通商産業委員会化学工業振興に関する小委員会 第4号
- 発言数
- 69 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/09/08
会議録
○山手委員長 これより会議を開きます。 本日は原塩の輸入に関する件及び石油化学工業に関する件について調査を進めます。 まずこの際お諮りいたしますが、小委員外の発言の通告がありました場合は、これを随時許可いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山手委員長 それではさよう決定をいたします。 まず最初に原塩の輸入の問題に関して調査を進めたいと思いますが、日本の化学工業にとつて原料塩の問題は非常に重要な問題であるとともに、同時にいろいろ議論もあるようでございますから、まず私、委員長の方から関係当局、大蔵省及び専売公社の方に御説明をお願いしたいと思いますが、順序として御説明願いたい事項は、輸入原料塩の年間買付量が幾らであるか、その価格はどういう価格になつておるか、あるいは国際価格との比較はどういうふうになつておるか、輸入塩の地域別な御説明をまずお願いをいたしたいと思います。
○三井説明員 ただいま委員長から外塩の輸入状況につきましてお尋ねがございましたので、お答え申し上げます。本年度の外塩の輸入買付予定量につきましては、本年度におきます一般食料塩の需要を約百万トン、それから工業用塩の需要を百三十万トン、合計いたしまして二百三十万トンと押えまして、このうち多少のストツクの増加等をも見込みまして、二百万トンの輸入を予定いたしまして、これに要しますところの外貨予算も一応承認されておるのでございます。この二百万トンのうちで、本年度に入りましてからすでに買付を終りました数量は、九十二万五千トン、約百万トンでございます。予定といたしましては、上期にこの二百万トンのうちで、半分よりは少しよけいに買いつける予定であつたのでございますけれども、実際の買付は予定通り参りませんで、ただいまのところ、今申しました九十二万五千トンの買付を了しておるのでございます。もつともこのほかに、前年度に買いつけましてまだ入着しておりませんものが、つまり年度初めにおきます契約の持越し分が五十六万八千トンございますので、この分を合計いたしますと、すでに百五十万トンの塩の手当ができておるのでございます。これが現在逐次輸入されつつある状況でございます。 それから、第二のお尋ねの価格につきましては、本年度に買いつけました九十二万五千トンについて申し上げますと、平均の価格が九ドル三十七セントということになつております。前年度買付をいたしまして、本年度に持ち越しました分は、八ドル五十六セントでございます。これに比較いたしますと、今年度に買いつけましたものは価格がやや高くなつております。これは主として船賃の騰貴に基くものでありまして、世界的な船賃の値上りの状況を、この点にも反映いたしておるのでございます。平均いたしますと、ただいま申しましたように九ドル三十七セントでございますが、地域別に見ますと相当高低があるのでございまして、一番安い例を申しますと、昨年から再開いたしました中共からの輸入塩が一番安いのであります。これが現在七ドル九十一セントということであります。それから一番高い例を申し上げますと、スペインでありますが、これは遠隔地でもありますので、十ドル五十七セントといつたように、十ドルを越えているものもあるわけでございます。もつともただいま申しました価格は各地域の契約の単価でございまして、これはその中に含まれておりますNACIの純分に比較いたしますと、多少かわつて参りますが、やはり純分比較でも相当の開きがあるわけであります。御承知のように、このごろは工業用塩につきましては特に純分のいい塩が要求される傾向が強いのであります。われわれといたしましても、努めて値段の安い、しかも良質の塩を買いつけるように努力いたしております。なお価格でございますが、御承知のように、日本といたしましては相当世界的な大きな塩の買付国でございますので、この立場を利用いたしまして、各地の世界的な塩の価格、また船賃の状況等を詳細に調べておりまして、最も安い価格で買いつけるように努力しておるのでございます。 それから地域別の買付状況でございますが、先ほど申しました九十二万五千トンの内訳をごく大ざつぱに申し上げますと、一番多いのが中共の十八万トンでございます。その次がエジプト塩の十三万九千トン、次がアデンの十三万四千トン、次がスペインの九万一千トン、次がインドの九万トン、この辺のところが主たる買付地域でございます。そのほか、ごくわずかずつ相当広い地域から買つております。私どもの方針といたしましては、別に地域を限定するようなことなしに、先ほど申しましたように品質の比較でできるだけ安い塩を多量に買いつけるようにいたしておりますので、現在の状況といたしましては、相当遠隔の地域に依存しておる割合が高いのであります。けれども先ほど申しましたように、昨年から中共塩の輸入が再開されまして、これが今後相当の数量になる見込みでございますので、この点に大いに期待ができるわけでございます。
○山手委員長 それでは続いてお伺いをいたしますが、輸入の状況は、大体今の御説明で概数はわかつたのでございますが、今御説明を聞いたようなことで輸入をされる原塩の国内販売価格、各工業塩について、あるいは食料塩について、どういう価格で販売をしておられるのか、御説明をお願いいたします。
○三井説明員 工業塩の公社の販売価格についてのお尋ねでございますが、御承知のように、工業塩につきましては、一般食料塩と切り離しまして、その全量を輸入の外塩でもつてまかなう建前から申しまして、輸入の基準単価をきめまして、これに運賃その他の経費を見込みまして、売渡し価格を定めておるのでございます。本年の八月三十一日までは、御承知のように大体輸入価格を十ドルの基準で計算いたしまして、ソーダ工業塩につきましては、一トン四千円という価格で売渡しをしておつたのでありますが、九月一日からこれを一割、四百円引下げまして、三千六百円に改訂いたしまして実施しております。それからソーダ工業塩以外の特定の工業塩につきましては、一旦普通の価格で売り渡しましたあとで、交付金の形で一部の金額をお返ししておるのでございます。この分を八月三十一日まで五千円お返ししておつたのでありますが、九月一日から五百円だけさらに交付金の額を増加いたしまして、五千五百円お返しすることに改まつております。従つてこの分につきましては、一般食料塩の方が原塩、粉砕塩につきまして五百円の値下げをいたしましたので、その分と合せますると、千円だけ値下げを実行いたしたことに相なる次第であります。
○山手委員長 特定工業塩は今幾らで売つておられるのでしようか。
○三井説明員 これはお使いになる塩が原塩、粉砕塩と階級がいろいろございまして、それぞれにつきまして価格が違つております。原塩で申しますると、原塩の、たとえば一等塩で申しますると、八月まで一万三千五百円で売渡しておりましたものが一万三千円に引下げになりました。それから粉砕塩で申しますると、粉砕塩の包装塩でございまするが、これが一等塩でありますると、一万四千円のものが一万三千五百円に改訂になりまして、五百円ずつの引下げになつております。
○山手委員長 食料塩はどうです。
○三井説明員 食料塩のうちで、たとえば一般の御家庭でお使いになります白塩で申しますると、従来一万四千五百円でありましたものを、この九月一日から一万三千五百円に千円だけ引下げをいたしました。
○山手委員長 大体わかりました。
○首藤委員 今工業塩の公社の販売する一トン四千円のものを三千六百円に最近下げた、さらに割もどしを一千五百円にしたというお話であつたが、これは単位が違つておりはしませんか。
○三井説明員 ソーダ工業塩とそれ以外の特定の工業に使います塩の値段と違うのでございます。今申しました交代金はソーダ工業塩の四千円で、今度改めた三千六百円の分についてではないのでありまして、一応原塩で一万三千円のものをお買いになりまして、これを特定の工業、たとえば染料の工業にお使いになつた場合には、その分につきまして従来は五千円、九月一日以降は五千五百円お返しする。従つて一万三千円から五千五百円とりました七千五百円というものがその分の塩の値段になるのであります。
○山手委員長 重ねてお伺いをいたします。専売公社の方の塩の特別会計からいたしまして、そういう計算をいたして参りまして、今年度の会計じりはどういう数字になるか、もし今年の予定が立たなければ昨年度の塩の会計じりはどういうことになつているか、この際お聞きいたします。
○三井説明員 御承知のように、塩の専売につきましては、いわば公益を目的とした専売制度をとつておるわけでございまして、これによりまして収益を上げるという目的ではないわけでありますので、塩の会計予算は収支とんとん、もうけなしということをいつも建前にして予算を組んでおるわけでございますが、多少生産の予定数量が完成できないというような状況、それに伴いまして、回送、保管費が予算通り使われないというようなことによりまして利益が出て参るのがこの数年来の大体の状況になつております。本年におきましても、御承知のように七月まで天候が非常に不良でありましたので、国内生産塩が見込みほど生産されておりません。その点等が影響いたしまして、九月以降値下げをいたしました結果の実効見込みといたしましては、損益におきまして大体五億六千万円というごくわずかの益が出て来る予定になつております。しかし私どもといたしましては、実はこの五億何がしの利益も、そういう利益を生もうとして考えておるわけではないのでありまして、初めに申しましたように、塩の会計といたしましては、収支とんとんというところを大目標にいたして運営いたしておるのでございます。
○山手委員長 国内塩の買上げ数量及びその総価格は幾らになつておりますか、単価はどうですか。
○三井説明員 現在の国内塩の収納価格は、昨年の九月に改訂をいたしまして、一トン当り一万三千六百円に相なつております。
○山手委員長 数量は。
○三井説明員 数量は、本年度におきましては大体五十万トンを予定しておつたのでありますが、ただいま申しましたような天候の不良等の影響がございますので、大体四十五万トン程度というところに考えております。
○山手委員長 そういたしますと、輸入塩は八ドルあるいは七ドルという価格でありますが、専売公社の会計じりでは塩だけで五億何千万円の黒字を出し、しかも国内塩は比較的高価についておるわけでありますが、それでも国内塩でなおかつ専売公社は千円ばかり、大体とんとんで行つておられる。そのほかの分は非常に割当に工業塩として配給をされておることになつておりますが、それはどういう理由からでありますか。
○三井説明員 先ほど申しましたように、国内塩につきましては、今回の引下げによりまして収納価格一万三千六百円のものが、配給価格としては一万三千五百円になりますので、むしろ百円だけ赤字が出る勘定になつておりますが、この分は輸入塩を含みました全体の食料塩の勘定で一応平均して塩の会計を運営いたしておるのであります。ソーダ工業塩につきましては、先ほど申し上げましたように、食料塩と別な勘定にいたしまして、できるだけ輸入の原価に近づけるということにして、その間多少値段の高低を見越し、余裕を見まして、従来は十ドル、今回は約九ドル二十セントというところを標準にいたしまして三千六百円の価格をきめたのでございます。さようなことで、塩の会計全体として収益を生まないような運営を努めて実行いたしているのでございます。
○山手委員長 日本の化学工業の重要な原料である塩がこういうような状態で放置しておられて、日本の化学工業が振興するとは考えられない。日本の化学工業の重要な原料である塩を専売公社が国際価格以上にわざわざつり上げて高く配給をしておられるということは、さつきからの御説明を聞いただけで一目瞭然でございます。私はこういうことについてはどういうふうな御所見を持つておられるのか、専売公社の工業塩に対する御見解を承りたい。
○三井説明員 委員長の御意見まことにごもつともでありまして、私どもも日本のソーダ工業を育成する意味から、できるだけ安価な塩を供給し、またその工業塩の供給によりまして公社に余分の収益を生まないようにするというふうに運営いたしておるつもりでございます。先ほど申しますように、本年度に入りましてからの各地域を平均いたしましての輸入の単価は九ドル三十七セントということになつておるわけでございます。これを今後しばらくの趨勢等をも見きわめまして、むしろ努力いたしまして、九ドル二十セントというところを基準にいたしまして、それに最小限度の運送費あるいは経費等をも見込みました三千六百円という配給価格を九月一日から実行いたしたのでございます。公社といたしましては、この価格によるソーダ工業塩の配給によりまして特に収益を生もうとするとか、あるいはソーダ工業の負担におきまして公社のもうけをはかるといつたような考えは、決して持つてないわけでございます。
○山手委員長 もう一点私からお尋ねをいたします。今お聞きをいたしましたが、工業塩についてはこれこれというお話がありましたけれども、工業塩の中で一般工業塩とソーダ用の塩とは払下げ価格が相当違つておるように承わつておりますが、一般工業塩とソーダ工業塩との払下げ価格と数量とはどういうことになつておりますか。
○三井説明員 ソーダ工業につきましては、先ほど申しましたように、本年度は大体百三十万トンの需要を見込んでございます。それから染料その他の特別工業塩の需要をいたしまする塩はごくわずかな数量でございまして、本年度の大体の見込みといたしましては二万トンだけ予定しております。価格は先ほど申しましたように、一般の価格から五千五百円を引くということで配給いたしております。
○山手委員長 一般の価格から五千五百円を引くというと幾らですか。
○三井説明員 一万三千円の塩を使えば七千五百円、もう少し安い一万二千円でございますと六千五百円、そうなるわけでございます。
○山手委員長 そうすると、わが日本の工業にとつて染料工業そのほかは非常に重要なものでありますが、わずか八ドルか九ドルくらいで輸入したものをその数倍の価格でなぜ専売公社は染料工業などに払い下げなければいかぬのです。七千五百円で払い下げるということになりますると、八ドルか九ドルで輸入したものを二十ドル近い価格で配給するということになるわけですね。
○三井説明員 この特別工業に配給いたしまする塩の価格のきめ方につきましては、実は詳しい計算方法を書きましたものを持つて参りませんでしたが、これにつきましては、工業塩とは分離いたしまして、その実際に使いまする塩の各品種別の数量を計算いたしまして、それに実際に要しまする運送費その他の経費を見込みまして、非常にこまかい計算をいたしまして現在の配給価格をきめておるわけでございますが、しかしその点につきましても、なるほど工業塩に比較いたしまするとよほど高くなるのでありまするが、実際に公社のかかりましたコストでもつてお売りするという建前はくずしておらないわけでございます。その点ひとつ十分お含みを願いたいと思います。
○山手委員長 大体のお話は承つたのでありまするが、日本の化学工業の重要な原料である塩がこういう状態で放置されておるということでは、日本の化学工業の振興は私どもはとても望まれないので、今後この問題は十二分に究明をしなければいかぬと思いますが、私の質問は一応これで打切ります。質問の通告がありますから、それを許します。中崎君。
○中崎委員 ソーダ工業会の方から見えておるようですから、ソーダ工業の側から見た塩の状況並びにそれに対する希望といいますか、そういうようなものをあわせてここで述べていただきたいと思います。
○佐野参考人 今の御質問でございますが、私から申し上げるまでもなく、日本のソーダ工業塩というものは世界各国の中で最も高いものでありまして、外国に比べますと大体十倍ないし十倍以上の価格で化学工業その他に対する基本原料を取得しておる。まことにこれは残念なことだが、一部致命的なことだと考えておりますので、私どもは必ずしも各国の塩の値段まで下げることは希望いたしませんが、先ほどもお話がありましたように、使用原料の半数以上、また輸入塩から見ますと七〇%以上を使用いたしますわれわれソーダ工業業者といたしましては、いかにしてこの塩の値段を安く供給してもらうかということで、これは常に公社と折衝を続けてやつておることであります。これは私どもソーダ工業だけではなく、このソーダを主原料といたします日本の輸出産業として最も重要である化学繊維の人絹、スフ並びにガラス工業、アミノ酸工業その他、これらはすべてわれわれのつくつたところのものを主原料としておりますので、間接ではありますが、塩の価格をいかに下げるかということには非常に関心もあり、同時に常に検討を加え研究をしておる次第であります。しかし結論的にどういうふうにしたらいいか。要するに公社にもつとうまい買付をやつてもらい、諸経費を節約してもらい、その他いろいろの面においてできるだけ安いものを供給してもらいたいという気持は、常にわれわれとして念願しまた運動をしておる次第であります。しかしこれは私公社の代弁ではありませんが、何分にも日本は塩の大部分を輸入にまたなければならぬために、これはおよそフレイトが過半を占めておる。現地のFOBというものは二ドルか二ドル五十セントのもので、これは幾ら減らしてみたところがそう大したことはない、こう考えますので、今後中共塩のようなものを盛んに入れるようなことになれば、これは幾らか価格を引下げることができるのではないか、こう考えております。しかしその一環としてわれわれが常に口にしておるところは、はたして現在の専売制度で行つていいのかということであります。二十九年度においてはソーダの需給関係から見まして一応の想定をいたしました数量が百三十五万トンでありますが、これだけの大量のものを一手に買う方をもう少し研究してはどうか。これに対しては自己輸入制度というものが常に叫ばれており、またわれわれの業界においてもこれは常に検討されておりますが、現段階におきましては、実はこういうことを申し上げるのは、これがほんとうのことですが、ソーダ工業者としてはそれでは敢然と自己輸入に入ろうという結論にまではまだ達していないのであります。これにはいろいろの事情がありますが、ただちよつと感情的に見ますと、自分が輸入したらば何か非常に安いものになる、人まかせだからどうも高いようだという感情は非常にありますが、さてすぐにこれを実行してはたして何ドル下るかというと、はなはだ疑問なきを得ないようなわけでありまして、今の段階――もちろん将来というか、近い将来か遠い将来か、われわれとしては自己輸入に移行して行く準備をしようじやないか、いずれにしたところ自己輸入によるのは悪い点は一つもない。現在においてはいろいろと障害があるから、準備をしよう。そしてその間においては、一応現制度である専売制度で買つて、これをわれわれに配給してもらうが、しかし専売公社のやり方については、われわれ業者の意見をもう少し入れる機会をたくさんつくつてもらいたい。おまかせしてあるから、そのままで、専売公社がどういう買付をしてもいいのだ、どういう経費がかかつてもいいのだ、かかつただけで、公益専売であるからもうけなければいいだろうということは、言いかえればここに必ずしも冗費がないとはわれわれは考えない。こういう点においてはもう少しわれわれと合体して、ひとつ今後の買付、販売をやつていただいたら、たとい一ドルでも半ドルでも下るじやないか。これはソーダ業者のみならず、ひいては輸出産業としての化繊方面にも非常に影響して来るからということは、われわれ考えております。現在においては一応専売制度で行く以外にない。今すぐ切りかえることはできない。これはどういうふうな点でそうなるかといいますと、いかに自己輸入する、そしていわゆる商機をつかむということを言いましても、現在の制度においては、いわゆる為替割当という為替管理下におきましては、自由にこれは安いから買おうと思つても、いきなり買うわけには行かぬ。公社が割当てる数量だけ買うわけで、もちろん方法としては、団体を組んで一つの輸入会社をつくつてやるというような方法は、私はやろうと思えば十分あると思いますけれども、そういうふうなことで手放しに商機をつかむということはできないということと、もう一面においては、自己輸入をすると現在の専売制度下におきましては、われわれ工業塩は原則としてストレートでやるということ、そしてもう一つ、これは一種の補助といいますか、三箇月間の延納を認める。そしてまた保管寄託塩というものを各工場に分散さしてありますために、買いつけたものは三箇月延納で代金を払うが、いよいよからつぽになつたときにも、寄託塩の払下げをお願いすればすぐそれが工業塩として使えるという利点もある。これを自己輸入にした場合には、各自が各自の計算において、少くとも三箇月ないし三箇月以上も塩を抱いているということは、現在このデフレの情勢において、しかも最も金詰まりのときに、こういう用意がはたしてできるだろうか。ある社ではできるが、ある社ではできない、こういう問題がありますので、われわれの今到達しておる結論は、一応自己輸入にぜひとも持つて行くのだ、持つて行くが、この時期並びに方法について準備をしなければならぬ。またある一面から見ますと、これを一口にソーダ工業塩と申しますが、これを使う業者というものは、アンモニア・ソーダ法と電解ソーダ法に大別して、大体三分の二がア法で残りが電解法によつておりますが、ア法四社というような大口に比較的業者が少いために、非常に早く自己輸入制度を主張しております。しかし割合に小さくわかれておるところの電解業者は、少々高くても、これも非常に安くなると思えば、持つことはないので、自己輸入に移行しますが、われわれいろいろの面を検討しましても、そう安くなくても、一ドルとか一ドル半とかいうことじやないかと思う。そうなるといろいろのストツク、いわゆる自己で保管している原料、金融、いろいろの面から見て、それをすぐにかえなくてもいいじやないか。しかし安いことは非常に安いから望むのだということは、みんな異口同音に言つております。それじやそういう小さなところはもう少し大きなところへくつつけたらという、これは企業整備、企業合理化の一環ではありますが、電解業者が細分されているということは、今の電解業者の使命はむしろ従来のソーダをつくるということが今後においては副業的のものであつて、塩素をそれからとつて、塩素をいかに化学工業全般、たとえば農薬というような方面に利用するかということに、今後の日本の化学工業は伸びて行かなければならぬということを考えると、電解業者の細分というものは必ずしもゆえなきことではないから、こういう面もわれわれソーダ工業界としては考慮して、必ずしもここへ持つて来て、少しでも安くなるからといつて逐次これに移行するという結論には至つていませんが、そういうふうに進まなくてはならぬ、一刻も早く準備をしようということにはなつております。
○中崎委員 今までの業者の御議論によつてもわかるのでありますが、一国の工業の上にきわめて重要な塩というものが、いわば手放しでもないでしようが、検討されないままに放任されておつた。われわれの側からいえばそういう感じを持つものであります。ことに世界的に見て塩が高いということは、いわゆる一国の産業の上に非常に重大なる隘路になつておるということは当然のことなのであります。そこで何といつても価格の引下げということが一番大きな問題であるというふうに考えております。これにはいろいろ当局の方でも、輸入する先との数量の問題あるいは価格等の問題についてもあんばい、努力をされておると思うのでありますが、たとえば中共塩のことについても、民間においては、日中貿易の将来性から考えて、非常に強く要望されておる。それが現実には諸般の情勢等も影響しておるかと思いますが、非常にそういう面において不熱心であるというふうに私は考えておるのであります。この面において一段の努力をわれわれも傾けなければならぬし、政府においても当然そういうことを考える。いわんやその当局であるところの大蔵省、専売公社の側においてもそうだし、業者の方においても強い要望をこの際起して、一つの大きな輿論を喚起する努力は当然さるべきであるというふうに考えておるのであります。そこでそうした問題が大いに研究されなければならぬと同時に、一面において船賃のウエートの問題についても、これは先ほどから非常に大きな要素であるといわれておるのでありますが、この点についても一段の努力くふうをする必要があるのではないか。世界の船腹というものが割合に余つておるといいながら、かえつて船賃が上つておるというのは、これは日本独特の事情であるかどうか知りませんが、こうした面についても特別の配慮を加える。さらに諸掛りの点について相当私たちは縮める余地があるのではないかというふうに考えるのであります。これら外国から塩を買い入れる際における一つの過程について詳しく説明していただきたい。外国からどういう値段で――FOBであるかどうか知りませんが、価格の決定をする。それからだんだん引渡される過程において、あるいははしけとか、倉庫へ持つて来られるとか、そういう過程におけるところの一つのロスというか、節約の余地があるのかどうか、合理化の余地があるのかどうか、そうして問題についても検討を加える必要があると思うので、そのコースについてひとつ説明していただきたいと思います。
○高村説明員 御説明申し上げます。現存塩を買います場合は、まず外貨の予算がきまりまして、現在のような外貨事情でありますと、相当こまかく、いろいろな地域別あるいは支払い条件別に計画が立てられるわけでありまして、そのわくの中で買付をしなければならないという制約がまずあるわけであります。買付をいたしますときは、日本の貿易商社を通じて買つておるわけでありますが、公社に毎週オツフアをとりまして、そのオツフアの中でまず安いもの、それから履行が確実であるものを選びまして、一々通産省と協議をいたしまして買付を決定いたしておるわけであります。現在までのところわれわれの考え方では、近い塩、近海塩と呼んでおりますが、近海塩と、紅海、地中海あるいはアメリカというような遠い塩、これは遠海塩でありますが、その比率が戦前とまつたく逆でございまして、遠海塩が七割ないし八割というのが戦後の実情であります。ところが佐野会長のお話もありましたが、遠海塩の価格の七割までは運賃によつて占められておるわけであります。いかにしてその運賃を安くつかむかということが遠海塩を安く買う秘訣でございまして、御承知のように世界の不定期航路の運賃はほとんど全部がロンドンできめられているという実情でありますので、昨年から公社の職員をロンドンに常駐させまして、その市況等を把握させましてトレースをしておるのが実情でございます。実際塩のために使いました運賃は、たとえば燐鉱石であるとか、カリ肥料でありますとか、米というような、ほかの同じような地域から持つて参りますものの運賃から比べまして、明らかに安い運賃を払つておるということが出ております。根本的にはそういう高い運賃を払います遠海の塩を減らして、できるだけ中共地区あるいは東南アジア、台湾というような近いところから塩を買うようにするということが、塩の値段を引下げる根本問題でございますから、御指摘がありましたように、中共の塩は昨年から逐次ふえて参つております。現存でもその数量を極力ふやすように折衝を向うと続けております。ただ中共との取引につきましては、為替上の問題もございまして、バーターでなければできないというような問題もございます。ところがなかなか向う側も大したものでありまして、こちらから出したいようなものは買わないというような事情もございまして、たとえば硫安でありますとかあるいは化学薬品でありますとか、現在禁輸品目になつておるもの、あるいはこちらの需給上なかなか出にくいものを要求して参つておる。そういうものをこちらが出せる態勢が整わない限り、こちらが希望いたしましても、なかなか買付数量は出ないというのが実情でございます。なおそういう隘路を克服しまして、ただいままで本年度に買いつけました数量が十八万トン、来年度もそれを倍あるいはさらにふやしまして、五十万トン、六十万トン程度の塩を中共から買うということを現在計画していろいろと折衝を進めておるのであります。なお運賃が、これは遠い地区の運賃でございますが、現在少し強くなつておりまして、それが現在の塩の価格が多少上つておる原因になつておりますが、もう一つ、これはやはり為替が、外貨が足りないというような事情から、できるだけ日本の船を使えという要請が強いわけであります。これはわれわれとしましても、もつともでありまして、多少外国船に比べて高くとも日本船を極力使うというような配慮を買付の際に加えております。そのために、御承知のように船価高の日本船を使います場合に、多少外船を使います場合に比べて運賃が高くなるといううらみがあることは事実でございます。実際問題といたしまして、インドあるいはアデン、紅海地区からとりました塩は、最近では全部日本船、外船を使いますのは、わずかに地中海以遠の塩というような実情でございまして、全輸入数量の半ば近くは日本船によつておるというのが実情でございます。
○中崎委員 買付の状況はわかりました。それから、こつちへ運んで来る場合に、たとえばトンネル会社といいますか、そういうふうな機構のもの等によつて、運搬等が扱われておるようなことがありはしないかということをちよつと聞いておるのでありますが、そこらの径路についてちよつと御説明願いたい。
○高村説明員 輸入しまするものは、先ほども申し上げましたように、民間の貿易商社に公社が専売法によつて輸入を委託する、食糧に似ておりますが、そういう形をとつております。その委託します商社は、昨年までは特定いたしませんで、どの商社でもよろしい、もちろんもうろう商社は別といたしまして、一応名の通つたしつかりした商社ならどの商社でもよろしいということにいたしております。御承知のように貿易界が不振になりまして、政府の物資を扱えば金融的にプラスになるということがございまして、各商社が塩とか米とかという物資に集中して参つて、その結果非常に出血競争を巻き起すというような弊害が起つて参つたのであります。そこで、食糧その他とも歩調を合せまして、一応塩の輸入を委託する商社のわくを登録の形で制限したのであります。現在登録されております商社は、終戦後昨年まで輸入の実績がありました二十九社ということでありまして、その会社の中にはもちろん一般の有力な貿易商社もほとんど全部網羅されております。あるいは戦前から塩のみをやつておりました専門商社も二、三ございますが、そういうようなトンネル商社というものはございません。 なお、買付の際には同様に各商社から一々輸入申込み、オツフアをとりまして、公開した席上で条件のいいものから選ぶわけでございまして、別にその間操作を加えるということはありません。なお、買いつけます条件は、日本着の数量、それから日本着の品質で価格を調整して払うというふうにいたしております。従いまして、実際といたしまして、その貿易商社が日本まで持つて来まして、ソーダ工業の場合でありますと船の中で渡すとか、あるいは小さなソーダ工業でありますと、はしけにおろして工場の岸壁まで持つて行つて渡し、そこで公社との取引がなされるわけであります。その場合公社としましては、一トン当り六十円の手数料と、それから輸入に要しますいろいろの金利を厳密にパーセンテージによつてはじきまして、それだけを出しているというのが実情でございます。
○中崎委員 その際における、商社に対するマージンといいますか、それはどういうふうな基準において支払われているのですか。
○高村説明員 商社に対するマージンは、ただいま申し上げましたように、一律に塩一トン当り六十円、それだけでございます。
○中崎委員 まず輸入の形態について一つの問題があるのであります。先ほどの証言によりますと、自己輸入というものを将来の一つの目標として考えられるということでございますが、現在の段階においても、たとえば二十九社が登録指定されているということでありますが、こういうふうなものは一つの国策的な見地の上に立つた措置であると思うのであります。そういうふうなものは、一つの輸入組合といいますか、そういうふうなものをつくらして、これにたとえばソーダ工業なんか大きな需要者等をどういう関連性を持たせるかということは研究問題でありますが、そういうものとの連絡が有機的につながるような、そういう機構のもとに一つの輸入組合みたようなものができてもいいのじやないかと思うのでありますけれども、これらについて何らかの構想はありますか。
○三井説明員 お尋ねの問題でありますが、私どもも、輸入の塩の価格を少しでも引下げたい、それにはどういう手段をとつたらいいかということで常に苦慮いたしておるのでありますが、先ほど需給課長から申しましたように、今まで輸入の申込みをして来る商社の範囲をまつたく制限いたしておりませんでしたのを、一応二十九社に登録制を実施いたしまして、この資格のある商社を限定するということにいたしましたのもその第一歩でございまして、御質問のございました輸入組合のようなものをつくつた方がいいかという問題もすでにたびたび検討いたしております。大体私どもの現在やつておりまするのは、地域的にこの二十九の商社をできるだけ限定いたしまして、たとえばインド塩につきましては実績のある何社にやらせる、あるいはスペイン塩につきましてはどこにやらせるというようなことで、できるだけ地域的に商社を安定させまして、それによりまして商社の地位を強固にして、外国の商社あるいは外国の塩供給者に対して相当強い発言権を持ち得るように育成しておるつもりでございますが、それをさらに一歩進めまして、全体の輸入組合あるいは地域的の輸入組合をつくつた方がいいかどうかということにつきましては、私の方にもいろいろと検討を要する問題もございますし、商社側にもいろいろ問題がございます。また公取あたりとも研究を要する問題でございますので、これにつきましてはまだ現在のところ輸入組合を設けた方がさらにプラスになるというところまでの結論は得ていないのでございます。研究問題の一つとして常に検討を重ねておる状況でございます。
○中崎委員 私の考えではこうした問題は、一つには買付側の政府の独占的な立場、それから売る相手の側から見ましても、大体において売る側においては独占に近いような傾向のものではないかと思う。それへ持つて行つて、たとえば商社が三軒も五軒も競合して、そうして無用の競争、これは日本政府から安く買えるとでも思えるかもしれませんが、ぼくはそうは考えない。大体において政府の側から言えば、その国からこれだけ買付を請求されるというような、諸般の貿易通商あるいは政治的ないろいろな事情からでもありましようが、そういう制約を国家的な角度から受けておる。商社が自由に向うから買つて来られるというような性格のものでないということも言えると思う。そういうものに三人も四人も五人も行つて、日本人同士が競争をやつて相手に漁夫の利を占められるというような話が非常に多いのであります。そうした大きな弊害をまず除去して、最も政府の立場に立つて、一本化して有利に向うから買いつけるという場合には、そうしたような一元化された輸入組織がいるのではないかということが一つと、それからややもすれば外国から輸入するような物資が非常に各方面から、自由闊達でなしに、今のような事情でありますから、そういうような意味合いにおいてこれはぜひとも私は一元化されたものがいると思う。ことに政府側から言えば、買いつける人が一人なんだから、お前たちはこつちの言うことを聞かなければごめんこうむるのだということが言える。業者の意向というものはそう尊重する必要がない。独裁的だというのではなしに、言いかえれば、国家的な面である程度業者もこれについて来なければならないという事情にあるのでありますから、政府の考え方いかんによつてこれは左右される問題だから、それだけやりいいのだということも考えられるので、これは高い角度からもう一度十分慎重に検討されて、そうしたような問題についてもほんとうに抜本的に運用ができる、結果がいいという結論できる、その方向に勇敢に行つてもらいたいということを希望しておきたいと思います。 次に国内塩に関連する問題で、輸入塩を一体どうするか、さらにいわゆる工業に対してどういう金額で売り渡すかというような問題、これは全体の関連性のある一つの問題でありますので聞いておきたいのですが、国内塩が一万三千六百円で買いつけられておるのですが、これは原価主義で売つておられるか、あるいはさらに将来的な国内産業の助長の意味において、そういうものは基準にはなるだろうけれども、それほど重点を置いてやつていないのか、そこらの点をひとつ伺いたい。
○三井説明員 国内塩の価格についてのお尋ねでございますが、現在一万三千六百円という価格をきめているわけでございます。これは先ほで申しましたように昨年改訂いたしました。この国内塩の価格につきましては厳格にコスト主義をとりまして、詳しい生産費の調査をいたしました結果に基きまして、それをもとにいたしましてきめております。そうしてこの中には利潤は計算しておりませんので、ただいまから申しますと一万三千六百円の値段では塩業者には何らの利益が出ていないということになる、ただこの一万三千六百円を定めるにつきましては大体バリク・ラインと申しますか、全国の塩業者を見渡しまして、大体六、七割くらいのところまでが入るくらいの線を引きまして、その辺のところできめて、それより能率のいい塩業者につきましてはそこに多少の利潤が出て来るということはやむを得ないわけであります。これは目的としているところではないわけであります。生産費を償う塩の価格を払うというのが建前になつております。もちろん一万三千六百円という現在の価格につきましては、先ほど申し上げました外塩の輸入価格に比べまして三倍以上の非常な高い価格になりまして、かような高い価格でもつて将来長く国内の塩を収納することにつきましてはいろいろと問題があるわけであります。一般食糧塩の価格をなるべく安くしなければならないという点から申しましても、これをできるだけ引下げなければならないというのがわれわれの念願でございます。現在の国内塩業の、御承知のようにまことに貧弱な状況からいたしますれば、現状としては一万三千六百円くらいが手一ぱいでございます。現在といたしまして国内におきましても増産の対策をとつておりますが、これがために必要な援助もいたしておりますが、こうした増産の対策が十分な効果を上げ得る場合におきましては塩価格は相当引下げられるという確信をわれわれは抱いているわけであります。将来の理想としては輸入価格そのものというわけに行きませんが、これを食糧塩にするためには再製の加工をいたさなければならない、そういつた加工の費用を計算いたしますれば現在の輸入価格が六、七千円という、つまり現在の収納価格の半分くらいまで下げれば大体輸入塩と競争ができるというところまで行けるわけであります。それを何と申しますか、将来の大目標に対して何とか引下げなければならないということで国内の塩業の増産対策と、かつまた生産費の切下げの対策を講じたいと思つております。
○中崎委員 国内塩の問題も相当重要な問題だと思うのでありますが、今のような程度で利潤があるかどうかわからない程度ということになれば、この工業は特別の、政府が自分自身の手で相当大規模に思い切つて生産をやるということ、そうしなければこれ以上増産が期待できない。たとえば設備面からの増設ということをやつてもそう大したことでなく、どれくらい金がかけられるか、金融の力もあるかどうかということも考えられる、日本の海水は少し薄いということは考えられるのですが、もう少し合理的に科学的にこれを処理して、今のような何とかというのではなく、現実にこうやれば下る、半分ならば半分程度に下るのだというような、そういう何らかの具体的の研究をしておられるかどうか、そこをお聞きしたい。
○三井説明員 先ほど何とかと申しましたので、非常な疑惑を持たれたようでありますが、実は国内の塩業につきましては、これはもちろん根本的に申せば日本の立地条件と申しますものは、たとえば中国、東南アジアというようなところの諸国に比べれば、立地条件としては格段に劣つている、日本のような多雨、多湿地帯で塩を生産しようということがいわゆる無理である、そこを何とか技術的にも研究して増産をはかりたいということで、われわれといたしましては長年苦心いたしているのでありますが、現在国内塩の増産対策としてとつておりまする最も大きな二つの方針を申し上げますると、第一の方針といたしまして、三百年来続いております御承知のような瀬戸内海のまわりにございまする塩田を新しい方式に切りかえまして、そこからとれまする鹸水――塩水の最を大体少くとも五割くらいの増産ができるような塩田の改良をいたしている。これにはもちろん非常な資金を要することでございますので、いろいろ先生方の御援助によりまして補助金を期待いたしますし、農林漁業資金の中から融資も受けましていろいろと援助もいたしておりまするが、何分にも相当大きな資金を要しまするので、予算で認めまする農林漁業補助金はことしで申しますと二億五千万円、また農林漁業資金として約十億五千万円ということでまことに微々たる状況でございまして、この程度の金額で参りますと今後さらに五、六年を要する。五、六年をかけまして現在の塩田面積、四千六百町歩ほどでありますが、これの大体半分くらいを、流下式と言つておりますが、その新しい流下式の塩田に転換をするということで、何とかしてこれを促進したいと考えておりますのが一つであります。もう一つは塩田を用いませんで海水を直接に煮詰めて塩をとる、これは御承知のように終戦後の非常に塩の不足した時代におきましては各地で原始的な方法でもつてやつたのでございますが、そうした原始的な方法ではなしに、公社が長年かかつて研究して成功いたしたのでございますが、加圧式製塩方法と申しまして、公社がすでに福島県の小名浜に試験工場を建設いたしましてこれの操業に成功いたしております。この式を今後塩田地方から離れましたところ――しかもある程度の電気を要しますので、電気料金が比較的低廉な東北地方でありますとか、北陸地方でありますとか、あるいは北海道――北海道は場合によりましては電気を使わずに石炭で行こうといつたような、そういう地域を選びまして加圧式による海水の直煮の製塩工業をいたしております。すでに公社の小名浜の直営工場の隣に民間の会社が年間二万四千トンの能力を持ちます工場をただいま建設しております。これが今月末あるいは来月の初めには操業を開始できるものと思つております。この方式を今後できるだけ援助いたしまして、適当な条件をかなえますところに建設する――すでに民間からも十数件ほどの申請が出ておりますが、この中からとるにしてもいろいろの条件を考えまして、できるだけの指導もして参りたい、これによりまして相当量の増産が期待できるわけでございます。ことに現在の塩の生産地帯から離れましたところにそういう工場を設けることによりまして、塩の輸送の面におきまする非常な経費の節約ができるわけでございまして、そうした面からも価格の切下げに貢献できるわけでございます。この二つの大きな方策をただいま公社といたしましては極力推進中でございまして、これによりまして私どもといたしましては数量的な面における増産、生産費の面におけるコストの切下げ等が十分できるという確信を持つておるのでございますが、何分にも非常な資金を要する問題でございますので、難点はその点にあるわけでございます。私どもといたしましてはひとつ御援助をぜひお願いしたいと思つております。
○長谷川四郎君 一言聞いてみたいのですけれども、塩の問題はたいへんむずかしいのでぼくらにはわからないのですが、塩にすると専売公社を通さなければならないが、要するに海水なら海水を濃縮したものをソーダ工場へ運んで行く、そうしてやると、専売を通らなくて行けるということになると、そこで大分経費が省けるのではないですか。ですからそういうようなことで試験をやつたことがあるか、それともそういう考え方を持つて何か裏面に研究したことがあるか、それをひとつお尋ねしたい。
○三井説明員 ただいまのお尋ねの鹸水の問題でございますが、ごく薄い鹸水につきましては、これはもちろん専売の範囲に入らないのでございますが、塩専売法によりまして、海水またはかん泉に操作を加えた液体の中で、塩化ナトリウムを百分の五十以上含んでおり、摂氏十五度におきまする比重がボーメ五度以上の海水は専売の範囲に入るわけでございます。それで実はソーダ会社が鹸水をおとりくださいまして、これは御自分のところでお使いになるという場合にもそういう方法も可能なのでございます。それは一ぺん公社が買いましたことにいたしまして、それをさらに売り渡すという形にしてお使いくださればできるわけであります。そういう方法も私どもとしては十分利用できるのではないかということで、むしろ大きなソーダ会社なんかにはときにお勧めすることがあるわけでありますが、現在のソーダ会社の資力としてはそこまで余裕がないということで、現在としては公社が買つておるという状況であります。
○長谷川四郎君 そうするとこれはだれかお聞きになつたかもしれないが、塩の税金はどのくらいかかつているものですか。現在のソーダ工業で使うものの税金。
○三井説明員 ソーダ工業塩の原価の中には税金は全然見込んでおりませんので無税であります。
○山手委員長 日本化学工業協会の方から出席をして、特殊工業塩の問題について陳述をしたいという御意向でございますから、ひとつ御意見を述べていただきます。
○大島参考人 化学工業協会の大島でございます。今委員長からお話がございました問題でございますが、今の特定化学の中でソーダ工業塩のほかに染料その他で約二万トンの、特定化学になつておりますソーダ塩以外の塩の値段の問題をちよつと述べさせていただきたいと思います。 今塩脳部長からお話がございましたように、ソーダ工業塩が三千六百円程度にまで御努力くださつて非常にありがたい。ところがその他の――これは染料と塩素酸ソーダというのが主力でございますが、つまり貿易その他に非常に重要な問題だという塩の方は、実は今御説明の通りに六千五百円くらいになつております。これは長年実は大蔵の方の委員会にお願いしましていろいろ御心配願つて、専売局でも非常に御心配を願つておるという実は歴史がありまして、さつきおつしやつた一万三千円のグループに入つておつたのでありますが、それをこういう事情だから今委員長がおつしやいましたような事情のもとにソーダ並にしてもらいたい。それで工業塩というものは一括して昔のように自己輸入あるいは自己輸入と同じような値段にしてもらいたいということを再々お願いしまして、数年を経て今公社の首脳部でいらつしやる方々のあなた方になつてやつとそのように御心配になつて、一ぺんというわけには行かないので、だんだんさや寄せせられて参りまして、結局六千五百円まで下げていただいた。これは非常にありがたい。ことに最近はその幅が狭くなつて非常にありがたく思つております。しかしながら委員長がおつしやいましたような事情で、国際商品として国際価格と闘うのでございますから、何と申しましてもこういうものはできるだけ低くなくては競争ができません。どうしてもソーダの方を先頭にいたしまして、一緒になるまで、同じくなるまで御心配願いたい。百三十何万トンに対する二万トンでございますので、専売公社の御会計からいえばそうは響くまいと存じますが、実は専売公社の側から申しますと、まだそういうふうになつておらない。いろいろな支障がございますので、そういう足手まといのために御遠慮しながらやつてくださるので、たまたま委員長が冒頭におつしやつてくださいましたような国策的な立場から当然そうすべきではないか、かくおつしやつてくださいまして非常にありがたいと思うので、そういうふうな見地から今のような機会にそういうふうに言つていただきますと、公社の方もほかの方も、そうおつしやれば、それではぜひそういうようにと―もともとそういう気持でいらつしやるのでありますが、これを皆さん各委員の方々におきめ願いまして、公社の方の方々にも、われわれの方にも元気をつけていただくと非常にありがたいと存じますので、一言希望を述べさせていただき、ぜひこれが一日も早く同じになりますように御尽力願いたいと思います。
○山手委員長 ほかに質疑はありませんか。
○首藤委員 ひとつ塩脳部長に御質問しておきます。公社の最近における会計年度の収支、剰余金、利益金というのか、それがこの二、三年でもけつこうでありますが、大体毎年どのくらいありましたか。
○三井説明員 私の直接の所管ではございませんので、ごく概略申し上げまして、御要求がございますれば、詳しい資料を提出したいと思います。御承知のように、昨二十八年度の決算状況で申しますると、予算におきましては千五百四億の専売納付金を予定しておりましたのが、約九十億ほどの増収がございまして千五百九十二億という専売納付金を国庫に納めておる状況であります。
○首藤委員 これは一般会計から見ると、非常に大きな金額が入つて、その点から見れば財政は非常にゆたかになると思う。しかし日本の産業という面から見まして、はたしてこれがいいかどうかという点で、私たちは非常な疑問を持つておるわけでございます。特に先ほど来の御説明によつて、日本が地理的に非常に不利な立場に置かれておる。塩の価格と運賃の価格はおそらく二対八あるいは二・五対七・五というような状態になつておりはせぬかと思う。塩の産地の近くの生産国と非常に遠隔地の日本の原価というものにはこれだけ格段の相違がある。今日日本の産業を、というよりも日本経済の全般を強化いたすためには、何としても輸出貿易を盛んにしなければならぬ。それがためには何をおいても原価を引下げるということがまず絶対的条件でなければならぬと私は考えるのであります。そこで念のためにお聞きしますが、中共、スペイン、インド、大体この三国でとれると思いますが、このCIF価格がわかつておりますれば、ちよつと御説明願いたい。
○三井説明員 ただいまの御意見私どもといたしましても非常にありがたい御意見でございます。先ほど来お話がありましたように、日本のソーダ工業その他の化学工業の置かれた条件というものは非常に不利でございます。諸外国のこれらの工業と競争をいたしまするのに基本的な弱点を持つておるのでございますが、これを振興して参りますためには、塩の値段をできるだけ下げなければならぬ、その他各般のこうした重要産業についての援助策が考えられなければならぬということを感じております。たとえて申しますれば、先ほど申しましたように、専売益金の全体としては相当な益が出ておりますので、塩の会計では赤字を出してもいいのだという行き方も考えられますが、現状の財政状態では御承知のような状況でございまして、かようなことは許されないといつたような状況でございます。 それからお尋ねの中共のCIF価格でございますが、本年度に入つてからの買付分につきましては七ドル九十一セント、インド塩が九ドル八十七セント、それからスペイン塩が十ドル五十七セント。これは契約単価でございまして、NACI分九〇―九三%にアジヤストして、各地域同じ基準にして比較いたしまする単価としては、中共は八ドル四十五セント。中共塩は非常に品質がよくなつておりますので、入る塩は八ドル四十五セント。インドが九ドル五十六セント、これは契約単価よりは下つております。それからスペインが九ドル九十一セント、これは契約単価より少し下つておる。こんな状況でございます。
○首藤委員 これは私は日本のソーダ工業の原価に一番大きな関係があると思うのです。そうすると中共の方が一番安い。これは当然近距離であるという点が一番大きな原因で、ほかにはないと思いますが、今日の中共貿易はいろいろの制約があるから、簡単に思うようにたくさんふやすことは困難かもしれぬが、バーター以外は単独の決済の輸入というものは困難な状況にあるのかどうか、この点をひとつ……。
○三井説明員 中共につきましては、私どもも価格の点からできるだけ買付数量をふやしたいということで、先ほど担当課長から御説明いたしましたように、本年度の予定は大体三十万トンくらいでございますけれども、来年度は少くとも五十万トンないし六十万トンくらいの買付をいたしたい。あちら側としてもそのくらいの数量は十分出し得る用意があるように聞いております。しかしわれわれといたしましてはその数量の増加に極力努めたいと思つております。 ただ中共につきましては百パーセントのリンクを要請されておりまするので、その点に問題があるわけであります。一応のやり方といたしましては塩をストレートに入れまして、あとでこちらから物を出し、その勘案を消すわけでございますけれども、あまりよけい買付いたしまして、中共に対する負債をふやし、それをもとにして非常にむずかしい物資を要求されて来るといつたようなこともございまして、その辺なかなか問題があるのでございます。われわれといたしましてはできるだけこちらとしては出し得る物はさしつかえない範囲でふやしまして、百パーセントリンク制の趣旨に沿いますように努力をいたしながら、買付数量をふやして行きたいというふうに考えております。
○首藤委員 もう一つお聞きしたいのは、国内塩の生産が大体五十万トンということを伺つたのですが、これは国内の食料塩としての消費高に比較してどういうあんばいになるのか。
○三井説明員 本年度におきましては食料塩は約百万トンでございますので、ちようど国内の生産予定数量は半額――実際には五十万トンできない見込みでございます。四十五万トン程度だと考えておりますので、実は半額生産できないという状況になつております。
○首藤委員 まだいろいろな点で御質問いたしたいのでありますが、時間の関係もありますから、この程度にとどめまするが、要するに、国庫への納付金の額があまりにも大き過ぎる。これは結局日本の化学工業を政府みずからが押えておるというふうに結論づけても私は必ずしも過言でないと信ずるものでありまして、それだけにこの問題は私たちも重く取上げて、産業振興に資するような方向に持つて行きたい。いずれこれは近いうちに構想を練りたいと思うが、専売局におきましてもそういう方向に御努力を願いたいということを申し上げておきたいと思います。
○加藤清二君 私も簡単に二、三お尋ねしたいと思います。実は塩のこと、それから化学工業のことについてはずぶのしろうとでございますので、教えるというつもりで御丁寧にやつていただきたいと思いますが、まず第一番にただいま御説明の中共塩と日本物資との物交の問題でございます。御承知の通り、中共塩が輸入塩では一番安い、そこでぜひこれを入れたいというのは、日本の業界にかかわらず、またその輸入商社にかかわらず、みな一様に思つていることでございまするが、これがなかなかうまく入らない理由についてるる御説明がございましたけれども、私どうしてもそこで聞いておかなければならぬことは、今まで私が聞いたこと、あるいは体験をいたしましたところによりますると、中共との物交の困難な点は、今あなたがおつしやいました最初に輸入先行だから入れてしまつた、そうしてあとから今度向うからむずかしいものを要求されて困ると、こういうお話でございましたけれども、あれは輸入するときに最初に話合いをしたはずです。そうでしよう、輸入するときに、輸入先行には違いないけれども、何と何を交換するかということはもう先に話合いをするのですから、あとからむずかしいものを要求されて困るということではないと思うのです。それからむずかしいものというても日本でできないものを中共が要求したためしはないのであつて、日本にはできてはいるのだけれども、バトル法とココムの問題でひつかかる、甲類、乙類、丙類もひつかかる、しかもひつかからなくても、なお何がいけないかといえば、外務省がこれをひつかけて来る、あるいは台湾貿易の方がひつかけて来るということに難点があるのです。要約すれば、それは向うのほしい物資をこちらの事情によつて出すことがむずかしい、そこにこの困難性があるのではないか、かように今まで私は過去においては受取つておつたのですが、その点間違いであるかないか。その点を私どもはどうしても克服して行かなければならない、かように考えております。なぜかならば、すでに二十五万トン程度ですか、これが入つたおかげで、専売益金も相当ふえているはずなんです。ふえたその上になお一般の国内の塩の値段が安くなつたはずなんです。それは輸入の価格が他の国の輸入の価格と比べて、あるいは国内の塩の価格と比べて割安になつているということがもとだと思うのです。そこで今先輩委員の御質問にもありましたように、どうしても輸出振興をしなければならぬ。特に苛性ソーダあるいはスフ、人絹、これを輸出するにあたつては、これは中共としてはスフ、人絹、特に人絹糸がほしいほしいと言つている。今まですでに輸出ができて、非常におもしろい、最初は業界ではこれはだめだと言うておつたのだけれども、非常に成績がよく行つたのでこれはおもしろいということになつて、共同でやろうじやないか、輸出会社をつくろうじやないかというところまで来ておるのです。それはもとはといえば、一つには塩が安くなつた、おかげで苛性ソーダが安くなつた、そこで人絹糸もおかげで安くつくることができるようになつたというのが一つの原因であつて、政府と申しましようか、あなたたちが勇気を持つて中共塩をお入れになつたことに対しては私は敬意を表しておる。それで来年度また六十万トンぐらいにふやしたいということですが、日本がちよこまかちよこまかやつているうちに、イギリスはすでに中共地区だけで二億五千万ドルもやつておる。それからいわゆる共産圏一つでもつて十三億五千万ドルもやつているのです。私どもの方はわずか六百万ドルそこそこしかやらない、こういう状況のようでございます。そこでひとつぜひ、向うがむずかしい品物を要求するのでなくて、こちらがそれに応ずることができないという態勢を、先ほどのお話のように徐々に解決して行く、徐々に直して行く、こういう態度に出なければならないじやないかと思いますが、いかがなものでございましよう。
○三井説明員 輸入先行の問題がございますが、輸入の契約ができまするまでに、できるならば見返りに何を出すということをきめまして、そうして輸入をするということに努力はいたしておりまするけれども、たとえば塩の場合で申しますると、地域が、現在では御承知のように北の方の長蘆塩の輸入に限られておりますので、汰沽の港の荷役の関係上あるいは季節的にもう船が入らなくなるといつたようなことで相当時期的な制約を受けますので、必ずしも輸出物資を先にきめませんで、塩だけをいきなり入れてしまう、そうしてあと何を出すかということをゆつくり相談するというようなこともいたしております。従つて塩だけが入つて来て、何を出すかということであとからもたつくということも実情として相当出ているわけであります。それから何を出すかという問題でございますが、御承知のような関係で、輸出禁止品目がきめられておりまして、この範囲はだんだんと縮小されておりますけれども、まだ現在出せないものも御承知の通りたくさんあるわけでありますが、輸出禁止品目になつておりませんものを出してはいけないというようなことはどこからも言われておりませんし、またそういうことは私どもは遠慮しないでやつておるつもりでございますが、なぜそれでは実際に話がまとまらないかと申しますと、やはり大部分の場合は価格の問題でございます。日本から出したいと思うものが、値段が高くて、他のイギリスとかドイツとかいう国からのものの方が安くて、日本のものが買えないということで断わられる場合が大部分でございまして、価格の点で折合いがつきまして、しかも輸出禁止品目に触れないものでありましたならば、こちらではどんなものでも出したいということでずいぶん努力いたしておりますが、なかなか今の価格の問題と、それからいまだに輸出禁止品目になつておるということで、出せないものも中にはそういうことがあるわけでございます。この点でかなりむずかしい状況でございます。われわれといたしましては、できるだけそういう障害を克服いたしまして、少くとも私どもの方向といたしましては、この中共の塩を一トンでも多く入れるようにしたいという考えを持つております。
○加藤清二君 部長さんのお考えには敬意を表しておるのでございますが、価格の問題もさることでございますが、中共側といたしましては、イギリスから安く入るから、あるいはイタリアの自転車が安く入るから、その通りの値段にしてくれという要求はあまりしていないように私は聞いておるのです。実は私の関係の者も中共に今行つておりますが、南漢宸からも手紙を受取つておりますが、たとえば硫安を例にとりましても、日本の契約は、台湾へは硫安十貫目入り一かます七百五十五円の契約をやりました。ところが中共は時価相場でよろしいと言つて来ているわけです。内地の特価相場、つまり八百五十円程度のものでよろしいと言つて来ている。それを五万トン契約をやつて来た。ところが五万トンはおろか五千トンがなかなか行かなかつたのです。いいかげんうんざりしたのですけれども、これはおもしろいことに、岡崎外務大臣は、これはいけないいけないと言つておつた。ところが自分の会社でつくつていた日米自転車だけは早くやつてくれと言つておる。これはちんぷんかんぷんで実におかしな話です。ところが中共側では、自転車はイタリアその他から入れた方が軽くてよろしいと言つておる。日本は硫安を差上げるかわりに自転車を買つてくれ、買つてくれと言つた。それで向うがやむなくそれならば自転車も硫安と抱合せで買いましようということで、五万トン、五千台という契約が成り立つたわけなのです。ところが日本へ帰つてみると、自転車の方だけは早くやれやれと言うて五千台はおろか八千台もできてしまつたのだけれども、その五万トンの硫安は五千トンがなかなかできない。なぜいけないか、バトル法でいけないのか、ココムでいけないのか調べてみると、そうではない。また通産省の方も出したいと言うておる。一番いけないと言つておるのは外務省なんだ。外務省がああすべつた、こうすべつたと言つて、いつまでたつてもやらない。御承知の通り肥料というものは時期がある。自転車なら一年中使えるかもしれませんけれども、肥料はやる時期があるのです。時期遅れになつてしまつて、もういりません、こういうことになつた。これは一番おもしろい話がDDTなのですが、そんなことを話すのも何ですからやめておきますが、そういうことであつて、一般国民に知らされていることは、あたかも向うが何かむずかしい要求をして来ているかのごとくに解釈されているのだけれども、そうではなくして契約したもの、いわゆるバトル法で許された範囲内のもの、また甲類同士のものでさえもなおそれがもたもたして、こちらの都合によつて出ないというのが現状であるし、価格の方もほかの国へ輸出するよりも高く買つてやる。向うでは少々の値段が高いくらい痛くもかゆくもない。なぜならば物交で、向うから物をこつちに高く持つて来るだけですから、痛くもかゆくもないわけです。そこで問題となる点は外務省の態度、これが第一、その次には輸出商社がもたもたやるということ、それからメーカーの方が外務省その他に気がねをするということ、もう一つはこれを行うにあたつて金融機関が、他の輸出と比べてサービスの点において、中共輸出だけを非常に差別待遇している、こういう点にあるように思うわけでございます。しかし日本の経済は大阪の商工会議所、経済同友会にしてもあるいは名古屋の商工会議所にいたしましても、そういう困難を克服して、そうして輸出振興をはからなければならないときがもう来つているということを身にじきじきに感じている。それをやらなかつたらぶつつぶれて行つてしまう、こういうときに直面していると思うわけでございます。そこでせつかく内地の工業、特に化学工業を発展させようと考えていらつしやる政府当局のうちで、あなたのような先見の明のある人に大いに奮発していただいて努力していただきたいと思うわけでございます。 次に政府側でぜひひとつ心得ていただきたいと申しましようか、考えていただきたいと思うことがございます。先ほど長谷川委員からも御質問がありました塩の価格ですが、中共から入る塩は非常に安い。しかしそれを直接会社の方にストレートで渡さずに、内地塩だとかあるいは他の国から輸入されたところの塩とのにらみ合せで、それにさや寄せをしなければならないので高くなるというように心得ておりますが、これは私の心得違いでございましようか。
○三井説明員 非常に有力な御意見であつたのでありますが、私どもといたしましてはできるだけその方面に努力いたしたいということを重ねて申し上げておきます。 なお現在向うから話のあります塩輸入の見返り物資としては、やはり硫安を要求されており、できるだけ硫安の輸出ということで努力いたしたいと考えております。それから中共から安い塩が入つて来るのに、ソーダ会社がこれを高く買わなければならないという点につきましては、なるほどその塩だけをとりますと、そういう勘定になるのでございますが、公社といたしましては先ほどから申しますように現在でも十幾つかの地域から買いつけるわけでございます。それらの輸入塩をプールいたしまして計算した価格で売り渡すことになつておりますので、安い塩を高く買うこともあるかわりに、また高い塩を安くお売りすることもあるわけでありまして、その点プール価格ということで御承知をいただきたいと思います。
○加藤清二君 政府としてはそれはプールしなければならない、さや寄せしなければならないということはわかるわけでありますが、結局プールの中に安い塩をたくさん入れれば総体が安くなるということなのでございますから、硫安もぜひひとつ――最初の契約は五万トンでございますけれども、これは最初から大きなことをやつて間違うといけないということで、五万トンと押えただけのことであつて、向うの需要は、台湾の二十五万トンよりははるかに大きい。かつての通産大臣は、私がこの質問をしたときに、いえ台湾よりははるかに少うございます。しからば灌漑農業ですかと言うたら、そうでもないのだということで逃げておられたのですが、実際向うに商社の連中が大分入つて、向うの希望も聞いております。私の知人の会社からも行つております。それは台湾があれだけ小さい面積で二十五万トンを必要とすれば、それの何百倍の中共地区の農業地帯がもつとそれ以上の硫安を要求しておるくらいのことは、これは頭の計算なので、向うとしては硫安がほしい、硫安の会社もぜひこれを輸出したい。それなるがゆえに輸出会社法なるものまでこの委員会でできたわけでありますし、政府としてもこういう化学工業製品、特に材料を内地でまかなえるものの輸出というものは奨励されているはずでございますので、何もむずかしいことはない。方針通りおやりになれば行けるわけでございますから、ぜひひとつこれはやつていただきたい。それから向うも塩も輸出したい、豆も、石炭も、マグネシアンクリンカーも、羊毛から豚毛からカシミヤに至るまでぜひ輸出させてもらいたい。日本の業界では自転車業界が先頭を切つておるようでありますけれども、自転車のみならず硫安にしても紡機にしても、食器にしても、毛製品、綿製品、スフ人絹に至るまで全部出したい、出したいと言つておる。生活必需品のみならず建設資材ということならばというので、陶器業界でも家庭用デイナー・セツトがいけなければそれでは電磁器などをというようなことを言うておる現状であります。いわば業界としてはあげて輸出振興をはかりたい。ところで中共から塩を輸入すれば、必ずプール制で、日本の塩あるいは高く買いつけた外国の塩までが安く国内に渡るということは、これは明らかな事実です。まるでぼたもちで両方のほつぺたをたたくようなことで、こんなよいことはないと思うわけでございます。そこでこの点は将来また非常にいろいろな困難もあるでございましよう。自分の会社の製品だけはバトル法を破つてでも納めたいけれども、ほかの会社のものはいけないと言うような頑迷固陋な人もいらつしやる間柄で、正しい道を進んで行こうとすればずいぶん困難もあるでありましようけれども、内地の化学工業振興と、これの製品輸出の振興のために、ぜひ御努力願いたい。われわれもこの点についてはもろ手をあげて賛成ですし、渾身の勇を振つて、向うへ渡つてでもやろうとしている矢先でございます。ぜひ御努力になつていただきたいと思うわけでございます。
○齋木委員 先ほど部長は主として国内塩に対する増産対策の全貌の一端に触れたと思いますが、この五、六年は増産に対する助成は予算その他補助金等の関係で至難だろう、こういう御説明が先ほどあつたように私どもは聞きとつておるのでございます。これに対してまた新しい化学方式によるところの改正をいたして製塩工業を援助してやるという二つの点を御説明になつたと思いますが、その計画と申しましようか、見通しと申しましようか、そういうものを一応御説明が聞ければ幸いだと思つておるのでございますが、いかがでありましようか。
○三井説明員 本日のお尋ねは主として塩の輸入関係と承つておりましたので、資料を持つて来ておりませんので、詳しい御説明ができかねるのでありますけれども、先ほども申しましたように、現在の全国の塩田面積は約四千六百町歩でございます。この中で本年度の初めまでに、私どもが流下式といつております新しい方式の塩田にかわつておりますのは、約一割程度でございまして、今後四千何百町歩というものを新しい方式に転換しなければならないわけでございますけれども、しかし全面積を転換するということはとうてい不可能でございまするし、また相当の単位当りの生産量を上げております塩田を、この際全部新しい方式に転換するという必要までは私どもとしても考えておりません。現在としては少くとも四千何百町歩のうちで約半分、あと二千町歩ほどのものを新しい方式に転換させたいということを考えておるわけでございます。そういたしますると、転換の費用でございまするが、これは非常に切り下げた見込みでございまして、実際にはこの価格では転換の工事はできないのでございますけれども、かりに一町歩二百万円かかると押えましても、約四十億というものが塩田転換のためにいるわけであります。御承知のようにこの転換促進のために補助金を出し、農林漁業資金を出しまして援助いたしております。ことしは補助金が二億五千万円、農林漁業資金が十億五千万円ということになつておりますが、この全部を塩田の転換に使うわけには参らないのでございまして、このほかに補助の対象もあるし、また融資の対象もあります。しかしこの十億の融資というものをそのまま使いましても、今後さらにことしを含めまして四年間はかかる計算になるわけでございます。実際にはそれよりもさらによほど延びるのではないかというふうに私ども心配をいたしております。しかし何年かけましてもとにかく全国の塩田の半分程度は新しい流下方式に転換いたしまして、これによりまして採集できる鹸水の量を少くとも五割ふやしたいということを考えておるわけでございます。それから片一方の化学式の海水直煮の製塩の問題でございますが、これは今やつておりまする新しい会社が二万四千トンの計画でやつております。大体この方は一トン当り二万円ないし二万五千円くらいの建設費を要します。そういたしますと、私どもといたしましてはさしあたりこの方で十二万五千トンといつておりますけれども、これはごく内論の目標でございます。実はその倍の二十五万トンぐらいまでやりたいのでございますけれども、さしあたりその半分の十二万五千トンといたしましても、約二十五億の資金を要するわけでございますので、この方もまたどこからこの資金を調達するか。この方は補助はいたしませんので、全部融資で行かなければなりません。御承知のように塩業に対します国内金融機関の認識といいますか、国内金融機関に対する信用の程度は、まことに情ない話でございますけれども、貧弱でございまして、進んでこの塩業に金を貸してくれるという金融機関は、特殊の塩業を非常な特殊産業にしております地元の地方銀行は別といたしまして、一般の銀行でありますと、塩業に進んで金を貸してくれる金融機関というものは実は現在のところないわけであります。これを入れますにはどうしても国家資金をもとにいたし、あるいはまた国家資金を間接に資金といたします長期信用銀行、開発銀行といつたところを期待する以外にはないわけであります。その辺の問題を考えますと、この二十五億の資金調達もなかなか困難でありまして、私どももその問題にいろいろ苦慮いたしているわけであります。しかしこれは何とかしてこの資金を調達いたしまして、一方ではこの海水直煮の製塩業を興さなければならぬというふうに考えている次第でございます。
○齋木委員 貴重な化学資源の問題に対しまして皆さんの御辛苦になつておることはわかつております。私は資金調達の上において非常に御苦心になつておることはわかつております。小さな話ですが、御承知かとも存じておりますが、福井県に製塩会社が戦前からできて、今日に至つては瀕死の状態の化学式をやつておると思うのであります。これはいろいろ経営者も苦心さんたんして何回か破産、倒産をやつておるのですが、こういうようなことをやる場合において、こういう化学の助成方法といたしましては、指導的な立場にある公社といたしましてはもう少し積極的な、国内産の増産の建前からいいましても大いにやつていただかなければならない、こういうように私は考えておる。まあ小さい話でありますが、こういう問題も一つ一つ取上げて行けば、国内産の増産、増強ということにも役立つのではないかと考えておりますので、それらの諸問題に対しましても部長はお耳に入れておられると存じますが、いかがなことになつておりますか、お話願いたいと思います。
○三井説明員 実は今お話がございました福井県の三国製塩でございますが、私はつい数日前三国へ行つて参りましてこれを見て参りました。今お話があつたのでございますが、あそこも実はこの化学式の新しい製塩工場としては、民間第一着として戦前から始めているのであります。これがごく最近になりまして、全部化学式の装置に転換して参りまして、最近は非常な好成績を収めております。大体日産二十五トンから三十トンぐらいできておりますので、年産一万トン近い製塩が期待できることになりまして、非常に成績が向上いたしております。地元ではこれをさらに数倍に増設したいというようなことでいろいろと計画も立てておりますし、私どもの方にもいろいろと連絡がございますが、先ほど来申しますように、援助するにいたしましても、その資金をどういうふうに調達すすか、もちろんその一部をわれわれの方で農林漁業資金をあつせんするというようなことは考えることができるのでありますけれども、しかし少くともその相当部分の資金というものは、他の方法によつて調達しなければならないというようなことで、資金関係でまだ計画が完成しておらないのであります。われわれの方としてもこうした計画ができますれば、できるだけの方法で援助することにいたしたいというふうに考えてはおりますが、これは三国製塩だけの問題ではないのでありまして、今後の化学式製塩法全体の問題としても同じように考えておるわけであります。
○山手委員長 これをもつて原塩の輸入に関する件は終了をいたしました。 引続いて石油化学工業に関する件を審議いたしたいのでありますが、本日肥料審議会のことで少しもめておつて、軽工業局長ほか参議院に呼び出されたりしておつて、今出席できないという御連絡がありましたので、この方は本日やむを得ず延期をいたします。 参考人の皆さんにはいろいろ御苦労さまでございました。ありがとうございました。 それでは本日はこれにて散会いたします。 午後一時一分散会