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19回国会衆議院1954/05/06

内閣委員会 第31号

発言数
92
登壇者
13
会派数
7
開催日
1954/05/06

会議録

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 これより開会いたします。  防衛庁設置法案及び自衛隊法案を一括議題となし、吉田総理に対する各党代表の質疑を行います。質疑の通告がありますから順次これを許しますが、質疑は大体において一人二十分以内にお願いしたいと存じますから、さよう御了承願います。それではこれより質疑に入ります。鈴木義男君。

鈴木義男日本社会党(右)

○鈴木(義)委員 私は四、五の点について基本的な問題について総理大臣にお尋ねをいたしたいのであります。すでに本案についてはあらゆる問題について木村長官や事務当局には質疑がし尽されたと申して過言でないのであります。ゆえに私の質問も若干重複を免れないものであります。それにもかかわらずあえて私が総理の御出席を待つて総理に質問を申し上げたいと申しまするのは、決して審議の引延ばしというような動機からではないのであります。この二つの法案の提出は終戦後最大の政策の変更と信ずるのでありまして、これは将来歴史的事実になるものであります。政府がたといどういう言葉で粉飾いたしましようとも、これはりつぱな再軍備であります。木村長官も自衛隊を軍隊と言いたいなら言つてよろしいと申しておるのであります。言いたいならというようななまやさしいものではありません。りつぱな陸海空軍でございます。一方憲法では「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」と規定しておる。戦力というものは陸海空軍以外のもの、それ以下の力を意味しておることは明らかであります。陸海空軍を戦力以上のものと考えまするがゆえに「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」と規定したのでありまして、陸海空軍が戦力の最たるものであることは憲法のあらかじめ予定しておるところであります。しかるに戦力に至らない軍隊なら持つてもよいというようなことを申して、これをジャスティフアイしようとしておりますのは、詭弁以外の何ものでもないと存じまするが、とにかく常識的に見て再軍備であることに間違いはないのであります。私はすでに法制局長官等との間に繰返されました憲法解釈論を総理との間に繰返そうとは思いません。私はわが政治史の上に歴史的な変化をもたらすこの重大問題について、政府の最高責任者からその所見を承つてこれを記録にとどめますのが、立法府にある者の責任と信じまするがゆえに、後々のために質問をいたして御答弁を得ておきたいと存ずるのであります。そういう趣旨で総理の御出席をお待ちしておつたのであることをあらかじめ明らかにいたしておきます。  そこで第一にお尋ね申し上げたいのは、首相は本法案は憲法と矛盾し、抵触すると考えないかということであります。警察予備隊、保安隊までは、何とか解釈の仕方によつては国内治安維持の目的ということで、軍隊呼ばわりをしないでも済むかもしれないという説があるのであります。われわれはこれらのものも軍隊の変形と存じますが一応そういう説明も、ある見地に立てば成り立ち得るのでありますが、しかし今回のこの自衛隊に至つては、世界の他の国々の軍隊と同じ装備と編成とをもつて、名前が違うだけであつて、直接、間接の侵略に対して抵抗し、出動をするというのでありますから、これはどう考えてもりつぱな軍隊である。自衛のためならば軍隊を持つてもさしつかえないと言つている者もありますけれども、総理大臣は憲法改正の際に、自衛のためでも軍隊は持たないのだ、また自衛のためでも決して交戦権を行使しないのであるということを明瞭に述べておられるのであります。当時の速記録を見ますと、自衛のためにも武力は用いないのかという質問に対して「戦争拠棄ニ関スル本案ノ規定ハ、直接ニ八自衛権ヲ否定ハシテ居りマセヌガ、第九条第二項ニ於テ一切ノ軍備ト国ノ交戦権ヲ認メナイ結果、自衛権ノ発動トシテノ戦争モ、又交戦権モ拠棄シタモノデアリマス、」とはつきりお答えになり、満洲事変も太平洋戦争も、いずれも自衛権の名のもとに行われたことを指摘されまして、「故ニ我が国ニ於テハ如何ナル名義ヲ以テシテモ交戦権ハ先ヅ第一自ラ進ンデ拠棄スルコトニ依ツテ全世界の平和ノ確立ノ基礎ヲ成ス、」総理のお言葉を読んでおります。「全世界ノ平和愛好国ノ先頭ニ立ツテ、世界ノ平和確立ニ貢献スル此意ヲ先ヅ此ノ憲法ニ於テ表明シタイト思フノデアリマス、之ニ依ツテ我ガ国ニ対スル正当ナル諒解ヲ進ムベキモノデアルト考ヘルノデアリマス、平和国際団体が確立セラレタル場合ニ、若シ侵略戦争ヲ始ムル考、侵略ノ意思ヲ以テ日本ヲ侵ス者ガアレバ、是ハ平和ニ対スル冒犯者デアリマス、全世界ノ敵デアルト言フベキデアリマス、世界ノ平和愛好ヨ八相奇リ相携ヘテ此ノ冒犯者、此ノ敵ヲ克服スベキモノデアルノデアリマス、茲ニ平和ニ対スル国際的義務が平和愛好国若シクハ国際団体ノ間ニ自然生ズルモノト考ヘマス」と答えておられるのであります。この考え方は今でも持つておられるのであるかどうか、それともこの考え方をおかえになつたのであるか、かえられたとすれば、どういう理由でかえられたのであるかということを、まず第一に承つておきたいのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えをします。憲法が禁じておることは、軍隊といいますか、つまり再軍備をして軍備を持つて国際紛争の具に供しないということが一つと、戦力を持たしめないということが二つであります。御指摘になつた当時の私の言い表わし方はよく覚えておりませんが、趣意はいかにしても自衛の名において再軍備はしない、戦力を持つ軍隊は持たないということであるのであります。また自衛の名において国際紛争の具に戦力を使うということはないというのが、私の趣意であつたのであります。その趣意は今でもごうもかわつておりません。すなわち再軍備はいたさないということを言うゆえんはそこにあるのであります。再軍備をいたして国際紛争の呉に供しない、あるいはまた戦力に至る再軍備はいたさないという趣旨は、いまなおかわつておりません。

鈴木義男日本社会党(右)

○鈴木(義)委員 そうすると、総理大臣はこの自衛隊法で規定せられる自衛隊というものは、軍隊でもなく戦力でもないとはつきり御認識になるのでありますか。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 戦力に至らざる軍隊といいますか力を持つ、自衛軍を持つということは、これは国として当然なことであると考えるのであります。

鈴木義男日本社会党(右)

○鈴木(義)委員 戦力というものは、われわれは軍隊以下のものとむしろ解釈上考えておるのでありますから、それは詭弁であると思いますが、論争をしていますと時間がなくなりますから、次の質問に移ります。  次に、自衛隊に編成がえをすることは、主として直接侵略に備えるものと考えるのでありますが、間接侵略に対してならば、警察予備隊程度のもので必要にして十分であると信ずるのでありまして、特にこの自衛隊という、軍隊と呼ぶべきものをつくるということは、直接侵略を目標としておることは明らかであります。ところがわが国は、経済的には今回の政府提案の自衛隊程度のものでも、他の生産的方面を犠牲にせずしてはとうてい維持することが困難であることは、何人も認めるところでありますが、それでもなお現在においてこれを持たなければならないというならば、総理大臣はどういう直接侵略がわが国に対して予想されるというのでありますか、それを伺いたいのであります。人はよく朝鮮の戦乱を引用し、インドシナの戦乱を例に引くのでありますが、私はこれにはおのおの必然性があると思う。朝鮮の場合は御承知のように二つの異なつたる体系に基く統治が行われており、国がまん中から二分されておるのでありますから、そのどちらかが統一を試みようとすることは明らかなことでありまして、朝鮮事変の起ることは必然であると申して過言でないと思うのであります。またインドシナの場合も、民族の独立、植民地主義に対する抵抗としてなされておるのでありまして、その背後に共産主義の勢力が存するがゆえに、いかにも共産主義の侵略というふうにとられ、あるいは解釈されるのでありますが、共産主義者でなくとも、インドシナの住民としては、この植民地主義に対して抵抗し、民族の独立を六求めるということは、いかなる圧迫をもつてしても除くことはできないと思うのでありまして、これまたああいう戦乱が起ることは必然であると申して過言でないと思うのです。わが国は単一の独立国でありまして、特にある国がわが国に対して領土的にまたは権力的に侵略をして来ようというようなことは考えられないことであります。そういうことをするものはよほどの無法者と見るほかはない。共産国といえども理由なくわが国を侵略することはできないことであります。間接侵略を教唆するというようなことはあり得ましようが、これは別論です。近い将来においてその危険が予測されないのに、乏しい国費をさいて分不相応の軍備をすることは、国費の浪費であり、政治家としてなすべからざることてはないかと思うのであります。もちろん資本主義国と共産主義圏、もつと率直に言うならばアメリカとソビエトとの冷たい対立は存するのでありますから、わが国が好んでその一方の片棒をかつぐ以上、一旦熱戦になつた場合にその渦中に巻き込まれるということは明らかなことである。われわれはこの火中のくりを好んで拾うということはやるべきことでないと信じておるのでありますが、政府の方針は、好んで火の中に飛び込もうとしておるとしか見ることができないのであります。国民は、政府はアメリカに強制されて再軍備をし、好んで火中のくりを拾おうとしておると見ておる者が多いのでありますが、それが真実ではないか、この点総理大臣のほんとうの腹を承つておきたいのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 今日自衛隊なり防衛庁というような組織がえをいたしたゆえんはどこにあるか、その原因は、米国政府がなるべく軍事費を減らしたい、緊縮財政方針で行きたいというので、日本におる駐留軍も減らしたい、減らすという決定をいたしたからして、これに対してわが国としては自衛のために何らかの方策を講じなければならぬというところにあるのであります。しかしながら、日本防衛の主体はどこにあるか、それは日米安全保障条約によつて、米国とともに日本の防衛及び西太平洋の防衛に当る、その安全保障条約が中核をなすものであります。ただ、米国がなるべく軍隊を減らしたいという事情はよくわれわれも了解いたしますので、減らす以上はこれに対して適当な措置をとらなければならぬというのが、今日の制度改正をいたして防衛庁設置法案を提出したゆえんであります。一体詭弁と言われ、また常識に反すると言われますが、日本の今日の防衛費というものは——英米その他の外国においては、今比率は覚えておりませんが、防衛費は国費の半分以上を費しておるのであります。すでに相当の防備、兵力がある上に、さらに年々国の歳入の半分以上を費しておる。日本はそうまでは費しておりません。できるだけ日本の国力に応じただけの防備をするというのがわれわれの考えであります。これをもつて詭弁とおつしやれば、数字がこれを語ると思うのであります。

鈴木義男日本社会党(右)

○鈴木(義)委員 すでにアメリカの軍隊が——アメリカのものをまさか自衛隊あるいは警察予備隊だとはおつしやらないでありましよう、この軍隊がいなくなると、それを埋めるために必要だから自衛隊をつくるというその言葉の中に、すでに自衛隊を軍隊として認めていることを自白しておるものでありまして、私はその点は押問答はいたしませんが、私の質問した大切な点は、いかなる形における長路がわが国にあるとお考えになつておるか、この点であるのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 これはお答え漏らしをいたしましたが、日本は自衛のためにいたすのであつて、どの方面から侵略の危険があるか、これは外国の関係もありますから、私としては打明けて申すわけには行きませんが、しかしながら共産主義国の侵略というものは朝鮮の場合においてもそうであります、その他の場合においても、突然天から降つて来たような進撃をいたすのであります。自衛の体制はあくまでも整えておかなければならないのであります。

鈴木義男日本社会党(右)

○鈴木(義)委員 いずれそんなお答えが出るだろうと思つておりましたが、とにかく時間が制約されておるために、十分に論議を尽すことができないのは残念でありまするが、次の質問に移ります。  私の質問が自衛隊に賛成してやるように誤解されることを避けまするために、万一片棒をかつぐと決意したと仮定して申すのであります。次に原子兵器と申しまするのは、原爆はもちろん水爆、ロケツト、原子砲その他いろいろな原子を応用するところの兵器を一切包括して申すのでありまするが、原子兵器の最近の発達に徴しまして、これが確実なる国際管理あるいは原子兵器の一切の禁止というようなことが行われない限り、次の戦争の様相、形式というものは革命的に変化するであろうと思われておるのであります。これを予見しながら、旧式の陸海空軍を相当の国費を費し——総理は他の国が五〇%軍備に費しておると申しますが、わが国においては一億といえども生産のために振り向けなければならない。有益な、有用なことができないでわれわれは悩んでおるのであります。その際に、二%にせよ、それ以上の国費を使うということは、わが国にとつては容易ならぬ犠牲であります。その国費を費して持とうとしておるのは、はたしてどういうものでありましようか。先日元陸軍中将遠藤三郎氏の意見を、公聴会において公述人として詳細に承つたのでありまするが、遠藤氏の意見によれば、わが国は常に時代遅れの軍備を持つて来たために世界の進運に遅れて、悲惨なる敗戦を喫したのである。大東亜戦においても、当時相手国に比しては著しく装備も兵器も遅れていた。今また原子兵器を眼前にして、今つくろうとしている装備や編成を見ると、とうてい物の役は立たない程度のものであると遠藤氏は言うのであります。再軍備論者は原子兵器時代でも、陸軍は必要なものであるから、今度つくるようなものでも、ないよりはましだと言うのでありますが、遠藤氏などは、あるためにかえつて害があつて一利ないものであると言われるのであります。しからばあるだけの価値のある軍隊、アメリカやソビエトに対抗し得る底の軍隊がつくれるかといえば、わが国の財政、技術面等から不可能なことは明らかである。そこで国際警察力の発動に期待すべきであるとされるのでありますが、こういうときに片棒をかつぐものとしてもあまり役に立たず、外交上はこれあるがゆえに害になるようなものを持つということは、乏しい国家財政をあずかる者として、一種の浪費をやるものといわれても、しかたがないのではないかという疑念があるわけであります。総理大臣はこの点に対してどういうお考えを持つておられるのであるか、承りたいのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えをします。原子力による兵器の出現によつて、各国とも軍備を、あるいは防衛装備を一新しなければならないという問題は御指摘の通り、これは日本ばかりにある問題でなくして、各国共通の問題であります。ゆえに現在の日本の防衛力は原子兵器に対して無用じやないかといえば、全世界の防備が無用ともいえるのであります。しかしながら政府としては、あるいは日本国としてはできるだけの防備の措置を講ずるということが独立国として当然の義務であり、またこれをなすことによつて日米安全保障条約による義務が果されるのであります、先ほど申した通り、日本の防衛はみずからの手においてこれをなすということは、国力これを許さないから、やむを得ず日米安全保障条約をつくつて、これを主体として防衛をなすのである、日本の防衛力のみをもつて国を守そということは、原子兵群がなくてもできないのでありますが、現在の事情において、国力これを許さない以上は、国力の許すだけの自衛計画をなすということは、政府として当然の職務であり、また義務であると考えるのであります。

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 ちよつと報道関係の人に申し上げますが、委員会の審議の妨害にならぬ程度に、適当に御処置を願いたいと思つております。

鈴木義男日本社会党(右)

○鈴木(義)委員 討論にわたりますと時間がなくなりますから略しますが、遠藤元中将でも、総理が今申すと同じように、各国の軍隊がみな原子兵器の前には時代遅れになつているのである、しかし一旦つくつたものをなくすことはとうていできない、それで時代遅れのものを高い金をかけて維持しているので、まことに愚かなことである。わが国がまたその跡を追うて、他の国の愚のまねをやらなければならぬ理由はないではないかというのが、遠藤氏の主張の根本でありまして、その点一言付加しておきます。  次に自衛隊の任務という点だけからも論ぜられますが、ことに日米安全保障条約とMSA協定との関連において一層重要なことと存ずるのでありますが、自衛権行使の限界をどこに置かれるのであるか伺いたいのであります。李承晩ラインが今後も存続する場合には、こういうものに対しても自衛隊を動かすことができ得るのであるか。先般辻氏の質問に対しての木村長官のお答えには、これをにおわせるようなものがあつた。国民がひとしく最も関心を持つております点は、自衛隊の海外出動であります。形式論理からいえば、侵略の根拠地が海外にある場合には、その根拠地をつくことが最上の防禧であり、自衛だということがいえるのであります。しかし実はこれが危険の源ではないか、時間の関係からして、相手方にこちらが侵略するのだという口実を与える根源となるのである。かりに相手方から攻撃を受けて報復として海外に出撃するとしましても兵器の性能発達の程度からして、今持とうとしている自衛隊がそういう任にたえ得るものであるかどうか。むしろかくのごとき危険を冒すことを最初から避ける意味において、自衛隊は決して海外には出動しないという原則を内外に表明すべきではないかと思うのでありますが、その点いかがでありますか。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 この点は私からお答えするのが至当だと思います。

鈴木義男日本社会党(右)

○鈴木(義)委員 きようは総理大臣に聞くために参つたのであつて、総理大臣から聞けばよろしいのであります。木村長官の答弁はすでに聞いておる。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 この点については細目にわたるので、私からお答えいたします。

鈴木義男日本社会党(右)

○鈴木(義)委員 総理大臣から答えられて、足りないところを補足されるならば別でありますが……。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 私で足りないところは総理大臣から補足していただきます。(笑声)

鈴木義男日本社会党(右)

○鈴木(義)委員 それでは約束が違います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 それだから私で足りないところは総理大臣から何します。

鈴木義男日本社会党(右)

○鈴木(義)委員 二十分という時間を制限して、総理大臣たけから聞くことを許しておる質問であります。(「あとでやつてもらえばいい」と呼ぶ者あり)

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 申すまでもなく、自衛隊は自衛隊法によつて明らかであるごとく、外部からの不当なる攻撃に対してわが国を防禦するところの任務と性格を持つておるのであります。ここに限界があるのであります。自衛隊はもちろん海外に派出することはないと了承していただきたいのであります。要は、外部からの不当侵略に対していかに防衛するか、ここに任務の性格がはつきり割出されておるのであります。(「その通り」)今李承晩ラインの問題が害したが、これはわれわれとしては現在のところ不当な侵略とは考えておりません。これについてはわれわれといたしましては別な手段をもつて解決に努力いたしたいと考えておるのであります。ここに限界があるということを十分に御了承願いたいと考えております。重ねて申します。日本の自衛隊は、海外に派兵するというようなことは、任務、性格にはなつていないということを申し上げたいと思います。

鈴木義男日本社会党(右)

○鈴木(義)委員 今全国民は、総理大臣がこの問題に対して、海外出兵をすることがあるかもしれないとか、あるいは断じてしないとか、その一言を聞くために終始しておるのであります。木村長官からそれを聞いてもしかたがない、たびたび聞いておるのである。総理大臣からお答えを願いたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えをいたします。ただいま木村長官のおつしやつた説明、すなわちそれが私の説明と御了承願います。(拍手)

鈴木義男日本社会党(右)

○鈴木(義)委員 では海外出兵はしないと答えられたものと承つておきます。  次にはこれに関連するのでありまするが、米軍がわが国に駐留しておる。そしてわが国はこの自衛隊を持つておる。ここに必然的に万一の場合に共同作戦ということが考えられるわけであります。その際最高の指揮権、統帥権はどちらがとるのであるか。この問題には、時間がかかりまするから説明は一切略しまするが、共同作戦の場合における統帥権はどちらが持つのであるか。わが国の自衛隊というものは自主権を持つておるものであるかどうか。この点についてお答えを願いたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 これは条約に書いてある通り、万一事態の起つた場合には、両国の軍当局者の間で協議してきめるということに条約がなつております。

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 鈴木委員に申し上げますが、約束の時間が来ておりますから結論をお急ぎ願います。

鈴木義男日本社会党(右)

○鈴木(義)委員 それはわかつております。  いま一つ大切な点を承つておきたいのでありますが、民間には、いよいよ自衛隊は軍隊である、軍隊である以上は一糸乱れざる統制に服さなければならない、士気も旺盛でなければならない。その点において、総理大臣が指揮権をとる、中間に幕僚がおる、幕僚会議で事を決するというようなことではうまく行かないぞということから、再び天皇をかつぎ出して来ようという意向がちらほら見えるのであります。現に先日も大越元陸軍参謀でありますが、今のような自衛隊の機構ではとうてい軍隊の統制を保つことができない、すなわちどうしても元の天皇を中心とした統帥のごときものが考えられなければならないということで、軍人勅論を例に引き、そこには、原理的にわが国の軍隊は世々天皇の統率するところであつたと示し、制度的には朕みずからこれをとりあえて臣下にゆだねずと示し、人間的には朕は頭首、なんじらを股肱と頼むとあつて、ここに三段構えで軍を掌握する努力が払われておるのである。それで軍が一糸乱れなかつたのである。ところが今度の自衛隊はそういうことはできないではないかということを示唆しておる。むろんこの大越氏は天皇を再びかついで来いということをこれで言つているのではないようでありまするが、しかし軍の統帥というものを保つために天皇を借りて来なければならないという考え方は相当広く行われておるのでありまして、われわれは非常にこれを憂えておるものである。総理大臣が将来天皇を、この自衛隊について、あるいは軍隊についてかつぎ出して来るというような考えを持つておられるか、おられないかということを、この際明らかにしておいていただきたいと思うのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 私は天皇陛下を煩わすというような考えには断じて賛成しないところであります。

鈴木義男日本社会党(右)

○鈴木(義)委員 いろいろ質問したいことがありますが、二十分という時間を守りますために、遺憾ながらここで質問を打切ります。

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 高瀬傳君。

高瀬傳改進党

○高瀬委員 私は改進党の立場から吉田総理に対して二、三特に重要な問題について伺いたいと思うのであります。  まず第一は自衛隊と憲法に関する関係であります。政府は本委員会におきして、終始一貫して自衛隊は戦力でない、従つて憲法に抵触しないということを述べて参りましたが、自衛隊は戦力にあらずとの説明は、本委員会の審議を通じまして、この法案に賛成せんとする者も、またこれに反対せんとする者も、ひとしく納得し得ざるところでありまして、国民もおそらく同様だろうと考えるのであります。政府はまた自衛隊が戦力であるかどうかは国会の審議を通じて最終的には国民の決定すべきものであるとの意味を表明されております。そうでありまするならばもはやだれが見ましても自衛隊は戦力に該当するものでありまするから、自衛隊は戦力に至らない軍隊であるから合憲である、憲法違反ではないという政府の説明は、その限界に達しておると私は考えざるを得ないのであります。従いまして政府が従来の憲法の解釈を固執するのでありまするならば、この際どうしてもすみやかに憲法の改正に漕手されまして、国民に戦力のない軍隊という印象を与え、自衛隊の性格に暗い影を残さないようにするのが最も賢明である。こういうふうな態度をとることが、日本国にとつても政府にとつても最も賢明であると存じます。この際、従来の政府の見解にこだわらないで、吉田総理の憲法改正に関する率直な御所見を伺いたいと存ずる次第であります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 率直に所信を開陳いたしますが、政府は再軍備をいたさない。戦力を持つ軍隊は持たない。賢明であるかどうかは別といたしまして、政府のこの所信においては何ら変更するところがありません。

高瀬傳改進党

○高瀬委員 ただいまの総理の所見に対しては非常に見解を異にいたしますが、時間の関係上、次の質問に移ります。  第二にお伺いいたしたいことは、この二法案の実施につきまして政府はいかに国民の理解と納得を得んとするものでありまするか、この点についてであります。  申すまでもなく、国家防衛の問題は、あらゆる国政に関する問題のうち特に重要な問題であることは論をまたないのであります。今回自衛隊が設置されるようになりましたのも、一つは国民の独立意識の高揚によるものであり、一つは国際情勢の急激なる変化によるものであると私は考えます。国政上最も重要であるところのこの二法案がその目的を達しまするためには、背後に国民全体の強い自覚と理解とまたこれに基く十分なる協力がどうしても必要であることは私から申すまでもございません。不幸にしてわが国は直接戦争の悲惨な体験をいたしておりますので、国民としては、りくつの上では国家を守る自衛隊の必要を感じましても、感情の上ではこれに反発するところのあることは否定することができないと思うのであります。またこの国家防衛の問題は国民の経済に、生活に重要な関係もありまするから、政府といたしましては、この法案の実施にあたりましては、よほど確固たる信念と努力をもつて、わが国の平和を守るために、またわが国の独立を真に達成するために、国家自衛の必要であることを全国民によく徹底せしめ、その理解と納得を得ることがきわめて肝要であると私は考え、またかたくそれを信ずるものであります。従つて吉田総理のこれに対する決意のほどを伺いたいと考える次第であります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えいたします。御説まことにごもつともであります。政府としては、この防衛庁設置その他について国民の理解と協力はますます求むる考えであります。

高瀬傳改進党

○高瀬委員 第三にお伺いいたしたいことは、長期防衛計画についであります。今回の防衛二法案の制定の端緒に相なりました昨年九月のいわゆる吉田・重光会談におきましては当時発表されましたところのコミユニケによりますると、この際自衛力を増強する方針を明確にし、駐留軍の漸減に即応し、かつ国力に応じた長期の防衛計画を樹立すると述べられております。それにもかかわらず政府は、この重大な二法案を制定されました数万人の増員を断行しながら、いまだにこの長期防衛計画を樹立しないのはどういう理由に基くものであるか、吉田総理の率直なる御見解を伺いたいと考えるわけであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 長期防衛計画の必要なることはお話の通りでありますが、現在国際情勢においても、国力の上からいつてみても、ただちに完全な防衛計画を立てるということは、今日これを許さないために、当局としては十分研究を続けておる次第であります。

高瀬傳改進党

○高瀬委員 最後に一言吉田総理に希望を申し上げます。これは別に御答弁をなさる必要はございません。  総理は、昨年三月でありましたか、国会におきまして、自衛のための戦力は憲法の禁止するところではないといつた意味のことを申されました。これは失言でも何でもありません。公然と申されたにもかかわらず、翌日周囲の人たちの意見で、これを取消されました。またがつて保安大学の訓辞の際にも、保安隊は新国軍の基礎であると申されて、学生を激励されました。私どもは総理のこの二つの発言は決して誤つていなかつたと思つておるのであります。今日自衛隊が発足するにあたりまして、吉田総理自身が世間に対してはつきりと、自衛隊は軍隊である、自衛隊はわが国の平和と独立を守る新国軍の基礎である、こういうことを明言されまして、自衛隊員の心構え、また自衛隊員の向うべきところを指示されるとともに、これらの点について確信を持つて自衛隊設置に当られんことを強く要望いたしまして、私の質問を終ります。

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 下川儀太郎君。

下川儀太郎日本社会党(左)

○下川委員 今日までの論争を聞いていますと、最初の論争よりかなり飛躍して来ていることが明らかになつております。その一つは自衛隊の性格。これは最初木村長官に質問したときに、自衛隊は軍隊ではない、あるいは警察ではないと言つている。それならば何だといつたら、これは曖昧模糊としてはつきりしない。ところが去る四月二十八日の本委員会において木村長官は明らかに、これは私見ではあるけれども、軍隊だと言つている。これは明確に担当大臣がはつきりと言明されている。  第二の防衛の限界について。これは最初は侵略国を迎え撃つという立場に立つての防衛的な意見だ。ところがそれが飛躍して最後には、直接侵略が来なくとも、侵略的な気配がある場合には、その拠点までもこちらが攻撃する、あるいはその拠点を粉砕するというような形の限度を言つている。そうなると、最初の迎え撃つということよりも攻撃は最大の防備であるという日本の従来の言葉をそのままこれに引用して、むしろ防衛よりも非常に攻撃的な形に防衛の限界が広がつて行く。  もう一つは海外派兵についてであります。この問題も、先ほど総理は絶対に海外派兵はしないということを言明された。ところが先般の委員会におきましては、この問題は、もし集団防衛の組織の中に入つた場合に、当然日本としてはその義務を負わなければならぬということと、もう一つは佐藤法制局長官は、自衛隊は軍隊でないから、公務員の海外出張だというまことにおかしな説明をされている。この通り、これは最初の論戦よりもはるかに飛躍して来ている。  自衛隊は軍隊である。防衛の限界は敵地までも攻撃する、そこまで飛躍している。それから海外派兵の問題も、自衛隊は軍隊でないから、公務員の出張であるというおかしな論理をもつてこれを裏づける。こういうふうに三点が明らかになつて参りますと、九条の憲法違反がわれわれには想像される。これに対して総理ほどのような御見解を持つておられるか。従来の答弁と全然かわつた形がとられておるので、この際総理のはつきりした答弁をお願いしたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 この国会においてあるいは委員会等の質疑応答のいきさつは知りませんが、政府の主張はいかにしても戦力は持たないということであります。また防衛の限界についてはただいま木村長官から説明があつた通りであります。海外派兵については、いたしません。

下川儀太郎日本社会党(左)

○下川委員 そうすると、総理の答弁を信用いたしますが、次に自衛隊の指揮監督権について質問いたしたい。これは一番重要なことで、この法案には指揮監督権は総理それ自体が持つておるのでありますが、これが防衛出動の場合は当然総理それ自体の権限にかかつて来る。もちろん国会の承認、あるいはまた国防会議のいろいろな相談によつてこれがなされるのでありましようが、万一火急の場合は、これは総理自身が単独の権限を持つて執行することができる。そうなつて参りますと、これが一番重要でありまして、もし総理が指揮監督権を握り、そうして国会に諮らない、あるいは国防会議に諮らずに急遽これを出動する場合、もし指揮監督権を持つておられる総理大臣それ自体が知性のすぐれたあるいはまた良心的なあるいはまた国際的な情勢の分析がはるかに達識の士ならばこれはさしつかえありませんが、もしこれが個人的な感情あるいはまた党利党略あるいはまた一特定国の支配によつてこれを命じた場合は、日本は非常に不幸になる。これが問題でございまして、たとえばわれわれが非常に恐れるんとは、吉田総理がかつてばかやろうの失言をして、そうして懲罰の座にすわつた。その懲罰の座にすわつて罰せられた人が解散をくれる、あるいは先般の犬養法相のあの強権発動によつて佐藤幹事長の逮捕許諾が拒否されたというような、いわゆる党利的なあるいはまた感情的な面が出て参りますと、これは単に先般の犬養法相の指揮監督権と違いまして、国の興亡をかけておるところの軍隊の出動あるいはまた日本の独立とか平和が将来脅かされるような重要問題になつて参りますので、この指揮監督権の濫用ということはわれわれは十分考えて行かなければならぬのであります。ところが総理大臣それ自体のみにこの権限が持たれ、万一不幸な戦争に巻き込まれる、あるいはまた民族の将来の仕合せがそこなわれるような戦争の渦中に巻き込まれるような、そういうことに軍隊が出動させられたとするならば、これは単に総理大臣個人の問題ではない。やはり八千何百万の日本の同胞の生命財産の問題でございますから、われわれはこの指揮監督権に対しては強く反対する。同時にまたこれが万一火急の場合は国会に諮らない、あるいは国防会議にも諮らないで単独になされるとするならば、より以上に総理それ自身の人間の問題、人格の問題、あるいは見識の問題、そういうことが問題になつて来る。ただ私は今日まで吉田総理が国会においていろいろの独断的な行動——そう言つてはいろいろと失礼でありますが、先般の犬養法相の問題なりあるいは解散などの問題を見てみましても、非常に危惧を感じます。その意味でこの指揮監督権を総理自身が把握するということに対しては、私たちは非常に問題だと思う。この点について、賢明なる吉田総理大臣でありまするから、おそらく日本を火中のくりを拾うような戦争の中に巻き込むような派兵あるいは軍隊の出動はなされないと思いますが、その点に対する総理の見解を伺つておきます。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 賢明なる総理大臣であるから、説明は木村長官からいたします。しかし木村長官の説明もなわち私の説明と御承知を願いたいのであります。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 総理大臣が指揮権を持つていることは御承知の通りであります。この指揮権の行使につきましては、総理大臣は要するに内閣の代表者でありますから、閣議にかけることはもちろんのことであります。閣議にかけて防衛出動の可否をきめる、その上になおかつ、急を要する場合でありましても国防会議においてその可否を決することは法案の規定するところであります。従いましていかなる場合においても総理大臣が自分のかつてに防衛出動の可否を決するということはないわけであります。

下川儀太郎日本社会党(左)

○下川委員 もちろんただいまの木村長官の答弁の通りでありましようが、しかし往々にして閣僚の会議においてもいわゆるおのれの自我を押し通す大臣も数多くございます。従いましていわゆるワンマン的な立場に立つ総理大臣である場合は、勢いワンマン大臣の意向によつていわゆる日本の不幸を招くというような結果が出て参りますので、それを私たちは憂うるのであります。  時間がございませんので次に移りますが、次は治安出動についてであります。この治安出動の指揮監督権はやはり総理大臣にある。しかしこの治安出動の場合、たとえば国内の治安が乱れた場合、当然これは治安出動となつて参ります。そのときにやはりここに大きな問題がございますのは、国の乱れということは当然政治の貧困から生れて来る。政治的な大きな欠陥が国内の暴動となりあるいはデモ隊となつて来る。そういう場合もしこの権限を濫用する場合は、労働者や中小企業あるいは農民への生活権擁護の圧迫になつて来る。今日でも非常に多くの問題が社会的に残されている。たとえば労働者の基本的な人権を確保するための闘い、あるいは首切り反対の闘い、あるいは中小企業が今日金融面で非常に困つている、次々と倒産して行く、あるいは農民は今日災害が復旧しておらないので非常に困窮している。そういう生活の立場から来るところの大きな運動、あるいは陳情団あるいはデモ、それが個人的な一人々々の感情のほとばしるところは、必ずいろいろな形になつてこれが表現されて参ります。あるいはあなた方の方から見ると非常に暴動的に見える場合がある。しかし国を愛する、自分の生活を守る、そういう形からこれらの人々が熱烈なる陳情をするときに、勢いそこにいろいろな紛乱が生ずる。そういう場合その指揮監督権の濫用によつてはやはりこれらも暴動であるとみなすことができ、あるいはまたいろいろ形をかえて労働者諸君、農民諸君、中小企業に圧迫が加えられるということも、われわれは思惟することができるであります。この場合やはり指揮監督権を持つ人がよほど慎重に事を運ばないと、いわゆる生活権擁護を破壊する、あるいはより以上に、せつかく民衆が国会に陳情をする、あるいは総理大臣に陳情をしてほんとうの政治を望んでいるのを、そういう部隊の出動によつてむげに圧迫するようなことになると、もとより国内に混乱を生ずる。その場合における治安出動に対する政府当局あるいは今後の当路者の見解をひとつお示しを願いたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 これは私からお答えするのが筋だと思います。足らぬところは総理大臣から答弁を願うことにいたします。  今下川委員から御質問があつた点は、要するに治安出動の場合であろうと存じます。われわれの考えといたしましては、自衛隊が治安出動をする場合、これはみだりに出動すべきものではないという建前をとつているのであります。普通の警察力でしずめるという建前をとつているのであります。すなわち一般警察力をもつてしてはとうてい鎮圧することができない大規模な叛乱とか擾乱の場合に、初めて自衛隊が出動することになつております。しかもその出動する場合におきましても、それぞれ国家公安委員と十分の連絡をとつて参る建前をとつているのであります。しかも治安出動をした場合においても、二十日以内において国会の承認を得なければならぬ、いわゆる事後承認を得ることの建前をとつている。いずれの面からいたしましても十分なる制約を設けてあるのであります。今下川委員の御懸念になるような農民を圧迫するとか、あるいは労働者を圧迫するとかいうような懸念はごうもないと私は考えております。この法案を十分了得されますると、その点はきわめて明瞭であろうと考えておる次第であります。

下川儀太郎日本社会党(左)

○下川委員 それからこの自衛隊法案の中の第九章の罰則に関することでありまするが、この罰則の項目を読んで参りますると、まつたく昔の軍隊と同じような条項が出ておる。いわゆる上官の命はそのいかんを問わずただちに服従すべしという、その封建的な罰則がこの中には載つておる。たとえば百十九条の「上官の職務上の命令に対し多数共同して反抗した者」あるいは「上官の職務上の命令に反抗し、又はこれに服従しないもの」等々、そういう項目が出ております。しかもその懲役が「五年以下の懲役又は禁こに処する」ということになつておる。いわゆる反抗あるいは共同叛乱というようなことがありますけれども、しかしこれは当事者のいわゆる部隊出動あるいは活動、これが正しい意味においての活動ならいざ知らず、もし私が先ほど申し上げた通り、上官それ自体あるいはまた指揮監督者それ自体が曲つた行動にその部隊を利用し、濫用するという場合においては、当然正しい観点に立つ自衛隊員はこれに対して反抗するというのは当然であります。たとえば国内の治安の問題で、自分たちと同じ立場に立つ労働者とか農民あるいは一般勤労者の利益を守らないような活動、一部の特定資本家あるいは一部の業者等のためにそれらが利用されるという場合、あるいは海外出兵の場合、そういう場合は当然これらう人々はそれに対して反抗する、あるいは抗議を申し込む、そういう場合に、その自衛隊員それ自体が正しい見識を持ち、正しい認識を持つた反抗である場合においても、なおかつこれは上官の命に服さないという立場に立つて禁錮とか懲役に処するのかどうか、その点をひとつ明確にしておいていただきたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 お答えいたします。下川委員は、何か自衛隊がよこしまな方面に使われるということを予想して御質問になつておるようであります。われわれといたしましては、自衛隊はさような疑念は毛頭ないという観点に立つておるのでありまして、さようなことがあつては相ならぬ、これが根本精神であります。御承知の通り、自衛隊はほかの役所とは違うのであります。従いまして命令系統がしつかりしないと、自衛隊の行動というものは正しい方向に持つて行けない。かるがゆえにかような条項を設けて、自衛隊の命令系統を明らかにしたいという趣旨にほかならぬのであります。

下川儀太郎日本社会党(左)

○下川委員 自衛隊はよこしまな活動には使わぬということを言明されておりまするが、しかし今日の政治のあり方は、先般の犬養法相の指揮権発動のごとき、よこしまなものにそれが濫用されておる事実をわれわれははつきり知つております。従いまして自衛隊というこういう大きなものがよこしまなものに利用されるおそれがあるから私は質問するのであります。先般の犬養法相の問題も今日議会の問題になつております。これはやはり、よこしまなものにこれが濫用されておるということが社会一般の輿論でございます。従いましてそれを推し進めて参りますると、自衛隊の今後の運営それ自体が非常に危険になつて来る。それなるがゆえに私は追究するのでありまして、この点に関してはぜひ吉田総理の答弁をお願いしたいと思います。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えをいたします。主管大臣の言明せられたことが、すなわち私の所信であります。

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 辻政信君。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 私はこの法案をよりよくするという見地におきまして、質問の要点をごく簡潔に三点に限りまして、自衛隊の最高指揮官たる吉田総理大臣の御見解をお伺いしたいと思うのであります。その第一点は、指揮官と幕僚の本質に対する認識を誤つている点であります、指揮官とは任務に基いておのれの意思を決定し部隊に命令するものであり、幕僚とは指揮官の意思決定に必要な意見を述べてそれを補佐するものであります。直接部隊を指揮できないのが建前であります。卑近な例をとつてみますれば指揮官は一家における亭主であり、幕僚は女房であります。新憲法下において男女は同権でありますが、職権にはおのずから差がありまして、亭主は外に働き女房は内を整えるものであり、一部の例外を除きましては、女房は亭主を兼ねることはできないのであります。しかるにこの法案ではこれを一人で兼ねている。あたかも福永官房長官が吉田総理大臣を兼ねているようなものがあるのであります。すなわち陸海空の幕僚長は、長官を補佐する幕僚であるとともに、長官の命令を執行する任務を与えられ、指揮官的性格を兼ねているのであります。平時におきましてはさしたる不便を感じませんが、侵略を受けて出動する場合には、たちまち重大な欠陥を露呈することは、火を見るよりも明らかであります。かくのごとき非常識な制度は世界のどこの国にも見当らないのであります。自衛隊を軍隊的性格と認める限りにおいて、陸海空自衛隊にはそれぞれ専門の最高指揮官を平素から置き、幕僚部を設け、その幕僚長をもつて統合幕僚会議を構成するというように修正すそことは当然であり、絶対に必要と考えますが、この点についての総理大臣の御見解を承りたいのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 大分専門的になりますから、主管大臣からお答えさせます。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 申すまでもなく幕僚長は長官の最高補佐機関であります。終始部隊の編成、行動その他について長官を補佐することは当然であります。それと同時に幕僚長は長官がきめましたことについて、それを部下に命令し、これを指揮するということの建前をとつているのであります。ここに私は旧軍隊と違つた非常なよさがあるものと考えておるのであります。一面において長官を補佐し、一面において長官がその補佐によつて決定したことを幕僚長に命令し、幕僚長はこれをさらに部下に命令する、こういう建前をとつているわけであります。今辻委員は、非常時において非常な混乱を生じはしないか、幕僚と指揮官と二つにする方がいいじやないかというお説であります。もつともな御議論と私は考えます。しかしながらこれは平時たると非常時たるとを問わず、常に幕僚長が実施部隊に関して長官を補佐することがいいと私は考えております。しこうしてその補佐されたところに基いて長官がこれを幕僚長に指揮して、そうして幕僚長がさらに部隊の各方面の指揮官に対してこれを指揮して行くという両々相まつて私は運営のよろしきを得るのではなかろうかと、こう考えている火事であります。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 ただいまの御答弁は、この前も同様の趣旨を承つたのでありまするが、それは要するに専門家でないからそういう言いのがれの答弁で終るのであります。この問題は必ず将来に禍根を残します。この一点を私は速記録にとどめておきます。  質問の第二点は、内局と統合幕僚会議の権限についてであります。統合幕僚会議は陸海空三自衛隊の対立を防ぎ、その総合訓練と運用を調整するための機関であり、議長は当然自衛官の最上位の者をもつて充てられ、純軍事の最高幕僚として長官を補佐すべきものと考えますが、原案によりますと、内局の防衛局長の権限が純軍事に関して最高であり、防衛、警備及び自衛隊行動の基本と編成、装備、配置等の根本を握つておりますから、統幕会議は防衛局長の下請機関たる権限しかないのであります。これはおそらく三党協定の精神ではなかろうと思います。三党間では統合幕僚会議の任務についてのみ協定し、これと関連すべき防衛局長の任務を検討調整しなかつたものであり、この欠陥に乗じ巧みに統合幕僚を骨抜きにするように、事務官僚によつて法制化されたものと判断するのであります。幕僚の下剋上を防ぐためには、その権限を適度に分散することが必要であります。原案は軍令と軍政の基本的権限を一人の防衛局長に集中しておるのであります。これは重大なる欠陥であり、幕僚フアッシヨの危険をはらむものと断ぜざるを得ないのであります。この点についての自衛隊の最高指揮官たる吉田総理大臣の御見解を承りたいとでいます。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 これは法案の細部にわたるものでありまするから、私から一応の見解をまず申し上げます。  ただいま辻委員の仰せになりましたのは、いかにも内局すなわち防衛を担任しておる部門と、そうして統合幕僚監部との対立、むしろ内局の方で統合幕僚会議の方を終始押えて行くような危険のもとに御質疑があつたものと考えております。これは全然根本的思想が違うのでありまして、御承知の通り統合幕僚会議におきましては、各幕僚でもつて立案したものをさらに総合して、いわゆる海、空、陸、この方面をどういうぐあいにうまく運営して行くか、また一朝事あつたときに、どういうぐあいに指揮命令をして行くかということについて大きな計画をふだんから立てて行くことになつておるのであります。しかしてここで立てた案を、さらにわれわれが内局といたしましてあらゆる面からこれを総合して判断する、すなわち予算の面あるいは運輸とか通信とかその他各方面からこれをさらに検討いたしましてこれを決定して行く、その決定されたものを各幕僚長に流して各部隊にさらにこれを命令して行くというような建前をとつて行つておるのであります。決して内局が統合幕僚会議を押えるとか何とかいうことはないのであります。内局の方は御承知の通りあらゆる面、国際情勢、あるいは予算あるいは人事の面その他の面から、総合的にこれを検討して行くという関係でありまするから、統合幕僚会議を内局でもつて押えて行こうというような考え方のもとに、この法案がつくられたわけでも何でもない、両両相まつて運営のよろしきを期したいということでこの法案ができたわけであります。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 この原案は防衛局長にあらゆる権限の基本が握られております。これは他日必ず後悔なさる時期がありますから、その一点だけを申し上げて質問の第三点に移ります。  これは自衛隊の規律を維持する点において重大な欠陥を持つておるという点であります。すなわち自衛隊法案第百十九条の罰則を見ますと、上官の職務上の命令に対し多数共同して反抗し、または上官の命令に違反して指揮権を濫用した者に対する罰則が、わずかに「三年以下の懲役又は禁こ」と規定されておるのであります。総理大臣は自衛隊の最高指揮官でありますが、その命令に対し武器をもつて集団反抗し、あるいは総理の命令に違反して指揮権を濫用する者に対し、三年以下の軽い罰で処断することによつて、この武器を持つた集団の規律が保てるとお考えになるかどうか、これはきわめて重大な点であります、この法案はクーデターをやりやすいようにした法案です。過去のいまわしい失敗を繰返さないために、平時から武器を持つた者に対しての集団抗命罪と指揮権濫用というものは、各国におきましては死刑もしくは無期をもつて処断をしておるのであります。この点に木村長官の御答弁では満足できない。吉田総理大臣はかくのごとき重大なる地位に立たれ、そうして軍の規律を一糸乱れず、過去のあやまちを繰返さないために、ほんとうに良心をもつてこの法案の再検討を政府及び与党に私は御指示になるべきと確信するのであります。本法案は三党協定の結果成り立つたと言つておりますが、これには重大欠陥である。今申しました三点、党派を越えて自由党の各位と日本自由党の皆さんはその趣旨をお認めになつております。しかるに改進党は党議といいますが、協定の線にこだわつて御同意になつておらない、こういうことで原案通りずさんな法案を押し通すことは、当内閣委員会が一箇月にわたつて真剣に検討した価値があるか、これはどうか皆さんは国会の権威にかけて、悔いを将来に残さないように、総理大臣から御答弁願いたいのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お考えはよくわかりました。なおその点については政府といたしまして研究いたします。

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 中村梅吉君

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 私は憲法とこの防衛二法案との関係について、政府にお伺いしたいと思うのであります。この問題は保守三党の防衛折衝にあたりましても、ずいぶん深刻に議論をいたしまた。しかしながら憲法と防衛との関係については、ついに三党の間に意見の一致を見ることができませんで、結局は政府の責任ある処理を期待して、とにかく防衛については自衛力漸増の意味でこの程度のことは必要であろう、また駐留軍の漸減、あるいは将来は駐留軍の全面撤兵をを求める上からは、どうしてもこの程度の自衛力漸増を進める必要がある、漸増を期する必要がある、こういう結論にこの内容というものは一応三党の折衝ではおちついたのでございますが、しかしながらこの防衛二法案と憲法との関係については、まだ結論を得なかつたわけであります。しかも国会における各種の論議を通じてみましても、まだ明確にされていないことを私は非常に遺憾に思うのであります。もちろん政府としては簡単に憲法を改正するとも言い切れないでございましようが、少くとも私どもの感覚から申しますならば、防衛の関係についても、現在の段階は自衛軍創設の準備段階であろうと思うのであります。この程度の設備ができたからといつて、これが完全な自衛軍であるとは何人も思わないのでありまして、完全な自衛力を持つための方向に進む一つの過程である、こう私どもは思うの、あります。しかしそうであるとするならば、憲法の関係についても、完全な自衛力を持つというためには、憲法を今のままにして完全な自衛力が持てるはずがない。筋金の入る設備のできるはずはないのであります。憲法もやはり準備の段階に入つておるものである。憲法の改正に向う準備段階、完全な自衛力を持つ方向に向う準備段階、この二つの並行線というものがあるということぐらいははつきりしないことには、私どもとしても、国家の現状から見て、この程度のことは必要であると思うが、しかし憲法の関係を今までのままでこれを是認するということはできないという、実は考えを持つておるわけであります。この場合私は憲法と防衛二法案との関係について、吉田総理大臣はどういうお考えであるか。従来の国会の論議における総理大臣の答弁をそのまま堅持されるのか、少くとも私が今申し上げた程度の方向は是認をされるのであるか、この点をはつきり承つておきたいと思うのであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 主管大臣からお答えします。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 申すまでもなく、憲法第九条二項には戦力は保持しないとあるので、戦力を持つためには憲法を改正するということは、当然であります。そこで独立国家たる以上は、みずからの手でみずからを守る体制を一日も早く整えるということは、当然であろうと考えております。しかしながら、しばしば繰返して申しました通り、現在の段階においては、国力いまだそこまで達しておりません。遺憾ながら、日米安全保障条約において、アメリカ駐留軍とただいまの保安隊——今後自衛隊となりましようが、これと両々相まつて日本の防衛体制を立てて行こうというのが、ただいま政府のとつておる立場であります。しかし、今後の情勢いかんによりましては、われわれはやはりある程度の軍備は持たなくちやならぬというところに行くものと考えております。それは一に国民の意思にかかつておるのであります。国民の意思が、戦力を持つて、日本の防備体制を十分にしなければならぬということになりますると、当然憲法改正という問題が起きて来るだろうと思います。その問題がいつになるかということについては、これはわれわれの予想の限りではありませんが、しかしだんだん日本の国民においても、自衛体制の一日もすみやかならんことを期しておるのでありまするから、私はその日もそう遠くはなかろうと考えております。しかし政府がイニシアチーヴをとつて憲法改正をするというところまではまだ行つていないんじやないか、一に国民、ことに国民を代表されている国会議員諸君の意向にかかる問題だ、われわれはこう考えているのであります。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 私は、木村長官の意見を聞いたのではありません。この問題については、木村長官、緒方副総理との間に、参議院においても、衆議院においてもいろいろ議論をしております。しかしながら、まだ明確になつていない。しかも吉田総理大臣は、憲法は改正いたしませんということを従来数回、しばしば言つておられれるのであくまで憲法は改正をいたしませんということでこの防衛二法案を進めようとするのは無理ではありませんか、こういう点を念を押しておるのであります。木村長官が国務大臣として言われておる言葉を拝借しますならば、国家の基本権としての自衛権は、これは憲法以前のものである、こう言われておる。その点から見ても、私は木村長官は、憲法はこのままでも戦力は持てるのだという考え方じやないか、あるいは政府もそういう考え方じやないか、こういうことも一応想像されます。それならばそういう見解を明確に、前提だけではなく、もつと結論もはつきりしていただきたい。かりに国家の自衛権というものが憲法以前のものであつて、自衛のための戦力は、憲法にどういう規定があろうとも持てるのだというはつきりした結論があるとしても、今の憲法そのままでは、筋金の通つた自衛力というものはできないのじやないか。今一つ一つあげませんが、これは幾多の難関があるわけです。ですから、憲法を改正しないことには完全な自衛戦力は持てないであろう、こう私どもは思うので、この点について総理大臣の、簡単でけつこうですが、所見をただしておるわけであります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 お答えします。政府は、ただいまのところ憲法改正の意思はございません。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 それでは重ねて尋ねますが、憲法の改正に向う準備をするとか、あるいは憲法の改正の方向に進むという意思もないのでありますか。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 研究はいたしておりますが、ただいまのところまだ結論に達しておりません。少くとも私としては、憲法改正の意思はありません。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 研究をするということは、憲法改正の必要の部分を検討をして、その結論が出れば改正をするというのでありますか、結論が出ても改正をしなという今の御意見でありますか、それを伺いたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 それは将来に属することでありますからして、ただいまお答えはいたしません。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 将来のことであつても、少くとも戦力と見られるような、直接並びに間接の侵略に傭える防衛の法案を審議するにあたつて、その見通しくらいのことも持たないでこの防衛法案を国家として制定するのだ、一体こういうことが言えますか。私は、少くとも政府の責任者として、見通しくらいは明らかにして、こういう見通しなんだからこういう法案が必要なんだ、こういう自衛力が必要なんだ、こういうことにならないことには、この法案の審議なり、われわれが最後の態度を決するということはきわめて困難だと思うのであります。もう一度この点について伺いたい。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 ただいま私が申した通りであります。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 どうもこの点については、いくら押問答をしたつて、吉田総理の御性格からいつてこれ以上いかんとも打開はできないと思いますから、ただ最後に一点伺います。MSA協定その他の関連から見まして、日本の防衛体制というものは集団安全保障、集団防衛の方向に進んでおるものであると私は観察をいたすのでありますが、政府はそういう考え方のもとにこの防衛法案を制定し、あるいはMSA協定を結んでおる、こういうように受取つてよろしいかどうか、総理大臣から伺いたいと思います。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 私からお答えいたします。もちろんわれわれといたしましては、独力でもつてただいま日本の防衛体制を立てて行くことができないことは御承知の通りであります。集団的にわれわれは日本の防衛体制を立てるよりほかに道がなかろう、いずれ時期がたちますと、単独でもつて自衛体制を立てることができることと思います。それまでの間は集団体制をとつて行くことが一番適当であろうと思つております。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 要領を得ませんが、福の関係もありますからこれで私の質問を終ります。

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長  平井君。

平井義一自由党

○平井委員 自由党は二法案に対して賛成でありますから質問は省きますが、内容の中に、事件が起つて出動命令を出して、地方に自衛隊が行つた場合物資の調達をやる、その場合において、県知事に命令をすることになつておるのでありますが、現在県知事は公選であります。自衛隊に反対をする県知事がもしおつたとするならば、物資の調達がなかなか困難と思いますが、総理大臣は将来知事を官選にする気持があるかどうか、この点を質問いたしまして私は終ります。

吉田茂自由党内閣総理大臣

○吉田国務大臣 官選にいたしたいと思いますが、まだ政府の方針は決定いたしておりません。

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 質疑はこれにて終了いたしました。午後は二時から委員会を再開し、討論採決を行います。  この際暫時休憩いたします。     午後零時二十九分休憩      ————◇—————     午後二時三十九分開議

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 休憩前に引続き会議を開きます。  これより防衛庁設置法案及び自衛隊法案、両案を一括して討論に付します。討論の通告がありますので、順次これを許します。大久保武雄君。

大久保武雄自由党

○大久保委員 私は自由党を代表して、政府提案にかかる防衛庁法案並びに自衛隊法案につき、賛成の討論をいたしたいと存じます。  第一に、自衛力を持つことを決定する前提として重要なことは、日本が戦時において中立を維持し得るかいなかの点でありますが、外務大臣及び保安庁長官の答弁によりましても、また社会党より推薦されました遠藤三郎公述人の意見によりましても、みずから中立を維持するに足る——米ソに匹敵する強大なる武力を保有しない以上、戦時において日本が中立を維持することの困難である点は、ほぼ明確となつたようであります。私はこの遠藤公述人の発言よりいたしましても、社会党の主張される非武装中立論は、その一角が崩壊したと思うのであります。  第二に、日本の中立維持が困難であるといたしますならば、社会党の言われる非武装であつてよいかいなか。非武装のまま敵の侵略にまかせますならば、その結果はまさに悲惨の極であります。またみずからは防衛の責めに任ぜずして、他国の軍隊に自国の防衛を依頼いたしますならば、もはや独立国の誇りはこれを捨てなければなりません。社会党の推薦された遠藤公述人は、共産主義国の侵略を防止するために、日本が国際警察軍に参加することは当然であると、これを認められたのであります。この点において社会党の非武装論はきわめてあいまいなものとなつてしまうのであります。また内閣委員長である稻村順三氏は、社会党左派の綱領委員長として、社会主義政権下において革命のため有利であるならば、武装は維持すべきであり、非武装ということは絶対的なものではない、こう主張しておられるとの新聞報道があつたのであります。この稻村氏の所論からいたしますならば、みずからも時と場合によつては武装を認められるのでありますから、非武装中立論は、山と言えば川と言うような無責任なる政治的かけひきの具に供されているものとしか考えられないのであります。またもし武力を社会革命のために使用されるのが本意であるといたしますならば、これはまさに驚くべきことであり、共産主義の暴力革命に共通するものであり、断じて民主主義の上からは許し得ない考えと言わなければなりません。侵略の形態につきましては、日本が海上に孤立し、食糧及び原料をすべて海外より補給しなければならない戦略的弱点よりいたしまして、共産主義国が欧州やアジアでとつていた過去の行動より見て、海上封鎖や思想的内乱の扇動と、これに伴う義勇軍の派遣等が、最も起り得る場合であろうとの想定が有力でありまして、日本が四面に海をめぐらしていることは、何ら侵略に対する自然的条件を安全にしたものではないとの判断も、ほぼ一致いたしたのであります。  第三にしからばいかなる陸海空の部隊を設置すべきであるかは重要な課題でありますが、政府は三軍均衡方式によるとの説明がありました。日本の海国としての戦略的地位からいたしましても、また日本の財政的能力からいたしましても、三軍それぞれに力を入れることは適当ではないのでありますが、保安庁長官の答弁において、三軍均衡方式をとつても、一、海上及び航空部隊に重点を置くこと、二、陸上及び海上部隊、特に海上自衛隊には、海上作戦が航空機の協力と不可分の関係があるのにかんがみ、相当有力なる航空機を配属すること等の詳細な言明がありました。この保安庁長官の言明は、日本の西太平洋における海国としての戦略的条件にかんがみ、きわめて適当であると考えますので、これを了承いたしたのであります。  第四に、これらの部隊が行う武力行使の限界につきましては、政府は自衛権の範囲内に行うとの答弁でありましたが、これはいささか抽象的であり、いかなる限度までの武力行使が自衛の限界であるかは、具体的の場合を想定いたしますと、はなはだ決定困難のようであります。自衛隊を海外に派遣しないということは、政府の答弁により明瞭であり、また現憲法下においてこの方針を貫くことは当然でありますが、想定し得る侵略の事態に対処して、前組割隊をして自御限界の判断に苦しみ、ひいてはこれらの隊員に不必要な犠牲を忍ばせ、また不測の困難な国際問題を惹起することなきよう、政府はすみやかにこれが具体的方途を検討し、前線部隊に必要なる指示を与えておく必要があると考えるのであります。  第五に、自衛隊は軍隊であるから憲法違反であるとの質問が、社会党委員より発せられましたが、憲法は近代戦力の保持を否定しておるのでありまして、自衛に必要な防衛力は、戦力にあらざる限りこれを禁止しておるとは考えられないのであります。また社会党自身におかれましても、つい先日政権担当の苦しまぎれの一時的便法ではありましたでしようが、憲法違反の保安隊を当分存置するとの政策協定を発表されましたことは、みずから憲法違反とののしつておられる保守党のわだちを踏むことを決意されたわけでありまして、これは明らかに社会党の主張される憲法違反であり、みずから国民に対する重大なる公約を裏切られたものであると言わなければなりません。天に向つてつばきするものはつばその面上に返るということは、まさにこのことであり、自衛を政略的かけひきの具に供されるのは、社会党のためにまことに惜しむのであります。  また原子爆弾が発明使用されました今日、防衛隊は玩具の武装であつて、その意義をなさぬとの説もありましたが、原子力に対しましても、これを運搬する艦船、航空機に対しての防衛は依然必要でありますのみならず、また情勢判断からいたしますと、わが国に対してはむしろ原子力以外の侵略方式が起り得る場合が多いとの症定が有力であります。またかくのごとき原子力以外の侵略が全然ないとの保障はどこにもないのでありまして、国内に思想的内乱を起させて、しかる後に義勇隊を派遣する共産主義国の独特の侵略方式に対処するためのみからいたしましても、どうしても自衛力の保持を必要とするとの判断に帰着いたすのであります。すなわち社会党の主張される非武装中立論は、政略的かけひきでなければ、たとい本意ではないとしても、国民を裸にして共産帝国主義のえじきに売り渡すケレンスキー的な売国的橋渡しをなすものであると言わなければならないと考えます。  なお航空機、潜水艦、毒ガス、原子爆弾等の常軌を逸した使用が人類に及ぼす無惨なる殺戮は、まことに人道上より見て遺憾千万でありまして、私どもは新しき原子力管理を含む戦時国際法の成立を心より熱望するものであり、外務大臣のこれに対する努力する旨の答弁をもつて、一応了承し、今後における政府の努力に期待するものであります。  第六に、日本の防衛機構における文官優位については、兵権優位の軍国主義の復活を防止する機構運営の基本として、きわめて重大な問題であります。今回の防衛庁法案によれば、防衛庁内局に制服職員をも採用するとのことでありますが、制服、私服の対立を解消したいという当局の意図は、一応は了承されるのでありますけれども、従来採用されて来たその原則の保持に一抹の不安を禁じ得ないのであります。政府は運用上格別の留意を払われ、あくまて文官優位の民主主義の原則を守られるよう、希望いたす次第であります。  第七に、防衛の精神については、隊員に対し祖国愛を中心として精神のよりどころを定め、また生か死かを選ぶ場合には、隊員に対し義務遂行の自覚を鮮明にし、また悲しき祖国防衛の犠牲者に対しては適者なる英霊を慰める方途の確立を要望したのでありますが、政府の対策としていまだ不明確の点が多々あつたのであります。政府においては出動したる隊員が物心両面にわたり心おきなく祖国のために働き得る制度を一日もすみやかに確立されんことを要望いたします。  以上申し述べました通り、わが国は、平和条約によつて自由主義国家群の中においてその平和と安全とを保持せんことを決意いたしました以上、またわが国が独立国としてその国土と国民とを守ることがみずからの当然の責任であるとの自覚に立つ以上、日本政府は、他国を侵略せず、また脅威を与えずして自国を守る自衛隊を編成し、防衛庁を組織することは当然の責任であります。また他方共産主義国の防備なき国に対する侵略の可能性がなくならない限り、及び過去にしばしば行われました共産主義国の弱者に対する不意打ちの危険性がなくならない限り、また東亜において防衛力の真空地帯が多く、これが共産帝国主義の侵略の誘惑となつている現状よりいたしますれば、政府の防衛力強化の企図はきわめて時宜にかなつた措置と考えられるであります。  私は以上の意味におきまして、自由党を代表して両法案に賛成の意見を明らかにいたした次第であります。(拍手)

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 大久保委員の発言中私個人の言動に触れるところがありましたので、一言一身上の弁明をいたします。大久保委員の言つたようなことを私は一言も言つたことなく、まつたく事実無根でありますので、以上釈明いたします。粟山博君。

粟山博改進党

○粟山委員 私は改進党を代表いたしまして、本委員会の採決にあたり、防衛庁設置法案並びに官術隊法案につきまして、賛成の意見を申し述べんとするものであります。  一言お断りしておきたいのは、午前中総理大臣が出席されまして、私も直接総理大臣の面前において、改進党の所見とかつまた私の考えるところを申し述べる機会を得たいと楽しんでおつたのでありますが、残念ながら午後は御出席がないということであります。しかしながら、この法案の審議にあたつて最も重要なる問題について、この委員会において最後の答弁とも申すべき首相の発言中に、あくまでも軍備を否認し、憲法を改正しないということを強調しておるのであります。しかるにこの自衛隊なるものは軍隊であるかいなかという重要な点につきまして、総理と木村保安庁長官との意見が相違しておるのでございます。かくのごとき状態において、この重要なるわが国の運命を決すべき大きな転換期をはらんでおります法案について、各大臣の間において意見に相違があり、見解に相違があるままにおいて、なおかつこの審議を続け、この採決を求めるものであるかということを思いますときに、私はまことに遺憾を禁じ得ないものがあるのでございます。さりながら私は、前申し上げました通りに、改進党の党議によるところの賛成討論に立つておるのでございます。この意味におきまして、いささか私の述べるところをお聞き願いたいと思うのであります。  わが改進党は、さきに世界の情勢の推移にかんがみまして、わが日本の置かれております環境からいたして、国力に応じた民主的な自衛軍の創設を主張して今日に至つておるのでございます。私どもは、無法、無経綸をきわめ、国民をかり立てて戦争に導き、その敗戦の結果がいかに悲惨なものであつたかということは、身をもつて体験しておるのでございます。従つてわれわれが戦争を憎悪し、平和を念願すること切なる思いを有することは、世界いずれの国民にも決して劣らないものであります。しかしわれわれは、この冷厳なる現実を直視して、わが日本の現状は、非武装、無防備の姿にこのままして、他国の侵入のおそれがある場合といえどもかような状態において真の平和を守り得るやいなやということについて、非常なる危慎を持つものであります。さらに現在、わが国の安全というものは、申すまでもなく、日米安全保障条約によつて日本に駐留する米国軍隊の手によりまして、その安全保障が保たれておる形を持つておるのでございます。かくのごとくして国家の存立に最も必要な基本的な責任をば、外国の手にゆだねておるというがごときは、独立国といたしましてきわめて不自然なものであることに痛感を禁じ得ないものでございます。しかしながら、この不自然な姿から脱却いたしまして、独立日本の姿に返すのには、一日も早く最小限度の軍備を整えまして、すみやかに米国軍隊の撤退に善処すべきものと信ずるのでございます。  以上の趣旨によりまして、われわれは今回上程されました防衛二法案に賛成するものであります。しかしながら、この二法案に対する責任ある政府の態度と、その説明とは矛盾撞着をきわめ、いたずらに堅白同異の弁を弄し、ために一般国民に真相徹底を欠き、理解せしむる機会を失し、事ここに至れることをまことに遺憾とするものであります。われわれはこの観点に立ち重要なる二、三の点を指摘し、政府の重大なる反省を促すものであります。  その第一は、自衛隊の性格についてであります。これについては、政府は本法案をめぐつて、自衛隊は軍隊でも警察でもない、特殊な存在であると言い、そうかと思えば、自衛隊は男か女かの質問に対して、木村長官は、自衛隊は男であると答え、最後には、木村個人としてはまさに自衛隊は軍隊であると答弁するに至つたのでありますが、政府の答弁としては、前申し上げましたように、総理を初めきわめて曖昧模糊であつて、軍隊と称してもさしつかえないというような言葉も漏らしておるのであります。かような解釈を続けて行くならば、いたずらに国民をして混迷に陥らしむるのみでありまして、百害あつても一利がないのでございます。むしろ率直に軍隊であるということを、責任のある政府として言明された方が、国家のためであり、かつまた政府のためであると私は考えるのである。自衛隊が軍隊であるかいなかは最も重大なことでありまして、保安隊の士気が常に問題となり、隊員の自尊心を傷つけ、また世間の誤解を招き、背後に盛り上らんとする国民の協力的感情に少からず支障を与えていることを心から憂うるものであります。今回の自衛隊は明らかに直接及び間接の侵略に対し、わが国を防衛することを主要任務とするとうたつておりますからには、これはまさしく軍隊であります。よろしく政府はこの際明確にすることを要望するものであります。  第二に、自衛隊と憲法との関係であります。本日この委員会において、吉田首相は軍隊を持つ意思はない、憲法は改正しないと主張しておりますが、今やこの自衛隊はいかに強弁しようとも戦力であり軍隊であることは明らかでありまして、この法案に賛成する者も反対する者もおそらく同意見であり、自由党の諸君もこれには異存を唱える者はあり得ないと信ずるものであります。われわれ改進党は、現憲法下においても、自衛のための戦力、自衛のための軍備はこれを保持し得ると割切つて考えているものでありますが、今こそ厳固たる既成事実の上に政府は飜然としてわれわれの憲法解釈に同調すべきであります。しからずんばいさぎよくすみやかに現行憲法改正の決意を国民の前に表明すべきであると考えるものであります。一時を糊塗するも長くは大衆の耳をおおい得ないのでありますから、政治する者は常にこの心を持つて政治の衝に当らなければならぬことを私は忠告申し上げる次第でございます。  第三には、総理大臣に対する過度の権力集中についてであります。今回の自衛隊法案によれば、内閣総理大臣は、自衛隊の最高の指揮監督権を有することになつています。これは旧明治憲法において天皇が有せられたる統帥大権とも匹敵するものであります。さらに現行憲法上総理大臣は内閣を代表し、全閣僚の罷免権を通じて行政各部を支配し、その上憲法第七条により解散権をもつて国会に臨み、さらに法務大臣を通じて検察庁に対する指揮権を左右し、現にこれの悪用専断が今や世の指弾を受けている次第であります。加うるに現在本院に提出されている警察法の改正によつて、それがそのまま通過するがごときことがありますならば、これが警察権をも掌握するのであります。このような権力の集中はわが国において空前のことばかりではなく、列国の大統領や総理大臣をはるかにしのぐもので、独裁国家以外にその比を見ないのであります。自衛隊運用については国会の承認を経ることになつてはいますが、緊急の場合は事後承認となつていますから、この自衛隊も総理大臣の意のままに行い得るのであります。われわれは以上のごとき公武合体の権力集中は、わが民主主義の精神に反するばかりではない、将来国家に不測の災いを生ずることをおもんばかりまして国防会議の設置を提唱したのであります。しかるに政府は、国防会議の骨格を提示することなく、この二法案の通過を求むることは、その真意がいずくにありやを疑わざるを得ないのであります。  最後に、自御隊員の士気、自衛隊員の愛国心について申し述べたいのであります。自衛隊は過去の保安隊とその本質を異にしまして、国土防御を任務とし、すなわち往時の防人となつて祖国防衛のために身命を賭するものであります。しかし、この祖国のため身命を賭するということは、一片の法律や政府の訓令で行い得るものではありません。自衛隊員一人々々が熱烈な愛国心を持ち、真に国のため同胞のために一身を顧みないという崇高な協同奉仕の精神を持つて初めて行い得るところであります。  政府は、わが国の運命を決する本法案の実施にあたつて、特に思想体系の確立を期し、思いを深く国民生活に寄せられ、不動の信念を持つて国民に訴えなければなりません。従来率先して志願しておりまする自衛隊員の高潔な心持にこたえるために、政府要人はもとより、この自衛隊の上長に位する者、指揮命令の任に当るところの者は、身みずからその行いを正して、いささかも世の疑惑を受くるごときことはこれを払拭し、実践躬行、身をもつて範をたれることが肝要であると信ずるのでございます。私は、その意味におきまして、総理大臣の人格、総理大臣への国民大衆の信頼はたしていかんということを思いまするときに、この制度このままに行われるにおいては、国の前途いかんということを真に憂えざるを得ないのである。  われわれは、以上申し述べましたるところの重要な諸点に関しまする強い希望を条件として、防衛二法案に賛成するもの。あります。(拍手)

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 田中稔男君。

田中稔男日本社会党(左)

○田中(稔)委員 私は日本社会党を代表して、防衛庁設置法案及び自衛隊法案に関し、反対の討論を行わんとするものであります。  自衛隊の創設は、戦後における日本再軍備の歴史における画期的なできごとであります。警察予備隊、その改編された保安隊及び警備隊はすでに軍隊の実体を備えておりましたが、その任務とするところが国内治安の維持にあり、いまだこれをもつて明白に軍隊なりと言うことはできなかつたのであります。  しかるに自衛隊は、両法案に明示するがごとく、外敵に対抗することを主たる任務とするものであり、かくのごとき任務を持つ実力部隊をもつて軍隊となすことは、国際通念に属するところでありますから、自衛隊はすなわち軍隊であります。木村保安庁長官もしぶしぶながらこの事実を承認せざるを得なかつたのであります。しかしながら木村長官は、自衛隊は戦力に至らざる実力であり、従つて憲法違反の存在にあらずと強弁しております。そして戦力たるの判断の基準は、自衛隊が近代戦を有効適切に遂行し得るかいなかにあるというかつてきわまる解釈を下しております。しかし世界各国の軍隊の中には、一流の軍隊もあれば二流ないし三流の軍隊もあり、いずれも国際通念上戦力たることにかわりはないのであります。自衛隊が近くMSA協定による武器援助を受けたあかつきには、その装備、編成において少くとも二流の軍隊に伍して何ら遜色のないものとなることは確実であります。従つて自衛隊が一切の戦力の保持を禁じた憲法第九条の規定に違反することは、疑う余地のないところであります。  私は、自衛隊が単に再軍備の具体化であるという理由をもつてこれに反対すそものてはありません。それがいわゆるMSA再軍備を意味するがゆえに、断固としてこれを拒否せんとするものであります。私は、不幸にして、元海上保安庁長官であつた同僚大久保君と根本的に所見を異にするものでありますが、それは同君が、自衛隊は文字通り日本みずからの手による日本の軍隊であるかのごとき錯覚に陥つておられるからであります。改進党の同僚粟山君についても、ほぼ同様であります。日米安全保障条約において、日本はアメリカに対し、みずから防衛力漸増に責任を負うことを期待させたのでありますが、MSA協定において、日本の防衛力漸増はもはやアメリカの期待たるにとどまらず、厳然たる軍事的義務として日本に強要されるに至つたのであります。  さらに日米行政協定第二十四条においては、非常時の日米共同防衛を約し、MSA協定第八条においては、国際緊張の原因を除去するため相互間で合意することがある措置をとることを認めております。従つてアメリカ製の武器によつて装備され、アメリカの軍事顧問団の教育訓練を受ける日本の自衛隊がアメリカ軍の補助部隊となつて共同行動を行い、必要に応じて海外出動を求められる公算はきわめて大であります。ジユネーヴ会議におけるインドシナ問題の平和的処理がもし不幸にして失敗に帰し、インドシナ戦争に対処せんがためにアメリカが提案しておりまするところの東南アジア防衛体制が実現し、日本が万一これに協力を求められるような場合には、海外出動の危険は差迫つたものとなるでありましよう。さらに東南アジア防衛体制が太平洋防衛体制に発展する場合には、日本はその重要な参加国となり、海外出動は条約上当然の義務となるでありましよう。  すでに武力によつて国を守ろうと考えるならば、必然的に米ソいずれかに依存しなければなりません。原子兵器や超音速航空機の出現した今日、日本の貧弱な国力と日本が米ソ両国の間に戦略的要衝を占めている立地よりして、一国単独の防衛は理論的にも実際的にも不可能であります。しかしながらわが党も一国の自衛権そのものを否認するものではなく、ただこれを武力によらず、外交によつて実現せんとするものであります。外交は本来多面的な活動を特徴とするものでありますから、その外交がよろしきを得るならば、親米にして同時に親ソたるの立場を確保することもできるのであります。遠藤公述人はわが社会党の党員ではありません。遠藤公述人の国際警察軍の構想はわが党の責任をとるところではありません。  あたかもよし世界各国の平和を叫ぶ人々の声はベルリン会議からジユネーヴ会議へとこだまして、国際緊張緩和の傾向は最近とみに顕著となつて参りました。ビキニの死灰はこの傾向に拍車を加えつつあります。今こそ日本国民は原子の死灰のもとから立ち上つて堂々と世界に平和を訴えて、みずから憲法に規定した非武装、不戦の誓いを新たにすべきときであります。米ソの間に中立を堅持する平和外交の絶好のチャンスは今日をおいてほかにはありません。  戦時中われわれは米英鬼畜という言葉を当時の政府から聞かされたのであります。もちろんかくのごとき宣伝は誇張された表現ではありますけれども、アメリカ帝国主義の脅威の存在を指摘した点においては正しかつたのであります。そのアメリカ帝国主義の脅威は当時と何らかわるところがない現状であります。むしろ戦後アメリカは日英仏蘭にかわつて、アジアにおける新しい帝国主義的支配として歴史的に登場したのであります。太平洋戦争は日米両帝国主義の利害の対立が爆発した結果でありますが、敗戦日本はみじめにもアメリカに屈服し、MSA再軍備を行うことよつてかえつてアメリカのアジアにおける番犬となり、アジア民族解放運動を阻止せんとする役割を果そうとしております。私は日本の独立の平和のために、かつまたアジアにおける民族解放のため、かくのごときMSA再軍備に絶対に反対するものであります。  政府は対米依存のMSA再軍備を理由づけるために、中ソ両国の侵略の危険をしきりに宣伝しております。国民の中にこの宣伝に乗つている者も少くありません。革命はこれを他国に輸出し得るものではないことは、マレンコフも毛沢東もよく知つているはずであります。また日本の改革を中ソの軍隊を迎えて遂行しようと考える者が万一ありましたならば、それは必ずや失敗するでありましよう。それは民族の誇りがこれを許さない、大衆の支持を得ることができないのであります。  さらに中ソ両国は人口は豊富であり、国土は広大であり、資源において大体自給自足が可能であるばかりでなく、恐慌と失業とのない社会主義体制の特徴として無限に拡大する国内市場を有しておりますから、あえてアメリカのごとく海外に帝国主義的進出を試みる経済的理由がありません。もし中ソ両国に欧亜の人民民主主義諸国を加えますならば、それ自身一つの完成した世界経済を形成するのであります。もちろん日本の工業力は中ソ両国にとつて一つの大きな魅力たることを失わないといたしましても、侵略によつてこれを奪うことは、日米の共同防衛体制がしかれていなくても、アメリカとの戦争を誘発し、その結果日本の工業力そのものが壊滅に帰することは明らかに予想されるところであります。むしろ中ソ両国としては平和的な経済交流の方法によつて日本の工業力を両国のために利用する方がはるかに賢明であります。  さらにまた中ソ両国の国民は這般の悲惨きわまる戦争の体験から、何よりもまず平和を熱愛し、社会主義建設の成功は平和なくしてあり得ないことを知つています。この大衆の平和への熱望によつてささえられている限り、中ソ両国の平和政策の真実をわれわれは信用してしかるべきだと考えるものであります。しかしながら平和を願うものは中ソの国民ばかりではありません。アメリカの国民も同様であります。日本の国民は言うまでもありません。幸いにもアメリカと中ソ両国の政府の指導者が懸命であるなら、特にアメリカの指導者が帝国主義的内外政策をやめ、国内においてはニュー・デイールを再び拡大された規模において採用し、国外においては社会主義諸国との平和的通商の拡張に努力して、その経済危機を切り抜けるほど懸命であるならば、米ソは平和的に共存することがでさるに相違ないのであります。この間当委員会において緒方副総理は米ソの平和的共存の可能性を認められました。私は副総理の勇気と良識をたたえるものであります。この米ソ共存の可能性の上に自主中立外交を積極的に展開することが、真に日本の平和と安全を守るところの道であると考えるのであります。もし不幸にして両法案が国会を通過し、MSA再軍備が実施されましたならば、種々困難な事態が発生することが予想されるのであります。  すなわち第一に、民主化の日なお浅い日本において軍国主義的風潮が再現する危険があります。軍官民の社会的序列が復活するおそれがあります。両法案の内容を検討すれば、自衛隊員の服務に関する諸規定がある。防衛出動時に行われる施設の管理、物資の収用、業務従事命令等に関する諸規定は、いずれも国民の基本的人権を侵害するものでありますが、志願制度による隊員の増員が一定の限度に達し、遂に徴兵制度がしかれるに至りますならば、人権侵害はさらにはなはだしくなるものと考えられます。  第二に、自衛隊によるMSA再軍備は、財政上重大な負担を国民に課することになりましよう。外国の事例を見ましても、MSA援助は軍事費の負担を軽減するどころか、むしろこれを増大する傾向が見られます。現にわが国の昭和二十九年度の防衛庁経費は前年度の保安庁経費に比し三〇%の増率を示しております。そのために民生安定や社会保障や教育文化関係の経費が圧迫されたことは周知の事実であり、この傾向は、今後再軍備の進展につれますますひどくなるものと考えられます。  第三に、再軍備の進展につれ、日本の産業構造において軍需産業が駒形的に発達し、平和産業や国民生活が圧縮される結果が生ずる危険があります。さらにMSA協定でわが国の軍需品に対する域外買付を期待するところが大でありますが、輸出産業としての軍需産業という考えは、やがて日本をアジアの兵器廠たらしめようという構想に通ずるものであります。そうするとアジアの各地に絶えず朝鮮戦争やインドシナ戦争のような局地戦争の継続されていることを望む死の商人の非人間的な心理を生むおそれがあるのであります。軍需会社の株が朝鮮休戦で暴落し、インドシナ戦争長期化の見込みで高騰することによつてこのことは明らかであります。  第四に、軍隊は必然的に軍事上の機密を件うものであります。社会の一隅に機密のとばりがおろされますと、やがてこれが社会全体に拡大する傾向を持つのであります。防衛秘密保護法は今のところMSA援助武器のみを対象としておりますが、遠からずして広汎な対象を持つ軍機保護法が制定されるに至ることはけだし必至であります。その結果はすでに制定されている破防法や目下参議院で審議中の教育関係二法案等とともに、言論や思想の自由のない暗黒社会を現出することとなり、戦後十年にして日本の文化的後退は再び始まる危険が考えられるのであります。  第五に、日本のMSA再軍備がアジア諸国に与える影響は深刻であります。かつて日本は独立した帝国主義強国として欧米諸国とともにアジアに対し外部から支配する立場にありました東亜共栄圏の構想は、日本の帝国主義的膨脹政策にほかならなかつたのであります。太平洋戦争に破れた現在の日本は、再び帝国主義強国として復活する可能性に乏しいのであります。新しい日本は真剣に反省してアジアの中に復帰し、アジア諸国と平和的に共存する道を選ばなければなりません。しかるに事実はこれに反して、アメリカのアジアにおける買弁としての道を現にたどりつつあります。これは再び外部からアジアに臨む態度であります。しかし今やアジアにおける民族解放運動は戦前戦時に想像だもされなかつたほど高まつておりますから、日米経済協力の一環としての東南アジア開発というような構想は、東亜共栄圏のアメリカ製新版として、どこまでも相手にされないような状態であります。アメリカの完全な植民地と考えられているフイリピンにおいてさえ、ナシヨナリスタ党の台頭とともに、アジア人のためのアジアという思想が広がり、日本の対比賠償案のごときも、フィリピン人の犠牲において、日本の反共基地化を推進するものだと非難をされておるありさまであります。爾余の東南アジア諸国における対日観は、一層険悪なものがあるということは、政府当局も御存じの通りであります。かかる際MSA再軍備を強行することは、日本軍国主義の復活として、アジア諸民族の恐怖の的となるでありましよう。しかも復活した日本軍国主義が、アメリカの反共アジア政策の尖兵としての役割を演じることによりまして、この恐怖の感情には、また侮蔑の感情が混じつていることを見のがしてはなりません。日本がMSA再軍備を捨てない限り、アジア諸国との真の友好を結ぶことは不可能であり、日本は永遠にアジアの孤児にとどまらなければならないでありましよう。  第六にあらゆる困難を冒して再軍備を行つたとしましても、その軍隊は一朝有事の際ほとんど役に立たないであろうと考えるのであります。それは装備や編成の問題ではありません。軍隊の士気の問題であり、結局愛国心の問題であります。国民の生活が安定せず、国民の自由と権利とが次々に奪われつつある今日の日本において、青年にこの国は守るに値する祖国なりと感激せしめる何ものもないのであります。従来単に有利な就職と考えて保安隊を志望した青年が多いことは事実であります。だから保安隊が自衛隊となつて、いよいよ本格的に軍隊的な性格を帯び、ちまたに海外派兵のうわさが高くなるにつれ、現在実施中の保安隊員募集が全国的に応募者の激減を見て、難関に逢着している実情であります。木村保安庁長官もよく御存じの通りであります。アメリカの副大統領ニクソンは奈良県の窮迫した農村生活に悩む一青年から、海外移住の希望を訴えられましたとき、一言保安隊に入れと答えたのであります。確かに保安隊、そしてまたやがてでき上るかもしれない自衛隊は、日本の青年をアメリカの防衛のために大砲のえじきとするためには役立つかもしれません。しかし日本の防衛のためには断じて役立つものとは思えないのであります。  以上の理由によりまして、私は両法案が日本の平和と安全をむしろ阻害するものと信じ、絶対にこれに反対するものであります。(拍手)

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 中村高一君。

中村高一日本社会党(右)

○中村(高)委員 私は社会党を代表いたしまして防衛関係二法案に対しまして反対の意見を申し上げたいと存ずるのであります。  約一箇月にわたりまするこの審議にあたりまして、まことに遺憾にたえませんのは、総理大臣が出席をせぬことでありました。ようやく今日午前中、わずかに二時間足らず出席しただけでありまして、かくのごとき重要な議案の審議を終るということはまことに残念なことであります。ことに委員諸君の中には、一箇月以上も総理大臣がこの委員会に出ないで、ようやく出たときに、わずか五分か十分の質問も時間が過ぎたと言うて反対をするというようなことで、わずか二十分ぐらいの質問でこれを打切るというようなことは、国会の審議を軽視するものであつて、委員諸君みずからが反省しなければならないことだと思つておるのであります。しかもこの重要な法案でありまするが、今日午前中は総理大臣が出ておられましたので、木村長官もあまり放言をしなかつたようでありまするが、総理大臣のおらない委員会におきましては、しばしば長官はただいま総理大臣の答弁をしたこととはまつたく逸脱をいたしました発言をいたしておるのであります。総理大臣は先ほども再軍備はいたさない、あるいは憲法の改正はいたさない、海外派兵はいたさないというようなことを言つておりまするが、木村長官はこれとは相当に食い違う答弁もいたしておりまして、あるときは軍隊であるというようなことを主張し、しかもこれは私見であるかのごとき言い訳を言つておりまするが、いやしくも国会の委員会において大臣が答弁をして、私見などというものはあり得るはずはございません。私見などということによつて当面をごまかそうとすることはまことにけしからぬことであります。ことに憲法改正は近きにありと信ずるというような、どこから出て来たのか、総理大臣の答弁とはまつたく食い違つた、みずから誇張いたしたような発言をして、得々といたしておるようであります。さらに重要な海外派兵の問題に関しましても、われわれは海外派兵を禁止する決議案を国会に上程するという意見さえ今日進んでおるのであります。これは衆議院ばかりでなくして、参議院におきましても、海外派兵の禁止の決議案を上程して、誤つた戦争への接近の危険を国会みずからの手によつて防止しようといたしておるのであります。この国会の意思も長官は無視いたしまして、場合によりましたならば先制攻撃をも加えまじき答弁でありまして、もし海外からの攻撃があるならば、あるいは攻撃の危険がありますならば、敵の拠点を突くこともまたやむを得ないと言うて、実質的には海外派兵と同様なことを行わんとするがごとき、きわめて危険な発言をいたしておるのであります。これらは総理大臣の答弁と、保安庁長官の答弁の食い違いでありまして、これはいずれが真なるかをまことに迷わせるような不統一な答弁をいたしておるのでありますが、おそらくきよう総理大臣も木村長官の答えと同様だということを言つておりましたから、言葉の上におきましては違いがあつても、その腹の中におきましてはあくまで再軍備を強行し、海外派兵を考え、憲法改正を考えるというようなことを推測いたしてもまたやむを得ないとわれわれは考えるのであります。しかも本日わずかに一時間足らずの出席でありますが、この答えはいずれも不親切にして冷淡、傲慢不遜でありまして、あたかも独裁国の主権者のような答弁でありますが、かくのごとき総理大臣に自衛権の最高の指揮権を握られ、あるいは万一外国からの攻撃に対して出動の権をかくのごとき独裁的な総理大臣に握られるということになりますと、まことに危険しごくでありまして、われわれは慄然たらざるを得ないのであります、今審議をいたしております自衛隊法あるいは防衛庁設置法の内容は、従来の保安庁関係の法律とはまつたく内容を異にし、一大飛躍をいたしておるのでありまして、従来の政府は漸増方針だという答弁でありまして、この答弁によりますと性格はかわらずただ人間の頭数やあるいは兵器を増加するがごとき説明でありますが、今回の自衛隊法によりますならば、この点については従来の保安隊の持つております目的に比べてきわめて明確でありまして、従来の保安隊は人命及び財産を保護するためとありましたものが、今回の自衛隊法によりますならば、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛するという、まつたくその内容を異にいたしておるのでありまして、これは従来政府の答弁いたしております漸増方針という答弁には符合いたさないとわれわれは考えるのであります。しかもその規定を見ますならば、あるいは外敵に対します出動の権と称しまして、総理大臣に与えられました権は、昔の天皇政治時代におきますところの宣戦の布告と同じような効果を発生するところの権限を総理大臣に与えられておるのであります。さらにまた戦争中の国家総動員法に盛られた内容と同様な人並びに物に対します徴用の規定も盛られておるのでありまして、徴用徴集の規定はちようど戦争中の総動員法に類似をいたしておるのであります。さらに本委員会におきまして審議をいたしたものではありませんが、秘密保護法のごときも、これは自衛隊の使用いたします武器の秘密を保護するというのであります。しかもこの秘密を漏らしますならば十年以下の重懲役に処せられるという罰則が加えられておるのでありまするが、いやしくも秘密を漏らしたならば十年の懲役に行くほどに秘密があるとしますならば、その兵器の内容というものは驚くべき兵器でありまして、その十年の体刑に値する秘密を持つた兵器をもちましても、なほかつ憲法にあるところの戦力でないというようなことは、これほどの詭弁はないとわれわれは考えるのでありますが、いよいよ秘密保護法が出ますならば、戦時中の軍機保護法と内容は同様でありまして、戦略体形から見ましても、戦争中におきますところの法規は、これによりまして一応整備せられたと見なければならないのでありますが、ここまで来ましてまだ憲法に抵触しないという法律専門家であります保安庁長官は、腹の中におきましては、おれも堅白同異の弁を論じておるけれども、おそらく心さびしい感じがするだろうと思うのでありますが、もしそれでもさびしい感じがしないとするならば、あなたの精神状態は異変を呈しておるといわれてもやむを得ないと思うのであります。しかも今日の自衛隊法ができ上りまして、先ほども賛成者の諸君から、好戦論を主張せられます諸君から見ますと、これによりましてあたかも日本の防衛が全うできるかのごとき討論をいたしておりますが、今日の兵器の変遷の現状を考えましても、いかに今日の自衛隊の防衛が無力かということは、委員各位の十分に御存じの通りであります。おそらくそれは科学兵器、原爆や水爆を使わないところの小ぜり合いがあるではないか、たとえば竹島における李承晩の漁船の拿捕のごとき小ぜり合いもあるではないかというのでありますが、われわれはそういうものまでも自衛権を否定するものではないのでありまして、日本の国に自衛権のありますことはわれわれは厳としてこれを認める、しかしながらこの点につきましては、国内におきましては警察力の充実により、あるいは海上におきましてもある程度の警備力を持つということは、その目的が警察の範囲内であり、その兵器の所持が警察の目的の範囲内と認め得る妥当な状況にありますならば、われわれもこれを否定するものではないのでありますが、この自衛隊法、防衛関係に賛成をいたしておりますところの諸君の考えるような再軍備計画につきましては、われわれは絶対に反対をするものでありまして、日本の財政の現状を考えてみましても、いよいよ国民生活は圧迫を加えられて参りまして、国民の生活が窮迫をいたした中に再軍備を行いましても、決して国民に防衛の思想を与えることもできなければ、国民にほんとうに奮い立たせる勇気を持たせることのできないことは明らかでありまして、自由党や改進党の諸君の考えます再軍備計画によりますならば、いよいよ日本は国民生活の圧迫を見ることは明らかでありますから、各種の点から考えまして、われわれは今日提出せられております防衛関係の二法案につきましては反対を表明し、さらにまた進んでわれわれは今日日本が原爆あるいは水爆の犠牲を受けておりますところの世界における唯一の国といたしまして、世界に向つて進んで平和を主張し、原爆、水爆の国際管理と、兵器の使用禁止を主張いたしまして、平和国民として世界に向つて堂々と主張すべきことこそわれわれの任務であると考えまして、あくまでわれわれは今日の憲法を守り、あくまで再軍備に反対をし、平和国民として進むべきことをわれわれは念願といたしまして、本法律案に対しまして反対の意見を申し上げる次第でございます。(拍手)

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 辻政信君。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 私は社会党の皆様とまつたく立場を異にいたしまして、この法案をよりよくしなければならぬという見地に立つて、内容のきわめてずさんな幾多の欠陥を持つたこの法案を無修正で通すことには遺憾ながら賛成し得ないのであります。  その欠陥の第一点は、先ほど申し上げましたが、指揮官と幕僚の本質に対する認識を誤つておられるという点であります。これは根本的に違う性格を持つております。にもかかわらず、それを同一人によつて二つの性格を兼ねさせておるということは、世界のどこにもない悪例であります。どこにもございません。自衛隊を軍隊的性格とお認めになる限りにおきましては、陸、海、空自衛隊にはそれぞれ専任の最高指揮官を平時から置かれて、そのもとに幕僚部を設け、その幕僚長をもつて統合幕僚会議を構成するように修正するのが当然であり、絶対に必要と考えるのであります。  欠陥の第二点は、幕僚フアッシヨの危険があるという点であります。幕僚の下剋上を防止するためには、幕僚の権限というものは適当に分散をしなければならぬのであります。しかるに本法案におきましては、軍政と軍令の根本的な立案を一人の防衛局長に集中して持たせておられる。これは幕僚フアツシヨの危険を含むものと断ぜざるを得ないのであります。その意味におきまして、防衛庁設置法の第十二条の防衛局の事務は防衛、警備、自衛隊の行動の基本等に関する政務に関係ある事項に限定すべきものと考えます。  次に第三点は、自衛隊の規律を維持する点において重大な欠陥があり、クーデターに非常に都合のいい法案であるということであります。自衛隊とはふだんから武器を持つた十六万四千五百三十八人の集団であるというところに思いをいたされまして、単にメーデーの取締りのような観点をもつて、規律の保持をされてはだめであります。この自衛隊法案百十九条によりますと、上官の職務上の命令に違反し多数共同して反抗し、または上官の命令に違反して指揮権を濫用した者に対する罰則がわずかに三年以下の懲役または禁錮と規定されておる。総理大臣は自衛隊の最高指揮官でありますが、その命令に武器を持つて集団反抗し、もしくまその最高の命令に違反して指揮権を濫用するようなクーデターに類するような行為を、経理事務を間違つた国家公務員に対する刑罰と同等に扱われておる。これであなた方は責任をお持ちになられるか。私は三党協定はこの点に研究が及んでいなかつたものと思うのであります。ただ事務当局が軍の本質を理解せずして、不用意に立案された結果がこうなつたのであります。革命を企図する者が、保安隊や自衛隊の武器を持つた集団を運用しようとすることは当然であります。それに対してわずかにこのような軽い刑罰でもつて軍の規律が維持できると責任を持つてお答えになるかどうか。  次に欠陥の第四点、これは人道上の問題において欠陥がある。と申しまするのは、現在の保安隊における最大の欠点は衛生関係の弱体であります。患者を隊内で治療できず、治療病院に委託され、あるいは委託療養の名目で千数百名の胸部疾患者が今なお放置されておる。まさに人道上の問題であります。平時においてすでにしかりとせば、侵略を受けて出動し、戦争状態になつた場合に多くの死傷者を出し、それをいかにして収容し、治療するでありましようか。警察予備隊当時内局には衛生局があつたはずであります。それが行政整理で局をやめて衛生課と厚生課を人事局に入れ、衛生資材課を装備局に入れたのであります。これらを強力に統制指導する局長がないことが今日の欠陥を招いた一つの原因であります。政府の御説明によりますと、参事官八名のうちの一名をして衛生関係を担任させるとのことですが、人事局と装備局に分属せられておる衛生関係の三つの課をどうして参事官が指導できるでありましようか。あまりにも明瞭なこの不合理をあえて修正しないということは、十六万四千五百三十八人の隊員を預かる保安庁長官の良心的な処置ではなかろうと考えるのであります。  第五点は、内局に新設された教育局はその必要がないということであります。政府原案にはなかつたものを改進党の要求によつて入れられたようでありますが、これは教育訓練に関し屋上屋を架するものであり、事務を複雑化するのみで、何らの実効を収め得ないものであると信じます。教育訓練に関しては軍事専門の事項であり、統合幕僚会議と陸、海、空自衛隊にゆだね、教育行政の大綱のみを現状通り防衛局において担任させるべきものと考えるのであります。  以上の五点は、直接侵略に対処する任務を新たに自衛隊に加えられた以上、当然御修正にならねばならぬことであります。いたずらに三面折衝の経緯にこだわり、ずさんなこの原案を無修正で通すがごときは内閣委員会の権威を失墜し、国会の良識を疑わしめるものであり、悔いを将来に残すものでありますから、いずれは政府が近い将来においてその非をさとつて御修正になることと思いますが、私は自分の良心にかんがみましても、遺憾ながらこのずさんな法案を無修正で通すことには断じて賛成し得ないことを申し上げまして討論を終ります。

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 中村梅吉君。

中村梅吉日本自由党

○中村(梅)委員 私は日本自由党を代表いたしまして、ただいま議題になつておる第二法案について討論をいたいたいと思います。  この防衛二法案と憲法との関係がいまだ明確になりませんで、割切れない感情のもとにわれわれが置かれておることはまことに残念にたえないところであります。しかしながら現在の国際情勢にかんがみまし、日本の旧が独立をいたしました以上は、独立国として自衛のための防衛力が必要であることはわれわれ認めなければならないのであります。ことに現在のようにアメリカの駐留軍によつて保護を受けておる現状はでき得るだけすみやかに打開をいたしまして、駐留軍の逐次撤退並びに最後には完全な撤退を求めるということが、独立国民として当然果さなければならぬ責任であると私どもは考えておるのであります。また将来の国防が集団安全保障によらなければならないという点について考えてみましても、集団安全保障に参加するのには、おのずから参加国としての準備を持たずして参加するわけには参らないと思います。またMSA協定との関係、これらにかんがみまして、私どもとしてはできるだけ自衛のための防御力を漸増して、防衛力を持つということに努力を払うべき責任を感じておりますので、私は結論としては本二法案には賛成の意を表するものでございます。  ただいま辻委員から御指摘になりましたように、なるほどこの二法案の中にはずさんの点もあり、欠陥が多々ありますことは、われわれも認めざるを得ないのでございます。辻委員から御指摘になりましたような点については、三党の防衛折衝の会議においてもいろいろ問題にいたしたのでごいざますが、しかしながらなかなか理想の境地に一足飛びに参るわけには参りません。この自衛隊の組織にいたしましても、まだこれを完全な軍隊と認める段階でもなかろうと存じますので、まあここらでひとつ折合いをつけておこうという部分が大分あつたのであります。もちろん将来この自衛力を強化して参ります段階においては、ただいま辻委員が御指摘になりましたような点は、どうしても政府として改正をする腹構えを持つてもらわなければならない。こういう点は私どもも強く感じておる点でございます。こんなような自衛力を持つたつて、今後の国際情勢には処せないではないか、すでに科学兵器が進歩して、原子爆弾の時代ではないか、こういう説がございます。なるほどその通りでございますが、しかしながら原子爆弾のような凶悪な科学兵器を用いたところの大規模な国際戦争というものは、われわれ日本人としては断じて避けるように精魂を尽して努力をしなければならないと思う、ことに日本人は原子爆弾の被害第一号の苦い体験を持つた民族であります。日本人こそ、世界の全人類に向つて力強く、原子力を用いた大規模な近代科学戦をやつてはならないという主張のできる権利を持つた民族であると私は思うのであります。従つてわれわれ日本人はあくまでもこの主張は貫かなければならない。しかしながら、人類が競争の心理を持ち、国際間がいろいろな利害の交錯いたします以上は、国際間の小ぜり合い、あるいは局地的な争いというものが絶対免れるものとばかりは私は言えないと思う。こういう点に一応備えるような自衛力を持つというのが、これからの日本としての国防であると私は思うのであります。  かような見地から私どもはこの防衛二法案によりまして漸次自衛のための防衛力を強化して参る、そうして少くともアメリカの駐留軍の完全撤退を受けるまではひとつ進めて行かなければならない、これが私どもの国民感情として持たねばならないところ。あると私は考えるのであります。  そこで冒頭に申し上げましたように、この防衛二法案と憲法との関係は、どうしても私どもは割切れません。吉田総理は、先ほどもお聞きの通りに、私は憲法を改正いたしません、こう断言をされるのでありますが、しかし現に与党自由党内には憲法調査会が設けられております。また政府自体も、政府のある部局には憲法改正の研究調査をなさしめつつあるようでございます。こういう現実があるにかかわらず、総理はどうしても私は憲法を改正いたしませんと言い、自由党内に設けられた憲法調査会にしても、改正しないための調査ならば、そういう調査会を設けられるはずはないだろうと、私はよそから想像をいたすのであります。こういう大規模な調査会を設けてやつておられるところを見れば、改正の要点をピックアップし、それを掘り下げて研究をして改正に向うというのが、私は現に動きつつある現実であると思うのでございますが、吉田総理はこの現実に即するところの言明を避けておるのであります。これもなるほど振りかえつてみれば無理でないかもしれない。吉田総理は現行憲法を制定された当時の政局の責任者であります。しこうして現行の新憲法は世界無比の平和憲法であるといつて大いに推奨せられた当の責任者である。そういう立場にあるだけに、吉田総理としては自分の品から憲法を改正するとは言えない、そういうはめに陥つているのではないか私どもには想像ができるのであります。しかりとするならば、吉田総理は、日本の国として現行憲法を改正する必要がある、あるいは現行憲法を改正する必要はない、こう言うのではなくして、自分は憲法改正はしないと言うのだから、日本の国が憲法を改正せねばならない段階が来れば、自分は政局の地位からしりぞくのだ、こういう言明をされているんじやないかと私は思うのであります。  私どもはそういう一つの観点に立ちまして、吉田総理が何と言おうと、とにかく国家のために自衛のための防衛力は必要なんだ、これを進めて独立国の実体を完成するのがわれわれ国民の責任なんだ、こういう立場に立ちまして、私は憲法と防衛二法案との関係は今もつて割切れません。政府の意図するところも割切れませんが、しかし本法案に対しては私は欣然として賛意を表するものでございます。(拍手)

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 以上をもつて討論は終局いたしました  これより防衛庁設置法案及び自衛隊法案、両案を一括して採決に入ります。両案に賛成の方は御起立を願います。     〔賛成者起立〕

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 起立多数。よつて両案は原案の通り可決いたしました。(拍手)  この際お諮りいたします。ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 御異議なければ、さようとりはからいます。  次会は公報をもつてお知らせいたすこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時七分散会

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