通商産業委員会中小企業に関する小委員会 第12号
- 発言数
- 61 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1954/10/28
会議録
○永井委員長 これより会議を開きます。 本日は中小企業安定法に関する件及び中小企業災雲対策に関する件について調査を進めます。まず中小企業安定法に関する件について、参考人各位より御意見を聴取いたしたいと存じます。参考人各位には、御多忙中にもかかわらず、特に本小委員会に御出席くだされ、まことにありがとうございました。何とぞ隔意ない御意見を御発表くださるようお願い申し上げておきます。 なお念のため申し上げておきますが、御意見発表の時間は御一名約十五分とし、また御発言の際は、その都度小委員長の許可を受けられることとなつておりますので、御了承願つておきます。 それでは名簿順により、まず山本三千雄君よりお願をいたします。山本三千雄君。
○山本参考人 今年の九月の初めごろだと思いまするが、織物業界の不況打開のために、その安定方法として、織機設備の制限を政府において御企図になるというようなことを承りましたので、とりあえず私どもはそのお役所であるところの名古屋通産局に伺いまして、かような制限が発動されることは、機械業者に限らず、被服を買うものの身になりましても、大事な問題でございまするので、ぜひこれは発効願わないようにということを東海機械工業会の役員全部そろつてお願いに出たのでございまするが、まことに残念なことには、名古屋の通産局の商工部長の新井さんは、承るところによりますると、本省の綿業課長さんから御転出になられたそうでございまして、何を言つておるか、お前らは機屋さんの安定がついてこそ織機が入るじやないか。織機はこれが出るとますます入ることのなるからというようなことで、いろいろ私ども長い間の機屋さんと私どもとの同艱共苦で今日までやつておりますところの実情を少しも聞き上げていただかずに、まつたくもつて商工部長さんが繊維部長さんのようなお話を承りまして、重工業、繊維機械業者としては、まつたくとりつくしまのない思いで帰りました。とうとうこれは東京へ行つてお願いするよりしようがないということになりまして、繊維局、重工業局、あるいは繊維局繊政課、中小企業庁その他を歴訪いたしまして、お願したのでございまするが、どうも私どもの話が聞いていただけませんようで、だんだん心配をしておつたところ、今日お呼び立て願いまして、ここでお前らの方の意見はないかというお話をお尋ね願いますことは、業者一同まことにありがたい仕合せと存じまして、まずもつてお礼を申し上げる次第でございます。つきまして先ほど申しました機屋さんの安定を切望することはもちろんでございまするが、事いやしくも織機の設備の制限という重大な企図に関しまする限りは、われわれ織機の製造業者の死活の問題でございます。わが国の産業の一角が崩壊すると私どもは考えて、これはゆゆしい問題と存じております。つきましては先ほど来申しました通りに、各方面にこの設備の制限の阻止をお願いするように参つておるのでございます。元来織物業者の今日の不況と申しますものは、織物業者と私どもの取引の不完全を理由とするものでございまして、断じて織機の設備の過剰に原因するものではないと存じております。もう一つ切りくだいて申し上げまするならば、戦争中、有象無象の織機屋が織機に似たようなスクラツプを織機と称して売つた無責任な織機の過剰はこれは多いかは存じませんが、今日残存しておりまするところのわずかな織機の専門屋といたしましては、その織機が過剰であるということは、絶対に私はないと思うのでございます。 それからその次には糸の相場の不安定とか、あるいは問屋の倒産による手形の不渡りとかいうようなことで、機屋さんは不況になつておるのが私は実情であろうと思います。その打開策を織機だけの設備にしわ寄せせられるということは、まつたく私ども今日残存しておりまするまじめな織機屋といたしましては、本末転倒と考えております。さようにもかかわらず、織機の設備制限が俎上に供せられましたということは、まつたく遺憾しごくのことと存じます。機屋さんに言わせると、自己の利益のみに汲々として、せつかく使つておる織機の将来の保全を考えずに、織機屋の設備制限が将来いかなる自縄自縛に陥るかということすらも考えずに、発動を頼んでおられると思うのでございまするが、それが発動されたというような場合になりますると、その結果は、私ども機械屋から見ますと、最初多数のスクラツプ化すべき老朽織機及び織機でないような織機を含めた織機の登録台数がべらぼうにふえた、こういうことになりまして、これが設備過剰であるというようなことにとられては、非常に私どもが不利になると存じます。 それから第二は、老朽織機による繊維製品の品質上、こんなものを動かしておつちやいかぬということになつておりますが、これは輸出織物にしましてもろくなものは織れませんし、コストも高くなりますから、製品の品質は低下して、コストは高くなりまして、輸出の不振を招来する、かように考えるのでございます。 第三は、織機の新増設が皆無になります。スクラツプみたいなものでもたくさんございますれば、どうしてもそれをまず動かして行こう、銭が余れば糸を買おう、かようなことになりまして、もうこういうものが出ますと、織機の新増設というものは入れかえもできず、いかなる老朽織機といえどももうスクラツプ化はしません。これは死人に香奠をもらつたようなことになりまして、権利を売買するというようなことになつて、スクラツプ化すベきものもスクラツプ化しなくなる、こういうことに私どもは考えるのでございます。 それから第四は、織機の製造者に対する金融が梗塞されております。これはもう現にわれわれの方にひしひしと参つておりまして、手形のわくも、当社におきましてすでに減らされました。それから二、三の私ども中小企業の織機業者も、わくが減つております。もう一つつらいことには、問屋がもう今までの貸金と掛売りはあまり追究いたしませんが、こういう法令が出るように思いますと、私どもでは安心してあなたの方へ掛売りはできませんので、今までの掛売りはそのままにしておいていただいてもよろしいが、現金引かえでなければトラツクへ積むことはよういたしませんということになり、私の方は現に二回トラツクがからで参つております。相手の商社は、御必要があれば電話で尋ねていただいても、東京に店を持つておるところでございますから、私はうそは申しません。さようなふうに私はひしひしと金融の梗塞と資材の購入ができなくなりまするために、もう倒れざるを得なくなつて来ておることになります。 それから第五には、織機製造業者の事業がさようでございますれば、倒れるか、縮小せざるを得なくなりますので、関係従業員のあるいは解雇、整理、賃下げというようなことになりますると、もうこの織機だけは――私本年インド、パキスタンに行つたのでありますが、日本の織機が一番安くて、一番性能がいいといつて、これはイギリスの織機も、ドイツの織機も、インドの織機も、パキスタンに入つておりません。もつともインドは自国の機械を使つて、日本の機械にはなかなかライセンスを下しませんが、近東方面は、日本の織機以外には買いません。だからこれが今までなれております技術者を全部解雇したりなんかしますと、非常に大問題になつて、優秀な技術者を失う、こう考えます。 第六は、織機製造下請工業の閉鎖になります。断りたくもないが、どうしても下請から私どもは断らざるを得なくなりますから、お気の毒でありますが、これが通りますれば、下請業者は、まず閉鎖を全部していただかなければならないだろう、こういう心配をいたします。 第七は、これは鋳物業界で自分の工場でできないところの機械をつくつてもらい、あるいは装置をつくつてもらう、あるいは部分品をつくつてもらう。これは鋳物業界はかりではございません。革、スプリング、ボルトあるいは木工、いろいろの業者がございますが、その業者からも非常に私どもも仕入れにくくもなりましようし、また向うも倒れざるを得なくなるだろう、こう思います。いわゆる不振ということは必至だろうと思います。 それから第八番でございますが、それは織機製造の経営者は、もうそうなりますれば、何とか会社を経営しようと思いますので、せつかく敷いた織機生産のレールをはずしまして、ほかの機械をつくるか、ほかの全然かわつた工場に転換せざるを得なくなりますので、織機の生産及び技術に関心が薄くなりまして、これまた輸出に関係して来ますし、日本の機屋さんの非常に進歩発達を阻害するものと思います。 第九は、やはり同じようなことでございまするが、そのためにとにかく進歩技術が遅れるので、技術者を失う。これが一番私どもの大問題でありまして、歯を食いしばつてもがんばつておりまするのは、技術者とレールをはずしたくない。こういうことで四苦八苦して今日までこたえておるのであります。 第十は、バイヤーの要求する最新の織機――まあパキスタンへ参りましても、国が遅れておるから機械はいい機械を買いたいのであります。そうして、どうかして各国と同じような機械国になりたいとか申しておりまして、イギリスからも入つておりましたけれども、今は日本がいいので、日本から買つております。それが今またイギリスから買うということになりますれば、日本のいい機械の新らしい工場を見せてやりたいのでありますが、その工場がなくなりますので、やはりイギリスヘとられてしまうというようなことになります。私どもはこの外貨の導入というような面にお役に立つて、十分自前の貿易をしておるつもりでございますが、これが大問題になつて来ると思います。輸出に非常に影響して来る、こう考えるのでございます。まだそのほかに悪影響をあげますればいろいろありますが、まあともかく設備制限は、織物業界の――これは私は戦前の統制のあつたことを考えて、その安易な温床に――時節柄大分寒くなりましたから、ぬくとい寝床にもぐり込もうとする一部の人たちだけに利益を与えまして、多数の犠牲において衣料の値上りがする。こう考えますると、デフレの国策に逆行する結果になると思います。一面織機製造業界も致命的な問題といたしまして、先ほどから申します事業の衰微、いろいろの問題が出て来ます。そうするとこの関連産業というようなことになりますと、非常に大勢の失業者も出ますし、内需、外需の不振、ひいては輸出の織物までの阻害というようなことになりますので、私は大なる社会問題が醸成される結果となると思うのでございます。戦前戦後を通じまして、海外にもその優秀性を伝えられましたところの日本の設備もだんだんと悪くなりますれば、織機、織物ともに外貨獲得の重要な役割を果しておりましたのが――織機は先ほど申しますようにいささか国家に貢献して来たと自負しておりましたのが、もうまつたくもつてつぶれてしまう、雲散霧消することは、まことに私は殺されるよりも、国を思いまするとつらいと思うのでございます。どうぞ老朽織機の、今日あまりにも大きい現状と、国内の自給の織機として閑散な折に、かようなことをしていただきますと、私どもはせつかく今日までこたえておりますのに対しまして、追討ちをかけられまして、織機業者の殲滅戦に出会つたような感じがいたしまして、まことに残念でしようがございませんので、あちらこちらとお願いしておるのでございますが、どうぞ今回のこの発動は何か方法がつきましたら、機屋さんと御相談をして、最初から出直していただきますならば、私ども国家の安定、お得意様の安定を願わぬものではありませんのでございますから、ひとつこの通産委員会においてよろしく御審議を願いまして、われわれのためにも御同情願い、まつたくつんぼさじきで、織物は織機で織つてもらう、機屋のごやつかいになつておらぬ、織物は織物屋がやつておる。だから入れようがどうしようが、機屋のごやつかいにならないというようなお考え方から発足したところの今回の安定法を、どうぞひとつもう一ぺんわれわれも御相談に乗せていただいたならば、いろいろ御相談によつて建設的な機械屋としての知恵も出して、これを何とかいい方法で機屋さんも安定をしたいと思います。よろしくひとつお願いしたいと思います。御無礼をいたしました。
○永井委員長 次は北陸繊維機器協同組合常務理事多川直次君。
○多川参考人 私は絹、人絹織機を主要生産品とする約百五十工場からなる北陸繊維機器協同組合を代表いたしまして、現存発動されんとする二十九条の発動に反対である意見を申し述べさせていただきたいと思います。 まず第一に、いやしくも中小企業の安定法と銘打つ以上、一業界の安定をもつて他業界がどうなつてもいいということは絶対に成り立たないと思います。われわれ織機業界が困るというだけをもつて、すでに反対理由は十分に成り立つと思いますが、それ以外に織物業界自体も、また国家的あらゆる消費部面に、現在発動されんとする二十九条は悪影響があるということは多々ありまするが、三点について要約して申し上げたいと思います。 まず第一に、織物業者の約九〇%は現段階の設備制限には絶対に反対をしておるということであります。これを詳しく申し上げますと、私は綿関係はあまりよくわかりませんが、絹、人絹に関しては相当詳しく調べておるつもりでありますから、絹、人絹について申し上げます。絹、人絹織物業者の約九〇%に相当する織物業者は、設備台数が三十台未満であるのであります。これはいろいろ統計によつて調べていただければわかると思います。それで五台、十台、十五台、二十台という業者は非常にたくさんあるのであります。この織物業者は設備資金が幾らかでも余裕があつたならば、必ず経済的、合理的単位にまで引上げたいということを常々希望しておるのであります。それはどういうことかと申し上げますと、この織機設備というものは三十台でも四十台でも、五十台でも、大体にそれに要する準備金あるいは準備をする工員は、同じ人員で事足りるのであります。それで十台、十五台でも三十台、四十台、五十台でも、管理費の部門においてはあまり違わない。そこで生産台数の多い業者ほど原価が安くあがるということが現状なのであります。それゆえに、いつも何か余裕があつたならば一台でも、二台でもふやしたいという声が非常に強いのであります。私は六、七月ごろから二十九条の発動を聞きましてから、約百数十工場にわたりまして、実地に各織物業者にこの二十九条の意見を聞いて参りましたが、みな一様にそう言つておるのであります。よくて全然無関心である。それからほとんど九〇%までは絶対反対だ、そういうことをしてもらつては困るということであります。また御存じのように、戦争中に織機の設備をほとんどこわして軍需生産に転換しましたので、その時分残つたのは小さな業者ばかりだつたのであります。大きい業者は全部つぶしてしまつて、軍需工場に転換した。それで現在小さな工場も、もとは大きかつた工場なんであります。それで何とか大きくなりたいという声も非常に強いのであります。私はきのう東北の各地の機業地をまわりまして、さらに詳しく、本日出るからどうだというふうに意見を聞いて来ましたところ、ぜひとも行つて反対意見を述べてもらいたい。これはいやしくも二十九条の要請というのは織物業者がやるはずであります。でありますから、全部が一致してわれわれにそういう運動をやるというのが当然であると思うのであります。それがほとんど大部分が、何とか行つて――反対意見を私にいろいろ聞かしてくれましたが、行つてほしいというふうに言つておるのを見ますと、それは現在発動されんとする二十九条というものは、一部業者の一人よがりの意見であつて、織物業者の大部分の賛成を得た意見でないということを断定せざるを得ないのであります。 次に第二番目といたしまして、現在発動しようと考えている二十九条はすでに時期を失しておる。この二十九条の発動という声をかけたがゆえに織物業界が不安定になりかけておるという現実であります。元来絹、人絹織機は年間約一%ないし二%しか実際には増設にならないのであります。それはどういうことかと申しますと、全国的に約二十万台、絹、人絹に関しては二十万台あるのでございます。そのうち増設になるのは二十台ないし三千台でありまして、増設といたしましては、一ないし二%なんであります。だから今度一ないし二%を抑えても、決してこれは織物業界が安定するものではないのであります。それが六、七月ごろに二十九条の九月一日発動ということが全国的に織物業者に知れわたりましたところが、元来日本人は統制となると今までよくこりておりますので、その裏をかきまして、現状においては約二、三年分の織機が六月から現在までに、すでに増設を終つておる現状であります。それは新規にふえたのはほんのわずかでありますが、織機ブローカーが倉庫に積んでおりました織機が約二倍以上に値上りしまして、どんどんみんな買い込んでおるのであります。そこで今後二、三年間にわたつて、徐々に資金的余裕ができたならば、増設しようと考えておつた織物業者が、運転資金を使い果しまして、設備に狂奔しておるのが現状でありまして、みな非常な無理をしておるのでございます。それゆえに、かえつて織物を安く売らねばならぬということになりまして、この二十九条の発動という声のために、今から二、三年間かかつてふえるべき織機が、約半年にふえてしまつたというのが現実であります。それは大部分が中古のぼろぼろ織機でありまして、それを動かしたならば、非常に輸出その他に影響することは当然の理であります。 第三に、最後といたしまして、それでは織物業界の安定策は設備制限ではたしてできるかどうか、これはできないのであります。元来二十九条の第一項は生産数量の制限であります。第二項があとから法律が追加になつたので、これが設備の制限でありまして、当然中小企業安定法二十九条の根本趣旨は生産数量の制限にあるはずであります。それで織物業界を安定せんとするならば、生産制限をぜひ断行すべきであります。それが現在織物業者また調整組合連合会あたりに聞いてみますと、生産制限はできないから設備制限でお茶を濁しておるのだという声をわれわれは聞くのであります。私はほんとうの専門家でありませんから、はたして織物業者が二十九条の生産制限ができるのか、できないかということは、はつきりは断言できませんが、私の一私案といたしまして、まず毎月末に織機の総台数を登録する。自動車とか自転車のように、登録の義務制を課しまして、そうして十月末には何十万台、十一月末には何十万何千台というふうに登録をしておきまして、そうして不況が来たならば一週間ないし十日で、その各地区別に生産制限の発動がいつでもできるという態勢を整えなかつたならば、決して織物業界の安定は来ないと思います。現在のように発動ということを言い出してから三月も四月も半年もかかつておるようでは、すでにそのときの状況は全然かわりまして、御承知のようにその安定法の発動を要請した時分から見ますと、現在は非常に好況の状態にあるのでございます。それでほんとうに織物業者が他の業界を犠牲にせずして、自分の業界だけ安定させんとするならば、登録の義務制と、それから一週間ないし十日ですみやかに生産数量の制限ができるような行政措置をお願いしたならば、必ずこれはよくなるのじやないかというふうに思うのであります。要しまするに、現在発動せんとしております二十九条の発効ということは、百害あつて一利なき非常に悪い行政措置であることをここに断言いたしまして、私の参考意見といたします。
○永井委員長 次は労組代表として全国機械金属労働組合遠州織機支部執行委員長杉浦正男君。
○杉浦参考人 私遠州織機の労働組合の杉浦でございます。本日はここに中小企業安定法第二十九条の発動に関する織機設備制限につきまして、直接影響こうむるわれわれ従業員の立場に立ちまして、これの反対の意見を開陳する機会を得ましたことにつきまして、深く感謝申し上げる次第でございます。私たちがこの問題を知りましたのは、まことにうかつ千万でございますが、八月の末、新聞を見て初めて知つたような次第でございます。続いて九月の上旬に、私たちは浜松でございますが、ラジオの放送で経営者の方の側の発表として、この設備制限が発表されれば、四、五十名の人員整理はやむを得ないではないか、かような発表がございました。ここに至りましてわれわれは周章狼狽、こういうことになりまして、さつそく調査、あるいは組合としても審議をいたすと同時に、上部団体でございます新産別にも連絡をとりまして、この真相の究明に当つたのであります。その結果われわれ織機メーカーの従業員の立場として、これに反対をしなければならない、ということは、われわれの立場を何ら考慮せられないこの法の発動につきましては、どうしてもわれわれとしてはこれを阻止して行かなければならぬ、かようなことでさつそく反対陳情に立ち上つた次第でございます。さいぜん経営者の方々から詳しい陳情もございましたので、ここでさらに重複することは避けまして、なおあとに豊和の石垣さんから締めくくりをしていただく、かようになつておりますので、私からは二点だけ申し上げまして参考に供し、かつ御配慮を賜わりたいと思うのでございます。 第一項といたしましては、織機の設備制限即人員整理である、かようにわれわれは断定するのでございます。ということは、さいぜん経営者の陳情の中でございましたように、われわれがこの発動によつて、たちまち企業の縮小、あるいは倒産、こういうことが当然予想されるのでございます。ということは去る四月に発動を見ましたタオル織機の現況が如実にこれを語つておると同時に、われわれの前途を暗示してくれておるもの、かように存じております。去る九月の九日に運動に立ち上りまして以来六回にわたつて通産省、中小企業庁、あるいは公正取引委員会、あるいはまた通産委員会の方々にも陳情申し上げて来たのでございます。その節二、三の方から織機の入れかえは認められているのだからいいではないか、若干こういうような空白の時期はやむを得ない、次の段階には必ずいいときは来るのだから、かように申されておるのであります。われわれとしてもこのお言葉は否定はいたしません。その通りだと思うのでございますが、ただその時期が半年後に来るか、それとも一年後に来るか、この点について何ら確信をいただけないのでございます。すなわち織機の改善の意欲と資本の蓄積が伴つたときに、そういう期待が持てるのでございまして、それまで待てということでございます。現在おそらく政府の設備制限に対する積極的な援助なくして、現況で半年や一年の間にこのような時期が参るということは、われわれとしては考えられない。同時におそらくこの点について当局におかれましても断言はできない、かように存ずるのであります。従つて設備制限即人員整理を余儀なくされる、さらに進んでは織機のメーカーの倒産、かようになることは明白でございます。今後この件につきまして、発動を見たその後、人員整理かあるいはまた倒産、こういうことが結果的に招来いたしました場合には、その責任の帰するところは、政府当局並びに政府の審議機関の一部にある、かようにわれわれは考えなければならないと存ずるのであります。 第二といたしましては、織機と繊布の関係でございます。申すまでもなく、織布と織機は車の両輪のような関係にある、かように存じます。織布あつての織機であり、織機あつての織布である、かように存ずるのであります。にもかかわらず、織布の保護安定を考えることによつて織機の発展を阻害し、停頓せしめるとするならば、次に来るものは織布の発展の停止である、かように存ずるのでございます。特に、現在のようなはげしい世界市場の中において競争しなければならない織布業界において、このような結果を招来したならば、国家の一大事ではなかろうか、かように存ずるのでございます。とかく軽視されがちなわれわれ基礎作業で、微力なわれわれ織機メーカーは、現在までもすでに一部の人員整理、あるいは賃下げ、こういう中に甘んじて、孜々として仕事に励んでおるのが現状でございます。このわれわれに対して、さらにこの法の発動によつて追い打ちをかける、かようなことは、何とか考えていただきたい、かように存ずるのでございます。但し国の方針として、今後は織機は日本でつくらないんだ、欧米あるいはインド――インドにもすでにそういうような工場はできておるように聞いておりますが、インドからも買うと、かような国家の方針でございますならば、われわれとしては何をか言わんでございます。以上二点申し上げる次第でございますが、何とぞわれわれの立場を御察くださいまして、よろしくお願いいたしたいと存ずるのでございます。なお最後に誤解のないように一言つけ加えさしていただきたいのでございますが、われわれは決して反対のための反対ではございません。織布業界にもわれわれと同じ労働者がおります。われわれは心から織布業界の発展は願つております。従つてどうか織布、織機ともに発展できるような方策を講じていただきたい、かようにお願いする次第でございます。そうして私たちの納得できるような具体策を前提として、安定策を講じていただきたい。これが私の最終的なお願いでございます。どうか賢明なる議員の方々の格別の御高配をお願いいたしまして紡織機従業員の二万を代表いたしまして、その代表の一人として切にお願い申し上げる次第でございます。
○永井委員長 次は全国機械金属労働組合豊和支部常任執行委員長石垣卯一君。
○石垣参考人 石垣でございます。ただいままでに三人の方からそれぞれ詳しく述べられましたが、私も労働組合の一人といたしまして、今日まで二箇月、今も前の参考人から言いましたように、私ども気がつくのがおそかつたので、二箇月ばかり前から、それぞれ各県の労働組合と連絡いたしまして、その県ごとに陳情したり、あるいはその県でいろいろ決議をいたしまして、友誼団体のそれぞれの組合あるいは特に愛知県などでは、小さな機屋さんがやつております繊維の組合にも呼びかけまして、いろいろ検討し、この繊維の組合なども、この問題に対して、これをやられると小さな機屋は倒れてしまうということで、反対の陳情をいたしておる次第でございます。そこでくどいことをごたごた申しませんが、どうかこの問題に対しまして、すでに関係官庁には、私ども業者の約七万人の署名も、何とかひとつ考えていただきたい、いい方法を考えていただくようにということで署名運動をいたしまして、すでに持つて来て提出いたしてあるわけでございます。 なお、私どもおります豊和工業から見ましても、豊和工業には約四百の下請工場を持つておるわけでございます。そこで今日、このうしろの方にも相当下請業者の方々、それから各企業のそれぞれの使用者の方、あるいは労働組合の代表が傍聴に来ておるわけでございますが、そういうようにいたしまして、もしこの問題が、今ここで急に発令いたされますと、半年か、一年か二年かわかりませんけれども、当分のうちは入れかえてもいいと局の方ではおつしやいますけれども、実際には入れかえられないだろう、今までの経験から申しまして、そういうことができないだろうという私どもの現在までの想像でございます。 そこでこの問題を政府の方が何とか法的措置によりまして、入れかえをさせるような措置を講じていただくとか、あるいはまた別な方法、何か機械業者の方も、細々ながら労働者を首切らなくても、このままの状態で、できるだけ輸出の方へ馬力をかけて注文をとる、そういうことにして、内地向けの仕事も、今までのように細々とやつて行ける方法、こういうようなものを、機械業者の方もともに交えて考えていただいて、われわれ労働者に犠牲の来ないように、ひとつ先生方にも御協力願いまして、何とかいい方法をお考え願いたい。そういうことでいろいろ二箇月にわたりまして、お忙しい先生のお部屋にまかり出ましてお願いをいたしたわけでございます。 そこでいろいろまたあとから御質問も出ますようでしたら、お答えいたしたいと思いますが、どうかその意味におきまして、私ども労働者に犠牲の来ないように、また町工場と申しましても、町工場のおやじだとか、社長だとか申しましても、皆まつ黒になつて働いておる労働者でございます。どうかその町工場にも犠牲の来ない程度に、何とか現状の状態で、ますます輸出の方へこれがもう少し向けられるまで、あるいは現在の労働者の犠牲にならない程度に、何とかいい方法を考えていただくようにお願いしたい。簡単でございますが、今まで三人の方がそれぞれ申されましたので、私はこの点をよろしく御配慮のほどお願いいたしまして終ります。
○永井委員長 以上で参考人の御発言は終了いたしました。引続いて質疑に入ります。
○首藤委員 私は、先般一宮で山本さんにお会いして、山本さんから約一時間にわたつて事情を承つた。昨日はまた石垣さんにもお会いいたしたのであります。その際、私の意見は申し述べたのでありますから、あらためてここでどうかと思うが、一、二御質問をいたしたい、かように存じます。 私たちは、日本の中小工業者が全面的に行き詰まつており、これを何とかしなければ日本の経済の発展はあり得ないということで、今日まで、金融の措置、それがためには商工中金あるいは中小企業金融公庫、またさらに一般銀行に対しても、できる限り、中小企業に対する融資の円滑に努力してもらいたいというあつせんをやつて参つたのであります。しかしながらそれにもかかわらず、中小工業者がよくなるというよりも、ますます悪くなつてくる。一体その原因がどこにあるかということを究明いたした結果は、日本の中小工業者の一番大きな欠陥は、無計画である。いたずらに増産することであります。消費の面を十二分に調査することなく、ただ設備をふやしてたくさんつくる、そうすればもうかるというような、あさはかな計画、それがためにかんじんの得意先の選別を誤まる。そうして不渡り手形をもらう。そこで無理な生産をだんだん続けていき、供給過剰、オーバーの生産をやつて、それが出血生産になつて来る。今日中小工業の行き詰まつておる共通的な最大原因はこれであります。そこでこれを根本的に改めさせると申しますか、要するに、業界を安定させるためには、どうしても好むと好まざるとにかかわらず、生産の調節であります。そうして需要にマツチするだけの生産をやらせる。それでなければ業界の安定は、いかなる方法を講じても困難である。私は自分にも経験がありますし、また過去六、七年間、もつぱら日本の中小工業をして何とかこれを振興さしたい深い関心から、いろいろの面から検討して参つたのでありますが、結論的には、生産を調節させる以外にはない、これが何よりも根本対策だという結論に到達いたした。ところが、これが自主的にやれますれば何をか言わんやで、われわれもこれを非常に好むのでありますが、何といつても資金難に悩んでおる関係上、自主的にやれない。またそこには疑心暗鬼を生じて、組合で申合せをしても、なかなか抜けがけをやる者がある。あるいはまた今の協同組合法ではそこまでの権限を持つていない。協同組合の組織はあるけれども、こういう権限を持たぬ。そこでどうしてもやはり別個の法的措置によつてこれをやらせる以外にないという結論から、実は中小企業安定法というものをつくつたのであります。従いましてこの安定法案ができますと同時に、たくさんの業界から申請して参つた。調整組合をつくつている組合でも、現在八十から百あると思う。しかもこの調整組合をつくりましても、第二十九条を発動せぬ限りは、仏つくつて魂入れずで、ただ調整組合をつくつただけでは何ら効果はない。役所の方は、なかなか今言う二十九条の発動に対しては非常に慎重である。これは私らから見れば、なぜもつと早くやらぬかという強い意見を述べるのでありますが、役所の方では、各般の事情を考慮して、あるいはまた先ほどあなた方が言われた他産業への影響ということを考慮して、なかなか二十九条を発動しない。ところが、この春マツチに辛うじて発動いたしました。それからまたタオル、それから今度の人絹、生糸にしても、あまりにも業者が多過ぎる。しかもスフ、人絹、綿、いろいろある。また同時に大紡績がたくさんこれに入つているというようなことから、役所の方でも、おそらくこれが発動に対しては、最も私は困難を感じたと思うのであります。それにもかかわらず、発動するというような決意をいたしたということは、事態がどうしてもこれを発動せざるを得ないところまで業界が現在苦況に悩んでおる。もしこのまま放任いたしますれば、日本の織物業界は悲しむべきところの結果を招来する。倒産者が相次いで来る。これでは日本産業、日本経済全般に非常な大きな影響を及ぼし、関連産業にもまた大きな影響を及ぼすということから、一応意を決して二十九条の発動はきまつたものと私どもは推測するのであります。 さような見解から率直に申し上げますれば、私たちは、通産省が適宜の処置をとつたというふうに考える。ところが先ほど御意見を承りますると、ただ織物界だけの安定を考えて、織機の方を無視したというような話がありますが、結局は、織機の業者が繁栄するか衰えるかは、やはり発注元の織屋の営業いかんに全部かかつておると私は見ておるのであります。かりに今、あなた方が織屋から注文をとりましても、この決済が安心のできる状態にあるのでありましようか。おそらくキヤツシユ決済は困難である。手形も、おそらく六十日手形というものは少くて、九十日とか百日、百日でもけつこうでありますが、手形が落ちるだけの安心感、絶対的な安心感というものがあるかどうか。もし注文をもらつても、かんじんの決済がかような不安な状態にあるということであるならば、関連産業として、あなたの方も決して安心な営業を続けて行けないのじやないか。それよりも、やはり根本である織物業界を安定させて、そしてその上に立つての発注、そうすれば決済も、手形でなく、現金の決済もできる。また手形でありましても、その手形はきわめて確実な決済を期待される。そうしてここにあなた方も正常な営業が成り立つて来る。そういうことになつて行くであろうことを私たちは確信いたし、またそういう状態に持つて行かなければならぬ、こういうふうな考え方を実は持つておるのであります。従いまして先ほど来、これがために今後は当分新規の注文がないのは困る。これも私はごもつともだと思うのであります。しかし、今の不安な状態で注文をとるよりも、ここに多少の余裕をおいて、そうして業界を安定させる。そして安心し得る注文をとられた方が、結果においてはいいのではないか。いわんや織屋がもし安定法の発動によつて、経営が楽になつて来るということになりますれば、いわゆる生産の合理化、今までの設備をもう少しりつぱな合理的な機械にかえる。やはり競争でありますから、そこにいろいろな方途が講じられる。そうすると、今日よりもむしろそういう新しい合理化的な機械の発注が、新しくふえるということになつて来ると、あなた方にもたらすところの利益といいますか、数量といいますか、これらは、今日の購入よりもさらに多いところの注文がやつて来ることを信じておるのであります。従つてこの際は、私たちはむしろ大乗的な気持から関連産業がともに繁栄して行く。しかも根本である機屋さんをまず繁栄させるということが前提だという気持に、あなた方がなつていただく方が、お互い、双方の産業のために結果約には有利じやないか、こう私は信ずるのでありますが、この面に対してあなた方の方では、今日までいろいろ御検討されたと思うが、やはりその結果は、今おつしやつたようなところになるかどうか。もう一度私はこの面を検討していただきたいと思うのであります。 なお同時に、機械の増設の問題でありまするが、先ほど承りますると、問屋その他に手持ちされてあつたものが、全部さばけた、こういうお話です。これまた今のままにほうつておけば、おそらくさばけなかつたであろうものが、一ぺんにさばけたということは、少くとも機械屋さんの方に対しては、決済はともかくとして、いい影響を及ぼしたというふうにも言い得ると思うのでありますが、しかし二十九条の精神は、さようなことは考えていない。もしさようなことで機械をたくさん購入したとすれば、それは業者が二十九条にいうところの正しい解釈をしてない。二十九条の精神はさようなことではないのであります。昔の統制とは全然違うのであります。統制ではないのであります。ただ全然統制でないとは申し上げませんが、一つの計画性を加える。自由、放任では倒れるから、若干の計画性を加えてやろうという考え方でありまして、従つて価格の統制もないし、その他に対する取締りも一つもないし、ただ生産を一応押えようというだけの問題であります。この点は、誤解のないようにひとつお考え願いたいと存ずるのであります。 そこで先ほどの多川さんの御意見でありましたか、機屋さんの方で九〇%反対だということでありまするが、これも私たちから考えれば、まつたく意外なことであつて、自己の安定を策するような施策に、業者がかように反対する。また事実反対するならば、役所の手続上の処理が不完全であるから、役所としても私は当然許可してないと思うのでありまするが、少くとも許可し得る、また許可しなければならぬすべての手続が済んでおる。こういうふうに私たちは見ておるのであります。それはいずれにいたしましても、今の労組のお二人の御意見は、これによつて整理が相当行われやせんか、これまた理論上そういう御心配は、私どもよくわかると思うのでありまするが、このままほうつておけば、次から次へと倒産してしまつて、どうにもならぬということよりも、ここで安定するということになりますれば、必ずしも解雇をしなくても、適当な方法がそこにおいて初めて発見できるのではないか、このままでは、もう倒産してどうにもならぬが、しかし安定法を発動することによつて、そこに解雇というような不幸な事態に立ち至らずして、何らかそこに解決の方法が見出されるのではないかというような気持も持つておるのでありまして、そういう面からすると、このままでは不安であるが、しかし安定法を発動することによつて、そこに解決の希望が持てる。あなた方は非常に御心配されておるが、むしろ多少思い過ぎのところまで行つておりはせんかというような気持もしておるのであります。そこでもしこれを発動した場合、六箇月なり、七箇月なり、注文が全然途切れる。その点に一番大きな重点を置かれるらしいんですが、この点は、私たちは別個の考え方で、別個に金融の措置を講ずる、あるいはまた最悪の事態に労務者の多少の整理が行われても、問題はこのためにこそ労働金庫の設置もいたしておるのでありますからして、この問題と切離して、ここに当然私は皆様方にもあまり大きな影響なくして済んで行くのじやないか、また済んで行くような措置を講じなければならぬと私たちは考えておるのでありまするから、こういう点でむしろ業界が非常に困つておる、ひとつ早く業界を安定さしてやろう、そのかわり皆様方に対してもこの場合にはこういうような方法をとつてもらいたい。ところが今では仮定でありますから、あなた方もそれならこうしてもらいたいというようなことはおそらく具体的な案はないと思います。こういう事態になつた場合にはそのときにおいてこういう方法をやつてもらいたいというようなことをお申し出になり、われわれもまたその際はできるだけ御協力申し上げるということにして、とにもかくにも日本産業が、この織物界から安定して行くという、そういう方向に私たちは持つて行きたいと思うのでありまするが、もう一度お考え直していただくことはできぬかどうか、こういう点をひとつお尋ねしたいと思います。
○山本参考人 ただいまいろいろ御質問がございまして、範囲が非常に広うございまして、私お答えを整理して行きたいと思いましたが、あちらこちらいたしましたのでどういう御返事を申し上げていいか、答弁に立つたことがございませんので、大体整理しますと、今までの織機の設備が無企画であつて、まつたく無計画である。これを是正して行かなければならない。これが今回の二十九条発動のおもなるものである。それから機屋及び中小企業界が安定するためには金融の円滑化をはかるということが大問題である。それから第二が安定法二十九条の発動は、この設備制限が中小企業を救うに一番いい方法である、こういうようなことをまず最初お尋ねになつたようでございますので、その点につきまして私どもの違つておる点を申し上げたいと思います。 日本の産業はすべて無企画である。これは私は首藤代議士のお説もつともだと思います。これは織機ばかりではないと思います。氷屋、ふろ屋、いなかの豆腐屋にいたるまで無企画だと思います。これは人口問題に原因しておると思います。お百姓さんは、これは設備制限にあつております。これは開墾をせなければどうしても設備は広げられませんので、これはしまいには一坪か、二坪――今のような家族制度でございますならば、わけて行きましたらそんなことになるかとも思うのでありますが、ほかのものだけはまつたく無企画だと思うのであります。その点はまつたく賛成いたします。が、その無企画がどういう原因によつて起つたかということをもう一ぺん戦争の直後に思いをはせらせていただけば克明にわかると思います。戦争はめちやめちやに国を重工業に走らせました。機屋さんといえども、何屋といえどもみな飛行機をつくれ、飛行機をつくれ、みな鉄工所にさせました。鉄工所が飛行機を取上げられて食うに困りまして、何をつくるかということを考えました。そうすると一番目をつけたのは衣類でございました。衣頻でございますと、綿、スフの織機は全国にございます。日本中綿、スフの織機のないところはございません。毛織織機というものは県を単位にし、あるいは整理工場なんかを単位にしまして、ブロツク、ブロツクがございます。綿、スフだけ、タオル織機なんというものはまつたく全国的にございましたがために、その織機をまねてつくればよいというので、先ほどから申します通り織機屋でない織機屋が実に貴重な材料をスクラツプにいたしました。それに棒材を切つてクランクでないようなクランクをつくり、織機の部品でないような部品をつくる、ともかくあちらにもこちらにも機械屋ができて、そのまた機屋さんがガチヤ万時代ができましたので、一流メーカーで買いに行つたところで何年か先でなければ買えないというような状態になりましたので、はたごでないはたごをどんどん買いましたので――これは繊維局長さんがよく御存じだと思いますが、一番ふえたのが終戦直後のメーカーが数え切れないほどあつたときの織機が一番ふえておつたと私は思います。それが結局無企画に追い込んだものだと思います。だから先ほど申した通りに、今日残つておりますわれわれの繊維メーカーはみなりつぱな技術屋ばかりでありまして、外国に行つても喜ばれておる機械屋さんばかりでございまして、この機械には絶対に設備過剰の数字は持つておりませんから、これは繊維局においてお調べ願えばわかります。これは難くせと称するものだろうと私は思うのでございます。だからこれを私どもの方の残存しておるものの設備を制限する、もつと言いかえるならば、製造禁止にも近いようなことをやられるのはまつたくもつて無企画であり、いわゆる計画性を持たせていただくということにつきましては、私ども現在の織機屋としてはこれはたいへん違うところであり、先ほど本末転倒じやないか、こう申しました私の公述をお調べ願えればわかるわけでありまして、これは質問によつてにわかに詭弁を弄するものではないことは皆様お聞きの通りだと思います。 それから金融の円滑化、お得意さんが倒れてはお前の方は織機も入らぬじやないか、この説はごもつともでございますが、この金融の円滑化は、先ほども申した通りそういうでたらめな織機を入れておれば、そういうものをつくれば難くせをつけられて倒産も起りましようが、いい製品はまだまだ製品のフレームがついて倒産のうき目は見ていないと思います。しかしそれすら倒産いたしますのは、問屋が金融難に陥つて、デフレがいきなり金融に参りまして、金融の梗塞によつて払える手形が払えなかつたので、それが将棋倒しに機屋さんに来たということでございまして、決していい織機の設備過剰ではないということでございます。 それから第三の安定法が中小企業を救う最も適切なるものではないかというお話でございますが、安定法には二種ございます。設備制限ともう一つは出荷、生産の制限と、この二つがございます。私どもは、先ほど多川君が言いました通りに、設備制限は反対いたします。出荷、生産の制限は私どもは知りませんと言うよりしようがないのでございます。これは私どもがいいとも悪いとも申せません。願わくばやつていただきたくはないのでございますけれども、安定するためには何か安定法があればこれによつてすがろうという機屋さんのお考えがあるならば、糸を買つて機を織るのを制限されるのは、織機屋があずかり知らざるところでありますから、それは私はやつてもらいたくないと思いますけれども、やられることならば苦情を申し上げて、今日抗弁を申し上げることはできないのでございます。ところがそうすると八割にしたらどうだということですが、私はあちらこちら陳情して参りますと、そういう実際私どもを思つて心配していただく方がございますが、これは八割にしていただくならば、それはそれでもいいでしようけれども、私らも経営者でありますれば、八割の制限になれば、これは労働組合とはなはだ意見を異にするかもしれませんが、私どもはただちに五割の人間を整理し、そうして三割の分を増産させなければならぬ、そうしてやはりつかんだ率の按分だけは逃がさない、これはすべつてもころんでも砂をつかまなければ起きないと言うのがわれわれ中小企業の生産意欲のたくましさでございますだけに、私はそういうことをやると思います。そうすると結局ぼろぼろの織機を持つていたり、老朽織機を持つていたりしては、五人で八人分の仕事はできませんので、そこでどうしてもいい織機を入れなければなりませんが、多分に悪い織機を持つていて、それで設備制限によつて中小企業を安定するというよりも、やはり織つた織物がだぶつておるならば、だぶつく織物を市場に出さないということのためには、生産を制限していただくというためにはいい織機が早くいる、こういう方向に持つて行つていただくということになりますれば、いわゆる法の第一項の出荷、生産の制限、これは私どもは設備制限とは違う面ができまして早く安定する、かように考えまして、私も残念ながらこの御意見には反対でございます。やはり意見をかえて行けと言われましても、かえて行くわけには参りません。それからそれならば、しばらくたつたらじきにいい機械を入れかえる、こうお言いになりますが、私どもは組合の理事はしておりましても、地方の理事でございまして、全国を握つておりません。承りたいことは、この織機をたとえて申しますれば、ABCにわけまして、Aは新鋭の織機で一番いい織機である。今日これ以上の織機は日本ではできない。これは最も理想的な機械です。Bはまだ新しいから、以前から設備しておつても、これはまだ使えて輸出品くらいはどうにか織れるもので、生産コストもどうにか保てるだろう。Cの織機、これが私どもの問題でもあり、機屋さんの問題でもある。今度、どさくさまぎれにふえる織機、いわゆるスクラツプのようなもので、これは入れかえたいが、だんだんと貧乏になつて来たから入れかえられないで困つておる。これを動かしたら織るものもろくなものはできませんし、コストも高くなる。あるいは全然死骸に権利をもらつてひとつ売り込もうか、あるいは銭を借りて行こうかというものであります。これが一番問題で、われわれはこれをいかにして早く入れかえて参るかということが問題であり、入れかえさせたいと思つておる。これは同じでございますが、この台数が一体全国に何台ございますか。これを結局調べもせずにおいて、要するにいきなり設備制限と来られますと、私どもはやみに黒い牛をひつぱり出されて、どこが頭かしりやらわからなくて、あぶないもあぶないもこんなものを出されたら、われわれは殺されるだけであつて、われわれは角をつかみ、機屋さんはしりをつかむ。こういうように、われわれに牛の角をつかませる、やみの暗がりに牛をひつぱり出されるというよりほかに思えませんので、これも私はどうも残念に思う次第でございます。 それから今日までともかく織屋さんと一緒に無難苦労して来ておりまして、輸出はわれわれは自前でやつております。ところが金融の梗塞はやはりわれわれどもも必死になつてやつて来ておりまして、先ほど質問の先生は御存じなかつたか知りませんが、われわれも金融のわくを、この二十九条発動なるがゆえにわくを締めかけられました。それからそれよりもまだ現実にいかぬのは、掛で買えた材料屋が現金を持つて来なければ売らぬというので、からのトラツクで二回私どもは帰つております。こういうようなことで、そういうときが来たら特別な金融措置をしてやるぞというありがたいお話でありますが、いささか鍛冶屋は面子を考えまして、だれでも特別に泣き込んで行くことはいやでございます。それでたずねて行けば、ごやつかいになれば国のごやつかいになり、このお互いに国費のいりますところへ自分の会社のことで泣きついて行つて金融措置をしていただくというよりは、このままにしておいていただけば、もう天然自然の設備制限がされておることでございますから、御放任願えば私どもはいい。それで倒れることならば、特別金融措置もこんな小さなグループへはまるで来はしませんから、どうか見殺しでもいいから、下手に救い上げていただかない方がよろしゆうございます。どうかそのまま見殺しにしていただけばよろしゆうございます。下手に抱き上げられると、間違つて足が宙に浮き上つてしまいますから、思うように歩けません。かようなことを私は申し上げたいと思います。 それからもう一つ大事なことを申し上げなければならぬのでございますが、それは今日の輸出織物は、支那もパキスタンもインドも非常に労働者の生活程度が低いところでございまして、生むに家なき者が野宿をして工場に勤めて来る。かような現状を私どもはこの春見て来ておりますから、それと同じように、日本が一緒に金巾を織るとか、じんすを一緒に織るといつたところで、われわれ工場の中の者が、野宿して勤めに来て生産コストを下げるということは、文化度を下げるということになりまして、要するにめちやくちやな値段になるということでございます。それがその国が繊維機械を日本で入れなければどこかの国で入れるということになりますと、安物の生産は海外ではとても日本の製品では太刀打ちができなくなる。してみると日本の繊維製品はだめかと申しますと、また一方生活程度は高くなりまするから、だんだんいい織物が着たいというようにだれしも思います。そうすると、いい織物ということになりますると、イギリスで織つたものとかフランスで織つたものとかあるいはアメリカで織つたものとかいうような、欧米の先進国で織つた高級品が要するに世上で迎えられるわけであります。そうするとわれわれはコーヒーのかわりにみそしるを飲み、肉のかわりにとうふを食い、あげを食い、そしてまことに日本人の安い生産費でもつて欧米の製品と太刀打ちをして行くところに日本の織物のよさを今後見出さなければならぬと思います。すでに鐘紡でも東洋紡でも、一流の工場はサンフオライズの大きな設備をしまして、りつぱな製品をどんどん出しております。いろいろの色のプリントの織物、非常に込み入つた縞物、――プリントのようなものは大工場でよろしゆうございますが、縞物の組織物となりますと、これは黒といいましても一色ではございません。青みを含んだ黒もあれば、赤みを含んだ黒もあり、何となく暗い感じのする黒もあれば明るい色の黒もあります。絵の具の色は十二色ありますが、絵になりますと何百種類の色になるかわかりません。これと同様に柄物を織りますと、実にいろいろの色になります。糸が一本違いましてもきず物であります。そういうものを大企業においてはたしてやれるかといいますと、それは絶対にできるものではありません。同じ織物を織りましても、中小企業の、おかみさんから娘までが働いている工場と、ピアノを置き、テレビを置き、町村にもないようなりつぱな病院をつくつておりますメーカーの織賃は非常に違います。それに色糸がまじりますと残糸の整理は何ともかんともならないものが出て来ます。それがために昨今は中小企業のおかみさんから娘さんまでが色の間違いのないように、組織の間違いのないように、縦糸、横糸の糸抜けのないように――そうすると実に高い工賃になつて参ります。それがために昨今は輸出の中小企業に与えられたところの、大紡績から出て来るところの中小企業の輸出織物は非常に勘定がよくなつております。よくなつておりますから、この一月、二月にこれを出してもらつたらよかつたのですが、よくなつてからこんなものを出されるから、一体政府というのは遅れて来るものか、民意を尊重されぬものか、逆に逆にとやつて来る、こんなものは大反対だと言つております。これは御調査になればわかると思います。ところが今日私どもは幸いにして中小企業の機屋、織機屋が東京において雨をあげさしていただいた。中小企業とうさぎは殺されるときは声を出さない。声を出すとうさぎの本領でなくなり中小企業の本領でなくなるそうでございます。ところが全国の代表としましてこの国会で意見を申し上げたということはすでにうさぎではないかもしれません。声を出しました。声を出さしていただいたということでございますが、この機屋さんの方では地方の大企業安藤梅吉さんが、――この名前は安梅と覚えておればいいのですが、その人が中小企業の仲間に入つておりますが、それは名前の通りあれは中小企業ではあんめいということになります。あんなものが中小企業の仲間に入つて、全国の代表だといつて受付けておられる繊維局長の頭はどうかしていると私は思います。中小企業の連中は東京まで出て来るひまがございません。それでもつて出て来れば大企業の中小企業にあんめい連中にひどい目にあわされるのでございます。ですから先ほどのお話で、輿論調査をやられますと、中小企業の機屋さんはみんな反対でございます。全国に調整令ができたとかなんとか言われることは、私は中央としましてまことに地方の実情を聞かれぬという意味で残念なような気がいたします。だから私ども先ほど申しました通りに、戦争中でも、戦争に勝つために、スクラツプを出させるために織機を出せとか、あるいは糸が少いからこうこうこういうものは配給にしようということで配給統制をきめようというときには必ず繊屋に相談をする、織屋の組合の偉い連中の機械は、みんなボロ機械でもよくなつて……。
○永井委員長 なるべく簡潔にお願いします。
○山本参考人 簡単に申し上げます。それで小さい事業家の設備は非常に悪くなる。そうしてそれを企業整備によつて取上げられまして、それをスクラツプ化ということになると、いい工場の悪い機械がスクラツプされねばならぬが、それをいい機械をただで入れて来て、ただで出したということで非常に統制が誤つておりました。けれども機械屋は、まずわれわれはわくをつくりました。今回の分につきましてもどうか私らの設備制限に関する件でありましたならば、一ぺん機械屋も相談に入れていただきたい。そうして初めから御相談をいただきたい。そうすれば私は初めから決してむちやなことを申し上げません。通産省の指示を受けておりますから、通産省の御意図には沿いたい。けれどもこういうことはがまんできない。こういうことを申し上げて答弁にかえます。
○多川参考人 先ほどの首藤先生の御質問にお答えいたします。われわれはなるほど先ほど首藤先生のおつしやられたと同じように生産制限ということには積極的に賛成するつもりであります。ただそのやり方だけが問題なのでありまして、私は首藤先生のおつしやられる通りだと思いますが、ただ機業界に影響を及ぼすということを御考慮願いまして、登録の義務制でそれは十分にできるというふうに確信するものであります。それは制限ということ、増設禁止ということをはつきりうたいますと、日本人はどうしても逆ばかり考えますので、どんどん設備がかえつてふえておるのであります。それが現状なのでございます。でありますから、毎月登録の義務制を実行しまして、そうしてまた生産制限をやるにしても、全国一律の二十九条の発動は絶対に織物業者は承服するものではございません。これは御承知のごとく、絹、人絹、綿、スフ、あらゆる織物はもう何百何千種類とあるのでございまして、その各地区ごとに非常にいいところもあれば、またどん底に陥つているところもあるというふうに各地区ごとにみんな違うのであります。でありますから、各地区の調整組合におきまして申請をしたならば、一週間か十日ぐらいで発効できなかつたならば、こういう安定法というものはやらぬ方がずつといいと思うのでございます。それで先ほど九〇%がみな反対しておるということを私は申し上げましたが、これは現実がそうなんでございます。なるほど首藤先生がおつしやられるように、合法的にはそういう書類もみなよくなつておるということは私にもよくわかります。というのは、ちようど選挙で吉田自由党が過半数をとつておるから何をやつてもみな支持しておると思われることとみんな同じであろうと思います。現実私が聞いた範囲内では全部が反対しておるのでございますから、みなそういうふうに申し上げるのでございます。それから不良機械の問題で、これは先生がわれわれ業界を御存じないから、さつきの私の言い方も悪かつたかとも思いますが、織機業者に対する問屋というものは一軒もないのであります。これは先ほど先生のおつしやられた問屋という意味は、入れかえをしたときのボロ織機を買い取りまして、そうしてそれをどつかに売れないかといつて積んである織機のことを申すのでございまして、これがふえておるということは非常に繊物界に禍根を残しておるものでございまして、決していいものではないのでございます。それで私は参考意見を述べるのに質問していいのかどうかわかりませんが、設備制限のかわりに登録の義務制をやる。そうしてその毎月月末なら月末に押えた台数によつて生産制限がなぜできないのかということが私ども機屋で一番大きな疑問なのでございます。それがかえつて逆効果になるような設備制限をやつてどんどんふやして、そうしてそれをふやしたことによつて、どんどん現実にふえているのですから、その方がいいんだというお考えは、われわれがただ反対のために反対をしているというふうにおとりになるから、そういうふうに御質問をなさると思うのでありますが、私のみならず、みな織物業界を安定していただきたいということは、これはわれわれは気違いではございませんから、みなが切望をしているのでございます。ただそのやり方だけがわれわれと異にするために、何とかして登録の義務制ということによつて生産制限を随時実行していただきたいということをお答えいたします。
○永井委員長 石垣君、簡単にひとつお願いします。それから参考人は委員に対して質問はできませんから、その点御了承願います。
○石垣参考人 先生の今の御質問に対する答弁の中で、山本さんは金融の措置はしてもらわぬでもいいという言葉があつたのでありますが、これは言葉のはずみでそうなつたのだと思いますが、労働組合の立場から申しますと、先生が先ほどおつしやいました表現のうち、がまんせよということでありましたが、労働組合もそういうことはがまんできる範囲内ならもちろんがまんをいたします。そこで会社の方が首切りは何とか避けて、かりに今一万五千円もらつておるのをどうにか食える一万三千円くらいでがまんせよ、こういうことなら、これがせめて三月か半年くらいで先の見通しが十分できるということなら、われわれも協力してがまんしたいと思います。ところがこれが整理にまでなりましたり、あるいは今一万五千円もらつているのを一万円以下でがまんせよということになりますと、これは家族もございますので、ちよつと困る。われわれがそういう賃下げは困ると言いますと、会社の方では、じや何割か整理するということになるわけなんです。もしこれを強行されるとして設備制限をする。そのために首切りをするということだけはやめてもらいたい。首を切るかわりに、現在、たとえば十一月一日なら十一月一日、十月三十日なら十月三十日で雇用しておる従業員は何とか金のないときには政府が融資をして、首を切らぬでもがまんしてやつて行けるような措置を講じてやる。こういうようなことが法律で決定されますならば、私どももできるだけがまんして御協力申し上げたい。それからなお先ほども言つておられますように、やはり社会全般としてあらゆる企業が安定することが必要なので、私どももがまんのできる範囲内はがまんして協力したい。こういうことは考えているわけであります。
○加藤(清)委員 私はこの繊維産業の機場も守り、機械メーカーも守る、こういう立場に立つて以下御質問をさせていただきたいと存じますが、まず第一番に重工業局長さんと労働組合側にお尋ねいたしますが、この織機の生産状況でございますが、内需に一体どの程度売れているか、それから輸出はどの程度であるか、その設備更新の方は一体どの程度であつて、新増設はどの程度の数量であるかをきよう今日の状態でなくして、終戦直後と、それから朝鮮でブームの時代、それ以後不況になりました今日との比較対照の表をひとつ早急に出していただきたい。それでないとこの問題についてポイントに触れた審議ができないのではないか。それから発動をしても困るとか困らないとかいうことが一つの見通しの材料となるのではないか、かように思います。 次に労働組合の方にお尋ねしたいことは、先ほど首藤大先輩からもお話がございましたが、全般的な国内の不況のおかげで各業界が痛い目を見ておりますけれども、その業界に働いていらつしやる労働組合の方々もこれまた大なり小なり影響をこうむられておることと存じますが、特に織機に関しまして私の過去において知つた範囲内を申し上げますと、二十九条が発動されるのではないかという声が出まして後において、あなたの方の所属ないしは関係の組合、全国の金属傘下でけつこうでございますが、そこで賃下げが行われた工場が多分にあると聞いております。それから首切りが行われた工場が、これまた多分にあると聞いております。私の調査が間違いであれば幸いでございますが、そこでその声を聞いただけで、水鳥の羽音だけで、すでにそういうことが具体的に労働組合へのしわ寄せとなつて現われていると私は考えておりますが、万一これが発動されたとなりました暁におきまして、ラジオの放送の話が先ほど浜松の方から出ましたが、一体具体的には皆様の組合としてはどの程度の首切りが行われるのであろうか、あるいは賃下げが行われるであろうか、この問題でございます。それに対してもし行われたとしたならば、それに対する政府の施策をお尋ねしたいわけでございます。 今度は機械メーカーの方々に、これに関連いたしまして下請の企業の方々でごいざますが、皆様のところはたいてい組立てとかみがきとかいうことをやつていらつしやることと存じます。ところで、ほとんど下請けの外注に出していらつしやることと存じますが、二十九条が発動されて新規の設備ができない、更新はある程度できるかもしれないけれども、新規設備はまあできない、そうなつた場合に下請の工場を現在の何パーセント程度切らなければならないか、やむなくこれを捨てて行かなければならぬ、相模湖の問題と同じことでございましよう。お気の毒でございますけれども、満員になれば沈んでしまうのだから、そのうち一人、二人あるいは三人、四人捨てて、限られた人数だけを救つて行かなければならぬ、こういうことに相なるだろうと思いますが、その際に救われる方はよろしゆうございますが、切り捨てられる下請が一体どの程度の工場数で、そこの従業員は一体どの程度の人数になるでございましようか、これをお教え願いたいと存じます。簡単に数字だけ言つていただけばけつこうでございます。
○鈴木説明員 ただいまの資料は調べましてできるだけ早目に提出いたしたいと思います。
○杉浦参考人 ただいまの加藤先生の御質問に対しまして、ただいま知つておる範囲のことをお答え申し上げたいと思います。 御承知のように豊田工機でございますが、これは今まで千百人くらいおりました。これがこの二十九条の発動、こういう声を聞きまして約三分の一、三百五十名の人員整理がございました。それから豊田自動でございますが、これは二割の賃下げでございます。これもすべて発動されるという声を聞いてからでございます。それから大阪機工あるいは寿工業、こういうところもそういう点で相当考えられておる、このように聞いておりますが、具体的なことはまだ知つておりません。それから豊和工業でございますが、豊和工業は三百八十人の整理でございます。これはもう整理されました。それからこの発動によつてどれくらいの人員の整理がされるかということでございますが、これは非常にむずかしい問題でございまして、われわれ労働者の立場として、これだけの人員をここではつきり認めることになつて、非常にまずいのでございますが、一応われわれの想像といたしましては、現在の輸出と国内需給、こういう関係をにらみ合せますと、平均にして約四〇%の人員の整理はおそらく出て来る、かように考えております。われわれの見方からすれば、それも会社が織機をやつておつてではなくて、ほかに事業転換をすることも含めて、大体そのくらいのところは出て来るのではないか、このような考えを持つております。以上でございます。
○山本参考人 下請工場には大きくわけると二色ございます。自分の工場でもやつておるが、自分の工場で設備が足らぬので、あるいは自分の工場から出て行つた工員の下請工場とかそういうところに仕事をやらせて行く、もう一つは、自分の工場に設備がない、あるいは設備をすれば非常に製品が高くつく、またろくでもないもののほかできぬというようなものを下請工場に出す、この二色にわかれるのでございます。これが出なくなりますと、われわれとしては、これが一年か半年かわかりませんが、その場合は、破損部分品、保全部分品だけで一時飯を食わなければならない。そうすると――私の方の一社よりほかわかりませんが、大体どの社も同じだろうということで申しますならば、部品は大体において売上げ製品の一割に過ぎないのでございます。一割でやつて行くという問題になりますと、義理も何もいわずに、抱えておる工員を断るのは大事でございますから、残念ながらやめてしまつてもらわなければならぬ場合に遭遇いたすと思います。そうすると、一割くらいの部分品で専門業者の下請を頼むということになりますが、お互いに下請業者は、これはどこどこの会社の下請工場と申しましても、一割では、飯が食えなければ、ほかの業種に転換いたしてしまつて、一割くらいの注文ではおそらく相手になつてくれないということになりますと、私の方は確保しておる下請工場からは部品が一つも入つて来なくなるおそれがありまして、これでは下請業種はまず全滅になりはしないかということをおそれるものでございます。以上自分の工場の概念から申しましたが、もし違つておりましたならばひとつ多川君に聞いていただきたいと存じます。
○多川参考人 北陸地区では織機業者及び関連業者の工員は約六千名おります。それで現在の見通しとしましては、増設がなくなれば需要は半数以下に下るというふうに考えております。その六千のうちの三千が織機製造業、あと三千が下請でございますが、下請の三千はほとんどなくなると思います。それから織機製造業の工員はやはり四〇%くらいは減らしてやるというふうになるだろうと予想いたします。
○山本参考人 ちよつと今大事なことを申し忘れました。それは今内需だけの問題を申しましたので、これに輸出が伴うのでございます。だから輸出はまた別でありますが、内需だけの関係を申し上げたわけでございます。
○加藤(清)委員 重工業局長に重ねてお尋ねいたしますが、二十九条を発動するにあたりまして、中小企業や繊維局側はこの問題についておそらく重工業局の方へお問合せたり御相談なりの慎重審議があつたことと存じますが、それを今ここですぐに数字で答えろとは言いませんが、こういうことをするにあたつてこのような悪影響が起きるということをもし知らずにやられたというならば、これはとんだ大間違いです。そういうでたらめなことをやられるから倒産商社が続出するというようなことが起るわけです。大体デフレ政策において、金融引締めに対して私らも反対するわけではないのだけれども、金融が独走するところに、糸へんの商社及びこの関係がまつ正面からこのあらしを浴びて倒れて行かなければならないところの原因があつたはずです。これについて重工業局長として――それは今ここで数字を答えろといつても、数字に間違いがあつてはいけないから答えられない、これはけつこうです。またあした、あさつてにすぐこれが出て来るということならそれでもけつこうであります。しかし重ねてお尋ねいたしますが、その及ぼすところの影響を首肯し得る範囲内における、細大漏らさざる調査の結果、このことについて仕事を進めようとしていらつしやるのか、ないしはこのことが行われずに進められようとしておつたのか、この点についてお尋ねしたい。
○鈴木説明員 ただいま御質問がございましたが、重工業局としましては、この設備制限により織機工業がいかなる影響があるかという点について、私ども知つております限りの情報に基きまして、繊維局、中小企業局と十分連絡いたしまして、できるだけ影響の少いように考えた次第でございます。
○加藤(清)委員 それではその影響のうちあなた方の御調査に相なつております重要なポイントだけをここでお漏らし願いたいと思います。簡単でよろしゆうございます。
○鈴木説明員 先ほど先生から詳しく終戦直後の輸出別あるいは内需別、しかも内需別は更新及び増加というふうにわけての資料の御要求がございましたが、それに相応する過去からの数字はございませんが、今年度の数字をとつてみますと、大体一月から八月まで、綿、スフの織機の月別の生産といたしまして約二千六百台でございます。そのうち大体輸出台数が一千百七十台となつておりまして、その差が内需になるわけでございますが、このうち私どもの調べました範囲では増加数が八百三十六台、入れかえと推定されるものが六百五十八台というふうに考えております。従いましてこの八百三十六台を全体の数字にとつてみますと約三割一分というふうな数字になります。従いまして、もし入れかえができないといたしますと、当然その分について織機工業に対して影響があるということになります。しかしながら、先ほど来いろいろお話がありましたように、繊維工業の場合におきまして、業界が安定しますればさらに入れかえ用の需要も増加する可能性もありますし、またさらに、私どもとしましては計画が合理的なもので入れかえを行います場合には、こういつたものに対して金融等のあつせんもできるだけしていただけるようにということを、繊維局及び中小企業庁に要望しておる次第であります。私ども輸出関係においても、今後とも業界と十分連絡をとつてやつて参りたい、こういうふうな考え方でおります。
○加藤(清)委員 数量の問題で約八百台が影響があると聞きましたが、私の調査もやはりそうなつております。その通りでございます。ところがそれ以外の影響についてはいかがでございますか。重ねて申しますが、問題は数量の上に、約三十何パーセントの影響を及ぼすということは、やがてコストに影響がある、このことは重工業局長は、日本の自動車とアメリカの自動車とのコスト開きに比較してもよくおわかりのことと存じます。 それからもう一つは生産されました機械が内地でテストされます。たとえば大隈の毛織織機ができました。これをただちに輸出するわけに参りません。内地で機場に委託なり何なりして、あるいは近代化をはかろうとしておる協力者と相呼応いたしまして、そこでテストした結果、これが量産ということに相なると存じますが、ここで数量の低下ということは、あなたのおつしやる輸出振興には逆な結果が生じて来るということにお気づきにならないでございましようか。また更新させる場合におきまして、なるべく政府の援助――これはあとで承りますか、政府の援助があれば行えることでありますけれども、コスト高ということは、やがてその内需をも押えて行くという将来の見通しについてでございます。
○鈴木説明員 もし文字通り国内の需要が減りますれば、総体の生産数量が減る関係におきましてある程度コスト高になると存じますけれども、先ほども申し上げました通り、入れかえ用も合理化設備の更新等によりましてさらに需要を喚起する、そのほか原材料、その他一般のデフレ政策によつて、と同時に企業関係の御努力によつてできるだけ輸出を促進さしていただきたいとわれわれは考えておる次第であります。
○加藤(清)委員 大分時間も迫つておるようでございますから要点をかいつまんで申し上げますが、これから及ぼすところの影響について、先ほど来参考人の方から大分御意見があつたようでありますが、これに対して繊維局及び中小企業庁はいかなるお考えを持つておるかについてお尋ねしたいのでございます。と申しますのは、現在これを発動するという声を聞いただけで、すでに労働組合側に対する首切りが行われまして、それと同時に機場の方をながめてみますと、これは綿工、毛工、絹、人絹おしなべての問題でございますが、妙なことで、古いスクラツプとして倉庫にほうり込んであつた機械がのこのこ工場へ出まして、そうしてこれでやつて行けますというような態度がぼちぼち出て来ておるようでございます。しかもこの買い集めが行われておるおかげで、動かないところの機械が今のところ大分値が出ておるようでございます。それと同時に機械メーカーに対する新規注文もこのところ大分ふえておるようでございます。しかしこのふえ方は、発動された以後においてはたちどころに消えてか行くものでございましよう。言えば二十八年の十一月に、御承知の通り毛紡の設備を以後認めないというあのことが行われました折に、一年の間に百五万錘の毛紡が百三十万錘にふえたことがございました。そのふえた内訳を見ますと、これが麻紡やら絹紡からわいわい持入れまして、そうしてだんだん外貨の割当の対象にしよう、いわば幽霊人口が出たことをよく御記憶のことと存じます。このためにそれを集め得る能力を持つている大工場は、五〇%動いておつてもなおこれは一〇〇%動いておることになる。あとのやつは最初から動かすということは当てにしていないのだから。ところがこれをでき得ない小さな新紡、新々紡や、あるいは中小の側は、このおかげで永久に発展がとめられてしまつた。結局設備制限は手の打ちよういかんによつて、小なるものに対する設備の制限は行われたけれども、大なるものは野放しであつた、こういうことがやがて起きました。タオル織機の場合にも起きたわけでございます。このことはよく御存じのことと存じますが、この問題が現在すでに起きております。やがてこれは今申し上げた通り、大紡の自家用機を三百台、五百台を持つておるところの機屋さんは助けることができますけれども、小さな機屋さんだけがこの制限を受けて行かなければならないという結果に相なるのでございますが、この点についての手だてというものははたしてできておるのでございましようか、いかがでしようか。
○永山説明員 今回の安定法の発動に関連しての機械関係の影響いかんという今お話のようでありますが、安定法の発動の必要性なり一般の情勢については、加藤委員はすでによく御承知のことと思いますので、説明は特にいたしませんが、ただこの問題は非常に長い間の懸案であつたのでありまして、政府側といたしましても今日のこの発動を決意するに至りますまでには、ずいぶんと考慮を重ね、研究も重ねて参つたのであります。しかして遂に、今の情勢からいたしますと、これはむろん機屋の関係ばかりでなく、一般の機械関係その他のいろいろな状況を考慮いたしまして、今回の形による二十九条の二次の発動ということが現状においては一番いい方法であるという結論に達したのでありまして、決して軽々にこの発動を決意するに至つたものではない、こういうことをよくひとつ御了承いただきたいと思うのであります。現在の機屋の状況は、糸の原料の関係にいたしましても非常に設備過剰になつておるのでございまして、従つてこれは通常の状態におきましても必ずしもバランスのとれた作業構成になつていないのであります。これは先ほど首藤さんのお話のように中小企業共通の弱点といいますか、そういうような事情がここに出て参つたと思うのでありますが、ともかくそういうような設備過剰になつておるのでありまして、従つてこれはできるだけ正常な状態にもどして行くということが必要であるのでありまして、またそういうような状況でありますので、特に現在のデフレの影響というものを非常にきびしく受けるような形態になつております一方において、政府がいろいろ推進をしあるいは慫慂をいたしております合理化という問題も、このために非常に阻害を受けているというような状況になつておるのであります。従つてわれわれとしてはこの際安定法の発動はぜひやつて行きたい、かように考えておる次第であります。ただ機械関係に対するいろいろな影響なりまた御心配なりということはよくわれわれもわかるのであります。従つて先ほどから機械業者あるいはその労働組合ないしはこの委員会の委員各位の御発言の趣旨を体しまして、できるだけ今後の運用につきましては慎重を期して参りたいと考えておりますが、すでに御承知のように、今回の措置は決して機械の新規の発注を全然とめるものではないのでありまして、むしろわれわれは一応この設備制限をいたしまして、業界の基礎を安定し、同時にこの安定した基礎の上で合理化の方向に極力事を推進して参りたいと考えておるのであります。従つて現在のところ、本来とりかえるべくしていろいろな事情でとりかえるに立ち至つていないような老朽の設備が相当に多いのでありますので、こういうものの更新を、今後業界の健全な発展のためにできるだけ推進して行きたい。政府といたしましても、資金の面の裏づけなり、いろいろな手段を講じてこの合理化の面を推進して参るつもりでありまして、従つて今回の措置は、機盤の健全な発展のためにも、あるいは機械業界のためにも決して悪い措置ではないと私どもは確信をしております。
○加藤(清)委員 繊維局長さんが、機場やそれに関連する機械メーカーを悪かれかしと祈つて仕事をやつておるなんということは私らもつゆさら考えておりません。いつもたいへん御熱心にその指導、強化、育成の面に当つていらつしやるということについては常々感謝いたしております。従いまして、どうしてもお尋ねしなければならないことが出て来るのでございますが、その合理化をするとか、設備の制限をするとかいう、この言葉が具体的に行われない状況になつておる。大きな機場や紡績については今スクラツプが生きて帰つて来ておるのですよ。これだけは更新ができるのです。ところがこれは今集め得る人だけなんです。小さい方では今御承知の通り、綿紡にしてもこの三月から七月、八月にかけてほとんど小幅ものはとまつているのだから、それでやむなく転換しようかなどということでほかの仕事に切りかえて行つたはずなんです。そのやさきにお前のところの機械はおれのところに譲れということでそれが集められて行つた。これはかえようにもかえられないところです。しかし集めた方はかえられるということになる。そこでこれに対して過去に苦い経験を毛紡においても持つていらつしやつたはずだ。それからタオルの場合にも経験していらつしやつたはずです。そこでこれに対する対策はどう立つているかということを承つたわけです。あいにくそのお答えがないようでございます。これはやはり厳重な検査をして登録織機を認められる用意がございますか。そういう必要はないとお認めでございましようか。簡単でよろしゆうございますからお答え願いたい。
○永山説明員 ただいま御質問の点ですが、むろんわれわれといたしましても、スクラツプ化したものをそのまま運転可能の登録織機というふうに認めるつもりはございません。あくまでもその機械そのものについて判断をいたしまして、運転可能のものであればそれは登録を認めるということになるわけであります。
○加藤(清)委員 その調査はいかようにして行われますか。
○永山説明員 今回の措置は調整組合を主体として運用して参るのでありまして、従つて調整組合の監督員というものを督励をして、できるだけ誤りのないように期して参りたいと考えております。
○加藤(清)委員 先ほどどなたか、それをABCにわけて、新鋭織機と当分使用に耐えるもの、あるいはスクラツプ化して使用に耐えない、ただ権利のみをとるための設備、こんなふうにおわけになつたようでありますが、戦時中の統制は先生もよく御存じですし、私もそれをよく経験しておるわけでございまして、きようお集まりの皆さんはみなその経験者ばかりだと思いますが、検査員のいかんによりましては、ある職場のものはみなペケを食つた、ところがある職場のものは悪いものでもみな通つてしまつたということがあるわけでございまして、ここで企業合同なり何なりという場合に、痛い目を食つて泣いた経験を持つておりますので、業界としてはこの点を非常に懸念するわけでございますが、これに対してほんとうに適当な処置をとるには、この検査の公正その他について万全な策をとつていただきたい。あなたのおつしやつた言葉通り、ほんとうに実行できるような方策をこの際私はここでもつと具体的に掘り下げたいのですが、時間がございませんから申し上げませんが、この点をひとつよくお考え願いたいと存ずるわけでございます。次にこの登録制の問題で、三箇所は切りかえできないとか、あるいは切りかえられたとしてもよそへの転換が困難とか、いろいろな問題が起きて来るのでございますけれども、この点については一体繊維局長さん、いかようにお考えでございましようか。三箇月でけつこうだとお考えでございましようか。
○永山説明員 今の三箇月の拘束は原則的にはそれでやつて参りたいと思つておりますが、ただこれは耐用の面で、三箇月と申しましても別段そうはつきりした理論的な根拠があるわけでもないし、あるいは考え方によつては二箇月でもいい、あるいは四箇月でもいいということにもなりますので、従つて運用の面で実行して参りまして、その実績によつてさらに改善をするということに考えております。ただ現在はまだ御承知の通り発動はいたしておらないのでありますが、先ほどどなたかのお話にありましたように、今発動を見越しまして、相当機械業者に対する発注は盛んなようであります。これは現地の通産局からも報告を受けております。あるいはまたお話のような寝ているものを起して、それで一応登録の形を整えようというような傾向もなきにしもあらずです。かように考えておりますが、そういうような弊害は延びれば延びるほど出て参ります。従つてこの問題についてはいろいろな問題があると思いますが、われわれとしてはともかく実施をして参りまして、その上で実情に応じてさらに改善を加えて参りたいと考えております。
○加藤(清)委員 これは慎重に調べてやらないと、織場を救おうと思つてやつたことが、遂には織場の首を切つてしまわなければならぬという結果になるのです。そのことを私が説明して行けばよくわかつていただけると思います。この三箇月の切りかえの問題でもそうでございます。三箇月はどうしてもそれをやらなければならないということになりますと、最もわかりやすく御説明を申し上げますならば、内地米を十日受けた、外米を一五日受けた、あとはパンで行けという場合に、三箇月は米だけ食え、こういうことと同じ結果になります。と申しますのは、職場は、今糸を買いに行つてもすき好んで買えて来るのではないのです。綿を買いに行つたけれども、金が足らないからやむなくスフにかえなければならぬ。おれは純毛の糸がほしいと言つても、糸屋がスフまじりをついでに抱合せで買えと言うからやむなく買つて来る。それを切りかえかえでやつて行つておるのが現状なんです。そこで三箇月はどうにもならないと言われたら、今までの経験から言うと、許可がおりるまで半年くらいかかる。半年問食わずに生きて行けますか。この問題を慎重に研究すればこそ、綿購連よりすでにこのことについて再三再四の要望があつたようでありますが、この切りかえをたくさんしなければならないところのスフ、人絹の方は、なかなか結論が出なかつた。再三の要請のゆえについついその幹部だけが集まつて答えを出した。こういうことで、先ほど参考人のどなたかがおつしやつたように、反対の意見がたくさんある。ほんとうに織場をまわつて御調査願えれば、私の言うことがうそでないということがよくわかる。このように考え、このように調査を進めて参りますれば、この発動はなお時期尚早といわざるを得ない。急いでやればその弊害が少くなるというお考えのようでございますが、輸出振興をするとか、更新をさせるから機械屋の方は心配ないとおつしやいますけれども、しからばその具体策はいかんとお尋ねいたしたい。この一月から月々千二百台の輸出が今行われておる。それにプラスする九百台をつけるだけの計画ができておりますか。政府側のどなたでもよいから答えていただきたい。どこの国にどれだけ余分に出ますか。今日の海外市場は競争がはげしくて、現状千二百台のこの輸出量を維持するだけでなお困難を来しております。かりに輸出振興ができたとしても、絹、人絹の内需用だけの機械をつくつている会社をどうしますか。この機械の更新はどうしますか。更新させるように援助するというからけつこうな話だが、更新し得るだけの力が職場にあるとお考えでございますか。織場は糸を買う金さえない。だから倒れて行く。倒れて行つた実情は、あなた方が一番よく御存じだ。こういうものに対して設備の切りかえをせよというのは、米を買う代金がない者に三万台の自動車を買えというのと一緒だ。そういうことができますか。あなたの方でその施策ができておりましようか。あつたら、何でもよいから示してもらいたい。日本銀行からどれだけ融資をするとか、商工中金からどれだけ融資をするとか、あつたらお示し願いたい。もつとはつきり言えば、きのうも銀行側をここに呼んで聞いたところ、そういうものには貸さないと言つておる。現に金融引締めは、中小企業だけ引締めて少くしただけで、大企業には貸出し増になつておるのではないか。政府機関であるところの中小企業金融公庫を呼んで聞いてごらんなさい。二十九条を発動された後に、はたしてその職場ないしは機械場の方に融資するような手だてができておりますか。むしろ逆行しておる。一体どこをつかんで融資するとおつしやるのでございましようか。融資は天から降つて来るものでございましようか、承りたい。 それから税制の問題でございますが、老朽が、十年以上が八〇%、二十年以上、すでに命脈の来たものがたくさんある。これに対して更新し得るような税制の制度がはたしてできているでございましようか。なお機場は終戦直後の復原の金でさえも払えないというのが現状ではございませんか。これに対して一人立ちで機械を更新させろ――もう業界は言葉の手形はあきあきしております。こんなものは不渡りになるにきまつている。そこでやるというならば、ぜひ今ここで輸出振興に対する対策、あるいは機械更新に対する融資、税制措置、これらの具体的措置をはつきりと承りたいものでございます。もしそれ、それがないということになつたならば、これは綿工連や毛工連の陳情とはおよそほど遠い結果が生じて来ることは、あなたたちの方がよく御存じでございましよう。何も二十九条だけを発動してくれと言うて来たわけじやございません。二十九条は、あなたたちのよくおつしやるところの業界の安定策の車の一輪なんだ。片方だけはまわすという。ところが片方の施策は何もないのです。それだつたら、堂々めぐりじやございませんか。どうしてこの車は前に進みますか。首を締めるだけで、あとは野放にしておいて、これで安定できるという策があつたら承りたい。天龍川の水が流れて行くのにあたつて、源はそのままにしておいて、大紡はどうです、十六万梱ずつつくつているじやありませんか。これが今あり余つているじやないか。これが機場にしわ寄せて来る。源をほおつておいて、土管をいけて、この土管だけをくぐりなさい、下の方は野放しだ。そんなことをやつたら、この堤も切れ、土管も押し流されることは、火を見るよりも明らかです。ほんとうに業界の安定をやるというならば、毛紡も綿紡もそうでございますが、紡績の部門をまずやるべきだ。源を抑えずして途中だけを押えようといつても、そんなばかなことができますか。こういうことをやられるから、金融独走だといつて笑われなければならないし、政府の施策は行き当りばつたりだと言われなければならぬことになる。この点をひとつよくお考えをいただきたい。 それからもう一つ最後に発動の時期でございますが、ここでぜひ承りたいことは、通産大臣が外国から帰らない先にこれを発動するということも漏れ承つておる。それでは通産大臣がいないから、次官にというてきよう要請したところが、きよう次官は来ない。どうにもならないから私は大臣、次官に対する質問を、出て来るまで保留いたしますけれども、大臣はこれを発動するにあたつて必要なこの委員会の審議を一体どうお考えであるか、発動に必要な安定審議会の答申をいかようにお考えでございますか。委員会の審議はつけたりでございますか、安定審議会の結論、答申というものは飾りものでございますか。それならば、その答えが出ない先に大臣はアメリカへ立つて行つた、だから発動してもよろしいという答えが出るでございましよう。しかし、もしそれほんとうに国会を必要とするなら、国会軽視でないとすれば、安定審議会は飾りものや添えものでないとすれば、この答えの出ない先に発効を許可するという大臣の責任を問いたい。一体いかなる権限をもつて大臣はこのものの発動を許可したのか、はつきりと承りたい。越権行為である。これに対してどなたでもよいから御答弁願いたい。もしできないとするならば、かわりの政務次官が参るまでこの質問に対しては私は保留いたします。 以上るる申し上げたのでございますが、合理化もけつこう、輸出振興もけつこう、私はいつもここで口を開けば繊維振興、繊維立国国策を唱えるものでございまして、決して機場だけようなればよろしいとか、機場はけしからぬとかということを申し述べるのではございません。機場も生きなければなりませんが、機械屋さんもこれと同等に生きてもらわないことには、繊維技術の振興はできません。すでに繊維は文化とともに進みつつあるこの時期において、輸出振興を口にするならば、目下日本の繊維で最も必要なことは一体何であるかといえば、技術の振興なんです。機械屋を片一方へ追いやつていじめておいて、そうしてりつぱなエバグレーズを織れ、サンフオライズを織れ、あるいはリツプル、サツカーを織れといつても、できますか。なるほどそれは仕上げの部門だ、こうおつしやるかもしれませんが、やはり技術の振興は当然必要なんだ。なお技術の振興は中小機あつてのものなんです。輸出されるところの品物、なるほど三桃あたりは大紡でできるでございましようけれども、絹、人絹から毛に至つては、当然中小機の柄物でなければ輸出ができないということはよく御存じである。この柄物をつくるところの小さな産業構造が必要であるということは、イギリスのランカシアを見れば一番よくおわかりのことでございます。これを痛めつけ、これを抑えつけるような問題については、なるほど過去数箇月、頭のよいお方が苦労なさつて御研究なさつたことで、万々あやまちないとは存じますけれども、なお私がながめますと、このようなことをあえて苦言申し上げなければならぬのでございます。よく慎重審議の結果、この処置に対して御善処を要望いたしまして私の質問を終ります。大臣に対する質問は保留いたします。
○永井委員長 加藤委員に申し上げておきますが、参考人に対する質問の時間なので、これで終りですから……。
○永山説明員 加藤さんの御発言について、私の先ほどの御答弁のうちちよつと修正をしたいと思う点があります。それは三箇月の問題でございますが、私少し勘違いをしておりまして、登録がえの手続の三箇月ということに誤解をいたしたのでございますが、御質問を伺つておりますと、他の織物を織る場合の期間の制限について、これを厳重な拘束期間と考えるかというお話のようでございますから、修正をいたします。その三箇月につきましては、現在の調整規定におきましても弾力性を持つて考えておりまして、従つて適当な措置をとることのできるような規定になつておりますから、その点修正をさせていただきます。それから合理化の方の機械の発注についての問題でございますが、これに並行して目下至急に作業をいたしておりまして、先ほど来申し上げましたように、合理化の設備である限りは資金の裏づけもし、従来以上に受注者、機械業界も安心して仕事ができるようにということで、目下せつかく急いで作業をいたしております。 それから先ほどの大臣についてのお話は、愛知大臣の御出発の前にはこの問題の御説明もし、また省議でもすでに決定をいたしておりますが、なお御発言の趣旨は現在の小坂大臣代理にもよくお伝えをいたします。
○長谷川(四)委員 二十九条の発動につきましては、当委員会においてはぜひこれを促進しろということを強く要望いたし、決議同様な意見をもつてこれを政府に迫つておつたのであります。そこで政府としては、これは容易ならざるいろいろな事態が生じて来るから、なるべく引延ばしたいというのが、当時の政府の意向のようでありました。私個人のことを言うのはたいへん恐縮でありますけれども、二十九条の発動は即刻やるべきことでないというのが、その当時の意見でありました。しかしながら委員会はみなこぞつて、だれ一人の反対もなく、二十九条を発動すべしという意見でございます。そういう過程からいつて、何ゆえにこういう問題が出て来たかということは、御承知のように非常に機屋が悪いのでありまして、どうやつたら現在の日本の繊維産業というものをよりよく向上させることができるか、これが基本の考え方であります。そこでまず計画をどう持つて行くかということは、六大会社でつくつておる人絹を一定の価格まで持つて来て、輸出なら輸出を、年間を通じた一定の糸でもつて渡してやろう、それにはやはり設備そのものも一応の制限を加えなければ、統制というわけではないけれども、振興の目的を達することができないから、そうやるべぎだというのが私たちの意見でございまして、そういう点から考えて行つたのでございます。そして私どもの考え方は、たとえばこうなつた場合に、日本の産業、すなわち要はもう合成繊維時代に入つて来ておりますので、人絹だ、シルクだと言つてみても、これをもつて世界に向つての輸出産業として対抗することはとうてい困難であります。こういう点から合成繊維は日本もなるべく早く万全を期して行きたい。政府から、五箇年計画というものが出ましたけれども、政府のやることだから、あんなものは満足にやつておりませんけれども、しかしながら非常にけつこうな案だということでやつたのです。この五箇年計画も今まで大した成績は上つておりませんけれども、徐々には上つて来ておると思うのであります。それでなるべく現在の機械を高能率化して行きたい。要は合理化して行こう。合理化という言葉は、申し上げるまでもなく合理化するのだ、合理化は高能率の機械を入れるのだ、それがすなわち合理化でございまして、世間には合理化というのは人の首を切るのだという考え方もあるようでありますけれども、現実の日本の実情から見ましても、合理化ということは高能率の機械を入れることがすなわち合理化でございます。各国々を見ましても、現在の日本の織機とは大いな差があるということだけはいなめないところの事実であると思うのであります。先ほどパキスタン、インド等の話が出ましたが、日本からたくさん出て行くのはけつこうな話でありますけれども、よその国へ行つてみますと、まだ及びもつかない、想像も及ばないような繊維機械ができて、その生産に携わつておることは私が申し上げるまでもなく、皆さんよく御承知だと思います。そういう点にかんがみて、高能率の機械を入れさせよう、制限は一応するけれども、これは何十年送るわけではないのでありまして、当然入れかえる場合には政府がスクラツプとして買入れて、高能率の機械を入れるときに初めてこれに金融措置を講ずべきであるというのが私の初めからの意見でございまして、さような方向に進めて行くことが現実の日本の繊維産業を救う道ではなかろうか、こういうふうにわれわれは考えております。あなた方メーカーのことも考えないでもなかつたんだけれども、増設といつても現在の日本の国内の増設というものはたかが知れているであろう、だからそういう入れかえというようなことにのみ終始される。私は群馬県の桐生でございますが、皆さん方の地方とはたいへん違つておりまして、現在ある織機でも、たとえば二十台あれば動いているのは七台くらいのような状態です。機屋さんというものがどうしてこういうようなあおりを一番食つたかというと、すなわち、日本経済の底が浅いということはもちろんでございますけれども、資本が非常に乏しいという点でございまして、ちよつとよくなりますと五台が六台になり、七台になる。七台になつてみても、これを保つことができなくてすぐ悲惨な目にあつてるという現実を私どもは見て来ておりますし、またちよつと景気がよくなるとこれが大資本に把握されて、そうして中小商工業が困つて行くというような様相が今までの例でございます。歴史がそういうふうになつておりますので、少くともこうやつたならば計画性を持つた作業の樹立ができやしないかというのが私の考え方でございます。こういう案ができたからといつて、われわれは示されておらぬのです。皆さんの方が早い。私たちはまだこういう案ができて、こうやるという案は一ぺんも示されておりません。お話をこの委員会で聞かされたこともないのです。あなた方の方が商売ですから早いのですけれども、われわれの方は一度も聞かされたことがないのです。しかしそういう不備な点、先ほど山本さんがおつしやるように、最初から話をすれば協力するんだ、こういうお言葉、まことにごもつともだと思うのでございまして、十分今後とされてもそれらの点に対してできるだけ協力していただいて、そうして日本の繊維産業を一つの計画に乗せて行く、計画という言葉は社会主義だけの言う言葉ではないのでありまして、日本が現実のこういうような経済の様相に陥つたということは、場当りである、自由放任である、これが皆さん方のよく知つている今日のような日本にしてしまつたわけでございますから、こういう点については、一つの計画を持つた産業の樹立をさせて行きたい、産業構造を根本からかえて行きたいというのが、われわれの念願でございます。そういうような点等から考えまして、皆さん方の御意見を十分承りましたから、なるべくそういうあなた方に対しましてもなるべく不備のないような、御協力願えるような態勢に進めて行くように、私たちも努力いたしたい、こう考えております。これに対しての御答弁は必要ございませんが、一言私の考えを申し上げたわけでございます。
○永井委員長 この際参考人各位に一言御礼を申し上げます。各位には長時間にわたり御出席くだされ、種々貴重な御意見を御発表くださいましたことに対して、厚く御礼を申し上げます。本小委員会といたしましては、各位の御意見を十分参考として調査を行つて参りたいと存じます。どうもありがとうございました。 ―――――――――――――
○永井委員長 この際お諮りいたします。きのう本小委員会で審議いたしたのでございますが、中小企業に対する年末金融に関する件につきまして、現下の中小企業の現状より見まして重大な問題でありますので、この際本小委員会の意思を決定し、これにつき次回の委員会において適宜の処置をとりたいと存じます。 首藤君から発言がありますのでこれを許します。
○首藤委員 ただいま委員長から年末金融に対する御発言がありましたが、特に本年はデフレ政策を遂行いたしたために例年よりも中小企業の金融難は一層はなはだしいかと考えておるのであります。また同時に明年度の予算、並びに財政規模も日を追うて深刻化しつつありますから、これに先だつて今日この小委員会が年末金融に対する決議案を出すということは適当と考えるのであります。そこで私から一応案を朗読いたしたいと思いますので、これをあらためて御審議を願いたいと思います。 中小企業年末融資に関する決議案 デフレ経済を枢軸とした本年度予算財政の実施の結果は、全産業分野に顕現せられ、なかんずくこれが影響は、中小企業の分野において顕著に現われ、明年度、予算財政規模の先行を考慮に入れるならば、本年末の様相はいよいよ予断を許さないものがある。 ことに金融面における逼迫、中小企業専門金融機関への投融資の削減、一般銀行の中小企業金融に対する情熱の欠如と相まつて、不況にあえぐ中小企業の前途をまつたく暗澹たらしめているといわなければならない。 よつて本小委員会は 一、商工組合中央金庫、国民金融公庫、中小企業金融公庫、地方銀行、相互銀行、信用金庫等における政府指定預金の引揚げを明年三月まで延期すること。 二、相互銀行、信用金庫等に対しては、資金運用部資金の導入をなし得るよう措置すること。 三、中小企業金融公庫の資金源については、少くとも月間三十億程度の貸付を行い得るようにすること 四、商工組合中央金庫に対する中小企業金融公庫の貸付二十億円は、商工組合中央金庫に対する政府出資に振りかえ、公庫に対する政府出資二十億は別途計上すること。 五、商工組合中央金庫の金融債引受については、少くとも五十億程度とすること。 六、金融機関、なかんずく市中銀行の中小企業向貸出金利は大幅に引下げること。 七、金融機関の中小企業向貸付に際しての歩積預金並びに定期預金の強制は厳重に取締ること。 右決議する。 以上であります。
○永井委員長 ただいまの首藤君の決議案の通り決するに御異議ありませんか。
○永井委員長 御異議なければその通り決しました。 ―――――――――――――
○永井委員長 この際今日の議題であります災害対策について中小企業庁長官と大蔵省特殊金融課長から御説明を願います。
○記内説明員 今回の十五号台風、それ以前の台風につきましての災害でございますが、今年は昨年と違いまして幸い災害も非常に少かつたのでございます。ただ十五号台風を中心といたしまして、北海道それから宮崎県、愛媛県その他約十二府県が総計で百億の損害を受けており、昨年はこれが五百億を突破するというふうな大災害でございました。この点は私ども非常に災害の少かつたことを喜んでおるわけでございます。しかしながら少いとは申しましても、災害を受けた府県につきましては相当な被害がございますので、これに対する救済策は当然考えなければならぬことでございます。従いまして大体私どもといたしましては、貸出し利率を六分五厘、すえ置き期間六箇月以内、償還期限は三年以内というようなことで、大体昨年の災害に準じた救済措置を講じて参りたいというふうに考えておるわけであります。ただそのわくの限度の問題でございますが、昨年は五百億の融資に対しまして総計五十五億のわくを設定いたしまして、四十三億の現実の貸付を見た次第でございますが、本年度におきましては百億の災害でございますので、私どもでき得べくんばこれに十五億程度のわくを設けたいというふうに考えておつたのでございます。ただ昨年との比率その他から考えまして、今のところ大蔵省方面では中小公庫、国民公庫、おのおの三億ずつ、商工中金はこれ以外に金庫自身といたしまして五億ないし七億くらいを予定しており、合計十一億ないし十三億程度の資金をもつて対処したいという考え方になつておるようでございます。私どもいろいろ折衝いたしておりましても、時間を浪費いたすのもいかがかと思いまして、一応それでスタートいたしまして、その貸付の決定のいかんによりましては、当初の考えの通り増わくすることもさらに再折働いたしたいというふうに考えて、とりあえずの処置といたしまして、国民公庫を三億、中小公庫を三億ということでスタートをいたしたい、目下各府県別の按分につきまして作業をいたしておるわけであります。ただお断りを申し上げたいことは、この分は先ほど申し上げましたように金利は六分五厘ということでございます。もし金利の一割ということをかんべんするのであれば、年末金融の対策もかねまして相当資金も用意いたしてございますので、これ以上に増わくは当然可能でございます。従いましてそういう面において貸付の期限等についても便宜な措置は当然とり得るわけでございます。そういうようなことで、とりあえずスタートして参りたいというふうに考えておる次第でございます。
○永井委員長 次に加治木特殊金融課長。
○加治木説明員 ただいま中小企業庁の長官の方から両公庫と商工中金の問題につきましてお話がございました。私別段つけ加えることはございません。今後中小企業庁からもいろいろ要望もございますので、できるだけの措置を講じて十分善処して参りたい、かように考えております。なお若干つけ加えますと、本年度は中小公庫の災害融資については六分五厘は去年と同じでありますが、途中の取扱い手数料等を、去年よりは代理店がより働きやすいような処置をいたしております。そのほかに御承知のように指定預金の引揚げ期間を災害地二十府県にわたつて延期いたしております。商工中金は十月分で六億八千五百万円の指定預金がありますが、これを全額延期いたしております。相互銀行の分は三億四千六百万円、信用金庫は一億一千六百万円延期いたしております。もつともだたいま決議にありましたように、およそ指定預金は全部延期すべきだという御議論もありますので、特別な対策としてそれは意味がないというような御意見もあるいはあろうかと思いますが、一応このような措置をとつたのであります。なお大蔵省として、主計、主税関係の分もあわせて、今より適宜説明しろという御要求があつたのでありますが、私ちよつと自信を持つて申し上げかねますが、税金の方は御承知のように災害に関する特別な立法がございまして、これによりましてそれぞれ災害地において適切な処置をとるよう、国税局、税務署等に十分指導をいたしておると思います。十分遺漏のないようにやつておると思いますが、なお十分主税当局にも伝えておきます。 それからもう一つは利子補給の措置でございますが、これは当然立法を要する事項でありますし、また一応国庫の負担になりますので、所管は主計局の所管でございますから、これも連絡をとりつつ――これは中小企業ばかりではございません。農山漁村等の問題もございますが、あわせてただいま十分研究中でございます。近く何らかの結論を得ますれば、閣議等に諮り、次の国会にかけるというような段取りに相なろうかと思います。
○永井委員長 御質疑がありますか。――長谷川四郎君。
○長谷川(四)委員 六分五厘で一割ならばもつとよけいふやす、それはどういうのですか。
○記内説明員 今回の措置は国民公庫、中小企業金融公庫が融資するうちから、三億ずつはそれぞれ利子を、本来ならば一割であるところを六分五厘に下げて融資するということに決定いたしております。しかしこのわくが多いとか少いとかいうことでいろいろ議論をやつておりますけれども、とりあえずの分としてそういうことで決定いたしまして、今後においてさらに額の増大をいたしたいというふうに考えております。ただ利子を下げますと財政負担その他がいろいろ問題になつて来ますから、またそれですつたもんだやつて時間が遅れては困る。利子のことはあとにしてさしつかえないからもつと貸してほしいということであれば、このほかに一般の融資分がまだ相当ございますから、その分を融資することもさしつかえない、こういうことでございます。
○長谷川(四)委員 その両公庫の三億ずつですか、それは別のものが政府から投入されたものではなくて、われわれがきめたあの範囲内から三億というものを切つただけにしかすぎないのでしよう。それが一つ。それから大蔵省にお伺いするのは、六分五厘の金利の内訳の手数料は取扱い銀行に幾ら出すか、それをお伺いいたしたい。
○記内説明員 お説の通り今までにきまつた範囲内から出すということでございます。まだ今後において足りなければ、第三・四半期あたりで補正予算というようなことも一般問題として考えたいと思つております。
○加治木説明員 これは、国民金融公庫の方はすでに去年からやつております。たとえば国民金融公庫も普通の貸付はほぼ一割であります。九分六厘、大体一割、それを代理店に扱わせますと、その半分を代理店にやります。そうすると五分代理店に入るわけであります。五分入るからといつて代理店がそういう意欲を生ずるかどうかわかりませんけれども、自分のコストやリスクを大体負担してよかろうというのでやつております。ところが六分五厘にするわけでありますから、五分五分の比率では三分二厘五毛というような手数料になります。そうすると代理店がいやがる――というと語弊かあります。もちろんいやがるべきではありませんが、コスト等の関係がございますので、やはりそこは一割のを扱つたと同じ程度に入るように、たとえば料率を五分五分でなくて、六五%と三五%というような割合に国民公庫はいたしておるのであります。中小公庫の方は、災害の場合に去年は特別そういうような手数料の差は設けてなかつたのでありますが、やはり同様に処置しようということで、これは甲方式、乙方式とありまして、ややこしくなりますが、たとえば現在甲方式では、代理居の扱う手数料は、一割のうちの四割五分、すなわち四分五厘が入るわけでありますが、それを今度は六分五厘で貸付けますものの七割が代理店手数料であります。乙方式はちよつと違いますから、それをついでに申し上げますと、今は乙の場合は三割が代理店手数料でありますが、今度は四割五分ということになつております。これは国民公庫と中小公庫では、それぞれ代理店が返済について責任を持つ金額が違いますので、それでこまかい作業をいたしておりますが、趣旨はそういうことであります。いかなる方式をとつても、普通の貸付をやつているのと同程度の手数料が入るようにということであります。
○長谷川(四)委員 そうするとどうもここのところがおかしいのですが、今まで三割五分のものが、金利を下げた上に四割五分ということになりますと、たいへん大きな差が出て来るのですが、そこの説明をわかりやすく……。
○加治木説明員 その点ですが、今までは一割の金利が通常でありまして、その一割のうち三割、すなわち一割の金利を七、三にわけて、三分を代理店がとつておつたわけであります。それで今度は六分五厘のうち四五%、大体三分ということになるわけであります。
○永井委員長 他に質疑はございませんか。――それではこの案件についてはこの程度で終ります。 次に齋木君。
○齋木委員 繊維局長に一言だけお聞きいたしておきます。先ほど来同僚の加藤委員から二十九条の発動に関してるる陳弁がありましたが、趣旨は私もごもつともだと思つております。私は福井県でありますが、福井県では大体五万二千台ぐらい織機があると思います。二十九条が発動されますと、原糸の割当が織機の比率においてあるという意味から、機屋さんは金を心配してどんどんと古織機の買いあさりをやつておるという現況もあるのであります。そうすると原糸の配給とかなんとかいう問題はどういうような考えでやろうというのでありますか、まずこれをお聞きしたい。 それから古織機の問題につきましては、加藤委員がよく質問されたので私は省略しておきますが、原糸補給の問題と生産過剰であるがゆえに福井の織物業界は二十九条を発動して、アウトサイダーをもこの調整組合に引入れて統制をしなければならぬというような考えで、一部の幹部の者が通産省の繊維局あたりへお百度を踏んでやつと今日までにこぎつけたように私どもは聞いておりますが、福井の十台、二十台の小さな機屋さんは全部反対をやつているのであります。先ほど参考人が申されたごときことが福井県下においても起つております。これは実情であります。それで古織機その他の登録に対する人絹、絹などの原糸の割当、その他生産に対するものをどう処置して行こうというお考えで発動をなさんとするのか、一点お聞きしたいのであります。
○永山説明員 お答えいたします。こうした措置を実行いたします際には、お話のような弊害が出て来ることが往往にしてあるのでありまして、おそらく今回もそうした傾向があると存じます。私どもも一部耳にしなくはないのであります。はなはだ残念なことと感じております。ただ経過的にはどうにもやむを得ぬことでありまして、私どもといたしましては、先ほど加藤委員にお答えを申し上げましたように、運転可能なものであればやむを得ないのでありますが、スクラツプ等で客観的に見ても逆転が不能だというようなものを登録することのないように、この点については厳重に調整組合その他に対して指示をいたして、できるだけ誤りのないように心がけて参りたいと考えております。 お尋ねの原糸の問題でございますが、今われわれといたしましては、原糸についての割当制度なり配給の制度というようなものは全然考えておりません。従つてアウトサイダーでも、むろん従来通り自由に原糸を買い得るということになつておりまして、別に組合に入らないからといつて原糸を得る道をふさがれるというような性質のものではございません。
○永井委員長 本日はこれにて散会いたします。 午後二時三分散会