内閣委員会 第1号
- 発言数
- 141 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1953/12/11
会議録
○細迫委員長代理 これより内閣委員会を開会いたします。 委員長が所用のため不在ですので、理事の私が委員長の職務を行います。
○永田(良)委員 議事の進行について。われわれは一時内閣委員会を開会するという公報によつて、ここに参つたが、何ゆえに一時の開会が四十五分も遅れましたか。一体われわれ国民の代表たる国会議員は、日本の再建にあたつては時間の励行が一番大事であります。しかるに委員長みずから時間を延ばしておつて、何らの通告を発しない。その理由を説明されたい。
○細迫委員長代理 私の手元にもその理由ははつきりいたしておりませんけれども、何かやむを得ないさしつかえがあつたものと考えております。御了承願います。これから委員会全体といたしましても、委員長にもよく御反省を願つて、お説のようにはつきりした時間に開かれるように努力いたしたいと思います。御了承を願います。
○永田(良)委員 何ゆえかその理由がわからないということがありますか。理由なくして委員会を延ばす理由はない。明瞭に遅れた理由を御発表願いたい。それが委員長の責任であります。
○細迫委員長代理 何としても理由がわかりませんから、私におきまして、いたし方がございませんので、何とぞ御了承をお願いいたします。
○永田(良)委員 そんな無責任なことがあるか、われわれが委員長として推薦した以上は責任があるのじやないか、理由を説明せよ。
○下川委員 同僚議員の稻村順造氏は、われわれ社会党の代議士会にも出ておりませんので、何か不祥なことがあつたのか、あるいはそうしたことは今までなかつた人でございますので、おそらく不慮の何かあつたと思います。その点一応明快になつた後に、詳細な御説明を願いたいと思います。
○細迫委員長代理 わかればいたしましようが、わからなければいたし方ございません。後に私的にも調査したいとは思いますが、とにかく今後運営につきましては、善処するように私からも御注意申し上げるつもりであります。何とぞきようのところは御了承をお願いいたします。 国政調査承認要求に関する件を議題といたします。衆議院規則第九十四条により、常任委員会は会期中その所管事項に関し、議長の承認を得て国政に関する調査を行うことができるようになつております。当委員会は、従前通り次の事項について、調査をいたしたいと存じます。すなわち一、行政機構並びにその運営に関する事項、二、恩給及び法制一般に関する事項、三、保安隊及び警備隊に関する事項。なお調査の方法といたしましては、小委員会の設置、関係各方面より説明並びに意見聴取、資料の要求等をいたしたいと存じます。 以上のごとく国政調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○細迫委員長代理 御異議なければさように決定いたしまして、所定の手続をいたします —————————————
○細迫委員長代理 御異議なければさように決定いたしまして、所定の手続をいたします
○細迫委員長代理 では次に保安隊及び警備隊に関する説明聴取に移ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。下川委員。
○下川委員 保安庁法の改正が、いろいろと各方面で論議されておりますが、この際木村長官に、保安庁法の改正についての方針あるいは政府の考えるところを御説明願いたいと思います。
○木村国務大臣 保安庁法改正につきましては、今下川君から仰せになりましたようにいろいろ論議されております。保安庁といたしましては、この改正の眼目を直接侵略にも対処し得るようにいたしたい、こう考えております。これが主要な点であります。そこでただいまのところはまだ研究中で、成案を得ていないのであります。これをどういうぐあいに法文に織り込んで、権限行動をマツチさせるかということについて、せつかく研究しております。要は直接侵略に対処することを主たる目的にするか、あるいは今の保安庁法、いわゆる国内の平和と秩序を維持するために、特に必要ある場合に行動し得ることになつておるのでありますが、それと併記するか、あるいはまたそれを主にして直接侵略に対処することをつけ加えるか、それらの点についていろいろ考え方もあるのであります。ただいませつかく研究いたしております。
○下川委員 ちようど休会になりまするので、その問われわれは十分検討したいと思います。あなたが今検討しておるいろいろな問題がある思いますが、その点を簡略でよろしいから御説明願いたいと思います。
○木村国務大臣 私もただいままだ考え方が固まつておりませんが、下川委員におかせられましてもいろいろ考え方もおありでありましよう。もしもありましたら率直な御意見を承りたい。私としてはまだ固まつておりませんから、申し上げる段階に至つておりません。
○下川委員 ただいま直接侵略に対処すると言われましたが、直接侵略ということは、具体的に言うとどういうことをさすのでございましようか。
○木村国務大臣 国外からの不当な侵略に対して、これを防衛することであります。
○下川委員 直接侵略というような具体的な問題が、今日はたして国際情勢の中において起る可能性があるかどうか、そういう点を明らかに御説明願いたい。
○木村国務大臣 具体的に今どこから起るということは申し上げかねるわけでありますが、しかしわれわれといたしましては、一国が独立国となつた以上はさような場合にも十分に手当をする必要がある、こう考えております。
○下川委員 そうすると直接侵略に備えるということは、結局戦力のある軍隊ということに解釈してよろしいのですか。
○木村国務大臣 戦力問題は別であります。戦力は御承知の通り、憲法第九条第二項において禁止されておるのであります。その戦力に至らざる程度においてわれわれは防衛計画を立てたい、こう考えております。
○下川委員 そこがいろいろと前回の予算委員会において問題となりましたが、直接侵略に対応するというと、結局戦力がなければ対応できないことになる。ところが戦力のない軍隊あるいはまた憲法に触れない軍隊、そこにわれわれはいろいろの疑問点を持つのでありますが、これと憲法改正、あるいは今度保安庁法の改正に伴ういわゆる保安隊の増強、そういう問題をどのようにお考えでございますか。
○木村国務大臣 憲法を改正せざる程度においてわれわれは防衛計画を立てたい、こう考えております。
○下川委員 予算委員会でわが党議員と木村長官とのいろいろな質疑を私も聞いておりましたが、そこに何かわれわれとしても割切れないものがあるのであります。戦力のない軍隊をもつて直接侵略に対応する、しかも憲法に触れないような軍隊、そういう問題は私たちには理解できない問題であります。ちようどきのうも私たち保安隊を見て参りましたけれども、そういう捏造的な、何か欺瞞的な言葉でなくて、もつと明確に憲法を改正するなら改正するんだ、同時にまた直接侵略に対しては近代的装備を持つ軍隊をつくるんだ、そういう明確な答弁があつてしかるべきだと思う。もちろん再軍備反対、賛成という見解は別でありますけれども、何か国民的欺瞞が底に流れておると考えますが、長官はどのように考えますか。
○木村国務大臣 私は欺瞞的な言葉を弄するわけではありません。また事実欺瞞しているわけではありません。これは明瞭であろうと思う。いわゆる憲法第九条第二項の戦力に至らざる程度において、われわれはこの防衛計画を立てておるのであります。もちろん外国から攻めて来た場合に対処し得るためには、これをおつぱらうだけの力は持たなければならぬ。それを普通の意味において、ありふれた意味において戦力と言えばこれは戦力であります。憲法第九条第二項の戦力という解釈は、さようなものではないのであります。われわれといたしましてはさような厖大なる編成、装備を持つことを禁止されておるのであります。その程度に至らざる範囲において十分対処し得るような一つの組織、部隊をつくりたい、こう考えております。
○下川委員 侵略して来ればこれをぶつぱらわなければならない、そういう戦力を持つと言われますが、ぶつぱらわなければならないその敵が、より以上に近代装備をした、あるいは原爆とか水爆とかいうような立場に立つての近代戦をいどんで来た場合、あなたはどうしますか。
○木村国務大臣 さようなものにわれわれは対処し得るような戦力を持つということになれば、申すまでもなく憲法を改正しなくちやならぬと考えております。しかし日本の国力ではさようなことはできません。かるがゆえにアメリカといわゆる日米安全保障条約を結んで、ある程度の力をアメリカに借りておる。裏を返せば海軍、空軍というような大きな力はアメリカの装備編成をした部隊の力に借りる、そうしてある程度の部隊を日本で備えて行く、これで両々相まつて日本の防衛をやつて行こうというのが今の態勢であります。そこでアメリカの全部の部隊、すなわち地上部隊なり空軍部隊あるいは海軍部隊全部引揚げてそのような大きな力を日本で持とうということになると、そこに憲法改正問題が私は出て来るだろうと思う。しかし今の日本の段階において、さようなことは財政力からいつてもでき得ることではないのでありますから、さようなことは今いたしかねる。ただある程度の地上部隊なり海上部隊なりを持つて、そうして日本の防衛の全きを期したい、こう考えておるのであります。
○下川委員 そうすると、直接侵略をされるというような原因が今後の日本にあるかどうか。要するに今日の日本の情勢を見て参りますと、やはり米ソの対立の中に毅然たる中立性をわれわれは今日まで主張して参りました。アメリカと日本との同盟的な一つの経済あるいは軍事的なすべての諸情勢が、勢い日本をその窮地の中に追い込めて行くというふうにわれわれには解釈されまするが、長官のお話によると、何か直接侵略をされるとそのために対応する軍隊をつくると言うけれども、水爆とか原爆とかいうような近代戦の場合はアメリカの力を借りるとしても、一体どの国をさして、長官はおつぱらうというような言葉をもつて指摘するのですか、その点をひとつ承りたい。
○木村国務大臣 私はただいま、どこの国ということを具体的には申すことは差控えたい、かように考えます。しかし世界情勢のすべてを判断した上において、日本は、どこの国を問わず直接侵略をして来るような場合には、これに対処し得る最小限度の防備は必要であろう、こう考えておるのであります。われわれといたしましては、日本の中立を維持する上においては無防備はいけない。世界いずれの国においても、無防備中立なんていうものはあり得ないと私は考えておる。少くとも日本が独立国家となつた以上は、その国の経済力に相当な防備は必要であろう、こう考えております。
○下川委員 しかし近代戦の今日において、わずかばかりの保安隊あるいは再軍備をしたといつても、その近代戦の中に日本の持つ犠牲というものを考えてみる場合、やはりそうした再軍備あるいは保安隊の増強ということをするよりも、むしろ日本の国内経済の自立という方に向けらるべきではないか、むしろそういう軍備を持つことによつてそれらの対立国の渦中に巻き込まれる、そのようにわれわれは解釈しておるのであります。今日の世界的な情勢を見て参りますと、そういう侵略的な情勢というものはわれわれには見受けられない。それにもかかわらず国民経済あるいは国民生活の窮乏を度外視して、何か保安庁法の改正をしてそうしてより再軍備の道をたどろうとしている、その経費の一切が国民大衆の負担にかかつて来る、そういうことを考えて参りますと、もう一歩政府はやはり——将来するところのいわゆる戦争の危機が現実的にはないようにわれわれは考えておる。そういう再軍備によるところの火中のくりを拾うというよりも、むしろ平和的な攻勢、たとえばソ連あるいは中国等との国交の回復という方に主点を置くべきではないか、このように考えるのですが、長官はどのようにお考えでしようか。
○木村国務大臣 私も世界の平和の一日もすみやかに来らんことを希望しているのであります。しかし御承知の通り、独立国家である以上はいずれの国においても軍備は持つております。ソビエトも、中共も、アメリカも、世界各国全部軍備を撤廃する段階になればしあわせであるが、水爆も持ち、原爆を持つた国においてもなおかつ軍備を増強するところがあるのであります。また小さい国におきましても、御承知の通りヨーロツパにおいても、インドすら、それ相当のいわゆる防備をやつております。かたがた日本は独立国家となつた以上はそれ相当の防衛軍を持つということは、私は当然の任務であろうと考えております。
○下川委員 私たちはやはりそういう過去の一つの国家群が軍備を持つて、それを一つの理想としていることに対しては反対であります。むしろ今日の日本の立場ということを考えて参りますと、やはり経済の自立が先行しなければならぬ。同時に軍備といつても、今次近代戦争の様相からすると、日本がどのくらい軍備をしてもはるかに追いつかない。むしろそうした再軍備、いわゆる自衛という問題は、国民の生活の不安を助長することになる。国内的な内乱の根本はやはり思想の不安、生活の不安から生じて来る。あるいは革命的な様相というものは国民経済の破綻から生じて来る。そういうことを考えて参りますと、やはり国民生活を土台にしてこれを大きく政治の上に表現しなければならぬ。同時にまた武器を持つ、あるいは再軍備をするということが何か国家的な様相の理想のように考えておりますけれども、やはり根本的の理想というものは、武器のない、平和的な国家が基本でなければならぬ。その上にこそ平和憲法が樹立されたのだ。今日の日本がどれくらい再軍備しようとも、やはり水爆、原爆の国家と戦えるものではない。むしろそういう水爆、原爆の一つの最悪なる第三次世界戦争というようなおそれを社会的にあるいは国際的に除去する、そのためには非武装で理想に向つて政府みずからが突進しなければならぬ、そういう覚悟がやはり必要ではないか。私たちはさように考えるのでありますが、長官はいわゆる平和の問題についてどう考えるか。あるいはまた武装をしていなければ独立国家としての様相をしておらないと考えておられるようでありますが、われわれは、必ずしも武装をしなくても一つの文化的な国家としての様相を土台にして行くべきではないか、このように考えておりますが、どのようにお考えでありますか。
○木村国務大臣 これは議論にわたりますが、今申し上げましたように、私も、世界各国いずれの国も武装を放棄して、そうして非武装の国家群がそこに成立することを期待いたしたいと思います。しかし現実にはさようではないのであります。水爆も原爆もできておる時代にかかわらず、ますく軍備は拡張される。まことに悲しむべきであろうと私は考えておるのであります。もとより日本も世界の平和を希求することにおいては人後に落ちないと考えております。しかしながら現実の問題といたしましては、何どき外国から不法に侵略をされるかもわからぬという疑いを私は持つております。これは私一人の疑いではないと思う。さなよう場合において日本だけが非武装であつてはいかぬのであります。そこでわれわれとして一番苦慮するのは、日本国民の生活の安全を害しないで、言いかえれば日本の財政計画に破綻を来さないような方法また範囲において、日本は自由国家群の一員として相当の防備をして、これらと手を握つて日本の平和、ひいては世界の平和に寄与いたしたい、これが当然なことであろうと私は考えます。
○下川委員 私のおそれるのは、直接侵略の危機というよりも国内の危機でございます。御承知の通り救農国会と称して災害に対する大きな対策が先般とられました。しかしそれもわずかな一つの災害の予算でありまして、なおまた今日のインフレ的な情勢の中におきまして、労働組合諸君のペース・アツプの問題あるいはまた中小企業の問題というものが次々とどん底に落ちて来ておる。現実的にも防衛費の問題あるいは保安隊関係の費用が予算の面に大きくとられ、国民生活は非常に苦しい思いをしている。そこへ持つて来て厖大な保安隊の増強が言われておる。一方では賠償額の決定がされておらない。今後かつての交戦国と次々に賠償額が決定されて、その賠償額はやがては国民大衆の上に税となつて負担されて来る。その上にまた再軍備による大きな税がひつかかつて来る。そうなつて来ると一体国民の生活はどうなる。むしろ私は、侵略の危機よりも、国内における生活の不安、社会不安から生ずる革命的な導因をつくる、あるいは大きな不祥事件が発生するというような国内危機ということを憂えるものであります。従つて国内の治安を主体にして政治を行うべきであつて、直接侵略というような未知数の、しかも近代戦のさ中にわずかな軍隊をもつてして抵抗し切れないようなことに重点を置くべきではないと考えておりますが、長官はこの点どういうふうに御解釈いたしますか。
○木村国務大臣 私も、国民生活を圧迫するようなことがあつてはいかぬと考えております。そこで先ほどから申し上げます通り、日本の防衛計画にしてもでき得る限りの限度にとどめて、国民生活を圧迫しないようにいたしたいと苦慮いたしておるのであります。もとより日本内地の治安を維持するということは当然であります。これを抜きにしてわれわれは国防計画を考えておりません。内地の治安をいかにして維持すべきか。これはあなたの仰せになるように、もとより国民の生活の安定ということが必要であるから、政府においてもその点については今後十分の考慮を払うつもりであります。国内の治安の確保、不法な直接侵略に対する防衛、これが両々相まつて行くということが私は理想であろうと考えております。
○下川委員 いずれ保安庁法の改正案が出るでありましようから、そのときに重点は譲りまして、きようはこの程度にしておきます。
○細迫委員長代理 下川委員の質疑に関連して、私からちよつと質疑をいたしたいのでありますが、先ほど木村長官のお言葉によりますと、直接侵略に対処するものにしたいという考えがあるというお話でありましたが、侵略に対処するというなら必ずや武力をもつて対処するということに普通は理解せられると思うのであります。しかも侵略に対する対処でありますから、これを何とか撃退するということがその内容をなしておると思います。侵略に対しては何もしないでおられないはずで、当然戦いを交えるということが次に必然的に出て来ると思いますが、しかるにわが憲法第九条第二項末段におきまして、「国の交戦権は、これを認めない。」ということになつておるのでございますが、この認められていない交戦権——交戦することを予定して今の増強の御腹案を持つておられるのでございましようか。どうでしようか。
○木村国務大臣 憲法第九条第二項にいう交戦権、これは戦う権利を否定したものじやないと考えております。いはゆる交戦国が有するところの、これから派生するところの権利を持たぬ、いわゆる国際法上の商船の拿捕だとか、あるいは捕虜の取扱いだとか、そういうようなことについて規定されているものと了解しておるのであります。これは学説上さようになつておると私は考えております。 〔細迫委員長代理退席、委員長着席〕
○粟山委員 長官にひとつお伺いしておきます。年が明けまして、おそらく活発な御議論もこの国会において承る機会を得るだろうと思うのでございますが、本日は掉尾の委員会で、いかにもなごやかで、この機会に打ちくつろいだ気持で長官に伺いたい。 私、この国会の外において、国会の内において繰返し繰返し聞いております再軍備というものが、私の耳に異様に感じておる。この再軍備という文字によつて、私自身も非常に迷惑をしたり。あるいは考えさせられたり、国の前途に、また現実に深刻な思いを寄せさせられることがしばしばあつたのでございます。おそらく日本国民の多数に、この再軍備というものは一体どういうものなのであるかということの、はつきりしたテクニツクの解釈に完全な概念を置いて新聞を読み、雑誌を読み、速記録を読み、演説を聞き、ラジオを聞く、そうして完全な判断をつけるに迷つておる人は、私は少くないと思う。そこで練達堪能の吉田総理大臣、木村長官は議会でたびたび再軍備はしないということを繰返しておるので、おそらく今日も木村長官に伺えば再軍備はしないとおつしやられるだろうと思うのでございますが、はたしていがかでありましようか。私はまず再軍備とはいかなるものなりやということをここで明らかに、なごやかな雰囲気において承つておきたいと存じます。
○木村国務大臣 お説の通りであります。再軍備するとかしないとかずいぶん論議されますが、しからば再軍備とは何ぞやということについてまだお説の通り触れておりません。私の考えるところによりますと、再軍備するかしないかということは、要するに憲法第九条第二項の戦力を持つかどうかということであろうと考えます。いわゆる戦力を持つということになれば、再軍備であつて憲法を改正しなければならない。しかし戦力に至らざる程度においてのいはゆる組織を持つ、実力部隊を持つということであれば、これは再軍備に至らないのでありますから憲法改正の要なし、こう解釈しておるのであります。
○粟山委員 戦力という事柄を中心として考える再軍備でありますならば、私はきわめて簡単に意識し得るのでございます。今日本の現実において戦力を持つことを考えなければいけないかというはつきりした問いが出るのでございます。ただイデオロギーの立場に立つて考えれば、何としてもこれは割切つているからして、話はつきますまいけれども、私どもは再軍備という言葉はもつと広い意味を持つておつて、国民全体の常識から言うと、敗戦を喫した過去の日本の戦力を持つた海軍、陸軍、空軍のような再軍備は今日はいやだ、こういう考えになつている国民の方が、政府のお考えになつているよりは深く広い観念の上に判断をつけているのではないかと私は思うのでありますが、長官、いかがでございますか。
○木村国務大臣 憲法第九条の第二項の「陸海空軍その他の戦力」、いわゆる陸海空軍の統一のとれたような大きな戦力、これは安保条約の前文にも書いてありますように、攻撃的脅威を感ぜしめるような大きな部隊、これは逆に言えば侵略戦争に使い得るような形になつておるようなそういう厖大な実力部隊、これを裏返せば、戦力は憲法で持つことを禁止する、こういうことになつていると考えております。
○粟山委員 政治家としての木村長官に私のこいねがうところは、内閣というものは今の憲法の上では過半数を占め、あるいは過半数を占めなくても結論において最大公約数が議会の結論をつけるのだという形において今の自由党の二百何人、いろいろ工作をして少しふやした——それは結論をつける実力をお持ちになつている議会においての戦力をお持ちになつているのでありましよう。しかし国民全体から言えば、日本の歴史を総理よりも、長官よりもよく知つておる人はたくさんおると思うのです。知らない人もたくさんおると思う。そういう広い意味から考えた日本の過去と現実というものが、八千五百万の国民の大多数が目を光らして、神経をとがらして、そこで考えた場合において何とこれを見ておるか、この再軍備というものを何と解釈しておるか、こう私は考えるのでございます。 そこで長官に伺いたい。日本という国は、かつて陸軍も、空軍も、海軍も戦争に負ける前は、実に技術において、装備において、その戦闘員の士気において、確かにこれは世界に冠たるものがあつたでありましようけれども、結局は負けた。何に負けたか、私は負けるまでのことを考えると、公然として戦力を持ち得る日本の陸海空軍が非常に誤つたことをしておつたと思う。いまさら誤つたことをかれこれ言うのじやありませんが、一つ申し上げたいのは、三大国とて世界に誇るべき最強力な戦力を持ち、そして国力を持つておるものであつても、侵略ではない、防衛であるといつて、防衛の線を最後まで堅持していたものが日本の海軍であつたのじやないかと思う。そういうことを考えますときに、徴用だ、徴発だといつて青年子女までもかり集めて、国の方ではおじいさんやおばあさんやかたわの人が百姓をしなければならぬ。店はことごとくしめて、そして戦争のお手伝いの下役をしなければならぬ。まつたくどうも戦争のために火がつけられたところだけはにぎやがであつたけれども、そこを離れると全国津々浦々に至るまで生産は停滞する、生活は脅かされるというまことに気の毒な状況にあつた。戦争が済んでみれば、かわいい娘やむすこも学校の途中で徴用されて行つて無残な死に方をしている。徴用された人でもまつたく自分の商売の品物は全部片づけられて、そうして生活の道にも困るというようなありさまである。もちろん申すまでもなく、戦争に臨んだところの青年諸君などというのはみじめなもので、今でもその跡始末に困つておられる。あのときはああであつた、こうであつたということをわれわれは今まざまざと考えさせられるが、こんりんざいそういう戦争はいやだ、そういう戦争を指導する再軍備はいやだということはこれは当然です。おそらく吉田さんでもあなたでもむろんそういう良識があるから再軍備はしないとおつしやるのでありましようが、しかし海軍は正々堂々と軍艦を持てる、そして最高の戦備を持てるときに、西太平洋よりは一歩も外へは出ない、守れば足る、攻めるに不足でも満足であるという線を引いて、ワシントン条約では八八艦隊をいさぎよく引込めて、そして国内の財政経済に専念した。ロンドン条約の五・五・三というのは非難を受けましたけれども、ともかくあれだけの国際場裡に戦い抜いて、そして五・五・三の比率に治まつた。当時の一ドルは日本金の二円です。当時はかれこれ批評する人はありましたけれども、三悪税を廃して、わずかに千三百万でありましたが、これで健全財政というもののつじつまを合せて、日本の政治の歴史の上にはとにかく一つの型を残しておるのではないかと思う。あれから何年たつたのかと思うけれども、私の知る限りにおいてはそれは悪い政治ではなかつたと言いたい。自分が責任あるから言いたいのじやないが、正しい批判をしてもらうことが大切だと私は思う。そういう意味において、戦力を持つても他国を害せず、国民に迷惑をかけないようにすることがすなわち過去の海軍に堅持された姿であると私は思う。再軍備はどこが悪いのですか。どこの国でも軍艦を持つておる、陸軍を持つておる、空軍を持つておる、日本も持つていいじやないか。海軍式の再軍備ならしてもいいじやないか。それは他国の正当なる権益を侵すものではない。国の権益を守り、日本の民族の将来に安定を期するがゆえだということであるならば、私はこのように日本の過去における生きたる事実を示しておるのであるから、どうぞ総理及びあなたは再軍備という誤解されるようなテクニツクはこの議場から取去つてもらいたい。しかしこれを使えばたいへん都合がいいのだ、再軍備しないと言えば選挙に都合がいい。やはり思想、感情、あるいは歴史というものに目の浅い、考えのまだ及んでいないような人々に呼びかけるのに都合がいいから、この再軍備というテクニツクを使うという人があれば、それは私はもう使つては困るとは言わない、御自由である。しかしながら現内閣の性格及び現内閣の考えるところが、私の考えるような意味においての戦力というものに対するまじめなお考えであるとするならば……。戦争の始まる年の八月までは、おそらく海軍は後備も予備も現役も、首脳部は全部そろつて戦争は不可であるという線を堅持しておつた。そのわずか数箇月後の間に十二月八日を迎えた。パール・ハーバーの奇襲ということは海軍兵学校でも海軍大学でも教えていなかつた。そういう教えていないような奇襲作戦がどこから降つたとなしに行われたということは、これは常道じやありません。その奇襲作戦は成功を示したであろうけれども、それは決して日本の海軍では教えてはいなかつた。教えていなかつたことを使つて、シンガポールヘの道までの時をかせいだでありましようけれども、今においてはこれはやはり非難の的であろうと思う。 そういうことを考えますときに、あなた方が国を守るため、またわが民族の将来のためを思い、国際的良心の上に立つと信ずるならば、何ぞはばかることなくして、再軍備という言葉を排して、そして堂々防衛に対するあなた方の信念を国民に対して発表して、政府は指導権を持つべきである。ただ多数の力によつて、そしてこの議会で結論を求めるのではない。真に一国を指導するんだ、そこに良心が生きておるのである、そこに信念があるのであるという考え方から、あなた方の活発なる問いに対する答をもつてして、国民に迷わざる明白な、そして簡単で、だれにもよくわかるような言葉使いにおいて、私はこの議事堂に速記録を残したい。そしてまたあらゆる機関を通じて、じいさんにも、ばあさんにも、小学校の子供にもわかるような議会の問答をもつて、明朗な政治を行つてもらいたいことをお願いいたします。年末閑散の折から、一言私は希望を述べますとともに、長官に私の所懐を申し上げる次第であります。もつて長官のお考えをひとつ伺いたいと思います。
○木村国務大臣 われわれも故意に再軍備などという言葉を使つておるわけではありません。木村自身といたしましても、おそらく委員会において再軍備という言葉はあまり使つていないように思います。ただ日本の防衛、自衛態勢をどう整えるか、いわゆる日本は決してかつてのような愚を再び繰返してはいけない。しかしながら他国から不当に侵略された場合においては、一国としてはこれはどうしても守つて行かなければならぬ。国民の生活の安定もくずされるのであります。私はパンもバターもともにやつて行きたい。吉田総理はうまいことを言つたと思う。私はむしろパンのために大砲ということを言いたい。パンを守るためには、やはり大砲は必要じやないか。これは他国を侵略するなんということは、毛頭考えておりません、そんなことはもろん考えておりません。しかし他国から侵略されるというふうなことがありますれば、パンもなくなつてしまうのであります。それですから日本はどうしても防備態勢は整えて行かなければならぬ。そこで私は繰返して申したいのでありますが、日本の財政計画を脅かさないように、裏を返せば、日本の国民の生活の安定を害さない程度において、どのように防衛計画を立てて行くか、これが問題であろうと思う。そこで今われわれ苦慮して、これを慎重に考慮しておる次第であります。
○稻村委員長 永田良吉君。
○永田(良)委員 私は木村長官にさつきおつしやいました直接侵略ということの意義について少しお尋ねしたいと思うのであります。直接侵略という場面から考えた場合は、むろん隣の国が上陸でもした場合は明らかな直接侵略でありますが、海上における一例を申し上げますと、ただいま日本の漁船が韓国や中共からたくさん拿捕されております。そしてその乗組員は韓国の監獄かなんかにたたき込まれておる。それは大多数か帰つて来ましたけれども、これほど悲惨なことはない。これらの生活保障についてもいろいろ研究されておるのでありますが、こういう状態から見て、栗山さんがさつきおつしやつた通り、過去の国情から見ても、今日のごとく残念なことはないと思う。この間長官みずから対馬であるとか五島方面の、あの李ラインの付近を親しく御視察をしてくださつたのでありますが、この情勢から考えて、あの拿捕事件は、私は海上における直接の大きな侵害であると考えておりますが、さよう解釈いたしてさしつかえないでしようか。
○木村国務大臣 これはわれわれは直接侵略とは考えておりません。私たちの日本の海上の警備力によつて相当な効果をあげて行けるものだ、こう考えております。これはいずれ外交交渉で結末をつけることと考えておりますが、これをもつてただちに直接侵略とは私はまだ考えておりません。その程度に至るべきものでないと考えております。
○永田(良)委員 私はどうも長官のその御答弁は不可解に思うのです。直接の侵略と解釈すべきものは、過去の戦争では、単に、たとえば元寇の乱のごとき、ああいうふうに外国の軍隊が日本に上陸して、日本を侵した場合、生命、財産に向つて非常な脅威を加えた場合が直接侵略であると考えるのは、過去の戦争の見方であつて、現代戦においては、私は海上における日本の船舶が拿捕される、漁船であつても船舶が拿捕されるのは、直接の侵害と解釈すべきものであると考えておる。また陸上に敵国が入つて来た場合はむろん直接の侵略でありまするか空中戦において、敵の飛行機からあるいはは銃撃をされる、または爆弾を投下されて、人が死んだり負傷したりする。また今日原子爆弾や水素爆弾があるこの際、東京の帝都が、空中から爆弾を投下された場合、これは明らかな空中からの侵略である。直接侵略というのは三段階に解釈すべきである。すなわち敵の陸軍、海軍——海上における場面、また空中戦における場面も、私は直接侵害ではないかと思う。この点について、今回日本の漁船がかかる拿捕をされましたがごときは、やはり直接侵略であると解釈して、相当これに対する漁民の保護を日本の政府としてはなさるべきである。もし自分にその力がないならば、何がゆえの安保条約でありますか。アメリカは調子のいいことを言つて、日本にかかる事態が発生したにもかかわらず、アメリカには空軍も海軍もあるのに、何ゆえに、ああいう日本の漁船が隣国から侵略されるのを、アメリカは安保条約の場面から保護せぬのでありましようか。かかることは、外交面からもわれわれは政府が相当交渉さるべき面と思う。またある新聞にはこういうことが書いてあります。戦力を持たない外交というのは力がない。実際今日の日韓の会談のあの状態から見ても、わが国の主張が通らないというのは、一面において多少の、あなたがさつきおつしやいました防衛力、まだ戦力にはならぬかもしらぬが、いずれにしても相当の軍備というものがなくては、やはり国の体面は保てぬのじやないかと思う。これは過去の世界の歴史や現在を通じても、決して誤りない真理と思う。この点について長官は何と思われますか。どうも私は、さつきのあの事件を直接の侵略ではないとおつしやるのは、いかにも残念に思うのですが、もつと考え直して、よき御答弁はできませんでしようか。
○木村国務大臣 私はこれをもつてただちに直接侵略とは解釈しておりません。しかしこの漁船拿捕の問題は、まことに残念であります。これはあらゆる角度から検討いたしまして、われわれといたしましては一日も早くその解決に向うことをこいねがつております。ただこういうことは言えます。不当な李承晩ラインの設定によつて、むやみに漁船が拿捕される、これは一つの国際的の違法行為であります。それに対しては相当のこちらの手当はでき得るだろうと考えております。しかしながら今申し上げましたように、これをもつてただちに不当な侵略行為と考えるのはどうかと私は思うのであります。
○永田(良)委員 これは私は相当重要な問題と思う。さつき栗山さんもおつしやいましたが、これから後の議会においては、相当この問題は取上げられて、議場で研究さるべき重要な問題と思う。いずれにしても、日本の国民が生活の安定を脅威され、また自分の所有しておる船を隣国かとられる、そうして向うの監獄に拘置されておる、こういう状態のもとにおいて、日本の今あなたが持つていらつしやる保安隊の力は、これはもうただ国内の保安だけであつて、あの貧弱なフリゲート艦やいろいろなもので海上の警護のできないことはわかつておる。ましてや練習機ぐらいを持つている日本の国のこの状態で、空からの侵略と海からの侵略にまつたく無防備状態にあるということは、世界の各国国民のみな知つておられることである。こういう状態において、アメリカはいま日本との会談においていろいろ折衝があるようでありますが、われわれはわからぬけれども、いずれにしても、今後日本の防衛の問題については、政府当局としては、いろいろな点について深き注意を払つていただかなければならぬ大きな問題と思うのであります。こういう場面から見て、アメリカはただ日本の陸上の保安隊、いわゆる昔でいう陸軍の方面ばかりにたくさんの人員を要求しているような傾向を新聞紙などで承つておる。私はあなたがおつしやつておる通り、戦力などというものは、今日の世界の情勢から見て、これは陸軍よりも海軍、海軍よりも空軍が一番大事である。この大事な空軍には、さつき御質問もありました通りたいへんな金がかかるので、日本の現在ではただちにそういう用意ができないことは明瞭であります。いずれにしても、これは日米の安保条約の線から、十分の確実な用意がなければ、国民は不安に陥るとわれわれは思うのです。こういう点は、外交の場面と、またいわゆる防衛上から考えまして、相当重要な案件であります。これらに対して、日本の今の海軍のあの状態と空軍の状態において、アメリカがいま日本にああいう古船や練習機ぐらいを貸しておつて、陸軍のみ向うがたくさんの人員を養成するならば、戦力を今後養成して行く場面から見ても、ほんとうの戦闘力のあるジエツト機のごときりつぱな飛行機、あるいは海軍の船にしても、今のフリゲート艦よりももつと優秀なものとアメリカの方から融通をつけてもらうか、そういう場面についてはどういう考えを持つていらつしやるか。また多少そういう面に触れて御交渉がございましたならば、家族会議と思つて打明けてわれわれにお示しを願いたいと思うのであります。いかがでありますか、お尋ねいたします。
○木村国務大臣 まず海岸の警備力の点でありますが、これは御承知の通り九千マイルになんなんとする日本の海岸の警備の全きを期するためには、相当の手当が必要であろうと考えております。ただいまのところ、わずかに御承知の通り五十隻、フリゲートは今度一隻加わりますのですべて十八隻になるのでありますが、これだけもつて事足れりと考えてはおりません。しかしながら、これを急速に増強するというようなことになりますと、これは一面からいうと、日本の財政計画に非常な影響を及ぼす、それらのものと兼ね合いでどうすべきかということについてわれわれは非常に苦慮しておるのであります。アメリカから全部相当のものを借りたらいいが、あるいはもらつたらいいがという議論も出るわけでありますが、そうは簡単に参らないのであります。ことに私が一番考えさせられるのは、船ができ上りましても、それはただちに使えるものじやないのであります。これを動かすのについて、相当な乗員の訓練をしなければなりません。それは数年かかるのであります。まず第一に、私は乗員の養成ということに主力を置いて、日本の財政力の増強と相まつていわゆる漸増をすべきである。こういう考えを持つておる次第であります。空の方においてもまたしかりであります。今ジエツト機のお話が出ましたが、ジエツト機一台つくりますについても、相当の金がかかるのであります。これは今の日本の財政力においてはとうていまかない切れるものじやないのであります。まずもつて日本が財政力を増強させ、国民が総蹶起して、ほんとうに日本をりつぱな国に仕上げるという気持を持つて行きますならば、これは徐々にでも、あるいは今永田委員の仰せになりましたような目的にかなうように将来なり得るのじやないかと考えております。ただ残念なことには急には参らないということを申し上げたいと思います。
○永田(良)委員 これはいろいろあらゆる角度から研究せんければならぬと思うのでありますが、私どもは率直に申し上げまして、将来の防衛力については、やはり国内の治安は、日本の現状としては陸軍に重点を置くべきでありますけれども、また一番脅威を感ずるのは、海の方面からの侵略もですが、わずか数時間の間に大惨害を及ぼす空中からの侵略すなわちこの点については相当の用意がなければならぬと思う。これについては、むろんアメリカがやつてくれるから——しかし他人の力を信頼しておつてのみでは、真の国内の治安ということはできないと私は思うのであります。こういう点から、新聞紙上には陸軍は三十何万とか、あるいはアメリカは海軍の方には十四、五万とか、また空軍の方面にはあるいは千機とか千五百機というようなことも見えておつたようであります。あの数字については多少日米の間とか、または保安庁の方でいろいろ御計画をあそばした言葉の片鱗が現われたのでしようか、ただ新聞のデマでしようか、こういうことも多少お示しのできる範囲内において教えていただきたいと思います。
○木村国務大臣 実はただいまその点について非常に研究中であります。いずれ成案を得ました上において、皆さんの御審議を願いたいと考えております。ただこれは単純に参らない問題であります。いろいろ各方面からの資料を取寄せ、また情勢を判断してきめなければならぬ。それにおいてわれわれは今実際苦慮しておるわけであります。慎重にこれが計画を立てたい、こう考えております。
○永田(良)委員 きようはこの程度で、またこの次の機会に伺うことにいたします。
○稻村委員長 島上善五郎君。
○島上委員 前々臨時国会の本委員会において木村長官は保安隊の急増は考えていない、こういう答弁をされたことは私どもの記憶に新たなるところであります。ところがまだ研究中だとただいまも答弁がありましたので、どうせ具体的な数字は答弁されないと思いますが、しかし新聞紙上にちらほら現われておるところ、あるいはその他から総合して判断するに、大体来年度は三万ないし四万の増員と私ども想像しておるのですが、これは次の国会に出して来るまで数字は具体的に現われないわけですが、いずれにしても私どもの考えでは、そういう保安隊の急増、すなわち半年前の答弁と違つたものを考えられておる、こう思うのですが、それをそのように、この前の答弁と考え方をかえた理由がどこにあるか、まず伺いたい。 私どもは世界の最近の動きを見ておりますと、平和を要望する動きというものが、次第に強くなつて来ていると思う。このことについては、吉田総理大臣も戦争の危機は遠のいたとはつきり答弁しておる。戦争の危機あるいは国際的な武力紛争の危機というものがだんだん遠のいたと見るのがほんとうではないか。それだのに、日本だけが保安隊を急にふやさなければならぬという理由が一体どこにあるのか、それをまず伺いたいと思います。
○木村国務大臣 お答えいたします。前々国会において、私は当分のうちさしあたり保安隊は今のままでやつて行きたい、こう考えておつたことは事実であります。しかしながら、その後において情勢の変化があるのであります。と申すのは、アメリカ駐留軍の地上部隊をできるだけ早く本国に引揚げたいという気持を持つておる、これは当然のことだろうと思う。立場を考えてみますと、われわれもさようなことは妥当な考え方であろうと思つております。従いましてそれに対処するように日本の警備力の相当の増加をして行きたい、こういう考えをもつて今計画を立てておる次第であります。
○島上委員 アメリカ駐留軍が撤退すれば当然それにかわるものをというお考えのようですが、一体直接侵略の危険性が増大しておるかどうかという問題、私どもは直接侵略々々々々というけれども、この中には多分にアメリカ製のデマがまじつていると思う。一体直接侵略をするという危険が増大したとかいう根拠がどこにあるか、どこにもありはしない。アメリカが盛んにそれを製造して、日本にばらまいている。(「朝鮮がある、竹島がある。」と呼ぶ者あり)朝鮮や竹島では何もできはしない。その直接侵略の危険性が増大していると思われる点があるかどうか。それを聞きたい。
○木村国務大臣 島上君は非常に興奮されて言われたようであります。それはものの男であります。われわれは刻々に世界の情勢を判断してこれを研究しなければならぬと思つておる。今ただちにどこから直接侵略が来るか、危険性があるかどうかということは、私はこの席上から申し上げません。どうか島上君もよく世界の情勢を判断していただきたいと考えております。
○島上委員 まあ見解の相違だとおつしやればそれまでですが、私どもは吉田総理大臣が答えているように、世界の戦争の危機は立ちのいた、世界の対立は緩和している、こう見るのが、少くとも良識ある人々の判断だと思う。どつちかに片寄つた、どつちかの製造している宣伝にとらわれている者は別ですけれども、ほんとうに冷静に世界の動きを見ますれば、そういうふうに見るのが当然だと思う。しかしそれは木村長官の見方が違えばいたし方がないことです。 そこで、たしかせんだつての予算委員会で、今の長官の御答弁と同じ意味ですが、米駐留軍が撤退するということになれば、それに伴つて保安隊を増強しなければならぬ、予算委員会ではそれがだんだん突き詰められ、その議論が発展して行きまして、米駐留軍が撤退すれば当然戦力を持たなければならぬ、こういうふうに答弁されたと記憶しておりますが、そのようにお考えになつておりますか。
○木村国務大臣 私はさようなことを言つた覚えはありません。米駐留軍が撤退したあかつきには、当然戦力を持たなければならぬと言つた記憶は毛頭ありません。
○島上委員 そうしますと、直接侵略に対して、戦力がなくてこれを防衛できるとお考えになつているのですか。
○木村国務大臣 日本の防衛力を増加して行きますれば、ある程度の手当はできると考えております。戦力問題は別であります。
○島上委員 戦力問題は別だとおつしやるけれども、かりに向うが飛行機で来る、あるいは軍艦で押しかけて来る、上陸作戦をやつて来る。そういうときに、相手は侵略しようとするものですから、その場合には当然戦力を持つて来ると思う。その場合に、かりにどこか知りませんけれども、直接侵略をしようというような大それたことを考えている外国が、戦力を持たないで日本へ来るとお考えになつておりますか。
○木村国務大臣 どうぞ私の速記録を詳細にお読み願いたい。この戦力という問題は、憲法第九条第二項についての解釈問題であります。あなたは戦争に役立つ力と戦力問題とをごつちやにされているのじやないか、こう考えます。それはどうぞ別にして、私の速記録を十分お読みになつて御議論願いたいと思います。
○島上委員 予算委員会の答弁とか憲法第九条の戦力の議論は、これからのあなたの答弁いかんによつてそこにだんだん発展して行くのであつて、今はそれを聞いているのじやない。直接侵略があるものと想定し、そういう場合を考えて自衛力を増強するというのですから、向うが来るとき、これを侵略というのですから、これは恐ろしい勢いでもつてやつて来るに違いない。その向うから来る侵略軍が戦力を持たないでやつて来るかどうか。戦力を持たないでやつて来てくれれば、こつちも戦力はいらぬのです。戦力がなくても、あるいは警察だけでも、あるいは部落の人が竹やりを持つて行つただけでも、これは防衛できるかもしらぬ。しかしそんなことは考えられない。向うが戦力を持つて来るのに、こつちが戦力を持たないで防衛できるなどというのは、およそナンセンスだ。戦力を持たないで来るかどうか。もし戦力を持つて来るということを考えた場合に、それに対してこつちが戦力を持たないで防衛できるとお考えになるかどうか、こういう点を伺いたい。
○木村国務大臣 われわれは憲法第九条第二項の戦力に至らざる程度において、いわゆる防衛力を増加し、そして外国からの不当の侵略に対処し得るように計画を立てておるのであります。
○島上委員 うなぎ問答みたいなことを繰返していてもしようがないと思いますが、保安庁改正に関連して今三党の間でいろいろ折衝されているようです。これは党が折衝されていることですから、木村長官が関知しないとおつしやればそれまでですが、この三党の間の折衝で、直接侵略に対抗することを第一義とする、こういう考え方と、第一義とか第二義とか言わずに、国内治安にもまた直接侵略にも対抗できるようにしよう、こういう意見が出ておりまして、まだ結論に至つていないようですが、木村保安庁長官の考えている保安庁法改正の構想は、その点に対してどのようになつているか。
○木村国務大臣 その点について部内にもいろいろ議論がります。私もその点については慎重に今研究中であります。まだ結論は得ておりません。
○島上委員 直接侵略に対する自衛の場合に、アメリカさんの方の考えでは、陸軍を三十五万とかあるいは三十二万五千とか、それに比較して海軍や空軍は非常に少く考えているようです。これはアメリカの考え方ですから私は日本政府の考えだとは言いませんが、直接侵略ということを想定して日本の自衛軍をつくる場合に陸軍、海軍、空軍ということに対してどういうふうに構想されているか。その構想に基いて増強方針並びに保安庁法改正を次期国会へ出されて来る考えであるかどうか、もしその点についてなるべく具体的に答弁できるならばひとつ御答弁願いたい。
○木村国務大臣 今せつかく研究中でありましてまだ結論は出しておりません。結論が出まして成果を得た以上は国会において御審議を願いたい、こう考えております。
○島上委員 今言つたように、アメリカの要求は陸軍を非常に重く見ている。また新聞に保安庁の構想だと伝えられているところも大体地上軍を非常に重く見ているようであります。私は軍人じやありませんから戦争のことはしろうとですけれども、しろうとがしろうとなりに考えてみましても、もし日本を侵略するとすれば、海を渡つて来るか空から来るかしかないわけです。従つてほんとうに自衛というならば、それこそ地上軍は二の次、三の次で、まず第一に海軍力を——九千マイルに近い日本の海岸線とおつしやるのですから、その海岸線を考えなければならぬ、また近代戦の優秀な航空機ということを考えなければならぬということになろうと思うのですが、どうもアメリカが要求する地上軍々々々というのは、これはアメリカの陸軍の身がわりに日本の青年を使おうとする、いわゆる雇い兵という性格がそこにも出ているのではないか、こう思う。こういうアメリカの考えている考え方に対して木村長官はどういうふうにお考えになりますか。
○木村国務大臣 アメリカとおつしやいますが、アメリカからこの木村は何らの要請も受けておりません。またアメリカの考え方に支配されるべきものではないと考えております。日本は独自の計画を立てて行く、われわれはまたその点について独自の考え方から今こういう計画を着々研究中であります。
○島上委員 おざなりの答弁しかしないので質問するのばかばかしいのですが、しかし池田さんがワシントンへ行つてロバートソンとどういう会談をしているか、今日本の軍隊の中身の構想について話し合つている。その池田・ロバートソン会談の結論に基いて日米が正式に交渉する東京会談でも、自衛軍の内容なりそういうものについて相談されることは、木村長官が何と言われようと明白な事実である。これは時間が証明する。そういうことになると、これは木村長官が何とおつしやいましようとも、国民の受ける感じ——感じだけではない。事実は相当強いアメリカの要請のもとに自衛軍が増強されるに至るであろうということを私ども考えざるを得ないわけです。まあアメリカは何と言おうと、自分は日本のことを考えて毅然としてやる、こうおつしやるのですから、まことに頼もしい限りで、アメリカのちつぽけな、けちな古武器などに惑わされないで、日本独自で考えてもらいたい。私どもも日本独自で考える。 そこでその次のことを伺いたいのですが、かりに自衛のための軍隊であるとしましても、——軍隊でも、自衛隊でも、保安隊でも名前はどうでもよろしいのですが、今十二万か十三万ですが、増強しましてかりに十八万としましてあるいは三十万としましても、軍隊というものはいざという場合のことを考えてつくるわけですが、その補充力というものが伴わなければならぬということを軍事専門家が言つておるわけです。その補充力について木村長官はどのように考えておられますか。これも新聞発表であるから、自分が言つた覚えがないとおつしやられればそれまでですが、かつて木村長官談として保安隊の退役者の組織をつくりたい、あるいは予備役制を近い将来に考えたいというような談話が発表されておりましたが、そういう保安隊の退役者を何らかの形で組織するとか、あるいはさらに進んで予備役制度をつくるとかいうことをお考えになつているかどうか伺いたい。
○木村国務大臣 申すまでもなく今の保安隊、警備隊は志願制度であつて、昔の軍隊のように後備力を持つておりません。この後備力を持つということについては、いろいろな障害があるのであります。これは一朝一夕に行くわけじやありません。これはとくと研究いたしたいと考えております。
○島上委員 いろいろな障害があることは事実ですが、それをとくと研究したいというのですが、そういうものをつくりたいというお考えのもとに研究をされていることだと思うのです。 それからもう一つ伺いたいのは、これもやはりこの前の内閣委員会ですが、徴募制度をとらなければならないだろう。将来は数を急増する場合には、徴募制度をとらなければならないだろう、これは一種の徴兵制度でございます。こういうふうに答弁しておられますが、来年度においてはあるいはその次年度においてか、近い将来に徴兵制度つまり一種の徴兵制度と思われるような制度をお考えになつておるかどうか、それからこれはこの前の国会ではまだ急増を考えてなかつた段階ですから、もちろん具体的にそういうことをお考えにならなかつたでしようが、今度の場合には、かりに来年度三万、再来年度四万というふうに急増して行くということになりますれば、当然それに伴つて、今の志願兵制度で事足りるかどうか。それで国の財政的な見地からもそれでやつて行けるかどうかということを当然お考えになつていると思いますが、その点に対してはつきりした結論はもちろんまだありませんでしようけれども、考えがありましたらその構想をお聞かせ願いたい。
○木村国務大臣 将来のことはわかりませんが、今の段階におきましては、徴兵制度は考えておりません。志願兵制度である程度まかなつて行けるんじやないか、こう考えております。
○島上委員 先ほどの御質問の際に、パンも大砲もというよりもむしろパンのために大砲を、こういうすこぶるおもしろい答弁をされましたが、一体今の日本の国力、経済力でパンと大砲が両立するかどうか。今日の国民の生活水準を切り下げないで、かりに保安隊を四万ふやすといつても、今日の国民生活を切り下げないで、今日の国の財政に影響を及ぼさずに、いわゆる自衛力を増大することができかどうか。日本よりもはるかに経済力のゆたかな、財政のゆたかなヨーロツパにおいてさえもが、再軍備のために国民生活の水準を切り下げるということで深刻に悩んでいる状態を私ども承知しておる。今日の日本において国民生活を切り下げないで、つまりパンの量を切り下げないで大砲を持つことができるかということについてお伺いしたい。
○木村国務大臣 われわれも国民生活水準を極度に切り下げることなくして自衛力の漸増をやつて行きたいというので、今着々その計画中であります。これははたしてでき得るかでき得ないか、われわれは計画を十分立てて、予算の面に盛つて、結局国会の審議を願うわけであります。そのときにどうか御議論をお願いしたい、こう考えております。
○島上委員 国民生活を極度に切下げないという極度という言葉を使われたのですが、それではまあちつとは切り下げても仕方がないというお考えのように、反対に考えるとそういうふうになる。極度に下げないで、多少は下げてもいたし方はないというお考えのように受取れますが、ダレスさんは御親切にも、日本は自衛のために国民は耐乏生活をしろ、こういうことをワシントンから、これは号令しているといつては少し言葉が誇張かもしれませんが、とにかく日本の政府に向つて指示しておるように受取れる。私どもは極度にということは程度の問題ですが、ある程度の水準を引き下げないで、今政府が考えているような、あるいはアメリカが要求しているような自衛軍ができるということはどうしても考えられない。現に国の予算が先だつての第一次補正予算でも、第二次補正でも政府が非常に悩み、国会でもみ論議されましたが、私ども見るところでは、いわゆる軍事費と思われる費用がまだ未使用分が相当潤沢にある。それなのに片方においては、もうすでに生活保護法の中の医療保護の費用が、本年度、来年の三月までの間に七十億も足らぬ。厚生省は地方団体に何とかそれまで地方団体が立てかえるか何かしてまかなつてくれるか、そうでなかつたら医療保護を大幅に圧縮するかしてほしい、一方どん底の生活をしている人々が医者にかかるその医療保護の費用さえも切り詰めなければならぬというほど苦しい状態にある。この国民生活に影響しないで極度に切り詰めないということになれば、それは程度の問題ですからそういうことになるかも知れませんが、私どもは何らかの形で、国民生活に影響、重圧を加えないで、国民生活の水準を切り下げないで、再軍備が、あるいは自衛軍ができることはどうしても考えられない。それができるとおつしやるならば、私どもはできる根拠について、もう少し私どもの納得ができ、国民も納得ができるような、数字的な根拠を示してほしいと思う。
○木村国務大臣 いずれ来るべき通常国会において、予算案が提出されることと思われます。そのときに十分御審議をお願いいたしたいと思います。
○島上委員 そういうような答弁を聞いてもあまり意味がない。私は最後にもう一つだけ聞いておきます。先ほどの質問の際に、自衛軍を増強しても過去の愚を繰返すようなことはしたくない、こういうことでしたが、過去の愚とは一体どういうことをさすのか、それを伺いたいし、これは日本の過去においてもそうですが、軍隊をつくつたり拡張したりする際に、一体どこの国に自衛とか防衛と言わずに、侵略のための軍隊であるということを言つたためしがあるか。私は過去の愚とは、自衛の範囲を越えて侵略的な行動に出たことをまず考えているのではないかと思うのですが、一体どこの国に軍隊をつくつたり拡張したりする際に、侵略のための軍隊と言つたためしがありますか。軍隊をつくるときには必ず防衛とか自衛とか言うにきまつておる。これはもう常識なんです。そうして軍隊をつくれば、だんだん十万より、二十万、二十万より三十万、三十万より五十万にしたくなる。これは世界歴史が証明しておる。日本の過去の愚もそれを証明しておる。そうしてそのように軍隊の力が強くなれば、国際的な紛争は話合いなんてめんどうくさいから、武力を背景にしてやつちまえ、こういうことになる。これは物理的だと言つてもいい。さらにまたそういうふうに軍隊が増強されて来ると、その軍隊は当然政治にくちばしを入れる。軍閥というものができて政治にくちばしを入れる。明治天皇が軍人は政治にかかわるなと言つたつて、そんなことは聞きはしない。軍閥が強くなれば政治に干与する。そうして民主主義なんというものはもうけし飛ばしてしまう。そういうような過去の愚を繰返すことが私ども心配でならない。そういう点について過去の愚とは一体どういうことをさしておるのか。それを繰返さないためには、どうしたらそれを繰返さないで済むかというようなことについてお考えがあつたらひとつ伺いたい。
○木村国務大臣 過去の愚とは私は支那事変、太平洋戦争のようなことを考えておるのであります。あのようなことを再び繰返すことのできないように、われわれは制度上もこれをやつて行きたいと考えております。要するにわれわれの建前は文官優位の態勢を整えて、いわゆる軍人がわがままのできないような態勢をつくり上げて行きたい、それについてはわれわれは制度上考えてやつておるのであります。またこれと同時に、いろいろな観点から議会の方面の制約を受けてさようなことをさせないようにするということが新しい自衛組織の行き方であろう、こう私は考えております。
○島上委員 私の質問はこれで終ります。
○稻村委員長 細迫兼光君。
○細迫委員 先ほどの木村長官の御答弁では、国の交戦権という憲法上の言葉の内容につきまして、あたかも戦闘行為をする権利、これを除外した拿捕権とか何とかいうことをもつて内容の全部としておらるるかのごとくであつたのであります。国の交戦権の中核は、敵の戦力に対しましてとにかく実力をもつてこれに対抗する、平たく言えば大砲を撃ち合う、そういうことを中核とした言葉であつて、御説のような拿捕権とか何とかいうようなことはこの中核から出た、すなわち戦闘行為を有利にするためにその必要事項としてのもろもろの派生的な枝葉未節の権利にすぎない、かように思うのであります。木村長官も法律専門家でありますから、法律家として良心に恥じない憲法上の国の交戦権についての御解釈を御答弁願いたいと思います。
○木村国務大臣 私の考えは先刻の通りであります。これは大体において日本の憲法学者の通説だと私は考えております。細迫君もりつぱな法律学者でありまして、おそらく各種の憲法論議をお聞きになり、またお調べになつたと考えております。大体においてさような見解をとつておるようであります。
○細迫委員 しからば木村長官はあの真珠湾攻撃、ああいう行動は国の交戦権の発露せられたものだとはお考えになつていないであろうか、反対側からひとつお聞きいたしたいと思います。
○木村国務大臣 あれは宣戦布告前にやつたことでありまするから、今論議するのは避けたいと思つておりますが、いわゆる一国が独立国家たる以上は、自衛権を持ち得ることは当然であります。私はこれは憲法前の問題である、また憲法の正面の解釈から申しましても、日本は自衛権を放棄したわけではありません。自衛権がある以上は、これの裏づけである自衛力を持ち得ることは当然である、その自衛の範囲内においてこれを自己の部隊が行動に移すということは、これまた当然な事理であると私は考えるのであります。
○細迫委員 ちよつと顧みて他をおつしやつた傾向があると思うのでありますが、とにかく最も常識的に言いますれば、交戦権といえば戦いを交える権利である、国の交戦権という観念の中には戦いを交え、ほこを交える、この具体的な行為を内包していないと考えておられるかどうか。
○木村国務大臣 憲法第九条第二項のいわゆる交戦権というのは、決して自衛のために戦う権利を言うわけではないと解釈しております。いわゆる拿捕権だとかあるいは捕獲審検に関する権利だとか、そういうような派生的な権利はこれを動かせないというように私は解釈しておるのであります。
○細迫委員 どうも的をはずれて困るのですが、国の交戦権という観念の中には、戦いを交え、ほこを交えるということは全然含まれていないと考えられるか、重ねてお尋ねいたします。
○木村国務大臣 全然含まれていないと考えます。
○細迫委員 驚くべき御解釈だと思うのでありますが、また後の機会をまつてお尋ねしたいと思います。
○稻村委員長 木村長官に対する質疑はこれを次会十七日午前に続行いたしたいと存じます。 —————————————
○稻村委員長 行政機構改革に関する説明聴取に移ります。質疑の通告があります。これを許します。下川儀太郎君。
○下川委員 塚田長官にお尋ねいたします。大分行革の案を練つておられるようでありますが、行政管理庁として私は非常に手ぬるいやり方をやつているのではないか、かようなことが各方面調査して参りますと次々と現われて参ります。たとえば見返り資金によつて建てられたあの戦後の駐留軍の住宅、これはどのようになつておりますか。
○塚田国務大臣 駐留軍の住宅がどのようになつておるかというお尋ねは、機構改革とどういうように関連してお尋ねになつておるのか、機構改革の面では全然まだ私どもの審議の問題点に入つて来ておらぬと思います。
○下川委員 私の申しますのは、行革の案を練ることもけつこうでありますが、いわゆる行政管理庁として十分そういう点を調査しておられない、そういう点をさしておるのであります。
○塚田国務大臣 お尋ねは、おそらく行政管理庁の仕事のうちの一つの行政監察の面をおさしになつておると思うのでありますが、そういう面におきましては、私は終戦のあと始末になつております今の調達庁の所管しております仕事などにつきましても、大分問題点が残つておると思います。ただ何にいたしましても千七百人の全機構でもつて、御承知のようにことしは公共事業、ことに西日本を中心とした災害と、それから国鉄の外郭団体というようなものに重点的に調査を向けておつたので、まだそこまでは行つておらないのでありますが、先般もお答え申し上げましたように、今国政の面から見て最も問題点の多いものから逐次片づけておるわけでありまして、もしそういうような点に幾つか疑点があつてお聞かせいただければ、あるいはその方に最初に重点を向けて行くということも考えられるわけで、まだそこまで具体的に参つておりません。
○下川委員 あの住宅は、調査するところによりますると、全然日本の籍に入つておらないということが明白になつております。すでに独立以後一年余りたつておりまするが、そのまま放置されておる、いわゆる国民の血税によつてまかなわれたそういう住宅が放置されておるということは、これは重大な問題であると思います。どうしてそれが調査ができないか。ここにまた一年有半たつてもなおかつ置き去りにされている。調査しているのでありましようか。現実的には日本の国籍に入つておらない、こういうところを調査になれば、これから上るところの財源もありましよう。そういうものを何ら具体的に表面に現わさないで、一方においてはそういう行革案を練る、こういう考え方に非常に私は矛盾を感ずる。これをどのようにお考えになりますか。
○塚田国務大臣 行政監察と機構改革の考え方は、先日も申し上げましたように両方並行して行くのだ、要するに物の面でむだがあれば物を、人の面でむだがあれば人をという考え方で行つているということを申し上げたようなわけでありまして、ただ監察は、今までの機構では現在すでに手一ぱいの仕事をしておりますので、手がそこまで伸びておらないわけであります。しかし本年いたしました監察の面におきましても、今下川委員の御指摘になりましたような面におきましては相当大きな成果をあげ得たのではないか、こういうように考えておるわけであります。なお具体的に、本日御指摘によつて気づきましたところがありますれば、とりあえず何らかの措置をとつてみたい、こういうように考えております。
○下川委員 これは一例でありますが、そういう調査が届かない、一年余りたつても現在国籍に入つておらないということは、結局これは人員が不足なんだ、こういう点を指摘してもようございますね。
○塚田国務大臣 これは人員が不足なんだということになりますか。必ずしも人員が不足だというときに、どこに人員が不足だか、調達庁の人間が不足だということになりますか、あるいは経理面の監督をしております大蔵省の人間が不足だということになりますか、あるいは行管あたりでやるべき仕事であるか、会計検査院でやるべき仕事であるかということになると思います。しかし私はそういうように御指摘があればすぐに調べますが、問題を処置し得るだけの人員が、今の人員で不足しているとは必ずしも思つておらないのでありまして、何かやはりいろいろな事情があつて、盲点があつてそういうところに注意が届いていない、こういうことではないかと思つております。
○下川委員 関東財務局におきまして調査したのですが、結局のところ、人員不足だということがわかつて参つております。そういう点は、長官は十分現地を調査する、あるいは担当官などにも会つてそれを調べで参らないと、結局首を切る結果が、日本のマイナスになるという点が非常にあるんじやないか、こういう点を私考えるのであります。それとともに行政管理庁長官の立場に対してやはりお訴えし、お伺いしたいのですが、非常に国有財産の不当利用がたくさんございます。その中には、第三国人を使つていわゆる赤線地区を各所につくり上げている、こういう実態があるのです。これはきよう入つたニユースでありますが、立川近辺に約三千坪ばかり、昔の電波研究所がございます。この三千坪の研究所が、終戦後金沢富吉という、国籍は韓国人でありまするが、その人が軍政部あるいはGHQに手をまわして、しようゆの醸造の会社をつくるというのでこれを一時借用しておる。そうして一時的にはしようゆをやつたのでありまするが、最近になつて約十一むねばかり、従業員の住宅をつくるといつて財務局の方から許可を得てつくり始めた。ところが調べてみると従業員はおらない。そこでだんだん調べてみるとその十一むねの中が洋風になつておる、ベツトが並んでおる、結局これはパンパンの住宅じやないかということがわかりまして、十月三十日にこの工事の中止命令を出した。これがもう真相になつておる。同時にアメリカ人が出入りしておる。そうなつて来ると、もう明らかにこれは国法を蹂躪して、赤線地区の一つの様相を呈しつつあるということが現実なのです。そこで十月三十日に中止命令を出したのに、今日依然としてそういう建築がなされておる、そういう出入りがなされておるということは、一体大蔵省は何をしておるのだ。第三国人が日本の三千坪の国有地を、しかも当時借用のときには他に転貸ししないとか、あるいはまたそういうことには使わないという一札を出しておるにもかかわらず、今日そういうことをやつておる。しかも二箇月近くになつておるのに、大蔵省は何らそれに手を入れていない。こういう実態を見て参りますと、そこに第三国人を利用して、その陰に踊つておる人々をわれわれは考えざるを得ない。政治家あるいはまたそれとグルになつている一連の悪辣な利得追求者が介在しておるようにわれわれは考えるのであります。このような問題は単に一例にすぎない。先ほどの見返り資金によるいわゆる駐留軍の住宅、あるいはこの三千坪のかつての電波研究所の敷地の問題、こうしたことが積み重なつておる。一つ一つこれを摘出するならば大きな財源にもなるし、大きな問題が提出されると私は考えるが、それを長官はどのようにお考えになりますか。
○塚田国務大臣 私どもも国政のいろいろな面に、そういうような御指摘を受けて訂正しなければならないものもたくさんあるのじやないかと思つております。そういうものがあればこそ行政監察も必要であるし、検察庁も必要である、こういうことになつておると思うのでありまして、ただ具体的な事例が、どういうふうな事情でそういうような事態になつていまだに放置されておるか、私も調べてみませんと今日の段階では何とも申し上げられませんけれども、もちろん私どもはそういうものがあるということを是認しつつ、なおかつ行政整理をやろうという考え方は毛頭ないのでありまして、そういうことがあるということがわかりますならば行政監察で調べる、会計検査院でわかるものがあればおそらく会計検査院も動くでありましよう、また陰に踊る者があるというような御想像でありますならば、検察庁を動かして問題を取上げることもできるわけでありまるから、そういうものを決してほうつておくという考え方では毛頭ない。そういうものがあればそういうものも、またそれと同時に行政機構の改革をやつて行こう、こういう考え方でやつておるのであります。
○下川委員 陰に踊つておる者があるとかないとかいうことは想像ですが、ないとすると、これは事務煩瑣から来たいろいろな手落ちであると思う。これはやはり現実に行つてみて、いろいろそういう問題が累積していることに気がつきました。ですからいわゆる机上プランとか、頭の中の考えだけで機構改革をやり、あるいは人員整理をやる、こういうことは私は非常に現実を無視したやり方であると思う。そこでいろいろとあなたの方もプランを立てておるようでありますが、私も先般、前回の委員会で構想をお聞きしました。次には参議院の方であなたがいろいろと具体的な説明をなさつておりますが、その次にきようの新聞を見ると、これは自由党にその案を立てさせるというようなことが報道されておる、これは一体どうなのですか。あまりにも政府はいくじがないではないか。もちろん各党において機構改革の委員会もございますしよう。しかしこれから政府が政治をするための案というものを——あなたが自由党の党員であるということは第二として、自由党におまかせする、自由党にそのプランを立てさせる、そういうやり方はあまりに国会無視の考え方でもあるし、あるいはまた政府がいくじがないというふうに私は考えるのですが、この点いかがでしようか。
○塚田国務大臣 これは行政というもののあり方上、自由当に案を立てさせるというようなことは毛頭あり得ないことなのであります。ただ問題が複雑微妙な問題であり、かつ困難な問題で過去幾たびかやつてみて、困難がどの辺にあるかということもよくわかつておるのでありまして、国会の御意見も聞き、また各党の御意見も聞くというようにして案をまとめて行くならば、実現性の非常に強いものになるというような考え方から、国会のお尋ねがあれば発表のできる段階におきまして、今日はこのような考え方まで進んでおるというようなことを申し上げておるわけであります。そういうような意味におきまして自由党にも御希望があれば、行つてこういう考え方でありますという説明を申し上げて意見を謹んで承る、こういう考え方でおります。最後にはもちろん政府部内におきまして——所管といたしましては行政管理庁が、さらに内閣といたしましては臨時行政改革本部が、そして最後には内閣の総意によつてきめるということに間違いはないのであります。
○下川委員 きようの朝日の記事でございますが、これがそのままうなづけるということもどうかと思います。しかし塚田さんが首を切るのは非常に冷酷無情だから、とにかく自由党の方に案を出してもらつた方がいい、そういうお考えではなかろうかと思いまするが、問題はやはり人間の問題であります。これは能率増進とか、あるいは非常に合理的な仕事の面ということを考えての結果でございましようけれども、やはり犠牲にされるのは人間なのだということを考えてみますると、これはもう冷酷とか、あるいは人情とかいうことでなくて、日本の政治が大きな問題として浮び上つて来るという点を御注意くださいまして、これは自由党ということでなくて、大局的な立場からやつていただきたいと思う。しかも現実を無視してはならない。一つ二つ私たちが視察に行つて見ても、どこへ行つても非常に不足している、労働強化なんだ。しかも二〇%あるいは三〇%もの病気をしている人がある。そういう中にまたこれが強化される。機構改革即首切りが始まつて来る。そうすると首を切られた者の犠牲と残された者の労働強化による犠牲というものを考えると、これは政治というものが非常にマイナスになつて来る。そういう点を十分考えていただきたいと思う。なお自由党におまかせしてないというならば、参議院よりもつと具体的に、もう少し突き進んだ御説明をひとつ願たいたいと思うんです。
○塚田国務大臣 先日は時間の都合もありまして、一般的な原則だけを申し上げたのと、それから実は今の段階では全体としてこうなつておりますといつて発表申し上げるというようなかつこうになつておらぬのでありまして、先日ももしこの点がどうなつておるかというようなお尋ねであれば、その点は一応こういう考え方になつておりますというようにお答え申し上げましたところが、委員長からそれではこういう点とこういう点というように御指摘があつて、それに対して具体的な構想を申し上げたわけであります。しかしきようは時間もそんなにきゆうくつではないようでありますから、ただ全体として申し上げますと、全部が一応の素案になつておるわけなのでありますからして、何かこういう部分というようなことでお尋ねがあれば、何がしかお答えできるものがあると思うわけであります。
○下川委員 能率増進のめどをどこに置くとか、あるいはまた統合するとか、あるいは外局を内局にするとかいうような機構の面、それから従来人員が非常に多かつたけれども、これはどうしても整理しなければならないというようなもう少し具体的な考えがあるんじやないかと思うんです。その点をひとつお答え願いたいと思います。
○塚田国務大臣 そういうお話になりますと、また一般の原則的な考え方になるのでありまして、ただ数字の点は先般申し上げましたかどうですか、事務整理をし、機構の簡素化を一応予定し、その簡素化と事務整理の上に立つて各省の人員の整理をいたしておりますので、この点はまだ全然申し上げる段階に参つておりません。ほんとうの内部作業の段階であります。しかし全体としての構想ですと、先般大部分申し上げたつもりでありますが、本委員会でどんなことをまだ申し上げておらないか、ちよつとわかりませんが、この間の参議院の内閣委員会ではむしろ具体的にお尋ねがございましたので、どことどこのどういうものはどういうぐあいにということを相当申し上げたと思うのであります。 そこでどのように申し上げますか、たとえば能率増進をどういうぐあいに考えておるかということでありますならば、実はこういうように考えておるわけであります。どうもこの機構改革の問題は、今も下川委員も御指摘になりましたように、個々の部局に当つてみると、今でも足らぬというのがたくさんあるわけであります。またそういうところもあるのじやないかと私どもも思うわけでありますが、それでは全体として考えて、戦争前から非常に厖大になつておるこの行政機構に、そんなに仕事がふえているだろうかという点が一つ漠然と考えられるわけであります。 それから一体行政機関内部におる人が、今の人間をどこにおいても絶対に切ることがないという考え方かというと、そうでもない。やはりまだむだがある。むだがあるということはもちろん局部的に申しておるわけではなく、全体的に申しておるわけでありますが、とにかくむだがある。これは同じように国民もむだがあると言つておる。ところがさて機構改革本部が案を出すと、絶対に切る余地がないという一応の答弁が来るのですけれども、それでは結局話にならぬじやないか、こういう考え方をしておるわけであります。それで行政機構改革というものは、本来は先ほど下川委員が御指摘になりましたように切られた方にすれば非常な犠牲であるわけであります。しかしもつと大きく考えれば、むだなものを抱いておるということは、これは国民の犠牲であるということを実は私ども考えておるのであります。国民が血税を払いながら、どうしてもこれだけのものをつくつておかなければ、われわれが必要な国からのサービスその他のいろいろな利益を受けられないということであれば、それは十分税金が価値ある目的に使われておるというわけですから、それは切る必要は私もないと思うのでありますが、国民の側も今の機構で、今の仕事を国にやつてもらうのに、絶対に必要であるとは思つておられない。国民の側でも広く官庁にむだがあると思つておる。そして私は大体この勘は当つておると思う。そこでその当つておる勘はどこか——現実に、ひよつと見ておると、どこにも切る場所がないように見えるところにもむだがあるのだということにそれはなるのだろうと思います。しかしやはり全体として見ますならば、局部的に非常に困難をしておる部分もあると思います。おそらくさつき下川委員のおつしやつた電波関係の末端のそういう比較的国民にくつついた部分には、かなり私に切るに困難な面があると思う。従つて私どもの考えでは、この部分はいくら切るにしてもそんなに大きなものは期待できない、この部分は相当大きな部分が期待できるというように差別しておる面がかなりあるわけであります。そういう特殊の問題の考え方は別にいたしまして、全体としては私はこう考えておるわけであります。ほんとうに各省の次官なり、局長諸君が行革からこれくらいの整理はどうだろうというものの案を示されたときに、自分のところでは一人も切る余地はないという答弁をなさる前に、本人が少くともそういう考え方で、次官なり局長が、あるいは次官も局長も少くとも一月や二月、朝の九時から出て来て、自分のところの省のどこの人間がどういう働きをしておるかということをずつと見て、自分の腹に納めてから、切る人間がないならないのだという答弁をされるべきである、私はそう考えておる。ただ漠然と考えて、おれのところは切る人間がないという考え方はこの国民の常識と違う。そこのところを実は私はねらつておるのでありまして、その上でなるほど切る人間がないというならば行政機構改革本部はあえて人員整理というものはいたしません。こういう考え方であります。ですから今むだな働きをしておるとは思つておりませんけれども、そこを国民の困難な立場というものをいま一奮発する余地がないものだろうかというので検討をしてほしいというのが今度の機構改革のほんとうのねらいであるというようにお答え申し上げたいわけであります。
○下川委員 あなたの言うことは一応わかるのですが、しかし問題は首を切るというその犠牲も考えますが、配置転換——要するに人員を要求しておるところがある。そういう面の配置転換はわかる。たとえば行政面の人々も問題がありますが、企業体の面もある。そうなつて来ると直接的に国家に利益しているのだ。手足を動かして働いている現業の人々が数多くある。非常に仕事が複雑になつて来ると、その方面でどうしても人間が必要なんだ。しかし労働強化によつてそれが絞めつけられて来る、一方ではそういうあきがあるかもしれません。そういう面を首切るという前提でなくして、能率増進とかあるいは国民にサービスをよくするとかあるいは国家にプラスするような業種を拡大して行くという面においての機構改革ならば、これは私はうなずける。犠牲ということを前提においてでなくて、やはりあくまでも能率増進あるいは国家的プラスという面でものを考えたらどうか、そのように考えるのです。 それから公共企業体の問題ですが、これは何か話に聞くと、予算を一割天引きする、わくづけによつて整理するというふうな考え方もあるように聞いておるのですが、この点はどのようにお考えでありますか。
○塚田国務大臣 下川委員の御指摘になりました点は私も同じ考え方でおるのでありまして、今度の整理では、同じように整理をするとは考えておりましても、公社現業というようなもの、従つて国民の税金によるものでなしに料金収入、鉄道ならば運賃、郵政ならば切手の収入、そういうようなものによつておるものは、仕事の分量の増加に応じて最小限の増員というものは自分としても認めなければならないだろう、こういう考え方を持つております。従つて一般行政官庁の整理の場合と少し感じは違うのでありますが、仕事量、業務量の増加したものは、機構改革の際にむしろ増員の面を考えなければならない、そうしてふやすべきものはふやす、しかし全体としては公共の機関でありますから、いま一ふんばり能率を上げるくふうがないものかという面において検討を願わなくちやならない、こういうふうに思います。 それから公共企業体のことについて特にお尋ねがありましたが、公共企業体は、行政管理庁の機構改革の今の段階に乗つて来ておらぬのであります。しかし現在の特別会計になつておる五現業にいたしますれば、同じ考え方でやつていただかなければならぬと思いますが、その場合にも五現業と同じ考え方であり、行政官庁と同じ考え方ではない。今一割天引きして予算を切るのかというお尋ねでありましたが、そういうことは機構改革本部もまだ考えないし、大蔵省もそういう考えはないのではないかというように、私は承知しておる。たとえば私の所管をしておる電通公社の場合でも、御承知のように今五箇年計画で相当厖大な整備拡充計画が行われておるから、それに伴つて人員の増加は、ある程度認めなければならぬのではないかという大蔵省の考え方であるというようにも承知をしておるわけです。どちらにいたしましても整理を可能とする面はやる、どうしても増員しなければならぬ面は増員をする。そういうように絶えず国民の立場をよく考えて、現業、公社、官庁すべてふんばつていただく、こういう考え方でおります。
○下川委員 もちろん国民の立場でやることは必要でありますが、それではこの犠牲者を国民が受取つてどうするかという問題が、今度は民生安定という面から生れて来ると思う。従いまして首切りという前提ではなくて、人員を必要とされるということと対蹠的に考えて行くのが望ましいのではないか。受取る者がそれを今度は育てて行かなければならぬ。国民の血税でサラリーを与えて、同時にまた犠牲になつた人間も国民が養つて行く義務があるのです。それが思想的に非常に不安定になつて来る。その結果をわれわれ考えるとき、片方においては人員は不足しておるのだ、不足しておるところにこれを向けるのが政治ではないか。その意味においてやつていただきたい。 それから先般私たち見て参りましたが、陸運局の機構改革はどのように考えておりますか。
○塚田国務大臣 運輸省の機構は、大臣官房、海運局、港湾局、鉄道監督局、自動車局、航空局、この一官房五局にいたしてみたならばどうかという考え方であります。従つてその場合には、船舶局、船員局が海運局に統合されるという考え方であり、地方の出先——今度の機構改革で出先機関に対しては、なるべくこれを整理したいという考え方でおるわけでありますが、運輸省においては、陸運局、海運局の二本建に出先があるわけであります。大体ある場所も同じような場所にあるようでありますので、運輸省の出先機関を一本化するという考え方から、陸運局、海運局を統合して運輸局というものにして、その支局、出張所を整理、縮小したらどうであろうかという考え方になつております。
○下川委員 この点も、もう少し現地を見て、現地の方々とも十分ひざを交えて話されたいと思います。先般私たちは陸運局の検査場を視察して参りました。自動車の数は約十万台近いが、わずかに百二十人の少人数でこれを検査しておる。しかもそのうち二〇%は病気に冒されておる。これは東京都の話であります。そのように実際現実的に見ますと、その労働強化ははげしいものである。一部署を見ただけでも、そういう実態が生れて来る。ですから机上プランでいろいろな役人だけで話合つてもできないと思う。もつと掘り下げてやるべきではないか。もしぶらぶらしておる者があつたら、その足らない方にどんどん増加してやるというような考え方で政治をやらないで、現実を無視した政治をやられると困る。たとえば検査場ではハンドル、ブレーキ、ライトとかすべてを検査する。それで大都会を疾駆する自動車は社会不安を醸成せしめておる。いろいろな人家に被害を与える。そういうことを考えて参りますと、より以上にそれを増加させなければならぬ。増加をさせることによつて社会の保安を保たなければならぬ。こういう観点に立つて見ますと、現実は倍にしてもらわなくてはならぬ。少くとも二百名くらいなければだめなんです。来年は五万台ふえるというふうに次々と実証が現われて来ておる。そういう面にまで大臣がタツチしないと、とんでもない社会保安上に大きな影響を及ぼすのではないかと思います。 それからこの間気象台を見て参りましたが、気象台の現実に即して、はたして人員を増加させるのかさせないのか、その点もし具体的な御意見があつたら伺いたい。
○塚田国務大臣 行政機構改革本部と申しましても、他の省のこまかい実態は、いくら調べてもとても調べ上げられないということは申すまでもないのでありまして、そういう懸念がありますからこそ、この案は最終的な案ではないのであります、これから各省に御相談して各省の意見を伺うのであります、こう申し上げたのであります。逐次各省と折衝して事実そういうような状態であるということがわかりますれば、妥当な範囲できつと適当な案が出て来ると思います。 それから気象台の状態でありますが、気象台もいろいろな意味においてかなり整理の困難な部門であるというように私どもは今の段階でも考えておりますが、気象台については増員するのか減員するのかというようなことは、まだここで申し上げる段階にまで参つておりません。
○下川委員 いろいろとわれわれ調査して参りまして、十分あなたの方にも進言いたしますけれども、問題は非常に重大でございますから、その点ただ天くだり的とか机上プランだけでこの整理をやらないように、十分配置転換とか、あるいは政治的にプラスになるような仕方でやつていただきたい。なお詳しいことは、お手元に機構改革草案を持つておられるようでありますから、これをひとつ資料として各委員に御配付願いたい。
○塚田国務大臣 これは先般も資料としてどうかということでありましたけれども、委員会に資料としてとおつしやられると、まだそういう程度のものではありませんから、どういう形で皆さん方に内容を御了解願うか、何らかそういう方法は考えたいと存じますけれども、まだ正式な資料というところまでは参つておりませんので、いずれ何らか方法を考えて善処いたしたいと存じます。
○下川委員 しかし、答弁がその草案から出て来るようでございますので、暫定的な草案でもけつこうでありますから、われわれ休会中の研究資料としてぜひひとつお願いいたします。
○塚田国務大臣 何らか適当に考えてみたいと思います。
○大村委員 ただいま具体的なことにつきましてだんだんお答えもあつたようでありますから、ほんの一点簡単にお尋ねしたいと思います。それは、伝うるところによりますと、地方にあります作報事務所、食糧事務所を統合するということが伝えられておるのでありますが、今日農林統計は非常に不完全でございまして、私ども、また政府も農林政策を樹立する上において非常な不便を感じて、そこに顧みて、中立的立場においてまじめな科学的な調査を作報事務所でやらせようということで発足いたして、ここに数年たつてだんだんとその成果が上りつつあるときに、食糧事務所というような、一つの何か行政目的を特に達しようというようなところに統合させますと、せつかくの作報事務所の機能というものが全然没却されてしまうというような危険が多分にあると思うのであります。もし伝えられるような統合があるとすれば、これは大いに考慮しなければならぬというふうに考えられるのでありますが、これにつきましてはどのようなお考えでありましようか、参考のために伺つておきます。
○塚田国務大臣 この点はお尋ねのような構想に今なつておるわけであります。それは原則論としましては一省の出先機関一つというものの、私は実はこういう場合が一番よく当る場合ではないかと考えておるのであります。各出先機関のある場所も大体似通つたところにございますし、非常にたくさんあるわけでございます。しかもこれは一方は統計調査、一方は集荷、配給ということになつておりますけれども、全部その目的は食糧の統制、供出、そういう目的に向つて二つの機関が置かれてあるわけでありまして、目的は同じ目的になつておるわけなんであります。それで私どもも今の段階で、ことに主食が統制されている段階で、食糧の統計、ことに主食の統計というものが相当信用度の保てるものが出て来ないということは、食糧政策を立てる上に非常に困難をすることは確かと思つておりますので、従つてこの目的が達せられないようにつぶしてもいいのだというような考え方はいたしておりませんのでありまして、この目的はもちろんぜひ達せられるようにしてもらわなくちやならぬ。しかし今大村委員が御指摘になりましたように、何年間もやつて、大体要領も覚えられたのでありますし、この辺で一本にして能率をあげて、この目的を達しながら相当整理をしていただく面があるのじやないだろうかというのが、私どもがこの二本を一本にしようという考え方をいたしておる理由であります。ことに行政監察の方でもいろいろ調べておるわけでありますが、調べてみると、それぞれの事務所が最も忙しい時期が多少ずれておるのじやないだろうか。ことに統計調査事務所なんかの例を見ますと、一番忙しいときは、主食の実る時期、坪刈りなんか始めるときが非常に忙しい。また食糧事務所の方は、今度は主食が実つて、刈り入れて、米になつて、そうしてこれを検査から供出してもらう時期、その時期が非常に忙しい。統計調査事務所などの場合には、その忙しい時期が一年のうち、ことに米作一本の単作地帯などになりますと、さらにそれがわずかな時期に非常に忙しくて、あとの時期はそんなに忙しくないというような状態があるために、無理にそのほかのいろいろの仕事も実はやつておるのじやないかというような感じもあるわけであります。それで主食の統制を前提としておれば今形は置いておかなければなりませんが、かりに将来われわれの考えるように主食の統制が摘発できるようになれば、やはり統計というものは第一段は——他の省のすべての統計がみんな第一段の調査は府県もしくは市町村というように、自治団体に調べてもらつて、その数字を適当に監督しながら各所管の省、厚生統計なら厚生省、労働統計なら労働省というようにおまとめになつているので、それで十分正確度が期せられるのじやないか。今主食が統制になつておる関係上、それでは十分正確度が期せられないということで、府県の統計と統計調査事務所の統計が非常に違うという結果が出ておるわけであります。しかしこれはどこまでも現段階においてのもの。ですから今度食糧事務所と統計調査事務所を統合することによつて、もしほかの統計の調査ができないということであれば、それは農林統計も、本来の他の省の統計のあり方に従つて、府県におまかせ願つてもいいのじやないか。将来は結局そうなるべき性格のものである。そこでできないものは府県にまかせる、そうして主食の統計を主としてやる、こういう建前におきまして、さらに能率をあげていただくという観点から、これを一本にしてやつてみたらどうだろうか、こういう考え方でおるわけであります。
○大村委員 私ここで議論をしようとするものではありませんが、現在の地方の状況を見ますると、作報の統計が一番正確だと言われておる。ところがただいま御指摘になりました府県の統計に至りましては、米の生産量当りは最も低いのであります。そうして食糧事務所はその中間を行つておる。食糧事務所は自分が食糧の供出を完全にやらなければならなぬ責任がありますから、どうしてもこれは控え目に統計を出しておることが実績をあげる上に賢明だ、要するに県なり食糧事務所の統計は行政目的を達するために便宜のように統計をゆがめるというような点が多分にあると思うのであります。しかるに作報は最も科学的に、それらの行政目的から中立に、事実そのものを報告しようという努力を続けて来て、今日その成果が上つておると思います。これを単に場所が同じであるからというようなことで統合いたしますと、日本の農林統計というものはまた昔日の状態に復元をすることは私は疑いのないところだと思うのであります。この点につきましては行政整理に急なるの余り、農林政策の中心をなす統計の改善がまた再び旧に復するということは、深く注意をしなければならぬことではないかと思うのでありまして、私も今後さらに研究を進めますが、その辺御善処を特に要望しておきたいと思います。
○永田(良)委員 私も、ただいまの行政機構の地方出先機関の統合とか改革等につきまして、中央の官庁で考えてもらわなければならぬところがあるのです。たとえば一例を申し上げますと、私は鹿児島県の者でありますが、鹿児島県のごときは今回大島郡がまた復帰した。それであの辺の出先機関において、各府県と同じような比例でこれを統合しては鹿児島県はたいへん迷惑をする。あれを今併合した以上は、鹿児島県のごときはもつとこれを増加しなければならぬことは明らかな事実であります。これに対してそういう用意をしておられますか。一例を申し上げますと、大島のごときは沖縄との境の与論島、沖永良部、ああいう離島には鹿児島から一旦名瀬行の船が行く、そうして名瀬から小さな船で各島をまわつて、また名瀬に帰つて来るのに少くとも一週間、天候の関係では十日もかかる。そういつた関係で、各島の統計が鹿児島県庁に集まるのが、日本全国で一番遅れる。また中央各官庁から鹿児島県庁を経てあの与論島にいろいろな書類が到達するのは、日本全国で一番遅れることは明らかなる事実であります。東京付近の近県は通達が行つてもう中央官署に報告書が届いたにもかかわらず、鹿児島県はいつも一番遅れでいるところであります。そういう点から、各種の問題について非常な不自由を来しておることは明らかであります。こういう点は、むしろ離れ島には中央官庁の方からして無電装置を各町村役場にやらせるとか、末端機関の統計等が他の地方に遅れぬようにすみやかにやるように、ひとつ助成していただきませんと、一般のただ中央からの観念で仕事をしていただくと国の行政の末梢神経は麻痺してしまう。こういう点は十分の考慮を払つていただきたいということを要望するわけであります。これに対して長官はどういうお考えをお持ちですか。
○塚田国務大臣 まだ具体的に両島をどうするかということは考えておりません。先般の閣議決定でとりあえず国の機構改革が本ぎまりになるまでは今までの機構を固定してそのままにして行こう。国の機構改革がきまつた機会に国と歩調を合せて考えよう、こういうことになつておりますが、ただいま御指摘のような事情は確かにあると考えられますので、その際にはそれらの特殊事情は十分考慮に入れる。こういう考え方であります。
○辻(政)委員 ただいまの大村委員の御質問に対して私もまつたく同感であります。その具体的な例を一つ申し上げますが、私の郷里の統計調査事務所では今年の作柄を大体八二%と見ておるのです。ところがそれが県知事の方では七〇%以下、こうなつておりまして、すでに供出量をはるかに上まわつて、まだやみ米がだぶつておる、こういう実情があります。今年の供米につきましては知事公選というものが非常に災いいたしまして実際の収穫量よりもはるかに内輪に報告されておる。そのために国家として非常に大きな施策を誤つておるのではないか、これらのことが考えられるのです。これは一つの例ですが、そういうことがたくさんございますから、食糧事務所と統計調査事務所をただ簡単に同じ農林省内のものであるから一本にしろというような単純な考え方でなくして、政府がこの重大なときに食糧の現状を把握するためには、統計調査事務所をむしろ拡充する、何者にも左右されない権威を持たせるという点について、さらに一応考えていただきたい。 いま一つは先ほど下川委員のお話にありました中央気象台の問題で、実は一緒に行つて見たのでありますが、気象業務というものが、われわれが考えておるよりも非常に脆弱である。ことに日本の気象においての最大の欠陥は支那大陸における気象の諸元を把握できないというところにあるのです。それが水害、台風の予防等に非常に重大な欠陥を持つております。ああいう技術者というものは政治性がありませんので、こういうときにはきわめて無力であつて、一般官庁並に天引き削られるという危惧があります。私が公平に見たところによりますと、気象台関係はむしろ一割ないし二割増員しなければならない。ことに欠陥があるのは山地気象の観測で、そのために若い者には被害を起しておるのであります。そういうところを一々現場に合うように、十分お考えの上でやつていただきたい。その二点について要望しておきます。
○島上委員 せんだつて中央気象台の視察に参りましたときに聞いたのでありますが、北方定点観測が米軍の援助中止のためにやめなければならぬ運命にある。これを廃止いたしますと、日本では気象観測にとつて重大な欠陥をもたらすということを伺つております。これには日本で一千トン級の船と四百人ほどの人員があれば、米軍の援助が中止されても廃止しないで引続きやつて行けるというような説明を概略伺つたのですが、行政機構改革に際しては、この前も必ずしも一律にというのではなくて必要なところでは場合によつては整理することがないばかりか増員するというようなこともあり得るという話を伺つたのを私記憶しております。このことに対して行政管理庁では行政機構改革の際に、これを日本の力によつて従来通り復活して観測を続けるという必要をお認めになつておるかどうか。必要があるとすればこれに対して具体的には復活するための措置をお考えになつておるかどうかということを伺いたいのです。
○塚田国務大臣 定点観測の問題は先般運輸大臣からちよつと話を聞いた程度で、まだこまかく聞いておりませんが、しかし機構改革で、あれを問題にしてあそこからも人員の余剰を出すというような考え方は少しもしておりませんし、ほんとうに必要なものであれば、よく運輸省の意見を聞いて存置すべきものは存置する、またアメリカの援助がなくても日本で維持しなければならぬものは維持するという考え方にはあえて反対はいたさないつもりであります。
○島上委員 そうすれば実際に必要ならば米軍の援助が中止されてもこれを日本の力によつて続けるというお考えと聞いてよろしいですね。
○塚田国務大臣 これは大蔵省の立場もありますでしようが、行政機構改革の立場からは今申し上げたようであります。
○島上委員 それからひとつ例の待命制度のことについて伺いたいのですが、新聞の報道によりますれば、待命の申出をした者は一人もないということですが、それが事実かどうか。つまりそれは役所がやめてもらいたいと思うような人が一人も申上がなかつたという意味なのか。全然一人も申出がなかつたという意味なのか。それからもしそういうふうに一人も申出がなかつたということになれば、吉田総理大臣がせつかく名案のつもりで考えたものがしんにゆうのついた迷案ということになるのだ。そうなるとこの待命制度についてはやめてしまうか、それとも別に何か構想をかえておやりになるか、そういうお考えがあつたら聞かしていただきたい。
○塚田国務大臣 申出がないということは、行政管理庁に申出がないという意味においては事実であります。まだ各省からこれたけの待命の申出かあつたということの話は聞いておりません。しかしこれは当初の案でも十二月末日締切りということであつたのでありまして、まだ行政管理庁に報告を持つて来べき段階でないのだと思つております。ことに先般ちよつと申し上げましたが、一応十二月末ということにいたしましたけれども、やはり特殊の部局、ことに営業部門などは年末が非常に忙しいというような事情がありまして、十二月末という締切りが適当でないのではないかというので、先般一月末に締切りをさらに閣議決定を経て延ばしてもらつておるのであります。そういう事情でおそらくまだなかつたのであろうと思います。しかし各省のうわさをぼつぼつ聞いておりますと、全然ないことはないのだそうでありますが、ただ各省の考え方の中には、今これを出して——あの待命制度では、待命を出すとそれだけ定員が使用できないことになるから事実上定員が削られた形になる。待命で定員を削られてその上にまた一率で定員減をぶつかけられたりしたらたいへんだ。これがはたして今度の整理の中に入るだろうかどうかというようなことについてかなり疑問を持つておられるような向きもあるらしいのであります。それはあれをよくごらんくだされば当然今待命で申し出られて定員が事実上休止になつておる面は、今度の定員減の中に計算をされるわけなんでありますけれども、そういう点に幾らか疑念などもあつてかなり出すのを控えている向きもあるように思うのであります。従つてこれはほんとうにいよいよ今行管の方で作業をいたしております各省の整理人員の予定が大体つきますと、各省も相当積極的に御協力願えるということになるのじやないかと思つております。ただ実際にあれが効果があるかないかということになりますと、やはり最終の締切日になつてみないとわかりません。かりに一月三十一日になりませんでも、その近いところになつてみないとわかりませんので、今これが申出がないから、失敗だつたからやめるとか別な方法を考えるとかいう段階にはまだ参らないと思います。かりに今全然あれに対しての実効がなかつたということになりましても、先般もちよつと申し上げましたように、今度は政府は場合によつては本整理の場合にもこういう考え方を持つている、だからもともとこの間の閣議決定の待命の考え方というものは法的措置を伴つた本改革のときの待命の考え方からスタートいたしたのでありまして、その考え方からスタートいたしましたけれども、強制力を持つた待命というものはやはり法律に根拠がなければできないということに研究の結果なりまして、しかし希望者があるならば、本人の立場からも官庁の立場からも、一日も早く見切りをつけるべきものは見切りをつけて他に転向してもらうということになればけつこうではないかというので、とりあえず希望による待命の制度を考えたわけでありまして、本来待命制度のねらいは法措置を伴つた強制力のある待命ということにあるわけでありますから、それの前段階にこういう考え方を政府が持つているのだという意味が、国民及び行政官庁の間に一般に知られたということだけでも意味があるのではないだろうか、こういうように考えているわけであります。
○島上委員 そうしますと、あれは行政機構改革の本格的な案ができたときに強制的な法的措置の伴う強制的な待命制度を前提として考えられていると解釈して、つまりいずれは法的措置の伴つた強制的の待命制度を政府はお考えになつているということがこの際はつきりした。それから一月末までに締切りを延ばされたそうですが、もしその間に、今は自由意思で待命を申し出るわけですから、役所がどうしてもこの人は仕事の関係で必要だと思う人が——たとえば先だつても新聞にちらつと出ておりましたが、女子などは一年間もずつと俸給をもらえるのだから、それで来年の秋ごろお嫁に行こうという人はこの待命を申し出る人もあり得るのではないか。そういう場合にどうしても必要な人がそれに申し出る。それからこの人はもうそろそろいてもらわぬでも仕事に支障がないし、やめてもらいたいという人は一向申し出ないというような、そういうことが今の段階にはあり得ると思うのです。そういう場合にはどういうふうに取扱われるお考えであるか。
○塚田国務大臣 これはどうしてもいわゆる必要な人でもおやめになりたいというのを、やめるのをとめておくという方法はないわけです。けれどもこの待命による退職というものは、その具体的な人が問題になると同時に、その定員だけ一名は定員からははずれてしまう、永久に不必要になつてしまつて次の整理のときにそれが整理されるのだということになるわけですから、非常に意味が違うわけであります。従つてどうしても必要な人で従つて非常に困るという者には、考え方としては待命による退職というものを許可しない、こういう感じになるわけです。女の子なんかでも、かりに交換手などのようにやめられるとまたやはり補充しなければならないというものも同じ考えで行かなくちやならないのじやないか、こういう考えでおります。
○島上委員 そうしますと今やつている法的措置の伴わない自発的な申出による待命制度も、つまり必ずしも本人の希望通りにはならぬ、こういうわけですね。
○塚田国務大臣 今の閣議決定による待命は本人の希望とそれから任命権者の同意と両方によつてですから、どちらかに欠けているものがあれば実現しない、こういうわけであります。
○稻村委員長 塚田長官に対し委員長として先ほどの下川委員の資料要求に関連して申し上げますが、どうぞ本委員会の御答弁における言質を重んじ約束を履行していただく意味におきまして、何らかの形において資料の御配付を願いたいと思います。塚田長官に対する質疑は次会に続行することといたしたいと存じます。次会は十七日午前十時の予定にいたしたいと存じます。議題は保安隊及び警備隊に関する件及び行政機構に関する件として木村保安庁長官及び塚田行政管理庁長官等の出席を要求いたしておきます。 —————————————
○稻村委員長 なおこの際お諮りいたします。理事一名が欠員となつておりますので、その補充として山本正一君を理事に指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○稻村委員長 御異議がなければさよう決定いたします。 本日はこれをもつて散会いたします。 午後四時十七分散会