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19回国会衆議院1954/06/15

懲罰委員会 第5号

発言数
10
登壇者
5
会派数
3
開催日
1954/06/15

会議録

森幸太郎自由党

○森委員長 会議を開きます。  議員堤ツルヨ君懲罰事犯の件外四十五件の懲罰事犯の件を一括議題といたします。  この際お諮りいたします。本委員会に付託されました四十六件の懲罰事犯の件につきましては、すでに本委員会におきまして結論を出す段階に来ておりますので、議員堤ツルヨ君外四十五名の諸君の懲罰事犯の件について、懲罰事犯として懲罰すべきやいなや、及び、懲罰を科するとすれば、国会法第百二十二条に規定するいずれの懲罰を科すべきかについてお諮りいたします。

瀬戸山三男自由党

○瀬戸山委員 議員堤ツルヨ君懲罰事犯の件外四十五件の懲罰事犯の件につきましては、淺沼稻次郎君を除き、いずれも懲罰を科すべきものとの動議を提出いたします。  まずその理由を申し述べます。  六月三日夜、衆議院がわが国国会史上空前の大混乱を起しましたことは、すでに周知の事実でありますが、私は、懲罰委員会の審議に付せられましたる各議員諸君の責任の有無、軽重を明らかにするため、ここにあらためて当夜の事件の大要を申し述べる次第であります。  六月三日は、今国会の第三次の延長せられました会期の最終日でありましたが、法案審議の都合上、さらに会期延長の議が起りまして、午後八時再開せられました衆議院議院運営委員会において、堤議長より会期二日間延長の件が諮られ、採決の結果、八時三十四分ごろ、同委員会においては会期をさらに二日間延長することに決定いたしたのであります。そこで議長は会期二日間延長の件を本会議に諮らんとしたのでありますが、会期延長に反対する左右両派社会党所属の議員諸君は、実力をもつて本会議の議事を妨害阻止せんと企て、ただちに堤議長を多数の暴力をもつて議院運営委員会議場内に監禁して、同議長の行動の自由を奪い、その職務の執行を妨げたのでありますが、同九時過ぎ議長を保護しその職務の執行を可能ならしめんとする衛視及び自由党、改進党所属議員の実力行使によつて堤議長は救い出され、一旦第四控室に難をのがれたのであります。  しかるに、あくまでも暴力をもつて本会議の開会を阻止しようとする左右両派社会党所属議員諸君は、両党所属の参議院議員、青年行動隊員及び議員秘書、にせ秘書並びに労働組合員等、院外の多数を動員して、第四控室の出入口及び本会議場の各出入口にピケ・ラインを張り、議長並びに議員の本会議場に入場することを阻止する態勢を整えるとともに、他方、あらかじめ本会議場に入場し、あまつさえ議長及び事務総長席に着席して、議長の着席を妨げる態度に出たのであります。  このような状況のもとに、午後十時三十五分、本会議再開のベルとともに、堤議長は、衛視及び自由党並びに改進党所属議員に守られながら、第四控室を出、本会議場北側の入口から入場を試みたのでありますが、左右両派社会党所属議員諸君は、みずから先頭に立ち、右申し述べました多数の者を指揮し、議場の内外相呼応し、暴力を振つて議長及び他派議員の入場を阻止すべく懸命の努力を払つたのであります。しかし、議長は遂に入場することに成功し、議長席に着くべく努力いたしましたが、あらかじめ議長席を占拠しておりました多数の左右両派社会党所属の議員諸君は、議長に暴力を加え、その着席を妨げたのみならず、同四十分ごろ議長席後方の出入口から議長を場外に押しでしてしまい、もつて議長の職務執行を不可能たらしめ、本会議の開会を妨害したのであります。  さらに、両派社会党所属議員諸君は、なおも議長の職務執行を妨害するため、多数の議員外勢力をも動員して、本会議場周辺の各所にピケ・ラインを張り、院内の通路を遮断し、あまつさえ、本会議場南側二箇所の出入口とびらのハンドルを、内外より十六番鉄線、カーテン用ひも、婦人用腰ひもをもつて縛り、容易に開閉不能ならしむる暴挙をあえてする等、衛視のみの力をもつてしてはとうてい院の秩序を維持することは不可能な状態となりましたので、提議長は、午後十一時過ぎ、院内通路の秩序維持のため、その職権に基き警官隊の出動を要請するのやむなきに至り、警視庁警官隊の実力により、左右両派社会党所属議員諸君その他の者の妨害を排除し、午後十一時五十八分ごろ議長はようやく議場内に入ることを得たのでありますが、なおも議長席を占拠して、議長の着席を暴力をもつて阻止する多数の両派社会党所属議員諸君の妨害にあい、やむなく議長席以外の場所において議長の職務を行うという一大不祥事を起こすに至つたのであります。  以上私は六月三日夜の本院における事件の大要をきわめて平凡に申し述べたのでありますが、前申し述べましたように、左右両派社会党所属の議員諸君が、所属参議院議員、青年行動隊及び議員秘書、労働組合員等、多数の部外者を動員し、計画的に、組織的に、集団的に、あるいは神聖なるべき議長席を不法に占拠し、われらの代表である議長を暴力をもつて拘束監禁し、あまつさえ、これに暴力を加え、傷害を与え、最も尊厳なるベき議長の公務執行を妨害して国会の機能停止を策し、あるいはまた国民の信託に基く崇高なる国会議員の任務遂行を暴力をもつて阻止する挙に出で、もつて国会を未曾有の大混乱状態に陥れ、国権の最高機関たる国会の権威と信用を国の内外にわたり失墜するに至らしめたることは、今日まで時折行われましたところの偶発的ないわゆる乱闘事件とは、まつたくその質と規模とを異にするものでありまして、まことに遺憾しごくであり、痛恨のきわみと存ずるものであります。  次に、以上申し述べましたる経過において懲罰委員会に付せられましたる各議員悟君の事犯につき言及いたしますれば、  第一、議員堤ツルヨ君は、午後十時三十五分一本会議再開前よりあらかじめ議長席に着席し、これを占拠しており、再開の電鈴後も引続きこれを占拠し、議長席にしがみつき、他の議員諸君と相協力して頑強に議長の着席を妨害し、もつて議長の職務執行を妨害したるもの  第二、議員山口シヅエ君は、右同様、再開前より事務総長席に着席これを占拠し、堤議員と同様の行動をとりたるもの  第三、議員大石ヨシエ君、同じく萩元たけ子君は、いずれも、再開前より大臣席に着席しており、議長が着席せんとするや、議長席にしがみつき、前同様の行動をとりたるもの  第四、議員山田長司君は、一、午後八時四十分ごろより九時過ぎまで、他の議員らと協力し、議院運営委員会場に議長を暴力をもつて下法に監禁して、議長の本会議入場を阻止し、その職務執行を妨害し、二、本会議再開にあたり、他の議員らと協力して、議場の入口にピケ・ラインを張り、議長及び議員の入場をはばみ、もつてその職務の執行を妨害し、三、再度にわたり成長席を占拠し、暴力をもつて議長の着席を妨げ、その職務執行を妨害したるもの  第五、議員長正路君、同じく小林進君、同じく三鍋義三君、同じく小平忠君、同じく池田禎治君、同じく成田知巳君、同じく山下榮二君は、 いずれも、一、午後八時四十分ごろより九時過ぎまで、他の議員らと協力して、議院運営委員会場に議長を暴力をもつて不法に監禁し、議長の本会議場入場を阻止して、その職務の執行を妨害し、二、再度にわたり議長席を占拠し、暴力をもつて議長の着席を妨げ、その職務の執行を妨害したるものにして、なかんずく成田議員は、直接議長に対し暴行を加えたるもの  第六、議員春日一幸君は、一、本会議再開にあたり、他の議員らと協力し、議場の入口にピケ・ラインを張り、議長及び議員の入場をはばみ、もつてその職務の執行を妨害し、二、再度にわたり議長席を占拠し、暴力をもつて議長の着席を妨げ、その職務の執行を妨害したるもの  第七、議員山崎始男君、同大西正道君、同山口丈太郎君、同杉村沖治郎君、同高津正道君、同野原覺君、同島上善五郎君、同田中織之進君、同伊藤卯四郎君、同辻原弘市君、同中村時雄君、同久保田鶴松君、同西村力弥君、同森三樹二君、同穗積七郎君、同淡谷悠藏君、同伊藤好道君、同山花秀雄君、同中居英太郎君、同西村榮一君、同木下郁君、同井手以誠君は、いずれも、再度にわたり暴力をもつて議長席を占拠し、議長の着席を妨げ、その職務の執行を妨害したるものにして、なかんずく高津議員は議長に直接暴力を加えたるもの  第八、議員横路節雄君、同稲富稜人君は、いずれも、本会議再開にあたり、他の議員らと協力し、議場の入口にピケ・ラインを張り、議長及び議員の入場をはばみ、もつてその職務の執行を妨害したるもの  第九、議員山本幸一君、同赤松勇君、同前田榮之町君、同淺沼稻次郎君は、いずれも、再度にわたり暴力をもつて議長席を占拠し、議長の着席を妨げ、その職務の執行を妨害したるもの  第十、議員勝間田清一君、同滝井義高君、同佐竹新市君は、いずれも、午後八時四十分ごろより九時過ぎまで、他の議員らと協力し、議院運営委員会場に議長を暴力をもつて不法に監禁して、議長の本会議場入場を阻止し、その職務執行を妨害したるもの  第十一、議員淺沼稲次郎君、同前田榮之助君、同武藤運十郎君、同赤松勇君、同山本幸一君、同伊瀬幸太郎君は、議長入場の際、混乱にまぎれ本会議場に入りたる警視庁警察官に対し、なぐる、ける、首を絞めつける等の暴行を加えたるものでありまして、以上の次第により、本院本会議場の内外は大混乱を起し、衛視、警察官等多数の者に身体の傷害等を起すに至つたものであり、右申し述べましたる議員諸君のほか、多数の両派社会党所属議員諸君が、ほぼ同様の挙に出でたものでありますが、混乱の際であり、懲罰の議に付する機を逸した次第であります。  申し上ぐるまでもなく、民主主義政治、議会政治は、論議と理性によつて諸般の事項を決定し、これを推進することがその本領であり、動かすべからざる原理であり、わが国憲法のとつております基本の原則であります。いかなる事由ありといえども、この本道を破り、暴力をもつて事を決せんとすることは断じて許すあたわざるところであります。われわれ今日国会に席を有する者として、政党政派を超越して、あくまでもこの原則を厳守し、後世にこの道を確立すべき重責を果さなければならないのであります。もし今日においてこの道を確立し得ないとあれば、わが国の民主主義政体、議会政治の破滅はこれより始まり、独裁政治、暴力政治の誘発を招来することを深く憂うるものであります。  私は、このような見地に立ち、自粛自省しつつ、すべての感情をむなしゆうして考えますれば、本委員会に付せられましたる同僚議員諸君に対してはすべて極刑たる除名処分に付するを相当と思考するものでありますが、両派社会党においては、この計画的暴力行為につき反省をいたされ、深くその非をさとり、衆議院の全員協議会においてそれぞれ党の代表者より罪を謝するの意味において深謝の意を表せられるとのことでありますので、その反省の意を認め、大局的見地よりその罪一等を減じたいと思うのであります。  そこで、最後に、以上述べましたる事犯によりまして、議員堤ツルヨ君外四十四名の議員に対しましては、国会法第百二十二条第三号によりまして三十日間の登院停止を命ずべきものと思料する次第であります。なお、淺沼稻次郎君については、情状を酌量して、懲罰事犯にあらずと決せられんことを、この際申し上げておく次第であります。

辻政信小会派クラブ

○辻(政)委員 動議を提出いたします。  議員堤ツルヨ君懲罰事犯の件外四十五件の懲罰事犯の件は、いずれも懲罰を科すべきものとし、国会法第百二十二条第四号により、全員除名すべしとの動議を提出いたします。  その理由を申し上げます。  六月三日における国会内の暴力事件は 六十余年にわたるわが国憲政史上空前の大不祥事であり、全国会議員の連帯責任として、党派を越え、勇気と信念を持つて解決すべく、そのためには二つの観点から禍根を断つことが必要であると考えるものであります。  第一の観点は、理由と動機のいかんを問わず、暴力そのものを無条件に根絶することであります。これがためには、一切の政治的妥協を排し、峻厳なる態度を持つて臨み、その処断は荏苒日をむなしゆうすることを許されないのであります。現に、六月八日の佐賀県議会においては、国会の乱闘そのものをまねしており、勢いのおもむくところ日本を無政府状態に追い込むのは必然であり、共産党は、得たりかしこしとして、あらゆる部門において国民を扇動し、暴力を拡大し、国内に三十八度線をつくろうとしていることは、火を見るよりも明らかであります。  今回の事件は、去る三月二十五日の文部委員会における社会党議員の暴力事件を看過して、政治的に妥協したことが誘発の導火線をなし、さらに、歴史を回顧するとき、五・一五事件の処理にあたつて、当時における政界の腐敗を理由として被告の立場に同情を寄せ、きびしく処断しなかつた結果、二・二六事件に発展したことを認めざるを得ないのであります。  今回の事件が過去における幾つかの暴力事犯と根本的に性格を異にしている点は、両派社会党の幹部の了解のもとに、周到なる計画で組織的に行われたと認むべき事実であります。婦人議員を人海戦術の先頭に立て、院外の暴力団を院内に引入れ、悪質の労働争議と同一の戦法によつて国会の機能を停止、混乱させたことは、共産党の慣用戦法そのままであります。  五月十一日に発表された左派社会党の組織綱領中には、国会は革命のための戦いの場であると明らかに規定されており、事件直後新聞に発表された鈴木委員長の談話を見ましても、暴力行為を民主主義を守るための当然の手段として肯定し、一点反省の色さえもなく、また六月九日の共産党機関紙アカハタの主張には、国会議事堂内における社会党諸君の行為は、吉田政府と自由党のフアツシヨ化に対する国民憤激の反映であり、独立と平和のために民主主義を防衛しようとする社会党諸君の情熱に敬意を表する、われわれは、自由党、改進党その他の党派の諸君の中にも、十分われわれと共同できる人たちがあると信ずる、特に両派社会党の諸君とは全面的に共同できるし、またすべきであるとかたく信ずる、この基礎の上に立つて、われわれは、国会内外の勢力を結集し、吉田内閣打倒、反自由党の闘争を強め、即時国会解散要求の統一行動を展開するよう訴えると論じておるのであります。社会党の中にも個人的には尊敬すべき同僚議員が決して少くはありません。しかるに、六月三日の乱闘事件を身を挺してとめようとする者が一人もなかつたことはきわめて遺憾であり、その結果は、意識するといなとにかかわらず、まんまと共産党に利用されるに至りましたことは、公党たる社会党のためにも旧しまざるを得ないのであります。  国会内の事件は国会内で解決すると五党で協定しながらも、両派社会党は全国的に遊説して、国会内の紛争を国会の外に拡大しつつあり、その結果が、大都市の警察法案反対決議となり、あるいは国鉄の遵法闘争となり、あるいは近江絹糸の労働争議となり、日を経るに従つて拡大の傾向をたどりつつある現状は、真に寒心にたえないものがあります。会期延長の無効を叫ぶ裏には、暴力を正当なりとする主張があり、それを理由として警察法案を否定し、大都市の自治警を味方に引入れようとする計画が着々進められているのであります。平和と民主主義の仮面をかぶつて、暴力を肯定し、国会内外の不平分子を結集して人民戦線を構成し、内乱に導こうとする共産党の戦略の一環が六月三日の事件であるとの認識の上に立つて、議会政治を守り、内乱を未然に防ぐため、今こそわれわれは身を挺して立つべきであり、そのためには、断固として暴力に参加した全議員の除名を強く主張するものであります。  この際最も警戒すべきは一片の一形式的陳謝をもつて政治的に妥協し、事件を糊塗せんとする態度であります。吉田内閣の運命と国会の権威を交換するがごときは断じて許されません。暴力革命の前にかぶとを脱ぐか、死を賭して議会政治を守るかの関頭に立つていることを再認識すべきであり、政治には妥協があつても、暴力には断じて妥協はあり得ないのであります。  次に、国会議員の一人としての立場において、本事件に対する政治的責任について一言申し上げたいと存じます。それは暴力に対する厳重なる処断に伴う必然の義務でもあると考えるからであります。本事件をめぐる輿論の動向を公平に観察しますと、そこには、政府としても、与党としても、心をむなしゆうして反省すべき点を見のがし得ないのであります。社会党議員の大部は、共産党との間に明確に一線を画することを信条とされているはずであるにかかわらず、それらの同僚諸君をあえて乱闘の渦中に巻き込まれるまでに逆上させた原因を静かに考えるとき、また、輿論の底には、暴力を非難すると同時に、それに劣らない怒りをもつてその原因をはげしく追究する感情が流れているものを見るとき、政府と与党の輿論を無視した態度にも、深い反省を加えねばならぬと思うのであります。六月十一日の三大紙の共同声明にも、また六月五日の日本婦人有権者同盟の声明文中にも、汚職と疑獄に対する与党の態度が、国民をいかに憤懣させているかを認めざるを得ないのであります。保守党が汚職により、社会党が暴力によつて、ともに国民の信頼を失うとき、それにかわつて登場するものが何ものであるかを考えますと、議会政治はまさに崩壊の一歩手前にありと断ぜざるを得ません。この見地に立つて、今回の不祥事件を根本的に解決するためには、単に暴力議員の除名のみでは、国民の信頼をこの国会につなぎ得ないのであります。個人よりも党を、党よりも国を重しとする態度をもつて、謙虚に反省自粛し、その政治的責任を明らかにするため、この際五党の党首が一齊に指導的地位より引退されて、国民の前に陳謝の誠意を示し、新しい指導者のもとに、すみやかに選挙法を改め、連座制をきびしくし、公明選挙に道を開いた上で、国会を解散し、汚れなき代表をもつて勇気と信念に満ちた新党をつくることが、国民の信頼をこの議事堂にとりもどし、狂瀾を既倒に挽回する唯一の方法であると信ずるものであります。

森幸太郎自由党

○森委員長 ただいまの瀬戸山君、辻君の動議を一括してこれを討論に付します。中野四郎君。

中野四郎改進党

○中野委員 すでに今回の懲罰事犯の対象として本委員会が審議調査を進めて参りました過程において、自由党を代表する瀬戸山君から、あるいは辻政信君からの動議が提出されたのでありまするが、この際改進党を代表して、わが国国会未曾有の不祥事件を引起し、民主主義国として最も神聖であるべき言論の府、国権の最高権威たる国会の機能を暴力をもつて不能ならしめ、議長の職務執行を暴力をもつて阻止し、かような悪質なる計画的暴力行為に対しては、断固たる処置に臨むべきであると私は考うるのであります。  本来からいえば、全員除名という辻君の動議に賛成をすべきでありまするが、今回事態を収拾し、国会を正常化し、さらに進んで民意にこたえんとする五党の態度に対して、われわれは、涙をのんで辻君の動議には反対をし、まことに残念ではあるけれども、瀬戸山君の動議であるところの全員を登院停止三十日というこの動議に賛成をしたいと思いまするが、ここで一言申し上げておきたいことは、わが改進党といたしましては、全員のうちできわめて事犯顕著なる者をもつてその挙に臨むべきであつて、中で淺沼稻次郎君はその改悛の情も顕著でありまするし、(笑声)さらに事犯の明確ならざる点もありますので、瀬戸山君の動議の、淺沼稻攻郎君を除いた全員に対して国会法百二十二条の三号によりまして三十日間の登院停止をするとの動機に賛成をしたいと存じます。

森幸太郎自由党

○森委員長 田渕委員。

田渕光一自由党

○田渕委員 私は、自由党を代表いたしまして、討論をいたします。  去る六月三日の国会における両派社会党議員の集団暴行による大不祥事件は、わが国憲政史上空前の大事件でありまして、民主議会制度を暴力をもつて破砕し、国権の最高機関たる国会の機能を停止いたし、わが国民主議会政治の信を大下に失墜し、内、全国民に対し、外、全世界の諸国に一大衝撃と不安を与えましたことは、まことに遺憾にたえないところであります。第十九回国会は六月三日をもつて終了の予定でありましたが、たび重なる両派社会党の執拗なる審議妨害により、その会期の延長を再三いたしましたことは、諸君御承知の通りであります。本院は、この際率直に、全国民に対し、謙虚に至心の反省悔悟、深謝のまことをいたし、もつて政局をすみやかに収拾してこの大国難を打開し、もつて全国民の負託にこたえるの重大責務を痛感いたさねばなりません。  事件以来旬日、全世界各層の輿論はごう然として社会党の集団暴力行動に厳重なる排撃の批判を加えております。朝日、毎日、読売三大新聞の時局収拾声明後、国内各地の新聞言論報道機関とともに全国民も蹶起して、時局の急速なる収拾に喧々ごうごうといたしております。  わが国民主議会制度の根本憲章たる憲法の前文には、「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、」と書いてありまして、「ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。」と書いておるのであります。「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」こう言つております。「日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。」と明記してあります。昭和二十七年四月二十八日独立以来去る六月三日の不祥事件まで汚されることなく、全国民はこれを守り続けて来たのであります。しかるに、両派社会党の政治謀略は、この崇高なる制度と国民の負託に反逆して、集団暴力をもつてこの国憲を無視し、国権の最高の機関たる国会内においてなしたる彼らの数時間に及ぶ暴動行為こそは、わが国現行憲法、国会法、衆議院規則にのつとり、断じて許されません。これが真相をつまびらかにするため、これに臨んでは冷静に、厳粛に、公平無私に審議をいたして参りました。  六月九日、当委員会に、堤衆議院議長より、議員堤ツルヨ君、山口シヅエ君に、議員高橋英吉君外三名より、所定の賛成者を得て、憲法、国会法、衆議院規則の各条章にのつとり、議員大石ヨシエ君外四十三名の懲罰動議が提案されて以来、連日慎重なる審査と審議が続行されました。当委員会の審議過程中において、森委員長よりの再度にわたる一身上の弁明の機会を与えることの入念慎重なる通達に、いずれも懲罰の対象者たる前記四十六名の懲罰議員諸君は、その所属する両派社会党の代表者もしくはその党所属責任者をもつて、第十九回国会は六月三日をもつて終了したのであるから、会期の延長も無効と認めるから、その国会の審議には出頭しないとの口頭または文書をもつて当委員会にその出頭を拒み、一身上の弁明の機会をみずから放棄しました。そもそも、民主議会制度は多数決をもつて表決確定いたしますことは論をまちません。六月三日午後十一時五十八分ごろ、堤衆議院議長が、会期二日間の延長宣言を、かの集団暴行の最中、身を挺して議場に入り宣言し、自由党二百三十名、改進党七十五名、小会派数名の、多数の各派が異議なく賛成可決、万歳をもつて承認したこの事実は、何人といえどもこれをくつがえすことはできません。しかのみならず、翌六月四日、六月五日の両日、参議院における六月三日の衆議院同様の両派社会党の暴力圧迫は、参議院議長をして遂に強迫をもつて職務の執行を不能にいたしましたが、全世界の輿論がごう然として社会党暴力排撃に移るや、彼ら社会党は、遂に全世界輿論の正義の前に屈し、その非を自覚し、暴力行動をとどめ後退をいたしたるため、ようやく議場が開かれ、六月七日、参議院において、自由党、改進党、緑風会等は初めて暴力排除に安堵し、ここにおいて参議院本会議が再開され、警察法案を成立し、以後の諸法案は衆参両院で多数をもつて審議成立されておる。この事実を社会党は何と見るやと断ぜざるを得ません。  私は、ここに、社会党は何ゆえかくまで執拗に院内において暴力行動に訴えて、憲法、国会法、衆議院規則を無視し、国会の品位と権威を傷つけ、院の秩序を乱したるかを論及いたさなければなりません。  すなわち、容共左派社会党は、国会において暴力革命手段以外に民主議会制度のもと吉田内閣転覆は不能なりと党で決定いたしております。六月三日の会期延長を血を見ても阻止して、  一、六月三日中に国会内に於て予て計画中の暴力行使について一切の手配を完了して国会暴動により民主議会制度を破壊し国権の最高機関たる国会から実力行使をする  二、これに於て吉田自相の訪米訪欧の六月四日出発を阻止する  三、国会暴動に於て警察法案の参議院審議中に会期を終了せしめ廃案となし国内治安の維持を不能ならしむるために国警と地方自治警の離間工策により内乱暴動の取締を不能に陥らしめる  四、吉田内閣を之によりて引責辞職に追込む  五、内閣総辞職を回避するなら保守党の汚職と不況にあへぐ中小企業農漁村の不況に付けこんで即時解散論に火を付けて解散に追込む  六、保守新党論があるが改進党の革新派を煽動して保守新党を防ぎ之等と合流して総辞職の暁は第二党たる両派社会党合体の上に新政権を獲得するか之が不能の時は解散論一方で追ひつめる、保守党は解散不利を覚り結局総辞職する、其の時選挙管理内閣として憲政の常道論を起して改進党分裂後の第二党として選挙管理内閣のもとに大干渉をして保守党に徹底的な弾圧を加へる  七、此の選挙には全組織を総動員して電源、通信、運輸、交通等一切の全機能を停止状態下に於て保守党の行動を不能に至らしめる  八、新政権主導権は左派殊に容共派の主流を以て一切の親米関係条約を破棄し親ソ政策によりて駐留軍の撤退を要求して国内をして第二の朝鮮暴動に陥れ民主議会制度を否認破壊して是等の暴力革命による独裁人民政府樹立達成は此の目的を遂行する  こう述べておるのであります。以上の政治陰謀が着々として企てられ、遂に六月一日より行動を起し、六月三日の夕刻に至つて完全に国会内の適所に一切配置されたのであります。  一方、国会事務局は、衛視百三十名、国会職員、これに保守党自、改、小会派の一部議員と秘書等は、ゆめにもこれを察知せず、保守党の国会対策委員会、各党幹部もこれを感知する能力はなかつたのであります。国会は平常の秩序は保持されて運営され、会期もさらに各党討論の上簡単に延長できるものと安心しておつたと思います。  いよいよ議長サロンで議院運営委員会が午後八時七分から開かれるや、待つていましたとばかりに、衆参両派の社会党所属議員多数は、議院運営委員会席を取巻いてしまい、身動きもできない状態に両方の出入口をふさぎ、険悪なる状態を示し、暴言なるやじ等をもつて議院運営委員会委員の保守派議員に圧迫を加えて来たのであります。議運委をして、かくのごとく、予定の戦術によつて時間の延長、審議引延しの策に出て参りましたが、会期延長のため政府側は福永官房長官をして答弁せしめ、質疑を尽して、もはやこれ以上の議運委の時間の浪費はひいて本会議の議事運行にも影響を来しますので、採決によつて会期延長二日間を決定するや、たちまち先刻来威迫を加えておつた社会党の暴力常習議員、ことに文部委員会において乱暴浪籍をなし、多数の衛視諸君を傷つけ、速記者の前歯を折りたる等の傷害暴行平気の暴行議員を先頭に、同席中の福永官房長官、堤議長、菅家議運委員長、小澤自由党国会対策委員長を初め、保守派議員全部を身動きもならぬ状態に数時間不法監禁をなして、本会議開会の妨害を始めましたが、議長、小澤自由党対策委員長等は、議長室のとびらを開かさぬために、これまた議長室を占拠しておつた社会党議員との間の乱闘の中に、遂に議長室に救出されたのであります。  かくて十時二十五分本会議の振鈴を待つておりました。すでに予定通り計画された部署に社会党議員と秘書及び青年行動隊、労組幹部も加えて約五百名余、本会議場の各入口ドアー前にピケ・ラインを張り、保守派議員と議長の入室を拒み、一方、社会党婦人議員堤ツルヨ君は議長席を、山口シヅエ君は務総長席をいずれも占拠し、この議長席壇の後方はいずれも闘士をもつて取巻き、大臣席の総理席には戸叶里子君、副総理席には福田昌子君、大野大臣席には萩元たけ子君、安藤大臣席には大石ヨシエ君がいずれも着席占拠して、共産党の戦術である婦女子先頭防衛を固めておりましたことは、見のがすことはできません。  主権在民の民主議会制度のもとにおきましては、憲法前文の示す通り、全国民は「正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、」また「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、」と示し、また憲法第四十一条は、「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。」と厳として規定しております。しからば、この国会は全国民の厳粛なる信託による最高の府であり、その代表者たる議員の最高の国会の役員たる議長席は、民主議会政治の王座であります。この厳粛、神聖なる議長席を、政治陰謀による党の命令を受けたりとはいえ、侵したる議員は、国会の尊厳と品位と権威を傷つけたるはなはだしきもので、憲政史上かくのごとき暴挙は未曾有の重大事であります。憲法第五十八条は、議長とその他の役員選任を示し、第二項において、「両議院は、各各その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。」と規定し、国会法第十九条には、「各議院の議長は、その議院の秩序を保持し、議事を整理し、議院の事務を監督し、議院を代表する。」と規定しております。また国会法第百十四条は、「国会の会期中各議院の紀律を保持するため、内部警察の権は、この法律及び各議院の定める規則に従い、議長が、これを行う。」と示し、同法第百十六条は、「議院の品位を傷つけるときは、議長は、これを警戒し、又は制止し、又は発言を取り消させる。命に従わないときは、議長は、当日の会議を終るまで発言を禁止し、又は議場の外に退去させることができる。」と議院内の秩序保持に絶対権を与えております。また同法百二十一条第一項は、「各議院において懲罰事犯があるときは、議長は、先ずこれを懲罰委員会に付し審査させ、議院の議を経てこれを宣告する。」と示し、同法第百二十二条は、「懲罰は、左の通りとする。一 公開議場における戒告、二 公開議場における陳謝、三 一定期間の登院停止、四 除名」と定め、衆議院規則第百四条、「開議の時刻に至つたときは、議長は、議長席に著き諸般の事項を報告した後、会議を開くことを宣告する。」「議長が会議を開くことを宣告するまでは、何人も議事について発言することができない。」と示していることは、議長の神聖と厳粛の規定であり、何人もこれを侵し汚すことは絶対に許されません。衆議院規則第二百十一条は、「議員は議院の品位を重んじなければならない。」また同法二百十二条は、「議員は、互いに敬称を用いなければならない。」と、品位保持と礼節を規定いたしております。また同法第二百十七条には、「何人も、議長の許可がなければ演壇に登つてはならない。」と、議長席前の演壇に登壇することも議長の許可を必要と規定しておりまして、議場の厳粛と議長席神聖と品位保持と礼節の規定は厳として規定されております。また同法第二百十八条、「議長が号鈴を鳴らしたときは、何人も、沈黙しなければならない。」と、秩序保持が規定されております。かくしてこそ、国権の最機関として全国民の厳粛なる信託にこたえて、国政が慎重に審議されるのであります。また同法第二百二十条、「すべて秩序に関する問題は、議長がこれを決する。但し、議長は、討論を用いないで議院に諮りこれを決することができる。」と、秩序保持には議長に決定権を与えておりますのも、議院の秩序保持は、国権の最高の機関の府である国会は全国民の代表の府であり、これが全国民に範を示す重大なる師表の府であるからであります。同法第二百三十三条以降第二百四十七条までの懲罰の規定は、以上の秩序保持と品位が傷つけられ、国会の権威を失墜したときの厳粛なる規定であります。  かくのごとく、憲法、国会法、衆議院規則の各条章を明確に引用いたしました通り、国会は国権の最高の機関であり、秩序と礼節を厳粛に保持し、しかしてこれにより国会の品位と権威が保持されるのであります。源を濁して、いたずらにその流れの清からんことを望むがごときことのなきように、国会みずからその範を示し、全国民の代表の府としての尊厳を保持し得るものと考えます。  今回の六月三日事件の発生直後より全世界に与えました悪影響は、日本の民主議会制度に疑念を生ぜしめ、わが国の敗戦による深傷をいかにしてすみやかに回復し、民主主義日本として一刻も早く全世界の認識を得て、平和日本、道義国日本として、独立後の政治、経済、社会等一切の面に是正し、今まさに民主議会政治のもとに全世界に伍して発展せんとする祖国日本の信を失墜せしめたる国会暴力行使こそは、祖先に対し、将来の子孫に対し、その罪断じて許されません。現実に国内の与論また両派社会党に対する暴力排撃のごうごうたる国民の声は、彼らをいずれ主権者たる全国民は国会より追放いたすでありましようが、当委員会といたしましては、この処断の軽重はただちに現下混沌とせる世相に及ぼす影響等も十分考え、慎重に審査いたしました。当委員会は冷静、厳粛なる審議の結果、ここに冷厳なる決定を下されたのであります。  私は、ここに、公平無私、冷静に、各懲罰議員諸君に、断固として、これが国家将来の安全と全国民の幸福を保障する信念のもとに、ただいまわが党瀬戸山委員より論告されましたる決定に賛成いたすものであります。

森幸太郎自由党

○森委員長 これにて討論は終局いたしました。  これより採決いたします。  まず、瀬戸山君の動議について採決いたします。  議員淺沼稻次郎君懲罰事犯の件は懲罰事犯にあらずと決し、議員堤ツルヨ君懲罰事犯の件外四十四件の懲罰事犯の件は、いずれも国会法第百二十二条第三号により三十日間の登院停止を命ずべしとの瀬戸山君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕

森幸太郎自由党

○森委員長 起立多数。よつて議員淺沼稻次郎君懲罰事犯の件は懲罰事犯にあらずと決し、議員堤ツルヨ君懲罰事犯の件外四十四件の懲罰事犯の件は、いずれも国会法第百二十二条第三号により三十日間の登院停止を命ずべきものと決しました。  瀬戸山君の動議が可決されました結果、辻君の動議は議決を要しないものとなりました。  ただいま議決されました四十六件の懲罰事犯の件に関する委員会報告書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

森幸太郎自由党

○森委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。  本日はこれにて散会いたします。    午後十一時九分散会      ————◇—————

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