通商産業委員会 第11号
- 発言数
- 79 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1954/02/13
会議録
○大西委員長 これより会議を開きます。 前会に引続き通商産業政策の基本方針に関する件について調査を進めます。質疑を継続いたします。加藤鐐造君。
○加藤(鐐造)委員 昨日私病気のため他の委員の諸君と変更していただきまして保留いたしておりましたので、できるだけ時間を縮めまして質問いたしたいと思います。 すでに今まであらゆる角度から質問が行われまして、おおむね問題はとらえられておるようでございます。しかし大臣の答弁ははなはだ満足すべきものではなかつたように思いまするので、多少重複するかもしれませんが、私も日本経済の根本の問題に触れて質問をいたしてみたいと思うわけでございます。もつとも吉田内閣の通産大臣としての答弁としてはこれ以上のものを期待することはできないかもしれません。それだけに今日の日本経済を建て直すためには、吉田内閣の施策をもつては不可能であるという感を深くしたわけでございます。多くの委員諸君の質疑の内容を拝聴いたしましても、日本の経済が今や重大なる段階に来ておる、そういう認識の上に立つての御質問であるということが看取できるのでございます。私はそういう多くの人たちの認識の上から考えましても、政府の施策というものが、この今日の日本の経済の緊迫感というものを反映しておらない。このまま進んで行つたならば日本の経済は遠からず崩壊するであろうという、そうした今日の段階において、これを建て面して行くためには、政府の施策ははなはだ不徹底であるというふうに考えるのであります。私は今こそ狂瀾を既倒にかえすというような施策が行われなければならないときではないかと思うのでございます。そういう観点から私は大臣の所信をただしてみたいと思うのでございます。 まず国際収支のバランスの問題でございます。朝鮮動乱の停戦協定が成立して以来輸出が急速に減退して参りました。しかしその原因は、単に朝鮮動乱の終息という問題だけではないと思います。これは世界的な景気の後退であり、特にアメリカの不景気ということが大きな原因となつて、世界経済全体の景気が後退しつつある。それが大きな原因であると私は思うのでございます。特にアメリカの経済の影響を受けることが最もはなはだしい日本といたしましては、私は日本の経済は相当重大なる段階に来ておると考えなければならないと思うのでございます。そこで私がお尋ねしたいことは、二十九年度の輸出の見込みは十三億七千五百万ドルとなつております。これは政府の構想によりますれば、前年度よりも一億五千万ドルの増ということになつておるわけでございます。私はこの前年度よりも一億五千万ドル以上の増を見込まれる十三億七千五百万ドルという輸出に対して、政府ははたして確信を持つておられるかどうか、こういう点を伺いたいのでございます。なるべくまとめて御質問申し上げますが、特に最近ポンド地域の輸出は減退を続けて来ております。この点については、最近日英支払協定が更新されて、これは日本に非常に有利に締結されたというのでありますが、しかしこの問題も、今後イギリスの自治領との協定は別に結ばなければなりませんし、またこういうふうに二億一千万ドル近くの輸出入の協定が結ばれたといつても、現在の状態ではたして輸出がそこまで可能であるかどうかという問題——政府は日本の物価が二十九年度において五%ないし一〇%の切下げが行われると言つておりますが、この点についての可能性ということもあわせて考えなければなりません。この点は後ほど具体的に質問いたしますが、私はこの二億一千万ドルの輸出入の協定、特に輸出の面においてはたしてそこまで伸ばし得るところの可能性があるかどうか、この点について政府に確信ありやいなやということをまず第一にお伺いいたしたいのであります。
○愛知国務大臣 国際収支の見通しの問題で、私どもの考えております計画の数字につきましては、ただいま御指摘の通りでございまして、問題はいろいろあるわけでありますが、まずこれをわけて考えますと、一つはドル地域に対する輸出の問題、それからスターリング地域に対する輸出の問題、それからその他の地域と大別して考えられると思いますが、前々から申しておりますように、私はアメリカの今後の経済の動向については、今年の初めに大統領の教書に現われておるところから見ましても、それから予算教書その他に現われておるところから見ましても、一部に、たとえばクラーク教授の指摘しておるような悲観論もありますけれども、政府筋の見方並びに大体の専門家等の見通しといたしましては、今後一箇年間におけるアメリカの経済については、アジヤストメントは必要であるけれども、急激な経済の下降状況は回避できるというのが、大体責任者並びに大多数の人たちの意見であるように言われておるわけでございます。しかしながら、ともかく多少の後退ぎみは否定できないと思われますので、対ドル地域の輸出につきましては、私どもの計画におきましても、二十八年度の実績よりはある程度控え目に見ております。従つてこの程度の輸出につきましては、相当の確信が持てると考えております。と申しますのは、二十七年度から二十八年度に対する関係から想定いたしましても、二十八年中の日本国内の経済については、先ほど御指摘のような状況がありましたので、国内的には輸出が伸び悩みを伴いましたが、しかしながら二十七年度に比べて二十八年度の対ドル貿易の現状というものは、そう悲観しなくてもいい状況であつた。それを今回はさらに控え目に見ておるという状況からいたしまして、国内の政策め滲透に伴いまして、この点につきましては私は確信を持つておるわけであります。 それからその次のポンド地域の問題につきましては、これもただいま御指摘の通りでございまして、二十八年度に比べますと約六割を対スターリング地域に対しては増強しなければならないわけでありまして、ここに私どもとしては非常な努力を要する点があると思うのであります。しかしながら日英会談の動向等を見ましても、イギリス側におきまして、日本製品の輸入等については、今回の会談のときには、自治領等とも十分連絡をとりつつ輸入製品等については緩和措置をとるということになつておりますので、国内の諸般の政策が、生産コストの引下げ、輸出価格の低落ということについて、相当の努力が必要でありますが、この努力が前提とされる場合におきましては、約五億ドル以上のスターリング地域に対する輸出はできると私は思いますし、また何とかしてこれをでかさなければならないと考えております。しかし努力の焦点は、ここに一番の問題があると考える点におきましては、お考えと同様かと思うのであります。 それから東南アジアその他につきましては、先般も申し上げましたように、多年私どもが非常に期待いたしておりましたプラント輸出等について、最近の引合いから見ますると、今年度こそは相当多額のものが期待できる。たとえば機械等を中心とするプラント輸出というようなものについて、具体的に引合いが進行の過程に入つて参りましたので、こういう面からいたしましての輸出の実績というものは、計画の通り——もちろんこれもまた相当の努力が前提でございますが、貫徹し得るものと考えております。 それから次に、いわゆる東西貿易あるいは中共貿易という面につきましても、計画の上にはつきりとした数字としてあげる程度のものには考えておりませんけれども、引続きできるだけの努力をいたしたい。特に最近の実績を見てみましても、二十七年度よりは相当伸びておるようでございます。さらに二十九年度におきましても、国連に対する協力という建前の範囲内におきまして、具体的にでき得る限りのことは推進して参りたい。大体の構想としては、さように考えておるわけでございます。
○加藤(鐐造)委員 大臣の御答弁は、先日来の御答弁を見ましても、多くは希望を述べておられるにすぎないように思うのでございます。私はポンド地域の輸出を、来年度において六割方伸ばすことについては、努力をしなければならないというような御答弁だけで納得するわけには行かないのでございます。これはいろいろ申し上げましても、結局は議論に終るかと思いますが、今日の世界の情勢を見まするときに、先ほども申し上げましたように、貿易の規模が漸次縮小されつつあります。これは一方に自由貿易の方向に進みつつあると同時に、また一方においては、各国が国内産業の保護政策をとつておる、また国民の気持がそういう方向を示しておる、あるいはまた政治に対する国内業者の圧力というものが、やはりそういう方向に進まざるを得ない情勢にあるということを、見のがしてはならないと思うのでございます。日英支払協定が、一昨日でありましたか、イギリスの国会において、三十何票という違いで採決されましたけれども、その結論に到達するまでには、いろいろのいきさつがあり、特にイギリスの紡績業者の政府に対する圧力が、相当のものであつたということを見のがしてはならない。またアメリカにおけるランドール委員会の報告に関しましても、一方においてこの委員会の少数意見が、あわせて国会に提出されつつある。この少数意見は、申すまでもなくランドール委員会の結論と反対の方向を指すものである、そしてまた、アメリカの国会においては、あるいはこれが通るかもしれない情勢にある、こう伝えられておるのでございます。そういう情勢の中に立つて、われわれは単に希望的な観測だけで臨んで行くということは、はなはだ危険であり、怠慢のそしりを免れないと思うのでございます。たとえばアメリカの不暑気につきましても、ある経済学者は、一九三〇年来の一大恐慌を再現するであろうと言つているのでございます。大したことはないであろうという希望的な観測で、日本経済の今後一箇年間の動向を規定することは、はなはだ危険であると思うのでございます。私はそういう点について、できれば具体的に、ポンド地域においてはどこの国に対してどれだけ伸びるとか、今プラント輸出の話がございましたけれども、プラント輸出の問題も、従来幾たびか、非常に輸出が伸びるような報道がされておりますが、東南アジアとの国々の間においては、今日国交の回復を見ておらないというような、一つの大きな障害から、これがいつも途中で立消えになつているということもございました。もちろんことしのプラント輸出は、従来よりも多少は伸びるようでございますが、そういうような希望的な観測だけで、今後の日本の輸出が急速に伸び得るというような断定を下すことは、はなはだ危険であると私は考えるのでございます。その点について、もう一応大臣の御答弁を煩わしたい。 それと同時に、今政府がとつておりますところの、いわゆるデフレ政策によつて物価を引下げて輸出の振興をはかる、輸出振興一本やりで行くという点に、私ははなはだ危険があると考えるのでございます。日本の輸出は、申すまでもなく繊維、雑費が従来輸出の大宗でございました。これが今言つたように、世界のいわゆる国内産業保護政策、あらゆる国々がとつているこの最近の世界の動向と、まつ正面からぶつかるということを考えなければならないと思うのでございます。私は、通産大臣が、いわゆる輸出振興一本やりで行こうとしている点に、大きな不安を感ぜざるを得ないと思うのでございますが、大臣はそれ以外にどういうことを考えておられるか、あわせてお伺いしたいと思うのであります。
○愛知国務大臣 輸出の問題につきまして、具体的にというお話でございますので、数字等について若干御説明を追加いたしたいと思います。一番の問題点は、対スターリング地域の輸出の見通しの問題でございますが、先ほども申し上げましたように、二十八年度におきましては、対スターリング地域輸出が三億四千万ドル——この三月末の実績を見ないとわかりませんが、おそらくその程度であろうと思います。これに対しまして、先ほど申し上げましたように、二十九年度におきましては、五億一千百万ドルを計画いたしております。これは一億七千百万ドルの増加でございますが、日英通商会談では、御承知のように昭和二十九年の暦年として考えました場合に、わが国からスターリング地域に対する商品の輸出による受取りは、五億五千五百万ドルとなつているのでありまして、これの大体九割強を、現実に実行されるものとしてさような推定をいたしておるわけでございます。しからばどういうものがおもな増加要因になるかと申しますと、輸入制限の緩和によりまして一般的に各品目とも増加する見通しがあるわけでございますが、特に具体的に申しますと、英本国の関係におきましては、綿布を初めといたしまして、十数品目につきましては、具体的の品目をあげて約千九百万ドルに及びます新規の輸入許可の発給をすることに英国側は約束しておるわけでございます。 それから次に香港、シンガポール、アデンといつたような中継港におきまするスターリング地域に対する称輸出につきましては、無制限の再輸出を許可をするというようなことになりますので、これがまたわが国の輸出に非常な好影響を与えることが期待されておるわけであります。特に著しく増加すると見込まれますものは、一つは綿布及び他の繊維製品でございます。綿布につきましては、二十八年度におきましては約三億五千七百万ヤードを見込まれておるのでありますが、二十九年度は、これに一億八千万ヤードの増加をいたしまして、五億三千七百万ヤードの見込みをいたしておるわけでございます。これは金額といたしましては、約三千六百万ドルの増加となつておるのでありまして、こういうものは一つの例でございますが、大体これだけのものを買うという具体的な約束ができておると申し上げてもさしつかえないかと思うのであります。 それから他の繊維製品につきましても、増加が見込まれるのでありますが、特に化繊関係の商品のビルマ、香港、マレー、南アフリカ、及び西アフリカに対する輸出の伸張は大いに期待されるのでありまして、このために全体として見ますると、二十八年の暦年の実績の五割以上の化繊品の輸出増加が見込まれる、これも具体性のある見込みと考えます。 それから次に鉄鋼製品でございますが、これは二十八年度が五千百万ドルでございました。二十九年度は八千二百万ドル程度を見込んでおるのであります。その見込みの内容は、インド、ビルマ、パキスタン等の東南アジア地域でありまして、特にパキスタンにつきましては、協定の更新が行われますので、それと相まつてかくのごとき具体的な増加が見込まれておるわけでございます。 さらにまた機械類につきましては、二十八年度が二千九百万ドルでありましたが、二十九年度におきましては五千二百万ドル、これなども具体的にインド向けの蒸気機関車、車両、車軸約一千六百万ドル、パキスタン向けの紡機が約五百万ドル、その他ビルマ向けの船舶約三百万ドルといつたような具体的な引合いを見越しての輸出計画でございますから、相当に具体性のある、また確信のあるものを基礎にいたしまして、以上申し上げましたような推定をいたしておるわけでございます。 それからその次に、輸出一点張りで、あらゆる努力を輸出に集中するということが危険ではないかという御趣旨の御議論でございますが、さような見方もあろうかとは思いますけれども、先般来申し上げておりますように、最近の日本経済の現状としては、生産も非常に伸びた、消費水準も戦前に比べて非常に伸びておる。ただ輸出の伸び悩みということが起つておるがために、国際経済場裏における日本の経済としては、ここで大きく方向を転換いたしたいということを基礎に考えておりますので、輸出伸張をできるだけはかりたいということは、私は絶対の要請であると考えるわけであります。
○川上委員 議事進行。私きのうから通産大臣の御答弁を聞いておるのですが、どうも大臣の答弁は事務当局でもできるような答弁ばかり多い。加藤議員の聞かれておるところは、これは一つの世界政治の問題として、日本の政治問題として聞いておるのだと思うのです。ところが数字などをあげて、これは事務屋でもだれでもできるようなことでごまかされておる。私は実は今度の通産大臣はたいへんりつぱなんだと聞いておるので、たいへんりつぱな政治論が聞かれるだろうと思つておつたのですが、そうじやない、これはちよつと困ると思う。質問しておられる加藤議員もそういう答弁を聞いておるのじやないと思う。それならもう何か書類をひつぱり出せばわかる。そうじやない、そのもう少し元を聞いておる。こう言えばわかると思うのですが、ひとつそういう御答弁をお願いしたい。私も本日は少し御質問をいたしたいのですが、今のような答弁をされたのでは、これは何か印刷物を見ればわかるのです。この点をひとつお願いしたい。私は非常に失望しておる。この点を委員長からも御注意願いたい。
○加藤(鐐造)委員 私今言おうと思つたところを川上君が言われたのですが、実は具体的にということは、一面世界経済の動向、正確なる見通しというものを一応大臣から承りたい。そこからやはり具体的な見通しというものが出て来るというふうに考えたわけです。そういう点で御答弁願えればけつこうだと思います。 そこでもう一つの問題は、国際収支のバランスの問題で考えなければならないことは特需の問題でございます。特需は政府の見通しによりますれば、本年度は昨年度に比べて五千百万ドルの減で、結局収支において二十九年度においては九千万ドルの減である。二十八年度に比較して赤字が圧縮されるという御説明でございました。しかし私は一月だけの国際収支を見ましても、この点非常な危惧の念を持つものでございます。一月は特需が半減しておるというところから、国際収支は八千七百五十九万ドルの赤字となつております。それからまたこういう情勢で進んで参りますと、毎月一億ドルくらいずつ赤字がふえて行くのではないかということも考えられます。またそういう見通しを持つておるところの経済学者もあるわけでございます。そこで今日正常輸出の七〇%に当る特需というものによつて日本の経済はささえられておる。この問題は私は大きく取上げなければならぬと思うのですが、政府は今後朝鮮の特需の減退にかわるものは、域外買付によつて補い得るということを言つておりますが、私は一月の実績から見ましても、その点はたして政府の言つておる通りに進んで行くかどうかという点を心配するものでございます。そこで昨年来問題になつておりますところの特需は、いわゆる域外買付というものがある程度予定されても、やはり順次減少して行くであろうという見込みの上に立つて、特需なき日本経済というものを政府は考えておるかどうかという問題でございます。もしそういう特需なき日本経済というものの構想がありといたしまするならば、何年間にそれを実現するか、そういう点について具体的な構想を承りたい。この点について、国際貿易の改善という点は、今大臣が輸出の面について御説明になりましたが、特需がまつたくなくなる時期を考えておるかどうかという点とあわせてもう一応御説明願いたいと思います。
○愛知国務大臣 二十九年度の特需につきましては、具体的な見込みによりましてただいまもお話がありましたが、約五千万ドル前年度よりは減少するということを見込んでおります。その内容につきましては、数年をあげることは省略いたしますが、二十九年度から三十年度以降将来にわたつてどういうふうな考えかということにつきましては、これは将来の日本におけるところの、あるいはまた朝鮮における世界情勢の変化に伴つての米軍の撤退等とも関連いたしまして、これは相当に考えなければならない問題だと思います。しかしながらいずれにいたしましても、特需の減退ということが将来において予想されるからこそ、今の間に正常貿易の伸張ということをはからなければならない、その基盤をこの程度の特需があるうちに造成しておきたい、そしてその転機をつくりたいというのが、二十九年度における新しい政策の展開ということに考えておるわけであります。
○山手委員 ぼくは加藤委員の質疑に関連をいたしまして、ぜひ一点伺つておきたいと思います。それはさつきの輸出振興の問題とからんでのプラント輸出の問題でありますが、この問題は先般私が質疑をいたしまして、御説明を聞いておりまするし、その後私もいろいろ調べ、事務当局からの御説明も承つておりますが、私は考えてみましてどうしても納得が行かない点がある。と申しますのは、この二月から三月に約百十二億ばかりのプラント輸出を承諾をしてやられる。来年度は今御提示のありました輸出の中の約一億ドル近くがプラント輸出だというふうに見込んでおられるように私は聞いております。ところがこの二月から三月までのプラント輸出の百十二億を検討いたしてみましても、ユーゴスラビアに約四十三億円の人絹工場を輸出する。ところがこの支払いは七年半の長期にわたるものであります。韓国に繊維工場を輸出される。これが約十八億である。イランに約二十二億のプラント輸出をされます。これもやはり五年の長期にわたるものであります。ユーゴスラビアのように政情がきわめて不安定である、しかも日本とはほとんどほかの取引はない。それが横にドイツや英国やイタリアなんかがあるのにかかわらず、日本にプラントを輸出してくれといつて、七年半もの長期の契約をしてやるということは、私はどうしても割切れないものがある。のみならず大臣は施政方針演説においても、少々生産は引下げ、国内の消費を抑制してでも、不景気が生じてでも、緊縮財政上徹底的にここで国内の物価を引下げると言つておられる。しかし七年半も先になつて回収できるプラントを、日本の生産に必要な重要産業の開銀の資金も遠慮容赦なしに切つてでも、ユーゴスラビアや各地にこんなものを今年出さなければいかぬかどうか。しかもこれはほとんどが国家資金であります。信用保険をつけて政府が保証をしてお出しになる。こういうことは、大臣の考えて「おられる物価を引下げて行くという政策と根本的に背反しておるし、国内の重要産業をここで思い切つて育成しなければならぬ、資金もつぎ込んでやらなければならぬというわれわれの考え方ともこれは大きく背反しておる政策であろうと思う。これを無条件に、輸出が伸びるから輸出が伸びるからというふうなことで、七年も五年も先になつて回収できるものを、政情の不安定なところにどんどんお出しになつて、それでただ単に貿易が伸張して行く、来年度は非常に有利だというふうな御説明に対しては、われわれはただ無条件に納得することはできない。この点いろいろあろうと思うのでありますが、これはいわば水増し輸出というふうに私は考えざるを得ない。現在の国内の緊急態勢からいたしまして、プラント輸出も余裕があればどんどんやりたいし、私は大いにやるべきだと思うが、大臣が施政方針演説以来、自由党吉田内閣の政策を大転換されて、これからやられようとする政策と相反しておる。この点についてもつと明快に、事務当局の御説明でなしに、さつきお話の政治的な大臣の御所見を承つておきたい。
○愛知国務大臣 融資の期間が長いという点についてのお話でありますか、私はこれは、将来大きな立場に立つて日本の輸出市場を開拓する、その基盤がなければ、当面の輸出振興についても効果が薄いと考えておるのであります。ことに東南アジア方面における日本に対する期待、あるいはまた現実の問題としての各国の進出ぶり等から見て、できるだけ受け入れやすい条件で、しかも日本側の立場として考え得る程度のところにおいて、できるだけの輸出伸張をいたしたいという大局的な関係から申しまして、この程度の期間が長いということは、むしろ政策の逆行じやなくて、私の考えておる点を伸ばして行くためには、こういうことが必要であるというふうに考えておるわけであります。
○加藤(鐐造)委員 私はなるべく時間の関係で同じ問題に拘泥しておりたくないのですが、今の大臣の答弁では、一月だけで国際収支の画に八千七百万ドルの赤字が出ておる、二月もそれ以上の赤字が出はしないか、こういう危惧の念を持つておることに対する御答弁としては、はなはだ不満足でございます。そういうふうにならないという確信を大臣は持つておいでになるかどうか、この点について具体的にもう一応お伺いしたい。
○愛知国務大臣 最近の状況から申しますると、たとえば具体的な為替の収支じり等についてごらんになつて御心配だと思うのでありますが、それについては、たとえば自動承認制について、最近の状況を見て、あまり思惑がひどいのではなかろうかというような点から、政府がこれに対する統制を加えておることは御承知の通りでございます。従つて輸出も期待通りには伸びていないかもしれませんが、同時に輸入の方につきましても、適切な措置を現在とつておるわけでありまするから、三月末の状況におきましては、われわれの予想通りに状態は推移するものと考えております。
○加藤(鐐造)委員 どうも大臣の希望的観測では満足できませんが、問題を次に進めてお伺いいたします。それは日本の産業政策の根本の問題について、もう少し構想を改める必要がありはしないかということでございます。先ほど来私は、輸出振興一本やりの経済政策は、今日の世界情勢のもとにおいて、あるいはまた将来の日本にとつても危険であるということを申し上げましたが、具体的に申しまするならば、日本はいわゆる加工貿易の国としてやつて参りました。たとえば食糧と工業原料で年間大体二十億ドル前後のものが予定されておるようでございます。ところがその中で輸出用原料としては四分の一の五億ドルにすぎない。従つて残りの十五億ドルというものが国内消費に充てられる。これは私は日本の経済としてははなはだ不安定であると考えるのでございます。そこで私は、将来の構想としては輸入の大幅な圧縮ということが当然考えられなければならないと思うわけでございます。大臣もそういう点について多少述べられておりました。しかし私は国民生活を圧迫するとかいうような口実でもつて大幅な輸入の圧縮は不可能であるという考えでは、いつまでたつてもこの問題は解決しないと思うのでございます。国民生活の圧迫にならない、縮小生産にならない、いわゆる国内の自給度を高めるという方向において構想が立てられ、そうして輸入を圧縮して行くことが必要ではないかというふうに思うわけですが、この点についての大臣の考えを承りたい。 大臣は施政演説の中で国内自給度を高めるという点については、単に石油の増産のみをあげておられました。私は、石油の増産のみでどれだけの解決ができるかという点に疑問を持つものでございます。もちろん石油の増産も必要でございますけれども、もつと大きな問題、たとえば国内の資源を十分に活用するところの産業構造というものが当然考えられなければならぬと思うわけでございます。この点については、二十八年度の当初においていわゆる岡野構想というものが発表されました。食糧増産千七百万石、合成繊維の増産一億五千万ポンドでございますか、そうした五箇年計画が立てられました。それによつて五億ドルの外貨の節減をはかるという構想でございました。これはもちろん資金の裏づけのあまりないものでございましたから、われわれはその場のがれの一つの答弁であると考えておりましたが、その構想もその後どこへ行つたかさつぱりわからぬ状態になつております。たとえばこれは大臣の所管ではございませんけれども、食糧増産対策につきましても、千七百万石の食糧増産計画を持つておるのに、食糧増産対策費は、昨年の補正予算以来大幅に削減されつつある状態でございます。そこで私は、大臣の所管であるところの合成繊維の増産について考えを承りたい。この岡野構想をそのまま踏襲されるかということと、一切の原材料を国内に仰ぐことのできる合成繊維の大幅な増産というものが私は今申し上げましたような国内の自給度を高める、いわゆる輸入を大幅に削減して、そうして国民生活を圧迫しない、縮小生産に至らないという大きな目的を達することのできる大きな要素であると考えるものでございますが、その点についての大臣のお考えを承りたい。
○愛知国務大臣 私は全体の日本の産業構造の問題については、できるだけ国内資源の開発ということで、これは戦争中あるいはそれ以前に考えられたようないわゆる日本国内だけの自給態勢ということとは意味が違いますけれども、できるだけ国内資源の活用、開発をはかることが何よりも大切なことだと思うのであります。そういう意味におきまして、ただいま岡野構想のお話が出ましたが、あの構想の中に掲げられてありますような、たとえば動力の計画、あるいは合成繊維の計画、あるいは食糧増産の計画というような点につきましては、考え方並びに規模としては私は適当なものとしてこれを引続き踏襲して参りたいと思うのであります。ただそれについてはそのときどきの情勢によりまして、見通しあるいは目標としてはああいうものを掲げておりますけれども、政策の具体的なタイミングの点におきましては、若干のずれがあることはやむを得ないと思うのであります。 それから原材料との関係でありますが、一面において国内資源の開発ということ、あるいは産業構造ということを頭に描きながらやつて行かなければなりませんが、当面のところは累次御説明申し上げておりますように、二十八年度と二十九年度とを比べて、全体としての工業の生産活動のごときは同じ水準を維持するということでありますから、原材料の輸入等についてはこれまたそれに応ずるようなものが確保されなければならない。そこで当面の問題として、たとえば今年度は食糧等がかりに平年作であるとすれば、その方では相当の輸入の削減ができると考えます。同時に原材料につきましては、今申しましたような生産活動が維持できるような程度にこれを確保する。そして第三に不要不急と認められますものについては、徹底的に抑制をするということで、当面の外貨予算の問題については処理して行きたいと考えておるわけでございます。
○加藤(鐐造)委員 私は大臣が合成繊維についてあまり熱意を持つておられないというふうに今の御答弁では考えざるを得ない。私は特になぜ合成繊維の問題を取上げたか、業者から頼まれたわけでも何でもございません。私は将来人類の消費する大きな物資は繊維と食糧だと思う。そこで日本が繊維の原料を年々六億ドルから七億ドル近くも外国に仰いでおるというところに、日本経済の不安定な大きな要素がある。そこで私は重点的にこの増産計画を立て、技術の向上をはかることが考えられなければならないと思うのであります。今日日本の合成繊維の技術は大体世界水準に達したようでございます。しかしここに至るまでに業界は外国のパテントや機械を買入れるのに莫大な資金を投じておる。またその点で年年六十億という特許権の代償を払つておる。この問題を等閑に付して日本の産業政策がありやいなやということを私はお伺いしておるのです。私は根本の問題は、こうした新しい産業に関する技術水準を高めるということだと思う。ところが日本の従来の産業政策を見ますときに、新しい技術を発見し、これを高度に活用するという政策がとられておらない。その点に私は大きな不安があると思う。西ドイツの復興がよく引合いに出されますけれども、西ドイツの復興と日本の復興が対照的に考えられるのはここにある。技術を極度に尊重する西ドイツの政策と、技術を尊重しない日本の政策との違いが今日大きな開きをもたらしておるという点を考えなければならないと思うのであります。その点についてひとつ大臣のお考えを承りたい。
○愛知国務大臣 その点はまことにごもつともで、私は全然同感なんであります。 〔委員長退席、小平委員長代理着席〕 この点は先ほどお答えすることが足りなかつたのでありますが、たとえば通商産業省の施策の大綱からは合成繊維の問題が省かれておるようでありますが、これは経済審議庁の方の演説の中にも合成繊維のことは特に強調いたしましたので、それとの関係で省いたわけであります。これは国内資源の開発ということからいい、国内の産業構造からいつての適正という点からいつて、一つの大きな重点と考えておるわけでございます。これは具体的に計画といたしましても二十八年度の千七百万ポンドの生産に対しまして倍増計画をいたしております。そのために特に二十九年度におきまする政府資金の融資につきましても、少くとも二十八年度と同額——同額といいますと二十五億円になりますが、これだけは確保するつもりでございます。ただいま御指摘もありましたように、この計画は二十八年度においても相当進捗いたしましたので、この程度の政府資金で、不十分とは思いまするが、倍加計画が達成できるものと確信をいたしております。引続き三十年度以降におきましても努力を続けて、たとえば原材料の大幅の輸入を抑制するということにも大きな貢献が期待できると思つております。
○加藤(鐐造)委員 そこで私は、大臣が大いに力を入れておるとおつしやるけれども、予算の上について見ますならば、試験研究補助金はわずかに六億円でございます。六億円ばかりの補助金を出しまして、一体どれだけのことができるか、こういう問題に帰着するのです。特に日本の技術の遅れておる点では中小企業の問題を取上げなければならない。中小企業に対する技術の指導と研究ということが、私は当面必要であると思うのですが、この点についての指導機関、研究機関が不十分だと思うのです。今国立試験研究所がいろいろな業態についてありますけれども、国立試験研究所がいろいろ業者の技術の指導的な立場をとつておるということは私は聞かぬのです。いつも業界にこの試験所はついて行つておる、こういう今日の状態でございます。そこでこの点について大臣が大いに力を入れようというお考えであるならば、予算の上においてもそれが実現されなければならない。 そこでもう一つ考えていただきたいことは、共同施設の助成金の問題でございます。中小企業の共同施設に対しては、年々わずかではあるが補助金が出されておるが、これは技術の向上を目的としたものに重点を置くべきではないか。いわゆる共同倉庫であるとか、事務所の建設であるとかいうようなことに出されておりますが、それも一つの必要な問題であるかもしれませんけれども、予算がない今日におきましては、共同施設の助成はあくまでも技術の向上を目的としたものに限るということで行くべきではないかというふうに思うわけでございます。この点について承りたい。
○愛知国務大臣 技術の研究助成等につきましては、ただいまも御指摘がございましたように、二十九年度予算におきまして六億円余りということは少いではないかという話でございますが、それ自体としては十分とは申せません。しかしながら他の予算の費目から考えますれば、これに対しましては相当重点を置いておるつもりでありまして、特に民間の研究その他に対しましては、政府がこういう程度の経費を出しておるということが相当誘い水になつて、その結果技術の向上等につきましては、かなりな額が年間に投入されることになると考えております。 それから中小企業の共同施設の問題につきましては、私も同感でございまして、特に技術の向上あるいは機械の近代化というような点に、共同施設に対する補助は力を入れて行きたいと考えております。
○加藤(鐐造)委員 次に私のお聞きしたいことは、外貨がだんだんに逼迫して行く情勢であることは否定できないのです。そこで政府も外貨予算の編成にあたつては慎重に考えておられると思うのであります。政府が慎重に考えれば、そこにやはり思惑輸入、思惑買いが当然起つて来る。これは私は価格政策の問題に触れなければならぬと思う。今のように一切を自由価格にしておいて外貨予算だけをいろいろと規制することは、これはどうも政策としては片手落ちだというふうに思うわけでございます。特に生活必需物資であるところの砂糖であるとか、またゴムというような国民経済に大きな影響を及ぼすものについて、こういう段階に来たならば、当然価格の規整を行う必要があるのではないかと私は思うわけでございます。その点について大臣はどう考えられるか。品目別に何か特別の立法を考えておられるかどうか。そこまではやらないつもりであるか、これについて承りたい。
○愛知国務大臣 ただいまの物価の問題につきましては、いろいろな方法があると思います。たとえばストツプ令を出しますとか、あるいはマル公制度をとりますとか、いろいろの方法があると思いますが、私の考え方としては、現在においてはやはり基本的な財政金融政策等をも総合して全体の効果が出て来ることを期待するのが一番いい方法だと考えております。それから外貨の問題につきましても、たとえば端的にある物価を引下げようと思えば、特にそれだけのものについて輸入を許すという方法もあろうかと思いますけれども、ただいまはそういう考え方はとつておりません。
○加藤(鐐造)委員 この際ついでに承つておきたいことは、ぜいたく品の輸入禁止の問題でございます。これは政府も大いに強化するという考えのようですが、しかし全面的な禁止という考えはないようです。私はこの際一つの例を引いてみますならば毛織物の輸入でございます。今日イギリス等の毛織物が相当市場に氾濫しておる。これはおそらく外貨資金特別割当制に基いて、いわゆる報奨輸入の形で行われたものであろうと思いますが、今の段階においてこういう外貨制度が必要であるかどうか。私はこういうものは一切禁止すべきではないかと思いまするが、報奨輸入制度が必要であるとお考えでありますならば、その点を承りたい。
○愛知国務大臣 この報奨輸入制度というものは、私も建前あるいは原則としてはなるべくとりたくないと考えております。これは正常な輸出努力を阻害する、あるいは為替の政策の面から見ましてもおもしろくないやり方だと思うのでありますが、ただ物によりましては、日本国内の生産の状況等から見まして、臨時に限定的な措置としてある場合に例外的に認めざるを得ないものが若干はあろうかと思うのであります。私は原則としてはこれを否定的に考えたいと思いますが、当面の臨時措置としては全部これをやめるということは困難ではなかろうかと考えております。
○加藤(鐐造)委員 そこで再び価格政策にもどります。政府の今までのやり方は、コストを引下げれば価格は当然下る、こういう考えでございまするが、そういうふうには絶対にならないということでございます。たとえば端的に例を申し上げまするならば、石炭の合理化政策補助金あるいは財政投資をしたために、石炭の値段が下つたと大臣はおつしやいました。その点は先般伊藤君が追究されて多少御訂正になりましたが、政府の考え方はやはりそこにあると思うのです。合理化政策をとつてコストを下げれば、ただちに販売値段が下る、こういうお考えだと思いますが、そういうふうにならない。言うまでもなく、物の価格は需要供給の関係において上り下りするのであつて、たとえば製鉄についても、相当の合理化資金を投ぜられたけれども、今日鉄の値段は上つておる。そういう点から考えて、今までの合理化政策、コスト引下げ政策だけで物の価格が下るということは、間違つておるというふうに考えますが、その点訂正される意思があるかどうか、承つておきたい。
○愛知国務大臣 訂正するかどうかというお尋ねでございますけれども、私は大体今まで申し上げておりましたことでやつて参りたいと考えております。
○加藤(鐐造)委員 時間がございませんから議論はやめますが、私はそれだけの御答弁で、大臣が一体誠意があるかどうかという点を疑うのです。もう少し誠意のある答弁をしていただかなければ、こんな質問をしたつて何にもならない。私の立論に対して、反対なら反対である論拠を、賛成であるならこういうふうに賛成であるということをおつしやつていただきたい。従来の御答弁では不満であるから私はお聞きしておる。 そこでこの際もう一つ承つておきたいことは、産業規制の問題でございます。日本の資源の活用が足りない、物資が不足しておるという点で、ある程度の産業規制が必要だということは、輿論となつてこのごろ相当起つておりますが、私は一つだけ承りたいことは、産業規制、たとえば一つの産業について規制するということが、他の産業に悪影響を及ぼすというならば、それは考えなければならぬ。しかし好影響を及ぼすという場合には、これはどうしてもやらなければならぬ。たとえば建築の規制、不必要なる建築をさせないというような問題、戦後日本の建築規制が早くはずされて、大建築がどんどん行われたために、どれだけ日本の産業全体の生産増強を阻害しておるかという点を私は指摘したい。その点について、大臣のお考えを承りたいと思います。
○愛知国務大臣 先ほどの答弁にさらに補足させていただきますが、たとえば物価の問題について、従来の考え方でよろしかろうと私申しましたのは、やみくもに自由放任でやるという意味ではございません。石炭の例をとりましても、根本はやはり石炭の需給を安定するということが労使双方の協力を得るゆえんであつて、従つてまたその需給度を安定させることができれば、これで生産計画も立ち、生産コストの切下げにも役立つ、そういう基本的なところから問題を解いて行きたいというのが私の考え方でございます。先ほど申し上げ足りなかつたかと思いますか、そういう意味で、結論としては、従来申し上げました考え方をとつておるのだということを申し上げただけでございます。 それから建築の規制等を初めとして、いわゆる規制をやる必要がないかというお尋ねでございます。これは意見の相違ということになろうかとも思いますが、たとえば金融の面でありますとか、あるいは税におきまして不動産取得税というようなものを創設するとか、そういう面から、結果において規制ができるようにいたしたい。直接に建築許可制度を拡充するとか、新設するということは、ただいまのところは考えておりません。
○加藤(鐐造)委員 金融の面から規制されても、資金はどんどんと建築の方に流れて行きます。たとえばビルデイング業というものが非常に有利であるというような点からそういうふうになつて参る。しかしこの問題は議論になりまするからやめまして次に移ります。 この際承つておきたいことは、電力料金の値上げの問題でございます。これについて大臣は慎重に考慮中だということを言つておられましたが、電力料金の値上げを認めなければならないというお考えかどうか。これは政府の物価を引下げる施策と根本的に相反するものでございますから、この点について明確に承つておきたい。
○愛知国務大臣 電力料金の点につきましては、詳しく申し上げることを省略いたしますが、政府としての態度の決定には、いましばらく時間がかかります。これは電力会社から申請がございましたのに対しまして、法規の規定するところに従いまして、聴聞会も近く開かれることになります。それらの各般の御意見を総合して検討させていただきまして、政府として態度をはつきりいたしたいと思つておりますが、いましばらく時間の御猶予をいただきたいと思つております。
○加藤(鐐造)委員 それでは私の希望を申し上げておきます。電力料金の値上げは絶対にすべきではない。もしこれを多少ともお認めになりますならば、これは政府の政策自体の破綻であるということ。また公益企業として一割五分の配当を今日認めなければならぬという根拠が私にはわからない。そういう点から今電源開発等について、どうしても料金の値上げが必要であるという電力会社の主張が、根拠があるものであるならば、その他の措置によつてこの問題の解決に当つていただきたいということを、希望として申し上、げておきます。 それから繊維の課税問題が、先ほど来大きく論議の対象になつておりまするが、自由党としても先般高級繊維に対する課税の案を一応撤回されたので、おそらくこのまま撤回されるものであると思いますが、しかし本日の新聞を見ますると、やはり面子にとらわれてか、何とか八十五億円の財源は繊維課税によつて確保しなければならない、こういうようなことが報ぜられております。この際政府としては、あくまでも繊維に課税しなければならないと考えられるのかどうか。とすれば、それは高級ぜいたく品に対する課税という観点でやられるのか。あくまでも財源八十五億円というものが必要だからやられなければならないと考えられるのか、その点承りたい。
○愛知国務大臣 この問題につきましては、昨日も永井委員のお尋ねに対しまして、私の申し上げ得る限りのことを申し上げたので、これを繰返すことになると思うのであります。ただいま二点をあげて御質疑でございますが、税の収入の方の問題でもあり、また同時に高級織物の消費に対して課税をするというこのわく内で、特に私どもの立場といたしましては、その目的が達成できる程度において、しかしながら一方におきまして、免税点はそ、の趣旨に応じてできるだけ引上げてもらいたい。それからいわゆる小売課税になりまするものは、できるだけその幅を少くしてもらいたい。ただいまのところ、今の税収入の問題と、高級織物に対する消費に対しての税金と、この二つのわくにおきまして、われわれといたしましては努力を続けておるわけでございます。
○加藤(鐐造)委員 高級ぜいたく品に対する課税というならば、他の物品についても同様に考えられなければならないと思うわけであります。物品税というものがあるから別だとおつしやるかもしれませんが、物品税はまたおのずから別のものであると考えますが、そこで財源という点から考えるならば、私はどうも政府はいわゆる繊維課税だけを対象としてそこに膠着しておられるようですが、いろいろ財源を見出そうとすればある。それからまた一面もし不当なるところの取得をしておるというものがあつて、それを政府が見のがしておるというような点がありますならば、その点どうしてもこの際政府が取上げて、非常な問題になつて全国的な反対が起つておりますいわゆる繊維製品にのみかけるという考えを、ひとつあらためたらどうかということを申し上げたい。たとえば原毛、原綿の輸入の場合でございます。今日三百六十円という為替レートが実質的に破れていることは御承知の通りなんです。そこで原毛、原綿の輸入の際に、その為替レートが破れているところから来るところの差額というものが、相当いわゆる紡績業者の利得となつておる。私をして言わしむれば、これは不当利得であるといわなければならぬ。具体的な数字は御承知だから申しませんけれども、こういうものになぜ目をつけられないか、これは日本の為替レートがこういう事態になつておるからやむを得ないといつてほおつておかれるか、もちろんこれはいわゆる国際的な問題もいろいろ起こつて来ますから、私はそういう問題はおのずから別の方法によつて解決するとして、この際この事実上の為替レートのくずれているところから生ずるところの、貿易業者の不当利得というものを政府が取上げるという考えを持つていただきたいと思うわけですが、その点についてのお考えを承りたいと思います。
○愛知国務大臣 この点は実は私も最近の輸入業ということについて、これは税制上の問題が多いと思いますけれども、相当の措置を講ずべきであろうと考えまして、検討いたしておる次第でございます。ただ今の御質疑の中で問題と思われまする点は、あるいは関税等についても考えてはどうかという御意見かと思うのでありますが、(「関税じやないよ」と呼ぶ者あり)その点はいろいろ他に考えなければならない要素もございますので、慎重にいたしたいと思います。国内の措置につきましては十分研究いたしたいと思います。
○加藤(鐐造)委員 これは関税の問題じやないので、いわゆる差益金を国が徴収するということにすればいいわけです。そうするとそれは為替管理になるというようなお考えであるかもしれませんが、私はこうした重要物資の輸入の場合に、政耐が今までのような、単に自由経済というわくだけに膠着して考えておられるから問題がむずかしくなるのであつて、やはり私はそういう場合に一つの輸入機関というものも考えたらどうかというふうに考えるわけです。私は時間が非常に長くなりまするからなるべく節約して質問をしたわけですが、今までの答弁を聞いてみますると、政府は今言つたように、いわゆる自由経済というわくに膠着しておられるから、頭のいい愛知さんも答弁できない場合がある。この点はせんだつて中崎君が指摘しておられましたように、吉田内閣全体が、ある自由経済という幽霊にとりつかれておる、日本の経済は自由経済ではいけないところに来ておる。いつまでたつても自由経済という幽霊にとりつかれて振り放すことができないから、いろいろ委員会におけるところの答弁を聞いても、支離滅裂であり、問題の核心に触れての答弁ができないということになるのじやないかと思う。少しえげつないようなことを言うようでありますけれども、あなたはかつて戦争目的遂行のための統制経済があつた時代の官僚の一人であつた。その当時相当無理な統制を——あなたがおやりになつたわけではないけれども、やつた官僚の一人として、今日のいわゆる自立経済の達成あるいはまた同時に国民生活の安定というこの二律背反であるがごときこの二つの問題を解決する上においても、ある程度いわゆる統制経済というものが必要な段階に来ておるということをお考えにならないか、今の政策をこのまま進めて参りまするならば、中小企業者や労働者はますます圧迫される。中小企業者は破綻する、労働者の生活はだんだんと圧迫されるということになるわけでございます。従つて私はこのいわゆるデフレ政策を強行する場合において、同時に考えなければならぬ政策、処置というものが忘れられておりはせぬか、その点についての大臣の御意見を伺いたい。
○愛知国務大臣 統制の問題につきましては、ただいまも御指摘がございましたが、私は過去の戦争中あるいは戦争以前にいろいろと経験いたしましたことの悪い点、よい点を十分反省して、現在のところとり得る最良の方策ということをどうやつたらよいかということに専念しておるつもりでございます。その中心のところは、政府としては企業の——これはもちろん労使両面を入れての問題でございますが、いわゆる創意工夫が発揚されるような基礎をつくるということが一つと、それから全体の日本経済の見通しと申しますか、あるいは構図と申しますか、これをひとつ目標として掲げる、これに対して実効を上げるために、できるだけこの各産業の従事者というものが、創意工夫を発揚して、目的を達成するように持つて行くということが一つの考え方の筋として考えておる点でございます。従つてこれはもういまさら申し上げるまでもないことであると思いますが、たとえば外貨の割当の問題であるとか、あるいは金融につきましては、漸次オーバーローンの解消構想というようなことも具体的に進んでおりまするし、それから税制上においての負担の区分をやるというようなことで、その活動の創意が発揚できるような基礎を、まず政府としてはつくるということに当面の重点を置いておきたいと存じまするし、同時に、それでありますからいわゆる野放しの自由放任経済というのはわれわれとしてはとらない、またこれはとり得ないというふうに考えております。
○加藤(鐐造)委員 野放し経済ではないとおつしやることは、なるほど財政金融の面でいろいろと調整しておるという考えのようですが、それでは不十分だという観点に立つて今まで質問して来たわけです。 そこで私はもう時間も大分いただきましたから最後にもう一つ申し上げたいことは、今こうしたデフレ政策によつて建直しをやろうという考えで強行しておられる、それにはたとえば国民生活の圧迫となる面について、あるいは生活水準を低下する、その面についてのいろいろな対策というものが考えられなければならぬということを今申し上げたわけですが、一つの問題は当然このデフレ政策の裏打ちとして中小企業対策というものが考えられなければならぬというふうに思うわけです。中小企業対策は従来いわゆる金融の面だけが大きく取上げられましたが、私は単に金融の面だけで中小企業対策が足れりとする考えは、不十分だと考えるわけです。その点について大臣は先般いわゆる協同組合の普及整備というようなことを言つておられますが、そこへ着目されたことは一つの進歩だと思うのですが、一体協同組合の普及整備と申しましても、現在の協同組合を普及し整備しただけで足りるかどうかという問題でございます。現在の協同組合法というものは、中小企業者が生きて行くための一つの保護政策としては、はなはだ不十分で役に立たない。そこで二、三年前、中小企業安定法が議員立法としてできたわけでございます。私はこの際端的に申しますならば、協同組合法を強化し、中小企業者の保護育成ということを政府が考えるならば、中小企業安定法と協同組合法とを一本にすべきじやないかと思う。中小企業安定法というものは一つの臨時立法なんだ。これを恒常的なものとして協同組合法の中に吸収することが必要じやないか。それでなかつたならば、協同組合法というものは、実際に中小企業者が生きるためにはあまり役に立たないと考えるわけであります。先般大臣は不況カルテルはできるだけ避けなければならぬと言つておられましたが、これは大企業の場合に言うべきことであつて、中小企業の場合には不況カルテルどころの騒ぎじやない。今日の生存の問題であつて、生存カルテルと言つてもいいと私は思うのです。だから、大企業と中小企業の場合をごつちやにして、この不況カルテルについて、中小企業にこれをあまり適用しないような考えを持つておられるのは、中小企業に対する認識が足りないと考えておるわけでございます。そこでさしあたつて先般来問題になつております安定法の二十九条の調整命令を発動するという問題は、大臣が発動することに方針を決定したといつておられますけれども、その後まだこの点について、正式に発表されておりません。その点についてこの際方針を承りたいということと、今申し上げましたいわゆる中小企業救済の根本の問題は、これを協同組合法の中に吸収すべきであると思うが、この点についてどういうふうにお考えになるかを伺いたい。
○愛知国務大臣 ただいまのお尋ねの点でございますが、まず二十九条の命令の問題につきましては、大体処理を完了いたしまして不日措置することになつております。 それから、中小企業安定法の問題でございますが、これはたしか昨年でありますか、改正せられまして、臨時立法ではなくなつたというように、私記憶いたしておりますが、同時に、ただいま御指摘の通りでありまして、従来中小企業対策というと、金融の問題というように考えられておりました点は、もう少し拡充して考えなければならないという点につきましては、まつたく同感でございます。従つて協同組合の組織の強化、あるいはそれの拡充ということにつきましては、十分の対策を考えておりますが、ただいまの立法の問題につきましては、ひとつ新しい御提案としてさらに検討いたしてみたいと思います。
○加藤(鐐造)委員 私はもうこれで質問を終りますが、中小企業安定法が形式上は、恒常立法になつたわけですが、性格はやはり臨時立法なんです。そこで協同組合法を強化しなければならないというのは、協同組合が今日中小企業者を統轄してその発展をはかつて行く上において力がないからである。私は行き方としては、協同組合が非常な強権を持つて業界を指導して行くというよりも、法の力でひつぱつて行くというこのやり方はできるだけ避けなくてはならないと思いますけれども、日本の中小企業者というものはどうしても法の力によらなければまとまつて行かない、たとえば生産制限の問題にいたしましても、この二十九条がああいうふうに強化された理由はどこにあるかという問題でございます。生産制限をしておるときに新しい業者がどんどんできる。こういうのが今日の日本の中小企業者の本質なんです。私はそこに問題があると思うわけでございまして、どうしてもこの際中小企業協同組合法というものを強化して、この中小企業者が一つの組合の指導のもとに一本にまとまつて行く、アウトサイダーもそれによつて規制できるというところまで行かなければならないと思うわけでございます。私は前岡野大臣以来この問題については強く要求して来ました。岡野大臣は、御説は賛成であるけれども、業者の中に一部反対する人がありますと言われております。そこに私は日本の中小企業者の今日の性格があると思う。そういうもので縛られるのは反対だということが中小企業者自体を滅ぼす大きな要素になると思う。その点を考えて、一部の反対があるからやらないということは一つの口実にすぎないと思うわけで、これをぜひひとつ急速に実現していただきたいということを要望しまして私の質問を終ります。
○小平委員長代理 中崎敏君。
○中崎委員 昨日の質疑の継続で、実は石油に関する問題でありますが、外務省の方に対しましては、外交政策に関する重要な問題でもありますし、大臣もしくは次官に出てもらうことを要望しておるわけであります。いずれ答弁の模様によりましては、さらにこれらの大臣もしくは次官の出席を要求することもあり得ますので、その点を保留して質問をいたします。 石油に関する問題は、戦時たると平時たるとを問わず、一国の最も大きな問題の一つだと考えておるのでございます。ことに日本の場合におきましては、ほとんど国内的に自給し得る石油というものは全体の一割程度にすぎないと言われておりましたが、現在はそれよりも非常に少いという程度のもので、問題にならない。従つてほとんど外国に依存しなければならないというものであり、しかもこれが重要な物資であるだけに、国の経済の上にも大きな役割を果しておると思うのです。それだけまたこの石油というものは国際的な影響を受ける物資でありまして、国がこの政策を立てる上においては重大な関心を払わなければならぬと思う。ところがこの石油に関しましては、占領以来その実態は、実質上ほとんど外国の手に握られておる。日本の石油の実際の指導権、さらに経済上の利益というものが、ほとんど外国の資本によつて握られておるという実情であります。こうした行き過ぎといいますか、日本の国のためには悲しむべき問題を打開するためには、政府が、あげてこの問題にとつ組んで行くべきだというふうに考えておるのでありますが、ことに外交の衝に当つておる外務省においては、ほんとうに情熱を傾けてこの問題に対処すべきだと考えておるのでありますが、そうした国民的な感情よりも、はるかに後退したような政策が行われておるという印象を強く持つものであります。ことにイランの石油に関する問題でありますが、これについては昨年初めて一日本の商事会社がイランからの石油を輸入した。ところがこれが相当に外交上の問題となつたようでありまして、結局において国内においてもこれが訴訟の形において行われたが、日本の訴訟においては日本側は勝つた。ところが知らぬ間にイランからの石油の輸入がとめられておるという現状になつておるわけです。ところがこのイランの石油は、われわれの知つておる限りにおいては、他の英米の両国から輸入する油より二割以上も原価的に安い。しかもオクタン価がはるかに高い良質のものである。しかもこれは何ら英米のカルテル系によつて左右されないものであるだけに、言いかえれば日本にこれが輸入されれば、英米の強いカルテルに対抗して値を下げる上においても、また一方的な市場規制の点についても、これを制約する大きな力になるというプラスになる。しかも石油を輸入することによつて、日本の船や繊維品やあるいは医薬品や、こうした日本にあり余つているものがどんどん向うに見返りとして輸出できる、言いかえればバーターとして行えるという一挙両得のものである。しかもこれを金額に見積つたら、日本の経済に直接、間接に何百億のプラスになるかわからない。こういう問題があるにかかわらず、何がゆえにかイランからの石油の輸入が日本の政府の手によつて許されないというふうなことは、どう見てもわれわれ納得が行かない。そこで外務省といたしましては、イランの石油に関する問題が起つて以来、外交的にイギリスあるいはイランあるいはアメリカとの関係においてどういうふうな折衝の経過をとつて、現在どういうふうな段階になつておるか、それをひとつ御説明願いたいと思います。
○寺岡説明員 ただいま石油の重要性につきましていろいろ御説がございまして、私どもまことにその通りだと考えております。ことにイランと日本との関係におきまして、石油問題はなるほど御指摘の通りでありまして、できるだけ安い石油を入れたいという希望につきましては、政府といたしましても十分に考慮をしておるところでございます。しかしながらイランの石油の国有化ということにつきまして、目下英国とイランとの間に紛争が生じておりまして、これが現在交渉進行中の状態でありますのに、またかたがた日本の商社がイランの石油を入れましたことによりまして、英国におきまして相当悪い影響があつたということも御承知の通りだと考えます。そこで日本といたしましては、両方とも友好国でございますし、目下交渉が進行中であるという状態でもあり、かたがた日本とイギリスの関係、特に貿易の面におきましても、イランと日本の関係だけから申しますと、これは非常に外貨の節約になることはその通りだと考えますが、同時に対英国の貿易の関係につきますと、現在日本といたしましては、英本国と植民地とを合せまして約一億ポンドの輸出を期待しておる現在でもございますので、この際紛争の解決するまで、石油の輸入をさしとめる、見合せるという方針をとつておる次第であります。 なお御参考までに申し上げますが、イランから石油を輸入いたしましたのは最初イタリアでございまして、イタリアと英国との間に大きな紛争があつたことも御承知だと思いますが、イタリア政府といたしましては、やはり英国とイランの話がつくまでこの輸入を見合せるということになつております。これも結局大局的な見地からそういう決定に達したものと考えております。もしも日本だけがイランの石油を、現在の紛争状態にもかかわらず輸入を継続するということになりますと、特に日本だけが目立ちまして、なおさら対英関係からいいますと影響がおもしろくないということにつきましても十分の御了承を得たいと考えております。交渉の経緯ついていろいろ御質問がございましたが、日本と英国との関係におきましては、石油の輸入について抗議が参つて来ております。従つてその抗議につきましては、当初石油の輸入をさしとめるということでございましたが、一応許可を与えたものはこれをさしとめるわけには行かない。ただ日英の今後の関係もあり、できるだけ善処するということで現在に至つておる次第でございます。イランとの関係につきましては、その点まだ具体的な交渉はしておりません。これは英国とイランとの話合いが済むということを前提にしていろいろ商社間の話はございますが、日本政府といたしましては、まだ直接交渉はしておりません。
○中崎委員 まず今の御答弁に対してお聞きしたいのでありますが、昨年日本の商社に対して、イランからの石油の輸入を政府の方で許可をされて外貨の割当を認めた際においては、イギリス側から日本に対して何らかの申入れなり多少の問題が起るということを、その当時において予想しなかつたかどうか、それを聞きたい。
○寺岡説明員 当時におきましては、現にイタリアがちようど輸入したばかりでございましたし、イタリアで実は問題が裁判にかかつておつた次第でございまして、従つて前例もあり、当時はさしつかえはなかろうということで来たわけです。ところがその後イタリア側との交渉もまとまりまして、従つてイタリア政府の態度もはつきりいたしました。その後英国からも抗議が来たという状況で、日英の経済関係も考慮した結果、今度は一応差控えるという態度にかわつたわけであります。
○中崎委員 イギリスとイランとの間に紛争が起つたということは世界周知の事実であります。従つてそうした問題があるところから日本が石油を買えば、悪い影響があるということははつきりしておる。その当時からわかつておるはずです。もしわかつてないというならば、外務省の役人はどうかしている。それはそれで別として、その後においてイギリスに対して現に一億ポンドの通商取引の見通しができる状態に進んでおる。ところがこの一億ポンドの取引についてはただ一方的に日本から買つてもらうというだけの話じやないですか。今までは日本があべこべに向うからよけいに買つておるような、状態である。言いかえるとほとんどバーター的ないわゆる同一金額の取引にすぎないのであつて、日本が一方的に恩恵を受けるという事態ではない。だからそれはそれとして相互対等の立場であるから、それと問題を離す。イランと日本との間に取引をすればそれは悪影響はあるでしよう。言いかえればお互いの取引をするときに、純然たる商業取引の場合においても、こつち側が競争者の相手と取引したら喜ばないにきまり切つている。どうか頼む、やつてくれと言う人はどこにもない。競争者なるがゆえに悪い影響はいかなる場合においてもあり得る。そんなことを一々気にしておつて弱腰外交をやつておるからいつでもやられてしまう。現にイギリスとイランとの間の石油に関する交渉が進行中だというふうに聞いておる。詳しいことは知らぬけれども、われわれの知つておる範囲においては、イギリスとアメリカの両方の石油系統が、今イランの石油を自分の方に売つてくれと交渉しておる。しかもアメリカの場合においては五五ないし六〇の率で要求している。イギリス側の計画としては四五程度のものを自分の方にほしいということだが、アメリカの方はイギリスよりも高い率を要求しておる。言いかえると、アングロ・イラニアン会社の権利というものは一方的にイランの方に入つて来たもので、その一切の権益はイギリスが持つておつた。ところが現在の段階では、何ら関係のないアメリカが割り込んで、おれの方に石油をよこせといつて、お互いがやつておる。けれども日本は昨年の場合においての実績を持つておるわけで、その日本が何でそこに割り込むだけの要求をして行かぬのか。現にたとえば一〇%なり一五%の範囲において、イランの国はこれだけは自分の国にまかせてくれという交渉がなされておる。結論はどうついたか知らぬが、そういうように聞いておる。そうするとその範囲においても当然日本が一〇%なら一〇%、二〇%なら二〇%認められれば、それだけ全部買えるものは買つて来たらいいじやないか。そういうわけで、当然日本が割り込んで行つて、商取引を堂々とやつたらいい。これは商取引なんです。そういうわけでしよう。だからただ国際的な関係で影響が悪いとか、そういう卑屈なことでは日本の国家を背負つて行けぬと思う。そういうようなこれは大きな石油問題である。もう一歩前進して、日本の少くとも昨年におけるところの金額は、わずかであるけれども約三十万ドル、ところが実際においては何千万ドルでもいいから買つて来たらいい。昨年の実績を放棄して、相手と話がつくまで待つておるという、そういう悠長なことでは日本の国を背負つて立てぬと思う。だからもう少し、この点について、今イラン側と英米の石油系の関係というものとどう話が進んで、現在どういう段階にあるのか。イランとしても、あるいは一〇%なら一〇%、一五%なら一五%保留して、これをどういうふうに処理するような考えから話がどういうふうに進みつつあるのか、その見通しをひとつ御報告願いたい。
○寺岡説明員 たとえばアングロ・イラニアン・カンパニーと米国系の石油会社が集まつて話をして、それが今イラン政府と交渉しておるということについて御説がございましたが、実はその通りでございまして、これは本来会社同士の話合いでありまして、それが済んだから政府の問題としてこれを取上げるという段階になるのでございます。従いまして本来石油の問題は、実は英米系につきましては少くとも会社間の話合いになつておりまして、もし日本側の会社が英米の石油会社と話をするということになれば、これは政府としても十分援助をするつもりでおります。しかしながらその場合には、およそいろいろ商業的要素とかあるいはその他の経済的要因がありまして、それによつて話ができるものだと思つております。ただ政府の問題といたしましては、ただいま申し上げましたように、英国とイランとの関係では、英国がイランとの約束によつて石油開発権を得て、その契約によつていろいろ各種の施設をしたものに対して、イラン政府がこれを国有化したというところに問題があるわけでございます。従いまして問題は二つございまして、石油の販売網ということと、それから所有権ないしは損害賠償権というものとはおのずから別のものであると考えておりますので、従いまして政府といたしましては、先ほど申し上げましたように、商業的ルートの問題につきましては一応差控える、これは対英国の一般的な考慮に基くものである、こういう気持でおります。ただおつしやいましたように実際上の問題はございますので、これにつきましては政府はできるだけの努力をするつもりでおります。
○中崎委員 どうも実際においてこれは為替が政府の管理ではなしに、民間の管理において、これだけの外貨が欲しい、ここにこれだけ持つて行けばくれるのだということならば文句はないのだが、実際は政府の方で為替を握つておる。いわゆる生殺与奪の権を持つておるわけだ。その生殺与奪の権を悪用して、そうして民間の通商を妨害しようとしておるわけだ。ほんとうに日本の国のためになるような正常な取引さえもこれによつて阻害しておる。であるからこの問題については為替を許したらいい、広げたらいい。何でもない問題だ。そうしてあとの問題は日本の商社と向うの商社でやればいい。あるいはイギリスが問題があるなら、国際裁判でやるなり何なりしてやればいい。何も政府が為替を握つている必要はない。いわんや悪用する必要はない。何もイギリスに気がねする必要はない。石油に関しては為替を許したらいい。ことに昨年の実績もあるのに、それまで押えつける必要は少しもない。民間商社にまかしたらいい。もし損害賠償があればその会社が背負うんだから、何も政府が干渉する必要はない。この内閣は自由主義だというが、それならそのくらいやつたらいい。その点について政府側においても十分検討をして、そうしてもう一歩前進する必要がある。ただ国民を押えつけ、国を犠牲にしても、外国のきげんさえとつたらいいというような、そういう卑屈なことではなしに、民間人がやるというのならやらしてやつたらいいじやないか。そういう心構えになれるかなれないか、政府の方において至急検討して、その結果を早急に知らしてもらいたいと思います。
○寺岡説明員 ただいまおつしやいましたように、本件は比較的な問題でございますから、なおかつ検討いたしまして対策を決定いたしたいと思います。
○小平委員長代理 川上貫一君。
○川上委員 私は二、三点通産大臣にお伺いしたいのですが、そのほかに大蔵当局の方にも関係があると思いますので、一緒に御答弁願いたいと思います。 先に通産政策の方針の一つとしてオーバー・ローンのことを御説明になつたのですが、第一点は、オーバー・ローン解消案を日銀の政策委員会にいつごろ正式にかけられたか、非常に最近ではないかと思うのですが、これは池田君がアメリカに行かれるときにもう案を持つて行かれておるのに、なぜ今まで政策委員会の方にかけておられなかつたか、突如として最近にこの内容が大蔵当局あたりから出ておる。このことについては、通産大臣は所管違いだと思つていられるかもしらぬが、そうでない。アメリカにも一緒に行かれたのでこの事情は大蔵当局よりよく知つておられると思う。それが一つと、それからこれをやるとしますと、どうしてもドルを日銀の発行準備に入れるのでなければ、政府が考えておられるいろいろの問題は本格的にならないと思う。そこで日銀法の改正をなさるつもりがあるかどうか。これは全然しないのか、将来ともこのドルは日銀の発行準備には絶対に関係させないのかどうか、簡単でよろしいからこの点をまずお伺いいたしたい。
○愛知国務大臣 オーバー・ローンの解消策が日本銀行政策委員会にいつ付議されたかということは、多分昨日ぐらいだと思います。私は、経済審議庁から日本銀行政策委員会に委員が出ておりますが、その出ております委員から、この委員会が済み次第報告を聞くことにいたしておりますから、私も大蔵省がいかなる案を政策委員会に出したか、内容はまだつまびらかでございません。 それから第二点でございますが、池田氏が渡米しましたときに、オーバー・ローンの解消のためにはこういうことも一案ではなかろうかという試案を持つて参りましたことは事実でございます。これにつきましてアメリカ側からの指図を受けるとか了解を受けるとか、そういうふうな事実は全然ございませんでした。日本の経済の実情や自分のこれに対する意見を個人として述ベる場合に、あるいはこういうことも政策の一つに取上げたならばいいのではないかというように考えておるという前提のもとに、そういう試案を持つておつたことは事実でございます。 それから第三点、日銀法の関係でございますが、これについては簡単にという言葉でございますが、誤解を避けますためにちよつと詳しく申し上げます。ただいま申しましたような案でございますから私の理解しておるところでは、その後昨年末から今年初めにかけまして、大蔵省内において、当初の池田構想なるものはそのまま大蔵省案にした方がいいか、あるいは政府としてはさらに慎重に各方面の意見を聞いて、政府としての対案をつくつたならばいいかということについては、後者の意見をとりまして、その結果相当慎重に検討した上、昨日あたり関係の最も深い日銀政策委員会に相談を持ちかけたのであろうと理解いたしておりますから、昨日のオーバー・ローン解消案の中においてドルをどういうふうに考えておるか、特に将来の発行準備として絶対に入れないという案になつておるかどうかは、私は承知いたしておりません。しかしながら私個人の意見といたしましては、おそらく今ただちにの問題かどうかは別といたしまして、日本銀行法なるものは戦時中につくられた法律であつて、必要の最小限度の修正はその後加えられておると思いますが、恒久的な立法の問題としては、将来改正することの方が適当だと思います。その際に日本の通貨制度をいかなるものにするかという根本論の問題が当然取上げられると思いますが、ドルにつきましても、これを正貨準備あるいは発行準備の中に入れることが適当であるという意見も、その際には有力になるかと私は思います。
○川上委員 通産大臣の考え方、おおよその方向がよくわかつたと思います。おそらく日銀法の改正というものは予定されてオーバー・ローンの解消案がつくられておると解釈してよろしいと私は思う。 第二には、日銀のドルを発行準備に入れるという構想を一部持つて解消案が構想されておる、こう考えても、それは将来のことはわからぬといえばわからぬことになりますけれども、構想の中にあると理解してよいと思う。また通産大臣の考えもそういうこともあり得るという御答弁だと了解するのであります。もう一つ言えば、そうしなければこのオーバー・ローン解消案というものの真骨は入らないのじやないか。それでなければ、ただこれは市中銀行の金を引揚げさえすればいいのだということだけでこのオーバー・ローン解消案というものの構想があるとすれば、それは思いつきのようなもので、何も底をつくものじやない、こうわれわれは考える。 そこで通産大臣の意見をこの際聞いておきたいのですが、日銀の発行準備にこれを入れるとすれば——そうなると私は思うのですが、それは仮定の問題として言うだけじやない。そうすると、これはいわゆるドル為替制度です。つまり日銀券発行の裏づけとしてドルがなるのでありますから、言葉はどうか知りませんが、いわばドル本位の形をとつて来る、こう考えなければならぬ。ドルを裏づけといたしますと、ドルの増減が貿易ということに直接関係をして来ると思う。この点で通産大臣の意見を聞いておきたい。これは経済審議庁長官の意見としても聞いておきたいと思うのですが、今日ドルは大部分特需によつて持つて来る。ところが特需は世界的な条件から言うて減少することは、いろいろこりくつをつけてみましても事実そうなると思う。域外買付という問題もありますが、これを期待していると言われるが、一方においてはこの域外買付のために特別円をつくろうとしておる。たとえばMSAの小麦協定、この小麦を買うた円は特別円として積み立てるが——名前はどういうことになるか知りませんが、とにかく一部は軍需生産の資金に充てる。一部は域外買付にこれを使う。こうすると域外買付がだんだん積つて来ると、域外買付によるドルは少くなる。日本円でやつてしまいますから、しまいには域外買付というものは円の操作でできるようになる。これはそうなるに違いない。向うはドルを使わないでどんどんやれるということになるに違いないと思う。そうすると一体どうしてドルを維持するのか、ドルの維持はできないじやないか。そういう時分に、たとえばこの特別円をドルにかえるというようなことが将来あつた場合には、これはアメリカからたいへんな要求が一緒について来るに違いないと思うのです。これはドル本位にならないでも、日銀にドルを入れるということになれば、アメリカの権力は非常に強くなるのでありますが、それが日銀法を改正し発行準備に入るということになると、これはドル本位でありますから、日本の通貨管理の実際はアメリカがするようになると思う。これは理論ではない、事実上の問題だと思う。こういうことを私が言いますのは、ちよつと質問が長くなりますけれども、大体アメリカが日本の経済、金融を支配して来た形の歴史を見てもわかる。占領中はGHQがこれを完全にやつた。そのあとでは経済援助という形でガリオアその他でやつて来た。その次に特需でやつて来た。これが日本の政治、特に経済を非常に押えた。特需がなかつたら日本はつぶれる。この特需はだんだん減る傾向にある。そこで域外買付に今度は来た。域外買付という筋を通じて日本金融、経済をやはり握つておる。ところが今度はいよいよドルになる。これは私はたいへんなことだと思う。いわゆるアメリカの金融支配がはつきり顔を出して来たんだ、これがオーバ一・ローン解消案の本質だと考えざるを得ない。そこでこの問題はMSAと直接関係があるのだ。だから急いでこういうことになつて来る。日銀の政策委員会にきのう出して、そうしてすぐまたそれを出すか出さぬうちに、大蔵当局はその構想を国会において発表しておる。その他においても発表しておる。政策委員会がどう考えるかわからぬうちに構想をどんどん出しておる。そうしてMSAの交渉はなかなか思うように行かないらしくてぐずぐずしておる。それは重大な関係があるに違いはない。言いかえると、今度こそはドルが日本の金融の王座になろうとしておる。これがオーバー・ローン解消案の本質だと私は思うのです。このオーバー・ローン解消案というものは、日銀の市中銀行貸出しの引揚げ、その他資金をどうとかするんだというようなことでごまかされておる。本質はそこじやない。ドルの問題です。そうしてドルが日本の金融を支配するという構想なのである、こう私は考えるのですが、この点について通産大臣はどう考えられるか。これは重大な問題だと思いますからいいかげんなことでなしに、ひとつ答弁してもらいたいと思う。この答弁は、将来あれはちよつとうそだつたというようなことのないような答弁をしていただきたい。
○愛知国務大臣 そういう意味でございますから、先ほどの答弁を川上さんがどういうふうにおとりになつたかという点について、私も多少懸念を持ちますから、もう一度詳しく申し上げますが、オーバー・ローンの解消の大蔵省案というものにおいて、将来の日銀の通貨制度、ということは日本の通貨制度の根本の問題でありますが、そういう場合に、為替本位制をとるのか、金本位制をとるのか、あるいは管理通貨制度をとるのかということについて、そういう考え方がこのオーバー・ローン解消工作の中に入つておるか、あるいは将来の方針をオミツトするかというようなことは、私は入つておるかどうか現実に知りませんが、入つておるのではなかろうかというふうに考えます。それから将来の日本の通貨制度をどう考えるかという場合におきましては、為替本位制度というようなことも一つの構想にはなり得るのでありまして、その際におきましては、日銀の所有のドルというものが通貨発行の準備の一部になることは考えられるであろうということを申し上げたのでありますから、さようにお聞き取りを願いたいと思います。 次にただいまの御質疑にお答えいたしますが、特需の問題と域外調達の問題でございますが、そもそも域外調達という言葉は、日本の国内において、日本が必要とする物資をアメリカがドルを持つて来て日本の国内で調達して、そしていろいろの方法がございましようが、日本の必要とする物資にこれを充ててくれるというのが一つ。それからたとえば第三国等において必要とする物資を日本の国内においてアメリカがドルを調達してそのドルで日本の物資を買つてくれて、これを第三国に持つて行くということが一つ、この二つが私は域外調達の本筋であると考えます。具体的な問題といたしまして私の承知しております限りにおいて、たとえば本年六月までの米軍の予算その他から想像いたしますると、大体五千五百万ドルないし六千万ドルはその本則の第一の原則によりまして日本においてこれが費やされるものである、私はこういうように理解をいたしております。 さてその次の問題でありますが、アメリカの小麦その他の農産物を日本が買いまして、五千万ドル相当のものを最近買うことになると思いますが、そのうちの千万ドル相当分の円は日本に対する贈与になりますから、その千万ドル相当分の三十六億円というものはいかなる経理方法をとるか、たとえば日本銀行に特別の勘定でも置くのか、あるいは特別会計でもつくつてそこから防衛関係その他の生産の資金に充てるか、方法論についてはまだ具体的にきまつておりませんが、これは不日きまることになると思います。その使い方についてはまだ十分の検討が積まれておりません。四千万ドルに相当する円費は、先ほど申しました原則にプラスして日本の国内の物資を調達することに用いられるものでございます。従つて今後の私の考え方といたしましては、あくまで域外調達というものは本則の域外調達であつて、すなわちドルが日本の国内に落ちるということを私どもとしては今後の域外調達に対する日本の立場として、この本則が本則通り動くように期待もし、また実現をはかつて行かなければならないものであります。現在の小麦の輸入は、御承知のように昨年の凶作等について日本としてもこれをなるべく早く入れたい。アメリカは過剰農産物で困つておる。そこでわれわれとしてはできるだけこの取引によつて日本としてマイナスになることがないようにという配意をいたして参つたつもりでございます。現在話が進んでおります程度のものでありますならば、私どもの杞憂は全然なかつた。小麦の価格も安く、かつ千万ドル分は贈与になるというような関係から申しましても、わが国としてこれはいいことになつたというふうに私は確信いたしております。 それから最後のお尋ねでございますが、私はそういうふうにも物事が見られるものかなというふうに偽らざる感じがいたすのでありますが、MSAの交渉とオーバー・ローン解消とは何ら関係はございません。のみならず日本の通貨制度がドルによつて将来躁欄されるなどということは絶対にないようにしなければならないと考えております。
○川上委員 まず第一点は、通産大臣は将来発行準備に入れることもあり得るだろう、これが一つ、日銀法の改正もすることがあるだろうということが一つですが、通産大臣は日銀の発行準備に入れるということは困るという御意見はないのですか。こう私は理解しておる。つまり発行準備に入れてもよろしい、こういうことなんですが、私はこれを問題にしておる。こういうことをいたしますならば、日本はドル本位制になる。ドル本位制になるということが、これがアメリカのねらいだ。これを私は聞いておる。このオーバー・ローン解消というものはつけたりなんだ。そうではないのだ。これも一つありますけれども、これを通じて日本の金融支配をドルによつてやるということになれば、これはアメリカだ。アメリカの行き方一つで日本の金融制度、準備制度というものが左右されるのだ。ドルがだんだん少くなつて来ると、こうするとドル本位になりますから、そうなつて来るとどうするのですか。この部分はアメリカの指一つで日本の金融は動くじやないですか、これを私は言うておる。もつともドル本位になつたのは日本だけが特例じやありません。外国にも例がある。例があるが、しかしそれは例にならない。なぜならば日本は今ほとんどあらゆる面でアメリカの支配のもとに置かれておるのです。それだから、外国にこういうものがあつたから日本もその通りにやれということではない。この特殊条件のもとでドル本位をやつてごらんなさい。これはアメリカの金融支配になるにきまつておる。これがオーバー・ローン解消案のねらいだということを言つているのです。かようなことはございません。いろいろな理解の仕方があるものだと思いまして驚きましたとあなたは言われましたが、そういうのを私は驚くのです。もし通産大臣がほんとうにそう思うておられるなら、よほど通産大臣の頭はおかしい。こういう危険があるにもかかわらず、さようなことは一つもございませんというような考え方を持つておるからだめなんだ。だからアメリカに隷属してしまうのではないか。こういうような危険を考えてこそ、日本の自主独立はできるのです。そういう危険はございませんとなぜ言えるのですか。ドル本位にしておいてアメリカの支配は絶対に受けることはないとどうして言えるのです。こういう答弁がけしからぬのだ。こういう考え方をあなた方が持つておるから、日本の政治、経済というものは全部アメリカに隷属しておるのではないか。これはもう一ぺん考えなさい。そういう答弁はけしからぬ。そういう危険はありますが、その点はこうこうこういう方策によつてわれわれは防ぐつもりでありますというなら話はわかる。あなたは金融についての専門家じやないですか。その専門家がドル本位にしてしまつて、アメリカのことは直接関係ありませんというような答弁はどこから出て来るのです。これはいやしくも国際金融を考えておる者の常識じやないですか。ことに日本の置かれておる国際的地位をごらんなさい。完全なる従属国である。その日本が日銀の発行準備の基礎にどこを置いたらどうなるかということは、愛知通産大臣が知らぬはずはありません。それをぬけぬけしく、一向アメリカとは関係ありませんなどと、よくこんな返答ができる。ここに根本問題があります。しかしこれは答弁しなさいと言うても、見解の相違だとかかつてにそう言うておれということになりましようし、これだけいろいろ言うておつても結論つかぬと思いますが、この点は非常に重大に考えなければならない。私はこの点の質問を留保しておきますが、通産大臣はとんでもないお考えを持つてやつておられやせぬか。これはほんとうに売国的なものだと思いますけれども、おそらくこれは見解の相違ということになつて時間をとるばかりだと思うので、答弁は求めますまい。あとでだんだん具体的問題について聞くことにいたしたいと思いますが、しかしこれは重大な問題でありますから、特に通産大臣の注意を喚起しておきたい。
○愛知国務大臣 私の先ほど申し上げましたことは、速記録も十分ごらんいただきたいと思いますが、私が関係ないと言つたのは、MSAの協定とオーバー・ローンの解消とは、今大蔵省が考えておることとの間に関係がないということが一つ、それからドルを将来日銀の通貨準備に入れるということも、通貨制度の一つの改革論としてはあり得る。しかしながら域外調達の例についても申し上げましたごとく、あなたの御懸念になるようなことはいたしたくありませんという趣旨を申し上げたつもりでありますから、念のためにお答えいたしておきます。
○川上委員 政治というものは念願によつて行われるものじやありません。そういうことをいたしたくありませんというようなことは、これはあなたの念願なんです。政治というものは具体的なんです。そういたしたくなくてもそう必然的になる条件があるじやないかということを私は言つている。そういうことは討論にならぬというような顔をしてはだめだ。さらにこういうことになると、アメリカのドルを中心とする金融支配になるじやないかということを私は聞いているのです。MSAの協定を結んでも金融支配にならぬと思いますか、それを聞きましよう。
○愛知国務大臣 そうしないのがわれわれの方針でございます。
○川上委員 どうしてそうしないようにするのか、ドルを通貨準備のもとにしておいて、日本の今のような状態においてなぜアメリカの金融支配のもとにこれが入らないか、どこでそれを防ぐか。ドルが通貨準備の裏づけになるのです。繰返して言うが、アメリカが今までずつと日本の政治、経済を牛耳つて来た方法、これが最後になつてドルをもつて日本の経済と金融と政治を牛耳ろう、ここまで来ておるじやないですか、それをどうして食いとめるか、これを食いとめる方法は全国民の抵抗以外にはありやしません。その抵抗は全部押えておる。政治活動を禁止しようの、ストライキをとめようの、平和運動はよろしくないのと国民の抵抗をとめておつて、どうしてこれを食いとめるか、この構想があれば通産大臣おつしやつてください。
○愛知国務大臣 およそ一国の通貨制度について何を準備にするか、どういう制度にするかということは、法律によつて、国会によつてきめていただく問題であります。それから先ほどあなたも御指摘になりましたように、ドル為替を通貨の本位にしているのはほかの国の例もございますが、しかしそれはわれわれがこれからどういう通貨制度にするかということの参考に資するものであつて、それだからといつて私はそれがいいとも言つておるわけではありません。十分われわれとしてはあなたの御懸念のようなことがないように、通貨制度というものは恒久的な一番根本的な問題でございますから、慎重に研究しなければならないと考えております。
○山手委員 議事進行について。オーバー・ローンの問題は日本の産業界にとつても非常に重大な問題でありますし、川上君のお話は各委員から先般来いろいろ質疑も断片的にあつた問題でもありますので、あらためて大臣からこの委員会でお聞きすることにして、きようはあとに理事会を控えておりますし、加藤君の繊維に関する質問も残つているようでありますから、進行されたいと思います。どうぞそのようにおはからいをお願いします。
○川上委員 それでは時間ももう一時になりましたので、私の質問は留保して、次の機会にやらせてもらいたいと思います。
○小平委員長代理 加藤清二君。
○加藤(清)委員 私は時間がございませんので、簡単に繊維消費税の問題について大臣の所信を承りたいと存じます。ただいま川上先生もおつしやいましたように、信念や希望的観測では政治はできません。特に繊維消費税の問題につきましては、御承知の通り具体的事実として今国会に八十五億というものが提出されている。そこで業界では全国からこれの反対運動がほうはいとして起つておる。あなたはかつては税金をとる方の側にいらつしやつたかもしれませんが、今日ではこの業界を指導育成しなければならないところの総本山なんです。あなたの考え方、あなたの打つ手いかんによつて業来者は死んだり生きたりするのです。だからかつての通産大臣は、三人や五人首をつつて死んでもいいということを言つただけでもうああいうような状況になつた。あなたはこの際この繊維消費税なるものは一体どうお考えになりましようか。やはりかけた方がいいとお考えになりましようか。それとも政調会に押されておるのでやむなく延び延びにさせておるというのでございましようか、あなたの信念のほどと、それからこの繊維消費税に対して将来どのようにするかという計画のほどを簡単に一口でけつこうですから伺いたい。
○愛知国務大臣 この問題については従来もしばしば私の意見を申し上げた通りでございますから、簡単に申し上げますが、私は一つに小売課税という関係は何とかして免れたいと申しますか、ただいま加藤さんの言われたような御趣旨から申しまして、私の立場から申しましても小売課税ということが一つの大きな問題の焦点だと思いますので、何とかしてこの小売課税の段階というものは最小限度にとどめたいというふうに考えております。それからいま一つは免税点をできるだけ引上げたい、この二つを中心にいたしまして、力の及ぶ限り努力をいたしております。
○加藤(清)委員 時間がないので、私も簡単に尋ねますから、簡単にお願いします。 それでは続いてお尋ねしますが、この税をもしかけるとするならば、くろうとが考えれば当然これは元ほどかけやすい、元ほど正確にとりやすいということは一致した意見だろうと思うのですが、それが元にかけるのが一夜にしてひつくり返つて、広い場面に、しかもあなたの一番のがれたいとおつしやる小売の方へかかるようになつた、その原因は一体何でございますか。
○愛知国務大臣 この点は私といたしましてはその経緯を御説明するよりも、現在の状況において最善の方法を発見し、かつこれを具体的に実現するということに努力を集中いたしたいと思います。
○加藤(清)委員 それは私の質問に対する答弁ではないようでございますが、私の質問に対するお答えはできないのでございましようか、言つたら何ぞさしつかえがあるのでございましようか。
○愛知国務大臣 別にさしつかえることも何もございません。これにつきましてはたとえば原毛課税の方がいいか、小売課税を原則とする方がいいかどうかということについていろいろの論議があつて、御承知のようにこの方がいいということにそのときにはなつたわけでございます。
○加藤(清)委員 それは実におかしいと思うのです。全国のとにかく権威の方々、税金をとらなければならぬところの責任者の方々が集まつて相談なさつた場合に、くろうとが考えたら、それは間違いだ、その方がむずかしい、費用もよけいかかる、やみも行われるであろうということのわかつている方へ、慎重審議の結果かわつて行つた、そういうことは常識としては考えられない。なぜなれば、これが初めてのテスト・ケースであれば、それはそれも考えられるでしよう。ところがすでにこれは織物消費税とか取引高税でさんざん経験したはずなんです。それでいけなかつたから、あれは撤廃になつたのだ。そのときにあなたは大蔵省にいらつしやつたはずですからよくおわかりのはずなんですが、それがまたぞろそこへかかつて行く。それじや理由にならぬですよ。新しい事態はどういう理由があつたか。
○愛知国務大臣 別にそのときに新しい事態というようなことはありませんで、これは政府あるいは与党の間におきましていろいろ議論が沸騰いたしましたことは、御想像にかたくないと思うのでありますが、その結論として、ともかくこれを一つの案にしようという結果になつたわけでございます。
○加藤(清)委員 どうもその答弁は当を得ていないようでございます。もしあなたが言えないというならば、私はその小売業界でなくして、他の関係の業界に関係を持つておりますから、事実は知つております。それですからここで言うてもいいんですが、言うたらまたたいへんなことが起きて、行政監察へひつぱつて行かれるようなことになつてはいけませんから、私はやめます。 そこで私はこういうことをお尋ねしたいのです。大蔵大臣にわれわれが申入れをいたしました折に、アメリカのサゼスチョンがあるので困つたということをおつしやいましたが、これはあなたも大蔵大臣と一緒にいらしたのですからよくおわかりでございましよう。この言葉は事実でございましようか。それともその場のがれの言葉でございましようか。あなたはこの点どう思いなさいますか。
○愛知国務大臣 私は当時大蔵大臣と御一緒にアメリカに参りませんでした関係上、どういう話を大蔵大臣が聞かれたか、あるいはそれをどういうふうに表現したか、知らないのでございます。
○小平委員長代理 加藤君、ちよつと申し上げます。一問という話でしたが、大分質問がダブつているようですから、簡単に願います。
○加藤(清)委員 区切つてやつているので長くやつているようですが、私は繊維一つについて聞いているのですから……。 その場合、政府の方針はあちらへ参り、こちらへ参りしているようでございますが、慎重審議をしたとおつしやるあなたであれば、それほど重大な至上命令があつたとすれば、その会議の際にそういう言葉が大臣から出たか出ないか、御存じでしよう。
○愛知国務大臣 その点は別に隠し立てをするわけではないのでありまして、大蔵省の省議で大蔵大臣がそういう発言をしたという記憶が私にはないのであります。
○加藤(清)委員 それでは小売課税にしろということでアメリカからサゼスチョンがあつたということは、別に大したことはないのですね。重要会議にさえも提出されなかつたような材料であるとすれば、そう大きく考えなくてもいいわけですね。そう考えてもよろしゆうございますか。
○愛知国務大臣 私は大体その通りだと思うのです。ただ一言つけ加えさせていただきますが、諸外国の状況などから見て、高級の奢侈を抑制するようなことは、この際国際的な感覚から見てもやるべきではないだろうか。そういう話が出たことは事実でございますが、特定の国から特定の小売課税ということまで断定的に言われたという話は、聞いたことはございません。
○加藤(清)委員 わかりました。それではこの問題は、この税の設定について大きな影響を持たない。大きな原因でないと考えてよろしゆうございますね。 では続いてお尋ねします。政府の方針と申しましようか、自由党の政調会の方針と申しましようか、かける場所もだんだんかわつて来ているようでございますね。それから金額もまた徐々に減つて来ているようでございますね。当初のころからと比べますと、きのうの様子だけでもずいぶんかわつております。大会の席上では、あなたの方のほんとうの幹部の方々が、絶対これはやめますと言つていらつしやる。ところで読売新聞はやめるかということを書いている。けさの朝日は、小売と原糸の間にかける、こういうことを言うているようでございます。そこで最後にお尋ねするわけでございますが、小売と糸との中間にかけるとおつしやいますと、もしこれが事実であつたとすれば、一体場所はどこでございましようか。考えてみれば機場か問屋かというところになるわけであります。それともこの間中繊維局長がるる述べたように切売屋か、こういうことになりますが、切売りの場所では、これが非常に広範囲になつて、問屋以下全部切売りをやつているという状況にかんがみて、この場所はたいへん悪いということはお認めになつたはずです。それで考えてみると、それ以外だということになれば、問屋か機場かということになる。問屋にこれをかけた場合に、はたして八十五億の税金がまともに徴税できるお考えでございましようか。あるいはできるかできぬかわからぬけれども、一ぺんやつてみようというお考えでございましようか。あるいはできぬことは初めからわかつているけれども、面子上これはやらざるを得ぬということなのでございましようか。私の考えからすれば、もし問屋にこれをかけたとするならば、問屋は絶対に四千五百円以上の値ぎめはいたしません。全部抱合せ販売が行われるじやないかと思います。なぜならば、今日紡績が糸を商人に売る場合、機場に売る場合でも、三品市場において、あれほどはつきり契約までやつておりながら、なお抱合せが行われているということをあなたはよく御存じのはずであります。税を免れるという別な新しい原因が起きて来れば問屋筋ではいかようなことでもやります。税務官吏を料理屋へ連れて行くぐらいのことは平気であります。そうなれば、ここには徴税の目的とは遠く離れた悪の花が咲いて、結局政府の自由党の目的としているところの完全な徴税ということはとうてい行われなくなることは、過去の経験によつてあなたがよく御存じのはずである。それをよく御存じでありながら、なおここにかけようとなさるのでございましようか。もつと研究し直して再出発しようというほのかな考え方でもございましようか。一つその点をはつきりと確かめまして、その答えのいかんによつて一問で終ります。
○愛知国務大臣 この事情につきましてはよく御存じのところでございますので、私の答弁もまことにむずかしいということを御了承願えると思うのでございますが、私といたしましては、まだ本件についての通産省としての最後の決定は保留しているのであります。先ほど申しましたように、さらに一段も二段も努力をいたしたいと考えております。
○加藤(清)委員 この問題については、政調会の原案について繊維局や大蔵省がその原案を練つていらつしやるというお話でございます。そこでこの関係については、かつてのあなたの部下に一宮で六年も修行した人がいるはずです。その人をこの次ぜひこの委員会へ呼んでいただいて、この税金がはたしてとり得るやいなや、また正しきや間違いでありや、あなたの目的通り行くやいなや、こういう問題について慎重討論をしてみたいと思いますので、ぜひその人をここへ呼び寄せていただきたい。政府側もその点をよく研究しておいていただきたい。それをお願いいたしまして、きようは委員長の再三のお言葉もございますし、あまり時間が長くなりましても何ですから、質問の残りは保留いたしまして、この程度で一応私の質問を終ります。
○小平委員長代理 本日はこれにて散会いたします。 なお次会は十七日午前十時より開会いたします。 午後一時十一分散会