地方行政委員会 第83号
- 発言数
- 63 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1954/10/21
会議録
○中井委員長 これより開会をいたします。 議事を進めるに先だちましてお諮りいたしたいことがございます。すなわちさきの委員会におきまして、佐賀県議会に起りました乱闘事件の実情につきまして委員を派遣して調査するか、あるいはこれに先だつて参考人を招致して説明を聴取するか等について、種種の御意見がございましたが、この問題は最近の委員会においてこれを決定する旨決定されておつたのであります。本日の理事会におきまして種々審議を重ねました結果、さしあたりまずもつて佐賀県議会議長、副議長並びに県警察本部の公安部長、さらに同県会議員のうち一人の人を参考人として委員会に出席を求めましてその実情を聴取することに決定をいたしました。つきましては本問題について理事会の決定通り決するに御異議ございませんかどうかお伺いをいたします。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中井委員長 異議の声を聞きませんから、さように決定をいたします。 なお参考人を取調べられます日時は来る二十三日午前十時からにいたしたいと存じます。ぜひ皆さんの御出席を願います。 —————————————
○中井委員長 最近、東京都内において問題となつておりまする高速自動車道路建設に伴いまして、紺屋橋と難波橋との間の公有水面埋立と中央区銀座四丁目地先三原橋道路上の建物について種々の問題が起りつつあるのでありますが、この問題は一面運輸、建設両委員会に関係いたしまするとともに、また地方行政の上からいつても本委員会の所管事項にも当るのであります。従いましてこの問題の真相を究明し、これによりまして地方行政に資するために参考人として関係者から事情を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○中井委員長 御異議なしと認め、さように決定いたします。 ただいま御承認を得ました参考人として中央区区会議員山下清吉君、及び金森四郎君、この二人から事情の説明を聴取いたしたいと存じます、 山下、金森両参考人に申し上げますが、本日はかねて問題になつておりまする高速自動車道路建設に関する問題について、地方行政の立場よりあなた方の御説明を承りたいというので参考人として御出頭を預つた次第であります。御多忙中のところ御出席くださつてありがたく存じますが、事柄につきましては、簡明にかつ率直に事実をお述べいただきたいと存じます。 ます山下参考人から御説明を願いましよう。
○山下参考人 請願の趣旨によりまして御説明を申し上げます。本件につきまして御承知の通り銀座の外堀に当りますところを埋立てるというのが目的でございますが、この公有水面の許可につきましては、東京都は国家から管理委任を受け、それを区が地方自治法の二百八十一条の二項によりまして、業務規定によつてこの道路の管理、河川の管理をその下部としてやつているのであります。そしてこういう高速道路とかまたは水面使用につきましては、区の承認を得てやつているのが現在の状況でございます。しかるにこの公有水面の占用許可につきましては昭和二十六年三月二十七日付をもつてこれを許可しております。その許可にあたりましては参考の一号にもあります通り、運輸大臣、建設大臣がこれを許可することに承認をしておりますが、かようなここに大きな一つの城壁をこしらえるごとき道路を建設するにかかわらず、皆さんからせつかくわれわれに対して与えられましたこの自治区に対して何ら諮問もしない、話合いもしないというようなことにつきましては、われわれ区民といたしましては、区議会としてもこれはわれわれの行政上の最も大きな疑義を持つところでございます。次に本年の五月十七日付をもちまして、この河川の占用から今度は埋立ということにかわりまして、そうして五月十七日に都知事は都議会に対しましてこれが承認を求めております。しかるにこの埋めるということにつきましては、私から申し上げるまでもなく、水面を埋めますとその土地は所属未定地となります。ということは、区の境界は法の定めるところによつて河川の場合はまん中であるにかかわらず、あの河川の半分を後退するという事実が生れて来るのであります。と同時に、その埋めたものは東京都の権限に属しまして、はたして中央区のものになるか千代田区のものになるか、または港区になるかということは、これは上級の都議会においてきめることでございまして、私たちの権限が侵害されたということは、私たち区議会としても区といたしましても最も重大な事件でございます。しかるにかような重大な事件を一方的に処理する、こういうようなとでございます。しかもこの道路につきましては、そのいわゆる昇降口が銀座の、皆様も御承知の通り有楽町からこつちへ参りまして、あの堀から中へ一丁ほど入つたところでございます。そうしますといわゆる難波橋と紺屋橋ということに相なりますが、そこへ上げるということにつきましては約三十度の勾配をつけても、どうしても昭和通りからずつと向うへやらないと自動車が降りたり昇つたりすることができないのでございます。しかるにこれをそういう難波橋と紺屋橋において許可したということについても、私たちは深い疑いを持つのでございます。特に国の方からもそれを許可しておられるということについて私たちは大きな疑問を持つているのでございます。かような点におきましても、この道路というのは私たち住民全般が考えていることでございますが、ただ単に長方形のビルを建てるにすぎないというような考えを現在持つております。しかもこの通路に対してエレベーターで自動車を上げて、四十五キロの速度をもつていたしますと二分間で降り口に行つてしまいます。かような道路がはたして高速道路かどうかということにも大きな疑問を持つのであります。それと同時に、たとえばそれを昭和通りにつなぐといたしますと、現在昭和通りのまん中にはちようどこれに該当するほどの電車軌道のとりはずしたところと予定地がございます。ここに建てればこれはずつと先に行きまして岩本町、いわゆる千代田区と台東区の境のところまでまつすぐに高速道路をつけることができるのであります。しかるにかかわらずこういう所へ自動車道路をこしらえるといつてやるということについて、大きな疑問を持つておるのでございます。それと先ほど申し上げました通り、行政手続におきましても、区の権限が侵されるような問題につきましては、私たちはぜひとも国会の皆さんにおたよりして、自治法の改正なりその地区の権限を拡張していただく、諸種の点において私たちはぜひともさように願いたいと思うのでございます。それと同時に皆さんもごらんになつたと思いますが、元三原橋の上に立ちました建物でございます。その書類を見ますと、皆さんのお手元にございます書類の中にもございますが、これは道路占用といたしまして、この土地を借りております。しかもその借りることが、東京都知事が身分がかわつて、社団法人観光協会の安井誠一郎にこの土地を貸しております。そうしてこの貸した土地が、今度は営利会社の新東京観光株式会社に行つております。そうして転貸しをいたしまして、この転貸ししたものに対しては、これは東京都都有財産条例第二十六条だと思いますが、それにおいて転貸しはいけないということで禁止しております。しかもあの土地がもし建物を建てる土地であるとすれば、価格が現在にいたしますと一坪約五十万円くらいであります。それを約百坪くらいを無償で営利会社に貸しておる。そうして観光協会がその会社から年額三十万円なり四十万円をとることを契約書によつて約束しております。そうしてその新東京観光株式会社の運営にあたりましては、都の理事者がこれに参画しております。これはそういう利益をあげて観光協会へ持つて行くような金をやりとりさすようなことは、公務員法違反じやないかというふうに区の方では考えております。かような点につきまして、ぜひとも皆さんの手によつてこういうことをはつきりしていただきたいということをお願いするために、私たち今度陳情した次第であります。 なお参考人金森議員から、東京都と区の建設委員会との間におきましてとりかわしましたことを説明してもらいたいと思います。
○中井委員長 金森参考人。
○金森参考人 簡単に、東京都の建設局の河川部長を区の方へ招聘しまして、説明され、あるいは折衝した経過を申し上げます。今山下議員から説明申し上げました通り、昭和二十六年の三月二十七日というのは、ちようど地方選挙が始まる直前でございます。議員がおりましても議会はもうやつておりませんし、議員もその当時の議員が四月の選挙に当つておりまして、ほとんど空白のような状態をねらつて東京都が許可しております。その当時の自治法でございますと、都から区に諮問しなければならぬ時代であつたのでございますが、許可をしてしまつてから、五月になつて区長の方へ文書で、許可したということの通知があつただけであります。そういうことで、当時諮問がなかつたということに対しまして、佐藤河川部長にわれわれ質問いたしましたところが、それは当時議会が空白であつたからたしかしなかつたと思うというので、六月の二十何日かに来てもらいまして、それでは公有水面利用及び今度は埋立てをするということであるが、それをどうして区に諮問しないかと申しましたところが、建設省へ問い合せたところ、さらに自治庁へ建設省から尋ねたら、自治庁の行政課長から、自治法が二十七年に改正になつたから関係区に諮問しなくてもいいのだ、そういう通知をもらつておるから、諮問しなかつたのだと言いながら、都はこういう重大な問題は諮問しませんで、大して区の方に関係のないようなことはいろいろ諮問して参ります。たとえばごらんになつた方があるかもしれませんが、広島県のかき船を築地川につくりました。現在豪壮なものをつくつております。こういうものをやるときには一応諮問して参ります。あるいは江東区に天然ガスの試掘をしよう、そういうようなことのときには区へ諮問するのでありますが、こういう重大な問題になりますと、反対があつてはいかぬということであるのかどうか、諮問して参りません。そういう点につきまして一方的に都が自治法を都に有利のように解釈されまして、さらに関係区の方へ諮問しない。こういう点を河川部長に質問いたしましたら、これはすべて上司のやつていることであるから、私たちはそれ以上のことはわからない…。それで、あの高速自動車道路をつくるにあたりましても、下の方は自動車の車庫あるいは駐車場をつくる、そういうことを申して、あのところの交通を緩和する、そういうことであれを許可しておりながら、現在できております帝国ホテルの裏の方の場所は貸ビルあるいはレストランそういうものに貸し与えられておりまして、交通緩和ということはさらに考えておりません。そういう点に非常に疑義がございます。どうぞ諸先生におかれましては、こういう点をひとつ詳細に御調査を願えますれば、まことにけつこうであります。よろしくお願いいたします。
○中井委員長 参考人に対して御質疑がございませんか。
○門司委員 私の聞き違いかもしれませんが、今の金森さんの陳情の中に、自治庁の行政課長からの話の中に法律を昭和二十七年にかえたからいいのだ、こう私は今聞いたように覚えておりますが、書類を見るといずれも昭和二十六年になつておるようでありまして、今お話になつたのはどこの部分ですか。その埋め立てたときの部分ですか。
○金森参考人 参考の四号にございますが、埋立てをするにあたりまして、都議会に都の理事者が提案するときにあたりまして、建設省へ問い合せたのでございます。
○門司委員 それから、これは都と区の争いのような形になると思いますが、今中央区からおいでになつておりますが、同じように千代田区、港区がこれに関連を持つておると思いますが、これらの区議会の情勢がおわかりでしたらお話し願つておきたいと思います。
○金森参考人 七月ごろに一ぺん、これは千代田区にも関係がございますし、港区にも関係がございますので、中央区が一番関係が深いので、中央区議会の議長から千代田区、港区の建設委員会にお集まりを願いまして、そうして一応連絡会のようなものをつくりましたのですが、その後港区の方はわずかなところでございますし、千代田区の方も御承知のあの鉄道の線路をまたいで中央区の方へ入つておりますので、比較的中央区よりも関係が薄いということで、そう深く考えておらなかつたようでございます。今回こちらの委員会へお願いするにあたりまして連絡をとりましたところ、今後よく連絡を密にしてやつて行こうということの話だけはございました。
○門司委員 もう一点聞いておきたいと思いますが、それはこの問題が起つて実は相当長くかかつておるわけであります。それから実際上の問題としてはもう一部分が埋め立てられて、また一部分ではありまするが道路ができているわけであります。従つて今陳情されております目的は、これを全部中止せよというのか、あるいはその他に何かこの陳情をされる目的等がございますなら、この際明らかにしていただきたいと思います。
○山下参考人 私たちは、この建築に対しましては現在既成事実といたしましても、なるべくはとつていただければいいのですが、やむを得ない場合におきましても、現在のままにおいて中止していただきたいと思います。それから三原橋のあの建物につきましては、都市計画法におきましても、あの道路は拡張することになつておるにかかわらず建てたということに対しまして、それは撤去してもらいたいと思います。さような趣旨でございます。
○門司委員 それから今のことなんですが、東京都内の道路の維持管理は東京都が直接やつておりますか、それとも区が維持管理をやつておりますか、その辺どうなんですか。
○山下参考人 今区道と都道に相なつておりますが、都道におきましても区においてこれを管理しております。
○中井委員長 ほかに御質疑はございませんか。——それでは両参考人におかれましてはお忙しいところ御出席ありがとうございました。これで御退席くだすつてけつこうであります。
○門司委員 これは自治庁にちよつとお伺いするのですが、今陳情を聞いておりますと、実は河川の占用許可の問題でありまするが、河川の占用許可について、従来東京都の河川の維持管理は主として区がやつておつたように、われわれは記憶しているのであります。ところが維持管理者である区に相談しないで占用許可が最初に運輸大臣、建設大臣から出ておるわけであります。従つてこういう問題について自治庁はどういうふうにお考えになるか、自治庁のお考えをひとつこの際承つておきたいと思います。
○鈴木説明員 ただいまのお話は、河川の占用許可を知事がいたします場合に、区の意見を聞かないでやつたという点でございますが、これは法律論と実際問題とは若干違うかも存じませんので、なおよく法制を調べた上でありませんと、的確なことは申し上げられませんけれども、理論として考えますると、河川の占用許可というのは河川管理者としての都道府県知事が許可をする、こういうことになつておるわけでございますが、この都道府県の知事は自治体の長としてそういうことをやるというのではなくて、今の法制上の建前といたしましては国の機関としての知事において河川占用の許可をする、こういうことになつておるわけでございまするので、特に法律上に関係のある特別区の議会なり、あるいは特別区の区長なりの意見を聞けということが規定をいたしてなければ、法律上の問題といたしましては、知事限りで許可をするということは可能であろうと思うのであります。ただいろいろ前提になりますことがよくわかりませんので、それ以上のことは申し上げられませんが、法律論といたしましてはそういうふうな解釈になるのではないか、こういうふうに考えております。
○門司委員 これは非常に疑義のある問題でございまして、どこでも河川の占用その他については、それを維持管理いたしております者の意見が最も重要なものであると同時に、やはりその近接した地主その他の意見も一応常識的には聞き合せるということが考えられて、今日まで行われておつたと私は思います。このことはその埋め立てることのために直接利害関係を持つておる者の総合的意見の調整がなければ、こういうものが軽々しくできるわけはないのであります。同時に埋立てというようなことになつて参りますると、幸いここには漁業権もなければ何らの水利権はなかつたと思うのでありますが、もし水面使用の権利等があつた場合には、それらの者の意見も参考に十分聞かなければならぬし、従つてこれらの問題を処置する場合には法律的に知事が許可すればいいのだということだけではなくて、やはりそういう水面の占用についての直接の関係を持つ者の意見なり、あるいは直接の被害を受ける者の意見、あるいは承諾書というようなものが相当大きな許可条件になる、何も法律上そういうものが書いてあつてもなくても、これが相当大きな許可条件になる一つの要素を持つておると思う。ところが今の陳情を聞いてみますると、維持管理者である区にも相談をしておらない。表面上、法律上の建前は東京都知事が持つておると考えておりまするが、しかし都知事はさらに条例その他で区にその維持管理をゆだねておるということになつて参りまするし、やはり区が一応の管理者であるとみなすべきだとわれわれは考えるのであります。これらの意見が聞かれていないということになつて参りますると、この占用の許可自身にかなり大きな問題が残されるのではないかというように私は考えるのでありますが、もしそういう手続その他が完備していなかつたというようなことになつて参りますると、これらの問題は取消しができるかどうかということであります。
○鈴木説明員 河川法の定めるところによつて知事が河川の管理権を持つておる、従つて占用の許可等の権限は知事の権限であるということは、地方自治法等でも明らかになつておるところでありまするが、なおお話によりますと、都知事の河川管理の権限を特別区の区長に一部委任をしておるというようなことも、あるいはあろうかと思いますが、しかし占用の許可というその事務自体を、特別区の方に委任をしておりませんければ、これは当然都知事が占用の許可に関する権限を持つておることになろうかと思うのであります。ただこの占用の許可をいたします場合には、実際の運用の問題といたしまして、関係のあるいろいろの方面の意見も聞き、実情も調査いたした上で処理するのが、実際の行政運営の問題としては適当であろうと考えますし、おそらくそういうことが行われ、いろいろのことを勘案した上で、何らかの措置が行われたものと考えるのでございます。しかしただいまお話のように、これについていろいろ反対の意見もあるということでございますが、この点は直接には建設省の所管の行政の運営の問題でございますので、建設省の方面にもただいまの点は連絡して参りたいと考える次第であります。
○門司委員 もう一つ、これは重要なことですから聞いておきたいと思いますが、区の境界の問題と造成された土地との関係であります。現在区画の面から行けば、川の中心が境界になつておれば、それで地図の上では一応けつこうだと思うのですが、これが事実上の土地になつて参りますと、図面の上でまん中に線があるからそれでいいというのでは、実際上の問題は片づかぬと思う。家が半分にわかれて、表通りはAの区に所属し、裏通りはBの区に所属して、家のまん中が区の境界線に入つているというところができて来やしないか。これはまん中に大きな道路でもつければ、おのずからまたその道路のまん中が境界線ということになると思いますが、今できております建物の造成されておるものを見ると、そういう処置も講じてないようであります。従つて、境界の問題には直接関係はないと思いますが、区の行政上の町をこしらえる場合においては、なかなかめんどうな問題ができて来やしないか、税制の問題等についても、家の半分は千代田区でやるんだ、半分は中央区で税金をかけるんだというように、問題を紛糾させようとすれば、そういう問題まで発展する可能性を持つている。こういうものに対する解決策は一体どういうことになるのでありますか、もし自治庁にお考えがあるならば、この機会にお聞かせ願いたいと思います。
○鈴木説明員 東京の特別区と特別区との間の境界の問題につきまして、ことに河川の埋立て等がありました場合に、その境界をどう定めるか、あるいは境界にわたつて建物ができました場合に、その建物に対する課税権はどうなるかというような区と区との間の問題については、御指摘のようになかなか複雑な問題がいろいろあろうと思います。これはただいまのところ、たしか特別区の議会の議決を経て知事が区の境界を定める、こういうことになつておつたかと思うのでありますが、第一段には、不分明であります境界を明らかにする、あるいは境界の変更の処置をする、こういうことによつて処置をするほかはないのではないかと思うのでありますが、その処置自体が当該区議会の議決を要することになつておりますために、なかなかそれの話合いがつかない、従つていつまでも明確な状態にならないままで残つておるというようなことが多いかと考えておりますが、これはだんだん関係者の話合いをつけて解決をするということのほか、今の制度の上では困難ではないかと考えております。
○門司委員 大体わかりましたが、念のためにこの機会に話をして聞いておいてもらいたいと思います。課税権の問題もそうですが、居住権の問題も出て来る。一体どつちの区民か、境界の上に家が建つておる、どつちの区に住んでおるのかわからぬ、こういう問題まで発展して行つてこじれて行きますと、問題の解決がなかなか困難だと思う。従つて自治庁としては、そういう問題をすべて解消できて、地方の自治体にあまり紛糾をさせないような何らかの処置を即急にとられる御意思があるかどうか、承つておきたいと思います。
○鈴木説明員 御指摘のような事態はまことに好ましくないことでございまして、課税権の問題から申しましても、また住民の選挙権といつた問題から申しましても、非常に重大な問題でございます。できるだけ事態を解決できるように、運用の上においても、また場合によつては制度上の問題としても考えたいと思います。 —————————————
○中井委員長 それでは大臣が見えますまでに私からちよつとお尋ねしたいことがあります。学生の選挙権が郷里にあるか修学地にあるかということは、先般来種々問題のあつたところであります。昨年の六月十八日に自治庁は原則として郷里にあるということを、各選挙管理委員会に通達せられたのでありますが、これがもとになりまして数個の裁判所においてこれに関する訴訟が提起され、その結果、最近最高裁判所においては自治庁の見解に反する判決が下されたことは御承知の通りであります。自治庁の見解として各新聞に伝えられておるところでは、「「学生の選挙権問題」に関する最高裁の判決は、現行公職選挙法の解釈について自治庁が従来とつていた方向とまつたく逆の方向をとつたものなので、自治庁では新たにこの趣旨に沿い、学生の選挙権は原則として修学地にある旨の通達を一両日中に各地方選管へ発するとの態度をきめた。各地方選管では、十月三十一日までに基本選挙人名簿の作成を終り、十一月五日から縦覧期間に入るので、自治庁ではその措置を極力急ぐはずである。 しかし今度の判決は、茨城県渡里村の学生四十七名が基本選挙人名簿に登録されることを請求した具体的な事件に対するものであつて、学生の選挙権に関する住所の認定については判例とされるが、学生以外の自衛官などについては触れられていず、また学生の住所が公職選挙法以外のあらゆる法律(たとえば民法、地方自治法など)についても、修学地にあるかどうかの点を一般原則的に示してはいないので、それらの点との関連についてはなお今後問題が残るものと見られている。 また今度の判決は、「特段の事情のない限り」また「修学地以外の場所に生活の本拠ありとする事実が当事者から立証されない限り」いう前提が付されており、すべての学生が無条件に修学地に選挙権を持つとはいつていない。従つて選挙人名簿の作成の場合には、やはり個々の学生の実情の調査が必要となるわけである。 なお自治庁では現在国会に提出され、継続審査中の公職選挙法改正案(政府原案では現住地主義をとつたが、自改両党の共同修正により、郷里主義を採用して衆院を通過)の取扱いについても今後検討するはずである。」こういうことであります。この内容によりましても、問題は単に学生の選挙権の所在だけでなくして、これに同様の関連を持つ諸種の問題にも影響を及ぼすことは明らかであります。この問題はいろいろな意味におきまして、各方面に相当多大なる紛議を生じたものもありますので、この際この問題を根本的にきめられることがきわめて必要かと思います。しかもこれは取急ぎせられることが、今日の政治情勢の上からいつても必要であろうかと思うのであります。この点につきまして、ちようどよい機会でありますから、この場で自治庁の所見を明らかにせられんことを希望いたしたいと思います。
○鈴木説明員 ただいまお尋ねのございました点は、ただいま地方のちようど選挙人名簿調整の最中でございまして、まことに時宜を得ましたお尋ねと考えておる次第でございます。先般来最高裁判所に係属中でございました学生選挙権の問題すなわち学生の住所はどこにあるかという問題につきまして、昨日最高裁の判決があつたわけでございます。この判決の趣旨は、郷里から遠く離れて来ておる学生があつて、郷里に配偶者も置いておらず、また管理すべき財産もない、従つてまた郷里に帰る必要もなく、またその事実もない、休暇以外には郷里に帰つていないといつたような学生の諸君、また住民登録も大体そこにしてあるといつたような学生諸君、主食の配給もその地において受けておる、こういつたような学生諸君の住居というものは寮なり寄宿舎なりに—判例の場合には最低五箇月以上の例がございましたが、少くともその程度以上そのところに住んでおりますならば、やはり寮なり寄宿舎に住所がある、こういうふうに解釈すべきものである、こういうことをうたつておるわけでございます。しからばその根本となる住所は、法律上どう解釈するかということにつきましては、やはり特段の反対の理由がない限りは、これは生活の本拠をもつて住所と考えるべきである。これは法律上の原則として、特段の反対の理由がない限りはそういうふうに考えるべきである。こういうことを申しておるわけであります。この判例の考え方は、先般選挙制度調査会で答申がございました。この点につきましての問題との関係において考えますと、選挙制度調査会といたしましては、現行法の解釈としては、かつての自治庁通達のようなふうに解釈するほかはないと思うが、立法論として、学生の選挙権は寮なり寄宿舎にあるものと解釈すべきである、そういうことを考えるべきである。こういう答申であつたわけでございまして、この最高裁判所の判決は、立法論としてでなく、現行法の解釈としてそういうふうに解釈できる、こういうことを明らかにいたしたわけであります。従いまして、あえて立法を要せずしてただいまのような読み方ができるというので、最高裁判所の判決でございますので、自治庁といたしましては、この判決の拘束力としてはもちろん当該訴えの事件についてだけでございますけれども、この判決の趣旨にかんがみまして、いわゆる学生の選挙権の住所認定の問題につきましては、具体的な通知を出しまして、従来の選挙部長の通達を廃止する、こういう措置をとりたいと考えているわけであります。この点は本日地方に対しまして、学生の選挙権は、特段の事由のない限りは、原則として寮なり下宿にあるというふうに解釈をする。特段の事由というのは、非常に郷里から近いようなところにおつて、配偶者があつたり、あるいは郷里に財産があつたり、しばしば郷里に帰る必要があり、またその事実がある、こういつたことが明らかな場合、これは郷里に住所があるのであるが、そうでないような一般的な場合は、寮なり下宿に住所がある、こういう趣旨のことを出すことにいたしておるのであります。これはおそらく本日地方に通達することが可能であると考えております。大体そういうような取扱いをいたしております。 —————————————
○中井委員長 大臣がおいでになりましたから、再建整備に関する法案の問題につきまして御説明を聞く順序なんであります。しかるところ、本日当委員会におきましては、前の委員会のときからの懸案といたしてありました佐賀県における県会の乱闘事件につきましてこれが調査を始めることになり、県会議長らを近くこの委員会に参考人として呼ぶことになつたような次第であります。この問題は単に佐賀県の問題だけでございませんで、同じような種類の問題がわが国のあちらこちらに起りつつあります。形は違いますけれども京都府にもありますし、ことに兵庫県に至りましては、現職の副知事がその現職の知事を七項目の罪状を上げて告発するというような事件までございました。地方行政上の問題として、その原因いずれにありや、またかようなことのないように努めるということは、当然なさねばならぬことと思うのであります。自治庁におかれましては、この種問題に関しすでに調査を進めておられ、またこれが対策につき何らか打つべき手はないか。場合によれば、法律の欠陥であるのであろうか。それならば法律の改正も必要である。政治的の事実上の問題として何らか処置すべきものがあるであろうか。それならばこれに対して適当な処置をとられることが必要じやないか。こういう問題につきまして長官の御意見を承りたいのであります。 もう一つは、知事三選の問題につきましていろいろの論議が行われておりますが、最近知事がいまだ任期終らざるに、数箇月を残して進んで辞職をして、ただちに選挙態勢に入らんとする、これまた一箇所のみならず、数箇所において行われつつあります。こういう問題についてこれをこのまま黙過すべきものであろうか。もし自治法の精神から見て不当なりとするならば、何らかこれに対し加うべき手はないか。当然自治庁長官として深き関心を持たれてしかるべきものと思うのであります。よつてこの際これらの諸点につきまして御所見を承りたいと存じます。
○塚田国務大臣 お尋ねの問題につきましては、自治庁といたしましても、実は非常に関心を持つておりますと同時に、こういう事態が各地に頻発することに対して、非常な憂慮をいたしておるわけであります。地方行政の運営がこのためにうまく行かないということになることでありまするから、これは大問題であると考えておる。先般来起りました個々の問題につきましては、それぞれ検討をいたしております。それからまたそれぞれの立場からいろいろなお尋ねがあることに対しては、その尋ねられた現実の状態が、尋ねられた人の主張されるような状態であるならば、そういう解釈であるとか、もしくはその解釈は誤りであるというような意味の回答はいたしておるのであります。しかし何にいたしましても、事実の認定というものは自治庁でする立場でもありませんし、ただ結局調べて聞いてみるということでありますので、ある事実の認定ができました上の判断だけをいたしておるわけであります。そこで問題がこういうぐあいに一般化して、あちこちに起るという傾向でありますが、これは一つは平たい言葉で申しますと、流行というような感じもないとは申されませんが、それでは委員長のお尋ねのように法的に不備があるかどうかということでありますが、大体議会運営は県議会におきましては、基本の部分はもちろん自治法にあるわけでありますけれども、その他は大体各県議会が実際に運営の規則をきめまして、それによつて運営いたしておりまして、今の段階では議会運営そのものがああいうぐあいになることに対して、法的に不備があるからああいう事態が出て来るというような考え方はいたしておらないのでありまして、むしろ私どもとしましては、地方自治の健全な運営のために、理事者側においても、また議会側におきましても、少くとも政治常識から見て好ましくないというような動きは、なるべくされないように自粛を希望したい、こういう考え方でおるわけであります。なお詳細のことにつきましては、私も今記憶いたしておりません。個々には佐賀県の事件もその都度々々に報告を聞いて、十分了承はいたし、また疑問の点は疑問の点として、それぞれさらに調査を進めるように指示はいたしておりますが、今記憶いたしておりませんので、お尋ねがありますならば、さつそく担当の部課長を呼びまして、補足的に御説明申し上げたいと考えております。
○中井委員長 私のお尋ねのうちにもう一点残つておりますが、知事が半年余もの任期を残して、自己の選挙のために都合のいいように辞職をして、立候補の好機会を得ようとするようなやり方が行われようとしておりますので、この点についての大臣の御所見を明らかにしていただきたいと思います。
○塚田国務大臣 この問題も、実は先般来幾つかの県におきましてそういう実例が起りました。もちろんこれは法的には何ら支障のないことでありまして、きわめて合法的に行われておる。それからまたそれが行われた府県にどういう事情があつたかということも、今詳細には調査はいたしておりませんので、個々の問題についての判断を申し上げるわけには参りませんけれども、もしこういう状態が一般的な現象として行われて来る、それからまたそういう場合に想像されますような、現職の知事が次の選挙に当然また出馬するということを前提として、自己の選挙運動を有利ならしめたいというような意図によつて、他に何ら正当な理由が考えられないにかかわらず、こういうような形になつて現われて来るということは、これはきわめて好ましくないことであり、おそらく当該県民もしくは国民自体も、そういうような形というものを予期されておらないだろうというように感じられますので、実は遺憾であるというように考えておるわけであります。
○中井委員長 この点につきましては別に御質疑がございませんければ…。
○門司委員 ちよつと今の点ですが、大体その答弁でいいと思いますが、法的に何らの拘束はないといえば、何も拘束はありません。しかし知事なり市長なりが辞職をするか、あるいは議会を解散するかということについては、一応の規定があるわけであります。それからもう一つは、知事に任期があるわけであります。従つて知事が辞職をしよう、あるいは市長が辞職をしようという場合においては、われわれの普通の常識から考えて参りますと、やはりこの法律に即応したような事態ができたとき、たとえば不信任案を出されたときというような場合、あるいは不信任案は出てはいないが、当然そういう議会の雰囲気であつて、収拾することが困難であろうというような、まつたく行政上の行き詰まりから来る一つの問題によつてのみ、そういうことが許さるべきである。そういう行政上の何ら行き詰まりのないときに行うということについては、法律上に何ら抵触しないと申し上げましても、実際上の自治庁の定めた法の精神がまつたく無視された形だと思う。同時に選挙自体についても、かなり選挙自体を冒瀆した一つの行き方でないかというように考えられます。従つて自治庁の長官として、今お話になつたような、はなはだ遺憾とするというようなことでなくして、これについて今委員長からもお尋ねのありましたように、もし法的に悪いというならば、何らかの法的の措置を講じなければならぬというようなことも、われわれはある程度考えておるのであります。これらの問題についてもう少しつつ込んで、もし御答弁ができるならばしていただきたいと思います。
○鈴木説明員 任期中に知事あるいは市町村長がみずから退職をする、こういうことでございますが、これは法律論と申しますか、法の趣旨から申しますと、任期というものは、一面において当事者の利益のために身分を保障をする、こういう面がありますとともに、他面執行機関として四年なら四年の間専心その仕事をやつてもらいたい、こういう趣旨のことが蔵されておると思うのであります。ただ多く任期という場合には、当事者の利益というふうな考え方から、任期の利益をみずから放棄する場合においては、それは許されていいのではないかというような考えで、従来とも市町村長の任期が四年ある、あるいは助役の任期が四年あるという場合に、任期の途中において自己の一身上の理由からやめるということが、容認されて来ておるわけでございます。そういう意味では、一身上の理由からやめるということが一つの慣例のような形もあるわけでございます。ただしかし公選の地位でありまする知事なり市町村長の地位というものが単にそういうような見地からだけのみ解されるということについては、若干問題があろうと思うのでありまして、やはり執行機関として四年間の責任を持つ、特段の理由がない限りは、その任期を全うするというのが、本旨であろうと思うのであります。さればとて、この四年という任期の途中にやめる場合には、不信任議決をされた場合であるとか、あるいは身体の障害によつてどうしても任期を全うすることができないという場合のみに限定をして、一身上の理由による退職を認めないという法律の制限を付するということもいかがであろうか。やはりこれは政治徳義上の問題といたしまして、本人の判断あるいは一般の批判にまかしておくということが、適当なあんばいを得るゆえんではないだろうかというふうに考えておる次第であります。
○門司委員 今の鈴木君の答弁は、ただ一般のやめる場合にはある程度考えていいと思います。本人の自由をそうむやみに束縛する必要はない。しかし最近行われておるのは、ただちに立候補するのである。まごまごすると、きよう辞任して、あした立候補することが考えられる。そうなつて参りますと、選挙民から考えますれば、四年間の任期を与えておるのであるから、四年間の任期をおやりになつて、次に立候補されることは自由だ。しかしさつき私が申しましたように、行政上何らの行き詰まりをしておらない。何ら選挙民に自分の行政を再度諮問すると言うと語弊があるかもしれませんが、聞かなければならないような行き詰まりも何もないのである。委員長のお話がありましたような、ただ自分の次の選挙を有利に戦うにはというような自分の考え方、自分の有利というようなことだけで選挙が行われるということになつて参りますと、選挙自体にも私は非常な疑義が出て来ると思いますが、選挙民としても知事のために選挙をしているようなものであつて、行政のために選挙しているものでないように選挙自体に疑いを持たざるを得ないとまで考えられる。こういう問題が最近非常に多いのであります。単に長が一身上の都合でやめるという問題とこの問題とは非常に大きな相違がある。一身上の理由でおやめになるというのであれば次に立候補すべきでない。今日まで勤まらなかつたけれどもあすからは勤まるというりくつは私はないと思う。そういう問題についての何らかの処置を講ずると言うと少し言い過ぎかもしれませんが、多少考えてもらう必要がこの際あるのではないかと考えられるのであります。従つてお聞きしておるのでありますから、その点ひとつはき違わないように、今起つている事態についてどうお考えになつているかということについて、もう一度お聞きしておきたいと思います。
○鈴木説明員 御指摘になりました点はよくわかるのでございますが、ただ次の選挙に出ようという目的をもつて、現在の知事を辞するということを法律上禁止するという形を立法論としてとりますことにつきましては、なお若干検討を要する点があるのではないかと思うのであります。私どもといたしまして十分わかるのでありますけれども、この点はなお若干研究をしてみたいと思います。 —————————————
○中井委員長 これより地方財政に関する件につきまして調査を進めることといたします。本日は次期国会において政府より提案せられることが予期せられております地方財政再建促進特別措置法案の要綱につきまして、政府より説明を聴取いたしたいと思います。後藤財政部長。
○後藤説明員 私からお手元に配付いたしました地方財政再建促進特別措置法案要綱について、簡単に御説明をいたしたいと思います。 地方財政再建整備法につきましては、すでに国会議員提出の形で出ておりますので、その案を土台にいたしまして、さらに地方制度調査会の答申の線に沿いました案を加え、新しい規定をさらに加えて要綱をつくつた次第であります。新しく入れましたところ、多少かえましたところをその都度申し上げ、かえておりませんところは単に朗読いたしたいと考えます。 地方財政再建促進特別措置法案要綱 一 この法律は地方公共団体の財政の再建整備を促進し、地方公共団体の財政の健全性を確保し、もつて地方自治の発達に資することを目的とすること。 二 昭和二十八年度決算において歳入が歳出に不足するため、繰上充用、支払繰延又は事業繰越を行つた地方公共団体でこの法律によつて財政の再建整備を行うとするものは、その旨を自治庁長官に申し出で、その申出に基いて自治庁長官が指定する日現在により財政再建整備計画をたてなければならないものとすること。 2 前項の財政再建整備計画は、当該地方公共団体の長が作成し、当該地方公共団体の議会の議決を経た上、自治庁長官の承認を受けなければならないものとすること。 三 財政再建整備団体は、指定日の属する年度から七年度間以内に財政再建整備のために起した地方債の償還を完了するとともに、各年度において歳入と歳出とが均衡を保つように財政の再建整備を行わなければならないものとすること。 この三項までは大体元の案通りでございます。 四 財政再建整備計画においては、左に掲げる事項を定めなければならないものとすること。 (一) 財政再建整備の方針 (二) 財政の再建整備に必要な具体的措置並びにこれに伴う歳入の増加額及び歳出の減少額 (三) 財政再建整備期間中の各年度ごとの歳入及び歳出に関する綜合的計画 (四) その他財政の再建整備について必要な事項 2 財政再建整備計画の内容は、実行可能であり、且つ、誠実に財政の再建整備を図ろうとするものでなければならず、その中には、左に掲げる事項が含まれていなければならないものとすること。 (一) 前年度分以前の租税その他の収入で滞納に係るものの徴収計画及びその実施の要綱 (二) 租税その他の収入について、その徴収成績を通常の団体の成績以上に高めるための計画及びその実施の要綱 (三) 税の増収計画又は経費の節減計画 ここのところがかわつております。これは今までの国会での話合いで「税の増収計画及び経費の節減計画」、こういうことになつておりまして、再建整備特別税はどうしても創設する、必須の条件ということが話合いできまつておつたのですが、私どもといたしましては「又は」といたしまして、どちらか選択させることにいたしております。 3 前項(三)の税の増徴は、法定外普通税である再建整備特別税を創設して行うこととし、当該再建整備特別税による増収額は道府県にあつては道府県民税及び事業税、市町村にあつては市町村民税及び固定資産税をそれぞれ標準税率の一、二倍以上の率で課した場合における増収額に相当する額でなければならないものとすること。この場合地方税法における個人に対する市町村民税の所得割に関する制限税率は課税総所得金額の百分の九とすること。 これは「この場合」以下は新しく挿入いたしました。 4 再建整備特別税は、道府県にあつては道府県民税及び事業税、市町村にあつては市町村民税及び固定資産税の納税義務者に課するものとし、その賦課徴収の方法については、政令で特例を設け簡素化の方途を講ずるものとすること。 五 地方公共団体が財政再建整備計画を実施するに当つては、その要領を住民に公表するとともに、その協力を得るために必要な措置をとらなければならないものとすること。 六 財政再建整備計画の中に、国の負担金又は補助金の支出を伴う事業費の節約を図ろうとする計画があるときは、自治庁長官は、財政再建整備計画を承認するに当り、あらかじめ、当該主務大臣の意見を聞き、当該財政再建整備計画を承認したときはその旨を通知しなければならないものとすること。この場合において、当該主務大臣は、当該財政整備再建計画の実行について協力しなければならないこととすること。 七 政令で定める国の負担金又は補助金を伴う事業を財政再建整備団体に実施せしめようとするときは、主務大臣はこれらの負担金又は補助金の交付について予め自治庁長官に協議しなければならないものとすること。 これはせつかく再建整備計画を立てましても各省の方で国の負担金をふやしまして、それに伴うところの再建負担金を多額に出すということになりますと、再建整備がくずれるということでありますので、あらかじめ協議してもらいたいということであります。 八 教育委員会、公安委員会、その他地方公共団体の執行機関として置かれた委員会の所掌事項のうち当該地方公共団体の財政再建整備計画の樹立及び達成につき必要があるので、当該地方公共団体の長が議会の同意を得て指定するものについては、委員会はその執行について当該地方公共団体の長に協議しなければならないものとすること。 これは財政再建整備のために各行政委員会の協力を得るために必要最少限度の規定を設けた次第であります。 2 教育委員会法第五十七条から第五十八の二までの規定は、財政再建整備団体には適用がないものとすること。 財政再建整備期間中に教育委員会法の第五十七条、これはいわゆる二重予算の規定であります。この制度は一応停止するということにいたしたいということであります。 九、財政再建整備団体の区域内の公共的団体等は、財政再建整備計画の達成につき、当該地方公共団体に協力しなければならないものとすること。 十 財政再建整備団体の長は、当該地方公共団体の議会の議決が、財政再建整備計画に適合しないものがあると認めたときは、理由を示してこれを再議に付することができるものとすること。 2 前項の場合において、議会の議決が、なお、明かに財政再建整備計画にていしよくする場合においては、当該地方公共団体の長は、その議決を不信任の議決とみなすことができるものとすること。 これは新しく入れました。議会が協力しない場合に、財政再建整備はできないのでありまして、その場合にどうしたらいいか、これは自治法の一般原則に返つてそういう再議を求め、そうして再議をしてもなおかつ再建整備計画に抵触するような議決がありました場合には、その議決を不信任として解散することができる、こういう方式をとつたわけであります。この点につきましては、さらにもう少し強く原案執行権を持たしたらどうかという意見もありますので、さらにその点について検討してみます。 十一 財政再建整備団体は、財政再建整備計画の定めるところにより、退職した地方公務員の退職手当のうち、普通退職金に相当する金額をこえる部分の支給については、条例の定めるところにより分割払の方法をもつて支給することができるものとすること。 実際問題として自主的な再建計画を立てましたときには、従来でも普通退職金以上のものにつきまして分割払いの方式を相互の話合いでやつているところがございます。これを法的に認めようということであります。 十二 財政再建整備団体は、地方財政法第五条の規定にかかわらず、財政再建整備計画に基きその歳入欠陥を補てんするため及び再建整理計画に基いて支払うべく退職金の財源に充てるため、地方債を起すことができるものとすること。 2 前項の歳入欠陥を補てんするために起す地方債の額は歳入不足額のうち、左の各号に掲げるもので財政再建整備計画に基き、その財政の再建整備のために必要と認められる額とすること。 (一) 翌年度歳入の繰上充用額 (ニ) 支払繰延に係る事業の事業費のうち未収入特定財源を差引いた額 (三) その他政令で定める金額 3 市町村(五大市を除く。)は第一項の地方債を起そうとするときは、すべて自治庁長官の許可を受けなければならないものとすること。 これも新しく入れました。退職金が起債の財源にできるということであります。第一項は新しく入れてあります。 十三 国は、前項の地方債を引受けるために必要な資金を予算に計上しなければならないものとすること。 これは新しく入れてあります。 十四 財政再建整備のために起した地方債は、指定日の属する年度から二年据置とし、その後五年度以内に財政再建整備計画に基き、毎年一定の期限までに償還しなければならないものとすること。但し、災害その他の特別事由により、その償還が著しく困難となつたものについては、自治庁長官の承認を受けて、その償還を延期し、又は毎年度の償還額若しくはその期限を変更することができるものとすること。 これも新しく入れてあります。これはたしか修正案は七年でなくて十年になつておつたと思います。これを二年すえ置きの五年と直してあります。 十五 財政再建整備のために起す地方債は無利子とすること。 これも新しい規定であります。これは調査会の意見そのものをやつております。 十六 財政再建整備団体は、昭和二十七年度以前の国の直轄事業に係る分担金で、未だ納付していないものにつき、地方債証券をもつて納付することができるものとすること。 直轄分担金の支払いについて、現在残つておりますものが、五大都市まで入れまして、大体九十五億ありまして、これは二十七年度以前のものであります。二十八年度から交付公債でありますが、財政再建整備団体につきましてはこれも交付公債の形で支払うこと、こういうことにいたしたのであります。 十七 財政再建整備団体は、一時借入金の限度額について自治庁長官の承認を得なければならないものとすること。 これは新しく入れたものであります。一時借入金につきましても、やはりある程度の規制をして行きたいということであります。 十八 財政再建整備計画を樹立し、又は実施しようとする地方公共団体は、自治庁長官その他関係行政機関に対し助言を求めることができるものとすること。 2 自治庁長官は、前項の地方公共団体からその財政再建整備計画の樹立又は実施につきあつせんの申出があつた場合においては、関係行政庁に対しあつせんしなければならないものとすること。 十九 財政再建整備団体は、毎年度五月三十一日現在により七月三十一日までに前年度における財政再建整備計画の実施状況を自治庁長官に報告するとともに住民に公表しなければならないものとすること。 二十 財政再建整備団体は、毎年度四半期の当初ごとに、当該四半期における資金計画を自治庁長官に報告しなければならないものとすること。 これは新しいものでありますが、資金操りの計画を出してもらいたいということであります。 二十一 自治庁長官は、財政再建整備団体の財政について、毎年度一回以上監査しなければならないものとすること。 二十二 自治庁長官は財政再建整備団体の財政の運営がその財政再建整備計画に定められたところに適合しないものがあると認めるときは、当該地方公共団体に対し、予算の一部の執行の停止又は財政再建整備計画の変更を命ずることができるものとすること。 2 自治庁長官は、前項の命令を受けた地方公共団体がその命令に従わなかつた場合においては、政令の定めるところにより財政再建整備のために起した地方債に利子を付することができるものとすること。 この二十二は新しく入れてあります。これはせつかく財政再建整備をいたしまして財政資金を貸し付けましても、その財政の運営がそれに適合しない場合には、予算の執行の一部の停止または財政再建整備計画の変更を命ずることができるということであります。さらにそれに従わなかつた場合には地方債に利子をつけるということであります。 二十三 この法律の定める自治庁長官の権限のうち、市町村に係るものについては、都道府県知事に委任することができるものとすること。 二十四 この法律の施行に関し必要な事項は、命令で定めるものとすること。 二十五 この法律は、公布の日から起算して三月を超えない期間内において政令で定める日から施行すること。 二十六 地方財政法の一部を改正し、赤字が生じている地方公共団体は、財政再建整備計画を定め自治庁長官の承認を受けた場合でなければ地方債をもつて出資金若しくは貸付金又は公共施設若しくは公用施設の建設費の財源とすることができないものとすること。但し、継続事業等で命令で定めるものについては、この限りでないものとすること。 半分くらいは前の規定にあるのでありますが、財政再建整備の指定を受けない団体で赤字のある団体につきましては、継続事業とか災害の起債以外には認めないという考え方をいたしております。そういう規定を設けたのでありますが、これはすぐ来年からあわせてやるということでなく、一年くらい後にやらなければならぬと考えております。ただ全体の再建整備計画の実行の円滑化をはかりますために、長と議会、国と地方団体、国と行政委員会の間の合理化の規定を新しく入れたわけであります。 簡単でありますが、以上御説明を終ります。
○中井委員長 西村君。
○西村(力)委員 地方財政の累積した赤字の解消、そして地方自治団体が自治体としての機能を十分に果されるようにということは、当委員会が前から考えておりまして、議員提出としてこの法律が出され、これまで継続して参つておるのでございますが、それをこのたび政府側がこの特別措置法案を出されるということになつたのであります。私は議会側の立場からいうて、これはあまり好ましくないという気持がいたすのであります。米国の議会ではというわけではありませんけれども、議員提案というものが相当権威を持つて来ることが必要ではないか、かように思われるのであります。それが何ら異議なく政府提案がそれにとつてかわる、受入れられる状態というものはあまり好ましくないと思われるのですが、これに対する委員長の見解、それから提案せられようとする政府側の見解、そういう点についての御答弁を願いたい。
○中井委員長 西村君の御意見につきましては、衷心より傾聴いたしました。地方の財政再建の問題につきましては、数年来わが地方行政委員会において引続き検討中であり、しかも非常な熱意をもつて各委員諸君がその成立を期せられておるのでありまして、このことは単に衆議院の地方行政委員会だけでなく、参議院におきましてもまた同様なのであります。従いましてこの問題が議員提出の法案としてその完成を見得まするならば、まことにわれらの幸いとするところであります。しかしながら同じ趣旨をもつて政府が法案の成立に尽力をする、みずから進んで法案を提出せられるということも、またこれ歓迎すべきことでありまして、その目的が達せられる以上は、必ずしも議員提出の法案によらなければならぬものとは私は考えていないのであります。のみならず、今回塚田国務大臣を先頭に立てて自治庁がこの法案を成立せしめられようというその尽力、決意というものについては、まつたくわれら委員会の各位がともに政府を鞭撻し、またこれを要請したというようなことが、大きな影響を与えておるものと思うのでありまして、政府の意思としては、おそらくはわれわれ委員会の趣旨を体して大いに奮発をせられたものと思うのであります。ただ問題は、この法案を成立せしめるにつきその裏打ちとなるべきものは、予算その他財政上の措置であります。政府に対して私のまずもつて聞かんとするところは、この財政上の裏打ちを一体どの程度になされようとするのか、またそれにつきいかなる確信を持つておられるか、これらの問題について政府の所信を聞いた上で、私は国会議員としての態度をきめたいときめておるようなわけであります。西村さんの御質問に対し私のお答えせんとするところは、一言にしてこれを言うならば、政府の提案必ずしも悪からずと考える次第であります。
○西村(力)委員 われわれが継続してやつているので、議会とすれば今までのものは廃案にするとかなんとかけじめをつけてやらなければならぬと思うのです。しかし政府側としては、議員立法はどうも金を食つて困る、これを制限しようという意図がある。こういう意図というものはあまり私たちとしては好ましいことではないと思う。しかも議会自体には、議員立法だと金が出ない、政府提案だと取りやすいからというので、政府提案にたよろう、こういう気持が出ているということを間間耳にする。そういう情勢下にあつて、この際私たちは政府提案を中心議題として進めるか、あるいは今までの継続して来たわれわれ自体の手によつてなさんとした法案というものを推進してやつて行くかということの相当重大なるわかれ目であろうと思う。そういう点からいいまして、どうも簡単に政府提案であるから、そうしてまた相当専門家のつくつた案であるから、われわれのよりもよいだろう、こういうような考えでこれを主にして審議して行くということはとるべきことではない、かように思われるわけなんであります。その点について、議員立法が今出ておるということを承知して、しかも政府提案をなさろうとする自治庁長官の決意というか、その調整というか、そういう問題に対するお考えをぜひお聞きしたいと思います。
○塚田国務大臣 これを今度政府提案で出したいと考えておりますのは、ただいま委員長がおつしやいましたように、むしろ委員会側においての強い御叱咤を受けて、これは一日も早く成立をさせなければならない、こういう考え方からもちろん出発しております。従つて私どもといたしましてはこれを必ずしも政府提案でなければいけないというように強く拘泥しておるものではもちろんございません。これが国会の提案という形でお取入れいただいてもいいわけでありますが、ただ私たちとしてお願いをしなければなりませんのは、問題はきわめて重要な問題であります。そうして事柄の内容自体にもいろいろ事こまかい問題にわたつて十分注意を払つておかないと、健全なる地方財政の再建というものがうまくできない。私どもはただ地方財政の再建というものは、過去の赤字が解消できればいいというようには考えておらぬのでありまして、過去の赤字が解消できると同時に、長くこれから先も地方財政が健全に運営できるということの見通しをつけるということにむしろ重点を置いておりますので、そういう意味からいたしましていろいろな考慮を払わなければならない点が多々あるということを、先般この問題を委員会におきまして国会提案の形で御審議になり、そしてその御審議になつておる途中においての皆さん方の御質疑の状態、それからその後また現実に赤字団体の実情というようなものをあわせて検討いたしまして、なお国会で御審議になつておつた点に対して再検討を加えてしかるべし、こういうように考えられる問題が若干ありましたので、そういうものをあわせてこの機会に何らかの形で出し直す、また別の形で出し直すという際に政府提案でも出したらいいじやないかというような順序になつて参つておるわけであります。従つて私どもがこの地方財政再建促進特別措置法について今考えておりますことは、必ず今度の国会にこれはまとまらなくてはならない。それからその内容が今申し上げるようにこの目的に十分に合致した周到な注意の払われたものでなくてはならないということに重点を置いておりますので、その他のことにつきましては、従つて国会でお出しいただくか、私どもの手で政府提案の形で御審議願うようにするかについては、強く拘泥いたすという気持は毛頭ないということを申し上げておきたいと思います。なおただいま委員長からさらにお尋ねを受けました、これに基く財政面の措置をどういうふうにするかということでありますが、これは私どもといたしましても、法律ができます以上は、その線に沿うて極力大蔵省と折衝して、財政の裏づけを伴つてこの法律が来年度から実施ができるようにという強い決意を持つて臨んでいることを、ここに申し上げておきたいと思います。
○中井委員長 大臣にお尋ねしますが、財政の措置は大体どのくらい見ておられますか。もとより大蔵省との折衝の都合もおありになることはよく了承いたしますが、まず大体どの辺を押えてこの裏打ちとせんとせられるか、その点をお聞かせいただききたい。
○鈴木説明員 再建整備に要しまする資金でございますが、ただいま大蔵省の方に要求しておりますのは、国庫貸付金として三百億円でございます。赤字の額が二十八年度の決算におきまして、ただいま判明いたしたところでは四百六十二億でございます。これは県分が二百二十五億、市分が百九十三億、町村分が四十四億ということであります。この中で国が河川とか道路等の直轄事業をいたします場合の地方公共団体から徴収いたしますいわゆる分担金、これは従来から交付公債を地方団体から国に交付するという形で行く、こういう一つの慣例ができ上つておりますので、四百六十二億のうち直轄分担金に相当するものが未納額として今赤字になつているわけでありますが、そういうものを見込みますと九十五億ほどあるのであります。この分は特に国庫貸付金を要しませんので別にしたい。またこの赤字の程度が比較的少くて、特に資金を融通して再建整備をやるという必要がないようなものもあるわけでありますから、そういう分のものがどの程度ございますか、これはなお精査を要する点でありますが、一応そういうものを七十億程度と見込みまして、従つて四百六十二億から九十五億と七十億程度引きました約三百億というものが再建整備に必要なる資金であるということで要求をいたしておるわけでございます。しかしこの点につきましては、なお大蔵省との間に折衝を要する点が多々あるように考えております。
○北山委員 ただいま金額のことは説明願つたのですが、昭和二十八年度の決算においてこの法律を適用されるような資格を持つておる団体の数、府県がどのくらい、市がどのくらい、町村がどのくらいという、その団体数を御説明いただきたい。
○後藤説明員 お答えいたします。団体数は県が三十九県であります。それから市が五大市を含めまして三百三十六市中二百三十五市であります。町村が八千九百三十九団体の中で千四百四十九団体。七十億ばかり要しない程度のものがあるということを申しましたが、これは額が非常に少くて、自主的な再建整備を同じかつこうでやりますれば、一年間に消えてしまうものであります。それからたとえば府県で申しましても、この財政再建整備計画をこの通りの内容でやつて参りますと、三十九県は初年度で二十七、八県くらいに下つて参ります。大体四、五年くらいすれば片ずいて行く、そういうものを一々こまかく検討いたしました結果、七十億くらいは必要ないのではないかというふうに考えたわけであります。
○北村委員 ただいま三百億と言われましたが、大蔵省との折衝の額が三百億だろうと思うのです。これは通常の起債のほかに三百億、わく外といいますか、通常の毎年一千億なら一千億という地方債のほかに、再建整備債というものを三百億ということで、大蔵省に折衝になつておるかどうか、この点を御説明いただきたい。
○鈴木説明員 国庫貸付金というこでありまして、要するに一般の予算に計上をし、従つて無利子で融通をしてもらいたい、こういう趣旨のものであります。なおこれは折衝の過程によつて、あるいは資金運用部資金等と振りかえるというようなことも出て来ようかと思いますけれども大体はそういうことであります。
○北山委員 ただいまのお答えはちよつと不十分なわけです。結局最近であれば毎年通常約一千億くらいの地方起債があるわけですが、今回の整備債というものがそのわく内で行われるということになれば、結局普通の起債の方が圧縮されるということになるわけでありますから、地方財政としては一向プラスにならぬ、ほかの方で圧縮を受けるということになるわけでありますから、その点の方針をひとつ明確にしていただきたいのです。 次に自治庁長官にお尋ねをしますが、長官は、今までの再々の当委員会においても、あるいは委員会外においても、地方財政の赤字の原因というものは国の方にもあるし、地方団体の方にもある、両者にあるというふうに言われたわけであります。ところがこの特別措置法あるいは議員提案の再建整備法もそうでありますが、地方団体にとつてはこの法律を適用されますと大きな自治権の制約になるわけであります。それで三百億という金を一応借り入れるというような措置を政府がとるといたしましても、それは見方によれば当然な措置とも言える、地方団体にとつては自治権の非常な制約を受けるわけでありますから、問題は非常に重大なわけであります。政府としては、ただいまお話したように、国の責任による赤字ということを具体的に認めておられる。ところが実際にこの特別措置法の要綱では、自治団体の方の負担においてこの赤字問題を解消しようというような傾向が非常に強いわけであります。その点に私は非常に疑問を持つておるのですが、政府としては自分の方のやり方が原因になつて赤字が生じたというものについては、一体こういう措置以外に別途に考えておるかどうか。すべて一切この特別措置法のやり方によつて赤字を解消しようという考えでおるか、その基本的な考え方をお伺いしたいのです。
○塚田国務大臣 地方財政に赤字が出る原因については、御指摘のように確かにいつもの機会に、国の側にも責任のあるものがあり、また地方自治体側にも責任のあるものがある、こういうように申しておるわけであります。従つて今後赤字を生じないという措置をする場合には、国の側に責任のあるものは国の側で是正して行く、また自治団体側に責任のあるものは自治団体側が是正をされて、そして相ともに協力して地方財政の健全化に資して行こう、こういう考え方でおるわけであります。ただ過去に生じました赤字についてでありますが、これも御指摘のように検討いたしてみれば、何がしかは国の側で措置すべきであつたものが措置されないで赤字になつたものもあろうと考えられます。ただしかし過去のものを検討いたします場合には、実際問題として、それではその中のどれだけが国側の責任であつたかということの判別も、なかなかつきにくい問題もありましようし、また同じような財政計画のもとにありながら、赤字を出したその出しぐあいというものも必ずしも一様ではないのでありまして、同じような財政計画のもとにありながら、財政に赤字を出さないで健全に運用されて参つた自治団体も多々あるわけでありますから、やはりこれはめんどうを見るということになると、今申し上げるような形でめんどうを見る、そして長い間に返していただくという形にならざるを得ないと思います。ただその場合に今の国の側に若干原因があるという勘定を含めて、私どもとしてはできるならばこれは無利子のものにして行きたいという希望を常に持つておるわけであります。しかしそれ以上別な方法、たとえば赤字を国側から一部分補填をしてやるという考え方に立ちます場合には、今申し上げるようないろいろめんどうな面もあり、また当を失する点もありますので、これはやはり当該自治団体において今後の財政運営の上で努力をしてやつていただく、こういうことにならざるを得ないわけであります。しかし自治団体の責任においてと申しますか、むしろ私は、今後の赤字を出さないくふうというものについては自治団体側が主になつて、赤字は出してはならないという考え方を基本に考えております。従つて過去のものには国の分で是正をして行く、この場合に、問題がそういうようになつております以上、いろいろな財政運営の仕方に対して若干制約を受けるということは、これは事柄の性質上やむを得ないのではないか、もちろん自治庁が単なる恣意によつて制約するということではなしに、法の趣旨に従つてある程度の制約をして行くということになるわけでありますが、私はそういうような考え方になることが、むしろあたりまえなのであつて、かりに法にそういう御制定がなくとも、過去の赤字を解消して今後赤字を出さないという決意に立たれる以上は、再建整備法が予定しておりますような構想で当該理事者なり、当該議会の議員諸君が御検討願うのでなければ、健全な赤字の解消、さらに今後財政運営の健全化というものはできにくいというような性質のものであると考えますので、これは形から見れば若干自治権の侵害という形に見えるかもしれませんけれども、実は精神においては何らそういう意図のものではない、こういうように私ども常に考えておるわけであります。
○北山委員 自治権の大きな制約であるということは疑いもないことだと思う。たとえば二十二の中にある予算の執行の停止であるとか、あるいは一時借入に対する制限であるとか、今の自治法の建前からすれば原則にはずれたような非常に新しい措置であつて、そしてこれは地方自治の本旨というものにも違反するのではないかというような大きな疑いがあるわけであります。ある期間地方団体がちようど準禁治産者のような立場に立つて、一方では税金は普通以上によけいとる。サービスの方はこれを減らしてしまうというようなことを、そう団体の理事者なりあるいは議会なり、そういうもの以外に住民がこれを負わなければならぬというような非常に大きな問題だと思うのです。それもほんの一部の偶然的に発生した地方財政の問題であれば、あるいはそのやり方が悪いからそこでそういう制限を課するのだというようなりくつもあるいは出て来るかもしれませんが、先ほど説明がありましたように、この措置法の適用の資格団体といいますか、そういうものは府県においても大多数です。三十九県。市においても半分以上を占めておる。町村は比較的少いのでありますが、有力な地方団体の半分以上、府県の大半を占めるというような一般的情勢である。この地方財政の赤字の状態において自治権を制約するというような制度というものは、これは一般的な地方自治権の軽視といいますか、そういうところから来ているのであつて、私は地方自治を守るという意味からは重大な問題だろうと思うのです。 そこでお尋ねをするわけでありますが、どうしてその地域内に住んでいる住民だけが特別大きな税金、よそよりも高い税金を払い、低下した公共団体のサービスを受けなければならぬか、そこの納得が住民としては得られないのではないか、その住民の意志を聞く方法といいますか、その住民の意思を尊重するようなやり方が必要ではないかと思うのですが、この点に対する御意見を聞きたい。
○塚田国務大臣 地方自治体が行いまするいろいろなサービス業務の上に、もしくは地方団体がその他のサービス業務を行います上に必要な人間を雇用いたします給与、大体地方団体予算の上に盛られて支出されるものは、当該自治団体が利益を受けられるのであつて、自治団体以外のものが利益を受けられるのではない以上は、これはやはり当該自治団体の住民の御負担になるというのは当然のことである。ただ現在のいろいろな地方財政運営の方法がそういう基本の原則に立ちながらも、富裕なる自治団体と貧弱なる自治団体というものと、ある程度バランスをとらせるというような考え方から、いろいろな形で国が一部分負担するというようないろいろな制度、そういうものを設けておるというように考えておりますので、私はむしろ将来の問題におきましても、それから過去の問題におきましても、自治団体の費用というものは自治団体の住民が負うという考え方は当然ではないか、かように思つております。従つていろいろな機会にいろいろ自治団体の運営についてこうもしていただきたい、ああもしていただきたいということを自治庁といたしましては勧告をいたします。しかし自治団体の住民の御負担については住民の納得が得られてなされる分においては、そこまで自治庁がとやかく言うものではありません、こういうように申し上げておるので、私はこの気持というものはきわめて基本の考え方でありまして、住民が十分納得さるべき性質のものであると考えておるわけであります。
○北山委員 先ほどのお話の中で、過去の分ではない、将来の分について、国と地方とで一緒に赤字を出ないようにしようということだけを申されて、過去の分についてはこのような措置で、どちらかといえばおもに地方団体の責任において、これを解消するというような措置をとつておられる。しかもその点は、現在の地方団体の赤字の原因というものは、国の方の側にもあるというようなことは、すでにいろいろな報告書等にも自治庁自身が認めておられるのである、それを具体的に解釈して行くというのが、政府としても自分の責任を果すという意味において当然であろう。私どもはそういうふうに考えるのですが、そうではなくて、過去の分については、やはりどちらかといえば、団体の方で五箇年なら五箇年の間に、これを増税やその他の方法で始末をさせるというような措置であるという先ほどの長官の御答弁ではどうも納得が行かないのでその点について、もう一ぺん御答弁を願いたい。
○塚田国務大臣 大体の感じは、先ほどお答えを申し上げたように、同じ制度のもとで同じような赤字を必ずしも出しておられるわけではないのでありますからして、今までの制度で黒字であつたものもあり、また赤字ながらも非常に赤字の少かつたところもあるのでありまして、過去に赤字をたくさん出したものをどういうぐあいに国の方からめんどうを見るかということになりますと、原因がどちらにあつたかという判定もなかなかむずかしい問題でありまして、これは実際問題としてもできにくいのではないか、こういうふうな一つの考えがあるのであります。それからかりに国がめんどうを見るにいたしましても、国がめんどうを見るということは、やはり国の収入、もつと平たく申しますならば、国税の形において収入されたものを赤字の自治団体に差上げるという形になるわけです。その場合に、つまり広く国全体からの収入でもつてめんどうを見るという考え方がより公平であるか、当該自治団体の赤字であるから、当該自治団体の住民で消化をされるという考え方がむしろ妥当であるかということを考えます場合に、やはり当該自治団体の赤字によつて当該自治団体が利益をされておるのであつて、国全体が広く利益をしておるのでないから、考え方の基本の線から行つても、やはりそういうものは当該自治団体が将来長く負担のでき得られる範囲に年限を延ばして差上げて、そうして赤字を解消されて行くということの方が正しい、私はこういうように考えておるわけです。ただ先ほど申し上げましたように、その場合にも国の側にも赤字の原因が若干あつたと考えられるから、せめて利子負担ぐらいはなしにして差上げることができるならば、かたがたそういう気持もあわせてくんでいただけるのではないか、こういうように考えるわけです。
○北山委員 もう一つ、地方団体が利益を受けるとか、あるいは住民が利益を受けるというような考え方、そこが私どもはどうも納得が行かぬと思う。現在地方団体それ自身は半分以上、七割なり八割という国からの委任事務をやつている。反面から言えば、その団体の住民でなく、国民としてそれだけのいろいろなサービスなり何なりを確保するという責任を国自身が負つているのだ、そういうふうな中央と地方の態勢にあると思うのです。そういう場合に、長官のお言葉のように、その団体のこと、あるいは団体の住民のことは、損するも得するもその団体の内部での問題であるというような考え方で、今の地方団体に国の事務をたくさんやらせているというようなこと、あるいは国が国民に対して負うておる憲法その他に記載しているいろいろな義務から言つて、こういうやり方で赤字を解消させることは、現在の態勢から見ても私は非常に問題があるじやないか思う。この点について長官と意見を異にするわけですが、これについて御意見を承りたい。 もう一つは、もしこの措置法でやるということになりますと、地方団体は長年の間財政を維持するということだけがその団体の主目的になつてしまう、そろばんを合せるということが地方団体の仕事のようになつてしまうわけです。私どもそうじやなくて、やはり地方団体の存立する意義というものは、その事業をやる、そして住民に必要な公共サービスを確保するということにあると思う。ところが、今のようなこの法律の適用を受けてしまえば、もう何から何まで、とにかく年度末のつじつまを合せるというようなことだけに専念することになる。財政維持というものは、これはあくまで団体の従たる目的というか、仕事でありまして、本来の目的じやないと思う。そういう状態に地方団体が置かれると思うのですが、この点についての長官のお考えを聞きたい。
○塚田国務大臣 気持はよくわかるのでありまして、私もその気持でおるのであります。ただ繰返して申し上げますが、それでは実際にどう措置するかという場合に、これから先のものは、御指摘のように国の仕事もたくさんやつておるから、国の仕事に応じたものは国費で出して行くということはやはり当然であり、またそれをやります場合にそれが十分公正に行われる保障もあるわけであります。ただ過去に出ました分は、過去のものでありますだけに、どれだけが国の責任であつたかということがまず突き詰めがたいということ、それから同じような財政措置のもとで赤字を出されなかつたところと、また額においても差があるのでありますから、これを国からめんどうを見るといたしましても、どういう形で、どの程度の額を、どういう判断で、どうきめてするかということはなかなかできにくいわけです。そこで一般論に立つて考えてみますと、個々の自治団体でお使いになつている金というもの、そこから出て来た赤字というものを、国民全部の頭から取上げた税金で穴埋めをするのが感じとして当つているか、やはりそれだけの自治団体の住民に御負担を願つて解決して行くという考え方が当つているかということを考えますと、考え方、感じとしてはやはり当該自治団体の赤字は当該自治団体の住民が解消して行かれるように努力されるということの方が、むしろ私は当つていると考えます。 それから再建整備法にはかなり強いいろいろな制約を設けてはおりますけれども、自治団体の本来の任務というものは仕事をすることにあるのであつて、赤字を解消することにはないのでありますから、少くとも当然仕事は引続いてやつて行けるという保障がなくてはなりませんし、今のこの要綱は、これから自治団体が立つて行く上の仕事が全然できないで、ただ赤字を解消することにのみ専念しなければならぬというような形になつておらぬのではないか、かように考えております。
○中井委員長 どうですか、きようは大分勉強しましたからこの程度でやめましようか。 〔委員長退席、西村(力)委員長代理着席〕
○門司委員 非常にお急ぎのようですから、再建整備のことについては、一応警察の問題と一緒に明日あわせてお伺いいたしますが、ひとつここで聞いておきたいと思いますことは、北海道のことであります。北海道は昨年の冷害で実は農民に対して飯米が政府から貸し付けられておるはずだと思います。そしてこれの形は、政府から北海道知事に行き、知事がこれを市町村長に貸し付けるという形で行われておるのであります。ところが、今年の冷害は去年よりももつとひどいといつていいほどの冷害であります。従つてこれは事実上返せない。これは農民から取上げることができないからおそらく返せないと思いますが、その場合、自治庁の態度として最近私ども伝え聞いておるところによりますと、これを返さない場合は、交付税の方を少しかげんするというようなうわさを実は聞いておるのであります。そういうことを自治庁の方でお考えになつておるかということを、この機会にはつきりしておいていただきたいと思います。
○塚田国務大臣 全然そのようなことは考えておりません。
○門司委員 念を押しておきたいと思いますが、これは実は私の聞いたうわさでありますが、そういううわさがあつても、自治庁としてはそういう金を政府に返さなくても、別に交付税その他に関係をしない、こういうことにはつきり聞いておいてよろしゆうございますね。
○塚田国務大臣 お尋ねの通りであります。
○西村(力)委員長代理 それでは本日はこれをもつて散会いたします。 明日は午前十時より開会いたします。 午後四時二十一分散会