書いて、あちらこちらの調査をして、情報を集めて、それで対策が立つというようなことは、まつたく本末転倒でないか、もとはやはり政府みずからの現在のあり方というものにつきまして、深い反省をするということが、ほんとうの意味における共産主義勢力の浸潤に対する根本対策の一環であろうと考えるのであります。従つてそう見てみますと、たくさんにその反省の上なさねばならぬことが考えられますけれども、たとえて申せば、政府みずからにおきまして、役人の汚職事件を根絶するということがなければならぬ。政界の疑獄をまつたくなくするという努力がなくちやならぬ。あるいはまただんだん国会で論議されておりますが、国費がずいぶん濫費されておりますが、こういうことをまつたくなくするということに努力せにやいかぬ。あるいは国民の生活を安定するということに最善の努力をするということをせにやいかぬ。たとえばこういうような数個あげました——これは例にすぎませんけれども、やはり現内閣のみずからの施政に対する深い反省によつて生ずるべきものであろうと思うのであります。こういうことをほんとうに考えることなくして、共産主義勢力の浸透に対する対策というものはあり得るのか、いかがでありましようか。あなたの御所見を率直に聞いておきたい。
○緒方国務大臣 政府は日にく反省をいたしまして、国民生活をよくする上にただ及ばざることをおそれておるのであります。ただその間におきましても、共産主義の浸潤特に共産主義国の平和攻勢というものはきわめて明瞭な事実があるのでありますから、これに対する対策を協議することは、国民の福祉の上から当然のことであると考えております。
○吉田(賢)委員 政府は日に日に反省なさつておるということはまことに厚顔な御答弁であろうと私は思うのであります。最近の毎日の新聞の社会面をにぎわしておる事実は汚職であります。第十九国会及び閉会中国会をにぎわしましたことは疑獄であります。いずれも政府は重大な責任を負わねばならぬことごとであります。何ら事実におきまして改まつて行かぬのです。日日さらにそういう事件が繰返されて行くのであります。こういうような方面がほんとうに対策の根本であるということをお考えになつておるのであるかどうか。私は緒方さんという方については一種の親しみを持つて問うておるような気持も実はあるのです。といいまするのは、あなた自身はやはり相当高い良識と良心の強い人だと思いまするので、従つてこういうひどい世の中におきまして、政治のあり方がまつたく乱脈になつておる現在におきまして、また政界、政府がその渦中にあつて大きな責任を負わねばならぬような事態に直面いたしまして、あなた自身は相当良心的にも呵責にたえぬ、こういうようなお気持があろうとも思いながら聞いおるのです。日に日に反省するというようなことは、まつたくあつかましい言葉と申し上げねばならぬ。いかがでありましよう。ほんとうに大事な点はその一点に帰するのじやないか。その一点を無視いたしまして、反省することなくしてこういう汚職、疑獄を根絶する努力なくして、それで共産主義浸透への対策、そんなものは絶対にありません。いよいよはびこつて行きましよう。結局それは言葉をかえて言うならば、政府が共産主義勢力をはびこらしている。そういうような意味にも申し上げられると思うのであります。いかがでありましよう。重ねてお伺いいたします。
○緒方国務大臣 共産主義の蔓延、浸潤に対しまして一番力強いものが国民生活の改善、そのまた根底をなしまする政治の向上ということにありますことは仰せられるまでもないのであります。政府に対する御批判は御自由でありまするが、政府といたしまして国会の前に立つておりまする以上、反省なくしてやつて行けるものではないのであります。その点につきましては政府のできばえのいかんにかかわらず、反省しておる事実を申し上げるに何もはばかるところはございません。
○吉田(賢)委員 今の政府は、いろいろな事実に徴しまして最も反民主的な政治思想を持つておられるのじやないだろうか。ことに今はるすでありますけれどもあなたは代理だから申し上げまするが、吉田首相を中心としました政治思想、政治の考え方というものは、私はほんとうに民主主義的であるとは思いません。こういうような点からいたしまして、現内閣の持つておりまする政治思想なりあるいはその信念なり、また吉田首相によりまして代表されております幾多の反民主主義的な行動なり、そういうものからいたしますると、政府におきまして反民主主義的なる活動に対する対策を講じるということは不可能である、こういうふうにも考えておるのであります。もつともこれはあなたの口をかりて言うならば政府の批評は自由である、政府は日日反省しておるのであるというような言い方になさるかしりませんけれども、やはりこの種の問題に対しましては、現にみずからの思想のあり方、みずからの政府といたしましてなして来たあとというようなものにつきましては、はたしてそういう対策を講ずるところの資格があるかどうかということについて、これまた私は深く検討をしておかねばならぬと思うのであります。たとえば、例をあげて申しまするならば、今の政府の政治のやり方を見ると、これは国会よりも行政府が上位にあるような考え方、行政府が上位にあつて行政中心のような思想がみなぎつておると思う。これは幾多の証拠があります。多くこれは論ずるまでもなく、最近の例によつて申しましても、第一総理大臣といたしまして国会を軽視しておるということは、これは国会内における常識じやないか、これをそうでないというのは自由党の一部だけじやないかと思う。また一般に良識のある言論報道機関等の紙上によつて見ましても、国会軽視の思想、行政中心のものの考え方、こういつたことはおよそ反デモクラシー的なる考え方であろうと思うのであります。こういうようなところにむしろいろいろみずからの対策を講ずる必要があるんじやないか、外を取締る、縛る対策を立てるんじやなしに、内のみずからに対しまして何らか対策をとらねばならぬのじやないだろうか、こういうふうに思うのであります。これはまた批評は自由なりという御説明だけで逃げなさるかしりませんけれども、ほんとうに国会を尊重するというところに私は新しい民主主義の政治へのあり方があろうと思うのです。行政中心的なる考え方が濃厚な現内閣といたしましては、その点はまつたくこの種の対策をとるにはふさわしくない性格を持つておると思うのです。こういう点につきましてひとつあなたの御所見を伺つておきたい。
○緒方国務大臣 政府は行政中心に考えておるのではないか、あるいは行政が国会に優位するように思つているんじやないかという御質疑でありまするが、行政が国会に優位しておるというようなふうには決して考えておりません。おりませんが、今日の議院内閣制におきましては、議会から選び出されました内閣が一応行政につきましては全権を委任されておる。内閣は国会の批判にこたえながら信ずるところの政策を行つて行く、これは今日の議院内閣制においては当然のことであろうと考えまして、憲法において許されました範囲内において、政府としては信念に基いて政策を遂行いたしておるのでありまして、決して特に行政が国会に優位しておるとか、あるいは行政中心に考えておるというようなことを考えておるのではないし、またそういう行政中心に考えるというようなことがこの議院民主制のもとにおいてできることではないと考えております。
○吉田(賢)委員 もしほんとうに政治の形といたしましてのデモクラテイツクの遵奉者であるとしまするならば、やはり書のいかんはいろいろ批評もあることでありまするけれども、国会を尊重するという考え方におきましてもつとすなおでなきやならぬと思う。しかしながら先般来のできごとを通じて見ましても、たとえば一、二の例をあげますれば、やかましく言われましたいわゆる造船中心の疑獄の問題につきましても、政府といたしまして国会への報告がまことにやぶさかであります。あるいはまた決算委員会を通じて考えてみましても、総理大臣が国会に出席することを拒否いたしておる。あるいは外務委員会等におきましても、外遊の目的の説明などをしない。こういうような二、三の例を考えてみましても、やはりほんとうに国会を尊重して、全国民の代表である国会に対して行政の府は説明もし、報告もし、答弁もし、あるいは出席もする、こういうような謙虚な姿がなければならぬと私は思う。親戚縁者と会合しても国会へ出る時間がないというような総理大臣の物の考え方というものは、まつたく民主主義的ではないと思うのです。そこでそういうような考え方というのは、やはり行政の総理大臣が議会よりも優位という考え方が潜在しておるのでなければそう出て来ません。必ずそうだろうと思う。これがいろいろな場面に出て来るのであります。それは危険であります。そこでそういうようになつ参りますと、これは少し極言いたしましたならば、独裁政治の考え方に連なつて行きます。内閣において反民主主義活動対策の名によりまして、思想とか言論とか出版とか、そういういろいろなものに対してさらに手を伸ばして対策を立てて行く一方におきまして、行政優位の考え方が潜在しておる。国会軽視の事実はまぎれもなく繰返されておる。そして国家の警察権を掌握しておる。軍隊を持つておる。財政経済の力を持つておる。行政の権力でこれらを駆使して行くというところに、ここに多くの委員が質疑し心配しておりますように、この協議会の将来というものはどう発展するかわからぬ。それは言論の自由を封殺するような一種の暗黒面を露呈するような場合が来るかもわからぬということすら私ども考えるのであります。もしこれがほんとうに議会を尊重し、議会政治というものを尊重するところに政治のデモクラシーが完成するのだという考え方がすなおに行われておりましたなら、そういう杞憂はよほど薄らぐ。だけれども、そうでないことが日々繰返されて、やはりわれわれの目の前に見えておるのであります。だからこういうふうに私どもは推論せざるを得ないのであります。緒方副総理の御所見を伺います。
○緒方国務大臣 私ども政府の中におる者から考えますと、この対策協議会というものは、むしろ新聞なり国会なりで大きく取上げられ過ぎておるという感しかないのでありまして、本来これは政府の中の、一口に言えば懇談会式な機構でありまして、これによつて随時懇談的に対策を協議して参ろう。これが実際に発動いたします前には、もちろん閣議の決定を要しますし、問題によつては法律行為によらなければならないことでありまして、その予備的な対策の懇談をすることは、これは政府として当然にあり得ることであるし、また国会がこれほど大きくお取上げになるほどの稀有の問題ではないのであります。さように考えております。また今の政府のような態度では独裁的な権力を振わぬとも限らない、そういう意味においてこの対策協議会の今後の活動に対して非常な杞憂を持たざるを得ないという意味のお話でありますが、これは政府側から見れば、今日の国会の動向を無視してそういう独裁的なことができるものでは絶対にない。これは決して御心配に及ばないと存じます。
○吉田(賢)委員 新聞が大きく伝え過ぎているとか、国会が少し騒ぎ過ぎているというような先入主のあるお言葉でありますが、しかしものは事によります。この種の一種の思想取締りの情報機関の一つの中心部をあらためて閣内に設けて、副総理以下大臣が並んで、官房においていろいろ事務をとるというようなものを設置することは、これは新しい思想警察へ発展するという可能性が十分にあるのです。御承知の通り日本におきましては、たとえば特高警察の濫觴を見ましても、幸徳事件に端を発したのでありますし、また幾多のその後の事件によりまして、その都度漸次特高警察が充実、拡大いたしまして、戦後顧みましてこれらに対するきつい批判がありましたことは、あなたにも御承知の通りであります。あなた自身も朝日新聞在社の当時に二・二六事件で中野中尉一派の乱入におあいになつて、これと応接をして危機を免れたことがあつたというようなことも伝えられているというように、この種の問題の扱いにつきましては、まあ今は何でもないものだ、地からたけのこの頭をちよつと出しているくらいだから心配しなくても、騒がなくてもいい、騒ぎ過ぎる方がおかしいじやないかというような考え方が、私は間違つていると思うのです。やはりこれは一つの武器なんです。ほんとうに大きな武器なんです。かつての被害者として下川君もだんだんと御質問になつおりましたが、これは思想取締りの武器になるのであります。そういうようなものは萌芽の間に、芽を吹いたときに、芽を吹かんとしたときに、協議会時代にやはり厳重な検討を加えて、いかないものならばそれはつんでしまう。こういうようなことにしておかなければ、あなたはりつぱな人でありますからそういうことをなさりますまい。しかしながら緒方副総理という人が、何も永久にその地位にいるわけじやない。どういうような間違つた人が来るかもわからぬ。気違いと申すと失礼だけれども、気違いに刃物という言葉もある。刃物なんです。武器なんです。思想の武器なんです。取締りの武器なんです。その武器のセンターが新たにつくられようというような、こういう問題でありますので、萌芽のときにうんと批判するということは、これは当然なんです。発展の仕方によりましては、ほんとうに言論界暗黒時代が来るのであります。言論界暗黒時代ということは、明治初年以来数十年の歴史を持つておりますこと、幾多の怨惨な犠牲者が日本に出ましたこと、これは私が申し上げるまでもなく、長い間言論界におられたあなたが十分御承知の通りです。あなたは中野正剛君のいろいろ伝記のようなものをお書きになつて、実に切々とつつづておられる一文も、私はあらためて読み直してみたが、やはりこの思想の圧迫を受けて一命を落しているというような怨惨な事実が、明治から昭和の今日までそれは無数にある。そしてその一役を買つたのがこの種の思想取締りの機関なんです。重要な一役を買つて来た。この委員会に列している諸君におきましても、その下役を買うた人もいるのです。こう考えて来るときに、私どもが萌芽時代に厳重に論議するということはこれは当然なんです。だから私は言わぬことはないのです。内閣におきまして、この協議会を設置するということは容認できないのです。閣僚懇談会なら閣僚懇談会でよろしい。もつたいらしくいろいろな内容をきめまして協議会を設置するということは、いらざることだと思う。むしろ廃止するにしくはない。おやめなさいと勧告したい。そしてもつとほんとうに顧みて、政府自身何をなすべきか、そして外に対してどうするかということを考え直さなければかぬと思う。もう一ぺん考え直してほしい。廃止してほしい。廃止することをお勧めしたいのですが、いかがです。
○緒方国務大臣 この協議会を発展さして、今お述べになつたような特高警察のようなものにするという考えは毛頭ありませんが、今日共産主義が平和攻勢の名のもとに非常に手の込んだ——私どもも十分にすべてを知つておるわけではないのでありますけれども、非常に手の込んだ浸潤工作をやつておることはこれお認めになると思います。それに対して治安をあずかつております。政府が何か起つた場合に出たとこ勝負で対策をするということはできないのであります。従いましてそれに対してあらかじめ対策を考えるということは当然のことであろうと考えます。それをやつておるだけでありまして、これが閣僚懇談会という名前ではなく、多少かみしもをつけたような名前になつておりますけれども、内容におきましては私が繰返し申しておる通りでありまして、決して今御心配になつたように、これを将来特高警察あるいは秘密警察に発展させるというような考えは毛頭ありません。
○吉田(賢)委員 しかしながらこれも繰返すようでありますけれども、現に公安調査庁は厳として存在する。十分に調査しておるのであります。行き過ぎるくらいやつておる。横の連絡機関も十分にある。だから閣僚懇談会ならば何もこうもつたいらしくする必要はないのです。ちつともこういうものを設置する理由はないので、やはりこれをしましたならば、結局将来は何ぼかまとめて予算をおとりになるのでしよう。全然予算もなしにこれをおやりになるつもりはないのでしよう。その点いかがですか、ちよつと聞いておきます。
○緒方国務大臣 この会場につきまして多少の費用はかかるかもしれませんが、先ほどお述べになりましたような何千万というような予算をとる考えは全然ございません。
○吉田(賢)委員 何千万の費用をとることは全然ないとおつしやるけれども、しかしながらあたながだんだんお述べになつておりますごとくに、共産主義勢力の思想浸潤その他の工作が重大であるというふうにお思いになつておる限りは、仕事の分野は私は限定されておらぬと思います。調査の委嘱もあろう、人間の派遣もあろう、あるいはまた何とか委員会の設置もあろう、いろんなことが私はなされなければならぬと思う。なぜならば非常に重大な目的を持つておるという御説明なんでありますから、それならば全然予算もなしにやるものとは考えられません。現に内閣の調査室だけでも、過日の説明によりますと、九千万円ばかり使つております。いずれもやはり数千万円というものを使つておるのであります。またはしたな金で今日はものはできますまい。そう考えますとあなたの方で簡単に今はおつしやつておりますけれども、これは限界がはつきりしないでだんだん広がつて行くべき性格のものであるから、それに伴うべき予算措置というものは将来は考えられて行くと思います。そういうことになつて行くと逐次充実し、逐次形態は固まつて行き、やがて法制化するということはこれは目に見えるようであります。あなたは、そう考えてなくてもいい、ほんの閣僚懇談会を少しもつたいらしく名前をつけたんだというふうに今逃げていらつしやるけれども、それはあなたがおやりになれば、ほかの人はそうはとりません。りつぱにこういうような第一条から第八条まで項目をきめて、その所管の責任者まではつきりして、内閣の総理大臣の官房において庶務を処理するというようなことまではつきりと書かれておるのでありますから、人件費にしろ、物件費にしろ、その他の運営についても相当な経費も逐次織り込んで行くものであると思う。だからそういうようなことを意図するのはおやめになつたらどうかということです。私の今伺いますのは、結論的に申しましたならば、どうもあなたの方の考え方のよしあしはさることながら、あなたの方自身としましても、少し一夜づけで考えられた形跡がある。そうでなければ、たとえばこの間内閣調査室の責任者が来ましての答弁には、全然相談も受けておらなんだということであります。つまり知らぬということであります。調査室というものは内閣の内部におけるこの種の調査の重要な機関であるとわれわれは考えておる。しかしその方は相談も受けておらぬ。下僚だからそんなものに相談する必要がないというのかもしれません。しかしそれはそうは行きますまい。従つてそういうわけでありますので、一種の調査機関というものはやがてはこれらを併合して行くようなものがさらに別に生れて来るか、あるいは充実し、発展して、次第に予算も人間もふやして行くということになるか、そういうことはたやすく考えられますので、この際ひとつ熟しないものとして、熟しないものはおやめなさい、また危険があると一般に非難されるものはやめておきなさい。またあるいは別の角度からみずから反省をしてみずから施政をあらためて、みずからほんとうの対策なるものは内にあるという考え方もござるのだから、重大であればあるほどそういうふうな考え方におちつかれて、むしろこの際とりやめてはいかんということを最後にお勧め申し上げたいのであります。これに対するお考えをひとつはつきりと伺いまして私の質問を終ります。
○緒方国務大臣 どうもこの協議会に対する一つの誤解がおありになるようでありますが、共産党の活動に対する調査の機関といたしましては、公安調査庁あるいは外務省の情報文化局でも扱いましようし、内閣の調査室でも扱いましようし、それぞれすでに備わつておるのでありまして、その活動の現われに対してどういう対策を講ずべきかということを閣僚懇談会的に協議をして行くもので、これに金のかけようは実はないのであります。それは何らかの会合を催せばそのときの費用はいるかもしれませんが、大きな金をかけるということはかけ方もありませんし、考えてもおりません。内閣官房にその事務室を置くということは、こういう多少とも臨時的ではあつても、何回か続く会合をいたす場合には、どこかその事務を取扱うところが当然必要なのでありまして、私はやはり内閣の審議室か何かで扱うものだと考えますけれども、これは今お述べになりましたような形において、将来大きな機構にしようということは少しも考えておりません。
○吉田(賢)委員 私は誤解はいたしておりません。あなたの九月三十日の当委員会における御説明も答弁も全部熟読いたしました。他の外務省あるいは調査室、公安調査庁長官のいろいろな御説明も全部聞きました。いろいろな角度から検討いたしておりますので、誤解はしておりません。あなたの御説明によりますと、いよいよ存在の理由はうなずけません。むしろ閣議があるのだから、閣議できめればいい。閣議ならば公然と責任を持つたものでありますから、閣議できめればいい。なぜ一体閣議があるのに、こんなものを置かなければならぬか、そうしてさらにこの中に農林大臣が入り労働大臣なども入つておるが、閣議ならば通産大臣も入ります。大蔵大臣も入ります。総理以下全部入るわけです。閣議ならば、それこそほんとうの責任のある権威のある御相談ができるのであります。閣議のほかにこんなものを置く、その必要を認めるべき理由は、あなたの御説明によつては納得できぬのです。この点はどうですか。
○緒方国務大臣 閣議におきましては、一つの問題を集約的にしかも継続的に相談をして行くことが、なかなか事実困難でありますので、この閣僚懇談会的のものを開きましてこれに特殊の性格を持たせて参りたいと考えております。これが閣議と重複する点は少しもございません。閣議の予備的な機構になると思います。
○稻村委員長 大久保武君。
○大久保委員 私は共産主義活動というものは、その理論体系の上から申しましても、大なり小なり必ず国際的な背景があると言わなければならないと思います。一国の共産主義ということが言われましても、これは必ず国際的な裏づけを持つておることは当然であります。この点につきまして、私は日本における共産主義活動も、共産主義団体も、必ずこれは国際的な共産主義活動の指令を受け、その背景を持つて動いておるものと断定しなければならぬと思います。この点につきまして、緒方副総理あるいは公安調査庁長官の御答弁を承りたいと思います。
○緒方国務大臣 共産主義の活動は、お述べになりましたように国境がない、国際的な活動をしておることは申すまでもないと考えます。特に一九五二年にスターリンが死にまする前の年に、モスクワで共産党大会を開きました。先ほども述べたのでありますけれども、共産党の戦術が一応行き詰まつた。そこで資本主義と共産主義とが両立し得るという見解を一応立てまして、スターリンとマレンコフとが相並んでこの考え方を展開いたし、それから以後、いわゆる共産主義国の平和攻勢というものが展開されて参つたものと私は思つております。その結果が、今日の各国内における共産主義者の活動になつておる。これは後ほど公安調査庁長官から申し述べまするが、各資本主義国内における歴然たる運動であることは、今日ほとんど常識になつておるのでございます。
○藤井説明員 お答え申し上げます。今日各国の共産党がソ連中心主義に動いておるといいますか、ソ連から指導を受けて、あるいは中共から、ことに日本はある程度の具体的な指導を受けておるということは、間違いのないことと思います。
○大久保委員 共産主義活動が国際的な指令を受けておつて、しかもこの間藤井長官のお話によりますと、共産党は公然たる党内に軍事委員会を持つておる、中核自衛隊を中心として軍事活動の組織化をやつておる、しかもこの軍事活動は階級防衛をいたして行くのだ、すなわち、社会革命を守つて行くのだ、こういう意味にとれたのであります。はたしてしからば軍事委員会をつくつて、一つの軍事組織を持つて軍事訓練をしてその隊員を整備し、しかも球根栽培法というパンフレットをつくつて軍事訓練を強化し、あるいはビタミンのつくり方というパンフレットを出して火薬のつくり方を訓練する、そういつたようなきわめて強力な組織的な軍事活動というものは、日本の社会革命を起し、日本の政府を転覆する、これは重大なる内乱の予備である、こういうふうにも考えられますが、この間御説明になりましたこの活動の現状からいたしまして、破防法をいかに御適用になるお考えでありますか。藤井長官にお聞きしたい。
○藤井説明員 現在破壊活動防止法に基きまして、暴力主義的破壊活動をなす疑惑のある団体を調査しております。その一つは日本共産党であります。今大久保委員がお述べになりましたようなある種の軍事方針に基いて共産党は動いておりますが、これに対していかなる処置をとるかということは、結局どういう規制処分をとるかということになるでございましようが、それはまだただちにここで申し上げることは差控えたいと思います。
○大久保委員 朝鮮の北鮮共産党を中心とした祖防隊は朝鮮における社会革命を行い、北鮮の共産主義国の独立を達成しますためには、日本において共産革命を実行した方が早道である、すなわち日本における共産革命を実現して政府を転覆する、社会組織をひつくり返す、こういうことで共産党中核自衛隊の同盟国として日本において活動しておる、こういうことであります。しからば外国のある種の軍事組織と日本のある種の軍事組織とが日本において同盟組織を形成して、黙々として——口でいかに平和闘争を言おうとも、いかに民主主義活動を言おうとも、その内面においては共産主義のデーゼによつて、その方針である社会革命の時期をねらつて、いまだ適当でないと思うならば延ばすだけの話である。その時期をねらつて黙々として準備をしておることは当然であります。しからばこの破防法によつても今はつきり取締りの対象になるかならぬかわからないという御答弁でありますが、こういう活動に対しまして緒方副総理は、今後破防法を御改正になりますか。いかなる法的措置をもつてこれに対処されますか。御方針を承りたいと思います。
○緒方国務大臣 そういうふうな共産党の活動について、今日の法律で十分でないものがあるかもしれません。そういう点につきましては十分検討いたしまして、法律の改正を要するものがあれば改正したいと考えております。
○大久保委員 次にラストボロフ事件に関連いたしまして、神戸のやみドル事件がロシヤのスパイ事件に関係があつたと言われる。このスパイ活動の資金、共産主義活動の資金はいかなる方面から流れて来たか。私の持つておる情報からいたしますならば、あるソ連船舶の日本のドックにおける修理に関連いたしまして、その監督官によつてある種の資金が動いたという情報もあります。私はこういう日本の組織を転覆し、日本において共産革命を実現しようとするこういう資金、あるいは日本の国家を転覆することを目的としてするスパイ事件、こういうものに対する資金綱について、公安調査庁長官がつかんでおるかどうか。この点をお聞きしたいと思います。
○藤井説明員 今お尋ねのような点について調査はしております。しかし具体的にここで申し上げ得る確たる事項はまだございません。ただ情報程度のことならあります。
○大久保委員 密航者の密航のルートを通じてのあるいは麻薬による資金の確保、ヘロインを持つて来ますならば、タバコカン一カンくらいで数百万円であります。この一つの密輸、密入出国に関連した資金ルートの捕捉がきわめて困難であります。一つの官庁に密輸事件、密入国事件の最終的な拠点をつかめと申しましても、これは容易に実行できません。日本の国の組織を守るためには、日本の政府のかなり多くの官庁が真に平素から緊密な情報の交換と連絡をして行かなければ、私は完全な目的は達成できないと思う。こういう点に関連いたしまして、上の方だけは大きな方々の集まりができるようでありますが、平素そういう連絡において遺憾なきを期しておられますかどうか。この点を藤井長官に伺いたい。
○藤井説明員 今お尋ねのようなことについてはわれわれ日ごろから非常な関心を持ちまして調査しておるのであります。しかしながら、わが庁を中心として申しますれば、十分人の整備ができない。従つてたとえば海外に駐在官を置きたいと思いますが、これが置けないのであります。しかしながら、現在の人と予算のもとにおきまして最善の努力は払つております。しこうして、関係官庁と密接な連絡をとつております。
○大久保委員 私が先ほど申し上げましたような、あるいは御答弁のありましたような共産主義活動を前提といたしまして、これらの共産主義者が政府の公務員となつておる、あるいは自衛隊の隊員であるといつた場合に、これを排除することができるかどうか、現在におきましてはきわめてこれが不鮮明であります。緒方副総理は、外国の一つの組織と提携して、その指令のもとに日本国家組織を暴力革命によつて転覆しよう、こういう一つの思想と行動を実践しようとする主義者が公務員となつておるときにはどうされるか、自衛隊員となつておるときにどうされるか、この点につきましての御見解を承りたいと思います。
○緒方国務大臣 その進退に及ぶまでの事実をつかみますことはそう容易でないと思いますが、それが明白になりました場合には、それぞれの処分の方法があると考えるのであります。
○大久保委員 私は現在の公務員法をもつてしましてはきわめてこの排除の方法は困難と言わなければならぬと思う。しかもこの活動というものは、先ほどお話がありましたように毎日々々潜入の工作が行われておる。私は適当なときに公務員法を改正し、自衛隊法を改正することは当然であり、少くとも日本を暴力革命によつて転覆しようとする主義者が政府機関にいるということは好ましくないと思つております。この点の改正については将来ぜひとも御実行を願いたいと考えております。 最後に、今度の協議会は反民主主義という名前によつて構成されております。民主主義は、共産党もその行動方針の中に民主主義の擁護ということを言つております。民主主義と申しますときわめて不鮮明であります。先ほどから言論を抑圧するという質問がございますが、この協議会のねらいは言論の抑圧をするものでない、日本の国家を転覆し、この組織を破壊しようとする運動に対してねらうべきものではなかろうかと私は考えております。むしろこの協議会の名称は反日本とか反国家とかいう意味ではなかろうかと考えますが、私はこの点についての緒方副総理の御見解を伺いたいと思います。
○緒方国務大臣 名称のつけ方としましては今お述べになりましたような名称も一つの名前であると考えます。意味におきましては同一の意味で考えております。
○稻村委員長 高瀬傳君。
○高瀬委員 先ほど来緒方副総理がいろいろ反民主主義活動対策協議会について説明されました。それによります。と、その内容が内閣における事実上の機関であつて、一種の懇談会式のものである、しかもこの懇談会においていろいろ対策を協議するのだ、出たとこ勝負ではだめだから、あらかじめ対策を協議するのだという御説明であります。しかしながら、今までの間に私どもが伺つて感じましたことは、この反民主主義活動対策協議会においていわゆる反民主主義活動というものに対する認定の範囲がきわめてあいまいであるという点、それからそのときどきで、政府の見解によつて主観的に反民主主義という問題が解決されるおそれがある。ですからこの懇談会を存続して、いわゆる反民主主義活動対策協議会の名において続けてこの懇談会をやつて行かれますと、場合によつては反民主主義活動対策協議会そのものが反民主主義的活動に陥るおそれが非常にあると思うのです。ですから漠然とこういうふうな協議会を持つて、政府が何ら具体的対策を立てずに閣僚懇談会式の協議会でやつておるのでは、はなはだ私は心もとないと思う。もちろんこういう協議会を置くということは政府の自由でありますが、国家国民に与える影響あるいは感じというものは非常におかしい。しかも日本が国会を中心にして民主主義的に国を立てて行く、民主主義の立場に立つて世界の平和に貢献しようという根本方針がはつきりしておるのに、政府は反民主主義活動についてこれから調査をして対策を立てるなどということは、私どもはどうしてもまじめに聞けない。もし真に政府が共産主義あるいは極右の暴力行為、いわゆる全体主義的な思想に対してまじめに日本再建の角度からこれらの問題に取組んでおるならば、単なる懇談会式のものを長く続けておつたのでは、非常に世の中の疑惑を招き、思想の混乱を招き、世道人心に及ぼす影響は非常に大きいと私は思う。ですからこの協議会を大して役には立たぬと思いますが政府自身の責任と創意で置くということならば、置かれることは御随意でありましようが、一方政府が日本の立場から共産主義に対する具体的な対策を当然これと並行して立てて行かなければ意味がない。今ごろになつてそれを協議するとか、あるいはもしたいへんなことになればいかぬからここで懇談をしてだんだんと対策を立てるのだなどというなまぬるいことでは、私どもは納得できないのです。従つてこの協議会の形で共産党対策を政府が続行して行く限り、非常にその対象とするところの範囲もあいまいであるし、また政府自体の考えによつていかようにでも、その反民主主義という定義ができるわけでありますから、従つて思想とか言論とか出版などというものに対して、知らずしらずの間に、政府が考えなくとも圧迫するようなことになる。ですから、私はこの際政府は一刻もすみやかに、こんな懇談会のみにとらわれずに、具体的な対策を行う必要がある。その具体的対策として私はここで二、三伺つておきたいのですが、単なる結果から見てそれを取締るというようなことでは、共産主義に対する政府の対策としては非常に手ぬるい、私はそう思うのです。そこではつきりと緒方副総理に伺いたいのは、現在の憲法の趣旨から言えば、共産党を非合法化することはあるいはできないと思う。しかしながら政府として、最も近い将来において、具体的対策を立てて、共産党を非合法化する。最近アメリカの政府では上院の会議を通して共産党を非合法化したということでありますが、政府としていわゆる民主主義国家群の一員として、それほど共産主義のことを御心配になるならば、具体的に共産党に対する対策、これを非合法化する、あるいはもしそれが現在の憲法の範囲内ではできない、憲法を改正しなければできないというならば、憲法を改正する、あるいは憲法の範囲内において、この共産主義に対して対策を立てて、ある一定の組織の中における指導者は、共産主義者を入れないという立法をするとか、そういう具体的対策を示さずに、ただこういうものを政府の中に置いて、対策を講ずるのだと言つておつたのでは、これはやはりいろいろ国民の疑惑を招くのは当然だと思うのです。従つて私は二点伺いたいの、一体政府は憲法を改正しても、この日本立国の精神にのつとつて共産主義を非合法化する意思が、最も近い将来においてあるのかどうか。それから、もし憲法の範囲内において、ある一定の法律をつくつて、そうしてある一つの組織の中では、共産主義者は排除する、こういう考えがあるかどうか、この二つの点を私は伺つておきたい。すなわち起きた結果をもつて、かれこれ対策を講ずるのではなくて、いわゆる反民主主義の根源をつく意思があるかどうか、これを緒方副総理に伺つておきたいと思う。
○緒方国務大臣 政府としましては、共産党を非合法化する意味におきまして、最近において憲法を改正しようとする考えは持つておりません。同時に、かりに憲法を改正いたしまして、共産党を非合法化しましても、今日の共産主義者の平和攻勢、その思想侵略、あるいは思想的の浸潤工作というようなものは防ぎ得ないのでございます。きわめて巧妙な隠れた運動がありまするだけに、対策協議会のようなものの必要を感じておるのでありまして、今非合法化するしないにかかわらず、政府として対策を急いでおるゆえん、はそこにあるのでございます。 もうつの御質問は……。
○高瀬委員 憲法の範囲内において、ある一定の共産党の活動に従事している人を、法律をもつて排除する意思があるかどうか。
○緒方国務大臣 ちよつと御質問のケースが想像できませんが、そういう法律を今考えておる事実はありません。
○竹谷委員 昭和二十九年九月十五日閣議決定に基く反民主主義活動対策協議会設置についてという、これの第二項によれば「協議会は、法令に基く機関でなく、閣議決定に基く事実上の機関とする。」こうありまするが、かような行政部内の機関を法令に基かないで、閣議決定だけでかつてにむやみたたらにつくつてよろしいと副総理は考えるかどうか、御見解を承りたい。
○緒方国務大臣 これは従来もたびたび例のあることでありまして、政府としてはさしつかえないと考えております。
○竹谷委員 法令に基かないで、閣議決定で行政組織法に違反をして、諸種の機関を設けるということになると、これは重大な問題ではないかと私は思う。従来閣議決定でいろいろなものをつくつているとおつしやいますけれども、このような重要な任務にあずかると副総理が考えられる仕事を、単に事実上の機関だと言つて逃げまわつているようでは、これはとんでもない。極端に言うと脱法行為だ。そういう行政機関ではないか。この意味合いにおいて私はこれに反対せざるを得ない。かような事実上の機関をつくるということはもつてのほかであつて、もし事実上閣僚間で相談をしたいのであれば、従来やつておる閣僚懇談会でやればよろしい、こう考えるのでありますが、もう一度副総理のお考えをただしておきたい。
○緒方国務大臣 行政組織法で予想しておりますのは、行政機関の一単位をなすものでありますが、今問題になつております協議会は、ただ閣内の閣僚懇談会というようなもので、これは行政組織法に少しもさわりはない、さように考えております。
○稻村委員長 これにて質疑は終了いたしました。 なお反民主主義活動対策協議会について調査を続行いたしますので、緒方副総理におかれましても十五分ばかりお待ち願いたいと存じます。 この際十五分休憩いたします。 午後三時八分休憩 ————◇————— 午後三時三十七分開議
○稻村委員長 休憩前に引続き、これより会議を開きます。 高瀬君。
○高瀬委員 私は改進党を代表いたしましてただいま議題になつておりまするところの反民主主義活動対策協議会設置に関しまして政府に対し警告決議案を提出いたしたいと存ずる次第でございます。以下その案文を朗読いたします。 反民主主義活動対策協議会設置に関する警告決議案 政府は閣議をもつて反民主主義活動対策協議会を設置することを決定したが、反民主主義の名にかくれて思想、言論、出版等基本的人権を侵害することなきよう厳重警告する。特に将来この機構を法制化することに反対する。 右決議する。
○稻村委員長 ただいま高瀬君より反民主主義活動対策協議会設置に関する警告決議案が提出されました。右決議案を議題といたします。決議案につき提案の趣旨説明を願います。高瀬傳君。
○高瀬委員 ただいま提出いたしました政府に対する警告決議案につきまして趣旨弁明をいたします。 数次の本委員会においてこの反民主主義活動対策協議会の設置の問題につきまして質疑応答がかわされ、緒方副総理より政府の意のあるところを説明いたされました。もちろんわが改進党は、共産主義に対しましては、わが国の立国の精神より見まして、また世界における民主主義陣営の一員としての立場よりいたしまして、共産主義対策に対して具体的施策を政府に強く要望し、またわれわれはこの実現の一刻もすみやかならんことを希望しておりますが、数次の本委員会における政府の説明によりますと、非常にその反民主主義活動の認定の範囲があいまいであり、またそのときの政府の主観的解釈によりましては、いかようにでも反民主主義活動の範囲が解釈いたされますので、私どもといたしましてはこの単なる政府の懇談会的協議会に対しましては、反民主主義活動に対して、具体的にしかも有効なる対策を具現いたしますことはとうてい不可能と考える次第であります。なお政府が具体的対策を立てずに、この反民主主義活動対策協議会の名においてその方策を考究するにおきましては、将来時期的に見ましても必ずやその反民主主義の名に隠れまして、思想、言論、出版等のいわゆる国民の基本的人権を侵害することなきを保証できないのであります。(拍手)従いましてわれわれはこの政府の曖昧模糊たる反民主主義活動に対する対策に対しましては、遺憾ながらその設置につきまして政府に警告をいたさざるを得ない次第であります。(拍手)従いまして政府はこの反民主主義活動対策協議会の設置にあたりましては、十分先ほどの決議案の趣旨において述べました通り、思想、言論、出版等の基本的人権を侵害せざるようその運営にあたりまして十分なる注意をいたされんことを要望いたし、またこの機構の法制化に対しましても、これに反対いたす次第であります。なおわれわれは改進党の立場よりいたしまして、共産党に対する活動に対しましては、一刻もすみやかに具体的方策を十分立てられまして、もつてわが国の真に世界の平和愛好国民としての立場を強化いたし、世界の平和に貢献するように切に要望する次第であります。(拍手)
○稻村委員長 これにて趣旨説明を終ります。 これより討論を行います。山本正一君。
○山本(正)委員 私は自由党を代表いたしまして、ただいま提案になりました決議案に反対の趣旨をごく簡潔に表明いたしたいと思うものであります。(拍手) 第一は、政府がこの反民主主義活動対策協議会を設けること自体は、国会が政府に信託した行政行為の一部でございまして、そのこと自体何ら問題はない次第と考えるのであります。事柄は、この協議会の運用にあたりまして基本的人権を侵害するおそれがないであろうかということが考慮の対象になつておるのでございます。もとよりこの思想、言論、出版等の基本的人権を尊重するということは当然のことでありまして、現にこの協議会設置及び運営の事柄につきましても、政府の緒方副総理はそのことのなきよう、しかもそのおそれのなきことをるる繰返し明瞭に表明されておるのでございまして、われわれはこれは政府に信託して十分意を安んじてよかろうと思うのであります。 さらに進んでこの決議案の必要ならざる、あるいはまたややもすれば世間に有害なる印象を与えるであろうと思われる点を申しますと、この決議案があるとないということによりまして、政府が基本的人権を尊重するということの態度にかわりがあろうはずはないのであります。むしろこの決議案があることによりまして、世間にはややもすればこの決議案の底流にひそむ一つの考え方というものが、政府が国家をあげて憂慮しておるところの反民主主議活動に適当なる対策を立てる、それに何らかの牽制を加えるものではなかろうかというおそれすらあると思うのであります。(拍手) さらにそういう事態から推して、その先を考えますると、現に非常に軍事的なる訓練、組織を持ちまして、非常に危険なる様相を呈しておりまする反民主義活動というものにますます拍車を加え、影響を与えるおそれすらもわれわれはおそれなければならない。これらの意味からいたしまして、この決議案というものは当然のことを国会機関がここに表明することにおいて無用のものであり、またただいま申し上げました趣旨からいたしまして、間違うとむしろ有害の結果をもたらすであろうことをおそれますがゆえに、自由党といたしましてはこの決議案に反対をいたすのであります。
○稻村委員長 鈴木義男君。
○鈴木委員 私は両派社会党を代表いたしまして賛成の意見を述べます。 この決議に示しておるようなことは民主主義のいろはでありまして、このことに反対するという理由を発見するのに苦しむのであります。むしろ自由党の委員がただいま弁解されましたように、こういう決議をすることをおそれているところに、隔されたる意図を表明したものと言われても弁解の言葉がないのではないかと存ずる次第であります。元来かくのごとき機関の必要をわれわれは認めないのでありますが、いやしくも政府がつくるならばこれだけの警告ぐらいは内閣委員会としてやつておく必要があることは論をまたないところと思うのであります。 詳しいことを述べることを略しまして、きわめて明瞭でありますから、厳重に政府に警告を発する意味においてわれわれは賛成の意を表する次第であります。(拍手)
○稻村委員長 これにて討論は終結いたしました。 これにより採決を行います。反民主主義活動対策協議会設置に関する警告決議案に賛成の諸君の起立を願います。 〔賛成者起立〕
○稻村委員長 起立多数。よつて決議案は原案の通り可決いたしました。(拍手) 本日はこれをもつて終了し、次会は公報をもつてお知らせいたします。 これにて散会いたします。 午後三時四十八分散会