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19回国会衆議院1954/05/18

地方行政委員会 第65号

発言数
11
登壇者
3
会派数
2
開催日
1954/05/18

会議録

佐藤親弘自由党

○佐藤(親)委員長代理 これより会議を開きます。  委員長の指名により私が委員長の職務を行います。  市町村職員共済組合法案並びに地方自治法の一部を改正する法律案の両案を一括議題といたします。右両案について、昨日一応質疑を終了いたしたのでありますが、また質疑があるとのことでありますから、これを許します。西村力弥君。

西村力弥日本社会党(左)

○西村(力)委員 今度自治法の改正で市の人口が五万以上になるというような原案が出ておりますが、現在われわれがここに指摘するまでもなく、市というものに魅力を感じて全国各地に奇妙な市が続々と誕生しておる。新聞あたりのうそくらぶとか川柳とかいうものに、熊の出る市ができたとか、あるいは百姓が、ことしからおれの市でもメーデーちゆうものをやるかというようなことが続々と出ておるということがありますが、市が続々誕生する、こいう現在の町村合併の進行方向について自治庁はどういう考え方と指導の心構えを持つていらつしやるか、この際お尋ねいたしたいと思うのです。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 市の設置の問題につきまして、自治庁といたしましては、われわれは町村の全体的な規模の合理化を推進する、そういう方針は堅持いたしておりますが、これが市の形をとるかとらぬかということは、自治法に定める規定に従つて措置しなければならないのでございまして、自治庁といたしましては、特に市の設置を奨励もしておらなければ、特別に希望しておるわけでもございません。しかしながらそれぞれの関係の地元におきまして、ぜひ市を設置してもらいたい、こういう関係町村の意向が定まり、県の段階におきましてもそういう意向であるならば、これは自治法に定める要件に照しまして、解釈が許す限りはその町村における一致した意向に従つて措置することが自治庁としての態度であろう、こういう考え方で一貫して参つておるのでございます。

西村力弥日本社会党(左)

○西村(力)委員 さつき申しましたように、市というものに魅力を感じてそういう方向をとるという一面と、逆に農村はそういう形式的な市の名前をもらつても決して健全なる発展はできないのだ、そういう合併は阻止しなければならぬという考え方、特に住民の中にはそういうものもあるわけでありまして、そういう立場に立つて現実に非常な紛争が起きているところが具体的にあるわけであります。これはすでに御承知のことと思いますが、長野県の宮田町というところでありますが、ここでは今年の二月十八日に隣接の赤穂町、その他二箇村と宮田町の二町二箇村が合併をしようというわけで仮調印をやつた。その際宮田町では住民の意思によつてどうしても反対だという場合には、この調印は取消すということを保留して仮調印する、こういう議会の決議になつて一応仮調印をやつた。ところがその後になりまして、宮田町ではやはり住民が非常に反対の気持を強めて参りましたが、一旦そういう方向をとつたということを理由にしてなかなか宮田町の意思が尊重されない。そういうことになつて来ておるのでございまして、宮田町では住民の投票にこれを訴えた。ところが投票総数三千百七十五票のうち合併反対が二千八百四票、パーセンテージにして八八・三%、こういう圧倒的な多数が反対の決議投票を行つたのであります。こういうような場合における自治庁の指導はどういうぐあいになさるか。県の議会の意向あるいは知事の立場、そういうものもあるでしようし、またその他関係市町村のいろいろの立場からの陳情や何かもあると思うのでございますが、このような事情にある場合いかなる指導の方針をとられるか、この点について御答弁を願いたい。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 実は今お話の長野県の宮田町の問題につきましても、われわれは存じおる事件の一つでございまして、最近における市の設置をめぐる問題として、現地における紛糾の一番強い問題でございます。これにつきましては今西村委員から申されました通り、最初関係町村会で一応市設置の議決をしたのでございますが、その後宮田町の町会が全会一致でこれを取消す、こういう意味の決議をなしているのでございます。そしてその間に行われました住民の住民投票も、これは住民投票としてどれだけはつきらとした方法で行われたかという問題もありましようが、いずれにしろ住民投票の結果、今お話のような結果が現われていることもわれわれは承知しているのでございます。それで自治庁といたしましては、ともかくもこうした合併の問題は、まず関係市町村の意向が定まる、これが根本の問題でございまして、実は一度議決して手続をしたものが取消せるかどうかというふうなことにつきまして、いろいろ法律上のりくつはございましようが、そういうりくつのいかんにかかわらず、将来合併をして行くからには、やはり住民の大多数がそれに納得して協力する態勢になければ、円滑な市政の遂行は期待できないのでございまして、住民百パーセントの同意ということはなかなか困難でありましようが、少くとも大多数の意思がそこに傾く、そういうことはやはり考慮しなければならない問題であろうと存じているのでございます。それで自治庁といたしましては、この赤穂市の市制の扱いにつきましては、関係住民の間におけるそうしたいろいろな問題も十分に調整され、さらにその上で県の段階における理事者なり県会なりの意向というものもはつきり見定めた上において、この問題を正式に取上げて品沿庁としての態度をきめよう、こういうのが現在の考え方でございまして、現地においてすみやかに円満に話合いがつくように、右にしろ左にしろ円滑に話合いがつくことを期待いたしているのでございまして、自治庁といたしましては、その結果を見て事をさばきたい、それが現在の心境でございます。

西村力弥日本社会党(左)

○西村(力)委員 今のような趣旨の書簡が自治庁の次長から長野県知事に行つているということでございまして、それを読み上げますと、「貴県議会の意向も定まり、現地における情勢の調整の結果をまつて、正式に協議に応ずることにいたしますから、取扱い上遺憾なきを期せられたい。」こういう書簡が行つているわけなんであります。この書簡を一読いたしますと、いずれともとれるわけなのであります。すなわち今仰せられたようなぐあいに、現地の意向が定まらないうちは、それはもうわれわれとしては全然タツチすることができないから、いずれとも現地の意向が定まつてから、こういうことにも聞えますし、また県議会の意向も定まりということになりますと、ここのところを、県議会の意向も定まつているのだから、現地の情勢を十分に調整して来い、こういうようなぐあいにも受取れるのです。この書簡のほんとうの趣旨はどちらであるかということをはつきりしていただきたい。どうも自治庁側としては画期的な、歴史的な町村合併というものの成功を期するがために、少し期待が強く打出されて、それが全国の自治団体に影響するではないか、こういう懸念を一応持たざるを得ない。右するか、左するか決定してから正式に話合いをしよう、こういうのだが、どちらかというと住民の意向は適当に説得し、あるいは抑えて、そうして持つて来いというような意向が強いように思われるのです。この点そうでなければないというようなことをはつきりとしていただきたい。しかも何ら作為を用いずしてやつて、期間を過ぎても住民の意向が合併反対の立場を変更するに至らない、こういう場合は、その合併は実際無理であるから中止すべきであるというような一つの勧告指導を行う、こういう方法をとりたい、こういうような見解をひとつ御表明願いたい。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 ただいま西村委員がお読み上げになりましたような趣旨は、私はその通りの文章であつたとはちよつと思いません。文章は多少違つておるかもしれませんが、そういう趣旨のことは、実は自治庁の次長の通牒が出ておるのは事実であります。それは長野県から赤穂市制の施行につきまして正式の協議書が知事から大分前に参つておりました。この扱いをどうするかというので、自治庁におきましてもいろいろ検討を進めて参つたのであります。それとともに県の当局といたしましては、知事の方に一応ともかくも正式に議決した関係町村の書類が参つておりますので、知事一存の意見でこの事件を握つておるわけには行かないというので、何らかの形で県会の意向を確かめたいというような情勢にもなつておりましたので、自治庁といたしましても参つておる書類について何らかの意思表示をする必要があるというので、実は正式の協議書が参つておるのでありますけれども、先ほど申し上げましたような実情でありますのに、自治庁といたしましてただちに市の設置には異存がないとか異存があるというような態度を表明することはその時期ではない、そういうふうに考えましたので、自治庁の次長といたしまして、話が円満にまとまればその区域内において市を設置することについては、これは事務的には別に異存がない。しかしながら現地におきましてはいろいろ問題があるようであるので、この扱いは慎重に取扱う必要があるので、正式に自治庁長官としての扱いをするためには、まず県会の意向もきまらぬと困るし、それとともに地元の問題も調整されなかつたならば、こちらとしては扱うわけには行かない。こういう態度を明らかにいたしたのでございます。そこでこれは私個人といたしまして、現地の事情はそれほど詳しいわけではありませんが、書類その他から考えてみますと、将来これを合理的に再編成するためにはどうすべきか、こういう問題をいわば形式的かもしれませんが考えますと、しよせんはやはり今の問題のような地域で大同団結をした方が、あるいは町の長い発展のためには一番合理的ではないだろうか、こういうふうな一応の感じを正直に申しまして実は持つてはいるのでございます。ともかくも一応は議決したこともあるのでありますから、議決につきましてのある程度の合理的な論拠もあつたのではないかと一応は考えられるのであります。しかしながらどういう事情か知りませんが、その後非常に紛糾を続けておりますので、この紛糾の状態を押切つてやるということは、これはとるべき処置ではないのでありまして、あくまでも町村の合併は町村当事者の心からの納得と協力というものを前提にしなくてはならないと思います。それで現状のままでは事を進めるわけには行かない。そこで何とか事がまとまるものならまとまつた上で事を考えるし、どうしてもまとまらないものならば、それは残念であるが、やめるより仕方がないのでございまして、そういう意味合いにおきまして、現地において関係町村並びに関係府県の段階においてすべての意見がまとまれば自治庁としては考える、それまでは考えないぞ、これはこういう趣旨を明らかにいたしたのでございます。それでありますから、円満に関係町村において話が右にしろ、左にしろ妥結することをはかつていただきたいのでありまして、自治庁といたしましてもつぱらそれを期待いたしておる次第でございます。

西村力弥日本社会党(左)

○西村(力)委員 将来個人的見解としては合併した方がよいというようなことでございますが、私も具体的な事情は全然知らないし、地図でただ一応場所も知つただけでありまして、その見解が妥当であるかどうかということもわかりませんけれども、しかしこういう紛争があつたときに、個人的見解としてでも、あまりそういう見解を出されることは好ましいことではないのではないか、こういうぐあいに思うのであります。ところでこれは現地の意向がどうしてもきまらない。これが最も優先するものでございまして、仮調印をやつたとか、あるいはこの仮調印に基いて強引に県議会ではこの方向を打出したというようなことがあつても、そういうものを越えて現地住民の意思というものが優先するんだという見解は、自治庁においてはあの法案の立案の趣旨内容、そういうものから見て当然のものとしてこれを認められるであろうと思うのでございます。その点は確認願えるかと思いますが、念のために御答弁願いたいと思います。

小林与三次総理府事務官(自治庁行政部長)

○小林(与)政府委員 これは町村の合併問題でありますから、まず当事者である町村の意思の妥結ということが、これはもう根本なのでございます。この点は間違いのないところでありまして関係町村が円満に話合いがつくことを一番期待いたしておるわけでございます。

西村力弥日本社会党(左)

○西村(力)委員 大体趣旨が明瞭に相なりましたので、とにかく住民の意思を最も尊厳された立場で進められるように御指導誤りなきを期していただきたい、かように御希望申し上げて終ります。

佐藤親弘自由党

○佐藤(親)委員長代理 市町村職員共済組合法案並びに地方自治法の一部を改正する法律案の両案については、本日はこの程度で審議をとどめます。  本日はこれにて散会いたします。     午後三時四十一分散会

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