内閣委員会 第20号
- 発言数
- 150 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/04/06
会議録
○稻村委員長 これより開会いたします。 本日の日程に入ります前におはかりいたします。理事八木一郎君より理事辞任の申出がありましたので、これを許可いたしたいと存じますが御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○稻村委員長 御異議がなければさよう決定いたします。 この際理事の補欠選任を行いたいと存じますが、理事の補欠選任は、先例によりまして委員長より御指名いたしたいと存じますが御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○稻村委員長 御異議なければ江藤夏雄君を理事に御指名いたします。 —————————————
○稻村委員長 次に、法案に関し外務委員会より連合審査会を開かれたい旨の申出がありましたから、外務委員会と連合審査会を開会いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○稻村委員長 御異議なければさよう決定いたします。 —————————————
○稻村委員長 次に法案に関し公聴会を開会いたしたい旨の申出を議長にいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○稻村委員長 御異議なければさようとりはからいます。 なお、議長の承認を得ました際には、公聴会開会日時等に関し議長に報告いたすとともに、公示等の手続をいたしたいと存じますが、この手続に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○稻村委員長 御異議なければさようとりはからいます。 —————————————
○稻村委員長 これより防衛庁設置法案並びに自衛隊法案の両案を一括議題とし、質疑を続行いたします。大久保武雄君。
○大久保委員 私は最初にきのうの質問を続行いたしますが、昨日の質問で若干疑義がありました点につきまして、本日は法制局長官から明確にしていただきたいと考えるのであります。なおまた、状況によつては木村長官の御答弁をちようだいしたいと思うわけであります。 第一点は、昨日、自国内において相手国の政府の名を名乗り、共産主義革命を目標とした団体に資金を提供する、これはあるいは正当であるかもしれない、正当であろう、こういう外務大臣の御答弁がありましたが、かような場合については法制局長官はいかにお考えでありますか。私は、相手国の政府を祖国と名乗る国体に対して資金を提供する、これがかりに正当であるといたしましたならば、国内治安はとうてい守れないと考えるわけであります。かくのごとき一つの革命団体に対する資金の提供を国際的に正当であると言われるのか、あるいは間接侵略の範疇に入るのかどうか。この点を法制的に明確にしていただきたいと考えております。
○佐藤(達)政府委員 昨日の質疑応答を存じておりませんから見当が狂うかもしれませんが、ただいまのお話の、現実面にはかりに国内に内乱団体のようなものがある、あるいは暴動団体が不当な活動をしておるという段階が、まず第一に考えられるわけであります。その面については、この自衛隊そのものの活動の問題として出て来ると思います。ところで、第二の問題として、それに対する資金等が外から流れて来るという問題は、資金そのものと、今の暴力行動というものとのつながりは直接ないわけで、一応間接の関係になると思います。従いまして、当該外国がそういうけしからぬ行動をするという場合におきましては、わが方から厳重 にその国に対して抗議を申し入れると いうことは、これは考えられるところであると思います。
○大久保委員 右の行為は、少くとも国際的には正当ではない行為である、すなわち不当な行為である、これは私は明確じやないかと思いますが、法制局長官はいかにお考えでありますか。
○佐藤(達)政府委員 言葉の定義によりますけれども、少くとも、著しく国際礼譲に反することである、けしからぬ行動であるということは申し得ると思います。
○大久保委員 次に質問をします第二点は、外国がその国において義勇兵を組織して相手国にこれを送り込んだ場合に、これを直接侵略といえるかどうかという問題であります。昨日木村長官は、それは上つて来た兵隊の程度によるのだ、どういう武器を持つているかによつて判断できるのだというように言われましたが、こういうことになりますと、国土防衛というものはほとんどできないのではないかと思うのであります。相手国が義勇兵を組織して他の国に送り込んだ場合におきましては、これは明らかに直接侵略である、かように私は考えますが、法制局長官はいかにお考えになりますか、明確にしていただきたいと考えておる次第であります。
○佐藤(達)政府委員 自衛隊の行動の面から見ますと、外国からの武力攻撃であるか、その他のものであるかということによつて、行動の形式が、法律案において異なつたものとしておるわけであります。その意味から区別して考えることが実益があろうと存じますが、要するに、外国から義勇兵の一団のものを送り込むということは、その形によることであろうと思います。こちらとしては、要するに、自衛権の正当な限界においてそれに対処するということの立場に立つわけでありますが、その上で当該行動というものを見なければならぬと思います。その場合は、結局義勇隊がこちらに送られて来る、その送り方の問題であつて、極端なことを申しますと、平穏な形で、団体旅行のような形をして入つて来るという場合もございましようし、武器を振りかざしながら威嚇的な形で、いわゆる押し寄せて来るという形で入つて来る場合もございましよう。その極端な、いわゆる押し寄せて来るという形で入つて来る場合におきましては、おそらく外部からの武力攻撃という形になつて、わが方はその形で受けて立たなければならないと思いますし、平穏に団体旅行の形で——これはおかしな言い方でありますけれども、団体旅行の形で入つて来るということになりますれば、それは間接侵略の一つのプロセス、一段階であるというふうに見なければならぬのではないか。事態を明らかにしなければ言えないことでありますけれども、大きく言えばそういうふうになろうと存じます。
○大久保委員 一応ただいまの御説明を拝借いたしまして、押し寄せて来た場合は直接侵略である、団体旅行の場合は間接侵略である、こういう法律解釈をかりに前提といたしまして、今度は、自衛官は公海において捜査、臨検、拿捕等の権限を持つているか、この点を明確にしていただきたいと思います。
○佐藤(達)政府委員 これは戦時の問題についてのお尋ねであろうと思いますが、御承知の通り、一応の憲法の建前は交戦権を持つていないことになつております。従いまして、普通の形における拿捕というようなことは交戦権の発動と見られる場合が多いと思いますから、原則的にはそれはできないといわざるを得ないと思います。但し、自衛権というものは持つているわけでありますから、厳格なる範囲内における自衛権の行使の場合に条件が合えば、そのときは可能であるという場面が理論上考えられると思います。
○大久保委員 ただいまの団体旅行の場合を例にとります。相手の国の商船が花見旅行と称して敵性ある人間を積んでやつて来ておる。それがかりに日本海を渡つておる、こういう場合に海上自衛隊は哨戒をしておつて、その的確なる情報に基いておる場合においてその商船を捜査することはできませんか。
○佐藤(達)政府委員 私どもの考えておるいわゆる自衛行動と申しますか、自衛権の限界というものにつきましては、たびたび述べておりますように、急迫不正の侵害、すなわち現実的な侵害があること、それを排除するために他に手段がないということと、しかして必要最小限度それを防禦するために必要な方法をとるという、三つの原則を厳格なる自衛権の行使の条件と考えておるわけであります。その方の基準から照し合せて今のお尋ねの場合を考えてみますと、その場合にただちに実力行動がとれるという結論にはなりにくいように考えます。
○大久保委員 ただいまの場合に捜査権がないといたしますならば、日本の自衛艦は日本海を花見旅行の敵性ある船舶のうしろに随行して入つて来る、こういうことに相なるわけでありまして、これはとんでもないことであると私は考える。その船が新潟港に入ろうと舞鶴港に入ろうと、日本の自衛艦はうしろに随行して来るのであるか、この点をもう一ぺん明確にしていただきたいと考えます。
○佐藤(達)政府委員 実際の場合についての適切なる措置というものは考えられませんけれども、今お言葉にちよつと出ましたように、どこへ行くかを見きわめるというために追随して行つてその行動を見守るということは確かにできることだと思います。
○大久保委員 その敵性ある船舶が領海に近づくかあるいは領海に入りましたならば、これは急迫しつつあるという前提のもとに捜査権は当然法理上私は持ち得るのじやないかと思いますが、それもできませんか。
○佐藤(達)政府委員 御承知のように、平時の一般的の場合においての今の臨検と申しますか、そういう措置としては、平時国際法の問題としてその船がはたして海賊船であるかどうかというような意味のことを見きわめるために、国旗審査権という形で臨検をするという権能は、これはいわゆる軍艦あるいはこれに準ずるものには認められておるわけであります。ですからその形における一般の臨検行為、これは一般の平時の問題としては考えられます。
○大久保委員 そうしますと、ただいまの場合は海上保安庁の巡視船であろうと警備艦であろうと、領海あるいはその付近であつて、日本に入港することが明確であるならば捜査、臨検はできる、こういうふうに解釈してよろしゆうございますか。
○佐藤(達)政府委員 法律的に精密にかつ臆病に考えますと、私はただちにそういう結論にはなりにくいと思います。冷やかに考えてみれば、いわゆる入国管理関係の法令違反の、不法入国のその予備行為であるというふうな形を外から見ればとつております。それをもつてしてただちに実力行動をもつてそれに向うということは、たたちにはつながり得ないことであろうと考えます。
○大久保委員 よくわかつたようなわからぬようなことでございますが、私は自衛隊並びに海上保安庁の職員が、実務の実施上非常に困りはせぬかと思つてお尋ねするのであります。できるだけその職務の範囲については明確にしておいていただくことを希望いたしまして次に進みます。 漁船の拿捕はしばしば日本海あるいは朝鮮海峡において起りますし、あるいは北方の北海道水域においても行われ、あるいは東支那海においても一種の海賊行為のごとき実態すら起つております。こういう漁船の保護に任ずる海上保安庁の巡視船あるいは警備隊の自衛艦、こういう艦艇の武力行使の限界、相手国の船が日本の漁船を捜査、臨検をして拿捕しようとしておる、その場合にそれが不当な拿捕である、正当なる日本の漁業権を侵害しておる、こういうふうに認めた場合において、海上保安庁の巡視船及び自衛隊の艦艇はいかなる行動をとるべきであるか、たとえばその海上において、日本の権益に対する不当なる侵害行為を行つておつた相手国の艦艇に対して、日本の船を返せ、日本の国民を返せ、こういつた場合に、それを拒否したときにおいてわが方の艦艇はいかなる行動をとり得るか。またそれを拒否して、あくまで自国のもとへ拿捕してひつぱつて行く、こういう場合において巡視船及び自衛艦はいかなる行為をとつたらいいか、法制局長官の法律的な御答弁を承りたい。
○佐藤(達)政府委員 第一段の問題としては、わが方の漁船に対して不法な侵害行為を他の国の船が行つたという場合におきましては、現在で言えば、海上保安庁あるいは警備隊、今回の案で言えば、海上自衛隊等の立場としては、もとよりわが国民の人命、財産、これを保護する権能を持つておるわけであります。国家として国民の保護権というものを行使することは、これは当然のことであろうと思います。但しその場合における実力行動をこつちとしていかなる程度にとり得るかということになつて参りますと、これは一種の正当防衛あるいは緊急避難行為としての一つの限界がそこにある、その限界の中において不当なる侵害を排除するために必要やむを得ざる実力行使はできる、これは理論上の問題として考えられるわけであります。 次に拉致されたわが国民を返してくれといつたのに返さないという段階になつて参りますと、おそらくそれはまず外交交渉という問題で強くその方にかかつて行くということが事の順序であろうというふうに考えるわけであります。
○大久保委員 海上においての問題を主として私はお尋ねいたしておりますが、海上において相手国の船が日本の漁船を拿捕して行きます場合に、それを取り返すために周囲をぐつとまわる、向うの航行を阻害する、これはできますかどうかということが第一点であります。 次は、相手国の船が日本の漁船をひつぱつて行くというときに、どうしても返さない場合、これに対して威嚇射撃ができるかどうかということが第二点であります。 第三点は、相手国の艦艇が直接的な行動をして日本の艦艇に対して一つの敵意ある態勢をとつた、この場合いかにするか。この第三点はきわめて重大であります。海上においては撃つか撃たれるかであります。こつちが撃たなかつたら撃たれる、弾薬を満載しておつたならば一発で沈んでしまう。相手の方がずつとこちらの方へ向いて来た、こういう場合には緊急避難を適用してよいかどうか。これを明確にしていただきたいと考えます。
○佐藤(達)政府委員 要点はその当該事態の急迫性の問題になるわけであります。従つて現実の事態のこまかい条件をいろいろつまびらかにいたしませんと、仮定的に勇ましいお答えをするというわけにも私行かないことであろうと思います。従つて当該事態に対応して、その事情に応じて、先ほど申しましたような、正当防衛あるいは緊急避難的な限界において実力的行動をとることは可能であるというふうに包括的に申し上げる以外には、ちよつとお答えができないと存じます。
○大久保委員 この点は非常に重大な問題でございまして、実は私は部隊の第一線の部隊員を思うて言うのであります。中央において高等な政策を取扱いあるいは大きな交渉をする場合は別といたしまして、あの玄海荒れ狂う波の上で、夜といわず昼といわず、しぶきをかぶつて哨戒護衛の任に当つておる第一線の職員に対して、包括的にいずれの場合が正当であるか、お前たちの判断に一任するのだ、こういうことを前線部隊に要求することは困難じやないか。ある程度自衛隊の職員に対してこういう場合にはこまうしろ、ここまではよいのだ、こういう限界を与えなければ、私はいたずらに前線の職員をして混迷に陥らせ、ひいては海上におけるいたずらなる犠牲を与えるということを恐れるのであります。私は何とかして自衛隊職員がほんとうに感奮興起して国のために尽していただきたい、こう考えますがゆえに、私はこの点を政府において明確にされたいということをこいねがう次第であります。ただいままでの御答弁は非常に抽象的でありまして、私は前線を思うてまことに不欄なものを感ずるのであります。何とかこの点は一日も早く政府において明快にされんことを希望しておきまして、後日に質問を留保しておきたいと思います。 次に私は前会の質問に引続きまして、政治と軍事の問題に入つて行くわけでございますが、木村長官にお尋ねいたしたいことは、今日はやはりシヴイリアン・コントロールの立場から防衛庁長官は国務大臣でありますから、これは文民でなければならない。文民というものは旧軍人は入らないというのが憲法解釈でありましようが、一体この解釈はいつまで続くものであるのか。あるいは制限は入らないという意味に解していいものであるのか。アメリカにおきましてぱマーシヤル元帥が国防長官になりましたときは、マーシヤル長官一代に限る、こういうような特別法を国会が審議いたしまして、現にシヴイリアン・コントロールの原則を確立いたしておる次第であります。昨日も私が御質問申し上げましたように、わが国におきましてシヴイリアン・コントロールがわずか一年にしてかわつて行つたということはきわめて私は残念に感ずるのでありますが、この防衛庁長官の将来のシヴイリアン・コントロールがいかに確保されるか。この点について木村長官の御答弁を承りたいと思うわけであります。
○木村国務大臣 昨日も御質問の際に申し上げたのでありますが、建前といたしまして政治が軍事に優先する。御承知の通り旧軍人はなやかなりしときにおいては、この建前がくずされておつたのであります。これがわれわれの国を破綻に導いた一つの大きな原因ではなかろうかと考えております。そこで新憲法下におきましてはどこまでも政治が軍事に優先する、この建前をとつて行く、これが大きな一つの原則であります。 それでシヴイリアン・コントロール、わが国内ではこれを文民優先といつておりますので、建前といたして、今後創設されます自衛隊については、制服の者も平服の者も互いに手を取り合つて行かなければならぬ、ここで対立関係があつては将来に禍根を残すのだ、いたずらに対立相剋をしたなれば、また旧軍閥の復興のような不幸な目にあうのではないか、このときこの際、ほんとうに制服と平服とが互いに手を握り合つて日本の国防の第一線の任務について、国民の信頼を得なければならぬ、こう私は考えておるのであります。そこで御審議願つております防衛庁設置法案におきまして、現在の保安庁法におきましての次官、局長、官房長、課長の任につく者は三等保安正、三等警備正以上の者はなれないことになつておる。ひとたびそういう服を着た者は服を脱いでもなれないということになつておる。これではいかね。たとい一たび制服を着た者であつても、りつぱな人であつてその任にたえる者はならさせてもいいのではないか。この建前を私はとりたい、こう考えておるのであります。一たび制服を着た者がさようなポストにつくことができぬということになりますと、そこに恐るべき対立関係が出て来ることになるわけです。お互いにいわゆる人事の交流はあつてしかるべきだ、私はこう考えております。シヴリアン・コントロールのことを盛んに申されるのでありますが、えてしてさようなことで文民優先ということになりますと、上の方の者はわかつております。間違いありません。しかしややともすると下部において平服が制服よりも優等な地位についているのだ、お前たちはおれたちより下の者だ、こういうことを頭から考えて行かれると、今の相剋摩擦が非常に災いをなして来るのではないか、これではいかぬ、かるがゆえに一たび制服を着た者であつても、適材であれば内局において勤めることができるのだ、現在の保安庁法によるいわゆる禁札を取下げる方がよろしい、こういう考えから御審議願つておりまする防衛庁設置法案においてはさような制限を撤廃した次第であります。今後私はどこまでも第一の原則として政治は軍事に優先し、しこうして第二段においては制服を着ている者も平服に至る者も互いに手を握り合つて融合和合をして行こう、こういう建前をとつておるのであります。
○大久保委員 私が御質問しました一つの要点が抜けておりますが、防衛庁長官は文民でなくてはいかぬ、これは旧軍人あるいは制服というものは入らない意味であるかどうかということであります。
○木村国務大臣 憲法のいわゆる国務大臣は文官でなくてはならぬ、こういう規定が掲げられておるのであります。そこでこの文民とは何ぞやということについていろいろ議論されております。御承知の通りこれは憲法改正のときに、衆議院通過の際にはさような規定はなかつたのでありますが、参議院においてこの規定が附加されたものと記憶いたしております。それでこの文民というものの解釈についてはいろいろ言われるのでありますが、新憲法下においては武民というものはないわけであります。そこでいろいろ議論された結果、旧職業軍人にあつた者がこの武民に当るのではないか、さような議論をされまして、定説とは行きませんが、現在のところはさように解釈されておるようであります。これは一定の確立ざれた解釈とは申すことはできぬと私は考えております。これは私個人の意見であります。そこでこの解釈をとります以上は、いわゆる防衛庁長官は旧職業軍人ではいけないということに解釈されるべきものと考えております。
○大久保委員 困難なる防衛庁創設の任に当られる木村長官の御苦労は十分拝察できるのであります。また制服と平服とを揮然一体化しようという御意見も私はわかり過ぎるくらいわかるのであります。私はもちろん制服の中にもりつぱな人はりつぱな人であり、また旧軍人の中にもりつぱな方があるということも私は知つておる。ただ問題は従来作戦の要求ということによつて不当なことでも押しまくつてしまう、こういつた一つのかたわ的な部隊意識、こういうものがはびこりましてはたいへんであります。また日本が長い間惰眠になれておりますから、これを将来何とか民主的な方法で編成をするということにつきましては、どうかこの上とも木村長官は毅然たる御方針でお進みになるようにお願いしておく次第であります。 次に私は国防会議についてお尋ねいたしたいと思います。国防会議の目的、性質でありますが、これは軍政軍令を統合したものでありますならば、私は木村長官のお立場と重複して来はせぬかと思う。木村長官は今度の防衛庁におきましては軍政軍令を統合された立場であります。国防会議はさような性質を帯びるならば、木村長官すなわち防衛庁長官との関係をいかに調整をせられるか、また国防会議は数大臣をもつて編成された五相会議のようなものであるということでありますならば、これは内閣の中にまた一つの会議体ができるということに相なりまして、内閣と重複するような気持もいたしますが、この点は憲法上いかがなものでありましよう、御答弁を願いたいと思います。
○木村国務大臣 このたびの防衛庁設置法案の四十二条におきまして国防会議を置くことになつておるのであります。この国防会議はどこまでも内閣総理大臣の諮問機関でありまして、決議機関ではないのであります。そこでこの国防会議において一体何をするのであるかと申しますると、一国のいわゆる国防の基本方針をまず第一にきめて行く、次には国防計画の大綱をきめて行く、次には、この国防計画の大綱をきめるにつきまして、もろもろの産業の調整の計画の大綱をきめて行く、これが主たる任務であります。最後に最も重要なことは、いわゆる防衛出動の可否を決する。外部からの不当な武力攻撃のあつた場合に、防衛出動をなすべきかいなやをここできめて行こう。そうして内閣総理大臣の諮問に応じようということを目的としておるものであります。要は日本の最高防衛方針をここで確立して行こうということが目的であります、時々刻々に迫りまする日本の防衛態勢をいかに整えて行くべきかという具体的の問題になりますると、これは防衛庁長官が内局の補佐を受け、あるいは幕僚長の補佐を受けて計画を立て、これを実施に移して行くわけでありまするから、決して両者紛淆するのおそれはないものと考えております。もとより防衛庁におきましては、長官の補佐として内局においては参事官制度をとり、各幕僚長がみずから計画を立てたものをもつて長官を補佐するという建前をとつて行きまするから日本の防衛態勢を整える上においてはこの制度が最もよかろう、こう考えておる次第であります。
○大久保委員 ただいま長官の御答弁で、法案には明文がございませんが、諮問機関であるか、建議機関であるか、決議機関であるかという点につきましては、これは諮問機関である、こういうことでございましたので、次に参ります。 次に国防会議の構成でありますが、いかなる構成をおとりになるか。この構成の中に民間人、まま旧軍人も入れるということも承りますが、この国防会議の構成はいかなる構成であるか、また民間人を入れられた場合に、内閣責任制との関係はいかなるももであろうか、この点についての御答弁をいただきたいと考えております。
○木村国務大臣 この国防会議の構成内容につきましては十分検討する必要があろうと考えております。従いまして、実はこの構成内容については、防衛庁設置法案においては規定をいたさなかつた次第でございます。これは十分考慮いたしまして、別の法律でもつて御審議を願つた上できめたい、こう考えております。今せつかくこれについて各方面から検討中であります。
○大久保委員 これは非常に重大な問題でございますから、私この際は質問を保留いたしたいと考えております。 次に、国防会議の事務局をどこにお置きになるか。これは内閣にお置きになるかあるいは防衛庁にお置きになるか。内閣に事務局をお置きになりますと、防衛庁とはまた別に総合国力防衛庁ができることになります。また防衛庁にお置きになりますと、経済関係庁とのつるが切れて、一つの総合国力のうちの片寄つた軍事的な面から国防会議が運営されるようになります。これはいずれの方向をおとりになりますか、この辺についての長官の御意向を承りたいと考えます。
○木村国務大臣 議論の要点はまさにその通りであります。そこでわれわれといたしましては、この事務局をどこに設置するかということについて、せつかく今検討中であります。しかし木村の私案といたしましては、これは防衛庁内部に置く方がよくはなかろうか。と申しまするのは、防衛庁におきましては、内局において、国際情勢その他万般の点からいろいろ検討することになつおりますから、防衛庁の内部にこの事務局を置いて事務をとらせることが妥当じやないか、私はこう考えておるのであります。まだこの点についての結論は得ておりません。
○大久保委員 ただいま研究中ということでありますから、これまた質問を保留いたしますが、防衛庁にお置きになりました場合は、今後の防衛は総合国力の問題でありますから、各省との間の連絡をできるだけ緊密にされる措置を御考慮になることを希望して、次の質問に参りたいと思います。 最後に私がお尋ね申し上げたいことは、保安庁長官はきわめて精神家でございますから、私は精神的な統率者としてはまことに人を得たものと考えておりますが、今後の自衛隊を率いられる指導理念と申しますか、その精神をどこにお置きになりますか、この点をまず承りたいと思います。
○木村国務大臣 今後自衛官の精神のよりどころをどこに置くか、これは最も重大なことであります。もぬけのからの自衛隊をつくつても何もならぬのであります。これにつきましては上からかようなことをしろとか、かような精神を持てとかいうようなことを強圧的にやるべきものではないと考えております。隊員の自発的に盛り上つた精神をそこにつくり上げなければならぬ。それについてわれわれも協力し、指導をする必要があるのであります。 そこでどこへ向いてその精神のよりどころを持たせるかということにつきましては、結局のところ、私はいわゆる愛国心であろう思う。われわれ三千年来祖先から受継いだ日本の国土の平和と独立を守る、一朝事あつたときには、日本の安全のために身を犠牲にしで行かなくちやならぬ。これは日本国民全部そうなくちやならぬのでありますが、特に自衛官たるべきものはここに精神のよりどころを求め、われわれは日本の祖国を守るたつとき任務につくという自覚と抱負を持たなければならぬ。矜恃を持たなければならぬということを考えております。それと同時に、先般山本君の御質疑に対してもお答えしたように、今後自衛官は国民の信頼を得なければならぬ。国民の信頼なくしては決してりつぱな隊員もできなければ、隊も成立できないのであります。一個の社会人としてりつぱな尊敬に値すべき修養を身につけるということを私は心がけさせたいと考えております。第三には、保安隊員は上下一致、上の命令は下に通じて、よくこれを守り、下の者はよく上の命令を守り、また上の者は下の者をよくいたわり、互いに上下相和する心構えを持たなくちやならぬと考えております。第四には、隊員相互の間にはどこまでも和衷共睦、互いに手を握り合つて、日本国土の防衛の任につくのだという親しみの心をここに持たせなくちやならぬ。第五には、十分に訓練をする。保安隊、警備隊の日々の訓練によく心を配つて、心身ともに健全なる保安隊員たることに心がけなければならぬ。但し昔のように、何々訓令とかいうような形でこれを押しつけて行くというような態度は私はとるべきものではないと考えております。これはそのときそのときに隊員と直接の密接な関係を持つて、終始そういう方向に向けることが何よりも肝要だろうと私は考えている次第であります。
○大久保委員 ただいまの御答弁了承いたしました。ただいまの五つの精神の中を貫くものは、私はやはり祖国愛の精神であろうと考えるのであります。 そこで私は次にお尋ねしたいと考えますことは、木村長官の人命に対する考え方であります。この点はきわめて重大な今後の問題になつて参ると思います。そこで従来の日本の軍の編成その他におきましては、葉隠精神、武士道とは死ぬことと見つけたり、あるいは生きて虜囚のはずかしめを受けることなかれということ、あるいは海上に漂うているときも、銃を波の上に上げて、遂に自分はおぼれ去つた、こういうような一つの事態も起つております。今後一体隊員の人命に対する考え方をいかに考えるか。身を鴻毛の軽きに比するということは、なかなか勇壮ではありますけれども、そういつたような人命を軽んずる、これを軽視する、こういうような考え方で参りますと、作戦もきわめて容易である。よし、百人殺してもそこをとるのだ、こういうことになつて来まして、部隊指揮上非常に安易な作戦になるのじやないか、また人を殺してもいいのじやないか、こういう考え方をいたしましたならば、科学的な戦略、科学的な武器を考案しようという一つの考え方がなくなる。私が人命を今後の自衛隊はいかに考えて行くかということについてシヴイリアン・コントールというのはここであります。ものの考え方について、従来の日本の伝統的な行き方に対して今後いかなる哲学を持つか、この点について先ほどからシヴイリアン・シユープレマシーの問題を言つておるのであります。今後の部隊というものは、人命に対する考え方をどうするか、これに対して、私はきわめて重大な問題を含んでおると思います。これは同時に、自衛隊の隊員は捕虜になるということを認めるか、認めないか。自分のなすべきことを尽さずして、捕虜になる、これはきわめてさげすむべきことである。この問題を長官はいかにお考えになるか。トラフアルガーの海戦においてネルソンは、イングランド・ニクスペツク・エヴリ・ボデイ・ツウ・ドウ・ヒズ・オウン・デユーテイという信号旗を掲げた。ネルソンはトラフアルガーの海戦においてはデユーテイというものを高く信号塔に掲げたのであります。東郷元帥は日本海海戦において、皇国の興廃この一戦にあり各員一層奮励努力せよ、こういう信号旗を掲げましたけれども、各員一層奮励努力せよというのは、その前に身を鴻毛の軽きに比するということがあるから、こういう抽象的な信号で私はよかつたと思う。このデユーテイというものをどう考えるか。またこれらのネルソンや東郷元帥がかつて信号旗を掲げたこういうことに対して、今後長官はいかなる理念をもつて部隊を御指導になるか、この点に対する長官の哲学と、御信念を承りたいと考える次第であります。
○木村国務大臣 私は民主主義の根底をなすものは、人間性の尊厳を自覚することであると思います。みずからの人格を尊重すると同時に、相手方の人格を尊重する。この人格の尊重の裏づけをなすものは、人間性を尊重するということであると思う。人間ほど尊きものはない。この人間がいわゆる鴻毛のやすきに任ずる、これは昔からよく軍人が言われておるのであります。この鴻毛のやすきに任じておるということも、軽々しく身を捨てるという意味ではなかろうと私は考えております。私はこれはいい意味に解釈しております。一旦有事の際においては、いわゆる身を犠牲にする覚悟を持て、この覚悟がなければいかぬのじやないか。そこで、あなたの今仰せになりましたような、責務を果さない前に身を軽々しく捨てるということは、これはむしろ私は卑怯だと思う。自分は徹底して義務を遂行し、倒れて後やむという精神がなければいかぬと私は思う。もちろんこの義務の履行ということが先に立つべきものと私は考えております。そこで部隊員に対しましても、軽々しく命を捨てろと言うことは、とんでもない間違いである。どこまでも人間性を保つて行く、人間の生命の尊いことを十分に自覚せしめる、しかし一面において義務の遂行ということを私は強調いたしたいのであります。義務を遂行して、命を全うするということは、これは上の上であります。命を全うすることに至らずして、義務の履行ができない場合もあります。義務を履行するがためには、命を捨てなければならぬ場合もあろうと私は考えます。その場合、国家のために義務を履行する、いわゆる日本の公共もの福祉のためにやむを得ず身を捨てなくてはならぬ場合もあり得ると考えます。そのときには喜んで身を捨てるのが男児の本懐とするところであると私は考えております。しかしもともとは人間の尊いということを各員に十分自覚させなければならぬ、軽々しく命を捨てるべきものじやない、どこまでも命を全うして、義務の履行をしなければならぬ、こういうぐあいにあるべきものであると私は考える次第であります。
○大久保委員 ただいま木村長官から男児の本懐といつたようなきわめて決然たるお言葉を承り、また義務を尊重するというむしろネルソン精神に近いお言葉を承りましたが、これは私も非常に同感であります。とかく権利は要求されて、義務を尽さない、こういう精神の横行しているときに、何が義務であるか、この点を明確に今後御指導になることを希望いたしまして、次の質問に移りたいと思います。 次に、ただいま長官の言われた男児の本懐、義務を尽すという点からいたしまして、防衛出動が発令されました場合には、当然相当の犠牲者の出ることはあらかじめ覚悟しておかなければならぬ。今度の自衛隊法において、あるいは今後の自衛隊の運営において、この犠牲者に対して長官はいかなる処遇方法をおとりになるつもりであるか。この点はきわめて大事な問題であると思います。何と申しましても、抽象的な下令だけでは人間は動かぬものであります。自分が死んだ後に、自分の妻子、遺族に対して後顧の憂いがないということがきわめて大切なことであると私は思います。私も終戦後相当多くの部下をみずから指揮いたして参りました。私自身もほんとうに苦しい思いをして参りましたが、一つの大事なことは、最近の青年はやはり割切つているということです。そこでやはり自分の死後いかなる処置が行われるか、防衛出動に際してはいかなる待遇が行われるかということを、あくまで明確にしていただくことが必要であろうと私は考えます。そこで私はそれらの出動に関連いたしまして、いかなる手当が行われ、あるいは犠牲者となりましたときに、それに対してはいかなる処遇が行われるか、この点について長官の御答弁を承りたいと思います。
○木村国務大臣 不幸にして防衛出動があつた場合に、日本のために身を犠牲にした人の遺族に対する手当、もう一つは本人に対する賞勲の手当、これはごもつともであろうと思います。われわれといたしましては、どこまでもその点に十分な考慮を払わなくてはいかぬものであると考えております。そこで賞勲の問題につきましては、近く御審議になろうと考えております栄典法においてそれらの点は明確になるものと私は予想いたしております。どこまでもその人の名誉のために相当の国家の手当はしなければならぬ、これを表彰すべき何らかの方法を考慮することは当然の義務と考えております。近く栄典法案において十分御審議願えるものと私は考えております。次には物的の方ですが、これも私は国家としては、そういうふうな場合において最善の手当をすることは当然であろうと考えております。とにかく日本の国土の防衛の任に当つてもらつた人たち、その遺族、これを保護すべく、私は国家といたしましては十分厚い手当をすることが当然であろうと考えております。それらの点についてどういう方法を講ずべきかということにつきましては、われわれといたしましてただいま十分検討中でありまして、いずれそれらの点に成案を得ました以上は、法律その他をもつてこれを制定して御審議を願いたい、こう考えております。
○大久保委員 この点は目下制定中であるということでございますから、深く追究いたしませんが、どうかこの点を一日も早く明確にしていただくことを希望する次第であります。 次に私は希望として申し上げておきますが、海上保安庁の職員を指揮下に入れられますが、この海上保安隊と自衛隊との待遇の公正、これはきのうも質問いたしましたように、十分御審議の際に取入れられんことを希望いたします。 次に私は厚生省並びに引揚げ関係にお尋ねいたしますが、今度の自衛隊の隊員が防衛出動に喜んで出て行くということのためには、従来の傷痍軍人に対する処遇、遺家族に対する援護の措置、あるいは引揚者の在外資産の補償措置、こういつたような戦争犠牲者に対するできるだけの処遇というものを、国家は講ずる必要があると考えております。これらの点につきまして厚生省並びに引揚げ関係の資産補償関係でいかなることをお考えになつておりはすか、簡単でよろしゆうございますから御答弁を願いたいと思います。
○田邊政府委員 厚生省といたしましては現在戦傷病者戦没者遺族等援護法というものによりまして、戦傷病者に対しては年金、戦没者に対しましては年金あるいは弔慰金を支給しております。しかしこれらはいずれも旧軍人軍属を対象といたしておりますので、今後の問題はこれらとは別に考究いたさなければならぬ問題だと考えております。そのほかに同法律では戦傷病者に対しまして、医療及び補装具の支給ということをいたしておりますが、これも同様に過去の軍人軍属というものを対象としております。 一般の身体障害者に対しましては、戦争による身体障害者であるとその他のものとを区別せずに、身体障害者福祉法という法律がございまして、これによつていろいろの更生上の指導援助をいたしております。また遺族につきましては、未亡人あるいは子供等が対象になると思いますが、これは一般の未亡人と同様に、あるいは資金の貸付であるとか、あるいは母子ホームの達成であるとか、かようないわゆる更生援護の方法によりまして援助をいたしておるような次第でございます。 それから在外資産の問題は大蔵省の関係でありますので、大蔵当局からお答えがあると思います。
○窪谷政府委員 在外財産問題処理の一般の方針につきましては、実は私の局でございませんで、理財局の方で所掌いたしております。従いまして私が御答弁申し上げるのはいかがと思いまするが、現在進行しております状況は、在外財産問題調査会というものを設置いたしまして、それにいかなる処置をなすべきかということを諮問いたしておるような状況であります。その調査会におきまして数回にわたりまして審議があつたのでありますが、根本方針を立てますことは、なかなか憲法上の問題あるいはまた財政上の問題、非常に困難な問題がございますので、これは目下検討をしていただいております。それと切り離しまして、さしあたり終戦当時こちらに送金いたしましたものの処理がまだついておりませんし、それから外地で金融機関に預金をいたしました預金の処理がまだついておりませんので、これは引揚者対策とも関連をいたしまして、在外財産の一般の処理と切り離して処理をいたしたいということで、目下法律案を提出いたしておりまして、御審議を願つておるような状況でございます。大体の状況は以上でございます。
○大久保委員 これをもつて最後といたしますが、木村長官に最後の点をお尋ねいたしたいと思います。先ほど後顧の憂いをなくするために、金銭的な措置は実はせつかく検討中である、精神的な面におきましては栄典の問題を考えておる、かような御答弁でございましたが、栄典の問題と同時に、私がこの際御質問したいと考えますのは、やはり先ほどの人命に関する問題であります。人間が一命を国にささげて国家公衆のためにおのれを犠牲にする、こういう際において、ロシヤのような宗教のない国ならばいざ知らず、いずれの国におきましても、民族が宗教を信ずる国におきましては、その英魂に対して何らかの慰藉方法をとつていない国はないと私は考えております。重要な問題は遺族にいたしましても、本人にいたしましても、人間はパンのみにて生きるのにはあらずでありまして、やはり英魂に対していかにして自分の霊をまつられるかということはきわめて重大な問題であり、現在におきましても、遺族が困苦欠乏に耐えて歯を食いしばつておりますのは、私はやはり英霊が靖国におまつりされておるからだと思う。この犠牲者の慰霊の問題につきまして、長官はいかなるお考えを持つておられますか。この点を最後として私の質問を打切りたいと思います。
○木村国務大臣 われわれは防衛庁を設置いたし、自衛隊をつくることを考えて、ただいま御審議を願つておるわけであります。私は実は世界の平和の一日も早く来らんことをこいねがう一人であります。つくることはつくりまするが、これはまつたく日本の外部からの不慮の侵略に対して、日本の国を守ろうとする趣旨にほかならないのであります。われわれは外国に対してあえて戦争をする意思のないことは、日本国民みな考えておるところであります。そこで国際情勢がだんだんよくなつて参りまして、外部からの不当な侵略のないようなことを期待するのでありまするが、万一不幸にしてさようなことに至つて、身を犠牲に供した人に対しては、国家的にこれをおまつりをするということは大いに考えられるべきことであろうと思います。しかしながら具体的に今どうすべきかということは、実はそごまで考えておる段階ではありません。と申しますのは、われわれはどこまでも日本の平和をこいねがつておる、かような危険の来ないように何とか処置さるべきことをこいねがつておるのでありまして、今の段階においては、少くともそこまで進んで、そのおまつりをどうすべきかということにまでは考えは進んでおりません。これは私の率直なお答えであります。
○大久保委員 私はもう質問を打切ろうと思つておりましたが、一点だけお尋ねしたいのですが、私ももちろん戦争というものは遠いと考えております。またそういうことをこいねがつておりません。しかしながら問題は、外務委員会でも申し上げましたように、日本の近海において、一万人の人間が拉致され、六百隻の日本の公船もしくは私船が拿捕されておるという場合において、私は自衛隊がこれを防止するためには、その全力を尽すことは当然の責務であると思う。今後におきましては弾薬を積み、弾薬庫に満載しておる。一発くらつたならば轟沈するのであります。一船が沈めば百人二百人の犠牲者はすぐ出て来る。長官は戦争は遠いということで、この犠牲者に対するまつりを遠いもののようにお考えになつておりますけれども、私は今後戦争に至らぬでも、日本に対する脅威、侵略というものがいろいろな形で海上においては身近にあると考える。そういう場合においても、やはり遠いとお考えになりますかどうか。これに対してはいかなる御処置をおとりなりますか。戦争という問題ではなく、自衛隊法に盛つておる行動の範囲内において起つた手近な犠牲者に対して、どのような処置をとるか、長官の御抱負を伺いたいと思います。
○木村国務大臣 ごもつともな御質疑でございます。外国からの大きな武力行為でなくても、手近な事故において国家のために命を捨てた人、その祭りをどうするか、これは私は考えなくちやならぬことだと思います。また将来不幸にしてさようなことが起る可能性は、十分にあるのであります。しかし今、しからばどういうお祭りをするかということにつきまして、対案は持つておりません。十分検討いたしたいと考えております。
○大久保委員 幸いにして長官と意見が一致しまして、至急研究するということでございますから、一日も早くそういう態勢が確立することをこいねがいまして、私の質問を打切ります。
○稻村委員長 下川委員より関連質問の申入れがありますから、この際これを許します。下川儀太郎君。
○下川委員 先ほど来から大久保元海上保安庁長官と木村長官との日露戦争を思わすような質疑応答がありまして、はなはだ愉快に聞いたのであります。ところでこの質疑中に、自衛隊の指導理念の問題が出て参りました。しかもその答弁には、やはり木村長官の戦陣訓のごときいろいろな話もございましたが、その中で国民の信頼あるいは自衛隊員の自覚ということが主張されました。はなはだけつこうなことであります。これはひとり自衛隊員のみならず、国民の生活上最も指標となるべき言葉であります。ただ私は国民の信頼感を自衛隊が得る、あるいはまた自衛隊自身が自覚して国民の信頼にこたえるということはわかりますが、これはひとり自衛隊員のみに課することではない。いやしくもその指導に当る人々が自覚しなければならない、みずから国民の信頼にこたえなければならぬ。ところがはなはだ個人的には尊敬しておりますけれども、最近いろいろと保安協会あるいは霊友会等との問題が新聞紙上をにぎわしておる。これはわれわれの質問に答える長官自身が、そういうもろもろの不純な世評に対する釈明が明確にされていない、これを長官はどのようにお考えでありましようか。
○木村国務大臣 もちろんお説の通りであります。保安隊員、将来の自衛隊員だけにさようなことを求むべきものではありません。内局に勤めておる者、われわれ一同が、国民の信頼を求めるように行動することは当然なことであります。それで今下川委員の仰せになりました点でございますが、具体的に申しますと、保安協会の問題であります。これは保安協会のどこに悪いところがあるか、保安協会自体は外郭団体でありますので、保安協会について私はとやかく申すことはできません。しかし保安協会において何らやましいところはない。これは多くは世間の誤解であろうと私は考えております。また保安隊内部においてもろもろのことがあつて、まことに遺憾であります。それらについては将来とも十分自制をして国民の信頼を得るようにやりたい、こう考えております。
○下川委員 私も木村長官の人格をそう信じたいのであります。ところがいろいろな問題がやはりとりさたされておりますし、この防衛二法案についての是非は別といたしまして、今後の審議あるいはまたこの性格の上において、いろいろな支障を来して来ると思う。たとえばきよう見たのですが、これは大蔵省関係で、保安隊の菓子用に昨年五百トンの砕米を払い下げした。これは保安庁の共済組合に払い下げた。ところがこれが保安隊の菓子に使われずに、そのまま業者に横流しされている。この実相がこれは大蔵委員会の二十二、二十三、二十四、二十五号に載つておると思います。しかも横流しされた事実を食糧庁の方で認めておられます。こういうことが速記にもいささか載つておる。これもまたわれわれ議員として大きな疑惑を持つ。しかもその保安庁の共済組合の理事長あるいは本部長が木村篤太郎の名になつておる。そうまりますと、あなたは知らなくても、勢いそこに大きな疑問を持たれるのであります。その明細を申し上げますと、昭和二十八年二月十日百トン、六月二十三日二百トン、九月十九日二百トン、都合三回にわたつてこれが払い下げられておる。そうすると、当時の裸で一トンが五万五千五百円、それから当時の輸入外米の価格がトン当り七万一千八十円でございます。すると総計にして、裸にして二千七百万円、それからこれを輸入外米の価格にすると四千百四十万という厖大なものになつて来る。今日国民の生活が非常に窮迫しており、しかも労働者の加配米が月に十五日しかない、こういう際に、その払い下げた砕米が保安隊自身の菓子用に使われているのならいい、しかし使われずに業者に流されるということになると、これは大きな問題になつて来ると思う。しかもこの実相を、たとえば大蔵委員会において食糧庁の人が認識しておるとするならば、これは大きな政治的な問題だと思う。従いまして、単に私は木村長官の人格を傷つけるために言うのではない。共済組合の理事長あるいは本部長として、あなた自身の名前が載つておる。その名のもとにこういうものが払い下げられ、横流しされたとするならば、これは今後自衛隊や防衛庁が設置されたとしても、こういう疑惑のうちにわれわれが進行をするということに対して実に心外だと考えるのであります。先ほど来国民の信頼あるいは隊員の自覚というようなことがるる言われておる。しかしその言葉を裏切るような、国民の信頼を裏切り、自衛隊の自覚を裏切るようなものが、その保安隊内にあるとすれば、これは百の説法屁一つで終えてしまう、私はこういうことに思いをはせて、もちろん隊員の自覚を要請し、あるいは国民の信頼を求める前に、指導者自身がみずからえりを正し、みずから自己反省のもとにこういう審議をわれわれに求めてこそ、信頼さるべき政府当局だと思いますので、ひとつその所見を伺つておきたいと思います。
○木村国務大臣 ただいま切々たるお言葉をちようだいいたしました。私は事実を明瞭にしていないのであります。もしもそれが——事実であるでしよう、今のお話のごとくまことに申訳ない、さようなことがあつては相ならぬのであります。十分に私はその事実を明瞭にいたしまして、何分の処置をいたしたいと考えております。
○加藤政府委員 ただいまの下川議員の御質問の中に、あられの問題がございましたが、私どもの承知しておる範囲のことを御説明申し上げたいと存じます。これは前々から部隊の若い隊員の諸君の中から菓子類の要望がございまして、安価で満腹感を与える米菓類を取扱いたいという希望が、地方の個個の部隊の方であつたのであります。県庁の方では、これは食糧庁の方で一括して扱つてもらいたいというような話がございましたので、昨年の二月に共済組合本部と食糧庁と話合いまして、百トンの割当を受けました。それから昨年の六月二百トン、九月に二百トン、合計五百トンの割当を受けたのであります。この処理につきましては、岡山にあります山崎農産企業組合というところに契約をいたしまして、すでに第一回の割当百トン分については、昨年の五月から六月の間に部隊の各支部にあられとして納入されておりまして、その以後の分につきましては、隊員の要望に沿いまして、甘味とから味の幾種類のものかに分類をして加工さしておりました。逐次部隊に納入されつつあるのであります。これは部隊の方ではPXに委託商品として取扱わしております。その間に横流しがあつたというふうなことは承知いたしておりません。
○下川委員 これは今後の木村長官の意図する精神的な問題にも関連し、われわれの政治的な問題にも非常に影響を及ぼすので、私は個人攻撃はきらいでありますが、木村長官のその人格は信じたい。しかし事実がそういう形になつていろいろ表現されている以上、明確にする必要があると思う。どの業者にいつどれほど横流しされたか。これを十分調べて、やはりこれはあなたの言う国民の信頼を得るためにも、また政治が現在汚職事件が多い。そういう中にあつて、やはりその疑問を解くことが当事者の当然の役目と私は考えますので、これを次会にひとつ明確な答弁書あるいはまた詳細な調査書をわれわれの手元にいただくことを要望いたしまして、これで打切ります。
○稻村委員長 辻政信君。
○辻(政)委員 質問したいことが非常に多く、与えられた時間が制限せられておりますので、簡単に聞きますから簡単に長官もお答え願いたい。 第一にお伺いしたいことは、日本防衛の根本方針をどこに置いておられるかという点であります。政府の計画は多分にアメリカに範をとつておられるように見受けるのでありますが、日本の置かれている国際的な立場はむしろスエーデン、フインランド、スイス等米ソ両陣営の間にみずからの力によつて中立を保つている諸国に近いものがある。日本の防衛はそれらの国に学ぶべき点がすこぶる多いのであります。はたして保安庁においては、今申しましたようなスエーデン、フィンランド、スイス等の防衛態勢についてどれだけ権威ある研究をされているか。いかなる資料があるか。これについてまず承りたい。資料があるならば審議期間中に御提出を願いたいのであります。
○木村国務大臣 お答えいたします。日本の防衛態勢がいかにあるべきかという件であります、これは日本の与えられたる標題がまつたくスイスやスエーデンとは異にいたしていると私は考えております。そこで日本は日本独自の防衛態勢をとるべきであろう。これは当然の事理であります。そこで日本がしからば独自の自分だけで防衛態勢を整えて行けるかと申しますと、これはとうていそうは参らぬのであります。残念ながら参りません。申すまでもなく日本とアメリカとの間に日米安全保障条約をつくりまして、そうしてお互いに手をとつて日本の自立と独立を守つて行こうということは辻委員御承知の通りであります。この点から見ましても日本はスイス、スエーデンあたりとはまつたく事情を異にしている。われわれといたしましては、現段階においてアメリカの駐留軍と互いに提携して日本の防衛態勢を立てて行こう。それには日本はどうすべきかという観点から、ただいまのところ防衛態勢を逐次に研究し、また案を立てつつある次第であります。
○辻(政)委員 研究されたことがあるかどうかという問いであります。スイス、スエーデン、フインランドの防衛態勢に近い弱国であり、米ソの中間に位する日本であります。でありますから、少くも政府はそういう諸外国の例を真剣に検討されて、とるべきものがあつたらとるのが当然ではないか。アメリカの態勢そのものに追随し模倣するのが適当じやない。いかなる研究をされているか。もう一回承ります。
○木村国務大臣 むろんわれわれの方といたしましては、各国の防衛態勢については研究しているのであります。そこで今御指摘のスイスその他についての防衛態勢はどうやつているかということについては相当の研究はしております。
○辻(政)委員 それではその概要でもよろしゆうございますからこの審議の期間中に資料として御配付を願いたい。 次いで第二に移ります。アメリカの保護下に日本の安全を保つことは、当然の義務として集団防衛の一翼を負担し、その結果としてソ連の原爆を受けることを覚悟しなければならないはずであります。これは明らかに日本を再び戦場にするという道に通ずるものであります。その方針に立つ防衛態勢はアメリカにおんぶしたものであり、具体的には陸軍を主体とし海空軍は米国に依存するびつこの形をとる。これは現にそうなつている。それに反しまして絶対に日本を戦争の渦中に投じないという国民の悲願を守り抜くためには、一日も早く日本人で日本の防衛を完成し、すみやかに米軍とその基地の撤退を要求すべきものであり、その防衛は空軍を主とし陸海を従とする総合防衛力を日本の将来の目標にして整理すべきものと考えるのであります。この点に関しましては、本会議において質問した際に、緒方副総理は均斉のとれた一人歩きのできる防衛を目標とするとお答えになつております。これこそが戦争の渦中に入らない道と考えますが、長官は現在はともかくとして、将来その方向に防衛をお立てになるお気持があるかどうか、それを承りたい。
○木村国務大臣 先刻申し上げました通り、日本が独自で日本の防衛態勢を立てて行こうということになりますときにおいては、もちろん今お説のような方向に向うのが当然であろうと考えております。しかしその時期がいつ来るかということになりますと、私は率直に申しましてほど遠いのじやないか。というのは、さような防衛態勢を持つということは当分の間日本の財政力が許しません。財政を無視してかようなことをやると、かえつて日本を破綻に導くおそれがあるのであります。そこでやむを得ずアメリカと協力態勢を整えて、さしあたり日本の防衛はどうあるべきかということに計画を立てているのであります。しかしわれわれといたしましてはいつまでもアメリカにおんぶしているということは国民感情からも、またあらゆる点から考えましてもいけないのであります。一日も早く今仰せになりましたようにアメリカから離れて、日本が独自の防衛態勢を立てて行かなければならぬと考えております。そこでそういう場合において、日本の防衛態勢上海を重しとするか空を重しとするか陸を重しとするかということになりますと、われわれといたしましてはこの日本はむろん海国である以上、周囲を海に囲まれております以上は、海と空とに重点を置かなくちやならぬと考えております。しかしながらこの海と空の守りを強くするということは何分にも金のかかることでありますから、われわれといたしましては漸増的にさような方向に今から向けて行くように努力いたしたい、こう考えております。
○辻(政)委員 それでは関連してお伺いいたしますが、アメリカ軍の日本に駐屯している部隊は原爆防備という訓練を重点に置かれております。原爆に対していかに防備するかということが在日米軍の教育の重点になつているにかかわらず、日本の保安隊では何らそれがなされておらないのであります。もしあるならばあるとはつきりお答えいただきたい。ないならばなぜしないか。アメリカと共同してソ連に対して共同防衛を考えるからには、当然ソ連の原爆というものを考慮に入れなければならぬ。それを考慮に入れないでは防衛でない。しからば保安隊の防衛訓練というものは対原爆ということが最重点になるべきであります。いかなる考慮が払われているか。それを承りたい。
○木村国務大臣 私は原爆の使用ということはもうすでに最後の段階であろうと思います。不幸にして原爆が用いられるようになると、要するにこれは第三次大戦であります。そういうことがあつては相ならぬのであります。不幸にしてさようなことになつて第三次戦争が勃発すれば、私は人類の破滅じ。やないかと思う。これはこの間のビキニ岩礁におけるアメリカの原爆の爆発試験、これなんかも私はアメリカとしてはソビエトに対する一つの大きな考え方をもつてやつておるのじやないかと思います。むしろ使うというよりか、これをもつて軽々しく第三次戦争というものはやるべきじやない、むしろこれを防衛するための一つのテストじやないかと私は考えておるのであります。第三次戦争が起つて原爆が使用されるということになれば、私はもう人類の破滅だと思う。われわれはどこまでもかようなことがあつてはならぬ、さすべきではない、こう考えております。
○辻(政)委員 アメリカ軍が原爆防護ということを訓練の重点に置いておるということは御承知であろうと思います。起るか起らぬかは別問題としまして、われわれは最悪の場合にそれに備えるということが防衛の責任に当る人の一つの重大なる使命であると思います。そういう点について私はアメリカの責任を問いたい。自分の軍隊はそれをやつておりながら、日本人に対し、日本の保安隊に対し、何らそれに触れようとしておらない。日本人はどうなつてもいいから、米軍だけが防護されればいいというような態度ははなはだよろしくないというふうに感ずるのであります。この原爆が恐しいということはわれわれ日本人として骨身に徹しておるのであります。従いましてそれがこわいならば自衛中立の態勢をとる以外にない。岡崎外務大臣は戦時の中立は困難であるが、武装中立、すなわち自衛中立は理論としては成り立つ、非武装中立は成り立たない、こういうふうに答弁をされ、木村長官は中立を保つためにも防衛力を充実しなければならぬと答えられておるのであります。米ソの中間に中立は不可能であると説くも人もおりますが、スエーデン、スイス及びフインランドの国々は、日本よりもさらに危険なる戦略的立場にありながらも、毅然として自衛中立の努力を続けておるのであります。これは事実であります。その戦略的地位は決戦正面に近いだけ日本よりもきわめて困難であります。日本においてはむずかしいには違いがないが、幸いにして日本の戦略的地位が米ソの決戦正面ではない。かりに米軍が完全に日本引揚げましても、ソ連の大軍がただちに日本を直接侵略するということは考えられない。従つて国力の許す限度における精鋭な国防軍でもつて万一の侵略を防ぐ道はあると私は考えるのでおります。この負担は日本をまる裸にしてソ連の侵略にまかせたり、あるいは米国のお先棒かつぎで戦場になる危険に比べますというと、はるかに忍び得る負担ではないか。政府としましての見解を承りたい。
○木村国務大臣 私は日本がアメリカと手を握つて日本の防衛態勢を立てて行つておるからして、少くともわが国の平和と独立は維持されておると考えております。今ただちにアメリカ駐留軍が全部撤退したあかつきにはどうなるかということに思いをいたすなれば、私は軽々しく日本独自だけで防衛態勢を整えるということは危険であろうと考えております。当分の間やむを得ません。われわれはすみやかに国力を回復して、今辻委員の仰せになりましたように、日本自体の防衛態勢を整えて完全な中立を守つて行く態勢を整えて行きたい、こういう考えを持つております。
○辻(政)委員 長官は予算委員会、本会議においての私の質問に対し、間接侵略に対しては経済的な民兵制度を採用することに同意であり、研究するとお答えになりましたが、これはその後だれに研究を命ぜられ、いかに進められておられるか、あるいは長官個人の頭の中で研究するという御意味かどうか、それを承りたい。
○木村国務大臣 民兵組織の必要なることは私はまさに辻委員と同感であります。そこで民兵組織がどうあるべきか、またどういう方向に向つて行くかということについては、私も相当の人と話し合つております。しかし具体的にどの線でもつてこれを進めて行くかということについての最後の決定はまだ到達しておりません。今後ますます私はその方面についてしかるべき人の意見も聞き、慎重にこれを考慮いたしたいと考えております。
○辻(政)委員 次いでこの法案の本論に入りますが、入るに先だちまして、この二法案は自衛隊は軍隊たることを前提として立案されたか、それとも軍隊にもあらず警察にもあらず、中途半端なものとして立案されたか、ということは、この前提がない限り、法案の審議というものは当を得ないのであります。ほんとうに軍隊にするならば軍隊らしい内容を持つべきであり、中間ならば中間ということになりますが、その点をひとつ、法案をお立てになつたときの根本的な前提、それを簡単に承りたい。
○木村国務大臣 これを軍隊という形でもつて考えたのかどうかという御質疑であります。私は常に申しておるのであります。一体軍隊とは何ぞや、この定義であります。普通に言われまする外部からの侵略に対して対処し得るものをもつて軍隊ということであれば、まさしくこの自衛隊は軍隊であります。はつきり申し上げられます。そこで軍隊的の性格のいかんによるのでありますが、少くとも防衛庁設置法第四条に「防衛庁は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つことを目的とし、これがため、陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊を管理し、及び運営し、並びにこれに関する事務を行うことを任務とする。」と防衛庁の任務をはつきりここにうたつておるのであります。すなわち自衛隊はわが国の防衛の任務に当る、不幸にして外部からの武力攻撃があつた場合はこれを防ぐことを任務とするのだ、こういうことをうたわれておる以上はいわゆる軍隊的性格を十分に持つておるものとわれわれは了解する、ただ軍隊という言葉を使つていいかどうか、この問題だけを残ることと私は考えております。
○辻(政)委員 しからばその言を入れまして、軍隊的性格を前提としておる法案という見地から進めて参ります。それでよろしうございますか。 第二にお伺いしたいことは、文権優位の原則についてであります。たびたひ議論が行われておりますが、文官優位、文民優位、文権優位という言葉がごつちやになつて使用されております。これに対して長官は明確な答弁をなさつておるのであります。それは軍事は政治に従属すべきものである、すなわち文権優位ということを信条となさつておつたのであります。これはアメリカの州憲法に武権は常に厳格に文権に従属しなければならぬということか載つておるのでありまして、文官優位というような言葉は日本でつくつた新語であります。世界にない。文民優位も同様。その意味において私は長官の明快な御答弁に敬意を表するのでありますが、しからばこの文民優位の文民という言葉が憲法にありますが、デモクラシーの本場のアメリカにおいてはアイゼンハウアー元帥が大統領になり、またマーシヤル元帥がトルーマン大統領のもとに国務長官をやつておつた。現在の日本でももはや過去の経歴に拘泥することなく人材を登用すべきものと考えるのであります。そこでお尋ねしたいことは、任用経歴の制限を今回撤廃なさいましたが、旧軍人の経歴を持つ者でも、現在制服を着ておる官僚出身の人でも長官、次長、局長、課長の任用に支障ないというふうに解釈していいかどうか、それともまた旧軍人出身者が依然として内局の課長以上にならないというお考えか、それを承りたい。
○木村国務大臣 現在の保安庁法によりましても、いわゆる旧軍人が内局に勤務することはできないということにはなつていないのであります。できるのであります。今度の保安庁法におきましては、前の保安庁法においては制服を着た者が課長以上の職に従事しないという規定があつたのでありますが、それを削除しただけでありまして、要は一たび制服を着た者であつても。適当な人であれば内局においても勤め得るのだ、ここに区別をしない、一たび制服を着た者は内局に入れないというような禁札を掲げることが、要するに制服と平服との間に非常な摩擦を生ずるおそれがある。そういうようなことがあつてはいけないというので、禁札を取去つただけであります。
○辻(政)委員 制服を着たという者の中に二種類あるのであります。文官出身で制服を着て三年たつた者と、長い軍隊生活をやつて保安隊に入つて制服を着た者とがある。そのいずれも撤廃するという御意思ですか。
○木村国務大臣 もとよりそうであります。
○辻(政)委員 それでは分権が武権に優位するという原則を、この法案の中おいて、行政機構の上にいかに具現をされておるかということについて逐次御質問したいと思います。過去の日本におきましては、天皇が文武の大権掌握されて、統帥権は立法、司法、行政の大権とともに天皇に直属していたのであります。これが敗戦の大きな原因をなしております。これを改めることについては私も全然同感であります。アメリカにおいては、大統領が最高の責任者として武権を押えておるのであります。国防長官が第二位の立場において武権を構成しておる。すなわち武権が文権に優越しないためには、大統領と長官の位置で二重の監督をしておる。これがアメリカの制度の特色であります。しかるにこの法案を見ると、第七条によりますと、「内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する。」と規定しておりますが、総司令官としての純軍事的統帥指揮を補佐するのは一体だれか、これを承ります。
○木村国務大臣 内閣総理大臣が保安庁長官の直接指揮をいたします。そして保安庁長官がその総理大臣の指揮監督のもとに、それぞれ部下を直接に指揮監督することになつております。
○辻(政)委員 そうしますと総理大臣は総司令官たる立場において、幕僚を持たずに統帥指揮をなさるのですか。
○木村国務大臣 総理大臣の最高幕僚は保安庁長官であります。
○辻(政)委員 長官は幕僚ですか、指揮官ですか。
○木村国務大臣 幕僚であり、しこうして指揮官であります。
○辻(政)委員 そこに重大な認識の錯誤があります。これは根本問題です。逐次質問いたしますが、自衛隊法案の第八条に、長官は総理の指揮監督を受け、自衛隊の隊務を統括する。但し陸、海、空自衛隊に対する長官の指揮監督は、それぞれ当該幕僚長を通じて行う、こうあるのであります。そこで長官は今おつしやつたように、幕僚であり、指揮官であるとお答えになつておる。問題は幕僚と指揮官についてでありますが、幕僚というものは指揮官の意思の決定を補佐するのが幕僚であります。指揮官というのは自己の意思を決定して部下に命令する、これであります。従いまして幕僚というものは非常に広い視野に立つて、何でも意見をずばずば言えるが、指揮官というものは冷厳な命令のもとに、一糸乱れないような統率をやらなければならない。これを簡単に申しますと、幕僚は一家の女房であり、指揮官は亭主であります。女房というものは内助の功をやり、亭主は外で働く。女房は亭主を兼ねることはできないのであります。ところがこの防衛法案は、完全に至るところにおいて女房が亭主を兼ねておる。あるいは女房が亭主をしりにしいておるということが言える。でありますから私は最初に、これは軍隊なりや、あるいは軍隊でないならば、それでも通つて参りますが、軍隊的性格を前提として立案する以上、それは許されないことであります。もつとつつ込んで申しますと、この原案におきましては、陸上幕僚長、海上幕僚長、航空幕僚長というものが、一面において長官の軍事に関する最高幕僚であるとともに、他面において陸、海、空の自衛隊の指揮官であります。命令を執行する者は指揮官であります。ここにも重大な過失が同じように犯されております。アメリカとはまつたく違つております。アメリカでは陸、海、空の長官があります。そしてそのもとに陸、海、空の参謀総長がある。統合幕僚機関はその幕僚長たる参謀総長を集めて構成しておるのであつて、陸、海、空軍の司令長官を集めては構成していない。明らかに幕僚と指揮官を区別しておる。原案を採用した場合に起る最大の欠点は何か。これは武権が文権を圧迫するということになるのであります。昨日の東京新聞に「強引の林幕僚長に増原次長腰くだけ」という記事が出ております。これは的確に表現しておりますが、多分お読みになつたと思う。こういうふうになつた根本原因は、林幕僚長は陸上自衛隊の総指揮官として実力を背景に持つておる。この人が幕僚の立場において木村長官に発言することは、これは何としても重大な威圧を長官がお受けになる。武権というものが文権を圧迫する危険な制度がそこにあるのであります。そのことをお伺いいたします。 いま一つは、事が起つた場合、たとえば北海道が侵された、そうすると、陸上自衛隊の総指揮官は北海道の近くに行つて、現地の部隊の戦場指揮をやらなければならない。そうなりますと、東京におつて長官の女房役ができない。外へ出て亭主として働かなければならぬのであります。そこに指揮官と幕僚というものが事が起つた場合において収拾できないような混乱が起る。そういう観点からみると、この防衛法案を根本的に修正なさる必要がある。それは陸海空自衛隊には専任の長官を置くことにするのであります。そのもとにそれぞれの幕僚部を設けて、その幕僚長が統合幕僚会議を構成する。幕僚と指揮官というものをはつきりと区別をなさつて、統幕議長は陸海空の幕僚長を通じて内面的に長官の補佐をする。こうすれば女房と亭主というものがはつきりして参る。そうでもしない限り、事がないときはよろしゆうございますが、いやしくも軍隊的性格を持つておるとして、事が起つた場合には収拾できないような混乱状態になる。そうして長官が信条とされている文権優位の原則を、力を持つた者が幕僚として威圧を加えて来るという結果になるのであります。これを根本的に改められる御意思があるかどうか、私は改めなければならぬものと信ずるのであります。御見解を承りたい。
○木村国務大臣 私は幕僚長であり、しかして指揮官であるということはさしつかえないと考えております。一面において軍隊の指揮をする、その者が一面において長官の補佐をするということは一向さしつかえない。 今、林幕僚長に関する記事をお読みになつたのでありますが、私は林幕僚長によつて何ら威圧を感じません。また増原次長もおそらく林幕僚長に威圧を感じたものでないと考えます、むろんいろいろなことについて議長の意見を聞くことがあります。これは私は率直に聞きます。聞いた上でよいと思うものは、判断した上はこれを実行いたすのであります。その私の補佐役でありまする幕僚長が一面において実施部隊を指揮監督をするということは、これはさしつかえないと考えております。また今後できまする統合幕僚会議におきまして実施部隊についてのいろいろの計画を立て、この面からも私を補佐して行くということになりますと、十分に統制がとれて行くものと考えております。
○辻(政)委員 これは世界に類例のない、日本独自の新しい制度であるます。女房が亭主を兼ねておる、それでもさしつかえないとおつしやいますか、これは事が起らないからそうおつしやるので、これは初歩の常識を逸した案とみなければなりません。世界の通念からみますと、指揮官と幕僚を同一に兼ねさすということは、世界のどこにもないのであります。日本独特のものである。これだけはさすがにアメリカにまねされておらない。しかしながら私の一票によつて修正することができないにしても、信念としてどこまでも間違いであるということを申し上げておきます。 次に移ります。防衛長官は日本の現状ではいわゆる文民出身の場合が多いのでありますが、その意味において、総司令官たる総理に対しては、純軍事の最高助言着たる者は統幕議長ではないか、長官は勉強すればできるとおつしやるが、たいへん失礼でございますけれども、純粋の軍の最高権威というものは二年や三年のつけ焼刃でできるものではないのであります。一人前の軍事の専門家をつくるには二十年かかる、しかもこれは戦場の体験を経ないと一人前にならない。そういう意味において、私は武権が文権を圧迫することは極度に排斥しますが、純軍事の知識というものは、相当の年月をかけてほんとうにやらないとできるものではない。でありますから、デモクラシーの本場のアメリカにおいても、大統領の軍事の最高幕僚長は国防長官じやない、純軍人出身の統合幕僚会議の議長であります。そういうことをお考えになると、統幕議長にそういう人を選ぶならば、その人に純軍事に関する発言の機会をお与えにならぬと無理ではないか、この点いかがでございますか。
○木村国務大臣 統合幕僚会議が長官を十分に補佐できると私は考えます。その長官がさらに総理大臣の補佐役として種々計画を立てて行くということについては何らさしつかえない、こう考えております。
○辻(政)委員 これは非常に危険な制度でありまして、木村長官は人を得ておるからいいのですが、木村長官の位置にクーデターをやるような考えを持つた者がおりますと、これは完全にクーデターのやりやすい制度ですね、そういうことはお考えになりませんか。一手に握つておる、そうして総理大臣に対しては純軍事の糸を切つてある。あなたの一身にすべてのものが集まつておる、過去は天皇に集まつておつた。それじやはいけないというので——私は総理に集めるのが当然と思いますが、それを一段飛ばして長官の位置に軍政の大権を一手に掌握させるということは、その人を得なければクーデターをやりやすい機構である、こう私は信じます。いかがでございますか。
○木村国務大臣 クーデターをやるというようなことは、私は想像もつかないのであります。万一やろうと思えば、総理に幕僚があつてもやれるんじやないか、私はこう考えております。
○辻(政)委員 そうじやないのです。総理がこのいわゆる軍運用の大本を直接握るということが——アメリカがやつておるという大統領で押え国務長官で押えておかぬと、とかく力を持つた者はけ飛ばしやすいのであります。それを脱逸しないように二重、三重に縛つておきなさい、それはあなたのところでたずなを締めておるから大丈夫だとおつしやいますが、そのたずなをもう一本大統領たるべき総理の位置でお締めなさい。これが皆さんが心配されておる武権が横行するということを防ぐための最良の制度であると私は信ずるのであります。もう一応承りたい。
○木村国務大臣 総理が最高指揮官でありましてその下に保安庁長官が命を受けて、また幕僚長を経て実施部隊を指揮監督いたす、これは三重にもなつているわけであります。今のような御疑念の点はその間において払拭できるのではないか、私はこう考えております。
○辻(政)委員 この法案を率直に見ますと、総司令官としての総理の地位というものは、軍事に関する限りはまつたく形式的であります。実権は防衛庁長官であり、その主任幕僚は統幕議長ではなくして内局の防衛局長である、そこに行つておるのであります。すなわち第十二条によりますと、防衛局長は防衛及び警備の基本、自衛隊の行動の基本を握ることになつております。その基本に準拠しまして、統合幕僚会議が統合計画をつくります。また第二十条を読みますと、統幕会議に対する長官の指示または承認は、官房長及び局長が補佐することになつているこれは純軍の防衛警備に関しまして内局が実質的には統幕会議の上位にあることを明らかに示すものであります。そこで、防衛局長は年も若く経験も乏しい人がなつておられます、現状においては軍事の専門家でない場合が多い、しかもこのような重大な事務を遺憾なく処理できると長官はお考えになるかどうか。
○木村国務大臣 防衛局と統合幕僚会議とは全然その観念を異にしておるのであります。もちろんひとしく日本の防衛に対してのすべての計画なんかをやることは当然でありますが、内局のいわゆる防衛局においては、主として世界情勢その他万般の点、ことに財政的面、そのほかの点から終始日本の国防がどうあるべきかということについてやつております。統合幕僚会議においては、いわゆる三幕の長がそれぞれ各実施部隊の長として、ここで実際の日本の防衛はどうあるべきかということを総合的に考えて、つまり調節のとれた行き方の防衛計画をやつて参るのであります。彼此互いに観点を異にして日本の防衛計画の正しいあり方を議して行こうということでありますから、決してこれは互いに摩擦等を生ずるような心配はないと私は考ております。
○辻(政)委員 長官の気持はわかりますが、この法案の内容を見るとはつきりしております。これは明らかに事務がダブり、その間にいろいろの手違いができる。常識的に申しますと、内局は主として軍事に関係ある政治をやるべきであります。すなわち、予算、経理、装備、人事、こういうものを内局がお握りになつて、防衛計画、運用、訓練、補給計画等の純軍事に関しましては、統幕会議の事務機構を完全にしてやらせる、これは当然であります。そして、その両者がその分野において経験と能力を遺憾なく発揮し、その両者を大局に立つて調整されるのが長官であります。防衛局長であつてはならないのであります。さらに上の長官が軍事と政治の大局を直接お握りになる——この法案の欠陥がどこから出たか、これは、自由党、改進党、日本自由党の三党折衝のいわゆる要綱があるのでありますが、この要綱に一つ大きな欠陥がある。これは自由党、改進党の皆さんに聞いていただきたい。なぜ欠点があるかというと、あの要綱には統幕会議の内容はきめておりますが、それとタイアツプすべき防衛局長の事務を検討しなかつた、そこに重大な欠陥があつたのであります。この欠陥をたくみに利用して、法制化するに当つて官僚特有のテクニツクによつて骨抜きにして、政治と軍事の実権を防衛局に集中してやつたものであり、これは少壮官僚の下剋上的機構である、明らかにそう見えるのであります。根本的に改めないと、長官はまた総理大臣と同じようにロボツトに浮き上つてしまつて、防衛局長がすべての実権を握る。この少壮官僚の下剋上的機構が防衛局の中に現われておるということをほんとうに考えなければいけません。
○木村国務大臣 まことに御親切ありがとうございます。今申し上げました通り、内局の防衛局につきましては、われわれは終始関心を寄せて十分な研究をさせ、そして統合幕僚会議において持つて来たいろいろな案とにらみ合せまして、各面からの研究の結果をわれわれは実施に移したい、こう考えております。
○辻(政)委員 現在の人的機構から見ると、山田君は実にりつぱな人であります。それから官房長、次長、みなそろつておりますから問題は起きないのでありますが、人がかわりますと、この機構がものを言つて来るのであります。機構というものは、人を得ない場合においても脱逸しないようにしておくことが法制の根本原則でなければならない。そういう点から言いますと、虚心坦懐にそういう欠陥をお認めになつて、もう一度練り直さるべきである、こういうふうに感ずるのであります。これは明らかに三党協定というものに欠陥があつた。防衛事務局の内容を検討せずして、統幕会議の内容だけをつくつても何もならない。そういう明らかな欠陥があつたのです。それがつつ込まれる。 それからいま一つの点は、八名の参事官というものがあなたの中心幕僚になつておる。これはたいへんおもしろい制度であろうと思う。その中に次長と統幕議長が入つていない。そこに一つの重大な特色があるのであります。官房長と局長と、いわゆる六人のほかに二人だけをほかの者に充てるというこの参事官制度というものは、これがあなたのほんとうの中心幕僚になるのです。その幕僚から統幕議長が除外され、次長はその上にすわつている、これが今日の体制であります。そこで私が申し上げるのは、次長も統幕議長も参事官の中にお入れなさい。そうすると次長は、おれは局長と同格じやないと憤慨するかもしれません。この次長、局長というものは職階できまつた地位でありますが、幕僚というものには階級はないのです。中将の参謀もおれば大尉の参謀もおる。幕僚というものはあなたのスタツフでありますから、首脳部の中心的な者を集めて参事官になさらないとぐあいが悪い。これはほんとうに申しますよ。参事官制度にうまく運営されるならば、また統幕議長と防衛局長をけんかさせずに行こうとするならば、それを調整する方法は、この参事官の中に統幕議長と増原次長をお入れになる、そして軍政の各方面から検討してあなたの最高の統合幕僚となさる、この仕事ができぬのか。これができぬとおつしやるならば、いよいよもつてこの機構は度しがたいものであります。動脈硬化、下剋上です。それは決して言い過ぎじやありません。修正なさる意思があるかどうか。
○木村国務大臣 参事官は長官の補佐役であることは今申したところであります。そこで統幕の議長を参事官にすべきであるということでありますが、統幕の議長は統幕のいわゆる主宰者であります。ここで三軍の調和をはかつて行こうとする大きな役目を持つておるわけであります。それが参事官となつて常に長官の補佐役になるということは、私は少しどうかと考えております。やはり統幕の議長は議長として統幕、いわゆる三軍の調整をはかつて行く大きな任務につかせることがいいのじやないかと考えております。
○辻(政)委員 ただいまの発言はまことに重大な発言であります。三軍の調整をやつておる統幕議長というものが純軍事の面において一軍をしぼつておるのです。これを加えて初めて、いわゆる文民出身の局長さんあたりが軍事に関しての正しい判断をお互いに交換できるのであります。こういうふうにされた根本をもつと解釈すると、統幕議長は将来軍人、専門家が入るかもしれない、これをオミツトするために、これを除外した者だけで参事官をつくろうとする考えは、長官はお持ちにならぬが、あなたの幕僚が起案したこの制度の中にはそこまで考えられるものがある。統幕議長を入れるということは、三軍の意思を、専門的な知識を、いわゆる軍政を担当しておる内局の局長以下にコントロールするといういい作用があるのです。忌避される理由は少しもない。幕僚というものは階級はないのですから心配ないのです。もし統幕議長が三軍を調整するという重大な職務を持つておるから兼ねられぬと言うなら、防衛局長はさらに重大な仕事をやつておる。国家防衛の基本をやる山田君がそれを兼ねられぬというりくつも成り立つ。そうじやない。あなたの最高首脳部、最高幕僚というものを一つに集めるということが参事官制度の妙味であります。お考えになれませんか。
○木村国務大臣 内局の参事官は終始内局に勤務して、時々長官を補佐するものであります。統合幕僚会議の議長は今申し上げました通り三軍の調整をとつ行つて、そこで計画を立てる大きな役目を持つております。むろん統合幕僚会議の議長は、長官を補佐するのは当然であります。補佐すべき任務と性格を多少異にしておると私は考えております。
○辻(政)委員 あなたの幕僚たる資格において、統幕議長も防衛局長同じなのです、一方は政治の方をやり、一方は軍事の方をやるのですから。そこでこの人たちを一緒にまとめて参事官とするところに、文権と武権がけんかをしないという妙味が発揮されるのだ。そこがおわかりになりませんですか。
○木村国務大臣 私が今仰せになりましたようにこれらの人を集めて終始いろいろのことを話合うということは、これは当然だと思います。やらなければいかぬと考えております。必ずしも参事官にしなくとも、これはひとしく幕僚であり、補佐役であります。これらのものは互いに相より相助けて長官を補佐することの任務を持つておるのでありますから、その点について実施の方面から申して、さしつかえはないものと私は考えております。
○辻(政)委員 さしつかえがあると思うからこそ質問をしておるのであります。そうでなければこういうことを私は申し上げません。 次に、それでは第四点に質問を移しますが、陸海空自衛隊の対立摩擦を調整することについていかに考えられておるか、この点であります。文権と武権の問題については、あつものに懲りてなますを吹くように必要以上に押えられようとしております。けれども、それよりももつと大事なことはこの陸海空の対立調整なのです、過去のわれわれが敗れた根本原因は陸海空の対立摩擦にあつた。またアメリカにおいても、この三軍対立に悩み抜いたのであります。そうして一九四二年の二月に統合参謀総長会議というものをつくつたのであります。そして大統領に対する軍事最高の助言者とした。次いで一九四七年には、その統合参謀総長会議の事務機構として強力なる統合参謀本部をつくつたのであります。幕僚会議の事務機構が参謀本部なのです。その定員は二百十名という武官のエキスパートを集めております。内部機構を見ますと統合戦略計画班、統合諜報班、統合補給班、こうなつております。その任務は国家安全保障会議——これは日本では国防会議に相当します、及び国防長官に対する軍事上の最高助言者であつて、大統領と国家安全保障会議の統括指示のもとに、国防長官及び国防会議の指示する任務のほかに、第一に統合戦略計画を策定し、そうして国防各軍に対する戦略指揮を補佐する。第二は統合補給計画を策定し、国防各軍に補給の責任を分担させておる。第三は戦略要域における統合司令部の設置について計画する。第四には三軍の統合教育に関する政策を作成する。これがアメリカの、いわゆる日本の統幕会議に相当すべき統合参謀総長会議なのであります。そしてその下には統合参謀本部という厖大なエキスパートの事務機構を持つておるのであります。そこで初めて三軍の調節というものが強力な機権によつて握れる。しかるに日本の統合幕僚会議というものは、アメリカの制度に比べますと外形的には多少似ておりますが、内容的にはまつたく、無力、形式的なものにすぎないのであります。どこが形式的であるかと言うと、第一点は軍事専門事項について総理大臣と国防会議との関連性がない。これは単に長官のスタツフにすぎない。むしろ実質的には内局の防衛局長の下請機構になつております。防衛局長というものが防衛、経理、自衛隊行動の基本計画をつくる、その計画をいただいて来て、それに基いて三軍統合の計画をやるのが統幕議長であります。明らかに防衛局の下請機構である。そして大体の仕事というものはペーパー・プランをつくるだけで、計画立案です。三軍の幕僚を指導監督するという権限が与えられておらない。でありますから有名無実であります。そこで内容を見るとわずかに自衛官が二十名。アメリカは二百十名であります。このような弱体な機構であつたならばまつたく意味がないので、むしろ事務を煩雑にするという害がありますからおやめになつてしかるべきであると私は思う。やるならば、ほんとうにこれが三軍の対立を防げるような強力な機構にしなければならない。もし改正する御意思があるならば——おそらくお聞きにならぬでしようが、あるならば、総理と国防会議に対する最高の軍事助言者たるように改める。第二点は三自衛隊の軍令事項、すなわち訓練と運用という純粋の軍の専門事項については三軍の幕僚長を通じて調整し指導するという権限を与えない限り、陸海空の対立を統幕議長によつて調整なさるというあなたのお気持は、この法案においては何らの力を持たないということを申し上げます。御見解を伺いたい。
○木村国務大臣 申すまでもなく陸上、海上、航空三自衛隊の調節をはかることを主目的にして統合幕僚会議を設けたのであります。昔のような三軍の対立があつては相ならぬ。その趣旨から申しまして、各幕僚長が会議の構成員となり、その上に議長は乗つかりまして統制をとつて行こうというのが趣旨であります。その内容の点について、今後どう運営して行くかということをわれわれは十分考えなければなりません。今非常にいい示唆を与えてくださつたことを私は感謝いたします。それらの方法について、今後運営をどうすべきかということについて十分考慮を払いたい、こう考えております。
○辻(政)委員 次に海上自衛隊と海上保安庁の関係。この海上保安庁と海上自衛隊というものは、平戦両時の行動、任務において共通した点が非常に多いのであります。燈台部とか航路部は別でありますが、ことに警備救難部というものは平時における海上自衛隊とまつたく同じ任務をやるのであります。でありますからきのうの委員会においても、その道の専門家の大久保君がこういうふうに述べられている。すなわち戦時に防衛庁長官が海上保安庁を指揮なさるときには、任務と行動は同一であるから同一の待遇をせよということをはつきり述べておられる。それは裏返しにするというと、この警備救難部と海上自衛隊というものは平時においても一本に統合すべきだ、こういうことになるのであります。これを今度遠慮されて、戦時だけ統制するようにきめておりますが、一番必要な問題は、日本の軍備というものは、戦争がないときは、戦力をもつて平時の役に立つものにしておけということです。この国力の少いものが、戦時のときだけ必要なものでは役に立たないのであります。陸上自衛隊は平時の場合は開発と生産をやれ、海上自衛隊は海上の救護、監視、取締り、保護をやれと、平時においてもむだのないような防衛をつくらぬというと、戦時だけ必要なものは、これは国民から遊離したものであつて不生産的なものであります。そういう面から見るというと、この海上自衛隊の中には絶対的に警備救難部をお入れなさい。むだをやつております。それはあなたにたびたび申し上げた通り。思い切つて将来やられるということについてどうお考えになるか伺いたい。
○木村国務大臣 海上保安庁の任務は、とにかくふだんの海岸の警備をやつているわけであります。海上自衛隊においては、これは日本の防衛の方面の任務をやるわけであります。そこに主目的が違つております。今お説の、自衛隊の方もふだんは警備の任につかせたらどうか、これは当然であります。これはやらなければならぬと思つております。しかし任務、行動は非常に違いまするので、その訓練状態が著しく差があるのであります。これに同一の訓練を施すということはいたしかねると考えております。一本にしてしまえばいいじやないか、同じ訓練をやらせればいいじやないかという御意見もありまするが、これは私は二つにしておく方が経済的にも、また事ある場合においても妥当じやなかろうかと考えております。今の御議論のように、これを一つにまとめるべきだという御議論があつたことは事実であります。しかしわれわれとしましては、この際一本にするよりも二つにわけておく方がいいという結論が出て、かようになつたのであります。
○辻(政)委員 それはきのうの委員会において、大久保委員が専門家の立場から戦時統制する際には、海上保安庁というものは海上自衛隊と任務行動は同一である、こう述べた。速記録があるはずであります。あなたは違うとおつしやるけれども、専門家が言つているのです。そこで私は同じものであるならば平戦両時を通じて一本にしなさい。そうしてふだん海上保安庁は、現在警察的な任務を持つている。航路の問題、燈台の問題、これを持つておりますから、これらのものは運輸省にくつつけてしまう、そうして警備救難部というあの海上保安庁の主体というものは、これは平時における海軍の任務をやつている。李承晩ラインの警備、竹島の警備。これは同じものです。そういう意味において将来ほんとうにお考えにならぬと不経済です。この問題はそうしておきまして次に……
○大久保委員 ちよつと関連して。ただいま私の名前が出ましたから、あえて私も一言さしていただきたいと思う。今私が発言しましたことを辻委員は引用されましたが、大体その通りでありますけれども、幾分徹底してない点がありますから、この際申し上げたいと思います。戦時に関しまして辻委員が御発言になりました点は、まさにその通りであります。ただ私は平時におきます海上保安庁の任務は、私は必ずしも海上自衛隊と同様ではないと考えます。私は海上保安庁の任務は海上における人命の救助と海上における航海の安全をはかれ、そうして日本の周囲の海上の警察権を行使する、こういうところに任務があるのでありまして、この点は自衛隊の任務とは私は違つていると考えております。そこで戦争中は、私は昨日も質問いたしましたように、前線後方の区別はない。木村長官は、海上保安庁は後方に置いておくから幾らか違うのではないか、こういうお話がありましたけれども、私は現在の近代戦において——昔の戦争なら違いますが、近代戦において前線後方の違いはないと私は考えております。そこで、もちろん直接担当している任務は幾分違つた点が出て来るかもしれませんが、私は戦時における国の防衛という任務に海上保安庁が協力する場合においては、近代戦においては前線後方の違いはないと考えております。そこで私は自衛庁長官が海上保安庁をその指揮下に置かれた場合におきましては、私はそこに海上自衛隊と海上保安庁の職員とを何ら区別する必要はないと思う。ただ平時におきましては、私は海上保安庁はその訓練をする建前におきましても、あるいはその本来の持つている職能におきましても、使命におきましても、私は海上自衛隊とはおのずから違う一線があると考えておるのであります。近代戦におきましては、私は海上保安庁が、総合戦力を形、つくる海上自衛隊を補佐する、一つの機関として、これに協力することは当然であろうと考えております。平時の行政機構において海上自衛隊に海上保安庁を統合する方がいいかどうかということにつきましては、私は辻委員と遺憾ながら意見が違いまして、私は反対であります。何となれば、昔の軍隊におきましては、軍人、軍犬、軍馬、軍鳩、軍属、こういう言葉がありました。私は海上保安庁が平生自衛隊に所属しておつて、そうして自衛隊の任務とやや違う仕事をやつて、これが別な扱いにもしなるとしましたら、これはたいへんなことである。海上保安庁は海上の安全を守るべき崇高な任務を持つている。これはそれ自体、海上、において燈台を守り、あるいは海底をはかり、あるいは難破船を救い、あるいは密貿船を取締る、こういう任務を持つております。論語でしたか、君子は和して同せず、小人は回して和せず。同じ機構におつても小人は和せない。性格の相違です。君子は和して同せず。違う場所におつても、いざという場合においては和せる。これが私は近代の総合戦略の根本だろうと思うのです。 私の名前が出まして、私の説と幾分違つておりましたから、私が釈明いたした次第であります。
○辻(政)委員 次いで防衛庁の内部部局について二、三お伺いします。今度新たに教育局をおつくりになりましたが、これは最初保安庁の案になかつたのを、三党折衝の結果総合されたものと解するのでありますが、いかなる規模で何をやろうとされるのか、それをまずお尋ねします。
○木村国務大臣 教育局でやる仕事の範囲、内容につきましては、今検討中であります。しかしわれわれの構想といたしましては、御承知の通り自衛隊に付属機関が相当数あります。これは主として、学校であります。これらの学校の基本方針をどこに置くべきか、またこの実施をどうすべきかというような点、及び実際の活動部隊であります自衛隊員の教育をどうすべきかということについて、十分そこで検討してこれを実施に移したい、これを主たる任務と考えておるのであります。
○辻(政)委員 まだ結論を得ないものを上程された理由はどこにあるのか。
○木村国務大臣 これは上程して御審議を願わなければ、われわれはやりたくてもやり得ないのであります。そこでまず教育局の設置につきまして御審議を願つて、それを確定したあかつきにおいてこの地位がどうあるべきかということについてわれわれは検討いたしたい、こう考えております。
○辻(政)委員 それでは少し内部に入りますが、ほんとうに権威のある教育をそこで企画し、指導なさるならば、三つの自衛隊は専門事項がずいぶん多いのでありますから、それだけでも大きな一つの独立機関になります。敗戦前においては、参謀本部、陸軍省と対立しまして、肩を並べて教育総監部というのがあつたのであります。それくらい厖大な機構がなければできない。現在はとうやつておるかというと、各幕僚監部かほとんどそれに重点を向けておるのであります。そうして内局でやるべき事項は、私の考えで申しますと、政治に関係ある教育行政の大綱だけであると思います。総合訓練の基本方針は統合参謀会議でやらせる。それに基く実施計画と現場の指導というものは、各自衛隊の幕僚部でやるのが当然である。そういうふうにしないで、これをもしそのままおつくりになりますと、その教育が三つにわかれて、なわ張り争いで事務の重複というものが避けられない。事務を簡素にすればその必要がない。簡素にするならば、防衛局長のところでその大綱を握ればいい。従来通りです。もし権威あるものにしようとすれば、きわめて厖大なものがいる。そうなつて来ると、あなたのおつしやつたことが、かえつて結果において相反するものになります。でありますから、これは三党協定で入れられた案でありますが、一体どういうおつもりであるか。もう一ぺん三党の方が十分御研究の上で、面子にこだわらないで御修正なさらぬと改悪になります。その一点。 次に衛生局、衛生局をなぜおつくりにならないか。これは私が申し上げるまでもなく、現在の保安庁の最大の欠陥は、衛生方面の不備にあるのであります。一昨年以来たびたび申し上げました。なつとらぬ。兵隊を預かつておりながら、青年を預かつておりながら、病気になつたときの処置がほとんどだめである。その根本理由はどこにあるかというと、警察予備隊当時に内局に衛生局があつたのであります。それを途中において人事の都合がありまして、廃止をされておる。人事の都合である。そうして衛生課と厚生課を人事局に入れ、衛生資材課を装備局にお入れになつたのであります。これは元のことを知つておる方はよく御存じであります。この最大の欠陥を除く意味において、しかも今度人員が増強されて、衛生関係の要求というものはますます出て参りますから、これは衛生局というものは万難を排しておとりになり、元の制度に復活なさるべきであると思います。こう考えますが、長官の御見解をいただきたい。
○木村国務大臣 衛生の方面の重大なることは私も同感であります。ことに多数の青年を預かるものといたしまして、その方面に万全の力を尽すことは当然であります。しこうしてわれわれといたしましては幸いに今度この法案が御審議を願つて、議会を通過したあかつきにおいては、いわゆる参事官制度が置かれるわけであります。そこで有力なる一人をこの方面の相当参事官といたしまして、とりあえずこの衛生方面につい、十分に検討させたいと考えております。なお従来ありました衛生局を何がゆえに廃止したかということは、かつて、行政整理の結果、内部部局の縮小ということになりまして、衛生局はやめられたわけであります。これは内部において、さような必要がないからと認めてよしたわけではないのであります。われわれも衛生方面につきまして将来十分に力をそそぎたい、こう考えております。
○辻(政)委員 これはまことに重大なる御発言でありますが、参事官がおるから、その一人で衛生関係を担当させよう。こう解釈してよろしゆうございますか。
○木村国務大臣 私は今のところは参事官の一人をして衛生方面を担当させたいと考えております。しかし確定のなんじやありません。
○辻(政)委員 そういたしますと、参事官というものは、人事局長のもとにある衛生課と厚生課、装備局長のもとにある衛生資材課、この二つの局長の直接部下として握つておるものを参事官が横やりを入れるのですか。
○木村国務大臣 横やりを入れるというわけではありません。御承知の通り、参事官というのは長官の直接の補佐役であります。どういう運営をして行くかということについて、十分長官を補佐し、それを実施にまわすことになるわけであります。決して重複したわけでも何でもないと考えます。
○辻(政)委員 せつかく参事官をもつてそれをやろうとするならば、この三つの課を統合して衛生局をおつくりになる、衛生局長をして参事官を兼ねさせれば、まつたく理想的の形じやありませんか。たれが考えてもそうです。こだわらないでお答え願いたい。
○木村国務大臣 その点は将来の問題といたしまして十分検討いたしたいと考えております。
○辻(政)委員 将来じやありません。この改正法案によつて直接修正するものは修正なさい。将来局部修正をする時期は来ない。りくつが合わないじやありませんか。三つの課在ばらばらになさつておいて、それを指導する参事官が何も機関を持たない。直接監督する部下を持つていない。それでどうして衛生方面の補佐ができますか。
○木村国務大臣 今申し上げました通り、参事官は直接長官の補佐役であります。この補佐役の十分な補佐によつて長官が各部局に命令を出して実施に当らしめれば、大体の目的は達し得ると考えております。
○辻(政)委員 これほど申し上げましてもおわかりにならなければしかたがありません。私は何も人間をふやせとか、機構をふやせというのじやない。現在三つの課が二つにわかれておるが、それを一本にさして、局長が参事官を兼ねるから少しも増員にならない。現在の最大欠陥である衛生方面をおやりなさい。どこをまわつて見てもその欠陥がある。ろくな治療はできておりません。そこを本気になつてお考えにならないと、私は十五万、十六万の青年をあなたがほんとうに育つて行かれるのでありますから、その立場から申しましても衛生局というものはおつくりにならないと、人道上の問題が出て参りますぞということを申し上げておきます。 次は情報局について、情報系統はまだはなはだしく乱雑であり、対立しておるのであります。これは統合幕僚会議におきましてはやはり情報の収集をやつておる。防衛局においても同じようにそれに必要な情報の収集整理をやつておるのであります。また一幕、二幕、これについても情報を持つ。そこで国全体から見ると、国内の治安情報というものも、同様に体系が支離滅裂であります。公安調査庁あり、国警あり、自治警あり、内閣には私生児のような内閣調査室というものがある。やつていることはみな同じです。そして末梢においては調べに来るのは、この四つの系統が同じ問題について調べに来る。こういう事態になつております。そこでせめて保安庁だけでも、そういうことがないように、情報局というものをおつくりになつて、国内情報は公安調査庁、国警、自警、内閣調査室というようにばらばら集まつて来るものを、あなたの方で総合なさつて、国内治安に対してのしつかりした権威のあるものになさい。それから直接侵略に関係のある海外情報については、これは統幕がはつきりする。そういうふうになさらぬと、防衛局の情報業務と統幕の情報業務との間に必ずなわ張り争いが起つて来る。その修正をなさる必要はないでしようか。
○木村国務大臣 ただいまのお話の、情報のばらばらなることはよくないというお説でありますが、私もそう考えております。しかし保安庁内部においての情報の収集は、これは公安調査庁、国警、自警その他の方面と連絡をとつて、国内の情報を収集しておるのであります。しこうして各幕僚監部において情報を持つているが、これは幕僚監部輩下においてのいろいろな情報、これをまた別種に集める必要があるわけであります。多少重複する点があるきらいもなきにしもあらずでありますが、建前といたしましては、一つは大きな意味においての国内情報、国際情報、それの収集に当り、他面各幕僚監部においては、隷属部隊、管轄区域内における情報を集めるということになつておる次第であります。
○辻(政)委員 次に自衛隊旗、自衛艦旗についてであります。これは政令で定めるとあつて、提案されておりませんが、まさかはとやわしをシンボルにされるのではないでしよう。日本には国旗がある。伝統があります。これをおつくりになるときには、よほど御注意をいただきたい。傭兵的性格は今日の保安隊員の服装から出ておるのであります。アメリカそのままの服装で、夏になるとおへそが出る。日本は胴が長いから、あの服装では合わない。またあの水害の救難に出ましても、現在のくつじや行動できません。あれはやはり巻脚絆にするか、地下たびにするか、とにかくまず傭兵的性格は服装から直し、隊旗から直して行かなければならない。これは軽々に扱うべき問題じやありません。名は実を現わすのでございますから、そういう点について十分やつていただきたい。昨年のクリスマスにぜいたくなデコレーシヨン・ケーキを白木屋からたくさんお買いになつて、全隊員に配られた、こういうようなぶざまなことはやつてはならない。クリスマスは日本の保安隊の国慶日ではないはずであります。そういう点をまず頭に入れられまして、自衛隊旗、自衛艦旗につい、は十分の御考慮をお願いしたい。 次は階級の問題、階級をまた今度おかえになるようであります。これは当分変更しない方がいいのではないか。三年間に三回も階級がかわるということがあるか。人間の名前であれば、生れた子供は一生そのままであるのに、三年間に三回かわつている。警察士から保安士になり今度は陸士になる。ひどいのは空佐、空将です。これは頭がからつぽだから、おそまつには違いないけれども、あまりに無定見じやありませんか。空佐、空将といつて一体誇りを持つて歩けますか。航空自衛隊の諸君に、お前は空佐だ、頭がからつぽだ、こういう無定見な階級を——おもちやではありません。これは人間の名前をつけるときには、長官は子供の運勢がよくなるように一生懸命頭をひねつておつくりになる。おつくりになつた名前は一生涯かわらない。太郎兵衛であろうが次郎兵衛であろうが、そういうまずい名前をつけないで、りつぱな名前をつけるでしよう。ことに今度正式に憲法を改正して、軍隊としての戸籍をあげるのが目睫の間に迫つておるときに、何を急いでこれに関連して、陸佐、空佐というようなへんてこな名前をつける必要があるか。これは保安隊員自身もきらつております。三回もかわつたから、自分が自分の階級を忘れてしまう。そういうことは形式にとらわれないで、私は憲法を改正して戸籍をあげるまで、現在の階級をそのままお持ちになるべきだと思います。その点どうですか。
○木村国務大臣 まず隊旗の問題でありますが、隊旗の問題はまさにお説の通りであります。十分自衛隊としてはずかしくないように、いわゆる自衛隊のシンボルでありますから、考慮いたしたいと考えております。 次に階級の問題、これもお説の通りであります。私は何をか言わんやであります。どうぞりつぱな名前がありますれば、ひとつ私の方から教えを乞いたい、こう考えております。
○辻(政)委員 りつぱな名前はありませんが、おかえになるのは、憲法を改正して戸籍をあげたときにはつきりなさい。それまでは現状のままで行きなさい。そうやらぬと、これはぐあいが悪い。 その次にもう一つお伺いすることは、この法案全体を通じて、職員と隊員の区別がはつきりいたしておりません。これは事務当局から承ります。
○増原政府委員 職員と隊員の名前の書き方は、少し事務的であり過ぎるかもわかりませんが、防衛庁設置法で用います役所的な面から見ますときの構成員、公務員を職員と呼びまして、自衛隊法でいわゆる行動面から見ました場合は、その職員を隊員と呼ぶというのでありまして、これは同一の実体を防衛庁法においては職員と呼び、自衛隊法においては隊員と呼ぶ、こういうふうなことにいたしたわけであります。
○辻(政)委員 そうしますと、第三節の分限、懲戒、保障、第四節の服務その他の問題に、ことごとく隊員と書いてあつて、職員のことは書いてないのですが、職員についてはこれと同じようなことをどこかにお持ちになりますか。任用、懲罰、あらゆる点に……。
○加藤政府委員 これはただいま次長もお答えいたしました通り、防衛庁設置法の方では一般官庁の例にならつて職員と言つておりますのを、自衛隊法においては行動の面から隊員と言つております。すなわち防衛庁の職員が、自衛隊法の方で隊員として任免、分限等の規定の適用を受ける、こういうことになるのでございます
○辻(政)委員 そうしますと、防衛庁の中におる職員はいわゆる公務員法の適用を受けるのであつて、軍人らしい懲戒とかあるいは服従ということは受けないわけですか。
○加藤政府委員 御承知と思いますが、国家公務員法は一般職の職員に適用があるのでありますが、これは全部特別職の職員でありますから、国家公務員法の適用を受けません。この法律の適用がある、こういうことであります。
○辻(政)委員 それでますますはつきりいたしましたが、それではこの職員に関して、隊員同様の昇任とか、進級とか、あるいは懲戒というような問題については、どこにきめてあるのですか。
○加藤政府委員 この任免、分限等の規定は、すべて防衛庁設置法に言いますところの職員にも適用するのであります。実態的なこれの取扱いにおいては相違がありましようが、規定そのものといたしましては、両方に適用する、こういうふうに解釈しております。
○辻(政)委員 それはどこかにうたつてあるのですか。
○加藤政府委員 両方とも適用があるので、うたつておりません。
○増原政府委員 職員という言葉は、防衛庁設置法七条に、「職員(長官及び政務次官を除く。以下同じ)の定員(二月以内の期間を定めて雇用される者、休職者及び非常勤の者を除く。)は、十六万四千五百三十八人とする。」とありますが、これは全部自衛官と平服と入つております。これを隊法の方で受けまして、第二条第五項で、「この法律において「隊員」とは、防衛庁設置法第七条第一項に規定する職員をいうものとする。」こういうふうに書きわけてありますが、両者内容は同じものであります。
○辻(政)委員 次の問題は、この政令で委任事項になつておることが少し幅が広過ぎやせぬかということです。自衛隊の組織、編成、これは政令できめることになつております。そうすると厖大な予算を食う自衛隊をいかに組織しようが、いかに編成しようが、いかに配置しようが、国会審議のらち外にあるということになりますが、これはどうですか。
○木村国務大臣 これはそういう御議論も出ることはわれわれ予想しておりました。しかし実際の取扱いといたしまして、機動的にものを考えるときには、編成なんかはときどきかわるわけでありますから、法律で縛るよりか政令でやる方が便宜だろう、こういうふうに考えてやつたわけであります。
○辻(政)委員 七百八十八億の国民の税金を使う自衛隊でありますから、その配置とか編成組織というものは、国民に密接な関係を持つものであり、またほんとうにむだがないようにしなければならぬ、日本の実情に合うようにしなければならぬ、そういう意味におきまして、私は大綱だけはやはり国会において審議する余地を残すべきものではないか、こう考えます。
○加藤政府委員 ただいまの辻委員の御質問でございますが、政令で委任しようと申しますのは、この法律におきましては管区隊、地方隊等の名称の点につきまして、政令で規定する場合のあることを認めております。そのほか所在地等はすべて法律で規定するということになつております。おそらく御質問の趣旨は、管区隊を幾つ置く、地方隊を幾つ置くということだろうと思いますが、この管区隊は幾つ置くかということは、法律に出て来るわけであります。別表の方に出て参ります。
○辻(政)委員 次に服従の問題について伺います。自衛隊法案の第五十七条に、「隊員は、その職務の遂行に当つては、上官の職務上の命令に忠実に従わなければならない。」こう書いてあります。国家公務員法の第九十八条には、「職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。」こう書いてあります。そこで直接侵略に対して、身を挺して戦うべき本質を持つた自衛隊の服従規定と、一般官吏の、国家と雇用関係で公共の利益のために勤務する者との間に、服従の義務において同一と長官はお考えになつておるかどうか。
○木村国務大臣 国家公務員も、また特別職であります自衛官も、ひとしく国家の命令に基いて行動をする、本質的には何らかわりがないと私は思う。ただ職務の範囲、性質、これは大いに異なつております。特に自衛官におきましては、国家の防衛の任に当る大きな責務を持つておるのであります。これは上下一体をなしてやらなければならぬと考えております。そこに普通の公務員と本質的に相当の差異があろうと考えております。
○辻(政)委員 一方は戦場において生死を的にして行動するのが本質である。一方の国家公務員は机の上で仕事をやる。その二つのものが——おのれの生命を捨てなければならぬときに、服従観念において同じレベルであつて仕事ができるかということをお伺いしておるのである。それは無理がありますよ。
○木村国務大臣 この服従関係におきましては、私は本質的に差異があるものではないと考えております。公務員においても上官の命令に対しては、法律の規定する範囲内においては絶対に服従しなければならぬと考えております。また自衛官においても、上官の命令についてはひとしく服従しなければならぬのは当然である。しかし今仰せになりましたように、その職務行動の範囲が違う。ここに片方においては大きなる幅がある、深さもある。この点において普通の公務員とは重大な差異があることは認めざるを得ない。そこにおいてか私は自衛官においての上下一体、この精神を養う必要が本質的に出て来るのではないか、こう考えております。
○辻(政)委員 この法案全体を軍隊という前提に立つてやるならば、軍の本質は絶対服従であります。それ以外にありません。どこの国でも皆そうです。そうじやなしに、軍隊でないならば一般公務員並に扱われていい。そこで最初私は本論に入るに先だつてあなたにお伺いしたいのは、これは一体軍隊のおつもりでお立てになつたか、そうでない前提でお立てになつたか。その御返答いかんによつては、この辺に根本的な差がある、こういうことを申し上げたのであります。ことにこういうことがあります。長官の職務上の命令に対し多数共同して反抗した者、正当な権限がなくて上官の職務上の命令に違反して自衛隊の部隊を指揮した者は、第百十九条によつて「三年以下の懲役又は禁こに処する。」とある。この「三年以下の懲役又は禁こ」というようなのは、国家公務員法で経理のやり方を間違えた場合に、俸給の支払いを間違うと三年以下の懲役です。上官の命令を多数が団結して犯したときに同じ刑罰をもつて臨まれるか。ことに集団抗命罪、越権行為、ほしいままに軍隊を動かしたということは越権行為、クーデターであります。これを防ぐために昔は無期、死刑ということもあつたのです。それは軍をかつてに使わせないということのために、また上官の絶対的な命令に集団抗命させない、この二つが最も重かつたのです。それが今度の法案においては「三年以下の懲役又は禁こ」であつて、出納官吏が俸給の上前をはねるとか支給手続を誤つたと同じ罰則を適用されていいかという問題を承りたい。
○木村国務大臣 私はこの罰則の際にも十分審議したのでありますが、必ずしも刑罰の重きをもつて臨むという方式をとらない方がいいだろう、これは結局隊員の精神訓練、その方面において十分な思いをいたす場合においては、十分この軽き刑罰で臨んでも私は秩序を維持し得るのではないか、こう考えております。
○辻(政)委員 最後に結論的な質問に入ります。以上申し上げましたほかにまだまだありますが、おもな修正点の私の感じでございますが、これを通観してみて感ずることは、その根本がどこにあるか。これは憲法を改正せず、軍隊にあらず、戦力に達しない範囲において、このごまかしに基礎を置いているために、服従関係にしても罰則にしても、あるいは事務と幕僚との指揮権の混淆の問題にしても、本質上の過失を犯しておられるのであります。おそらく今度保安隊を自衛隊に切りかえるときに、木村長官は全自衛隊に対して訓辞をなさるだろう。その訓辞に、諸君は軍隊にならないように、戦力にならない範囲において訓練せよ、あまち強くなり過ぎて戦力になると国会の論議のまとになるから注意しろ、こんな訓辞をする道理は絶対にない。直接侵略に対して国を守れということを号令されても、容易にそこまで行かないというのがほんとうなんです。それを手控え手控え、戦力にあらざる範囲においてごまかしのものをつくつておくというところに、法令全体の欠陥が出て来る。保安隊の汚職問題が出て来る。また保安隊の隊員自身がうしろ暗い気持を持つのであります。この点について私は長官に期待する最後の私の気持を申しますと、長官は国家防衛の最高の地位におられるのであります。保安隊員が誇りを持ち、堂々と行動して、ほんとうに正しい、強い自衛隊になれるようにするために、長官の最も重大な責任は何かというと、これは憲法改正を総理に迫つて決意させることである。その憲法改正の決意も表明せずして、保安隊の改革も何もない。私は政府がこの法案を提出するからには、憲法改正の意思をはつきりと表わさない限り、この法案全体に対して賛成することができない、これを申し上げまして、質問を終ります。
○稻村委員長 本日はこの程度にして散会いたします。 午後四時三十一分散会