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19回国会衆議院1954/04/17

内閣委員会 第25号

発言数
33
登壇者
7
会派数
4
開催日
1954/04/17

会議録

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 これより開会いたします。  本日は防衛庁設置法案及び自衛隊法案の両案を一括議題といたし、質疑を続行いたします。辻政信君。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 この前おもなことは質問いたしましたが、簡単に補足質問をいたします。  今度の自衛隊の任務は、国内の直接侵略と間接侵略に対する防衛になりますが、過去の日本の自衛は大陸に第一線を持つて、国内を戦場にしなかつたのであります。今度は狭義自衛でありますから、国内が間接侵略及び直接侵略の戦場になる可能性が非常に強い。しかるに国内の生産の中枢、交通の中枢、そういうものに対する防衛の施設、調査研究がほとんどなされていない。この現実であります。この現状をどう思うか。交通の要点をどうするか。産業の中枢をいかに守るか。この守る対象となるものが間接侵略、直接侵略であります。言いかえますならば、日本の国内の要点を絶対に破壊されないように守るという調査研究施設が絶対に必要でありますが、そういうことが目下なされておらない。これは単に自衛隊の訓練さえやつておけば、そういうときに間に合うという簡単なものじやなくして、ふだんからこの敵をいかに守るか、この工場はどうする、この電源はどうするというように研究をし、施設をしておかないと、少数の者でもつて破壊から守ることは不可能なのであります。どういう程度にそれが研究され、準備をされておるかということについてお伺いしたいのであります。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 ただいまの御質問はごもつともと私輩ます。われわれの最も憂うべきことは、直接侵略、間接侵略と同時的に起ることであります。ただ不法な外部からの武力攻撃だけを考えておつてはいかぬのであります。いずれの場合においても、日本を防衛する体制をふだんから研究し努力して行かなければならないと考えております。今のお話の工場施設あるいは電源、あるいは鉄道、それらの要所々々について、十分なふだんからの防衛体制を整えて行くのは当然のことだろうと思います。そこで私はそれらの点についていかに処置すべきかということについて最近研究を進めさせております。まだ研究の成果は私のところへは参つておりませんが、目下慎重に研究中であるということだけを申し上げたいと思います。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 これをやりますには単に一人、二人だけの研究ではいけないので、きわめて高度の技術経験が必要であります。このために一つの調査機関をいずれかの部局または独立しておつくりになる必要があるのではないか、大体これができる人というのはそうざらにおりません。このことの性質というものは、ことに生産の中枢を守るというふうになりますと、民間企業と政府とが共同でやらなければならぬことが多いのであります。電源の防衛、あるいは重要工場の防衛ということになりますと、単に一、二の幕僚がそれに関心を持つて調査するだけでは、とうていやれるものではありません。あらゆる点の調査をやらなければなりません。しかるにアメリカがこの点について、保安庁の皆さんより以上に関心を持つて調査をしております。これは事実がございます。厖大な費用をかけて現にやりつつある。われわれの同僚もその中に加わつておる。こういう実情にありますから、よほどの真剣なお考えを持つて、具体的にそういうことを発足されませんと、事が起つたときにすべてがまる裸である、これは目に見えておるのでありますどうか具体的にそれを進めていただきたいということが一つであります。  次の問題は、きのうの佐々木盛雄委員の御質問に関連しております。関連質問をやろうと思いましたが、時間がないので御遠慮申しましたが、最近私が確実に知り得た一つの事例を参考として申し上げる。それは一昨年でありましたか、九州の中津の駐屯部隊に隊員を募集なさいましたときに、ある志望者が共産党員であるということをはつきり書いてあつた。そこで選考に当つた人が、これは共産党員で適格でないというので、それをはねたのであります。そうすると、中津の警察官がその本人を連れて来て、いやこれはほんとの共産党員じやない、警察が共産党の情報をとるために、カムフラージして入れておいたのだ、そういう意味でぜひ使つてくれということになつた。そこでその決心がつかないので、わざわざ筒井総監にお伺いを立てた。そうすると、筒井総監はとつてよろしいということでその隊員を採用した。ところでその隊員が小月の隊に今度は分属されて行きましたときに、彼は自発的に暗号手を志願した。約一年間にわたつて保安隊の暗号教育を受けておるのであります。それがたまたま、小月から中津へしよつちゆう出張して来て、ほんとうの共産党の幹部と密接に連繋しておるという事実を突きとめて、初めてそれが首になつた事実があるのであります。共産党が保安隊に食い込む要点はどこかと言いますと、秘密部門と兵器部門に入つておるのです。兵器の取得、管理、その面と、それから暗号の面、保安庁内の機密と兵器の部門に重点を置いておる。もう一つは保安大学であります。この少壮幹部、そこが共産党のねらいであります。よほど周到なお考えを持つておられぬと、ただ単なる精神教育とか表面的な監視だで、このくもの巣のように網を張つた共産党の謀略に対して守れるものではない。申し上げるまでもなく、中国おける革命というものは、中共軍はその重点を軍隊に置いておつた。しかも国民党の軍隊に、最もまじめに最も勇敢に働く隊員の少数の者を彼らが獲得ておりまして、アメリカから与えられた兵器を持つたままで、いざというときにその隊員が寝返りの中心になつて、ああいうぶざまな状態になつたのであります。私は今日の保安隊を見て最も寒心にたえないのは、中国におけるこの失敗を繰返しはせぬかということを多分におそれるのであります。しかしこの法案においては、そういう思想監察というか、共産党の侵略、浸透的な謀略に対して、ほんとうに未然に防ぐという隊内の監察機構がまだ不十分である、こういう感じがするのであります。その点についての長官の御所見を承りたい。

木村篤太郎純無所属クラブ保安庁長官

○木村国務大臣 共産党の隊内欄乱、いわゆる呼びかけは、これは今後ますます熾烈なものがあろうとわれわれ予想しております。中国の轍を踏まないように、われわれは細心の注意を払つて行かなければならぬ、これはまた当然のことであります、しかしそれがいかなる方法で対処すべきかということになりますと、これはいろいろ機密に属する部分もありますし、ここでどういうことをやるかということは、申上げることは差控えたいと思います。しかし御注意の点は十分に考慮に入れて、われわれは十分に検討を加えたい、こう考えます。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 それからこの前の質問のときに、加藤人事局長が、委任規定で政令に規定するものが少し幅が広過ぎるという私の質問に対して、そういうことはありませんというお答えをいただきましたが、自衛隊法案第二十三条によりまして、「本章に定めるものの外、自衛隊の部隊の組織、編成及び警備区域に関し必要な事項は、政令で定める。」この組織と編成という自衛隊の根本を、国会審議のうち外に置いておられるのであります。この点は大綱だけでも審議におかけになるつもりか、あるいはこの二十三条をたてにとつて国会審議の外にそれを置かれるというつもりか、それをはつきり承りたい。

加藤陽三保安庁局長(人事局長)

○加藤政府委員 御承知のごとく、現在の保安庁法におきましては、保安隊及び警備隊の部隊の組織につきましては、全部政令に委任をしておるのでございますが、今回の自衛隊法案におきましては、その中で重要なる事項であるところの管区隊、地方隊等について、法律上に規定をいたしております。その余の法律に規定してありまする事項以外のことを政令に委任しようというのございまして、今までの保安庁法の建前と比較いたしますと、大綱は法律によつてきめたつもりでございます。ただどの程度まで法律で御審議願うことが適当かということは、いろいろ御意見があろうと思うのでございますが、外国の例等を調べてみましても、私どもといたしましても、この程度のことを法律としては御審議願い、その他は予算等において御審議願うことが至当ではあるまいか、かように考えておる次第でございます。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 ついでに宣誓の問題ですが、今度の切りかえによつて、宣誓を全員完全にやり直されるつもりか。

加藤陽三保安庁局長(人事局長)

○加藤政府委員 これは自衛隊法案の八十ぺージをごらんいただきたいのでございます。附則第二項に規定してありますことは、保安庁に現在勤めております職員は、この法律の施行前においても、この法律の定めるところにより、服務の宣誓を行うことができる。その第三項で、前項の職員で、同項の規定によりあらかじめ服務の宣誓を行つたものは、別に辞令を発せられない限り、それぞれ相当の防衛庁の職員となる、こういうふうな規定がございます。すなわち現在の保安庁の職員は、この規定による服務の宣誓を行わない限り、防衛庁の職員あるいは隊員にはなれない、そういう建前にいたしております。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 そうすると、この切りかえと同時に、皆さんもやはり宣誓をやり直すのでございますか。

加藤陽三保安庁局長(人事局長)

○加藤政府委員 これはこの八十ぺージに書いてあります附則第二項で、保安庁の長官官房もしくは各局に勤務する職員も適用があることになつておりますから、私ども以下の者は宣誓をし直すことになります。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 私がこの問題をあえて御質問申し上げるのは、今までは国内治安維持で警察的な任務を持つておる。今度は外敵が入つて来た場合には、生命を賭してそれを守らなければならぬという、いわゆる政府と隊員との雇用条件が根本的にかわるのです。今のような状態でありますと、敵が入つて来た、それに対して出動を命ぜられたら、約束が違うと言つてうちへ帰るということができておるのです。その意味において、宣誓というものはきわめて重大なものになつて来る。それに納得しない者は、これは今度思い切つて、整理をなさらぬと、バツクボーンが入りません。それを申し上げておるのです。そのおつもりですな。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 その点はお尋ねの通りで、全部この新しい法律に基く宣誓をさせまして、その宣誓にがえんじない者は退職を認めるということになつております。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 わかりました。終ります。

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 平井君。

平井義一自由党

○平井委員 上村官房長にお聞きしますが、実は今度は航空部隊ができるのでありますが、できるとすれば、現在保安隊員が使つておる飛行場が何箇所かあると思いますが、これを使うのか、あるいはアメリカが使つておる飛行場を使わしてもらうのか。現在新規にまた飛行場をつくるというようなことになれば、農地の関係その他でたいへんで、おそらく上村官房長のところには陳情が来ておりはせぬか、こう考えるのでありますが、その点どうか。たとえば今日新聞社が使つておる小さい飛行場、これをあるいは今度できる航空部隊の飛行場にするのではないかというような気持を地方で持つておるようですが、陳情を受けられたような事実がございますかどうか、ちよつとお伺いいたします。

上村健太郎保安庁長官官房長

○上村政府委員 飛行場につきましては、現在保安庁で使用しております飛行場のほかに、米軍が使用しておりまする飛行場を一部解除してもらつてこちらが使うというのもございます。また米軍の使用する飛行場を共用してやるという飛行場もあります。飛行場につきましてはいろいろ方々から陳情、反対陳情等も来ておりますが、民間飛行場等は、今度の新しい法律によりましてたとい保安庁が使いましても、大体共用を設めるということが原則になりまするので、両方で使つて行くということになると思います。

平井義一自由党

○平井委員 それは民間で使つておる飛行場は絶対に今度の航空部隊は使わぬ、こう解釈してよろしゆうございますか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 民間で使つておるものといいましても、大体これは国有のものだと思います。民有のものはおそらくなかつたろうと思います。国有のものを民間が使つておつたと思いますが、そういうものを将来航空自衛隊その他自衛隊全体の航空機が使うということはあり得るわけです。ただ今官房長が言うように、全然取上げてしまつて民間の人には使わせないということは決してしない。その人たちがずつと祝いて使えるようにはするという建前で参ります。

平井義一自由党

○平井委員 たとえば一つの例ですか、九州の小倉は曽根というところがありますが、そこは大東亜戦争中に農地を買い上げて飛行場にいたしまして、戦争に負けたわけです。そこでそのまま遊ばせておる。もちろん小さい飛行場でありますが、そこは現在、朝日、毎日、読売の各社が輸送のために小型飛行機を使つて、ほとんど新聞社の専用と言つていいようにこれが使われておるのでありますが、今度共用にするというのはどういうような形でやるか知りませんが、これに航空部隊が入るとなれば、宿舎もいる、またいろいろな施設がいる。そのためにまた農地を買い上げて拡張しなければならぬ、あるいはまたそこに兵舎をつくらなければならぬということになれば、またここに大きな悩みが生れる。旧陸海軍あるいはアメリカの空軍に相当農地をとられておるやさきに、また自衛隊が使うための飛行場をつくるというようなことになると、これは非常な問題だと思うのでありますが、今の民間飛行場に御迷惑をかけぬ程度にということは、おそらくそういう考えでしようけれども、そのうちまた広げて来るということになると、実際われわれとしては相当考えなければならぬし、地元民としてもたいへんな問題だと思いますが、その点の御見解はいかがですか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 具体的に曽根飛行場をおあげになりましたので申し上げまするが、曽根の飛行場はもし私どもの方で使用することになりましても、これは単なる連絡飛行場、発着飛行場にとどまると思います。従いましてそこに特別の営舎を建てるということはまずございません。L型のものが発着して連絡に使うということで、完全に民間の使用と両立して、迷惑をかけず、また特に拡張するというようなことなく、使用させてもらうことはあり得ると思います。

平井義一自由党

○平井委員 飛行場の話はその程度にしますが、今度防衛庁法がもし通過をいたしますならば、また募集をされるでありましよう、また試験もありましようが、そのときの試験官はどういう人を選ぶのでしようか。先ほど辻さんの言われたように、よろしくと言つて頼みに警察官が連れて行けばとるということでは、ほんとうにしつかりした青年をとるということにはならぬと思いますが、各地方の部隊においては試験官はどういうお方がなるのですか。

加藤陽三保安庁局長(人事局長)

○加藤政府委員 これは採用試験の種類によつて違うわけです。幹部級の諸君の試験につきましては、保安隊について申しますと、第一幕僚監部の部課長諸君でありますとか、管区総監部の部長、副総監という方が試験委員になられるのであります。一般の隊員につきましては、それぞれの管区総監部及び駐屯部隊におきまして、人事の方の係をやつております者を中心にいたしまして、人数が足りませんので、ほかの職員、係の者も動員をいたしまして試験班を編成いたします。そしてその諸君によつて試験を行うことにいたします。

平井義一自由党

○平井委員 幹部をとるときは、総監ぐらいは実際に人間を見て、人物をよく見きわめた上でとるというのが当然だろうと思うのです。部課長もよろしいでございましようけれども、最後の決定を見るときには総監がやるべきだ、私はこう思うし、また一般の隊員をとるときは人事係が中心になるというが、人事係がどの程度の人格者がなるか知りませんが、委員が実情によつて隊員を募集するとか、あるいは幹部を募集するということは、おそらくなかろうと思いますけれども、ここで特に加藤人事局長の御意見を十分伺つておきたいと思います。

加藤陽三保安庁局長(人事局長)

○加藤政府委員 おつしやるところは私ども常に必がけて心配しておるところでありまして、情実によつて適格ならざる人をとるというふうなことがありましては、国民に対して私ども申訳ないと思つております。試験にあたりましてもその点の注意も十分いたしておりまして、私はその趣旨に従つて面接等の採用試験を行つておると思つております。また上級幹部の採用等につきましては、長官を中心にして幹部の者が十分に会議をいたしまして、そういうふうな情実の入る余地のないようにして参つております。私どももその点につきましては、今までも注意をして参つておりますし、今後も十分注意をして参りたい、こういうふうに考えております。

平井義一自由党

○平井委員 もう一点お伺いしておきます。九州あたりでも、北海道でもそうかもしれませんが、隊員が入るときは一生懸命やると言つて入つて年もすればすぐやめてしまう、あるいは逃亡する。これに対して班長も、まあ逃げたものはしかたがありませんと言つて、何日か逃げればその籍がなくなるという程度でありまして、そういう者はだんだん少くなると思いますけれども、それはやはりとるときに試験官の見る目が聞違つたということで、これはやはり試験官の責任に実はなる。そういう者をとりながら知らぬ顔をしておるというようなことがしばしばあつたと思いますし、九州の部隊等を視察してみると、逃亡兵その他があるようであります。こういう者はどういう原因、あるいはどういう事情があり、またその後どうしておるのかということを多小調べなければ——これは軍法会議も何もないのでありますから、しかたがありませんけれども、これを十分見きわめないと、あとに残る隊員が、逃亡してもやめさえすればいいじやないかというようなことでは、せつかくの保安隊員を養成しておるのに、何も役に立たぬというような結果になりますから、昨年以来しばしば言つているが、ここでひとつ十分間違いないようにして、今後の試験に処していただきたい。そうしなければ辻さんがさつき言うたような問題が起きて来る。こういうのはあとから間違つたというても取返しがつかぬ。共産党員を一年も置いておつて、あれは共産党員だからやめてもらつたというくらいのことではいけない。共産党員が一人入つておれば、隊員の何千人にも当るかもしれない。実際その点を注意しなければ、千台の大砲よりも一人のスパイの方がこわいという例が何ぼでもある。一生懸命に努力する一方、やはりかたいまじめな人間を採用して行くというふうにしていただきたいと思うのであります。どうせ昔と違いますから、無理のないようにはして行くであろうし、民主的にはおそらくやつていると思いますけれども、できるだけ間違いのないようにする。まじめな隊員ができて来れば、世間も納得する。隊員が悪ければ納得しません。私が昨年言つたように、今日はあまり夜遊びする隊員もありますまいが、模範的な隊員を養つて行く。保安隊から自衛隊に飛躍するとき、これを一機会として、精神を充実して、そうして国のために尽すというような、新しい方針を増原次長は授けてやるつもりがあるかどうか。今までは保安隊員だつたが、今度は自衛隊員になるのだ、これを機会に諸君はひとつしつかりやれとか、あるいはこうしようとかいうような指示をなさるかどうか、この点をお尋ねいたしたいのであります。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 隊員を採用する際に、特に慎重に適格な人を採用しなければならぬという御趣旨は、まことにその通りでございまして、われわれとしても、その点は全力を尽してやつて参つたつもりでございます。もともと警察予備隊として発足をしました当初は、御承知のような非常に混雑した、しかも急遽に七万五千をそろえるというふうに異常な立場でありましたので、入りました者のうちにまま不適格者があつたということは、まことに申訳ないことでありますが、事実であつたのでございます。しかしその後採用しまする者については、制度も大いに整え、試験官等も充実をしましたので、そういうことはほとんどなくなつた。残念ながらまだ絶無とは申し得ませんが、非常に少くなつた。入りました者についても、先ほど辻委員の御質向もありましたが、ことに暴力革命等を主唱する者がかりにもありましては相なりませんので、この点は、長官からも抽象的ではありまするが、お答えをしましたように、保安隊、警備隊としては細心の注意を払います。具体的に辻委員の御指摘のありました警務官制度等が不十分であるという点はごもつともであります。この点も拡充の計画を今立てております。そういうことで、量的にもいたしまするが、質的にもだんだんの経験に徴しまして、綿密な形をもつて十分努力をいたし、将来にわたつて遺憾のないようにしたいと考えます。なおこの法律が通りまして、防衛庁こして自衛隊が発足するようになりますれば、形式的には第四節服務の五十二条に隊員の心構えをうたつておりまするが、こうした点を一つの筋といたしまして、一旦危急の際において、身を挺して国の防衛に当るという心構えをしつかり隊員に把握してもらうように、長官以下十分努力をいたすつもりでございます。

平井義一自由党

○平井委員 保安隊員に対する精神訓練ということをしばく言つておりますが、実はこの精神訓練というものは非常にむずかしい。精神訓練というのは、品で、お前はこうしろ、親に孝行しろと言つても、しません。金持のむすこでも親不孝をする者もあるし、炭鉱夫のむすこでも親孝行をしておる。この精神訓練というものは、口で言つて聞くならば、何でもありません。これをどういうふうにするか。これは自然の法則、すなわち人が生れてこうすることが、生れた人間として、万物の霊長としての根本であると、本人が思う以外に手はない。親に孝行しろと言つても、なぜしなければならぬのかというりくつがつくのでありますから、その点を十分考慮に入れられて精神訓練をやつていただきたい。同じ酒を飲むにしても、おとなしく飲む者も一あ一れば、あばれて飲む者もある。同じ酒の飲み方でも、りつぱな飲み方をするようにする。これは十人十色でありましようから、日本よりも、人間の基本、万物の霊長の基本はこうだということを本人にさとらせなければならぬ。悪いことでもいいと思えばしかたがない。人間というものはどういうことをしなければならぬかということをだんだんわからせて行けば、これは外国人であろうと日本人であろうと、人間というものは何のために世の中に生れて来たものかわかりそうなものだ。ただ生れて来て死んで行くということでは、問題になりません。どうせ百年は生きられないのでありますから、問題になりませんが、何のために生れて来たか。それは遊びもしたかろう、飲み食いもしたかろう、いろノへしたいこともあるでしようけれども、人間として猛れて来たならば、社会に奉仕し、国に奉仕するというのが人間の基本方針だと思う。この根本原理を把握して、上の方からだんだん下に浸透するようにすることが、私は精神訓練だと思う。木村長官はりつ。はな方でしようが、訓示だけでは今日の青年は直りません。だから上から自然におりて行く。人聞は何のために生れているか知つているかくらいの質問は、たまにはしたらいい。そうして授業のときにいろいろ人間としての訓練をして行く。今までの保安隊員はしかたがありませんが、今後発足して行く、自衛隊員に対しては、どこから見ても人間的にりつぱなものにして行く。これは下川君でも賛成だろうと思う。これは党派が違つても、思想が違つても、人物がいいということはいいのである。あれはりつぱな男だというりつぱな男に育てる。これに対して木村長官は構えもよし、あの精神訓話でよろしゆうございますが、幹部なり保安隊員なりにだんだん浸透して行くようになさる用意はあろうと思うけれども、なお一層この機会にそういうことを実行していただきたいという希望を申し上げ、またあなたのほんとうに国を愛する憂国の至情をもう一度お伺いしたいと思う。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 隊員のいわゆる精神教育というものは、非常に大切であるということは、各委員から質問の際に指摘されました。私ども非常にありがたく思います。大綱については長官からお答えをいたしております。ただいま平井委員からのお言葉の中にもありましたが、これは、単にいわゆるお説教を聞かせるという形だけではうまく参らぬことはお言葉の通りであります。やはり毎日の訓練を通して、実践を通して、国を愛する心持なり民族を愛する心持なりを具体的に強め、把握して行く、廉潔な精神、質素な生活態度、そうしてまた一般の国民としても教養あり、尊敬に値する人になるという考え方を、みな長官の申したことでありまするが、平素の訓練を通して、陶冶して行くということに、保安隊、警備隊としては力を入れております。もとより講話、訓話等をいたすこともありますが、実際の訓練を通して、困苦に耐えつつ国を愛し、民族を愛するという心持をみがいて行くということで努力しております。新しく法律が通りまして自衛隊として新発足するにあたりましては、さらにその点については十分の段階的な、ひとつ力を入れたくふうを各部隊ともに努力してもらいたいと思います。最近、昨年暮れといろいろ汚職関係が遺憾ながら保安隊にも発生をしまして御指摘を受けたのであります。それに関連して一月二月を綱紀粛正の期間として、保安隊、警備隊とも徹底した自粛、査察を行つたのでありますが、その結果は相当に満足すべき状況でありまして、抽象的には先だつて申し上げましたが、一般に自己の本分をよく自覚し、統率の系統に従つて正しく精神練磨に励んで行くという空気を大いに振起しておりますることを申し上げられますことを非常に喜びとするわけであります。

平井義一自由党

○平井委員 一言ちよつと増原次長にお願いがあるのであります。あなたの気持もよくわかりましたが、全国の各総監が集まるようなことがございましたら、たいへん恐縮ですが、本委員会に制服を呼ぶことはどうかと思いますが、全部一度出て来てもらつてその信念を実は私は聞きたい。私の方からお伺いをして聞くのが至当と思いますけれども、各総監がばらばらになつておつてはなかなか困難でありますから、総監全部がおそらく東京に集まるようなことがあろうと思うので、それを機会に本委員会に通達をしてもらつて、各総監の心構えをこの委員会で述べていただく、われわれも各総監に御注文なり希望を申し上げて、りつぱな保安隊をつくりあげたい。こういう気持がするのでありますが、そういう機会がありましようかどうか。もしありましたらぜひともあなたが受合つて——制服を無理に呼ぶのではありません。呼ぶといろいろ言われますから、進んで本委員会に総監に出て来てもらつて何するということをお願いをするのでありますが、いかがでございますか。

増原恵吉保安庁次長

○増原政府委員 総監が集まりまして会同するという機会は年に一、二回は持つております。そういう機会は国会開会中にもあり得ると考えます。ただそうした際に総監の信念をここでお尋ねになるということでありましたが、総監の信念というものは、私どもがたたしまして申し上げるということで、十分できるのではないかと思います。のえてそういうことを避けようというとを特に考えるわけではございませが、国会においていろいろ御答弁を申し上げることは大体われわれどもの戦責ということにお願いをすればけつこうではないかというふうに一応は考えております。

平井義一自由党

○平井委員 呼び出して質問をして答弁させるわけではございません。われわれは実は激励いたしたい。それがかつて第一総監は遂に席を去らねばならような立場に置かれたのであります。ああいう方はおそらくめつたにあるまいと思いますけれども、われわれは来てもらつて実は激励をするのでありますから、決して質問をしてどうということはない。その点ひとつ増原次長にごあつせん願つて——保安隊の総監も我々と同じ気持ちにならねばいかぬ。何か国会に来ると裁判所の法廷に引き出されたような気持で来ないで、和気あいあいとして一ぺん内閣委員会にも行つてみようかということ来ていただけば、われわれも激励をいたしたい。ごあつせんをお願いをいたしまして、これで終ります。

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 午前の会議はこの程度いたし、午後一時まで休憩いたします。     午前十一時三十五分休憩     〔休憩後は開会に至らなかつた〕

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