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19回国会衆議院1954/03/03

内閣委員会 第8号

発言数
56
登壇者
13
会派数
5
開催日
1954/03/03

会議録

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 これより開会いたします。  科学技術庁設置法案等を議題とし、審査を進めます。  この際お諮りいたします。本案につきまして、参考人として日本学術会議議長茅誠司君、日本学術会議会員藤田由夫君より意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 御異議がなければ、さよう決定いたします。  なおまず科学技術行政協議会事務局長千秋邦夫君、資源調査会副会長安芸皓一君及び資源調査会事務局長大野数雄君より補足意見を求めます。千秋邦夫君。

千秋邦夫科学技術行政協議会事務局長

○千秋説明員 私は総理府の科学技術行政協議会の事務局長でございます。科学技術行政協議会の任務は、科学技術行政協議会法第一条に示されてありまするように、「日本学術会議と緊密に協力し、科学技術を行政に反映させるための諸方策及び各行政機関相互の間の科学技術に関する行政の連絡調整に必要な措置を審議する」機関でございます。従いまして、この法案に対しまするところの意見というものを、政府を代表いたしまして申し上げる立場にはないと私たちは存じておるのでございます。ただ科学技術行政協議会の業務の内容等については説明し得るのじやないか、そういうふうに感じております。

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 それでは参考人としての学術会議議長の茅誠司君より御意見を求めます。

茅誠司日本学術会議会長

○茅参考人 私は日本学術会議の会長をしております茅でございます。この科学技術庁の問題につきまして、学術会議が今までどういう審議をして来たかということについて申し上げたいと存じます。  この学術会議の中に研究体制委員会という特別委員会がつくられておりまして、このような問題は主としてこの委員会を中心として審議して参つたのであります。科学技術庁という問題が取上げられましたときに、その発案者として自由党の前田代議士に来ていただきまして、研究体制委員会におきましていろいろとその趣旨その他につきましてお伺いいたしました。それに引続きまして、この委員会で審議しました結果、大多数の者は、そのままの形では不適当であろう、次のような修正を施すならばいいのじやないかというような意見になつたのであります。  その第一は、科学技術庁で研究所を直轄しないということ。第二は、科学技術庁の長官は、科学技術行政協議会いわゆるスタックの副会長をもつて当てるということ。第三は、特に必要のないと思われる科学予算の事前査定を行わないということ。第四は、科学技術庁に審議会が付属しておりますが、これが相当厖大な審議会でございますので、それは必要はない、もつと少数の参与の制度をとるべきではないか。その少数の参与の中には、でき得べくんば、学術会議から推薦する者——必ずしも学術会議の会員ではありませんが、学術会議の推薦する者を一部分入れてほしい。この四つの条件を付して、この体制委員会の大多数の者は賛成したのであります。  昨年の春この問題を総会にかけて審議いたしました結果は、いろいろと議論がございまして、その当時提出されておりました科学技術庁案そのままの形においては適当でないとする意見が大多数でございました。それはどういう点に不賛成の理由があつたのかと申しますれば、この科学技術庁という趣旨は、科学を振興させるという点においてまことにけつこうでありますけれども、その運用のいかんによりましては、科学者の統制的な傾向を生ずる心配がないでもない、その点の保障が十分あることが必要である、これは戦時中にいろいろと経験されたところで、その苦い経験を持つた人たちが多かつたので、そういう点につきまして十分考慮されておりませんと、場合によつては科学者の統制的な傾向になり、ひいては好ましくない科学研究に導かれる心配もないでもなかろう、そういう息をもつとはつきりさせてほしいというのが、第一の反対の理由であつたと思います。  第二は、科学の発達と申しますのは、基礎分野から応用分野にわたりまして、全般的に互いにからみ合つた進歩をするものでありまして、円満な発達をしなければならない。ところがこういう官庁ができますと、それが非常よく運用された場合はまことにけつこうでありますけれども、ともすれば、場合によつては不完全な、でこぼこのある発達をする心配がなくはない、そういう点について非常な懸念がある。  それから第三番目は、官庁間でいろいろと科学行政をしておるのでありますが、そういうところにこういうものができた場合に、はたしてこれが各官庁の業務とよく結びついてしつかりとして浮び上らないような存在として運営されるであろうかどうか、浮び上つたものになつては何の意味もないじやなかろうか、そういう点について心配がある。そういうような点からしまして、このままの形ではどうであろうかという結論になつたのであります。もつとも賛成論もたくさんございました。その理想とします点は賛成する人が多かつたのでありまして、科学国策の上におきまして長期計画を立てる、それから各官庁間の空白を埋めて行く、それからその間に重複があれば除いて行く、それから国策的な、ことに経済自立態勢に必要なそういう方面の科学技術に対して、特にこれを強調してそれを伸ばして行くというようなことについて必要を認めない者は一人もなかつたのでありますけれども、とにかく以上のような心配を持ちまして、このままの形ではどうであろうかという結論になつたのであります。それで、そのあとといたしましては、それでは狭い意味の産業技術だけにこの科学技術庁の目的を限定したならばどういう案が生れるかということを宿題といたしまして、去年の秋の総会を閉じたのであります。その後、工学方面の部を第五部と申しますが、工学方面、並びに農学方面、これは第六部でありますが、この方面で非常によく研究いたしまして、それぞれ第五部案、第六部案というものをつくりまして、それを昨年秋の総会に諮りましてこれを論議したのであります。ところが、やはりそれにもいろいろの欠点がございまして、全会員がそろつてこれを支持するという段階にまでは至りませんでした。それでこれは第二期の会員でありますが、それが昨年の十二月でもつて任期が満了になり、第三期の会員が今年の正月からスタートいたしましたので、第三期の会員にその任務を引継いで残して行つたわけであります。最近になりまして、この科学技術庁の問題が非常に活発に方々で論議されるようになりましたので、学術会議におきましても新たに委員を任命いたしまして、ここに見えております藤岡会員が委員長になりましてこの問題を取上げまして、いろいろと審議しておる最中でございます。  以上、今までの経過をごく簡単に申し述べました。

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 参考人からの意見聴取は終了いたしました。提出者、政府及び参考人に対する質疑があればこの際これを許します。鈴木義男君。

鈴木義男日本社会党(右)

○鈴木(義)委員 提出者松前博士にお尋ねいたしたいのでありますが、科学技術の必要なことはたれもわからない人はないわけであります。ことに今日その必要を痛感するという意味において、原子力時代は第三次産業革命につながろということをよく言われているのでありますが、そういう点について、多少御所見を拝聴いたしておきたいと思います。

松前重義日本社会党(右)

○松前重義君 その問題につきましては、むしろお隣の茅先生お話を承つた方がいいかと思うのでありますが応御質問に対してお答えをいたします。  厚子力問題が最近における最も重要な政治的な問題ともなつておることは御承知の通りであります。原子力を中心にして世界の外交が動き始めているということは、新しい歴史時代を物語るものであると思うのであります。こういうことで原子力をいわゆる戦争の道具に使わないで、むしろ平和的にこれを利用せんとする努力がようやく世界の政治家によつて行われかかつていることは御同慶にたえないの、でありまして、これは必ず成功に導かれなければならないということを私どもは祈つている次第でございます。原子力のいわゆろ軍事的な利用につきましての禁止、すなわち原子力の国際管理によりまして、原子力を平和的に利用する、動力源としての原子力の将来につきましては、すでに各国がこれに目をつけているような状態であります。すでにアメリカ、英国等では共同いたしまして五万キロの原子力発電所を建設いたしております。この原子力発電所なるものは、現在のところ設備などは火力発電所よりも大きな設備を必要とし、お金もかかりますが、その維持費は至つて少いのでありまするから将来におきましては、少くともこの原子力発電所が火力発電所に置きかえられるということを識者の中では大体想像をいたしながら、ここにこのような努力を払つているような状況であります。おそらくここ十年もたちますれば、原子力発電所が火力発電所にかわる時代が来ることは予想されるところでありまして、私ども今日これらの問題について十分考えておかなければならないと思うのであります。原子力に手をつけております国といたしましては、その平和的利用の目標のもとに、カナダ、スエーデンとがあります。スエーデンのごときは重水の生産等に対して非常な努力を払つているような状態でありますが、またノールウエーとオランダとは共同いたしまして、その生産と研究に対して努力を続けているような状態であります。またインドやブラジル、オーストラリアなどの諸国はすでにウラニウム資源の開発に注目をし、これに着手をいたしてれるような状況であります。私が先般中共すなわち新中国に行つて参りましたときにも、向うの新しい地図の中に書き込まれてあつたのでありますが、新疆省の奥地にあります、ヒマラヤ山脈のすぐ北にあり、そうして西はソ連と境を接しております天山山脈のところに六箇所の大発電所をつくつておりまして、その付近に大工場があるということであります。そうして、その天山山脈はウラニウム資源の豊富なところであるというのであります。このようなことがすなわちどういう意味を持つておるか、私どもは新しい時代の産業革命ということを想像しながら、中国のその計画が着々進みつつある現状を見て参つたのでありますが、とにかく今日において、この原子力の問題あるいはその他の科学的な新しい時代を認識してそれに対処しなければ、世界の産業的な捨て子になつてしまうということを痛切に感じておるような次第であります。  ただいまの御質問に対するお答えとして御満足であるかどうか存じませんが、提案者としての私の考えを申し述べた次第であります。

鈴木義男日本社会党(右)

○鈴木(義)委員 私の聞こうと思つたことは、つまり個々の学者が原子力の研究をするとか原子力の平和的利用の方法について研究するということでは足りない、国家が行政としてそういう方面に力を入れなければならないという理由を承りたかつたのであります。なお補足したいただけば幸いであります。それで、この提案理由として、科学技術に関する総合的かつ基本的な施策の企画立案あるいは関係行政機関の科学技術行政の総合調整というようなことを申されておるわけでありますが、具体的に申せばどういうことになるか、この点をもう少し具体的に御説明願いたいと存じます。

松前重義日本社会党(右)

○松前重義君 最初の科学技術庁設置法の第三条の第一号「科学技術に関する総合的且つ基本的な施策を企画立案すること。」、第二号「関係各行政機関の所管に属する科学技術に関する事項の総合調整を行うこと。」、この二点に関するお尋ねでございましたが、まず第一に「科学技術に関する総合的且つ基本的な施策を企画立案すること。」これは現在科学技術行政協議会という、学術会議の代表の方々と各官庁の次官級の方々とで形成しておられる協議会がございますけれども、少くとも国家全体の科学技術に関する総合的な、基本的な施策を企画立案するという行政機能を持つておる役所はございません。すなわち科学技術に関する機関は現在各省に分立いたしておりまして、通産省には通産省関係の科学技術に関する研究所もあれば、その行政機関もあります。また農林省には農林省関係の研究機関あるいは行政機関があります。厚生省には厚生省のものがあります。このようなことでありまして、各省の機構の末端にぶら下つておるその研究機関なるものに対しまして、総合的に科学技術に関する政策を立案する体制が現在ないのであります。従つて非常にでこぼこがありまして、いらない研究と申しますか、二重三重にダブつておる研究もあります。たとえば航空に関する問題のごときは——これは最初に航空を出してはどうかとも思いますけれども、航空の問題のごときは、ただいま通産省からその研究所をつくりたいという要求が出ております、それからまた運輸省からもこの要求が出ております、保安庁も何か出しておられるということであります。こういうことで、たつた一つの航空という、同じ空を飛ぶ飛行機を研究するというだけでも、このように三つも四つもの役所から出され、かも三つも四つもにそれぞれ研究機関を附置するようなことでは問題にならない。このようなことでありまして、とにかく非常な複雑多岐にわたつておる科学技術の現状であります。ガスタービンなどの研究におきましても、これは運輸省、通産省などでお互いにダブつております。また微生物の研究などにおきましても、厚生省はいわゆる厚生医学の立場から研究所を持つておりますし、通産省は発酵研究所というものを持つております。それから農林省は食糧研究所を持つております。すなわち厚生省はペニシリンというようなもの、通産省はアルコールというようなもの、農林省はみそやしようゆというようなものを研究しております。また大蔵省の醸造研究所もあります。それぞれその目的に向つて研究はしておられますが、これらが総合的に一つの微生物の研究として歩調をそろえてお互いに相助けけて行くような体制が現在日本にないのでありまして、それらが一応歩調を合せてお互いに助け合うような体制をつくり出すことが、今後において絶対に必要なのであります。科学技術におきまして最も欠陥とされておりますものは、従来専門と専門との間にあるみぞで、このみぞを埋めれば非常に全体としての技術のレベルが上り、あるいは製品も優秀なものができるというようなことが非常に多いのでありますが、そのみぞを発見する機関もなければ、これを埋めようという努力をする行政機構もないということがこの総合企画立案ということの趣旨でございます。  第二の「関係各行政機関の所管に属する科学技術に関する事項の総合調整を行うこと。」このことは企画立案と裏表の問題でありまして、これらの現在行われておる研究、あるいはまた行わんとする研究の総合調整、すなわちむだのないように重点的にお金を使い、そしてお互いに助け合つて行くような体制をつくる、これが総合調整の意味でございます。大体このような、状態でありまするので、科学技術というまことに複雑多岐にして、産業の裏づけとして最も重要なものであるのにもかかわらず、現在全然これに対する——何も統制とかなんとかという意味ではございません。これをめんどうを見る機関がない、科学技術に関しては方々の機関に持つて行きまして、どこで一体親切に世話をしてくれるのか全然わからないというようなこの複雑多岐なものに対しまして、これを一応ここで科学技術に関する研究のサービス機関とし、そうしてこれらの助長機関といたしましてこれを設置いたしますることは、最も重要な今日の課題であると思つておる次第であります。

鈴木義男日本社会党(右)

○鈴木(義)委員 あまり私だけ聞いても恐縮でありますが、十分に聞けば、何時間聞いても足りないと思いますから、なるたけはしよります。そこで「科学技術行政協議会の審議を経た日本学術会議の答申又は勧告につき必要な行政措置を講ずること。」こういう項目があるわけであります。進んでは、科学技術行政協議会の事務もこの役所で処理するということですが、これは提案者でも、あるいは茅先生でもよろしいのですけれども、学界との関係というものは非常にむずかしい問題になると思います。学者は官庁に利用されることを非常に警戒する傾向を持つておる。むろん一般行政、ことに今の政治のような政党本位の政治ということになると、利用されることをいやがるのは当然でありますが、おそらくこういう科学技術庁のようなものこそ政党的な中立を守つて、永続性を持つた一つの施策をやる役所でなければならぬと思います。学界等から敬遠されるようなことがあるべきはずもなくまたあつてはならないと思います。そういう点についてはどういうふうな構類を持つておられまするか、一端はただいま茅先生から御説明がありましたけれども、さらに進んでもう少し詳細に提案者または茅先生から御説明を願いたいと思います。

松前重義日本社会党(右)

○松前重義君 三条の九が、「科学技術行政協議会の審議を経た日本学術会議の答申又は勧告につき必要な行政措置を講ずること。」それから十が「科学技術行政協議会の事務を処理すること。」これに対する御質疑であろうと思います。科学技術行政協議会の審議を経ました学術会議の答申、これに対しまして、ただいまのところその答申を内閣総理大臣に持つて行きまして、それが大体どうなるかという問題については、総理大臣に一々督促をするよりほかに道がないというような状況でありますので、学術会議の代表者たちが各省の代表者と集まられて、学術会議より出て参りましたもろもろの意見がここに終結して、そして総理大臣に答申されましても、これを具体的に推進する機関が現在のところないのであります。各省の次官がここにその委員として出ておりましても、その人たちは必ずしも熱心にこの処理の責任を持つておりません。従つて今までこれらの問題で責任を持つて処理されたものはほとんどないといつていいくらいであります。これを何とかめんどうを見て責任を持つ、学術会議その他より出て参りました意見を、具体的に行政的にこれを処理して行くということが絶封的に必要であります。このような機関が現在のところないものでありまするので、科学技術の問題の処理というものは、非常な空白状態になつておるのであります。でありますから、学術会議は科学技術庁の責任において、科学技術行政協議会を経ました答申案の解決のために努力をし、お互いに手をつないで行くというところに、この行政組織の趣旨があるのであります。

茅誠司日本学術会議会長

○茅参考人 私は現在科学技術行政協議会の委員でもございますので、この方面のことについて相当詳しく知つておりますから、現状を申し上げたいと存じます。  科学技術行政協議会と申しますものは、学術会議が科学を行政、産業に反映、浸透させる、そういう目的を達成するために、政府と学術会議との中間にあるものでございます。それに対しまして、学術会議はこれを通して政府に勧告を行い、また政府はこれを通して学術会議に諮問をすることができるようになつております。政府が学術会議に対して諮問する事項と申しますのま、学府会議法の第四条に掲げておられまして、科学に関する研究、試験等の助成、その他科学の振興をはかるために、政府の支出する交付金、補助金等の予算及びその配分等、その他重要事項について、学術会議に諮問することができるごとになつております。それで先ほど松前さんから御説明のありました通りに、科学技術行政協議会におきましてこういう事柄がどのように審議されておるかと申しますと、実際には、委員としては、学術会議から推薦しました十三人の委員並びに各省の十三人の次官から委員会が構成されておるのでありますけれども、今次官に非常に忙しくて、実際に出席される方がほとんどない、ごくまれでありまして、多くはその代理の方が出席されております。それから学術会議の副会長がこれを司会されることになつておるのでありますが、副会長としては大達文部大臣がこれに当つておられる、しかし大達文部大臣は会議に出席されたことはまだ一度もございません。こういう実情でありまして、実際の審議ははなはだ低調であるということは事実であります。政府は科学技術に関する重要施策に、ついて学術会議に諮問することができるということになつておりますけれども、なされないのが通例であるように私は思うのであります。できるということはどういう意味か、私法律専門家でありませんからわかりませんが、できるにもかかわらずなされない以上は、何か理由がなければならぬ。その理由は私たち承つておりません。そういうことで、科学技術行政協議会は、実際に活躍してはおりますけれども、その活躍しておりますことは、非常に小さな事柄、必要なことでありますけれども、大きな立場から見ますと、割合に技術的なこまかい問題について取扱つていまして、これは相当よく利用されまして、その勧告等はほとんどいれられております。大部分のものはいれられておる実情でありまして、先ほど松前さんが、責任を持つてこれを行政に移すというところがないとおつしやいましたけれども、事実におきましては、こういう小さい問題に対しましては、相当よく行政にこれが移されておる実情だと私は思います。しかしながらもつと大きな問題、国策的な大きな科学上の問題になりますと、諮問もございませんし、またこちらからそれに答えた答申もしておらない。従つて学術会議がその設立の趣旨に沿うて十分に活躍することができない実情にあります。そういう科学技術行政協議会の現状に関して私はお答え申し上げたいと思います。

鈴木義男日本社会党(右)

○鈴木(義)委員 提案者の福田さんもお見えのようでありますので、福田さんにもお答え願いたいと思います。  厚生省や農林省、主として厚生省だと思いますが、医学的なあるいは薬学的な研究をしておるいろいろな機関と、今度できる科学技術庁との関係というものはどういうふうになるのか。先ほどの松前さんのお話の中に一端は触れておりましたけれども、ことに厚生省の管下にありますような機関との間に摩擦を生ずるおそれがないかというようなことを心配するものであります。その点について御説明を願いたいと存じます。

福田昌子日本社会党(左)

○福田昌子君 ただいまの御質問でございますが、直接には現在の厚生省内にございます一機構を、この技術庁ができましたことによりまして改編いたしまして、内部の機構改革をやるというようなことには、この技術庁は関係いたしておりません。しかし厚生省内部の学問的な見地から見ましたいういろいろな行政部門ということに対しましては、多少の機機整備に対しまして発言権というものは持つ立場に立つかと思いますが、そういう立場には審議会がございますので、その審議会に厚生省の方にお入りいただきまして、その審議会における運営によつて間接的に厚生省内部の機構改革というような点にも科学的に働きかけて行くというようなことになると思います。

鈴木義男日本社会党(右)

○鈴木(義)委員 この法案によりますと、第三条七号に「科学技術に関する試験研究(特定の行政機関の主管に属するものを除く。)及び調査を行うこと。」というふうになつておるわけであります。それはただいまお答えになつたような趣旨であろうと思いますけれども、松前さんにお伺いいたしますが、科学技術に関する試験研究及び調査を行うということになると、現業官庁のような印象を与える試験所、研究所をみずから持つかのごとく考えられますが、この点にどうですか。

松前重義日本社会党(右)

○松前重義君 実は先ほど茅先生からお話がありましたように、この科学技術庁はできるだけ直接の研究機関を下部組織として持たない、こういうのが原則であります。またそうしなければならないと思うのであります。ところが先ほど申し上げましたように、航空の研究のようなものは、通産省でも大きな航空研究所をつくりたいという要望が出る、あるいはまた運輸省でもそういう要求が出る、また保安庁からも出るというようなことになつて参りましてそれをそれぞれおのおのにくつつけて行くということにするといたしますれば、これは三重の浪費になるのであります。こういうようなものがどこにもつけようがない、どこにつけてもちよつとぐあいが悪いというようなことになりますと、これは非常に迷い子みたいなかつこうになりますので、これをこの科学技術庁のようなところに附設いたしまして、そうして全体に兵通な研究をここでやつて行く、こういうことを一応想定してここに書いてある次第であります。「(特定の行政機関の主管に属するものを除く。)」という括弧の中はこういう意味を持つておるのであります。  もう一つは災害の研究であります。わが国の災害は御承知のように、昨年のごときはたつた二、三日の雨で一千億以上の災害をこうむつた。日本の一兆円の十分の一の予算がふつとんでしまうというようなことは、災害に対する、大自然に対する科学的な戦いの態勢ができていなということになることはもちろんであります。これらの態勢を政治の根本にも生かさなければなりませんが、まずもつてそれらと戦う態勢、作戦計画をきめなければならない。その作戦計画をきめるのにも、ただいまのように治山治水とは申しますものの治山は農林省で、治水は建設省で、あるいは雨が降るとなればこれは気象の問題でありますからこれは気象台、こういうように各方面に分散されている状況で、この足並がそろつているとは必ずしも言いがたいのであります。このような大自然との戦いの作戦計画をきめますのにはどうしても歩調を一致させて、お互いに足並をそろえて行かなければならない。このような研究をやるにも、どこの役所につけるというわけには参りません。建設省にも土木研究所というものがありまして災害の試験、研究をやつておるのであります。また農林省には林業試験場があつて、治山の方面、植林の問題をやつております。あるいはまた砂防の研究もやりております。このようにそれぞれ研究はございましても、足並がそろつているとは言えない。また気象は気象の方でこれは別であります。こういうことではとうてい統一したる大自然との戦いの作戦ができるとは言えないのでありますから、これを具体化いたしますためには、科学技術庁のもとに災害防止研究所のようなものを置く。但しこの研究所は何も研究員をたくさん持つて、それらの建設省や農林旨の研究所のしていることをここに統合しようというのではありません。それらの各省の研究所の災害に関する部分をお互いに調整してその歩調を合せるようにやつて参りたい。災害に関しての研究の弱いところへはうんと予算をとつてあげて助けてあげる。このようにしてこの災害の防止に対する具体案をつくり、計画的にこの災害防止についての建設省の努力、農林省の努力をそれぞれ続けて参らなければならないのでありますから、こういう意味における災害科学に関する研究所をこの科学技術庁に置きたい。しかしこれはあくまでも各省から災害に関するエキスパートに兼務のような形で来てもらう。ふだんは各省の研究所におつてさしつかえありませんが、兼務の形で来てもらう。そして二、三の少数のとりまとめ役をここに置いてやるというような、規模としては小規模でありますが、仕事の範囲その他は広汎にわたり、各省の足並を調整するというようなところにあるのであります。こういうことで、科学技術に関する「(特定の行政機関の主管に属するものを除く。)」と書いてありますが、それを除きまして、全体を調整して調査を進めて行く、こういうことをやろうというのでございます。でありますから、あくまでも自分自身が研究所を持つというようなことはなるべく避けなければならない、またそうしなければこの使命を果すことは困難であるということを前提といたしておるものであります。

鈴木義男日本社会党(右)

○鈴木(義)委員 いま一つだけ伺います。最後に、科学技術庁の構成でありますが、長官は国務大臣を充てる、そいう適任者が得られるかどうかといつの問題はありますけれども、とにかく次長、それから科学技術官十人、調査官十人、こういう人たちはどういう人をもつて充てるつもりでおられまするか、またそういう人を容易に得られるとお考えであるか、おそらくこういう官庁はその人を得るか得ないかで、成績が定まると申してもさしつかえないと思うのであります。私が法務総裁でありまするときに調査長官というものをつくりまして、全世界の立法について平素常に調査をし、準備をして待つておる、それを具体的に立法に移すものは法制長官、ところが従来の役人の中からそういう調査長官を得ようとしても不可能で、眼界があまりにも狭い。そこでやむを得ず東京大学の教授にやめていただいて調査長官になつていただいて、その下に十人ほどのスタッフを置いて非常に活発に仕事に着手したのでありますけれども、わずか一年にして、次の内閣はこんなむだ飯を食うものはやめた方がいいといつてやめてしまつたのであります。それに似た心配があるのでありまして、どういう抱負をお持ちになつておられますか、提案者に承つておきたいと存じます。

松前重義日本社会党(右)

○松前重義君 科学技術庁の長官、次長、科学技術官、調査官、こういうものに人材ありやというお尋ねでございましたが、人材は、私を除いて多士済々だろうと思うのであります。この科学技術の振興には、御承知のように莫大な経費と長年月を要しまするから、わが国のような資源並びに国力の貧弱な国におきましては、特定の研究に重点を置かなければなりません。しかも科学技術の範囲は、物理学や化学を基礎といたしまして、工学、農学、医学等すこぶる広範囲にわたつておりまするから、従来のように常識的な行政官の判断によりまして、科学技術政策を樹立することははなはだしく危険であります。ただいまはこのような状態に——いわゆる常識的な、科学的の常識のない人の判断によりまして科学技術に対する問題が論議されておるのであります。すなわち予算の要求をいたしましても、必ずしも大蔵省の諸君がこれらの全体の日本の科学をどうすれば日本の産業がよくなるか、輸出工業がよくなるかということを自覚して査定をし、自信を持つてやつておいでになる人はおらぬと思う。この意味におきまして、各分野の権威ある専門家を科学技術官といたしまして、学界、官公立研究機関、民間研究機関、産業界並びに日本学術会議などと緊密なる連絡をとりまして、科学技術に関する各省間の総合調整をなしまして、基本的な施策を樹立する必要があると思うのであります。科学技術官の専門的判断をなさしむる資料を作成する業務に関しましては、課制をしてこれで実施し得るのでありまするが、科学技術官の作成しました基本的な施策並びに総合調整の方針によりまして、総合調整を実施する有能な調査官に、きわめて少数の補佐官を配すれば十分目的を達し得ると思うのであります。いたずらに課をつくつたりなんかいたしまして、セクシヨナリズムをやられたのでは、これは問題にならない。現在の経済審議庁にある審議官のような形におきまして、自由にしかも機動性のある幅の広い体制を整えることが必要であると思うのであります。人の問題に対しましては、これは大臣が長官を兼務することに相なつておりまするが、科学技術に関する問題が非常に重要であり、産業革命の先駆であるところの科学技術を無視しておるというようなことでは、経済政策というものは樹立できないと思うのでありますから、どうしても閣議にこれを反映せしめる。内閣はかわつても、とにかく閣議にこの面を反映せしめておかなければ、経済政策として非常に片手落ちのことになると思うのでありまするから、いわゆる長官は大臣をもつて兼務せしむるということになつておる次第であります。従つてこれは科学技術の専門家であればなおけつこうでありまするが、必ずしもそうでなくても、これらに対する理解者であり、熱意を持つ人であれば十分であるかと思うのでありまするが、次長その他科学技術官、調査官などは各界より有能な人を選ぶ必要があるかと思うのであります。これは内閣が任命するのでございますので、私ども提案者としては、少くとも内閣がかわつてもこの人たちに異動を及ぼさないような有能な人たちをここに配する必要があると思うのであります。

鈴木義男日本社会党(右)

○鈴木(義)委員 私の質疑をこれで終ります。

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 次に田中稔男君。

田中稔男日本社会党(左)

○田中(稔)委員 延期します。

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 それでは高瀬伝君。

高瀬傳改進党

○高瀬委員 ただいま松前君からいろいろ詳細な御説明がありましたが、私は実はこれを伺つてピンと来ない。どういうことをどういうふうにおやりになるかということが、たびたび伺つてもさつぱりわからないのです。私は頭が少し変なのかもわかりませんが、どうもわからない。そこで私が伺いたいのは、かつて企画院みたいなものがあつて、戦時中に戦時体制を強化するためにいろいろなことを統制的に指導した。こういうようなことに結局おちついてしまうのじやないか。しかもその指導統制が非常にピントがいずれて、実際研究しておられる、たとえば航空を研究される、あるいは原子力を研究されるというような、実際の学者で研究所を持つて研究しておられる方なんかにこの技術庁のいろいろな指導とか、いろいろの考え方がピンと反映しない。むしろ研究所の方で、あんなものがあつて変なことをやつてくれるものだから、おれたちは特殊な研究ができない。ここで見ますと、たとえば航空研究所を持つというようなことが書いてあります。ところがただ持つただけでは、先ほどのような御説明では、あの航空などというむずかしいことを技術庁で研究なんかとうていできないと私は思う。ですから結局あまり黄体に触れていない人が、直接研究所なんかで詳細な実体的な研究をしておるところへいろいろ指令を発して、お前のところはこつちの研究とダブつておるからこういうことをやれといつても聞くものじないと思う。私がそういう点で特に伺いたいのは、一体こういうようなものをつくる必要があるのかどうかということを率直に本日お見えになつている茅さん、それから藤岡さんなんかに伺つてみたい。これは何も遠慮はいらぬことですから——特に藤岡さんも茅さんも私はきのうお目にかかりました。何か原子力の予算の問題で改進党の方にお見えになつておつたようですが、私はきのう非常に驚いたことがあるのです。それはわれわれが大学の学生のときに、大正十二年ごろだつたと思う、初めてできた、本郷のどこのところにありますか、理化学研究所が今やつぶれようとしておる。一億ぐらいの借金があつて、その整理ができない、しかし私はそれを日本の国家がほつておくということに非常に一驚を喫した一人なんです。そこでわれれわは少くとも原子力研究の予算の中から一億以上のものをそこえわけて上げたいということをきのう改進党で相談をした。ああいう優秀な機関が今片一方でつぶれかけているわけです。日本の政府あるいは国会がこういうような問題こそ当然まじめに考えて善処してやるべき問題であつて、私は技術庁などいち早くつくるよりは、目の前の日本で非常に重要な研究機関であるところの元の理化学研究所とかあるいは帝大の航空研究所とか、そういうものをどんどんと予算をつくつて特殊の研究をする。それから研究そのものも学者の立場で統合されて、技術庁なんかから指導されたのでは独自の研究ができなくてめちやくちやになつてしまうのではないかと思います。むしろ国家の情勢で戦争前の企画院みたいに、わけもわからないことをぐんぐん指導して変なことになるというきらいもありますから、この点も私は特に学者の立場におられる茅さん、藤岡さんに伺いたいのです。率直にひとつおつしやつてください。

松前重義日本社会党(右)

○松前重義君 ただいまの御質問は非常に御心配の御質問でありますが、科学技術庁というようなところにえらい金を使うよりも原子炉その他に金を使えというお説のようでありましたが、この金は現在の予算でほんのわずかの予備費をもらえばできるようになつております。でありまするからただいまのお説は非常に予算を使うであろうという前提のもとであつたと思いますが、そうではないのであります。それからもう一つは、科学技術庁がもしあつて有能な人が大臣であり、その他科学技術官がおりまして、各界の意見を、学術会議その他の意見をとりまとめて、そして科学技術に関する予算をここに要求するといたしまするならば、現在の二億円そこそこで原子力の研究なんかできるものじやないのです。だからそういうところをお考え願いたい。でありますからどうしてもやはり科学技術に関する学術会議その他の意見をまず取上げて、これを閣議その他国会なら国会に持ち出すところの機関が現在ない。だからそういう点をお考え願つて、科学技術庁というものはどうしてもひとつつくらなくちやいかぬ、今のお言葉を返すようでありますが応お答えを申し上げます。

茅誠司日本学術会議会長

○茅参考人 この科学技術庁というようなものが必要かどうかということにつきまして、学術会議におきまして論議した点は、先ほど申し上げましたようにまだ学術会議全体の意向というものはきまつておりませんので、私は学術会議の会長としてではなく、個人として自分の意見を述べさせていただきたいと思います。その点をはつきりと申し上げておきます。  私は学術体制の理想と申しますのは方に責任を持つて日本の科学行政をやるところがあり、それと対応して学術会議といつたような学者のグループの審議機関があつて、科学行政の責任官庁と審議機関がお互いに向い合いまして、両者切瑳琢磨して科学技術を推進させて行き、行過ぎを是正し不足を補つて行くということを理想としているのであります。ただ理想と実際とがどういうふうに隔るか。それは非常にりつぱな人たちによつて行政が行われ、非常にりつぱな学者によつて審議が行われるという、そういう過程であります。でありますから私はこの方向に向つて日本の学術体制が進むことを心から希望しているものでありますが、現実は必ずしもそう行かない。現在の段階におきまして、私はかつて学術会議並びに科学技術行政協議会をつくりました際にも、そういう希望を強く申し述べたのでありますけれども、今のように科学技術行政協議会という、いわば郵便配達的なものを中に置くということにおちついてしまつたのであります。私はこういう段階を経て来た日本の現状におきましては、科学技術省的なものもこれはできるだけ遊離しない、そうして成績をあげ得るところのもの早くつくる。私自身の考えといたしましては、あまりに一挙に理想に向わないで、たとえば経済審議庁的なものと同調しまして、企画立案するというところあたりにとどめまして、それの成績の上り方によつて逐次それを権限を増して行くということが望ましいのではなかろうか、浮いた存在にならないのではなかろうか。実はこれははなはだ杞憂なのかもしれませんが挙にここにありますような案に飛んだ場合に、はたして全科学者のサポートが得られ、そして各官庁との間にギヤツプもなく正常な発達を遂げ得るであろうかという点については、しろうとではありますが、非常に心配している点であります。まず個人の意見として申し上げます。

藤岡由夫日本学術会議会員

○藤岡参考人 私日本学術会議に置かれております研究体制委員会の委員長をしております藤岡でございます。先ほど茅会長から、従来日本学術会議がこの科学技術庁問題について審議して参りました経過について御説明がございました。私は今度の提案が出ました後に研究体制委員会でいろいろと審議し心配し考えておりますことの大要を申し上げることが、ただいまの御質問に対する御説明になるかと存じます。  学術会議の会議員といたしましてこういう法案つまり科学技術庁をつくりますことが必要であると考えます点と、それからこういうものができますことに対する心配な点と、その両方の面がございます。こういうものがやはり必要ではないかと考えます点を先に申し上げますと、たとえば先ほどからたびたび話題に出たことでございますけれども、いろいろの研究が重複して各省などで行われておりますことの総合調整をするということがどうしても必要ではないか。航空の問題について先ほど御説明もございました。そのほか微生物の研究の問題、そういうような問題も今のままではあまりに各方面でダブつたことが行われている。これはどうしてもある程度調整することが必要ではないか。そういう点が一つであります。それから学者は研究に最も自由をとうとびます。それでそれぞれ自分自身の考えに従いまして自由な研究を進めて参る。これは一般の傾向でございます。学問としてはそれでよろしいのではございますけれども、科学を行政に反映させるという面から参りますと、やはりある種の解決をしなければならない問題、そういう問題がいろいろございます。たとえて申せば防災の問題もそうでございましようし、長い期間にわたりまして国策としてどうしても科学を取上げて行かなければならない、そういうふうなことを常に考えて行くところがどこかになければならないのではなかろうか。現在の学術会議並びに科学技術行政協議会はそういうことを担当いたしますにはあまりに貧弱でございまして、学術会議は調査費もなければ調査官もおりません。ただ学者がときどき集まることができるだけでございます。これを常時担当するにはまだまだ強化が必要であると考えるのであります。そういう意味でそういうことの責任を持つところがあることが必要であろう。それから各省がそれぞれ独立して担当いたしておりますために、そこに抜けがありはしないか。ある問題はどこの省でも取上げられない、捨子のようなことになつているところがありはしないか。そういうものを考えるところとしてその責任の官庁が必要であるだろう。そういう点がこの科学技術庁というものを、こういう構想が必要であろうということを、認める点でございます。  それからまたこれに関して心配な点もございます。それは役所ができまして、その役所の担当する人たちが熱心になれば、自然そこであるごとに力を入れるということのあまり研究統制が起りはしないか。その結果その点だけか非常に強く発達いたしまして、また捨てられた部門も出て来るのではないか、日本の学問全体の円満な発達を阻害するのではないか、そういうふうな息が心配な点であります。それからまん学者がこれに対してあまり協力をしばいのではないか、これはただいまの御質問の趣旨であると思うのでございます。それからまた各官庁との間に浮き上つた存在になりはしないか、こういうふうな点は心配な点でございまして、運営に当つてよほど心がけなければならない点ではないかと思うのでございます。  それでこういう必要な点等を満足いたしまして、こういう官庁がもしできるといたしまして、今度の提出されております法案についての大体の意見を申しますと、研究所を持つことはなるべく避けるがよろしい。しかも先ほどの提案者の御説明から見ましても、趣旨としてはそういうものは持たない方針であるという御説明がございましたが、その点はまつたく見解を同じくするものでございます。それから総合調出をするということでございますけれども、これも予算に関しまして事前に査定をするという条項が第三条のどこかにございますが、そういう点があまりこまかく行われますと、かえつて弊害が生ずるのではないか。その点は実は先ほど私が必要と感ずると申しましたことの総合調整ということに当るのではございますけれども、予算の二重査定ということになりはしないか。あまりにもこまかいところまで一々そこで査定官が査定をするということになりますと、現在大蔵省で行われておりますこととまつたくの二重査定をすることになる。これは各官庁のものについてはなかなかたえられないことであると存じます。また問題によりますと、学問の分野、たとえば大学などが大学の自治を唱えておりますが、そういうところにまで及ぶということになりますると行き過ぎになる点がありはしないか。しかし大局的にはそういうことが必要でございますから、そういう総合調整、予算に関する問題などは大局を押えるという程度にとどめるようにしていただいたらどうか。  それから学界から浮いた存在になつてしまつては困るという点につきましては、日本学術会議は日本の学者の代表機関という建前でできておりますので、この学術会議との関係でございます。これは現在スタックを通じて関係がつくわけでございますけれども、その関係を明確にいたしまして、いつでもこの学者の代表との連絡が十分にとれるような形にしていただきたい。日本学術会議は決して選ばれた二百十名の会員だけのものではございません。二百十名はほんのその代表者でございまして、常に日本全国の各方面の学者と密接な連絡をとるような形態になつておりますので、学術会議を通じて全国の学者と連絡をとることができる。そういう形を明確にしていただきたい。  以上述べました三点が今度の案に対します学術会議の委員会の希望いたします点のおもな点でございます。

江藤夏雄自由党

○江藤委員 ちよつと高瀬さんの御質問に関連いたしまして提案者に御質問をいたしたいと思います。それはこういう機構をつくつて、非常に理想は高く持つた機構であり、その根本精神なり、考え方なりというものはけつこうですが、ややともするとこれがほんとうの科学振興という面の実情に即しないようなものになりはしないかというおそれを高瀬さんは抱いておられるようでありますが、実はその問題に関しましてそういうおそれもあることであるから、むしろこういうものは日本の政府の行うところの直接経済政策なり、そういうものとしつかり結びついた、いわば経済科学庁といいますか、政府の施策面とほんとうに具体的に結びついた意味での科学研究にとどめておく、あるいは生産力の増強であるとか、輸出の振興であるとかいうようなものと直接に結びついたものという意味で経済科学庁とでもいうようなものをつくつたらどうかという考えもいろいろ研究されておるように思うのでございますが、その点に関しまして提案者はどういうふうにお考えになるかちよつとお伺いいたしたいと思います。

松前重義日本社会党(右)

○松前重義君 先ほど高瀬委員の御質問もそういう点を含んでおつたのではないかと思うのでありますが、ただいまの経済科学庁、あるいは経済技術庁というような、現在の経済審議庁と抱き合せた姿においてつくつたらどうか、そうして経済政策の裏づけとしての科学技術というものをここに経済との関連性において行政機構として組織する。こういうふうな御意見でありますが、これは私もまつたく同感であります。その同感でありまするゆえんは、先ほども申しましたようにいわゆる経済の裏づけが、科学技術と輸出の振興もこれなくしてはできないというような立場かう私は同感なのであります。しかしそれにもかかわらず何ゆえにこのような科学技術庁としての独立のものを出したかと申しますれば、アメリカや西ドイツや、その他の国のように、日本の科学技術が非常に進歩いたしまして、世界的な最高水準に近づいている、このような科学技術の状態であるといたしますならば、経済との裏づけにおいて当然一緒にして、経済科学庁か経済技術庁を設立いたしまして、ともに手を携えて日本経済の振興のために努力するような仕組みをつくることは最も妥当であろうと思うのであります。しかし遺憾ながら日本の現状は科学技術におきましてははるかに低いのであります。まことに科学技術の出身として申訳ない次第でありますが、現在のこのような情勢にありまするゆえんのものは、先ほど来申し上げましたように、科学技術に関するたくましい施策がどこからも生れて来ないということであります。たまたま多少方々でそれらの要求にこたえようといたしましても、必ずしもそれがピントが合つているとも思えない場合が多いのでありまして、このような状態である日本の科学技術が、世界的なレベルにおいて世界水準より低いということのために、どうしても早急にわが国の科学技術を上げなければならないということに相なるのであります。経済科学庁あるいは経済技術庁としてやるということが理想なのでありますが、今日のところは重点的に科学技術の振興をはかるために、しかも急速にこれをはかるために、一応ここに独立の官庁をつくりまして、あるレベルに達してから一つの理想的な将来の行政機構に移行せしめたらどうだろうか、このようなことを考えまして、ここに科学技術庁としての目的を持ちながらも独立の官庁として提案いたした次第であります。  蛇足ではありまするが、御承知のように現在、日本の工業は相当の部分がアメリカの科学技術に依存しておるのであります。アメリカの科学技術に依存しておりまする現状を少しばかり申し上げてみますると、日本がアメリカから特許を買いましてそれを使わしてもらうために、昭和二十八年度の予算においてわが国よりアメリカに支払われましたところの特許料は大体五十億以上であります。しかもその使いました特許——たとえばビニールの生産技術を日本に導入したといたします。通産大臣などはしよつちゆうそういうことを言つて得意になつておられたようでありますが、そのような特許を輸入いたしたといたしましてそのときの特許に対する使用料を生産高に応じて払いますのは当然であります。それがほかのものと合せて五十億以上になつておる。ところがその特許を使わしてもらつてできましたビニールならビニールの生産品は、わが国だけにしか売れないすなわち日本以外のところには輸出しないという契約がその裏に結ばれておるのであります。これはほとんどすべてに共通な点であろうと思うのであります。このような意味におきまして、いわゆる日本の輸出市場を制限されまして初めて特許の輸入ができ、しかも輸入された特許には生産高に応じて特許料を支払う、こういうことでありまするから、日本の輸出振興をはかろうと思いましてもこのような技術のひもつきにおいては絶対にできない。日本はこういう意味において、アメリカに経済的に隷属する形になります。どうしても日本の科学技術のレベルを上げ、日本人の手によつてこのビニールの生産技術を高め、そうしてそれでできたものを世界の市場に大手を振つて輸出するようなかつこうにしなければ、日本の経済は絶対に伸びないということは明らかであります。こういう意味からいたしましても、早急に科学技術の振興をはかりまして、各研究機関に今のような貧張な予算ではなくいたしまして、どしどし重点的に、また相当に力を入れましてこれらの研究を助成する必要がある。このような中央機関をどうしても早急につくりまして、そうして将来世界の水準にできるだけ早く達するようにしなければならない、こういうことを考えまして一応科学技術庁として提案し、歴史的過程を経過いたしまして、将来においてその水準が世界水準に近くなつたときに、私はただいまのような江藤委員のお説に対しては賛成を表する次第であります。さしむきの問題といたしまして、ここしばらくの歴史的過程として科学技術庁という独立官庁によつて重点的に科学技術の向上をはからしめる、こういう意味で提案いたした次第であります。

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 長野長広君。

長野長廣自由党

○長野委員 科学技術の振興をはかることは絶対に必要なことでございます。ことにきわめて急速を要することであろうと思います。それにつきましてこの提案を見た次第と存じまするがこの点二つだけ私の疑問とするところをお尋ねしたい。  先ほど来だんだん話を聞いて参りますると、どうも根底に力強い理由というか、一つの制度の根本的な生命というものが確立をしておりませんとその制度は浮き上つてしまつて、まつたく意味をなさないことになることは、往々にして過去の各種の制度、各種の機関にこの事実を見ておるのであります。この意味から規定の一、二を拝見してみますると、まず第一にここに掲げられておるのを見ますと、相当重複するおそれがある。航空問題その他いろいろ掲げられておりますが、この重複するということはつまり原則の中の根本の原理、これを研究するところの機関を確立する必要がありはしないか。例をあげてみますると、気象であるとか生物であるとかあるいは地質、電気、いろいろそういう面がございましようが、そういう根本原理を研究する施設をこの際考える必要があるかりに名前をつけてみますると大自然研究所というものをつくつて、そうしてこれらの各部門の根本原理を研究するという施設をまず確立することが必要ではないかと考えまするが、いかがで、ございましようか。

松前重義日本社会党(右)

○松前重義君 大体わかつたような気がいたしますけれども、たとえば具体的にどういうことであるかお示しを願いたいと思います。

長野長廣自由党

○長野委員 たとえばここに掲げられておるのは一つの応用的研究調査とも言うべきものであります。たとえば黴菌で言えば大体厚生省で重きを置いておる黴菌、農業上における病害その他醗酵に関する黴菌、その他たくさんあります。そういつたものを各省においてばらばらになつてやつておる。これを統轄して、細菌は細菌分野において徹底的研究をやる。あるいは電気においては——電気と申しましても今日では通産省の関係しておる電気もありましよう。工業方面が特にそうです。それから農業においても電気栽培というものが非常に飛躍をして来ておる。一例をあげると、そういつたものを応用面でそれぞれの省でやると重複になる。しかしそれらの省では根本原理の研究は進まない。私の言うのは根本原理を研究する大自然研究所をつくる必要がありはせぬか、こういうことです。

松前重義日本社会党(右)

○松前重義君 ただいまの積極的なお説に対して、思想的には私どもも賛成いたします。この科学技術庁におきまして所掌いたしまする仕事としては、いわゆる根本的な共通なな原理、あらゆる技術と申しまするか生産、その他医学、薬学等に共通な一つの根本原理と申しますか、これに対しての研究は自然科学の基礎的な問題に相なりまするので、大体ここに科学技術庁として考えておりますことは、科学技術庁におきましては文部省のやつておる事柄がただいまの根本的な研究に属しております。でありまするので、文部省の研究に対しましては、この科学技術庁は一応お世話はしても、具体的に調整をはかるべくこちらから出かけて行くということはしないという建前に相なつておるのであります。ただいまのお説は少くとも大学の先生方や、あるいは大学付属研究所の方々が、ただいまの努力をしておられまするし、それらの基礎的な研究というものを重視をしておいでになるのでありまして、これに対しましては一応この科学技術庁はお世話はしても、こちらから出向いて具体的にいろいろおせつかいはしない、こういうようなかつこうに相なつておる次第であります。これで逃げるわけではありませんが、これらの問題は、少くともただいまのお説のように、学術会議を通じまして、科学技術行政協議会を経由いたしまして、そうして科学技術庁ができたとすれば、この科学技術庁が責任を持つてその処理に当り、すなわち基礎研究をやる、基礎研究の共通研究所をつくれという結論に到達しますれば、それの具体化に対しまして予算措置を講じ、内閣を通じて国会に提案される、こういうかつこうに相なるかと思うのでございます。ただいまのお話については、私ども科学技術者として今日までやつて参りました個人といたしましても、賛成でありますが、それらの実現に対しましては、ただいまのような機関を通じまして、この科学技術庁ができましたあかつきには、必ず生れて来るものと思う次第であります。

長野長廣自由党

○長野委員 大学における研究、換言すれば文部省の仕事ということに重きを置いてお考えになつておるようでありますが、私の意見はこういうことなのです。たとえば大学で、名前は申しませんが、某東大教授が、蛋白質自然造成のための藻の研究をやつておる。アメリカでも学会でそれを認めておる。しかしそれを実現するにつきましては、年々何億かの金がいるので、これはそのまま停止状態にある事実は、もうすでに御承知と思います。そういう事実がある。それからあるいはまた今や世界の科学界の注視の的になつておるのは、海です。大昔から大陸が洗われて海に注がれておる結果、海は一つのるつぼである。あらゆる元素を溶いておるところのるつぼである。このるつぼを開拓するために、すでに電気をもつて食塩をとる、あるいはマグネシウムをとる、最近はまだ工業化されておりませんが、ウラニウムのごときもはや不可能ではないという域に達しておる。かような事実から考えて、海を対象とする一つの研究というものを考えて参りますと、現在文部省でわずかに一億かそごらの金を組まれておる状態ではだめです。またもうすでにそこらまで行くと、学校の研究ではない。これこそ新日本再建の意味において進出すべき分野であると私は考える。いやしくも科学庁というものをお考えになる場合には、かかる重要な、むしろ科学の生命とも言うべき問題をつかまえて、かかることをやるための準備だけでもやることを考えてもらいたい。ただ現在あるものを集めて来て、とりあえずこれに基いてということになりますと、それこそ分野の争いが起りまして、内輪げんかが起るのが関の山です。結局往々にして起りまする、今までのかかる制度の建設においても失敗したことを、繰返すおそれがあるのではないかということを心配するのであります。むしろこの際ただいま申し上げたように、新分野に、しかもきわめて切要なる分野に進出する意味において、その根本原理の研究の施設を、この中に盛り込んで行かれろことが必要ではないか、こういうわけでございます。いかがでございましようか。

松前重義日本社会党(右)

○松前重義君 非常に積極的な御意見並びに御質問に対して恐縮に存じまするが、私どもも提案いたしまするときに、ただいまのような問題につきまして、重点的に、たとえばただいまの海水資源の開発というような問題だとか、あるいはまたその他の天然資源に対する開発の問題を中心として、研究所をここにつくつたらいいじやないか、これを基に研究所を下部組織として置いたらいいじやないかという意見も出たのでございますけれども、しかしこれらの問題は、少くとも科学技術庁ができまして、その運営を通じまして、あるいは学術会議の結論として、これらが科学技術行政協議会を経由いたしまして、これを具体的に具体化する、こういうことが行われる。すなわちその場合において、今のような問題が当然出て来るものである。またそのほかの科学技術審議会のようなものがこれに付設されるようになつておりますので、これらによつて当然各学者の優秀な方々や、あるいはまた政治家の方々等からこれらの意見が出まして、それを具体的に重点的に片づけて行く、こういうことにしたらどうかということで、実は初めからその立案をわれわれ議員だけの知識をもつてこれに書き込んでおくということは、非常におこがましいと思つたので、このように科学技術庁のなすべき行政的な政策立案等に対するところの課題として残してある次第でありまして、ただいまの御意見等に対しては、私ども立案者といたしましても満腔の賛成を表するものであります。

長野長廣自由党

○長野委員 時間の関係がありますから、もう一つそれに関連した新しい問題を申し上げます。第七条を見ますと、「資源調査所は、地質及び地下資源の調査並びにこれに関する研究」云云という項があります。もちろんこれも絶対必要なことでございますが、海水という言つたらいいか、川も含めて水面と言つたらいいか、そういう水の研究といつたものを欠いておることは、私個人としては非常に物足らぬ感じがするのであります。はなはだ失礼でありますが、かくのごとき新しい行政機関を設けんとするにつきましては、設けざるべからざる根本のその理由がここに立つていなければならぬ。そうせぬと、これは政治的に問題にならぬのであります。何も寄せ集めてやろというだけならやる必要はないじやないか。今日私のようなしろうとが申し上げろまでもなく、世界の自然科学の学者は動植物並びに各元素の問題について、海水こそ各国文化の競争の一つの基調であるとまで言われておるのであります。だから地質もいいけれども、そこに海水あるいは面という文句をお入れになる必要はありはせぬか。同時に私ども先ほど申し上げた自説を固執するわけではありませんが、ひとつ御検討を願いたいと思うことは、この行政機関を設けざるべからざる理由は、現在ある応用学的研究を寄せ集めた上にとりあえず設けるということは、これは事案であるから、もうよろしい。さらにそれにつけ加えるに、新分野に関してこれをつくらなければとうていわが国産業文化の根源を開拓することはできないという課題を、もう一つこの中に加えてもらいたい。これはその他の表現方法でもよろしいが、とにかくそういうものを加えてもらいたい。一昨々年文部省においては、ちようど私が委員長をしておりましたときに、科学振興の意味で産業教育振興費というものを設けて、七箇年に二百億円の予算を出した。これで皆さんの御研究になつておるこの分野で働く労働青年 あるいは上は大学の教員というものに対して科学教育の徹底的な振興をはかるための案を出した。ところが池田君も、大蔵大臣として一円も削らない。また当時進駐軍におられましたウイリテムズ将軍のごときも絶対賛成だというので、これも一文も削減しない。そして毎年三十億円を、一面は平衡交付金、一面は文部省の直接補助として出すようにする。しかしこれについては五百億を要する。おそらく五百億はきわめて最近に実現すると私は考えておる。当時某々閣僚のごときも、これに賛成をいたしておる。やがて五百億にしなければならぬと言つておる。この下からわき上つておる教育上における科学尊重、科学振興とという面に競合しない限りにおきましては、私は何か新しい海水なう海水、あるいは電気等々におけるプリンシプル、つまり原理原則の研究に向つて進む必要がありはしないかということを非常に感ずるのであります。それならばこの案はなかなか有力な案として出て来る。はなはだおこがましいが、実はここへ理論が帰着するようであつたならば、それこそ讃嘆久しくするものでもあります。いかがでありましようか。

松前重義日本社会党(右)

○松前重義君 新しい研究に対する方向を具体的にこの科学技術庁案の中に盛り込んでいないが、むしろその方向に行くべきものである、こういうお話でございました。海水の研究、あるいは海の波を利用した発電というようなものも考えられております。あるいは潮の干満による発電の問題もございまするが、これらの問題は、私は現在の日本の科学技術研究に対する一つの穴であろうと思うのです。非常に大きな欠陥が、ただいま御指摘のあつたようなところに存在しておると思うのであります。今までそのような問題はあつても、一体だれが考えてよろしいかということになると、今まで考えた人はあまりありません。あるならば、日本学術会議であります。しかし学術会議があつてそれらの問題が取上げられ、科学技術行政協議会で一応取上げられましても、この大きな問題に対してはそれを具体的に、行政的に処理するところがなかつたということから、みんな行き悩んでおるような状態でございます。この科学技術庁ができましたあかつきにおいては、これらのいわゆる穴を埋めるべく——科学技術だけは富士山のような非常に高いところにあるにいたしましても、その周辺は非常に低いというのでなくて、やはりアメリカやドイツなどにおけるような、どこもかしこも谷あいがない、すべてが高原地帯であるという態勢に持つて来なければ、日本の経済が伸びないことは申すまでもありません。ただいまのお話はその大きな谷あいを御指摘になつたのでありまして、私どももまつたく同感でございます。科学技術庁がすみやかにできてただいまのような問題を取上げ、それを重点的に処理して行くというふうになるならば、日本の科学技術の態勢はうんと伸びて来るであろうと思うのであります。こういう意味でございますのでただいまの御意見等に対しましては、科学技術庁設立の有力なる根拠といたしまして、私ども提案者といたしましても今後主張しなければならぬ点であると思うのでありまして、まつたく御同感でありますが、科学技術庁のこの法案の中にただいまのものを入れますことは、先ほど申しましたようにあまりにも僭越でございますので、科学技術庁の設立後において、これらが総合的な政策の一端として取上げられることを希望いたしながら提案した次第でございます。

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 辻政信君。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 日本の敗戦の原因が科学技術の落伍にあつたということを私は痛感するのであります。将来の日本民族の運命を決するものもまたこの科学技術の振興いかんというふうに考えておるのであります。昔のように満州をとるとか、支那を武力で押えるとか、南方に進出するとかいうことで日本民族の再建はあり得ない。限られたこの領土を世界最高の科学技術国にするかいなかということによつて民族の運命はきまるのであります。そういう観点からごの案を拝見いたしますと、提案者は、腹の中においては非常に雄大な構想をお持ちになつておるようですが、国会の特殊性にかんがみられて少しじやない、大いに妥協されておる。何とかして通りやすいように通そうというお考えがあるのではないか。国会は選挙に関係ある予算に血まなこになりますが、こういう問題となるときわめて無関心である。そういう状態においてこの案の審議を進められるのであります。私はこの科学技術につきましてまつたくしろうとでありますが、大局から見まして各官庁、各学校、民間がそれぞれ持つておる研究機関等をことごとく国家が統制することは無理がある。国家が統制し、助成すべき分野はおのずから限られておるのであります。まず第一に電波関係、その次は原子力の平和産業への活用、航空関係、天然資源、少くともこの四つの部門については、民間とか各官庁にまかせないで、思い切つた予算でもつて国立研究所をつくられることが当然必要になろのではないか。従いましてこういう前提に立つて、この科学技術庁は将来こういう大きな四つの部門にわたる雄大な国立研究所をつくるのだという心構えを持つて、それに必要な人間を集めて行かなければ意味をなさないのではないか。単に一部の技術者と役人が寄つて——鈴木さんのお話ではないが、ただめしを食うような研究機関では意味をなさない。新聞によつて知つたのですが、原子炉の研究補助に二億数千万円出すというようなことが書かれておりますが、あれは二けた間違つておる。一けたではない。二けた間違つておる。ああいうことでもつてお茶を濁すほどの簡単な問題ではないじやないか、こういうふうに思うのであります。少くも電波と原子力と航空と天然資源の四つは、民間の研究にまかしておくことはできない。将来内容の十分整つた力のある国立研究所をつくるべきものである。それを前提にして、それをつくる準備機関としてのこの提案の発足でなければならぬ、こういうふうに考えるのであります。その点について提案者から所見を承りたい。

松前重義日本社会党(右)

○松前重義君 ただいまの非常に積極的な御意見、ごもつともに拝聴いたしました。ただ問題はこの科学技術庁なるものが有力なる研究所を下部に持つていないというところに御指摘があつたようでありまして、これは先ほど御説明いたしましたように、科学技術庁の設立後におきましてこの運用を通じて生れて来る問題であると思うのであり手。そうして御鶏のもろくの課題は、先ほど長野委員から御質疑がありましたように、いわゆる日本の科学技術における重点的な問題であり、しかも現在までないがしろにされておる問題であります。こういう問題を重点的に取上げまして、国の力をできるだけそちらに集結するごとによつて、早く世界的なレベルに到達する、こういうふうな意図のもとに科学技術庁の設立を提案した次第であります。でありまするから、科学技術庁の提案のときに、多少そういう問題をわれわれは論議をいたしたのでありますけれども、初めからそのようなことをやるということは、先ほど来申しましたように潜越しごくでありまするから、この運用を通じまして、日本の経済の振興に必要なる科学技術のもろもろの課題を解決する使命を、科学技術庁に与えることによつて、われわれはその運用を助長する立場に立つて、ただいまお話の問題を解決するようにしたらばどうかという気持を持つて、この科学技術庁設置法を提案した次第でございます。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 そういたしますと、将来そういうものをつくるその準備の門出としての科学技術庁と解してよろしゆうございますか。いつまでたつてもこれが研究機関を持たないというのでは、妙なものになつてしまうと思うのであります。

松前重義日本社会党(右)

○松前重義君 ただいまの御質問に対しましては、直接この科学技術庁が研究機関を持つということが、すなわち科学技術庁の下部組織としてその場合に持つか、あるいはまた必要に応じては、文部省の下部組織になるかもしれない、あるいはまた通産省の下部組織になるかもしれません。あるいは農林省、厚生省などの下部組織になるかもしれません。それらのことはその問題によつて決定されるものであろうと思うのであります。ところがいずれにも共通であつて、どこにもつけがたい——たとえば航空のごときはほんとうにどこにも現在つけがたいのであります。しかたがないから、迷い子だからこれを拾つてやろう、そうして共通にお使いなさい、こういう形をとる以外には、できるだけ各省における自主性を尊重いたしまして、その自主性の立場においてうんと旺盛に活動してもらおう、こういう気持ちを持つておる次第であります。

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 粟山博君。

粟山博改進党

○粟山委員 私はひとつお伺いいたすのでございますが、この法案は議員提出の法案であつて、もちろんこれは予算を伴うものである。従つて私どもはこの法案の使命については、きわめて重大なものがあると考えております。私は前提に科学者に対しては心から敬意を表しております。それからそれらの人々の健全なる御研究によつて、ぜひひとつ日本の国民の生活あるいは日本の国の品位を高める、さらにいかなる環境にあつても、国民のナーヴをしずめてくれるというようなところまで、私は大きな期待を持つておるのであります。そこでこの法案は、この議会に席を有する議員の同志の方々の提案でございまするが、今の日本の政治常識、経済常識の上からいつて、ここに「産業界に第三次産業革命をもたらさんとしている今日、わが国の自立経済の達成もまたこの科学技術の画期的振興と、生産技術の向上以外に」と、こう書かれて、さらに「高物価低品位の窮状を打破する」まことに一応もつともに聞えたのである。国民生活の上からいつて高過ぎる物価を低くする、また低過ぎるものをある程度に矯正するということ、それらのことはきわめて重要なことでございます。今日の日本の経済状況から見ましても、大事なことである。しかしこの第三次革命を予想せらるるこの提案者は、産業だけの問題にそういううことを考えられて、ほかに何も考えなしに、こういう科学技術庁をこしらえるということをお考えになつたのであるかどうか、その点を伺いたいと思います。

松前重義日本社会党(右)

○松前重義君 この提案理由に書いてありまする第三次産業革命の問題、これにつきまして特に多分平和産業だけを中心にして考えたのではないか、それ以外のことは考えでないのではないか、そういう御質問と承つてよろしゆうございますか。

粟山博改進党

○粟山委員 私はその第三次革命ということは、もつと広くあなた方は御構想を持つておられるのじやないかと考えて、それをお聞きするわけなんです。ただ単に物の変革、改良、くふう、創設というようなものでなくて、それからさらにまた物の革命がどういう面にまでも波及するものであるかということをお考えになられて、少くともこの議会に席を持つておる方々の提案でございますから、それで私、そういうことを伺うのです。

松前重義日本社会党(右)

○松前重義君 先ほどもちよつと触れたのでございましたが、この第三次産業革命なるものにつきましては、少し歴史的な問題になるのでありまするけれども、現在どんどん進行いたしておると思われるのであります。原子力の問題は先ほども申し上げましたが、すでに平和的な利用の方向に対する英米共同の五万キロの発電所が建設されつつある状況であり、あるいはまたその他のスエーデンやノールウエーあるいはオランダなどはすでにこれに着手しておる。資源に対してはカナダやインドやブラジルなどがこの資源の開発に努力をしかかつて来ておるというのは、これは次の時代における電力のエネルギー資源をどこに求めるか、すなわち地下資源である石炭、あの石炭もだんだんなくなりつつあります。それを何によつて補うか。また石炭による火力発電よりもより能率的な原子力の発電に持つて行く、このような方向に向つての人類の努力は、ただいまどんどん進行中であると思うのでございます。こういう意味におきまして、エネルギーの源といたしましても、すでにここに産業革命のきざしを私どもは認めるのでございます。またただいま辻委員からの御質疑にもありましたが、電波その他の問題を考えましても、ゲルマニウムの問題のごときは、従来石炭の燃えかすの中に存在しておつたあの貴重なる物質を、われわれは捨てておつたのでありまするが、その中よりとられまするゲルマニウムなるものは、御承知のように電波にとつては案になくてはならないものとなつて参りました。すでにこの資源の問題はわが国にも相当にございまするし、これらの生産に対しては重点的に力を注がなければならない。このゲルマニウムがもう少し発達いたしますれば、わが国のいわゆる機械的に取扱つておる一切の——すべての機械とは申しませんが、いわゆる通信やその他の精密なる機械の作用は、この電子の動きによつて、すなわちゲルマニウムによつて——機械的に動かないものによつて——電子の動きによつて解決されるという露代が来る傾向を見るに至つております。新しい産業革命がここに生れようとしておる。たとえば自動交換の、あのがちやがちやがちやつと音を立てて動いている機械は、ゲルマニウムの全然動かない、しかも小さなものによつて置きかえられる時代が来るということは予言できると思います。このような第三次産業革命というものが今や人類の世界に誹れようとしておることは否定できないと思うのでありまして、今にしてこのような問題に手をつけておかなければ、日本は立ち遅れて、いつまでもアメリカから特許権を買いまして、それでつくつた品物は日本だけに売つて海外には輸出はいたしませんというので、日本の海外への輸出貿易を盛んにして、国際収支を改善いたしまして、国民の経済をここに向上せしめるというようなことは夢にも見ることができない事態に陥るおそれがある。このような意味におきまして私どもは今日科学技術庁をすみやかにつくり、有力なる方々にこの中に来ていただきまして、そして遅れたる日本の立場を取返すようにしなければならない、こういうふうに考えまして提案をいたした次第でございます。

粟山博改進党

○粟山委員 私はそう詳しくあなたの御返事をいただかなくてもよろしいのでございます。およそ世界の現状は、いずれの国にいかなる発明があるか、発見があるか、設備があるか、アップ・ツー・デートの、大きな金のかかる設備があるかどうか、これはおよそたいていの人は新聞や雑誌で知つておる。ただわれわれはこの国会においてはつはだしく飛躍することを許さないのです。科学者としてのイメージは私は尊重する。それあるがゆえに凡人の想像し得ない結論を見出してくれるでありましよう。しかしながらこの議会はイメージを題材として、目標として取扱うべきところではないので、われわれの現実の生活、現案の精神、現実の経済ということを国内的、国際的にその常識の上から考えて、私どもは一歩一歩築いて行かなければならない、そういう点から考えると、あなた方が議員として法律案を提出されるに対して、第三次革命というような文字は、これが左に革命であろうと右に革命であろうと私はそれを今自分から言いたいのじやない。そういう革命というようなことを経済的に考えられるなら、その他のものにどういう影響を必然にもたらすものであるということの見通しや確信までも持つて、ここにお出しになつたのであるかということを聞きたい。

松前重義日本社会党(右)

○松前重義君 革命という字を使いましたのは英国の十九世紀に行われましたあの産業革命、すなわち科学技術が発達いたしまして、非常に英国の産業が興つて参りました。あの言葉のゆえに革命という字を使つたのであります。左翼、右翼という意味は含んでおらないつもりであります。

粟山博改進党

○粟山委員 それなら私はもう一つ申し上げる。私らの経験から申しますと、私らはありていに申しまして戦前の議員でもあり、戦後の議員でもあるのでございます。そこで戦後における議員としての私は、いろいろな意味において勉強の道中にあるのだ。そういうことを考えると、今辻さんは科学が拙劣であつたから戦争に負けたと言うが——これは討論みたいなことになるが、国民が常識として知つておかなければならないことは、戦つても勝てない戦争をしたから負けたのであつて、私は何ゆえに戦争に負けたというようなことは、ここであまり申したくないのであります。日清、日露の戦争のように国民の盛り上つた気分によつて戦争した場合は別であるけれども、その他いろいろな動機で、国民の良心やモラルというものを粉砕して、脅迫して持つて行つたような戦争は、これは科学がどんなに優秀であつても負けるにきまつておる。そういう点でこの内閣委員会というものが保安庁という重要な問題を扱つておると同時に、右と左に技術庁というものができ上つて、あなた方の構想が十分に仕上げられるときにおいては、この二つが大きな結論を出すと私は思う。これはよく考えてもらいたい。私はあなた方のお考えのよいところはよくわかる。しかしながらあまりにも飛躍しておるものがあるじやないかという点について、私はなお静かに考えてもらいたい。そして今日の日本は困つておる人間が多い。生産能率は非常に低い。そして足並がそろわぬというような国情において、私どもは科学者に対して尊敬をし、大きな期待を持つものは今日の日本を長くしずめる上において、生活を楽にする上において日本の国の文化がいかにも日本人独特のものがあるという、愛され親しまれるような形において科学ののくふうが、いろいろな面に寄せられるということを、きようよりは明白はペタ治であるということにおいてやつていただきたい。私は科学者の集まりが政府の言うことは聞かないことにしようじやないかというような申合せをしたように聞いたことがある。ときにはそれくらいの意気があつてもよいということは考えるけれども、静かに考えれば科学者は科学者としての本分を守つてもらうことにおいて、そこにとうをい人格があると私は思う。そのとうとい人格を持つ科学者の集まりは、また日本の社会、国家に対してとうとい人材である。戦時中はフアッシヨの、しかも戦時の行き過ぎによつて、見るからにはかばかしいような者が、戦後の国会に来れば、けろつと忘れて、そしてまつたく姿のかわつたような調子であることはだれにも好ましいことではない。私は日本の戦前も戦後も日本国民としてのあり方はかわりないと思う。戦争に負けても負けなくても、日本人は日本人らしい姿がある、べきはずだと思う。そういう点において科学者は科学者として、ともすれば時流にとらわれて自分の机の前の範囲内にしか目が届かぬような人々をもあわせて、もつと遠大な構想のもとに世道人心を導くくらいの気持をもつて、科学の進歩に尽してもらいたいと思う。そういう点から申しますと、議員としての御提案であるならば、これはもつと研究してもらいたい。第二次革命、産業革命というものはデモクラシーを招きました。それはよくわかる。第三次革命は何を招くのか。ここで保安庁が議せられんとするにあたつて、これは科学者の考えを応用する役所としての存在は、ぜひ国民大衆の希望するところに健全であつてもらいたいということをこいねがうがゆえに、私はもつと慎重に考えてもらいたい。なお私もきよう初めてこれを拝見したので、少し勉強してあなた方にお伺いをいたします。そして私どももあやまちなく職責を尽したいと思います。  きようは少く咽喉を害しておりますから、私はこれをもつて終りといたします。

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 田中稔男君。

田中稔男日本社会党(左)

○田中(稔)委員 同僚松前議員の非常な御努力で科学技術庁設置法案が出ております。趣旨ははなはだけつこうでありますが、この法案に対して、学術開議の茅会長から、学術開議の大多数の意見を代表していろいろ御批判がありました。そのお説も私もつともだと思うのであります。すでに学術会議というのがあつてそれから行政と連絡するために科学技術行政協議会というものがあります。もしこの一つの機関が活用されておりますならば、私はあえてここに科学技術庁というようなものを新たに設ける必要もないのじやないかと思うのであります。またこの既存の二つの機関が法的に欠陥を持つておるというようなことであれば、この二つの法律を改正する、もつとこれを強化するということで十分足りるのではないかと思うのであります。学術会議方面の御批判というか科学技術庁設置法案に対する修正のいろいろな御意見を聞きましたが、そういうことでなく、むしろ学術会議自体をもつと強化してもらいたい、たとえば活動するのに金がいるから、もつと経費を出してもらいたい、それからまた運用の面でありますけれども、第四条に、政府はいろいろな事項について日本学術会議に諮問することができるとなつておるが、かつて一度も諮問されたことがない、まつたく政府によつて無視されておる、こういう御不満がありましたから、たとえばこれはある事項については諮問しなければならぬというふうにでも規定して学術会議の権限を強化する、こうして日本の科学技術の振興のために民間の学界の総意をもつと高く評価するようにやつてもらいたい、こういうふうな御意見も当然起り得ると思うのでありますが、そういう御意見が学術会議方面であつたかどうか、ひとつお尋ねしたいと思います。なお科学技術行政協議会法によりますと、第二条に、協議会は学術会議の答申または勧告を行政に反映させるために必要な措置を行い、また各行政機関の所管に属する科学技術に関する事項の連絡調整に必要な措置もとる、こう書いてある。そうだとしますと、松前さんから御説明がありました政府所管のいろいろな科学技術の研究機関の統合調整ということは、これでも十分できるわけでありますが、こういうことについて松前さんはどういうふうにお考えになつているか。科学技術庁というものができれば、もうこういう協議会法なんというのは廃止してしまつてもいいのではないかと思うし、また科学技術行政協議会を強化するならば、科学技術庁を新たにつくる必要もないのではないかと思うのでありますが、そういう点についてお答え願いたい。

茅誠司日本学術会議会長

○茅参考人 ただいま御提出になつておりますこの科学技術庁の問題につきましては、初期の段階においてありました内容と非常に異なつております。それは科学技術行政協議会法を改めるというのが十ページにございますが、この点が非常に違つております。従つて学術会議としましては、この点について目下審議中でございまして、これをどういうふうに結論を出すかということは、私として現在の段階では申し上げられません。しかし先ほどお話にありました通りに、科学技術行政協議会を強化し、かつ学術会議そのものを強化するという方法でやつて行けないものであろうかということにつきましては、学術会議としまして慎重に討論いたしました。そして、そうありたいということを論議した向きもたくさんあつたのであります。そのためには学術会議みずからがやはり調査能力を持ち、かつある程度の企画能力も持たなければなるまい、そういうようなわけで学術会議を強化し、同時に科学技術行政協議会を強化するならば、十分日本の科学技術振興というものはやつて行けるのじやないかという点につきまして案を出した向きもあるのでありますが、学術会議ではこの点についてまだ一致した意見になつておりません。ただ私個人として申し上げたいと思いますのは、学術会議と申しますのは、御承知の通りに二百十名の選挙された会員からなつております。学術会議の会員は公務員の特別職でございますが、その中の大部分は大学、官庁その他から選出された者でありまして、まつたくパート・タイムにこれを審議しておるのでありますから、この学術会議が、調査機関を持つたといたしましても、学術会議が国策的な科学技術の振興策をみずから練るというのには不適当であると私は思うのであります。むしろ適当なところでこれを練りましたものについて学術会議の意見を聞くというふうにした方が、学術会議としてもまたその趣旨の線に沿つておると思うのであります。みずから企画立案するというような役目は、学術会議の性質上持つことは不適当であると私個人としては考えます。従つて、この科学技術庁にしましてもまた科学技術行政協議会にしましても、みずからが企画立案するという権限を持つといたしますと、あとは名前だけの問題になるのであります。名前だけが、違うということになるのじやないか。そういうところで企画立案されたものがはたして科学者全体の賛同を得るかどうか、しかも広く学界の実情に即しておるかどうかということは学術会議を通して審議される、そういう方向に向つて進められるのが適当なのじやないかと私個人としては考えておる次第であります。

松前重義日本社会党(右)

○松前重義君 ただいまの御質問は科学技術庁とスタツクと日本学術会議と、非常に複雑な機構になつておるが、このスタツクと日本学術会議の関係において、スタツクあるいは日本学術会議の強化によつて今までの説明したところの目的を達することができるのではないか、こういう御質問であろうと思うのであります。ただいま茅先生からお話がありましたように、私も同じように考えるのであります。科学技術庁などでしかるべく科学技術政策を立案いたしまして、これをスタツクを通じて日本学術会議にかけ、その意見を徴するということは、非常に必要なことであろうと思うのであります。また同時に、日本学術会議自体の中から要望あるいはまた政策というようなものが当然生れ出ると思うのでありますが、それらはスタツクを経て——スタツクというのは各省との一応の地ならし機関でありますので、それを経過いたしましたものを科学技術庁が取上げて具体的に処理する責任を持つ、こういう役割を勤めるのが科学技術庁である。こういう意味におきまして、科学技術庁自体が政策を立案し、これを諮問して意見を徴し、それを完璧ならしめまして実行に移す。それと同時に、日本学術会議からスタツクを経由して参りましたそれらの諸施策を具体的に責任を持つて遂行する、こういう二つの役割を果すのに、どうしても科学技術庁というものがなければ、責任の所在がない、こういうことで提案いたした次第であります。

稻村順三日本社会党(左)

○稻村委員長 ほかに御質疑ございませんか。——他に御質疑がなければ、本日はこの程度にいたし、次会は公報をもつてお知らせいたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十二分散会

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