通商産業委員会 第31号
- 発言数
- 70 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1954/04/06
会議録
○大西委員長 これにより会議を開きます。 まず去る二日付託されました地方自治法第百五十六条第六項の規定に基き、繊維製品検査所の出張所の設置に関し承認を求めるの件を議題とし、その提案理由の説明を求めます。 —————————————
○古池政府委員 神戸繊維製品検査所鹿児島出張所増設に関する提案の理由を御説明申し上げます。 本件は、地方自治法第百五十六条第六項の規定に基きましで、繊維製品検査所の出張所設置について、国会の御承認をお願いするものであります。 繊維製品検査所は、輸出絹人絹織物の検査表示を実施する国の機関でありまして、現在京都外七箇所に本所を、東京外二十三箇所に支所および出帳所を設置してあります。現在鹿児島地方には検査所の設置なきため、同地方における輸出絹人絹織物の検査表示は、すべて神戸繊維製品検査所福岡支所から出張して行つております。 福岡市と鹿児島市とは相当の距離にありますため、往々検査表示の円滑、迅速を欠く場合か生じ、しばしば鹿児島県並びに関係業界から検査所設置の要望を受けている次第であります。 鹿児島地方における検査高を見ますと、昨年一月は三千十五ヤード、六月は七千五百六十六ヤード、十一月には六万六千七百五十五ヤードとなりまして、月を追つて急激に増加して参つております。ところが、出張して検査表示を行う場合の申請者は、検査手数料のほかに受託出張規則に基いて、その都度出張職員の旅費を負担することになつております。これがため、輸出品原価の高騰を招き、業界に多大の迷惑をおかけしておりますので、鹿児島市に出張所を設置しようとするものであります。 なおこの増設については、人員ならびに経費の増加を必要としないのでありまして、現行予算の範囲内で検査表示の能率的運営をはかり、品質の改善と海外における声価の向上に資そうとするものでありますから、何とぞ御審議の上、ご承認をお願い申し上げます。 —————————————
○大西委員長 次に昨日付託せられました航空機製造法の一部を改正する法律案を議題とし、その提案理由の説明を求めます。古池政務次官。 —————————————
○古池政府委員 ただいま議題となりました航空機製造法の一部を改正する法律案につきまして提案の理由を申し上げます。 現行航空機製造法が施行せられましてから約二年を経過しましたが、この間、航空機工業は、修理事業から再開せられ、最近に至つて生産需要もようやく見られるに至りました。しかしながら、この反面新規企業の設立が相当多くもくろまれておりますが、需要の僅少な現状において企業の濫立を来すことは、単に航空機工業の健全な発達を阻害するばかりでなく、過剰投資の弊を生み、国民経済の健全な運行を妨げるおそれがあります。しかるに現行法は、検査に主眼をおいた技術的立法でありまして、このような事態に対処するためには、新たに事業法としての諸規定を整備する必要が認められるに至りましたので、ここに航空機製造法の一部を改正する法律案を提案いたしました次第であります。 この法律案のおもな改正点は、航空機の製造または修理の事業について、現行法の届出制を改めて許可制とし、技術の優秀性と経営の健全性とを基調とした事業分野の確立をはかるため、事業の開始は許可を要することといたしたのであります。許可制の適用を受けるものは、航空機、原動機、プロペラ、回転翼等航空機製造事業の主体をなすとともに、事業の調整を行う必要が特に大きいものに限定し、初級滑空機等については現行法通り届出制をとることにいたしております。なお、この許可制に関連して航空機製造事業者等か行う事業の区分の変更、特定製造設備の新増設、工場の移転についても許可制をとるほか、事業の承継、許可の条件、国に対する適用の規定を追加する等所要の条文整理を行うことといたしました。 以上がこの法律案の提案理由及び主要な内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、御可決あらんことを切望いたす次第であります。 —————————————
○大西委員長 次に石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案及び石油資源探鉱促進臨時措置法案を一括して議題といたします。両案に対する質疑の通告がありますのでこれを許します。中崎君。
○中崎委員 私審議の中途でちよつと遅れたりしたので、どの程度の質疑応答がされておるかよくわかりませんので、あるいは重複になる点もあるかもわかりませんが、この点をお含みおき願います。 まず石油に関する問題でありますが、外貨の事情等によりまして、昭和二十九年度における石油の国内における消費の規正がされなければならぬというふうな事態に立ち至つておるのではないかと想像しておるのであります。大体において本年度における石油の供給予定は輸入を含めて約九百万キロリツトルをやや上まわつておる程度であるというふうに承知しておるのでありますが、政府において実際における予定計画の消費見込みの数量は、あるいは千二百万キロリツトルを越えるのではないかというふうに予定されておるところを外貨の事情等によつて九百万キロリツトルをやや越えた程度に予測しておるのではないかというふうに考えるのでありますが、その石油の需給、状況について二十九年度の見通しをひとつ明らかに説明を願いたいと考えます。
○川上政府委員 業界等におきましては、二十九年度の石油の需要は少くとも千百万キロリツトル程度は必要ではないかというようなことを言われておるのですが、私の方でもこの需給関係の見通しはなかなかむずかしいので、はたしてどの程度伸びるかという点につきましてははつきりした数字がなかなかつかめないのですが、今おつしやいますような千二百万キロリツトル、そこまでは行かないんじやないかというふうにわれわれは考えていたのですが、本年度の外貨の関係から、一応特に重油の方が圧縮を受けておりまして、その他の方面におきましては昨年の実績よりもある程度多いというようなふうに考えております。そこで揮発油につきましては、昨年の実績が大体二百十五万キロリツトル程度でありますが、今回の外貨予算の関係からは二百三十七万キロリツトル程度は供給ができるんじやないかというふうに考えております。それから燈油につきましては、昨年の実績が四十四万キロリツトルでありますが、大体五十万程度は本年の外貨予算の関係からは確保できるんじやないかというふうに考えております。それから軽油につきましては、昨年の実績が六十四万キロリツトル程度でありますが、これまた昨年よりはふえまして七十万程度は供給できるんじやないかというふうに考えております。それから重油につきましては、これはこの委員会におきましても先般もいろいろ決議をされたわけでありますが、石炭企業との関係等からいたしまして、大体私どもの方としましては昨年並み、すなわち五百三十七万キロリツトル程度、こういうふうに現在ふんでおります。総計いたしまして、大体昨年は揮発油、燈油、軽油、重油、これを合せまして八百六十万キロリツトル程度でありますが、本年度におきましては八百九十四万キロリツトル程度というふうに考えておりますので、これ以外にもちろん潤滑油その他が若干あるわけでございます。従いまして今申し上げましたように、揮発油、燈油、軽油につきましては、昨年よりもある程度需要をオーバーし、また供給力もオーバーすると考えておりますけれども、重油につきましては、この委員会の決議等も考え、また特に石炭企業、それからまた従来の外貨の伸びが特に重油について非常に多くなつております関係等から考えまして、五百三十七万キロリツトルで押えるわけでありますけれども、これにつきましては大体自然な姿にそのままにしておいた場合におきましては六百万を越えるんじやないかというふうに考えますので、この五百三十七万ということで押えるということにしますれば、ある程度消費規正をしなければいけないんじやないかというふうに考えております。
○中崎委員 つけ加えてお尋ねするのですが、潤滑油についてもわれわれは重大な関心を持つておるのであります。潤滑油に対する需給の見通しをひとつこの際伺いたい。
○川上政府委員 実はこの潤滑油の数字は今日持つて参つておりませんが、潤滑油につきましては、そう需給が不足になるようなことにないように考えております。これは数量的にそうたくさんありません。
○中崎委員 重油についての消費規正は、ある程度やむを得ないというふうに考えられておるようでありますが、さて今までに相当重油についての消費規正として、いわゆる行政指導といいますか、そういうふうにやられておる面があるではないかと考えております。たとえば今日まで重油を使うように指導して来られて、いろいろな設備なんかもそういう方向に向けられておる。ところが今度は逆に、こうした石油の払底事情等を考慮して、重油を使うということを抑制して来られておるのではないかというふうな点も考えられるのでありますが、具体的にどういうふうに規正について今日までやつて来られたか、そうして今後どういう方法によつて消費規正をやつて行つて、しかも需給の円滑を期するといいますか、経済界に大きな不安と動揺を来すことなく、それをいかにうまく調整して行く具体的な策を持つておるかを、ひとつお示し願いたいと思います。
○川上政府委員 一般工場等につきましての重油の抑制の措置につきましては、まだ直接やつてはおりませんが、これは先般大臣からもお話申し上げましたように、五百三十七万キロリツターということになりますと、どうしても必要な部面に対しましては確保の措置を講じなければならないと同時に、不必要なところにつきましては、これは抑制しなければならないというふうに考えておりますが、大まかなところを申し上げますと、農水産関係につきましては、これはどうしても代用品がききませんので、何とかして確保しなければならぬというふうに考えております。確保の方法につきましては、現在いろいろ方法を研究しておりまして、不日その方法につきましては、各方面に対しまして通知することになるかと思うのでありますけれども、これは全国に散布しております特約店、それからまた元売り業者、こうした方面に対しまして責任を持たせまして、農村あるいは漁村関係あるいは船舶関係の重油につきましては、一定の数量が確保されるように、そうしてまた地方におきまして、価格の問題とかあるいは配給の不円滑の問題につきまして、いろいろ問題がありましたときは、各県別に苦情処理機関というようなものを設けたいというふうに考えておりますので、そういう苦情処理機関を通しまして、配給が円滑に行われるようにしたいと考えております。なおこまかい方法につきましては、先ほども申し上げましたように、いろいろ検討いたしておりますので、それができましたら、お知らせすることができると思うのであります。 それから暖厨房関係、これはこの前の当委員会におきましても決議されましたように、これになるべく早く行政的な指導によりまして、販売業者がそうした不要の方面に対しまして、配給することを抑制したいというふうに考えております。それから一般の工場につきましては、重油の専焼設備、それから混焼設備、この両方の設備を持つておると思うのですが、専焼設備につきましては、私どもの方としましては極力確保するように、行政指導によりまして配給をやりたいと考えておりますし、それから併用設備につきましては、一面におきましては石炭の値段を下げると同時に、そういう方面においては、石油の購入をなるべく減らして行くように、行政指導したいというふうに考えております。それから混焼設備につきましては、たとえば宇部炭でありますとか、あるいは常磐炭でありますとか、こういう比較的品位の低い炭を使つております関係から、こうした方面に対しましては、やはりある程度石油を混用することによつて非常な効率を上げておりますので、そうした方面に対しましては、極力確保するような措置を私どもの方としてはとつて参りたいと思うのであります。そういう方法につきましては、現在工場別にどういうところで専焼設備を持ち、あるいは併用設備を持つておるか、そういう点についていろいろ検討いたしておりますが、何よりも漁村関係とか農村関係において、この際その確保の方法を早くやらなくちやいかぬということで、私どもの方としてはそつちの方から先に手をつけて、確保の方法を講じて行きたいというふうに考えております。
○中崎委員 農水産用のものは、規制を考えるというようなことですが、これは一応納得できると思うのでありますが、実際において不足している物資に対しては、価格の面で、たとえば少ければ値が上るのは当然であります。しかもその値段は、足りない程度がひどければますますひどく値段が上つて来る。これに対して適正な価格といいますか、そういうものの目標、水準がなくして、いかに価格の面を調整して行かれんとするか。そしてまた価格にも是は限度があるのでありますが、それにもかかわらず実際においてはなかなか手に入れにくいという場合において、食糧増産等に大きな支障もあるわけでありますが、結局において行政指導とか、あるいは県別に、最終段階において苦情処理機関を設けるというようなことを言われるのでありますが、自由主義の上に立つて、そうしてこうした重要物資であつて、しかも物資が少いというふうな問題が、もう現実に起つて来たときに、なかなかこれは抑え切れぬだろうというふうに考えるのでありますが、これについて一体最後的にどういうふうな方策を持つておられるか。しまいには、価格の標準を示して、これがマル公価格であるか、あるいは協定価格であるか、それは別として、何らかそうした一定の価格の基準を設けて、そののりを越えないような、そういう方策までとられようとする用意があるのか、この点をひとつお聞きしておきます。
○川上政府委員 法的な統制ではなくて、やはり自主的なやり方で行きますと、価格の協定ということは現在認められておりませんので、私どもの方としましては、そういうような場合におきましては、一定の、この程度が適正価格であろう、あるいは基準価格であろうという、価格の指示はやりたいというふうに考えております。すなわち農水産関係等につきまして、非常に値段が上つて困るというようなことのないように、そういう標準的な、適正な価格をもつて配給するように、またどれどれくらいが適正ではないかというような指示は、極力したいというふうに考えております。そうしてまた、それを非常に飛び離れて販売するというような場合、心あるいはまた物を持つていながら配給しないというような場合におきましては、先ほどもお話申し上げましたように、苦情処理機関に話をすれば、あるいは別な配給店から配給するというような指導をしたいと考えております。なお重油につきましては、現在におきましては大体二週間以上のストツクを常に持つておりますので、もしそうした方面において非常に不足が生ずる、あるいは季節的に、あるいは場所的に非常に問題を生ずるというような場合におきましては、元売り業者あるいは輸入業者のストツクの方から、応急的にそつちの方に出すように行政指導しようというふうに考えております。特に農水産関係というものは、数量的にそう大きな数字ではありませんので、私はそういうような措置を講じて行けば、何とかして行政的な指導によつて確保していけるのじやないかというふうに考えておりますが、ただ下半期の問題になりますと、これはどういうようになつて行きますか、その辺はよくわかりませんけれども、一応上半期につきましては、何とかして今申し上げましたようなことで乗り切つて行けるのじやないかと考えております。
○中崎委員 私たちが一番恐れるのは、いわゆる売惜しみ、買いだめです。将来品物が不足するであろうという、そういう見通しの上に立てば、売惜しみ、買いだめが猛烈に行われる。これが市場の物資の調整を著しく混乱せしむる大きな原因であります。そこで一応行政指導によつて、こうした面をできるだけ円滑にやつて行こうという考え方はわかるのでありますが、最後に、ある幅の価格をここで指示し、あるいは行政指導等によつて物資の偏在などがないように適正に指導すると言いながら、これに従わないような場合において一体どうなるのか。実際には罰則があつてさえも実行ができないのが現在の世相だと私は思う。それがただ単なる行政指導という、罰則等の何ら背後に伴わない、そういうふうな一片のから念仏によつてほんとうの重大な利害関係を持つところの価格、幾らもうけるかという、そういう重大な問題に対処できるかどうかということに大きな疑念を持つておるのでありますが、これについて最後的にどういうふうな腹を持つて臨まれるのか、これを聞いておきたいと思います。
○川上政府委員 その問題は非常に重大な問題で、私どもの方としましても、それでは今言いましたような行政指導によりましてもなかなかそれを守らぬというような場合にどうすればいいかということをいろいろ検討したのですが、先ほども申し上げましたように、大体農水産関係とか、あるいは船舶用とか、そうした方面につきましてはどこどこの地方においては、あるいはどこどこの村においてはどこの特約店から配給させる、それからまたその特約店の系統はどういう元売り業者とつながつておるというようなことをはつきりさしたいというふうに考えておりまして、現在リストをとりつつありますが、そのリストによりまして配給するということになりますと、たとえばどこの村の特約店が非常に暴利をむさぼつて高く販売した、あるいは売惜しみをやつたというような場合におきましては、この特約店そのものを直接取締るとか、あるいは押えるということは法律的な方法がなければできませんので、私どもの方としましては、その系統をたぐりまして、元売り業者に対しまして責任を持たしめて、その系統の特約店が非常に配給を撹乱しているというような場合におきましては、その元売り業者に対しまして外貨の割当等によりまして締めて行きたいというふうに考えております。外貨の割当の問題になりますと、これは元売り業者としましても非常に問題でありますので、私はそつちの方で締めて行けば、輩下の特約店の配給につきましては相当責任を持つてやることになるのじやないかというふうに考えております。
○中崎委員 苦情処理機関を設けて行きたいというような考えがあるようでありますが、苦情処理機関は官制によるもので、法律法規に基づくものであるのか、あるいは業者同士が自発的につくつたような機関であるのか、あるいは行政指導によるところの機関であるか、そこらをひとつ明らかにしてもらいたい。
○川上政府委員 これは別に法律による企画ではないのでありまして、どつちかといいますと、業者の自発的な企画になるわけなんですが、この問題につきましては、先般来この元売り業者の団体とか、あるいはその精製業者の団体、そうした方面といろいろ相談もしましたし、かつまた水産関係、農村関係の団体と、今申し上げました元売り関係の団体等といろいろ話合いをしました結果は、その元売り業者の団体あるいはその特約店の団体としてやはり各地区に自発的にそういう苦情処理機関みたいなものを設けまして、そこにもしいろいろな問題が起きましたときには申し入れして来れば、ほかの方から配給するなりいろいろな措置を講ずるというふうに、業者のほうでも自発的にこの問題につきましては協力することになつておりますので、今お尋ねの問題につきましては、自発的にそういう機関をつくつたと申し上げてもいいのじやないかと思うのであります。
○中崎委員 次に、大体こうしたものの調整は最後的には元会社に重点を置いて、そこを締め上げていつて、そしてこれを励行するような方向に行くという考え方のようでありますが、もしそれが実行されぬという場合においては、外貨の割当についても考えるということでありますが、そうした弾力的な考え方をする余地があるのかどうか、あるいは実際においては過去の実績が土台となつて、今日の割当がなされて来ておるのでありますが、割当の面において新しいこうした要素を含めて、しかもこれを相当重要視して今後の割当の方にウエートを持つてやつて行くというふうな考え方であるということをここではつきりしておいていただきたいと思います。
○川上政府委員 やり方につきましては、実はまだ最後的に省議決定というところには行つておりませんので、これは私の考えはそういう考えだということになるかもしれませんけれども、今お話がありましたように、元売り業者に対しまして責任を持たせるということを私の方としましては考えておりますので、もし元売り業者の、その系統の特約店が相当配給を撹乱したような場合、あるいは価格を撹乱するというような場合においては、その元売り業者に責任を持たせて、今お話がありましたように、外貨の割当等も考える。これは従来はおつしやる通り外貨の割当につきましては、実績主義をとつていたのでありますけれども、私の方としましては、今後におきましては、なけなしの外貨を使つて、そうした方面に販売するために、外貨というものの割当をしたというふうにわれわれとしましては考えますので、その際におきましては、従来のただ単に実績だけの割当ということではなくして、今お話がありましたようなことを加味して割当をして行きたいというふうに考えております。
○中崎委員 ただいまの鉱山局長の言明は、われわれにとつてもきわめて重要な問題だと思います。というのは外国映画の場合もそうでありますが、外国の会社が大きな力を持つておつて、日本の政府としてもこれに歯が立たない。そういうふうな実情が実にたくさんある。石油の場合においても国際カルテルの大きな力によつて押えられておる。これをどうにもできないという実情である。それであるから、われわれは非常に残念に思うのでありますが、こうした問題についての国策の線から、ことにこの重要な燃料について価格の安定ということを期する上において重要な考え方を今政府ではやろうとしておる。それがためにはやはりこの元売り業者などの強力な支持がなくては、——いわゆる政府の方針に対する協力体制ができなければならない。ところがあまりに利益の打算に強いので、どうもこれが守られるとはわれわれには考えられない面もある。ところが実際において今度は外貨の別当等について、それに従わないようなものは、政府で必ずしも実績によらず、新しい政府の方針によつて行くのだということになれば、一つの大きな力となると思う。その点については大臣にも聞きたいのでありますか、政務次官は一体どういうように考えておるか、ここまではつきりと言明していただきたいと思います。
○古池政府委員 ただいまお話の通り、わが国の石油の事情は何分にも国産が非常に少いものですから、それでそこを外国の石油に依存しておるという状態で、この点はきわめて冷静に考えて、わが国としては非常に弱味であると思います。しかしながら外貨の割当につきましては、これは日本独自の権限を持つておつて、独立国として日本が当然やることでありますから、これについて外国の制肘を受ける必要は毛頭ないのであります。ただ実際的な実力の上からいつて、何らかそういう懸念があるのではないかというお尋ねもごもつともと存じますけれども、われわれとしましては、できる限り不正な外貨の要求というものがあるとすれば、これはどこまでも排除いたしまして、最もわれわれが適当と考え、適正と考える方針に従つて処理をして参りたいと考えます。なお処理にあたりましては、ただいま鉱山局長から御説明申し上げましたような新しい事態に即応する事情もこれにあんばいいたしまして割当を考慮して行きたいというふうに私も考えております。
○中崎委員 次に鉱油の輸入に対して、原料油で輸入するのか製品で輸入するのかということは一つの大きな問題だと思います。そこで一般的に考えますと、原料油で輸入する場合においては、国内の工場を利用して工賃がそれだけ浮いて来るというふうに考えられる節もあるのであります。また一面、石油というものは国際的なものであつて、むしろ製品で輸入した方が採算上十分に合う。国内における石油精製工場の大きなものも、ほとんど大部分が外国資本である。五〇%といい、あるいは四八%が日本の資本であると一面では言われるけれども、実際においては、その支配権は今言うように外国の資本に握られ、その利益は半数以上は外国人にとられて行つてしまうという実情でもあるし、国民経済全般の上から考えてみれば、より割安な製品を輸入した方がぐあいがいいということもあり得る。ことに重油等の場合においては、重油は重油だけで出て来るのではない。やはり重油、軽油、燈油、あらゆる機械油を含めて出て来るだけに、重油なら重油を製品で輸入した方が、原油で輸入する場合よりも都合のいい場合もあり得る。そこで政府の方では、原油で輸入することが今言つたように国内の工場を動かす上からいいというような、単なるそういう角度から原油主義になつておるということでありますが、この点についても、今後の見通しと政府の方針をここではつきい示してもらいたいと思います。
○川上政府委員 これは実は私が鉱山局長になる前から、一応通産省といたしましてはやはり原油を入れまして精製して販売するという原則になつております。なぜそういう原則になつておるかと申しますと、日本の雇用力の関係、雇用関係からいいましても、また外貨の節約という方面からいいましても、結局原油を入れて精製することがいいのではないかということで、そういうようになつて参つております。ただしかしながら、そういう原則にはなつているけれども、それを全画的にやりますと、一部精製業者の不当なる利益と申しますか、それを獲得するというようなことにもなりますし、特に数量がだんだん減つて参りますと、ますますそういうふうなことになります。従つてやはり外貨の節約の面だけ考えるべきでけないので、ある程度自由競争して価格を安くさせる、そして一般の需要者の立場も十分考えて行かなければならぬというようなことを考え、また一面におきましては、どこか非常に安い製品を買つて、もし国際的にFOBあたりの価格が高い場合におきましては、それを安く牽制するという必要もあると考えられますので、現在私としましては、揮発油につきましてもある程度の製品を入れる、それからまた重油につきましては、相当部分の製品を入れるというような考えで行つております。単に原油だけを入れるとか、あるいは原油だけに非常に重点を置いておるというような考え方では現在やつておりませんし、今回二十九年度の揮発油の割当につきましても、少くとも三十万くらいの製品の割当をしたいというふうに考えております。また重油につきましても、二百万以上のものが製品として入つて来るというふうに私どもは考えておりまして、そこにある程度の競争をどうしてもさせておかなければならないと考えております。
○中崎委員 次に石油、ことにガソリンの場合でありますが、オクタン価が大体六〇程度のものと、八〇程度のものと、国内においてコストが約三千円程度違うと考えられておるのではないかというのでありますが、現在の五〇なり六五程度のオクタン価では、低いということは定評であります。これを七五から八〇程度のオクタン価に持つて行くためには、コストで三千円程度上げないと引合わぬのじやないか。言いかえればそれだけ程度のコストがかかるのじやないかということでありますが、この点についての実情をひとつ承りたい。
○川上政府委員 実はそういう数字をきようは持つておりませんが、やはり一、二年来国内の精製業者も近代化を非常にはかりまして、オクタン価が上るように、かつまたコストも安くなるように努力はしておるはずであります。大体昨年と今年あたりは、オクタン価は相当上つておるのでありますけれども、まだ外国製品の優良な油のオクタン価のところまでは行つていないところであります。現在大体六五くらいまで行つておるのじやないかと思うのですが、それ以上のものはやはり輸入しなければいけないのじやないかと考えております。今お話がありましたコストが三千円も高くなるのじやないかという点につきましては、計算いたした資料を持つて来ておりませんので何とも申し上げかねますが、国内においてもまだオクタン価が、外国製品を入れなくてもよろしいというところまでは行つていないというように考えております。
○齋木委員 議事進行……。先般私が質問いたしましたのに対して、大臣並びに官房長から、まだ今日まで返事がありません。それはアルコール専売の不始末の調査表並びに木材の外貨割当三十社に対するところの真相、そういつたものを文書をもつて答弁すると言われて留保してあるのだけれども、今日に至るまでそれに対して何ら回答がありません。これらはいかがになりましたか御答弁を願いたい。
○大西委員長 今書類を持つておらぬそうですから、書類をすぐ取寄せてから御答弁申し上げます。しばらくお待ちください。
○中崎委員 オクタン価につきましては、たとえばイランの石油のオクタン価は相当高い、七五から八〇程度のものがあるということですが、そういうふうな高いものが日本に、しかも安い値段で入れば非常にけつこうだというので、この問題は先般来委員会においてもしばしば問題になつておるのであります。その後政府の方でこれにいかなる努力をし、その見通しは一体どういうふうになるものか、御説明願いたい。
○川上政府委員 イランのガソリンは、出光興産が昨年度十二万キロリツトルくらい持つて参つたのです。これはガソリンだけでなくて、ほかのものを入れてですが、ガソリンのオクタン価が日本のものよりもある程度高いということは事実でありました。ただイランの問題につきましては、今まで通商局長なりあるいは大臣の方からもいろいろお話があつたと思うのですが、私鉱山局長の立場としましては、イランの油を入れることにまことにけつこうだと思つておりまして、私の方からも外務省あたりに、何とかして事情の許す限り入れてもらいたいということを盛んに話しをしております。これはなんと申しましてもいろいろ外交的な問題がありますので、まだ最終的に解決されているという状況になつておりません。この問題につきましては、私よりもむしろ外務省あるいは通商局長のほうからお話ししてもらつた方がよくないかと思うのですが、私としましては、たといイランでありましようが、いい油を少しでもよけい入れることはけつこうではないかというふうに考えて、その方面に対しましては、しよつちゆう中崎さんがわれわれをつつ突きますように、私の方からもつつ突いておるわけであります。
○中崎委員 次に国内の石油についてでありますが、日本は石油資源の面において非常に貧弱であることはすでに周知の事実なんであります。これを政府の方では、今後五箇年間に百万キロの目標をもつて努力していくということでありますが、どうも私たちの感覚からいいますと、今まである程度計画的に金をかけて行つておるのでありますが、やはりないものはいくら金をかけても出て来ないわけであります。無から有を生ずるわけには行かない、こういう感覚が依然として強いのであります。政府はいいかげんとはいいませんけれども、実際において五箇年間百万キロを目標とした、こういうものにほんとうに到達するかどうか。従つて今度一億三千万の助成金をやつても、そうしたようなことからいつてはたしてそれだけの効果を上げられるか、むしろそれよりも私は人造石油といいますか、もう少し近代的なそうした科学の力による燃料増産態勢をはかつた方がりこうじやないか、こういうふうにも考えられるのであります。これはもつとも石炭などの、原料とも関連性を持つものであるけれども、少なくともこうした面においてうんと研究して、そして実際において天然資源の少い石油をあまりあてにするよりも、むしろこれにかわるべき化学工業の力によつてこういうものを将来打立てる、そういう大きなる計画を立てられたほうが賢明ではないかというふうに考えるのでありますが、この点についての御意見を伺いたいと思います。
○川上政府委員 実は国内に石油資源があるかどうかという問題につきましては、これは私自身としましても以前におきましては相当疑問を持つていたのですが、おそらく非常に貧弱な資源ではないかというふうに考えておつたのですけれども、通産大臣の諮問機関としまして石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会というのが法律によりましてできておりますが、ここで長い間検討し、また帝石とかその他の採油業者の方のいろいろな技術者の意見も聞きまして、そしてこの資源開発審議会におきましていろいろ検討しました結果は、やはり国内におきまして相当石油資源というのはある。しかもそれに相当程度の金をかけるならば必ず石油は開発できる、一応われわれの方としましては五箇年計画百万キロリツトルというものを立てましたが、その程度のものは必ず出せるという結論を得たのでありまして、この結論というのは先ほども申し上げましたように、あらゆる方面のエキスパートが集まつて技術的にいろいろ検討しました結果の通産大臣に対する答弁でありますので、私が事務屋として、あるかどうかというようなことを頭をしぼつてあれするよりも、エキスパートの人たちが集まりまして検討したものを信じろということになりますれば、国内に起きましても相当の資源があるというふうに私は信じざるを得ないというふうに考えております。 それから人石問題につきましては、やはり現在におきましては石油を開発して、それから採油するコストと申しますか、そういうようなものと比べますと、人石からつくります石油というのは相当高いものになるんじやないかというふうに考えられますが、これは私どもとしましてはまだ検討はいたしておりませんけれども、私は一応常識的に考えますと、相当高くなるのじやないかというふうにも考えますので、やはりこの際は、さしあたりの方法としましては国内の資源を開発することに努力をすべきじやないかというふうに考えております。
○中崎委員 こうした大きな目的を持つた工業が、最初から簡単に採算が合つてうまく行かないという、そういう甘いことはなかなかないと思うのです。そこで戦争中においてもせつぱ詰まつて人造石油は相当に身を入れられて来たのでありますが、その後ほとんど人造石油の問題は跡形なく忘れられたような形であります。そこで治にいて乱を忘れずじやありませんけれども、少なくともこの石油資源の非常に払底しておる日本において、しかも五年先において百万キロといつても、国内の需要の一割にも当らないという貧弱な状態を、何らかの人の力によつて打開するという考え方も、決してむだなことではない。ことに石油においては世界的なカルテルにおいて独占を受けておるというような不安な要素もあるわけでありますから、人工的に何らかこれに変わるべきものを努力くふうによつてつくつて行くのだ、政府においてもそういうものの研究を大いに助長して行くのだというふうな考え方が望ましいと思うのでありますが、この点について今日までどういう努力をしておられるか、聞いておきたいと思います。 〔委員長退席、小平委員長代理着席〕
○川上政府委員 先ほども申し上げましたように、私の方としましては石炭の液化、すなわち人石関係の方面につきましてはまだそれほど研究もしておりません。これははつきり申し上げておきますが、人石の問題につきましては、司令部があります時分に一応押えられておりまして、禁止になつておりましたような関係もありまして、その後におきましてすぐこの問題を再開せしめるためのいろいろな研究なり努力は、ほとんど今まで払つておりません。これは率直に申し上げます。(「怠慢だ」と呼ぶ者あり)怠慢と申されればその通りでありますが、今後におきましては、こういう問題も相当研究して行かなければいかぬものじやないかというふうに私は考えております。ただこれは、私のほうの考えとしましては、ドイツあるいはフランス、そうした方面の戦後におきます石油採油業の発達ということを考えますと、やはり国内の石油資源をこの際相当開発することが私はどうしても大事じやないかというふうに考えましたので、この五箇年計画百万キロリツトルというのを実は立てたわけでございます。
○山手委員 関連して。人造石油の問題について今鉱山局長のお話を聞いたのでありますが、ヨーロツパ各国の実情は局長のお話とは相当相違しておつて、地下の資源の開発にはもちろん積極的に努力をいたしておりますが、ドイツのごときは人造石油工業を戦後復活して、これを何とか大成功裡に工業化しようという努力を着々と今日進めておる。日本は総司令部がこれを禁止して、そのままどうかと思うというふうなことで、まだ研究もしておらぬが、高くつくだろうというようなことを言つてほつたらかしにしておくということは、今日日本の外貨がこういう状態になつておるさ中、きわめて私は不満足であります。ドイツの事情は私が言わなくても鉱山局長よく御承知のはずでございますが、今盛んにドイツは液体燃料が少いから国内の石炭資源を十二分に活用して、国内であらゆる物資を自給して世界の産業競争に立ち向かつて行くという決意を示している。日本のその原局である鉱山局がそういうことはまだ研究もしておらぬというふうなことをおつしやることは、きわめて不見識きわまることであると私は思います。
○川上政府委員 これはもうそうおつしやればまことにあれでありますが、私の方としましては、今後におきまして石炭も相当余るような状態になつておりますので、そうした方面も大いに研究していきたいというふうに考えております。
○中崎委員 本年度の石油の需給の見通しは、ことに重油において不足するという先ほどからの話でありますが、さてこの価格の見通しは一体鉱山局の方ではどういうふうに考えておられるか。それをひとつお聞きしておきたい。
○川上政府委員 需給関係が、特に重油につきましては、私はやはり非常に悪くなると考えておりますので、先ほども申し上げましたように、これはある程度はどうしても、需給の関係から放置しますと値段が上がつて来るというふうに考えますので、価格の面につきましても、何とかして行政指導によりまして押えるように持つて行きたいというふうに考えております。しかし大体どれくらい上つて行くかという点につきましては、これはなかなか見通しとしましてもはつきりしませんし、現在ほんとうに重油の需給が逼迫しておるかという問題につきましてはどうかと思う点もいろいろありますので、価格につきましてはおそらく下期におきまして、私は相当心配な点があると思うのですが、やはり行政指導によりまして、何とかして価格を押えて行くように持つて行きたいというふうに考えております。
○永井委員 私は帝石の関係についてお聞きしたいと思うのです。これは運営の問題についての内容が主でありますから、大臣が来てから伺いたいと思いますが、その前提条件として、一、二お伺いしたいと思います。 帝石は明七日に臨時株主総会を開いて、新しい重役陣容の整備をするというようなことを聞いておるのでありますが、それが事実であるかどうか。これに対して局長のほうではどういうふうに考えておられるか、これをお伺いいたします。
○川上政府委員 明日帝石におきましては臨時株主総会を開きまして、そして先般重役会におきましてきめました日石、昭和の方から各一名ずつ重役を入れるという問題を、その臨時総会で決めるということになつておりますことは事実でありまして、私どもの方としましては、その株主総会におきまして、それがその通り実現されることを希望しておるような次第であります。
○永井委員 人事の問題に対して政府当局がある程度の調停に立つて指導をしたということについては承つておりますが、その指導の方針と、それから明日の重役会で決まるような人事の配置、それらに対してどういう意図を持つておやりになり、これが帝石に対する従来の紛争に対して解決の方向に向かうものであるという確信を持つて、そうさしずされたのかどうか。さしずされたとするならば、どういう理由によつてこれが円満な解決の方向に進むのかという、その理由と根拠をひとつ明確に伺いたい。
○川上政府委員 明日の臨時総会が終わりました以後におきまして、新しい重役も入れた役員会におきまして、その役員間のいろいろな仕事の分担なり、仕事をどういうふうに持つて行くかということを相談するようになつているように私のほうでは聞いておりますが、この解決の問題につきましては、実は私の方から特別に干渉をしてやつたわけではありませんので、両方の方で長い紛争を続けて参りましたので、何とかして両方で妥協して、円満に事を始めてくれないかということを何べんも両方に話をしたのですが、いろいろ長い間その問題がもつれた結果、これは役所の方でひとつ中へ入つてやつてくれないか、そうしてもし裁定案でも出れば、その裁定案に対しまして両方とも服するというような話もありまして、私の方は依頼を受けまして、それに対しまして一応裁定をしたことは、これは事実でありまして、この点につきましては両方とも十分承認しておるところでありますので、明日の臨時総会なりあるいはその重役会なりにおきまして、その通り私は実現されるべきものだというふうに考えております。
○永井委員 局長の話を聞いておると、何か私企業に対して政府があまり干渉がましいことをすべきものではない。企業の中でそういう問題は一切解決すべきである、依頼を受けたから一応調停案を出したんだ、そうしてそのことがそのように運ぶことを期待しておる、こういうような話でありますが、これは、政府が大きな株主としての立場から、また五箇年計画によつて財政投資をして、これを公共的な性格において大きく国内資源の開発の上に寄与せしめようとして再出発をしようとする会社に対する責任のある態度ではないじやないか、もつと自信と、それから国の財政投資をするという責任において、この紛争の処理に当たるべきものではないかと思うのであります。現在の話では、政府は非常にしり込みしながら、重役の顔色をうかがいながらこそこそやつたんだということでありますが、人事に対して、株主として政府の発言する力がそれほど弱くて、また遠慮しなければならないという理由があるのかどうか、また調停案を出されたということが事実であるということでありますが、事実であるとするならば、この調停案はどういう見通しのもとに、このことによつて円満な解決ができるんだ、また帝石がこれによつて——この委員会においても相当いろいろ今まで議論がなされて来たのでありますが、その意見を十分いれて、これは国策会社としての十分な機能が発揮できるんだ、そうして陣容においてもこれで円満な解決ができるんだ、こういう見通しをもつてやられ、その自信をもつて調停に当たられたとするならば、これによつて十分その目的が達せられるんだというその理由と根拠をひとつ示してもらいたい、こういうことであります。
○川上政府委員 政府が相当程度株を持つておりますことは、これは事実でありますが、この株式につきましては、いつか大臣からもお話があつたと思うのですが、この株式は従来株式民主化の線に沿いまして当然民間に方へ払い下げて行くべき性質のものでありましたので、従来政府としてはそういう株主権を行使するとか、あるいは人事権に対してまして干渉するとかいうようなことはやつて参つて来なかつたのですが、今後石油の五箇年計画なり、あるいはこの法律が実施されるというようなことになりまして、いよいよ国内の資源を開発しなければならぬということがはつきり確立されて参りますれば、私どもの方としましてはだんだんそうした方面に対しても、あるいは干渉といいますか、もし紛争が将来におきましてもありますならば、これを積極的に解決するように持つて行きたいと考えております。 それから調停案の見通しの問題でありますが、先ほども申し上げましたように、私どもとしましては、とにかく政府のほうで何とかして中に入つてやつてくれという双方からの依頼によりまして、その裁定されたことに対しましては両方ともこれを実現するように持つて行くということをはつきり言つておりますので、見通しとしましては、私はこの問題については治まるのじやないかと考えておりますが、この解決案につきましては、この前も大臣からお話がありましたように、われわれとしてもいろいろその事情を聞き、あるいは従来のいきさつなども考えまして、少くとも現在においてはこういう解決案しかないのじやないかと考えてやつたものでありまして、私はこれは円満に治まるのじやないかと考えております。
○永井委員 大臣が四時ごろに出席するそうでありますから、これらの問題についてはいずれ大臣に伺いたいと思いますが、ただいま局長の答弁の中で、われわれと基本的に考えが非常に違う点が出て参りました。局長は政府の従来持つていた株は民主化の線に沿うてこれを民間に払い下ぐべき性質のものであつたが、これをそのまま持つて来た。こういうお話ですが、企業の民主化ということは株を全部民間に持たせることが民主化であつて、政府が株を持つことは民主化に逆行することである、こういう御認識のようであります。これはとんでもない間違いではないか。企業の民主化ということは、その企業を独占資本の独占にまかせないで、たとえば私企業でありましても、国民全体の福祉増進の上に経営するという道義的立場において企業が経営されるべきものであつて、おれの経営する会社だからおれがこれを自由にするのはかつてだ、こういうようなことをしてはいけないというのが、企業の民主化の方向であろうと思います。従つてその立場から申しますならば、国が国民全体の資金によつて株を持つということは民主化の方向への道である。さらに民主化ばかりでなくて、企業の社会化、いわば国民全体がその企業に参加するのである。こういう形をとることが民主化の道であり、社会化の道である。ところが国が持つのは民主化と反対なのだ、民間に持たせることが民主化だなんて、とんでもない本質的なものの考え方の違いがあるんじやないかと思うが、局長はやはりそういうふうにお考えになつているのか。これを民間のかつてにまかせることが企業の民主化なのだと考えるのか。それに対して企業の本質的な活動の方向を国民全体の福祉の上に役立たせるようにやることが民主化なのだとお考えにならないのか、この点をひとつ伺いたいと思います。
○川上政府委員 政府が国民にかわりまして株を持つて行くことが株式民主化でありますか、それとも政府の株は一般の国民に対して開放して行くことが株式民主化でありますか、その議論については、私がどちらの考えを持つているか別に申し上げる必要もないと思うのですが、従来政府の株式は一般民間に払下げをして行くという考え方で、しかも帝国石油会社は、従来の特殊会社をやめまして、一般の民間の企業にするという方針で参つておりましたので、私は従来の方針を踏襲して、そういう考えで参つているということを申し上げるほかないと思います。
○永井委員 今の民生化の問題については、いずれ大臣が来てからお伺いしますが、ただ人事の点において岡田副社長を平取締役に下げたことは異例な措置でありますが、これはどういう調停の趣旨によるものであるか。
○川上政府委員 個人的な問題についてこういうところで申し上げることがいいかどうか、この点については私自身も相当疑問を持つているのですが、その問題につきましては、日石ないしはそうした方面から入つて来るのを機会にして 〔小平委員長代理退席、委員長着席〕 みな社長を助けてお互いに同じ立場においてやろうじやないかという空気になつておりましたので、その問題については田代社長の方も十分了承されておりましたので、私はそういうところでこの問題は調停した方が一番いいんじやないかと考えましたので、先ほど申し上げましたように、私としては両方からその依願がありまして、しかもその依願に対しては両方とも十分それを了承するということでやりましたので、私はそれよりほかに方法はなかつたと考えるわけであります。この問題についてはいろいろ考え方かあると思いますが、私の立場においてはそう思う方法よりほかなかつたと申し上げるよりほかないと思うのであります。
○永井委員 爾余の質問に、大臣が四時に出席するということでありますから、あとは大臣に質問をいたします。
○大西委員長 では大臣の来るまでこのままで暫時休憩いたします。 午後三時十九分休憩 ————◇————— 午後三時三十四分開議
○大西委員長 休憩前に引続き会議を開きます。 石油関係二法案について質疑を継続いたします。永井勝次郎君。
○永井委員 大臣に、帝石の運営の問題と人事の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。大臣がお見えになる前に局長にいろいろお尋ねして来たのでありますが、明七日に帝石の臨時株主総会が開かれて、重役陣の新しい人事が決定するということであります。委員会においては、今これらの帝石の今後の問題が議題になつて論議をしておるのでありますが、これは人事の問題とこの法案で決定するところの、今後われわれが帝石に期待する企業の運営の方向とはマツチしなければいけない。人事は人事で独立してきまつてしまう。この案によつて今後の帝石の運営については、公企業的な、少くとも国策会社的な性格においてこれをやつて発展さして行かなければならない。そのために現在五箇年計画による財政投資を始めようとしておる。これらの、会社に期待する会社の性格と、これを運営して行く人事の問題とがマツチするどうか、この問題は今われわれは重要視しなければならない段階であると思うのであります。そこで局長は今度の法律が通りますれば、配当の制限とか何とかいう面で、相当に運営の上においてチエツクして行ける、その面で十分御期待に沿うことができる、こう言うのでありますが、これは消極的な問題である。この帝石が少い資金をもつていかに国の期待に沿うようにこれを運営し発展さして行くかという、こういう積極性を持たせるためには、どうしてもこの運営の衝に当る人事の問題を重視しなければならない、かように思うのであります。ところがこの人事の関係に対する考え方が非常に甘いのではないか。単に社長派だ、菊池派だと紛争している。この紛糾し対立している二つの勢力において、まあまあということで調停して、そうして国策会社的な性格で発足しようというところに非常にちぐはぐな考えがあり、この会社に対する打込み方が甘いのではないかと思うのでありますが、大臣はこの点に対してどういう御決意であり、人事の関係とこの再出発しようとする帝石に対する今後の運営の指向をどういうふうにマツチさせようとお考えになつておるか、これをひとつ伺いたいと思う。
○愛知国務大臣 本件につきましては、一昨日の当委員会におきましても、私の考え方を詳しくかつ率直に申し上げたのでありますが、要するに私の考え方はこういう考え方でございます。ともかくも金額の高は別といたしまして、国家が乏しい財政の中で、一国内の原油資源開発のために一億数千万円の金を補助金として出そうということを予算の上ではお認めを願えたわけであります。これを実際の問題としてどこがその補助の対象となるかといえば、大体帝石が中心であるということは間違いのない事実であります。ところで帝石につきましてもいろいろ私も考えたのであります。御承知のように当初は石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部改正というようなことを考えておつたのでありますが、これではなまぬるいと思いまして、この会社の内容というものの性格上、法律的に特殊会社ということにはなりませんけれども、常識的に考えた場合にこれを特殊会社的なものにするというところまで踏み込まねばならぬ。ただいま御指摘の通り、今回御審議を願つております特別措置法は、配当の制限もやれるし、試掘権その他の取消しということもやれるという近代の立法としては相当高度の立法だと思うのであります。これを御審議いただいてお認め願いますならば、これからの行政の大道は非常に強いものになると思います。またそうしていただくことが国内の原油政策の推進のために必要と認めて、こういう法律案の御審議を願つておるわけであります。しかしながらこれは人事について国家が任命するとか罷免するとかいうような、いわゆる法律上の特殊会社ではありませんから、人事の問題はまた別に考えなければならないと思うのであります。しかしながら別に考えると申しましても、従来のような帝石とは実際上性格がかわつて来たわけでありますから、この人事に対しましても、政府としては重大な関心を持たざるを得ないと考えております。従つて川上局長からも詳細御説明をいたしたかと思いますが、人事につきましていろいろ私も慎重に検討いたしまして、現執行部というか、むしろ社長の従来の考え方あるいは従来のやり方等について、これを政府としてはいわゆるバツク・アツプする、これを支援して、これを中心にして運営することが最も妥当であるという結論に達しまして、社長と、それから従来においては対立する派があつたわけでございますが、それらとの間のいろいろな話合いにつきましてわれわれとしても終始関心を持ち、また社長を中心にしてこれがうまくまとまるように、われわれといたしましては重大な関心を持つて今日に至つたわけでございます。そこで具体的に言えば、田代社長がどういうふうに関係者との間に話をつけて行くか。また社長が社長の地位において、政府あるいは国会等国民的なバツクを持つてこれからやつて行くためには、どういう行き方がいいか。またあまりに摩擦を起さないでとりまとめて行くのにはどういう方法がいいかということで一つの結論を導き出したわけであります。私はこのやり方でとにかく推進してもらいたい。そうして必要に応じてわれわれといたしましてはさらに支援を惜しまない、場合によりますれば政府としてはさらに一段と断固たる処置に出なければならぬかとも考えておりますけれども、ただいまの新しい発足に際しましては、こういう程度のところで行つてもらいたいと考えておるわけでございます。それで法律案の審議とそれとが前後するではないかというお話でございますが、これは私が今申しました通り、これを一つきめたからといつて、これが絶対不動のものじやないのじやないか。これからさらに法律案が衆議院で御審議を願い参議院へ参りまして、そうして国会としての御意思がこれらの審議を通じてはつきりするでございましようが、必要に応じてそれらともにらみ合せてさらに断固たる措置に出ることも必要じやないか、こう思うのであります。同時にこの法律において配当の制限もする、経理の内容について政府の意思が非常にはつきり入つて参りますから、株をどうこうするというようなうま味はこの会社としてはなくなる。それどころではなくて、非常に高い国家的な要請を背負うわけでありますから、こういう機構にして参るということになれば、おのずからこの中で運営に当る人たちの気組みも一新して行くのが当然だろうし、それを私は期待して行きたいと考えておるわけでございます。
○永井委員 大臣のお説は私に賛成であります。ただ可能な条件が具備されるかどうかというところに問題があると思うのであります。現在帝石における人事対立の本質的な原因がどこにあるかといえば、単に田代社長対菊地重役という対立ではなしに、そこには会社経営に対する基本的な考え方の対立が、そういう三つの勢力の対立になつて来ておると思うのであります。われわれの聞き及ぶ限りにおきましては、田代社長は公企業的な立場で国の要請に十分こたえて行くような運営をやつて行きたい、こういう立場をとつておると考えます。菊地派はいろいろその勢力の内容から見ましても、証券関係の、株を持つておる人が多い。そういうようなことで、この帝石という場において株の操作をやる、あるいは株に対する高率配当を要求する、こういうような立場を会社の運営について大きくとつておる。こういう二つの考え方の対立が、現在二つの勢力の対立になつて現われて来ているのであるから、今後今までの私企業的な性格のものではなくて、公企業的な性格へ質的な転換をし、それを強力に推進して行くにあたりましては、この会社経営に対して二つの大きな意見の対立を、再出発にあたつてこれをどういうふうに調整し、国が要調する可能な条件を、人的な構成においてどう組み立てるかということが今日再出発において特にわれわれが留意しなければならない重点的な問題だと思うのであります。ところがこれほど重要な内容であるにもかかわらず、政府がある程度大きな株主としての立場で口を出し、調停をした関係は、副社長を平重役に引下げる、それから一面菊池派の斎田という者を監査役から重役に繰上げる。それから監査役に昭石から早山といという者を入れるというように、逆に社長の勢力を弱めて菊池派の勢力を強化するという人的構成に持つて来たということは、大臣の現在の御答弁とは逆な方向ではないか。われわれは、現実の面として何としても、従来の私企業的な内容において株がものをいう一つの会社の中の勢力分野の中においては、そう急には狂瀾を既倒にめぐらすような手は打てないにいたしましても、少くも国が指向する方向はここにあるんだという強力な意図が調停の中に現われ、そうして今後の運営においてその指導方法を強力に打出すのでなければ、単に現われた事実において配当を制限するんだ、こうするんだということでは私はいけないのではないかと思う。こういう会社経営に対する二つの本質的なものの考え方の違いが、ことに利害を伴う内容として内部で紛争を繰返すならば、われわれが現在投資をして急速に国内資源を開発しようという意図に沿わないような方向に動いて行くのではないかということが心配されるのであります。明七日臨時総会を開いて新陣容が整備されるわけでありますが、今後の会社の指導に対して、少くも大きな株主としての発言力において、これら心配される点をどういうふうにお考えになられるか。われわれの望むところは、この際再出発にあたつては全部重役陣に総退陣をしてもらつて、その中から再編成するというような思い切つた手が打つていただきたいと願つたのでありますが、それにしても次善の策としてもつと打つ手があるのではないか。そういう事柄が非常に手ぬるいということが心配されるのでありますが、その心配は、たとえば菊池派の南という重役については、これは池田勇人氏と親戚関係であるということを聞く、あるいは南氏が極洋捕鯨の社長になつた前の社長は現在の小笠原大蔵大臣である。実質的にはこの新発足する国策会社の性格には沿わない経営方針を持つておるけれども、こういう人たちのつながりで、ある程度社内において支持される大きな力が通産省の中にも政府の部内にもあるのではないかということが、今後新発足する会社の中に、私は大きな暗影として心配される面があるのではないか、こう思うのでありますが、この点に対する大臣の確固たる所信と、それから今後社内において事ごとに運営の上において利害相反する二つの勢力が対立して、正常な発展の上に支障が予期される条件に対して、どういうふうに対処されるのか、この点を伺つておきたいと考えます。
○愛知国務大臣 ただいまのお話は私もまつたく同じような考え方なんです。ただ違うところはどこかというと、現実に伝えられるような、明日以後の総会あるいはそれ以後の新しい重役会において、どういうポストにだれがつくかということの問題の中で、たとえば現在の副社長が新しい重役会においては平取締役になつてどういう仕事を担当するかというような点が私は違いだと思うのでありまして、私はあくまでこの田代社長は——先ほども申しましたように私も同感なんでありますが、公企業的な立場において運営して行きたいということにかねて努力した人であると認めます。また今回こういうふうな法律の御審議を願つておる場合に、こういう法律のもとにおいて運営される場合において、その主宰者として、この人が現在のところにおいては最も適当な人物であると思いますから、私はふだんの場合とちよつと異例の措置ではないかと思うのでありますが、先般来率直に私は衆参両院の通産委員会を初めとして、他の機会におきましても、通産省を代表して全力をあげて田代社長がうまくやれるように応援するんだと、具体的に名前を出して申し上げておるのは私としては並々ならぬ決心をしたつもりでございます。ただ田代氏がこの小むずかしい、しかもいろいろ人事関係があつて、しかも政府も株式の過半を持つているわけでもございません。一応先ほど申し上げましたように、会社としては私企業体なのでありまして、その間においてかえつてうまく掌握するためには、場合によつては自分の肉を切らしてもいいからほんとうに掌握したいのだ。しかも今後におきましては、政府のこれに対する力の入れ方はまつたく生れかわつた力の入れ方になるのでありますから、今後そういう解決策が手ぬるいということでありますならば、しかもまた法律がかわつて、法律が新しくできて、そうして配当の制限を私どもは行政的にやりたいということも表明しておるのでありますが、そういう公企業体をただいまおあげになりましたような株屋的感覚でこれを運営しようとする人があれば、今後においてもこれは政府として重大なる関心を持たざるを得ない。断固たる措置に出ざるを得ない、私はこう思つております。しかも私は自分の信念といたしまして、ただいまいろいろひもつきのようなことを言われましたけれども、断じてさようなことはいたすつもりはございません。もしそういうような勢力があるとするなら、まず社長に手をつけなければならぬかと思うのであります。私はその社長を絶対的に援護して参りたい、こういうふうに申しておりますことで御了解を願いたいと思います。
○永井委員 最後に一点。今後この会社が、国が要請するような発展をするかどうかということにつきましては、精製三社——日石、昭石、日鉱、この三社が国内資源の開発に対してどのような協力をするかということがやはり大きな関心事であろうと思うのでありますが、これらの国内資源の開発に対して、どのような協力態勢が仕組まれておるのか、有機的な協力が可能な条件がどういうふうに予定されておるか、この点について伺いたい。
○愛知国務大臣 この点も私はまつたくごもつともだと思うのでありまして、今回の人事の案等につきましては、それらのことも十分にらみ合せて措置をいたしたようなつもりでございます。先般私は、これはほんとうに腹を打明けて申し上げるのでありますが、こういう問題の処理、私の申し上げ方があるいは熟さないかもしれませんが、何もかも人事というようなことになつて、だれから見ても百点だと思うような解決策は私はないと思うのでありまして、ステツプ・バイ・ステツプに着実に参りたいと思うので、この精製三社との関係におきましても、あるいはそのうちのある部分につきましては、これは不満であつたというようなこともございますのでしよう。しかし私は基本的にこれと提携して行かなければならないということはまつたく御同感でございますから、今後他の面におきましても、精製三社との間の連繋を強化したいということにつきましては、政府としてもできるだけの協力を惜しまないつもりでございます。
○永井委員 ただいまの大臣の御答弁は満足すべき状態であると私は存じます。基本的にわれわれと同様であり、そのようなお考えをもつて今後これらの会社の運営、指導にお当りを願いたいことを希望いたしまして私は質問を終ります。 —————————————
○大西委員長 次に可燃性輸出織物に関する件について発言の通告がありますのでこの際これを許します。笹本君。
○笹本委員 私の質問に対しまして先日本委員会において懇切なる答弁をいただきましたが、それを拝聴して本問題につき政府においても非常な努力を払つておられること、また答弁の冒頭に述べられました、この禁止法施行に至るまでの一箇年間の猶予期間を無為一に過したことについて、その陳謝の辞一についてもあわせて了承するのであります。 元来わが国の絹産業は、他の多くの産業が外国から主原料を輸入してやつておるのでありますが、この絹業に限つては日本の桑と蚕とによつて純然たる国内の資源の上に立つものであります。しかも世界の絹生産の絶対多数を占めておるわが国の代表的重要産業であることはいまさら言うまでもございません。その主要輸出産業であるところのこの絹に対して、かくのごとき問題が起きたことはまことにこの産業の上において重大なことであります。昨年の秋のミラノにおけるところの国際絹業大会では、生糸、絹の価格をもう少し安くすれば、現在の需要が四倍、五倍、あるいは六、七倍まで伸びることは容易であるというのが各国の出席関係業者の異口同音の声であつたのであります。この価格を下げるためには、その根本であるところの桑の反収を上げて増産をはからねばならない。ミラノ会議より帰つた私ども日本代表はあらゆる機会に増産の必要性を説いて来たのであります。そして養蚕農家を初め各関係業者においてもまた大いに気負い立つて、その輸出産業のホープであるところの絹生産はようやく軌道に乗り、上向しつつあるのでありますが、不幸にしてこの問題が生じ、今日の事態に立ち至つたのでありまして、返すがえすもまつたく遺憾にたえないところでありますが、これが養蚕農家の意欲を大いに阻害し、絹、特に軽目羽二重の生産地帯は崩壊に瀕し、家内工業による数万の加工業者がその生活の脅威にさらされておるのであります。伸び悩みのわが輸出貿易に大きな影響を及ぼしておるのであります。実にゆゆしき社会問題、死活問題になりつつある現状であります。現に福島県の川俣地方におきましては、県民大会を開いて、各方面に陳情、決議しております。しかしその中には、「救え、われらの生命線、禁輸するなら白い羽二重が赤くなる」というようなモツトーのもとに、しかも遠くアメリカの婦人にも呼びかけておるような次第であります。これはただに川俣ばかりではありません。各地において熾烈なる運動が展開されて、全国大会にも発展しようとしておるのであります。今や繊維税反対運動以上の大きな問題とならんとしつつあるのであります、が問題がかくのごとく深刻であり、運動が真剣死活の様相を帯び、ひいては日米間の感情問題、国際問題化せんとする趨勢にある今日でありますから、私は、大臣の答弁に、重ねてあらためて重要なポイントについて二つ三つ質問したいと思うのでありますが、時間の関係上質問を一括して申し上げますから、一括して御答弁を願いたいと思います。 まずその第一は、七月の一日からこの禁止法案を実施されるというのでありますが、ちようど六月、七月前は春蚕の出盛り期に当るのであります。先般も申し上げましたごとく、この際養蚕農家が、どうしても製糸業者にその条件をつけられて買いたたきをされぬとも限りません。これに対して大臣は万全の処置をとりたいとの御答弁でありましたが、その万全の処置とは具体的にどんなことであるか。これは農林省に関することでありますが、この点についてまず伺いたいのであります。 その二には、政府の本問題に対する処置、対策の周知方法であります。政府が今とつている諸処置について、もつとわかりやすく、もつと広く、もつと迅速に国民に知らせる必要があるのではないかと私は思うのであります。答弁によれば、府県知事及び新聞または各種団体に流したとありましたが、さらに広く積極的に新聞とかラジオ等を利用し、活用して、少しでもすみやかに、少しでも具体的にかつ明確に広報周知させていただきたいと思うのであります。絹を禁止法の適用除外にすべく努力していることは業界にはわかつております。さらに大臣、繊維局長の答弁せられたところの輸出保険の適用範囲とか技術員の研究とか、あるいはまた米国USテステイング・カンパ二一への絹織物の加工研究の依頼とか、また四月二十二日の米国における公聴会への公述人の派遣とかについて、もつと周知徹底させる方法を積極的にやつていただきたいと思うのであります。これについての御意見をまず承りたい。なぜなれば国民の不安と動揺とは深刻であります。地方関係業者にとつては死活問題と申すべき真剣な重大問題であります。先般も私長谷川委員とともに私の郷里である桐生の輸出振興会に参りましたが、ここにおいても、この問題をまつたく真剣に取上げたのであります。 その三は、この禁止法に関する情報キヤツチの問題についてであります。在外公館からの情報、通信がおそかつたこと、いな、なかつたと言つてもよいくらいであつたのではないかと思うのでありますが、このことが事態を今日の混乱、狼狽に追い込んだ最大の原因であることは明白な事案であります。しかし優秀な適格者が在外公館に派遣されているはずであります。このように情報、広報が全然なかつたとは実際問題としてはおかしいくらいであります。この意味において、私は大臣の飾らないところの率直なお答えを期待するものであります。わが国の在外公館には各省から優秀な人々が、特に通産省からは最も優秀な人たちが十七人も派遣されておることは私もよく知つております。そしてこれらの人々が通産関係の仕事を本務として努力していることも当然であります。現に私は昨年欧米視察の途次にこの人々の活動を見て参りました。しかしながらこれらの人々はその身分は外務大臣の統括下にあるのであります。外務当局者とは、通商事務に対してその理解においても知識においてもまだ熱意においても著しく異なるものがあると思います。これらの事情が互いに相からみ、さらにその上に予算面の事情も加わつて、実際活動の上にいろいろな制約となり、本来の活動に支障や不便や齟齬を来して、今回のごとき大失態の原因となつたのではないかと私は思うのであります。従つてこの意味において通産省から派遣される商務官系統の活動は、通産に関する情報とか報告を通産相に直送するわけには行かないだろうかと思うのであります。しかし事務の記録とかいうことについては外務省にこれをとどめておいても、実際情報というものはそのときに来てそのときに聞くべきものであります。あらゆる観点から調査し、それで十の報告があつて、それが二つや三つはむだになつても、直接受けたところにそのすべての商務の関係の情報が生きて来る。この種の事務分掌を実際に即して改善することがまつたく大切ではないか、それが一刻も争う重大な世界貿易戦に伍してひけをとらぬゆえんであると私は思う。その調査によりましては、その在外公館のうちから、あるいはその国の生産地あるいは需要地に向つて調査に行きたい、あるいは品物の展示会をやりたい、あるいは現に聞くところによりますと、最近シカゴに博覧会があるということでありますが、そういう場合には、やはり通産省の関係から行つている人をそこに派遣して実際を見させたい。ところがこういう問題についても、外務省においては、その理解がないように見受けられるのです。また電報その他においても費用の関係もあつて制約されるのではないか。こういう点がつまり、最初は熱意がありましても、外務省の関係はただ外交関係だけにひいでておつて通商関係の方に理解がないから、そういつた日々の仕事の関係にその熱意をだんだん稀薄ならしめるのではないか。通産大臣におかれましてはこのことに深く思いをいたして、外務大臣と御協議の上、しかるべく善処、改善あつて、即応かつ自由なる本来の活動ができますように御努力あらんことを期待するのであります。今日の実情は、ある意味では宣伝戦、情報戦であることは申すまでもありません。私のこの一提言に耳を傾けられ、また今回の不幸な災厄が転機となつて、いわゆる災いを転じて福となすで、今後わが在外公館が正確にして迅速、的確にして鋭敏な通信活動に入ることができますならば、国民の一人として私は心から喜ぶ次第であります。 その四は、本問題に対する政府の認識の問題であります。さきに大臣は率直にかくのごとき問題になるとは思わなかつたと述べられたのであります。これを重ねて追究するのはちよつと失礼なように思いますが、問題は、この種のエチケツト問題である以上に、重大かつ深刻であるという意味からして御了承願いたいのでありますが、ここで私は声を大にして、一言にして尽せば、政府の認識の浅きを糺弾したいと思うのであります。いや、これは私一個の声ではございません。全国数十万の関係業者の声であり、日本の再建を心から念ずる国民の声であると思うのであります。さきに述べましたように、絹生産がわが国の重要産業であるにもかかわらず、その影響打撃の大なるこのアメリカの禁止法を軽視したというそのこと自身に、実は根本的問題が存すると思うのであります。この意味において、この禁止法を軽視し、この一年間を空費し、事態を今日の苦境に追い込んだ政府の怠慢と無策と認識の浅さは大いに責められなければならないと思うのであります。 そもそもわが国の絹の生産は、御承知のごとく中共地区を除いて、実に世界の生産額の八割二分を占めておるのであります。世界第二位といわれるイタリアにいたしまして、わずかに一割にすぎない実情であります。わが国の絹は、輸入資源に依存することなき、純然たる国内資源の生産物であります。その意味で重要輸出品目中の大宗であることは、小学校の生徒すら知つておるところでありまして、何人も絹生産の重要性に対しては深い関心を持つているのが事実であり、かつ当然であります。しかるにさきの御答弁では、欧米各国でもこの禁止法に気づかなかつたと申されましたが、あたかもそれをもつて陣弁の擁護事実とするがごとき口吻を感ぜられたのでありますが、世界中が寄つてたかつてやつと一割七、八分しか生産できぬ絹の問題に、どうしてわが国ほどの関心と熱意がありましようか。事情が根本的に異なる欧米と同様に語るということ自体がおかしいと申さなければならぬと思うのであります。さきに申しましたミラノの世界絹業大会は、参加出席国は十七箇国でありまして、三百人近い代表者が集まつたのであります。アメリカからもまた多数の代表者が出席したのでありますが、この会議において先般も申し上げましたが、わが政府からは本省の繊維局長、農林省の蚕糸局長がこの会議に出席しているのでありまするが、この禁止法問題については、一言半句の発言もなかつたのであります。まことに遺憾千万なことであります。一箇年という猶予期間がありながら、何らなすことなく過した政府の怠慢、無策とともに、国民あげての非難の的となつておるのは御承知の通りであります。この意味において政府のこの態度は、当然行政監察にまわすべきだという強硬な意見もたくさんあるのであります。私は政府の良識に訴え、特に愛知通産大臣の誠意ある善処に期待して、この通産委員会で論議を尽したいと思つておるのであります。 元来から申せば、この問題の重要性にかんがみ、関係大臣として外務大臣あるいは農林大臣の出席を要求したいのでありまするが、通産大臣が責任をもつて普処せられて、各関係の大臣と十分談合して、協議しまして、この問題をまつたく不安のないように、全力をあげて解決に邁進せられることを望むのであります。 それから先般来この問題が起きますると当局においていろいろな資料を提供していただきました。まことにその誠意は了承いたしまするが、どうかこういうことを各業界になるべく早く知らしてもらいたい。二十二日に公聴会がありまするが、それに対するいろいろな機密のことは話せなくても、ある程度のことを至急話してもらいたい。また新聞その他に相当詳しく報道されておりまするが、ハンカチとかあるいは帽子の飾りとか、手袋とか靴下とかいうものが除外されている。あるいはまた下着類も除外せられておりまするが、マフラーのごときはどうであるか、あるいはまたスカーフのようなものはどうであるかというように、品目にわたつて報道をしていただきたい。ただ今次の問題が一番衝撃を与えているのは、この問題によつて、今までの発表及び先般の大臣あるいは政務次官、繊維局長のお話を聞いて参りますと、最初は国民は、アメリカでは化学繊維を擁護するために、日本の綿製品の輸入を抑制するために起きたんじやないかという考えが当時あつたのでありまするが、だんだん探究して参りますると、これはほんとうは火災の関係、衛生の関係から来ておるということが今はつきりして来たのでありまするが、ただこれによつてアメリカが絹を買わなくなつたというこの一事なんです。これで農村なんかにおいては、輸出が少くなつて来れば麦作の方が率がいいのじやないかというような関係、あるいはまた関係業者においても必要以上の心配をしておる。ただ一年前にこの問題が出て、それに探究を進めて来たならば、かくのごときことはなかつたろうと思うのでありまするが、この機会に大いに反省し、この法案がなるべく輸出に支障のないように万全の努力をすることを要求しまして、私の先日の大臣に対する質問に対して、この五点ばかりの問題を重ねて質問いたしたいと思います。
○愛知国務大臣 この問題に対しましては、先般の当委員会でも申しましたように、私といたしましてはまつたく遺憾なことでございまして、せめてひとつ対策におきまして、できるだけのことをいたしたいと考えておるようなわけでございます。 ただいまおあげになりました諸点でございますが、まず第一の春蚕に対する万全の策はどうかというお尋ねでございますが、これはたとえば糸価安定というような糸の価格それ自体については、従来もいろいろと慎重に検討されておつたわけでございまするが、通産省といたしましても、たとえば繭の掛目の決定というようなことに対しましても、やはり通産省の立場においても、農林省その他関係の向きに意見を申しまして、十分の協議を遂げてもらうようにぜひ今回はいたしたいと考えております。これなどが一つの新しい着想でございますが、その他考え得まするいろいろの点につきまして措置いたしたいと思つております。 それから第二の点は、情報を広く迅速に、かつ詳細に徹底するような措置を講ぜよという話でございますが、まことにその通りでございまして、私どもといたしましては、この問題が起りましてから、できるだけ迅速に、措置しておりますることは流すように努めておるのでありますが、あとでも申し上げまするように、何分この交渉それ自体が隔靴掻痒の感なきを得ないために、的確に早く情報を流し得ないうらみがございます。たとえば大使館筋を通して、アメリカ政府当局としてはこういうふうな考え方をとつてくれておるらしいことはわかりましても、実際これは国会方面において、はたしてそれに同意してくれるのかどうかわからないというようなこともございまするので、先般も申しましたように、ただいま私といたしましても、駐日米国大使館の経済担当のウエアリング参事官等と緊密に連絡をとつて、非常に親切にやつてくれておりまするが、まだ今日のところ先般申し上げましたより以上に申し上げ得るような満足すべき情報がないことを非常に遺憾といたすわけでございます。 第三の情報の収集で、過去一箇年間在外公館が何をしておつたかという点につきましては、これはまつたく私としては先ほど申しましたように申訳ない点でございます。特に欧州の各国で知らなかつたということは、その比重がまつたく違うではないかという話で、これもその通りでございますことをおわび申し上げますが、これは前回も申したと思うのでありますが、弁解がましくなるが欧州でも知らなかつたようだという程度に軽く申し上げたつもりでありますが、この点は不穏当の点は取消させていただきます。 それから外務省と通産省との関係でございますが、御指摘の通り十七人かの通産省の官吏が、外交官吏の資格をもちまして在外公館において働いております。それぞれきわめて優秀と思われる人を配当いたしておるつもりでございます。同時に御承知のように外務本省から、通商局長以下外務省の優秀な官吏を通産本省に来てもらいまして、外務省との連絡に特に意を用いておるつもりでございます。在外公館との連繋の問題でございますが、これはいろいろの関係から電信、通信、それから指揮監督を戦争前のいろいろの弊害にかんがみまして、外務省に一元化するということについて、各省とも協力をいたしておりますので、御指摘の通り、暗号の電信その他においては本省との連絡に多小時間のかかることもございましようけれども、これはただいま申しましたように、人的に相互交流人事をやるというようなこと、あるいはまた私にいたしてみますれば、常に外務大臣と特に緊密な連繋を仕事の上でとつておりますが、そういうことにおいて足らざるところをカバーするような配意をいたしておるのでございます。これも弁解がましくなるかもしれませんが、実はもつと通産本省としても、日本の最近の条件を知つておつて、しかも海外の情報に詳しくするためにはもう少し短期の出張なども多くしたいと思うのでありますが、何分外国出張旅費が一年五万ドル程度でありますから、まことに配当等には苦労いたしておるような次第でございまして、年度が新しくなりましたので、実は今朝もこれをどういうふうにしたら最も効果的に使うことが考えられるのであろうかというような点について、事務次官以下とも協議をいたしたような次第でございますが、これらの点は今後できるだけ与えられた条件のもとにおいて連携をよくし、また海外情報の収集ということに特に意を用いたいと存じます。 なおこれも蛇足になりますが、実は日本側の報道機関も、それから外国側の報道機関も、報道機関の性質として非常に迅速に情報が入るのでありますけれども、それはもちろん私どもも敬意を表しまして利用させてもらつておりますが、ときにはいわゆる公報ということがどうしても遅れがちになるという点もございまするので、この点も蛇足でございますが申し添えておきたいと思うのでございます。 それから第四点は、世界の八二%の絹の生産を持つているのは日本ではないか、それにもかかわらず欧州各国云云とお答えしたり、あるいはミラノの世界絹業大会において一回も発言をしなかつたじやないかという点、これも先ほどの問題と同じでございまして、あるいは認識の深さあるいは努力の程度に足らざるところがあつたと思いまするので、今後十分気をつけて参りたいと存じます。 最後に行政監察というようなお話もございましたが、この点は国会でおきめになることでございますから、何も申し上げることはございませんので、われわれといたしましては、今後の措置におきましてできるだけ失点を回復するような努力を新たにいたしたいと考えます。 それからもう一つつけ加えますが、マフラー、スカーフ等の問題、この点は実は私自身が先方の大使館筋等と話をしたときにも、その私どもの詳細な話についてはまつたく同感なんでありまして、マフラー、スカーフというようなものは、とにかく一旦事があればただちに取除けられるものだ、そうすればその法案の趣旨と何ら反するところはないはずだ、それらの点についてはすでに十分自分らとしても連絡をしたつもりであるけれども、特にあなたのお話なり陳情に対して事こまかに本国の方へも連携をする、こういうようなことでございましたが、先ほど申しましたように、遺憾ながら向うの国会方面もこれで納得したというところまでの回答はまだ受けておりません。さらに毎日のように督促をして、先方の方の態度を緩和してくれるようにこの上とも懇請いたしたいと存じます。
○笹本委員 今の大臣の説明を了承いたしまするが、大臣に非常に私の言うインテイズブといいましようか、いんぎんでしかも丁寧でありまして、しかもそのにこやかなところに非常に不屈なる図太い態度を持つているような感じがいたします。そこでインテイズブと言うのであります。しかし今の外務省との話に少しインテイの方が多かつたように思うのであります。実際において通産省から行つている十七人の人たちは、通商のこの関係についてにまつたく真剣に働いているのであります。あなたはあるいは事務の関係とか予算の関係とかおつしやるかもしれませんけれども、大事な十七人のうち、ドイツのごときはどうですか。通産省から行つている人間に会計とか庶務をやらしておる。これであなたが黙つておるということはけしからぬです。しかも通産省関係が最も優秀に働いておる。また外務省から通商局の方へ派遣されておる、けつこうなことです。こういう人たちが外務省でも海外に出ておるところは、実際の通商関係を見ておりますから幾らかいいのです。赴任される外務省の役人が通産省の役人と一緒に行つて、工場へ行つてその製品の織物を見て、こういうふうにできるのかというような、そういう幼稚な人が向うへ行つているのです。事実そういう事実がある。事実のことは幾らでも申し上げますが、そういうふうなところへ持つて行きまして、アメリカのごときは、まだ公使の武内君が通産省におりましたので多少理解がありますが、それでもやはり外務省に非常に押されております。その点は出先におる人の実際の意欲を日に日に沮喪さしておるのであります。この点において外務大臣としつかり——その事実をあげろと言えば幾らもあります。貿易を振興しなければ日本が立たないということは、これは八千七百万の国民がみな言つておるのであります。この点におきまして、さいぜん申し上げましたインテイズブ、いんぎん丁寧はけつこうでありますけれども、国家のために図太く外務大臣と——外務大臣は実際それを知らぬ。外務省の人でも同情しておる人があります。その出先の通産省から行つておる人にもつと力強い声援を与えていただきたい。 そうしてもう一つ。先般この問題につきましては私は怠慢を糾弾したのであります。ところがここに可燃性織物法とか、あるいは要求した材料が出ておりまして、先般次官にも話しましたが、通産省関係の業者は、今までは切符を書いてもらつて、割当をもらうとかいうことで行つたのでありますが、これからはほんとうに首をつるかつらぬかの相談なのであります。でありますから、実に懇切丁寧にやつてもらいたい、まだ不遜な者もおります。そういうことを言いましたところが、ここに材料を出して来た。この裏には有本君も通訳して責任を明らかにしてこうやつて来たということは、私の先般の親切にと言つたことについて、たちどころにそれを活用されたことについて敬意を表します。今後この問題について特段の努力をお願いすることといたしまして私の質問を終ります。
○加藤(清)委員 私もこの問題に非常に関心を持つておるものですから慎重にしつぽりと承りたいのでありますが、いつも時間が迫つたころに私やらされますのですが、一体あと時間はどのくらいいただけましようか。
○大西委員長 できるだけ早くやつていただきたいと存じます。大体十五分くらいにあげるつもりであつたのですけれども、それが延びて来ましたので、私としてはできるだけ質問を要領よくやつていただきたいと思う次第であります。
○加藤(清)委員 おとなしい委員長の命令でございますから、なるべくその委員長の仰せに従いまするが、大体この問題は与える影響が非常に大きい。そこでこれに対しては国会対策にしても、あるいは議運の方にいたしましても、しつぽりと委員会でやるようにということで、本会議にせつかく上げるべきものを、しつぽりやるためにここへ移されたのでございまするから、私はこれが各党一致してきまつたことでございまするので、しつぽりと聞きたいと思うわけでございます。 まず第一番に被害の問題でございまするが、もしこの法律が通りましたならば、一体日本としてはどの程度の被害をこうむるかという問題につきまして、政府の御答弁では、大体三百四十万ドルから五百万ドルであるというお答えでございました。しかしながら日本商工会議所の発表によりますると——もつともこれは対象とパーセンテージが違えば別になるのでございまするが、少くとも八百万ドル以上という数字を出しておるのでございます。私はその数字の相違を云々するわけではございません。いずれにいたしましても、この数字は日本の軽目羽二重に対しては莫大な影響を及ぼすということでございます。そこで、この問題が事実このまま行われることになりますると、政府の輸出振興ということは、絹においてはから念仏に終つてしまうということでございます。それのみならず、先ほど同僚委員からもお話がありましたように、去年六十年来の霜害で苦しみました百姓、お蚕さんを涙とともに川へ流したお百姓さんは、今度また春蚕の掃立を前にいたしまして、これを見合わさなければならないという状況になつている。これに対して農村では、政府の対策に対して怨嗟の声が満ち満ちている。私は先般来郷里にも帰りましていろいろ聞いてみました。その後陳情も来ておりますが、これに対して一体政府としてはどういう対策があるのか。さればこそ農林大臣の出席を要求したわけでございます。幸いにして農林省から来ていらつしやるようですから、この点農林省としてはいかなる対策をもつて臨まれるかを承りたい。先ほどお話がありましたように、買いたたきが行われるのみならず、掃立をも見合わさなければならないというこの状況、これを一体どうするか。それからまた、軽目羽二重がほとんどいかれるということになりますと、ただでさえ自転車操業で苦しんでいる機場を一体どうしてくれるかということなんです。機場の機械が自転車操業であればこそ、待つておればこそ動いておるのでございますが、これが売れないということになれば、勢いほかのものに転向しなければなりませんが、繊維局長御存じの通り、軽目羽二重を織つていたものを急に重目の羽二重にしなさいとか、あるいは八端や銘仙にかえなさいと言つてもこれはちよつとできません。一体これをどうしてくれるのですか。それにこれを商つておりましたところの商社でありますが、さなきだに不渡り手形とか倒産商社が続出し、それが繊維に固まつて、倒産商社の約四〇%は繊維を扱つている連中である。これはよく御存じのはずでございます。これが遂に扱えない、材料を扱つていてもなお倒れて行く。それが金も扱えなければ、材料も扱えないということになつたら、一体これはどうなるのです。さればこそ私は先般来何べんもこの倒産商社続出の折柄、これに対する対策を承つておつたわけでございますが、こういう悪材料がプラスされた今日において、一体政府としてはどのような対策をもつて臨まれるのでございましようか。通産大臣のインテイズブだけではこれはとうてい乗り切れないのじやないか。そこでいんぎん丁寧は私は賛成でございますが、ほんとうに熱意を込めてこれを救うという対策があるかないか、これについて承るわけでございます。 それから片やアメリカに対する態度を、われわれが云々してみても始まらぬことでございまする。降車に向うかまきりであるならば、これはやむを得ぬことでございますが、それでもアメリカ経済にべつたりと依存している日本であるということは、向うもよう知つているはずなんです。ところがMSAでどれだけくれるかはつきりわかりませんが、絹で一千万ドル近い金がやられたということになりますと、これはついついになつてしまうのです。そこで私は実にふかしぎでかなわぬのでございますが、向う側は太平洋のまん中で火のついた灰を降らして、日本の若い青年の頭をやけどさしておきながら、長年使いなれた絹をきようこのごろになつてから、やけどをするからそれは困ると言つて、いかにヤンキー・ガールが横暴をきわめるからといつて、これはちよつと行き過ぎじやないか、私はそう思えてかなわぬのですが、大臣さんはこれをどう考えていらつしやるか。そこでこれは政府だけじやない。もうすでに国民の声になつている。だからこそ商工会議所の会頭の藤山愛一郎さんまでが、何とかしてもらわなければ困るじやないかという抗議文を出しておられる。民間でさえもなおかつしかりです。ましてやその責にあり、業界の指導育成に当つているあなたでございますから、アメリカに対してはもそつと図太く対処していただかなければならないじやないか、こう思うわけでございます。 次に、同じようなケースがインドネシアにあるということを御存じでございましよう。これに対して繊維局は一体どう考えているのか。ジヤカルタ電によれば、すでにインドネシアの政府は、綿糸も、化繊糸も、毛糸も、これは自分の国の業界を守るために、自給自足のために、国内の販売までも政府が統制する、今後の買付というものも、政府が一切一括して行う、こういうことに相なつているようでございます。これは政府の方へ打電があつたかなかつたかは知りませんが、私はこの問題を商社筋からいち早く聞いているわけでございますが、こうなりますと、ライセンスをとつておつたところはよろしゆうございますが、そうでないところは、おそらくキヤンセルに相なるではないかということは、これはだれしも想像のつくところでございます。こういう問題に対して、一体政府の方へ通知があつたのかなかつたのか、もしあつたとするならば、これに対してどう対処されようとしているのでございますか。 以上申し述べましたようなケースは、糸へんの輸出につきましては間々あつたことでございます。燃えるからというようなことは初めてでございますけれども、かようなクレームだとか、あるいは買わないとかいうようなことは間々あつたことでございます。これについての対策でございますが、私は先ほど同僚委員の笹本さんのおつしやいましたことは、しごく大賛成でございます。こういう問題に対する対策の第一に、在外公館の中に、商売の上の専門家がいないということは、これは大きな痛手であると思いますが、大臣はこれに対して将来どうしようとお考えになつていらつしやいますか。私もこの糸へんに関しまして、諸外国をまわつて参りました。公館へも行つて参りました。ところが悲しいことに、例をパキスタンにとつてみれば、短繊維の印綿を買いつけるにあたつて、このことを知つている人はほとんどおらぬ。私は公館の方々の努力は十分に買います。ところがその効果の上らないことを私は遺憾に思うわけでございます。そこで、一体それをあちらではどうやつているかというと、日綿の柳川さんや東綿の広瀬さんたちが、えらい努力してこれをカバーしておられるけれども、遺憾ながら肩書が悪い。商社という肩書はどうにもならない。そこで将来でございますが、繊維局の卒業生、これをもつと在外公館に出して活躍させる意思ありやなしや、それから業界の専門家をして、公館の肩書とまでは行かぬにしても、顧問とか何とかいう、それに似たものをつけて、そうして政府のいうところの輸出振興、特に糸へんに限らず、機械に限らず、何に限らず、そのような措置をとるということは、これはすでに外国でやつていることなんです。うそも隠しもありません。インドに行つてごらんなさい、ドイツの機械なんかには、向うのエンジニアがちやんとついて来て、しろうとのインド人でも使いこなせるようになるまでサービスとして技術家がついて来ている。だから向うのものはよう売れてしまう。こういう点について、ほんとうに輸出振興策を言う政府だつたならば、一体どう海外市場で努力しようとするのか、いくら輸出振興と言つても、処女地帯というものはございません。すでに荒されている。そこへ割込んで行かなければならない日本の輸出振興の将来に対して、大臣の確固たる信念と、具体的方針を承りたいわけでございます。 最後に繊維の技術について申し上げたいと思いますが、これは私が通産委員になつてからじやなくても、その前からも再三再四言われていることでございますが、大臣はこの間の答弁の中にも、この可燃性織物、絹が燃えるからいけないと言われたことは初耳であるというような御答弁でございましたが、私はこの委員会において絹が燃えるからいけないのだということについては、すでにバイヤーからよく聞いておりますので、再三申し上げたことでございます。ちやんと記録に載つておるはずでございます。とにかく絹だつたら絹はどうしたらいいかといえば、今後の研究は燃えないようにすることなんです。綿だつたら縮まないようにすることなんです。毛だつたならば虫の食わないようにすることなんです。化繊だつたならばどうして吸湿性を保たせるか、どうして色仕上げをするか、こういうことなんです。いわば最終仕上げの研究が日本においては戦後、戦争中の空白のおかげで十年遅れておる。この最終仕上げをうまくやらないことには、どんなに繊維を輸出するするとあなたがおつしやつてみたところで、これはほんとうのから念仏に終つてしまうわけでございます。ところがこの最終仕上げの加工についてはパテントをとるだけでも大したことだし、設備をするのでも数億の金を要しなければワン・セツトも買えないという状況なんだから、これについて日本政府は集中的に何らかの手を打つ必要ありやなしや、やる意思はないかということを私は口のすつぱくなるほど再三、再四申し上げたはずなんです。ところがこれは野党の悲しさと申しましようか、私の心から繊維業界の発展を祈るこの気持が取入れられてはおりますが、その進み方が遅々としておる。まるで春日遅々たる悲しい現況だと思うのであります。なぜ私はこのことをそんなに悲しまなければならないかという一例を申し上げて終りたいと思いますが、この研究が不足のゆえに、日本製品の綿織物がさる国のバイヤーに買われて、向うへ行つて仕上げ加工をしただけでもつて、これがサンフオライズだのエヴアグレーズだのとなつて銀座の店を飾つているじやないですか。その利幅を一ぺん考えてごらんなさい。日本が原綿から長い間かかつて仕上げておるものの期間と金利と労力とその得た利益よりも、最終仕上げで化粧しただけの相手方の利益の方がはるかに上なんです。一体これはどうするのです。毛についていえば、やれ香港のバツクだとか、三角貿易のおかげで、メイド・イン・イングランドということになつてしまうのです。仕上げの問題だけなんだ。それがまた銀座を横行して、目のきかない銀座マンは、これはメイド・イン・イングランドだ、けつこうなものだと言つて買つている。 その利幅たるや——これが原毛から仕上げの織物に至るまでの日本の努力、その利益、向うの努力とこれの利益、あまりにも努力と利益が行き違いになつておる。これに対して対処するのにはどうしても繊維の仕上げ加工に努力せざるを得ない、工業技術院云云という御答弁がこの前ございましたけれども、工業技術院にまかしただけではこの空白を取返すにはあまりにも幼稚であり、あまりにも日が遠過ぎる。そんなことを言つておつたら日本の繊維は——特に文化とともに進みつつあるこの繊維は遅れをとつてしまう。文化とともに生活があり、生活とともに繊維があるというのはこれはもういにしえのことわざであつて、今日は繊維の進歩というものが国民の生活を引きずり、服装を引きずり、あのフアツシヨン・シヨーを引きずつているのだ。デイオールを引きずつているのは繊維の技術なんです。これに対して一体工業技術院にまかせただけでよろしゆうございますか。私をして言わしむるならば、このことで子供のころから苦しんで指先が染料でもうどうにもならなくなつてしまつているこれらの連中に、ちよつと指導をすればけつこうエヴアグレーズぐらいのところには追いつけます。日本のエヴアグレーズはビリだといいますけれども、こんなものは簡単にやれます。ただ惜しむらくは政府はかような目のつかない第二次、第三次の輸出振興には過去においてあまりにも援助の仕方が足りなかつたのじやないか。過去においては、それでもよかつたかもしれないけれども、繊維か技術とともに進み、文化とともに進んでいる今日においてはそれでは足りないじやないか。そうしてここに技術振興を加えることによつて初めて政府のおつしやるところの輸出振興が実を結ぶのではないか。今日幸いにしてこういうことが起きた。私はあえて幸いと言いたい。必要は発明の母である。先ほどおつしやつたように、禍いを転じて福となすのは、この時なんです。この時に手を打つて、当面の問題において混乱を起さないようにすると同時に長き将来にわたつて繊維の輸出振興を今の愛知大臣の折に、ひとつ確立していただきたい、こう思うわけでございます。要望とあわせて質問をしたわけでございます。
○愛知国務大臣 ただいまは、切々たるお話を伺いましてまことに感激いたしました。御承知のように私も絹等につきましては、至つて知識がないのでございますが、ただいまのお話で非常に得るところが多かつたように思います。 そこで御質疑の点は非常に広汎でございますので、最初の点から申し上げますが、私は被害額が今回の措置において五百万ドルと見るべきか、あるいは八百万ドルと見る方が正しいかということは、これはいろいろの見方もございましようし、今後の措置によりまして相当幅が狭くなるかとも希望いたしておるわけでございますが、問題は——私は今回の問題は、地方的に見てまつたくたいへんなことだということが今回の問題の重要性だと思うのでありまして、たとえば私の考えといたしましては、金融の引締めというようなことも非常に必要なことだと思うのでありますが、こういうふうな場合においての地方的な処理等につきましては、これはいろいろの方法によりまして、いわゆるケース・バイ・ケースの取扱いで、救済あるいは転換の措置についての政府としての協力を惜しまないやり方をすべきであると考えます。ただただいまのところは何としてもアメリカ側の方の考え方を、ほんとうにこれは人体に危険であるからという点から来ているのでありますから、その立法の趣旨通りに考えてもらえれば、相当この被害額は軽減できるのではないか。この点にまずもつて重点を置いて参りたいと思います。 その次に繭の問題等に関連いたしまして、買いたたきが行われる。これに対する対策という話でございますが、これは農林当局からお答え申し上げますが、私といたしましても、先ほど申し上げましたように、通産省の立場からいつても、繭の掛目の決定等については、従来に増して大きな関心を持つて、対策を講じたいと考えます。 それから在外公館のお話でございますが、これは実は私も在外公館の勤務をしばしばいたしたのでありますが、御指摘の通りであつて、特に戦争前におきましては、三井、三菱というような大商社が、非常な信頼を負うて、国家的に仕事をしておつた。これが外交官と協力すれば相当日本の通商行政もうまく行つておつたと思うのでありますが、いかんせん民間の方にもその後空白が大きく出ておりますので、こういう点で非常に遺憾の点が多いと思うのであります。私が個人的なあれでありますが、やつておりました金融とか為替の問題にいたしましても、役人としてはそのこまかい操作等は十分わかりませんが、正金銀行その他の協力によつて、曲りなりにも仕事ができたわけでございまして、こういう点では、話がそれますけれども、今回為替専門銀行というようなものを法律上でかしていただくようになりましたことは、一大進歩であろうと思うのであります。商売の方面に関しましても、必ずしも私は在外公館の役人としての必要はないかもしれませんし、またそれだけの組織が待遇の問題その他から見ましても、なかなかむずかしいのではないかと思います。ただ一つの着想としては、占領中に役所等の嘱託とか、顧問という制度を一綱打尽にやめられてしまつたようなこともございますが、こういう制度の復活をいたしまして、信頼のできる方に、かたわら役所の方のアドバイザーとして働いていただくというようなことも、ぜひこれを機会に考えさせていただきたいと思います。 それからインドネシアの問題につきましては、私どもも入報を持つておりますが、この件につきましては、繊維局長からお答え申し上げたいと思います。 それから絹につきまして、私は先ほどもお断りいたしましたように、率直に何もかも申し上げておるのでありますが、実は燃えないことということから来ておるので、今度のものは直接絹に来るのではなくて、いわゆる化繊等が対象かと思つておりましたが、これは私の見込み違いでございました。そこで今も御指摘の通り、私どもとすればせつかく工業技術院というものをやらせていただいて、乏しい中から、ことしでも相当たくさんの予算をいただいておりますので、役所としては、工業技術院を中心として、先ほど申しましたように、必ずしも工業技術院の技官の人だけではなくて、他のこういう方面に明るい方の御協力を願つたり、あるいは民間に工業技術院を通じて補助金を出すことによつて、最終の仕上げ、不燃性の検討を、いずれにしても早急にいたさなければ、とうてい根本的な解決はできないと思います。従つてこの面につきましては、特に勇気を新たにいたしまして、研究を進めたいと思います。 そのほか文化とともに進むような第二次、第三次的な技術面の検討、加工技術の向上というようなことにつきましては、とくと御趣旨に沿うようにいたしたいと思います。私もたまたま昨年の秋に一巡いたしましたが、通産省から行つております諸君が実によく働いておりますことも、ただいまおほめの言葉もいただきましたけれども、私も非常に感激したのであります。しかし一つには何と申しましても過去においての空白が相当長かつただけに、いろいろとまだ至らない点もあろうと思いますが、これらの点は今申しましたようなことも加えまして、できるだけ早い機会に陣容を補強するなり、その他の措置を講じて承りたいと考えます。
○吉岡政府委員 インドネシアの問題につきましてお答え申し上げます。御承知のようにインドネシアといたしましては、従来先方の必需品でありますサロンの生地のキヤンブリツクにつきましては、政府の統制発注という形で注文をして来ておつたわけでございますが、最近に至りまして糸類につきましても、同じような形の統制的な措置をとるようになつておるのであります。それでインドネシアに対しまして、昨年の途中においてすでに約六千万ドルの貸越しがあり、さらにその後本年に入りまして急激に増加いたしまして、一億数千万ドルの貸越しが残つておるのであります。それに対しましてインドネシア政府の手持ち外貨は非常に僅少になつており、数千万ドルに減少しておるという事情でございます。今回の措置は先方といたしましては外貨面の窮境と、それに対して国内の製品価格の値上りを抑制するという趣旨のもとに出たものと了解しております。ただわが方といたしましては、御承知のように昨年度におきましては綿布のみで三億ヤール輸出をしております。インドネシア全体に対する輸出額の約八割は繊維製品で占めておりまして、きわめて重要な市場でございます。従つてこれに対してはむしろインドネシアからの輸入を極力促進いたしまして、いわゆる拡大均衡という形において処理をはかつて行きたい、こういう考えを持ちまして、インドネシアからの輸入については、特別の報償制度を先月初めからとつておりますが、これによつて輸入の促進をはかつて参りたい、かように考えております。しかし同時に政府の統制ないしは一手買付等の関係上、わが方の輸出価格が競争の関係で不当にたたかれるようなことが起りますと、これは問題でございますので、もしそういうおそれがあります場合には、昨年パキスタンに対してとりましたような、わが方の売込みの態勢についても考えなければならぬ、かように考えております。しかし現在のところまださような状況には至つておらない、こう考えております。 なおいま一点、特に繊維関係において、仕上げ部門について今後特に力を入れる必要があるのじやないかというお話がございました。まつたくお話の通りでございますので、今後の輸出リンク制の運用につきましても、特に加工度によるインセンテイヴの比重を重くいたしまして、なるべく優良な、加工度の高いものを輸出するように仕向けて参りたい、かように考えております。 なおこれとあわせまして、臨時租税特別措置法によりまして、いわゆる輸出免税の制度がございます。これは一般的には生産者ないしは輸出業者のみに適用があるわけでございます。しかし特に繊維部門に限りましては、加工業者についても若干の免税措置を本年の初めあたりからであると思いますが、とつていただくことになつております。これらの点につきまして極力加工度の向上並びに品質の向上につきましては努力いたしたい、かように考えております。
○加藤(清)委員 ただいまの繊維局長の丁重な御答弁は了承いたしますが、それについてぜひお尋ねしておかなければならぬことがあるのでございます。それはインドネシアの貿易では、日本は過去に再三痛い目を食つているのです。特に今お話のありましたサロンのごときは買う買うと言つてこちらでせつかくサロンにつくらしておいてから、これはもういりませんというようなわけで、戦前にもそういうことがあつて、これか公団にでんと残つてえらい損害をしたことがあつた。それから戦後におきましても、つい最近でございますが、インドネシア向けのあちらの半磁器に加藤先生もよく御存じの通りでありますが、これが瀬戸のかま場の方だけでも五億円ストツクしてしまつて、すいぶんつらい目をさせられておる。そこで今お話の通り、向うの手持外貨は非常に少い。だからこそインドネシアでできる物との交換ということに将来何らかの打開策を求めなければ、あそこの国とのスムーズな貿易は不可能じやないか、このように考えるのであります。幸いにしてあそこにはけつこうな原油があるはずでございますが、ほかの国からわざわざ買わなくても、あそこから何とかバーターなりリンクなりチエンジなり、何でもいいと思うのでございますけれども、いい方法を見つけてやる意思はありやなしや。 それからついでのことでありますが、今の仕上げでもそうでございますが、インドネシアに送るサロンの仕上げ加工は、あれは妙な国でありまして、日本のようにはつきりした模様をつけるといけないので、柄が散らばつておると向うではいいというわけであります。これの技術なども愛知県でも行われておるし、大阪でも行われておりますし、東京の染加工でもやられておりますが、これもけつこう向うの技術以上にできるわけであります。ただ酸どめがうまく行かないだけです。あれはおもしろいことに、溶けたほどいいのです。毒虫にさされないので溶けたほどいいというのですから、これはおもしろい国です。そこでこういう日本の技術でも喜んで買つてくれるところがありますから、これについては必ずしもドルドル、ポンドポンドと言わずに、何か物と物で行けるような方針はないものか、それでないと、今まで輸出先行で貸越しになつておるものを、こつちの側で見ればえらい貸倒れになつてしまうおそれなきにしもあらず、それだから私は聞いたわけであります。向うが統制して買わぬと言つたらこつちへくれればいいけれども、くれなくなつたら商売上つたりだから、これでおしまいということになると、貸倒れになるという心配なきにしもあらずであります。業界ではこういう心配をしておる向きがある。そこでこういうお尋ねをしたわけであります。
○吉岡政府委員 私からお答えするのはあるいは不適当かと思いますが、先ほど申しましたように、輸出額の八割が繊維製品であり、しかも多額の債権が残つておるという点につきまして、いろいろ省内でも相談をいたしましたので、その経過につきまして申し上げたいと思います。 お話のように、原油が買えればこれは最もいいのでございますが、これは御承知のようにやはりインドネシアの土着資本ではございませんで、外国資本の関係があつて、たしか少量は買えるようでございますが、きわめて少量しか期待できない。そこで先方からの買付可能のものといたしましては、砂糖が従来はあまり輸出力がなかつたようでございますが最近において相当にできて来ておる。その他ゴム、木材、コプラというようなものを主として考えておるわけでございます。これが大体ゴムで申しますとマレーから買う場合、あるいは砂糖にいたしましても、他の地区から買う場合に比較いたしまして、一側あるいはもう少し割高になつて参るわけでございます。そこで先ほど申しましたように、インドネシアから輸入をしたものに対しては、一種の輸入のインセンテイブを設けまして、インドネシアからの輸入実績と見合いに輸出するものには、他の地区に輸出した場合以上に、二割程度余分にリンクをつける。結果といたしましてはインドネシアから割高のものを買いました人がその一種の輸出権、輸入したその税関の通関証明を輸出業者に売ることができることになつております。それによつて割高のものを比較的他の地区とバランスのとれた値段で買える、こういう仕組みにいたしておるわけでございます。その他外貨の割当の面におきましても、インドネシアからの輸入については原則としてAA制度を残すとか、また輸入金融の面につきましても、担保率の点その他で最も優遇した措置を通商局でとることにいたしております。そういうことで極力拡大均衡の方向に持つて参りたい、かように考えております。
○岡本説明員 私蚕糸局の糸政課長でございますが、蚕糸局長がただいま中労委の方へ呼ばれておりまして出席できませんことはまことに申訳なく存じます。御指摘のございました繭価協定に及ぼす影響の点につきまして御説明を申し上げたいと思うのでございます。 一応ラフな数字で恐縮でございますが、農林省で推定いたしました絹織物、絹製品としての生糸換算輸出量は二十七年に約三万俵、一昨年にはたいへん減りまして、一万六、七千俵というふうに減つてございますが、このうちの相当部分が今度の可燃性絹織物禁止法の対象になるのじやないかというので、その影響につきましてはわれわれとしては非常に重大な関心を持つております。従いまして過般大臣も、参議院の本会議におきましてもさような御発言をしておられるのでございます。できるだけこの被害をなくしまして、生産の需給関係、従つてまた繭の需給関係に悪影響のないようにいたしたいというので、通産大臣、外務大臣の方面にも緊密な連絡をとつてお願いをいたしておるような次第でございます。 繭価協定の問題につきましては、御案内の通り農林省といたしましては養蚕農業協同組合によります団体取引、これを本筋といたしまして奨励いたし、団体協定によつてできるだけ公正な繭価の形成ができるように努力をいたしております。 なお繭糸価につきましては、先ほど通産大臣のお言葉の中にもございましたように、繭糸価格安定法によりまして、できるだけこれを安定帯物資の中に入れて行くという施策をとつておるわけでございます。さらにこの繭糸価格安定法を強化いたしまして、適上繭価の形成をはかるように、そして生糸も絹製品も輸出が伸びるような措置を講じなければならないのじやないかというので、いろいろな案を目下検討中であるということを御報告申し上げておきます。
○大西委員長 次会は明日午前十時より開会いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時九分散会