懲罰委員会 第1号
- 発言数
- 23 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1954/06/10
会議録
○森委員長 これより会議を開きます。 この際お諮りいたしますが、理事六名が全員欠員でありまして、また各派所属議員の異動に伴いまして理事の割当基準が変更されました結果、理事一名を追加選任する必要がありますので、この際理事を選任いたしたいと存じますが、理事の員数は七人として、委員長において指名するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森委員長 御異議なしと認めます。よつて委員長は 鍛冶 良作君 押谷 富三君 高橋 等君 田中 角榮君 中野 四郎君を理事に指名いたします。残りの二名につきましては追つて指名いたします。 —————————————
○森委員長 昨日議長宣告をもつて懲罰委員会に付託になりました議員堤ツルヨ君及び山口シヅエ君の懲罰事犯の件、並びに院議をもつて付託になりました議員大石ヨシエ君外四十三名の懲罰事犯の件を一括議題といたします。 まず議長宣言をもつて付託されました二件につきまして説明を求めることになりますが、議長は本日出席ができかねるとのことで、議長より両君を懲罰委員会に付した理由を書面をもつて委員長の手元に提出されておりますので、これを朗読いたします。 昨日の本会議において議長職権をもつて議員堤ツルヨ君及び議員山口シヅエ君を懲罰委員会に付した理由は左記の通りでありますから御諒承を願います。 昭和二十九年六月十日 衆議院議長 堤康次郎 懲罰委員長森幸太郎殿 理 由 去る三日は、今国会の第三次の延長された会期の最終日でありましたが、更に会期の延長の申出がありましたので、議長としては、従来の通り、所定の順序をふんで、議院運営委員会に諮りましたところ、更に二日間延長するのを適当と認めるとの答申に接しましたので、その答申に基いて、参議院議長と協議をいたしましたが、その協議が整いませんので、已むなく本院の議決を求めるため、午後十時三十五分に電鈴して、本会議を再開しようと、北側の入口から議場に入り、中央を通つて議長席に着こうとしましたが、その時既に、議員堤ツルヨ君は議長席を占拠し、議員山口シヅエ君は事務総長席を占拠しておつて、あらゆる努力をいたしたにも拘わらず、ついに議長及び事務総長がその席に着いて職務を執ることができなかつたことは、極めて遺憾に堪えないところであります。両君のかかる行動は、議会史上全く類例を見ないところであつて、本院の品位を著しく傷つけ、かつ又、議院の秩序をみだし、ひいては国会の権威を甚しく失墜せしめたものとして、懲罰事犯に該当すると認め、両君を懲罰委員会に付した次第であります。 次に、大石ヨシエ君外四十三名の懲罰事犯の件につきましては、懲罰動議の提出者高橋英吉君より説名を求めることといたします。高橋英吉君。
○高橋英吉君 提案理由は、昨日の本会議でごく簡単でありますが、明瞭に申し述べておりますから、あれを援用すればさしつかえないと思いますが、提案をしました懲罰動議の懲罰の対象として指定いたしました人々の一人一人のそれぞれの行動について、懲罰に値するかしないかということについて申し上げるのが本来なのでありますけれども、数がたいへんありますし、一々詳しく申し上げますというと、とてもその煩にもたえませんし、また、おそらく時間も非常に御迷惑をかけるような時間になると思いますので、必要に応じて御説明をすることにいたしまして、ごく簡単に概略だけを申し上げたいと思います。 すなわち、懲罰の対象になつた人々は、昭和二十九年六月三日午後八時三十分ごろより同零時までの間において、衆議院本会議場並びに議院運営委員会場、衆議院内廊下等において、衆議院議長並びに同議員の公務執行を多数の暴力をもつて妨害し、議長並びに議員、衛視、警察官等数十名に傷害を負わしめたのであります。 これを大ざつぱに具体的に区別してみますと、第一に、議長席をあらかじめ占拠し、議長の着席を妨げ、公務の執行を妨害した者、それから第二に、議場の各入口はピケ・ラインを張り、各議員の入場をはばみ、公務の執行を妨害した者、第三に、暴力をもつて議長席を占拠し、議長の着席存妨げ、その職務執行を妨害した者、第四に、議長を本会議場より拉致し議長室に不法監禁し、かつ廊下にピケ・ラインを張り、議長の本会議場に入場をはばみ、公務執行を妨害した者、第五に、議運委員会室に議長を不法に監禁して議長の本会議入場をはばみ、本会議開会を妨害した者、第六に、議長再度の入場に際し議長席に登壇を妨害した者、第七に、本会議場に警察官を引入れ、これに対し暴行を加えた者、こういうようなことになつておりまして、これらの行為は、今議長よりの通告にもありましたごとく、本院の品位を著しく傷つけ、かつまた議院の秩序を乱し、ひいては国会の権威をはなはだしく失墜せしめたものというのでありまして、しかるべく御審議願いたいと思います。
○森委員長 お諮りいたします。今高橋君より趣旨弁明が行われたのでありまするが、議長職権において二名、本会議において決議されたのが四十四名に及んでいるのであります。これを一時に審議するということは非常に時間関係にも困難と思いますので、これをどういういうにして処理して行くかということは、理事会を開いて今後の運営について協議をいたしたいと存じます。従つて、しばらく休憩をいたします。 午前十時五十八分休憩 ————◇————— 午後二時四十七分開議
○森委員長 休憩前に引続いて会議を開きます。高橋英吉君より先ほどの説明をさらに補足したいとの申出があります。この際これを許します。高橋君。
○高橋英吉君 先ほど、六月三日夜の十後八時半から零時までにわたつて第一から第七の場合における公務執行妨害的な院内秩序の紊乱についての提訴の理由を申し上げましたが、さらに、第一から第七の場合に、この懲罰委員会に付議された人々がどういう大活躍をされたかということについて説明を申し上げたいと思います。 すなわち、第一、議長席をあらかじめ占拠し、議長の着席を妨げ、公務の執行妨害をした人々は、堤ツルヨ、大石ヨシエ、山口シヅエ、萩元たけ子の各議員であります。さらに、第二の、議場の名入口にピケ・ラインを張り、各議員の入場をはばみ、公務の執行妨害した人々は、横路節雄、春日一幸、山田長司、稲富稜人の諸君であります。 さらに、第三、暴力をもつて議長席を占拠し、議長の着席を妨げ、その職務執行を妨害した人々は、山崎始男、小林進、赤松勇、大西正道、山本幸一、山口丈太郎、杉村沖沿郎、高津正道、野原覺、成田知巳、島上善五郎、田中織之進、伊藤卯四郎、前田榮之助、辻原弘市、淺沼稲次郎、中村時雄、春日一幸、久保田鶴松、小平忠、西村力弥、山田長司、長正路、池田禎治、森三樹二、穗積七郎、淡谷悠藏、伊藤好道、山花秀雄、中居英太郎、山下榮二、この諸君であります。 さらに、第四、議長を本会議場より拉致し、議長室に不法監禁し、かつ廊下にピケ・ラインを張り、議長の本会議場に入場をはばみ、公務の執行を妨害した人とは、三鍋義三君であります。 第五、議運委員会室に議長を不法に監禁して議長の本会議入場をはばみ、小会議開会を妨害した人々は、勝間田清一、山田長司、小林進、三鍋義三、出田禎治、山下榮二、成田知巳、長正路、小平忠、佐竹新市、滝井義高の諸君であります。 第六、議長再度の入場に際し、議長積に登壇を妨害した人々は、山崎始男、大西正道、山本幸一、山口丈太郎、杉村沖治郎、高津正道、野原覺、成田知巳、島上善五郎、田中織之進、伊藤卯四郎、前田榮之助、辻原弘市、淺沼稻久郎、西村榮一、赤松勇、中村時雄、春日一幸、久保田鶴松、小平忠、西村力弥、山田長司、長正路、池田禎治、森三樹二、穗積七郎、淡谷悠藏、伊藤好道、山花秀雄、中居英太郎、山下榮二の諸君であります。 さらに、第七、本会議場に警察官を引入れ、これに対し暴行を加えた人々は、武藤運十郎、淺沼稻次郎、前田榮ル助、山田長司、長正路、赤松勇、山小幸一、伊瀬幸太郎の諸君であります。 以上を補足したいと思います。 なお、これに対する証拠は、すでに公知の事実でありますから必要はないと思いますけれども、ニユース映画、新聞、週刊雑誌その他無数の証人によつて証拠立てることができますから、適宜お調べ願いたいと思います。
○中野委員 ただいま提案者の代表として高橋君から御説明がありましたが、今回のこの懲罰事犯はわが国国会開闢以来でありまして、しかも計画的集団的な最も悪質なるところの暴力行為であります。従つて、これを律するには、わが国会の権威と秩序を確立する上において、きわめて厳格に、しかも厳罰をもつて臨むのが当然であります。しかし、その前提に立つ上におきましては、各懲罰事犯の対象となるべき人々の各自について、的確なる資料を集めて、一つ一つの反証をあげて、事実に基く立証がなくてはならぬのであります。端的にニユース映画とかあるいは新聞社の写真あるいは新聞社に保存されておるところの写真といろ問題ばかりでなく、またおのおのが各自の立場々々において立証されるというような問題でなく、もつと広い範囲において、これが計画的であり、しかも一人々々が集団的な最も悪質なるところの事犯の担当者であるということを立証する必要があると思うのであります。そこで、提案者である方々は、これを第一番にこの委員会にお示しを願いたいということが一点であります。 第二は、本委員会は懲罰事犯のみを対象として審議するものでありまするから、個々の事犯をきわめることは当然でありまするが、そこで私が非常に心配な問題があるのであります。すなわち、国会法百二十二条に従つて、一は戒告、二は陳謝、三は登院停止、四は除名という四段階にわかれておりまするが、事実上今日十五日までの会期をもつてしては不可能の場合が多々あると存ずるのであります。会期の都合とか、あるいは今回の延期を無効として彼らは出席上せざることも考慮のうちに入れなければならぬのであります。こう考えて参りますると、私は、今日議長宣告によつて懲罰に付されましたる二名並びにその他四十四名の人人に対して一律に今日審議を進めるということは、なかなか難儀であろうと思うのであります。私は、第一に申し上げましたが、的確なる反証をあげて、まず第一に、会期の都合上あるいは出席せざる場合等を考慮に入れて、戒告も実際上においては行われないかもしれない、陳謝もできないかもしれない、登院停止は不可能な状態にあるという段階においては、きわめて悪質にして最もその事犯顕著なる者、いわゆる除名にすべき人々を対象としてまず、この委員会は、すみやかに、四名なり五名ないしは七名というところの、この対象となるべき人間の事犯をあげて、本日の委員会を進められ、すみやかに本会議にこのことを報告して決定する段階が、私は本委員会を運ぶ上において比較的適宜なる処置ではなかろうかと考うるのであります。五十名近い人間を一々反証をあげておることはなかなか容易なことではありません。しかし、万人の見るところこれは断じて許せないという人々に対しては、当然議論の帰結するところは数名の者にとどまろうかと存じまするので、この数名の者の反証をまず提案者において明らかにされて、そうして審議を進められるようにお運びあらんことを、委員長にお願い申し上げたいのであります。
○森委員長 ほかに御発言ありませんか。——鍛冶君。
○鍛冶委員 中野君の御議論はごもつともとは存じまするが、反証ということはちよつと当らぬと思うのです。われわれは立証すればよろしいのです。もし反証があれば、それに対抗する立証はいたさなければなりませんが、言葉の違いなら何ですけれども、その意味で証拠立てをしなければならぬと考えます。それから、大勢であるから、全部を一ぺんにやるということよりも、さしあたつて問題のない者を、だれが見ても立証十分である者からやつた方がよかろうという議論は、私は賛成いたします。その通りだ、その方が事実に適しておると思いますが、今ここで除名する者をきめてからやれと言われたのでは困るので、こういう者はもう絶対許せぬという者からあげて行くことにしたらよかろうと思います。その上で本人の弁明を聞き、しかる上においてわれわれはいかなる処断をすべきものであるかを決定するのであつて、今日から予断をもつてやるということはどうかと考えます。 そこで、私も提案者の一人でありますから申し上げるのでありますが、われわれ提案者のみならず、当該委員になつてここに出ておられる方々は、ここにあげたる人々が当日暴力を振い、議長並びに議員の公務の執行を妨害した事実は、私は十分認めておられると思うのであります。従つて、もしも、委員諸君のうちで、いやそれはどうもその中に入らぬという、先ほど言われる反証がありますならば、われわれは幾らでもあげますが、私はそのつもりでこれを提案いたしました。しかも、その提案しました人々は、提案者が目撃したる者を第一といたしまして、その他写真によつて現われておる者並びに委員諸君が十分これを認めたと言われる確証を持つて出しておりますので、この点はおそらく皆さんに疑問はなかろうと思う。しかし、そのうちでも疑問がありますならば、われわれはそれに対して幾らでもやります。 第一にあげました、堤ツルヨ君が議長席にがんばつておつて、これをのけようとしたが、がんとして応じなかつた事実、これはもう申すまでもありますまい。その次に、山口シヅエ君は、事務総長席にしがみつきまして、悲鳴をあげて、この排除を妨害した。これももう周知の事実であります。大石ヨシエ君及び萩元たけ子君は、最初は大臣席におつたのでありますが、いよいよわれわれ並びに議長が議場へ入つたときに、二人とも議長席に上つて、これもしがみつきました。悲鳴をあげましたが、痛くて悲鳴をあげたのか、悲鳴をあげることが戦術であつたかは、皆さんの想像にまかせます。まことにどうも国会として許すべからざる行為であると断定せざるを得ないと思います。 その次に、議場へ入るときのビケ・ラインでありますが、これは、ここにあげた四人や五人じやないのであります。何十人の人々が院外の力をかり秘書の力をかりて妨害いたしましたが、われわれ提案者が身をもつて当つた者及び現に認めた者だけをここにあげましたので、横路君のごときは一番向うの入口にがんばつていました。山田長司君もあそこにおつた。春日一幸君は別の入口におつて、がんばつておつた稲富君もその通りで、これも皆さんにはおそらく疑問がなかろうと思います。いわゆる万人の認むるところと考えるのであります。 それから山崎始男君です。あの議長席におけるがんばりぶり、よくもああいう力が出たものだと思う。赤松勇君に至つてはまつたくの指揮者です。もう五分だ、もう三分だ、やれと言つておる。これは私は張本人と言うてもよろしいと思うのであります。これらの者は全部目撃したる者と写真によつてこれを確認した者を出した次第であります。そのうち私が特に重いと思いますのは成田知巳君です。これは、議長がいよいよ階段へ上ろうとせられるところで議長に体当りを食らわして、二度も突き落しております。これは議長のからだに直接大妨害を加えたる第一人者であります。その次に、議長が成田君からからだをよけたら、よけたところを押えておるのは高津育正道君です。 それから、第四として三鍋君一人をあげておりますが、これも何十人おつたか知りませんが、なぜここで三鍋君一人をあげたかというと、三鍋君は直接議長のからだへ手をかけて、先生の腕力をもつてこれを議長席へ上げることを阻止し、しかして場外へ追い出すことに暴力を用いられた事実があるからでございます。 その次の第五に載せておりますのは、これは、実際は初めに始まつたのでありまして、この点は私自身もあの部屋におつてつぶさにながめておりました。また中野君もあのときおられたのでありますが、勝間田清一君もあそこにおつて指揮をしておるし、山田君、小林君、長君に至つては最も活躍せられております。そのほか三鍋君だつて小平忠君だつてやつておられますし、佐竹君も、これは議運の部屋の裏の議長室の長いすに腰かけて、議長が議運の部屋から議長室に避難するであろうということを予想して、これを妨害しておられました。この点は滝井義高君もそうでありますし、そのほかまだ久保田君もおられたと思いますが、何しろ四人腰かけておりました。まだほかにあの部屋の中でやつた人もたくさんあるのでありますが、目に余る活躍をせられた人だけをここにピツク・アツプした、こういう次第であります。 第六の、議長が再度入ろうとしたときにこれを妨害して議場内で活躍された人は、おそらくここに書いてあるくらいじやありません。つぶさに一々やるならば、両社会党の全員と言うてもよいのでありましようが、そのうち、われわれが目撃し、われわれ委員において現にあれがこういう行動をした、ああいう行動をしたということを知つておる程度の者をここにあげておるわけであります。 その次は、警察官に対する暴行であります。三人の警察官に対する暴行をやつたのですが、このやろう議場に入つたとか——議場に入つたは入つたのだが、みずから入つたのではなくて、議長を入れようとして議長と一緒にうしろから押されて議場内にからだが入つた。それを幸いにして、ひつつかまえて行つてふんだたき、のどを締めるなどしている。ここに書いておる人々はわれわれみな目撃しておつたところでありますから、問題ないとわれわれは考えます。 この意味においてこれらを全部懲罰に付しますが、今言いましたように、私は、議長席を占領したり議長のからだに直接暴力を加えた人のごときは、まず明瞭なる者として第一番に調査する方がよかろう、かように考えます。
○中野委員 鍛冶君の御説明、よくわかるのです。ただ私は、実際上の問題を述べて、お互いがこの懲罰委員会を運営する方法について最もよい方法をとつたらよいではないかということを述べておるのです。すなわち会期があと余すところ五日間です。これは延長ということはちよつと常識では考えられないことなんです。従つて、今日この委員会にかかりますと、決定を見まするには少くともまだ一日や二日の時日は見なければならぬと思うのです。従つて、国会法百二十二条に従つて一、二、三、四の懲罰の方法、すなわち一は戒告、二は陳謝、三は登院停止、四は除名という段階を考えてみても、実際上においては行われないではないか、こう言うのです。たとえば会期の問題あるいは出席せざる場合というようなことを考慮に入れますと、実際上これだけの名前の載つた人は、提案者の説明をまつまでもなく、また鍛冶君の御説明をまつまでもなく、これはひとしく了承しておる。しかし、これだけの人間を一律に罰し、今後議院の品位と秩序を保持しようとすれば、この懲罰委員会だけでは済まないのです。別途、われわれは、特別委員会を設置して、今回のこの計画的、暴力的行為に対して徹頭徹尾糾明して、天下にその真相を明らかにする責任を持つておるものであります。しかし、懲罰委員会というものは、本会議場において決定されましたその事犯の対象となる人々をのみわれわれは審議をするという過程にあるのでありまして、総合的な問題は今後の問題に譲らなければならないのであります。そこで、私は、これだけ多くの者について事実上不可能なことを議論をしておるよりも、この委員会の運び方としては、まず最も重罪に値すべきところの人々を重点的に対象として審議を進めた方が比較的によいではないか。ただ、どれとどれが重罪かと言われれば、今日きめてかかることはよくないでしよう。しかし、考えてみても、議長の発意によりまして堤ツルヨ君あるいは山口シヅエ君の両君を懲罰に付しているのですから、これはもうあらゆる立証すべきものがあるのです。彼らが何と反証しようとも、いわゆる国会の遊戯だとか、ただふらふらと乗つてみたというような言葉をもつては、とうてい反証として取上げることはできないのであります。従つて、これらの者とか、今また鍛冶君の御説明にありましたように、実際上暴力をもつて議長に暴行を加え、危害を加えておる事実もあるのでありますから、これらの人間ついてに重点的に審議を進めて行くという方が、本委員会運営の上にとつて適宜なる処置ではなかろうかと私は御説明申し上げておるのであります。さような見地に立つてお運びを願えれば、これに越した仕合せはないと思うのであります。
○森委員長 お諮りいたします。中野君の御発言、まことにごもつともと思うのであります。ただ、たくさんのうち、これが重罪であるとかなんとかということは、なお研究の余地があると思いますけれども、中野君の発言されたように、会期の切迫いたしておる事情もありますので、先ほど理事会においてお諮りいたしておきましたように、明十一日午後一時から、堤ツルヨ君、山口シヅエ君、高津正辻君、成田知巳君の四名の諸君を、議長を経由して本委員会に出席を求めて、その身上弁明を聴取いたしたいと存じます。これに御異議はありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○森委員長 御異議はないと認めます。よつてさように決しました。 委員長におきまして、所要の手続をとりまして、明日午後一時委員会に出席になるような手配をいたしたいと思います。 明日は午前十一時に理事会を開きまして、午後一時から委員会を、開くことにいたしたいと存じます。 ほかに何か御発言はございませんか。
○田渕委員 この懲罰委員会は、懲罰の対象となる同派社会党の委員が出席されていないのであります。当の委員が出ておられない懲罰委員会でありますから、われわれはこの懲罰事犯を慎重に審査し、事務上あるいは手続上に漏れ落ちのないようにしなければなりません。もちろん、老練な経歴の深い委員長でありまするし、また委員諸君もその点においては十分注意されておると思います。少くとも、この懲罰の対象となる方々は、議長職権で懲罰に付された者と、高橋英吉君外三名の提案された大石ヨシエ君外四十三名、この二本になります。 そこで、一応、提案者の高橋英吉君からの昨日の本会議における提案理由の趣旨弁明でわかつておりまするし、またもろもろの法規によつて提案されたのでありますし、議長職権でありまするから、間違いはなかろうと思いますけれども、議長は、どういう条文によつて、どの法規に照されてこの委員会に付託されているか、議長が文書をもつて申して来ておられるというだけの先ほどの委員長の御宣告では不明なのであります。この点の慎重を期する意味において、議長は衆議院規則あるいは国会法のどの規定に基いて議長職権としてここに出して来られておるか、所定の手続の条文をこの際ひとつお示しを願つておくことが、大事をとる第一の点であります。 それから、中野君もしくは鍛冶君の意見は私は全然賛成であります。少くとも、三日の事件というものは、提案者の趣旨弁明で十分われわれはわかつておりまするが、この与えた影響は、国の内外に日本の民主政治、議会制度の信を失墜しているのであります。一日も早くこれを鮮明にしなくちやならぬ。しかるに、会期は来る十五日をもつて終るということでありますから、最も能率的に、しかも懲罰の対象となる当人が出ておらぬ懲罰委員会でありまするから、最も慎重であり、最も厳粛でなくちやならぬと私は思う。両派社会党が出て来なくとも、懲罰の対象となる議員が出て来なくとも、われわれは全国民に向つてこの審査は慎重を期したのであるという点をはつきりしておかなければなりません。 さらに私はお伺いしたいことがありますが、まず議長がこれを懲罰に付された条文を先に伺いましょう。
○森委員長 お答えいたします。議長は、お手元におまわししてあると思いますが、その理由のもとに懲罰委員会に付せられたのであります。「本院の品位を著しく傷つけ、かつ又、議院の秩序をみだし、ひいては国会の権威を甚しく失墜せしめたもの」として、懲罰に付するに該当するということを掲げておるのであります。条文は、国会法第百二十一条、それから衆議院規則第十八章懲罰の第二百三十四条によるものと委員長は思います。
○田渕委員 私は、もう一つ憲法の五十八条の規定も援用されておると思うのであります。すなわち、「両議院は各々その議長その他の役員を選任する。両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。」という憲法五十八条も私は適用されておると思うのであります。
○森委員長 お答えしますが、この憲法五十八条が基礎となつておるわけであります。
○田渕委員 それでわかりました。憲法第五十八条かり国会法第十九条、第百二十一条、衆議院規則第二百三十四条等が出て来たと思います。そこで、ただいま四名の方の明日の当委員会に出頭を求める件についての手続は、議長はそれは適法によつてやられると思いますが、会期が十五日に迫つております今日でありますので、先ほど中野委員から言われたように、この懲罰委員会を会期中に有効ならしめて、国の内外に信を失墜し全国民に民主議会制度の不安を来した、これを一日も早く払拭してきれいにするということは——もちろん五党幹事長会談等が行われておりますが、懲罰委員会は、議長の付託により、また高橋君外三名の提案によつて、厳重にこれを慎重に調査しなくてはなりません。そこで、この会期中に少くともはつきり結論を出すためには、中野委員の言われた通り、証拠であります。その証拠は、ニユースあるいは写真、人的証言等によつて明瞭なものでありまして、ことに当夜のあらゆる角度から映し出したところの証拠が歴然としておるのでありますし、衆人の認めるところである。少くとも当日国会に登院しておつた者あるいは関係者、衛視もしくは警視庁の警官等の、あらゆるこれらの証人が出ると思います。けれども、それを一々調べておつたのでは時間がかかるので、早くスムーズに結論を出す意味においては、慎重にし厳重にしなければなりませんが、一応この四人を先にして、あと時間があるならば、さらにその他の人たちをするということに私は賛成するものであります。 そこで私は少くともこれを申し上げておきたい。今日日本の国民の一切の行動は憲法の前文によつて規制されておるのであります。すなわち「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、」となつておる。ことに「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。」とあります。こういうりつぱな憲法の前文があるのであります。しかるに、あの当夜行われた両派社会党の行動はまつたく提案者の趣旨弁明にある通りでありますから、これは厳としてすみやかにやらなければならぬということにつきましては、われわれは、夜を日に徹してもこの五日間に慎重を期して調べる、そして少くとも会期の最終日の前日もしくはその前日かにある程度の結論を出すように、各委員に御努力を願うことをさらに私は要望しておきます。
○辻(政)委員 ただいまの皆さんの御議論を拝聴いたしましたが、私は、この事件の処理について一つの大きな根本の問題が落ちておる、こういうふうに見るのであります。その理由は、今回の乱闘事件は明らかに両派社会党の計画的、組織的なものである、幹部が指導しておつた、少くも承知の上であります。その上にできた事犯であり、端的に申しますと、その幹部の意図のもとに踊らされた数名の陣笠議員、これだけが懲罰の対象になつておるのじやないかという感じを受けるのであります。それで、きわめて明瞭な暴力議員を国会から排除することは当然でありますが、私は、この事犯の根本的処理は、河上委員長、鈴木委員長を除名すべし。その理由は、当夜私が議場内の空気を見て良心にたえられなくて、わざわざ議席に行き河上委員長に問うたのであります。これでは一体社会党の良識を疑われる、やないか。そうしましたところが、河上委員長は、多数党が暴力をもつて言論を封ずるからには、これ以外に手はない、そういうことをはつきり述べておる。また鈴木委員長のごときは、この乱闘事件の直後に、新聞記者会見において、民主主義を守るためにはやむを得なかつた行動であると、あの集団暴力を肯定しておる。そこにこの事件が今日のごとき結果を見た根本があるのであります。そういう点点で、私は、皆様の議論を拝聴して、この数名の直接暴力を振つた下手人を処断すると同時に、これは明らかに同党幹部の認めた行動であり、端的に申せば計画的な行動である。その根源を断つ意味において、河上委員長及び鈴木委員長の除名を私は提議いたしたいと思います。それなくしては国会の粛正はできない、それが私の意見であります。
○森委員長 辻さんにお答えいたしますが、なるほど今のお話ごもつともと存じます。しかし河上、鈴木の両君につきましては、本委員会の審査の対象外になつておるわけでありますから、これはあらためて他の方法によつて考えなければならぬことで、この委員会では残念ながら取扱うことができませんことを御了承願います。
○鍛冶委員 私は、今の辻さんの議論はたいへん傾聴に値するものと思いますが、今おつしやる通り、今すぐというわけに行きませんので、これはきよう問題にしないことにして、あらためて協議することにしましよう。
○臼井委員 この懲罰を受ける本人の問題ですが、今辻さんからお話のありましたように、これは相当に扇動されてやつたとわれわれには認められるのであります。たとえば、議長席を占拠していた堤ツルヨ女史、山口シヅエ女史、こういう人たちもやはり背後で使嗾されたと私たちは見るのであります。ところが、本人は、新聞等によると、自分でやつた、こういうことを言つております。そこで、実際の動機とかそういうものを判断する上において明日の四名には本人にぜひ出て来てもらつて、事犯者の言い分をわれわれも十分聞きたいと思いますので、できるだけ出席するように勧誘を願いたい、かように考えます。
○森委員長 臼井さんの御意見ごもつともと存じます。本来から言えば、この懲罰委員会には自己の事犯に対しては出席することができ得ないのが原則でありますが、委員長の許可を得て弁明はなし得ることになつておるのであります。しかし、今回は御承知の所属政党である社会党が委員も出席しないというようなことでありますし、本人の身上弁明の申出もありませんので、いかにも一方的な解釈のように考えられても困るから、審査の慎重を期するため出席して趣旨を弁明されたいという通知書を議長を経由して出していただく、こういうことにいたしておるわけであります。来る来ぬは別問題でありますが、かりそめにも自分の一身上に関する問題でありますから、誠意があれば必ずや出て来て一応の釈明をされるのが順序だろうと思います。こつちは好意的にその取扱いをいたしたわけであります。 では本日はこれにて散会いたします。 午後三時二十九分散会