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19回国会衆議院1954/03/05

地方行政委員会 第23号

発言数
61
登壇者
10
会派数
4
開催日
1954/03/05

会議録

中井一夫自由党

○中井委員長 これより開会をいたします。  まず、開会前の理事会の決定に基き、元来本日は昨日に引続き政府より警察法の逐条説明を聞くはずであつたのでありますが、審議促進の必要より、地方税法の一部を改正する法律案及び入場譲与税法案の両案を一括して議題といたし、政府より提案理由の説明を聴取いたすことにいたします。塚田国務大臣。     ―――――――――――――

塚田十一郎自由党郵政大臣・行政管理庁長官・自治庁長官

○塚田国務大臣 ただいま議題に供されました地方税法の一部を改正する法律案につきましてその提案の理由及び内容の概略を御説明いたします。  現行地方税制はシヤウプ勧告を基礎として昭和二十五年に制定されたものでありますが、その一部はいまだ実施に移されない等世上に相当の批判もありますので、政府におきましても、鋭意これが検討を加えるとともに、特に地方制度調査会を設置いたし、その具体的な改革の方法を諮問いたしましたところ、先般その答申がなされ、次いで税制調査会からも、国税、地方税を通ずる改正の一環として地方税制の改革案が答申されたのであります。ここに提案いたしました改正法律案は、おおむねこれらの答申の趣旨に沿つて立案されたものでありますが、これを要約いたしますれば、改正の基本的方針は、次の五点にあると申すことができるのであります。  第一は、地方団体の自立態勢の強化に資するため、独立財源の充実をはかることであります。  言うまでもなく、地方団体の自主財源を拡充して、財政運営に対するその責任の所在を明確にして参りますことは、地方自治の健全な発達の上からも、財源の効率的使用の上からも、きわめて肝要なことであります。終戦後数次にわたる改正により地方税制は次第に充実強化せられたのでありますが、なお、地方歳入総額に対する地方税収入の割合は全体を通じて三十二、三パーセントにすぎず、他面、国庫補助負担金、地方財政平衡交付金及び地方債の中央政府に依存する歳入は歳入総額の五十六、七パーセントにも達するような状況であり、このことは地方経費の経常的かつ義務的特質にかんがみますればまことに寒心にたえないところでありますので、今回の改正にあたりましては、タバコ消費税や不動産取得税の新設、揮発油税源の一部の譲与税化等により、国民負担の実質的増加は避けながらも二百五十八億円の減税による減収と四百二十九億円の自然増収を加減して差引六百二十四億円の独立財源の増強をはかつたのであります。この結果地方税収入の歳入総額に占める割合は三九%、中央政府に依存する歳入の歳入総額に占める割合は五〇%となる見込みであります。  基本方針の第二は、地方団体相互間における税源配分の合理化を期することであります。  現在地方税収入がその総体において不足していることは前に述べた通りでありますが、さらに立ち入つて各団体ごとに見ました場合、その不足の程度にははなはだしい差異があることは周知の通りであります。もちろんいわゆる富裕団体といわれる地方団体にあつても、住民の福祉向上のための自治行政を行う上からは、あえてその税源を取上げるべきではないのでありますが、国民負担の現状におきましては、これら富裕団体の税源の一部をさいて、他の地方団体の自主財源の強化に振り向けることもやむを得ない措置であると考えまして大規模償却資産に対する固定資産税の一部を市町村から道府県に移し、入場税を国税に移管してその徴収額の九割を譲与税として人口に按分して道府県に譲与することにするとともに、法人事業税の道府県間の分割方法につきましてもより一層の合理化をはかつたのであります。また、市町村民税の一部をさいて道府県民税を創設するにあたりましても、特に法人税割についてはその移譲の割合を高めたのでありまして、年度間に増減のはげしい税源を小規模団体から大規模団体に移すとともに、その穴埋めを常に安定した収入をもたらし得るタバコ消費税をもつてすることといたしたのであります。これら税源配分の合理化によつて、従前よりもさらに多額の収入が地方財政平衡交付金の要交付団体に振り向けられることとなり、地方財源の案質的な増加額は、前に述べました額をさらに上まわることになるものと考えるのであります。  基本方針の第三は、地方税の税種相互間における負担の均衡化をはかることであります。  経済情勢や租税体系の変遷等に伴い、常に税負担の合理化及び均衡化をはかつて参りますことは当然のことでありますが、上昇を続けた物価がむしろ下降の傾向をたどろうといたしますとき、前年所得を課税標準とする個人事業税の現行税率による負担は重きに過ぎますし、事業相互間の税率区分につきましても世上相当の非難がありますので、その税率の引下げと税率区分の合理化とをはかつたのであります。また、土地や家屋の値上りを考えました場合、固定資産税の負担は過重であると思われますので、償却資産に対するその負担の緩和をも企図して、一面においては不動産取得税を設けるとともに、他面においては固定資産税の税率を引下げようとしております。このほか、自動車税につきましては、揮発油税の負担をも考慮し、揮発油以外の燃料を使用する車及び高級乗用車を中心として税率を引き上げることといたしたのであります。  基本方針の第四は、道府県に対し、住民が広く負担を分任する税種を与えるということであります。  周知のように、現行税制のもとにおいては、道府県税のほとんど全部を占めます事業税、入場税、遊興飲食税及び自動車税はいずれもその税源をもつぱら都市に依存しているのでありまして、換言すれば、農山漁村においては、道府県から幾多の行改上の利益を受けながらも見るべき税負担をしていないという実情にあるのであります。かような税制のもとにおいては、道府県民全体の意思を反映して行われるべき道府県自治行政の円満な運営は困難であると認められるのでありましてまさに自治の基本は構成員が広く負担を分任することにあると考えられますので、この際道府県民税及びタバコ消費税を新設して、道府県税制上におけるこの欠陥を是正しようといたしたのであります。  基本方針の第五は、税務行政の簡素合理化をはかるとともに、国、道府県及び市町村の三者間に徴税上の協力体制を確立することであります。  御承知のように、シヤウプ勧告に基く現行税制は、租税の賦課徴収について、国、道府県及び市町村の三者間における責任の帰属を明確にすることを基調としております。このことは地方自治の確立のためには必要なことではありますが、反面そのために税務行政が区々になり、経費の増加と徴税事務の重複を来し、納税義務者に対しても無用の手数を煩わしていることが少くないのであります。かかる点にかんがみまして、今次の改正案におきましては、事業税の課税標準の算定は原則として国税のそれによることとし、個人に対する道府県民税の賦課徴収事務についても、これを市町村に委任して市町村民税とともに取扱うこととし、また、不動産取得税及び大規模償却資産に対する固定資産税における評価事務等については、道府県と市町村のいずれか一方の決定に統一することといたしたのであります。しかしながら、統一に走るのあまり、明らかに事実に相違することをも不向に付するということは租税原則から見ましても穏当ではございませんので、かかる場合には、それぞれ国、道府県、及び市町村の三者間において相互に連絡し合うことにより、税務行政上の合理化と協力化とをはかるよういたしているのであります。  改正案の立案における基本的方針は以上の通りでありますが、次に各税目の具体的内容について御説明申し上げます。  改正事項の第一は、道府県民税の創設であります。  道府県民税創設の趣旨は、前に申し上げた通りでありますが、現状において個人の所得に対する租税負担を増額することは、厳に避けるべきことであると考えますので、納税義務者の範囲は、市町村民税のそれとまつたく同じくし、市町村民税の一部を移譲して道府県民税を起すこととし、従つてまた、個人に対しては均等割及び所得割を、法人に対しては均等割及び法人税割をそれぞれ課することとしたのであります。  標準税率につきましては、個人均等割は百円、法人均等割は六百円、法人税割は法人税額の五%、個人所得割の総額はその道府県の所得税額の総額の五%と定めております。  また徴税費の節約と納税者の便宜とを考慮いたしまして、賦課徴収の方法についても、個人分については、市町村が、その市町村における市町村民税の賦課徴収の例により、一枚の徴税令書によつて市町村民税とあわせて賦課徴収することとし、徴収せられた税額は課税額に按分して道府県と市町村とでわけ合うことにしているのでありますが、ただ法人分については他の諸税の例により直接道府県に申告納付させることといたしたのであります。  なお現在市町村民税の個人所得割の課税標準については、市町村の財政事情等に応じ、数棟類の課税標準について選択ができるようになつておりますので、道府県民税の課税標準やその課税標準に応ずる税率をすべての市町村について一率に定めたのでは、道府県民税と市町村民税の課税方法が二途に出ることになるのであります。従つて、道府県民税の個人所得割については、まず道府県における所得税の総額に道府県の条例で定める率を乗じて所得割の課税総額を定め、これを各市町村における所得税額に按分して各市町村に配賦し、市町村は配賦を受けた課税総額を市町村民税の所得割額に按分して各個人に賦課するという方法をとつたのであります。このような方法によれば、市町村を単位として見た場合におきましては、各市町村間における道府県民税の負担は均衡を得るわけでありますが、納税者個人について見た場合におきましては、市町村を異にすることによつて同額の所得者間においても道府県民税の負担を異にする場合があり得るわけであります。それにもかかわらずなおあえてこのような方法を選ぼうといたしますのは、市町村に配賦された道府県民税所得割額を、いかなる範囲の住民に、どの程度ずつを負担せしめるかについてはむしろ、市町村自身に決定せしめる方が、市町村内住民相互間に負担の均衡をはかることができるのみならず、道府県民税と市町村民税とを相互に矛盾なく運営することができ、しかも、新税の創設による徴税費の増大を避けることができると考えたからであります。  この道府県民税の収入総額は百六十九億円程度と見込んでおります。  改正事項の第二は、事業税に関するものであります。附加価値税は、シャウプ勧告によつて制定されて以来遂に今日まで実施を見るに至らなかつたのでありますが、今日の経済情勢並びに国民輿論の動向を考えますときは、これが実施は不適当と考えますので、これを廃止することといたし、そのかわり現行の事業税及び特別所得税を統合して事業税とし、次のような修正を加えて存置することといたしたのであります。  その一は負担の軽減をはかるとともに、外形課税の範囲に改正を加えたことであります。すなわち、個人事業税においては基礎控除の額を所得税の場合の額とおおむね同一とし、昭和二十九年度においては六万円、昭和三十年度以降においては七万円にそれぞれ引上げ、税率を現行のおおむね三分の二とするとともに、法人事業税においては、所得五十万円までの部分についてその税率を一〇%に引下げることといたしているのであります。  また、収入金額を課税標準とする事業につきましては、このうちから料金統制が行われていないか、行われていても厳格には実行されていない海運業や小運送業などを除き、新たに、多くは相互保険の形態をとつているため、利益は契約者に配当金として割もどされ、従つて事業の規模の割合には課税上の純益を生じない生命保険業をこれに加えるとともに、税率は右との関連において一、五%に引下げることといたしたのであります。  これらの減税に伴う減収額は百四十三億円程度であります。  その二は、税率区分の合理化をはかるほか原則として非課税の範囲を整理したことであります。個人事業税については、ずでにその一部について先んじて税率の引下げられているものはこれをそのまますえ置くこととして、税率を八%と六%の二種に合理化し、非課税事業は、鉱産税との関係において鉱物掘採の事業を、主として自家労力によつて行うものという趣旨において個人の行う農業及び林業を残したほかは、おおむね整理したのであります。  その三は、課税標準たる所得の算定方法を所得税または法人税のそれに合せたことであります。従つて一面国の税務官署が法人税を更正または決定をしたときは、その旨を道府県知事に通知するものとするとともに、他面所得税額または法人税額が過小と認められるときは、道府県知事から税務官署に対しその更正または決定を請求することとし、この請求について正当な事由がなくて三月以内に更正または決定をしないときはこれを監督する上級の税務官署にさらに請求することとするとともに、その旨を自治庁に報告するものとしたのであります。  なお、税務官署からの通知は本店所在地の道府県知事になされるのでありますが、本店所在地の道府県知事はこれを事務所または事業所所在地の道府県知事に連絡するのみならず、市町村民税の法人税割の課税の便に資することとするため、各道府県知事からその道府県内の事務所または事業所所在地の市町村の長にも連絡することとして国、道府県及び市町村相互間の協力体制の確立をはかつたのであります。  その四は、二以上の道府県に事務所または事業所を設けて事業を行つているものにかかる事業税の関係道府県への分割基準を改めたことであります。こうすることによつて道府県ごとの事業活動の実態に即してその道府県に相当の事業税収入が与えられ、本店所在地の道府県に不当に収入の集中することは避けることができると考えるのであります。  改正事項の第三は不動産取得税の創設であります。これは土地または家屋の取得に対しまして、その土地または家屋の所在する道府県において課するものであります。これを設けようといたしますのは、不動産を取得するという比較的担税力のある機会に相当の税負担を求め、反面、当該不動産に対する将来にわたる固定資産税の負担を緩和したいということ、特に、固定資産税の税率を引下げることによつて償却資産一般に対する固定資産税の負担を軽減したいということ、不動産取得税の課税にあたつての不動産の評価を通じて市町村相互間の固定資産評価の均衡化をはかつて行きたいということ、さらにまたこの税を通じて不急の建築などが抑制されるならば、幸いであるということなどを考えているのであります。  不動産取得税の課税標準は不動産の価格であり、その標準税率は三%であります。課税標準たる価格の決定は道府県知事が行うのでありますが、その場合市町村の固定資産税の課税台帳に価格が登録されているものについてはそれに基き、登録されていないものについては固定資産税について示されている評価の基準に基いて決定することとし、将来市町村はこの決定額に基いて固定資産税を課するようになることとすることによつて市町村相互間における固定資産の評価の一層の適正化をはかつて参りたいと考えているのであります。  ただ本税の創設が現に払底している住宅の建設を阻害することがあつては適当でございませんので、新築住宅については百万円、新築住宅用の土地については六十万円までの部分に対してはそれぞれ課税しないように考慮を払つているのであります。  なお本税実施の時期は家屋の建築による収得については昭和二十九年七月一日から、その他の部分については、四月一日からとするほか、若干の例外を規定しておりますが、昭和二十九年度において四十四億円余りの収入を見込んでおります。  改正事項の第四は自動車税に関するものであります。車種相互間の負担の合理化をはかり、かつは、揮発油により運行するものと他の燃料により運行するものとの間の負担の均衡化をはかるため、乗用車特に高級乗用車につき税率の引上げを行い、トラツクやバスについて規定されている標準税率に対応する車の積載トン数または乗車定員の基準を法定し、揮発油以外の燃料により運行するものについては税率を七割程度増額することといたしております。なおまた、徴収の確保をはかるため本税を滞納している者には車体検査証の更新を許さないような措置を講じたのでありまして、これらの措置をあわせ二十五億円の増収を期待しております。  改正事項の第五は狩猟者税の税率に関するものであります。現行制度のように、狩猟を業とする者とその他の者との間に税率に差異を設けてありますことは、その認定に困難が伴い、かえつて負担の公平が得られませんので、関係団体からの要望にもこたえ税率区分を廃止して、一律に現行制度に改正する前の二千四百円といたしたいのであります。  改正事項の第六はタバコ消費税の創設であります。日本専売公社が小売人に売り渡すタバコに対し、小売定価を課税標準として小売人の営業所所存の道府県及び市町村において公社に課することとしようといたしております。  このタバコ消費税を設けることによつて、日本専売公社が政府に納入する専売益金はそれだけ減少し、これらを財源として政府から道府県や市町村に交付される地方財政平衡交付金や国庫補助負担金もまたそれだけ減少することとなるのでありますが、かえつて、地方団体の行政に対する中央干渉の機会は少くなり地方団体の自立態勢の強化に資することができると存じているのであります。  税率は、道府県タバコ消費税にあつては百十五分の五、市町村タバコ消費税にあつては百十五分の十とし、日本専売公社から毎月二十五日までに前月中に小売人に売り渡したタバコについて計算した額を申告納付することにいたしております。昭和二十九年度における収入額は十一箇月分でありまして、道府県分と市町村分とを合せ二百九十二億円余りであります。  改正事項の第七は市町村民税に関するものであります。おおむね道府県民税の創設に伴うものでありまして、まず税率につきましては、道府県民税に委譲したものを引下げる趣旨のもとに個人均等割については一率に百円ずつを、個人所得割については制限税率を課税総所得金額の百分の十から百分の七・五に、法人税割については、標準税率を再分の十二・五から百分の七・五に、制限税率を百分の十五から百分の九にそれぞれ引下げているのであります。ただ、法人の均等割については、税率を現行通りすえ置くことといたしております。  なお国税の所得税及び法人税において青色申告をするものに認められている繰もどし控除の制度がこれまで市町村民税においては認められていなかつたのでありますが、一面においては損失金の繰もどしを行つた者と繰越しを行つた者との間に市町村民税の負担に差の生ずることを考慮し、他面においては市町村の財政規模をも勘案して、所得税や法人税において繰もどし控除を受けた損失金相当分については、翌年度以降に繰越しを認めることとして租税負担の均衡化をはかることといたしたのであります。  改正事項の第八は固定資産税に関するものであります。その一は税源配分の合理化を期そうとするものであります。産業の発展に伴い漸次巨大な償却資産が設置されて参りますが、行政単位は必ずしもこれと並行して拡大されて参るものではありませんし、かつ、一般に国民の租税負担が重きに過ぎると考えられている際でありますので、しばしばこの償却資産対する固定資産税の収入を償却資産所在の市町村に独占せしめることはいささか均衡を欠くと思われるのであります。従つてまた、現にその収入の一部を関係市町村に配分する措置もとつているのであります。しかしながら、どの範囲の市町村に、どの程度ずつを配分すべきかということについて客観的な基準を見出すことが困難であるのみならず、このような事情にある償却資産の多くは発電施設であり、これと深い関係を持つている治山治水の経費の多くは道府県の負担にかかつておりますので、むしろ、市町村の人口段階別に規定する一定の価額を越える大規模の償却資産については、その償却資産所在の市町村の課税権を制限し、この一定の価額を越える部分については道府県に固定資産税の課税権を与えようとするのであります。  もとより、一定の価額を越える大規模の償却資産について、その越える部分に対する固定資産税の課税権が道府県に委譲されることによつてそれらの償却資産所在の市町村の税収入が減少し、遂には、地方財政平衡交付金の交付を受けなければならないようになりますことはこの制度を設けようとする趣旨に反することでありますので、この制度実施の結果所在市町村の基準財政収入額が基準財政需要額の一・二倍を下ることとなります場合にはこの程度まで右の一定金額を引上げて所在市町村の財源を確保することとしているのであります。  なおこの改正規定は市町村財政の激変を避けるため昭和三十年度から実施するとともに、市町村の課税限度額についても、昭和三十年度と昭和三十一年度以降の平年度との間に若干の段階を設けることにいたしております。  その二は税率の引下げをはかろうとすることであります。近時宅地の価格や家屋の建築費が相当に騰貴いたしておりますために、時価を課税標準とする土地や家屋に対する固定資産税の負担は税率をすえ置く限り増加し過ぎる状況にあります反面、償却資産一般に対する固定資産税の負担を緩和することがわが国産業の発展にとつて望ましいものと思われますので、一面土地及び家屋の取得に対する不動産取得税を設けて相当の収入を期待いたしますとともに、他面固定資産税の税率を引下げることといたしまして、現行の標準税率百分の一・六を昭和二十九年度は百分の一・五と、昭和三十年度以降は百分の一・四とすることといたしたのであります。これに伴う減収額は昭和二十九年度において五十六億円の見込みであります。  その三はわが国の経済再建上重要な機械設備等について課税標準の特例を設けたことであります。電源開発に伴う新設の発送変電設備に対する固定資産税につきましては、電源開発促進法においてその税率を新設後三年間は二分の一とするものとし、昭和二十八年度分から適用するものとされているのでありますが、電源開発の進行に伴い電気の原価が上昇し、現行の電気料金について再検討を行う必要に迫られているような状態にあるのでありますが、現在わが国の経済状態は、その引上げを行うことをでき得る限り抑止しなければならない状況にあることは御承知の通りであります。ことに一般に電気事業におきましては、莫大な資本を、しかも、多年にわたつて発送変電施設として固定する必要があり、従つてこれらの固定資産に対する固定資産税の額は、何らかの特別措置を講じない限り、発送変電施設を新設した当初においてはきわめて多額なものとなりますので、相当の期間その負担を緩和し固定資産税の急激な増減を避けますことが電気の料金を相当の期間にわたつて安定せしめるためにも必要なことと考えられるのであります。  このような事情にもかんがみ、かつは、電源開発の持つ重要性並びに電気料金の国民経済に及ぼす影響をも考慮して、現行三年間二分の一の税率の特例を改正し、その課税標準を新設後の五年間は価格の三分の一、その後の五年間は、三分の二として課することにより負担の軽減と年度間の激変の緩和とをはかることといたしたのでありますが、とくに昭和二十九年度分に限り、電気供給業者の所有にかかる発電施設については、さらに右の三分の一の割合を六分の一として現下の国の経済施策に即応することといたしたのであります。  地方鉄道または軌道に対する固定資産税につきましても、おおむね右と同様な事由により、かつは、大都市交通緩和のため推進を企図される地下鉄道の建設費が莫大な額に上り採算的にも困難が予想される状況でもありますので、発送変電施設の場合とほぼ同様の措置をとろうとしているのであります。  次に所得税法及び法人税法の規定によりこれらの税を免除される重要物産の製造を行う者の所有する機械設備並びに企業合理化促進法の規定の適用を受ける機械設備につきましては、その設備の近代化をはかることがきわめて重要であり、かつ、急を要することであると思われるのであります。しかし、何らかの特別措置を講じません限り、機械設備の更新に伴い固定資産税の負担は急激に増加し、このことは必要な設備の更新を阻害することともなると考えられますので、これらの機械設備の新規取得分については、その取得後三年間は課税標準を価格の二分の一とすることによつて固定資産税の増加緩和の措置を講ずることとし、もつて重要産業の合理化、設備の近代化に資したいと考えたのであります。  また外国貿易に従事する外航船舶については、昨年来利子補給法の規定によつて利子補給を受けているものについては、その税率を四分の一とすることとされているのでありますが、外国との競争関係を考慮いたしますならば、課税上の特例を利子補給を受けている船舶に限ることは適当ではありませんので、これを廃止して特別措置をすべての外航船舶に拡大するとともに、国際路線に就航する航空機に対しても同様の措置をとることとし、その課税標準を価格の三分の一として課するものとしたのであります。  なお、航空運送事業は、最近ようやく緒についたばかりでありまして将来ますます発展させなければならないものであり、その基盤の脆弱な時期に固定資産税を一般の場合と同様に課することは、いささか不適当と考えられますので、昭和二十九年以降十年間において航空運送事業を開始した者の所有にかかる航空機については、その事業開始後三年間はその課税標準額を価格の三分の一とし、その後の三年間は三分の二とすることといたしたのであります。これらに伴う税収入の減少は二十四億円程度の見込であります。  その四は償却資産に対する固定資産税の免税点を引上げようとすることであります。償却資産に対する固定資産税は、その価額の合計額が三万円未満であるときには課さないのでありますが、これを五万円に引上げて税務行政上の無用の摩擦を避けたいと考えているのであります。  改正事項の第九は、自転車、荷車税に関するものであります。現在自転車及び荷車に対しては、それぞれ自転車税及び荷車税が別個に課されているのでありますが、今回徴税事務の簡素化をはかる意味におきましてこの両税を統合して自転車荷車税といたしたのであります。なお、市町村からの多年の要望にもかんがみこの際新らしい自転車及び荷車の収得分についてのみ、取得の翌月から月割で課税できる制度を設けることといたしております。  改正事項の第十は、電気ガス税に関するものであります。現在電気ガス税につきましては、国民経済上重要な基礎物資のうちその生産原価中に占める電気料金の割合がきわめて高率なものについては、非課税とすることとして、その品目が列挙されているのでありますが、これらのほか地方鉄道軌道、金属鉱物の掘採等においては、なお電気料金が相当の負担となつており、かつまた電気料金の引上げが行われるとすれば、さらにその負担が高率となることでありますので、既定の非課税分との均衡上、かつは、物価引下げをはかる現下の国の基本政策との関連上、次に電気料金の改訂が行われますときからこれらに使用する電気について電気ガス税を非課税とするものとしてこれらの品目を追加したのであります。この結果年間において七億円程度の減収となる見込みであります。  改正事項の第十一は入場税の廃止に関するものであります。その事由はすでに申し述べた通りであり、これに関連しては別途入場譲与税及び揮発油譲与税を設けることといたしているのであります。  以上今回の地方税法の一部を改正する法律案につきその基本方針並びに内容の概略を御説明申し上げたのでありますが、これらのほか規定の整備をはかる意味合いから若干の条文の整理改正をいたしているのであります。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに本法案の成立を見まするようお願いする次第であります。  次に入場譲与税法案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明いたします。  本法案は、地方税法の一部を改正する法律案と同様、地方制度調査会の答申の趣旨に沿い今次地方税制改正の一環をなすものとして立案されたものであります。その基本方針といたしますところは、地方団体相互間における税源配分の合理化を期することにあるのであります。  入場税は古くから地方税でありましたものを、昭和十三年に支那事変特別費に充てるため国税に移譲されるとともにその一部を地方団体相互間の調整財源として還元されることになつたのでありますが、平和の回復後入場税復元問題が起り、地方団体一致の強い要望の下に昭和二十三年再び地方税に還元されたのでありました。  しかしながら、さきに義務教育費国庫負担法が制定され、全額都道府県の負担とされていた義務教育に従事する教職員の給与費については、その半額が昭和二十八年度より国庫の負担するところとされたのであります。その結果、今まで地方財政平衡交付金の交付を受けていた地方団体においては、別途国から交付される義務教育費国庫負担金相当額だけ地方財政平衡交付金が減額されることになりますので国庫からの支出金にも、当該地方団体の財源にもかく別の増減は生じなかつたのでありますが、地方財政平衡交付金の交付を受けていなかつた東京都や大阪府においては、新たに義務教育費国庫負担金の交付を受けることとなり、それだけ国庫からの支出金も当該地方団体の財源も増額されることになつたのであります。  しかも他面、地方団体の自立態勢の強化に資するためには、独立財源の強化をはかる必要があるのでありますが、国民負担の現況から見ますとき、国税及び地方税を通じた額の実質的な増加は避けるべきでありますので、勢い同じようにきゆうくつではあつても地方財政平衡交付金の交付を受けない地方団体に対し現状をそのままにしてさらに新たな独立財源を付与することとなるような方法をとることは困難なのであります。  このような諸事情にかんがみ比較的地方財政平衡交付金の不交付団体に収入の多い入場税を、形式的には国税に移して人口按分により各都道府県に平等に還元する方法をとることによつて、これらの団体の独立財源を少くした上で、反面普遍的に収入の得られるタバコ消費税を国から移譲を受けるなどにより全地方団体に対して新たに独立財源を付与する道を選ぶことといたしたのであります。  これが入場税について譲与税制度をとろうとする理由でありますが、以下本法案の内容につき御説明いたします。  第一に、この入場譲与税場は、入場税の収入額の十分の九に相当する額といたしております。十分の一を国の収入といたしましたのは、国税として徴収する際の意欲を阻害しないこと及び徴収費をまかなうことの二点に存するのであります。  第二に、入場譲与税は、都道府県に対し、その人口に按分して譲与することといたしております。これは各都道府県に対し、平均的に財源を提供しようとする趣旨からであります。  第三に、入場譲与税の譲与時期でありますが、毎年度六月、九月、十二月及び三月の四回とし、それぞれ前三箇月間において徴収した実績に応じ譲与することとし、入場税の十分の九が当然入場譲与税となることを明らかにいたしております。ただ昭和二十九年度及び三十年度につきましては、移管の経過措置として譲与時期または譲与額につき若干の特例を設けたのであります。  最後に入場譲与税の使途につきまして、国は、条件をつけたり制限をつけたりしてはならないものといたしたのでありまして、法文上も入場譲与税が一般財源であることを明らかにいたしております。  以上今回の入場譲与税法案につきましてその基本方針並びにその内容の概略を御説明申し上げたのでありますが、このほか入場譲与税の譲与金の会計につきましては、一般の歳入歳出と区分して経理する必要がありますので特別会計を設置し、経理区分を明確にいたすべく別途法案が用意されております。  何とぞ御慎重審議の上すみやかに本法案の成立を見ますようお願いいたす次第であります。     ―――――――――――――

中井一夫自由党

○中井委員長 なおこの際大蔵委員会に対し連合審査会開会の申入れに関してお諮りいたします。ただいま提案説明を聴取いたしました入場譲与税法案は、目下大蔵委員会において審査中の入場税法案ときわめて密接な関係を有する法案でありますので、理事会の決定に基き同委員会に連合審査会の開会を申し入れたいと思いますが、御異議は、ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

中井一夫自由党

○中井委員長 御異議なしと認め、さよう決定をいたします。なお連合審査会の開会の日時等につきましては、大蔵委員長と協議の上、公報をもつて御通知いたします。     ―――――――――――――

中井一夫自由党

○中井委員長 引続き警察法案及び警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案の両案を一括して議題といたします。本日も開会前の理事会の決定に基いて、昨日に引続き逐条説明を聴取いたします。本日は警察法案第三章第十五条よりであります。柴田国警総務部長。

柴田達夫国家地方警察本部警視長(総務部長)

○柴田(達)政府委員 昨日現行警察法との条文比較対照表がございませんでしたので、御審議にたいへん御不自由をおかけして恐縮に存じますが、本日現行警察法とこの法案との条文の比較対照表をお配りいたしましたので、現行法との関係をもしごらんになるときは、その条文を一々対照いたすことを省略いたすかもしれませんが、ごらんのほどをお願いいたしたいと存じます。  第三章の警察庁から本日は条を追いますが、第一節は警察庁の総則でございます。第十五条は警察庁の設置の規定でございます。「国家公安委員会に、警察庁を置く。」と規定いたしております。昨日のところにございましたように国家公安委員会が内閣総理大臣の所轄のもとに置かれるので、ございまして、国家行政組織法上は国家公安委員会が総理府の外局という地位を占めるのでございます。警察庁そのものは総理府の外局であるわけではございません。条文の比較対照表の現行法欄、すなわち下の欄にございますように、現行法におきまするところの国家地方警察本部は「国家公安委員会に、その事務部局として国家地方警察本部を置く。」と規定いたしているのでございます。今回の法案におきまするところの警察庁の地位でございますが、これはただいま申し上げましたような国家行政組織法上の総理府の外局であるものではございませんので、総理府の外局である国家公安委員会に置かれるところの、機関であります。同時にまた現行法の事務部局というものであるということを、もつぱらその性格といたすものではございませんので、第十七条におきまして、警察庁は国家公安委員会の管理のもとにおきまして昨日御説明を申し上げました第五条の第二項に掲げまするところの事項を、権限として所掌いたしまするところの機関といたしたのでございます。すなわち警察庁は総理府の外局であるところの国家公安委員会に附属いたしまして、一面におきましてもちろんその事務局であるところの役割を、国家行政組織法上果すわけでございますけれども、単なる事務部局ではなくしてみずから第五条第二項に掲げる権限を行うことができるところの地位を持つ機関でございます。すなわち言葉をかえて申しますならば、国家公安委員会が中央におきまするところの警察の管理機関であるのに対しまして、警察庁はその管理を受けましてその管理のもとにおきまして第五条第二項に掲ぐる権限を、みずから執行することができるところの機関でございます。国家行政組織法上に当てはめますならば、単なる事務部局ではなくて国家行政組織法の八条にございますところの行政機関に付属する機関という地位に当るのでございます。十五条は警察庁の設置規定でございます。  十六条は警察庁の長官の規定でございまして「警察庁の長は、警察庁長官とし、内閣総理大臣が国家公安委員会の意見を聞いて、任免する。」警察庁長官の任命は現行法の国家地方警察本部長官を見ますと、御承知の通り国家公安委員会が任命をいたしまして、その場合におきまして内閣総理大臣の意見を聞かなければならないこととなつておりますが、この法案におきまするところの警察庁長官は、逆に内閣総理大臣が国家公安委員会の意見を聞いて任免することとなつているのでございます。  この理由その他につきましては、すでに提案理由その他で御説明が出ておりますので、省略いたしますが、法律上の事務的な面から見ますと、先ほども申し上げましたように、十五条の警察庁の地位が現行法の単なる公安委員会の事務部局でなくして第五条第二項の独立の権限を有する機関であるということからいたしまして、政府が治安責任を明らかにするという趣旨からいたしまして、公安委員を国会の同意を得て任命することに加えまして、それを執行する権限をも有するところの警察庁長官を、これまた同じく国家公安委員会の意見を聞いて内閣総理大臣が任命する必要があるものと認めたものであると存ずるのであります。  第二項は警察庁長官の権限でございます。警察庁長官は、任命は今申しましたように内閣総理大臣が国家公安委員会の意見を聞いて任命するのでございますが、職務上は内閣総理大臣の指揮監督を受けるものではございません。国家公安委員会の管理に全面的に服し、警察庁の庁務を統括し、そうして自分の警察庁の所掌事務についてこれを総括いたし、かつ職員の任免、服務の統督をいたしました上に、警察庁の所掌事務につきましてだけは、都道府県警察を指揮監督する権限を持つのであります。都道府県警察を指揮監督いたします範囲は、警察庁の所掌事務についてでございまして、これまた昨日の第五条の第二項に権限といたしまして限定列挙いたしました事項に限るのでございます。しかしながら、第五条第二項の権限の中におきましては、制度の企画調査でありますとかいつたふうに、事柄の性質上特に指揮監督をいたす必要のないようなものも含まれております。従いましてこの第五条第二項の事柄の内容によりまして指揮監督をおもにするものと、非常にその程度が少いもの、あるいはまつたくないものといつたような区別が実際におきましてはあるかと存じます。みずから国家公安委員会が管理いたしまして、警察庁の所掌いたしまする教養、通信、鑑識、統計、装備、こういつたような事柄につきましては、都道府県の仕事を自己の責任において国家公安委員会なり、警察庁がやることになりますので、もちろんそれらの仕事につきましても若干の指揮監督面があるかと存じますが、主たる面は、やはり第五条第二項の第三号に掲げてございますところのイ、ロの災害、騒乱にかかる事案についての警察運営に関することの指揮監督が、実際問題としておもな一番多い場合の内容になるかと思うのであります。都道府県警察を指揮監督するのでありましてこの場合の都道府県警察は後に章といたしまして都道府県警察というものが出て参りますが、公安委員会が都道府県警察全部を全面的に管理いたしておりますので、この指揮監督は都道府県公安委員会を通じて、当然指揮監督するものと考えます。  第三項は、警察庁長官の任免につきまして、内閣総理大臣が国家公安委員会の意見を聞いて任免することになつておりますので、今度は管理機関でありまするところの国家公安委員会に対しまして、これが任免権者である総理大臣に対して長官の懲戒または罷免に関し必要な勧告をすることができるという勧告権を認めたのでございます。勧告につきましては、懲戒罷免に対する積極的な勧告もあり、また監視必要な勧告でございまして、消極的な懲戒、罷免に値しないというような種類の勧告もでき得ると解釈をいたします。  第十七条は警察庁の権限でございまして、これは国家公安委員会の第五条第二項に列挙いたしまする権限とまつたく同じであります。国家公安委員会の管理のもとにみずからこれらの仕事を警察庁は行う、国家公安委員会はこれらの仕事につきまして警察庁を管理するという立場にあるのでございます。  第十八条は警察庁に次長を置く規定でございまして、これは大体明文になつておりますので御説明を省略いたします。  第二節は、警察庁の内部部局についての規定でございます。現行法の国家地方警察本部を例にいたしますと、現行警察法は国家行政組織法が整わない前にできました関係上、警察法自体の中には、五つ以内の部を置くということを規定いたしてあるだけでありまして、一々その内部部局のそれぞれの分掌のことにつきましては、国家地方警察組織令という政令に譲られているのでございます。しかしながら、国家行政組織法によりますれば、部課の所掌事項というものは本来法律に書くことになつておりますので、今回の法案におきましては各部の分掌事項を十九条から始まりまして二十五条の間に、規定をいたした次第でございます。実際におきまして、この内容は現在の国家地方警察本部が五部ございますが、その五部が分掌いたしておりますところとほとんどかわりはございません。ただかわつておりますところは、総務部、警務部、刑事部、警備部、通信部の五部がございますが、総務部の名前を、国家行政組織法にならいまして長官官房というものが置けることになつておりますので、長官官房にいたしまして総務部長のかわりに官房長という名前のものを長といたしまして各部に部長を置くことにいたしておるのでございます。  第十九条、第二十条はそういうことでございまして、第二十一条からはそれぞれの分掌事項でございますが、二十一条の官房の所掌事務は、これはおおむね各省庁にあるようなものと類似のものでございます。現在におきます国警本部の総務部の所掌事務とほとんど同一でございます。警務部の所掌事務も同様でございまして、警察庁の所掌事務のすべてこれらの事項につきましては、「警察庁の所掌事務に関し、左に掲げる事務をつかさどる。」ということになつておるのでありましてその範囲内におきましての分掌を規定いたしたものでございます。  第二十三条、第二十四条、第二十五条の刑事部、警備部、通信部におきましても同様でございまして警察庁の所掌事務について第五条のうち「国の公安に係るものについての警察運営に関すること。」はもちろん、それ以外におきまして緊急事態に対するところの計画実施でございますとか、皇宮警察に関することでございますとか、あるいは職員の任用、勤務活動の基準に関することでございますとか、その他の警察行政の調整に関することでございますとか、諸制度の企画及び調査に関すること、こういう事柄の範囲内におきまして事項別にどういう仕事をどういう部が行うかということを規定いたしたものでございます。従いまして先般御質問もあつたかと思いますが、この中に犯罪の予防とか保安警察とか警邏及び交通警察といつたようなことが出ておりますが、それらの仕事についてこの内部部局に権限ができて何でもやれるという趣旨ではございません。「警察庁の所掌事務に関し、左に掲げる事務をつかさどる。」ということで、それらの事項はどこでやるかということを規定いたしたものでございます。権限そのものは、あくまでも第五条第二項の列挙の事項に限るわけでございます。     〔委員長退席、佐藤(親)委員長代   理着席〕  第二十六条は、課及びその他課に準ずるものの設置と所掌事務の範囲を国家行政組織法と同じ方針によつて政令で定めることといたしたのであります。  次に第三節は、警察庁の附属機関に関する規定でございます。ここも第二十七条、第二十八条、第二十九条にわたりまして、警察大学校、科学捜査研究所、皇宮警察本部、この三つを警察庁の附属機関としておるのでございます。現行法の警察法の中には、法律に職務の内容を明記してございますのは、その内容及び設置のこまかいものを書いてございますのは、警察大学校だけでございますが、実際問題といたしまして警察大学校、科学捜査研究所、皇宮警察本部は、いずれも国家地方警察の基本規程、あるいは皇宮警察は、現行法の第四条の国家公安委員会の所掌の中に入つておることに基きまして、皇宮警察の基本規程によりまして、現実にあるものをそのままに規定いたしておるものでございます。  第四節は、警察庁の地方機関に関する規定でございます。警察庁の地方機関といたしまして管区警察局と、それから北海道に北海道地方警察通信部を置くことといたしておるのでございます。現在御承知の通り、国家地方警察におきましては、警察管区本部というものを地方の事務部局として持つておるわけでございますが、今回はこの警察管区本部という名称を廃止いたしまして、かつその機構の内容を簡素化いたしまして、それからその管轄区域に若干の変更を加えました次第であります。府県警察がそれぞれ独立して警察の責に任ずるということになりますので、管区本部の本部という名称は適当でなかろう、中央の警察庁の地方機関でございますので、局という名称にいたしたのでございます。  第三十条は管区警察局に対しますところの設置規定でございまして、管区警察局に分掌させる範囲を列挙いたしてございます。これは第五条の警察庁の権限として所掌する事項の中で、仕事の性質上管区警察局に分掌する必要のあるものだけに限定いたしたのでございます。管轄の区域は現在は北海道を加えまして六管区ございますが、北海道は今回この法案におきましては、府県警察としての北海道警察を設置することになつておりますので、これは廃止いたしました。管区警察局を設けずに、後に出て参りますところの通信事務についてだけ、これは国がやる必要上、北海道地方警察通信部を置くことといたしたのであります。それから東京の警視庁は、これは首都であるところの重要性にかんがみまして警察庁の直轄になる場合、その職務については直轄にするということが適当であろうと考えまして、関東管区警察局の管轄区域から除外してございます。残りにおきましては名古屋と高松に管区警察局を新設いたしまして、高等裁判所、高等検察庁、公安調査局といつたようなものとの関係上連絡に便ならしめるように、一致するようにいたしたわけでございます。ただ名古屋と高松の新設につきましては、管区警察局全体を、後にございますように五部制を三部制に圧縮簡素化いたしまして、そしてすべて定員予算とも既往の範囲内において設置するという方針のもとに、ただ管轄区域の内部的な変更ということで、他の治安機関との連繋を密ならしめる趣旨に出たものでございます。  三十一条は管区警察局長の規定でございまして、管区警察局に局長を置きましてそして管区警察局の仕事をさせますと同時に、警察庁長官の命を受けた範囲内におきまして、しかも管区警察局の、所掌事務に限りまして、府県警察を指揮監督することができるようにいたしたのであります。第三項にございますように管区警察局には総務部、公安部、通信部の三部を置きまして、現在は警務部、総務部、それから警備部、刑事部、通信部等ちようど国家地方警察本部と同じように五部、各管区警察本部にあるのでありますが、それを三部制に簡素化いたしておるのであります。  第三十二条は管区警察学校に関する規定でありまして、これは現行法では各管区本部に管区警察学校を附置しておりますのと同様でございます。幹部としての必要な教育、訓練その他専門的な教育をすることを主たる目的としております。  第三十三条は先ほどちよつと御説明申しましたように、北海道におきましては道警察になる関係上管区警察局を置かないで、通信についてだけ警察庁の事務を分掌させるための北海道地方警察通信部を置くことといたしたのであります。  第五節は警察庁の職員についての規定でございます。「警察庁に、警察官、皇宮護衛官、事務官、技官その他所要の職員を置く。」このうち皇宮護衛官は皇宮警察本部に置くことになるのであります。そういたしまして警察官といたしましては、長官はそれ自体警察官の身分を持つておる。しかしこれは後に警察職員というところに階級のことが出て参りますが、階級を特に持たないということにいたしまして、それ以外の必要な機関といたしましては警察官をもつて充てるということにいたしておるのであります。ここではそれがはつきりいたしておりますところの次長、官房長、通信部長を除く部長、管区警察局長といつたような、おもな職を例示いたしてございますがその他政令で定める職は警察官をもつて充てるという、この政令におきましては大体現在警察官をもつて充てているような所要の職を規定する考えでございます。皇宮警察本部長は皇宮護衛官をもつて充てることにいたしてございます。第四項は例文であります。  第三十五条は警察庁の職員の定員に関する規定であります。「警察庁に置かれる職員の定員は、別に法律で定める。」これは御承知の行政機関職員定員法のことでございます。さらにそれらの警察官、皇宮護衛官については階級別定員を設けることになつておりますので、これは総理府令で定めることになつております。  次は第四章の都道府県警察について御説明申し上げます。  第一節は総則でございまして、第三十六条に都道府県警察の設置の規定と、その責務を明らかにいたしてございます。「都道府県に、都道府県警察を置く。」となつておりましてすでにしばしば明らかにされおりますように、都道府県単位に警察を置くというのと違いまして、地方公共団体でありますところの都道府県そのものに、その機関として都道府県警察を置くという趣旨でございます。都道府県警察は、その都道府県の区域につきまして二条に掲げますところの、警察の責務として定められております万般の責務にみずから任ずるわけでございます。「区域につき、」となつておりますのは、区域のうちということでありますが、同時に事柄によりまして例外的に、その区域内に関連いたしまして、外部に職権行使が及ぶことがありますので、こういうふうになつておるのであります。  第三十七条は都道府県警察の経費に関する規定でございます。都道府県警察に要する経費は三通りになるのでございます。第一項に掲げてございますように、「左に掲げる経費で政令で定めるものは、」国庫がみずから支弁することになつております。これは第一号から第八号まで掲げてございますが、要するに警察庁の行うような仕事でありますとか、あるいは国家的な関心の深いような仕事の性質を持つものでございまして、その費用を都道府県に分担さすことは、いかにも適当でない、必ずしも国家的なものでなくても、非常にその範囲が広域にわたつて、一つ一つの府県が分担することが不適当であるといつたような経費を、ここに掲げてあるのでございます。これは一応の目安でありまして、事柄によりましては、政令でさらにはつきり具体的にいたしまして、その範囲を国庫が支弁することとなつておるのでございます。そのおもなものを申し上げますと、警視正以上の階級にある警察官は国家公務員ということになつておりますので、その人件費、それから警察庁が所掌いたしますところの教養、特に学校の経費、それから通信、鑑識、統計、それから装備につきましては、その全部ということにいたしますと、性質上少しおかしいので、その中でやはり国家的な警備的な装備品として、一般車両、船舶並びに警備装備品の整備に関する経費――この「警備に要する」は訂正書に出ておりますように誤植でございまして、「警備装備品の整備に要する経費」でありますので、御訂正のほどをお願いいたします。この反面警察装備といたしましては、いわゆる単純な個人装備、いわゆる普通の被服といつたようなものもあるのでございます。そういうものにつきましては、これは当然地方が負担する方が適当であるということで除外して、るのでございます。それから「警衛及び警備に要する経費」これも警備的な警察活動というものは、大部分広い範囲にわたるようなものが多いと思うのでありますけれども、中にはまつたく地方的な祭礼の警備でありますとか、競輪の警備でございますとかいうようなものがございましてそういつたような警備警戒の費用は、これを地方費負担のもとに入れてあります。それから第八号が犯罪関係の費用でございますが、これも国の公安に係る犯罪その他特殊の犯罪の捜査ということにいたしまして、政令で詳しく列挙いたしまして、それらの特定の犯罪に要する経費だけを、国庫が支弁いたすことにいたしているのであります。これは予算編成の際、一応二十九年度予算編成といたしまして大蔵省との間に話ができ上つているものがございますので、機を見ましてこの内容につきましては御参考までに御配付することができると思います。  以上が国庫の支弁でございますが、それを除きまして残りは都道府県そのものが支弁するということが、経費負担の原則でございます。ただその都道府県が残りは原則的にすべて負担するのでございますが、そのうちにおきましてさらに予算の範囲内において政令の定むるところによりまして国がその一部を補助するということが第三項にございます。この政令の内容として予定いたしておりますのは、大体通常その職員の設置に伴つて必要な経費は、補助の対象とならず、いわゆる人件費と、それから人件費類似の職員の設置に関する費用、人件費、被服費、それから人当庁費、赴任旅費といつたものは人数をかけさえすればすぐ機械的に出て来るような経費でございまして、これだけは補助の対象となつておりませんが、それ以外の一般犯罪の捜査費あるいは防犯についての活動費あるいは交通警察、外勤警察あるいは警察署その他の庁舎、公舎等の施設費、こういつたようなものにつきましては、おおむね半額の国庫補助をするということを政令で規定いたしたい考えでございます。二十九年度の七月以降におきまするこの法案の施行予定日以降の予算につきましても、そういうような方針をもつて予算は編成されているのであります。大体の概略を申し上げますと、種類といたしましてはそういうふうに国庫文弁とそれから国庫が補助をする対象となる経費と、純府県費、この三つにわけられるのでありますが、大まかにだけ申し上げますと、本年大蔵省との間に予定いたしました費用を平年化いたしまして――これは七月以降でございますので、そのまま申し上げても御参考にならないと思いますが、警察署の経費も含めまして国が支出いたします一切の費用が百二十億でございます。そうして府県費が四百億、こういうふうに思つていただけばけつこうでございます、それから三万人の定員整理をいたしますので、三年後におきましてこれが地方費の方が約三百二十億に、ほかの条件が同じなりせばという条件でございますが、人件費その他が減りますので、国の方の所要の百二十億が百十四億ばかりになります。それから府県費の分は四百億が三百二十億くらいになる、これは人員整理だけを三年後にやつたあとということで計算いたしますと、そういうことになるのでございます。今の国費の中には警察庁の経費もございますので、都道府県警察に要するところの国庫と府県の分担につきましては、またさらに必要によりまして資料を整えたいと存じます。     ―――――――――――――

佐藤親弘自由党

○佐藤(親)委員長代理 お諮りいたします。犬養法務大臣が出席になりましたから、条文の説明はこの次に譲つて、一般質問をしたいと思いますが異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

佐藤親弘自由党

○佐藤(親)委員長代理 では法務大臣に一般質問を許します。門司君。

門司亮日本社会党(右)

○門司委員 きようはごく概括的の質問をいたしたいと思いますが、まず新しい警察法を出されておりますその理由としての一つの大きな問題は、法律の体裁であります。私はこれについて最初に聞いておきたいと思いますが、現行法は前文を持つておるのであります。この前文を持つておりますものは、憲法に前文がございますのと、教育基本法に前文がございますのと、さらにこの警察法がその前文を持つております。そもそもこの前文を設けましたものは、警察法の条文の内容の概略と申しますか、警察法の概念をこの前文に表わしておるのでありまして、ちようど憲法の前文と同じような趣旨であります。今回の警察法に対しましてはその前文が削除されておる。私は少くとも民主警察の理念を出そうといたしますなら、やはりこれには前文が必要ではないかというふうに考えるのでございますが、その前文を削除された理由を、ひとつこの際にお聞かせを願いたいと思います。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 お答え申し上げます。昨年も委員会で同じ御議論がございましてそのときも申し上げたのでございますが、いかにも御指摘のように憲法と教育基本法とそれから警察法には前文がついております。昨年警察法改正に際しまして、内閣及び法制局ともいろいろ相談いたしまして、今まであるものを無理にそうする必要はないのでありますけれども、新しく改正法を出す場合には、なるべく前文というものは省く体裁にして行きたいということに一致いたしまして、前文の精神を第一章に織込むということにいたしたわけでございます。これは昨年来いろいろ御議論もあるところでございますが、結局その点のよしあしは意見の相違ということになるかも存じませんが、政府といたしましては今申し上げたような精神で、このような体裁にいたした次第でございます。

門司亮日本社会党(右)

○門司委員 私は昨年のときたも大体お伺いをいたしておりますし、また同じことを開くのでありますが、昨年提案されたものと多少かわつております。今度新しい法律を出しておいでになりますが、この第一条におきましても、大体前文を除いた一条とほとんど同じような内容が書いてありまして、私どもの観念からいたしますと、少くとも法律の体裁というようなことで、この前文を書かないでもいいというような事務的なものでは決してない。これはやはり警察法自体を貫く一つの根本精神だと思う。もし大臣が現行警察法の前文を事務的なものであるというようにお考えになるとすれば、非常に大きな誤りだと思う。われわれはただ単に大臣のそうした意見だけでは、これを承服することはできないのであります。なぜ私がそういうことを申すかといいますと、この警察法の前文には、憲法の精神に従つて地方自治の真義を推進する観点から、ということが明らかに書いてあります。これは非常に問題でありまして、今度の警察法には前文を書かないというのは――もしこの前文に沿う警察法をこしらえるとするならば、こういう国家警察の性格の非常に強い警察はできないはずである。憲法には、地方自治の本旨によつて自治の本義を徹底するようにということが九十二条にはつきり書いてある。そうしてこの憲法の九十二条の地方自治の本旨に基いて、従前の国にありました府県制とか市町村制というものが廃止せられて、地方自治法という新しい法律が制定されておる。その自治法の第二条において地方の公共団体は地方公共の秩序を維持しなければならない責任が負わされておる。われわれは、これがやはりこの警察法の中心にならなければならないと考えておる。従つてこの前文を除かれたということは、私の邪推かもしれませんが、こういう前文があつたのでは、こういう国家的色彩の強い警察法をこしらえるわけに行かない、そこでこういうものはじやまになるからとつておこうというお考えでなかつたか、ただ単に条文の体裁だけであるということには、私はどうしても考えられない。それで大臣はよく御存じだと思いますが、先ほど申し上げましたように、憲法第九十二条の趣旨によつてつくられた地方自治法の第二条には「地方公共の秩序を維持し、住民及び滞在者の安全、健康及び福祉を保持すること。」ということが明らかに書いてある。これらは警察行政ときわめて密接な関係を持つ一つの条文であります。従つて単に法律の体裁であるということだけでなくして、そこにはこの警察法前文を読んでみると、見のがすことのできない意図があつたのではないかと考えられる。そこで聞いておきたいと思いますことは、大臣は憲法第九十二条の自治の本旨に基いてつくられた現在の地方自治法の第二条に書かれております、先ほど読みました条文をどう解釈されるか、この点お伺いします。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 前文が事務的と思うかというお尋ねでございますが、前文そのものは事務的でございません、確かに精神をうたつているのでありますが、前文に書かれなければ警察法の精神が表現できないかどうか、こういう別の問題が起るわけでございます。当時の立案に参画しました政府、ことに法制局と国警担当当局との折衝におきましては――私個人もそう感じるのでありますが、旧警察法の前文というものは何となく外国風のにおいがする。それで、第一章の第一条、第二条と法律らしくきつちりとわけることの方がよいという認定をいたしたのでありまして、結局これは御意見の相違になるかと思います。それから地方自治法にうたつてあります精神、これはもとより当然でございますが、このたびの警察法は、従来の国家地方警察は国家的色彩が濃過ぎて、地方自治の精神にやや欠けており、自治警は地方自治の完全自治に過ぎて国家的な要素を欠如しているとしばしば申し上げましたその精神に基いて書いたわけであります。国警も自治警もともに廃止して府県単位にするというところにわれわれの精神がございますから、従つて第一条も第二条もこのたびの警察法の組立て方によつて書いたわけでございます。そんなように御承知を願いたいと思います。

門司亮日本社会党(右)

○門司委員 どうも認識の相違だということになりますと、いつまで議論をしてもおつつかないと思いますが、今の大臣のお話は、大臣の説明書の中にも書いてあります。今日の二本建の、町村を管理する国家地方警察は国家的性格に過ぎて自治的要素を欠如し、都市を管轄する自治体警察は完全自治に過ぎて、国家的性格に欠くるところがあると書いてあつて、その通りに大臣は説明されたと思いますが、現行警察法によりましても、警察の任務については自治体警察も国家警察もかわらないのであります。ただその任務を遂行する上において、地域的にそういう区別が一応行われている。従つて私はこの大臣の説明書は当らないと思う。自治警が完全自治に過ぎるとか、国警が国家的に偏しているというりくつは警察法に関してはないと思う。警察官たるの職務を行う権限というものは同じであります。これは単に警察法に定めております警察の職務だけではございません。そのほか警察官の職務執行に関する法律にいたしましても、あるいは軽犯罪法にいたしましても、同じものが適用されておる。従つて警察官の職務について大臣がこの説明書の中に、こういうふうにお書きになつていることは私はわからない。もし大臣のただいまのような御答弁だといたしますならば、今日の国家地方警察のどこが国家的色彩を帯び過ぎておるか、あるいは自治体警察のどこが完全自治の様相を帯び過ぎておるか。私は法律の全文を読んでみましてもどこにも区別はありません。従つて警察官の行動が国家地方警察と自治体警察との間において区別はないと考えておる。もし区別があるといたしますならば、その実例をひとつ示していただきたい。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 お言葉のように第二条には「警察は、個人の生命、身体及び財産の保護に任じ、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締その他公共の安全と秩序の維持に当ることをもつてその責務とする。」とある。警察の実質の任務というものはこういうものでございます。しかしながら近代国家におきましては、こういう種類の警察事務対象だけでは済まされない情勢になつているのでありまして従つて中央からの――法律によつて十分に制限してはあるが、とにかく中央から指令すべき国家的色彩を帯びた警察事務があるのであります。門司さんはそれがあるわけがないという御観念でお話のようでありますが、これは近代国家における警察任務というものの、お互いの立場から来る考え方の相違になるのではないか、こういうふうに考えておるのでございます。

門司亮日本社会党(右)

○門司委員 私も今日の警察運営の中で国家的の問題があることはよく承知いたしております。通貨あるいは証券の偽造行使であるとか、あるいは外国人に対する犯罪というようなものは、当然国家的色彩を持つておることはわかつておる。しかしこれらの犯罪に対しましても、今日の警察法の中で相互間に十分連絡がとれるようにできておるのである。これがあるからといつて地方の自治警察に対しては、それらの犯罪に対して、何もしなくてもいいという規定はどこにもない。これは単に国家地方警察が行う仕事だというような規定ははつきり区分されているわけじやございません。この現行警察法の二条に掲げておりますものの中にも、広義に解釈いたして参りますと、先ほど申し上げましたような国家的犯罪はたくさんあるわけである。従つて警察の運営の中には、今大臣の言われたようなことがかりにあるといたしましても、現行法においてこういうふうに大臣が説明されておりますように、一方は国家的色彩が強過ぎてどうもうまく行かない、一方は完全自治に過ぎてうまく行かないというような、現在の警察運営の中に区別はないはずだと思う。私の大臣にお聞きしますことは、それらのことでもし自治警が完全自治警であることのために、国家的犯罪の捜査その他に対してじやまをしたとか、あるいはその遂行が困難であるとかいうような事例があるなら、ここに示していただきたいということを私は申し上げておるのであります。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 これも昨年しばしば門司さんから御質問があつたと同じ点だと思います。結局運用の妙で行けるではないか、何もこんなに大騒ぎして現行法をかえる必要はないではないかという昨年来の御主張と思うのでございますけれども、私は、異なる命令系統のもとにおける運用の妙というものは、その妙味に限度がございますので自治警が従前の役目それ自体を果していないと言うのでは、ございません。結局いくら有能な人が自治警におられても、その組織自体のために十分に発揮できない部分がございますので、自治警の方もいやが上にもその能力が発揮できるように、国家的なものについては法律に明記した上中央から指示ができるようにしたい、こう考えております、結局一つの命令のもとにおける官吏あるいは公吏の能力――役目の範囲というものがきまるのでございまして、それがお互い人間の能力としてありますから、その能力が十分発揮できるように組織をかえる、行政整理や何かの組織がえもそこから来るのでございまして、りくつではかえないで済むことでありましても、結局運用の妙には限度があるというところに、われわれがしばしば警察法のみならず、法律改正をやるということの原因が起つて来るものと考えておるのでございます。

門司亮日本社会党(右)

○門司委員 私は大臣に対しましてはその実例を示してもらいたいと申し上げたのでありますが実例を示されておりませんので、もし必要があるならば私の方から実例を申し上げてもいいと思います。たとえば、これを国家的の犯罪といえば国家的犯罪でありますが、逮捕状が出ておりますから一つの犯罪には間違いございませんけれども、共産党に対する問題、これなども明らかに一つの地方的犯罪ではないかと思います。これらの取締りに対して、最も今日注目しておりますものは八幹部が地下にもぐつておることでありまして、すでに三年、四年になるのに、いまだにこれの検挙が行われない。その中で二人検挙されておりますものは、いずれも自治警においてこれを検挙している。そういたしますならば、何も自治警があまりに完全自治に過ぎて、国家警察の必要とするような国全体の犯罪に対して協力しなかつたという形ではなかつたと私は思う。自治警といえども、国が捜査し、国が犯罪として取締らなければならないものにつきましては、今日の警察法の命ずるところによつて、忠実にこれを行つておると私は思う。大臣の説明書によりますと、先ほどから申し上げておりますようにどうも困ると書いて、その次に何と書いてあるかと申しますと、性格の異なつた警察と書いてある。今日の警察が、組織の上においてはかわつておるかもしれませんが、性格は国家地方警察といえども自治警察といえども同じだと思う。もし警察の性格がかわつておるとすれば非常に大きな問題であります。アメリカの例をこの前の委員会で大臣からもお話があつたのでございますが、たとえばアメリカのFBIのような性格は、あるいはかわつておると言えるかもしれない。しかしこれとても、私は必ずしも警察行政の上で、性格のかわつたものじやないと考える。職務の権限というものは非常に強いものを持つております。そうしてこれは日本の公安調査庁のようなものでなくして、実際上の捜査権を持ち、逮捕権を持つてやつておる。しかし日本の今日の自治警、国警というものは、別れておりましても、大臣がここで説明されておりますように性格が異なるなどということは私は全然ないと思う。もし今日の日本の警察制度の上において、国家地方警察と自治体警察との間に性格の異なる点があるならば、それをここではつきり言つてもらいたい。私が先ほど申し上げておりますように、法律の運営その他の面においての区分はおのずから行われておりますが、警察としての性格はまつたく同じだと私は思う。もし違う点があるならば、この点をひとつ大臣から御説明を願いたいと思います。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 二点についてお答え申し上げます。自治体警察が共産党その他暴力主義的破壊活動を行うものを逮捕できないと申し上げたことはございません。また事実自治体においてこれらの人を捕えたこともございましよう。私の申し上げるのはそういうことではないのであります。しばしば申し上げますように、大規模な擾乱はめつたにありませんが、国民を安眠させるためには、起り符べきあらゆるケースを予想してそれに備えるということが警察の責務でございますから、従つて同時多発的に二県とか三県あるいは四箇所とか五箇所とかに起るべき擾乱に備えるためには、一つの自治体が自治体を守るという自意識だけでは、割切れないものがあることは御承知の通りでございます。そういうものに備えるためには、国家的な立場から国全体の治安をながめる一つの組織を持つている役所の任務を加味して行かなければならないというところに、私どもの主張があるのでございます。従つて自治体は実によく勤めておられますが、Aという都市はAという都市の治安を一生懸命なさつておられますが、九州のAという都市が北海道のBという都市までやれと言つても、これは組織が無理なのであります。従つて性格の違う、どの都市もながめ得る別の性格の警察の任務がそこに加わることがよろしい。従つて性格が相異なるということを申し上げた次第でございます。

門司亮日本社会党(右)

○門司委員 今の大臣の答弁で私納得ができないのであります。なるほど鹿児島の警察が北海道の警察をどうしようということは、これは地理的に申し上げてもできません。私は組織的に申し上げてそういうことをここで言つているわけではございません。警察の本質的の性格であります。ここに掲げております大臣の説明書の中にありますことは、明らかにこの点を指摘されておりますので私は聞いておるのであります。これには、さつきも読みましたように国家地方警察は国家的の性格が強過ぎて困る、自治体警察は完全自治に過ぎて国家的性格を欠くということになつておる。そうしてそれは性格が異なるからと書いてある。運営上の問題は性格じやございません。私は警察の性格というものは、今日の社会の通念といたしましては少くとも警察自体でなければならないと思う。運営上におきましては今日の自治警察を設けたというゆえんがそこにあるのでありましておのおのの自治体の性格あるいは自治体の住民の意識というものに答えて、できるだけ住民のための住民の警察にして行きたい、民主警察にして行きたいという概念のもとに、今日の警察法が制定されておりますので、一応はそういうことが言えると思う。しかし警察自身の性格には私はかわりがないと思う。同じ法律のものに同じようにやつているのであります。ただそこには運営上の多少の問題は出て来るかもしれませんが、しかし性格にかわりはないと私は思う。その点をもう少しはつきり大臣から聞かしておいていただきたい。そういたしませんと、この後の警察法の審議をいたします上において、私どもは非常に迷うのであります。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 お答えを申し上げます。だんだん御質疑の意味わかりましたが、これも意見の相違でございます。つまり犯罪があつたらつかまえる。つかまえないで逃げるな、避けるな、あるいは住民をしてまくらを高うして眠らせるようにしろ、あるいは国民に親切にしろ、交通でけが人が出ないようにしろ、そういう警察の本質においては、国警も自治警もかわりはありません。多分そのことをおつしやるのだろうと思います。しかしながらその受持つておる都市だけを、あるいは町だけを一牛懸命に守つて任務を果すということと、その一つの固定的な場所のみならず、全国をながめながら全般の治安をつかさどる、所掌するということは、これは組織職務に関する性格が違うのであります。このことを申し上げておきます。あなたのおつしやるのは警察の本質でありまして、それはそこに住んでおるものを守る、治安を維持する、平和を守つてあげるということは、国警も自治警もかわりはないのであります。その点は全然御同感でございますが、今申し上げましたように自治体警察というものはそこにある役所がある、そこを一生懸命に百パーセント守る、国警はそこのみならず全国をすべてながめて、バランスをとりながら治安を維持する、任務の性格が違うということについては、今も寸毫も私は言葉をかえるつもりはないのでございます。ただおつしやるように、警察というもののそもそもの本質はまつたく目的が同じでございます。それに甲乙かわりはないと存じております。

門司亮日本社会党(右)

○門司委員 認識の相違かもしれませんが、本質的には警察はまつたく同じでなければならないと同時に、ただ大臣のここに書かれております性格の異なるということは、運営上の一つの問題だと思う。今日の国家地方警察といえども、決してこれは自治体警察の中に起ろうとする犯罪その他に無関心ではいられないはずであります。これは私は必ずそうならざるを得ないと思う。同時に先ほどから言われておりまする同時多発的の騒乱その他が起るような問題についての監察でございますが、これも地方の自治体にもし起ろうとするならば、決して地方の自治体警察はこれを等閑に付するわけには参りません。少くとも地方の自治体警察は、それは国家的犯罪である、住民にどんな迷惑がかかつても知らぬというわけには行かぬと思う。やはり国家的などんな大きな騒乱でありましようとも、いかなるものでありましようとも、住民にその影響を及ぼす限りにおきましては、自治体警察は働かなければなりません。そういたしますならば、これは性格はちつとも異なつていないと思う。たとえば同時多発的に起るものでありましても、むしろその管轄区域内において起る騒乱その他のきざしがありますならば、私は自治体警察の方が察知することが早いと思う。だから私は、今日の警察の性格というものについての大臣の御見解がそうであるとするならば、それでいいかもしれませんが、私どもから考えて参りまするならば、国家犯罪といいましても何といいましても、何も国警が通貨偽造等の犯罪を全国的に検挙するわけでもなければ、この端緒をつかむわけではございません。私は、もし通貨偽造の犯罪があるとするならば、国家的な犯罪ではございますが、それが一つの自治体で犯罪が発生するといたしますならば、その自治体がやはり検挙すると思う。そうしてこのことは国家的、全体的の犯罪であるからということで、これに対してはやはり国警が全部の警察に対して一つの指令を出すといいますか、通達をして取締ることができる。従つて犯罪の起つて参ります、あるいは住民の不安をかもし出すというようなものが、もしございますならば、それは自治警といえども、国警といえども、今日の警察法の規定の中で十分やり得るはずである。こういうことを自治体警察がやらないから、国家権力の強い警察にしなければならぬという理由が、私にはどうしてもわからない。先ほどから例を申し上げましたように、今日、明らかに国家的犯罪と目されるものでも、自治体が協力してやつているということである。またそれは一つの国家犯罪であるといつても、地方犯罪であるといつても、犯罪にはかわりないのでありまして、同じように取締らなければならない。従つて大臣は意見が違うというように考えられればそうかもしれませんが、私は性格の異なる警察が存在する結果にあるということの書いてあります大臣の説明書には、何と考えましても、これに納得するわけには参りません。もし今日の自治体警察の中が問題が解決しきれない、あるいは自治体警察がおろそかにしている。そして国家犯罪を取締ることができなかつたというような実例があるならば、その方をひとつお示しを順いたい。  それから、この機会に委員長にお願いいたしておきますが、このことについて私は名古屋の警察長を呼んでいただきたい。いわゆる大きな論争になつております国家犯罪と自治警との問題について、先ほど申し上げましたように、共産党の検挙を名古屋の自治警がかつてやつておりますので、名古屋の自治警はいかなる角度からこの端緒を発見し、いかなることにおいてこれを逮捕したか、こうした国家犯罪に対する自治警の協力、協力という言葉は私は当らないと考えます。当然の責務だと思います。この仕事をして来た内容をよく知りたいと思いますので、大臣のお帰りになつたあとでもよろしゆうございますが、ぜひ名古屋の国警隊長を呼んで、その間の事情をお間かせ願いたいと思います。

佐藤親弘自由党

○佐藤(親)委員長代理 お答えいたします。ただいまの申出は追つて理事会を開き、その上で決定することにいたします。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 お答えいたします。どうもお考えと食い違うのを残念に存じます。つまり風水害が、三県にも四県にもまたがる風水害だから、たとえば熊本の自治警が手を出さぬというようなことのあり得ないことは当然でございます。また国家的な大きな同時多発的な騒擾事件だからほつて置こう、そういうことのあり得ないことは御指摘の通りでございます。おのおのの自治警が全力をあげてそれをなさるでありましよう。またなさつて参つたのでございます。しかしながらたとえばこの間の風水害で例を引きますならば、福岡県、熊本県、長崎県等みんな自分のところを水害から守ることを一生懸命やる。これはあたりまえです。しかし、もしも中央から国家的な組織を持つてながめますと、熊本県から二千名ほどすぐに二日くらい福岡県に応援に行つても――熊本県の風水害はそうひどくないということが、全般的にながめて御注意もでき、指令もできる。この点を申し上げるのであります。また偽造事件で、たとえば福岡県と福井県と両方に飛火をしておる。その場合に福岡県も福井県も全力をあげて自治警察が任務を遂行なさるでありましよう。しかし国家的見地に立つて全般をながめる組織を性格上持つておるものが中央におりましたならば、福岡県の方が早く摘発が行つて、福井の方ではまだ犯人がそれを知らずにいるから福井の方に、手をつけるためにこつちの発表を待つてくれというように全般の指令ができるわけでございます。それは横の連絡でできるではないかとおつしやいますが、しかし命令の系統に属した場合、門司さんもよく御承知のように、なかなかうまく行かないことが多いのであります。それは自治警の罪ではない、私はやはりお互い人間が不完全なための罪であると思うのでありまして、不完全な人間が完全に働けることが適当の組織ということになり、その適当の組織に活動あらしめるのが適出な法律ということになると思うのであります。自治警が大仕掛の事件に不適当と言つておるのではないのでありまして、全般をながめる一つの角度というものが近代国家に必要なのじやないか、こう申し上げておる次第でございます。

門司亮日本社会党(右)

○門司委員 大方そういう御答弁をなさるだろうと思いまして、かねて国警隊長に念を押しておいたのでありますが、今日の現行法におきましても、それらに対処いたしますことのために、当初できた警察法を改正して参りまして、府県単位におきましては、必要があれば県知事がこれを公安委員会にかけて、二十条の二でありますが、その県内の市町村警察の一致の行動のとり得るようにちやんと訂正をいたしております。国家的のすべてのものにつきましては、六十一条の二を設けて参りましてここに総理大臣に指示権を与えております。この指示権は先ほど大臣が言われましたように、もし同時多発的のことが起る、あるいは一部の地方に大きな騒乱等が起る、あるいは大きな災害等が起る、警察の動員その他に対しまして、総理大臣はこれを国家公安委員会に相談して、都道府県公安委員会並びに市町村公安委員会に対して指示をすることができるというように、総理大臣に指示権を与えております。従つて今大臣の言われておりますようなことは、現行法においても行えるのである。ところがこのことが、いまだかつて日本で発動されておりません。これはこの間斎藤さんがはつきりそう言つておる。従つてもし今日の警察法に欠陥があるとするならば、私どもから考えて参りますならば、内閣総理大臣に指示権を与えて、大臣の今お話になりましたような事犯については、ちやんと一本化することができるようになつておる、それを当該その他の公安委員会に指示をすることができるようになつておる。従つてこういう事犯がまだかつて日本に発動したことがなかつた。私は法律の発動によつてなおかつ不備があるとすれば法律を直さなければならぬと思う。しかし法律においてはそういうことに備えることのために、たとえば県内においても知事にそうした一つの権限を与え、国全体に対しましても内閣総理大臣にそうした一つの指示権を与える、これらの問題がいまだに発動もされなければ、そうしたこともなかつたことによつてただちに法律を改廃するということは、あまりにも近視眼的ではないかというように考えるのでありますが、大臣の御所見は一体どうか、この点をお伺いいたします。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 これは立法のときに、昨年以来ずいぶん考えた点であります。なるほど総理大臣には指示権がありますが、一度も使つたことがない。それは事件がないからだ、今後も事件がないからと御断定になりますと、意見の相違になるのでありますが、平たく言いますれば、総理大臣の指示権と言うと非常にかどが立つわけであります。それをひんぴんとしてやれば、門司さんから、総理大臣が非常に強い権力を持つてしまつたのではないかという別のおしかりが出ると思うのであります。総理大臣の指示権というものは、品ではたやすいが非常に大げさなものになるわけであります。また社会も、こんなにひんぴんと総理大臣が指示をしなければならぬ治安情勢かというので、人心も不安になりますので、従つてもつと事務的に法律に明記した厳格な範囲において中央が指示することが適当ではないか。また穏当でもあり、穏かでもある、こういうふうに考えた次第でございます。

門司亮日本社会党(右)

○門司委員 どうも私にはわからぬのであります。総理大臣がひんぴんとしてやると困るというお話でありますが、おのずから私は今日の常識においては、どの範囲のものが一体大きなものであるか。どの範囲のものについては府県でやられるのではないかというようなことについては、おのずから国民は常識をもつていると思う。ことに今日の国家地方警察の中には科学本部を持つておりまして、これらのものには十分対処し得るだけの組織ができておるのであります。だから大臣の御心配のようなことがあるということは、私にはどうしても考えられない。大臣が指示権を持つているからひんぴんとしてこれを起しては、と言いますが、そういう事件が起つた場合には当然これを起されることがいいのである。それから同時にそういう条文がありますので、知事もそれによつていろいろな治安の確保のために尽すことができるようになつておる。これも先ほどから申されておりますように意見の相違だといえば、すべて意見の相違ということで片づけられる。全部意見の相違だ言うことになれば、なかなか犬養さんと意見が私は合わないと思いますが、意見の相違ということで片づけないで、もう少し親切にお話を願いたい。六十一条の二にこういうものを入れましたことは、御承知のようにやはり国の治安に対しては国が責任を持つという一つの大きな角度からも、同時多発的に起るような騒擾事件に対して、単にこれを国家公安委員会の運営管理にまかせておるからいいというわけには行かない。そういうものに対してはやはり国で責任を負わなければならない。そうすれば大臣の指示権というものは、あわせてここに置いておくべきであるということが、やはり一つの考え方であつたと思う。従つてこの条文をあとから入れましたこの現行法の主旨というものは、今大臣のお考えになつている趣旨とまつたく同じだと私は思う。従つてこういうものを発動も見なければ、まだ一ぺんもこの法律がいいか悪いかというようなことが考えられてもおらないうちにこういうことがあつては困る。しかしひんぴんとしてもし大臣がそういうことをやれば社会はかえつて不安を助長するようなものだというような抽象的な答弁では満足するわけには参りません。少くとも今日の警察法をこういうふうに大幅に改正しようとするには、もう少し私は親切な答弁を要求いたしますので、なお突き進んで聞いておきたいと思いますことは、一体それなら大臣は、今日の自治体警察と国家地方警察とがわかれておりますることによつて、いかなる事犯が完全に処理できないかということであります。ただ単に今の答弁では、総理大臣が指示権をたびたび発動すると、どうもそれだけ治安が乱れておるのではないかというような不安を感ずから、常時から一本にしておけばそういう不安を感ぜさせなくてもいいというような抽象的なことではなくて、私はこの条文から見て大臣がお考えになつておりますような国家的の同時多発的な事犯というものは、どういう事犯が考えられておるのか、その点をひとつお伺いしておきたいと思います。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 今の御趣旨がよくわかりませんが、念のため申し上げておきますけれども、決してぶつきら棒な答弁で、意見の違いだといつて避けるというようなことは毛頭考えておりません。できるだけ丁重に御答弁を申し上げておるので、新聞では答弁が丁寧過ぎるといつてからかわれるくらいであります。ただ門司さんの御議論が、自治に対して非常に御熱心で、私、敬意を表しておるのですが、警察の問題については断定的にお尋ねになりますので、どうも私の方も意見の相違になるのではないかと丁重に申し上げておるだけのことなんです。しかし私はあくまで今の総理大臣の指示権の行使というものは、実際的に申しておるので、抽象的ではない。詐欺事件が飛火して、総理大臣が一々指示するということは、いかにも手刀で鶏肉をさくといいますか、大げさでありまして、そういうことは政治として適当でない。従つてそういうことはふだん事務的な法律に明記したもので、普通の事務でやつて行く方がよろしいと申し上げた次第であります。これはちようど保安隊があるから警察はもつと減らしてもいいじやないかという御議論と同じでありまして、警察予備隊のときには、いろいろなときに出しても国民は予備隊だからあたりまえだと思いますが、保安隊から自衛隊になつたものを一々出せば、やはり何かものものしい物情騒然とした国だと思う心理と同じでありまして、これは国民心理の測定から来るのでありまして、決して私は抽象論と思つていないのでございます。どうぞ御了承願いたいと思います。

門司亮日本社会党(右)

○門司委員 実に奇怪な答弁を聞くのでございますが、私の聞いておりますのはそういうことではなくして、詐欺事件があつちこつち飛火したとき総理大臣の指示権を行使しようなどというようなことはわれわれも考えておりません。今日までそういうことは行使しなくても事犯は片づいておると思う。従つて事実は事実として大臣に率直に認めていただきたい。私の聞いておりますことは、先ほど大臣から事犯が起るたびに総理大臣がそういう指示をするということは、かえつて不安を助長するようなものだという御答弁がございましたので、今日までの事犯に対してはそういうものはちつとも行われていない。しかし今後起り得るであろうと考えられたものがもしありとするならば、そういうものをひとつお聞かせ願つておきたいと思うのであります。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 詳しくは国警長官の方からお聞き願いたいのでありますが、つまり門司さん自身も今までそういう現実の事態はなかつたが、しかし総理大臣の指示権というものは使えるじやないかというお言葉の裏には、総理大臣の指示権は今まで現実には起らなかつたけれども、現行法に置いてもいいという御議論でありまして、その認定では同じになつてしまつておるわけであります。われわれの方も今まではなかつたが、国際情勢、左翼ばかりではありません。右翼をも含めて物情騒然たるものが、他日ある場合その可能性はあるのでありますから、そういう場合に備える道は、総理大臣の指示権よりも、五条に明記したようなああいう制限はしてあるが、明記して警察の事務として正常に乗せて行つた方が国民心理にもいいし、また警察事務の能事化にもいいし、結局国民の治安維持のために責務が果されると考えた次第でありまして、では今までにそういうことについて事例があるかということになりますと、これは専門家の方がよろしうございますから、国警長官の方からお答え願いたいと思つております。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 この二十条の二は、まだ指示権として総理から発動されたことがないということは、たびたび申し上げておりますが、今度の改正はこの二十条の二が発動しにくいから、これを発動しやすいようにしようとか、そういう意味の改正ではございません。この点につきましては、むしろ総理の指示権の発動よりももつとやわらかい形で、五条の三号に移してしまつたのでありまして、先ほど大臣もお述べになつておられますように、府県内たくさんの自治体警察と市町村警察、しかもその犯罪対象というものは非常に密接な関係を持つて広域になつている。従つてそれを自治体警察と国家地方警察というものをやめて一つの府県警察にする。その方が日常の活動が便利で能率もいい。倹約にもなるということから、府県警察というものにいたしたというのが今度の案でございますから、従つて二十条の二をおつしやつておられますが、二十条の二をどうかえるかというのは、今度の制度の改正の眼目ではございません。

門司亮日本社会党(右)

○門司委員 二十条の二をかえるのが眼目ではないというお話でありますが、大臣の答弁は私はそうじやなかつたと思う。六十条の二を大体かえるというようなことに私どもは聞き取れる。同時に私はこの問題については、いずれ逐条審議のときに詳しく聞かなければなりませんので、これの予備的の質問でございますが、この五条の二に書いてありますイ、ロの条項については、非常に大きな隠された権限があるように私は考えられる。しかしこの問題についてはいずれ逐条審議のときに詳しく質問をいたしたいと思いますので、ここではその内容には触れませんが、もう一言この項について大臣の性格上の相違から来る欠陥を指摘されております問題について聞いておきたいと思いますことは、今日の国家地方警察と自治体警察との問題が、大臣が言われておりますように、性格の異なる警察であるということについての説明については、私どもは今までの答弁では納得ができません。もう一つこのことについて聞いておきたいと思いますことは、今日までこの性格が違う警察があつたので、この次に書いてありまする大臣の説明を見てみますと、「ために警察単位の分割より生ずる盲点の存在が、警察の効率的運営をみずから傷けて参つた次第であります。」性格の違う警察があつてそれが警察運営のための盲点で、みずから警察運営を傷つけた、こう書いてある。私はこの大臣の説明書の中にありまする、警察の効率的運営を傷つけたという点については、なかなか納得しかねるのであります。これは日本の警察が、御承知のように警察国家といわれる――警察国家ということは、裏をひつくり返してみれば、専制国家ということに大体当てはまるものだと思いますが、それほど強い警察力を持つておりました日本の警察行政というものが、こういう民主的警察に切りかえられて参りましたその間におけるギヤツプというものはあり得ると思う。従つてそれらのギヤツプがあるから、これをできるだけカバーすることのために、二十条の二が設けられ、六十一条の二があとで修正として挿入されて来て、そうしてこの欠陥を補いつつあるのではないか。従つて大臣が今指摘されております「警察の効率的運営をみずから傷つけて参つた次第であります。」という言葉は私は当らないと思う。これはやはりそうした一つの警察制度というものが大きくかわつて参りましたいきさつの間には私はあつたと思う。なかつたとは必ずしも言いません。しかしこのことは漸次是正されつつあると考えております。従つてもし大臣にしてこのことが言えるといたしますならば、その実例をここにあげていただきたい。そうしませんと、私どもただ言葉の上だけでは納得することが困難であります。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 こまかいことは長官から申し上げますが、第一に申し上げたいのは、総理の指示権の問題と、今度の第五条にうたつてあります中央からの指示権とは、むしろ今度の方が狭まつています。この点はさつき申し上げたので、長官と決して食い違つておらないと存じます。昨年御審議を願いました六条のイ、ロ、ハの、国家全体に何かかかわるとかなんとかいう文句で、これは選挙違反も入るのじやないかというような御心配もありまして、これは今度、きれいに削つたわけであります。従つて災害とか大規模な擾乱とかはつきりしてあとは通信とか鑑識とかいうような、警察の統一的な事務です。そういうようにはつきち狭めてございますから、総理大臣の指示権よりは、むしろこの方が肩幅が狭くなつておると申し上げた次第でございます。  それから門司さんの御議論を傾聴しておりますと、警察目的は、おつしやる通り同じです。住民を守り、犯罪をなからしめ、平和な町をつくる、この点はまつたく同じであります。その警察目的は同じでございますが、自治体警察、市町村の警察というものは、そこの議会にもかかりますし、そういういろいろな関係において性格があります。国家地方警察はそういう性格がありません。従つて性格が異なるという認定は、せつかくの御指示でございますが、私どもはやはり依然そう考えておる次第であります。  それから警察の単位がこまか過ぎて盲点ができる、これは昨年からしばしば申し上げている次第でございまして私どもが言わんとしている点は十分に御承知と思うのでございます。これは連絡さえよければ、そんなはずはないじやないかという御議論になるかとも思いますけれども、先ほど申し上げましたように、命令系統の異なる二つの役所というものは連絡に限度がある。これはいろいろな点で御承知と思います。一番大きい例は戦争中の陸海軍の例でもそうでございまして命令系統の違う二つの役所というものは連絡に限度がある。その現実を見抜いております私どもの立場と、理論上あるいは筋合い上行けるじやないかという御議論とに食い違いがあるのではないかと思うのでございます。

門司亮日本社会党(右)

○門司委員 犬養さんの言われるように、警察行政というものは一本でできれば一番よいのであります。政治というものは、非常にえらい人が出て独裁で善政が行われるなら、それが早くて一番いいのであります。ところが世の中には往々にしてリンクな人ばかり出て参りませんで、あまり権力を与えておきますと、権力の濫用が必然的に行われる危険性を多分に持つているのであります。民主政治というものはそれをできるだけ避けようというので、これが今日の日本の政治、行政の建前でなければならぬ。従つて大臣の言われておりますように、そういうことのためにこれを一本にすることがいいというお話がございますならば、私は先ほど抽象的に申し上げましたが、育て行かなければならない日本の民主主義であり、日本の民主警察である。その過程においてはあるいは多少のトラブルもあつたかとは思いますが、今日の時代においてはほとんどそういうことはなかろうと私は考える。でございますから、さつきから申しあげておりますように、非常に大きなそういう事例があつたか、もしそういう事例等がございますならば、それを示してもらいたい、私はこう申し上げているのです。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 非常に大きな事例とおつしやいますが、大きな事例をあげれば、この前申し上げておしかりを受けたかもしれませんが、たとえば吹田事件のような場合に、数市町村それから国家地方警察という区域にまたがつている、そういう場合に、今大臣がおつしやいましたように、これは非常に多元的な警察になつておりますから、相手は一つの意思をもつて動くのに、これに関係する方は非常に多元的なもので行く。     〔佐藤(親)委員長代理退席、委員長着席〕 そこでできるならば自分のところで事故が起らないで、他の方へ早く行つた方がいいということもありましようし、また連絡その他においても非常に不便を来した。これは市警が悪かつた、国警がよかつたというのではなしに、大きな事例としてはそうであります。そういつた大きな事例でありませんでも 日常のこまかい普通の事態に対処いたしましても、ほとんどどこが境かわからないようなところを境として、これはこちらの市の警察、これはこちらの市の警察、ここは国警、そういうふうにたくさんまたがつておりますと、警察の能率上非常に困るというのが、今度の制度改正の一番大きな点であります。

門司亮日本社会党(右)

○門司委員 今の斎藤君の答弁でありますが、事実上の問題としてたとえば吹田の事件云々ということを言われておりますが、吹田の事件等のごときは、もし問題があつたとするならば、それは是正ができるのであります。反省もされているのであります。むしろこれらの問題があるからといつて、警察の強化をする必要はないと思います。  さらにもう一つ聞いておきたいと思いますことは、大臣の説明の第二の中に書いてありますいわゆる府県警察への一本化の問題であります。現在のように自治警察というものと、国家地方警察というものがわかれておると、組織上まずいのだという大臣の説明でございますが、しかもそれは性質が異なるということになつておりますが、これは府県単位でという言葉は、先ほどの逐条説明では、府県単位ではないと説明されておる。大臣はしばしば府県単位、府県単位と言われるけれども、逐条説明の説明者は、府県単位ではございません、これは府県警察だとはつきりと言つておる。これがもし府県警察であるということになつて参りますと、府県の自治警察であるのか、あるいは大臣の言われる府県単位の国家警察であるのか、その点をもう少しはつきりしておいてもらいたいと思います。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 あなたが区別しておられる意味がよくわかりませんが、府県別にわかれておるから府県単位と申しあげたのでありまして、その性格はどうかといえば、府県の自治警察で、二つの県を一緒にやつているわけではないのでありますから府県単位と申し上げたのであります。

門司亮日本社会党(右)

○門司委員 二つの警察とこう言われておりますが、この説明書には、大臣は明らかに府県自治体警察でありましてと説明されている。大臣は自治体警察だとこう害われている。そうすると府県単位の警察とは違うと思う。これは大臣がここで説明された要旨とは大きな食い違いがある。だからこの警察は、ほんとうに府県自治警察であるのか、一体府県単位の警察であるのか、あるいは説明者は、府県単位ではありませんという言葉を使われておつたと思いますが、一体何だか性格がちつともわからないのであります。だからこの点をもう少しはつきりしておいてもらいたい。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 どうも門司さんと習つた言葉の使い方が違うのか、先ほどから非常に食い違いますが、私の言うのは、府県単位というのは、愛知県と岐阜県を合併して何の単位というのではなくて現在ある府県を一単位とした警察であるが、性格はどうかというお尋ねならば府県の自治警察、こう言つたのであります。現存する府県の県境を一つのわくとした警察だ、こう申し上げたのであります。

門司亮日本社会党(右)

○門司委員 自治体警察と言われておりますが、それならこの警察法案の中に明確に府県自治体警察という言葉が使われなければならぬと私は思うが、ただ単に府県警察という言葉しか、この法律案の内容には使われておりません。性格の問題は非常に大きな問題でありまして、将来に問題を残します。なぜ私はそういうことをしつこく聞くかと言いますと、自治体というものの性格が将来変更されようとする危険性があります。現在では自治法の中に明らかに府県は自治体であると書いてある。しかしこれがもし総理大臣が言われておるようにあるいは塚田自治庁長官が言つておりますように、知事官選ということになつて参りますと、――憲法の九十一条に、地方公共団体の長は公選でなければならないということが書いてあるが、これと反した考え方をお持ちになつておる総理大臣並びに自治庁長官である。従いまして、もし知事が官選になつて参りまして、庁県が自治体でなくなつて来るということになつて参りますと、この警察法というものは府県単位の自治体警察とは言えなくなつて来る。私はここに、ごく近い将来に実現されるであろうことに対し、非常に大きな一つの危惧を持つておるのであります。今は大臣は、説明書の中で、今の地方の自治体警察を統合した自治体警察であるというようなお言葉を使われておりますが、やがてそれは府県の性格がかわつて参りまして、明らかな国家警察になるという伏線があるから、法律上には自治体という文字を抜いているのじやないかと考えるのだが、これは私の憶測でございますか。

北山愛郎日本社会党(左)

○北山委員 ちよつと関連して。今の門司さんの御質問に対して法務大臣は、これは府県の自治体警察だということをはつきり言われておりますが、しかし、これはどこでどういうふうに言われたのかまだはつきりしませんが、国警長官は、自治体警察じやないのだ、今までの自治体警察とは違つた国家警察的のものであるということをどこかで御説明になつておるじやないですか。だから国警長官と法務大臣と重要な点で非常に御意見が違うのじやないかと思いますが、その点について国警長官の御説明をいただきたいと思います。

藤田義光改進党

○藤田委員 今の質問に関連してちよつと……。先般の質問で、私この問題に関連いたしまして警察権の本質についてお伺いしたのです。今回の警察法立案にあたりまして犬養法務大臣の考えられておる警察権というものは、国家統治権そのものではない、自治体固有の権限も加味された独特の警察権であるというような非常にむずかしい御答弁があつたのでありまして、その速記録を読むとわかりますが、あの答弁からいたしますと、ただいまの犬養大臣の御答弁は、府県の自治警察ということに多少の矛盾を生じて来はしないか。私は府県の警察というものが府県の自治警察ならば、当然これは府県固有のものというふうに警察権を定義づけなくちやいけないという結果になりはしないかと思うのです。北山君の発言にも関連しておりますから、お伺いしておきます。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 今度の府県警察は府県の自治体警察でないと私が申し上げたことはどこにもございません。これは府県の自治体警察、かように申し上げております。ただ現在の市町村警察ほどに完全なものとは言えないかもしれません。完全なという意味は、市町村の公安委員会がその警察長を任免する、費用は全部持つという点は違つておりますけれども、しかし自治体警察であることは間違いがない、かように申し上げておるのであります。それから今の藤田委員の関連質問にお答えいたしますが、一体警察権の本質は、本来地方自治から発しておるものか、国の統治権から発しておるものか、これはいろいろ学説がありましよう。しかし少くとも国の統治権から発しておるものであるということについては、これは疑いがないと思います。そのほかに本来の地方公共団体固有のものもあるかという点は、これは必ずしも学説は一致していないだろうと思います。従つてこの警察権の発生の由来という点から言いますと、全部が全部警察権は自治体本来の本質から発して来ておるということには、今の学説はなつていないということだけは言えると思います。さればこれを府県の自治体警察と言うことはどうだろうかというお尋ねでありますが、これは今日市町村の自治体警察と言うておるのと同じでありまして、国の統治権を法律によつてその部分を委任するというふうに、言えるのではないかと思います。

藤田義光改進党

○藤田委員 御答弁でございますが、ただいまの論から参りますと、今度の管区警察局あるいは警察庁というものはどういう警察であるか国家警察でありますか、自治体警察でありますか。どうも今度の警察法に規定したものには両面があるようで、自治体固有のものと統治権の部面と二つがあるというようなことでは、将来今回の法律そのものの本質に相当疑義を生ずるのじやないか。自治体の上に国家が大きくかぶさつておるという解釈もありましようが、昭和二十一年五月三日に施行されました憲法、その下にできておりまする警察法、この以後の発生過程からしますと、日本の警察には大体自治体固有の警察しかなかつたのじやないか。それが今度自治体警察というものが非常に薄れて来て、何かミックスされたような姿になつておるのじやないかというような感じがいたします。国家の性格、つまり政体の変革を占領軍によつてやられてしまつておる。むしろ国体の一部すら変革されたのが新憲法でありまして、そういう観点からしまして、私はこの問題に非常な疑問を抱いております。ただいまの都道府県警察は自治体警察であるという御解釈から行きますと、管区警察局あるいは警察庁というものはどういう性格のものであるか、簡単にお示し願いたいと思います。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 都道府県の警察は、これは都道府県の自治体警察ではありますが、その都道府県の警察は、自治体警察と申しましても、まあ国家的な性格も持つておるわけでありますから、従つてこの法案にあります通り、国の指揮監督を受ける面もございます。また都道府県の自治体警察自身の運営に直接関係のある、教養とか通信とか、あるいは装備とか、そういうものを国が直接処理をするという面もあります。また基準を示す、あるいは調整をするという面もありますから、その自治体警察が完全に働くことのできますように、国家的な面からも、地方的な面からも、両方の面から見て完全に働き得ますように、ある面においては指揮をする機関である、ある面においては指導をする機関である、ある面においてはそれらの仕事を一部手助けをする機関、こういうふうに申し上げてよろしいかと思います。

門司亮日本社会党(右)

○門司委員 それからなお大臣の説明書の中で、私はちよつと今二項に走りましたが、第二項についての大臣の法案の内容について主張する点という項でありますが、この項の中で大臣は、「警察の政治的中立性を維持することといたしたのであります。」こう書いております。警察の中立性を維持するということは、私は現在の制度ほどはつきりしているものはないと思う。しかし現在の制度が警察の中立性を欠いておるか。もし欠いておるとするなら、その点をお示し願つておきたいと思います。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 もう少し詳しく御教示願います。

門司亮日本社会党(右)

○門司委員 今日の警察制度の最も重要な点は、警察が中立を維持することのできる制度にあるということである、私はこう考えます。これは市町村の自治警察におきましても、市町村の公安委員会というものがその運営管理に当つておる。それでたとい市長がかわりましても、それによつて左右されることのない中立性を持つておる。府県におきましても、府県の公安委員会はやはり公安委員会としての任務を十分に中立的に果すことのできる、いわゆる自治体の干渉その他を受けなくても済むようになつておる。国家公安委員会におきましても、これも現実に中立性が保てるのである。ところが大臣はことさらに説明書の中に「警察の政治的中立性を維持することといたしたのであります。」というようなことを書いておるのであります。この大臣の言われておりまする言葉は、その前段をずつと引継いで参りますと、「すなわち、中央においては、内閣総理大臣の所轄のもとに国家公安委員会を、また地方においては都道府県知事の所轄のもとに都道府県公安委員会を置き、それぞれ国民を代表する委員からなる合議体の機関によつて警察庁、または都道府県警察を管理せしめることといたし、もつて警察の民主的な管理運営を確保し、かつ警察の政治的中立性を維持することといたしたのであります。」こういうふうに書いてあります。そして公安委員会の資格の制限を大幅に緩和して、さらに警察行政の民主化をはかつて行こうというように受取れるのでありますが、ここで言われます大臣の政治的中立性といものは、このまま読んでみますと、ただ案の説明かのように聞えて参りますが、実際は現在政治的中立性を十分保ち得る国家公安委員会、あるいは都道府県の公安委員会、市町村自治警察の公安委員会というものがあるのであつてこれに今度は大幅に改正が加えられておりますが、これはずつとあとの方に説明がされておる。しかしここで特に中立性を持たせるがために公安委員会の委員の資格制限を緩和したというように書いてある。しかし公安委員会の資格制限を緩和しただけでは警察の中立性というものは保てない。従つて大臣にはつきりお聞きをしておきたいと思いますことは、今日の公安委員会制度というものは、決してこの警察の中立性を侵すものではない。むしろ今日改正されようとする警察の方が、またあすかあさつて私は大臣に質問したいと思いますが、いわゆる政党警察のような形を示しておりますから、かえつて中立性を侵すと思います。かつてこれは大臣にも、この前昨年でありましたかのときにもお尋ねをしたのでありますが、御承知のように増田官房長官が、あなたの隣におりまする斎藤君を、非適任者として権限もないのに国家公安委員会にこれの更迭を要求した事実を、これは大臣といえどもお認めになると思う。そのときにやはり公安委員会がこれを拒否してそして警察の中立性を保ち得たという実例があると思う。これは私は隠すことのできない実例だと思う。またその間横浜の警察の運営管理をいたしております例の公安委員長であります近藤君の証言を聞きますと、この増田君は、あの国電の争議の際に、争議の取締りが緩慢だといつて横浜の警察長を呼んで小言を言つたのですが、これは明らかに警察の中立性を侵している。政府は今日までしばしばそういう事例を持つておる。これは実際からいうと前科者であります。その前科者がまたここで警察の中立性を維持しなければならないからというのは、私は少しおかしいと思う。だからもし大臣にして御答弁が願えるなら、今日の公安委員会制度は警察の中立性を維持することができない危険性を持つているかどうか私は今日の公安委員会制度こそは警察の中立性を保ち得る唯一のものだと考えているのでありますが、大臣はこれに変革を加えようとされているが、一体どこにその意図があるか。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 だんだんの御質疑でありまして前科者だから御信任願えるかどうかわかりませんが、この中立性ということの結論は、印刷の四枚目の裏に「かくのごとくにして政府の治安責任と警察の政治的中立性との調和をはかつたものであります」とあるのですが、これがねらいなんでございます。調和がはかれないかどうか、これはまた御意見の相違だろうと思いますが、先ほどお話の実例としての斎藤長官の問題、これは私当時関係がなかつたが、聞いております。しかしながら同時に当時でも、官房長官の上官である吉田総理大臣は、そういう人事に無理をしてはいけないという判断をなさつたのでありまして、意見を聞くということにして、あとは輿論にまつということになりました。私どもの書いたこの組織でも、輿論を察してそういう無理はなさらぬ同じ総理大臣である、こういうふうに考えておるのであります。つまり御意見の相違は、私は輿論というものの判断が非常に日本では力強い。それにまつて行くという考え方で行くことが一番よい、こういうふうに考えているのでございます。従つて今中立性をどうとかなんとかいうお話は、私のここに言わんとするところの重点が少しはずれておりまして、政府の治安責任と警察の政治的中立性との調和をはかるということが、本法案改正の一つの眼目なのでございます。また公安委員の資格を広げただけでだめじやないかというお話でございますが、私は忌憚なく申し上げまして、今の公安委員の資格というものは少し狭い。つまり非常に人格的にりつぱな方がおそろいになりますけれども、資格制限がきびし過ぎるために、万一の場合に警察がやり過ぎたりふらちをしたりする、その行政上の、何といいますか、表には見えないが裏に芽を伸ばして来る危険というものを、いち早く見抜くだけの経歴のある方がやや少いうらみがありますので、今度は官僚の前歴ある人でも入れて、どうもこれは自分の経験だと将来危険が出て来るというときに、公安委員として忠告するという方が、いわゆるたびたび申し上げましたように煙い監視者になる。そうすれば警察のわがままあるいは政府のわがままというものが万一出ましても、公安委員のチエツクによつて未然に防止されるから、そこに警察の中立性が保たれる、こういうふうな考え方なのであります。

門司亮日本社会党(右)

○門司委員 資料を要求しておきたいと思います。ずつと終りの方に経費の問題が出て来ております。従つてこの経費に関する資料をぜひひとつ集めていただきたいと思います。そのことは、各自治体警察の今日までの費用は一体どの程度になつておるのか。それから各府県は御存じのように公安委員会の費用を県費で負担しております。これは警察制度の中において、府県には警察費がないように考えられておるかもしれませんが、公安委員会の費用というものは、これは府県が事実上負担しております。従つてこの府県の公安委員会の費用というものは、一体各府県別にどのくらいになつておるのか、これをひとつ出してもらいたい。  それから同時に市町村の自治体警察の公安委員会の費用並びに自治警の費用というものがどのくらいになつておるか、これを明細に出していただきたい。  それからもう一つつけ加えて申し上げておきますが、現行のものと、この整理後三年後に一体どういう数字になつて出て来るか。それをあわせてこの次の機会までにお願いしたい。大臣の説明書を見てみますと、警察制度の一つの改革の要素として費用の節約のことが書いてありますが、それの審議の一応の資料として必要だと思いますので、これを委員長からひとつ求めておいていただきたいと思います。

中井一夫自由党

○中井委員長 今の資料要求についてはできるだけ早く御提出願います。

門司亮日本社会党(右)

○門司委員 この警察法の改正で、大臣の説明と、それから概念の問題をちよつと聞いておきたいと思います。大臣が幸い検察庁の関係でございますので、この機会にお聞きをしておきたいと思います。現行警察法をつくりまする場合には、捜査権と検察庁との関係、いわゆる検察権との関係については相当考慮をされておるはずであります。従いまして今日の刑事訴訟法はできるだけこれが検察フアツシヨにならないように、捜査権を主として警察にゆだねるという建前のもとにできておると思う。ところがこれが今度の警察法の改正のようにこれも大臣とは見解の相違と言われるかもしれませんが、少くとも大臣がこの公安委員会の長になつて、可否同数の場合はこれを採決するような、いわゆる投票権を持たなくても採決権は持つておる。同時に公安委員会の招集は、これは公安委員会は合議制ではございませんので、委員長がやるようになつておる。こういうふうに考えて参りますと、われわれの感じからいえば、本会議でも聞きましたように、どうも政党警察のようなにおいが多分にして来る。そうなつて参りますと、警察の中立性がやや薄らいで行きはしないか、警察の中立性が失われて参りますと、こういう警察行政というような犯罪を対象とした、ことに人権に最も密接な関係を持つております法律の制定にあたつては、どこかにわれわれは中立性を強く要求するものがなければならないと考える。従つて今日の刑事訴訟法と警察法との改正のときに、先ほど申し上げましたように、できるだけ職務権限というものをわけておいて、警察の中立性を維持すると同時に、人権蹂躙にならぬようにしようということで、今日の刑事訴訟法ができておると私は思う。その後二、三の改正がありまして、多少強くなつたように考えられるのでありますが、例の百八十九条以下の捜査権あるいは検察権というようなところに、ずつとそういう条項が書いてあります。従つてわれわれから考えて参りますと、もし警察がこういうふうにきわめて政党的の色彩が濃いと見られるような警察法になつて参りますと、どう考えてもそういう人権自由に関するもののために、どこかに強い中立性を維持することのできる機関をわれわれは設けなければならぬと考える。そこで今日の刑事訴訟法を改正されるような御意思があるかどうかということ、私どもはもし警察が片寄つて参りますならば、中立性を保持することのためには検察庁にある程度の、今日以上に警察を抑制する制度が必要じやないかと、われわれに考えられるのでありますが、大臣はその点をどうお考えでありますか。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣  その点は御意見私同感でございます。警察が中立性を侵しやすいとか、検察なら侵されないという議論は全然別といたしまして、やはりお互い人間のすることでございますから、いつの時代でも志の正しい人ばかりいるという予想で法律を書くと危険がありますので、これは御賛成願える精神だと思いますが、そこで今度の警察法におきましても、捜査というものについては、中央の警察庁が個々の犯罪捜査は含まないということを閣議了解事項できめております。また七十五条でございましたか、警察官と検察官の関係は刑事訴訟法によると書いてあります。もちろん第一次捜査は御承知のように警察が常時やりますけれども、捜査が競合しました場合は、警察と検察が十分の連絡をとつて話し合つた上、刑事訴訟法の軌道に乗せる、こういうことにいたしたわけでございます。従つて検察なら正しい、警察は怪しいということは私は申し上げかねるのでございますが、そこに権力と権力とのチエツク・アンド・バランスが行われ得る、こういうふうに考えております。また検察官にしろ、警察官にしろ適格審査の道も開いてございます。  それから第二の御質問でございますが、御承知のようにこの間御審議を願いまして、刑事訴訟法の改正が行われたのでございますが、あれは忌憚なく申し上げますと、何というか膏薬張りみたいなものでありまして、あれでもういいとは思つておりません。但しこれは非常に重大問題でありまして、英米法的な刑事訴訟法の考えを主にするのか、あるいは大陸法的なものを主にするのか、あるいはこのごろアメリカなどでも行われておりますように、両方の考え方のミックスしたものを用いるのかということは、引続き法制審議会に必要があればかける。またその必要があると認めている次第でございます。もし刑事訴訟法の根本的改正はいつになるかという御質問がありますれば、これはなかなか重大問題でございまして各界の権威を網羅しておりますが、相当慎重にやつて時間がかかると思います。しかし、要するに、この間の刑事訴訟法改正で、刑事訴訟法というものはもう改める余地がなくなつたとは毛頭考えておりません。

門司亮日本社会党(右)

○門司委員 実は私はその点を心配しておるのでありまして警察法をこしらえますと同時に、新しい刑事訴訟法が当時出されておりまして、この審議にあたりましても、従来日本の戦争前における検察庁の権限というものは非常に強うございまして、そうして犯罪捜査等に対してはほとんどといつていいほど、警察を指揮命令しておつたことがある。そのことのために検察フアツシヨとまでいわれるような事件によつてしばしば拷問事件その他が検察庁の指揮命令において警察が行わせられ、身近な例を申し上げますならば、神奈川県の三崎放火事件、いわゆる城ケ島の集団放火と目され、検察庁の見込み捜査によつて、これが遂に拷問事件にまで発展して、当時三崎の署長でありましたところの宮川君は懲役に行つておるはずである。さらに神奈川県の松田の集団放火事件も時を同じうして同じような線で行われておる。これは明らかに当時の刑事訴訟法に基く検察フアツシヨのなせるわざであつて、警察が非常に迷惑したことがある。このことは警察法制定のときに同じように審議を進められておりました刑事訴訟法のときには、私はかなり考えられたことだと思う。そうして今日の刑事訴訟法ができ上つておりましてこれにも二度、三度修正が加えられておりますが、警察法の改正をしようとするならば、やはりこれとにらみ合せて刑事訴訟法の改正がぜひなされなければならぬと私は思う。今日の姿のままで、これは警察法だけこういうように全面的の改正であつて、われわれは警察法の部分的な条文改正ならそんなことは申しませんが、全面改正でありまして、そうして一番重要な公安委員会制度に大きな改正が加えられておる。従つてこれはやはり国の責任において警察権の行使のためにこうするのだというお話がございますれば、やはり刑事訴訟法を今日のままで置くわけにいかぬのじやないかというように私には考えられるのであります。今の御答弁では、刑事訴訟法についてはいつ出すかということについてはわからぬという御答弁でありますが、そういたしますならば、警察法の改正だけでは私どもにはどうも納得の行かない点があるのでございます。従つて今大臣が先にお話を願いまして、いつ出すかわからぬというお話でありますが、それなら政府としてはそういう意図をお持ちになつておるということだけは了承してよろしゆうございますか。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 いつ出すかわからぬというのは、私が出したいという意味でなく、各界の権威を網羅しております刑事訴訟法その他憲法などに詳しい学者、弁護士会の代表者その他を網羅しておりまして、この人たちに厳正な審議をお願いしているわけであります。学者的良心に富んだ人でありますから、なかなか慎重にやつておる。またこういう大問題は、私は急ぐべきものではないと思つておりますので、その意味で、いつになるかわからぬというような無責任な意味でなく、慎重なる研究でありますから、相当時間はかかるであろう、こう申し上げた次第でございます。  それからいわゆる検察フアツシヨという問題でございますが、今度の刑事訴訟法の改正でも、逮捕状の請求の問題が大問題になりましたが、これは御承知のように結局結論において警察対裁判所の関係が濃厚でありまして、検察官は非公式に意見を述べるというふうになつておりますから、この点では門司さんの御心配はそう濃厚なものにならないで済むのじやないか、こう考えております。

門司亮日本社会党(右)

○門司委員 私が心配しておりますのは、これは大臣の考え方とちよつと違うようであります。私の考え方は、この警察法が政治警察的といいますか、非常に政党警察的な色彩を持つております。従つてこれをカバーするといいますか、チエツクすることのために、今の刑事訴訟法では不十分じやないか、あまりにもこの警察に捜査権一切を持たしておるということが大臣はまつたく逆な立場に立つておりますので、考え方が違うのでありますが、われわれは少くともそういう懸念がございますので、警察法を改正しようとするならば、やはり同時に刑事訴訟法というようなものも並行して改正して行つて、まつたく落度のないようにする方がいいのじやないか、こう申し上げたのであります。もし大臣がそうすることの方がいいというお考えなら、この警察法をひつ込めてもらいたいと思う。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 ひつ込める気は毛頭ございませんが、よくわかりました。国務大臣が国家公安委員長をしておるから、警察が国家警察的になる、そのチエツクする要素としての刑事訴訟法をもつと改正する必要があるのじやないか。この問題は、このたびは、ただいま申し上げましたように、検察官と警察官の関係は刑事訴訟法によると書いてございますから、捜査官がきわだつて競合対立する場合は、刑事訴訟法によるわけであります。この点で御心配の点は十分間に合う、刑事訴訟法の改正というのは、そうでなく、一体英米法的なものをどう清算するか、大陸法的なものをどう清算するかという根本問題が主になつているのでございます。従つて当座の御心配たる警察の国家警察化をどうやつて、片方の権力をチエツクするかということは四十二条及び閣議了解事項で十分に行ける、私はこういうふうに考えておるのでございます。

中井徳次郎日本社会党(右)

○中井(徳)委員 ちよつと関連して。この点につきましては実はこの前にも法務大臣にお伺いしたのでありますが、途中で関連質問がありまして、ほかの方にそれてしまつたのでありますが、私どもの考えといたしましては、現在一番必要なものは警察の組織よりも警察官の教養というふうな問題、その点についてはこの前法務大臣も大いに同感の意を表されたと思います。そこでこの刑事訴訟法の改正はどうだと言うたら、改正する意思はあると言われた。実は率直に申し上げて私も多少法律は勉強したのでありますが、現在の日本の法律の中で昔から一番ややこしくて、むずかしいのは刑事訴訟法、そうしてあまり興味もありません。法文としてこれを読むときにはわれわれだつてそういうことなんであります。従つて現在の日本におります十三万の警察官全員に、そういうものをこまかく教えるというふうなことはとても困難である。私はむしろそれよりも――まあそれと似たようなものでありますが、この際警察官の職務執行法というふうなものを一括をしておつくりになつたらどうかというふうな実は素朴な考え方を持つております。この点は外国におきしても、こういう法律がぼつぼつできかけておるということを聞いておる。ドイツは最近分割されましてその後警察制度も大分かわつたようでありますが、最近二、三現われております。ニーデルザクセンその他の警察関係におきまして、組織と同時にその執行について、警察官はこれこれのことをしてはいけない、これこれのことをやるべしというふうに一括した、そういうものができておるように私は伺つております。まだ正式に法文を全部見たわけではありませんが、そういう意味で私は現在の日本の情勢におきましては、まずそれをやつて国民の全般の人に安心をさす、私どもの考え方はあくまで国民の警察であり、民衆のための警察であるという建前から行きますと、どうしてもそれが先になるのではないか、かように思うのでありますが、そういう点についてひとつ御意見を伺つておきたいと思います。

斎藤昇国家地方警察本部長官

○斎藤(昇)政府委員 ただいま中井委員がおつしやいましたことはよくわかりましたが、警察官の職務の執行につきましては御承知のように警察官職務執行法、これは簡単な法律でありますがそれがございますのと、そのほかにただいまお述べになりましたいわゆる刑事訴訟法の手続に従つて犯罪の捜査をする面は、ほとんど刑事訴訟法及びそれに付属するものに限られておるわけであります。捜査以外の点についての職務執行の仕方は、職務執行法という一つの終戦後つくつていただいた法律にあるわけであります。おつしやいましたように刑事訴訟法は、犯罪の捜査の仕方が非常にむずかしい、そこで警察官の犯罪の捜査規範というものをつくりまして、そしてこの刑事訴訟法の手続に従つて行くことに関しまして、その心がけから一切の事柄の捜査規範の中に織り込みましてわかりやすくして警察官に持たしているわけでございます。大体ただいま御意見にありましたような事柄は、そういう方針で実際処理いたしておりまして警察官としてはこれを見ればわかるというのができておるのであります。

中井徳次郎日本社会党(右)

○中井(徳)委員 今できておるというふうなことでありましたが、現実の警察官の活動を見ておりますと、必ずしもその通り行つておらぬ、かように思います。従いまして終戦後のどさくさの間につくつたものでありますならば、もう一度この際そういうものを一ぺん洗つてみる必要がぜひともあるのではないか、かように思うのであります。組織よりもその方が先だと思いますので、私も警察官の職務執行法の内容について詳しく読んだわけではございませんけれども、もう少し民衆と接触のいい、この点は自治体警察におきましては、逐次そういう形になつて進んでおりますが、われわれが一番心配いたしますのは国警の関係であります。これは過去におきましても上司への報告その他に警察官は非常に上手であります。上手でありますが現実は必ずしもそうではない。この間からの各種の事例におましても、国警長官その他はそういう事実はないというし、全国では至るところにそういう事実があつた。どちらがほんとうであるかというようなことになつて来るのでありますが、そういうところにやはり問題が依然として残されておるように私は思います。ぜひともこの点は強力に考えていただきたい、かように思います。  本日は関連しましてそれだけにしておきます。

犬養健自由党法務大臣

○犬養国務大臣 ただいまのお話私も御同感でございます。私無学でドイツの執行法をまだ読んでおりませんが、つてを求めて読みますし、平生から警察官の教養の科目など、もつとつつ込んで勉強してできるだけの努力をしたいと思います。私も外国で警察官が普通の身なりのあまりよくない人に対しても実に親切で、うらやましく思つた体験がございますので、これは真剣に御質問をごもつともと思いまして実行してみたいと存じております。

中井一夫自由党

○中井委員長 それでは本日はこの程度で散会をいたします。     午後五時五分散会

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