地方行政委員会 第19号
- 発言数
- 76 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1954/02/27
会議録
○中井委員長 これより会議を開きます。 まず警察法案及び警察法の施行に伴う関係法令の整理に関する法律案の両案を一括して議題とし、質疑を行います。質疑の通告がありますので順次これを許します。中井徳次郎君。
○中井(徳)委員 まだあとにも残つておりますが、本日のところは二、三点だけ犬養さんにお尋ねをしたい。この間今回の警察法の提案理由の御説明がございまして私きわめてまじめに謙虚な態度で説明を承りました。本会議と委員会と二回にわたりまして承つたわけであります。御趣旨は今回の警察法の改正は非常に重要な改正であるということ。特にこの中で声を張り上げて、大きく重点的にお話なさつたのが三点ばかりあつたように私は伺つたのです。第一は、現在の警察制度は自治体警察と国家警察と二つある、それで自治体警察は自治に走り過ぎ、国家警察は国家本位に走り過ぎるから、そのまん中をとつて、府県単位の自治体警察をつくるということが一つ、それからもう一つは、現在の警察制度は非常に不経済であるというところで声を張り上げられたように、私は記憶しております、それからもう一つは、大いに能率的にやれということ、大体この三点のように承りましたが、間違いはありませんでしようか。率直に伺いたい。
○犬養国務大臣 お答え申し上げます。特にそこだけ声を張り上げたかどうか、記憶にございませんが、あるいはやじなんか多いときは、まだ血のけがありますので、つい大きな声を出したかもしれませんが、これは御了解を得たいと思います。しかし御指摘のこの三点はむろん枝葉の問題ではないと存じます。逐次申し上げてみたいと存じます。
○中井(徳)委員 いや、もうけつこうであります。きようはその三点だけちよつとお尋ねいたしたいと思うのですが、そういたしますと、今度改正なさろうという警察の組織であります。これは自治体警察なんでございますか。
○犬養国務大臣 昨日もこの点でいろいろ御質疑がありましてこのたびの委員会の論議の中心になると存じます。政府といたしましては自治体たる府県に属する警察は、国家警察か自治体警察かと言えば、自治体警察である。それならばなぜ国家公務員が上の方にまじつているか、こういう昨日の御質疑でございますが、これも失礼ながらついでに御説明申し上げます。大体毎日行われている普通犯罪、交通問題、衛生問題などは地方にまかせます。一般の基準とか調整とかいうことは中央でやりますが、実際の運営は地方でやります。これが毎日国民の目に映る警察の仕事の実態だと思います。しかし毎日国民の目に映らない国家的な事務、つまり暴力をもつて社会組織を破壊する政治手段をとる、これはあながち左翼ばかりではありません、右翼もございます。それらの事務あるいは大仕掛の災害に処する道というような国家事務、一般の調整事務は中央でやる。その事務をやるために、府県単位の自治体警察の中に国家公務員を、多くて一県に四人、少い場合は二人くらいになるのじやないかと思いますが、二、三人まぜる。ここがまた御議論の一つの中点になると思いますが、政府といたしましては、これを要するに、府県に属する、府県の管理する自治体警察だ、こういうふうに解釈している次第でございます。
○中井(徳)委員 それではもう一つお尋ねいたしますが、そういたしますると、今府県は自治体なんですが、これがもし国家機関になつた場合には、政府はどうなさるんですか。
○犬養国務大臣 塚田自治庁長官がそういつたとか、総理が旅先で言つたとかいう問題で御心配だろうと思いますが、私は知事が官選になるという頭でこれを書いておりません。また今内閣がそういうことをやつているということは、私の確認している限り、関知しておりません。万一そういう場合に、今の警察制度が不適当であるというときは、また御審議を願うこともあるかと思います。しかし今は知事官選ということを秘密裡に、それを隠して警察制度をこういうふうにしているということは、これだけは絶対にございませんから、御承知願います。
○中井(徳)委員 私がお尋ねいたしましたのは、謀略的なことをやつているというのではなく、現在の日本の情勢から見て、今の府県が自治体であるかどうかということに私は実は疑問を持つている。犬養法務大臣は、今の全国の府県の独自の財源はどのくらいあつて、国から与えられた財源はどのくらいあるか、その比率を御存じでありますか。
○犬養国務大臣 確実な何割何分ということはただいま承知しておりませんが、国家の金にたよつている部分がずいぶんあると思います。しかしそれでもなお国に属する機関とは思いません。国家に相当金をたよつてやつてはおりますが、地方自治の精神は各府県とも健全でありまして、できるなら地方から財源をもらう、またそういう運動もあります。政府も、地方に財源を与えて国家が金の上で地方に関与している部分をなるべく減らしたいという努力はしております。何しろ敗戦後、いまだ数年ならずして、国家の創痍は財政的にも多うございまして、きわめて変態的な府県の財政状態になつておると思います。これが最終的な一番いい状態とはだれしも思つていないのではないかと思います。 知事官選ということは、今申し上げた通りでございますが、かりにどんなことがあつても——かりにと言うと、いういうもくろみがあるように響くと、また誤解を生じますが、万一そういうことがあつても、警察官の肩書その他の府県との関係はかわらないとわれわれは思います。
○中井(徳)委員 その点は私と大臣とこの問題だけでももう少し論じたいと思いますが、現在の自治体は、率直に申しまして法制的には自治体である、しかし財源的には、ほとんど府県はもう完全に国家機関的性格を実は帯びておるのです。今度の改正で法制的に自治体の一角がまたくずれる、それさえくずれるというふうな感じを実は私は持つのであります。地方自治体の首長は公選でないというか、今これは県できめられているのであります。首長だけが公選であつてその部下が国の官吏であつていいということはあの憲法の精神からいつても私は出て来ないと思う。皆さん警察関係の方はそれでないと困るとおつしやいます。しかしそれならばほかの省であつてもそうでございましよう。建設省は土木部長を握つていなくちや困ります。農林部長は農林省との関係がないと困るのであります。現在日本全国の各府県の九割までは国の金をただ動かしておる。あなたは県会において大いに警察問題を論じられると言うておられるますが、論じられる範囲は今や非常に狭い。警察官一人あたり十七万円とか、十八万円とか大体そういうものがきまると、それをそういじるわけに行きません。そういう状態にあります。どうして警察だけ警察隊長は国から任命しなくちやならぬかというこの理由がわからない。自治体をもつと育てるという根本的なお考え、この現行の制度ができましてからまだ六年ですよ。そうしてその間に——あなたは法務大臣になられてから間がないのですが、この制度を改正しようという努力が内閣で行われたことはありません。なるべくほつたらかしておいて、なるべく欠陥を露呈させておいて一挙にやろうという、私どもいなかにおりまして非常に不愉快に感じておつた。これは実に多いのですよ。たとえばこの制度ができまして、警察官というものは横浜の警察官は東京におつてはいけません。そうでしよう。今の国家警察はほとんど全部その所在地が自分の地区じやないのです。東京に警察署があつて、それじやどこを治めているかというと、十里ほど先の横浜を治めているという姿が非常に多いのです。なぜこれを六年間ほうつておいたのか、それをちよつと聞かせていただきたい。
○犬養国務大臣 まず最初に府県会のことを申し上げますが、これは金額は十七万円で事柄の幅は狭い、いかにも仰せの通りでございます。たとい十七万円でも府県民の血税によるものでございますから、そういう府県民が血税を出し、警察が府県のことを考えず、国家警察的なことをやるならば、たとい十七万円はおろか一万円でも出さない。こういう議論が国会でもよく行われますように、府県会でも行われる。それが府県民を代表する府県会による警察運営に対する国民の監視になる、こう申し上げた次第でございます。もう一つは府県の公安委員会がやはり警察の運営を監視監督しますから、これがまたチエツクの機関になる、こういうふうに申し上げたのでありまして、どうもそれは骨抜きの機関だとか、いろいろ御批評はございましよう。しかしこれは見解の相違という部分もできて来るのでございますが要するに政府としては府県の公安委員と府県会の制約によつて、府県民による警察の民主的管理の十分な余地ができて来る、こういうふうに考える次第でございます。それじや建設省の土木関係、その他農林省にもそういう例がありますが、それはみんな国家公務員にしなければならないという筋合いのものじやないか、一応ごもつともだと思うのでありますが、これは土木やその他と事柄が違いまして、二つや三つの県に同時に起る擾乱、あるいは二つや三つの県に同時に起る災害というようなものに対してはもう一触即発でありまして、ただちに国家的立場から各府県に指令をしなければなりません。昨日申し上げましたように、長崎県、福岡県、熊本県に同時に擾乱が起りますならば、ほうつておけば長崎県は長崎県のことを一生懸命守ろうと思う、他の府県も同様であります。これは人情のしからしむるところであります。それを中央から見まして、こういうふうにしろ、長崎県から三千名熊本県に応援に行つて、中央は大丈夫だと思うというような全面的な考慮からの指令というものが必要であろう。この指令はただ横と横との連絡ではどうも今までの何十年来の官庁のくせを見るとうまく行かない。そこでごく少数のこういう仕事をする者に限つて国家公務員にしようという考え方でございますので、この点の是非善悪は率直に御批判を願いたいと思います。政府としてはこれが正しいということで御審議を願つている次第でございます。 それから法制的には地方は自治体であるが、財政的には国家のお世話になつている部分がある、今でさえ相当中央官庁的な色彩がしみ込んでいる、その通りでございます。しかしこれは何といいますか、わざと栄養不良にして自然死を待つて、中央の統一した政治をやつて行こうというような御趣旨のように承りますが、私はそう思いません。やはり地方自治というものは健全でなければ、一国の政治というものはうまく参りません。また警察のことも昨日ですか、大屋委員が御指摘になりましたように、警察がただおいこらといばつていて犯罪が検挙されたり、治安が維持されるものではなく、やはり府県民が自分とつながりがあると思えばこそ協力するのでありまして、その点では今申し上げたような二、三の国家公務員以外は全部地方公務員にしまして、これが毎日府県民の目に触れる。警察の運営はそこでやる。ただ府県民の自意識と少しかけ離れている大仕掛な国家的事件を扱う意味において中央が指令する、こういうふうにわけて考えている次第でございます。
○中井(徳)委員 それからこれまで自治体警察と国警が隣合せておりまして、過去六年間国警はその所轄の方に移らなかつた。あなたは御存じないかもしれませんが、地方に参りますと、国警と自警が隣合せて住んでおつたり、同じ庁舎に住んでおりましたりして、国警が自分の管轄のところにいないで、自治警の所在地にいる。そういうことを六年もどうしてほうつておいたのですか。
○犬養国務大臣 これは六年というお話が出ましたが、大体物事の改革というものは私は二、三年でやつてはいけないと思います。急いでやりますと行き過ぎたのをもどすつもりでも、どうしても人間のやることですか、今度は復古調といいますか、そういうふうになりやすい。物事の改革というものは、これは意見の相違になるかもしれませんが、私は五六年はやはり見なければならぬ、今その時期になつたのではないかと思うのでございます。御指摘のように警察の指令所在地が輻湊しておつて、妙なことになつております。であればこそ府県単位にして指令所在地などの輻湊した点なども、この際きれいに一掃しよう、こういうふうに考えている次第でございます。また万一のことはここに次長がおりますから、次長の方から御説明いたさせます。
○中井委員長 なおこの機会にちよつと申し上げておきますが、本日政府側の出席者は犬養国務大臣、谷口国家地方警察本部次長、それから柴田総務部長、山口警備部長、これらの人々でありますから、さよう御承知願います。
○谷口政府委員 簡単にお答え申し上げます。中井委員の御意見の通り、国家地方警察はその管轄の区域といたしましては、いなかの地方の部分を管轄いたして来ておるのであります。しかも御指摘の通り、そのヘツド・クオーター、本部は県庁の所在地たる都市にあるというような実情が今日までずつと続いて来ておるのでありまして、その点ただいま中井委員のおつしやいましたように、六年間どうして放置しておつたかというような御疑念もあるわけでございます。しかしながらこの点につきましては、ちようど現行の警察法の二十八条にも書いてございまするように、この国家地方警察の本部は都道府県の県庁の所在地に置くという規定がわざわざ法律にも設けられておりまして、御承知のように、管轄区域は地方でございますけれども、国家地方警察の機能といたしまして、いろいろな機会に大臣あるいは長官から御説明いただいておりますように、あるいは通信の面、あるいは鑑識の面、あるいは教養施設の面、そういつたような面について、自警の方の警察機能も含めて、管理をいたすというような機能も持つておりまするし、また必要な場合に、自警の力が足らない場合に、国警に対して応援の要請を受けるというような機能も持つておりまするので、その中心の事務所といたしましては、都道府県の県庁の所在地というようなところに置いて来たような次第でございます。以上事務的に御説明申し上げました。
○中井(徳)委員 今谷口さんから御返事になつたのは、どうも県庁の所在地を言うておると思うのです。私が言うておるのは、その下の警察署なんです。県はもちろん県庁の所在地におらなければ不便でしよう。警察署はどうして自治体警察の所在地に六年おつて、ちつともかわらなかつたか、これを聞いておるのです。
○谷口政府委員 御指摘の点取違えをいたしまして、おわびをいたしますが、地区署の所在地につきましては、御指摘のようにダブつておるところもございますし、あるいはダブつていないところもございます。ダブつておりまするところにつきましては、そこに置いておきますことが、先ほど来申し上げまするような自警、国警の連絡というような点から申して、これの方が適当であるというような考え方から今日まで続けて来ておるような次第でございます。
○中井(徳)委員 実際これは初めから、占領政策でもやめになつて二、三年したら、また昔に返したい。そのためにはなるべく近くにおつて、ぐずぐずとやつておれば、一般国民の方からも、えらい警察はむだじやないかというように考えられるというふうな意図が、私はこの点ははなはだどうもひねくれた考え方なんですが、やはり警察官吏の上層部にそういうような考え方があつたのではないかと実は今でも疑つております。そのときの説明は通信網がないということであつた。通信網なんというものは非常に簡単なんです。そう金のかかるものでもございません。無線も持つて行ければ有線もつなげる。六年間、現在の警察制度で何とかしてうまくやる方法はないかという努力の跡が案外見えなかつたということを私は申し上げたい。 もう一例申し上げます。県に公安委員会というのがある。県の公安委員会というのは国警の公安委員会である。従つてその公安委員は、大体国警がまわります範囲の地区の中から選出さるべきものでありますが、全国ほとんどそうではありません。むしろ自治体警察の所在地の人を国家公安委員に任命しておる。初めからずいぶんひどいことをやつておる。それについて六年間ちつとも国が指導しておりません。ほうつてあります。それから犬養さんは、府県会でも血税であるから十六万円でも十七万円でも大いに張り切つて論議されるであろうと先ほど言われた。私どもそれを望みますが、全部府県民税とか県税でまかなわれておるのならば、それは大いにやりましようが、実情はそうじやない。政府からの補助金が足りないのだ足りるのだということでほとんど議論になると思うのです。従つて今全国の府県知事は一年のうち半分ばかり東京にいる。このこと事態がもう自治体であるかどうかということについて、私ども実は疑問にしておるのです。従つて犬養さんは中間の自治体警察とおつしやつたが、そうじやなくて問題は地区の広さだけでないのですか。私はむしろそういうふうな考え方なら法務大臣の御説明として一応その点は考えてもいい。ただ中間の自治体警察であるという考え方はどうも少しおかしい。われわれは自治体警察であるとはどうしても思えない。特に吉田さんは官選を言うたとか、塚田さんがどうだとか言いますが、これは率直に申しまして今の日本の内政は非常に混乱を来しております。従いまして県を廃止して道州制というような考え方も出ております。地方行政の審議会、委員会等におきましても、この問題はデリケートであるからあまり大きく言うていないだけの話でありまして、その道の専門家はほとんど全部一致して、府県の地域は狭過ぎるということになつております。あなたの方でも二、三の府県を連絡するために警察地区本部を置くという考え方はやはりそうなんだ。そうしておいて、そういう府県でなおまた隊長を国が選ぶということは、どうもこの点私は納得ができない。しかしきようはこの点はこの程度にしておきます。 次に、今度は大いに経済的に能率的にやるということでお尋ねしたいのですが、経済的にやるということは、結局三万人の警察官を減らすということだろうと思うのでありますが、大体そう承知してよろしゆうございますか。
○犬養国務大臣 そればかりでございません。施設などが大分ダブつておるところがございますから、この整理が自然とできると存じます。 それから、きのう大矢委員の御指摘になつたことでございますが、この整理というのは、だんだん何となく自治警だけ整理してしまうのではないか。それは私は非常に公器をもてあそぶものだと思います。整理の割合というようなものは、それこそ国民の批判のもとに、府県会の批判のもとに、公安委員の方で公正にやりたいと思います。 それから府県議会の機能についてのたいへん非観的なお話でございますが、たとえばもう十日ぐらいになりますか、東京の非常に大きなある新聞の解説がありまして、その中で政府の今度の案、特に任免権その他について大分しかられました。しかし今度の案では、府県会が公然と警察のなすところを批判するから、それはプラスになる。しかしあまり府県会が今度はそういう点で権力を持つて、警察署の場所をきめる問題とか、人事の問題などで府県会が介入しすぎて一種のボスができる方も心配しなければならぬというので、その大新聞の解説の論調は、むしろ府県会が今度公々然と府県民にかわつて警察のなすところを監視し論議するかわりに、ボスができるのではないかという心配までしておりました。そういう意味で、府県会が公然と警察の日常なすところを批判する効果というものは、政府ばかりでなく、言論機関も認めておるように私は思つておる次第でございます。
○中井(徳)委員 その点はなるほどおつしやるように、府県会はこれまでタツチしなかつたのがタツチするようになりました。しかし現在はそのかわりに、市会なり町会なり村会はもつとはつきりとやつておるのです。ただ国警においてはやつておりません。私たちの意見は、今警察が二つ同じ町にあるとかいうふうなことですから、今の自治体警察をもつと広げろというような意見なんですが、これは見解の相違とおつしやられるのですが、実は見解の相違ではなく、私は国民に対する認識の相違だと思うのですが、きようはそれに触れません。 経済の問題でこういう形になると、遠い将来において、二年かかるか五年かかるか知りませんが、国警並びに自警が三万名減る。それは非常にけつこうなことですが、今の制度でも三万名くらいすぐ減らせる。その点どうもわからない。今東京の警視庁は、大体人口何人に一人の警察官でございましたか、ちよつと谷口さんにその点を伺います。
○谷口政府委員 東京の警視庁につきましては、警察官一人当りの人口は二百十九名でございます。
○中井(徳)委員 私は二百十九名という少数に一人とは実は思つておりませんでした。あの制度ができましたときには二百七十人くらいだろうと記憶しておりました。東京が二百十九名に一人なら二百十九名にしておきますが、大阪は三百五十名に一人、中小の都市は六百五十名に一人というふうにいろいろ段階をわけてきめました。それは予備隊警察も何もないときであります。そこで今の段階ではそんなにいりません。そこへ財源の方でしぼりますから、実は三万名というのは定員の問題だろうと思いますがどうですか。実員の問題ですか。定員の問題でしよう。
○谷口政府委員 定員でございます。
○中井(徳)委員 現在すでに大阪の警視庁あたりでは、昨年から千名で三億円ばかりを大阪だけで節約しております。何も現状で節約できないということはない。これはひとつ政府から勧告をなさつたらよろしかつたと思います。これも先ほど申し上げましたように、過去六年間今日あるを期待してちつとも勧告をしなかつた。この点について過去をさかのぼつて言うようでありますが非常に私は残念に思います。このごろ耐乏生活にまで至つておりまして、その当時にありましては二百十九名、三百五十名という数字が出たのでしようが、それが直つたら、とたんにこういうものは変更さるべきではないか。その意味で現在各都市では、やり切れませんというのと、案外治安が穏やかなところがたくさんありますから、定員は八十名であるが実際は六十名しかおらぬ。定員は百五十名であるが実際は百二十名しかおらぬというような自警はずいぶんたくさんあると思う。その辺について資料があつたら、ちよつと聞かせていただきたいと思います。
○中井委員長 今の御質疑に関する資料ですが、お出しになりますか。
○谷口政府委員 出します。
○中井(徳)委員 これを整理をすると九十億円の節約になるといいますが、もうすでに大分減つております。九十億円というのは、ちよつと多過ぎるように実は思います。従つてこの警察制度をやることによつて、非常に経済的になるということは出て来ないと私は思うのです。法務大臣が非常に声を上げておつしやいましたけれども、はなはだ残念ではあるが、そんなことに思いますので、ぜひともその点は検討を願いたい、かように考えます。
○犬養国務大臣 この点でちよつと申し上げたいのは、できるだけ警察というものは、いわゆる拷問的なことをやめなければならない。そうすると科学捜査の鑑識とか、いろんな機械を使わなければならない。今では自治体警察でも相当いい機械をお使いになり始めております。私も非常にけつこうだと思いますが、科学捜査の面をふやして、できるだけ昔のようなやり方を減らすということになりますと、これは御承知のように非常に金がかかります。ますます今後かかつて行くと思います。今後ますますそういう経費がかかつて行くのに、二重の負担でやつて行くということは——同じようなものをそれこそおつしやるように同じ町内に並んで持つということになりますと、今よりももつと将来は施設その他で経費がかかるというふうに見ておるわけでございます。これは相当大きいロスではないかと考えておる次第であります。
○中井(徳)委員 その点も日本で一台あつたら全部間に合う機械というのは、そうたくさんあるわけではありません。東京でもいれば、大阪でもいる。現に効果をあげておるのは、パトロールの制度であります。これは非常に効果をあげてやつております。順次いなかの自警にもこれが流れて参りまして、やはり人件費を節約しまして、自動車を買つたり、オートバイを買つて、連絡をよくしておるという形で、現在どんどん進んでおるわけであります。その意味でどうも政府の三万名の節約で九十億浮くというのは、少し大ふろしきではないかというふうに存じます。 もう一つ能率の問題についてちよつと伺いたいのですが、どうも伺つておりますと、非常に非能率である。たしかにそういう点もありまして、数日前も法務大臣は、社会党の議員からどうも自治体警察のことについて、国警担当の大臣の犬養さんの責任を問われて困るというようなお話がありましたが、(犬養国務大臣「いや、そうは言いません」と呼ぶ)実は私自身も同感なんです。私一年生でありますが、国会に出て来てみますと、何んでもかでも自治体の末端のことまで政府当局に聞いておる。民主主義というのは、そういうものであつてはならないという点では実は私も同感なんです。従つてそういうものを国が一本に持つてしまうのではなくて、そういう質問をなくするように努めるのが、ほんとうだろうと考えておるのであります。そういう点で能率というのは、やはり国民から見た能率のよさでないといけない。たとえばどろぼうが入つたのですぐ通知をしたところ、すぐに来てくれて非常に親切であつたというのが警察の能率であつて、上司が命令したら一挙に報告が出て来たというのが能率のすべてではない。報告で人が生きたり死んだりはしません。二重橋事件は連絡が悪かつたのではない。警察官の一人一人の教養が足らなかつたのです。人の命を大事にするという基本的な考え方が足りなかつた。民衆の訓練ももちろんですが、私はそういうものをあまり遠慮せぬで考えてみたらどうかと思うのです。そういう意味であなたのおつしやる能率化というのは、何か政府が何から何までわかつておるということであるとしたら、私はどうも近代民主国家の姿として納得できないものがあるのですが、そういう点についてひとつお考えを伺いたい。
○犬養国務大臣 今のお話は全然同感であります。ボタン一つ押して何でも報告が集まるという警察制度では、能率はいいかもしれませんが、能率だけが警察ではない。あまり能率的に過ぎることが民衆に畏怖心を与えるということは、確かにお説の通りであります。公安委員のことを申しましたのは、私の表現の悪かつたせいかとも思いますが、実はそうではなく、何か事件が起つたときに私が呼び出されることは、義務と思つていといませんが、国務大臣だけに聞いて公安委員にも一通り聞こうという声が野党の方にもないのは、無意識的にこういうことは国務大臣に聞く方が、責任が明確になるという常識があるのではないか。そうなると警察問題で責任を明確化しろという筋合いも、あながち野党のおつしやるほどふらちなものではないのじやないか。国民はやはり国務大臣の答弁を小さいことまで望んでいるのじやないか。一々公安委員がなぜ欠席しているのだという声がないのは、常識的にそう思つておられるのじやないかと、こう御了解申し上げたのであります。どうぞ誤解のないように……。
○中井(徳)委員 そういう常識というものは、やはり逐次改正して行くという努力がないといけない。そういう声が出るとそれに乗つかつてしまつて非常に安易に行く。あなたは制度というものは二年や三年でかえてはいかぬとおつしやつたが、私は実は五年や六年でかえてはいかぬと思つておるのであります。私は明治四十年生れでありますが、明治陛下がなくなられたのをわずかに幼いころに記憶しておりますが、そのころ私のいなかでまだチヨンマゲを結つている侍が五、六人おりました。またお歯黒がたくさんおりました。制度というものは五、六年やつてみてまた元へもどせでは、あまり簡単過ぎる。この敗戦の結果安易にもらつた、それをはいさようならと明日からかえようとしても、すつと行くものではありません。これはやはり大いに努力して行かなければならぬ。私が残念なのは、先ほど申し上げましたように、人員の問題一つにしても、警察署の問題にしても、現内閣において努力が行われずして、簡単に昔の方がよかつたというふうな考え方が支配しておることであります。しかもつき進んでみますと、暴力関係ということをしばしばおつしやいます。しかし極右にしても極左にしても警察で治まる問題でないことは、私はこれ以上申し上げませんけれども、あなた自身が過去において、よく御体験になつておることであります。私はこの問題はまだどうもすべてに通ずる思想が納得できないのであります。その点をひとつお伺いいたします。
○犬養国務大臣 あなたのお考え方は私は敬意を表しているのです。ほんとうに正しく思つて言つておられるというお気持はよくわかります。ただ二、三申し上げますならば、そういうふうに何となく国民も思つている、それに乗つかつて公安委員会を弱体化するというのではなく、逆にそれではどうして国務大臣だけを呼んで公安委員を呼ばないのだろうかと、静かに考えてみますと、今の制限があまりきびし過ぎる。先日藤田さんからも御指摘がありましたように、あまりきびし過ぎまして、結局お医者さんと宗教家ということになる。まことに尊敬すべきお仕事の人でありますが、つまり警察のわがままとか、ふらちとかを眼光紙背に徹するような見方をするといいますか、そういう経験という方ではいかがであろうか。それだからときどき浮いているという声も聞えるので、今度は資格を検察官と警察官の前歴ある者を除いてふやす。そうすればあなた方の御心配のように、万一警察のなすことがわがままであり警察国家的であれば、そこで手きびしい批判も行われ、管理も行われるだろう、実はこういうふうに考えた次第であります。 それから制度によりましては五、六年という尺度が短かい場合があると思います。たとえば憲法などはやはり相当慎重にしなければなりません。日本民族が自分で考えてした仕事は、たとえ欠陥があつても、どこかに日本民族として正しい必然性があると思いますが、この警察制度は、ちようど今と違いまして米ソ間が折り合つて、日本は非常に弱くてよろしい。米国が占領していればいいのだという時代の所産でありまして、少し警察単位が細分化され過ぎている。これを急いではいけないと思つてずいぶんながめて来ましたが、どうもこの辺でかえた方がいいのではないか、こういうふうに考えたのでございまして、あるいは時期の判定ということでは、御意見の相違になるかとも思います。 それから警察制度だけでもつて治安の維持ができないことはもちろんでございます。お打明け話を申し上げますならば、今度必然的にデフレ政策をとる、これは正しいと思つております。その場合に失業者が出る。従つて治安当局としては、職安の職員などを行政整理で減らさないでくれ、失業対策費も原案よりふやしてくれというような発言をして参つたようなわけであつて、治安というものは、今御指摘くだすつたように、総合政策によるべきものであり、ことに社会政策などが前進しなければならぬと私は考えておる次第でございます。
○西村(力)委員 関連して。中井委員の制度そのものをそう簡単にかえるべきじやないということは、私たちもその通りと思うし、また大臣もその通りと思われると思うのです。それについて日本の警察というものが自分の立場で、実際の今の制度の体験を経ておるかどうかという問題です。これは地方のCICの手先になり軍政部の手先になつて、日本の制度自体による運営というものは全然できてない。昨年法務委員会におい明白になつた鹿地事件の問題を取上げましても、斎藤国警長官は鎌倉の何とかいうところに行つて始終連絡し、かつ指示を受けておるかどうかわかりませんが、とにかく出入りをしておつたということは、山田某によつて証言されておる。そういう点を見ますと、日本の警察は現在の制度で自分たちの立場で運営されておるかどうか、経験はまだ一日も持つてないのじやないか、かように思うのです。そういう経過を経て来ておるのに、いかにもそれが現状に合わないというがごとき理由を付して改正に向うということは、われわれとしてはあまりに早計ではないか、こう思いますので、軽々にしてはならないというばかりではなく、軽々にするにも何も、自分自身体験を持つていないで、今改革に向つているのじやないか、こう思われる、その点に対する御見解は……。
○犬養国務大臣 最初に、国警長官がどうしたということは私は信じておりません。これは本人が来て十分言明いたすと思います。 次の問題はごもつともでございます。私も過去における占領政策というものがどんなによくても——あるいはアメリカの占領政策は、近代史では、占領政策だけのわくからだけ見れば上できの方だと思います。日本が支那でやつたことや何かから考えますと、上できだとは思いますけれども、占領政策というものは、そこに必ず他民族から言えば思い違いというものがあるわけであります。御指摘の点もその一つだと思いますが、御承知のようにそれであればこそ私は法務大臣として刑事裁判権は完全にとりもどすということを、あくまで固執してその実現を見た一人であります。今後はそういうことはあり得ない、それも脱皮の一つの方便であつたと思います。従つて御指摘の点は占領中にいろいろあつたといううわさを聞きます、真偽の点は存じませんが……。今後いやしくもそういうことのないように、刑事裁判権については、完全に独立国たる面目をとりもどすことに全力をあげたい次第でございます。
○西村(力)委員 答弁が欠けておるようであります。私の言わんとするところは、自分自身の判断や何かで運営をした経験を少しも持つていないと私は思うのです。それであるから今改正をしなければならぬという論拠というものは成り立たないのじやないか。二、三年で改革してはならないというならば、あと二年くらいはどうしてもやらなければ大臣の言うことも、また成り立たないのではないかと、こう思うのです。その点に対する御答弁を願いた。
○犬養国務大臣 これはこういうことになると思います。戦争前及び戦争中の警察の弊害は、あなたもずいぶん御体験があり、私も多少体験があります。それから戦争後今申し上げた占領政策の一環として実現した現行法、これもなかなかいいところがあります。しばしば申し上げますように、警官というものが民衆に親しんだ功績は確かに現行法にあります。この戦争前及び戦争中のお互いに身にしみた弊害と、戦争後における利点とをにらみ合せて、そうして今申し上げたように警察単位があまり小さ過ぎたその弊害を除去して行こう、こういう三つのことを考えたのでありますが、もう二年ほど考えた方がお前なおよかつたということは、一応一理もございますけれども、結局その時期の認定というのは、お互いの勘の違いということになるのではないか、しかしできるだけそのことの改革を慎重にしろという御指示に対しては、原則的には私は全然同感でございます。
○中井(徳)委員 先ほどの御答弁のうちで、公安委員会の話がありました。公安委員会の委員の選定の範囲を拡げる、これは私ども社会党といえどもあえて反対ではなかろうと思います。今範囲を拡げて権限も拡げるのかと思つたら、権限は小さくなるというんじやどうも少しおかしい。犬養さんは府県の公安委員会は今度は行政管理もやるとおつしやるかもしれませんが、かんじんかなめの隊長の任免権がない。勧告権はある。勧告権などというものは——私は非常に心配になるのですが、今の内閣のことは申しませんが、非常に極右極左の内閣でもできまして、今のこの新しく出ておりまする法案を百パーセントに利用してやりましたら、これは何でもできます。今の内閣だつて、きようは目の前に置いて何ですが、これはひどいことになります。大体今の日本の憲法は英米に近いものになつたのですが、警察法もそういうふうになるのがあたりまえです。昔の警察は大陸中心というふうな、大体ドイツあたりのものが案になつた。その警察制度をまた昔に返す。これは憲法の建前からいたしましてどうも違う。今の公安委員会をそれほど重要視されるなら、さらに信用されてやられる必要があると思うのでありますが、その点をちよつと……。
○犬養国務大臣 一応ごもつともでございます。この点はこの間どなたかに詳細に申し上げたのでありますが、国家公安委員と府県の公安委員との間に、ふだん絶えず連絡会議を開きまして、そしてそのときに常時隊長のなすところを報告してもらう。任命のときに事あらためて聞きますと、いろいろ情実ができますので、ふだん絶えず採点といいますか、採点というのが語弊があれば、どういう人物でこういうところがいいとか悪いとかということをためておきまして、国家公安委員は任命のときにその材料をもつてやる。東京の向うから、ふだん寝ころんでいて、一度会つたがあいつは感じがいいとか悪いとかということでは私はいけないと思います。ふだん府県の公安委員と常時連絡会議を開くように定めまして、そうしてその材料によつてやる、こういうふうに考えておる次第でございます。従つて勧告だけじや何でもないじやないかとおつしやいますが、そこはどうも議論が違つて来るのでございまして、いやしくも警察本部長が、府県民の代表である府県公安委員会から罷免懲戒の勧告権を発動されるということは、新聞紙にも出ますし、非常な輿論の反映になるわけでございます。これは私内部のことを申し上げて恐縮ですが、検事正とか次席検事あるいはその他の検事などの人事異動のときにも、土地でかねてうまが合つておつたかどうか、いろいろ美点と欠点を聞いてやつておるわけでございます。そういうように検事の場合、何にも制約がないのでありますが、そうしなければ実際うまく行かない。任命したらそれで済むというのでなく、任命は出発点であります。それから在任する限り毎日々々府県民とうまを合せて行かなければならないのでございまして、その府県民から懲戒罷免に値すると言われたら、もう本部長としての生命は実際失われる、こういう輿論の効用というものを、私はあなたより少し感じを多く入れておる者なんでございます。
○中井(徳)委員 どうもこの点は、そういうお気持になら、その通りはつきりとそれを法文にお出しになつて、公安委員会の任命ということになすつた方がいいと思いますが、しかしこれは全部に反対なんですから、こういうのは小さなことなんであります。最後にちよつと伺つておきますが、刑事訴訟法を改正するようなお気持はお持ちはございませんか。
○犬養国務大臣 御承知のように、ついこの間刑事訴訟法を改正いたしましたが、これは根本的改正でなく、運用のみをもつては行かないよくよくのところだけつまんで改正したのでありまして、いわば外科手術のようなものでございます。根本的な問題はまだたくさんあると思います。これは法制審議会に引続きかけておりまして、根本的改正は他日いたしたいと思いますが、事柄の性質上、すぐ今国会はもちろん、次の国会にも必ず出る運びに、法制審議会の答申がなるかどうか、これはちよつとまだ未定でございますが、あれで能足れりと思つていないことは明言いたしたいと思います。
○中井(徳)委員 どうも今のお話を聞いて、私は実はますます非常に心配になつたのであります。現在刑事訴訟法にいろいろな欠陥があるからこれを直さねばならぬという声は、たくさんあります。それはちようど警察がいかぬから直さねばならぬ、しかしその奥にあるものは、どうも昔の方がやはりよかつたからという考え方がある。それに対して努力をしない。今の刑事訴訟法はなかなかりつぱな点があるのです。ただそれに警官の方が、自分たちが努力をしないからついて行けない。今の警察制度の最も重点は私はこんな組織ではないと思います。警官が新しい民主主義にもつと徹してもらうということであります。 ひとつ一例を申します。実は私この二十一日に国に帰りまして、いろいろな用事がありましたので、届をして二十三日まで休んだのでありますが、二十三日朝、国警から次席さんが電話をかけて来まして、一ぺんお目にかかりたい、こう言われる。私がおりますところはもちろん自警の所在地であります。実は国警の次席さんとは碁の友達でありまして、たいへん強い人でありますので、それはまあ大いに来てください、参りまして、友達として私は聞いたのだろうと思つて、応待をしたのでありますが、今度の警察法はどうなるでしようか、というふうなことでありまして、一時間ほど話して帰られました。次席さんにつきましてはそういうことで、これもへりくつを言いますと、この緊迫した政情の中にあつて、重大な警察法案について、代議士が国に帰つて、それを地方の一地区の次長がお前の意見はどうだと言うて来ること自体が、もうすでに問題になると思いますが、それに一人警察官がついて参りました。私もまあそこに長くおりましたから、その警察官は私の顔を知つておるのでありましようけれども、しかし私はその警察官は知りません。私も警察と相当関係がありますから、一人や二人来たつて別に何でもありませんが、そのついて参つた警察官が、一時間ほどの話の間に入つて参りまして、私は何のたれ兵衛ですと言うたこともなければ、帰りに際して、何のたれ兵衛でありましたと言うたこともない。黙つて来てすわつて、黙つて帰る。これは一体どういう態度でありますか。これは私であるからよろしゆうございますよ。これが一般の人であつたらどうでございますか。何か怪しいやつが来てすわつておる。これが私は現在の警察官の教養の程度だと思うのです。どこのうちへ行つても、私は名前も知らぬ男と一時間すわり合つておつたことはちよつとありません。ことにそれが警察官です。こういう人の教養を高めないと、制度なんかかえたつてだめです。そんな連中がどろぼうをとらえてみたつてすぐ逃がすのです。ピストルを持たしたらすぐ暴発するでしよう。まずこれをやらなくてはいけません。それで行かなければ制度をかえなさい。私はそう思う。だから昔の警察制度でこり固めろと言うのじやない。昔はあいさつしたでしよう。入ります、何の太郎兵衛ただいま帰ります、こう言つた。新しい警察ではそんなことを言わぬでもいいと言つたら今度は黙つてしまつておるというのでは、おまわりさんが何万人おつたつて、ほんとうに民衆のためにはならぬと私は思う。これはあなたがよくおつしやいます日本人の性格で、上の人の言うことはよく聞く。だからこそ私どもはそれを改正するために努力しなくてはいかぬのであつて、言うことを聞くからそれに合つた制度にせよといろのでは、私はどうもあまり味気ないように思うのであります。従つて教養のことも大いにやるとおつしやるでありましようが、ちよつとやそつとのことでこれはできませんですよ。これだけは私はつきり申し上げておく。制度をかえて警察がよくなるなどとお考えになつたらとんでもないことです。制度をかえる前に、まだまだ私は必要なことがあると思いますが、きようはこれくらいにしておきます。
○犬養国務大臣 大分議論をやり合いましたが、今のお話は完全に御同感でございます。ついでながらで失礼ですが、よく教員の人のいろいろなことを調べるということについて、両院でひんぴんと御質問がございます。中には多小誤解もありますので、これからその点を申し上げるのですが、たとえば今あなたの御体験になつた通り、近所で心やすくしている警官が教員の家へ遊びに行つて、ときにどうだ、というようなこと、これは警察の意識からいえば取調べるのではなくて、心やす立てに聞くということでありますが、非常に感じが悪い。そういう問題について私は、警察官の教養ということを、今までも足りませんが、一生懸命でやりたいと思つております。今のお話が万一事実でありますならば、すこぶる御無礼であります。その御無礼を御無礼と思わないようなことが万一ありますと、これは根本的な問題でございまして、私は警察官の心構えをかえないうちは、制度をかえてはならぬというような御口吻には多少異論はございますけれども、少くも同時にしなければならぬ。先ほどの二重橋事件のことでも人命ということを何よりも考える、この点はまつたく御同感でありまして、この点はどういうふうにしたら一番効果があがるか、真剣に私は考えてみたいと思つております。 〔委員長退席、佐藤(親)委員長代 理着席〕
○佐藤(親)委員長代理 北山君。
○北山委員 この警察法を審議する際には、やはり内容の問題もそうでありますが、この法案を出して来た政府の考え方、こういうことについていろいろな角度からわれわれはたださなければならぬと思つているわけです。数日来のこの審議を拝聴しておりまして、大臣その他の御答弁の中で、いろいろ注目すべき御答弁があるものでありますから、その点について二、三お尋ねをしたいと思うのです。 まず第一に、二重橋事件というものを法務大臣は引用されまして、それを当委員会等で問題にした。そしてその席に大臣が呼ばれたということは、委員会の方でやはりこの問題の責任が大臣の方にあるというふうなことを常識的に考えているのではないか、警察の問題は公安委員会であるにかかわらず、大臣を呼んだということで、この委員の考え方の方に、どうも責任を転嫁しておられるようであります。その点についてちよつと申し上げたいのですが、委員会としてはあの問題は、単に警察の問題だけとは考えておらないわけです。また警察の関連する問題としましても、たとえば政府が今度の警察法の法案の作成なり提案にあたりましては、昨日お尋ねしました結果、担当大臣というものをきめておられるので、その限りにおいてはやはり大臣に来ていただいて、いろいろなことを聞くということは一向さしつかえないのであつて、それがわれわれの誤解に基いておるのでないということをはつきり申し上げたいのです。それと同時にあの事件は、広い意味でやはり政府の責任があるのではないかということ、これは単に警察だけではなくて、あの際に宮内庁の次長を呼んでいろいろ事情を聞いたのでありますが、これは地方検察庁の方の発表にもあります通りで、やはり二重橋の方の鉄橋あるいは宮内庁前の広場というものの設備、そういうことにも欠陥があり、そういう不完全な設備のもとで、ああいう参賀を受けるというような受入れ計画を作成してやつたところの宮内庁ないしそれに関連する政府当局に、責任があるのではないかというふうな問題もあるわけでありまして、そういうことをわれわれは総合的に検討し、かつ調査をして、一応の結論を出したのであります。その点ひとつ大臣としても誤解のないようにお考えを願いたい。しかもあの際に、いろいろ調べた結果われわれが感じますことは、あの事件の警察に関する部分について、皇宮警察、これは国警の所管でありますが、それと警視庁の連絡等につきまして、連絡も不十分だつたということは認める。しかしそれは機構が二本建になつておるということから必然的に起るものではなくて、むしろ現在の護衛警備計画などの取扱い方を見ましても、天皇の護衛とかそういう方に重点が注がれておりまして、そして参賀に来られる一般の人民の保護という面には、少し注意が足らなかつたのではないか、事前の用意が足らなかつたのではないか。またその現場における適切なる措置というものにも欠けておつたのではないかというように思われるのでありまして、これをただちに今度の警察法改正によつて、一本化をしなければならぬという一つの例にとつて来るということは、これは私どもはさように考えておらぬわけです。この点について、私どもはそういうように考えておるのでありますが、大臣としてどのようにお考えになつておるか、御答弁を願いたい。
○犬養国務大臣 大体あなたの御観察に同感でございます。二重機事件について国務大臣を呼ぶのはおかしいと申し上げたことは一度もございません。私の言い方が不十分だつたのでございましよう。あの事件に私をお呼び立てになるのは当然であります。従つて私はその責任を非常に感じまして、ただちに武末皇宮警察本部長にやめてもらつたわけでありますし、責任を感じましたので病院の一人々々の負傷者を全部私はお見舞をいたしまして、いまだに治らない方々に対しては、今でも病状について連絡、お問合せを継続中でございます。従つて責任を感じておる証拠なんでございます。問題はそうでないのでありきて、いろいろの問題が起るときに、公安委員をお呼び立てになると、お前なぜ出て来ないかというような声がわれ人ともに少いのは、大切であるべき公安委員の組織ももつと強いものにしなければならぬし、あるいはお互いが潜在意識的に、大臣の方で答弁すれば満足するというような——これはあなたじやないのです、従来の伝統がそういうふうになつておるという意味で、むしろ公安委員というものをもつと潜在意識でなく意識に上して、資格のしつかりしたものにしよう、また監視役になり得るように視野を広げたい、こういう意味で申し上げたのでありまして、二重橋事件の御観測は書き取りましたが、全部御同感でございます。警備計画にも私は甘いところがあつたと思います。さればこそ本部長にやめてもらつた次第でございます。また人命というものについて、ふだん国警当局もやかましく言つておりますが、私はやはりあれが足りた証拠にはなつていないのであつて、その点も非常に責任を感じておるのでございます。連絡の悪かつたことも確かにございますし、委員会もそうお認めになつておるのでございますが、これは結局自警側の連絡が悪いというのではなく、国警側の連絡が悪いというのではなく、二つの命令系統によつて、どうも日本人はそこがうまく行かない。だから警察制度をかえる原因にしたとは申しません。しかし一つの観測材料にはなると今もつて考えておる次第でございますが、その他の点は全然御同感でございまして、人命、つまりあそこに参賀に来る人々の人命ということを、もつと今後真剣に考えなければならぬという点は、率直に認めておる次第でございます。あのときの発言が不十分なために、北山さんの誤解を招いたようでございますが、真意は今申し上げた通りでございます。
○北山委員 実は私はちつとも誤解してはおらぬのです。先ほど来のお話、二重橋事件は別としましても、公安委員会をなぜ呼ばないのかというような御意見があるようです。しかしこれは今度の警察法の提案をされた政府側においても、公安委員会というものを抜きにしてやつておられる。警察法の作成なりあるいは提案について、やはり政府側としても公安委員会を軽く見ておるのじやないか。委員会がそうであるのじやなくて、政府側が初めからそうであるのであつて、そういうふうに委員会の方にだけ、考え方が今まででも少し焦点がずれておるというような言い方は、間違いじやないか。この点もひとつ大臣にそのお言葉を少しかえていただきたいのです。
○犬養国務大臣 これは私が承服できないのでありまして、委員会というものを私はそういうふうに思つておりません。ただ一般の傾向が、いろいろな警察に関する事故が起つたときに、公安委員のことがまつ先に頭に浮かばない傾向がある。これは公安委員というものの資格を拡充して、公安委員がまつ先に頭に浮かぶようにしたいと申し上げたつもりであります。それから公安委員と相談という点でございますが、昨年は大勢で非常に目立つはでな御陳情がありましたが、ことしは昨年よりももつと形式的でなく、内容的な御陳情があります。たとえば私の自宅に大勢見えて、かなり長くお話があつた。大勢見えるときは、名刺を国会へ通じて、十分か二十分でお帰りになるというのがありましたが、ことしはむしろ小人数ではあるが、長くこまかく御陳情がありました。現に昨日もある大都会の自治警の首脳幹部が会いたいというお話で、私は総理官邸で会食の予定がありましたが、やめて、こちらでゆつくりお目にかかりました。そういうふうにお申出があるときは、一、二の例外はあるかもしれませんが、ひまのある限り、いなひまを都合して、お目にかかつて伺つている次第でございます。そういうわけで、公安委員を軽んじているというようなことは、また申してはかどが立ちますし、そんなことは念頭にございませんので、この点御了解をいただきたいと思います。
○北山委員 次にお聞きしますが、保安隊と今度の警察法改正というふうな関係であります。これは昨日ほかの委員から質問がありまして、それに対して大臣はお答えになつておるわけであります。この点は保安隊を今度四万何千もふやすのだ。だからこの警察の方はそんなに強化しなくてもいいのじやないかというような質問に対しまして、大臣は、今度の保安隊の増強というものは、直接侵略に対抗するための増強である、これは世人一般の常識でもある、であるから今度の保安隊の増強というものとは切り離して、警察の強化をはからなければならぬ、さようにお答えになつたと思います。ところで私も実は保安隊については、大臣と同じような考え方を持つておる一人なんです。ところがこの前の国会ですか、参議院の予算委員会で吉田首相が、保安隊をふやすのだから、警察は減らしてもよろしい、こういうことを言われておるはずです。また緒方副総理も何かの機会にそういうことを言つておる。そこで私は自治庁の長官に、そういうふうな関係であるかどうかを聞いたのです。そうしたところが、やはりこの保安隊の今度の増強というものは、治安維持力の強化である、だから警察官は三万は減らしてもいいのだという答弁をされておるわけです。そういたしますと、大臣の考え方と自治庁の方の考え方とは、食い違つておるのじやないか。大臣の方では、今の保安隊の増強は一向治安維持には関係がないから、警察法はやつぱり強化しなければならない。別個に考えなければならぬ。ところが自治庁の長官は、それはやはり関係がある。保安隊をふやせば、何としても治安維持力の強化であるから、これはやはり警察を減らす理由になるのだ、こういうお答えなんです。そこに非常に食い違いがあるのですが、その点をひとつこれは私委員長にも申し上げたいのですが、昨日この警察法の審議に際して、自治庁の長官なりあるいは責任者に来てもらいたい、これはこういう問題が至るところで審議の途中で出て来るから、私は要求したわけでありますので、その点については委員長の方で、警察法の審議について、自治庁の方にも必ず出席してもらうようにおとりはからいをお願いを申し上げます。
○加藤(精)委員 大臣の御答弁の前に、いろいろ大臣の御発言等にからんで、いろいろな質問がこの間中から委員会でありますので、それについて私の率直な意見を申し上げまして、しかる後に大臣から御答弁をしていただくことにいたしていただきたいと思うのであります。たいへん横暴なことでございますが、お許しを願いたいと思います。 この数日間の質問を見ますのに、今度の警察法のできの悪い点もあるかもしれませんが、できのいい点をも否定して、ことさらにできを悪く解釈しておるような傾きがあるように考えられるのでございます。たとえば保安隊の問題等も、これは私たちの体験からいたしまして、私たち地方で市町村の役場をあずかつたりいたしておつたのでありますが、そういう際に、全国同時多発的に日雇い労務者が理事者つるし上げの指令が出ますと、役場に殺到して参ります。私たち市役所におりますときには、市役所のすぐわきが自治警察署でございますが、殺到して参りまして、理事者をつるし上げにいたします。共産系の朝鮮の人を含んだ大衆が役所の至るところに殺到して参りまして、絶対に理事者が外部に出られないようにしてしまいます。これに対して自治警に連絡いたしましたも、とうてい兵力が足りないので、(笑声)これは何とも手のつけようがないのでございます。隣の都市の自治警察からトラツクで警察官が応援に急送されますと、そのころにはすぐ解散してしまう。今度は隣の都市の警察官が隣の都市に帰つてしまいますと、またどつとやつて来る。こういうような場合には何ともこれはいたし方ないのでありまして、そういうような分子は、往々にして秘密党員を含んだ党の組織グループに指導されておるのであります。かかる状況はまことに無政府にもひとしいのでございまして、大体現行の警察法が、憲法六十五条でしたか、「行政権は、内閣に属する。」という規定から見まして、現在日本警察を全体として世話する場所がどこにもないというようなことは、現行法そのものが憲法違反ではないかと私は思つておるのであります。徳田球一が、戦前においては日本の共産党員は一千名を越したことはないと言つているにもかかわらず、現在は共産党に投票する投票は百万を数えております。また大体共産党員が十万名、そのシンパ二十万名、北鮮系朝鮮人の共産系の者が六十万名、そのうち最も固結のかたいいわゆる民戦というのが十三万名、祖防と称して、独身であつてきわめて過激なる者が五千名、こういう国家を破壊しようとする、転覆しようとする敵が従来の一万倍もある場合において、大体現行の警察法は、とにかくマツカーサー元帥がある程度日本の弱体化を促進するためにやつたのをそのままにほつておいて、そうしてそういう者を跋属させるということが、はたして愛国心に富む言辞かどうか私は疑うのであります。それでどこまでも私といたしましては、そういうふうな本筋をはずさないで、よりよき、より執行力のある、より国家を守る警察を形成するための御努力のもとに、御質問をされたらいかがかということを考えるものであります。なおそれに関連いたしまして、今度の新警察法において、かかる国家破壊の犯罪が戦前に比して二倍とか三倍半とか、そういうことは別としましても、この国家破壊活動の因子、すなわち敵兵が一万倍にもなつているのに対しまして、こちらの警察の兵力の方が戦前の五割か六割ぐらいしか増していないというような現状ではたしていいのか。この背景に対して警察官を非常に減少するというようなことは、私は与党でありますが、大反対なのでございまして、そういうことはこの警察法改正の理由にしないでいただきたい、こういうことを感ずるものでございます。大阪の警視総監は非常に優秀な人材ですが、現在の警察の最も欠陥とするところは、敵が非常に多いにもかかわらず、味方の兵力が非常に少いことだと言われておるのでありまして、そういうことは、現在の破壊活動の地下及び地上の活動状況を真に生きた目をもつてながめる政治家としては——大阪の警視総監は政治家ではないけれども、これは政治家にしたつて惜しくない人物だと私は思つておりますが、政治家であれば、大阪の警視総監よりもはるかによく政治を見なければならぬ。その政治を見たときにおいて、どうも私は警察官の数が多過ぎるという御議論は、中井委員の御議論にも反対でございますし、政府が何か縮減しようとするようなことは、私は反対でございます。その点について、大蔵当局から要請されてやむを得ずに警察官の縮減をするのかどうか、そういう点もあえて質問をいたしたいのでございます。それから中井委員さんはおそらく大体わかつておつて質問されるのだと思いますが、地方の農村等のまん中に、人口五万とか十万とかの核になる都市があります。そこに自治体警察と国家警察とが並んでいる。並んでいるのは当然なのでありまして、日本の昔の都市の発達から見ましても、御城下町があつてそれに幾つもの街道が入つている。私の生れた土地のごときは、十二の国県道が町を中心にしてラデイエートしておりまして、みなそこに入つて来るのだから、そこに自治警察ばかりでなく国家警察もあるのが、最も民衆の利便にかなつたあたりまえのことです。このあたりまえのことをお聞きになるということは、非常に貴重な審議の時間にどうかと思うのでありまして、それに対する国警の次長さんの答弁もまた振つている。この国家警察と自治警の連絡のためにそういうところに特に置くのだということは、これは国警本位に過ぎたお考えでありまして、政治の大局をごらんになつて御答弁願いたいと思つているのでありますが、その点についての私の意見に賛成かどうか、私の意見がはたしておかしいかどうかという点につきまして、大臣及び国警の次長さんに御答弁を願いたいと思います。
○佐藤(親)委員長代理 ちよつとその答弁前に、犬養国務大臣の北山君に対する答弁が残つておりますから……。
○犬養国務大臣 北山さんにお答えいたします。総理大臣と自治庁官との談話あるいは、答弁は、答弁も別々で、時間も離れておりますので、そういうふうにおとりになることも一応ごもつともでありますが、御説明申し上げれば御了解を得ると思います。これはたびたびわれわれの話題に出ておりますから、率直に申し上げます。総理大臣及び自治庁長官——自治庁長官は行財整政理という別の立場で言つておられるのですが、総理のは総合政策から言つておられると思います。これは終局的議論で正しいのであります。つまり保安隊というものを増強しておけば、めつたにはないが、非常に大仕掛な擾乱事件のときには、この直接侵略を防ぐ任務をも今度含ませた保安隊の力を借りられるという意味で、その保安隊の力と量を勘案して警察の方は減らすことができる、こうわれわれは考えたのでございます。先日の御議論はそうではないのであつて、系乱事件などは保安隊をすぐ使えばいいじやないか、こういう御議論なのでありますが、非常に大きなものには保安隊を使つて、警察はそれを勘案して、今度警察の人数を減らすわけであります。それで足りるのである。保安隊を使つても、われ人ともに国民も少しもふしぎを感じません。しかしちよつとした小さな擾乱事件、同時多発的ではあるが、ちよつとしたそれほど一々保安隊を使わなくてもいいじやないかというような事件には、なるべく警察でやりたい、こういう意味なんでございます。そういう意味でこの間の風水害などは、保安隊が出ていかにもたいへんだめになる、当然だ、保安隊はやはりいいところがあるというような話を九州の人がしておられたというが、これは保安隊が出てよいという国民常識に合つていることと思います。しかし警察予備隊から保安隊になりましたならば——たとえば警察予備隊が宮城前なら宮城前で警備をする。これは警察予備隊でありますから、あまりふしぎでない。しかし保安隊で直接侵略をも防ぐというような装備強化したものを、ちよつとした擾乱事件で使うということは、私の政治責任で反対なんであります。いかにもバルカンあたりにある小国によくあるできごとのようで、国情騒然としますので、なるべくそれはできる限り警察を使いたい、こういう言い方をしたわけでありまして、御説明申し上げた原因と事情がまつたく別なのでありますから御了承願いたいと思います。
○北山委員 まあ、それをわけてお答えになつたわけですが、しかし問題は、大臣は、保安隊の増強というものによつて、あれは目的が直接侵略に対抗するいわゆる戦力的なものだ、兵力的なものだ、軍隊的なものだというようなことで答弁をされておるわけであります。しかし今までの話によりますと、それはやはりそうであるが、治安維持力の強化にもなるということもお認めになつておるようでありますが、その通りですか。
○犬養国務大臣 当然でございます。子算委員会における総理と改進党の代表との質疑応答を見ましても、直接侵略にも——「も」という字を入れておるのでありまして、もちろん国内の治安維持にも、大仕掛の擾乱を意味するでございましようが、それも任務としております。それにプラス——前の任務を抹消するのではありません。それにプラス直接侵略をも含むというような質疑応答がありましたから、直接侵略にも応ずるような装備強化をやるだろう。そこで実際の常識論として、そういう装備強化を、ちよつとした中型の擾乱事件、小型の擾乱事件に一々出すのは、私の政治感覚として、方々によくあるような、小国の国情騒然たる騒ぎに似るので、これはかえつて民心を不安にするから、そういうことはできるだけ警察力でやりたい。しかし大きな国の安危にかかわるような事件の場合には、保安隊が出ても、国民だれもふしぎに思わない。その場合の保安隊の質及び量を勘案すると、ない場合よりは減らせる、その減らせる量はどのくらいであるかというと三万人が妥当だろう、こういう結論に達したわけでございます。
○北山委員 そこで保安隊の方はそういうお考えだ。ところが今度は警察の方に対する考え方なんです。保安隊のそれに関連して、一体今度の警察法というものは——警察の公安警察的な機構ですね。その機構を強化しようというところに目的があると思うのですが、いかがですか。
○犬養国務大臣 どういう御質問かよくわかりませんでしたが、今度は警察の質をよくして、そうして御反対のようでありますが、府県単位に一本化すれば、数も減らせて能率が上る、こういうふうに考えたわけでございます。それからただいまの御質問をもう少し詳しく御教示願いたいと思います。
○北山委員 前のやつに関連してと言つたので、ちよつとわかりにくかつたかもしれませんが、問題は、今度の警察法の改正というものは、特に公安警察、国家的な事犯に対する秩序の維持というような部分の機能について強化しよう、そうして中央の統制力を強くして行こう、こういうようなところにやはりおもな目的があるのではないか、こう思うのですがどうですか。
○犬養国務大臣 お答えいたします。その点に限つて第五条で幅をちやんときめて法律に明記して、その幅においては中央の指示、指令事項というものをはつきりしよう、それだけの権限を持たそうと考えた次第でございます。
○北山委員 そこで私は先ほどの自治庁の方の見解との食い違いというものがやはり残ると思うのです。それは自治庁の長官もだつたと思いますが、青木政務次官もたしかそう答えられた。要するに今度の保安隊の増強によつて、やはり治安維持の力というものもふえるのだから、そこで警察は減らしてもいいのだ、ということは、警察の方の治安維持能力はふやさなくてもいい、少くとも減員してもよいというような趣旨にお答えになつた。従つてその点についてはどうも大臣のお考えと若干食い違いがあると私は思う。この点は一方の当事者の方が御出席になつておりませんから、さらに自治庁の方に出ていただいてその考え方をただしたい、かように考えるわけであります。大臣の御意見については一応了承いたしました。 〔佐藤(親)委員長代理退席、委員 長着席〕
○犬養国務大臣 ちよつと北山さん、御了解を得るために——北山さんの御疑義はごもつともと思いますから、もう一度申し上げます。つまり保安隊というものが直接侵略防禦をも兼ね、間接侵略防禦のもともとの任務を持つて、今度増強する。私はその潜在的な圧力というものが、騒擾の勃発防止にやはり効力を与えていると思うのです。その意味で最終的な結論、つまり保安隊を増強しない場合なら、三万人というのは減らしにくいけれども、保安隊が強化されたから三万人ぐらい減らせるだろうという関連性はあります。ただ私の言うのは、保安隊を実際使う、私の任務のもとにおける応援要請の場合、保安隊というものが今度は強くなつておる、非常に装備がよくなつた、そうすると擾乱というものもめつたにできない、こういう効果がある意味において警察隊の最終的——保安隊がない場合にはふやさなければならないものも減らしていい、こういう関連性はあるのでございます。私の言うのは、応援要請の実際において、一々装備を強化した保安隊に出てもらうということは国情騒然として見えるから、その意味においては、できるだけ警察でやつて行きたいから四万人とか五万人とかかりにおつしやつてもそれはだめだ、こういう意味でございます。
○加藤(精)委員 関連して。ただいまの北山君と法務大臣との御論議を非常に有益に拝聴しておつたのでありますが、先ほど私申し上げましたごとく、全国に共産党の方から指令があつて、日雇い労組の各都市の理事者のつるし上げというような一つの指令があります。その場合に、先ほど申しましたように、一つの自治警察では警察の能力が少いので、とうてい手がつけられない状態がたびたび起る、こういう場合に隣接の警察から応援を得るのであつても、なおかつ相当ひまがとれまして、私、市長をしておりました時分に三時間も四時間もつるし上げをされた経験があるのであります。そういうような場合に、私の山形県の鶴岡市の例をとつてみますれば、保安隊は隣の県の秋田市と新潟県の新発田にしかいない、こういう場合、とうてい急速なる破壊活動的な全国的な指令に基くところの騒擾の鎮圧はできない。理事者が暴力団のようなものから身体の自由を拘束されるというような事態に、占領後のわが国の国民は無神経になつておる。この無神経になつた、無政府状態のようなものを放置しておる、この無神経になるということが、すべての政治のうまく行かないもとであり、日本の愛国心が発生しない原因であり、同時に西ドイツのように復興しない原因である、かかる場合、とうていこういうものを容認することができないからこそ、今度警察法を改正するのじやないか。保安隊では平素そう破壊活動分子の内偵、調査、捜査その他の手当はしていない、そういうことはおそらく北山委員にもおわかりになつておられると思うのでありますが、そういう点につきまして、大臣は自信を持つて——保安隊と警察と任務が違うところもある、ごく細部のところには警察でなければ手が及ばぬ、共産党はどんな小さな地区にも細胞をつくつておる、労働組合にも細胞をつくるし、また一つの市町村のどの小さな部分にも細胞をつくつておる。そうして細胞ごとに指導グループを持つておる。こういうものに対処するのに、何県に一つしかないような保安隊のステーシヨンでは、とうていこれに対して、この無政府状態の現出を防ぎ得ないことは当然じやないかと思う。それらに対しまして、法務大臣としては自信を持つて、この実際の警察と保安隊の業務の実情から、どうしても保安隊だけではだめだということを、勇敢に御答弁いただきたい。こう考えております。これに対しての法務大臣の御意見はどうでありますか。
○犬養国務大臣 ただいま二、三、回にわたつて北山さんに申し上げたようなわけでありまして、保安隊の任務と警察の任務は皆さん御承知のように違いますので、私の先ほどの説明をもつてかえますから、御了解を得たいと存じます。最終的な議論として先ほど申し上げましたように、保安隊が強化され、国内的にも外部の侵略に対しても強くなつた。そのことは関係がありまして、もし保安隊が強化されていない、警察予備隊程度ならば、今度の三万人も、行政整理からの御要請があつても、削らなかつたかもしれませんが、保安隊は非常な大仕掛の擾乱事件にはだれが用いても、これをふしぎと思わないのでありまして、そういう意味においては、三万人減らして能率をうまく使つて行こうということは考えられるのでありますが、実際の面においては、中型あるいは小型の擾乱事件に、一々保安隊の出動を要請することは、政治としておもしろくない、かえつて民心を不安にする、こういうふうに二つにわけて申し上げた次第であります。
○中井委員長 議事進行につき発言を許します。阿部君。
○阿部委員 質疑応答が目下主として警察の治安維持方面の機能に集中されておるようでありますが、こういう方面について現在答弁に当つておられるのは犬養法務大臣初め、その他は主として国警の方々ばかりであります。今回のこの警察法の改正が、警察の治安維持的機能を中心としておるのでありますが、その点について単に国警ばかりが関連を持つておられるのでなくて、自治警においてそういう方面の機能をどの程度果すことができるかということも、重大な関係があると思うのであります。そこでこれらの問題についての質疑は、国務大臣や国警方面の答弁ばかりでなしに、自治警方面のこれに関連した答弁をも相並んでやつてもらいたいと思うのであります。そうしなければ、今回のこの警察法の改正をぜひとも必要とするものであるかどうか、自治警によつてその機能を果し得るのではないかというような疑問がはつきりしないのであります。それで委員長におかれては、次会からは国警側の方々の出席を求めるばかりでなしに、警視総監初めその他二、三大都市の自治警方面の警察長なりその他の人人の出席を求めていただきたいと要望いたします。
○中井委員長 御発議の趣旨はわかりましたが、それならば自治警のだれを呼ぶかという具体的な御意見が承りたいと思いますが……。
○阿部委員 その点につきましては委員長もおわかりでありましようから、御一任してよいのでありますけれども、それをはつきり申し出よというのでありましたら申し出ます。
○中井委員長 その問題につきましては、先般来理事会で数たび御意見があつたところなのであります。これはひとつ理事会の決定におまかせをいただくことができればけつこうだと思いますが……。それならば一応理事会で具体的な方法を協議して、それから後あらためてお諮りしたいと思いますが、いかがでしよう。
○阿部委員 了承いたします。ただちに本日散会後の理事会において御決定下さるということを前提として、了承する次第であります。
○中井委員長 そういうつもりであります。ではあらためて申し上げます。ただいま阿部君の御発議もありましたし、かつこの問題は先般来たびたび多数の委員の方からお申出の件でもありますから、本日散会後ただちに理事会をお開きになり、理事会において具体的な方法の御協議あらんことを希望いたします。もう一時ですから、本日はこの程度でどうです。
○大矢委員 今加藤君が質問したですね。大阪の警視総監が、兵力が足らぬ、もつとふやせといつておる、政府は三万減すといつておるし、加藤君はふやせと言つておる。それに対する答弁を私は非常に期待して聞いておつたですが、いまだに答弁がない、その答弁をひとつ承つておきたい。
○犬養国務大臣 ふやせという、警察を愛してくださる御友情に感謝いたしますが、政府はいろいろ考えまして、減らせると考えたのであります。この点あしからず御了承願います。
○北山委員 委員長も、きようはこの程度でというような御希望のようでありますから、私はあとの点は留保して、さらに次会に継続していただきたいと思うのでありますが、なお議事進行について、加藤委員から再々関連質問等が出ておりますが、その中で盛んに共産党の脅威といいますか、そういうものをるるお話になつておられる。この点についてはもちろんあとで十分私どもは究明したい。実際に共産党の脅威というものがどういうものであるかということは、単なる加藤さんの御意見だけでは私どもは信用することはできないのであります。従つてこの点は十分ゆつくりと別にやらなければならぬと思うのでございます。なお今日の保安隊と、この警察の治安維持機能の強化ということとの問題は非常に重大じやないか。要するに今までの政府側の答弁を見ますと、やはり保安隊の増強も一面における治安維持力の強化であり、また今度の警察法の改正もやはり公安警察等の中央集権的な強化である。なるほど人員を減らすということは経費の関係上減らすのだろうと思うのですが、そういうふうなことで相当に重要でございますので、さらにじつくりと、私はこれを次会におきまして十分質問いたしたい、かように考えておりますから、きようはこの程度で、あとに留保いたします。
○中井委員長 了承いたしました。西村君。
○西村(力)委員 一点だけ……。
○中井委員長 御質疑ですか。
○西村(力)委員 関連です。
○中井委員長 北山君の質疑は終つておりません。留保されております。従つて次の機会に質疑が続きますから関連の質問があるならば、そのときになさるよう願います。 本日はこれをもつて散会します。 午後零時五十九分散会