内閣委員会 第14号
- 発言数
- 154 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1954/03/23
会議録
○稻村委員長 これより開会いたします。 昨日に引続き行政機関職員定員法の一部を改正する法律案を議題とし、本日はまず法務省より説明を求めます。法務省大臣官房人事課長布施健君。
○布施説明員 法務省関係の定員整理について御説明申し上げます。法務省関係の整理人員でございますが、これは現在の総定員四万五千三百七十一人に対しまして、千九百六人になつております。この千九百六人は、年次計画によりまして、二年間にわたつてこれを整理することになつております。内訳は初年度が合計七百四十五人、次年度が千百六十一人ということになつております。これを組織別に御説明申し上げますと、内部部局が整理人員百二名、付属機関が百五十三名、地方支分部局が千百三十人、検察庁四百五十六名、本省の合計が千八百四十一名。外局で公安調査庁、これが六十五名、合せて千九百六人整理することになつております。二十九年度の整理人員のうちこれを職種別に申し上げますと、事務官が四百十名、技官が三名、入国警備官が十二名、雇員が百四十四名、用員が百七十六名、合計七百四十五名ということになつております。昭和三十年度の整理につきましては、まだ職種別の内訳はできておりません。大体の概要を申し上げますと以上であります。御質問があればお答えいたします。
○稻村委員長 以上で法務省の御説明は終了いたしました。 これより質疑に入りますが、質疑は通告順に許したいと思います。あらかじめ御通告願います。飛鳥田一雄君。
○飛鳥田委員 まず最初にこまかいことから伺い始めます。民事局、刑事局、訟務局、こういうような各局に定員減が割当てられておりますが、それは最近に至つての各局の仕事の増減に比例しておりましようか。
○布施説明員 これは大体各部局の事務内容を勘案いたしまして合計千九百六名の整理人員を考えたのでございます。
○飛鳥田委員 人権擁護局のことですが、人権擁護局は最近に至つて非常に取扱います事件の数がふえて来たはずだと私たちは承知しておるのでありますが、ところがこれに対して一名を減ずる、こういうことになつております。人権を擁護するという立場からいえば、この際人権擁護局はむしろ増員をして行くべき筋合いにあるのじやないか、すれからこれは全般的な問題でありますけれども、すべての省に対して天引き減員、こういうような形が非常に強いと思うのですが、そういうことの中でも、特に法務省の立場にあつては人権を擁護すべき必要があると思うので、この際むしる増員をすべきではないかと考えておりますが、こういう問題についての御意見を……。
○布施説明員 御指摘のように、人権擁護の関係につきましては、これは十分に考えなければならない点であると思うのでありますが、一名を整理いたしましたのは、これは十四名のうち一名でございます。この程度ならば執務強化によつて、そしてまた事務を合理化することによつてたとえば人権擁護思想の啓蒙宣伝等につきまして、都道府県、市町村の広報機関、こういうものにお願いして一層人権擁護に協力していただく、こういうことを考えることによつて、一名程度ならば整理可能と考えた次第でございます。
○飛鳥田委員 人権擁護の実際の宣伝啓蒙その他の取扱いなどを見ておりますと、各地方々々で形だけやつておられる。たとえば五月三日の憲法記念日その他のような場合には形だけやつておられるだけであつて、実質的には人権擁護の実をあげていないように私たちは考えるのでありますが、むしろそういうおざなりなものでなしに、この際もつと拡充をして徹底的な人権擁護をして行かなければならない時期に遭遇して来ておる。秘密保護立法その他の、いろいろな人間の自由を制限いたします法律が次第に現われて来ております時期だけに、この際むしろこの問題を形式ではなしにもつと実質的に行うべきものだと私たち考えますが、一体法務省は全国でやつておられる人権擁護の事業が十分に行われているとお考えかどうか。私たちは単にそれが形だけ行われているとしか思えないのですが。
○布施説明員 御指摘のように、これは決して満足するほど十分に行われておるというわけに行かないのでございまして、その点は今後いろいろなくふうをこらしまして、実質的な啓蒙宣伝が行えますように努力いたしたいと考えておる次第でございます。
○飛鳥田委員 お話を承つておりますと、一応はそのように考えられるのですが、しかし人権擁護局の出発当初から今に至りますまでの経過を考えて参りますと、現実はお話を裏切つている、こういうふうに考えざるを得ないと思うのです。最初終戦以後人権を擁護すべきことを強調してこの仕事が出発したときから考えて参りますと、仕事の量がどんどんふえて行つているにかかわらず、この局はだんだん実質的な機能を低下しつつある。しまいには局を改めて部にする、こういうようなお話すら出て来ておるのでありまして、私たちの手元にも日本弁護士協会、日本弁護士連合会、あるいは人権擁護局の関係者、こういう人々から人権擁護局の縮小に反対をするというような決議、声明書、そういうものがしばしば参つております。こういう事実を見ましても、人権擁護という問題について法務省のとつておりまする態度がはつきりいたして来ております。仕事を実質的に拡充をし、努力いたしますというお話をこの事実は裏切つている、こう考えざるを導ないのでありまして、ほんとうに法務省の方で人権擁議の仕事に熱意を持つておやりになるのだとするならば、この際むしろ人権擁護局の人員をふやして、国民全体に対してこのように努力をしているのだということをお見せになることが、今までの経過に照して至当だとこう思われるのでありますが、この点についてくどいようでありますが、人権擁護局を縮小するような懸念もありますので、明確にしておいていただきたいと思います。
○三浦(寅)政府委員 ただいまの質問の御趣旨の点は非常にごもつともな点が多いと思うのでありますが、要は全般の方針から見まして、同時に人権擁護局の現在の機構の問題についても将来十分に考えなければならぬ問題だと思うのでありますが、とりあえず政府の方針に基いて人権擁護の問題を十分に徹底するように努力するつもりでありますから、御了解願いたいと思います。
○飛鳥田委員 その仕事の重要性は認めるけれども、政府の方針に従つて取扱うというお話は今後もつとお考えをいただきたいと思います。いかに一人一人が努力をいたしましても、人数の少いところでは多くの仕事はできないのであります。政府自身が一定のわくをはめておるから、このわくに従つて、必要なものであることは重々承知しながらも、心ならずもやるのだ、こういうような内心的な意図がお答えの中に現われておると思いますが、どうぞ必要なものはどんどん積極的にふやして行くという気構えを持つていただきたいと思います。その点についてもう繰返してみてもしかたがありません。 続いて矯正局、保護局、こういうものの減員について数は非常に少うございますが、矯正局で四名、保護局で一名、具体的にどういうポストにあられる方を整理するのでありましようか。
○布施説明員 先ほど御説明申し上げましたように、三十年度の整理につきましてはどのポストということについてまだ考えません。二十九年度につきましては矯生局は事務官一名、それから雇員三名、計四名であります。それから保護局につきましては、雇員で一名ということになつております。
○飛鳥田委員 そういたしますと、この説明書によると、保護局の総務課一名(雇員一)というこの括弧内は総務課一名の説明なんですね。ここで私たちが現実の事態を考えて参りますと、矯正局、保護局などについてもむしろ増員の必要があるじやないか。事務量の関係から見て、そういうような考え方を私たちが持つておりますことは誤りでしようか。
○布施説明員 保護局につきましては、成人の執行猶予者の保護観察といつたような面もございまして、人を減らすということはなかなか困難な点もございますが、雇員一名でございますので、これは執務強化によつて何とかやつて行けると考えております。矯正局につきましては、収容者も多少減つて行き、おちついて来た傾向にございますし、中間の監督機関といたしまして矯正管区というのがありますが、この管区にできるだけ事務を委譲することによつてまかなつて行けると考えている次第であります。
○飛鳥田委員 今執行猶予の者についての保護観察をせられるというお話が出て参りましたが、先般の刑法の改正によつて、執行猶予に付し得る範囲はより以上に広がつたと思うのです。そこで一方においてそのように執行猶予をし得る数が広がり、その執行猶予の恩典を受ける量がふえておるにもかかわらず、この局の人員を減らして行くということは、いかにも現実にさからつている感じがいたしますが、これはやはり天引き減員であつて、やむを得ない、こういうお考えなんでしようか。
○布施説明員 御指摘の点はごもつともと存ずるのでありますが、天引きと申しますか、ともかくも一名程度ならば、これはみんなが協力することによつて、執務を強化することによつて、さらにはまた事務を簡素化して行くということによつて十分まかなつて行けるという考えでおるのであります。
○飛鳥田委員 一名を減らすことが事務量の上で可能かどうかという問題ではなしに、そういう保護対象者が非常にふえて行く、観察対象者が非常にふえて行く、しかもこの執行猶予の恩典をいただいた者をよく指導して行くということは、むしろ法務省にとつては非常に重要な仕事の一つだとも考えているわけです。従つてこの際減員などということでなしに、十分とは行かないまでも、やや満足し得る程度の仕事をやつて行かれるためには、減員どころか、少くとも数倍に人をふやさなければならない実情にあるのではないか、こういうふうに、私たちは民間におりまして感ずるのですが、そういうような実情はないのでしようか。
○布施説明員 御指摘の通り、この仕事はきわめて大事な仕事であると考えております。ただただいまの状況から申し上げますと、まだ成人の執行猶予者に対する保護観察ということは始またばかりでありまして、今の程度ならば何とかやつて行けるという考えでおります。
○飛鳥田委員 あまりいいことではないと思うのですが、たとえば二十歳台の若い人で、一度執行猶予の恩典をいただいて、また再犯を犯すというような人の数はふえていると思うのですが、何かお手元に資料がありましたら、お聞かせいただきたいと思います。
○布施説明員 ただいまその資料を持ち合せておりませんので、恐縮でございますが、後刻書面ででも差上げてよろしゆうございましようか。あるいは所管の局長から御説明申し上げてもいいと思います。
○飛鳥田委員 こまかい数字がなければ、あとでけつこうです。ただ私のお考えをいただきたいと思いますことは、そういう傾向が非常に強くなつて行つているにもかかわらず、この局を今のまま、あるいは今よりも以下に減らして行くということは、いかにも現実に背馳しているという感じがするのであります。失礼ですが、法務省のようなところは非常にじみな仕事をやつていらつしやるので、いろいろなしわ寄せがやつて来る可能性が多いと思いますが、この際こういう問題に対しては現実の必要性を強調していただいて、こういうような保護局などの減員については、むしろ増員という形で出ていただきたい、こういう印象を私たちは持つております。これは私たちだけの印象ではなしに、国民全体の意思じやないかと考えておりますが、こういう考え方を国民が持つているということを法務省の方々にも強くのみ込んでおいていただきたいと考えるのであります。こういう点について、政務次官からでも御意見をお聞かせいただければけつこうです。
○三浦(寅)政府委員 御質問の趣旨はその通りでありまして、今度の執行猶予者に対する保護観察の問題等から見ましても非常に重要のみならず、保護局の陣容等も整えて、そしてこの保護観察制度の完全なことを期さなければならないことは当然であります。そういう意味におきまして、実は今度の予算等におきましても、保護観察の方におきましては相当認めてもらつているのでありまして、ただいまの御趣旨に沿うように今後十分に努力しなければなりませんし、また努力する決意は持つているのでありまして、おそらく御期待に沿うようにできると思います。
○飛鳥田委員 あまりくだくだ申し上げるのも恐縮ですが、二十九年度はもうすでに御決定のようですが、三十年度の減員について御決定になります場合に、現実に働いている下の方にしわ寄せをせられて、下の方の人たちが労働強化になりませんように、この点について政務次官からお答えをいただきたいと思います。
○三浦(寅)政府委員 お説の通りで、決して下の方に御迷惑をかけることのないように保護局におきましても十分に努力しておりますし、また努力いたすことは間違いないと思います。
○飛鳥田委員 終ります。
○稻村委員長 平井義一君。
○平井委員 検察庁で四百五十六名の減員になるようですが、これは主として事務官であろうと思うのでありますが、検事が何人減るか、その点をお聞きしたいのです。大体を申し上げますれば、検事が少くなる、法務省の役人が少くなるということはいいことです。しかしそれに逆行して犯罪が非常にふえている、犯罪がふえているにもかかわらず検察庁が人を減らさなければならないということは、検察庁の皆さんの仕事が非常に多くなつている、労働強化になると考えるのでありますが、今日の検察庁はちよつと手を広げ過ぎていやせぬか、すなわち、警察にやらしてもいいことを検事が手を広げてやつてしまうというようなことで、仕事も非常にふえておるであろうと黒うのでありますが、その点、検事をどのくらい整理し、あるいは事務官をどのくらい整理をするか。また犯罪人が多いのにもかかわらず整理をしなければならぬという理由をお示し願いたい。
○布施説明員 検察庁につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、初年度百八十一名整理いたすことになつております。この百八十一名につきましては、検察官は整理の対象外といたしております。現実に整理いたしますのは、検察庁につきましては、二十九年度は事務官が十名、雇員が八十三名、給仕が八十八名計百八十一名であります。 事件がふえておるのに減らすのはどうかという点でございますが、御指摘のように、事件は年々増加いたしております。しかし検討してみますと、いわゆる地検で扱います事件は主として刑法犯でございます。この刑法犯につきましては、多少減少の傾向が見受けられるのであります。それでは全体として何がふえているのかと申し上げますと、特別法犯が非常にふえております。特別法犯の主たる部分を占めますのは、道路交通取締法違反、いわゆる交通関係の違反でございます。この交通関係の違反は著しく増加いたして来ておるのでございますが、これにつきましては、この国会に提出して御審議を願つております交通事件即決裁判手続法案が通過するといたしますならば、これによつて刑事手続をきわめて簡単にやれるという点がございますので、さような意味から、多少減つてもまかなつて行けるという考え方でございます。 警察にまかせればいいものを検察庁でやつておる点が多いのではないかというお話でございますが、これは事件によりまして警察で取調べた上で検察庁に送致して参ります。送致を受けますと、これは検察庁の事件になりますので、事後は検察庁で検察庁の責任において捜査をするという形になるわけであります。さような場合にその事件が思わぬ発展をするという場合もございまして、警察を使えばよいという場合に使わないで検察がそれを自分でとつてやつておるという点は、必ずしもそうはないのでございます。御了承願います。
○平井委員 今のその問題ですが、いろいろな事件で、東京なら警視庁が一応調べて、それから検察庁に連絡する、その後は検察庁が調べる、これはよくわかりますが、私は警察を使つた方が捜査が非常に早くて犯罪がはつきりするというような場合に、直接検察庁がやる。そこで検察庁も努力はしましようけれども、手足を持たないので非常に捜査が遅れて来るというような場合が最近あるのじやないかと思うのであります。一応警察を経由して来るということはわかりますが、今日は直接検察庁が手を出すので、警視庁に調べさせれば非常に早わかりがするというのを飛び越してやるような気がするのでありますが、それは検察庁がひまだからそうするのかもしれません。しかし忙しければ、警視庁があり、国家警察があり、自治警察があるから、これを十分活用して、警察で一ぺん調べて、それが検察庁に伝達され、それに基いて調べれば、非常に事務の点も簡素化されるのじやないか。この点警察から経由をして来るとさつきおつしやつたのでありますが、私どもは機構改革までは考えておらぬのであります。この点検察庁がもう少し警察を使つて犯罪をすみやかに解決するというようなことにしたらどうかと思いますが、ひとつ人事課長からお聞きをいたしたいと思います。
○布施説明員 検察庁が直接捜査に着手いたします事件は、主として告訴事件でございます。警察に告訴する場合もございますし、検察庁に告訴する場合もございます。ただ、検察庁へ直接告訴しようといたします場合には、ただいまお話のように、できるだけ警察の方へ持つて行つて、警察で調べてもらつてはどうかということもお勧めする場合がございます。しかし、検察庁でぜひ直接やつてもらいたいというふうな事件もございまして、これらにつきましては、検察庁が調べるという形になつておるのでございますが、できるだけ警察と協力して、その間にむだのないように努めて行つておる次第でございますし、また今後もそういうふうにいたす次第でございます。
○稻村委員長 辻政信君。
○辻(政)委員 こういう相当厖大な資料をただいまいただいて、そうして次官から五分くらいの説明を聞いて、それに基いて適正な質問をせよということは無理であります。こういう資料はもう少し前もつてわれわれに研究する余裕を与えておかないと、ほんとうの質問にならない。けれども、その一部だけについて気のついたことを承りたい。最初にその前提として、この表にある内部部局の九百三十名の定員の中で、事務官以上、雇員、給仕、この三つに区分をして、九百三十名の内訳を承りたい。
○布施説明員 本省の内部部局について御説明申し上げますと、事務官が四百五十七名、技官が百六名、雇員が二百六十五名、用人、これは給仕も入つておりますが、百二名。以上であります。
○辻(政)委員 それで非常にはつきりいたしましたが、昭和二十九年度の整理人員を見ますと、内局だけですが、事務官において七名、雇員において十九名、給仕が十一名になつておるのです。一方、編成定員の四百五十七名が事務官であり、その半分の二百六十五名が雇員であり、給仕はさらに半分の百二名になつておる。そうすると、あなたの方の内局においては、比率としては、上の方の俸給をよけいとる人の方が多い。それに反し整理される人間は逆になつておりまして、事務官がわずかに七名です。雇員が二百六十五名のうち十九名が首になる。給仕は百二名のうち十一名が首になる。一割強です。そうすると、給仕は今までやつておつた人の仕事をやるので、俸給は上らないのでそれだけ負担過重になる。雇員も同様です。事務官は四百五十七名という定員の半数近い比率を占めておりながら、整理人員がわずかに七名ということです。そこを私はきのうもついたわけなんです。この整理をまずくやると、俸給の少い、ほんとうに働いておる人たちにしわ寄せが来るぞ。その数字がはつきり出ておるじやありませんか。政務次官これをどう思われますか。
○三浦(寅)政府委員 御質問の趣旨は非常に傾聴すべき御意見でありますが、実際の仕事の面においては、実は法務省の仕事はいろいろ法律上のむずかしい仕事なのでありまして、やはり事務官というような立場において仕事をしなければなりませんし、また同時にそういう人でないと実際の仕事のできない関係上、それを減らすということは容易でないのでありまして、そういうような趣旨と同時に、それから給仕から雇員、雇員から事務官というふうにだんだん行くわけでありまして、実際の法務省の仕事の内容からみて、やむを得ずこういうような整理のぐあいになりましたことを御了解願いたいのであります。
○辻(政)委員 御了解願いたいとおつしやるけれども、御了解できない。これは塚田長官の昨日のお話では、そういうことにならないように、事務官以上、雇員級、給仕クラスというものに整理の負担が平等に行くように指示をすると言つておりますから、岡部部長から、どういう指示をされたか、この問題について御答弁を願います。
○岡部政府委員 お答え申し上げます。実はこの整理の方針といたしましては、ことに本省というものは、企画、調整事務が主であります。この点に重点を置かなければならぬわけでありますので、われわれといたしましても、その本省の仕事の主体をなしますところの事務官、技官におきまして、整理率が、事情の許す限りできるだけ低くなるのが当然でありまして、その省全体といたしましては、その省本来の仕事でないところのサービス事務を行います給仕、小使、守衛、それからお茶くみばかりやつておるような女の子がいるならば、その女の子というところにどうしても整理の率が比較的重くかかつて行く、そうしてできるならば、事務官という、ほんとうにその省の実際の仕事をするものの整理率が低まるというのが正しい姿であろうと思うのであります。どちらかと申しますれば、これは率直に申し上げまして、各省におきまして、そのほんとうの仕事をするよりは、まわりの仕事をする、お茶くみをする、新聞配達をするという用人、雇員の方が、幾らかでも減らす余地があるのではなかろうかと考えます。ことにこれは辻先生御承知だろうと思うのでありますが、現在の事務官というのは、昔の事務官と違いまして、職級で申しますれば四級職以上、今の新制高等学校を卒業して、二、三年で事務官になりますので、事務官と申しますならば、一番低い実務を扱う者、これが事務官になりますから、この事務官、技官に重点を置かれる、そうしてことに法務省のように専門的な行政事務を扱つておられるところにおいて、事務官にできるだけ負担をかけないようにという措置は、本省の構成としては当然でなかろうかと私は思うのであります。また先日来辻委員から御質問がございました職員の配置についての適正ということは、本省において百人、あるいは検察庁において百五十人、あるいは刑務所において三百人というようにそれぞれ区わけをいたしまして、主として刑務所であるとか、地方法務局だけに整理がかかる、本省にはかからないようにするというようなことのないようにするというのが趣旨でございまして、たとえば保護局におきまして、保護局の課長は何名減らせ、あるいはここの給仕、小使は何名以上減らしてはいかぬというようなところまではいかないのでありまして、保護局の中の事情に応じまして、そこで雇員を一名減らすか、事務官を一名減らすかということは、これは法務省の仕事のぐあいによりましておまかせしている次第でございます。
○辻(政)委員 私は三年前追放違反の告発を法務省から受けまして、約一箇月間東京地検で取調べを受けたのであります。そうして被告席にすわつて事務官、雇員、給仕の働きを一箇月見ておりました。どこに一番の過重があるかと言うと、この雇員クラス、事務官の低いところ、給仕は、みな昼働きながら夜学に行つている連中である。それが私一人が調査されますと、夜おそくまでかかつて、夜学に行くことができない。非常に下の方にそういう労力の比重が加わつているように私は自分で体験をしている。それをこの表で見ると、先ほど岡部部長がおつしやいましたけれども、本省で何名、現場で何名というような基準でなしに、長官のこの前の答弁では、そういうことがないように、高級者、中級者、下級者に均整のとれた整理をするような基準を示すというような御答弁が速記録にある。それを一体どう指示されているのか。各省に整理人員は百名といつてまかせきつてしまいますと、首を切る仕事をしている判を押す課長以上の、起案をする者は、自分のポストが減ることには徹底的に反対する。その結果、数だけ出すために、わずか月給五千円の給仕とか七千円の雇員級を首切つてしまつて、一万円以上のものがそのしわ寄せを受けておらないという結果は、これを断行されますと、どこに重圧がかかるかと言うと、薄給をもらつて夜学に行つている人の肩の上にこの整理の重圧が加えられると思う。それをどう処置するかということを聞いておる。大臣にかわつて政務次官からはつきり承りたい。
○三浦(寅)政府委員 ただいまの御質問については、実は先ほど管理部長の答弁の通りでありまして、あらためて私から申し上げる点もないと思います。管理部長の答弁をそのまま私の申し上げることに御了解願つていいと思います。
○辻(政)委員 それじや大臣が出て来るまでこの答弁を保留して質問を終ります、
○稻村委員長 永田良吉君。
○永田(良)委員 私はこの検察庁の人員整理の状態を見てみますと、今年は大分数もふやしておられるように見受ける。われわれが当今の時局の様相から見て、何ゆえにこういう矛盾したことをなさるのか。今議会も何もかも汚職汚職で大騒ぎしているこの際に、話を聞くと、検察庁の検事の方なんか、もう何日も調査にぶつ通しで目が赤くなつて、少し頭が変になつていらつしやる方もおられるように聞いたのです。たいへん気の毒な至りです。こういう際に、あなた方の予算の組み方なんかというものは逆にやつていらつしやる。またさきに辻さんからお話がございました通り、皆さん中央の人は相当考えておられるかもしれぬが、日本の地方の分部局、この点に少し注意を払つていただきたいと思う。これは具体的に一例を申し上げますならば、私の鹿児島県のごときは、今年大島が復帰し、二十二万の人口が新しくふえた。従つてまず皆さんの法務に関係のある方面から言えば、監獄方面でも、あるいは地方の拘置所の問題、また裁判の問題にしても、いろいろな民事、刑事事件——二十二、三万という人がふえた以上は、あそこの地方的な事情については、むしろ人員の整理どころじやない、増員をされなければならぬ、これについて私は具体的の答弁を求める。あの事情について鹿児島その他南九州における、たとえて言うてみればこれは地方検察にも関係があると思う。それであの大島の復帰に基いて現地並びに鹿児島県、九州地方における整理の関係はいかがになつておりますか、数学的に説明を願います。
○岡部政府委員 私からお答え申し上げますが、奄美群島の復帰に伴いまして同島における行政事務がわが政府に返還されたわけでありますが、それを処理する職員につきましては、先般、昨年の暮れでございますか、奄美群島暫定措置令という政令で当時引継ぎました職員を原則として各省ともそのまま認めてその事務に当らしめるということにいたしております。これは各省を通じてあそこに国家公務員が千一名おるわけでございます。そのうち今関係あります法務省について申し上げますと、法務省の職員は百十七名おります。うち検察庁の職員は百十名でございます。それで今度の行政整理にあたりましては、今各委員からお示しの通り非常につらいところ各省非常に熱心に御協力してこれだけ減らしてくださるわけでありますが、奄美群島におきましても、しからば内地に準じた整理を行うべきかどうかということが問題になつたのでありますが、これは実はやはり整理を行うべきであるという根本方針はあるのでありますが、しかし復帰早々間もないことでありますし、現地の事情もわれわれといたしましては把握することが困難な点もございますので、これらの職員はこのたびそのまま認めまして、奄美群島に関する限り一名も減員いたしておらないのでございます。奄美群島は奄美群島だけで従来の事務を処理して行くということを御了承願いたいと思います。
○永田(良)委員 御丁寧な説明でよくわかりました。たいへん同情ある説明をしていただいて感謝いたします。ところで私の質問がおわかりならなかつたかと思いますが、全国的に法務省に関係ある登記所の廃止になつたのは幾らありますか、今度整理された場合に人員の整理ばかりじやない、今何と言いますかよく知りませんが、昔でいうと登記所というものですが、それの廃止になつたのは何箇所ありますか。
○布施説明員 登記所で最近廃止したものはございません。数を申し上げますと、支局が全国で二百三十六、出張所が千七百九十一箇所、こういう数字になつております。
○永田(良)委員 私さつきの質問で名前をうつかりしておりましたが、今私の申し上げますのは、この支所とか出張所の意味なんです。これのうちで全国にどのくらい廃止になりましたか。これは廃止になつたのはあるでしよう。
○布施説明員 廃止したものはございません。(「明年度予算でもありませんか。」と呼ぶ者あり)明年度予算でもございませんです。これはできるだけ廃止しない方向でやつておるわけであります。
○永田(良)委員 私はそれじや具体的に申し上げますが、大隅の肝属郡、あそこに百引と呼ぶところがある。あそこに今何か法務省関係の出張所があつたのが廃止せられるからというので大分騒いでおつた。それがもし整理されずに済めばいいけれども、ああいう大隅のいなかの遠いところが廃止になると、たいへん地方民が迷惑する、そういう事実はございませんか、なければけつこうです。
○布施説明員 さような問題があつたことは事実のようであります。しかし結局廃止はいたしておらないのであります。
○永田(良)委員 ありがとうございました。それじや質問いたしません。
○稻村委員長 山崎巖君。
○山崎(巖)委員 簡単に二点ほどお尋ねしたいと思います。御配付になりました資料を通覧いたしますと、法務省の機構がまことに簡素であることは私ども認めるものでございます。これは仕事の性質上当然なことであると思うのでありますが、この局のうちで人権擁護局というのがありまして、その定員がわずかに十四名ということに相なつております。おそらく各省を通じましてこれは一番小さい局ではなかろうかと思いますが、この人権擁護局はただ看板を掲げて、人権尊重という趣旨を一般に徹底せしめるというだけの意味でありますか。現にどういう仕事をやつておられまするか、その点を伺いたいと思います。
○戸田政府委員 お答えいたします。人権擁護局は従来どういう仕事をしておつたかというお尋ねでございます。人権擁護局の最も大きな仕事としましては、人権思想の普及高揚——御承知のように日本におきまして、人権思想というものは非常に立ち遅れておりますので、一般国民に人権思想というものを普及高揚させるということが、人権擁護局のまず大きな一つの仕事であります。その次が日常生じて参りまする人権侵犯事件、これの調査処理、これが次に最も大きな仕事であります。その他人権擁護委員という制度がございまして、全国の各市町村に人権擁護委員を委嘱いたしておりますが、この人権擁護委員の運営ということが、次に大きな仕事であります。大体この三つの仕事が人権擁護局のおもなる仕事と申し上げられると思います。
○山崎(巖)委員 お仕事の内容はただいまの御説明で大体わかつたのでありますが、具体的に人権擁護に関する事件は、最近どういうふうにお取扱いになつておりますか、件数等について御説明願いたいと思います。
○戸田政府委員 人権擁護局が当時の法務庁に設置されましたのは、昭和二十三年であります。当時は法務庁に新しく設けられました局でありますために、人権擁護局というようなものがあるということを、一般国民は存じておらなかつたろうと思います。従つて人権擁護局に侵犯事件を訴え出ます者が非常に少うございまして、二十三年度におきましては、全国でわずか四十八件でございます。その後人権擁護という問題また人権が侵害された場合は人権擁護局あるいは地方の法務局に救済する機関があるということがだんだんわかつて参りまして、昭和二十四年度におきましては一躍増加しまして、五千七十六件という数に増加しております。それから翌年の昭和二十五年度におきましては五千六百九十二件、二十六年度におきましては、これがまた非常に増大しまして一万五千六百八十九件、昭和二十七年度におきましては二万七百五十七件、昨年の昭和二十八年度におきましては、さらに増加いたしまして、二万九千百四十四件という数字に漸次増加いたしておる状態でございます。
○山崎(巖)委員 ただいまの御説明によりますと、事件は相当多数に上つておるようであります。ことに年々人権擁護に関します事件が増加いたしておりますことは、ただいまの説明で明瞭であります。しかるに人権擁護局の本省の機構がきわめて貧弱であり、この大きな問題を取扱うのに地方の機構はどういう機構でやつておりますか、その点を伺いたい。
○戸田政府委員 人権擁護局の機構につきまして簡単に御説明申し上げます。人権擁護局のいわゆる本省でありますが、これが法務省の一局といたしまして一課、二課、三課を置き、一課は先ほど申し上げました人権擁護委員の委嘱解職等の運営に関する部面、それから一般の庶務的な仕事、二課は先ほど申し上げまし人権侵犯事件の調査、処理、三課は主として啓蒙活動をいたしております。そうしてその一課、二課、三課の職員は全部で局長を含めまして、十四名、地方におきまする下部機構としまして、八高裁、いわゆる高等裁判所の所在地全国の八箇所、東京、大阪、名古屋、広島、福岡、仙台、札幌、高松に法務局がございまして、その法務局に人権擁護部というものを設けております。さらにこの八箇所以外の四十一箇所の各県に地方法務局というものがございまして、その地方法務局に人権擁護課を設置いたしております。この法務局、地方法務局の全職員が現在のところ百六十三名かと思います。大体一局当り三人余という程度の職員でこれらの仕事をいたしておる次第でございます。
○山崎(巖)委員 もう一点伺いたいと思いますが、それは入国管理局の問題であります。ことに入国管理局の地方の機構の問題でありますが、これが各府県にどういうふうに配置になつておりましようか、大体でけつこうでありますが、伺いたい。
○布施説明員 入国管理事務の関係でありますが、これは管理事務所が十二箇所、その港出張所が三十八箇所、それから入国者収容所が二箇所ございます。配置場所等については省略させていただきます。
○山崎(巖)委員 入国管理局の事務につきまして警察と分離してこれを行うことは、外交その他の関係上私は当然だろうと思います。ところが実際の問題を見ますと、入国管理事務と警察事務の間に非常に円滑を欠いておる地方が少くないと私は思うのであります。私の出身地のたとえば福岡県の洞海湾の例をとつてみましても、あの出張所ではわずか数人の人員を配置されておるにすぎぬようであります。従いまして船が入つて参りますと、出張所の係員が二人くらい船に行つて調べるというのが実情のようであります。従いまして密入国者の問題のごときも決して徹底的に行われていないのが実情でないかと思います。そういたしますと、結局密入国者の取締りは、入国後は警察の問題になつて来る、こういうことになるわけでありまして、警察と入国管理事務所との関係をもう少し円滑にする方法を今後どうしてもとる必要があるように私は思うのですが、その点について法務省としてどういうお考えをお持ちになつておりますか。
○宮下説明員 密入国者の取締り、検挙につきまして、入管の出先機関がもう少し警察その他の治安機関と協力すべきではないかという御質問でございますが、私どもも御質問の御趣旨の通りと考えております。現在入管の全職員を合せまして総員千二百五十人ほどでございまして、これが全国の十二の管理事務所及び三十八の港出張所に分散されておりますが、何と申しましても非常に手不足でございます。それで入管の仕事の大半は、港を通じまして、正規に日本に入国をいたしましたり、あるいは港から正規に出国をして参ります人たちの審査及び在留資格の決定等の仕事がございまして、それとあわせて密入国の検挙、取締りをいたしておるわけでございますが、私どもの方針といたしましても、波打ちぎわ、海岸線においてはできるだけ海上保安庁において主力を注いでいただきたい、国内に潜在してしまいました密入国者の検挙につきましては、警察その他が主力となりまして、その摘発、検挙に力をいたしていただきたい。もちろんわれわれ入管職員も相ともに現行犯的な密入国者の検挙及び潜在しております不法入国者の検挙ということに努力をいたしておりますが、法務省の方針といたしましては、出先に対しまして、常に関係治安機関と密接な連絡、協力をいたしましてこれらのものを摘発するように日ごろ適切に指導をいたしておる次第でございます。
○山崎(巖)委員 ただいまの御説明でございますが、現実は先ほども申し上げましたように、警察との関係が非常に密接を欠いておるのが実情ではないかと思うのであります。一度密入国者が入つてしまいますと、むろん警察の対象になるのでありますが、その事前に入国管理局がこれを防止するのがその任務であります。その任務を果さずして、あとは警察にまかせるというような現状は、私はまことに遺憾に存ずるのであります。事前におきましても警察といろいろ連絡の方法も考え方によつてはあるのではないか、そういう点についてのごくふうが非常に欠けておるように私は思うのでありまするが、今後この問題は相当国内の治安にも関係する問題でありまするし、入国管理局としてはもう少ししつかりやつていただきたいということを強く要望いたしたいと思います。
○永田(良)委員 今の山崎君の御質問に対して私は関連してお尋ねしたい。密輸入の問題ですが、けさの新聞に見えております通りこれは船ばかりじやない。いわゆる航空機からも密輸入される。けさなんかはあんなふうに一千幾らも時計の密輸入をやつている。一体羽田空港には相当いかさまがあることはかねて新聞によつても承つている。船も大事だけれども、欧州航空路とかアメリカ航空路、いろいろな外国航空路から入る密輸入の取締りに対しての模様をひとつ説明していただきたい。
○宮下説明員 現在空港として法務省令で指定されております空港が羽田、岩国二箇所にございます。先ほど港と申しましたが、入国管理局で港と申しておりますのは、空港及び海港両方を指しております。現在羽田及び岩国にはそれぞれ港出張所を設けてございまして、相当数の入国審査官及び入国警備官を配置いたしまして、そこから出入りをいたします外国人の人についての審査を私どもの方でいたしております。同時にそこには税関がありまして、税関が物のの検査をいたしておるわけでございますが、次第に入管の陣容も整つて参りまして、現在におきましては羽田空港、岩国空港等出入りいたします人について相当綿密な審査をいたしている自信を持つているわけでございます。
○永田(良)委員 ただいま人に対していろいろ取締りをする、物品に対する検査も云々しておられますが、物品に対する検査員の怠慢によつてあんなやつかいなことが起つたことに対してあなたはどうお考えになりますか。もつとも検査員がよく働いていることは私も知つております。あそこは東京から行くのに一時間以上かかるから、検査員なんかが遠方におつても間に合わない。一体検査員は何の処置をしておられるのか。もつと真剣な処置をなさらぬと、まだまだあのくらいではありませんよ。何億という密輸入が起ることを心配しております。どうですか、それに対して。今の検査員の配置に対してあなた方上に立つ人はよほどお考えにならぬと、ただ天下り主義では今後はだめなんですよ。
○宮下説明員 羽田空港にはその港出張所に入国審査官及び入国警備官をその場所に駐在させまして、二十四時間勤務で随時、夜中でもあるいは朝早くでも飛行機が入つて参りますので、二十四時間勤務制を布いて、そこの場所に常駐させて人の審査をいたしているわけでございます。税関の方も同様にそこに税関の職員が常駐して審査をいたしているわけでございます。
○永田(良)委員 今のあなたの説明によりますと、まことに至れり尽せりで、二十四時間勤務ですから、これより上は勤務のしようがない、まことにりつぱな勤務です。但しそういうりつぱな役人がおつて、なぜあんな千幾つもの時計の密輸入をのがしたのか。ちやんとけさの新聞に出ている。人はりつぱに整備してある。しかしその人を監督するあなたたち上の人の目が届かぬ。私は二十四時間勤務をした人に落度があると思うが、あなたは落度がないと思いますか。その人がほんとうに責任観念の強い人ならばあんなことが起る事実がありますか。どうこれをお考えになりますか。たいへん今も汚職が多いが、こんなやはり役人というのが責任を尽さないからこういうことが起るんです。こんな見のがすような怠慢をした人間はすく更迭なさつた方がいい。今開会中ですから、私はこの内閣委員の御賛成を得て、こんな悪いことをして新聞に出るような人は免官するようにここに勧告します。そうしないと役人の綱紀粛正ということは実行できはしません。これはけさ見た事実です。即刻あなたはここで御声明ください。いかなる処置をとられるか。
○宮下説明員 平素部下職員の指導監督について十分配慮をいたしているつもりでございますが、ただいまの御指摘の事項につきましては即刻十分に調査いたしたいと考えております。
○永田(良)委員 調査なんか——調査ではないです、わかつているじやありませんか。怠慢によつて悪いことをした。しかも千何百万円ですよ。大きな金です。その役人の月給は幾らでしようか。たいがいわかつておるでしよう。月に十万とつても一年に百万かそこらです。一人の怠慢によつて国にたくさんの損害を与えた人です。そう調査調査と言つておられては、議会が済んでしまうとやはりその人の首はちやんとしている。悪いことをした者は即刻おやりにならぬと、調査ばかりしておられるから生きていてまたそれ以上悪いことをする。一千万円以上の損害を与えている。もう悪いことをした者は徹底的に断行されたらいいと思う。(「つかまえたんじやないか」と呼ぶ者あり)
○宮下説明員 ただいま御指摘の事項についてはまだ詳細に調査いたしておりませんので、即刻事情を調査いたしたいと考えております。
○大久保委員 関連しまして、密入国の問題でありますが、密入国者の韓国向け送還は韓国側から拒否されているということをかつて承知いたしておりますが、現在でも密入国者の送還は韓国側は拒否しておりますか承りたい。
○宮下説明員 密入国者の送還は、実は韓国側で拒否いたしておりません。講和条約が発効になりました二十七年の五月に、密入国者と、出入国管理令二十四条その他の条項違反で強制退去になりました、私どもが普通手続違反者と呼んでおります者を一緒に送還いたしました際に、密入国だけ向うが受取りまして、手続違反者を逆送還して参りました。その後は手続違反者の方をいろいろ韓国側とその引取りについて折衝いたしておりますが、手続違反者はその後送り返しておりません。密入国についてはその後も毎月二、三百人、多いときには四百人ぐらいになりますが、毎月一回ずつ定期船を出して今日まで引続き送り返しております。
○大久保委員 密入国者が収容所においてかなり不穏な行動をとつたこともございますが、現在収容所にどのくらいの密入国者が送還を待つておりますか、人数をお答え願いたい。
○宮下説明員 現在大村の収容所に収容しております総数は、三月十五日現在で五百人を少し越えると思います。大体密入国は冬の間少し数が減りまして、今は割合密入国者の検挙者の少い時期でございます。最近は送還をかなり早くいたしておりますので、現在大体そのくらいの数でございます。
○大久保委員 冬場に密入国者が少くなりますことは、これは海上がしけますから当然のことでございます。ぼつぼつ春ともなれば、また密入国者がふえて参りますので、季節的な循環がございますから、現在減つておるということは、ちつとも安心の材料にはならないのであります。そこで、密入国者は上陸しますやいなや、ただちに北鮮系の共産党と連絡をいたしまして、いろいろな地下組織にもぐるわけでありますが、この点に関しまして、最近の密入国者の上陸後の行動等につきまして承知いたしたいと考えます。
○宮下説明員 私どもも御指摘のような事実があるのではないかと想像いたしております。現在密入国の現行犯で逮捕されます者は、年寄りとか子供とか子供をかかえた婦人であるとかいうような、大体思想的の容疑を持たない、むしろのろまと申しますか、そういうような人たちが多くつかまつております。それで若い、御指摘のような疑いのある者は、巧妙に潜在してしまいますので、なかなか検挙に困難を来しております。これらの者につきましては、御承知のような外国人登録法による登録を綿密に実施いたしておりまして、随時警察と協力いたしまして、外国人登録証明書を持たない不携帯罪で随時検索をし、その検挙発見に努めておる実情であります。
○大久保委員 密入国で老人、婦女子がつかまつて思想犯はつかまらない、これはまことに残念なことでありまして、日本の現在の沿岸警備状況あるいは陸上における治安状況あるいは入国管理の陣容等にまだきわめて足りない点がありはせぬかということを私は憂えるのであります。今後におきまして、入国管理等につきましては、日本はもつともつと人員の整備等について充実する必要を私は考えております。そこで、この点は最近の重要な問題でありますが、相当な重要な人物が、きわめて長い間国家の治安機関によつては逮捕されない、これはどうも密出国したのではないか、こういうことも新聞紙上等においては伝わつておるのであります。管理庁におきましては、そういう重要なる事犯につきまして、はたしていかなる措置をおとりになつているか、またこういう日本の治安にきわめて重大なる関係のある問題につきまして、いかなる所信をお持ちになつておりますか、これは法務政務次官からお答え願いたいと思います。
○三浦(寅)政府委員 密入国の問題は非常に困つた問題でありまして、せつかく一生懸命役所で心配して送り返しても、実は帰つて来るのが非常に多い。何回も繰返して密入国する現状でありまして、これは徹底的に取締れば一番よろしいのでありますが、遺憾ながら徹底的に取締りするところの準備がまだできてないのであります。これはできればそういうような密入国した者は徹底的に取締りする、あるいは送り返した者は再び来ないような程度までやらなければならないと思うのでありますが、遺憾ながら現在はそこまで行つておらないことは事実だと思うのであります。同時に思想犯のような大きなものがなかなかつかまらないことはまことに遺憾なことであり、あるいはそうなつておるかもしれませんけれども、そういう点につきましても極力捜査をして、わかるようにいろいろ努力しておるのであります。しかしながら、これは御承知の通りの共産党の潜行幹部のわからない者がたくさんあるのと同じようなものでありまして、容易に発見がむずかしいのでありますが、できるだけそういうものを発見するということと同時に、これからは再び送り返した者が入らないようにできるだけの努力をやつておる次第でありますから、御了解願いたいと思います。
○稻村委員長 大村清一君。
○大村委員 今までの御質問のうちに関連して発言すればよかつたのでありますが、その機会を失しましたので、簡単に質問いたします。 それは登記所に関する問題でありますが、今回の行政整理が伝えられますと、登記所が廃止されはしないかという心配をもちまして、各地の地方民から多数の陳情を受けたのであります。かつて行政整理の際に相当数の末端の登記所が廃止になりまして、これが地方民に非常な不便を与えた苦い経験を持つておりますので、今回の行政整理においてそのことなきを希望しておつたのであります。ただいま永田委員に対する御答弁によりますと、鹿児島県の登記所においては、指摘されたものは廃止されないということでありましたが、昭和二十九年度の予算におきましては、全国にわたりまして鹿児島県同様末端の登記所は一つも廃止されるものがない、このように了解してよろしいのでありますか、念のためお尋ねいたします。
○三浦(寅)政府委員 ただいまの御質問のように、今度の行政整理によつて、人員の整理の関係上登記所が廃止されるのではなかろうかということが、非常な大きな問題になつて各方面から陳情も多かつたのであります。ことに登記所は、たとい事件数が少くとも、不便な場所においてはやはり必要なのでありまして、必ずしも事件の件数からのみで整理することはできないという事情もあるのであります。この点については法務省の当局も非常に苦心されまして、人員は幾分整理はするようになりましても、とにかく登記所は全部廃さないという方針のもとに、いろいろこの人員の問題を考慮したのでありまして、結果におきましては、全部これを廃さないで現状のままに存置するということで決定したようであります。
○稻村委員長 他に御質疑ございませんか。
○鈴木(義)委員 検察官の整理はないようでありますが、しかし現在の検察官の人員をもつて、今の刑事訴訟法を運用するに十分なりとお考えになつておられるかどうか、政務次官にお尋ねいたしたい。
○三浦(寅)政府委員 私は、これは幾分私見が入るかもしれませんが、現在の検事の陣容では非常に困難だと思います。御承知の通り現在簡易裁判所等におきましては、むしろ副検事がおもにやつておる。あるいは事務官が検事の仕事をやつておるような現状でありまして、私は非常に遺憾なことだと思うのであります。検事の数は非常に少いのではないか、むしろこれはもう少し充実して、簡易裁利所あたりまでも当然副検事でなくて検事を置くべきじやないかというふうに考えておるわけであります。ことに簡易裁判所において最もわれわれ国民に密接な関係ある事件が多いのでありまして、そういうようなところで副検事あるいは事務官等が事実上検事の仕事をやつておるということは、人権の問題その他から非常に遺憾なことだと思うのでありまして、でき得るならば、私は簡易裁判所あたりにもそういうような正式の検事を充てて、強化しなければならぬという見解を、実は法務省の関係にそのような意見を吐いておることは事実であります。しかしながら現状におきましては、そこまで行つておらないのでありまして、検事の問題につきましては、いろいろ苦心の点もあり、あるいは現在の陣容等から見ても非常に検事の数も少いし、遺憾な点が多いのであります。このような点については、よく当局の者と相談をいたしたいと思つております。
○鈴木(義)委員 減らすことばかり考えないで、ふやすことについても十分ひとつお考えを願いたいと思います。 それから人権擁護の問題が出ましたから、それをお尋ねしておきたいと思いますが、局として人間が少いのは一向さしつかえないと思いますが、分課的な問題でありますから、局を設けたら必ず百人も置かなければならないという考え方はやめなければならぬ。必要であれば局として存置させるけれども、その人員はごく少くてもよろしいと私は考えるのでありますが、この行政機構改革のうわさの伝わる都度、人権擁護局というものは部にする、課にしてしまうというようなことが話題にされるのであります。今のところそういうお考えがあるのかないのか、政務次官に承つておきたい。
○三浦(寅)政府委員 法務省自体としては、人権擁護局を部にするというようなことは決して希望しておらないと思うのですが、いろいろ政府の方針等において、人権擁護局が部になるというような方向に向いておる、方針が大体そういうふうになつておるのじやなかろうかと思いますが、これは非常に遺憾なことではありますけれども、私は政府の方針あるいは現在の状況から、やむを得ず法務省としてそういうような設置に向きつつあるというように考えております。
○鈴木(義)委員 まことにたよりないお答えで残念でありますが、未来の法務大臣としてしつかりやつていただきたい。(笑声)別に局という名前にとらわれるわけではないが、機構として見るならば、矯正局あり、保護局あり、てれならば、やはり人権擁護というものは、それと対等の地位において、法務省の一局を構成する価値がある分課的仕事である。大体人を縛ることばかりやつておる仕事の中で、幸い人権を擁護するという仕事なのでありますから、これはなかなか意義がある。事案は先ほどの報告では、昨年は二万九千百四十四件もあつたということでありますが、まだまだある。これらは九牛の一毛にすぎないと私は信ずる。それで実際はもつと拡充してやらなければならない。一体役所が人権擁護をするのは変でありますけれども、遺憾ながら日本のように遅れておるところでは、役所が旗を振つて人権思想の普及をしなければ、よほど心臓の強い者でなければ、人権侵害に対して訴えを起したり、反撃したりすることができない。大体事犯を見ると、警察官の人権蹂躙だけがやられておつて、検事の人権蹂躙というものはほとんど問題にされておらないように見受けられる。実際ないのかもしれない。ないことを希望しますけれども、必ずしも絶無ではないのであつて、検事の人権蹂躙はどういうふうにして阻止するか。これは人権擁護局の大切な仕事でありますので、局長にお尋ねしてもよろしいのですが、検事については、他に検事官適格審査会というのがありますが、これは罷免するかしないかを議する機関であつて、人権の蹂躙をやつて罷免するほどのことではないが、十分矯正しなければならないというようなものについては、現在の機構ではたして足りるかということにわれわれは若干の疑問を持つておる。そういう点についての構想を承りたい。
○戸田政府委員 検察官の人権蹂躙に対しまして、現在の機構でまかなえるかどうかという御趣旨だろうと思います。ただいまの人権擁護局の機構で万全だとは私考えておりません。決して数だけの問題ではございませんが、ただいまのような微弱な機構で国民の基本的人権を擁護し、憲法に定められました最も大きな権利を擁護することが十分まかなえるとは考えておりません。今の検察官の人権侵犯事件があつたというようなときにまかなえるかどうかということになりますと、従来検察官による人権侵犯事件というものは、ほとんど申告がございません。これは理由はよくわかりませんが、私の方にはほとんど参つて来ないところを見ますと、検察官による人権侵害事件というものは非常に少いのではないか。そういう申告があつて、私の方の法務省の同じ局であるから、これを処理しない、受付けないというようなことは決してございません。検察官といえども人権侵犯事件がありますれば、現在の機構をもつてしても、十分処理できると私は確信いたしておりますが、ただ実際に検察官による人権侵害事件というものがほとんどないのであります。ただ検察官が特に大きな声を張り上げたから人権侵害だというような程度のものが一、二ございましたが、それ以外にはほとんどございません。もしさような場合がございますならば、現在の人権擁護局といたしましても、もちろん等閑に付することはできませんので、十分現在の機構でもまかなえるというふうに考えております。ただ先ほど来申し上げましたように全体を通じまして、現在の機構で十分である。いかなる事件も全部これでまかなえるのだというようなことには考えておりません。
○鈴木(義)委員 私のいう意味は、検察官というものは、比較的高級官吏であり、末端の警察官を扱うようにいかないのであるから、そこで検察官適格審査会みたようなものがあるのですが、ああいう機構を、もつと拡充する、類似した機構を設けることによつて、事件が起つた場合に処理して行くということが適切ではないかというような考え方もあるようであります。そのことを承りたいと思つたのであります。 それから政務次官に重ねて確かめておきますが、部にするということは、名前の問題にすぎないではないかという御趣旨かもしれませんが、名前ということは大事なことであつて、部局の権威というものを世の中に対して示す上において大事であるから、十四人ばかりの局というのはちよつと考えられないけれども、局として行くことは非常に意義があると思つておるのですが、その点、部にすれば、さらに減員するというお考えであるのか、部にしてもこのままで行くというお考えであるのか、確かめておきたいと思います。
○三浦(寅)政府委員 部にいたしましても、現在の人員を減らすようなことはないと思います。それから同時に今いわれた通り、局という名前をそのまま残すという御趣旨は、私個人としてはまことに同感に思つておるのでありますが、ただ政府のいろいろな方針との関係においてどうなりますかわかりませんが、ただそういうような方向に向いているわけであります。まことにたよりない答弁であると思いますが、こういうことであるということで御了承願いたいと思います。
○鈴木(義)委員 われわれは人権擁護局というものを軽く扱う印象を受けるので、絶対に反対であります。あくまで人権擁護局というものは存置すべきであるという強い主張を持つておることを申し上げて、一応質問を打切つておきます。
○粟山委員 私は一つ関連する問題についてお伺いいたしたいと思います。密入国者の数を伺いましたが、手続違反の数はどのくらいでございますか。
○宮下説明員 現在大村に収容しております総数が五百人を少し出るわけでございますが、その中に約三百人くらい手続違反者が入つております。それ以外が密入国者ということになつております。
○粟山委員 いずれにしても毎月多数の密入国があるということは、まことに憂うべき事態であつて、国内におる多数の朝鮮の人々のめんどうを見ておる日本の財政負担の上から考えましても容易でありませんが、一衣帯水の韓国は日本が最も関心を払うべき国柄であつて、私はいろいろな意味から考えましても、わが日本は韓国との関係は何としても、すべての点において好転させるように導かなければならぬと思います。非常な忍耐もいるし、しんぼうもいるし、細心の注意も払い、また財政的にも犠牲を覚悟して、われわれは調子を整えて行かなければならぬものである、かように私どもは考えておるのでございます。広く見た国際関係のことはもちろんのことであるけれども、その第一歩として韓国こそは非常に大事な国際関係を持つものである、こういう観点からいたしまして、可とかそういうような計数が月とともに減つて来るように、ますます監視を厳重にしなければならぬというより、監視を軽くしてもだんだん減つて来ておるというような状態に持つて来ることが望ましいと思う。つきましては、いろいろ行政整理するというが、何もかにも減らすことばかりが私は国家の目的じやないと思う。国民もまたそれのみを要望しておるとは思えません。そこでこういうような問題につきましては、減らすというような三角のしるしをつけるよりは、丸じるしでふやすという面にもつと効果のある考え方をされたらどうでございましようか。五百人の人が大村に収容されておりますが、皆さんの目からのがれてその入つている人はなかなか多かろう思う。それが隠れたる方面においてまたわが国内に非常に心配になる原因をまいておる。かかるときになぜあなた方は、ほかは減らしてもこの面においてふやすことをお考えにならなかつたか。もうおそいといわずに、そういう深いお考えの上からさらに考え直して、この問題が予算と関係いたしまして結論を見るまでに、もつと深刻にお考えになるお気持はないか、ひとつ伺つておきたいと思います。
○宮下説明員 ただいまきわめて御理解のあるお言葉をちようだいいたしまして感激いたしております。先刻来当委員会におきましてもいろいろおしかりを受けておるわけでありますが、私ども全国を通じて千三百五十人のわずかな人員と乏しい施設をもつて、できるだけ努力をいたしておるわけであります。しかしながらこの陣容では、何と申しましても非常に不足を感じておるということは、素直に申し上げることができると思います。現に昭和二十八年度におきまして、他の機関はそれぞれ行政整理があつたのでございますが、入国管理局系統におきましては五百二十八人の増員が認められたのであります。二十九年度予算につきましても、われわれといたしましては入国審査官及び入国警備官の相当数の増員を大蔵省といろいろ折衝いたしたのでございますが、現在の予算その他の関係から、やむを得ず増員要求が認められませんので、非常に残念ではございますが、一応この陣容でとにかく最善を尽そうという覚悟をいたしておるわけでございます。
○粟山委員 私はもう一つ検察庁のことについて伺いたいのです。私は裁判所事務というようなことについてはしろうとでございますが、私の常識判断からいたしますと、検事というものは行政官であつて、法の適用においても、幅のある考え方において検挙、検察、調査をなされておると私は思うのでございます。そこで今聞くところによると、裁判所は各階級の裁判を通じて仕事がはなはだしく遅れておるという。思うに日本の戦後の虚脱状態から正常に返らんとするには、各方面から考えられますところの混乱状態を整えるのには、戦前と違つて容易ならぬものがあろうと思う。そこで検事の職責から考えましても、これは非常に重大な職権であるから、検事において初期に十分正しい調査が行われて、正しい判断が下されて、そしてその書類が裁判官の手元に送られたときには、意外に早く裁判官が判断を下し得ることになり、時間的にも、いろいろの意味においても、ごく簡潔に事が済むと思うのである。そこで日本の敗戦国の現状において、犯罪を犯しても、これが犯罪であるか、犯罪にあらざるかの境について、判断に迷うというようなことが非常に多い。道徳においては許される、まあいいだろうが、これから先は法の上において許されないという境の判断というものは、非常に複雑になつて来ております。そういう事態において、私は検事の数をふやしてもいいと思う。検事の数をふやせば事件も早く解決する。そうしてこの日本の事態にかんがみて、検事が十分その職責を非常に高邁な高い感覚の上に取扱つてくださるならば。その国情を調整するにおいても、復興を早める上においても、いろいろな意味において私は非常に効果的であろうと思うのであります。ことに今汚職問題やいろいろな問題においてごうごうとして世は暗い気持に吹きまわされておるのでありまするが、これを早く徹底的に実行してもらいたい。そのためには私はこの際特に検事の数をふやして、その待遇を十分に活動し得るように特別の予算をとつても徹底すべきであろうと思う。今金を使つても、人をふやしても、近き将来の日本の建設の上には非常なる効果を発揮するものと私は信ずる、それゆえになぜかこの入国の問題といい、この検察官の数の問題といい、あなた方が消極的な態度をとられるということについては、私はこの時局に対して多少齟齬した感覚を持たれておるのではないかとさえ思われるのでございます。この点についてあなた方のお考えを私は伺いたいと思うのであります。
○三浦(寅)政府委員 ただいまの検事の数をふやし、それから待遇をよくしてほんとうにりつぱな捜査をすべしというようなことは、私はその通りだと思いまするし、私も非常に個人として賛成いたします。現在検事の増員等の問題におきましても欠員がございまするので、その補充のためにいろいろ努力もしておるわけであります。要は検事になるには御承知の通り一定の資格を要せなければなりませんし、また補充等におきましてもいろいろそういう一つの条件があるのでありまして、簡単に行かないようであります。その点は非常に遺憾でありますが、御趣旨に沿うように今後大いに努力しなければならない、こう存じます。それから待遇の問題等におきましてもその通りでありますが、ただことに私が痛切に考えられますることは、普通の場合においては民間の人から検事と裁判官は同じように考えられておるのでありますが、実際の問題としては御承知の通り全然違うのみならず、ことに現在の建前におきましてあるいは他の委員会等において意見を言われる人もありますが、判事よりも検事は下であるというようなことを言うのみならず、むしろ伴事を一番優遇し、一番高いところに置いて、検事はその下に置かなければならないというような有力な意見が始終行われるのであります。そういうようなことで私はある意味においてはこの検事に対しての待遇の問題、いろいろな問題について非常に支障を来す傾向があるのじやなかろうかと思うのでありますが、しかしながら現在のように検事も裁判官も御承知の通り任用資格が同一なのでありまして、同じような出発をしておるにかかわらず、実際の取扱いにおいては検事は裁判官の下であり、待遇も一般の考え方が下のような考えを持たれておることが、まことに私はどうか、これがこの検事の補充、検事の素質の問題等において影響するところが多かろうと考えておるのであります。この点は十分に関係者とも協議しまして考えてみたいと思います。
○粟山委員 私は内閣委員の方々に、お聞き苦しいかもしれぬが、一言私が最後に申し上げることだけを数分間お許しを願いたいと思う。私はかつて長い政治生活の間に、検察当局の圧迫も受け、政治運動において警察官からの相当の干渉も受けて来た。しかし私どもは勇敢に斗つた。そのために不当な当局の干渉圧迫というものはかえつてわれわれを利して、その結果においては政府党は損をしておつた。そういうことが繰返されて、そうして十年、十数年の間には結論を出しております。私は今日のような民主主義の国になつた時代において、イデオロギーの問題で争うというようなことは別といたしましても、もしそれ警察においても検事当局においても、不当な検挙、検察、干渉、圧迫というようなことが現われたならば、必ず前よりも早く国論はこれに判決を下すと思う。結論を下してくれると思う。それでありまするから、私はこういう場合においてこそ、混迷せる日本の敗戦の運命として余儀なくされたる現状を脱却せんとするならば、私は警察官も検事当局も断々固として悪い者は悪いように処分すべきであると私は考える。その勇気がなかつたならば、日本は復興いたしません。また社会党の諸君にしても、民主主義理論を尊重する人においても、どちらのためにもよろしくない。この際は断固として皆さんが不退転の勇気をふるうべき絶好のチヤンスである。日本は負けても勝つても、日本人が日本人としてあるべきところの真の姿は二千六百年の以前から戦争を通じて、負けた後を通じて、未来の日本人の民族の間に一貫せるところの最高の常識があるはずである。これを皆さんが発見して、この大きな常識の上に、堂々としてあなた方がこの議会においてつくられたるところの法律を活用し、利用し、そうして勇気をふるつてあなた方がこの際あなた方の良心において断行されるならば、必ずこの議事堂も明朗であつて、この議事堂から流れるところの活字においてあるいは電波において、すべてが八千万国民に対して、一時は苦しいときがあつても、やがては近き明朗なあかつきの世が展開するものであるという楽しい感じを与えるであろうと私は考える。どうか皆さん検事当局こそこの際人員をふやして断々固としてこの日本の窮状を救済するの意気をもつて当られんことを私は希望いたします。
○稻村委員長 他に御質疑はございませんか。 —————————————
○稻村委員長 御質疑がなければこの際お諮りいたします。本案に関し経済安定委員会より連合審査会を開かれたい旨の申出がありましたので、経済安定委員会と連合審査会を開くことにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○稻村委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。なお連合審査会の開会日時に関しましては、委員長に御一任願います。 大分時間も経過いたしましたので、外務省に対する質疑は午後の会議において行うこととし、午後一時半まで休憩いたします。 午後零時二十九分休憩 ————◇————— 午後二時二十分開議
○稻村委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 まず外務省より説明を求めます。大臣官房長松井明君。
○松井(明)政府委員 昭和二十九年度外務省定員について御説明いたします。 まずわが国が戦後初めて在外事務所を設置いたしました昭和二十六年以来の外務省定員の推移を見ますと、お手元にお配りしてある資料の第一表の通り、本省内部部局及び付属機関を合せました外務省本省の定員は、逐年減少いたしております。これに対しまして在外公館の定員は、逐年増加して参つております。これは平和条約発効後諸外国との外交関係樹立に伴い外交施策の遂行の必要上、在外公館を整備拡充して参つて来たからでありまして、他方外務本省におきましては、事務運営の合理化及び執務強化によりまして、人員の節減をはかつて来たのであります。 なお在外公館数は第二表の通り、逐年増加いたしております。 次に昭和二十九年度におきまする外務省定員の内容を説明いたします。 第三表に掲げてありますように、昭和二十九年度の外務省定員は、本省において前年に比べまして五十二名減、在外公館におきまして前年度に比べて五十六名増でありまして、総定員は千六百五十四名、前年比四名の純増となつております。 外務省といたしましてはすでに御説明いたしました通り、従来努めて人員の節減をはかつて参りましたのでありますが、政府の行政整理方針に基き、さらに執務強化と事務運営の合理化とによりまして、本省定員を五十二名減員整理することといたしました。右減員のほか、本省各部局の事務量に応じ、本省部局間の人員の振りかえを行う所存であります。以上人員の整理及び振りかえによる本省の部局別定員の変更につきましては、第四表を御参照願います。 他方在外公館につきましては、わが外交施策の推進に伴いまして、新たな公館の設置及び既設の公館の拡充が必要なのであります。このため二十九年度において、在外定員は五十六名増加することとなつておりますが、その内訳は、第五表の通り、新設公館に要する人員二十五名と既設公館の事務増に応ずるために必要な人員三十一名であります。 外務省といたしましては、二十九年度において主として通商貿易拡大の見地から、コロンビヤ、ドミニカ、シリア、レバノン、イラクの五公使館、シドニー、ハンブルグの二総領事館、トロント、メダン、レオポルドヴイルの三領事館、以上合計十館を新設する方針でありまして、これらの公館の要員として二十五名を必要とするわけであります。次に既設公館の増強のための三十一名でありますが、この中にはポルトガル語、マレー語、アラビヤ語その他の特殊語学を研修する留学生定員十名を含んでおりますが、その他は既設公館におきまする一般館務の増加、ことに通商及び経済協力関係事務の増加を処理するために充当せられるものであります。 以上をもちまして昭和二十九年度外務省定員の説明を終ります。
○稻村委員長 以上をもつて外務省の説明は終了いたしました。これより質疑に入ります。田中稔男君。
○田中(稔)委員 ちよつとお尋ねしますが、在外公館の要員に外国人も相当おると思いますが、その外国人の総数と、それから種別高級な人もあろうし、雑役や何かの人もおるでしようが、そういう種別がわかつておりましたらお知らせ願いたい。
○松井(明)政府委員 定員の中には外国人は入つておりません。在外公館の概略を申し上げますと、大使が二十四名、公使が二十二名、これは特別職であります。一般職の定員といたしましては参事官二十一名、総領事十五名、一等書記官が五十三名、二等書記官が三十三名、三等書記官か二十三名、領事が三十五名、副領事が二十一名、あとこまかい数字を申し上げましようか。なおそういうふうにずつと留学生までこまかく仕訳をしてございます。
○田中(稔)委員 私のお尋ねしたいのは外国人の要員もいるでしよう、それの種別をお伺いしたいのです。
○松井(明)政府委員 運転手とか、タイピストがおりますけれども、これは定員の中には入つておりません。現地雇いで、予算だけの関係であります。
○田中(稔)委員 何か顧問的な外国人あるいは通訳というものはいないのですか。
○松井(明)政府委員 そういうものもおりません。定員は全部日本人でございます。
○田中(稔)委員 私の聞きたいのは定員とは関係なくとも、外国人の要員としていろいろな人を使つておる、それの総数、これはあるいは物品費か何かで支弁しておるにしても、そういうものの総数とその種別をお聞きしたい。
○松井(明)政府委員 ただいま申し上げました運転手とか、タイピストとか、そういうものでありますが、その数はちよつと今資料を持ち合せておりませんので、もし必要でございましたら後刻お届けをいたします。金の面で申し上げますと、現地補助員の給与といたしまして四億七千百七十万三千円という数字が計上されております。
○田中(稔)委員 重ねてお伺いしますが、外国人に顧問的な人はいないのですか。
○松井(明)政府委員 そういう人もおりません。もつと簡単に申し上げますと、えらい人はおりません。もつと下級の職員だけでございます。
○田中(稔)委員 それから外務省に非常勤職員というのが三百三十名おりますが、これはどういうふうな仕事をやつておりますか。
○松井(明)政府委員 不正確なことを申しますといけませんから、後刻資料でお届けいたします。
○田中(稔)委員 研修所というのがあるのですが、私これは実際見ていないのでございますが、これはどういう仕事をするものですか。
○松井(明)政府委員 研修所には幾つかのクラスがございます。主として新しく外務省に入りました若い外交官でございます。それから外務書記と言つておりますが、その二つのクラス、そのほかに同じく外務省に勤務しております者の再訓練、それからまた他省——大蔵省、通産省あたりからの依頼を受けて訓練をしておりますクラス、常時あるわけではございませんが、四クラス程度ございます。
○田中(稔)委員 この研修所の定員が約半分に減つておるのでありますが、これはほんとうにこの研修所が必要なものならば、これから日本の外交活動もだんだん拡大されるわけでありますから、むしろこれは増員してしかるべきである。あのように減らしているというようなありさまでは、この研修所というものは大して、意味がないのじやないかと思うのでありますが、それが減りました理由、今まで通りの仕事をやつて行けば二倍の労働強化になるわけですが、その事情をひとつ承りたい。
○松井(明)政府委員 研修所につきましての定員の落ちました理由は、現在研修所で訓練を受けております者、それにつきまして特に定員を設けませんで、外務本省の各局に常に配属されておる人間を研修所に入れて勉強させる、従いまして、研修所自体には何ら変更がないのでありますが、ただ定員が落ちたということになります。もう一つは、内で研修しておつた者が外国で勉強ができるという時代になつて参りましたので、外で研修をいたしております。
○田中(稔)委員 この台湾にある日本大使館でありますが、その要員の数とその種別をちよつとお聞きしたい。
○松井(明)政府委員 申し上げます。大使一名、二等書記官一名、総領事クラス一名、領事クラス一名、一等領事官一名、二等領事官一名、外交官補一名、領事官補一名、副領事官一名、留学生一名、合計いたしまして十人、これが予算定員でありますが、必ずしもこの通りではありませんで、二十八年度は九人大使館におります。
○田中(稔)委員 これは非常に数が少いのですが、大使館というふうになつております。私どもは中国につきましては、北京に中央政府を持つておる中華人民共和国を承認すべしということを多年主張して参りました。ところが政府は、今日台湾にある蒋介石の残存政権なるものを承認して、これと正式の外交関係に入つておるわけであります。私は今日の国際情勢の展開ということから考えましても、台湾における国民政府の存在というものはほんとうにこれはもう太陽の前に星が光を失いつつあるようなものだと思うのです。それでこういうものはひとつ早くやめにしたらいいと思うのです。現在におきましても、わずか十名足らずの要員で、大使館というようなそういう名称にする必要はないじやないか、これはひとつ在外事務所というふうに改称すべきだと思いますが、外務省ではそういう意思はないかどうか、ひとつ承りたい。
○小滝政府委員 まず人数の点でありますが、これは外務省は、大使館の平均の定員数は一〇・四名というようなことになつておりますので、普通の配置であります。今おつしやいましたお気持は私自身よくわかりますけれども、御承知のように中華民国政府とは、日本の善隣政策によりまして、とにかくあすこの政権として存在しておる以上、来る者は拒まずと申しまするか、できるだけ周囲の諸国と善隣関係を結ぼうという意味で、田中さんも外務委員をしていらつしやつたときだと思いますが、この条約も御承認を仰いだような次第であります。そこで国交関係もございますし、またことに貿易関係から申しますと、片道八千万ドルの貿易というのは、日本の貿易の相手国としては相当大きいものであります。そういうようないろいろ歴史的な関係もありますし、かつて台湾は日本の領土であつたというような関係もあつて、いろいろなつながりもありますので、今これを急に格下げをするというようなことは、相手国に対しても非常におもしろくない感じを与えますし、そういうことは考えていない次第であります。
○田中(稔)委員 それで台湾に引きかえまして北京の存在が非常に大きくなりつつある。そして中国との国交の調整、あるいは中国との貿易の拡大ということは、これは国民の総意だろうと思います。これはあえていわゆる革新的な立場だけの意向ではないと思います。自由党、改進党に属する議員諸君の中にもこれに非常に熱心な方が現にあると思います。そして今日バトル法の制約はありましても、昨年秋結ばれました日中貿易協定が発効いたしまして、そしてそれに基いて相当の貿易が現に行われておる。この貿易を促進し、さらに拡大するためには、いろいろな問題の解決を必要とするのでありますが、一つは、やはり政府が通商代表というようなものを相互に交換をするというようなことをいたしますならば、これは非常に好都合だと思います。私どもも昨年秋北京に参りまして、中国の貿易関係の責任者と話をいたしました際にも、相互に交換をするのであるならば、現在の事情のもとにおいても通商代表をひとつ派遣することにしたい、こういうような意向が示されたのであります。ただ問題は、向うの通商代表はなかなか日本の方で受け入れないということがありまして、小瀧さんなんかは、比較的こういうことには御理解があるのでありますけれども、外務省としてはこれはなかなかむずかしかろうと思います。 そこで、この際あらためてお尋ねをいたしますが、政府といたしましては、日本と中国との貿易の促進及び拡大のために日本側から向うに通商代表を送るというような御意向がないか、ひとつお尋ねいたします。
○小滝政府委員 日本から中共へも通商代表を派遣するような事態になればまことにけつこうなことだと存じます。しかし田中さん自身が中共へいらつしやつたときにお聞きなつたと思いまするが、中共側の代表者は、日本の方で米国との関係を離れ、駐留軍というものがなくなつて、そうしてそれをわれわれの解釈で言えば、今の平和条約態勢というものをかえるようになつたならば、日本とはあるいは不可侵条約とでもいうものをつくるぐらいのことを言つておるのでありまして、現在の日本政府というものは実は相手にしたくない、こういう態度をとつておるのでありまして、われわれは貿易そのものが促進されるということは喜ぶのでありますけれども、残念ながら現状におきましては、まだ朝鮮の事件も最終的に解決していないという事情でありますので、こうした代表を置くという段階に至つておらないものと考えておる次第であります。
○田中(稔)委員 これはきわめて不誠意な御答弁でありますが、日本政府がほんとうに熱意を持つて通商代表を向うに派遣するということにならば、それはその形式はいろいろ考えなければならぬと思いますが、現在の事情のもとにおいても受入れる用意は北京政府には十分あるということを私は確信いたしております。しかし今のような御答弁ではこれはなかなかだと思う。 同様のことでありますが、私はソ連に対しても通商代表を派遣する必要があると思う。日本と中国との貿易と並んで、日本とソ連との貿易というものはこれはまた非常に有望だと思う。現にこれはある程度行われております。しかしこれをさらに促進し、さらに拡大するためには、やはりそこに公式かあるいは非公式の通商代表をソ連に駐在させることが必要だと思いますが、ソ連の方ではあの狸穴に非公式の通商代表がおりますが、それもだんだん減りつつあります。むしろこの際日本からも向うに公式または非公式の通商代表を送り、狸穴に現におるソ連人を日本側で認めて、そうして両国の通商のために働いてもらうというふうにすることが、今後の日ソ国交の調整のために、日ソの貿易の促進のために必要だと思いますが、政府はこの点について一体どうお考えになつておるか、お尋ねしたい。
○小滝政府委員 お説の通り貿易を振興せしめるためには人間の交流というものも必要でありましよう。またそういう代表部があるということはより便利でありましようけれども、しかし今までの経過を考えてみましても、あるいは大山さんのような方がソ連へ行かれることは向うでは歓迎するかもしれないが、日本政府の代表が出るというようなことについてのソ連の意向は、田中さんも御存じのようなお話ぶりでありますけれども、私どもは必ずしもそれほど楽観しておるものではございません。ただソ連との貿易は中共との関係と違いまして、ベルリン会議、その後のヨーロツパの動きを見ましても、できるだけ促進しようという方向に向つておるようでありますから、今後事態が進展いたしましたならば、あるいはそういうことになる時期も来るかと思います。しかし何といたしましても日本の現在の平和条約による態勢というものを向うが承認しない限り、実際問題としてはなかなかそこまで進んで行くのはむずかしいのではないかと思います。ソ連の代表部が日本にあるとおつしやいますけれども、これは御承知のように対日理事会に代表を送つておつたのが、その後平和条約ができてから日本から通告したけれども帰らないもので、日本側としてはこれを通商代表として認めておるわけではございません。こういうような関係にありますので、私どもといたしましてはソ連との通商関係を伸張することに異議があるわけではございませんが、現在の政治的な関係から考えまして、今すぐそうした措置をとるという段階には至つておらないものと判断いたしておる次第でございます。
○田中(稔)委員 おつしやる通りに現在の日本政府のえらい人がソ連や中国に参りましても、あるいは必ずしも歓迎されないのではないかと思いますが、しかし小瀧政務次官がおいでになるなら私は歓迎されると思います。私は中ソ両国に対する理解がある方だと思います。冗談は抜きにいたしまして、私は今の政府でもほんとうに中ソ両国との国交の調整をやろうという熱意があるならば、私はこれは歓迎されないことはないと思う。しかし政府が今行くのは、こうお考えになりますならば、これは国会議員であるとかあるいは民間人をひとつ中ソ両国に送つていただいて、そうして本来政府のなすべき仕事をかわつてやるというようなことも、私は日本のために適切な方途だと思うのです。私の前にすわつておられる自由党の江藤君は御一緒に参りましたが、江藤君は政府与党でありますけれどもこういうことに非常に熱心でありまして、北京に通商代表を一日も早く送らなければならぬという点においては北京でもたびたび話しまして意見の一致を見た次第であります。私は昨年中国に参りましたあの議員団のようなものを中国に対してさらに再び派遣する、あるいはソ連に対して派遣するというようなことをひとつやつてみたらどうかと思う。それからまた民間人では行きたい人がたくさんおるのです。御承知の通りに福岡県であるとか北海道であるとか佐賀県であるとか、各地方で中国の視察団なりあるいは単に視察するのでなく、中国との貿易を打開するために、実際に仕事をするための使節団を送りたいという要望がわき起つておるのでありまして、そのための旅券の申請はすでにたびたび外務省になされた。しかしながらそのたびに外務省はこれを断つておる。さらにまた最近は機械工業界の諸君が米とのバーターで各種の機械を中国に輸出したいということで、そのためには機械ということになりますと種類がいろいろありますし、またその機械を向うに持つて行つてすえつけることや何かいろいろ現地に行つてやらなければならぬ仕事が多いので、どうしてもみずから中国に渡りたいというので、そういう人々もわれわれにいろいろあつせんを頼んで来ておる。ところがその場合にも外務省はいつでもこれを断つておるのでありますが、やがて外務省もこれを押えることができなくなる時期が来ると思うのであります。中ソ両国との国交の調整なりあるいは中ソ両国との貿易の打開に、かねて理解を持つておられる小瀧政務次官から、この際ひとつ議員団なり民間人が中ソ両国に渡航するそれに対して、旅券の下付を行うというようなことについてどうお考えになつておりますか、お尋ねします。
○小滝政府委員 今おつしやいましたような趣旨は私も十分わかるのでありますが、中共との関係につきましては来るべきジユネーヴの会議でどういう決定に至るか、おそらく流産に終るだろうという公算が非常に多いということでありますけれども、こうした会議の結果によりましてはもう少し進んだ政策がとり得るのではなかろうかと考えます。ソ連につきましては他の委員会でも御説明申し上げましたが、通産省なりあるいは農林省なりでも協議していただいて、ぜひ必要な場合にはソ連側から日本に入りたいという希望の技術者なり、あるいは貿易関係のものの入国を認めるようにしようではないかという話合いを進めておるほどであります。ただこつちから向うへ出て行くものに対して、個々のケースを考えまして必要な場合には向うへ出すということも、お説の通り確かに貿易振興のためには役立つであろうと私は考えますが、この点は他の委員会でもすでに申し上げておりまする通り、現在の旅券法から考えまして、ある特定な人を許して、その後あとの人は重要性が少いから許さないということになりますると、これは旅券法の違反にもなる。今の旅券法のあの規定から申しますると、こうした地域にも人を出すということになれば、そこに取捨選択を加えるというようなことは為替管理法以外にはとり得ないのでありまして、そういういろいろな角度から考えまして、現在はそうした往復を制限しておるわけであります。しかし今後、日本と他の自由諸国との協力関係においてさしつかえない限度までのことは、できるだけ政府としてもいたしたいという考えを持つておりまするので、これから先のそうした会議の結果なりあるいは自由諸国家間の話合いというものともにらみ合せまして、できるだけ期待に沿うような施策を施したいということを、私の意見を言えということでございますから私の意見として申し上げる次第でございます。
○田中(稔)委員 もう少し具体的に御答弁願いたいと思います。今ここに国会議員団が再び中国にあるいはソ連に行く、それがほんとうに両国の貿易の促進にも役立つという場合には、旅券はお出しになりますかなりませんか。
○小滝政府委員 あらかじめそうした面についてお約束を申し上げるわけには参りませんが、そのときにはそのときで考慮せられることと考えます。
○田中(稔)委員 伝えられるところによると、政府は旅券法を改正して本国会に提案するという意向があるということですが、その後どうなつておるか存じませんけれども、今まではソ連や中国、一般に共産圏の諸国に入りますものにつきましてはそういうところへ行つたら身体、生命、財産の危険がある、あるいはまたそういう地域に入ることは国のためにならぬ、そういうことを理由に政府は反対しておつた。それは現行の旅券法では無理なのです。そこでそれを法律に基いて政府が押えることができるようにするために旅券法を改正する、つまり改悪しようという意図のようでありますが、今の外務政務次官のお話とまるで逆を行つておるわけであります。旅券法改正の問題についての政府の御意見は現在どうなつておりますか、それをひとつ伺いたい。
○小滝政府委員 旅券法の改正は私ども前から考えて来たところでありますが、今内容をはつきりどうするということは確定しておるわけではありません。ただこれまでの旅券法は、御存じのように一方ではこうしてはならぬという制限の規定があるにもかかわらず、それに対して罰則がない。あるいは第十九条を反対解釈して第十三条に結びつけるというようなやり方をしておりましたので、これまでの旅券法の欠陥を補うような改正をしたらどうかという考えをもちまして目下検討中であります。しかしおつしやるような改悪するというのでなしに、できるだけ改善しようという趣旨で目下検討いたしている次第であります。
○田中(稔)委員 私どもは中国に参りましても生命、財産の危険にもあわなかつたし、そしてまた私どもが北京に参りまして日中貿易協定を結んだことは国のためになつたと思います。そういうはつきりした実績があるにもかかわらず、政府は依然として日本人の中ソ両国への渡航を押えようとして、それは率直に言えば結局アメリカの意向に遠慮している。アメリカとしては日本人が中ソ両国に自由に渡航して、それらの国において行われている建設の成功を実際に見たり、あるいはまたそれらの国々の国民があくまで平和を念願し、決して日本に対して侵略的な意図なんかは持つていないということを知ることをむしろ恐れておる。こういうアメリカの態度に迎合している結果、そういうことに事実上なつたのではないでしようか。その点ひとつ率直にお尋ねします。
○小滝政府委員 率直に申しまして、アメリカからそういうことを要請せられてやつておるわけではございません。例を申しまするならば、ソ連なりあるいは中共へ入ることは国家の利益にもさしつかえない、入つてよろしいということで、今後旅券法に基いた取扱いをすることになつた場合を考えてみます。その場合、今海外へ出ようとしてもそう大勢が出られないのは、旅券法の関係よりもむしろ為替及び貿易の管理に関する法律によつて、為替の面で制限されておるわけであります。ところが中共とソ連の関係を考えてみますると、これまでも向うへ行く人については旅費を負担するというような申出の申請が大部分であります。ところが今後それを自由に許すということになれば、極端なことを想像いたしまするならば、共産党の諸君で大いに中共と協力したいという方が相当あられますると、これらの人の五百人や千人を呼ぶ飛行機賃を払うとかあるいは滞在費を払うくらいは、中共のふところから言えばそう重大問題ではございませんから、その人が申請される。そうすれば、それまで田中さんあるいは一介の小瀧という男に許可して、そのあとの千人を許さないというわけには行かない。その地域は身体、生命、財産にも何らの支障もないし、国家の利益にも害がないということになれば、私自身、小瀧という男一人が普通旅券で向うへ出たのがもとになりまして、あとの共産党の諸君で千人招かれておるのをいかにして押えるのか、押えることができなくなるわけであります。こういうような実際面もよくお考えくださいましたならば、外務省として現在の情勢下において、現在の国交、現在のいろいろな政策の相違という点を考えてみますると、今おつしやいますような措置をなかなか一挙にとり得ないという事情があるということをおわかりくださるだろうと存じます。
○田中(稔)委員 今の御答弁はいわゆる顧みて他を言うものでありまして、そういう非常識な場合を仮定しての御答弁は私は困ると思う。今までだつて、共産党の諸君がそういうふうなことでいろいろ外務省に文句を言つたことはなかろうと私は思う。共産党の諸君は行こうと思えばどんなルートだつてあると思う。問題は共産党とかなんとかいう人でなくやはり普通の人で、特にまた中国との貿易をやりたいという人々の場合を私は言つておるのであります。そうして今までだつてそうであつたが、今後自由に出るようになつたら、共産党員が五百人も千人もどんどん向うへ行つてたいへんなことになるとおつしやるのですが、そういうことはあまり非常識な想像だと思います。そういうふうな煙幕に隠れて、普通の日本人が商売のためにあるいはまた文化の交流のために、中ソ両国に行こうとする意図を抑制することは困ると思う。私は今のような場合を言つておるのであります。これについてはアメリカの意向に迎合しているというのでなければ、どうも外務省の措置は理解できない。現に今だつて、中国に行きたいという人があつても、中国に一度行つたら今度アメリカに行く機会を失うだろうということをおそれて思いとどまつた人もありますし、あるいはまたアメリカ大使館に伺いを立てて、やめておいた方がよかろうというのでおやめになつた人もあります。私は一々名前は申しませんけれども、幾多のケースがある。そういうわけでありますから、やはり日本の政府が自主的にこの問題を取扱つているのでなく、アメリカの意向に遠慮されているのじやないかと思うのですが、実際はどういうふうになつておりますか。
○小滝政府委員 先ほど申し上げました通り、そういうことはございません。
○稻村委員長 他に御質疑はありませんか。
○江藤委員 人員整理もけつこうでありますが、外務省においては今後いろいろなやらなければならぬ仕事がふえて来ると思うのですが、私特にお尋ねいたしておきたいと思いますのは、日本の人口問題とも関連がある、もちろん人口問題だけではございませんが、日本の移民についてであります。日本の移民適地として最近中米、南米が大きくクローズアツプされて来ておることは御承知の通りだと思います。移民が人口問題そのものの解決に寄与する点は、実際的にいいますとそう大きなものではないことはわかります。しかしながらああいうとこへ行こうと思えば行けるのであるということが、今日非常な人口過多に苦しんでいる日本人にとつて、精神的な窓といいますか、そういうものを与え、希望を与えるという非常に明るい面もあります。それからまた現に南米あたりから、毎年現在日本に送金といいますか、いろいろな形で入つて来ておる外貨なども、聞くところによると五十億にも上るとさえいわれておるのでありまして、そういう面から見ましても、移民ということは今後の日本の大きな国策として推進して行かなければならぬ、こう思うわけであります。それで、これを管掌する日本本国の役所、また現地におきましては、移民関係の仕事を現在在外公館でやつて行くことの無理なことは、現地を見て来た人が全部口をそろえていつておることでございまして、そういう現地機関の強化ということも当然必要になつて来ると思うのでございます。そういう移民の拡充強化というようなことに関して、外務省としてどういうふうなお考えをお持ちになつておるのか、この点をこの際承つておきたいと思います。
○小滝政府委員 お説まことにごもつともでございまして、外務省もこの移民問題を重要視いたしております。ことにこちらの送り出す方の手順がうまく行くなら、受入れの方は年に一万人くらいも受入れられるだろうというような情報も来ておりまするので、まず外務省の機構といたしましては、これまでも問題になり、実はこの前の議会で衆議院の方の御賛成を得ました移民局というものをぜひもう一度、近く御審議を願つてこれが実現を期して行きたいというように考えております。また現地につきましても、今度御承認を願つておりますこれにも出ておると思いますが、移民関係の者を二名向うへ増派することにいたしております。現在は種谷という事務官が各地をまわつて、移民問題を調べておるような次第であります。予算の方も本年は少くも三千五百人程度は向うへ送り出すことができるように貸付金及びそれの募集に必要な費用、現地に着いてからの費用も計上しておるような次第でございまして、私どもは今志気が衰えておる日本で、人口問題の解決には、お説のようにすぐならないまでも、日本の通商を進める上においても役立ちますし、また志気を鼓舞する上においても非常に大切でありますから、ぜひ皆様の御支持を得まして、移民政策というものは強力に推進して行きたいというように考える次第であります。
○永田(良)委員 今の問題は現在のわが国の国情から見てずいぶん大事なことであります。これについて私どもは具体的にもう少し力こぶを入れていただきたいと考えております。第一に南米のブラジルですが、私は若いときからいなかの村長とか、県会議員とか、いろいろなことをして、国会議員も長い間しておるが、私と同じ年代の者が向うへ行つて大分成功しておるのです。いずれにしても外務省の方がもう少し力を入れていただきたいのであります。この上とも南米方面には力こぶを入れていただきたい、ことに鹿児島県、熊本県、日本の北の方からも相当行つておる府県もあると思うのであります。そういうすでに地盤のできておるところには、なお力こぶを入れて指導していただきたい。なお南洋方面——私どもは南洋方面には昭和五年ごろから行つて、ずいぶん苦労したものであります。日本はどうしても南米と南洋方面、それから東南アジアの方面、とにかく日本としては南に伸びて行かなければ、この人口と狭い国土では集団移民か海外貿易をやるよりほかに道がない、これについては私は外務省の上層部に陸奥宗光ではないが、もう少しスケールの大きな者がおつて、大きな手を打たれなければ失礼ですけれども、今の役人式のそろばんばかりはじいて、りくつを言つたつて、納まるものでない。日本の国が興るか亡びるかのこういう場面に到来しては、外務大臣も心配はしておられるのだろうけれども、もつと信念をもつてあらゆる手を打たなければいかぬと思う。失礼なことを申して済まないけれども、われわれはもう老骨だからだめですが、日本の将来を伸ばして行くには昔に帰つて、筋金を通さぬといかぬと思う。この意味からこの方面に一段の御努力をお願いしたいと思つて、今質問したわけですが、これに対しては答弁はなくてもよろしいが、何か所感かあればひとつ教えていただきたいと思います。
○小滝政府委員 お説その通りでありまして、だんだんこの移民の送出も好転しつつありますから、この際ぜひわれわれも機構を整えるのみならず、協力団体のようなもの、たとえば一月の四日に成立いたしました海外協会連合会というような団体からも支持を受け、また皆様から御支持を受けまして、ぜひこの際外務省として、なかなか積極的なこともできない現在で、ありますので、少くとも移民に関しましては画期的にこれを推し進めて行きたいという決意で進んでおりますから、どうぞそうした意味で、今後いろいろの御指摘なり御援助を仰ぎたいと考えております。
○永田(良)委員 この際私は心細く考えることがある。実は鹿児島県の鹿屋市というところで、一家族ブラジルに移民をするという問題がある。ところが私の郷里は姶良というところでありますが、あそこからもずいぶん行つておるので、たいへん楽しみに思つておるのでありますが、それがせつかく各県から推薦して行つても、外務省の方でふるい落されて、せつかくの希望が満たされぬじやないかと言うておる。そういう心細いことはないから、せつかく各県から申し込んで来たのは、これは漏れなく連れて行くというぐらいに力こぶを入れていただかぬと、私ども郷里へ帰つて奨励もできない。どうかひとつ各地方から今申し込んでおるのは、漏れなく、ブラジルの公使館の方に電報ででも交渉をされて、今申し込んでいるよりももつと追加ができるように、ひとつよろしくお願いをいたします。
○稻村委員長 飛鳥田一雄君。
○飛鳥田委員 政務次官にひとつお伺いしたいと思うのですが、それはソ連船の修理の問題です。ソ通船の修理が今の造船産業にとつて非常に有利であり、必要なものであることは、疑う余地がないと思います。ちよつとその一つを見ましても、ソ連船の修理は、今まで造船所が外国船の修理をいたしておりましたよりも、料金的にも非常に有利だ。たとえば一デツド・ウエートについて、今まで外国船舶の場合には百二十五ドルくらいであつたのが、今度の向うの申出によりますと、百七十七ドルぐらい、ちようど国内の割当造船の単価ぐらいに引合うそうです。また同町にその支払に決済の方法についても、アルゼンチンの船などは、船ができ上つて引渡して以後九箇年月賦ぐらいになるそうです。ところがソ連の申出は、約四箇月ぐらいで決済をするというようなことだそうです。これはあなたの方が私よりもお詳しいと思いますが、さらにまたバーターでくれるものを見ましても、北洋材があり、マンガンがあり、いろいろなものがあるらしいので、非常に有利なものであり、同時に造船汚職で動揺しております造船所にとつては有利だと思うのです。これについていろいろ障害が現在までありました。たとえばその一つをあげてみますと、修理の船に乗つて来た修理の監督をするソ連人の入国を許さない。こういうような点があつたと思います。これは七十二時間を切りかえるということで、日立造船などについては話がついたそうですが、しかしこれも実際に船の修理をする場合に、シリンダーをとりかえるということになりますと、そのシリンダーの材料を見に、そのソ連人が大阪までシリンダーをつくつておる会社に行くのを許さない。また船の修理というものについては、刻々情勢がかわりますので、本国と値段の打合せをするについても、その電報を打つことを許さない。こういうような事実があるそうです。こういう点について、ともかく修理、貿易、こういうことはさしつかえがないというふうに、先ほど来のお説を伺つておりましたが、こういう点についてあなたは参議院で、そういう外交的な障害を取除くためにできるだけ努力する、こういうような御答弁をなさつたように新聞で拝見をいたしましたが、その後どういうぐあいになつておりましようか。
○小滝政府委員 先ほどの答弁中にも申しましたように、今後こうしたソ連との取引において、どうしても日本の国内に正式に入国を認めることが必要であるというような場合には、その一つ一つのケースをわれわれが検討して、これを許可しようという方針に進んで来たのでありまして、皆様の側から言えばまだ非常に不満でありましようが、一歩前進したということは認めていただきたいのであります。笠戸における技師などは東京に来られないというので、ずいぶん長い間すつたもんだいたしましたが、あの際はあの笠戸にいてよろしいのだということで許可いたしましたところ、その後、いやそういうはずじやない、東京に相当期間滞在しなければならぬというような問題が出まして、いろいろ私ども批判を受けましたが、今後はこちらへやつて参ります前に、もう少し原則的な話合いをして、あとでああいうごたごたが起らないようなとりはからいをいたしたいと存じまして、現に通産省あるいは農林省と連絡をいたしております。今後はこれまでのようなああいう非常にきゆうくつなやり方はさせないようにいたしたいと考えております。
○飛鳥田委員 それはよくわかりましたし、御努力のほどは感謝いたしますが、修理をいたしますに際して、笠戸とかその他日立造船の、そういう離れ島になつておるような造船所についてだけしか、お許しにならないということを伺いましたが、何かそういうような事実がありますかどうか、これが一つ。もう一つは、修理を引受ける契約をいたします以上は、日本の造船所の所長なり重役なり、あるいは技師なりが向うと連絡をいたしますために、ソ連に入国をしたい、旅行をしたい、こういう欲望は当然出て来ると思います。この点については、先ほど来御心配のような思想的な関係は全然ないはずであります。こういう事実が出て参りましたときに、外務省は将来どうせられるか、当然旅券を下付していただけるものと私は考えますが、うわさを聞きますと、ある造船所の所長が旅券の申請方を願い出ましたところ、拒否をせられたといううわさも聞いたのであります。そういう事実があるかどうか。すなわち繰返しますと、第一には、離れ島のような造船所でないと許さないのかどうか、第二には、日本の造船所の技師なり重役なりがソ連と打合せの必要を生じて、これに入国をしたいということで、旅券の下付を申請したときに、許していただけるかどうか。
○小滝政府委員 仰せの通り、これまで修理をいたしましたところは、離れ島と申しますか、そういう場所であつたのでありますが、今後のことについて、はつきりこうした条件のもとに許可するというような、動かすことのできない原則を持つておるわけではございません。今後の話合いによりまして、適当と思われるところにこれが許されることになるであろうと期待いたしております。これは運輸省及び通産省にも関係のあることでありますが、今後の問題は先ほど申しましたように、一つ一つのケースをとらえて、よく検討して行くということになつております。 それから日本人のソ連に対する入国につきましては、先ほど田中さんに対してお答えしたところでおわかりくださるだろうと存じます。なるほど特定の方が行かれることがその取引について必要である場合があるとも存じますが、しかしそれを許すということになれば、また他のものもどんどん許さなければならぬ。物の重要性によつて許可不許可をきめるというような法律になつておりませんので、そういう困難があるわけであります。またどうしても必要なら、向うから来ることもある程度許すということになつておりますし、場合によつては中立国のようなところ、特定の場所で会つて話をするということも不可能ではなかろうと存じますので、この取引が行われて日本の関係者が旅券申請をした場合に、ソ連への入国を許すかということになれば、それに対しては、現在のところ遺憾ながら否定的なお答えをしなければならないと存じます。
○飛鳥田委員 最後に、私たちは正確なニユースを持つておりませんから、間違いましたらお許しをいただきたいのでありますが、今ウラジオストツクで日本の造船所で修理をしてほしいという船が約五十隻前後であり、その価格は約百億くらいに当るというような話も実は聞いております。またソ連の現在所有しております船舶は二百五十万総トンくらいではないか、しかもソ連の五箇年計画を推進して行く上において船舶の需要が非常に多い、これに対してソ連の持つておる造船所の数は非常に少い、ウラジオストツクにある船所などに至つては、日本の三流くらいにしか当らぬというように聞いております。もしそうだといたしますと、これから先日本の造船所にとつて、ソ連の注文あるいはソ連の船をつくつてあげる、修理する、こういうようなことが非常に大きな取引の対象となつて来ると思います。日本の国内船をつくりますことについて、財政的にもその他にもかなり無理があることはどなたもいなめない事実でありますし、またアメリカだとかヨーロツパから日本に船の注文に来るというようなことも考えられない事実であります。こう考えて参りますと、これはイデオロギーとかその他を抜きにいたしまして、仕事としては非常に重要なものだ。なかんずく疑獄、汚職で動揺しております造船所に対して、目の前へさしあたつて差延べられる救いの手ではないかというふうに考えられるのでありまして、もう少しこの点について、今までも御努力をいただいておるということは知つておりますが、さらにもう一歩突き進んで、積極的にこういう注文が受けられるように外務省でも御努力をいただきたい、こういうふうに私は考えております。ひとつその点についてあなたのお考えを聞かしていただければ幸いです。
○小滝政府委員 ソ連の方でどれだけの修理を希望しているか、あるいは日本において船を建造したいという希望を持つているかということは、私ども詳細存じません。こういう取引に通産省が窓口になつてやつておりまして、それに関しては運輸省の関係もございまするが、何か出入国とかいうようなものに関係がある場合外務省に話が出て来るので、個々の取引については、私どもも詳しい情報を持ち合せておりません。もちろん日本の経済的な立場から申しまするならば、仰せのような現在の情勢下においてソ連から船の注文を受ける、修理を引受けるということは、ことにバーター取引が日本に有利に展開しまするならば歓迎すべきことであります。ただ一つここに障害となりまするのは、だんだん緩和の兆はありまするけれども、共産圏に対しては、戦略物資は出さないという方針のもとに民主主義諸国が協力しておるのでありまして、船につきましては、その大きさとかあるいは規格によつてソ連へ出してはならないという相談になつておるものもございまするので、全部向うから言つて来たから、取引としてさしつかえないからということで船の建造を許すということには参らないのであります。ただ、先ほどからも申しまするように、英米あたりでも、ソ連との貿易関係は緩和しようという主張が相当強く出て参りまして、しかも米国の、たとえばランドール委員会の報告を見ましても、いろいろ責任者の発言などを見ましても、だんだんそうした問題については積極的な考えを持つておるようでありまするから、こうした制限というのは、ソ連に関する限り漸次緩和せられる傾向にあるのではなかろうかと考えます。しかりとすれば、日本も大体これらの国と歩調を合せまして、そうした取引ができるだけ多くできるように配慮いたしたいと考える次第でございます。
○飛鳥田委員 終ります。
○稻村委員長 他に御質疑はございませんか。——御質疑がなければ、本会議が三時半から開会されるとのことでありますので、各党の代議士会のことも考えて、本日はこの程度にいたし、明日は午前十時より開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十六分散会