地方行政委員会 第87号
- 発言数
- 52 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1954/11/11
会議録
○中井委員長 これより会議を開きます。 警察に関する問題について調査を進めることにいたします。本日は前回の委員会におきまして大石委員より、入場税の国税移管反対をめぐる日本興行組合連合会の贈収賄事件に関係いたしまして、本委員会の委員が何らかの関係をいたしておるのではないかというがごとき記事が諸種の新聞に発表せられたことにつきまして、関係参考人より実情を聴取されたいとの御発言があり、この問題はもとより本委員会の名誉にも関することでありますので、これに関連するところの人々を参考人として呼ぶことに決定いたした次第であります。しこうして警察に関する事項を所管いたします本委員会といたしましては、本問題を次のような観点から調査を進めることといたしたいと思うのであります。すなわち刑事事件の捜査中において事件に関係ありとして名前などが新聞紙上に出されますることは、その人の信用名誉上その他に悪影響を及ぼすところきわめて大きく、一たび世間に流布せられた事柄は、それが事実無根であつたとしても、一般に与えられた悪印象というものはなかなか取去りにくいものであります。その人の迷惑申すまでもございません。従つて記事を掲載せられる言論関係者の慎重なる態度が要請せられることはもちろんでありまするが、他面にはそれには捜査の係官が情報を流すのではないかという問題も考えられるのであります。この問題に関係しまして、このたび当委員会の問題となりましたこの日本興行組合に関する贈収賄事件の記事の問題につきまして、その所管庁である警視庁においてみずから何らかの情報を提供せられたのではあるまいか、もししかりとするならば、警視庁捜査官に対する全般的監督義務を持たれる警視総監は、平素こういう問題についていかなる指示監督をやつておらるるのであろうか、その指示監督は、はたして適当なものであつたかどうかということが、当然問題として指摘されるべきものだと思うのであります。本委員会といたしましては、こういう観点から関係者諸氏に対して調査を進めたいと存じます。委員諸君におかれましてはもとより、本日御出席になりまする警視総監その他の関係者におかれましても、右様の趣旨御了承の上、質疑応答を重ねられんことを希望いたします。 なお先般委員会におまして、大石委員から本委員会へ出席を要求せられました参考人といたしましては、警視総監と警視庁の第二捜査課長、日本興行組合連合会を代表する人またはそれにかわるべき人、それから読売新聞の編集局長とこの問題の取材をした記者これらの人々を呼ぶことを提供をせられたのであり、委員会はこれをさように決定をいたしたのであります。この趣旨に従いまして委員会からはそれらの関係者に出席方を要請をいたしましたところ、警視庁よりはただいま江口警視総監が御出席になりました。第二捜査課長は本日は公務のために出席できぬということでございますが、この問題に関する全責任は警視総監がこれを負うておるから、一切それについては自分が全責任を負うて答弁をする旨申出がございました。日本興行組合の関係者につきましては、その幹部のすべては警視庁に勾留されておるという事実であります。またこれにかわるべき人もございません。それゆえこの関係者は出席されることができない事情になつております。読売新聞の関係につきましては、昨日編集局長小島文夫氏の名をもちまして本委員長あて返事が参りました。すなわち「十一日先約あり出席できぬ。御諒承乞う。」こういう文面であります。なお取材したる記者につきましては、本日は大阪へ出張中であり、出席いたしがたき旨電話をもつての回答に接しております。何とぞ御了承を願います。 この問題の調査の方法につきましてはどういうふうに進めて参りましようか。ただちに委員の諸君から警視総監に御質疑になりましようか。どういうような状態で進めて参りましようか。御意見がございましたら承りたいと思います。
○大石委員 まず警視総監から……。
○中井委員長 ちよつとお待ちください。その方法につき皆さんに今御相談をしているのでありますから……。
○大石委員 警視総監からまず聞きましよう。
○中井委員長 その警視総監から聞く方法につき皆さんから御意見を承つておるのであります。ただちに大石委員から質疑の形でお聞き取りを願うことにいたしましようか——よろしゆうございますか。
○伊瀬委員 委員長ちよつと。これは読売の編集局長は先約ありと言つているが、大体十月二十三日に本委員会で読売新聞の編集局長にここへ来てもらうことに決定したのですが、いつそれを読売の方へ御通達をなさいましたか。
○中井委員長 本月の八日に読売新聞社に連絡をいたしました。
○大石委員 私はこの問題について、読売新聞へは二十三日に委員長にお願いしたはずです。八日とは何ととぼけたことなんですか。(笑声)なぜもつと早く処置をとつてくださいませんですか。八日というと、日にちが切迫しましたらお互いに予定があるのです。編集局長を呼ぶことにするとしても礼があります。あまりに礼を欠いているではありませんか。それは委員長どういう意味ですか。
○中井委員長 お答えをいたしますが、大石さんの御発議の結果、私がその意味をとりまとめてかように委員会に申し上げております。「あらためてお諮りいたします。入場税移管の問題につき、地方行政委員会関係において贈収賄が行われたということが読売新聞に出たことは、まつたく無実のことを記載したものあつて、われわれの名誉上断じて黙過することができない、従つてこの記事の出所につきこれを明らかにして、われわれの名誉の汚れることを断固防ぎたい、こういう趣旨における御発議であります。従いましてこれに関連するところの人々を参考人として喚問するに御異議ございませんか。」と私が尋ねており、皆さんが異議なしと言うので、これが決定したのであります。委員長といたしましては、大石さんの御発議のうちには、ちやんとその人の名前こそ具体的に明らかにされておりませんけれども、その人はわかることができるように申しておられるのでありますから、関連する人々とは大石さんの言われる人々という意味でこれを申し述べたに相違ないのであります。当然私は事務当局におきましてただちにその連絡をとつて終りましたものと思うておりましたところ、事務当局といたしましてはこの委員長の言葉にありまする、「従いましてこれに関連するところの人々」という意味をはつきり了承することができない。「関連するところの人々」とは、だれを指すのであろうかということにつき疑義を持ちました結果、八日まで遅れたのであります。しかしながらただいま大石さんの仰せられる通り、こういう問題についてはただちに処置すべきものであり、呼ばれる人の都合等も考えて、できるだけ長い間を置いて向うの準備もしてもらうというのが当然のやり方であります。しかるに八日までこの処置に出でませんでしたことにつきましては、決して適当なるやり方とは存じません。しかしこれは一に委員長といたしましてそのさしずを怠りました結果でありまして、委員長まことに申訳がないということをおわびをいたします。将来気をつけます。 それでは通告順によりまして質疑を進めます。大石ヨシエ君。
○大石委員 警視総監に質問をいたしますが、去る二十九年の十月十日、読売新聞に、政界に一千万円、入場税移管問題について、ことに地方行政委員会にこの大金一千万円がばらまかれた。そこでわれわれ左右両党はこれが国税移管になることを食いとめるために——私はばかでございますから、一生懸命に反対をいたしました。そうすると私も十万円ないし二十万円もらつた人の中に入つていることと存じますが、その点をはつきりしていただきたい。そうしてここにおる者は一体だれがその金をもらつたか、この一千万円はどこにばらまかれたか、その点を詳しく私の納得が参りますように、しかも地方行政委員会の名誉にも関しますから、この点を詳細にお聞かせ願いたいと思います。
○江口参考人 ただいまお話の読売新聞の記事につきまして、捜査中の事件が新聞に書かれますことははなはだ遺憾でございますが、先ほど委員長からのお話にもありました通り、警視庁において捜査中のこの事件を外に漏らしたのではないかというようなお尋ねの趣旨でございましたが、われわれといたしましては警視庁にはそれぞれ犯罪捜査に当つてのいろいろな、捜査規範というものがございまして、そういう事件の中途において絶対に外部に漏れるということがないようにいろいろ規定も設けておりまして、常日ごろから指導教養に努めておる次第でございます。従いまして新聞に出ました事項は、おそらく警視庁以外のニユースソースから出ておるのではないか、かように考えられる次第でございます。今後とも捜査中の事件が係官によつて外部に漏れるということのないように、十分戒慎して参りたいと存じております。 それから大石さんのお尋ねの、日興連が入場税の移管について反対の運動をするための資金として、去年の十二月から一月にかけまして、会員から約一千二百五十万円の特別会費を集めたのであります。それを入場税移管の問題について、反対運動のための資金にしようということで、政府、各政党あるいは大蔵省、自治庁その他国会の常任委員会に対しましても、陳情歎願しようということで、そのためにこの金を使うということであつたのでありますが、それをたまたまある告発事件に関連しまして調査しておる間に、その金の使途に不正な点がありはしないかという疑惑が生じたのでありまして、それを取調べてみましたところ、陳情人の東京における滞在費あるいは事務費等を差引きましても、なお二百数十万円の使途不明の金があるのであります。その問題は目下追究しつつあるのでありまして、従いまして事件の捜査途中にありますので、まだこれがどういう方面に、どういう金額が、またその金がどういう性格を持つて贈与されたかということにつきましては、確定的な調査が済んでおりません。従いましてそれを前提にしてその次の段階の問題についてお話するというところまでは参つておりませんので、その点御了承願いたいと思います。
○大石委員 しからばこの新聞記事ですが、これは朝日にも出ておりました。読売、京都新聞、私は地方行政委員会に関係しておりますが、一人に十万円ないし二十万円もらつた、こういう記事が出ておりますから私たちはまつたくはずかしくて京都へ顔を出して歩くことができないのです。こういう記事がどこから出たとあなたはおぼしめしますか、あなたは常にそんなに周到に部下を指導していらつしやいましたのが、なぜ全国にこの記事がかくのごとくばらまかれたか、やはりあなたの責任でしよう。どういうふうにして指導しておられるのですか、まずそれを聞かしてもらいましよう。
○江口参考人 先ほどもちよつと申し上げましたが、それらの新聞社がどういうふうにしてそのニユースソースをとつて来たかということにつきましては、新聞社の方でないとわからないと思いますが、われわれの方といたしましては先ほど申しましたようにいろいろ捜査上の規範を設けまして、厳重に捜査中の事件が外に出てはならない、あるいはその他関係者の名誉を傷つけるような事を漏らしてはならないというような規定もございまして、それらの点につきましては、常に各段階を通じて、それぞれの係官について指導教養を怠つていないつもりでございます。従いまして私といたしましては、私の部下からこういう材料を各新聞社に提供したものとは考えておりません次第であります。
○大石委員 指導教養を怠つておらないとおつしやつても怠つておる事実がこれなのです。やはりあなたが悪いんです。なぜきよう捜査第二課長は公務であるとして、ここへ出頭しないんですか。やはりあなたがかばつていらつしやるでしよう、それはどういうわけなのですか。私は捜査第二課長にここへ出ていただくようにお願いしておいた、全責任をもつて自分が出るとこうおつしやつた、だからこの記事もあなたが責任持てますね。そうでしよう、あなたが全責任をもつて警視庁を預つていらつしやる以上は、地方行政委員会の者が十万円ないし二十万円をもらつた、この記事も全部あなたが責任を持つてくださいね。どの人がここで金をもらつたんですか、私たち選挙区へ帰ることができません。地方行政委員会に関連しておる者が、こうした金をもらつたということが四方八方の新聞に出た、これはあなたの責任です。この責任はあなたどうしますか、この点をここではつきり聞かしてちようだい。私たち一文ももらつたことはありませんから。
○江口参考人 たびたびお答え申し上げますが、新聞社はそれぞれの調査網を持つておりまするので、その調査網に基いて収集された種を材料にして新聞記事が書かれたものと存じます。先ほど申しましたように、捜査二課の取調べの過程において、警察官からそういう記事を提供した事実はないと私確信いたしております。
○大石委員 しからば地方行政委員会にだれも金をもらつた者がないということをこの場所で御承認くださいますか。だれかもらつた者があるのですか、もらつた者があるならば、はつきり名前をおつしやつてください。あなたの責任じやありませんか。
○江口参考人 先ほど申し上げましたように、二百数十万円の使途不明の金がありましたので、それについて調査中でございます。その捜査の目的といたしましては、それがあるいは贈賄に使われたのではないかということで目下取調べ中でございます。従いましてその贈賄が確実であるかどうかという点も、まだはつきりいたしておりませんので、その点をもとにして、さらに収賄が行われておるかどうかというふうな点にまでは、何とも申し上げることができない段階でございます。
○大石委員 しからば地方行政委員会の中に十万円ないし二十万円、若干の金をもらつておる人があると私解釈してよろしゆうございますか。わからないとおつしやるなれば、この中にもらつておる人があると解釈してよろしゆうございますね。
○江口参考人 今日までの取調べの段階におきましては、御懸念の点はないと存じております。
○大石委員 そうしたらはつきりしたらどうかね。
○中井委員長 今大石委員と江口総監との質疑応答は、きわめて重要な段階に入つて来たと思うのであります。大石さんの御質疑の途中でありますが、この際委員会を代表する私といたしましては、その点をきわめて重視いたして、あらためてお伺いをいたしますが、少くとも今日までの段階において、地方行政委員会の委員のうちには、この日本興行組合の不正事件に関連する者なし、こういうことははつきりお言い切りになるのでありますか、今日の段階においてでけつこうであります。今日の段階においてはそういう者は見えない、こういうことを承つてよろしいのでありましようか。
○江口参考人 今日までの段階におきましては、ただいま委員長が申された通りと申し上げてもさしつかえないと存じます。
○中井委員長 きわめて明瞭な御答弁を得まして、委員会の名誉のためにお互い欣快に存じます。大石さんこの程度でひとつ……。
○大石委員 もうちよつと。そうすると警視総監にお尋ねしますが、今後もこの二十五人の地方行政委員会委員の中にもらうた者があるかもしれぬといしう意味において、今日だけそういうことをおつしやるのですか。その意味を聞いておるのです。もしあつたらどうするのですか。あつたらまた新聞に出るじやありませんか。よけい地方行政委員会が地方から、国民からばかにされますよ。もらつた人をはつきりしてもらいましよう。われわれ国税移管に反対した一人なのですが、一文ももらわぬで反対しておつた。それをもらつたと言われたらどうにもならぬです。現段階においてはもらわぬということははつきりおつしやることができるけれども、今後もしもらつた人が出たらそれをどうするのですか。それをはつきりしてもらいましよう。ここではつきり名前を区別してもらいましよう。私たち反対したのですから……。片腹痛いです。もしもらつた者があつたらどうするのです。あなたは警視総監じやありませんか。警視総監が現段階においては地方行政委員会におる者は一文ももらわぬ、こうおつしやつて、この次に地方行政委員会から十万円もらつておつた、二十万円もらつておつたという者が出たらどうなのですか、これをはつきりしてちようだい。そのためにあなたに来てもらつたのです。うそをつかぬではつきり言いなさい。
○中井委員長 大石先生ひとつこの程度で委員長におまかせを願いたい。次に門司委員。
○門司委員 私この機会に警視総監と警察庁の方へお聞きしておきたいと思います。ずつと新聞に書かれておりまする例のヒロポンの問題ですが、これはある意味においては実際上日本民族の破滅を来しはしないかと思われるほどの猛威を持つているというか、凶悪なものであることに間違いないのでありますが、これの取締りについての考え方であります。これについてはしばしば警察権を利用したいろいろな挿査、逮捕等が行われておるようではありますが、実際上の問題としてこれの主管はやはり厚生省の麻薬取締りではないかというふうにわれわれ考えるのですが、警察は行政処置としての考え方から、あるいは犯罪防止の考え方から、こういうことを行われておるのかどうかということです。私がこういうことを聞きますのは、どんなに刈りとろうとしてもなかなか問題は尽きないと思う。従つて麻薬取締りの関係から非常に強く原材料の入手その他についての封鎖が行われなければ、出て来たものだけをどんなにやつてみたところで、なかなか解決しないのじやないかと思う。その点はどういうふうに連絡をおとりになつてやられておるか、この点もしおわかりになればこの機会にひとつ……。
○宮地説明員 お答えを申し上げます。ただいまの御質問のように、市場に現われましたヒロポンとその他覚醒剤の取締りだけをやりましても目的を達成しませんので、入手経路その他等について取締当局としては、特に厳重に、その方法におきましては麻薬に準じたような取締りをいたしております。ただ麻薬取締官はヒロポンを取締る警察権を持つておりません。警察が全責任を持つてその取締りをやつておる次第であります。
○門司委員 そうすると、問題は大体麻薬の原料が日本にあるとは考えられない、またそうたくさんあるものではないと思う、密輸入その他で来ておると思うのですが、この辺との連絡はどうなつておりますか。
○宮地説明員 覚醒剤の原料は容易に手に入るのであります。普通の市販をしているかぜ薬等からも少量はつくられますが、大量のものにつきましては一部外国から入つて来るのじやないかと思います。今申しましたように、覚醒剤の取締りに非常な困難を感じておりますことは、市販の、容易に得られる薬品から覚醒剤を手工業的に製造できるという点にあるのでございます。
○門司委員 それからその次に聞いておきたいと思いますことは、今のあなたの見通しですが、大体これは現行法の範囲内で根絶をするという見通しがつきますか。
○宮地説明員 先般の国会におきまして、この罰則が軽いのじやないかという御意見が出まして、改正をいたされた次第でございます。まずわれわれといたしましては、できるだけのことを今回やつてみたいと思います。根絶するまでこの取締りというものを、われわれ努力を続けて行きたいという気持で、今捜査に当つておるわけであります。
○門司委員 それから、今までの新聞だけで見ておりますと、第三国人の密造が非常に多いようでありますが、これらについて何か特殊の事情がありますか。
○宮地説明員 御指摘のようにこの製造過程におきまして、第三国人によつて特につくられておる事実をわれわれは承知いたしておりませんが、そういう点につきまして捜査上非常に留意し、また着眼をいたしてやつております。
○門司委員 第三国人に対する取締りですが、これはこの委員会で聞くことではないと思いますが、第三国人に対してのそうした日本政府としての申入れか何かはやつておりますか。
○宮地説明員 その点につきましては、私まだ承知いたしておりません。
○中井委員長 中井委員。
○中井(徳)委員 今門司委員からヒロポンの問題について御質問がありましたが、これは私は今の日本の国内情勢、さらにまた将来の日本の国民生活全般から見て、非常に大きなまた根の深いものだと思うのであります。それのみではなくまた外交面なんかに思いをいたしましても、これは相当深く考えて行かねばならぬ問題であると思うのでありますが、これに対して最近警察当局が大々的に摘発に乗り出しておられるということについては大いに敬意を表するのですが、私どもに言わしめますれば、むしろ時期が遅かつたのではないかと思うのであります。これは線香花火式なことをやりましてもだめで、もつと徹底的に長期計画を立ててやりませんと、私はこれの根絶は非常にむずかしいように実は思うのであります。 そこで警視総監の御意見を伺いたいのですが、こういう問題につきましては、これまで警察は事件別の組織をおつくりになつたことはないように私は思いまするが、こういうヒロポンに対する対策だとか、あるいは最近非常に問題になつておりまする暴力団に対する対策というようなことについては、特別の機構をお考えになつて、そうして長期計画でおやりになるというふうなことについて考えられたことがあるかどうか。そういうことについてもしおやりになるということになれば、私どもは大いに支援をするにやぶさかでないと思うのですが、これまでの警察の組織といいますると、一般犯罪の一部として扱つておるが、それでこういう取締りははたしてできるものであろうか。もちろん検察庁との関係もありましよう。あるいは厚生省との関係もありましよう。特に私はこの問題は将来の、ことに日本の青少年の将来ということを考える場合に、非常に重大問題だと思いますので、そういう点について率直な意見を聞かしていただきたい、かように思います。
○江口参考人 検察庁からの指示もありまして、ただいま全国的に覚醒剤の取締りに当つておるわけでございまして、警視庁管下におきましても強力にその取締りを実施いたしております。ところがいろいろやつてみまするに、非常に複雑なむずかしい問題を包含しておりまして、たとえば取締りだけでヒロポンというものが東京からなくなるというようなことは、非常にむずかしいのではないかと考えております。たとえば現にもう覚醒剤に中毒しておる者がたくさんございまするが、それらはやはりある施設に収容してしばらくの間はその薬から隔絶する、あるいはほかの療養を加えるというようなことにしなければ、なかなかなおらないものでありまして、そういう者をそとに出しておる以上は、やはりヒロポンを求めますので、従つてさらにそれを売る者ができて来る、密造する者ができて来る。ことに最近取締りを強化しておりますので、ヒロポンの値段が非常に上つて参りまして、従つてこの際つくつて売らなければ損だというような追つかけごつこが始まつておるというような状況でございます。ただいまの施設の点につきましては、警察としては何とも手が出ない状態でありまして、やはりそれぞれの地方公共団体なり、あるいは国からの助成でもなければ非常に多額の金を要する問題でございますので、それらの点が総合的にうまく行かなければ、ヒロポンを根絶するということは非常に困難だと思いますが、しかしあくまで理想として根絶しなければならぬのでありまして、昨日も新聞発表をいたしましたが、警視庁におきましては、総合的にこの問題を扱いまする意味におきまして、覚醒剤取締対策本部というものを設けまして、強力に推進いたしたい。今まででは、たとえば例を申し上げますと、すりの係というのがございます。すりの係ですと、すりは調べますけれども、その際ヒロポン一つぐらい持つておつても、それに対してどこから手に入れたかというようなことを突き詰めて捜査するというようなことはあまりやらなかつたのですが、それを今度は総合的に、そういう場合でもただちに覚醒剤取締りの方にまわすというように、みんなが総合的にそういう見地から取締りに乗り出そうということに実はいたしたのであります。そのほか、ヒロポンの密造者等を検挙いたしまして、これを処罰する場合の刑の問題、先般の法律の改正で少し重くはなりましたけれども、まだ私ども実際の現場の者から見ますると、刑罰が非常に軽いのではないか、こういうふうに考えております。それから罰するにあたりましては、その証拠資料というものが非常に厖大ものを要するのであります。それでその覚醒剤の分析と申しますか、鑑定と申しますか、これにまた非常に労力を要するのでございまして、現在の警視庁の職員だけでは、とても一日に多量の検定をするというわけには行かない事情にございまして、この方の人員の増加というようなことにつきましても、今頭を悩ましておる次第でございまして、いろいろむずかしい問題がございますので、ひとつこの問題と恒久的に取組んでヒロポンを根絶して行くようにして行きたいと考えております。
○中井(徳)委員 警視庁の今のお考えは大体わかりましたが、これは警視庁だけで泰作本部をつくるというようなことでは意味がないので、やはり日本全体の組織として考えて行かなければならぬと私は思うのですが、捜査当局の見解をひとつ伺いたいと思います。
○宮地説明員 お答え申し上げます。ただいま御指摘のように、単なる取締りだけではこのヒロポンの取締りの目的は達しないだろうと思つております。ある程度までは従来のような取締りでも目的は達せられますが、ほんとうに一部の密売者等が潜行いたしましたら、結局は現在われわれがやつております麻薬取締りと同じように専門的知識を持つて取締りに当つて行く必要が起るであろう、こういうことを予期いたしまして、そういうような係といいますか、麻薬取締りと同じような人的構成をもつて行くように、今回取締りにあたりまして指示をいたしてございます。 それからなお暴力団につきましては、先ほど御指摘がございましたが、単に線香花火式に終らないようにというので、いわゆる取締り月間というようなものを設けては現在取締りをしておらない、ある程度まで目的を達するまで継続的にいたそう、こういう予定に立つておる次第でございます。御了承願います。
○中井(徳)委員 今の方針は大体伺つたのですが、私は結論的に申し上げると、そんななまぬるいことでヒロポンやら暴力団の撲滅は——これはもちろん時間がかかると思いますが、なかなか期しがたいと思います。もつと強力な態勢をとつていただきたい。もつともこれは単に警察力だけでやれる問題とは私どもも考えておりません。政治全般が、そういうものをこれまで放擲しておいた。またその他いろいろな戦後の新しい社会情勢として、パチンコその他の賭博行為が世上に横行いたしておる。そういう全体の現在の政府のやり方とも関連があるわけでありますが、そうかといつて私は、それだから政府をかえなくちやいかぬのだというようなことに行く前にそう考えまして、今お尋ねしたわけでございますが、もつと何といいますか、ぱつと根を絶つような対策を早く立ててほしい。 そこでお尋ねをいたしたいのだが、現在全国でヒロポン患者と認められておる大体の人員というものはどれくらいあるか。そのうちにはもう先に犯罪行為などをしばしばやつたというふうな者もあるでありましようが、そういうふうな統計的な数字につきまして、患者の数とか犯罪とか、そういうものについて今そこに資料がありましたらひとつお答えをいただきたい、かように思います。
○宮地説明員 今資料を持つて来ておりませんので、後ほどお答えいたしたいと思います。
○中井(徳)委員 それでは今の資料を委員会から後刻ひとつ要求されるようにお願いいたします。
○中井委員長 了承いたしました。政府当局におかれましては、ただいま中井君の御要求になりました資料をすみやかに整え、委員会へ御提出あらんことをお願いいたしておきます。 なおこの機会にちよつと私からお尋ねしたいことがあります。ただいま宮地捜査課長の御説明では、このヒロポンの問題を麻薬同様に取扱い、その機構について考えておるということでありました。これは実はあなたにお尋ねすることよりは、警察庁長官にお尋ねすることが必要であつて、あるいはあなたからお答えしにくいかもしれませんが、ひとつぜひ警察庁全体の問題としていただきたいという趣旨においてお尋ねしておきますから、そのおつもりでお聞き取りを願いたいのであります。 麻薬官とこれを指揮監督する官庁との関係、特に麻薬官と指揮監督の問題についての警察庁との関係、これはどういう状態になつておりますか。
○宮地説明員 麻薬取締りに対しましては、麻薬取締官が司法警察権を持つておりますので、警察官と同等の立場を持つております。現在これらと連絡をとりつつ取締りをいたしておるのが現状でございます。
○中井委員長 そうすると麻薬取締官に対し、警察庁からこれを指揮監督することはできないのですか。
○宮地説明員 たしか指揮監督はできません。
○中井委員長 そこで問題になるのですが、なぜそういうような手ぬるいといいまするか、隔靴掻痒の感のあるような機構をもつて、この大問題をやつて行こうとせられておるのですか。これは長年専門家の間で問題になつておる問題なのですが、いまだにこれを政府は御解決なさろうとしない。麻薬取締官などは一日も早くおやめになつて、そうしてそれはすべて警察のうちに含んでやらせる。麻薬取締官をそのままにしておかれても、それは警察庁のうちの一つの部門の官吏としてこれを指揮監督して行く、こういうことにしなければ、これは日本的な問題ではなく、世界的な問題にもなり、国際的な一つの問題にもなるのです。それがなぜこの問題につき徹底したる機構上の御改革がないのでありましようか、その点を承りたい。
○宮地説明員 これは事務当局としてお答え申し上げるには問題が大き過ぎると思いますので、いずれ調査の上お答えするようにいたしたいと思います。
○中井委員長 江口警視総監にお伺いいたしますが、ただいまの問題は機構上の問題として実は非常に大切な問題なのです。そこで警視庁として今度いよいよヒロポン退治の問題にお進みになつたようでありますが、この麻薬官とその取締りの問題につき、必らず今まで御不便を感じておられるに相違ない。従つてどうしてもこれを徹底さすためには、ただいま私が申したような機構の改革をしなければならぬのでありますが、警視総監として実際この取締りの上において不便なり、ぜひ改正を要するとお考えになるような御意見はございませんか。
○江口参考人 私就任以来まだその権限がわかれておるということで、非常に不便であつたという経験は実は持つておりませんです。お話のように長年の問題であるかもしれませんので、警察庁の方で厚生省と相談の上で、しかるべき御指示があれば、われわれもそれに従つて行きたいと思います。
○中井委員長 本日はこれをもつて散会いたします。 午後零時二十四分散会