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19回国会衆議院1954/03/03

通商産業委員会中小企業に関する小委員会 第1号

発言数
26
登壇者
4
会派数
3
開催日
1954/03/03

会議録

永井勝次郎日本社会党(左)

○永井委員長 これより会議を開きます。  この際お諮りいたします。先日の小委員長の協議によりまして、各小委員会とも各党それぞれ一名ずつの幹事を設けることになりました。本小委員会といたしましては、自由党小平久雄君、改進党は柳原三郎君、社会党は中崎敏君に御依頼申し上げたいと存じます。また各小委員会はおのおの定例日をあらかじめ定めることといたし、本小委員会といたしましては、毎週水曜日の午後一時といたしたいと存じます。以上決定するに御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永井勝次郎日本社会党(左)

○永井委員長 それではそのように決定いたします。  本日は中小企業の現況の概略について、政府より説明を聴取いたします。岡田長官。

岡田秀男中小企業庁長官

○岡田(秀)政府委員 二十八年度の日本経済がどういうふうな動き方をしたかということ、それから今度の予算がきまりましてから、それを基礎といたしまして二十九年度においてどういうふうな経済の動き方をして行くか。また政府としてはこの予算並びに金融の操作によりまして、どういうぐあいに来年度経済を動かして行こうとしているかというようなことにつきましては、通産大臣からこの委員会におきまして詳細御説明があつたわけでございます。その中におきまして、これらの来年度における経済の動きの中において、中小企業に対して政府はどういうことをやつて行こうとしているかにつきましても、概略のことが説明されている次第でございます。私といたしましては、中小企業の現況について説明せよということでございますが、今後中小企業が当面して行く最も大きな問題点というところをとらえまして、特に今後中小企業庁として努力を集中して行かねばならぬと考え、またさようにして参りたいと存じている点を申し述べさせていただきたいと存ずるのであります。  まず第一に、大臣から御説明申し上げました現在並びに今後の日本経済の動きの中で、中小企業として最も注意を払わねば相ならぬと思われます点は、まず外貨ポジシヨンが非常に日本に対して都合の悪い状態になりつつある。本年度末におきまして、わが国の外貨の状況が相当減少を来している。そして二十九年度におきましては、外貨の操作がなかなか困難な状況に当面している点を、企業庁といたしましては最も関心を持つてながめているわけでございます。大臣等の御説明にもありますように、外貨がかなりきゆうくつになつたとは申しましても、急激に外貨の割当を引締めることになりますれば、国内の経済界がこれを受入れるだけの準備ができておらない現在におきまして、いたずらに国内物価をあおるような結果に陥るおそれがあるから、さしあたりはあまり急激な引締めをしないようにやつて行つて、予算とか金融の引締めとか各般の措置によりまして、国内の購買力がある程度減少して来るに伴つて、外貨の操作も逐次引締めて行つて、来年度末におきまして相当外貨の赤字の量を減らして行くのだというふうなことでございまして、私どもといたしましてもさような方針のもとに動くわけでございます。しかしながら現在外貨の操作によつて相当の原材料を製造いたしております企業は、外国の当該原材料の価格とは無関係な一つの国内価格を形成いたしておりまして、その差額は国内の方がかなり高い状況に相なつておることは事実であろうと思うのであります。かような高い原材料を原料として製品をつくつておりますものは、主として中小企業の部面ではなかろうかと思います。現に通産省におきまして調査いたした、昭和二十七年の工業統計調査集計結果の概要というものがございます。これは全部にわたつて調査したわけではないと思いますが、昭和二十四年から二十七年までの原材料の相当重要部門について調べたものでありまして、総出荷願のうち原材料の占める割合がどのくらいになつておるか、それから附加価値率がどのくらいになつておるかという調査でございます。これによりますと、二十四年においては原材料の率が六二・四%であつた、それが二十五年には六六・七%になり、二十六年には六九・五%、二十七年には七〇・七%、つまり商品において原材料の価格の占める部面が七割を越えておる。従いまして附加価値率の割合は三割を割つたというような統計が通産省の調査から出ておるのでございます。この状況が、もしこの少くなつた外貨の操作において一層拍車をかけられるようなことに相なりますと、この附加価値を生むべく努力いたし、そうしてこれを国内並びに国外に売りさばく、特に輸出関係におきまして外国の商品としのぎを削つて競争をいたそうといたしております中小企業者といたしましては、致命的な結果に相なろうかと思うのであります。従いまして私どもといたしましては、この外貨の操作にあたりましては、原材料関係における一つの製品——たとえば人絹で申しますならパルプの輸入ということのみならず、場合によつては——これはただちにどうこうというわけではございませんけれども、心構えとしては、いざとなれば人絹糸も入れるのだというくらいの腹づもりをもつて外貨の操作をしていただくことが、中小企業の当面の問題としては非常に重要性を持つたところではなかろうかというように私どもは考えております。この私どもの考えが現在通産省全体に承認をされておる段階までは必ずしも至つておらないかもしれませんけれども、要するに原材料の値段が非常に高くなつて製品の価格の方が安くなるという傾向がさらに一層助長されないような方向へ、この外貨の操作を持つて行つてもらわねばならぬのではなかろうか。現在外貨事情が悪化しておるという状況から、中小企業のあり方として考えられる問題がここに一つあるのではないかと考えるのでございます。  この原料高、製品安の関係におきまして、私どもとしていま一つ注意を払わねばならぬと考えております点は、原材料をつくつております会社が、大体大会社であり、その会社の数が比較的少い。そこで一種の独占的な価格が形成されがちであり、現在においても実際的には独占価格が行われておるのじやないかと思われるような現象を見るのでございます。かような意味合いにおきまして、たとえば、また人絹の例をとりますが、人絹会社は六社である。この会社のつくる人絹糸を用いまして織物を織つておる機屋は何千軒という多数に上つておる。この間におきましてやはり原料高、製品安という傾向が相当強いということも否定できない事実でございます。昨年の暮れ以来繊維局におきましては、この機屋に対する人絹糸の出値を、いわゆる取引所の価格とは別途に、実際上あまり高くならぬように指導するという態度をとつて来ておるのでございますが、かような点につきましても、今後輸出の増進、また中小企業が今後予算の関係あるいは金融引締めの関係から、いろいろと苦しい状態を通つて行くものといたしますならば、なおさら原料の価格が妥当な線に安定するような経済のあり方の方向へ、通産省全体としても進んでいただくようにやつて行かなければならぬのじやないかという点を一つの大きなねらいとして、今後中小企業庁の行政を進めて参りたい、かように考えておるのであります。  それから特にこの予算の面におきまして、昨年は一昨年に比べますれば結果においてかなり膨脹した予算になつた。しかるに来年度の予算におきましては、批評はいろいろあるにいたしましても、二十八年度の予算よりは、少くとも投融資を含めまして、歳出が相当減額になつておるということだけは間違いがない事実でございます。この予算を基礎といたしまして、物価を下げて輸出を増進する態勢へ持つて行くという意味合いから、この推進力として金融の引締めが行われる。特に外貨ポジシヨンと関連してこの金融の引締めをやつて行かなければならぬということに相なつて参りますと、どういたしましても信用力なりいろいろの点で不利な状態にあるところの中小企業者が、金融上大企業に比べて不利な立場になる。そしてその度合いがだんだんと強くなつて来るということは、これまた否定し得ない傾向であろうと思うのでございます。現に昨年の暮れからこの一月、二月におきますところの不渡り手形の発生状況をにらんで見ましても、件数はかなりふえておりますし、前年同期に比べますれば相当な増加の状況でございます。これに反して一件当りの不渡り手形の金額を押えますと、十万円見当でございまして、大数観察といたしましては、不渡り手形の一枚当りの金額は、前年から毎月少くなつて来るような傾向を示しておるのでございます。また最近におきます繊維商社の倒産の傾向がかなり目立つておること等をながめましても、金融の引締めがすでに相当の力を発揮して来ておるということが言えると思うのであります。昨年度におきますところの小売物価並びに卸売物価の傾向を図表にしてながめますと、昨年におきましては卸売物価指数が毎月少しずつ上つて、少くとも三%程度の上昇になつておるのに対しまして、小売物価指数は七%くらいの上昇を来しておる。かような点を比較してみますと、中小企業は、苦しかつた苦しかつたと申しながらも、大まかに観察いたしますれば、昨年においてはともかく中小企業は、一般的につらいながらも、まずまず悪くはなかつたという数字が物価指数の点から出て参りますし、あるいはまた税金の納入の状況におきましても、二十八年は二十七年よりも税金の納付の実績がよくなつておる。あるいは中小企業と大企業との賃金差の推移を押えてみましても、一時格差が非常に開きつつあるような傾向を示しておりましたものが、去年の十月ごろからやや格差が縮まるような状況を示しておるというふうなことがあるのでございまして、昨年はともかくまあまあよかろうという状況でございます。これに対しまして来年度においては予算が圧縮され、一層金融が引締まつて来るんだということになりましても、昨年ないし一昨年、不景気だ、不景気だといいながら何とかやつて行つたという惰性から、必ずしも中小企業者の方におきまして、このデフレに対して順応した経営方針をとるかどうかということについては、かなりの疑問があると考えられるのであります。しかるに中小企業者の方においてさような心構え、店の経営方針が従来通りのような形で行つておりますときに、ほんとうに金融引締めの効果ががつちりと出て参りますれば、中小企業者は、ある時期においてがくつと参るというふうな願わしくない現象を呈するのではなかろうかというふうに考えるのであります。金融引締めに対しましては、要するに国内の経済を健全化し、そうして輸出を増進するんだという大きな目標それ自体の実現ということにつきましては、われわれといたしましても全面的に賛成ではございまするが、その目標を達成する過程において、日本経済の中核体をなしておりまする中小企業者が大きく参るというふうな現象が出ますれば、いわゆる角をためて牛を殺すという現象に相なりますので、金融操作の上におきまして、中小企業者に主として金融をいたしておりますような金融機関の面におきまして、ある程度のクツシヨンと申しますか、潤滑作用をなし得るだけの操作をやる余地を残しておきますことが必要でありますと同時に、中小企業者に対しましてもその企業の内部を健康にする、自分のからだの中に病気があるといたしますれば、これを一日も早く直しましてこの苦しい経済に耐えるだけのからだをつくるという腹づもりができまするように指導して参らねば相なるまい。これはこういう事態になつて非常にまどろつこしいことのようには考えられますけれども、やはりこの合理化というものは、やや経済の状況がよろしいときにおきましては、りくつではわかりましても、から念仏に終るのが常識で世の常であろうと思うのであります。かようにほんとうにデフレの状態になつて来るときになれば、これはほんとうに合理化、健全化ということが行われませんと、たいへんなことであろうと思われますので、この点に対しまして特別の努力を向けて参りたい、かように考えるのでございます。なお中小企業の大部分は真の意味において独立の企業という形態をとつておらぬのでございまして、多かれ少かれいわゆる大企業の下請の関係あるいは問屋と特殊の関係というふうな関係おいて企業を営んでおる。つまりある程度の従属性を持たない中小企業はきわめて少いというても過言ではない状況でございます。しかるにこの従属関係にありまする下請といたしましては、戦前と違いましていわゆる親元になります企業から、金融なりその他の面において応援を得るということが非常に少くなつておりまして、むしろ下請の関係なんかにおきましては、中小企業者が自己のカで金を借りて来たものが、上の親企業に吸い取られて大企業金融になつておるというふうな例さえ相当多い。その傾向が逐次金融引締めとともに増大して来るであろうということが予見されるわけでございます。この下請代金遅払いの問題に関しましては、昨年の夏ごろ中小企業庁と公正取引委員会とで共同いたしまして、親工場につきまして約四十ほどの会社、下請といたしまして六百を具体的に調査いたしまして、そのうちの特に下請関係の支払いを不当に遲延しておると認められるものにつきまして、暮れに公正取引委員会がこれを呼びまして、一々具体的な改善方策を立てさせました。さしあたり年末の対策、さらに引続きまして三月までにこの下請の支払い関係を正常な状態にもどさすための計画というものを具体的に提出させたのでありますが、その後の状況を把握してみますと、この呼んだものにつきましては、着々と具体的に改善の実が上つていることは事実のようでございます。しかし今後におきましては、単に年一回比較的小範囲について調査を行うというだけにとどめますならば、これは不十分であることは申すまでもないのでございます。そこで決算期が三月三十一日でございますので、来るべき四月早々までに、公正取引委員会と私どもの方とで、十分連絡の上におきまして親工場の大体百社程度を選びまして、その一社について平均五社程度の下請工場を選んで、下請関係は中小企業庁の方で主として調査を担当いたし、親の関係については公正取引委員会が調査の衝に当るという分業をいたしまして、その結果をさらに集積いたし、不当なものにつきましては、昨年の暮れに行つたと同様な措置をやつて行くつもりでございます。と同時に公正取引委員会といたしましては、不当な下請代金の支払いとは何ぞやということにつきましての基準を近く明らかにいたしますとともに、特に下請関係のうまく行つておらぬような業種につきましては、特殊指定の当該業種に特に当てはまるような特殊の指定もいたそうというふうなことも今研究中でございます。一方また従来からやつてもらつておりますところの日本銀行を頭といたします金融傑作からするその下請代金の支払いの促進、また政府関係の契約の関係からいたしますところの下請関係への支払い促進というようなものと相まちまして、今後の経済状況に処して、下請が特にいじめられるようなことが予見されるだけに、この方面に対しまして特別の関心を持ち、特別の努力をして参りたいと考えておるわけでございます。私どもといたしましては、観念的に考えますれば、中小企業者は、この金融引締めという態勢から、金融上におきましても非常に困つておるに違いない。現に新聞の上におきまして、どこそこの繊維商社がどうなつたというふうな記事が散見いたすのでございますけれども、この中小企業が金融引締めのあおりを非常に受けておるのだということについてのまとまつた資料を持たないことが一番つらいのでございます。そこで私どもといたしましては、ちようど今適当な時期じやないかと思いまして、この中小企業者の金融の状態を多少組織的に調査をしてみたいと考えておるのでございます。昨年度に引続きまして、私どもの方におきましては、中小企業、特に東京、大阪名古屋の三大都市におきまする中小企業の景気の動向を毎月動態的に調査をいたしておるのでありますが、この調査に附帯いたしまして、当該中小企業者の金繰りの状況をあわせて記載さす。これは比較的限定された範囲でございますが、工業として二百八十、商業として三百八十五の企業を対象としておるものでございます。まあサンプル調査ではございますが、それをひとつやつてみたい。それから昨年もやつたのでございますが、六大都市及び地方の中都市におきます工業五千、商業五千くらいの中小企業につきまして、金繰り状況をもう少し組織的に調査をやつて行こう。また一方におきまして中小企業金融の専門金融機関のところへ中小企業者が金融の引締めを受けましたために、特にかけ込む度合いが多くなつて来るだろう、こう考えられるのでございますが、その意味におきまして、国民金融公庫でありますとか、商工中金、相互銀行、信用金庫等につきまして金を借りに来るところの中小企業者の動向。従来他の銀行へ行つておつたのが、どういうわけでそれらの金融機関にやつて来たかというふうな面からも、中小企業者の金融引締めによる資金難が、どういう状態になつておるかということの調査をいたしてみたい、かように考えておるのでございます。これらの点とあわせまして、先ほど申しましたように、急がばまわれという意味から、根本策といたしましては、企業の内部を健全にするという趣旨から、企業診断でございますとか、あるいは経理の診断等、いわゆる診断行政並びに協同組合によりますところの中小企業者の組織化を通するいわゆる合理化というふうな問題へ特に従来以上の努力を傾注いたしたいと考えておるのでございまして、この組合関係のものといたしまして、予算といたしましても、若干ではございますけれども、昨年の一億八千万円に対しまして、三億円の金が予算上今組まれておるのでございます。これが通過してわれわれに運用が与えられるということになりますれば、これを利用いたしまして、協同組合の健全化ないし組合員の近代化というふうな方向へ持つて行く一つのさそい水というふうな役目をさしてみたいものだ、こう念じておる次第であります。  中小企業の現況についてということでございますが、非常に広範囲にわたりまするので、現在のところ一番中小企業行政として注目して行かなくちやならぬ点につきまして概略のことを申し上げたわけでございます。なおこれに附帯して申し上げたいと存じますのは、かねて委員会において私どもに対して激励と申しますか、早くやれというふうな御督励を受けておりました中小企業安定法に基きますところのマツチ並びにタオル類に対するアウトサイダー命令を出す問題につきましては、来る十一日中小企業安定審議会を招集いたしておるのでございまして、この審議会におきまして、タオル並びにマツチに対するアウトサイダー命令を出すか出さぬかということを諮問いたしたのでありますが、この審議会におきましてやるべしという答申が出まするならば、ただちに業界に対しまして、アウトサイダー命令を出す準備を完了いたしたのでありまして、この際申し上げておきたいと思うのでございます。このアウトサイダー命令を出すことに関連いたしまして、現在の中小企業安定法を具体的に検討をいたしてみますというと、その場合には非常に行政上やりにくい、かように直していただいたならば、こういう場合に非常にやり易いのだがという点を一、二私どもといたしまして感じておるのでございます。これらの点につきましても、当委員会の皆様方の方で、なるほどそうだというふうな御賛同を得まして、この法律の改正をしていただきますならば、今後ひとつアウトサイダー命令を出すというふうなことは必ずしも願わしいことではございませんけれども、この経済情勢に処して、さような必要がだんだん起るのではないかとも考えれるのでございまして、さような場合に処して、この安定法の趣旨をうまく生かして行く上には、非常にわれわれとして幸いではなかろうかと存じておるのでございます。その点につきましてもあわせてお願いを申し上げておきたい存ずるのでございます。  なお申述べ足らぬ点も多々あろうかと存じますが、一応この点で打切らせていただきまして、なお御質問等によりましてお答えさせていただきたいと存じます。

永井勝次郎日本社会党(左)

○永井委員長 この際政府当局の説明が終りましたので、御質疑がありましたらどうぞ……。

首藤新八自由党

○首藤委員 私は与党議員だからあまりかれこれ言いたくないが、今日は小委員会だから若干言わせてもらいたいと思う。今長官から中小企業に対するもろもろの御意見を拝聴いたして、いずれも適切な方針だということは了解いたします。ただしかし、私が一、二申し上げたい思うのは、今年の日本の経済の運命を握つておるものは、実に今の外貨であります。私は運命を握つているなどと大きく言いますが、ほんとうに外貨の操作を誤まるか誤まらぬかによつて、日本の経済、日本の全体の運命を左右するのではないかと思います。それほど私は重大な関心を持つておるのであります。  そこで先般来大蔵省の為替局長、それから通商局長、外務省の経済局長等にも来てもらつて、急速に根本的な対策を講じなければいかぬじやないかということを、私は申入れしてあるわけであります。そこでこの外貨と中小企業の立場、これは今長官が言われた通りでありますが、もつと深刻なものが現在現われつつある。それは外貨の見通しが非常に先細りするという見通しのもとに思惑が殺到しかけて来た。これがわれわれが見たところ一番こわいのであります。そして先般もAAをストツプしてしまつた。これがためにそれまでに為替の許可をとつたところの思惑屋は、一層自分の思うような情勢に来たということから、ことごとくこれを売り渋つておる。かんじんのメーカーは契約はいまだ完了していない。そこですでにAAはストツプした、驚いてメーカーがそれぞれ輸入の契約書をとりに行つたところが、あとの祭りで何もできない。片方の思惑屋は知らぬ顔をしておる。ここに一番大きな問題があるのであります。御承知の通り政府は本年の方針は、低物価政策、物価の引下げだといつているが、しかし現実の姿を見た場合に、物価の引下げではない、非常な物価の値上りの政策をやられなければならぬということに相なつて来るのであります。ここにわれわれが最も深い関心を持つのであります。どうしてもこの点を何らか抜本塞源的な方法によつて、そのようなことのないようにしなければならぬ。そこでこれに対して中小企業庁はどういう考え方を持つておるか。おそらく四—九の為替もだんだん不自由になるであろう。日本の貿易は従来上半期は大体入超にきまつておる。それを下半期においてどこまで取返すかということが、日本の貿易の趨勢なんです。今日の外貨の現在高は、八億六千万ドルくらいになつておるかと思う。その中にはインドネシアあるいは朝鮮、これらに一億三、四千万ドル程度のこげつきができておる。これを引いたら、日本の外貨の状況というものはまことに心細い。七億二、三千万ドルくらいじやないか。そしてこれが六月まで入超になつて来た。そのときに一体どうなるか。そうして現在の制度を続けて行く限りは、いよいよ思惑が増大して来る。そこで通商局の方では、保証金を一割を二割に上げるとか、あるいはまた長期に日銀にこれを預託させるとかいうような方法を講じて、これによつて輸入を食いとめようというようなあさはかな考え方を持つておるが、思惑をするものはどんな無理な方法をしても、一割が二割、三割になれば、ますます喜んで思惑が盛んになつて来る。これは過去久しい間の事実が立証するのであつて、私は断定してもさしつかえない。これがためには思惑はますます熾烈になつて来る。それは条件をむずかしくすればするほど、いよいよ政府は外貨の払底を政府のみずからも自覚して、そしてなるべく輸入を押える方法をやつているんだというような考え方を持つている。そこであらゆる無理をして保証金を積む。ところがいろいろ高い金利もありまするが、これがコストに入つて来て、かえつて原価を非常に高くして行く。こういうあさはかな考え方はやめなければいかぬ。そしてこういう思惑の介在するような方法をかえて行かなければならぬのじやないか。そこでこれは先ほど長官も言われたところですが、一番影響をこうむるのは中小商工業者である。そこで私はどうしてもこの際輸入品に対してはメーカーに割当の原則をきめなければいかぬのじやないか。これはむろんメーカーに割当をしても、しからば昨年の実績を出せということになれば、これはどこまで信憑性のある数字が出るかどうかむずかしい問題ですけれども、私は一応原則は原則としてそういう方向に持つて行つて、そうしてそれに対するところの昨年の輸入量、あるいはそれぞれの輸入者の信憑性のある報告等々を総合して、そうして中小商工業者にも、やはり大企業と同じ価格の原料が確実に手元に届くということを、まず中小企業庁としては原則的に決定することが必要である。そして中小商工業者が原料の獲得に血眼になつて飛び歩くということは、一日も早くやめなければならぬということを、私はこの際やつてもらわなければならぬと思うが、これに対してどういう考え方を持つておるか。  もう一つは、こういう事例があるかどうかはわからぬが、かりに今問題になつておるゴムの例です。これはシンガポールで主として出るのですが、シンガポールの価格とインドネシアの価格は一割違う。インドネシアの方が一割高い。ところがインドネシアには現在でも一億ドルからの貸越しになつておる。向うの方では賠償の担保ぐらいに考えて放任しておるのじやないかと思うが、この外貨の少いとき、さような片為替になるようなことを放任しておけば、日本の外貨はますます払底して来る。しかるにシンガポールが安い関係上、シンガポールに為替が集中するからAAをストツプする。そこで思惑屋はいい気になり、メーカーはあわてるということになつておるから、私は先般も通商局長にこう言つた。この際行政的に抱合せをやりなさい。たとえばシンガポールが、日英会談によつて、一応今年の契約量が申合せになつておるならば、それを基準として、ここで六対四であるとか、あるいは七対三でもいい、そしてシンガポールを許可する場合には必ずインドネシアのものを抱合せすることを行政指導でやつたらどうか。そうすることによつてシンガポールの為替に非常な余裕を生じて来る。同時にインドネシアから高いものが入つても、それが抱合せで全部シンガポール物と同様に入ることになれば、価格は多少高くなるけれども、平均したものが全部の工場に入つて来る。現在の状態で放任しておくと、シンガポールから輸入するコネクシヨンのあるものはいつも安いものが買え、それのないものは非常に高いものを買うということで、工場としても非常に競争するような状態に置かれるから、ここで価格を安定させるという意味からも抱合せ的な輸入をさせる。そうしてインドネシアに対しては、こちらの受取勘定をできるだけ少くするように、なるべく向うからたくさん輸入して、そうして受取勘定を少くして、為替のバランスを調節する。そうして片方のシンガポールの方は余裕を生じておけば、余裕さえあれば思惑は根本的になくなつて来る。少いと思うかと思惑が出るので、何ぼでも許可が出れば思惑はなくなり、すなわちそこで平均になるのじやないか。これは一つのゴムの事例であるけれども、他の方にも必ずこれに相当するものがあるから、こういう方向で行つたらどうかということをはつきり言つておいた。これに対しても企業庁の方では一つの関心を持つて考えてもらわなければいかぬと思う。  もう一つは、AAをストツプしたのでありますが、その後に現にもう契約できてまだLCを出していないのがたくさんある。たとえば二月積み、三月積み、これらが日本政府の自由意思によつてストツプした。ところが契約した向うのセラーとシツパーは、日本に売つたことによつて、向うのエステートあるいはその他の売手から契約をとつて、日本からLCが来ることを前提として契約しておる。そうして月末になれば必ずテンダーがまわつて来る。しかし日本からLCが来ない。そういうことになれば、日本の全般的な信用を非常に失墜するではないか。それでなくても、すでに日本の外貨が少くなつて来た、将来どうなるかという不安がもうすでに全世界で問題となつておるのであります。もう日本の円の価値はレートよりも相当低く価値づけられておる。そういう際に、現実に日本の契約に対してLCはいかぬということになつて来ると、今後の新しい契約に対して非常に不利な条件を押しつけられるおそれがある。これもまた今後の輸入価格に非常な影響を及ぼして来る。従つてAAをストツプするについても、何か自然に、もう少し信用を失墜しないような方法を講じなければならぬのではないか。しかもこれは中小企業に多いのだから、この点もあわせて中小企業庁は考えて行かなければならぬのではないか、こういうふうに考えます。  いずれにしても、外貨の現状はほんとうに考えれば考えるほど重大問題であつて、これはもう自他ともに真剣に検討しなければならぬ、そうして根本的な対策を講じなければならぬ。これがためにはあらゆる輸入品を通じて、ぜいたく品はむろんこの際価格は暴騰しても打切る必要があると思うが、その他のものは、一応メーカーを基礎とした割当を考えるべきではないかということを私は考えておる。  それから金融公庫の問題ですが、最近私たちの関知した範囲内においては、融資は非常に順調に行つておると私は申し上げていいと思う。割合うまくやつているなというような感じがしておるのでありますから、この点はいいのですが、ただ運転資金に対して依然として貸し渋るような態度をとつておるらしい。今朝も実は神戸から電話がかかつて来て、先般来神戸の銀行あるいは信用金庫に対し申込んだのであるが、大阪にこの金庫の出張所か何かができておつて、そこに持つて行くと、運転資金なるがゆえにということで全部これは拒否されたということをけさ電話で私は聞いたのでありますが、これはすでに昨年これを始める場合に、一応議論は出尽しておる。百万円でも現在の物価に比較しますればきわめて少額であつて、あまりにも少な過ぎるという感じがしておるのですが、資金の関係上一度にふやすことも困難だという実情もあるから、一応百万円ということで了承しておるのでありますが、この百万円をなおかつ貸し渋るということであるならば、これはまた相当考えなければならぬ。特に私は当時も申し上げておきましたが、現在中小商工業者の悩みは設備資金よりも運転資金で、設備はどの産業を通じても過剰であるのであります。ないのは運転資金。そこで運転資金を潤沢にしてやることが、設備の方に融資するよりもはるかに効果的だ。そうしてそれが低物価政策にマツチして来るのだ。高利から離脱して、低利の政府資金を融資することは、低物価政策に最も効率的にマツチするのだという確信を私は持つております関係上、この点は特にもう一度金融公庫の方にも厳重に通達をしてもらいたい、こう思います。  それから金利でありますが、この物価を引下げる政策は何人も異論のないところである。むろんわれわれもこれに無条件に賛意を表するが、しからば具体的にどうして物価を下げるか、今の外貨の事情はむしろこれに逆行するような状態にある。その他においてどうして物価を下げるか、これは労働基準法を根本的に改正することが非常に必要であるが、しかし今の場合これもなかなか困難だ、そこでその他において許されることは。要するに現在の状態においていかにして能率を上げるか、そして金利を下げるかということであります。今日の企業体における金利の負担というものはあまりにも大き過ぎる。この金利に対しては、早急に企業庁の方でももう少し真剣に取組んで、せめて中小企業金融公庫あるいは商工中金、これらの金利は思い切つて下げるような方策に努力すべきじやないか。これを現在のような一割あるいは一割以上の金利に放任するということは、中小企業を育成強化するという政府の方針から考えても大きな矛盾がある。また実際問題として中小企業者の原価を非常に高くしている一番大きな原因は金利だから、特に私は急速にこの金利を引下げてもらいたいと思う。現在問題になつておる船の方の問題のように、三分五厘なんか考えることは無理であるが、七分ないし七分五厘に下げる余地はある、また下げなければならぬ問題であると考えておるのであります。そういう点をこの際はつきり、しかも急速に確立するということに、御精進をしてもらいたい、かように考えます。先ほど言われた安定法の不備によつて、これは実施に支障があるというようならば、私たちはいつでもこれを修正して、そしてこの安定法が必要なものは、従来のような難渋をきわめることなく、すみやかに実施されるようにするし、またこの修正案を出されるならば、おそらくこの通産委員会は、無条件にこれに賛意を表するであろうと私は考えます。  もう一つは下請の問題ですが、今長官の言われることを聞けば、これが非常によくなつたということであるが、しかしこれは公取が警告を発した会社のみがよくなつたのであつて、全般的にはかえつてますます悪くなつている。私の知つているある大会社のごときは、品物を入れても手形を書くのが三箇月目、そして三箇月目に書いた手形が五箇月の手形であつて、ちようど八箇月である。かような状態に置きますと、中小商工業者は銀行に持つて行つても手形は割つてもらえないから、他の高利のところに持つて行つて、そうしてその手形を割る。従つて品物を入れてかえつて損をするけれども、これをやらなければ、自分の方の支払手形が出ているから、それの方が不渡りになるという悩みから、やはり損失を覚悟の上で商売だけは続けて行くというような、非常な気の毒な立場にありますので、これは急速に全般的に調査して、何か別個の警告を発するとか、しかるべき処置をとるべきじやないかと思いますが、この点についても企業庁の方は、ひとつ格別の関心を持つて善処していただきたいということを申し上げておきます。  まだいろいろありますけれども、他の同僚委員からも御意見があると思いますから、一応この程度で私は御遠慮いたしますが、繰返して申し上げますけれども、外貨に対するところの対策を誤りないようにそれから金利をできるだけすみやかに引下げるようにという、この二点だけは、特に関心を持つていただきたいということをお願いして、私の質問を一応終りたいと思います。

岡田秀男中小企業庁長官

○岡田(秀)政府委員 ただいま首藤委員から非常に示唆に富みましたお話を拝聴いたしまして、非常に敬意を表する次第でございます。外貨の問題に関しましては、先ほど私が申し上げましたように、私どもといたしましても多大の関心を持つているのでございます。従来の中小企業庁の動き方というものを、全般にわたつて私ども最近反省をいたしておるのでありますが、どうも中小企業というものが、日本経済全体の中に溶け込んでいるのだということの認識があまり十分でなくて、中小企業というものは、何か離れ小島に別途存在しておりまして、これに若干の補助金をやるとか、あるいは組織をつくれとかいうふうなことでやつておれば、中小企業は何となくよくなつて行くのだというような考え方が、かなり中小企業庁の動きの中に強かつたのじやないか。これではいけないので、やはり中小企業というものは、日本の経済全体の中に溶け込んでいるのでありますから、日本経済全体をどう動かすかという方向それ自体について、中小企業庁というものが相当の発言権を持ち、また政策決定にあたつて、中小企業のためになるようなことを織り込ますような努力、これをやらないといかぬということは当然のことでありますが、最近特に強く私どもはそれを自覚しているのでございます。さような見地から、通産省あるいは大蔵省、特にこの同省の行政なんかを見てみますと、私どもとして今後さような意味合いにおいて努力いたすべき余地が、きわめて多いということを痛感いたしているのでございます。一つ一つの事柄につきまして、いやしくも文句を言う以上は、数字に基礎を置いた、はつきりした理論を構成いたしました上で、これらのところへぶつかつて行きまして、先ほど申しましたような意味合いにおける中小企業者のための政策がこの国全体の政策の中に入り込んで行き得るような態勢をつくろうと、日夜懸命の努力をいたしておるのでございます。さような意味におきまして、私どもは外貨の割当のやり方というものが、最近といたしましては最も大きな問題である、中小企業庁として発言をいたすべき最大の問題の一つであろうと考えておるわけでございます。ただいまいろいろ外貨の問題につきまして、具体的なお話があつたのでございますが、さような点も十分私どもの方で頭に入れまして、今後のむずかしい外貨の操作に際して、中小企業者が置き忘れられることのないように、最善の努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。  中小企業金融公庫の点につきましては、実は予算分科会におきましても、中小企業金融公庫なんかはなつてないというような、どちらかといいますと悪い批評ばかり聞いております中に、ただいまおほめをいただきましたのは、われわれといたしまして非常にうれしい感じをいたしたのであります。なおこの趣旨によりまして、中小企業金融公庫がこのむずかしい経済界に処して、なお一層中小企業者のために裨益いたしますような方向に、一層精進をいたしたいと考えるのでございます。運転資金の貸出しの問題等につきましても、もとよりお話のような趣旨は私どもも全然同感でございます。運転資金の円滑なる貸出しが軌道に乗りますように、努力をいたして参りたいと存ずるのでございます。  利息の点につきましては、確かに金利の下りますことは中小企業者にとつて非常に願わしいことであり、またそれがコストの引下げに重大な影響を持つておるという点につきましては、同感でございます。ただ私どもといたしまして、ここで利息の問題について大きく考えてみなければならぬ点が一つありはしないかという点を考えております。外貨が減る、金融を引締めるというねらいの大きな一つは、やはり国内購買力の圧縮という点にあろうかと思うのでございます。これは日本とやや情勢が違うのでありますが、かつてイギリスが外貨ポジシヨンが非常に悪くなりまして、六億ポンドぐらいでございましたかの輸入の切捨てをやりましたとき、イギリスは国営貿易のような状態であつたと思いますし、食糧につきましても、主要なものについては統制をいたしておつたのでございます。この点は日本と比べて非常に条件が違つたとは思うのでございますが、さようないい条件を持ちながらも、二%程度の金利を四%半まで引上げるという操作をとつておるのでございます。諸外国の金利政策を輸入の関係と結びつけて検討を加えて参りますと、輸入に対してある程度の圧迫を加えようといたします場合には、必ず金利の引上げということをやつておるのが、諸外国の通例なのであります。但し日本と諸外国と比べてみますれば、日本があまりにも諸外国と比べて高金利である、この事実は否定することができないのでございます。この現在高金利であるという事実と、もう一つ、購買力に対してある手を打たねばならないということについての一つの要請と、どういうふうにからみ合せて調整して行くかというところが、実は問題じやなかろうかと考えておるのでございます。寄り寄り銀行局方面とも、この問題のみなならず、全般的の問題で議論をいたし、検討をいたしておるのでございまするが金利の引下げという点につきまして、中、小企業だけを引下げるということはもとより困難であろうと思うのでございます。公庫金利一割にいたしましても、開発銀行基準金利と同一水準に現在あるわけであります。これらの関係もございますし、実は金利の問題につきましては、引下げるように至急に手を打てというお話でございまするが、目下私どもの方といたしましては、いろいろな点から研究いたしておるのでございます。急速に措置するという点につきましては、いささか踏切りがつきかねるような気持でおりますることを申し上げておきたいと思うのでございます。下請の代金の点につきましては、私どもといたしましても、先般の公正取引委員会と中小企業庁との間におきまして操作いたしましたことをもつて、能事終れりと考えておるわけではございませんので、先ほども申しましたように、さらに広汎な調査をいたしたい、その調査に基きまして、さらに下請関係を正常な姿に持つて行く努力を続けたい、かように考えておるのでございまして、今のお話のような、非常に不当な状態を構成しておりまする工場につきましては、私どもの方に会社の名前なり何なりお教えくださいますれば、私ども調査の中に織り込みまして、しかるべく処置いたして参りたい、かように考えておるのでございます。  なお昨年の暮れに呼びましたのは少数でございましたけれども、呼ばれなかつた会社で、同類の会社が呼ばれて自分は呼ばれておらない場合に、公取にみずから出て参りまして、私のところは下請の関係を最近かように努力して改善しておるのですが、私もやはり呼ばれるのでございましようかというふうに、その関係のある同類の業界の会社では、自分から出て来たような点もあるのでございます。かような調査と公取が呼んで調べるということを、組織的に上手にやりますれば、かなり下請の改善に役立つものであろうと考えております。なおこの問題につきましては、最善の努力をいたすことはもとよりでございます。

首藤新八自由党

○首藤委員 もう一つ申し上げておきたいのは、今の金利の問題ですが、長官は、今急速には各般の事情を考えて困難じやないかというような御意見であつた。但し英米の金利から日本のこれを比較した場合、日本はあまりにも高過ぎる。特に御承知の通り今の物価はおよそ三百倍であります。結局三百倍の金利を銀行がとつておるということになるのだが、この金利をとらなければならぬ銀行のコストを、政府の方で厳格に調査したことがあるかどうか。私はこの点に疑いを持つ。何となれば三百倍の物価に相当する金額に対して、戦前と同じ二銭八厘とかの金利をとつておる。これは戦前に直せば二銭八厘は七円何ぼという金利になるわけです。銀行のコストがそれほど上つておるかどうか。御承知の通り戦前は兌換券が十円札であつた。百円札はきわめて珍しいものであつた。今日はそれが千円札になつておる。ちようど百倍の兌換券になつておる。しかし労銀は必ずしもさようには上つていないはずなのです。しかもそれほど人はふえていない。それやこれや考えてみて、今の二銭八厘そのものが、私は非常に暴利になつておると思う。最近新しい建築あるいは新しい支店、これが戦後至るところに目につくのは実に銀行、金融機関であります。あらゆる産業は朝鮮ブームを最後として非常な不況に襲われておる。ひとり銀行のみがわが世の春をうたつて殷賑産業的な活躍をしておる。これは私は暴利だと考える。従つてこの点からもここに厳格なメスを入れて、ほんとうにコストが何ぼかかるかという点に調査の手を伸ばして調べたならば、ここに大幅な金利を引下げる余地が必ずあると思う。私が昨年組合銀行の融資の総額を調べたときに、二兆六千何百億の融資があつたが、そのうち五千何百億の当座預金は無利子であります。そして一番高いのは、定期預金の一年ものが六分、半年ものが五分。そして通知預金その他は二分か三分、無記名も二分かそこらで、その当座預金の無利子と支払い金利を平均すると三分以下になつておる。そして貸すのは大体一割前後だ。これが暴利でなくて何ぞやと私は言いたくなる。これらの点を調査したならばそこに大幅な金利引下げの余地が残されておる。この点に対しても、ほかの関係よりも中小企業庁がもつと関心を持たなければならぬ問題だ。政府の特別の融資を受けておる大企業に比較してそれほどの援助を受けていない中小企業が高い金利を払う、これでは中小企業が繁栄しようとしても絶対繁栄するものではない。そういう点に思い切つた施策をしなければならぬ。中小企業庁が行政機構改革によつて廃止になるかならぬか、われわれあらゆる努力を払つてこれを存置する必要があることは御承知の通り。重要な使命を考えた場合、どうしても中小企業庁に強くなつてもらわなければならぬという考え方によつて、われわれはこれを支持して来ておるのでありますから、長官はこういう点もよく自覚して、そしてこういう点に対しては勇気を出してやつてもらわなければならぬと考えておるのであります。  それから金融公庫の成績のいいことは先ほど申したが、これは開業早々としてはいいと私は申し上げたので、そう成績がいいとは申し上げられない。開業早々としては比較的いい。同時に銀行によつては依然としてこれをやつていない銀行が相当多い。一例をあげれば第一銀行、それから東京銀行、これはきわめて冷淡です。金融公庫が各銀行に割当てた資金がその期末になつてどういう状態になつておるかということをあなた方が調べたら、おそらくそこに一目瞭然として結果がはつきり出て来ると思う。これらの銀行に対してももう少し積極的に融資のあつせんをするよう、企業庁の方から警告すべきじやないかと私は思う。まだほかにもあると思うのですが、私の知つておる限りの第一銀行なり東京銀行はきわめて冷淡です。私の関係者がいろいろ取引があるからということで紹介してやる。ところが帰つた返事を聞くと、こういうことをやつたことがない、またそういう処理も知らぬというような、まつたくわれわれとしては意外な返答を聞いておるのです。こういう銀行は多分割当てられたものが残つておると思う。片一方は足りない、片一方は余つておる、このアンバランスをできるだけすみやかに調整して、そして熱意のないものは今後の割当をしない。そして熱意のあるものには追加してふやしてやるということを推進してもらいたい、この際このことをあえて私は申し上げておきます。

岡田秀男中小企業庁長官

○岡田(秀)政府委員 金利の問題につきまして、銀行が暴利をとつておるというお話でございます。ともかくも銀行がかなり一般産業と比べまして調子がよさそうだということは、これは私どもも否定するわけではございませんけれども、一方において昭和九、十年ごろの預金の残高が、全国銀行で百十億見当あつた。これを現在の物価指数で直してみますと、約半分くらいになるのでございます。またこれを倍数から見ますれば、今かりに二兆五千億といたしますと二百四、五十倍ということになろうと思います。そうすると、物価が、今統計によつていろいろあろうかと思いますが、卸売物価指数で行きますと、三百五、六十倍かと思うのであります。さようなわけで、預金が非常に少い。従つて貸す金が、日本銀行から借りる関係もございますけれども、戦前と比べれば日本における資金そのものが非常に少いというふうな点がまた金利の関係にも影響しておるのじやないかと思われるのであります。いずれにしましても私は金利を下げることに反対だと申すのではございませんが、今の日本の外貨の状態、そして今後金融を引締めて行き、逆に貯蓄を大いにさして、日本の経済を安定した姿にして、物価を下げ、輸出をふやして行こうといういろいろの施策が並行して行われております場合に、金利を下げるということがただちにやつてしかるべきことかどうかということについて、私としてまた踏み切りにくい点があるということを申し上げたのでありまして、適当なる時期においてこの金利をしかるべき姿に安定さして行くということは、物価との関係もございましようし、要するに日本がほんとうに安定した姿になつて来れば、国際的な金利水準まで日本の金利水準が下つて行くということは、望ましいことに違いないのでございます。さようなことを考えながら、いろいろの点を合わせてみますと、今ただちにこれをやるべきかどうかということについて踏切りがつかぬ、こういうことを申し上げたのであります。  中小企業金融公庫の代理店の中に、特に銀行についてこの公庫から与えましたわくの活用が活発なところと、きわめて不活発なところがあるという御指摘でございます。この点は公庫といたしましては、毎日の日報におきまして各代理店のわくの現在高を調べておるのでございます。確かに代理店によりまして、わくの状況が千差万別でございます。公庫といたしましてはこの年度末までの間に、あるところはわくが切れてしまつておる、あるところは非常に余つておるという状態で年度を越すことはおもしろくないという考えで、わくの全体の情勢を把握しながら適当な時期におきましてわくのプールを行おうという準備もいたしておるのでございます。なお来期、つまり四月から六月の割当の場合におきましては、わくを残した分はわくを割当てる分から差引くというような操作も逐次もうこの第四・四半期からやつておりますので、期が重なるに従いまして、すでにわくを残します代理店のわくは非常な減少が目立つて来るという仕組みをとつておりますから、その辺の調節がいましばらくの時間をかしていただきますれば、あるおちつくべきところへおちついて来るであろう、こう見ておるのでございます。

永井勝次郎日本社会党(左)

○永井委員長 次に柳原君。

柳原三郎改進党

○柳原委員 中小企業につきましていろいろ御説明がありました。その中で二、三質問をしたいと思います。私は形容詞を抜いて質問をいたしますので、あなたの方も率直に簡単にお答え願えればけつこうであります。  説明の中で、人絹会社の問題に触れて為替に関連して御説明がありましたが、私は非常に重大な点に触れられたと思います。しかしその表現がきわめて微妙でありまして、もう少し聞きたいと思うのでありますが、あなたの説明によりますと、要するに人絹会社はたいへんもうけておる、中小企業の織物屋に出す糸の値段について将来指定がしたいというような御意見でありましたが、もう少しその辺について率直なあなたの意見を承りたいと思います。

岡田秀男中小企業庁長官

○岡田(秀)政府委員 人絹糸のことについて述べましたのは、昨年の暮れ以来繊維局が人絹糸のだんだん高くなつて行くという情勢をながめまして、かつはまた中小企業安定法によりますアウト・サイダー命令を人絹織物についても出すか出さぬかという問題が眼前に迫つて参りました際に、ともかく中小企業の人絹織物業界に対して安定感を与えるのは、必ずしも安定法によるばかりが能じやない。人絹糸の値段を妥当なる線に落ちつかせることが機屋のために一番必要であるという見地から、一種の行政指導と申しますか、人絹会社に対しまして、機屋に対する出し値を、かりに相場が上つても上げぬようにしてくれという指導をいたしまして、その後ある線で落ちついているはずだ。このようなことを——もう少し今おちついている値段がすでに妥当であるかどうか調査もいたさなければなりますまいが、要は為替の関係から人絹糸が国内へ絶対入つて来ないという状態のもとにおいてあまりに人絹会社が自分の方に有利なことばかり考えるということになれば、中小の機屋はいかに努力してもしようがないんだから、この糸の値段を妥当な線におちつかせるという政策がもう少し強く出て来ることが必要じやなかろうかということを申し上げたのであります。その意味におきまして、私どもといたしましては繊維局といろいろ相談しておりますが、繊維局におきましては機屋さんの協同組合をつくつて人絹糸の共同購入をやる場合に仲介の労をとり、妥当と思われる値段で、協同組合の共同購入の人絹糸の値段をあつせんしてみたいということもいたしているのでありまして、公定価格をつくるとかいう意味合いじやございませんけれども、要するに人絹会社もあまり自分だけ得するという政策はやらぬような指導を、われわれとしても繊維局と共同でやらすように持つて行きたい。こういう意味で申したわけであります。

柳原三郎改進党

○柳原委員 御意見はわかりましたが、私はなかなか困難だと思うのです。私はこの前の委員会におきましても、愛知大臣に差益金制度を設けるかと、砂糖の問題に触れてこれに関連した意見を述べたのでありますが、今行政指導でやると言われましても、私はなかなか困難だと思うのです。それには抜本的な方法をやらなければいかぬ。人絹だけではない問題だ。砂糖でも原毛でも同じ問題で、これは相当大きな問題になつて来ると思いますので、よく御検討を願いたい。  それはそれとしまして、今首藤さんも触れられました問題でありますが、最初に金利の問題について少し承りたい。直接あなたの方に関係がないから今あなたは御存じないかもわかりませんし、私も今資料をここに持つておりませんので正確なことは申し上げられませんが、輪郭は合つていると思います。去年の三月ごろ大蔵省の銀行局長の通牒で、手形が一件百万円以上のものについては両建の分について二厘の差を設けよ、こういうことが出ているのです。そこで百万円と切られたところに、要するに百万円以下の手形なら金利は幾らでもよろしいということになるわけです。今首藤さんが言われましたように、二銭八厘の最高をとられている。しかし百万円以下の場合は幾らでもいいということなら、二厘の差をつけなければならぬと銀行局長の通牒は出ているが、これは有名無実になつていると思います。それについて何かあなたの方は御研究されたことがあるかどうか、承りたい。

岡田秀男中小企業庁長官

○岡田(秀)政府委員 今の手形に関しまして通牒が具体的に出ているかどうか、これは不勉強でございましてよく存じませんけれども、昨年金利調整法という法律におきましては、百万円未満について金利は一応自由にしてあるのであります。この趣旨は、表向きから開き直つて考えますれば、一件百万円以下の貸出しについては金利は何ぼとつてもいいということになるわけでありますが、実際上は何ぼとつてもいいといつても、むやみにはとつておりません。これに対して中小企業庁としてはどう考えるかということになるわけでございますが、確かに百万円以下について金利をしばることがないために、若干の金利高になつていることは否定できないと存じます。一方におきましては、銀行もともかくよきにあれあしきにあれ、営利機関であるといたしますならば、非常にこまかい貸出しにつきましては、非常に手数もかかる。同じ千万円貸すのを一ぺんに貸すか、それを百口にわけて貸すかということになれば、一口一千万円で貸す方が有利なことは論をまたないわけでございます。そこで私どもとして分岐点になりますのは、金利をあくまで金額いかんにかかわらず同一でやれというところにウエイトを置くか、若干はその辺に金利上の差はあるけれども、貸出しがふえるという方向へ行くならばそこはしんぼうしてもいいじやないかというふうに考えるかという、二つの分岐点に立つんじやないかと思うのであります。現実の問題といたしましては、金利調整法において百万円以下のものについて金利を一応フリーにしました後における中小企業への貸出しは、どちらかといえば法律改正前と比較して伸びかげんに相なつているのであります。そして金利を自由にしたからというて非常に高くなつたかというと、それほどではない、こういたしますれば、金融機関によりましては、相当金利の高いものがあるし、やみへ行けばめちやくちやである。いろいろな点から考えてみますれば、ごく少々の金利の問題であるならば、貸出しが中小企業の方へ伸びるという方向へむしろウエイトを置いて考えて、その辺は目をつぶつておく方が中小企業としては有利じやないかというふうに現在のところ私どもは判定いたしまして、一応あれをながめているという状態でございます。

柳原三郎改進党

○柳原委員 百万円以下でも二銭八厘くらいに押えてもらうように努力が願いたいということを要望するわけなんです。私の質問が簡単過ぎてちよつとお答えが足りなかつたと思うのですが、もう一ぺん言います。百万円の手形を取つたり割つたりする人たちは、あながち大企業と言えないと思います。たとえば百五十万円の手形をなぶるのは、私は今の中小企業の定義からいつて当然起ると思います。たとえば例を百五十万円にとります。百五十万円の手形の場合には、二銭八厘を越えてはならない、こういうことになつております。そのときに必ず銀行は三分の一程度見返り預金をとります。その見返り預金の額の分については二厘の差をつけなければならないとなつているが、実際に行われているかどうかということを聞いているわけであります。

岡田秀男中小企業庁長官

○岡田(秀)政府委員 その点につきましては、冒頭に申し上げましたように、実はその通牒については私ども不勉強で申訳ないのでありますけれども、まだよく知らないということを申し上げたのでございます。その銀行局長の通牒につきましては、さつそく調べてみます。ただ金利調整法におきまして、多少性質は違いますけれども、やや似たことが行われている。そのやや似たことが行われていることについての私どもの態度はこうであるということを申し上げたわけでございます。金利調整法で百万円以下の貸出しについて一応縛らぬということになつておりますけれども、実際の金利は二銭八厘くらいにおちついているんじやないかと思つておりますので、まあまあこの程度ならば貸出しが伸びる方に重点を置いて考えた方がいいのではないかというので、この金利調整法に対しましては、さような心組みでこれを見ている、こういうことを申し上げたのであります。前段の手形の関係につきましては、調べました上でお答えを申し上げます。

柳原三郎改進党

○柳原委員 あまりくどいのでやめます。今二銭八厘、二銭八厘と言われますけれども、両建になつて参りますから、当然四銭を越えて来るわけです。一般中小企業は、交際費を使いますと、大体五銭くらいの金を使つている。それは今後御研究をしておいていただきたいと思います。  その次に、親会社と下請との関係について承りたいのですが、近く百社程度のものをあなたの方と公正取引委員会で呼び出されていろいろ調査される、こういうお話がありましたが、これはやはりかなり悪評のあると申しますか、支払い条件とかで小会社を虐待する立場と思われる百社を選ばれるのですか、一般抜取りでやられるのですか、それをちよつと伺いたいと思います。

岡田秀男中小企業庁長官

○岡田(秀)政府委員 百社と申しましたのは、大体今の腹組みを申したのでありますが、これは百社をそれぞれ呼び出すわけじやございませんで、最初は資料を集めるわけでございます。資料を集めた上で悪いものを呼び出すという関係になるわけであります。百社を選び出す標準につきましては、目下公正取引委員会と打合せ中でございますが、大体の考え方といたしましては、下請関係が非常に発達していると申しますか、非常に盛んに下請を利用しておる業態につきまして、首藤委員から御指摘がありましたように、かりに私どもの方に耳に入つている点がありますれば、もとより対象を選ぶときの重要な資料にいたしますし、そうでない場合におきましては下請関係の非常に多い会社、それからまた下請関係について悪いといううわさがある会社、さようなものに重点を置きまして、百社程度まずさしあたりやろう。そしてまた一応それが進行して行きますれば、さらに次の会社を取上げて調べて行くというふうにいたしたいと思つております。

柳原三郎改進党

○柳原委員 先だつては五社を調べられて、その経過良好というお話を今承りましたが、これから百社程度をいろいろまないたの上に乗せて調査を始められる、これはけつこうなことでありますが、今の親会社と小会社の関係、売手と買手の関係からいつて、下請業者の方が、私の邪推かもわかりませんが、報告にあたつて親会社に不当に遠慮したものをつくりやせぬかと心配するわけですが、その点について長官はどういうふうに考えておられるか、考え方だけでけつこうですから伺いたいと思います。

岡田秀男中小企業庁長官

○岡田(秀)政府委員 その点は下請関係を調査いたします場合に最も警戒を要する点でございます。昨年私どもと公正取引委員会とでやりました調査の場合におきましても、それを非常に心配したのでございますが、私どもとしましては直接特定の人のところへ出向きまして、資料をとるというふうなところまでやりまして、最後に公取が去年の暮れに呼びましたのが十社でございますが、この十社を公取がいろいろ調査いたしましたときには、その親の十社はびつくりしたのでございます。あまりにもこちらが具体的な、詳細な材料を持つておりますために、向うとしては言いのがれも何もできませんで、ただちに改善計画を持つて来るという段階にまで来たのでございます。この調査をやります場合には、その辺が最もくふうをこらして調べなければならぬ、一番むずかしい点でありますから、これは十分注意してやりたいと思います。

柳原三郎改進党

○柳原委員 次に、先ほど附加価値の問題についてお話がありましたので、私の思いつきでございますが、一つあなたの御意見を聞きたいと思います。かつては附加価値が、昭和二十七年度と言われましたか、販売価格の原材料の占めるパーセンテージは七〇%程度であつて、附加価値は三〇%を割るような情勢である、こういう御説明があつたと思います。三〇%を割つたが、今年度、昭和二十九年度あたりに至つては、ますますこの三〇%が上昇して行く傾向にある。これを過去一、二年、どうして中小企業が、附加価値が順次下つて来たのにもかかわらず、今日まで、先ほどいろいろ計数的に言われたのですが、納税の点について良好な点とか、あるいは大工場との賃金差が少くなつたとか、小売物価は七%利益が上昇しているとか、こういう御説明で、かなり中小企業は悪い悪いと言いながら、どうにか暮して来た、こういうことがありますが、いよいよ附加価値がこれから減つて参りますと、中小企業が危機に追い込まれて行く、その危機を乗り切るには一体どういう方法があるかと申しますと、工場でいいますならば生産の合理化その他が行われるのでありますが、さて生産の合理化といいましても、なかなか銀行は金を貸してくれない。一番安易な方法は、この附加価値のだんだん下つて行くのをカバーするには、オーバー・プロダクシヨンとなつて来るよりしようがない。特殊な業態は別でありますが、中小企業一般は、実際の国内需要と輸出と考え合せましても、うんと余分につくる、昭和二十九年度は私は特にはなはだしくなつて来ると思います。そういうオーバープロダクシヨンに、付加価値が減ることによつて、オーバープロダクシヨンがだんだんふえ、悪化して行く、こういう一連の関連性のものだと私は思います。そういうことについて、タオル、マツチと同じような運命のものがどんどんできて来るような気がしてしようがないのですが、その辺についてはあなたの方はどんな御見解か、伺つておきたいのです。

岡田秀男中小企業庁長官

○岡田(秀)政府委員 先ほど申し上げましたのはお話の通りでございまして、原価構成上に占める原材料の割合が二十四年以来逐次上昇いたしまして、二十七年においては七割を越えている、附加価値の占める割合が三割を割るような状態になつたということを申し上げたのであります。これに対する方策としては、オーバ・ープロダクシヨン、つまり生産をふやすよりしようがないという御指摘でありますが、確かにそれも現われて来る一つの結果であろうと思いますが、私の申し上げたのは、原材料を占める割合がどんどんふえて来る情勢を何とかしてとどめるという施策が一方において行われなくちやなるまい、それから一方においてはこの原材料が高くなればなるほど中小企業といたしまして、原材料をどの程度に買えばよいか、あるいは損益の分岐点がどのくらいになつているから、どういうような操業をやればいいのか、あるいは不良率がどの程度に出てるからこれをどうするか、あるいは検査をどこの段階でやるか、私どもは企業診断をすでに三年余りやつておりますが、その企業診断で現われて来ましたところの結果を総合分析してみますと、金をほとんどかけないで非常に効果の上り得るような、目に見えない欠陥が中小企業に非常に多いのでありまして、こういう点を先ほどのお話のときにも申し上げたのであります。中小企業がその中を、自分のからだを健康体にして行くことによつて、ある程度荒波を越えるだけの力が出て来るのじやないかというようなことを申し上げたのは、さような点を含みといたしまして申し上げたのでありまして、今のオーバー・プロダクシヨンになるということは、確かに一つの大きな傾向であろうとは思いますが、別途いろいろやらねばならぬこともあるということを申し上げたのであります。従つて中小企業安定法の関係、つまりアウトサイダー命令を出さねばならぬというような状態が、願わしいことではないけれども、多くなるかもしれない。従つてこれに対処して運用の妙を得るためには、今度いよいよ運用してみるという場合に当つて、いろいろ困難な面にぶつかつた経験からかんがみまして、この法律の若干の改正をしていただくことが願わしいのじやなかろうかというようなことを申し上げましたのも、御指摘のような懸念もございますので申し上げたようなつもりでございます。まあ私どもといたしましてはアウトサイダー命令というふうなことは、なるべくならばやらないで済むように持つて行くことができますれば、一番望ましいのでございますけれども、そう簡単にぐあいよくもならぬでありましようから、ああいうふうな命令を出すというようなことも避けがたい状態があるいは出て来るのではないかというふうなことを懸念してのお話でございます。

柳原三郎改進党

○柳原委員 これから原材料をいかにして七十%に押えて行くかということも、お話は簡単なようですが、実際問題としては大企業の方でありましてもむずかしい問題が起つて来るであろうと思いますが、この点は後日に譲ります。  最後に一点だけ承つておきたいのは、中小企業金融公庫の、昨年の予算編成のときにいろいろ審議いたしましたが、この点は審議してなかつたという点を今記憶をたどつておるのでありますが、あの中にひもつきの融資があつたはずでございます。すなわち百二、三十億の中にひもつきの融資があつた。その融資は順次返済されて来ると、それは一般にまわつてしまうのかどうかということがきめてなかつたような気がいたしますが、その点はいかがですか。

岡田秀男中小企業庁長官

○岡田(秀)政府委員 ひもつき融資と申しますと、具体的に申しますれば、自転車関係の四億の問題だろうと思うのでございますが……。

柳原三郎改進党

○柳原委員 ほかには。

岡田秀男中小企業庁長官

○岡田(秀)政府委員 ほかには災害関係の融資がございますけれども、これは非常事態で災害地域に出したのでございまして、これが返つて来れば、これはもう災害がない限り一般的にまわすわけでございますから、ひもつきと言わぬでもいいのではないかと思います。ひもつきといえば具体的には自転車関係のことだろうと思います。これは昨年の当委員会で首藤委員がお尋ねになりまして、実はいろいろと苦労いたした点でございますが、とにかくあれは、自転車から金を国庫に取上げまして、その一部を自転車の業界へ返す、あるいはまたその他いろいろと自転車関係の方面の振興に使うという制度は、来年度からなくなつてしまうわけでございます。そうしました場合に、昨年公庫の金の中で四億という別わくをつけまして、それにつきましては、金利につきましても特別の扱いとし、融資の窓口につきましてもたとえば十一大銀行は、一般には委託をしていなかつたにもかかわらず、自転車分については委託業務を扱わせるなどの特別の措置を講じて参つたのでありますが、これが来年度からは少くとも公庫としては全然やらなくてもよろしいことになります。そうしますと、今たしか四億のうち二億数千万円程度貸付が行われておるかと思いますが、これが返つて来た場合にどうするか。公庫としてはもう自転車へ貸すという仕組をやめざるを得ない状態になつておるのでありますから、つまり別わくとして貸すことはやめざるを得ないような状態になつておるのじやなかろうか、この辺は大蔵省と交渉の上来年度までにはつきりした結論を出さねばならぬ問題であろうと思うのでございますが、私どもとしては来年度引続いてやるということになると非常にものがやつかいだというので、もし引続いて競輪から金が上つて来るという状態でございますれば、公庫で別わくをつくつてやるというふうなことでなしに、公庫のできる前の状態、つまり一般会計から直接その銀行を通じて自転車関係に貸すという姿に還元するようにという心組みで、重工業局とわれわれの方とで話合いをいたしまして、予算の折衝をいたしたわけでございますが、それができなくなつたわけであります。だから残る問題は、三月三十一日までの間に三億の金があの形で出たといたしまして、それが二十九年度なり三十年度なりになつて公庫へ返つて来る、それをさらにあの別わくという形において自転車の関係だけに貸すということを継続して行くか行かぬかという問題だろうと思います。そうなりまして、何べんも引続いてやるということになりますと、公庫の運用から申しますと非常にややこしいのでございますし、私どもとしては、これは制度がなくなつたのだから、もう三億の金は公庫の金に吸収いたしまして、一般的な貸出しをするということにした方が、すべてすつきりするのではないかという考えがいたしておるのであります。その運用計画といたしましても、三億がどういうふうに返つて来るか、とにかく元は三億しかないわけでございますから、返つたら返つて来る状況に応じて貸すというふうな操作をやるのか、あるいは来年度の予算の中からやはり三億のわくをつくつて七分五厘という特殊の金利で貸す制度を継続するのかということになりますと、これは非常にやつかいじやないか、こう考えておりますので、今のところ大蔵省その他——特に昨年の委員会でいろいろと議論のありました問題でもございますから、当委員会の御意思も拝聴した上でなるべく簡単な姿にこれを解決いたしたいと考えておるわけでございます。

永井勝次郎日本社会党(左)

○永井委員長 本日の質疑はこの程度にとどめ、次会は十日の午後一時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。     午後四時十七分散会

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